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鹽野政府
委員 最高裁判所のほうからるる御
説明がございましたが、
先ほどの御
説明にもありましたように、合同役場を廃止するということは、要するに
執行官法におきましては役場制をとらない
関係で合同役場もなくなる、こういうことなのでございますが、その点をまず御
説明いたしますと、従来は
執行官はその執務の本拠として役場を設けるということが御承知のとおり
執達吏規則に
規定されていたわけでございますが、この役場制というのは、
ことばからも感じられますように非常に非近代的と申しますか、そういう感じがするのでございます。それはこういうふうに執務の本拠が
裁判所を離れて役場であるということは、現在の
執達吏規則のもう一つの問題である手数料制、これと相まちまして——手数料制で
職務を
運用していく。しかも役場を設けて執務の本拠とするということで、この
執行吏役場というものが小さな一つの企業体というふうな形になっているわけでございます。したがいまして、その面から公務の
執行が小さな企業体で行なわれるというような形になりますので、おのずから
執行の債権者との結びつき、それからその他いろいろ論ぜられております取り巻きの弊害というようなものと結びつきやすいのでございます。そういう点がこの
委員会におきましても従来しばしば御
指摘を受けているところでございます。それを一つの改善の目標にしなければならないというふうに考えたわけでございますが、それに対する対策としての方法、あるいはいろいろ考えられるかもしれませんが、私
どもの考え方といたしましては、これを
公務員的な色彩を強くしていく、すなわち、いま申しました私企業的な色彩を薄くしまして
公務員的な
性格を強くすることによって、そういう弊害をできるだけ除去していこうという考え方になっていったわけでございます。そこで、そういう考え方の上に立ちまして検討いたしました結果、
先ほど来御
指摘を受けましたように、手数料制の点につきましては、なおいろいろ問題があって踏み切れない。そこで、その点はやむを得ず今川は見送りといたしまして、現在私企業体のような形になっている役場制は廃止して、
裁判所内で勤務するという、一般の
裁判所職員と同じような執務の体制にしていこう、こういうことを考えてこの
法案を組み上げてあるわけでございます。
そこで、
先ほど最高裁判所のほうから合同役場のいいところを残しておくというふうな
趣旨の御
説明がございましたが、この合同役場は、これはすでに御承知のとおりでありますが、
執行吏と申しますか、
執行吏役場と申しますか、その相互間の競争が非常に激しくなる私企業のような形をとりますので、過当競争の弊害を生じてくるという問題が一つあったわけでございます。それから同時に、役場の事務処理の合理化、能率化という問題が一つございまして、この過当競争の弊害を避けると同時に、役場の事務処理体制を能率化していく、合理化していくというこの二つの考え方で、
先ほどの
最高裁判所の
執行吏事務処理規則の中で合同役場
制度というものを
規定するに祭ったわけでございます。
そこで、過当競争の面につきましては、御承知のとおり、今回は、自由選択制を廃止いたしまして、
裁判所に申し立てまして、
裁判所のほうで各
執行官に事務の分配をするという体制をとりましたので、過当競争の問題につきましては、もう弊害の生ずるおそれはなかろうというふうに考えられるわけでございます。事務処理の合理化、能率化という面につきましては、なお合同役場制の長所というようなものを残す余地があるのじゃなかろうか、これは役場を廃止いたしまして
裁判所内で執務するということになりましても、
先ほど申しましたように、手数料制という問題が残っているわけでございます。そこで、
執行行為をいたしまして手数料を受けるという形になっておりますので、それに伴う事務処理も
執行官の
責任において行なっていく、こういうことになりますので、それに伴う、たとえば消耗品的なもの、それから場合によりまして、事務の多いところでは、補助職員として事務員を雇うというようなことが残ってくると思うのでございます。そういう場合に、役場制を解消したということによって、今度は個個の
執行官がそれぞれ、
自分一人一人でそういう事務を処理していくということになりますと、従来合同役場をやっておりました場合よりは不便が出てくるわけでございます。そういう面で、現在の合同役場の長所というようなものを
執行官制度になりましてもある程度残して取り入れていくという余地があるのじゃなかろうかというふうに考えられますので、
最高裁判所の考えておられますのもそういう面の合同役場の長所というようなものを残しておこう、こういう御
趣旨であろうと考えるわけでございます。