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長谷川(正)
委員 私がかつて本
委員会で加曾利貝塚問題について御
質問申し上げた
最初のころは、この南半分については学者の意見も聞いた上で、これは一応調査して
あとさっき
お話のように埋めて工場に返すという方針であったのを、どうも学者が途中で意見を変えるというようなことは見識がなくて困るんだ、困るんだとは言わなかったかもしれないけれども、そういうようないわば態度であられたと思うのです。しかしいまの
お話を伺いますと、
文化財保護委員会あるいは
文部省当局としても、事の重要性、この貝塚の歴史的あるいは学問的な価値というものについて十分な基礎認識を持たれて、なるべく一括して保存の方向がやはり望ましい、こういうふうに態度が変わってこられて、でき得るならばこれはひとつ公有地として、地元がその気になればできるだけの援助をしたいというような御方針に変わってきておる点は私は非常に心強く、まことに
文化財保護という立場からもあるいは学問の振興という立場からも非常に望ましいことだというふうに喜ぶものであります。ただ伺いますと、非常に飛躍的に増額されたとはいえ、絶対値が一億五千万では、全国を対象としてこれでは確かに焼け石に水でどうにもならぬだろうということで、また半面非常に心を暗くするわけであります。実は私も、この点につきましてはやっぱり現場を見ておく必要があると思いまして、つい最近急でしたけれども、単身行って見てまいりました。日曜日でしたが、やはり日曜でも市の職員がいて、いろいろあそこの掘り出したものを入れる場所をつくるための工事等もやっておりまして、働いておられたわけで、現場をよく見て、いろいろまた
説明も聞いてきて、それから市の態度等についても若干ただしてきたわけでございます。いま
お話がありましたが、市としてはとにかく今日地方財政が、富裕といわれる東京都でも非常に困っておる、こういう状況の中で、千葉市が北貝塚のために三十九
年度に一億二千万の金を出して、これは国から見ればたいした金ではありませんが、一市から見ればこれはたいへんなお金だと思います。それで単独にこれをとにかく北だけでも買い上げて、公園化して、史跡公園として保存するというふうに踏み切ったことは、私はそれ自体、千葉市にもたくさんの住民の要求の中では非常な批判も一面にはあったろうと思いますが、実に卓抜な見識としてたたえていいことだと思います。しかし今日の地方財政の状況を見ますと、とうていこういう事業は県や市にまかせたのではこれはできることではない。ことにこの南半分は、
先ほどの御
報告のように、考古学協会が大々的な調査団を組織して調査してみますと、線を入れまして、そこだけをずっと丁寧に掘ってみたわけですが、これは実にもう重要な遺跡であり、かつ北と南とが全く一体をなして、しかも時代を変えて逐次発展していった経過が如実にわかる、世界的にも貴重な
資料である、こういうことが明らかになったために、これを掘り返して埋めてしまうという当初の方針は、これは変更せざるを得ない。私もその
報告書をここに持っておりますが、この末尾にも、これは一日も早く保存の方法が講ぜられることを祈ってやまないということで結んであるのです。したがってこれはこのまま保存という方向が、学者の意見として一致したわけでありますし、
文部省もそういう方向をとられたわけですが、これは何とか、まだきまらないでなく、ふん切りをつけて、これは国がもう大幅な援助をしてでもぜひ公有化して、南北一体となってやるということが、
文化財保護委員会としては当面している大きな重要な仕事の
一つだと私は思うのです。
ただ伺いますと、私非常に心配しておる、特にもう十二時も過ぎておりますから、なるべくならあまり長くやりたくないのですけれども、緊急を要するとひしひしと感じましたのは、この三月
一ぱいであそこの南半分は、すでに東洋プレハブ工業株式会社が買って工場建設地としておるところを、特に発掘調査をするからということで、三十九年八月から一年という契約で市がその間を管理した。借りたと言っても、一銭の借用料を払ったわけではなく、そこを市が一
年間借りて調査した結果そういうことになりましたので、そこでその後、すでに三十九年八月からですから、七月で期限が切れている。しかしなお暫時会社の好意によって今日まで延ばしているけれども、この三月には返さなければならない、こういう
状態に立ち至っている。しかも会社としては、当分物置き場と言っても、物を置くにしても、自動車が入るようにしなければいけませんし、それから下は整地をして平らにしなければならない。行ってみますと、あそこは貝塚があったところですから、まわりが環状型にふくらんでおって、まん中がへこんでおる。これをくずして平らにして、そして鉄筋を入れて、コンクリートを入れて、少なくともトラックの重いものが適当に入れるだけの道をつくらなければならないとなりますと、完全にあそこは破壊されます。それだけで破壊されます。そういう事態に立ち至り、差し迫っておるわけですから、これはやはり緊急な措置が必要だということを痛感いたします。しかも幸いにと申しますか、市当局に聞きますと、そのすぐ隣接地を
学校用地として一部買い上げの交渉がいま進んでおるようです。ほぼこれは成功しそうです。そうしますと、それをさらにもう一部別の隣接地を買い上げて交換をするならば、会社は決してそれを拒否しない、せっかく遺跡だというなら、それをこわすという意思はない。ただ代替地を隣接地にもらえればそれは譲ってもいいという会社側の態度なんです。もちろんこれは時期が遷延すればするほど地価もどんどん上がりますから、それだけ負担も重くなるわけですから、その
意味からも、これは緊急を要すると思うわけです。そういうことを大蔵省関係の係官に理解をさせるということが、私はなかなかむずかしいのじゃないかと思いますが、大臣もここにおられますけれども、これはぜひひとつ、長い目で見た国の学問文化を守るという態勢から見まして、特段の英断を持って緊急措置を講じないと、四十二
年度以降何とか年次
計画というようなピッチでは、これはちょっと防ぎ切れない、こういう印象を私強くしておりますので、この点についてひとつ特段の御配慮を願い、対策を立てていただかなければならないのじゃないかということを痛感いたします。
それから、なるほど縦のみぞを掘ったところは埋めてありますが、一部平面発掘もされておりますね。それは掘ったままにされております。したがってあのまま荒涼とした
状態で放置しておくということは、いろいろな面でくずれたり変質したりするおそれもあるんじゃないかということを、しろうと考えにも感じたわけです。一刻も早く完全な管理体制をつくる必要があるんじゃないか、これは本来は千葉市としては、伺いますと、ここをもし国の大幅の補助を得て買って、公園化するとしても、その完全な保存、公園化の態勢をつくるためにも相当の費用が要りますし、これは年々のいわば非生産的な管理費というものが、目先の損得から言えば
——長い国の文化を守るという面からは、これは大きな成果があるわけですけれども、市が直接これを管理するということになりますと、その面でもたいへんなことであって、管理費についても、今後国が相当長きにわたって援助するような態勢をとらなければ
——ほんとうは国が直接やればなおいいんでしょうけれども、そういう点も理解ある配慮を必要とするのじゃないかということを痛感するわけですが、そうかといって、あまりそういうことを申し上げることによって、これはたいへんだ、うっかり手を出したらと大蔵省あたりにしり込みされたのではたいへんですけれども、とにかくこれは非常に緊急を要しますので、ぜひ適切な対処をひとつ大臣におきましてもとっていただきたいと思います。ことに、これも私どもの主張に皆さんの御賛同が得られまして、
文部省当局も特に
文化財保護委員の中に石田茂作さんという、直接考古学の大家をお入れになってもおるので、石田さんあたりがお入りになって、この貝塚がだめになったなんていうことになったら何もならないと私は思うのです。考古学関係の方を
文化財保護委員に特に加えていただいたということは、いま国が、私再三申し上げているのですが、国土の造成促進、大きな道路やあるいは大住宅やあるいは工場の開発等が全国で進んでおりまして、極端な自然破壊と見られるような
状態も起こっております。特にこの埋蔵文化財の問題については、全く危殆に瀕しているといっていいので、そういう中だからこそ特に私は石田さんが保護
委員に加えられた、こう思うのですけれども、その実がこういうところに
一つ一つあがっていっていただかないことには
意味をなさないと思いますので、ぜひひとつこの点について強く要望するとともに、何とか緊急に知恵を出して
——市としては国が援助すれば何とか無理しても、代替地を与えてでも買って、完全な保存をしたい。縄文中期から後期、晩期というのですか、にかけての移り変わっていった様相というものは、この二つを完全につなげることによって、実に典型的な形で残されるという学問上の非常な価値もあるようでありますし、
先ほどの
お話にあったように、全国第一の大貝塚であります。世界的な貴重な
資料であろうと私は思いますから、万遺漏ない態勢をとっていただきたいと思います。その辺についてひとつ事務
局長なり大臣から所信をお聞きしたいと思います。