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1966-03-11 第51回国会 衆議院 法務委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十一日(金曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 濱田 幸雄君    理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君       鍛冶 良作君    中垣 國男君       馬場 元治君    濱野 清吾君       森下 元晴君    神近 市子君       横山 利秋君    志賀 義雄君       田中織之進君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第一部長)  関  道雄君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      今竹 義一君         法務政務次官  山本 利壽君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木信次郎君         労働政務次官  天野 光晴君         労働事務官         (婦人少年局         長)      高橋 展子君         自治事務官         (選挙局長)  長野 士郎君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         保安課長)   雨森 和雄君         文部事務官         (大学学術局大         学課長)    吉里 邦夫君         文部事務官         (管理局振興課         長)      犬丸  直君         厚 生 技 官         (薬務局麻薬参         事官)     久万 楽也君         建 設 技 官         (河川局治水課         長)      渡辺 隆二君         専  門  員 高橋 勝好君     ――――――――――――― 三月十一日  委員賀屋興宣辞任につき、その補欠として鍛  冶良作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員鍛冶良作辞任につき、その補欠として賀  屋興宣君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件  人権擁護に関する件      ――――◇―――――
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  法務行政検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細迫兼光君。
  3. 細迫兼光

    細迫委員 労働省婦人少年局長さん見えておりますか。――これは週刊雑誌も取り上げてかつて論じたことがありますが、中国電力におきまして、婦人労働者に対して二十五年定年ということを言い渡して雇っておるようでありますが、この事情を御承知でありまするならば、一応経過を御報告願いたいと思います。
  4. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 先生のお尋ねの広島中国電力につきましては、私ども婦人少年局の出先でございます広島婦人少年室を通じまして、そのような事態につきまして情報を把握いたしました。これに対しまして、そのような著しく若年定年制女子に対して設けることは、男女の機会均等という点からも望ましくございませんので、これを是正するようにと指導方針を打ち出しまして、先ほど申し上げました婦人少年室を通じまして、当該企業に対して行政指導を試みたわけでございます。それは昨年の四月であったかと思います。その結果、いろいろと企業側と折衝いたしたのでございますが、この女子定年制につきましては、会社側組合側との間に協約が結ばれておりまして、そのためにその改正ということにはまだ至っていない、そのような状態でございますが、私どもといたしましては、極力この是正ということについて申し入れ、ないし指導をいたしているわけでございます。
  5. 細迫兼光

    細迫委員 私もその女子二十五歳定年ということは、憲法の第十四条、性別によって、経済的、社会的関係において差別されないと明記してある条項違反する疑いが濃厚であると考えております。労働省においてはどう取り扱っておられるかと疑問に思ったわけでありますが、では、行政指導はすでに開始せられておるが、しかしその結果は、労働省の本省の言うとおりにはなっていないということでございますね。
  6. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 本件に関しましてはそのようなことでございます。
  7. 細迫兼光

    細迫委員 私は、いま申しましたとおり、性別によって、経済上、社会的関係において差別されないという憲法規定違反するものだと思うのでありまして、強力な行政指導がすみやかに効果を奏するようにお願いせざるを得ないのであります。  労働協約において、相手方は中国電力労働組合だと思うのでありますが、さようでございますかということが一点と、協約においてどの条項を適用してそういう処置を会社側はとっておるのでありましょうか。
  8. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 協約の当事者は、中国電力と、それから中国電力労組であるように承知いたしておりますが、協約のどの条項あるいはどのような文言でこれが規定されておるかにつきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、後ほど提出させていただければ幸いでございます。
  9. 細迫兼光

    細迫委員 ぜひその協定根拠をお調べ願いたいと思います。会社は、とかくこういう法律違反疑いのある問題については協約自体にはうたい上げないで、雇用に際して、おまえは二十五年定年だぞ、二十五年で退職いたしますという承諾書をとって雇い入れるというような脱法行為が、事実上行なわれておるというように私は解釈しておるのでございますが、できればその協定根拠が知りたいのでありますから、お調べを願いたいと思います。これが事実であるとするならば、こういう協約は、私、憲法並びに法律違反する意思表示として無効であると解釈をするのでありますが、労働省の御見解はいかがでありますか。
  10. 高橋展子

    高橋(展)政府委員 ただいまの協約につきましては、後ほど御提出させていただくことにいたしまして、本件に類似した協約、あるいはただいま御指摘の覚え書きのようなものが法律的に有効であるかどうかという点でございますが、これはいろいろと学説もあるようでございますが、私の理解いたします範囲におきましては、このような女子に特別の若年定年制を設けますことは、直接労働基準法違反を形成するものでなくて、また、憲法との関係におきましては、一般憲法が私人間の契約にまで効力を及ぼすかどうかというような点にも、いろいろと説があるようでございまして、そのようなことから、直ちにこのような若年定年制法律違反であるとは言いがたいというのが通説であるように理解いたしております。
  11. 細迫兼光

    細迫委員 ただいま申し上げましたように、会社は明文上これをうたい出すことなく、雇用に際して二十五年定年を承諾せしめて雇い入れるというようなことを、事実上どうもやっておるらしいのです。私の見解に従えば、これは明瞭に憲法違反であって、すなわち民法における公序良俗に反する意思表示でありまして、そういう意思表示をして会社に採用されるということは、これは無効だ、こう思うのであります。労働省においてはまだそこまでの結論は持っていらっしゃらないようでありますが、私の見解もぜひ参考に供していただきたいと思います。この点について法制局においてはいかがお考えでありましょうか。
  12. 関道雄

    関政府委員 いま先生の仰せられました関係は、憲法十四条一項の「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信條性別社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」という条文であろうと思いますが、この条文は、直接的には国の法律制度におきまして、この十四条に書いてあるような差別を設けることはできないということが、本来の規定内容であろうと思います。しかしながら、もちろん国が国民との関係において、そういう一つの規範のもとに法律制度を立てていくということの基盤といたしまして、一般国民社会においても、このような社会的な一つの感覚といいますか、そういうものを前提としておるということもまた事実でございます。したがって、一般私人の間においてのいろいろな契約関係においても、このような精神にのっとってすべてが行なわれるべきであるということは、一応私も承認いたしますが、私的な自治領域の中において行なわれるいろいろな行為が、直ちに十四条一項の違反という、非常に厳格な意味におきまして、そういうことになりますかどうかということについ樹は、私はむしろ消極的に考えておるわけでございます。
  13. 細迫兼光

    細迫委員 方々にこういう事実上の女子差別のことが行なわれておるようであります。たとえば山梨県甲府市などにおいては、こういうことが行なわれておるし、電力関係においても、ぽつぽつほかにも例があるようでございまして、放置しておくならば、こういうことが蔓延せざるとは限らないのであります。法制局においても疑いは一応持っておられるようでありますが、どうか私の見解をも考慮せられて、これは明瞭に憲法違反行為である、したがって、これに類する意思表示は無効である、たとえ労働協約をしても、無効であるという結論を出していただきたいと思います。ときどきお伺いをして、その結論が出たかどうかをお伺いしたいと思いますから、御用意を願いたいと思います。  しかし、少なくとも憲法解釈上好ましからざるものというお考えは、婦人局においても持っておられるものと受け取っておりますが、好ましからざるものとお考えである以上は、将来の行政指導において、強力なものをもって御指導願いたいと思います。  私の質問は、御研究並びに私の考えに沿うた御結論を得られるように要望をいたして、終わることにいたします。
  14. 坂本泰良

    坂本委員 いまのに関連して。どうも法制局考え方はどうかと思うのですね。憲法規定がある。憲法規定があるから、それに基づいて、直接国民に関連するのは、法律あるいはその他の条例でもいいでしょうが、規定してなければ結論が出ないという、これはそういうものじゃないと思うのですがね。そこで、細迫委員からも質問がありましたように、実際の問題がいま発生しておる。その実際の問題について判断をする場合は、これはやはり民法公序良俗のあの規定の問題が出てきて、だからそれで無効だ、そういう判断法制局はできないものですか。  また、労働省のほうは、ただまだ疑問でわかりませんというのでなくて、やはり実際国民に、いわゆる二十五歳以下の女の方にそういうことを協約で適用しているならば、その協約公序良俗違反だから無効だというたてまえをはっきりきめて、そうしてそれを行政指導しなければ、何も行政指導の役に立たぬと思うのですが、その点の御見解はいかがでしょう。ただのサービス機関じゃないですよ。
  15. 関道雄

    関政府委員 ただいま私のお答え申しましたのは、じかに憲法十四条の問題でございましたので、そのような御答弁をいたしました。そのときにも申しましたが、私的自治にまかされた領域というものがあるということを申しましたのですが、その中におきましても、その私的自治につきましても全く放任ということができなくて、法が、たとえば労働基準法等におきましても、いろいろな制約をしてまいるわけでございますが、そのときの法の加えます制約というものが、ただいまの例で申し上げれば、憲法十四条の精神によって行なわれるということは、これはもちろんのことでございますので、どこまで法がその私的自治に介入いたしますか、その限界といいますか、態様といいますか、その問題もあると思います。その場合に、十四条の精神でもって法が私的自治に介入するということは、当然のことでございます。  それからまた、民法九十条の公序良俗関係というものがございます。私はこの実態承知いたしませんので、当該事件がそうなりますかどうか、それについてお答えをいたすことができないのでございますが、はなはだしき事例において、一般民法九十条の解釈といたしまして、公序良俗に反するということに至れば、それは無効になるということは、もちろんのことでございます。
  16. 坂本泰良

    坂本委員 そんなあなた、法制局がそんなばかなことでどうするのですか。いま具体的な問題が出ておるから、いわゆる憲法十四条違反ということをあなたがたは認めておるでしょう。だから具体的にそういう事例が発生したならば、法律規定がなくても、公序良俗違反であって、そういう協約があれば、その協約は無効だ、またそういう協約がなくても、そういうような方法が実際上二十五歳にはやめますというような一札を入れて採るというのは、これは憲法違反であるし、さらに憲法違反内容とする公序良俗違反であるから無効である、こういうようなあなた方の解釈を明示すべきであると思う。実際はわかりませんなんて、実際は裁判所、裁判官が判断するのです。法制局判断機関じゃないのだ、解釈機関なんだから、少なくとも私が言ったような解釈法制局はするというようなことで発表してやるべきだ。それができないというならば、法制局が何のためにあるかわからない。婦人少年局長が見えておるが、行政指導をやっておりますといっても、自分たち指導根拠をきめずに行政指導はできないと思う。ですから、いまのように、直接の法律規定がないならば、二十五歳にはやめますというようなことは憲法違反になるから、なるならば、これは直接の法律規定がなくとも、いわゆる公序良俗に反するものであって無効である、こういう解釈を下して、その方針に基づいて行政指導をしなければ、これは行政指導にならぬと思うのですが、いかがですか。
  17. 天野光晴

    天野政府委員 坂本先生の御趣旨は非常によくわかるわけでありますが、労働省としては、現段階における女子若年停止法律解釈は、先ほど局長が申し上げた程度でございます。まことに遺憾だと言われれば、残念でございますが、そういう点で望ましき行為ではないというので、行政指導をやってきたわけでありますが、その行政指導の仕方について、より強力にやるべきじゃないかという御意見のようですが、この問題は、基準法違反するかどうかという問題と、憲法違反という二つの問題の法的な見解をできるだけ早い機会に確かめまして、できるだけ強力な措置を講ずるようにいたしたいと思います。私たち労働省といたしましても、若年停止そのものについては望ましきものではないという常識的な判断を申し上げたらおしかりをこうむるかもしれませんが、そういう判断のもとに立って行政指導を続けてきているわけでありますが、その指導実態が、個人の自治という問題等にからみまして、非常に複雑な内容があるわけで、法律的な見解も非常にむずかしいのであります。そういう点も十二分に検討を加えまして、今後努力いたしたいと考えております。
  18. 坂本泰良

    坂本委員 去年の四月からやっているというのですよ。一年間もそういうぼやぼやした、解釈根拠も、また事実上の判断についての根拠もわからずに行政指導はできないと思うのです。もう少しわからなかったら、法制局なら法制局に聞いて、そうしてやはりその点ではっきりして指導しなければ指導にならぬと思うのです。また法制局もそうでしょう。もう少しはっきりしなければいかぬ。とにかく現在は使用者側の優位に立った、そちらの見方に立って解釈するとそうなるんです。やはり国民の全部のためのことを考えて、法律解釈をしなければならぬし、行政指導もしなければならぬ。だから現在の社会情勢においては、何でもないことでも、法律違反にならぬことでも、法律違反になるといって、公安事件もどんどん逮捕をやっているじゃないですか。早稲田の事件でも、学生の逮捕なんか二百何名というふうにどんどんやっておる。やはり職業の行政指導の方面にもそういう考えを持ってやるべきです。ところが逆になっている。公安事件では、ばしばしやって、こっちは使用者側権力者側に遠慮をする考えを持っておるから、働く大衆のための指導ということは全然できなくなっている。それがやはりこういうもののあらわれになって、そうして協約にないところのそれをやる、今度はそれでは協約をつくって、そうしてそういう制限措置とか憲法違反をどんどんやる、こういうことになったら、これはゆゆしきことです。そのために月給をもらって局長がいるのじゃないですか。法制局もそうでしょう。ですから、ただここにきて言いわけをして、いま考慮中じゃいかぬですよ。一年もたったら、もう解決をしなければならない。しないところに私は問題があると思います。ですから、この問題については、政務次官がいま早急にと言われたから、これは数日中にもしてもらいたいと思います。そのことを要望しておきたいと思いますが、どうですか。やれる見通しはどうですか。
  19. 天野光晴

    天野政府委員 どうも数日中というお約束はできかねると思いますが、労働協約をやること自体憲法違反かどうかという問題は、法律解釈としては非常にむずかしいようであります。そういう点で、法律解釈の疑義があるのを強力に推し進めるということは非常に問題があると思いますので、この問題をでき得るだけ前向きで、いまおしかりをこうむったように、長引くことのないように、できるだけ早い機会結論を出すように努力いたしますから、御了解願いたいと思います。
  20. 大久保武雄

  21. 神近市子

    神近委員 私は、国士館大学の問題についてこの前調査をお願いしておきましたが、この国士館大学の問題のきっかけとなりましたのは、倉地武雄という人が、昨年むすこ倉地健治という人に殺された、いわゆるマンション殺人事件というのがあったのですけれども、どうもその死に方が私には納得できないようなことなのです。この間の御報告では、肺臓と心臓とを千枚通しで刺されて、それが死因だというふうな御報告だったのですが、私は倉地という人が、まだ朝日新聞の記者であった時代から知っておりました。その関係でよく部屋に見えたのですけれども、そんな二十二か三のむすこ千枚通しで刺されて死にそうな体格の人ではなかったのです。だから、その解剖をなさったのかどうか。なぜ私がそれにこだわるかと申しますと、その殺される三日ばかり前に、この国士館大学の話、いまいろいろ問題になっておりますような事件を私に話されたのです。そうしてその殺される日の四時間か五時間前には山田長司さんの部屋にいて、どうもつけられている、それで正門からは帰れないと言って裏門から出て行った。そのときむすこがついて歩いているわけはないのです。むすこなら何だって言える。他人にどうもつけられているということを山田長司さんに言って、そうして裏門から出て行くのを山田さんが見送った。ですから、私は倉地武雄調査が――解剖されて、傷はそれだけであったのか、どうしてマンションの中で隣の部屋にも、声が出せない程度にやられたのか、そうして即座に、二十万か三十万の金をむすこが持っていたのはどういうことか、これは調査をなされば、そういう程度のことはお聞きになっているだろうと思うので、私はもう一ぺんあの死因について、はっきりと御調査の結果を伺いたいと思います。
  22. 津田實

    津田政府委員 本日は、倉地事件につきましては資料を持っておりませんが、前回私が申し上げたとおりでありまして、もちろん当該事件につきましては、解剖もいたしておりますし、また、ただいま御指摘のような諸般の事情は、全部取り調べてあります。その結果に基づきまして、倉地何と申しましたか、ちょっと名前を忘れましたが、その者の単独の犯行であり、他に背後関係、共犯はないというふうに判断をいたして、起訴いたしておるわけです。しかしながら、その詳細につきましては、ただいまの段階においては、御報告申し上げることはできないわけでありまして、これは、当該事件の公判の経過によって、御承知を願うよりしかたがないと思うのであります。
  23. 神近市子

    神近委員 結局、疑惑を残したままで、公判廷でなければ発表できない、委員会でも発表はできないとおっしゃるのですね。  私が、これに関連して、いろいろ疑惑を持たされるのは、起訴のあり方でございます。三十九年の十月二日に佐藤英夫というお医者さんが、国一館の学長からステッキで、そしてくつで二カ月の重傷を負わされている。それは御存じですか。
  24. 津田實

    津田政府委員 その事件は、もちろん承知いたしております。前回予算分科会でございましたか、御説明申し上げたとおりであります。
  25. 神近市子

    神近委員 もう少し詳しくそれを説明していただきたい。そして調査はどうなっているのか。まだ加害者のほうは一回も出頭を命じられていないように聞きますけれど、それはどういうわけなのか、そのことを伺いたい。
  26. 津田實

    津田政府委員 この事件は、昨年の四月、所轄の世田谷警察から東京地方検察庁に送付を受けた告訴事件でございます。その告訴事実の要旨は、柴田徳次郎は、昭和三十九年十月二日、国士館大学校庭において佐藤英夫をつえで殴打あるいは足げり等の暴行を加えて、全治おおむね二カ月を要する胸部打撲傷等の障害を負わせたものである、こういうのが告訴事実の要旨であります。これ一に対しまして、東京地方検察庁におきまして、現在捜査中でありますが、現在までに取り調べた者は、告訴人被告訴人を含めまして、七人でありますが、なおまだ取り調べを要する参考人があるわけであります。  この事件は、告訴事実はこのようになっておりますが、いろいろ関係者あるいは目撃者等において非常な食い違いがありますので、その事情を目下究明するために、努力をいたしておる次第であります。
  27. 神近市子

    神近委員 その自白というか、あるいは申し立ての行き違いがあるとおっしゃったのですか。その加害者には一度も出頭を命じてないのですか。あるいは、何回か出頭を命じて、理由をお聞きになったということがあったのでしょうか。
  28. 津田實

    津田政府委員 加害者であります被告人柴田徳次郎取り調べております。ただいま申し上げました柴田徳次郎取り調べを含めまして、七人の関係者取り調べておるわけでありますが、なおまだ取り調べを要する参考人がございますので、目下取り調べ中、捜査中であるというわけです。
  29. 神近市子

    神近委員 この間訴追委で、日本裁判はだらだら長くかかるということを、私はいつも問題にしているんです。裁判というものはもっとさっさと片づけられないものか。――ところが非常に簡単に、七割は平均一年以内に片づいています。こういうふうなことだったんで、私は、ぼんやりとそういうもんかなと、私は裁判実態を知らないもんですから、考えていたところが、それはおそらく交通事故が二カ月か三カ月で片がつく、それを一緒にした平均日数だろうというふうなことを、帰ってきてやっと私は考えついたんですけれど、これは去年の四月一日ですよ。それから傷を負わされたのは一昨年。それで世田谷署から告発したのは四月一日。もうそろそろ一年というときになって、まだその程度。これが日本調査官というか、裁判実態です。  私は、この間、石井法務大臣がここにおいでになって、どなたかの質問に、国士館大学顧問をしているとおっしゃっていました。おかしなこともあるもんだと思って、石井さんがあすこの顧問なのかと思って、ちょっと関係者を調べてみましたところが、石井さんだけでなく、佐藤総理、それから福田大蔵大臣、それから椎名外務大臣、それから松野防衛庁長官、それがみんな顧問なんですよ。そうして会長が石井法務大臣なんです。私は、何も政治的な意味で、自民党をやっつけようという考えで、こういう問題を扱ったのでなく、人権の問題で、倉地武雄の死に方がどうも変だという意味で、私はこの問題を取り上げたんですけれど、調べてみると、佐藤総理大臣までがこの顧問をしていらっしゃる。  よく聞いていただきたいのは、この柴田という人は、頭がちっと変じゃないかと思うほど、変な考え方を持っていますよ。いま問題になっているのは、選挙権銀行倶楽部、これは昨年文教委で問題になったときに、愛知さんが命令をして、私はなかなかよくおやりになったと思う。こういうものは学校法にたがうではないかという発言で、何か名前を何とかクラブというような名前をつけて、一ぺん学校から出したような形でしたけれど、まだ学校では持っていて、学校の中では選挙権銀行倶楽部という名を依然として使っている。私は昨年の愛知さんのやり方は正しかったと思うのですけれど、とにかくもそれだけの人を顧問にかかえていて、言うことが、私どもから見れば、今日の憲法も、あるいは政治の方向もまるで違ったようなことをやっているというのが、この柴田学長という人なんです。  それで、私は伺いたいんですけれど、もしこの人を告訴して、この人に――佐藤教授に二カ月の重傷を負わせたということが問題になって、罰を与えられるという場合には、どの程度のことになるか。これは何も決定的なことを伺うのじゃないのですよ。そういう場合にどの程度の罰があるかということを刑事局長はおっしゃれますか。
  30. 津田實

    津田政府委員 ただいま申し上げましたように、この事件は、告訴事実は先ほど申し上げたとおりでありますが、告訴事実の存否あるいは程度につきましては、目下捜査中でありますので、その事実がはっきりいたしました上でありませんと、この処分がどうなるかということは申し上げかねるわけであります。ただ抽象的に、かくかくの事実ということについて幾らの刑が盛られるか、あるいは、それは起訴猶予になるかということは、ここで申し上げるわけにいかぬわけでありまして、一件一件それぞれ特殊性がありますので、そういうことについて、あらかじめこの処分がどうなるかということは申し上げかねる次第でございます。
  31. 神近市子

    神近委員 ともかくこの顧問の顔ぶれやなんかをいろいろ伺ってみますと、これはあとで人権擁護局にもお尋ねしますけれども、皆さんが顧問になって、しかも法務大臣が顧問会の会長なのです。そして、年に二回か三回、入学式と卒業式と記念日ですかに行って、講演をなさっている。よろしゅうございますか。これはたいへん次官にはお気の毒ですけれども、ともかく講演をなさっている。それから、いつもこの人が言いちらしていることには、国士館内閣をつくるのだと言うのです。与党の方だって、ずいぶんおかしいだろうと思うのです。国士館内閣をつくる。すると、考えてみるとお金はずいぶん集めていますよ。倉地武雄死因になったということで――私がこのことを心配しているのは、これは倉地武雄は相当――数億の金を集めているということが言われている。そうしていま国士館内閣をつくるというのが一つの目安で、この運動をやっている。ところが、考えてみますと、佐藤総理顧問になっていらっしゃるということになれば、もう国士館内閣ができているのじゃないかという錯覚が起こるのです。私はこのことは何とか――これは次官にひとつお願いでありますけれども、これは利用されておいでになると思うのです。去年の七月八日には入閣祝賀会というので、椎名さんと石井さんとそれから松野さんの祝賀会を盛んに起こして、そして何かショーかなんかやったりなんかしているのです。私は内閣がこういう学校――こういう学校といっただけではわかりませんでしょうが、いろいろと資料を取り寄せてみますと、こういうものを保育しておいでになるということは私はちょっとどうかと思うのですけれども、次官にこのモットーにしていることはどういうことかということを聞いていただければ――大体ちょっと気が変な人でなければ考えられないことだ、こういうふうに私は思うのですけれども、「選挙権銀行倶楽部の栞」というものがあるそうです。その中にこういうことが書いてある。日本から「占領軍の原爆政治の大洪水のあと掃除をする。」それから第二は「天皇の御心のままの政治。」それから三は「日共の革命暴動を応援するソ連・中共の侵入を自力で撃退し得る国防力を充実する。」それから四は「アメリカとソ連が戦争する場合は樺太、千島を取り返す実力を準備する。」それから五は「共産党を法律で禁止する。」「ストは総て三カ年間禁止する。」「外交」で、ソ連、中共と復交するにはその条件として「彼等が飼育した日本共産党員、社会党員を全員即時引き取ること。」それから七になりますか、ソ連が終戦の際に日本人を強制労働させ、婦女を暴行虐殺した謝罪及び賠償として、ウラル以東のシベリア全域を日本に割譲させること、こんな、ちょっとこれだけ聞いても気が変な人だということがわかるでしょう。この人が数十人の大学教授をかかえて、そして一万人に近い生徒を暴力で、しょっちゅう頭をたたくとか足でけるとかということをやらせて、そして教育しているということをお考えになって、次官はどういうふうにお考えになるか。これは自民党にずいぶん献金もしているかもしれませんよ、お金はたくさん集めているそうですから。ですけれども、こういうことが東京都だけでなく国民の前に示されたときに、たいへんいいことだとお考えになるか。恥ずべきことではないかと思うのですけれど、その点はいかがですか。
  32. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 いまの国士館大学の総長のこと、または選挙権銀行倶楽部でございますかのこと等につきましては、私いぼ初めて伺いましたので、その実態がどのようなものであるかということは私自身存じませんけれども、いま神近委員からお話しになったとおりだとすれば――いまの綱領なんか聞きましても実現性のあるものとも思えませんので、私個人といたしましては、確かにただいま現代離れがしておるような気がいたします。それで、繰り返すようですが、これを調査した結果とかあれこれで、これをどうするこうするということを、責任の立場からいま申し上げる段階でもありませんし、それを御要求になったとも思いませんけれども、確かに普通ではないということを私いま感じました。   〔田中(織)委員「このことの調査を急いだらどうなんですか。そんなことについて法務次官として答えられないのですかね。」と呼ぶ〕
  33. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 田中委員の発言がはっきりしなかったのですが、どういうことですか、もう一度お願いします。
  34. 田中織之進

    ○田中(織)委員 では関連して。神近委員が先ほどから刑事局長に御質問申し上げておる点も、起こった事案が三十九年で、おととしの四月一日には世田谷署から東京地検に書類送検になっておるという事件であります。その事件の背景といいますか、国士館大学顧問には、法務行政の最高責任者である法務大臣も顧問であるというような関係のところから、捜査が通常以上に長引いておるのではないかというところに大きな疑惑が持たれていると思うのです。その意味で、神近委員が山本政務次官にお伺いをしたのは、その背景をなしている国士館大学の選挙権銀行倶楽部のことでありますけれども、この点の質問を申し上げておるのは、やはり刑事局長にもお伺いをした本件捜査がそういう政治的な背景というものを持って、特別に長引いておるのではないかという疑惑が持たれておるからです。確かに私も質問を伺っておればそういうように感じますので、あわせて、この事件はまだ近先生から御質問があろうかと思いますけれども、やはりそういう疑惑を持たれた、ことに法務行政の最高責任者がその大学の顧問であるという点はどうも捜査と無関係ではないのではないかという一般疑惑は解けないだろうと思うので、法の威信のためにも、その点については実情をお調べになって捜査を急がれるような処置を講ぜられることが必要ではないかと思う。その点についてもあわせて法務次官の御見解を伺いたい、こういうことです。
  35. 津田實

    津田政府委員 ただいま田中委員のお尋ねは、本件捜査が、これは昨年の四月十九日に世田谷署から送付になっておるが目下捜査中であるというのは長いではないかというお尋ねと思います。この点につきましては、本件は最初から在宅事件になっておったわけです。ところが昨年来御承知のように東京地検で参議院選挙その他の重要事件がありまして、その関係でこの事件捜査がおくれたわけであります。その点は、この事件に関する限りはまことに遺憾である、申しわけないというふうに東京地検では考えておりますけれども、しかしながら諸般の事情から見まして、私はやむを得なかったものというふうに判断はいたしております。しかしながら、おくれておることは事実でありますので、その点はまことに遺憾であると申し上げるわけであります。ただ本件につきましては、先ほども申し上げましたが、昭和三十九年の十月に起こった事件でありますが、六カ月を経過して初めて告訴されたような経緯もありまして、その間に内部においていろいろな経緯があったようであります。そういう関係もありますので、事件そのものは必ずしも簡単な事件とは申されないというような事情もありますが、目下すでに七人の者を取り調べておりますし、この捜査につきましては私のほうからも急ぐように申しておりますので、これは遠からず捜査を終了し処分がきまるものというふうに考えておりますので、さよう御承知を願いたいと思います。  なお、法務大臣が国士館大学顧問であるというようなことがいわれておるようでありますが、私が先般の予算分科会でありますかで承知しておりますところによりますと、大臣は顧問ということではなく、たまにこの大学に依頼を受けて話に行ったことはあるというような趣旨のお答えがあったように私は記憶をいたしております。法務大臣は柴田という人の知人であったそうでありますが、そういう意味におきまして講演に行かれたということであって、あるいは向こうが顧問という名前を使っておるかどうか、それは知りませんが、自分は顧問ということであるとは考えていないというふうに説明をしておりましたので、その点あわせて御報告をいたします。
  36. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は関連質問ですからまたあとに確かめる機会を求めたいと思いますが、実はこの委員会に入るために二階から三階へ上がってくる途中で耳にしたのです。きょう法務委員会でこの問題を取り上げられるということになって、国士館大学の総長が院内へ見えているのですね。私はそういうところにもこの問題は――もちろん傍聴席に大学の関係者が何らかの形で見えられるということは、成規の手続をとってやられることは、私はいいと思うのです。ところが佐藤総理なりあるいは法務大臣――いま刑事局長のお話では、相談を受けられたことはあるけれども顧問に就任されているかどうかは明確でないというようなお話でありますけれども神近委員が御指摘になっているように、現内閣の閣僚のうちで、一人や二人じゃなくて、四、五名の人が顧問に名を連ねているというような状況で、しかも、きょうは法務委員会でこの問題が取り上げられるということになると、総長が何か院内へ見えられるというような形で、私ここに入ってまいりまして神近先生がその質問をやられることを知ったわけなのですが、そのこととあわせますと、国会で取り上げることになれば、総長が国会に見えられることはもちろん差しつかえないことだと思うのですけれども、それだけやはり政治的に動いておられるような感じを持ちますから、この件については、ひとつ捜査当局は、私は決してむずかしい問題ではない、簡単な事案、簡単な問題だと思うので、そういう点で、捜査当局の権威のためにも結末を早くつけられることのほうが必要だということで私は申し上げているのですから、その点についてはひとつ政務次官の立場から、法務行政全体を見られる立場で御見解を伺いたいと思います。
  37. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 本件について、いまの石井法務大臣その他現在の閣僚が、同大学の顧問になっておられるということについても全然私は知らなかったわけでございますし、あるいは先ほど局長から御答弁もあったように、それは大学のほうのひとりよがりであったかもわかりませんが、そのいずれにしても、私は知らなかったけれども法務行政をあずかっておる省の一員といたしまして、先ほど田中委員もおっしゃったように、疑惑を持たれるということは非常に悪いことだと思います。国民に対して相済まぬことであるし、今後の日本の社会秩序を守る上においても、検察行政その他は厳正であり公平でなければなりません、また迅速でなければ、いろいろな疑惑を招くことでございますから、先ほど局長も申しましたように、いままではいろいろの点で今日に至っておるようでございますが、今後、すみやかにこの問題については捜査を完了し、何らかの結論が得られるように努力すべきものと私自身考えますから、そのように発言いたします。
  38. 神近市子

    神近委員 刑事局長は、せんだって法務大臣はやらされて、顧問にされておるようなという不確かなお返事だったということをおっしゃっていましたね。ところが、いま文部省をお調べになってごらんなさい。法科と文科との増設願いが出されているのにはずらっと顧問の名前が出ているはずでございます。そういうことを考えれば、正式の文書に名前が出ているということを考えれば、そんな知らないうちにやらされたというようなことにはならないと思うのですけれども、それはどういうようにお考えになりますか。
  39. 津田實

    津田政府委員 先ほどここで御答弁申し上げました法務大臣が顧問になっているということはないということは、法務大臣の考えで先般御答弁になったと思います。したがいまして、私どももその法務大臣のおっしゃるとおりであろうと思うのでありますが、ただその文部省に対する申請文書等に、顧問という名前で掲げられているかどうかという点は、私はいま承知いたしておりません。
  40. 神近市子

    神近委員 いま少年の、若い人の犯罪が非常にふえて、衆参の婦人議員の間に少年法の問題がしょっちゅう話に出ていて、どういうふうにやるかということで、この法案の作成なんかということまで言われているわけです。それに、こういう学校でもう暴力が朝から晩まで行なわれているということについて、あなた方は暴力追放ということにずいぶん骨を折っておいでになるのに、その片方で、こういうような、暴力でいつもなぐられたりけられたりするというような状態で少年が世の中に出ていく、そういうことについて、この学校のあり方について御批判があるはずだと思うのですけれども、それはおっしゃれないですか。学校教育法には、暴力による教育というものは禁止されているはずです。それは刑事局から、そういうことの事実があるということがわかったときに、何とか手を打つとか、注意するとか、あるいはそれを監視するとか、調査するということはできないことなんですか。
  41. 津田實

    津田政府委員 学校内で暴力が行なわれるということは、これはいろいろの点から申しましても相当でないし、不法な行為であるということは当然であります。ただ、検察庁といたしましては、介入する程度の暴力があったかどうかという点につきましては、現在国士館大学につきましては、本件について告訴があったから告訴事実によって承知をいたしておるわけでございます。その他、あるいは数回事実があったのではないかというようなお尋ねもかつては他の委員会であったわけでございますけれども、さような点につきましては何ら承知をいたしておりません。したがいまして、もし検察権の介入を要するような暴力事件があれば、当然これは行なうべきものであり、その捜査の結果、その事実を明らかにすべきものと考えております。しかしながら、検察権の介入すべき程度のものがあったかどうか、少なくとも本件以外については、ただいまのところさような事実は検察庁としては承知いたしていない次第でございます。
  42. 神近市子

    神近委員 このほかに六、七人の人が――選挙権銀行倶楽部のようなものを学校内に置くべきでないというような意見の人たち、それがいろいろな名目で六、七人解職されているのです。これは三件か四件か、不当解雇で起訴していますのですけれども、それを法務省の人権擁護局に訴えたわけなんです。そうすると、近江屋という法務事務官が、そんならおやめになったらいいでしょうと言ったんだそうです。ここには、教育基本法には、教授会の必要がちゃんと明確にあるのですけれども、その教授会をどうしてもつくらせない。それで独裁だそうでして、元帥の服を着たような独裁をやっている。それで人権擁護局にその解雇された人たちが訴えた、そうすると近江屋法務事務官という人が、そんならみんなおやめになったらどうですか、どこにだって就職はできるでしょうなんということをおっしゃったというのですけれども人権擁護局長が来ていらっしゃるはずだから、この返事は妥当だとお考えになるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  43. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 国士館大学の一部の先生方から、人権擁護関係でまず申告があったじゃないかという点でございますが、これは他の、たしか内閣委員会だったと思いますが、では一応御説明したわけでございますが、当法務委員会でもう一度御説明いたしますと、昨年の十二月十日に国士館大学の経済学部教授の鹿島宗二郎という方ほか二名の方から、不当解雇と、総長の学内における暴行による人権侵犯事件という申告がございました。この申告の内容の概略は、まず第一に、総長が自分の考えと少しでも違うことをすると、学生や教職員を問わず平手やステッキでなぐり、灰皿を投げる等の暴行をする。  第二点といたしまして、同総長は天皇が国家の象徴であるということを不満として、元首復位を目標とする政治運動を起こし、選挙権銀行倶楽部という組織の拡大をはかるため、その本部を学内に置き、会員募集に学生、父兄を強制的に動員している。また募集成績の悪い学生に対しましては、総長担当の科目の点数を悪くしている。  第三番目に、同総長は右運動に反対する教職員が親睦会という団体を持つことを禁止し、これに反対する、先ほど申しました申告者三名、これを不当に解雇したというのがこの申告の内容であります。これにつきまして申告があったわけでありますから、調査を現在継続中でございます。  この三点とも関係者について調査いたしましたところでは、言うことが全く相対立しておりまして、現在の段階ではいずれとも判定しがたい状況にありまして、引き続き調査中というのが現状でございます。  ところで、ただいまこの事件関係しました担当事務官が、不当な言辞を弄したのではないかという御指摘でございますが、これはまことに申しわけないのでありますが、御指摘と似たような発言が実はあったのであります。すなわち、もう少し詳細に申し上げますと、今年の二月十一日午前十一時五十分ごろ国士館大学付属高校の桑田という先生がいまの件につきまして、担当の東京法務局の人権擁護部においでになりました際に、担当の事務官がこの桑田教諭とはすでに三度も面接しておりましたので、つい気やすい気持ちになりました際でもあり、同教諭との雑談の際に、むしろ半分同情的と申しますか、冗談まじりに、そういうふうにどんどん総長が職員を解雇されるというなら、全職員がいっそのことやめてしまったら総長がお困りになるのじゃないかというふうな趣旨のことを言ったようでございます。当時の雰囲気といたしまして、同教諭を誹謗するというようなものでは全くなく、同事務官にもそれ以上の他意はなかったものと認められますが、しかしいずれにいたしましても、こういう直接事件を担当する者が、そのような際に、このような言辞を弄するというのはまことに不穏当なことでございまして、同事務官に対しましては今後厳重に注意するように申し伝えておる次第でございます。あしからず御了承願いたいと思います。
  44. 神近市子

    神近委員 近江屋さんはかってにやめたらいいだろうというようなことのほかに、学問の自由ということがあるのだから、学長がどんな教育をしようと自由でしょうと言っていらっしゃいますよ。自由というものをこういうような意味解釈していいものでしょうか。そうすれば、幾ら暴力団が何をしようが、これは自由、暴力団の自由ということになるわけでしょう。刑事局長が骨を折って暴力団追放をなさる必要ないじゃありませんか。私どもは自由というものはそういう意味にとられてはならないと思うのです。その点どうですか。
  45. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 学問の自由があることは、これはいまさら申し上げるまでもないことでありますが、暴力行為をしてもよろしいというふうな自由がないことは、これまた申し上げるまでもないことであります。私、このように考えております。
  46. 神近市子

    神近委員 教育基本法の第八条の二項に、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」こういうことになっています。ところが、この学長はさっき申し上げたように非常に保守的な考え方で、われわれ社会党まで講和条約のできるときにはソビエトか中国に引き取ってもらうというようなことをちゃんと要求して書いてある。この教育基本法とこの事実とは、どういうように食い違っているかというようにお考えで――これを知らなかったときはしかたないとして、これが問題となってここへ出てくれば何かお考えにならなければならないのではないかというふうに考えるのですけれども、それはどういうふうですか。この間の選挙のときなんかも、お金はそういうようにして銀行倶楽部で集めるし、そして選挙のときには自分が指名する特定の人を投票しろ、こういうようなことなんで、一体こういう文部行政というものは、私は驚きはてたんですけれども、こういうものを知らないでいままでいらしたのか、知って見ないふりをしていらしたのか、どちらなんですか。
  47. 犬丸直

    ○犬丸説明員 ただいま教育基本法八条に関連しての御質問でございましたが、教育基本法の八条には、「良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上これを尊重しなければならない。」ということと同時に、「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」こう規定してございますから、御指摘のとおりだと思いますが、政治教育と政治活動と二つの面が書いてあります。それで、いま問題にしておられます国士館の問題でございますが、これは一応私立の学校でございます。それから大学でございます。それで観念的にと申しますか、原理的に特定の政党を支持するような政治教育をやってはならないという原理はあるわけでございますが、大学における教育が政治的に偏向しているか、いないかというようなことを一々これをチェックするというようなたてまえには、現在の学校制度あるいは私立の学校制度ではなっておりません。したがいまして、私どもたくさんございます大学の中の教育、それが政治的にどうであるかというようなことを常に監視するというような態度で行政はしておりませんので、柴田学長のお考え、その他教育的な面のお考え、いろいろあろうと思いますが、これについて直ちにこれをどうであるというようなことは私どもは差し控えなければならぬのじゃなかろうかと思っています。ただ政治活動の面につきまては、これはかりに学校の中で具体的な政治活動が行なわれるということになりますれば問題であろうかと思います。これは先ほども神近先生のお話にありましたように、いわゆる選挙権銀行倶楽部というものが登録せられた政治団体であるということでございますので、そういう活動が学内で行なわれるということは望ましくないということで指示いたしまして、その支部を昨年の八月に移転するように、これは指示しております。
  48. 神近市子

    神近委員 その、あなた方の指示がいかに力のない、形式的ばかりなものだということは、その銀行倶楽部は愛知文部大臣の御指示でこれを名前をかえて外に出すというようなことになっていたはずだけれども、依然としてその名前で学校の中に置いて、そしてやはり銀行倶楽部の名前で運営されておる。それからその事務をとっているのも同一人がずっとやっていますよ。その名前もありますけれども、木佐貫という学内の事務局長、それから銀行倶楽部の事務局長、みんな一諾にやっています。  それからもう一つ文部省に伺わなければならないのは、この学校教育法の十一条は、生徒に体罰を加えることはできないとなっています。ところが生徒はもうしょっちゅう体罰を食っていますよ。これはほかの事務局の一部の人たちがそれを見て見ぬふりをして、――たとえばちょっと騒いだ、講演のときに大きな声を出したということで引きずり出されて、そして演壇に上がらせられてこれを踏んだりけったりやるということ。  それからもう一つ、大体において六、七人の大学の先生方が休職あるいは免職になって首切られていらっしゃるのですけれども、学校教育法の五十九条には、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」とあります。この教授会がないから親睦会というような名前でかりの教授会というようなものをつくろうとした鹿島教授、この人もつい一カ月かそこらの、ここで問題にしてから首になっています。こういうような三カ条ぐらいの違反というものは私は決して小さな違反じゃないと思うのです。この選挙に関すること、それから体罰を加えることはできないということ、学校に教授会を置かなければならない、そして重要な事案はそこにかけなければならない、こんなのがちっとも実行されていない。ほんとうに私有化した学校ということで、私たちはいままでこれを見過ごしておいでになったあなた方の良識というものを疑わないではいられない。これはどういうふうにお考えになりますか。
  49. 犬丸直

    ○犬丸説明員 第一点の選挙権銀行倶楽部の事務所の問題でございます。私ども昨年の八月に確認した段階におきましては、これを完全に外へ出しておるということは十分確認いたしたわけでございます。なお、その後につきましてはよく注意してまいりたいと思います。  それから二点につきましては、大学課長のほうからお答えいたします。
  50. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 学校教育法の十一条に、学生あるいは生徒に体罰を加えてならないという規定があることは、明文の規定がございます。したがいまして国士舘大学で――実は国士舘大学は生活指導を非常に重んずる異色のある大学であるというふうに私ども認識をしております。そういう意味で、生活指導の中で相当指導いたしておると思っております。ただ、学内で十一条による体罰が行なわれたかどうか、これは私つまびらかにしておりません。  それから教授会の問題は、これはまさにまた学校教育法において規定を受けておるわけでございまして、国士館大学におきましても学則の中で教授会は置くことになっております。なお、現実に教授会の運営がどうなっているかということにつきまして、これまた実はたくさんある学部の中の教授会、それからおそらく重要な事項につきましてはカリキュラム編成その他全部教授会でやる、あるいは学長のところで決裁をとるという姿になっておるだろう、こう思っております。  それから学内の解雇の問題につきましては、現在地裁あるいは人権擁護局のほうに回っておるケースがございますので、そのケースをよく見届けまして、学長の問題その他もひとつ検討してみたい。それから具体的ないろいろな問題につきましては、いろいろな方法で私どものほうも検討したいと思っております。
  51. 大久保武雄

    大久保委員長 志賀義雄君。
  52. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 人権擁護局長に、この前国士館大学から体育部の学生が早稲田大学に二月十二日に行ったかどうかということと、先ほど神近委員のほうからの御質問でお答えになりました法務局の人権擁護の方のお話のこと、これはいま伺いましたから、その他のお調べになったことについて簡単にここで御報告願います。
  53. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 国士館大学の学生が、ストライキ中の早稲田大学へ行ったことがあるかどうかという点でございますが、二月十二日午後二時前後に、国士館大学の学生約二百名がバス四台に分乗して早稲田大学へ行ったのは事実であります。  何のために行ったかという点でありますが、これは作業要員として早稲田大学構内に築かれましたバリケードを撤去するために行ったということまで判明しておりますが、なお詳細は引き続き現在調査中でございます。  ストライキ中の早稲田大学に参りまして、早稲田大学の学生との間にトラブルがあったかないか、この点につきまして、現在までのところではトラブルがあったという事実はまだ認めることができません。現在までの調査では、まだその事実を認めるには至っておりませんが、これまた引き続き調査中でございます。
  54. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 当日、約二百名の学生がバス四台に分乗して行ったということは、ただいま御報告ありました。だれが指導して、どういう服装で行ったかという点はお調べになりましたか。だれが引率して行ったか。
  55. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 当日早稲田大学に参りました国士館大学の学生は、ネズミ色の作業服を着ていたということであります。それから、だれが指導して行ったかという点は、現在までまだはっきりわかっておりません。
  56. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それじゃいけませんな。そういう点もお調べにならなければ。小熊学生監が引率して行ったのじゃないですか。ヘルメットもかぶって行ったのじゃないですか。もう少しよくお調べになってください。
  57. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 そういった点を引き続き調査中でございます。
  58. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その点はまだお調べになりませんね。ひとつ小熊学生監が引率して行かれたか、どういう趣旨で行かれたのか、こういう点も……。  学生が行くのに乱闘服を着て行くというのも問題だけれども、まして学生監がついていった、引率していったということになると、これはたいへんなことです。当日警察のほうではパトカーがあとをつけていっておるという事実があるようですが、警察ではどのようにその点を報告を受けられましたか。担当の方、お答え願います。日原局長ですか。
  59. 日原正雄

    ○日原政府委員 私のほうの問題ではございませんので、聞いておりません。
  60. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 世田谷の警察のパトカーが行ったのですから、その点ひとつお調べ願います。  なお、十三日には国士館大学体育学部の四年生が多数派遣されております。そういう点も人権擁護局並びに日原刑事局長のほうでお調べ願いたい。  小熊学生監が行ったことが事実かどうか。どういう意図でもって連れていったのか。二月十一日、いわゆる紀元節の日、――文部省もよく聞いてください。この学校は国がきめた祭日には休ませない。陸海軍記念日とか、紀元節とか、そういう日に休ませているんですよ。先ほどの神近委員への御答弁では何にも調べておられない。その二月十一日に、柴田学長は早稲田大学出身で国士館大学の教授、助教授になっている人々を集めて、早稲田ではいま赤が横暴をきわめている。早稲田の赤学生を片づけなければならないと発言したそうであります。こんな学長ですから、学生が真に受けたら片づけるということがどういう事態になるのか、およそ想像がつくでしょう。最初の日はバスが少しおそく出たから、早稲田大学のトラブルが一応済んだあとでしたからよかったようなものの、こういうことを学長が言っているとすれば、これは一大事ですよ。文部省のほうでもそういう点はよくお調べ願います。こういうことがあります。  そこで、先ほど人権擁護局長は、近江屋さんですか、いろいろ冗談に言ったが、言い過ぎであったからその非は認める、こういうように言っておられますが、またこういうことがあるんですね。桑田教諭かと思いますが、どんな人権じゅうりんのケースもたいてい内部で行なわれるのでしょう。つまり学問の自由があるから、どういう教育を学長がしようと自由ですと担当官が言ったのに対して、いまのように答えているのです。そのあと担当官が、あまり人権擁護委員会を利用してもらっては困ります。こういう発言をされている。これは普通の日本語に直してみるとどういうことでしょう。
  61. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 ただいま御指摘のようなことを言ったかどうか、実は私どもそこまでは調べておりません。そういった事実がまずあるかないか、これを先に調査をいたしまして、おそらく前後のいきさつもあることだろうと思いますが、詳細に調査をいたしました上でお答えいたしたいと思います。
  62. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 とにかく訴えた先生方はどうも冗談とは受け取っていないのです。せっかくあなたが局長をやっておられる人権擁護の仕事に対して失望して、協力をしていただけると考えておりましたがいささか思い違いをしていたようですというような感想を漏らしておられるのですから、これはひとつお調べになって、あなた方の役所のたてまえからいってそういうことのないよう、これにほんとうに協力してくださるかどうか。その点をお約束願いたいのですが、できますか。
  63. 鈴木信次郎

    ○鈴木(信)政府委員 これに協力するかどうかという御発問でありますけれども、これというのがどういう意味かよくわかりませんが、先ほど来申しましたように、この国士館大学の件につきまして、現在人権侵犯事件として申告があるのでありますから、そういう申告事実があるかないか、もちろんこれを調査いたしまして、事実が判明いたしますれば、それに対して許された適当な措置をとるということはもちろんするつもりでおります。それから事件調査に関連いたしまして、ただいま御指摘のようなことを担当者が言ったといたしますと、これはまことに不穏当なことでありまして、これまたその事実の有無を判明させた上で適当な措置をとりたい、このように考えております。
  64. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ではそのようにしてください。  先ほど神近委員からも暴行事件のことについてありましたが、最近の国士館大学における暴力行為とでたらめな処分についての事実をあげましょう。  二月二十四日午前八時ごろのできごとでありますが、名前はここでは申しますまい。というのは、ここで問題になる、あるいは告訴をするというようなことになると、すぐあとで解職をしたり、処分がくるのです。そこで、そういうことのないように、法務省も、警察庁も、文部省も、あらかじめお約束願えますか。ここで質問されて学生監の名前があがった、それからもう一人の学生監の名前があがったというようなことになりまして、法務委員に密告をしただろう、けしからぬということでくる。というのはこの学校では学生の自治会とか生徒会というものの組織を許しませんで、争友組という五人組があるのです。五人組制度、密告をやらせる組織があるのです。どうもここにもいま国士館大学の人が傍聴に来ているようだ、帰ってすぐまた処分というようなことになると困りますから、文部省、警察庁、それから法務省の刑事局、そういう点で注意していただけるかどうか、この点をあらかじめお約束願いたいのですが、ただいま申し上げた役所の方々から、その点について、そういうことのないようにすると言っていただけますか。まず文部省から……。
  65. 犬丸直

    ○犬丸説明員 ただいまおっしゃったことの当否はともかくといたしまして、文部省が私立大学の学長に、こうしてはいかぬ、こうすべきだということを命令することはむずかしかろうと思っております。
  66. 日原正雄

    ○日原政府委員 お話の趣旨がよくわかりませんが、ここでお話しされたことは公開の席で言われておることでありますし、速記録もあることでございますので、その面では秘密は保てないと考えます。その面以外の面について、私ども捜査いたしますのについては、できるだけ秘密は守ってまいりますけれども関係者にはやはり知れてまいる事柄でございます。そういう限度においてならお聞きできるわけであります。
  67. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 率直に申し上げて、学内でのことをこちらからあれこれ指図して効力がどの程度あるか。いまこの時間に、ずっと各委員からいろいろのお話を聞きまして、そういう学長に、はたから首を切らぬようにとかあれこれ言ってどの程度の効力があるか、あるいはかえって反発するかというようなことは、私の頭では全く想像がつかぬことでございます。先ほどのお話もあったように、ここでは速記録もとって、すべての人にこれはわかることでございますから、それを利用して、大学の総長あるいは大学当局といいますか、もし違法な行ないがあれば、これに対して違法なことをした者が処罰されるべきであって、この人、だれそれを首を切らぬようにと言っても、ほかの理由をつけて首を切られたらそれまでのことです。まことに頭のいい志賀委員のいまの御質問が、私にどうもぴんとこなかったわけですが、効力について……。
  68. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 あなたのおっしゃるように、ほかの名目をつけては――たとえばステッキでなぐり、くつでけって二カ月の重傷を負わせて、世田谷警察署から来てもらって、そして病院に入れた教授に対しても、他の名目で首を切っている。あなたが言われるように、それを調べたらどういう反発をするかわからないような、突拍子もない学長ですからね。だから私が言うのです。  こういうことがある。一人の経済学部の学生が――ここは試験が同時間に二科目重なる場合には、一方の教室で答案用紙をもらい、もう一方の教室へ行って同時に二科目の受験ができる制度になっている。ところが、教室を出ようとしたら内山学生監からなぐられたのです。説明しようとしたら、この学校には言論の自由はない、おまえは退学だとどなられた。そのまま帰宅したところ、無期停学、こういう発表になった。  もう一つあげましょう。三月二日のできごとです。これも同じ経済学部の二年生。渡辺学生監がその学生と話をした。対等の口のきき方をしたというので平手打ちを食わされた。それで、暴力はよしなさい、と言ったら、暴力とは何だ、と言いながら、またなぐって、無期停学にしたということです。どうです。事実を言いますが、こういうことはいいことでしょうか。   〔山本(利)政府委員「あまりよくないですね。」と呼ぶ〕
  69. 大久保武雄

    大久保委員長 山本政務次官、不規則発言は困ります。
  70. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 こういうことが行なわれているのですね。それで、この学校ではなぜ無期停学とかいうことをしきりにやるかというと、この学校には学校用員が一人もいないのです。門番からしてみんな学生にやらせる。それから、休みになると学生がみんな帰る。そうすると、学校ががらあきになるから、「左記者は掃除不実施者として休暇に帰さず勤務に当てる。至急学生監の許え。」というので、名前がこういうふうにずらっと出る。  先ほど文部省からもらいましたが、「学校のしおり」というのがある。あなたに見せましょう。  門番は、ちゃんとこういうふうに学生を立てている。「学校のしおり」に。  文部省に伺いますが、掃除をやらなかったから「休暇に帰さず勤務に当てる。至急学生監の許え。」――文部省の方針として、こういうことは正しいことかどうか。
  71. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 この学校は生活指導の一環として門衛あるいは掃除をやらしておることは事実でございます。ただ私が承知しておる限りにおきましては、そのことによって休暇を与えなかったり、あるいはその他の便益を与えなかったということはないように聞いておりますが、いまの先生のお話では……
  72. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ないようになんて、とぼけなさんな。ここにちゃんと書いてある。これを見せる。
  73. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 もしこういうことがありますとすると、行き過ぎがあろうかというふうに思っております。
  74. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 もしそういうことがあろうかじゃない。あるじゃないですか。学校に行って写真をとってきた。仮定のことじゃない。事実あるから聞いているのです。ここに、東門守衛星野何がし、歩哨、枝広、上大臣、堀越、こういうこともあります。
  75. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 実は、私存じなかったわけでございますが、いま先生からこういう写真を見せていただいておりますので、もしこういうことがありますとすれば、事実上の問題として私も少し検討さしてもらわぬといかぬと思っております。
  76. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 学校行政の指導として、これについて検討すべきことは何ですか。
  77. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 行き過ぎの点があるかないか、あるいは大学の自治の面で教育指導としての行き過ぎの面があるのかないのかという点だと思っております。
  78. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 私の聞くのは、掃除をしないから「休暇に帰さず勤務に当てる。」こういう事実がある。文部省の私学に対する指導上から見て、こういうことが正しいかどうか、正しくなければどう正しくないかということをはっきり言ってくださいと私は言っているのです。
  79. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 先ほど振興課長からお答えいたしましたが、私学、特に私立大学について、大学の自治なり私学の自由の精神というものは守らなくちゃいけませんけれども、やはりその面と行き過ぎの面とは区別をしなくちゃいかぬと思っております。非常に申しわけないのでございますけれども、その事実を実はいま初めて知りましたので、検討さしていただきたいと思っております。
  80. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 あなた先ほど神近委員への答弁でいろいろとおっしゃった。こういう事実があることもここで、法務委員会で取り上げなければわからない、こういうことでは困ります。さっそく調査の上、いずれまた法務委員会で伺うことにいたします。  こういうことがある。こういうことが問題になると、また必ず無期停学をやる。そして無期停学は懲罰で、みんなこういう用員に充てる。用員費を倹約して、学生にこういうことをやらせる。自発的ではぐあいが悪いから無期停学をつくってはこういうことをやらせる、こういうことになっているのですね。こういう全くめちゃくちゃなところですから、いまなぐられた学生でも、見ていてごらんなさい、また必ず学校はやりますよ。そういうことのないように指導してください。そういうことは文部省としてあれこれすれば、立ち入ることはできないと榊近委員に答えられたが、これは立ち入られるか立ち入られないか、ちゃんと実態を調べてみて適切な処置をとられるかどうか。
  81. 犬丸直

    ○犬丸説明員 先ほども私申し上げましたが、原則としてたとえばただいまの教育の政治的中立の問題、あるいはいまの体罰を加えてはいけないとか、そういう原則が学校教育上あるいは教育基本法にあるわけでございますが、その規定は必ずしも行政当局だけに責任を負わしてあるのではなくて、学校もそういう原則でやらなければいけない、あるいは教員もそれでやらなければならない、そういう趣旨でございます。そして、それの実効を担保する具体的な手段といたしましては、いろいろな制度があるわけでございますが、その制度の中で私立学校というものの自主性あるいは大学というものの教育の独立、こういうものがあるわけでございますから、そういうルールに従ってそういう原則が守られるように努力しなければいけない、こういう性質のものであろうかと思います。  それで御指摘のような面いろいろあるわけでございますが、問題が私立大学の教育の問題として起こったわけでございますから、そういう制度のたてまえというものに即した範囲内において、私どもいろいろ今後検討してまいりたいと思っております。
  82. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 文部省に伺いますが、学校で寮をつくりますね。寮については一定の基準というものがあるのでしょうか。「学校のしおり」によりますと、全寮制度というようになっておりますが、どういうふうに……。
  83. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 国立大学その他につきましては、当然学生寮の基準なり、あるいは施設の坪数なり、いろいろございます。ただ私立につきましては、その学校の方針に従って、どの程度の学生を入寮させてどういう教育方針でやるか、こういうことにつきましては、一定の私どもの規律する基準というものはないと思っております。
  84. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ところでこの大学では、体育をやる体育館という建物がありますね。その中へ間に仕切りをして冬でも寝せているのですが、これもちゃんとあります。こういう状態です。
  85. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 いま資料をいただいたわけでございますが、私ども実は私自体現地へ参ったことがございませんので、その事態を知っておりませんけれども、これはまた先ほどのお答えと同じように、この資料をもとにしまして、よく考えてまいりたいと思っております。
  86. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ところが、あなたは行かなかったが、文部省の役人が視察に行かれた。だから文部省の役人が来るときには、こういう仕切りの布から、寝台の用具から、それから荷物を全部何か校内に林があるそうだ。そこに隠してしまう。ところが、一人学生が自分の荷物を置き忘れた。それがけしからぬというので、その学生はまた無期停学を受けているのです。あなたは干渉できないとかなんとか言われる。その一応の趣旨は了としても、文部省の役人が行ったら、ちゃんとそういうようにこの学校はごまかしをやっている。しっぽがばれそうになったら、学生の荷物があるというと、それを今度無期停学にする。これはどうでしょう。あなたは行かれないけれども、文部省から行ったんだ。私は行きませんから知りませんでは、ここでは済みませんよ。どうです。
  87. 吉里邦夫

    ○吉里説明員 その点は先ほど申し上げたように、そういう事実を知らないわけでございますが、いま先生のおっしゃるようなことが事実とすれば、それこそ不適正なことだと思っております。
  88. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先ほど津田刑事局長は、顧問になっていないというような答弁を石井さんがなさったということですが、ここに「国士館大学顧問入閣祝賀寮、法務大臣石井光次郎福岡三区」何と書いてあるか。「床柱負う風格」と書いてある。「国務大臣松野頼三熊本一区(防衛庁長官)、近代的な政策通」ちゃんと書いてある。これで答弁してください。
  89. 津田實

    津田政府委員 私は、予算委員会第一分科会における法務大臣の答弁によりまして先ほど申し上げたわけでございます。それ以上のことは私は承知いたしておりません。
  90. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先ほどあなたが御紹介なすった予算分科会での稻村隆一委員に対する石井法務大臣の答弁は、必ずしもあなたが言われたようなものではなかった。これは俳句における俳号のようなもので、顧問と言われれば顧問でしょう、PTAの会長と言われれば会長でしょう、そういうふうに言っておられます。人権擁護の問題を特に取り上げ、法務行政の点についてこの法務委員会が担当しておりますが、ただいままで申し上げたようなことでも言語道断なことが行なわれている。そこで法務大臣が顧問におられる、それからそこにお渡したのには、来賓としていま言ったような名前の人がたくさん出ている。工学部の会館記念来賓として、他にも顧問はおられるようですけれども、そういう点で法務大臣である石井さんがもう少しはきっりした態度をとられませんと困ります。政務次官から法務大臣にひとつそのことを言ってくださいますか。いかがです。
  91. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 この委員会で志賀委員から御発言のありましたことについては、石井法務大臣報告いたします。
  92. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 次に、先ほどから問題になりました選挙権銀行倶楽部のことについて伺います。  これは文部省のほうから、校内にそういうものを置いてはいけないといわれて、日本政教研究所という看板がえをしておりますけれども、事実は、実際学生に示す場合にはやはり選挙権銀行倶楽部として出ております。  長野選挙局長に伺いますが、これは政治団体として届け出が出ておりますかどうか、その点を伺  います。
  93. 長野士郎

    ○長野政府委員 政治団体として届け出が出ております。
  94. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そうしますと、政治資金規正法なんかを受けて、収支の点なんかもやはり報告されておりますか。
  95. 長野士郎

    ○長野政府委員 収支の報告は出ております。
  96. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 将来何百億という金を集めるというようなことでいっております。こう言っております。「有権者が自分自身の為めと考えて、奉仕する選挙。たとえば、有権者一人一カ年二百円ぐらい出し合えば、五千万人で百億円になり、選挙費用や、当選後の代議士一人に年四百万円ぐらいの研究費をやれるようになる。」これは「選挙権銀行倶楽部の栞」というのに出ております。かなりもうたまっておりますかしら。どうですか。
  97. 長野士郎

    ○長野政府委員 私どもへの届け出のところを見ますと、年会費百円ということになっておるようであります。現在のところ、いまお話しのようなところまではとうていいっていないように思われます。
  98. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 この点について、昨年愛知さんが文部大臣のときに、四月、三回にわたって質問がありました。政府側は愛知文部大臣と斎藤文部省管理局長が答弁に立っております。二宮委員が「局長、お金の件はどうですか、どのくらい集めておりますか。」私がいま聞いたようなことを聞いておられる。斎藤局長の答弁では、「この点については、学校側の当事者を調べたところが、はっきりいたしておりません。私は、やはり学校の事業としてそういう疑いを持たれることを排除する観点からの限度であって、この政党ないし政治団体についての金の問題とか組織の問題を、私どもとして一体調査し得るのか、また調査することがいいのかという点について若干問題があろうかと思います。」こう言われております。これは文部省の公式の見解としてよろしゅうございますか。
  99. 犬丸直

    ○犬丸説明員 そのとおりでございます。
  100. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ところで、ここに「受験許可証之件」という掲示が学生監の名前で出されております。昭和四十一年二月七日のものであります。受験許可証を受けるについては、次の条件があります。授業料後期分二万五千五百円。政経学会会費ほか八百五十円。暖房費五百円。就職資料費二百円。「革命は如何にして起るか」ここに本があります。これです。これが五百円。「日本はこうすれば立直る」これです。これも五百円。その次、第七に、選銀会費(二年度分)二百円。文部省よく聞いていてください。選挙局長も聞いてください。「以上を完納し、出席日数三分の二以上の者に二月七日より受験許可証を渡す。本証の無い学生は後期の受験はできない。」ということになっている。いいですか。選挙権銀行倶楽部へいま申した金を出さないと受験証をくれないのです。これはどうです。こういうことが選挙局長から見て合法的であるかどうか。
  101. 長野士郎

    ○長野政府委員 寄付といいますか、選挙権銀行倶楽部というのがよくわかりませんけれども、私どもが聞いておりますところでは、会員制度でございまして、会費を年に百円でございますか、取るようになっておるということは承知いたしております。私どもが取り扱いますのは、政治資金規正法におきまして、政治団体の収入、支出の届け出を受けるわけでございます。その収入という中にいまの会費とか寄付とかいうものが出てくるわけでございます。どういう方法で寄付を受けておるか、どういう方法で会員にならされたかというようなことまではわからないわけでございます。
  102. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 いまわかったでしょう。わかった上で、この銀行倶楽部に二百円納めなければ受験証を渡さないと言っているのです。これはどうかと私は聞いているのです。わからなかったではもう済みませんよ。これもあなたに見せたほうがいいな。私は証拠のないことは言いませんからね。
  103. 長野士郎

    ○長野政府委員 こういう強制的と申しますか、強制加入的なことが行なわれておるとすれば、それ自身は別個の問題としていろいろ検討する必要があるかと思います。むしろこれは大学の学校管理の問題かもしれませんが、政治資金規正法の上では、どういう集め方がいいとか悪いとかいうことを考えておるわけではございません。ただ一切の収入、一切の支出の届け出を課しておる、こういうことでいっておりますので、そこから先のこの問題についての価値判断は、どうも私どものところではいたしかねるわけでございます。
  104. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 政治資金規正法でそういうことをしていいと書いてありますか、どうですか、それを伺っているのです。
  105. 長野士郎

    ○長野政府委員 もちろんいいとは書いてございません。
  106. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それが聞きたかったのです。――文部省、どうですか。
  107. 犬丸直

    ○犬丸説明員 ただいまのお話の、選銀の会費を納めないと受験させないというような事件はいま伺うのが初めてでございますが、そういうことになりますと、いささか問題であろうかと思っております。
  108. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 あなた方は先ほど学校の中に選挙権銀行倶楽部というようなものを設けるのはいけないからといって、愛知文部大臣の答弁に従って指示が出された。学校当局はこれを外へ移すことにした。だから問題はもうなかろうと言われた。しかし、いまのような問題がある。いいですか。もう一つ例をあげますが、昨年「五月下旬」国士館大学の「から手部員十名は、世田谷区三軒茶屋で商店員とけんかをして世田谷署に一夜留置された」。これでまた無期停学を食って、門番に立たされておる。それだけならいいが、このから手部員全員がその反省のためにまる坊主に髪を刈って謹慎の意を表したが、「学校側は、これらの学生に勤労を課し、学生募集事務を手伝わせたが、約一カ月を経過したので、学生監が処分解除方を学長に申請したところ、まだ不十分であるとし、さらに、おのおの故郷に帰って、選銀倶楽部の会員百名以上を募集することを命じた。これを聞いた父兄の中には「学生に政治運動の手伝いまで強制するのは、大学教育の邪道である」と学校に抗議をした者も出ているということであります。だから、この選挙権銀行倶楽部というものがこういうことをやっている、これはほうっておいていいものですか、どうですか。
  109. 犬丸直

    ○犬丸説明員 昨年の段階におきましては、事務所を外へ出して、その政治活動自体、学長が個人の立場でおやりになることはまた別問題でございます。学校と違う意味でやったわけでございますけれども、続いていま御指摘のような事実がおっしゃったとおりだといたしますれば、なおそこには学校教育とのからみ合いで問題があろうと思いますので、検討して善処したいと思います。
  110. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 あなたは検討、検討と言われるけれども、これは、文部省の答弁では、学長個人でやることであるから、それならば差しつかえない、場所を移せば差しつかえないと言う。これを出さなければ受験証をもらえないのですよ。だからそこをもう少しよく調べて、きちんとしたことをやってください。  それから本を言いましたが、いま言った受験証をもらうために――これは実践倫理に必要だというので買わせるのだそうですか、こういうことが書いてある。役人の皆さんも聞いてください。おもしろいことが書いてある。「今や敗戦の日本では人間の皮をかむった豚が、洋服を着た豚が、神聖な議会の中で、」「国家の役所で」「噛み合い、蹴り合い、殴り合い、傷付け合い、殺し合い、血みどろな仲間喧嘩に、来る日も来る日も朝から晩まで猛り狂って居る。」委員長、あなたも私もみんな豚にされている。そこにいる各官庁の方も洋服を着た豚なんだ、この学校はこういう教育をしているのです。どうです政務次官。これを買わなきゃ受験証がもらえないんだ。こんなことが学校教育でいいかどうか。人権擁護との関係であなたのほうにも責任がある。ひとつ御答弁を願います。
  111. 山本利壽

    ○山本(利)政府委員 いま志賀委員からおっしゃったようなことは全く知らなかったわけでございますけれども、教育者としては、私は考えなければならぬ点が多々あると思います。だから、先ほど来文部当局からも御答弁があったように、この学校の問題についてはいろいろ調査研究されるようでありますから、一日も早く改善されるように私も希望いたします。
  112. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 とにかくこの選挙権銀行倶楽部というのはいろいろな形で強制するのです。学生一人、五人どうしてもつくらなきやならない。これは非常に困っているんだ。これとさっきの門番とか何とかというようなもの。それから「争友組」――学校のしつけというのは特色があってもいいのですけれども、これはしつけと称するようなものじゃありませんな。あなたは先ほど何と言われましたか、そういう少し変わった学長だから、へたにやると反発すると言われるが、これは反発してもやるべきことじゃないですか。どうかと思うと言われたが、ちっとしっかりしてくださいよ。  それから麻薬のことについて簡単に伺います。この前私が伺ったところ、登録番号の下に344A、または334Aという数字があった。このことについて雨森説明員は、確かにその数字があると覆われました。この数字は両方ともありますか。
  113. 今竹義一

    ○今竹政府委員 岡山で押収したものについては56-344Aでございます。岩国のものについてはD2-021Aという記号でございます。
  114. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 ばらばらで見つかったというと、それは通し番号になっておりますか、どうですか。
  115. 今竹義一

    ○今竹政府委員 その点は承知いたしておりません。
  116. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先日伺いましたところ、登録番号は記載されてある。登録番号の下にいまの56-344Aという数字があるという答弁でございました。登録番号は何のためにつけるのか、またその56-344Aという番号は何か、この点について雨森説明員からは必ずしも明確な御答弁はなかった。これを局長のほうからお答え願いたいと思います。
  117. 今竹義一

    ○今竹政府委員 何のためのそういう登録番号か私もよく承知いたしておりません。
  118. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 先日厚生省の久万参事官に伺いましたところ、日本の国内で、岩手県で道に落ちていたものを番号からたどっていったら、東京のある卸屋から夫婦の麻薬患者のところに渡ったということがすぐわかったと言われましたが、こういう登録番号やいま言ったような番号はそういうことをはっきりさせるためのものではございませんか。いわゆるロット番号とこれが関係あるかどうか、これは重要な点でありますからお答え願いたいと思います。
  119. 今竹義一

    ○今竹政府委員 犯罪の捜査にそれが必要であるという場合にはその点を追及すべきものだと思いますが、このものについては米軍用のものであるという回答を得ましたので、登録番号まで確かめるということは必要なきもの、かように存じております。
  120. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 国内の捜査には絶対必要だとは思えないということをこの前保安課長のほうから言われました。ところが、これは合同捜査になるでしょう。たとえば岩国の場合でも、アメリカ軍のU10と合同捜査になっておる。これは久万参事官も言われました。いま捜査をやり直しているそうです。そうすれば、アメリカの軍隊の中でどういう経路でこれが渡って来たか、そこまでわかれば、今度はそこからどこへ出ていくか、アメリカの軍人が基地の外へ出て売ったのか、あるいは日本の出入り商人が売ったのか、そこの見当がつくと思いますが、その点はお調べになりましたかどうか。
  121. 今竹義一

    ○今竹政府委員 岩国の件につきましては、米軍の施設内で三十九年の九月の定期検査と四十年八月の定期検査、この間に盗まれた、こういうものでございます。その事実がわかっておれば、それから先のことを追及する必要はないんではないか、かように考えております。
  122. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 しかし、それは保管者のところでそういう番号はわかりますね。そうしますと、そこからだれが盗み出したかということもおのずからわかってくると思うのです。先日伺いましたところ、保安課長のほうからは、問い合わせをしたところが返答がない、こういうことなんです。まだ向こうから返答が来ませんか。文書照会に対して来ておりませんか、来ましたか。
  123. 今竹義一

    ○今竹政府委員 先日照会いたしましたのは岡山の件でございます。これにつきましては一九六一年以後米軍では使っていない、こういう回答が参っております。
  124. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 一九六一年以後使っていない。そうですか。そうしてその岡山で発見されたモルヒン・シレットについては、その後捜査が進展しておりますか。
  125. 今竹義一

    ○今竹政府委員 この前御報告いたしましたとおり、十本の品物を押収いたしまして、事件は完結いたしております。
  126. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 この前、文書で照会してもなかなか返事がないと言われた。それから岩国の件も、どうも捜査が難航している。しかも大事なロット番号について、どういう経路でやるかということも、はっきりできるのに、やられませんと、今後とも基地あるいは羽田空港その他を利用してアメリカの軍人が来るときに、向こうのことは国内の捜査に必要がないというのでは幾らでも持ち込まれる。結局、末端で販売されるところ、ヤクを売る人間、そういうところだけをいつまでもつっついてみたところで、肝心なアメリカ軍のほうのことが手がつかない、こういうことになると困りますよ。その点は十分にアメリカ軍のほうに申し入れをなさいましたか、どうです。OSIなりUIOなりに。
  127. 今竹義一

    ○今竹政府委員 岡山の件は、これは御承知のとおり、日本人が韓国から持ってきたというものでございます。岩国の件は、基地の中で盗まれた、こういうものです。それが基地外へ流れるというようなことでは、私どもとしてはほんとうに困ります。そういう点については先方も十分連絡をとっています。またわれわれも十分連絡をとっており、合同捜査ということでやっておるわけでございます。
  128. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 どうもその点で、この前伺ったところと、またいまあなたから伺ったところとでは、もう少し日本の立場を強調されないと、いわゆる麻薬天国ということばは、こういうアメリカ軍がいることからますます助長される結果になります。  津田刑事局長に伺いますが、あなたは刑特法で、日米合同委員会委員長ですか、おつとめになったことがありますね。何か委員長として言われ、あるいは日本側の委員として言われて、強行に主張したら向こうが通してくれるのか。幾ら強調しても、強行に出ても、向こうはてんで鼻であしらうという調子か、あなたの御経験からいっていかがですか。
  129. 津田實

    津田政府委員 私は、平和条約発効後数年間、日米合同委員会の刑事裁判管轄権分科委員会委員長をしておりまして、その間にいろいろの折衝をいたしましたが、当時は現在と違いまして、非常に折衝事項が多かったわけでございます。しかしながら、私どもの関知する限りは、麻薬のことについて申し上げますと、麻薬につきましては、当時軍内部におきましても非常に神経をとがらしておりまして、これは当時からいろいろな方法によって合衆国の軍人、軍属の麻薬施用を調査しておった。したがいまして、そういう関係から見て、麻薬についてアメリカ側がルーズな形をとるということはいまでも私は考えられないと思うのであります。したがいまして、その当時さような態度をとっておりますので、私どもといたしましては、麻薬についてはときどきは問題にしたことがありますが、それほど強い主張をいたしたことはございません。主張を申すまでもなく、向こうは相当の取り締まりをやっておったわけでございます。現段階におきまして、私は委員長をやっておりませんので、その状況はいまのところはつまびらかにいたしませんが、おそらく変わりはないものと思います。そのほかの問題につきましても、こちらといたしまして相当理由のあることを、理由をもって主張すれば必ず通るということは、私は確信を持っております。現に、御承知の相馬ケ原事件につきましても、私は担当いたしましたけれども、これは結局日本側の主張が通ったわけでありますから、そういう意味におきまして、米軍も日本の主張に対して全然耳を傾けないということはもちろんありません。私どもの折衝している限りにおきましても、耳を傾けると同時に、理屈は理屈としてお互いに論じ合うということをいたしておるわけでございます。
  130. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そういうわけですから、保安局長もこの点についてもう少し強く言っていただきませんと困ります。いま津田刑事局長は、麻薬の取り締まりはアメリカできびしいと言われたが、同時に、いまは、上流社会の若い連中にまでも麻薬はアメリカで広がって、非常に心配されている。先日日本の新聞にも紹介されている。ところが、岩国基地の中で、私どもの聞くところでは、保安局長の言われたところと違って、かなりこの方面が乱脈のように聞いておりますが、あなた方がお察しになったところで、そういうふうに受け取られましたか。きわめて厳格にやっているかどうか、この点はいかがですか。
  131. 今竹義一

    ○今竹政府委員 麻薬の管理、取り締まりにつきましては、どこの国でも厳重にやっているというのが津田刑事局長のお答えになったところで、私もそう考えております。米軍でも、麻薬については、当然のこととして、厳重にやっております。岩国でもさようにやっている、こう承知しております。
  132. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 いま津田刑事局長も言われたように、文書で照会したがなかなか答弁がない。ところが、新聞記者のほうはとっくに大使館や、あるいは情報部長に会って、ワーレス情報部長から、照会があり次第さっそく取り調べると言っている。ところが、この法務委員会にあなたのほうの課長が来られると、文書で照会したがまだ返事もないと言われる。こういうことでは麻薬取り締まり上非常に困ると思います。どうですか。久万参事官においで願っているので聞きますが、岩国の基地でもその他の基地でもいいですが、やはり麻薬のことはアメリカ軍は厳重にやっておりますか。どうも、この問題一つをとってみても、らちがあかないが、あの麻薬は何であったかということもあわせてお聞かせください。
  133. 久万楽也

    ○久万説明員 いま警察のほうからお話しのように、基地内でもこれは厳重にやっておると私は思っております。また、事実厳重にやっているのを見ております。ただ、岩国の問題については、あの基地が最近あまり使われていないので、その保管の状態は、厳重にやっておりましたけれども、それに対する月々の検査というもの、そういうことがあまり行なわれていなかったので、当然厳重に保管されておると思ったものがいつの間にかなくなっていた、そういうふうに聞いております。
  134. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そういう状態でどんどん日本に麻薬が流れ込んでくるのですから、保安局長、ひとつしっかりして、アメリカ軍に言ってくださいよ。なめられちゃだめですよ。ただ、どうしても私にわからないのは、登録番号、その下に先ほど申した56-344のAという数字がある。登録番号とは何か、この番号とは何かということを、どうも保安局長のほうはお答えになりません。これを久万参事官というベテランに聞くと、あなた方のメンツを失うから、ひとつあなたのほうから進んで言ってくださいよ。何かわかりません、数字が書いてある、そんなばかなことはないでしょう。登録番号、いま言った数字、アルファベットは何、これをはっきり言ってくださいよ。これが捜査一つのかぎでしょう。国内の場合でもあるいはアメリカ軍の場合でも、こういうものを並べて、これはどうだということをお聞きになりましたか。登録番号とは何か、56-344のAという数字は何になるのか、この点をお聞きになりましたか。お聞きにならなければまたお聞きになる意思があるかどうか、それをはっきりしていただきたい。
  135. 今竹義一

    ○今竹政府委員 登録番号が何であるかということについては、いまさっきお答えしましたとおり、承知いたしておりませんが、私どもが聞いたのは、これが米軍用の麻薬であるか、もしあるとすればどこの部隊から流れたか、こういうことを聞いただけでございます。日本におけるこの事件についての捜査としては、それを聞けば十分である、こう考えております。
  136. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 そこがいけないのです。私の言うのは、アメリカ側のことは知らぬ、日本側の犯罪だけを捜査すればいいというけれども、基地からこれが流れて出ているでしょう。いま久万参事官が言われたように、厳重に保管しているつもりが人手不足のために中がからっぽになっていた、こういうことですから、向こうにも取り締まってもらわなければ、今後とも日本にそういうものが入ってくるのだ、その点を厳重に申し入れられるかどうか。それにはいまの数字を提示して、登録番号も提示して、この点ではっきりするはずだから、取り締まってもらいたいということを申し入れられたかどうかということを伺うのです。
  137. 今竹義一

    ○今竹政府委員 この写真を提示しまして先方に申し入れて、どこの部隊から出たものであるかということも聞いたのです。それに対して、一九六一年以降は使っていないものである、こういう回答に接したわけです。
  138. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 岩国のほうも厚生省と一緒にやっておられますね。そのほうについても同じようなことが言われたのですか。向こうのほうが一九六一年以後使っていないものだと言われたのかどうか、その点はどうですか。
  139. 今竹義一

    ○今竹政府委員 三十ミリグラムのものは使っていないというのでございまして、岩国のものは十六ミリグラムでございます。
  140. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 十六ミリグラムのことを聞いているのじゃない。いまの登録番号それから数字についてこういうものがある、これであなた方のほうでも捜査してくだされば、基地の中でどうなって日本へ渡ったか、これがわかるだろう、だからその点について向こうも調べてくれ、そうしないと、今後相変わらず基地だの軍人だの、その他の軍属などを通じて入ってくる危険がある、こういうことを申し入れられたかどうかと聞いているのです。その点はどういう処置をなさいましたか。
  141. 今竹義一

    ○今竹政府委員 私どもはこの登録番号というのはおそらくは、これは想像でございますが、おそらく製薬会社でつくったときの番号であろう、そこで通し番号ではなかろう、こう思っておるわけです。そこで、さっきから申し上げておるとおり、どこの部隊でやったものか、こう聞けばわかる、こう考えております。
  142. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それをお聞きになりましたかというのですよ。どこの部隊かという点、肝心の点をぽかされちゃ困る。
  143. 今竹義一

    ○今竹政府委員 その点についても照会をしておるところでございます。まだ回答に接していない、こういうことであります。
  144. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それじゃ困りますから、ひとつ厳重に、津田局長もがんばったらこっちの正論が通るのだと言われているのですから、警察庁もなめられないようにひとつやってください。  それから建設省の渡辺さんに伺います。どうもたいへんお待たせしましたが、私が出てくださいと言ったら、何か悪いことがあったのでしょうかと心配なさっているようですが、これは例の岡山の藤野産業、参議院の重政さんの秘書であった藤野に関連していることですが、吉井川で砂利採取業をやりたいというのですが、これは砂利採取禁止地域になっているのです。それで中国地方建設局及び岡山県では、これを不許可にした。ところが上のほう、建設省のほうから言われてこれを許可にした、こういうことになっておりますが、その点はいかがですか。
  145. 渡辺隆二

    ○渡辺説明員 藤野産業が現在吉井川で砂利採取を行なっております地点は、河口から約二十七キロぐらい上流の和気町というところで金剛川という川の入っている合流点があるわけです。認可を与えましたのは三十九年の五月二十六日でございます。五月二十六日に当時の旧河川法時代の河川管理者である岡山県知事が認可をいたしております。その後半年ごとに許可の更新を行なってまいりまして、四十一年の三月三十一日まで許可がずっと与えられております。それで土量にしますと、現在までの採取量の総土量は五万一千立米でございます。  いただきました御質問は許可いたしました期限の問題と、それから砂利採取の場所、規模、こういうことでございましたので、はっきり調べてきたのはその範囲内でございます。
  146. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 一度中国地方建設局と県当局のほうで不許可にしたことがありますか。
  147. 渡辺隆二

    ○渡辺説明員 それは今回調べたのではございませんが、以前に調査したものによりますと、藤野産業が三十八年の十月に吉井川直轄工事区間内の大内という、現在許可を与えているところとは場所の違うところでございまして、その地点において三十八年の十月に採取許可の申請が出ておりますが、これは採取の禁止区間にいたしておりましたので、不許可といたしております。現在許可しておりますのは、その上流約四、五キロと思いますけれども、その地点においてもかつて工事上の関係でそこの区間も禁止区間にいたしておったことはございますが、現在藤野産業が入って砂利採取をいたしております区間につきましては、昭和三十九年には禁止区間ではなくて、許可可能な区間というようになっております。
  148. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 その間に変更されたのですね。従来は不許可であったところを許可の地域に改められたのですね。私が伺いたいのは、その組の者が、小指のない、これを詰めた者が来て、武器をひけらかせながら中国地方建設局にかけ合いに行っていたということがありますが、そういう点は報告が来ておりますか。
  149. 渡辺隆二

    ○渡辺説明員 私のほうで調べました範囲では、そういう事実はございません。
  150. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 それは地元の新聞にも麗々しく出ているのですがね。その間に私は非常におかしいことがあろうと思う。おまけに藤野産業、それから葵産業、今度のモルヒン・シレットの原品のあがったところ、これは藤野のほうは、元秘書は関係がないと言いますが、同日捜査されているのです。その間に非常に割り切れないものがある。建設省のほうに伺いたいのはそれだけでありますけれども、こういうことで、どうもこの藤野のことについては不可解なことが多いのでございますが、検察庁のほうではその点についてずっとお調べでございますか。
  151. 津田實

    津田政府委員 藤野に関しましてはただいま資料がございませんが、御説のように起訴をいたしておると思います。  それから、本件の麻薬関係事件につきましては、この事務所等の関係が、藤野と関係があるのではないかという疑いがあったようでありますが、ただいままでの調査では、本人同士は面識がないというようなこともあるようでありますから、さようなことはないというふうに承知しております。
  152. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 たいへんおかしいですね。葵産業というのは藤野さんの下請でしょう。そうして同じ建物の中にある。それで面識がないと言われてあなた方はそれをお信じになりますか。もう少しそこの点ははっきり調べていただかなければならないと思うのです。どうもこの事件をピストル事件だけにしぼってほかの件に波及させない、こういう印象を与えるのではなかろうかということを私どもはおそれているのでありますが、その点については、もう一時になりますからきょうはこれでやめますけれども、もう一度再調査をしていただきたいと思います。  それで、最後に津田刑事局長に伺いたいのは、国士館大学の問題、神近委員から非常に時間がかかるじゃないか、こういうふうに言われました。告訴がおくれたということもありましょうけれども神近委員並びに関連質問で田中委員が言われたことは、これを早くやって疑惑を晴らしていただきたい、こういうことを言われたのですが、その点の御答弁がありません。これは促進して、きょう私が申し上げたようないろいろ奇怪な事件がありますから、これを早くやっていただきたいと思いますが、その点を最後に伺っておきます。
  153. 津田實

    津田政府委員 ただいまお尋ねの国士館の問題につきましては、先ほども申し上げましたように取り調べを促進するように検察庁に申してありまして、その点は促進されるものと思っております。  それから藤野、それから今回の麻薬関係事件でありますが、それに関係いたしましては十分捜査をいたしておりますが、いまのところ別段他に端緒を得べきものはないと考えております。したがいまして、端緒がない以上、どの程度まで取り調べをするかという問題、これは問題でありまして、端緒のないものについて特定の事項を取り調べるということはできませんから、その意味におきまして、もしわかります範囲で志賀委員の御質問にお答えできるかもしれませんが、あるいはそのために特別の調査をいたすということは、どうもいたしかねる次第であります。
  154. 志賀義雄

    ○志賀(義)委員 あなたがそう言われるから、最後にもう一言。この前、日原さんにも伺いましたが、前に、阪上委員がいまから数年前にこの問題について聞かれたことがあるのです。そうしたところが、そのときに別に何も問題はないようでございますといったら、今度のピストル事件というものが出てきた。こういうこともありますから、津田局長があまりそういうふうにみえを切られると、あとで困りますよ。これだけ申し上げておきます。
  155. 大久保武雄

    大久保委員長 次会は来たる十五日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会