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1966-06-10 第51回国会 衆議院 逓信委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月十日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 上林山榮吉君 理事 佐藤洋之助君    理事 内藤  隆君 理事 栗原 俊夫君    理事 畑   和君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    金丸  信君       木部 佳昭君    小泉 純也君       佐藤 孝行君    志賀健次郎君       徳安 實藏君    服部 安司君       南  好雄君    大柴 滋夫君       片島  港君    中井徳次郎君       前田榮之助君    松井 政吉君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         郵政事務官         (電波監理局放         送部長)    館野  繁君  委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         三課長)    久光 重平君         大蔵事務官         (国税庁徴収部         長)      結城 義人君         通商産業技官         (重工業局電子         工業課長)   戸谷 深造君         通商産業事務官         (重工業局電機         通信機課長)  高井 敏夫君         自治事務官         (税務局府県税         課長)     石川 一郎君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 六月十日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  受田新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として佐  々木良作君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一六号)  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一七号)      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中井徳次郎君。
  3. 中井徳次郎

    中井委員 大蔵省自治省政府委員も来ておりますか。
  4. 砂原格

    砂原委員長 大蔵省は来ておりますが、自治省は間もなく入ります。
  5. 中井徳次郎

    中井委員 放送法改正につきまして、これから午前一ぱいくらいお尋ねをいたしたいと思いますが、急に質問をしろというふうな党の要請でございまするので、順序も不同でありますが、その点はひとつ答弁をされる皆さんで御了承願いたいと思います。  今度の放送法改正は十数年ぶりのことでありまするし、前の放送法の時代にはまだテレビもなかったというふうなことでありまするから、やはり私どもも何か改正をする必要はあるだろうとは考えておるのであります。しかしながらその内容を拝見をいたし、この間から政府当局の御説明、それから昨日の与党議員質問に対する答弁等を伺いますると、必ずしも私どもがかくあれかしと願っておるような改正案ではないようであります。したがいまして、そういう立場から、きょうは大体七、八件にわたりまするが、お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、今度の改正NHK聴取料といいますか、受信料につきまして、現行放送法よりもかなり、どう言いますか、前は契約のような形でありましたのを、今度は義務的なものに前進されたやに聞いておるのでありますが、それは国民のためにプラスでありまするかマイナスでありまするか、こういうことについて、なぜそういうふうな改正をされる必要があるのかということについて、まず私は郵政大臣の見解を伺っておきたいと思うのであります。
  6. 郡祐一

    郡国務大臣 NHK受信料現行法におきまする性格というものを考えてみますると、NHKというものの経営を維持してまいる、そのために法律上認められた一種負担金というぐあいに解さざるを得ないと思うのであります。ところが、そのような実態でありまするけれども、これを契約内容として徴収いたすといたしますと、契約によって徴収支払い債権関係を構成するものとして、そのようにして運用いたしておるのでありますが、契約観念というものは、勢い私的なもの、ないしは契約自由の原則に基づきまする法律関係というぐあいに考えられる傾向が出てまいります。これはNHK受信料というものの性格にそぐわないことでございまして、臨時放送関係法制調査会の答申もそのように指摘しておると考えまするので、むしろ契約関係という法律構成をとらずに、受信設備というものを設置いたしましたならば、それによって直接支払い義務が生ずる、こういう法律関係を考えたほうが端的でありまた現実に即しておる、こういうぐあいに考えて改正をいたした次第でございます。
  7. 中井徳次郎

    中井委員 なぜ負担金とお考えになるのか、その根拠を示していただきたい。私は契約でも何でも差しつかえないと考えておりますが、どうして負担金なんですか。
  8. 郡祐一

    郡国務大臣 いままで契約ということで運用しておりましたが、ただ契約というのは勢い私的な関係ということでございますね。しかしながらこの実態というものは、NHK受信者と申しますか設備を持った者から徴収が認められておる実態、したがって負担金とか分担金ということばが直接それぞれ受け取られるお考え方はあろうと思いますが、そのようなものである。国民的な分担金と申してもよろしゅうございましょう、あるいは負担金と申してもよろしゅうございましょう。現行契約という関係で規律しておりながら、やはり中身はそういうものだと理解しませんと一種特別な関係というものは理解できない、このように考える次第でございます。
  9. 中井徳次郎

    中井委員 一種特別な関係というものはどういう関係なんですか。私はこれは私的なものと判断してちっとも差しつかえないと思う。なぜ公的なものであるか。公的なものであるということになりますと、ほかの公的なものとNHKとの間にいろんな関係がその結果として出てくるでありましょうし、公的なものとして考えられるとなりますと、あなたがいうその負担金徴収については国税徴収法とか税金と同じように考えられていくのであるか、そういうことについてどうなっておりますか。
  10. 郡祐一

    郡国務大臣 私が一種負担金であると申しました点が、ことばがあるいは足りなかったかもしれません。このたびのような、設備を持ったがために義務を生ずるということにいたしましても、決して公的な関係を持つものじゃございません。この点は明瞭に私法上の支払い義務受信設備の設置によって協会に対して生ずる。したがって、公法上の強制徴収を伴いますものとは全く異なる関係でございます。ただ契約ということ、どこまでも私法上の関係でございまするけれども、私的な契約ととられがちな契約ということばを省きまして、実態に即した私法上の支払い義務である。決して公的な徴収関係や何かに立つものではないが、しかし私的な義務を生ずるのだということをこのたびの改正法律で申しておる次第でございます。
  11. 中井徳次郎

    中井委員 ますますわかりませんね。あなたは最初は公的なものとおっしゃったが、しかし法律上あくまでも私的なものである。しかし実態に即応して、その中に公的なものがあるし、NHKにも負担をかけておるから、こういうことにした、こう言うが、私は、いまの形でどこが悪いのだ、どこに差しつかえがある、そういうことを裏から聞きたい。ちっとも差しつかえないと思うのだ。いかがですか。
  12. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  ただいまの現行法によります受信料制度も非常に考えられた、すぐれた一つ制度であろうと思っております。すなわちNHKというものが、この放送法によって特殊な国民的な目的業務義務を持ちまして、特別に法律によって設立された法人として放送法の定める公共的放送をするということで生まれ出てきたわけでございまするが、それの財政的の裏づけといたしまして、放送法受信料制度というものを考えたわけでございます。すなわち、そういう公的な公共企業体としての特殊の法人であるNHK業務を維持し、遂行させるための財政的な基礎をどこに求めるかという場合に、全く私的収入によらず、また国の財政にたよらず、しかも一つの非常に活動をしっかりやってもらわなければならない事業体をどうして維持していくかというときに、この受信料を支払う義務者は、NHK放送受信することができる設備を設置した者というものでとらえ、そういう状態にある人はNHK受信に関する契約を結ばなければならないというととを法律義務づけまして、そうしてその支払い内容手続等は、NHKとその契約義務者との間の契約、約款と申しまするか、内容として定めるというこの現行法制度を考えたものと思っております。したがいまして、現在の制度も非常に考え抜かれた末のけっこうな制度ではございまするけれども、たまたま先ほど大臣からも申し上げましたように、その観念構成の中に、あるいは手続の中に契約という文言、用語なりを用いて組み立てておりますために、契約すなわちすぐ契約自由の原則というような純粋の、一般私法上の契約というもの、それから出てくる効果内容というものが頭に出まして、全く受信料というものが、私的経済活動に伴う財貨の移動を内容とする私的契約であるというふうに一般に解されがちである、また解されている。しかし実態は、ただいま申しましたように、いかにしてNHKを維持していくか、公のものとして維持していくかということの財源調達方法として、強制契約というただいまの制度をとったものでございますから、そういう私的契約あるいは私法上の契約自由の原則にそっくりそのまま当てはまるような契約ではないものを、そういうように誤解されることはいろいろと現場の実態、あるいは受信者にとりまして正しい認識というものを阻害するということでございますので、この法律観念組み立て方あるいは手続を変えまして、受信料というものの本質的性格は全く変えませんけれども契約強制ということを支払い義務の発生という姿に変えたものでございます。
  13. 中井徳次郎

    中井委員 長々と御説明を賜わったが、要するによくわからない。これはどうなんですか。商法上、民法上、公法関係なら国税その他の徴収方法とか、というものとの関連において考えた場合に、日本において全く新しい一つの法の概念ですか。どうです、これは。私は、そのことを否定したりなんかしておるのではありません。法の概念を確立しておかないことには、これは問題になる。そういう意味お尋ねをしておる。なぜここまでやらなければいかぬかということです。
  14. 郡祐一

    郡国務大臣 先ほども申しましたように、結局、契約というと個々契約をいたす。したがいまして、それに伴います実際上のどういう困難があるか、支障があるかということは、あるいはNHK関係者から申し上げたほうがよろしいのかもしれません。私はそれによって徴収すること自体に非常に支障があるような関係ではないと思いますが、NHK聴取料というものが個々契約ということできまっていくというのは、どうも実態に沿わない。だから関係はどこまでも私法的な関係であるけれども、これをこのたびのように法律によって設備を持った、それによって支払い義務が生ずるんだということにしたほうが実際に合っているんだということに尽きると思います。したがいまして、どこまでも私法上の債権関係に基づくものでありますから、国税徴収等の場合におけるような徴収方法は全くとり得ないことになってまいる。したがって民事上の手続で債務の履行を強制したり、損害賠償の請求によって処理するというようなことが法律的にはなってまいるわけでございましょう。したがいまして、私は一種特別と申しましたが、確かに私的な契約、純粋に私的な契約という観念で規律しておったものを、私法上の関係ではあるけれども、それを法律上に規定することによって、その関係実態に合わしたのだから、国権の発動に基づく強制徴収ということは全然考えられていない。したがいまして、たとえば、契約の場合には、考えられます割り増し金などの実態規定もこういうような形で受信料を規律いたします場合には規定することはできない。そういうような差が生じてまいると思います。どこまでも私法上の関係、したがって他に類のない種類の法律関係じゃないかという点は、おっしゃるとおりだと思います。
  15. 中井徳次郎

    中井委員 いま大臣お話を聞くと、要するに現行法でもいいんだ、ただあなた方は非常に親切に、権限をさらにNHKに与えた、私はすなおに読んでそういう感じがいたします。そこでNHKお尋ねいたしたいのだが、現実聴取料受信料といいますか、それを取っております実績はどんなふうですか。過去の実績は……。百%取られておるのかどうか。その辺のところを……。
  16. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。在来の実績から申し上げますと、予算上の措置にいたしましても、また決算の御審議に対しましても、いろいろ資料を御提出申し上げておりますが、大体全収入の約一%くらいが未納になっておるというような状況になっております。金額にいたしますと六億くらいでございます。
  17. 中井徳次郎

    中井委員 いまの契約概念で、おれはNHKテレビは見ておらぬと言って、断じて納めないやつは方々におります。それを集めても一%、こういう程度でありますから、こういうふうに法律改正したところで、さらに権限を与えるような形にしたところで、実績はもう同じだと私は思うのです。いかがですか。  きょうはそれと関連をして、大蔵省主税局自治省石川君来ておるのだが、ひとつ国税地方税に分けて現実のここ二、三年の徴収率というのを聞かしてもらいたい。税金放送聴取料とは別に違うでしょうが、参考のために聞かしていただきたい。
  18. 結城義人

    結城説明員 徴収率というお話でございますが、現在三月の年度末におきまして、滞納は八百億強であります。一年間に三兆円くらいの決定をいたしますので、三兆円分の八百億、二・五、六%というものが滞納になっております。
  19. 石川一郎

    石川説明員 昭和三十九年度で地方団体徴収率は九五・八%でございます。
  20. 中井徳次郎

    中井委員 したがいまして、こういうものは法律でいろいろな援護的なことを考えても結果はほとんど影響がない。税金テレビや何かの聴視料とは本質的に違うかもしれません。違うかもしれませんが、やったところで小野君の説明では一%くらいが未納であると言うし、大蔵省のほうでは二・五%だと言うし、地方税も低い。まあ、一年、二年たてば上がるでありましょう。このこともわかるが、したがって、こういうことは全然意味のないことで、概念論としては通用しますけれども現実にはやはりこれはNHK企業努力に待つべきものであって、こんなものを法制でさらに権限を与えるというふうなことは、私は首肯できません。以上のことを申し上げて大蔵省自治省の方けっこうです、帰ってください。  次に、私はこの改正法を読んでおりますと、放送法の中には編集という字句がたくさん出てまいります。ところが、実際放送局に行ってみますと、編集局というのはあまりないのです。編成局というのがあります。どうしてこれは編集という文句を使ったのか、編成という文句をどうして使わないのか、この点について、私はしろうとでありますが、そういう観点から、編集というと何か字引きか何かをつくる、あるいは新聞方々から電報がきたり電話がかかってきたりそういうことをする。テレビとか放送はずいぶん違うと思うのですが、どうなんですかこれは。
  21. 郡祐一

    郡国務大臣 一つ一つの詳しいことはまた政府委員から申し上げることにいたしますが、——それからまず先にただいまも御指摘がございました。私も受信料法律上の関係というものを法的に規律はいたしましても、これをいかに徴収するかということは、やはりNHK自身公的な徴収権等も与えておらない関係でありますから、今後NHK自身が十分な努力をし、また聴視者に納得をしていただくということが基本であることは御指摘のとおりでございまして、それはNHKが特につとめなければいかぬところだと思います。  それで、ただいま御指摘編集ということでございますが、確かにおっしゃるように、放送事業者にいたしましても、ニュースを編集するというようなときに編集ということをいい、それがやや広い場合には、たとえば月間の予定番組編成するとか、また一定番組を組み合わして全体を形成いたします場合に、編成ということばを使っておりますことはおっしゃるとおりでございます。ただここで、放送法放送番組編集というようなことを申しておりますのは、法律的と申しますか定義的に申しますならば、放送法三条なり三条の二などで規定しているような法律的の効果放送事業者について生ずるその行為なのだというようなことを言うたらいいのかと思います。私は、個々放送事業者編集であるとかあるいは編成であるとかいう業界用語と申しますか、そういうものとは異なりまして、普通企画だとか制作だとかあるいは編成だとかを意味するものを包括いたしまして、そしてこれが第三条なり第三条の二で法律的の効果法律上規定しておるその放送事業者の一切の行為編集というておるのだ、したがって、個々放送事業者の使います場合と違った、何と申しますか包括した意味というようなことに解釈をいたしております。
  22. 中井徳次郎

    中井委員 こんな字句の問題でお尋ねするのは、少しどうも問題が小さ過ぎるようにお感じになるかもしれませんが、私は決してそうじゃないと思うからお尋ねをするので、編み集める、こう書いてあるが、現在いま放送テレビがやっておる現実の仕事を見ますと、あれは編んで集めておるだけですか、私はそうじゃないと思う。特に新聞などと違った面が非常に出ておる。ニュース一つ取材するにいたしましても、こうやって毎日国会で何十と委員会が開かれて、それをそのまま集めるのじゃありません。そのうちのどれを集めてどうするか、本会議一つテレビを見ましても、全部の代議士一分間ずつ映すわけではありません。幹部を映すとか、眠りこけているやつを映すとか、あるいは謹直にやっている人を映すとか、そういうことをやって、しかもこれに左右されるのです。国会は非常に怠慢であるとか、国会はこのごろまじめであるとか……。だからこれは私は集めるだけじゃない、あくまで編成だと思うのですが、これは非常に重要なポイントだと思うのですがどうですか。そういうことを逃げて、われわれはただ編集しております。しかし、実際は編集しておらない、編成しておる。歌謡曲一つでもそうでしょう。きのうも私は帰ってNHKのあれを見たら、新宮の郷土の歌なんといってアナウンサーが聴衆に聞いて歩きました。おばあさんばかり聞いておりません。おじいちゃんにも聞く、若い人にも聞く。いわゆる選択は全くアナウンサーの手に握られておって、それをただ単に物理的に集めておるわけではない。これが編成ではないのですか。編集というのは責任がありません。事実は一万も二万もあって、その中で三つ四つしか出さない。三つ四つをだれが集めるか。ただ単に集めるだけではなくて、頭を使って集めて組み立てていく、そこに一つの創造、創意というものがあるのです。先ほどあなたは受信料徴収について、事実を基礎としてその上に立ってやった、これもその通りなんです。これも編成だと思うのですが、いかがですか。編集だけではない。したがって編集及び編成ということばであってもいいが、どうですか。きょうはこの問題だけでも時間が費やせると思いますから、あなたの答弁によりましてはそれ以上申しませんけれども、非常に重要な概念を含んでおる。何か裏に隠されておる。この放送法しろうとが読んではわからない。私もずいぶん読みましたがわからない。非常にわからない。言論の自由を確保するなんのと書いてあるが、どこでどうなっておるかよくわからない。それは電気、電波という技術の上に乗って、それと言論というものとうらはらになっておりますからしろうとに非常にわかりにくいが、しかしこの編集ということだけでは現在の放送局並びにテレビ局はやっておらない。非常に意思をはっきり示しておる。それだからこそ自由でもあるし、あるいは十分慎重に配慮しなければならぬ面も出ておると思うので、ただ編集だけならそう問題はない。そんな感じもいたします。私は、前から放送専門家の中では十分議論されておった事実ではないかと思うのですが、そういうことについて、大臣でなくてNHKの方でもけっこうですが、どういうふうな考え方を持っておられるか。どういうことでこの法律でそういうことにしたのか、どうして編成という文句を使わなかったのか、いま一度お尋ねをいたしたい。
  23. 館野繁

    館野政府委員 何といいますか、国語あるいは業界での用語使い方あるいは社会における一般的な使い方から申しまして、編成編集ということばにつきましては、先生がおっしゃられたようなそのとおりの意味で使われておると思います。ただ放送法におきましては、先生が御指摘になられましたように、放送番組というものについては、それを放送内容として公衆に伝達するというその内容決定、その過程、いろいろなことを企画し、それから個々番組をつくり、それを組み合わせ、日々あるいは週間、一年間を通じて、一定目的のもとにそれを組み合わせて全体のその局の放送番組に対する一つ考え方をもって公衆放送を提供するという、作業全体あるいはそれぞれの段階における決定と申しますか、そういうことを法律上は全部ひっくるめる必要がある。したがいまして、かりにここで編成ということばを使いますると、そういう全体の作業なり意思の働きのうち一部分しかあらわさないことになる。一方この編集ということばは、社会通念上は、先生のおっしゃったように適切ではございませんけれども、二十五年の放送法制定以来、放送法上における編集ということばは、ただいま申しましたような全体的な包括した番組作成、送出までの全体の過程及びその結果を示すことばである。それに対する責任放送事業者にあるのだというふうに、固定的というか確定的に従来解釈されてきておりまするので、今回の改正でもあえてそのままの用語を使いまして、ただいま申し述べましたような全体の観念をあらわしていきたいと思った次第でございます。  またお話のように、業界におきましてもこの法律上の用語についてもいろいろの議論がありますることは、先生のおっしゃるとおりでございます。
  24. 中井徳次郎

    中井委員 いまのお話でも、放送法内の用語として使った。非常に無理ですね。やはりこれは編成編集というふうに、法の改正に際しては入れてもらうべきである。法の中ではなるべく逃げて、権限は非常に大きいということになるのです。編集というものをそのまま読んでいくと、何か事務を流しているような印象ですね。しかし実際は編成です。まあプログラムの一週間分を何とかつくるとか、これは編成でしょう。しかしその中の一つ番組におきましても、NHKの様式でもこれはやはり私は編集ではないと思います。編成でなければならぬ。創作的なものである。なぜ編集としてこだわられるのかよくわかりません。この点私は放送法改正案を出された政府に疑問を投げかけておきたいと思います。  次に、今度は具体的なことを伺っておきますが、この放送法改正その他諸般の情勢から、いまFM放送の申請だとか設置の申請だとかあるいはUHFの申請だとか、ずいぶんたくさん郵政省電波監理局にきておるように伺っておるのでありますが、いまどれくらいの申請をされておるのか、現況をこれは上田君から御説明願いたいと思います。
  25. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  結論を申し上げますと、現在のところ七百五十八でございます。その内訳を申し上げますと、テレビが三百十一、それからラジオが四百四十七でございます。さらに内訳を申し上げますと、テレビの三百十一のうち親局としまして百七十二、中継局としまして百三十九でございます。そのような状況でございます。
  26. 中井徳次郎

    中井委員 ラジオの四百四十七の内訳はどうですか。
  27. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ラジオの内訳を申し上げますと、現在やっておりますものからさらに出ておりますものが九十四でございます。それから新たに法人を設立いたしましてということで申請しておるものが八十九でございます。それから新聞、通信社、こういうものから出ておりますものが二百二十八でございます。それからその他二十二、これがFMのほうでございます。  それから中波に関しましての十四というのは、これは全部中継用でございます。  以上でございます。
  28. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっと、ラジオのほうで中波が十四。
  29. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 はい。
  30. 中井徳次郎

    中井委員 そうするとあとの九十四とか八十九とか二百二十八とかいうのは、みんなFMですか。
  31. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 そのとおりでございます。
  32. 中井徳次郎

    中井委員 こんなにたくさん出て、これはおそらく収拾つかないと思うのだが、これはいつごろからたまっておるのです。そうしてこれは全部にあれする波もないでしょうし、大臣としてはいまの申請をどうさばくか、これをひとつ伺っておきたい。
  33. 郡祐一

    郡国務大臣 違っておりますれば、正確なことはまた政府委員から申させますが、これは最近五、六年の間にたまってきた数が、このテレビ、ラジオを通じて七百五十八という数字に相なっていると私は思います。これがこのたび法律をどうしても改正をお願いしなければならない一つの大きな原因になっていると思います。と申しまするのは、放送法電波法が、経過において小改正はいたしましたけれども、当時はむしろ電波の使用を極力推奨する、使用の申し出があれば、これを使用させてまいりたい、そういう気持ちで電波を国民の前に活用させようと思ってまいった。ところがその後の事態が、経営的にも見当がついてきた、技術的にも進歩してきた。そうする場合に、際限なく放送局の申請が出てまいる。ところが現在の設置基準あるいは内規等によりまする処理では、とうていこれを処理することが不可能になってまいります。したがって、放送事業者というものにはいかなる資格、地位というものが必要なのであるか、そういう点を十分検討して、さらに根本的に御指摘のとおり、FMがこれほど出てきておる、今後周波数帯をできる限り活用しようとしましても、UHF帯にいたしましてもFMにいたしましても、それぞれ数十は出てまいるでありましょう。しかしそれ以上は困難だと思います。そのような実態をとらえて、そうして周波数の分配計画を立て、そうして周波数の使用計画を立て、それによっていかなる地域にはいかにチャンネルを割り当てることができるかということを、法律上はっきりさせなければならない。そこの法律や施策の目標を定め、また放送事業者につきまして、はっきり法律上規律をいたしたい、こういう改正をいたした次第でございます。したがいまして、お尋ねもあることと思いまするが、いままでのUV混在方式を認めないということでなく、UV混在方式によって、そうしてUHF帯の放送局の活用をはかっていく。しかし地理的あるいは経済的、社会的に新しい放送局をつくることが不適当な地帯というのがかなり多うございます。そうした振り分けを法律に基づいていたす。これはぜひいたさなければ相ならぬことでありまして、この七百幾つという数を前にいたしまして、これは法律改正がありました上は、分配計画、使用計画をすみやかに立てて、そうしてそれぞれ個々の申請を判断して解決をいたしてまいらなければいけないことだと思っております。
  34. 中井徳次郎

    中井委員 大臣お話は半分ばかりわかりましたけれども、あとはよくわからぬ。このむずかしいことは私も拝察をするけれども、具体的に言いますと、各地にNHKだけでも二波つくる。それ以外に民放も二つ置く。その場合に、現状の日本テレビ、ラジオを考えてみますと、組織的にはたとえば朝日、毎日、読売、サンケイなんという大きな新聞社がおのおのテレビ放送を、直接ではないかもしれませんけれども経営をいたしておるというように考えるのは、国民の一応常識になっておる。その四つの系列がいま日本で非常に強いということが言われておるのを聞いておるのだが、これの法律的な解釈からいえばどういうことになるのか。それは実質的にたとえそうであっても、郵政省としては、別の会社であったりあるいは株をあまり持ってないというようなことから、それ以上は郵政省の行政としては入るべきでないし入れないのだ、こういうことであるのか。これははなはだ率直に私は聞くのですが、そういうことについての郵政当局の見解をこの際参考に聞かしてもらいたい。これはマスコミの独占だとかあるいは言論の自由だとか、そういうものと直接間接いろんな関係があるものですから、いい悪いの判断の前に、一応認識の基礎として私は伺っておきたい。どうでございますか。
  35. 郡祐一

    郡国務大臣 放送の公正かつ能率的な普及ということはいつも考えていかなければならない点でございまするから、したがいまして、免許の基準など法律に明確にできるものは極力これを五十一条に書きまして、またそれを受けて電波法でも法律改正をいたしております。ただ事実上あるいは社会通念としての経営支配というようなことにつきましては、これを法律で客観的に規律する、実体が十分把握できるように法律上規律するというととはきわめて困難なものでありまするし、また実体が不確定なものでありますので、これらについては五十一条に書きましたような免許の基準等になりますものは書きますけれども、それ以上どうも改正案に書くことは困難である、むしろできないというような状態でこの改正案を御提案申し上げておる次第でございます。
  36. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいま大臣が申したとおりでありますけれども、現在新聞につきましては三事業の禁止と申しますか、そういうことでもって通達の段階でこれを禁じておりました。しかしながら、これにつきましてはただし書きの条項がございまして、ある地域において独占するようなものでない、すなわちほかにも有力なマスメディアがあるというような場合におきましてはその限りではないということで許しておるというようなことがございまして、新聞事業はすべてを排除するということになっておらなかったことが一つと。それから第二番目におきましては、今度の改正におきましては各地方において二つの民放の番組を聞くことができるようにするということでございますので、必ずしも集中ということにはならぬであろうということを考えまして、従来の通達といいますか、一つの行政の方針というものとまた違いました段階においての法律条項に掲げることでございますので、そういう点を考えまして法律の段階には掲げないということにしたわけでございます。それからもう一つは、マスメディアの中で新聞というものを特別に取り上げるということ自体にもいろいろ問題があろうというようなことでございました。先ほど大臣から申したとおりでございますが、中身といたしますと、そういうようなことを考えた上のことでございます。
  37. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますと、あなたの説明の中で、通達の段階でそういうものを排除するように出した、これまでにそういう通達を出しておるというが、今度のこの法律が通ると、その通達も消えてしまう。そうすると、ぼくは具体的にはっきり聞くが、朝日新聞放送部というものができる、朝日新聞テレビ部というものをつくって、朝日新聞のほうからあなたのほうに認可申請が出たらどうなるのです。
  38. 館野繁

    館野政府委員 前段の通達、先ほどから申しておりますのは、免許の際の法律、省令というふうに順次委任されまして、その省令の条項に基づきましての細部の審査基準としてやっているわけでございまして、今度法律にその関係のこと、たとえば一つの事業者が全国的にたくさんの放送局を開設してはいけないというようなことを法律に書きましたのでございますが、その法律にあげておりますのは、単に免許を審査し、ふるい分けをするときの基準としてではなく、放送事業者たるものはこうでなければならないという意味法律にあげるのでございますので、おのずからその限界というものは違ってくるところがあると考えております。  それから具体的なお話をされまして、何々新聞というその新聞社の名前によって申請が出されてまいります場合に、それが法律の審査条項に適合しておれば、当然免許ということになるわけでございますけれども、この改正案によりますると、新聞社であろうと何であろうと、とにかく一つの企業体、一人の者が開設する放送局というのは、テレビならテレビ、中波ラジオなら中波ラジオという一種類の放送につきましては、平たくいいますと、全国のどこかの地域でやればほかの地域ではやれないということを規定しておりますので、それは新聞社であろうと何であろうと許されるのは一地方に限るということに相なるわけでございます。
  39. 中井徳次郎

    中井委員 一地方に限るとなっても、たとえば東京なら東京でやって、みんなチェーンを組むということはできるわけですか。私はたいへんえげつなく聞いて恐縮でありますが、たとえば、A、B、C、Dというふうにありますね。どうなのですか、その場合。その組織は新聞とか何だとかいうのを別のものにするのかどうか、その中で新聞社の中のテレビ部というようなことでできるのか、その辺のところをひとつ……。
  40. 館野繁

    館野政府委員 前段の、この系列をつくり上げている、あるいはつくり上げるのではないかということに関しましては、実態上の、あるいは番組供給、受け取りというような実務上の系列ということの面につきましては、放送法はこれはちょっと何とも関与する分野にはなりにくいと思います。それから、経営支配的な意味におきまして、その系列構成というようなこともあり得ると思いますけれども、またいろいろと世上でそれが実態なんだというようなお話も聞きますが、先ほど大臣から申し上げましたように、法律でその面を取り上げるといたしますと、非常にはっきり有形的と申しますか、世間に公式に発表されております。役員の兼任関係であるとか、あるいはせいぜい株の所有状況であるとかということによって、この程度以上のは支配的な系列が構成されていると認める、これ以下はそうは考えないというように法律の問題としては取り上げることができるかと思いますけれども社会的な実態上の支配であるとか、被支配関係というのは、法律の上では取り上げるわけにはまいらぬ性質のものじゃないかと思っております。
  41. 中井徳次郎

    中井委員 いまの説明でもおわかりのように、私はそういう問題につきましては、大原則あるいは社会通念、そういった大きな線からのものは必要だと思いますけれども、具体的にこまかく規定をしたりなんかいたしましても、こんなものは、いまの日本の経済機構なり社会機構から考えまして、いい悪いは別といたしまして、なかなかできるものでもない。したがいまして、郵政省とされてはあまりそういうところへ深入りをして、事業免許はどうだ、経営の状況を出せ、何をせい、かにをせいというふうなことはやるべきでない。ただ、現在は、戦後の民主日本は世論の時代です。したがいまして、これを形成いたしますものにつきましては慎重の上にも慎重に考えてもらいたいし、さらにまた、一億国民の全国各地における世論というものも集約してもらわなければなりませんから、そういう意味NHKのあり方自体についてもいろいろな批判がある今日でございます。NHKを批判する民放、それも非常にけっこうでありますが、民放も長期的観点をもってすれば、またNHKに似たようなものになってしまったというのではまことに困りますから、そういう意味における配慮がどうも今度の改正案にはない。いまのお話で一カ所とありましたけれども、先ほどから大臣もごまかされたが、現実に法でそういうものを規制するには限度がありましてできませんですから、できないものはあまりこまかく——五十一条なんというものはもっとほかの形でやられるべきであるというふうな考え方を私自身持っております。それをひとつ申し上げておきたいと思います。  次に、そういう観点から各地方のテレビあるいはラジオ、そういうものの免許がたくさん出ておるということでありますが、この中で、たとえば中波を持っているものが今度はまたFMを持つというふうな要求も相当あるやに聞いておるのでありますが、その辺の事情はいかがですか。
  42. 館野繁

    館野政府委員 先ほども局長からお答え申し上げました申請のうちで、テレビジョン放送につきまして現在ラジオを営んでおります九つの事業者から十一局の申請が来ております。
  43. 中井徳次郎

    中井委員 いや違いますよ。中波をFMに……。
  44. 館野繁

    館野政府委員 中波のラジオをやっております十三社から局数で十六局のFMの申請が出ております。
  45. 中井徳次郎

    中井委員 そういうものを許すつもりですか。
  46. 館野繁

    館野政府委員 これはチャンネルプランのいかんに、これから考えられます周波数使用計画のいかん、それから個々の申請者の事業計画なり、あるいはその審査の条件への適合性、それによりまして中には免許がされるものもあり、されないものもあるということになろうかと思います。
  47. 中井徳次郎

    中井委員 大臣お尋ねしますが、たとえば大阪の付近の奈良とか和歌山とか神戸とかいうところは、ラジオの時代も大阪に大きな放送局があるから要らぬ、あるいはテレビになりましても要らぬ、そういうことでローカルニュースのときにスイッチをして、少し大阪放送から兵庫県のものが入るというのでありますが、ウルトラハイ何とかいうUHFになりますと、だいぶん様子が変わってきまして、大都市の付近の県庁所在地等にもこれは置くべきではなかろうかと私は思うのです。埼玉県とか千葉県とか、県庁の所在地等にですね。そうしてローカルのニュースを流していく。こういうことについて大臣どうお考えでございますか。
  48. 郡祐一

    郡国務大臣 お話しのようにチャンネルプランの作成の一環として考えなければならない具体の問題がたくさんあると思いますが、御指摘の近畿地区のテレビ局開設の問題というのは非常に久しい前から問題になっておる。また民放テレビの早期実施に対する住民の要望というものはまことに強いものがありますので、すみやかに解決をいたさなければならぬと思います。幸いこのたびの法律の成立をお願いいたしまして、そして全国的な放送局の置局に関する方針というものができるわけでございます。その中でも特に近畿のテレビ局の問題は、早急に解決をいたさなければならない問題だと思います。
  49. 中井徳次郎

    中井委員 早急に解決をしなければならぬというのは、やるというのですか、早急にやらぬようにきめるのか、どっちなんですか。
  50. 郡祐一

    郡国務大臣 どういう形になるかという問題でございまするけれども、当然やらねばならないということで、電波監理局のほうもいろいろ資料を持っておることでありますから、やらねばならない問題として解決を進めてまいりたいと思います。
  51. 中井徳次郎

    中井委員 その場合に、先ほど伺ったのですが、何しろテレビが三百十一で、親局が百七十二局、ラジオは四百四十七、こういうことでありまするから、おそらく和歌山だけでも三つ四つ、兵庫県からもたくさんに出ているわけですね。これまでは郵政省が中に立って話し合いをするとか、あるいはかってにぽんぽんやるとか、ケース・バイ・ケースでありましょうけれども、私はこれはたいへんな混乱を起こすだろうと思うのですが、これまでどういうふうにして片づけておるのか、その実績等をひとつ聞かしてもらいたい。これは悪口を言わしてもらうと、認可とか免許とかいうことにつきましては、世上とかくのうわさがあります。私は具体的な証拠を握っておるわけではありませんけれども、五年ほど前など、ずいぶんひどいうわさがありました。そういうことを念頭に置いて私はお尋ねいたしている。純技術的にやるべきものはやるという筋を通してもらいたい。政治的な要請といいましても、それはあくまで地方政治の本体にのっとってやってもらわなければならない、私はそういう考え方でおりますが、そういう意味からお答えを願いたいと思います。
  52. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。先生の御質問のお答えになりますかどうかわかりませんけれども、例をあげて免許の経過といいますか、若干お話しいたしたいと思います。  昭和三十二年に、わが国の民間テレビに周波数の計画がつきまして、全国的に免許をするということに相なりましたのは三十二年の十月でございますか、各地に民間テレビの予備免許が出たわけでございます。その際、ある地方でございまするけれども、それの資格と申しまするか、技術的に申しましても、その他の審査基準から申しましても、社会的な信用と申しまするか、地方におきまする信用等から申しましても相匹敵する二社の申請があったというようなことがございます。それで郵政省といたしましては、そういういずれも資格の十分備わっているものが、一つの周波数を間にいたずらに争うということはきわめて地方的ないろいろな問題の上からもつまらぬことであろうということで、地方のそういう熱意のある人が一体となって、その申請をしてきたらいいではないかということを慫慂したことがございます。それで形といたしましては、そういうことで免許がおりたのでございまするが、予備免許期間中にこの申請者の間にいろいろの意見の食い違いがありまして、結局本免許に至らずに、予備免許は失効したというケースがございます。その後その地方におきまして四つ、五つという申請が出ておりましたのですが、二度ばかりにわたりましてこの法律に従って審査の手続を進めまして、予備免許ということをやったのでございまするが、結局同じように成立に至りませんでした。その後、地方の県当局が中心になりまして、それらの申請者というものを打って一丸として県全体の意向というものを、実質的にもそういう姿をつくり上げまして、申請をしてきて、それに対して付与しました予備免許は、めでたく開局にまで至って現在営業しておるというようなケースがございます。その間、地方においてどういうことが行なわれましたか、あるいはそれに関連しまして世評がどうであったかということは、私ども別に問題として取り上げるようなこともございませんでした。また承知しておりませんけれども現実の免許を、しかも非常に激しい申請争いの一つのケースとしてただいま御紹介申し上げた次第でございます。
  53. 松井政吉

    ○松井委員 関連して大臣にお聞きしたいのですが、個々の地方における問題と、申請した場合にどう取り扱うかということについては、同僚中井さんの質問でいろいろ論議がされておりますから、わかったようなところもございます。けれども問題は、テレビジョンの場合だけを考えてみますれば、日本テレビジョンがきて七メガ、八メガ論争から続いておるのです。そうして国としてやはりマスコミ独占はいけないという議論も長い間続いておるのです。だから新聞社が新聞を持ちテレビを持ち中波の放送を持ちFM、AMを持つ、そういうマスコミ独占はいけないという議論も続いておるのです。大臣も先ほどの御答弁で、チャンネルの計画実施、それから免許の方法等は法律でやらなかった、したがって今度改正をするのだと言いますが、それでは郵政省は、法律、政令、省令、いろいろありますが、いままで取り扱った法律的な根拠というものはなかったのですか。そのために今度改正をやるというあなたの答弁は間違いだと思いますが、その点は基本的問題ですから明らかにしていただきたい。
  54. 郡祐一

    郡国務大臣 私が申し上げましたことは法律上にできる限り盛り込んだ、しかしこれは先ほど申しましたように、社会的な事実と申しますか、あるいは実際上の問題を全部書き込むことは実際不可能だと思います。いままでも、おっしゃいましたように、法律、政令、省令それぞれいたしておりました。ただ私は、いままでの法律を批判するつもりはございませんが、この十五カ年の間に非常に変わってきておる。したがって今後もやはり政令あるいは省令等で書かなければいけない問題があるのだと思います。その点は変わりないと思います。ただ、いままでの放送事業の実態も、また電波の技術も違ってまいったところを加えてまいらないと実際の行政の運用のもとにならない。たとえば放送のビジョンと申しますか、何か国の施策の目標ということから掲げてまいって全体に手を加えなければ——それからいままでの法律でやっておりましたことですが、チャンネルプランの問題について、先ほども中井さんの御指摘がありましたように、とにかくここまでたくさんの申請がきておる。そうするとそれをまかない切れるだけのUHFとかFMはとてもないわけでありますから、そういたしますと、電波の分配計画をはっきり立て使用計画を立てる。したがって、その部分でたとえば近畿テレビがどうできるかということの判断をいたすというようなことを法律上書く、特別のことをいたすわけではありません。法律上当然しなければならないことが今度の法律改正の盛られた理由だ、こういうぐあいに御了解願いたいと思います。
  55. 松井政吉

    ○松井委員 もう一つ聞きますけれども、そうすると大臣答弁は、いままででも電波法放送法等が取り扱ってきた、しかし最近の情勢に応じて改正を必要としたという意味でいいわけですね。いままでも法律で取り扱ってきたということだけはお認めですね。  それからもう一つお伺いしますが、たくさんの申請が出ているといっても、FMの場合は当然だと思うのです。十や二十や三十の国内の局でこなし得る放送じゃないですよ。それから問題は中波による放送とそれからテレビの問題だと思うのです。これはたとえば郵政省が法律でぴったりきめて、法律できめたとおりの扱いをやるからということに、大原則を法に求めるか、若干でも余裕がありますと、これはもう地方において二つの申請が出た場合は混乱に混乱をいたしまして、四十七都道府県一ぺんにテレビの免許をやるというときの大臣は、いまの田中幹事長が郵政大臣、そして衆議院の逓信委員長は私なんですね。そのときに、一地方における新聞社が三社、地方新聞社が二社で申請して、ついに期日までにきまりのつかなかった地域があるのですよ。だからいままでそういうことについて苦慮されていると思いますが、そういう問題を解決するのは、今度の法改正による法律できちっときめる以外にないのです。きめることができないので、また同じような行政上の扱いと称して混乱を起こさせ、それから希望を持たせながら最後にだめになるという、業者に対する一つの扱いも生まれてくるのですが、その辺ところは今度の法改正によって、法律でぴたっとそういう混乱のないようにするということはできなかったのですか。この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  56. 郡祐一

    郡国務大臣 いままでもおっしゃるとおりに、法律による処分をいたしておったわけでございます。今度の法律改正によりまして、周波数の分配計画、さらにそれに基づきました使用計画というのは、非常に具体的にどこにどういう波が使用できるかということできまってまいると思います。ただ今度そこに、かりに考えてみますと、全く同じような条件のものが二つ出てまいる。これは事実上の問題として社会的な事実として出てまいります。そうした場合につきましては、やはりその周波数の使用計画に基づいて、ある判断を下さざるを得ないということに相なってまいると思います。その場合に電波監理審議会等が重要な役割りをすることは当然だと思いまするけれども、でき得る限り問題を狭めてまいりまして、そして、しかし最後にはきめなければいけない問題が起こるということは、これは事実上の問題となってまいるだろうと思います。
  57. 松井政吉

    ○松井委員 関連ですからこれでおしまいにしますが、電波は御承知のように国際条約で割り当てられたわけで、日本が使用できるものしか使えないわけですね。したがって電波は国有財産ですね。これは国のものなんですね。だからそれを使ってテレビを出し、放送を出し、事業を経営するわけですね。ですからこのもとになるべき電波は国のものとなる。これはお認めになると思う。認めるも認めないもない、そのとおりだと思う。その上に、十二チャンネルのときにも私たちは意見をはっきり出して、経営上無理だよというのに免許したのですね。当然ああいう結果が出たわけです。そうするといま国際条約で割り当てられた電波でどれだけのチャンネルプランで免許の可能性があるのか、それから免許の可能性についていま申請している部分でどの地域どういう形が可能であるのか、あくまでもこれは見通しだと思うのです。仮定の事実については郵政省側でも答弁できないと思います。現実にいま申請してきたり、プランを持っている、波を持っているもので処理しようとする考え方が明らかにできたらしていただきたい。それとも仮定上のことが多くて明らかにできないというならばけっこうです。後ほどまたいろいろな質疑を行ないたいと思うのですが、その点をひとつ聞かせていただきたい。
  58. 郡祐一

    郡国務大臣 国民の非常に貴重な電波が財産であり、そのような意味合いで高い公共性を持っていること、おっしゃるとおりであります。それで現在問題になっておりますUHF帯の周波数なりFMがどのような程度これが数を出せるか、これは非常に無理をいたしまして、もう割り当てたときから混信を起こすような割り当てをしてはならぬことでございますから、これは技術的にかっきり、したがって個々のどこにはということは、今日考え方をまだ申し上げるような段階に至っておりませんが、全体でどのくらいのものが出せるかということは、ひとつ電波監理局長のほうからお答えいたします。
  59. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいまの問題でございますけれども、FMにつきましては大体十四メガございますので、たとえば二百KCの間隔で分けるとすれば七十波くらいはとれることになります。それからUHFのテレビにつきましては、これは専用としまして三百メガの幅を持っております。それからあと百七十メガの共用部分を持っております。そういうことでございますので、これを六メガで割りました場合には専用のところで五十波、それからあとのものは三十波足らず、二十何波ということになると思います。その程度でございます。
  60. 中井徳次郎

    中井委員 いま松井さんから補足的な非常に貴重な御質問があったのでありますが、いまお話しのUHFという波を出すということになりますと、先般のこの委員会においても私はお尋ねをいたしましたとおり、現在のテレビの受像機では見えないわけでありますが、これの対策を一体どういうふうに考えていらっしゃるのか。大臣どうですか。これは金額にしまして、私ちょっと判断しましたのですが、全部UHFが見えるようにいまの受像機を改造するということになると、二千億くらいの金がかかる。二千万台あるとしてそのくらいかかるのです。これはたいへんな問題だろうと思うが、いかがです。
  61. 郡祐一

    郡国務大臣 お尋ねのようにUHF帯の波を使う親局ができますれば当然UV混在に相なってまいります。もちろんUV混在になってまいりますのも全国一どきにというのじゃなくて、部分的になってまいることには相違ないと思いまするけれども、しかしその場合にはオールチャンネル方式の受像機またはコンバーターの取りつけが必要でございます。それでただUの親局ができますところは地元の住民の御要望も強いことでございまするから、私はオールチャンネルの受像機なりあるいはコンバーターの普及も可能だと思います。現にオールチャンネルの受像機が昨年一年で百万台輸出したとか聞いておりまするから、そういたしますると能力は十分あると思います。しかしこれはおっしゃるように聴視者の新しい負担ができるわけでございます。それらについては、現にコンバーターについてはいろいろとNHKその他負担もいたして普及もいたしておる状況でございますけれども、そういう問題はございます。ただ、次第にオールチャンネルの受像機が普及してまいるであろう。ただ、しからばオールチャンネル法のようなものを早急にこしらえるかどうかということになりますと、これはまだいろいろな影響を検討してまいらなければならぬ、こういう段階にあると思います。
  62. 中井徳次郎

    中井委員 したがいまして、一体郵政省としてはメーカー方面に対して、そういう受像機の製作その他について、一定の方針にのっとって指導をされておるのかどうか、放てきしてあるのかどうか、この辺のところを伺いたい。
  63. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  UHF帯を使用いたします場合の受信機に対しまして、一番根本的な問題は中間周波の選定ということになるかと思います。こういうことでございますので・これは技術審議会に諮問いたしまして、その答申を得ております。そういうようなことでございますので、この点につきましては十分な関心を持ちましてメーカーを指導しておる次第でございます。
  64. 中井徳次郎

    中井委員 いずれも抽象的な御答弁だと思うのですが、非常に不親切だと思います。幾らあなたのほうで波の計画をしたり放送法改正をいたしましても、聴視者のことを忘れておってはいけないと私は思うのです。そういう意味から、私きょうは通産省の重工業局から来てもらっておるのだが、通産省の方にお尋ねしますが、現在の年間のテレビ、ラジオ、どれくらい生産量があって、そしてその内容はオールウェーブのものはどれくらいか、あるいはカラーテレビがどれくらいか、あるいは国内向けで幾らあって、輸出向けでどうだということを、概算でいいのですが、聞かしてもらいたいと思います。
  65. 高井敏夫

    ○高井説明員 まずテレビのほうから申し上げますと、昨年昭和四十年の生産実績は四百二十万台でございまして、このうち輸出が百五十四万台でございます。国内向けのものはオールチャンネル方式のものはあまりございません。輸出につきましては、この八割がアメリカ合衆国向けでございますが、アメリカ合衆国におきましては、UHFとVHF両方の視聴が可能なテレビしか許可しておりませんので、アメリカ向けの輸出はほとんどオールチャンネル方式のものでございます。ラジオのほうは、これは輸出の金額しか記憶しておりませんが、昨年の輸出額は二億ドル、七百二十億円をこえてございます。
  66. 中井徳次郎

    中井委員 ラジオのほうはトランジスタですか。
  67. 高井敏夫

    ○高井説明員 ほとんど全部がトランジスタラジオでございます。
  68. 中井徳次郎

    中井委員 それからテレビ電気器具関係の輸出が非常に盛んであって、それはけっこうなことだと思うのですけれども、製品としてでなくて部品で相当出しておる。そうしてアメリカでそれを組み立てられておるということを聞くのですが、そういうものはどんな状況ですか。
  69. 戸谷深造

    ○戸谷説明員 お答え申し上げます。  電子部品関係の輸出は、昭和四十年で一億二千七百万ドル出ております。その輸出は大部分米国のセットメーカーが自社製のラジオテレビに組み込むためのものでございます。
  70. 中井徳次郎

    中井委員 はなはだどうも盛んで、これはラジオが七百二十億というと一応二億ドルですか。部品が一億二千万ドル、約五百億。この輸出の部品並びに製品は、国内販売に比べてすこぶる安いということを聞いております。そこで輸出はダンピングじゃないか、国内の販売でうんと利潤を得て、輸出はもう収支とんとんでがんばっておるというふうな悪口を聞く。私はしろうとだから専門的な、税金がどうだとか、輸送費がどうだということはつまびらかでありません。しかしながらそういうことを聞く。どうですかその辺のところ、公平に見てどういう程度になっておるのであるか。これは将来、いま質問しておるUHF、これを大いに奨励をするあるいはカラーテレビが盛んになるといっても、いまのように十八万円なんというカラーテレビではさっぱりだめだと思いますので、そういうものとの関連お尋ねをいたしたい。
  71. 戸谷深造

    ○戸谷説明員 電子部品輸出は非常に最近ふえてまいったわけでございますけれども、その価格につきまして、当初やや低いのではないかという意見があったわけでございます。したがいまして、私どもいろいろ調査しました結果を申し上げますと、現段階におきましては、国内セットメーカーにおさめます値段よりはやや高目に平均から見ますとなっておるわけであります。
  72. 中井徳次郎

    中井委員 そうするとそれはうわさにとどまる、こういうことは確かですかね。きょうは皆さんに対する質問は本来の質問でありませんから、その程度にいたしておきますが、あと一点お尋ねいたします。  いま電波監理局が、民放との関係におきまして、経営に参画をしない、あるいは番組編成その他にタッチしない、もとよりそうであろうと思いまするが、何か資料かなにかをおとりになっておりますか。いま、民放と皆さんとの具体的な関係ですね、どの程度につながっておるか、その範囲をちょっと知りたいと思います。
  73. 郡祐一

    郡国務大臣 現行法で民放から資料を求めまする根拠は放送法にございまするが、これはどこまでも法律の施行政令でございまするから、したがいまして、法律上保障されておる番組の自由な、自主的な編集でありまするとか、事業の中身だとか、業務の秘密に関する事項だとか、これらは施行命令の性質上当然できませんことです。したがいまして法律の施行に必要な限度において、業務に関して資料の提出を求めております。これにつきましては政府委員のほうからお答えいたします。
  74. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  ただいま放送事業者から法律に基づいて提出を求めております資料は、現行法第四十九条の二及び民法につきましてはそれを準用しておりまする第五十三条に基づきまして、政令が定められておりまして、その政令に定めたところの資料を徴しているわけでございます。政令は放送法施行令でございまするが、その中の項目といたしましては、一番目に、放送事業者放送法第四条に規定されております訂正、取り消しの放送を行なった場合に、そのつどその概要を報告してくださいということです。第二番目に、放送法できめられておりまする、いわゆる各社が自主的につくりまする番組基準というものをつくったときにはそれを報告してください。同じく放送法にいっておりまする番組編集の基本計画を定めたときは報告してくださいということでございます。それから放送法にありまする番組審議機関の組織、それから運営の基本的事項及び番組審議会を開きましたときにその概要を報告してください。それから政令では、放送法放送事業者番組の供給が一のものに片寄ってはいかぬということが規定されておりますが、それに反する契約を結んだときは報告してくださいということでございまするが、これはただいままで放送法施行上それを見る必要はございませんので、従来一度も徴したことはございません。
  75. 中井徳次郎

    中井委員 今度の改正でその内容はどうなるのですか。
  76. 館野繁

    館野政府委員 今度の改正法案におきましても、ただいま考えておりまするところでは、改正条項が加わり減りいたしましても、現在の政令を変える必要は生じないものと考えております。
  77. 中井徳次郎

    中井委員 そうしますと、その中で番組審議会ですか、これの機関の組織とか内容説明せよということになっておるのですが、こういうものも必要なのですか。これはどうして必要なのかちょっと伺っておきたい。
  78. 館野繁

    館野政府委員 放送法におきまして番組審議機関というものをつくらなければならない。それから番組関係の重要な問題、編集に関する重要な問題については審議会にはかってその答申を得なければならないということがきめられております。それでそういう法に基づいた行為を確実に実施しているということを確かめるためのものでございます。それだけでございます。
  79. 中井徳次郎

    中井委員 あと教育的機能の問題だとか人命がどうだとか何がどうだとか、いろいろこの案について社会党として議論すべきものがたくさんあると思うのでございまするが、党といたしまして自民党の諸君といろいろ話し合いをされておりますることも、私、委員の一人として伺っておりまするので、本日はそういうことに触れませんでしたが、結局この一時間半ばかり御質問申し上げた中で、私どうも十分納得できませんことは、現在たくさんあります放送テレビの申請に対して、政府ははたしてどういう形でこれをさばいていくか、あるいはマスコミ本来のあるべき姿と現実とのギャップといいまするか、それをどういうふうにして見ていくか、あるいは防ぎ切れない法以前の問題もたくさんあると思いまするから、それはそれといたしまして、それにつきまして行政としては、やはり正しい民主主義を育てていくという意味において、将来ともこの点についてチェックを怠らないようにどうしてもやっていかなければならぬ、これは非常にむずかしいことで、私自身ももっと突っ込んで御質問申し上げたいのだけれども、中途はんぱになりましたが、こういうことについて今後とも政府とされましては——どうもいまの答弁でははなはだ不十分である、FMの問題、UHFの問題、これは今後放送界の——いまでも専門家の中では大問題になっておると思いまするが、国民全般の問題としてすぐ次に起こってくることであります。うんとふんどしを締めてやってもらわぬという感じを持ちまして、私の質問を終わりたいと思います。
  80. 砂原格

    砂原委員長 午後二時から質疑を続行することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十六分休憩      ————◇—————    午後二時二十九分開議
  81. 砂原格

    砂原委員長 これより再開いたします。  電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案の両案について質疑を続行いたします。畑和君。
  82. 畑和

    ○畑委員 私は、今回提案されております放送法並びに電波法の一部を改正する法律案のうち放送法関係について御質問いたしたいと考えます。大体条文の順序を追って、大体初めのほうだけにして、あとのほうはひとつほかの委員の方にお願いするといたしまして、第一条からひとつ質問をしてみたいと思います。  第一条の法律目的、これに放送規律の原則として新たに、「放送のもつ教育的機能を通じて、教育の目的の実現と国民の一般的教養の向上に資するようにすること。」ということが加えられたのであります。これは一体どういう理由でこの新しい項目が入れられたか、その点について聞きたい。私の考えといたしましては、この新しい規定は要らないじゃないか。それというのは、すでに現行法の第一条第一号の中にもう「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」ということで、規定がなされておるのでありますが、その効用をもたらすということの中には、そうした教育的効果ということは、一番最初にもう予想されてこの中に入っておると私は思う。いろいろ効用はありましょうけれども、その効用の中で、教育的効用というのは私はやはり一番大きな内容だと思うのです。したがって、もうすでに「効用をもたらすことを保障する」と規定されておりまして、その趣旨にのっとって現在放送が行なわれておるわけであります。しかも、その中の一番支配的な効用と申せば、教育的効用というのが非常に大きな部分を占めておると思います。そういう点が一つです。  それから、ここで特に放送の持つ教育的機能を強調するということは、別のほうに出ております——改正規定第三条の二の二項、ここに「放送事業者は、国内放送放送番組編集及び放送に当たっては、特別な事業計画によるものを除くほか教育、報道、娯楽等のための放送番組の相互の間に調和を保つようにしなければならない。」こういう項目がございます。これは現行法とほとんど大同小異でございますが、そういう規定がある。ここに教育、報道、娯楽放送番組の相互の間に調和を保つようにしなければならない、こういうふうになっておるのですが、そうすると、特にこの一条項、「教育的機能を通じて、」云々という項目を入れる、そして教育ということを非常に強調するということは、この「調和を保つ」ということとそぐわないのじゃないか、それと矛盾するのじゃないか、こういうことが私の考え方をささえる一つの理屈になります。若干へ理屈のようなことになるかもわからぬけれども、そういう感じがする。  それからもう一つは、第三条の二の四項、これは新たに加わったものです。「放送事業者は、前三項の規定によるほか、その行なう国内放送放送番組編集及び放送に当たっては、国民の一般的教養の向上に資するようにしなければならない。」こういう規定が加えられております。この項目は新たに入ったもので、すべての番組について国民の一般的教養の向上に資するようにしなければならぬ、こういう規定でありますが、この規定が加えられるといたしますならば、「一般的教養の向上」でありますから、教育と違うといえばそれまででありますけれども、やはりこの規定と両方がダブることになるのではないか、かように思うのです。この点もひとつ答弁してもらいたい。いま言った、最初の、各番組の相互の調和を保つようにしなければならぬというのとこの規定が矛盾するのではないか、強調し過ぎて調和がとれなくなるのじゃないか、そういうことと、一般的教養というものが入っているからもうすでにそれで十分ではないかというのであります。  総じて私は、こういう「教育的機能を通じて、教育の目的の実現と国民の一般的教養の向上に資する」こういうことを特に入れたということは、この案が出てくるまでの経過に照らしても私は、どうも不自然なような感じがいたす。一番最初郵政当局の原案には、これがなかったように聞いていた。ところが、途中から自民党の政調のほうで、文教部会と逓信部会との間の合同会議のあとこれが挿入されたというふうに聞いておるのでありまして、そういう点で、この教育ということを前面に押し出しておるような感が非常に強い。いろいろ統制強化だとかいうような説もあることでありまするから、特にこれを強調するということはいかがか、強調し過ぎるのではないかと思うのです。そうでなくとも、もう十分に現行法によってその効用を果たしておる。現行法によって十分そういうことも実現されておる。ことさらにあげる必要はないではないか。その理由としては、先ほど二、三点申し上げましたが、その点も含めてひとつ、これは郵政大臣に御答弁を願いたいと思います。
  83. 郡祐一

    郡国務大臣 お話のございましたように、現在の第一条の放送の「効用」には、「放送のもつ教育的機能」というものが含まれておることと思います。放送という即時性、同時性というような媒体としての特性が、いろいろないい意味社会効果なり影響なりをもたらして効用を発揮するようにということには、当然教育ということは含まれてくると思います。ただ臨時放送関係法制調査会の答申を見ましても、教育放送ということを非常に強調いたしておりまするし、放送の持つ教育的な機能と申しまするか、そうした点について非常に強い関心を示しておりまするのは、ひとり答申だけでなく、国民全般の世論のように思うのであります。したがいまして、放送の持つ教育的機能が効用の一つに含まれておっても、なおかつこれを規定しておきますることは、世論の期待にこたえるのではないだろうか、またそれだけの重要さというのを教育というものは持っているんじゃないだろうか、このように考えて、特に教育的機能の活用を標榜した次第でございます。確かに第三条の二の第二項の調和の点、この点は当然放送事業者は考えなければいけないことでございまするけれども、単に数学的に調和をとれというのじゃなくて、社会通念上相互の内容がお互いに調和がとれておるようにということで重要な意味を持っていることは、畑さんのお話のとおりでございます。そして第三条の二の四項の、国民の一般的教養の向上に資したいというのは、調和ということを期待すると同時に、それ全体が何か一つのめどをつけてまいりたい。それについてニュースだとか演芸だとかその他がばらばらじゃなくて、教育番組はもちろんでございますけれども、全体として教育、教養の向上に資していきたい。したがいまして、こうしたことがあるいは調和の面から、あるいは広い意味の教養の向上の面から繰り返して言われているということは、放送の持つ教育的な機能が十分に発揮されるということを期待することであって、それの一番土台になる教育ということを初めに出しましたことは、一番端的に世論にこたえているんじゃないだろうか。放送が国民に普及されて効用をもたらすということ、それをさらに放送の持つ教育的機能ということを国民の一般的教養と結びつけていきますることが、私は首尾一貫するのじゃないだろうかという意味合いで、第一条の改正がいたされているものだと考えて、御提案申し上げた次第でございます。
  84. 畑和

    ○畑委員 いまの答弁ですけれども、世論が教育ということにだいぶ関心があり、第二の国民の義務というようなことで教育を強調しておる傾向にあるから、その世論をバックにしてこの条文を挿入した、こう言われるわけでありますけれども、こういうことは、世論があるからこうだとかいうようなことは私は好ましくないと思う。世論があろうがなかろうが、教育ということは放送の大きな第一のあれになっておるのですから、それをことさらに世論があるからと言って、それに迎合して、それに合ったようなことで、しいて教育ということを強調して前面に押し出すことは非常に危険がある、かように思います。そういう意味からお尋ね申し上げたのでありまして、教育的効果ということ自体をわれわれ否定するものでない。またそういう世論が相当あることも承知をいたしております。ただ私は、そう簡単に世論にばかり動かされて法律を一々変えるべきものではなかろう、もっとどっしりと大きくかまえる必要があるのではないか、あとで出てくる暴力云々の文字も、やはり同じことが言えると思います。世論がこうだからおっ取り刀でやる、どろなわ式でそういう規定を挿入するということは、むしろ権威がないのじゃないか。こういうことで、しかも教育ということを強調して、教育万能のような形に放送が持っていかれることはあまり好ましくない、実はこういう見解なのでございます。この点はいろいろ与野党で話をしておるようでありますが、この点はそういう私の考え方を申し述べて、教育ということをあまり強調し過ぎることの危険を私は心配しておるわけであります。  次に、第二条の問題でございます。まず第二条は定義となっております。この定義の中で一号から四号まではそのままであります。現行法の第五号では、「「教養番組」とは、学校教育又は社会教育のための放送放送番組をいう。」第六号では、「「教養番組」とは、教育番組以外の放送番組であって、国民の一般的教養の向上を直接の目的とするものをいう。」となっておる。それが今度は放送法の中から教育番組及び教養番組という定義が削られまして、教育番組という別の形でほかの項目で残っております。教育の機能を強調するということとうらはらに教育番組だけは残っており、あるいは教育番組の審議機関が新しく設けられることになっておる。教育番組はそういう別のところに残って、教養番組というのは全然削られてしまっておるわけであります。このことにつきましては、前のNHKの予算の審議の際にも私は申し上げたのでありまして、教養番組ということば改正案の中から消え去っておるけれども、これを消した理由というものについて再びお聞きしたいのです。  大体いままでの現行法によりますと、番組の種類の中には、教育番組と教養番組の二つの規定がありますが、そのほかに報道あるいは娯楽というような規定がありまして、俗に教育番組、教養番組あるいは娯楽番組、報道番組といわれておったわけであります。ところで今度、教養番組というのがはっきり定義の中から消えてしまって、少しもどこにもそれらしいものが出ていない。この教育番組の、いまの定義にもありますけれども、「教育番組以外の放送番組であって、国民の一般的教養の向上を直接の目的とする」こういうふうになっておるのでありますが、こういう部面は相当あると思うのです。またなければならぬ。ところが、一つも教養番組のことについては、ほかにもこの名前はないとしても、それに近いような教養云々はない。ただ一般的に、さっき申し上げてまいりましたが、全部の番組編成について一般的教養の向上を心がけなければならない、こういう抽象的な、全部にかぶさる規定がなされておる。それだから、教養番組については特に規定は削っちゃったんだ、こういうようなこの前の答弁だったと思います。それからまたもう一つは、先に飛びますけれども、第三条の二のところ、それの第四項が「国民の一般的教養の向上に資する」云々です。それから第二項に今度「教育、報道、娯楽等のための放送番組の相互の間に調和を保つようにしなければならない。」先ほどちょっと出てきましたが、そういう表現がございます。これが前と違っておる。前には教育、報道、娯楽、それから教養がありました。前のあれによりますと、教養番組または教育番組及び報道または娯楽ですか、そういうふうなことになっておりました。それが今度は、「教育、報道、娯楽等のため」こうなっておる。「等」があるから教養番組はここへ入るんだ、だからいいんだ、同時にまた先ほど言った四項で「国民の一般的教養の向上に資する、」こういうふうに書いてあるからこれを無視したのではない、こういうような御答弁があったように思うのでありますが、どうも私はこれだけでは納得できないのであります。ほかのことは報道、娯楽とこうなっておるのに、教養の点だけが特にそれがなくて「等」の中に入っておるということは、どうも教養番組を少し虐待し過ぎているんじゃないか、軽視し過ぎているんじゃないか、かように思えてならぬ。その辺の点をもう一度あらためて、この法案の審議でありますからお伺いしたい。
  85. 郡祐一

    郡国務大臣 お話のように、教育番組また教養ということは大切であることは、もう申すまでもないのでございますが、教養番組の定義を二条からはずしましたのは、教育番組もそうでございますが、第二条で放送番組というのは一体何であろうかということをいうております。これは放送番組というのはこうであるということは定義として必要でございますけれども、教育番組というのは放送法において使用しておる条文がきわめて少ないものでございますから、いま畑さんが御指摘のように、第三条の二の第三項でそれを定義づけております。教養番組の定義を削りましたのはやや意味を持たせて考えておるのでございまして、三十四年でございましたか、教養番組という定義を二条に入れておりましたが、ここにも「国民の一般的教養の向上を直接の目的」というような言い方をしておりまして、ほかの番組の分類と同様のようなお考えをお述べでございましたが、放送事業者は、報道、教育、教養、文芸、音楽というぐあいに、放送を分類してそれをさらに細分した番組を設けておりますけれども、二条に教養番組という定義を設けますために、何らか教養番組という分類が必要になってくるのじゃないだろうか。わざわざ個々番組の分類方法として教養番組という種類を設けたら、かえって誤解が起こるような傾向が予想されるのであります。そうではなくて、いま畑さんが御指摘のように、第三条の二の末項に今度加えましたすべての放送番組というのは結局「国民の一般的教養の向上に資する」ということが教養という意味の持つ大きい意味だと思います。したがって教養という非常に広い、単に娯楽に堕さない、単なる報道に堕さない、結局それは広い意味で国民の教養に役立っておるのだということが教養ということのねらいだと思います。したがいまして、この教養番組という表現をわざわざ定義の上で書きますがために個々放送の分類と見られないように、むしろ教養番組という概念を特に設けないほうがよろしいのじゃないだろうか。しかし一般に国民の教養の向上に資するように放送事業者番組編集してまいる、その際に、それぞれの意味で、特にこれは教養ということに重きを置いたのだということで教養番組というような分類を事業者はいたすだろうと思います。またそれでけっこうだと思います。ただ放送法としては、国民の教養の向上ということは非常に広い意味に使って、教養番組という固定したことばを使うために起こる誤解は避けてまいったほうが、放送の機能の上で適当ではないだろうか、そういう考えで、全く他意のない次第でございます。
  86. 畑和

    ○畑委員 大臣の言うことはわかるような気がするのですが、ただ教養番組というものはいままでも「教育番組以外の放送番組であって、国民の一般的教養の向上を直接の目的とする」こういうふうにうたってありますよ。それで今度挿入された一般的教養の向上に資するようにすべての番組はしなければならないということは、抽象的な、全部にかかっておるもので、教育番組であろうが報道番組であろうが、あるいは娯楽番組であろうが、そういったものまでもすべて国民の一般的教養の向上に資するようにしなければならぬというようなことなんです。これは一般的なことでありまして、現行法にあります「直接の目的」、あくまで純粋な教養番組というのがあるわけです。それが今度は一つもない。「教育、報道、娯楽等のため」となっておる。そうだとすれば、教育、教養、娯楽、報道ということにして入れたらいいじゃないかという感じがする。もっとも大臣のほうでも、放送事業者のほうで適当にそういう教養番組という分類をしてもけっこうだ、これはそのとおりだと思う。そう思うけれども、法文の中から教養番組が削られた、だんだん狭くなってくるような感じがしてしょうがない。教育番組がばかに乗り出してきて、直接の教養番組が軽視されるような形になるのではないか、こういうおそれを感じておる。教育番組といえば結局学校教育と社会教育と二つに分類される。どちらかである。それで、いずれにいたしましても対象を明確にして、プログラムをきめて、教育的効果を果たすように継続的にやらなければならぬという規定が別にございますね。そういうことで学校教育にしろ、社会教育にしろそういう特別の場合を除くほかそういうふうにしなければならぬ、とこういうことが書いてある。そういうことである程度ある意味で窮屈になる。これはそうでない形の娯楽番組、こういうものの価値というものは、これは依然として少なくなっていないはずなんです。むしろこれから多くなるところじゃなかろうか。ところでこういう規定になっておるのは、そういった軽視の考えがあるのではないかということを心配しての実は私の議論でございます。まあこれはいつまで議論しておってもしようがないので、この程度にやめます。  それに関連をいたしまして、改正法の新しい案の四十四条の第一項第三号、これに協会が教育番組を有しなければならぬ旨の規定が追加されました。これは新しい規定でありまして、協会に対して教育番組を正式に義務づけた、こういうふうに解釈していいと思います。いままでも協会の場合には教育放送というので、それを重視して一チャンネルとってありますけれども、これがあらためて法律によって、特に教育番組を有しなければならないと規定されたわけでありますが、それに伴って教育番組審議会の設置が四十四条の三によって法定されることになります。これによって教育番組内容等に、教育教育ということで文部当局のほうで干渉してくるおそれはないかどうか、一応私はそれを非常に危惧するのでありまして、この法定化されて、番組審議会ができ、教育番組義務づけられてさらに教育番組審議会が設置される、そういうことになりますると、文部当局のほうの、国の教育機関からの干渉がされるおそれが多分に出てくるのではなかろうか。第一条の先ほどの新しい「教育目的」ということの追加と一緒に、これはうらはらをなすものだと思いますけれども、特にNHK強制されておるわけですが、この点についてはどういうふうにお考えなんですか。
  87. 郡祐一

    郡国務大臣 仰せのとおりNHKには教育放送を、教育番組義務づけ、それから民放には教育番組義務づけることをいたしておりません。これは教育的な効果は期待いたしまするけれども、これを経営上も、またその地域的にサービスいたします性格を持っておりまする民放に、これを義務づけるということをすべきではないという考えで、協会だけに義務づけをいたしました。しかしながら、これは教育番組審議会の構成等をごらんいただきましても、それにふさわしい学識経験を持つものが入ることはございましょうけれども、この教育番組を有するようにいたし、また教育なり教養の向上なりを規定するといたしましても、それはすべて放送事業者の、またことに教育番組を有するように義務づけられておりまするNHKの、全く自主的な番組編集によることでございます。したがいましてそれを保障しております以上、文部当局等が干渉し得る余地はないのでございまして、「教育番組を有するようにすること。」ということで、教育放送事業者の自主性、自律性を保障しておる大原則を破ることは決してできないことでございます。そのような心配は全くないことと考えております。
  88. 畑和

    ○畑委員 そうあってはならぬと思うのでありますけれども、とかくこうした教育番組あるいは教育番組審議会等を法定するということは、そういう危険が非常にある。まあ番組審議委員の人選等にもよりましょうけれども、そういう点はあくまでもNHKの自主性にまかされておる、こういう大臣答弁、それを一〇〇%受け取りますから、ひとつその点も十分気をつけてやってもらいたいと思います。いまお話が出ましたけれどもNHKにはそうした教育放送を今度特に義務づけた、民放には特に義務づけの明文はない。しかしながら義務づけるよりも、そうでなくてただ教育番組を設ける場合にはこうしなければならない、こういう点で、そういう形で民放関係にはやはり教育番組についての心得が一般に出ておる、かように思います。臨時放送関係法制調査会の答申によると民放にも教育番組一定時間義務づける、こういうようなことを指摘いたしておりましたが、今度はそれがなされておらぬ。これはどういうことでしょうか。
  89. 郡祐一

    郡国務大臣 第三条の二の第三項の趣旨は、現在も協会に規定され、またこれは民放に準用されておるところでございます。したがいまして教育番組内容が適切であるということは期待をいたしまするけれども、これはNHKという国民への最低限の放送のサービスを本旨といたしておりまする場合と、個々の地域に即したでき得る限り自由な放送をねらいとする民放。したがいまして、ことにこのたび二本立てをたてまえとしてまいりましたときにはそれぞれの特徴を出していく。その場合に教育番組というものを義務づけるということは、むしろ民放というものの自由な発達を期する上に、それぞれ独自の考え方でさらに発展いたしまする場合には、教育専門局の設置の問題等にもなると思います。私は一般の民放にそうしたことを規定づけるということにどうも無理があるのじゃないか。むしろ広い意味の教育とか教養とかいうことを自分が考えてくれることはよろしゅうございますけれども番組を固定して義務づけるということは避けるほうが民放という性格に合っているのじゃないだろうか、こういう考え方でございます。
  90. 畑和

    ○畑委員 次にお尋ねいたしますが、このNHKに対して義務づけた教育番組、その番組を審議する機関として教育番組審議会の設置ということになりますけれども、この教育番組審議会を設置する意義は一体どこにあるのだろうか、NHKに対してどのような運営を政府としては期待いたしておるのであろうか、この点をひとつ参考までに承りたい。
  91. 郡祐一

    郡国務大臣 教育番組審議会が新しくできる、そして別に本来の中央番組審議会、地方番組審議会もある、こういうわけでありまするが、すでに教育番組義務づけますならば、その特色を発揮することができまするように義務づけられておりまする学校教育または社会教育のための放送が全国向けにも地域向けにもございます。それをまず第一次的には、教育番組審議会が判断をして、そうすることによって専門的と申しますと語弊があるかと存じますが、審議機能を十分持ったものを持つということがすでに教育番組というものを義務づける以上は必要なんじゃないだろうか。この効果はどうしても期待をいたしたい、こういうぐあいに考えて教育番組審議会を設けた次第でございます。
  92. 畑和

    ○畑委員 次に、しからば教育番組審議会の委員の選任の基準の問題、この四十四条の三の第六項、「教育番組審議会の委員は、教育又は教育のための放送に関する学識経験を有する者のうちから、経営委員会の同意を得て、会長が委嘱する。」こうなっておるわけです。ところでこの選任の基準はどうかということ、教育または教育放送に関する学識経験者というのは具体的には一体どんな人を指すのか、ちょっと無理な質問かもしらないけれども、ひとつ具体的にどういう人を意味しているのかお答えをいただきたい。
  93. 郡祐一

    郡国務大臣 具体的な選任の方法といたしましては、経営委員会の同意を得まして会長が委嘱するわけでございますから、その具体的な手続ないし方法というものはあげて協会責任に期待をいたしております。したがいまして、特に教育または教育放送に関する学識経験者というものをできるだけ高い度合いから考えてもらいたいのでありまして、直接の教育行政官等を排除するつもりはございませんけれども、むしろ、そういうことにこだわらない判断を協会自身がしてくれることが審議会に期待するところに合うものであろうと私は思っております。
  94. 畑和

    ○畑委員 私もその点は同感なんであります。狭い意味の教育ということではなく、あるいは狭い意味の教育放送ということではなくて、やはり高い次元に立ってものごとを判断し得るような人を期待すべきだと私は思います。もちろんそれについてはあくまでも経営委員会の同意を得て会長自身が自主的に委嘱する、こういうことでなければならぬ。この点については以上にとどめます。  次に、第二条の二であります。これが今度の改正の非常に大きな眼目だと私は思うのです。いわゆる「国内放送体制に関する原則及び施策の目標」、こういうふうに条文の最初の見出しの項目にもなっておりますが、この第一項では国内放送NHKと民放と二本立て制でやるということを法律上明らかにしております。いままでにも事実上はNHKと民放という二本立てでありましたけれども法律上はっきり明確にしたのは今度の規定が初めてだと思います。いままでの条文を見てみましても、放送法が最初にできた当時は、民放等はちょっと予想できなかったくらいでありましたが、その後放送法改正になって、一般放送事業者という章が設けられた。それもわずかな項目でありました。しかもそれがNHKに関する規定を相当準用しておるというような形でできておりましたが、今度はていさいとしても両方に通ずる総則的なきめ方をしておる。そしてその次に今度は協会と民放というような法律のていさいになっておる。これは非常な進歩だと思います。こうならざるを得ないんだと思うのです。予想しない事態がどんどん出てきまして、そういう関係でこうなったと思いますが、いままでの事実上の二本立てをはっきり法文で二本立てでいくんだと明定したということ、こうだと思いますが、そこで大臣としてはNHKと民放とのそれぞれの役割りをどう考えておられるか、おのおの役割りがあると思うのです。同じく放送に携わるものとは申しながら、その間にNHKと民放おのおの性格が違う、その基礎が違う、そういうことであります。したがっておのおのの役割りをどういうふうに果たすように御期待になっているか。いままでもそうだったが、こうして法律上明定された以上はどういうふうな期待を持ってこの役割りを考えておられるか、この点を承りたいのです。
  95. 郡祐一

    郡国務大臣 畑さんが御指摘になりましたように、この点は当然のことでありますけれども、非常に大事な点を考えます。国民の電波の効用を最も適確にする、またことばを変えれば最低限を保障するという意味合いでNHK放送の全国的普及をその使命といたしております。そうしてそれによって豊かな番組放送して文化水準を全国的に上げてまいるというのがNHK責任でございます。一方地域的に密接した、地域的な特色を非常によく発揮した放送というのが望まれるわけでございますから、それはぜひ民放に期待をいたしたいのであります。これが二本立ての基本的に大切な点だと思います。この二本立てという形を日本放送協会と民放、この両者によって期待いたしますことは、国々の例で、国営もございますれば、特殊企業体を考えている例も畑さん御承知のとおりでございますので、一方においては全国民に放送の利益を、しかも国が直接これを担当するのではなくて、利益を保障するというNHKを、どこまでもその特徴を伸ばしていってもらう。しかしどうしても全国的な使命を持ちますもののみが伸びてまいりますと、独占の弊害というものをやはり考えなければならぬと思います。独占の弊害を排して多種多様の放送を国民に保障いたします事業体として民放というものを評価したいのであります。それも民放というものがまた何らかの企業体としてきまった形ではなく、個々の民間放送事業というものがNHKと相並んで二本立てとなっておりますが、その民放自身がそれぞれ経営形態を異にする事業である、これがいよいよ地域性あるいは多種多様な特色を発揮する上に一番有効である、こういうぐあいな考えが二本立てのねらいでございます。その特徴というのはぜひ発揮してもらいたいと思います。これからのNHKなり民放なりの使命と申しますものは、それをしっかりと把握して発展してくれることにあるだろうと思います。
  96. 畑和

    ○畑委員 いまの日本放送の体系、これは御承知のように世界でも珍しい体系でございます。カナダにそれに近いものがございますけれども放送についてはアメリカに次ぐ台数をともかく持っておりますし、進歩の程度もそういうところに位置しておるわけです。しかもNHKと民間放送ということで、おのおの先ほど大臣の言われたような使命に徹してやってまいるということは、私は非常にけっこうだと思うのです。NHKとしてはますます全国放送で、しかも地域の放送も怠ることなくこれをやる。しかし非常にマンモス化しておりますから、もちろんNHK自体といたしましても大いに戒心をしなければならぬと思う。とかくマンモス化というととで非難が最近相当多い。そういう意味で多いのですが、またしかしそれを自粛自戒して、やはり日本の二つの放送体制の趣旨に沿った行き方をNHKとしても今後すべきであると思う。同時にまた、民間放送のほうにしても、これはNHKと違うので、スポンサーがついて事業経営としてやる。しかし同時に電波は国民のものだというところでの自覚を一般放送事業者も持たなければならぬと思う。いずれにいたしましても、この二者相まっての日本の国内放送体制の原則がここで明定化されたわけです。  ところで、この第二項も私は画期的なものだと思う。これは第一項の二本立て原則についての具体的なビジョンをこの二項で描いたものだと思われるのでありますけれども、ところでまず第一に、この規定についてお伺いしたいのですが、この規定によりますと、「協会の行なうラジオ放送及びテレビジョン放送については、そのいずれについても、少なくとも二系統の放送番組放送があまねく全国において受信できること。」それから次に「一般放送事業者の行なうラジオ放送及びテレビジョン放送については、そのいずれについても、原則として二の一般放送事業者の行なう放送があまねく全国において受信できること。」こういうことになっております。そこでお尋ねいたすのですけれども、この二つの違いは、NHKのほうについては「少なくとも二系統の放送番組放送」をやらなければならぬ、それが受信できるようにしなければならぬ、こういうように書いてある。一方のほうでは「原則として二の一般放送事業者の行なう放送が」云々、こうなっておるのです。そこが「少なくとも」というのと「原則として」というものの違いが文字の上からも出ておる。これは私の考えでは「少なくとも二」という以上は、二つ以上の波ということになると、第一放送と第二放送、あるいはまたテレビで申しますと、総合放送と教育放送、この二つのチャンネル、——これは二つですが、「少なくとも二」というからには二つ以上ということで、第三の波、第三のチャンネルを予定しておるような表現になっております。これはそういうことを予定しての規定であるかどうか。それからもう一つ民放については、「原則として二」ということになっておりますが、原則である以上は例外を予定しておる。したがって、「原則として二」だから一つの場合もあり得るということであるのかどうか、この二つの点についてお尋ねをいたしたい。
  97. 郡祐一

    郡国務大臣 先ほども畑さんから御指摘がありましたように、NHKは、国民に対して、最低限に文化の水準を向上させる豊かな番組を全国に放送する事業者でなければいけない。さようにいたしますると、現在総合と専門と申しまするか、そういうような意味合いでの二つの系列を持っておりますが、そうした国民に文化水準を高めていくというためには、少なくとも二つ、したがいまして現在直ちに第三の波を持たせるということを考えているわけではございません。ございませんが、国民にあまねく、しかも全国向けでありますれば、同時に地域的の利益というのをはかってまいらなければいけません。そうして非常に多様な責任を持っているNHKといたしましては、少なくとも二つの系統の系列を持つということ、これは国民に対して責任を果たす上で必要なのである。それからまた民放について申しておりまするときも、私どもはどこまでも、現在まで放送事業が進んだ場合には、国民の立場から言うて、NHKは少なくとも二つ以上、そうして民間放送についても原則として二つの、複数の放送を享受し得ると申しますか、聴視し得る状態に置かなければ相ならない。しかし何ぶんにも民間放送というものは、民間の自由な創意で、地域社会をにない手として営んでおるものでありまするから、勢いその場所場所で、できる場所とできない場所とが出てまいると思います。ある場所ではその地域的な、主として経済的基盤だと思いまするが、それが一つの民放でまだやっていかなければ成り立たないというところもございましょう。あるいは三つ以上あってもやっていけるという地域もあります。したがいまして、少なくともそうした地域の実情に応ずるけれども、二つを原則といたしたい。いつかはその原則目的に到達し得るということを期待する、こういう意味合いでNHKについては少なくとも二つ、むしろ国民に対する責任という上からそう申し、また民放についてはこれを聴視いたします国民の側の期待にこたえるために、原則として二つ持つというような書き方にいたしましたので、結局NHKというものの持つ放送についての義務というもの、また民放というものは事業体としてそのような性格を持ったものであるから、それに合わせて書いたのであって、決して規定の上でどちらを有利に、どちらを不利にとか、両者の間に優劣があるという考え方で規定したものではございません。もっぱらその事業者の性格、経営というものを土台に書き分けてみた次第でございます。
  98. 畑和

    ○畑委員 いまの大臣答弁だと、少なくとも二つというふうにNHKについて書きあらわしたのは別に第三のという意味ではない、こういうような話でございます。しかしそれならば二つと書いてもいいのじゃないか、それを少なくとも二つとしたのは、とうもそれだけではちょっと納得がいかないような感じがいたします。大臣の言われる趣旨はわかるのですが、それだけではないような気がするのです。民放について原則として二つとしても、実際の問題で、これは任意に開設をするのでありまして、いろいろな地理的、社会的、経済的条件がございまするから、二つときめたところで、そのとおりいくとも限らぬ。今度Uの波等も開放して、波を多くして、二つ以上聞けるようにするという考え方だと思うのですが、ただしかしそういう場合に必ずしもそうびしっといくものでもない、こういうことだと思うのです。場合によっては原則として二つというのは、一つのこともあるが、場合によっては三つのこともある、こういう広域放送あたりでは三つ四つもあるということだから、そういうふうにその三つ四つに当たる、しかし少なくとも原則として二つ、場合によっては、状況によって一つしかできないこともあるが、二つにつとめる、こういう趣旨だと思うのですが、そういう点で別にNHKの優位を認めるということではない、こう言われるわけだと思うのです。それは、そのとおりに、一〇〇%これも善意に受け取っておきます。そういう趣旨ではない、NHKをことさら優位に認めるという意味ではない、ではこういうことに承っておきます。  次に、民放については、ラジオ、テレビ、それぞれ「原則としてこの一般放送事業者の行なう放送があまねく全国において受信できること。」というふうになっております。ところで、これはこの前何か秋田さんの質問に答えておられたと思うのですが、途中ではっきりわからなかったので、あるいはダブるかもわかりませんけれども……。  そういうふうになっておるけれども、ラジオでは現在全国対象の短波放送と各地の中波放送とが御承知のようにある。そういうことで、現状ではすでにもう短波放送が相当広域にわたって聞けるから、中波放送一つあっても、もう一つ短波放送がある、二つあるじゃないかということで、この原則をそういうことで満足さしていると見ていいのか、それとも中波を二波という意味なのかどうか。この辺ひとつ承りたい。
  99. 郡祐一

    郡国務大臣 短波放送は、御承知のように、全国一円を放送区域といたしております。ところが、民放というものは、各地で民放というものについて複数の放送があまねく受信できるようにといたしまする趣旨は、その民放の性格上、当然その地域地域において特色のあるものが聞き得るようにということでございます。したがいまして、この規定で意味しておりますところは、全国一円を放送区域とする短波放送はこれではなくて、各地域社会放送対象とする中波の複数かあるいはFM放送を加えましたか、そうしたものによって目標を達成するようにというのが、ラジオについての法律意味でございます。
  100. 畑和

    ○畑委員 次に、第三号、「一の一般放送事業者の行なう一の放送の種類に属する放送があまねく当該一般放送事業者の当該放送の種類に係る事業区域」ここにカッコしていろいろありますが、最後のほうに、事業区域「において受信できること。」となっております。この項目についてひとつお聞きいたしたい。  ところで、ちょっと私には、どうも頭の悪いせいか、わからぬのですが、カッコで囲ってある部分です。「事業区域」の下に「(原則として一の都道府県の区域又はこれをこえる地域でその地域の政治、経済、文化その他の国民生活の分野における共通性に応ずることを旨として郵政大臣放送の種類ごとに定めるものについて、」となっておるのですが、どうもこの「定めるものについて、」とそのあとがちょっと理解しにくい。わかるのはわかるのだけれども、表現のしかた、文字の書き方が、これで法文上いいのかどうか。  そういうことで、これは電波局長か放送部長かどっちか知らぬけれども、ちょっと聞きたいのだが、これでわかるのですか。ちょっとこれはわからぬと思うのですが、私、頭の悪いせいか……。「種類ごとに定めるものについて、一般放送事業者がその行なう放送の対象地域として設定する地域をいう。」と、とにかく郵政大臣放送の種類ごとに、また一般放送事業者の行なう放送の対象地域として設定する地域だ、こういう意味だと思うのです。この「定めるものについて、」云々、これがちょっと回りくどくて、何が主語やら述語やらさっぱりわからぬという感じがする。ちょっと書きかえたらいいじゃないかという感じがするのですが、そういうことに疑問はなかったですか。これはつまらぬ表現の問題ですが。
  101. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  非常に長たらしい定義なものですから、お話のような疑問が出やすいと思いますが、これは結局、ある地域というもの、それはここに書いてありますような「国民生活の分野における共通性」ということに着目いたしまして、一定の地域というものを郵政大臣が定めます。まずそういう手続一つございます。それで、その郵政大臣が定めました地域、それに、かりにABCDという番号なり名前を打ったといたします。そうしますと、一般放送事業者が、自分はB地域あるいはD地域をもって自分の行なう放送の対象地域としてきめますという、その地域をその放送事業者の事業区域としよう、こういうことでございます。  ですから手続といたしましては、郵政大臣のABCDという地域設定行為と、それから、その中から放送事業者が、その免許の申請なり、免許ということで現実にははっきりしてくるところでございますが、その郵政大臣の設定行為によって性格づけられました各地域のうち、一般放送事業者が選択し、それをもって自分の事業区域とした、その地域、そういうことでございます。
  102. 畑和

    ○畑委員 それはわかるのだ、わかるのだけれども、体裁をもう少し考えてみたらどうかと思うのでちょっと申したのです。やはり法律できめられるとそのとおりになるものですから、あまりみっともないようなことになっちゃいかぬと思って、ちょっと老婆心ながら申し上げたのです。ちょっと何か考えられないかというのです。「種類ごとに定めるものについて、」という文字の前後のつながりがちょっと何か不明瞭である、わからなくなっちゃうのですね。そういうような感じがする。ひとつ研究してください。  そこでこれは、一都道府県で一区域またはこれをこえる地域で特に大臣がそういった範囲としてきめるものですね。これを一つの事業区域とする、こういう趣旨でしょう。ところで、しからば、一都道府県の区域より狭い区域を事業区域として指定されることがあるのかどうか、そういうことが予想されているのかどうか、少なくとも一県かそれ以上であって、それより広いのだ、こういうことですかどうですか、これを聞きたい。
  103. 郡祐一

    郡国務大臣 法律上は、おっしゃいますとおり「(原則として一の都道府県の区域又はこれをこえる地域」でありますから、狭い区域もあり得ることになりますけれども、実際問題としては起こらないのじゃないだろうか。ただ、これを固定しまして、認めないのだということを言い切ることは不適当なので、原則を置きまして、狭い区域もあり得るということは考えておくべきだと思いますが、実際問題としては私はほとんど出てまいらないのじゃないだろうかと思います。
  104. 畑和

    ○畑委員 これは、私は文字どおりに解釈するとやはりそうじゃないと思うのだ。「一の都道府県の区域又はこれをこえる地域」となっているから、少なくとも都道府県の区域が一番狭い区域で、それをこえる地域ということもあり得るということで、それより狭いことはこの条文からは出てこないのじゃないかというような感じがするのですが、その辺どうでしょうか。
  105. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいまの点でございますけれども、初めに「原則として」という字がなければ「一の都道府県の区域又は」というところは先生のおっしゃるとおりだと思いますが、「原則として」を入れましたので、実は小さい場合も大きいほうもと考えております。
  106. 畑和

    ○畑委員 わかりました。  それでは一地区については同種類の放送の事業区域は一定の広さのものしかあり得ないかどうか、この点をお聞きしたい。   〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕
  107. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。   一般の場合では二つの違った広さの事業区域、しかも同一の種類に属する事業区域が重なって設定される、予定されるということはないかとも思いまするけれども、非常に特殊な地域におきまして、ある観点からいたしますると、一定の広さを持ったものを事業区域として設定することが適切であり、その上かつその中の、ここに掲げておりまする国民生活の分野における共通性がきわ立って強い、単一性を持った小さいコミュニティーといいますか、より狭い地域社会というものをもって同じ放送の種類の、たとえばラジオで申しますると、中波とFMとを考えまして、中波同士におきましてもそういう大きなものと小さなものを重ねたほうがこの放送サービスの完ぺきを期させるというようなことも絶無ではないだろうとも考えております。しかし多くの場合にはそういうことはあまり考える必要がないことではないかと思います。
  108. 畑和

    ○畑委員 それじゃその次に進みます。  しからば郵政大臣はどういう手続で事業区域の範囲をきめるのかということについて聞きたい。電波法の第三条の三の周波数の使用計画できめるものと思われるのでありますけれども放送法によって設けられる事業区域の範囲を電波法できめるということはちょっとおかしいのじゃないかという感じがするのですが、その辺いいんですかね。
  109. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 確かに放送法でいうところの事業というものを電波法できめるのは奇異な感じがいたしますけれども、最も大切な目標としておりますことは、やはり周波数の利用ということ、周波数を最も効用的に利用するという意味におきまして電波の使用計画というものを考えておりますので、そういうところできめますものの中身としまして、放送事業というものを頭の中にとっております。したがいまして放送事業としての事業区域ということをきめる場合に、それを頭の中にとっておりますけれども、最終的な形態としまして周波数の分配計画、すなわちチャンネルプランというところで大臣がきめるということに一番の主眼を置いているわけでございます。
  110. 畑和

    ○畑委員 次にお尋ねいたしたいのは、いわゆる相互乗り入れ、いま実際にはそれはやっていないけれども現行法で盛んに相互乗り入れ、たとえば山梨と静岡といったようなところでお互いに相互乗り入れをして、そして二つの波を聞かせよう、そうしてもらいたいという要望が相当ございますね。それはいま許されておらぬ。そこで今度はこういった大きな放送の体制に関する原則、施策の目標がきめられたわけですが、こういうことがきまりますると、この相互乗り入れというものは禁止するという趣旨になるのかどうか。山梨と静岡が一つ放送地域ということにきまれば、これは二つちょうどあって、いわゆる相互乗り入れじゃございませんけれども、そういうふうなことは私はやるべきではないと思うのです。やはりあくまで地域的に経済的あるいは社会的諸条件によって一つの地域となっておる、それはやはりあくまで一つの地域として二つの波を与えていくというようになるべきものだと思うのです。その辺相互乗り入れとの関係はどうなるのか、それを聞きたい。
  111. 郡祐一

    郡国務大臣 いわゆる相互乗り入れとなりますかどうかということは、この法律改正案によりますれば、事業区域の設定の問題に相なってまいると思います。したがって一県一社の地域をそのまま事業区域といたしますれば、相互乗り入れということには相なりませんので、この地域を二つ合わせて事業区域といたしますれば、現在一つの県をカバーしておりますものが他の県をもカバーするというようなことに相なってまいると思います。しかし畑さんもいまおっしゃいましたが、実際には府県単位が通例でありまするから、そのような場合には特殊なケースだというぐあいに考えられる次第でございます。  また事業区域間の相互乗り入れば、五十一条によりまして事業区域から放送区域がはみ出すというようなことはできないことになっておりまするし、そのような場合は起こらないわけでございます。結局事業区域として二県にまたがるかどうかということだと思います。しかし先ほど申しましたように、これは考えられるとしましても非常に例外的なケースであろうと思います。
  112. 畑和

    ○畑委員 次に第三項のところですが、特に一般放送事業者のことについてです。その前はNHKと両方に共通するのですが、「あわせて」云々以下、この点ですが、放送局の置局に関して「地域の自然的経済的社会的諸条件に即して開設できることとなるように配意しなければならない。」というふうに規定されておりますが、これは一体どういう意味なのか、「自然的経済的社会的諸条件」これを一々区別して、ひとつ具体的な例をとって話してもらいたい。わかるような気もするんだけれども、何だかわからないような気もする、そういう「諸条件に即して開設できることとなるように配意しなければならない。」というのはどういう意味か、ひとつ具体的に説明してもらいたい。
  113. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  このことは要するに郵政大臣がチャンネルプランの案をつくりましたり、あるいは免許等の行政行為をいたしますときに、全国画一的な方法あるいは考え方によって事を進めてはいけないという郵政大臣の行政上の指針を与えているわけでございますが、その中で地域の諸条件に即してということは、平たく申しますれば、それぞれの地域の特殊性に応じて局が開設されるように配意しろということでございまして、そのうち自然的条件によって配意をしなければならぬということは、具体的な波の配分の場合には相当大きなファクターになるかと思います。山岳、平野、その他電波関係するものとして気候などがございますが、主として地形等を自然的条件。それから経済的条件と申しますのは、これは特に民放の場合には非常に大きなファクターに地域の特殊性としてなるかと思います。それから社会的諸条件と申しましても、住民の構成であるとか、あるいは伝統であるとかいうようなことで、どういう種類の放送局というものを最初に考えることが適切であるかというようなその地域の特殊性が、局をつくって、あるいはチャンネルプランを考えます際の時期あるいは周波数、その予定する放送局の規模等をきめます際の配慮すべきファクターであるというふうに考えておる次第でございます。
  114. 畑和

    ○畑委員 そこでテレビ放送についてですけれども、全国で民法が二つ聞けるというふうにするためには、どうしてもUHF帯の周波数を大幅に使用しなければならぬというふうになると思う。今度の規定もそれを当然予定して二つ以上聞かさなければならぬということになっておるのだと思いますが、そうなりますと、各地にいわゆるVとUの混在地域というものができると思うのであります。政府はその受信装置についてどういうふうに考えておるか。Uの波をVの機械で受けるには、コンバーターで一万円近くかかるようでありますが、こうなるといっそのことアメリカのようにオールチャンネル方式に切りかえる必要がある一定の時期になれば出てくる、思い切って踏み切らなければならぬ時期が出てくると思う。いままでのVの受信機の寿命等や何かも考えて、とにかく全国で二千万台以上のテレビ受像機を国民は持っておるわけですが、一つ五万円といたしましても全部で一兆円になるわけです。それをオールチャンネルにするということになると、全部機械を新しくしなければならぬということにもなる。しかし混在の場合に、コンバーターでやったり何かするということもいつまでも続くものじゃないと思うのです。この辺、受信装置についてどう考えておるか。  その次に、またオールチャンネル受信機はVHFの受信機に比べてどの程度価格が高くなるものか。いま仮定の問題だからなかなか正確に答えられぬかもしれぬけれども、需要が多くなれば相当安くなるのだと思いますけれども、その辺どうであるか。  次に、わが国のオールチャンネル方式の受信機の製造状況はどうなっておるか。いや全然やってないのか、研究段階なのか、アメリカさんに売るような関係である程度製造がなされておるのかどうか、その辺のこともあわせて触れてもらいたい。
  115. 郡祐一

    郡国務大臣 確かにおっしゃるようにUV混在方式をとってまいらなければならなくなってまいります。ただしUV混在方式と申しましても、全国すべての地域で一斉に採用に相なるのではなくて、おそらく地域的に順次順を追って実施されてまいるものであろうと思います。したがいまして、Vのみのテレビ地域も相当長期残るということも考えられるわけでございます。そして畑さんのお話のとおり、UV混在になりますればオールチャンネル受像機かコンバーターがどうしても必要になってまいります。それで受像機の面で需要に応じ得る状態というのは、現に昨年でも百万台をこすオールチャンネル受像機を輸出いたしておりますので、物の面においてはおそらく間に合ってまいると思います。しかし問題は、おっしゃるように聴視者の経済的な負担の点になってまいると思います。したがいまして、ただいまのところオールチャンネル法のような受像機の製造販売を法律で規律することは、これは将来のために検討してまいらなければなりませんけれども、十分慎重に扱ってまいりたいと思います。  お尋ねのオールチャンネル受像機の価格の点でありますが、本年の五月に、これは私はまだ現物は見ておらない、説明を聞いておるのでありますが、オールチャンネル受像機を一メーカーがこしらえておって、これは現在八千円ばかり高くなっておるそうであります。しかしこれは普及の程度に応じて、いまの八千円という額は相当減らし得るという見込みを持っておるということを私は聞いております。
  116. 森本靖

    ○森本委員 これはどうせあとで質問しようと思いましたが、ちょうど出ましたので聞いておきますが、かりにこの改正案が通って、UV混在というもののいわゆる使用計画というものがなされた場合においては、当然これは——あなたは慎重慎重と言っておったら答弁になりますけれども、当然その場合にオールチャンネル法の問題を考えていかなければならぬ段階に私ははっきり言ってなると思うのです。だから、アメリカのオールチャンネル法においても三年間施行延期をするわけでありますから、実際問題としてこの改正案が通って、UV混在のいわゆる周波数の使用計画がきまった場合においては、その時点においては、やはりオールチャンネル法についても立法化を考えていかなければならぬ。そうしてそれが三年程度施行延期をするとかなんとかいうことは別として、そういうことはやはり慎重に検討を要しますことは事実でありますけれども、具体的にはそういう方向に進んでいかなければ進まぬのじゃないですか、大臣
  117. 郡祐一

    郡国務大臣 そうだと思います。ただし物の製造販売を規律する法律でありますから、これがほかに考えのしようのないことでございますから、検討はされることでございますけれども、製造販売を規律する法律というのは、やはり慎重にしなければいけないものだ、私はこう考えます。
  118. 森本靖

    ○森本委員 それは慎重にしなければならぬことはわかっておる。郵政大臣だけでやるのでなしに、通産大臣郵政大臣と相談してやらなければならぬということはわかるけれども、方向としてはそういう方向にいくようなかっこうにならざるを得ないのではなかろうか。だからそういう方向にいくならいく。ただ慎重に検討いたしますというならだれでも答弁しますよ。一歩前進した形に行政を進めていこうという意欲に燃えんとするならば、この改正案を審議する途中においてUV混在というようなことをある程度認めた以上は、今後はオールチャンネルの施行についてはやはり考えていかなければならぬ。それがいつにどういう形になるかということは相当検討しなければならぬことは事実でありますけれども、そういう方向に向かっていかなければならぬということくらいは、意欲を持って大臣答弁しなければならない。あなたはうしろへうしろへと下がろうとする。何かあげ足をとられたら損だというような——あげ足とるような畑委員質問ではないわけです。そういう点についてもっと私は意欲を燃やした答弁をしてもらいたい、そう思うわけであって、そういう意味から言っているわけです。
  119. 郡祐一

    郡国務大臣 私が申しますのは、法律そのものとしては比較的簡単な法律であります。ただ、事態の推移というのがいっその法律を必要とするか、そういう点の今後の電波行政そのものの動きと製造の状態、こうしたことと見合っておる点に十分注意をいたさなければいけませんけれども法律そのものを用意をいたし検討していくことと、それからいずれはそこに持っていくということでものを考えていくということは当然のことと思います。
  120. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 一言補足さしていただきたいと思いますけれども、アメリカの場合はオールチャンネル法の施行というのが、Uというものをある程度無理にも広めていきたい、VばかりでなしにUのほうにも広めていきたいという、要請でオールチャンネル法というものをつくったように考えます。日本の事情とその点が非常に違う点があると思うのでございます。したがいまして、オールチャンネル法を施行いたしました場合には、現在の聴視者というものには当然これはVだけの受信機の使用というものを禁ずる方向になりますので、その点も十分考えまして、どういうぐあいに持っていかなければならぬかということは十分考えなければならぬことかと思うのであります。
  121. 森本靖

    ○森本委員 それはVの使用を禁止するということにはならぬのであって、使用しても差しつかえない。しかし新しく受像機をつくるときにおいてはメーカーはこういう規格品をつくりなさい、こういうことにチャンネルプランによってなっていくわけです。確かにアメリカはあなたのおっしゃるとおり、場合によってはVを廃止してUに集中していって、Vを場合によっては他の方向に使用しようという意図もあるやに伺うのでありますが、しかしながら日本の現状においてそういう方向に電波を持っていくほうがいいのか悪いのかという点についても、相当検討しなければならぬわけであります。現実の問題としてはしかしこの法改正が通って二波以上でということになったならば、いまの場合にはVが混在にならざるを得ない。そうなってくるとコンバーターによるところの受像機よりはオールチャンネルによるところの受像機がよろしいということになるわけでありますから、私は必ずしもアメリカのオールチャンネル法をこのままここに持ってこいと言っておるわけじゃございません。しかしながらそういう形の進歩をオールチャンネル法についてはやはり考えていかなければならぬ段階に来ておる。これはすでに六年くらい前に私が素案を持って帰ってあなたのほうへやったわけであります。そのときにはあなたはまだ電波監理局長ではなくて研究所長だったと思いますが、そのときにすでに、研究せよ、研究いたしますということで、あれからもう五、六年たっております。私が特に言っておることは、そういう点について、われわれはいま電波監理局長が言った点について十分考えておらぬことはない、そのことを考えながらもなおかつ、しかしこの改正案が通った場合においてはやはり真剣に考えていかなければ、いまのようにコンバーターだけをつけてやっていくということについては相当の不満が出てくるのではないか。また大量生産をすれば、いまあなたがおっしゃったように、金額もかなり下がってくるということも考えられるわけです。そういうふうに一歩前進をした方向において行政に当たる者はひとつ検討願いたい、こういうことであります。率直に言いますと、こういう点について私はまだ郵政省と通産省がしばしば会合したという情報を聞いておりません。そういう点についてはやはり郵政省は郵政省なりに通産省を通じてメーカーその他について——どうせこの使用計画をつくる際には、そういう点も考慮してつくっていかなければならぬだろう、こういうことを言っておるわけであります。だから別に局長が心配するようなことをわれわれは言っておるわけじゃないのです。   〔加藤(常)委員長代理席退席、委員長着席〕
  122. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 もう一言づけ加えさしていただきたいと思いますことは、UとVとの混在をいたしました場合に、最終的にU、Vがミックスした形でこれができ上がる場合と、それまでトランシエントの状態といたしましてだんだんと移行していくということも考えなければなりません。そういうようなことで、どういう形でその最終的なものにいくか、その過渡期の期間というものを十分考えなければならぬ。それからもう一つ日本受信機の生産能力、それからまた国民の好みと申しますか選択といいますか、そういうことから考えまして、オールチャンネルを選ぶかあるいはある地域においてのVだけというものを選ぶか、あるいはUだけを選ぶかということは、強制すべきであるかどうかという点にも一つ研究すべき問題点があるのではないかと思いまして、先生おっしゃっていることはよくわかっておるつもりでありますけれども、将来検討していきたいと思っております。
  123. 森本靖

    ○森本委員 ものごとを進歩、発達をさすというためには、研究をするということと実行をするという意欲に燃えなければなりません。いまあなたが言ったことは浜田成徳電波監理局長が八年前に答弁をしておる。そんなことでは、日進月歩の今日の放送界をリードしていくことはできぬと思う。すでにあなたのいまおっしゃった答弁と同じ答弁をしている。速記録を見てごらんなさい。あれから八年を経過しておる。だから私の言っていることは、そういうことを口で言うのはやすいけれども、いずれにしても実際問題としてもっとやる方向に努力をしてもらいたい。UとVの混在、これは何年もかかって論議をいたしました。たとえば北海道なら北海道方面はVにするとか九州方面はUにするとか、こういうこともいろいろ論議をしてきたけれども、その結果は今回の放送法改正案みたいなものが出てきた。そうすると、この改正案が実際問題としてチャンネルプランにおいて施行されるということになった場合においては、UとV混在にならざるを得ないでしょうが。いまさらこれを全部もう一回統一するということはできぬでしょうが。たとえば東北から北海道は全部Vだ、こっちは全部Uだというふうに統一することは現行においては不可能でしょうが。そのことはもう八年前に論議をしてきた問題であって、あなたにいま答弁されるまでもなく、浜田電波監理局長がそういう答弁をしておる。それから一歩も進んだ答弁をしておらぬということは、われわれに言わすと何かどうも退嬰的である。もう少し前進をする方向に進んでもらいたい。だからちょうどこの改正案を契機にして、もっと具体的に真剣に取り組んでもらいたい。私の言っているのはこういうことですよ。それがさっきの大臣答弁のように、あとのほうの答弁はよかったが、初めのほうの答弁のように慎重に検討いたしますということだと、これまた八年くらいかかりおる、放送界はもう終わりだ。そういうことでは日本放送界はちっとも進まぬと私は言いたいのです。あなたの言わんとしていることはよくわかりますよ、あなたは技術者ですから非常に慎重さを持っているけれども、慎重も時によりけりで、やはり前進をする方向で慎重さを持ってもらいたい。このことを特に言っておるわけです。
  124. 畑和

    ○畑委員 まことにごもっともで、森本委員の言うとおり、私は森本君に軍配を上げます。やはりいいとなったらやらなければいかぬ。とにかく混在の時代がこれから特に始まるのです。そうしたら北と南でUとVに分けていかなければならぬのだから、やる以上は、先ほど大臣も、聞いたところによると八千円くらいの違いだと言っている、大量生産すればもっと差が縮まる。いまコンバーターをいろいろNHK等にやかましく言って安くさせるようにしてもさっぱり安くならぬ。やはり一万円くらいかかるような話を聞いております。そうなればやはり思い切ってオールチャンネルに踏み切る。そして猶予期間を置く、そうすれば三年や四年で寿命がくる。そういうことをにらみ合わせても早く実施に踏み切るということが私は必要じゃないか。まことに森本君と同感でございます。直ちにそのようにやってもらいたい。  次にお尋ねいたしますのは、第三条改正であります。第三条の二の第一項に第五号と第六号がつけ加わりました。この点を質問いたしたい。第五号「人命若しくは人権を軽視し、又は犯罪若しくは暴力を肯定することとならないようにすること。」それから第六号が「青少年の豊かな情操の育成、健全な常識の発達その他人格の向上に役立つようにすること。」この二項目が加わることになっておりますが、どうもこれも先ほどの教育の目的というのをつけ加えたのと同じように、私はこれは書かずもがな、こういうふうに思うのです。書くことがかえっていろいろな誤解を生み、あるいはあまりにも時代の世論に迎合し過ぎるということになるのではないか。こういうことの規定をわざわざ置かぬでも、その前のほうに第一号に「公安及び善良な風俗を害しないこと。」こういう規定がもうすでに明確にうたってある。それに従っていまNHKでも民放でもやっておるはずであります。暴力問題が最近やかましくなっているというようなことでこれを一項目取り上げたというのが今度の趣旨とは思うけれども、しかし、そういうことがまたかえって誤解を生むし、もろ刃の剣で、逆に暴力云々ということで必要以上の問題を起こすことになるのではないか。「公安及び善良な風俗を害しないこと。」ということに当然含まれておる。一々じたばたする必要はない。厳然とかまえておってよろしいのだ、私はそう思うのです。それから第六号の「青少年の豊かな情操の育成、健全な常識の発達その他人格の向上に役立つようにすること。」こういう規定を入れたのも、同様の意味から私どもとしてはどうも賛成できかねる。そういう積極的規定を設まることは行き過ぎではなかろうか、私はかように思うのです。これも当然そんなことは考えなくてもわかっているので、ことさらにこれはていさいがだいぶおかしくなると思うのです。第一、第二、みんなもうりっぱな規定です。第一号「公安及び善良な風俗を害しないこと。」第二は「政治的に公平であること。」第三は「報道は事実をまげないですること。」第四は「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」これはもう実にりっぱな規定だと私は思うのです。これにすべて包含される、かように思います。ここへていさいを改めて、ていさいを悪くして人命、人権の問題、それから青少年の情操云々ということをつけ加えるというのは、ていさい上もいかがかと思うのです。最近うるさいからそういうことにしたということでおそらく答弁なさると思うのでありますが、これはすでにいままでの規定で十分やっておられるし、放送事業者が全部やっておられるのだから、それを信頼して、特にここに書く必要はなかろう、私はかように思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  125. 郡祐一

    郡国務大臣 おっしゃるように、暴力の排除ということ、それから青少年の情操の育成、これが世論の一番期待されるところであり、そしてまた、現在の一項一号は確かに、善良な風俗を害しないようにということが書いてございますけれども、何と申しますか、物理的な力をふるうような暴力というものに対する国民の批判がことに番組で強く出ております。青少年の問題もその点を端的にとらえている、そういうことでございまして、このことが、おっしゃるように一号ないし四号に比べまして少し表現が変わっておりますけれども、また同時に、一番端的に求められているところじゃないかと思います。
  126. 畑和

    ○畑委員 これも議論していると長くなるから、これで先へ進みます。  その同じ項目の二項、三項、これは質問を前に関連していたしましたから、この点は省略をいたしまして、その次、第三条の四を飛ばして五、「放送世論調査委員会」、このことについて御質問をいたします。  この規定は臨時放送関係法制調査会の答申にはなかった点でありまして、新たに推賞とか勧告等の表現が加えられておりますけれども、それを加えた理由を御説明願いたい。
  127. 郡祐一

    郡国務大臣 放送世論調査委員会をつくりましたのは、何と申しましても、放送というのは他から規律されるものでなく、自分たちで規律しなければならない。それには、現在の番組審議機関もございますけれども、自主的な規律をいたしますために世論調査委員会というのはいい方向じゃないだろうか。しかしながら、その世論調査の結果というのを個々放送事業者が自分で判断をして受け取っていくということ、これにはそれぞれの見方というのもいろいろございましょう。かつ、世論というものを調査して明らかになったところというのは、放送事業者が知っておくことが必要であろうと思いますから、これらを、推賞とか勧告とかいう措置を設けまして、そしてかくあることが望ましいということを格別に示すことによって良質番組編集を刺激したり、あるいは番組の改善に資するという意味合いで推賞、勧告という規定を置いたわけでございます。
  128. 畑和

    ○畑委員 放送世論調査委員会の設置そのものは、もうすでにいままで番組向上委員会とか番組審議会とか、いろいろありまして、各自主的に持っておりますが、そのほかに今度NHK並びに民放を通じての放送世論調査委員会というものを設ける、そこでいろいろ放送についての世論を調査して、その結果、推賞、勧告等をするということになっておるのですが、これは屋上屋を架するものではないかというような感じがいたします。さらに、推賞とか勧告というようなことは、とかく政府がやるのでないからいいようなものでありますけれども、相当言論に対するいろいろな抑圧、介入ということになる危険があるというふうに私は思うので、その辺を心配いたします。  次に、委員会は「自主的な」ものというふうにされておる。一体「自主的」とはどういう意味なのか、この場合における「自主的」とはどういう意味か、だれに対して自主的なのか、放送事業者との関係をどう解釈するか、こういうことです。法文には「放送事業者は、その協議により、公衆の意見を放送番組に反映させるための自主的な世論調査に関する委員会を設けるものとする。」「自主的な」というのはどうもちょっとわからぬですね。一体放送事業者に対して自主的なのか、放送事業者が自主的にそういうものを設けるという意味なのか、ちょっとわからぬ。自主的にといっても、法律に書いてあれば自主的じゃない。法律強制すれば自主的ではなかろうと思う。この辺について承りたい。
  129. 郡祐一

    郡国務大臣 協議によりますることでありますから、その設立は、自分たちでこしらえるという意味合いで法律が自主的な点を保障いたしておりますが、それでは何に対して自主的なのかというお尋ねに対しては、政府なり個々放送事業者に対してまずもって自主的であり、それから、その他あらゆる政治的な社会的な圧力を受けないのだという意味合いで自主的と申してよろしいのだと思います。
  130. 畑和

    ○畑委員 しからば、委員会の組織、構想、それから世論調査の方法、設置の段取り等についてはどうお考えになっておりますか。
  131. 郡祐一

    郡国務大臣 組織は全国単一体の組織で、むしろそれのねらいは、NHKというものがある。それから五十九に及ぶ民間放送事業者がある。これらがばらばらにものを考えるのではなく、番組向上委員会はそういう形でありますが、全国の単一体の組織がある。そして事務局というものが付置される。調査方法といたしましては、世論調査委員会が直接にアンケートをとったり面接をいたしたりして調査する方法もございましょう。あるいは各方面からの意見を総合するという間接調査もございましょう、そうした調査方法をとってまいることに相なろうと思います。  そうしてお尋ねの設置の点は、NHKと民放とが協議して設置をいたす。おそらく私は経費は分担の形がいいんじゃないかと思います。放送局の数に案分してというようないろいろなことが考えられようと思います。それこそ自主的に考えることだとは思いますが、私は経費の点は折半という形が協議されることにふさわしいんじゃないか思います。
  132. 畑和

    ○畑委員 これは本気にやるつもりなら、ずいぶん大きな組織であり、相当金がかかると思うのです。ところが法律にこう書かれたから、じゃとにかく両方で話をしてできるだけ安い経費でやろうということになったんじゃこれはたいしたことはないので、それこそいままですでにもう番組審議会というものがあったり、あるいは自主的に番組向上委員会等を設けておる、それにまかしたらいいので、屋上屋を架するようなことになるのではないか。どうせやるなら相当金をかけてやらせたらいいのですけれども、これも自主的だから自主的にきめるというのですからどんなものができるか。私はその辺がこういう法律に書いても問題もあろうと思うのです。経費は分担、両方で折半するということになりましょうけれども、できるだけ安くしたほうがいいということになってしまうとたいして意味がなくなりはせぬか、こういうふうなことをおそれるわけです。  その次に進みます。委員会の公表する世論調査の結果ですね。その結果、この条文でいきますと、推賞とかあるいは勧告というようなことがなされるわけだ。そうすると事業の再免許の際にそれが業績評価の参考となるのかどうか、これを承りたい。
  133. 郡祐一

    郡国務大臣 世論調査委員会放送事業者との関係においていたすことでございまして、それを再免許の際の判断の材料にするということは考えられないことであります。
  134. 畑和

    ○畑委員 大臣としてはそういう再免許の際の業績評価にはしない、参考にはしない、あくまでも自主的に放送機関がやることであるからそういうことはないと言われますが、そういう点を、私はこのまま行なわれるとすると、民放関係等は非常にその点心配すると思うのです。それは大臣としてはそういうふうに考えて業績の評価には参考としない、こういう表明がございましたので、これはそのままとして次に進みます。  先ほど申しましたが、世論調査委員会番組審議機関との関係はこれはどう考えておるか。両者の役割りは先ほど言ったとおり重複しはしないか。同一事項について両者が全く違った意見、勧告を出した場合には事業者はどういう処置をすればいいかということも場合によっては考えられると思う。世論調査と番組審議、これは一応別ではありますけれども、非常に似た、共通した分野があると私は思うのです。したがっていま言った意見、勧告を出した場合にそれらの両者の間で食い違いがあることがあるのではないか、その処置はどういう処置をすればいいのか、世論調査委員会番組審議機関より優位に置く考えがあるのではないか、こういった点についてお尋ねいたします。
  135. 郡祐一

    郡国務大臣 私は、優劣ということは考えられないことで、別の目的を持っていると思います。と申しますることは、世論調査委員会のほうは全放送事業者を集団としたものに属するものである、そして特定の放送事業者に付置されたものではございませんから、そういう見地から世論というものを端的にとらえようとする、それから番組審議機関のほうは個々放送事業者がその諮問機関として設置をいたしていく、まずもってこういう性格の上の違いがあろうと思います。そして番組審議機関はその委員それぞれの個人的な見識なり個人的な能力というものが権威を持ってまいります。したがって、番組審議機関のほうはそれぞれの個人の意見というものが世論の正しい意見を反映いたすことに相なってまいりましょう。しかし世論調査委員会のほうは個人は表に出ませんで、放送番組に関する世論そのものを分析したり調査をいたす、そうしてその結果が放送番組に反映する。したがいまして、今後のこの運営というものが、非常に結果を左右してまいると思いますけれども個々放送事業者番組審議会を持ちながら、世論調査委員会が世論というものをはっきりつかまえていくということは、私はこれからの番組向上の上に必要だと思っております。
  136. 畑和

    ○畑委員 次に、今度は、だいぶ似通っておりますが、番組向上委員会ですか、これはNHKと民放で共同して自主的に、——最近世論がいろいろうるさい、うるさいと言うと語弊があるかもしれませんが、非常に番組の低俗化等がいわれております。そうかといってこれを法やあるいは当局によっていろいろ介入することも好ましくない、これはもちろんでありまして、そのために自主的に番組向上委員会というのを設けておりますが、これは番組審議会とちょっと違って、番組をいかにして向上させるか、世論をしんしゃくをしてどう向上させるかということの自主的な委員会でありますが、番組審議会よりも以上に私はこの世論調査委員会とダブる仕事が多くなるんじゃないか。片方はほんとうの任意機関で世論に促されて自主的につくった委員会であります。法定されたものではないのですけれども、今度の場合は法定されて、自主的ではあるけれども、法定されて自主的につくるようにするということの世論調査委員会、そうなると番組向上委員会はそのまま存続させるのかどうか。またこれを今度のきめられた法定委員会に転換させるのか。委員をそのままというわけではありませんが、今度の法定委員会に転換させることにするのか。これはおのずから違うから別なんだとやはりおっしゃるかもしれませんが、その辺はどうお考えですか。
  137. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  ただいま先生お話のように、現在活動しております番組向上委員会と申しますのは、これは全く業界の何といいますか自主的な発意によりましてでき上がったものでございまして、ただいまは放送連合の中に置かれております。このたび法案にあげております世論調査委員会、その機能、役目といたしましては、向上委員会もその業務目的あるいは運営の方法を見ますと番組に対する世論を調査し、番組の向上に資するということをうたってございますので、似たような活動をねらいとしているようでございますけれども、いずれにいたしましても、片方は全くこの放送法関係のない、いわば民間の機関でございます。ですからこの改正法によりまして法律に基づく世論調査委員会をつくらなければならぬことになりますけれども、現在ございます向上委員会をどうするか、どのように使うか、存続させるかどうかというようなことは全くこれは業界の考えによるわけでございまして、一方またお話にございましたように、この法律に基づきます世論調査委員会を全放送事業者の協議によりつくりますときに、現在実態的に活動しております向上委員会でお願いしているメンバー、あるいは持っておりまするいろいろの資料であるとか、そういうものを活用できて移すといいますか、そういうことがありましても、これは別に法律上どうということもございませんので、その点は業界の自主的な判断にすべてまかされているものと思います。
  138. 畑和

    ○畑委員 その点ですが、今度は法律できめられるからこれを置くということに当然ならざるを得ないわけですが、おそらくNHKにしろあるいは民放にしろ、せっかく自主的な番組向上委員会があるのになあ、こういうような感じを持つのじゃなかろうか。それじゃいままでの向上委員会をどうしようか、じゃ、これをこのまま発展的に解消して、それでそっちのほうに吸収させるようにしようか、そんなことも考えるくらいに私は屋上屋を架すことになるのではないかというので、そういう質問をしたわけです。しかし、お役人の答弁としてはそういうことになるので、それ以上これは——向上委員会をどうしようこうしようというのはそれは自主的に、法律にきめてないんだからそれこそ自主的にきめるべき問題で、要らないと思えばなくすでしょう、こういうことの答弁だと思うのです。私は屋上屋を架することにならないかという趣旨で質問したのです。しかしそれだけでとめます。  もう一つ質問したいのは第三条の六、非常の場合の放送の規定を新たに設けた、これはなぜかということです。これも、いろいろ私が言いましたのと同じような趣旨になりますけれども、一体これまで災害時の非常時における放送事業者努力が十分でなかったと考えているのか、したがって今度はひとつ十分にそういう場合も努力をさせようということで、法律で明定すれば、いやおうなしにいままでよりも一生懸命やるだろう、いままで不十分であったということで考えているのかどうか。非常時における処置は放送事業者の良識に期待して、その自主的判断にまかせていいものじゃないかと私は思うのです。いままでも新潟地震とかああいった非常の災害の場合には、NHKその他民放も相当活躍をいたしておる。やはり相当報道の公器としての役割りを果たしておると私は思うのです。  ところで、「災害その他非常の事態」こうなっておるのです。この「その他」とはどんなことか、非常の事態が発生するおそれがある場合の判断というのは一体だれがするのだ、これにはだれも当局がそれを強制するようには書いておりませんけれども、一体その判断はだれがするのか。私は訓示的な規定だと思うのですが、しかしこういうものが入ると、どうも、先ほどから懸念しておりまするもろ刃の剣になりはせぬかという感じがいたすのです。また「秩序の維持に役立つ放送」というのは一体どういうことなのか。こう一つ一つたどってみますると、一つずつ問題はあると思うのです。なかなか一がいに言い切れないところがあると思うのですが、私いろいろ口早に申しましたけれども、その何点かについてひとつ御意見を聞かしてもらいたいと思うのです。
  139. 郡祐一

    郡国務大臣 まず、災害その他非常の事態を判断いたしますのは、いま畑さんがおっしゃったように、これはこういう努力を規定いたしておるのでありまするから、判断いたします者は放送事業者自体でございます。  それから災害その他非常の事態と申しますのは、現在の電波法七十四条に長く出ております「地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態」この上の一切をひっくるめて災害というていると大体お考えいただいたらよろしいだろうと思います。そして結局、おっしゃるように、新潟地震のような場合に非常にいい効果を出しておる。その出しておる効果をさらにあげるために努力をしてもらいたいということだと思います。したがいまして、「秩序の維持に役立つ放送」と申しますることは、交通なり通信なりその他の秩序が混乱をいたしておりまするとき、また混乱するおそれのあります場合にそれに役立てよう、してくれ、こういうことでございまして、新潟地震の際におけるような放送事業者活動というものがいつの場合にも期待されるように、それにつとめてくれということを申しておるだけ、したがって、申さばおっしゃるような訓示的な意味を持っておる規定でございます。
  140. 畑和

    ○畑委員 それが文字どおり訓示的であればいいと思うのです。新潟地震の場合は、だれしもこの間の放送事業者の活躍はなかなかりっぱなものだと思うけれども、それが地震災害、そういった天然の災害の場合は別なんですが、たとえば安保闘争、安保騒動、一九七〇年が近づいてまいります。そういうことを予想して訓示的というような、言わずもがなだが書いておくのだということでこういう規定が出てきたのではなかろうかと思うのです。「非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合には、」なんという、この「発生するおそれ」なんというのは一体だれが判断するのか。こういうことを書いた以上は放送事業者はその気になって一生懸命やらなければいかぬというので、もし安保騒動みたいなものが一九七〇年に起こるといたすと、そういうことを予想して特に明文として書かれてあるのだからやらなければならないということで協力させるということのねらいがあるのではないか、その点を、勘ぐるようだが聞きたい。そういうことはちっとも考えていないのですか、考えておるのですか。
  141. 郡祐一

    郡国務大臣 これはごらんのとおり主務大臣放送事業者に何の作為も不作為も求める規定ではございません。そして放送事業者は、むしろこういう場合に——災害基本法等を見ましても、知事なり市町村長なりだれか災害が起こったときはすぐ放送事業者に通知するような規定をそれぞれの場合に持っております。放送というものに、非常に重要なそういう場合の役割りを他の法律も期待しておるのでありますから、放送法自身が放送事業者にこうした努力、当然あるべきことだということをいうておりますことは、決して何かの事態を予想してというものではございませんし、そのような意味はこの中から全然出ておりませんので、どうか御安心を願いたい。
  142. 畑和

    ○畑委員 どうも大臣はそういう答弁をするけれども大臣がやっておる間はいいかもしれぬけれども法律は書かれると一人歩きをいたしますから、しかももろ刃の剣でありますから、こういうことは非常に危険があるので私は質問をいたしております。とにかくそういった政治的意図などはないのだ、率直に、ただ単純にこれをそのまま出す趣旨で書いたのだ、こういうことでありますけれども、非常にその点を私は心配いたします。そういうことにならないようにやってもらいたい。私としてはこれにはちょっと賛成できかねる。そういう危険を感ずるがゆえに、私個人としてはそういう感じを持っております。しかし、これは議論をいたしておりましてもそれ以上発展することもないと思いますので、以上で私の質問を終わりますが……。
  143. 森本靖

    ○森本委員 関連大臣、こういうことははっきりしておいてもらいたいと思います。わが党としてもこの非常の放送の問題については非常に意見があったところなんです。ただし、これはあなたが言ったように、こういうものを期待するという一つ法律の受け方になっておるわけです。これはそういうことを期待するということを受けておるわけであって、この根本は現行電波法の七十四条の二からきておる問題である、なぜこう答弁をなさらぬのですか。答弁技術として非常にまずい答弁をしておる。これははっきりしておかないと非常に問題が起こるのですよ。あなたは放送法ばかりに目をつけておるから、いまみたいな論議になってくるわけです。これは、いわゆる電波法の七十四条の二によるところの一般民間放送事業者に対する期待権をうたっておるわけなんです。そうでしょう、大臣
  144. 郡祐一

    郡国務大臣 七十四条の二の規定は、「非常の場合の通信体制の整備」というこうした措置をきめておりますが、しかしこの放送法で言うておりますことは、つとめることによって免責になるのだから、何ら放送事業者についての作為または不作為を求めるものではないということを私は申しておるのでありまして、おっしゃるように七十四条の二と相まちまして、そして非常の場合の放送というものは、完全に放送事業者の責務を果たすことを期待しておるのだと思います。
  145. 森本靖

    ○森本委員 だから、これはいま言ったように、三条の六のところを読むと、われわれは非常に警戒しなければならぬ、こう考えるわけなんです。しかしながら、現行電波法には七十四条の二に、非常というものがある。だからこの「非常の場合の通信体制の整備」というものを受けて、第三条の六というものは、そういうふうにひとつつとめなければならないというふうに、ここに受けて立っておる。こういうふうな法解釈になれば、いま言った心配がない、こういうことになるわけであって、その辺ははっきりしておいてもらいたい。これは今回、放送法の中に突如として出てきた問題であるとするならば、はっきり言いますと、これは相当大きな問題になるわけです。ところがそうではないのだということで七十四条をやるとするならば、もともとこの七十四条というものは、これは現行法にもありますし、今回のにもあるわけですから、それを受けて、それに対するところの一つ放送事業者に対する期待である、こうなるわけでしょう。
  146. 郡祐一

    郡国務大臣 七十四条があり、そして七十四条の場合には実費の弁償等を伴う規定になっておる。その七十四条を受けて七十四条の二がある。放送法三条の六は、放送事業者努力義務であるから、したがって実費の弁償等、電波法七十四条とは違った立て方はいたしておりますけれども、これは表裏をなすものであるということは、おっしゃるとおりであります。
  147. 畑和

    ○畑委員 ところで、もし放送事業者が、そういう災害の場合に、この趣旨に書いてあるようなことの努力をしなかったという場合にはどうなるのですか。別に何ともないのですか。それとも政府のほうで、なぜやらぬのだということをやるのですか。その辺を聞きたい。
  148. 郡祐一

    郡国務大臣 つとめることを規定してあるだけでございます。これに対してどういう要求、作為、不作為を求めるものではございません。
  149. 畑和

    ○畑委員 終わります。
  150. 砂原格

  151. 受田新吉

    ○受田委員 時間が進行しておりますが、大切な放送法電波法改正案でございますので、民社党を代表してまず基本的な問題点、さらに具体的な問題点をそれにつけ加えて質問をさしていただきます。  今度の放送法改正案なるものは、昭和二十四年に放送法が制定されて以来、初めて根本的な法改正の手段をおとりになったわけです。私もちょうど二十四年の放送法その他電波法電波監理委員会法の、いわゆる三法案を担当さしていただいてから十七年たって、ここにさらに進歩した立場でこの改正案を扱うということには、感概無量なものがあるわけであります。しかし私が今度の放送法改正で非常に遺憾に思うことは、せっかく根本的放送法関係改正のために、臨時放送関係法制調査会という機関を設けて、その機関を通じて、いわゆる学識経験者のすばらしい人々を、衆知をすぐって答申を得たものに対して、その答申の扱い方が尊重という形式よりはるかに後退して、この調査会の答申が、いわば軽視された形でこの改正案が出されておるという問題です。私はいまからこの調査会の答申に基づいて、その答申の扱い方をこれより逐条的に質問さしていただきます。法律案そのものにつきましては、さらに後ほど佐々木委員からお尋ねさしていただくことと思いますので、御了解願いたいのでございます。  この臨時放送関係法制調査会というものの存在を、郵政大臣はどのようにお考えになっておられるか。同時にこの調査会が、答申書を長い間苦心の末つくって提出したものに対して、尊重という観念でお取り扱いになったにしては、いまから申し上げる驚くべき幾つかの基本的問題さえもお取り上げになっていないという結論が出ておるわけでありますが、この扱い方に対して、尊重の意識がどの程度あったかお答え願いたいのです。
  152. 郡祐一

    郡国務大臣 おっしゃいますように、現在の法体系の上で、必ずしもなじまないような種類のものもあるように思いましたので、答申をそのまま採用しなかった部分もございますけれども、この調査会の答申は、きわめて各般に法律的な事項を網羅し、また法律以外におきましても、考え方等の中に非常に行き届いた答申をしておられますので、尊重し得るものは可及的に尊重をいたす、こういう考え方で調査会の答申は受けとめておるつもりでございます。
  153. 受田新吉

    ○受田委員 答申が出て一年半たったわけですね。郵政省としても相当研究期間が与えられたわけです。実は昨年の国会に出されるのではないかと、ここにおられる徳安さんの大臣のときに期待をしておったわけでございますが、それが残念ながら持ち越されて、郡大臣の際にこれが提出されたわけです。一年半という猶予期間があった。猶予期間があったにしては、大臣きわめて尊重した答えが出ておるとおっしゃっておられるが、それじゃ私まず指摘さしていただきましょう。基本的な問題として、放送行政というもののあり方について、調査会はここにりっぱな放送行政委員会を提案しておられるわけです。これはいま電波監理審議会にその責任を転嫁して、周波数の分配計画等、チャンネルプラン方式というものを、そのほうへプラスしたようなかっこうでごまかしておられるのじゃないかという懸念があるわけです。私はここに調査会が描いたこれからの放送事業の理想図というものに、郵政大臣の強権発動の形でなくて、民主的な運営によるところの放送行政委員会にその大幅な権限を委譲して、そしてその放送行政委員会委員会の議決に基づいてのみその権限を行使するというように郵政大臣に対する制約をしている。そして「ア議決事項」には(ア)から(カ)までの詳細な審議事項が盛られておるわけでございますが、このすばらしい理想図を郵政大臣権限強化のために都合が悪いという形でどうしてこれを葬り去られたのか、所見を伺いたいのです。
  154. 郡祐一

    郡国務大臣 放送行政に関します委員会の構想につきましては、答申自体におきましてもわが国の行政機構の一般の例にかんがみて、いわゆる行政委員会は適当でないのだということを申し述べております。また放送というような社会的、経済的、文化的に関連するところがきわめて多い行政におきまして、その委員会性格なり機構なりをいかに考えてみましても、放送に限っても行政委員会というものは成り立たないものでございます。したがいまして、電波監理審議会への諮問事項等を増加して、そして公聴会制をとるなどして、その機能を強化する、これが一番政府責任政治の上からも——放送行政について調査会が言っております。一貫性を保ち、そしてその公正を保障するという意味合いでその機能を十分果たし得るものであろう。行政委員会というものは、全体の行政秩序の上から、あるいは政府責任の上からその所在を不明瞭にするからとるべきものでない、こういう判断をいたした次第でございます。
  155. 受田新吉

    ○受田委員 調査会そのものが放送行政委員会に対して批判的なことばも述べている、その文句はどこにありますか。
  156. 郡祐一

    郡国務大臣 一二三ページのしまいの段落のところに「わが国の行政機構の一般の例にかんがみ、国家行政組織法第三条委員会(いわゆる行政委員会)であることは適当ではなく、」云々、第八条の一環として受ける、こういうようなことを言うております点、これも行政委員会じゃないといっておるということを申し上げた次第でございます。
  157. 受田新吉

    ○受田委員 私いま指摘しているのは、いわゆる国家行政組織法のような形の行政委員会であってはならぬということなんです。それをあなたがちょっと混同しておられるのです。国家行政組織法のように一般国家行政と同じ形をとってはいけない。そこに放送の自主性とか高度の公共性とか特殊使命を持つ事業であるだけに、その性格そのものは民主的運営に基づくものであるということは、これは当然考えられるわけでございますが、しかしそれを検討した結果、放送行政機構についての答えがここに放送行政に関する委員会として出ておるわけです。いま私が指摘したとおりです。大臣は、私がいま指摘しようとするものとは混同して、国家行政組織法上の問題をそのほうへちょっと責任転嫁されている懸念があるわけですが、調査会が求めている民主的な放送行政の委員会という立場でなぜこれを採用しなかったかをお尋ねしておるわけです。
  158. 郡祐一

    郡国務大臣 政府としては答申の線に沿うて、調査会がいっておりますように諮問事項を追加したい。公聴会制度を採用したりする、そうして機能を強化していく。そうすると、この答申がねらっておりまする機能というのは——そのような意味合いでの放送行政についての諮問機関としての機能は、電波監理審議会で十分果たせるのではないか、それを形を言うておるのではなくて、実質を調査会は要求をしておるんだ、そういう考え方でつとめて電波監理審議会の機能を充実したいというわけでございます。
  159. 受田新吉

    ○受田委員 電波法に規定する電波監理審議会と、放送法に規定する放送行政に関する委員会とは、これはおのずから性格が異なってくるわけです。その扱う問題が電波法の形で電波の技術的な問題等のほかに、もっと幅の広い放送行政に関する分野がこれに列挙されております。この部分は、それではどういう考えで漏らされておりますか、いまこの放送行政委員会の列挙している中で、もしどれがはずれているかをお尋ねになれば私が申し上げましょうが、電波監理審議会で扱っていない調査会の要求はどういうふうに処理されようとしておるのですか。
  160. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  答申の中でいっております放送行政に関する委員会、これはもちろん固有名詞として書いてないことは当然でございます。放送行政に関する大臣の諮問機関——りっぱなものをつくります、こういう意味のものをつくりなさいという意味で答申がなされておるようでございます。  それで名前はいずれにいたしましても、そこで取り上げます項目として答申があげております事項は、答申書の二七ページに、「周波数の使用に関する計画」、「免許又は免許拒否」の問題、「放送局の免許の取消し、……等」ですから「放送に関する処分に係る異議申立てに対する決定」、次に「放送局の免許基準に関する省令」、それから「放送の標準方式」をあげておりますが、この項目はただいまの電波監理審議会、電波法及び放送法にその取り扱います事項がきめてありますところの電波監理審議会の諮問事項に全部合っているわけでございます。従来この再免許ということがございませんでしたが、これが問題にあがっております再免許区分、これは今度の改正法電波監理審議会の諮問事項として追加いたしたものでございます。  それからこの「放送用周波数の使用に関する計画」、これはいままで法律上の制度がございませんでしたからあがっておりませんでしたが、実際上においては、いわゆるチャンネルプランというものをつくりますときには諮問しておりました。今回はこれが法律事項になりましたので、当然その諮問事項の中に加わることになると思います。したがいまして、これは全部諮問事項になるということでございます。
  161. 受田新吉

    ○受田委員 戒告権の発動はどうなっておるのですか。
  162. 館野繁

    館野政府委員 答申がいっておりますことでこの法案にあげませんでした問題が三つ四つございますが、その中では戒告制度というものをこの改正案は取り上げておりませんので、したがって諮問事項にも入っていないということでございます。
  163. 受田新吉

    ○受田委員 それは議決事項の中へちゃんと入っておりますね、答申の中に……。
  164. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  この答申によりますと、現在の規律の方法に対して、戒告という制度法律上にあげるべきであると答申はいっております。それをこの議決という項目にあげてきたわけであります。先ほど申し上げましたように、免許人に対する戒告制度そのものを今度は法案にあげておりませんから、改正法におきまする電波監理審議会の諮問事項にもあがっていない、あげなかったということでございます。答申は戒告制度というのをまずつくって、それに関する議決をこちらの委員会の議決事項にしなさい、こういうことでございますが、もとの法律にあげておりませんから、改正法におきましても電波監理審議会の諮問事項としてはあがってこないということでございます。
  165. 受田新吉

    ○受田委員 それはおかしなことなんです。もとの法律になかったからといって——放送行政の委員会の議決事項の中へ戒告等に関する規定を入れておるのですね、それをなぜはずしたかということです。すなおに答申をのんでいないじゃないですか。これを全部入れたとおっしゃっておるから、いま一つ例をあげたわけです。いいかげんなことを言っては困る。
  166. 館野繁

    館野政府委員 それは私の不注意でございました。これは(ウ)として「放送局の免許の取消し、運用停止、戒告等」とございますのですが、この取り消しと運用停止のほうは本条のほうにありますので、入っておりますが、戒告はもともとこの法律にあがっておりませんので、それは入っておりません。訂正させていただきます。
  167. 受田新吉

    ○受田委員 そうでしょう。とにかくすなおに言っていただかないと。全部入っておるとおっしゃるから、そうなると指摘せざるを得なくなる。それと運用の面におきましても、このアイウとエのこの聴聞事務局設置などの提案がされておるわけですね、こういうこの放送行政の委員会の任務が。この点どこで取り上げられておるか。
  168. 館野繁

    館野政府委員 ただいまの電波監理審議会には、郵政省官房にもっぱら電波監理審議会の庶務及び議事の仕事をいたしております事務局としての審理課という課を一つ持っております。従来の審議会のいろいろの調査審議に現在の審理課という機構で十分足りるということで、その設置法の改正は出しておりません。
  169. 受田新吉

    ○受田委員 それで、その審理課に聴聞などを行なう聴聞事務がありますか。
  170. 館野繁

    館野政府委員 お答え申し上げます。官房審理課というのは、庶務及び議事の整理、委員の補助ということをやっております。そのほかに、審理官という官がございまして、これはもっぱら電波監理審議会長の指揮を受けて事務をとる。したがいまして、一般の行政のほうの仕事は全然やっておりませんので、聴聞のケースがございますと、その審理官というのが電波監理審議会の定めるところに従って、聴聞の主宰をするという制度になっております。
  171. 受田新吉

    ○受田委員 これは、その電波監理審議会の審理官、その審理官が聴聞の事務を扱っておるから、その問題は、その事務局機構の一部として解決をしておるとおっしゃるわけですね。ここであげているのは、この放送行政委員会が職務を行なうのに必要な調査を行ない、あるいは聴聞を実施するための事務局というものが要求されておるわけです。それにそのまま該当をすると私どもは判断しかねるわけです。
  172. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。その聴聞の主宰というのは、多く聞聴は異議申し立て等の第一審的な訴訟のことにかかわることが多うございますし、その他重要な事項の審議が多うございますので、委員自体が聴聞を主宰いたしますか、あるいは委員の命によりまして行動いたします審理官という特別な官が、その聴聞の主宰に当たります。そのほか官房審理課というものがスタッフがございまして、これが答申でいっております事務局の仕事をいたしておるわけでございます。
  173. 受田新吉

    ○受田委員 そのかっこうが、いわゆる放送行政の委員会が考えているような形のものでなくて、いかにも専門的なかっこうに見えるのです。むしろこの放送行政委員会なるものが期待しておるものは、もとより高度の放送行政に関する聴聞機関としての事務局というものを考えておると私は判断しておるのでございますが、これは従来の電波監理審議会をそのままこれに充てようとすることで、よほどそこに無理が起こってくる。私は放送行政という技術的な問題を含みながら、より高い角度から見た郵政大臣の諮問機関ではあるけれども郵政大臣そのものが放送行政の全般にわたっての高度の判断力を十分生かされるような形の、つまり技術面のみでなく、行政面における問題を含めた委員会を期待しておったと思うのです。これは委員の人々から個々に聞いても、この放送行政委員会なるものの抹殺に対しては非常な不満が出ている。これを電波監理審議会に転移して、電波法でこれを処理したということに対しては非常な不満が出ている。私、もうあまり突っ込まぬことにしますが、電波管理局から出された放送事業に関する資料などを見ましても、オーストラリアなどの放送行政管理委員会なんというものは、非常にりっぱな機構になっている。それからニュージーランドなどでは放送大臣までつくって、放送行政に対する高い権威を保っておるわけです。この各国の形態を見ましても、放送行政の管理委員会という形のものが、単なる技術関係電波監理審議会のようなものでなくして、広い分野の行政面を担当する機関として誕生している。この国際的分野から見ても、日本にひとつこの放送行政に関するいわゆる行政委員会——フーバー委員会のようなかっこうの委員会でなくて、純粋な民主的運営がされる委員会としてこれを誕生せしめていただきたかった。これがまず私たちの指摘する基本的な問題点であります。  さらにこの答申の中からつかみ得ますものは、この免許制度、その中の再免許の審査というところでありますが、この中には「業務運営に関する基準その他の免許条件に対して明らかな違背をあえてしたり、また、度重なる戒告処分を受けたような業者に対しては、断固たる態度で臨むようにすることが望ましい。」と、こう書いてあるわけです。そうして、そのことに具体的な場面を想定しながら、最後に「この際新たに行政処分の一つとして戒告処分を設け、その累積に対して上級処分を行なうようにすることが、監督上の実効を保つ方式として適当であると認める。」これは現在でもある程度の制約を受けておるわけではございますけれども、明らかに公序良俗に反したり、あるいは不偏不党の放送原則に反したりするようなことをあえてする場合を、これは放送の自由性、公共性というものを原則として守りながら、しかしながら一方でそうした秩序を保つという方式をきちっとしておくことが、特に民間放送業者に対しましても、民間放送業者そのものが大いに奮励努力して、公序良俗に反しない、国民のためになれるりっぱな放送をして、一方で商業放送の本質を明らかにしながらも、繁栄する基礎になると思うのです。私は、民間業者そのものが、昭和二十四年に放送法ができるときに、当時の三十五条と六条に、わずかに二カ条だけにぽっちりと書かれてあったあの時代を顧みたときに、今日、との民間放送事業、すなわち一般放送事業者というものがこの繁栄を見たということは大いに祝福するものでありますが、関係業者が異常な熱意を持って民間放送の発展に寄与したということに大いに感謝したいのでありますが、同時に、ここまで伸びた民間放送業者が、高い品性と、そうしてより公共性を持ちながら、一方で商業放送の本質を明らかにしていく、そのためにも、曲がった放送業者に対して、き然たる態度を持って臨むということには、みんなが賛成してくれると思うのです。この規定を全然抹殺している理由をお伺いしたいのです。
  174. 館野繁

    館野政府委員 答申の趣旨で法律上の取り扱いができるものにつきましては、できるだけ立法化をいたしております。なお、答申のいっておりますことの中には、すべてがその立法措置を要請しているということでございませんで、行政の姿勢あるいは放送事業者業務遂行上の心がまえというような点について、いろいろと意見が出されておりますので、繰り返して申しますると、ただいま先生が御指摘なされました、この免許条件の維持というようなことに関しましても、法律上、立法上の事項としてあげ得るものをできるだけ今回の放送法電波法改正にはあげるべく努力いたしたつもりでございます。例をあげますると、放送法五十一条におきまする、民放に対しまする資格と申しまするか、適格性と申しまするか、それを明らかにいたしまして、放送事業の免許という制度をとり、あるいはその適格性、資格といったようなものを電波法に引用いたしまして、免許の際の審査を目途として、法律上に明記するというようなことをいたしております。なお、それに伴います電波法の罰則その他につきましても手当てをいたしているわけでございます。
  175. 受田新吉

    ○受田委員 いま調査会は法律事項としては要求しないというようなお話がありましたね。いま私が申し上げたことははっきりと答申に書いております。それは、「法律改正に当たっては、特にこの点に留意し、法制上遺漏なきよう措置すべきである。」と明瞭にうたっているわけです。
  176. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  全体といたしまして、そういう精神でこの答申を受けとめてまいってきておるのでありまするけれども、維持運営の条件であるとか、あるいは確保の方法であるとかというようなことはすべてが法律の上にいろいろの規定をあげ、制度をつくることだけによってこの答申がいっておりますようなことができ上がるものではございませんで、そのうち、現在の法律体系あるいは放送事業というものにかかわる、法律が規定し得る限度というようなものを考えまして、その範囲内におきまして、この答申でいっておりますこの面の法的な整備をできるだけはかるべくつとめたということを申し上げたわけでございます。
  177. 受田新吉

    ○受田委員 これは特にここでは法的基礎を明らかにせよと指摘してあるのです。だから、それは郵政省が融通無碍に考えられるようなものでなくして、この点は、善良なる放送業者が一部の悪徳業者のためにその信頼を失ってはならぬという意味の処分規定というものは設けて、しかもそれは法律事項として設けろとうたってある。それはいまの制度の上にそのことを全然顧みられない形で、上級処分というようなことさえも考えていない。
  178. 館野繁

    館野政府委員 答申でいっておりまする先生お話は、戒告処分ということの提案についてであろうと思いますけれども、これも、現在のこの法律の上で何とかこの考えを生かす方法がないかということで、いろいろと政府部内において検討いたしましたし、各省間の話し合いその他もいたしましたけれども、この戒告制度というものがそのままずばり当てはまりまするのは、俗にいいます特別権力関係と申しまするか、身分的ないろいろの非違に対しましての罰ということではございまするけれども業務に関しまする法律の上で、戒告ということが、一つの罰則と申しまするか、規制措置としては日本法律にはございません。しかし、その精神はとにかく大いに尊重すべきものでございまするから、何とかこの提案そのものずばりを法案化したいと思っていろいろ研究いたしましたけれども、いま申しましたように、このものずばりでは、一つの規制措置としては、法律の上にあげるに至らなかったということでございます。ただし、その精神をあらわしますために、生かしますために、その他のいろいろな罰則規定であるとか、あるいは取り消し事由の整備であるとかいうことの面で、この精神を生かすべくつとめたということでございます。
  179. 受田新吉

    ○受田委員 いまお話しの戒告処分ですが、「この際新たに行政処分の一つとして戒告処分を設け、」これは仮法です。「その累積に対して上級処分を行なうように」とある。私がいま指摘しているのは、戒告処分よりさらにもう一つ上級処分がある。これをうたっているのです。あなたはいま、単に戒告処分か上級処分に該当するような御答弁をされましたけれども、戒告処分の上のさらに上級処分。それからもう一つ、行政処理上の、身分上の取り扱い方として、戒告ということばはいまでも一般に使われているわけです。法律上どこにも使われていないとおっしゃったが、戒告ということばは現に用いられているわけであります。
  180. 館野繁

    館野政府委員 お答え申し上げます。  戒告ということば法律上使われていないとは私申し上げたつもりじゃございません。身分上にしか使われていないということでございまして、この電波放送といったような無線局の運用あるいは免許人といったような立場におきまする者に対しまする規制としましては戒告ということばが使われていない。その主管庁と法律上の地位を得た者、免許なり許可なりを得た者の間では使われていない。たとえば一つの身分上の監督者と被監督者といったような者には制度としてもちろんございまするけれども、主管大臣と、その大臣が所管する業務の法的な地位を持った者との間では戒告というものは制度はつくられていないということでございます。  それから上級処分と申しまするのは、答申でも当然いっておりますように、たとえば現在ございます電波法七十六条でいっておりまする取り消しであるとか、あるいは無線局の放送局の運用の停止であるとかいうことがこの戒告の上級処分として、この答申はいっておるのでございまして、この上級処分は現にあるわけでございます。
  181. 受田新吉

    ○受田委員 私はいまそこを指摘したわけですが、この新しい制度として、戒告処分を行政処分として設けるということは不可能ではないのです。身分上とおっしゃるけれども法律事項としてちゃんと戒告ということばは出ておるのです。法律の身分の上の戒告がいま盛んに行なわれておるのです。したがって、これを用いるということは、当然法律上不当不法の規定ではない。  それから、さらに上級処分を行なうということでございますが、その上級処分が実際の運営で、ちょっとお尋ねしますが、されたことがあるのですか、どうですか。
  182. 館野繁

    館野政府委員 電波法七十六条の運用の停止、それから運用停止の命令に反した場合の取り消しというようなものは、一般無線局におきましては再々ございまするが、放送局につきましてはいままでなかったように記憶しております。
  183. 受田新吉

    ○受田委員 この免許の取り消しという累積に対する上級処分、これが現行制度では最高の処分になりますね。
  184. 館野繁

    館野政府委員 免許の取り消しというのが最高の処分だろうと思います。そのものが免許人たる地位がなくなるわけでございますから。
  185. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、この上級処分は最高の処分で、現に規定がある。それでこれを要求した、それで認めることができるという判断ですか。
  186. 館野繁

    館野政府委員 答申で戒告処分というものを考えて、その累積があったときに、上級処分によってやっていく。取り消しであるとか、そういう処分の前に戒告処分というものを置けということを言っておりますので、その際に、その答申でいっております上級処分というのは、従来もございまする運用停止であるとか、免許の取り消しを、本文のほうでもそれを前提として書いてございますので、われわれはそう理解してやっておるわけでございます。
  187. 受田新吉

    ○受田委員 突然免許の取り消しあるいは運用の停止とか、そういう形にいかないで、終始要注意者として戒告を続けていくというこの過程をとることは、親切なやり方だと思うのです。やはりこの制度というものは一応置いておかないと、突然免許の取り消し、運用の停止、こういう形に持ち運ぶことは不親切である、さようにお考えにならないでしょうか。
  188. 館野繁

    館野政府委員 答申はそういう考えのもとに、この意見が出てきているのかと思いますけれども、戒告処分制度を設けませんでも、その運用停止、その他に至るおそれのあるということが、郵政省側でわかりましたならば、それは事実上の注意なりあるいは通知なりということをすることは当然できることでございまして、親切な行政という面からいたしますと、そういう道があるわけでございまするから、できるだけそういう現在郵政省に与えられております権限なり、あるいは法律上の規定に基づきまして、突然に免許取り消しであるとかいうような事態に至らないような行政をやっていくことは可能であると思います。
  189. 受田新吉

    ○受田委員 それを現状で可能である。それと、戒告処分に付して、精神的な一応の影響力も与えて、十分反省して立ち直っていくという手続をとるのと、どっちが賢明か。これは郵政省の措置として十分研究する問題だったと思うのです。私はそれだけでこのことはおいておきましょう。  答申に基づいて逐条お尋ねしますが、NHK受信料の使途について「その施設の一部を民放にも積極的に利用させ、又は民放と共同して業務を行なうことが望ましい。」と規定してある。このことは一体民放の受信料に対する利用度というものを全然お考えにならなかったのかどうか、御答弁願います。
  190. 館野繁

    館野政府委員 受信料性格及びその使い道ということは、放送制度の上で非常に大事な問題の一つでございます。したがいまして、この答申にありまする「受信料の使途」ということにつきましても、郵政省がものを考えます際の非常に大きなよりどころとして参考にしたわけでございます。  そこでただいま先生がおっしゃいました「その施設の一部を民法にも積極的に利用させ、又は民放と共同して業務を行なうことが望ましい。」ということは、すでに現行法におきましてもその道が開かれておると私たちは考えております。たとえばいろいろの面におきまして研究その他の業務の民放からの受託、あるいはいろいろ番組資材の提供、あるいはその他の業務の共同主催といったようなことができるようなことになっておりますし、現にいろいろの形におきましてNHKと民放は放送の発展のために共同の仕事をしております。したがいまして、その点につきまして特別その規定を現行法に加えるということは必要なかろうと考えたわけでございます。  ただし、その際に、受信料性格からいたしまして、自由企業であり、営利事業の場合が多い民間放送事業会社自体に直接の形で受信料が回っていく、補助金的に回っていくというような使い方は、これは制度上すべきではないというたてまえに立って、この改正案を考えた次第でございます。
  191. 受田新吉

    ○受田委員 もちろんこの受信料性格が民放に分配するという形式のものであってはならない。しかしながら、一定の公正な条件のもとにその業務の提携をはかっているというような場合には、惜しみなくこれを使って、放送業界全般の発展に寄与させることは当然のことだと私は思います。  いまお話しの研究機関等に対してNHKが金額を全面的に負担しているものにどんなものがあるんですか、民放の分まで含めて。
  192. 館野繁

    館野政府委員 直接その民放のためということではございませんで、要するに、研究の成果を一般に公開する。それで、それの利用は、たとえば送信技術なんということになりますと、大体において日本ではNHKのほかは民放しかないわけでございます。それは学界なり産業界なりに広く研究の結果の提供をしておるわけでございまするが、そのほかにいろいろの形におきまして研究費をつぎ込んだ研究の成果、あるいは施設の場合におきましては、共同で使いまして、いろいろの実験をするというようなことをいたしておりまするし、それからその他、国民に対しまするいろいろの放送及び放送受信に関しまする開発、普及、行事といったようなものを大体NHKが主となって、しかも、民放を含めまして、一緒に進めていくというふうなことが、いろいろな形において現に行なわれております。
  193. 受田新吉

    ○受田委員 番組向上委員会というのがいまありますが、その経費はどういう分担になっておりますか。
  194. 館野繁

    館野政府委員 いま正確に覚えておりませんが、去年の経費でございますか、一千二、三百万円だったかと思いますが、そのうち、半分NHKが出しております。一千三百万円のうち半分がNHKです。
  195. 受田新吉

    ○受田委員 そういうものはNHKが全額負担してもいいものだと思うのです。番組向上のための委員会、それは放送業界全般の問題であって、一つの研究機関でもあるわけなんです。その半分だけを負担しておる。これは、全国NHKはどこにも放送網があるわけでございまするから、民放と対等の立場で二分の一を負担するという形になるのは当然のことなんですよ。こういうところは当然分担すべき分しか分担してないわけなんですから、こういうときに受信料を思い切って、放送業界全般の問題に貢献するという立場でお出しになっても、私はいい筋じゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  196. 館野繁

    館野政府委員 法律の面から、あるいは郵政省の立場から、それをこうであることが望ましいということはちょっと申しかねまするけれども、たとえばいま先生が例にあげられました番組向上委員会というのは、全くNHKと民放の人たちが相談し合って、自分たちのものとしてこういう委員会をつくろうということで、相談づくでされまして、その経費の分担についても、NHKと民放とで相談づくでされているところでございますので、その際に、民放は、もっとNHKでは出さないか、しかしNHKは出し渋ったのか、あるいは、NHKが、こういう委員会ならば全額私ども負担しますと申し出たのを、民放は、いや、それでは民放の権威にかかわるということで折半にしようということできまったのか、その辺は私ども十分つまびらかにしておりませんけれども先生のお考えのように、全額ということはどうかと思いまするが、とにかくそういう民放と一緒になって放送の発展のために寄与する経費というものには、やはり受信料が使われてしかるべきであろうと考えます。
  197. 受田新吉

    ○受田委員 これは、こういうときは民放に負担をかける筋合いでないと思うのです。これはやはり研究機関というようなときには、NHKが公共放送として受信料を取っているということであれば、郵政省は、そういう方向に指導されて、そして放送業界全般の、公共放送責任者という側からの一応の責任を果たすような指導をされる必要がある。そうしなければ、一体どこでこの答申の研究費を出すのですか。それで、そういうふうに折半してはやれるということであれば、受信料負担部分というもの、つまり協力部分というものはどこで見出すわけでしょう。   〔委員長退席、佐藤(洋)委員長代理着席〕  この答申をどういうふうに理解されておるか、これは、私たちとしても一応賛成の問題点でございますから……。
  198. 館野繁

    館野政府委員 答申は、やはり受信料性格からいろいろの制限があるという前提に立ってこの答申ができているものと私たちは読んでおります。したがいまして、おのずから民間放送というものとの関係におきまして、受信料の使途にも限度がある。ただ、それが一般国民、受信者の利益になる場合には、受信料をそういう仕事に回すのは当然であろうということを答申は言っているのでございまして、特別、民放ということが目的というよりは、民放も含めまして、放送の利益を受ける国民のためになる使い方、そういう使い方を考えなさいというふうに答申は言っておるものと私たちは考えております。
  199. 受田新吉

    ○受田委員 だから、この運営について郵政省としては十分研究しておかなければいけないと思うのです。NHKにまかしておくというよりも行政指導の面から、この受信料を今度は義務化するわけだし、そういう際には、高度の行政指導で、民放へいかにこれを利用させるか。利用させるのについては、いま御指摘になりましたような研究部門等を対象にするならば、これはうなずけるわけです。いま二つの提携してやれるのは、こういう番組向上委員会みたいなものがあるし、それから、施設の一部を便益供与する道があるわけですね。そういうことはこれはうたってあるわけです。これをひとつどこにどういう方法をとったらいいかは高度の行政指導で解決される問題だと思います。  私、もう一つ、この民放に返りますけれども、民放に対する答申の規定の中に「マスメディアの集中、独占の排除について」という二十八項の規定があるわけです。この規定は、これは非常に重大なことでございますが、マスメディアの集中、独占の排除は今度の法律がどういうところへうたってございますか。
  200. 館野繁

    館野政府委員 それが端的にあらわれておりまするのは、放送法五十一条でございます。
  201. 受田新吉

    ○受田委員 放送法五十一条をもって足れりとしますか。
  202. 館野繁

    館野政府委員 必ずしも足れりとするということではございませんけれども放送法という放送を規律する法律で取り上げる限度においては、五十一条に明定いたしましたのが限度であろうと考えた次第でございます。
  203. 受田新吉

    ○受田委員 ここで一つ指摘したいですけれども新聞報道の言論の自由性と放送事業の言論の自由性とには相違があるかないか、御答弁願いたい。
  204. 館野繁

    館野政府委員 本質的には、この言論、表現の自由ということにつきまして相違はないと思います。ただし、放送におきましては——新聞は、これは全く媒体の特質からいたしまして、特別の法律的規律を受ける必要がないというとおかしゅうございますけれども、必要がないわけでございます。しかし放送は、それが電波というものを使うところに本質がありますことの結果といたしまして、この法律的な規律のもとに入らざるを得ないわけでございます。したがいまして、表現の自由と言論の自由というもののあらわれ方と申しますか、機能のしかたにおきましては、放送のほうが必然的に法律的な、電波を使うということから生じますところの制約を負わざるを得ないものであろうか、こういうふうに考えております。
  205. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、放送事業の持つ言論の自由性には、放送法の第一条の制約を受けるわけです。すなわち、国民全体にこれが利用されることであること、それから、放送が不偏不党、真実、自律を保障することによって、放送による表現の自由性を確保すること、健全な民主主義を育てることというような大切な項目があって、それを囲むものとして、公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達をはからなければならぬというふうにうたってある。ところが、新聞のほうは、この不偏不党という制約を受けていない。ある特定の政党の宣伝機関の新聞であってもいい、また一般新聞であっても、世論をどちらにおもむけるかについて別に制約を受けておらない、そういう形です。したがって、新聞事業者と放送事業者の持つ言論の自由性には相違点がある。これを新聞事業が放送事業をあわせてやるときに、一応制約がここに掲げられてありますけれども、普通の形で新聞事業が放送事業を大幅に吸収したときにどういう結果が起こると思うか、お答えを願いたいのです。
  206. 館野繁

    館野政府委員 多くの場合は、新聞放送との報道、言論の自由のあらわれ方が、片方は不偏不党というような法律的な一つのワク、準則があり、片方には、新聞にはそういう法律的なワクはないということから、あらわれ方が違うということはあり得ると存じます。それで、先生がいま申されましたように、たとえば新聞事業を行なっておるものが放送事業を始めたという場合に、そのものが新聞事業を行なっているから、これははなはだ法律的、書生的な話で恐縮でございますが、新聞事業を行なっているものが放送事業を行なうこと自体には、別にこの法律制度上あるいは放送制度上あるいは法律社会的に問題がないわけでございます。と申しますのは、どのものが行なおうと、その放送がこの放送法で定めます準則、原則に準拠して行なわれておりますればよろしいわけでございますから、しかし先生が御指摘の点は往々にして順守されにくい状態になるであろうという、そういう面でのお話でございましたならば、あるいはそのおそれがそうでないものよりはより多いのかもわからないというふうには考えますけれども法律的には割り切れない問題ではないかと存じます。   〔佐藤(洋)委員長代理退席、委員長着席〕
  207. 受田新吉

    ○受田委員 これは郵政大臣答弁をしていただきたい。われわれは新聞事業の発展を心から期待をしておる。わが文化国家の権威においても、新聞報道によって国民の文化性を高めてもらうために、その事業の発展はより高度でなければならない。それから一方で、放送事業はまた独特の使命を持って生まれ、そしてその放送事業者法律に規制された形で事業を営まなければならない。そういうときに、たとえば一つ新聞社が、本来の使命である新聞事業のほかに、ここに新しい法律の中にうたってあるところの「第二条に次の一号を加える。」放送の種類に、イ、ロ、ハ、ニ、とありまして、イからハまではラジオ、二はテレビジョンである、その種類が結局四つあるわけでございますが、この四つ新聞事業と合わせて合計五つを兼ねることができるということも考えられます。
  208. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。法律的にはそういうこともあり得るということに相なります。
  209. 受田新吉

    ○受田委員 法律的には、そうしたら最高は五つを兼ねられる。それ以上ありませんか、法律的に可能な……。
  210. 館野繁

    館野政府委員 この改正案におきましては放送の種類が四つでございますから、新聞事業というものを入れましたら結局五つということに相なります。
  211. 受田新吉

    ○受田委員 実際問題としてひとつここで指摘願いたいのですが、現在新しく放送免許を申請していらっしゃる申請者は幾らありますか。それぞれの立場でお答え願いたいのです。
  212. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。まずテレビジョン放送の申請でございますが、現在放送事業を行なっておりますものが出しております局数が十一でございます。それから新しく放送事業を営みたいというものの申請者の数が百四十九でございます。
  213. 受田新吉

    ○受田委員 種類別に出してください。
  214. 館野繁

    館野政府委員 事業者数は百四十九、それから局数は百五十七でございます。それから超短波放送、俗にFM放送といっておりますが、現に放送をやっておりますものの申請が九十四局でございます。それから、その他の新しく放送事業を始めたいと申すものが三百三十九でございます。
  215. 受田新吉

    ○受田委員 いま指摘された種類別の申請者の性格別の統計は出ておりませんか。
  216. 館野繁

    館野政府委員 性格別と申しましてもなんでございますが、新しく放送を始めたいと申しておりますもの——大体新聞社でございますが、新聞社のテレビジョン放送につきましては、事業者数といたしまして百六十七でございます。それからテレビジョン放送新聞以外のいろいろの団体、それが七十八でございます。それから超短波放送におきましては、新聞社、通信社の事業者数が四十九、放送局の局数が二百二十八。その他の団体が十九、局数が二十二といったようなことでございます。
  217. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、新聞社の放送局開設申請が結果的には圧倒的に多いわけですね。
  218. 館野繁

    館野政府委員 テレビジョンにおきましては新聞社自体と申しますか、それは名前が出ておりませんで、新聞社が中心になって申請の推進力になっておるというのが先ほどあげた数でございます。FMのほうは、新聞社の名前でその社がFM放送をやりたいという申請になっております。
  219. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、新聞社が中心になっておるということ自身は、結局新聞社の申請と結果的には同じことになる。これは圧倒的な数ですね。ここで、事実問題として、テレビにしてもFMにしても、新聞社が企画するものが圧倒的に多いという現状は、これはマスコミの、すなわち、新聞事業と放送事業の一貫した独占の形態に発展する危険はないか。郵政大臣、御答弁願いたい。
  220. 郡祐一

    郡国務大臣 マスメディアの集中がどの程度に事実問題として、また社会的に影響があるであろうかということは、私は個々の事実の問題として考えてまいらなければならないと思います。従来は、設置の根本基準、開設の根本基準等においてこれを定めておったのでありますが、今後の周波数が分配なり使用計画なりがそれぞれ出てまいりまして、そうして現在の置局の申請について処理をしてまいります場合に、事実問題として放送にふさわしい目的を達成するためにどういうことが一番よろしいかという点は、十分将来の問題として考えなければいけないだろうと思います。
  221. 受田新吉

    ○受田委員 私は、新聞事業が純粋な立場でこの放送事業を兼営するということを阻害する発言をしておるわけじゃないです。ただ、マスコミという全体の問題から考えて、新聞社と放送事業者というものが同一形態のものであるということになれば、自然に新聞報道と一般放送内容というものがつながってくるわけです。これはもう人情の自然で、自然にそういう方向にいく。そうするとまた、新聞社が中心になっているという、そういう申請者にいたしましても、新聞社だけでなくして一般の出資者を多く一緒に求めてきておる。これは純粋な形で新聞社経営になっていないことはわかるのです。わかるけれども、マスコミのそうした新聞事業と放送事業、しかも五つまでやれる。それからまた、同一地区において特に二つの競争を認めさせる措置をとられておるわけでございますが、そうすると、全国的規模でそういう形がとられるという危険はないか。もう現実の問題として、同一地区ということが各地区でみな同様な形で行なわれてきている。そうすると、全国的規模においてマスコミの独占という形がとられる危険はないか。それが非常に純粋な形でやられるとするならば、それはわれわれとしてあえて否定するわけではありませんけれども、そこにおのずから人情の自然の形態が——本来の新聞事業と、そして兼営する放送事業との間につながりが来るというところに、ここに特に調査会が答申をした警告に対する不安があるわけです。全然そういう形のものに不安なしと郵政大臣は判断されるかどうか、お答え願いたいのです。調査会の答申に対する答えとしてお答え願いたいと思います。
  222. 郡祐一

    郡国務大臣 一地区一事業という考え方をとっておりましたのに比べまして、このたびの複数を認めるということは、やや独占という傾向が、考え方が変わってまいった点は、私はあると思います。しかしながらどういう形になってマスメディアの集中があるであろうかということは、これは十分関心を払わなければならぬことでありまして、これは法律上どのようにあらわし得るかという問題はまた一つの問題でございますけれども、考えなければいけない点である。この点は答申の指摘しておりますように十分考えなければいけないことである。それと同時に、法律になじむかどうかという点については十分検討しなければならない点があろうと思います。
  223. 受田新吉

    ○受田委員 特にマスメディアの集中独占排除について、ここにははっきりと、明確な根拠を法律に置くよう措置せよとうたってあるわけです。とれがいま五十一条のこの規定、それで片づいたと御判断されることは、この〔二八〕の要請に対して十分足りると判断されるかどうか。大臣は、これでもういいのだ、そしていまのように五つの放送局を駆使できる体制に事実問題としてなる、こういうことでございますが、そういう形のものが全国的規模でそれぞれ各地区で行なわれた場合に、この〔二八〕の要請が空文化するのではないかという危険はなしと判断されるかどうか。そして法律事項として明確に、このマスコミ、マスメディアの集中独占の排除を法律文章として明らかにうたう「この文句を生かす措置を必要としないかということを御答弁願いたいと思います。
  224. 郡祐一

    郡国務大臣 必ずしも五十一条で守備範囲の関係や何かが十分であるとは考えません。同時に、いろいろ検討いたしながら法律の上に書きあらわすことが非常に困難だという点もございました。五十一条に関連して検討いたしてまいります場合に……。したがいまして、御指摘のような非常な全国的にわたった集中の行なわれるというような事態は決して放置はできないことでございます。そのままでいいということは決して申しません。申しませんけれども、ただ法律にあらわします場合には、私どもは五十一条のような考え方放送事業者というものについて規律をしてまいりますことは考えましたが、それ以上はどうも事実の関係、あるいは社会通念的に解決しなければいけないような事実上の問題について、法律上の規律をいたすことができなかったと申しまするか、それを法律に書きあらわすことに非常に困難を感じたということはございました。まず五十一条の運用正しきを得れば目的も相当達し得るのではないか、このように考えております。
  225. 受田新吉

    ○受田委員 郵政大臣大臣の職権を持っておられるわけです。最終的にあなたが免許権者である。そうして事実問題として、テレビにいたしましても超短波にしましても——超短波は二百二十八という数字が出ておる。それはもう圧倒的な多数です。こういう形で新聞事業と放送事業がつながっていく。たとえばこの申請の割合で免許されるという形にいたしましても、これは圧倒的な数で新聞事業と放送事業の兼営がつながってくるわけです。ここで一つ問題になるのは、ラジオを三つの種類に分け、テレビ一つにしておるわけだが、ラジオを一本にする道はなかったか。これはあなた方のお立場では、テレビの場合はVとUとが、その周波数帯の使用状況において大差がないという御判断をされておられるかもしれません。それからラジオのほうは、これは中波と短波と超短波では、それぞれ独特の音質を持っておるのだから形態が違うのだという判断を持っておられるかもしれない。しかしラジオはだんだんといま数が減って、FM形態に進むわけでございますが、それを三つに分けて、テレビは飛躍的に伸びようというものを一つにまとめておるという理由は、どこかに政治的な、政策的な見地からという理由を発見する以外には、技術的な問題としてはあまりにも限られた問題だと私は思うのでございまするが、これは大臣から御答弁を願いたい。
  226. 郡祐一

    郡国務大臣 御指摘がございましたが、ラジオについては、三つに分けましたのは、テレビと違ってその用途というものがおのずから区別して判断できる。やはりおことばの中にございましたが、技術的な条件というものが違うのだ、こういう考え方でこの三つを分けた次第でございまするが、政府委員からさらに詳しくお答えいたします。
  227. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 先生のただいま御指摘になりましたようなことが、技術的に分けました基本になるかと思います。テレビにおきましては、UとVというものがございまして、二つのバンドに分かれております。しかし、これは両方とも超短波のバンドに属しております。波の性質からいいますと、大体において伝搬の区域というものが同じような伝搬をいたしまして、一緒に規定されるような性質のものでございます。それでございますから、今度持ち出しました事業区域という観念からいたしますれば、VでありましてもUでありましても同じような事業区域というもので規定ができるということになります。それに反しましてラジオのほうにおきましては、中波なりFMのバンド、それから短波というこの三つをとりますと、非常に伝搬の性質が違います。しかも短波につきましては、民放が地域のための放送といいながら、どちらかといえば非常に広い範囲を放送の対象とするということから考えまして、むしろ全国一円に近いような区域ということになりますので、これは実は波の伝搬上から一つ放送の種類とはいたしましたけれども、これはいま申し上げましたような三つの種類のうちの民放として地域のための放送というのにはふさわしくないということで種類にはありましたけれども対象としては実は考えていないと申しますか、例外的に取り扱わなければならぬという観念でおります。したがいまして、中波とそれからFMのバンドがございますが、この二つにつきましての問題になりますけれども、御承知のように中波につきましては外国混信という問題がございまして、中波の外国混信解消のためには、将来どうしてもFMバンドを利用しなければならぬ。そういうようなことから中波とFMバンドの両方を共用しなければならぬ、両方とも立てていかなければならぬというような時代が来ると思います。しかもそれが相当の長期間にわたることが想像されますので、そういうことのために二つの種類というものを設けた次第でございます。したがって、ラジオにつきましては三つ放送の種類ということになったわけでございます。
  228. 受田新吉

    ○受田委員 この法律の文章をそのまま読むと、三千キロサイクル米満のものと三千キロから三十メガサイクルまで、それから三十メガ以上、こういうふうに分けてある。これもすなおな分け方です。いまの音質等の関係からこれにはなかなか独特な意義があるというので三つの種類にした。国際電気通信条約などで三千キロサイクル未満の周波数を使用するといっても、これは千六百五キロサイクルまでしか使えない制約を受けている。そういう関係で、またテレビにしてもVが八メガから九十メガまでしかない。Uは四百七十から三百上まで、こういうふうな制約がある。したがってこれは文章に書いてあっても使えない周波数帯というものがそれぞれみんな伴っておるわけです。そういうかっこうでこの種類が分類されているわけなんですが、私は、いまあなたの御答弁を聞いていると、それぞれ独特の音質関係その他の理由で、あるいは伝搬等の理由が短波にあるとかいろいろおっしゃっておったが、そういう技術的な問題は技術として解決すべきことであって、これにすなおに書いてあるかっこうで言うならば、やはりラジオはラジオ放送テレビテレビジョン放送、二つに分類して、種類をはっきり国民になじめるかっこうにしておくべきではなかったか、現にオールチャンネル法ができるならば、テレビ一つの機械で、いやでも両方が混在しておるのでございますから、混在段階から、さっき畑さんが指摘されたような法律段階にまでいく過程にもうきておる。それからラジオにしてももうチューナーなどつけなくとも一つでみんな聞けるような機械もできておる。こういうときにテレビとラジオとを分ける分け方として、ラジオを三つに分けるようなときではないのではないか。ラジオはラジオ放送一つの機械で三つが聞けるのだ、テレビテレビ一つの機械で二つが見えるのだ。聴視者の側から見たときに、こういう分類ははなはだ複雑であるわけです。したがってラジオ放送テレビジョン放送と二つにすっきりしたかっこうでこれを分類すべきではなかったか。すなわち技術面と同時に郵政省が考える政策面とが接点を求めておる問題がここに出てきたのじゃないかという考えさえもわれわれには起こるわけですね。技術面の問題、政策面の問題というものを十分こなして、そこにラジオを一本化するというほうがむしろ賢明ではなかったか。大臣として、これは政策的な考え方で解決する道があったと思うのです。特にラジオのほうはすでに中波、超短波、FMとその聴取者はテレビに圧倒されてきておる。FMはこれからの問題が一つ残っておる。いま私が指摘したような方向で解決する道が最も賢明な方法だと思うがどうかということです。
  229. 郡祐一

    郡国務大臣 いかがでございましょう。私は、やはり中波というものが現在のような混信を起こしてきておる状態にある。そういたしますると、テレビのUとVというようなあれと違いまして、ラジオについては、これは受田さんと意見を異にするのですが、むしろ分けましたほうが実際実情に合うのではないか、こんなぐあいに考えております。
  230. 受田新吉

    ○受田委員 それは現実の問題として放送事業者に免許を与える場合にラジオは三つともやれる、テレビ一つしかできない、こういう片手落ちになってくるわけです。テレビとラジオとに明らかにそういう大きな差が出てきておるわけなんです。いまの、政策的に見てもラジオを一本にして、中波をやる、超短波をやる、短波をやる、それぞれの分野で、その放送事業にしっかり精出してもらう。一方テレビジョンではUかVかを一生懸命やってもらう、聞くほうの側、見るほうの側は、これを自由に聞けるような形、そういうような意味で、この三つのラジオの種類を一本の種類としてまとめておく場合においてそうした放送事業者の形の整理も私はできると思う。いかがでしょう。
  231. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 先生のおっしゃること非常によくわかりますが、定義の上でさっきのようにラジオを三つに分けました。しかしながら実際にこれを免許いたします場合には、その基本にありますことはチャンネルプランの作成でございます。したがいましてチャンネルプランにいかにこれを盛り込みまして、どういうぐあいに置局計画を立て免許をするかということで、先生の先ほどからおっしゃっておりますところの不安が出てくるか出てこないかということがきまるのだと思います。その点におきまして、先生のいまおっしゃっておるようなことは免許の段階において十分考えられる。ただ、先ほど申しましたように波の性格というものが非常に違いますので、同じような一つ放送区域というものをもちまして律し得ないところにラジオの場合には非常に問題がございますので、便宜上いまのような分け方をいたしましたほうが技術的に非常に楽であるということでございまして、それにのっとってつくりましたところのチャンネルプランを、これをいかに事業者に対して免許するかという段階で考えていけば十分やれることだと考えております。
  232. 受田新吉

    ○受田委員 局長のお話であると、チャンネルプランで、計画分配等の過程で、十分波の割り当てが考慮されるはずだという意味だと思うのです。そうすると、たとえばいま中波を持ち、短波を持っている会社がFMを申請するという場合はそういうチャンネルプランで考慮して善処するということですか。
  233. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 チャンネルプランにおきましては、どこの放送局がそれに対して申請をしてくるかということは考えておりません。しかしそのチャンネルプランに基づきまして、申請が行なわれました場合に免許を行なうわけでございまして、その免許の段階におきましてある一つの中波の申請あるいはFMの申請というようなものが出てくるわけでございまして、そういう場合にどういうぐあいにすべきかということを十分考慮し得る、それからまた将来中波放送からFM放送に移行というような問題が起きました場合にも、そういう各放送事業者というものがよくわかっておるわけでございますから、これについて計画を立てることができるということを申し上げたわけでございます。
  234. 受田新吉

    ○受田委員 ここでちょっと数字をお示し願いたいのですが、現在FM放送の聴取者がどのぐらいおるか。それから、もちろんコンバーターをつけて聞くわけでございますが、UHFの聴取者——Vは見当がついておりまするが、これらの各周波数帯別の、種類別の、聴取者の予想数というものがどれだけあるか、これは御調査されておると思うが、ちょっとお答え願いたい。
  235. 館野繁

    館野政府委員 正確な数字はいまございませんが、概略申しますと、テレビジョン、これはNHK受信契約を結んでおる数でありますが、テレビジョンが現在約千八百万でございます。それからラジオのみの契約数が二百四十万でございます。もっともそのうち九十万は料金を減免しておる施設でございます。したがいまして、ラジオのみは二百四十万ですが、その千八百万はラジオも聞いているという前提に立ってよろしいと思いますので大体二千万以上がラジオ、そのうち、これは正確な数字がわかりませんけれども、ことしの二月か三月ごろのNHKの調査によります推計では、FM放送を聞き得る受信機を持っておりますのが約四百万だったかと記憶しております。  Uは、コンバーターをつけましてUの放送受信しておりますのが二月末で大体三十二、三万でございます。
  236. 受田新吉

    ○受田委員 この種類別の聴取者が大体見当がついたわけです。Uはまだ三十二、三万しかいない、FMはすでに四百万普及している、こういうことになると、FMの成長性というものは相当期待できる。われわれも諸外国のFM状況を実態視察をやってきておりますが、これも相当の普及度があるとわれわれも判断しておる。それから、いまのオールチャンネル法を考える時期がもう来ておる。さっきも指摘されたけれども、そういうことによってますますUの聴取者もふえるし、FMもふえてくる。  私はちょっとここで確かめておきたいのですが、テレビの場合に例をとりましょう、日本の受像機の輸出状況は、両方が見られるようなオールチャンネルの方式で海外に輸出している状況はどうか、お答え願いたい。
  237. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 昨年一年で百八万と聞いております。
  238. 受田新吉

    ○受田委員 海外に輸出するものの中に従来の形式をそのまま、分離したかっこうのものがまだありますか、どうですか。
  239. 館野繁

    館野政府委員 いま局長から申しました百七、八万、これはアメリカ向けの輸出台数でございまして、これは全部いわゆるオールチャンネルの受像機でございます。その他東南アジアあるいはアフリカ、ヨーロッパにまでいっておりますが、これはただいまちょっと数字を持ち合わせておりません。
  240. 受田新吉

    ○受田委員 すでに大メーカーはオールチャンネル方式で、だからアメリカへ従来のものはいってないはずです。そこまでもう進んできておる。こういう時期に、日本がいつまでもUV混在方式をとるという時代ではない。私からも、さっき社会党の各位からも指摘されたような、オールチャンネル法の時期がもう来ておる、敢然と踏み切るべき時期が来ておる。踏み切って、そしてある暫定期間を設けて従来の方式を認める時期をそこへ置いておけばいいのであって、一応の目標をはっきりしておかないと、なかなかこういうものは切りかえというものはむずかしいものである。きちっとした郵政省の方針を打ち立てて、暫定期間を設けて、従来の受像機をそのまま用いていいという幅を持たせておけば、自然にその方向へいくわけです。アメリカへ百何万も出しておるわけですから、もうすでに日本で大量に製造しておるところのその方式に切りかえる勇気を、私からも要求いたしますが、私がいま指摘したような暫定期間を設けてこれに踏み切るという立場はいかがか、お答え願いたい。
  241. 館野繁

    館野政府委員 オールチャンネル法につきましては、先ほどの質疑でいろいろ大臣からも申し上げたとおりでございますが、再々申し上げましたように、新しい改正法施行後の姿といたしましては、いわゆるUとVとの混在、同一の地域においてVの放送局とUの放送局が並び立つという形になるであろうということは、これはまあそのとおりでございます。したがいまして、そういうところで両方の複数番組受信するためにはUもVも映るような受像機でなければならぬ。それに対しまする方策といたしましていろいろと条件なり姿なりが考えられるわけでございましょうけれども、受像機の生産段階といいますか、それを先ほど畑先生からお話がございましたように法律的に規制いたしまして、何年後にはそれを製造し使ってはいけないということはちょっとおかしゅうございますが、全部切りかわらなければならぬという方式をとることもできまするし、それからまた事情によりましては法的規制を行ないませんでも、オールチャンネルの受像機をつくる措置と申しますか、需要、及びただいま先生がおっしゃいましたように、生産工程その他の供給面での条件の整備、両々相まって、法的な規制をしなくても出回るものはほとんどもうオールチャンネル受像機であるという姿に持っていく方法もあるかと思います。再々郵政省側から申し上げておりますのは、どういう条件において、どういう姿においてオールチャンネルの受像機が普及するであろうかということの条件は、先ほどからもお話のように、日本はアメリカと違って非常にいい条件がありますので、製造段階での法的規制をはたして早急に必要とするかどうかということについてもやはり一応反省をした上で、法的規制のことを考えるべきじゃないかと思っております。
  242. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は郵政省も英断をふるう時期がきておると思うのです。もうかれこれ議論しません。ここで先進国家並み、アメリカ並みに勇気をふるっていただきたい。  それからもう一つこれに関連するのでございますが、UとVと混在させるということで同一的に二つの放送局、民間放送局を認めるということでございますから、現在一つしかない民放の地区にもう一つのUの放送局をそれぞれ認めるという方針がこれにうたわれておるわけです。一地区に一つしかないところ、そこはそういう指導方針で今後共存共栄方式のテレビ二局をつくるという積極的な意図を持っておられるわけですね。
  243. 郡祐一

    郡国務大臣 原則として複数の民放を聴取できるということには目標を置いております。ただ現実の問題といたしますと、民放については原則として一府県を事業区域と考えますと、にわかに複数を持ち得ない経済的に、社会的条件のところも相当あろうと思います。したがいまして、二つの民放ということを目標に置きながら、一つの地域もあるいは三以上の地域も現実の問題としては相当起こるであろう。三以上というのは限られておりましょうけれども一つのところはこれは民放でありましょうから経営の基盤をその地域に置いておりますから、そうすれば二つを置くことが無理な地域というのは、全国の中に相当起こるのだろうと思います。
  244. 受田新吉

    ○受田委員 一応方針としては二つの置局方針を持っておる、それをその方向へ指導するという形ですね。
  245. 郡祐一

    郡国務大臣 指導と申しますか目標はそこに置いておるわけです。しかしながら、現実の問題が、その置局を認めること自身が自然的、経済的、社会的な条件の上からいって無理なところがあるのじゃないだろうか、そういうことを考えまして、特に一項起こしましてそのことを入れておるのもその意味でございます。
  246. 受田新吉

    ○受田委員 したがって目標ということはそういう方向へ、二つの置局方針を実践をしていくという方向に政府の方針があるということははっきりしておるわけですね。
  247. 郡祐一

    郡国務大臣 長い生命を持っている放送法でございますので、そういう目標を原則的に置いているというぐあいに御理解を願いたいと思います。
  248. 受田新吉

    ○受田委員 ここに学校放送の規定が一つあげてあるわけです。特に教育振興の意味から学校放送の時間帯というものを御存じのとおり民放に要請しております。この扱いはどういう形で処理されたのですか。
  249. 館野繁

    館野政府委員 お答えいたします。  学校放送を含めまして特に民間放送を通じましての教育放送の普及ということが答申の非常に重点を置いておるところでありますことは、先生お話のとおりでございます。したがいまして、郵政省といたしましても、今回の法改正を考えます際に、その点を非常に大事な重要問題として研究いたしました。いろいろの面から研究いたしました結果を簡単に申し上げますと、教育放送、特に学校教育放送ということになりますと、これは単に放送事業者にある分量、ある時間の放送義務づけるということだけでは実際の効果があがらないだけでなくて、それをあげますためには根本的にこの放送法が立っておる原則、何と申しますか、業界ことばで言いますと番組編成放送法で言いますと編集ということばを使っておりますが、そのやり方につきまして法律で詳細に規定をするか、あるいはそれがほとんど現実に機能いたしませんから、結局は政府の方針あるいは施策に応じまして政府の指導といいますか、まあある意味では統制と申しますか、そういう手段を用いまして、その時間帯の設定等をせざるを得ないことに相なります。そういたしますと教育放送の普及ということはきわめて大事なことではございますけれども、その普及の方法といたしましてこの法律制度の上でそれを打ち出していきます際にはそれ以上に、何といいますか、大事な点をそこなうおそれのある要素を法律に導入していかなければならぬことになるというようなことでそれはとりませんでした。  そのほかこの教育放送の特に学校向け教育番組効果をあげますためには、受け手側の体制ができておりませんことには、これは全くむだな電波になるわけでございますが、結局学校それから学校においての教育放送の利用の条件、そういうものを考えますと、たとえば現在行なわれております小学校、中学校の教科制、あるいは教師の分担制、そういうところまで問題が発展いたしまして、法律放送事業者に時間帯なり分量なりを義務づけることを効果あらしめるためには、そういう方法も非常に大きな制度的な変更をしなければならないということもございます。それから民間放送におきます経済的基盤、これは法的な補助をやらないのが本則でございますから、そういうことも考えまして、民間放送に対しての教育番組義務づけというものは、答申には反しますけれども取り上げませんでした。
  250. 受田新吉

    ○受田委員 時間も進んできたから、逐条審議を控えてどんどん飛ばしますが、もう一つこの答申の中で、広告放送の扱い方で一言、答申が要求しておることを聞きたいのです。  外国などにおいては、スポンサーが番組に対しては干渉してはならないという法律をつくっておる国もある。過剰広告を禁止しておるところもある。結局高い品性の放送をしてもらうために広告放送内容についてこの答申ははっきりとした一線を引いております。それは放送事業者が、スポンサーの形で放送がされる、スポンサーが放送事業者のような形であってはならないという趣旨のことが書いてある。この広告放送の中で、広告のための放送のにおいがする面について十分規制を加えるべきであるという趣旨がこれにうたってある。われわれが見てもせっかくりっぱな放送過程で、突然広告主の宣伝がぱっぱっと流れて印象を害する。これはここにおられる議員の諸君がほとんど例外なしにひんしゅくしている問題なんです。そうした広告放送の扱い方に対する答申の趣旨をどういうふうにこちらへ生かされておるのか、お答え願いたい。
  251. 郡祐一

    郡国務大臣 おっしゃるとおりに、私、広告というものは野放しになっていては困ると思います。答申もそうでありますし、それで広告でありましても放送番組としてつながって一般的な番組の準則は適用されておるのであります。また現行法でも学校教育放送の場合に、学校教育の妨げになってはいけないという規定もございますし、さらに改正法の五十一条の四で広告放送の明示ということを規定いたしまして、そして広告放送というのは明らかに識別されることを要求いたしておりますが、このような規定をもとにいたしまして、そして、これは三条の二から出てまいるのが筋だと思いますけれども、事業者自身が定める番組基準につきましても、この野放しの状態と申しますか、御指摘のような点については十分これから方法を講じていかなければならないと思います。
  252. 受田新吉

    ○受田委員 民間放送業者の経営面についての御注意もしてあるわけです。たとえば、おおむねいまの民間放送事業者は順調に経営が進んでおる。これは私もさっき指摘した喜ぶべきことなんです。しかしながらそこへ国民の電波を使う民間放送、これはNHKも同様であります。しかし、商業放送の立場をとる民間放送業者が、その利益追求にのみ走って、そして配当率をばかに高めたり、また特定の企業者の従業員の待遇だけを向上させていくとかいう形で、この多種多様のバランスがくずれるような形で、有利な経営状態にあるものを、国民の電波を使っている形においてそのままこれを認めていいかどうか。したがって、特に経営の合理化をはからせるとか、あるいは難聴地区に対して貢献をするとか、そういう利益の余剰部分を大いに社会的に貢献する方向へ向ける、あるいは不況になったときにも内部保留部分としてこれを残していくとかいう形で高率配当とかいう形のものは、これは国民の電波を使う企業体としては好ましい姿ではないとうたってあるわけでございますね。これはあまり調子のよくない民放など大いに不平を言いたいわけでございますが、国民の電波を独占しておるこの民間放送に高率の配当、高率の余裕資金の出ておる形のものをどういう方向へ持っていったらいいか、たとえば配当制限をするとかいうことも私たちとしては好ましいことではないと思います。あるいは電波使用税を取ることもわれわれとしては好ましい姿ではないと思います。したがって、郵政省としては、この国民の電波を使う、その電波を無料で使っている民間放送業者がそうした特別に豊かな形になったときに、それを単なる普通の企業と同じ形で見るべきでなくして、そうした社会的貢献等に十分の努力を払わせるような郵政省としての指導方針があるのかどうか、お答え願いたい。
  253. 郡祐一

    郡国務大臣 このたび三条放送番組について放送事業者責任というものをはっきりいたしましたのも、御指摘のような広告等のまぎらわしい事態を避けることでもありますし、しかし何と申しましても、経営そのものについてはその自主性、自律性にまかせてあることでございます。これを法律上に規制するという方法はとっておりませんけれども、これは放送事業者の自覚を求めるということが第一だと思います。また置局のときに考えていかなければならないのは、いかに二局の目標を立てましても、その間に経営のために、これは他の事業と比較しまして特に放送事業者についてはきびしく要求しなければならない点があると思います。しかしこれは法律の問題ではなく、放送行政そのものについての郵政大臣として今後法律改正後に当然期待もし、また求めてもいかなければならない問題であろうかと思います。
  254. 受田新吉

    ○受田委員 私、逐条質問をよしますが、大臣、今度の放送法改正で私たちが懸念をしておることは、この答申の取り上げた問題点についてもいま指摘したようにたくさんのものが出てきておる。そして私が指摘したことが忠実に尊重という形で取り上げられるならば、もっと大量に採用すべきであったと思うわけでございますが、私、こういう委員会で奥歯に物をはさんだようなかっこうで、それぞれの関連する団体あるいは事業会社、そういうものに気がねしながら発言することは、良心のある政治家でないと思います。政府もその点については国会の場を通じて十分所信を表明していただきたい。おそるおそる発言するということでなく、何が正しいかを十分考えながら外部の圧力に屈するとか、あるいは派閥の犠牲になって、大臣が今度の免許にあたってふらふら腰で情実免許をするとか、そういう腐敗堕落の郵政大臣であってはならぬと思うのです。これは国民のための電波であって、その電波が一部の策謀のために犠牲にされるような形であれば、放送法が通ってそのあとで免許をされるときに国民が非常な疑惑を持つだろう。いま私が指摘した点に十分の心がまえをもって、何が正しいか、それを基準にして公正適切な大臣の判断力を私は期待するわけでございますが、同時にそれを行なうために、私がさっきから指摘した放送行政の委員会のようなものをきちっとして、そこで厳格な規律を保持する立場になったらなおよかったと思うのです。そういう点に大臣、心されてこの放送法の扱いを考えていただきたい。特に事業免許制なるものが今度生まれている。これは答申になかったわけですね。答申になかった、しかも非常に重大な影響力があるような形のものがここに出てきている。こういうものは政府提案でございますが、事業免許制なるものが新しくここに誕生したことについての所信をお述べ願いたい。
  255. 郡祐一

    郡国務大臣 このたびの法律改正をぜひ成立させていただくようにお願いしておりますのも、政府といたしましても、放送行政について新たな責任、また今後について非常に重大な責任を持つということを考えまして、そしてその責任を負うた行政をいたすがために、ぜひ法律改正をお願いする次第でございます。  放送事業者の免許ということについてのお尋ねの点については、放送事業者に民放として必要な地位を与える、このことがNHKとの二本立ての上で大切でありますので、放送事業者の地位を確立しよう、資格を付与いたそう、こういう考え方で二本立ての意味を徹底させるつもりでございます。
  256. 受田新吉

    ○受田委員 電波法に免許規定が一つあるわけです。こちらに今度は放送法で事業免許制度が誕生して、これで二本立て、こういうことなんでしょう。それは事実問題としてそれで二本立てですが、これは電波法の中に規定してあるものをすなおに認めていくということで済んでいたはずだ。一般事業者ではないわけなんで、特に放送という独特の任務を持った一般放送事業者の立場を法的に生み出すというこういうときに、事業免許制という形のものでいいかどうかということも問題があると思うのです。私願わくば、さっきから指摘したマスコミの各放送種類別の兼営という形がそこに非常に大きな独占形態になってきて、一般民営のものが圧迫を受けるという形もまた不偏不党の放送事業としては適当ではないのじゃないかということも指摘をしました。それからいま申し上げた大臣の職権で、思いつきで、情実で免許されるという危険があってはならないということも指摘したわけです。特に今度の内閣法の改正で、内閣報道官というものをつくり、官房副長官と同じ形の地位、使命を持った役目が一つ生まれる法案が出ております。そういうところから、マスコミの独占というものが、政府そのものにまたつながっていくときには、極右になり、ときには極左になる。そういう不偏不党の線を逸脱するような形は、私は非常に残念なことだと思いますので、自民党政府としては、この放送の不偏不党性、マスコミの独占排除、こういうところに十分思いをいたされて、そして腐敗、堕落の過去におけるいろいろ批判も起こったような形の、そういう免許のしかたでなくして、公正、妥当な、何ら暗い影のないかっこうで、郵政省の行政措置を期待するわけです。  この辺で私の質問を終わりますが、放送事業というほんとうにすっきりした文化事業をけがれなきかっこうで生み出していただきたい。御希望を申し上げて、質問を終わります。
  257. 砂原格

    砂原委員長 次回は、来たる十四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十二分散会