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1966-05-26 第51回国会 衆議院 法務委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十六日(木曜日)    午前十一時三分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 田村 良平君    理事 井伊 誠一君 理事 坂本 泰良君    理事 細迫 兼光君       賀屋 興宣君    鍛冶 良作君       唐澤 俊樹君    佐伯 宗義君       四宮 久吉君    田中伊三次君       千葉 三郎君    馬場 元治君       濱野 清吾君    早川  崇君       森下 元晴君    山口シヅエ君       山田 長司君    横山 利秋君       志賀 義雄君    田中織之進君  出席国務大臣         法 務 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         法務政務次官  山本 利壽君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 鹽野 宜慶君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局民事局         長)      菅野 啓蔵君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 五月二十六日  委員唐澤俊樹君及び中垣國男辞任につき、そ  の補欠として賀屋興宣君及び鍛冶良作君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員賀屋興宣君及び鍛冶良作辞任につき、そ  の補欠として唐澤俊樹君及び中垣國男君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 五月二十五日  鹿児島地方法務局蒲生出張所存置に関する請願  外一件(池田清志紹介)(第四九一六号)  印章法制定に関する請願奥野誠亮紹介)(第  四九五七号)  同(星島二郎紹介)(第四九五八号)  ベトナム中央歌舞団日本公演実現に関する請  願(赤松勇紹介)(第四九五九号)  同(茜ケ久保重光紹介)(第四九六〇号)  同(秋山徳雄紹介)(第四九六一号)  同(井谷正吉紹介)(第四九六二号)  同(大出俊紹介)(第四九六三号)  同(大柴滋夫紹介)(第四九六四号)  同(岡良一紹介)(第四九六五号)  同(岡田春夫紹介)(第四九六六号)  同(岡本隆一紹介)(第四九六七号)  同(加賀田進紹介)(第四九六八号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四九六九号)  同(黒田寿男紹介)(第四九七〇号)  同(河野密紹介)(第四九七一号)  同(佐野憲治紹介)(第四九七二号)  同(重盛寿治紹介)(第四九七三号)  同(下平正一紹介)(第四九七四号)  同(東海林稔紹介)(第四九七五号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四九七六号)  同(戸叶里子紹介)(第四九七七号)  同(堂森芳夫紹介)(第四九七八号)  同(中井徳次郎紹介)(第四九七九号)  同(中澤茂一紹介)(第四九八〇号)  同(中嶋英夫紹介)(第四九八一号)  同(成田知巳紹介)(第四九八二号)  同(野原覺紹介)(第四九八三号)  同(畑和紹介)(第四九八四号)  同(穗積七郎紹介)(第四九八五号)  同(松本七郎紹介)(第四九八六号)  同(武藤山治紹介)(第四九八七号)  同(柳田秀一紹介)(第四九八八号)  同(山本幸一紹介)(第四九八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  執行官法案内閣提出第一四九号)      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  執行官法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 委員長に、議事運営についてお願いをしておきたいのでありますが、本委員会は、日ごろきわめて真剣な質疑応答が常に行なわれておるじみな委員会でございますけれども、その質疑応答委員長の御指導のもとにきわめてまじめに行なわれておるにもかかわりませず、委員会はきわめて出席が悪いのであります。しかも、定足数をようやくにして確保いたしましたあと、発足をいたしますと、すぐにお帰りになる方が多いのであります。私ども野党側としては、先般申し合わせをいたしまして、まあそれはお互い多忙であろうけれども、あまりにも、発足のとき、開会のときに成立したらすぐお帰りになることについて遺憾きわまることである、したがって、少なくともこういうことにしたい、それは、委員会が開会されて後わずか三十分の間に定足数を割るようなことがあった場合には、その委員会はそのまま流会にする、こういうことが望ましい、三十分くらいではほんとうはいかぬのであるけれども、少なくともそういうふうなことが最低線として各委員会は確保せらるべきである、実は野党側としては国対その他においてこういう確認をいたした次第であります。本件について、本委員会においても、ひとつその旨委員長のお取り回しを願いたいと思うわけでありますが、いかがでございますか。
  4. 大久保武雄

    大久保委員長 ただいま横山委員からの御発言につきましては、法規先例に準じまして運営いたしたいと考えております。
  5. 横山利秋

    横山委員 法規先例という意味はどういう意味でありますか、お伺いをいたします。
  6. 大久保武雄

    大久保委員長 定足数を含めて、当然のことであります。
  7. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、私の提案委員長は御了承くださったものと理解して質問を始めてよろしゅうございますか。
  8. 大久保武雄

    大久保委員長 どうぞ御質問ください。
  9. 横山利秋

    横山委員 ありがとうございました。  執行官につきましてお伺いをいたしますが、まずきわめて具体的なところから個々に入りまして、一番最後に総括的な御質問をいたしたいと思います。  執行吏代理は、いま全国で何人でございますか。
  10. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 執行吏代理の数につきましてのお尋ねでございますが、お手元にこの法案資料といたしまして「執行官法案参考資料」という刷りものをお掛けしてございますが、この八十七ページ以下にその関係が書いてございます。ごらんいただきますと、執行吏の数に続きまして執行吏代理の数が書いてございまして、これはこの表にございますように本年の三月三十一日現在でございますが、執行吏代理の総数は二百四十五名ということに相なっております。
  11. 横山利秋

    横山委員 執行吏代理は何法によって規定をされておる職名でございますか。
  12. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 執行吏代理という名称法令の中には出てこないのでございまして、いわゆる執行吏代理制度根拠執達吏規則でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 そうすると、執行吏代理法律によらざる職名である、法律によって保護され、法律によって権限を持たざる職名である、こう理解してよろしゅうございますか。
  14. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 執行吏代理という職名と申しますか、そういう名称につきましては法令根拠がない、こういう趣旨でございまして、いわゆる執行吏代理制度、すなわち、執達吏自己責任において臨時にその職務執行委任するという制度につきましては、これも先ほど申しました執行官法参考資料でございますが、その六ページ以下に執達吏規則が載せてございますが、この第十一条に規定されているところでございます。
  15. 横山利秋

    横山委員 「執達吏ハ特別ノ命令クハ委任受ケタル場合ノ外自己責任以テ左ニ掲クル者ニ臨時共職務執行委任スルコトヲ得」とあります。「自己責任以テ」ということは、「第一  執達吏登用試験ニ及第シタル者、第二 執達吏職務修習者ニシテ三箇月以上共職務修習シタル者、第三 裁判所書記登用試験ニ及第シタル者、第四 区裁判所ノ一人ノ判事クハ監督判事ニ於テ臨時執達吏職務行フニ適当ト認メタル者」、この者を自分責任において委任することを得という、自分責任においてという意味はどういう意味でありますか。
  16. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 このような手続によりまして執行委任いたしました場合に、委任を受けた、先ほどからお話しのいわゆる執行吏代理が行ないました執行行為につきましては、執行吏自身責任を負うという意味責任でございます。
  17. 横山利秋

    横山委員 何が起こっても、執行吏代理がやったことについて役所責任はない、一切あげてここでいうところの執達吏に、任命したことについて責任がある、こういう意味でありますね。
  18. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 任命したことにつきましてはさようなことに相なると思います。しかしながら、いわゆる執行吏代理執行行為でございましても、これは国の機関の執行行為性格を帯びるわけでございますから、その執行行為について何らかの問題があるというような場合には、いわゆる国家賠償責任というものは国が負うことになるわけでございます。
  19. 横山利秋

    横山委員 ここにいうところの、「執達吏ハ特別ノ命令クハ委任受ケタル場合ノ外」という意味はどういう意味でありましょうか。特別の命令もしくは委任を受けた場合においては、委任をしてはいけないという意味ですか。
  20. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 御趣旨のとおりでございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 そうしてこの四条件に適合しておれば、執達吏はだれでも自由にこの代理委任することができますか。
  22. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 結論におきましてはさようなことになるわけでございますが、この第十一条の条文をごらんいただきましただけでもおわかりのように、この規定が非常に古い形でございます。これは御承知のとおり明治二十三年の法律でございまして、現在から見ますと七十数年前ということになろうかと思います。規定のいたし方が現在とはかなり違っております。それを取り巻く諸般の制度も変わっているというような状況もございまして、この実際の運用につきましては、最高裁判所から説明願うのが相当かと考えます。
  23. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 いわゆる執行吏代理資格につきましては、ただいま法務省のほうから御説明がありましたように、執達吏規則第十一条の資格要件が必要なわけでございます。そういたしまして、ここに四つの場合があげてあるのでございます。第一から第三までと第四とはいささか性格を異にいたしております。お読みいただければおわかりと思いますが、第一から第三までは、一定資格がここに具体的にきめられておりますが、第四の場合は、ここに「区裁判所ノ一人ノ判事クハ監督判事」、こうあります。これはこの参考資料の3の裁判所法施行法に基く執達吏規則及び執達吏手数料規則変更適用に関する政令によりまして、地方裁判所と読みかえられるわけでございますが、この地方裁判所が適当と認めたものが、一定資格という具体的なきまった資格ではなくて、認定行為によりましてこのいわゆる執行吏代理の職につくわけでございます。この場合には裁判所個々の場合について認定行為を行なうわけでありまして、執行吏執行吏代理関係は、その両者の私人的な関係でございますけれども、第四の場合には、裁判所が、そういうものを執行吏代理として委任してもよろしいという意味におきまして、裁判所認定行為が入ってくるわけでございます。そうでありますから、形の上ではやはりこれも執行吏執行吏代理との間の委任契約ということになりますが、その委任契約には裁判所認定を行なった上で、それが条件となっておるわけでございます。現行の執行吏代理と申しますものは、一から三の資格要件によって執行吏代理になっておりますものはごく少数でございまして、先ほど申し上げました二百四十五名のうちの大多数というものは第四の規定によって執行吏代理になっておる現状であります。つまり、現実執行吏代理裁判所認定行為が入る、そういうものであるということを申し上げることができると思います。
  24. 横山利秋

    横山委員 二百四十五名のうち大多数が第十一条の四項によって、地方裁判所認定によって代理を行っておる。しかし、地方裁判所認定をして行なうというその地方裁判所は、役所として執行吏代理法制的に認めておらぬ。私は論理の矛盾を非常に感ずるわけであります。事実上、役所執行吏代理の大多数を認定しながら、法制的に執行吏代理を認めておらぬ。こういう矛盾は、一体どう考えたらいいのでありますか。認定基準となるものはどういうものでありますか。
  25. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、執行吏代理というそういう職名は、法律上認められておらないのにかかわらず、実際は裁判所認定したものが大部分執行吏代理になっておる、それはおかしいではないか、私どもも実はその点はそういうふうに考えておるわけであります。なぜ、そういうことになったかと申しますと、何ぶん執達史規則明治二十三年の古いものでございまして、この当時考えましたことは、いわゆる臨時必要がある場合において、やむを得ない場合においては執行吏がその責任において代理を選ぶことができるという制度であったわけでございますが、その後と申しますか、ことに戦後におきまして、執行吏待遇等の面において不十分な面がありまして、執行吏補充する困難性のために、明治二十三年の法律趣旨からだんだん離れていきまして、執行吏代理というものを恒常的なものとして裁判所が認めざるを得ないような状況に立ち至った。と申しますのは、補充が困難であったという点にあるわけでございまして、それは御指摘のとおり、執達吏規則の本旨から申しますと、いささかその趣旨を離れた運用のしかたがされておったということを認めざるを得ないと思います。しからば、一体この第十一条の第四で、どういうものを執行吏代理として裁判所は認可してきておったかというお尋ねでございますが、この法律を読みますと、やはり第一から第三までが原則的なものであるという趣旨は読み取れると思います。そこで、この第四は、やはり第一から第三に準ずるもの、たとえば執行吏登用試験に及第した者、その程度の法律的知識を持つと認められる者を認可してきておった実情でございます。
  26. 横山利秋

    横山委員 第四の「適当ト認メタル者」については、非常に抽象的な御答弁でありますが、認定基準というものは最高裁判所からお出しになっているのですか、それともそれぞれ地方裁判所等で適宜やっておるものでありますか。
  27. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 最高裁判所としては、この点につきまして通達なり通知なりというものはいたしておりません。この法律趣旨に従って、これで地方裁判所現実認定する場合の基準として足りるというふうに考えておる次第でございます。
  28. 横山利秋

    横山委員 それはおかしくないですか。執行吏代理というものを法律上認めておらない。けれども地方裁判所が職権をもって大多数事実上の任命を行なう、その基準は何らない。第一から第三までに準ずるということで適当にやれ、こういうことになっておるという御答弁と承知するわけですが、それでしたら、いいころかげんな話じゃありませんか。
  29. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 執行吏代理法制上認められていないというお話でございますが、私、先ほどの御説明が不十分であった結果かと存じますが、執行吏から臨時にその職務執行委任を受けて執行行為をするという制度は、執達吏規則の十一条で、あるわけでございます。その意味におきまして、いわゆる執行吏代理制度は全く法制上認められていないというものではないのでございまして、私が先ほど申し上げましたのは、執行吏代理ということば法律の上には出てきていない、こういうことを申し上げたつもりだったのでございます。さらに厳密に申し上げますと、執行吏代理という表現法令の上に全く出ていないというわけではございませんので、裁判所規則の中には執行吏代理ということばを使っている場合があるわけでございます。それは「執達吏規則第十一条の規定に基き委任を受けて臨時執行吏職務執行する者」、これを執行吏代理というふうな名前で簡単に法令の中で使っていく例はあるわけでございます。現に最高裁判所執行吏事務処理規則という破局裁判所規則の中にはさような執行吏代理という表現を使っている例があるわけでございます。したがいまして、私が申し上げましたのは、法律執行吏代理という名前であらわしている制度は、法律上にはあらわれていないということを申し上げただけでございます。その実態執達吏規則によってすでに認めている。執達吏規則根拠になっているということになるわけでございます。ただ先ほど横山委員の御指摘になりましたとおり、当初執達吏規則第十一条で予定しておりましたのは、「臨時其職務執行委任スルコト」ができるという臨時制度であったわけでございますが、それが長年の運用の間に、現在のように何か恒常的な制度のようにだんだんに転化しているというふうな事実は、御指摘のとおりあるわけでございます。
  30. 横山利秋

    横山委員 ちょっと議事の途中でありますが、回覧で回ってきました理事会の決定が、本法案審査の過程に問題を生じそうな気がいたしますので、委員長見解をお伺いしたいと思います。
  31. 大久保武雄

    大久保委員長 速記をとめてください。   〔速記中止
  32. 大久保武雄

    大久保委員長 速記を始めて。
  33. 横山利秋

    横山委員 いまの御答弁を聞きますと、いまの法律の中における根拠が全くないということではない。臨時執行吏代理を命ずることがあるという規定があるとおっしゃったのですが、これはやはり次元が違うのでありまして、この問題について臨時に頼むという意味規定だと私は考えておるのであります。二百四十五名という恒常的な執行吏代理、それをどうするかという御質問をいましておるわけでありますから、恒常的な執行吏代理については法律的に規定がない、こう理解してよろしいんでしょう。   〔委員長退席上村委員長代理着席
  34. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 執達吏規則の十一条がこの制度根拠だと申し上げましたが、十一条には御指摘のとおり「臨時」ということばが入っておりまして、臨時委任をしていく形の制度が十一条で予定されていたものと考えられるのでございます。しかしながら、いつのころからか私もはっきり存じないのでございますが、七十数年間の運用のうちに、この臨時がたび重なる臨時になり、だんだんに現在のように、何か外形的には恒常的な制度のようになっているわけでございますが、その根拠は実は十一条以外はないのでございまして、十一条の臨時がたび重なって、外形は恒常的な代理のような形に見えるというふうに解するほかはなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 学者的見解をちょっと御披露なさいましたが、法律担当責任者としてはまことに言語道断な御答弁であると私は思われるのであります。学者的見解においてはそういうような御答弁はできる点がございますけれども法律担当責任者としては、結局現在の二百四十五名は何ら法律的確たる根拠がない、ずるずるずるずると長年やっているんだから、この十一条の臨時恒常的になっているんだから、そう思わざるを得ない、こういう御答弁は無責任もはなはだしいと私は思うのであります。この法律実態との違いをいまどうしようというのですか。
  36. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 この十一条の規定運用につきましての問題でございますが、確かに、先ほども申しましたように、この十一条は、規定の上では「臨時」ということばが明確に入っておりますので、臨時執行代理をさせるという制度であると存ずるのでございます。その代理を命ぜられると申しますか、委任されるものは、先ほども御指摘のございましたように、この十一条に並べられているような資格のある者が委任を受ける資格があるということになるわけでございます。そこで、臨時にこれらの者に事務の執行委任をする、こういうことになりましても、そういう給源がなければ、そのつど一々方々からさがし回って、そういう者をいわゆる執行吏代理に頼むということであれば、この制度はほとんど運用困難になるわけでございまして、これはやはり手元にと申しますか、自分の手近なところにこういう有資格者を置くということによって、臨時応急にこの制度が動いていくことになるわけでございます。そういうようなことから、執行吏手元にこういういわゆる有資格者がおりまして、それに必要のつど執行委任をしていく、こういうことになったわけでございまして、現在の制度は必ずしも十一条に基づかない、何と申しますか、法令根拠のない制度だというふうには考えられないと存ずるわけでございます。
  37. 横山利秋

    横山委員 それはいろんな理屈をつけたって、あくまで十一条は臨時なんだから、現在やっているのは恒常的な執行吏代理なんだから、そこを結びつけようったって理屈に合いませんよ。もっとさっぱり、いや、いまの執行吏代理法律的根拠がありません、御指摘のとおりです、ですから今回はこういうふうにいたしますと、はっきり答えればいいものを、何とか臨時恒常とが関係あるかのごとき説明をなさること自体は、私ども納得できませんよ。
  38. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏関係法律の実施の衝に当たります裁判所として、この点につきましてはいささか責任もございますので、私のほうからも御答弁申し上げます。  御指摘のように、法律臨時制度としての執行吏代理しか認めておらないのであります。それが、先ほど説明申し上げましたように、特に戦後執行吏補充の困難というところから、執行吏代理というものを恒常的に使ってまいったのであります。その点は、昨年の訴訟費用等臨時措置法改正のときに御指摘がございまして、こういう制度はおかしいんじゃないかという御批判を受けましたし、その以前からも、私どもといたしましても、そういう運用のしかたは法律趣旨に合っていないから改正しなければならないものである、ただ、全般的な制度改正をまってその点も改正するというつもりでおりましたのでございますが、何と申しましてもその点は早急に改めなければならない点であるというふうに考えまして、このたび、執行吏代理制度というものを廃止するという法案法務省のほうにお願いいたしまして、そうして今回の提案をさしていただいたわけでございます。
  39. 横山利秋

    横山委員 そうすると、論理的に非常に矛盾がある。だから、今度の改正案をもって、附則第十一条で「執行官については、旧執達吏規則第十一条のいわゆる執行吏代理に相当する臨時職務代行制度を設けないこととした」——設けない。いままでひっかかりのあったことをはずして、この際設けない。ゼロにしよう。しかし、二百四十五名はそのまま残っておる。そうすると、ますます法律的根拠をなくした。しかしながら、二百四十五名の執行吏代理は、「現在執行吏代理として適当である旨の地方裁判所認定を受けている者等には、今後も当分の間執行官職務を代行させることにする必要があるものと考えられるので、本条において、その措置を執りうることとするとともに、これに対する報酬支給について必要な定めをした」、いままで臨時恒常と、法律的に矛盾がある。恒常規定はない。臨時規定がある。それを、恒常実態になったから矛盾があると言ったら、そのとおりだ。それなら臨時のやつをはずしてしまう。だから、法律的根拠が全くなくなる。けれども、二百四十五名は引き続き代理をやれ。そして報酬支給についても必要な定めをする。どっち向いて汽車は走っているんですか。
  40. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理制度が、執達吏規則第十一条の規定と論理的に矛盾するというのみならず、実質的にも執行吏代理という、執行吏執行吏代理との間の私法上の契約で、その職務を行なうことができるということ。その職務と申しますのは、いわゆる執行行為、公権力の行使でございます。それを、執行吏公務員でございまするけれども執行吏代理公務員でない、そういう人が行なうということが、実質的にもおかしいわけでございます。そこで、今回は執行吏代理制度制度としては廃止する。ところが、現にそこに二百四十五名という執行吏代理の人がおるということなのでございます。私ども法務省にお願いいたしまして、執行官法改正をお願いいたします際に、すっきりとした割り切れた恒久制度執行官法というものをお願いできなかったゆえんも、理屈はそうである、実質もおかしい点がある、しかしながら、現実にそういう執行吏代理としての職務をやっておる方々がおるという点に非常に悩みがあったわけでございます。そこで、この執行吏代理制度として廃止する。したがって、そこに働いている人々は、どうしても一ぺんに職を失わすということはできないにいたしましても、漸減の方向をとらなければならない。でありまするから、方向といたしましては、執行吏委任によって執行ができるという執行吏代理、そういう制度をなくし、そういう現実の人をなくしていくという方向に向いていくことは、はっきりしておる点であると思います。ただ、現実に二百四十五人の人があるために、いますぐ執行吏代理制度をなくし、現実にそういう人もすぐにいなくなるという状態は生み出せませんけれども、私ども現実に二百四十五人という人がある、この人の処遇というものをどういうふうに具体的にしていったらいいかということを考えあわせつつ、当分の間、しばらくは、まあ三、四年の間はそういう人が現実には残りますけれども、三、四年後にはそういう制度も、そこに働く人もなくしていくという方向にまいりたいと思っております。
  41. 横山利秋

    横山委員 そうしますと、汽車はどっちに走っていくという質問に対して、執行吏代理はなくするんだということなんですね。なくするというそのことは、何の権限をもってそういうことを言うのですか。そうすると十一条はなくするんですから、今後地方裁判所執行吏代理として適当と認めるという認定は、これからまずしないということですね。これはいいですね。そういうことなんですね。
  42. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 まず第一にはそういうことでございます。
  43. 横山利秋

    横山委員 そうすると執行吏が十一条の一、二、三によって執行吏代理自分で任命することは、これは自由裁量でしょう。あなたのほうがとやかく言われる筋合いはないですね。これもいいですね。
  44. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 第十一条が廃止されますれば、今後は執行官臨時代理の任命をするということはできなくなります。
  45. 横山利秋

    横山委員 しかし、あなたがおっしゃったように、裁判所とそれから公務員である執行吏との関係は律せられるけれども執行吏代理との関係は私法上の問題であるから、執行吏が、これは代理とおれの事務所では認めると言うてやる分には、これは私法上の問題では何ら差しつかえない、法律上差しつかえがありますか。
  46. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 非常に重要なお尋ねだと思いますが、この執行官法におきましては、御承知のとおり、執行官自身が職務執行する場合に、委任に基づいて職務執行するわけではないのでありまして、申し立てによりまして、その申し立てがありました事件について裁判所が事務分配をして、特定の執行官の具体的な職務、こういうことになるわけでございます。したがいまして、その執行官がさらにその割り当てられた事務を委任していくということは認められないわけでありまして、その点が従来と申しますか、現在の執行吏制度とかなり違った形になってくるわけでございます。現在は執行吏自身が債権者の委任によって職務を行なうということで、再委任と申しますか、そういう形で他の者へ委任を移していくということは、比較的考えやすいのでございますが、今回は本来が委任という形で仕事が始まるのではないのでございまして、国の機関に対する申し立てという形で具体的な執行官職務が始まるので、さらにそれを執行官委任していくというのは、特別の規定によって認めていくわけでございます。それは本来でございますれば、そのような形の執行官になりました以上あるべきでない姿であると考えられるわけでございます。先ほど最高裁判所からも御説明のございましたとおり、何ぶんにも現在全国で二百四十数名のいわゆる執行吏代理がおりますので、さような代理と申しますかの制度を全部ここで一ぺんにやめてしまうことになりますと、仕事はすべて執行官だけでやることになりまして、いわゆる執行官代理の仕事というものは全くなくなってしまうわけでございます。そこで附則の第十一条におきまして、当分の間暫定措置として従来のような形でその職務を代行させることができるという制度を残したわけでございまして、その面におきましては断定措置として従来の形を踏襲していく、それは一に、現在執行吏代理として働いてまいりました二百四十数名の者の立場を考慮してやらなければならぬというふうな配慮でそのような経過措置を講じておる次第でございます。
  47. 横山利秋

    横山委員 二百四十五名に配慮をする、けれども今後は二百四十五名以上には執行吏代理はふやさないという点が明らかになりました。そうすると二百四十五名は今後一体どうなるのかということであります。この際、法律が制定されると同時に、二百四十五名のうちで有能な者、あるいは二百四十五名がそのまま執行官になれば一番問題は簡単でありますが、二百四十五名の処遇はどういうふうになさるか、具体的に伺いたい。
  48. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏代理制度は、この法律が施行になりますと、制度としてはなくなる。ただそこに働いている人を今後どういうふうにするかというお尋ねでございますが、しばらくの期間が要るということはお認めいただけると思います。しからば、しばらくの期間というのは何年くらいということに相なろうかと思いまするが、先ほど私が申し上げましたように、まず三、四年というふうに計画を立てておるわけでございます。具体的に申し上げますると、二百四十五名のうち、ただいまも百名余りはもっぱら送達をやっておるわけでございまして、三年、四年の間に執行吏代理をなくすと申し上げましたけれども、それはいわゆる執行吏代理をなくすという意味でございまして、三年たった後におきましても、送達代理はその後しばらくまた残っていくのではなかろうかというふうに思っております。それはなぜかと申しますと、実は送達に関しましては、これが本来執行官職務として将来長く残しておくべきかどうかという一つの問題もございますし、もう少し送達の点については考えていかなければならない点もございますので、送達代理は三年後におきましてもしばらく残す、その数は、ただいま申しました約百名でございます。そうしますと三年か四年の間に、あと残りました百五十名の執行吏代理の処遇ということを考えなければならないわけでございます。従来の経過からいたしまして、年々の自然の減員というものが十五名ないし二十名ございます。そういたしますと三年の間にまず五、六十名というものが自然にこの職を去っていく、そうしてあと百名ということに相なるわけでございます。これが御指摘のように、すべて新しい執行官に任命し得れば問題はないわけでございますが、今度の執行官は格づけが高いものを考えておるのであります。そこで私ども二百四十五名につきまして全部学歴の調査をいたしましたが、新執行官の受験資格のある者が二、三十名おります。そのほか大部分の者はいわゆる裁判所書記官としての、あるいは雇いとしての受験資格がございます。私ども今度の法案におきまして、執行吏代理の処遇について法律の表面には出しておりませんけれども、しかしながら、そういう配慮も手伝いまして、会計の事務、受付の事務というものを裁判所がやるということになりますれば、その方面に事務官ないし雇いの人々の増員が必要なわけでございます。その点につきまして、本年度は増員につきましての予算的な手当てができませんでした。しかしこの法案が通りますれば、当然その会計事務、受付の事務について人が要るということが明らかになりますので、予算折衝ができるわけでございまして、そして増員が必要になってくる人員のうちに、執行吏代理の適任者をでき得るだけ吸収していくという方針でまいりたい。執行吏代理をいつ首にするというような規定は少しもございませんので、たとえ三年のうちに全部を吸収できなくても、五人残っても、三人残っても、その人は不幸にして裁判所に吸収できず、あるいは執行官に採用することができないとしても、形は悪うございますけれども、そういうちょっと残ったしっぽというようなものは最後まで残しておいて、そして最後までそういう人々のめんどうを見るつもりでございます。
  49. 横山利秋

    横山委員 何やら遠慮しいしい、くつの裏から足をかくようなものの言い方をしていらっしゃるのですけれども、もっとずばりと言ったらどうですか。たとえば税理士法なり、公認会計士法なり、いろいろな法律改正のときに、現在その職にある人をどうするか、現在実務をやっておる人がその法律改正の際にどういう処遇を受けるかによっては、すべて共通ですよ。現在やっておる者はなるべく引き上げてやれというのが法律の精神であり、いかなる場合においても行政運用の骨格になっておる。あなたは受験資格がある者が二、三十名ですということを一番最後に言って、おずおずそれを言っておるような気がするのだけれども執行官になかなかなり手がないのですからね。執行吏代理という職名をなくしたところで、仕事はそのままあるのでしょう。だからいままで執行吏代理という職名を持っておった人がやっておった仕事を、今後はそういう職名でない人が実際にはやるようになる可能性は強いわけです。この際もう端的に言えば、現実に仕事をしておった諸君は、きのうきょうなった者については議論があるかもしれぬけれども、ある程度受験資格を甘くして、そして経験年数、それから実際の実務の状況を勘案して、水準を下げてしんしゃく点を設けるべきですよ。そんなことは当然なことじゃないですか。何でそうあなた、遠慮しいしいものを言っておられるのか。どうなんですか、あなたそういう気持ちがあるのですか。
  50. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 御指摘のとおり、現に執行吏代理の仕事をしている人々の処遇は、これはできる限り優遇しなければならないものであるというふうに考えております。ただ、執行吏代理に対する非難というものの一面といたしまして、やはりその能力が必ずしも十分でない人が執行をやっておるという面におきましての御批評もあったわけでございます。今後の執行を行なう人は、従来に増して素質のある人をこれに充てていきたいと思うわけでございます。しかして従来の執行吏代理の方々の中にも、そういう素質を十分に備えている方々があるわけでございます。それでございますから、この任用資格の上では一応四等級相当、ただいまの七等級相当から相当上回った資格ということを新執行官の任用の要件といたしたいとは思っておりますけれども、四等級ということで固定してしまうつもりはございません。四等級に準ずる者に受験資格を持たせたい、かように思っております。準ずる者ということの意味は、必ずしも役所における経歴という意味にとどまりませず、たとえば会社において係長級の人である、そういう意味におきまして十分に経験を積んだ人、なかんずく執行吏代理としての執行の経験を持って長年つとめたという、そういう経歴を四等級に準ずるということを勘案いたします際に相当に重要視してまいりまして、執行吏代理としての経験のある者にもこの四等級に準ずる者という資格の範囲を広げてまいって、運用の上で試験に受かりさえすればなるべく多くの執行吏代理の人を新しい制度のもとにおける執行官に任命してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  51. 横山利秋

    横山委員 試験に受かりさえすればというのは、試験は何の法律によって行なわれているのですか。
  52. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 これは、この法律ができますれば、任命資格に関する裁判所規則をつくるわけでございます。裁判所がなぜそういう規則をつくれるかということになりますと、裁判所法の六十二条で任命資格については裁判所定めるということになっておりますので、その規定に基づきまして任命規程をつくるわけでございます。その中に、先ほど来申し上げました四等級相当ということを書くことになるだろうと思います。したがいまして、試験の内容は四等級相当の法律上の知識、実務経験、そういうものを試験することになると思います。
  53. 横山利秋

    横山委員 端的に伺いますが、いまの執行吏代理執行官に登用するという方針のもとにいまの試験規則、それを臨時的に今回に限り改正をして、執行吏代理に適用するだけの規則改正すること、それから実務経験年数等を従来の執行官の試験よりも緩和すること、そうしてなるべく多数の執行吏代理執行官に任命をすること、この点はどうですか。私は強く希望をいたしたい。
  54. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 規則につきましては、御承知のように規則制定の手続がございまして、私がここでこういう方針であるということを申し上げましても、それが規則制定の手続におきまして必ずしも通るか通らないかわかりません。けれども、私どもが方針として考えておりますことは、いまの執行吏よりも資格要件を下げ、緩和するということは、一つには今後の執行官というものの姿を考えますときに、執行官はいまよりももっと高い素養を持った人をもってこれに充てていきたいというのが私どもの考えでございますので、いまよりも緩和するということは規則の上でも無理ではなかろうか、かように考えております。
  55. 横山利秋

    横山委員 あなたが私の言うことに賛成しておるのか反対しておるのかわからぬけれども、今後はもっと執行官の水準を高くして、有能な人材を登用したいと口だけ言っておったって、現に執行官になり手がないという話がある。それから去年初めて私どもの主張を取り入れて執行官の研修会をおやりになったそうだけれども、国会で言ったから、初めて、何十年ぶりかでおやりになったのですね。前代未聞かもしれない。いままで何にもやっておらぬくせに、これからひとつしっかりやりましょうと言ったって、そんなことはだめですよ。私の言うのは、こういう切りかえのときには、実務をやっておった人が処遇を受けるのは当然のことだ。しかも首を切られるのじゃないか。あなたは三、四年はほかっておくと言うのだけれども、結局は首切ることには変わりはない。だからこの機会には、実務をやっておった人には特別試験をやらせ、経験年数、実績を尊重して登用するのが常道じゃないか、それをやれと言っている。手続がある、私は責任者じゃないから言えぬと言うのなら、責任者を出してください。次回に事務総長を出していただきたい。それでやるかやらぬか聞きたい。
  56. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 任用資格の点につきまして、実務経験を大いに考慮するということは私どもも考えております。準ずるという意味を、その中におきましていままでの執行代理としての実務経験を相当重要視した、そこに重要なポイントを置いた規則の制定ということに努力いたしまして、なるべく御趣旨に沿うような任用についての運用のしかたをいたしてまいりたい、かように思っております。
  57. 横山利秋

    横山委員 まだ歯切れが悪い。私はこんなことはあたりまえのことだと思っておるのですよ。切りかえのときに、現在実務をやっておる人が、しかもこれは首を切られるのですから、原則的には執行吏代理はなくなるのですから、なくなるときに他に比較してよき処遇を受け、よき条件に恵まれて登用される。あるいは転換するという処遇を受けるのは当然のことで、権利である。そうでなければ、首を切られるのですから。私がくどく言うのですけれども、どういう規則がきめられておるか知らぬけれども、一般の試験規則があるのだから、臨時の試験規則をつくりなさい。そしてその中には当然のことだが、実務経験年数を考えなさい。いまあなたの話を聞いていると、いや規則は変えぬでも、しかも規則は私の権限でないから何とも申せません、けれども実務経験その他についてはしんしゃくいたしますということは、試験規則の中には実務はきまっていないわけですか、適当にやっているわけですか。
  58. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 御説明が足りませんで御理解がいかないところがあるように思いますので、さらに補足して申し上げますと、任用資格におきましては原則としては四等級ということを打ち出しました。さらにこれに準ずる者というものを任用資格の中に入れてまいるつもりでおります。しこうして、その準ずる者というものはどういうものかという点につきまして、執行吏代理としての実務経験というものに相当量重要なポイントを置きまして、そういうものが受験資格認定を受ける上におきまして、その経験が相当ものを言うという任用資格をきめていきたいということなのでございます。   〔上村委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 横山利秋

    横山委員 この機会に私は法務省にも言いたいのですが、われわれがこの執行吏制度にメスを入れた昨年の三月、臨時措置法の一部改正をするに際して附帯決議を付しましたが、この附帯決議は実に峻烈なものでありまして、かかるびほう策——今回提案されましたようなこととは月とスッポン、雪と墨だ、まさに国会始まって以来とも思われるような峻烈な附帯決議をつけておるのですね。御記憶だと思いますが、一ぺん念のためめに朗読します。「一 現行の執行吏制度は、執行吏公務員ではありながら、債権者等の受任者として裁判の執行事務等を処理することにより収入を得るということにより収入を得るという二重的性格の故に、実際上多くの問題発生の危険性をはらみ、これが汚職その他の不正事件発生の温床となっていることは過去幾多の実例の示すところである。したがって、執行吏制度を現状のままで放置することは絶対に許されないところであり、速かに根本的改善を加えることの必要性は夙くより識者の指摘しているところであり、本委員会においても附帯決議等により再三これを要望している所以である。二 しかるに政府は、執行吏制度の根本的改善の必要を認めながらその作業について熱意を示さず、今回の改正案も一時をび縫するための糊塗策にすぎず到底叙上の問題の解決に役立つものではない。三 よって政府は、速かに執行吏制度の根本的改善について最善の努力を致すと同時に、執行官制度の実現について特別の研究を試みるとともに、これが実現までの暫定的措置として、執行吏代理等に対する処遇の改善、執行吏役場の施設その他の環境の改善、執行吏に対する研修の実施と指導および監督の充実、競売実施方法の改善等を早急に実行に移す等格段の努力を致すべきことを要望する。右決議する。」この決議で、第一項、第二項において痛烈に政府の怠慢を責めておるわけであります。自来この一年有余、ここに提案されましたもののうち——私はいままで約一時間半かかって執行吏代理についてのみ議論をいたしました。あとの問題は枚挙にいとまがないのでありますが、質疑応答を重ねるに従い、ますますぬるま湯へ入っているという感じが免れがたいのであります。思い切ってずばりとやるという決意がきわめて不十分だ。この執行吏代理を、この機会に原則として首を切る。そのためには処遇を思い切って改善をする、登用をする。こういう具体的な思い切った提案がなされずに、何となくまあまあ三年か四年、それほどかかっても百人ぐらいの執行吏代理——送達事務は残る、だから、それはそれにやらせるというようななまぬるいやり方は、本委員会の決議を全然尊重されてないということを、私は執行吏代理の一事をもって痛感するのでありますが、このときに法務大臣がずいぶん私どもの説に賛成をして、まあひとつしっかりやりますと言うておられたのでありますが、あれはうそでありましたか。そういうことがなぜできないのでありますか。法務大臣の御意見を伺いたい。
  60. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 今度の法律改正案は、ただいま横山君からもお話のあった趣旨に沿うて立案されたものであるわけでございます。これをずっとごらんくださっても、私よりも皆さんのほうが百もよく御承知なわけでございますが、何でもかでも皆さんの満足な状態にこれがいっているとは、私どもも完全無欠なものとは必ずしも思いませんけれども、たとえば公務員になったからといって、これが給料をもらう制度になっていない。手数料制度がやはりしりにぶら下がっておるというようなことは、踏ん切りがつかないじゃないか。それが踏ん切りがつかないようであれば、あとのことをやったってたいしたことはないのだというような批判をすれば批判もできると思うのでございますが、あとの点をいろいろ、こらんいただきますと、御趣旨に沿って、私どもももっともだと思う点を相当これは改善され——俸給制のかわりに依然としてまだ手数料制をとらなくちゃならぬというのは、ここにいろいろ説明が書いてありますし、申し上げたと思うのでありますが、まだどうもそこまでいき得ないという一そこが踏ん切りが足りないんだといっておしかりを受けるところでございましょうが、これはやむを得ぬ。まだ過渡的な、もう一ぺん討議を経なくちゃならぬ点だと思うのであります。  あとの点は、大体私はこれで一応やっていく、改正の一つの段階は一つ飛び上がったものではないか。何べんも何べんも、こういう問題が各方面で論議され論議されしながら改正ができなかった。そうして、ようやく皆さん方の熱意、われわれもそれに応ずるという心持ちでここまできたということでございます。まずここらのところが——完全ではないけれども、こんなところではないか。私は、もう一ぺんまた御苦労願うようなことにならざるを得ぬかもしれないと思うのでありますけれども、まだ俸給制にするには、ここ一年二年というわけにはいかぬじゃないか。私も説明を聞きながらやむを得ぬじゃないかと思っておる。しかし、それだからといって、それを出さずにおいてはなおいけない。これはこの前も横山さんからどうするのだというおことばがあって、私も早く出すべきだということで、急いでかねてからの研究をまとめましてこれを提案いたしたわけでございます。いろいろ至らぬところもあるかと思いますが、どうかひとついろいろと御検討をいただきまして、今度はこの程度でひとつお認め願って、またの機会に一そんなことではいかぬとおしかりを受けるかわかりませんが、法律というものは生きものでありますし、また直すということもあり得る。あり得るじゃなく、当然あると思います。それをひとつお待ち願うということで今度はお認め願いたい、こういうふうに思っております。
  61. 横山利秋

    横山委員 それでは次は教育であります。  執行官だけが国家公務員で、代理もこの際、妙な職務体制はなくして、事実上はやるのだけれども原則としてやめる。この執行官だけが執行するわけではなくて、やはり全国に二百四十五名の執行吏代理並びに事務職員がたくさんおるのでありますが、この現在おる執行官代理とそれから事務職員、その教育訓練の責任者はだれでありますか。
  62. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 これは法律の上でいきますれば、先ほど執達吏規則十一条によりますれば執行官自身ということに相なろうかと思うのでございます。しかしながら、先ほど来お話もありましたけれども、実際運用の面において執行吏代理というものを恒常的なものとして裁判所が認可していくというような運用のしかたをしており、そういう現状のもとにおきましては、執行吏執行吏代理に対して全責任を負い、仕事の上の責任のみならず、教育についても責任を負うということは申し切れないのでございます。裁判所といたしましても、執行吏代理につきまして研修をできればしたい。ただ御承知のとおり、今年度は執行吏研修ということにつきましてわずかな予算がとれたにすぎないのでございます。それすら従来は予算がなかったのでございますが、執行吏についてわずかに予算がとれたというにすぎないのでございますが、しかし、この研修の方法をどういうふうに実施するかということにつきまして、いま私どものほうで検討中でございますが、予算がなくても執行吏代理の研修が可能な範囲内において一もう少し具体的に申しますと、研修の面におきまして予算を要するのはいろいろ講師に対する謝金であるとか、もう一つは執行吏の出張旅費でございまして、これが執行吏代理につきましては、ことしは予算的措置がとれませんでしたけれども、今度の研修はいま検討中でありますけれども、各高等裁判所別にやろうかというふうに考えておりますので、その所在地におきます役場の執行吏代理は今度の研修に呼ぶことを検討、考慮しております。
  63. 横山利秋

    横山委員 ちょっといまおかしなことに気がついたのでありますが、執行吏、今度は執行官、これは国家公務員ですね。国家公務員で全国執行吏連盟ですか、今度参考人に来ていただくのでございますが、あれは財団法人でございますか、任意の団体でございますか。
  64. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 もちろん財団法人というような法人ではございません。それは任意団体と申しますか、組合的なものと申しますか、法律的な性質をまだ十分究明しておりませんけれども執行吏の事務の改善についてお互いに執行吏同士が協議する、そういう組合的な団体というふうに心得ております。
  65. 横山利秋

    横山委員 その任意な団体として——本来この執行吏の教育はだれが責任を持つのかというと、これは最高裁判所である。それから執行吏代理の教育はだれが責任を持つかということだと、どうもいまのお話では、本来最高裁判所責任を持たないけれども、ある程度やりたい。それでは事務員はだれが教育の責任を持つかということになると、あなたはそれについてお答えがないのですから、執行官がやるんだ、こういうふうに感じられるわけですね。私が先般来指摘をいたしましたが、実際問題として執行吏連盟の会費その他の状況を聞いてみますと、まことに僅少な年間予算である。しかも執行吏連盟の事務職員はないそうですね。ないそうでありますから、執行吏連盟の現状をもってしては教育は所期しがたい。いわんや執行吏代理並びに事務職員に対する教育は組織としてはほとんどできない。そうすると個々執行吏自分の手数料その他によって得た収入の中で、福祉厚生施設あるいは失業保険等の掛け金、厚生年金を、使用者たるの立場において行なう、こういう現状でございますね。この執行業務が円滑に行なわれることについて裁判所責任を持つ体制であるとするならば、教育なり訓練は、執行吏個人個々の人間の教育なり訓練に終わる、研修に終わるということでは、これはとうていだめなんで、執行吏制度全体という立場においてはだれであろうと、事務職員であろうと、すべてに対する研修制度、教育、訓練等について裁判所責任を負わなければうまくいかないのではないか。こういう点はどう考えますか。
  66. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行制度のあり方の根本に関しましては、これは執行官という官吏制度がいいか、あるいはむしろ事務所を持った独立採算制の従来のような執行吏制度がよいかということは、もう非常な重要な論点であるわけでございます。要は、結局執行というものが、裁判の執行という司法の重要な事柄が、適正に能率的に行なわれるということであろうかと思うのでございます。その方法といたしまして、御指摘のように執行吏連盟というものを育成して、そこに力を持たせて、これが執行吏代理なり事務員なりというものを教育し、養成していくことも一つの方法であろうかと思われます。現にそういう制度も外国にはあるわけでございまして、これが日本の執行吏連盟にぴったりはまるものかどうか。まあ似たような制度であるということは申し上げることができるかと思いますけれども、フランスは御承知のように初めから手数料制度で、かなり多数の事務員なり補助者なりを使って執行ということをやってまいる。そしてそういう執行吏たちがこしらえております執行吏協会というものが財政的にも相当の実力を備えておる。でありますから、これが補助者なり事務員なりというものを養成していく実力を持っておるように聞いておりますが、この制度を日本が直ちにまねできないというゆえんは、先ほど指摘もありましたように、執行吏役場によりましては、たとえば東京などは相当の人数もおりますし、財政的な基礎というものもある程度あるように聞いておりますけれども、しかしながら全国的に見ますれば、事務所の形態というものはせいぜい事務員を二人とか三人使っているような状態でございまして、一つ一つの事務所がそれほどの実力を持っておりません。これが連盟として結成いたしましても、先ほどお話がありましたように十分な財政的な基礎もできていかないのではないか。したがいまして、ここで執行吏代理、事務員というものを養成し教育していくということも無理なのではなかろうか。そこで私どもの今度の法案の方向といたしましては、従来よりも執行官制度というものの公務員性を強める、そのために執行吏代理というものはおかしな制度になる、事務員という制度もおかしなものになっていくという方向になるわけでございます。しかしながら、現実において執行吏代理というものがあり、事務員というものも当分はあるわけでありまするから、先ほど申し上げました執行吏代理につきましては予算的措置はことしはできませんでしたけれども、その中でくふうをして裁判所責任を持って研修をしていく、それから事務員につきましては、従来ほとんど野放しであったわけであります。これも今後は、法律のもとにできます事務処理規程におきまして、執行吏の事務員につきましてもある程度の監督をしていく、そういう方向に進みたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  67. 横山利秋

    横山委員 いま執行吏全体の、年間の執行吏役場なり、執行吏の事務所なりを通ずる手数料、その他金銭の収入——今度会計が変わるのですが、いま一年間に、立てかえ金を含めてどのくらいの金が執行吏手元へ入り、そしてそれが出ていくのですか。入ってくる全国的な金、立てかえ金を含めてですよ。それから現時点、たとえばさようならきょう、全国でどのくらいの金が執行吏手元にあるかという推算を一ぺん聞きたい。
  68. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 全国的な統計で申し上げますと、昭和四十年度の手数料の総額が三億四千七百万円余りでございます。それから宿泊料、旅費、書記料その他の立てかえ金をプラスいたしますと、約五億九千二百万円という推計になっております。
  69. 横山利秋

    横山委員 年間入ってくるのが約六億ですね。  私の第二番目の質問は、計算がうまくいかぬかもしれませんが、いま、たとえばきょう執行吏手元にあるのはどのくらいですか。一日どのくらいですかという質問です。つまり私の質問意味を理解してもらったほうがいいと思うのだが、少なくとも執行吏役場にある程度の金がたまっておるわけですな。それを今度あなたのほうへ取り上げようというわけですね。たまっておる間は、執行吏が管理をし保管の責任を負うわけです。執行吏役場にあるわけではない。銀行に預けるわけでしょう。金利がつくでしょう。金利はどのくらいか、そういうことが聞きたい。それを取り上げるのですから、たいへんなことですよ。
  70. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 御質問の御趣旨は、予納金、保管金の残、現在高ということであろうかと思いますが、その計算は実はいまのところできておりません。  なお、ただいま執行吏が保管しておるものをすぐ裁判所が引き継ぐということは考えておりません。今後の事件につきまして引き継ぐにつきましても、いずれ清算をやらなければならぬ。清算をやった上で引き継がなければならないわけでございます。これは御了解いただけると思いますけれども、一つの会社を整理いたしましてプラス・マイナスどうなるかということの清算手続をしますことが、やはり非常に手数を要するわけでございまして、私どもこの法律が通りますればそれをやっていかなければならないわけでございます。
  71. 横山利秋

    横山委員 私は、あなた方そんな不親切というか、この会計を引き継ぐことによってどういう結果が起こるか。いま残がどのくらいある、それは一ぺんに引き移さない、これからのものだというけれども、ある意味では結局残がなくなるというわけです。いままでは執行吏連盟なんかがその金をもらって、予納を受けて、立てかえ金をもらって銀行に預けて、年間六億ですよ。その金利が入ってくるわけですよ。その金利は執行吏役場のものなんですよ。だれが考えてもわかるでしょう。その金利で何をやっておったか、私はそれは知らぬ。知らぬけれども、それが教育なり、福祉なり、給料なり、そういうところへ行っておったことは、だれが見てもわかるじゃありませんか。それを取り上げるというのだから、私は何とかほかに見返りをしているだろうと思うのです。ところが聞いてみると、どうもそんなことは何もないらしいですね。一体それはどうなるのですか。残がどのくらいあるか知らぬなんて、そういう不人情なことがありますか。私だったら、じゃ会計を取り上げれば、いま残がこのくらいだから、年間一割としてこのくらいが——大体東京、大阪、名古屋、それぞれの執行吏の役場ではそれらの金を引き取って、それが給料なり、福祉厚生なり、いろいろなほうに回っているのです。それを取り上げればあととうなるかということくらい——一番大事な急所ですよ。その急所の残がわからぬなんてことを言ったら不親切きわまりない。反対だ。
  72. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 責任を持ちましてどの程度の額があるかということが、ただいまの段階でお話し申し上げられないのは遺憾でございまするけれども、それは清算手続をやってみませんことにははっきりした数字は出てこないわけでございます。ただしかしながら、御指摘のように従来とも保管金、予納金の残というものがありまして、これが銀行預金され、そういうのが利子を生むわけでございます。これが従来の執行吏の査察の場合の報告といたしましては、帳簿外のことになるのでございます。と申しますのは、執達吏規則におきましては、原則として自分が箱の中に入れておけという規定になっておるわけなんでございます。これは昔の古い規定なわけでございますが、現実の問題としては銀行の預金になってそれが利子を生んでおる、それが相当の額になっておって、それが実際の、個人の収入としては使っておらないようでありますけれども、役場の共同の費用等に使われておるということは承知しております。これが今後裁判所の保管になるということになりますれば、その影響が役場の上にあらわれるということは私どもも考えておるところでございます。しかしながら、こういう形はまた従来執行吏役場が誤解を生んだという一つの大きな原因でございます。それはやはりガラス張りにして、きれいなものにしなければならぬ。しかしながら、執行吏は相当な待遇を受けなければならぬ。少なくとも従来よりも収入が少なくなるということでは困るわけでございまして、そういう点は将来の手数料をより適正化するということによって、いまの現実執行吏よりも財政面が貧弱になるというようなことはさせないつもりでおります。
  73. 横山利秋

    横山委員 委員長もおわかりだと思うのですが、これは常識ですよ。だからぼくは法務委員会はきらいなんだ。大蔵委員会ならすぐそれがびんとくるのです。だから当然、金の金利が年間どのくらいあって、それがどこへ回っておるか、——箱の中に入れておくなんという、そんなばかな話があるか。(「質問に対する答弁を要求したらいいじゃないか。何時間やったってだめだよ。」と呼ぶ者あり)だめだと言ったってしょうがない。
  74. 大久保武雄

    大久保委員長 質問を御継続願います。
  75. 横山利秋

    横山委員 私の要求はこういうことなんですよ。とにかくこの会計事務を裁判所に移牒することによって、執行吏役場はどのくらいの損害を受けるか。それは本来個人が持っておるとは私も思いません。執行吏役場の中ではガラス張りになっておると確信します。それが給料だとかなんとかいうところに回っていることは間違いないですよ。それを取り上げるかわりに何をあわせて交換してやったか。それがなければ執行吏役場の財政は非常な打撃を受けるのです。いま最高裁判所としてはかわりに手数料を上げる、こう言う。そんなことがどうして簡単にできるか。それなら手数料を上げる時期と条件をはっきりしてくれ、こう言いたいところなんです。(「法律改正」と呼ぶ者あり)それならよけいそうだ。それが第一です。その答えを明白にしてもらいたい。取り上げる金はどのくらいで、それに対する見返りはどうするかということを明確にしてもらいたい。  それからもう一つは、この会計を移牒するに際して……   〔発言する者あり〕
  76. 大久保武雄

    大久保委員長 不規則の発言はやめてください。質問を御継続願います。
  77. 横山利秋

    横山委員 もう一つは何のためにそれをやるか。ガラス張りにするというのであるならば金利についても正式に報告させればいいではないか。これこれの金利がありましたということを正式に報告させればいいじゃないかということなんです。依頼者が執行吏役場に行くと、金を払ってこいと言う。ああそうですかと言って銭を出すと、ここではいかぬ、裁判所に行って払ってこい、雨の降るのに廊下をかさもささずに裁判所へ走っていって領収書をもらって払ってくる。今度そういうしかけになるわけですね。執行吏役場では、銭をちょちょっと払えば早いわけです。裁判所になると、そうはいかない。うるさい。書類が二通、三通とふえると思う。どうしたって、それは常識ですよ。だから、そういうことをあえてしなければならぬという理由が私にはわからない。しかし、それを私から質問して私が答えてはおかしいのだけれども、将来とにかく全部国家公務員にするのだ、全部国家公務員にしてしまうための第一歩だというのなら、まあ汽車ポッポがそういう方向に走るのだからという気はせぬでもない。せぬでもないけれども、いまそれをやらなければならない積極的な理由が私にはわからない。結局、執行吏役場の銭を取り上げる、金利を取り上げる、それだけに終わる。そして依頼者には不便をかけるだけに終わる。こういう感じがするのですが、数字的な詳細並びにそれに対する見返り、それを明白にせられんことを要望いたします。あとは次会に譲りまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  78. 大久保武雄

    大久保委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  先ほど理事会で申し合わせましたとおり、ただいま審査中の執行官法案について、参考人の出頭を求め、その意見を聴取することとし、日時は来たる六月二日午前十時三十分とし、人選等については委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  79. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本会議散会後委員会を再開することとし、この際暫時休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ————◇—————    午後二時四十八分開議
  80. 大久保武雄

    大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  執行官法案について質疑を続行いたします。横山利秋君。
  81. 横山利秋

    横山委員 お断わりしておきますが、けさほど委員長の御了承を得ましたように、とにかく定数が欠けましたら直ちに私質問をやめますから、皆さんお帰りにならないように最後までおつき合いをお願いいたしたい。しかし、まじめにやりますから、どうぞ最後までゆっくり聞いていただきたいと思います。  さてそこで、先ほど最高裁にお願いいたしましたのは、会計事務を移管することによって起こるべき事態について配慮がなされておったかどうか、このことを与党議員からあまり追及するなというお話がございますけれども、私はもしもその配慮が十分に行なわれておるということであるならばそれに従うにやぶさかではありませんが、先ほどのお話によりますと、どのくらい残が常にあるか不明であるというお話でありますれば、これは配慮がないと断ぜざるを得ないのであります。したがいまして、そういうことであるならばこれはあかぬ。だから資料をひとつ具体的に提出してもらいたい、こういうわけで先ほど終わりましたので、その続きをお願いいたします。
  82. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 けさほど保管金、予納金の残について全国的な集計をしておらないというふうに申し上げたのでございますが、各役場別のものにつきましては、いまの時点でということでございますと調査ができておらないわけでございますけれども、御承知のように役場の査察の制度がございまして、これは少なくとも年に一回やるわけでございます。この時期は各裁判所によってまちまちでございまするが、その査察の結果というものは、私どものほうに報告を受けているのでございます。それで、各役場別の保管金、予納金の額というものは全国的なものが集まっているわけでございますが、これを集計いたしますれば全国的なものが出てまいるわけでございます。ところで、この全国的な集計をいたしておりませんものでございますから、先ほどのようなお答えをいたしたわけなんでございますが、おもなところと全国的な平均的なところで申し上げてみます。  東京の役場では、これは帰りまして電話で聞いてみましたので今日現在のところでございまするが、いわゆる保管金、予納金の残が五千七百万円、大阪で、これは三十九年度の事務査察の場合でございますが、約二千万円、名古屋で、同じく三十九年度の事務査察の場合に千二百万円、それから全国的平均では、執行吏平均当たりの予納金保管金の残額は八十万円ということになっております。  ところで、こういう事態であるのに、今後裁判所がこういう現金を取り扱うということになった場合の配慮いかんということでございますが、ただいま申し上げました予納金、保管金の額の総計でございまするが、この中にはただいま申しましたように予納金としての残額と、それからいわゆる保管金の二種類があるわけでございます。そうして、ただいま申しました金額のうち、ところによって多少の相違がございまするけれども、大体において予納金のほうが約八割、保管金の性質を有する金銭というものが二割というような割合になっております。  ところで、予納金の残額として残っておるものといいますのは、つまり手数料として予納された金、それから立てかえ金として予納された金の残った金と、それから精算をいたしまして予納者に返還すべき部分の金、この三種類があるわけでございます。  ところで、このうち手数料に相当する額、あるいは立てかえ金に相当する額として、いわば将来執行官に支払わるべき金の担保として、あらかじめ当事者に予納させてある金、これは現行の執達吏規則では事件が終了した後、委任が終了した後に執行吏に払われるものでありまするから、事件が終了するまでは予納したまま、そのままの形で執行吏役場に保管される。その形が銀行預金のような形になっておる場合もあるわけなのでございます。それが利子を生むということもあるわけなのでございますが、今度の執行官法改正の一つといたしまして、手数料の支払い及びいわゆる費用の支払いの時期、弁済期を従来のような委任終了の時期という事件終了のときまで待たないで、各執行行為職務が終わった段階で支払われることになります。従来は事件終了後まで保管して、預けておいて、その利子が出ていたというものが、今度は、一応は保管金の形で裁判所が保管するということになるわけでありまするけれども、事件が終了しなくても、一つ一つの執行行為が終わりますれば、執行吏はその手数料、立てかえ金の弁済を受け得るということに相なりますので、執行吏が弁済を受けて、今度は個人の金として預金をするということになりますと、利息の点では予納金の関係におきましては差し引き従来とそれほど変わりがない。執行行為が終わるまでの時期は預けていなければならぬ。その間の利子というものは、これは執行吏のふところに今後は入りませんけれども、従来のように執行行為が終了するまでの長い期間預けっぱなしにしておくという事態は出てこないわけでありまして、各執行行為が終わった段階で支払いを受けられるわけであります。それを執行吏が、自分個人のものとすれば、それから生まれる利子は当然執行吏のふところに入るわけでありまして、従来とその利子の関係ではさほどの相違はないということでございます。  保管金、いわゆる債権者に配当すべき金、あるいは債権者に返還すべき金として、取りにこないがために執行吏役場で保管しておる金というものは、先ほど申し上げましたように役場の保管金全体として見れば二割で、金額も少ないわけでございますし、しかもそれは債権者が取りにこない、いつ取りにくるかわからない金でありますが、ただそう長い期間取りにこないという場合もそうたくさんないわけでございまして、それが利子を生むという場合も少ないわけでありますし、従来ともこの金から生じてくる利息というものは、執行吏自分のものとしていいという性質の金ではないというふうに解釈いたしておりますので、今後これを裁判所が保管いたしましても、この分については執行吏の収入の多い少ないには全然無関係でございます。
  83. 横山利秋

    横山委員 いま御説明を承りましたが、同僚諸君もお聞きのように、何というかとたんに規模が小さくなってしまったという感じがいたすのであります。先ほどの年間六億の金額が入ってくるというお話が、さて残になると東京で五千七百万円、大阪二千万円、名古屋千二百万円というのはあまりにも数字が小さ過ぎる。どういう方法で調べなさったか、電話をかけてどれくらい残があるかといってお聞きになったらしく思われるのですが、何か釈然としないという感じがいたすのが第一点であります。かりにまたそうだとしまして、東京で五千七百万円、年間一割の利益で五百七十万円、五分としても約三百万円ぐらいの金利に関する収入が、福利厚生なり、研修なり、あるいは給与の中に組み入れられておったとするならば、その分がこれでなくなるわけであります。あなたの言うところの、なるほどなくなるけれども、早く払うから時間的な差はなくなるのでその分の勘定は不必要だと言っても、私が提起したそれだけなくなるという点については変わりないですね。事件が終了したときとそれから執行が終わったときとは平均どのくらいの期間的な相違があるのですか。
  84. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏の全国的な収入六億に対しまして保管金の額が少ないではないかというお尋ねでございますが、この収入は全収入でございまして、手数料収入——いままで立てかえ金収入と申しておりましたが、全部を含めておるわけでございまして、これも各役場によりましてまちまちでございまするが、ならしてみまして執行吏の収入は役場経費、それから人件費等を差し引きますと約半額、五〇%程度でございます。それであとの半額が純収入でございますから、六億のうち三億程度が純収入ということに相なろうかと思うわけでございます。  それから弁済期の点につきまして、どのくらい現行と今度の新法律で変わってくるかというお尋ねでございまするが、これは、執行行為はいろいろございまして、一がいに申し上げられませんけれども、たとえば動産競売の手続について考えてみますと、まず差し押さえ、それから競売の手続でございますが、差し押さえの手続は通常一週間とか十日以内に行なわれる。ところが、これまた御承知かと思いまするけれども、動産競売はその差し押さえの後に一ぺんで行なわれるという場合が少ないわけでございまして、債務者との話し合いもございまして、何べんか延期を重ね、そして最後に競売になる場合、あるいは取り下げになる場合というようなこともございますので、大体において、平均いたしまして数回そういうことが繰り返されるのが通常かと思いますが、そういたしますると、大体三カ月とか半年とか通常の事件でかかるわけでございます。従来でございますと、その三カ月とか半年とかたたなければいわゆる事件が終了いたしませんので、手数料立てかえ金の支払いを受けられないわけでございまするが、今回の改正によりますれば、差し押さえをすれば直ちにその差し押さえの手数料立てかえ金が請求できますし、それから延期になりましても延期手数料というものがその延期ごとにとれるということになりまするので、従来は三カ月ないし六カ月の後でなければ支払いを受けられなかったのが、差し押さえについては一週間なり十日、それからその後十日ぐらい先に競売期日が指定されましても、その十日後には請求ができるということで、だいぶ弁済期については早くなるわけでございます。
  85. 横山利秋

    横山委員 非常に誠実にお答え願うのはけっこうでございますけれども、たくさん聞きたいことがございますので、同僚諸君が聞いておって居眠りせぬように、そのものずばりで私も質問いたしますから、あなたもひとつおもしろく、ずばりとした答弁を願いたい。どうも見渡すところ、あなたが答弁しだすと横の同僚諸君が居眠りしているので、まことにけしからぬと思うのでありますけれども、そういうようにお願いしたい。  私の聞きたい焦点は、結局執行吏及び執行吏役場は、今度の会計措置によってどのくらい年間損するかということです。政務次官、これはほんとうに法律をつくるときに考えるべきことですよ。執行吏を育成する、教育する、何かかか言っておりながら、財源をとってしまうのですから。教育の予算もとってしまう、給料の財源もとってしまうのですから。全部とは言いませんがね。少なくとも東京においては約三百万円取り上げることになるだろうと私は思う。そんなばかなことがありますか。もしそれが合理的であるならば、三百万円何かかわりに出せと言っているのです。そこをずばっと幾らぐらい損する、従ってそれに見返る金は出すとはっきりしてもらいたい。その御答弁さえいただけば次に移るのです。同僚も居眠りしない。
  86. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 どうもそのものずばりの御返事ができなくて、まことに申しわけございませんが、たとえば、東京にいたしまして、三百万円かりに減収ということにいたしました場合に見返りはどうするのか。これは執行吏役場の経費というものは相当かかるということは先ほど申し上げたとおり、そのおもなものは人件費ということでございますが、今後はこの法律にも書いてございますように、事務の相当量が裁判所にまいるわけであります。それだからといって、事務員がすぐ役場で要らなくなるというわけではございませんけれども、しかし事務量が、裁判所の事務がふえ、役場の事務が減っていくということでございます。そういう面で、執行吏の役場の経費も少なくなるという面が一つでございますし、それからまた、執行吏役場を裁判所の中に取り入れて、そうして取り入れるということはその施設等につきましても、裁判所がやっていくということになるわけでございますから、そういう面におきましての役場の経費というものが節減されるということになるわけでございまして、プラス・マイナスすれば、決して執行吏が現在よりも損な立場に立つということはないはずであろうと思います。
  87. 横山利秋

    横山委員 ほんとうにあなた、国会だからそう一応答弁しているつもりですが、ほんとうに会計制度の改革によって、どのくらいか私にはわからぬけれども、推算してそういうそろばんを出すのですから、そのそろばんについては、じゃ、人がこれだけ減る、それから施設なんていままでどおり貸していくのでしょう、特別よくなるようなこともあるまいに、そういう点については、ほんとうにあなたはこれだけ減るから、これとこれと見返りに出したというような、立案の過程でそういうことをしんしゃくしたのでしょうか。私は、しんしゃくしてないと思っているんですよ。なぜならばどのくらいの残があるか、どのくらいの金利がそれまであったかということは、あなた自身御存じなかったんだから、そのしんしゃくはできなかったと思うのです。いまになって、給料が、人が減るだろうから、あるいは日にちが短縮されるだろうからというのは、いまになってからのつけ焼き刃じゃありませんか。私の言うようなことがわかるならば、あらためて政府側として、最高裁判所側としては、これは減るから、そのかわり法の趣旨に基づいて、国会の決議や、あるいは立法の精神に基づいて、執行吏役場について、充実した教育や訓練や、あるいは給与制度ができるようにする、——答えをくださいよ。いままでは準備できなかったんだから、いまになってあわててつけ焼き刃的な説明はだめですよ。だから、いまからやるならば、これだけ減るから、その分はこうしますということばをくださいよ。知らなかったんですよ、減るということを。
  88. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 立案の過程において、全然考えていなかったかというお尋ねでございますが、もちろん私どもはその点について考慮をいたしておったのでございます。その考慮しておったところが、先ほど申し上げたとおりのことでございまして、それがなお不十分であるという点は私どもも認めざるを得ないのでございまして、今度の改正ではその程度であるといたしましても、今後執行官の処遇についてさらに検討してまいらなければならないことは御説のとおりでございます。
  89. 横山利秋

    横山委員 これは答弁不十分であります。委員長にお願いしたいのでありますが、明らかにこれは最高裁判所側の準備不足だと私は考えます。そしてこれによって推算どのくらいでありますか、東京が私の推算で少なくとも三百万円ぐらい財政収入が減る。大阪にしてどうでしょうか、百万円は間違いないでしょう。名古屋にして四、五十万円間違いない。全国その調子で見ましたら相当の、執行吏役場にとってはそれはそういう経過がよかったか悪かったかは別にいたしまして、財政収入減を来たすことは明白なことで、最高裁判所側としてこれはお認めになったところであります。で、それにつきまして御答弁を承りますと、事件終了後払うものを、今度は執行が終わったときに払うから、それから人がいますぐには減らないと思うけれども順次減っていくから、こういうようなことが、私の首肯すべき答弁でありましたけれども、これはマイナス面であります。消極的策でありまして、これはこれらの金額を埋めるべきものとはまいらない。したがいまして、一体この法案をもって執行官の資質を向上し、国会の意思でありますところの教育訓練を実施し、当執行吏及び執行吏役場、代理、並びに事務員を強化するのと逆な方向をたどっていることは、いま事理明白なことと相なりました。しかし、これ以上いたしましても押し問答でございます。それでお聞きになっております委員長、これは政府委員に言ってもどうにもしようがないのでありますから、委員長に一体どういうようにすべきか、実は私もこれから押し問答をやってもしかたがないのでありますが、どうすべきか、委員長の御意見を審議の中途でありますが伺いたいのであります。
  90. 大久保武雄

    大久保委員長 ただいま横山委員からの委員長に対する御発言に対しましては、委員長においてしかるべく善処いたしたいと思っております。
  91. 横山利秋

    横山委員 次は、合同役場の問題であります。しかし再三にわたって私は委員長及び与党委員にお願いをしておるのでありますから、もうしばらく続けさしていただきますが、適当な時間になりましたならば、定数がそろっておりませなければ本日は打ち切らしていただきますから、その点はあらかじめ御承知おきを願いたいと思います。  合同役場の問題について、私はいろいろな角度で私なりに勉強をいたしたつもりであります。本来合同役場というものは法規的に認められておるものでありますか。その根拠は何でありましょう。
  92. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 現行の裁判所規則である事務処理規程で、合同役場という制度は認められておるのであります。
  93. 横山利秋

    横山委員 裁判所の事務処理規程というものは何でありますか。最高裁の規則制定権に基づいてつくられておるものでありますか。法律的根拠になっておるものでありましょうか。
  94. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 規則制定権に基づいての裁判所規則でございます。
  95. 横山利秋

    横山委員 私はその最高裁判所規則制定権についてやや疑問を持つのであります。同僚諸君のような専門家は別として、私のようなしろうとはその辺よくわからないのでありますが、最高裁判所規則制定権というものは、あらゆるものができるのでございましょうか。規則制定は、ちょうど最高裁判所が国会みたいな立場で、あらゆる規則が制定できるのでありましょうか。何らの法律的根拠もなくてできましょうか。
  96. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 すでに御承知のとおり、最高裁判所規則制定権は憲法に基づいておるものでございまして、憲法の七十七条に規定があるわけでございます。「訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則定める権限を有する。」この規定に基づいて裁判所規則を制定するということになっているわけでございます。
  97. 横山利秋

    横山委員 同僚諸君が専門家だったら教えてもらいたいくらいでありますが、その規則制定権によって制定されるものは、国会といえども、そのやり方が間違っておるから直せというあり方もできないし、あるいはまたなんでございますか、その範囲内ならその規則に対してチェックする機能は何人も持たないのでございますか。
  98. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 規則法律関係につきましてはいろいろの解釈があるわけでございますが、通説といたしましては法律が優位であるというふうに考えられておるものでございます。
  99. 横山利秋

    横山委員 そこで、合同役場でありますが、今度の法案の中では事実上合同役場を認めないという立場に立つのでありますか。合同役場について最高裁判所側からお出しになった問題がどこやらについておりましたね、ちょっと指示してください。
  100. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 私のほうから、今回合同役場に関する資料は別段差し出しておらないと思うのでありますが、従来は先ほど申し上げましたように、裁判所規則の事務処理規程で合同役場という制度が認められておったわけでございます。今後はこの執行官法で役場の制度を廃しますので、したがって、合同役場というものはなくなってまいるわけでございます。
  101. 横山利秋

    横山委員 どこに書いてあるのですか。
  102. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 役場の制度を廃止する……
  103. 横山利秋

    横山委員 廃止するとはどこに書いてあるのですか。
  104. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 従来の執達吏規則がなくなる関係で、役場という制度はなくなったというふうに相なるかと思います。しかし事務を合同にやるということの合理性は、合同役場を認めておりました当時と同じ考えでおりますので、数名の執行官がおりますところでは、合同規約というものをつくっていくように、これも新しい事務処理規程、今度事務処理規程も改正する予定でおりますので、この規程の中に合同規約という規定を置きまして、数名の執行官がおる場所では合同規約によって事務を運営していくようにということに定めたい、かように思います。
  105. 横山利秋

    横山委員 執行吏代理は廃止するが執行吏代理は置く、合同役場は廃止するけれども合同役場は認める、どうもしっくりしない。合同役場を廃止しなければならない理由は何でございますか。
  106. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 最高裁判所のほうからるる御説明がございましたが、先ほどの御説明にもありましたように、合同役場を廃止するということは、要するに執行官法におきましては役場制をとらない関係で合同役場もなくなる、こういうことなのでございますが、その点をまず御説明いたしますと、従来は執行官はその執務の本拠として役場を設けるということが御承知のとおり執達吏規則規定されていたわけでございますが、この役場制というのは、ことばからも感じられますように非常に非近代的と申しますか、そういう感じがするのでございます。それはこういうふうに執務の本拠が裁判所を離れて役場であるということは、現在の執達吏規則のもう一つの問題である手数料制、これと相まちまして——手数料制で職務運用していく。しかも役場を設けて執務の本拠とするということで、この執行吏役場というものが小さな一つの企業体というふうな形になっているわけでございます。したがいまして、その面から公務の執行が小さな企業体で行なわれるというような形になりますので、おのずから執行の債権者との結びつき、それからその他いろいろ論ぜられております取り巻きの弊害というようなものと結びつきやすいのでございます。そういう点がこの委員会におきましても従来しばしば御指摘を受けているところでございます。それを一つの改善の目標にしなければならないというふうに考えたわけでございますが、それに対する対策としての方法、あるいはいろいろ考えられるかもしれませんが、私どもの考え方といたしましては、これを公務員的な色彩を強くしていく、すなわち、いま申しました私企業的な色彩を薄くしまして公務員的な性格を強くすることによって、そういう弊害をできるだけ除去していこうという考え方になっていったわけでございます。そこで、そういう考え方の上に立ちまして検討いたしました結果、先ほど来御指摘を受けましたように、手数料制の点につきましては、なおいろいろ問題があって踏み切れない。そこで、その点はやむを得ず今川は見送りといたしまして、現在私企業体のような形になっている役場制は廃止して、裁判所内で勤務するという、一般の裁判所職員と同じような執務の体制にしていこう、こういうことを考えてこの法案を組み上げてあるわけでございます。  そこで、先ほど最高裁判所のほうから合同役場のいいところを残しておくというふうな趣旨の御説明がございましたが、この合同役場は、これはすでに御承知のとおりでありますが、執行吏と申しますか、執行吏役場と申しますか、その相互間の競争が非常に激しくなる私企業のような形をとりますので、過当競争の弊害を生じてくるという問題が一つあったわけでございます。それから同時に、役場の事務処理の合理化、能率化という問題が一つございまして、この過当競争の弊害を避けると同時に、役場の事務処理体制を能率化していく、合理化していくというこの二つの考え方で、先ほど最高裁判所執行吏事務処理規則の中で合同役場制度というものを規定するに祭ったわけでございます。  そこで、過当競争の面につきましては、御承知のとおり、今回は、自由選択制を廃止いたしまして、裁判所に申し立てまして、裁判所のほうで各執行官に事務の分配をするという体制をとりましたので、過当競争の問題につきましては、もう弊害の生ずるおそれはなかろうというふうに考えられるわけでございます。事務処理の合理化、能率化という面につきましては、なお合同役場制の長所というようなものを残す余地があるのじゃなかろうか、これは役場を廃止いたしまして裁判所内で執務するということになりましても、先ほど申しましたように、手数料制という問題が残っているわけでございます。そこで、執行行為をいたしまして手数料を受けるという形になっておりますので、それに伴う事務処理も執行官責任において行なっていく、こういうことになりますので、それに伴う、たとえば消耗品的なもの、それから場合によりまして、事務の多いところでは、補助職員として事務員を雇うというようなことが残ってくると思うのでございます。そういう場合に、役場制を解消したということによって、今度は個個の執行官がそれぞれ、自分一人一人でそういう事務を処理していくということになりますと、従来合同役場をやっておりました場合よりは不便が出てくるわけでございます。そういう面で、現在の合同役場の長所というようなものを執行官制度になりましてもある程度残して取り入れていくという余地があるのじゃなかろうかというふうに考えられますので、最高裁判所の考えておられますのもそういう面の合同役場の長所というようなものを残しておこう、こういう御趣旨であろうと考えるわけでございます。
  107. 横山利秋

    横山委員 そうすると、聞くのですけれども、具体的に、現実に、この四人が合同役場をやっております。現実に現存しております。裁判所は、その中で、今回の執行横山執行官やれと個人に直接指名するのでありますか、それともこの東京事務所でひとつやってもらいたい、そうすると私どもは相談をして、それじゃ今度は田村さんやれ、大竹さんやれということになるのでありますか、指名の方式はどういうことになるんですか。
  108. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 執行官法で本来考えておりますところは、執行官の能力というようなものは均一なものを考えているわけでございます。したがいまして、いま直ちにそういうような人が全員そろうかどうかということにつきましてはなお問題があろうと思いますが、執行官法のたてまえといたしましては、いまおっしゃいましたように、個々執行官職務を分配していくというのがたてまえであろうと思います。しかしながら、従来の経緯もございます。それから実際問題としては、執行官相互間の個性の差、能力の差というようなものも必ずしも一がいに排除はできないものがあると思いますので、さような場合におきましては多少それを加味して事件の分配をしていくということは考えられることであろうと思います。  それからさらに事件の分配につきましては、機械的に次々に順点するという方法ばかりでなく、地域的にこれを分けて事務分配をしていくというような方法も考えられますので、ただ形式的に一、二、三、四、一、二、三、四というふうに事件を配るという方法だけが唯一の方法であるというふうには考えていないわけであります。
  109. 横山利秋

    横山委員 執行官法の精神は、今度の事案は横山執行官、次の事案は田村良平執行官というように、その選定基準については地域的、あるいは能力その他を考えて裁判所がきめる、これが執行官法趣旨ですね。それはもうわかったんですよ。しかし現実はそうではないとあなたは言い直しておるわけだ。現実は、東京役場にひとつ今度の事件はしかるべくだれかに指定してくれ、こういうことになるわけですね。そうですね。簡単に答えてもらえば簡単に前へいくけれども、どうも回りくどいのです。
  110. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 必ずしもそう申し上げたわけではないのでございます。
  111. 横山利秋

    横山委員 それならどういうことですか。
  112. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 機械的の順点がすべての方法ではない。たとえば、地域別に、場所別に事務分配をするというようなことも考えられますし、それから執行官の個性とか能力というようなものの差によって事務分配を考慮していくことも考え得るのであるということを申し上げたわけでございます。
  113. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、裁判所でいろいろな地域別だとかなんとか、いろいろな要素を考えながら個人指名をするということでございますね。
  114. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 そのとおりでございます。
  115. 横山利秋

    横山委員 そうすると、前は合同役場にしかるべくと言って直接指名をしなかったわけですか。
  116. 鹽野宜慶

    鹽野政委員 そこのところはまた非常に御説明がむずかしいところでございますが、現在の制度では執行吏委任するということになっておりますから、執行債権者が特定の執行吏委任する、こういうことで、その委任によって受ける執行吏というものは特定されるわけでございます。ところが、実際問題として、合同役場におきましては、いま横山委員のおっしゃいましたように、それぞれ何人かおります執行吏職務分担というようなものが実際にきまっているようでございまして、その分担をしている執行吏が実際にそれを引き受ける。それで窓口ではその執行吏役場に執行委任するというふうな形になっているのでございます。しかしながら法律的に申しますと、その委任は特定の執行吏委任する、こういうことになるわけでございます。
  117. 横山利秋

    横山委員 実情はわかったのでありますが、私がさっきからくどくど申し上げて意見を言おうとしておりました点は、私のいろいろと調査した立場に立てば、合同役場は合同役場の生まれるべき理由があった。合同役場によって不正を除去しようとして合同役場が実は発達したのではあるまいか。同時に、それによって経費その他の利便をはかるための副作用もあって発達したのではあるまいか。いまその一方の利便だけは残すけれども、しかしながら組織的、法規的には合同役場を認めない。役所との関係においては、合同役場を認めないで執行官それ自身を認める、こういう考え方ですね。その考え方がはたして一体妥当であろうかどうか。現に合同役場そのものは事実上存在し、そこで研修をし、そこで仲よくやっておる。しかもたびたび例が出て恐縮でございますけれども、公認会計士も監査法人組織ということになってきた。つまり一種の合同役場ですね。そういう方向は、近い将来においては税理士もそうなると思われる。で、執行官一人でやれる場合はいいけれども、協力し合う、ないしはかわりの者が出るという場合が非常に多いとするならば、組織としての合同役場を認めないということは、はたして前進であるかどうか疑わしいような気がするわけであります。どうしても組織を認めないで、個人横山執行官なり田村執行官にやらせるということをしなければならない積極的な理由、それは前向きの理由であるということについて私は少し納得がし得ない点がある。しかし、これは今度の参考人諸君にあらためてさらに一ぺん聞いてみたいと思います。  次に、ちょっと簡単な問題をお伺いしたいのでありますが、先般調査いたしました際に、執行吏が差し押えをした物、仮処分物件、自動車なんかを保管するのに場所がないというのです。差し押えた物は債権者の要望に基づいてどこかの倉庫へ入れてくれ、それなら私のところへ入れてくれというので、そこへ入れ、保管料はと言ったら、保管料は債権者が負担する、いいか悪いか別としてそうしておる、こういうわけですね。そういうことは一体適当なことでありましょうか。
  118. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 差し押えた物件を保管するための費用は執行費用の一部でございますので、究極的には債務者の負担になるべきものでございますが、そのための費用の予納ということは申し立てた債権者が一応しなければならないことになっております。究極的には債務者の負担になるべきものでございますから、それは執行をして競売をして競売の代金の中からまず執行費用として取り立て得る性質の執行費用でございます。
  119. 横山利秋

    横山委員 そういたしますと、差し押えた瞬間は、差し押え物件は債権者の占有権でなくて、執行吏の管理の手に移されるわけですね。したがって、差し押えた物を差し押えた執行官責任によって保管しなければならぬわけですが、その責任を持つべき場所がないという現状は適当ではないではないかと私は言うておるのです。なぜ差し押え物件を保管すべき適切な倉庫なり何なりというものがないのでありますか。
  120. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 日本の現在の動産の差し押えの現実というものを申し上げますと、大体が家財道具類を多数差し押えるというのが現状でございまして、これを本来ならば執行吏執行吏役場、あるいは執行吏役場に設けられております倉庫等に保存すべきものであろうかと思うのでございますけれども、そういたしますと、先ほど申しましたように運搬の費用というものはたいへんなものでございます。保存の費用というものも要るわけでございます。結局、執行しても費用倒れというようなことになりますのが現在の日本の執行の現状でございます。そこで通常は、そういう動産の差し押えをいたしますと、債務者の保管にまかせるわけでございます。これは保管の面からいいますと、そういうことは非常に不安定なわけでございますけれども、費用倒れ、執行しても競売しても費用のほうが多くかかる。債権者もそれでは差し押えをしたかいがないというような状況でございまして、現実におきましての保管方法としましては、もちろん貴金属とかそういうものは執行吏が持ち帰りまして金庫に保管しておりますけれども、そうでないいわゆる家財道具の類は、費用の関係で債務者が保管しておるという状況でございます。それで、そういうものを全部保管するような手続を考えますることは、いまの現状からいいましてもまあむだといえばむだになるわけでございますので、そういうところまでは、そういうものを全部保管できる施設ということはただいまのところ考えておりません。
  121. 横山利秋

    横山委員 次に、これも御教示を願いたいのでありますが、先般ある不動産屋に聞きましたら、こういうことを言うのです。執行吏がいつやってくれるのか、一体順番はどうなっているのか。その執行吏執行する順番、時期によって非常な損をしたり得をしたりするというのですね。これはどうして順番が違うとそういうことが起こるのでありますか、一つの物件について申請順に、決定順に執行するのと、それをひっくり返して順番を変えることによって非常に違う。だから一刻も早くやってもらわなければいかぬというので、自動車を持っていってついていて離れぬ、自動車がなかったら行ってくれやせぬ、こういう不満を言うのでありますが、それはどういうふうに理解したらいいのですか。
  122. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行吏は原則として申し立て順に事件の処理をなすべきものでありますが、特に急ぐ事件というものもその中にございましょう。そういうものは例外として事件の性質上急がなければならないというようなものにつきましては、これはやむを得ないものもあろうかと思います。そうでない限り申し立て順に行なうべきものでありますが、ただ現状におきましてこういうことはございます。東京など地域の範囲が広いものでございますから、たまたまあとからきた事件でも、きょうの順番になっている事件と同じ方向で執行すべき事件というのはまとめてやるというような実情はあるかと思います。しかしながら、そういう合理的な理由もなしに、あとから来たものを先にやるというような実情がございますれば、これはそういう例もなくはございませんが、こういうことにつきましては私どもとして監督権を発動して、厳重に注意をいたしております。
  123. 横山利秋

    横山委員 それを執行吏の方に今度聞いてみたら、横山先生、一キロ八円、今度十円ですか、十円ですよといわれた。一キロ十円で、早く来い、早く来い。車に乗って行かぬかといって車を持ってきた。さあ乗ってくださいといって車を持ってくれば乗る気になるけれども、車を持ってこぬ、持ってこなければ一キロ十円ですよ、それならあなたが言うように順番でないけれども、かためてやるという気になる。どこが悪いのですか、こういうのです。亜心いことはしていませんよ。しかし、一キロ十円で四キロで四十円、そんなことを、車に乗っていくといったって車もありはせぬ。それは無理ですわ。だからそれをまとめておいてやるんだ。それで順番が違ったと、不正だといわれても困るという。こっちのほうはこっちのほうで、何言っているんだ、順番を違えることによってどのくらいの利害得失がそこにあらわれたかわかりそうなものだ。だから、それは悪いことをしているに違いないというのですよ。あなたがいま御説明になった限りにおいては、私はもらったか、もらえぬか、そんなことはわかりはせぬもので、それをかためてやったのですからと説明するのだ。一キロ十円だからしょうがないわ、横山先生にはよろしく言っておくわ、こういう話になってしまう。これは一体どうしたものですか。
  124. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 執行の順序等につきましては、その公平さにつきましていやしくも疑いを生ずるような事態というものは、これは私どもとして認めがたいのでありまして、なるほど不十分な点があろうとは思いますけれども、特段の、特に急ぐ性質のものでない、あるいは一カ所に行って、ついでにやれたというような特段の事情がない限りは、債権者が特に便宜を提供したからそれを先にするということは、これを許すべき事態ではないと考えております。
  125. 横山利秋

    横山委員 それはお答えにならぬですな。政務次官、どう思いますか、常識ですよ。車持っていって一まあまああんまりこっちに書いてもらっても私も困るけれども、そんなこと常識ですよ。だから、どこがいかぬかというと一キロ十円がいかぬということです。債権者の車に乗っていかぬというのが一番早い話ですね。車に乗っていかぬ、おまえにはちゃんと旅費をやってある、ないしは自動車をあてがってある、どうしてもいかぬならば裁判所の自動車を使え、それで自動車は裁判官と回り持ちで執行官に使わせるようにすればいいんです。それを自動車を使わせぬようにがんばっているから、一キロ十円ですよ、それじゃ無理でしょう。どうしたものですか、政務次官、何ぞいい知恵を借してちょうだい。
  126. 山本利壽

    山本(利)政府委員 いまの実世間ではそういうことはあり得ると思うのですが、それをやめようと思えば、やはり申し込みの順によるということを原則にして、そういう場所へ行く場合の旅費は支払うという方法以外には私はないと思います。
  127. 横山利秋

    横山委員 旅費を払うと言ったって、それなら旅費を高うしてくれますか。一キロ十円ですよ。旅費は高うしてくれるとあなたが言うて、原則としては順番だ、緊急の場合に限ってこれは例外だ、旅費を高うする、裁判所の車は使え、これだけ言ってちょうだい。
  128. 山本利壽

    山本(利)政府委員 そういう方向へ回すだけの自動車の余裕が裁判所にある場合は、それはやり得ることだと思うのですが、ない場合もあり得ると思います。
  129. 横山利秋

    横山委員 どうするの。
  130. 山本利壽

    山本(利)政府委員 あった場合には、いまの役場を廃止して、事務所は裁判所の中に今後は漸次置くことになるわけですから、だからその裁判所の自動車を使える場合には、それは使わすべきである。
  131. 横山利秋

    横山委員 それから旅費は……。
  132. 山本利壽

    山本(利)政府委員 それが使えない場合においては、それはいまのすべてが万全にいくことはあり得ないから、いまの規則でどうなっておるか知らぬけれども、最後には債権者のほうで、あるいは債務者のほうで規則によって精算されるべきものであって、ただ持ってきた自動車に、これは乗ってくれというから、便利だからそれに乗っていくということを許すのではそういう競争が私はふえると思います。公正に執行は私はでき得ないと思います。だから、あくまでそういう債権者とか、債務者というものが、自分の便宜だけを考えて自動車を提供し、あれこれするということを許すことは私は弊害の起こるもとであるように、私もしろうとですけれども考えます。
  133. 横山利秋

    横山委員 大体政務次官と私と一緒ですな。あなた方だけがあかぬのや、どうしたらいいの。
  134. 菅野啓蔵

    菅野最高裁判所長官代理者 順番を守ると申しましても、旅費の関係で無理な点があるということは私どもも認めておるところでございます。ただ旅費と申しましても、一カ所に行って帰ってくる普通の公務員の旅費とは違いまして、執行吏の旅費は一日に何カ所か回ってくるという場合におきまして、格別に旅費を払ってあるので、多少そこに余裕が生まれるというようなことがございます。しかしながら機動力を持たせないということは、これは現在の執行の面におきまして時代おくれでございまして、これは予算の許す限り執行吏にも将来自動車が使えるような予算措置のために努力いたしたい、かように考えております。
  135. 横山利秋

    横山委員 その件については政務次官と私の意見は一致したのだけれども最高裁判所はけちな話だね。これは政務次官ひとつ骨を折ってくれませんか。自動車は、場合によったら法務局の自動車も使え、それから金がなかったらおれが何とかしてやる、十円はもっと上げようと、そういうふうに骨を折ってくれませんか、どうですか、いいですか。
  136. 山本利壽

    山本(利)政府委員 いろいろの問題は、改革期にあたってはいろいろ不都合な点が私は起こり得るものだと思うのです。それを漸次改革して万全なものにすべきことでありますから、当然いまのような点についても漸次自動車の整備であるとか、その他の点においては、いまの執行制度もすべては国民のためのことでありますから、役所において十分努力して不都合のないようにすべきだと考え、その方向に向かって努力をいたしたいと考えます。
  137. 横山利秋

    横山委員 両党の理事から一応この辺でやめたらどうかという希望がありますので、私、問題点をこの次の私がやりますときに時間をあまりかけないように、皆さんに御検討願う点について申し上げたいと思います。  一つは競売の場合ですが、私もいい知恵がないので同僚諸君の意見も聞きたいのですが、動産の競売を業とするいわゆる道具屋を指定する考えはないか。ある指定のものを執行官会議等で一年ごとに名簿を作製をしておく。もちろんそれ以外でも参加しても差しつかえないのです。差しつかえないのですが、名簿をつくっておいて、その優良な道具屋には確実に競売の通知が行く。あとは裁判所の前に掲示すればいいですね。そういうことを考える必要がないか。これは私もいろいろ事象を検討してみましたが、一つの案だと思っているのです。  それから二つ目は、執行官制度が逐次国家機構の中に組み入れられていくという感じをこの法案で私は受けるわけです。いつのことかわからぬけれども逐次その方向に汽車は動いておる。しかしながら他方において、先ほど指摘いたしましたように教育、訓練、その他政府、裁判所がやり得る限界がどうしてもいまあると思う。それは予算上、政治力上あると思う。したがいまして、いまの執行吏連盟をむしろ暫定的にでも強化することが考えられないか。予算はなし、それから財源はこの際とってしまう、署務員はなしというような状況で、政府が教育、訓練をすると言っておるだけではだめであるから、この執行吏自身、あるいは代理、事務員も含んで、教育組織を持って、さらに教育、訓練を自発的に自分でやるという方法を考えられないか。  それから第三番目には、ここで執行吏代理が一応なくなる。しばらく続きますが……。私どもが先般指摘した執行吏代理に対する危険については国家は責任を持たない。完全に執行吏代理がなくなるまでの危険について何ら考慮されていないということはいかがなものであろうか。名古屋等では執行吏代理ともに二百万円を限度とする保険に入っておるのでありますけれども、これは国家権力行使の中で起こった問題について、執行吏代理は国家との関係がないから、しばらくの期間だとおっしゃるのだけれども、はたして放置されてよいものであるかどうか。  それから、根本的に汽車の行き着く先が私にはよくわからないのであります。この間ここで理事会をいたしました際に、与党の某理事は手数料も廃止した完全国家機能への組み入れという個人意見を言うておられ、またある人は、手数料制度を残した完全国家公務員の意見を言われ、それから執行吏連盟は手数料制度を残した改革、つまり、要するに現状維持だと私は考えられますが、その幾つかの終着点があると思うのですが、政府の考えがこの際目標というものを明確にされれば、先ほどから私が質問しておる判断の食い違いも、その方向だからこうするのだということもある程度わかってくると思うのでありますが、その辺を政府は明確にすべきではあるまいか。  それから執行吏の労働条件、たとえば国家公務員でありながら、病院にもかかれぬ、共済組合も入っておらぬというようなことについては、これはきわめて簡単なことだから、まだ改善の方法が現実的にあるのではないか等、そのほかこまかいことを申し上げますと、たとえば刑事送達手数料を民事と同様に有料にせよという希望があるわけであります。これはいま、ただだから……。おれのところはばかなことをやらぬ、やれというなら銭をよこせ、おれのところはやらぬからと言っておるところもあるし、あなたのほうがわあわあ言うもんだからただでやっておるところもある。そういうところはきちんと民事同様に有料にしたらどうかというようなこまかい点もございますが、以上、御検討を願うことにいたしまして、一応私の質問を留保して終わりたいと思います。
  138. 大久保武雄

    大久保委員長 次会は明二十七日に開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時六分散会