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1966-05-11 第51回国会 衆議院 文教委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十一日(水曜日)    午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 上村千一郎君 理事 小沢佐重喜君    理事 谷川 和穗君 理事 南  好雄君    理事 八木 徹雄君 理事 川崎 寛治君    理事 二宮 武夫君 理事 長谷川正三君       大石 八治君    熊谷 義雄君       坂田 道太君    床次 徳二君       中村庸一郎君    松山千惠子君      茜ケ久保重光君    高橋 重信君       松原喜之次君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         文部事務官         (大臣官房長) 赤石 清悦君         文部事務官         (文化局長)  蒲生 芳郎君         文部事務官         (管理局長)  天城  勲君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君  委員外出席者         議     員 高橋 重信君         議     員 二宮 武夫君         大蔵事務官         (国税庁直税部         法人税課長)  茂串  俊君         専  門  員 田中  彰君     ――――――――――――― 四月二十七日  委員松山千惠子君辞任につき、その補欠として  早川崇君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員早川崇君辞任につき、その補欠として松山  千惠子君が議長の指名で委員に選任された。 五月十日  委員濱地文平君辞任につき、その補欠として篠  田弘作君が議長の指名で委員に選任された。 同月十一日  委員和田博雄君辞任につき、その補欠として茜  ケ久保重光君が議長の指名で委員に選任された。 同日  委員茜ケ久保重光君辞任につき、その補欠とし  て和田博雄君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月二十八日  市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する  法律案松永忠二君外一名提出、参法第一八  号)(予) 同月三十日  義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特  別措置法の一部を改正する法律案高橋重信君  外九名提出衆法第四一号)  公立の盲学校、聾(ろう)学校及び養護学校の  幼稚部及び高等部学級編制及び教職員定数の  標準に関する法律案高橋重信君外九名提出、  衆法第四二号) 五月二日  戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願(今  松治郎君紹介)(第三六〇五号)  同(木村俊夫紹介)(第三六〇六号)  同(田中龍夫紹介)(第三六〇七号)  同(黒金泰美紹介)(第三七三〇号)  同(松澤雄藏紹介)(第三九七七号)  学校図書館法の一部改正に関する請願外七件(  赤澤正道紹介)(第三六四六号)  同外六件(押谷富三紹介)(第三六四七号)  同外三件(熊谷義雄紹介)(第三六四八号)  同(谷川和穗紹介)(第三六四九号)  同外八件(中島茂喜紹介)(第三六五〇号)  同外九件(宇野宗佑紹介)(第三七〇五号)  同外十六件(小川半次紹介)(第三七〇六  号)  同外五件(大石武一紹介)(第三七〇七号)  同外十一件(亀山孝一紹介)(第三七〇八  号)  同外十九件(田中正巳紹介)(第三七〇九  号)  同外五件(竹山祐太郎紹介)(第三七一〇  号)  同外七件(濱田幸雄紹介)(第三七一一号)  同外九件(藤枝泉介紹介)(第三七一二号)  同外一件(八木徹雄紹介)(第三七一三号)  同外九件(上村千一郎紹介)(第三九六七  号)  同(坂田道太紹介)(第三九六八号)  なぎなた中学校以上の女子に正課として採用  に関する請願外八件(正力松太郎紹介)(第  三六五一号)  同外二件(天野公義紹介)(第三六九五号)  同外三件(有田喜一紹介)(第三九六三号)  義務教育における習字教育振興に関する請願(  浦野幸男紹介)(第三六五二号)  同(小山省二紹介)(第三六五三号)  同(始関伊平紹介)(第三六五四号)  同(森下國雄紹介)(第三六五五号)  同(臼井莊一君紹介)(第三七一四号)  同(久野忠治紹介)(第三七一五号)  同(高橋禎一紹介)(第三七一六号)  同(伊藤よし子紹介)(第三九六四号)  同(平岡忠次郎紹介)(第三九六五号)  同(松澤雄藏紹介)(第三九六六号)  編物を正課として採用に関する請願小沢佐重  喜君紹介)(第三六五六号)  同(大石武一紹介)(第三六五七号)  同(岡崎英城紹介)(第三六五八号)  同(片島港君紹介)(第三六五九号)  同(久野忠治紹介)(第三六六〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第三六六一号)  同(栗林三郎紹介)(第三六六二号)  同(櫻内義雄紹介)(第三六六三号)  同(田原春次紹介)(第三六六四号)  同(高瀬傳紹介)(第三六六五号)  同(馬場元治紹介)(第三六六六号)  同(吉川兼光紹介)(第三六六七号)  同(赤澤正道紹介)(第三六九六号)  同(大石八治君紹介)(第三六九七号)  同(大野明紹介)(第三六九八号)  同(岡本隆一紹介)(第三六九九号)  同(正示啓次郎紹介)(第三七〇〇号)  同(中曽根康弘紹介)(第三七〇一号)  同(福永一臣紹介)(第三七〇二号)  同(村山達雄紹介)(第三七〇三号)  同(横路節雄紹介)(第三七〇四号) 同月七日  学校図書館法の一部改正に関する請願外一件(  大橋武夫紹介)(第四〇〇〇号)  同外四件(木村武雄紹介)(第四〇〇一号)  同外十六件(田川誠一紹介)(第四〇〇二  号)  同(中馬辰猪紹介)(第四〇〇三号)  同外八件(松田竹千代紹介)(第四〇〇四  号)  同(村上勇紹介)(第四〇〇五号)  同外二件(藤田義光紹介)(第四〇六六号)  同外八件(荒木萬壽夫紹介)(第四一〇二  号)  同外九件(奥野誠亮紹介)(第四一〇三号)  同(中馬辰猪紹介)(第四一〇四号)  同外九件(松山千惠子紹介)(第四一〇五  号)  なぎなた中学校以上の女子に正課として採用  に関する請願外六件(小川平二君紹介)(第四  〇〇六号)  同外五件(増田甲子七君紹介)(第四〇〇七  号)  同外一件(小枝一雄紹介)(第四〇五八号)  同外二件(菅野和太郎紹介)(第四一〇六  号)  同外五件(清瀬一郎紹介)(第四一〇七号)  同外九件(倉石忠雄紹介)(第四一〇八号)  同外九件(小坂善太郎紹介)(第四一〇九  号)  同外二件(田澤吉郎紹介)(第四一一〇号)  同外七件(千葉三郎紹介)(第四一一一号)  同外九件(早稻田柳右エ門紹介)(第四一一  二号)  同外二件(荒舩清十郎紹介)(第四一八六  号)  同(堀川恭平紹介)(第四一八七号)  義務教育における習字教育振興に関する請願(  加藤清二紹介)(第四〇〇八号)  同(木村武雄紹介)(第四〇〇九号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四〇六三号)  同(八木一男紹介)(第四〇六四号)  同(横山利秋紹介)(第四〇六五号)  同(稻葉修君紹介)(第四一一五号)  同(臼井莊一君紹介)(第四一一六号)  同(大石武一紹介)(第四一一七号)  同(櫻内義雄紹介)(第四一一八号)  同(始関伊平紹介)(第四一一九号)  同(中垣國男紹介)(第四一二〇号)  同(中川一郎紹介)(第四一二一号)  同(中曽根康弘紹介)(第四一二二号)  同(中野四郎紹介)(第四一二三号)  同(濱地文平紹介)(第四一二四号)  同外一件(星島二郎紹介)(第四一二五号)  同(松田竹千代紹介)(第四一二六号)  同(森清君紹介)(第四一二七号)  同(小松幹紹介)(第四一二八号)  同(古井喜實紹介)(第四一八八号)  同(山口丈太郎紹介)(第四一八九号)  編物を正課として採用に関する請願山崎始男  君紹介)(第四〇一〇号)  同(池田正之輔君紹介)(第四〇一一号)  同(草野一郎平紹介)(第四〇一二号)  同(小山省二紹介)(第四〇一三号)  同(佐々木更三君紹介)(第四〇一四号)  同(小枝一雄紹介)(第四〇五九号)  同(田中龍夫紹介)(第四〇六〇号)  同(中村重光紹介)(第四〇六一号)  同(藤田義光紹介)(第四〇六二号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四一一三号)  同(千葉三郎紹介)(第四一一四号)  戦傷病者の子女の育英資金等に関する請願外一  件(大橋武夫紹介)(第四〇三五号)  同(仮谷忠男紹介)(第四一六一号)  同(松浦周太郎紹介)(第四一九〇号)  心臓病の子供の教育のため学校学級増設に関  する請願谷口善太郎紹介)(第四〇七四号)  同(吉川兼光紹介)(第四一二九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十日  国立福岡学芸大学田川分校跡地国立文教施設  設置に関する陳情書  (第三五六号)  在日朝鮮公民学校教育に関する陳情書外二件  (第三五七号)  同外二十二件  (第四三五号)  義務教育施設整備充実に関する陳情書外一件  (第三五八号)  義務教育管理下における児童生徒学業災害  補償に関する陳情書外一件  (第三五九号)  公立高等学校設置適正配置及び教職員定数  の標準等に関する法律改正に関する陳情書  (第三  六〇号)  公立高等学校事務職員の増員に関する陳情書  (第三六一号)  学校警備員設置に関する陳情書外一件  (第三六二号)  同(第四三四号)  へき地学校統合整備促進に関する陳情書  (第四三三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  学校給食法の一部を改正する法律案二宮武夫  君外二十一名提出衆法第三一号)  義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特  別措置法の一部を改正する法律案高橋重信君  外九名提出衆法第四一号)  文教行政基本施策に関する件(宗教に関する  問題)      ――――◇―――――
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  二宮武夫君外二十一名提出学校給食法の一部を改正する法律案議題といたします。ある。     —————————————
  3. 八田貞義

    八田委員長 提出者から提案理由説明を聴取いたします。二宮武夫君。
  4. 二宮武夫

    二宮議員 ただいま議題となりました学校給食法の一部を改正する法律案について、提案理由内容概略を御説明申し上げます。  学校給食は発足以来すでに二十年を経過していますが、その普及率は次第に高まったとはいえ、まだ十分なものではございません。昭和三十九年度の文部省調査によれば、完全給食実施校在学児童生徒数が小学校では八三・一%(七百六十八万人)中学校ではわずか二二・七%(九十七万人)という現状であります。  特に学校給食が必要と考えられる農山村、漁村地帯での普及率が低いことは考えなければならない問題でございます。昨年来、「へき地の子どもらに学校給食を」との声が高まり、四十一年度国家予算では三級地以上のへき地校(百八十校)の全児童生徒(約十四万人)にパン、ミルク代輸送費を含み全額国庫負担とし、三億九百万円を計上したことは前進の面ではございますけれども完全給食実施にはほど遠いものがあります。したがって義務教育学校での給食普及にはさらに一段の努力が必要と思われます。  学校給食における生乳量は漸次増加しつつありますが、しかし四十一年度国家予算においては、脱脂粉乳給食実施するため、四万四千トンの国庫補助額二十億七千万円が組まれており、これはミルク給食全体の七〇%にも及ぶ数量です。本法の第二条、学校給食の目標に照らし合わせるまでもなく、脱脂粉乳よりも生乳の方が優位であることは申すまでもないところであります。  さらに脱脂粉乳の輸入は国内の生乳生産拡大の妨げにもなっています。この際、完全栄養食品である生牛乳学校給食実施をその設置者に対し義務づけ、そのため、国の買い上げた生牛乳無償設置者に給付を実施すべきであると考えます。  次に、本来栄養士が行なうべき業務を一般教員が行なっていますが、給食事務職員の未設置と相まって、私ども調査によれば、学級担任教員週当たり五時間前後、給食係教員週当たり十五時間以上の超過労働になっています。また、小規模校では給食作業員配置がないため、校長やときには父兄が手助けをしなければならない事態も出ています。この点を解決するために栄養士給食作業員給食事務を行なう事務職員を置くことが必要であります。  給食施設設備は現在開設に際して二分の一の国庫補助がなされていますが、設置者負担が大きいためその普及を妨げています。また、地域によってはこの経費の一部を父母負担に依存しているところもあります。したがって国庫補助率を引き上げてその普及をはからなければなりません。  以上が本法案提案したおもな理由であります。  次に本法律案内容概略について説明いたします。  本改正案は、学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案農株水産委提案)、公立義務教育学校学級編成及び教職員定数標準に関する法律の一部改正案と一体となって次のことを実施しようとするものであります。  一、国が生産者より義務教育学校の全児童生徒に飲ませるために必要量牛乳を買い上げ、これを設置者無償で給付します。  二、これを受けて、設置者義務教育学校において牛乳食、またはやむを得ないときには乳製品給食実施することを義務づけ、児童生徒無償給付します。   以上のことの具体的な内容としては三カ年計画で国産牛乳を全児童生徒に、一日〇・一八リットルを飲ませることを考えています。  三、国立及び公立義務教育学校設置者学校給食実施するために次の職員を置きます。  1 栄 養 士  牛乳給食脱脂粉乳給食以外給食実施している学校に名を置かなければなりませ。(ただし、分校を除きます。)  2 給食作業員 牛乳給食を含め、給食実施校は置かなければなりません。  3 事務職員  牛乳給食を除く給食実施校に校を含め一名を置かなけれなりません。  四、学校給食に必要な施設設備について、開設の場合のみならず、拡充、更新の場合の経費を含めて国庫補助の対象とし、補助率を三分の二に引き上げます。  以上が法律提出いたしました理由及び内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 八田貞義

    八田委員長 次に、高橋重信君外九名提出義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案議題とし、提出者から提案理由説明を聴取いたします。高橋重信君。     —————————————
  6. 高橋重信

    高橋(重)議員 ただいま議題となりました義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について、提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  教育機会均等義務教育水準維持向上をはかるため、国は適切な法制上、財政上の措置を講ずべきであることはいまさら申し上げるまでもございません。  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数算定標準に関しては、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律(以下標準法という)の定めるところでありますが、この標準法実施財政的に保障する法律義務教育費国庫負担法であります。  この法律は、国は、各都道府県ごと公立義務教育学校教職員給与費等について、その実支出額の二分の一を負担することとし、特別の事情があるときは、各都道府県ごと国庫負担額最高限度政令で定めることができる旨を規定したものであります。  これは実員実額による国庫負担の原則を明示したものであって、政令国庫負担額最高限度を定めることができるのは、例外の場合に限られるべきでございます。  しかるに政府は一昨年九月、いわゆる富裕都府県に限って国庫負担額最高限度を定めていた政令改正して、教職員の実数が標準法に定める定数をこえる都道府県のすべてに対しましても、国庫負担額最高限度を定めるいわゆる定員実額主義採用したのであります。  地方公共団体は、教職員給与費実員実額国庫負担制度のもとに、積年苦しい財政事情の中から教育水準維持向上のために教職員を増員してまいったのでございますが、財政面からその実績を無視することは地方自治教育自主性を破壊するものと言わなければなりません。なるほど政府は、さきの第四十五回国会において標準法改正いたしまして、一学級五十人の学級編制標準を四十五人にするとともに教員定数算定標準を改善したのでございますが、いまだもって十分なものと言うことはできません。そのために、今国会においてもわが党は同法の改正提案し、その徹底をはかろうとしているのでございます。  現行義務教育費国庫負担法及びその政令によれば、昭和四十年度には、教職員の過員が富裕府県を除く三十四県で約六千八百人あり、昭和四十一年度では、二十五県で約三千六百人に及ぶと推定されるのでございますが、このように教職員給与費負担額政令によって不当に左右されることのないよう法律による保障が必要であると考えておるのでございます。  すなわち、国が教職員給与費等について負担する場合における国庫負担額最高限度を定めることができる都道府県を、普通交付税交付を受けない都道府県に限ることとする必要があるため、本案を提出いたしたわけでございます。  公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案についても同趣旨の改正を行なおうとするものであります。  なお、この法律の施行に要する経費は約十六億円の見込みであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由及び内容概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  7. 八田貞義

    八田委員長 以上で提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  8. 八田貞義

    八田委員長 文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。茜ケ久保重光君。
  9. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 先般の当委員会宗教法人法に関して質問を行なったのでありますが、文部大臣の御都合で時間がなくて、あまり突っ込んだ質問ができなかったので、きょうはまた特にお許しを得て文部大臣に対しまして若干の質問をし、現在の国の宗教に対する基本的な考え方、ひいては私が今日まで具体的な問題と取っ組んでまいりました経緯から、宗教法人法というものは、検討すればするほど、どうも不可解というか、あるいは悪いことばざる法というか、そういう感じがしてなりませんので、この際、文部省と申しますか、政府が真剣な検討をされまして、宗教法人法に対する改正と申しますか、そういった方向へ進んでいただくことが望ましいという考え方を私は持っております。  新憲法で、信教の自由といいますか、そういう点を非常に強調しまして、私は、これは当然であるし、また、非常に望ましいことであると思います。しかし、私が具体的な問題に当面して、現在の既成宗教というものを検討し、あわせて宗教法人法というものを調べてみますと、いま申しますように、いろいろな問題が出てくるわけであります。これは、もちろんそれぞれの宗教法人の体質にもよりましょうし、また、宗教法人責任者である、仏教でいえば住職、ないしはキリスト教でいえば牧師とかいったような方の個人的な、人格的な点等もございますけれども、どうもいろいろな問題の起こっている内容を見てみますと、宗教法人法にいわゆる盲点と申しましょうか、何か欠陥があるように思われてなりません。と同時に、国と申しましょうか、政府と申しましょうかが、いわゆる憲法が保障した信教の自由ということに隠れて、宗教団体というか、宗教法人に対して、端的に言うと何か無責任であるかのような態度が見えるのであります。さわらぬ神にたたりなしと申しましょうか、なるたけそっとしておいて触れないという態度もうかがえてならぬのであります。また、そういう盲点をついて、いわゆる宗教界は、表にはあまり出ていませんけれども、いまいろいろな問題を内包しておるという状態を見るのであります。  先般の当委員会における文部大臣との短い時間で、最後の質問でありましたが、私の質問に答えて、宗教法人法改正をする意思はないとおっしゃったのですけれども、同僚の落合委員のさらに重ねての質問に対しては、いろいろな問題点がある、したがって、宗教法人審議会ですか、そういった諮問機関に諮問することも必要であるというようなこともおっしゃったのでありますが、ひとつ冒頭に、文部大臣としての現在の宗教全般に対する御所見を承って、あといろいろな点についてお聞きしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
  10. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 茜ケ久保さんが御指摘になっておるような具体的な事実も、まれではありましても私は起こり得ると思うのでありますが、各宗派には制度審判所というものができておるわけで、こまかい制度上のことは事務当局にお答えをさせるのが適当かと思いますが、後任住職任命等について妥当を欠くような場合には、この審判所にまず訴え出て審判を受ける。さらにその審判に不服な場合には裁判所にも訴えられるような制度になっておるようでありますから、成規の手続としてはそういう方法で処理をしていただくこと以外にないと思いますが、同時に、そういう過程において、その宗派関係の長老なり土地の有力者なりが、妥当な線で調停を行なって解決をしてもらうのが、宗教の問題としては適当ではないか、私ども実はさように心得ておるような次第でございます。しかしながら、先般もお話がありましたように、宗教法人審議会もございますから、私どもといたしましてはこういう問題をできるだけなめらかに解決し、あるいはそういう問題を起こさないようにどうすればなっていくか、こういうことについては適当の機会を見て審議会の方々の意見も徴しまして、今後研究をしてまいりたいと思っておる次第でございますが、何といたしましても、宗教は特に自治的に各宗派で円滑に宗教活動をしていただくことが望ましいのでございますから、あまりに行政府がこれに対して差し出がましいことをすることは、それによって好結果をもたらす解決もあり得るかもしれませんが、また反面弊害も多かろうと思いますから、あまり差し出がましいことはしない現在の制度がやはり適当ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。  具体的な問題は私はよく承知いたしておりませんので、この具体的な事例、事態をどうするか、こういうこともひとつ宗務課のほうでじかにはその指図はいたしかねますが、ひとつ研究さしていただきたいと思っております。
  11. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 大臣は先を越した答弁をされたのでございますが、私が先ほどお聞きしたのは、政府宗教に対する基本的な考え方をお聞きしたわけなんでありますが、それはそれとして、時間もあまりありませんから、具体的な例をあげて端的にお尋ねしたいと思うのであります。これは先般の委員会で現在の文化局長、当時の調査局長にいろいろとお尋ねしたのでありますけれども、ここに私、公判の書類を持っております。これは曹洞宗安本太準というお坊さんが、過去十年くらいの間に十数カ寺の曹洞宗のお寺を、悪いことばでいえば乗っ取って、そうしていわゆる責任役員とぐるになって、恩金という形で相当の金を私服している。これは全く言語道断というか、私がいえば、三百代言もあえてかぶとをぬぐような行為をしているわけなんです。これは審判所に出しても問題になりませんし、裁判をしてもみんなこの人が勝っておる。かなりの寺族が泣かされ、お寺の壇信徒がかなり迷惑をこうむっておる。これは宗教法人法からいってもちゃんと整っておる。宗制上からいってもちゃんと整っておる。実際はもうこの証人の調書を見てもわかるように、明らかにお寺の乗っ取りであるし、乗っ取ったお寺を恩金ということばの金をとって、そして私服を肥やしておる。この人は自分からも幾つも訴訟をお寺を相手に起こしておる。お坊さんが本職かそういった訴訟をすることが本職かわからないような実態、これが公然と存在して、しかも法的には何ら制裁を受けないということなんです。  そこで私が問題にしたいのは、先ほど言ったように、宗教法人法をよく見ますと、全く手続のことしか規定をしておりません。それは大臣おっしゃるように、信教の自由が保障され、国があまり宗教に対して介入しないということ、これはわかります。しかしそのことと反面、そういう宗教法人法の陰に隠れてそういう実態がある。これは法には触れていないけれども、いま言ったように完全な乗っ取りで、しかもそれを適当に処分をしている。それで私が宗教法人法を検討してみますと、宗教法人法はいろいろの手続は規定しておりますが、その手続だけで、何ら内容に触れてない。一番私がふしぎに思ったのは、宗教法人の設立には、設立しようとする者が、一定の責任役員とかそういったものをそろえて出せば、これは必ず認可されることになっている。お寺というものは、御承知のように何百人、何千人の檀徒なり信徒がございます。その寺を運営する責任役員の決定に、何百何千の非常に宗教上関係の深い檀信徒が何ら容喙ができない。端的に言うと、お坊さんがあって、そのお坊さんが自分の思う者を責任役員にしてしまえば、それでもってちゃんと法的には完備してしまう。今度そのお寺の運営なりいろいろな財産の処分ないし執行は、責任役員がかってにできるわけです。ここに盲点があると思うのです。曹洞宗のいま問題にしている安本太準師がそういうことができたのも、その盲点を完全に握っているところに問題が起こっておる。これは裁判に持ち込んでも、宗教法人法上、いわゆる手続上は何ら欠陥がないので、いわゆる寺族なりあるいはその関係者が敗訴するという結果になっている。このことは、幾ら国が宗教に介入していかぬということがあっても、信教の自由は確保されても、寺を乗っ取ったりするようなことが許されてはならぬと思うのです。この辺の問題は、先ほど大臣は、そういうことに対しては第三者なりだれか有識者が仲介に入って円満に解決することが望ましいとおっしゃいましたけれども、私が具体的に問題にしている前橋の龍海院というお寺などは、過去数年間いろいろな人が入ってあらゆる方策を講じて円満な解決に努力したけれども、結局相手方は裁判一点ばりで、法による解決以外に応じないということで、法的には完備していますから、寺族なりその関係者がみな負けている。そして、これは先般も指摘しましたが、このお寺は前橋市内の中心部にありまして、敷地約一万坪余、その付近の地価は大体五万から十万する土地でありますから、時価に換算すると数億から十億近い資産を持ったお寺なんです。このお寺が、安本太準という人のそういった行為によって、いわゆる寺族は、奥さんと女の子供があったのですが、これが完全にほっぽり出されて路頭に迷っておるという状態なんです。その住職を調べていったら、ここにありますように、過去十年間に十数寺を同じ方法で処置しているということなんです。このことは、やはりいま申しますように、宗教内容でなくて、宗教法人としての行為であって、人道上許すことができない状態だと思うのですが、こういうことに対しては、宗教法人法はやはり何らかの規制をする必要があると思うのでありますが、いまの宗教法人法というものは何ら手が打てない。大きな盲点と思うのです。こういうことは、大臣としてはそうあっていいと思われるのか。また法的には完備しているけれども、実際にそんな状態である。こういうのはどうしたらいいと大臣はお考えになりますか、お聞きしたいと思います。
  12. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 いまの法律のたてまえでいきますと、宗教法人内部の諸問題は法人自体で解決してもらうということがたてまえになっておるわけであります。特に八十五条の規定なども行政官庁はもう何事も口を出してはいかぬように封じられておるように思うのであります。御承知のとおり、「文部大臣都道府県知事及び裁判所に対し、宗教団体における信仰、規律、慣習等宗教上の事項についていかなる形においても調停し、若しくは干渉する権限を与え、又は宗教上の役職員の任免その他の進退を勧告し、誘導し、若しくはこれに干渉する権限を与えるものと解釈してはならない。」こう実にとにかく行政官庁は宗教に関しては調停や誘導、勧告もしちゃいかぬという非常に厳格な制度を設けておる。こういう条文の精神から言いましても、宗教法人については信教の自由及び宗教自主性というものを徹底的といっていいくらいに尊重をしておるのが現行制度でございます。多くはこれで一応円満に宗教活動が進められておるわけでございますが、たまたま問題のような事案がありますときに、これをどうするかということについては、やはり審判制度あるいは裁判制度というものに頼るほかにないと私ども現在考えておるわけであります。ただ、ものごとは意識的にやるような場合には、裁判をやっても負けないような準備をしてかかられたら、なかなか表向きの理屈だけではくずせない問題も起きてくると思うのですが、とにかく審判及び裁判、この制度でもし紛争があったら解決をする以外には道が開かれていないというのが現状のように思うわけであります。私どもとしては、宗教団体の内部で紛争や混乱がないことを心から期待しておるわけでございますが、まれにはそういうことも絶無とは言い切れないわけでありますので、こういう点についてはひとつ今後も現行法の精神にのっとりまして、どういうことを考えたらいいか、これは慎重に研究させていただきたい、こう思っております。
  13. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 大臣のおっしゃるようなことであるから、宗教法人法改正が必要ではないかと私は指摘している。問題の第一点は、いま言ったように、宗教法人法自体に問題がある。檀信徒の意思を無視して一住職がかってに責任役員をきめて、かってなことをやれるという現状なんです。いまの問題が起こっているのもそこに問題があるわけです。檀信徒は責任役員の選任に対して現在においては何ら権限がないのです。お寺という一つの宗教法人を形成するのは、いわゆる住職を中心に檀信徒があって初めて成立するわけです。ところがその大事な檀信徒がそのお寺の運営なり全責任を負う責任役員の選任に何ら権限がないわけです。全く非民主的というか、これはもう民主日本の現在の中で全く奇怪な状態です。こういう問題が一つあるのですね。  一つはいま大臣のおっしゃった八十五条、こういうことは宗教というものを至上のものという前提に立って書いたと思う。宗教法人なり宗教団体は悪いことはしないという前提で書いたと思うのです。ところが実際は悪が横行している。曹洞宗という宗教は騒擾宗と言われているくらい現在こういう事例は全国に非常に多いのです。こういうことが起こるところにこの宗教法人法の欠陥があるのであるから、たとえば責任役員の選任なり——この八十五条もこのままに見ればけっこうな条文であるけれども、そういう宗教の信仰活動とかあるいは信教の布教とか、そういうことについてはこれは絶対介入してはならぬけれども、しかし宗教法人にいま言った具体的にあげたような行為があった場合には、現在の裁判では宗教法人法に違反していないから、いま言ったように法律を研究し、悪らつなお坊さんは思うようなことをやっている。一般のお坊さんは法律なんかあまり研究しておらない。私自体さえ必要に迫られて宗教法人法を研究したので、おそらく宗教法人法などあることすら知らぬ人がずいぶん多いと思う。普通のお寺のお坊さんなんかほとんど知っておりませんでしょう。したがってこれを少し研究し悪用する、たとえば安本さんというお坊さんが出てくると、みな手玉に取られて自由にされておる。その陰には無数の檀信徒が泣いているし、困っている、寺族が泣いている。それはいま言ったように法的には何ら矛盾がないから、堂々と白昼そういった悪が横行している。したがって私の指摘しているのは、大臣はこの宗教法人法をそのまま容認されての答弁でありますから、それはそれでいいのです。しかしそういうことが起こっているところにこの宗教法人法の欠陥、盲点があると私は指摘している。したがって、これはせっかく宗教審があるのだから、この際思い切って宗教法人法を検討していただいて、こういうことが起こらぬような対策を講じてもらう必要があるのではないか。でなければ、このままほうっておきますと、こういうことは今後も次々に起こってまいります。そうすると、みなこれは表に出ませんから陰で泣いておるのです。  しかもこの宗教法人法によってできておる曹洞宗の宗制というものを見てみますと、住職はいわゆる檀信徒に対して信仰に関するいろいろな活動をしなければならぬことが規定してある。ところがこのお坊さんらは全然それをやっていない。ただお寺を乗っ取って、寺の手入れをして、いま言った恩金という形で第三者に転売をしておる。したがって、私は、最近つくづく思うのは、内容はよく知りませんけれども、創価学会は別として、立正佼成会という宗教団体がございますが、これはあまり葬式をしたということは聞きませんけれども、現在も何百万という信者をかかえて、かなり積極的な宗教活動をしておる。会長と称する人が地方に出て、何千人という者を集めてかなり積極的な信仰上の話をしたり、やっておるわけであります。しかるに曹洞宗の中で、道租道元禅師なんかは日本でも不世出と言われるほどの学僧であったわけでございますが、ああいうりっぱな高邁な人を持ちながら、現在はそういうことが全然なされていない。そうなりますと、こういう人たちのやっておることは、実際には宗教法人としての資格はないと思うのです。それでも国は放置しておるというところに問題があるので、私は、はからずもこうした問題に出っくわして、いろいろと資料を集めて検討してみますと、検討すればするほどこの宗教法人法が欠陥だらけというか、無責任というか、むしろ悪を助長するような状態があることを痛感しましたので、わざわざお忙しい大臣においで願ってお尋ねをし、御所見を求めた、こういうわけであります。  話を聞きますと、当委員会では宗教に関しての質問なり論議はあまりなされていないようでありますが、これはあまり問題がないことでございましょうし、また実際の具体的な社会生活上、現在の宗教に対することが何かたな上げされたような形でございます。しかし私は佐藤総理の社会開発、人間開発という基本的な施策から考えますと、やはり宗教の持つそういう面の責務は大きいと思うのであります。したがってそれが社会開発、人間開発の面と逆なことがどんどん実際行なわれている、そうなりますと、やはり放置するわけにはいかぬと私は思うのでありますが、時間があればその内容の一部を申し上げますと、なおぴんとくるのですが、時間がありませんから、それは一応きょうは省略しますが、そういうことを考えてもやはりまだ大臣としては宗教法人に対する根本的な検討をなさるような考えにはならぬものかどうか、いかがでございましょう。
  14. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 これは非常に問題も大きいし、それから影響するところも大きいと思いますから、宗教法人法を再検討いたしますというようなことをうっかり申し上げることはよほど慎重を期さなければならない。したがいまして私どもも御指摘のような事例を中心に今後勉強いたしたいと思いますが、とにかく先般も申し上げましたように、この問題は茜ケ久保委員国会のこういう委員会の公式な席上でお取り上げになっている問題でもありますから、この事態そのままをひとつ審議会に報告して、こういうような宗教法人の内部において起こった紛争は今後どうあるべきか、こういうようなことを宗教法人審議会におはかりをして検討をしてみたいと思っております。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 何か大臣のお時間があるそうでございますので、それではまたの機会にしておきますが、現状——私どもも少し責任があると思うのですが、いわゆる国の行政あるいは社会生活において宗教というものはかなり大きなウエートを持っておると思うのです。先般も指摘したのですが、現在の既成宗教というものはほとんど葬儀屋と同じ状態だと思うのです。昔はお寺さんは地方の学識者であって、地方住民の心の一つのよりどころであったわけですが、現在はいま言ったように宗教活動はそっちのけで、ただ単にお葬式のときに衣を着てお経をあげる、これは普通の葬儀屋と何ら変わりがないと思う。これはここにきょうおいでになりませんが、落合先生は大僧正をしていらっしゃいます。先生も指摘していらっしゃる、そういう点でぜひまた機会があれば一度宗教に対してもっと根本的な討議をひとつしたいと思うのでございます。  時間がありませんから大臣に対する質問は一応これで打ち切りますが、ぜひ御検討願ってひとつ勇断をふるっていただきたい、こう思うわけであります。  そこで大蔵省の方にお聞きしますが、宗教法人に対してはたしかその性質上非課税の部分がだいぶあると思うのです。最初に法人税課長にお伺いしたいのですが、宗教法人宗教法人としての活動をした場合の収入に対しては何か減免があるように承知しているのですが、これをひとつちょっと具体的に御説明を願いたいと思うのです。
  16. 茂串俊

    ○茂串説明員 お答え申し上げます。  宗教法人に対する法人税課税の問題でございますが、宗教法人につきましては、その法人が収益事業を営んでいる場合にのみ法人税の課税が行なわれるということになっておりまして、その収益事業の範囲が法人税法施行令で法定されております。したがいまして一例を申し上げますと、境内の地域を継続的に茶店に貸しておる、そして収益を上げておるといったような場合、これは不動産貸付業として課税されるわけでございますが、法要を営んだ場合に宗教法人が受け取りますところのいわゆるお布施、それから檀徒からの寄付金というようなもの、これは課税の対象に含まれないということに相なっております。
  17. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 境内の一部を普通の市民に貸し地をしている。たとえば貸し家を建てて貸しておるとか、あるいはまた家は借地人のものであるが土地を貸している、こういった場合の地代あるいは家賃といったものについては課税されておりますか。
  18. 茂串俊

    ○茂串説明員 不動産貸付業につきましてはその範囲が限定をされておりまして、いま茜ケ久保委員から御指摘のございましたような住宅用の貸し付けの場合、こういった場合には収益事業に該当しないことになります。店舗とか事務所あるいは旅館とかそういったような筋合いのものに貸し付けておるような場合にだけ課税されるということに相なっております。
  19. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 営利事業を行なうこと以外の収入は全部非課税というふうに理解してよろしゅうございますか。
  20. 茂串俊

    ○茂串説明員 常識的に申し上げればそうかと思いますが、そこは一応非常に厳密な規定が法人税法施行令にありまして、そこに並んでおるものに該当する限りにおいては課税されるというふうに御解釈していただいてけっこうです。
  21. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 自治省に伺いますが、いまお聞きになったように、いわゆる普通の収入については非課税でありますが、宗教法人はかなりな建物、土地を持っております。固定資産税の対象になるものがあるわけですが、宗教法人の場合には固定資産税も減免あるいは非課税というふうに伺っておるのでありますが、現在いかようになっていますか。
  22. 細郷道一

    細郷政府委員 固定資産税につきましては、宗教法人がもっぱらその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地、これは非課税、こういうことにいたしております。したがいまして本殿でありますとかあるいは拝殿であるとか庫裏あるいは社務所であるとか参道であるとかいったようなものに該当いたします土地建物については非課税、こういうことになっております。ただ宗教法人なるがゆえに非課税ということが他の一般の場合と均衡を欠くというような場合につきましては、課税をされる場合があるわけでございまして、たとえばその法人が非常に繁華街に近いところにあるために、駐車場に利用することによって収益を上げられる、こういったような事例もございます。そういったようなものにつきましては、その部分の土地については課税がされる、こういうふうになるわけでございます。
  23. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 先ほど質問しました、たとえば境内がかなり広い、個人の住宅のために土地を貸している、そういった場合は、その貸している部分の土地が固定資産税の対象になるようなことはないですか。
  24. 細郷道一

    細郷政府委員 実態の判断が、ございますので、一がいに申し上げることは困難かと思いますが、継続的に他に貸し付けをして、住宅あるいは店舗といったようなものを置いておる場合には課税をするものと考えております。
  25. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 常識的には、お寺ならお寺あるいは神社なら神社の境内地と称するもの、それがかなり庭が広いとかいう場合、これは別に庭という状態でなくても、たとえば雑木林ということもありますが、そういう場合でも、それが宗教活動に直接大きな影響はないけれども、一応境内という状態の場合には、やはり非課税の対象になるというふうに理解してよいのですか。
  26. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほどちょっと申し上げましたように、宗教法人法第三条に規定されております境内建物及び境内地、これ自体が、本来普通の姿でありますれば非課税の対象になるべきものと考えるのでありますが、いろいろなケースもございますので、固定資産税の扱いにおきましては、それみずから本来の用途に使われておるかどうかによってこれを判定をいたすわけであります。原則的には、その法人が境内地であるとしておりますれば、一般的には非課税、こういうふうに御理解いただいていいと思います。
  27. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 その宗教法人法の固定資産税の非課税あるいは一般収入の非課税、これは何を基礎にして出てきたのか、あなた御承知でしょうか。というのは、憲法は第二十条で信教の自由を保障しています。第二十条に「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」とありますが、その中で、いかなる宗教団体も、国から特権を受けてはならぬと規定してある。ところが非課税というのは、特権だと思うのです。そうすると、いま文部大臣は、宗教に対してはいろいろな干渉はしないとおっしゃったけれども憲法宗教団体に対して国が特権を与えてはならないと規定しておりながら、非課税という特権を得ている。これは何を根拠に非課税というものが出てきたか、これは局長御答弁願います。無理なら、これはまた別の機会にしていただきますが、局長も当の責任者だから、そのくらいはおわかりだろうと思いますが、いかがですか。
  28. 細郷道一

    細郷政府委員 非常に大きな、むずかしい問題だと思います。ただ宗教というものが、御承知のようにわれわれの社会、経済、文化その他各般の生活に占めております地位にかんがみまして——おそらく宗教とは本来こういう姿でいくべきものだという国民一般がみな持っている一つのイメージがあるのだろうと思います。そういった観点から、宗教につきましては、その土地、建物、それは本来の用途に使われるという意味合いにおいて、無差別的に使われていきますそういう施設について非課税にしていく、これは長い間の沿革の問題もございますし、また現在の社会通念としてそういった措置がとられている、こういうふうに私どもは考えております。
  29. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 それはちょっと了解できませんけれども、これはちょっと問題があれですから、また別の機会にいたしますが、私がそういうことをお聞きしたのは、先ほども申しましたように、ある一人のお坊さんはかなりのことをやっている。それは結局そういう非課税ということから、宗教活動によって得る収入よりも、そのお寺というものを独占して運営する過程においていろいろな収入を得ている。その収入のほうが大きい。したがって宗教活動をするよりも、そんなものはほうっておいて、そのお寺というものを中心に、これを利用して収入をあげているという方向にいっている。そうしてその収入のほうが非常に大きい、こういうことなんですが、しかしこれは直接あなたの関係ではないので、この程度にしておきます。  本日はこれで終わります。どうもありがとうございました。
  30. 八田貞義

    八田委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕