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1966-03-03 第51回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三日(木曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 倉成  正君    理事 砂田 重民君 理事 山本 勝市君    理事 井岡 大治君 理事 兒玉 末男君    理事 村山 喜一君       岩動 道行君    海部 俊樹君       小山 省二君    坂村 吉正君       竹内 黎一君    床次 徳二君       粟山  秀君    伊藤よし子君       帆足  計君    玉置 一徳君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房参事         官)      尾中  悟君         農 林 技 官         (農林経済局消         費経済課長)  堀川 春彦君         農林事務官         (畜産局参事         官)      太田 康二君         通商産業事務官         (企業局次長) 両角 良彦君     ————————————— 二月二十四日  消費者基本法案春日一幸君外一名提出、衆法  第一六号) 三月二日  公共料金値上げ反対等に関する請願外四件(川  村継義君紹介)(第一四七六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件(物価対策現況等)      ————◇—————
  2. 小笠公韶

    小笠委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日はまず農林省関係物価対策現況について政府当局から説明を聴取することといたします。農林省尾中官房参事官
  3. 尾中悟

    尾中説明員 生鮮食料品需給価格現況と、現在とっております。あるいは今後とろうとしております価格安定対策概要について御説明をいたしたいと思います。  まず、生鮮食料品需給価格動向でございますが、野菜食肉あるいは水産物等生鮮食料品につきましては、近年における需要の著しい伸びに対応いたしまして、生産も全体といたしましてはおおむね順調に増大をしておるのでございますが、需要内容相当変化をしながら増大しておるという現状に対しまして、生産がものによりましては必ずしも対応しないという面も生じておりまして、また、生鮮食料品生産自然条件に非常に左右されやすいという特性がある、また流通面が非常に複雑であるというような問題もございまして、御承知のように、生鮮食料品価格上昇とその変動があまりにもひどいということが問題になっておるような次第でございます。  最近における生鮮食料品消費者価格の推移でございますが、三十五年を一〇〇にいたしまして、四十年においては、野菜が一九六・六、肉類が一三八・二、乳卵が一一三・五、生鮮魚介類は一七六・九というような相当な上昇になっております。この間の消費者物価は、総体といたしまして、御承知のように一三五・二ということになっておりますので、生鮮食料品中心にいたします農畜産物価格上昇率は相当それを上回っておるというのが現状でございます。ただ、食料品の中でも穀類は一三二・八ということになっておりますし、穀類以外の生鮮食料品中心にいたしましたいわゆるその他食料というのが一四五・七というような現状になっております。  次に、主要の品目につきまして、需給なり価格動向について御説明申し上げます。  まず蔬菜でございますが、蔬菜生産量は、従来都市近郊中心にして生産されておったわけでありますが、最近はそれが中間地帯なりさらに相当遠隔地域新興産地ができてまいっておるというようなこと、また不時栽培等周年供給ができるようになったということによりまして、年々その生産量増大しておりますが、需要もさらにこれを上回るというようなことで、非常に強い需要になっておるわけでございます。  野菜価格は、従来から非常に騰落を繰り返しながら、全体として趨勢的に上昇傾向をたどってまいったのでございます。これは、消費支出増大による需要が非常に強いということは言うまでもないことでございますが、さらに、生産地が従来の都市近郊から遠隔になってきたというようなこともございますし、また、一般的な労賃の上昇というようなこと、あるいは運搬費、あるいは資材費等上昇等もございます。生産費あるいは流通経費等コスト増大ということもその原因一つであろうかというふうに考えております。  最近における、近年におきます価格動向でございますが、三十八年の秋から三十九年の春にかけましては暖冬異変によりまして価格は暴落したのでございますが、三十九年の秋から、四十年の春にかけまして、前年同期の安値から作付面積減少したこと、あるいは異常気象などの関係もございまして、価格が急上昇し、昨年の梅雨期以降その出回りが本格化するにつれまして価格下落を示したのでございますが、異常安値でありました一前年同期よりはなお高水準であったような次第でございます。しかし、その後、秋の好天気によりまして、秋野菜の大部分のものが豊作になり、四十年の十月以降は、白菜、ニンジン、カンラン等中心にいたしまして価格は相当下落しております。このような野菜価格変動が非常に著しいということは、野菜生産が零細多数の農家によって生産されておるというようなこと、あるいは出荷体制が必ずしもまだ十分でないというようなこともございますし、また、気象条件によりましてその豊凶の変動が非常に大きいというような事情によるかと考えております。  次に、畜産物でございますが、まず食肉について申し上げます。  食肉生産は、三十五年を一〇〇にいたしまして、三十九年は一八〇というように、約二倍近くに伸びておるわけでございます。数量的に申しますと、三十九万トン程度のものが七十二万トン程度になっておるということで、生産も非常に伸びております。品目別に申し上げますと、同期間中に、牛肉は一・六倍、豚肉は約二倍、鶏肉は二・四倍ということになっておりまして、鶏肉伸びが一番著しいということでございます。  現況を申し上げますと、豚肉鶏肉につきましては順調に増加しておるのでございますけれども、牛肉は四十年において前年より若干減少するのではないかというふうに見ております。  一方、食肉需要でございますが、食生活の高度化によりまして年々増大を続けておりまして、三十九年は、先ほど申し上げましたように約八十二万トンをこえるというような状況に立ち至っております。このような食肉需要に対しまして、現在までの状況は、豚肉であるとかあるいは鶏肉は順調に伸びておりますが、一方、マトンであるとかあるいは馬肉等海外から輸入するとか、あるいは牛肉につきましては国内資源の食いつぶしによって対応してきたというのが現状でございます。御参考までに申し上げますと、肉牛国内における飼養頭数は、三十一年には二百七十二万頭程度であったわけでありますが、四十年には百九十万程度で、相当大幅な減少になっております。  価格につきましては、豚肉は、おおむね安定帯価格範囲の中で推移してまいっておりますし、最近は出荷増加ということもございまして値下がり傾向にあるわけであります。また、鶏肉価格は、ここ数年比較的安定的に推移しておるというふうに考えております。一方、牛肉でございますが、これは四十年に入りまして供給不足が相当顕在化してまいりましたので、昨年は一万トンの海外からの輸入公表をやったのでございますが、春以降上昇を続けておりまして、今後も国内飼養頭数減少ぎみであるというようなこと、また世界的にも牛肉需給関係が引き締まりぎみであるというようなことから考えまして、価格は今後引き続き堅調に推移するのではないかというふうに考えられます。  次は鶏卵でございますが、鶏卵生産伸びも非常に著しく、三十五年を一〇〇にいたしまして三十九年は約一九〇、トン数にいたしまして五十一万トンが九十六万トン程度にまでなっております。  一方、需要は、畜産物の中でも最も伸びが著しいものの一つでございまして、現在年間一人当たりの消費量は約九キログラム程度というふうに考えております。  この鶏卵価格は、従来主要な畜産物の中では最も上昇率が低く、安定的に推移してまいったのでございますが、生産体制の大規模化あるいは合理化によりまして生産が拡大しつつある一方、消費面ではその伸びがやや鈍化しておるというような事情もありまして、一昨年の夏以来これまでと異なった卵価の動きを示しておりまして、一昨年から昨年の夏まで約一カ年の長きにわたりまして価格低迷下落をしたわけでございます。昨年の七月以降値上がりに転じまして、本年に入りましても比較的高水準を持続してまいっておりますが、昨年の十月以降ひなのえつけ羽数増加しておりますので、卵価は現在値下がり傾向を見せておりまして、春以降は弱含みに推移するのではないかというふうに考えております。  次は水産物でございます。水産物国内生産は、生産手段の発達あるいは増殖技術養殖技術進歩等もございまして増大をしてまいったのでございますが、他方では、魚族資源が、だんだん枯渇してまいるということもございますし、あるいは遠洋漁業については国際規制の強化ということもございまして、三十七年の六百三十六万トンをピークにいたしまして、その後国内生産減少に転じておるというような状況になっております。一方、輸入のほうは三十五年を境に非常に増加しておりまして、三十九年には国内生産の約一割近い五十七万トンの輸入をしておるという状況でございます。  この水産物需要は、高級魚あるいは高次加工品需要が非常にふえておりますし、また飼料向け需要増加も含めまして非常に強いという状況でございますが、今後も需給関係は強含みに推移するのではないかというふうに考えられます。  そこで、価格につきましては、このような需給事情を反映いたしまして、三十五年ごろから趨勢的に上昇を続けております。消費者物価指数で見ますと、生鮮魚介類で、三十五年を一〇〇にいたしまして四十年は一七六・九というようなことに相なっております。  次に、これらの物資につきましての価格安定対策概要を申し上げたいと思います。  以上のような生鮮食料品需給価格動向に対処いたしまして、その価格の安定をはかってまいりますための対策といたしましては、まず第一に、需要動向に即応いたしまして生産安定的増大をはかる必要がある。この場合、生産性向上を極力はかりますとともに、生産出荷体制整備につとめる必要があるわけでございます。第二は、流通機構改善いたしまして、中間経費の節減と流通合理化につとめる必要がある。また、第三は、需給動向に即応いたしまして輸入等弾力的運用につとめる必要があろうと思われる次第でございます。  品目別に申し上げますと、まず野菜につきましては、従来、野菜指定産地制度実施あるいは価格補てん内容とする生産出荷安定事業実施等中心対策を推進してまいりましたが、これらの対策を一そう充実強化いたしまして、主要なる野菜については逐次計画的に生産出荷の安定をはかることを目的といたしまして、まず第一に、主要野菜について四大消費地域における需要見通しを作成してまいりたい。第二には、野菜指定産地対象品目増加いたしまして、計画的に野菜指定産地を指定してまいりますとともに、生産出荷近代化計画を作成させまして、これについて土地改良事業であるとかあるいは共同利用施設設置等助成を行なってまいりたいというふうに考えております。第三は、生産出荷指導体制整備したいということでございます。また、第四は、対象品目増加いたしますとともに、補てん資金の国の負担割合を引き上げます等、生産安定事業を拡充強化してまいりたいというふうに考えております。  次に畜産物について申し上げます。  まず、食肉につきましては、需給動向に即応いたしました生産出荷調整指導してまいりますとともに、まず豚肉につきましては、価格が一定の安定帯価格範囲内で安定いたしますように畜産振興事業団による売買操作を行なうこととしておりますほか、価格が高騰した場合には同事業団によりまして海外から豚肉輸入する、あるいは弾力関税制度運用と相まちまして価格安定を期してまいりたいと考えております。  牛肉につきましては、すでに述べましたような肉牛飼養の実情にかんがみまして、新たに肉用牛繁殖センター設置であるとか、また肉用繁殖基礎畜購入助成というようなことを考えておりますし、草地改良事業の充実であるとか、寒冷地等対象にいたしました肉用牛購入助成あるいは肉用肥育素牛利子補給助成等国内肉牛生産対策を強力に推進し、供給安定拡大をはかることにしておりますが、当面ある程度輸入が必要でございますので、畜産事業団をして計画的輸入適時適量国内放出を行なわせまして、弾力的な牛肉需給調整を行なうことを考えておりますし、今国会に対しましても、これを目途に関係法案整備を現在準備しておるような次第でございます。  なお、食肉につきましては、引き続いて、生産地における食肉センター設置であるとか、あるいは消費地における食肉共同処理施設等設置助成するとともに、家畜市場再編整備についても助成措置を考えておりますし、食肉流通機構改善を一そう推進してまいりたいと考えております。  次に、鶏卵でございますが、鶏卵価格安定対策としましては、需要増加に見合って生産の安定的な増加をはかるということを基本原則にいたしまして、全国、ブロックあるいは都道府県の三段階における需給調整会議を通じまして生産者の自主的な生産調整指導してまいりますとともに、畜産物価格安定等に関する法律に基づきます現行の調整保管制度を補完するために、卵価低落時に生産者価格補てんを行なう卵価安定基金に対しまして畜産事業団から四十一年度に約二億円の出資を予定しております。  次に、水産物でございますが、水産物価格安定のためには、生産流通加工にわたる施策を総合的に講ずる必要があろうかと考えております。このためには、生産対策といたしましては、漁業生産基盤整備であるとか、沿岸及び中小漁業近代化水産資源保護培養というような従来からの諸施策をさらに強化してまいりたいと考えております。また、流通加工対策といたしましては、従来の産地及び消費地冷蔵庫設置、あるいはこれらを結ぶ冷蔵自動車の配置、また水産加工施設整備等に関しまして助成を行ないますとともに、冷凍魚の普及をはかってまいりましたけれども、四十一年度においても引き続きこれらの施策実施いたしますとともに、新たに産地におきまして冷凍した多獲性魚消費地冷蔵庫等に保管いたしまして、消費地における需給状況等を勘案して計画的にそれを放出するというような事業生産者団体等実施させたいというふうに考えております。  次に、中央卸売市場整備等流通機構近代化の問題でございますが、生鮮食料品流通の中核を占めております中央卸売市場につきましては、従来からやっております中央卸売市場施設整備計画に基づいてその施設拡充整備を進めますとともに、市場取引改善措置についても引き続いて実施してまいりたいと考えております。また、流通末端機構である生鮮食料品小売り業近代化あり方等についても、今後すみやかに検討を行ないまして、必要な施策を逐次実行してまいりたいというふうに考えております。  以上で生鮮食料品需給価格あるいは施策の大要についての御説明を終わりたいと思います。
  4. 小笠公韶

    小笠委員長 次に、通閥産業省及び中小企業庁関係物価対策現況について政府当局から説明を聴取することといたします。通産省両角企業局次長
  5. 両角良彦

    両角説明員 それでは、通産省関係物価対策につきましての基本的な考え方並びに当面とっておりまする施策及び今後の方向等につきまして御説明申し上げます。  当省といたしましては、物価問題がきわめて重要であるという認識のもとに、産業政策樹立展開にあたりまして、常に物価問題への配慮を行なってつとめてまいった次第でございまするが、この基本的な物価対策に関する考え方といたしましては、特に現在の不況下におきまして消費者物価上昇をいたしておりまするが、これは、国民所得伸び不況のために停滞をいたし、しかもなお消費者物価上昇するということと相重なりまして、実質的な収入が低下するといった結果を来たしておりますことを、まことに重大な問題であると考えております。これが対策といたしまして、国民生活の安定をはかる見地から、消費者物価上昇を抑制するということはきわめて大切な点であると考えて、これに必要な努力を傾倒いたしておる次第でございます。特に、消費者物価抑制のためには、その原因となっておりまする生産性の低い部門生産性向上をはかることをもって第一の方策といたしております。また、生産性の低い部門生産性上昇をはかりますことは、同時にその上昇成果価格の面に反映させるということが大切であるという考え方のもとに業界の指導を行なってまいっておる次第でございます。  以上のような一般的な前提に基づきまして、個々にとっておりまする施策概要を御説明申し上げますと、その第一は、中小企業関係でございます。もっぱら生産性の低い部門と言われておりまする中小企業に関しましては、その生産性向上をはかりまするために、近代化資金高度化資金というものの投入をはかり、あるいは一般中小企業金融円滑化ということを通じまして近代化促進するようにつとめておる次第でございますが、特に、当面の消費者物価関係の深いものにつきまして重点的に近代化促進をはかっておる次第でございます。  中小企業近代化促進法業種指定ということにつきましては、消費者物価上昇が著しいもの、あるいは消費生活に占めるウエートの高い業種等国民生活関係の深いものを優先的に取り扱うという方針のもとに、すでに、みそ、しょうゆ、パン、木製家具縫製品陶磁器等業種指定を行なってまいっておりますが、四十年度におきましては、ハム、ソーセージ、製材、金属製家具等、二十四の業種追加指定をいたした次第でございます。なお、これら指定業種につきましては、その近代化のための基本計画並びに実施計画を三十八業種について策定をいたしまして推進をはかっておる次第でございます。  さらに、中小企業設備近代化資金を通じましての生産性向上をはかる意味におきまして、四十年度には当資金としまして百七十七億円を計上いたした次第でございますが、四十一年度におきましては二百十八億円の計上をいたしてございます。また、その貸し付け対象といたしましても、新たに生鮮食料品冷凍設備といったものを追加する予定でございまして、その結果中小企業設備近代化資金投入を通じましての生産性向上効果を高めるよう努力をいたしておる次第でございます。  また、高度化資金につきましては、すでに四十年度におきまして百四十三億円を計上いたしておりまするが、四十一年度におきましても百六十七億円を計上いたしまして、中小企業集団化を通じましての生産性向上に寄与いたすよう措置いたしておる次第でございます。  次に、流通機構合理化問題でございまするが、当省といたしまして、特に低生産性部門一つである流通機構生産性向上見地から、この問題の解決の促進をはかりまするために、小売り商のボランタリーチェーンという組織を推進いたし、小売り店経営改善もしくは改良大量流通機構の形式といったような方策によりまして流通コストの低減をはかることといたしております。また、卸商業部門合理化、特にその機能の円滑化ということをはかりまするために、卸総合センターというものの建設を大都市におきまして促進をいたしますとともに、物的流通コストといわれるもののコスト節約をはかりまするために、包装でありますとか、荷役、輸送、保管等の物的な流通活動合理化を推進いたす必要を認めまして、その実態を目下調査中でございますが、特に四十一年度におきましては。パレットプールシステムというものについての集中的な利用合理化をはかる方策を推進いたすことになっております。  第三に当省といたしまして、競争条件整備ということを考えてまいりたいと存じております。これは、特に生産性向上につとめました結果、その成果を適正に価格に反映されるような条件といたしまして、競争状態が常に活発に維持されるような方策を講ずることが必要であるという観点に立っておる次第でございます。この点につきましては、すでに申されておりまするように、わが国の産業界一般過当競争といわれる状態でございまして、いわゆる過度の競争状態にある部門がはなはだ多く存在をいたしておりまして、むしろ競争が制約されておるといったような事態は例外的ではないかと考えております。さような意味におきまして、競争的な産業界存在が多数であるということは、適性な生産性向上成果価格面に反映される条件を十分に備えておると考えております。また、中小企業につきましては、その不況事態の様子によりまして、各種の協定の認可あるいは員外規制命令発動等を行なっておる次第でございますが、これにつきましても、不当な価格形成が行なわれないように十分留意をいたしておりますとともに、先ほど申し上げましたごとく、当該業種近代化もしくは合理化という方向に十分な配慮をいたすように指導いたしておる次第でございます。なお、中小企業協同組合法に基づきまする事業協同組合におきまして価格協定事業を認められておりますることは御承知のとおりでございまするが、この価格協定につきましては、すでに事前に都道府県知事届け出を行なわしめるよういたしておりますとともに、さらに、届け出を受けました都道府県知事を通じまして中小企業庁当該価格協定内容を報告いたすようにいたしております。かような方法を通じまして、実質的に不当な価格形成の行なわれることのないよう十分な指導をいたす方針をとっておる次第でございます。また、同じような趣旨から、各都道府県に置かれておりまする協同組合関係中央会に対しましても国庫補助を行ないまして、当該価格協定事業適正化ということについて、指導を行なわせておる次第でございます。  次に、消費者物価に直接影響は少ないとは存じまするが、現在行なわれておりまする不況カルテル等について一言御説明を申さしていただきますが、不況カルテルは、現在通産省関係所掌物資につきましては、特殊鋼の一部でありまする構造用合金鋼あるいは綿糸等十四業種にわたって認めております。また、粗鋼等につきましては、行政指導による減産、勧告操短を行なっておる次第でございますが、これらの不況カルテルもしくは勧告操短といったものは、当該産業におきまする価格、いわゆる市況が著しく悪化いたしておりまして、その市中価格コスト割れといった状態を示し、当該事業に属する経営の多くが継続を困難とする、著しく困難となるという事態条件として初めてかようなカルテルの結成が認められておる次第でございます。また、このような事態が長く継続いたしますと当該産業の崩壊を招き、ひいては消費者にとりましてもまた国民経済全体にとりましても好ましくないという事態が予想されることを配慮いたしましての措置であることは申すまでもございません。したがって、かような不況事態改善が見られますならば、直ちにかような不況カルテルその他の操短を廃止いたすことは当然でございまするが、いま必要とされておる最中におきましても、その価格面への反映につきましては十分留意をいたしまして、価格動向の監視を怠らない所存でございます。  さらに、いわゆる管理価格の問題といわれるものが、不当な価格形成といたしまして一部業種について存在しているのではないかというような御意見が見られるようでございまするが、われわれといたしましては、不当な価格管理ということが特定の商品、物資について行なわれますことはきわめて望ましくないと考えております。したがいまして、所管産業の価格形成の実態につきましては常時十分な把握を行ないまして、かかる意味での不当な価格形成が行なわれないように指導配慮をいたしておる次第でございますが、先ほど申し上げましたごとく、わが国の現在の状態におきましては、むしろ各産業を通じまして過当競争状態というようなものが一般的に認められますので、いわゆる管理価格と申されるような弊害は現在のところ存在しておらないと考えております。  なお、公共料金の問題につきましては、当省といたしましては電気料金、ガス料金等を所管いたしておる次第でございますが、これらにつきましても、その値上げが国民生活に大きな影響を及ぼすものであるということを十分考えまして、極力その値上げの抑制につとめてまいってきておる次第でございます。なお、合理的なかつ能率的な経営改善努力によりましてもなおかつ事業の収支状況が悪化し、料金を据え置くことが困難と認められるものにつきましては、物価の動向あるいは国民経済全体の動きを配慮いたしまして、慎重に対処いたしたいと考えております。  なお、昭和四十一年度の税制改正によりまして、家庭電器、カメラ、フィルム、時計、小型乗用車等、相当広い範囲にわたりまして物品税の軽減を行なう予定になっておると承知しておりまするが、この物品税の引き下げに伴いましては、その成果価格に十分反映されまするよう、関係業界を強力に指導をしてまいる方針でございます。  以上を通じまして、当面当省がとっておりまする価格面での対策を申し上げた次第でございますが、今後とも、かかる見地に立ちまして、物価の適正化という意味におきまして、産業政策におきましての物価対策を強力に展開をいたす所存でございますが、あわせまして、産業の国際競争力の強化を通じましての貿易の拡大ということも重要な目標として追求をしてまいりたいと考えております。かような意味におきまする国際競争力の強化ということは、ひいては国内における当該製品の合理的な価格の引き下げに同時に寄与する方向でありまして、物価引き下げと相両立するものと考えております。かような方向での効率的な生産体制、産業体制の整備、再編成を通じまして、競争条件が整い、生産性向上の基盤が充実されまして、物価対策としての長期的な方向が打ち出されるように努力いたしたいと考えております。  以上でございます。
  6. 小笠公韶

    小笠委員長 以上で農林省及び通産省当局からの説明は終わりました。     —————————————
  7. 小笠公韶

    小笠委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。井岡大治君。
  8. 井岡大治

    ○井岡委員 先に通産省の方にお尋ねをいたしますが、私はきょうは私の意見というものは差し控えます。  いま聞いたわけですが、管理価格がない、こういうことを言われましたが、この点は少しやはりうかつじゃないか。そういうような姿勢で指導をなさっておる限り、物価の引き下げということはあり得ない、こう私は考える。たとえば電気製品というものを考えてみましても、若干例外はございまするけれども、ほとんどこれは管理価格で一定をしておる。しかも業者が十分話し合っておる。こういうことは明らかな問題ですから、そういううそを言わないようにひとつお願いをしたい。  それから、問題は、再販価格の問題について一言もお触れになっておらない。この点は、どういう意味で再販価格について触れられないのか、対策を強化されないのか、こういうことについてひとつお伺いをしておきたい。
  9. 両角良彦

    両角説明員 再販売価格につきましては、現在の法制上のたてまえといたしまして、公正取引委員会の指定制度をもって運用されておりまして、当省といたしましては、当該指定品目の実態というものにつきましては十分これを調査いたしまして、適正な運営が行なわれるように公正取引委員会とも協力をいたす体制をとっております。  なお、一般に、再販価格制につきましては、過当競争状態にある業種、もしくはそうでない業種等によりまして、いろいろその評価、効果がまた違ってまいると考えますので、常に業界の実態を十分に把握いたしまして適切な指定もしくはその運用をはかってまいることが望ましいと考えております。
  10. 井岡大治

    ○井岡委員 そうしますと、私はきょうはこの問題についてはあまり触れませんが、少なくとも再販価格というものが強力に締めつけられて価格形成を行なっておるという事実だけはお認めになるわけですね。
  11. 両角良彦

    両角説明員 再販価格制が現在の消費者物価問題についての引き下げを阻止したり、もしくは引き上げる方向において働いておるというふうには必ずしも承知しておりません。
  12. 井岡大治

    ○井岡委員 たとえば、一つの例をあげますと、どこの会社ということは私はきょうはやめます。やめますが、化粧品製造業者から、卸売り業者それから小売り業者に対して価格を指定しております。そうして、そのことをおかした小売り業者は直ちにその製品の販売を停止される。この事実はあるわけです。したがって、私は、この問題について公正取引委員会に、なぜこれをおやりにならないのだということを昨年言ったことがあります。ところが、研究中です。こういう状態です。したがって、研究ばかりしておって一向に成果があがっておらない。こういう事実から考えて、私は現在の公正取引委員会をもっと強化する必要があると思います。しかも、その強化は、単にいままでのようなやり方でなくて、消費者の代表を含めた委員会にしない限り、頭だけの委員会になってしまうのではないか、こういうように考えるわけですが、そういう点についてはどうですか。
  13. 中西一郎

    ○中西政府委員 再販価格のお話、御指摘のとおり、特定の商品については、定価を割って売りますと、荷物をとめられるというようなことは聞いております。また、それは、それ自体、再販制度の中に入って指定届け出を受けた場合には合法化されておるのも御存じのとおりであります。ただ、その場合に、百円の原価のものについて三十円、四十円のリベートがあるというような形で、生産性向上消費者に還元されてないというようなものがあれば、これは指定を取り消すべきであると思うのです。そういう観点で公正取引委員会が作業をしておられるのですけれども、せんだって、二月の十一日だったですか、雑酒、キャラメル、ワイシャツ、写真機の四品目の指定を取り消したはずです。なお五つほど残っております。その中にはお話しの化粧品あるいは医薬品が入っております。  今後の公正取引委員会の強化の問題については、私どもも非常に大きな関心を持っております。ことしの定員増加三十名についても、いろいろ相談もし、協力申し上げた経緯があるのですけれども、あの程度の人員増加で済むとは思っておりません。何年かの年次計画でやはり充実をしていく必要があろうと思います。消費者代表云々のお話については、確かに理屈としてはそういうことは必要だと思うのです。ただ、その消費者代表というのは選びにくい点もございます。その点は、公正取引委員会のみならず、各関係省で物価問題についていろいろな審議会がございますけれども、それぞれの運営、構成についても同様の問題があるというふうに思っておりますが、何かの形で、場合によっては、学者さん方の中でも国民生活というような立場でいろいろものを研究しておられる方もおられますので、そういう方を中へ入れるというような形で処理できる場合もあろう。いろいろ研究さしていただきたいと思っております。
  14. 井岡大治

    ○井岡委員 その問題はあとでまた私は取り上げます。  同時に、不況カルテルに名をかって、カルテルの指定をされた以外の業種はかなり不況だということで、再販価格まで押えている事実があるわけですから、この点は十分調査をしていただきたいと思います。  それから、お説のとおり、生活必需品に対する中小企業近代化がおくれておるということはそのとおりなんです。そのとおりなんですが、いまいろいろ近代化をするための施策を講じておるというお話ですが、たとえば、正直に言ったら、近代化をするための金融措置というのが非常にめんどうくさいですね。そのために、なかなか近代化をやろうとしない、できない、こういう点が非常にあるわけです。これは大蔵省関係になるかもわかりませんけれども、少なくとも生活必需品に対する中小企業近代化のための資金のワクというようなものをこしらえてやらなければ、なかなか借りに行っても貸してくれない。ということは、中小企業というよりは、生活必需品に結ぶ中小企業というのは、むしろ零細企業のほうが多いということなんですね。こういうような点について、もっと具体的に、どうやったらいいかというようなことでお考えになっておることがあればひとつお聞かせを願いたいと思う。
  15. 両角良彦

    両角説明員 御指摘のとおり、中小企業関係におきまする金融面の便宜の供与が現状においてかりに不十分な点があると仮定いたしましたら、十分その点は中小企業庁と協力いたしまして是正をいたすにやぶさかではございませんが、具体的に、現在のところ、先ほど申し上げましたように、特にこの消費者物価問題に関連の深い業種追加指定ということを行ないまして、かつその業種に関する基本計画もしくは近代化計画というものの策定を進めておりまして、それを実際に展開するにあたりまして、御指摘のようなワクの設定その他が可能であるかどうか十分検討いたしまして、実態をもっとやりやすく円滑に推進できるように努力いたしたいと思います。
  16. 井岡大治

    ○井岡委員 話としてはそのとおりなんですよ。しかし、この問題は議論の問題じゃないですから。実際問題としてほんとうにやりにくいというのが実態なんです。私は大阪におりますから、たくさん中小企業でしかもそういう生活必需品に結びついておる業種の方と接しております。この間も約六十人ばかり集まって、いろいろ皆さんの意見を聞いたのですが、一番先に言われることは、指定種目に入っている工場だけでなくて、その関連をしておるところに問題があるわけですね。関連をしておるところに問題があるが、その関連をしておるところにはそういう近代化資金がいかない。そこからくる混乱が起こっている。そのためにだんだんおくれていく、物が上がっていったりする、こういうのが実態だろうと思うのです。ですから、私は、単にその近代化をいわゆる指定をした品目だけでやるというのでなくて、それに関連するものをどうするかということがやはり具体的に考えられなければいかないんじゃないか、こう思うのです。それには、現在の中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫というようなものに対する貸し付けのやり方、これが非常にむずかしい。したがって、同時に、府県あるいは市町村の信用保証というようなもの、こういうものをもっと大幅に政府が援助してやるというようなことを考えれば、その関連のほうは少しやりやすくなるのじゃないか、こういうように考えるのです。こういうような点についてどうお考えになっておるか、ひとつお伺いしたいと思います。
  17. 両角良彦

    両角説明員 御指摘のとおり、中小企業に対する金融にあたりまして、その信用の保証ということを充実することが金融の円滑化に非常に役に立つだろうということは、まことにそのとおりだと思います。その意味において、中小企業金融公庫等におきまする政府出資の大幅な増額を本年度予算においてもお願いをいたしておる次第でございまして、さような点を通じましての保証基金の充実ということが当面最も急を要することと考えておる次第でございます。  なお、それに関連いたしまして、関連業種に必要な資金の融通ということも考慮せよという御指摘でございますが、さような物価対策の面におきまして効果がある関連業種が具体的に取り上げることができますならば、それを指定の候補業種といたしまして、さような面に融資が行なわれるような道をつけてまいることにつとめたいと思います。
  18. 井岡大治

    ○井岡委員 いまのをもっと具体的に申しますと、たとえばミシンならミシンをやる。ミシンの針、バネ、こういうようなところについては何ら近代化資金が回ってこないわけなんですね。ですから、たとえば、ミシンというものは、そのミシン会社でどの程度できるのだ、そしてどの程度関連事業に回しているか、こういうようなことをお調べになって、それらに対する対策を具体的に講じていく必要があるのと違うのか、こう言っているのです。
  19. 両角良彦

    両角説明員 現在、設備近代化融資は、御承知のとおり、業種指定を行ないますとともに、特に物価対策見地からの必要な機械指定を行なっておる次第でございます。たとえば、牛乳につきましては、洗浄機、殺菌機、あるいは清涼飲料でございますと自動びん詰め機械といったようなものが、近代化の指定機械として物価対策上必要であるという指定を受けております。そういう面におきましては、ただいま御指摘のありましたような具体的な必要性のある機械でございましたら、さような対象機械としての追加ということによりまして金融の道を開くべきだと思います。
  20. 井岡大治

    ○井岡委員 どういうものか、それが非常に金融をしても償還の期間が短いのですね。これに一つの問題があるのですよ。ですから、これらの問題は、いわゆる物価対策あるいは近代化対策というような立場から言うと、かなり長期にわたる融資にしないと、借りようとしても借りられないのだというのが実情じゃないか、こう思うのです。そして、結局そこは一番借りやすい方法で借りるために金利に追われる、こういうことになるのではないかと思いますので、これらの問題を具体的にもっと考えるべきだ、こう思います。  それから、農林省の方にちょっとお尋ねをしますが、私も同じようなことを考えているわけですけれども、生産性の拡大のための方途として、たとえば食肉なら食肉を指定する。あるいはその飼料をつくらせる。これについても、やはり金を早く償還をしなければどうにもならぬというのがいまの実情ですね。この間も私は三田の牛を飼っているところに行きましたが、これは先生、お金を借りても、返すまでに私のほうは参ってしまいますよ、こういう話なんです。ですから、ここらのところももっと長期にやるということを考えるべきではないか、こう思うのです。この点はどう考えますか。
  21. 太田康二

    ○太田説明員 ただいま先生のお話のありましたとおり、現在家畜の導入資金につきましては農林漁業の近代化資金あるいは農林漁業金融公庫からの畜産経営拡大資金という制度もございます。その償還期限が短いというようなお話もあったのですが、なおその点につきましては今後検討してまいりたいと思います。  それから、従来最も要望の強かったのは、牛等につきましては、資本を投下いたしましてから果実をあげて現金化するまでに相当期間が長い、迂回生産の期間が長いわけでございますので、今回、農業近代化資金の中に、繁殖の牛あるいは搾乳牛の経営に対しましては、いままで中期の運転資金近代化資金対象になっていなかったわけでございますが、一応近代化資金対象に加えまして、そういった中期の運転資金も政府と県で利子補給しまして、おおむね六分程度の金を借りられるような制度をつくりまして、そういった補完をやってまいりたい、かように考えております。
  22. 井岡大治

    ○井岡委員 六分程度でなくて、ある一定期間据え置いてやって、それから償還させるというようなことをしないと、貸したわ、直ちに返せでは、牛は風船みたいに一ぺんにふくらむわけじゃないんですからね。しかも、牛は二頭生まれるわけじゃない。一頭しか生まれぬのですから、その点はもう少し、六分ということでなくて、ある一定の期間据え置いてやって、それがようやく回転をしていくようにしてやらないと、だんだんだんだん牛を飼育するというようなことはめんどうくさくなってくると思うのです。一生懸命やってもそれに追われてしまって、売るときには考えてみたらそれによって利益するものがほとんどない、こういうことだと問題がある。ですから、ある一定の期間を据え置いてやって、それから償還させるというような考えでいかなければいかぬのじゃないか、こういうようなところをもっと研究していただきたい、こう思うのです。  それから、私はこの間東北に行って、原野を見つつ行ったわけですが、あそこなんかを開墾すれば、もっともっとやれる農地というか、山地というか、丘地というのがあると思う。これらについて、開墾をするための資金、これも重要だと思うのです。たとえば、ノルウェーの場合を考えてみましても、二十年の月賦くらいでそれを渡している、こういう状態です。ところが、日本の場合は一年か二年の間に貸した金を取るという状態ですから、そこに問題が出てくる。食生活というものはますます窮屈になってくるわけですから、いまのうちに対策を立てておかなければいかぬのじゃないかと思うのですが、そういうような点について、もっと研究をしていただきたいと思います。
  23. 小笠公韶

    小笠委員長 砂田重民君。
  24. 砂田重民

    ○砂田委員 尾中参事官に伺っておきたいのですが、中央市場取引のことで、農林省は数年前から人口十五万以上の都会には中央市場を逐次開設していくのだという方針でこられたはずなんです。その方針は今日まで変わっておりませんか。たとえば、流通の段階で取引はもっと大量な形でやるべきだという考え方が二年くらい前から新たに出てきていると思う。それから、地域地域によっては道路の改善とかそういうことが行なわれて、生産地から大きな都会へ持ってくる道路その他が完備された。また、大きな都会の近在にある中小都会との間の道路も改善されている。こういうふうに、社会環境は少し変わってきているのだけれども、それでも人口十五万以上の都会には中央市場を逐次開設していくのだという農林省の方針は今日もなお変わっていませんか。
  25. 堀川春彦

    ○堀川説明員 農林省におきまして中央卸売り市場の開設整備を進めておるわけでございますが、御承知のように、中央卸売市場法におきまして、人口十五万以上の都市の区域及びこれに隣接する区域を農林大臣が指定した場合に、その区域における生鮮食料品の円滑な流通をはかるために中央卸売り市場の開設をいたす、こういうことに法律で定められております。したがいまして、農林省といたしましては、この適格性のある都市から御申請がございまして、施設整備し、中央卸売り市場を開設いたしたいというときには、これに対しまして指導援助を加えておるわけでございますが、現在のところ、人口十五万以上の都市が全国で八十七都市ございます。そのうちすでに開設を見ておる都市が二十三でございます。近々のうちに開設を見る予定で施設整備をすでに始めあるいはこれから着手しようというものが四つございます。したがいまして、残りの約六十くらいのものが未開設の状況に相なっておるわけでございます。最近におきまして、消費者物価上昇、こういったものを地域的に見てまいりますときに、地方都市におきまして、かなり大都市に劣らず、あるいは地域によりましては大都市における消費者物価上昇のテンポ以上に消費者物価が上がっておるというようなところも見られるわけでございまするので、私どもといたしましては、地方都市における中央卸売り市場の開設もできるだけ進めてまいりたいというふうに思うわけでございます。しかし、何と申しましても、やはり中央卸売り市場らしき市場にいたすためには、あまり過小な扱い額でこれを行なうということには種々問題もございまするし、地方の小都市の財政負担力といった問題もからまってまいりまするから、私どもとしては、大都市並びに中都市でまだ整備をされておらないものがかなりございまするので、気持ちの上では、未開設の都市の中でも特に開設のおくれております中都市がまだ相当残っておりますから、この辺を重点に取り上げて進めるようにいたしたい、かような心組みでおる次第でございます。
  26. 砂田重民

    ○砂田委員 その地域地域の実情をよく考えて、ケース・バイ・ケースでおやりになるほうがぼくはいいと思う。  それから、荷受け会社のことですが、これも農林省は、以前からというよりは、東京でああいう事故があって、あれ以降、荷受け会社というものは単独のほうがいいのだ−単独がいいか複数がいいか、いろいろプラス・マイナス両面あると思うのですが、あの事故があって以来、単独のほうがむしろプラスが大きいということで、荷受け会社というものは単独のほうがいいという指導をしてこられたと思う。ああいう荷受け会社を単独にするべきではないかという指導を始められてから、どれくらい単独荷受け会社というものがいままでに開設されており、中央市場の中で単独荷受け会社というものが実現してきているかということが一つ。それから、こういった消費者行政というものが非常に重要な時代になってまいりましただけに、はたしてその荷受けが単独でいいという、プラス・マイナスのプラスのほうが大きいかどうか、こういったことをどう考えておられるでしょうか。あるいは、今日の会社環境では必ずしも単独が望ましいとは言えない、そういう結論を得られているのかどうか。これは堀川君に聞いたほうがいいのじゃないかと思う。
  27. 堀川春彦

    ○堀川説明員 御承知のように、昭和三十五年に市場の調査会の答申がございまして、この中におきまして、いま先生の御指摘のように、できるだけ単一化が望ましいという御答申を得ているわけでございます。自来農林省といたしましてはその方向に沿って指導を加えてきたことは御承知のとおりでございますが、三十六年以降、新しく市場をつくる、あるいはこれは分場をつくるというものも入っておりますが、この場合におきまして、卸売り人を同一取り扱い品目の部類について二以上認めたという例はないわけでございます。大体において答申の線を指導方針とし、それを実行しつつある、かように御了承をいただきたいと思います。
  28. 砂田重民

    ○砂田委員 単独のほうがいいという考え方は、今日もなお変わってないですか。
  29. 堀川春彦

    ○堀川説明員 基本的にはさような考え方で進めておるわけでございます。
  30. 砂田重民

    ○砂田委員 私は、農林省はもう一ぺん経済企画庁の中西局長のところとも相談をしながら考え直してみなければいけないのじゃないかという気が実はするのです。東京で事故があったので、生産者保護という意味合いから単独が望ましい、荷受け会社というものは経理内容をもっとしっかりさせなければ生産者が安心して荷受け会社に出荷ができない、こういう意味合いが強くあって単独制というものに踏み切られたのじゃないかと思うのだけれども、それならそれでそういう指導を力強く続けてこられたかというと、いまの堀川君の御答弁でも、新しくつくるところはそういう指導をしてきたけれどもという程度の御返事しかいただけない。また、確かに、あの時分と今日ではもう社会情勢というものがすっかり変わってしまっているのじゃないかという気持ちが私にはするのです。したがって、単独の荷受けのほうがよりプラスが大きいか、よりマイナスが大きいかという点は、やはり慎重に取り組んで考えてみなければならぬ時代がもう来ていると私は思う。これはひとつ早急に真剣に検討していただきたい。いろいろな角度から考えていただきたい。これはお願いをしておきます。  それから、先ほど、尾中参事官の冒頭の御説明の中に、小売り市場における取引の改善という非常に抽象的なお話と、生鮮食料品の小売り業者に対しても何らかの改善をしていくというお話があったのですが、いろいろなことを考えておられると思うのだけれども、そうたくさんでなくてもいいから、たとえばこういうことを小売り業者の取引改善には考えているのだという具体的な点がありましたら、もう二つでも三つでも、簡単でけっこうですから、ちょっとお答え願いたいと思います。
  31. 堀川春彦

    ○堀川説明員 先ほど尾中参事官が申し上げましたのは、生鮮食料品の小売り業の近代化のために、来年度予算を若干いただきまして、農林省において、関係業界のほか、消費者代表、学識経験者等の御協力を得まして、近代化の具体的な方策の樹立のための協議をいたす方針である、かようなことを申し上げたわけでございます。御承知のように、農林省は、三十九年に、生鮮食料品の小売り営業の近代化のモデルをつくりたいということで、食料品総合小売市場管理会法というものを御提案申し上げたわけでございますが、いろいろのいきさつがございまして、関係業界等の反対もこれあり、廃案というような状況に相なっているわけでございます。何と申しましても、これは商業面における近代化の問題でございまするから、関係業界の心からなる御協力を得ながら進めるということがありませんとうまくいかぬわけでございます。したがいまして、この協議を通じまして、一般的に小売り業の近代化が必要であるということの御認識を関係業界自体においても持っていただくと同時に、何かいい方策があればこの協議の中からそれを出していただく、そして逐次これを具体化をする、こういうかっこうで進めたいと思いまするので、私どものほうで、役所がこういう方向がどうかということで、いまここで申し上げるような具体案というものは必ずしもないわけでございます。しかしながら、やはり、小売り営業の近代化のあり方、方向というものは、たとえば営業の方式を人手のかからない方式にするとか、あるいは大型化をするとか、あるいはまた、やりようによりましては専門店化を進めるとか、あるいは仕入れの方式を共同化して合理化するとか、いろいろの方式があると思うのでございます。もちろん、これに関連してまいります。たとえば先ほど御説明のございました中小企業庁方面におきまする近代化融資その他の施策をいかにして生鮮小売り業で活用するか、こういうような問題も出てまいりますので、他省ともよく御連絡をとりまして、真剣にこの問題を考えていきたい、かように考えておる次第でございます。
  32. 砂田重民

    ○砂田委員 どうも堀川君を少し困らせるような質問をしたらしいのだけれども、農林省だけで小売り業者の近代化というものをお考えになる点にぼくは無理があるのじゃないかと思うのです。たとえば、その標準価格店ですか、何年か前の農林大臣がおやりになったのだけれども、標準価格店、たとえば銀座の裏に八百屋さんがあるとすれば、その銀座の裏の八百屋さんと金町にある八百屋さんとはまるで地価が違うのだけれども、それを同じ値段で統一していこうという標準価格店というものは無理があったのじゃないか。やはり、私は、小売り商近代化というのは、相当その地域社会の大きな問題であって、国全体で、全国一律にこれを律しようという考え方はちょっと無理じゃないかと思う。そういう点で、特に最近は中小都市でも生鮮食料品価格が非常に上がっておりますけれども、やはり何といっても非常に大きな比率で上がっていっているのはおもに東京並びにその他の政令による六大指定都市で、こういうところを重点に、地域社会といいますか、地方自治体といいますか、こういうものと一緒になってもう少し農林省がお考えになったほうがいいのじゃないか、そういう気持ちがするのです。  これはそういう地域社会の問題だというふうなことを考えてくると、消費者教育もやはり、生鮮食料品価格対策国民生活のための政策として重要な問題だと思うのだけれども、一つ例をとって言えば、魚屋さんに冷凍のサンマと生きのいいサンマとが並んでいれば、いまの消費者の奥さん方は、安いほうの冷凍のサンマを買わないで、高いほうの生きのいいサンマを買ってしまう人のほうが圧倒的に多い。こういう事態は、やはりもう少し消費者に商品教育をしていくという考え方をしなければならないと思う。それも、農林省で東京におられるいろいろな各界の人を呼んで教育されるというところに、私は、悪いというか、ひどいことばで歯にきぬを着せないで言えば、何かやらなければいけないというかっこうだけ見せるような無理があるような気がする。むしろ、農林省は、各地方自治体、あるいは大きい市なりと一緒に相談されて、地域社会の問題として、消費者教育、あるいは消費者に商品知識を与える、こういう施策をとっていかれなければ、東京でモデルだけをつくったって一向何の役にも立たないのではないか、こういう気持ちがするのです。これからそういった地方自治団体と農林省が一緒に検討を加えて、地方自治体に力を入れさせて、消費者教育、消費者に商品知識を与えていく。いまコールドチェーンをあれだけ宣伝されて取り上げてやっていこうとするのですから、特にこういう時期にそういったことを考えられるかどうか、これを特に堀川君に伺っておきます。
  33. 堀川春彦

    ○堀川説明員 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、農林省だけでいかにさか立ちしましても、小売り営業の近代化とかあるいは消費の改善という問題は進みませんので、私どもは関係の自治団体あるいは関係の各省と十分御連絡申し上げまして、特に最近は経済企画庁がこういった問題についての総合調整をやっておるわけですから、この経済企画庁とは密接な関係をとりつつ進めたいと思っておるわけでございます。  お話の中で、冷凍魚の問題、あるいは標準小売り店の問題、あるいは消費者教育の問題、いろいろ具体的に御指摘があったわけでございます。こういった問題につきましても、農林省といたしまして予算が若干とれておるわけでございますが、標準店の問題は、これは東京都の自治体がやっておるわけでございまして、これについては、農林省の予算は農林省の予算として執行してまいるわけでございます。その他の面におきましては、たとえば中小企業庁における近代化資金の問題におきましても、農林省と通産省との間に緊密な御連絡を申し上げていろいろ進めていただく、こういうことにしてございますので、その辺についてそごがございませんように今後ともやってまいりたいと思います。
  34. 中西一郎

    ○中西政府委員 地域社会の問題という御指摘がありましたが、まことにそのとおりだと思うのです。最近の実情を申し上げますと、都道府県の中で生活審議会とかあるいは物価委員会とか、そういう形のものをつくらざるを得ないような盛り上がりがあります。役所が中心になってそういう審議会を設けていって、それぞれの地域社会に即した問題の解決策を積み上げていただいて、中央政府でそれに対する裏づけをしていただく、こういうことが一つあると思います。総数十幾つかの都道府県でそういう動きが最近見られますので、それを何とか育ててまいりたいと思っております。もう一つは、文部省の社会教育とか、あるいは総理府でやっております新生活運動、あるいは通産省の消費者協会、それぞれの活動も、不満を言えば不満の点もありますけれども、ともかく育ってきております。そういうようなところといま申し上げた都道府県の審議会がうまく結びついていくように持ってまいりたい、その中から、中央市場の問題にしろ、地方市場の問題にしろ、小売り店の問題等につきましても、あるいは金融の問題につきましても、足が地についた議論が出てくるのではないか、それをできるだけ早く盛り上がるように持っていきたい、関係各省の協力を得まして何とかしたいと実は思っております。そういう場合に、労働省のホームヘルパーとか、あるいは厚生省の生活課の活動とか、それぞれ連携もとらなければならない。そういうことで、始まったばかりですけれども、地域社会に即したということについては、そういうところに焦点を合わすのがこれからの行政の持っていき方ではないかと実は確信いたしております。何とかいろいろ努力してみたいと思います。
  35. 小笠公韶

    小笠委員長 山本勝市君。
  36. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 もう時間もあまりございませんので、ごくかいつまんだ話になりますが、お尋ねします。  私は、先ほど来のお話を承っておって、非常に苦心しておられることはわかるのですけれども、三十五年の九月でしたか、消費者物価対策について閣議決定をして、その後十数回もいろいろな対策を発表しておられる。中には、三十九年になって、三十八年一月に決定した事項を強力に推進するとかいうようなことを繰り返しておるわけです。それで、三十五年以来今日まで物価対策に重点を置いていろいろ対策を立ててこられた結果を一ぺん反省して、そして、どの点は効果をあげた、しかしどの点は効果があがらなかった、それから、なぜ思うようにあがらなくて今日なおますます消費者物価の問題が大きな問題になってきておるかということを、関係の方で反省してみる必要があるのじゃないかと思う。実際にきめたけれども実行しなかったのがいけないという問題もあるだろうし、そうではなくて、全体の計画のどこかにしりが抜けたところがあって、一方ではしきりにやっておるが、一方ではどんどん水が漏れておるというような結果、物価にはね返ってきておるというような点もあるのじゃないか、これが第一点。これまでの五年間に同じことを繰り返して、先ほど来聞いたことは、これまで発表されておることからほとんど一歩も出ていないと言っても過言でないと思うくらいで、どこかに抜けておるところがある。特にそのことを注文を出しておきたいと思う。  それから、ここに公取が見えておられるかどうか知りませんが、この際、価格カルテル及び再販売価格維持制度の功罪について——これは必要があって再販売価格維持制度を認めて指定をしてきた。そして取り消したのもありますけれども、取り消したのは、実際に価格を無理に引き上げておったから取り消したというよりも、指定したけれども実行してない、あってもなくても同じことだというので取り消されたようであります。だから、それは弊害があるから取り消したというよりは、有名無実だから取り消した。あとに五品目指定が残っておるわけです。これらの点について、悪い面といい面、このバランスシートをつくって出してほしいと思うのです。それから、新聞なども価格カルテルを結んでおる。だから、価格カルテルの中に任意カルテルと強制カルテルをはっきり分けて一これは私は機能が違うと思うのです。政府の力で、権力でもってアウトサイダーを禁止するというようなことをやっておる強制カルテル、そうではなくて、不況でどうにもならぬ、共倒れを防ぐためにやむを得ないということでやむを得ずあらわれてきたような任意カルテル、そのかわり何も強制するわけじゃないというようなものとは、これははっきり分ける必要があると思いますが、そうして分けて、これは強制カルテルになっているものもたくさんありますし、任意カルテルのものもありますから、その両者についての功罪のバランスシートというものをつくって出してほしい。われわれが聞きたいだけではなしに、国民の前にそれを出していただけば、私は、国民がいたずらにそのカルテルはいかぬとかあるいはカルテルが必要だというふうなむだな議論はなくなるだろうと思うのです。実はこういう弊害はあるが、しかしこういう効果があってこれは認めておるのだということですね。それでその価格が下がるのを防いでおると言いますけれども、不況カルテルによらず、一般に、私は、任意カルテルというものは——固定資本の設備の多くかかっているものは日本だけではない。日本は過当競争が多いから云々と言いますが、日本だけの現象ではなくて、固定資本設備の多い事業競争すれば、まあ固定資本の償却を無視して、直接費用をカバーできればその範囲内で破滅的競争をやる。これは、すでに投じた資本というものは、生産制限をしてみましても、あるいは極端な場合はその仕事をやめてしまっても、投じた資本費というものは高いものですから、そこで、遊んでおるよりはフルに動かしたほうがいいというので、固定資本の償却を無視して競争するようになるのは必然なんです。だから、そういう近代の固定資本の多い事業競争をすれば破滅的競争におちいる。それを、カルテルを結ぶことによってようやく破滅しないで、共倒れにならないようにできるという一つの機能があるわけであります。それが強制でなくて任意である限りは、その必要がなくなれば自然にくずれます。政府がてこ入れしなければ必ずくずれて、そういう独占は維持できなくなる。こういうことですから、まあ簡単に言いますと、そういう強制カルテルと任意カルテルとを分けて両者の功罪というものをわかりよく書いて、そうして国民にも国会にも示してもらえば、むだな議論がはぶけるんじゃないかと思いますので、それを第二点にお願いしたいと思います。  再販売価格につきましても、先ほどもちょっと触れましたけれども、むしろ、再販売価格の問題は、十四団体というものを指定からはずして、そうしてその制度の除外例を認めておるというようなところに秩序の混乱の大きな原因があると思う。先ほど言った、せっかく指定しておきながら有名無実になって取り消さざるを得ないというようなことになるのは、大きな原因は、そういう十四団体だけは除外だということで、そういうことを認めておるところに私は原因があると思う。昭和二十八年でしたか、この制度をつくるときに、私は安定委員会におりまして極力その点を言ったのですけれども、何しろ当時三党の妥協ででき上がったために、まことに不合理な制度だけれども、多くのいろんな団体に対しては除外例を認めた。たとえば、ある政府の機関のところなら、そこらは適用しちゃならないというか、そこらは幾らに売ってもいい。近所で安い値段で売るところをつくったら、それはもう一物一価の法則で、とてもその近所で価格を維持できるものじゃないですよ。まあ、こういう点がありますから、やはり功と罪との両方を考えられないと、今日ただ物価という一面からだけ、安ければいい安ければいいということでやりますと、今度は破滅的現象が起こってきまして経済全体が非常な混乱におちいるおそれがありますから、お願いをしておきたいと思います。  それから、第三点でございますが、先ほど来、生産性向上さすことによって業者価格の値上がりを防ぐんだということが中小企業のほうにも農林関係にもしきりに出てきました。私はそのこと自体に反対するのではありません。生産性向上は常に必要ですけれども、この提出資料にもありますように、「生鮮食料品需給価格動向」というように表題がありますが、要するに、価格というものは需給関係できまってくるんだ。ですから、需要量に対する供給量の関係で直接にはきまってくるのであって、生産性とは直接関係がないということを私ははっきり頭に置いていただきたいのです。よく、運賃が上がったからそれで価格が上がるとか、あるいは労賃が上がったから必ず価格が上がるとか、生産性が上がれば安くなるんだとか、それがおくれれば高くなるとかいうようなことを言います。あるいは、物品税が下がったからそれだけ物価は下がるんだとか。それなら、物品税を上げたら必ず上がるかというと、そうはいかない。要するに、そういういろいろな現象は、需要量に影響し供給量に影響するということを通して価格に影響してくるのであって、直接価格を決定するものは市場における需要量と供給量の量の関係であります。たとえば市場へ届いた野菜需要量をオーバーするということになったら下がりますよ。しかし、市場に届いた野菜が、四、五人の百姓がつくったものか、あるいは十人の百姓がつくったものかということは、これは生産性には大きな関係はありますけれども、それはそこの野菜市場の相場には影響がないのです。三人でつくろうが、十人でつくろうが、需要量以上に品物が多く届けば値は下がる。逆の場合は逆に動くにきまっているのですから、生産性向上ということは非常に大切なことですけれども、価格を考える場合に、そういう間接的に需要または供給を通して価格に影響するものを、それが直接何か価格を決定するがごとく考えて施策を起こしますと、かえって逆効果を持ってくることがしばしばある。もし効果を奏した場合、たとえば、野菜を下げようと思って生産性を上げる、と同時に生産量をふやしたために、急激な値段の下落が来る。どこもここも百姓が全部生産性が上がっておれば、少々急激な下落が来ましても、これは生産性が上がっておるのですから、たいした打撃は受けません。しかし、なかなか実際問題として、生産性の上がった百姓でなければ野菜をつくってはいかぬというふうにはきめられぬのですから、そうすると、従来のままで一生懸命になってつくった農家が市場に出して、そして急激な下落が来ますと、自然にきまったならあきらめますけれども、政府がいろいろなてこを入れて、そうして急激に下がったということになりますと、これは必ず政府に文句が来ます。だから、逆効果のこともあるし、逆効果じゃなくてほんとうに効果を奏したら、効果を奏し過ぎて急激な下落を来たすおそれがあります。だから、生産性がほかの部門に比べて立ちおくれていた、そこに労賃が上がってきたから上がったんだというふうに簡単にもし考えて、それが正しいとするならば、従来しばしば生鮮食料品の値下がりというものに業者は苦しんだわけですが、その値下がりしたときは、逆に農ためにその値下がりが来たのだという逆のことが言えそうになってくる。しかし、そんなことはだれも考える者はありません。従来値下がりした理由は、何も農業の生産性がほかの部門より早かったから下がったと考えられないごとくに、今日の値上がりも、今度は生産性がおくれたためにということではないのではなかろうかということを一応頭に置いて検討される必要がある。  それで、むしろ私は、こういう点が物価問題で大きく影響しておりはせぬかと思う。一つ一つの商品の価格は、需要量と供給量の関係で、供給がオーバーすれば下がる、需要がオーバーして足らなければ上がるということになる。これは議論の余地はないのですから、そこで、この上がっておるというのは、供給量の比率関係がむしろ需要量に比べて少なくなってきたからではないかということは間違いない見当だと思う。そこで、なぜそういう現象が起こったかという場合に、御承知のとおり、戦後の日本の特異現象で、外国にはないことでありますが、商業手形の割引というものを、銀行がこれを非常に優遇する。そのために五カ月であろうが六カ月であろうが割り引く。元来、商業手形というものは、荷物を送り出してから向こうへ品物が渡るまでに事務的に一定の期間がかかるものですから、その着くまでの間に、マル通ならマル通に渡した証明書をマル通から取って、そしてそれをつけて銀行へ行って割り引いたものです。ところが、今日の商業手形の割引というのは、そうじゃなくて、借金証文のかわりになっている。そこで、売った人が銀行で割り引けるものですから、それで何だか売ったものが金になったような錯覚を持つわけでありますけれども、実は金になったのではなくて借金をしたわけです。手形の振り出し人と同じ連帯の借金を銀行からしていることになるわけですね。そこで、手形がどんどんサイトが長くなってきて、今日におきましては、もうたびたび野党の諸君からも言われますけれども、台風手形、二百十日というふうな手形すら出てくるという状態で、中小企業庁の話を聞きますと、このサイトはますます長くなっているということでありますが、その結果として、まじめな商人は、売ったら金になるのなら一生懸命に売ります。しかし、売って百五十日、百八十日先になってはたしてこれがほんとうの金になるかならぬかということは、今日、だれにもわかりません。金にならぬかもしれない。割り引いたのは自分が借金しただけの話で、これは自分が銀行から借金した。そこで、金になるかならぬかわからぬから、そんなあぶない橋を渡るよりも、むしろ商売を縮めても確実なところへ売ろうという、そういう一つのビヘービアに商人がなっているのです。この商人というものの意識した態度が、実は、せっかく生産設備をしたけれども、つくっても商人が引き受けない。そんなものを、長い先に金になるかならぬかわからぬようなものを、買うて売ったってしかたがないということで、受けないから、そこで、企業は設備はあるけれどもつくれない。消費者のほうでもほしいけれども、つくれない。だから、設備は大きくなって、その過程において所得はふえておりますけれども、実際の生産量というものは以外に少ないのではないか。したがって、需要のほうは所得が伸びてふえているにかかわらず、生産量のほうが少ないために、そこで、生産量消費量、つまり需要供給のバランスが逆になってきて、軒並み物が上がってきておるようになってきておるのではないか。ですから、手形が割引制度によって長期の借金の一つの道具になっておるというふうなことを直さなければならぬ。それにはいろいろ方法があると思います。また、かなりむずかしい点もありますけれども、私は、銀行の貸し出しのビヘービアというものを変えさして、そうしてまた、外国のように、金を貸すときには借りる人間がはたして返す力があるかどうか、つまり信用、担保力というものを見て単名手形で直接貸出しをするという傾向に変わらなければ、手形さえ持ってくれば、本人はどうあろうとも、相当の有名会社の手形さえ持ってくれば、ワク内ならばどんどん割り引く、それが百五十日先の手形であろうが、二百日であろうが割り引くというような銀行の態度を続けておれば、これはもうますますその点はひどくなってくる。企業間の信用というものは大きくなってくる。商人のほうもますます萎縮してしまう。こういうことですから、長い手形は、たとえば二カ月とか三カ月とか、手続上必要なある程度の期間以上の手形を銀行は割り引いてはならない。発行してはならないということはかって法律をつくったことがあるようですけれども、発行することもとめるのはいいですけれども、これはむずかしい。それよりは、銀行は割り引いてはならないということをやって、これをそう急激な方法もとれないけれども、そういう態度で臨んでいけば、私は、健全な姿に返ってくるのではないかと思う。この点にメスを入れなければ、この物価問題の根本的な解決というものも、また不況克服のほんとうの解決も困難ではないかというふうに考えておるのですが、これは一つの問題をひとつ提起したという意味で御検討願いたいと思います。
  37. 中西一郎

    ○中西政府委員 先ほど来のお話の点、一応私のほうからお答えを申し上げておきたいと思いますが、昭和三十五、六年からずっと価格対策の閣議決定あるいは閣議了解があったわけですが、それがさほど効果をおさめていない点の反省はどうか、こういうことですが、この点は、私は、物価政策一般論としては、構造政策あるいは生産性向上野菜牛肉などについては供給力をふやすとか、輸送条件整備しなければならないとか、いろいろなことを何回となくやってきておるわけです。ただ、それが、個別の物資あるいは個別の産業の中身の分析と、それぞれの商品業界についての役所の指導のやり方というものとうまく結びついていなかったのではないか。どうも原則論だけで進んで、個別のそれぞれのパート・パートについては、自分のほうはさほど大きな加害者でもなさそうだということで、それぞれが引き出しに入れるといいますか、たなに上げたといいますか、そんなかっこうになってきた点が多いのではないか。最近物価問題懇談会を何回となくやっていただいておりますけれども、物価問題懇談会のお考えも大体そういうお考えだと思います。で、個別の商品あるいは産業界に入っていって、原則論をどういうふうに適用していくか、どんな壁があるかというようなことを解明していって、その壁を一つ一つはずしていこう、こういう態度になりかかっております。そういう意味で、ここ数カ月かかりますけれども、いままでと違った行政の姿勢が生まれてくるのではないかというふうに思っております。  それから、生産性向上させろというようなことに非常に力点を置いてやっておるわけですが、お話のとおり、需給関係価格がきまるのは大原則だと思います。ただ、米の場合、あるいは、みそ、しょうゆ、パンといったような中小企業協同組合法の適用があるもの、ああいうものは、需給上の問題も一方にありますけれども、それだけでなしに、政府のきめる価格あるいは組合で協定する価格というのが簡単に実現されていく、そういう仕組みになっています。そういう仕組みのものについては、生産性を上げてもらいませんと、いつまでたっても二年に一ぺんあるいは一年に一度というふうに値上げをせざるを得ない、そういう矛盾を業界自身が持っておるわけです。そこで、生産性向上ということをやはり大きく言わざるを得ない。この点はいま御理解願えると思います。  それから、手形のサイト、あるいに企業間信用が非常に膨張しておるというようなこと、そのことと需給関係との結びつけについての御指摘がありましたが、非常にむずかしい問題だと思うのです。といいますのは、一方日銀券の発行高等にもからんでくる問題じゃないかと思います。信用を収縮し、収縮した信用をどこかでやはりカバーしなければならぬという問題があろうかと思いますが、かねて予算委員会でも問題になっていますし、御指摘の、銀行が割り引いていかぬと、いきなりそこまでいけるかどうか問題があると思いますが、そういう方法について、大蔵省当局あるいは日銀、そのほかと相談をいたしたいと思います。
  38. 小笠公韶

    小笠委員長 中西さん、カルテルと再販維持の問題についても質問がありましたので、触れてください。
  39. 中西一郎

    ○中西政府委員 公正取引委員会といろいろ御検討になっておる点でありますが、再販、あるいは不況カルテル、あるいは任意カルテル、あるいは強制カルテルというような御指摘がございました。そういう点につきましても、原則論だけでなしに、個別の業界ではたしてそれが国民経済全体の利益、その産業界の利益と消費者の利益、その調整がうまくついて運営されておるかどうかについて、一つ一つ解明していく必要がある。その点につきましては物価問題懇談会で指摘されております。そういう意味で、バランスシートとおっしゃいましたが、個別の産業界あるいは商品について解明をいたしてまいりたいと思っております。ただ、その場合に制度諭までいくかどうか非常に問題があると思うのですけれども、原則的な問題について、西ドイツの独禁政策に対する態度とか、あるいはイギリスにおける態度、あるいはアメリカにおける態度、日本は少し違っておりますけれども、その違っておる理由がどこにあるかというようなこともそれぞれ検討いたしてまいりたい、かように思います。
  40. 両角良彦

    両角説明員 先ほど御指摘のございましたように、今日わが国の設備過剰もしくは供給力過剰という事態のもとで業界の自由にまかせた場合には、しばしば破滅的な競争が起こり、価格は下がるかもしれないけれども業界自体の存立があやうくなるという可能性があるのではないか、そういう場合にカルテル利用ということを検討する余地がないかという御指摘であったと存じますが、まさに私どもはさような事態が起こり得ると思います。したがいまして、今日独占禁止法で認められておりまする不況カルテルは、ただいま御指摘をいただきましたような趣旨において認められた制度であり、かつ、このような意味での不況カルテルが、関連事業者に悪影響を与えず、また一般消費者の利益をそこなわない限度におきましてカルテル結成が認められる、それによって業界の不況克服のための秩序維持が認められるということは、最小限度必要であろうかと考えております。
  41. 小笠公韶

    小笠委員長 兒玉君。
  42. 兒玉末男

    ○兒玉委員 通産省のほうにお聞きしたいのでありますが、電気料金のことについてお伺いしたいわけであります。  御承知のように、電気事業法の第二十三条に、電力会社はやはり地域独占という立場から、消費者に対する不当なる電力料金等については通産省に監督する権限が付与されておるわけですが、一つの例でありますけれども、たとえば関西電力等の場合においては、大口の電力需用者には一キロワット当たり三円四十九銭、ところが、商店等向けはいきなり十円十七銭、一般家庭は十一円十二銭と、非常に大口と一般家庭との差が大き過ぎやしないか。外国の例によりましても、その比率は、大体アメリカの場合が一〇〇に対して五九、イギリスの場合が一〇〇に対して七八、イタリアの場合で一〇〇に対して五五、こういうふうに、非常に価格がある程度バランスがとれておる。日本の場合、その比率の差が非常に大き過ぎるのではないか。しかも、昨年の九月期の決算の状況から見ましても、大法人組織のベストテンの中に、日銀を筆頭に四つまでも電力会社が入って、非常に電力の収益状況がいい。こういう点から考え、しかも、最近非常に経営方式も合理化されて、相当コストもダウンしておる。しかも、逆に、一般家庭の電機用品の普及によって非常に電力の消費量が高いために、家庭消費の中に占める比率も非常に電気料金が高いわけです。当然こういう点を是正する時期に来ておるのではないか、このように考えますが、この点どのようなお考えを持っておりますか、お伺いしたい。
  43. 両角良彦

    両角説明員 電気料金の詳細につきましては、公益事業局のほうで所掌いたしておりますが、企業局といたしまして、物価問題の見地からの電気料金についてのただいま御指摘の御趣旨はまことにごもっともな点があろうかと思いますが、今日、特に中国電力等につきましては、まさにさような意味における経営合理化の効果の一部を一般の電気使用者に還元をいたすという趣旨で、おそらく年内において料金引き下げという方向の実現があろうかと期待をいたしておる次第でございます。
  44. 兒玉末男

    ○兒玉委員 現在全国で幾つですか、九つですか、この電力会社の料金がどういうふうな形態になっているのか、この点、この委員会に資料として出していただきたい。それから、いま言われました中国については、昨年中国電力から通産省に対して、いわゆる利益分を消費者に還元するという立場から、電気料金の値下げをたしか、要請してあったと聞いておりますが、これに対して、いまだにこれが保留されておるというのは、一体どういうことになっておるのか、この点そのいきさつを明らかにしていただきたいと思います。
  45. 両角良彦

    両角説明員 御指摘のように、中国電力側の要望が非公式にあったというふうに伺っておりますが、その後景気の後退等によりまして中国電力自身としましてもその経理状況等について予測せざる変化がございましたために、適当な時期を待ちましてできるだけ早く料金の引き下げを行ないたいということで現在対処いたしておると承知しております。
  46. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、九つの電力会社の大体現在の経営状況はどうなっているのか、この点、特にこの電力料金引き下げの問題は与える影響が大きいし、また、今日一般家庭が電力料金に対しては相当関心を持っているわけです。しかも、経営状況は、いまあなたが言われたように極端に下降線をたどったとはなかなか判断しがたいので、それを証明する資料をぜひ次の委員会に提出してもらいたい。同時にまた、せっかくのこのような値下げの要請に対して、やはり通産省としては、監督官庁として積極的にひとつ取り組んでもらいたい。その点要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  47. 小笠公韶

    小笠委員長 帆足君。
  48. 帆足計

    ○帆足委員 時間もありませんから、今後の調査につきまして資料をお願いしたいと思います。  予算の分科会も終わりましたので、当委員会もこれから問題の核心にだんだん近づいていくことができるであろうことは、まことに御同慶の至りでございます。この問題は世界経済の状況にも影響される問題でございまして、幸いに、ベトナム問題に対しても、フルブライト・アメリカ上院外交委員長は御承知のような談話を発表しまして、非常に敬服するところがありますから、ある程度問題が合理的に調停され得るということも期待できるような状況であります。何はともあれ、私どもは物価の安定を望むわけです。また、合理的な引き下げは望みますけれども、ただいま御答弁にあったように、物価の暴落を望むわけではないので、安定成長で合理的に引き下げ得るものは引き下げをする、そしてあとは総合調整の問題があるわけです。いただきました資料は、お急ぎでありましたためか、町の病院のカルテのようなものでありまして、実は私どもは総合病院の人間ドックのカルテをいただきたかったのでございますけれども、これだけの資料では判断がつきかねることばかりでございます。特に物価は、同時に生計費と結びついている問題でございまして、総合的に考えねばなりません。  私ども一番目につきますのは、たとえば税金にしましても、所得税、法人税は戦前の四倍にもなっている。とてもこれはたいへんなことです。それから、住宅難のひどいことは御承知のとおりです。教育費でみんな参っておることも御承知のとおりです。それから、先日河合良成氏が指摘しておりましたが、企業貧乏論。あの方は非常に頭のいい人で、もとは帝大の講師でしたけれども、経済学のほうでは、単に実業家ばかりであるだけでなく、抜群の天才です。金利と税金に奉仕しているということを言っておりましたが、結局これは悪循環でありまして、個人においても企業においてもそうですか、金利とそれから税金に奉仕している。それから、インフレーションから恩恵を受けて設備が拡大され、いわゆる国家独占資本という形をなし、所得倍増という形をなしたわけですが、しかし、同時に、今度はその反作用で金利と重税に追われている、こういう悪循環になっておるのでございます。今日の資本主義は、ちょうど私が戦前経団連におりました時代と全く変わりまして、あの時代は、たとえば根津嘉一郎氏などは、天びん棒でカボチャをかついで経営して、二宮尊徳的精神で資本の原始的蓄積をしたのですが、今日は巨大な国家資本のダムがございます。それがインフレとか重税と結びつきまして、ダム的、インフレーション的、抵抗性ウイルス的国家独占資本と私は言っているのですが、問題の禍根は非常に深いところにありまして、やっぱり、肝臓、すい臓、胆のう、胃腸、全部調査して、とりあえずいまの不況カルテルの問題をもう少し掘り下げてる必要があるし、生鮮食料品の問題も、兒玉さんが非常によく研究されているので、御一緒に御協力して、とりあえず安定させる、そしてさらにもう少し深く入っていかねばならぬと思いますので、私は経済企画庁のほうにお願いしておきたいのですが、いずれまた項目を立てて調査要求をいたしますが、銀行の数、支店の数、信用金庫の数全部と、従業員の数全部、それから、金利支払い総額は一体どういうふうにふえてきているのか、これは非常に大きな金額でありまして、公営企業などでは金利の負担のほうが最近多いのではないかと思っております。一般の企業でも、自己資本がありませんから、ほとんど金利と税金に奉仕している。そしてまた、その銀行が国家資本のお金を借りている。こういうことで、空転しております。  官庁の行政費のことも資料をいただくようにお願いしておりましたが、現業官庁でなくて、行政官庁の、皆さんのような有能な方は御心配ありませんが、行政官庁の人間の数及び俸給の総額の数も知りたいと思います。テープ・ガバメント・イズ・ザ・ベスト・ガバメントというのは、社会主義者にとっても真実であろうと思っております。  人間ドックに入れてみますと思いがけないところに重大な疾患がありまして、人というものは、政治家を含めまして、一番重大なことには触れないもので、二番目に重要なことに大いに論議をする。これが人生というものでありまして、ダレスは、ベトコンに殺される前に、首にガンができてなくなりました。池田さんも、所得倍増を謳歌し、石を愛好されているうちに、ガンでなくなりました。石よりもガン研究所のほうにもう少し御寄付なさっていただいていたら早期発見ができたであろう。人生というものはこういうもので、わが物価委員会も、当面生鮮食料品の問題、私は国会議員として大賛成です。しかし、シジミやアサリをとっている間に、向こうのほうから春の潮が満ちてきて、いつかへそまで水につかっておったということになりかねない。その背景にあるのがいま申し上げましたような問題であります。特に住宅問題など最たるものであります。ですから、そういう資料もひとつ御準備くださいまして、近きより委員会は入りまして、やがては問題の核心にも触れ、それから、この委員会だけで解決できません問題は、もちろん国民の世論に訴えて、共同で、住宅問題だとか、日本の高金利の問題とかも解決していかなければならない。いま税金が戦前の四倍の額になっている。私は、奈良朝時代に大体賦役が一年に四十日から七十日と記憶しておりましたが、個人では一割、法人では二割、個人では三十六日、法人で七十五日奴隷奉公すると同じ計算になりますが、今日のように黙っておれば五割払わなければならぬとすると、三百六十五日のうち百八十日の賦役労働で、奈良朝時代の何倍の悪政である。雄略天皇ですら嘆かれるのではないか、こう思うくらいな状況になっておるわけでございます。ですから、深刻な状態で、表にあらわれている現象は浅いのでありますけれども、何ぶんにも、敵は、さっき申し上げましたように、無情冷酷なダム的、国家独占資本的、インフレーション的、抵抗性ウイルス的社会機構で、これに対してわれわれがこれを住みよい世の中にしようという問題でありますから、やがて逐次そういう資料を要求します。大蔵省関係の問題にも入るわけですから、経済企画庁におきましてぼつぼつ資料の御準備をお願いしたいと思います。
  49. 小笠公韶

    小笠委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後零時十八分散会