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1966-06-09 第51回国会 衆議院 逓信委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月九日(木曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 砂原  格君    理事 秋田 大助君 理事 加藤常太郎君    理事 上林山榮吉君 理事 佐藤洋之助君    理事 内藤  隆君 理事 栗原 俊夫君    理事 畑   和君 理事 森本  靖君       綾部健太郎君    小渕 恵三君       金丸  信君    小泉 純也君       佐藤 孝行君    志賀健次郎君       徳安 實藏君    服部 安司君       大柴 滋夫君    片島  港君       中井徳次郎君    受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第四部長)  田中 康民君         郵政政務次官  亀岡 高夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         郵政事務官         (電波監理局放         送部長)    館野  繁君  委員外出席者         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 六月七日  委員安宅常彦辞任につき、その補欠として足  鹿覺君が議長指名委員に選任された。 同日  委員足鹿覺辞任につき、その補欠として安宅  常彦君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員木部佳昭辞任につき、その補欠として川  野芳滿君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川野芳滿辞任につき、その補欠として木  部佳昭君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員佐々木良作辞任につき、その補欠として  受田新吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として佐  々木良作君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人出頭要求に関する件  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一六号)  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第一  一七号)      ————◇—————
  2. 砂原格

    砂原委員長 これより会議を開きます。  都合により、本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。    午前十一時休憩      ————◇—————    午後三時二十九分開議
  3. 砂原格

    砂原委員長 これより再開いたします。  委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案、右両案について、委員を派遣し、審査参考にいたしたいと存じます。つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、派遣地日時派遣委員人選、その手続等はすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  6. 砂原格

    砂原委員長 次に、参考人出席要求の件についておはかりいたします。  電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案審査参考に資するため、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人人選及びその出席日時等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 砂原格

    砂原委員長 御異議なしと認めます。      ————◇—————
  9. 砂原格

    砂原委員長 電波法の一部を改正する法律案及び放送法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。秋田大助君。
  10. 秋田大助

    秋田委員 最近の技術革新に伴いまして電波界、なかんずく放送事業界の情勢も大きな変化を遂げました。また遂げつつあります。そのことに対応いたしまして、放送事業規律する法制の整備の必要なことは、久しい以前から何人も認めるところであったのでありますが、政府が今回この国会電波放送両法の改正案を提出せられましたことは、この多年にわたる社会の要望にこたえたものでありまして、私はこの非常に議論の多くかつ困難な問題を克服して成案を得られ、これを国会審議の段階にまで持ってこられました政府の努力を多として敬意を表するものでございます。  申すまでもなく、この二つ法律は、健全な民主社会を形成する基盤とも言うべき憲法保障された言論の自由、表現の自由に関するものでありまして、きわめて重要な法律でありまするから、国会といたしましては、これが審議にあたりまして、謙虚に各界各層意見を聞きまして、慎重、公正を期すべきはもちろんでありますが、同時に私は、これら両法の内容与野党言論に対する共通の広場におけるレールを設定する意味もございまするから、国会審議におきましても双方の主張すべきはこれを主張し、これを明らかにした上で与野党一致点の上に立って中正妥当な結論を得られるようにいたしたい、そういう大局的な見地に立ちまして、与野党とも賛成できるりっぱな電波放送改正法律を発足せしめたい、こう私は念願をいたしておるものでございます。  以上のよう前提に立ちまして、これから両法案に対する私の質疑を行ないたいと思います。  まず、表現の自由の確保という点でございます。政府といたしましては電波放送に関する法制憲法保障する言論表現の自由に関するきわめて重要な法制であることにかんがみ、現行法もそうであるごとく、今回の改正案においても言論表現の自由はこれを確保するようあらゆる部面にわたって細心な注意を払われていると私は信じております。しかし世上一部の者の間には今回の改正案によってこの言論表現の自由が新たに規制を受けることになるという説、あるいはおそれがあるということを言う方がありまして、この点に関する政府所信、特に改正案において現行法と異なる何らかの規制を加えたような、変更を加えたような点があるかどうか、この点に対する政府所信なり考え方をまずもってお尋ねいたしておきたいと思います。
  11. 郡祐一

    郡国務大臣 ただいま御指摘になりましたように、表現の自由ということは憲法の各条章のうちでも最も基本的なものと存じます。いわんや放送よう物的生産物と異なりまして、精神的な所産であり、しかも他の媒体と違いまして、送信と受信が同時に瞬間的に行なわれるような特殊の性質を持っておりますものにつきましては、放送事業者がみずからの能力責任においてこれを維持してまいる、自主規制が基本的な問題であり、したがいましてこれを保障する上において何らの規制を加える考えもございませんし、そのよう意味合いでは何ら特に手を触れていることはございません。ただ公共福祉への合致というよう意味合いで現在番組編集の準則が定められております。これらは当然のことを規定しておるのでございまして、むしろこれによって表現の自由というものはいよいよ保障する手当てをしておるというぐあいに考えていただきたいと思います。
  12. 秋田大助

    秋田委員 表現の自由に対する政府の御所信を了承し、また当然そうあるべきものであり、自律原則とともに、あくまでもこの原則はかたく守られていかなければならないと思います。しかし私は思いますが、憲法保障する表現の自由はあくまで確保されなければならないこと、ただいま申し上げたとおりでございますが、私は憲法にいうところの自由といえども、決して放縦という意味ではないと思います。人間社会に無制限な、絶対な自由というものの存在は許されないものであると私は思っております。特に放送事業ように、同時に多数不特定の方に強烈な印象を与えるこのマスコミ・メディアの放送事業のごときものにおきましては、ただいま申したように、よかれあしかれ、国家、社会に非常に大きな影響力を持つものでありまするから、これらの事業公共の安全と福祉を守るために、やはり一つ制約の上にその存立を許されておる、こう考えるのであります。  そこで、こういう考え方は、私は憲法保障された自由の保障あるいは確保という考えとは抵触するものではない、この意味におきまして、第三条におきまして放送事業者がその責任によって行なうものとしまして、いわゆるラジオテレビコードというものが規定されておることは当然のことであろうと思うのでございます。そこでこのテレビコード放送事業憲法としてみんなが、ことに放送事業者が守らなければならない制約であり、重要な条章であろうと私は思うのでございます。  あとで触れますが、五十一条の事業免許の際においても、この三条の二のいわゆるテレビラジオコードの項が引用されまして、これを順守する法人に免許を与えるのだという点も、これは重要な観念に発しておると私は見ておるのでございます。  そこで、今回このコードに、従来と変わりまして新たに二つ項目をつけ加えております。すなわち「人命若しくは人権を軽視し、又は犯罪若しくは暴力を肯定することとならないようにすること。」「青少年の豊かな情操育成、健全な常識の発達その他人格向上に役立つようにすること。」というこの二つ事項が加えられたのでございまして、私はこの二つ事項が加えられた意義を高く評価いたすものでございますが、一応政府はいかなる理由からこの二つ項目を従来のラジオテレビコードにつけ加えられたのであるか、政府の御所信のほどをお伺いいたしたいと思います。
  13. 郡祐一

    郡国務大臣 秋田さんのおっしゃいますとおり、無制限な無批判な自由を肯定いたしますことは、ことに放送ような場合にはむしろ公共福祉に対する大きい反逆に相なると思います。それほど悪い影響が起こってくると私は思います。さよう考えますと、御指摘ように第三条なり第三条の二で考えております場合、自由の保障をいたしますけれども、その自主規制の指標とも申すべきものは、私は公正な世論に合致していなければならないということだと思います。公正な世論が何であるかということを判断いたしますことはむずかしいことでありますけれども、第三条の二が番組編集基準についていっておりまするのも、公正な世論が現在において何を期待しておるかということを最大公約数的に掲げてまいるということが番組編集基準だと思います。さよう考えますと、人命尊重暴力否定青少年情操育成人格向上、このようなものを現在の世論が期待しており、また放送番組に対する相当きびしい批判としてあらわれているものがこれであると思うのであります。したがいまして、そのような点に特に重点を置いて番組編集について基準を与えますことは、これは私はむしろ自由を保障すると申しますか、世論と即応した放送向上を期待するというよう意味合いで特に加えた次第でございます。
  14. 秋田大助

    秋田委員 一応大臣の御答弁を了承いたしますが、なおかつ一部に「人命若しくは人権を軽視し、」以下云々の項は、現行法の第一に掲げてある「公安及び善良な風俗を害しないこと。」ということに包摂されるじゃないか、重複のきらいがありはしないかという批評もございます。そういう感もしないではないが、同時にあえてこの項をおこされたにつきましてはどういうお考えでございましょうか。一部にそういう批評もございますから、この点大臣から政府の御所見を伺っておきたいと存じます。
  15. 郡祐一

    郡国務大臣 一号にいうておりまする「公安及び善良な風俗を害しない。」、これはきわめて広くまた非常に大きい内容を持っていることと存じます。したがいまして、特に暴力否定を申しましたゆえは全く単純と申しますか、ことに青少年等に対して悪い影響を及ぼす暴力という意味でございまして、また言いかえてみれば、いかなる場合にも——これはまたある意味では、それぞれの放送事業者はそれぞれこういう点も掲げましていたしております。私はその当然守らなければいけないことを言うておりまして、全くそのほかの考えは入っておらないことでございますから、これらの点についてはむしろ放送事業者の関心を高めてまいるという点に重点を置いた次第でございます。
  16. 秋田大助

    秋田委員 この項目が設けられましたのは、やっぱり世上映画あるいは最近のテレビ等におきまして、個人的な、単純な肉体的な暴力行為を強く表現されまして、何か青少年等にそういう人物が英雄視されるというよう時代の風潮と申しますか、そういうものを背景としまして考えられたのではなかろうか、そういう時代的背景があればこそ、この際こういうものはもちろん一般的な規律として必要であるが、特に時代的背景にもかんがみられて入れられたのではなかろうか、こう想像いたしておりますが、この辺はどうお考えになっておりますか。
  17. 郡祐一

    郡国務大臣 おっしゃるとおりでございます。この時代の、いまの特に批判の強い現実の殺しのようなものでありますとか、私はここにはもっと風俗的なものを言うておると思います。非常に個人的と申しますか、個人道徳としての色彩が強いものであることはいま秋田さんのおっしゃったとおりでございます。
  18. 秋田大助

    秋田委員 了解いたしました。  以上政府見解を伺いましても明らかなとおり、放送における表現の自由ということは今回の改正案でも細心な注意をもって確保されていると私は考えておりますが、それでもなお世上においてはこれに対して疑惑が晴れておらないのでございまして、その一つは、今回の改正案で新たに規定されました放送世論調査委員会に関する規定がその原因ではなかろうかと考えるのであります。そこで、放送世論調査委員会現行法が要求しております番組審議機関重複をいたしまして、屋上屋を架するものではないかという議論一つございます。私は、番組審議機関はその性格上各放送事業者内部機関であり、放送世論調査委員会のほうはもちろん政府の官製のものでもなく、また放送事業者のものでもない第三者的な中立的な機関で、これが世論を正しく反映して、放送番組向上をはかっていこうというところに意義があるのでありまして、重複ではないのである。またこの世論の動向を放送事業者は謙虚に聞きまして判断をするという機会を与えられることが、健全な放送発達のためにも非常に必要である。決してそれは屋上屋を架するものではなく、表現の自由を侵害し、あるいは放送事業者自立性を侵害するものではないのである、こういうふうに私は考えるのでございますが、政府は一体どう考えられますか。その点は十分ひとつPRにつとめられまして、世間一部の誤解を一掃され、払拭される必要があると考えるのであります。
  19. 郡祐一

    郡国務大臣 御指摘のとおり番組審議機関は、それぞれの事業者がその諮問機関として番組向上をいたしますために持っております。これ自身もその審議会委員のそれぞれの見識なり能力というものがいい効果を持っていることは申すまでもないのでございますけれども、放送というものが、前に表現の自由についてお尋ねがございましたように、どこまでも表現の自由を守っていくためには自主規制効果的に行なわれなければならない。そのよう意味合いで、これは御指摘になりましたように趣旨をほんとうによく徹底をしなければいけないと思うのでありまするが、自主規制というものを放送事業者全体、放送協会、民放、すべてが一緒になりまして世論調査委員会というものをつくる、したがってそれが公平中立世論というものを、何と申しまするか、鏡のようにして放送番組の上にあらわしてまいる、それを期待することでございます。統制的な考え方あるいは各放送事業者に介入するというような気持ちは全然ございません。また、法律をごらんいただきましてもそのようなことは全くないのでございまして、この機関の設置によって世論の反映というものは正しく行なわれる、一つの新しい試みであり、これを何とか放送事業者全部が育てていってくれること、自分が育てたものに自分で正しい世論というものを期待して、そうしてそれを番組の上にいい効果をあげていってもらうということでありまして、番組審議機関世論調査委員会両々相まって今後番組向上のために役に立ってもらうものだと考えております。
  20. 秋田大助

    秋田委員 だいぶ政府の御意図も明らかになったと思うのですが、それでもなお疑惑は一部の人には晴れない。それは世論調査委員会第三者機関として構成されておりますが、その世論調査の結果を「すべての放送事業者及びその番組審議機関に通知するとともに、その概要を公表しなければならない。」という第三条の五の第三項の規定に続きまして、第四項に、御承知のごとく、放送世論調査委員会推賞または勧告することができる、いわゆる勧告権なるものが明記されておるのでございます。で、この項が放送番組編集の自由を拘束するものではなかろうかと疑惑があるからでございます。そこでこの点をひとつ十分解明しておく必要を私は痛感するものでございます。放送世論調査委員会が、推賞はともかくとして——それにもやはり異議があるかもしれません。疑惑をもって見れば無益なことをするという批評もございましょう。しかしまた、勧告するに至っては、かつまたそれを受けたほうはその意図尊重をし、何らか措置しなさいというよう規定がございますので、何かやはりここで番組編成上の表現上の自由が規律され、あるいはまた間接に事実上この機関に、うがった見方をすると何らかの圧力をかけることによりまして、実質上政府と申しますか行政権監督権の直接介入を企図しているのではないかという疑惑誤解であるかもしらぬが、疑惑は少なくとも持たれる、こういうふうに私は見ておるのではないかと思うのであります。しかし私は、これはそうじゃなくて、はやり世論の結果を言うと同時に、その世論代表者である日本良識が、この放送世論調査の結果についてどういう考えを持っているかを申し述べることは非常に必要なことである、健全な放送事業発展のためにも非常にプラスになることであって、その機関政府とは全然関係がないのだ、政府はこれに事実上介入するおそれ、意図がないことはもちろんであると同時に、これに対して介入する余地も実際上考えられません。すなわち世論の結果、この世論機関代表者である日本良識がこれに対する批判を与えて、これを公表する、その結果を受けて放送事業者参考として適当な措置をとる、とるべきものがあればみずからこれをとる、とるべからざるものがあればかくかくの理由において、せっかくの世論調査の御発表であり、また委員会の御見解であるが、自分はこうこう考えのもとに文化多様性向上を実現し、健全な日本文化社会を建設し、国民一般の教養の向上に資するためにこれは必要であるという見解を述べられる、これは必要なことであって、その間何ら表現の自由を害するものでないことはもちろんであると同時に、放送事業自律性をいささかなりとも侵犯するものではないのだ、むしろ放送のために、繰り返して申しますが、その健全な発展のために非常に有益な制度であり、有益な措置である、こういうふうに考えておりますが、政府はどういうふうな御所見を持ち、お考えでございましょうか、参考までにお聞かせを願いたいと思います。
  21. 郡祐一

    郡国務大臣 世論調査委員会放送事業者の集団と申しまするか、そのようなものででき上がっている機関でございます。したがいまして、私はその性質上むしろ官僚的なものには反発する性格が相当出てくるのだろうと思っております。あるいはむしろそれを期待してもよろしいのかもしれません。したがいまして、それに政府が介入するというようなことは全く考えられない種類のものだと思います。そうして放送事業者自身世論調査委員会を通じて、公正に形成された世論とはどんなものであるか、それを受け入れて事業者が進んでそれに基づいた判断と正しい行動をし、したがって番組によい結果が出てくる、それだけを期待するものであります。したがいまして、勧告と申しましても、ものを申しつけようというのではなく、放送事業者世論自分——世論調査委員会が活動をして、それを自分判断をして、正しい世論がこれだということを自分で受けとめてくれればそれで足りるのでございまして、たくさんある放送事業者に対して一様な受け取り方を——公正な世論が何であるかということを一様にすべてが受け取るというわけでもございませんから、ぜひとも調査委員会のほうが自分から、こういうことが世論なんだ、しからばこういうところはこういうぐあいであったほうが望ましいのじゃないか、と言ってみることが効果があるのではなかろうか、こういう所見でございます。したがいまして、どこまでも世論事業者が進んで受け入れる、進んで受け入れ進んで判断するためには、どういう方途がよろしいか、そういうことが規定してあるだけで他意はないわけでございます。   〔森本委員措置しなかったらどうするんだ」と呼ぶ〕
  22. 秋田大助

    秋田委員 だいぶ明瞭になってまいりましたが、もしも措置をしなかった場合にどうするのかということの声がございますから、一応政府の御見解を承っておきたいと思います。
  23. 郡祐一

    郡国務大臣 勧告をいたしまして、そうしてそれによって必要な措置をいたしますことは、これは放送事業というものの性格から申しまして——性格と申しますか、自主性を極度に尊重いたしまする、たとえ日本放送協会ような形態をとりましても、これが他の国営をいたしておりまする国の放送事業と全く違う体系をとっておりまするわが国において、勧告をいたし、それによって必要な措置がとられるものであるということは、当然その間に両者の立場としてできるものだという前提に立っておる次第でございます。
  24. 秋田大助

    秋田委員 勧告がとられた場合に、ただいま申し上げたように、いろいろとおのおの見解の相違というものもあります。いろいろむずかしい問題を惹起いたしましょうが、良識をもって勧告し、良識をもって受けとめるという、この間にはいわゆる自然の規律がついていくということを私は期待をいたしておるのでありまして、かりにというような大きな問題を事実上生ずることはない。もし万が一それがあったらどうするかということにおきましては、やはり大きな世論背景のもとに事は処理されていくと私は思っておるわけでございます。  次に、放送事業免許制につきましてお尋ねいたしたいと思います。  今回の改正案におきまして、新たに放送事業について事業免許制というものがとられたのでございまして、これが非常な物議を呼んでおるのは御承知のとおりであります。この事業免許制なるものが政府民間放送に対する全面的な監督、ひいては言論統制の布石になる、第一歩になるのではなかろうかという疑惑があり、かつ見方が一部にあるようでございます。そこで、私は、この事業免許制をとるに至りました根拠、これにつきまして政府の御見解を承っておきたいと思います。この点を明瞭にいたしますることは、この今回の放送法電波法改正を通じまして有力な反対意見に対する答えといたしまして一番重要な点ではなかろうかと思いますので、やや詳細に政府側の御意見を承っておきたいと思います。
  25. 郡祐一

    郡国務大臣 世上批判あるいは不安というものは、私は、免許ということばがいろいろな過去の統制法規等を想起せしむるために起こってまいったのではないかと思います。しかしながら、この法律をごらんいただきますならば、放送事業免許ということをいうておりますけれども、それに対応する何らの統制的な規定を設けておりません。このたびの改正法におきまして、日本放送協会と民放両者によって放送事業というものを、いわゆる二本立てと申しておりますが、二本立ての放送事業というものを期待しておる。ところが従来、日本放送協会については詳細な規定がございましたが、民放につきましては必要な事項を単に準用しておるにすぎません。これではどこまでも民放というものが日本放送協会で必要な規定をただ必要な部分だけ取り入れているというだけでございまして、民放そのものに何ら地位というものは与えられておりません。また二本立てと申しましても、民放というものをひっくるめて五十九社ございますが、その五十九のものをひっくるめた民放というものがNHKに相対立する位置を持つのだというきわめて観念的なことをいうているにすぎません。そういたしますと、放送事業者の地位を設定いたしますということは、どうしても個々の放送事業者について規定するよりほかないと思うのであります。そういたしますと、国内放送体制に対する原則というものをこの際はっきりいたそうといたします際には、個々の放送事業者放送法上の地位を持つということ、放送法上の地位を設定いたすということ、これを明瞭にすることは民放の事業者に対してその資格を保障することに相なると思うのであります。このよう意味合い放送法上の法的主体性を与える、むしろこれらの民放事業者というものが将来に対して法律一つの資格を持つ、こういうことを規律ようというのでございます。したがいまして、これらについて干渉いたすとか統制いたすとかいう考え方はごうまつもない規定でございます。
  26. 秋田大助

    秋田委員 そうしますと、この放送法にいう新たに採用されました放送事業者に対する免許というものは、何か従来の公益事業といわれております電気・ガス事業等についてとられております免許というものとはいささか違っておる。あの場合には、独占的企業としての免許を与えると同時に、また相当の保護があると同時に、これに対していろいろ公益上必要がありまして、監督等いろいろ詳細な規定がそこの中から出ておるわけであります。しかし、放送事業につきましては、今回の新改正法案の放送法第二条の二の規定におきまして、「国内放送は、日本放送協会及び一般放送事業者(第五十一条第一項の免許を受けた者をいう。以下同じ。)が行なうものとする。」として、現行法上ややと申しますか、放送法上にはその法律上の地位が明らかにされておらなかった放送事業者法律上明確な位置づけをした、この第二条の二に照応いたしまして五十一条というものが必然的に生まれてきたものでありまして、これは一般放送事業者法律上の地位を与えるというプラスの面こそ強調さるべきでございまして、何ら表現の自由なり、その事業体の自立性にマイナスの効果をあらわすと思われるよう規制、官庁の監督権の行使の規定がこの上から導入されるものではないと解釈いたしまして間違いはございませんか。この点をもう一ぺんしっかりお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  27. 郡祐一

    郡国務大臣 ただいまおことばのうちにございましたように、他の免許というような場合には、特別の資格、特別の権益と申しますか、権限と申しますか、これを大きく付与いたしますものが普通の場合の事業免許考えられると思います。したがいまして、電気事業にしてもガス事業にしてみてもそうでございますが、それに伴いまして非常な制限をし、非常な規律をいたします。公益を保っていくためにそれが必要だからでございます。しかしながら、放送事業者事業免許につきましては、ただ地位を設定するだけでございまするから、特別の——なるほど放送事業者ということ、一方では放送局の免許がありまして、そうして放送事業者が仕事をできるようになる、そのことは確かに一つの資格を得るわけではございまするけれども、それ以外に何らそのものに他のものを排除いたします特権的なものを付与いたしておりません。したがって、特権的なものを付与いたさないために特別な制限なり制約を設けておりません。御指摘のとおり、もっぱら放送法上の地位を新しく設定して、そうして民放の事業者というものに放送法上の地位を与える、それ一事に尽きておりまして、他に何ら考えるところはございません。
  28. 秋田大助

    秋田委員 だいぶ明瞭になってまいりましたが、この点につきまして、やはり世間にいろいろ誤解がございます。また疑心暗鬼がございます。この法律審議過程において、さらに同僚議員からもこの点について質疑がありまして明確にされると思いますが、通りました後におきましても、世上の一部疑惑誤解を一掃するよう格段の御配慮を願いたいと思うのでございます。しかし、以上のような抽象的と申してはどうかと思いますが、お答えにかかわらず、なおそれだけでは世間の疑惑は一掃されたとはいえないと思います。そこでやはり承ってみますと、一般放送事業者におきましては、この制度の採用によりまして、実際上、あるいは政令あるいは省令等を通じまして、いろいろの取り締まり規定が、また内規なりあるいはそういう慣行が露出されるのではなかろうか、何が出てくるか不安にたえない。そしてその中にはいろいろ経理書類の提出、五十三条の四に規定されたような資料の提出という項目から経理に関する重要書類の提出を求められる。それによりましてスポンサー料の決定について批判を受ける、あるいは利益につき、あるいはその利益の捻出の内容等についていろいろの嫌疑なり批判を受ける、あるいはそれがひいて利益配当の制限等を導き出してくる、それを社会的にいろいろ是正するようなムードをかもし出してくるのではなかろうかというよう疑惑があるのでございまして、そこで五十一条の第二項でいうております「前項の免許を受けようとする者は、郵政省令で定めるところにより、」云々とありますが、その郵政省令の中に一体そういうものが出てきやしないかという誤解に対しまして、ひとつ解明を願いたい。また五十三条の四でございましたか、「郵政大臣は、この法律の施行に必要な限度において、政令の定めるところにより、放送事業者に対しその業務に関し資料の提出を求めることができる。」というこの規定内容は一体どういうものであろうか、この点は現行法にもこれと同じよう規定がたしかあったと記憶いたします。しばしば本委員会においても論議をされたところでありますが、あらためてこの際政府の御所見を承っておきます。
  29. 郡祐一

    郡国務大臣 現在の憲法が旧憲法と異なっております大きい特色は、行政はすべて法律に根拠を持たなければならない、法律規定のない監督をしたり介入することが許されておらないのが現行憲法の大きい特色だと思います。したがいまして、御指摘ように、五十三条の四は、同様の規定現行法の四十九条の二にございますが、これは法律を施行するために必要な限度でございまして、法律自身が、放送番組については事業者自主性にゆだねる、それから営業について何ら干渉しておりません場合に、この法律が何ら規定しておりませんことを法律の施行に必要な政令として、あるいは放送番組に関係したりあるいは営業の秘密にわたりますようなことを対象として政令を規定することは、施行政令の規定として許されないことだと存じます。また、五十一条の二項にございます郵政省令は、明らかに免許を受けます場合の申請書に関する省令でございますが、これにつきましては、さらに限られた限度においての省令しか書けません。これらはすべて施行命令というものの、ことに新憲法下における制約された性格から、決してどのような場合がございましても——もちろん政令がそのときどきで態様の変化に応ずる場合はございましょうけれども、番組にどうであるとか業務にどうであるとか、このようなことは書くことのできない規定だと考えております。
  30. 秋田大助

    秋田委員 次に、電波監理審議会性格と申しますか、権限についてお尋ねをいたしたいと思います。  なお、もとへ戻って恐縮でございますが、事業免許制につきましては世上ただいま申し上げました点以外いろいろの疑惑が、ことに放送事業者間にあるようでございますので、一そうこの質疑過程を通じ、またその他のところにおいて誤解を一掃するよう格段の御配慮をあわせてお願いいたしておきます。そこで、電波監理審議会のことでございます。臨海放送関係法制調査会の答申時にはこの点についての勧告がございまして、重要な放送行政に関する事項につきましては電波監理審議会に相当権限を付与すべき勧告がなされております。これと対比いたしまして改正法律案の原案を見てみますと、たとえば電波法の改正の九十九条の十一「郵政大臣は、左に掲げる場合には、電波監理審議会に諮問し、その議決を尊重して措置をしなければならない。」こう規定されておりますが、この規定は、この答申の趣旨と比較いたしまして少し弱いのではなかろうか、あるいはこの答申の真意を多少誤解しているのではなかろうかというような点も考えられる。また、今度の改正案のこの書き方は、まさにこの答申の線とは著しく違っておる、少しことばが強うございますか知りませんが、この答申に違反をして、尊重をしておらないというよう批評もあるやに聞いております。しかし私はこの点に関しましては、そういう見解とはいささか考え方を異にするのでありまして、この答申をよく読みますれば、臨時放送関係法制調査会の答申といえども、現在わが国のとっている内閣の責任制による行政の統一というこの大原則を無視して、強く議決できる機関としての権限と性格をこの電波監理審議会に付与する、そういう意味ではない。いわんや行政委員会的な性格をこれに持たそうという意味ではない。要は、郵政大臣が事実上どこまで審議会意見尊重し、電波放送行政の大綱につき、また重要事項につき誤りなきを期するかという点にかかっておろうと思うのでございます。この点は非常に大事なことでございまして、いままでいろいろ論じてまいりました放送法上の基礎原則であります表現の自由なり、あるいは事業自立性なり、こういうものの確保をはかる意味におきましても、この審議会に諮問をいたしまして、その議を経ていくのでございますから、この議をいかに尊重するか。この議の性格をどういうふうに大臣は受けとめていくか。しかして結局この審議会をいかなる性格のものとして認識していくかということは、きわめて重要な点であろうと存ずるのでございます。この点に関する大臣の御所見を承りたいと存じます。
  31. 郡祐一

    郡国務大臣 御指摘のとおり非常に大事な点であり、答申もその点に重点を置いておると思います。答申自身がはっきり申しておりますように、一般の行政機構の例にかんがみても、いわゆる行政委員会は適当でない。委員会性質については、答申ははっきり申しておりまするし、また同時に、「意思決定手続を格別に厳格ならしめ、放送行政の公正と一貫性とについて何人からも指弾を受けないよう」という点に要約されておるようでございます。したがいまして、放送行政の公正と一貫性ということは今後においてもいよいよ必要になってまいりましょうし、同時に放送というものが社会的、経済的、文化的に非常な多方面に関連いたしておりますから、この行政というのは勢い複雑多岐な対象を考えなければ相ならぬと思います。そのよう意味で行政委員会は適当でない、これは日本の現在の内閣制度から見ましてもそのとおりでありまして、このような各方面にわたる行政というものは、これは政府責任においていたすことが当然であり、責任の所在を明らかにするために行政委員会は適当でないと答申は申しておるのだと存じます。そのよう意味合いで行政委員会制度は採用しない。どこまでも諮問機関にいたすということが、この電波監理審議会性格だと思います。しかしながら、同時にこのたびの改正案でも、諮問事項を増加いたしましたり、公聴会制をとるなり、その機能の強化を極力はかっております。これは答申自身が申しておりますように、内部的な意思決定手続を格別に厳格ならしめるために、その答申というものは極力尊重をいたす。そして放送行政に効果あらしめると申しますか、答申のことばを使いますれば、公正と一貫性を保っていくというために、したがいまして、この場合の審議会の議決というものは、特に最大限の尊重をいたしてまいる。そして政府において行政の一貫性をはかってまいる、こういうことにいたすべきもの、だと考えます。
  32. 秋田大助

    秋田委員 ただいまの大臣の御見解、事理明白であると思います。私もその点見解を同じくいたすものであります。答申の字句の表現のいかんにかかわらず、電波監理審議会諮問機関である、この点は明瞭であると思います。しかしいろいろ電波放送上の重要な事項を諮問された、それによる議決というものを大いに尊重しなければいけない。まあよほどのことのない限り、また事実上おそらくそういうことは予想されない。大臣の議決の処置内容は、常に維持されることが期待されておると思うのでありますが、同時にこの内容を非常に尊重して、大臣電波放送行政の誤りなきを期さなければいかぬ、この答申の内容はこういう趣旨と私は受けとめた。この九十九条の十一がそういう趣旨から書かれておるといたしますれば、この書き方で十分であろうかどうだろうか。従来、はなはだ失礼ではございますが、郵政省の電波行政が誤っておったとは私は申しませんけれども、いろいろの批判を受けておることは事実でございます。現にいろいろとむずかしい困難な事態もわが国の放送業界の現状にあることでございます。そういうことと過去のいきさつとがみんなの脳裏にございますから、このいきさつの事実を背景といたしまして、この規定を読みます際に、一そうの配意が必要であるということが言われるのは私は当然のことであろうと思うのでありまして、この点はひとつ郵政当局、政府におきましても謙虚に聞く必要があろうかと思うのであります。しかしそれにとらわれて、政府責任性と行政の統一性を害するようなことがあってならないことは、前にも申しましたとおり当然のことであります。そこで一部に答申の趣旨を正しく表現するために、少し変えてはどうだろうかというよう意見もあるのでございまして、いろいろの字句等を私も考えたことがございます。この答申にいうように、議決に基づいて云々という文章がございますが、議決に基づいてというよう表現を取ったらどうだろうか、あるいは議を経て措置しなければならないというようにしたらどんなものであるか。あるいは諮問をして、その議決を経なければならないというよう意見も有力に主張されておるやに聞いておる。そこで研究課題でございますが、かりに九十九条の十一の項を、電波監理審議会に諮問し、その議決を経なければならないといたした場合に、これは一体立法上どういうふうなものであるか。立法技術上はどういうことになるのであろうか。またそれを表現された場合にどういうふうに解釈されるのであろうか、ここいらについて研究的にひとつ大臣の御所見を伺いたいと思います。
  33. 郡祐一

    郡国務大臣 議院内閣制のもとにおきます郵政大臣責任を明確にしながら、同時に、したがって電波監理審議会諮問機関であるということが「諮問し、」ということで明瞭になっておりますから、さようでありますならば、放送行政の公正と一貫性について世間全体がなるほど公正な放送行政が保たれておる、そういうような印象を十分持ち、また行政そのものが正しく行なわれますために、その諮問機関である電波監理審議会が運用される意味をあらわしておるのであります。したがいまして、先ほども申しましたが、その議決というものについては高い価値を認めておる趣旨がはっきり出ておりますので、私はいまお示しのようなことは十分正しく理解されるものだと思います。すなわちその諮問機関の議決というものが政府に対して強い力を持つと同時に、どこまでもその機関性格は行政委員会と異なりまして、明瞭に諮問という地位を持っておることがはっきりあらわれておるものだと思います。
  34. 森本靖

    森本委員 これはきわめて大切なところでありますので、場合によってはこれは成立についても非常に重要な点でありますので、断わっておきますが、秋田委員がいま質問をいたしましたのはこの条項を、電波監理審議会に諮問し、その議決を経なければならない、こういうふうに変えた場合にはどうなるか、こういうことを聞いておるわけでありまして、巷間伝えられるところによりますと、もしそう変えてもこの性格は同じであるというふうなことを言っておるようでありますけれども、これは非常に意味が違ってくると思うのであります。もしそう変えるとするならば確かに大臣がおっしゃるとおり、これは法律上はあくまでも諮問機関であります。しかしながらその場合に、これは「議決を尊重して措置をしなければならない。」ということよりかはその議決を経なければならないということになりますと、かなりこれは拘束的なものになるということははっきりしてくると思います。そういう場合に、これは法律上としては確かに大臣がおっしゃるよう諮問機関でありますけれども、その議決を経なければならないということになりますと、その性格というものがある程度やはり強いものに変わってくるというふうに解釈を私はしておるわけでありますが、その点について、これがそういうふうになっても、第九十九条の十一については同じである。大臣がこういう解釈をするとするならば、これは全くかりにそういうことになったといたしましても無意味である。こういうことになるわけであります。  これはいまも、私のところにある人が、これはもうそうなっても同じだということを大臣が言っておったんだというふうな意見もいま聞いたわけでありますが、もしそういうことであるとするならば、これは何ら意味がないわけであって、私はいま秋田氏が質問をしたことは非常に重要な意味を持っておると思います。だからその点について、もしも「電波監理審議会に諮問し、その議決を尊重して措置をしなければならない。」というところを、その議決を経なければならないということになりますと、いまの条文とはだいぶ違って、これは法律上は諮問機関であっても、その拘束力というものは非常に強まる、こういうふうに解釈するのが妥当ではないか。それからまたかりにそういうことになれば、その議決を経なければ、この諮問事項については大臣はすべて行なうことができない、こうなるわけでありますけれども、人々の解釈が非常に違うわけでありますが、かりにそうなってもこれは諮問事項であるから、大臣はかってにできるんだ。その議決を経なくとも、かってにできるんだという解釈をせられると、これはもしかりにそういうことになった場合には、大きな食い違いが出てくるわけであります。  そこで私の解釈といたしましては、仮定の事項になりますけれども、法律の解釈事項でありますからきわめて重要でありますが、電波監理審議会に諮問し、その議決を経なければならない。こういうことになった場合には、私の解釈としては、その場合には法律上はあくまでも諮問機関である。しかしながらこの第九十九条の十一の政府原案よりは、かなり拘束力が強まってくると解釈する。同時に諮問事項については、すべて電波監理審議会の議決を経なければ大臣としてはできないことになる。こう解釈を私はしておるわけでありますが、その点は明らかにしておかないと、個々人がばらばらの解釈をしていろいろやられると、これはもう一切妙なかっこうになるわけでありまして、きわめて重要な点を秋田委員が質問したわけでありますから、私はいまそういう解釈をするわけでありますが、その点について大臣所見を聞いておきたい、こう思うわけであります。
  35. 郡祐一

    郡国務大臣 私は、いままでこの点について意見をどこでも申し述べておりません。したがいまして、だれかが申し述べたというのは、私以外の者だろうと思いますが、おっしゃるとおり原案とは違った強い、何と申しますか、答申のことばを申しまするならば、その内部的な意思決定手続きを格別に厳格ならしめる力を持つ議決というものが出てまいることであります。私は、ことばが変わりましたら、その中身というものは変わってくることは当然だと考えております。
  36. 秋田大助

    秋田委員 この点に関しましては、本質的に法理解釈上、電波監理審議会性格を変えるものではないが、また変えることを答申は要求しているものではないが、答申の趣旨をより適切に表現するための措置として、かりにこうしたらどうだろうという研究課題として提案をしたわけでございまして、いまのように議決を経なければならないとしたときに、法理上はいささかも諮問機関としての電波監理審議会性格権限に違いを及ぼすものでなかろう、こう思います。しかし、この審議会の議決を非常に尊重しまして、実際の場合においては電波放送行政の行使につきまして誤りなきを期し、行政権審議会との意見が一致することを当然期待する。その点については大臣も大いに尊重する。同時に電波監理審議会も細心の注意と英知を持って答申をする、議決をする、こういう法の要求の趣旨であると私は解釈をいたしておる。だから俗に申しますれば、この政府原案よりは、事実上だいぶ尊重度を強めたという趣旨をあらわした表現になるのではなかろうか、こう解釈をいたしますが、しかし諮問をして議決をするというこの用語の使い方は、法律技術上はどうかと思われるのでございます。私は、法律技術上の巧拙云々は別問題といたしまして、かりに諮問し、その議決を経なければならないというようなことにいたした場合のこの電波監理審議会の法理上の性格いかん、また、これの解釈における事実上の議決尊重度にどういう変化を及ぼすであろうか、技術上の点と、この見解法制局の有権的解釈として、第四部長の御出席を求めてございますので、第四部長法制局を代表しての有権的御見解を承りたいと存じます。
  37. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 ただいま仰せられましたところは、端的に申しますと、電波法第九十九条の十一の第一項の規定の中で「電波監理審議会に諮問し、その議決を尊重して措置をしなければならない。」ということを「電波監理審議会に諮問し、その議決を経なければならない。」かように直した場合に、その解釈論はどうなるか、そういうことであると存じまして、それにつきまして御答弁申し上げます。  いま仰せられましたように、直すといたしました場合に、まず諮問機関としての性格に変更があるかどうかということと、第二にその表現によって従来の郵政大臣審議会の答申を尊重すべき度合いが変わるかどうか、この二つについて御答弁をいたせば足りるものと考えるのでございます。  第一点の諮問機関としてとどまるかどうかということにつきましては、先ほど森本先生もおっしゃいましたが、私たちも結論としては諮問機関にとどまる、この点につきましては、いま秋田先生も仰せられましたが、私もすべてそのとおりであると解釈いたしております。その理由は、まず一般に、議決機関になりまするためには「諮問し」というようなことを書きませんで、ただ「議決を経なければならない。」と書くのが通常でございますのに、わざわざ電波法九十九条の十一におきましては、「諮問し」というのを上につけたこと、これはまさに諮問機関であるということをあらわす一つの表徴であると思います。またこの九十九条の十一の見出しにおきまして「諮問事項」とちゃんと書いてございますが、このことばの意味から申しましても、もし議決機関であれば、やはり「議決事項」と書くべきであり、それが「諮問事項」として残っております以上は諮問機関であるというふうに解するのが当然であろうと思うわけでございます。それからもっと実質的に重要なことは、電波監理審議会異議の申し立てにつきましては、第一審として訴訟的な行為を行ないますが、その訴訟的な行為を行ないます場合の規定は、電波法第八十五条におきまして、まず「異議申立てがあったときは、郵政大臣は、その異議申立てを却下する場合を除き、遅滞なく、これを電波監理審議会の議に付さなければならない。」というふうに表現をいたしまして、「諮問し」というふうには書いてございません。また電波法九十四条の第一項におきましては、電波監理審議会が議決をいたしましたあとで郵政大臣が「その議決により異議申立てについての決定を行う。」と書いてありまして、議決により決定を行なう。もう郵政大臣がその間にみずからの意思を反映する余地がないように書いてございます。それとの対比におきまして、やはりこの部分につきましては、電波監理審議会諮問機関としての性格ではなくて、議決機関たる性格を当然持ちますけれども、いま申しました九十九条の十一におきましては、いまみたいな表現の差異によりまして、私は諮問機関として依然とどまるものであるというふうに考えるわけでございます。  第二点といたしまして、しからば、今度の、先生仰せられました、「議決を経なければならない。」ということばに変更いたしましたために、審議会の権能と申しますか、逆に言えば、郵政大臣への拘束力というものがそれによって事実上強められたということでございますが、その点につきましては、やはり一般に議決を尊重して措置をするということは何もこの法律で書く必要もないことでございまして、一般に審議会を設けて、その審議会に諮問いたします場合には、その審議会に諮問した行政庁は当然これを尊重するのがあたりまえでございますが、それを特に事柄の重要性にかんがみまして明示したというふうにわれわれは解するわけでございますが、その明示したのに対しまして、さらにそれを変更いたしまして、「議決を経なければならない。」という「議決」ということばを用いているという趣旨から見まして、やはりその間には非常な隔たりがある。やはりそれによって拘束力がと申しますか、事実上の拘束力は増しておるというふうに考えるべきであると思うわけでございます。
  38. 秋田大助

    秋田委員 事理明白になったと思います。解釈上からは、ただいまかりに研究議題としたよう表現に九十九条の十一を変えましても諮問機関たる性格には変わりはない、議決機関にはならない。しかし、法理解釈を別にいたしまして、実際上の点におきましては、「諮問し、その議決を尊重して措置をしなければならない。」という表現と、いまかりに申しました表現との間には拘束力の尊重度に非常な差異があるという感触になる、こう理解いたした次第であります。この点は重要な点でございますが、時間の関係もあり、この程度にとどめます。  以上で重要な理論的な、原則的な問題に対する質問を終えておきます。なおいろいろありますが、時間の関係もありますので、この程度にとどめ、以下この新法に基づいて放送行政の実際的措置がどうとられるであろうかというところに関連をいたしまして数点お尋ねをいたしてみたいと思いますが、ただいま森本委員から関連質問の御要求があるようでございますから、簡潔にひとつ……。
  39. 森本靖

    森本委員 関連して、大臣にもう一つ聞いておきたいと思いますが、この「左に掲げる場合には、電波監理審議会に諮問し、」ということがあるわけですから、左に掲げる場合はすべて電波監理審議会に諮問をしなければならぬということであって、それは郵政大臣がかってにでき得る、諮問しなくてもいいんだということは絶対にあり得ないということを大臣からはっきりしておいてもらいたい。これもまたいろいろ説をなす人があって、そんなものは大臣がかってにやれるんだというようなことを吹聴してまわる人もおるわけであって、その辺はっきりしておいてもらいたい。そこで「諮問し、その議決を経なければならない。」というふうになった場合には、はっきりと郵政大臣というものは、左に掲げるものはすべて電波監理審議会に諮問をして、その議決を経なければできない、こういうことであるということを大臣もはっきりしておいてもらいたい、こう思うわけです。
  40. 郡祐一

    郡国務大臣 九十九条の十一にこのよう規定されておりまする以上、すべて列挙いたしましたことは諮問し、その議決を経ることは当然と解釈いたします。
  41. 秋田大助

    秋田委員 次に、国内放送体制に関する施策の目標に関連をいたしまして、お尋ねをいたしたいと思います。  放送法改正案が国内放送体制に関しまして、第一に、国内放送がNHKと民放との二本立てであるという大原則を宣明いたしまして、次に、施策の目標といたしましてNHKのラジオテレビ放送のいずれも少なくとも二系統の放送番組があまねく全国で受信できることとしたのは、ほぼ現在すでに確立されました実績を基礎といたしたものでございまして、適切であると考えるのでございますが、さらに進みまして、民放のラジオ放送テレビ放送のいずれにつきましても、原則として二つの民放の放送があまねく全国で受信できることという施策目標を設けたことにつきましては、放送の独占を排除し、電波の効率的利用をはかり、国民になるべく多くのラジオテレビ文化を享受せしめようとする趣旨に出たものと考えまして異論はございませんが、実行上の問題として幾つかの疑点がありますので、お尋ねをしておきたいと思います。  まず、テレビジョン放送につきまして、この目標を達成しようといたしますれば、必然的にVHFのほかにUHFの波を使うことになると思料されますが郵政当局としては、現在いっているVUの混在を認めないという方針をここで放棄されるのでありましょうか。それともどこまでもVとUとの区域を分けて、必要とあれば現在与えているVの波をUの波に変えても、非混在の方針を貫く方針でありましょうかどうか。  次に、もし前者、すなわちVU混在の方針をとった場合には、Uの波を割り当てられた事業者は、Vの波を割り当てられた事業者に比し、テレビ受像機の普及台数の関係等から著しく不利の立場に置かれ、あるいは場合によりましては、経営の破綻を招くことなしとしないというおそれがあります。アメリカの過去の経験に徴しても、このことが考えられるのでありますが、郵政当局はその点どう考えられておるか、対策をどう考えておられますか。Uの受像機の普及方策としては、たとえばアメリカで行なったように、オール・チャンネル・プラン・アクトというようなものを立法化して、法による強制措置をとろうとされますか。あるいはメーカーがVU兼用の受像機を生産するにまかせ、その自然的普及にまかせておくというお考えでございましょうか。この点はラジオのAMとFMについても言い得る同じような問題があると思いますので、まずUV混在の点に対するお考え方、これに対する処置を郵政当局はどうお考えでございましょうか。郵政大臣並びに、もし技術的な見地等がありますれば、技術当局から御答弁を補足していただいてもけっこうでございます。
  42. 郡祐一

    郡国務大臣 原則として、全国で民放が二つ番組を受信できるようにいたしまする場合には、UHF帯の周波数を大幅に使用しなければ相ならなくなります。したがいまして、第一のお尋ねのUV混在方式は、今後はこれを認めていかなければ相ならぬと思います。さようにいたしますると、受像機の問題にその次にお触れになりましたが、UV混在方式が実施されるといたしましても、これは地域的に順次実施されてまいるものでありまするので、また現在の輸出の状況を見ましても、百万台をこえるオール・チャンネル受像機が昨年一年間に輸出をいたされておると承知をいたしております。さようにいたしまするならば、Uの親局が置かれます地域というものは、一般的に申せば、新しい放送局に対する住民の要望も強い地帯だと思いまするから、したがいまして、受像機に対する需要も、オール・チャンネルの受像機ないしはコンバーターの普及というものは、さしてむずかしくなく進められるのではないかと考えております。オール・チャンネル法のような、製造販売を法律規制する法律をつくるかどうかという点は、いろいろな事情をさらに慎重に検討さしていただきたいと思いまするが、オール・チャンネルの受像機ないしコンバーターの普及ということについては、UV混在方式をとります以上、政府といたしましても、特に力を入れてまいるべきものだと考えております。
  43. 秋田大助

    秋田委員 テレビジョンについて二系統の放送をあまねく全国で実施することができるようにするためには、UV混在の方針として、従来の方針はこれを放てきせざるを得ないということは了承いたしました。そうであろうと思うのです。  しかし、UV普及の現状の格差にかんがみまして、置局、免許等について十分細心の注意、配慮をさるべきであり、受像機の普及につきましても、これまた格段の用意周到な配慮を必要といたしますので、この点郵政当局の善処をくれぐれもお願いをいたす次第でございます。  次に、一地区に二つの民放を聞かせるということは、一体どういう意味なのか。二系統のものが聞ければいいのか、事業者二つ置かなければいかぬのか。どういうふうに解釈すべきかということをお尋ねいたしますのと、同時に、日本全国経済状態が同じであればよろしいと思いますが、戦後著しく経済力を増した日本といえども、国内諸地域の格差の是正が非常に云々をされておる日本の現状でございまするから、経済力が強固でない地域でありますると、一地区に二つの民放を認めることは、民放の収益力の急激な低下を招きまして、これが番組の質の低下につながりはしないかという心配は、臨時放送関係法制調査会の答申の中にも指摘されておるところであります。この点十分考慮しなければいけません。しかし、民放の収益力の低下をいつまでも心配しておりますと、一地区二民放という施策の目標が達成できないという二律背反のジレンマにおちいるのでございますが、政府はこのジレンマをどう解決していく方針でございますか。あとで事業区域の設定等につきましても多少触れますが、そういう面に立って考慮されまして、ここに二つ民間放送局を置いていくということについて、非常に将来のことでありますが、およそどういう目標、ビジョンを持っておられるか。これは業界のみならず、聴視者大衆としても非常に関心の深いところでございます。およその施策、目標、ビジョンにつき御見解を御表明願えれば幸いでございます。
  44. 郡祐一

    郡国務大臣 原則といたしまして、一つの府県の範囲におきまして二つの民放が受信できるということの目標を掲げておりまするが、地域の自然的、経済的、社会的諸条件に即して開設する。したがいましてその二つの民放を聞き得るという目標と申しますか、ビジョンと申しますか、これは私はあまねく全国に考えなければいけないことと思います。現在の状態といたしましては、地域的なあるいは自然的なあるいは経済的な事情に制約されてまいる部分が相当多いのではないか、こんなぐあいに考えます。
  45. 秋田大助

    秋田委員 すなわち全国一律にはいかない。その理想の目標を実現するのに同時に一律にはいかないということは了承いたしました。  しかし、それは了承するとしても、地方によって、東京、大阪とか関門地方とか、その他仙台、広島、札幌等、複数の民放局を現に持っておるところがありますが、その他の地方で、直ちにこの新法の理想とし、原則として目標に掲げた二系統の民放事業者を許すということの可能な地域があるかどうか。なかなか具体的にここ、ここということは、いろいろ関係する土地への影響もございましょうから、お尋ねはいたしません。現在複数になっておるところ以外に直ちに、こういうような目標には必要な準備をいたし、あるいはできると思われる地域もあるか、それが一点。その他の地域におきましては、これは法にも掲げてありますとおり、またただいま大臣が御言明のありましたとおり、順を追いまして、地域の経済性、社会性、文化に対する格差是正の要求等を十分勘案をいたしまして、十分なる注意と配意のもとに順次許していくという手段を講ずべきものである。  その間、相互乗り入れの問題等も介在いたしますが、その点は次にお尋ねするといたしまして、段階的に十分の配慮をしていくべきものと考えます点についての政府の御所見、お考え方をお尋ねいたします。
  46. 郡祐一

    郡国務大臣 私、お尋ねのございました第一の点は、必要な準備なり調査なりは十分いたさなければ相ならぬと思います。思いまするけれども、そういう地域は現在、国内にあると考えております。したがいまして、周波数の分配なり使用なりの計画について進めてまいります場合に、当然考え得ることである。しかしながら、同時に、現在の一事業者の状態で置いておくことがそこの自然的、経済的な条件からいうて適当だという場所も相当多いものだと考えております。
  47. 秋田大助

    秋田委員 段階的に行なうのについて十分注意をすべきである、この点については当然のことと思いますが、一応政府のお考えを承っておきたいと思います。
  48. 郡祐一

    郡国務大臣 私も、これを段階的に行なってまいります上には、今度は、行政として非常に大事な、また、気をつけなければならない点があると思います。これは郵政省の今後の施策として、非常に細心に扱ってまいらなければならぬ。むしろ政府として私は考えるべき問題だと思っております。
  49. 秋田大助

    秋田委員 次に移ります。  以上のことに関連をいたしまして、臨時放送関係法制調査会の答申では、民放の相互乗り入れという方式をサゼストし、提言をいたしております。しかし、このことは、府県を超越して相互乗り入れするのには、いろいろの問題を伴うということが予想されます。周波数使用計画上策定される放送対象地域及び事業区域との関係も生ずると思いますが、相互乗り入れという方式を答申は提言いたしましたが、この改正案では形式上その形はどこにも示されておりません。この点は一体政府はどう考えておるのか。事業区域の設定ということは非常にむずかしい問題だと思いますが、しかしこれはそういう措置をとることにされておる。そこで、この事業区域の設定によりまして、この法案の規定にも示されておりますが、従来の府県区域あるいはそれを越えてという場合を原則として考えておるから、それよりも、府県よりも小さい場合もこれは文理解釈上あり得ると思いますが、そういうことを事実上事業区域設定、企画される場合があるのかないのか、考えておられるのかどうか。これを現在の府県の区域を越えて事実上事業区域を設定されるということになりますと、それが、この答申に提言いたしております。いわゆる相互乗り入れの実効を期することになるのでありますか、その辺政府の御見解、お考え方をお尋ねいたします。  また、この相互乗り入れを形式的には認めないが、実質上これを認めるような行政措置を実際上、すなわち、事業区域の設定の中に実現していくというならば、この相互乗り入れと、実質の相互乗り入れ方式を採用しないものとの比率等、この点に対する政府の根本的な方針は一体どうなるのでございましょうか、その点をお尋ねいたします。
  50. 郡祐一

    郡国務大臣 法律的には原則として、一都道府県の区域でありまするけれども、規定上これよりも狭い区域であり得る場所がございましょう。ございましょうけれども、いわゆる相互乗り入れの問題ということを考えてみますと、この新しい改正法では、事業区域の設定の方法の問題に相なってくると思います。したがいまして、現在の一県一事業者の地域をそのまま事業区域といたしますならば、相互乗り入れということを考えますると、地域を二つ合わせて一つ事業区域といたしましてこれを設定する場合には、カバーし得るということに相なろうと思います。しかしながら、実際には府県単位がどこまでも通例である。そのような二県にわたる事業区域というのはどこまでも例外的な扱いというぐあいに考えられると思います。したがいまして、実際のそのようなものは非常に特殊なものでありまして、比率と申しまするか、そういうケースが起こり得るかどうかというのは、きわめて限られたものだというぐあいに私は考えております。
  51. 秋田大助

    秋田委員 そういたしますと、答申の提言にかかわらず、形式的には相互乗り入れという施策はない、しかし実際上の施策の実行の中にこの点は読み取られていく、こう解釈をいたしてよろしゅうございますか。
  52. 郡祐一

    郡国務大臣 そのとおりに、いわゆる相互乗り入れの問題はこの新しい法律ではなくて、ただ、事業区域の問題として法律的には起こってまいる。その実際の行政の問題は別といたしまして、法律上には事業区域の問題がある、こういうぐあいに御解釈を願いたいと思います。
  53. 秋田大助

    秋田委員 まさに法律的に正確にいうとそういうことに相なると思います。  そこで、まあ俗にいう相互乗り入れ方式というものをその意味において、ここで使うことをお許し願いたい。そのほうがわかりやすくございますから……。しかし、そのいわゆる相互乗り入れ方式というものは例外的である、原則的にはやはり従来の一府県単位ということが原則になって事業区域が設定されるものであるという御方針であると伺いました。おおむね妥当な方針であろうとは思いますが、この問題はなかなか実際上むずかしい幾多の問題を包含いたしておると思います。従来の実績あるいはその地域地域の、ただいま申しました経済格差の現状あるいはこれが是正等にも関連いたしまして、この事業区域の設定、いかなるまあ俗にいう方式によって各地域においてそれぞれ二系統の民放を国民大衆に享受さしていただくか、非常に困難にしてかつ微妙な問題を含んでいる。ひとつこういう点につきましては、これこそ電波審議会の議決を経られまして、あるいは、議を経られまして、大いに尊重されんことを、そういう措置をとられんことを期待いたす次第でございます。  だいぶ時間が長くなりましたが、重要な問題ですからぜひ伺っておきたい。実際施策上の問題があと二、三ございますので、もうしばらく質問を続けることをお許しを願います。もうあんまり長くはありません。  施策の目標につきまして、NHKの行なうラジオテレビは、そのいずれについても少なくとも二系統が、一般放送事業者の行なうラジオテレビは、そのいずれについても原則として二つ事業者の行なう放送があまねく全国で受信できるという目標を、放送法改正案第二条の二の二項に掲げておられますが、この書き方は、民放は二社以上にふやさないという消極的な意味を持ち、NHKはなるべく二系統以上にふやしていくという積極的な意味を持つものでありましょうか。この点民放業者におきましてはいろいろと議論の多いところであります。この点の文理解釈上の意味をひとつはっきりさしていただきたい。その後これに基づく施策の適否につきましていろいろ御意見を簡潔に伺い、また私の個人的見解を申し述べてみたいと思いますが、まずこの「原則」という意味の解釈をお尋ねいたします。
  54. 郡祐一

    郡国務大臣 NHKにつきましては二つ、民放については二つ原則であるけれども、一つの場合もあるということを言うておるというぐあいに私は考えます。
  55. 秋田大助

    秋田委員 まだその御答弁では私ははっきりわからないのであります。民放につきましては原則として二つ事業者の行なう放送というのですから、場合によっては、地域の状況では三つの場合もあるし、四つの場合も現にあるものがある。しかし原則としては二つだ。相当な期間の将来を展望いたしまして、特殊な地域は別といたしまして、原則としては民放については大体の地域において二系統以上はふやさない方針だ。これに反しまして、「少なくとも」と書いてありますから、現状はともかくといたしまして、将来NHKにつきましては、まだ国民的な要請からふやす場合があることを予想されておるのではないかということが考えられます。そういう点について民放業者といたしましては——これは時間の関係もありますから、もうお尋ねすることをやめますが、国内放送体制にNHKと民放の二本立ての大原則をここに確立されたが、一体性格上どういう差異があるのかというような点がいろいろ論議の対象にもされるわけであります。その点とこの問題とはやはり密接な関連がございます。しかし私は、国会という立場におきまして、この問題を公平に判断し、かつ施策の実際上に反映させなければならないと考えておるものでございます。すなわち単なる民放業者的な性格や観点からは見ておらないのでありますが、この「原則として」と「少なくとも」の解釈について、号を書き分けておりますから同じとは思われないのですが、郵政当局の御見解をお尋ねいたします。
  56. 郡祐一

    郡国務大臣 NHKにつきましては、「少なくとも」とありますから、確かにふえる場合も法律上は考え得ることでございますが、行政としてはまずさしあたっては二つだ。しかし法律の長い実施の上から考えましても、「少なくとも」ということばを使っておりますから、ことばどおりのゆとりと申しますか、考え方はあるものと思います。民放につきましては原則として二つ。しかし一つもあれば三つもあればそれ以上もあるのだということを規定しておるつもりでございます。
  57. 秋田大助

    秋田委員 これ以上、この点の解釈についてこまかく追及することはやめますが、大体了解をいたしました。  そこで、NHKには現況をもってしては現在一ぱいである、こういうことでございます。しかし将来の展望に立ちますれば、事情により国民的な要請によりまたふやしていかれるということは、公共企業体として、しかも、基幹放送ということばを使いますといろいろ語弊があるかもしれませんが、国民全体が持っておるNHKの性格に照らしまして、その必要性が予想せられる場合があることは、私認めるにやぶさかではありません。しかしこれは原則でありまして、実際の施策、この方針の適用にあたりましては、いまでもNHKのマンモス化、あるいはその事業管理能力という点についていろいろの批判がある現状であります。私の乏しい経験ではございますが、いろいろ過去の経験に徴しまして、やはり事業者といたしまして、事業経営体と人間の管理能力の間には、いかに鋭敏な人をもっていたしましても一定の限度がある。いかに国家的要請によりましょうとも、一定の規格以上にその機能のマンモス化をはかることが、かえって所期の目的と違ったことに到達する場合もあるということを十分考えるべきである。いたずらにただNHKが求めるからこれを与えるというようなことがあってはならない。むしろ原則的には、その必要性がある場合も認めますけれども、これが実施にあたりましては、現在のNHKの規模等から考えまして、十分なる配慮を必要とするものである。これは私の個人的な見解でありますが、そういうふうに考えておりますが、この点政府当局はいかがお考えになっておりますか、御所見を伺いたい。
  58. 郡祐一

    郡国務大臣 お考えの点、私も十分考えなければいけない問題点であると思います。よく御趣旨に沿うてものを考えてみたいと思います。
  59. 秋田大助

    秋田委員 次に、現在日本短波放送事業区域は全国に及んでおると思います。そこでFMまたはAMの中の一つと、この短波放送の受信できるという状態は、放送法第二条の二の第二項第二号の二つの民放が存在するという状態であると形式上解釈ができると思いますが、しかしそれでは意味をなしません。一体この点はどういうふうに考えておりますか。
  60. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  短波放送につきましては、先生がただいま御指摘になりましたように、事業区域の面におきまして、確かにほかの種類の放送と比べていろいろ問題が多いと思います。この点の解釈については、できるだけ統一的な解釈の規定ができるということを考えたわけでございますけれども、何ぶんにも短波という性格からいたしまして、確かに事業区域、その他の面におきまして問題があると思います。しかしながら、実際問題として考えました場合に、短波の波というものの取得、将来の短波放送のあり方ということを考えました場合に、実はこういう民放をふやすということは非常にむずかしいことでございます。そういう点から考えますと、やはりこの短波放送につきましては、例外的な考え方というものを持つのが実際的ではなかろうかということでございます。したがって、いろいろ御指摘ような点、確かに問題はあると思いますが、そういう意味で、われわれの実際に対象としておりますものがラジオなりテレビというものでございますけれども、短波の場合に確かに問題はあるということはありますけれども、主眼的な対象というものがほかにあったということをひとつお認め願いたいと思うのでございます。
  61. 秋田大助

    秋田委員 実際的な面と観点からの処置、見解を私としては了承いたしました。  次に、FM放送と教育放送の二点について質問して終わりたいと思いますが、臨時放送関係法制調査会では、FM放送に関し、「さしむきNHKの良質音声放送の試験的実施により受信機の普及を図り、次いで、混信対策にこれを使用することとし、他はしばらくその使用を見合わせることとするのが望ましい。」答申要綱4項でございますが、こう答申しております。しかしながら、FM放送につきましてはきわめて多数の免許申請が現に提出されており、申請者はその実施の一日もすみやかならんことを希望しておるのみならず、多重利用等技術面の問題もおおむね解決され、かつまた受信機もすでにAM、FM兼用のものが多数市販されている状況でございます。ことに今回の放送法改正案によりまして、国内放送の施設目標をあまねく全国において二つの民放のラジオを受信できる状態に持っていくことになると、中波だけでは不足でありまして、当然FMの波も混信対策以外の一般放送用として使うことが必要になると考えられます。こういう情勢を前提といたしまして、FM放送につきましては、政府調査会の答申どおり、なるべく当分これが使用を見合わす方針でありますか、それとも、この放送法改正案成立の暁におきましては、一般放送事業用としてこれが免許に踏み切る方針でありますかどうか。私は踏み切るべき時代が来たのじゃないか、答申から相当の期間を経ておる今日でございますので、技術的面のいろいろの開発状況等からも勘案いたしましてしかるべしと考えておりますが、一体政府当局はどういうふうに考えておるかということをお尋ねしたいと思います。
  62. 郡祐一

    郡国務大臣 お話しのように、FM放送を、お話しのよう理由なり事情なりから考えまして中波の代替としてのみ使用するということは、決して普及の方法としては効果的なものとは考えられません。したがいまして、答申の難聴解消はもちろん大事でありますが、難聴解消以外は凍結というようなことでなく、もっと前向きなものの考え方に進めてまいりたいと思います。法の改正をいただきましたあとは、中波及びFMを含むラジオ放送全体について新しい方策を樹立したいと思っております。
  63. 秋田大助

    秋田委員 大体政府の御方針は了承いたします。満足いたします。  次に、免許に踏み切る場合に、申請書の内容等で改正されました点も多いのでありますから、現在申請中の申請書は全部一応却下して、改正された法律に適合する申請書をあらためて提出させるような方針をとる、またそれについて一定の期間を置く等適当な行政上の配慮、措置が必要ではないかと思うのですが、この点実際問題としてどうされるお考えですか。
  64. 郡祐一

    郡国務大臣 直ちにすべて返すということはなかろうと思いますが、当然多くの部分を修正させなければ相ならぬことだと思います。これは事務当局によく実情は検討させたいと思います。あるいは政府委員からお答えいたさせます。
  65. 館野繁

    ○館野政府委員 お答えいたします。法律が改正になりまして、細部の取り扱い手続も変わる面がございますけれども、ただいま受理しております申請書、それが無効だとするわけにはまいりません。そのまま受理されたものを継続いたしまして、ただ新しい手続あるいは審査基準等によりまして、申請書の補正あるいは訂正をしてもらわなければ審査はできないということはあろうかと存じます。
  66. 秋田大助

    秋田委員 次に、外国混信対策としての中波の大電力放送化ということは必然の方向であるといわれ、私もそうじゃないかと思っておりますが、その状況は大体どんなものでありましょうか。またこの大電力放送あるいは直接外国混信の結果使用不能となる中波が多数生じて、全中波の割り当て周波数の大規模な再編成が必要となってくるのではないか、そういうことが近い将来に行なわれる可能性があるのではなかろうか。もしありとしますれば、そういう時期はどんなものでしょうか、またこの場合はFMを中波の代替として放送事業者に割り当てることとなるのではないだろうかと思いますが、その辺どういうふうにお考えになっておりますか。
  67. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。ただいまの中波放送につきましての問題は非常にむずかしいと申しますか、しかも現実に迫られまして処理をしなければならぬ問題だと思います。ただいま御指摘がありましたように、大電力化ということは、混信解消というたてまえからいいますと、やはりそういう方向をとっていかざるを得ないということは基本的に考えなければならぬことだと思います。ただそういたしました場合に、どこにはけ口を求めるかと申しますれば、やはりこれは中波からいわゆるFMバンドと申しますか超短波のバンドに移行しなければならぬということになります。しかしこの移行いたします場合の処置なり、あるいはどういうぐあいにこれをチャンネルプランというものをつくり上げるかということ、このことは中波の問題といわゆるFMバンドの問題、これは周波数なり地域の問題なり、あるいは事業者というものを全部よく考えまして、その上でやっていかなければならぬと思います。こういう意味で、できるだけりっぱなチャンネルプランをつくり上げたいと考えております。時期につきましては、実際にチャンネルプランができまして完全な移行をするというのには相当な時間を要することは、放送事業者のほうもさることながら、受信者におきましてもやはり受信機の問題がございますので、そういう点を考えまして、相当の長い期間というものを頭に入れておかなければいけないだろうと考えております。
  68. 秋田大助

    秋田委員 このことに関連しまして、放送法の今度の改正案第二条第七号に「放送の種類」というところで、中波、短波、超短波の三つに分けておりますのは、第五十一条第三項第一号の、その者が一の放送の種類につき二以上の事業区域を持ってはならないという規定との関連におきまして、将来混信対策の必要から、現にAMを持っておるものに対しAMを取り上げる場合が起こることを予想し、それまでの間AMとFMの両方の波を持たせるという配慮に出たものではないかと思われるのであります。しかしながら、こういう配慮に出たことであるならば、これに相当する過渡的措置すなわちAM、FMの両波を一つのものに持たせることは例外的措置であるただし書きを付するか、あるいは周波数使用計画に、近き将来混信対策上使用不能となるAMの波を特定し、これを与えるものはFMとも併用せしむる等の方策をとるべきであって、テレビにおいてはVHFもNHFも同一種類と見てその両者を持つことを許さず、ラジオにおいてのみ中波、短波、超短波の三者をあわせ持つことを認めることは論理上おかしいではないかと思われます。また措置上いろいろどうかと思われる点も考えられます。私は、放送事業のごときは、周波数の許す限りなるべく多数のものがこれに参加する機会を与えることが民主主義の健全な発達を促すゆえんであり、この見地から、ラジオの種類はAMもFMもこれを同じ種類と認め、一つのものがAM、FM双方を一手に握ることは、前述の混信対策のようなやむを得ざる場合に限ることが正しいあり方ではなかろうか。ことに一つのものがAM、FMもしくは短波を握った場合、その放送番組が同一内容であり、同じ番組を違った波で流すにすぎないというようなことは容易に考えられることでありますが、こういう事態は電波法の精神である電波の効率的使用に背馳することになりはしないかと思うのでありますが、この点に対する政府見解を承りたいと存じます。
  69. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいまの問題でございますけれども、御承知ようテレビにおきましてはUとVという二つに分かれておるにもかかわらず、一つ放送の種類と考えております。それに対してラジオの場合には三つの種類にしておる。このことはラジオテレビというものを、そういうものから考えて見たときにおかしいじゃないかという御指摘でございます。まさにそのとおりであると思います。問題は、ラジオの場合に、テレビと同じようにできなかった理由が一体どこにあるかということだと思います。先生のおっしゃったように、将来の体系というものを考えてみたときに、国民が放送を受信する。その場合にラジオを聞き、テレビを見るという場合に同じような対比の関係において考えるということは最も自然だと思いますけれども、ラジオについてそれを取り入れなかったという理由は、まず第一に先生もいま御指摘がありましたように、中波というものの混信対策というものを考えました場合に、将来の体系としては、やはりFM番組のほうに移行しなければならぬ。その間に相当な時間がかかるであろう。そうすれば両方の種類というものはどうしても共有しなければならぬ時間というものが出てくるということが、まず第一にあると思います。  それから第二番目におきましては、短波につきましては、先ほど申し上げましたように、特殊事情がございます。こういうわけで、これはラジオとはいいましても、これはひとつ例外的に考えなければいかぬのだろうということで、三つと申しましても、まあ実は中波とFMというぐあいに考えるのが至当かと思います。  それからもう一つのことは電波の伝搬上からいいまして、実は中波の伝搬の状況と、それからFMバンドというものの伝搬の状況というものは非常に違っております。こういうようなことからやはり同じよう放送区域というものを考えます場合にも同日をもって語ることができない、こういうよう意味で、実はいまの段階としては分けておくことのほうが自然ではないかということであります。いずれこれらにつきましては、十分チャンネルプランというものを練りまして、その上で将来計画なりあるいはその途中の計画というようなものは、これはチャンネルプランにおいて明らかにすべきであると存じております。
  70. 秋田大助

    秋田委員 いろいろ意見もありまして、実際上の点から改正案ような処置方針に出た点につきましてわかるのでございますが、しかしいろいろ問題もあろうし、考慮すべき、審議をもう少し尽くすべき点があるように思います。しかし時間の関係上、私はそれらを割愛いたし、他日機会があれば、あるいはまた同僚議員の一そうの解明にこの際は譲っておきたいと思います。  そこで最後に教育放送のことにつきお尋ねをいたしておきます。  今回の放送法改正案は教育放送に特別の重点を置きまして、「放送のもつ教育的機能を通じて、教育の目的の実現と国民の一般的教養の向上に資するようにすること。」を放送法の目的に加えました。かつまたNHKにつきましては、国内放送番組編集基準に「教育番組を有するようにすること。」という一号を加え、かつ教育番組審議会を設ける等の改正を行なっております。もちろんこの法規の改正、整備だけで、はたして、NHKのほうはともかくとして、民間放送の教育的効果をあげ得るかどうかにつきましては、いささか疑問なきを得ません。  すなわち、従来は電波法第七条第一項より無線局免許申請の審査基準といたしまして郵政省令による「無線局の開設の根本的基準」に合致することが要求され、この根本基準の中に「特別な事業計画による放送を行なう放送局であって、もっぱら教育的効果を目的とする放送を行なうもの」すなわちいわゆる教育局あるいは準教育局という範疇を設け、これに一定比率の教育番組を要求し、これによって民放による教育的機能の発揮を期待していたのであります。しかしながら、このいわゆる教育局あるいは準教育局が一たん免許を受けた後にその条件を順守しないでしばしば問題となったことは周知の事実であり、またこの委員会におきましても審議されたところであります。  そこで一今回の電波法の改正によりまして、「無線局の開設の根本的基準」というものは存在しなくなると思いますが、これは民間放送に一定比率の教育番組を要求する教育局あるいは準教育局を要求することはしょせん無理であるという考えに立って、教育専門局はその実質的機能を有するNHKに期待し、あるいはこれにまかす。民放はすべていわゆる総合局とする行政方針をとるという意味でありましょうかどうか。  もしそうだとしますと放送法第三条の二第二項の「特別な事業計画によるもの」というのは一体何を意味するのでございましょうか。その点の御所見を承りたいと思います。現在のところは準教育局というのは実際上なくなったと理解いたしておりますが、その点将来にわたってどうするのか。教育局というものについてはNETでございますか、それといわゆる十二チャンネルがございます。十二チャンネルについては非常に経営困難でいろいろな問題を今日惹起いたし、話題を提供しておりますが、この実情等をよく勘案いたしまして、将来この点については誤りなきを期さなければいけません。NETについては一体どうするつもりか。それについてもいろいろ議論がございます。私はこの際抜本的な解決をすべきものであると思う。すなわちその放送事業体の法人組織の中に、教育放送をするに十分な基金を持つ局にしなければなりません。そういう基礎的条件がないのも認め、再免許等の処置等に苦しい解釈のもとに不合理な措置をとって——これはまあネセサリーイーブル、やむを得ざる悪的なものと考え、事態をこのまま推移せしめるということは、この際やめるべきではなかろうかと思っております。しかしこれはもう民放においては全部教育局あるいは準教育局を使わないでもいいんだという考え方ではないのでありまして、特殊な資金、基金、基礎に立つものにつきまして——そういうものも外国には例があるわけでありまして、将来日本にそういうものが確立されるならこれは大いに望ましい。ですから制度上は置いておく、しかし実際上そういう条件が満足せざるものにつきましてはこの際抜本的な措置を講じておくことが必要ではないか。放送界の明朗化のためにも、また日本放送界の将来の健全な発達のためにも、そういう措置がこの際必要ではなかろうか。これは私の私見でございますが、この点に関する政府の御所見をお尋ねいたします。
  71. 郡祐一

    郡国務大臣 このたびの法律の改正におきましては、教育の分野におきまする放送をどう位置づけるか、全国的に均等に教育放送をするとなると、それを享受させるために番組規制をすることがいいかどうか。また民放の性格がはたしてどんなものであるかというような、あるいは経済的な問題もあわせ考えまして、民放に対する教育放送の義務づけをいたしておるのであります。この民放による教育専門局の問題というのは、結局経営主体が適切であるかどうか、またそれが経済的に成り立つかどうかというような問題が根本に考えられなければ相ならぬと思っております。したがいまして、臨時放送関係法制調査会の答申には、教育専門局のあり方について答申はございましたけれども、この問題はいま秋田さんのおっしゃいましたような観点を十分考えなければいけないことでありまして、結局企業体としての経済的な裏づけを持って成り立つものだろうか、どうだろうか。そうなりますると、かなり多くの疑問を提供いたさなければ相ならぬと思います。過去の実績についても考えるべきものが多うございます。この際に十分根本的に検討をさせていただきたいと思います。
  72. 秋田大助

    秋田委員 ただいまの大臣の御答弁を了といたしますが、この点に関しましては郵政省の放送行政は大部分とは言いませんが、どうかと思われる放送行政を過去繰り返してまいったといわれましてもいたしかたのない点もあろうかと思うのでありまして、ひとつ十分配慮をしまして、将来誤りなきよう期していただきたい。かつまたNHKと民放と両々相まちまして、この放送が教育的機能の発揮にひとつ十分打ち込めるよう放送行政を御配慮願いたいと思うのであります。  以上、私は今回の電波放送改正案についていろいろの角度から重要と思われる数点にわたりまして、政府に対し質疑を申し上げたのでありますが、結論として申し上げたいことは、今回の改正案は日進月歩の技術革新、変転してやまない社会の様相に対応し、十数年前、わが国民間放送テレビジョンもない時代に制定された現行法時代に即応せしめるよう改めようとするものでありまして、私はその内容をおおむね適切妥当であると思っております。したがって、国会が本改正案をすみやかに審議して、与野党一致点の上に立ってこれを通過させ、一日も早く時代に適合した放送法制が成立することを念願するものでありますが、ただしかし、電波技術の進歩はいまや通信衛星の実現を現実の問題としている今日、将来の放送界はさらにさらに飛躍的変化発達を遂げるものと予想されますが、この改正をいたしまして、はたしてこの通信衛星の実用化の時期はおよそどうかということもお答え願うと同時に、何年間その施行に耐え得るであろうか、こういう点をひとつお尋ねしたいと思います。
  73. 郡祐一

    郡国務大臣 私は放送衛星が必ずや国際的にも国内的にも利用される時期が将来まいると思いまするが、同時にその技術的な問題、また国際間の取りきめ等のことを考えますると、相当に時間がかかるのじゃないだろうか。そういたしますると、まず放送衛星そのものは十年以上かかるのではないか。しかし、同時に中継専用の通信衛星によりまする放送中継というのは、これはかなりすみやかに活発にされてくると思います。そのような観点からいたしまして、放送中継専用の通信衛星の発達が相当進みましても、直ちにこれがこのたびの法律改正案をさらに改正しなければならない必要は必ずしも出てこないのではないだろうか、しかし放送衛星がいま十年以上くらいは、ということを申しましても、その発達の度合いに応じましては、その場合には当然非常に根本的な部分について放送法電波法の改正を考えなければならない問題があろうと考えております。
  74. 秋田大助

    秋田委員 最後に、私は、この絶えず伸びていく放送界の状況を常に正しく把握をいたしまして、これに対する法制上の適応ということを常に心がけていくことが必要であると思うのでありまして、新しい改正案も決して究極のものではないという認識に立つべきであり、しかし、通信衛星等の実用化は、あとどういうことになるか、並みな予断を許さないところでありますが、およそ十年間の期間があろうと予想されるならば、今回提案されておるこの電波放送法改正案は時宜に適したものであって、これを改正し、施行に移すに十分な価値があるものである、こう再認識を深くいたします。同時にひとつ郵政省においても不断の研究精進を怠らず、技術革新に促されて躍進をいたしていきまする電波放送の技術上の進歩に適応し、かつこれがもたらす放送電波界の変遷、実情に常に対応するよう法制の改正と、また放送行政の運用に心がけられんことを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  75. 森本靖

    森本委員 ただいま与党を代表しての秋田さんの相当傾聴に値いする御質問を聞いたわけでありますが、その中の御意見は、これはまた別の角度から私のほうは質問いたしますが、ただ一つだけ、法律上の解釈の問題について重要な点がありますので、これは時間の節約もありますので、いま続けてやったほうがはっきりすると思いますので、質問をしておきたいと思います。  この法律の解釈については、先ほど秋田委員指摘いたしました。ところが大臣並びに電波監理局長は問題があるという点だけで逃げております。それは今回の改正の、三十六ページにありますところの、要するに第二条の二の項の漢字の二のところでありますが、「一般の放送事業者の行なうラジオ放送及びテレビジョン放送については、そのいずれについても、原則として二の一般放送事業者」ということになっておるわけですから、そういたしますると、ラジオについても二つテレビについても二つ、こういうことになるわけであります。ところが、短波放送については、全国どこでもこれは受信できるわけです。だから短波放送ということについて問題があるとするならば、なぜこの項に短波放送というものは別であるということをあげなかったか。そうでなければ短波放送ということがあることによって、ラジオについては現実にもうすでに二になっておる。そうすると、ここにあげたいわゆるテレビジョン放送ラジオ放送については、二以上ということは、これは空文にひとしくなる。問題があるならば、なぜ問題があるようにそれを審議して、法律条文としてはっきりしておかなかったか。短波放送については、これとは別である、こういうふうに出してこなければ法律上おかしい。単に問題があるということだけでは、法律としては流すわけにはまいらないわけです。他の問題については、私は後日あらためてお聞きをいたしますが、いまの質疑応答を聞いておりますと、この法文は不明確です。この点は、だから問題があるということだけで逃げられては困ります。だからこの二以上のそれぞれの放送事業者ということの中には短波放送が入っていないということであるとするならば、法律でありますから、入っていないということを書くべきであります。その点をひとつ明確に回答しておいてもらいたい。
  76. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  短波放送の場合におきましては——承知ように地域の放送というところに重点を置いております。したがいまして、短波放送の場合は非常に広域であるということでこれに非常に当てはまりにくい、しかもいまの数のほうからの御推論によりまして、もうすでにどこでもそういうものは聞けるじゃないか、したがって現状もうすでに二というものを満足しているのだという御解釈は、確かにそういうぐあいには見えますけれども、短波の場合、地域的な放送という点から考えまして、いまのものは、短波放送というのは、あまりにふさわしくないという意味で、実は形式的には入ってはおりますけれども、実効上はそれなりにとらえたくないというぐあいに考えております。
  77. 森本靖

    森本委員 これは法律でありますから行政解釈で曲げられては困る。これを読んでみましょう。「一般放送事業者の行なうラジオ放送及びテレビジョン放送については、そのいずれについても、原則として二の一般放送事業者の行なう放送があまねく全国において受信できること。」こう明確にあるわけであります。この法律条項では、このラジオ放送の中には短波放送は入るわけであります。そうなってくると、なぜここで条項に短波放送の分については別であるということを書き加えなかったか。いまの上田君の答弁は、答弁としては、行政上の解釈としては、受け取りますよ、しかし法律ということになると別でありますから明確にしておかなければならぬ。そこで、ここでラジオ放送ということを書くとするならば、このラジオ放送の中には短波放送の部分については別であるということをカッコをして書き入れるのが法制上ほんとうでしょう。
  78. 館野繁

    ○館野政府委員 お答えいたします。  ここに掲げました第二条の二の第二項は、放送局の置局に関しまする国の施策の目標を掲げたものでございます。なお、ただいまの第二号における先生御指摘の「二の一般放送事業者の行なう放送」となりますと、ラジオ放送の中には種類が三つあると定義づけてございますから、そうしますと先生のおっしゃいましたようにすでにこの法律の文面上は目標が達成されているではないかということになるわけでございまして、これは短波放送は除いてありませんから形式的には目標が達成されている状態であるというふうになります。しかしながら、ここに掲げましたこの施策の目標というものが一体どういう状態を目標にしているかということを、二項、三項それぞれをあわせ読みますならば、一般放送事業者の行なう放送というのは、事業区域の定義及び五十一条の三における地域に対する一般放送事業者のサービスの義務というものをあわせ考えまして、ここで施策の目標として掲げておりまするところはその地域性を主体とした一般放送事業者放送と見るべきであり、また見ることができるであろうということから、こういう規定にしたわけでございます。
  79. 森本靖

    森本委員 はっきり言いますが、その前の条項で、ラジオ放送というものはこういうものであるという定義を第二条でくだしておるわけです。そのラジオ放送の中の種類には短波放送は入っておるわけです。ところが実際的に三十六ページの二の項については単に「ラジオ放送」と書いてあるだけなのです。そのラジオ放送と書いてあるところにカッコをして、ただしラジオ放送で三千キロサイクルから三十メガサイクルまでの分については除くと、こう入っておれば問題はないです。忘れておったんでしょう、あんたらは。はっきり言って、どんなことを言ったって、これは法律の解釈なのだから、ラジオ放送というものを三つ前に定義づけておるわけだから、そうすると、ここではやはりこのラジオ放送というところに短波放送は除くという項が入らなければおかしいでしょうが。
  80. 館野繁

    ○館野政府委員 お答えいたします。  成案のときは先生のいまの御指摘の点をいろいろと議論いたしました。それで、この条文は形式的には先生のおっしゃるとおりであり、短波放送をここから数学的に除いておくべきではないかということも議論いたしましたけれども、ここで施策の目標として掲げております場合に、一般放送事業者の行なう放送というその目的は何であるか、それは事業区域の定義、それから五十一条の三におきまする一般放送事業者放送のサービスに関しまする事業というものをあわせ考えまして、ここで目標にあげておりまするのは、その地域的な放送を行なう一般放送事業者と読み取れるということで、このようにしたわけでございます。
  81. 森本靖

    森本委員 そういたしますると、いまの短波放送は何放送事業者ですか。NHKですか、あれは法律的に。
  82. 館野繁

    ○館野政府委員 短波放送をいまやっております事業者は一般放送事業者でございます。
  83. 森本靖

    森本委員 だから、どういうふうな答弁をしても、この条文はおかしいじゃないですか。いいですか、条文は、「一般放送事業者の行なうラジオ放送及びテレビジョン放送については、そのいずれについても、原則として二の一般放送事業者の行なう放送があまねく全国において受信できること。」というのですよ。先ほど来、大臣、局長の答弁を聞いておると、やはり地域的な、県域的な放送というものが主体である、短波放送については問題がある、こう言っておる。だから、一般放送事業者というところの中に一般放送事業者の行なうラジオ放送ということにして、その中にカッコをしてただし短波放送については除く、こう入れなければ法律上おかしいでしょう、どう答弁されても。もし館野君がそういうことを言い張るなら、これは徹底的にやってみるけれども、そんなことをやる時間がないが、とにかくこれはおかしいことは間違いないでしょう。どうなのです、法律解釈として。
  84. 館野繁

    ○館野政府委員 一般放送業者の定義、それからラジオ放送の種類ということから、先ほど来申しまするよう規定上この数の足し算、割り算からいきますると先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、どういう意図でこの成案を出したかということの説明を先ほど申し上げたわけでございます。
  85. 森本靖

    森本委員 だからその説明では、行政者としての説明としては納得するけれども、法律として成文化する場合には、法律でありますから、法律の場合にはちゃんと筋の通った法律にするのがほんとうでしょう。どうですか、大臣、これは。
  86. 郡祐一

    郡国務大臣 これはいかがでございましょう、私は、この号を合目的的に読みます場合には、形式的に入っている、入ってないという論を抜きにして、この場合には短波放送考えないで読んでいいのだから、このままでいいのじゃないだろうか、こういうぐあいに考えまするが……。
  87. 森本靖

    森本委員 私が言っておるのは大臣、解釈ではないのですよ。法律のことですから、この法律法律のとおり読んだら、短波放送は入るのですよ、はっきり言って。これは自民党の人に聞いてもみなそうなのです。短波放送は入るのですよ。短波放送は入るのだから、短波放送は入らないと解釈するならば、短波放送は入らないとしてカッコして書くのがほんとうでしょう、法律としては。法律として不備な点があるから私は言っておるわけですよ。どうですか、大臣
  88. 郡祐一

    郡国務大臣 形の上ではおっしゃるとおりで、ですからいま立法府で御審議を願っておるところでございますから、その点については、私抗弁はいたしませんが、ただこういう法律ができて、さてそれをどう読むのだというときには、いま申しましたような読み方をする、それでも十分読める法律であるということを申しておるのでございまして、これは現に立法府で御審議中でございますから……。
  89. 森本靖

    森本委員 よく大臣わかりましたけれども、これは法律を字のごとく読むならば非常にあなた方の解釈はおかしいのです。これはわれわれは、立法府は立法府として考えます。  終わります。
  90. 砂原格

    砂原委員長 次会は、明十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時一分散会