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1966-04-14 第51回国会 衆議院 逓信委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十四日(木曜日)    午前十時三十二分開議  出席委員   逓信委員会    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 上林山榮吉君 理事 佐藤洋之助君    理事 内藤  隆君 理事 栗原 俊夫君    理事 畑   和君 理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       木部 佳昭君    佐藤 孝行君       徳安 實藏君    服部 安司君       安宅 常彦君    大柴 滋夫君       原   茂君    前田榮之助君       松井 政吉君    佐々木良作君   物価問題等に関する特別委員会    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 砂田 重民君    理事 山本 勝市君 理事 兒玉 末男君    理事 村山 喜一君       小渕 恵三君    竹内 黎一君       床次 徳二君    粟山  秀君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 郡  祐一君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (監察局長)  山本  博君         郵政事務官         (郵務局長)  長田 裕二君         郵政事務官         (貯金局長)  稲増 久義君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      武田  功君         郵政事務官         (経理局長)  淺野 賢澄君  委員外出席者         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  郵便法の一部を改正する法律案内閣提出第三  一号)      ————◇—————   〔砂原逓信委員長委員長席に着く〕
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより逓信委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、案件所管委員会委員長であります私が委員長の職務を行ないます。  郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 砂原格

    砂原委員長 本案については、本会議における趣旨説明によりその内容はすでに御承知のことと存じますし、さらにお手元に配付してあります資料によって御了承願うこととし、直ちに質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  4. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、本日二八・八%の値上げを含めます郵便料金改定の問題と物価の問題に関連をいたしまして、逐次数点にわたりまして質問をいたしたいと思うのでございます。  このいただきました資料によりますと、郵便料金家計の中に占める割合は、三十八年度の指数にいたしまして〇・一四%という数字が出ているわけでございます。なお、消費者物価ウエートをとってまいりますと、これは〇・二%という数字に相なっているようでございます。その割合からいいますならば、物価上昇に寄与する割合というものはきわめて低いものがある、こういうようなことで、家計に及ぼす影響というものはほとんど直接的にはあり得ない、こういうような立場政府は立っておられるだろうと思うのでございます。しかしながら、国民に与える一連の公共料金引き上げ影響度合いというものはきわめて大きなものが心理的にあろうと思うのであります。そういう立場から郵政省提出をされましたこの郵便物業種別の一通当たりの損金比較におきまして、黒字をあげているものについてはいわゆる値上げを抑制すべき立場にあるのではないか。やはり原価主義考え方に立ってまいりますならば、どうしてもそういうような必要やむを得ないものは別といたしまして、値上げをしなければならないわけでありましょうが、しかし黒字を出し、将来においても黒字見込みであるという部門につきましては、これをこの際値上げするということをおやめになるのが正しい考え方ではなかろうかと思いますが、例の郵政審議会近代化委員会答申によりますと、総括原価主義ということで答申はなされておりますけれども、そのような立場からこの郵便物業種別一覧表損益比較計算をしてまいりますと、消費者であります一般国民日常生活上必要に応じて使っております通常郵便物については、値上げをする根拠というものがほとんどないのではないかと私たちは見るのでありますが、これにつきましては、どういう考え方で今回このような平均二八・八%の値上げを提案されたものか、この際承っておきたいと思うのでございます。  それと、通常郵便特殊取り扱い料金の中におきまして速達料を特に取り上げておいでになるわけでございますが、この内容を見てまいりますと、第一種にいたしましても第二種にいたしましても、いずれも新しい規格に基づいてそれぞれ料金の二十五グラムあるいは五十グラムという単位設定をされておるわけであります。ところが、この特殊通常料金の中には、今回の法律改正によりますと、重量によりまして段階ごとに四つの種目に分けておいでになりますが、その最下位の単位というものは二百グラムということに相なっているようであります。しかし、普通出される速達の形態というものは、いわゆる第一種郵便物等につきましてはやはり二十五グラム以下、あるいは五十グラム以下というものが多数を占めておるのではなかろうかと思うのであります。そういう立場から普通速達料金原価計算を見てみますと、今日においても黒字である。そういう状態であるにもかかわらず、五十グラムというような単位のものを設定せずに、一挙に二百グラムという最低の単位引き上げおいでになります。これは重量によってその取り扱い料金を異にしようという考え方に立つならば、当然そういうような単位設定にあたりましては、国民の利便という上から問題を把握して提出をされるのが当然ではなかろうかと思うのでありますが、そういうような考え方に立ちますときには、現在の三十円というものは三十円という据え置きの単位一つ設定をされてしかるべきではなかろうかと思うのでありますが、そういうきめのこまかい配慮というものをなぜおとりにならなかったのか、その点お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。  第三の問題は、郵便物が早く届かないからこそ速達提出をいたすのであります。ところが今回の郵政大臣説明等を承っておりますと、航空便を使いまして早く郵便物が届くような措置を講ずる、利用者に対するサービス改善に当たるのだということでございます。この場合お尋ねいたしておきたいのは、いわゆる提出をいたしました翌日に配達をするという原則のもとにサービス改善に当たられるそうでございますが、今日空港は、第一種空港から第三種空港まであるわけでございます。その中において、東京、大阪、福岡、それに千歳は第一種空港でございますが、それらの便によりまして、そういうような速達に近いサービスの享受を受け得る地域と、いわゆる山口県のように飛行場がないために逆に福岡から回送しなければならないというような地域が、都道府県の県庁所在地においても二、三出てくるように承るのであります。そういうような場合のいわゆる隠れております。サービスを受け得ない地域というものに対しては、どういうような立場からサービス改善を進めていく計画というものをお持ちになっているのかどうか。この点については、空港整備の問題との関連性もあろうかと思いますが、どのような基本的な姿勢においてこの問題をお考えになっているのか、この点につきましてもお尋ねをいたしておきたいのでございます。  なお、三種空港等につきましては、空港施設整備が、機材等にいたしましても十分なものがございません。そういうようなところにおきましては、航空保安上の問題もきわめて多岐にわたりまして問題が残されているのでございますが、その場合におけるいわゆる飛行機の事故等に対応する対策というものはどのようにお考えになっているのか、その点お尋ねをいたしておきたいと思います。
  5. 郡祐一

    郡国務大臣 お答え申し上げます。  確かに第一の点御指摘のように、一種においては今度の料金引き上げをお願いいたしますると、相当の黒字になると思います。二種につきましては、四十一年度あたり、原価計算をいたしますと、六円九十銭くらいに相なってまいりまして、ほとんど原価に近いものに相なってまいります。ただ、三種についても五割増しの引き上げをいたした。そして三種について郵政審議会答申しておりまするように、直接経費はまかなえる程度にだんだん持っていくということは私は必要なことだとは思います。しかしながら、三種郵便物の沿革から見まして、その文化的な意味からも申しまして、やはり低料扱いを相当続けていくということも必要である。そういたしますと、おことばの中にもありましたが、総括原価主義をとって、そしてその全体の費用をまかなう、配賦をいたしておくということが必要に相なってまいると思うのであります。  第二の、特殊料金の点でございますが、これはいまも航空機のことをお話でございましたが、一種、二種の定形のもの、これは航空機を使って送りますので、そういたしますると、従来速達にいたしておりましたものが当然、普通でも速達便の早さで届くことに相なります。そういたしますると、特殊料金というものも相当減ってまいる傾向だと思います。特殊扱いをしないでも、速達扱いをしないでも、一種、二種が航空機搭載によってこの十月から送ることにいたしますると、送達速度がいままでの速達並みになりまするので、そうすると、その分は速達の必要がなくなってくる。そうしますと、速達料金特殊料金——率直に申しまして一種あるいは特殊料金にある程度負担をかけた原価を、総括原価主義に基づいて料金配賦しておるような形でございますが、速達料金を設ける場合に、やはり重量によって区別するのが事柄として適当だと思いまするし、しかしながら、あまり多くの刻みを置きますことも扱いの上でわずらわしい、そういう考えで四段階にいたした次第でございます。  それから、三番目の、翌日配達を厳守いたしたい。これはどうしても郵便事業扱いますものの念願でございまして、各全国の郵便局にいつどこに出した郵便物はいつ届きますというようなことを掲示いたしてその約束を守る。それを見ながら仕事もいたすというぐあいにしてまいりたいと思います。そういたしますると、近距離の分は専用自動車便増強等が必要でございます。遠距離の分はどうしても航空機を使う。ただ、山口それから松江、こういうところには、飛行場状況で何としてもただいまの状態では無理だと思いますが、それ以外の県庁所在地はすべて航空機を使うことができると思います。チャーターいたしまして夜間に送ります。そういたしますと、ただし場所によりまして、仙台空港は設備がございませんから、夜間に着くことができません。したがいまして、松島を使わしてもらって、そこにおろすというようなことをいたします。したがいまして、そういうようなことを十月からいたしまして、その時点での航空機離着陸による不便の除去でございまするとか、それから御指摘になりました安全の保障ということも必要でございましょう。そういう点は航空当局十分相談をいたしていたさなければいかぬと思っております。現在一、二カ所どうしても用意のできませんところは別といたしまして、遠距離航空機搭載は十月一日から実施できますので、それを前提としての準備を十分それまでに政府部内で整えなければいけないと思っております。
  6. 村山喜一

    村山(喜)委員 いま山口とか松江とかというその二カ所の例をおあげになりまして説明をいただいたのでございますが、そういうようなものについては政府部内において十分な協議が整っておりますか。その今後において改善を要する地域空港整備なり、あなた方がサービス改善として今後おやりになろうという問題の中において隠れたその不便な地域というものが存在する、そういうようなところに対する配慮というものが、閣議決定等においてもう十分な措置が講ぜられておるのでございますか、その点について再度お尋ねいたしておきます。
  7. 郡祐一

    郡国務大臣 私の承知しておりますところでは、まだ閣議了解——当然私は、その政府部内の関係省も多いことでございますから、閣議了解を必要とすると思っておりますが、しかしまだそこまでの段階には至っておりません。ただ、たとえば仙台飛行場は使えない。だから、松島をかわりに用いるとかそういうようなことについての事務当局同士段階の話はございまするけれども、これはもう少し早くその先の十月ごろの時点を押えて、そのときまでの航空関係整備等めどをつけ、また、私どものほうも、頼むべきことは十分もっと具体的に各個所別に頼みますということは確かに必要だと思っております。それで、それを急がせまして、その上で早く閣議等できめまするような進め方をしたいと思っております。私自身もひとつ一つ一つについて聞きたいし、それから、山口のように飛行場がなくて届かない、そこにはどういう系統で持っていくか、翌日送達をどういうぐあいにしてできるかということを、もっときめこまかくこしらえなければいけないと思っております。
  8. 村山喜一

    村山(喜)委員 私たちは、内閣委員会におきまして、運輸省設置法審議をいたしたのでございます。その中には、航空保安対策の問題も論議をいたしました。しかしまだ、その運輸省当局説明するところによりますると、新しい空港設置という問題は二の次にしたい。やはり当面している最大の課題は、既設の飛行場整備に当たらなければならない。さらに人員の面もそういうような方向に重点的に振り向けていかなければならない、こういうことで機構改革の問題につきましては了承をいたしたのであります。そうして附帯決議をつけて成立をいたしました。そういうような面から考えてまいりますと、郵政当局においていま事務レベルの間において処置しておられる問題は、これは予算を伴う問題が相当出てくると思うのであります。そういうような点から考え、なお運輸省の航空局の方針というものを考えてまいりますると、いま大臣が今後において極力努力をされるということでございますけれども、それの見通しというのは四十一年度においては非常にむずかしいのではないか、率直なところ私はそういうように考えるのでございますが、大臣はそれについて見通しは明るいという自信をお持ちでございますか。
  9. 郡祐一

    郡国務大臣 決して完全な状態にはいかないと思いまするけれども、それにこれは経過から申しまして、初めは郵政省自身航空機——予算がきまりますまでの段階でございましたが、航空機を持つこと、こういうことも考えました。しかしこれはいま村山さんがおっしゃいましたように、郵政省自身航空機を持ってそれを管理いたしてやっていくという段階には、どうもいま御指摘のように航空行政とのからみ合わせから見まして時期が早いようである。チャーターいたしまして、二、三年の模様を見まして、それからチャーターを続けるほうがいいのか、航空機を持つほうがより能率的なのか、そこの判断はもう少し先に延ばすべきだというようなことを考えましたのは、ただいま御指摘のように航空行政との関連考えました。ただ私どもといたしまして、十月一日からはとにもかくにも——将来だんだん整備はしてまいらなければいけないと思いますけれども、十月一日からは、一、二を除きましては可能である。そしてしかしそれをやってみまして、そこから今度はさらに付近に送達いたしますつながり等については研究しなければいかぬ部分がまだまだあるようでございますが、とにかく航空機に搭載して送るということは可能だというめどはつけておる次第でございます。
  10. 村山喜一

    村山(喜)委員 私ここで藤山経済企画庁長官お尋ねいたしますが、四十一年度の経済見通し、そして経済運営基本的態度を昨年の暮れにおきめになったのでありますが、そのときには鉄道運賃や私鉄の運賃値上げはその見込みの中に当然計算の基礎として入れておいでになったのでありますけれども郵便料金値上げは当時においては予定をされていなかったと思うのでございますが、とするならば、この郵便料金値上げに伴います経済上の諸指数においての変化というものがどういうふうにあらわれてくるという考え方をお立てになっているのか。この点についてはやはり経済見通しとの関係において郵便料金改定の結果がどういう指数としてあらわれてくるという一つ見通し経済企画庁としてはお立てになっていると思うのでございますが、その点から説明を願っておきたいのでございます。
  11. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 郵便料金値上げの問題は実は昨年の秋からいろいろ郵政省当局におきまして問題にされておりました。したがいまして、予算上の問題もございますので、われわれとしては昨年の暮れから国鉄料金その他とあわせて考えておったわけでございます。そしてそれはCPIに対しては〇・〇六くらいの影響でございますから、いわゆるCPIに対する影響としては非常に微弱なものでございます。したがって他の物価生鮮食料品とかその他のものと比較しますとCPIに対するウエートは非常に低いものでございますから、そういう意味においてわれわれは五・五%と予想いたしましたときにも、郵便料金値上げというものは考えには入れておりますけれども数字的にさしたる——それがCPIに対して大きな影響を与えるというよりも、他の諸物価値上がりの方が大きなウエートで動きますから、そういう考え方のもとに今日五・五%を考えております。
  12. 村山喜一

    村山(喜)委員 CPIに対するウエートはなるほど低いと私も思うのであります。しかしながらそれは郵便料金が占める家計費の中の割合が低いということからくるわけでありますが、問題は、それに対する国民物価上昇に対する公共料金政策をめぐる心理的な影響というものが重大であろうと思うのであります。五・五%の範囲内にとどめたいという努力目標というものは設定をしておられる。しかし片っ方においては米価をはじめ諸公共料金値上がりが次から次へ打たれてくる、その中において五・五%というものを確保するのには、これは非常に問題があろうかと思うのでありますが、その心理的な影響というものをどういうふうに経済企画庁長官は把握をしておいでになるか。これはきわめて答弁しにくい問題であろうと思うのでありますが、国民の中に与える影響というものはきわめて大きなものがございます。というのは、きのうも物価特別委員会におきまして参考人に来ていただいていろいろ世論動き等を調査したものを聞いたのでありますが、その中の六四%は、都市部において物価上昇が引き起こっているのは政治が悪いのだ、こういうようなのが率直な大衆の世論としての統計の数字であらわれているという報告を聞いたのであります。そういう点からまいりますると、佐藤内閣物価に対する政治姿勢というものが国民に大きく非難をされている、こういうことを私は率直にこの数字が物語るものではないかと思うのであります。そういう立場から国民に与える影響というものを藤山長官はどういうように把握しておいでになるのか、お答えを願っておきたいのであります。
  13. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 公共料金値上げというものは、国民のいわゆる物価あるいは生活に対する心理的影響が相当あるということは、私どもも十分考えていかなければならず、また考えておるところでございます。しかしたとえば郵便料金の場合、いま申し上げましたように〇・〇六程度のことでございますから具体的な影響からいえば他の物資の値上がりと比較して国民心理的作用は少ないと思います。まあ公共料金の中でも運賃その他に比べれば心理的な影響というものは比較的少ない。ただこれは個々の家庭から申しますと、はがき等につきましては、やはりすべての階層がこれを使用するというようなことでございますから、その意味において心理的な作用もあり得ると思います。ですからわれわれとしてはそういう点に十分な注意をして、郵政省がこれらのことをおきめになるときに、そういうような問題については十分留意をして、そうして料金値上げをきめていただきたいということを申して、そして現在のような決定をみたということでございます。
  14. 村山喜一

    村山(喜)委員 郡郵政大臣お尋ねをいたしますが、五カ年間郵便料金値上げをしないということを言明しておられるわけであります。四十五年には今度の料金改定によりましても収支がトントンになる、こういう説明を聞くのでありますが、この中における人件費の見積もりが初めの二年度においては七%ずつ見込まれておる、こういうふうに承るのでありますが、その後三年間におきましては、人件費伸び率は五%ということにとどめておられるように承るのでございますが、それは事実でございますか。
  15. 郡祐一

    郡国務大臣 大体その後の物価が安定をしてまいりました場合には、現在のところ五%で足りるもの、こういうふうに考えて一応の計画立てております。
  16. 村山喜一

    村山(喜)委員 四十四年と四十五年度においては、物価上昇政府計画どおりにいくならばということで、それを織り込んで五%の上昇ということにとどめてある、こういうふうに承ってよろしゅうございますね。
  17. 郡祐一

    郡国務大臣 さようでございます。
  18. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、藤山長官お尋ねいたしますが、この物価賃金との相関関係経済不況が訪れた、賃金上昇率が鈍ってくることは事実でありましょう。しかしながら、経済不況に傾いてまいりましても、その中においては春闘との関係が当然出ておりますように、賃金上昇に対する傾向というものは、これはやはりそこにある函数関係をもって設定のできないのが今日の日本賃金水準上昇率だと思うのであります。そこで、物価が五・五%から三・五%、その次は一・五%、こういうようなふうに消費者物価が沈滞をしていく、そこにはもちろん経済安定成長というものをとらなければならないでありましょうが、この郵政省考え方の中には、初めの三年度においては賃金は定昇とベース改定分七%ずつ織り込んである。しかしその後においては五%ずつ織り込んでおるという考え方なのであります。とするならば、物価がそういうふうに落ちついてくるならば、賃金についての上昇を押えていくという所得政策、こういうようなものが中に内蔵しているのではないかと私は思うのでありますが、いわゆる景気上昇賃金との関係においては、そういうきわめて函数関係におけるとらえ方というものはできないのが、今日の日本経済の実情ではないかと思うのでございますが、そういうようなとらえ方をして差しつかえないのかどうか。郵政大臣説明を聞きますと、そういうような構想が入っているようでございますが、これに対しましての経済企画庁長官の御見解を示していただきたいのであります。
  19. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知のように、普通の状況でございますと、景気が悪くなれば賃金が下がるあるいは物価も下がるというのが現象だと思いますが、日本の現状におきますと、景気が悪いにかかわらず物価が上がっているという状況が起こっている。したがって、物価が上がっているだけ景気が悪くても、ある程度賃金を見なければならぬという現象もございます。そこで、たとえば将来物価が安定してまいるということになりますと、やはり日本経済全体を考えてまいりますれば、おのずから国民生活を向上さしてまいりましても、おそらく働いている方々も年々向上していく中において物価の騰貴をカバーする必要がある程度なくなってまいりますと、実質的には相当な賃金水準が上がっていくということになるのでございますから、必ずしも名目における賃金だけを働いていらっしゃる方々も要求されなくともいいというような、大きな情勢の中で問題が考えられると思います。ですから、物価が安定したからすぐに賃金が押えられるのだという関係は私ども認めておりませんけれども、大きな流れとしては、そういうようなことによって毎年上がるにいたしましても、上がり方が物価の上がったときよりも少なくても実質的にはいいのだ、そして年々向上していくのだということに相なろうかと思います。ですから、物価があれだから必ず下げて押えるのだという考え方は、むろん政府にも民間の場合の労働争議その他に対して介入はいたしておりませんし、考えてはおらないのでございます。したがって、大きな線から見て、若干の低下を考えてもそのこと自体が押えるという意味でないことは、御了承いただけると思います。
  20. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、藤山長官のお話のとおりであろうと思うのですが、そのためにはやはり一つの長期の経済見通しというものが前提として出てこなければならない。少なくとも安定成長の将来の見通しというものがなければ、そういうような構想というものは生まれないと思うのであります。ところが政府は中期経済計画を手直しをしなければならないということで、前のものは御破算にされた。いま経済の長期的な見通しについては作業中だと承っているのであります。とするならば、昭和四十四年なり四十五年の、そのころにおける安定成長率をどのように踏まえておられるのか。その中からやはり五%という賃金上昇というものが生まれてきているものだと私は思うのでありますが、それとの関係はどういうふうに説明がされますか。これは主管大臣のほうから御説明をいただくなりあるいは藤山長官のほうから、経済の長期見通しでございますので説明を願っておきたい。
  21. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 長期見通しとして、私ども見通しというよりもむしろ安定成長の線に経済を持っていかなければならぬ。したがって見通し等につきましても、そういう見通しをつくりまして、そしてそれが実現するように、内部の諸指標に合っていくように、各省の施策を進めていかなければならぬ。そこで七・五%の成長が高いか低いか、安定成長の問題になってくると思います。さしあたり暑気を回復してまいります上において、七・五%くらいな刺激がなければ私どもはいかぬと思います。しかしその後の、それでは七・五%がどうかといえば、私は、日本経済というものがまだ欧米の経済よりも若さを持っておると思います。そうして国民全体の意欲もございます。したがって、他の国からいえば四%前後が安定成長だというところもございますけれども、そういう意味からいって、他の国より若干高目に見ておいても差しつかえないのじゃないか。しかもたとえば七・五%というような二、三年の見通しの中で、いま起こっておりますような、たとえば格差が非常に出てくる。同じ成長の中でも格差がそれぞれ是正されたような並行的なことで進んでまいりますれば、若干高目であっても安定成長と言えると思います。低目であっても、中小企業と大企業との格差が拡大していくようなことでありますれば、私どもの言っております安定成長にはこれはならぬと思います。ですからできるだけ中小企業と大企業の格差を直すあるいは地域的な格差を直す、農村と都市との格差を直すような政策を織り込みながらやってまいりますれば、欧米諸国と違いますので、七・五%が高いという御議論もございますけれども、そのくらいなところを目標にしてまいりましても差しつかえないのじゃないかというふうに考えておるのでございます。そういう関係から言いまして、それが国民生活の面にどういうふうになっていくかといえば、安定成長してまいりますような形になれば、今日の物価問題のおもな原因というのは、格差の上から出ているところがたくさんあるということは御了解いただけると思うので、そういうものを直していけばおのずから物価も基本的に安定していく。ただその場合の物価対策としては、急激な需要の増加、たとえば肉を非常に食べるようになった、牛肉を食べるようになった、それがまだ十分増産されていなければ、緊急輸入等でやるというような、需給関係の調節ということが非常におもな問題になってくる、こういうようなことであろうかと私は考えております。
  22. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと安定成長を七・五%の一つ指数というものを目標にして両三年間くらいはやられる、その後においてもその基調はやはり続けていくのだ、こういうふうに承って差しつかえございませんね。
  23. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 いま申し上げましたように、私は日本経済がまだ若い、国民も意欲がございます。欧米の国民生活の水準からいっても、日本はまだベネズエラの次で二十一番目くらいでございますから、もっと上げていかなければならぬと考えておりますが、経済活動が相当活発であってもしかるべきだと思います。しかしこれらの問題は、貿易関係、産業経済関係から見て七・五%が少し低いからもう少し上げるのか、あるいは安定成長であってももう少し六%前後に落としていくのがいいのか、そういう問題は、そういう時期に至る過程においてわれわれが十分検討してまいらなければならぬ問題だと思います。
  24. 村山喜一

    村山(喜)委員 郡郵政大臣お尋ねいたしますが、いま藤山長官は、経済の事情の変化に対応する姿勢はあり得るとしても、私承りますと、基本的にはそういうような安定成長の路線に従ってやるのだ、こういうような考え方に聞くのであります。とするならば、あなた方が人件費伸び率をこの中においてお考えになったのは、やはりそれと同じような考え方というものに立って七・五%なりというものを想定された、こういうふうに承って差しつかえないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  25. 郡祐一

    郡国務大臣 私のほうで今後五カ年間の収支の見込み立ててまいりました場合に、現に政府部内において今後の動向等についていろいろ検討もされておる際でもありますので、たとえば物の伸びにいたしましても、過去の経験の伸び率から見ればはるかに多い物の伸び率を見得ますけれども、それもかなりに低く押えております。また人件費につきましては、御承知のように三十六年だかのベースアップは確かにたいへん高いものがございました。しかしその前におきましては、それほど高い率も示しておりません。したがいまして、人件費においても四十四年、四十五年と比較的低位に見たけれども、物の伸びもさらにもう少し期待できるんじゃないだろうか。そして物の伸びによって過去の収支のささえられた部分がありますので、郵便事業の収支の見通し立てます場合には、人件費と物の伸びと両方を考えながら一応計画立ててまいる、そしてそれでとにかく全部収入の状況と支出の状況を見てたえ得る料金引き上げをいたした、こういうぐあいに御理解を願いたいと思います。
  26. 村山喜一

    村山(喜)委員 私がその問題を取り上げましたのは、いま説明がございました景気の変動に伴ういわゆる物数の伸びの見通しの問題、これに関係が出てくるわけであります。四十一年度の総物数の伸び率は五・三%に押えておられる。しかし昭和三十八年度をピークにいたしまして、だんだん伸び率が低下している、こういう事情があろうかと思うのであります。とするならば、将来の伸び率を期待するという郡郵政大臣説明ではどうもはっきりそのあたりがいたさないので、そこでやはり料金をこういうふうに提示をしておいでになりますお立場からは、当然景気との相関関係というものを把握をして、その伸び率なりあるいは物数の各種目ごとの変化というものの対応を織り込んで、そうしてそういうような予測の上に立って提案をしておいでになっておると思うのでありますが、その総物数のいわゆる伸び率関係と、景気の変動との関係はどういうふうにとられておられるのか、その点を説明を願っておきたいのであります。
  27. 郡祐一

    郡国務大臣 物は確かにマクロ的にと申しまするか、全体を見まして従来の郵便の収支をささえてきた原因に物の伸びが考えられまするが、もちろん原価をはるかに割るような遠隔の地もあるわけであります。そうしたもの全部を大量に観察いたしまして、従来七%以上の伸びを示してまいった。ところが昨年の状況あたりになりますと、予想以上の伸びを示しておりませんでした。これはやや特殊の現象でありまするから、必ずしも景気影響がないとは私は言えないと思いまするけれども、各国の例を見ましても、郵便物というものの伸びは必ずしも景気の動向等にそう響くものではなくて、もちろんアメリカのような国民一人当たりの物数の非常に高くなりましたところでは、鈍化の現象を示しておりますけれども日本の物数はまだ全体から見ますれば低いものでありますし、個人差し出し、団体差し出しそれぞれについて見ましても、まだまだ伸びていかなければならぬのじゃないだろうか。したがいまして、四十一年度では一応伸び率を見ましてから、料金改定あるいは年賀はがきの高くなりました等のための減率などを見まして計算をいたしましたけれども、私は郵便物全体の動向から見まして、今後収支に見込んでおりますよりもさらに強い伸び率を示していくことは期待されるのじゃないだろうか。これは郵便物というものについての一つ傾向でございまして、したがって、ないということは申しませんけれども景気影響というものは比較的少ないのじゃないだろうか、そういう種類の事業と考えてよろしいのじゃないだろうか、こんなぐあいに私考えております。
  28. 村山喜一

    村山(喜)委員 景気の動向にあまり影響されないというお見通しでございますが、このたびこのダイレクトメールを五種から一種にされる、こういうようなことによりまして、また料金改定をされるというので、大体二倍から二倍半くらいに引き上げられるとなれば、当然商社関係の場合におきましても、デパートあたりにおいてもこれに対応する対策考えているに違いないと思うので、そこであなた方としては、結局六億通に及ぶところのこういうようなものについては、減るという見通しをお立てになっていると思うのであります。やはりこれは料金改定の問題に伴う減耗率でありますが、それと同時に、やはり景気が悪くなればそれだけダイレクトメールを使います宣伝の方法も再検討をしなければならないという関係も私は入ってくると思うのです。ですからそういうような点から、この料金改定に伴う減耗率というものは、年賀はがきにおいて六%、小包において四%、通常郵便物において一%という見積もりをしておいでになるわけでありますが、しかしそれと関係なしに、やはり景気の変動に伴うものが見込まれなければならないのではないか。これが従来までは七%の伸び率を示していたものが、今回は五・三%というふうに押えなければならない。そういうものがこの数字の上にあらわれてきているのではないかと思うのでありますが、将来はそういうようなものは関係ないという説明はどうも納得できないので、その関係説明を願っておきたいのであります。
  29. 郡祐一

    郡国務大臣 お話しのように、料金改定をいたしまして定形、非定形というぐあいに分けて、従来の第五種にあたる非定形を一種に入れましたために、非定形の定形化ということが起こってまいると思います。したがいまして、これは差し出すほうで、ことに団体差し出しのほうでいろいろなくふうがされるということが考えられますので、その点は、よくこれからの動向は気をつけて見ていかなければならず、したがいまして、今年における減少率をある程度手がたく見ておる次第でございます。ただし、年賀状のように、これは昨年末でも十五億通というような数になりましたので、郵便業務の上に非常に影響いたしますから、いろいろな方法で見当をつけております。まだ非常に大量観察的なものでありますけれども、大体年賀状は従来のようにふえるという傾向はとらないが、同じくらいの年賀状がやはり出されるのじゃないかというようなことがいろいろと見当をつけられております。したがいまして、大体この五カ年計画立てますときには、いままでのような伸び率を可及的控え目には見ておりますけれども、大量的に観察をいたしますならば——もちろんこれについてはサービスの向上ということが一方では非常に必要だと思います。そうして郵便物の物の増加を維持していくような、あるいは期待するような方法をとらなければ相ならぬと思っております。過般イギリスの郵政大臣が参りましたときも、郵政事業のくふうは物をふやして——そのことばとおりかどうか知りませんけれども、国の文化の状態郵便物の数とは比例するのだということを国民に訴えているのだというようなことを聞いたのでありますが、まだいまの日本郵便物九十数億通程度状況というのはかなり強い伸びを期待していいのじゃないか。それにいたしましても、いまおっしゃいました種類体系の中でも移っていくというのはよほど考えてみなければいけないことだと思います。
  30. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、若干の経過措置は講ぜられてはおりますが、物価に及ぼす影響の問題といたしまして、間接的な問題でございますが、例の封書の定形化に伴いまして、現在八センチ五ミリのこの規格型によります封書が相当業界にはストックとして存在をしている。これはわれわれも使っている封書であります。しかし、これは今後非定形になるわけでありますが、大体若干の経過措置として準備はされておるようでありますけれども、その期間の間にそういうような作業、まあこれは手によって封筒をつくるわけでもないだろうと思いますので、当然機械の入れかえとかそういうようなものを措置しなければならない問題が中小企業界のほうに波及すると思うのであります。そういうものに対する配慮はどういうふうにしておいでになるのか、お伺いをしておきたいのでございます。
  31. 郡祐一

    郡国務大臣 その点は確かに中小企業者に対する大きい問題だと存じます。それでこの万国郵便連合会議で、かつ今後四年先に参ります大会議で、それぞれさらに決定をいたすわけでございますが、その準備の段階で通産省ともよく打ち合わせをいたしまして、一体どういう見込みだろう。ところがJIS規格をきめまして、その後規格外の製造をいたさずにおる。したがって、あの経過期間はやや長きに失しはしないだろうか。むしろ業界としてはそれで早く移っていったほうがいいように思うのだというような話もございました。しかし、私どもとしては、そこはやはり製造はしないでいても、ストックはあるはずだから使えないということはないが、使ったら非定形になる、それはいけないから、大体ゆとりを見まして、支障のない手持ちのものも出尽くすというぐあいに考えてみる期間というのをとったつもりでおります。これは通産省等その直接の関係省との間でもかなり相談を尽くしましてきめた結果でございます。
  32. 村山喜一

    村山(喜)委員 最大と最小の規格を設定してUPUの規格に合わせる、こういうことでございますが、結局その最大のほうは問題は別にいたしまして、最小のほうで機械化するためにそういう定形を考える。その場合に、いままでは封筒にいたしましても小さな型のものがあった。そういうものが今後は非定形として扱われるわけでありますから、今度形が大きくなる。大きくなることによりましてその封筒をつくる用紙、こういうものもまた余分に要るということになる。それに伴う封筒等の料金値上がりについてはどういう見込み立ておいでになりますか。
  33. 郡祐一

    郡国務大臣 私の承知しておりますところでは、小さい封筒、むしろこれは小売り値で高くなりますものですから、わりに高いほうの傾向をとっておる。それからいままではどんなものでも扱うからしておったけれども、今後これは郵政省の責任としてそういうのを製造される方にも利用される方にも周知徹底しなければいかぬと思うのでございますが、これを十分徹底すればむしろ定形化したほうが製造するほうも簡単でありますから、利用される人の心理的な好みというものはあるにしても、製造の原価のほうはむしろ小さいのをやめにしたから値に響くということなしにやっていけるのではないかというぐあいに私は承知しておりますが、その点の周知方のほうは十分これからも努力いたします。
  34. 村山喜一

    村山(喜)委員 最後にお尋ねをいたしたい点は、今回学術に関する団体が発行するものについては特別の低料金で差し出すことができるようにしようということでございます。そこで学術に関する団体とは一体どういう団体であるのか。学術というのは学問研究のことだ、こういうふうに辞典にも書いてあります。この学術に関する団体というのは郵政大臣が指定をするようになっておるわけでございますが、学術、教育というこの不可分の関係の団体がございます。そこで、この範疇を広げていきますと際限がないし、また学術団体とは一体どこで決定をして、それを郵政大臣が指定するという運びに持っていかれるのか。日本学術会議、あるいは日本学士院、あるいは民間の学術研究機関の助成に関する法律等もございます。そういう立場から考えてまいりました際に一体どういう範疇をお考えになっておるのか。これは郵政大臣の指定の権限でございますので、この点については明らかにいたしておきたいのでございます。
  35. 郡祐一

    郡国務大臣 必ずしも日本学術会議の意見を聞くとか、どの団体をというぐあいには考えておりませんけれども、やはり学術関係でありますから、文部省の省としての意見でございますとか、あるいは文部省関係の機関でございますとか、それの意見を聞いて、そして郵政審議会決定する。そうすると、刊行いたします人間から申請書と刊行物が出てまいる。それに基づいてその団体を認めるかどうかは郵政審議会において決定をいたすが、その前の段階で、郵政審議会だけでなくて、教育関係の官庁でありますとか、あるいは文部省と相談いたしまして学術会議等の意見を徴するというような形にして慎重に扱ってまいりたいと思っております。
  36. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでお尋ねをして念を押しておきたいと思うのでございますが、文部省が御承知のように文部教研というものをやっております。これは相当な経費を使いまして、文部省が教育基本法の立場から考えたら、私はきわめて不可解なやり方だと思うのでありますが、そういうようなものが今日官側の指導によって行なわれておる。ところが御承知のように日教組が二十年このかた教育研究集会をやっております。「日本の教育」という、関係資料等も出しまして、そして定期刊行物もございます。あるいは一年間の経過報告書もつくられております。ところが文部省のもう一つの団体として、各都道府県等にそういうような教育団体がございまして、これには文部省が一億円の補助金を出して、教育研究の補助団体を指定いたしましてやっているわけであります。私は学術関係ということに限定をして問題を処理するとするならば、日本学術会議の意見等を聞いてやっていくんだという程度において、幅を持たせることは必要だとは思うのでありますが、それが、文部省にあなた方が相談をする、そうして学術教育というところまで範疇を広げていくということになりますと、そこには非常に大きな問題が伏在をいたしておるわけです。そういうようなところまで問題を大きくされていくとするならば、学術団体とは何ぞやという問題にも関係が出てくるし、郵政でやられる問題が、教育のそれらの大きな今日の問題をその中にかかえ込んでしまうようなことになるのではないかと私考えますので、そこに明らかな限界というものがなければならない。そういう文部省のひもつきのような団体が発行をするようなものにまであなた方は考えておられるとするならば、きわめて重要な問題であると思いますので、この際指定をされる郵政大臣の見解をお聞きいたしておきたいのでございます。
  37. 郡祐一

    郡国務大臣 学術についての刊行物、多くのものは長期にわたって刊行をいたしております。これらについての郵便料金を可及的低位にすることが必要であろう、こういう従来の各方面の御意向もあり、また私どももさよう考えまして、したがいまして、学術ということに限定をいたす、いわんや文部省の、何か広い教育というようなことばを使っておらないわけでございます。したがいまして文部省の云々というようなことは私どもは全く考えておりません。ただ一応日本学術会議の意見なら意見を聞くといたします場合に、それと関係の深い官庁と相談をしてみようということを申しましたわけで、直接文部省の意見を聞くというくらいに考えて、扱っておりません。学術という意味は教育というのではないのだというくらいにお聞き取り願いたいと思います。
  38. 村山喜一

    村山(喜)委員 学術会議の意見を徴してあなたのほうでおきめになる、こういうふうに集約していただきたいと思うのですが、どうなんですか。
  39. 郡祐一

    郡国務大臣 意見を聞きます段階としては、いまのような学術会議等に聞くといたしまして、郵政省と一番近い関係ではやはり郵政審議会に適当な部会等を設けるほうがいいのだと思っております。そうした形で扱ってまいりたいと思います。
  40. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと関連して。いま村山君が言っておりますように、非常に大事な問題でありますので……。「学術に関する団体がその目的を達成するため」云々とありますが、このいわゆる団体については学術会議にこれを諮問する、そうして学術会議に諮問をしたことについては、さらに郵政審議会にかける、こういうことじゃないのですか。そういうふうにはっきりしておいてもらったほうが、学術会議というものは一応公式的なものでありますから、はっきりする、こう思うわけです。
  41. 郡祐一

    郡国務大臣 おそらくそういう扱いかと思いますが、私どもとしては、郵政審議会にこうした刊行物についての判断をいたす要素をもし加えることがあれば加えますけれども郵政審議会に最終的に持ってくるその段階においては、おそらく学術会議というぐあいにお考えいただいてけっこうだと思います。
  42. 森本靖

    ○森本委員 おそらくというようなあやふやなことでなしに、これは速記録にはっきり残るわけでありまして、将来この運営に関しては、非常に重要な質疑応答でありますので、この「学術に関する団体」云々という問題については、これは公式機関であるところの学術会議にそれをはかり、そして最終的には郵政審議会にはかるのが当然でありますから、まず学術会議にはかって、それをきめていただいて、そして今度は郵政審議会にはかってきめる、こういうようにはっきりしておいてもらいたい、こう思うわけです。
  43. 郡祐一

    郡国務大臣 手続としてはっきりと郵政審議会にかけるということはきちんときめておきますが、いまの段階では、それまでにさらにどうするかということは検討さしていただきたい。
  44. 森本靖

    ○森本委員 それはやはり私はこの際はっきりしておいてもらいたいと思うのです。そうしないと、郵政官僚はそれほど悪い者はおらぬと思いますけれども、先ほど村山君が質問したように、これによって教育面に対する影響がいろいろ出てくるということになりますとこれは困りますので、やはり郵政審議会に最終的にかけるということは当然でありますけれども郵政審議会必ずしも学術に関する問題について権威あるものとは考えられません。そういう点から、「学術に関する団体」とは一体どういうものであるかということについて、それを一応きめるということについては、日本では公式機関として学術会議があるわけでありますから、その学術会議にまずかけて、そしてその意見を聞いて、その意見を郵政審議会にかけてやる、こういうようにはっきり筋を通した答弁をしておいてもらいたい。それを何だかぼかそう、ぼかそうとしておるのは、やはり最終的には郵政省が自分の思うようにしようとするととられてもしかたがない。これははっきりと条文に載っておることでありまして、その条文の解釈をいま質疑応答しておるわけでありますから、やはり「学術に関する団体」ということについては、これははっきりと学術会議に諮問をするのである、学術会議に意見を聞いてそして正式に諮問をするのは郵政審議会でありますけれども、一応学術会議の意見を聞いて、それを参考として郵政審議会にかける、こういうように私ははっきりしておいてもらいたい、こう思うわけです。
  45. 郡祐一

    郡国務大臣 私ども考えておりますのは、郵政審議会にきちんとかける、その場合にはある一つの特定のものに限るが、幾つかの意見を聞いても差しつかえないわけであります。それで郵政審議会がきちんときめておく。その場合におっしゃるように郵政審議会の能力もありますから、どういうものに意見を聞くか。その場合に日本学術会議等が権威のあるものであるということは十分認めながら扱いをきめさしていただきたい。
  46. 森本靖

    ○森本委員 これはぼやけた回答を私はやめてもらいたいと思う。こういうことでは、将来紛争になるもとです。この項については非常に重要な問題であって、場合によっては郵政省がこれは学術である、学術でないということをきめることになりかねない。そういうことは郵政省としてはある程度の越権行為になると思う。だからそれについては、公式機関としてはっきりと学術会議というものがあるわけでありますから、この条文にあることについては学術会議の意見を十分に徴して、そして郵政審議会にかける。その他の団体云々ということになると、またその他の団体はたくさんあるわけでありますから、これは相当問題が大きいと思います。だから、ここでは、この質疑応答においては、私が先ほど来言っておりまするように、この「学術に関する団体」云々ということについては、やはり日本学術会議の意見を徴し、そして郵政審議会にはかってきめるのだ、こういうふうにやはり私ははっきりとしておいてもらいたい。裁量権を郵政大臣にどんどん持たれたのでは、私はかなわぬと思います。これはやはり大臣、ひとつ明確にしておいてもらいたいと思う。あなたがずっとやっていけば信用できますけれども、途中でどんな大臣が出てくるかわからぬのでありますから、そういう点については永久的に、この法文の解釈は非常に大事な問題でありますから、単に大臣のいまの考え方ということでなしに——郵政省の官僚の諸君はそういうふうにある程度ぼやかしたようにすることを望むと思います。何でも官僚というものは自分の権限というものを多く出すことを望むわけでありますが、しかし、そういうことをやらしておったのでは切りがないので、この条文の解釈については、いま私が言ったように、はっきりとした回答を大臣から得ておきたい、こういうわけであります。
  47. 郡祐一

    郡国務大臣 ものをぼんやりさせてはいけないことでありまするから、権威のある団体の意見を聞いて、そして郵政審議会の議を経ましてということで進めさせていただきたいと思います。
  48. 村山喜一

    村山(喜)委員 この日本学術会議法の第二条によりますると「日本学術会議は、わが国の科学者の内外に対する代表機関として、科学の向上発展を図り、行政、産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とする。」そしてこれは、ただ自然科学部門だけではなくて、人文科学も含めていっているわけです。あなた方が、学術に関する団体が定期に発行する刊行物について低料金のものをサービスしようというのは、科学振興という立場から、学術の振興という立場からお考えになっているのだろうと思うのです。さればこそ、ここにこういうような特例が設けられた、こういうふうに承りますると、やはり最高の機関として法律に基づいて設定をされた日本学術会議の意見を聞かないで、郵政大臣郵政審議会にはかってやるということは、これはおかしいと思うのです。そういうような意味において、今日文部省と相談をされるというような話をさっきちらりとお聞きいたしましたので、私は、学術と教育という問題にこれは関連性がありますので、その点については明確にここでしておかなければ、将来やはり大きな問題として紛争が残る可能性がありますので、明らかにしておきたいのであります。お答え願います。
  49. 郡祐一

    郡国務大臣 文部省と申し上げましたのは、そういう権威ある団体についての考え方を聞いてはみますが、その個々については別に文部省にどう相談するというような考え方でございませんことは、いわゆる教育というものではなく、学術といっておることから当然そうなってまいるものだと考えます。
  50. 村山喜一

    村山(喜)委員 日本学術会議は文部省に所属しておるのではございません。内閣総理大臣に所属をしておるのですよ。だから、そういう点をはっきりしておいていただかないと困ります。その点どうなんですか。
  51. 郡祐一

    郡国務大臣 でありまするから、機関としては郵政審議会考えておりまするし、したがいまして、それに、しかし、権威のある団体の意見を聞くことは必要であります。したがいまして、文部省という点について、もし御疑念があれば、文部省にその個々のものについてどうするこうするという意見を聞くつもりではないのだというぐあいに御理解を願います。
  52. 栗原俊夫

    ○栗原委員 関連して。  どうもはっきりしないのだけれども、それじゃ具体的に聞きますが、学術会議にはむろん聞く、こう言うておるのだけれども、学術会議だけとは旨い切れぬ、こういうことらしい。そこで、それでは学術会議以外にあるとすれば具体的にはたとえば権威ある団体には何があるのだ。これを明らかにしてもらいたい。
  53. 郡祐一

    郡国務大臣 いまここでこれをというような例示をするものを私自身は持っておりません。おりませんけれども、しかしながら、郵政審議会にかけるときに、学術に関する刊行物を尊重するのだから何もどこでと限らないでもいいので、ただ、これがどっちかに片寄ることのないように、学術に関する刊行物ならすべて平等に扱われるということさえ保障されればそれでけっこうだと思います。
  54. 栗原俊夫

    ○栗原委員 それはおかしい。それなら何も「学術」と書く必要はない。審議会で低料金でやれというように出てきたら、みんなやってもいい。そういう議論があるなら、何も法律できめる必要はないじゃないか。「学術」と特に限って、しかもその学術の最高のものとして法定されておる学術会議というものがある。それでいいじゃないですか。ここはどうなんです。
  55. 郡祐一

    郡国務大臣 法律は、学術に関する出版で、かつ、——おそらく、想像しておりますのは、相当長期にわたる、分量というか何と申しますか、大きさ、重量も、学術でありまするから普通の郵便物としては相当手数のかかるもの、それでありますから、したがって、私は、ここで言うておりますのは、別に決してどういうことをいたそうというわけじゃ、文部省でかってにしようというのじゃありません。ただ、法律に書いてあることでございますから、その学術という意味を最も忠実にできるやり方をする、それを正しくするということを申しておるだけでございます。
  56. 栗原俊夫

    ○栗原委員 それは、片一方では、先ほど来の説明の中で、文部省などというものが出てきて、学術以外に教育に関係したといろいろな広い解釈をされる心配もある、こういう疑いを持っているんだから、あなたのほうで、そういうつもりがないなら疑いを解くような方向を解釈として必要だときめたらいいのであって、それを言わぬから、言わぬところを見るとますます疑わしい、こういうことになる。これは当然ですよ。その最後のところを……。
  57. 郡祐一

    郡国務大臣 事の起こりから申しましても、いろいろな学会がある。学会で発行しているものというような考え方が事の起こりでございます。したがいまして、私の申します意味は、権威のある団体を通して——それは、学術会議が権威のある団体であることはもちろんであります。その中でしかし必ずしもそのすべてを——むしろいまおっしゃいましたような意味合いで、これが広がることよりも、狭めていくということがこの特例の意味だと思います。そのような意味合いで申しておりますので、大体お尋ねのところと変わってはいないと思うのでありますが、しかし私どもは、そのような意味合いで、広がりましてやたらにこういう低料扱いが一般の教育というようなことになりませんように十分配慮してまいります。
  58. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連。  大臣、それはたいへんなことになるのですよ。いまあなたが質問に答えている間に郵務局長に聞いてみたのですが、学術会議に限らずいろいろなそういう団体から意見を聞くんだ、それから、文部省がその学術に関する所管省であるからそういうところの意見も聞くんだ、あなたのほうの事務当局はこういう考え方のようですよ。そうしますと、あなたは狭めるんだということを言いましたが、狭めようとすればどの団体も——たとえば私が何かそういう機関をつくって学術の研究を始める。権威があるかないかということはあなたが独自の判断でそれをきめる。あるいは郵政審議会が、あれは権威がない。安宅常彦なんという研究所というのは権威がない。そういうことになる。そういうことになれば、憲法上平等な扱いを受けないという訴訟でも起こされたりめちゃくちゃになって、狭められるどころかどんどん広がっていって、この間私が質問したときに、第三種郵便物の教育関係の基準というものはあるんだけれども、私どものほうでは、そういう個人の宣伝や何かに関したものであるかどうか判定が困難でございますという答弁をしておりますが、それと同じようなことがここにもあるのですから、たいへん大きな問題になって、郵政省は手がつけられなくなる、これはもう火を見るよりも明らかであるが、そういうことで、片一方で締めようとすれば、不公平だと言われ、そうして法のもとに平等でなければならない、憲法違反だ、実害をこのとおりこうむったということでめちゃくちゃにやられる。広げようとすれば際限がなくなる。教育の関係と学術の関係が違うなんて、あなたはいまわけのわからぬ答弁をしておりますが、これは学術の中に教育は入っております。そして、教育するという立場じゃなくて、この団体は、教育に関する問題、それを学術的に解明をしていく団体でありましてといえば、そうであるかないかという判定は裁判所へ持っていったってどこへ持っていったってできそうもないじゃありませんか。また郵政審議会なんというもので判定などつくものではありませんよ。そういうことをきちっとするためには、そのけじめをはっきりすべきだと言われておるのが村山君の意見だと思うのであります。そういう形からいえば、はっきり学術会議なら学術会議というものを、あなたが、そこで推薦をしたものを郵政審議会にかけるというふうにきちっとしておかなければ悔いを千載に残す、私はそう思います。そうじゃないですか。
  59. 郡祐一

    郡国務大臣 私が見て権威があるというのではなくて、客観的に見て権威のあるものの意見を聞いて決定をいたします。
  60. 村山喜一

    村山(喜)委員 この学術に関する団体は、一体どういうような団体として認定をするかということが問題になるわけです。そこでいろいろな職能団体があります。圧力を政府にかけたり、いろいろそういうようなものの中には、学術研究という名目のもとにそういうようなものがなされている。これは大臣承知のとおりでしょう。そういうような団体は、現実には名前をあげなくてもぴんと頭にくるものがある。そういうようなところから見てまいりますと、学問の研究をする団体、これはやはりそういうような純学術団体でなければおかしいと思うのですよ。そういうような立場から考えてまいりますと、やはりそういうようなものは日本学術会議という最高の総理大臣の諮問機関があるのですから、そういうものにかけて郵政審議会決定をするということにしておかなければ、私はこれはやはり際限なく広がる可能性というものがある。この点を明確にしておきたいのであります。御答弁願います。
  61. 郡祐一

    郡国務大臣 この問題については郵政審議会ですでに検討しておりました当時、各方面の意見を聞きましたときも、いわゆる学界と申しますか、学問の範囲は非常に広いと思います。その学界の出しておるものに限られておりました。したがいまして、おっしゃる御趣旨よくわかりますから、私のほうでも御趣旨に反しないように扱うことにいたします。
  62. 森本靖

    ○森本委員 そこでこれはやはりはっきりしておいてもらいたいのは将来の解釈の問題でございますが、要するにこれは郵政審議会にかけるということは当然であります。その郵政審議会にかける前に、この学術に関する団体が、その目的を達成するため云々という項については、日本学術会議の意見も徴し、その意見を郵政審議会に付して大臣がきめる、こういうふうにはっきりと解釈をしておいてもらったほうが、かえって広がるということを防ぐということにもなる。それからいま村山君が言ったとおり、その日本学術会議というものは法律に基づいてちゃんとできておるものですから、一番権威のあるものである。また学術に関してはあらゆる学術がこれに包含をされておる。そういう点からいって、日本学術会議の意見を徴し、そして郵政審議会にかけてこれをきめる、これがなんで悪いのですか。どうしてそんなにがんばらなければならないのですか。
  63. 郡祐一

    郡国務大臣 私の申すのは、なるべく厳重にしなければいけない、学術に限らないけれども。したがって、それについて適当な意見を聞く、それはだれが見てもあそこを通したものならばということをそれ自身が権威のあるやり方をする、おそらくおっしゃることとたいした違いはないと思います。ただそこを、いまどこどこの団体であるという言い方はひとつ避けさせていただきたいというだけであります。
  64. 森本靖

    ○森本委員 これは先ほど来言っておるように、日本の学術に関しては最高権威ということは法律できまっておるわけでありますから、その日本学術会議の意見を徴して郵政審議会にかけるといえは何で悪いのか。そんなにがんばらなければならないということにはならないと思う。また実際問題としてはそういう方向でやらなければならないと思う。だから大臣は、そのとおり将来私はやっていきたいと思います、こういう答弁でけっこうだと思う。事務当局の意見に左右されることはないのだ。
  65. 村山喜一

    村山(喜)委員 この問題はやはり逓信委員会の重要な問題であろうと思うので、したがいまして、私はきょうは物価対策の特別委員として出席いたしておりますので、特別委員会立場からはこれ以上触れませんが、大体先ほど大臣の答弁の中にも私の発言を肯定するような内容のものがあったとは思うのです。しかしながらはっきりしたことはまだ答弁としては出されておりません。しかしこの問題を一歩ゆるめますと、いろいろな学術団体の名をかりた圧力団体が今日存在をしておることは事実でありますし、それをうまく使おうという官僚勢力のあることも事実であります。したがって、この解釈内容については、はっきりした統一を逓信委員会のほうでしておかれるように要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  66. 砂原格

    砂原委員長 兒玉末男君。
  67. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今回の郵便法の一部を改正する法律案につきましては、すでに三月十七日以来十分逓信で審議されておりますが、本日は、特に物価影響が大きい問題でございますので、郵政大臣並びに経企庁長官にお伺いしたいと思いますが、まず第一点。基本的な問題として、実はこの改正法案は十二月九日の郵政審議会答申に基づいて策定されておるわけでありますけれども、これは先般の本会議におけるわが党の議員の質問でも明らかにされたわけでありますが、この郵政審議会答申が出される以前に、いわゆる十一月二十七日の経済政策会議において、郵政大臣は、五カ年計画の収支見通し立てて、本年の四月から三六・八%の引き上げを言明し、しかも総理はさらに、七月一日からこれを実行する、こういうことを言明したことは、一体郵政審議会の存在というものをどのように考えておるのか。しかも今日の佐藤内閣の政策の重点は、不況の克服と物価の安定ということに最大の重点が置かれておるわけであります。この郵便料金改定というものが国民の絶対的な支出の中に占める割合はわずかに〇・一四%、こう言っておられますけれども、少なくともこれが国民生活全体に与える影響は、単にこれだけの比率で済まされる問題ではありません。今回の料金改定にあたっての答申に対して、郵政審議会の以前にこのような措置をとられたことは、国鉄運賃の場合と同様でありまして、客観的に分析をし判断をする審議会の存在無視と私は言わざるを得ません。この点についての見解を、郵政大臣並びに特に物価担当の長官である藤山企画庁長官に明らかにしていただきたいと存じます。
  68. 郡祐一

    郡国務大臣 郵政審議会から答申をいただきましたのは、昨年の十二月九日でございました。その前に政府経済政策会議で十一月二十七日に、郵便料金値上げはやむを得ないであろう、しかしその価上げ幅は可及的低位に抑えるということをきめたわけでございます。それまでの経過は、実を申しますと、郵政審議会で郵政事業経営改善特別委員会というのを設けまして、その前に十三回だったと思っておりまするが審議をしてくださいまして、その結果を中間答申として政府に与えようか、しかし中間答申をまとめるよりも、もうじき答申が得られるからそれを口頭で政府のほうに報告するからということで、特別委員長から私の手元にそれまでの経過の御報告がございました。それによりますると、郵便事業のいろいろな改善があるが、四十一年度からどうしても料金値上げをせざるを得ないであろう、こういう口頭で詳しい内容をいただき、大体これがもうあと十日ばかりに迫っておる審議会の総会でもそれと同じ答申を得るからという御報告をいただいたのであります。それに基づきまして、すでに十一月末は四十一年度の予算についての大体の大綱がきめられなければ相ならぬ時期になっておるのでありまするので、それで関係の各大臣とも御相談をいたし、そして方針をきめました。しかし御承知のように、閣議決定いたしましたのは、今年の一月十一日でございます。郵政審議会については何分にも料金値上げの問題でございまするから、十分な尊重をしながらいたしたい。ただ郵政審議会自身からのお申し出のように、中間答申という形で、しようかというのを、少し郵政審議会の解義を急いでいただくために、むしろそのためにまた時間をかけるより早く木答申をいただきたい、そして口頭で承ったということでございまして、今後の扱いはさらに気をつけなければ相ならぬとは思いまするが、郵政審議会の御意向は十分尊重しながら扱ったつもりでございます。
  69. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 郵便料金値上げの問題につきましては、郵政審議会審議をされております過程におきまして、私ども郵政大臣から、こういう状況にあるのだということは御説明を承りました。したがいまして、四十一年度から上げるか上げないか、どの時期から上げるか等についても、われわれは物価問題の見地からして、他の公共料金との関係を勘案しまして、それぞれ意見を郵政大臣にも述べたわけでございます。したがってわれわれの意見が必ずしも郵政省自身のお考えのとおりの意見でなかったことは、過去のいきさつからして御承知いただけると思います。そしてそれらのものを総合調整されて、総理が判断されて時期等をきめられたのでございますが、それにつきましては、予算編成との問題がございまして、それらの問題を相当早目にある程度見通しをつけておく必要があるのではないかということでございまして、若干の変更はとにかくとして、大筋において、来年から上げるか上げないか、上げるとすればどの時期で上げるか、そしてその内容についてはさらに検討をして見よう、こういうようなことで私ども了承した次第でございます。
  70. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点を深く追及する気持ちはありませんけれども、少なくとも実施の期日等について、やはり国会に法案が提案されて、それによって十分審議を尽くしたあとで期日等は策定されるわけであります。少なくとも国鉄の場合等においても、二月十五日の予定が、やはり国会審議を通じて三月五日に延期した、こういう事例等から考えましても、今後の取り扱いについては十分慎重を期していただきたいことを強く、要望したいと存じます。  次にお伺いしたいのは、今回のこの提案説明を見てまいりますと、特に人件費の増加とかあるいは事業収入等の鈍化、こういうような点等から考えますと、現在のこの郵便行政の中におきまして、一体赤字の原因というものはどこにあるのか、この点まず明らかにしていただきたいと存じます。
  71. 郡祐一

    郡国務大臣 昭和二十六年に、一種、二種を含めました基本的な改正をいたしましてから十五年を経過しているわけでございますが、昭和三十六年に三極以下の改定をいたしました。これが初年度で約七十億、七十四億でございましたか、これを平年度化いたしまして八十九億、比較的小規模な値上げでございました。それでこれは御承知のように、三十六年に大幅なベースの改定がございました。そうしたことのために、三十六年の改定というのは、その後の収支状況改善ということよりも、むしろその際の当面の支出の増加に対応できたのでありまするが、ただそれをささえてまいりますのは、やはり物の増加がございました。これは私どもある程度その物の増加が必ずしも異常なものでなく、今後も期待できるのじゃないかと考えております。小幅に見ておりますが、とにかくその当時七%をこす物の増加が続いておりました。そのためにささえられてまいりましたけれども、約七割ないし八割というものが人件費であります。この会計におきましては、他にやりくりをする場所がございません。したがいまして、収支は次第に悪化してまいる。ことに最近物の増加が、これは一時的な現象だと思いまするが、鈍化をしてまいりました。そのために、結局支出をまかなうだけの収入を得られない。そのために無理をいたしまして、当然直さなければならない局舎も手がつかずに、あらゆる面で控え目になりまして四十年に至った。ところが四十年になりますと明らかに赤字が出ましたので、それまでの五十六億円という持ち越し分を赤字補てんに充当いたしまして、そして四十年の予算をとにかくつくったのでございます。そのために一口に申しますならば、大部分は人件費である事業の性質上、収入が伸びない限り支出が苦しい、こういう状態できておった。そうして今日すべきこともできずに四十一年度を迎えることになりましたので、この際料金値上げをお願いした、こういうわけでございます。
  72. 兒玉末男

    ○兒玉委員 今回の法律の改正によって、二八・八%の引き上げになるわけでありますが、これだけの引き上げをした場合に、この説明にもありますとおりに、正常な運行の確保だとかあるいは事業の近代化、機械化等の推進を通じまして国民サービスする、こういう見解でございますが、一体それでは、先般の藤山企画庁長官の説明にもありましたが、今後物価は抑制の方向をとり、本年度は大体五・五%、来年度からは三%程度ずつに押えていくという構想が明らかにされておるわけでございますが、この二八・八%の今回の値上げによって、一体これからどの程度改定ということについての期間を考えているのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
  73. 郡祐一

    郡国務大臣 私どもは五年の収支の見積もりを立てて御審議を願っておるわけでございます。と申しますのは、郵政審議会はさしあたり三年ということを申されました。しかしこれは、ごらんくだされば資料でそうなっておるのでございますが、昨年の、ことに中下句というような非常に物の状況の悪いときをもとにしまして、それで線を引いてまいりました。したがいまして、私どもの見ますところでは、その収入の状況ではもう少し堅実なものが期待できるのじゃないだろうか、そうして一方で決して満足ということは申せませんけれども、局舎の新増築なり機械化なり、こうしたことを入れまして、そうして支出を見ておった。しかし、それにいたしましても支出のほうの人件費なり、それから収入のほうの物のほうは、少し手がために控え目に見ております。そういうぐあいにいたしまして、とにかく五カ年間収支のバランスがとれるのだ、こういうことでめどをつけまして、ただいまのところ、五カ年間は現在の料金改定を認めていただけばやっていけるという状態でございます。
  74. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私が特にここで大臣にお伺いしたいのは、郵政事業というものが非常に高度な公共性を持つものだと私は判断いたします。そのことは、いま郵政省からいただきましたこの資料によりましても、四十年度予算における人件費と物件費の比率からもわかりますように、いわゆる人件費及びこれに類似する事務的経費が多くて、弾力性が乏しい事業である。このことは、私はそれだけ非常に公共性が高いということを示している証左だと思うのです。そういう点から考えますならば、今後の郵政事業のあり方というものは、一体物価抑制という立場から考えましても、公共性というものとそれから独立採算、この点から判断しましても、当然独算性ということは次元が低く、あくまでも公共性というものに最もウエートをかけた運営がなさるべきだと思うのであります。そういう点から考えますならば、特に独算性を強調されておるようでありますけれども、しかも今回の二八・八%の値上げというものが、わずか五年間ぐらいしかその見通しが立たない、こういうことでありますならば、さらに今後の予想される物価高騰等を通じて再度値上げをしなければいけない結果が招来されるであろう。そういう点等を考えますと、この辺の関係、すなわち公共性と独算性ということについてもう少し検討する段階にきておるのではないか。これらの点について、大臣の御所見を承りたいと存じます。
  75. 郡祐一

    郡国務大臣 おっしゃるように、公共性の点は、一番郵便事業扱います上で考えなければ相ならぬと存じます。いま五年ということを申し上げました。これは収支の見込み立てますのに五年という見込み立てておりますが、一種二種を二十六年に改定して、途中の小さい改定はあったにいたしましても、一種二種については十五年ささえることができた。これは私は郵政部内全部の者に言うておるのでありますが、今日料金改定をお願いすることは郵政事業の出発点であって、決してここでとにかく郵便料金値上げができたから何とかやっていけそうだという気持ちを持ってくれては困るので、国民への奉仕ということを特に新しく考え画して出発点にしようということを言っておるのでございますが、その意味合いでも、当然五年以上でき得る限り持っていけるように、企業努力によりまして、将来の料金値上げの要素を吸収してまいることは、当然考えなければいかぬことでございます。  それで、お尋ねの公共性のことでございますが、確かに私ども家計費調査に〇・一四、CPIに〇・二ということを申しておりますが、そのほかに私どもいろいろな調査をいたしてみますと、たとえば個人差し出しの分と団体差し出しの分の調査をいたしてみますと、約二割四分くらいが個人差し出しでございます。またCPIのほうから逆算してみたりしますと、一制五分くらいが個人が出す分、一般家庭が持つ分というような結果が出てまいります。そうなりますと、大体大観いたしまして二割程度が一般の方が使用してくださる、八割程度は大企業等が使っておる郵便というぐあいに、いろいろな統計上の推算なりそれから郵政省がいたしました事実上の差し出し状況の区分によっても出てまいるのであります。そういたしますと、公共性という点からまた物価という点、一般の主としてこれは心理的な——すぐそれが郵便料金が生産物の原価に響いてくるというような種類のものではございませんけれども、心理的な影響、それから利用される家庭の方の不便というようなことを考えてみましても、そのほうの影響はまず比較的少ないのじゃないだろうか。それから御指摘の、したがって独立採算制、総括原価主義によって割り当てましたけれども、確かに一種原価より高いものをいただくわけでありますけれども、それにいたしましても、それがただいまのような個人、企業別の差し出し状況から見ても、それほど影響考えるような負担にはなっておらない。そういたしますと、その程度値上げをお認めいただいて、そうして企業の健全化をはかる、そうするとむしろサービスの向上の面ができるならば、国民生活へのいい影響を期待できるのじゃないだろうか、そういうふうにこれからの郵便事業を持ってまいりたいと思います。
  76. 兒玉末男

    ○兒玉委員 家計費総支出に占める点についてはあとでもお伺いしたいと思いますが、とにかく郵政事業というものが独立採算制をとらなければいけないという法的な根拠は何に基づいてなされているか、この点いま大臣からも特に独立採算ということを再三言われますので、その点特に明らかにしていただきたいと存じます。
  77. 郡祐一

    郡国務大臣 郵政事業特別会計法によりますると、郵政事業は企業的に経営するということを言うております。企業的に経営するという意味は、これは特別会計としては独立採算というぐあいに読む以外に方法のないものと思います。ただ、これを郵便法の第一条で、郵便料金はなるべく安く、安くというようなことも法律に書いてある非常に特異な種類のものであります。おっしゃったいわゆる公共性とからんでくることだと思いますが、しかしながら私ども事業の性質そのものがやはりこうしたものを、各国の例を見ましても、アメリカで少し一般会計から公共サービス分を負担しておりますほかは、全部収支均衡主義をとっておりまするから、事業の性質から独立採算ということは言えると思いますが、法律上の根拠としては、私どもは、特別会計法の企業的の経営、これにあると思っております。
  78. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そこで私は大臣にお伺いしたいのは、この人件費と物件費のバランスの点もそうでありますが、現在郵政事業の中で行なっておりまする郵便貯金だとかあるいは簡易保険等は、ほとんど零細な庶民階級から一般銀行貯金等と比較しましても、いわゆる庶民階級の利用する郵便貯金、簡易保険の金額というものは、その階層別に見ましてもあるいは金額の面におきましても利用率において相当高いウエートを占めているのじゃなかろうかと考えております。そうでございますならば、いまの企業性という面から判断いたしましても、いわゆる簡易保険なり郵便貯金等が国家の資金運用部においても相当な貢献をしていると私は思うのです。そういう点から考えますと、この郵便貯金なり簡易保険の運用によって得たところの剰余金というものは現在どの程度蓄積をされておるのか、その点お知らせいただきたいと存じます。
  79. 郡祐一

    郡国務大臣 郵便貯金において約三百億の剰余金を見ております。
  80. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そういうふうな国民大衆から吸い上げた金が、それだけの現在剰余金というものを蓄積いたしておりますならば、今回の政府の重点施策である不況の克服なり物価の安定という基本的な政策の面から判断しましても、やはりこのような剰余金等を十分活用して、できる限り国民の負担というものを軽減するのが、私は政治の方針でなくてはいけないと考えます。この点特に物価関係関連する企画庁長官、さらに担当の郵政大臣の御所見を承りたいと存じます。
  81. 郡祐一

    郡国務大臣 私は確かに郵便貯金、為替、保険を込めまして、郵便局の全従業員の努力によって成績をあげているのだと思います。したがいまして、簡易保険は、現在運用はいたしておりまするけれども、もっと自主性を持たして、またもっと採算がとりやすいように、そして利用者にもっと還元できるような運用を考えるべきだと思いますし、それから貯金につきましては、現在全部財投に入れております。これは国庫統一という一つの原則からは、それの理屈は十分あることでありますけれども、しかしながら国庫統一の原則を持ちながらも何か貯金の利用者にもう少し還元する、サービスする、こうすることによって郵便貯金聖業をもっと成績をあげさせるというようなことは必要だと思います。そういう点に私ども努力をこれから集中しなければいかぬことだと思いますが、ただ簡易保険、郵便貯金がそれぞれ独立した特別会計を法律上持っております。そのたてまえからいって直ちに剰余金を——それぞれの利用者には還元いたすようなことを考えなければいけませんけれども、今日それをすぐに郵便事業の赤字等があります場合に埋めるという種類のものではない、いまの特別会計のたてまえはそれはできないのだ、こういうぐあいに考えております。
  82. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 公共料金あるいは公共的用途に使われております制度の中において、国家がどれほどそれを見ていくかというような問題は、基本的には非常に大きな問題があろうと思います。ただ現状におきまして、私どもとしましてはやはり利用者が負担をするという原則は、これは公共用の施設の場合であっても当然そうなければならない。それを全部あるいはある程度いわゆる税金の中から補給するという問題については、やはり私必ずしもそれに賛成をするわけにはいかぬと思うのでございます。  なお、郵便貯金なり簡易保険等の運用については、郵便貯金そのものの運用は、やはり郵便貯金の総額が今日のような非常に大きな金額になってまいりますと、これは金融系列の中で一応操作をするべきが適当であって、金融系列の外に置くということ必ずしも適当だとは思いません。したがって、そういう意味からいいまして、郵政省自身がこれを運用して全く大蔵省と離れてやるというわけにはいかぬのじゃないか。ただしいま郵政大臣が言われましたように、それらを集めることのための非常な努力、あるいは預貯金者あるいは保険者に対して何らかの形でもって十分な還元をしていくというような問題については、十分考慮していく必要があると思います。
  83. 兒玉末男

    ○兒玉委員 郵政大臣にお伺いしたいのでありますが、先ほど大臣自身の答弁の中にもありましたが、アメリカ等で一般会計等から補助金を出している例もあるということを申されました。これは国鉄の場合におきましても、フランス等は年間一千億円前後くらいのいわゆる公共負担に対する補助金を出しておる例もありますし、そのような先進国のいい例はどんどん日本の場合も取り入れて物価抑制に貢献することが、やはり所管大臣の前向きの姿勢ではなかろうかと考えますが、今後の取り組み課題としてそういうふうな制度をどんどん取り入れていくべきだと思うのですが、この点いかがでございますか。
  84. 郡祐一

    郡国務大臣 アメリカでは、兒玉さんのおっしゃったような限られた公共サービス分の繰り入れをいたしておりますが、それ以外の国はいずれも収支均衡主義をとっております。これはやはりその国それぞれの状況によるものだと思いまするが、郵便事業について収支均衡主義をとりながら、かつ日本の第三種にあたるような低料扱いの分をやはりその中へ込めて、そうして事業経営をいたしておるのでありまするから、特に原価割れの激しいもの、現在の第三種郵便物がそれでありますけれども原価割れの激しいものをだんだんに是正するということは必要だと思いまするけれども、やはり各棟別の中で若干原価を割ってでもサービスしていく、それを全体でまかなってまいるという独立採算制の立て方というのは、私は現在の段階で正しい事業の運用だ、こういうぐあいに考えております。
  85. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは先ほど申し上げましたが、今回の郵便料の改定家計に占めるパーセンテージは〇・一四%であるということを言われましたが、これは先般四月一日から郵便の小包料金改定をされております。これはもちろん郵便法の三十一条によっていわゆる政令によって定めることになっておりますが、この統計によりましても、年間大体一億四千二百万個の小包が四十年度においては送られておるわけでありますが、このような〇・一四%の比率というのは、純然たるはがきとかいうような郵便関係なのか、あるいは小包料金等の改定も含めての〇・一四%なのか、この点明らかにしていただきたいと思います。
  86. 郡祐一

    郡国務大臣 家計費調査に〇・一四と出しましたのは、全部含めてでございます。
  87. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは今回のこの小包料金改定は、もちろん政令によって定めるわけでありますけれども、特に国鉄なり通運事業を行なっておるところの配達の形態というものと、郵便の小包配達の形態というものは、その範囲とそれから受託をする個所等においても比較にならないほど広範な地域を有しておるわけです。そういう点から考えますと、もちろん小包の輸送量から判断した場合に、これが量の面において独占制というものはきわめて低いかもしれませんけれども配達をする広域という面から見た場合においては、やはり郵便聖業以外の事業においてはとうていこのような事業を行なうことが不可能ではないか。そういう点から考えますと、やはり独占事業的な比重というものが広域性という面においてかなり商いのではないかと私は思いますが、そういう点から判断した場合に、これが政令にゆだねておる点はいま少し検討を要するのじゃなかろうかと思うのですが、制度上の問題として大臣の御所見を承りたいと思います。
  88. 郡祐一

    郡国務大臣 これを政令に譲っておりますのは、いま兒玉さんおっしゃったように、一般の郵便物が独占事業であるのに比べて、小包は独占事業ではないのだ。かつ、ことに信書の送達という非常に大事な仕事を持っているものだから、小包は他の国鉄その他の一般の運送業者の担当している分野とおのずから分野を分けて負担をしていくべきものである。ところが、それがもし他の国鉄運賃等が料金改定いたしましたために、その影響を受けてどちらかが非常に比重が多くなってきたときにはバランスがくずれる。したがってバランスがくずれたら、郵便物の信書の送達それ自信に影響してまいるおそれがある。だからなるべく同じ時期に同じような料金を維持して、したがって同じような送達を保っていこう、こういうことから政令ができてきていると私は思います。したがいまして、たとえばこのたび郵政審議会から速達、書留等の特殊料金も政令に譲ったほうがいいという御答申をいただいておりますが、私どもは、それはなるほど特殊料金は一般の料金と違うけれども国民への影響考えて法律上残しておいたほうが筋だろうということでいたしましたが、小包を政令に譲っておりますのは、私は、もっぱらそういう独占事業でないという点と、他との均衡を保つことによって信書の送達を確保しようということだと考えております。
  89. 兒玉末男

    ○兒玉委員 その点と、それからいま大臣の答弁は料金の面を主として言われたわけでありますけれども、この小包を取り扱っている、領域といいますか、地域というものが他の通達事業と比較して広範である。しかもこれは地域地域の請負等において当然行なえる事業ではない。やはり国家的な事業としてなされねば、いわゆる企業としてもとうていこれは成り立っていかない。そういう点等からも、単に国鉄等の手小荷物運賃とのバランスということも含めて、より郵政が行なっている小包業務というものは広域性という面において独占的な分野を持つものじゃないか。この点大臣の答弁はなかったので、その点を再度ひとつお聞きしたいと思います。
  90. 郡祐一

    郡国務大臣 地域的には確かに兒玉さんのおっしゃるように一番広いのじゃないかと思います。へんぴな地域などは他に送達手段がございませんから、郵便局を通しての小包、これが一番広いということは私はおっしゃるとおりだと思います。
  91. 森本靖

    ○森本委員 先ほど大臣は、〇・一四%の場合、これは全部入っておるというふうに言われましたが、そうすると、これは一種から五種までの分で総額を結局国民収入に割り当てた、こういう形になっておるわけですか。私の考えでは、この〇・一四というのは、おそらく国民が一人当たり実際問題として一種なり何なり郵便をどの程度使うかという統計ではないか。総郵便料をそれぞれに割り当てたという額では〇・一四にはならぬのじゃないか、こう思うのです。  それからもう一つ大臣は、アメリカについては確かに繰り入れを認めておる、こう言いました。ヨーロッパでは認めてないと言っておりますが、そうではございません。ヨーロッパでは、確かにドイツ、イギリス等においては、郵便は郵便事業だけになっておりますけれども、フランスの場合は郵便貯金事業から繰り入れができる形になっております。現にフランス等においては、郵便貯金と郵政事業とが一緒の会計になっておるわけであります。だから必ずしもあなたがおっしゃったように、ヨーロッパも日本と同じということではありませんので、そんなうその答弁はしないようにお願いをしたい、こう思うわけであります。それから、いまのパーセンテージの問題だけをちょっとはっきりしておきたい、こう思うわけです。パーセンテージの中に全郵便料が含まれておるか。
  92. 郡祐一

    郡国務大臣 〇・一四のほうは、あれは家計費調査をとりますときに全部で割り出しておりますので、これはやはり小包は入っております。
  93. 森本靖

    ○森本委員 ダイレクトメールも全部入っておりますか。
  94. 郡祐一

    郡国務大臣 入っております。それから、外国の例のほうは、森木さんのほうが私よりお詳しいようでありまして、間違っております点は、これからも御教示いただきとうございます。
  95. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間もかなりたちましたので、切り詰めて質問したいと思いますが、あと二、三点にしぼって質問いたしますが、この小包料金改定は、東京を基準にして第一、第二、第三地帯というものをとっております。今日、国鉄もそうでありますけれども、非常に輸送制度の改革をはかりましたが、逆に非常に輸送期間が長くなっている、こういう事例がございますが、今回の料金改定にあたって、大衆へのサービスという点からの最大の課題は、正確であり迅速だということがモットーでなければならないと思います。もちろん正確の面においては伝統を有する郵政の歴史がありますが、迅速という面においてこのような料金地帯を設けるならば、当然家庭に届く輸送日数というものもやはりこの際一定の基準を明らかにする必要があるのじゃないか。同時にまた、この点は速達なり一般の郵便物についても、そのような配達日数、到達日数の基準というものを国民の前に公示する必要があるのじゃなかろうか。この点についてどういう措置をとられようとしておるのか、御所見を承りたいと思います。
  96. 郡祐一

    郡国務大臣 確かに送達速度の確保ということが郵便事業のもとだと思います。そうして、いままでのところでは、ごく大づかみなものの言い方でありますが、地域にもよりましょうけれども、普通にいきますと、その日の朝鹿児島市に出しましたものが翌日じゅうに届いておるというような状況でございます。それで、遠距離のものにつきましては、どうしてもその日の夕方に出したものが翌日じゅうに届くということにいたしたい。いつ出したものがいつ届くということは郵便局等に十分掲示をいたしまして、約束したことを果たしていくということにしたい。しかしながら、問題はむしろ近距離でありますとか自府県内とかいうようなところをもっと早くするということが非常に大事な問題だと思います。したがいまして、今度料金引き上げをいただきましたら、むしろ航空機の塔載は大都市間、東京、大阪と県庁所在地間でありますけれども、近距離間の専用自動車便の増強をいたしますこと、さらに各種の軽車両を増強いたしますこと、これによって送達速度を維持していきたい。とにかく大きいところの郵便の送達というものは、方々に掲示を出して、届くはずですから、届かないものはひとつこれに入れてくださいというくらいにお約束をして、送達速度を守っていくというやり方をしてまいりたいと思っております。
  97. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最後に二点まとめてお伺いいたしたいと思いますが、第一点は、現在の料金改定を通じて私は郵政当局に対する国民の要望がいろいろあると思いますが、一つは、ポストの配置というのはどういう基準になっておるのか。この際国民大衆の要望にこたえるための増設という面について積極的な努力を払っていただきたい。もう一点は、これは若干この内容からそれるかと存じますけれども、現在の住宅団地の造成に伴いまして相当高層な建築がふえてきておるわけです。勢い配達業務に参加する郵政労働者の労働過重というものが起こってくる。建築基準法等の改正によりまして、今後高層化されていくということになりますと、配達業務という面においても、また労働条件の改善という面からも画期的な改革をなす必要があるのじゃないかと思うのですが、この二点について最後に大臣の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 郡祐一

    郡国務大臣 ポストは、私が承知しておりますのは、ただいま全国で十一万二千木、三十六年度以来かなり長期計画でふえてまいってきております。ただし、なお大都市間に不足しておるという声をよく聞きますので、東京などでは都内二十三区と他地方向けのポストにかえておりますので、余った分のいままでのポストを不足しております大都市にそれぞれ送ることにいたしまして、ポストのほうは充足してまいりたいと思います。  それから、いまの高層建築物に対する分は、確かにいままでのところ、管理者等の関係でおくれておったようでございますが、これは急速にいたすように努力いたします。
  99. 砂原格

    砂原委員長 以上をもって本連合審査会は終了いたします。  これにて散会いたします。    午後零時四十分散会