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1965-12-24 第51回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十四日(金曜日)    午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 倉成  正君 理事 田口長治郎君    理事 舘林三喜男君 理事 長谷川四郎君    理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君    理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君       井出一太郎君    伊東 隆治君       池田 清志君    宇野 宗佑君       小渕 恵三君    金子 岩三君       草野一郎平君    小枝 一雄君       笹山茂太郎君    高見 三郎君       田中 六助君    綱島 正興君       中川 一郎君    丹羽 兵助君       野原 正勝君    藤田 義光君       松田 鐵藏君    湊  徹郎君       森田重次郎君    亘  四郎君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       中澤 茂一君    松浦 定義君       森  義視君    湯山  勇君       小平  忠君    中村 時雄君       林  百郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (蚕糸局長)  丸山 文雄君         水産庁長官   丹羽雅次郎君  委員外出席者         農 林 技 官         (水産庁生産部         漁船課長)   小島誠太郎君         海上保安官         (警備救難部         長)      猪口 猛夫君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 十二月二十四日  委員草野一郎平君、白浜仁吉君、丹羽兵助君、  藤田義光君、森義視君及び山田長司辞任につ  き、その補欠として小渕恵三君、田中六助君、  井出一太郎君、湊徹郎君、山中日露史君及び中  澤茂一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井出一太郎君、小渕恵三君、田中六助君、  湊徹郎君、中澤茂一君及び山中日露史辞任に  つき、その補欠として丹羽兵助君、草野一郎平  君、白浜仁吉君、藤田義光君、山田長司君及び  森義視君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一号)  日本蚕糸事業団法案内閣提出第一二号)  農林水産業振興に関する件(北洋における漁  船の遭難問題等)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  繭糸価格安定法の一部を改正する法律案及び日本蚕糸事業団法案の両案を一括して議題といたします。  別に質疑申し出もないようでありますので、これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  3. 濱地文平

    濱地委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、繭糸価格安定法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立
  4. 濱地文平

    濱地委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。     —————————————  次に、日本蚕糸事業団法案について採決いたします。  本案賛成諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 濱地文平

    濱地委員長 起立総員。よって、本案原案のとおり可決いたしました。
  6. 濱地文平

    濱地委員長 この際、東海林稔君外二名から、日本蚕糸事業団法案附帯決議を付すべしとの動議提出されております。  趣旨説明を求めます。東海林君。
  7. 東海林稔

    東海林委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、ただいま議決されました日本蚕糸事業団法案に対し、附帯決議を付すべしとの動議提出いたします。  まず、決議の案文を朗読いたします。    日本蚕糸事業団法案に対する附帯決議   政府は、すみやかに左記の各項の実現に努め、蚕糸業振興に遺憾なきを期すべきである。      記  一 事業団に対する政府出資をすみやかに増額し、繭糸価格安定措置効果を充分発揮できるよう円滑な運用に努めること。  二 海外における生糸、絹織物の消費需要を一層開拓するとともに、輸出機構の整備等抜本的な輸出振興体制を速急に確立すること。  三 生糸及び乾繭取引所については、従来ややもすると投機の場として運営され、これが蚕糸業振興を大きく阻害している実情にかんがみ、更に行政措置を強化して取引所本来の機能が十分に果せるようその指導監督に万全を期すること。 右決議する。  以上でございますが、本決議趣旨につきましては、本委員会における各委員質疑並びに参考人意見陳述等によって明らかであると考えますので、この際詳細な説明をすることを省略いたします。  何とぞ全員の御賛同をお願いいたします。
  8. 濱地文平

    濱地委員長 ただいまの東海林君外二名提出動議のとおり決するに賛成諸君の御起立を求めます。   〔賛成者起立
  9. 濱地文平

    濱地委員長 起立総員。よって、日本蚕糸事業団法案附帯決議を付するに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。坂田農林大臣
  10. 坂田英一

    坂田国務大臣 ただいま賜わりました附帯決議につきましては、政府といたしまして、十分にその御趣旨を体して善処する所存でございます。     —————————————
  11. 濱地文平

    濱地委員長 なお、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  13. 濱地文平

    濱地委員長 農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。松田鐵藏君。
  14. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 きょうは大臣出席を求めておりましたが、予算委員会関係上時間がとれないので、政務次官、それから海上保安庁を呼んでもらいたいと思います。  時間もないことだから、まず海上保安庁から先に報告を受けなければならないのだが、十二月における北の海における遭難事故に対して、水産庁として調査ができておったならば、その報告を求めます。
  15. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 北方海域におきます漁船遭難概況について、十二月から述べよということですが、まず十二月十四日に永洋丸、二百九十八トン、これは二十四人乗っておりますが、しけのため浸水いたしまして、ゴムボート準備中の連絡がございました以後、行方不明でございます。それから十七日に第三十一天佑丸、これは九十六トン、十九人乗っておりますが、しけのため操船困難と打電、以後行方不明。十六日、第二十三妙宝丸、九十二トン、十五人、これは沿海州沖操業中でございますが、消息を断っております。十二日に第二清雲丸、これは十四トン、二人乗りのはえなわだと存じますが、これは羅臼を出港後行方が不明でございます。それから日がこの前後ですが、不明でございますが、第二十二直栄丸、九十九トン、これはタラはえなわでございます。十六人乗っておりましたが、五人が大波のために海にさらわれました。船体は異常ございません。それから第八栄宝丸、これは五十九トン、イカ釣り、十四人、座礁でございまして、四人が泳いで上陸しておりますが、十人が行方不明、こういう状況でございます。
  16. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 タライカ湾で一そういっているだろう。七十二トン。
  17. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 十二月からの分を申し上げましたが、十一月の十四日に第八北鉄丸、七十四トン、これはタライカ湾でございます。七十四トン、十六人、底びき船でございますが、五人はゴムボートで漂流中救助されましたが、十一人は行方不明。いま先生のおっしゃいました第八北鉄丸は、十一月十四日の事故でございます。
  18. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 このうち、十一月の遭難したものは、十六人のうち五人助かっている。十二月に寒波がきてからのものは、ほとんど全部死んじゃっている。これに対して長官並びに漁船課長は、船の構造とかその他に欠陥があるという考え方を持っておられるかどうか、この点をお伺いしたい。
  19. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 たいへんむずかしい御質問なのでございますが、いま申しましたとおり遭難の態様は非常に複雑でございまして、たとえば第八北鉄丸、これは追い波で沈没でございますが、その他には、浸水のためあるいは氷のために、操船不能となって航行困難となったものもあるわけでございます。したがいまして、一がいに船の大きさだけで問題を論ずるわけにもいかない、かようには存じますが、船の大きさと遭難の問題については、やはりもう少し慎重に考えねばならぬ問題だと思います。
  20. 濱地文平

    濱地委員長 松田先生救難部長がお見えになったようです。
  21. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 これは海上保安庁から説明を受けたいのですが、いま遭難の状態、漁船や船員の死亡したことに対して、長官から報告がありましたが、私は、船の構造の面に対して、海上保安庁として、こういう遭難を防止するのにどのような方法がいいか、または船に欠陥があるか、こういう点に対してお調べになっておったらお話しを願いたいと思います。
  22. 猪口猛夫

    猪口説明員 漁船海難全般につきます、ただいま先生が御質問になりました船体構造等の問題につきましては、それぞれ専門の係におきまして十分検討されていることと思いますので、私たちのほうで、いまここで御指摘申し上げる立場でないと思います。しかし、先ほど来お話を聞いておりますと、主として問題が冬期海難にあるようでございますので、それらの海難を通じまして、私たち海上保安庁でやりました、あるいはとりました過去の経験に基づきまして、若干先生の御質問にお答えし得る点が二、三あるではないかと思われますので、その点を御披露申し上げたいと思う次第でございます。  先ほど水産庁長官の御説明の中にもあったようでございますが、冬期海難におきます漁船の件数は非常に多いのでございまして、全般に申し上げますと、全海難の四〇%は漁船が占めておるわけでございます。ことに北方海域におきます冬期海難では、特殊な着氷という問題がございまして、この着氷対策ということは、非常に冬期海難防止上大きな問題だと信ずるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、海上保安庁では、北海道の第一管区海上保安本部長委員長とする着氷試験委員会というのがございまして、昭和三十五年一月より毎年着氷試験を実施しているわけでございます。  その着氷試験のねらいといたしますのは、着氷と気象、海象との関係、あるいは船舶着氷による安全性の変化、あるいは着氷防止対策、この三つを主眼として着氷試験をやっておるわけでございます。その結果、私たちのほうで考えられる問題といたしましては、ただ問題点のみを申し上げるのでございまして、その結論的な、結果的なことは、それぞれの所管のところでまた十分検討していただき、またはいただいておると思いますが、船体につきましては、船舶安全基準規則というものの規制が若干必要ではないかというようなことも考えられます。また着氷防止上から見る海難防止主眼といたしますれば、これは操業という経済性などを抜きにいたしまして、サイドタンクを増設するとか、また無理をして氷がつきますと重心が上に上がりますので、それを勘案して操業早目に切り上げるというようなことも考えなくてはいかぬじゃないかということが、海難防止的な見地のみからいえば、そういう問題もあると思われます。また船型を流線型にするというような問題もあると思いますし、また、私たち海上保安庁立場から申し上げれば、流氷海域あるいは着氷海域をあらかじめ指定する、またその着氷水域におきます航法、あるいは着氷した際における早期の氷の除去手段というような問題があると思います。  もう一つ科学的な見地から申し上げますと、着氷を防止する手段はないかという問題があると思います。たとえばスチームを常時通すとか、あるいは着氷防止的な塗料はないかとか、そういうような問題があると思います。そういう問題につきまして、構造上の問題は別といたしまして、着氷防止上の見地から、現在まで専門家の間で得られました結論と申しますか、見通しは次のようでございます。  着氷試験の際、いろんな塗料も塗ってやってみましたが、一たんつきかけると、着氷拡大防止は不可能であるという結論が出ております。それからスチームを常時通しておけばいいじゃないかという問題も、ほんの初期の着氷につきましては若干効果があるようでございますが、これも一たんつき始めますと全然効果がないということが、結果に出ております。それから火炎放射器を使って氷を除去したらいいじゃないかということでございますが、これも千歳の陸上自衛隊で実験いたしましたが、良好な結果を得てないというような次第でございまして、現在では最も効果的な対策というものが講じられておりません。しかし、私たちのほうでは、明年も引き続きまして、こういうような点を何とか解明して、冬期におきます操業に役立てたいというので、北大とも緊密な連携をとりながら、着氷試験をやるようになっております。
  23. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 大体御意見のほどはわかりました。  では、具体的な問題を一つ一つまず漁船課長にお伺いしますが、十一月の十四日に北鉄丸というものが沈没した。これは十一月中であったから、十六名のうち五人だけ救助されて、あとは十一人死んでしまった。私が今度調査をした点からいきますと、この船は底びき漁船であるから——いま一番性能のいい底びき漁船は九六型ですが、九六型の底びき漁船装備というものは、もうわれわれが考えることのできないほど装備ができておる。そこで、七十二トンの船が九六型と同じ装備をしていた、つまり、頭でっかちなんです。そういうために、まだ着氷の時期でもないのに、非常なしけでもあったけれども——水産庁ではトン数による馬力のみを指導されておるのです。ところが、装備の点において九六型と同じ装備をしておった。こういうことによって、同じ僚船がそこにおったのにもかかわらず、その船はだいじょうぶであって、これが遭難してしまったということを私は今回知らされてまいったのですが、そういうことはありましたかどうか。
  24. 小島誠太郎

    小島説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいましたけれども、漁船課におきまして規制をいたすおりに、トン数に対する馬力のみというお話でございますが、なるほど、トン数に対する馬力制限は、国民経済観点から、過当競争にならないようにというようなことでやってございます。そのほか、これに並びまして、漁船建造許可等を出すおりに、動力漁船性能基準というようなものに基準を求めまして、これで船の重心位置並びに使用時におきまする乾舷の量というものを設計におきまして規制しまして、この基準に合致したものにつきまして、許可をやってございます。  それで、ただいま七十二トンに九十六トン型の重装備をしたがために、あるいは頭が重くなったのではないかというような御指摘を受けましたけれども、一般的に申しますと、このようなことは確かにございますが、その船を建造しますおりには、当初に設計図をいただきまして、それによって造船者における設計で、重心位置はしかじかかくかく、それから海の上におきまして載荷をいたしまして船がどの程度浮いておるか、逆からいいますと、どの程度の喫水が入るかということにつきまして計算の上、基準に合わして、それでよろしいというので許可をいたしたのでございます。たまたまこれが同型船が無事で、この船だけが不幸にして何か事故を起こした模様でございますけれども、これははなはだ残念なことでございまして、あるいはそのほかの船と比べまして、何か特別の外的な条件が不幸にして加わったのじゃないかと考えておる次第でございます。
  25. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 長官でも課長でも、私は文句を言うためにいまここへ立っているのじゃないことを考えてやってください。お互いに研究するための議論だ、こういうように解釈してもらいたい。  さてそこで、カツオ・マグロ船におけるあのマリアナの災害というものもようやく片づいた今日、政治的にものを考える場合においては、さなきだに労働力の足らないときにおいて、南に北に遭難事故が起き、明年度はこれからILOの批准もされて実行に移るときなんです。こういうときにおいて、ただ漁業経済ということのみでものを考えちゃいけないと思うのです。人命に対していかに対処していかなければならないかということについて、水産庁長官として、農林大臣として懸命な努力をしていかなければならないということであろうと思うのです。  いま海上保安庁救難部長から非常におもしろいお話を承ったのですが、あとの十二月になって遭難した船は全部着氷です。いかに科学が進歩したといえども、先ほど部長が言われたように、薬を塗って着氷を防止するといっても、ほんの上つらに薬を塗っただけにすぎないわけです。だから、それにまた水がつけばどんどん凍っていく。実は私は、三十三年に百七十七トンの鉄船と百三十五トンの鉄船二そうを遭難させて、三十五人という人命を失った経験者なのです。それがために身ぶるいするほどのおそろしさを感じておるのです。そういう立場から、私はいま水産庁に、また皆さん方に対して相談をしようということで質問に立ったのです。  まず、いま救難部長からお話のあったように、この着氷防止ということを懸命に考えなかったら、とうてい冬の北の海での安全な操業はできないと思うのです。私は三十三年に自分で遭難事故を起こしてから、この際どうしたらいいかということに対して懸命な努力をした。これは一つの例でありますが、これから御調査を願いたいと思うことは、英国漁船、ノルウェーの漁船、これは全部スチームなのです。英国漁船はもとは重油をたいていなかった。石炭ばかりでやっておったから、漁船のファナの高さはマストくらいあるのです、さぎりをかぶってもだいじょうぶのように……。いまは新しい漁船ができまして、大体四百五、六十トンから七百トンくらいの漁船ができている。それはみんなディーゼルエンジンになっていますが、これまた全部ボイラーを常備している。そらしてスチームによる着氷防止をしているのです。もう科学も何もないのだ。氷を溶かすには熱いお湯をかける以外に方法はないのだ。いま北の海の漁船はどういう方法をもって着氷を防止しているかというと、鉄工所と同じように、乗り組み員全体が使用できるだけのハンマーを持っているのです。海上保安庁でよく調べておられるでしょうが、全部ハンマーを人数だけ持っているのです。そうしてさ霧がかかって氷になるのをハンマーでもってたたき落とそうということなのです。それが三十メートル、四十メートルの強い風のときに、はたして漁夫がそこへ行って、ハンマーで氷をたたいて落としているかというと、そういうことはできやしないんだ。そういうことで、何よりも大事なことは、ボイラーを備えつけるということを考えなければならないのじゃないかと私は思うのだが、漁船課長、よく研児してもらわなければならぬと思うのです。  次に、水産庁はいろいろな角度からいって、漁船トン数制限されておることはやむを得ないと思う。一番卑近な例とするならば、あの北海道沿岸に来る魚をとろうとする七トンの鮭鱒流し網漁船がある。この漁船を、こともあろうに代船建造はならないとしている。新しく船をつくりかえることはいけない、いかに老朽してもその船を使えということだ。ところが、漁船というものは、何でもいいからとるときにおいてはそれをよけいとろう、とろうと考えておる。極端なことを言えば、海上保安庁が先ほど言われるように、積み荷制限をしなければならないということに到達するんじゃないですか、どうですか。浮揚力を維持するために、着氷ばかりでなく、積み荷制限ということも考えなければならぬと思うのです。であるから、いずこの船であろうとも、この積み荷制限をするためには、船に魚を積むことのできないようなエアタンクのようなものをつくらせるように考えなければならないのじゃないかと思うのだが、五トンや七トンの船に、三トンなり四トンなりという積み荷のできないエアタンクをつくるという考え方を持たれませんか、長官。私はその点が基本だと思うが、その点に対する長官の御意見はどうか。これはどこの沿岸だってあると思う。
  26. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 だんだんのお話でございますが、まず、いろいろなお話のうち、一点、着氷の問題でございます。これはいま、場合によっては詳細に漁船課長から御説明さしたいと思いますが、三十八年までは漁船性能検査の際に着氷の問題を要素に入れておりませんでした。そこで、三十九年の四月から、北洋のほうに出る船の性能基準には、氷がつく場合のスタビリティーその他を基準に取り込むということは、一つ改善をいたしております。ただ、先生がおっしゃるように、それでも氷がつくときのとり方その他を研究しろということは、漁船課長にも十分研究さしたいと思います。  それから第二点の積み荷の問題でございますが、これは確かにマグロその他大型船も含めまして問題がございまして、御承知だと思いますが、載荷制限積み荷基準というものをやはり設ける必要があるということで、目下漁船課を中心に基準作成中でございまして、四十一年の三月までには基準を決定して指示しまして、これを守らせるようにいたしたい、かように考えております。三月を目標にやっております。ただし、申し落としましたが、当面これは二十トン以上のものから手をつけるつもりでございます。
  27. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 一番危険度のある、千何百隻とある小さな船もそれになぜ入れないか。
  28. 小島誠太郎

    小島説明員 ただいまの松田先生の御質問に対してお答えいたします。  この漁船について載荷の基準を設定するということは、昭和九年に安全法漁船の載荷について問題になって以来の大きな問題でございまして、当時はこのような基準を置くべき漁船はまだ日本にはなかったというような観点から、やっておりませんでしたけれども、近時になりまして、あるいは国際的の漁業もできる、それから地球の裏側までも行くような大きな漁船ができるということになりまして、当然載荷の基準をつくらなければならぬというような時期になりましたので、三十八年度、三十九年度調査いたしまして、四十年度に過去二年間の調査結果を解析いたしまして、その基準をつくるべくただいま準備中で、案としましてほとんど完成いたしております。  そこで、この基準をきめますのには、みんなが守れるような基準をつくる必要がありますので、調査を非常によくやらなければいけません。したがいまして、この調査をかけられる漁船というのは、ただいまのところ二十トン以上の漁船というのが非常に手っとり早いのでございまして、まずここから始めたわけでございます。いずれ時間を追いまして小さなほうにもやりたい、このように考えております。
  29. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 遭難の表があるのですよ。水産庁でも見ていると思いますが、大きい船より、小さい船が遭難の率が多いのですよ。そこで水産庁だけが考えてはだめです。その地方地方における県庁なり道庁なりというものも考えなければならぬことですよ。一番小さい船が一番数が多いのだから……。積載量制限するということを考えてやるのならば、小さい船をやるのが一番早いでしょう。小さい船で鉄船というのはほとんどありますまい。五トンや七トンの船で鉄船なんてありはしないのだ。いままでの漁業者は、五トンでもって許可をとったものを七トンにしてくれ、十トンにしてくれ、こういうことを言っているのだが、私はそれに耳をかして言うわけじゃないのです。それは誤解しないでくださいよ。それよりも、七トンの船でもって代船建造はしてはいけない、老朽船になったってそれでもって沖に出て行けという。七トンの船で積み荷は幾ら積めますか。木船でもって七トンの船ならばどれだけの積載量があるかということは、漁船課長、簡単にわかるじゃありませんか。そうしたならば、それに対しての浮揚力を増すということからいって、くぎづけしたエアタンクをともなり表なりにつくって、魚を積ませないというやり方をやるのだったら、簡単にできるじゃありませんか。漁船課長、あなたは博士号を持っておる漁船課長だが、そんなことは、その辺の海岸の船大工は一番先にわかるだろう。そんなことに二年も三年もかかるという理由はないじゃありませんか、ほんとのことを言ったら。どこの沿岸の船大工でも、どれだけあったら積載量はこれと同様だ、ハッチはこれと同様にしてどれだけの空積があったならば船は沈んでいかないかということは、役人だからあなたそういうことを言うけれども、船大工に聞かせたらすぐわかるじゃありませんか。そうしたならば、県庁なり道庁なりと相談をされて、簡単に割り切って、これ以外の大きな船はつくっちゃいけないぞ、ここのところにはエアタンクをこうしろ、とものほうにはこうしろということを言ったならば、ぼくでさえわかるのだから、おまえさんのような課長がわからぬことがあるのか。日本漁船を一手に握っている人じゃありませんか。あまり詳しくやるからものごとができなくなる。簡単に少しずつオーバーしたくらいの空積をつくるということを考えたならば朝めし前だ。ぼくなら一晩かかればできる。そのようにして小さな漁民と漁船を持っておる者をまず救ってやらなければなりませんよ。二十トン以上、百トン、三百トン、五百トンなんということよりも、一番多い沿岸の大衆漁民を救うということならば、こんなものはぼくのところへ来てごらんなさいよ。すぐ設計してやるから。そんなものは一晩でできてしまう。そういうことを長官よく考えて善政をしがなければだめですよ。  第二番目は、ぼくは御説明がなかったからわからぬけれども、九六型というのも、三十九年に着氷を考えてやったということになるのでしょう。ところが、漁船課長の先ほどの説明では、技術的に見てこれならば装備の点においてもけっこうであろうということから、あなたのほうでは九六型の漁船許可しているのでしょう。ところが、この新造船が今日みんな遭難している。そうしたならば、この新造船が遭難している原因はどうかというと、長官、こういうことがある。北海道の水産試験場の場長であった大島という博士、場長としてりっぱな人だった。この人のせがれが稚内の水産試験場に勤務している。そうしてこれは北の海では画期的なことをやったのだ。南のほうではカツオ・マグロでやっている画期的なことをやったのです。ハッチを全部十トンなり二十トンなりに仕切っちゃったのだ。そしてそれにマイナスの五度くらいの海水を入れて、それを冷却して、それに魚を漁獲したら直ちに入れちゃうのだ。海の水は冬でも大体十二度から十四度あるでしょう。これをそのマイナス五度の水の中へ入れて二時間くらいやって、またエンジンをかけているとすっかり冷却する。冷却したものをポンプで吸い上げて、その水を出してしまう。だから空壁がなく、びっしりと積み荷ができる。あの函館公海の二百九十トンの船が沈没した理由もそこにある。三百トンの船であの積み荷が二百五十トンあった。ぼくは水産庁課長、君のほうにも言うけれども、去年は二百七十トン積んできた船がある。三百トンの漁船に二百七十トン。二百五十トンの魚を積んで満足に来るというのが誤りだとぼくは思うのだ。満足にそれが港につくということが誤りだと思う。そこで、そういう方法でやりますから、いまの、魚を冷却させてそのままバラ積みにやってきて、鮮度が二週間もつ。そういうことだから、鮮度はいいし、魚価は高いしということから、ほとんどそれをやるのです。そうしたならば、それに波が来たならばさぎりをかぶるということなんだ。そうしたら、ほとんど一日のさぎりをかぶったら何トンのさぎりをかぶるか。私の船が一そう遭難して、一そうがそれを救助に行って、帰ってきたときは、デッキの上の氷が一尺五寸あった。四分のワイヤーが六寸くらいになるのだ。考えられないほどなんだ。サンタクロースのおじいさんどころの騒ぎじゃないのだから。その魚を積んだほかにそれをやられたら、三百トンの船に四百トンも加重がかかるということでしょう。九六型の船だって百五十トンかかるということだろうと思う。だから、こういうところで議論するばかりでなく、もっともっと真剣に人命をたっとぶ、漁業経済を安定させるということからいったならば、これから調べていただかなければならぬ。私の調べたところなら、ボイラーをつけた。それから漁船課長、あなたに言っておくが、船員室は中心部にある。それは安定していいが、私の考え方からいけば、これはいいと言うのじゃないですよ。船員室は表にやっておったならば、それだけ表が空積になるだろうと思う。それで、いままでの船員室のところにボイラーをつけて、またこれは空積をとったらどうか。これは私だけの考え方だから……。ところが、漁業経済からいったならば、そういう船を使ったらちょうど役所の試験する船と同じだ。これじゃ漁業経済は成り立たぬのだから、そういう装備をする、改良するというものに対しては、許可トン数をそれだけ与えてやったらいいと思う。何も長官許可じゃないのだ。人命をたっとぶということから言うならば、それだけのものは与えてやっていいと思う。もしそれをやらないものは、検査もあるし、海上保安庁もはっきりとそれを把握すればいいし、封印すればいいし、そのくらいの画期的な考え方をもっていかなかったら、北の海の操業というものは、毎年毎年こういう事故が起きるのじゃないかと思うのだが、一体どのようにお考えになりますか。
  30. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 たいへんいろいろと御示唆に富んだ御指示をいただいておるわけでございますが、専門的な漁船課長が来ておるものでございますので、いまのお話をいろいろ織り込みまして研究させていただきたいと思います。  ただ、一つ問題点といたしましては、いまもお話がございました二百九十八トンの船に二百五十トンの荷を積むということ自身は、これは漁獲なり漁業経済立場からそういう気になる。漁師の立場としてわからないでもないのでございますが、それをやはり積載基準というような形でコントロールしてまいり、同時に、いま先生がおっしゃいました船の内部構造の面から解決をはかる、両面からと、やはり漁業者の自覚、三木の面からこの問題に取り組んでまいりたい、かように思っております。
  31. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 いま一つの問題は、これは遭難事故ということからいって、大体これらのことをよく考えてやっていったら、ぼくはどうにか目鼻がつくのじゃないかと思うのだが、いまこういうことなんだ。これは水産庁はそれに同意されているのだが、北海道に二百三十何そうという底びき漁船がある。ところが、この底びき漁船というものが漸次大型化されてきておって、九六型に変わりつつあるのだが、もう限度へきてしまった。そうして老朽船ということになってきつつある。ところが、九六型で漁業をやりますと、大体船価は五千万か五千五百万——漁船課長、そのくらいかかるのじゃないか。
  32. 小島誠太郎

    小島説明員 そのくらいだと思っております。
  33. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 そうすると、漁業というものからいきますと、五千万かかった船は五千万の水揚げをしなかったならば、その漁業というのは一年間にペイしないのだ。六千万かかった船は大体六千万水揚げしなかったら、漁業というものは消耗が多くて成り立たないのだ。そういう点からいって、同じ八十五、六トン型であっても、装備の完全でないものは、大体その船に比例して、二千五、六百万の水揚げしかない。これは装備がうまくないからしようがないのだ。ところが、みんな九六型をやりたいと思っているけれども、北海道の底びきの権利が、何と驚くことなかれ、一トン百万円だ。その百万円の権利を買って漁業をやるといったって、それはとっても……。だから、あんまり買い過ぎたから、委員長のほうのカツオ・マグロなんというのは、権利が高くなって、いまパーになっちゃった。それを水産庁は、以東底びきという大ワクの中で操作することを大体考えて認めているのだろうけれども、北海道庁はそれにがんとして応じない。ようやく今回のこの遭難事故にいかに対処するかということで、北海道の水産のボスどもを全部集めて、そして話をしてやったところが、ようやく割り切ったようだ。一方、底びきと沿岸との禁止区域拡大の相克摩擦が激しい。いま北海道で三十二、三トンという船もある。禁止区域の外でなんかそんなに操業なんかできない。みんな中でやっているのだ。船が小型であれば、小さければ小さいだけ、沿岸を荒らすのだ。船が大きくなって、装備ができていったら、沿岸のわずかの魚をあさっている必要はなくなって、外洋へ出るようになるのですよ。だから、こういう点に対する以東底びきのワクならワク内における操作というものを考えてやるべきだ。前の長官は大体その線に向かってやろうというのだけれども、北海道庁はだめだという。今度はいよいよ割り切ったようだから、こういう点に対して道庁とどうかとくと相談を願いたい。それがまた遭難防止の一翼になるのじゃないかと私は思うのです。  何はともあれ、毎年毎年このくらい遭難されたら、一体——これは一口にいえば政治の貧困だという。政治の貧困ということは、それを牛耳っているものは水産庁長官だ、農林大臣だということになっていくのだから、われわれ与党としても——これには野党の者でさえ協力しようというのだから、そういうことにより善処されんことを望みます。あとは言わないから、速記でとられているときは、あまり言うとうまくないから、あとは部会でよく御相談申し上げたい。また御意見も承りたい。こういうことで、どうか遭難防止に対する特段の御配慮を願いたいと思うのであります。
  34. 赤路友藏

    赤路委員 非常に重要な問題が出たようでありますから、少し関連でお聞きしておきたいと思う。  まず第一に、前段階で申し上げたいことは、松田君からいろいろ意見も出たようでありますが、率直に申し上げて、海難事故をなくするためのまず第一の基本的な考え方は何かというと、一体経営が大事であるのか、人命が大事であるかということです。どちらを尊重するか。この基本的な押え方を間違えますと、ともすると海難事故が多くなる。たとえば三十五年から三十九年までの海難の状況を見てみると、毎年漸次下がってきておることは御承知のとおり。これは記録に出てきておる。漁船も下がってきておる。ところが、たとえば一例ですが、近海カツオ・マグロ、三十九トン九九は、三十五年を一〇〇とすると、三十八年は二二〇になっておる。数は少ないでしょう。数は少ないが、とにかく遭難事故がふえておる。こういう事実を一体押えておるのか。最近水産庁でやったみなし許可の延期、何のために水域を決定したのか、わけがわからない。人命の重大性を忘れて、経営本位にものを考えるというところに、そうした一つの間違いが出てくる。このことをまず一言言っておきたい。よく注意してもらいたい。  それから北洋における海難ですが、ただいま松田君の話からいきますと、ほとんど着氷からくる遭難が多いということなんです。海上保安庁の一管のほうでは冬季海難対策を立てて、現にやっておられるわけなんですが、これがどの程度まで実際に実施されておるか。たとえば冬季の海難対策の中に、二隻以上の集団操業による相互自衛措置というのがある。こういうことがもし完全に行なわれておれば、たとえば遭難の形がどこかに出れば、すぐそれは通報がされる。あるいはその片やの船がそれの救助に当たる。私は、遭難時における——遭難時といったら語弊がありましょうから、そういうような特に遭難の多いような海域、そういう時期には、海上保安庁が出しておるところの、二隻以上の集団操業による操業自衛というのはいいと思うのですよ。言うだけでは意味がない。やっているのですか、これが一点。  それからもう一つ重要なのは、一体救命いかだなり救命ボートなりを全部積んでおるかどうか。これは非常に遭難の際問題になると思うのです。それから救命ボートと救命いかだとどちらのほうが安全性があるのか。この点御検討になっておればお知らせを願いたい。  それからもう一つ積み荷ですね。積み荷を固定させないでそのままに放置することが、船を非常に傾けるとかなんとかいう不測の事態を起こす原因にもなる。そのことに対して、海上保安庁のほうでは、積み荷の固定を確実にやるということを対策として出しておるのですか。  いま申し上げたような二、三点について、何か情報が入っておるとか、確実にやっておる点があったらお聞かせ願いたいと思います。
  35. 猪口猛夫

    猪口説明員 私のほうで、毎年十二月、一月、二月、この三カ月は冬季海難防止強調週間といたしまして、それぞれいま先生お話しになりましたような内容のことを、指導的な立場におきまして、毎年その実行強化をするように指導しておるのでございます。まず最初の、できるだけ集団操業して、一たん海難が起きた場合には、相互扶助の精神に基づいてすみやかに救助に当たるというような見地から、具体的に一つの示唆として先生のおっしゃいましたようなことを強調しているのでございますが、御承知のように、操業というのは、それぞれ必ず二隻が対になってやるというのは、二隻のトロール漁業以外はなかなか困難なことでもあろうと思われます。しかし、先ほど来ありましたような個々の遭難の実例を見ますと、わりかた付近に操業している僚船が多くて、私たちの巡視船がかけつけるよりも、いち早く僚船の救助活動が実施されておる実情でございますので、わりかたその点は徹底しておるのじゃないかということが想像できるわけであります。  それから、その次の救命設備の問題でございまして、救命ボートと救命いかだがどちらが効果的であるかというお話でございます。先生のおっしゃった救命ボートは、従来の、要するに櫓かいをもって、こぐ救命ボートのことだと想像するのでございますが、救命ボートと救命いかだは、その操作上非常に救命いかだのほうが簡便であり、一旦緩急の場合に役立ちやすいという点におきましては、救命いかだが非常にすぐれておると思います。そういうような意味合いにおきまして、救命ボートにかわるに救命いかだをもってしてもよろしいということが、それぞれの安全設備規定によって規定されたと思われます。ただし、救命いかだの質的な問題とかあるいは操作上の問題について、具体的に申し上げますと、先ほどの永洋丸の実例のごときは、その原因ははっきりいたしませんが、救命いかだの底が破れていて、破れた救命いかだが浮いておって、それには全然人が乗っていなかったという実例もございますので、これらにつきましては、やはり改善に改善を加えてりっぱなものにすべきであるというようなことが、私たち立場からいえば申し上げ得ると思います。  それから積み荷を固定する問題でございますが、これはおそらく船に携っている人の常識でございまして、これは実際につきまして、積み荷が流動したために遭難したというような顕著な実例は私たちのところで持っておりませんので、漁船のほうでも十分この点は慎重に配慮されているのじゃないかと思っている次第でございます。
  36. 赤路友藏

    赤路委員 いま私は救命いかだと簡単に言いましたが、膨張式の点を言うのであって、何か膨張式の救命ボートの欠陥が最近遭難の際に出てきておるように聞くものだから……。そういう点はありませんか。
  37. 猪口猛夫

    猪口説明員 ただいまおっしゃいました膨張式の救命ボートにつきましては、やはり操作上の問題から、救命いかだよりも非常に時間がかかるという問題が、救命いかだに比べて一旦緩急の場合には致命的だと思われます。だから救命いかだのほうにいまほとんど切りかえるようになっていると思います。
  38. 赤路友藏

    赤路委員 それから先ほど松田君への答弁の中に、着氷海域の指定ということがあったわけなんです一この海域で操業するとここは非常に着氷する区域なんだ、こういうような指定をすれば、当然操業するほうでもそれぞれ注意をすると思うのだが、そのときの気象の変化といいますか、時期的には非常にむずかしいのですけれども、こういうことを現実にいまやっているかどうか、ただやろうとしておるというのでなしに、やっておるかどうか、その点は指定したことがあるか、どうですか。
  39. 猪口猛夫

    猪口説明員 制度的に着氷海域を指定するとかいうようなことはございませんが、私たち海上保安を担当する主管庁といたしまして、アイスパトロールといいますか、巡視船で氷を見張るための哨戒をやりまして、あるいはその付近の漁船の状況をキャッチいたしまして、着氷し始めたというような事実をなるべく早く付近操業船舶に知らせるという措置は講じております。しかし、残念なことには、私たちの船も四百五十トンくらいのものが主体でございますので、そんなに遠くまで出れないということもございます。それで、十分なそういう面の強力なる指導ということができかねておる実情でございます。何とか船舶も大型化し、隻数もふやしたいということで、せっかく努力しているような実情でございます。
  40. 赤路友藏

    赤路委員 いまの答弁ちょっと不安ですが、どうも海上保安庁の巡視船といいますか、調査船といいますか、老朽なものが多くて、役に立たぬような場合があり得るというふうにも聞けますので、これはひとつ大いにがんばってもらいたいと思います。  もう一点お聞きしますが、宗谷はいま北洋に行っていますか。
  41. 猪口猛夫

    猪口説明員 宗谷は函館を基地といたしておりまして、主として北洋海面の哨戒並びに医療パトロールと申しますか、漁船間におきまする医療関係のお役に立っておる次第でございます。
  42. 赤路友藏

    赤路委員 北洋のほうは、今後漁場によりましては凍結する場合があると思います。宗谷だけはほかへ放さないで、あの方面へ配置しておいていただきたい。かつて船が閉じ込められてしまって、宗谷が南極へ行っておったものだから、砕氷船がなくて、それで船、人命もろともやった経緯がありますから、そういうことのないようにひとつ御注意願いたいと思います。  それから水産庁のほうへお尋ねしますが、いま漁船安全対策特別研究というのをやっておられるようですが、これはどの程度まで進んでおりますか。簡単に進んでおる状態だけ言っておいてください。
  43. 小島誠太郎

    小島説明員 ただいま先生のおっしゃいましたことは、マリアナ海難対策に関する研究会のことだろうと思いますが、これにつきましては、運輸省、電波監理局とそれから私のほうと共同になりまして、先ほど問題になりました膨張式の救命いかだ、これの海上における性能の研究、それから船舶が波頭、三角波の頂上、こういうところにおきます場合には、非常に復原性が悪くなりますので、その辺の解明、それから遭難いたしました場合の救助のために、非常に見やすいような標識ということにつきまして、どのようにしたらいいかというような問題点をとらえまして研究中でございます。来年の三月までに結論を出す予定でございます。
  44. 赤路友藏

    赤路委員 これはちょっと注文をつけておきますが、来年の三月、けっこうです。しかし、この対策研究はかなり広範と申しますか、特にむずかしい点、従来全然やっていない、たとえば異常波型の中で、船が転覆しないでどう復原するかというような研究は、模型でありましても従来やっていないわけです。そういう新しいことをやるのですから、来年三月なんと言ったってもうそこまで来ているのです。時期的に早くやっていただくことはけっこうですが、いいかげんな研究をやってもらっちゃ困る。この点特にひとつ御注意を願いたい。  それからもう一つは、遭難をした、そうして救命ボートなり救命いかだなりに乗って、それが自動発信するような警報装置というものは、一体いままでなかったのか、こういうことなんですね。従来救難のためのそういうような自動発信装置によるいかだを見つけたとか、あるいはボートを見出して、そこまで行ったとか、こういうような実例はありますか。
  45. 猪口猛夫

    猪口説明員 私たち過去二年ばかりの間に、本格的な遭難ラジオブイによって端緒をつかんで遭難地点に行った実例は、私の記憶では三件くらいあります。
  46. 赤路友藏

    赤路委員 三件でもあったということになると、これはある程度改良をすれば十分役に立ち得る。そうすると、今度各省関係漁船の安全対策特別研究をやる場合、そうした面は、これは少なくともすぐ役に立つわけです。模型をもってこれを実際に適用するということは、相当長期間かけなければならないと思いますが、こういろようないかだへつける自動発信機、本人が気絶しておっても、自動発信機が常に通信をしておるというようなものは、案外短時日でできるのではないかと思いますので、そういうところへ重点を置いてやっていただきたい。このことを希望しておきます。  それからもう一点、これは水産庁へお尋ねをすると同時に、希望になるのですが、マリアナ群島における遭難、これは相当重要視しておられると思うが、原因究明が必要だと思うのだが、この原因究明はどの程度まで進んでおるか、これが一点。それからこの中で非常に重要なのは、予報によって台風の進路を避けようとして、逆に台風進路の中に突っ込んでいっておるという事実があるわけですね。これは台風進路が急速に変化をしたために、そういう事態になったのだろうと思いますが、いずれにいたしましても、これはやはり相当今後重要視いたしませんと、台風予報を受けて逃げていこうとして、かえって台風の進路に突っ込んで遭難が起きたなんていうことになると、何のための予報かわからない。だから、そういう予報の間違いがどういう点から起きてきておるのか、こういうことを十分ひとつ、あるいは定点観測が足らなかったとか、何かあるだろうと思うので、これはやはり原因究明というものは厳格におやり願いたいと思うのです。  それから変んな言方なんですが、もしあの際、アグリカンのところに集中しておるわけなんですが、船をそのまま島へ乗りつけて、ぶっつけておれば、人命は助かったのではないか。これは実際上なかなかむずかしい問題なんですね。船も助けよう、同時に本人たちも助けよう、こういう意欲があるから、思い切って船を島へぶっつけることができなかった。これはむずかしい問題なんだが、今後の遭難対策一つとして考えてみる必要があるのじゃないかと思うのです。  それからもう一つは、南太平洋の島々に非常事態に処して避難をするということに、何か足踏みというか、ちゅうちょするという傾向があったのじゃないか、こういうふうな気がするわけです。どこの国の島であろうと、どの国であろうと、こういうような大洋上において非常事態が起こったならば、これは国際法上当然入れるのであります。ところが、現実にはそれがやれていないという欠陥があるわけなんです。これは海上保安庁のほうでも水産庁のほうでもおわかりだと思うのですが、かって小笠原にそれがあったわけです。向こうの予報による台風の受けとめ方、漁船側の予報による台風の受けとめ方、この受けとめ方が違うために、避難するほどの台風でないというので、拒否されておる事実があるわけです。拒否されてもなおかつ入ったのは、スパイ行為としてやられておる。こういう事実があるために、乗り組み員は、いや、そんなことを言ったって手間がかかっちゃってというので、何か退避することを逡巡するということがあるやに考えられるわけなんです。こういう面に対する処置は、当然考えなければならないと思うのですが、そういうことにお気づきになっておられますか。これに対する対策だけちょっとお聞きしておきたい。
  47. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 緊急避難は、先生いま御指摘のとおり国際法上認められているのでございますが、先ほどもおっしゃいましたとおり、スパイ行為その他でとやかく言われるおそれからちゅうちょする気持があるということは、一部私も聞いております。これに対してどのようにするか。台風期におきます、ことに南太平洋周辺の問題については、外務省あたりともう少し事前に今後連絡をして相談をしてまいりたい、かように思います。
  48. 赤路友藏

    赤路委員 大体松田君の質問に対する御答弁、私の関連に対する御答弁、まあこれから善処していただけると思うのです。ただ、ここで私は申し上げたいことは、善処いたしますと言うただけでは意味がない。それをやはりひとつ実行に移していただいて、やはりそういうことがまたと起こらないような措置をおとり願うことを希望いたします。  これで終わります。
  49. 中川一郎

    ○中川(一)委員 関連して一つ、二つお尋ねいたしたいと思います。  長官は、この前のスケソウダラの輸入のときに、われわれの猛反対を押し切って、大手業者の味方をしたというか、無理な輸入をあえていたしたことは、すでにどなたも知っているところだと思います。それに関連して、例の北転船の問題も、五十二隻の小さな業者のものは北転船をやってしまったけれども、八隻の大手業者のものだけはいまなお温存さしておる。これも大手業者から何かあったかどうかわかりませんけれども、世間では、水産庁のやり方はきわめて妥当を欠いておるという非難が強いのでありますけれども、この点について、三カ年計画でやるということをはっきりきめてあるのに、なぜ大手だけを残してあるのか、この点をこの機会に聞いておきたいと思います。
  50. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 北転の計画を当初北海道、内地に分けまして転換目標をつくった。そしてそれぞれの県が計画を立てまして、北海道等におきましては、それをさらに大手と一般の方とに分けまして実行計画を立てた。その際に、北海道が当初立てました計画、大手から抜こうという計画が、全体としての計画がつきまして、その残りのほうを内地のほうに回しまして、北転計画を完了いたした。その結果として、いま御指摘のとおり、大手は当時十九はいのものを持っておったわけでございますが、十一ぱいの転換に終わって、八はいが残っておるというのは事実でございます。これは二つの面がございまして、行政指導でだれが沿岸の沖合いから北洋に出るかということでございまして、行政指導の問題でございますが、結論としては、大手の言い分は、十九はいをそう短期間にみんな北転に出すということは困難である、十一まではやるというようなことで、完全にこの全部を北転に押し出せなかった。その結果、八はいは残っておるということは事実でございます。水産庁並びに北海道が一緒になって、なるべく抜くとすれば大手のほうを大きく抜いてもらおうということを指導したことも事実でございます。反面、一挙に十九はいを抜くということについて無理な——無理といいますか、順次にやらしてくれという話のあったことも事実承知いたしております。一方内地のほうは、北転の希望が非常に強かったわけでございますから、それが結果的に振りかえられて一応の完了を見た。したがって、現状ではそれで終わっております。ただ、この八はいを今後とも何らかの措置を講じて抜くべきであるという御要望、御要請がございますので、私どものほうもいろいろ研究し、ことに道庁にもいろいろの案の検討を要請いたしておる段階でございます。一つ方法といたしましては、今回の遠トロのような際に、そういうのをつぶしてしまうということが考え得るわけでございます。ただ、今回の場合は、大手は遠トロに出さないという方針を別の角度からきめました結果、この方法は実行が困難に相なりました。したがって、今後の問題といたしましては、新規許可をせざるを得ないわけでございます。新規許可といいますか、北転船のワクをふやしまして、その中にはめ込んで追い出すということが、次の手段として考えられるわけであります。北転の許可隻数をさらにふやすかどうかという問題は、北海道を含め、現に北転をやっておる方々の経営の問題、あるいはどの程度までふやすことが妥当であるかという問題とのからみでございます。いずれにいたしましても、北転の全体のワクをできるだけ今後の問題として、中央審議会その他と御相談の上、ふやすかどうか、ふやすとすれば、どの程度ふやすか。それからふやした場合には、これを第二段階として押し出していく、こういう方法で考えてまいりたい、かようにいま考えておるわけでございます。
  51. 中川一郎

    ○中川(一)委員 これは前に計画はあったのでしょう。三十七年に北転要綱というものをつくって、いまの八隻を含めて三年計画でやるということは、既定事実として、計画としてきめてあったわけでしょう。そうじゃないのですか。
  52. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 百五十隻を北転の転換目標としてきめたということは事実でございます。その際に、専業船、兼業船というような内訳をつけ、北海道を幾ら、青森を幾らという当初の計画を立てたことはございます。北海道が今度はそのワクを実行いたします場合に、どういうところから、あるいはどういう方に北転に行っていただくかというのは、北海道立場において御検討のあったものでございまして、国の計画そのものについて、北海道で大手幾ら、その他が幾ら、そこまできめたものではございません。ただ、実行の過程で、大手を十九でございますかを抜こうという一つの実施案ができたことは事実でございます。
  53. 中川一郎

    ○中川(一)委員 時間がないから、簡単にお尋ねしますけれども、われわれの聞いておるのは、船の名前もきまって、いまの八隻を含めて十九隻かわるということはきまっておった。それを大手の圧力に屈して、水産庁はいまだに手をつけておらないという声がひんぱんでございます。どうも私どもの見るところでは、残念ながら長官、スケソウダラのあのいきさつからいっても、大手業者のみに力を入れて、沿岸漁民——この問題も沿岸漁業振興ということから始まったことです。ひとつ厳正な行政指導なり措置をやってもらいたい。同時にまた、災害の問題に関連して、漁港整備なども、おそらくありとあらゆる公共事業費の中で、漁港の整備ほどおくれたもの、進度のおそいものはないと思います。きょうは時間がございませんから、この程度にとどめまして、いずれまた機会を見て、この問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。
  54. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 関連して。中川君の質問に対する長官の答弁の中で誤っておるところがありますので……。ただいま北転に対する百五十そうのワクを制定して、そして北海道へは四十だか六十というのであったが、これはいまの長官の答弁に誤りがあるのです。そもそも何のために北洋へ転換するかということは、これは私四年がかりでもって努力してやったことなんです。私の発案なんです。それは沿岸と底びきとの相克摩擦を解消するために、大きな漁業調整の面からこれを論議して、水産庁に踏み切らせたのです。そこで水産庁は、これは北海道へは何ぞう、どこへは何ぞうということでもって、至上命令として出したのです。それを大手の人々はがえんじないのであります。そこに問題があるんだ。この北転をやれといって、やらなければならないという議論は、大体沿岸漁業とかあらゆる漁業権を、資格があるからというて資本漁業がとっておりながら、まだ沿岸との相克摩擦をやっておる。底引きまで手を出す必要はないじゃないか、それは誤った議論である。いかに自己の漁業権というものがあろうとも、そういうことは漁業調整の上からいけないじゃないか。あまりにもわがまま過ぎるじゃないか。しかも北洋においても、鮭鱒においても、いかなる漁業でも大手の進出してないものはないだろう。それは日本漁業をここまで伸展させるために必要な政策であり、しかして相克摩擦のあの激しい底びき漁業というものから水産庁は手を引かすべきだというのが、この政策の基本になったものだ。いままで、私は二十四年から国会に出てきておるが、いつの国会だってこれが議論にならぬことはないんだ。単なる、いま中川君に対する答弁のようなことでやられた日には——前の長官はスケソーは輸入しませんと、ここではっきり速記にあるのです。それをあなたしたじゃないか。そのように長官がかわるたびに政策が変わるということは、ぼくはまことに遺憾だと思うし、世の中から水産庁は権威ないといわれておる理由もここにあるのです。はっきりしなければだめだ。基本の議論はそこから出たんだ。あらゆる権利はとっているじゃないか。またそれは悪いことじゃない、いいことなんだ。いいことだが、沿岸との相克摩擦を権力によってそれを全部——あなた、漁民はお互いが補償し合って転換したんだ。それを大手業者だけがまだそのままやっているなんということはとんでもないことなんです。水産庁長官が権威がないから、そういうことになっているんだ。これはほんとうに、ぼくは野党であったら、おまえさんやめなさいと言うところなんだ。与党なるがゆえにそれが言えないんだ。どうかそういうことで、いままでのいきさつをよく調べて、あと何であろうと、大手業者はまた権利はとる、申請するんだから、そんなものには一切やらないほうがいいんだ。そのくらいの権威を持ってやりなさいよ、長官漁業調整というのは一番めんどうなんだから、めんどうなのに真剣に取り組むことを長官はしなければだめですよ。御注意申し上げておきます。
  55. 丹羽雅次郎

    丹羽政府委員 一言釈明させていただきます。  先生おっしゃいますとおり、三十五年十二月の底びき転換要綱では、北海道沿岸が混んでいるから、また問題があるから、これから北海道以外を含めてそれを北洋転換させよう、そこで全体を百五十ぱい転換させよう、その際、北海道で専業六十、兼業二十、合わせて八十、これを転換させよう、これは確かにおっしゃるとおりきまっております。そこで、専業六十を転換させる具体案として、大手十九、その他四十一という案を道と——水産庁も知らなかったことはない、相談あったとも思いますが、きめて、この十九のうち十一を実行いたしました。そして三十九年の暮れに、青森、宮城その他の県のほうの——こちらのほうは御要望が多くて、そちらのほうに回した、こういう経緯がございまして、実は言いわけではございませんが、三十九年の十二月に一応この全体が終わっておる、打ち切られておるわけでございます。したがって、私のほうが押されてこれをやったということではないわけであります。ただし、先生おっしゃいますとおり沿岸がこれだけ問題があるのに、大洋、日水というようなところの所属船が沿岸にまだおるということは適当でない。したがって、今後北転のワクをふやすなり何なりする際に、これを押し出すことは必要があるというふうには私ども考えております。一応三十九年の十二月に、前の要綱にありますものが終わって、その北海道の分が内地に回っております点は、事実として御了承願いたいと思います。
  56. 松田鐵藏

    松田(鐵)委員 それは漁業法を見なさい。いま漁業法は改正されたけれども、漁業法の法律に載っている以外に重要な問題があるのです。われわれは幣原議長が不信任を突きつけられるまでにあれに努力したんだ。その精神というものはどこにあるかということなんだ。いまこの北転をやろうとして、その要綱にはそうなっているかもしらない。しかし、この精神はどこにあったか。精神をたっとんでいかなかったら漁業行政できますか。漁業法からのっとっていく漁業調整というものは、だれがこれをわきまえて、だれがその精神をくんでやらなければならないかということをよくお考えになればいいんだ。冗談じゃありませんよ。この基本はそういう問題から出ていったのだ。やれ南氷洋に、やれ北洋に、やれアフリカに、しかも今度はカナダに、至るところへ大手業者は進出しているじゃないですか。しかもかつて、私は、二十四対一で反対し切ったが、数によって負けたんだ。免許料、許可料全廃の問題もあるのです。そのときだってそうなんだ。そういう問題からかみ合わしていって、どんなわがままをするかというのだ。だから、大手業者の水産庁なんていわれるのだ。もっともっと真剣に、この基本的な政策というもの、精神というものを考えて善処しなければだめですよ。もう何も取り上げちゃえばいいんだ。いましばらく黙っておいて、四十二年の許可の一斉更新のとき、水産庁の言うことを聞かなかったやつは、全部取り上げちゃえばいいんだ。それよりほかに彼らをはっきりさせるために方法はない。そのように厳然たる態度に長官出ることを私は希望するのです。
  57. 濱地文平

    濱地委員長 散会いたします。    午後零時九分散会