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1966-04-12 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十二日(火曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 中川 俊思君    理事 大石 武一君 理事 倉成  正君    理事 小枝 一雄君 理事 舘林三喜男君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       池田 清志君    金子 岩三君       坂村 吉正君    笹山茂太郎君       田邉 國男君    高見 三郎君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    藤田 義光君       森田重次郎君    川俣 清音君       西宮  弘君    松浦 定義君       森  義視君    湯山  勇君       中村 時雄君    林  百郎君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         食糧庁長官   武田 誠三君         林野庁長官   田中 重五君         大蔵事務官         (主計官)   嶋崎  均君        農林事務官        (農林経済局統         計調査部長)  木田  繁君        農林事務官        (農林経済局統         計調査部経済調         査課長)    堀江 亮次君         農林事務官         (畜産局参事         官)      太田 康二君  委員外出席者        農林事務官         (畜産局牛乳乳         製品課長)   松本 作衛君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    岡田 覚夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 四月八日  委員小平忠辞任につき、その補欠として玉置  一徳君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員江田三郎君及び松井誠辞任につき、その  補欠として川俣清音君及び山本幸一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として江  田三郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月七日  農林漁業団体職員共済組合法改正に関する請  願外十作(相川勝六紹介)(第二五九二号)  同(伊東隆治紹介)(第二五九三号)  同外五十二件(小川三男紹介)(第二五九四  号)  同外三件(受田新吉紹介)(第二五九五号)  同外七件(木部佳昭紹介)(第二五九六号)  同外四件(高見三郎紹介)(第二五九七号)  同(小平忠紹介)(第二五九八号)  同外六件(中村幸八君紹介)(第二五九九号)  同(永山忠則紹介)(第二六〇〇号)  同(八木徹雄紹介)(第二六〇一号)  同外三件(山田彌一紹介)(第二六〇二号)  同外一件(山田彌一君外一名紹介)(第二六〇  三号)  同外十九件(村山達雄君外一名)(第二六〇四  号)  同外八件(吉川兼光紹介)(第二六〇五号)  同外四件(臼井荘一紹介)(第二六二八号)  同外四件(小山長規紹介)(第二六二九号)  同(小山省二紹介)(第二六三〇号)  同(桜井茂尚君紹介)(第二六三一号)  同外九十五件(森清紹介)(第二六三二号)  同外十件(吉川兼光紹介)(第二六三三号)  同(中垣國男紹介)(第二六三四号)  同(稻村隆一君紹介)(第二六五五号)  同外十七件(大石八治君紹介)(第二六五六  号)  同外一件(砂田重民紹介)(第二六五七号)  同外三件(田中龍夫紹介)(第二六五八号)  同外九十八件(水田三喜男紹介)(第二六五  九号)  同外二件(吉田賢一紹介)(第二六九四号)  同外一件(有田喜一紹介)(第二六九五号)  同外二十四件(遠藤三郎紹介)(第二六九六  号)  同外三件(木部佳昭君外二名紹介)(第二六九  七号)  同外二件(河本敏夫岩紹介)(第二六九八号)  同(佐々木良作紹介)(第二六九九号)  同(島口重次郎紹介)(第二七〇〇号)  同(砂田重民紹介)(第二七〇一号)  同外八件(田村元紹介)(第二七〇二号)  同外二十件(西村英一紹介)(第二七〇三  号)  同( 君紹介)(第二七〇四号)  同外一件(山田彌一紹介)(第二七〇五号)  同外十二件(吉川兼光紹介)(第二七〇六  号)  同(高見三郎紹介)(第二七三二号)  同(登坂重次郎紹介)(第二七三三号)  同外九十五件(中村庸一郎紹介)(第二七三  四号)  同外三十件(臼井荘一紹介)(第二七七一  号)  同(倉成正紹介)(第二七七二号)  同外三十八件(始関伊平紹介)(第二七七三  号)  養豚振興に関する請願池田正之輔君紹介)(  第二七六九号)  土地改良区の職員給及び事務費に対する財政措  置に関する請願石田宥全君紹介)(第二七七  〇号) は本委員会に付託された。 四月八日  農林漁業団体職員共済組合法改正に関する陳  情書外百二十七件  (第二四九号)  同外六十一件  (第二八八号)  同外四十二件  (第三一七号)  畜産技術普及員制度確立等に関する陳情書  (第二五〇号)  国有林事業に従事する労働者雇用安定等に関  する陳情書  (第二五一号)  家畜共済制度改善等に関する陳情書  (第二五二号)  農業近代化推進等に関する陳情書  (第二八六号)  鶏のニユーカッスル病対策に関する陳情書  (第二八七号)  果樹農業振興特別措置法の一部改正に関する陳  情書  (第二八九号)  日韓漁業協定に伴う漁業対策に関する陳情書  (第二九〇号)  農業構造改善事業強化拡充等に関する陳情書  (第三一八号)  林業構造改善事業促進等に関する陳情書  (第三一九号)  北海道太平洋沿岸のサケ・マス小型流網の漁獲  割当に関する陳情書  (第三二〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  入会林野等に係る権利関係近代化助長に関  する法律案内閣提出第一一一号)  農林水産業振興に関する件(指定食肉加工  原料乳及びてん菜等価格)      ――――◇―――――
  2. 大石武一

    大石(武)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、委員長指名により、私が委員長の職務を行ないます。  入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案を議題といたします。  本案について、政府委員から補足説明を聴取いたします。田中林野庁長官
  3. 田中重五

    田中(重)政府委員 入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。  この法律案の構成といたしましては、全五章及び附則からなっております。  まず、第一章総則でございますが、第一条では、この法律の目的を定めております。すなわち、入り会い林野等農林業上の利用を増進するため、その権利関係近代化助長するための措置を定め、もって農林業経営の健全な発展に資することであります。  第二章は、入り会い林野整備に関する規定であります。  まず、第三条は、入り会い林野整備実施手続に関する総括的な規定でありまして、入り会い林野整備は、入り会い権者が、その全員の合意によって入り会い林野整備計画を定め、その計画について、都道府県知事認可を受けて行なうことができることといたしております。  第四条におきましては、入り会い林野整備計画内容について規定しております。その内容は、対象となる入り会い林野の範囲、入り会い権者及び同意を必要とする関係権利者氏名等、各入り会い権者が取得することとなる権利の種類、土地利用計画権利変動に伴う金銭授受方法等であります。なお、土地利用計画におきましては、入り会い権者が取得した権利生産森林組合または農業生産法人に出資する計画があるときは、その内容を定めることといたしております。  第六条におきましては、入り会い林野整備計画審査等について規定しております。都道府県知事は、計画内容につき詳細な審査を行ない、その結果、認可申請が適当である旨の決定をした場合には、その旨を公告することといたしております。これは、入り会い林野における権利関係の複雑さにかんがみ、直ちに認可をすることを避けて、利害関係人異議申し出の機会を与える趣旨に基づくものであります。  第七条におきましては、都道府県知事は、異議申し出理由があると認めたときは、入り会い権者代表者に対して、異議申し出人との協議を命ずることとし、次いで第八条におきましては、その協議がととのわなかったときは、代表者は、都道府県知事に対して調停申請をすることができることといたしております。  第九条は、入り会い林野整備計画の変更の必要が生じた場合における手続について定めたものであります。  第十一条は、入り会い林野整備計画認可等に関する規定であります。都道府県知事は、異議申し出がないとき、協議がととのい、または調停が成立したとき等の場合には、入り会い林野整備計画認可をしなければならないことといたしております。なお、同条第二項におきまして、金銭授受を確実に行なわせる趣旨から、認可前に申請人代表者金銭の供託をさせることといたしております。  第十二条におきましては、入り会い林野整備の効果について規定しております。すなわち、都道府県知事入り会い林野整備計画認可公告をしたときは、その計画の定めるところにより、入り会い権及びその他の権利が消滅し、入り会い権者に対して所有権が移転し、地上権その他の使用収益権が設定されることといたしております。  第十四条は、権利変動についての登記に関する規定でありまして、都道府県知事は、公告遅滞なく入り会い権者その他の関係者にかわって、登記嘱託をしなければならないことといたしております。なお、入り会い林野整備後における協業化を助長する趣旨から、生産森林組合等への現物出資が行なわれる場合には、都道府県知事は、これら法人のために必要な登記をあわせ嘱託することといたしております。  第三章は、旧慣使用林野整備に関する規定であります。  第十九条及び第二十条におきましては、旧慣使用林野整備実施手続きについて規定しております。すなわち、旧慣使用林野整備は、農林業上の利用を増進するための事業で国または都道府県の行なうものまたはこれらの補助にかかるものの効率的な実施を促進するために必要な場合に限り行なえることとし、また、その計画は、市町村長が、あらかじめ旧慣使用権者意見を十分聞き、さらに市町村または財産区の議会等の議決を経た上で定めることといたしております。  なお、旧慣使用林野整備計画認可公告による権利の移転、設定または消滅、権利変動の結果の登記等については、入り会い林野整備の場合に準ずることといたしております。  第四章雑則におきましては、主として国の援助措置について規定いたしております。  まず第二十七条におきましては、都道府県知事による嘱託登記手続簡素化をはかるため、政令不動産登記法特例を定めることができることとしております。  次に第二十八条におきましては、入り会い林野整備等により権利を取得した者がその権利取得によって得た経済的な利益については租税を課さないこととし、第二十九条におきましては、都道府県知事がこの法律に基づいて行なうこととなる事務に要する経費については、政令で定めるところにより、その二分の一を補助することといたしております。  第五章は、罰則に関する規定であります。  附則におきましては、税制上の特例措置を講ずるため、関係法律改正規定を設けております。  まず、地方税法の一部改正によりまして、入り会い林野整備等により土地を取得した場合に不動産取得税を軽減することとし、また、登録税法及び租税特別措置法の一部改正によりまして、権利を取得した者について登録税を免税とするとともに、生産森林組合等権利取得者から現物出資を受けた場合の登録税を軽減することといたしております。  以上をもちまして、入会林野等に係る権利関係近代化助長に関する法律案についての補足説明を終わります。
  4. 大石武一

    大石(武)委員長代理 以上で補足説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 大石武一

    大石(武)委員長代理 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、木田農林経済局統計調査部長より、前回の本委員会における芳賀委員質疑に対する答弁に関し、発言を求められておりますので、これを許可いたします。木田統計調査部長
  6. 木田繁

    木田説明員 四月七日、本委員会におきまして、芳賀委員の御質問にお答えいたしました四十年てん菜生産費のことにつきまして、誤りがございますので、つつしんで訂正さしていただきたいと存じます。  四十年産北海道てん菜生産費家族労働費につきまして、男子が八百五十九円、八時間計算にいたしますと、一時間百七円、女子が一日に七百三十六円、八時間としまして、一時間当たり九十二円というふうにお答えいたしましたが、これは誤りでございまして、この労働費平均単価男女込みで一時間百二円四十四銭でございます。かりにこれを一日八時間で換算いたしますと、一日当たり約八百二十円こういうことに相なります。  なお、生産費調査におきまして、現地では個々の農家ごとに、時期別に、また男女別に農業臨時雇い賃金で評価いたしておるのでございますが、結果を取りまとめる段階におきまして、家族労働費として一括して計算しております。そういう関係で、現在男女別平均単価は手元に資料がございませんので、、男女込みということで御了承願いたいと存じます。  以上、訂正さしていただきます。     —————————————
  7. 大石武一

    大石(武)委員長代理 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法及び畜産物価格安定等に関する法律に基づく昭和四十一年度価格等告示に関し、政府から報告を聴取いたします。太田畜産局参事官
  8. 太田康二

    太田説明員 去る三月二十五日と二十八日、二十九日の三日間にわたりまして、法律規定に基づきます畜産物価格審議会審議を行ないまして、豚肉につきましては、法律規定に従いまして三月三十一日、それから加工原料乳不足払いに基づく加工原料乳保証価格あるいは加工原料乳基準取引価格、それから生産者補給交付金にかかる加工原料乳数量最高限度として農林大臣が定める数量、それから指定乳製品安定指標価格、以上につきましては、御承知のとおり、これも法律規定で、この法律施行遅滞なく昭和四十一年度は告示をするということになっておりますので、それぞれ御答申をいただきました趣旨に基づきまして、政府部内で検討の結果、四月一日にそれぞれ告示をいたしました。  その告示内容につきまして、まず指定食肉関係でございますが、指定食肉安定基準価格及び安定上位価格というものをそれぞれ各市場別にきめまして、皮はぎ法により整形をしたものにつきましては、安定基準価格を三百二十円、それから湯はぎ等により整形をしたものは、大宮、横浜、名古屋、大阪、宇都宮、四日市等につきましては三百円、広島福岡岡山市場につきましては、市場間格差を考慮いたしまして二百九十五円ということの告示をいたしました。  それから安定上位価格につきましては、皮はぎ法により整形をしたものにつきましてはそれぞれ三百九十円、湯はぎ法により整形をしたものにつきましては、先ほどの安定基準価格と同様に市場間格差というものを設けることにいたしまして、広島福岡岡山市場につきましては三百五十五円、それ以外の市場につきましては三百六十円ということで告示をいたした次第でございます。  それから加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づきます。まず第一の加工原料乳保証価格でございますが、これは一キログラム当たり保証価格といたしまして三十七円三銭、一升当たりに換算いたしますと六十九円四十三銭、こういうことになります。  それから加工原料乳基準取引価格につきましては、一キログラム当たり三十一円八十一銭、一升当たりに直しますと五十九円六十四銭、したがいまして、不足払いの額は一キログラム当たりで五円二十二銭、一升当たりに換算いたしますと九円七十九銭、こういうことになります。  それから第三に、補給金対象になります加工原料乳数量最高限度として農林大臣が定める数量というものは、明年度需給計画に基づいて当初われわれ算出いたしたわけでございますが、その数量といたしまして九十九万三千トンというものを告示いたしております。  それから第四の指定乳製品安定指標価格でございますが、御承知のとおり、指定乳製品としてはバター脱脂粉乳、全脂加糖練乳脱脂加糖練乳があるわけでございますが、それぞれ、バターにつきましては一キログラム当たり安定指標価格として五百七十三円、脱脂粉乳につきましては十二・五キログラム当たり四千二百二十九円、全脂加糖練乳につきましては二十四・五キログラム当たり四千六百七十七円、脱脂加糖練乳については二十五・五キログラム当たり四千二百四円というふうに定めまして、告示をいたした次第でございます。
  9. 大石武一

    大石(武)委員長代理 引き続き質疑申し出がありますので、これを許します。東海林委員
  10. 東海林稔

    東海林委員 畜産物価格につきましては、単に生産者ばかりでなく、消費者もこれは非常な重大関心を持って見守っておったと思うわけでございます。特に本委員会といたしましても、加工乳価格につきましては、第四十八国会で新たに成立いたしました暫定措置法に基づいて最初にこれが決定される、こういう関係がございましたので、本法の実際審議当たりました本委員会の責任もございまして、先月の二十四日から今月の一日にわたりまして、政府のこれが実施方針等について、非常に真剣な質疑がかわされたことは御承知のとおりでございます。そこで、私は、そういう観点に立って、特に本委員会で本法律を制定する際にかわされた質疑、あるいは先般のこれが実施に関する政府方針についての本委員会でかわされた質疑と、今回告示されたこの具体的な数字とを対比してみまして、どのようにそれが具体化されておるかというような点を中心として、相当な項目について質問をいたしたいと思うわけです。  まず第一に、指定食肉関係でございますが、畜産物価格審議会答申は比較的抽象的でございまして、ただこの安定帯の幅はおおむね前年に準じてやれ、こういうような趣旨になっておるわけでございます。そこで、まずお伺いいたしたいことは、この安定基準価格並びに安定上位価格を算定する、その中心になるいわゆるへそ価格につきまして、従来と同じような算定方式をとったのか、あるいは若干それに修正が加えられておるのか。もし変わっておるとすれば、それはどういうふうな理由によるのかというような点について、まず御説明をいただきたいと思います。
  11. 太田康二

    太田説明員 指定食肉、すなわち、豚肉安定基準価格安定上位価格につきましての決定の問題でございますが、今回一応審議会に出しました算式といたしましては、いわゆる需給実勢方式生産費を参酌した方式というものを出しまして、御審議をいただいたわけでございます。その際、試算といたしまして、基準期間四年という場合と基準期間六年という場合を、需給実勢方式につきましては参考資料としてお出しいたしまして、御審議をいただいたわけでございますが、今回われわれが最終的に決定いたしました価格におきましては、一応現在の豚の価格の動向から見まして、基準期間としてはむしろ四年をとることがベターではないかということで、四年をとることにいたしまして、へそ価格、いわゆる中心価格といたしましては、それで算出されました三百五十五円四十二銭というものを基準にして、今回の安定基準価格安定上位価格をきめた、こういうことでございます。
  12. 東海林稔

    東海林委員 統計調査のほうに伺いますが、いま参事官の御説明によりますと、従来六年をとっておったのが、最近の豚価実情等にかんがみて四年をとった、こういうことでございます。何年をとるかということは、これは非常に答えに影響が出てくるわけです。場合によっては、最も新しい一年をとれというふうな議論もないではございませんし、あるいは三年をとれというふうな議論がないわけでもないのです。特に四年をいいという説明なんですが、それを統計のほうから見て、そういう四年というものが最も妥当だというふうな点について、どういう見解を持っておられるか、お伺いしたいと思います。答えは、部長ではなくて、補助員でもかまいませんよ。よくわかっておる人から説明してもらったほうが徹底しますから、そういうふうに委員長お取り計らいを願います。
  13. 堀江亮次

    堀江説明員 お答えいたします。  生産費を何年にとるかということは、統計標本数信頼度によりまして、豚の場合でございますと、三十八年から拡充いたしまして、したがいまして、三十七年産以前のは百数十個しか全国でやっておりませんので、やはり三十八年以降というのが普通には適切と思いますが、なおしかし、いろいろな経済上の情勢に基づきまして、全国平均値でありますれば、三十七年以前のも使いましてもそれほどの支障はないと思います。地域別等になりますと、三十八年以降の数値のほうがよろしい、かように存じております。
  14. 東海林稔

    東海林委員 いまの説明ですと、調査資料整備という点から説明されているようでございまして、四年をとるのが妥当かどうかということの説明にはならぬように私は思うのですが、従来六年をとっておったものを、今度特に四年をとるのが妥当だということによって、そういうふうに変更したというのですから、そこら理由を明らかにしてもらわないと私は困るわけなんですが、そういう趣旨でひとつ答弁をお願いします。
  15. 太田康二

    太田説明員 従来畜産物価格安定法運用をやってまいりまして、いわゆるピッグサイクルというのが三年ないし三年半というようなことで考えておったわけですが、これは畜産物価格審議会等答申に基づきます。従来の法律運用をやってまいりました結果、いわゆるピッグサイクルというものが約半年延びまして、四年をとることが、現在の段階におきます価格決定方式といたしまして、農家庭先価格をとる場合の期間として最もよろしいということでございましたので、四年をとったということでございます。
  16. 東海林稔

    東海林委員 六年をとるより四年をとるほうが価格が上がるので、これは生産者立場からは喜ぶと思うのです。しかし、これは安定価格ですから、一面は消費者立場も考えなければならぬので、私は、そこら理由というものははっきりせぬとやはり問題だと思うのですが、特にその点については、価格審議会からは別に意見はなかったわけですか。四年という説明が納得されて、妥当である、こういう趣旨で、特に答申にはそれがなかった、こういうふうに理解していいのですか、そこらも一応お伺いします。
  17. 太田康二

    太田説明員 実は私、価格審議会のほうに出ておりませんので、どういう議論が行なわれたかということについては、つぶさに承知いたしておらぬわけでございますが、確かに先生のおっしゃるとおり、六年をとると、中心価格は三百四十円八十四銭というようなことで安くなるわけでございますが、先ほど申し上げたような理由で、一応四年というものを実は牛乳乳製品についてもとったというようなこともございますし、四年をとるのがいいだろうということで、一応四十一年度の指定食肉価格決定にあたりましては、基準期間として四年をとった、こういうことに記憶いたしております。
  18. 東海林稔

    東海林委員 それから先ほど、価格審議会には二つの試案を出したがということでございましたが、その点については、やはりいま農林省が採用されたほうがいいという審議会意見がはっきりあったわけでございますか。
  19. 太田康二

    太田説明員 実はことしは、先ほど申し上げた需給実勢方式の四年と六年、それから生産費を参考にした方式というものをお出ししたわけでございますが、たまたま生産費を参考にした方式でやりますと、中心価格が三百五十六円五銭というようなことでございまして、基準期間四年の需給実勢方式とほぼ同じような中心価格に実はなっておるわけでございまして、特に生産費を参考にした方式をとれ、あるいは需給実勢方式をとれというような点につきましての御意見につきましては、特に強くどちらの方式がいいんだというような意味の発言はなかったというふうに承知いたしております。
  20. 東海林稔

    東海林委員 次の点でございますが、この中心価格から基準価格並びに上位価格を具体的に出す場合の考え方ですが、前年度はたしか上は押えて、下を上げろ、こういう趣旨答申に基づいての告示を農林省がしたと思うのですが、ことしはおおむね安定帯は前年に準じてと、こういう答申が出ておるわけです。したがって、ここの中心価格から基準価格並びに上位価格を具体的に算定する場合の考え方といいますか、それと答申との関連をひとつあわせて説明していただきたいと思います。
  21. 太田康二

    太田説明員 実は昨年度の決定にあたりまして、いま先生のおっしゃったような答申がございましたので、豚の枝肉卸売り価格の変動係数というものを当初は一四%かで出しておったわけですが、これを直しまして、三百八十円と三百十円と決定をしたことは、御承知のとおりでございます。今回の場合は、いま先生がおっしゃいましたように、おおむね昨年に準じた安定帯を考慮して安定価格決定を行なうことというような御答申をいただいておりますので、われわれは、当初変動係数といたしましては、上下二一%という案を算式としてお出しいたしておったわけでございますが、今回の価格決定にあたりましては、できる限り安定帯の幅は大きいよりも狭いほうがいいというような御意向が、前々から審議会の諸先生方の御意見でもございますので、変動系数を一〇%ということにいたしまして、上位価格を先ほど申し上げましたように三百九十円、安定基準価格を三百二十円、要するに一〇%で上下に開いた、こういうことでございます。したがって、その安定帯の幅は昨年と同様、上と下で七十円の幅がある、こういうことでございます。
  22. 東海林稔

    東海林委員 いまの点は、そうすると、答申趣旨を十分尊重して、若干農林省の初めの考えを数字的には変動系数等は修正してある、こういうふうに理解していいわけですね。  それでは次に、指定乳製品のほうに移りたいと思いますが、まず、指定乳製品の中の安定指標価格でございますが、初めて今度安定指標価格ということが出てきたわけでございますので、この算定方式を一応具体的に説明してもらいたいと思います。
  23. 太田康二

    太田説明員 法律に基づきまして、安定指標価格につきましては、法律の第十一条の第一項第二号に「加工原料乳生産者の販売価格について、主要な乳製品生産者の販売価格指定乳製品にあっては、農林大臣が定めるその安定指標価格)」ということで、農林大臣安定指標価格を定めることになっております。この安定指標価格基準になりまして、これから基準取引価格というものが定められることは、いま先生おっしゃられたとおりでございまして、今回の安定指標価格の算定にあたりましては、P=P。×Iという算式で計算をしたわけでございます。Pはいわゆる求める各指定乳製品価格でございます。それからPは基準期間における指定乳製品の需要者渡し価格の平均値、この基準期間としてわれわれが採用いたしましたのは、三十七年の二月から四十一年の一月までの四カ年——先ほどちょっと乳製品等についても四カ年を基準期間にとりましたというのはこれでございまして、四ヵ年をとったわけでございます。それから基準期間に対するIと申しますのは、基準期間に対する価格決定年度の卸売り物価指数、これは日銀の総平均を使っておりますが、これの変動率というものをかけまして、安定指標価格というものを求めたわけでございます。  そこで、まずバターでございますが、バター基準期間におけるバターの需要者渡し価格の平均値が五百六十一円三十銭、それからIに相当いたします日銀の卸売り物価指数の変動率が一・〇二一ということでございますので、これを乗じますと、五百七十三円十銭という答えが出るわけでございます。  それから脱粉につきましては、十二・五キログラム当たりでございますが、過去四ヵ年のいわゆる基準期間の平均値が四千百四十二円で、これに一・〇二一という変動率を乗じますと四千二百二十九円。  それから全練は、二十四・五キログラム当たり四千五百八十一円、これに変動率の一・〇一二を乗じまして四千六百七十七円。  それから脱練につきまして、二十五・五キログラムで、四千百十八円に一・〇二一を乗じまして四千二百四円、こういった方式で算出をいたした次第でございます。
  24. 東海林稔

    東海林委員 従来、指定乳製品の安定下位価格及び安定上位価格を算定する場合に、まずその中心的な価格を出して、そうして下位並びに上位価格をさらに出したわけでございますが、従来の中心価格を算定する方式と、今回の安定指標価格算定方式との間には、どういうような違いがあるのですか。先ほどのような期間的な違いがあるように一応理解されるのですが、それ以外にありませんか。
  25. 太田康二

    太田説明員 乳製品の需給並びに価格について最近の動向を見てまいりますと、従来は先生がただいま御指摘になりましたように、七年間というものを基準期間として採用いたしておりまして、この間に二回の変動周期があるということで、平均三・五年を一サイクルというふうに考えて運用してまいったわけでございます。しかし、最近の動向を見てまいりますと、安定指標価格水準の設定について四年間というものを採用いたしたのでありますが、それは昭和三十七年、三十八年が不況年で、乳製品価格が比較的低落した時期であります。それから三十九年、四十年はどちらかといいますと、価格が高騰した時期で、いわゆる好況年であるということが実態上明確にうかがわれますので、その平均水準をもって安定指標として用いることが最も妥当であろうということで、先ほど申し上げましたように、三十七年二月から四十一年の一月までという四ヵ年を基準期間として採用した。基準期間のとり方が、従来七年であったものが四年に変わったという点が大きな違いであります。
  26. 東海林稔

    東海林委員 いまの点はわかりましたが、次にお尋ねしたいのは、今回のこの指標価格と現在の市価と比較いたしてみた場合に、どういうことになっておりますか、その点をお伺いします。
  27. 太田康二

    太田説明員 ちょっといま手元に数字がございませんが、最近の乳製品価格というものにつきましては、やや強含みでございまして、先生の御指摘がありました最近の価格というものにつきましては、現在われわれが定めました安定指標価格よりもやや上位にあるというふうに理解をいたしております。
  28. 東海林稔

    東海林委員 そこで、お伺いしたいのは、算式は一応わかったのだが、法律から言うと、やはりそのときの経済事情とかなんとかを参酌することになっているわけです。したがって、現在の市価というものを今度の告示の際には考えたのか考えないのか。もし考えないとすれば、その法律の条文との関連はどのように理解されているのか、そこを御説明願いたい。
  29. 太田康二

    太田説明員 もちろん、とり得ます最も直近の時期までをとりまして、なおかつ日銀の卸売り物価指数による変動率でこれを修正して、先ほど申し上げたように、四十一年一月までのものを採用したということでございまして、確かに、最近の市価が非常に高いということは、この安定指標価格決定にあたりまして大きな問題であるわけでございますが、単年度をとるということになりますと、こういった安定指標価格をきめてまいります場合の基準として、いかにも不安定なものであるというような意味で、先ほど申し上げたように、比較的価格が低落いたしました過去二年、それから比較的価格が高騰いたしました過去二年、合わせて四年間を基準期間としてとるということが、最も安定的な安定指標価格をきめる場合のよるべき基準期間としては妥当であろうということで、先ほど申し上げたような算式により算出いたしたということでございます。
  30. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、一応はごく最近の四年間というので、最近の数字をとっているので、計算上出てきた数字以外に、さらに特に市価で修正するということはしなかった、こういうことでございますか。
  31. 太田康二

    太田説明員 修正はいたさなかったわけでございますが、申し上げましたように、三十七−四十という比較的好況であった時期のものも、基準期間として採用したわけでございますから、そういったものが反映いたしておるというふうにわれわれは考えております。
  32. 東海林稔

    東海林委員 指標価格と関連して、あとのほうの基準価格算定に関係するから、お伺いするのですが、指定乳製品以外の主要乳製品の販売価格、あとの基準価格の算定に関係ある分をどういうふうに計算しておるか、それを出してもらいたい。
  33. 太田康二

    太田説明員 先生のおっしゃるのは、全粉と家庭用バターと存ずるのでございますが、全粉につきましては、安定指標価格に相当するものが十二・五キログラム当たり五千四百十円でございます。バターにつきましては、家庭もの一キログラム当たり六百六十五円六十銭、それを基準取引価格を算出する場合の安定指標価格に相当するものとして使用をいたしております。
  34. 東海林稔

    東海林委員 ここでひとつ、この算定ではないのですけれども、関連してお伺いしたいのですが、畜産事業団が払い下げする場合の払い下げの価格でございますが、従来ややともすると、いままででいえば安定上位価格、今度でいえば安定指標価格ですか、この三%が上になり、一〇%が下になるのが政令できまっているわけですが、畜産事業団の払い下げが、この上位価格をこえて払い下げをしている例があるわけです。私、畜産物価格安定法なりその施行令を見てみたのですが、上位価格基準としてというような法律条文になっておるようですから、一円も上回ってはいけないということではないかもしれませんが、この安定上位価格をきめる趣旨、また畜産事業団の使命から見ますならば、この払い下げ価格が上位価格を相当上回って払い下げられるということは、私は許されないのじゃないかと思うわけですが、そういう事例が問々見られますので、その点について、監督の立場にある農林省としてはどう考えておられるのか、はっきりしてもらいたいと思います。
  35. 太田康二

    太田説明員 今回の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法によりますと、第十六条で「指定乳製品等の売渡し」という規定がございまして、先生御指摘の「安定指標価格に相当する額にこれに政令で定める割合を乗じて得た額を加えて得た額をこえて騰貴し又は騰貴するおそれがあると認められる場合」に、「その保管する指定乳製品等を一般競争入札の方法により売り渡す。」もちろん、ただし書きで、特定の場合には、「農林大臣の承認を受けて、随意契約その他の方法で売り渡すことができる。」ことに相なっておりまして、実は今回の畜産物価格審議会におきましても、この政令で定める割合をどうきめるかということもお話に出たわけでございます。われわれが現在考えておりますのは、上位の割合につきましては四%アップ——三%と考えておったわけですが、そういう時期もございましたが、一応四%、下位のほうは一〇%、これはそれぞれ根拠もあるわけでございまして、そういった割合でこの政令を近く定めたいというふうに考えております。  実際に従来の事業団の売り渡しの場合に、先生のおっしゃったような事態が実は非常に出ていることにつきましては、われわれも非常に頭を痛めておるわけでございまして、なるべく今回の安定指標価格に近いもので売り渡しが行なわれるということが好ましいわけでございますが、現在の需給の実勢から見まして、そういった事態が起こったことが間々あったことは、まことに遺憾に存ずるわけでございますが、今後は売り渡し数量等をふやすようにいたしまして、何と申しましても、この安定指標価格に近づける、あるいはこれと一致させるということが、この制度の根幹でもございますので、そういった方向に事業団を指導して持ってまいりたい、かように考えております。
  36. 東海林稔

    東海林委員 まあ一応そういう趣旨でやってもらえばいいのですが、いまお話も出たように、相当払い下げの数量がまとまれば、これは需給の関係上指標価格のところに近寄るということは期待できると思うのです。ところが、この払い下げがあまりたくさんでない、しかもその乳製品についてある特定のメーカーが大きなシェアを持っておるという場合に、非常に問題になると思うのです。事業団の払い下げ価格自体が市価の標準価格みたいになって、たまたま非常にごく少数のメーカーが大きなシェアを持っておる独占的立場で、事業団の価格がこうだからというので、それが市価になってしまう、こういうような点は非常に問題だと思うのです。それでは事業団の使命というものは全然没却されるような気がするのです。ただいまの参事官趣旨でやってもらえばけっこうなんですが、これはきわめて重要な問題でございますので、あらためて政務次官からもはっきりと御答弁をいただきたいと思います。
  37. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 お説の点は確かにあると思いまして、そういう趣旨に沿って今後努力をいたしてまいりたいと思います。
  38. 東海林稔

    東海林委員 それでは次に、原料乳基準取引価格に移りたいと思うのでございますが、まず、その場合の標準費、加工費及び販売費になるわけですが、これの調査方法をどういうふうにして調査されたか、その点をまず説明してもらいたいと思います。
  39. 太田康二

    太田説明員 製造販売経費につきまして、加工費と一般管理費、販売費、支払い利子等、いわゆる製造販売経費の調査につきましては、私のほうで三十九年十月から四十年九月の一カ年周を調査期間といたしまして、バターにつきましては四十三工場、脱脂粉乳につきましては三十二工場、全脂加糖練乳につきましては十七工場、脱脂加糖練乳につきましては二十四工場、全脂粉乳につきましては二十四工場というものを調査いたしまして、その調査の結果に基づきまして、製造販売経費というものを各乳製品別に算定いたした次第でございます。
  40. 東海林稔

    東海林委員 この調査工場でございますが、これは全国についてでございますか、それとも主要加工原料乳地帯についてでございますか。
  41. 太田康二

    太田説明員 これは全国でいたしております。
  42. 東海林稔

    東海林委員 いまの各品目別の、それから項目別の資料をあとで出してもらいたいと思うのですが、出していただけますか。
  43. 太田康二

    太田説明員 お出しいたします。
  44. 東海林稔

    東海林委員 まず、ここでお伺いしたいのは、そのうちのマージンはどの程度に考えておられるかということと、それから労力費一日当たり、これがどの程度になっておるか、これをお尋ねいたします。
  45. 太田康二

    太田説明員 卸売り業者のマージンでございますが、マージンにつきましては、主要企業経営分析という日銀の調査がございますので、これを用いまして、三十七、三十八、三十九年度の売り上げ総利益対売り上げ高比率というものを算出いたしまして、三十七、三十八、三十九の平均をとりますと、約三%ということに相なりますので、この三%というものを卸売り業者のマージンとして見ております。それから製造業の労賃につきましては、われわれの調査によりますと、労務費は結果としての数字だけを先ほどの製造販売経費の算定の際にとっておりますので、一時間当たり幾らかということについては、ちょっと現在のところではわかりかねるということでございます。
  46. 東海林稔

    東海林委員 統計調査部のほうに伺いますが、ちょっとわかりかねるというが、実はこっちがかえってわかりかねるのです。何人働いて、労賃が何ぼになっておれば、一日何ぼというのがちゃんと出てくるわけですが、そっちがわかりかねるというなら、聞いているほうはなおさらわかりかねますよ。
  47. 太田康二

    太田説明員 実は私のほうの製造販売経費の調査の労務費でございますが、何人で何時間働いているのかというようなことまでわかっておりませんので、一時間当たり幾らかということはわかりかねるということでございます。
  48. 東海林稔

    東海林委員 統計調査部に伺いますが、どうして算定しましたか。
  49. 太田康二

    太田説明員 実はこの調査は畜産局のほうでやっておりまして、統計調査部のほうは関係をいたしておりません。私のほうで先ほど申し上げたようなお答え以外にできないということでございます。
  50. 東海林稔

    東海林委員 ちょっと待ってください。さっきの四十三ヵ所、三十二ヵ所というような調査は、どういうふうな方法で調査をされたか、そこをもう少し調査の初めから説明してください。そうでないと、いまのような説明ではとても納得できませんよ。
  51. 松本作衛

    ○松本説明員 御説明申し上げます。  製造工場の製造販売経費につきましては、実は畜産局が従来から指導上の必要に基づいて調査をいたしておるわけでございますが、そのやり方といたしましては、私どものほうで牛乳、主要乳製品の原価計算要綱というものを定めまして、その要綱に基づいて各会社からデータを出してもらいまして、それをわれわれのほうで集計をいたしておるわけでございますが、その際に、われわれのほうから見まして、その経費の内容に不審のあるものないしはほかの会社と比べて非常に差のあるものにつきましては、われわれのほうから現地に出向きまして、帳簿を見て訂正をいたしておるわけでございます。それで、全般といたしまして、そう不審のないものにつきましては、提出した書類を前提にして集計をいたしておるわけでございます。  ただいま御指摘のございました労賃でございますが、実はこの労務費につきましては、加工費の中を原材料費と労務費とその他雑費というふうに分けて出されておりまして、労務費を経費として提出されておるわけでございます。したがいまして、その際に一々労働時間まで従来とっておりませんものですから、それで一時間当たりが出てこないということでございます。
  52. 東海林稔

    東海林委員 そういうところに非常に問題があると思うのですよ。いまお聞きすれば、一応調査の要綱、項目というものをきめて、それを会社に預けて、会社が出してきて、おかしい点があると思えば、そこは直接調べるけれども、あとは出したものを信用される、こういうようなことなんですね。この前の本委員会におけるいろいろな論議等から見ましても、こういう点はもっと私は慎重でなければいけないと思うのですよ。ただ畜産局が調査したというから、普通それだけ聞くと畜産局の人が行って一々調べたかのごとく響くのですけれども、実質聞いてみると、これはこっちで項目は示していますけれども、実質的には工場の調査そのものだ、こういうふうに理解せざるを得ないのですよ。それでもってこの利害の対立するメーカーと農民というような場合に、こういうものを使うということになりますと、非常にこれは誤解を生ずる問題にもなってくるし、このやり方はことしはこれしかないといえば、これはいま文句を言っても間に合わないのですが、少なくともこれは今後根本的にこの調査方法をやりかえてもらわなければならないと思うのですが、これは政務次官、どのようにお考えでございますか。   〔大石(武)委員長代理退席、委員長着席〕
  53. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 私どもも、その点については、確かにお説の点があると思いますから、十分にひとつ検討いたしまして、基本的に考え直さなければならぬと思っております。
  54. 東海林稔

    東海林委員 いずれにしても、こういうところが、またあとぼくらも非常に不審なところがあるのでいろいろとお尋ねするわけですが、政府のせっかくの告示だけれども、なかなかわれわれがすなおにそうでございますかと了解できない一つの理由なんです。またあとに出てきますから、いろいろと質問を続けてみたいと思うわけですが、少なくともいま次官が御答弁になりましたように、こういうやり方だけは根本的にぜひやりかえるような方向で御努力をお願いしなければならない、このように思うわけです。  そこで、次に、基準価格を出す場合の各品目のウエートの問題なんですが、これは資料としていただいておりますけれども、これは一体どういうふうな考え方でこのウエートをとっておられるか、そこをひとつ御説明願いたいと思います。
  55. 太田康二

    太田説明員 需給計画上出てまいります主要な乳製品の生乳換算量のウエートというものを用いまして、それぞれウエートをつけておるということでございます。
  56. 東海林稔

    東海林委員 これは数量でですか、価格についてですか、どちらですか。
  57. 太田康二

    太田説明員 生乳の仕向け量でございますので、価格ではなしに、量でやっております。
  58. 東海林稔

    東海林委員 これは全国の全生産量をとっておるわけですか、それともこの調査の個所だけでとっておるわけですか、それともまた何かほかのものでとっておりますか。
  59. 太田康二

    太田説明員 全体の需給計画から出てきました数字でございますので、全国の数字ということになるわけでございます。
  60. 東海林稔

    東海林委員 そこで、お尋ねしますが、加工原料乳のいろいろな規定は、いずれも主要加工原料乳生産地ということで、御承知のように、今度は北海道ほか六県をとっておるわけです。それとの関連で、全国をとるということは、理論的には私は問題じゃないかと思うのですが、それはどういうふうに考えられますか。
  61. 太田康二

    太田説明員 基準取引価格につきましては、御承知のとおり、年間それによって加工原料乳がメーカーと生産者の間で取引される全国価格でございますので、保証価格につきましては、まさに先生のおっしゃったとおり、主要加工原料乳地帯になっておりますが、基準取引価格につきましては、こういった全体の数字を用いてやることに誤りはないというふうに考えております。
  62. 東海林稔

    東海林委員 このあとの不足払い保証価格から基準価格を引くわけですから、片一方は一道六県だ、片一方は全国だ、何かそこに、これは私も実は判断に迷うのですが、統計調査部のほうで統計的に見て、そういう統計のとり方というものがあるのかないのか、ひとつそこら統計の専門の立場からはっきりしてもらいたいと思います。私も実はこれは非常に判断に迷っておるから質問するわけですが、いずれにしても、ちょっとおかしいという感じだけは私は強く持つわけです。これは調査部が調査しなくたって疑問の点は聞いてわかると思うのですが、統計の専門の立場から見て、そういう計算のしかたがいいか悪いかという点で、統計学的にひとつそこを判断してください。その上で畜産局のほうで答えてください。
  63. 堀江亮次

    堀江説明員 お答えいたします。  この問題ですと、やはり制度からくる問題と思いますので、ちょっと統計上からの判断はできかねますが……。
  64. 太田康二

    太田説明員 結局、前の答弁を繰り返す以外にないわけでございますが、基準取引価格につきましては、全国べースで、要するにメーカーと生産者加工原料乳の一年間の取引の基準となるべき価格をきめるわけでございますので、全国の数字を用いるということで何ら支障はないと思います。それから保証価格につきましては、法律規定上もはっきりと「生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として」とございますので、これは先生御指摘の一道六県という主要加工原料乳地帯の生産費基準にして保証価格を定めたということでございまして、その差がいわゆる不足払いになるということでございまして、制度そのものから何らそういった算式が矛盾していないというふうに考えております。
  65. 東海林稔

    東海林委員 適用されるのは全国、それはよくわかります。しかし、その不足払いの差額を出す場合に、片一方は一道六県だ、片一方は全国なんだ、そういう組み合わせで計算することは、これは何といっても数学としておかしいですよ。それは適用されるのはわかりますけれども、そこに矛盾を感じませんか。
  66. 太田康二

    太田説明員 御承知のとおり、基準取引価格は、定安指標価格から当該乳製品の製造及び販売に要する標準的な費用の額を控除した金額を基準として定めるということになっておりまして、指定乳製品そのものは全国に流通をいたしておりますし、制度そのものといたしまして、基準取引価格の定め方というのは、いま申し上げたように、指定乳製品安定指標価格基準として定めるわけでございますので、その際、加工原料乳がどういうふうにそれぞれの製品に仕向けられるかというのは、むしろ、全国べースの数量をとることのほうが、加工原料乳地帯の数量をとるということよりも適切であるというふうに考えております。
  67. 東海林稔

    東海林委員 この問題は、いまさら参事官が違っていましたでは、それじゃ告示を直さなければならぬからたいへんなことで、そういう答弁はできないだろうと思いますが、私は、これはさっき言いましたように、確信を持って間違いだというふうに断定的にはちょっと申し上げるだけの自信はございません。ただ、いずれにしても算式ですから、数学としてはおかしな数学だ、こういうふうに思いますから、これはもう一度そういう意味で御検討をお願いしたいと思うわけでございます。  そこで、基準取引価格が出てきたわけでございますが、そういたしますと、現在メーカーが実際に酪農民に払っておるところの原料乳価格と、この基準取引価格を比べてみて、どういう結果になりますか、それをはっきり数字的に出していただきたいと思います。
  68. 太田康二

    太田説明員 今回定めました加工原料乳基準取引価格は、先ほど申し上げましたように、一キログラムで三十一円八十一銭、一升当たりに直しますと五十九円六十四銭ということでございます。  先生も御承知のとおり、従来の乳価取引というものは、混合乳価ということでございまして、加工原料乳あるいは飲用乳という用途別取引になっておりません。われわれが一応承知いたしております数字で申し上げますと、大体混合乳価として一升当たり五十七円ないし五十八円というのが、従来の混合乳価の取引の水準であろうというふうに考えております。
  69. 東海林稔

    東海林委員 たとえば主要加工乳地帯においてメーカーが払っておる価格と比較してみてもらいたいと思うのです。全国的に言うたのじゃ比較になりませんから……。
  70. 太田康二

    太田説明員 農村物価賃金調査加工向けと思われるものの価格が出ておりますが、それによりますと、四十一年一月現在の数字が三十三円二十銭ということに相なっております。
  71. 東海林稔

    東海林委員 さっきの五十七円、五十八円というのは、基準価格で、そのほかの出荷奨励費とか品質の奨励とか、そういうものを全部入れたのが現実の乳価なのだと思うのですが、五十七円、五十八円というのは、いわゆるメーカーのほうで言うている乳価というもので、奨励費とかそういうものの入っていない数字じゃないですか。ところが、今度の基準価格というものになりますと、そういうものを一切含めたものになるはずですから、同質のものとして比較してもらわないと比較にならない。
  72. 太田康二

    太田説明員 従来の乳価の問題につきましては、結局繰り返しになりますが、用途別取引ということが行なわれておりませんので、先ほど申し上げた統計調査部の農村物価賃金調査によります加工用と思われるものの価格ということで申し上げますと、三十三円二十銭ということに相なっております。
  73. 東海林稔

    東海林委員 いまの数字からいうと三十三円二十銭になる。ところが、今度の基準価格でいうと三十一円八十一銭ということになるわけです。そうすると、メーカーとしては、ここで一円三十九銭ばかり支払いが少なくて済む、こういうことになるわけです。皆さんのほうの考え方からいけば、これは従来混合乳価で、市乳の分に一部おんぶさせて、加工乳のほうがそれだけ高くなっておった、こういうことだったろうと思うのです。したがって、今度の基準価格というものをきめる以上は、メーカーのそういう分は、加工乳のために市乳が犠牲を負っておったような部面が今度は完全に戻されないと、ただいたずらにメーカーのほうだけがもうけるということになるわけですね。そこをどういうふうにして、完全にメーカ−がただもうけというようなことでなしに、現実に略農民に還元されるということが可能になるのか。その点法律的な規定がないわけですから、そこがうまくいかなければ、これは酪農民のための法律でなくて、メーカーのための法律だというような批判を受けやすいのです。この点はきわめて重大な問題でありますので、はっきりしていただきたいと思うのです。
  74. 太田康二

    太田説明員 どうも私の説明が少し不十分だったので、先生の誤解をお招きしたようでございますが、実は加工用の三十三円二十銭というのは、生産された生乳の五〇%以上が加工に向けられる地帯における混合乳価が三十三円二十銭ということでございますので、メーカーが一円何がしもうけたということではないわけでございます。これがさらに市乳と加工乳の用途別取引になりますれば、それぞれ分かれてくるわけでございます。今回定めました基準取引価格というものは、先ほど来申し上げたような過程を経て定められたものでございまして、これによってメーカ−に不当にもうけさせたということではないと信じております。  それから市乳の問題、飲用乳の問題が先生からお尋ねがあったわけでございます。これは先般芳賀先生の御質問に対して畜産局長からお答えいたしたわけでございますが、今回この不足払いの制度によりまして、一元集荷、多元販売を行ないます指定生乳生崖者団体というものを各県につくったわけでございまして、これによってメーカ−との市乳価格決定における交渉力が非常に強化されたということが一つございますし、従来の混合乳価取引を改めまして用途別取引にする、しかも価格的に見て不利でありますところの加工原料乳につきましては、政府の財政負担をもって不足払いをいたすというようなことでございまして、生産者サイドに非常な力づけをいたしたわけございますので、メーカーとの価格交渉には、これによりまして、いままでよりもより強力に当たれるというようにわれわれは考えているわけでございます。御承知のとおり、市乳につきましては、それぞれの地域地域の需給実勢によってきまるということが基本であるわけでございまして、われわれといたしましても、実は市乳につきましての製造経費等の調査もいたしておりますので、これはそれぞれ工場の規模あるいは地域等によって必ずしも一律にまいらないわけでございますが、そういった資料も指導機関あるいは団体等にお示しをいたしまして、乳価交渉の際、こういったものも参考にしてメーカーに当たっていただきたいというふうに指導してまいるつもりでおります。
  75. 東海林稔

    東海林委員 市乳の問題はあとでもう少し触れたいと思うのですが、いまの問題です。  そうすると、現実的に加工原料乳に支払われるメーカーの価格というのは、数量の九十九万三千トンを各県別に割った数量に基づいて、その範囲では基準価格で払われる、こういうことになるのでしょう。そこは違いますか。メーカーが払うのは基準価格と大体一致して払われる、こういうことになるのと違いますか。
  76. 太田康二

    太田説明員 取引の基準になる価格としては、今回告示をいたしました加工原料乳基準取引価格、この三十一円八十一銭というものが取引の基準になるというふうに考えております。
  77. 東海林稔

    東海林委員 そこで、お伺いしたいのは、いま市価と基準価格との関連で質問してちょっとはっきりしなかったので、私もう一つ別な立場からお伺いしますが、先ほどもお答えありましたように、現在の加工品についての市価は非常に強気だ、こういうことでございます。そうしますと、加工乳製品の実際価格というものが、指標価格よりも上回る、こういうことになるわけですね。そうなりますと、指標価格から出てきたいわゆる基準価格というもの、その線でメーカーが大体払うということになると、乳製品価格が指標価格を上回っている分については、それはメーカーが何らかの方法で酪農民に還元しないと、メーカーのふところをこやす、こういうことになるという理屈だけははっきりするだろうと思うので、それに対してどういうふうなことになるのか、お答えを願いたい。
  78. 太田康二

    太田説明員 まさに先生の御指摘なさったような問題がこの問題にあるわけでございまして、やはり安定指標価格につきましては、先ほど政務次官もお答えになりましたように、やはりこれを維持するということがこの制度の根幹になるわけでございますので、今後需給上必要と認められる数量を輸入等手配をいたしまして、できる限りすみやかに安定指標価格の線に近づけるという努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  79. 東海林稔

    東海林委員 その努力をしてもらうのは当然なんだけれども、しかし、努力する過程において、そういうものは当然出てくるわけですよ。そうでしょう。努力はするとはいいながら、常に安定指標価格に一致しているなんということは、もうこれはとても考えられないので、それを上回る場合、あるいは反対に下がる場合もあり得るかもしれませんが、大体において現在の状況からいって、上回っているわけなんですよ。そこで、そういう場合の処置をどうするか、そこがはっきりしないと、これはメーカー保護法だという非難を受けるので、われわれも非常に心外なんで、そこらをもっとはっきりしてもらわなければならぬ。ただ指標価格に近づけるために努力するんだ、これは当然のことですけれども、常に一致しておるということは期待困難な場合が多いから、特に現在の状況においては、先ほどの答弁のように、はっきりと乳製品が高いということがあるのですから、そこでどうするかということを伺っているわけです。
  80. 太田康二

    太田説明員 現状におきましては、いま御指摘のような事態があることも認めざるを得ないわけでございますが、必ずしもそういった事態ばかりで推移するとも考えられませんし、場合によっては、基準取引価格を算出いたしました安定指標価格以下に下がることもあるわけでございまして、そういった面から見まして、できる限り安定指標価格の線に近づけるようなことを今後やってまいらなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
  81. 東海林稔

    東海林委員 どうもぼくの質問と合わないんだが、それは努力するということはわかるんだけれども、しかし、現実にそのもうけがメーカーのふところにある場合に、酪農民に払うのはやはり基準価格でいいんだという考えでおると、そこに問題が残るので、あるいはそういう場合には臨時的に賞与も出すとか、何かそういうような指導のあれがないと、これはほんとうにメーカーがぼろもうけすることになるんじゃないですか。そこらの問題について……。
  82. 太田康二

    太田説明員 今回の制度によりまして、用途別取引という方式を打ち出したわけでございまして、加工原料乳につきましては、この基準価格というものを基準にしてやっていただくわけでございますが、実際の需給実勢価格安定指標価格をこえているというような事態があります場合には、当然乳価交渉の際、生産者団体といたしましては、市乳部分につきまして、その面はそういった余裕があるではないかというような意味で、市乳交渉にあたってそれが生産者団体側に有利に働くというようなことは、十分考えられるというふうに思います。
  83. 東海林稔

    東海林委員 生産者団体としてそういう要求をするのは当然だし、黙っていても要求するだろうと思う。ただ、監督、指導の立場にある農林省としての態度はどうかということを私は聞いておるわけです。生産者としては当然そういうことは見のがさずに要求するだろうと思う。しかし、いままでのメーカーの態度からいって、法律ではこうなっておるのだ、農林省から別に何もございませんということになれば、簡単に市乳交渉で酪農民の要求に応ずるというようなことは、私は期待困難だと思う。それではまずいと思うのだけれども、実情はそういうふうに思うものだから、それで農林省の態度はどうかということを聞いておるのですよ。酪農民の態度がどうあろうということは私にはわかります。
  84. 太田康二

    太田説明員 先ほども申し上げましたとおり、基準取引価格安定指標価格基準にして定めておるわけでございますが、現在のような状況でございますと、そういった問題も起こるかと思いますが、必ずしもそういった状態がずっと続くということばかりでないことも考えられるわけでございまして、われわれとしては、やはり安定指標価格というものにできる限り指定乳製品が近づくということの努力を続けて、この基準取引価格というものが加工原料乳についての取引の基準になるという制度を維持してまいりたい、かように考えております。
  85. 東海林稔

    東海林委員 私が聞いておると、指標価格を上回ることだけを心配して、それを指標価格に近づけるということだけを考えると、結局輸入の増大ということに結論はなってくるわけで、これはまた問題になってくる。これはどうもばかに臆病な答弁ばかりされておって困るのだけれども、私は指標価格に近づけることをどうこう言っておるのではなしに、またあなたは私が聞きやせぬのに、長期なんということを言うけれども、こっちは一つも長期なんということは聞いていない。短期的にそういうことは経過的にあり得る。そういう場合にただ黙っておって、メーカーのふところに入れられたのではまずいのじゃないかという趣旨で聞いておるわけなんです。もちろん、生産者からそういう場合は要求が出るだろうが、監督、指導の立場にある農林省としては、そういうことに対してどういう態度なりどういう指導をされるか、こういうことを聞いておるのだから、参事官としては答えにくければ、これは政務次官からお答え願うよりしかたがないと思う。
  86. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 確かに東海林先生のおっしゃるのはわかるわけですけれども、ただ、それについて農林省がではどういう態度で臨かむということになりますと、これは参事官もいまお話しありましたように、確かに現在のような場合には市価が上がっておりますから、考え方によれば、メーカーがそれだけもうかるということになるわけであります。それをあまりもうかった場合には、ざっくばらんに申しますと、適当に吐き出せ、そういう措置を強力にやると、逆に下がった場合に持ち込みせよというおそれも、理論的にはないわけではない。そういう問題もありますものですから、この問題は、現実の問題としてやはり十分に研究も検討もしなければならぬ問題じゃないかと思います。先生の理論としてはよくわかります。
  87. 東海林稔

    東海林委員 それでは、この問題は必ずしも私満足でございませんけれども、農林省としてはその程度しか答弁できないとなれば、それはあれですが、一応そういう問題があることだけは十分留意していただきたい。  それでは次に、いよいよ問題の保証価格の点について御質問をいたしたいと思います。  まず、この間、三月二十四日から四月一日まで数回にわたって、わが党の芳賀委員から大臣に、この問題についての質問があったわけですが、あのときの、四月一日の一番最後の大臣の御答弁の要旨をここでもう一度申し上げますと、一つは、昨年の第四十八回国会においてこの法律審議した際に、前赤城農林大臣が言われたように、保証価格の算定の基礎にする生産費の中で、自家労賃の算定にあたっては、当該地域における他産業の従事者と均衡のとれるような労賃を考えるのが好ましいという、その基本的なことについては、これを現大臣としても尊重し、継承するのだということ。それから第二の点としては、しかし、今年度に関しては、初めからこれを全面的にそのように実施することは、いろいろと困難な点もあるので、その趣旨を考えながらも、現段階における実情を十分考えながらきめたい。第三点としては、しかし、今後の問題としては、なるべくすみやかにその原則どおりの算定が実現できるように努力したい、こういうような御趣旨のように私は聞いておったのでございますが、その点、これからの質問をする上に、もし私の考えが違っておれば、これはまた途中で食い違いができますので、その点、もう一度再確認する意味で、私が理解しておるような程度の大臣の答弁趣旨であったというふうに考えてよろしいかどうか、これは政務次官からひとつお答え願いたいと思います。
  88. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 この問題は、ずいぶんいろいろ議論されて、結論的に大臣から御答弁を申し上げたので、趣旨としてはそのような意味であったと了解いたしております。
  89. 東海林稔

    東海林委員 いまお聞きのとおりでございます。この点は、私どもは、単に農林省の見解ということでなしに、政府の見解としてこれを受け取っておるわけなんですが、大蔵省としても、政府の一部として、いまの御見解には異論ないものと思いますが、その点、念のためにひとつ大蔵省の見解をお尋ねいたします。
  90. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 いろいろな計算のやり方で、農業関係の場合、自実労賃をどういうぐあいに考えるかという問題は、たびたび方々の場で議論がされておるように聞いているわけでございます。しかしながら、基本的に重要なことは、財政の負担において所得均衡を全面的に価格決定の中に入れていくというのは、大蔵省としては適当でないというぐあいに考えております。ただ、農業の生産性をあげることにつとめて、将来そういう毛のが実現をされるという方向に施策を重ねていくことが重要な事柄であろうと考えておる次第でございます。
  91. 東海林稔

    東海林委員 それでは農林省のほうにお尋ねいたしますが、この保証価格についての畜産物価格審議会答申はきわめて抽象的であるのですが、ただその中で一つだけやや具体的なのは、ちょっと読んでみますと、「加工原料乳保証価格については、加工原料乳地域における生乳の再生産の確保と生乳需給の安定を図ることを旨として定めること。なお、保証価格の算定における自家労働の評価は、加工原料乳地域における他産業従事者の労賃と均衡のとれることを旨として定めるべきであるという意見もあった。」こういうような答申が出ておるわけです。そこで、私がお尋ねいたしたいのは、今回の告示に出ました数字は、先ほど確認をいただきました四月一日の大臣の御答弁趣旨と、それからこの価格審議会答申趣旨をどのように尊重されて、今回のこのような数字が出たのか、その点をお尋ねいたします。
  92. 太田康二

    太田説明員 今回の保証価格決定にあたりましては、酪農のもろもろの政策の展開と相まちまして、酪農家の自家労働報酬をできる限り当該地域の他産業労賃と均衡のとれるものにしていきたいという趣旨に沿いまして、現段階におきます酪農経営の発展の趨勢及び生乳取引の実態から見まして、加工原料乳価格形成上合理的と認められる範囲内におきまして配慮するということにいたしまして、当初原案を再検討いたしまして、不足払いを通ずる農家所得の増大をはかるという趣旨で、相当の修正を加えまして、その引き上げを行なった次第でございます。
  93. 東海林稔

    東海林委員 それでは具体的に少し内容をお聞きしたいと思いますが、まず調査農家、これはどういう農家調査されておるのか、階層別といいますか、規模別といいますか、そういう点も含めて、あるいは地域的、階層別にどういうような調査になっておるか、そこをひとつ伺いたい。
  94. 太田康二

    太田説明員 一道六県のいわゆる主要加工原料乳地域における生乳の生産費調査でございますが、集計戸数といたしましては三百七十八戸、一頭規模が三十三戸、二頭規模が五十九戸、三頭規模が六十四戸、四頭規模が五十三戸、五頭、六頭規模が六十七戸、七頭ないし九頭規模が五十八戸、十ないし十四頭規模が三十三戸、十五ないし十九頭規模が八戸、二十ないし二十九頭規模が三戸、こういうことに相なっております。
  95. 東海林稔

    東海林委員 これは統計調査部で調査されたのか、畜産局で調査されたのか。
  96. 太田康二

    太田説明員 統計調査部で調査をいたしたものでございます。
  97. 東海林稔

    東海林委員 それから全体の調査農家とこの計算に採用した調査戸数との間に差はありますか、ないのですか。
  98. 太田康二

    太田説明員 一道六県はいま申し上げたように全部とっておるわけでございます。
  99. 東海林稔

    東海林委員 ちょっと待ってください。一道六県で三百七十八戸を調査したということですね。その中で、考えてみて、非常に異常なものは除くというのが普通ですが、この場合にはそういうものが除かれておるか、ちっとも除いていないか、それを聞いておるのです。
  100. 太田康二

    太田説明員 集計したのが三百七十八戸でございまして、異常なものはたしか除いたはずでございます。
  101. 東海林稔

    東海林委員 それが何戸だということを聞いておる。
  102. 太田康二

    太田説明員 統計調査部で調査をなさった資料をもとにいたしまして、私のほうでそれを集計いたしまして、主要加工原料乳地域における生乳生産費を出したわけでありまして、それに用いたのが三百七十八戸ということで、実際に調査をいたした数とは若干の食い違いがあるかと思いますが、幾ら落としたか、いまちょっと資料が手元にございませんので、調べまして後ほどお答えしたいと思います。
  103. 東海林稔

    東海林委員 それでは幾ら落としたかということを、地域別、階層別にどこで何戸落としたか、あとで調べてはっきり出してください。こういうのは保証価格議論をするについてきわめて大事なことだから、持ってこないというのは私が議論をするのに非常に困るのです。普通なら質問を保留したいのですが、それもできませんので、先に進めますが、今後こういう大事な点ははっきりしていただきたいと思うのです。  それでは次の質問をいたします。この場合、問題になりました自家労賃はどういうふうに算定されましたか。
  104. 太田康二

    太田説明員 自家労賃につきましては、農業臨時雇用賃金を用いまして、三十九年七月から四十年六月までの主要加工原料乳地域における農業臨時雇用平均賃金というものが一時間当たり九十円六銭ということに相なっております。これを農業労賃の上昇率、三十九年七月から四十年六月までの分母とし、四十年十一月から四十一年一月までの上昇率を分子といたしまして指数を出したわけですが、それによりますと一・一〇九、これを九十円六銭に乗じまして、九十九円八十九銭というものを用いて自家労働の評価をいたしておる次第でございます。
  105. 東海林稔

    東海林委員 これは、一番初め価格審議会参考資料として出したのがこれであると思うのでありますが、告示の数字もそのとおりですか。
  106. 太田康二

    太田説明員 一応生産費を推定いたしましたときに用いた数字は、この九十九円八十九銭というのを用いております。
  107. 東海林稔

    東海林委員 だから私がお伺いするのは、告示の基礎になった生産費は九十九円八十九銭でございますかと聞いているのです。
  108. 太田康二

    太田説明員 そのとおりでございます。
  109. 東海林稔

    東海林委員 それでは畜産物価格審議会参考資料として出した自家労賃のあれは幾らになっておりますか。
  110. 太田康二

    太田説明員 九十九円八十九銭を当初の試算として出しておりまして、その後委員の方の御要求がございまして、これと違った数字を参考にお出しいたしたことはお出しいたしておりますが、一応告示に用いましたのは、この九十九円八十九銭というものを用いてやっております。
  111. 東海林稔

    東海林委員 そこで、お尋ねしますが、そうすると、この間、一週間にわたって本委員会で論議して、自家労賃について、ことしは全面的には昨年赤城農林大臣答弁した趣旨を採用するわけにいかないが、しかし、基本的にはそれを尊重しながら、現段階の実情に合うようにしてやりたい、こう言われたこととの関連はどういうふうに理解したらいいのか、皆さんのほうで畜産物価格審議会に出された資料というのは先月の二十五日、原案はその前にできておったはずです。大臣がいろいろとすったもんだ答弁を繰り返して、あっちにいったりこっちにいったりした結果、反省して四月一日に言われた答弁と、どういうふうにこれを関連して理解していいのか、私は理解に苦しむわけですが、どういうふうに理解したらいいのですか。
  112. 太田康二

    太田説明員 この点につきましては、先ほど、今回の告示された保証価格内容農林大臣の発言がどのように織り込まれておるかという質問に対してお答え申し上げましたとおり、やはり農家所得の増大というような見地から、当初の原案に対しまして、一升当たり一円二十七銭、キロ当たり六十八銭というように原案を大幅に修正いたしまして、決定をいたしたような次第でございます。
  113. 東海林稔

    東海林委員 そういたしますと、いまの修正した六十八銭というのは、自家労賃の換算について修正したのではなしに、一応自家労賃というのは日雇い労賃で計算して、最後に全体的に諸般の情勢を考慮して六十八銭をつけ加えた、こういうことになるわけですか。
  114. 太田康二

    太田説明員 生産費決定の問題でございまして、過程におきましてはいろいろな議論があったわけでございますが、労賃につきましては、先ほど申し上げたように、現段階におきましては一応九十九円八十九銭というものを用いまして、その他の費目で合理的と思われる点を一部修正いたしまして、先ほど申し上げたように、六十八銭というふうな修正をいたしたわけでございます。
  115. 東海林稔

    東海林委員 そういたしますと、これはきわめて重大だと思うのですよ。先ほど再確認したように、坂田大臣も、前赤城農林大臣が昨年法律審議の際に言明した趣旨は、これを継承して尊重する、そう言われたのですね。あの前赤城農林大臣答弁参事官も読んでおられるだろうと思うのだけれども、米のように都市の他産業従事者の労賃をとるというのも適当とは思わない、しかし、その地域における日雇い労賃をとるのも適当と思わない、そこで、その地域における他産業の労賃とつり合いのとれることが望ましいから、そのようにしたい、こういうことを言って、日雇い労賃は適当でないということもはっきりおっしゃっておるのですよ。そういう立場にあるにかかわらず、幾らか修正したとはいいながら、それは何かあとで政治的につけ加えたようなふうにしかわれわれは受け取れないので、それではこの間この委員会であれだけ論議した価値がないと思うのです。自家労賃の換算を直ちに他産業の労賃はとれなくとも、少なくとも日雇い労賃はとらないで、何らか別な労賃をとったとか、その日雇い労賃をとるについてもそれをある程度修正したとか、そういうことがあれば、現段階の状況をしんしゃくはしたが、しかし、基本的には赤城さんの言明されたことを尊重してということになるけれども、労賃は日雇い労賃なんだ、ただ、それでは社会党なりほかの人がやかましいから、あとで六十八銭をつけ加えたのだ、こういう形では、せっかくあれだけ熱心に論議したことが何ら意義がなかった、また大臣の言われたことが尊重されてない、こういうふうに私は断ぜざるを得ないので、きわめてそれは遺憾ですが、これはそういうふうになっているのですか。私どもは一応あれを見まして、まあ不完全ながら自家労賃を幾らか手直ししたなという感じを持って、それならば誠意の百分の一か知らぬけれども、幾らか誠意は認められないでもないという感じを持っておったのだけれども、いまでは全然誠意がないというふうに断ぜざるを得ないのですが、そこは政務次官どうですか、これはきわめて重大ですよ。
  116. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 いろいろ議論がありました末、大臣もああいう御答弁を申し上げまして、そういう趣旨に沿って最善の努力をいたしてまいったわけでありますけれども、自家労賃の換算の問題になってまいりますと、簡単に指数を変えて、そして直ちにそれを幾ばくか増していくといったような事務的、技術的な作業にもなかなか困難を来たす状態でありましたので、六十八銭の引き上げもわれわれとしては決して容易にできたものでもございませず、大蔵省と折衝に折衝を重ね、むしろ大蔵省としては、なかなかそれに対して納得がいかないわけでありますけれども、党との最高の協議もいたしまして、価格決定についてはここまで努力を積み重ねてまいったわけであります。最初の趣旨を決して殺してしまったというわけではございませんけれども、ただ、今日の場合において、直ちに自家労賃の換算を幾ばくか変えるという問題については、いろいろ困難な事情等もございまして、ただいま参事官の申し上げたような結論に実は相なったわけでありまして、御了承をいただきたいと思います。
  117. 東海林稔

    東海林委員 私は、これは絶対了承できないのですよ。われわれがこの間あれだけ議論した過程では、何も数字を上げろとかなんとか数字のことを言っているのじゃないのです。本委員会としてあの法律審議した責任もあるし、国会審議の権威から見ても、筋の通らないことは困ると、こういう趣旨議論したので、何ぼ上げてくれとか、何ぼでいかなければいかぬとか、そういう趣旨で言ったのじゃない。全体として六十八銭をつけ加えたということは、私は絶対に納得できません。私のこの点に関する質問は、大臣の来られる別の機会にして、これは留保さしていただきたいと思います。
  118. 芳賀貢

    芳賀委員 いま太田参事官から重大な発言がありましたが、この点を間違いのないようにまずはっきりしてもらいたいと思います。  今回の保証乳価の告示価格の中における自家労賃の計算については、政府も従来の方針どおり農業の日雇い労賃を採用したこと、その日雇い労賃というのは、当初からの方針どおり、一時間にして九十九円八十九銭である。まず、この点でありますが、一貫して日雇い労賃を採用するということの方針は変えない、つまり、堅持したということですね。それからもう一つ、最初の政府の試案に対して、保証価格のみについてはキロ当たり六十八銭、一・八七五キログラム当たりは一円二十八銭の修正が行なわれたが、これは農家の自家労働の報酬に対する所得上の修正ではない。当然必要な経費部面において若干のミスがあったのを、生産費といわれる必要な経費については、当然これは妥当なものは見なければならぬので、その分を誤謬の訂正を行なったのが、一升当たり一円二十八銭、キロ当たり六十八銭である。したがって、農家の所得というものは、これは自家労働の報酬以外にはないわけですからして、生産者の所得部面に対しては、一貫して一時間当たり九十九円八十九銭である。六十八銭の引き上げについては、物財費の投下等必要な経費の算定上に若干の誤りがあったので、それを是正したのにすぎない、断じてこれは自家労働の報酬に対しての手直しではない、こういうふうに聞き取れたわけですが、そうであればそういうふうにはっきりしてもらえばいい。これは記録にとどまるわけですからね。
  119. 太田康二

    太田説明員 先生のおことばの中に計算上のミスを直したというおことばがあったわけですけれども、決してわれわれはミスとは考えていないわけでありまして、資本利子、特に自己資本等の見方につきまして、やはり農家の所得の増大というような見地から引き上げを考慮して、修正をいたしたというようなことでございます。
  120. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは資本利子について認むべきでないものを水増ししたというのですか。資本利子の点でそれだけ水増しして、これは資本利子としては妥当なものではないが、この水増し部分だけについては、これは農家の収益になるものである、そういうインチキだというのですか。どういうわけでまっこうから所得に対してこれだけの賃金上の手直しをしたと言うことを避けるわけなんですか。じゃ資本利子の計算はどういうふうに修正したのですか、六十八銭というのは……。
  121. 太田康二

    太田説明員 資本利子の評価のしかたはいろいろあるわけでございまして、当初原案では生産費調査で用いております四分というのを用いておったわけでありますが、やはり資本利子等の見方につきましても、固定資本利子、流動資本労賃の資本利子に分けまして、それぞれ実際の私のほうの調査によります借り入れ比率等を用いまして、借り入れの分につきましては、現に借り入れている借り入れ金利の七分四厘五毛というものを用い、それから自己資本につきましては、米価で算定している場合と同様に、五分五厘というものを用いまして、固定資本利子を出しました。それから流動資本労賃の資本利子につきましては、借り入れ資本利子、自己資本利子のそれぞれ回転率を年に四回転ということで、回転率等を手直しをいたしまして、資本利子の修正をいたしたということでございます。
  122. 芳賀貢

    芳賀委員 それは当然のことでしょう。水増しがあるというが、それをはっきりしてください。
  123. 太田康二

    太田説明員 水増しとかなんとかいう問題ではございませんで、資本利子の見方につきましては、いろいろ見方があるわけでございます。当初生産費調査で用いております四分というのを用いて原案をつくっておったわけでございますが、国会におけるいろいろな議論もございましたし、やはりこの不足払いということが直接農家の所得増大にも通ずることでございますので、資本利子の評価につきまして若干の手直しをいたしまして、少しでも農家の所得の増大に資するような修正をいたしたということでございます。
  124. 芳賀貢

    芳賀委員 その四分は四分何厘になったのですか、これは今後の計算上の基礎になるのですから……。
  125. 太田康二

    太田説明員 先ほど申し上げましたように、固定資本のうちの借り入れの部分につきましては、実際に借り入れ金の利率と見られます。分四厘五毛、それから自己資本利子につきましては、五分五厘というのを用いたわけでございます。
  126. 芳賀貢

    芳賀委員 それはあたりまえなんでしょう。それは不当ですか。
  127. 太田康二

    太田説明員 あたりまえではないかというあれもありますが、評価のしかたの問題でございまして、こういうふうにわれわれは評価をいたしたということでございます。
  128. 芳賀貢

    芳賀委員 ちょうど大蔵省の主計官もおるが、それは妥当な評価でしょう。水増しがあるか、はっきり言ってもらいたい。主計官も相談してやったのだから……。
  129. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 自己資本利子というのも、一つの仮定の計算でございます。したがって、われわれはそのよそのいろいろな生産費調査の場合を考えるならば、当然四分でいいではないかという議論をしておったわけでございますが、議論の過程において、いろいろ不足払いの問題につきまして農林省と協議をし、幹部とも御相談した結果、五分五厘の評価という考え方もとり得るではないかということで、五分五厘という形をとったわけでございます。
  130. 芳賀貢

    芳賀委員 では今後はそれは五分五厘ということでやるわけですね。水増しであれば、この次はやらぬということになるが、正当な自己資本の評価であるということならば、これはやはり算定の基礎になるわけですからして、そういうインチキはやらぬはずですから、そうなると、五分五厘が正当であるとなれば、従来の四分という評価は当を得なかったということになるのじゃないですか。そうなんでしょう。そこら辺ごまかさぬで、はっきりしてくださいよ。
  131. 太田康二

    太田説明員 くどいようでございますが、資本利子をどういうふうに見るかということの問題は、やはり評価の問題でございますから、四分という用い方もございますし、五分五厘というような用い方もあるわけでございまして、やはりそれぞれの政策目的に対応してどういった評価をすることがいいかという判断に立つのではないかというふうに考えます。
  132. 芳賀貢

    芳賀委員 告示価格決定にあたっては五分五厘を妥当としたのですから、どうなんでしょう。
  133. 太田康二

    太田説明員 そのとおりでございます。
  134. 芳賀貢

    芳賀委員 これでいいわけだから、妥当とした線でこれからはやるわけですね。四十一年は妥当と思ったが、四十二年度はまた妥当でないということにはならぬでしょう。資本利子の計算等については……。
  135. 太田康二

    太田説明員 一応ことしの保証価格決定にあたりましての資本利子につきましては、いま申し上げたような評価をいたしたということでございますので、前例として非常に有力な根拠になるわけでございますが、また明年度価格決定に際しましては、そのときの経済事情等も考慮してきめてまいりたい、かように現在の段階ではお答えする以外にないと思います。
  136. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは水増しではないということがはっきりしたわけですね。そうですね。したがって、あたりまえのことを言われたのであって、別にこれは何も恩に着せるものではないのですね、六十八銭というわずかなものは。さっき大幅とかなんとか言ったのはだれですか。そういう当を得ない発言は、やはり小さいことのようだが、こういうものはわれわれは大幅とは常識的に解釈していないのだから、あくまでもあなたが大幅と思うなら、それは大幅と言ってもらえばいい。それは表現の誤りであれば、これは取り消すべきですよ。不遜じゃないですか、こういう表現というものは。
  137. 太田康二

    太田説明員 大幅と私言ったかどうか、よく覚えていませんが、もし言ったといたしますと、実は不足払いの額で見ますと、当初の四円五十四銭が五円二十二銭ですかになりましたので、約一五%ということで、まあ大幅というのは幾らをいうのかあれですが、要するに、資本利子につきましては、評価の……。
  138. 芳賀貢

    芳賀委員 私の言ったのは、六十八銭というのが大幅かどうか。君はそう言ったじゃないか。そういうのを一体大幅とか、生産者に恩を着せるような、そういう不穏な発言をするということに対して反省すべきじゃないですか。何ですか、その態度は。
  139. 太田康二

    太田説明員 不足払いの額といたしましては……。
  140. 芳賀貢

    芳賀委員 六十八銭が大幅かどうかということを聞いているのですよ。これは議事録を調べればわかるじゃないですか。
  141. 太田康二

    太田説明員 一五%アップということを申し上げればよかったのですが、一五%に相当いたしておるわけであります。
  142. 芳賀貢

    芳賀委員 何の一五%。
  143. 太田康二

    太田説明員 四円五十四銭が五円二十二銭になったことに伴いまして、六十八銭上がったわけですが、それが一五%に相当する。キロにすればわずかなものでございますが、これが不足払い全体の数字にかかりますと、相当な額になるということを申し上げているわけです。
  144. 芳賀貢

    芳賀委員 それが大幅というのは、一体どうなんだ、六十八銭というのは。はっきりしてくださいよ。
  145. 太田康二

    太田説明員 財政負担としては相当大幅なものであるということでございます。
  146. 東海林稔

    東海林委員 私は、大臣に質問は留保してあるのですが、ただ、いま気になったのは、この資本利子の評価については、国会でいろいろ議論があったから考えた、こういう説明があったわけなんです。しかし、ここで、本委員会で一番議論になったのは、自家労賃の評価が議論になったのに、そのことはちっとも考えなかったということが、私は何としても納得できないことなんです。これはおそらく先ほどの主計官答弁からも察知できるのでしょうが、大蔵省が自家労賃の評価を少しでも動かすことに頑強であったのじゃないかという憶測ができないわけではないけれども、しかし、大蔵省といえども、立法府で法律をつくる際に政府を代表して答弁された大臣の言明を尊重しないというような大蔵省であっては困るわけですよ。そうでしょう。立法権というのは、言うまでもなく国会が単一の立法府なんだから、そこで、われわれが法律をつくる場合に、政府を代表してこういうふうにやっていきたいのだということを答弁されたことが、行政府の一部門である大蔵省の見解によって左右されるのだということでは、これは非常な問題だと思うのです。そういう点どういうふうに考えるのですか。主計官答えられなければ大臣に来てもらわなければならないのだけれども、その点が非常に問題だと思うので、その点農林省担当の主計官として、大蔵省代表では困るなら、あなたの私見でいいです。どういうふうに考えるか。
  147. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 一般論としてのお答えを申し上げるより方法がないと思いますけれども、現実に書かれている法律の文言をどういうぐあいに読み、どういうぐあいに運用するかという問題だろうと思いますが、現在の加工原料乳生産者価格につきましては、法の十一条にも書いてあるような趣旨で、再生産を確保するということを旨として定めるということで、具体的にどういうやり方をやるかということについては明記をしてないわけでございます。これに対してその運用をどういうぐあいにやっていくかという問題でございますが、この点につきましての議論という点になりますと、必ずしも一つの方法しかないということではないというふうに思うのでございます。農林水産委員会でいろいろな議論があったことを聞いておりますけれども、その内容について、決定的にどうするかということについて、今度、本年の委員会においていろいろ議論された結果、将来の方向として、赤城前農林大臣が発言された方向に趣旨を尊重いたしまして、そういう方向で生産者の所得が高まるように、いろいろな畜産関係の施策を遂行していこうということに一応の方向がきまった、そういうぐあいに理解をして、われわれ今回の加工原料乳価格を算定した次第でございます。
  148. 東海林稔

    東海林委員 あなたは、裁判所が民法とか刑法を条文の字句を解釈するような言い方をするのだけれども、これは違うですよ。産業の助長法ですから、そういうことじゃないと思うのです。われわれが審議する場合に、法文だけでは非常に不明確な点があるから、再生産を確保しなんて書いてあるが、これはどういう意味かということを政府の責任ある大臣にただしたわけです。特に今度は保証価格という問題をきめるわけですから、その点は綿密に議論した。再生産とは、牛乳というのはだんだん需要がふえていくのだから、現状を維持するだけではいけないのだ、拡大再生産の意味であるということは明確に答えている。それと同時に、保証価格の算定の基礎とする生産者の自家労賃については、さっき申した米のように、都市労賃をすぐとるわけにいかない、といって、その地域の日雇い労賃でも妥当でない、その地域における他産業の労賃とつり合いのとれるような労賃をとることが望ましいという考え方に立ってやると言われている。その点は、坂田農林大臣も基本としてはそのとおりだ。しかし、ことしそれを一〇〇%実施するというわけにはいかないけれども、その基本を踏まえながら現状を考えて、こういうことなんですよ。あなたは第三の将来の問題だけを言われたけれども、四十一年度は、やはり四十一年度の基本を踏まえながら実情を考えて、こういう趣旨なんですよ。だから、いまのあなたの説でいくと、将来の方向だけを言っているようですけれども、そういう点を十分踏まえて、今後農林関係の予算なんかを協議される際にもやってもらわないと非常に困るのです。われわれがまじめに法案を審議する熱意がなくなりますよ。まるで裁判所が条文の字句がこう書いてあるからといって、民法や刑法を解釈すると同じような立場を大蔵省がやるということになると、非常に問題です。これはあなたに言っても結論が出る問題ではないからあれですけれども、一応参考のために申し上げておきます。私としては、そういう点を十分踏まえて、農林予算の相談にあずかってもらいたい、こう思います。  そこで、時間もあまりありませんから、次に進みますが、これはこの間からいろいろと繭価の問題あるいはビートの問題のときにも、統計調査部の生産費調査の問題があったのです。政策的な問題は別として、統計調査としてはこれでいいんだというような趣旨のあれがあったのですが、今度この資本利子がこういうふうに変わってきたのですが、これを変えたのは、統計調査部の調査として変えたことになるのですか。あるいは畜産局でかってに変えた、こういうことになるのですか、どうなんですか。
  149. 太田康二

    太田説明員 くどいようでございますが、評価のしかたはいろいろあるわけで、それぞれの政策に応じてそれぞれ違った評価が行なわれることはあり得るわけでございまして、生産費調査では従来たしか四%というのが用いられておるようでございますが、私のほうは政策的配慮から、先ほど申し上げましたように、借り入れ金利については実際に借り入れております。分四厘五毛、それから自己資本については米価と同様の五分五厘というものを用いたということでございます。
  150. 東海林稔

    東海林委員 政務次官に伺いますが、そういたしますと、この問題は、全般的には理解できないのですが、いまの統計調査部の統計を政策目的に合うように、畜産局としては修正したものを用いた、こういうお話ですが、たとえば繭とかビートの場合には、ずいぶん統計調査部の調査にこだわった答弁をされておったわけですが、他の部面については、政策的な必要があれば、統計調査部から出てきた生産費というものは修正が考えられるものというふうに理解していいですか。これは乳価だけについてそういうものというふうに考えなければならないのか、そこをはっきりしておきたいと思います。
  151. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 いろいろな価格決定につきましては、事務当局や大蔵省等の意見もございますけれども、最終的には、御承知のように、政策的な面も加味されて決定をされることがいままでも多いわけであります。もちろん、ケース、ケースによっていろいろ問題は変わると思いますけれども、やはり政策的な面も時には考えて決定しなければならぬ場合があり得ると思います。
  152. 東海林稔

    東海林委員 それではここで一つお願いですが、この保証価格の基礎になった生産費の内訳を各項目別に明細に出していただきたいと思います。よろしゅうございますね。
  153. 太田康二

    太田説明員 お出しいたします。
  154. 東海林稔

    東海林委員 それでは次に進みます。  不足払いの額ですが、それと関連しまして、数量が今度九十九万三千トンということになっております。この数量は、さっきのお話ですと、需給推算というような形であれだというのですが、もう一度この九十九万三千トンの算定の基礎を御説明願いたいと思います。
  155. 太田康二

    太田説明員 四十一年度の需給をわれわれ推算いたしたわけでありますが、それによりますと、需要量が、飲用牛乳から始まりまして特定乳製品、それから加工原料乳不足払い対象にならないその他の乳製品と分けますと、全体で三百五十四万五千トン、これに対しまして供給量が三百四十八万六千トンということになりまして、五万九千トン不足するような数字になっております。そこで、今回の不足払い対象になります九十九万三千トンでございますが、われわれが考えておりますのは、バターが供給量といたしまして三十一万八千トン、脱粉が十八万四千トン、全練大かんが五万七千トン、脱練が四万三千トン、全脂粉乳が二十八万三千トン、家庭用の練乳が五万トン、チーズ五万八千トン、合わせて九十九万三千トンというものが、一応不足払い対象になる最高限度として農林大臣の定める数量ということにいたした次第でございます。
  156. 東海林稔

    東海林委員 この数量と関連して、加工乳製品の輸入はどういう数字に見込まれておるわけですか。
  157. 太田康二

    太田説明員 その点を申し上げますと、バターにつきましては、供給がいま言った三十一万八千トンですが、需要量としては三十四万八千トン見ておりますので、生乳で三万トン不足いたします。それから脱粉につきましては、需要量を二十一万三千トンと見ておりますので、供給量が十八万四千トンでございますから、二万九千トン不足する。これをそれぞれ商品に換算いたしますと、バターが二千二百トン、脱粉が四千二百トン程度不足ということになるわけでございます。
  158. 東海林稔

    東海林委員 この数字も資料として出していただきたいと思いますので、お願いします。  次にお尋ねいたします。そういたしますと、不足払いの予算のことでございますが、単価も予算額より若干変わっておるし、数量も変わっておる。こういうことになりますが、一応これまでの告示の数字に基づいて計算すると、不足払いの総額は何ぼになりますか。
  159. 太田康二

    太田説明員 九十九万三千トン全量やるといたしますと、五円二十二銭を乗じますと、五十一億八千三百万くらいになります。
  160. 東海林稔

    東海林委員 そうすると、これは一般財源と益金とを分けてどういうふうになりますか。
  161. 太田康二

    太田説明員 われわれが当初予算を作成いたします場合の輸入差益といたしましては、十二月までに確実に見込まれると思いましたのを三億、要するに、周年べースでは四十五億ないし四十四億と申し上げたのですが、今回予算に計上いたしました分は、先生も御承知のとおり、四月から十二月までの分でございまして三十三億、そのうち、三億が輸入差益によってまかなわれるという推定をいたしておったわけでございます。しかし、輸入の問題につきましては、今後の需給の関係等も考えまして、いま想定いたしております三億よりは、ある程度ふえるのではないかというふうに現在のところ考えております。
  162. 東海林稔

    東海林委員 この五十一億八千三百万ですか、これは周年だろうと思うのですが、予算の三十三億、うち、一般会計三十億、輸入差益三億、これに対応するものはどういうふうになるのですか。
  163. 太田康二

    太田説明員 われわれが当初予算を計上いたしましたときにも、四月から十二月までの数量をいまの五十一億八千三百万に乗じますと、大体三十八億一千四百万くらいの支払いが十二月までの分として所要であるというふうに考えるわけでございます。
  164. 東海林稔

    東海林委員 ちょっと待ってください。九十五万トンの場合の数字とこの九十九万三千トンの場合の数字は、年々変わってこなければならないのに、同じ数字をかけているのはおかしい。九カ月分を見るにしても、九十五万トンの場合の九カ月分と九十九万三千トンの場合の九カ月分と変わらなければならないのに、同じ数字をかけるということは理解できない。
  165. 太田康二

    太田説明員 いま申し上げましたのは、九十九万三千トン全量が不足払い対象になった場合に、総額として五十一億八千三百万要ります。こう申し上げた。それからその次に申し上げましたのは、この前予算を計上いたしましたときの四月から十二月までに支払われる分でございます。これの比率をいまの五十一億八千三百万にかけますと、三十八億一千四百万になります。十二月までの分として所要のものは。
  166. 東海林稔

    東海林委員 比率をかけたというのですか。これは予算には年間を九十五万トン分と見てその九ヵ月分、こうなっておるわけですね。したがって、今度は九十九万三千トンになったら、その九ヵ月分、こうならなければならないわけでしょう。その数字でいきますと、一般会計から出す予定のものは何ぼ、益金なるものが何ぼ、こういうふうに聞いているのです。
  167. 太田康二

    太田説明員 それが総額三十八億一千四百万でございます。それで、現在予算として計上されておりますのは、一応の輸入差益等につきましては三億、それから一般会計からの畜産振興事業団に対する交付金は三十億、三十三億というものを一応の予算として考えておるわけでございます。
  168. 東海林稔

    東海林委員 だから、予算では足りないからどうするのだということを聞いているのです。別な言い方をすれば。
  169. 太田康二

    太田説明員 それは九十九万三千トンというのが一応対象になります最高限度というものでございまして、実行に当たりましては、九十九万三千トンいくかどうかという問題もございます。また答申等では、それがもっとふえた場合に変えなければいけないという答申もいただいておりますが、一応最高限度としてはじいてみますと、いま言ったような数字になる。しかし、指定生乳生産者団体が一部の県を除いておおむねできたような実情でございますが、実際にこれだけいくかどうかという問題もございます。なお、輸入差益等につきましては、一応確実に十二月までに見込まれる分として三億というようなことを言っておったわけでございますが、その後の推移等によりますと、先ほど申し上げましたように、これよりも若干期待できるというようなこともございますので、いまここで計算した三十八億一千四百万が、そのまま所要額として要るかどうかということにつきましては、いまにわかに断定できないというような状況でございます。
  170. 東海林稔

    東海林委員 大蔵省に伺いますが、したがって、いますぐこの予算を修正せよとかどうとかいう問題ではないのでありますが、益金がどれだけ入るかということにも関連いたしますが、必要なだけの一般会計からの繰り入れは、こういうふうに単価も変わってきたし、数字も変わってきたのだから、当然やるべきだと思いますが、この点についての大蔵省の心がまえというものはどうなっておるか、それをひとつ聞きたいと思います。
  171. 嶋崎均

    ○嶋崎説明員 ただいま先生の御質問のありました点、予算では、保証の差額がキログラム当たり四円六十九銭、九十五万トンで、周年べースで約四十五億、それから四十一年度は初年度でございますので、第四四半期が次年度払いであるということを考えまして、約三十三億、それから輸入の差益三億を引きまして三十億という予算を見積もっておるわけでございます。   〔委員長退席、舘林委員長代理着席〕 したがって、われわれとしては、なるべくそういう形でおさまることが望ましいと思っておりましたが、結果的にそれを上回って、先ほど御説明がありましたように、相当の財政負担の増があるのではなかろうかというぐあいに心配をしておるわけでございます。ただ、何しろ初年度でございますので、この制度に乗っかって不足払い対象となる数量が、実際の場合どの程度になるかというようなことは、現在まだ確実に見込めないような状況もあるやに聞いております。一説によりますと、九十万トンとか九十五万トンとか九十三万トンとか、いろいろな数字があるようでございます。それらにつきましては、なお今後の推移を見守りまして、必要に応じてこの制度の運用に支障を来たさないようなやり方をどういうぐあいにとっていくかということを研究していきたい、こういうぐあいに考えております。
  172. 東海林稔

    東海林委員 それじゃ最後に、ひとつ畜産局に伺いたいのですが、御承知のように、昨年不足払い法を審議した際に、本員会は、附帯決議の中に、市乳についての対策もすみやかに検討すべしというような項目がついておるわけですが、現在まで市乳について、法律措置あるいはその他の行政措置等を含めて、対策についてどのような検討が進められておるか、その点を明らかにしていただきたい、このように思います。
  173. 太田康二

    太田説明員 先ほどもお答えを申し上げたわけでございますが、従来とも飲用牛乳価格についての行政指導を加えてきたこともあったわけでございますが、飲用乳が国民の食生活において重要な地位を占めておるというような現状にかんがみまして、今後その消費の定安的増進に配慮しつつ、生乳需給の動向を見きわめて指導を行なってまいりたい、かように考えておるわけでございます。しかし、飲用向けの生乳価格につきましては、先ほども申し上げましたように、新制度の実施に伴いまして、一元集荷、多元販売を行なう指定生乳生産者団体というものが発足いたしたわけでございまして、こういった生産者の共販体制が確立されたことに伴いまして、乳価交渉における交渉能力というものが相当強化されたと考えておるわけでございます。一方、用途別取引ということもこの構成下において実施することになりまして、飲用向け生乳価格というものが、従来と違いまして明確になりますし、加工原料乳に対しましては、この制度に基づきまして不足払いが行なわれるということでございますので、乳価交渉にあたりまして、適正な飲用向けの生乳価格というものが形成される基盤がつくられたというふうに考えるわけでございまして、生産者団体の自主的な努力によりまして、適正な飲用向け生乳価格の形成される道がこれによって開かれたというふうに考えておるわけでございます。ただ、飲用牛乳につきましては、地域的な商品という性格がございまして、飲用牛乳の卸売り価格というものは、地域の需給事情によりまして、それぞれ水準が異なっておる。また飲用牛乳の製造販売経費というものは、処理施設の規模の大小あるいは設備の内容等によりまして、相当異なっておるわけでございまして、画一的な基準取引価格というものを政府がきめてまいるというようなことは、きわめて困難であるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、新乳価制度下における用途別取引の実効性をぜひ確保したい、そして円滑に適正な飲用向け生乳価格を形成せしめるというために、飲用牛乳の製造並びに販売過程の合理化を今後推進してまいる。それから当事者間における取引価格の約定にあたっての指標としての飲用牛乳の処理経費というものについてのめどを示す、こういうことが必要であると考えますので、われわれとして調査いたしまして、参考事例としての処理経費というものを指導団体等にお示しいたしまして、適正な飲用向け生乳価格の形成が行なわれるように持ってまいりたい、かように考えております。
  174. 東海林稔

    東海林委員 いまの点大体わかるわけですが、ただ、先ほど来いろいろ皆さんからもお話がありましたように、新しい法律の効果というものがすぐ第一年度から完全に期待できないというような点が、保証価格関係について出たわけですが、それと同じように、生産者団体の一元集荷、多元販売というような形は一応できましても、完全にそれが動くまではなかなか容易じゃないと思うのです。したがって、こういう形ができたのだからいいじゃないかということでは、私は農林省の態度としては不十分じゃないかと思う。そういう点を特に留意していただいて、さっきもちょっと触れましたように、乳製品価格が一時的であっても非常に高くなったというような場合等も考えましても、そういうものがいたずらにメーカーを利するだけで、生産農民にも還元しないということでは、非常にこの制度に対する不信を招くゆえんでもあろうと思います。そういう場合の指導というものは特に適切でなければならぬというふうにも考えるわけです。それから、いま御答弁の中にもありましたように、さらに末端の小売りまでに至る間のいわゆる流通過程におけるいろいろな不合理の是正、余分な経費をなるべく節減して、生産者生産費を償い得るが、しかし、末端消費者についても、従来よりあまり高くない、安い牛乳を飲ます、そういうような点については、まだまだ改善の余地がたくさんあると思います。したがって、私どもが附帯決議をつけた趣旨も、そういう点を考慮しながらつけておりますので、さらに十分この点を御検討していただきたい。  こういうことを最後に要望申し上げまして、さっきの保証価格生産費の中の自家労賃の評価に関する点だけを後日に保留させていただきまして、一応私の質問を終わります。
  175. 舘林三喜男

    ○舘林委員長代理 若賀貢君。
  176. 芳賀貢

    芳賀委員 まず、仮谷政務次官にお尋ねしますが、先ほどの保証乳価の政府告示でございますが、従来われわれの承知しておる点は、政府がたとえば農畜産物価格等法律に基づいて決定して告示をする場合には、事前に与党である自民党との間において了解ができて、しかる後に政府の責任において告示をするということになっておるわけですが、今回の保証乳価告示にあたっても、この手続というものはとられておると思いますが、いかがですか。
  177. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 それが手続というものかどうかは別にいたしまして、政府与党とも十分相談をいたしまして決定をいたしております。
  178. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、自家労賃について、これもやはり先ほど太田参事官から説明のあったとおり、従来の農林省の方針どおり、一時周当たり九十九円八十九銭、一日当たり七百九十九円十二銭ということも、あわせてこれは了解されておるということは間違いないですね。
  179. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 与党の中にも、実はその問題では異論があったわけでありまして、必ずしもそれをあわせて了解したというふうに受け取っておられるかどうか、与党の幹部の中にもいろいろ御意見があると思うのでありますけれども、今日の場合は、ただいま決定をした線でいくよりいたしかたがないであろう、それが最善の方法であろう、こういうことに結論がなって、決定をされたわけであります。
  180. 芳賀貢

    芳賀委員 これは仮谷さんに聞くのはちょっと酷のようですが、本来は坂田農林大臣が出席された場合でもおそくはないわけですが、ただ問題は、いまの政治形態というのは官僚政治ではないわけですね。官僚が最高の地位にあって、政党がその下にあるというものではないとわれわれは考えておるわけです。官僚の中にはそういう思い上がった者も幾らかおることは間違いないと思いますが……。したがって、政党政治である以上、国会で多数をとった政党が政治の責任、権力を持って、そうして官僚に指示して政治を行なっておるわけですから、今後農家の農畜産物生産にあたっての自家労働、いわゆる労働を通じての所得の評価については、日雇い労賃で差しつかえない、それが妥当であるというのが、やはり自民党としての農政の基本であるというふうに考えざるを得ないわけです。その点は後日誤りのないようにここで明確にしてもらいたい。告示前に了解したということは、この内容を包蔵されておることを了解されておるわけですから、ちょっと酷な質問のようですが、ここでけじめをつけておかぬといけないと思うわけですから、率直な御答弁を願います。
  181. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 党としての決定かどうかということを私がお答え申し上げることが適当かどうかと思いますけれども、ただ、従来の価格決定の経緯は、率直に申し上げまして、いろいろ事務当局で検討され、大蔵省と折衝され、そうしたものがそのままの形で告示された例はほとんどないと私は思うのでありまして、必ずそこには与党が入って、いろいろ政策的に問題を検討して、結論が出されておるというのが実情でございます。  今度の場合も、先ほどからのいろいろな議論がありました問題については、与党内部でも非常に真剣に検討されたわけであって、必ずしも日雇い労務賃金をそのまま適用することがいいというふうに与党が全会一致できまったわけでも決してないと思いますけれども、現段階においては、いまのような状態で決定するよりいたしかたがないであろうという結論に達したと私は承知をいたしておるわけであります。
  182. 芳賀貢

    芳賀委員 先ほど統計調査部長から、先日の委員会におけるてん菜生産費調査における家族労働費の評価についての誤りが是正されたわけでありますが、この点についてお伺いいたします。  先ほどの訂正の結果によりますと、昭和四十年度のてん菜生産に要した家族労賃は、これはほとんど北海道における生産ですから、その地域の臨時雇用労賃ということになれば、誤りはないと思いますが、これが一時間当たり百二円四十四銭、一日八時間に換算して八百二十円ということでありますが、ここで生産費調査の内訳を見ますと、非常に問題になる点があるわけです。臨時雇用の点でありますが、十アール当たり、臨時雇いの場合には、男子が一・一時間、女子が八・五時間で小計九・六時間ということになっておるわけです。これに対して家族労働が五十一・五時間、それに年雇いが〇・七時間加算されて、十アール当たりの労働時間が六十一・八時間ということになっておるわけですが、これは臨時労働の場合においては、男女の割合が大体一対九ということになるわけですから、これを男女込みの一時間百二円四十四銭と評価された場合のこの計算方式というものはどういうふうにされたかということを、これは技術的にお尋ねしたいと思います。
  183. 堀江亮次

    堀江説明員 お答えいたします。  先ほど統計調査部長から一時間当たり百二円四十四銭と申し上げましたけれども、これは逆算の平均でございまして、したがいまして、実際積算をいたします過程におきましては、男には男の賃率を、女には女の賃率を、男女それぞれの労働時間に乗じまして、合計いたしましたものでございます。この公表資料に出ておりますように、十アール当たり家族労働費五千三百一円となってございますが、これが積算値でございまして、先ほど百二円四十四銭と申し上げましたのは、この五千三百一円を総家族労働時間の五十一・五時間で除した逆算の平均値でございまして、積算いたしますときは、各旬別、男女別に異なった一時間当たり賃金を労働時間に乗じて積算いたします。したがいまして、この臨時雇いのほうでございますが、臨時雇いのほうは、これは婦人労働のほうが多くなっておる。これはおそらく間引き等であろうかと思います。これはまだ正確な原単位がまとまりませんので、はっきりしたお答えはできませんが、これは労働した時間に対しまして現実の支払い賃金というものを表示しただけでございます。この百二円四十四銭は、いま申し上げましたように、こまかに積算いたしましたものを合計したものが五千三百一円でございまして、これを逆算で割り算した数値が百二円四十四銭、かようなことになってございます。
  184. 芳賀貢

    芳賀委員 そうじゃないのじゃないですか。先ほど部長が訂正されたのは、前回の委員会において、日雇い労賃が男子一時間が百七円で、八時間が八百五十九円、女子の一時間が九十二円で七百三十六円でありますということが説明されたわけです。それをけさは、男女込みに直した場合には一時間当たり百二円四十四銭、一日八時間にして八百二十円、こういうふうに、日雇い労賃の生産費調査上の説明誤りがあったということで訂正したわけですから、それで誤りがなければ、明確にしてもらえばいいわけです。ただ、その内訳は、臨時労働の場合の男女の割合が一対九ということになっておるわけだから、それをどういうような平均値の出し方をしたか、加重平均でやったか、あるいは算術平均でやったかという点がわかればいいわけです。
  185. 堀江亮次

    堀江説明員 この臨時雇いの賃金は、これは個々の農家についての実例でございまして、この臨時雇いの男女比率が一対八になっておりましても、家族労働の評価とは一応無関係でございます。家族労働の評価のほうは、男女別、旬別にその地方におきまする一日当たり賃金をその旬の一日当たり実労働時間で除しました数値を適用するということになっております。それから臨時雇いのほうは、現実に雇った実績でございますので、この男女間の比率というのは非常に異なっておりますから、農家における実績の臨時雇い賃金と家族労働に適用いたします評価単価とは一応無関係でございます。  それから統計調査部長が先般お答えいたしました日額八百五十九円の男、それから七百三十六円の婦人賃金と申しますものは、これは三十九年度におきます農村物価賃金調査の数値を誤ってお答えいたしましたので、訂正いたしたわけでございます。
  186. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、てん菜の場合には百二円四十四銭ですが、同じ地域の牛乳生産の場合には九十九円八十九銭ですが、ちょっとおかしいじゃないですか。
  187. 堀江亮次

    堀江説明員 家族労働の評価単価でございますと、地域が違いまして、ビートの場合は、北海道の百戸の農家だけでございます。それから牛乳の場合ですと、一道六県ということになりますので、やはり臨時雇い賃金の地域差が平均すればそのように出てまいります。積算は、おのおのいま申し上げましたように町村ごとに同じ単価でやっておる、こういうことになっております。
  188. 芳賀貢

    芳賀委員 おかしいじゃないですか。加工乳にしても、大体五割が北海道が対象になるのですよ。それで同じ時点で農村の臨時雇用労賃を調査して、てん菜のほうは百二円四十四銭、牛乳のほうは九十九円八十九銭で、これはあたりまえだ、おかしいじゃないですか。
  189. 堀江亮次

    堀江説明員 申し上げますが、ビートの場合ですと、労働の大半が農繁期に集中いたしまして、北海道のビートですと、五月ごろに労働のピークがくる。労働のピークがくるときには、労賃の相場が非常に高くなる時期でございます。それから牛乳は三百六十五日やりますので、極端な場合は労賃の事例がないとか、あるいは労賃相場がきわめて低いというふうな場合がございます。そういう関係で積算いたしますと、そのような差が出てまいります。
  190. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたは正直に言ったとおり、牛乳の場合は臨時労賃というのはないのでしょう。これに載っておるのですよ。これは統計調査部の昭和四十年の牛乳生産費の場合ですが、まず順を追って、飼養頭数別、それから年雇い、臨時雇いと区分すると、年雇いというのは、一頭飼い、二頭飼いの場合には年雇いはないのです。それから三頭、四頭の場合には百キロの生産費に対してわずか二時間しか年雇いの働く余地はないのだから、これはないと同じですね。それから問題の臨時雇いの場合は、二頭、三頭、四頭、五頭、六頭、それから七頭——九頭の間では臨時雇いはゼロになっておるのです。それから臨時雇いでは、牛乳生産の作業というのは実際はできないのです。できないし、ないのに、それを今度は九十九円八十九銭が妥当だということで、でたらめなことをやっておるわけです。事例のない場合はどうするのですか。牛乳の生産というのは、乳牛の飼育管理あるいは搾乳とか、その生乳の受け渡し場所までの運搬とか、そういう点で、普通の米麦やてん菜のような農作業をやる場合の作業と質が違うのです。技術的にも違う。したがって、九割を女子に依存する臨時雇いではそういう作業はできないのですよ。できないから、そういうものは雇わぬということになるのです。生産費の計算上も何らそれは出てこない。対象にもならないものを統計調査部としてやる場合、これは一体どうやるわけですか。実例がない、対象物がないものの価値判断というものを、一体どうやるのが妥当な生産費であるのか。
  191. 堀江亮次

    堀江説明員 この臨時雇いの雇用事例その他にかんがみまして、いろいろ家族労働の評価について問題点を御指摘と思いますが、家族労働の評価ということと臨時雇いは一応切り離して考えておるのでございまして、たとえば臨時雇い賃金を評価いたします場の広さは、一応旧市町村の区域というふうに要綱では指示してございます。それで、ある月におきまして農業臨時雇い賃金が事例がない場合は、第一次的には空間的に広げる。しかし、それが諸条件が全然異なるようなところでは困る。おおむね普通には郡市の段階程度まが広げて、農業臨時雇い賃金の事例ををさがす。どうしてもその事例がない場合には、今度は時間的な接近方法を第二次的にとる。そまり、九月、十月、十一月にあって、十二月、一月、二月が抜けて、三月、四月、五月にはあったといたしますと、そこでトレンドを結びまして、一応複雑な計算を——これはごくまれな場合でございますが、本省がそのつど計算事例を指示して、家族労働評価単価を与えるよう措置しております。  それから作業別にいろいろ違うじゃないかとおっしゃいますが、これを旬別にとる意味は、実は旬別にまでこまかく労賃単価をきめますれば、結果論として作業別賃率を反映し得るという見解に立ちまして、非常にこまかいことでございますが、賃率は月別でなく、旬別にとる、かように調査規則を定めてございます。
  192. 芳賀貢

    芳賀委員 どうも統計調査部とは議論がやりにくい。あなたのほうは教科書どおりしか言わない。質問答えるという技術というか、そういうことになれていないんだからやむを得ないと思いますが、対象にならないものの価値判断をどうするかということです。それもわからなければ、たえとばビート耕作の場合の臨時労働の作業の内容牛乳生産の場合の作業の内容と比較した場合に、どちらが容易であるか、やりづらいか。もう少しわかりやすく言えば、何も経験も技術もないしろうとを雇って作業する場合に、ビート耕作に雇い入れると、これは一時間平均にして百二円四十四銭。ところが、牛乳の生産に要する労役にこれを用いるという場合に、どっちが容易であるかということは、大体わかるでしょう。
  193. 堀江亮次

    堀江説明員 作業別に牛乳とビートの場合を比べますと、いろいろ作業の難局等によって、片方は臨時雇いも雇えない、あるいはまた雇用しようにもできない、こういう現実の事情は、もちろんあるわけでございます。家族労働の評価ということに……。
  194. 芳賀貢

    芳賀委員 評価じゃない。仕事をどっちがやりやすいかということです。わからぬですね。あなたが私のところへ日雇い労働に来たといたしますと、その場合、私はビートも耕作しておるし、牛も飼っておる。だから、そのビートの作業をやってくださいと言えば、あなたはできるでしょう。私どもの家族に従って同じようなことをやっていけばいいわけだが、しかし、牛の乳をしぼってくれとか、牛の手入れをしてくれとか、あるいは牛肥を出してくれとかいうようなことを言われた場合に、すぐ簡単にできるかどうかということですよ。だから作業を並べて、どっちがあなたの場合やりやすいかということをはっきりしてもらえばいいのです。簡単でしょう。
  195. 堀江亮次

    堀江説明員 おっしゃることは、そのとおりかと思いますが、農林省の生産……。
  196. 芳賀貢

    芳賀委員 何もよけいなことを言わないでも、どっちが楽か、それだけ答えればいいのですよ。あなたが私のところに日雇いに来た場合、二種の作業がある場合、あなたとしてどちらがやりやすいかというのです。作業が容易かということを聞いているのです。
  197. 堀江亮次

    堀江説明員 それはどちらが容易かとおっしゃられましても、私、搾乳の経験もビートの栽培の経験もございませんので、わかりませんけれども、われわれのほうでとっておりますのは、作業別の賃金率でないということでございます。
  198. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたに無理に言ってもしょうがないのですが、こんなことは一年生でもわかることでしょう。やってみればわかるわけです。ビートの畑の仕事をしてみた場合と、牛小屋に入った場合、どっちが一般的にやりやすいかということは、答弁も何も要らぬことだが、しかし、農林省の課長くらいになれば、その判断がどっちかくらいはっきり言えなければいかぬじゃないですか。何もみんなに遠慮することはないじゃないですか。自分の職務に忠実である場合には、私はビート作業のほうが容易だと思いますでいいじゃないですか。経験がないのだから断定はできないでしょう。しかし、こういうことを毎日やっているわけですから、判断して、どっちがしろうととしてやれるかということはわかるでしょう。それぐらいのことを確信を持って言えなければ、あなた方がつくった資料というのは常に悪用されるのですよ。いいところは捨て、悪いところだけ採用されるわけですから、その点はもう少しがんばってもらいたいと思います。  次にお尋ねしたい点は、これは運営上の問題ですが、われわれとして非常に奇異に感ずることは、不足払い、いわゆる補給金の単価というものは、予算編成のときにきめられておるわけですが、実行にあたってこの単価が増額されるという事例はなかなかないのですね。ところが、今回の場合は、結局、保証乳価と基準取引価格の差額分というものが交付金という形で国から交付されるわけですね。その差額というものは、キロ当たりにして五円二十二銭ということになる。予算単価としては五円ですからね。キロ当たりはそうですよ。あなた首を振ったってそうなっておるのですよ。農林省の最初の要求がそうじゃないですか。それが今度二十二銭ふえておる。ふえるのはいいですよ。われわれは九円や十円でいいとは思っていないのですけれども、ふやし方の背景というものを明らかにしなければいかぬと思うのです。先ほど参事官から説明のあったとおり、保証価格については、最初の農林省の試算よりもキロ当たり六十八銭くらいふえておるわけですね。ところが、基準取引価格については何ら修正をしていないというところに問題があるわけです。取引価格も若干の修正をすれば、その差額というものは最初の試算と違いがないのです。だから、何のために基準取引価格の修正をしなかったかということになれば、原料乳ですから、生産者とメーカーというものを二つ並べた場合において、どちらを擁護することを配慮して保証乳価を最終的にきめたかということになると思うのです。結局、これはメーカー擁護ということになるのじゃないですか。メーカーの指標価格の算定については、会社の報告どおりの経費を認めておるわけです。大蔵省のほうもそうでしょう。たとえば加工経費の中の人件費等については何らの調査もしないで、ただ会社の報告どおり、それを容認しておるからして、人件費について、一人べースの給与額も何もわからないで、オーケーということになっておるわけですね。それで、この不足払い法の目的というのは、運営するものによって、生産者の味方にもなるし、メーカーの味方にもなるということは、最初から言われたことなんですよ。いみじくも、この不足払いの額が予算単価よりも若干ふえている。二十二銭ですね。そうして、最初の試算どおり基準取引価格は動いていないということを考えた場合に、これはやはりメーカー擁護に重点を置いて政府告示価格をきめたと言われても、弁解の方法がないでしょう。この点はどうですか。これは答弁は要らないですよ。われわれはそういうふうに断定しているから、答弁の必要はないですよ。  その次の問題は、結局、指定生産者団体と会社間において、今度は取引契約というものを締結されるわけですが、従来と違った点は、いわゆる生乳の受け渡し場所という問題が当然出てくるわけですね。これは受託規程等にも載ってくるが、受け渡し場所というものがいわゆる基準取引価格発生の場所ということになるわけですから、従来と同様の取引場所であるということであれば大きな変化はないが、受託規程等によると、今度は原則的には工場渡しですね。生産者側が工場まで持ち込んで、引き渡す場所の価格ということになるわけですから、この点が、従来の価格発生の場所と、今回の新法によるところの価格発生の場所の相違によって、つまり、生産者の手取り分あるいはメーカー側の利益分に変化が生ずるわけでしょう。それはそうでしょう。その場合、従来よりも生産者側において負担が増加するというような傾向というものは、これはできないとは限らないわけですね。どの程度そういう現象というものが予測されるかどうかということを明らかにしてもらいたいのです。生産者の負担がふえる分が随時随所に出てくるということになれば、その負担のふえた分は、従来は会社負担ということになっているわけですから、それを生産者に今度は制度的に転嫁される。転嫁した分だけはメーカー側の負担が減るわけだから、利益はふえるということになるわけですね。これは取引上非常に重要な問題なわけです。不足払いの金額が幾らかとか、保証価格の問題もあります。実際、取引行為の中において生産者の負担がふえるということになれば、これは非常に重要な問題になるわけですから、この間の取り扱いについて、これを明快にしてもらいたいのです。
  199. 太田康二

    太田説明員 今回の決定を見ました、告示をいたしました保証価格につきましても、基準取引価格につきましても、それぞれ工場持ち込みの段階価格をきめているわけでございまして、いま先生のおっしゃったように、実際の取引ではいろいろな形態があろうかと思いますが、少なくとも工場持ち込みにした場合は、あの価格が実現されるということにつきましては、われわれもその実行が確保されるように厳に注意してまいりたい、かように考えております。
  200. 芳賀貢

    芳賀委員 私の聞いているのは、具体的にどう変わるかということを聞いているのです。抽象的ではなくてね。つまり、従来は受け渡し場所というものが、基幹工場は言うに及ばず、あとはクーラーステーション、あるいはまた簡易な集乳所、いろいろあるわけですね。たとえば北海道においては、従来の取引場所というものは約二百七十カ所ぐらいあるのですよ。これがそのまま取引場所として活用されれば問題がないが、その二百七十カ所がたとえば二百二十カ所になるとか、二百カ所に減るというようなことになれば、これはやはり負担上に変化がくるということになるわけですから、その点を具体的にしてもらいたいのですよ。これから聞くのは全部具体的な問題ですから、答弁も具体的にやってもらいたいと思う。
  201. 太田康二

    太田説明員 先生のおっしゃるとおり、取引が個々の事例によって違いますので、一律にどういうふうになるのだと具体的に声えとおっしゃっても、ちょっと答えにくいわけでございますが、少なくとも現在きめておる価格は、工場渡し価格になっておりますから、実際そういった生産者団体とメーカーとの間で結局取りきめが行なわれるわけでございますが、そういったことの工場渡し価格で五十九円六十四銭、基準取引価格の場合も、基準取引価格告示をいたしたとおりの価格が実現するように、われわれはメーカーなり生産者団体を指導してまいりたい、かように考えております。
  202. 芳賀貢

    芳賀委員 取り引き場所の問題については、農林省でも資料があるでしょう。主体になるところは一道六県です。それ以外のところももちろんありますが、主要生産地帯の一道六県における、北海道とか各県別の従来の取り引き場所というのはわかっているのでしょう。その取引場所が基幹工場が幾つあるとか、クーラーが幾つあるとか、簡易な集乳所が幾つある、これはわかっておるでしょう。そういうものがわかっていなければ、たとえば主要な加工原料乳地域における輸送経費とか集乳経費というのはわからぬわけですからね。これはわかっていますか。
  203. 松本作衛

    ○松本説明員 現在の集送乳経費の実態につきまして把握をいたしておりますが、その際の取引の形態につきましては、工場のやっている場合もありますし、生産者団体のやっている場合もありまして、ケースの数を集計はいたしておりません。
  204. 芳賀貢

    芳賀委員 それはあるというのですか。
  205. 松本作衛

    ○松本説明員 集送乳経費そのものの経費として把握いたしております。経費の積算の基礎となった取引場所の個所数の集計はいたしておりません。
  206. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、全国といってもなかなか無理があるかもしれない、時間がかかると思うから、とりあえず基礎資料として、北海道ほか六県の工場の数、それからクーラーあるいは集乳所の数、これは簡単でしょう。統計調査の月報でもわかっているはずです。わからなければ、統計調査部に聞けば、月別の報告が出ておるわけですから、それがわかれば、農林省の政省令とか、局長通達等に当てはめた場合、その受け渡し場所のうち、どれだけが、今度の法律上いうところの、原則としては工場渡しという資格に当てはまるか、これはわかるでしょう。その点はどうですか。
  207. 松本作衛

    ○松本説明員 従来の受け渡しの形はいろいろあると思いますけれども、今後の受け渡しの形といたしましては、先ほど来お話がありましたように、工場渡しということになります。工場の考え方といたしましては、処理加工を行なっている場所ということでございますから、クーラー・ステーションのような場合でも、分離をしておるというような場合には、処理加工の施設と認められるということで、今後の形としては、そういうものも含めました工場というものを受け渡し場所にするという考え方で指導しておるわけでございます。
  208. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、その結果、どのくらい従来の受け渡し場所が、これは適合しないというものが出るのですか。
  209. 松本作衛

    ○松本説明員 今後の受け渡し場所がどういう形になるということにつきましては、実は現在指定団体と乳業者との間で、話し合いが行なわれておる段階でございますから、基準的な考え方といたしましては、先ほど来申しておりますように、処理加工工場ということでございますが、実態といたしましては、今後指定団体と乳業者との間で最終的にきまってくるということになりますので、現在の段階で幾らということは、ちょっとお答えしかねます。
  210. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは両者間で話し合いがつけば、従来の受け渡し場所が全部生きるという場合もあり得るわけですね。
  211. 松本作衛

    ○松本説明員 指導の基本的な方針といたしましては、受け渡しの場所は工場ということにいたしておりまして、先ほど来参事官から御説明しておりますように、価格の積算といたしましては、工場で受け渡しができるというたてまえで計算をいたしておりますから、われわれの指導の原則的な考え方は、受け渡し場所は工場ということでございますので、実態の取引によりましては、必ずしも工場ということで律し切れないような場合も考えられますし、その辺は指定団体と乳業者との間の話し合いの余地が残っておるということを申し上げたわけでございます。
  212. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、話し合いがつけば、両者間の話し合いで、従来どおりの受け渡し場所がそのまま今回の新制度の受け渡し場所ということにもなるわけですね。
  213. 松本作衛

    ○松本説明員 そういう可能性もあるというふうに考えております。
  214. 芳賀貢

    芳賀委員 可能性でなく、話がつけばそうなるじゃないですか。取引ですから、可能性というものでないですよ。この集乳所は取引場所にするということは、両者間の話がつけば、そこが引き渡しの場所ということに契約上なるのじゃないですか。
  215. 松本作衛

    ○松本説明員 さようでございます。
  216. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は、結局取引当事者の話し合いによってきまるというふうに了承しました。  それからもう一つは、一〇〇%そうなる場合と、地域によっては——これは力関係にもよりますが、生産者側の力の強いところは一〇〇%そうなるし、乳業会社のほうの力が非常に強い府県の場合にはそうならぬという場合もあるわけですから、そうならない力の弱い地域は、従来の受け渡し場所が今度は活用できない。もう少し遠距離あるいは基幹工場まで持っていくということになれば、その分だけ経費が生産者負担分として増額されるわけです。そうなるでしょう。
  217. 松本作衛

    ○松本説明員 先ほど来申しておりますように、今回の制度による取引のあり方といたしましては、生産者団体は生乳をみずからの生産物として販売するわけでございますから、考え方の基本としては、あくまでも生産者団体が自分たちの力で工場まで自分たちの生産物を持っていくということが制度のたてまえであろうかと思っております。したがいまして、指導の基礎といたしましては、工場渡しで受け渡しをするということがわれわれの指導の基礎でございますので、先ほど申しましたように、取引によって変わる可能性があるわけでございますし、最終的には取引によってきまるわけでございますが、私どもの考え方の基礎といたしましては、工場渡しで生乳の取引がされるということを指導いたしておるわけでございます。
  218. 芳賀貢

    芳賀委員 その点は、先ほど原則論として聞いたからいいが、これは道府県単位の扱いということになるわけだから、府県によって違いが出てくるでしょう。会社側の力の強いところは、いままで集乳所であったが、法律上これはだめだ、工場まで持ってきてくださいと言われれば、そこへ持っていかなければならぬ。農林省の解釈も、原則的には工場渡しということになっておるのだから、それはだめだということはあなたのほうは言わないでしょう。従来どおりせいとは言わないでしょう。力関係でこれはきまるわけだから、生産者の力が強いところはそのまま押しつけるからきまるが、弱いところはきまらない。きまらないということになれば、従来はAならAという場所に集乳所があるが、これが今度は活用できないということになれば、Bという地域にある工場まで持っていかなければならぬ。生産者の負担で持っていくということになれば、たとえばキロ当たり一円とか二円経費が生産者の負担としてかさむということになるわけです。どうですか。
  219. 松本作衛

    ○松本説明員 取引場所につきましては、具体的な経過なり事情によってきまってまいると思いますので、実態として、私どもが握把しております平均的な集送乳経費というものと比べてみましても、これは実態によってそれよりも高い場合も低い場合もあるという事情は出てくると思います。したがいまして、先生御指摘になりましたように、あるいは工場の持ち込み場所が変わることによりまして高くなる場合もありますし、計算よりも安くなる場合もあるというふうに、具体的な事例によって変わってくる面はあろうかと思います。
  220. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、それは個々の生産者のプール計算といったって、全面的に最初から各都道府県一本のプール計算というわけにはいかぬでしょう。いままでAならAの集乳経費というものは会社側が負担しておりましたが、そこが引き渡しの場所にならぬということになれば、集乳所は廃止になるのですよ。生産者は今度はBの地域にある基幹工場まで生産者の負担で生乳を運んで、そこで渡さなければならぬということになると、Aの地区にあるところの集乳所が廃止されたことによって受ける損害とか負担というものは、生産者側にあるわけですよ。その経費というものは、一体取引価格のほうにどういうふうにこれを勘案してあるか、その点ですね。いままで会社側負担ということであれば、これは指標価格から逆算する場合経費として落ちるわけですね。それが今度は会社が持たぬということになれば、その経費は会社が要らないということになるから、その分はいわゆる取引価格における生産者の手取り増ということになって、取引価格がそれだけ高くならなければならぬわけです。経費として見る場合と見ない場合と取引価格が違ってくるでしょう。そういう計算はどうですか。
  221. 太田康二

    太田説明員 先生のおっしゃったとおり、実は保証価格決定にあたりまして、一道六県の平均的な集送乳経費というものはすでに織り込み済みでございます。
  222. 芳賀貢

    芳賀委員 どこへ織り込んだのですか。
  223. 太田康二

    太田説明員 保証価格の中に織り込んでございます。
  224. 芳賀貢

    芳賀委員 それは冗談でしょう。そういうものを保証価格に織り込むというのは変じゃないですか。取引価格の中に織り込んであるかないかということが問題なんですよ。
  225. 太田康二

    太田説明員 基準取引価格の中に、工場渡しということで三十一円八十一銭というものをきめておるわけでございます。
  226. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、従来の経費がそれだけはずされたのでしょう。加算されておるのですか。一〇〇%同じであれば変わりがないが、引き渡し場所が整理されるということになれば、その経費というものは会社負担にならぬわけですから、それが取引価格に織り込んであるとすれば問題ですよ。問題というより、織り込んであればあるで会社に出させるから、これはわかるけれども、そこを聞いておるのです。保証価格じゃないですよ。基準取引価格の中にそれがどうなっておるかということを聞いておるのです。
  227. 太田康二

    太田説明員 基準取引価格を算定いたす場合の基礎は安定指標価格にあるわけですから、安定指標価格から標準的な製造処理加工経費を引くわけでございまして、それを出しているのが基準取引価格でございますが、その際、メーカーの製造処理加工経費の中に集送乳の経費は、今回の算式では含めていないわけでございまして、基準取引価格の中には工場渡しの価格で出しておる、こういうことでございます。
  228. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは経費に含めてないということは、その分は生産者負担という考え方ではずしてあるわけですね。
  229. 太田康二

    太田説明員 そういうことで三十一円八十一銭というものが出ておるわけでございます。
  230. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなると、ますます会社は楽じゃないですか。従来は、この加工製造経費の中に会社側が実際負担しておった経費というのは全部算入されておるわけですからね。それを見ないということになれば、従来の概念からいうと、取引価格がその分だけ高くならなければならぬということになるわけですよ。それはそうしていないじゃないですか。
  231. 太田康二

    太田説明員 だから、申し上げましたように、安定指標価格から標準的な製造処理加工経費を差し引くわけでございます。その差し引く製造処理加工経費の中に、今回の計算ではいまの集送乳経費が入っていないわけでございますから、メーカー負担じゃないという意味で引いてございますから、三十一円八十一銭というのは、その分が逆に高く計算されて出ている。決して生産者が不利になっているというわけじゃないわけでございます。
  232. 芳賀貢

    芳賀委員 話はかわりますが、内容を見ると、基準取引価格というものは高くなっていないじゃないですか。あなたの言う説明はわかりますよ。集送乳経費は生産者負担に今度は移したから、指標価格から逆算すべき経費の中には入ってないという説明そのものはわかるのですよ。しかし、取引価格の実態ということになると、その経費ははずしてないじゃないですか。入れておいて、その経費はむしろ生産者に負担させるという仕組みになっているでしょう。それを私は冒頭に指摘したのですよ。
  233. 太田康二

    太田説明員 メーカーの安定指標価格から差し引くべき製造処理経費の中から、従来メーカーが負担しておりました集送乳の経費は差し引いてございますから、結局引くものから引いてございますから、その分は基準取引価格の中に実現しているということになるわけでございます。
  234. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、そうじゃないですよ。あなたのほうは引いたと言って、引いてないのですよ。それは従来の実績から見て、何もこれは高くなっていないじゃないですか、その経費の分だけ。ここにも出ておるでしょう。キロ当たり二円六十一銭、これを引いてあれば、二円六十一銭取引価格が高くならなければならぬのですよ。高くなっていないじゃないですか。
  235. 太田康二

    太田説明員 保証価格は、要するに農家庭先価格をきめて、それからそれを工場まで運ぶための集送乳経費というものを二円六十一銭プラスしてあるわけでございます。基準取引価格は、くどいようでございますが、安定指標価格から……。
  236. 芳賀貢

    芳賀委員 いや、それはわかっているのです。
  237. 太田康二

    太田説明員 先生の高くなっていないという趣旨が、どういう意味か、私よくわからないのでございますが……。
  238. 芳賀貢

    芳賀委員 どういう意味って、取引価格を分析すればそうなっているじゃないですか。取引価格の中に、実際は従来の経費を認めておいて、表面は落としておって、はずしてあるということを言っておるが、この基準取引価格の実態というものは、あなたのほうがよくわかるじゃないですか。中身はどこにはずしてあるのです。私の聞いているのは、形式の答弁じゃないですよ。何もそれほど会社を擁護する必要はないじゃないですか。この農林省の最初の試案について、保証価格についてはなるほどわずか六十八銭の引き上げをしたが、どういうわけで農林省の当初試案の基準取引価格を修正できなかったか。これをちゃんとやれば、なるほど最初の試算が、先ほどのあなたの答弁のように、ちょっとずさんでした、実際は集送乳の経費ははずすべきであったのが、十分はずしてなかった、それで、取引価格についてはキロ当たり二円とか三円上げました、それはその経費を完全にはずした結果、当然二円六十一銭なら二円六十一銭上がることですといって説明がつくのですよ。ところが、国の負担だけを若干ふやして一いいですか、多いのはかまわぬが、会社を擁護するために国の負担をふやす必要はないじゃないですか。国民の税金ですよ。そういう独占的なメーカー擁護のような取引価格の算定とか、引き渡し場所の決定等については、法律運営の最初の年であるだけに、よほど真剣にやってもらわなければいけないと思うのですよ。生産者だって国民だって、そうばかじゃありませんからね。あなた方の筆先でいいかげんなことを算定しても、どういう方針で、どういう目的でこの価格維持制が行なわれているかということはわかるわけですからね。もう少し厳粛な気持ちでやるべきだと思うのです。
  239. 太田康二

    太田説明員 先生のところに「昭和四十一年度保証価格等算定資料」というのがいっておると思いますが、その二ページに基準取引価格の算定の方式が出ております。要するに、指標価格の安定の……(先賀委員太田さん、それはわかっているからいいですよ」と呼ぶ)その算式を見ていただきますと、P。I−M−C、Cは価格決定年度の主要な乳製品の推定製造販売費用ということになっております。この中に集送乳経費は落として計算してあるわけでございますから、それだけ高い乳代が生産者には支払われる、こう申し上げておるわけでございます。
  240. 芳賀貢

    芳賀委員 何も高くないでしょう。どこが高いですか。保証しても、保証した中からキロ当たり今度は二円六十一銭生産者が支払えということになるでしょう。これは一升にすれば四円八十銭になるでしょう。従来そういうものは生産者は負担していなかったのですよ。それを一升について五円近いものを今度は生産者が負担しろということになれば、これは保証価格の中からその負担分というものを引いてみなければ、農家の手取りというものは出てこないじゃありませんか。そういうことになるでしょう。従来は会社の負担でやらしたものを、その分を政府が負担しておるわけですね。農民もまたそういう諸経費というものを負担しなければならぬということになって、会社だけ喜んでおるじゃないですか。あなたのところにはあいさつにきたでしょう。大メーカーは、おかげさんで取引価格が安くなってありがとうございましたとあいさつにきたでしょう。どうですか。
  241. 太田康二

    太田説明員 あいさつ云々の問題は別に、実はお会いしておりませんが、先生おっしゃるとおり——おっしゃるとおりというか、保証価格農家の庭先の生産価格に集送乳経費をプラスしてきめておるわけでございます。基準取引価格はやはりこれと同じ段階価格にしなければなりませんから、メーカーの製造販売経費の中に従来メーカーの負担しておりました集送乳経費は、差っ引いて計算をいたしておりますから、基準取引価格は、やはり保証価格と同様に、工場渡し価格というもので三十一円八十一銭というものが計算されて出てくる、こういうことでございます。
  242. 芳賀貢

    芳賀委員 答弁はそのとおりでも、ただ、先ほどの日雇い労賃と同じように、結局二月六十一銭は経費として見てはないということはわかりますよ。しかし、そのほか二円六十一銭を経費に見てやっておるでしょう、弾力性を持たせて。これは同じことじゃないですか。あなた、取引価格が幾らかということは、これは告示に載っているわけですから、これに載せていなければわかりませんよ、幾らあるかということは。これだって一弁にすれば五十九円六十四銭じゃないですか。そうでしょう。だから、そういう問題があるので、結局取引場所、いわゆる価格発生の場所等については、従来の実績とか経緯というものがある。だから、あまりこれ以上メーカー擁護のような立場で原則論だけを振り回して、あくまでも工場渡しでなければならないとか、そういうことはしないと思いますが、先ほど松本君が、これは最終的には取引の生産者団体と会社間の合意によって、この場所で取引しますということになれば、それは差しつかえないことになっている、こういう農林省としての説明があったわけです。だからこの点は、一応了解しておくが、また問題が出たときに、政省令は、あくまで工場へ持っていきなさいというメーカーの片棒をかつぐみたいなことはしないでもらいたいと思うのですが、いいですか、この点はここではっきりしてください。
  243. 太田康二

    太田説明員 原則はあくまで原則として、私のほうは工場渡しということを期待をいたしておるわけでございまして、そういう指導をしたいと思っておりますが、それは指定生産者団体とメーカーの契約の内容として、集乳場渡しということはあり得ると思います。しかし、できる限り工場渡しということを指導してまいりたい。現に価格もそういう段階価格をきめておる、そういうことでございます。
  244. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、同じ加工原料乳の場合でも、交付金対象にならない分があるのです。たとえば調製粉乳の原料である生乳については、これはもちろん純粋の原料乳であることには間違いないが、農林省のほうではこれは対象にしないということを言っておるわけですからして、では対象にならない原料乳の取引価格というものをどうするかということは、これはやはり実際の取引上重要な問題になると思うのです。取引の内容は、用途別でこれは定めることになっておるわけですから、対象になる加工乳対象にならない加工乳、それから飲用乳とか、学校給食用牛乳とか、それぞれ用途別によって取引価格がきまるが、まず、交付金の対象にならない加工乳の現実の取引価格等については、農林省としては、どういうような方針生産者が不利にならないようにするかという点について伺いたいと思います。
  245. 太田康二

    太田説明員 今回の畜産物価格審議会の附帯事項の中にも、「飲用牛乳、調製粉乳および学校給食用牛乳に仕向けられる生乳の取引価格の形成について適切な指導を行なうこと。」という附帯事項がつけられております。飲用牛乳につきましては、先ほど申しましたとおりの指導をやってまいりたいと考えておる次第でございますが、調製粉乳につきましては、実は当初これを入れるか入れないかという議論指定乳製品業者と生産者との間にあったのですが、私のほうは、現在の調製粉乳に支払わるべき乳価は、当然政府決定をしなければならない保証価格以上で取引される実態にある、その認識に立ちまして、指定乳製品の中に入れなかったわけでありますが、現在定めました六十九円四十三銭よりも高い価格で取引されるように、メーカーと生産者との間で、そういったあれが行なわれるように、メーカーを十分監視してまいりたいというふうに考えております。  それから学校給食用の牛乳につきましては、御承知のとおり、乳業者と学校の間で取引価格がきめられておりますが、通常言う場合の広告宣伝費等は、学校給食の場合には要らないわけでございますから、そういった経費が差し引かれて取引が行なわれるよう県を指導しまして、県がさらにそれぞれの個々の具体的な学校の取引の際に指導に当たってもらうようやってまいりたいと考えております。
  246. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは調製粉乳等の加工原料乳については、単に保証価格を下回らないということだけでなく、飲用牛乳の取引価格と同様なものであるべきである、こういうことですね、あなたのいまの発言は。
  247. 太田康二

    太田説明員 少なくとも加工原料乳の今回定めました保証価格以上で取引されることを期待しておるということでございます。
  248. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは保証価格と同じになるじゃないですか。あなた、去年の暮れに当委員会に来て、この不足払い法についての政省令の案を委員会に配付して説明しておる。そのときの発言は覚えておるでしょう。どういうわけで調粉づいての原料乳不足払い対象にしないか、そういう委員質問答えて、いや、これは非常に利益率が高いのです。だから、これは飲用牛乳に供されるなま乳の取引価格と同様にしても——いや、議事録を見てごらんなさい。あなた、そういうその場限りの答弁じゃいかぬですよ。一体、何のために国会の議事録というのはあるのですか。それは政府においても議員においても、議会内における発言に対して、あくまでも責任を持つということで、この神聖な発言が記録にとどまっておるわけですからね。まだ半年もたたぬのに、首を振ってたってしょうがないじゃないですか。あなたはこう言っているのですよ。市乳と同じ価格でそれは買い入れしても、いまの調粉の価格というのは、生産量もどんどん伸びておるし、収益性も高いから、それと同様の取引をしても会社は採算がとれる、それで、これは交付金の対象にしません。そういうことを明確に言っておるじゃないですか。それが今度、いまになって、あなたの発言から推せば、大体保証価格程度に取引させればいいというような、そういうことじゃないですか。それじゃ保証価格全国の飲用向けのなま乳の取引価格が同等かというと、実際にそうじゃないじゃないですか。その地域において行なおれておる飲用向けなま乳の取引価格に準ずる、大体その水準でこれは取引すべきであるということが明らかにならなければ、ますます市乳の値段を押えるということになるじゃないですか。これは単に加工乳だけの問題じゃないですよ。これは政策上の問題でもあると思うのですよ。もう少し、生産者だけを踏みつげるような態度でなくて、会社側に対しても強い姿勢で行政指導をやったらどうですか。
  249. 太田康二

    太田説明員 私がこの前政令の原案を御説明申し上げたときの、調製粉乳をなぜ加工原料乳指定乳製品対象にしないかということの説明は、私の記憶では、飲用乳価と同じあれで取引されるからというふうに申し上げた覚えはないわけでございまして、現在の取引の実態を見てまいりますと、少なくとも保証価格以上支払い得る能力のある製品である、したがいまして、指定乳製品としまして不足払い対象にすること自体が制度に即しませんから、調製粉乳は対象にいたしません、こう申し上げたはずでございまして、したがいまして、今後の指導の方針といたしましても、少なくとも保証価格を割るようなことのないように監視してまいる、こう申し上げておるわけでございます。
  250. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、畜産局としてながめて、調粉の原料乳を飲用並みに買い入れた場合にどうなるか、会社として赤字になるか、採算がとれるか、それはどう見ているのですか。
  251. 太田康二

    太田説明員 調製粉乳といいましても、いろいろな種類がございまして、それぞれメーカーによって製法も違っているようでございます。そういったことも、実はあの際申し上げたはずでございまして、実際に現在飲用乳価並みに取引された場合にどうなるかということにつきましては、現在、私、承知いたしておりません。
  252. 芳賀貢

    芳賀委員 どうしてわからぬのですか。指標価格から逆算して経費を調査する場合、これは補給金対象になってもならぬでも、乳製品であることに間違いないでしょう。脱脂粉乳乳製品だし、調製粉乳も乳製品だと思うのですね。ただ、その加工に要する経費ということになれば、少なくとも大メーカーの製造工場においては、あらゆる乳製品であっても飲用乳であっても、経費というものはおのずからこれは把握できるのです。それはあなたのほうで自分でやらぬで、会社の報告どおりやっているから、いつまでたってもわからぬだけのものでして、それは調製粉乳についても、飲用向けの牛乳と同じ取引価格で原料を講入しても、いまの調粉の市場価格から見て、採算がとれるかとれぬかわからぬなんというのはおかしいじゃないですか。農林省の水産庁あたりが言うのならまだ話はわかるが、そのために畜産局というのは置いてあるのですよ。
  253. 太田康二

    太田説明員 指定乳製品ないしその他の乳製品の中に調製粉乳は含めておりませんので、実は製造処理経費等についても調査をとっておりません。したがいまして、いまの段階ではお答えしかねる、こう申し上げておるわけでございます。
  254. 芳賀貢

    芳賀委員 これはあとで問題にもなります。そういうものをわざわざ製造過程からはずすというのは、調査をするよりもむずかしいと思うのです。どうですか。
  255. 太田康二

    太田説明員 ちょっと質問の意味がくみ取れなかったのですが……。
  256. 芳賀貢

    芳賀委員 総体的に加工経費を調べればわかりやすいが、意図的に調粉の経費だけを調べないとかいうことのほうが、むしろ作業としてはむずかしいのじゃないかということです。出た結果というものは不正確ではないかということを言っているわけですよ。
  257. 太田康二

    太田説明員 先ほど、私のほうが調査をいたしました製造処理経費の御報告を申し上げたわけでございますが、あれば各乳製品別に調査をいたしておりまして、それもいずれも不足払い対象になる指定乳製品等を中心にやっておりますので、調製粉乳についてはいま調査をいたしていないということを申し上げたわけでございます。
  258. 芳賀貢

    芳賀委員 君、報告だけで認定しているからそうなるのですよ。  最後に、きょうはもう一点だけでやめておきますが、今度は実際の生産者団体と会社の取引価格ということになりますと、基準価格告示になったからわかっておるでしょうが、これだけで取引せよというわけではない。これはあくまで取引だから、生産者団体と会社側で取引上の話し合いをして、その結果が基準取引価格よりもたとえば二円とか三円高くきめたって差しつかえないわけですね、そうでしょう。
  259. 太田康二

    太田説明員 そのとおりでございます。
  260. 芳賀貢

    芳賀委員 こういうわかったことをはっきりしておかないとうまくないのですよ。  もう一点、保証価格あるいは基準取引価格乳製品の指標価格等には法律に基づいて告示が行なわれて、政府生産者に交付すべき補給金の額は、これは法律上は何も告示する必要はないことになっているわけです。しかし、保証価格基準取引価格の差額が政府が負担すべき交付金の金額であるということは、これは国民は承知しておるわけですからして、これをすみやかなる機会に政府としても発表する必要があると思う。これは政務次官、どう考えておりますか、計算すればわかるという程度の問題ではないと思いますね。
  261. 太田康二

    太田説明員 いま先生のおっしゃったとおり、加工原料乳保証価格が定められまして、告示いたしておりますし、加工原料乳基準取引価格も定められて、告示をいたしておるわけでございまして、これを差し引けばキロ当たり五円二十二銭というのがはっきりいたしておるわけでございます。キロ当たり加工原料乳につきましては五円二十二銭は必ず支払う、こういうことになるわけでございます。
  262. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、それを計算してみればわかるというわけではなくて、やはりこれは次官通牒でも局長通達でもかまわぬが、すみやかに——どうせ政府が国民の税金から出すのでしょう。それを政務次官に聞いているのですよ。参事官通達というものはないですからね。仮谷さんから明らかにしておいてもらいたい。
  263. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 指導として、各県に一応通知することが適当だと思います。
  264. 芳賀貢

    芳賀委員 それではきょうはこの程度にしたいと思います。  あと重大な問題については、大臣の出席したときにいたします。
  265. 舘林三喜男

    ○舘林委員長代理 次に、昭和四十一年度におけるてん菜の最低生産者価格告示につきまして、政府から報告を聴取いたします。岡田食糧庁業務第二部長。簡単に。
  266. 岡田覚夫

    ○岡田説明員 先般御審議いただきました四十一年の最低生産者価格につきましては、法律に基づきまして、パリティ価格基準といたしまして、生産費を農産物、経済事情等を考慮いたしまして種々検討いたしました結果、千キログラムにつきまして六千七百十円ということにいたされまして、ちょうど十日が日曜日でございましたので、九日の官報に告示をいたしました。
  267. 舘林三喜男

    ○舘林委員長代理 次会は明十三日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時十一分散会