○上村
委員 実は時間がもう非常になくなりましたので、重要と思われる点につきまして、簡単に二、三
お尋ねをいたしておきたいと思います。
実はこの
執行吏制度という問題は、従来過去におきまする国会におきましても非常に論議の対象になっておる。またそれに関連するところの附帯決議も行なわれてきておる。こういう点は、法のいわば最終的な実現という問題につきまして、特に民事に関連しますが、国民の実生活におきまする一番最先端としまして実現をしていく、こういう過程におきます問題でございますので、非常に論議の的になっておる。またこれが基本的な一つの改革案というものを急速に検討し、また実施してほしいというような要望というものは、過去におきますところの国会並びに当法務
委員会におきまして、
執行吏の処遇改善に関連いたしまして、たびたび論議をされておるわけでございます。きわめてむずかしい点もあるでございましょうから、まだ今国会におきまして、ただいまの法案におきまして抜本的な御構想、それに基づくところの法案というものが出ていない。これは残念ではございまするが、しかし非常にむずかしい諸問題を含んでおりまするから、いわば今国会におきましての法案としては、漸進的な、あるいは緊急、必要だと思われる点などにおきまする応急処置的な点が、法案に盛られておるというふうに感じられるわけでございます。なお、この法案の理由の中にも、
執行吏に関する
現行の法制は著しく不備であるというふうに述べられておる点から見ましても、これは明白だと思うのであります。
それで、従来この
執行吏の
制度というものについて、どういう問題が論点になったかと言いますと、要するに先ほどの御答弁の中にもありましたが、
執行吏の
職務の
特殊性と言いますか、
困難性と言いますしょうか、非常に問題があるということ、また重要性ということにつきましては、これはだれも異存を持っていない。そうすると、これがなり手が少ない、補充が欠けてくるというふうな問題、いろいろな問題が出ておりまするが、要するに
制度上の問題と、この
制度を運用するところの人の問題というふうに分けて論ずることができるかと思うのであります。それで今回の
改正案を拝見しますというと、一つの大きな姿勢の問題につきましては、
執行官というふうな
制度に新発足していくというふうな問題、あるいは
役場というふうな問題につきまして、これを
裁判所の内部に置いて、しかも
裁判所の
職員としてこの
執行官というものを位置づけるという大きな姿勢の問題につきましては、これは大きな進歩だろうと思いますが、要するに予算あるいは金という部面につきましては、はなはだこれは行き届いていないわけです。ですから、要するに予算面におきましてはセーブしながらいっておる。それが証拠には、
執行官になる従来の
執行吏の方々の収入源というものは、手数料というような
制度におきまして、依然として旧来のままを踏襲しておる。あるいは人員の増加というふうな問題につきましても、これは暫定的にやっていくということに相なっておる。ですから、いわば金がかからぬ部面において姿勢を正していくというふうな応急的な線になっておるように
承知いたします。この点は現在の段階としてはやむを得ない問題であろう。けれ
ども、従来非常に大きな諸問題を含んでおる問題でございますので、その問題につきまして基本的な点を
お尋ねしておきたいと思います。
従来
執行吏の
制度といたしましては、もちろん刑事
裁判の
執行と違いまして、当事者処分権主義が大きな立場を占めておる。民事の問題でございますから、だから法のいわば末端の実現としましての
執行の部面におきまして、当事者処分権主義が入ってくることは当然でございます。ですから、そこで現実に
執行していく場合におきましても、
債権者あるいは
債務者の間で任意に合意が成立しますれば、そこで打ち切られていきますし、また
債権者の意向というものを大幅に取り入れていくということに相なります。ですから、要するに
執行吏の
仕事としましては、その実現する当面の、いわば最終段階におきましても、常にその人の意思と
執行吏の意思というものが非常に大きく発現しておるという場面におきまして、人の問題というものも非常に大きな問題になります。ただ昭和三十一年におきます
法制審議会の
強制執行部会の小
委員会で、
現行の
執行吏制度を廃止して、固定
俸給制の
裁判所職員たる
執行官の
制度に改めるという大きな方針を打ち出しております。それから実は経過すること十年になっておる。十年になっておりましても、なかなかこの基本的な
考え方に沿うためにどうするかという問題につきましては、非常に問題点があるから延びておるわけです。固定
給制の
裁判所の
職員たる
執行官にしていく。としますというと、一つのしゃくし定木にはまっていくおそれがある。そうするというと、この
執行の
仕事、ある意味におきましては法の実現という最先端の処理のことでございますから、しゃくし定木にやりますというと、また従来の能率化、それがうまくいかぬようになってくる。
制度はできたけれ
どもが非能率に相なる、こういうおそれが来たしやしないか。それを解決するためにはどうしてもその人を得なければならぬ。要するにこの
執行官に人を得ないとなりますというと、今度は
制度を改めたために非能率化に相なってくるおそれが私は出てきやしないかと思う。しかもその人員の補充ということが遅々として進まないということになりますと、かえたけれ
どもかえって
事務は渋滞した、要するに
裁判所へ
執行をお願いした、けれ
どもいっかな終末点へ来たさぬというような問題。この問題は、たとえば現在国会におきまして特許法の
制度の
改正案が出ておる。これもみな
事務の渋滞になる。あるいは
裁判所の
裁判の
事務促進という問題もからんでくる。ですから、この問題点につきましてその人を得ていくという問題。だから、単に
執行官というものが人数だけそこに確保されればいいという問題とはだいぶ違ってきて、今度は中途はんぱに改めたために
事務はきわめて渋滞をするというようなおそれなしとしない。この点につきましてはどんなお
考えをお持ちになっておられるか、ひとつ
お尋ねをしておきたいと思います。