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1966-03-25 第51回国会 衆議院 内閣委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二十五日(金曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木村 武雄君    理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君    理事 辻  寛一君 理事 長谷川四郎君    理事 藤枝 泉介君 理事 大出  俊君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       臼井 莊一君    加藤 高藏君       纐纈 彌三君    塚田  徹君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    堀内 一雄君       前田 正男君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    稻村 隆一君       川崎 寛治君    中村 高一君       村山 喜一君   米内山義一郎君       受田 新吉君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         人事院事務官         (職員局長)  大塚 基弘君         文部事務官         (大臣官房長) 安嶋  彌君         厚生政務次官  佐々木義武君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚生事務官         (医務局次長) 渥美 節夫君         厚生事務官         (社会局長)  今村  譲君         厚生事務官         (児童家庭局         長)      竹下 精紀君         厚生事務官         (年金局長)  伊部 英夫君         社会保険庁長官 山本 正淑君  委員外出席者         人事院事務官         (公平局長)  三浦 直男君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局審議         官)      岡内  豊君         文部事務官         (初等中等教育         局特殊教育課         長)      林部 一二君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 三月二十五日  委員茜ケ久保重光辞任につき、その補欠とし  て川崎寛治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川崎寛治辞任につき、その補欠として茜  ケ久保重光君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月二十五日  国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二六号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二四号)  文部省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二三号)      ————◇—————
  2. 木村武雄

    木村委員長 これより会議を開きます。  厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  3. 田口誠治

    田口(誠)委員 厚生省設置法の一部を改正する法律案の中で、国立病院衛生検査技師養成所設置することができることとするというものが新設されるわけですが、これの内容について若干お聞きをいたしたいと思うのですが、まず、規模はどういう規模で、目的はどういう目的か、これは官房長でいいのでしょう。
  4. 梅本純正

    梅本政府委員 衛生検査技師養成所設置理由でございますが、臨床診断及び治療におきましては、臨床検査関係業務は不可欠なものでございまして、特に近年医療内容の向上に伴いまして、この臨床検査関係業務は非常に重要視されてまいったわけであります。現在衛生検査技師は、全国的に見まして急速にその検査関係業務がふえたという理由も加わりまして、非常に不足しております。したがいまして、早急にこの不足を補いますとともに、検査技師の技術を向上する必要があるということで、衛生検査技師養成所設置することをお願いしておるわけでございます。設置の場所といたしましては、大阪国立大阪南病院に付設する予定にいたしております。  それから、実施の内容といたしましては、養成人員は単年度におきまして二十名、修業年限は二年でございまして、もし法案が成立をお願いできますれば、四十一年の四月三十日から設置をいたしたいというふうなつもりでおります。
  5. 田口誠治

    田口(誠)委員 現在は衛生検査技師というのは、どのくらい全国でおるのですか。
  6. 梅本純正

    梅本政府委員 衛生検査技師昭和四十年度学校及び養成所におきます生徒養成状況でございますが、厚生省指定養成所が現在二十校ございます。そして四十一年度から開校する予定のものを含めますと二十三校でございまして、入学定員は、二十校に対して八百二十人、それから四十一年度になりまして二十三校になりました場合は九百二十五人でございます。これが厚生省関係でございまして、文部省指定学校でも養成をいたしておりまして、文部省指定学校が十二校ございます。入学定員は二百四十人でございまして、厚生文部両省を合わせまして千六十人でございまして、先ほどの四十一年度の分を含めますと、千百六十五名を予定いたしております。
  7. 田口誠治

    田口(誠)委員 資格でございまするが、現在御答弁の中にありました厚生省の持っておる養成所、それから文部省の持っておる学校、それから今度国立病院設置をする養成所年限というのは同じであるのか、それから資格は同一に取り扱われるものか……。
  8. 渥美節夫

    渥美政府委員 今回設置される予定養成所入学資格も、いままでございました養成所入学資格も同じでございまして、高等学校卒業を条件とするということに相なっております。
  9. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで、現在おられる九百四十五名という衛生検査技師も、それから今度国立病院で二カ年間養成をする技師も、同じ資格なんですか。
  10. 渥美節夫

    渥美政府委員 さようでございます。高等学校を出まして、二年間の養成課程を経まして試験を受けるということでございまして、全く資格は同じでございます。
  11. 田口誠治

    田口(誠)委員 わかりました。  そこで、全国的に不足ということでございますので、今年度国立病院衛生検査技師養成所設置して技師養成を行なう。したがって、計画は何年計画で何名くらいというおよその計画があろうと思います。
  12. 渥美節夫

    渥美政府委員 衛生検査技師需給状況お尋ねでございますが、衛生検査件数が非常にふえてまいっておりますので、それの衛生検査技師の供給をふやすということは当然考えなくてはならないのでございますが、現在のところ、先ほど申し上げましたように九百二十五名程度卒業生しか持っておりませんので、年次計画というふうなことでかっちりときめていくということには多少の問題がございますが、私たちの考えでございますと、大体検査件数等から考えてまいりますと、これは臨床関係病院関係保健所関係、その他民間検査施設等につとめる者を含めまして、全体といたしまして三万八千程度は将来においては確保いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  13. 田口誠治

    田口(誠)委員 ずいぶん足らないのですね。そこで三万を目標国立病院衛生検査技師養成所設置する。これはちょっと先ほど答弁のあったことでメモをしそこなったのですが、各国立病院養成所を設けるのか。それから今年は何カ所ですか。
  14. 渥美節夫

    渥美政府委員 本年度におきましては、国立病院といたしましては一カ所でございます。なぜ一カ所であるかということも問題になるわけでございますが、現在置かれております衛生検査技師養成所地域別態勢等を考えますと、近畿地方におきましては、関東地方に比べますと若干不足しております。したがって、大阪地方にこの衛生検査技師養成所国立で一カ所持ちたい、こういうことでございます。
  15. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま数字的に伺いましたが、必要定数は三万が必要だ、ところが、九百二十五名しかおらない、こういうことになりますと、三十分の一ということになるのですが、それをただ一カ所だけの養成所で、ただいまお話があったような二年間に検査技師養成して出すということになりますと、これは、年次計画といってみたとて、なかなかそう計画にもならないのですが、足りないから一カ所そういう養成所をつくってどれだけでも補充したいということだけで、現在の必要定数を確保するというような方向に向かっての施策ではないように考えられるわけですが、それはどういう理由なんですか。
  16. 渥美節夫

    渥美政府委員 先ほど三万八千というふうに私は将来の計画を申し上げましたが、この計画昭和四十五年度を一応の目標とするということでございまして、御承知のとおり昭和三十八年におきます衛生検査技師の現員といいますか、登録されております数は、約一万五千でございます。したがいまして、一万五千の衛生検査技師昭和四十五年に三万七、八千というふうに考えておりますが、相当努力が必要である。ただ、先ほど私、御説明申し上げましたように、国立病院におきましては、衛生検査技師をことし一カ所設置する予定に相なっておりますが、先ほど御説明申し上げましたように、衛生検査技師養成所設置する経営主体は、先ほどの国の場合は厚生省の場合も文部省の場合もございますし、あるいは地方公共団体都道府県のものもありますし、あるいは純然たる民間のものもございまして、そういったものがさらに衛生検査技師養成所をふやしていく、あるいは学生定員増加するとか、新しく設けるとかいら方向でこの目標に向かって努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  17. 田口誠治

    田口(誠)委員 年々定員増加はしておるのですか。
  18. 渥美節夫

    渥美政府委員 さようでございます。
  19. 田口誠治

    田口(誠)委員 一番近い年の増加定員の数は。
  20. 渥美節夫

    渥美政府委員 たとえば昭和三十四年におきまする学生定員は二百七十で、学校数が七校でございましたが、三十五年度におきましては、十二校になりまして、学生定員は三百七十、こういうふうなテンポでふえてまいりまして、最近におきまするテンポは、昭和三十九年度におきましては、学校数が二十八で、学生定員が七百九十、四十年度におきましては、学校数が三十二で、学生定員が一千六十、毎年五校以上こういった養成所がふえてまいっております。こういった傾向は今後も続くものと考えられます。
  21. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますと、昭和四十五年を目標必要定数は、今度国立病院に一カ所衛生検査技師養成所設置することによって目的が達成できる、ほぼこういう見通しなんですね。
  22. 渥美節夫

    渥美政府委員 国立施設といたしましては一カ所でございますが、国立以外の経営主体設置する養成所も五校ないし六校予定されております。
  23. 田口誠治

    田口(誠)委員 地方自治体にもあるというお話でしたが、地方公共団体は、たとえばどこにどういうようなのがあるのか。一カ所例を……。
  24. 渥美節夫

    渥美政府委員 たとえば北海道に、北海道衛生学院衛生検査技師科というものもございます。さらに宮城県にも宮城衛生検査技師学校福島県には福島県立衛生検査技師養成所一こういうのがございまして、都道府県でやっておりますのが約十校程度になっております。
  25. 田口誠治

    田口(誠)委員 衛生検査技師のほうはその程度でよろしいのですが、看護婦養成関係は、現在どういうような施策が進められておりますか。これもたいへん不足をいたしておりますので、お聞きいたしたいと思います。
  26. 渥美節夫

    渥美政府委員 看護婦衛生検査技師と同じように、厚生省で指定する施設あるいは文部大臣の指定する学校となっておりますが、看護婦養成所は、いわゆる准看を除きました看護婦関係では二百八十三カ所、准看養成所が五百九十九カ所、かように相なっております。
  27. 田口誠治

    田口(誠)委員 養成所は、ただいま報告のありましたような数字になっておりますが、それで足りないでしょう。この看護婦の足りない分をどういうような方法で補っていこうとされているのか、この点をお聞きしたい。
  28. 渥美節夫

    渥美政府委員 看護婦補充対策は、現在の医療行政におきましては最も重要な問題の一つでございます。国といたしましては、まず第一には、やはり看護力自体をふやすということ、つまりいま御説明いたしました看護婦養成所あるいは看護婦学校もふやすということに努力いたしているわけでございます。そのために養成所設置に関する補助金等も計上されているわけでございます。  それから、第二点といたしましては、学校あるいは養成所に入りました看護婦になるべき学生に対しまして修学資金等を貸与いたしまして、こういった貸与制度を行なっている都道府県につきましては、国からの助成金が出るということになっております。  そのほか看護婦資格は持っていらっしゃいますけれども、現に病院あるいは保健所等において働いていらっしゃらないいわゆる遊休看護婦さん、こういった看護婦さんを時宜に応じて動員する、いわゆる遊休看護力の動員ということでございましょうか、そういう対策も講じていきたい、かように考えております。  以上が看護婦対策の大きな柱と考えます。
  29. 田口誠治

    田口(誠)委員 看護婦養成所をふやせば、生徒が必ずしもふえるというわけでもない、看護婦自体養成できるということでもないと思います。看護婦不足という点は、養成所の足りない面もあるかもわかりませんけれども、その他に理由があると思う。それは十分に把握されているのですか。
  30. 渥美節夫

    渥美政府委員 いまお尋ねのような基本的な看護婦自体の行なうべき業務をもっと明確化するという看護業務合理化近代化という問題もございます。  さらに、看護婦職種がほんとうに世の中の人から見て正しく評価されるというようなことも当然考えなくてはいけない、この点に関連いたしまして、一昨年から高等学校衛生看護科を置きまして、三年の課程でございますが、看護婦准看受験資格を得るとともに、高等学校卒業資格を、卒業証書を持たせるというふうなことで同等学校衛生看護科というものも文部省と相談して全国各地設置することに相なっております。現在は五十八校程度文部省関係高等学校衛生看護科が設けられるということに相なっております。
  31. 田口誠治

    田口(誠)委員 私の考えておりますことは、看護婦の足りないということは、まだ看護婦養成する設備不足しているという点もあろうけれども、准看護婦、正看護婦を問わず、看護婦になってからの待遇というものが、他の職種と比較してあまりにも労働強化であり、過酷であるというふうに見ているわけです。そういう点に対する隘路を打開する方法は考えておられないかどうか。
  32. 渥美節夫

    渥美政府委員 看護婦に対する処遇の問題でございますけれども、看護婦給与は、いまのところ、流れといたしましては、国立病院あるいは国立療養所看護婦処遇一つの線になっておりまして、それに向かって、一般地方公共団体なりあるいは日赤とか済生会とかいう病院看護婦処遇も、それにならっていくという傾向を呈しております。したがいまして、国立病院国立療養所看護婦処遇をまず考えるということに傾向としては相なっておりますので、人事院給与に関する勧告等につきましては、医師もそうでございますが、特に看護婦給与改善人事院のほうにも要望しておりまして、昭和四十年の人事院勧告におきましては、一般の平均の改善率よりも、看護婦改善率のほうが相当上回っておるということで、毎年そういうふうな方法改善につきまして努力をしておるわけでございます。
  33. 田口誠治

    田口(誠)委員 同じ病院によっても違うと思いますけれども、結核国立療養所とか、あるいは精神病院とか、こういうところに勤務しておる看護婦処遇というのは、非常に労働時間が長く、労働強化がされておる。特に精神病院等では、宿直なんかの場合に、手不足をいたしておるために患者から暴行をされるというような事件すら起こったこともあるわけなんで、したがって、こういうところから、実際にそうした病院へ行ってみますると、定員不足を強く訴えられる。と同時に、特に宿直とかあるいは残業とか特別に認められておるこの項については、もう少し金銭的な配慮をしていただかなければ、いかにも気の毒なように思えるわけなんです。そういう点については、厚生省としては人事院等給与改定のときに、大いに働きかける必要があろうと思うのです。その点についての御所見を承りたいと思います。
  34. 渥美節夫

    渥美政府委員 先生のお話しの点、まことにそのとおりでございます。看護業務自体が非常に困難なむずかしい業務であるとともに、深夜業あるいは準夜業というような夜勤の問題も出てまいるわけでございます。人事院に対しましては、毎年相当強く私のほらからも要望をしておるところでございますが、昨年の人事院勧告におきましては、看護婦夜勤につきまして、夜間看護手当というものが新しくできまして、昨年の八月から実施されております。これは深夜一回につきまして、夜間看護手当といたしまして百円が支給されるということに相なっております。
  35. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいま答弁のありましたように、昨年夜間看護手当の百円の増給ということになったことを、この場で堂々と答弁をされまするけれども、百円ぐらい多くなったとて、これは百円多くなったことにおいて、半強制的にそうした労働をしいられるという面が反面には起きてきておるわけなんです。だから、百円ぐらいなら別にほしくはない、それよりは、宿直とかあるいは毎日毎日の超勤をなくしてもらうことが一番希望をしておるところであって、そういうことから、私は、上がらぬよりは上がったほうがそれはましだと思いますけれども、昨年上がったから、これでもう待遇をよくしたというような感覚で厚生省におってもらっては、これはなかなか看護婦不足を補充することができないのではないか、こう考えておるわけです。特に病気がうつりやすい結核患者病院とか、あるいは危険を伴う精神病院看護婦とか、こういう人たちの職場については、別途私は考える必要があろうと思う。この点の所見を承りたい。
  36. 渥美節夫

    渥美政府委員 特殊な勤務につきましては特殊な調整号俸等配慮もございますけれども、いずれにいたしましても、看護力自体を現在の医療事情に応じまして増加するといういろいろな手を総合的に打っていく必要があろう、かように思っております。したがいまして、先ほど来申し上げましたような増加されるべき看護婦養成というものに対しまして、修学資金でつなぎとめておきますとか、あるいは遊休といいますか、家庭内にある看護婦労働力をパートタイマーその他の方法で引っぱり出すというふうなこと、それから高等学校衛生看護科、これは非常な勢いで最近ふえておりまして、ことしも約四十校くらい衛生看護科を持つ高等学校設置されるというふうなことにも相なっております。先ほど基本的に問題になっております処遇の問題とか、それから看護業務合理化近代化というふうな問題、いろいろな点を総合的に考えまして努力をしてまいりたい、かように考えます。
  37. 田口誠治

    田口(誠)委員 時間がございませんので、この点についての質問はこの程度で終わりたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、看護婦が非常に不足をしておる。不足をしておるということは、養成所施設不足もあろうけれども、それよりも待遇改善に重点を置く必要があるのではないか。特に、特殊な病院勤務をしておる者の特殊手当の面については、もう少し大幅な配慮をしていただく必要があるのではないか、こう考えておりますので、これは医師を含めてその点をよろしく御配慮をお願いしておきたいと思います。  次にお聞きをいたしたいのは、今度社会保険研修所社会保険大学校に改称するということですが、これは名称が変わるだけで内容は別に変わらぬものかどうかということ。それから、学校教育法との関連はどうなのか、この点もお聞きをいたしたいと思います。
  38. 山本正淑

    山本(正)政府委員 社会保険研修所、これは実は現在社会保険全国職員が約一万五千人ほどになっておりまして、この研修につきましては従来からもやっておりましたが、昭和三十六年に研修所設置いたしまして、そうして各種の研修を行なっております。各省におきまして、それぞれの職員研修機関が今日大学校という名前におおむねなっておりまして、今回社会保険職員研修につきましても、御承知のように社会保険業務全国保険、皆年金時代に入りまして、職員の知識あるいはそういった面につきましても、単に法規を知っておるというだけでなしに、経済的な諸情勢その他を総合的に把握してかからなければならないという時代の要請がございますので、そこで今回社会保険大学校といたしまして、そうして研修課程につきましても、従来は研修期間が二カ月の研修期間を中心といたしておりましたが、今回はさらにこれを大学校にいたしますと同時に、分けましてやはり高等科という制度を設けまして、研修期間も六カ月のコースをつくる、かような方法によりまして研修内容を充実していきたい、かような構想を持っておる次第でございます。  なお、御承知のように、この大学校というのは学校教育法に基づく大学ではございません。
  39. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの答弁で、学校教育法に基づくところの学校卒業した者との資格の差はどの程度かと思って聞きましたけれども、あまりにもこの学校へ入っておる月が少ないということから、あまり資格にはならないと思います。ただ、研修所を、あるいは研究所を大学校に改めるというのは、各省が次から次とやっておりますので、それに右へならえでやっておる程度だと思いますが、しかしこれは、いまの御答弁にありましたように、いままで二カ月という研究課程であったものを、高等科をつくって六カ月ということに改められてもおりますし、まあ前進はしておりますが、そういう点については今後ともよく研究をしていただいて、ただ名称だけ変えたのでなしに、内容的に、あるいは設備の面についても、十分に配慮していただいて、りっぱな職員養成されるように強く要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、社会保険関係関連をしてちょっとお聞きしておきたいと思いますのは、これはこの前ちょっと聞きましたけれども、時間がなかったのでお聞きができなかったのですが、いま大きな社会問題となり、あるいは政治的に大きくアピールされて、内容が年々強化されておる心身障害児対策関係でございます。特に私は精薄関係にしぼってお聞きをいたしたいと思いますが、先般お聞きいたしましたときに、重度な精薄児というのは知能指数三五というところに基準を置いておられますし、それから精薄児と刻印をつけられるものは知能指数七五以下、こういうことに基準が置かれておる。しかも、そこで七十五万人の精薄児がおり、そうして、なおそれに加えて重度と見られる者が四万八千いる。こういうお話がございました。そうして施設に入っておる者がわずか一万三千四百七十人、通園が二千百十一名、こういうお話であったわけなんです。そこでお聞きをしたときに聞き返そうと思いましたけれども、軽度な精薄児の場合には養護学校において特殊教育を行なっておりますが、その数が七十五万人おる中でどの程度教育されておるのか。その数をわかりましたらお示しをいただきたいと思います。
  40. 林部一二

    林部説明員 お答えを申し上げます。  養護学校は現在、これは四十年五月一日現在の指定統計でございますが、全国で六十校ございます。このほか小学校及び中学校設置されております精薄児のための特殊学級、これが全国で七千六百九学級ございます。  そこで、これらの学校及び学級に収容されておる児童生徒の数でございますが、養護学校につきましては四千五百三人、特殊学級におきましては七万二千六百七十五人、合わせまして七万七千百七十八名でございます。精薄児教育を必要とすると考えられます対象児童生徒は、私どものほうで六十七万人と推計をいたしております。出現率四・二五%といたしまして、四十年度におきます義務教育段階の全児童生徒に対しまして六十七万人、これが精薄教育に該当する児童生徒と考えております。したがいまして、この児童生徒に対しまして現在就学しておりますところの子供たちの就学率は一丁五%でございます。ただし、残りの子供たちはほとんどすべて小学校及び中学校の普通学級の中で教育を受けておるものと考えます。
  41. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま数字的にお聞きいたしますと、義務教育該当年齢のいわゆる知能指数七五以下で特殊教育を受けさしておる該当者が六十七万人のうちで七万七千人ということでございますので、一一・五%ということはきわめて低いわけです。そのほかの者が一般の児童の中に加わって勉強しておるということになれば、これはまだいいと思いますけれども、そうでなしに、中途はんぱな教育をさしておる点があるのではないかという心配があるわけです。したがって、この六十七万人以外の者は、これは養護学校特殊教育を受けさせるだけの知能を持っておらない重度な者と思うわけですが、しかしこの重度な者は、これは文部省とは関係ありませんが、厚生省のほうですが、厚生省のほうでは扶養手当というのを重度の者には出しておりますけれども、そうした重度精簿児の総数と、それから重度精薄児に対する扶養手当を出しておる数と相当に開きがあるわけです。しかし、この開きというのは、画一的に手当を支給するのでなくて、除外される面もあるので、私は数字的には相違があろうと思いますが、いずれにいたしましても、いわゆる特殊教育を受けない児童に対しては、その他の施設において収容し、ここで適当な教育もし、職業の訓練もさせなければならないわけです。  そこでお聞きをいたしたいと思いますことは、現在そうした該当者が何名ある中で、どれだけの施設で何名収容されておるかということです。これは厚生省のほうからお伺いをいたしたいと思います。
  42. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 現在精神薄弱児の中で施設へ収容すべき人数につきましては、精神薄弱児施設の場合は約四万八千という推定でございまして、その中で、施設へ入っております児童が一万三千三百四十五という数字でございます。それから、精神薄弱児通園施設、いわゆる通いの施設でございますが、その要収容児童数は約一万八千七百という推定でございまして、その中で収容されております児童が二千百十、こういう数字になっております。
  43. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、現在収容されておる精薄児童は、私立、公立、いろいろ違うでございましょうが、大体父兄の負担というのは、調査資料からいきまするとどの程度になっておりますか。
  44. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 これらの収容施設の場合につきましては、保護者の経済状況、特に税金の負担によりまして自己負担があるわけでございますが、大体におきまして、生活程度その他の貧困なところから入れておりますので、現在のところ正確に覚えておりませんが、約九四、五%だと思っております。
  45. 田口誠治

    田口(誠)委員 父兄負担は金額にすると、月どの程度の負担になっていますか。
  46. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 現在金額がどれぐらいかは把握しておりませんので、調べまして後ほど資料として提出いたします。
  47. 田口誠治

    田口(誠)委員 まあまちまちでございまするけれども、相当父兄負担が多いわけなんですね。
  48. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 先ほど申し上げましたように、九十数%という——援護率と申しておりますが、援護率でございますので、かなり低いというふうに考えております。
  49. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、いま御答弁のありました強度な精薄児が、四万八千の中で、収容されておる者が一万三千四百七十人、こういうことでございまするので、あとは施設がないがために収容できないのか、それとも父兄の負担が多過ぎてこうした施設へ入れられないのか、その点はどうなんですか。
  50. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 やはり施設の収容能力がないために入れられないというのが大部分でございまして、そういった在宅の児童につきましては、児童相談所からの訪問指導というようなこと、あるいは精神薄弱者福祉司というのがございますので、そういったいわゆる巡回の指導ということによりまして指導いたしております。なおまた、親の会で、精神薄弱者育成会というのがございますが、ここに委託をいたしまして、ラジオを通じましての指導、それからまた、機関誌を発行いたしておりまして、そういったものによりまして、在宅の精神薄弱児の指導を行なっておる次第でございます。
  51. 田口誠治

    田口(誠)委員 在宅療養精薄児の指導をやっておるというお話ですが、これは全国的にきちょうめんにやっておりますか。これは父兄のほうから、そうした指導員の方を各市町村に置いて、そうして適切な教育指導をしてもらいたいという強い要望がきておるわけなんです。ただいまの答弁からいきますると、万全を期せられておるように聞きましたけれども、事実は違っておるように思うのです。違っておるとするなれば、これからどうするかということなんです。その点についてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  52. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 ただいま申し上げましたものの中で、親の会を通じましてのことは事実やっておるわけでございますが、精神薄弱者福祉司と申しますのは、県に置かれました職員でございますし、また、その県におかれましても専任の職員というのがなかなか得がたいという点もございますので、実際の指導を要する家庭につきまして十分な指導ということにつきましては、御指摘のように、まだ不十分な点が多々あるように思います。そういった面につきましては、来年度の予算におきまして、主として重症心身障害児の指導を各県ごとに行なってもらうわけでございますが、そういった際にあわせてその点も考慮してまいりたい、かように考えております。
  53. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、厚生省がこの精薄対策に力を入れておるような答弁もされ、そうした書物も出ておりまするけれども、ことしの予算面でいきますると、たとえば先般私が食費、間食の補助一人当たりの金額を質問申し上げましたときに、大臣からの答弁は、昨年は十九万六千八十五円だったけれども、ことしは二十四万一千七百四十円にした。これは差し引き四万五千円増ということなんですが、国会で堂々と増額しましたという答弁が四万五千円の増ということでは、私はこういう点、日の当たらないこの精薄対策に対しては、政治の面においてもなお日の当たらない政治を行なっておるというように考えておるわけなんです。だから、もう少し大幅な予算をそれぞれとっていただいて、この対策に乗り出していただかなければ、総理大臣が、人間尊重だの社会開発だのということを、口を開けば宣伝しておられまするけれども、実際の行動が伴っておりませんので、私はこの点を非常に遺憾と思うわけなんです。大蔵省に予算要求をする場合に、この程度のことよりできないものかどうか、私どもが考えてもちょっとふしぎなくらいなんですが、どうなんですか。
  54. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 私どもも、精神薄弱児あるいはその他の心身障害児につきましても、これを四十一年度の重点の仕事として取り上げておるわけでございまして、先ほど申し上げました、先生の御指摘のような数字は、ほかの施設に比べますると非常によくなっておる、かように考えます。ただ一般的に申し上げまして、こういう予算につきましては、確かにまだまだ不十分な点がたくさんございます。そういう面では今後ともその充実に努力をしてまいりたいと考えておりますが、一般的に、厚生省のみならず、政治全体としまして三割というような予算の一応のワクがございますので、そういった面で現在のような状況におさまった次第でございますが、今後とも努力をしてまいりたい、かように考えます。
  55. 田口誠治

    田口(誠)委員 今年は心身障害児というところまで一歩進みましたが、この精薄児対策というのは、昭和三十五年以前は行政が非常に貧弱であった。三十五、六年ごろからだんだんと内容が充実してきております。この点は厚生省努力に対して私は敬意を表しまするけれども、実際現在の内容を見ましても、まだまだ行政としては全く不十分で遺憾な点が多いわけなんで、その点を十分頭に置いていただいて、来年度対策を今年のうちから立てていただきたいと思います。  そこで、施設が非常に足りないということは、こういう施設を新設しようといたしましたときに、非常に予算的に何ともならないという点があるわけなんです。たしか施設をつくる場合には国が二分の一、地方公共団体が四分の一、あとの四分の一は自己負担ということになっております。ところが、国なり地方自治体からの二分の一なり四分の一の補助というものは、建築費等からいきましても基準単価というのは実際より非常に低いわけなんです。だから二分の一の補助をしてもらったといっても、実際には二分の一補助をしてもらっておらないということなんです。それは私の持っております調査の数字からいきますと、木造建て、ブロック建て、それから鉄筋の場合とありますが、木造の場合でも国は単価を五万一千円にしておりますけれども、事実は平均七万円くらいは調査の結果かかっておる。それからブロックづくりの場合でも、国は六万五千円というところに基準を置いておりますけれども九万円かかっておる。特に鉄筋の場合なんかは、七万九千円ですけれども十一万、十二万かかっておるというのが調査の結果の数字になっておるわけなんです。したがって、どうせ二分の一補助を国が見る、地方公共団体が四分の一見るということになれば、もう少し実際に近い単価を出してこの予算を出していただかなければ、二分の一補助といってみてもこれは二分の一になりませんので、こうした不足をどこからか補わなくてはならない。そうしますと、寄付を仰がなければならない。ところが、寄付の関係も免税の対象になればまだいいのですけれども、緊急を要するものはこれは免税の据置が法律によって講ぜられるようになっておりますけれども、こういう施設をつくるというようなこと、あるいは備品を購入するというようなものについては、免税の措置が講ぜられておらないので、私はこういう対策を進めようとするなれば、これは法律を改正をしてこういう施設に対するところのもろもろの寄付金は免税にすべきである、こういうように考えておるわけなんです。きょうは大蔵省からはおいでをいただいておりませんけれども、この点は厚生省のほうから強く主張をしていただいて、そうしてこの免税の措置をとっていただき、不足分は篤志家から有利な寄付をしてもらうような体制をつくってもらわなくてはならないと思いますので、その点を強く私は要望申し上げるわけなんですが、大臣がお見えになりませんが、次官のほうからこの点を約束していただきたいと思います。
  56. 佐々木義武

    ○佐々木(義)政府委員 お説のとおりだと思います。そのものに対する寄付行為に対しましては、それぞれ特典を与えるような税制をしいておりますけれども、必ずしも十分とは申されませんので、今後努力を申し上げたいと思います。
  57. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、この心身障害児の総合対策についてでありますが、これらの子供の総合対策を行なう中で児童福祉法とかいろいろな法律はございますけれども、実際に現行法の中でこれらの子供の福祉を守る法的な完全な規定が私はないように思うわけです。したがって、この心身障害児のための保護、それから指導、医療、こういう関係がございますので、こういう関係を一体に総合対策を確立するに必要な法的措置も講ずる必要があろうと思うわけですが、あなたのほうでは、専門的にそうした措置をしておみえになりますので、私が法的に完全にないと言ったことがあるかもしれませんけれども、あればここで報告してもらい、ないとするなれば今後どうするかという、この点についてひとつお示しをいただきたいと思う。
  58. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 精神薄弱関係について申し上げますと、精神薄弱児の問題については早くから社会的にも取り上げられた関係もございまして、その施設の数あるいは収容された人数につきましても、おとなの施設に比べまして非常に進んだわけでございますが、先ほど申し上げましたように、約一万三千人ぐらい子供の施設に入っておりますけれども、これが十八歳以上になりますと一応成人として取り扱われる。そうなりますと、現行法のたてまえからいたしますと、ほかのおとなの施設に移らなければならない、こういう問題があるわけでございます。おとなのほうの施設は、これに比較いたしまして非常に少ない数でございます。収容能力としましても約五千五百ということでございまして、そういう面で子供からおとなへ至りまする一貫した施策というものが現在のところはなはだ不十分である、こういう点が指摘されておるわけでございます。事実その問題で非常に困っておるわけでございます。  そういう点がございますので、現在精神薄弱者福祉法の改正の問題を取り上げておるわけでございますが、それによりましておとなから子供への一貫した対策を立てたい。ただいま申し上げましたような施設の整備の問題、施設によりましてはおとなも子供も一緒に入れていくということも考えられますし、また行政上の問題といたしましては、子供の施設につきましては、児童福祉法によりまして児童相談所が主体になりまして措置をするとか、あるいは相談に応ずる、こういう体制でございまして、県が措置費の支弁をいたしております。しかしながら、おとなにつきましては各福祉事務所が措置をいたしまして、また相談は精薄者の更生相談所、こういうようなことで分かれておりますし、措置費の支弁につきましても、市町村がそれぞれ負担する、こういうように行政上の取り扱いも違っておるわけでございます。そういう点が第二の問題として出てまいります。  それから、第三の問題といたしましては、先ほど文部省のほうからお話がございましたように、特殊教育の対象となる児童が学校卒業した場合にどうするかという問題があるわけでございまして、そういう面で特に職業教育、職業指導、そういう面をどういうふうに取り入れていくかという問題が最近非常にやかましくなっておるわけでございまして、そういった面を今後考えなければならない、また精神薄弱の中で特に重度の場合、また肢体も不自由、いわゆる重症身心、こういった方々につきましては、長期的な保護の必要がございます。そういう面からいたしますと、いわゆるコロニーというような形のものもつくらなければならない、そういうものをこの体系の中へどういうふうに組み入れるかというような問題があるわけでございます。  そういった問題がございますので、現在審議会で審議をいたしております。先ほど申し上げましたような問題につきましてできるだけ解決をはかっていきたい、かように考えております。
  59. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、曲がりなりにも施設ができたといたしましても、職員不足をしておる。それからその職員のいまの実態を見ますと、有資格者が足りない。ほんとの資格を持っていない人が職員としておるわけでありますが、この点については、現在の施設ですら不足をしておるんだから、これからいろいろと政治的な対策施設をふやしていくということになりますと、職員養成ということにも力を入れなくてはならないわけです。この点をどう進めようとされておるのか、お聞きをいたしたいし、それから、こうした方面の職員にはあまり希望者が少ないということでありますので、これにはやはり待遇の問題も付き添っていこうと思う。したがって、現在、それらの人の待遇状況もわかりましたら、お知らせをいただきたい。
  60. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 精神薄弱児施設に従事いたします職員につきましては、児童指導員と保母、この二つがおもなる職員になるわけでございますが、保母につきましては、それぞれの保母の各県に置かれておりますような養成所、または各短期大学に付属されました保育課程、そういったところの卒業生によって充足をいたしておるわけでございますが、児童指導員につきましては、国立の秩父学園、これは精神薄弱児の施設でございますが、ここに養成所を設けまして、毎年二十名程度職員養成を一カ年でやっております。なお、こういった職員養成につきましては、その志願の状況あるいは施設の状況によりまして、さらにふやすということも今後考えなければならないと思っております。  それから、今後国立で考えておりますコロニーの場合につきましても、こういう施設職員につきましては、やはり養成所をぜひ設置すべきである、こういう意見がございますので、コロニーをつくります際には、養成所もあわせてつくってまいりたい、かように考えております。  それから職員待遇につきましては、現在特別な号俸というものはございませんで、児童福祉法によります施設につきまては、他のたとえば養護施設等よりも格づけを高くしておるような状況でございます。しかしながら、それだけでもまだ不十分でございますし、今後調整号俸というものをぜひ考えていく必要があるわけでございますので、このたび考えております国立の重症心身障害児施設の場合には、できるだけ高い調整号俸をつけよう。国立の場合につけますと、民間施設あるいは県の施設におきましても、同様な調整号俸をぜひ適用いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  61. 田口誠治

    田口(誠)委員 有資格でない職員がその施設につとめておって——大阪にだけ一カ所、正式の名称は忘れましたけれども、通信教育をするところがある。それで、この通信教育を受けておって、そうしてもよりの短大に一月に一回か行って、テストをしてもらう。そして一年に一回、これはたしか二カ月だと思うけれども、大阪に行って直接に勉強をし、テストを受ける。そうして二カ年やって免状がさがるというところがあるわけですが、こういう場合に、いずれにいたしましても職員としてつとめれば、これは労働者ですから、二カ月というその月を、その職場を放棄し、給与も放棄して、そうして大阪へ出かけていくということが、非常に困難があるわけです。だから、こういう点については、国のほうで何か方法がないかと思うのです。ただいまあるような通信教育の方法を国のほうでも行なわれて、そうして二カ月なら二ケ月の現地で実地教育を受けなければならないときは、そのときの給与の全額あるいは七〇%の保障はしてやるというような方法を講じなければ、施設はふえても、有資格者を得るということは、今後困難性があると思うのです。いまからその対策を立てていく必要があろうと思うのです。そういう点をやはり政治的に解決する必要があるのではないかと私は思うのですが、その点御存じであるのかないのか。御存じでないとすれば、私が申し上げましたようなことについてどういうようなお考えであるのか、承りたいと思います。
  62. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 ただいまお話しの通信教育あるいはそれによります実習の面につきましては、私は承知いたしておりませんが、今後施設職員資格の充実につきましては、いま先生のお話のような場合もございますし、また夜間のそういった施設へ通っている方もおるわけでございますが、そういう面でできるだけ資格を得るような面につきましての奨励と申しますか、そういったことはぜひ研究いたしてみたい、かように考えます。
  63. 田口誠治

    田口(誠)委員 ただいまの件は、将来施設をふやし、そうして未収容人員を全員収容さして教育をさせるということになりますと、当然有資格職員が必要である。現在ですら不足をしておるんだから、何かの方法をとらなければ有資格者を充足することができないと思いますので、これは先にいって壁に突き当たってから考えるんでなしに、いまから考えていただく必要があろうと思いますので、その点も強く要望をいたしておきたいと思います。  そこで、この施設職員定員でございますが、これは何名に対して何人という一つ基準があるわけなんですが、それは、お示しになっておる基準の員数と実際と相当相違があるわけなんですが、その点御存じですか。
  64. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 現在精神薄弱児施設におきましては、保母、指導員を入れまして、六人に一人という基準になっておりますが、来年度予算におきまして、これを五人に対しまして一人、こういうように改めた次第でございます。施設によりましては、先ほど御指摘のようになかなかむずかしい仕事でございますので、この職員が充足されないというところもあるかと思いますが、中にはこれではできないということでもっと人をふやしておる施設もございまして、いろいろございますが、全般的には、さらに職員がなかなか得がたいというのが実情でございます。
  65. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま定数の基準を現行は六名に一人という答弁がございましたが、これは基準でございまして、全国的な平均の数字が出ておると思いますけれども、実際的には七・九人に対して一人という数字になっております。来年度目標は、先ほど答弁のありましたように五名に一名ということでございますが、六名に一名を五名に一名ということは、大きく配慮していただくことになりますが、実際的には七・九、まあ約八人に一人、こういう数字になっておりますので、そういう点もひとつ十分に内容を知っていただいて、この職員の補充方に努力をしてもらわなくてはならないと思います。厚生省のほうで集約されており、あるいは基準を出しておられるものは、ただいま答弁のあったような内容ですけれども、実際的には、ただいま申しましたように、非常に内容的に不満な内容があるわけでございまするので、その点を今後政治の上に乗せていただいて十分に配慮をしていただきたい、この点も強く要望を申し上げておきたいと思います。  大臣お見えになりましたが、いま官房長、局長からいろいろと心身障害児対策について、先般お聞きすることのできなかった点を順次聞いて、要望も申し上げておるわけでございます。  そこで、大臣に十分に把握をしていただいておかなければなりませんことは、心身障害児の総数に対する、軽度な者の特殊教育学級も少ないし、それから定数も少ない。それから強度な者に対する、定数に対する施設の収容人員も非常に少ない。それから施設の運営の困難な点も、いま申し上げておったわけです。それから、施設ができても、職員の有資格者が非常に不足をしておる。今後有資格者をどうふやしていくかということについては、私は私としての私見を申し上げておきましたので、そういう点でこの問題に強く取り組んでいただくように大臣にもお願いをしておきたいと思うわけでございます。  そこで、いままでいろいろと答弁をしていただいたわけですが、今年全国的な調査を行なうのでしたかね。五年目ごとでしたか。
  66. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 四十一年度に精神薄弱児あるいは者につきましての調査を行ないます。
  67. 田口誠治

    田口(誠)委員 その調査に基づいて、これは白書を出されるのでしょうね。
  68. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 白書を出すということまで考えておりませんでしたけれども、調査の結果につきましては十分検討いたしまして、今後の対策の基礎にいたしたい、かように考えております。
  69. 田口誠治

    田口(誠)委員 五年目五年目に調査をする、また五年目ごとでなければ全国的な調査がやれないということでございまするが、生きた政治をしようとすれば、今年の前には昨年の実態がわからなければならない。したがって、答弁されるほうと、実際に実情を見ておる者との、質問、答えが相当開きがあるわけです。したがって、幸いに昭和四十一年度に全体の調査を行なうということになりますれば、それに基づいて、当面次の調査をするまでの五年間どういう対策を行なうかということの基本的な考え方を含めて、施策方向を打ち出していただく必要があろう。すなわちこれが白書という名前になるのか、基本方針ということになるのか、それはわかりませんけれども、その点を私は強く要望を申し上げておきたいと思います。その中には、私が新しく提起しました内容もございますので、その点も十分に研究をしていただいて、その中に加える必要のあるものは加えていただき、心身障害児対策の万全を期するように、努力を強く要望いたしておきたいと思います。この点も大臣はあとからですけれども、ひとつお約束をお願いをいたしておきます。
  70. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 精神あるいは身体の障害を持っておる子供たち、またそういう障害者の方々、こういう方々は、いわば社会の谷間に不幸な生活を送っていかなければならぬというお気の毒な事情にある方々でございますので、政府といたしましては、特にこれらの方々に対する特殊の施策また医療の対策ということにつきましては、重点を置いて今後やってまいる所存でございます。今回重症心身障害児のために、全国に十一カ所五百二十ベッドの国立の収容施設をつくりましたのも、また今後テストケースとして国立のコロニーを建設しようといたしておりますのも、そういう気持ちから私ども具体的に施策の上に具現をしよう、こういうことでございます。また収容できない子供さんたちのためには、在宅の指導の強化あるいは扶養手当の範囲の拡大、そういうようなことにつきまして、できるだけの施策を今後やってまいるつもりでございまして、いま田口さんからきわめて建設的な御意見、御提案がございましたが、今後御意見等も十分取り入れまして、施策を強化してまいりたいと考えております。
  71. 田口誠治

    田口(誠)委員 この辺で質問を終わりたいと思いますが、最後にもう一つだけお聞きしておきたいと思いますのは、精薄児の場合は、母体保護という点が非常に大事なように考えられるわけです。知能指数七五以下の子供さんが何人に一人は生まれるということになりますると、これはどこの家庭でも生まれるまでは相当心配をしなくてはならないと思いますので、現在の保健所が指導しておりまする母体保護の指導方法で万全かどうかということを、振り返って考えてみる必要があろうかと思います。こういう点で何か新しく計画されておる点はないのかどうか。それと、母体保護という点からこうした子供さんが生まれるということを聞いておりますので、そういう点を防ぐためにも、今後万全の対策を期していただかなくてはなりませんので、その点についてもひとつ……。
  72. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 心身ともに健全な子供さんを生んでいただきますためには、母性の健康の管理あるいは栄養の問題、生活環境の整備、いろいろ各般の母性に対するところの保護が必要である、こう考えるのでございます。そこで、今年一月から実施になりました母子保健法、この法律を私ども基盤にいたしまして、母性並びに新生児、乳幼児等の健康管理と栄養の問題、また健康診断等をやりまして、早期に必要なる手当て、治療等もやる、こういうことを今後一そう強化してまいりたいと考えております。特に低所得の御家庭に対しましては、無償ミルクの配給の範囲を拡大するとか、いろんな配慮もいたしてまいりたいと存じております。また脳性麻痺でありますとか、そういう病気の原因になりますことについての医学的な解明、研究というものに今後一そう力を入れてやってまいる必要があると思うのでありまして、そういう面の研究等につきましても、今後意を用いて努力をしてまいる所存でございます。要は、そういうお子さんができてからこれを治療しあるいはいろいろお世話をするということよりも、そういうお子さんが一人でも多く出ないように、予防、健康管理の問題、栄養の問題等、十分今後対策を進めていきたいと考えておるのであります。
  73. 田口誠治

    田口(誠)委員 誠意ある答弁をいただいて満足をいたしましたが、これは厚生省だけでなしに、特に働く婦人の場合の母体保護の問題等は、労働省との関係もございますし、それから最近赤線がなくなってから悪質な性病がまた流行し始めたということで、こういう点も精薄あるいは心身障害児を生む一つの原因にもなろうと思いますので、厚生省としての行政的にとっていただく面に大きな期待を私どもはかけておるわけでございますので、最大の努力を最後に御希望申し上げて、質問を終わらせていただきます。
  74. 木村武雄

  75. 米内山義一郎

    ○米内山委員 先般の委員会で大臣に対する質問が残っていましたから、残りを簡潔にお伺いしたいと思います。  まず第一点は、国立病院医師の充足状態の問題でございますが、おそらくは全国的にこういうことだろうとは思いますが、あまりにも驚くべき状態が解決されないでおりますことを申し上げたいと思います。おそらく大臣はこういう実態は御存じないと思います。大臣が知っておれば、もうとうに解決なさっていると思いますし、いまもし知っておるとすれば、ついこのごろ聞いたということになると思うが、青森県に大湊療養所という国立療養所がありますが、ここに医者が何人いるか、患者が何人ぐらいいるか、いまの実情はどうかということを一応この際、担当の局長さんからはっきり御答弁願いたいと思います。
  76. 渥美節夫

    渥美政府委員 大湊療養所におきまする医師の実情でございますが、医師定員は四名でございますが、現在は二名と相なっております。したがいまして、充足率は半分であるということであります。患者につきましては、四十一年一月の一日平均の入院患者数が百二十名ということに相なっております。
  77. 米内山義一郎

    ○米内山委員 こういう実態でありまして、医師が二人といいましても、その一人は院長先生なんです。病院のいろいろな行政事務もやっておられるし、私よく立ち入って聞きますと、一カ月の間に相当な日数の出張もなさっておると思います。さらに、この病院は外来患者も扱っておる。もう一人のお医者さんについては、これはあまり詳しく申し上げると——何人もいるならば、年ごろは何ぼで、どの程度の腕だということを申し上げてもいいのですが、これはあまり申し上げませんが、こういう実態なんです。ここの患者は、はなはだしい場合は二カ月に一ぺんぐらいしか医者の顔を見ないという、これが結核療養患者国立療養所の実態であります。まるで無医村並みじゃございませんか。これが高度成長を遂げたアジアの繁栄を誇る国の医療保障制度でございましょうか。なぜこういう実態が解決されないでおるのか、この原因とその理由を明らかにしていただきたいと思います。
  78. 渥美節夫

    渥美政府委員 大湊の場合には、先ほどの実情でございますので、医師の確保につきまして、特に別にある程度の措置をしておるのでございます。たとえば花巻療養所から毎月十日程度医師を派遣いたしましてやっております。なお特に手術を必要とするような場合におきましては、大湊療養所から宮城療養所に移送をいたしまして手術をするというふうなことでございます。国立病院国立療養所におきまする医師の充足は、いまお示しの青森県下におきましては非常に悪いのでございまして、そういう意味におきまして、そういった他の病院、療養所からの医師の派遣等をやって、現在の医療を確保いたしたいと思っておりますが、国立病院国立療養所全体といたしまして医師の確保状況を申し上げますと、国立病院につきましては、定員が千九百二十七名に対しまして、現員が千八百七十七名で、九七%の充足状況でございます。なお、国立療養所につきましては、定員が千七百六十名でございますが、現員といたしましては千五百九十三名、つまり九〇・五%というのが現在の厚生省で経営しておりまする病院、療養所の医師の充足状況でございます。したがいまして、病院と療養所をひっくるめて申し上げますと、充足率は九四%ということに相なっております。したがいまして、お示しの青森県下におきまする結核療養所は五つございますけれども、これはいま申し上げました全国の平均よりも相当下回っておりまして、そういう意味におきまして地域的に何らかの措置をとらなくてはならない、かように考えております。
  79. 米内山義一郎

    ○米内山委員 半分ならば相当下回っておるということになると思うのですが、それでは、岩木、臨浦園あるいは青森等、五つの療養所があるわけですが、これの各療養所ごとの定数と現在の充足の状態をひとつここで明らかにしていただきたいと思います。
  80. 渥美節夫

    渥美政府委員 青森県下の五つの療養所の医師の充足状況を具体的に申し上げますと、青森療養所におきましては、定員が四名でございます。現員は三名でございます。したがいまして、七五%。臨浦園につきましては、定員が六名で現員が四名でございます。岩木療養所が定員は四名ですが、特殊な状況と思われますが、現員が五名になっております。大湊病院につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございます。なお、八戸療養所につきましては、定員が五名でございまして、現員は三名でございます。したがいまして、青森県下の五つの療養所の合計の定員が二十三名に対しまして現員が十七名、したがいまして、ひっくるめますと充足率は七三・九%ということでございます。したがって、先ほど申し上げました全国の九〇%に比べますと、相当に下回っておるというのが実情でございます。
  81. 米内山義一郎

    ○米内山委員 一体青森県に限ってこんな陥没しているということは、何の原因だ。しかも、これはきのう、きょうこういう状態になったのじゃなくて、いつごろからだと思いますか。黙っていれば、いつまでもこういう状態——それとも、もうここにいると命があぶないから、おまえたちもこの病院からよそへ、医者の一ぱいいる病院へ行けという意味で、こんな脅迫的な医療制度をやっておるのか。その他給料が安くて医者が集まらないのか。日本じゅう医者が払底して、いないのか。何らかの原因があるからこういうたいへんな不公平なことがあると思いますが、次長さんはどういうお考えを持っていますか。
  82. 渥美節夫

    渥美政府委員 まず、青森県下におきましてはこういう状況でございますが、東北全体の医師の充足率は、全国に比べましてそう落ちてはいないわけでございますので、したがいまして、当面の問題といたしましては、東北管内、これは東北地方医務局という機関の管轄になっておりますが、そういった他の県、他の療養所等から医師を派遣したり、あるいは特に重要な手術等につきましては患者を移送して手当てをするという当面の施策を考えておるわけでございます。  なお、国立結核療養所等におきます医師の充足は、他の一般病院に比べまして漸次減ってきておるということが実情でございまして、これはいまの医学の進歩とそれから医療の需要という点から考えまして、結核対策相当進んだために、患者自体もやや少なくなってきたというふうなことに関連いたしまして、医師も他の疾病の治療のほうに移っていくということも基本的には考えられるのではないか、かように思いますが、なお、結核対策はさらに重要な課題でございます。したがいまして、私どもといたしましても医師の確保には最大の努力をいたしたい、かように思います。
  83. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これが実は大湊の療養所を中心とする青森県の、厚生大臣所管の国の医療施設の実態なんでありまして、もっと詳しく申し上げると、二百人近い患者がいますと、湿しんにかかる患者もあるし、結膜炎にかかる患者もある。こういうふうなきわめて初歩的な簡単な病気でさえ、この病院施設の中では治療ができません。バスへ乗って市内の病院へ行って、こういう治療を受けておるという実態でございます。大臣、これをいつまでそのままにしておくか。いつごろ何とか善処させるつもりか、ひとつここではっきりお答え願いたい。
  84. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 国民が皆保険のもとに医療を受ける権利があるわけでありまして、それが医療機関が整備されないとか、あるいは医師の確保が十分でないとかいうようなことで、医療の給付について国全体として不均衡がそこにあるということは、これは厚生行政としても大いに反省をし、この改善努力をしなければいかぬ点だと存じておるのであります。全体につきましては、いま御説明申し上げたとおりでありまして、決して満足ではありませんけれども、特に青森県の国立療養所の問題につきましては、実情をいま米内山さんからはっきりお聞きすることができたわけで、私もその実態を承知いたしました以上は、できるだけ早くこれに対する改善の措置を講じたい、こう考えます。
  85. 米内山義一郎

    ○米内山委員 次に話を変えまして、ハンセン氏病のことについて御質問申し上げます。  これは、申すまでもなく、以前は天刑病だとかあるいはらいだとか、こういうふうな病気の中でも非常に気の毒な種類の病気でありますが、この病気に対する一国の対策というものは、その国の政治や文化、文明の程度をあらわすものだと、世界的にもいわれておる。わが国でも、以前は野放しであった時代もあったかもしれない。アジア、東南アジア、アフリカにおいては、今日なお依然として野放しのようなところがございますが、これは御承知のとおり、非常な後進国でございます。わが国では、奈良朝時代すでにこの問題が政治的に取り上げられた古い事実もあるわけです。いま科学や技術が非常に進歩してきまして、らい病というものは、もはや昔のらい病ではない、科学、薬物によって無菌状態になる、こういう時代になっていますから、ああいう療養施設内容それ自体が変わっていかなければならないと思います。しかし、いま見ますと、この無菌になった患者の方々は、一日も早く社会に復帰させるべきだと思うし、復帰したいと考えていると思いますが、できないのです。これは、国があそこに患者を入れて、終生飼い殺しの政策をとっているからであります。おおよそさまざまな病院がありましょうが、小学校からお寺まである医療機関というものは、あの社会以外にない。一つの社会を構成している。しかも長い間これは天刑病だといって世間にきらわれた病気が、近代文明の恩恵に浴して無菌になる。ところが、国はこの無菌になった人たちを社会復帰させようとしているのかどうか。あそこで飼い殺しをしようという政策を今日なお続けているのかどうか。このハンセン氏病対策に対する国の基本的な考え方をお聞きしたい。
  86. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 いまハンセン氏病で入院しておりますのが約一万人、そのほかに在宅で療養しております軽い方が千人、一万一千人ほどと数えられておるわけであります。しかも施設に入っております一万人の方々も、いまお話がありましたように、大部分は病気そのものはなおっていて、いま後遺症等が若干残っておるのでありますけれども、農作業その他仕事をしながら療養を続けておるというような状態にある方々が大部分であるということを承知いたしておるのであります。したがいまして、今後はこれらの方々の社会復帰、そのための更生、授産の機会を与えるように努力をするということが、重要な課題である、こう考えておるのでありまして、これに対しましては、労働省その他と緊密な連絡をとりまして、そして職業訓練でありますとか、あるいは職業のあっせんでありますとか、また必要に応じては生業資金等の貸し付け等につきましても、十分配慮していかなければならぬと思うのでありますが、根本は社会一般がハンセン氏病に対する正しい理解を持って、もう昔のようにそう感染や何はするものではないし、今日の医薬、医療では完全にこれがなおるという、この正しい理解、そしてこういう方々をあたたかく社会に迎えてやるというようなことが、非常に必要なことである、私はこう考えておるのでありまして、社会復帰の面に今後特に力を入れてやってまいりたいと考えております。
  87. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そういう大臣のお考えになるいろいろな授産施設とかそういう経済的な問題の前に、純医学的な問題、いわゆる療養所の中で解決すべき問題として、重要な事柄があります。それは、これらの人々は独特な後遺症を残しておる。ちょうどやけどの後遺症と同じような状態を残しておりますが、これをこのままにしての社会復帰はむずかしいのであります。金だけ持っても復帰できませんので、どうしてもこれはいわゆる整形外科、整形医学によってこの後遺症を緩和しなければならぬ。ところが、今日の療養所の施設には、こういうことがきわめて軽視されております。この点を急速に充実することが大事だと思いますが、大臣のお考えをお願いしたい。
  88. 渥美節夫

    渥美政府委員 ただいまのお話のように、社会復帰の前におきまする後遺症の治療ということが、きわめて重要な問題でございます。最近は、先生御承知のとおり、整形外科あるいは形成外科、そういった点の学問の進歩もはなはだしいものがございまして、たとえば上肢、下肢の変形でございますとか、あるいはまゆ毛の脱落というふうなものに対する植毛手術、そういった点につきましても、社会復帰を希望する患者等に対しては、積極的に治療といいますか、施術をやっておるわけでございますが、いまお話しのように、整形外科関係の専門の医者が、国立らい療養所におきましては現在のところ七名程度でございます。したがいまして、近隣の各大学、医科大学等の形成外科あるいは整形外科の先生の積極的な応援も得まして現在やっておりますが、なおこういった点につきましては、さらにお話のような配慮を進めてまいりたい、かように思います。
  89. 米内山義一郎

    ○米内山委員 よくわかるのですが、しかし、こういう重大な問題が、ただ国会ごとにこういう場所でしゃべりっぱなしでは片づかない。やはりそれ相当な金もかかることだから、ちゃんとその裏づけをしながら前進するように、私は御期待申し上げたいと思います。  もう一つ御質問いたしたい。本国会で水銀農薬のことが取り上げられておりますが、これに対しては、先般社労委員会厚生大臣が何らかの規制措置をとりたいという御発言をなさったということを聞いて、私は非常に安心しておるわけであります。かつて中性洗剤の問題が論議になりました場合に、国はあのために約一千五百万程度研究費を使い、二百人余りの研究者を動員して、一応の報告書を出しておる。その際の報告書の結末というものは、無毒ではないが、使い方によってはあまり害がないというような報告を見ておりますけれども、今度問題になっている水銀農薬の場合は、これはもっと重大なものであることは、その化学的性質からみても明らかでございましょう。同時に水銀農薬は、わが国独特の農薬でありますが、これと並行してもっと重要なのは、いわゆる有機塩素の農薬害、これは世界的に非常に重要視されている。こうして見ると、今日、米さえとれればいい、金にさえなればいいというようなものの考え方が、あらゆる公害を拡大しておりますが、この際、私は厚生省に、国民の保健、命を守る意味から、これに対してできる限りの大きい力と強い対策要望したいのですが、重ねて大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
  90. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 特定毒物あるいは毒物性の農薬が人体に相当影響が大きい、こういうようなことから、かねて毒性の低い農薬の研究開発ということを政府でも努力してまいったのであります。昭和三十五年当時におきましては、大体半々程度の生産になっておりましたが、今日では低毒性の農薬の開発研究が進みまして、七〇%程度のものは低毒性の農薬に切りかわっておるわけであります。ただ、いもちの駆除等のために、いまだに水銀剤農薬等が使われておるという状況であるわけでありますが、この水銀剤が農作物から体内に摂取されて、それが残留をするというようなことが、実は研究の結果、だんだん明らかになってきておるわけであります。アメリカ等の諸外国におきましては、すでに許容量ゼロという基準をつくって、厳重にこれを規制いたしておるという現況でございます。私は、最近においては、この農薬の人体に及ぼす影響が放置できない状況下にあることを承知しておりますので、わが国におきましても、できるだけ早くこの許容基準を定めまして、今後農薬等の製造及び使用の面につきまして、十分な規制をやってまいりたい、かように考えておるわけであります。
  91. 米内山義一郎

    ○米内山委員 終わります。
  92. 木村武雄

    木村委員長 受田新吉君。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 簡明に質問します。  法律の改正点そのものは、ごく簡単で問題にならぬように見えますが、しかし、私が当委員会で従来しばしば指摘しております大学校という名称を用いる機関が、一つ生まれる改正案が出ております。大学校病蔓延の徴があらわれまして、各省とも研修所を大学校に切りかえる手続が、最近とみに激しさを加えておる。こういうことで、従来各省設置法でしばしば私からも指摘した点をまた繰り返しておられるわけです。厚生大臣もやはり人の子でいらっしゃると見えまして、今回も社会保険研修機関を大学校という名称に切りかえるわだちを繰り返されておるわけでありますが、これは研修所としてそのままにしておいて、何かぐあいの悪いことがあるのかどうか。大学校という名称を用いなければならないというよらなせっぱ詰まった事情があるのかどうか、お答え願いたい。
  94. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 今度大学校ということで御審議をわずらわしておるわけでありますが、これは従来ありましたものを普通部と高等部に分けまして、従前のような職員養成をいたしますと同時に、一部の者につきまして、幹部職員養成をやってまいりたい。申すまでもなく、今日、医療保険の面あるいは所得保障の面で、社会保険制度というものが社会保障の大きな柱になってきております。また、これが今後ますます整備されていかなければならぬという段階におきまして、こういう指導に当たってまいります幹部職員養成ということが、特に重視されておると思うのであります。そういう意味合いから、それにふさわしいように内容を充実いたしまして、またそれにふさわしい名称にいたしまして、職員養成に万全を期したい、このように考えておるわけであります。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 その高級幹部職員——高級を除いても、幹部職員研修のために大学校という名称を用いることになったのだという御理由のようでございますが、これはしかし、幹部職員をつくるための研修機関としても、期間は六カ月です。学校教育法に規定する大学は四年間、それに比べると、大学校お話にならないわずかな期間であって、別にその制度を設けたからといって、研修の範囲を越えるものではないと私は思うのです。
  96. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 その就学の年限は御指摘のとおりでございますけれども、幹部職員養成いたしますのは、すでにそれぞれの大学その他の学校で一応の教育を修めた者で、現に社会保険の行政の分野で働いておる者、その中からさらに幹部職員として今後必要な研究研修等をやらせる、こういう意味で、再訓練の意味合いでいたすのでございますから、私は、その点につきましては、期間がかりに短くとも十分目的が達成できるもの、かように考えておるわけであります。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 大学校という名称を用いることで目的が達成されるというお考えですか。
  98. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、今回は高等部を設置し、そして幹部職員養成をする。その目的に沿うように内容的にも充実をいたし、また内容の充実に伴って大学校ということにいたしたい、かように考えておるわけであります。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと私解せないのです。大学校というふうにしたい——内容を充実したら、大学校ということにどうしてなるのでございますかね。大学校というのは、一体どういうところに根拠があるわけでございましょう。学校教育法では大学ですね。ところが大学校、他省にも類似の機関がそれぞれできたわけですけれども、大学校という名称には、そんなに魅力があるのでございますか。これは事実問題として私はお尋ねしてみたいのですが、大学校というのを出たというと、何だかえらくなったような気がするのか、研修所では肩身が狭いのですか。これをひとつお聞きしたい。
  100. 山本正淑

    山本(正)政府委員 先生も御承知のように、大学というのは学校教育法に基づいておりますけれども、大学校というのは別にそういう規定はないわけでございまして、各省の行政機関の研修機関がたくさん大学校という名前になっておりまして、内容的には比較的に高度な専門教育というものをねらいとしておる、かように申し上げてよろしいかと存じます。  そこで、端的に先生おっしゃられましたが、大学校のほうに魅力があるか、こういう点でございますが、その点につきましては、私どもは非常に魅力がある、かように解しておりまして、これは全国に各国民年金ができましてから、現在各県に保険課があり、国民年金課があり、各地域に社会保険事務所が二百何十ございますが、そういうような各地方庁につとめております職員、これは大体毎年数百名ずつ更新されておりますが、大学出ももちろんおりますけれども、高等学校を済んで初級試験をとった人たちが多いわけでございまして、こういう人たちにとりましては一やはり教育法によるそれぞれの過程を経て大学に進みたいという希望があった人たちも職場についておる、かような人たちにも、非常に多く優秀な人がおるわけでございまして、こういった職員の気持ちを十分活用させ、かつまた専門的な教育をさらに高度に施していくという意味におきましては、やはり大学校としたほうがよろしい、かような確信をいたしておる次第でございます。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと行管の方、だれか来ておられますか。——これは大学校病が各省に蔓延しておるのです。伝染病の所管省である厚生省は、せめてこの伝染病を防止していただきたいと思います。むしろここで研修機関としての権威を十分保って、大の字がつけば誇り高いもののような印象を受ける悪弊を打破して公務員の権威を高めていただくほうが、むしろお役所としては常道ではないかと思うのです。なお、各省研修所がまだ相当数残っているわけです。これらにまた来年から相次いで大学校名称が冠せられる危険があるわけです。やるなら全部ばさっとやればいい。行管の御出席を要求してありましたけれども、御出席がないようでありますから、時間の関係で行管のほうは質問を保留しておくことにしておきます。せめて厚生省としては、この問題には謙虚な気持ちを持って、学のうんのうをきわめるという目的の大学とまぎらわしい形でなくて、研修をするというかっこうでいって、ゆうゆう公務員の自負心も満足できると思います。  もう一つ、六カ月の高等科を出た者は、俸給を一号でも上げるというような措置でもされるのですか。やはり学歴に影響のあるような効果が、待遇の上で出てくるのでしょうか。
  102. 山本正淑

    山本(正)政府委員 もとよりそれぞれの所長なり課長になるという幹部につきましては、単に専門的知識が十分であるというだけでなしに、その他の要素があるわけでございますが、本科を学習いたします者につきましては、相当選考いたしまして、そうしてそういった点も十分配慮いたしまして大学校の本科に入れるわけでございまして、具体的には、御承知のように特別昇給という制度があるわけでございまして、人事院規則に従いました特別昇給というようなものを、この大学校の本科を出ました優秀な者につきましては、適用していくことに相なると存じております。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 大学校名称論議はこのあたりで私はおきますけれども、こうした役所のバランスの関係で、どこかが一つのろしをあげれば他がこれに追随するような形態のものは、やはり官庁としてはとるべきでない。法務省のように、官房長を置かない省もあるわけですね。よその省がやるからうちもやるという行き方は、お役所としてはとるべきでない。厚生省としてはいいところに研修所を持っておられるのですから、ひとつ御検討を願いたい。大臣もよくおわかりにならなかったと思うのですが、あなたのほうにとんでもない問題が残っておることをひとつ御記憶願っておきたい。  ひとつスピードを上げますが、次に通告をしておきましたインターン制の質疑をします。  インターン制が昭和二十一年以来生まれてきて——ちょっと関連があるそうですから……。
  104. 山内広

    ○山内委員 関連して、ちょっと確認しておきたいのですが、大学校を出た方の優遇措置を講ずるということで特別昇給を考えるというのですが、これはちょっと危険があると私は思うのです。というのは、特別昇給というのは、ワクもあり、きまっておる。大体一〇%くらい、たしかそうだと思いましたが、これは長期に休んでおったためにストップをかけた人が、なおって出てきた。そういう人たちを特別に昇給といいますか、給料の差が拡大されておる人を補うとか、それはワクがあるのであって、当然大学を出て勉強もされ、優遇している人は、別途の方法で考えないと、特別の昇給のワク内で操作するということになると、お互いに仲間同士の昇給する賃金を食うことになる。私は、これはかえって非常に結果がまずいと思うのです。こういうのは、せっかく出たのですから、思い切って別途の方向で別ワクを盛ろうというなら別ですけれども、特別昇給のワク内で考えるなんといったら、それはだめです。ちょっと関連して聞いておきます。
  105. 山本正淑

    山本(正)政府委員 おっしゃるとおりでございます。特別昇給には一定のワクがございまして、その範囲内において優先をするということではございません。それはそれとして別途の特別昇給を考えていきたい、こういう趣旨でございます。
  106. 山内広

    ○山内委員 そのとおりだと思います。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、ちょっと別途の措置というのが出ましたから、それを聞かなければいかぬと思うのです。それはいかなる方法でいかなる規定に基づいてやるわけですか。人事院との関係もありますから……。
  108. 山本正淑

    山本(正)政府委員 人事院規則によりまして、一般の特別昇給のほかに、指定した研修を経た者について特別の措置ができる、この線に沿いまして当面実施していきたい。なお、先ほども御意見が出ましたように、さらにそれよりもっと明確なものをしていくことが望ましいのでございまして、その方法につきましては今後の問題として検討してまいりたい、かように存じます。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 それではインターン制度をちょっと聞きますが、これは厚生大臣、このインターンという制度がいまどのように世間に批判されておるか、またその該当者がどんなに苦労しているかは、御存じだと思うのです。インターン研修期間というものは、身分が学生やらあるいはサラリーマンやらわからないようなかっこうになっておる。それから勤務する場所が、指定された病院国立病院、大学の付属病院というように限られておる。けれども、たとえば国立病院で、全国でインターンが配属されておる国立病院がどれだけあるのか、こういうこともバランスの問題として大切なことなんです。それから終戦の直前ごろに医師の大量製造をやっておる。そこで、ちょうどいま年ごろからいって四十歳から五十歳ぐらいのころのお医者さんには、その戦時中の大量医師養成の対象になった人がたくさんあるわけなんです。そういう人とのバランスを考えて、インターンをしっかり鍛えて、実力を持つ医師養成するという形にしようとされておるのであろうと思いますけれども、このインターンの身分というものがはっきりしないし、収入が確保されないから、アルバイトを盛んにやるとかいうことで、このインターンという医師の卵が、社会的に見ていかにも卑屈感を持って勤務するというようなかっこうは、これはまことにぶざまなやり方だと思うのですけれども、御所見を伺いたいと思います。
  110. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 このインターン制度は、医学を修めた者が、今後みずから開業する、あるいは医者として一本立ちをしていくというために実地研修あるいはその指導を受ける、そして学問的にのみならず、実地の面においても十分自信を持って医療従事者としての使命を達成するようにしていく、そういう意味合いからいたしまして、私は、インターン制度、実地研修制度というものは、これはぜひやらなくてはいけないと思います。また、各国におきましてもそれぞれやっておるのであります。ただ、それではいままでのインターン制そのものでいいかどうかという点につきましては、御指摘になりましたように、いろいろ改善すべき点があるわけであります。厚生省におきましても、省内でも検討を加えてまいりましたし、また虎の門病院の沖中先生等を中心に学界の方々等にお集まりを願って、この制度改善につきまして御検討を願って、その御意見も拝聴いたしておるのでありますが、方向といたしましては、まず大学の所定の課程を終えました者につきましては、医師の国家試験を一ぺんやりまして医師としての資格を与え、しかる後に一年間のインターンとしての研修をやる、そういう方向でインターン制度を今後はっきりと身分についても明らかにしてやっていったらどうか、そういう御意見が非常に各方面から強く出ておるわけであります。私ども、そういう御意見につきましても十分これを参考といたしまして、できますれば、この国会にインターン制度に関する法律案の提案をし、御審議を願うようにいたしたい、かように思っております。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 この国会で御審議を願いたいという準備ができているわけですね。それは非常にけっこうなことなんですが、現実の問題としてまことにあやふやな存在のかっこうになっておるし、収入が不確定、宿舎の施設がない、指導する医師の立場も十分でない、いろいろ問題があるわけでございますから、それを十分含んで法案を用意されることを希望しておきます。  ちょっと、いまのインターンの配属されている病院、例を指定病院の中の国立病院にとります。全国国立病院で、インターンが配属されている国立病院は幾つありましたか、お答え願いたい。
  112. 渥美節夫

    渥美政府委員 国立病院全国で八十六カ所でございますが、インターンの問題がいろいろと問題になってまいりましてから、国立病院において研修を受けるインターン生は非常に少なくなっておりまして、現在のどころ数病院にとどまっております。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 これは厚生大臣、問題なんです。国立病院にインターンが配属されておる病院が、わずかに数病院しかない、これは一体どういうところに原因があるとお思いでしょうか。局長さんでけっこうです。
  114. 渥美節夫

    渥美政府委員 インターン制度につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたとおりでございますが、インターン生を指導する指定病院は、全国で約二百六十病院程度指定されてあるわけでございます。その二百六十病院につきましては、いずれも優秀な医師もおり、あるいは施設も整っておる病院でございます。総合病院でもございます。したがいまして、国立病院は当然インターンの指導に当たるという適格性を持っているわけでございますが、最近におきましては、インターン生が主として医科大学の付属病院、こういったところに集中しておりまして、非常に少数の例外を除きましては、医学部の付属病院、自分の出身校の病院においてインターンの研修を行なっているということが、実情でございます。国立病院におきましてもそれだけの施設があるわけでございますが、現在の傾向といたしましては、そう相なっておるわけでございます。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 大学の付属病院や、それから厚生大臣が指定した病院を含めて三百二十四カ所の指定病院がある。その中で、国立病院はほんの数カ所にしかインターンの希望者がいない。国立病院そのものこそ一番インターンが魅力を感じていかなければならないのにもかかわらず、さっぱりインターンがそこを希望しないというところに大きな禍根があると思う。設備も十分できているところの国立病院であるにかかわらず、特定の、ほんのわずかの、数カ所の病院だけへインターンが行って、あとは全然行かないということ、これは驚くべき現象なんですね。大臣、これはどこか厚生省の指導よろしきを得ない欠陥が暴露されていると思うのです。国立病院が最高度に利用されて——インターン生は現在三千幾らおりますか。
  116. 渥美節夫

    渥美政府委員 三千三百くらいでございます。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 三千三百もおるインターンが、国立病院には数カ所しか行かないそうです。驚くべき現象であることを指摘しておきます。これ以上突っ込みませんが、原因がどこにあるかをひとつ十分お考え願いたい。  そこで、医師の充足数に関係をする問題を提起しますが、三千五百人くらいの大学の医学部の新規募集をやっている。いま医科系の大学は二十か三十かあるようでございますが、そこで新規募集が大体三千五百くらい。日本じゅうのお医者さんが十万八千人もおられるそうです。このお医者さんの充足率、それと医師養成機関との関係をどうされようとしておるのか。医師は十万八千で、これから年次計画をどういうふうに考えておられるのか。特に問題は、医師は現時点で足りないのか、大体人口どれだけに一人が好ましいのか、そういうことを含めてお答え願います。
  118. 渥美節夫

    渥美政府委員 医学部の入学定員がだんだん増加されてまいっておりますことは、先生のお話のとおりでございます。昭和四十年におきましては三千五百六十人、昭和四十一年度では三千八百二十人というふうなことで、医学部の入学者はふえております。  そこで、現在の医師数、これは免許をとって働いているお医者さんの数は、お話のとおり十万八千百二名というふうなことになっております。これは三十九年末でございます。  それではこういった医師の数が適正であるか、適当であるか、将来の医療需要なりあるいは医学の進歩に伴ってどうであるかというふうな問題でございますが、一般論といたしましては、医学、医術の進歩に伴いまする医師の専門化といいますか、分化が行なわれておりまして、医師に対する需要というものはふえております。しかしながら、現実問題といたしまして、基礎の方面でありますとか、あるいは公衆衛生関係の部門に働かれる医師の数は、少し減少の傾向を示しておるわけでございます。しかし、医師の数がどれだけ必要であるかという点につきましては、なかなかむずかしい要素もたくさんありますので、一応諸外国の例を、人口の数に応じましてどうなっておるかというところをめどにいたしまして、この問題は考えていくということにしておりますが、たとえばいま申し上げました医師の数十万八千というものが、わが国におきましては人口十万につきまして一一・一人ということに相なっております。一万単位の医師の数は、諸外国に比べますと、大体中どころというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、特に諸外国に対しまして進んではおりませんが、決して遜色も示していない。したがいまして、先ほど申し上げましたように、今後の医学、医術の進歩に応じ、かつ医学の専門分化というふうな点にもかんがみまして、先ほど答弁申し上げましたような、入学定員をこの程度伸ばしていくということをもって当面の考え方といたしたいと思います。
  119. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 いま医務局の次長から御報告を申し上げたとおりでございまして、これを諸外国に比べますと、中位あるいは中の下というふうな充足の状況にあるのでありますが、しかし、医療皆保険のもとにおきましては、全国にこれが適正に配置されて、そうして医療の確保ができておるかどうか、こういう点も私ども重視をいたしておるのでありまして、そういう面からいたしますと、僻地とか離島につきましては、まだ十分でないということを率直に反省をいたしておるところであり、またそういう方面に特に対策を強化してまいりたいと考えております。  なお、社会経済的な情勢も変わってまいりまして、それに伴って疾病態様も変わっておるということで、いままでの形でいいのか、もっと各科の病気の関係等を勘案して、それぞれ必要な医師をその分野において養成をしていく、確保していくというようなことにつきましても、特に配慮を要する点があると思うのでありますが、今後そういう点を十分考えながら、医師の充足、確保に努力してまいる所存であります。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 この医師の充足対策と医学生養成対策とのコンビをも、御計画を承ったのです。また、大臣から、その医師の分布状況を進展させたいという御趣旨も伺いましたが、日本の場合は、非常に特殊な事情があって、山間僻村へ行くというと、交通が非常に不便で、病気になってもお医者さんのところへ行く機関がない、交通機関がないというようなところがある。諸外国の文明諸国家は、山間僻地までの道路がよくできており、医師の診断を受けるのに非常に便宜が供与されているのであります。そういうことで、日本の場合は都市集中主義で、お医者さんが町場にばかに多い。たとえば京都で、人口十万に対しまして百五十人ばかり医者がいる。ところが、東北の秋田県などへ行くと、七十四、五人しかいない。人口の比率からいって、半分以下しかお医者さんがいない。だから、人口の多いところにはばかにお医者さんがおって、人口の少ないところは、人口比率から見てお医者さんが半分以下だという、このアンバランスはゆゆしい問題だと思うのであります。だから、無医村地区あるいは特別僻地、こういう地区は、生命の危険にさらされている。無医村が千三百ばかり、特別僻地が七百ばかりあるようでございますが、そういうところには、お医者さんがまことにりょうりょうとしかおいでにならぬ、また厚生省でも少ししか置かぬということにしているようでありますが、そこへ住む人間はたいへん不幸だと思います。日本人は、どこへ生まれても、どんな仕事を選んでも、国民として幸福を享受できるような政治が要ると思うのであります。これは厚生行政の大欠陥だと思うのであります。人口比率からいってお医者さんの数が半分以下だというようなこと、医者の全然いない地区がある、特別僻地、無医地区が百もあるということ、これはたいへんな問題だと思うのでありますが、そういうところへお医者さんを配分するということになると、医学生を増員するのではなくて、つまり町場にいるお医者さんをそっちへ分散させるということですか。
  121. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 私も、たくさんの僻地をかかえております東北の出身でございまして、就任以来、この僻地あるいは無医地区の医療の確保、無医地区の解消、また、急速な医者の確保が困難な部門に対しましては、その補完的な措置としまして、マイクロバスの配置でありますとか、あるいは巡回診療車の配置でありますとか、それぞれの地区の医師会あるいは医療機関等と緊密な連携をとりながら、医療が確保されるようにというような当面の応急対策を講じながら、恒久的には、いまお話がありましたように、医師待遇改善等、今回も、地方団体に対する超過負担の問題とも関連をいたしまして、実は保健所等医師につきましては、四十一年度では一挙に七五%の処遇のアップもいたしておる、こういうことで、十分そういう医師の配置を適正にするということにつきましては、特に心がけてやっておるところでございます。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 医師の配置を心がけるだけでは実績はあがらないので、それをどう実践するかという具体策を考えていただかなければならぬ。私自身が保証人を引き受けて大学を終えた医学部卒業の若いお医者さんが、東京で医師をやろうか、いなかへ帰ろうかというので、これはあなたと同じ東北の一小さな町へ医院を開業することをすすめて、そこへすなおに行ってくれました。町場ではなやかな収入の多いようなかっこうでいくというよりも、むしろそうした人道的なことを考えていくという人間性を尊重する立場から、その医師にすすめたわけです。具体的な名前を申し上げてもけっこうです。あなたのお近くに開業に行ってもらいました。そういうようなお医者さん自身に一つの道徳的な要素を実践してもらう必要があるということと、厚生省が、国民皆保険制度が実施された機会に、ひとつ山間僻地、無医村にも進んで行けるような処遇改善策をとること、それで身分の安定をはかること、そういうところへきめこまかい対策をお立てになられて、この医師のアンバランス問題を医師養成とは別のほうからも御検討を願って、しかもそれをただ机上のプランでなくて、実践に移していただきたい、これを強力に要望をしておきます。  質問のテンポを進めますが、さらに歯科医師、薬剤師の数と、その需給関係をお答え願いたいと思います。
  123. 渥美節夫

    渥美政府委員 歯科医師につきましては、養成の面から申し上げますと、十三校でございまして、学生定員が千百四十名、現在歯科医師資格を持っております者が、三万五千七十九に相なっています。この数字も、先ほどの歯科医学の進歩あるいは医療需要の変遷というふうな点も考えますとともに、世界各国の歯科医師の人口万単位の数、こういった点も比較してみまするときに、これは諸外国に比べまして、むしろ中より上のほうにあるというふうな数字に相なっております。したがいまして、歯科医師の需給も、将来のいろいろな問題はあろうかと思いますが、こういった養成の数を中心に検討していけばよろしいんではないか、かように考えております。  薬学につきましては、現在薬学部を持っておりまする大学が三十二校でございまして、四千百二十名の卒業生を出しておるわけでございます。定数が、現在薬剤師の資格を持っております者が六万六千六百、かように相なっております。これらも実は調剤の薬剤師あるいはそのほかの販売を中心としたものもあろうかと思いますが、こういった数字は他の国等と比較いたしましても、決して遜色を示していない、かように考えておりますので、従来の線を進めてまいりたいと考えております。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 歯科医師は、医師と大体同じ考え方で進めていいと思います。薬剤師の場合は、ほかの社会へどんどん出る人が多いわけです。特に化学工業の中の農楽会社など、大量にそのほうに向いていく人があるということで、三師会の中で独特の分野を占めておると思うのです。けれども、皆さんお待ちでございますが、皆さんもこの機会にひとつ厚生省の含蓄のある御答弁を、御勉強をしていただくチャンスだろうと思いましたので……。  それで、さらにもう一つ、いませっかく来られた岡内さん、さっき大学校名称の問題を私ちょっと指摘したのですが、行管がやはり各省のバランスをとられなければいかぬと思うのです。どんどんあなたのほうでお認めになられたようですが、どういう趣旨でお認めになられたのですか。
  125. 岡内豊

    ○岡内説明員 お答えいたします。社会保険大学校につきましては、昨年の当委員会におきましてもいろいろ問題がございまして、私どももいろいろ検討をしたわけでございますが、教科の内容を飛躍的に充実するという点と、研修を受ける職員の士気を高揚させるということの両方の意味から、ぜひ認めていただきたいというふうな懇請がございまして、いろいろいきさつがございましたけれども、認めたというような状況に相なっております。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 懇請があったのでお認めになる行管であるということになると、これは行管の権威いずこにありゃということになるわけであります。これは私は、やっぱり行管というのは、懇請があっても各省とのバランスを考えていくという問題のほかに、行政機関のあるべき姿を終始念頭に置かれて、新設のものを阻止する、そうして他省に追随するような印象を受けるものはこれを拒否するという形で、懇請をあっさりと拒否する冷酷無残なる措置を、ときにはされていいと思うのですが、行管としての任務がちょっと曲がっているのじゃないですか。
  127. 岡内豊

    ○岡内説明員 まことにごもっともな御意見でございますので、今後は十分に気をつけることにいたしたいと思います。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 岡内さんの御答弁で行管の気持ちがよくわかるから質問をやめますが、あなたの良心を今後期待しております。  もう一つ人事院はどうですか。医師の配置が非常にアンバランスであることに対する原因は、民間医師給与とそうして公務員である医師給与のアンバランスの問題も起こってくる。こういうようなところで、民間給与よりも著しく公務員たるところの国立病院医師給与が下がっておる。自衛隊の医官である自衛官の充足数なんかは、三分の一くらいしか平均おらぬというような、医師の足らぬところの役所が各所にあるのですが、これは民間給与とのアンバランスの結論もそこに影響しておると思うのですが、これらに対する対策人事院は十分に考えられて、医師処遇を——公務性を持った人々にも十分かような措置を、多少手直しされたということでなくて、本質的にお考えになる必要はないか、お答え願いたいと思います。
  129. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私から要点を申し上げたいと思いますが、おっしゃるとおり、官民の比較をいたしますと、これは私どもの報告書でも公表しておりますのですが、お医者さんにつきましては民間のほうがまだ高いという状況でございます。ただ、私どもの立場としては、国の場合についても当然お医者さんの優遇はすべきであるということは十分わかってはおりますけれども、しかしまた一方、公務の部内のバランスというものもどうしても考えなければならぬというつらい立場におりますので、したがいまして、そういう考慮を加えながら、しかし漸進的に医師の方々の給与民間に近づかせていこうという努力をやっておるわけでございます。一挙に大幅なところまではまいりませんけれども、徐々にその方向努力を重ねておるわけでございます。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 それでよろしいことにいたします。  大臣、問題が一つ残っておるわけです。ごく簡単に御答弁を願いたいと思います。母子福祉対策で、子供さんのおる未亡人は、いろいろなところである程度救われる道が開けてきましたけれども、子供が成人に達した後の未亡人、こういう立場の人の処遇というものは、まだ非常に未熟な形になっているのです。いま四十、五十、子供が成人に達した、長い人生の苦難の時代を、言い知れぬ人生の苦杯をなめてきたこの人々が、子供が成人に達した瞬間ぽこっと死んでいくという場合が多いということをわれわれは伺っておるのでありますが、子供が成人に達した後の母性、未亡人というものに対して、もっと積極的な、職業の問題、その他の国の援助対策というものを強大にしてあげて、長い人生の苦難におつりが出るようなしあわせを与える。子供が成人に達した後の未亡人対策というものをまだ怠っておられるのじゃないか、お答え願いたいのです。
  131. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 母子家庭の福祉につきましては、今日まで努力してまいったのでありますが、いま御指摘になりました、子供が一本立ちになって老後のお母さんがひとり取り残されたというような家庭に対する福祉対策につきましては、これは恒久的に、やはり国民年金制度その他の充実、福祉年金の強化、また世帯更生資金でありますとか、そういう面での福祉施策を総合的に進める必要があると思うのであります。特に、生活の困窮いたしておりまする場合におきましては、生活保護その他の対策のありますことはすでに御承知のとおりでありますが、世帯更生資金であるとか、あるいは国民年金、福祉年金の支給の増額であるとか、そういう面につきまして、今後十分配慮いたしてまいりたいと考えます。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 特に、子供が成人に達したといっても、その成人に達した子供が大学で教育を受ける期間が残っておるのです。だから、一番金が要るときに、すかっと子供がいなくなったというので国の施策の打ち切りをされるということになっておる。一番金の要るときが残っているんだから、子供が教育を完了するまでくらいは、そのほうのめんどうを見るという手も要るわけです。これは片手落ちですよ。これはひとつ年金額の増額——すぐ欧米並みの年金額とは言いませんけれども、これを考慮すること。  それからもう一つ環境衛生施設で、きのうでしたか、大和高田市でじんあい処理場でしたか、その市長以下がひどい目にあわされたという大事件が起こっておる。こういう驚くべき——市長が窓かどこからか、まことに残酷な出方をしておる。それから地域民の怒りがどこにあったかということを考えて、厚生省も十分お考えがあると思うのでございますが、じんあい処理場あるいはし尿処理場でしたかね、それに火葬場、こういう環境衛生施設の完備という問題は、厚生省の大役でございますが、それを実施されるにあたって、地域住民の意思を融和させるような手だてをする努力をされておるのかどうか。それから、一例をし尿処理場にとりまして、全国でどのくらい現にし尿処理場ができて、紛争のあるのがどれくらいあるか。それともう一つ、火葬場については、火葬場がいま全国でどの程度普及しておるか。まだ土葬をやっておるところが、全国に地域的にはどのくらいあるのか、そういう人生の終末を飾る大事な問題でございますので、そのことを含めてお答え願いたい。
  133. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいまお尋ねのございました火葬場、場合によりましては屠畜場等につきましては、最近新設の事例はそれほど多くございませんので、ただいまお尋ねのような、その設置に伴う地元における紛争という事例はほとんどございませんけれども、し尿処理施設及びごみ処理施設は、全国的に非常に多数つくっておりますので、お尋ねのような事件がところどころあるわけでございまして、ただいま建設中のし尿処理施設三百四カ所に対しまして、十カ所ほど土地の問題で紛争がございます。ごみ処理施設は、百五十カ所の中で五カ所、お尋ねのような事例がございました。その中の一つが大和高田市の事例でございます。これらに対しましては、市町村営のものでございますので、地元が努力をして、特に市町村当局が努力をするわけでございますが、地元だけではなかなか解決しなくて、都道府県がこれに対して調停に立つという努力をして、なおかつむずかしいものはその地元御出身の国会議員の先生などにもたいへんお骨折りいただくわけでございまして、現に山口県の豊浦郡の組合立のものは、受田先生をはじめ多数の先生のお骨折りによりまして、数年来の紛争がようやく解決したというような事例があるわけでございます。厚生省といたしましても、このような紛争はきわめて好ましくないことでございますので、そもそも設置場所をきめる場合に非常に慎重にきめなければならないということ、並びに厚生省の補助金の交付がかえって地元の紛争を助長するというようなことがないように十分配慮して交付を行なうとともに、厚生省側としましても、できるだけ助言をいたし、紛争をなくする努力を続けてまいっておる実情でございます。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 火葬場、土葬。
  135. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま火葬場並びに土葬の数字は、持ち合わせておりませんので、また必要に応じて御報告いたします。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 これで質問を終わりますけれども、いまそれぞれの担当の方々から御答弁をいただいて、一応政府答弁は誠意のあることを伺っております。ただ実際には、厚生省の要求予算から最終的には終始削られておる額が大幅であるというような毎年の事例を繰り返すので、ひとつ強大な政治力でこれを獲得できるようにして、所期の目的が完全に達成されるように骨を折っていただきたい。厚生省は、国民を喜ばす役所なんです。このくらいいい役所はない。厚生大臣くらい仁慈を施しておつりが出て極楽に行けるような立場の大臣はおらぬわけです。ひとつ思い切って敢然と実行していただきたいことを要望して、質問を終わります。
  137. 木村武雄

    木村委員長 大出後君。
  138. 大出俊

    ○大出委員 だいぶ世の中がにぎやかになりましてけさ出てまいれませんでしたので、時間的に恐縮ですが、極力詰めて焦点をひとつ御質問したいと思います。  問題は、設置法で衛生検査技師養成所設置することになるわけでありますが、足りないわけでございますから、この趣旨に賛成でありますけれども、この提案理由の説明の中にもありますように、看護婦さん等の養成所の問題に触れておるわけでありますが、なおかつきわめて不十分な状態にあることは、御存じのとおりであります。ついて実は冒頭に人事院に承っておきたいのでありますが、行政措置要求が行なわれて判定が下された場合に、その後の措置を法律的に人事院はどうおとりになるべき責任と義務があるかという点、まずもってお答えいただきたい。
  139. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 法律的というような限られた観点はさておきまして、私ども責任ある立場において、責任ある調査をして責任ある判断を下すという場合におきましては、当然その実現を期待することは申すまでもないことでございます。したがって、今回は、昨年でございますか、看護婦関係の措置要求につきましては判定を下しますとともに、厚生省の当局者のほうにも判定をお渡しし、かつ直接私どもの当局の者が厚生省の当局の方とお会いして、十分その実現についての努力を要請しておる。したがいまして、その後においてもこれが一体どの程度に実現しつつあるかということは、われわれ常に関心を持って深く注視を続けてきておるのが実際でありますし、また、それはそうあるべきことだと思います。
  140. 大出俊

    ○大出委員 国公法八十六条で「適当な行政上の措置が行われることを要求することができる。」という項目がございます。これが根拠になって措置要求が出される、こういうわけですね。八十七条によりまして、「前条に規定する要求のあったときは、人事院は、必要と認める調査、口頭審理その他の事実審査を行い、一般国民及び関係者に公平なように、且つ、職員の能率を発揮し、及び増進する見地において、事案を判定しなければならない。」という義務づけがありますね。八十八条で「前条に規定する判定に基き、」これは「人事院は、」ということでありますが、「勤務条件に関し一定の措置を必要と認めるときは、その権限に属する事項については、自らこれを実行し、その他の事項については、内閣総理大臣又はその職員の所轄庁の長に対し、その実行を勧告しなければならない。」こういう義務づけがあるわけですね。したがって、根拠は、私はここだというふうに思うわけであります。ところで三十八年の四月に医療関係の方々等から行政措置要求が出されておりまして、四十年の五月に判定が行なわれております。この間に、人事院は、いろいろな調査、事実審理等をおやりになっている。ところが、この判定の結果が、どうも私はきわめて不十分であるように承知をするのでありますけれども、概括的に総裁のほうから、この判定の結果どういうことになったかという点を、時間がございませんから、大ざっぱでけっこうでございますから、お話しをまずいただきたいのであります。
  141. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 厚生省もおられますので、私から詳しいことを申し上げる必要もあるいはないかもしれません。私どもが見たところといたしましては、相当の誠意を持って努力をしておられる、一口に言えば、そういうことであります。中には、やはり予算上の措置が必要であり、その努力をされましたけれども、遺憾ながら、そのほうの措置はうまくいかなかったというものも二、三ございますけれども、当面おやりになれるような、たとえば産後六カ月間の夜勤の禁止でありますとか、複数の職員の場合の休憩、休息時間の明示でございますとか、あるいはまたその他の職場環境の整備というような面においては、相当努力されているというように見ております。なおしかし、今後の成り行きもまた十分見詰めてまいりたいと思っております。
  142. 大出俊

    ○大出委員 時間の関係でこれまた大ざっぱに鈴木大臣に御質問するのでありますが、四十一年度予算の折衝の段階で、それ相当な、この判定に基づく措置という意味で、積算の基礎等をお考えになって予算要求をなさったようでありますけれども、これは厚生省だけに限らず、文部省なんかもございます。こまかい内訳を取りそろえて持っておりますけれども、どうもそれが大蔵省によって全くこれは切られてしまったということになるわけでございますけれども、ここらあたりも、私、釈然としないのであります。つまり行政措置要求が出されて、判定が行なわれて、しかも所定の手続を踏んでの判定だと思いますから、そうなりますと、それだけたいへんな勤務状態に置かれていることは間違いない。となると、そのことをどういう理由で一体予算折衝の段階で切られたかという、そこのところをどういうふうに御判断されておるかをまずもって承っておきたい。
  143. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 ただいま大出さんから人事院総裁に御質問がありましたような見地でもって、人事院から慎重に調査され、また勧告がなされたのでございますから、私どもは、その趣旨に沿うように予算折衝にあたりましても努力をいたしたのであります。しかし、われわれの要求が十分満足するように実現をいたしておりません。これは一ぺんにはなかなか困難でございまして、年次的にできるだけ早い機会にこの勧告の線に沿うように引き続き努力を重ねていきたい、こう思います。
  144. 大出俊

    ○大出委員 何名ぐらいこの判定に基づく定員要求をされて、結果的にどういうことになったかという点を明らかにしてもらいたい。
  145. 渥美節夫

    渥美政府委員 大出先生御承知のように、人事院からの判定は、大きく分けますと、四つの項目に相なっております。  第一点は、夜勤日数の減少の問題でございます。第二点が、看護単位ごとに夜勤看護婦を二名にするということでございます。第三点は、産後夜勤を禁止、ある一定期間禁止すること。第四点が、特に夜勤を中心といたしまして、休憩、休息時間を職員ごとに明示するということでございまして、この四つの項目につきまして、おのおのそれぞれ人事院の判定の趣旨を尊重いたしまして施策に移すわけでございますが、二の第三点、第四点等につきましては、施設におきましてできるところからどんどんやってまいりたい、こういうことになっております。ただ、第一点と第二点につきましては、人事院の判定の中にもお述べになっておられるように、特に看護婦夜勤に関するいろいろな条件を改善する措置と並行いたしまして、そういう夜勤回数を減らしたりあるいは夜勤をする看護婦の数をふやしていくというふうなことでございまして、しかもそれらを計画的に直ちに実施することは困難であるとすれば、計画的にその実現をはかるべきであるということをお示しになっておられます。したがいまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、できるものから逐次やっていくというふうな趣旨で、まず職場におきます看護婦の条件、環境の整備をやるということにいたしまして、来年度予算におきましては、その趣旨の予算、つまり緊急時の連絡設備でありますとか、あるいは仮眠室の整備でありますとか、つまり夜勤体制をこれからこの人事院の判定の趣旨に応じて進めていきます基礎的な条件、環境整備の点につきまして予算措置を講じたというふうなことでございます。
  146. 大出俊

    ○大出委員 看護婦さんの一人夜勤ですね。三十九年の二月五日に、人事院の公平局、職員局の調査班の方々が国立中野療養所の夜勤に立ち会って調査をされましたね。ここで二十一病棟から二十三病棟で喀血患者が出たわけですね。これは調査中です。そうして夜勤者が少ないために、準夜勤者、夜勤すべき人間でないわけでありますが、この人が引去続いて深夜勤を命ぜられて十七時間ぶつ続けに夜勤をやったという事態が、調査官がおられるところで起こっておる。これはおそらく中村審理官ほか数名の方でございますから御存じだろうと思うのですが、こういう状態があるにもかかわらず、かつまた一人夜勤でありますために、一人の患者に付き添っていると、ほかのほうに手が回らない。喀血で窒息死をしたなどという例がたくさんあがっておりますが、そういう実情であるから、ある意味では夜勤制限という問題が出てくるのは、あたりまえであります。一人夜勤の廃止という問題が出てくるのは、あたりまえだと思います。その趣旨の人員増という形で七百名ばかり要求されているのだけれども、大蔵省はこれをみんな切ってしまった。実は、普通ならば大蔵省の方にもおいでを願って質問をしたいところでありますけれでも、時間がございませんからこのような形で申し上げておりますが、こういう現実もあるのに、手がつかぬということだけで私は済まないと思うわけであります。先ほどの行政措置要求の判定趣旨等からいたしましても、これはどういう困難がありましても、いやしくも国立病院と名がつく限りはそれだけの措置がたちどころにとられていかなければならぬ筋合いだと思いますが、このあたりどういうふうにお考えになりますか。
  147. 渥美節夫

    渥美政府委員 一人夜勤の問題につきましても、お話しのようにいろいろな問題がございます。したがいまして、看護婦定員増加というふうな問題があるいは端的に解決する方法であろうかと思いますけれども、当面はそういった突発事態に備えるためのテレコールでありますとか、そういったような装備をいたしたい。あるいはまた、二人夜勤がどうしても必要である、これは当然なんでございますが、看護体制につきましては、さらに職員の適正な配置等も、十分に施設ごとに検討いたしまして、そういうことのないように、かつ人事院の判定の趣旨に沿うように、来年度からでも現在の体制の中でやっていきたい、かように考えております。
  148. 大出俊

    ○大出委員 もう一つ夜勤について伺いたいのですが、変則二交代という勤務体制がございますね。御存じのとおりだと思いますが、変則というとおり、まさに変則勤務です。八時三十分に出てきまして、十七時まで日勤でつとめて、この人が二十二時から五時三十分まで休憩ということで、しかもこれは睡眠場所が指定されているわけですね。そして五時三十分から八時三十分、こういうふうになっている変則二交代、これは私は何でやっているかというのを順を追っていきますと、拘束十六時間中八時間の休憩時間を設定して、睡眠場所の指定をする。これは勤務病棟、こういうわけですね。働かざるを得ないようになっているわけですが、この法的根拠は何かといいますと、厚生省訓令一号——訓令一号というのは昭和二十五年の一月にでき上がっているわけです。この訓令一号の第二条の趣旨は「看護婦及び助産婦は交代勤務とし、その各組の勤務時間は休憩時間を除いて一日八時間とする」こういうことですね。同訓一の経過措置がございまして、「看護婦及び助産婦の勤務時間についてやむを得ない事情のある国立病院又は国立療養所にあっては、当該国立病院長又は当該国立療養所長は、厚生大臣の承認を得て、」という、ここに問題がある。「当分の間、引き続きこの割合による改正前の第二条第二項の例によることができる。」、こういう経過措置がございます。改正前の第二条第二項というのは、「病院長は夜間において特に必要があると認めるときは、休けい時間を延長し所定の場所にすい眠させることができる」、こういうのであります。ところで、人事院規則の一五−一職員勤務時間等の基準、第三条の二項、これによりますと、「職員は、勤務を要する時間以外の時間を自由に利用することができる。」と明定をしております。となりますと、休憩時間は勤務を要する時間ではないのであります。そうなると、訓令一号の所定の場所を指定するということは、明らかにこれは違法であるということになる。となると、違法な訓令並びに経過措置というものを今日このまま置いておくというのは、どういうことですか。
  149. 渥美節夫

    渥美政府委員 訓令一号の点に関連してでございますけれども、先生御承知のように、国立病院国立療養所におきまする看護婦勤務体制を漸次改善するという基本命題のもとにおきまして、三交代制に大部分がなってまいっておるわけでございますから、その変則二交代制の施設につきましても、看護婦の欠員の補充その他あらゆる努力をいたしまして三交代制の方向にすみやかに移行するという考えでございます。
  150. 大出俊

    ○大出委員 苦労されているお気持ちはわかるのです。私は、おかしなことで申し上げているのじゃなくて、あまりといえばどうも看護体制そのものに問題があるし、それから看護婦さんがふえない事情等についてさっき田口先生からお話があったと思いますし、かつて保健師法云々という看護協会等の話がありましたときに、私が小林厚生大臣に対しまして長時間質問をいたしまして、ずいぶんこまかくこれは掘り下げておりますので、わかっているつもりなんですが、この厚生大臣の承認を求めて行なう訓令一号のようなものがありますと、これはますますもって看護婦さんの職場を狭くしてしまう。入り手がなくなってしまう。これは明らかな事実なんですね。ですから、こういうものが今日存在すること自体がおかしいわけだ。  そこで、私は人事院お尋ねをしたいのですが、人事院規則一五−一なるものと厚生省訓令一号の第二条並びに訓一の経過措置というものを対比いたしまして、私は明らかに人事院規則の一五−一に反すると思っておるのでありますが、その点についての御見解を賜わりたいわけであります。
  151. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 そういう規則の面の詳しいことは局長からお答えすると思いますが、要するに、いろいろな無理のあることは、私も申し上げるまでのことはないと思います。したがいまして、その無理をどういうふうにして打開していくか、一方においてはやはり患者の命の問題もあるというような、なかなか苦しい条件がいろいろ重なっているのですから、結局は定員をふやしていただいて、その辺は無理が来ないようにということが判定の趣旨でもございますし、今後われわれの希望でもあるわけでございます。
  152. 大出俊

    ○大出委員 明らかにしていただきたいのですが、人事院規則の一五−一と厚生訓令一号の第二条と同訓一の経過措置というものを合わせたときには、これは法律的にどういうことになるか、承っておきたい。
  153. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 御質問の点は実はむずかしいのですが、一応総理府令によって勤務時間は配分できることになっておりますことは、御承知のとおりであります。そして三条では、確かに休憩時間は自由に使用できることになっておりますが、基準法の扱い等を考えてみましても、著しく自由を拘束していない限り、たとえば職場内にいるとかというような形でもってある種の一般的な拘束があるということは、これは規則の趣旨からいって一応可能である、こう考えておるわけでございます。しかし、御指摘のとおり、これは単に看護婦だけの問題ではございません。いろいろございます。その辺の点は、今後われわれとして将来検討しなければならない課題であるというより、実は検討を続けておりますけれども、相当各省庁間の交代制勤務の拘束時間に関してはむずかしい点がございますので、なお結論は出ていないということでございます。
  154. 大出俊

    ○大出委員 違法だと言ってしまえないのかもしれません、いまの答弁を聞いていますと。言ってしまえばえらいことになりますから、しかし、いま基準法というお話が出ましたが、これは大塚さんの御存じのとおり、労働省相手に長年やってきて、私どもの場合には訴訟まで起こしてやってきているわけですね。しかもこの行政解釈が通達として出されているわけですね。それからいって、休憩時間というものは特定すべきであるという大原則は、どこからいっても変わらないわけですね。ただし、その特定をどこにどう特定するかということについては許されておりますが、その筋からいきますと、このところを激しく追及をし、かつ法的に争った人がないから、いまのような答弁で済むのだけれども、基準法の解釈からいけば、明確にこれは違法なんだ。ただ、あなたがいま言っているのは、人事院規則というものと総理府の云々と言われたものを対比して、そこのところを何とかぼかさなければ、それこそ人事院人事院規則をつくり直して出すか、これは取り消せということにならなければならぬ。そういう答弁をなさるということでは、まことに大塚さんらしくないことだ。だから、そうではなしに、これは二十五年の何月ですか、こんな訓令があること自体が、人事院規則からいってもおかしい。だとすれば、結論が出ないとおっしゃるのだけれども、なぜ人事院はこの規則改正をするなり、それはいままでに新しい人事院規則をつくる権限がおありになりながら、しかもこういう行政措置要求に対する判定までされておって、なぜされなかったのか、怠慢を責められてもしかたがない。もう一ぺんそこのところをお答えいただきたい。
  155. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 確かに大出先生のおっしゃるとおりの問題はございます。この規則を改正しましたときは、実はこれは判定が出ますちょっと前でございますけれども、もちろん問題としては考えてみたわけでございます。しかし、先ほど答弁の繰り返しになりまして恐縮でございますが、まあ女子の問題として別個に扱えばともかく、そうでない限りは、実は関連するところが非常に広い。それから御指摘のありましたとおり、基準法との関連はいろいろ問題がございまして、実は監督局としてはまことに苦慮しておりまして、徐々に少しずつ規則の改正をやって、その辺は改善されていくというつもりで手がけております。
  156. 大出俊

    ○大出委員 これは「当分の間」という文言が入っているわけですね。「当分の間」ということを入れている法律もありますよ。自治法の二百五十条のように、地方公営企業の起債の自由というものを、「当分の間」といって国で押えているという法律もあります。ありますけれども、ここの「当分の間」というのを入れた理由というのは、実情やむを得ず、法律的に異議があるけれども、「当分の間」を入れたわけですよ、私の調べてみた限りでは。時間がありませんから、ここで長いこと申し上げません。だとすれば、早急にこれは取らなければならぬ。初めからそういう趣旨なんですね。そうだとすると、この「当分の間」という文言が入っていて、一方人事院規則十五−一もあるというわけですから、いまおっしゃるように、単なる徐々にというのではなくて、早急にひとつこれは改善をする、こういうふうに取り運ばれていい筋合いじゃないか、こう思うのです。
  157. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 徐々にと必ずしも申し上げたわけではございませんので、私ども自身としては、実は非常に緊急な問題として取り組んでおるわけです。しかし、広い意味でのこういった勤務条件、特に休暇なり休憩時間関係の規則は、俎上にのぼっておりまして、でき得る限り早急にといいますか、緊急な問題から解決をしていくという心がまえでおるわけでございます。決して御指摘を受けたから、逃げる答弁でもって徐々にやるという意味で申し上げているわけでございません。
  158. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 いま実態につきまして事務当局から聞いたわけでありますが、国立療養所三十カ所くらいにつきまして、その特例的な措置をいまやっておる、こういう実情のようでございます。私は、やはり人事院規則の趣旨、これを私ども十分尊重いたしまして、できるだけ早くこの問題は充足いたすようにいたしたいと思います。
  159. 大出俊

    ○大出委員 鈴木大臣がかつて郵政大臣でおられた時代にも、休憩時間の特定問題が労使間にございまして、私は当時書記長でございましたが、大臣の御理解をいただいて一歩前進をはかっていただいたことの実績も実はあるわけでございまして、したがって、いまの御答弁をいただきましたので、できるだけひとつこういう問題は前に進めていただいて、そのことによって看護婦さんの充足をはかる、大きな目で見て一応なっていく筋合いだろうと思いますので、極力御努力賜わりたいと思います。  それから、この一人夜勤の問題とその交代の時期の問題でありますけれども、「小生妻〇〇〇〇貴院に勤務いたすについては勤務の重要性にかんがみ、無断欠勤はもちろん、交替なき欠勤、保護者なき夜間通勤等いささかたりとも貴院に迷惑懸念のかかることなき様誓い、勤務中においても気持は常に家庭を離れ看護業務に専念さすよう誓います。」などという、国立鳥取病院長はこういうのを出させているわけですよ、実際に。鳥取ですから、因幡というところはなかなかむずかしいところで、したがいまして、一人で夜道を帰るわけですね。いろいろな問題が起こっているんだが、起こった場合に病院長には責任がございませんよという誓約書を前もってとって、看護婦さんに忠勤を誓わせて使っている。こうなりますと、これは幾ら何でもこういうところで、ほかに働くところがあれば行きたくないという気になりますよ。こういうことまでしなければならない、つまり深夜勤、一人夜勤などというものは、たいへんな問題を持っておりますね。方々の民間をながめてみますと、ちゃんと車でそういうときには送り迎えをしておったり、これは人事院でお調べになって全部数字があがっているわけです、御存じなんですね。だとすると、ここらのところは、どういうふうにこれから先お進めになろうと思っていらっしゃるのか、承っておきたいと思います。
  160. 大塚基弘

    ○大塚政府委員 厚生省から補足してお答えがあるかと思いますが、最初に鳥取の調査の問題が出ましたが、御承知のとおり、われわれもその話は調査に参りまして詳細に伺っております。これはいかに看護を大切にするとはいえ、いささか行き過ぎた感があるのではないかというふうにわれわれは意見を申し上げているのでありまして、その後、そういう問題がなお引き続き起こっておるとは思いません。  それからもう一つ、深夜勤務の通勤の問題でございますけれども、これも民間ではいろいろ病院においては措置しておるところもございますし、それから一つは非常に地域によって事情が違いますので、鳥取のような場合ですと、その辺は問題がございます。しかし、これは厚生省側で施設として予算上の措置がとれれば適当な乗りものを使うとかなんとかいうことができる。それからやむなく帰宅する、あるいは出勤する時間には通勤機関がない、あるいは通う機関がないという場合に、やはり宿舎その他の施設を使いまして仮泊するような状態ですが、しかし、その場合、仮泊するような施設なり何なりの改善については、これはわれわれ職員局としても改善すべき点は十分指摘してございます。また、十分改善の措置がとられておるものと思います。
  161. 大出俊

    ○大出委員 厚生省医務局次長さんに承りたいのですが、実情はどういうことになっておりますか。
  162. 渥美節夫

    渥美政府委員 ただいまの三交代制におきます準夜勤の問題、準夜勤の方が勤務を離れる場合、あるいは三交代制のもとにおきます早出、おそ出という問題にわたる看護婦の通勤の問題でございますけれども、実際問題といたしましては、看護体制の運営上はやむを得ないことに相なろうかと思いますので、看護婦のための仮眠室等の整備をいたしましたり、あるいはきわめて簡単なことかもしれませんが、湯わかし器を整備するとかいうことで、職場、特にそういう番に当たった看護婦の方々のための環境整備については、とりあえず本年度三千三百万円程度の環境整備の予算も計上されることになっておりますので、そういった点について改善していきたい、かように考えております。
  163. 大出俊

    ○大出委員 もう一つだけ承っておきますが、「夜勤日数は月八日平均とすることを目標とし、個々の看護婦夜勤もこれを上まわらないようにすべきである。」というようなことから、先ほどお話がありましたように、二項は六項目ございますけれども、そして判定が出ておるわけでございますが、これが実は先ほど定員を切られたというようないきさつ等ともからんでおるのかもしれぬと思いますけれども、ここのところは厚生省に承っておきたいのですが、目下どういうふうにお考えになっておりますか。
  164. 渥美節夫

    渥美政府委員 一人夜勤の問題でございますけれども、人事院の判定にも述べられておりますように、夜勤回数の減少と一人夜勤の問題と両方からんでまいりまして、看護婦定員増ということで解決せざるを得ないような問題にもなっておりまして、したがいまして、人事院判定におきましても、計画的にやってみたらどうだというような趣旨であろうかと思いますが、とりあえず私ども厚生省におきましては、一人夜勤で足りるというふうに考えられる、たとえば結核の軽症患者の病棟等におきましては、環境整備などで改善をはかる。ただし、また一人夜勤でも非常に不安でございますので、テレコールその他の突発的な事故に対する緊急連絡の設備なども設ける。それからまた二人夜勤を必要とするような看護単位がございますので、こういった点につきましては、急速に看護婦の充足をはかるとか、あるいは看護単位等を合併するとか、そういうような施設ごとに十分その人事院の判定を尊重した具体的の措置をとるようにしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
  165. 大出俊

    ○大出委員 先ほど「産後六カ月程度夜勤免除の措置を講ずること」という判定についてはっきりした御答弁がなかったように思いますが、そこはどうなっておりますか。
  166. 渥美節夫

    渥美政府委員 産後半年の深夜動を避けるという意味の趣旨に対しましては、そういった看護婦の方々に対しましては、病棟勤務からはずして外来に当たらせるとか、あるいは手術室であるとか、あるいは治療材料室とか、そういうような夜勤を必要としないような部署に配置がえをするというようなことで、人事院の趣旨を具体化いたしたい、かように考えております。
  167. 大出俊

    ○大出委員 次長さんにもう一つ承っておきたいのですが、補助看護婦との関連がありますが、正看、准看関係ですね、准看護婦さんの場合、何とかこれは正看への道を開くということをお考えをいただかなければ、やはり病院内の問題等も出てまいります。深く申し上げませんけれども、そこのところあたりをどうお考えになっておりますか。
  168. 鈴木善幸

    ○鈴木国務大臣 この問題は、今後の看護婦の確保、充足をはかっていく面からいたしましても、非常に重要な問題だ、こう考えております。私は、できるだけこの准看の諸君の研修とか講習とかそういうものを十分やりまして、そして正看への登用ができるような道を積極的に講じてまいりたい、かように考えております。
  169. 大出俊

    ○大出委員 ひとつこれは要望しておきますが、その年限があまり一これは大体お考えはわかっておるのですが、少し長過ぎるというふうに私は思います。というのは、終戦後の状況で正看になった方でも、特殊な事情でなっている方もありますし、引き続き今日に至っているわけですから、学校を出られた若い方が入ってくると、実際仕事をして、知識の点は別として、同じことをやっているわけですから、そうなりますと、にわかに判定しがたい場面もある。だから、いま大臣がおっしゃったような講習云々というようなことを十分お考えを願って、できるだけやはり——と申しましても、正看の方の感情的なものもありましょう。ありましょうが、なるべく期間を限りまして、組合のほうからもいろいろ出ているようでありますけれども、そこらの判断をいただいて、ひとつ登用の道を見つけていくというふうに御努力いただきたいと思うのであります。人事院の皆さんのほうには、せっかく出したところの行政措置要求からすれば、不満足きわまりないということになりましょうけれども、目下の看護婦さんの足りない、あるいは正看の免状を持っておられても出てこない、こういう状態の中であるだけに、ここまでの措置要求に対する判定をいただいたのだと思うのでありますけれども、先ほど私のほうで列挙をいたしましたような法的基礎もございますので、どうかそういう点は、出しっぱなしの形にはなっていない、いろいろ努力をされているということは承りましたが、なお私はその点を強調申し上げて、人事院の側として、より積極的に各省に働きかける。特にさいふの口を握っている大蔵省の方々には、きょう普通ならば出ていただいて、かね太鼓で攻めたいところでありますけれども、時間の関係で遠慮をしたわけなんで、どうかひとつ人事院の代償機関たる性格を遺憾なく発揮されるような今後の措置をお進めいただきたい、このことを申し上げまして終わります。
  170. 木村武雄

    木村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  171. 木村武雄

    木村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  172. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  174. 木村武雄

    木村委員長 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本案についての質疑は、終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。     —————————————
  176. 木村武雄

    木村委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  177. 木村武雄

    木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 木村武雄

    木村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  179. 木村武雄

    木村委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十五分散会