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1966-04-06 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月六日(水曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    纐纈 彌三君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    前田 正男君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       小川 三男君    中村 高一君       村山 喜一君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君         国 務 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         防衛施設庁長官 小幡 久男君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (船員局長)  岡田 良一君         運 輸 技 官         (港湾局長)  佐藤  肇君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君         気象庁長官   柴田 淑次君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君  委員外出席者         運輸事務官         (航空局参事         官)      手塚 良成君         海上保安官         (警備救難部         長)      猪口 猛夫君         郵 政 技 官         (電波監理局無         線通信部長)  渡辺正一郎君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月六日  委員茜ケ久保重光辞任につき、その補欠とし  て小川三男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小川三男辞任につき、その補欠として茜  ケ久保重光君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月五日  防衛施設周辺整備等に関する法律案内閣提  出第一二二号) 同月四日  少年の非行対策に関する請願外五件(佐々木良  作君紹介)(第二三〇〇号)  同外一件(山下榮二紹介)(第二三〇一号)  同外四件(吉田賢一紹介)(第二三〇二号)  同外三件(山下榮二紹介)(第二三五九号)  同外四件(吉田賢一紹介)(第二三六〇号)  行政職俸給表(二)等職員の労働条件改善に関  する請願外一件(稻村隆一君紹介)(第二三一  九号)  同(稻村隆一君紹介)(第二五三五号)  引揚者在外私有財産補償促進に関する請願(鴨  田宗一紹介)(第二三二〇号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第二三四七号)  同(稲富稜人君紹介)(第二三四八号)  同(受田新吉紹介)(第二三四九号)  同(内海清紹介)(第二三五〇号)  同(中村時雄紹介)(第二三五一号)  同外一件(福永健司紹介)(第二三五二号)  同(山本勝市君外一名紹介)(第二四一六号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第二四一七号)  同(荒舩清十郎紹介)(第二四一八号)  同(井手以誠君紹介)(第二四一九号)  同(井原岸高紹介)(第二四二〇号)  同(岩動道行紹介)(第二四二一号)  同(池田正之輔君紹介)(第二四二二号)  同(石井光次郎紹介)(第二四二三号)  同(石野久男紹介)(第二四二四号)  同(稻葉修君紹介)(第二四二五号)  同(稻村隆一君紹介)(第二四二六号)  同(今松治郎紹介)(第二四二七号)  同(宇野宗佑紹介)(第二四二八号)  同(村山達雄君外一名紹介)(第二四二九号)  同(江崎真澄紹介)(第二四三〇号)  同(小笠公韶君紹介)(第二四三一号)  同(小沢佐重喜紹介)(第二四三二号)  同(小沢辰男紹介)(第二四三三号)  同(大泉寛三君紹介)(第二四三四号)  同(大久保武雄紹介)(第二四三五号)  同(大高康紹介)(第二四三六号)  同(大竹太郎紹介)(第二四三七号)  同(大坪保雄紹介)(第二四三八号)  同(大原亨紹介)(第二四三九号)  同(大平正芳紹介)(第二四四〇号)  同(加藤高藏君紹介)(第二四四一号)  同(加藤常太郎紹介)(第二四四二号)  同(賀屋興宣紹介)(第二四四三号)  同(亀岡高夫君紹介)(第二四四四号)  同(神近市子紹介)(第二四四五号)  同(川村継義紹介)(第二四四六号)  同(河野正紹介)(第二四四七号)  同(木部佳昭紹介)(第二四四八号)  同(木村武千代紹介)(第二四四九号)  同(久保三郎紹介)(第二四五〇号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第二四五一号)  同(藏内修治紹介)(第二四五二号)  同(小平久雄紹介)(第二四五三号)  同(小林進紹介)(第二四五四号)  同(小宮山重四郎紹介)(第二四五五号)  同(河野密紹介)(第二四五六号)  同(佐藤洋之助紹介)(第二四五七号)  同(齋藤邦吉紹介)(第二四五八号)  同(坂田道太紹介)(第二四五九号)  同(坂本泰良紹介)(第二四六〇号)  同(志賀健次郎紹介)(第二四六一号)  同(椎名悦三郎紹介)(第二四六二号)  同(重盛寿治紹介)(第二四六三号)  同(進藤一馬紹介)(第二四六四号)  同(鈴木善幸紹介)(第二四六五号)  同(鈴木茂三郎紹介)(第二四六六号)  同(砂原格紹介)(第二四六七号)  同(關谷勝利紹介)(第二四六八号)  同(田中角榮紹介)(第二四六九号)  同(田中彰治紹介)(第二四七〇号)  同(田中六助紹介)(第二四七一号)  同(田原春次紹介)(第二四七二号)  同(多賀谷真捻君紹介)(第二四七三号)  同(高橋清一郎紹介)(第二四七四号)  同(高橋禎一紹介)(第二四七五号)  同(高瀬傳紹介)(第二四七六号)  同(滝井義高紹介)(第二四七七号)  同(舘林三喜男紹介)(第二四七八号)  同(谷川和穗紹介)(第二四七九号)  同(千葉七郎紹介)(第二四八〇号)  同(塚田徹紹介)(第二四八一号)  同(塚原俊郎紹介)(第二四八二号)  同(辻寛一紹介)(第二四八三号)  同(戸叶里子紹介)(第二四八四号)  同(登坂重次郎紹介)(第二四八五号)  同(徳安實藏紹介)(第二四八六号)  同(中川俊思君紹介)(第二四八七号)  同(中島茂喜紹介)(第二四八八号)  同(中山榮一紹介)(第二四八九号)  同(永山忠則紹介)(第二四九〇号)  同(灘尾弘吉紹介)(第二四九一号)  同(楢崎弥之助紹介)(第二四九二号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第二四九三号)  同(野田武夫紹介)(第二四九四号)  同(野原正勝紹介)(第二四九五号)  同(野見山清造紹介)(第二四九六号)  同(八田貞義紹介)(第二四九七号)  同(馬場元治紹介)(第二四九八号)  同(福田繁芳紹介)(第二四九九号)  同(福永一臣紹介)(第二五〇〇号)  同(藤枝泉介紹介)(第二五〇一号)  同(藤尾正行紹介)(第二五〇二号)  同(藤田高敏紹介)(第二五〇三号)  同(藤田義光紹介)(第二五〇四号)  同(藤本孝雄紹介)(第二五〇五号)  同(船田中君紹介)(第二五〇六号)  同(帆足計紹介)(第二五〇七号)  同(細谷治嘉紹介)(第二五〇八号)  同(前田榮之助君紹介)(第二五〇九号)  同(松井政吉紹介)(第二五一〇号)  同(山内広君他一名紹介)(第二五一一号)  同(松本七郎紹介)(第二五一二号)  同(松山千惠子紹介)(第二五一三号)  同(三池信紹介)(第二五一四号)  同(三原朝雄紹介)(第二五一五号)  同(武藤山治紹介)(第二五一六号)  同(村山達雄紹介)(第二五一七号)  同(毛利松平紹介)(第二五一八号)  同(粟山秀紹介)(第二五一九号)  同(森下國雄紹介)(第二五二〇号)  同(森山欽司紹介)(第二五二一号)  同(八木徹雄紹介)(第二五二二号)  同(八木昇紹介)(第二五二三号)  同(山田長司紹介)(第二五二四号)  同(山田耻目君紹介)(第二五二五号)  同(山中吾郎紹介)(第二五二六号)  同(山本勝市君紹介)(第二五二七号)  同(湯山勇紹介)(第二五二八号)  同(吉田重延紹介)(第二五二九号)  同(吉村吉雄紹介)(第二五三〇号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第二五三一号)  同(渡辺美智雄紹介)(第二五三二号)  行政職俸給表(二)撤廃等に関する請願泊谷  裕夫君紹介)(第二三二一号)  国立大学教官待遇改善に関する請願足鹿覺  君紹介)(第二三二二号)  同(吉川久衛紹介)(第二三五六号)  同(四宮久吉紹介)(第二三五七号)  同(地崎宇三郎紹介)(第二三五八号)  同(江崎真澄紹介)(第二五三三号)  同(櫻内義雄紹介)(第二五三四号)  鳥取県日南町山上地区寒冷地手当引上げに関  する請願外一件(足鹿覺紹介)(第二三二三  号)  寒冷地給与改善に関する請願川俣清音君紹  介)(第二三五三号)  同(笹山茂太郎紹介)(第二三五四号)  同(鈴木一紹介)(第二三五五号)  公務員の退職条件改善等に関する請願五島虎  雄君紹介)(第二五三六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛施設周辺整備等に関する法律案内閣提  出第一二二号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二七号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  防衛施設周辺整備等に関する法律案議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。松野防衛庁長官
  3. 松野頼三

    松野国務大臣 防衛施設周辺整備等に関する法律案提案理由及び内容の概要について御説明いたします。  従来、防衛施設周辺対策としては、米駐留軍行為によって生じます特定事業経営上の損失について法律に基づき所要の補償措置を講ずるほか、米駐留軍及び自衛隊行為に起因する各種の障害については、予算措置によりこれらの防止等実施してまいりました。  しかしながら、このような防衛施設周辺対策実施は、国民生活にとり密接な関係を有するものでありますので、その対策の基本を法律に定め、防衛施設周辺整備等を積極的に実施する必要があると考え、ここにこの法案を提案いたすこととしたのであります。  この法律案内容について御説明申し上げます。  第一は、自衛隊等の射撃、爆撃その他の行為により生ずる障害を防止し、または軽減するため、あるいは航空機等により生ずる著しい音響を防止し、または軽減するための工事につき国が補助するものとしたことであります。  第二は、防衛施設運用により、その周辺地域住民生活または事業活動が著しく阻害されていると認められる市町村が、生活環境施設または事業経営の安定に寄与する施設整備をはかるときは、国が補助することができるものとしたことであります。  第三は、自衛隊等の使用する特定の飛行場の周辺において、住民のこうむる障害の軽減に資するため必要があるときは、国は、一定の区域に所在する建物等移転等補償及び土地の買い入れをすることができるものとしたことであります。  第四は、第一または第二に述べました措置を行なう地方公共団体その他の者に対し、国は、資金の融通あっせんにつとめることとするとともに、普通財産譲渡等を行なうことができることとし、かつ、関係行政機関の長は、防衛施設周辺における生活環境及び産業基盤整備をはかるようつとめるものとしたことであります。  最後に、自衛隊航空機離着陸等のひんぱんな実施その他の行為により特定事業経営上の損失を与えた場合においては、国が補償するものとしたことであります。以上、法律案提案理由及び内容を御説明いた  しましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願いいたします。      ————◇—————
  4. 木村武雄

    木村委員長 運輸省設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 今回提案をされております運輸省設置法定員関係の問題でございますが、この内容からまいりますると、凍結定員がどの程度解除されて、そうして実際はどういうふうに人員が増強をどの部門でされるのかということが、非常に不明確でございます。こういうようなやり方がはたしていいのかどうかということについても、私は疑問を持っているのですが、たとえば合計数にいたしまして、従来の定員が三万二千七百三十四人であった、それが三万二千七百八名と相なっております。その総数においては二十六名の減員ということになるのでございますが、いままで伊能委員あたりの質問に対します官房長答弁等を見てまいりますと、凍結定員との関係があって、事実上は、たとえば航空管制官にしても、百七名の純増と相なりますという説明をされておるのであります。そういうような点からまいりますならば、ここには、やはり今日までの昭和三十九年九月末の凍結欠員が幾らあって、それが今度どういうふうに増員をされ、そうして凍結欠員が残っているのが幾らであって、定員が事実上はどういうふうになるということを説明されなければ、これは明確な数字が出てこないと思うのでございます。そういうような点からまいりますならば、この前の官房長説明を私、速記録で見たのでございますが、どうも数字がはっきり合わない点もございますので、この際、ここではっきりこの点は凍結定員等解除分等もあわせて明確な数字示していただきたいと思うのでございます。と申し上げますのは、先般航空管制官のいわゆる増員の問題について、その速記録で述べられているところを見てまいりますると、こうなっております。昭和三十七年に三十一名の増をいたしました。三十八年には三十八名、三十九年に二十六名、四十年に四十三名、そうして欠員が四十年において二十名ございましたが、それを埋め合わせをしたというような話も中に出ておりますが、四十一年においては六十一名、ところがこの六十一名の増員というのは、実質では欠員解除分等で百七名の増に相なります、こういうような説明でございます。ところが、その最後の結びのところで、凍結定員本省で百人、気象庁では二十人を残しておりますという説明であるのであります。ところが、その内容を調べてまいりますと、そうじゃございません。それらの間違いはやはり訂正をしておいてもらわなければ審議のときに困りますので、正確な数字をお示しを願いたいのであります。私がなぜそれを申し上げまするかといいますと、これは行政監察月報のナンバー七十七でございます。この中で行政管理庁の行政監察局が、航空行政についての監査をいたしております。それによりますると、航空管制官定員が五百十一名ある、そして実人員は四百二十五名で、四十年四月一日現在八十六名の不足である。その不足について、そのうち三十八名は管制通信官をもってこれに充当をしている。なお、充当をした残りが四十八名になる。四十八名のうち、四十三人については八月一日に採用をしたので、欠員は五人である、こうなっているのであります。そういたしますならば、昭和四十年において欠員が二十名であるという説明とはおかしな説明のかっこうになってくるのでございますので、この点について正確な数字をお示しを願っておきたいのでございます。
  6. 深草克巳

    深草政府委員 三十九年の数字は持ち合わせておりませんが、四十年の九月末の凍結欠員は、本省が二百二十七名、それから船員中央労働委員会が一名、海上保安庁が二百一名、海難審判庁が一名、気象庁が三十二名で、四百六十二名でございます。四十一年度の増員が、本省が百五十四名、この中に私がこの前申しました航空関係の百七名、これは管制官でございます。航空は全体として百三十四名でございますが、百三十四名の中の百七名がこの前申し上げました数字でございます。それも合わせまして本省で百五十四名、それから海上保安庁で三十八名、海難審判庁で二名、気象庁で六十六名で、合計二百六十名が増員になったわけで、その増員の手当ては四百六十二名の凍結欠員を解除して充てました。したがいまして、四十年九月末現在のそれを差し引きました凍結欠員残数が、二百二名という数字になっておるわけでございます。この前本省約百名、気象庁二十名と申しましたのは、その後数字が移動いたしまして——今回の航空並びに気象関係の関連のものといたしましては本省気象庁だけでございますので、それを申しますと、二百二名の中で、それの本省気象庁が占める分は七十三名でございます。七十三名に、四十一年の三月末で発生見込み本省で四十九名、それから気象庁で十九名でございます。したがって、それを締めますと、先月末の凍結欠員本省で百二十二名、それから気象庁で十九名、合計百四十一名、したがって、この前百二十名と申しました数字は百四十一名ということに相なるわけでございます。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 数字合わせですから正確な点をお示し願いたいのですが、凍結欠員残数は、本省が七十三名、船労委が一名、海上保安庁が百二十八名、海難審判庁気象庁はゼロということになって二百二名でしょう。この数字で押えておけばいいのであって、本省四十九名、気象庁十九名というような数字は、どこから出てきているのですか。
  8. 深草克巳

    深草政府委員 これは四十年の九月末の数字でございます。その後やめた人がおりまして、やめた人の一部は補充をいたしておりますが、凍結されておりますのが、その後、つまり四十年の九月から四十一年の三月までに発生したものが、本省で四十九名、気象庁で十九名、これだけふえたわけでございます。したがって、七十三名に四十九名を足して、四十一年の三月末が本省で百二十二名、気象庁で十九名、ゼロが十九名になったということでございます。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 続いてお尋ねいたしますが、この行政監察月報に出ております数字ですね、これはごらんになっただろうと思います。あなた方がそれに対応するやり方をどういうふうにやりますという回答を文書でされているのですから。この中で、管制官が五百十一名が四十年度の定員だったのですが、四百二十五名というのが実人員で、四十年の四月一日には八十六名の不足、そしてそのうち三十八名は管制通信官充当をした。そこで、私はきのう羽田に参りまして、この管制官管制通信官とのそれぞれの任務をお伺いをいたしたわけであります。ところが、その養成の過程やいろいろ考えてまいりました場合に、管制通信官コース管制官コースとは違うのだ、こういうようなのが、向こうのほうの説明でございました。管制通信官充当をすることができるわけですか。三十人名充当をしておいでになる、それで事足れりという考え方に立たれるものであるのかどうか。そうしてその対応策として、いわゆる運用定員というものについては十分に充足をはかっていかなければならないが、養成定員についても別ワクで獲得をいたしますということをあなた方は述べられておるわけですね。ところが、養成定員については、どうも予算書の中を見てみますと、一名も確保されていらっしゃらない、こういうような状態に相なっているわけですが、それが事実とするならば、対大蔵省との交渉において、今日の航空保安行政の上からきわめて重要な問題でございますので、これについては運輸大臣が一生懸命努力をされたものとは思うのでございますが、養成定員一名も確保できないで、そして事実上の問題としては管制官が実務をやりながら養成訓練を受けている、こういうようなところに問題が発生をしているのではないかと私は思うのでございますが、それに対する運輸大臣は、今日まで予算獲得においてどういう努力をされ、そしてまた今後においてこれをどのように措置しようとお考えになっているのか、お答えを願いたいのであります。
  10. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 ちょっと大臣が申し上げる前に、私から数字の御説明をいたしたいと思います。  いま先生お尋ね行政監察月報数字はお示しのとおりでございまして、四十年四月の行政監察局監察を受けたときの定員は、お示しのとおり管制通信官の分を差し引いて、全体として管制関係四十八名という欠員であったわけでございますが、四十年八月にはその充足努力いたしました結果、欠員が五名という状態にまでこぎつけたわけでございます。それが四十一年二月には自然減耗等がございまして、結果において二十名の欠員という数字になっているのが現状でございます。先日官房長から、いま先生お話がございました四十一年度百七名という数字を申し上げたわけでございますが、これは四十一年度における航空保安事務所全体の数字でございまして、もちろんこの中には管制官以外の人員も入っておるわけでございます。なお、そのほかに、御承知のように航空交通管制本部というものの増員十八名、それから航空局増員七名、航空事故調査要員二名等がございますので、航空局全体といたしましては百三十四名というような数字に相なるわけでございます。  それから通信管制官等管制官充当することができるか、こういうお尋ねでございますが、これは実際の運用の形といたしまして、ローカルの第三種空港のうちで、離発着回数の少ない、一日二、三便のところにつきましては、特に管制官を配置をいたしませんで、管制本部が直接この場合には管制するわけでございますが、管制本部管制通信管制通信官が当たるという形で現実運用しておるということでございまして、羽田その他のああいうような非常に離発着回数の多いところで、そういうようなことを現実にやっておるわけではないのでございます。  なお、お尋ね養成定員でございますが、従来の予算要求等にも実はうたっておりまして、四十一年度も三十名という別に管制関係養成定員要求をいたしたわけでございますが、われわれの努力が十分でございませんで、それは実らなかったわけでございますが、今回のようなことにかんがみまして、こういうような養成に要する定員緊急整備ということをわれわれも事務的に努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  11. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いままでの問題は、航空局長が大体御説明申し上げたとおりでございます。率直に申し上げまして、私は、航空保安につながる管制官とか、そのほかこれにつながる主要業務等に携わる人員の増加にに対しましては、十分であったとは思わないのであります。しかし、今回の事故等にかんがみまして、航空の安全につながるいわゆる人員の増、あるいは気象情報等をつかむための人員につきましても、政府はこの際積極的に増員するということを閣議で了解をいたしておるのでございますので、実情に合うように計画を立てまして、逐次増員の実を果たしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、大臣、四十名の養成定員についても見込みがあるのだ、こういうふうに受け取って差しつかえございませんね。
  13. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 人数の点につきましては検討を要すると思いますが、大体そういう航空安全につながる要員につきましては、この際政府としても他の各省庁の人員増とは別に切り離して考えるということになっておりますので、私はそういう方向で実現ができるものである、かように確信を持っておる次第でございます。
  14. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、定員の問題でもう一点だけお尋ねをいたしておきますが、この行政監察月報を見てまいりますると、四十一年度予算において四名の事故調査要員要求をし、現在員二名を合わせて六名とする。この六名を二組のチームに分けて、そうして調査の充実をはかることにいたしたいということで、いわゆる事故対策調査体制の強化ということにつきましては、これは運輸省の定員として、今日までは事故のごく一部しか調査をしていない、したがってこれに対しては十分定員をふやして、こういうような事故対策の面についても万遺憾のないように措置したいという、そういうような計画であるようでございます。ところが、これは三月三十一日の新聞でございますが、全日空の事故調査に当たりました政府の全日空機事故技術調査団、これを木村団長のもとにおいてやられておる。これらを見てみますると、これは運輸省の職員じゃないようでございまして、木村団長が大学の教授というような形でございますが、運輸省としては、こういうような外部の人に委嘱をして事故調査というものをおやりになる考え方でこれからやられるのか、それとも行政監察がなされました際に答えておられるように、こういうような自分たちの手で事故調査というものをおやりになる考え方であるのか、そのあたりがはっきりいたしませんので、これについては明快に御答弁をお願いしておきたいと思うのであります。
  15. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 運輸省の航空局の中にできるだけそういう練達たんのうな士をそろえたいと思いますが、今回のような事故の場合には、私は外の学識経験者、その道の権威者のお力をかるということも、これはやはり方法としても適切じゃないかと考えるわけであります。特に今回のように事故が三つも続けて起こりますと、そういうことを予測して航空局の内部に人員をそろえるというようなことは、容易にできないことでもありますし、またそういうことというのはきわめてまれなことでございますので、そういう三つもの大きな事故等に対処して人員をそろえておくということにも、また問題があるようでございますので、やはり中の人員を充実するということはもちろん必要でありますが、外の権威のある人たちの力をかるということも、私は当を得た処置ではないか、かように考えておりますので、今後もやはりそういう方向で対処してまいりたい、かように考えております。
  16. 村山喜一

    村山(喜)委員 ちょっとお伺いしますが、これはいままで二名というのが六名になったのですか、ならなかったのですか。
  17. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 なっておりません。定員二名でございます。
  18. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣、ここにもまだ未解決のやつがありますね。事故調査体制の強化をやりなさいといって行管が指摘をする。それに対しては、こういうような計画でございますということでやってみたが、定員がふえないので、外部の学者その他民間の航空会社の人たちを委嘱をして調査をやらなければならぬ、こういう結果に私は相なっていると思うのです。それであるならば、いま航空局長が言われたように、民間の権威者を頼むんだったら何をか言わんやで、こういうような回答をしなくてもいいじゃないですか。それは民間の権威によって運輸省の定員とは別個に措置いたしますというのが、これがやはり行政監察に対する回答でなければならないと思う。一体どちらのほうに焦点が向いているのか、いまの航空局長説明でははっきりいたしません。大臣の御所見をお伺いしておきたい。
  19. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、航空局の内部のそういう陣容をそろえるということはもちろん必要である、これは村山委員の言われるように、私も必要であると思って、前回はやはり定員の増を要求したのでありますが、それは残念ながら満たされなかった。その満たされなかった原因につきましては、先ほど私が申し上げましたように、やはり各省普通の職員と同じような傾向で査定したきらいがある。これは私は率直に申し上げます。そういうこと等にかんがみまして、今回の事故等によって大きく政府も反省しまして、人員の増、施設を完備するという決意をいたしておりますので、そういう線で最小限度の増員は私は必要と考えておりますが、ただ、どんな大きな事故があった場合にも対処し得るように人員をそろえておくということは、いろいろ条件等も不可能に近いような、あるいはまたそれが必ずしも適切でないというような考え方もありますので、さしあたりは航空局人員整備をやるということは、村山委員が指摘なさったとおりにやるのでございますが、今回のように三つもの事故が連続して起こりますと、内輪の手だけでは手が回らない。そこで外の手もかりるということでありますが、やはりこういう場合には、外からも手をかりる、外の権威者の手もかる。御承知のように、航空局の中に権威者をたくさんそろえるということは、いまのいろいろの条件等から考えますと、なかなか容易なことではございませんので、やはり外の人たちのお力を一時的におかりするという対策もあわせていくべきではないか、かように考えておる次第でございます。
  20. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、その事故調査定員についても、これも充実をはかっていくんだ、この御所見はやはりお持ちであり、今後も推進をしていくんだということに承りますので、それで私、けっこうだと思いますが、きのう羽田のターミナルを見に参りました。向こうに参りまして、いろいろ空港長から説明をお聞きいたしましたが、また、労働組合のほうからも要望の意見が出てきておりました。これらの中で特に感じましたのは、管制のいわゆるレーダー関係の監視に当たる人たちが、六時間継続をして五チームでやっているんだという話であります。現在の四十三名の定員をやはり三十名程度ふやさなければ、あの中に入って実情を見てまいりますると、きわめて過重な労働条件になっているように私、見たのでございます。この点については、同僚の議員の人たちも、きわめてそういうような点については同情的に見られておったようであります。また、その管制通信のところに参りましても、十五、六時間を三人でやらなければならないという、自衛隊のレーダーサイトにおけるような勤務内容よりももっと酷な状態に置かれているように私は見たのでございますが、そういうような点から考えてまいりますると、これらの定員増の要求、特に保安行政の面から十分に考えていかなければならないと私、思うのでございますが、まあ羽田はわりあいに中でも恵まれていて、その他の第一種空港にいたしましても、第二種あるいは第三種の空港にいたしましても、きわめて十分な人員が与えられていないというふうに聞くのでございますが、それに対しまして、資材の整備等も必要であることは言うまでもありませんけれども、これらについては何らかの計画というものを私はお立てになってしかるべきではないかと思うのであります。三月の九日の新聞によりますと、航空管制を全部オートメ化するんだという構想があり、そして第一期、第二期に分けて機材の整備については計画をお持ちであるようでありますが、それらの航空保安行政に当たります人たちの定員の増加等については、まだ十分触れられていないようでございますので、大臣がそういうような計画をお持ちであるのかどうかという点について、この際説明を承っておきたい。
  21. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 実は、羽田そのほか日本の航空基地の航空管制あるいは通信施設等に携わっております人たちの業務の実態あるいは設備等を私も見まして、いま村山君が指摘なさるように私も十分でないと考えましたので、実はいま世界各国の航空基地できわめて進んだ施設をしておるところで、どういうふうな程度の人員でどういう施設を整えてやっておるのであろうかということを至急調査する必要もあると考えまして、航空管制等に携わっております現地の職員の代表的な人と航空局の責任者を一人つけまして、実は一昨日でございましたか、アメリカのサンフランシスコの飛行場の実情を一週間ばかり見にやりました。引き続いてヨーロッパのほうの進んだ飛行場の施設も研究にやりまして、その結論を得まして参考にしまして、設備を整え、人員の配置等も考慮いたしたい、かように考えて、いませっかく準備をさせておる段階でございます。
  22. 村山喜一

    村山(喜)委員 これも向こうで聞いたのでございますが、ILSの一種がいまのところ羽田に一つだけ取りつけられておる。世界で一番新しいのが二種だ。三種の着地まで完全に誘導されるのはまだ世界的に発明されて実施の段階に入ってないという説明を聞いたのでありますが、ILSが名古屋と羽田にある。第一種空港であります福岡なりあるいは大阪なり札幌、こういうようなところにはまだない。そして名古屋にはそれが設置されている。こういうような状態であるようでございますが、このILSの設置計画というものがどういうふうになっているのか、その地区ごとに計画ができ上がっているのであれば、説明を願っておきたいと思うのであります。
  23. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 ILSは先生御指摘のように、東京にはすでに設置をいたしてございます。名古屋は、前回申し上げたように、管制問題その他いろいろ非常にむずかしい問題がございまして、ILSの設置を計画いたしまして、四十年度に完了いたしました。その他現在非常に急いでやらなければいかぬと考えておりますのはまず大阪でございまして、大阪には緊急に予算措置を講じてILSを整備したいというふうに考えておる次第でございます。その他御指摘の全国主要空港、特に千歳等につきましても、これを緊急に整備をする計画をいたしておりますし、全国の主要な空港には、みな逐次計画的にこれを整備してまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  24. 村山喜一

    村山(喜)委員 ばく然とした答弁なんですがね。年次計画があるのか、あればいつまでにやるのかということなんです。その大阪は緊急にやる、その他の第一種空港についても逐次やっていくんだ、それは一つの目安にすぎないわけで、そうすると、計画はないわけですね。この前、三月九日の新聞で、これは大臣の構想として発表されておるものだと思うのですが、東京、福岡、札幌の各航空交通管制本部に電子計算機で航空管制の自動化をやる。第二期は、いわゆる追尾レーダーを設置するというようなことが出されているようでありますが、そういうようなものが出されるとするならば、ILSの設置についても当然計画というものが立てられているんじゃないかと私は思いますので、その年次ごとの見積もりというものについての見運しをお持ちであれば、説明を願いたい。なければないでけっこうです。
  25. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 今回の事故にかんがみまして、こういうようなものを年次別に、計画的に整備をする必要があるということで、実は現在航空全体の整備五カ年計画というものを部内で検討しているわけでございますが、先生御指摘のILSにつきましては、実は昨年九月に着陸援助施設長期整備計画というようなものを部内で作業したものもございますし、こういうような内部的ないろいろな作業は進んでいるわけでございますが、われわれとしては、五カ年計画というものを逐次推し進めてまいりまして、年次別にこの計画を推進してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  26. 村山喜一

    村山(喜)委員 その五カ年計画が十年計画に延びたのではかなわぬわけですから、その点については、大臣のほうでさらに御努力を願っておきたいと思います。  これとやはり関連をいたしましてARSR、航空路監視レーダー、あるいはASR、空港監視レーダー、これらの設置計画というものも、同じように五カ年計画を立てられていると思いますが、その点はどうなんですか。
  27. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 これは計器着陸装置のILSに次ぐものでございますので、同様に五カ年計画の中に織り込んで、この整備をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。
  28. 村山喜一

    村山(喜)委員 パイロットの養成の問題で、フライトシュミレーターの設置、これはどういうような計画を立てておられますか。
  29. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 国内にシュミレーターは現在二基ございますが、一基は非常に老朽化しておりますので、これの更新を四十一年度計画しております。わがほうが直接いわゆる乗員養成として考えておるのは、以上の二基でございます。
  30. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、定員の問題で最後に一つお尋ねをいたしておきます。今回の定員、新定員と旧定員の比較が二十六名の減ということで提出をされておりますが、そのうちの二名はニューヨーク並びに釜山の駐在員として外務省転属の職員であり、二十四名が空港公団発足に伴い、建設運営にあたる職員として定員が落とされていると思うのでございますが、それは空港公団の発足に伴う定員減として受け取って差しつかえございませんか。
  31. 深草克巳

    深草政府委員 四十一年度は、前年度に比しまして二十六名減になっております。その内訳は、新東京国際空港公団設立準備のために三十九年度に増員された定員が、当該公団の発足に伴い減となるものが二十四名、先生、ただいまおっしゃったとおりでございます。そのほか在外公館駐在、ニューヨークと釜山でございますが、これを外務省に移しかえましたので、二名がございまして、合計二十六名が減っておるわけでございます。空港公団が諸般の事情でまだ発足いたしておりませんが、これが発足いたしますと、この定員は当然なくなるということでございます。もう四十一年度に入ったわけでございますが、一応、この二十四名充当されました実員につきましては、関係省とも連絡をいたしまして、公団発足までは実行で存続していただくということになっておるわけでございます。
  32. 村山喜一

    村山(喜)委員 この二十四名の空港公団への移管の定員につきましては、後ほど小川君が富里空港の問題で中村運輸大臣に質問いたすことにいたしておりますので、私は定員の数だけを明確にいたしておきたいと思います。  そこで、この際私は大臣お尋ねをいたしたいのは、最近の航空業界のいわゆる過当競争並びに事故続出の傾向の中から、大臣も新聞等におきましていろいろ発表されておいでになります業界の再編成の問題でございます。この問題につきましては、三十八年に運輸省の航空局航空審議会に付議いたしまして、そして国際線は日航、それから国内幹線は日航と全日空、そしてローカル線は全日空とローカル六社、やがては全日空一本にしぼる、こういうような態度をきめて、再編成の構想というものを明らかにしたことから始まるのであります。ところが、三十九年の四月に六社のうちの三社が合併いたしまして、日本国内航空が発足した。三十九年の六月に至りますと、自民党の航空政策といたしまして、航空運輸事業整備に関する基本政策というものが生まれて、それによりますと、国際線については日航にやらせるというのですが、二番目の問題といたしまして、航空局と違うのは、国内幹線には日航、全日空、国内航空を当たらせる、主要ローカル線の運営は全日空と国内航空でやっていくのだ、こういうふうに態度が変わってきております。そのとおりの線で航空局、運輸省が押し切られて、現実にはそのような形になって運営されておる。ところが内容は、日航を除きまして——日航も最近ようやく立ち直ってきたようでございますが、三社とも経営内容が悪化してきておる。そして過当競争の弊害というものがさらに助長された。こういうような歴史的な過程を経てきているわけでございます。ところが、二月十三日に運輸大臣が、あれは福岡でしゃべられたと思うのですが、この際、四十年の十二月に運輸審議会の答申を得ているので、その線に従って、国際線は一社、国内線は二社にしてやるのだ、そして航空業界の飛躍的な発展に即してやるのだという計画を示されたようでございます。ところが、三月十四日になりますと、全日空案というものが出てくる、あるいはいろいろな業界の試案が出てくるわけでございますが、この問題については、財界のほうにも政府としては委嘱されているようでございますけれども、この再編成、組織がえという問題は、なかなかうまくいっていない。そこで、今日のような状態を放置するわけにはいかぬということは、大臣ももう十分お考えになっておるので、大臣構想というものをお示しになったものだと私は思うのであります。しかりとするなれば、この業界の再編成の問題が、大臣の思っていらっしゃるとおりの方向で進んでいきつつあるのかどうか。この際私は大臣にお伺いをしたいのは、三十九年六月の自民党の決定事項であります航空輸送事業整備に関する基本政策は、変えられたのか変えられてないのか、この点について大臣の見解をお尋ねいたしますとともに、今後どういうような方向で再編成をやっていくんだという方向をお示しを願っておきたいのでございます。そうでなければ、運輸省の航空局がせっかく航空審議会にはかって、最善の案と申しますか、りっぱなものを出した、そういうような方向で整備をやっていこうとなりますと、それについて、今度は外のほうからそういうような政治的な力が加わって、実施できないようになる。運輸大臣が福岡空港でそういうようなことをおっしゃっても、はたしてそれがうまくいくかどうかということについては、運輸大臣の政治的なかなえの軽重を問われている点が私はあると思う。この点について、運輸大臣の所見と決意のほどを承っておきたいのであります。
  33. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空行政状態は、いま村山委員が大体お話しになったような経路をたどってまいっておるのでありますが、政府といたしましても、昨年の暮れに日本の航空企業のあり方に対しての諮問をいたしたのであります。これは、三十九年六月の、党の航空に対する一つの方針というようなものをやめたというようなことではございませんので、やはり過去のそういう経路をたどって、党の方針等に沿って航空企業が今日まで歩いてまいったのでありますが、現在の時点でさらに再検討をすることも必要であるという見解に立って、昨年の暮れに航空審議会の再編成をやりまして、ここに諮問をいたして、十二月の末であったと思いますが、昨年の暮れに答申を得たのであります。その答申の示しております方向というものは、いま村山委員もおっしゃられましたように、大体将来は国際線は一本、国内線は二本というような形で集約化といいますか、統合するというようなことが好ましいというような一つの内容を含んでおるように考えておるのでありますが、私は、現在の航空企業は、御承知のように日本航空、国内航空、全日空、東亜航空、長崎航空と、おも立ったものが五社あるようでございますが、この五社が現在のような路線分野で企業を続けていくということが、必ずしも現時点においては適当ではないのではないか。もう少し、村山議員も指摘をなさいましたように、過当競争等を避けて、そして企業の健全な経営ができるような体制を考えてみる時期ではないかということで、再編成といいますか、そういうものと取り組んだわけでございます。大体の方向は、航空審議会の答申の線を尊重いたしまして、実はことしの二月の十一日に各企業の責任者に集まってもらいまして、そして航空審議会の答申の線を尊重して、ひとつ企業の責任者で自主的に話し合いをして進めてもらいたい。運輸省としましては、できるだけこういう民間企業に対しては、役所がくちばしをいれるということはしないで済めば済んだほうが好ましいと考えますので、ひとつ自主的に話し合いを進めてもらいたい。特に日本航空と国内航空とは、いろいろの点で密接な関連もありますし、あるいは含の国内航空の体力等を強化するということがやはり緊急でもあるような、すべての問題等を話しまして、早急にひとつ企業者みずからの考え方を中心に、しかも航空審議会の答申を尊重して、再編成といいますか、集約化を急いでもらいたい、そういうことで、実は課題を投げかけておるわけでございます。その過程におきまして、それぞれやはり企業は企業としてのそろばん勘定等もございますので、だれか世話をする人が必要ではないか、それは役所がやるよりもと考えまして、日本の財界の長老と称せられておる石坂泰三氏と植村甲午郎氏にひとつ世話役をお願いいたしまして、そうして業界みずからの手で集約化をはかってもらいたい、こういうことでいま進めつつあるのでございますが、大体の見通しとしましては、やはり今月の末ごろまでには大体の方向ぐらいは打ち出せるような段階にまでいくのではないか、私はかように期待をいたしておるのでございますが、運輸省としても一定の考え方、方向は持っておりますので、その方向をいまは強く出しておるわけでございませんが、やはりいろいろ話し合いながら進めておりまして、運輸省としても、この航空企業の一つのあり方を集約化して、そうして安全運航につながる体制をつくらせるということは大切なことであると思いますので、場合によっては強く行政指導をやりましても目的を達成したい、かように考えておる次第でございますが、いまの段階では、業界みずからの自主的話し合いによって目的を達してもらいたい、かように考えておる段階でございます。
  34. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、四月の末ごろまでには大体成案を得るように期待をしている。中村運輸大臣としては、いまのところ政界からのそういうような、過去に見られたような圧力というものはない。これは業界の再編成の問題で、財界が中心になってやっていけば見通しは明るいというふうにお考えになっていらっしゃるわけですね。
  35. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 明るいと申しますか、企業みずからそろばんを中心に考えますので、なかなかそう簡単なことではないだろうと思いますけれども、今度の事故等にかんがみまして、世論も航空企業に対しては、やはり安全経営につながることをきびしく要求しておりますし、それから企業者のみずからの経営の実態も、そういう要請にこたえざるを得ないようなところに追い込まれてきておるということも言えると思うのですが、私は、困難な事情はございますけれども、その困難を乗り越えて、国民の期待に沿うように企業者みずからも努力をしておる、かように考えておるわけでございます。ただ私は、今月の末ごろまでに一つの方向は打ち出せるということでございまして、月末ごろまでにすべてが済んでしまうということではございません。それには多少時間はかかるかもしれませんけれども、航空企業のいまの五社あるのをどういう方向で集約化するかというような一つの見通しは、今月末ごろまでにはつけ得るのではないか、またつけたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 村山喜一

    村山(喜)委員 時間の関係がありますので、あと一点だけで質問を終わりますが、三十七年の三月十七日に、入間基地のF86F戦闘機四機が訓練を終えて築城基地から入間に帰る途中、富士山の頂上付近でいわゆる晴天乱流に巻き込まれて、二機は墜落、そして残った二機もたいへんな痛手を受けてようやく基地に帰り着いた。そういうようなことから、重力メーターではかってみると、プラス八、マイナス四というきわめて強力な、重力の八倍の下降力と重力の四倍の上昇力が加えられた。こういうような実情から、航空自衛隊は晴天の日に富士山には近寄らないように教育訓練がなされている。そういうような事態が過去において発生をしたのにもかかわらず、御承知のようにあの事故が出たわけであります。戦闘機でさえもそういうような強力なものに耐えられない。輸送機になりますると三G前後で、もうほとんどそういうような耐久力がないのだというようなことが言われている。このような立場から考えてまいりますると、新聞にも出されておりましたように、晴天の日の富士上空に近寄らないようにこれからやりたいということを検討をしているということでございますが、そういうような規制措置というものが、今後とられる可能性というものがあるのかどうか、この点についてはそういうような規制をされるおつもりがあるのだったら、大臣のほうから御答弁を願っておきたいと思います。
  37. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 御指摘のように、富士山付近において晴天乱流という問題があるわけでございまして、われわれとしても、これについては早急に気象庁と打ち合わせをいたしまして、これの客観的なデータを集め、その事態を確認するということを急いでおります。その結論を得ましたならば、必要に応じて運航者に一般的な注意を促すというような注意措置、あるいはその他必要な規制措置を考える必要があると考えまして、ただいま検討を急いでおるという段階でございます。
  38. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、日本の空に六つの難所がある。これは航空気象台の予報官が報告をされた記事が出ておる。そういうようなのもやはりあわせてお考えになっていらっしゃるわけですか。
  39. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 単に一カ所だけでなくて、同一条件のものが他にあるとすれば、その点も十分に調査をして措置をする必要があると考えて、気象庁と協議しておる、こういう段階でございます。
  40. 村山喜一

    村山(喜)委員 あと一点だけ取り落としておりました。今回、これは運輸省の定員ではございませんが、地方事務官四十年の定員一千八百八名、それに凍結定員が十二名、四十一年の増員が百七名、計一千九百三名、純増が九十五名、こういうふうにして、これは運輸省関係の地方自治法附則第八条によります地方事務官の定員増員が示されていると思うのでございます。これは業務量の増大等に対応する定員増であると思うのでありますけれども、これについては、この程度でやっていける考え方に立っておられるのかどうか。この点も、自分は各都道府県の職員ということになって、暫定的に地方事務官ということで置かれているわけでありますけれども、これについて、業務量の増大に対応するものとして出されたものか、これの増員の年次計画があるのかどうかということを説明を願っておきたいと思うのであります。   〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕
  41. 深草克巳

    深草政府委員 陸運事務所の定員でございますが、先生先ほどお話しになったように、四十一年度の増員は百七名で、実質増員は九十五名でございます。先日も申し上げましたが、陸運事務所の定員は、自動車の増加傾向とは必ずしも正比例してふえてはおりません。ただ、特別会計ができまして、従来のふえ方よりも、現在の人員の抑制の時代から考えますと、特別会計ができまして以後はまあまあというような増員になっておりますが、過去の増員不足の回復というような意味も含めまして、今後も努力をしていかなければならぬと思っております。ただ、大臣もしょっちゅうおっしゃっておりますが、やはり仕事の合理化という面もいろいろと進めてまいらなければなりません。たとえば車両検査にしましても、一部民間の整備工場に委託をしておるものもございますが、そういった制度も拡充いたしまして、自動車の増加についていけないというようなことのないように対処したい。また、登録にいたしましても、先般も申し上げましたが、電子計算機あたりを導入いたしまして、全国一本の姿が一目でわかるような方法も導入をいたしまして、逐次機械化その他も行ないまして、これに対処してまいりたいというふうに考えております。
  42. 村山喜一

    村山(喜)委員 従来は、車検につきましては、たしか指導基準というのがありましたね、一台を二十五分ぐらいかけて一人で処理するというのが。今日のいわゆる自動車台数のふえ方からまいりますると、一台二分くらいの割合で検査をしなければ間に合わない、こういうふうにわれわれは聞いているのでありますが、現在この指導基準というものがあるのかないのか。あるのだったらお示しを願っておきたい。
  43. 深草克巳

    深草政府委員 専門の自動車局から参っておりませんので、後ほどあれしますが、私はまだ存続しておるというふうに理解をいたしております。
  44. 村山喜一

    村山(喜)委員 運輸大臣、従来は自動車の車検にあたりましては、一人二十五分という指導基準があった。それが今日においては、まあ基準が残っているのだろうと官房長はおっしゃるのですが、私たちは、もう基準が残っていないのじゃないか。なぜかなれば、一台二分くらいで検査をしなければならぬ、そのくらいの業務量になっている。それで基準は残っておっても、事実上それが実施されていないとするならば、その基準というものはあってもなきにひとしいということになると思う。これらの点については、予算上の定員でございますから、運輸省設置法に直接関連をする定員ではございませんけれども、十分な配慮方を大臣のほうに要望申し上げておきたい。もしこれについてお答えがございましたら、答弁をいただきまして私の質問を終わります。
  45. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いまの人員の問題あるいはその原則等は、私はいま官房長が言ったように、基準が消えておるわけじゃないが、実は自動車の増加等がきわめて急激なので、それに対応するだけの人員増が困難な事情等もありまして、勢いいま言われるように基準というものがあってなきがごとき状態になっておる実態だと思うのでございますが、やはりこれはできるだけ人員を増加して、過重労働にならぬように配慮することが必要であります。しかしながら、現在の自動車の増加傾向を見ますと、それに対応するように人員を増加していく、そしていままでと同じような仕事の内容をやっていくということには、やはり非常に無理がある。そこで人員もできるだけふやさなければなりませんが、業務の内容等にも再検討を加えて、できるだけ人員はふやすが、と同時に、過重労働のみにこのしわが寄っておるような現在の実情をできるだけ緩和の方向に持っていく、働く人たちの労働環境を整備するとか、あるいは労働時間等もできるだけ正常な姿になるように、これは努力していかなければならぬものと考えて、そういう方向で善処していくつもりでございます。
  46. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  47. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員長代理 小川三男君。
  48. 小川三男

    小川(三)委員 運輸大臣に伺いますが、いま運輸省設置法審議の中で、空港公団の発足を予定して人員の確保についての論議があった。この空港公団はいつごろ発足させる目算を持っているのか。
  49. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 できるだけ早い機会に公団を発足したいと考えておるのでございますが、小川委員も御承知のように、政府が予定しております新空港の予定地の地元との関係等がございますので、いつまでにというはっきりした、何月何日までということを申し上げかねますが、できるだけ早い機会に政府としては決定いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  50. 小川三男

    小川(三)委員 空港公団法によると、これは政令によって位置の決定をして初めて空港公団は発足するということになっているわけです。そうすると、位置の決定は即敷地の獲得ということとどういう関連になりますか。
  51. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先生御指摘のように、公団法によりますと、位置を決定したときに公団が発足するということになるわけでございます。ただ、位置の決定といいますのは、あくまでも新空港が設置される位置の予定地でございまして、敷地の決定は、公団発足後具体的に買収その他の措置によって敷地が定まり、その敷地に、公団の事業実施計画に従って具体的に飛行場がその敷地の上に建設される、こういう関係に相なるわけでございます。
  52. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、空港公団事業をやるのは、敷地を獲得し、そこへ飛行場を建設する。つまり事業を行なうのは空港公団が行なう。それをいろいろな条件について、たとえば千葉県当局から出された条件などについて、事業を行なうものでない運輸省がどうして空港公団を差しおいていろいろな条件を地元に提示するのか。
  53. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 御指摘のように、まだ公団は設立を見ておらないわけでございますが、その前に千葉県等と具体的にどういうような条件が考えられるかというようないろいろなお話がございますので、その際の政府と県の腹づもりについてお打ち合わせをしておるというような段階であるわけでございます。
  54. 小川三男

    小川(三)委員 航空法の第三十九条の五には「飛行場にあっては、申請者が、その敷地について所有権その他の使用の権原を有するか、又はこれを確実に取得することができると認められる」ときに、初めて運輸大臣は認可するわけです。そうすると、運輸大臣は認可権を持って繁りながら、一方でどうして——敷地の所有権その他の権原を有するものに対する交渉は、公団が当たるでしょう、公団が当たらなくちゃならないはずだ。それとの関連はどう理解すればいいわけですか。
  55. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 新空港については、政令で位置がきまり、公団が事業実施計画を運輸大臣に出して、運輸大臣が認可をする、こういう関係に相なることは、先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、この公団の事業実施については、政府としてその内容について責任を持つわけでございますから、それについて必要なあらかじめの財政措置その他を講じ、あるいは基本的な考え方について必要に応じていろいろお話しをし、お打ち合わせをする立場にあると、われわれは考えておるわけでございます。
  56. 小川三男

    小川(三)委員 そうしましたら、「これを確実に取得することができる」という「確実に取得する」というのは、どう理解しているのですか。
  57. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 この点については従来いろいろ御議論があった点でございますが、われわれとしては、単に反対の数というようなものでなく、反対される内容等を十分に見きわめてやる必要がある。つまり現在いろいろ地元の御反対が強いことはわれわれも承知しておるわけでございますが、その反対理由等も十分調査、検討いたしまして、御納得のいく地元対策を講ずることによりまして用地の取得に協力が得られるように今後努力をしていく、こういう考えであるわけでございます。
  58. 小川三男

    小川(三)委員 運輸省は、飛行場の設置について公団に対して認可し、または管理、監督するという権限があるわけです。土地を取得して、ここで事業をやる権限は、運輸省にないはずです。したがって、事業をやるのは空港公団なんです。空港公団がないのにかかわらず、運輸省が土地取得や価格やその他の対策について、地元に示しておるというのはどういうことか。
  59. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先生お話しのように、具体的に、たとえばどこのだれべえさんのところを幾らで買うというようなことは、現実に公団が実施するわけでございますが、その前提となる、一体どういうような条件でそれを考えていくかというようなことは、政府として地元と必要に応じて十分お話し合いをするという立場にあるわけでございますから、政府の考え方をまとめてこれをお話しするということは、当然であると考えます。
  60. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、あなたのほうで地元とどんな折衝をいままでやっておられたのか。地元に対してどんな折衝をやっておられるか。
  61. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほど申し上げましたように、公団法の規定によりますと、事業実施計画は、もちろん公団がつくって運輸大臣の認可を受けるわけでございますが、その前に、運輸大臣が基本計画を定めて、これを公団に指示するという公団法の規定があることも、先生御承知のとおりでございます。この基本的なものは、基本計画の内容としてわれわれは考えていかなければいかぬ。したがいまして、この基本的な事情、たとえば用地の取得の大体の基準、あるいは代替地、あるいは騒音対策、転業というようなものに対する基本的な考え方について、地元の県知事とわれわれが意見を交換する。われわれの考え方を従来もお話しをしてきておるというわけでございます。
  62. 小川三男

    小川(三)委員 一体この問題が、あなたのほうで昨年の十一月の十八日に内定を発表して以来、今日まで決定できないのはどこに原因があるとあなたのほうではお考えになっておるのか。
  63. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 内定後、われわれといたしましては、特に御承知のように非常に大規模な仕事でありまして、先ほど申し上げましたように、農業を営まれる方はその農業をどうするかというような具体的問題がございますので、地元の関係機関と緊密な連絡を行なう必要があるというわけでございまして、それにつきましてのお打ち合わせにいままでかかっておるということでございまして、われわれとしては、こういうような関係を特に急ぎまして、先ほど大臣が申し上げましたように、なるべくすみやかに正式決定をしていきたい、こう考える次第でございます。
  64. 小川三男

    小川(三)委員 地元の関係機関といっても、千葉県当局はこの事業をやるべき何の機関でもないのです。あなたのほうで富里の内定を発表しておきながら、富里の現地についてどんな対策なり、どんな調査をなさったか。
  65. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 まず先ほど来申し上げておりますように、われわれとしては何といたしましても県を中心にしてお話をするということで、実は知事さんにお願いをいたしましたところが、知事さんが、では現地の方々もおいでを願って、そこでひとつ国が直接お話しをいたしてもらいたいというようなお話もございましたので、われわれのほうから千葉に出向きまして、現地の方にお越しを願いまして、そこでお話をするというようなことをやったわけでございます。その後、県議会等に出向き、あるいはその他県の機関と事務的なお打ち合わせをするというようなことをやっておったわけでございます。
  66. 小川三男

    小川(三)委員 県当局の仲介によって地元との折衝をされたというが、その結果はどうなっておりますか。
  67. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 まだなかなか地元の全体の人の了解を得る段階にまでいっておりませんが、できるだけ、私は、この問題は地元の人の納得を得た上で仕事を進めていきたい。御承知のように、これは客観的に見ますと、その中に生活をしておられる方に非常な御迷惑なことをお願いするわけでございますから、そういう方々の納得をまず取りつけることが、仕事を進めていく上の大切なことである。私は、地元の方々に犠牲をしいるような形でこういう施設というものはやるべきでない、かように考えておりますので、できるだけ地元の方々に納得していただいて、そうして気持ちよく協力していただくような態勢をつくり上げながら進めていきたい、かように考えておりますので、今日まで公団設置等も差し控えまして、そして地元の方とできるだけ話し合いを進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  68. 小川三男

    小川(三)委員 運輸大臣、あなたはまいりたいということでお答えになっておりますが、まいるために、あなたのほうでどんな具体的な手段で地元に対していままで交渉されておりますか。それから犠牲をしいないというが、あそこへ飛行場をつくること自体が、地元民にとっては最大の犠牲なんです。したがって、もし犠牲をしいないということであるなら、富里空港案の内定をあなたは取りやめるべきです。その点どうなんですか。
  69. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、最初できるだけああいう近県の土地の中で農業等で生活をしておられる場所は避けたい、これが私の当初の考え方でございました。そこで、あらゆる候補地という候補地は調査をいたしまして、できるだけ避けたいという考え方でいろいろ候補地を物色したのでありますが、御承知のように、新空港はやはり備えなければならぬ大きな条件が三つ四つあるのでございます。一つは、東京都心から一時間ないし一時間半ぐらいで行けるという条件。それからもう一つは、空があいておらなければならない。地上だけの問題でございませんので、空があいてなければ、飛行場としてはどうしても役に立ちませんので、そういう大きな条件。それから地勢あるいはその他その土地が気象上もやはり航空の基地として適当であるかどうかということ。そういう点等を考えましていろいろ検討いたしました結果、富里地域以外にないという結論に達しましたので、地元の方々にはまことに気の毒でございますが、日本の将来の国際的な拠点としての新空港でございますので、そういう適当な場所はほかにございません関係から、あそこを内定することにいたしました。そうして、この上は地元の人たちの納得をひとつ取りつけて、その上で作業を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  70. 小川三男

    小川(三)委員 佐藤総理は、人間尊重ということを口ぐせのように言っているのです。あなたはその佐藤政府の閣僚の一人として富里を内定する。また、航空審議会の答申自体が——航空審議会は現地などに一度だって行っていないのですよ。これは平山委員長が国会へ来て答弁しているとおりなんです。これは運輸省航空局の事務当局のつくった案を、そのまま航空審議会はあなたのほうへ返しているにすぎないのです。したがって、気象の条件一つ取り上げてみても、あなたのほうでは気象庁から資料を取り入れたと言うけれども、富里地区は、航空研究会によるのは全然違っているのです。気象の条件一つ取り上げても違っている。それはこの間、参議院で、加瀬委員からその問題については追及されたはずです。それから土質の問題にしても、産業計画会議は、あそこは関東ローム層で非常に粒砂のこまかい不適当な土地であるということを発表しているのです。そうして審議会は、洪積台地で地質は良好である、こういうことを言っている。それはなぜかといえば、ボーリングなど全然してないのです。それから気象条件にしても、気象庁の問題でしょう。三里塚の宮内庁の牧場の中にある気象観測所と佐倉とを取り上げたと、こう言っているが、佐倉は小学校に委嘱してあるのです。あれはやっていませんよ。それから、午前九時の気象だけをとらえて、しかも霧やそういう問題については全然やっていません。やっていない資料を、どうしてあなたのほうでできるのです。これは航空審議会自体がやったんじゃなくて、航空審議会というのは単なる空名にすぎないのです。やったのは、航空局の事務当局がやったのです。したがって、そういうずさんな基礎の上に立って——この土質の問題にしても、気象の問題にしても、そのとおりであります。いわんや人間の問題を全然考えておらないから、こういう事態になるのです。富里の現状について、あなたたちは、責任ある地位の者が現に一度でも富里の現地へ行った例があるのか。あったら、それを伺っておきたい。
  71. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 本件の現地調査は非常に長期間にわたっておりますので、わがほうの担当官は、もちろん現地におもむいていろいろな調査はいたしておるわけでございます。先生御指摘の、特に気象、土質関係でございますが、これは参議院の予算委員会等でも問題になりまして、当時加瀬委員からお示しいただきました資料と気象庁の資料と精密に突き合わしていただいたわけでございますが、この結論は、気象庁から伺いますところによりますと、結論的には、霧日数に例をとりますと、東京、大阪、つまり羽田、伊丹等の条件に比してこの地点が特に悪いということはない、つまり羽田に比べて、気象関係から飛行場の位置として不適だという結論は出ないということに相なっておるわけでございます。なお、地質につきましては、御承知のように、昭和三十八年の経済企画庁で発表いたしました全国地下水深井戸資料台帳その他のデータによって判断をしたわけでございますが、そのデータによって作成される富里より八街地区のいわゆる柱状図によれば、富里地区における土質、地盤支持力等につき工事上問題がないという結論に達しておるわけでございます。もちろん現実に工事をやります場合には、さらに具体的にボーリングその他をいたしますわけでございますが、位置選定のための調査としては、こういうようなものでわれわれとしては十分結論を出し得るものであるというふうに考えておる次第でございます。
  72. 小川三男

    小川(三)委員 運輸大臣、あなたは地元の人に対する処置はどうするのですか。いいですか。富里は、十一月の二十三日に村有財産を提供しないという決議をしている。二十五日には全会一致で空港設置に対する富里地区反対の決議をした。十二月四日に山武町が反対の決議をしている。十二月十三日には八街町が反対の決議をしている。十二月二十一日に酒々井町、二十二日に四街道、十二月二十四日に芝山町、その他農業委員会、農協、消防団等がみんな反対の決議をしている。こういうように、地方自治体があげて反対の決議をしておるのに対して、地方自治権に対する処置をあなたのほうはどう考えているのか。
  73. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いろいろ今日の段階で反対の御意見があることも、私は承知いたしております。これに対しましては、やはり地元から要望されておりましたいろいろの条件等に対しまして、政府のほうでも急いで案をまとめまして、そうしてその案によって地元の方々とも相談しながら、皆さん方の御納得の上で航空基地設置に御協力を願いたい、かように考えておるわけでございまして、まず地元のほうから出されておりました条件の中で、買い上げ価格を大体どの程度で買うのか、これを早急に一応きめる予定にいたしております。それから代替地に、およそ三百万坪とか四百万坪とかいう代替地をということでございましたので、それについても、いろいろ代替地となり得る予定地等をいま案をつくっておる段階でございます。それから騒音対策とかあるいは転職等の場合に、いろいろの援助の方法等を考えてもらいたいというような、大まかにいいまして四つの大きな要望、条件が出されておりましたので、そういう問題について政府のほうで具体的な案をまとめまして、そういう案を提示しながら、地元の方方の御協力を得るように努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  74. 小川三男

    小川(三)委員 地元の条件というけれども、地元というのはどこをさして言うのですか。あなたのほうで内定している地元とは、富里ですよ。富里からこんな条件が出ていますか。大まかであろうが何であろうが、そういう四つの条件を富里からあなたのほうへ提示されておりますか。
  75. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この問題を進めてまいりますのには、どうしても県当局等の御協力が絶対必要でございますので、県当局等で地元と話をするためにはこういう問題がやはり解決しなければならぬのだ、こういうことから考え出された一つの条件というものでございます。
  76. 小川三男

    小川(三)委員 千葉県当局は、三月の県会で千葉県知事は、地元に対する説得は不可能であるということを県会に答弁しています。その説得することは不可能であると言っている県知事にあなたのほうで条件提示をして、それがどういう結果になるとあなたのほうでお考えになっているのですか。つまり千葉県知事に地元の説得を一切おまかせしてあるのかどうか。知事は地元の説得は不可能である、現段階ではできない、こう答えているのですよ。その点はどうなんですか。
  77. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この問題を進めてまいりますのには、どうしても地元の県当局等の御協力を得なければならないことははっきりしたことでありまして、当初県知事さんが、やはり地元と話を進めるのには、先ほど私が言いましたように、価格を大体どのくらいで買うのか、そういうことも提示してもらわなければ、地元と相談するにも話にならぬじゃないか、こういうことでございましたし、あるいは立ちのいてもらう人たちにはどういう土地を提供するということも、政府のほうで示さなければ話にならぬじゃないか、こういう意向でございましたので、先ほど言いましたような四つの大きな柱ともなるような問題等を政府のほうできめまして、そしてこういうことでひとつ地元のほうと話を進めていただきたいというようなお願いをするつもりにいたしておるわけでございます。
  78. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、地元というのは、富里ではなくて、千葉県当局であるということですね。
  79. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 地元と申しますのは、やはり飛行場の土地に生活しておられる方々でございまして、その方々に御相談をする手段としては、地元の県当局の手をわずらわして、そうしてそこで相談をしていただく、かように考えておるわけでございます。
  80. 小川三男

    小川(三)委員 運輸大臣、いまあなたは地元から条件の提示を求められたのでと言っています。富里は、あなたのほうへそういう条件を提示しているのですか。
  81. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 地元県ということでございまして、地元というのは、私のほうでは、政府からいいますと、やはり千葉県である、こう考えておるわけでございます。
  82. 小川三男

    小川(三)委員 あなたはいま、地元というのは当該地区である富里であると答えておられる。富里はあなたのほうにこういう条件など出してないですよ。なぜかといえば、村は反対を全会一致で議決しているわけです。出すはずはないのです。県当局は、この問題についてはもはやタッチしない、静観している。千葉県知事は静観して、地元を説得することは不可能であると答えている。こういう突き当たった壁をあなたのほうはどう打開して、空港公団を発足させようとするのか、その具体的対策があるなら、それを伺いたい。
  83. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 知事さんは、やはり静観をするというようなことを抑せられたといっても、地元のほうから要請があったりあるいは政府から要請があったときには、それには自分はこたえるのだということは申しておられたと思うのでありますが、まず私が考えますのは、やはり富里の地区におられる方々に納得していただくにつきましても、あるいは価格等の問題を交渉するにいたしましても、地元の県当局を介して御相談をするのが、その方法としても適切である、かように考えておるわけでございまして、やはり地元の皆さん方に一々御納得をしていただかなければならない問題でございます。
  84. 小川三男

    小川(三)委員 そうしたら、あなたのほうで地元へ提示したという四つの条件について、まず土地の価格について伺いましょう。
  85. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 土地の価格につきましては、いま政府のほうで具体的な問題を検討中でございまして、速急にこれはきめる予定でございますが、いまは価格をまだ幾らというところまではきめておりません。
  86. 小川三男

    小川(三)委員 これは、価格はいまもって提示できない状態である。そうしましたら、次は、代替地の問題はどうなるのですか。
  87. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 代替地の問題につきましても、大体このくらいは要るだろうと想像せられるだけの坪数をそろえるようにいま準備中でございまして、大体の見通しは持っておるわけでございます。
  88. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 ちょっと大臣の答弁を補足しますが、これは先ほど御説明申し上げましたように、知事との間にわれわれが話をした内容でございますが、補償額については、補償交渉にあたって知事の協力を得る必要があるので、知事の提示する額を尊重する——きまっていないということではなくて、知事の提示する額を尊重するという話を申し上げておるわけでございます。  それから代替地につきましては、これも前回申し上げたかと思いますが、原則として一対一を用意する、面積不足の場合には質的に一対一にする用意をするというような原則を掲げまして、国有地その他の点についても、お話を知事としておるわけでございます。
  89. 小川三男

    小川(三)委員 じゃ、知事が地元を説得し得る価格というものを幾らと、知事はあなたのほうへ要求してきているわけですか。
  90. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 これは非常に微妙なものでございますので、いろいろ現地の情勢その他についてはわれわれも承知しておりますが、具体的に知事が幾らと言って、こちらが幾らということを申し上げることは、差し控えさせていただきたいと思います。正式に知事が幾らと言って、わがほうがこれを幾ら認めるというようなやりとりは、いたしておりません。
  91. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、代替地も、原則としては一対一にしたいんだと言うけれども、じゃ代替地の所在地はどこになるのですか。
  92. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほど大臣からも概要を申し上げましたように、七百万坪の空港予定敷地に対しまして、県当局と大体お打ち合わせをいたしましたところでは、ほぼ四百万坪の代替地が必要だろう、これにはもちろん国有地、県有地、あるいはその他の私有地というようなものを、いろいろ具体的に、実は場所等についても県当局とはお打ち合わせしておる、こういうことでございます。
  93. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、非常に微妙なということで、知事から提示された価格については、あなたのほうでは千葉県知事には答えてあるということですか。ここで発表できなくても、千葉県知事に対しては答えてあるということなんですね。
  94. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 補償額については、知事が提示する額を尊重するということを申し上げております。
  95. 小川三男

    小川(三)委員 じゃ、補償額を尊重するということであるならば、知事はどんな価格をあなたに提示してきていますか。
  96. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 いままでの事務的な交渉では、先ほど申し上げたとおりでございます。
  97. 小川三男

    小川(三)委員 事務的な交渉では先ほど、と言うが、私が言っているのは、具体的に千葉県知事はどんな補償額をあなたのほうに求めてきているのかということを聞いているんです。あなたのほうの提示する補償額じゃないです。千葉県知事の求めてきておる補償額です。
  98. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 知事さんからも、具体的に幾らということではまだございませんが、土地によって値段等も違いますので、大体あの地方の土地というものはどのくらいであろうということが、地元の知事さんとしてはおおよそ相談の過程においては出てくるはずでございますから、その際に知事さんの気持ちというものを尊重して、政府はこれに応じていくということを相談しておる段階でございまして、金額の段階にはまだ触れておりません。
  99. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、あの富里地区の中でも、場所によって価格が違うということを、運輸大臣、あなたは言われましたが、富里一村の中でも、それほど大きな価格の差があるとあなたのほうでは考えておられるのですか。  それともう一つは、千葉県知事との間には、具体的な価格については何もやっていないということなんですか、それともやっているということなのか、その点……。
  100. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 これは補償が基本的な問題でございますから、いろいろな数字的なお話はもちろんしておるわけでございますが、これを具体的に申し上げることはお許しを願いたいということでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、知事が正式に価格を出して、こちらが幾らというようなことはしてない。しかし、いろいろ話の中で、金額をもちろんいろいろ出して、近傍の取引実例その他のものの調査をして、それについての相互の感触を述べるというようなことは、もちろんやっておるわけでございます。
  101. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、いままでの段階で、千葉県知事との間には、少なくとも価格などについて、坪幾らであろう、反幾らであろうと、価格の問題について知事との間にあなたのほうでは、事務的であろうが何であろうが、折衝されたということを確認してよろしいのですか。価格は全然何にもやっていないのか、それともやっておるのか。
  102. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 いままでの事務的な折衝の経過は、以上申し上げたとおりでございまして、知事さんの提示する額を尊重するという基本線を出しておるということでございます。
  103. 小川三男

    小川(三)委員 幾らあなたとやっていても時間がなんだが、価格についてはまだ全然触れてないということなんですか。知事の要求する補償額は尊重するということは、あなたのほうで知事に言ってあるだけで、具体的な価格についてはまだ何もやっていないということですか。
  104. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 もちろん買収のことでございますから、いろいろな取引実例その他を調べ、それについてのいろいろな考え方、意見を交換するということはしております。しかし、それが正式に知事が提示した額になるかどうかということになりますと、これは先ほど来申し上げておるように、知事としてはまだ正式には額を示さない。わがほうは一応それらのいろいろな情勢を聞きまして、知事さんの御意見を尊重するということであったというのが、従来の事務的な打ち合わせの現段階の状態でございます。
  105. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、まだまだ価格の問題などについては、知事の提示した額は尊重するという程度のことをあなたのほうでは伝えてあって、具体的には何も触れてないということですね。それでよろしいのですか。
  106. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほど来申し上げておるように、まだ非常に微妙な段階でございますので、内容についてはお許し願いたいと思いますが、内容の話は事務的にはもちろん若干いたしております。
  107. 小川三男

    小川(三)委員 それなら、さっきから言っているでしょう。あなたは価格の問題についてやっているのでしょう。やっておりながら、やっていないようなことを言うから、そういう問題になるのです。そうすると、千葉県知事との間には、具体的にこの問題について処理に当たっていたのですね、いまは知事は静観であっても。
  108. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 いずれにいたしましても、これは知事が静観の態度をとられる前の打ち合わせの経過を申し上げたわけでございます。もちろん数字的なものは話はいたしておりますが、現在においては、こういう段階で幾ら幾らにきめたということは申し上げられないということでございます。
  109. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、知事がいま静観の立場、地元の説得は不可能に近い状態であると言っているのは、それはそれでよろしいとして、あなたのほうで、知事が地元へ行って説得すべき価格を提示されないのですよ。だから、知事は地元へ行かれないのじゃないですか。それはどうなんです。知事との間に価格の大きな食い違いがあるんじゃないですか。
  110. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 知事との間に価格の食い違いがあるわけじゃございません。政府としても知事の意向は、局長がさっき言いましたように、尊重してこれに対処するということでございますから、価格の食い違いはありませんが、ただ、大体幾らくらいという目安を政府で早急にきめて、そうして知事さんのほうにまたお願いしなければならぬということになっております。補償価格の問題につきましては、そのほかいろいろの関連した、きめなければならぬようなことがございますので、そういうものを速急にきめて、交渉を早く進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
  111. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、やっているのか、全然やってないのかということです。あなたのほうで内定を発表してからもう半年になろうとするのに、いまもってその価格についてお互いに額を出さなかったら、どうしてこれを打開しようとするのですか。出したものが折り合いがつかないで停滞しているのか。それとも、両方とも全然出してないのか、その点だけ伺っておきます。
  112. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 地元としては、大体どこを幾らで買えという話があったわけではございませんので、具体的な交渉があったということじゃございません。飛行場の敷地のおおよその価格の基準を早くきめて知事に示さなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  113. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、あなたのほうで基準を示す段階にあるわけですね。
  114. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いま言いましたように、知事さんの意向を尊重してきめることが原則でございますが、知事さんのほうからお話があった場合には、それに対応するだけの、政府としての腹づもりを早くきめなければならぬ、こう考えておる段階でございます。
  115. 小川三男

    小川(三)委員 土地を必要とするのは政府なんでしょう。あなたのほうなんですよ。空港公団であってもいい。千葉県知事は別に土地を必要としてないわけです。千葉県知事が幾らで買えという額をあなたのほうへ提示してあるのか、ないのですか。
  116. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 まだ全体の価格は、ここが幾ら幾らというふうな数字を提示されておるわけじゃございません。
  117. 小川三男

    小川(三)委員 この問題はどうも隠しておるようだから、土地の問題に触れますが、七百万坪というのは飛行場の敷地でしょう。飛行場の最小限に必要な敷地が七百万坪でしょう。そうしますと、かりにこれだけが飛行場である。これが七百万坪である。これから一メートル離れたところに民家があったとして、これはあなたのほうで買い上げる対象にはならないのかどうか。ここに危険区域もあれば、騒音の地域もあるでしょう。そういうものを含めて七百万坪なのか、その点どうなんですか。
  118. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 七百万坪は、敷地の予定面積でございます。現実に買収の場合には、土地の形状その他によって買収残地が生ずるというような問題は生ずると思います。
  119. 小川三男

    小川(三)委員 いや、私の聞いておるのはそうじゃないのです。残地なんか出るのは当然のことですが、そうでなく、七百万坪の敷地を確保し、飛行場を確保するために、危険区域というものがあるでしょう。それは全然考えていないのですか。
  120. 手塚良成

    ○手塚説明員 先生のおっしゃる危険区域という範囲は、おそらく騒音による被害を受ける範囲というふうに考えるわけです。その騒音の被害範囲につきましては、やはりある種の対策を必要と考えております。現在その範囲をどの程度にするかということについては、先ほど来いろいろお話が出ておりますように、県当局ともお話し合いをしたしております。現在のところ、防衛庁自体が軍用飛行場に関しておやりになっておりますような範囲について、一応われわれもその内容実施していこうということに考えております。なお、具体的に申し上げますと、たとえば九十ホーン以内の民家について、これの移転補償を考える、あるいは病院、学校等につきましては、八十ホーン以内についてその移転補償あるいは防音工事の補助等を考える、そういった意味合いの騒音対策を考えております。先生のおっしゃるように、飛行場のすぐそばであるので、それを一緒に買い上げるということは、土地については考えてはおりません。また、その必要もないのではないか。羽田の国際空港の周辺をごらんになりましても、そういう実例等からいたしまして、その必要はない、いまのような騒音対策で考える、こう考えております。
  121. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、残地などは別として、基本的には七百万坪以外の土地は一坪も必要としないと言い得るわけでしょう。
  122. 手塚良成

    ○手塚説明員 飛行場用地そのものとしては、必要がございません。ただ、代替地という意味で、七百万坪の内容をどういうところに求めるかということはございます。その一部についてまた代替地を求めるということは、一応考えることはあろうと思います。飛行場敷地そのものとして、七百万坪以上は考えておりません。
  123. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、七百万坪の飛行場ですから、九十ホーンの範囲内をどの辺に押えておりますか。七百万坪の飛行場があるでしょう。それから円周に描いてどの辺の距離までを九十ホーンと考えておりますか。
  124. 手塚良成

    ○手塚説明員 これはちょっと簡単に口で申し上げるのはむずかしいのでございますが、非常に端的な別な言い方で申し上げますと、滑走路の末端から三キロメートル、幅下五キロメートルの区域内、これは必ずしも矩形ではございません、先のほうはむしろ円型にくびれるようなかっこうの範囲ということになると思います。
  125. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、この範囲内の人たちに対しては、あなたのほうで立ちのいてもらわなければならないのか、それとも立ちのくか立ちのかないかをここにいる地元の人たちの自由な選択にまかせるのか。
  126. 手塚良成

    ○手塚説明員 それは自由な選択におまかせするつもりでおります。事実そういうところで住めないというものではないのでございまして、羽田などでの周辺をごらんになりますと、そういう範囲に十分住民が日常生活を営んでおりますし、また住家として住めないという場合は、農地はそのままにして家屋だけ移転するというようなことも考えられます。したがって、全然そこをあき地にしておくという必要はないと思います。要は、先生おっしゃるように、住民の自由意思でけっこうだと思います。
  127. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、この周辺の人たちに対しては、もはやあなたのほうでは何ら交渉の対象とは考えていない。地元が交渉に来るなら別として、あなたのほうとしては交渉の対象には考えていない、こういうことで理解してよろしいのですね。
  128. 手塚良成

    ○手塚説明員 ただいま申し上げたような意味におきまして、交渉の対象であるということになるわけです。
  129. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、自由選択にまかせると言っておきながら、交渉の対象というのは、どういうことなんですか。あなたのほうが交渉に行くのでしょう。向こうから来るのを待つのですか。どうなんですか。
  130. 手塚良成

    ○手塚説明員 そういう範囲の中で、われわれのほうから移転されたらどうかという申し上げ方もございますけれども、当然お話としては、そういうところが問題になるでしょうから、われわれのほうでそういう範囲についてこういう方策を考えるということによって、相手のほうからの御交渉が出てくるという意味の交渉になるわけです。
  131. 小川三男

    小川(三)委員 代替地四百万坪用意してあると言うけれども、代替地四百万坪の地域はどことどこですか。
  132. 手塚良成

    ○手塚説明員 先ほど局長が御答弁申し上げたとほとんど同じようなことでございまして、県御当局との相談の結果も、県では県有地は全部この際出そう、したがって、国有地もまたそれに対応して何とか全部出させるようにやってくれ、こういう御要望が出ております。これだけでは四百万坪に足りないので、それ以外について、また私有のところを、先ほど騒音でも申し上げましたように、必要な範囲を買収して代替地に充てるというようなことも考えなければならぬと思っております。ただ、その場所については、具体的にどこだということをいま申し上げるのは、必ずしも適当ではなかろう、私どものほうで事務的に県御当局とお話し合いを進めておる具体的な場所もございますけれども、いまの時期では適当でないと思うので、控えさしていただきたいと思います。
  133. 小川三男

    小川(三)委員 この四百万坪の中の国有地の中に、三厘塚の宮内庁の御料牧場は含んでいますか。
  134. 手塚良成

    ○手塚説明員 そこへ含めるかどうかということについて、ただいま政府部内においていろいろ検討はなされております。
  135. 小川三男

    小川(三)委員 現在の段階では、この四百万坪の中に含んでいないということですか。じゃ分類して、この中で県有地と国有地と私有地、三つであなた答弁されているけれども、場所はいいとして、大別した面積を言ってください。
  136. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 代替地につきましては、こっちで予定しておりますようなところを明確に申し上げますと、いろいろの関連が出てまいりますので、この段階では申し上げることを差し控えさしていただきたいと思います。   〔長谷川(四)委員長代理退席、委員長着席〕
  137. 小川三男

    小川(三)委員 面積ですよ。別にどこに幾らと言っているのじゃない。国有地が幾ら、県有地が幾ら、私有地が幾ら、あなたのほうで三つに分けて答えているから……。
  138. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 代替地につきましては、早急に取りきめまして決定いたしたいと思っておりますが、いまの段階では、先ほど申しますようにいろいろ差しさわりもございますので、きょうのこの時点においては遠慮さしていただきたいと思います。
  139. 小川三男

    小川(三)委員 それはおかしいじゃないですか。別に価格と関係ないでしょう。県有地が何ヘクタールある、国有地が何ヘクタールあるということ、私有地はじゃよろしいとして、県有地と国有地について、どうして面積を答えられないということがありますか。
  140. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 全体で約四百万坪ということで御了承願いたいと思います。その線で努力をしておるところでございます。
  141. 小川三男

    小川(三)委員 代替地四百万坪。あなたはいま飛行場の敷地に必要なものは七百万坪なんですと、さっきはっきり言っているように、七百万坪の敷地は必要なんです。そういうことについてはいいとして、県有地が幾らあって国有地が幾らあるという、提供できる県有地、国有地が幾らあるかという、面積についても答えられないのですか。そんなことは価格と関係ないでしょう、国有地や県有地は。
  142. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先ほど来大臣も申し上げておるように、代替地は非常に重要な問題でございますが、まだどこを幾らということを申し上げるのが、いまの時期では非常に問題が多いかと思いますので、ひとつごかんべんを願いたいと思います。
  143. 小川三男

    小川(三)委員 どこを幾らと聞いているのじゃないですよ。飛行場の代替地として提供できる国有地は、総面積で幾らあるのか、県有地は幾らあるのかと聞いておるのですよ。どこに幾らあるということを言っているのじゃないんですよ。そのくらい答えられないことはないでしょう。
  144. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国有地と、あるいは県有地の中でも、農耕地としてどの範囲が適用地とされるかというようなことをいま調査中でございまして、きょうの時点でいま県有地が幾ら、国有地が幾らと具体的に申し上げる段階でございませんので、御了承願いたいと思います。
  145. 小川三男

    小川(三)委員 あなたのほうで内定を発表しておるにもかかわらず、半年になっても決定できないのは、あなたのほうが尽くすべき仕事をやっていないんですよ。じゃあ伺いますが、この県有地や何かは、いまあなたが言われたでしょう、農耕に適するかどうかという問題があるでしょう。たとえば房州の鬼泪山などをあなたのほうで、これは国有地だから提供できる、県有地だから提供できるといったって、あんな山がどうして農耕地になりますか。ならない。ですから、あなたのほうで発表しないんです。できないんです。ないんです。代替地なんというものは、あり得るはずがないんです。ゴルフ場三つとればいいといっているけれども、ゴルフ場は私有地です。しかも三里塚のゴルフ場など、あんなものは農耕地に適さないからみな売ったんです。地元の人はよく知っています。  それからもう一つ、あなたのほうへ誘致派という人たちが来るでしょう。地元に誘致したいと言ってくるでしょう。その人たちの素質や、その人たちの事業状態というものを、あなたのほうで一度でも調査されたことがありますか。
  146. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私らのところにも、誘致派というか、賛成の人たちがかなりたくさん見えますが、その人たちの土地をいろいろ調査したり、いろいろやったりしたことはございません。しかし、現地に生活していらっしゃる方々であるということだけは、はっきりいたしております。
  147. 小川三男

    小川(三)委員 たくさん来るとあなたはおっしゃいましたがね。誘致派の人たち、彼らは誘致派と言っていますが、誘致派の人たちは、どんなに大会を開いても、五十名をこえないんです。五十五名をこえていません。八街の商工会議所で絶えずやっております。しかもこの中に入っているのは、はっきり言っていいですよ、ばくち打ち、談合屋、いわばあの土地にもういられない条件を持っている人たちなんです。そういうものの言い分を聞いて、他の仕事をしている農業者の立場というものを、あなたのほうでは実情を調査してないのです。あなたのほうで、最近にでも現地へ行って、現地調査をされたかどうか、された実例があるなら、伺っておきたい。
  148. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 先生お話しのように、最近において特に現地調査はいたしておりません。
  149. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、あそこの居住者——土質や気象の状態は、あなたのほうの答弁でよろしいと仮定しても、あそこに住んでいる人間の状態をどうするのか、それについてあなたのほうでどうして調査されないのか。
  150. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 これは先ほど来申し上げているように、具体的にいろいろな条件その他について、なお政府部内の検討その他話を進め、そうしてそれによって現地に十分納得していただくようにわれわれとしてはいたしたい、こう考えておるわけでございまして、事前に特に何らかの前提を設けて調査をするということを、必ずしも考えておらないわけでございます。
  151. 小川三男

    小川(三)委員 一番重大な問題は人間の問題なんです。佐藤総理の言っているとおりなんです。一例をあげましょうか。あなたのほうでもし誠実に飛行場をあそこにしなければならぬという考えで調査をされたのなら、よくわかると思いますが、富里の役場へ向かって左側に、あそこに七軒の農家があります。あの七軒の人たちは、村山の貯水池で水没にあうので、全部移転して八街へ来たのです。そして八街で陸軍の飛行場ができるために追われて、あの人たちは行くところがない。しかも当時東条政府のもとで追い出したのですから、おまえたちはかってに行けと言われておった。そこでわれわれが協力して、あそこに三菱の岩崎の山林があって、その山林をようやく手に入れて、あそこに七軒の人たちが来て農業を営んでおるわけです。立川の飛行場のために追われて八街へ来て、八街の飛行場で追われて富里へ来ている人もある。この人は、またもう一度この飛行場のために追われるなら、生涯の間に三回追われるわけです。こういう人たちがたくさんいるわけです。富里に双葉という部落があります。約三十戸ある。そこの人たちは、全部満州から引き揚げてきた。あれは国策で満州の開拓村へ行かれた。だから国策を信じません。あの人たちは国策と言われて満州の開拓地へ行って開拓をして、そして引き揚げてきて、行くところがないので赤羽の火薬庫のあとにいたのです。そうしてこの人たちは、房州の山も調べ、それから那須の山も調べ、あらゆる土地を調べた結果、富里に落ちついているわけです。あの双葉の部落は、全部落がそうです。そういうような、置かれている人たちの条件というものを、あなた方は全然調査してない。航空審議会ももちろん調査してない。運輸省当局も調査してない。そういう実情を調査することなくして、これを単に強行しようとしても、それはできない。この間、あなたのほうへ抗議がきているでしょう。なぜ現地について調査しないのですか。何のためにいまもって全然調査してないか、その点、あなたのほうの考え方を伺っておきたい。
  152. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、小川委員の仰せられるように、地元の人たちには非常に御迷惑と考えておることは重々考えておりますが、いま言われるように、前に過去どういう形であったのか知りませんけれども、追われて行くという形でなくて、私は、やはりあたたかい準備をしてそこにお迎えするというような考え方で、地元の人には場所をかわっていただく、こういう考え方のもとに御相談をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  153. 小川三男

    小川(三)委員 あなたのほうで現地について調査してないから、私のほうから参考のために申し上げましょうか。いいですか、旧法で申し上げますよ。一町から一町五反の農家が八街で六百三十四戸、一町五反から二町が六百十五戸、二町から三町が六百八十五戸、三町以上が百二十二戸、こういうような土地を、しかもあなたのほうでは、事務当局は飛行機の上から見ておられるのですよ。それが非常にこういうような事態になってくる原因なのです。航空審議会もそうでしょう。飛行機から見ると、点々として家がある。あとは、この家を包んで広い耕地がある。それはなぜかといえば、以前あの人たちは交換分合をやって、自分の家の周辺が全部自分たちの耕作地なのです。したがって、飛行機から見て、家が点々としてあって耕地が広いから、ここは飛行場に適地であるとあなた ほうでは考える。現地にすれば、自分の家からもう前全部が自分の耕地なのです。家が点々としてあるということは、そういうことなのです。したがって、この耕地は守らなければならない。点々として家がある、広い耕地があるということは、地元の人たちにとっては必死の必要なものなのです。あなたのほうが飛行幾の上から見て、これは広い場所でいい場所だと考える、それがこういうような事態に追い込んだ最大の原因です。したがって、あなたのほうでは現地に行くべきですよ。中村運輸大臣、あなたはどうして現地に行かれないのです。調査に行かれたらいい。
  154. 佐藤光夫

    佐藤(光)政府委員 新空港の事業をいたしますためには、まず位置を決定し、位置を決定した後に、現実に先ほどの先生御指摘の公団の具体的な事業が始まるわけでございますが、われわれとしては、ともかく富里地区の農業の状態その他についても、一応位置を決定して公団を発足させるために必要な調査は、いままでしたつもりでございます。なお、具体的な精細な所有地の決定あるいはこれに対する補償措置その他については、公団の発足後に具体的になされる、そういうふうにわれわれは分けて考えておるわけでございます。
  155. 小川三男

    小川(三)委員 私が伺っておるのは、中村運輸大臣、あなたは少なくとも主管大臣としてなぜ現地に行かれないのかということを聞いておるのです。行けないのか、それとも行く意思が全然ないのか、その点について聞いておる。
  156. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いままで二カ年半以上かかって、新空港の予定地につきましては慎重に技術的に検討を加えてまいって結論を得ておるのでございまして、そういうことで、内定の段階までの手順は整えておるわけでございます。私がしろうとであそこに行ってみたって、技術的にわかるものじゃございません。いまの段階で行こうとは思っておりません。
  157. 小川三男

    小川(三)委員 佐藤局長もお答えになられましたが、位置はあなたのほうでかってに決定できます。いまは内定ですが、決定できます。けれども、敷地を取得する見込みがあるかどうかということです。敷地を取得することができなければ、公団法にもあるでしょう、空港公団が確実に取得することができるということを認められなければ、運輸大臣は認可できないでしょう。どうなんです。位置はあなたのほうで決定して、空港公団を発足できますよ。けれども、敷地を取得することができなければ、せっかくできた空港公団、この飛行場の認可をあなたはできないんです。どうなんです。
  158. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、皆さんの御協力を得て公団を早く発足させていただきますれば、地元の納得を取りつけながら、空港の敷地の獲得はできるものと確信いたしております。
  159. 小川三男

    小川(三)委員 敷地の獲得はあなたができるという確信をお持ちであるということであれば、あなたは松浦前運輸大臣から一切の引き継ぎをおやりになったでしょうが、富里、八街地区の人たちが、血書を持って当時松浦大臣のところに嘆願に来ております。あの血書をごらんになりましたか。
  160. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、賛成、反対、いろいろの陳情書は全部拝見いたしました。
  161. 小川三男

    小川(三)委員 ですから、私の言っているのは書類じゃないんですよ。あなたは血書をごらんになりましたかと聞いているのですよ。
  162. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 そういうのも反対陳情書の中の一部分であろうと思っております。
  163. 小川三男

    小川(三)委員 これは、千葉県当局、運輸省を含めて、一番多く陳情に来ている人は百三十八回です。これは富里の反対同盟の会長の久保忠三君です。いままで血書も嘆願書も持ってきた。あらゆる手段を尽くして嘆願し、陳情し、請願してきた。けれども、われわれのこの請願や陳情やそういうものは一切考慮されない。内定に持ち込んできた。この責任はあげて政府当局にあるんだ。したがって、地元は、この間も言ってきているでしょう、抗議の文書を持ってきているでしょう。あの末尾に書いてあります。このまま強行すれば、流血の事態が起こることをあえて宣言すると言っています。そういうような事態をもう二年有半、三年にわたって地元に対してやっているのですよ。あなたは迷惑かけないように、犠牲を払わせないようにと言っているけれでも、三年にわたっておまえの土地が飛行場に適地であると言われて、やめるのかやめないのか何ら具体的に進行せずにほっておかれる、この事態が地元に対してどんなに大きな迷惑であるかということ、運輸大臣、あなたは責任を持ってこれに対処すべきですよ。
  164. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、全国各地に飛行場をつくっております経験から考えましても、やはりどこの地区にも反対の方があるのでございますが、それを政府が誠意を持ってこれに対処しておりますと、結局は納得してもらって、それぞれ飛行場の拡張等が行なわれておるのが実情でございます。私は、富里地区に対しましても、政府が誠意を持って事に当たっていけば、理解していただけるものであると考えております。そのためには事業団を早く発足させて、その事業団が出向いてまいりまして、いろいろ折衝して地元の納得をいただけるような措置をする機関でございますので。早急に公団発足に御協力を願いたいと考えております。
  165. 小川三男

    小川(三)委員 では、最後に一つ伺っておきたいのは、地方自治体が反対を議決しているときに、特に富里村は村有財産は一切提供をしないということを議決しているのです、この地方自治体の自治権に対して、あなたはどう考えられますか。
  166. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、いま言いますように、自治体等にも権利とかそういうことでなしに、やはり納得のいくように政府は誠意を持って当たれば、それはかたい権利とかいろいろのそういうことでなくて、話はつくものである、またつけなければならないと考えております。
  167. 小川三男

    小川(三)委員 いや、私が伺っているのは、地方自治体が議決してあるこの自治権に対して、あなたはどうお考えになるのか、尊重するのかしないのかということです。
  168. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 自治体の方々にも、私は協力していただけるように、あらゆる誠意を持って対処していくということでございます。
  169. 小川三男

    小川(三)委員 結局あらゆる誠意というのは、そうすると——自治権は、もうすでに議決してあるのです。議決してある時点に立って、あなたはこれを尊重するのかしないのか。これから誠意を持ってくどき落とそうとか、そんなことを聞いているのではないのです。現時点で、すべてあそこの地域の人たちが議決してある、しかも満場一致で議決してあるのですよ。その議決権を尊重するのかしないのかということです。
  170. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、先ほど申しましたように、全国各地で航空基地をつくってまいりました経験から考えましても、やはりいろいろ強い反対の意思表示等がありますが、こっちが誠意を持ってこれに対処していきますと、最後は納得していただいて、円満裏に飛行場ができておるというのが実情でございます。私は、今度の新空港の予定地も、やはり全国各地の状態と同じように、誠意を持って事に処すれば納得していただけるものである、かように考えておるわけであります。
  171. 小川三男

    小川(三)委員 私が聞いているのは、あなたが誠意を持って努力するかしないか、聞いているのではないのです。現時点で、議決してある地方自治体の自治権は尊重するのかしないのか、しないならばしない、するならする、こういって答えてもらえばいいのです。
  172. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、あらゆる反対をしていられる方に納得していただくように手を尽くすつもりでございます。
  173. 小川三男

    小川(三)委員 困ったですね。私の聞いているのは、自治権を尊重するのかしないのかと聞いているので、あなたに誠意があるかないかなんて、そんなことを聞いているのではないのです。いいですか、さっき私が申し上げたように、関係町村は全部反対を議決しているのです。これから先どうそれが変化するかは別問題なんです。現時点ではみんな議決しているのです。その議決している自治権をあなたは尊重するのかしないのか。
  174. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私があらゆる反対の方々に納得していただくように誠意を持って当たるということ自体は、尊重しておることであると私は了解しております。
  175. 小川三男

    小川(三)委員 どうも運輸大臣、あなたは何回もくどく——あなたがくどいのですよ。私がくとく聞いているのではない。私は簡単明瞭に聞いているのです。自治権は尊重するのかしないのかと聞いているのですから、尊重するならする、しないならしないと明確に答えてください。
  176. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私があらゆる反対をしておられる方々に納得していただくように誠意を持って善処するということ自体が、私は尊重しておるということを含んでおる、かように考えております。
  177. 小川三男

    小川(三)委員 そうしますと、よろしいですか、あなたのほうであくまで誠意を持ってやるということを、あなたはここで言明されましたね。そうすると、強権をもってやるということは一切用いませんね。土地収用法やその他の発動はしないということを、ここで言明できますか。
  178. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、いまそういうことは考えておりません。
  179. 小川三男

    小川(三)委員 そうすると、地元の反対の勢力は、議決してあるのですから、これはよろしいです。地方自治体は議決をしたのです。けれども、住民の全体の意向として、あなたのほうでは分類して、絶対反対、いかなる条件にも応じない、あるいは出た条件によっては、あなたの誠意だ、誠意をもってくずし得るというものを、どういうぐあいに把握しているか、それを伺ってみましょう。
  180. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、全員納得していただけるという自信を持って対処しておるわけであります。
  181. 小川三男

    小川(三)委員 これはいつまでやっておってもしかたがないのですが、私があなたに聞きたいのは、少なくとも現地を調査すべきだということです。行ってごらんなさい。あそこにあきカンやその他をぶらさげて、変な人が来たら、鐘をたたくのです。たたけば、竹やりやフォークみたいなものがあるでしょう。そういうような事態にあなたのほうが追い込んでしまったのです。ここに田口先生おられますけれども、「郡上の立百姓」という芝居があるでしょう。あそこの農民の人たちは、富里やあの地区の人たちは、県庁に陳情にきても、自分たちでごみとりやほうきまで用意してきて、たばこの吸いがらなど会場を全部きれいにそうじして、そしていすももとどおりに整然と並べて陳情を続けていたわけです。それが県庁の正面のガラスをこわして、知事に言わせれば、乱入と言っている。これは正々党々と入っていったのです。そういうような事態に農民を追い込んでしまった責任は、これは歴代の運輸大臣にもちろんあるのです。まずこれを内定状態の中で取りやめる意思はないのか。富里をやめますということを——あなたがほんとうに誠意があるならば、政治家としての誠意があるならば、富里はやめますと言うべきですよ。どうなんですか。
  182. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、地元の人たちに非常に強い反対の姿に立ち至らせました責任は、私らのほうにもあるということを反省いたしますが、いま小川委員も言われますように、あの地元の人は非常にまじめな、りっぱな生活をしておられる農民の方でございます。こういう方々には、新空港の必要性をよくお話し申し上げて、そうして地元の方の納得のいくような誠意ある処置をすれば、私は納得していただけるものであると確信を持っておるものでございます。
  183. 小川三男

    小川(三)委員 最後に言っておきますが、政府の中に、特に運輸省の中に、社会党や共産党が地元をあおっているのだ、佐々木委員長がこの間行ったら、ああいうことをやられたんじゃ困るというような意見が非常にあるそうですが、それも現状に対する認識の誤りです。伊能先生帰られましたけれども、富里は歴代、長い間自民党のいわば選挙においても金城湯池であったのです。あの人たちは、自民党一本やりであらゆる陳情を続けてきたのです。ところがことごとく裏切られている。そういう事態に農民を追い込んでいるんです。いまあなたのほうでもし視察に行かれるということならば、私たちが責任を持って出ます。われわれが出ないでほうっておいたら、どんな事態が起こるか——現時点で起こりますよ。特に運輸省の者ですなんて言ったら、どんな事態が起こるか、それをはっきりぼくは言っておきます。ですから、知事との陳情の場合でも、われわれが絶えず知事の立場にいて、それをセーブしているんです。ですから、これは革新団体がどうのこうのというような問題じゃないのです。いままでこういうように農民を追い込んでしまった全責任は、運輸省当局にあるのですよ。政府当局にあるのです。これをまず反省して、富里はやめますということをあなたが声明するしかない。
  184. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、富里地区の反対決議に対しましては、政治的な、社会党とか共産党の方方がどうこうということは毛頭考えておりません。ただ、現在新空港が必要であるという見地に立って、そうしてあらゆる地理的条件、その他先ほど言いましたような新空港の備えなければならない条件から検討いたしました結果、どうしても富里以外に適当な場所がない、そういう事情でございますので、地元の方々に対しましてはまことに恐縮でございますが、御協力をお願いいたしたい、かように考えておるわけでございまして、これは社会党の皆さん方にさがしていただきましても、私は富里以外にないという結論になると思う。そういう気持ちを持っておるのであります。そういうことでございますから、その他のいろいろな反対陳情等に、いろいろの人があおったとか、そういうことは毛頭考えておりません。
  185. 木村武雄

  186. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、私おしまいの質問をごく簡単にしましょう。改正点に忠実に、第一点の問題点をまず指摘させていただきます。  今度の改正案で、その第一のポイントは、海上の航空安全を強化するために、海上保安庁と船舶局の任務を強大にするという趣旨であります。そのことに関連して先ほど来航空関係の質疑応答が熱心に繰り返えされたのでありますが、海上輸送というもの、また海の男の海上交通に寄与する度合いというものは、非常に大きなウェートを占めておる。現に海上輸送量から言いましても、鉄道あるいは自動車の輸送量に比べて、海上の船舶輸送の量のほうがうんと大きくて、四二%をこえる統計も出ておる。こういうときに、海難防止策というものを一方で講じながら、海上交通の安全をはかっていくということは、これは非常に大事なことで、この点は改正の趣旨に全幅の賛意を表します。ただ、従来改正をされて、機構上のある程度の手直しがされたという気休めに終わる危険があるのでございますが、ずばりお答えを願いたいことがあります。それは現在の海上交通の安全を確保する体制というものが、まず船舶そのものにおいて、通信の上において、人的資源の上において、どういう形になっておるかということを率直にひとつ国民の前にお答えを願いたいのです。非常に進歩したかっこうでこれらの問題が解決する方向にあるのかどうか、あるいは憂慮すべき実態に立ち至っておるのか、その大まかな点だけをまずお答え願いたいのです。
  187. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 先生の御質問にお答えいたします前に、昨今の海難の実情に触れてみたいと思いますが、御承知のように日本は非常に海難が多いという話がございます。しかし、ここ三、四年の状況を見ますと、大体数字的に申し上げますと横ばいないしは若干減少ぎみであるということでございます。その内容を見ますと、海難の約四〇%は漁船、他のものが汽船、機帆船でございます。しかもそのうち漁船は若干減少の過程をたどりつつございまして、汽船のほうの小型鋼船は海難の件数がふえております。小型鋼船はその保有隻数の大体一一%内外のものが海難になっているということで、小型鋼船の海難、要するに小型鋼船の海上輸送という問題につきましては、海上保安の立場から申し上げますと非常に大きな問題だと思います。  こういう実績に基づきましてそれぞれの所掌に応じて善処されていると思いますが、先ほどお話のありました通信の問題につきましては、一般船舶の通信設備状況等につきましては、先生がおっしゃいましたように、致命的なとかそういう問題はございませんが、やはり必ずしも十分な状況ではないと言えると思います。ただし、私たち海上保安業務に従事しております巡視船艇あるいは陸上の通信設備につきましては、もちろん一〇〇完ではございませんが、現在のところ通信の近代化に即応いたしますように、たとえば電電公社で近来その整備を急いでおりますVHF網の進捗に即応いたしますように、VHFの十六チャンネルの保安通信網の整備が五年計画の大体三年目に入っておるような状況でございまして、主として瀬戸内あるいは伊勢湾、東京湾というような沿海におきましては、VHFで保安通信ができるという体制にほぼ達しておるような状況でございます。  そのほか巡視船艇につきましては、従来約二六%くらいの非常な老朽船がございましたが、これもおかげで毎年代替建造が促進されまして、四十一年度の予算では、マリアナ集団海難の経験にもかんがみまして、二千トンの巡視船あるいは国産機の一番大型機でございますYS11の購入等海上保安体制の近代化並びに整備に着々つとめておる実情でございます。
  188. 岡田良一

    ○岡田(良)政府委員 人的な面からの海難防止に関する点でございますが、御承知のとおり船舶職員法という法律がございまして、政府といたしましては、自動車の運転手と同じように、一定の資格を持たなければ船の航海なり機関のほうの運転ができないという法律を制定しておりまして、船の大きさによりましてそれぞれの資格を異にいたしております。そういう面が人的な面で海難防止を行なっております基本的な線でございます。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 非常にたんたんとお述べになりましたけれども、実態は容易でないことは、私が指摘するまでもなく、海上保安庁ですでに統計を出しておられる三十九年の遭難機帆船七百七十一隻の無線設備状況を見ても、電話の備えつけがあったのが十一隻、ラジオだけが百四十一隻で、あとの六百十九隻、八〇%というものはつんぼでありおしであるのです。そういう全然設備のないのが大半である。これでは、全くつんぼとおしが、洋上へ乗りかかって地獄へ飛び込むのがもうわかっているようなかっこうで出漁しておるという状態じゃございませんか。  それから、最近三、四年は横ばいだとおっしゃっておりますけれども、三十六年の遭難隻数三千四百六十六隻、千三百四十人の死亡、行方不明者を頂点にしてやや横ばい、多少減る年もありますけれども、しかしながら、その傾向は全損海難というのが非常に多い。それから遠洋出漁者に非常に犠牲が多くなっているというような傾向が生まれておる。人間が一ぺんに千三百名以上も海で死ぬ。航空機でこの間なくなられた方々、われわれはたいへん残念でございますけれども、航空機事故に比較して海難にはなお多くの犠牲者が出ているわけです。いまお答えになられた小型鋼船、これをだんだんつくっておられるということであるけれども、百トンから五百トンあたりのこの小型鋼船に非常に犠牲者が多いわけなんです。  そこで、特に日本のような湾曲の多い地域に対して、海難を防いで生命と船舶の財産を保全するための努力をどういうふうにするかという問題でございますが、このような湾曲の多い海岸で灯台と浮標、いわゆる航路標識といいますか、そういうようなものが一体どのくらいあるかという数字をわれわれも調べてみますけれども、この数字は全国で百八十キロ当たり二十基前後である。そういうものの設備が非常に貧弱である。オランダではこれが八十五基、アメリカでさえもすらっとした海岸で四十一基もあるのに比べまして、この湾曲の多いところにたった二十基前後の灯台、浮標等の航路標識しかないということは、これはあまりにも貧弱なものである。やはりその点における施設の上の欠陥が海難を増大させておるということが言えるわけです。  それからもう一つは、最近の海の交通というもの——私は島の生まれで海の男でございますから、小さいときから特に経験が多いのでございますけれども、外国の船を含めて、港へ入ってくる船の数が、特に大型の船がこの数年間にばかにふえてきておる。こういうときに、海上の交通規則というようなものがいいかげんになっておる、監視が十分せられていない、こういうことの危険もあるわけなんです。  それから二百トン以下のようなこまい漁船などには、横波を防ぐためのシーアンカーの設備を設けなければならないという規則ができておるけれども、いまほとんどそういう設備がないというのが実情じゃないですか。これはもうたいへんあぶないことですよ。  それから人的資源から言いましても、いま商船大学や商船高校を卒業した者がどのくらい海上勤務しておるか。陸のかっぱになってほかのほうへどんどん出ていく。いろいろな技術を受けた人は陸上勤務者とか航空機乗員などにも進んで行くというのがおる。そしてほんとうに船に勤務しているのは下級船員、乙種以下の免状を持っているような者が第一線におり、またそういう免状さえない者が乗っておる。いわゆる小学校、中学校を出たばかりのかわいい坊やたちが一人前の機関士やら船員になって船を動かしておるんですよ。これはあぶないことですよ。下級船員の養成というものをさっぱりやっておられないのです。だから、船はめくらでおし、乗っている人はそういう特殊の教育を受けていない、海技教育を受けていない人がこれへ乗っておるということで、船を操縦する人も、動かす人も、そして船そのものもあぶない。これが日本のこの世界で一番危険な海域で活動しておるという状況ですね。これはひとつ運輸省としても本腰を入れてこの問題と取っ組んでいただかないと、たいへんな遭難が私は引き続いて発生するという、ほんとうに残念な予告をせざるを得ない。  私、そこでいまからお答えを願いたいポイントを取り上げてお尋ねします。詳しくお答え願わなくても要点だけでいいです。  第一は、この近海航路、内航船舶等に対する通信施設というものを、いまVHFの新計画を御説明になっておられましたが、従来の中波による、二メガ方式によるところの中波無線施設というものを、どういうふうにお考えになっておられるのか。海上保安庁そのものは、この無線通信施設の中の中波二メガなるものをどの程度いま用いておられるのか。一般の内航船関係の中波免許期間は、この十一月三十日をもって終わろうとしておるけれども、その後はどういう扱いにされようとしておるのか、運輸省並びに郵政省のそれぞれの立場でお答え願います。まず運輸省から……。
  190. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 先ほど申し上げましたように、現在電電公社で整備しておりますVHFによりますチャンネル十六による保安通信整備というのは、私たち海上保安の立場から見ますと、非常に有効適切でございまして、これの整備は早くやるべきだと思います。したがって、そういう海上保安の任に当たります当庁といたしましても、率先その受け入れ体制をつくる必要がございますので、先ほど申し上げましたように、まず一番輻湊いたします内水関係の受け入れ体制を整備いたしたいというので、四十一年度中にはそれが整備する段階になっておることを申し上げた次第でございます。
  191. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 郵政省のほうからお答え申し上げます。  ただいま御指摘の内航船に関する二メガの問題でございますけれども、これにつきましては、ただいま運輸省から御説明がございましたように、将来におきましては、できるだけ一五〇メガによるところの沿岸無線電話に吸収するという方向で進んでまいっております。しかしながら、これにつきましては、現在のところまだ全国をカバーしておるというわけでございませんことが一つと、それから、さらにまた、保安通信という面からカバーのできていない部分というものが相当ございます。そういうようなことを考えまして、十一月の免許後はどうするかというお尋ねでございますけれども、これにつきましては、いま申しましたようなものが十分に整備されました後におきまして、だんだんと吸収をしていこう、こういう方針で考えております。
  192. 受田新吉

    ○受田委員 一五〇メガ超短波の問題も、私たちとしては長い目で見れば、これはそういう方向へいくことを肯定するわけです。しかし、現実に、ちょっと海上保安庁へ聞きますが、運輸省の技術審議会で、超短波の受け入れができておるかどうか、それに対する対策がもうでき上がっておるかどうか、お答えを願いたい。海上保安庁でも運輸省でもけっこうです。  それと海上保安庁そのものは、いま中波を使っておるのではないかと思うのですが、これが超短波に切りかえる計画はどうなっているのか。特にいま海難でも起こったときに、さっそくマリアナ海域へ御出動されるというときに、海上保安庁の巡視艇というのがどれだけあるか。われわれ調査したところで三百隻ばかり、その中で遠洋出動できるものが三十隻、しかも速度が非常におそい、間に合わぬ、十五機の航空機があって、ある程度、半径六百キロ程度の捜索をしておるというようなかっこうでは、海上保安庁そのものに御期待申し上げるのは、たいへん私はむずかしいことだと思うのです。もっと高速度の、集団救難ができるようなかっこうの海上保安庁の機構ができていなければならぬ。こんなに速度のおそい船がよっちんよっちん遭難地に行くということになれば、これは自衛隊の艦艇を御利用されることが当然必要になりますけれども、海上保安庁としては、自己の任務を果たすのに、これで足りるかどうかということ、それから、いまの二メガの無線施設というものを現在どの程度持っており、これをいつ切りかえるかっこうになっているのか、お答え願いたい。
  193. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 当庁の通信配備状況を簡単に申し上げますと、大体陸上におきましては全部で六十六カ所のところに必要な通信配備ができております。そうして、それらの使用しております周波数関係は、電信につきましては、商船等を対象といたしまして主として五〇〇キロサイクル、それから漁船等に対しましては主として二〇九一キロサイクル、それから電話といたしましては二一八二キロサイクルを現在使用しておるわけでございます。その上、先ほど申し上げましたような、いわゆる沿岸水域におきます電話化と申しますか、それに即応するための保安通信体制といたしまして、チャンネル十六の、要するに先ほど先生のおっしゃいましたメガサイクルのものの二年度に入りまして、四十一年度中には、内水、いわゆる東京湾、伊勢湾、瀬戸内海には、それを受け入れする体制が整備する次第でございます。  一方、巡視船艇等につきましては、御承知のように、巡視船は全部で二百九十六隻ございますが、そのうちの二百四十四隻は、必要な無線通信配備が完了しているわけでございまして、航行中は、電信につきましては五〇〇キロサイクル、それから二〇九一キロサイクルを、必要に応じて聴守しておりますし、電話につきましては、二一八二キロサイクル並びにチャンネル十六を必要に応じて聴守している体制にあります。  もちろん、先ほどおっしゃいましたように、古い船がございまして、速力もおそいというようなことは十分わかっておるのでございまして、それがためには、先ほど申し上げましたように、二千トンクラスの大型高速船の代替建造並びに大型航空機の購入等に四十一年度から入っている次第でございます。  なお、体制といたしましては、速力がおそいからやむを得ないのだということは、私たちの立場から許されませんので、おそいのをカバーするために、前進哨戒配備というのを、昨年の暮れから、必要なところでとっております。海難の起きそうなところ、それは統計的に大体わかっておりますので、そこには前もって巡視船を交互に前進配備して、一たん海難がありましたならば、基地から飛び出さないで、その前進配備地点から救助に当たるという体制をいまとっておる次第でございます。
  194. 受田新吉

    ○受田委員 通信施設の点で、海上保安庁も現在二メガを使っておる、こういうことである。そこで、価格の上においても一五〇メガを使えば相当金額が高まるか、二メガであれば、現在大半のものがそれを用いている関係で安上がりか、価格の上の御指摘をちょっと願いたい。  それから電話を使う場合、特に中波を使っておる場合と比較して、その距離をどの程度まで超短波の場合は利用できるのか。私たちの見るところでは、たくさんの海岸局ができて、ある局部的な地点を中心に限られた範囲の通信しかできないのじゃないかという不安があるわけです。いまの中波であれば、夜間なら相当広い範囲に通信ができる、海岸局も、三局か四局を利用すれぱ全国に通信ができるというような利点もある。そういうようなことを考え、また障害物というものが超短波の場合にはしばしば起こってくるが、中波の場合にはそういう障害物が入っても支障がないというような利点もある。こういうようなところで、方向として超短波利用を目ざされることはけっこうでございましょうが、現時点において中波の持つ特殊性、また中波を用意している内航船舶などの資金関係などの考えを背景にするときには、依然として中波による通信網というものを認める期間をある程度延長すべきだ、したがって、この十一月末をもって打ち切るというのは、海上保安庁もいま二年計画だとおっしゃっておりますけれども、これはやはり二年ぐらいは延ばすという考えで現行の体制を維持する期間を認めておるのかどうか、これもひとつ両者でお答えを願いたいと思います。
  195. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 到達距離その他につきましては、郵政省の方がお見えになっておりますからそちらのほうでお答えいただくことにいたしまして、海上保安庁の立場といたしましては、規定関係は別といたしまして、海上保安庁の海上保安業務をやる範囲は大体私たち千二百海里以内を目標といたしておりますが、そういう範囲を航行する船舶で先ほど申されましたような電信施設を持っている限り、私たちの現在持っております中波関係のものを廃止するとか、そういうことは考えておりません。
  196. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  中波と一五〇メガの比較でございますけれども、一五〇メガというのはあくまで日本の沿岸を航行するということを考えております。したがいまして、到達距離といたしましても、一五〇メガということになりますれば数十キロ、それから中波ということになればおそらく数百キロというところまでいくのじゃないかと思います。そういうようなことでございまして、対象が違いますので、もちろん遠距離ということになれば当然二メガというものは生かしていかなければならぬというぐあいに考えます。  価格の面につきましては、正しい価格についての資料を持ち合わせておりませんけれども、一五〇メガのほうが相当高くなるということは考えられると思います。  なお、障害物の問題について御指摘でございましたけれども、確かに一五〇メガという場合には障害物がシャドーをつくりまして障害になるというケースはございます。しかしながら、先ほど申しました沿岸ということを考えておりますので、その置局の状態によりましてこれを救うような方法を講じなければならぬ、こういうぐあいに考えます。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 いま内航船舶で二メガを用いているのが総数の中で何割程度あるわけでしょうか。
  198. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 先生のいまの御質問に的確にお答えできないと思いますけれども、現在海岸局として使っておりますのが三十九局で、船舶のほうといたしましてはこれに対するものが九百何局、千局足らずというような程度でございます。したがいまして、二メガとの比較ということでちょっとお答えになりませんけれども、いま申し上げましたような状態では、一五〇メガよりは二メガのほうが多いと思います。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 比率、つまり中波を用いている船舶と、一五〇メガサイクルの超短波を用いておる船舶と、その比較はできないのですか。
  200. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいま申し上げましたように、資料を手元に持っておりませんのでわからないのでございます。
  201. 渡辺正一郎

    ○渡辺説明員 ちょっと補足さしていただきたいと思いますが、中波の二メガ帯につきましては、この六月一日以降、いまのいわゆるA3の電波を使っておる電話はなくなりますが、それにかわりましてSSBによる周波数としまして、いわゆる全国共通波としまして一波、地区波としまして四波、船艦波で一波、呼び出し応答として一波、これだけのものを用意してございます。したがいまして、将来といえども一五〇メガサイクルで通話できないようなそういう地域に対しましてはこれによってやっていく方針でございます。
  202. 受田新吉

    ○受田委員 SSBも機械の名でしょうが、これも二メガの中波の一種ですよね。だからそうした形のものを用いて引き続きやらせるという船もある。それから海上保安庁は中波をいま廃止する気持ちはない、こういうお答えでございますから、郵政省としても、電波監理局長はりっぱな方でありますし、その点情勢を十分把握してこういう問題を処理されると思いますので、十一月三十日の期限に一応整理されておりますが、この期限は当然現時点においては延長せざるを得ない形になるという判断は私として持たしていただいてよろしゅうございますか。
  203. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、まだ沿岸無線電話というのが整備されていない地区とか、あるいはまた、保安通信が十分完備していないような地区におきましては、当然十一月の再免許の場合には切りかえていくということはできないと思います。二メガはやはり継続していただかなければならぬというぐあいに考えております。
  204. 受田新吉

    ○受田委員 いま内航船の無線協会においても非常にこの点は苦慮しているらしい問題だし、それから、これは現実に経済的な背景が必ず伴う問題でございますから、そういうことについての配慮も必要である。そして現にこういう無線施設さえ持たない船がたくさん横行しておるというような段階で、経費を安く設備できる中波を用いさせるということは、すべての船に対する安全保持という意味からも私は大事なことだと思っておるのです。新しい方向を進む超短波方式の中に、現時点の中波の採用期間を十分その間に延長さして、その間のバランスをとっていく。経費の点と効用の点と、従来の行きがかりというようなものと、それらを含めて運輸省と郵政省が十分配慮されるという形でよろしいかどうか、運輸大臣、あなたの船でございますから、あなたからお答え願いたいわけです。
  205. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、日本の近海の実情等から考えまして、先ほど受田委員が指摘なさるように、非常に海難事故が多い、これは非常に憂慮すべきことでございまして、これをどうして防ぐかということについて、いろいろ高度な通信施設等を使うべきであるという御指摘だと思いますが、私も全くその点は同感でございまして、現在の船そのものの安全性を確保することが第一点であります。その他船そのものの安全性を確保する、強固な船をつくるということが第一でございますが、さらに、この船が外に運航するためのいわゆる航路等に対して交通整理をするということもまたあわせて用いなければなりませんが、出て働いておる船等に正確な気象情報を流すという設備、これは気象庁を通じてやることでございます。そういう点から、今度はこれを受けるほうの船に十分しかも正確にこれを受け取るような設備が必要である。そういうことを考えますときに、無線等によって情報を流す、さらにこれを受ける船の設備等を十分整えなければならぬ。そういうことを考えると同時に、さらに、さっきから言われるような救難等の際に、船そのものが救難に対処する設備、器具等も十分備えなければならないし、さらに科学的に技術的にも開拓するようなことが必要であると考えるのであります。そういうことをそろえながら、先ほどのおことばの中にもありましたように、海上保安庁等で一たん救難の際に、足の長い飛行機を備えるとか、あるいは性能のある巡視艇をそろえる、こういうこと等をあわせて海難の救助というものは全うし得るのだと思いますので、いま言われるように、無線方式等の点につきましては、それぞれ関係省庁がすみやかに協議をいたしまして、最善の設備を整えるような方向で進めていくべきものであると考えておるのでございまして、そういう点は受田委員の御指摘のとおりであると実は考えておるのでございます。
  206. 受田新吉

    ○受田委員 これは海上の交通安全の形をとる上でいずれがよいかという問題になるわけですから、終局の目標を超短波に持っていかれるということは、私たちとしても肯定するわけです。現実の問題を十分考えて、この十一月三十日でもうやめさせるようなところができるのかどうか。超短波の整備されたところは十一月三十日でやめるということになるのかどうか。ちょっといま電波監理局長さんのお話を聞いていると、必要なところへは残しておくというおことばでございましたが、現に海上保安庁そのものが中波を使っている現状で、新しい切りかえをしなくても、むしろゆっくりこの設備を用意することで安全が保てるような形のところ、これが現時点の状態だと私は思っているのですが、この免許期間を十一月末までと整理されたところにどういう意図があるかということと、その整理された時点を延長するときには、一応一斉に延長する形になるのか、いまのように延長を断わるようなところを考えておられるのか、この点をお答え願いたい。事務的な考え方しかできませんでしょうが………。
  207. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  再免許というのは、実は免許期間がきまっておりますので、一斉にやることになっております。その場合に、やむを得ない場合におきましては、これは存続するということもしかたがないと思います。特に、先ほどから強調されておりますように、船の問題でございまして生命の安全ということがございますから、これは当然できるだけの措置はしておかなければならぬと思います。しかしながら、一方から考えまして、電波というものの秩序、電波というものの使い方から考えまして、先生もさっきからおっしゃっておりますように、将来の方向としては、一五〇メガのVHFに移行することは自分としても賛成であるということをおっしゃっておられますように、将来の方向としては、電波の計画としてはそういう方向に進むことを決定もし、またそういう方向に努力しておるわけでございますが、やむを得ない場合に限って今度の再免許の場合延長するということは可能だと思います。しかしながら、できるだけの努力はしていただきまして、再免許のときに間に合うように努力してもらう。しかしながら、それでも間に合わない場合におきましては、もちろん免許は延長できると思いますけれども、その場合でも、できるだけ将来の方向に合致するように努力していただくということでいかなければならぬかと思います。
  208. 受田新吉

    ○受田委員 間に合うとか間に合わぬとかいう問題はやはり政治の問題であり、そして国の手だての問題にも関係してくる。現に四苦八苦しておる内航船舶が、新設備を用意するために別のよけいな負担とそれに伴う人的配置というようなものを考えるときに、せっかくいまある施設を十分考慮の上で切りかえるという余裕がなければならぬと思います。そういう余裕を現に海上保安庁自身が考えておられるわけです。それを考慮せられて、郵政省そのものの考え方の中に、現実を無視できないという観点を十分配慮してもらいたいと思います。  もう一つ、灯台とかあるいは浮標とかいうものの数が少な過ぎる。これはどういうふうに解決されようとしておるかお答えを願います。
  209. 猪口猛夫

    ○猪口説明員 海上保安庁といたしまして私一人しか参っておりませんので、私の知っておる範囲だけでお答え申し上げます。  確かに先生のおっしゃいましたように、諸外国の航路標識の整備率に比べますと非常に貧弱な状況であると思います。しかし、わが国の、並びに海上保安庁予算規模から申しますと、航路標識関係整備費は、近年毎年一億内外の増額を見ておりまして、航路標識の整備については格段の上昇率を見ておる次第でございます。御承知のように灯台等につきましては、現在千四百基くらいのものが整備されております。そのほか無線標識とかそういうものがありまして、全体で三千二百くらいのものがあるわけであります。特に四十一年度からは新しい無線方位方式が北海道でデッカという形で採用されるというので——まだまだ諸外国の整備には及びませんが、海上保安庁の過去の実績から見ますと、最近先ほど申しましたような非常な投資を行ないまして整備にやっきとなっておる状況でございます。
  210. 受田新吉

    ○受田委員 これは船員局長でけっこうですけれども、下級船員の養成というのは、海技大学でひとつ何かそういうものを設けてでもやろうという道もあると思いますし、商船高校にそういう付設の機関を設けるとか、いろいろ手があろうと思います。こういうことで、乙種以下の下級船員をどういうかっこうで養成してこの人的資源の不足を救済しようとするか。商船大学を出た者が他の産業へ流れていくということ——ばく大な高い国費を使っておるわけで、大学の場合でしたら一人当たりの養成費が約五百万、国民の税金を一人約五百万もかけて、そうして海の男としてのりっぱな実績をあげようとしてもらったら、自分でかってに好きなところへ行って勤務するということであれば、国民の税金を一人が五百万も食っているこの大学の卒業生に対する養成目的というものを逸脱すると思うのです。こういうことはどうお考えになるか。この二つの点をひとつお答え願いたい。
  211. 岡田良一

    ○岡田(良)政府委員 乙以下の船員の養成の問題でございますが、従来の考え方は、商船大学なり商船高校というものは、大体甲のほう、つまり外航関係の船員を養成するということで、商船大学並びに商船高校を出ますれば、外航の免状はとれる程度に教育をしておるわけでございますので、結局出ました者は全部外航の免状をとって、現在外航船のほうで非常に船員が不足しておりますので、外航のほうに行くという現状になっております。したがいまして、乙種以下の免状につきましては、大体実地上がりの人が、いろいろな訓練機関、講習機関がございますので、そういうところを経まして、その免状をとるというふうな現状になっております。先ほど先生がおっしゃいました海技大学校でも、特修科というものがございまして、年間二百四十名、それから通信教育で年間千名くらい、それから海員学校というのが全国に十校ございますが、そこにやはり講習科というものがありまして、年間約千名くらいの者を養成ができるというふうな形になっております。ただ、このまま乙以下というものを全部実地上がりだけでいいのかどうかという点について問題がございますので、現在海技審議会というのを運輸省の諮問機関で持っておりますが、そこで乙以下の船員についてどういう形で学校養成と結びつけるかということを現在検討いたしております。  それから、その次の点の大学出身者が非常に海のほうへ行かないのじゃないかという点でございますが、これは確かに、先ほど申しましたように、外航船の職員の養成機関として商船大学と商船高等学校と二種類ございますが、大学のほうは比較的陸のほうへ流れる率が高い、商船高等学校のほうは、ほとんど海のほうへ行くというような現状でございます。われわれといたしましては、戦前のように、戦前の高等商船学校といいますのは、全部国費で養成をしておりましたので、法律上の義務というふうな形で強制ができたわけでございますが、現状におきましては、それは法律的な意味で強制はできないというふうな現状になっておりますが、しかし、せっかく海運をやろうということで商船大学に入った者につきましては、できるだけ学校を出ても海運のほうに一生をささげてもらいたいということを要望いたしております。学校当局等にもその点をよく連絡をいたしまして、できるだけ船会社に優先的に就職するようにというふうな努力をいたしております。
  212. 受田新吉

    ○受田委員 実際に船員の需給状況を見ると、不足数というものは相当出ておる。その不足数というものを、よそのほうへ、他産業へかわっていくような、海員養成目的の学校の卒業生さえも行くようなかっこうであることを許さないような努力を、運輸省としても十分していただかなければならぬと思います。そこで、出ればもうあとはかってだというような気持ちを持っていただいたのでは、海の国の日本の将来を託するに足る人間とはいえないわけなんです。そういうものに高い国費を使う必要はないわけです。この点もひとつ十分指導していただきたい。  もう時間も来ましたから質問をこれで終わりますが、もう一つ確認をしておきたいことがあるのです。いまの改正の第何点になりましたか、港湾運送事業関係するところの港湾審議会、これは一応こういう目標を持っておられるということでございますが、これに新しい任務がここに入ってきた。港湾運送事業の合理化、これを小委員会か何かつくるというようなことがあるのかどうか。並びに委員の任命に港湾労働者あるいは海員の組合の人々というようなものを入れる用意がしてあるのかどうか、お答え願いたいのです。
  213. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この設置法に盛られておりますのは、港湾審議会の中に、仮称でございますが、港湾運送の問題を審議していただくために港湾運送部会というものを設けたいというふうに考えております。それからこの部会の委員といたしましては、港湾労働者の代表も入っていただくことを予定しております。
  214. 受田新吉

    ○受田委員 港湾労働者の代表——港湾労働者に限定していますか。港湾と同時に、入ってくる船舶にも関係がありますが、そういうほうの関係者などもこれに入れていただきたい。港湾運送でございますから、運送に関係する船舶、その船舶に従事する人ということが入りますね。そう理解してよろしゅうございますね。
  215. 佐藤肇

    佐藤(肇)政府委員 この港湾審議会の中に運送部会を設けました趣旨は、御承知のように、内閣に置かれました港湾労働等対策審議会が示唆しております港湾運送事業の近代化という問題がございます。この問題の中にあります集約合併というものをどのような形で進めていくかということが第一点でございます。もう一つは、港湾運送料金というものを合理化していくためにはどのような体系がいいのかということが第二点でございます。それから第三点は、新しくできました埠頭におきましては、一貫して作業を行なうという見地から、欧米等で行なわれておりますような埠頭業、ターミナル・オペレーターというようなことばで呼ばれておりますが、そういうものの形はどういうものがいいのか。こういう三点を考えておるわけでございまして、したがいまして、私ども現在の段階におきましては、この審議会に参加していただく労働者の代表は、港湾運送に従事する労働者の代表で尽きるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  216. 受田新吉

    ○受田委員 これをお聞きしたらおしまいです。  航空関係、これは議論をされたことですからそれを繰り返しません。私が指摘したいのは、民間航空が幾つかある。私も最近利用して乗って、あまりに乗客の少ないのにあきれ果てたのですが、六十人の定員のところへ七人か八人しか乗っていないで、あまり人数が少ないから、さびしくて異常なばかりの神経を使ったわけです。こういう状況で、最近の航空輸送のほうには相当の影響が三大事件以後起こっておる。そこで、民間航空の十分な資力とそして設備のできていない、人的配置の十分できていないものに対する運輸省としての整理統合というようなことをどうするのか。あるいは、もう一つは、航空網をローカル線まで入れて各県に一空港をつくるというような一つの新しいめどがなければいけぬのでございますが、ローカル線の一週間に一回か二回しか通らない飛行場にも、私は最近遊説などでちょいちょいおり立ってみて、ああいう飛行場で、がくんときたときには、どこから救援隊が来るかということを考えたときに、身ぶるいがするような感じがする。助けに来たときにはもう全員死亡というような状況で、何らこれに対する救命施設というようなものがないような離れたところにぽかんと空港があるわけです。こういうようなものは今後空港を新設することは認めないで、現時点で十分整備を進めていく、一体こういう考え方であるのか。こういう事件の直後でございまするから、およそそうした体制に対する運輸省の方針というものも、ある程度固まっておるのじゃないかと思うのですが、ひとつお答えを願って、私の質問を終ります。
  217. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 航空企業の再編成の問題は、大体いま五つの企業がありますが、これをできるだけ航空審議会の答申の線を尊重するような方向で集約化していきたいという考えで、いま企業の人たちに話し合っていただいておる段階でございます。  それから最近のローカル飛行場の装備等の点でございますが、これは一応いまかなり地方に飛行場がありますが、その飛行場の設備は全く受田委員の仰せられるように、きわめて不十分でございますので、現在では新しい飛行場をつくるということをしばらく見合わせまして、そして既設の飛行場を整備するという方向で進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  218. 受田新吉

    ○受田委員 終わります。
  219. 木村武雄

    木村委員長 次会は明七日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二分散会