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1966-05-27 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十七日(金曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 長谷川四郎君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       相川 勝六君    岩動 道行君       臼井 莊一君    小川 半次君       加藤 高藏君    海部 俊樹君       纐纈 彌三君    田澤 吉郎君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    堀内 一雄君       前田 正男君    湊  徹郎君       森下 元晴君   茜ケ久保重光君       有馬 輝武君    稻村 隆一君       角屋堅次郎君    中村 高一君       村山 喜一君    楢崎弥之助君       湯山  勇君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         農 林 大 臣 坂田 英一君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (農地局長)  大和田啓気君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君         水産庁長官   丹羽雅次郎君  委員外出席者         外務事務官         (アジア局外務         参事官)    吉良 秀通君         外務事務官         (条約局条約課         長)      松永 信雄君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部長)  木田  繁君         農林事務官         (農政局参事         官)      横尾 正之君         農林事務官         (畜産局参事         官)      太田 康二君         農 林 技 官         (食糧庁総務部         長)      田中  勉君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      木戸 四夫君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月二十七日  委員纐纈彌三君、藤尾正行君、茜ケ久保重光君、  稻村隆一君及び中村高一君辞任につき、その補  欠として田澤吉郎君、森下元晴君、角屋堅次郎  君、湯山勇君及び有馬輝武君が議長指名で委  員に選任された。 同日  委員田澤吉郎君、森下元晴君、有馬輝武君、角  屋堅次郎君及び湯山勇辞任につき、その補欠  として纐纈彌三君、藤尾正行君、中村高一君、  茜ケ久保重光君及び稻村隆一君が議長指名で  委員に選任された。     ————————————— 五月二十七日  行政相談委員法案内閣提出第一四三号)(参  議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三三号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 大臣が参議院の本会議関係でまだ御出席でないようでありますので、きのうの質問に続きまして、あとまた同僚委員がたくさんおいででありますから、私自身質問については同僚委員にさらに深めてもらうということにいたしまして、事務的なことから最初に質問いたしたいと思います。  農地局長にお伺いしたいのですが、今後のためにも、きのう私の質疑応答の中で、県議会から出た意見書については、先生手持ち内容とあるいは違うかもしらぬ、こういう意味のことをきのう答弁で言われておるわけであります。違うかどうかよくわかりませんが、この際、意見書の本文の内容だけ農地局長から朗読を願いたいと思います。
  4. 大和田啓気

    大和田政府委員 きのうもお話しいたしましたけれども秋田県議会議長小林武文氏から農林大臣あてにまいっております四十一年三月三十日の文書でございます。「本県議会二月定例会において議決した次の意見書を別紙のとおり送付しますからよろしくお取計らい願います。」というのがついております。    意見書一、八郎潟干拓事業事業団移管について   世紀の大干拓事業といわれた八郎潟干拓昭和三十二年着工以来、約十年を要したが、今後なお多額の工事費を必要とする基幹建設工事が残されている。   しかるに農林省当局農林省設置法改正案通常国会に提出し、八郎潟干拓事務所東部南部北部の三事業所を廃止し、当初四十四年度まで国で施行する計画であったすべての工事八郎潟農村建設事業団委託代行させようとしている。   このことは昨年八月事業団の発足に際し国営事業事業団と併行して昭和四十四年度まで継続して行なうという方針を変更するものであるが、該事業には環状堤防防湖水門排水機場をはじめとする膨大な施設維持管理等長く後世に残る重大な問題があるので、これらの基幹建設工事地元住民に負担を転嫁せざるよう取り計ると共に、新農村建設工事完了後も国の管理機関により維持管理せられ万全を期するよう特段の配意を要望する。   右地方自治法第九十九条第二項の規定により意見書を提出する。 これが成文でございます。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは私の持っておる原文と全部一緒なんですね。だから、ちっとも違ってない。違ってないというところに基づいて、これは村山君のときもそうだし、私のときにもやっておるわけですけれども、たまたま農地局長が、先生のお手元に持っておられるのと違うということがあるかもしれない、こう言っておるから、いま点検をしてみたら、同じです。この点に関連をいたしまして、ちょうどきのうの本会議の直前に土地改良財産の問題を始めようと思ったら時間がなかったわけですけれども、私は、あと同僚議員質問にその他の問題を譲って、この問題を中心にひとつまず事務的な点から質問をいたしたいと思います。  この点は、意見書の中の「該事業には環状堤防防潮水門排水機場をはじめとする膨大な施設維持管理等長く後世に残る重大な問題があるので、」という問題とも関連するわけです。今回農林省は、国営事業事業団移管という、われわれから見て予期せざる方針を突如出されたわけですけれども、その問題の議論は数日来続けてきておりますが、その議論は別にして、一応、この農林省が考えておる事業団国営事業関係移管するとした場合における従来から建設がすでに進んできた土地改良財産、こういうものについて、事業団というワンクッションを置く、そして、いずれは国、あるいは県、あるいは市町村、あるいは土地改良区、こういうものにそれぞれ切りかえていかなければならぬ、こういう段取りについてどういうふうに考えておられるか。また、そういうものを引き継ぐ場合の法的な根拠と取り扱い、こういうものについて一体どういうふうに解釈をしておられるか。その辺のところをあらましまず御説明願いたいと思います。
  6. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎潟干拓につきまして、周辺干拓地は大体工事が終了しております。北部干拓がまだ多少残っておりますが、これも本年の九月一ぱいくらいには工事が終了する予定で現在建設を進めております。そこで、そういう周辺干拓地につきましては、道路でありますとかあるいは小堤防でありますとか、そういうものの管理委託の話を現在周辺秋田県なり市町村土地改良区と進めておるわけでございますが、中央干拓地のあの大堤防でありますとか、基幹道路でありますとか、あるいは用水路排水路、それから水門船越水道等々の大きな施設につきましては、八郎干拓国営事業農地の整備を含めてまだ終わっておりませんから、国営干拓事業事業団委託するということで、事業団がその堤防等施設使用しながらまた事実上管理をするということになるわけでございます。それを正確に管理と言うか、使用と言うか、見方はいろいろございましょうけれども、だれか、県とかあるいは市町村とか土地改良区が管理するという状態ではとにかくないわけであります。したがいまして、八郎潟事業を今回事業団委託を受けまして、事業を終えて、そうして農地圃場整備が大体済みまして、そこで干拓事業が最終的に終わるというときに、この中央干拓地における施設管理をどうするかという問題が起こるわけでございます。そこで、いままでの大規模土地改良事業におきまして、管理は大体県なり土地改良区に委託しておりますけれども、非常に大規模なものは、国が直接管理するという例はないことはございません。たとえば愛知県の犬山の頭首工は国が管理をしておるわけでありますから、国が管理をすることは例がないわけではございません。八郎潟中央干拓地堤防あるいは水門排水機場等等管理を一体どういうシステムでするかということは、私ども干拓事業が終わるころになって、そのときの問題として決定いたしたい。それまでは、事業団工事をしながら事実上使用するわけでありますから、だれかが管理をするという実益がないと申しますか、県に管理委託するとかあるいは土地改良区に管理委託するとかいう問題は起こらないわけであります。もう少しあとになって、長い目で、八郎干拓地をどういうふうに動かすかということとの関連において管理主体をきめていきたい、こういうふうに考えております。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 たとえば、今度の八郎潟干拓のうちで、西部干拓地及び南部干拓の第一、第二、第四工区については、昭和四十一年の八月までにそれぞれのところに移管をいたしたい、南部干拓の第三工区及び東部干拓の第一、第二工区については、昭和四十一年九月までにそれぞれのところに移管をいたしたい、あるいは東部干拓の第三、第四、第五工区及び北部干拓地については、昭和四十一年度にそれぞれのところに移管をいたしたいというふうな、さらに具体的なそれぞれの時期の設定をしたプランというものは、今時点でこのとおりに大体予定をしておるわけですか。私が言ったような予定というのは、これはまだ今時点では立っていないわけですか。
  8. 大和田啓気

    大和田政府委員 私どもいま相談しておりますことは、さしあたり北部の問題、北部干拓に関する道路堤防機場等々の施設管理につきまして、ことしの九月くらいまでに地元と話をつけるように、現在努力いたしております。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 いま私が言った具体的プランについてはどうですか。
  10. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎周辺干拓地は、大体全部で千町歩でございます。それで西部あるいは南部東部の一部等につきましては、すでに配分計画を立てておりまして、残っておりますのは北部干拓地でありますとか、西部南部等々についての諸施設管理委託計画、これについてはただいま手元に資料を持っておりませんので、後ほど詳細に申し上げたいと思います。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 国営事業関係については、一定の時期に事業団に引き継ぐわけです。その場合に、公有水面埋立法に基づいて、国が地方長官のそれぞれの立法的な手続に基づいて許可を得て、今日国自身埋め立て工事をやってきた。そうすると、事業団が受け継ぐ場合には、手続の問題としては、公有水面埋立法第十六条の第一項の必要というのは、起こるのか、起こらないのか。それと、この事業団法の中にもありますが、公有水面埋立法の四十二条第二項の、埋め立て工事竣工のときには当該官庁が直ちに地方長官にこれを通知をするという、その問題と関連をして、事業団法からいくならば、事業団法の第四十三条第三項の問題があります。国営事業でずっとやっていく場合には、これは継続ですから問題は全然ないわけですけれども農林省がいま事業団移管をする場合に、公有水面埋立法に基づく立法の問題、それからいま言った事業団法の四十三条第三項との関連の問題、これは一体どういうふうにお考えですか。
  12. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども予定しております事業委託は、ことしの十月一日でありますから、十月一日までに必要な法的手続はすべて済ますようにいたしますけれども、ただいまの御質問だけに限って申し上げますと、八郎潟干拓事業国営部分は、依然として国営でございまして、それを事業団委託するというだけでございますから、私は、いまお取り上げになりましたところでは、新しい手続は要らないのではないかというふうに考えております。  なお、そういう御質問でございますから、なお厳密に検討いたしますけれども、私、ただいまの考え方では、国営事業としてはそのまま行なっていく。八郎潟干拓事業というのは国営事業で、ただ事業の実施を事業団委託をするわけでございますから、その点はお説のようなことは必要ないのではないかというふうにただいまのところ考えております。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは公有水面埋立法第十六条の解釈上、いま言った見解についてはそれですっきり割り切れるかどうか、問題が多いと思うのです。というのは、国がずっと立法的にあらゆるところに出てくるのですけれども、それを委託する事業団は、特殊法人として一つの人格を持っておる。これが実際やっている場合に、この条項には何ら抵触せずに——この条項に限りません、すべて国というのがこの問題ではずっと出てくるところが多いのですけれども、これはやはり問題があるのではないですか。というのは、事業団法の第十九条で、事業団業務範囲というのがある。この事業団業務範囲の中の、第十九条の第二項のところで「事業団は、前項業務のほか、国又は地方公共団体からの委託を受けて次の業務を行なうことができる。」これで一号、二号、三号、三つのことが書いてある。しかも、その中でのたとえば第三号のところでは、土地改良財産については管理を行なう、こう書いてある。管理だけである。したがって、たとえば国営事業土地改良財産ができておるものを、事業団がかりにこの条項に基づいて管理委託されるという場合には、この管理委託された土地改良財産について、事業団自身が、これを農林省がやるとか、あるいは県がやるとか、土地改良区がやるとか、あるいは関係市町村がやるという事務上のことは全然できない。立法的にはそう思うのですが、その点はどうなんですか。法律的なことだから、法律的に答えてください。解釈上ちょっとわかりにくいのです。
  14. 大和田啓気

    大和田政府委員 この十九条の二項の三号で、土地改良財産管理を行なうというふうになっておりますけれども、私ども国営干拓事業八郎潟事業団委託する場合は、事業委託でございますから、事業委託の中で、排水機を運転したり、あるいは堤防使用したり、道路使用したり、当然いたすわけでございますけれども、ここでいう意味土地改良財産管理というふうに解釈しないでもいいのではないか。先ほどの管理委託をするかどうかということは、都道府県土地改良財産管理、あるいは土地改良区に委託をするという場合は、管理に要する費用は、当然委託を受けた都道府県なりあるいは土地改良区が負担するわけでございまして、特別の場合には国がこれに補助金を支出するということもございますけれども、原則としては都道府県なりあるいは土地改良区が管理費用を支出するということになるわけでありますけれども八郎潟国営干拓事業は、とにかく四十四年まで事業があるわけでございますから、それを八郎潟事業団委託を受けて実施するということでありますから、いわゆる土地改良財産管理ということではなく、事実上建設工事に必要なために施設使用するということであって、私はこの十九条の二項の三号にいうところの委託を受けて土地財産管理を行なうというふうに読まなくてもいいのではないかというふうに思っております。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 すでに与えられている土地改良財産については、この条項管理委託されるというふうに解釈するのが、やはり筋じゃないですか。第十九条の事業団業務範囲という第一項に書いてある七号までの点、これがいわば事業団プロパー仕事になるわけですね。そこで、この十九条の一項の一号、二号、三号までの点、これは単に土地改良関係仕事ばかりではなしに、事業団の設置された趣旨として農林省が主張しているように、役場であるとか学校であるとかいろいろなものの建設を含んでの事業がここに書いてあるわけですけれども、それに基づいてのプロパー仕事としてやったもの、たとえば貸し付けあるいはその他の管理あるいは譲り渡し、こういうものについては、四号、五号、六号等で、プロパー仕事については法律上できると思います。ところが、第二項のほうの特に第二号、第三号でいっている委託を受けての土地改良財産管理、あるいはいま言った第一項の第一号から第三号までの業務として行なう工事と密接な関連を有する工事を行なうこと、この場合の土地改良財産に限定してもいいのですが、そういうものについては、事業団としては、これを一項の四号、五号、六号にいっているような、そういう業務は全然立法的に不可能であると読むべきだと思いますが、その点どうですか。
  16. 大和田啓気

    大和田政府委員 いまお読みになりました十九条の二項の二号の「前項第一号から第三号までの業務として行なう工事と密接な関連を有する工事を行なうこと。」これによって国営干拓事業事業団委託するわけでございまして、事業団がその工事をいたす過程において、当然排水機場を使い、堤防を使うわけでありますから、そういう施設使用関係は、この「密接な関連を有する工事を行なうこと。」の委託を受けて事業を実施することの過程として、当然施設使用が行なわれるのでございまして、土地改良事業が終わったあと土地改良財産管理するという、第三号の土地改良財産管理という条文とは内容が違う。むしろ十九条の二項の三号でおそらく予想しておりますことは、八郎干拓事業のすべてが終わって、その場合に一体堤防をどうするかとか、あるいは排水機場をどうするかとか、道路をどうするかという管理委託の問題に移るときに、事業団管理委託することがあり得ることを示したものであって、今回のように国営事業といいますか、干拓事業そのもの残存部分事業団委託する場合に、現在すでにでき上がっております堤防でありますとかあるいは排水機場でありますとか、そういうものを同時に使用させることを、この二項の三号で読ませるという趣旨ではないというふうに私は思います。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 これはまあ立法上の問題でありますが、ここでいっておる第二項第三号のものは、私は必ずしもそういうふうに読まないのであります。たとえば、土地改良財産として大きなものから言えば、例の船越水道、貯水池、承水路、これは河川法のたてまえからいくと、いずれ県の河川管理者におそらく移るというたてまえ、それから、中央干拓堤防というふうなものも、おそらく県の河川管理者に移るという、そういう筋合いを予定しているのじゃないかと思う。その他の、たとえば防潮水門というふうなものも、事業団ワンクッション置いてこの条項に基いて委託になって、最終的にすべてのものが終わったときに、これが第一線の要望からするならば、そしてまた当然常識上からも、農林省管理主体になる。こういうふうに、すでにでき上がっておるものについて、この条項適用して、事業団にかりに国営事業がずっとワンクッションとして委託される場合は、この条項適用で、土地改良財産管理という形になるものと法律上は想定されておるし、またそういうことじゃないのですか。
  18. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎干拓事業国営でかりに当初考えましたように四十四年までやるといたしますと、おそらく四十四年から若干たってから土地改良財産管理の問題が生ずるだろうと思います。いまの段階では、堤防あるいは船越水道水路排水機場等管理をどこにやらせるかということは、当然適用にならない。工事が終わってから、土地改良財産管理をどうするかということが問題になるのでございます。国営事業としてこの事業を進めております過程は、土地改良財産管理を国がやっているということではございません。当然用水機場なり排水機場なりによって堤防を使っておりますけれども、まだ土地改良財産管理という観念ではなくて、干拓事業を実施している過程でそういう施設を国が使っていて、それを完全な形で土地改良財産にして、そうしてその管理を県がやるなり、土地改良区がやるなり、あるいは万一国がやらないとも限らないわけでありますが、国がやるとかということをきめるわけでございます。したがいまして、今度の干拓事業委託関連して、これらの施設を、土地改良財産八郎潟事業団管理とする。あるいは八郎潟事業団に国が管理委託するというふうに、私どもは考えておらないわけであります。まだ土地改良財産管理の問題以前の問題として干拓工事を実施して、そこで干拓工事が終わってから土地改良財産管理という問題に取り組みたい。したがいまして、国が管理するなり、秋田県が管理するなり、土地改良区が管理するなりという問題が当然将来出てまいるわけでありますけれども、その場合に、八郎潟事業団ワンクッションになって管理委託を受けるという過程は、私は考える必要はない。むしろ先ほどから申し上げておりますように、事業団工事を実施する過程でそれを事実上使っているという状態であって、土地改良区の土地改良財産管理というふうには考える必要はないではないか、また、それが実態でございますし、またこれをかりに排水機場なり堤防なりは八郎潟事業団管理するんだといっても、実益もないことですから、事業団が事実上工事施行のためにそれを使用する。それを完成させて、管理の問題はあらためてその段階でまた検討すればいいというふうに考えておるわけでございます。
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 それはいわゆる事業錯綜ということをよく言っている。いわゆる末端の圃場整備その他の段階ならば、事業が錯綜する。だから、いずれか一本でやったほうがよろしい。これは農林省の説明によれば、この際事業団で一本でやるというふうにしたいんだ。その場合に、大体国営の基幹的な工事はもう相当部分終わったんだ。現地へ私は行きましたけれども国営でさらに四十四年まで引き続き今日までの事業を継続してやるべきだと私は思いますが、大部分終わったというその大部分の中に、比率は大部分であるかどうかということの議論は、予算的に議論することはやめますけれども、とにかくこれからまだ他の省に関連する問題も含んでおりますが、少なくとも二百億をこえる仕事が全体的にはあるわけです。したがって、いままで三百七十億近くのもの、これから他省の部分を含むけれども、二百億をこえる予算というものを使用しながらやっていかなければならぬというスケールのものである。そういう場合に、すでに終わっておる。——先ほどちょっと二、三読み上げたんだけれどもあとの問題だって私現地に行ってわかっているが、事実上終わっている工事なんですね。これは事業団ワンクッションというのではなしに、そのままの形で事業団自身はそれを使いながら仕事をやっている、こういう解釈をするわけですか。——そこで、第十九条第二項第二号で言っているのは、これは「工事を行なうこと。」こうなっておりますね。工事を行なうという工事というのは、三号でいっているような性格のものは含んでないと思うんですね。その辺ちょっと……。
  20. 大和田啓気

    大和田政府委員 工事を行なうということは、わりに広い観念であります。工事を行なうために堤防道路として使う場合もございますし、また排水路あるいは用水路等々の工事をする場合に、当然排水機場も使うわけでありますから、工事をする過程においてそういう施設を使う、またそういう施設を使わなければ工事ができないわけでございますから、その場合に、工事過程において施設を使うという観念以外に、一体土地改良法による土地改良財産管理委託するとかしないとかいう観念を入れる実益があるかどうかという、そういう問題であろうと思います。それを特に排水機場に例をとりますと、排水機場としてはすでに完成している、あるいは完成に近い状態だと申し上げてもよかろうと思います。その排水機場を使って——基幹排水路建設がまだ若干残っているわけでございますけれども、それからその基幹排水路から承水路等々の工事をこれからするわけでございまして、こういう工事をする過程において施設を利用するということで、あらためて土地改良財産管理事業団委託するという過程を入れる必要が、事実上いかなる面であるかというふうに、私ども実は検討をいたしておるわけでございます。しかし、八郎干拓事業は、大部分できているけれども、まだ完成には至っていない。普通土地改良財産管理委託するという観念で考えられるような段階にまだ至っておらないわけでございますから、八郎潟事業団が行なう農地整備を含めて、まだ干拓事業というのは終わっておらないわけでございますから、そういう観念から言いますと、国営干拓地のこれらの施設は、土地改良財産として確立されているとは常識的には言わないのが普通でございます。したがいまして、ことさら排水機場を取り上げて、それは八郎潟事業団管理委託するということは、私は、法律上不可能であるとは思いません、工事が完全に完了しなくても、ある部分土地改良財産がすでに完成しておれば、それを委託するということもないわけではございませんから、排水機場だけを取り上げてかりに八郎潟事業団管理委託するということをいっても、私は、別に悪いとは思いませんけれども、どうもその実益がない。その場合でも、管理委託するといいますれば、事業団としてはその分だけのまた委託費を追加してかかって、それを国が埋めるということになるわけでありますから、工事費の全体の中でそれを処理することで十分間に合うのではないか、どうも実益もないわけでございますし、また、土地改良財産管理委託するというふうにいわなくても、法律上間違いだということも毛頭ございません。私が申し上げたように処理を行ないたいと思います。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 第二十二条の場合は、業務方法書というのを事業団がつくることになっている。これはここにも書いてありますように、「第十九条第一項第四号から第六号までの業務の開始の際、」つまりこれは貸し付けであるとか、あるいはその他の管理であるとか、譲り渡しとか、こういうふうな仕事をやる場合に、業務方法書に基づいてやるというふうに、この事業団プロパー業務については、こういうように書いてある。問題は第十九条の第二項以降の問題、これは委託に基づいてということになる。したがって、第二項第一号は、これは「技術及び知識の普及指導」だから、これは別としても、問題はいま議論をしておるのは、第二号、第三号の問題ですけれども、いまのはそれじゃ農地局長の話からいくと、第二号の中に広く含めちゃって、そして管理とかなんとかややこしい第三号のことをいわなくて四十四年までの仕事をやろう、そういう解釈をとって四十四年までいこうということなんですか。四十四年までの段階の中で、先ほどぼくは、具体的に、何は四十一年八月とか、何は四十一年九月とか、あるいは何については四十二年度の時点だといったものについては、これは農地局長は否定も肯定もしてないんだけれども、そういう土地改良のすでにでき上がった財産をそれぞれの適当なところに渡していく、そういうものの土地改良財産を含めてですけれども、あなたは使用使用ということで片づけられるけれども管理そのものというのは、じゃその場合に、第二項第二号で土地改良財産としてすでに形成されたものについては、使用はするけれども、むずかしく土地改良法上の管理ということになれば、第三号を発動せずに、国自身がその責任を持っておるという、二重的に考えた解釈に立っておるわけですか。
  22. 大和田啓気

    大和田政府委員 周辺干拓地国営事業は、ことしの九月に終わるわけでございます。したがいまして、一般の国営干拓地と同じように、ここで工事ができましたあとで、いろいろな用水路とか、あるいは排水路機場等々の施設は、土地改良区なり、あるいはものによりまして県に委託をするというわけでございます。私が先ほどから申し上げておりますのは、あくまで中央の干拓地の問題であります。中央の干拓地につきましては、とにかく四十四年までは国営事業というものは残っておるわけでございますから、それを事業団委託を受けてやるにしろ何にしろ、国営事業というのは残っているわけでございますから、そこでは土地改良財産というものを取り上げて特定して、そして土地改良財産管理委託するというふうにいわなくてもいいのではないかということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、事業団事業の事実上の実施の方法についての指導、また排水機場堤防等々の処置について遺憾のないように十分監督し、また指導をしてまいりたいと思います。
  23. 角屋堅次郎

    角屋委員 たとえば災害時における災害復旧の必要を生じたというふうな場合においては、この事業団プロパー仕事については、第十九条第一項第三号によって災害復旧の仕事はやれるということになっておる。ところが、土地改良財産としてすでに形成されたもの、こういうものを災害復旧で、堤防がこわれたとかあるいは用水機場に損傷が出たとか、そういうような場合は、そこのところがはっきりしてないと、事業団プロパーで、そういうものの災害復旧の仕事が、本省との関連の中でどういうふうな手続をとり、つまり国の承認を得ずしては委託についての災害復旧等の問題はやれない、こういうふうに私は思うし、そうなると、やはりでき上がっておる土地改良財産については、どちらがより実質的に管理の権限を持っておると解釈するか。すべて国営事業関係事業団に移すという場合には、実質的には事業団そのものが管理的なものの権限も委託されているという解釈をするのであれば、第三号の処置というものは必要なものについてはする必要があると思うのですが、そこはどうなのですか。
  24. 大和田啓気

    大和田政府委員 いま問題にされました災害で、たとえば堤防がこわれた、あるいは水門がこわれたとかいう場合は、当然国営事業でまだ完了いたしておらないものでございますれば、国の費用国営事業として災害復旧が行なわれるということになるわけであります。それは、この三号によって土地改良財産管理委託するかしないかという問題とは全く別でございまして、一般の国営事業干拓あるいは土地改良事業等々が行なわれておって、土地改良財産がいわば形成される過程で災害を受けた場合に、国としていかなる責任を持つかということと同じ問題でございます。
  25. 角屋堅次郎

    角屋委員 こまかい点を具体的に見ると、いろいろ疑問が多いのですけれども、何となく今回の国営事業事業団移管に伴っての公有水面埋立法関係、あるいは事業団法の法理的関係、あるいは大もとになる土地改良法の関係——私は土地改良法の土地改良財産の条文を全部読みませんけれども、一々見ればそういうものに関連したものがありますが、とにかくその辺のところは、何といいますか、厳密に言えばばくとしておいて、そして一つのめどとしては四十四年まではいく。それ以降において事業団自身でできないものは国自身がやる。あるいは事業団自身では、プロパーの第一項関係についてはできるわけだから、これは強制徴収以下いろんなことが一方的にできる。ところが、委託されたものについては、事業団としては、強制徴収その他については国自身の権限として別に考えなければならぬというふうなこと等があって、事業の錯綜とかなんとかいうことはいったんだけれども、形成されつつある土地改良財産、あるいはまたいろいろ今後事務手続上の問題というふうな点では、東北農政局というのは、それは秋田も網は張ってある、網は張ってあるけれども、現実にそういう仕事をやる能吏を現地に職員として付置をしておるわけではないという状態が起こるだろうと思うのですが、そうなると、建設ということで錯綜とかなんとか——私は錯綜とは思わないので、これは調整がつくというふうに解釈して、いままで質問を皆さんもやってきたわけだけれども、それは別にして、何かその辺のところを立法的にも、あるいは事務の取り扱い上も、そういう点でやはり疑義を生ずる点がこれから出てくるというふうに想定をするわけです。だから、むしろ国営事業関係については、きちっと四十四年まで国営事業としてやっていって、そこで事業団自身がやれるのだ、あるいは国、市町村土地改良区として——土地改良区はまだ形成されておりませんが、これから入植者がどんどん入ってきて、そして形成されるということですから、そういうものに即応して事務上の処理をしていく、こういうほうがいいので、事業だけで言われるけれども、いろいろな問題を考えてくると、そういう問題をやはりきちっとしないと、事業団法から、土地改良法、公有水面埋立法から、疑義なしに読めない点が多いというふうに思われる。そういう点どうですか。
  26. 大和田啓気

    大和田政府委員 お答えいたしておりますように、私は現在、公有水面埋立法、あるいは事業団法土地改良法等々を通じて、今回の国営事業八郎潟事業団に対する委託については、疑義もないし、また実際に困った事態が法律的に起こるというふうには思いませんけれども、いろいろ御指摘の点もございますので、私はいろいろな点を十分詰めて確信を持ってやっておるわけでございますが、なお今後も十分遺憾のないように、誤りないように努力をいたしたいと思っております。
  27. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは、大臣おいでになりませんけれども、まだ同僚のそれぞれの専門家が後ほどにおられるわけですから、いまちょっと取り上げました事業団業務委託に伴うところの土地改良財産管理上の問題点というのは、私は具体的にずっと指摘しませんで一般論として論じましたけれども、水利権の問題であるとか、あるいは周辺用水機場経費の延期になっている債権の受け入れ方法であるとか、あるいは土地所有者からの工事着工の承諾を得て、工事はすでに終わっておるけれども土地売買契約がなされておらぬ場合の所有権移転登記上の問題を一体どこがどうするかという、いろいろ具体的な問題は取り上げませんでしたが、しかし、いずれにしても工事錯綜とか非能率とかというようなことで、一本でやったほうがいいということを言っておるけれども、私は、こういういろいろな問題のことも考えてみると、せっかくここまで国営としてやってきておったその事業については、国が国営事業として第一線のいままでやってきた事業所を活用しながら、きちっと仕事を終わってしまう。むしろその過程においては、事業団としては、新しく入植してくる者の訓練、あるいは公共用施設の学校であるとか役場であるとかいろいろなものの建設、住宅の建設というふうな、いわゆる国営事業として取り上げられない、事業団自身プロパーとしてやらなければならぬそういうものの新しい町づくりの建設のほうに力点を注ぐ。そして、新しい営農計画、機械体系、いろいろなものをやはりある程度のプランを立てましたけれども、これからが正念場である、そういう方面にこそ事業団が当面力点を注がなければならぬはずである、こういうふうに思うのであって、いま、事業の錯綜とかなんとかというだけで言っておるが、錯綜とは思わない。調整はできると思う。だから、これだけの世紀の大事業を、今後五年、十年、十五年後に見た場合には、日本農業の一つのモデル的なところができたというふうな姿を出すために、当面における国営事業やあるいは新しい町づくりの建設の力点をこと数年どちらのほうが何に置くのかという点を十分に考えた上に立ってやるべきであって、ヘドロの完熟がまだ終わっていない段階に、農地局のほうから参事官その他がそれぞれ来て、私も農業土木が専門だから、実際はこういうふうに最終的の圃場のプランを立てたほうが、水路関係、あるいは道路関係、あるいは圃場整備関係で一本でやりやすいというようなことを説明はしておったけれども、しかし、そういうことだけにとどまらない。やはりもっと将来展望の上に立って考えてみると、この際は、やはり国営のことは国営のほうできちっとやってしまう、態勢もあるのだから。そして事業団は、むしろここ数年は新しい町づくりのほうのおぜん立てと将来のプランの綿密な樹立に精力を注ぐというほうが正しいというふうに私は思うわけであって、そういう点については十分考えた上に立ってやられていない。この法案が突如として出てきたところにも、われわれとして胸におさめかねる。国会の審議権から見て問題があるけれども、同時にいま言ったような問題等も含めて考えてくると、一体事業団の当面の力点は何かというふうなことについては、やはり十分配慮が必要であるし、また今日時点においてもそういう配慮で再検討をやる必要があるというふうに、私自身は率直に考えておるわけです。  そこで政務次官に、同僚議員も待っておられますから最後にお伺いしたいわけですけれども八郎潟の大規模干拓事業というものは、やっと第一段の山を越え、これから第二段、第三段の山にかかっていくという段階にあるわけです。これは農林省という段階のことで必ずしもお伺いしていいかどうか知らぬけれども、こういう大規模国営干拓事業をやった土地における新しい町づくりというものについては、農林省プランからいけば、純農村地帯モデルをつくるという頭で、やはり具体的なプランを見ても、入植のしおりを見ても書いてあるけれども、近代国家の近代的な農村の当然必要とするそういう面の用地というものを、たとえば加工部面あるいは軽度の必要な工業部面というものまで当初の段階において新しい町づくりのプランの中で想定をし、設計をし、そうしてまたそういうものをつくり上げていく。単にこれは学校であるとか、役場であるとか、あるいは必要な公会堂、その他病院とかいうものでなしに、産業的性格としてそういう近代的な農村としての必要なものについては、用地その他の問題についても当然当初から設定をした構想の中でやっていく、こういう配慮が必要ではないのか。単なる純粋な農村をこういう広大な地域につくり上げる、それがこれから五年、十年、十五年以降において変貌していくというのじゃなくて、そういうプランというものが、この種国営干拓の大規模事業の当初から必要なのではないか、こういうふうに考えるわけですけれども、これは単に八郎潟だけにとどまりません。これはわれわれよりも、地元の名士その他でも体験をしておるわけですけれども、実際に干拓事業をやって、経済情勢の変化に基づいてそれが変貌してくる、こういうような点について、いわゆる純農業的にいかないという要因を導入しなければならぬという問題が出てくる。それはむしろ積極的にそういう要請の必要な部分については受けとめて、最初からプランの樹立とそういうものの計画遂行をやるという、そういう新しい考え方が出なければならぬ段階ではないのか、こういうふうに思うわけです。これは、大臣来られて繰り返すわけにいきませんから、政務次官も有能な人ですから、政務次官で答えてもらいたい。
  28. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 いろいろ御高説を拝聴いたしておりましたが、確かに先生のおっしゃる面も、われわれは考えなければならぬと思っております。ただ、八郎潟は、率直に申しまして、農林省始まって以来の大事業で、これをどう完成し、将来どう運営するかという問題が、今後のモデル農村あるいは新農村建設という意味におきましても、きわめて重大な指針になると思うのでありまして、したがって、全力をあげて努力をしておるわけであります。  工事の施行については、直営でやるか委託にするかという問題でも、確かにおっしゃるような議論もございますけれども、われわれはより能率的に工事を進行せしめるためには、委託でやったほうがいいという考え方のもとに進めておるわけでございまして、さて、一応それができ上がりましていかなる村づくりをするかということについては、おっしゃるような問題がたくさんあるわけでございまして、単なる厚生施設だけでなくして、農村が実際にこれから進展していくために必要な施設について考えていかなければならぬということは当然でございます。そういう問題とももちろん真剣に取り組んで進めていかねばならぬわけでありますが、ただ、いま工事の進行過程でありまして、まだ十分御説のようなものの設計ができていない面もあるかと思いますが、今後はそういう御高説を十分参酌をいたしまして、万全を期してまいりたい、こういうのが私どもの考え方であります。
  29. 角屋堅次郎

    角屋委員 これからも農林省設置法の一部改正の問題については、それぞれ同僚の専門家からさらに具体的な質問が展開されると思いますが、今日までの段階質疑を通じてでも明らかなように、今回の農林省設置法の一部改正の、特に八郎潟事業団に関する部分については、これはわれわれ国会の審議の経過、あるいはこれから新しい町づくりをやる八郎潟現地における問題というふうな点から見て、政府の突如として方針変更してきたこの考え方については、私としてもこれは率直に賛成することはできない。この際、強く再検討を求めて、私の質問は一応終わります。
  30. 木村武雄

  31. 有馬輝武

    有馬委員 最初に食糧庁にお伺いしたいと思います。  田中さんにお伺いいたしますが、せんだっても東京に焦げくさい米が出回ったということで問題になりましたが、二十日過ぎにも今度は浜松で同じように焦げくさい米が出て、問題になっております。で、八郎潟では、将来米単作地帯として営農の主体を米に置くということになっておりますので、その時期にどういう関係でそういう焦げくさい米が配給されたのか、この経緯を明らかにしていただきたいと思うのであります。私は、検査のときには問題なかったろうと思います。少なくとも毎年その検査規格に従いまして訓練に訓練を重ねた事務所の職員が的確に検査をしておるのでありますから、問題は倉庫に保管されておるときにそうなったのか、輸送の途中にそうなったのか、あるいはそれ以前にそうなったのか、そこら辺を的確につかみませんと、これは配給制度に対して多くの疑問を起こすような結果にもなりかねませんので、その経緯を明らかにしていただきたいと思います。
  32. 田中勉

    ○田中説明員 御指摘のように、最近東京都で異臭のある米が出たという報告を受けたのでございます。また、ごく最近には、静岡県に回着いたしました米につきましても、そういう異臭の報告を受けておるわけでございます。いずれもいま異臭の米が出ておりますのは消費地、東京都とそれから静岡でございまして、生産県と申しますと、東北とかそういうところから米が消費地に回着しておるわけでございますので、結局生産県の米がそういう異臭米だということになるわけでございます。ただ、そういう異臭の米が出ましたのにつきましても、東京都の例なんか見ますと、ごく一部のお米屋さんに発生した。したがって、その米がどこから送られてきたものであるかというようなことを、米には票せんがついておりますので、生産者の名前もそれに記載されておるわけでございますが、いろいろ察せんを調べまして、その米が生産地のどこで保管され、そうして倉庫に入れて、それが消費地に送られてきたか、こういうことでいま調べておるわけでございますが、玄米の場合におきましては、何らそういう異臭はない。結局これを搗精いたしまして白米にして配給された段階において、しかもそれをたいた場合に異臭がある。そういうことからいたしまして、その米がまず生産地においてどういう栽培条件のもとに栽培をされ、それが収穫をされ、さらにそれが消費地に回着するまでに倉庫に保管され、また鉄道の貨車に乗ってくるわけでございますので、その辺をずっといま一連の検討をいたしておるわけでございます。もちろん生産地側におきましても、県を中心といたしまして、相当そういう米が出たということ自体が、その県自体としても非常に関心のある問題でございますので、東北の東京に回着した一部の米につきましても、生産地におきましても、各農家の昨年一カ年における栽培の状況——肥料の関係とか農薬の関係とか、いろいろな面から検討いたしておるわけでございますが、実際その米を生産された部落あるいは農家等におきまして、農家自体一年ずつずっと自分のその保有米を食べているわけでございますが、そういう面で必ずしもその農家からどうもおかしいという話が出たわけでもないようでございます。その辺なお私のほうは、ずっと消費地におきましては、いまさらにまた別の食糧事務所が中心になりまして、炊飯試験、それから実際にそれに参加する試食、そういうこともやっているわけでございますが、これもなかなか個人差がございまして、においのするという人とないというような人と、そういう試食をやってみましても、だいぶまちまちな実は状況が出ておるわけでございますが、いずれにいたしましても配給米のことでございますので、私のほうとしても、これは消費者にとっても迷惑になってはいけないわけでございますので、いささか疑わしい米等につきましては、現在配給を差し控えて、その他の米でこれをやっております。いま生産地と相呼応して、その辺のところの検討を進めておる段階でございまして、現段階におきましては、まだこれについてのしっかりした一つの検討結果が出ていない状況でございます。
  33. 有馬輝武

    有馬委員 御努力のほどはわかりますが、ただ検討しておる——長々と御説明がありましたが、検討しておるということで、どういうぐあいに検討しておるのかということが明確でございません。結論が出ないから悪いという意味ではなくて、たとえば生産地の倉庫にどの程度置かれて、そこの倉庫の薫蒸設備はどうなっておって、そしていつごろそれが東京なり浜松なりに運ばれて、そしてそこでは何日間程度倉庫に置かれておって、その倉庫の状況はどうであったかというような点について、やはり検討を進めておられると思いますので、そういった具体的な形での検討の経緯というものをお聞かせいただきたいと思うのであります。
  34. 田中勉

    ○田中説明員 まずこれは生産地から消費地に運んできておるわけでございますが、当然にこれは昨年の十二月末ごろまでに生産地において政府買い上げが行なわれまして、そうして倉庫の中に保管されておる。その米が、通常の場合でございますならば、いま東京回着のものは大体一カ月くらいの保管期間がある。したがって、いま出た米は、大体一カ月前とかあるいは一カ月半くらい前に東京に回着したものである、こういうことでございます。したがいまして、生産地におきましては、昨年の十二月末までに政府倉庫に入っておりますから、二、三カ月たったものが送られてきておるわけでございます。いま倉庫の状況のことについて申し上げますと、現地におきましては、倉庫の保管の関係におきましては、どうも確たるそういうようなにおいが発生するというような保管状態ではないというような報告を受けておるわけでございます。それから薫蒸の問題も実は御指摘いただいたわけでございますが、いま回着されておるものは、まだ薫蒸の時期ではございません。通常私ども米の薫蒸をいたしますのは、つゆ前、大体五月ごろから生産地等におきましても、消費地等におきましても、薫蒸をいたすわけでございますが、いま回着されたこの米に該当するものは、まだ薫蒸は行なったことはないわけでございます。そうなりますると、その保管、運送あるいは消費地の配給過程において、あるいはその消費地の取り扱いが、そういういろんなにおいのするような薬品のようなものと混合保管というようなことがあったかどうか、あるいはその取り扱い等において、運送業者等においてそういうようなことがあったかどうか、これは調べてみたわけでございますが、どうもその過程においては通常の米の輸送と何ら変わっていないというようなことでございますので、いまのところ、生産地等におきましては、主として栽培の状況を中心にいろいろ調べておる段階でございまして、いまのところ、きめ手と申しますか、そういうものを突きとめる段階までには至っておらないわけでございます。
  35. 有馬輝武

    有馬委員 その倉庫は、どういう倉庫なんですか。政府の指定倉庫ですか。その種類をちょっと教えてください。生産地の倉庫……。   〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕
  36. 田中勉

    ○田中説明員 先ほど申し上げました東京に出ました米の票せんを見ますると、これは宮城県の小牛田の中埣地区、こういうところの米になっております。それが一部そういうことをいわれておるわけでございますが、中埣で生産されたものが全部そうだということではございませんけれども、その中埣地区の農業倉庫の状況を申しますると、これは宮城県でも有数の米地帯でございます。したがいまして、相当大量のものをあの地区で政府の指定倉庫で買っているわけでございます。倉庫の状況も、りっぱな農業倉庫でございまして、まあ生産地のうちの模範的な農業倉庫ということになっているわけでございます。
  37. 有馬輝武

    有馬委員 山形の東置賜郡ですか、問題になりましたのは。そこの倉庫の状況はどうですか。
  38. 田中勉

    ○田中説明員 静岡で最近そういう米が発生したというので、大体生産地をたぐってみますると、これは山形県でございます。寒河江地区ですから、山形市の西のほうにある地区、それから東置賜ですから、これは大体南部の米沢を中心とした地帯でございます。この寒河江地区も、それから置賜の米沢地区も、山形県でいうと、内陸のやはり米の主産地帯でございまして、その倉庫の状況等につきましては、これはもう非常によく整備されておる地帯でございます。私も十年くらい前に山形の事務所に奉職したことがございますが、あの地帯の倉庫の状況についてはよく承知しているわけでございます。保管の状態においてのそういう懸念というようなものは、いまのところ、それを突きとめるような資料というものがまだ出ておらないわけでございます。
  39. 有馬輝武

    有馬委員 輸送なり保管なりの場合には考えられないとするならば、いま考えられる原因は、もちろん的確な結論は出ていないでしょうけれども、大体の推定でどういうことになるのですか。それと、やはりこの不安を除去するためには早急に結論を出さざるを得ない思うのですが、その大体のめどというものをお聞かせいただきたいと思うのです。
  40. 田中勉

    ○田中説明員 まだこれも保管、輸送関係においてほんとうにきめ手というものが出ていないということを申し上げただけでございまして、全然この面が白だということを申し上げるわけにもいきませんが、いまのところは、今度はその米の農家がつくります栽培関係——大体これは過去一年のことになるわけでございますので、その辺の肥培管理、あるいは農薬関係とか、まあいろいろそういう面に、ほかの地区との相違とか、去年特殊な栽培をしたかどうか、稲作をしたかどうか、そういうようなことまで実は掘り下げておるわけでございまして、何と申しましても、こういう米は最近には例のないことでございまするので、いま県と、それから農林省といたしましても、技術研究所、技術会議のほうで現地と呼応いたしまして、その辺のところをできるだけすみやかに究明したいということで目下急いでおるわけでございますが、どの程度のめどでいつごろどうだということは、いまの段階ではちょっとはっきり申し上げられない状況でございます。
  41. 有馬輝武

    有馬委員 次にお伺いしたいと思いますのは、外米の取り扱いについてであります。最近食糧庁長官が言明したことが、私たちから見ると誇大に伝えられて、配給制度の根幹をゆるがすような形で普通外米が取り扱われる。準内地米については従来どおりだろうと思うのですが、普通外米についてとにかくもう野放しになるのだというような形で新聞報道等においては伝えられておるのでありますが、私がお伺いしたいのは、いままでの準内地米、普通外米の取り扱い、その数量、そして輸入先といいますか、どこから幾ら程度入っておるのか、そういう点についてお聞かせおきをいただきたいと思います。
  42. 田中勉

    ○田中説明員 いま外米を輸入いたしておりますのは、準内地米と、先ほど御指摘ございました普通外米の二つの種類があるわけでございます。準内地米につきましては、これは現在の配給制度の中におきまして、消費者に対する一カ月十キロの配給のワクの中において、内地米の残ということで準内地米を配給の取り扱いをいたしておるわけでございます。それから普通外米につきましては、これはタイ、ビルマから来るわけでございますが、この米につきましては、現在の配給制度上の取り扱いは、昭和三十四年の十一月以降におきましては、十キロの配給の対象からははずしておるわけでございまして、消費者がどの小売り店からでも好きな量を購入できるというたてまえになっておるわけでございます。  さて、いまの米の輸入先でございますが、ちょうどいま四十一米穀年度、ことしの秋までの一年間の現在までの輸入計画は、準内地米につきましては八十二万トンの計画を立てておるわけでございまして、その大部分がすでに手当て済みで、目下到着をいたしておるわけでございます。主として準内地米のソースと申しますと、台湾、中共、アメリカの加州、アメリカの南部、それから韓国の一部、こういうことになっておりまして、大部分は中共、台湾、アメリカ、それから韓国はことしは六万トン程度の輸入計画になっておるわけでございます。それから普通外米のほうにつきましては、これはもう主産地は、従来から普通外米の取り扱いできておりますのは、大体タイとビルマでございます。年間大体三万トン程度のものを輸入しておるわけでございます。もっとも、昨年は相当の量を輸入したわけでございます。そのほかに、タイ国からは砕け米、ブロークンの米を大体八万トンないし十万トン近くのものを輸入しておるわけでございます。これは主として原料用に回しておるわけでございます。
  43. 有馬輝武

    有馬委員 その普通外米ですね、これはもちろん貿易のバーターの関係もあるだろうと思いますが、やはりどうしても入れなければならないのか。このことが一つ。  いま一つは、いま言及されました原料用米として砕米を使っておると思うのですが、この普通外米の取り扱いについて食糧庁長官の言明等を見ておりますと、とにかく何とかして売らなきゃいかぬという意図が今度の措置にあらわれてきたように思うのでありますが、そういった無理やりに売るという形をとるよりも、むしろ原料米に回されておる砕米に加えて要望の強い原料用として回すというようなことは、検討されないものかどうか、このことが一つ。  それから、先ほど準内地米について、たとえばイタリア等については輸入がないようでありますが、過去の実績から見まして、八万トンから十万トンくらいイタリアから入れておった経緯があると思うが、その年によってどんどん変わっていく、これはどういうことなのか。この点についてもあわせてお聞かせおきをいただきたいと思います。
  44. 田中勉

    ○田中説明員 御指摘ございました普通外米の売却について、いま検討しておる考え方等につきましていろいろ報道されたわけでございます。普通外米のこの考え方につきましては、昨年米価審議会の消費者米価値上げの際におきましても、配給制度の改善ということについては相当決意をもってやれ、こういうような御意見があったわけでございますが、普通外米につきましては、先ほど申し上げましたように、基本的にはすでに三十四年から流通規制ははずしておるわけでございます。ただ、売る場合におきましては、末端の小売り店から売る、こういうたてまえをとっているわけでございます。消費者の側におきましても、くどいようでございますけれども、十キロのワクの外になっておりまして、好きな量を購入できる、こういうことになっているわけでございますが、それにいたしましても、いまの需要量は、大体年間三万トンくらいになっているわけでございます。ただ、普通外米につきましては、準内地米とはちょっと違っておりまして、最近の食生活の動向等からいたしまして、これは普通の内地米のかわりというよりも、食生活の中におきまして、たん白脂肪食というような、たとえばチャーハンにいたしましても、カレーライスにいたしましても、ああいうような喫食のしかたをするということになりますと、普通外米というようなものが、ある意味においてはかなり見直されるわけでございます。そういう点において、三十四年からどこの米屋でも買えるということにはいたしておるわけでございますけれども、内地米の代替などということで、従来配給が非常にきゅうくつなときにはそういう取り扱い方をしておったわけでありますが、需要の喚起というような面も考えまして、もう少しこの辺簡易に米が需要者に流通するというようなことで、いま検討しているわけでございます。特にあらたまってというほどのことは実はないわけでございますが、そういうことでございます。  それから普通外米につきましても、やはり原料用の需要というものがあるわけでございまして、この原料用として大体三万トンぐらい、それから一般の主食用として三万トンぐらいというような需要があるという現状になっておるわけでございます。ただ、原料用の場合には、値段の面から見ても、また需要者の側におきましても、砕米のほうを非常に好むというような傾向が出ておるということも事実でございますが、砕米だけでは原料用の米として十分でないというような向きに対しまして、いま普通外米を売却しておるわけでございます。やはり需要は、主食もありますし、原料用としての需要もあるわけでございますが、この普通外米の取り扱いについては、そういう二つの需要を考慮して取り扱っていくのが適当ではないか、こういうことでございます。  それから、後段の地中海地域の米については、最近は買っておらないわけでございます。その原因といたしましては、大体地中海三国といいますと、イタリア、エジプト、スペインでございますが、スペインの米につきましては、ここ毎年一、二万トン程度のものを輸入をいたしておるわけでございますが、イタリアのほうの米、それからエジプトの米につきましては、最近数年間は全然輸入いたしておりません。これは、イタリアのほうにおきましては、最近米の需給関係はむしろヨーロッパ向けに大体向けられておりまして、対日輸出可能量というものは、大体ないというのが現状でございます。それからエジプトの米につきましては、これは相当の輸出量があるわけでございまするけれども、エジプト米はちょっと問題があるわけでございまして、エジプト米には、例の土砂と申しますか、土のかたまりのようなものが混入しておって、これをマッドボールと称しておるわけでございますが、こういう米を輸入した場合には、相当な調製なり、そういう改良を加えなければならぬというような米でございまして、むしろ最近は、準内地米の大きなソースとして台湾とか中共とかアメリカとか、こういう地帯にかなり希望する量が出てくるわけでございますので、エジプト米につきましては、最近は輸入しておりません。スペイン米につきましては、毎年一、二万トン程度輸入をしておるというのが現状でございます。
  45. 有馬輝武

    有馬委員 農林大臣、いま私は普通外米の取り扱いについて事務当局からお伺いしたわけですが、ちょっとしたアイデアが変な方向に受け取られて、食糧管理制度それ自体をゆるがすような事態にまで発展しかねない場合があると思うのです。そういう意味でいま私は普通外米の取り扱いについてお伺いをしたわけでありますが、砕米以外にも、主食用と原料用と、数字をお伺いしますと大体同じ程度使っておるわけですから、やはりこれは原料用に回そうというような形で進めるということが望ましい姿じゃないかと思うのですが、大臣としての御見解を伺いたいと思います。
  46. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いま田中部長から大体御答弁申し上げたとおりでございまするが、この普通外米については、前から自由にやっておるということを申しております。今度は、それについて一般の小売店だけでなしに広めていこうということで——これは配給米として適していないことは御存じのとおりでありますので、一般の米と同様な扱いにしなくてもいいじゃないか、もっと広くこれを販売のほうへ向けていく、すでに自由になっておるのでありますから、そういういき方でいっておるわけでございます。  準内地米、いわゆる外米のうちでも準内地米は、まだ国内産が需給において多少不足いたしておりますので、これは国内産と同じく取り扱っていきたい。しかし、配給の問題についてはいろいろ問題もございまするので、それらのいき方、配給の方途については、十分改善を進めてまいるということは、昨年の米価審議会のときにも強く要請されたことでございまするので、そういう意味合いから、別に食糧管理の根本の問題ではなしに、そういう配給の問題をもう少しいろいろな点において十分適切にやってほしいという要望に即応して、それだけのことをやったらどうかということで、学識経験者を呼びましていろいろ御相談を申し上げておるのでございます。その結果の一つとして発表いたしたということでございます。
  47. 有馬輝武

    有馬委員 それは、米価審議会でいろいろ要望を出された点に即応して努力することは、私も必要だと思います。しかし、米価審議会が言ったからといって、何も改める必要のないところを無理やりにいじったり、ひねくり回したりする必要はないと思うのです。基本姿勢として、食糧管理制度はこうあるべしということに障害になるようなことについては、農林省としてもう少しき然としていていいのじゃないか。そういう立場から大臣としての御見解を伺っているわけです。
  48. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 さようなことでございまするので、食糧管理制度につきましては、この必要性を十分認めておる。したがって、この制度を進める上において、もちろん全然手をつけぬということではない。いまのところ、それは根本において何ら変わらないのでございます。ただ、改善すべき点があればもちろん改善していくという態度はとっておりまするけれども、根本においては何ら変えてまいるつもりは、いまはございません。その点は御了承願いたいと思います。
  49. 有馬輝武

    有馬委員 くどいようですが、食糧庁はこの根本を変える考え方はみじんもないんだ、そのとおりだろうと思います。そうでなかったら、たいへんなことだと思うのであります。ところが、新聞その他が伝えるときには、昭和十七年以来の大改革か、という形で取り上げられている。それは大臣も、最近の新聞をごらんになって御存じでしょう。そういう点を私は指摘しておるわけなのです。それがまた一般の世論としてはね返ってきた場合に、新聞でちょこっと出したことが、思いがけない形ではね返ってきた場合に、農林省が苦労されるのじゃないか、こういう意味でお伺いしておるのです。
  50. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 たいへん御親切なことで感謝しますが、そういうことは私どもとしては根本を変えるという考えは毛頭ございませんから、その点は特にひとつ御了承願いたいと思うのでございます。
  51. 有馬輝武

    有馬委員 田中さん、そういう意味で、こういう問題について検討する際には、よほど調査をしてやっていただきたいということを要望いたしておきたいと思います。  前段が長くなりまして、八郎潟の問題に入りませんと申しわけありませんので、まず八郎潟の問題についてお伺いいたしたいと思います。  最初にお伺いしたいと思いますことは、昨年事業団法が農林水産委員会にかかりましたときに、舘林次官のほうから提案理由の説明がありまして、さらにそれを補足して、本日もお見えになっております丹羽さんから詳しく説明がなされておるのであります。私もずっと当時の会議録をたんねんに読ませていただきました。そこで、これは昨年の三月二日の委員会でありますが、政務次官の提案理由の説明を読んでまいりまして、たとえば「国営八郎潟干拓事業により生ずる土地につき総合的かつ計画的に農地等の整備、農村施設の造成等の事業を行なうことにより、当該土地に係る区域に模範的な新農村を建設することを目的とする。」こういうぐあいになっておりますが、私はきのう角屋君の質問の際にもちょっとやじったのですが——これは内閣委員会はまず国語審議会を開いてから進めなければいかぬじゃないかということをやじったりしたのですが、その私のやじった意味というのは、「模範的な新農村を建設する」、これが具体的にどういうことなのか。その後千葉三郎君、それから栗林君、東海林君と質疑をずっとやっております。それもずっと私拝見させていただいたのでありますが、その模範的な新農村のあるべき姿といいますか、ビジョンというものが、農林省の御答弁の中からは、何ら具体的に出てきておりません。私が具体的に出てきていないと言う意味は、たとえばそこで膨大な国費を使ってつくる大潟村が、農村のあるべき姿として、たとえば農業は企業として引き合うんだということの一つのモデルをつくろうとしているのか。具体的にそういう点について触れられておりませんので、まずこのビジョンといいますか、農林省昭和三十二年からここに干拓事業を興した当初のものの考え方を、お聞かせいただきたいと思うのです。
  52. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎潟干拓事業昭和三十二年から始まったわけでございますが、その当時の情勢といたしまして、当然食糧増産といいますか、食糧確保ということは大きなスローガンであったのでございます。したがいまして、八郎潟干拓地における営農について、明確な議論があまりなされておらなかったのでございます。ところが、昭和三十六年農業基本法が生まれます前に、経営規模の拡大と申しますか、自立経営農家の育成といいますか、農業に関するビジョン論争が非常にはなやかになりまして、そこで二町五反水田農家をつくるべしという議論が出たことがございます。その後、だんだんに私ども学者、研究家その他の人たちの御援助を得て研究会をつくりましてビジョンをつくる過程では、八郎潟干拓地において、とにかく一万町歩をこえる大干拓地でございますから、いわゆる土地結合といいますか、経営規模を大きくしようとしても、土地がなかなかない、そういう問題は一応あの地点においてはないのでございますから、相当自由奔放に、日本の農業の将来の像として八郎潟で新しい営農設計をしてみようという意見がございました。したがいまして、十町歩は少な過ぎる、二十町歩にしろ、あるいは六十町歩単位の経営単位をつくったらどうかという議論が、自由奔放に行なわれたわけでございます。私ども、三十八年度以降だんだん干陸が進みまして、四十年度までに大体干陸が終わりまして、四十年度に干拓事業についての見通しが大体つきましたところで、入植をする段になりまして、八郎潟事業団をつくったわけでございますが、八郎潟事業団をつくる農地整備の大体の方向を確立いたしまして、そこで私どもがつくろうと考えております農家の実態について申しますと、これは必ずしもそのまま農政のビジョンというふうに言えるものでもないのでございますが、八郎潟において私どもがつくろうとしていま努力いたしておりますものは、基本はやはり家族経営で、農地の面積は五町ないし十町。もう少し正確に申し上げますと、五町と七町五反と十町という三つのものを見まして、農家に選択させるわけでございます。そこで当面は稲作単作の経営をやる。五町ないし十町ということでございますから、内地ではほとんど例を見ないような、いわば日本的な意味で大規模農業でございますが、そこでは機械の共同利用を主体にして考える。したがいまして、五町、七町五反、十町という農家をつくりまして、その人たちが機械の共同利用を主体にして農業をやっていく。しかし、これは将来の日本の農業の進む道にも関連をいたしますが、もしも入植者で共同経営を希望するものがあれば、これはけっこうです。したがいまして、圃場は六十町一団地という形になっておりまして、それをさらに水路で三十町歩に分けるわけでございますが、六十町ないし三十町を一つの単位として機械を共同で使った稲作経営。将来は試験研究も進めていくわけでございますから、畜産を入れたり、あるいは地帯によって果樹、野菜を入れたりする。それで、企業的な経営というふうに私ども必ずしも考えておりません。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕 企業的な経営ということも、資本家的な経営という意味では毛頭ございませんから、家族経営を主体にして、しかもできるだけ少ない家族労働で相当な反収をあげていく。それで、国から土地を買い、機械等々の償還も済ましていきながら、とにかく五町ないし十町で自立経営といいますか、相当な生活水準をあげられる農家、しかも農業に専念して、農業所得によって十分の生活があげられるような農家を集団的にここでつくってまいりたい、そういうふうに考えております。
  53. 有馬輝武

    有馬委員 いまの御説明で、私は、最初質問いたしましたように、わからなくなってくるわけです。説明を受けるとわからなくなってくる。というのは、当初三十二年にこの干拓事業が発足した際には、増産という意味もあった。で、今度は必ずしも自立経営農家をつくろうという考え方でもないというようなことであるとすれば、これはことばの端々に出てきたことだから、違っていたら御訂正をいただきたいと思うのですが、とにかく膨大な経費を使って、しかも頑迷固陋な大蔵省もこれを認めて、そしてこの事業を推進するということになったのですから、それなりの意義がなければならぬと思うのです。で、その意義は何か、抽象的に農村のモデルケースをつくるということではわかりませんので、そういう意味農林省八郎潟に寄せられる期待というのは、どこにポイントがあるのだということを簡明率直にお聞かせいただきたいというのが、私の質問趣旨なんです。
  54. 大和田啓気

    大和田政府委員 どうも私の説明が、あるいはまずかったかもしれません。八郎潟でつくられる農家というのは、日本的な意味における自立経営であることは、間違いありません。これは先ほども申し上げましたように、家族労力がそれほど多くなくて、しかも豊かな農業所得によって十分の生活水準が営まれるような農家という意味で、自立家族経営でございます。このことはまた、とりもなおさず国の必要とする米その他の食糧の増産に役立つことでございまして、水田にして完成した暁には、一万二、三千町歩の水田でございますから、大体トン数にいたしまして五万トンをこえる、五万五、六千トンの米の収穫があげられるというふうに期待をいたしておるわけでありますから、自立経営の育成と食糧の確保という農政の一つの基準にといいますか、基本的な目標にこたえるものというふうに私ども考えます。
  55. 有馬輝武

    有馬委員 そこでお伺いをいたしますが、当初は二町五反、それから途中で五町、それから最終的には、現在の時点においては五町、七町五反、十町ということで、この五町、七町五反、十町については、それぞれ選択できるということになっておりますが、おととい大出委員質問に答えられまして、数年にして土壌が安定した場合には、大体十町でこの程度になって、租税公課その他を差し引いても、というような具体的な数字をあげての御説明があったわけです。私、ここでお伺いしたいと思いますが、自立経営農家が、当初二町五反で自立できる、また現在は五町、七町五反、十町で自立できるのだという、その数字的な基礎をお聞かせいただきたいと思うのです。
  56. 大和田啓気

    大和田政府委員 私ども農家経済調査を手がかりといたしまして、農家の収支を検討いたしまして、自立経営農家というのは、ただいまの大体の考え方といたしましては、地元農村における勤労者の生活程度と同じ程度の生活程度を農業所得によってあげられるような農家というふうに、具体的には考えることが妥当ではないかというふうに考えております。そういう考え方に立ちますと、経済中期計画を立てましたときの段階においては、大体農業所得六十万円。そのときの計算におきましても、勤労者の所得は年間五%程度上がってまいりますから、四十三年においては、農業所得八十万円程度の農家が自立経営とまず言い得るのではないか。今日の時点に立ちまして、大体それが中間でございますから、七十万円くらいのところでございます。そこで、農業所得七十万円くらいの農家というものはいかなる農家かというふうにまた逆に検討いたしますと、大体現在でいえば水田で二町五反前後というふうに考えられるわけでございます。しかし、これは二町五反前後というのは、あくまで現在の農家が二町五反程度あって、農業に精進すれば七十万円程度の農業所得があがるだろうということでございまして、八郎潟におきましては、いわば新しくそこに入って、土地を買って農業を営むわけでございますから、現在の土地を持っておる農家が農業をやって、そこで農業所得をあげるのとは事情が違うわけでございます。したがいまして、私は八郎潟において二町五反で農業を始めますと、これはなかなかつらい、なかなか自立経営の域には達することができないだろう。なぜかといいますと、普通の農家と違って、土地を買い、またうちも自分で——これは事業団で買って、国の補助率が五割で農家住宅も建てるわけでございますけれども、とにかくうちの償還もありますし、農機具の償還もございますから、いわゆる普通の意味で二町五反程度あれば農業所得七十万円くらいあげられるであろうという、こういう農家は、大体自立経営と言っていいだろうということと、八郎潟において二町五反で成り立つということとは、また別の問題でございます。私は、八郎潟におきましては、少なくとも五町、七町五反、十町あればそれにこしたことはございませんが、少なくとも五町程度はなければ、農業所得によって相当な生活程度があげられるということは、まずむずかしいというふうに考えておるわけでございます。
  57. 有馬輝武

    有馬委員 そこで、大出委員質問に答えられて、数年にして土壌が安定した段階においては、という前提のもとに数字があげられたわけなんですが、その数年にして土壌が安定するまでの措置といいますか、それをどのように考えておられるか、いま少し詳しくお尋ねいたしますと、五町の場合、七町五反の場合、十町の場合、どれだけの金を準備すればいいのか、土地の対価はどれだけになるのか、それからそれまでの生計費なりあるいは公租公課、そういうものについては、どの程度を見ておられるのか、そこら辺について、これは詳しく御説明いただきたいと思います。
  58. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎に新しく入植させる場合の取り扱いについて申し上げますと、ただいま事業団を中心にして農地整備がだんだん進んでおりまして、ことしの六月ないしは七月ごろに、官報公告によって第一回の土地配分の公告をいたします。そして、すでに村の役場なり農協なりに八郎潟についての色刷りのパンフレットを配って、希望者には相当な知識を差し上げてあるわけでございますが、ことしの秋に、まず五十戸ないし百戸、これはこれからの農地整備の進みぐあいによって、もうしばらくたって最後の判断をいたすわけでございますが、五十戸ないし百戸の人を募集をいたすわけでございます。そういたしまして、十一月ごろに、八郎潟事業団に国から委託いたしております訓練施設がございます、いま建築中でございますが、そこへ入れて、八郎の新しい風土と、また機械化直まきでございますから、相当技術上の勉強もやってもらわなければなりませんので、ことしの秋から来年の秋まで一年間勉強してもらう。したがいまして、四十年度に入りましたものが四十一年の秋にそこを出まして、そして四十二年の春から稲作をやるわけでございますが、まだまだ土地は十分に私は安定いたすまでに至らないと思いますので、土地の配分といいますか、所有権を移すことは、二年間くらい余裕を見て移したいと思います。そういたしますと、四十年の秋に入って、四十一年の秋に訓練所を出て、四十二年の春に稲作をして、四十三年の春にまた稲作をして、四十四年くらいから自分の所有地で稲作を行なうという状態になるわけでございます。そして四十四年に所有権が移りましてから、三年間の償還の据え置きがございますから、第一回の償還は、その後三年たって第一回の償還が始まるということになります。したがいまして、最初の訓練所を出てからの二回程度の稲作は、土地の一時使用の形でございますから、土地の使用料は国として微収いたしません。  そこで、そのころにおける収量は一体どのくらいだろうかということを予想いたしますと、私ども一つの予想の手がかりといたしましては、三十八年から四十年にかけて三年間、南部干拓地秋田県に委託をして六十町歩の機械化栽培をいたしております。これは試験場の栽培でございますから、私は実際の栽培はもう少しよくなるであろうという期待を持っておりますけれども、六十町歩単位でコンバインを使って機械化栽培をいたしました結果は、三十九年と四十年と、反収にして二石ないし二石一斗くらいでございます。そういたしますと、二石ないし二石一斗の収量がございますれば、土地の代金の償還はまだないわけでございますから、そこにおいて大体収支は、楽ではございませんけれども、まず何とかやっていける状態ではないかというふうに考えております。したがいまして、まず訓練を一年間やって、二年間の無償使用を認めて、それから土地を売り渡して、三年間の償還据え置き期間がございますから、いよいよ土地代金の償還に入るころまでには、私は土地が安定して収量が相当高くなる、そこでペイできるような農業が十分営まれる、そういうふうに考えております。
  59. 有馬輝武

    有馬委員 それで、先ほどお尋ねした一農家当たり五町の場合、七町五反の場合、十町の場合、どの程度の生活資金というものを準備すればいいのですか。
  60. 大和田啓気

    大和田政府委員 大体申し上げて、百万円ないし百四十万円程度の金を持ってきてください、借金であってもかまいませんけれども、すぐ返さなくちゃならないような借金だと困ります、というふうに言っておるわけでございます。
  61. 有馬輝武

    有馬委員 ここで私はお伺いしたいことがあるわけです。それはもちろんこの八郎潟の場合と時期的な問題も違うし、また置かれた環境も違いますけれども、やはりいわゆる戦後の開拓行政というものを私は振り返ってみる必要があると思うのです。これは事務当局から、局長でなくてもけっこうですから、いま戦後ずっと入植しまして、それから離脱した数がどの程度になっておるか、一番新しい時点においてその数字をお聞かせいただくと同時に、その離農した最大の原因は何か。私はやはり借金だと思うのです。利子に追われて、元本が幾らになっておるのかもわからないような状態のままに夜逃げをするというのが、ほとんどの開拓の離農者の実態だと思うのです。そういう意味で、それをどのように把握しておられるか、この際お聞かせをいただきたいと思います。
  62. 大和田啓気

    大和田政府委員 手元に正確な資料を持っておりませんけれども、戦後の入植者の全体の数は、二十一万ないし二十二万程度であったろうと思います。そうして現在開拓農家として残って農業をやっておられるのが、大体十二万数千戸でございます。したがいまして、その差が離農をいたしたということでございますが、戦後の開拓で二十一、二万入植しましたが、緊急開拓ということで戦後早い機会に、非常に残念ながら準備の整わない、また環境の悪いところに入った方で離脱している人が多いわけでございまして、私ども現在、十分御承知のことと思いますけれども、新振興対策というものを昭和三十八年以後やっておりまして、農家としても十分普通の農家に太刀打ちできるような農家と、それから政府として手を加え、援助すれば専業農家の半ば近いところまで生活水準が上がるような農家と、それから農業として自立する見込みが残念ながらなくて、離農せざるを得ない農家というふうに、三種類に分けまして、それぞれの開拓農家に対して手当てをして、とにかく現在開拓農家として残っておる人たちは、農業によって身を立てようとして一生懸命にやっておるわけでございますから、私どもその人たちが自立ができるように、現在一生懸命やっておるわけでございます。
  63. 有馬輝武

    有馬委員 正確な数字でなくてけっこうでありますが、この現在残っております十二万戸の開拓農家が持っておる負債ですね、それは種類はいろいろあるでしょうけれども、その総額がどの程度になっておるのか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  64. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十年二月の一番新しい数字で申し上げますと、負債の総額におきまして五百二十六億円でございます。一戸当たりの借り入れ金で申し上げますと、約四十七万円でございます。
  65. 有馬輝武

    有馬委員 この五百二十六億という膨大なその負債というもの、これは利子だけでもたいへんだと思うのですね。それで、ここ五年間くらいにこの一戸当たりの四十七万円というものは、どのように推移しておりますか。
  66. 大和田啓気

    大和田政府委員 先ほど申し上げましたように、新振興対策で、いままでとは違う相当規模の貸し出しをいたしております。正確な推移は申し上げませんが、額としてはふえております。これは当然前向きの融資としてふえております。
  67. 有馬輝武

    有馬委員 ふえておるその資金が、どのように使用されておるかもこれは当然つかんでおられると思いますが、その部分で、たとえば一戸当たり四十七万円のうち生計費に回った分は何%くらいあるか、そこら辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  68. 大和田啓気

    大和田政府委員 負債総額の中で生計費に回った分というのはなかなか調査によって出ないものでございますけれども、私は、開拓農家が初期の段階で政府その他から借りましたものは相当生活費に回っておると思います。しかし、先ほど申し上げました、現在新振興対策という形で昭和三十八年から十二万戸ほどの農家の半分に近い農家について営農振興計画というものを立てまして、畜産なりあるいは果樹なり畑作等々について営農設計を立ててその上で金を貸しておるものにつきましては、それは私ども相当調査をいたしておりますけれども、確かに家畜がふえ、畜舎ができ、その他営農上相当な効果があらわれておりますので、現在のところ新しいシステムでやっております営農資金につきましては、生活費に回ることが皆無とは申しませんけれども、営農改善のために事実上大部分使われているというふうにお考えいただいてけっこうだと思います。
  69. 有馬輝武

    有馬委員 農林省が大部分営農の資金として活用されておるであろうというような考え方で、正確に実態をつかんでおられないところに問題があるのじゃなかろうか。結局、そこら辺に十万戸もの開拓農家が離脱していった原因があるんじゃないかと思いますので、やはり現状を正確に把握して、それに対して適確な手当をすること、これが緊急の課題だと思うのです。私は、実は去年も農林漁業金融公庫、農林中金の総裁に、負債の金利のたな上げ、こういったことを意欲的に考えたらどうかということを申し上げ、農林大臣にも申し上げた機会もあったかと思うのですが、この点について四十七万円が一戸当たり早急に減っていく、返済可能な状態になるということはなかなか期待できないんじゃないか。四十七万円が三十七万円になり三十万円になるという見通しは、現在ほとんど立てられないのじゃないかと思いますが、農林大臣、この私が申し上げました金利の問題等について抜本的な対策を講ずるお考えはないかどうか。ここら辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  70. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 以前の入植者問題については、私も非常にこの点十分真剣に考えてまいらなければならぬと思います。数字のことはちょっといま記憶はございませんが、御存じのとおり、終戦直後急激に各所から帰ってまいりました人々に職を与えるという問題でございますので、しかも非常にたくさんの人が入りましたときに、一番考えなければならぬ、またやり得ることは、開拓地へ入ってまいるということでございましたので、そういう点から私どももこの具体的な政策のときにはもちろん関係はいたしておりませんが、その以前のときにこういうことに相なったときは、まず何をおいても開拓であり、土地を考えておかなければならぬということから出発しており、それから、その後具体的に設計、計画が立ったということは、その当時を考えまして、そういう経過をたどっております。  そこで、その後の経過でございますが、私どもも、その経過という点については十分考えておりましたわけでございます。さようなことでございますので、土地としても非常にいい土地もございます。また、非常に悪い土地であっても、やむを得ずそこに入植をすすめなければならぬし、また、いかなければならないという実態もございます。したがって、経営面積等については、現在八郎潟のように五町ないし十町というようなことを考える余裕も事実なかったし、また、獲得する面積等からして、入植希望との間の関係を見ましても、そういうことを理想的な問題とか、あるいは将来の問題というようなことを考えることでなしに、でき得る限り多くの人ということをその当時としてやらざるを得なかったという実態であろうと思うのです。したがいまして、その当時からの開拓の関係といたしましてはよほど考えなければならぬ点でございまして、したがいまして、現在の開拓地帯に対しまして離農対策もやらなければならぬ。したがって、こういう地帯においては十分にいける、こういう地帯はもう少し努力次第によっていける、こういう地帯はどうしても必要があれば離農ということで、それは具体的に離農政策を講じなければならぬというので、ほとんど三段階に分けて開拓地における政策を立てておることは、有馬委員もよく御存じのことであろうと思う。  そういうようなことで借り入れ金の償還あるいは金利について数回にわたって改正を加えておるわけでございます。いま私はここにその経過を持っておりませんが、さようなことでございます。したがって現在の情勢から見ますと、非常によくいっておる開拓地も相当ございます。しかしながら、どうしても離農せざるを得ないという——その地域としてもそうであるし、また、そういう必要があるということ、それから、存在しておってもいろいろの問題で貸し付け条件等の緩和によってそれがいけるというところもございます。大体そういう三段階に分かってこれらの問題を解決してまいろうということでございますが、いろいろの地域がございますから、おしなべてどうというわけではございませんけれども、これはいまお話しのように、確かに金利あるいは償還年限というものについては、でき得る限り実情に即応するように考えていかなければならぬ、こう思います。しかし、いま申しましたようにどうしても分散せざるを得ないというような地帯というものも考えているわけでございまして、現にいまそういう方向に進んでおるわけでございますが、残って営農するという、そういうことが——これはやはり大部分そうでありますから、それらのものについては、償還並びに金利の問題についてなお十分検討を加えながら、これらの点を改善していく必要がある、こう存じておる、わけでございます。
  71. 有馬輝武

    有馬委員 それは、農村に生き、農村に育ち、農政だけを手がけてきた農林大臣の愛情のあるものの考え方というものについてはよくわかるわけです。ただ、今後検討を加えていきたいというような形では問題は解決されない段階にきておるのです。それで私はお伺いしておるのですが、私は早急に金利たな上げを、ほかにも例があるわけですから、やはり関係機関と打ち合わせをして検討すべき時期にきておるということを、もう四、五年前から私は農林省に対しては要望しておるのです。こういうことを検討されたことがあるのかどうか、それをお聞かせいただきたい。
  72. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これは有馬委員もよく御存じのことでありますが、数回にわたってこれらの問題を検討し、改正を加えてきておるわけでございますが、なお現実においてもそういう方向に向かって努力はいたしておるわけであります。なお、その点は局長からひとつ……。
  73. 大和田啓気

    大和田政府委員 開拓農家の営農振興のために負債が相当な負担になっているということはそのとおりでございます。私ども振興対策をやりながら、一体開拓農家として負債をどういうふうに扱うかということは絶えず検討いたしておりますが、なかなかむずかしい問題でございまして、三十八年に振興計画を立てますときに、開拓者の団体と農林省と話し合いまして、現在の負債をたな上げすることが基本的な路線か、あるいは新しく営農資金を出すことが基本的な路線かということを詰めて相談をしたことがあるのです。ところが、そのときは、古い負債はとにかく返すべきものは返す、しかし、負債をたな上げにされただけでは新しい歩みができないから、醜い負債のたな上げということは言わないから、新しい資金の貸し出しに重点を置いてくれという話で振興対策が始まったことは、これも先生御存じのとおりだろうと思います。  いま、三十八年から五年計画で振興対策が大体進みまして、私はその成果もだんだんにあがってきておると思いますが、いまの時点になって、実は負債対策をどうしてくれるという話が開拓農家の中からも相当——特に北海道、東北を中心にいたしまして出ておるわけでございます。私ども、この問題は、先ほど大臣が言われましたように、大きな問題でございますから、そしてまた開拓農家の営農振興のために絶えず前向きに検討すべきことでございますから、研究はいたし、また調査もいたしておりますけれども、いま申し上げたようなことで振興対策が出発してきた経過もございまして、早急に旧債のたな上げというところまで実は踏み切ることがなかなかむずかしい事情にございます。四十一年、四十二年でこの五カ年計画が終わる時点に近づいておるわけでございますから、その振興対策の成果も十分取り入れて、一体、開拓農家の振興のためにどういうふうに考えるのか。これは、振興対策を考えましたときは、もうこの振興対策が終わればあとは一般農家の対策であって、いわゆる開拓政策といいますか、開拓農民のためだけの政策はやらなくてもいいんだという意気込みで出発したわけでございますが、はたしてそういうふうに考えていいかという問題もございまして、私はこの問題は、開拓政策をどういうふうに持っていくかということとあわせて十分研究をいたしたいと思っております。
  74. 有馬輝武

    有馬委員 実は、私が先ほど、入植者はどの程度の金を準備すればいいのかということをお伺いして、それから開拓行政についてお伺いしたのは、一つは八郎潟だけじゃなくて、有明にしてもどこでもそうですが、大規模干拓が行なわれ、土地造成が行なわれておるわけですから、それを離農者と結び合わせて考える企図はないのか、これを伺いたかったことが一つなんです。  それと、いま一つは、この開拓行政のあとにも見られますように、相当の国の援助がなければ、その土地の償還なり生計費というものに追われて、せっかく出発しようとするそのとたんに挫折してしまう、この繰り返しを行なう懸念があるわけです。  この二つの面からお伺いしたのでありまして、まず第一に、離農者、特に開拓の離農者と干拓の入植者との問題を結び合わせて考えられておるのか、ここら辺についてお聞かせをいただきたい。
  75. 大和田啓気

    大和田政府委員 離農して八郎潟に入植したいという希望がありますれば、当然希望者の一人として選考して、適当な人であれば入植を認めるつもりであります。山をおりる人に特別のえこひいきをいたして区別をいたすつもりはございません。ただ離農即八郎の入植というふうになかなか直接に結びつけがたいのは、とにかく五町歩なり十町歩なりの大きな経営でございますから、相当な力、それはただ腕力ばかりではありません、経営の力も必要でございますから、いきなり開拓地で失敗した人をすぐ八郎潟に入れるというように直に結びつけることは私はいたしておりませんけれども、離農する人で八郎に希望のある人であれば、当然希望を尊重してその選考をいたすつもりでございます。
  76. 有馬輝武

    有馬委員 それではお伺いいたしますが、開拓を含めまして現在年間の離農者の指数はどの程度になっておりますか。
  77. 横尾正之

    ○横尾説明員 先般行なわれましたセンサスの結果によりますと、農家の純減少率は、最近五カ年間で平均年率が一・三%でございますが、これは純減少率でございますので、新設農家等の要素を入れて離農農家の率を出しますと、平均年率は一・五%、年の戸数が大体九万戸ということでございます。
  78. 有馬輝武

    有馬委員 ここで委員長に御要望申したいと思いますが、与野党の理事さん方とも相談されまして、半舷上陸みたいに政府委員の方も昼めしを食っていただくように、残酷物語なんて非常に恐縮ですから、そこらはよろしくひとつお願いいたします。  年九万戸の離農ということになりますとたいへんな問題だと思うのです。私のところのくにの新聞でも、「離農この現実」ということで十八日間にわたりまして実態を調査しておりますが、もう実にさんたんたるものです。家庭は破壊される。本人も、たとえば大阪あたりで重労働をやって、仕送りに追われて、あるいはけがをして廃疾者となる。だんなさんが出かせぎをやっておる間に奥さんに別な人ができたりする。とにかく悲惨なことの集約みたいな形で報道されておるわけです。問題は、農林省として年九万戸も離農者があるということであれば、当然これに対する手当てといいますか、離農対策というもので立てられておるはずでありますので、まず第一に、農林大臣のほうからこの離農対策の根本方針といいますか、根本施策、その具体的な施策についてお聞かせをいただきたいと思います。
  79. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いまの問題でございますが、この開拓地についての問題としては、先ほど申しましたように、すでに離農対策を立ててやっておるわけでございます。その他全般の農村の問題といたしましては、直接この離農対策という問題というよりも、むしろ離農して帰る者に対してのいろいろの就職の問題とか、そういう点について、関連の労働省あるいは厚生省ともいろいろ協議をいたしまして、それぞれのいわゆる中年齢層の就職の問題とかそういった問題を進めておるというのが現状でございます。したがって、一般の農村についての農林省全体としての問題は、現在離農はどういう方向でどうなるといったような具体的な問題をことしから調査を進めておるわけでございます。よく実態をとらえて、そしてこれらの問題を検討をし、また、早く実行に移していくように進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  なぜかと申しますと、それは地帯によってはこの離農ということが実はあまり行なわれずに、いま行なわれております地帯は山村地帯が非常に多うございます。したがって、一応は山村対策を今度皆さんの御協賛を得て昨年法律が通り、またこれに対するいろいろの施策を講じておるのが一つでございます。また、それからもう一つの地帯は、やはり都市の近郊、この地帯についてはどういうことがいいかという問題は、単に離農という問題ではかえって弊害が出る場合もあるし、いろいろな問題もございます。それから、純農村といたしますと、いわゆる家族の一部が兼業として出ていくということが多いのでございますが、戸数そのものの減少が非常に少ない。純農村でこういう事態もございますので、それらの事態をもとに考えて対策を講じませんと、純農村でそんなに戸数が減っては、かえってまことにさびしくなるという傾向をあおるような結果になってもいけませんし、山村のごときは、これは非常な勢いで減少する、これをむしろどうするか、こういうわけです。実は山村にもっとおってもらわなければならぬといったようなことを考えなければならぬ地帯もある。さればといって、実際離農してもらわないといけません、こういう地帯もございますので、一がいに離農ということで一つののろしを上げますことがむしろ非常に弊害があるのではないか。開拓地は別でございます。そういう関係からいたしまして、それらの実態をよく検討をし——よくといってもおそくなってはもちろんだめでございますが、本年からもっと実態をよく検討を加えながら、これらに対する対策を真剣に講じてまいりたい、かような考え方で進んでおるわけであります。
  80. 有馬輝武

    有馬委員 その意欲はわかりますが、問題は現実の問題として、先ほど御説明がありましたように、年十万戸も出ていく、こういった危険な状態を現在の農村はすべて内包しておるわけです。現実の時点において、その結論が出てから——体系立った論文じゃないのですよ、政治は生きものですから。やはり即時即刻に手を打っていかなければ、この十万戸が二十万戸になるのです。この離農の最大の原因は何ですか、ひとつ事務当局からお聞かせいただきたいと思います。
  81. 大和田啓気

    大和田政府委員 理由としてはいろいろあるわけでございますが、根本的には私はやはり一つは所得の問題、所得の格差の問題というか、都会へ行けば所得が上がるという可能性で離農をすることがひとつあろうかと思います。もう一つは、最近における労力の不足の問題で、後継者がいなくなったという形で離農するということであると思います。その他農村における生活の集約がそこにあらわれてくるわけでございますから、理由としてはいろいろあろうかと思います。
  82. 有馬輝武

    有馬委員 最大の問題は、やはりいま所得の格差という形で、都会との比較において御答弁があったわけですが、私は、問題は農家の所得、いわゆる農産物価格に基因するのではないか、こう見ておるわけです。それと、その農産物価格に対する支持制度というものがアメリカみたいに行なわれていない、そこに最大の原因があるので、とにかく農林省のあらゆる行政に一貫性がない点にも問題があろうと思う。一貫性があったにしても、それの裏づけ対策というものが事前に立てられていないところにも問題があろうと思うのです。具体的に、たとえばこれは選挙区ではありませんからあれですが、鹿児島県で豚を全県あげて三十四年ごろ飼い始めて、とにかくわずか二十戸の部落に三十五年の正月に百二十頭も入れた、ところが、二十五年の夏には枝肉一キロ当たり四百円であったのが、その翌年には一キロ当たり二百七十円に暴落したというようなことで、残ったものは借金だけ。その借金の返済に追われて離農する、こういうところに一番問題があるのではないかと思うのであります。ですから、離農の実態を把握する際に、どういう視野から、どういう視点でこれをとらえるか、これが現在の農政の根幹でなければならぬと私は思うのであります。そういう点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。これは官房長です。
  83. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいま離農の原因について有馬先生御指摘になりましたが、もちろん農産物の価格の安定ということが非常に重要であり、かつまた、農政の一つの大きな項目としてわれわれは進めてまいっておりますし、畜産物につきましても、もろもろの価格安定制度を講じておりますし、また最近におきましては、生鮮食料品の大宗でありまする野菜につきまして、今国会に法案を提案いたしまして、価格の安定をはかっていく施策を講じようといたしておりますのもその一つのあらわれであろうと思うのでありまするが、農業と他の産業との間に現在存在いたしておりまする所得格差と申しますか、あるいは生活水準の格差というものを是正してまいるのが非常に大きな農政の基本的な目標であることは申すまでもないことでありまして、農業基本法制定以来、農業の生産性の向上ということを一つの大きな眼目として、われわれとしては生産政策、構造政策並びに価格政策の運営をはかってまいっておるのは御承知のとおりであります。この間におきまして、価格政策の果たすべき役割りは何かということはいろいろ御議論があろうと思いまするが、最終的な姿としては、やはり農業と非農業との格差是正のすべてを価格政策で分担をすべきであるかどうかということにつきましては、われわれとしても、生産政策なり構造政策でできるだけ生産性の向上をはかることにより、その目標を達成していくのが最も本来の姿ではなかろうかというふうに考えております。しかしながら、御承知のとおり、これらの施策というものは、講じまして直ちに効果があらわれるものではないわけでありまして、農業という産業の特殊性からいたしまして、非常にその効果のあらわれ方が緩慢であり時間がかかる。したがって、現時点におきましては、やはり相当程度の分野を価格政策で分担しなければならないということが現状にあることは私どもも認めておるわけでありまして、そのような考え方で価格政策というものを運営をしてまいっており、また今後も、当分の間はそのような立場で価格政策を運営していくべきではなかろうかというふうに現時点では考えておるわけでありまするが、ただ、繰り返して申し上げまするとおり、農政の基本的な目標でありまする農家並びに農業の振興をはかりまするすべての問題を、価格政策だけで果たすべきではないのではないかというようなことを、基本的に考えておるのでございます。
  84. 有馬輝武

    有馬委員 的確な御答弁でありますが、ただ、生産性の向上、現在そういった意味で構造改善事業等が取り上げられておりますが、これはあとでまたお伺いいたしますけれども、生産性の向上といったって限界があるわけです。そしてまた、官房長が御指摘になりましたように、価格政策にも確かに限界があるということになると、その隘路をどこに求めるか、私も価格政策オールマイティでいけということを申し上げておるのではないのであって、とにかくその重大な支柱である価格政策それ自体にも、運営の面において相当の欠陥があるのではないか、その欠陥に対して、農民ははだで感じておるから、農林省が豚を飼えと言うときは豚をやめとけ、やめろと言ったときには豚を飼ったほうがいいぞという形になってきている。ですから、農林大臣、やはりこれは今後の農政の——とにかく八郎潟に新農村を建設する一つのビジョンをお聞かせいただきたいといってさっきから大和田さんにお伺いしておるのですけれども、まあわかったようなわからないような答弁でありまして、私もぴんときませんので、そこら辺について、これは農政の基本ですから、農林大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思うのです。
  85. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 八郎潟の経営の問題、先ほど農政局長から申したように、五町から十町歩、初めは米作を中心にする、こう申し上げたとおりであります。これは、やはり有馬議員も同様であろうと思いますが、日本の農業は、できることならばもう少し耕地面積を持たして拡大させていきたいということは、これはだれしも念願するところであると思います。ところが、現実において農村の事態というものを見ますと、そういってみましても、現実の問題としてそれがなかなか容易でない。いわゆる農家が出ていくという場合でも、山村から出ていく、あるいは都市近郊であって、それは出ていかざるを得ないが、しかし、同時に、耕地面積も減っておる。耕地面積も減り農家も減る、あるいは、山村において、耕地のないところにおいて非常に減っていくという事態でございまするので、これは一つのビジョンを描いてやろうとしても、現実の問題としてなかなかできない。将来は別でございます。幸いにして今度は八郎潟が新しくできまするので、ここに自家労働によるところの自立経営と見て、東北地方としては五町歩——十町歩のものを一応創設することによっていかなる姿を到来するかという問題もございまするから、それらを日本としてぜひともこの際やる、これはやることによって——かつて一般の地帯においてそれをやりますと——現在鹿児島でございますと非常に小さいですね。六反幾らのところにみんな五町歩の経営をやらしたのでは十分の一しか残らない、こういうことを実現しようとしてもできるものじゃない。そうかといって将来の問題を考えるとどうかという問題もございまするが、現実の問題としてそうできるわけではございませんが、ちょうど新しくそれらができて、そして相当広い面積ができるのでございますから、将来のことをも考え、また現実をも考え、そしてまた、自立経営の姿をここへ一つこしらえあげてみるということは、決してこれはむだではない、こういうときにこそビジョンを持たせてひとつつくってみよう、こういうことからきておるものでございまして、大体それも企業的といってみても、私はやはり自立経営、いわゆる自家労働を主とした経営というものが、やはり小さな面積において多数の人口がありまするこの日本の実態といたしましては、やはり自立経営というところを中心にしていきたい。しかし、いろいろな機械とか、その他の能率のあがるものを用いるということになりますれば、これはもちろん必要があるのでございまするので、それらは共同作業その他によって進めてまいるわけでございまして、そういう点をも加えながら、ここにひとつビジョンのほんとうに現実に描き得るところにおいてビジョンを描いていかなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
  86. 有馬輝武

    有馬委員 そのビジョンの裏づけなんですがね、一つの問題として例としてお伺いしたいと思うのですが、現在農業基本法に基いて選択的な拡大ということがいわれ、そして構造改善事業の中で、ミカンをつくれとか豚を飼えとか牛を飼えとかいうことをいわれておるのですが、どなたからでもいいですがね、昭和四十五年度ごろにおけるミカンの需要はどの程度になって——園芸局長、それから畜産関係もお伺いしますが、とにかく私は、構造改善を進めるについて、ここは日当たりがいいから、あるいは昔からの歴史があるからミカンをつくれというような形で指導している、その需給の見通し、ひいてはこれは価格の問題につながってくるわけでありますが、そういう計画を、五年計画、十年計画をどのように立てて、どの地域を重点にして指導されておるのか、ここら辺について具体的にお聞かせいただきたい。  それから、畜産行政についても、私この前檜垣さんにお伺いしたのですけれども、乳牛に力を入れておりましたので、肉牛は屠殺頭数が生産をここ五年間くらいは上回ってとても追いつきませんという御答弁でありました。農林省の頭のいい人たちが、一方をやれば一方はできないということ、これはどうもおかしいのでありまして、そういう点について私は、今後の具体的な計画というものをこの際お聞かせいただきたいと思うのです。  ミカンと肉牛、これについて具体的に構造改善の中でどのように指導しておるのか、こういう点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  87. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 ミカンの需給見通しでございますが、これは昭和三十六年に果樹農業振興特別措置法が制定されまして、その際その数字の見通しを立てたわけでございます。その当時の新植の状況等から判断いたしまして、昭和四十六年の数字でございますが見通しましたところ、大体生産見込み量が二百十九万トンくらいになるのではないか。需要の見込みは、消費支出弾性値が高いものでありますので二百九十万トン程度ではないかということから、大体七四%くらいの需要を充足するのではないかという見通しを立てたわけでございますが、その後ミカンの価格も非常に上がってまいりまして、そういう意味から新植が進んでおります。新植が大体当初見込んでおりました六千七百町歩よりもテンポが早くなりまして、最近では果樹の新植面積は二万一千ヘクタールになっております。その半ば以上がミカンの新値によるものでございます。そういう状況で、実は三十九年に、もう一回三十七年の見通しが正しいかどうかということを検討したことがございますが、そうしますと、先ほど申しました七四%の需給率が大体九〇%くらいになるんじゃないかというふうに考えられたわけでございます。したがいまして、ここ五、六年の間に、需要に比して生産が非常に過大であるということにはならぬと思うわけでございます。ところが、果樹について、これは永年作物でございますので、いま植えました新植のものが、その結果が最高度にあらわれますのが十年ないし十五年くらい後になります。したがいまして、そういう意味で、そのときになっていろいろ手を打つというのでは、これはいげないんじゃないか、やはりそういう意味では植栽の目標というものを考えて、それに基づいていろいろ植栽農家を誘導していく必要があるんではないかというふうに考えた次第でございます。したがいまして、このたび果振法の改正に際しましては、国が果樹農業の振興の基本方針を立てるということにいたしておるわけであります。その基本方針の中におきまして、需要の動向に即しました果樹の植栽、生産の目標というものを立てまして、さらにまた、基本方針に即してそれぞれ県におきまして果樹農業の振興計画を立てておる、その振興計画につきましても、その県内の目標を立てたいという考え方に立っておるわけでございます。そういう目標に従いまして、今後果樹農業者の方の植栽をいろいろの方法で好ましい方向に誘導していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  88. 有馬輝武

    有馬委員 ちょっと待ってください。大体面積にしてどの程度現状があって、それをどの程度にされるんですか。
  89. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 ミカンの植栽面積でございますが、昭和三十年の植栽面積は三万九千七百三十ヘクタールでございます。四十年の植栽面積が十一万五千二百ヘクタールでございまして、約三倍に伸びております。四十六年の目標でございますが、それは果振法の改正が行なわれました場合、本年基本方針を立てるというふうに考えております。今後作業をいたしまして、十年後、昭和五十一年ごろの需要の見通し、それから植栽あるいは生産の見通しを法律改正後に行ないたいと考えておる次第でございます。
  90. 太田康二

    ○太田説明員 肉用牛の問題でございますが、先生も御承知のとおり、肉用牛につきましては、伝統的に一戸一頭飼いというような、飼養規模が非常に零細であったこと、それから御承知のとおりの農業機械化の進展等によりまして、生産構造が変革過程にあるわけでございまして、一方、食肉に対する需要は、食生活の高度化に伴いまして非常に旺盛でございまして、生産を上回る屠殺が行なわれたその結果、御承知のとおり昭和三十一年には二百七十二万頭おったわが国の和牛が、四十年二月一日には実は百八十八万六千頭まで減ったというような状況でございまして、肉用牛のみならず、乳牛の屠殺もこのために非常に行なわれているという昨今の状況でございます。  そこで、われわれといたしましては、国内における旺盛な牛肉の需要に対して安定的に供給する、なおかつ、御承知のとおり肉用牛は農山村で飼養されているのが多いわけでございますので、こういった地域の農業振興にも資してまいるということで、今回肉用牛振興対策というのを講じたわけでございますが、その際、現在の肉用牛資源の減少をできる限り防止する、そうしてこれを拡大の方向にぜひ持っていきたいということを基本といたしまして、先ほど申し上げました生産振興対策というものを立てたわけでございますが、この場合、まず政策の重点は、昨今の肉牛資源の減少傾向から見まして何としても繁殖育成部門に置かなければならないということで、繁殖育成部門に重点を置いて対策を立ててまいろうということにいたしたわけでございます。  以下に対策の概要を申し上げますと、まず繁殖育成部門の育成ということに重点を置きまして、優良な繁殖素牛の増殖を行なうため肉用牛の繁殖育成センターというものを設置してまいろう、これは主として市町村農協等に経営してもらうわけですが、その際、国といたしましては、素牛を県有貸し付けの方式で、国と県が全額持ちまして、管理経営をいたしますところの市町村農協に貸し与えるという形でやってまいる。これはとりあえず四十一年度は二十カ所ということにいたしておりますが、将来三カ年間で百カ所ぐらいまで持ってまいりたいという予定にいたしております。  それから、第二番目にとりました施策といたしましては、繁殖素牛の導入の円滑化をはかるために、農協が繁殖素牛を導入いたしましてこれを農家に貸し付ける場合の農協の導入資金に対しまして、国と県で利子補給をするということで、これは五カ年間の利息部分をあらかじめ前払いをするという形で国と県で利子補給をしまして、末端の金利が三分五厘で入手できるように国と県で利子補給をする、その五カ年間の前払いをするという制度でございます。  それから、いま申し上げた二つの政策は、四十一年度からの新規でございますが、さらに従来やっております政策といたしまして、寒冷地等の特殊地帯におきまして、肉用繁殖素牛の導入の助成、これはやはり県有貸し付けの方式でございます。国と県が全額持ちまして、大体農家に百頭ぐらいを単位として地域に入れてまいりまして、個個の農家の拡大に資するような施策も講じているわけでございます。  それから、農業近代化資金助成法を改正いたしまして、肉用繁殖素牛の育成資金というもの、これは中期の運転資金でございますが、従来利子補給補助の対象になっておりませんでしたが、今回いま申し上げました法律を改正いたしまして、こういった育成資金も利子補給の対象に加えるということにいたしまして、いわゆる中期の運転資金に対する利子補給制度という道を開いたわけでございます。  それから、やはり何と申しましても草食性家畜でございますので、飼料基盤を整備しなければなりません。そこで、草地改良事業につきましては、これを計画的に実施するということでございますが、さらに助成内容の充実ということで、農地改良事業の国庫負担率を引き上げる、あるいは小規模の草地改良事業につきまして、林野率の高い山村等につきましては、採択基準を引き下げまして、従来は十町歩が単位でございましたが、五町歩まで下げるというような採択基準の引き下げも行ないましたし、特に肉用牛につきましては、簡易な草地造成でもよろしいわけでございますので、野草地に対する利用施設の設置の助成ということで、牧道とか隔障物とかの利用施設の補助をする。それから簡易な草地の造成方法でありますところの蹄耕法というものも、一つの草地造成の工法として、従来の機械開墾にかわる耕法として、蹄耕法も助成の対象にするというようなことをいたしたわけでございます。  以上が繁殖育成部門の関係でございまして、肥育の経営の育成の対策といたしましては、まず飼料対策といたしまして、草地改良事業につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、従来乳牛を対象にしてやってまいりました既墾地における飼料作物の導入、これをやはり和牛の肥育地帯についても適用してまいろうということで、明年度二万六千ヘクタールやることにいたしておりますが、そのうち大体六千ヘクタールぐらいはこれを和牛の肥育地帯に実施してまいるということにいたしております。  それから、やはり一種の家畜導入制度でございますが、肥育素牛の導入事業というのを従来やっておりますが、これも肥育素牛の計画的集団的導入というものに対する利子補給補助の助成をいたしております。  それから、今後検討すべき問題といたしまして、やはり何と申しましても、肉用牛の振興をはかってまいりますためには、先ほど先生御指摘の価格安定事業が大事でございますので、子牛の価格安定という制度につきまして、今後検討してまいりまして、ぜひ四十二年度にはこれを予算に計上いたしたいということで、目下その方法等について鋭意検討中でございます。  それから、いま一つ検討しておりますのは、農家の保有する優良基礎雌牛の登録保留制度というのを考えておりまして、やはり基礎雌牛をどこまでも保留いたしまして、これを四産、五産、六産というようにとってまいることが必要でございますので、その際四産以上の優良な基礎雌牛につきましては、これが子供を産むごとに何らかの形の奨励金を出すというようなことで、基礎雌牛の登録保留制度というようなものもあわせて考えていったらどうかということで、目下検討中でございます。
  91. 有馬輝武

    有馬委員 そうしますと、いまみたいな施策を講じまして、その生産が需要に大体追いつくこれは需要も伸びていきますから、追いついていくめどを何年度ごろと見ておられるわけですか。そしてその間における対策——これは対策といいますのは、結局いまの需要を満たすためには輸入にたよらなければならないとか、あるいは代替物で補っていかなければならぬとかいろいろあると思いますが、たとえばアルゼンチンの牛は御承知のように病気がある。なかなか輸入できない。豪州その他についてもこれは限度がありまして、世界の市場が御承知のようになかなか輸出する余力を持っている国が少なくなっておりますので、そこら辺についてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  92. 太田康二

    ○太田説明員 われわれ土地改良の基本政策を立てますときに、畜産局限りでございますが、食肉の需要が昭和五十年度にどのくらいになるかという想定をいたしたわけでございます。その際、先生も御承知のとおり、牛肉と豚肉あるいは食肉と魚の肉というような関係でいろいろ代替関係がございまして、各肉別にこれを的確に把握することがなかなか困難でございましたので、昭和三十七年から三十九年までの食肉の年間消費量というものを基準にいたしまして想定いたしますと、昭和四十年が大体年間の食肉の総消費が八十七万二千トン。これを基礎にいたしましてはじきますと、おおむね昭和五十年には二百万トンをこえるであろうというふうに考えております。これに対しまして、国内生産の面では豚、鶏等、土地の制約を受けません家畜につきましては、ちょっと語弊もございますが、相当ふやすことができるわけでございますが、肉用牛、乳用牛につきましては、そう簡単にふやすわけにもまいりません。そこで、われわれの想定では、大体昭和五十年に百七十万トン程度の生産はできるのではないか。したがいまして、その差がもし需要がいま申し上げるようなごとくであれば、三十万トン程度の輸入を仰がざるを得ない、こういう結果に相なっております。
  93. 有馬輝武

    有馬委員 ですから、その五十年になっても三十万トン足りないような状況ですね。その間ますます伸びる需要をどのようにして補おうとしておられるのか、その対策をお伺いしているわけです。委員長の御指摘のとおり、簡単でけっこうですから。
  94. 太田康二

    ○太田説明員 牛肉につきましては、今回畜産物価格安定法の一部を改正する法案を国会に提出いたしまして、先ほど先生の御指摘のとおり豪州、ニュージーランドが現在の供給源でございます。この地域におきましては、屠殺時期が四月から七月というようなことで、わが国の需要最盛期と必ずしもマッチいたしておりませんので、計画的に買い付けをしなければならぬ。しかも国内市況等も見まして放出しなければならぬというようなことでございますので、やはり従来民貿で外割りでやっておりました輸入制度のほかに、新しく畜産振興事業団をして輸入牛肉をやらせるという意味の改正法案を出しまして、畜産振興事業団による計画的な輸入、計画的な出荷という形で、当面の牛肉の不足につきましては、国内の増産対策による効果が出るまでの間は、やはり消費者物価の安定というような意味からいたしましてもこれをやらざるを得ないだろうというふうに考えまして、今回、先ほど申し上げたような法律の改正案を提出しているような次第でございます。
  95. 有馬輝武

    有馬委員 園芸局長、さっきの御答弁の中で、基本計画については追ってやりたいということなんですが、現在、私最初に構造改善事業との関連でお伺いしたのですけれども、盛んにミカン畑に変えさせていますね。その需給の見通しがないのにどんどん進めさせておる。その関連をちょっと御説明いただけませんか。
  96. 小林誠一

    小林(誠)政府委員 構造改善との関連でございますが、構造改善の中で植培された面積も、先ほど申しました一万ヘクタールの中に入っておるわけでございます。今度の法律改正におきましては、構造改善事業あるいは対策事業というものも、県の果樹農業振興計画というものに即してしなければならぬという規定の改正を考えておるわけでございますので、そういう中におきまして、今後構造改善事業も、その辺の果樹農業の振興計画というものの数字に合わせて——合わせてと申しますか、即して行なわれるということにおきまして、その矛盾がなくなるだろうというふうに考えております。現在におきましても、構造改善事業は当然いろいろの需給の問題を考えておりますけれども、さらにその点をはっきり法律に規定するというふうにいたしたわけでございます。
  97. 有馬輝武

    有馬委員 理事さんのあれがあるようですから、本会議後今度は岩動さんのお話もございますので、事業団法にしぼってお伺いをいたしたいと思います。
  98. 木村武雄

    木村委員長 午後は三時から開会することとし、暫時休憩いたします。    午後一時三十九分休憩      ————◇—————    午後三時四十八分開議
  99. 木村武雄

    木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。楢崎弥之助君。
  100. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本改正案は、水産研究関係と定員関係に分かれているので、順次両問題について質問をいたしたいと思います。  まず水産研究関係ですが、これは遠洋水産、すなわち国際漁業の関係、それから沿岸漁業の関係、特にその秩序のある制度のもとで、魚族資源の保護という観点から研究を進めるということでございます。したがって、まず、遠洋水産、国際漁業の問題から質問に入りたいと思います。本問題についてはすでに伊能委員あるいは角屋委員から、日魯漁業の問題が取り上げられました。それで私は日韓漁業の問題でまず御質問をいたしておきたいと思います。特に魚族資源の保護あるいは維持という観点から見るならば、特に日韓漁業条約のうち、共同規制水域の問題あるいは調査水域の問題等は非常に関係があろうと思われます。そこで、そういう問題に焦点を合わせてまずお伺いをしておきますが、一昨日の外務委員会で問題が出されたようでございますけれども、本委員会でも一応事態を明確にしていただきたいと思うわけでございます。  五月二十日、北朝鮮の遮湖港の東方約百十キロの海上で青森県の第三政栄丸が北朝鮮の漁船三隻から銃撃を加えられながら追跡をされたという事件であります。正確な情報がまいっておればひとつ御報告をいただきたい。
  101. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 水産庁の監視船から報告が来ておりますので、これに基づきまして御報告申し上げます。  五月二十日の十七時二十分、北緯四十度十五分、東経百二十九度五十七分の地点で北鮮らしい漁船三隻にいま名前をあげられました第三政栄丸が接げんされました。船長は向こうの船に移されまして、接げん状態が三時間程度続きまして、二十一時二十分に船長は第三政栄丸に飛び移りまして、その第三政栄丸は全速で退避をいたしまして、そうして二十二時二十六分に、北鮮の船との間が離れ、向こうの船は追跡を打ち切られたように見ております。その後、巡視船「みくら」が海上におきまして第三政栄丸から事情を聴取いたしましたが、事実は大体そのようでございます。  なお、第三政栄丸は操業を続けたいという希望でございますので、操業を続けさせまして、いずれ母港に帰るわけでございますので、その際にさらに詳細に調べたいと思います。幸いにして人命、船体の損傷はございません。銃撃が二発あったように報告が来ております。
  102. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本事件に対する外務省の処理方針はどうなっておりましょうか。
  103. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 外務省ともいろいろ打ち合わせておりますが、基本的には北鮮と日本国との間に外交交渉がございませんので、政府間におきましてこの問題を交渉する方途はございません。
  104. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、こういった事件については無方針であったわけですか。
  105. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先ほども申し上げましたが、向こうの漁船らしい船との洋上におきます出会いでございます。したがいまして、さらに詳細にはこの船が帰りましたあとにおきまして調査をいたす考えは、私のほうにも海上保安庁にもあるわけでございます。基本的には外交交渉を通ずるわけにはまいりませんので、この種の事件がさらに勃発するようなことのないように、指導面でものを考えていくというのが現段階の考え方であります。
  106. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 指導面というのはどういう指導でございますか。たとえば、例の北朝鮮の管轄の及ぶ水域に日韓漁業ではかってに日韓間で共同規制水域を設けられておるわけですが、そういう北朝鮮の部分に属する——部分というと語弊がありますが、管轄の及ぶような水域、関係のある水域には入らないようにという指導でございますか。
  107. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先ほど申し述べました地点は、実は距岸三十八海里の地点でございます。したがいまして全く公海でございます。いろいろの意味におきまして公海と考えて問題のない地点とわれわれは考えております。ただ漁業の操業が、もし北鮮なりその他の漁船がかりに大ぜい集中してとっておるという地点におきまして日本の船がかりにとるというようなことは、刺激をする場合も予想されるわけでございますから、指導面では漁場の競合等を避けて操業をする、こういうような立場の指導を申し上げておるわけであります。
  108. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 かつて日韓漁業条約の審議の際にも、日韓間だけでなく、この海域の漁業は利害関係を持つ第三国すなわち中国あるいは北朝鮮等が当然からまってくる。したがって、この日韓条約が成立をしたということになっておりますが、いずれはそういった利害を持つ第三国との何らかの漁業面での接触等は当然ある時期には予想されると思いますし、またがっての赤城農林大臣もそういう時期が来るであろうということを言明をされておったわけです。そこで、私は日韓漁業条約と第三国の関係、特に中国と北朝鮮に分けて若干お尋ねをいたしたいわけですが、北朝鮮の漁業水域について北朝鮮が何かきめておる条項がございましょうか。
  109. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 北朝鮮につきましては、公式にも非公式にも、領海並びに専管水域といいますか、管轄区域というものについて、意思表明をした事実は、われわれ日本国としては受け取っておりません。入手し得る情報の限りにおいては私どもそれを聞いておりません。
  110. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、今度の日韓条約審議の際にも私は指摘をいたしましたが、共同規制水域という水域を設けられた理由は、やはり魚族資源の保護ということが非常な中心の課題であったわけです。お互いに乱獲を慎む。そうしますと、北朝鮮の関係する海域における北朝鮮の漁獲を無視して、日韓間だけで北朝鮮の海域の魚族資源の保護ということが考えられるかどうか、どう思いますか。
  111. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 申すまでもなく、海は領海あるいは専管水域の外は公海でございますし、そこでの資源保護なり漁業の調整のためには関係国が全部話し合いをする。漁業のサイドからだけ見ればそれが理想論でございます。いろいろの国際間の問題がございまして、たとえば中共との間は国の国交関係がないということで、民間でその問題を取り上げてやっておるわけであります。そういう意味におきまして、魚族の資源保護ということは関係国全部でやるということが漁業の立場から見れば理想でございます。しかし、そういかない。いま御指摘の北鮮の外側の水域の問題については日本の船も行く、韓国の船も行くが、しかし日本と韓国との間だけでは少なくとも一定の秩序をもって資源保護の立場で魚をとろう、こういうことを取りきめておるわけであります。したがって、その水域については、われわれも、共同規制水域に入る場合には、船の制限をいたします。その場合に、北鮮を巻き込まぬでは不十分ではないかという御批判はあろうかと思います。いろいろの情勢下におきまして、北鮮が一緒にやるわけにいかないこの段階では、日韓間でやることもそれ自身一つの意味がある、かように考えます。
  112. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、北朝鮮の海域までかってに日韓だけで共同規制水域を設けるなんということは非常識ですよ。韓国の管轄の及ぶ水域まででいいのです。それをかってに北朝鮮の海域までその共同規制水域を設け、関係のない日韓だけで規制するなんという考え方がおかしいのです。私は今度の事件も、あるいは事の運びよういかんでは、北朝鮮の海域でも今後起こり得ると思うのですよ。あのような共同規制水域の設定については、北朝鮮は抗議すると私は思うのです。そういう点で、私はこの点を心配するのです。
  113. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 だんだんの御意見でございますが、私どもの考えは、北鮮政府がかりに領海を定めあるいは管轄権を設けましょうとも、その外は少なくとも公海である。北鮮から水がつながっているから、そこのところで魚をとることについてやめるとかちゅうちょするとか、北鮮のために遠慮するとか——これは相手国が北鮮だからといって言うわけではございませんで、北太平洋の海におきましても、あの海がソ連からつながっているからという意味ではなくて、公海上であるけれども、資源保護の立場ということでソ連と取りきめしているわけであります。したがって、先生のおっしゃいますように、北鮮の岸からつながった海について、そこに入り会う国と国との間で漁業の資源保護の立場でいろいろの規制を設けるということ自身は、私は許されることでもあり、正当なことである、かつ資源保護の立場で適当なことであろう、かように存ずるわけであります。
  114. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 沿岸国の意向を全然無視して、他の国でその沿岸国の利害の及ぶところに規制水域を設けるのが正当で適当だと言われましたね。そう思われるのですか。未承認国だから、やりたいけれども、できないと言うならわかるのですよ。しかし、いまの答弁は、私はこれは問題があると思うのです。
  115. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 御指摘のとおり、沿岸国が沿岸に非常に広い範囲で発言権を持とうとして、かってに入るなという主張を世界的にやっておりますことは事実であります。ひどい国によりましては二百海里、五十海里、そこではおれの断わりなしに物をとるべからずという主張をしておることは事実でございます。しかし、われわれはそれを了承いたしておりません。秩序をもって——もちろん領海は別でございますし、話し合いで専管水域ができればそこは遠慮する。また実績のあるものは、そこに入るなら入る。いずれにしろ取りきめはいたしますが、その外は公海である。したがって秩序をもってとる。ただしとり方は資源保護を尊重してとる。こういうことでございますから、沿岸国たる北鮮の権威に服して、そこでとることについて自制する、この考えについては、せっかくの先生のお話でございますけれども、にわかにごもっともとは申し上げられません。
  116. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなた、私の言っていることを変なふうに解釈してはいかぬですよ。何か北朝鮮に遠慮して、やらぬでいいというような——私は遠慮せいと言っているのじゃないですよ。四月七日の本改正案の審議の一番最初の日に、伊能委員の遠洋漁業振興対策についての質問に対して、あなたはこう答弁しておりますよ。いいですか、ちょっと念のために読んでおきます。「資源の保護については世界の指導的立場に立って協力をするというか、関係者と協調をしてやってまいる必要があろう、つまり秩序をもって漁業資源の保護の立場に立って漁業を営んでまいる、そういう立場で関係国と十分相談づくで漁業を進めてまいる。」これがほんとうだと思うのです。関係国と相談せぬでやってもかまわない、正当であるといういまの答弁と、伊能委員質問に対する答弁とは違うじゃないですか。それでは北朝鮮だけはこの考えから除外するというわけですか。こんなことはあたりまえの話で、こんなことくどくど聞きたくないのです。
  117. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 冒頭に申し上げたつもりでございましたが、漁業の立場からいえば、同じ海域でございますから、関係国と話し合いの上で秩序をもって操業をし、みんなが資源を保護する、この考え方は漁業の立場からすればぜひとりたい。ただ複雑な国際関係でございますから、話し合おうにも話し合えない相手国がある場合におきまして、そこの相手国の地先沖合いであるから妙な取りきめを隣の国とするなという後段のお話につきましては、そこは公海でありますから、その話し合いができないからといって、そこを別扱いをするということは適当でない、こういう趣旨で申し上げておるわけであります。
  118. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あのとき審議を打ち切られましたから明らかにできませんでしたけれども、沿岸国たる北朝鮮のほうまで共同規制区域を設けられておりますが、その前段では北朝鮮の専管水域まで韓国は主張しておるのです。それをあなた方はうやむやにしておるのです。したがって、あの海図を私が提出を求めたときに、あの海図はどうです、専管水域についてはどこで消えたかわからぬが、適当なところで消えておる。それからどうなっておるかという説明はちっともないのです。だからああいう措置は決してほめたものじゃないのです。政府としてはやむを得ないところはあっても、われわれの立場からいったら非常にけしからぬやり方だ。しかし問題は、こういう事件が起こるから、私はある程度あなた方の今後の姿勢についてお伺いをしておきたいのです。  それでは角度を変えてお伺いしますが、政府としては中国を承認しておりませんが、民間ベースで締結されております日中漁業協定はどう評価されておりますか。
  119. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 この海域におきます資源評価、それからこれまでございました中共による拿捕が一切——一切と言うとあれでございますが、拿捕のための拿捕はなくなった、そういう意味におきまして非常に高く評価しております。
  120. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その問題はあと関係してきますから、あとで取り上げます。  ここでお伺いをしておきますが、かつて吉田総理の時代に、一九五一年二月七日ダレス特使あてに書簡を出しておられる。水産庁長官はこれを御存じですか、国際漁業と関係ある部分について。
  121. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 吉田・ダレス書簡は記憶いたしております。ただ詳細な内容をいまちょっと失念いたしました。
  122. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 外務省からは来ておられますか。——この吉田書簡というのはいまも生きておりますか。これは国際間の漁業について非常に重大な関係があると思うのです。
  123. 松永信雄

    ○松永説明員 お答え申し上げます。交換書簡の形をとっておりますので、この書簡自体の形式的な効力と申しますか、いつ死んだとか生きたとか、いつまで効力をというようなことはないと思います。したがって、その書簡は引き続きずっと生きているというふうに考えております。ただ、その内容が、あるいはすでにその使命を終わったという場合は、これは往々にしてよくあることでございますから、それは内容をしさいに検討いたしてみませんと何とも申し上げられないかと存じます。
  124. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 内容をしさいに検討するといったって、これは簡単な書簡でしょう。いま検討されてもいいですよ。これはしかし水産庁長官、ある程度紹介しておかぬといかぬのじゃないでしょうかね。
  125. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 突然のお話でしたので私も不十分でございましたが、だんだん記憶を呼び起こしますと、ダレス書簡というものがございまして、それが日米加漁業条約の締結ということにつながってまいりまして、日米加漁業条約ができた後におきましてはダレス書簡というものはその意味を失っておる、かように私は理解いたしております。
  126. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうですか、そうじゃないでしょう、長官。日米加だけの問題じゃないのじゃないですか。そうじゃないんですよ、これは。いいですか。ほかの国との公正なある取りきめができるまでは、その国が何らかの漁業措置をしているときには、それを簡単に言えば尊重するということですよ。漁場の保存措置がある場合は、世界の国々の間でそういったものがあれば尊重するということですよ、簡単に言えば。それが生きておるか、死んでおるか、いまその精神は生きておると外務省はおっしゃったですね。ちょっと違いますが、それでいいですか。よろしゅうございますか。
  127. 松永信雄

    ○松永説明員 この書簡にございますように、日本は、完全な主権回復の後、できる限りすみやかに他の国々とこれこれの交渉を行なう用意がある、それまでの間こうこうしますということが書いてございます。したがって、その限りにおいてはまだ生きているといって差しつかえないと思います。
  128. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、いま日韓漁業に関係をして、中国と北朝鮮の立場を取り上げてみますと、中国がきめておる漁場保存のいろんな措置、これは日本政府として尊重されますか。
  129. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 民間協定におきまして中国が政府として資源のために禁止しておる地域を尊重してこちらも入らないということ、それはいい適当な考えであるという気持ちを政府は持っておるわけでございます。間接的には尊重いたしております。ただ、政府間交渉がないわけでございますから、政府が中国のそういう漁場を直接認めておるということとは若干ニュアンスが違うわけであります。
  130. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 しかしまあ尊重するということですね。尊重するということは間違いないですね。——間違いないですね。
  131. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 漁族資源のために合目的的にできておると考えられるものは尊重いたします。
  132. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、日中漁業協定の中で、一般公海の北のほう、第一条の適用海域のところに、北緯三十九度四十五分、東経百二十四度九分十二秒の点からずっと、それから向こうは禁止区域なんです。いま読んだ地点は、あなた方が結んだ日韓漁業協定の共同規制の中にあります。これはどういうことなんですか。
  133. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先生のいまおっしゃった海図上の地点はちょっと理解できないわけでございますが、日中漁業協定で——いま海図を持ってきておりませんが、理解しておりますのは、いわゆる華東ラインから北東につなげた線でございます。その線は私の記憶では日韓共同規制水域は重複してない、かように存じます。
  134. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなことはありませんよ。あなた、何言ってるんですか。いま私が読んだのは日中漁業協定の中に示されておるポイントですよ。そしてあなた方が日韓条約で結ばれた共同規制水域のラインの中にそのポイントは入っておるじゃないですか。北朝鮮まで安易に共同規制水域のラインを結んでるからそういうことになるのですよ。入ってますよ。条約上入っています。それを入っておらないというそういう認識で、日韓漁業協定を結ばれておる。そういう認識でこれからこの農林省の今度の改正の中で遠洋水産研究所をつくって何のかんのと言ったって始まらない。そんな考えじゃだめですよ。はっきりしてください、いまの点は。問題が起こりますよ、あなた。
  135. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 日中民間漁業協定によります操業禁止水域が、日韓漁業協定によります共同規制水域と重複するかどうかということでございますが、これはいまちょっと資料を探しますが、私はしてないと思うのでございます。  そこで、その次の問題として、かりに重複いたしておるといたしましても、民間協定で、その地域に中国との間では入らないんだ、韓国との間では一定の隻数で一定の旗を持ったものが入れるように取りきめをしてある、それ自身は私は両立し得ると思うわけでございますし、それぞれから抗議される筋合いのものではない、かように存ずるわけでございます。
  136. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから私はさっきの吉田書簡が生きるかと聞いたんですよ。尊重するかと聞いたんですよ。尊重するんだったら、入れぬじゃないですか、あなた。ちょっと長官、もう少し正確な答弁をしてくださいよ。このラインということは、この前も事件が起こったじゃないですか。今度も北朝鮮海域で起こっているでしょう。単なる法律解釈論で済まされるんだったらいいですよ。水産の場合は実際にトラブルが起こるのです。だからこれは明確にしておかぬといかぬというのです。
  137. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 まず吉田書簡の件でございますが、実は先生御承知のとおり、日本が独立するという際に、また過去の日本のように、世界じゅうの魚をとりまくるのではないか、これは占領国、連合国の非常に大きな問題でございまして、その段階におきまして、吉田書簡で、日本の考え方は、将来の日本としてはそういう考え方ではないのだ、相手国との間で協定を結んで、秩序を持って操業をするのである、こういう日本の姿勢を示しておるものと私は理解をいたしております。それは平和条約にも取り入れられておる、こういう経過をたどっておる。そうしてその後の問題といたしましては、それに基づいて、あるいはそれに基づかずに、必要に応じて日米加漁業条約も結びましたし、日ソ漁業条約も結びましたし、日韓漁業協定も結んで、相手国と話し合いをつけて操業をするという姿勢で、オールドファッションの公海自由ではやっておらない。吉田書簡にとられた精神あるいは平和条約に織り込まれました精神の線で進んでいる。しこうして国交がない中国との間で、民間でやれるならばということで、陰に陽に民間協定も進めてまいっておる。それでございますから、いま先生のおっしゃる御趣旨、吉田書簡があるから云々という点は、私ども全く先生の御趣旨がわかりかねるわけでございます。話の筋はそういうことだ、かように存じます。
  138. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 わからないですかね。たとえば中国に例をとれば、中国と公正な話し合いができるまでは、中国なら中国がきめた漁業水域については尊重する、それが吉田書簡です。公正な話し合いができるまでは、それが吉田書簡です。それで公正な話し合いがいま政府間でできなくて、日中の民間漁業団体でできているわけです。それを尊重するのはあたりまえじゃないですか。それが、日中の漁業協定では入らないときめられた水域に、日韓漁業協定では、政府間の協定だから、条約だから、きめているから入れるなんという解釈ですか、あなたは。いまさっきそんなことを言ったでしょう。重大問題ですよ。そういうことをすると日中漁業協定はこわれますよ。
  139. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 まず二つございまして、日中民間漁業協定で、中国が資源保護の立場で自国民に対しても操業を禁止している区域を、民間交渉で日本の船も入らないということを取りきめておりますことは、この御指摘の吉田書簡に盛られた思想に連なるものでございまして、それ自身は吉田書簡があるから入らないのではないのです。そういうものを尊重するのはもっともだと思う考えの上に立って日本の民間漁業団も判こを押しておる。そこでいま、その民間協定によりまして日本国が中国との間では入らないといった水域が、かりに共同規制水域と、私はクロスしてないと思うのですけれども、いま地図を取り寄せますが、クロスしておりましても、それは別個の問題ではないでしょうかということを先ほど来申しておるわけであります。それは中国との間で関係業者が守っておるのですから、韓国との協定の図面におきまして共同規制水域になっているからといって、当然そこに入ることは、中国との協定上入らないわけでございます。
  140. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その日中間できめられた禁止ラインに共同規制水域がダブっておると私は思いますが、はっきりしてくださいよ。ダブっておる場合に、日本の漁船は日韓漁業協定では入れるのですか。さっきあなたそんなふうにおっしゃったが……。
  141. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 どうも話があれになってしまいましたが、同じ底びきの船でございまして、その船がこの海域を魚をとって回るわけでございますから、中国との民間協定でここに入らないときめたものは、その船は入らないように自分たちで統制をいたしておるわけでございます。そのことと、韓国との間でそうなっておるから、韓国との協定でそこをもし切れとおっしゃるならば、これは別問題でございます。韓国との間では、協定におきましては、入れば入れる協定でありましても、中国との協定上入らないことをきめれば日本の船は入らない、そういう関係ではなかろうか。先ほど来申しておるのはそういう趣旨でございます。
  142. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 少しはっきりしてきました。さっき一番最初のあれは実にあいまいですね。  それで私が申し上げたいのは、本来北朝鮮なり中国を承認しておれば、漁業が競合しておる海域については、その関係国が集まってきめればこういうことは起こらないのですよ。だからそういうことが取りきめられぬ段階で、そこにかってにそういった共同規制ラインなんて引くのは、これは不穏当ではないかということを私は結論として申し上げたいのです。しかし、あなたはいま、日中漁業協定は民間協定であるけれども、政府間協定である日韓漁業協定とダブる分については遠慮をする、入らないとおっしゃいましたから、私はそれでいいと思うのです。実際上は入るべからずです。農林大臣、それはよろしゅうございますね。
  143. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 それはいま、入らさぬように指導しております。
  144. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではこの問題を締めくくりたいと思いますが、私が申し上げたいのは、日中漁業協定は民間団体であるけれども、政府としては非常に高くこれを評価しておる。未承認国です。しからば同じく未承認国である北朝鮮と五月二十日のようなトラブルを起こさないためには、北朝鮮と日本との間で政府間の話し合いはできないかもしれないが、日中漁業協定と同じような形で、両国の民間団体のそういった話し合い、これを早急にやはり進めるべきであろう。この点については政府としてどう思われましょうか、責任のある回答をひとつお願いしたい。
  145. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先生も十分御承知のとおり、日中の民間協定ができますには相当の歴史がございます。中国からの拿捕が非常に続発いたしまして、日本の漁業者自身が、これではとてもたまらぬ、政府間で何かしてもらいたいのだが、国交関係がそういう事情下においてはやむを得ないということで自発的に発生をいたしたものであり、またそういう立場から中国との交渉におきまして譲るべき点は譲って、妥協と申しますか、協定が結ばれ、三回ほど更新をいたしておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、一般的には北鮮との間にトラブルがないことが何よりでございます。そういう機運の今後の北鮮との海域におきます漁業関係の推移とのからみ合いにおきまして、民間にもその動きが起こるように指導いたしたいとも思いますけれども、いま直ちに民間との間でそれを持っていけということでございますと、客観的にはまだいろいろ事情はあろうかと存じます。しかし、考え方としてはよくわかります。
  146. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは大臣、この問題についてひとつ責任ある御答弁をお願いします。北朝鮮と日本との間に漁業に関して政府間の話し合いはいま急にできないから、民間団体同士の話し合いが早くできるように指導するという長官のいまのお答えですが、大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  147. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 民間においてそういう話し合いができることは、私といたしましても、希望するところでございます。
  148. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではいまの問題については、ちょっと大臣声が小そうございましたからはっきりさしておきますが、そういう民間団体の話し合いが早く行なわれるように指導したい、こういうことだと思います。  そこで先ほどの日中漁業協定との関係は、これは長官すぐわかることですよ。いいですか。ダブっておるかわからぬけれども、もしダブっておるならということではだめです。ダブっておるから、問題が起こらぬように、ダブっておる地点については日中漁業協定のラインを尊重する、そしてそこに入らないように指導する、そういう答弁でなくては困る。
  149. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 どうも、ダブってないと信ずるのでございますが、ダブっておるとすれば……。
  150. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だめですよ、それでは。そんなあいまいなことを私は言ってないのです。そんな答弁がありますか。自分で知らぬでおって、あなた、責任ですよ。ひとつはっきりしてください。
  151. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 ダブっておるかどうかということは、いますぐ地図を取り寄せましてはっきりいたさせます。いまの段階で答弁をせよとおっしゃるならば、ダブっておるとしても、入らないということをきめた民間協定は当然国としても尊重する。
  152. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは不服になりますけれども、これでやめますけれども、ああいう日韓漁業協定を、責任を持って政府はきめたのに、日中漁業協定のラインとダブっておるかどうかわかりませんけれどもというような、そういうあいまいなことじゃだめですよ、ほんとうに。私どもあのとき打ち切られなければ問題にしようと思っておったのです。あなた方は問題ないと、審議が全部尽くされたから打ち切るというようなことをおっしゃったけれども、これはたいへんですよ。はっきりしてください。それでは長官、それは私が質問している間にそれをはっきりしてください。  次に定員の問題に移りたいのですが、行管の局長は見えていますか。きょうの新聞報道を見ますと、行管は行政需要の動向に関する調査を実施するように発表になっております。これは新聞の報道ですから真実はどうなっておるかわかりませんが、この中に、配転推進をやる、できれば四十二年度で三千人程度の職員の配転を行ないたいというような方針がちょっと出ておるのですが、これについての詳細な御説明をひとつまずやっていただきたいと思います。
  153. 井原敏之

    ○井原政府委員 昨日大臣が発表したわけでありますが、行政需要の動向調査ということになっておりますが、こういうことを始めますのに若干いきさつがありまして、御承知のように、一昨年の九月に臨調が機構改革について全省庁についての統廃合意見を出しておるわけであります。この推進をわれわれやってきておるわけでありますが、既存の組織についてこれを統廃合するという臨調の提案はほとんどできておらぬわけであります。これは平行線になっておるわけであります。そういうことでございまして、実はこれについては各省がやりにくい点もありまして、機構統廃合について臨調は一般の方向を出しております。たとえば蚕糸局の縮小であるとか統計調査事務所を合理化するとかいう言い方にとどまっておるわけなのです。で、あの勧告を受けられたたとえば農林省としても、いろいろと具体化についてはやりづらい点があったろうと思うわけであります。そういうこともあったかと思いますが、既存のものについて機構の統廃合については、実は残念ながら一つもできておらぬわけであります。一つもできておらぬというのはちょっと極論でありますが、それに近いわけであります。臨調はあの中で、特に機構の簡素化と、行政需要は非常に消長があるので、かつて非常に重要な機構であっても相当変化したものについては、それは縮小したらいい。そのかわり新たに起こったほうにそれを振りか、える。それで役人の首切りはやらずに、配置転換ということをやって、行政規模の絶対量をふやすことは極力押えろというのが臨調の提案であります。そういうことでその具体化を推進しておるわけでありますが、方向だけというやや勧告の抽象性といいますか、そういうこともありまして、各省としても行き悩んでおるというのが実情であります。一方、昨年の九月から作業を始めております行管に置かれました行政監理委員会でありますが、ここでは臨調の言いました一つの行政機関の中のそういうやりくりということ以上に、もっと全省庁的に行政需要というものがどういうふうに変化していくかということを見届けて、行政規模の絶対量をふやさぬような努力をさらに強力にやる。新しい行政需要に対して新しい機構と増員で毎年そういう状況を繰り返しておるわけでありますが、そういうことはいずれの日にか血の出る行政整理というようなものもはかられるので、かえってそれは公務員の勤労者に対しても有利でない、こういう強い意見が監理委員会からも出まして、臨調の考え方の具体的な推進とあわせまして、今回全省庁についてもう少し具体化を推進するための実態調査をやろう、こういう配慮でございます。ただ三千人どうこうということが出ておりますが、これは大臣が一つの目途として申したまでのことでございまして、調査計画の中には具体的には載っておりません。
  154. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今度のいま審議をしております農林省設置法一部改正についても、八郎潟事業団への移管で人員の異動があるわけです。それでそういう問題とも関連してたいへん心配をするわけですが、この配置転換という構想の中には、まだいまから調査をされるのでしょうけれども、これは本人の希望ということがやはり尊重されるわけですね。どうでしょう。
  155. 井原敏之

    ○井原政府委員 行政機関の定員のアンバランス等を見まして、それを具体化する段階になりますと、いま仰せになりましたように、一方的に、結果的に、行政整理といいますか、首切りになるようなことはすべきではないと考えます。
  156. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、本人の希望を尊重し、配転を強制するというようなことは考えていない、そういうことでございますね。
  157. 井原敏之

    ○井原政府委員 具体的になま身の人間をAの省からBの省に移すとかいうような問題になりますと、それぞれの任命権を持っております所管の大臣の権限であります。私どもがそれをいまからどうこうは申せません。私どもは定員の配置とか人間の配置にばらつきがあるということを問題にしようとしているわけであります。しかし、それにつきましても、いま仰せのように、結果的に行政整理になる、首切りになるというようなことはやるべきではないと私は考えます。
  158. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、三千人なんというような数字は大臣がかってにちょろっと言うただけですか。三千人なんという数字を出されますと、本人の希望はどうあろうと、とにかく三千人出さなければいかぬ、ここに強制が出てくるというふうにすぐ結びつくのですよ。何で三千人というような数字を出されたのでしょう。根拠があって出されたのでしょうか。
  159. 井原敏之

    ○井原政府委員 三千人ということばは話題になりましたが、大臣がこれをどういう意図で三千人目途とするということを口外したかはっきりいたしません。ただ私ども考えておりますのは、いま欠員不補充という措置をやっておりまして、大体四十二年度末で一万人近い人間がたな上げになるということですが、こういうワク内では、本人の希望で新しい職域に配置するというようなことをがえんずる職員も出てくるだろう。九千人の人間を右から左に新しい事業に投入するというようなことは、簡単に機械的にできるとは思っておりません。そういうことで、ごく例示の数字としてお話をしたと思いますけれども、これは何も調査結果が出ておるわけでも何でもありませんので、責任のある話というほどのことはないわけでありまして、できれば三千人程度を目途として四十二年度には実現が望ましいという程度のことでございます。
  160. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 事、人間の生活にも関係のあるそういった数字を、そう簡単に大臣たる者が出してもらっては困りますよ。それは局長から注意しておいてください。何たることかとこの委員会でつるし上げられたと——いま、うんと言われましたね。されますね。これはお願いしておきます。それでは、この新聞発表については、そういった配置転換といったものの一応の調査に入るが、その底に強制的にやるというようなことは考えていないし、もしそういう事態が出ても、本人の希望を尊重するという方針であるということを確認して、次に移りたいと思います。  いま農林省にもずいぶん定員外の職員がおられると思うのですが、どのくらいいまおられるか、数字をひとつ……。
  161. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいまここに詳細な資料をあいにく持ってきておりませんので、こまかい数字を具体的に申し上げるわけにまいりませんが、林野庁等で、現場の機械要員その他で定員外の職員は相当ございますが、それ以外の一般会計のほうに属する部門で定員外の職員というのはほとんどないか、あってもごくわずかというふうに私は承知をいたしております。
  162. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どのくらいの数字か、もう少し明確にしてもらわないと困りますよ、それは。そうして、同じ調べられるなら、そのうち土地改良事業関係はどのくらいおられるか、ちょっと聞いておきたい。
  163. 大口駿一

    ○大口政府委員 申しわけございませんが、ただいま資料を取り寄せますので、ちょっと御猶予いただきたいと思います。
  164. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、数字についてはお待ちをいたしますが、そうすると、この定員外職員の種類はいろいろあるのでしょうが、私はしろうとでわかりませんが、どんなふうなのですか。
  165. 大口駿一

    ○大口政府委員 定員外の職員の種類でございますか。——資料なしで間違った答えをするといけませんので、資料がまいりますので、ちょっとお待ちをいただきたいと思います。一般会計、特別会計別にいろいろ事情が違っておると思いますが、いずれ資料がまいりましてから、お答えいたしたいと思います。定員の中のことについては私資料を持ってきておったのですが、定員外のことについてはちょっと資料を持ち合わしておりませんので……。
  166. 木村武雄

    木村委員長 資料のある点についてでも、先に質問をしてもらったらどうですか。
  167. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではやむを得ませんから、定員と関係ない点でお伺いをしておきます。  八郎潟のあの干拓事業ですが、昨年、事業団設立が論議されました際に、関係委員会で、農地開発機械公団を大いに活用して仕事をさせるという附帯決議があったように私は記憶しております。いま農地開発機械公団が八郎潟のこの干拓事業関連をしておる度合いについて御説明をいただきたいと思います。
  168. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎潟干拓事業関係で、国営事業及び事業団事業を取りまぜまして、機械公団が請け負っております仕事を申し上げますと、三十九年度で約一億三千万円、それから四十年度で二億三千万円、四十一年度ではこれを上回る数字でございます。四十二年度以降も、農地整備にしろあるいは排水路、用水路等々の工事にいたしましても、八郎事業は非常にどろが深いと申しますか、ヘドロで、粘土地帯でございますので、機械公団の持っている技術なりあるいは機械なりに依存するところが相当多いわけでございますので、相当部分仕事が機械公団に行くというふうに考えております。したがいまして、附帯決議でいただきました機械公団を活用するという趣旨のことは、大体そのとおりにいくだろうと思います。
  169. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは事業団のほうとの関連はどうですか。
  170. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎潟事業団の本来の農地整備の事業、これで申し上げますと、四十年度の予算で大体四分の三程度の農地整備事業費用が機械公団に行く。それから四十一年度予算においては大体八割程度——八郎潟事業団農地整備の事業のうちで機械公団がやるものが四十一年度において大体八割程度でございます。今後の予測はなかなかむずかしいわけでございますけれども、大体七割ないし八割程度は機械公団が行なう事業というふうに私ども想定をいたしております。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま事業団との関係をパーセントで言われたのですが、国営のほうはパーセントであらわすとどういうふうになるのでしょうか。
  172. 大和田啓気

    大和田政府委員 国営事業八郎潟関係で残っております事業費は、大体四十年度以降九十億でございます。九十億のうち十億程度は堤防のかさ上げ工事、いわゆる地区外の基本工事、これは機械公団の仕事とおそらく直接関係がない仕事であります。それから二十億程度は基幹の排水路あるいは道路等で、これも機械公団の仕事とはそれほど直接には関係がないであろうと思います。残りの、八郎潟事業団がやります農地整備の事業と質的に同じ性質のものが六十億ほどございます。その六十億のうち、機械公団にどれだけのものを委託するかということは、現在まだ計算いたしておりません。また八郎潟事業団事業のように、七割ないし八割というふうにいくかどうか、まだ十分検討いたしておりませんけれども仕事の性質としては、農地整備で似たようなものでございますから、相当部分が機械公団に行くようになると考えております。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、現在のところは、国営部面で担当しておるその量と、事業団で担当しておる量の比率はどの程度になっておりますか。二対八くらいですか。
  174. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十年度におきましては、八郎潟事業団仕事のほうが国営仕事よりは機械公団の行なう事業として多目に見ております。ごく概算で恐縮でございますが、機械公団全体の仕事として二億三千万のうち、八郎潟事業団が機械公団に頼んでおる仕事が約一億七千万ないし八千万でございます。それから四十一年度におきましては、この数字よりはだいぶ機械公団の行なう事業量がふえる予定でございますけれども、その中でも、八郎潟事業団が機械公団に頼む仕事のほうが半分を越える程度ではないだろうかというふうに考えております。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、いまの説明でいくと、事業団のほうが大体八・五ぐらいで、国営のほうが一・五ぐらいの割合になりますね、金額の点からいっても……。
  176. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十年度で申し上げますと、約二億三千万の中で、八郎潟事業団事業が一億七千万ないし八千万でございますから、八割弱でございます。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、今度国営移管されるわけですが、そうすると今度は事業団が継続して農地開発機械公団に委託をするというような形になるわけですね。
  178. 大和田啓気

    大和田政府委員 仕事の性格上、当然機械公団に仕事をさせる部分が、先ほど申し上げましたように九十億の事業費の中で、約五、六十億が八郎潟事業団が行なう農地整備と同じ性質のものでございますから、相当部分は機械公団に頼むことになるだろうと思います。今後のことでございますから、まだ四十二年度以降は正確に見積もっておりませんけれども、相当部分は機械公団に行くというふうに考えております。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、移管された後は、公団の仕事に対する監督等は当然事業団がやっていくわけですね。
  180. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎潟事業団仕事を機械公団に頼むわけでございますから、機械公団の支所が八郎潟にできておるわけでありまして、その人員を充実して八郎潟仕事を機械公団が十分やる、機械公団が行なう事業については当然事業団の指導監督もあるわけでございます。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 委員会の附帯決議を十分生かすように、ひとつ今後も配慮をしていっていただきたいと思います。  水産庁、先ほどの問題はわかりましたか。
  182. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 ちょっと図面が見にくいわけでございますが、結論的に申しますと、華東ラインと言いますか、中共との禁止区域と共同規制水域、これは禁止区域ではございませんが、それは朝鮮半島の根っこのところにおきまして約十五分ほど交錯いたします。先生のおっしゃるとおりでございます。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そら見てごらんなさい。長官がそういうことではだめですよ。やはりそういうことを配慮してやってもらわぬとだめです。  それからせんだっての済州島の付近における拿捕事件に関して、私はあの事件後、漁船の出入りしておるところは私の住んでおる近所だものですから、いろいろ座談会を持ってみたのです。そこではっきりしたことは、これは政府側も把握してあると思うのですが、韓国側は専管水域の認識を完全に誤っております。そこで問題は今後も起こりますから、この点は新聞によるときょうは終わったようですが、その取り締まりについての両国の実務者の会議で十分議題になったと思うのですが、韓国側はせんだっての事件の付近の水域も、晩才島と馬羅島の両島を結ぶ線から十二マイルのラインを専管水域として、これを再三主張したそうですよ。これは把握されておると思うのですが、こういう点は明確になったかどうか、これを一つ一緒に質問をしておきます。  それから例の問題になっておりました侵犯船の起こった場合の位置の測定について、韓国側はロランあるいはレーダー等の備えつけがなかった、これは何回も衆参で問題になりました。そういう機械を積むようにする話し合いはできたのかどうか、その位置確認についての話し合いは、今度の両国の実務者の会議ではどうなったのか。  三番目は、緊急避難なりあるいは海難救助の問題について話し合いは成立したかどうか、この三点についてお伺いをしておきたいと思います。
  184. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 一番初めの晩才島と云々の点は向こうの官憲の当初の発言でございまして、その後向こうの位置につきます発言は三転をいたしております。したがって、その三転をいたしておりますところの矛盾、それからわがほうの調査のデータを添えまして、口上書をもって韓国に抗議をいま渡してあるところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、韓国の第一線がこの漁業協定の問題についての理解が非常に足らなかったという点があると思います。そこで今回は実は協定に基づきます共同委員会でございましたのですが、実務者間で今後の事故防止の打ち合わせを引き続きやったわけでございます。本日帰ってまいりますが、詳細な報告はまだ受けておりません。が、中間報告によりますと、非常に境界線での問題がありますので、水産庁の船と向こうの水産庁の船、それから向こうの内務省の船と海上保安庁の船が一定の距離で共同規制水域の外線を走りまして、今後の事故防止をやる、そのやり方についての打ち合わせはおおむね合意を見たようであります。  それから、今回の経験にかんがみまして、両国の取り締まり官の相互理解、端的にいいまして顔見知りの関係にあれば五十三海洋丸のような関係も相当防げたのではないか、意思の疎通の問題もありました。したがいまして、お互い船に乗り合ってお互いの機械なり取り締まりのやり方を勉強し合おうではないかという相互乗船、これも大体話がついた。  それから第三点が、いま先生のおっしゃいました位置測定の問題。この位置測定の問題は、実は韓国側の準備も不十分のようでございまして、ロランその他による測定法と方位角その他による測定法についての優劣その他等の議論も起こりまして、今日のところ最終結論に至らないと思われます。七月に引き続きまして会議をやることになりますので、向こう側でも研究を続けてもらいたい、私のほうもさらに準備をして、もう一ぺん引き続きやって、この問題はぜひ結論に達したい、こういう段階でございます。  それから海難救助と避難港の問題は、実はこれは海上保安庁が担当で、職員も向こうに出しまして、今回の実務者会議をやったわけであります。これにつきましても、結論を言いますと、最終結論には達しませんでした。これも引き続き六月ないし七月のときまでに両国で結論を出す。なぜこのような時間がかかっておるかと言いますと、たとえば避難港の問題等につきましても、たとえば港を指定したい——海上避難の場合でございますから港を指定するということはおかしいので、どこの港でも、もよりの港であるべきだというような点につきまして技術的にいろいろの意見の食い違いがありまして、今回は交渉期間の制約もございまして、相互理解は相当深めましたけれども、一応打ち切りまして、引き続き七月東京で話し合おう、こういう段階になっております。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これも死んだ子の年を数えるようですけれども、こういう漁業協定で海難救助とか緊急避難とかいうような問題は、船員の生命にかかわる問題だから一番初めにきめておく問題ですよ、これが常識ではないですか。何をやっているのですか、あなた。どだい話になりませんよ、それをいまもってまだ話し合いが成立しないなんということは。どうですか、大臣。こういうことじゃ、だめですよ。一番大事な問題ではないですか。何のために、ほかの条約を急いでやって、こういう問題をあとに残すのですか。一番大事な問題ですよ、これは。
  186. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これは具体的にはもう大体話がこの前ついておるのですが、なお残りの問題もあわせて今度は七月早々会合をしますから、そのときにははっきりいたすわけでございます。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 具体的には大体済んでおるとおっしゃいましたが、じゃ、その済んでおる分だけ御説明をいただきたい。
  188. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 済んでおるという意味は、海難が起こりまして、避難なりなんなりが現実に行なわれておるわけです。それを協定上避難港とか、それから経費の分担とかいうことの細目をきちっときめるという手続におきまして、最終整理に至らなかった。全く実務的な問題としての整理がおくれておる。したがいまして、引き続き七月に最終的に到達をするという趣旨でございます。
  189. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実際もう話になりませんよ。そういう大事な問題がそういう速度では、あなた方は安全操業について責任が持てますか。強く私はこれを抗議しておきたいと思います。こういうことではだめです。  定員はわかりましたか——もう水産庁はいいです。
  190. 大口駿一

    ○大口政府委員 先生の御要求のすべての資料がただいま到着しておりませんが、とりあえず到着をいたした分だけ申し上げますと、地方農政局関係の常勤職員と非常勤職員、つまりこの二つを合わせて定員外職員と総称しておりますが、この数字がまいりました。全部で五百三十二人、常勤職員がそのうち七十三名、非常勤職員が四百五十九名、この中で事業所、つまり地方農政局の本局以外の事務所における定員外職員の数が合計三百六十七名、そのうち常勤職員が六十一名、非常勤職員が三百六名。したがいまして、先ほどお尋ねの土地改良関係の定員外職員の数はというお尋ねは、この事業所の分の三百六十七名がこれに相当するのではないか、かように考えております。なお食糧事務所その他の資料はまだ到着いたしておりませんが、おっつけ参りますので、御了承いただきたい。
  191. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この定員外の職員は国家公務員ですか。
  192. 大口駿一

    ○大口政府委員 定員外職員も国家公務員だと思います。
  193. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 関連。ただいま数字をお示しいただいたのですが、二カ月更新の労務者というのはどれに該当するのですか。
  194. 大口駿一

    ○大口政府委員 非常勤職員という……。
  195. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 何名のところですか。
  196. 大口駿一

    ○大口政府委員 本局を含めて申し上げました全体の四百五十九名、事業所の中の三百六名と申し上げた部分でございます。
  197. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それから八カ月更新の職員はどこに該当するのですか。
  198. 大口駿一

    ○大口政府委員 八カ月更新とおっしゃる意味がちょっと理解できないのですが……。
  199. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 八カ月になったら一時仕事を停止させるでしょう。
  200. 大口駿一

    ○大口政府委員 いわゆる常勤職員……。
  201. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これは完全な常勤職員で八カ月であとの四カ月は休業させるということですか。
  202. 大口駿一

    ○大口政府委員 先生の八カ月更新とおっしゃっておられるのが、ちょっと私のほうの理解と違うものですから……。
  203. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますると、二カ月ごとに更新をして八カ月たったら一時仕事を休業させるというこの職員は、ただいまありました三百六名云々というところに該当するのですか。
  204. 大口駿一

    ○大口政府委員 先生が八カ月更新ということばをお使いになったので、私は若干混乱をしておるのですが、私が理解をしておりましたのは、いわゆる非常勤職員というのは二カ月ごとに契約を更新して、おおむね三回くらいの回数を目標に更新をするということで、私は六カ月と思っておったのが、八カ月と仰せられたので、少し話がよくわからなくなりましたので、もう少し詳細を存じております課長が来ておりますから、いまちょっと電話をかけに行っておりますので、その者の意見を聞こうと思っておりますが、私の理解ではいわゆる二カ月ごとの更新をしておって、おおむね三回くらいいっておるのが先ほど申しました非常勤職員でございます。これが本局を含めた数字が五百三十二名、除いた数字が三百六十七名と先ほど申し上げた数字に該当する部分だと思います。それからそれ以外の数の少ない本局を含めた数字が七十三名、事業所の六十一名と申し上げたのは、いま申し上げたように、二カ月ごとの契約の更新による部分ではない、いわゆる常勤職員というものに該当する数字でございます。
  205. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますると、楢崎委員質問には、身分は国家公務員——国家公務員がどうして二カ月で更新をしなければならぬか。
  206. 大口駿一

    ○大口政府委員 常勤職員、非常勤職員とも広い意味で国家公務員でございますので、国家公務員というふうに申し上げたわけであります。
  207. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 広くても狭くても、国家公務員の身分にあるものが二カ月で契約更新になるということはおかしいではないか。それはどういうことなんですか。
  208. 大口駿一

    ○大口政府委員 若干理屈めいたことを申し上げて恐縮でございますが、本来国家公務員の勤務体系というのは、通常の場合はすべて定員の中に全部存在をした姿というものを予想して制度ができ上がっております。いろいろ制度の移り変わりとか、仕事内容の変遷等によりまして、各省とも数の大小はございますが、このような非常勤職員という形が起きて存在をいたしておるわけでありまして、その意味で、定員内の職員と仕事の実態も、勤務内容そのものはそれほど大きく違っているとは申せない場合でも、身分上の取り扱いに相当大きな差異があるというのが実態でございます。
  209. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それで、一口に国家公務員という答弁だからおかしいのですけれども、これはほかに名前はついていないのですか。
  210. 山内広

    ○山内委員 ちょっと関連して、私から、あなたの誤解もあるようですからお話をしたい。  私どもがなぜこの二カ月更新、六カ月でもってまた雇用関係だけ新たにすることを問題にするかといえば、これは労働基準法の違反なんですよ。同じ人をずっとそういう脱法的な行為で、そして二カ月たつとまた更新していく。これはたいへんな話で、これは根本的に各省が持っている非常勤のそういうものはやめるべきだという根拠に私どもは立っているわけです。一時、そういうことが不合理だということで、かなり臨時職員を整理して、できるものは全部本職に繰り入れした。ところが、いまお聞きしますと、また数百名のそういう隠れた採用をしているところに問題があるわけです。そこをあなた方はどういうふうに——労働省の人がいないので、ちょっとあなた方だけに聞いても場はずれかしりませんけれども、どういうふうに割り切って、どういう処置でそうしておるか、その点を明らかにしてもらいたい。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なかなか答弁がないから、まとめて質問しておきます。  私、八郎潟に行って聞いたのですが、何か個人の委託契約で使用しておられる向きがあるそうですね。これはどういうことなのか、あわせてひとつ御答弁をいただきたい。
  212. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいまの御質問は、おそらく現地で十分御調査になった上での御質問だと思いますが、私どものほうではそのような形での雇用契約が存在するたてまえになっておらないと承知しておりますので、十分調査をいたしたいと思います。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの答弁はどの答弁ですか。三人やったのですから、一つ一つ答弁してください。
  214. 大口駿一

    ○大口政府委員 個人契約の職員があるかという質問に対する答弁です。
  215. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 山内君の質問に対する答弁はどうですか。
  216. 大口駿一

    ○大口政府委員 本来定員内の職員以外で非常勤職員、仕事内容が純然たる季節的に繁閑のある職員の形態というものを全く予想してない形ではないわけでありますから、非常勤職員というものが全くいてはならないとは考えないわけでありますが、おそらくお尋ねは、非常勤職員という名前でありながら、ほとんど常動的に働いておるものがあるのはおかしいじゃないかということの御趣旨ではなかろうかと思うのであります。私ども各省の立場でこれを考えまする場合に、やはりいわゆる常勤的な非常勤ということばが適当かどうかわかりませんが、そのような職員はつとめて定員の中に繰り入れて形をはっきりすべきであるというたてまえで、過去において、そのような努力を重ねてまいり、一時はだいぶ形をすっきりさせてまいったところでございまするが、まだ十分そのような形がすっきりまいりませんで、それぞれ各地方ごとに、あるいは事業所等において、その人の雇用された実態とか、あるいは仕事の移り変わり等で、いまだにそのような姿が残っておるものと思いますが、私は、労働基準法との関係は、不幸にしてあまり知識を持ちませんが、少なくとも非常勤職員の形でありながら常動的に勤務をしておる職員の数が非常に多いという形は、形としては私は好ましい形とは思っておりません。
  217. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、ちょっとこのように整理をしてもらいたい。国家公務員の身分でない場合には、二カ月更新というものは、これはほんとうは一カ月更新ですけれども、おまけして二カ月更新というものはまず認められるとしても、そういう非常勤職員と、それからもう一つは、春だけおるとか、冬だけおるとか、こういう季節的な非常勤の職員、それから期限つき、この仕事が終わったらという、これはただし十カ月に限るのですが、これが結局公務員の身分でない場合には認められるわけなんです。これはそうでなかったら認められないのですよ。認められないことをあなたのほうではやっておるから、昭和三十六年か三十七年の人事院の勧告で、特に強い要請をいたして、定員に繰り入れてもらったわけなんです。ところがまたこのように数字がふえておるのですね。  そこで公務員の身分になっておりますると、これは一般的拘束力、この法律解釈をして事を処理しなくてはならない。そうしますと、たとえば五百名なら五百名、六百名なら六百名が一カ月だけ必要だということなら、二カ月だけ必要だというなら、これは更新ということも認められるけれども、これが通算して六カ月も七カ月も五百名という人が必要だといえば、これは非常勤であっても何であっても、どうしても常勤にしなければならないということなんです。この頭でもってこういう問題を処理してもらわなければ、これはいつまでたっても解決はできないと思うのです。そういう点から質問をしておるのであって、現在あることはあるのだからしかたがないから、これからどうするのだということと、それから国家公務員でありながら日給制でまだやっておるというのはどういうことかということと、それから祭日に休んだときには日給を引くということはどういうことなのか。国の祝日の場合に日当を払わないというこのやり方は、どういうことなのかということです。この辺でやめますから、明快にひとつ説明してもらって、あとの処置をしっかりしていただきたいと思う。
  218. 大口駿一

    ○大口政府委員 いまの常勤的非常勤とか定員の内外の問題は、形式的には定員法にも関係することでもございますので、私まだ十分詳細を承知しておらない点については行政管理庁と協議をいたしたいと思いますので、しばらく御猶予をいただきたいと思います。——どうも若干ごたごたいたしまして申しわけございません。  先ほど私がお答え申し上げましたように、常勤的な非常勤職員、これは本来の定員の中でまかなうべきものであるということで、過去において定員の内に繰り入れまする場合に大部分繰り入れの措置をとったのでございまするが、その際に繰り入れができなかった一部の者が現在もなお残っておるのは事実でございます。  それからさらに、それ以外に本来常勤的非常勤で定員の中で、その当時の解釈からしても、まかなっても差しつかえないというものが若干ある実態でございまするが、これは、現在勤務いたしておる場合は、できるだけその実態に沿うような措置を講じてまいりまするが、長期的にはやはり定員内の職員に将来繰り入れる方向で善処すべきものだと考えております。  それから先ほど日給を支給しておる職員についての祭日の給与のお尋ねがございましたが、私の理解をいたしておるところでは、これらの職員の日給をきめます場合の計算が、一応月額というものを頭におきまして、これをたとえば二十五で割って日額をきめておりまするので、理屈の上では祭日のほうも入っておるのだというふうに理解ができるのではないかと私は思っております。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの問題はまた後ほど当然触れていきますけれども、そこでいま官房長が八郎潟事業所委託契約、個人請負の職員、使用者の問題、これはよく承知しておらないから調査するとおっしゃいました。今度の法案の中には二百十名という国営のほうの関係事業所を移すというのです。そういう八郎潟仕事の実態をいまから調査するというようなことでは、その調査をまたないとこの二百十名などという数字が妥当かどうか、そういう結論は出てきませんよ。これは幾ら何とおっしゃっても、そういう点が明らかにならないと、法案の審議を終結しようといかにわれわれが努力しようとしても、まだそういうふうに御調査にならなかったならば、これは実際にこの法案の内容関係するのです。二百十名という人員移転の問題に関係するのです。私の調査によりますと、四十八名いらっしゃいます。行管のほうもあとで見解を聞きますから、この質問と答弁をよく聞いておっていただきたいのですが、全然把握されておらない。
  220. 大口駿一

    ○大口政府委員 先ほど私が調査いたしますと申し上げたのは、いやしくも国会で答弁をいたします以上、正確に把握した上で御答弁すべきであろうと思いまして、そのように申し上げたのでありまして、調査中と申し上げたことがそのような事態について手がかりすら一切知らずにやっているということではございませんので、了承いただきたいと思います。
  221. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 本問題は、組合側との交渉の際に全然問題にならなかったのですか。
  222. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎潟事業所関係事務の個人的な請負のようなものがあることは、私も承知いたしております。たとえば、寮のまかない婦のおばさんとか、あるいは清掃の人でありますとか、さらに八郎潟周辺干拓地で今後管理委託予定いたしております小さな排水企業の管理の請負というようなもののあることも承知いたしております。ただ、官房長の申しましたのは、きわめて詳細なデータがないということで、目下詳細なデータをとっておるわけでございますが、大体そういうものがあることは私どもも承知いたしておりますし、それから労働組合との話し合いの最中にその問題が出たことも事実であります。  ただ、そういう問題を含めまして、私ども、職員の定員化といいますのは、土地改良関係で相当定員外の職員がございますから、一気に定員に繰り入れるということはなかなかむずかしいことでございますが、定員内職員と同じような仕事をやっておる者は従来もできるだけ定員に繰り入れる方向で努力をいたしてきたことも間違いないことであります。それで、八郎潟国営事業委託関連いたしまして、この問題の詳細がわからなければ事業委託について処理のしようがないというふうには私は考えておりません。
  223. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 あなた、何を言っておるのですか。こういう問題があっても全然その職員の異動に関係ないというのですか。  それではお聞きしますが、なぜこういう個人請負なんかをここではやらしておるのですか。本省が承知の上でやらしておるのですか。事業所の責任でやっておるのですか。本省は責任ないのですか。団体交渉で問題になっておれば、当然あなた方も知っておるはずだ。私が四十八名とあげましたが、人数は間違いありませんか。
  224. 大和田啓気

    大和田政府委員 四十八名という数字については承知いたしておりませんけれども、大体それに近い数字であろうと思います。  それから、この人たちにつきましても、当然八郎潟事業所をやがて国営干拓事業事業団移管いたすことに関連いたしまして、事業所なり事務所を閉鎖するわけでございますが、そのときのこの人たちの就職のあっせんあるいは八郎潟事業団仕事の世話をするという場合もありましょうし、そのほかいろいろなことがありましょうが、八郎潟事務所なり事業所なりこの個人請負という形で仕事をいたしておりました人たちも、今度のことに関連して、全然役所としてかまわないということでは毛頭ございません。この人たちのことも千分考慮しながら人の世話をいたしていきたい、こういうふうに思うわけであります。
  225. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が何でこれをきびしく言うかというと、定員の場合は法律できめられてしまって、二百十名なら二百十名とぴしゃっと出てくるのですよ。同じ内容仕事をしておる人がほかにもおる。雇っておる。その人数は四十八名か何名か知りません、それに近い数字です、そういうふうに簡単に過ごされる問題ですか。これが四十八名という人間が必要であるならば、それとの関連において二百十名という問題も影響ありますよ。これが十名の場合は、仕事内容が同じことをやっておる場合には、二百四十名にしなくちゃならぬかもしれませんよ。そうでしょう。これが二百八名であったらどうして悪いのですか。この法案の中で、二百八名であったら何で悪いのですか。あるいは百名であったらなぜ悪いのですか。こういう二百十名という数字を出されるには、事業との関連のもとにおいて出されたそれ相当の数字であろうと私は思うのです。とするならば、事業との関連、定員であろうと定員外であろうと、その事業にどれくらいの人数が携わっておるかということを頭に描きながら、この定員の数を出すべきであろうと私は思う。そうでなければ、この委託契約、個人契約には何人おるか知らないが、そういうことは二百十名とは関係ありませんというようなことでは、この法案はだめですよ。それをはっきりしてもらわなければ、通せませんよ。
  226. 大和田啓気

    大和田政府委員 国営干拓事業八郎潟事業団委託いたします場合に、二百十名の定員を移すというその二百十名の内容は、先ほども申し上げましたけれども、三百七十億程度の国営事業費のうちで、現在残っております事業費が九十億ございます。それで、私ども大体の見当といたしまして、いろいろな形で国営事業をやっておるわけでございますけれども、この事業費、一人当たり年額にして一千万円程度が、もちろん干拓事業あるいはかん排事業、開拓事業、その他事業の質によって違いがございますから一がいには申し上げられませんけれども、大体年額にいたしまして一人一千万円程度の事業費を妥当と考えて事業所に対する張りつけ等をいたしておるわけであります。したがいまして、国営事業所から二百十名の定員を移します場合も、今後の移管すべき事業費九十億というものを想定いたしまして、それに適当な人員として二百十名を移管をいたしております。そういうことでございます。
  227. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 幾らそのような強弁をされましても、こういう実態を明らかにせずしてどうして異動が合理的にいきますか。どこに合理性があるのですか、この二百十名というものに。出てきませんよ。きょうどうしても審議を尽くすというのだったら、私はこの問題は明確にしてもらいたい。私は待ちますよ。この実態を明確にしてください。何時間でも待ちます。
  228. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいま御指摘になっておりまする個人請負の職員が八郎潟事業所に存在をいたしておるということを聞き及びまして、私ども現在詳細なる実態を調査をいたしておるわけでありますが、ただいま楢崎委員も仰せのとおり、もしこの設置法に基づきまして十月に八郎潟事業所事業団に引き継ぎまする場合には、このような形で存在をいたしておる職員につきましては、その時点においてすべて何らかの方法で解決をする必要があると思います。そこで、実は農林省の地方農政局全体を通じまして、やはり同じような姿の職員をいかように取り扱うかという問題も、私ども今後の問題として、現在も取っ組んでおりまするし、また将来も解決すべき問題でございまするので、その解決の一環としてやり得るものは一環としてやりますし、またこの八郎潟だけの時点を限っての解決を迫られておる問題は、やはりその時点までに十分不合理のないような形で解決をすべきものと私は考えております。またそのような形で実際の移管が行なわれまする場合には、現在御指摘になっておりまするような形での職員の取り扱いというものを解決をいたしてまいりたい、かように考えております。
  229. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 結論めいたことを先におっしゃいました。それは後ほどまたお伺いをします。やはり事態を明確にしなければなりません。それで明確にしたいと思うのですが、委託契約、個人請負でやっておるという事実はお認めになりますね。イエスかノーかでいいです。
  230. 大口駿一

    ○大口政府委員 ございます。
  231. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは本省が指導してやらしておるのですか、どうですか。
  232. 大口駿一

    ○大口政府委員 私のほうはこの事態については責任を持つつもりでおりまするが、ただ指導してやらせておるのかというお尋ねに対しましては、特に本省から積極的に指導している形ではございません。
  233. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まことに恐縮ですが、ちょっと最初のところを聞き漏らしましたのでもう一ぺん……。
  234. 大口駿一

    ○大口政府委員 このような事態について本省が一切責任を持たないというつもりで申し上げるわけではございませんけれども、このような形の姿を本省が指導してやらしておるということではございません。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ごもっともだと思うのです。行管も来ておられるのですが、まさかこういうことを本省が知っての上でやらせておるなんということになればたいへんですよ。とするならば、地元干拓事業所の責任者がみずからの責任でやったことですね。やっておることですね。そうですね。
  236. 大口駿一

    ○大口政府委員 私どもは現在承知をいたしておりまする形というのは、八郎潟事業所以外にもこのような例がございますので、この全体の問題をいかように解決をするかということは、私ども頭を悩ましており、今後もやらなければならぬ問題だと思いますので、先ほどお答えをいたしましたのは、このような形を是正することは、省全体の問題として私ども今後努力をしなければならぬ問題だと思いますが、ただ、八郎潟事業所移管という時点を限った問題でございますので、特に八郎潟につきましては、全体の一環として解決をはかりつつ、八郎潟の問題は八郎潟の問題として解決に努力し、善処いたしたいというふうにお答えをいたしたわけであります。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は本省をいびっておるわけではないのです。これはおそらく現場の所長がかってにやったのだと思うのです。そこでいま八郎潟だけではないとおっしゃいましたが、この種の契約で使っておるのは農林省だけでどのくらいありますか。
  238. 木村武雄

    木村委員長 楢崎君、政府の答弁を整理するために五分間休憩いたします。    午後五時四十一分休憩      ————◇—————    午後六時三分開議
  239. 木村武雄

    木村委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。楢崎弥之助君。
  240. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この委託契約、個人請負の問題は、重大な法的違反の疑いもある行為であります。したがって、このような雇用形態は、八郎潟だけでなくて、ほかにもあるのではないかと私ども思うわけです。実はそういう点も明白にしてもらいたいところでございますが、その代表としてひとつこの八郎潟のこの種の契約問題について農林省のお考えを聞くわけでございますが、この八郎潟のいま申しました個人請負の人たちの労働条件というものも非常にあいまいであります。それからまた、仕事内容については、先ほどもお答えがございましたが、単に電話交換手あるいは寮母さんといったような職種の方々ばかりでなくて、相当の技術者までが含まれておるはずであります。そこでこういう契約を事業主がする法的な根拠もあいまいである。また、これが国家公務員なのか、そうでないのか。公務員ならば当然正規の雇用の問題が起こってくるし、もし公務員でないならば、公務員以外の者を同じような形態で使用するということは、これは公務員法違反の問題も起こってまいるはずであります。しかも同じ公務員の人と机を並べて同じ業種をしながらそういった身分が違う。そうすると、ここに今度は他のいろいろな労働条件等の問題で基準法違反の疑いも当然起こってまいります。また、このような形で雇用が行なわれるならば、何のために定員ということをきびしくいうのかわからなくなる。したがって、この問題については、先ほどの定員外の職員の方々の正常化の問題と含めて、いまの問題二つについて農林大臣の責任ある御答弁をひとついただきたい、このように思います。
  241. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 現在この八郎潟事業所等に勤務する職員のうち、公務員の雇用形態に照らして正常化すべき者については、今後定員内繰り入れ等最善の努力をいたす所存であります。  また個人請負と称せられるものにつきましては、勤務の実態に即し、移管にあたって他の者と比較して不利な結果を来たさないよう最善の措置を講ずることといたしたいと思います。(拍手)
  242. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 前向きの御答弁をいただまして、その点は私どもも多といたします。  そこで、そのいまの御答弁の内容について少し明確にさせていただきたいのですが、後段の個人請負の形態の問題ですが、私の調査によると、四十八名おるわけですけれども、この人たちが、事業団に行かれる方は、事業団のほかの職員とその職種等で同等の扱いを受ける、こういうことになるわけですね、職員として。それから、事業団に行かれない人については、しかるべく農林省国営の問題もありましたから、その定員外の職員の措置に加えて、それを定員化していくような努力をされていく、例をあげますとこういうことになるわけですね。
  243. 大口駿一

    ○大口政府委員 いまの前段の事業団に移る者の部分で一部ちょっと聞き落としたところがありますので……。
  244. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その四十八名のうち、事業団に移る方についてはそれぞれの職種がありますから、事業団の職員になるわけですけれども、その事業団の職員のその職種と同様の取り扱いをする、こういうことになるわけですね。
  245. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいま大臣がお答えいたしましたとおり、ただいまの御質問は、勤務の実態に即して他のものと比較をして不利な結果を来たさないような措置を講じますということでございますので、それを分解をいたしますと、ただいま先生の仰せられたとおりになろうかと思います。
  246. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 最後に、行管の方もせっかく見えておりますから、いままでの応答を聞かれまして、いまの農林大臣の御見解に対してどのようなお考えを持っておられますか、お伺いをいたします。
  247. 井原敏之

    ○井原政府委員 定員のワクの問題であります。欠員のワクの範囲内で増員措置をされるということでありますから、行管としては異存はございません。
  248. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これでやめますが、異存ないというようなあれではちょっと、積極的に支持するなら支持するというような方向をひとつ出してもらわないと困る。
  249. 井原敏之

    ○井原政府委員 行管は任免権を持っておりませんので、ワク内の操作でありますので異議はない、そういうことを申し上げたわけであります。
  250. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 終わります。
  251. 木村武雄

  252. 湯山勇

    湯山委員 簡明に、重複を避けてお尋ねいたしますが、ただいまの点、官房長よく聞いていただきたい。大臣にもお尋ねします。  一つは、根本的に考え直す必要があるという問題、楢崎委員の最後の質問関連してですが、農林省の国家公務員から事業団に移るということは、これはたいへんな身分の違いがあるのです。このことを忘れて、単に九十億の予算をつけたからそれに伴って二百十名移す、そういう安易な考えは捨てなければならないと思います。いま事業団の役員の方の名簿を見ますと、役員の方には、自治省あるいは大蔵省、農林省、そういうところで功成り名遂げた局長なりあるいは何なりをなさった人が役員でいっておる。しかし、いま定員の中から移そうという二百十名なりあるいはその他の人というのは、こういう人とは違うわけです。功成り名遂げてじゃなくて、まだこれから農林省の中でやろうという人の、極端に言えば生首を持っていくわけですから、これを簡単に事業団に移すのだから問題がないというようなことでは済まないと思います。現に林野庁では、この数がここにも出ておりますけれども、定員の数と匹敵する定員外の常用者がいます。これらについてもずいぶん問題になっておりますけれども、いまだに解決を見ていない。この際、私はこのことと関連して、この問題を全面的に、農林省全体として取り組む御決意がなければならないと思います。大臣よくおわかりいただいたと思いますが、大臣農林省でお働きになっておられたので、大臣が課長のころに、おまえ公団に移れ、退職願いを出して公団に移れと言われたら、おそらく大臣は承知なされなかっただろうと思います。そういう問題ですから、全体としてひとついまの定員外の問題は解決するという御決意の表明をいただきたいと思います。
  253. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 本人に不安を起こさせるようなことのないようにつとめてまいりたいと存じます。
  254. 湯山勇

    湯山委員 それから、今後もこういう措置をおとりになるかどうか、たとえば現在やっておるいろいろな農林省事業所があります。私の知っておる範囲でも、道前道後の農業水利事業所等は、今年度内に大体仕事が終わって、同じようなことがあります。こういうものを安易に公団に移すということはすべきでないので、ただ、こういうことをしたことによって事態が解決つくのだというお考えを持っているとすれば、それは人間尊重の佐藤総理の方針に反する。ですから、今度の八郎潟の場合は異例中の異例で、こういうことを例にはしないのだということをひとつ明確にしていただきたいと思います。
  255. 大口駿一

    ○大口政府委員 せっかくの湯山先生のお尋ねでございますが、異例ということで、このような異例なことはもういたしません、やりませんとお答えすれば、今回がいかにも異例のようでございますが、私どもは、ただいま大臣がお答えになりましたように、今回の措置に伴います職員の取り扱いにつきましては、単に数がプラス、マイナス合えば何でもないんだというふうには毛頭考えておりませんので、やはり実際にその場におります職員の気持としましては、一身上の問題も含んでおりますので、いろいろ不安な気持ちを持つことは当然だと思います。私どもただいまの大臣方針に即しまして、この取り扱いについては、およそ個人の不安というものを十分理解を持って措置いたしたい、かように考えておるわけでございますので、その結果実現される姿がきわめて望ましくない姿であり、かつ異例な姿であるというふうには申したくないわけでございますが、そういう意味でなくて、今後このような事態が再び起きるかどうかということでございますれば、これはやはり今後の国営事業のやり方等によって、いまここでそういうことは今回を最後として必ずいたしませんというふうなことで申し上げるべき筋のものではないと思いますが、ただ今回の取り扱いにつきましては、ただいま私が補足的に申しましたような気持ちで、農林省当局としては責任を持って処置をいたしたい、かように考えておりますので、御了承をいただきたいと思います。
  256. 湯山勇

    湯山委員 その点は一応了承いたします。  先ほど大臣にお尋ねして、なおちょっと気になりますけれども、いまの定員外と定員内の問題は、実は先ほど来の質問によると、これは勤務の差なんです。ところが、勤務の差が身分差になっているのです。常用の人を定員にしてやるということは恩典になっているのです。ここに大きな問題があるわけですから、ひとつ大臣、そのことを解消していただくことを申し上げておるわけですから、御善処願いたいと思います。
  257. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、不安のないように努力いたします。
  258. 湯山勇

    湯山委員 じゃその問題は、いま御答弁いただいたので了承いたしまして、次に行管のほうへお尋ねいたします。  楢崎委員から、けさほどの二十六日の発表についてお尋ねがありました。一体いまのような行政需要実態特別調査班をおつくりになって、五百名の人が出動してお調べになる。結論はいつ出る予定でしょうか。
  259. 井原敏之

    ○井原政府委員 当面考えておりますことは、四十二年度の予算編成に活用できるように、その目途で作業を進めておる次第であります。
  260. 湯山勇

    湯山委員 四十二年度の予算編成というのは、あるいは役所によってはもうかかっているのではないですか。
  261. 井原敏之

    ○井原政府委員 大体八月一ぱいに概算要求をするたてまえになっております。しかし、いろいろ査定をいたしまして、最終的にきまりますのは年末というのが大体恒例でございまして、私どもはいまのところ第二・四半期と第三・四半期に調査をやる、かように考えております。
  262. 湯山勇

    湯山委員 そうすると、この結論を出すのは第二・四半期あるいは第三・四半期、十二月までということですか。
  263. 井原敏之

    ○井原政府委員 さようでございます。第一段の調査はそう考えております。
  264. 湯山勇

    湯山委員 十二月に出て、各省通常の状態でいけば、予算査定に入って十二月末にはもう結論が出る段階です。ことしはおくれましたけれども、その時点で行管のほうはこういう調査をしたのだということで意見を述べて、定員を左右する、そういう何といいますか、優越なというのですか、そういうものがあっていいのですか。
  265. 井原敏之

    ○井原政府委員 行管の優越ということではございませんので、大蔵省が予算の査定をいたしますように、われわれ機構と定員の審査をいたしております。その最終結論の参考にできるようにということを申し上げたわけでございます。
  266. 湯山勇

    湯山委員 私はそんなに簡単なものじゃなくて、もっと長期にわたるものと思っておりました。なぜかといいますと、あなた方は役所の手で足りないから、臨時行政調査会あるいはその他の委員会を設けてこの問題と取り組んでいる。役所だけで五百名が出て、班をつくってやれば解決つくような、そんな簡単なものじゃないと思います。それなら臨時行政調査会も何も要らない。足りないからそれをやってもらって、皆さんがそれと取り組んできて、一つも実現していない。あなたみずからおっしゃったわけです。それを、いまそれでやれるというようなことなら、臨時行政調査会も何も要らない。心配するのは、それでこういう形でやって、はたして各省を納得させるような結論がだせるかどうか。出ないでしょう。どうですか。
  267. 井原敏之

    ○井原政府委員 この調査をいたしましても、私は全部が全部理詰めで各省が納得されるとは期待しておりません。ただ、冒頭に申し上げましたように、楢崎委員のお尋ねに申し上げましたように、臨調が機構改革なり簡素化ということでいっておることが、方向でとどまっておる問題が非常に多いわけであります。それを具体化を推進するという趣旨でございますので、あれよりあんまり間口を広げるつもりもございませんし、あれにとどまるつもりもございませんけれども、一応あれを中心にして問題を進めていくわけでございます。その出てきたものが各省全部納得されるとは、実は初めから期待をしておらぬわけであります。さらに具体的な案を持って、査定の段階に反映をさしていきたいと考えております。
  268. 湯山勇

    湯山委員 私はだから心配をしておるのです。あなた方は、やればメンツにこだわっていまおっしゃったように、十分なものができていない。にもかかわらず、予算査定の最後の段階へそれを送り込む。送り込んでそれが整理の内容を持っておれば、大蔵省は喜んでそれを利用します。それでは何のことかわからない。そこでこういうことを軽率にやらないで、ほんとうにやるつもりなら、二年なり三年なり、班の数をもっとふやして、各省納得できるようなものをおつくりになる、それなら私はわかります。しかし、いまの御答弁では、まことに何といいますか、御答弁としては、いかにも尊大なというか、納得できないのは当然できないのだ、しかし予算査定の最後の段階へ送り込むのだ、これじゃ私は行管の役目を果たしていない、果たせないと思います。ただ、機構の上にあぐらをかいて強権を振り回す、こうとしかとれません。もう少し検討し直す必要があると思いますが、いかがですか。
  269. 井原敏之

    ○井原政府委員 私のお答えが尊大だということで御無礼をいたしました。そういうつもりはございません。ただ行政改革で特に簡素化という方向の問題は、各省と納得づくということはたいへん困難なことでござます。そういうことでありますので、ただそれを二・四、三・四で全省全部やるということは考えておらぬわけでございます。そこで第一段としてということで御了承いただきたいと思います。
  270. 湯山勇

    湯山委員 私は、実は長官もお呼びいただいて聞きたいと思います。いままで臨調があれだけ大騒ぎをしてやったことが、一体なぜ実現できないかということには、いろいろな問題があると思います。そしてそれをあなた方は補佐してこられたわけですから、あの結論については、管理庁も責任ないとはいえないわけです。そのあなた方が実質事務をとって、あるいは指導しておきながら、できなかったというのは、もっといろいろな問題があるわけで、それを抜きにしていまそういうことをおっしゃっても、それは私はできないと思います。その事実について、また後ほど——いま出ておる中に統計事務所のことや食糧事務所のことも出ておりますから、そのどれかを例にとってお示ししたいと思いますけれども、決してそういうものではないということを申し上げて、さらに再検討を願いたいと思います。そういうのでやられたら、それはたいへんだと思います。かえって混乱を招くおそれもありますから、そのことだけ申し上げたいと思います。  法案に関連のある点では、南西海区水産研究所、これを新たにつくられて、南海区と内海区を一緒にしようという構想が出ております。これは確かに資源、生態その他の調査項目の対象になっている魚の種類等も大体共通なものが多いわけで、この構想には私はいまの漁業の実態から見て妥当なものがあると思います。そうなれば、当然それらをもとにしていろいろな指導行政をなさるわけですから、海区の問題、これにも当然将来触れるということでなければ首尾一貫しないと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  271. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 いま先生も御指摘のとおり、水産研究所として内海区と南海区を合わせる、これは魚の回遊なりあるいは養殖の種苗等の関係で瀬戸内海と外海とを一本に見ることがいいという考え方でございます。  漁業の調整の問題でございますが、大きな漁業調整委員会をつくっておりますのは、たとえば瀬戸内海あるいは有明のようでございますが、これは申すまでもなく、たくさんの漁業権及び零細な知事許可漁業、それから一本釣り等の漁業が非常に交錯をしておる地域でございまして、とうてい県ごとの調整では目的を達し得ぬ、こういう経過でできたものと存じます。  いま先生のおっしゃいますことは、漁業も瀬戸内海とたとえば和歌山から九州までの地域でも調整を要する点があるではないか。したがって調整機構についても、もっと大型化したらどうかという御趣旨だろうと思いますが、これは瀬戸内海、有明のような事情からだけとは非常に実態も違っておりますので、別の角度から考えなければならない。むしろそのためには大海区制の問題というようなもの自身を根本的に考えた上での話でないと、機構だけをそうしても直ちにうまくいくというわけにもまいらぬ。関係県の話し合いなり大海区制の問題が解決されることがまた先決問題ではないだろうか、私どもかように存ずる次第でございます。
  272. 湯山勇

    湯山委員 現状から見ていまの御答弁はそれでやむを得ないかと思います。しかし瀬戸内海へ入ってくる魚は、大体いま揚げられておるおもなものは太平洋から入ってくる、こういうことですから、それらについていろいろな施策をやっていく、保護措置を講じていく、そういうことになった場合に、当然そういういまの調整の問題等も関連してくる、これは当然だと思います。そこで、将来の問題としてそういうことを含めて検討する用意がなければ、これだけでは、せっかく研究所を統合した意味をなさないことになる場合もあるかと思いますので、申し上げておるわけですが、方向としてはそういうことも検討対象としてやるのだということはどうでしょうか。
  273. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 先ほど申しましたとおり、漁船が大型化したりいたしまして漁業の事情が非常に変わってきて、大海区的にものを考えなければならない漁業、魚種がございます。そういうものの調整方式の問題としては、やはり大海区制の問題と取っ組んでどうかというのが一つ先決問題ではないか。調整機構そのもののほうからそこを接近するかどうか、この点は私どもも、せっかくの先生の御意見でございますので、よく取り込んで研究をさしていただきたいと思います。
  274. 湯山勇

    湯山委員 次に、いま行管のほうへ申し上げた問題と関連のある問題、具体的に一つの機構だけきょうはお尋ねしておきたいと思います。  それは今度行管のほうで実態調査をおやりになる、その対象に農林省の統計調査の機構、これがあげられております。これについては、以前にも問題になりまして、発足当時は一万九千名からいた人が、いま一万二千五百名くらいになっている。さらに昨年二十八名減、今年度、いまお示しになっておるこの法律の中でも三十名ばかり減るということになっているそうです。この統計調査の機構は、一体農林省としてはどのように考えておられるのか。次第にこれを縮小していくお考えなのか、あるいはそうじゃなくて充実強化していくお考えなのか、まずそこから伺いたいと思います。
  275. 大口駿一

    ○大口政府委員 統計調査事務所のやっております仕事の中で、統計の種類が、最近の農林行政の内容の複雑に伴いましてきわめて多岐にわたっておるのが現状でありまして、十数年前の食糧供給時代に、この統計調査部の仕事の最も重点でありました仕事が、現在さほどに重点でないというとことばが若干適当でないかもしれませんけれども、それ以上に重点的な仕事がふえておる実態になっておるのでございます。したがいまして、統計調査部の仕事のこまかい内容については統計調査部長から補足的に申し上げると思いまするが、私は、今後のきめのこまかい農林行政をやってまいります上におきまして、新しい行政需要に対応した統計調査の仕事内容というものが今後ますますふえる面がある一方、若干従来の仕事の中で重点を他に移しても差しつかえないというようなものもありまして、結論的に申せば、先生のおっしゃいましたように、縮小するのかということにつきましては、私どもは縮小ということを考えておるわけではございません。  なお、行政管理庁の調査に関連をしてお尋ねがありましたので、そのことに触れさしていただきたいと思いまするが、昨年臨時行政調査会の答申等におきまして、統計調査部の機構についてもいろいろ御答申をいただいたのでございます。私ども農林省の立場から見ますると、意見の内容がいいか悪いかということの前に、もっと実態を調査をしていただければあるいは若干違った結論が出るのではないかと思った節も率直にあるわけでありまして、その意味では、今度調査をしていただければ、かえってよくわかっていただけるというふうに思っております。
  276. 湯山勇

    湯山委員 いま官房長が答弁されたとおり、この臨時行政調査会の答申というものは、これはもう少し実態を知ってもらいたい。ところが、行管の局長は臨時行政調査会の線でそれを実現するために調査をするんだ、これでは合わないでしょう。あなたの趣旨は、臨調のあの答申を実現するための調査をするんだ、一方は、それじゃだめだ、こういうことになっておるわけです。食い違っておりますね、明らかに。いかがですか。
  277. 井原敏之

    ○井原政府委員 臨時行政調査会の勧告は、政府としてはそれを尊重するということをたびたび総理以下申し上げておるわけで、私どももその趣旨によって実は推進をしていきながらやっておるわけでございます。したがって、いまの問題につきましても、方向だけ出ておって中身がはっきりしないというような要素もありますので、今度は手を分けて少し具体的に実証的に調査をしよう、かように考えておるわけでございます。したがって、そういう段階で、私ども臨調の勧告が思いもよらぬ点等が出てくれば、その点等は十分反省しなければならぬ、かように考えておりますが、方針としては臨調の意見は尊重するということは、政府の一貫した方針になっております。私ども下僚はそれを受けて推進しておる、こういう事情であります。したがって、実態調査の結果によって最もいい線で具体化を進めるべきだ、かように考えております。
  278. 湯山勇

    湯山委員 私が申し上げておるのは、行管の局長は臨調の答申を実施するための調査だ、これを実施するんだということを御答弁になったわけです。農林省のほうは、この臨調の答申というのはもっとよくわかってもらえれば、ああいう答申は出なかったんじゃないか、そうするとあなたのほうは、それを最初おっしゃったように押していけば、農林省は困るわけですね、合わないでしょうということをお認めになるかどうか、こういうことをお尋ねしておるのですから……。
  279. 井原敏之

    ○井原政府委員 そういうことで、私は農林当局がいろいろ臨調の意見についていまだに意見を保留されておるということは想像いたしております。したがって、今回もただごり押しに臨調が言うたということだけをたてにとってやる、尊重の趣旨はわれわれ始終受けておりますけれども、その点はやはり実情を改めていく必要があると考えておりますので、実証的調査を考えておるわけであります。農林当局の御意見のあることは、私ども十分想像しております。
  280. 湯山勇

    湯山委員 同じ政府の中で、いまのような問題で、しかも、この法律を上げようという段階で、同じ政府委員の間で、いまそういうことについて私が指摘しなければならないというようなことで、一体ほんとうの行管の仕事がつとまりますか、どうですか。
  281. 井原敏之

    ○井原政府委員 これは問題が行政改革という問題ではどうしても逢着する問題でございまして、初めから一致でなあなあで話がつくなら、もう全然われわれ苦労しないわけです。そういうことでつぶさに検討して納得ができるような線が出るように努力しよう、こう考えておるわけでございまして、行政改革について行管の立場と対象の立場が初めから一致するかどうかということは、これは御賢察いただきたいと思います。
  282. 湯山勇

    湯山委員 私はその答弁はいただけない。なぜかというと、臨調の答申が出てからどれだけたっておりますか。これはあなた方が実施させるようにする責任があったでしょう。だから何回も何回も、あるいは何十回も、困難であれば、農林省と話し合いしていなければならない、それを言っておるのです。いま出ていま直ちにやって、それができてないということの指摘をしたなら、それはおっしゃるとおりです。そんな非常識なことは思っておりません。しかし今日まで放置したのか、やったけれども話し合いがつかないのか、それなら焦点はきまっておるはずです。そこを指摘しておるのですから、これは答弁は要りますまい、それでいいです。そういうことですから、これも最初のように臨調の線を推し進めるためにやるんだというようなかたい話ではなくて、いまのようにいまのあとの御答弁ならいいんです。それで実態を調べて、なるほどそうだ、そうでなければならないというなら、それに合うようにやっていくんだということなら、私は了とします。しかし、最初のように、これをやるので、とにかく大蔵省査定の段階にぶち込む、しかも線はこれだ、こうなると少しきつく申したかったわけです。御了解いただければけっこうだと思います。  そこで、なおひとつよく理解していただくために、しばらくお聞きを願いたいのですが、一体、当初の作報発足二十二年当時の仕事がいま統計の中でどれくらい残っておりますか。
  283. 木田繁

    ○木田説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもの統計調査事務所の仕事といいますのが、お示しの作報当時から逐次統計調査事務所になりまして、それが現在に至っておるわけでございますが、官房長の答弁いたしましたように、その内容は非常に変わっております。作報当時の食糧供出分配に関する調査というのが、全体を一〇〇といたしますと、大体それの八五%というのが全体の仕事の分量でございますが、それが、四十年の現状におきまして、大体全体を一〇〇といたしますと、そのうちの約一一%という現状でございます。
  284. 湯山勇

    湯山委員 いま御答弁にあったように、確かに八五%を占めておったいまの作報、食糧の関係の調査が一一%になったのだから、あとの七十何%というものはもう人は要らないのだ、仕事がなくなったのだ、こういうことではないということは、よくおわかりいただけておると思います。これは私が社会党だからそう言うわけじゃなくて、資本主義諸国においても、社会主義諸国においても、この農林統計というのは非常に重視されている。農業の構造改善を進めていく。それがうまく進んでいかない。あるいは、食糧自給体制をつくっていく。それがなかなかうまくいかない。それらの施策を強力に進めていくためには、まだまだ統計調査の仕事というものは、強化こそすれ、機構を縮小する——それはいろいろなからみはありますけれども、その仕事自体を縮小するということは、私は考えられないと思うのですが、大臣はよくそういうことは御存じでしょうね。
  285. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 農業政策を進める上において、統計は非常に重要に相なっております。もっとも人員の問題ということもありましょうが、機械設備とかそういうことによって調査をする、そういうこともあわせて考えるべきであろうと思います。
  286. 湯山勇

    湯山委員 それで、一体いま調査の項目というのはどれくらいありますか。
  287. 木田繁

    ○木田説明員 現在百四十三項目というのが私どもの調査の項目でございます。
  288. 湯山勇

    湯山委員 それで、普通の出張所ですね、非常に小さい出張所では、人員はどれくらいですか。
  289. 木田繁

    ○木田説明員 一番少ないので二名になっております。
  290. 湯山勇

    湯山委員 二名の職員で百四十三の調査項目を担当する。もちろん、これはいろいろ要るものも要らないものもあるでしょう。ですけれども、それだけ大きいものをやっていこうとすれば、なかなかやれないんじゃないですか。
  291. 木田繁

    ○木田説明員 お説のとおり、まことに困難な面がございます。いま申し上げました一番小さなところでは、たとえば経済調査をやれば、一年それだけというふうなことになる結果におちいるわけでございます。
  292. 湯山勇

    湯山委員 今年度新たに力を入れてやるというような調査項目、たとえば流通機構などはたいへんな大きい問題だと思います。そういうことはやっておられるのかどうか。そのほかに、特に今年度から重点を置いて新たにおやりになる、そういうものがあれば簡単に項目だけお示し願いたいと思います。
  293. 木田繁

    ○木田説明員 われわれのほうで本年大きな問題としてやりますのは、食糧消費の総合調査というのがございますが、これは実は統計調査事務所の系統ではなくて、府県の系統を通じてやるものでございます。そのほか、経済調査の関係で調査事務所を通じてやりますものとしましては、調査の標本農家の選定がえというのが非常に大きな仕事になっております。
  294. 湯山勇

    湯山委員 私が実態を見ますと、十名程度のところでも、一人が幾つもの項目を持っておりますから、出張したあとは担当者がいない、病気して休んだあとは担当者がいない。そういうことで、ずいぶん支障を来たしております。ですから、その仕事に対応できるような機構を持つということが必要だと思うのです。ところが、実際の状態の中では、併置して、一つの建物の中に幾つもの管轄しておる人たちが併置されている。これはまことに妙な話で、そういうものをやらなければならないという理由がどこにあるのでしょう。
  295. 木田繁

    ○木田説明員 昭和三十年ごろから御承知のように、農政の曲りかどということが大きく唱えられまして、われわれの統計調査事務所の仕事内容につきましても、大きな変革を来たしてくるということになりまして、特に行政各部局からの要請が非常に大きくなってきた次第でございます。そこで、昭和三十六年にわれわれの内部的な問題といたしまして、末端出張所のあり方というものにつきまして実態調査をいたしたのでございますが、その実態調査は、一つは、職員の構成なり、あるいは社会的ないしは経済的な出張所管轄区域の条件、こういうふうなものを調査をいたしまして、それに基づいた結果といたしまして、大体、全体といたしまして二十名ないし三十名程度の出張所といいますものが、機能発揮の上で、末端機関としては一番能率的ではないか、こういうふうなことでありますが、なかなか出張所の統合といいますものは非常に困難でございます。そこで、ある程度立地条件の上からいっても、まとめた庁舎の中に置いても適当ではないかというふうな場所につきましては、これを出張所の併置をいたしまして、実際の作業につきましては、この各出張所の区分をなくした調査で、二十名ないし三十名程度の共同作業ということにいたしまして、結果は、それぞれの管轄区域に基づいて整理をする、こういうことの必要性に基づいて行なったものでございます。
  296. 湯山勇

    湯山委員 この問題はまた別な機会にお尋ねすることにいたします。いまの機構の問題は非常に重要な問題ですけれども、これはまた農林委員会等でお尋ねすることにして、いまちょっとお触れになりましたが、せっかくの統計が地方自治体ではあまり尊重されていない、そういう事実があります。これはその地域の問題、いろいろな問題があるんだろうとは思いますけれども、もとは統計の調査というものは、災害等において市町村あるいは県等が報告したものを査定するような形になっておった。しかし三十八年の災害のときに非常にりっぱな調査をなさって、いまは信頼はされておりますけれども、なかなか利用できない。これは地域区分の問題、これがあると思うのですが、もっと地方で利用できるような方途をお考えになる御意思はございませんか。
  297. 木田繁

    ○木田説明員 仰せのように、われわれといたしましては、現在農業関係におきましては、全国を百五十の農業区域というものに分類をいたしまして、そこで地域統計にまとめるということをいたしております。しかしながら、御承知のとおり、ただいまの農業地域といいますものは、いわゆる県内におきます行政区域というものではなしに、あくまで経済圏という考え方でできたものでございますので、直ちに市町村ないしは郡というふうな行政単位では利用がむずかしいという面もございますが、極力われわれといたしましては、ただいまの農政が地域農政と申しますか、地域的にきめのこまかい行政をするという立場でございますので、でき得る限りそのような方向に直接利用できるように十分今後とも検討し勉強してまいりたいというふうにつとめていきたいと思います。
  298. 湯山勇

    湯山委員 そういうことになりますと、ますます仕事の量はふえると思います。当初申しましたように、統計調査という仕事は非常に重要なので、しかも独立して大きな仕事をしなければならない。そうすると、これは大臣にお尋ねいたします。将来、統計調査のために新たに局をつくる、いまの部を局に昇格するというぐらいなお考えがなければいかぬのじゃないかと思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  299. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 農林省全体の機構の関係もありますので、いまの御質問に対しては慎重に考慮いたしたいと思います。
  300. 湯山勇

    湯山委員 いまの問題は行管にお尋ねするのは無理ですね。それじゃお尋ねをしないことにいたします。  最後にお尋ねいたします。こういう非常に重要な仕事をしておりながら、実は統計調査部の職員の諸君は、いろんなことで仕事に自信を失いつつあるんじゃないか。一つは、いまの臨調の答申とか、それから行政監理委員会等が、総理府に移せとか軽率なことをぼんぼこ言うものですから、非常に心配をしております。それからもう一つは、この職員の人たちは、戦後の食糧難のときに急いで充足したという関係もあって、かなり後年次になって頭打ちの現象が非常に多い。これについては、この春ですか、若干他の局の適当なポストへ移されるというような措置をとっておられることは非常にいいことだと思いますけれども、しかし、なおそういう事態はずいぶんあります。そこで統計調査という仕事を尊重するのであれば、これはやはり特殊な一つの技能を要するものもあると思うので、それらの専門的な人を優遇していく、事務の人たちについては、他との交流をはかって、その仕事にうまないようにする、こういう配慮がぜひ必要だと思います。ところが、残念ながら、そのことがうまく行なわれていない。ここに大きな問題があると思うのですが、これについてどういうふうにお考えなのか、承りたいと思います。
  301. 大口駿一

    ○大口政府委員 農林省内の人事管理の問題につきましては、いろいろ解決すべき問題を多々かかえておるのが実情でございますが、なかんずく統計調査部系統の職員の実態につきましては、ただいま先生が仰せになりましたような実態にもございまするので、一挙にこれを解決をするということはなかなか困難だとは思いまするけれども、つとめて短い時期に、できるだけそのような人事管理上解決すべき問題の解決に努力してまいりたい。過去におきましても、その努力を続けておったつもりでございますが、ただいまの御指摘にもございますので、なお一段と努力をいたしたいと思います。
  302. 湯山勇

    湯山委員 技術の尊重はどうですか。
  303. 大口駿一

    ○大口政府委員 ただいまの先生の御指摘の趣旨を十分尊重いたしまして、今後善処いたしたいと思います。
  304. 湯山勇

    湯山委員 それじゃ、いまの御答弁で一応了解いたしまして、なお具体的なことは、いろいろ御相談やまた別にお尋ねいたします。  行管のほうには、たいへん失礼申し上げましたが、決して他意があったのじゃなくて、いまのような点非常に問題が多いということを申し上げたいために申し上げたのですから、ひとつ御了承の上で御善処願います。
  305. 木村武雄

  306. 米内山義一郎

    ○米内山委員 時間もたってきましたから、八郎潟干拓につきまして簡潔に御質問申し上げたいと思います。  まず最初に、これは土俵に塩をまくつもりで一問だけ農林大臣にお尋ねしたいことがあります。それはわれわれが農家に接しますと、一体これからわれわれ農民は何をやればもうかるのか、何をやればいいかということをよく聞かれるわけです。その中身というのは何かというと、鶏を飼ってもすぐ卵は安くなる。豚を飼ってもそうだ。牛を飼って酪農をやろうとすれば転落するような状態だ。しいて牛を飼うならば、乳牛を飼うよりも、博労になって乳牛を買って牛肉にして売ればもうかるのだという話を聞くわけです。そこで、こういう農家の諸君に、農林大臣として責任を持ち自信を持って、何をやればもうかるかということを二つ三つ教えていただきたいと思います。
  307. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 何をやれば一番もうかるかということは、やはりその地帯地帯によって違いますので、むずかしいと思うのですが、これはやはりその地方の実態に即応していくことでございます。たとえば北陸地帯ならば、やはり米ということになります。そのほかに最近で申しますと、御存じのように畜産の問題も重要でありますし、また果樹なんかも非常にけっこうですし、また蔬菜のごときは非常に需要が大きくなっておるのであります。そういう点につきましては、政府としても価格政策なりそういう問題で価格の安定をはかってまいることは言うまでもございません。そういうことで農業というものについては前途洋々たるものがあると思います。
  308. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私は、農林大臣はそういうお答えであったということを農民諸君にお伝えしますが、おそらく農民諸君は何もわからないと思います。  さて、本論に入るわけでありますが、八郎潟干拓の問題については、実は非常に気にかかることばかり多いのであります。少し大胆な言い方かもしれませんが、いまのような農林省のものの考え方では、あの大事業は成功しかねるのじゃないか、私はこう実は思うのであります。なぜこういうことを言うかというと、いままで農林省が大政策をやったのを見ますと、必ずしも成功していない。なぜ成功しないかということは、第一には、ものの考え方がしっかりしていない、それから手段、方法に大きなあやまちが多い、こういうことだと思います。いま農林省のやっておるこういう建設事業では、八郎潟干拓は、日本では画期的な大きいもので話の種になっておるわけですが、これができる前に、わが国の政府がやったこういう開墾パイロット事業で最も注目を引いたものは、世界銀行からの資本を導入して始めました青森県における上北の酪農開墾事業でありましょう。さらに北海道の根釧の開拓事業であったと思います。機械公団ができたのも、この仕事をするためにできたわけでありますが、現在、こういう画期的な世間の注目を浴びたパイロット事業がどうなっておるかということを、私は事実に基づいて申し上げてみたい。  昭和三十一年から三十四年にわたって、青森県のこの機械開墾地域には三百四十九名の人々が入植いたして、それぞれ営農を始めたわけでありますが、昭和三十八年に至りまして六十八戸が脱落いたしました。そうしてさらに、その後、自発的にわれわれはここから出たいという人が当時三十八戸ありまして、現在百戸余がこの開墾パイロット地域から脱落しております。それに対して十六戸の補充入植が現在ありますが、との現地を見ますと、ブロック建てでヨーロッパ風の屋根をふいた家が、ガラスもこわれ、ちょうどエジプトあたりのいわゆるベッドタウンと申しますか、こういうふうな状況を呈しております。こういう事実を見ますと、この事業というものは、私は成功ではないと思うのです。農林省はこういう事業を何をもって成功と考えるのか知りませんが、少なくとも考え方としては、こういう仕事の目的というものは、そこに入植した農民が安定した生産を行ない、生計を立て得るということを目標にしなければならないと思うのです。そういう観点に立つと、この世間の耳目を集めた大事業は、ばく大な費用を費やして失敗しておる。その間に、多数の人間に非常なるむだ骨を折らせたという結果になっております。国はこのあと始末についてどういう考えを持っておられるか。一たんこういうパイロット的な仕事をやったならば、とことんまでこれを援助して、最後の成功するまで援助しなければならぬ。まず第一は金の問題、技術の問題、そうしてそういう新しい技術をなし遂げるだけの組織体制というものを強固にするための援助を考えなければならないはずだと思います。しかるに、このパイロット地域に対しては、これは普通世間の開拓事業よりも余分な金をかけたのだから振興対策の適用にならないというような放棄の状態、これ以上めんどうを見ないというような不親切な責任回避の態度をとっておるわけであります。八郎潟においても、こういうことについてはわれわれは不安なしとしないわけです。  そこでお聞きしたいことは、八郎の営農計画について、一体あそこに入植した人々は、膨大な建設事業費やその他の負担を背負わなければならない。さらに、日本ではやったことのない一戸当たり五町歩ないしは七町五反あるいは十町歩という大経営を、しかもヘリコプターを用いて直播をする、コンバインで収穫する、土壌は非常に不安定な干拓地であります。何年目にどれだけの収量があがれば経営が安定をするのか。時間の問題とその最終目標に至る過程というものについて、非常に楽観的でいらっしゃるようでありますが、実際にああいう干拓営農の事実から見ると、これで自信を持てる要素というものは一つもないと実は思われてなりませんが、こういうことについてのいまの政府の御見解を一応お聞きしておきたいと思います。
  309. 大和田啓気

    大和田政府委員 御指摘のように、八郎干拓事業は、経営規模が大きいばかりでなしに、どろもヘドロの部分が圧倒的に多いわけでございますから、私どももきわめてむずかしい問題だというふうに考えております。しかし、むずかしい仕事であると同時に、とにかく内地で水田が五町あるいは十町というものを獲得して、そこで自作農としての経営が行なわれるわけでございますし、また、他面岡山の興除村その他干拓地においては、土壌が安定いたしますと生産力が非常に高くなるのが一般でございますから、私は、非常なむずかしさと同時に、また非常な希望が持てるというふうに考えております。そこで、先ほども申し上げたのでございますが、入植をいたします場合も、一ぺんにたくさんの人たちを入植させるのではなくて、どろのかわきぐあい、あるいは農地整備の進みぐあいに従いまして、ことし第一回の入植者の募集をいたしますけれども、大体いまのところ五十名ないし百名程度、これはもう少しで最終的な数字を出すわけでありますけれども、六月ないし七月ごろに正式の配分の公告をいたしまして、ことしの秋に入植者を募集いたしまして、そこで八郎の新しい農業——これは直まき、機械化、しかも機械の共同利用という、日本では芽ばえてきてはおりますけれども、大面積には根づいておる営農方式ではございませんから、それを一年間十分実習をしてもらう。そしてそのあと二年ほどは国が無償で一時使用を認めまして、個人経営でございますけれども、とにかくまだ自分の土地でないところで農業をしっかりやってもらって、そこで自信を得て、国が所有権を渡す。そして所有権を渡しましても、土地の代金は三年据え置きで二十五年の年賦償還でございますから、三年間は利子を払えばいい、元本の償還には及ばないということでございます。   〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕 そこで、私ども、現在農林省の技術会議、あるいは東北の試験場、あるいは県の試験場等を動員いたしまして、八郎の営農についての試験研究をいたしておるわけでありますが、私が申し上げましたように、とにかく一年間の訓練と二年間の無償貸与、それをさらに三年間の償還の据え置きということの間に、土壌が安定して、大体私ども三石程度の収量が期待できると思っておりますけれども、そのくらいの収量が数年にして期待できるのではないかというふうに考えております。
  310. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そのとおりできればそれはけっこうなことですが、たとえば三石というと、四百五十キロなわけです。日本の現在の平均反収は四百キロ、秋田県でも四百五十キロ程度でありましょう。五百キロに近づいておるかもしれないが、直播で四百五十キロとるということは、相当なものだ。それはどこかでそういう実験が行なわれて、そういうことが言えるのですか。そういう確たる研究なり実験というものが、どういうところでいつごろなされ、それに基づいてのお話かどうかをお聞きしたい。
  311. 大和田啓気

    大和田政府委員 八郎干拓地におきます実験といたしましては、どろの性格は違いますけれども中央干拓地南部にあります南部干拓地で、昭和三十七年から四十年までの三カ年に六十ヘクタールを対象にいたしまして、機械化の実験をいたしております。そこでの収量は、三十九年が二石で、四十年が二石一斗という状態でございます。これはどろがまだ十分安定しておらぬときの収量でありますから、直まきによって三石程度の収量を相当大面積にわたって得るということは、なかなかむずかしいことでございます。日本において、とにかく相当大規模においてそのような地帯に見られるような稲作を実験的にやっておるところはございませんから、相当困難というか、努力の要ることであることは、間違いございません。そこで、四十一年度からも八郎潟干拓地に試験地を設けまして、そこにおいて高収納の、また省力的な機械化の栽培の実験をいたしながら、先ほど申し上げましたように入植を徐々に無理のない方法で進めて、高収穫をあげるようなところに持っていきたいと思っておるわけでございます。
  312. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それは三石とれればけっこうな話ですが、とれる、とれないというのは、いま水かけ論みたいに議論する余地もないでしょう。しかし、四百五十キロというのをそう簡単にとれると、それは局長はそういう専門家だか知りませんが、言い切れる人は、しかも坪刈りではなく、全地域で平均してとれるということがもしできるとすれば——干拓地でないほうならば、もっととれるはずなんです。われわれの経験したことから見ると、ああいう直播の、しかもばらまきの直播で三石とれる土地の条件というのは、あるいは気象の条件というものは、農家が在来やっている精密ないわゆる移植栽培によるならば黙って六百キロ、十俵とれるような条件を持たない限り、できるものじょないと私ならば断言できる。そういう基盤、条件が数年後に八郎潟のあの砂を含む地域、さらには数十メートルといわれるあのヘドロの地域において、可能だとお考えになりますか。
  313. 大和田啓気

    大和田政府委員 先ほども申し上げましたように、ヘドロ地帯でございますから、土壌が安定するまでには相当の期間がかかると思います。しかし、土壊が安定いたしますと、その土壌の生産力というものはきわめて高いものだということは、これはまた学者の共通して認めるところでございますし、また試験場の人たちも同感でございます。それで、三石直まきでとれるということは、私もそれがやさしいというふうに申し上げているのではございません。非常に努力の要る、またむずかしい目標であろうということも、全く同感でございます。しかし、私が反当三石は土壌が安定すればだいじょうぶだろうと言っておりますことは、あの土壌に即しまして長いことかかって東京あるいは東北の学者、研究家を含めて相談をいたしております結果でございまして、そう役所の人間がにらんで当てずっぽうに申し上げているものではございません。ただ、直まきで三石とることはむずかしいぞというふうにおっしゃることは、まことにそのとおりでございまして、私も、それはやさしいなどということを申しているのではありません。
  314. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、そのむずかしいことができればこれに越したことはないが、五年かかっても十年かかっても目標に到達できないという場合には、そのために生ずる犠牲というものを一方的に入植した農民の諸君が背負わなければならないということになりますと、第一、人がいなくなるじゃないですか。そんな困難に耐えるような人というものは、いま少ないわけです。しかも十町歩というような土地を自分の所有にすることには楽しみがあっても、膨大な公共事業費に対する負担金や、さらには営農費、特に使ったこともないような機械の利用であります。したがいまして、いま農林省で経営設計をとっているのから見ますと、三石の収量をあげる時期は延びて、いま考えているよりも経費や負担がふえたときは、これは往復してたいへんな結果が生ずると思いますが、こういうふうなことが生じた場合に、農民のために国がどのような責任をおとりになり、その苦しみにどういう肩がわりをするような腹がまえでいらっしゃいますか。
  315. 大和田啓気

    大和田政府委員 五町ないし十町の水田を手に入れるということは、日本においてはほとんど不可能でございます。また、そこにおける農業が、非常に未知の要素をかかえておる。先生がおっしゃったように、なかなかむずかしいものを含んでいることも事実でございます。したがいまして、私は非常な可能性と同時にまた困難があるということを常々申し上げておるので、ことし初めて入植者を募る場合にも、決して楽観的な幻想を抱かせるようなことは言っておりません。希望があると同時に、きわめて困難だから、しっかりした覚悟を持って入ってくれというふうに申し上げておるわけでございます。それで学者、研究家、また私たち役人を含めて、こういう設計で、数年後土壌が安定すれば三石程度とれるということを考えておるわけでございますが、それが不幸にして実現しなかった場合どうするかということも、またその時点で私ども考えなければならないことでございます。ただいまは、とにかくしっかりした人、五町とか十町とか、口で言えばやさしいことでありますけれども、それだけまとまった水田が手に入るということは、ほかのところではあり得ないわけでございますから、とにかく若い人たちが希望を持って、困難に耐えるつもりで来てくださいということを言っておるわけでございます。
  316. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それはしっかりした人とか、希望を持つといえばそれまでのことだが、でかしたいということとできるということと、これは別問題なんです。特に農業というものは、自然の条件を軽んじて一定の期間にこうやりたいといったって、これはできないものはできないのです。だから、私の重要視することは、そういうふうなことのために、いま予測できないことのために、思わざるいわゆる困難が長続きをして、そうしてそのために借金がふえるとか、食うことも容易じゃないとか、利子がかさむというようなことになった場合には、国が補償しなければならぬ。とにかくだれもがやったことのないものをやるのです。したがって、これはパイロット、いわゆる先駆者なんです。その先駆者に対して、国が一定の金を出して、これで終わりになったから打ち切りだというようなことになれば、せっかく出した金もみんなもうむだになっちゃう。たとえば私がいまなぜ機械開墾の問題を申し上げたかというと、こういうことに間違いがあるのです。やることに徹底を欠いたからです。たとえば機械公団というものには仕事をさせた。これも単なる外国から輸入されてきた重機械を使って、抜根するにあたって、土というものはどういう性質であるかということを一向に無視して、大きい根を抜根して、そうして表土を外へ持っていって中の悪い土を表に出した。こういう作業上の不親切な研究不足が第一の原因なんです。そうだとしたならば、それに対する対策、結局そういう土壌が悪い、燐酸の吸収係数が高い、非常な土性を矯正するための石灰の投入量がある、溶性燐肥の投入量がある、これを必要量の七五%しかやらないで打ち切ったから、何もやらなかったと同じような結果を生じた。そのために、せっかくまいた牧草だって、牛を養う分がとれないのです。こういうことが一つ。その次には、だれもがやったことのないことをやらせた。というのは、いまの農業だって、八郎の営農だって、飛行機で種をまくなんというのは、日本の農民は夢にも見たことがない。その上にコンバインという機械を使うわけです。やったことのないものをやらせるほうでも、自信がないのです。たとえば上北で一番いま農民が苦しんでいるのは何だかというと、ジャージーという牛を入れた。日本のどこかの農場には、何年か前に何頭かいたのです。ところが、ああいう牛がオーストラリアだ、あるいはアメリカだというところから、たくさん一気に導入されました。こういうふうな牛というものを日本の農民に飼わせるのならば、あらかじめ日本の畜産試験場が何十頭かを何年か試験飼育をして、これが経営的にどうだという結果を見てからやるべきだ。こういうものを何もやらない。そうして入れた牛は何頭かは残っていますが、ほとんどホルスタインになっちゃった。そこで農民から見ると、国から買い受けた牛は、二束三文で売っちゃった。はなはだしいのは、人間に伝染する伝染病まで持ってきた。その借金はそのまま自分の負債になって、新たに借金してホルスタインを買わなければならない事態になっている。国はこれに対してどういうめんどうを見ていますか。どういう責任を感じていますか。
  317. 大和田啓気

    大和田政府委員 ジャージーの問題につきましては、畜産局からお答えになると思いますが、八郎の今後の営農の問題につきましては、土地の代金は、とにかく国が相当な支出をいたしますから、反当にして九万五千円程度、それから大機械についても、二分の一補助がございます。農家の住宅につきましても、二分の一補助がございます。ライスセンター等々の施設についても、国の補助は二分の一ございます。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕 そういう条件で、とにかく国がこれだけの広大な面積の土地を提供して、そこで大いに元気を出してやってくれということでございますから、将来を展望して、失敗すればまた国が引き受けるということをいたして出発すべきものではないと私は思います。これは八郎が私たちが考えますようにうまくいくというふうに思いますけれども、不幸にして何かの事情で予想どおりうまくいかなかった場合は、その時点において考えるべきである。いま出発の当初において、とにかく失敗すれば国がめんどう見るということは、言わないでいいだろうと私は思います。
  318. 米内山義一郎

    ○米内山委員 私はなぜこういう質問のしかたをするかというと、農林省の考え方を変えてもらいたい。農林省仕事というものは、これは農民に奉仕するものだ。開拓事業の目標というものは、農民の経営を安定させることが目的だ。ただ金をかけて干拓するとか、道路をつくるという建設事業だけが目的じゃないわけです。したがって、この目的貫徹までは徹底的に国がめんどうを見なければならぬ、責任を負わなければならぬ、こういうことだ。そこで、いまだってこういうことなんです。あなた方にその考え方があるかどうか、ぼくは疑問を持つわけです。いまここで議論になっているこの法案の問題で見たところで、こういうことなんです。なぜこういうふうな人間の異動を必要とするかということを現地において見ますと、国営がやる仕事がある。事業団がやる仕事がこれとぶつかる。そのとき予算の時期のずれがある、事務的な折衝が違うから、一緒にやる、こういうことなんです。一体これくらいの——たとえば国営道路を通す。それを横断して公団が暗渠ですね、土管を通す。うまくいかないからこういうことをするのだということがこの趣旨らしいのだが、それくらいのことが現場で片づかないで、それよりむずかしいことは、私はもっとむずかしいと思う。責任のがれになっちゃうと思うのです。そういうことで、私が聞いておきたいことはいろいろある。たとえばあの日本にも珍しいような数十メートルというヘドロを掘らして、その上に防水堤を築く。あるいは干拓内部には土を盛って幹線道路を通していますが、あれは数十年にわたって沈下を続けること明らかなんです。そうしていままでの場合は、あの道路をつくる場合、防水堤をつくる場合には、非常に安いコストでできたわけです。湖内の土をサンドポンプで掘って、ただ置いて歩いた。今後の沈下に対しては、遊水地のほうから砂を上げて、それを陸上運搬しなければ、この沈下した補充はできない。非常にコストも高くなるが、いま予想できないほど将来ああいう基幹工事のための経費がかさむと思いますが、こういうものがふえてくるのに対する農民負担は、これは無関係でございましょうか。
  319. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは八郎干拓事業が終わりましてから、用水路あるいは堤防等土地改良財産をどういう形で管理するかという問題に関連をいたすわけでございますが、干拓事業が終わりました時点において、国が管理するか、あるいは県が管理するか、あるいは土地改良区が管理するかということの決定をして、そこで措置をいたしたいと思います。
  320. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その点はまだ決定してないということですか、その負担の問題は。
  321. 大和田啓気

    大和田政府委員 まだ土地改良財産として確立はしておりません。干拓事業は進行中でございますから、それが終わってから管理の主体をきめていきたいと思っております。
  322. 米内山義一郎

    ○米内山委員 くどいようですがね、終わったあとにどうなる予定なんですか。予想されますか。そういう膨大な金のかかる工事というものは、農民負担じゃなく、国が負担してやっていくか、あるいは県が持つとかいうことになるのですか。
  323. 大和田啓気

    大和田政府委員 御指摘になりました堤防につきましては、何年かたてばどれだけ沈下するという計算は、できております。現在でも、まだかさ上げはいたしませんけれども、かさ上げ用のどろはとってあるわけです。それを数年にしてかさ上げに使う。一回かさ上げいたしますれば、当分もつということでございます。  なお、土地改良財産管理費用につきましては、国が管理するか、県が管理するかによって、費用の支出の状態が違ってくることは当然であります。
  324. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これはこういうことですよ。経費がいま予想したよりもかさむようなことがあれば、大事件が起こる。とにかく一反歩当たり九万八千円という地価だそうですが、平均十町歩というと九百八十万。百姓一代に九百八十万の借金を背負い込んで完済するということは、これは何ぼもうかるかしれないが、私は、目の子勘定でもたいへんなことだと思う。その上に、機械費の負担もおそろしいものだと思うのです。たとえばもういつまでも待っているわけにいかないから、なまがわきの状態のようなときに営農が始まると思います。いまのような全体の二〇%程度の砂地の場合は別問題として、ヘドロの地帯に入っていったときは、最初に使うトラクターとかコンバインというものは、いわゆる車輪型じゃなく、クローラー型が入るわけです。大体コンバインなんというものは、ホイール型で走れないような状態で使うべきものではないと思う。何十町歩の中に一カ所くらい悪いところがあって、たまたまそこにはまり込んだとき、クローラーで上がれるという程度ならば使ってもよいものだが、全体が使えないようなときに、コンバインという機械は絶対使えない。しかし、それを使わざるを得ない。数年たたないうちに、今度はホイール型のものを入れない限り、能率はあがるものではない。そのとき、このために機械のための二重負担も考えられる。どういうふうな考え方をしても、いま予想されているよりも営農経費やそういうものが安くなる可能性というものはちっともない。私はこういう点を心配する。  そこで、ついでだから伺いますが、この間行ってちょっと見てきました。私は毎年二、三回見ているからよくわかりますが、あの船越水道というものをショートカットしております。あれはあれで工事完了したのかどうか知りませんが、すでに一、二年の間に左右両岸から砂地が出てきている。有効断面が三分の一以下になっている。あれでは洪水量ははけるはずがない。いままでは一万五千町歩の遊水地の状態のところに水がきていますが、今度は四千町歩の中にポンプの排水や周辺の水が集中するから、洪水の時間は早い。ああいう状態では災害が起こる。何とかしなければならぬ。そのために五億や六億かかるでしょう。かりに一億の工事費がかかるとすれば、一反歩当たり千円かかる。こういうふうな負担などはどうなるかということを、実は私は心配する。船越水道の防潮樋門一つ見ても、おそらくあれだけのでかいものを、潮水だから、常に塗装しておかなければならぬ。一回塗装するったって、百万や二百万でできるものではない。こういうものの負担は将来どうなるのだ。そのほか、多数のあの大きいポンプ場の経費、電力料金やそれ以外の経費が、はたして営農経費の中に親切に織り込まれているが、さらにもっと重大なことは、いわゆる中央の役場やなんかできる場所は約四百町歩の面積がある。その他六十町歩程度のが三カ所できるそうですが、これは砂を盛り上げただけなんです。まるで砂漠同様だ。あれは、あのままでは人間が住めるものじゃないのです。私はエジプトの砂漠も見たが、広さにおいてはエジプトの砂漠が広いけれども、あれは何千年も風に吹かれて、こまかいものは飛んだあとなんです。ところが、八郎のあの土壌というものは、砂の中に腐植やらさびのような微粒子のものが混在しているから、十メートルぐらいの風が吹いたら息もつけない、あれをどうします。それの経費というものは、いまの開墾建設事業の中からいって金の出す方法がない。ゴルフ場をつくるようにしたら、一反歩当たり四万円もかかる。ああいうことについても、実にいまのところ手が及ばないのか、考えが及ばないのか、こういうものに対する農民の負担や生活環境の問題について、どのようにいま局長お考えになっていますか。
  325. 大和田啓気

    大和田政府委員 公共施設事業団建設をして、ものによりまして大潟村にあとで譲渡するということになるわけでございますが、それをつくりますまでに、いま御指摘のありましたような土壌条件の改善は当然行なわれるわけでございます。事業団事業として、それは当然行なわれるわけでございます。それから堤防あるいは樋門、排水機場等々の管理につきましては、一般の国営事業においてできましたこういうものの管理は、通常は、二つ以上の県にまたがるものは農林省管理することがございます。あるいは二つ以上の県にまたがらなくても、大規模なものは、県が管理して国が補助金を出す場合もございます。それは八郎潟事業の実施に伴いまして、どういう形で管理するかということは、当然農民負担の適正化ということも考えながらやっていくわけでございます。
  326. 米内山義一郎

    ○米内山委員 まだ私の心配は少しも解けません。しかし、これは別の機会において議論したいと思いますが、いまの段階において大臣にお聞きしたい。  もしかりに一定の期間に、五年たっても七年たっても三石という収量がとれなくて、逆に経費がかさむようなときは、これは失敗になります。農民が生きていけない。そういう事態を防ぐために、あるいはそういう事態になったときは、これはまあ予想の問題になる、仮定の問題になるが、そのときは農林省は、腹を切るか、どういう責任をとるかということをひとつ大臣に伺いたい。
  327. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 いまからそういう心配はしたくないというのでございます。また、いまこれらについては、各方面の学者その他いろいろと御相談をいたしまして、かような計画を立てておるのでございまして、私としてはそういう心配はないと思っております。そういうことが起こった場合にどうかという仮定の問題については、そういうことの起こった場合にひとつまた考えたい、こう思うので、いまのところそういう心配は持っておりませんので、さように御了承願います。
  328. 米内山義一郎

    ○米内山委員 じゃ実例としてさっき前段に申し上げました青森県におけるパイロットについて、実際にジャージーを入れたことなどは、これはあまりにも無責任に過ぎたことだ。この損失をそのまま農民に背負わせるということは、血も涙もない残酷なやり方だと思います。技術的には、やはり牧草を栽培するのですから、必要な土壌改良というものは当初やる計画だった。それが一〇〇やるべきものを七五ぐらいで打ち切ったから、七五の効果というものは発生しない。言うなれば、国の金をまるきり投げたと同じだ。恩恵を受けるべき農民は、何も受けていないということになる。これくらいのことについては、いまかなり時間がたったあとですが、何とか責任を持ってやらなければならぬ。しかも、こういう地域に対しては、パイロット地域なるがゆえに振興対策事業適用もならぬというようなことでは、このあと八郎干拓が同じような轍を踏むんじゃないかということになる。そういうことは終対にない、ということでも、いままでのやったことのあやまちは直してしかるべきじゃないでしょうか。局長、どうお考えですか。
  329. 大和田啓気

    大和田政府委員 上北の機械開墾は、御承知のように根釧と一緒にやりまして、根釧に比べて上北の条件が悪いということがございましょうが、上北で相当営農上むずかしい問題が起こっておるということも事実でございます。これは現在青森県で調査をしたものに基づきまして、私ども相談にあずかっておるわけでございますが、上北の問題をどういうふうに処理するかということは、現在慎重に検討中でございます。
  330. 米内山義一郎

    ○米内山委員 まあこれは私は、そういう意味農林省はもっとなま殺しをしないように、必要な金は徹底的にかけるように、それからもう一つは、時間をかけなければいけないと思います。過去でなまけたものを金で買えないが、八郎干拓の場合は、特にあの土壌の問題が重要じゃないか。もちならば干せばせんべいのように乾燥できるが、ようかんというものはそういうわけにいかない。表面だけは塩を吹いて、中はようじで通るようなものです。あの土壌というものは、そういうものです。これを時限法だ、事業団は何年でやめになるからというようなことでやられたなら、たいへんなことが起きる。ですから、私はその点をいま警告しておきたい。これは急いだって、金でも買えるものじゃないのです。私はこの点を警告しておいて、きょうは私の質問を終わります。(拍手)
  331. 木村武雄

    木村委員長 受田新吉君。
  332. 受田新吉

    ○受田委員 時間は御希望に応じてどのようにでもいたしますが、いかがいたしますか。(「簡単、簡単」と呼び、その他発言する者あり)二、三十分というお声があるようでございますから、では最後の締めくくり質問をさせていただくことにいたします。  ただ、この法案はごく簡単な改正案でございますので、法案自体にたいした問題は私はないと思うのです。いろいろ問題点としてあげられている八郎潟事業団への切りかえ等に対する御意見もありますけれども、これは開拓事業の一環としての一時的な切りかえ措置で、職員に不利を与えないという明確な答弁があったようでございますから、有利であっても不利ではないという前提のもとに、これに対する質問は一応遠慮させていただくことにしましょう。どんどん質問のポイントを整理して、一つだけどうしてもお尋ねしておかなければならぬことがあります。一点にしぼって質問をさせていただきます。  それは、今回の改正案の中には、遠洋漁業について新たに遠洋水産研究所を設置して、従来の幾つかの水産研究所の行なっていた遠洋漁業部門の一括行使ということにお考えを置いておられるようです。これは趣旨としては一応うなずけるのでございますが、わが国の水産業を大いに振興させるために遠洋漁業に重点を置くという熱意が、一応この改正の一点においてもうかがい知ることができるのです。ただ、これに関係して一つ大事な現実の残念な事件を取り上げて、国務大臣たる農林大臣並びに外務省関係局部長に御答弁を願います。特に、遠洋漁業につきましては、日本の非常に有能な船員並びに優秀な船舶をもって、しばしば外地に出かけているわけでございますが、最近これらの遠洋漁業者や外航船舶の乗員が、非常に不安な状況に追い込まれるような事件が幾つも起こっている。御存じのとおりです。ついこの間四月二十二日に、インドネシアのスマトラ島で、岡田海運の日盛丸の乗り組み員である二等機関士の藤山源治君、これは私と同郷の山口の人であります、この藤山君が、暴漢に襲われて刺し殺されるという事件が起こっておる。これは夕方六時ごろである。わずか一、二時間の間に、もう上陸して一時間後には惨殺死体となって持ち運ばれてきたということでございます。五月八日には、公海の中だというところで操業したタラ漁船の十一進洋丸が、ソ連監視船に接舷されて沈没して、六名が行くえ不明になっておる。ついこの間の五月二十日には、北朝鮮海岸の沖合い四十キロのところで、日本のサケマス流し網漁船第三政栄丸が、北朝鮮の船と思われる船舶に接舷されて、これも船長以下一名連行された。こういうような事態が、随時各所に起こっているわけです。これは非常に残念なことです。  私、これで一つ伺いたいのですが、農林大臣、遠洋漁業の振興というための研究機関も、せっかくこの法案でできるのでございますが、こういう研究機関ができただけ、あるいは調査機関ができただけでは意味をなさぬ。むしろその実施面における広々とした分野を開くほうに重点を置かなければならぬと思うのでございますが、いかがでしょう。これらの事件に対して一つ一つ、現に外務省、農林省で調査された総合結論を、ごく簡単に御答弁をいただきたいのです。
  333. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 個々の事件でございますので、初めに私から申し上げます。  まず、北洋におきます十一進洋丸は、国後島におきますソ連の領海侵犯にからまる事件でございます。それから、インドネシアその他について御例示がございましたが、これも陸上の傷害事件は別といたしまして、洋上におきましては、領海あるいは管轄水域の地域におきますところの事件でございます。北鮮との間の問題は、先ほど御説明いたしましたが、明確な根拠ははっきりいたしません。以上を通じまして、安全操業の問題でございます。安全操業の問題については、きわめてむずかしい国際関係をはらんでおるわけでございますが、それぞれの地域に対しまして、やはり安全操業の立場でいろいろの手を打って対処をしていく、こういうことが基本的になることと存じます。
  334. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいまの御質問に対して、水産庁長官からお答え申したとおりでございますが、とにかく安全操業という問題について、私どもも全力をあげなければならぬ、こう存じておるわけでございます。
  335. 受田新吉

    ○受田委員 その全力をあげるということでございますが、こういうかっこうの悲しい事件が現に起こっている。この事件をどう処理しておるか。外交交渉でどういう交渉をしておるか。藤山源治君のごとき、まだ若い将来ある青年が、上陸した地点で惨殺死体となってあらわれるという、こういう悲しい事件で、その御遺族のことを思うたり、本人の将来のことを思うときに、断腸の思いがするのですが、この事件の処理の国務大臣としての外交交渉に対する現時点における状況、及び今後のこの事件の処理に対する決意、伺いたいのです。
  336. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これらの問題については、個々のそれぞれの事件に対して、政府としての決意としてのいろいろの交渉の問題については、外交交渉を通じて事実をはっきりさせて、その上に立って厳重な外交交渉を進めておるのでございますが、なお一面、事実上の問題といたしまして、それぞれ安全操業のできるように、あるいは民間においての交渉もいたす、あるいは国と国との間のいろいろの交渉等を通じて、安全操業が達成されることについての問題について、全力をあげておる、こういうことでございます。
  337. 受田新吉

    ○受田委員 私は、このインドネシア事件についても、ちょうどいまブオノ副首相が日本に来ておいでです。そうして経済援助を要請に来ておいでになる。この段階で、インドネシアに上陸するやいなや、直ちに前途ある青年が死体となって処理されるような、かかる悲しい事件の外交交渉は、副首相ですからね、こちらでもすぐ交渉できるはずだと私は思う。特に、農林大臣は安全操業に関する所管大臣ですからね、所管大臣として、安全に遠洋漁業の操業ができるためのこの事件の処理についての的確なる信念を持って、ブオノ副首相とすぐにでも交渉をさるべきだったのです、外務大臣と御一緒に。それがいまさっぱりできておらぬのじゃないですか。お会いになりましたか。
  338. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これはやはり外務省を通じて、外交交渉を通じていくべき性質のものでございますので、その点に向かって外務省とも話し合いをしておるわけでございまして、外務省のほうからお話しを願うことにいたします。
  339. 吉良秀通

    吉良説明員 御答弁を申し上げます。まず、事実関係についてでございますが、当初本事件の報告に接しまして以来、外務省といたしましては、現地の大使館を通じ、事実の調査、確認をやっておる次第でございまして、いまだインドネシア外務省のほうから、本件の詳細なる事実については連絡を受けてないわけでございます。いかなる状況のもとにだれがこの乗り組み員を殺したのか、その辺の事実関係の判明し次第、その状況に応じまして、わがほうとしては適当なる措置をとるべく考えておりますが、何ぶんいまだ事実関係がわかりませんような状況でございますので、御了承願いたいと存じます。
  340. 受田新吉

    ○受田委員 これはすでに一カ月以上たっておるのです。しかも同行をした船員のいま一人の人は、その前後の状況をある程度つかんでいる。しかも、インドネシアは、私ついこの間も行ってきたばかりでございますけれども、非常に治安が不安であるという状況はありますが、日本の船の人が上がってちょっと買いものをする間にも生命の危険にさらされる状況というものは、これは許されないことです。そのことについて、現地の状況がかいもくわからぬ。途中から船員がちょっと留守をしていると、船の中へ乗り込んで、現地の悪者どもがどんどんどろぼうをしていくそうです。こういう状況、まことに野放しの治安の乱れがあるのですが、せめて外務省としては、一カ月以上もたてば、ある程度の外交交渉によって状況の報告を受けなければならぬ段階だと思うのですがね。現地には大使もおるんです。斎藤大使、りっぱな大使がおいでになる。こういうところで、あちらの当局とこちらの当局が協力して、この家族に対する不安、あるいは船員に対する、安全操業に対するいろいろな問題から、ぜひ大急ぎでこれはやっていかなければならぬ。まだ全然わからぬのですか。何かある程度のことはわかりましたか。
  341. 吉良秀通

    吉良説明員 現在わかっておりますことは、船長からの報告が死亡診断書等をつけてまいっておることだけで、それ以外には残念ながらわかっておりません。ただし、船長からの報告によりますと、現地警察も積極的な協力をしてやってくれておったようでございますが、船のほうは予定のスケジュールがございましたので、その結果をよくつかまないままに出てしまったということで、シンガポールへ参りまして、わがほうの大使館に連絡した。それから、シンガポールから本省、本省からジャカルタ、それからメダンの領事館、各所に連絡するとともに、ジャカルタのわがほうの大使館のほうからインドネシア外務省に事実を通報し、この詳細なる調査を要求したわけでございます。その結果が残念ながらまだ来ていないことは、察するに、私の想像でございますが——私もインドネシアにおりまして、よくわかっておるんですが、あの広範な島々に分かれた土地でございまして、ジャカルタとその現地との連絡通信が非常に不便だということを私もよく知っております。おそらくそういう関係で、まず連絡はされても、今度は調査に手間どる、またその調査の報告がくるのがおくれるというふうなことで、われわれにまだ連絡されてこないんじゃないかと思いますが、インドネシアの警察当局は非常に積極的に協力しておったという船長の報告を、われわれは聞いておるわけでございます。残念ながらいままでのところはそれくらいのところしかわからないわけです。
  342. 受田新吉

    ○受田委員 それは高柳船内委員長の報告ですね、それによって私ちょっと申し上げたいんだが、外交交渉というのは、こんなに時間がかかるものですか。東南アジアで、そう遠いところじゃないんです。飛行機もたびたび行っておるんです。飛行機の便でこちらへ詳細な——電信料が高ければ、通信文書でもできるわけです。これは時間がかかればかかるほどやみに葬られる危険があると思う。少なくとも早急に解決するために、現地在外公館を督励して——いまブオノ副首相が来ておられるんですから、ブオノ副首相にこの問題を持ち出しておられるかどうか。そういう問題も一緒に、ひとつ外務省の御見解を聞きたい。
  343. 木村武雄

    木村委員長 事務官の答弁だけでいいですか。
  344. 受田新吉

    ○受田委員 国務大臣がおる。外交にも関係しておる。
  345. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 陸上で行なわれたわけでございますので、なかなかわかりにくいのでございますが、外務大臣ともよく話し合いまして善処いたしたい、こう思います。
  346. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、ブオノ副首相にすぐにでも、この問題を申し入れて——ちょうどいいときに彼が来ているんです。この機会に日本は援助を打ち切るんですよ。もしこういうことも解決できぬでは援助を打ち切るくらいの気がまえで、こういう大事な人道問題をやみに葬り去るようなインドネシアでは許されぬぞということで、責任を負うてブオノ副首相にあしたにでも申し入れてもらえますか。
  347. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 外務大臣とも話し合って、その点善処いたしたいと思います。
  348. 受田新吉

    ○受田委員 それでは善処していただくそうですから、その問題は一応それとして、その善処の結果を待ちましょう。  もう一つ、これに関係する国後の島の領海内と称する日本側の三海里の外で操業した漁船のいま申し上げた事件、これは一体どういうことか。ソ連は十二海里を領海として主張している。日本は三海里を主張している。こういうときに、三海里半の地点であった、日本側から見れば公海だといわれるところで操業した船、それをソ連は十二海里だからおれの領海内だ、こう言う。領海の距離の解釈の相違でこういう事件が起こっているのは、一体どう御判断されているのですか。
  349. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これは外務省を通じまして、モスクワにおいていま交渉をいたしております。
  350. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとここで明らかにしたいのですが、いま世界のおもな国々は、領海というものをどういう数字にきめようとしておるのか。日本は三海里を主張しておる。国連の海洋会議は、草案の中に十二海里を認めようとしておる。ニュージーランド、アメリカ等は、もうすでに十二海里を宣言をしておる。こういう状態の中で、日本だけが古い観念の三海里にへばりついておる理由を聞きたいのです。
  351. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 領海の幅をどうするかということは、一九五九年、六〇年、各国集まりまして議論をして結論が出ません。領海に関する条約でも、数字は入っておりません。それから三海里を現在とっております国が二十四カ国、六海里が十二カ国、十二海里が二十二カ国ということでございますから、現在のところ、領海に関しましては国際的にきまったものはない。したがって、領海についてどのように考えるべきかというのは、今後の課題でございますが、国際的には、先生のおっしゃいましたように、なかなかきめにくいので、六海里にしてその外側に六海里をつくったらどうかというような案も出ましたが、世界の大勢が承認しません。したがって、現在のところ、領海に対しては一定の態度を日本もきめてもおりませんし、世界的にも決定をいたしておりません。
  352. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、長官の御答弁は水産庁長官としての御答弁と思うのでございますが、いま日本が十二海里という宣言を一方的にやったとしたならば、これは違法かどうかです。
  353. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 領海は、御承知のとおり、相手国と相談してきめるものでございませんから、特定の国が領海幾らといった場合に、違法ということはございません。ただ、国際的に、不当であると相手国は承服しないとか、態度を留保するとかいうことが、相手国から出てくるわけでございます。したがって、国際的にきめようという話があって、まとまってない、こういうのがお答えになろうかと思います。
  354. 受田新吉

    ○受田委員 相手との合意を必要としない、一方的宣言で効力を発生するということであるならば、もうすでにニュージーランド、アメリカ等二十数カ国がそういう方向にあるというときに、日本が敢然と新しい領海の距離を宣言をして差しつかえないのではないですか。これは国内法できめられるものか、あるいはその他国際的な関係を必要とするものか。単純な国内法で領海宣言ができるものかどうか、お答え願いたい。
  355. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 ニュージーランドにいたしましても、カナダにいたしましても、領海を十二海里といっているわけではございません。領海は、たとえばニュージーランドは三海里といっているわけです。その外側に九海里の漁業専管水域をしくということでございます。現在世界の大勢としての問題点は、領海の線の引き方は、軍事あるいは航行、警察の問題等がありまして、なかなかきめがたい。そこで領海はそれぞれ領海の立場をとるとして、外側に漁業水域をしくとか、しかぬとかいうことでございます。そこで、ニュージーランドあるいはカナダ等が領海の外に九マイルなりあるいは六マイルなりの線を引くというのを、一方的に専管水域をしくことに対しては、わがほうは承服いたさない旨の通告をいたしております。
  356. 受田新吉

    ○受田委員 もちろん、専管水域という文字でもけっこうです。それは日韓漁業交渉においては、双方とも十二海里を専管水域とするということがびしっと現在答えとして出ているわけですね。したがって、十二海里で双方で合意してきめて、専管水域が設定された、こういう意味で、日本はたとえ相手が合意であろうとなかろうと、ソ連の国後周辺の事件、この一事を見ても、三海里の外であるとか十二海里の内であるとかいう議論で解決できないという事態を見たときに、われわれの周辺は専管水域十二海里となっている以上は、このあたりで十二海里という専管水域に踏み切って、一方的宣言でこれらの国々に歩調を合わせる必要がないかどうか、農林大臣
  357. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 これはわが国の漁業の実態から見まして、直ちにさようなわけにいきませんので、相変わらず三海里を主張しております。
  358. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、国後の周辺の事件は、ソ連は十二海里の専管水域内だと言うし、日本は三海里の領海の外であると言うておる。この事件は一体どこが解決するのですか。国際司法裁判所ですか。
  359. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 ソ連の十二海里——実はその前に、国後の問題でございますが、国後は実態といたしましては、西側は在来十二海里以内を完全に取り締まっておるわけではございませんで、運用上ソ連もデリケートな態度をとっておるわけです。そこでソ連が十二海里だから日本も十二海里にするというのでございますれば、一つの答えでございます。それから先生先ほどおっしゃいましたように、日本は十二海里を宣言する気はないかということでございますが、私どもは、十二海里というものを、領海の問題ではなくて、漁業専管水域として一方的に宣言する、この態度はのめない。どうしてもやるなら国際司法裁判所ででも争うというのが、ニュージーランドに対する態度でございます。それでは十二海里を認めないのかといわれれば、そうではないので、話し合いで認めて、実績のある場合は協定でこれを取り入れる。実績がない場合の扱い等いろいろな問題は、両国の話し合いの上で取りきめようという態度であって、一方的に漁業専管水域を十二海里にすることは、外国に対しても否定いたしておりますので、日本も現段階において一方的に十二海里の漁業専管水域をしくという態度はとらないというのが、現在の政府の内部での統一した考え方であります。
  360. 受田新吉

    ○受田委員 そうなりますと、いまの国後の周辺の事件は、いま私が例示したように、国際司法裁判所にでも訴えて解決する以外に解決のしようがないということになりやしませんか。
  361. 丹羽雅次郎

    ○丹羽政府委員 国後の事件を領海問題として争うとすれば、国際司法裁判所の問題になろうと思います。ただ、そういう形で国後の問題を争うか、それとも外交ルートを通じて外交保護権の発動の問題としてソ連と話し合うか、等の方法がございますが、現在のところ、外交保護権の発動の問題としてソ連と話し合い、さらに一歩進めて安全操業という形の道を今後話し合いで切り開いていきたいというのが、私どもの現在の北方安全操業に対します姿勢でございまして、ソ連と話し合って、十二海里の中でも安全に操業する方途を求めていこうというのが、現在の段階であります。
  362. 受田新吉

    ○受田委員 いつまでもぼやぼやしていると、事件が相次いで起こるのです。安全操業どころの騒ぎじゃないですよ。したがって、そういうことはどっちにするかがまだきまっていないとおっしゃるのですけれども、外交交渉を通じてということであるならば、これはひとつ農林大臣、ほかの漁業問題もあるから、おんみずからソ連においでになって、この問題を早急に解決する。内閣改造前まで、まだ間に合います。ひとつ大急ぎであなたが乗り込んで、この問題をやってもらいたい。よろしゅうございますか。大臣の決意を伺いたい。
  363. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 とにかくこの問題を早く解決いたしたいと存じまするが、やはり領海の問題は、先ほど水産庁長官から言ったように、三海里を主張せざるを得ない。それから専管水域の問題は、これは話し合いによって十二海里にするといったような問題は、これはさき申し上げたとおりでございまするので、必要があり、またそれが妥当であるということでありまするならば、話し合いによって十二海里、いま日韓関係においても十二海里をやっております。領海の問題は、これはまた別でございまするし、これは申すならば農林省所管というわけにもいきませんので、全体としてこれは考うべきものだ、こう考えております。
  364. 受田新吉

    ○受田委員 それではこれで質問を終わります。  そこで、日韓漁業交渉の答えとしては、双方十二海里の専管水域を設定した。ところが、この間五十三海洋丸が、日本側から見たら、専管水域の中へ一応入っておったが、こちらへ一ぺん出たというときに、日本側の解釈は追跡権はないという、韓国側は追跡権があるというてこれをつかまえてきたというのが、五十三海洋丸の事件です。私はこの間韓国へ行ってみたら、あちらの監視船というのは性能が非常に劣っておって、優秀な日本の船を幾ら追っかけようとしても、とてもつかまらないというのです。だから、とにかく残念でしょうがないと向こうの人がじかに言うておりましたよ。このあたりでひとつ双方が話し合いをして、あちらの監視船には日本の警備員が乗る、向こうの人はまた日本の監視船に乗る。こういうふうにして、双方が互いに融和の上に監視し合って、犯罪を犯さないようにするという、そういううるわしい体制をしいていく必要があると私は思うのです。そういう点を十分御配慮され、また向こうにも日本と同じような性能の高い船を大いに取り付けるような経済援助をされたらいかがですか。
  365. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 今月の二十日までソウルにおいて、共同委員会で共同資源の問題についていろいろ協議いたしたのでございますが、そのとき、これらの問題についても話をして、ほとんど話はついておるのでございまするが、なお最後の決は今度七月にまた会合をやりますそのときになりますが、そのとおりやることにいたします。つまり相互乗船の問題、あるいはパトロール的にやるような問題、そういう点については、非常に円満に、そして気持ちよくやっております。その点については、御心配をかけることのないようにやるつもりでございます。
  366. 受田新吉

    ○受田委員 非常に良心的な御答弁があったし、長時間お疲れであると思いますので、私皆さんのお気持ちを察して、ここで質問を終わります。(拍手)
  367. 木村武雄

    木村委員長 これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  368. 木村武雄

    木村委員長 ただいま委員長手元に、伊能繁次郎君より本案に対する修正案が提出されております。
  369. 木村武雄

    木村委員長 提出者の趣旨の説明を聴取いたします。伊能繁次郎君。
  370. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はすでにお手元に配付してありまするので、朗読は省略さしていただき、その要旨を申し上げますと、本法案の施行期日である「昭和四十一年四月一日」はすでに過ぎておりますので、これを「公布の日」に改めるとともに、これに伴う関係条項の整理を行なおうとするものであります。  何とぞ御賛成をお願い申し上げます。
  371. 木村武雄

    木村委員長 これにて修正案についての趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  372. 木村武雄

    木村委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の通告があります。これを許します。田口誠治君。
  373. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております農林省設置法の一部を改正する法律案に反対の態度を明確にいたしたいと思います。  本案は、具体的には現在八郎潟干拓事務所を今年九月末まで事業を行ない、その時点事業費を清算をして、十月一日に事業団に引き継ごうとするものであります。それがために、二百十名の職員をその時点で振りかえようとするものであります。そこで、これに並行いたしまして、八郎潟国営事業としては、計画どおり四十四年度まで行なうことになっております。なお、水産庁の付属機関として南西区水産研究所及び遠洋水産研究所を新設し、これに伴って南海区水産研究所及び内海水産研究所を廃止することであります。  昨年三月二十三日、農林委員会では、建設事業団法案に対して附帯決議をつけております。その一つとしては、「事業団の機構については、極力簡素なものにするとともに、職員の身分安定等について十分配慮すること。」と決議いたしております。  本案に反対する重要な一つとしては、予算面で二百十名の職員の身分がえをすることでありまして、このような問題は、当然本法案作成あるいは提案前に全農林労組と十分に話し合いを行ない、その結果をまって法案を作成し、あるいは提案すべきであると思うのであります。事職員の身分、労働条件に関することは、当該労組の意見を聞くことは当然のことでありまして、これが故意かどうかはわかりませんけれども、その手続を経なかったということは、労働組合の存在に対する軽視、あるいは官僚独善の本領を暴露したものと考えて、将来への禍根を残すものと考え、きわめて遺憾に存ずる次第であります。二日間の質疑の中で、職員の身分、労働条件の変更については、あくまでも本人の自主性を尊重するという答弁がなされております。この答弁どおり処置されるとするなれば、政府案の内容が具体化されないことになります。こういう矛盾があるということでございます。  昨年の事業団設立にあたっての審議の際、事業団国営事業とは並行して実施することとしております。しかるに数カ月をたたずして移管する方針をきめ、しかも予算編成の当初には提案をせずに、大蔵省との折衝の段階で決定したというこの手段、この事実を私どもは考えてみまするに、農林省の自主性のない、無能であるという点をこの法案によって示しておると私どもは考えるのでございます。したがって、このような状態のものをここに議案として出され、審議しておるのでございまするが、もしこれがそうでないとするならば、事業団設立のために故意に隠しておったということになりまするが、もしそうだとすれば国会軽視の態度でありまして、全く許しがたいことでございます。この一点だけを取り上げてみましても、本案を撤回をし、再考すべきであるということを私は主張申し上げたいわけでございます。  なお、人員につきましては、昨年の国会ではピークで二百五十名であることを言明しております。ところが、二百十名の移管をすれば、現在の百三十四名プラス二百十名、計三百四十四名となります。このことは、事業団法審議にあたっての言質とは全く異なっております。  なお、事業団法は、秋田県及び大潟村の意見を十分に取り入れて工事の施行をすることがその精神であったのでございますけれども、事実を見ますると、秋田県議会では、議員全員の意見をもって国営事業移管に反対をしております。地元の反対を踏みにじり、一方的に移管をきめていることは、事業団法の精神に反するものと私は考えるわけでございます。施設等の土地改良財産事業団委託することは、これは土地改良法等に照らしましても問題になることであります。その他工事上幾多の問題点があります。これらの問題を解決せずに移管を行なうことは、まことに遺憾でございます。また、農林省土地改良十カ年計画を立て、土地改良事業の拡大を目ざしておるのでありまするが、それに伴って現場の職員は膨大なる事業量をかかえ、労働過重を省みず、一生懸命仕事をしておるというのが実態でございます。また、定員外職員その他個人請負など、定員にもならない職員がたくさんいるにもかかわらず、定員を削り、事業団拡大を行なうことは、土地改良事業の軽視であり、政府みずからが熱意のないことを示しているということが断言できると思いまして、私はまことに遺憾に存ずる次第でございます。いやしくも職員の身分変更を伴うこのような重大な問題を労働組合と話し合う精神のないことが、この問題をこのようにこじらせた大きな原因であることを銘記していただきたいと思います。  三十六年の豊川用水事業、あるいは三十八年の印旛沼事業の愛知用水、水資源開発の両公団への移管にあたって混乱を起こしておりまするが、さらに今回このような不手ぎわを生じたことは、当局としては大いに反省すべきであろうと思うわけでございます。  日本の農業は重大な段階にあたっており、農林省は一致して農業を守り、農業を発展させ、農民の所得向上、発展に努力すべきところでございます。この段階において、いままでの不手ぎわについて反省を促し、本法案の撤回を強く要求いたしまして、労働組合と再協議して提出し直すべきことをここに要求をいたしまして、反対の討論を終わる次第でございます。
  374. 木村武雄

    木村委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、伊能繁次郎君提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  375. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  376. 木村武雄

    木村委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決され、本案は修正議決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  377. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  378. 木村武雄

    木村委員長 次会は、来たる三十一日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時十九分散会