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1966-03-08 第51回国会 衆議院 法務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月八日(火曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 井伊 誠一君    理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君       鍛冶 良作君    四宮 久吉君       田中伊三次君    中垣 國男君       馬場 元治君    濱野 清吾君       森下 元晴君    神近 市子君       畑   和君    山口シヅエ君       山田 長司君    志賀 義雄君  出席政府委員         法務政務次官  山本 利壽君         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 鹽野 宜慶君         検     事         (訟務局長)  青木 義人君  委員外出席者         判     事         (最高裁判所事         務総局総務局         長)      寺田 治郎君         判     事         (最高裁判所事         務総局人事局         長)      矢崎 憲正君         日本電信電話公         社職員局長   遠藤 正介君         専  門  員 高橋 勝好君     ――――――――――――― 三月八日  委員賀屋興宣君及び中嶋英夫辞任につき、そ  の補欠として鍛冶良作君及び畑和君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員鍛冶良作君及び畑和辞任につき、その補  欠として賀屋興宣君及び中嶋英夫君が議長の指  名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月七日  借地法等の一部改正に関する陳情書  (第二一〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正す  る法律案内閣提出第八一号)  最高裁判所裁判官退職手当特例法案内閣提出  第八二号)  訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第九二号)      ――――◇―――――
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案最高裁判所裁判官退職手当特例法案、及び訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案、以上三件を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。坂本泰良君。
  3. 坂本泰良

    坂本委員 ただいま委員長から申されました三つの件は、いずれも裁判に関することでございまして、そのことのいかんは裁判を受ける国民の、刑事並びに民事に重大な関係があることと思います。特に裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、これは先日石井法務大臣提案理由説明を承ったのでありますが、その中に、近年工業所有権に関する事件租税に関する事件、その受理件数が相当多数にのぼって、その審理期間も他の一般事件に比して著しく長期化している、こういう実情にある、すなわち、そのような訴訟適正迅速化をはかるためのこの裁判所法改正である、こういうふうに承ったわけであります。  そこで、本日私が質問いたそうと思いますことは、この租税に関する事件工業所有権に関する事件も具体的にあげますと、ここに書いてありますように相当の件数があり、相当多数にのぼっておる、こういうふうに存じますが、ここにわれわれが注目しなければならないのは、これだけに限るものではないわけです。特に、この工業所有権とかあるいは租税ということを見ますと、先般当法務委員会横山委員から質疑をいたしました、いわゆるマンモス訴訟一般にいわれているようですが、全電通定期昇給をめぐる点が公社側職員側との話がつかず、したがって、全国十六万に達する全電通職員定期昇給をストップされた。それは違法であるということで、やむを得ないから法的な救済をするためには、やはりこれは裁判によらなければならない、こういうようなことで、裁判全国各地に起こされたわけであります。  先般資料をいただきましたが、それによりますと、電電公社賃金請求事件は、昭和四十年十一月十日提起されたが、係属庁は六十三カ庁地方裁判所の本庁が四十四、地裁の支部が十九。六十三の裁判所提起をされておりまして、その件数は四百六十八件、原告総数は一万六千百二名、一件当たりの原告数は三十ないし五十名前後である、こういう訴訟提起されておるわけであります。  この訴訟は、労働関係訴訟として各裁判所事件が受理されますと、報告事件として、これはたぶん原告訴状を一通よけい出しまして、その訴状を添付して報告されておる。ですから、地方裁判所を通じて最高裁判所のほうでもこれは御存じのことと思うのでありますが、この訴訟について若干承りたいと思います。  まず第一に、この訴訟提起されますと、やはり国民は法のもとに平等であり、この審理にあたっては裁判所は非常な困難な状況がありましょうが、全部平等にいわゆる口頭弁論指定して、これを審理をしなければならぬ。こういうふうに考えるわけでありますが、これについて裁判所のほうはどういうふうな処置をとっておられるか。やはり私は、この工業所有権の問題、あるいは租税の問題、——税金の問題の訴訟というのは、たとえば税務署が差し押えをする、差し押えを受ければ、その滞納その他で不法な税金の課税をされると、それに対して不服の訴訟を起こす、裁判所判断を仰ぐ、こういう国民全般に関する訴訟でありますけれども、それよりもなおこの一万六千名に達する訴訟については、この法律案を出されるについては、それより前に当委員会でもこの質疑がなされておる事件でございますから、その措置をやらなければならぬじゃないか、こういうふうに存じますが、そういう一万六千名の全電通訴訟はそのままにして、そうしてこの工業所有権とか税法に関することの解決のために裁判官をふやす、私はそのことも解決しなければならぬと思うのですが、このことを考えるなら、その前にやはり全電通で働いておられる十六万の職員方々定期昇給をせないという——それは多少理屈はありましょう。しかしながら、そうでないという観点に立って、そうして裁判所の判決を受けなければならない、こういう状況になっておるから、これはこの法律案を起案されるならば、最も重要に、最初にこれを考慮に入れてやるべき問題じゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、その点について法律提案者である法務大臣、あるいは直接その裁判処理に当たられる最高裁判所の御所見をまず承っておきたいと思います。
  4. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 裁判所に直接する問題でございますので、便宜私のほうから先に意見を述べさしていただきたいと思います。  ただいま坂本委員からお話のございました裁判所法改正案提案理由に、工業所有権租税関係事件を非常に強調しておるけれども、それ以外にも重要な事件が多々あるのではないか、まことにお話のとおりで全くそのとおりでございます。私どもも全くそういう頭で仕事をやってまいっておるわけでございます。ただ、この法案を提出する際に私ども法務省にお願いし、さらに国会にお願いしておりますこの工業所有権租税関係事件ということを強調いたしておりますのは、裁判所法で今度置いていただきます裁判所調査官というもの、これは地方裁判所では新設でございますが、そういう特殊の官職を今度新たに設ける、その理由はどこにあるかということでお願いをしておるわけでございまして、これはただ調査官の設置だけについての理由にとどまるわけでございます。そうして、一般的に私どもとしては、決して工業所有権なり、租税関係事件にウエートを置いておるのでは毛頭ございません。すべての事件を平等に、しかも迅速かつ適正に処理したいという心がまえでやっておるわけでございます。同時に、いま提案しております裁判所職員定員法、こちらのほうは、決して租税関係事件、あるいは工業所有権関係事件にとらわれて増員をお願いしておるわけでは毛頭ございません。これはすべての裁判所事件を適正迅速にするために、職員をふやしていただく。この点は、法務省から提案していただきました、先日法務大臣からお話しくださいました提案理由にもはっきりうたわれておるところでございまして、増員のほうはまさにすべての事件関係について考えておるわけでございます。そういうわけでございまして、今度お願いいたしております裁判官二十七人、あるいは書記官二十七人、その他の職員増員につきましては、先般来坂本委員なり横山委員からるるお話のございました電通関係事件提起等も頭に入れまして、増員をお願いしておる、こういうことになるわけでございます。
  5. 山本利壽

    山本(利)政府委員 ただいま裁判所側からるる述べられましたような観点から、法務省法案を提出した次第でございます。
  6. 坂本泰良

    坂本委員 次の質問に入る前に重ねてお伺いしますが、それではわずか二十七人の判事増員くらいでこの一万六千百二名、四百六十八件の処理が現在は数として——あと質問しますが、一部の口頭弁論が開かれ、またそれを開かずに準備手続方式で、まことに遺憾な訴訟方式がとられておるわけでありますが、やはりこの問題も考慮に入れた、こういう御説明でありますならば、その口頭弁論とかそういうのはスムーズに、一般通常事件と同じように進行ができると、そういうようなお考えのもとにこの法案が起案され提出されたか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  7. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 まことにごもっともなお尋ねでございまして、先般この法務委員会坂本委員なり横山委員からお話のございました当時は、まだ私ども大蔵省と予算の折衝中でございました。増員の幅をきめるにつきましても、御指摘を待つまでもなく、私どもとしてもこういうことをも当然頭に入れて大蔵省といろいろ折衝をいたしたわけでございます。そこで二十七人の増員でこれがまかなえるのかというお話でございますが、その点に関しましてちょっと説明させていただきたいわけでございますが、今回増員をお願いいたしておりますのは、直接には高等裁判所判事増員ということになるわけでございますが、しかしながらこれはまたいろいろお尋ねによりまして御説明申し上げたいと思いますが、現在地方裁判所から高等裁判所へ応援に行っております判事という者が若干おるわけでございまして、高等裁判所はその判事増員になりました暁には、そのうちの一部の者を地方裁判所のほうに振り向ける、こういうことによって地方裁判所訴訟の促進をも同時にはかろうというのがねらいになっているわけでございます。そこで、そうなりますと、自然そのうちの、二十七人のうちのある程度一部の数字が、地方裁判所のほうに回っていく裁判官なり書記官数字である、こういうことになるわけで、それではますますもっていまお話事件処理には支障を来たすのではないか、こういうことになろうかと思います。しかしながら、実はその点これは根本的に裁判所事件が非常に多くて、裁判官の負担が非常に重いという一般論は別といたしまして、さしあたりこれによって四十年度の事件が著しく増加しておるかどうかという点からまいりますと、お手元に裁判所法等改正法律案参考資料というのを差し上げておりまして、これの九ページのところに地方裁判所事件数が出ておるわけでございますが、その中の民事訴訟の第一審事件、これは実はこの表を法務省のほうに御連絡いたしましてつくっていただきました当時は、まだ四十年度のトータル件数が出ておりませんでしたために、三十九年度までの統計になっておるわけでございます。これが七万五千七百六十件です。民事訴訟の新受の第一審事件は七万五千七百六十件、こういうことになっておるわけでございますが、その後今年になりましてから四十年度の新受件数が明らかになりましたが、それによりますと七万四千七百二十件、これはもとより電電関係事件をも含みました件数でございますが、そういうふうに件数としては一応減っておる、全国的な件数としては一応減っておる。なお控訴審も若干減っておりまして、三千五百二十八件が三千三十六件、約五百ばかり減っておるわけであります。むろんそうは申しましても、これはただ全国トータル件数が減っただけのことでございまして、こういう当事者の多数の事件が出てまいりますことは、裁判所処理の上では非常に問題があることはこれはもちろんでございますが、一応そういう件数の上にあらわれましたところだけでは、そのまま著しい増加という数字になっておらないわけでございまして、さような問題も一つあるわけでございます。しかしながら、最終的に裁判官二十七人ということで一応妥結いたしました基本趣旨は、充員関係でありまして、充員が二十七人ならば可能である、かようなところが基本的であったわけでありますが、しかしながら、その間には事件の伸びということも、これが一つの資料といたしまして、それらを総合いたしまして、今回は政府全体の定員に対する御方針の点もいろいろ考えて、裁判所としては八十五人の増員ということで満足すべきじゃないか、こういう結論になっておるわけでございます。  坂本委員からるるお話のございました、それでは弁論を開くのかどうかというお話でございますが、これは当然本質的に裁判所としてはいかなる事件をも誠意を持って進行していく、ただその進行のしかたは、それぞれの裁判官訴訟指揮権限でございますので、期日をいつにきめるかということについて一々私どものほうで意見を申し述べることを差し控えざるを得ないわけでございますが、誠心誠意審理をするということにはかわりはない、またそういう手当てはしているというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
  8. 坂本泰良

    坂本委員 裁判所はそうおっしゃるけれども、これから若干質問したいのは、なかなか公平に、それからいま最高裁判所のほうで期待されているような具体的の進行が進んでいないわけです。だからその点についてこれから御質問したいと思いますが、その前に本件電電公社原告は、いま申しましたような多数の電電公社職員方々であるわけです。被告日本電信電話公社総裁米沢滋ですか、この人になっているわけですね。この訴訟にあたって法務省訟務局のほうで、検事の肩書きを持った方々がこの訴訟代理人として担当いたしておりますが、その点はどういう根拠に基づいてやっておられるのか、なおまた電電公社のほうからも、その代理人指定されておるかどうか、その点を承っておきたいと思います。
  9. 青木義人

    青木政府委員 私ども法務省訟務局並びに全国地方法務局での訟務事務につきまして、国の利害関係のある訴訟についての法務大臣権限等に関する法律というのがあります。その第七条で、電電公社その他の公法人でも法務大臣所部職員指定代理人に出してくれるように、こういう依頼ができることになっておる、それに基づきまして、私ども訟務局職員、並びに法務局職員が、それぞれ指定代理人となって出廷いたしておるわけでございます。なおまた、電電公社のほうの職員の方も、指定代理人として総裁指定を受けて一緒に法廷に出廷しておる次第であります。
  10. 坂本泰良

    坂本委員 その人数は何名ですか。法務省のほうから出ておるのは何名で、電電公社のほうから出ておるのは何名か、その点承りたい。
  11. 青木義人

    青木政府委員 先ほどお話がありましたように、全国各地に多数の訴訟が係属いたしておりまして、それに法務局側及び電電公社側からそれぞれ平均二名ずつ程度は出ております。合計四名くらいは指定代理人として各事件について出ておる、かように思っておりますが、全国指定代理人職員総数は幾らかということは、いま私ども集計いたしておりませんので、ここで直ちに申し上げかねます。
  12. 坂本泰良

    坂本委員 それぞれ二名ずつということで四名ですから、裁判所から出ておるトータルによる件数は四百六十八件ですから、そうしますと、法務省のほうから二名、電電公社のほうから二名と申しますと、千名以上の者がこの訴訟に従事しておる、こういうふうに考えられますが、その点いかがですか。
  13. 青木義人

    青木政府委員 法務省側といたしましては全国八カ所の法務局中心になり、また電電公社のほうではそれぞれ電気通信局中心になって、訴訟をやっておられます。したがいまして、各地の、たとえば東京高裁管内の各地方裁判所に係属いたしております事件につきまして、東京法務局職員がやはり数カ所担当してやっておる。それでありますから、電電公社側もこの担当職員総数はそんなに多くはなっておらないわけです。
  14. 坂本泰良

    坂本委員 具体的の事件が出ておりますから、法務省は、二名ずつくらいのようなことでなくて、何名代理人が出ておるという、そんなことを掌握していないのですか。少なくとも訴訟をやる以上は、法務省訟務局のほうから出ておるのは検事資格を持っているのでしょう。それから、公社側から出ておる者は、それぞれ何かエキスパートがあるし、課長その他、あるいは係長とか、そういうのがあるのですが、そういう点まで——これは訴訟の全面を委任するわけですよ。それを訟務局で掌握していないというのは、私はどうもおかしいと思うのですが、その点いかがですか。  さらに、また、職員局長お見えですが、電電公社のほうではこの訴訟について訴訟代理人を出しておる。どういう地位でどういう者を出しておるか、その点を承っておきたい。
  15. 青木義人

    青木政府委員 先ほど、原則として二名法務局側のほうは出しておると申し上げましたが、これは一名は検事資格を持っている。他の一名はその補助者としての事務官をそれぞれ指定代理人としての原則といたしておるわけです。もちろん、私どものほうの関係職員が、各事件について、だれがどの事件について指定代理人になっておるということは、これは私ども掌握いたしておるわけでございます。ただ総数が、全国的に何名この事件代理人になっておるかということは、その数字をいま直ちにここで申し上げかねるわけです。調査すれば直ちにわかると思います。
  16. 遠藤正介

    遠藤説明員 電電公社のほうは、ただいまお話がございましたように、地方機関といたしまして十一の電気通信局がございます。頭数にいたしますと、いま先生のおっしゃいました数字は、平均通信局五名ずつ出ておりますから約六十名くらいになると思います。  なお、いま御質問がございましたどういう人間が出ておるかと申しますと、通信局の中に職員部という部がございまして、職員部職員担当として出ております
  17. 坂本泰良

    坂本委員 国の利害関係のある訴訟についての法務大臣権限等に関する法律、この第七条に基づいて、法務省並びに当該電電公社から約六十名が出ておる、こういうことであります。この第七条と日本電電公社法関係その他を実は読んでみまして、電電公社に対する事件について、法務大臣がその所部職員でその指定するものに当該訴訟を行なわせる、それから訴訟については法務省といわゆる電電公社と両方やらせる、第七条をすなおに読みますとそう解釈できるのです。第七条だけでなくて、国の訴訟については、われわれは法務大臣がこういう訴訟行為をやったことは了解しますけれども電電公社、これは直接国ではないわけですから、その点についてこの訴訟行為をやっておられる点の解釈基本を示してもらいたいと思います。
  18. 青木義人

    青木政府委員 この第七条は昭和三十七年に改正になって入れられた規定であります。ただ、その前におきまして、電電公社関係のほうの法令で、法務大臣所部職員訴訟遂行のために出せるという規定があったわけであります。それが三十七年に、この規定を包括的な規定といたしまして七条が置かれたわけであります。趣旨といたしますところは、電電公社その他各種の公法人あるいはまた地方自治体のそれぞれの訴訟におきまして、国の利害あるいはまた行政一般関係し影響する事件につきまして、訴訟を専門的にやっております私ども指定代理人に出ていく、こういう制度が必要であろうということでこの七条が置かれたわけであります。特に電電公社関係におきましては、一応国とは別個の公法人でありますが、国の全額出資のもとにおける、いわば実質的にも国の分身みたいな関係である地位公社のほうで訴訟があれば、われわれが御援助申し上げるということは当然のことではないか、かように思っております。それでこの規定によりまして今回も私ども職員指定代理人として担当いたしておるわけであります。
  19. 坂本泰良

    坂本委員 日本電電公社関係法令としての規定は第七条でこれは改廃になっておる、したがって第七条の解釈でいかなければならぬ、私はこういうふうにも考えるわけですが、第七条の解釈でいけば、「政令で定める公法人」とありますが、これに該当するのじゃないかと思います。それに間違いありませんでしょうか。
  20. 青木義人

    青木政府委員 いま先生おっしゃいましたように、「政令で定める公法人」の、この公法人を定める政令電電公社指定されておるわけでございます。
  21. 坂本泰良

    坂本委員 そこでお伺いしておきたいのは、これによりますと、「政令で定める公法人」とあるわけですね。ところが定期昇給の問題についての訴訟は、いわば電電公社幹部のやり方が違っておるから、その電電公社職員である者から、これを正しくして、定期昇給のとおりに賃金、いわゆる月給を払ってもらいたい、こういう訴訟だと思うわけです。そういたしますと、国は国民税金から取っておるその費用、あるいは指名された人も月給をもらっておる人ですから、公法人というならば、本件訴訟では、電電公社総裁はじめ、その幹部と、それからその構成員である職員との訴訟でありますから、訴訟というのが、不法に定期昇給をしないから、われわれが定期昇給をすればこれだけの金がもらえるんだ、それを払ってもらいたい、やはり公法人内部関係であるから、訴訟提起しておる電電公社職員皆さん方にも、これは国が代表をして訴訟をやるべきではなかろうか、こういうふうに思うのですが、一方的に電電公社総裁代理として法務大臣法務省から、あるいは電電公社からだれだれがこの訴訟遂行しろ、一方的にだけやるのは事実上不公平であるし、法のたてまえからいたしましても、双方代理をして、正しいか正しくないかを裁判所判断を求める、訴訟遂行というのは双方にやるべきではなかろうか、こういうふうに考えますが、公社幹部側のほうの総裁だけの訴訟行為を国の費用で、国の費用をもらっておる公務員に対して訴訟遂行さして、同じ公法人構成員である職員利害を一方的に制圧して、定期昇給をしない側の方面にだけ訴訟行為遂行してやる、これは法的にも間違っているのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでありますが、この点についての御見解を承っておきたい。
  22. 青木義人

    青木政府委員 本件につきましては、各原告方たちは、それぞれ電電公社職員の方であります。ただ、被告になっておりますのは、公社幹部個人の方ではなくて、公社自体であります。私ども法務省のほうで、法務大臣権限等に関する法律によってタッチいたしますのは、公社という公の立場の公法人についての訴訟なものであります。職員側のほうに同時にまた訴訟代理している、かような関係に立つわけではないと思います。その点、ちょうど国家公務員が国を相手に訴訟ということになりますと、私ども国側のほうを代理をいたすわけであります。そのこととちょうど同じ関係に立つのではないかと思います。
  23. 坂本泰良

    坂本委員 どうもその点がまだ了解できぬわけですが、たとえばドライヤー調査団なんかも来て、いろいろ日本の国鉄とかその他の問題等も調査して、ILO八十七号の条約が日本でもようやく八年目に批推されたわけです。国の訴訟ならば直ちにそれは了解はできるということになりますけれども、「政令で定める公法人」ですね、公法人というのは。その公法人自体をやるが、公法人の中の問題です。さっき局長が言われたのは、国家公務員が自分個人のことについて訴訟を起こすならば、それは一応了解ができますけれども本件はいわゆる電電公社という公法人の中の定期昇給をやったかやらぬかという問題が争いの中心になっておるわけであります。その争いの中心に、公社側だといって被告総裁だけを支持して、反対をそうじゃないといって押えるような法務大臣は、訴訟行為はやられないのではなかろうか、こういうふうに考えるものですから、そうでなかったならば、そうでないという根拠をもう少しわかりやすく言ってもらいたい。というのは、これは一例ですが、国鉄の賃金問題にいたしましては、労使双方の話し合いがつかない場合には調停に持っていくわけですね。そうしてそれがつかぬときは仲裁裁定によるわけです。本件は、いわゆる電電公社という公法人の中の定期昇給の問題であるから、そういうような機関があれば、そっちでも処理すべきでありましょうが、そういうところがないから訴訟に出ておるわけであります。訴訟に出た以上は、やはり電電公社職員であるし、またその総裁でもあるから、その点は法の前の平等において裁判所は平等に処理すべきであり、また国家は、訴訟遂行についても、いわゆる使用者側、電電公社幹部側だけの理由を正しいとして裁判所で主張するのは、ちょっと間違いじゃないか、一般大衆はそういうふうに思うのではないか。同じ電電公社の中の定期昇給の問題の争いについて、片一方が上げないのが正しいんだといって——正しいか正しくないかは裁判所判断するわけですから、一方のほうだけを国家の費用で、国家から俸給をもらっておる者がやって訴訟行為をして、その職員の個人個人に対して何もやらないというのは、これは国家としては不公平じゃなかろうか、こう思うわけです。その点についてもう少し明瞭な——私は法律家だから、法律家でも多少疑問を持っておりますから、一般国民はそこは非常に疑問を持っておると思う。その点をもうちょっと明らかにして、そして政務次官の見解もこの際承っておきたい。  というのは、ちょっと付言しますけれども、この公社の中の定期昇給をするかしないかの問題を、国家が一方だけを支援して訴訟をやるということは非常に間違いじゃなかろうか、こういうふうに思いますから、そういうような点を含めて、単なる法律解釈だけでなくて、ひとつ御所見を承っておきたい。
  24. 青木義人

    青木政府委員 今回の事件のように、電電公社の中の労働関係に関する訴訟になりますと、いま先生がおっしゃいましたような面も一面あろうかとは思います。労働関係といたしましても、結局、電電公社の個々の職員公社という公法人との間の労働関係、使用者側としては電電公社そのものへ労働関係の権利義務が帰属いたすわけであります。したがいまして、私どものほうは電電公社の側に立って訴訟をやっていく、こういうのが七条の規定趣旨であろう。あくまで七条による訴訟は、単に本件のような事件でなしに、大体一般国民なわけです。国民とそれぞれ公法人との間の関係訴訟におきましても、公法人のほうを代理してやっていくというのがこの七条の規定趣旨でございます。その点は、先ほど来申し上げましたように、国につきましても国家公務員がその公務員関係、あるいは労働関係につきまして、国相手に訴訟を起こした場合、どうしても私どもは一方の国側に立って訴訟をいたすということであります。今回の事件電電公社が敗訴いたしますと、それに伴うまたいろいろな予算的なことも出てくるわけであります。そういう公社の立場に立って私ども訴訟をいたす、かような趣旨であります。
  25. 山本利壽

    山本(利)政府委員 法的にいえば、政令で定められておりますから、今回のような処置は当然だと思いますが、御質問の論点からいうと、そういうことでなしに、どうもおかしいではないかという先ほど来のお話でございましたから、結局はこの政令は廃止すべきではないかという議論だと思うのです。そこで私は考えますのに、法的に今回こういう措置をとっておることは一向差しつかえないことで、坂本委員の認めておられますように、差しつかえないことであるし、業務そのものからいって、公社の扱っております業務そのものは、以前は国家そのものがやっておった業務を公社として独立してこのごろは扱っておるわけでございますから、そういう業務上の性格からいっても、やはり国家がこれに関与して訴訟に当たるべきだと私は思います。
  26. 畑和

    ○畑委員 ただいまの坂本泰良議員の質問に関連をいたしましてお尋ねをいたします。  まず第一点は、国の利害関係のある訴訟についての法務大臣権限等に関する法律、この第七条によって、法務大臣のほうで職員をこの訴訟関係をさせるということになったというのでありまするが、この条文を見ますると、「地方公共団体その他政令で定める公法人」すなわちこれには電電公社は入りますが、これのほうで「その事務に関する訴訟について、法務大臣にその所部職員でその指定するものに」訴訟を行なわせるように求めることができる。したがって、この場合電電公社総裁から法務大臣に対してこの七条第一項によって請求をした。それを受けて法務大臣のほうでは、第三項に、「国の利害考慮して必要があると認めるときは、」云々ということになっていますから、結局これによってそれを応諾してその職員を派遣して、この訴訟に当たらしておる、こういうことになります。そうなりますると、ただ求めたときは、いつでもこれに対して応諾をして職員を派遣するのではなくして、そのことが「国の利害考慮して必要があると認めるとき」、こういうふうになっておる。したがって、本件の場合に、国の利害考慮して必要があった、こう法務大臣は認めたことになる。その根拠はどういうところにあるのでありますか、そういうことをひとつ承りたいのです。それは電電公社は、公法人とは申しましても一応国とは別個の法人であり、独立の予算をもって経理を運営いたしておる、こういうことであります。それで本件の場合には、俸給の未払いの請求事件であります。これがどういう関係で国の利害考慮して必要があると認めたのか、この点がどうも明確でない。この点をひとつ法務大臣代理の次官にお伺いいたしたい。
  27. 山本利壽

    山本(利)政府委員 その点につきましては、直接その衝に当たっております訟務局長からお答えいたさせます。
  28. 青木義人

    青木政府委員 いまお話しのように、第七条のそれぞれの規定に基づいて、本件につきまして法務大臣指定いたしたわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、電電公社は、公法人と申しましても国に一番近い性格を持っておる公法人であります。この政令で定めておる公法人とは、現在百種類前後の公法人があるわけでありますが、電電公社は国の全額の出資のもとに、いろいろな関係において、予算的その他の経理面におきましても、密接な関係を持っておるわけであります。その勝敗いかんということは、また公法人のほうの、電電公社のほうの負担ということ、これはまたひるがえって国のほうの利害関係とうらはらになってくるのではないか、かように思っておるわけでございます。
  29. 畑和

    ○畑委員 どうもそれがちょっと納得できぬのです。全額出資であるから公法人の中では一番国のほうと関係が深いというようなことがただばく然と論拠になっておるようでありますが、やはりその案件の種類によってこれはきめなければならぬと思う。この問題は単に俸給の未払い請求の事件です。したがって、そういう件については、私は、国がそれほど重要視して、会計が別なのに、求めがあったからといって何もこれに応ずる必要はなかろうと思う。そうだとすれば、次にお尋ねをいたしたいのですが、これは片方は個人、片方は公法人です。その場合法務省の役人をいろいろ出張させたり何かして扱わせるわけでありますが、訴訟遂行するにそれだけの人間が当たるわけです。そういった関係の経費の問題は、公社との関係は一体どうなっておるのか。公社がもし弁護士を代理人として立てる場合には、当然弁護士の費用も払うし、手数料も払うし、報酬も払う、こういうことになって、相当全国的にばく大な数字になると思う。それは役人でありますから、役人は俸給をもらっておるから、俸給はそれでいいというようなことで、出張旅費を出せばいい、あるいは日当を出せばいい、こういうことになるかもしれぬけれども、そういうことから原価計算的に計算してみると相当な金額になるので、その関係は、公社と国、法務省との関係、その経費の問題はどういうふうになっておるか、それをひとつ、まず法務省のほうに伺いたい。
  30. 青木義人

    青木政府委員 従来の電電公社関係訴訟は、各種の訴訟をたくさん私ども担当いたしております。今回もそれと同じ関係になりますが、経費面につきましては、通常の経費は私どものほうの経費で、特別な担保とか、その他の特別の経費の場合にはそれぞれ公法人のほうに御負担願っておる、こういうやり方をいたしております。
  31. 畑和

    ○畑委員 これは非常に事件が少ないときはいいかもしらぬが、こうして、いわゆるマンモス訴訟ということになって、全国で一万六千もの人が訴訟を出しておる、それで全国各地にとにかく訴訟が継続している、それで法務省の役人が各地域へ二人ずつ出ておる、こういうような事態の場合などには、私は、そういったいままでの慣例ではちょっと割り切れないと思うのです。やはりその点をもっとはっきりしていないと、公社のほうはえらい得をする、片一方のほうは国の経費といいながら、やはりそれによって相当ほかの難件がなかなかできないということ、国の本来の事件がどうしても渋滞するというようなことで、公社のほうに相当時間的にもとられるというようなことになるという点で、こういった大きな事件の場合などにはそういった矛盾が露呈してくると思うのです。そういう点で、私はどうも、いままでこうなっておりますからということでは本件の場合にはちょっと納得できないのです。いまさら新しくどうしようという規定もないのでありましょうけれども、これはやはりはっきりして、幾ら経費がかかったということで、その経費を電電公社のほうに請求して、それで電電公社のほうがまたこれを払うということで、何でもかんでも電電公社が国のほうへおんぶをする、そして法律的な知識を吸収するというようなことでは私は適当でない、かように思うのです。これは大体、——会計検査院は来ておりますか。ちょっとそっちのほうの問題になるのだと思うのですが、これは相当研究問題だと思うのです。こういう大きなことになりますと、そう簡単に、いままでの慣例がそうだからということでは済まされない。そういうことからも、とにかくいま言ったこの事件から考えて、いま坂本委員のおっしゃられたような、偏見かもしらぬけれども、そういった気分になるわけです。私はそういう点は改めるべきだと思うのですが、そういうことは何とかする考えはないでしょうか。こういう問題も出てくるくらいだから、簡単な一つの事件、二つの事件くらいとは違うのです。ですから、そういう点も明確にしないと利用する公社は得するし、利用しない公社は得しない。国ばかりがえらい負担になるというようなことになると思うのです。職員の方は、いままでの職員でやるのですからかなわぬのです。とても私は労働過重になると思うのです。こういう点から、その点を何か改める考えはないものかどうかお聞きしたいと思います。
  32. 青木義人

    青木政府委員 まことにごもっともなお話でございまして、従来でもその点につきまして、特殊な、非常に手数がかかる集団的な訴訟は出た場合もありますけれども、一応私どもの既定の予算でまかないまして、最後に件数の面からいって不足いたしますと大蔵省のほうで見てくれておるわけであります。  いまお話しのように、公法人と国との関係においては、経理面においてひとつの問題があることは御指摘のとおりであります。また国の中でも、一般会計と特別会計との間にやはり同じような問題があるわけであります。これが私どもの予算関係で個々的に全部で数千件もあります訴訟一件一件について、旅費が幾らかかった、用紙が幾らかかったという計算は事実上不可能なのであります。現在までといたしまして、一本で私のほうの経理に入って処理いたしておりますが、ただ、先ほど申し上げましたように、特別な経費がかかるとか、担保を生むとか、こういうような場合には、これはそれぞれの公法人のほうで御負担願って処理いたしておるわけであります。本件の場合には、若干の旅費と、庁費が若干かかっておるわけでございますが、特別な配慮なしに私どものほうで処理できる問題でありますから、特別なことは考えておりません。
  33. 畑和

    ○畑委員 電電公社のほうへ聞きたいのですが、ほかの一般事件のうちで、電電公社だけでやっている場合、あるいは弁護士を立てる場合、それからこういうふうにして法務省の応援を願う事件、この問題を別として、その三つの割合はどんな傾向になっておりますか。正確な数字はないだろうけれども、概略でけっこうですから、この事件を除いて、一般のいままでの事件の中で、おたくのほうがみずから指定代理人でやったものと、それから弁護士に頼むもの、それから法務省のほうに訴訟を当たってもらうもの、これはどういうふうになっておりますか。それをちょっと聞きたい。
  34. 遠藤正介

    遠藤説明員 実は、電電公社訴訟関係は、こういう労働関係のほかに、一般民事と申しますか、土地の関係でございますとか、料金の関係でございますとか、いろいろたくさんございます。それで、非常に恐縮でございますが、私はそのほうを担当いたしておりませんので、一度調べまして、必要ならば御返答さしていただきたいと思います。
  35. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、この訴訟遂行の面においても、法務省はやはり国民のための法務省でありますし、訟務局であろうと思います。それを一方的に公社側だけに味方して、その公社が正しいとして、その訴訟の一方の代理をしてやるというのは、これは間違いじゃないかと思う。俗なことばで言うと、片一方にえこひいきをして、片一方はやはり国民でありながらほったらかして、ほっぽらかすだけでなくて、訴訟に負けさして、公社側を勝たして、正しい国民たる職員にはそうでないといって国家の力で押しつける。民事裁判というのはやはり証拠による裁判だ。それに公社側のほうでは非常にエキスパートを置き、その上になお法務省のエキスパートが加わってやるということについては、この電電公社一万六千名の職員の方方に対して非常な片手落ちじゃなかろうかと思う。だからその点で、畑委員が言うように、もっと考慮するところがあるのじゃないか。ただ公社から要求されたからよろしゅうございます、国が予算を出しておりますからようございますということでなく、普通の民間から公社側——公社側の工事については、土地の問題とか、いろいろな問題があるでしょう。そういうものに、直ちに公社側の味方をして、個人の利益があるかないかわからない裁判について、押えつけるような一方的な訴訟行為をやるというのは、これは法務省としては間違いじゃなかろうかと思う。非常な片手落ちじゃないかと思う。これがこれから先お伺いしようという裁判官訴訟行為について、非常にえこひいきになっているわけですが、その点について、政務次官おいでですから、これはやはりもっと検討して、ことに定期昇給をしたかしないかの争いですから、公社の内部の問題ですから、これを一方にばかり味方して訴訟をやるというのは間違いだ。両方とも援助してやって、そうして裁判所の司法権に基づく判断を仰ぐ、こういうふうに私はしなければならぬと思う。  そこで、これに関連しまして職員局長にお伺いしたいのですが、こういうような訴訟ですから、この原告の一万六千名という方々はやはり口頭弁論に出ていかなければならない、出頭してやらなければならぬでしょう。私は、こういうふうな場合は休暇を与え、その休暇もこれは年次休暇にすべきじゃないか、こういうふうに思うのです。しかし聞くところによると、公社は、原告が出頭するにあたって、いろいろのことをいっておる。これは横山委員の前回の質問に対して、法務大臣から、検討する、研究するという御答弁をいただいておるわけですが、公社においては、原告である職員が出頭するにあたっては、これはやはり裁判を受ける権利もあるわけですから平等に取り扱う、したがって、これは年次休暇を与えて、やはり完全な訴訟行為遂行できるようにしなければならぬ、こういうふうに考えまするが、その点はいかがでございますか。
  36. 遠藤正介

    遠藤説明員 現在一万六千名ばかりの者が訴訟提起いたしておりますが、先ほどお話がありましたように、電話局の一局で申しますと、それが非常にかたまっておるわけでございます。全国的にばらばらではなくて、ある電話局に非常に片寄っておるわけであります。したがいまして、いま先生の御指摘のように、当然国民として裁判を受けられることももちろん大事なことでございますが、同時に私どもといたしましては、電話局の日常の仕事に支障があってはこれまた国民の皆さまに申しわけないところでございます。したがいまして、この両方を両立させるという意味で、裁判所のほうにお願いをいたしまして、一人ずつ分離して審理していただくとか、審理方法についていろいろお願いをいたしております。現在までのところはそういう形で、いま先生のおっしゃった年休というものも、できるだけ業務に差しつかえない範囲で出しておりますし、仕事の面でも、また裁判を受けられるという面からも、支障なくいっておると私どもは思っております。
  37. 坂本泰良

    坂本委員 どうも意外なことをお聞きするわけですが、裁判所に願って云々する。あなたたちは、権力をもって国民裁判を受ける権利を、消極的ではあるけれども押えることになるのじゃないですか。  そこで、職員局長のいまのような答弁を聞くなら、なぜこういう訴訟が起きないように組合と団体交渉なりその他について話し合いをするか、また裁判においては双方の言い分を聞いて、そうしてその中をとって和解という方法もある、そういうふうなことは考慮しないのですかどうですか。公社側のほうは法務局を使う、その職員を使って訴訟をやるでしょう。しかしながら、原告そのものは個人で行かなければならない。弁護士を頼めば訴訟費用が要るでしょう。それを休暇をやらないという方法は私はないと思うから、この訴訟については、もちろんこれは裁判所のあれで、訴訟指揮によってのあれがあるけれども、その訴訟指揮も、裁判所が一方的の訴訟指揮をやるべきでない。したがってその前提としては、本件訴訟行為については、その原告に対しては、裁判所から口頭弁論期日の通知がありましたならば、また私は準備というのはする必要がないと思いますが、準備手続の期日の指定がありましたならば、そのときは休暇を与えて権利を主張するということにしなければ、公社側はかりに不法であっても、その訴訟遂行によっては、職員はこれは一人の小さい力だから、大きなあなた方の権力に対しては海岸の砂よりももっと小さいでしょう、とうてい証拠の提出その他弁論等も十分にできないから、まずその第一として休暇を与えて、その攻撃防御の方法をやらせるという方法を講じなければならぬと思うのですが、職員局長いかがです。
  38. 遠藤正介

    遠藤説明員 私ども法律にきめられた手続によって裁判所にお願いいたしたわけでございます。  なお、いまの休暇の問題でございますが、年次休暇と申しますのは、私ども規定がございまして、もちろん、業務の繁閑を見まして、私ども年次休暇を出すようになっております。先ほど申し上げましたように、私どもとしましては、片一方で電話局なら電話局の業務を支障なく遂行する、こういう義務を負っておるわけであります。したがいまして、その範山内で私どもは年次休暇を付与いたしております。
  39. 坂本泰良

    坂本委員 どうもこれは総裁にも聞かなければならぬと思うのですが、これは重大な問題と思うのです。裁判がここに問題になった以上は、原告被告平等の立場に立って、平等の権利、法の上において裁判所判断を仰ぐのが私は日本裁判だと思う。その裁判遂行にあたって、事務の都合で休暇をやらないという点は、これは間違っておるのじゃないですか。やらぬでもいいと考えたらいかぬでしょう。やらなければならぬという前提に立ったならば、何か対策をそこに立てなければならぬと思う。法のもとにおいては平等でしょう。あなたたちは、権力者は何でもできる、おまえたちが何か裁判所にいってもたいしたことはできぬから、訴訟は負けだというふうに最初からきめつけて、そうして裁判所にお願いした。そうしてこの原告一般多数の職員の権利の行使を押えてやろうというのが、悪い権力の行使として私はここに出ておるのじゃなかろうかと思う。ですから、この点はぜひ総裁においで願って総裁の所見を承りたいと思う。総裁としても電電公社のみでなく、やはり電電公社総裁である以上は、その職員の権利行使も十分与えてやって、その裁判の判決をお願いするという立場に立たなければならぬと思う。ですから、そういう点については検討を願いたいと思うのですが、いまの方針としては全然休暇はやらないという方針かどうか。その方針ならばそれをさらにこれから検討しよう、こういうような考えがおありかどうか。その点の御所見を承っておきたい。
  40. 遠藤正介

    遠藤説明員 私は年次休暇を全然付与しないと申し上げておるのではございませんので、年次休暇というものは、業務に支障のない限りで各人の請求を待って付与する、こういうぐあいに労働組合との協約もはっきりいたしておるわけでございます。したがいまして、その中で年次休暇を付与してまいるつもりだ、とこう申し上げたわけでございます。
  41. 坂本泰良

    坂本委員 そこで、業務に差しつかえあるという点で、休暇をやらないという点は、これは間違いだと思う。それはやはり休暇をやらなければ、正当な証拠、攻撃防御の方法を尽くして、そうして裁判を受けるということにはならないと思うのです。基本はやはり、業務に差しつかえるとか何とか職員局長おっしゃるけれども、こういうことがないようにもっと組合との話し合い、そういうことをやらなければならぬ。数年前の例を見ますと、この訴状に出ておりますけれども、やはり裁判になったらば、そこで双方が譲歩して和解ができておるわけじゃないですか。今度の本件についてもそういうような気持ちがおありかどうか、この際、承っておきたいと思います。
  42. 遠藤正介

    遠藤説明員 本件の争いになっておりますのは、先ほど来お話のございましたように、定期昇給を延伸をいたした、こういうことが原因でございますが、定期昇給をこういうぐあいに延期をするというようなことは、一応規定といたしましては、労使間で結ばれている協定にきまっておるわけであります。問題は、そういうことになりましたもとの昨年のいわゆる全電通のストライキに参加をしたことが違法行為であって、そのゆえに私どもで処分をしたということ自体がさらにその原因になっております。その点が非常に大きな問題でございまして、これは実際問題として、私どものほうで現在労使間でいろいろ事実上話はしております。話というのは、その問題をめぐって違法行為であるとか、あるいは違法行為でないという立場の相違で議論はいたしております。しかし、根本的にそういう問題が存在をいたしますので、現在の段階では私ども和解をいたします考えはございません。
  43. 坂本泰良

    坂本委員 いまおっしゃったように、ストライキに関連していることであるし、それに公社側のほうはひっかけてそれを拡大して、そうして不法な昇給の延仲をしたというところにこの問題の根幹があると思う。あなたたちは法務省に頼み、権力をもって訴訟で、なに個人がやっても押しつけてやるというのだけれども、それに対しては、原告としては原告としての攻撃、防御の方法がある。ストライキが違法か合法かの問題、さらにまたそれに起因して、定期昇給を延伸する、その当局のやり方自身について、またこの訴訟の内容について、ここで承る考えもないし、必要もない。しかしながら、やはりこの訴訟が起きたのは、係争が起きたのは、何も公社側の言い分や、やり方が正しいならば問題は起きないはずです。職員方々も、自分たちは正しいから、この未払い金は請求さるべきなのが、延伸になったから、その未払い額を払えというのが本件訴訟であるから、これはその理屈はいまの場合においては充分五分である。それでどっちが正しいかという裁判の判決を求めるについては、やはり攻撃、防御は双方平等にやらなければならぬ。それをあなた、休暇をやらないというのは、これこそまず第一に不平等なんです。おまえたち訴訟は起きたけれども公社の都合で休暇をやらないようにするかもわからない。そうして休暇をやらないということになると、これは不公平な裁判がそこに行なわれる、こういうふうになります。この点に、この一万六千名という訴訟を起こした側にも、起こされた側にも、そこに紛争があるわけなんです。したがって、権力を持つ者は、こういうような訴訟を起こされたのは、やはりわれわれの行為自体にも起こさるべき理由があるのじゃないかということを権力者みずからこれを反省されて、そうしてこの訴訟にも当たるべきであると思う。そういう根本に立ちまするときに、先ほど来申し上げますように、法務省も、これは定期昇給延伸の問題だけの訴訟であるから、司法試験に合格して検事の職にある法務省職員の方を一方側にだけ援助するというところは、ちょっとこれは職員の間の問題であるからおかしいじゃないか、疑問である、これは片手落ちじゃないかというのが大きい原因になっておるわけなんです。だから、この点については、まずこの訴訟を運用する前提の問題として解決しておかなければいかぬ。私たちがこの裁判所法改正の問題に際しまして、これはやはり国民のために公平な裁判をやってもらうための法律案改正も出ておるわけでありますから、この電電公社訴訟問題については一番大事な問題じゃないかと思うのです。そういう点にやはり思いをいたして、ひとつ総裁にも進言されて、幹部方々はよほどストライキに対して、ストライキは悪いからこれはこうするのだという考えは捨てて、この紛争の問題については十分な考えを持って対処をしてもらわなければならぬ。特にこの休暇の問題、これは休暇をやらぬなどと言ったらそのことだけで攻撃、防御は不公平になる。それによる裁判は、決して正しい裁判ではない。国民のための裁判ではないと考えますから、ここに問題にしておるわけです。ですから、その点はぜひ総裁にもここに出てもらって、その所見も承りたい、そう思っております。  それから法務省の方も、その裁判口頭弁論を云々する前に、この訴訟援助の問題について、これはよほど考えてもらって、どうしてもいかなかったら、法務省のほうは、これは希望があるときは全部そうしろというような問題じゃないから、その点についても考慮すべきじゃなかろうか、こういうふうにも考えますから、その点についてひとつ、結論はきょうはあれですが、政務次官の御所見を承っておきたいと思います。
  44. 山本利壽

    山本(利)政府委員 先ほど来承っておりますが、私は、坂本委員職員側の立場に立って、これが弱いものであるから、ほんとうに法に定めるところの利益を侵害されないようにしてやりたいというお気持ちはよくわかるわけです。ところが一方公社のほうとしては、この業務というものが非常に大切であるから、一般国民に非常な迷惑をかける問題であるから、それの阻害されない範囲においてできるだけ考えていきたい。  それから先ほど、私の聞き違えであったかもしれませんけれども裁判所にお願いして、とこう言ったことについて坂本委員が、権力にたよってというふうにおとりになりましたが、私がとったのは、やはり出頭する場合、あれこれ休暇をとる場合、そういうときにちょうど合わせて便宜を与えられるように——できるだけ片方は出てこさせないようにあるいは利益を主張させないように裁判所にお願いして、とこういう意味ではなかったように私は聞いたわけでございます。それで私は、これは双方がよく考えなければならぬ問題だと思うのです。第一、同じ種類の問題について一万六千名からの訴訟があるということを、前もって予定していろいろ政令とか法律とかいうものがつくられたわけでもないんじゃないかと私は思うのです。でありますから、世の中の進展につれて事情がいろいろ変わってまいりますから、その点はお説のようにいろいろ考えていかなければならぬ、そうして改めていかなければならぬと思うのです。今回の訴訟事件というものは、私は将来にわたって非常に参考になる事柄だと思います。  もう一つ、私は聞いておって考えたことは、坂本委員職員側の利益を何とか阻害しない、守ってやろうという御親切からでございますけれども、検察側の者が公社側に加わってやることは、いまの労使関係の使用人側のほうへ加担して、片方を圧迫するようにひとえに努力するものというふうなお考えか、そうなってはいけないからという配慮からだと思いますけれども、やはりこの相当専門的な知識を持ち、そして資格を取った人たちでございますから、公社としても、裁判所に訴えたからには、自分のほうにもし非がある場合には、これは当然改めるべきでございますし、また職員の側におきましても、単にこの俸給の問題だけではなしに、やはりそれぞれの国民は、自分の持つ立場においてその職務というものに誇りを持って、公のために尽くすべきだと私は考えるわけであります。でありますから、今回のこの事件を、十分さらによい法律を立てるための資料になるように、公平に正しく、しかもどちらもが譲り合って、裁判所においては国民全部が納得するような判定が下されるように念願をいたします。しかし坂本委員の御質問のお気持ちと御趣旨はよく了解をいたしましたから、今後研究する場合におきまして勘案していきたい、かように考えます。
  45. 坂本泰良

    坂本委員 ぜひひとつそういうふうに、実際上の面に問題が出たら打開するような方法をとってもらいたい。もしそれが打開できなかったら、これは法改正の問題に入るわけですが、しかし事実は一万六千名の方々訴訟提起されておる現実でございますから、これもひとつ、いわゆることばは語弊があるかもわかりませんが、権力者側の見方だけでなくて、やはり公社職員の昇給の問題は、物価高の今日これは重大なる問題でありまして、職員だけでなくて、その裏には家族もおる問題ですから、ひとつその点も考えて善処をしていただきたい、こう思うわけなんです。
  46. 畑和

    ○畑委員 関連して。いまの年次休暇の問題です。こういう裁判に出廷するからといって年次休暇をまとめてとられると業務に差しつかえがある、こういう場合も確かにあると思います。あると思いますけれども裁判を受ける権利というのは御承知のように憲法三十二条によって保障されておる。これは憲法ですから国の基本方針なんです。そして、だれしも迅速な正しい裁判を受ける権利を持っておる。これは貧乏人であろうと富んでおる人であろうと同じです、法のもとにおいて平等です。したがって、この職員たちが自分たちの給料の昇給の延伸をされたということは不当である、公社が間違っておるというようなことで、未払い賃金の請求訴訟をまとまって何人かで起こしておる。一人じゃなおたいへんだろうからある程度まとめて、百人くらいとかまとめて訴訟提起いたしておる、共同原告になっておる。それだけでも一人一人で出すよりもそういう点ではいいわけなんです。ところが、まとまって休暇をとられるとちょっと仕事に困るという点もわからないわけではない。ところが憲法三十二条というのは基本法だから、これはやはり何としても侵害することはできないと私は思う。ところで、一方そういった年次休暇を制限するということになると、権利の侵害になると思う。でありますから、裁判所のほうから何月何日と期日指定がきますれば、やはり万難を排して公社当局は年次休暇を与えなければならぬと思うのです。年次休暇にも理由がいろいろあります。たとえば親戚とどこかへ行くとか、夫婦でどこかへ行くというようなこと、あるいは親戚の法事へ出席するとか、結婚式に出席するとか、そういう正当な理由がやはりあるわけです。あくまでも、その中にもおのずから軽重の差がある。この憲法に保障された裁判を受ける権利というものは、そのうちで最も私は優先すべきものだと思うのです。その最も優先すべきものに対して、いまの公社の御都合というものはどの程度それを制限していいものか、本来は制限すべきものじゃないと思うのです。やはり出廷の期日がきまって呼び出しがくれば、これはもう何をおいても公社のほうはその期日には年次休暇を与えないということはどうしても私は納得できない。裁判所のほうで、こういうときにはこういうことですからといって、あらかじめ言っておくと、それによって期日がきまるというなら別ですけれども、一たん期日がきまったのに、それに対して公社のほうで差しつかえがあるからというので年次休暇を与えないということは、私は何としても越権ではなかろうか、憲法三十二条の権利を侵害するものではなかろうか、かように思うのです。この点は法務省はどのようにお考えになるか、また公社のほうはどのようにお考えになるか、それを承りたい。
  47. 山本利壽

    山本(利)政府委員 憲法には、それぞれの権利義務に関することが書いてありますけれども、それはあくまで国民の公の福祉を害しないという立場に立たなければならぬと私は思います。  そこで、いまの憲法の問題でも、先ほど申されましたけれども裁判を受けさせないというのではない、裁判には、もちろん訴訟が起きておる限りにおいては、裁判をしなければならぬわけでございまして、しかしその場合におきましても、公社のような場合には、特に公の福祉を阻害しないということも考えながら裁判をし、裁判を受けるという態度でなければ、非常にたくさんの人が迷惑をすると思うわけでございます。そして先ほど来繰り返されましたけれども、これは定時昇給による昇給を認めるかどうか、その差額を支払えという点が訴訟では問題でございますけれども、定時昇給がストップされたということについてのその原因は、ストに関する問題だと思うのです。それが正しかったか正しくないかという判定が裁判で下されて、もし正しいということになれば、定時昇給というようなことは、これはもちろん当然なことでございますから、問題には私はならぬように思うのでございます。先ほど来坂本委員より申されました質問の御趣旨はよくわかりますけれども法務省側といたしましてはあくまで公の秩序が阻害されないということも考慮し、そしてそれぞれの権利義務が正しく行なわれるようにということを念願しつつ、それぞれの関係機関に向かって協力を求めるべきだと考えます。
  48. 畑和

    ○畑委員 いまの次官の答弁は、ちょっと少し言い過ぎじゃなかったかと思うのです。これは法務省の立場として、そういうことは言えないはずだと思うのです、その点は。しかもそれは電電公社の都合からいえば言えるかもしれないけれども法務省の立場からは言えない、裁判所の立場からも言えない。憲法三十二条というものは、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」そして、公共の福祉ということはそこにはないのです。ところが二十二条のほうは「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」こうある。これはやはり「公共の福祉に反しない限り」ということで、書いてあるのとないのとは違う。三十二条は少しも制限がない、そういう点で裁判を受ける権利は、何としても保障されている、絶対的なものだ、こういうふうにわれわれは考える。ところが、いま一度に裁判所に行くと業務に支障がある、こういうことでこれが公共の福祉だ、こうおっしゃることだろうと思うのですけれども、しかし、公共の福祉ということは、これは条件が加わっていないのです、この場合。法務省の立場としては、私はそういう裁判の出廷の場合には、言えないと思う。電電公社の場合にはそれは困るから何とかしてくれというのは自然でしょうが、それは裁判所がきかなければだめだ。裁判所のほうからしかし積極的にそういうことを言うことは、私は妥当ではないと思う。ですから、その点はあくまでも、裁判所の呼び出しが来た以上は、それで本人が行くといって年次休暇をとるならば、どうしてもこの憲法の趣旨からいって、電電公社のほうでは何とかやりくりをして出さなくちゃならない憲法上の義務があると私は思う。それを侵すというのは憲法違反である、かように思うのですが、どうでしょうか、電電公社の方。
  49. 遠藤正介

    遠藤説明員 ただいま先生からお話しのございましたように、この問題につきましては、私どものほうでできるだけ裁判所に上申をいたしまして、裁判を受けられる立場と私どもの業務を維持する立場と調和のできますように、たとえば分離集団の御審理をお願いするとか上申をいたしております。そういう問題もございますし、またそれによって裁判所の期日指定の問題もございます。したがいまして、現在までの段階におきましては、先生の御心配のようなことは実際問題としてないわけでありますが、仮定の問題としていまのようなお話がございますと、私どもといたしましては、年次有給休暇というものを承認をいたしますのは、あくまでも業務の正常な運営を阻害しない範囲で承認をする、こういうことになっておりまして、この点は協約面でも明らかなんでございます。したがいまして、そういう点で私どもは年次有給休暇の承認をいたしておりますし、そのことが本件にからんで憲法違反であるとは考えておりません。
  50. 畑和

    ○畑委員 それで聞きますが、そういう場合に裁判所に上申するというあなたの公社のほうの立場は当事者としての被告としての立場なのか、あるいはまたそういうことは全然離れて、電話局の運営というような点からやられておるのか、どっちなんですか。二色立場がありますね。
  51. 遠藤正介

    遠藤説明員 あまり法律上の詳しいことはわかりませんが、被告の立場でやっておることは事実であると思います。
  52. 畑和

    ○畑委員 被告の立場とするとおかしいんだな。裁判所はそれをどういう立場で受けるか、裁判官がここにいないのでわからぬけれども被告の立場でやるとしても、そういう立場で裁判所のほうは見ない。見たら私はやはりいかぬと思いますね。原告が出るというのに、被告裁判所に圧力を加えるとか陳情するとか——圧力と言ったらどうかしらぬが、まあ圧力である。期日が来ればその日は都合が悪い、そのときには実は公共の機関をあずかっておる電電公社で、一度にみんなに年次休暇をとられちゃ困るから分けてくれとか、その日じゃぐあいが悪いというようなことは、裁判所のほうの立場からすれば、とるほうは、やはり公共の仕事をしているのだから、そういう電電公社のほうからの願いはまあ無理ないところであろう、こういうようなところであるいはそういった便宜の処置を与えてくれるかもしれぬ。与えてくれるかもしれぬけれども、しかしそのときには裁判所も確かにそういう立場で了解してくれると思うのです。そういうところを適当のときには被告の立場として、適当のときにはそうでないようなかっこうで裁判所に上申するということは、私は大体おかしいと思う。被告の立場といまおっしゃいましたけれども、どうも被告の立場であると同時に、そうじゃなくて公共の仕事というような点で、それを離れてのことだというふうに裁判所は受け取るだろうと思うのです。それでいて被告の立場を利用するというのは、ちょっとおかしいと私は思うのです。その点はどうでしょうか。
  53. 青木義人

    青木政府委員 私からかわって申し上げます。  この訴訟が起こりまして、私ども代理人といたしまして裁判所に対して——裁判所のほうもまた審理の円滑を期する必要もありますし、また先ほど来問題になっておりますように、公社のほうの業務が混乱におちいらないように配慮いたさなければなりません。また他方、事件は全く同じ内容の事件でございます。裁判所のほうは分離、併合あるいは期日指定といった訴訟指揮権をお持ちでありますから、被告としてさような見地からの上申を従来いたしたわけでございます。裁判所といたしましても、従来大体被告側のほうのそういう上申と、また原告側のほうのいろいろな見解をお聞きになって御処理になっていると思うわけであります。  それから先ほど来仰せのように、被告としての公社は、やはり公共の面とからませて、そういう公益面をになった形での公社であります。その立場において、被告になっておるわけでありますから、被告として、さような面に支障があるという趣旨の上申はいたしても不適当ということではないんではないか、こう思っております。
  54. 坂本泰良

    坂本委員 そこで職員局長にもう一つ承っておきたいのは、もちろん期日の指定にあたっては——それは弁護人がおる場合なんか、当事者双方裁判所によって期日がきまるわけなんです。上申もされるし、原告としてもやはり原告としての立場があるし、いろいろな都合もあるから、やはりなるだけそういうふうに期日が円滑にきまることを期待するわけです。しかしながら、先ほど来の職員局長お話を聞くと、これは争議に関することだから、この裁判についての職員裁判所への出頭に対する有給休暇は一切やりません、これは私は間違いではないかと思うのです。やはりその業務の阻害をしないような方法で——それは裁判はあるいは十回も十五回もあるでしょう。しかしながら、そういう双方を勘案して裁判所が期日をきめた以上は、その期日には業務に差しつかえないように、これは他の者をかえてもできるわけですから、その期日が一たんきまった以上は、その期日に出頭する際には有給休暇を出すべきがしかるべきではないか、こういうふうに思うのですが、そこまでいっても、この事件について裁判所へ出るのについての有給休暇はやらない、これまで言い切りますか。その点はいかがですか。
  55. 遠藤正介

    遠藤説明員 私は最初から有給休暇は一切やらないというようなことは申しておりません。いまお話しのようなことで期日がきまりました場合に、有給休暇をできるだけ業務に支障のない限りで出すことは当然だろうと思います。
  56. 坂本泰良

    坂本委員 私は、憲法三十二条からして国民裁判を受ける権利を持っているんだから、これは業務の関係で制限すべきではないが、しかし業務に関係ないように事実上の配慮をして、そうしてその期日がきまったならば、そのときは有給休暇を出して裁判に参加させて、原告原告としての攻撃、防御の方法を完遂させる。私はこういうふうに配慮すべきが相当であり、そういうところまでも法務省がこの七条による公社代理人だからあれするんだというようなことであってはならないと私は思うわけです。この点についてはさらにまた次回あるいはその次にひとつ所見を承りたいと思いますから、ぜひ法務省のほうも公社のほうもひとつ配慮して、もっと国民のために——国民のための電話だから、その事業に差しつかえるから休暇は一切出さないのだ、あなたのいまの答弁を聞きますと、結論はそうなりますね。だから、そういうことがないように、もう少し配慮して考えてもらいたいと思います。  この問題だけやっておりますと、あとあれですから、次は裁判所のほうの所見をお伺いしたい。この事件については、その原因は、先ほど職員局長から答弁がありましたように、おととしですかのストに端を発しての定時昇給の延伸、そのことだけの問題のようですから、この問題については、職員についてはやはり弁護人を頼めばいいですけれども、頼む力もない人が大多数ですから、この場合そういう内容についてわかる者を、たとえば組合の分会長とかそういうような人を輔佐人に申請した場合は、これはぜひひとつ裁判所は輔佐人は許すべきである。いままで一つか二つの例を見ますと、輔佐人を許しておるという点はありますけれども、その許す者について、輔佐人となるべき人と原告と一緒に参りますと、おまえは何だ、そこに腰かける権利はないじゃないか、ほかに行っておれというような裁判官との間にいろんな問答が取りかわされて、それも普通人に対しては威嚇的なことばもあるようです。私は実際に行っておりませんけれども、そのときの速記録、あるいはテープレコーダー等を聞きますと、そういうような点もあるわけですが、これはやはり訴訟の円滑を期するためと、原告としての攻撃、防御を完全にするためには、弁護士を頼まなかったならば、輔佐人の申請があったら許すべきである、こういうふうに考えますが、裁判所側の御所見はいかがですか。
  57. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 先ほど来坂本委員なり畑委員からいろいろお話がございまして、私どももその質問、お答えを伺っておりまして、裁判所といたしましても、この事件はある意味においてはたくさんの事件の中のたった一つの事件にすぎないということでございますが、また同時に訴え提起のしかたその他において、非常に特殊性を持った事件でもございまして、各裁判官はそれぞれの立場で非常に苦心をして、いかにすれば、先ほど来坂本委員お話しになっております憲法上の裁判を受ける権利をそこなわないように最終の判断を下せるか、どういうふうに訴訟進行していけばいいか、その点で、たとえば人事の問題もありましょうし、あるいは期日指定の問題もありましょう、そういういろいろな訴訟指揮上の権限を、どういうふうに行使して審議を進めていけば、最終的にこの一万数千名の方々の御満足を得、また公社側の御満足を得る適正な裁判ができるかということで、いわば苦心をしながら訴訟進行をはかっておると確信しておるわけでございます。  そこで、たしか昨年でございましたか、この法務委員会でも坂本委員からお話がございまして、私自身も若干民事訴訟裁判官をやった経験がございますが、一番苦労いたしますのが、一方は当事者本人であり、他方は弁護士さんの事件でございます。裁判というものは、先般神近委員お話のときにも申し上げましたとおり、単に公正であるだけでは足りないので、公正であると同時に信頼を受けなければならない。そういたしますと、一方と一方とが必ずしも法律的知識その他で同じでない場合に、どういうふうに訴訟を進めていったら双方に公正という点についての信頼を失わずして適正な結果に到達することができるかということを、非常に苦心をするわけでございますが、そういう点では、実は先般の御質問の際にも申しましたとおり、たとえば法律扶助協会というようなものを御利用いただいて弁護人をおつけいただくことができれば、その点は非常にスムーズにいくことになるわけであります。しかし、現行法では弁護人強制主義をとっておりませんので、ぜひ弁護人をつけてくれということをこちらから申し上げるわけにもいかないわけであります。  そこで、先ほど坂本委員から輔佐人はどうかというお話がございました。輔佐人というのは、民事訴訟法の八十八条の規定によるものであると伺ったわけでございますが、この規定によりますと、「当事者又ハ訴訟代理人裁判所ノ許可ヲ得テ輔佐人ト共二出頭スルコトヲ得」、こういう規定になっておりまして、現在の通説からまいりますと、この裁判所の許可というのは、裁判所の裁量行為であるということになっておるのでございます。したがいまして、最終的には具体的事件の当該担当裁判官判断におまかせするほかないことでございまして、私どもが、いわば最高裁の事務総局の立場で輔佐人をつけることが相当である、あるいはつけさせないほうがいいということを申し上げますことは、またある意味においてかえって権力をもって当該裁判官判断を押しつけることになるわけでございますので、その点は遠慮いたしたいと思うわけでございます。要するにこの規定によりまして、相当の理由がありますときは、裁判官においてこれを許可するであろう、かように考えておるわけでございます。
  58. 坂本泰良

    坂本委員 どうも遠慮した答弁ですが、私が申し上げますのは、一万六千名という原告は、一人一人は、やはり公社側においてはまことにまじめにその業務の遂行のために働いておる人だけれども、未払い金請求という訴訟遂行する上においては、やはりある程度の法律知識も必要だし、特に本件は、私は想像していませんでしたが、職員局長の答弁によると、やはりストライキ禁止をしたのが問題だ、ストライキに関連するから絶対にいかぬ、組合側の言い分なんかは、これは言い過ぎかもわかりませんが、聞く必要はないのだというようなことは、最近の日本裁判制度において、そういうことはいうべきものじゃないし、法務省がいかに公社代理法律に基づいてやられるにしても、それを遂行する以上は公平にやらなければならない。ことに刑事事件と違いまして、民事事件原告被告の争点がありまして、それに対する攻撃、防御が一番重要でありまして、攻撃、防御が足らないときは、本質としては勝訴になる事件でも敗訴になるわけです。そういう点から考えまして、本件マンモス訴訟については、輔佐人の指定についてつべこべいわずに、やはり五人とか十人のグループ、大きなものもあるかもしれませんが、そういう人が——これもほんとうは一人一人出すべきなのを、グループをつくってやっているわけですから、その五人なり十人に対する輔佐人がやはりつくことが訴訟の運営をスムーズにするし、また原告にとってはほんとうに攻撃、防御の唯一のたよりである、こういうふうにも考えられますから、ぜひこの輔佐人の申し出がありましたら、それについて、おまえは分会長だからとか、とやかくいろいろのことをいわずに、やはりこれはつけてやるがしかるべきである。今後の問題として法務省訴訟代理はこれはまた別でしょうが、公社側においては公社側の事務的のエキスパートの職員総裁代理として出るわけですから、それに対抗するのにはやはり輔佐人はあまり遠慮をせずに裁判所がつけるように配慮してやることが、国民のための裁判をやる最も重要なことじゃないだろうか、こう思うわけです。そういう点からいかがですか。裁判所権限だということで、曲がった——裁判官も人間ですから、やはり公社側に味方するし、法務省側がまた検事代理になっておる等、片方は職員だからというところで、私が最初申しましたえこひいきの問題が形式的にそこに出ておるし、実際的に輔佐人もつけさせない。申し出があってもこの輔佐人はだめだ、そういうことになれば実質的にえこひいきになる、こういうふうにも考えられますから、これは司法権の独立とか裁判官の独立とかという問題でなくて、国民のための裁判をスムーズに運行する、平等の立場で、公社であろうが、一人民であろうが、貧乏人であろうが、同じ法のもとに平等であるし、同じく保護をして公平な裁判を受けさせる、そういう点からしまして、ぜひ輔佐人の点なんかは、ほとんど全部許すべきだ、こういうふうに考えますが、どうですか。法だけに拘束される裁判所でなくて、裁判官もやっぱり月給を上げてくれ、退職金はもらいたいということがありますから、そういう点も考えて、ひとつ許すべきである。こういうふうに考えます。あまり政治的な発言は裁判所はできぬと思いますが、その点はいかがでありますか。
  59. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 坂本委員のるるお話しになりますこと、まことにごもっともでございまして、実は私どももそのお話の根本の精神と申しますか、お気持ちといいますか、坂本委員の御趣旨は全く同感でございます。むしろ私ども常々法廷で、何とかして双方当事者が平等な力をもって争っていただけるように、そうかといって弁護士さんをつけていらっしゃいとも言えないので、そこをどういうふうに持っていけば双方が同じくらいの力で争っていただけて、裁判所はただ判断をするということになるか、ただ手を取ったり足を取ったりするということは、本来裁判所はすべきでない、裁判所判断をすればいいのだ、それにはなるべく双方が同じ力を備えてやっていただきたいということは、実はむしろ私どものほうが心から願っておるわけでございます。でございますけれども、そこで私がたとえばこの事件担当いたしておるのでございますれば、法廷で坂本委員が御指摘になりました場合に、これはこういう結論だというふうに明快に申し上げられると思いますし、それからまた、私が先ほど来申し上げておりますことは、決して輔佐人をつけることに消極的な意見を言っておるわけでも毛頭ないのでございます。ただ、事柄がこの程度のことだとおっしゃいましても、やはり結局は、裁判官訴訟指揮の問題でございまして、その点で、私はまた決して法のいわば文理的な、形式的な文字解釈だけで裁判をやるのが正しいとも毛頭考えておりません。やはり諸般の状況を十分考えて、そしてほかの事件では輔佐人が相当でなくても、この事件では輔佐人が相当であるという場合ももとよりあろうと思います。また、これは四百何件、一万何名出しておられましても、すべてについて輔佐人が相当であるとか、あるいはすべてにおいて輔佐人が不相当であるということも一がいには申せないわけで、具体的なそれぞれのケースごとにやはり当該裁判官が、憲法の命ずるところに従って、法律と良心に従って裁判をする。たいへん形式的なことを申すようでございますけれども、私の立場としては、いまその程度より申し上げられないわけで、要は裁判官が各員良識と良心を持って適正な判断をしてもらうことを期待し、またその場合には、当然坂本委員お話になっておりますようなことも十分考慮の域内にあるであろう、かように考えておるわけでございます。
  60. 坂本泰良

    坂本委員 それはやはり裁判所としてはなかなか言えないけれども、その裏には、それは補佐人の申請があったら許してやるべきじゃなかろうかというふうにそんたくするわけなんですが、輔佐人は申請があったら、各裁判所裁判官は、ぜひひとつそれだけは許して、裁判所のためにも、訴訟をスムーズに運行する上においてもいい、また適正な公平な裁判、判決をやるという上においても非常に重要ではなかろうかと思いますから、この点は要望をいたしておくわけであります。  そこで、次に、昨年の十一月に訴えの提起がございましたが、それに対して口頭弁論期日の指定、これは、資料によりますと、特に報告を徴していないからわからない、こういうようなことでございますが、電電公社職員、あるいは組合のほうで調査をしたところによりますと、事件のほんの一部、東京その他若干のところが期日指定になりまして、他はまだ期日指定になっていないわけなんですね。そして、ある一部のものだけ指定して、そうして、法務省代理人公社代理人裁判官と一緒になって、輔佐人も許可しない。おまえは何でそこへ加わってやっておるかというようなことで、ある特定の事件だけを取り上げて、そうしてそれを裁判をする。ほかのは期日指定をせずにおっぽらかす。これは私は非常に法のもとにおける平等を侵すものだと思うのです。それで、法律上の理屈を言うわけじゃありませんが、民事訴訟規則の第十五条には、「訴が提起されたときは、第十七条の規定により直ちに事件準備手続に付する場合を除くほか、裁判長は、すみやかに、口頭弁論の期日を定めなければならない。」「前項の期日は、やむを得ない事由がある場合を除くほか、訴が提起された日から三十日以内でなければならない。」こういうので、われわれも同じ弁護人ですが、裁判所からは大体この規定に基づいて、三十日以内に第一回の口頭弁論期日の指定を受けているわけなんです。それを、十一月から、十二月、一月、二月、もう三月ですが、まだその期日を指定されておらないのがほとんど大部分ですよ。これは計算すればわかることですが、そういう点も、私は最高裁のほうにはおわかりじゃないかと思って資料を求めたわけなんですけれども、わかっていないわけなんですが、実際はそうなんですよ。そうして、裁判官訴訟指揮を乱用する——と言うと語弊があるかわからぬけれども、何でもかんでもそれをその一つだけを、これは私の推測も多少入っておるかわかりませんけれども、判決をして、ほかのは右へならえなんだというようなことで、ほんとうに日本の民主裁判が権力的な裁判の行使によって国民の権利を侵害するというようなことが、これは言い過ぎかもわかりませんけれども、見られるわけなんですね。  それで、どういうわけでこの期日について大部分がまだ指定になっていないのか、その点はどうですかね。裁判所としての見解はいかがですか。もう四カ月になるわけですが、その点を承っておきたい。
  61. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 事柄は、具体的な事件訴訟指揮の問題でございますので、私どもの御報告なり御説明申し上げます事柄にも、おのずから限度があることをお許しいただきたいわけでございますが、先ほど来坂本委員からお話がございましたように、民事訴訟規則の第十五条では御指摘のような規定がございまして、必ずしも三十日以内とも申せないとは思いますが、一般的にはそれに近い期日——正月等が間にはさまりますと、場合によっては二カ月ぐらいのことは間々ございますが、大体において一、二カ月程度で第一回期日が指定されておりますのが通常の例でございます。  それからなお、先ほど来問題になっております電電公社関係事件の中には、数カ月経ましてまだ期日の指定になっておりませんもののございますことも、事実のようでございます。そこで、その点はどういうわけかという点でございますが、これは私どもも正確に報告を求め、あるいは資料を徴しておるわけではございませんし、繰り返し申し上げますように、それぞれの裁判官訴訟指揮上の御判断のことでございますので、これを憶測する以外に方法がないわけでございますから、あるいは正確でない面もあるのではないかと思いますが、その中にもいろいろな内容と申しますか、やり方のものがあるように聞いておるわけでございます。  で、これは一般事件と違います点は、先ほど来問題になっておりますように、一件が五十人程度のものがかなりあるわけでございます。そうして、五十人の事件というものは別に一般的に珍しくはございませんが、その五十人が全部本人訴訟でおいでになっておるというケースは、比較的珍しいわけでございます。そういたしますと、すでにその法廷の収容の面から申しましても、五十人全部同時に当事者としてお入りいただいてやるという施設が、必ずしも従来十分でない。そういう点で、たとえば分離を必然的にせざるを得ないかどうかというような面もあるようでございます。  その分離をします際に、どういうふうに分離をするか。これは公社側のおっしゃることもありましょうけれども、またそれによりますれば、ある意味では非常に不公正の誤解を受けるわけでございますから、裁判所としては、公社の言い分もあるとはいいましても、またそれと別個の公正な見地から分離をするというようなことで、分離のしかた一つにしても、普通の事件でございますれば、分離併合というようなことは、すぐに当事者は御了解いただけるわけでございますが、こういう事件になりますれば、分離併合の問題でも、なかなかむずかしい問題であるわけでございます。  それからまた、これは具体的な事件のことでございますから、あまり内容に立ち至って申し上げることはいかがかと思いますし、私自身、正確な知識を持っておるわけではございませんけれども、たとえば、単に過去の賃金の昇給だけではなくて、将来の昇給、しかも、たとえば昇給した場合の補償金とか、いろいろその給与というようなことになりますれば、内容的にもなかなかむずかしい。ここで一々どういう点かということは差し控えさせていただきますけれども、いろいろむずかしい問題を包蔵しておるわけで、それをどの程度まで釈明するなり、明らかにした上で、期日をきめて開くかというような点は、これまた裁判官の一つの裁量行為であるわけでございます。  そのほかにも、想像できますことは多々ございますが、あくまで想像でございますので、裁判官が、はたしてどういう判断で期日を指定しないのかどうかということを具体的に確認はいたせないわけでございますが、いろいろそういう点を総合的に判断し、そしてある程度当事者とも接触しておることでございましょうし、ある程度書面審理的な、準備的な手続もやっておることであろうと思うわけでございますが、そういういろいろな手続を準備しながら、期日の指定を用意しておるということではないかと考えるわけでございます。そうしていつまでも期日を指定しないということではないように私としては理解しておるわけでございます。その辺のところは、ひとつ坂本委員も法曹でいられますし、私どもの苦衷の存するところも十分御理解いただきたいわけでございます。  要は、決して特定の事件のみを処理し、ほかのものはほっぽり出すとかいうようなことは毛頭ございません。最終的にはすべての事件について適時適切な判断をしたいということで、そこへ持っていくまでに、どういうふうに分離するなり、また期日をどういうふうに開廷するなりしていけばいいか、すべての関係について、同じ日に同じように訴えたのだから、同じ日に弁論期日を開かなければ、法のもとの平等に反するとまで申しかねると思いますので、その辺のところは、ある程度裁判官訴訟指揮を御了解いただきたい、かように考えます。
  62. 坂本泰良

    坂本委員 裁判官を信頼できない点があるものだから、お聞きしておるわけなんです。というのは、法務省公社側が行って、そうしてこれは私の推測だけれども、私の質問の最初に、職員局長裁判所にお願いしたと言うので、ぴんときましたのは、一般の人が想像していることを私が集約したことにぴんと合うものだから、裁判所にお願いしておる、こう言ったわけです。というのは、これは少し行き過ぎか、事実に多少反することがありましても、やはり裁判官も人間だし、権力者です。それと、法務省代理人公社側代理人が行って、これは準備手続にする必要はない、口頭弁論でいいけれども口頭弁論じゃ公開をしなければならない。公開は傍聴人がおる。それをやらぬためにわざわざ準備手続にして、そうして非公開にして、おまえたち何人来てもだめだ、表へ出ろ、原告は一人でいい、判事室でやる。そうして被告のほうは、公社側法務省代理人が来て——代理人検事ですよ。検事といいますと、一般の人はおそれておりますからね。それが来て、こうでもない、ああでもないというふうに、裁判官に輪をかけたようなことをやるものだから、これではとても公平な裁判はできないというのが一万六千名の訴えを出した人の気持ちなのです。そういう推測をしているような事実をやっておるじゃないかと思って、私は非常に憤りを感ずるし、憤慨にたえないわけです。  そこで、私は本日ここに出る前に、訴状——これは大体全国同じだそうですが、訴状公社側の答弁書——これはよくできておりますよ。私も弁護士だけれども、弁護士だってできないような、公社側のためには非常に有利な、裁判官を納得させるような答弁書ができております。しかし、私は、これを見てみますと、訴状に書いてあるものは、ずっと認めておるわけです。認めているというのは、当事者の間には争いがないということなんです。争いがあるのは、大きくいえば、ただ一点だけなんです。そうしてここに非常に巧妙に公社側の答弁書ができておりますけれども、争いは、結局、定時昇給を延伸したのは正しいんだというのが主張なんです。そうして訴状を見ますと、訴状は、この定時昇給の延伸は正しくないという具体的のことをここにあげておるわけです。争点はそこだけなんです。だから、そこだけになりますと、私なんかは三十年も弁護士でめしを食っておりますが、これは準備手続で傍聴人が希望するのを排除せずに、やはり口頭弁論を開いて、双方の争点を裁判官が明らかにして、その争点に対して行なう。これが一番重要でしょう。攻撃、防御の立証方法等がありましょう、それをやってしかるべきだと、これは私の見解も十分入っておりますが、そう思われるのです。それを裁判官準備手続にして、裁判官の部屋に原告を一人だけ呼んで、被告のほうは、何べんも申しますけれども、不都合だから言うわけですが、法務省代理人公社側代理人が入って、そうして何だかんだと言われる。だから、裁判所ってこんなもんですか、訴訟を起こして、裁判をお願いしているのに、えらいけんまくでおこられに行っているようなものだ、おこられるだけならいいけれども、自分たちの主張を、まるで悪人のようなことを言われると言う。これはしろうとの言うことだからというので、その準備手続をやるところに、非常に権力の行使で、公平な裁判ができないじゃないかという疑義があるわけです。  そうしてさらに、形式上争われている点は、口頭弁論期日を、十一月の中ごろですか、十二日ですか、以来二ヵ月以上も指定しない。これはあなたのいろいろな推測のあれだろうけれども、いろいろ事情がある、分離だとかなんとか言うけれども、分離なんかしなくてできるように、これは職員のほうでも、専門の人に聞いていろいろ訴状をつくっておりますから、その人が代理人裁判所に行けば、裁判所はそんな横着なことはしないと思うのです。また法務省代理人公社側代理人も、そんな横着なことはしないと思う。そこで一人一人呼び込んで、ああでもない、こうでもないということをやる。そうして裁判の運用において不公平があるから、公平な、国民の納得するような裁判ができないということを危惧するわけです。  本日の審議は、裁判所の問題に関して、税法とか工業所有権についての専門知識の者がいなければできないからという改正の問題であるけれども、そうでなくして、この一般民衆の叫びと申しますか、要望している点について、納得するような裁判をしてもらいたい、それが基本にあるわけです。私は訴状と答弁書と、いささか専門的に見ておりますが、争点は一つなんです。それを公社側は正しいんだ、こっちは正しくないという。そういう権利を侵害して、月給を上げない、昇給を延伸してもらってはかないませんから、とりあえずこの不払いの点を払ってくださいというのがこの訴状の要点じゃないかと思うのです。そういうことだから、いろいろいま申されたことは、これは実際お知りにならぬでおっしゃったけれども、どうも期日を二カ月以上も指定しないのは、根底はそこにあるのではないか。いわゆる一般の何も知らない庶民に対するところの裁判は、おまえたちはそんなにうんと裁判を起こしてもだめだということを、権力で一つやって、ほかも右へならえをする。そこに公社側のこのストライキに対する弾圧が、裁判の行使という形式であらわれているんじゃないか。そこに法務省ともあろうものが、代理人にしていくところに、私は、非常に言い過ぎがあるかもしれませんけれども、訴えを出した方々に対して、並びにやはり一万六千名は家族、親戚その他を入れれば十万人にも何万人にもなりますから、それがここに出ておるから、この前も法務行政の点で横山氏も、私も若干質問しましたけれども、今度は裁判所の法の改正について、あるいは最高裁判所裁判官の退職金を高額に改正する、その問題等もありますから、やはり裁判所というものは、何と申しましても、そういうこともやらなけばならぬとわれわれは思っております。しかしながら、ほんとうに国民の納得するような公平な裁判をしてもらいたい、こういうことで本日は質問もいたしておるわけでありまして、第一が、口頭弁論期日はほとんど二カ月以上も指定しないという点と、準備手続に回ってそこでそういうような裁判をすることはぜひやってもらいたくない。これは裁判の独立ということに関係ないことですし、裁判の独立をやらせるという裁判の運用のことだから、これはやはり最高裁判所のほうでやっても差しつかえないと思うのです。  この資料によりますと、各高等裁判所管内では裁判官の会同を開催して、最高裁判所としては裁判官の会同を開催していないけれども昭和四十年度会同開催計画に基づいて、本年二月三日から三月四日までの間に開催、実施された各高等裁判所管内の労働関係民事事件担当裁判官会同において、右事件処理に関する事項が協議問題として提出された、こういうふうに各高等裁判所管内ではやっておられますから、やったならば、いまお示しのようなことならば、なぜ早くそれをケリをつけて口頭弁論期日を指定しないか、こういう問題になるわけです。それを指定しないところに、それは言い過ぎかもわからぬけれども、先ほど来私が申しますような一方的の裁判の運営をやっておられるんじゃないか、こういうふうに考えましたものですから、これはひとつ準備手続でせずに、やはり口頭弁論で、大ぜいのおる前で、ことに労働問題に関連するものであれば、そこで裁判官原告被告の攻撃、防御の方法を聞いて裁判するのが正当じゃなかろうか。輔佐人の問題についても、そういう公開の場所において原告には輔佐人をつけて、そうして公社側代理人と対等の立場で攻撃、防御の裁判の交渉をやることが公平な判決を受ける、こういうことになるのではなかろうか、こう思うわけですが、その点についての御所見はいかがですか。これはあわせて、法務大臣がおられませんから、大臣にかわる次官の御所見も承っておきたいと思う。
  63. 寺田治郎

    寺田最高裁判所長官代理者 坂本委員からるるお話しになりましたこと、まことにごもっともなことばかりでございます。坂本委員の不安にお感じになっている点、おそらくそれは、さらにその背後にと申し上げては失礼かとも存じますが、その関係方々、数万人の方々がもし裁判の公正ということに多少とも不安をお感じになっているということでございますれば、これは私ども最大の努力をもって、そういうことは決して過去においてもないし、将来とも公正にやってまいるということを申し上げ、その御不安を取り除きたい、かように考えるわけでございます。  ただ一般的に、これは坂本委員つとに御承知のところでございますが、各裁判官の独立ということ、しかしながらそれは決して独善ではなくて、おのずからそこに良識をもって処理されるべきであり、その良識をもって処理される限りにおいては、扱いがそう変わるはずのものでもないというような問題、そういう点の調整というものをどうするかということは、実は私ども最高裁の事務総局の者としては絶えず苦慮しておる問題でございます。多少私どもの事務当局のほうで、かようにしたならばというような意見を持ちましても、これを最高裁の事務総局の立場で申し上げますことは、非常にいわば権力的なにおいがしないでもない。決して事務総局は権力などを持っておりませんけれども、しかし、そういうような印象を与える面がある、そこで、私どもの発言というものは部内においても慎重の上にも慎重にならざるを得ないわけでございます。そこで先ほど御指摘のありました高等裁判所管内の会同で一つの議論をした。これは実は必ずしもこの事件担当しておられる裁判官とは限りませんが、あるいは裁判官もまじっておるわけでございます。いろいろ各地方裁判所からおいでになった方々が相互に討論をされる。そういうことによって討論をすれば、そこにおのずから穏当な結論なりあるいは一つの考え方が出てまいるであろう。しかし、むろんそれに拘束されるわけでも何でもございませんが、みなはどう考えておるであろうかということが一つの資料としてわかるということでございまして、そういう際に私どものほうの係官も出てはおりますけれども、またこれの発言というものは非常に慎重にならざるを得ないわけでございまして、そういう会同の席上で最高裁の事務当局がこういう方針を示したということになりますと、非常に抽象的な、公正にあるいは公正を疑われないようにという程度のことでございますれば問題はございませんけれども、たとえば準備手続を開くとか、あるいは開くなとか、あるいは口頭弁論をやるとか、やるなとかいうようなことを申しますことは、裁判に対する非常な干渉的なことになるわけでございます。要は、何とかして公正にやってもらえるように、またそういう信頼を得られるようにということでございまして、先ほどちょっとお話がございました、私、もちろん坂本委員よりはこの事件について内容を詳しく存じておりません。したがって、準備手続が相当か不相当かということを坂本委員との間でお話し合いする資格も能力もございません。ただ一般的には、労働事件等では準備手続を開くということは決して珍しいケースではないわけでございます。ただ、たまたま本人訴訟であり、しかも公社側からは法務局検事さんが来られる、あるいは公社の有力な方が来られる。そこへ当事者本人が一人か二人でお入りになるということが、もしも本人を非常に圧迫するような印象を与えるとすれば、その点に関しては、これはくれぐれも注意をして、そういう印象を与えないようなくふうはやはりしなければならないと考えるわけでございます。これは毛頭裁判官はそういう気持ちなくして、あくまで準備手続が相当であるということでおやりになっておるのでございますけれども、そういう誤解は与えないようにしなければいけないと考えるわけでございます。そうして、要は、どこから見ても公正であるという信頼を得られるように、その場合に、しかし、そうかといって、およそ準備手続をこの種事件でやってはならぬというわけにもまいらぬように思いますが、やる場合にも、その点は、そこは十分注意するということだと思いますが、その辺のことも機会がございますれば十分そういうところの注意くらいはしても差しつかえないと考えるわけでございます。ともかくも、これはしろうとの方でございますから、そういう不安を与えないように、公正ということについて疑惑を受けないように適正に進めてまいるということについて今後とも十分各裁判官にお願いしてまいりたい、かように考えるわけでございます。
  64. 山本利壽

    山本(利)政府委員 ただいま裁判所側からるる御答弁がございまして、法務省側としても全く同感でございます。裁判というものはあくまで公正であり厳格でなければなりません。裁判そのものも国民のためにあるわけでございますから、国民が不安を持って裁判を受けるというようなことは、これはまことによろしからざることでございまして、坂本委員もいろいろ御説の中に常に言い過ぎかもわからぬがというおことば添えがあったことを記憶いたします。そういう御懸念のないように、いまの段階ではおそらくいろいろな方面から坂本委員の耳に入って、こうではあるまいかということを専門家の立場で御案じになってのこの委員会での御発言だと考えますから、そういうことがないように、先ほど最高裁判所側からも御答弁がありましたように、裁判というものは独立したものでございますから、直接これに法務省からかくせよという命令を出す筋合いのものではございませんけれども、この最高の機関である国会の、しかも法務委員会において御専門の坂本委員からこういう御発言があったということは強く響くことだと私は思いますし、お説の御懸念のないようにという念願において私も全く同感でございます。
  65. 坂本泰良

    坂本委員 だいぶ長くなりましたから……。  なおまたこれに対しては、公社総裁、それから法務大臣、これはやはり一つの係争の事件でありますから、両方からこうでもない、ああでもないと言えば、そういう立場になるでしょうからできないわけです。しかし裁判になれば、これはいま条文は第何条か忘れましたけれども裁判官はいつでも和解の勧告ができる、こういう規定があります。そしてこの訴状を見ましても、三年前にはそれに基づいて裁判所公社側も組合側も両方譲歩さして訴訟が解決しておることも私はうかがわれるわけですが、そういうことでこの一万六千名の訴訟訴訟法に基づいて双方が権利を主張してやるということになれば、一審が解決してもまた控訴すれば二審、上告すれば最高裁ということになるわけです。私はこういう問題は、これはまだ私の集約が足らぬかもしれませんけれども、結局原告訴状被告公社の答弁書の両方あわせてみますと、事実関係はみんなほとんどそのとおりだと公社側が認めておりますから、争いがないわけです。争いがあるのはいわゆるストライキに関連して、またストライキに関連せぬこともありますけれども、やはり昇給の延伸をしたのは公社側は正しいのだ、原告組合員側はそれは不当だ、定時昇給延伸の理由はない、不当だからこれは裁判に訴えてでも解決し、給料の未払い金を取らなければならない。われわれの昇給の問題は、公社につとめておる間は、一生最後までつきまとうことだから、この際解決をしなければならぬ。こういうことで昇給の延伸をされたのではたまらないということで訴訟が起きているわけですから、争点も集約していけば原告は昇給する理由があると主張し、公社側はないと言う、その一つに帰するのではないかと私は思うのですよ。それをやはり最後まで公平迅速な裁判というので、公社側はああでもない、こうでもないと言って、裁判の運営にかこつけて昇給を引き延ばす作戦をとっている。裁判所は端的に言って裁判官を二十何名増加したくらいでは足らぬと思うのです、さっき答弁がありましたけれども。百名も二百名もふやしてやるかといえばそうもできないし、問題はそこにある。私が特に最初から主張しましたのは、これは公社の中の問題なんです。外からの問題なら別ですけれども公社内の問題であるし、しかもやはり職員が働かなければ、電話の問題にしても、公社の事業も、何にしても職員の労働力によってこれが確保されておるわけなんです。だからそれをストライキが原因で昇給しないぞと言ったんでは、これは大きい立場からは、日本の電信電話の業務の破壊になるのではないかと思うのです。総裁は、そういうことをさせないようにやるべきである。いまの裁判の行き方というのは、憲法二十七条、二十八条において、旧憲法時代はそういうこともできなかったけれども、新憲法下ではできるようになった。やはり使われる労働者は団結をして、労働組合その他の組織的の方法によって権力を持ち、金力を持つ公社総裁その他と対等の立場に立って話し合いをしてお互いの労働者が働く、そうして労働条件の改善もやろうという、そこに基本があるわけですが、それを労働者が悪いのだと総裁はじめ権力者がきめつけるということも、これは間違いだと思うのです。これは団体交渉という点もありますから、それはいままでも団体交渉も双方で相当やったでしょう。しかし裁判となり、こういう事態に立ち至ってまたあらためて真剣に団体交渉でもするときに、おのずからその道が開けてくる。何も裁判官までふやしてこの事件の判決云々をやる、最高裁判所までもやるというような問題ではないだろう。何度も申しますけれども公社内のことですから、しかも争点をしぼれば昇給延伸の問題と思います。どちらがその理由が正しいか、昇給しない原告、すなわち働く職員、すなわち労働者は給料を所定どおり昇給して払ってくださいというのがこの訴訟であるから、そういう点にひとつ配慮をしてもらって、これは原告側は労働組合の組合長その他もおられますから、その方々もまた十分了解されてやれることだし、公社側のほうもこれは有給休暇はやらない、やらないで原告職員たちを困らせておいて、訴訟を有利に導こうという公社側の魂胆、これは私の思い過ごしかもしれないけれども公社側の考えの片りんがうかがわれるから、そういうことのないようにしてもらいたいと思います。  この問題についてはいろいろ詳しいこともありますけれども、本日はこの程度にして、あと留保いたしまして、ものごとは何でも全部ピンからキリまでやってしまうと右か左かになるわけですが、やはりその点は何とか打開できないだろうか、そういう点もひとつ法務当局、電電公社裁判所側も真剣に御考慮をいただきたいということを要望いたしまして、本日は留保して、この次にいたしたいと思います。
  66. 大久保武雄

    大久保委員長 次会は来たる十日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時六分散会