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坂本委員 裁判官を信頼できない点があるものだから、お聞きしておるわけなんです。というのは、
法務省、
公社側が行って、そうしてこれは私の推測だけれ
ども、私の
質問の最初に、
職員局長が
裁判所にお願いしたと言うので、ぴんときましたのは、
一般の人が想像していることを私が集約したことにぴんと合うものだから、
裁判所にお願いしておる、こう言ったわけです。というのは、これは少し行き過ぎか、事実に多少反することがありましても、やはり
裁判官も人間だし、権力者です。それと、
法務省の
代理人と
公社側の
代理人が行って、これは
準備手続にする必要はない、
口頭弁論でいいけれ
ども、
口頭弁論じゃ公開をしなければならない。公開は傍聴人がおる。それをやらぬためにわざわざ
準備手続にして、そうして非公開にして、おまえたち何人来てもだめだ、表へ出ろ、
原告は一人でいい、
判事室でやる。そうして
被告のほうは、
公社側と
法務省の
代理人が来て
——代理人は
検事ですよ。
検事といいますと、
一般の人はおそれておりますからね。それが来て、こうでもない、ああでもないというふうに、
裁判官に輪をかけたようなことをやるものだから、これではとても公平な
裁判はできないというのが一万六千名の訴えを出した人の気持ちなのです。そういう推測をしているような事実をやっておるじゃないかと思って、私は非常に憤りを感ずるし、憤慨にたえないわけです。
そこで、私は本日ここに出る前に、
訴状——これは大体
全国同じだそうですが、
訴状と
公社側の答弁書
——これはよくできておりますよ。私も弁護士だけれ
ども、弁護士だってできないような、
公社側のためには非常に有利な、
裁判官を納得させるような答弁書ができております。しかし、私は、これを見てみますと、
訴状に書いてあるものは、ずっと認めておるわけです。認めているというのは、当事者の間には争いがないということなんです。争いがあるのは、大きくいえば、ただ一点だけなんです。そうしてここに非常に巧妙に
公社側の答弁書ができておりますけれ
ども、争いは、結局、定時昇給を延伸したのは正しいんだというのが主張なんです。そうして
訴状を見ますと、
訴状は、この定時昇給の延伸は正しくないという具体的のことをここにあげておるわけです。争点はそこだけなんです。だから、そこだけになりますと、私なんかは三十年も弁護士でめしを食っておりますが、これは
準備手続で傍聴人が希望するのを排除せずに、やはり
口頭弁論を開いて、
双方の争点を
裁判官が明らかにして、その争点に対して行なう。これが一番重要でしょう。攻撃、防御の立証方法等がありましょう、それをやってしかるべきだと、これは私の見解も十分入っておりますが、そう思われるのです。それを
裁判官が
準備手続にして、
裁判官の部屋に
原告を一人だけ呼んで、
被告のほうは、何べんも申しますけれ
ども、不都合だから言うわけですが、
法務省の
代理人と
公社側の
代理人が入って、そうして何だかんだと言われる。だから、
裁判所ってこんなもんですか、
訴訟を起こして、
裁判をお願いしているのに、えらいけんまくでおこられに行っているようなものだ、おこられるだけならいいけれ
ども、自分たちの主張を、まるで悪人のようなことを言われると言う。これはしろうとの言うことだからというので、その
準備手続をやるところに、非常に権力の行使で、公平な
裁判ができないじゃないかという疑義があるわけです。
そうしてさらに、形式上争われている点は、
口頭弁論期日を、十一月の中ごろですか、十二日ですか、以来二ヵ月以上も
指定しない。これはあなたのいろいろな推測のあれだろうけれ
ども、いろいろ事情がある、分離だとかなんとか言うけれ
ども、分離なんかしなくてできるように、これは
職員のほうでも、専門の人に聞いていろいろ
訴状をつくっておりますから、その人が
代理人で
裁判所に行けば、
裁判所はそんな横着なことはしないと思うのです。また
法務省の
代理人も
公社側の
代理人も、そんな横着なことはしないと思う。そこで一人一人呼び込んで、ああでもない、こうでもないということをやる。そうして
裁判の運用において不公平があるから、公平な、
国民の納得するような
裁判ができないということを危惧するわけです。
本日の審議は、
裁判所の問題に関して、税法とか
工業所有権についての専門知識の者がいなければできないからという
改正の問題であるけれ
ども、そうでなくして、この
一般民衆の叫びと申しますか、要望している点について、納得するような
裁判をしてもらいたい、それが
基本にあるわけです。私は
訴状と答弁書と、いささか専門的に見ておりますが、争点は一つなんです。それを
公社側は正しいんだ、こっちは正しくないという。そういう権利を侵害して、
月給を上げない、昇給を延伸してもらってはかないませんから、とりあえずこの不払いの点を払ってくださいというのがこの
訴状の要点じゃないかと思うのです。そういうことだから、いろいろいま申されたことは、これは実際お知りにならぬでおっしゃったけれ
ども、どうも期日を二カ月以上も
指定しないのは、根底はそこにあるのではないか。いわゆる
一般の何も知らない庶民に対するところの
裁判は、おまえたちはそんなにうんと
裁判を起こしてもだめだということを、権力で一つやって、ほかも右へならえをする。そこに
公社側のこのストライキに対する弾圧が、
裁判の行使という形式であらわれているんじゃないか。そこに
法務省ともあろうものが、
代理人にしていくところに、私は、非常に言い過ぎがあるかもしれませんけれ
ども、訴えを出した
方々に対して、並びにやはり一万六千名は家族、親戚その他を入れれば十万人にも何万人にもなりますから、それがここに出ておるから、この前も法務行政の点で横山氏も、私も若干
質問しましたけれ
ども、今度は
裁判所の法の
改正について、あるいは
最高裁判所の
裁判官の退職金を高額に
改正する、その
問題等もありますから、やはり
裁判所というものは、何と申しましても、そういうこともやらなけばならぬとわれわれは思っております。しかしながら、ほんとうに
国民の納得するような公平な
裁判をしてもらいたい、こういうことで本日は
質問もいたしておるわけでありまして、第一が、
口頭弁論期日はほとんど二カ月以上も
指定しないという点と、
準備手続に回ってそこでそういうような
裁判をすることはぜひやってもらいたくない。これは
裁判の独立ということに
関係ないことですし、
裁判の独立をやらせるという
裁判の運用のことだから、これはやはり
最高裁判所のほうでやっても差しつかえないと思うのです。
この
資料によりますと、各
高等裁判所管内では
裁判官の会同を開催して、
最高裁判所としては
裁判官の会同を開催していないけれ
ども、
昭和四十年度会同開催計画に基づいて、本年二月三日から三月四日までの間に開催、実施された各
高等裁判所管内の労働
関係民事事件担当裁判官会同において、右
事件の
処理に関する事項が協議問題として提出された、こういうふうに各
高等裁判所管内ではやっておられますから、やったならば、いまお示しのようなことならば、なぜ早くそれをケリをつけて
口頭弁論期日を
指定しないか、こういう問題になるわけです。それを
指定しないところに、それは言い過ぎかもわからぬけれ
ども、先ほど来私が申しますような一方的の
裁判の運営をやっておられるんじゃないか、こういうふうに考えましたものですから、これはひとつ
準備手続でせずに、やはり
口頭弁論で、大ぜいのおる前で、ことに労働問題に関連するものであれば、そこで
裁判官が
原告、
被告の攻撃、防御の方法を聞いて
裁判するのが正当じゃなかろうか。輔佐人の問題についても、そういう公開の場所において
原告には輔佐人をつけて、そうして
公社側の
代理人と対等の立場で攻撃、防御の
裁判の交渉をやることが公平な判決を受ける、こういうことになるのではなかろうか、こう思うわけですが、その点についての御所見はいかがですか。これはあわせて、
法務大臣がおられませんから、大臣にかわる次官の御所見も承っておきたいと思う。