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1966-06-09 第51回国会 衆議院 地方行政委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月九日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 岡崎 英城君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君    理事 和爾俊二郎君 理事 秋山 徳雄君    理事 華山 親義君 理事 細谷 治嘉君       亀山 孝一君    島村 一郎君       周東 英雄君    田中 六助君       田村 良平君    中馬 辰猪君       登坂重次郎君    藤田 義光君       村上  勇君    村山 達雄君       森下 元晴君    山崎  巖君       大出  俊君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    島上善五郎君       野間千代三君    安井 吉典君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 鳩山威一郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         総理府事務官         (人事局次長) 新保 実生君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局物価政         策課長)    丸山 英人君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     黒住 忠行君         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    青木勇之助君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      鎌田 要人君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤 隆之君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 六月九日  委員久保田鶴松辞任につき、その補欠として  大出俊君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大出俊辞任につき、その補欠として野間  千代三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野間千代三君辞任につき、その補欠として  久保田鶴松君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇七号)  地方公営企業法の一部を改正する法律案安井  吉典君外九名提出衆法第三八号)  地方公営企業財政再建促進特別措置法案安井  吉典君外九名提出衆法第三九号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  安井吉典君外九名提出衆法第四〇号)      ————◇—————
  2. 岡崎英城

    岡崎委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出にかかる地方公営企業法の一部を改正する法律案地方公営企業財政再建促進特別措置法案公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 前二回に御質問申し上げまして、その二回目の最後のところで、病院関係の問題から、一般財源で当分の間これを補てんをする、こういう答弁が出まして、その点についてあとに引き継ぐことの了解を得ておりますので、地方財政の一般的な問題と、特にこの地方公営企業関係職員給与制度をめぐる問題につきまして、締めくくりの意味で御質問を実は申し上げたいわけでありますが、できるだけ簡単に結論を出していきたいと思っております。  冒頭に、先般の柴田財政局長答弁につきまして、実は地方から異議が出てまいりました。まことにもってこれは認識不足である、こういうことでございますので、その点だけ再答弁をいただきたいのです。というのは、私が、今日各地域における都市交通関係で、ほとんど赤字だらけで満足に運営しているところがないではないかと言ったところが、あなたのほうは札幌の例をあげられたわけであります。まことにうまくいっている、こういうわけであります。ところが私のところに、過日の地方行政委員会において柴田財政局長が言っておりました、公営企業の中でも札幌市のような健全財政云々と、こういうのがある。しかし、札幌市においても今日公営企業の例外ではなく、別添資料のごとく、たいへんな下降状態に入っておりまして、次回委員会の際は、ぜひとも柴田さんが答えたようなうまいぐあいにこれはいっていないのだということを明らかにしておいてもらいたい、こういう趣旨資料まで参りました。時間の関係で多く申しませんけれども、中身を見ますと、赤線が引っぱってあるところがずっとそうなんですが、たいへん危険な状態で、まさに赤字間違いない状態になるわけでありますから、柴田さんの先般の答弁はいささか現実とそぐはない答弁でございますから、もう一ぺんこの点についての御答弁をいただいておきたいと思います、当該団体が困りますから。
  4. 柴田護

    柴田(護)政府委員 札幌の問題をあげましてお答えしたのでございまするが、三十九年度ベースの話を私はいたしたのでございます。したがって、お話しのように四十年度からは少し妙になってきておる、料金の再検討の問題も起こっておるし、四十年度決算見込みでは、札幌市も赤字団体になるようでございます。その部分は私の答弁が不十分であったかもしれません。私は三十九年度のベースで話を申し上げたのでございますので、不十分であったことを御了解いただきたいと思います。
  5. 大出俊

    大出委員 時間がございませんから数字をあげません。あげませんが、お認めになったようでありますから、十分ひとつそういう苦しい状態にあるという現実を御考慮いただきたいと思うわけであります。  次に、もう一点柴田財政局長の先般の答弁、これは重盛委員質問に対する答弁でありますが、ドライヤー勧告に触れて、重盛さんのほうが、ドライヤー勧告も出ているんだがあなたは一体どう考えるか、こういう質問に対して、関係ないというあなたの御答弁なんです。きわめて簡単なあなたの御答弁なんです。はたして一体関係があるのかないのかを実は明らかにしたいわけであります。そこで実は行政局長その他もお見えになっておるから承りたいのですが、地方公営企業関係労使間における賃金決定などをめぐりまして、この法律ができてから今日まで、仲裁制度というものを利用した件数がどのくらいございますか。
  6. 佐久間彊

    佐久間政府委員 第一次的には労働省が指導されておりまするので、私正確な数字をただいま手もとに持っておりませんが、おそらく東京都で一ぺんありましたほかはほとんどなかったのではないか。ありましても、ほんとうにごくわずかであったんじゃなかろうかと記憶いたしております。   〔委員長退席大石(八)委員長代理着席
  7. 大出俊

    大出委員 ILO政府が出しました資料からいきますと十六件です、この法律が出てから今日まで。ところで、労働省はおられませんが、労政局関係の方に来ていただくようにしておりますから、あとからその点を確かめますけれども公労法関係仲裁は、ILOに出された資料からいきますと百十三件あるわけであります。十六件が地方公営企業関係仲裁利用件数で、公労法関係は百十三件であります。今回また出ておりますから、おそらく百二十何件になっておるわけでありますが、そういうわけであります。ところで承りたいのですけれども全国の自治体の数、市町村の数はたしか三千五百八ぐらいだろうと思うのですが、間違っていれば御訂正いただきたい。たいした違いはないと思う。そこで、組合の数は一体どのくらいございますか。
  8. 佐久間彊

    佐久間政府委員 約二千ぐらいございます。
  9. 大出俊

    大出委員 約とおっしゃったからいいわけでありますけれども、だいぶそれは数字的には違うのでありまして、三千をこえております。つまりドライヤー指摘しておりまする数字調査団が参りまして調査をしたのですから間違いがないと私は思っておりますが、たいへんな数になっております。「三〇〇〇以上の組合に分断され」こう書いてあります。職員の数が百四十五万七千二百九十八人、そして三千以上の組合に分かれておる、こういうふうにドライヤー指摘いたしておりますが、数がたくさんあるわけであります。十人とか八人とか二十人という組合があるわけであります、分断されざるを得ない法規でありますから。にもかかわらず、仲裁制度というものが厳然として存在するのに十六件しか利用件数がない。この現実自治省の担当の方々は、労使関係の面から見て、一体なぜそうなるのか、なぜ極端に少ない件数しか扱われないのか、その根本原因についてお示しをいただきたい。
  10. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これはいろいろ事情もあろうかと思いますが、大観してみますと、地方公営企業における労使間の関係が比較的紛争が従来少なくて、仲裁裁定にまで持ち込む前に、それぞれ労使交渉によって問題が解決されておったということに原因があろうかと考えております。
  11. 大出俊

    大出委員 たいへんなことを言われるので、その御答弁は訂正を願いたいのであります。比較的紛争が少ないとおっしゃるんだけれどもILOに持ち込まれました件数は、他の関係に比較をいたしまして極端に多いのであります、自治労関係は。御存じだと思う。したがって、ドライヤー報告も出ておりまして、政府もこれに対して答弁をし、かつ調査団が来て調査をしたときにも答えておられるわけでありますが、非常にたくさん紛争がある、こういうふうにドライヤーはいっておる。ところが仲裁利用しない。これは利用ができないのでありまして、この点もドライヤーが明確に指摘をしておるところであります。むしろ地方公務員よりも給与決定制度というものは悪いということまでいっておるわけです。したがって、そこらあたりドライヤー報告をお読みになっているのかいないのかわかりませんけれども、少なくともこれは日本政府が受け入れて調査をしたのでありますから、その報告内容くらいはあなた方が目を通しておかれぬということはないはずでありまして、少なくともあなた方の所管に属する部分だけは見ておいていただかなければ困る、そういう意味で、いまの点もう一ぺん御答弁いただきたい。
  12. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地方公務員法一般職員関係におきまして、提訴されました事件件数といたしましては相当多いことは承知をいたしております。ただ先生のお尋ねが仲裁裁定ということでございましたので、地方公営企業職員について仲裁裁定まで持ち込まれた件数、これは先ほども指摘のございましたように、むしろ非常に少ないんじゃないかと思っております。その少ない原因につきましては、仲裁裁定まで持ち込まれるに至りません段階におきまして、労使間の交渉によりまして問題が落着をしておるということが言い得るのではなかろうか、かように存じておる次第でございます。
  13. 大出俊

    大出委員 それも、ドライヤー報告をお読みになっておればそういう答弁は出てこないのでありまして、労働法体系を含む今日の労使関係にあまりあなた方が不感症になっておったのでは、今回この法律つまり地方公営企業法の一部改正を出しておられるたてまえからして、いささか私は満足しかねるのでありまして、せっかくあれだけ調査をされて国際機関が詳細に出しておるところの報告なんですから、そこらあたりはもう少し突っ込んであなた方のほうは読むだけは読んでおいていただかなければ困る、こう思うわけであります。そこで、柴田さんがまことに簡単に関係がないとおっしゃるのだけれども、実は関係があり過ぎるのであります。  次に、時間の関係がありますから指摘をいたしますけれどもドライヤー報告の二一六七項というところにいろいろ報告がされております。「各村には、僅か二、三人の単純労務者がいるであろう。かれらの団結権地方公営企業労働関係法によって規制されており、二、三人の組合員からなる組合結成するようになる」こういうふうなものがある。ある村においては六人の水道職員を雇用しておる場合、これが団結を希望すれば六人の組合しかできない。その地域の他の地公法関係職員とは一つ組合ができないからそうなるというふうな意味指摘もございます。これは連合体あるいは合同組合結成することができないからそうなっておる。「したがって、地方公務員法適用をうける一、四五七、二九八人にのぼる組合員が、およそ三、〇〇〇以上の組合に分断され」ておる、こういうことをずっと並べて詳細に書いてあります。   〔大石(八)委員長代理退席委員長着席〕  最後に何といっておるかと言いますと「このような方法により、大規模な組織結成を積極的に奨励することは、もちろん、政策の重要な変更を意味するものであろうが、本委員会はこれが正しい方向への一歩となることに満足している。」つまり横連合体合同組合その他がつくられて、大きな組織がつくられるということがドライヤー委員会としては「正しい方向への一歩となること」こういう指摘をしているわけであります。これは後ほど出てまいりますが、ドライヤーのこの指摘は、そういうことになっておること自体労働組合の機能というものを非常に減殺をしていろいろ不満が内攻しておるのだけれども、それを取り上げて片づけるということに欠けている。これが実は仲裁等利用される制度としての、せっかくある制度が使われない原因一つであるということを言っておる。組織の問題から発展をして、ここに一つ大きな問題が存在をするわけです。それからそのほかに幾つかの例があります。これから申し上げますが、いまの点がいろいろ申し上げておきたい第一点。あとで総合的に申します。  次の問題は、私はまずもって質問をしてから申し上げたいのですが、いまの地方公営企業関係労働者給与決定に至る制度、これは一体どういうふうになっているのか、簡単にひとつお示しをいただきたいわけであります。
  14. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは御承知のとおりに公営企業職員につきましては団体交渉権認められておりまするので、団体交渉をいたしまして協約を締結する、そういうことによって給与決定いたすことになっております。ただ、その協約予算上、資金上不可能な支出を内容とするものは、それぞれ必要な措置を講じた上でなければ、これが効力を発生することはできない、かような規定になっております。なお条例におきましては、給与種類及び基準だけを定めて、そのほかの事項は、すべてこれ団体協約に譲る、こういうことになっております。
  15. 大出俊

    大出委員 県単位にお考えをいただいて、協約というものはどのくらい結ばれておりますか。
  16. 佐久間彊

    佐久間政府委員 その点、ただいま手元に資料がございませんので、後刻調べました上で御答弁申し上げたいと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 ドライヤー指摘によりますと、県単位協約が結ばれている、つまり労働条件を規律している県は全国でわずかに二県しかない、こういう指摘がございます。これは調査に来たのですから間違いないと思います。そうなりますと、いまのお話から見ると、どうも団体交渉権があって協約締結権がある、こういうお話なんですが、ドライヤー指摘する限り全国で二県しかないということになりますと、これは一体どういうことが原因でそうなっているとお考えですか。
  18. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいまの点はなお私も調べてみたいと存じますが、労働協約を締結した県数がそんなに少ないというふうには実は存じていなかったのでございます。私どものほうの調査、あるいはまたドライヤー委員会に出した資料等のどこかに、ミスがあろうかと思いますが、その点はちょっと調べさしていただきたいと思います。
  19. 大出俊

    大出委員 それじゃ、時間がありませんから、これは読みましょう。これはドライヤー報告ですが、こう書いてあります。項は二一四七。関係のあるところを読んでまいりますが、「地公労法関係事件については、一九五二年の地公労法施行以来一六件の裁定が行なわれているが、それら一六件の裁定は完全に実施されたと述べていた。」つまり政府がですよ。「しかしとくに地公労法の場合、地公企法によって、賃金種類及び基準が、条例によって定められることとなっているため、仲裁裁定を申請し、その仲裁裁定が、条例や、予算上、資金上の問題と抵触する場合が、少なからず発生することとなる。しかも先に団結権の章で触れたように、地公労法適用を受ける労働者は、小規模な団結に押しつけられており、その労働条件は、地公法適用を受ける労働者労働条件と、同一水準あるいはそれよりも下位の水準にあるのが通常である。そのため一九五二年以来の地公労法適用労働者全体が受けとった仲裁裁定の総数が、わずかに一六件という結果になってあらわれ、また協約によって労働条件を規律している県が、わずかに二県しかないという結果になって現れている。これらは、「申立人らは、多くの協約がこれらの理由により拒否されており、またこのような規定が存在するだけで、不利な協約のみが締結されることを意味すると申し立てている」これは、ドライヤー報告二一四七項となっております。したがって、私は架空なことを申し上げておるのではないのであります。ここに出ておりますように、そのとおり読んだのですから。いま調べるのを待ってもいいけれども、時間がありませんから、あとでお調べいただきます。  そこで、つまり一九五二年にできてからこういう状態という指摘が実は出ている。ここで言っておる趣旨は、公企法という法律公企労法——労働関係法のほうを押える作用をしているという意味のことを述べている。そうしますと、いま公営企業法改正が出されておりまして、公企労法のほうの改正が出ているわけではない。だから改悪ではないという趣旨は、ドライヤー指摘からいけば成り立たない。つまり公企労法という法律があるけれども、それは今回は皆さんまだ手をつけておられない。おられないけれども公企法というものが公企労法のほうを押えている、ここに問題があるということを言っておるわけです。にもかかわらず、今回三十八条の条文を見ると、私は実はあと方々関係があって個々の条文に入らないつもりで申し上げているのでありますが、したがって、こういう大ざっぱなことを言うのでありますけれども、三十八条の中からいたしますと、さらにより一そう公企労法関係公企法が押えるという結果になって、つまり改悪であるということになる、こう考えているのでありますけれども、そこのところをおたくのほうではどう考えますか。
  20. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ドライヤー報告でいろいろ指摘されております事項につきましては、私どもも慎重に検討すべき点があると存じております。御承知のように公務員制度審議会で御審議をいただいておるところでございますが、先ほど先生の御指摘になりました小規模組織における問題、これも確かに一つ問題点であろうと存じております。今回の改正におきまして、ここに指摘されております中で単純労務職員につきましては、御承知のように職員団体にも加入、結成ができるということにいたしました次第でございますが、なお、小規模の公営企業につきましても同様な問題点指摘されておるわけでございまして、これらの点につきましては、今後私どもといたしましても検討をしてまいりたいと思うのでございます。  なお、協約仲裁裁定に関しましても指摘があるわけでございますが、これらも、さらにそのほか指摘のあります争議権問題等とも関連をいたしまして非常に根本的な問題でございますので、公務員制度審議会の御審議を待っておる状況でございます。  なお、それに関連してお述べになりました地方公営企業との関係でございますが、今回の改正地方公営企業労働関係法には一切触れていないわけでございまして、その考え方は、労働関係の問題は別途公務員制度審議会で御検討になっておる問題でございますから、それには触れない、こういうたてまえで立案をいたしておる次第でございます。  三十八条の点につきましては、これは給与決定基準に関する規定でございまして、従来ございました規定につきまして表現上不明確な点もございましたので、その趣旨をより明確に表現をするという観点から改正をいたそうとするものでございまして、労働関係そのものに触れるという考えは持っていないわけでございます。
  21. 大出俊

    大出委員 労働関係に触れる意思は持っていないとおっしゃるならば、もう一つドライヤー勧告が出ているということから、したがって、地方公営企業労働関係法のほうにはあなたのほうはお触れにならぬ、こういまお話しなんで、そうだとすれば、その二つをあわせますと、ドライヤー指摘している、「しかしとくに地公労法の場合、地公企法によって、賃金種類及び基準が、条例によって定められることとなっているため、」というところからさっき私は御指摘申し上げましたように、ドライヤー公企労法というものがあるけれども公企法というものでここで縛られている関係から、先ほど御指摘したようなこういう結果になっていると言っているのであります。そうだとすると、あなたのほうは、ドライヤー指摘日本政府が受けたのでありますから、尊重して、公務員制度審議会決定を待っている、だから労働関係には手を触れないと言われるならば、ドライヤー指摘しているのでありますから、公企法のほうで縛っているというこの部分について、つまり三十八条について、旧来のものを明らかにするなどという理由のもとに手を加えて、われわれの側からながめればより悪くなる、こういうことをおやりになるということは私は筋が通らないと思う。したがって、私は個条的に条文について云々する気はありません。後の方がやられますけれども、いまあなたがお認めになった筋として、この三十八条というものは旧来のままにされておく。そしてドライヤー指摘しておることが公企法にも及ぶのでありますから、その辺のところをあわせて公務員制度審議会がどういう結論を出すか。つまりその結論を尊重することになっておるのでありますから、その結果あらためて手を触れられる、これなら筋が通る。だからいろいろと与野党両方の間でも苦労をしておられるようでありますし、また提案者である自治省方々のほうも相当慎重にこの法律は取り扱おうとされておるのでありますから、したがって私はものをこわそうというのではなくて、まとめなければならぬという考え方に立つ限りは、いまの三十八条の処理というものは、提案者のほうで修正するとはおっしゃられぬと思いますけれども、そのあたりのことはあなたはお認めだから、十分配慮されて善処をする、こういう方向に進めていただかなければならぬことになると思います。大臣、いまの論議をお聞きになっておったはずでありますけれども公企法地公労法つまり地方公営企業労働関係法のほうを縛っているというドライヤー指摘があるので、いま私が申し上げたとおりですが、大臣そこのところ、三十八条をどういうふうにお考えですか。この法律がもめるかもめないか中心問題だから、はっきり答えてください。
  22. 永山忠則

    永山国務大臣 三十八条の規定は、労働関係の基本問題に関しまして、いま公務員制度審議会論議をしておるわけでございまして、この基本問題には直接関係のない規定でございます。これ自体関係は、公務員制度審議会の答申を待って論議を進めていきたい、こういうふうに思います。
  23. 大出俊

    大出委員 いまの大臣お話からすれば、あなたは関係がないとおっしゃるのだが、したがって関係があるかないかを私はいままで述べている。ドライヤー報告関係があれば、いいですか、いま公企法改正が出ておりますが、これは明確にドライヤー報告関係がございますから、いまの大臣趣旨からいけば、その部分だけははずさなければならぬことになる。その点もう一ぺん申しましょう。ドライヤー報告の二一四七項、ここに特に地公労法の場合、地公企法、いま出されておる改正案、この地公企法によって賃金種類及び基準条例によって定められることとなっているため、仲裁裁定を申請し、その仲裁裁定条例予算上、資金上の問題と抵触する場合が少なからず発生することになるというところから、団結権の章で触れたように、群小の組合に分断されているということとあわせて、仲裁制度それ自体利用できないというふうなところに追い込まれているということをドライヤー指摘をしておる。したがいまして地方公企法地公労法上の制度を押えている、こういう指摘だ。して見るとその中心点は三十八条、その三十八条をドライヤー指摘しておるにかかわらず、例の公務員制度審議会でこれから論争することになっているにかかわらず、いまここで旧法を改悪をして、財政の状況だとか能率の反映だとかということまで含めて、より一そう縛ろうという形で出されるということは、ドライヤー指摘事項からいって筋が通らない。あなた方のほうがドライヤー報告というものを尊重して公務員制度審議会論議をしていただいて、その結論を待ってからというので、先ほどの御答弁では当然この三十八条というものは旧法のままでいく、これでなければ筋が通りません。ここのところを大臣いかがかと質問をしておるのです。
  24. 永山忠則

    永山国務大臣 公務員制度審議会は基本問題をやっておるのでございますので、直接この三十八条とはすぐ関係するものではない。すなわち、いわゆるスト権の問題を含む基本的な問題でございますから、やはり給与のあり方に対して条例でやったり何かしておるものと直接いま結びつく問題ではない、こういうように考えます。
  25. 大出俊

    大出委員 それは大臣あまりにも知らな過ぎて、食言ですよ。ドライヤーのこの指摘は、ドライヤー自身が基本の問題として出しておるのですよ。しかも一番最後には、早期にかつ十分に再検討されるよう勧告するという項目が入っているのですよ。いいですか。あなたは基本問題が何かがわからないで答弁されては困る。ドライヤーは、これは基本問題だと言って提起をしているのです。公企法関係労使間の一番基本問題は、群小の組合に分かれるような制度ができている。だからもっと大きな組合にしなければならない。そのことが一歩前進だ、ここを検討しろというのが一つ。それから地方公企法、いまの公営企業法、これが公営企業労働関係法のほうの制度を押えている。だからその制度が使われない、これを抜本的に検討しろ、そして今度は仲裁制度そのものについてこれを根本的に検討しろ、こういうふうに三本立てでものを言っているわけです。これが一番の根本問題です。だからいま労使間でストライキをやるのやらぬのという騒ぎになっているのは、いま出ている公企法三十八条が中心点だ。それをあなたは基本問題じゃないなんて言うなら、あなたは大臣の資格がないじゃないですか。
  26. 永山忠則

    永山国務大臣 いまの基本問題は、スト権に関する点を中心に論議をしておる。基本的なその問題が公務員制度論議されておるのであると考えております。
  27. 大出俊

    大出委員 永山さん、あなたは、私はよう知っているからいいですけれども、そういう答え方はまことに困る。  それならもう一点だけ指摘をしておきますが、このドライヤー報告では、二一六一項、「高度に工業化された民主国家においては、結社の自由および労働関係の法的規制は、不可欠な最小限に止められている。」自主的に締結された協約に基づいて労使関係が運営されている。これに比べると、二一六四項で、日本の場合「法的規制の複雑な制度は、先進工業国の要請に適合するものではない。」したがって二一六六項では、「現行法のすべての徹底的な再検討と立法行政上の決定、および司法上の決定の現在のジャングルをいっそう簡素化された労働法典よって置きかえることが極めて望ましい。」政府は他に先立ってこの問題を検討すべきだ。とのことを全部受けて公務員制度審議会では前田会長はじめ論議しているわけです。あなたの言うスト権だけを論議するんだなんということは、公務員制度審議会の議事録を読んでもどこにもない。いいですか。だからあなたのそういう答弁では、これは政府が受けているドライヤー報告というものを、あなたは全く御理解なくものを言っておられるので、関係ないなんていうことばが出てくる。とんでもない話で、したがってこれはこの席でこれ以上あなたを問い詰めてみたって、お読みになっていないでものを言っておられるのではしようがない。同じ土俵の上で話ができない、だから、しようがありませんから、もう一点にしおきます。いいですか、「地公労法適用労働者がみずから、みずからの権利と利益を守るための行動を、地公労法に従って起こす可能性を、きわめて小さなものにしている。」さっき私が指摘した公企法関係です。「そこで、ドライヤー委員会は、政府側は度重なる弁明にもかかわらず、なお仲裁裁定及び労働協約の迅速かつ完全な実施が、」仲裁裁定及び労働協約のですよ。「迅速かつ完全な実施が、ストライキ禁止の不可欠な代償措置として必要であることを強硬に述べ、結社の自由委員会勧告に照して「早期に、かつ十分に再検討されるよう勧告する。」(二一四八)」こうなっておる。いいですか、そうなりますと、こういう時期に三十八条に手を加えるなどということはあり得べきことではない、どこから考えても理論的にこういう結果にならざるを得ない。だからそのことを、この間柴田さんがきわめて簡単に重盛質問に対して、ドライヤー報告とどういうふうになっているかということを答えてくれと言ったところが、関係ございませんという答弁なんだけれども、私は関係があるかないかということを立証しようと思っていま論議をしておるのです。明確にここまで書いてある。したがって、公務員制度審議会が、組合側からは自治労の安養寺書記長が出て、官のほうから代表者が出て、いろいろな場面でこの論争が起こっておるわけです。現に組織の問題も含めて。そういう時期に、片やここで、一部改正ではありながらも、三十八条に手を加えるということは、どこからいっても筋が通らない。だからこれは明確にするというだけの意図であるならば、あなたのお答えになっているように、それならば何もこの際明確にしなくたって、将来明確にすればいいのですから、したがって、旧法でこれはいくべきである。この点、大臣いかがでございますか。
  28. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生の御指摘になられました点は、私も理解をいたすわけでございますが、御指摘いただきましたドライヤー報告問題点は、それは申し上げるまでもなくドライヤー報告としては、公営企業関係職員の労働問題につきまして、あるものについては争議権認めることの可否を検討しろ、それからまた争議権を禁止される場合についても、それにかわる代償措置について検討しろ、こういうことを大筋としては言うておるわけでございまして、その代償措置が十分に行なわれているかどうかという検討の中の幾つかの問題の一つといたしまして、第一には、先ほどおあげになりましたような小規模企業における組合の活動が十分に保障されているかどうかという点の指摘があり、また第二の点としておあげになりました仲裁裁定協約の実行につきまして、予算資金などとの関係につきまして、この点について指摘がなされておるわけでございます。そこで大臣が申し上げました労働関係の基本に関する事項としてドライヤー報告指摘する問題点公務員制度審議会に御審議をお願いしております事項といたしましては、まさにそういうストライキ権を認めることの可否、あるいはまたストライキ権を禁止された場合の代償措置をどうするか、こういう根本の問題を検討を願っておるわけでございます。今回の地方公営企業法改正は、そうした労使間の労働関係の基本に関する点、それはただいま申したような問題でございますが、それらの問題につきましては全く触れていないわけでございます。  そこで、御指摘になりました三十八条の点は、これは地方公営企業法の中の一環といたしまして、公営企業職員の身分、取り扱いに関する事項規定をされておるわけでございますが、これら全般的に手を加える改正の機会でございますので、その中の給与関係部分につきましては、従来の範囲の中で、従来趣旨が必ずしも明確でございませんでした点を、その表現を明確にしよう、こういうことでございまするので、いわゆる労働関係の基本に触れる問題ではない、かような理解をいたしておる次第でございます。
  29. 大出俊

    大出委員 先ほどあなたは、公企法公企労法との関係についての私が指摘した点はお認めになっている。ただしかし、この際それは旧来のものをより明らかにしようという意図以外の何ものでもない、こういう考え方だからこの法案を出したんだという答弁をされている。そうすると、それだけの意図であなたのほうが出したならば、それはドライヤー指摘する問題等とからんで非常にややこしい問題になるから、それだけの意図ならば旧法でいいではないか、混乱を巻き起こす必要はないではないか、こう私は指摘をしているのであって、そこのところを大胆どうお考えになるか、こういう質問をしているのですから、大臣ひとつお答えいただきたい、こういう問題は政策の問題なんだから。
  30. 佐久間彊

    佐久間政府委員 大臣のお許しを得まして私から御答弁させていただきたいと存じますが、労働関係というものを、どういうものを労働関係と理解をするかということかと存じます。そこで先ほど先生の御質問にお答えいたしましたように、公営企業職員の場合に、どういう労使間のプロセスによって給与その他の勤務条件が決定されるかということでありますが、それは団体協約によって協約が結ばれる、しかしまたその協約予算資金上の制約がある、一口に申しますとこういう関係になっておるわけでございまして、その労使間の労働関係というものにつきましては、今回は何も触れていない。しかもそれらの点につきましては、御指摘のようにドライヤー報告には幾つかの検討すべき事項が示されておるわけでございます。それを公務員制度審議会論議にまっているわけであります。  そこで、今回の公営企業法の三十八条の改正は、それとは関係のない給与決定についての従来ありました基準と申しますか、基準よりももう少しごく大ざっぱなものですが、それらの基本の考え方について、やや表現を明確にふえんをしたということでございまして、労働関係の立て方につきまして何ら変更を加えようとしているものではない、かような意味におきまして先ほど御答弁を申し上げた次第でございます。
  31. 大出俊

    大出委員 これは私の質問趣旨からいけば条文に触れたくなかったのですけれども、あなたの御答弁は事務的な答弁ですけれども、触れざるを得ないから、お許しをいただいて一点だけ触れますが、旧来の三十八条は「企業職員給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。」二項「企業職員給与は、生計費並びに国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」こうなっているわけです。中心はこれだけです。ところで今回の改正は、「企業職員給与は、給料及び手当とする。」「企業職員給与は、その職務に必要とされる技能、職務遂行の困難度等職務の内容と責任に応ずるものであり、かつ、職員の発揮した能率が充分に反映されるものでなければならない。」この能率云々のところが一点問題点。それから三項の「企業職員給与は、生計費並びに同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与を考慮し、かつ、」ここから下が問題です、「当該地方公営企業の経営の状況を考慮して定めなければならない。」こうなっている。そうなりますと、公企法改正がここでこう行なわれて、団体交渉権を持っております。協約締結権を持っておりますから、そこで地方公企労関係組合賃金が上がる、こういう段階になって調停の制度仲裁制度を使った。その場合に、この法律の「当該地方公営企業の経営の状況」、つまり経営の状況は非常に悪くて金がない。金がないということになりますと、条例事項を合わせてこの賃金の引き上げはとめられてしまう、こういう結果になって、仲裁に持ち込みようがないことになる。つまりこういう制度が、ドライヤーが、公企法公企労法のほうを制度的に押えている、だからこれを検討しなければならぬ、こう言っているわけでありますから、したがって私はこの問題は明確に関係があるので、大臣、そこのところを政治的に——事務的に何ぼ言ってもしようがない、事務当局がまさか政治的にとやかく言うわけにいかぬのだから、大臣、いま御指摘申し上げたここのところを、平地に波乱を起こす必要はないのだから、先ほど申し上げました現行の三十八条のままで一向差しつかえない、そこのところを大臣明確にしておいていただきたい、こういうわけです。——大臣に三回質問しているのだから、中心点だから、大臣答えなさい。
  32. 永山忠則

    永山国務大臣 一応行政局長答弁したあと答弁いたします。
  33. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御質問の第一点でございますが、この点につきましては、従来よりも能率ということばが加わっておりますことは御指摘のとおりでございます。ただこの点につきましても、従来ともその表現の中で、実際問題としましてこの能率の点も考慮されておったわけでございまして、他の立法例を見てみましても、日本電信電話公社法でございまするとか、あるいは国の経営する企業に勤務する職員給与等に関する特例法でございますとか、最近の公営企業に関する立法の例を見ましても、能率の事項が加えられておるわけでございまして、今回の改正につきましてもその点を考慮いたした次第でございます。  それから第二の点でございますが、第二の点の「同一又は類似の職種」ということでございますが、これも従来の国及び地方公共団体の職員の事情を考慮しろということの趣旨は、同一または類似の職種の職員給与を考慮しろという趣旨に理解をいたしておりましたので、今回その点を明確に表現をいたしたということでございます。それから「当該地方公営企業の経営の状況」を考慮するという点でございますが、これは従来「その他の事情を考慮して」ということがございましたが、この「その他の事情」の中に、「当該地方公営企業の経営の状況」ということは、これは公営企業の性格上当然に包含されておった、かような解釈をいたしておった次第でございます。
  34. 大出俊

    大出委員 大臣、もう一ぺんはっきり聞きますから答えてください。  いままで私が何べんか公営企業問題について、答申が出る前から質問してきておりますが、一体自治省のねらいはどこにあるのだという質問を私は鎌田参事官にした。これは法律をつくる基礎になる討議をあなた方がしておる最中、昨年の十二月二十四日の日でございますが、このときに、何を一体あなた方は法改正という形で出したいのかという質問を私がしたところが、制度調査会の答申に基づいて公営企業組織給与、財務、この三点が中心だという御説明があった。しからばその組織給与、財務とは一体何だ、こういう質問を私がして詰めたところが、これに対して鎌田説明員のほうから、特に給与のところだけ申し上げますが、「いわゆる年功序列型の給与体系というものではなくて、業績の反映せられた能率給的なものに持っていくべきだ、こういう思想がございます。」こう言う。そうすると、今日定期昇給の制度というものが公務員は全部ある。この短期昇給制度というのは、年功序列型の賃金体系の特徴的なものです。いいですか。そうなりますと、ここで法改正をするという意味は、旧来含まれていた、つまり旧法の三十八条というものを明らかにしたのではなくて、年功序列型と言われている今日の給与体系、公務員給与体系というものを能率給システムに切りかえるという、そういうことでこの給与という問題に下をおつけになった。してみると先ほどあなたが答弁したのは、出発から見ますと全くのうそ偽りになる。旧来のものを明らかにしたのだとあなたは言う。明らかにしたのではない。年功序列型の給与体系と言われていたものを能率給システムに切りかえるということでこの条文をお出しになった。いいですか、この点をひとつ明らかにしていただきたいのと、そういうことになると、ドライヤー指摘しているように、そういう給与原則を公企法でつくるとなると、せっかくの仲裁制度その他はあるけれども、財政の状況とあわせてとここに書いてあるとおり、したがって押えられてしまう、より強く押えられてしまう、こういう結果になる。そこのところを大臣はどのようにお考えになりますか。
  35. 永山忠則

    永山国務大臣 能率を十分に反映するものでなければならぬということは、お説のように能率給主義でいくということではないと思うのです。やはり年功序列型の中に、そういうものを考えていくべきであるというように考えておるのでございまして、やはり旧来ある「その職務と責任に応ずるもの」であるということの範囲の中に含まれているものだ、こういうように考えておるわけであります。   二番目の「当該地方公営企業の経営の状況を考慮して」という考え方でございますが、これはやはりいま局長の言いましたように、「その他の事情」を詳しく言ったものであると同時に、やはりその職務と責任に応ずるものでなければならぬというこの大原則の中に、やはり地方公営企業という企業であるから、企業の能率ということを考え、さらにその成績状態考えて、それらがすべて給与に反映していくということを言っておるのでございまして、この三十八条の関係をより合理的に進めておるというだけにすぎないというふうに考えておるわけであります。
  36. 大出俊

    大出委員 いいですか、私は自治省方々のかつての答弁を議事録にのっとって申し上げているのですから、そのつど、そのつど、ころころと変わったことを言われては困る。いいですか、大臣も前に答弁して、そのつど式にころころ変わるようなことをちょいちょい言われたのでは、これは  一体どこに根っこがあってどこが枝かわからぬじゃないですか。もう一ぺん読みますから、はっきり答えてください。「地方公営企業制度調査会の答申にもございますけれども、いわゆる年功序列型の給与体系というものではなくて、業績の反映せられた能率給的なものに持っていく」これが給与制度改定の考え方だ。「思想がございます。」とこう言っている。年功序列型のものを、業績の反映せられた能率給的なものに持っていく、これが思想でございます。こう答えているのですからね。だから明らかに旧来の年功序列型の給与体系というものを能率給的なものに変えるというあなた方の思想なんです。そうでしょう。それでこの法律はできたのですから、それを違わないなんということはない。違うじゃないですか。それでなければ改正の必要はない。違うということをあなたは認めなさいと私は言っている。鎌田参事官が答弁しているじゃないですか。立案者である鎌田参事官がこう答えているじゃないですか、違わなければ意味はないでしょう。
  37. 柴田護

    柴田(護)政府委員 鎌田参事官の答弁によりましていろいろ御議論のようでございますが、先ほど来いろいろ御議論になっておりますように、従来からこの三十八条の解釈というものは、企業の特性があればこそこういう規定が置かれておりますので、現行の給与規定を排除して置かれておるということは、企業の特質というものが給与の中に反映されていかなければならぬ。そこで従来この解釈をめぐりまして、御承知かと思いまするけれども、企業職員については、いわゆる一般行政職の場合を考えますと、一般行政職の号俸と申しますか俸給表を適用したほうがいい、適用すべきである、こういう主張が行なわれておったのであります。しかしながら、実態はまるっきり逆であります。したがって、私どもの従来の解釈からいきますならば、旧三十八条の意味するところというものはそういう趣旨、いわば能率的なものであって、従来の年功序列型というものとは違う、こういうことを言ってきたのでありますけれども、この規定が不明確でございまするので、その間に団体交渉等を行ないます場合に、いろいろ疑義がある。それから、それがまた適当でないいろいろの慣習を生んできた。そこでこの問題は調査会の答申におきましても、その趣旨を徹底していくというお話がいろいろございました。また調査会の前に、都市交通財政問題調査会におきましても同じような趣旨が答申されております。それらの趣旨考えますならば、この三十八条の現行の規定というものをいままでの不明確な形において放置しておくことはできない。特に公営企業がこういう際でございますので、ほうっておくわけにいかない。そこで御指摘のありましたドライヤー勧告との問題もございますけれども、立法の趣旨を明確にするということは差しつかえないのではなかろうかということで、この三十八条の改正規定を置いたのでございます。私のこの前の重盛先生に対する御答弁が若干不明確であったかもしれませんけれども、私が申しました趣旨は、ドライヤー勧告の取り扱いにつきましては、全体としては政府の中においていろいろ検討もされておりますし、またそれは単に地方公営企業だけでございませんで、いろいろ国の各企業との関連もあるわけでございます。したがって、その一連の問題の取り扱いがきまりました際において、地方公営企業におきましても同じような扱いがなされるべきである。したがって、そういう考え方のもとに、現在におきましては関係があるものと考えておりません、こういう御答弁をしたのでございます。やや私の御説明が不明確であったかもしれません。御了承いただきたいと思いますが、改正趣旨はそういう趣旨でございます。
  38. 大出俊

    大出委員 それならば明確なんです。いま柴田さんがどういうことを言われたかということ、要約しますと、旧来の三十八条、この解釈にいろいろ論議があった、これは現実の皆さんの側の解釈としては能率給、こういうふうな形の、あるいは能率給的なものでなければならぬという考え方、解釈を持っていた、いたが、しかし現実は国家公務員、地方公務員に準ずるという形になっておりますから、したがって、年功序列型の旧来のとおりの給与体系が現実の体系である、だからこの現実の年功序列型の体系を、三十八条をもっと明確に規制して書いて、能率を反映する云々から、財政状況云々から全部書いて、それによって現行の年功序列型の三十八条の、皆さんの解釈からすれば相反している年功序列型体系というものを、より明確にここに規制することによって能率給的に変えていく、こういうお考えだということになる。そのとおりでしょう。
  39. 柴田護

    柴田(護)政府委員 表現が違うかもしれませんが、私どもは旧三十八条の規定趣旨を徹底いたしたい、こういうことです。
  40. 大出俊

    大出委員 先ほどあなたがおっしゃったように、三十八条は能率給的なものだと解釈しておったが、現実はそうなっていない、だからより明確にして、その現実つまり年功序列型のものを変えよう、こういう趣旨だということになる。そうなると、さっき私が申し上げたように、ドライヤー勧告関係がないのではなくて、つまり年功序列型を能率給の体系に変えていくという中で、財政状況というものが入ってくると、金がなければ手当その他も出さぬということになる。そうすると、一方に仲裁制度等があっても、地方公営企業法という法律がこれを押える結果になる、そこのところがドライヤーの言う指摘事項なんですから。そうなると、いまこういう形で、いまあなたも認めておられるように、公務員制度審議会が公務員労働法体系全般にわたってこのジャングルをいかにするかということで、これから論議しようというこの時期に、そういうきわめて微妙なかつ重要な関係を持つ、だからこそどこの労働組合でも大騒ぎになっておるわけですから、そういうものをあえてここで出す必要はないじゃないか。だから公務員労働法体系全般にわたっての審議会の結論が出てからおやりになって一向差しつかえないことではないか、こういうことを私は先ほどから申し上げておるのであって、これは私の申し上げておることはおわかりの上で御答弁されておると思うのであります。そこで、私は大臣に、政治的にあなたのほうはこの点は考慮すべきものである、こういうことを申し上げておるのであって、そこのところを大度に、事務的な答弁ではなしに御答弁を賜わりたい、これが私の申し上げておる趣旨です。最終的にもう一ぺん大臣から御答弁いただきたい。
  41. 永山忠則

    永山国務大臣 自治省といたしましては、この改正案のように三十八条の規定をより明確に合理化することが望ましいと考えておるような次第でございます。
  42. 大出俊

    大出委員 これは、きょうは九日ですから、二十何日まで今会期はありますけれども柴田さんがいつか私の質問にお答えになったが、政令の案文を出してくれと言ったら、本委員会が何とかこの法律を通していただけるなら政令の各省打ち合わせば急ぎます、こういう言い方をあなたはされた。お取り消しになったからその責任は追及しないけれども、そういう気持ちさえあなたのほうにはあるんだから、私はどなたと申しませんけれども、皆さんのほうからいろんな方が、私にも、ほかの委員にもそうでしょうけれども、考慮するところはするから、何とかひとつまとめてくれぬかという話がある世の中に、これは現実ですよ。そこであなたがやはり政治的にものをお考えにならぬというと、いたずらな紛争が起こるだけですから、そこのところをあなたは十分におわかりになっておると思うけれども、十分にやはり御考慮を賜わりたい、大臣なんですから。そういう趣旨のことを私は聞いておるのですから、隣の行政局長の言うことと同じことを育ったのでは、大臣意味がないのです。あなたはもう一ぺんお答えになりませんか、どうですか。
  43. 永山忠則

    永山国務大臣 本案の提出をいたしておるものでございますので、原案をぜひ御考慮を願いたいと思います。
  44. 大出俊

    大出委員 そのくらい弱気な答弁をされれば、私のほうはその辺にいろいろとお考えがあるというふうにみなして——まとめようと思って質問しておるのですから、みなしておきます。  そこで大臣、もう一つだけ、この間の約束ですから。病院の問題で質問をしたら、何とお答えになったかというと、当分の間一般財源で埋めるんだという。一般財源の問題はそうなっておるのです。そこで、あなたの御答弁をここで読み上げますから、御確認を願いたい。あなたが四十年十月一日に、大臣におなりになった後に、私がこの公営企業問題を含めて地方財源の枯渇状態についてあなたに質問申し上げた。そうしたところが、大臣は、「根本の原因については、率直に言うならば、やはり高度経済政策のひずみが出たということではないかと考えるのでございます。」明確なあなたの答弁、ここにあります。あとで持っていきますから。それから次に、「地方財政はお説のように非常に苦しい情勢でございまして、府県、特に大都市、都市方面にいたしましても、政府が金を出してくれなければどうもならぬ、事業も一切できないという状態で、私は自治ではなくてむしろ中央集権の権力政治が行なわれんとする情勢になろうとしておるではないか、したがって、それに対しては財源の移譲をしなければ、ただ事務配分だけではどうもならぬじゃないか、思い切った切開手術を要求する、張りこう薬や何かでなおるものではないということを強く主張を続けておるのですが、どうもそれなら何を移譲するのかという問題についてはまだ十分話し合いをつけておりませんけれども考えれば幾らでもあるんじゃないかということで、いましきりに事務当局を督励いたしておるところでございます。」あなたはこう答えておる。これはうそを言っておるのじゃないですよ。これはちゃんと永山大天皇のものはワクに入れてあります。これがあなたの「高度経済政策のひずみ」、これがあなたのいわゆる「中央集権の権力政治」が行なわれているというのですから、張りこう薬ではだめだ。だから張りこう薬のような三十八条はおやめになって——やっぱりそういうところで紛争を起こすのじゃないか。根本問題に触れて、「高度経済政策のひずみ」からとあなたは言われているのですから……。大蔵の主計局長が隣におったからびっくりしたでしょう。あなたはそれを認めますか。
  45. 永山忠則

    永山国務大臣 私はいまなおこういう議論で、大いに地方財源移譲に努力し、叫び続けておるところでございます。
  46. 大出俊

    大出委員 私のいま指摘いたしました大臣答弁をお認めになったわけだから、お認めになるとすると、張りこう薬ではどうにもならぬ、「中央集権の権力政治が行なわれんとする、」まさにそういう状態だとあなたはおっしゃった。財源の移譲は六大都市の市長会あたりがあなたのほうに案を出しておる。あなたはそれを御存じでしょう。ここにあります。自治体から地方財源の是正措置について、こういうふうに移譲してもらいたいという意見書があなたのほうに出ている。今日の状況というのはそういうわけです。そうなりますと、そこまであなたが政治的に答弁をされておる段階で、こういう公営企業法の一部改正などというものを提案をすること自体がおかしい。あなたの答弁からいけば筋が通らない。高度経済政策のひずみが地方財政を窮迫さした。中央集権の権力政治が行なわれようとする。財源の移譲をしなければ張りこう薬ではどうにもならぬ。そうなりますと、この一部改正法案というのは、先般私が給与についても、地下鉄の資金についても全部あげて御質問申し上げたが、皆さん答弁なさらぬ。お認めになっておるわけです。そうなりますと、これは筋が通りません。したがって、大臣、その答弁趣旨からいくならば、いま出されている三十八条を含めての地方公営企業の一部改正は、あなたの答弁に相反しているとお認めになりませんか。
  47. 永山忠則

    永山国務大臣 抜本的な処置を要望いたしておるのでございますが、世の中は思うとおりにもまいりませんから、一歩ずつ前進をするという意味で進める以外にないと考えておるのであります。
  48. 大出俊

    大出委員 あなたはそれでお答えになったようにお考えになっているけれども、思うとおりに世の中が進まぬから、みずからの意に反する法案を出したということになる。大臣、あなたはそれを責任上どういうふうにされますか。
  49. 永山忠則

    永山国務大臣 一歩一歩前進していくという意味で、本法案をぜひひとつ通過さしてもらいたいと思います。
  50. 大出俊

    大出委員 それならば、あなたは先ほどずいぶん苦しい答弁をされたけれども、善処するくらいのことは前向きで言いなさいよ。与野党でよく御相談をいただきたいとかなんとか言わなければ、あなたかっこうがつかぬじゃないですか。
  51. 永山忠則

    永山国務大臣 私は提案者でございますので、ぜひひとつ原案のとおりに願いたいと思います。
  52. 大出俊

    大出委員 あなたは別なことを言っておいて、別なことを提案して、それでてんとしておられたのでは、本来ならば、私はぶっこわす気ならばすわったきり動かぬのですけれども、しかしこれは与野党の皆さんの御努力を陰ながら知っておりますし、まとめたいという気持ちは私も持っておりますから、したがって、そういう荒療治みたいなことはいたしません、大臣はだいぶ苦しそうでございますから。けれども、あなたのほうもそこのところは、提案者ではございますが、しかし何とかこのところは与野党御相談していただいて、というところまであなたは言っておかないと、これは締めくくりにならぬでしょう。そこのところをもう一ぺん言ってください。ひとつ御相談していただきたいというぐらい言ってください、やめますから。まとめるつもりでしゃべっているのですから。
  53. 永山忠則

    永山国務大臣 良識ある御審議を信頼いたしておる次第であります。
  54. 大出俊

    大出委員 では、大臣の「良識」をその意味で信頼したいと思います。打ち切ります。
  55. 岡崎英城

  56. 野間千代三

    野間委員 だいぶ時間が迫ってまいりましたので、二、三いまの第三十八条の問題それからこの前お願いをしました第十七条の問題が提案をされて出ております。その方面についても少しあるのですが、経済企画庁の丸山物価政策課長が急いでおるようなので、最初にその方面から御質問を申し上げます。  まず、バスの料金の問題ですが、三十六年ごろからバスの料金の改定をしていただきたいということが、たしか七大都市をはじめ多くの公営企業あるいは私企業を通して運輸省に申請になっていると思います。私の住んでおります横浜市においては、三十六年の十二月二十三日に、十二円を十五円にしたいという申請があったはずであります。これが認可になったのは三十九年。三十六年に申請して三十九年に認可になっているはずであります。なぜ三十六年の十二月に申請をしたものが三十九年の十二月まで認可にならなかったかという原因は、三十六年のたしか三月七日、公共料金は抑制をしたいという意味の閣議の口頭了解があって、それが起因をしてバス料金は値上げをストップされた、こういう状況でございます。したがって、三十六年を前後してバス料金改定の申請がたくさんあったんだけれども、閣議の、つまり政府の三十六年の三月七日の、政府の責任においてバス料金をはじめ公共料金の値上げを抑制するという政策に基づいて、国の政策に基づいてバス料金改定の申請を許可しなかった。そういう事情がございますので、まずそれをお認めをいただきたいと思います。この点については、永山自治大臣は当時大臣でなくて、あの当時は篠田さんが大臣で、その次が早川さん、その次が永山さんになっておりますので、永山さんは当時は大臣でないから責任はないと言われるかもしれませんけれども、自民党内閣であることには変わりがないので、まず永山自治大臣に、それは閣議了解であったということをお認めをいただくことと、それから、これは主として経済企画庁のほうで、経済企画の関係からきて、つまり物価対策からきてこういうことになってきておると見受けられるので、大臣が答えられればそれでいいのだけれども、それを裏づける答弁として丸山物価政策課長からもお答えをいただきたいというふうに思います。
  57. 丸山英人

    ○丸山説明員 お答えを申し上げます。  いまの御質問でございますが、公共料金の抑制ということを政府の物価対策としまして取り上げましたのは三十五年でございます。三十五年九月の閣議了解で消費者物価対策というものが出たのでございますが、その中で、公共料金の引き上げについてはこの際極力抑制するという方針がきめられたわけでございます。その次に、ただいま御指摘のように、三十六年三月七日の閣議の口頭了解によりまして、すでに閣議において値上げを認めることを決定したものを除き、公共料金の引き上げは当分の間一切行なわない方針であるというふうに、お説のようにストップの方針を一応確認したわけでございます。それからすぐに、数カ月たちました三十六年七月二十五日に、あらためて閣議了解をいたしまして、「公共料金値上げ抑制措置の今後の運用について」という表題でございますが、この中で、企業の収支状況の悪化がきわめて顕著となって値上げを抑制することの困難となったと認められるものに限っては、例外的に閣議で了承して値上げを認めるというふうに、三月のストップはここで一応解除されまして、ケース・バイ・ケースで閣議に付議して認めていく、こういう方針になったわけでございます。このケース・バイ・ケースで閣議に付議して認めていくという方針が、その後三十九年一月の例の三十九年度じゅう一切値上げを行なわないというストップに至るが、実はこういった方針が受け継がれておったわけでございます。この方針がありましたために料金の値上げをやらなかったというふうには、実は私たちは考えておらないわけでございます。現に、この間におきましても、路面電車につきましては、三十六年の十月に東京の値上げをいたしておりますし、三十七年じゅうに横浜、名古屋、大阪、神戸の値上げをいたしております。また、京都につきましては、三十八年十二月に値上げを認めております。したがいまして、こういう抑制の方針があったためにといいますか、値上げをストップするという方針があったために値上げをしなかったんだというふうには実は考えておらないわけでございます。  そして、ただ、パスにつきましては、御指摘のように、三十六年から三十七年にかけまして、六大都市等から、京都は若干おくれて三十八年でございますが、申請が出ておりますが、これにつきまして値上げを認めるのがおくれましたのは、実は当時、東京の例をとりますと、東京都営でございますが、東京都営は、三十七年度に相当赤字が出ております。都営のバスと同じ線を走っております乗り入れ九社と申しておりますが、乗り入れ九社のほうの収支状況を見ますと、なお相当の黒字をあげている。同じ路線を走っておる乗り入れ九社のほうが黒字であって、都バスのほうが赤字である。これはどういう理由に基づくものであろうか。もし、そういう状況下におきまして都バスを上げますと、競合路線の関係から、黒字である乗り入れ九社についても値上げを認めなければならなくなるという点で、はなはだ問題があるわけでございます。そこで、たしかあれは三十八年四月だったと思いますが、公営交通事業協会のほうで、公営交通の財務の調査に関します委員会をつくられまして、こういう事情になってきたのはどういう理由であろうかということをいろいろ御検討されまして、三十八年十二月に、その御答申が出ておるわけでございます。ところが、三十九年一月になりまして、先ほど申し上げましたように、物価対策上やむを得ず緊急非常の措置としてストップするという方針がきまったものでございますから、六大都市等につきまして値上げを認めるいとまがなく、三十九年の暮れまで持ち越されたという理由になっておるわけでございます。そういうわけでございまして、三十六年三月のストップというものは、先ほど申し上げましたように、すぐ七月には、そういうふうにケース・バイ・ケースで認めるという方針に変わっておりますので、そういったストップという方針だけでバスの値上げが三十九年の暮れまで見送られたというふうには考えておらないわけでございます。
  58. 野間千代三

    野間委員 それは少し違うのです。経済企画庁では、自治省あるいは運輸省等との問で文書質問であるとか、あるいは企画庁内の討議であるとか、そういう点では、いま丸山課長が言われるようなことになっておりまして、それは私も認めます。ただ、それが政府全体とすると、三十六年七月二十五日の閣議了解の際に、確かに一部事情により認めることもあるというふうな運用なんだけれども、したがって、三十七年五月一日に、言われるように市電の部分については認可をされた。  ただ、六大都市、七大都市のバス料金の問題は、物価に与える影響が非常に大きい、したがって当分認めるわけにはいかないというのが政府全体の意向だった。いま丸山さんの言う問題は、三十七年十二月七日に、運輸省、自治省に対して質問書を出している。これは東京都をはじめとする大きな都市の運行状況は、人件費の増加であるとか、そういう面が主であって、物価が上がったから料金を上げなければならぬということではないではないかという趣旨質問がされておって、それに対して、自治省から、三十八年一月十七日に企画庁に回答しておられる。その回答では、まず第一に、二十六年以降十一年間バスはストップをしている、それから物価上昇がこれこれある——これは資料がありますけれどもやっかいですから省略しますが、物価上昇があって、たとえば、燃料であるとか、資材購入であるとか、そういう面がこれこれ上がっているというふうに数字があがっております。それから運転時速が遅延しているとか、公務員給与の改定があったとか、国鉄その他私鉄においてはそれぞれ二回ないし三回上げられている、そういう状況であるから、バスの料金を値上げすることは当然であるというふうに回答しているわけです。  それから、地下鉄の建設費、特に東京都における地下鉄の建設費、そういう問題の問答がされていて、それが閣議の問題になったり、あるいは当時の衆議院、参議院の地方行政委員会等で問題になってきている。そうしてその論争の頂点になった三十八年一月二十五日、二十六日の国会で、池田首相がこう答えているわけだ。物価が安定するまで値上げしない、他の都市では多少上げたけれども、五大都市と関東大手の九私鉄をストップしたのは物価対策としてストップをすべきである、そう考えているというふうに、首相が内閣を代表して答えているのです。ですから、これは閣内あるいは企画庁と自治省なりの間では、いま丸山さんの言われたようなことではあった。それは文書交換をしてある。あるけれども、丸山課長が言われる内容についても、同じ官庁である自治省には異論があるし、それから衆議院あるいは参議院の地方行政委員会でも多くの論議が行なわれている。その結果、最終的に、いま言いましたように、三十八年一月二十五日に、池田首相が国会の代表質問の回答として、物価を安定させるためにストップをするというふうに答えているんですね。したがって、これは自治大臣、ここまでの段階については、ぼくは丸山さんの言っておることは認めます。したがって丸山さんに答えてもらったのだけれども、それはあくまでも閣内の問題だ。したがって、政府全体の方向としては、いま池田首相が答えたことが政府の方針である、国策であるというふうに認めなければならぬと思う。  それで、もう一つ、その年の三十八年六月、池田首相が答えたあと、六月六日に参議院の地方行政委員会で問題になった。そして、ここは重要なんだが、奥野誠亮現衆議院議員が自治省財政局長の時代、政府委員として、社会党の議員の質問に対して答弁をしておる。これは重要なところだから、いま丸山さんの言っていらっしゃることも整理をする意味で、ちょっと長くて悪いけれども読み上げます。これはやはり議事録です。いろいろな事情があって、「このような状態で料金改定をしたのでは、すぐまた料金改定が繰り返し出てくるのじゃないだろうかという心配が経済企画庁のほうからございました。」——これがいま丸山さんの言うやつですね。「それについては調査会を設置し、根本的な合理化をやっていく。」そういうふうなことで努力をしていこうじゃないか、いずれにしても、「そういう努力をしても料金の改定をしないで済ませられるような状態ではない。これは両者同意見でございました。」こう答えた。ですから、三十八年六月六日までいろいろ論議をしてきた。そういう論議はあったけれども政府としては、あるいは経済企画庁と自治省の間でも、これは事務レベルですけれども、バスの料金を上げなければならぬような状態になっているということはお互いに認めました、というふうになっておるわけですね。こういうふうになってきておるから、池田さんが、さっき言いましたように、その年の一月に、すでに国会で総理大臣として答えておる。これは私もいろいろな議事録その他を調べた。御承知のようにいま、バス料金を抑制したらどうか、そしてその抑制した部分をどうするかという、これは再建計画の中で非常な問題なんですね。そうでしょう。ですから問題にするのです。  これからはもう丸山課長のお答えの領分ではなくて、自治大臣のお答えの領分なんだが、いま私が説明したことは議事録によってであり、そうして閣内での取り扱いについては丸山課長から、やはり当時の経過を見ながら御説明があった。そういう状況の中で、池田内閣ではバス料金を物価政策としてストップをしていることは明らかだ。これがいま問題になっている三十六年七月二十五日、つまり運用の問題を討議をした日、その運用の問題のあった三十六年七月二十五日から二年たっている三十八年七月二十五日の経済閣僚懇談会では、きちんとあらためて閣内でもって首相が、公営バスは赤字だからいずれ値上がりを認めなければならない、しかし、消費者物価問題が重要になっている現在、この段階ではなお一、二年ストップをしなければならぬというふうに閣議で答えているわけです。この閣議には現在の経済企画庁長官である藤山さんが党の総務会長として出ている。それから、通産大臣の三木さんが政調会長として出席をして、あらためてこういうふうにきめておられるわけですね。したがって、三十六年の三月七日閣議口頭了解、その前の丸山さんの言った三十五年九月の物価抑制の閣議了解、そういうものは、ちゃんと三十七年の市電の認可はしたけれども、それは十二円を十五円にするというそういう経過はあったけれども、バスの問題については物価政策として消費者物価に与える影響が相当大きいということで、なお引き続き抑制していこうというのが政府の方針であったということは、ぼくがいま経過を繰り返して述べたところで明らかです。ですから、これは大臣どうでしょう。答えやすく申し上げると、すでに東京都を中心にした七大都市のバス料金の値上げ申請が三十六年五月から三十六年十二月ごろまでにあった。それが途中で、三十七年になって市電は認可をしたのだけれども、バスのほうは特に消費者物価に与える影響が大きいので、物価対策として閣議の方針に基づいて抑制したということなんですね。それは、三代目の大臣だけれども、ぜひお認め願いたいと思うのです、いかがですか。
  59. 永山忠則

    永山国務大臣 いま企画庁が申しましたように、三十六年から基本的にそういう方針でございますが、やはり乗り入れ九社の黒字の問題とも関連して、これが根本対策を検討しようということが途中考えられてきたのでございますが、実質的には三十九年のストップ令にかかりまして、お説のとおりの状況になっておると思います。
  60. 野間千代三

    野間委員 そういうことを言っているのじゃないのです。三十九年以降にあらためてもう一年間ストップをしようというふうに池田内閣はきめた。だから、三十九年以降のもう一年間ストップをしようという点については、これはだれも異議はないはずなんです。その前の三十六年のときもストップしていることをぼくは言っている。ですから、バスに関しては、料金のストップは三十六年から始まっていて、三十九年にあらためてそれを確認をしている。三十八年の暮れですよ、池田さんが表明したのは。三十八年の暮れにあらためてもう一年ストップしていくというふうに言った。ですから二段になっているのです。それをお認めになりますかと言っている。
  61. 永山忠則

    永山国務大臣 お説のように抑制措置がとられておることを了承いたしております。
  62. 野間千代三

    野間委員 だいぶわかりがおそかったけれども、けっこうです。  実はぜひ藤山さんに出ていただきたかったのだけれども、どこか出張されておるのでたいへん残念なんだが、これは丸山さん、帰られたら、いまの永山大臣のおっしゃっていることを藤山さんにちゃんと報告してもらいたい。藤山さんも当時総務会長として出席をして、党の要職でおって、これは確認をしておるわけですから……。  それで、いま大臣が答えられたように、三十六年ころからストップをして、それを三十八年の十二月にあらためてもう一年やろうというふうにやった。これはいま大臣がお答えになったから、それでけっこうです。それが問題になっている。それが三十八年のぼくらが選挙をやったときの物価問題ですよ。物価問題でわれわれは選挙をやったわけだ。三十八年の十一月だった。その勢いがあって、あらためて選挙の終わったすぐあとの国会のときに、池田さんが、料金はなお一年ストップをして物価は上げないようにしますというふうに言ったのがあの物価問題なんですよ。時間がないので、はしょってきましたけれども大臣がお答えのとおりでけっこうです。  そこで問題は、そうなってくると柴田さん、ここに三十九年度末現在の累積赤字というのがあって、この中に料金改定の抑制期間における欠陥額というのがあるのですね。自治省で四十年十一月十六日に発表された財政再建に関する地方公営企業健全化対策というのがある。そうですね。その健全化対策の最後の五項のその他というところに関係してくるわけですね。それでこの健全化対策の第五項に関係をする料金改定抑制期間における減収額というのは、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、それぞれ自治省に要求を出しておるわけです。総額が百四十九億六千三百万円になるわけですね。あとから問題にするので一番わかりやすく申しますが、横浜の場合には十二億三千七百万円というふうに、三十六年以降三十九年度まで国の政策によって抑制されたために収入の欠陥があったという額が出ております。これは柴田さん、お認めになりますね。
  63. 柴田護

    柴田(護)政府委員 若干理解が違うかもしれませんが、大体の経緯は……。
  64. 野間千代三

    野間委員 ちょっと待ってください。  物価政策課長が帰られるので、ちょっと確認しておきたいのですが、先ほど自治大臣が、三十六年以降物価抑制でバス料金を抑制しましたというふうにお答えになりましたね。これはひとつ確認をしておいてください。
  65. 丸山英人

    ○丸山説明員 先ほどの御質問に対しまして私の答弁が少しおわかりにくかったと思いますので、若干補足させていただきますが、三十六年の七月に東京が出まして、三十六年の十一月までに残った都市三市ぐらいが出まして、三十七年の二月に一市でございます。それから京都が一番おそくなって三十八年に申請が出たと思います。したがいまして、三十六年は申請が出たばかりでございまして、運輸省のほうでもおそらく当然調査等の期間があると思います。したがってストップ令というものは三十六年はあまり関係がない。三十七年は先ほど申し上げましたように競合路線の会社等が黒字であるので、どうも上げるのはいろいろな点からちょっと思わしくない。三十八年に入りましてからは、そういう問題がどこにあるのかという検討の期間であったというふうに考えております。ただ、その検討の終わりましたころに物価情勢が非常に悪くなりまして、先ほど御指摘のように赤字であるからいずれ上げなければならないということがわかっておりながら、三十八年の暮れごろから例の物価問題懇談会等がございましていろいろ論議がされておりましたものですから、値上げの時期を失いまして、三十九年からのストップになった、こんなふうに時間のつながりの状況としては理解しておるということをもう一度補足させていただきます。
  66. 野間千代三

    野間委員 あまり繰り返したくないのだけれどもつまり閣内で、あるいは経済企画庁の中で、民間バスとの対比とか、公営企業のバスの内容とか、そういうものを検討されたことはそのとおりなんです。その検討内容は企画庁でも結論は出てないんです。そうして疑問点について、さっきぼくが言ったように、自治省や運輸省の間にやりとりがあった。しかしそういうことは三十六年からずっとあったわけですよ。そうしてそういう問答の中では、いま課長の言うようなことが確かにあった。しかしもっと高いレベルでは、それはあくまで経営分析とかそういう問題としてあったのです。つまりもっと高いレベルでは、閣議の了解事項でもって、物価を抑制するためには公共料金を押えようということが問題になっておったことは事実なんです。永山大臣の言われるとおりなんです。そこで、東京も三十六年に申請があった。横浜も三十六年に申請があった。しかしそれから一年くらいたってもなおかつ、これは自治省答弁にあるのだけれども、一年数カ月たってもなおかつ上がっていないのは異常である、したがって、ぼつぼつ上げなければならぬのじゃないかというふうに自治省から答えているわけですね。ですからいまの数字の中で、三十六年度の分は東京だけが三億九千六百万円、これも抑制の分でありますというふうに申請をして、三十六年分については、東京は確かにぼくが言った論法で言えば言えるのだけれども、申請をしてじきだから、通常三カ月くらいはかかりますから、多少三十六年については問題がありそうだ。ですから東京の三億九千六百万円については多少問題にしてもいい。いまぼくがあげた百四十九億六千三百万円の中には三億が入っているから抜いてもいいが、三十七年度の分は、これは明らかに高度のレベルで論議になっていた抑制分なんです。三十七年、三十八年、三十九年というものは抑制分というふうに理解すべきなんですというふうに、ぼくもその辺までは妥協というか、考えてもけっこうです。しかし高いレベルでの料金抑制の問題は、ぼくが言ったように、物価政策として公共料金を上げないということできている大ワクの中でやっていることは事実なんです。ですからそういう意味大臣も答えられたわけですから、そういう答えがあったことはひとつ経済企画庁でも——これは丸山さんが認め認めぬじゃなくて、大臣がそういうふうに答えていらっしゃることを確認をしていただいて、そうして藤山さんに報告をしておいてもらいたいということを言っているのです。いいですか、それだけ答えてください。そうだ、そうしますというふうに……。
  67. 丸山英人

    ○丸山説明員 御趣旨はお伝えします。
  68. 野間千代三

    野間委員 それで柴田さん、東京都の三億九千六百万円にはぼくも多少問題があるような気がいたします。しかし三十七年と三十八年は、ぼくの言った前段の意味での抑制、それから三十九年度以降の分、これはあらためて三十八年の暮れに池田さんが声明をした、なお一年間ストップをするというふうに声明をした分。それから三十九年の末あたりに認可をしているわけですね。それで今回あらためてまた認可をしている。こういう事情になっているわけですね、そうでしょう。
  69. 柴田護

    柴田(護)政府委員 料金認可の経緯は御指摘のとおりだと思いますが、先ほど私がちょっと申し上げたのは、当委員会におきましてもこの問題は非常にやかましい問題になって、小委員会までつくって御審議をわずらわした経緯がございます。そのときの理解のしかたは、三十六年以降三十九年の一斉ストップ令までの間につきましては、政府部内におきましては一貫して公共料金抑制の方針があった。これはストップということばがいいのか抑制ということばがいいのか問題でございますけれども、非常に影響力の大きいものについてストップする。したがって、その間において小さなものにつきましては一々閣議の了解をとって認可が行なわれております。  で、私どもは、先ほど御指摘がございましたが、その間におきましても、非常に困っておるから早く認可をしてもらいたいということをたびたび六大市のバス料金について側面から言ったことがございます。私どもは認可官庁でもございませんので、当時の経済閣僚懇談会では自治大臣は必ずしも正規のメンバーでございませんでした。したがって、そういうかっこうでもございましたので、側面からいろいろそういうことを言ったことはございます。結局一斉ストップというものがはっきりとられました三十九年の一月、これからのものについて特に大きく問題にした、こういうのが経緯でございます。どちらかといいますと、それまでの間については早く認可をしてやってほしいということを私どもが側面的に運輸当局に申し入れをした、こういうことでございます。
  70. 野間千代三

    野間委員 健全化対策の五項の抑制分という考え方は、柴田さんの言うように三十九年一月からのストップ分なんですね、六十億というのは。それはまあそのとおりだ。これはぼくも認める。問題は、その前のやつはどうしたのかということなんですね。それもはっきりしたいから、そこから問題が始まりたかったのだけれども、丸山さんが帰るというから結論から言ったのだが、三十七年、三十八年の分も明らかに政府のやったことだ。  そこでいま柴田さんは三十七年、三十八年の分は多少問題があるから、はっきりした三十九年からにした、こういう御答弁ですね。これでは実は問題があるので、もう一回さっきのあれを申し上げると、三十八年の末に選挙があって、そこであらためて三十九年の一月に柴田さんの言うストップをやったわけだね。その前の、つまりぼくが言っている前段のストップの問題が三十八年の七月二十五日の経済閣僚懇談会で問題になって、そこで池田さんが閣議でもって、現在の段階ではここ一、二年まだ上げるべきでないと言って、その中で、財政、税制面でこの赤字を負担、値段を据え置く措置考えるべきです、こういうふうに首相は言っているのですね。ですから、三十七年、三十八年の分もちゃんと政府のほうで認めた抑制分であるというふうに考えるべきだ。そうでしょう。どうですか、それは。
  71. 柴田護

    柴田(護)政府委員 そこには問題がございます。それは、東京都をはじめ六大市のバス料金の認可がおくれました一つ原因指摘事項の中に、やはりバス料金を改定をしなくても経営の合理化その他によって吸収できるんじゃなかろうかという意見が非常にあったわけでございます。その当時そういう意見がございまして、経営合理化案というものを出してこいといったような強い意見があって、そこでそれぞれの団体で健全化対策を立てた経緯がございます。それが出そろっていろいろ検討いたしましたところ、これだけでは不徹底だというような問題があって、根本的にやり直せということになったのであります。そのために、たしか公営交通事業協会でございましたか、六大市を中心とする自主的な団体でございますが、ここで都市交通財政問題調査会というものを私的につくって、この調査をわずらわして、その結論を待って措置をしようということになったのであります。私もメンバーでございましたが、たしか三十八年の十月ごろだったと思いますが、その答申が出て、その結果、答申を尊重してというような答弁を、たしかその当時経済企画庁長官は宮澤さんだったと思いますが、経済企画庁長官が委員会でそういう趣旨答弁をなされております。ところがその調査会の答申が出て、これからどうするかというやさきにストップ令が出た。正式にはストップ令というものの形は三十九年一月からのものであろう。それまでの問題については、ただ政府に一般的な抑制方針があったことは事実でございますけれども、その抑制というものは合理的なものに基づいての抑制ということだけではなしに、若干そこに政府側としては五大市のバス問題については疑義を持っておったのではなかろうか、そこは水かけ論になるというように私は思っております。
  72. 野間千代三

    野間委員 この問題ばかり水かけ論をやってもしようがないのだが、それはお役所としてはそういう答弁はあるでしょう。それから手続としても確かに申請したそれぞれの団体では、申請を書き直しているのですよ。そしてこれでつじつまが合いますと書き直しておいて、それで認可をもらっている。ですからそれは書類上なり手続上なりではいま柴田さんの言うようなことになってはいるんだ。つまりいま柴田さんの言うのは、合理化とかそういう方法をやれば値段が上がらずに済むのではなかろうかということで論議があって、それで申請を書き直しているわけですね。したがって、そういうふうにしてみました。したがって、十五円に上がりましたという申請にして、それで許可しているのですね。許可はしたが、内容は全然それと違うのだ。実際には物価を押えているのだ。しかも物価の基本になっているのは、三十六年に申請したから三十五年の物価でやっておる。三十五年の物価でやっておいて、そして合理化したなんというように申請を書き直して三十八年にまた出して、それで三十九年に認可してもらった。三十九年に認可してもらったが、書類上のことだけで実情に合わない。実情に合わないからすぐ申請し直すということになった。実態を見ればこれは政府の物価対策上の無理押しということがあることは明らかです。ですからそれは経済企画庁あるいは自治省などでは柴田さんの答えるようなことになってくるけれども、実態はそうではないということは、これは明らかなんです。ですから、三十七年、三十八年の分も、これは当然抑制分として池田さんの言うように措置をすべきものであったと思います。  そこで、これは水かけ論ですから一応おくとして、ただ少なくとも三十九年の一月からの抑制分はこれは経済企画庁長官であろうとあるいは柴田さんであろうと、つまり政府全体としての抑制であるというふうには公式にちゃんと認めているわけですね。これについてちょっと答えてください。
  73. 柴田護

    柴田(護)政府委員 その点につきましては、御指摘のとおりであります。
  74. 野間千代三

    野間委員 それであれば、これは自治省を突っついてもしようがないんだ。これは大蔵省の問題になってくるんでしようけれども、少なくとも三十九年——ぼくの言っているのは三十七年、三十八年を入れた百四十九億六千三百万円なんだが、それはそれで一応置いておいて、少なくともまず三十九年度分についてはそれぞれ国のほうで補てんすべきなんですね、論理上からいっても。したがって、自治省のほうでも健全化対策の五項で六十億を出して、一ぺんに払えないから二十億円ずつ払いましょうというふうに立案をしてあるわけでしょう。それはそれぞれ各自治体に発表もしている。しかもこの文書ではそうすると書いてあるんですね。どうなっちゃったんですか。
  75. 柴田護

    柴田(護)政府委員 お話しのように、三十九年のこのときに当委員会の御支援もありまして、とりあえずは政府資金を出して、そして従来の公募分を政府資金分に振りかえることによる利子の減等の計算のもとに、この三十九年度、四十年度について金利をゼロにしつつ短期でつないでいくという措置をとりました。したがって、その措置は、四十年度になりまして値上げが認められた後におきましては、若干額を落としましたけれども、まだ続いておるわけでございます。したがって、つなぎ融資についての利子分については始末がついておる。しかし、元本分については始末がついていない。そこで、元木分の問題について四十一年度の予算編成にあたりまして予算要求をする、これを措置をしてくれ——ごく正直に申し上げますと、料金抑制の責任省という形からいいますと、私どものところでやるのはおかしいのですけれども、バス事業の財政に関する援護という形でもって、私どもからこういう主張をしたわけでございます。いろいろ予算の編成の過程で御議論があったわけでございますが、やはりこの問題は、三十九年のストップの際には、単に六大都市のバスだけでございませんで、民間も一緒くたにあげておるわけであります。民間等の取り扱いの問題もいろいろございまして、未解決のまま予算編成が終わってしまった、こういうかっこうになっているのがごく正直に申し上げましたところの現状でございます。
  76. 野間千代三

    野間委員 それでは簡単にお伺いしたいと思います。  いま財政局長の言われるのは、三十億・三十億でしたが、短期分ですね。あるいは融資であるわけですね。それは借金で残っています。借金で残っているのは、今度の二百億といっている累積赤字の中に含んでおるのですか、含んでないのですか。
  77. 柴田護

    柴田(護)政府委員 単純につなぎでやりました三十億というのは一種の赤字融資ですから、これはその中に入っておるという考え方が立つと思います。
  78. 野間千代三

    野間委員 だからおかしいというんですよ。国が、局長の言うように当時やむを得ず三十億・三十億でつなぎ資金として措置をせざるを得なかったから措置をしたんだ。それはいいんですよ。そういう事情でそのときしようがなかったんですから……。しかし基本的に再建をするときには、国の抑制分は抑制分として、つまりこれは起債を認めてやったり金を貸してやったりするものではなくて、補てんをするべきものなんですね。そうでしょう。ですから補てんをすべきものをつなぎ資金でつないでおいたのですから、今度の場合には一般の累積赤字とまぜるんでなくて、その部分はちゃんとはずして、これは必ず補てんをするというふうにしておかなければ、論理が通らぬじゃないですか。
  79. 柴田護

    柴田(護)政府委員 私は、この六十億の問題は片づいたと申しておりません。まだ片づいておらないということを申し上げたわけであります。予算の要求としてはそういう考え方に立ってしたわけでございます。単にその当時抑制をされたものは六大都市のバスだけではございませんで、一般民間のものもある。これとのかね合いをどうするかという基本問題があるものですから、これは片づかなかった、こういうことを申し上げたわけでございます。
  80. 野間千代三

    野間委員 民間の問題はもちろん関連をしますよ。関連をしますけれども、民間の経営、これは特に問題になっている九大バスは、電車の問題とかそれから付帯事業の問題とか、多角的な経営をしておるわけです。ですから、その多角的な経営の指導なり何なりを通じてあるいは多少考える余地もある。これは性格ですね。それは見なければならぬものは見なければならぬでしょうけれども、性格としてはそういう性格がある。ところが、公営企業のほうはそういう事業が全然ないです。公営企業にデパートはやらしてないですからね。であれば、これは公営企業の分はきちっと別ワクにしておかなければならぬ。そこで、局長は解決したとは思っていませんということですから、そうすると、借金であるから累積赤字という概念の中には入っておる。入っておるけれども、解決の方向としては、つまり補てんの方向に行っている別の性格のものなんだが、補てんの方向としてまだ解決がついていないんだというふうに理解するならば、それはいいと思います。それでいいですか。
  81. 柴田護

    柴田(護)政府委員 私どもはそのように考えております。
  82. 野間千代三

    野間委員 けっこうです。実は私も横浜、大阪その他多くの再建計画というものを拝見させていただいておるのですが、どの都市においても、再建計画の中にこれは三十七年から含んでおります。ですから、いま局長の言うように残っておるとすれば、三十七年以降を含めるということを考慮しながら、それは六十億円じゃないはずだから、三十九年度だけでも六十億円じゃないと思いますね、ですから、六十億円というふうに限定をしないで、国の政策でストップをしたために収入の欠陥になったものは、それを国の責任において補てんをするという方向で進めていくといういまの御答弁でけっこうですから、そうしておかないと、たとえば大阪の場合には五十四億、横浜の場合には十二億三千七百万円というふうに計画の中に載っておるわけだから、これは必ずそういうふうにしていくというふうに考えてもらいたいと思います。これはよろしいですね。局長の答弁では不足ですから、大臣から答えておいていただきたい。
  83. 永山忠則

    永山国務大臣 基本的には、自治省としては柴田局長が答弁いたしたとおりに考えております。
  84. 野間千代三

    野間委員 では、その抑制分の問題については実現をすることとして、一応終わることにいたします。
  85. 華山親義

    ○華山委員 いまの野間委員からのお話の中で最後部分でございますが、その抑制部分についての赤字分、そういうものは再建計画を出す際に政府で負担するものという前提のもとに出してもいいのでございますね。そういうふうに了解をいたしましたが、それでよろしゅうございますね。
  86. 柴田護

    柴田(護)政府委員 私はそういうような意味で申し上げたわけではございません。私が申し上げますのは、この六十億円の部分については始末がついておりませんということを申し上げたわけであります。したがって、それにつきましては大臣がお答え申し上げましたように、自治省としては解決のつく方向で今後やりますということを申し上げたわけであります。ただ、これは相手官庁のあることでございますので、政府としてどういう形にまとまりますかということは、これはなお折衝を重ねなければわかりません。私ども自治省といたしましては、そういう方針で事を処理したいという考え方でございます。
  87. 野間千代三

    野間委員 これは重要な問題で、実はぼくのほうで少し早計に理解をしちゃったのですが、ぼくが言っているように、横浜の再建計画でも十二億三千七百万円ですね。それから大阪の計画でも五十四億でしたか、これは自主的につくっている再建計画に抑制分として入っております。ですから、これはいまの答弁でまいりますれば、これからたとえばこの法律が通ったとした場合に、当然再建計画を自治大臣提出をするわけです。その際には、この答弁でまいりますれば、当然な話として、それぞれの都市が抑制分を国から補てんしてもらえるということを入れて再建計画をつくるのは当然だと思う。ですから、各都市は再建計画の中に、抑制分によって欠陥を生じた金額については、一つの財源として計画に入れていくことは差しつかえがないというふうに確認をしてよろしいですね。
  88. 柴田護

    柴田(護)政府委員 三十九年度につきましては、少なくとも元木の問題が残っておるわけですから、それが赤字になって含まれてきておるわけです。その含まれてきておる部分について、再建計画を組むときにどうするかという問題は、問題が片づいておりませんので、片づいた段階において処理をすべきものと思います。しかし、その間どうするかということになれば、その間の問題は、未解決の問題はたな上げしておくよりしようがないと私ども考えております。しかし、先ほど来お話がございましたような抑制的な考え方等もございまして、公営企業の再建債について利子補給という考え方をとっておる。この六十億円分については、事は別にして私ども考えておるわけでございますが、いままでお話のございました、たとえば三十六年から三十九年までの問題とかといったような問題は、水かけ論の部分もいろいろあるわけでございますから、そこで一般の援助分も含めて、利子補給という考え方をとった。再建債について利子補給という考え方をとりましたのは、そういう思想も入っておるのだということでございます。六十億円分については未解決になっておるわけですから、再建計画上の扱いをどうするかということは若干問題がございますけれども、これを地方団体だけの責任でもって片づけるということはできないであろうというふうに考えます。
  89. 野間千代三

    野間委員 ちょっと柴田さん、歯切れが悪いですね。まあきょうこの議場であるいはきめかねるかもしれないが、では、これだけはいまの答弁ではいいわけでしょう。自治体が処理できる問題じゃないのだから、自治体としては再建計画の一環の中に財源として入れて再建計画をつくっていくことは当然でありますし、再建計画は自治大臣に出すのでしょう。自治省の方針に基づいて出すのでありますから、それはそういう方向で取り扱うべきものだというふうに考えていいですね。それはいいでしょう。
  90. 柴田護

    柴田(護)政府委員 扱いをどうするかということにつきましては、その補てん財源の問題が片づいておりませんから、いまここでどういう形にするということは申し上げかねますけれども、しかし、これを地方団体だけの責任でもって始末すべきものとは考えていないということでございます。
  91. 野間千代三

    野間委員 十分ではありませんが、あとにまた地方行政委員会の専門家の方に詰めていただくことにして、結局金の問題だけですよね。考え方はぼくと同じなんだから、金の問題だけですから、その分についてはなお詰めていただくというふうに希望しておきたいと思います。  それから、時間がだいぶたっておるようですが、料金の問題は、その他に料金の立て方としていろいろ問題がある。それに触れたいのですけれども、ちょっと簡単なものだけ、運輸省が来ておられるから聞いておきますが、この条文でいくと、経営の内容を精査することはもちろんでありますが、どんどん料金が上がるようになるというふうにこれは見えます。  まず、今度のこの法文でまいりますと、前の旧法、つまり現法ですね、現法の「収支の均衡を保持させるように適切な考慮が払われなければならない。」というのは、これは政策的な努力ですよね。つまり政策上の問題として二十一条は書かれているわけです。答申のいう負担力を調整するとかそういう意味のことが、当然この条文では入っていると考えられる。それがいままで運審なりで論議したりいろいろの手続でやってきたことなんだが、その運審できめたりするということについては、今度の法律では変わっていないようだから、手続としてはいままでどおりにやっていくわけだね。ところが、法文で見ると、これは主として経営の中の原価、それから企業が成り立つということに重点を置いてあって、その他の要件、つまり物価であるとかあるいは政策的な要件だとかあるいは負担力であるとか、そういうものは容喙の余地がないような文章に見える。これでいくと、どんどんばりばり上がっちゃうというような危険性があるように見えるのですが、それはどうなんですか。
  92. 柴田護

    柴田(護)政府委員 地方公営企業法の基本的な考え方としては、やはり健全な運営ということを第一に考えるのでありまして、そういう意味からいいますならば、従来は「収支の均衡を保持させるように適切な考慮」ということでございましたが、それをはっきり企業的観点、つまり能率的経営のもとにおける適正原価を基礎として、そして若干の資本報酬を加える等のことをやって、公営企業の健全な運営を確保するということであらねばならぬ、こう思うのでございます。したがって、従来の思想をむしろはっきりしたというだけの意味しか持っておりません。お話のように物価政策その他の問題が出てまいりますれば、それはまた別の観点から考えるべきものだと思うのでありまして、公営企業法という一つの場におきましては、企業の健全な経営という企業本来の趣旨を実現しつつ企業の健全な運営をはかりますためにはどうあるべきかということを規定すれば足りるのじゃなかろうか、こういう考え方であります。
  93. 野間千代三

    野間委員 この前、ことしの四月ですか、バス料金が認可になりました。たしかいま認可になっているのは横浜と大阪ですね。あれは、原価計算でいった場合には、たしか両市とも三十三円何ぼという端数がありましたが、それが二十円均一か何かで認可になっております。   〔委員長退席大石(八)委員長代理着席〕  こういうことについては、こういう手続、内容、そういうものは、今度の法文でも、いまの財政局長のことばでいうと、ぼくが言う物価だけの問題ではなくて、負担力の問題があるわけですね。ですから、そういうものを考えなきゃならぬというのが現在までのやり方、これは変わらないというふうに考えてよろしいですか。
  94. 柴田護

    柴田(護)政府委員 認可料金につきましては、それぞれ認可官庁があるわけであります。認可官庁におかれましては、この法文の趣旨考えて御認可あることと思うのでありますが、法文の趣旨そのものは、従来の思想というものを明確にしただけでありまして、特にそこに大きな変更を加えたものではございません。結果論としましては御指摘のようになろうかと思うのであります。
  95. 野間千代三

    野間委員 多少問題があるのですが、今度は運輸省のほうにお尋ねしますが、いまたしか尾道と三原市かどっかが運審にかかっているわけですね。その他札幌とか函館とか名古屋とか、たくさん地方議会で提出をして準備をしているところがあると思います。それと交通局内で、たとえば川崎であるとか京都であるとか東京であるとか、部内で問題にしているというふうな料金問題の現状があるんじゃないかと思うのですが、いま運審なり運輸省に申請を出されておるのはどことどこですか。
  96. 黒住忠行

    ○黒住説明員 大都市にありましては、東京都、それから秋田、函館、尾道、三原、おおむねそのくらいかと思いますが、ちょっといま全部の資料を持っておりませんが、大体そういうところでございます。
  97. 野間千代三

    野間委員 尾道、三原、函館、それから東京などは運輸省にすでに申請が提出をされておるのですね。
  98. 黒住忠行

    ○黒住説明員 そうでございます。
  99. 野間千代三

    野間委員 そうすると、これは相当重要な都市を含んでおるわけです。この法律の書き方で主として原価と企業の運営収支が重点になるというふうに書かれておりますと、運輸省なりで審査をする場合に、いままでの法律とは変わった見方で審査をするようになるのかどうか。
  100. 黒住忠行

    ○黒住説明員 バスの運賃の認可は、道路運送法の第八条に規定がございます。その場合におきましては、事業者の経営の内容の問題、それから利用君のほうの関係、——急に高額に改定いたしましても利用者が利用し得ないというような問題がございますと困りますので、この関係と、ほかの交通機関との運賃体系あるいは調整問題等を総合的に考慮して決定するものでございます。今回の法律改正の御趣旨と現在の道路運送法の趣旨はそごを来たさないように運営できるものと考えます。
  101. 野間千代三

    野間委員 バスの場合には道路運送法で大体規定をなされておる。その中に利用者に不便がかからないようにとかなんとかいう文章がたしか入っておりましたから、この部面では、いま業務部長の言うようなことですね。そういう意味でまいりますれば、この第二十一条の料金の書き方は、多少道路運送法の書き方の趣旨が入っていないと正確な料金問題にならぬじゃなかろうかというふうに思える。一方市電のほうは軌道法、地方鉄道法によって書かれておる。地方鉄道法、軌道法等では法律上は料金の問題はやや概念的ですね。バスほどこまかく書いておりません。したがってそこに多少の問題が出てくる。ちょっとこまかくなるので時間の関係でやめますが、そういう事情になっておる。ただもっぱらこの第二十一条のように書いてしまうということは、実際にバス料金を決定される、つまりバス料金そのものとしては問題があるということは明らかですね。これはどうでしょうか、自治省のほうは。
  102. 柴田護

    柴田(護)政府委員 能率的な経営のもとにおける適正原価というものを基礎にしてきめていく、こういう趣旨をうたっておるわけであります。この趣旨を法文化いたします場合にも、あるいはこれが出てくる前の調査会の御答申の場合におきましても、それぞれ運輸省からも御参加願っております。またこの条文につきましても運輸省と相談いたしております。したがって私どもは認可官庁の運輸省に具体的認可につきましてはおまかせ申し上げておるわけであります。その間に運用上そごがあろうとは考えておりません。
  103. 野間千代三

    野間委員 道路運送法の第八条の運賃及び料金の認可というところで、これは第八条の二項の一号で「能率的な経営の下における適正な原価」というふうに入っていて「且つ、適正な利潤を含むもの」と書いてあって、今度は第三号で「旅客又は貨物の運賃及び料金を負担する能力にかんがみ、旅客又は荷主が当該事業を利用することを困難にするおそれがないものであること。」というふうになっておるわけですね。これは旅客の場合には市電、市バス等は大衆ですね。ですから大衆の生活条件、あるいはそこで物価の条件とか、そういうものが関係をしてくるわけでしょう。ですから、認可の段階では適正な原価、利潤、そういうものも大きな要件として考える。そうして認可をする。きまったものが運賃となるわけですね。したがって、この地方公営企業法に、公営企業だけ考えて、おれはもうけたいとか、おれは損はしたくないと書いたら——それでいいというならば別だけれども、やはり法律であり、そうして料金がきまっておるのですから、そういう意味では今度の新しい書き方は、バス料金あるいは市電の料金の立て方では法文の書き方として問題がある。しかも答申のほうでも負担力ということが書いてある。答申の基礎にしても問題があるというふうにぼくは思いますね。どうです。   〔大石(八)委員長代理退席委員長着席
  104. 柴田護

    柴田(護)政府委員 従来の規定趣旨を明確にしただけのものでございまして、おことばを返すようなことになるかもしれませんけれども、私どものほうは、この規定によりまして従来と比べて非常に大きく考え方が変わるとは考えておらないのであります。従来の規定のもとにおきましても同じ道路運送法の規定との照合において運営されてきたわけでございます。その趣旨が明確にされましても、道路運送法との関係におきましては矛盾が生じないのじゃなかろうかと思うのでございます。先生がおっしゃるようには考えていないわけでございます。
  105. 野間千代三

    野間委員 片方は事業法ですね。道路運送事業法、片方は自治法に基づいて地方公営企業法、同じような事業法には違いないのです。ですから、法律の位置からいくと、どちらがどちらを拘束するとかという関係はないというふうには思うのです。したがって、もし両方とも大体事業法だというふうに考えてみると、片方の料金の立て方の考えと片方の料金の立て方の考えとには明らかに差がある。片方はこまかく書いてあるといえばそれまでだけれども、明らかに差がありますよ。ですから、どちらかを直さなければいかぬというふうになってはきませんか。どうですか。
  106. 柴田護

    柴田(護)政府委員 この条文は、道路運送法との関係の詳細は運輸省からお答え願ったほうがいいかもしれませんが、「料金は、公正妥当なものでなければならず、且つ、」という言い方でありまして、いま御指摘のありました道路運送法関係規定は、この公正妥当なものでなければならぬという中で読めるのじゃないか。したがって、公営企業法規定は非常に抽象的でありまして、一般原則的に書いておりますが、道路運送法の規定はこまかくなっておりますけれども趣旨は変わっていないのじゃないかと私は思うのでございます。いま読み上げられました規定は、この条文の二項の、「公正妥当なものでなければならず、」という中に包括されるというふうに考えられると思います。
  107. 野間千代三

    野間委員 それは柴田さん、多少無理がありますよ。従来どおりの考えだというなら従来でいいわけですね。ですから、それはバス料金の場合には幸いにして道路運送事業法のほうで料金を具体的にきめる、その手続をしていくというふうになってくるから、チェックの方法がある。しかし、ことによると、この法律のたてまえでいけば、地方公営企業法のバスのほうをやっているほうは、この法律に基づいて道路運送事業法できめていく、料金のきめ方について文句がつけられるというふうになってきますよ。ですから、やはりそういうものを包括した条文でないと、両方とも法律なんだから、将来問題が起きてくるというふうにぼくは思います。これはきょう結論は出ないでしょうが、そういう問題があることは事実ですね。いまぼくが言ったように、指摘したような問題が事業法と公営企業法との間に内包しているということはわかるでしょう。
  108. 柴田護

    柴田(護)政府委員 事業法と公営企業法との間において間差があってはむしろいけないわけでございまして、私どもとしては、間差がないように、いろいろつとめてやっておるわけでございます。相互におかしなところは直すし、また運用上まずければ、それをお互いに直していくという努力をしてきているわけでございます。この条文を変えましたのも、むしろそういう意味合いのものも含めておる。これを決定するに当たってはこれまでのような大ざっぱなことではなくて、能率的経営のもとにおける適正な原価を基礎として定めるという表現を加えたりいたしておりますのも、むしろそういうような配慮を加えたつもりでございます。私は、むしろ従来の規定より進歩しているというふうに考えておるわけでございます。
  109. 野間千代三

    野間委員 時間がないので、実はこの料金の問題では、まだ利潤の問題とか、適正原価の中における資本の報酬の問題とか、民間の場合の料金の利潤の考え方とか、資本報酬のとり方とか、公営企業の場合における報酬のとり方とかという問題があります。それから認可の手続の問題がまだありますね。認可の手続は、答申によると、地方できめたらどうか、こうなっておりますが、地方できめた場合に——これは外国の各都市、ロンドンとかあるいはパリとか、ハンブルグとか、そういうところを見ると、大体地方ですね。そして、三十八年の九月ごろの各都市のバスの料金を見ると、たとえばベルリンの場合には市電が三十二円で、バスが三十六円、ハンブルグの場合には一区間が、バスが二十七円、四区間で五十四円、ロンドンの場合には二マイルが二十五円というふうになっておりますね。これを見て、向こうの生活程度、収入程度、そういうもので見ると、いまの日本のバス料金と純粋に比較をしてみたならばどうかわかりませんが、概念としてはそう高くはないのではないか。日本の場合が不当に低いということも言いにくいのではないか、概念としてまあまあじゃないかというような気がするのですが、これはそれぞれ地方できめていますね。地方の都市できめる。日本の場合には国できめているという手続の相違がございます。これを地方へおろした場合にどういうふうになってくるかという問題が手続の場合出てまいります。  もう一つは、公営企業の場合に、さっき言いましたように、三十三円なにがしで申請をして、それが二十円均一できまってくるという場合に、民間も同じ手続をとります。しかし、民間の場合には資本報酬のとり方が違う。公営企業の場合には資本報酬のとり方が当然違うわけですね。そういうふうな関連をしてくると、地方公営企業の場合に、さっき言った道路運送法の第八条第三項によって運賃がきめられた場合に、つまり、物価なり負担能力なり、そういうもので変わってきめられた場合には、その分はどうするのか。削られた分はどうするか。ここだけは聞いておきましょう。局長の言われるように、企業の健全な運営を確保するために運賃が上がる、そうなってくると、たとえば三十三円三十五銭で申請したとして、これが原価を償い、経営がうまくいくのだというふうに申請したのだが、道路運送事業法の第八条第三項で二十円均一にきまったら、十三円三十五銭足りない。これはつまり公営であるからそうなるわけですね。しかも資本報酬がたくさんとれる、民間の場合には資本報酬を一割とれる、公営のこっちはそうとれないということになってくると、その分は当然赤字になる。つまり、企業の健全な運営になってこない、こうなります。その分はどうなりますか。これは補てんをされるのですか、されないのですか。
  110. 柴田護

    柴田(護)政府委員 これはむしろ認可官庁にお伺いしていただいたほうがいいと思いますけれども、私は、そういうように、ただ根拠なくして、収支を考えずに認可が行なわれるというようなことがあろうとは考えておりません。
  111. 野間千代三

    野間委員 それならばそれでいいですが、これは認可官庁の問題もそうだが、認可官庁のほうでは、その足りない分は認可官庁が補てんをするという性格でもない。したがって、政府の方針としてはどうするかということになってくるのじゃないかという気がするのですね。ですから、これは現実に物価政策で政府が押えたから前段の問題のように補てんをするということになってきたが、認可官庁が政府を代表して削るわけですね。十三円削った。そうすると、削った分を政府全体としてはどうするかということは、これはやはり事業を担当している自治省と、それから認可権を持っている運輸省、両者の責任になってくるというふうに思いますから、したがって、これは運輸省と自治省でそれに対する対策をちゃんとつくって出して、そうして削られた場合にはこういうふうに補てんをするという政策が裏づけられていないと、第二十一条は死文化されるという理屈になりますが、どうですか黒住さん。
  112. 黒住忠行

    ○黒住説明員 認可の基準にございますように、能率的な経営のもとにおいての企業でなくちゃならぬわけでございます。したがいまして、能率的な経営という面から見て査定をすることがあるわけでございまして、その査定のしかたが法律に照らして間違いであれば問題かと思いますが、私たちにとって、申請の内容におきましては、正しいかどうかを法文に照らしまして査定を加えて、その結果としまして認可を行なっている次第でございますから、これが適正に行なわれる限りにおきましては、民間の場合におきましても地方公営企業の場合におきましても、認可関係としては問題はないと思います。
  113. 野間千代三

    野間委員 そういううまいぐあいにいっていない。それならば、三十三円三十五銭か七銭で出した横浜の申請が二十円均一というふうに変わってきている。変わってきたところは、そのときたしか運審で附帯決議まであったが、物価か何かの問題じゃないですか。ですから、物価が安定をしている際には経営の内容だけ、あるいは経営のやり方を審査をすればそれでいいのでしょう。それだけでは済まない事情があるから二十円均一にきまってきたりする事情が生じてくる。これは明らかにその分だけ経営のほうは圧迫を受ける、収入欠損になる、こうなるのじゃないですか。その場合に認可官庁はどういうふうに考えるのか、こういうことなんです。
  114. 黒住忠行

    ○黒住説明員 先ほど申し上げましたように、申請の側におきますところの経営の内容がどうかということと、それから利用者が支払い得るものでなくちゃならない。この場合におきましては、電車とか地下鉄など、大都市におきましては他の運賃関係等も考慮しなければなりませんが、そういう面等を考慮いたしました結果、基準に適合するということで認可すべきであると思うし、またそういうやり方でやっておるわけでございます。
  115. 野間千代三

    野間委員 ことばの上ではそういうふうにうまくいくか知らないが、実際にはそううまくいっていないのです。これは特に地方公営企業の場合には少し論議がしたいのだけれども、資本報酬がそう取れないですよ。また取るべきでないというふうにも考えられるわけですね。もうけて、そうしてそれを一般会計へ入れていいというものではないのだけれども、もしもうかってくるならば、地方公営企業では料金を下げるなりあるいはサービスを向上させるなりということになるわけでしょう。民間の場合には資本報酬なら資本報酬を一つ取って——他の水道、ガス、電気は八%、五%なりあるいは二%、五%というふうに、民間はこれこれ、地方公営企業はこれこれというぐあいに資本報酬がきまっております。ところがバス、市電などはきまっておりません。ただ概念で納めている。鉄道の場合には運輸省の内規で納めている。内規できまっているわけです。ですから、いわばかってに運輸省が、たとえば市電のような場合には内規なんだから、そのときそのときの鉄監局長や民鉄部長の考えできめてもいい。これは運審にかかってくるのだからそうはなりませんが、つまりわりあいに軽くきめられておる。ですから、資本報酬がきちっと取れるような運賃にはなっていかないわけですね。そういう体系で、したがって、そういうふうに申請をしなければならないし、そういうふうに運営をしなければならないというのが地方公営企業の宿命——宿命というか使命でしょう。そうなってくると、そこに地方公営企業の今度は根本の公益性あるいは企業性の問題になってくるから、そこまで入ったのではたいへんな問題で、省略します。まあ運賃料金というものはそういうふうに考えなければいけない、考えるべきだというふうに考えてくれば——しかし申請をするほうでは、やはり自治省でおこられるから経営ができるようにということがあがってくる。それをいま運輸省で言うように査定してくる。こうなってくれば、当然将来に差が出てくる。いままででもずっとそうでしょう。申請料金と認可料金とは差がついてくる。したがってその差は地方公営企業の場合には補てんをしなければならぬということになってきます。これは地方公営企業のさっきの三十八条じゃないが、手当を下げたりあるいは電車を走らせなかったりということによって補てんをする。これは間違いですよ。またそういう意味でさっき言った関係の運輸省、自治省で、運賃の問題は実際の取り扱いについて、それの結果について、もう少し協議検討してもらいたいと思いますね。これは希望だけ申し上げておきます。まず一応確認しておきましょう。検討をしていただくというふうに大臣から答えておいてもらわないとわからない。
  116. 永山忠則

    永山国務大臣 料金の関係はやはり運輸省が主管で許可をいたすのでございますし、実質的には経済閣僚懇談会で経済企画庁もこれに関連いたしておりますので、関係各庁よく連絡をとりまして、御説のような点についても考慮してやりたいと思います。
  117. 野間千代三

    野間委員 差がついた場合……。
  118. 永山忠則

    永山国務大臣 やはり民間側でも何でも申請者側の要望どおりには、いろいろの点から協議されまして、いっていないのでございますが、それはやはり官庁側のほうでいろいろな研究の結果許可したほうが正しいという方向で進んでおるわけであります。御了承願います。
  119. 野間千代三

    野間委員 それは違うよ。許可したほうが正しい、それは正しくていいんですよ。正しくなければおかしいんだから……。正しくない場合もあるがね。問題は正しいという次元の違いだ。次元があるんですよ。経営の面から見ると正しいという場合と——それだけできめようというふうにわれわれは二十一条が見えるから言っている。そうでなくて、経営の面から見ても正しいようにしたいが、道路運送法の第四十一条と八条二項第三号で旅客のことも考えなければならぬ、こうなっているから、そのほうから見ても正しい、こうきめなければならぬですよ。それが三十三円三十七銭で申請をして二十円で許可をしてくるということなんです。そうするとその差がついてくる。十三円三十何銭の差がついてくる。その差額は行政官庁として責任を持たなければならぬのではないですか。経済閣僚懇談会ですらきめておるんだから、それを責任を持っていかなければならぬのではないか。一番いいのは、損した分は何らかの形で補てんをしてあげましょうというふうにして責任を持たないと、地方公営企業は成り立っていかないじゃないですか。いわゆる大臣の言う正しい料金になっていかないじゃないかというふうにぼくは言っている。しかし、それはいますぐ補てんをしますというふうには永山自治大臣としてなかなか答えにくいだろうから、関係をしておる運輸省と自治省で十分に検討していかなければならぬ問題で、そういうふうにするように検討しましょうというふうに答えてくれ、こう言っておる。
  120. 永山忠則

    永山国務大臣 許可の時点におきましては、許可したものが妥当公正なものである、こう考えるのであります。その後の経済状態から変わってきますが、また申請をいたしまして、それによって考えるということになるのでございまして、その許可した時点で不当なる許可をしたから、その間の格差については政府が責任を持てということにはならぬ、こう考えます。
  121. 野間千代三

    野間委員 名答弁だね。そう繰り返して言っていてもしようがないが、大臣の言っていることは、ぼくの言っている意味をそっくりそのまま両方をちゃんと正しく判定をして料金をきめます、だから野間が言っているような心配はないんですという意味でしょう、聞いておれば。ただ次元としてもっと突っ込めば、三十三円三十五銭で申請したものを、ちゃんと原価なんだというふうに申請したほうで言っているのだけれども、それを二十円しか認めなかった、それをどうしてくれるのだと言っているのだから、それは答えが違うのです。だからそういう問題は、物価が安定していない時期ではまだこれからもあるでしょうから、その部分をどうするかということについては、それぞれ関係各省間で検討する必要がある重要な問題じゃないか、重要な課題じゃないかと言っているわけです。時間もないしするので、国会で問題になっておるのですから、料金の申請と認可に格差ができた場合には、格差がついた要因の中で、道路運送法の運賃の第三号に、旅客の負担を考えてとあるのですから、そこから生じてきた問題についてはぜひ地方公営企業の場合には検討してあげる必要があるというふうにひとつ考えていただいて、閣内で御検討をいただきたいというふうに申し上げておきます。料金の問題はさっき言いましたようにあとまだたくさんございますが、それはまた別の機会にすることにして、ぼくは運輸出身だから運輸の部分から御質問申し上げたので、地方行政委員会として、地方公営企業法の扱いとしての料金と、今度は、地方公営企業から見た道路運送法との関連という問題はきょうは解決がついておりません。したがって、なお御検討いただきたいというふうに思います。  それから次に、三十八条のほうにちょっと触れたいのですが、第三十八条では「企業職員給与は、給料及び手当とする。」と書いてありますね。これは、企業職員給与とは給料及び手当とするということでないと、法律条文上おかしいじゃないですか。これは定義でしょう。誤植じゃない  ですか。
  122. 柴田護

    柴田(護)政府委員 別に誤植じゃございませんで、給与種類を書いてあるわけでございます。地方自治法にも同じような書き方がなされております。
  123. 野間千代三

    野間委員 時間がないのですが、鳩山さん、せっかく見えているのだから、ちょっと聞くだけ聞いておいてください。  四十年十一月十六日に自治省から健全化対策というのが出たのですが、これでまいりますと、計算をしてみると、自治省の要求総額は大体百九十六億から二百億ぐらいになりますね。現金が必要なのは、全部足してみると二百億ぐらいになると思います。これが驚くなかれ一億五千万円、年間にして三億円、こうなっちゃったのですよ。それで実は一つ一つこれがどうなったのかということを、自治省と大蔵省が関係するでしょうから、両者に伺って、そしてどちらが正しいかということを地方行政委員会として判断をするというふうにしたかったわけです。だけれども会議関係でそこまでいけないので、あしたなり機会を見てやりますが、自治省のほうへ一言言っておきたいのは、四十年十一月十六日に健全化対策を出した。これは新聞にも公表している。各地方自治体からも呼んで、そして柴田さんから説明しておる。大臣もあいさつしておるでしょう。これは全部見てみると、たとえば「水道、工業用水道、地下鉄にかかる公営企業金融公庫資金の利率を現行の七分三厘より七分に引き下げる。(公庫に対する出資金四十一年度所要額二十三億円)」こうなっているのですよ。全部文章は「確立する。」、「制定する。」「補給する。」「補てんする。」と、こうなっているのですよ。これはりっぱな文書です。こういうりっぱな文書、これはぼくは自治省から各地方公共団体に書面番号をつけて出したものとばかり思っていた。これは文書でいけばそうですよ。ところが聞いてみたら、書面番号はついてないのだ。しかし、ついてないけれども、ちゃんと呼びつけて、新聞にも発表して、こうする、こうする、こうする、所要額は総計すると百九十六億五千万円ぐらいかかる、かけますと、こうなっておる。だから、ちょうどこれが四十年十一月ですから、四十一年度予算を編成する段階にあったわけです。地方議会でもそうです。したがって各都市ともこれに基づいて四十一年度予算を編成して、そして地方議会にかけておる。地方議会は、柴田さんというえらい人が言うのだから、自治省を信用して、永山自治大臣が必ずそうしてくれる  ぼくが陳情に行ったら、永山さんは、おれのかわいい地方自治だから、それはそうしますよというふうに自治大臣の部屋で言っておったのだ。それほどりっぱなものですよ。それほどりっぱなものが、驚くなかれ一億五千万円に削られたのですよ。言語道断ですよ。これは。別にぼくは自治省に文句を言っておるのじゃない。自治省で出して、こういうふうにするというのだから、当然大蔵省でも、多少問題があったら問題があるところは指摘してもけっこうだが、地方公営企業を健全化するのにはこうしなければならぬと言っている担当者の考え方を了承してあげて、それに努力をしていく、そして資金の裏づけをしてやるというふうになれば、心配なく各事業体とも、地下鉄もちゃんとなるし、運賃抑制分もちゃんとなっていく。喜び勇んでいま再建計画を立てるという段階に来ていると思う。今度のこの地方公営企業法改正の一番悪いのは、理事者も、地方自治体の長も、一緒に働いている労働者も、全部が地方公営企業に対して希望が持てないということなんだ。労働者を働かしたり、理事者に一生懸命管理をさしたりするということは、自分のやっている企業に対して希望が持てるビジョンがある、そうして働きがいがあるというふうに考えて初めて一生懸命働くわけでしょう。今度の法改正のどこにそれがあるか。いま横浜や大阪あるいは東京の労働者でも、この企業法の改正を見て、だれが発奮をして一生懸命働こう、政府が一生懸命おれたちのことを考えてくれるというふうに思っているか、見ているかと言うのです。市長やあるいは管理者ですら、この発言台に立って、これではだめですと言っておる。どこに希望が持てるか。働く者に——ぼくが労働者代表だから労働者だけを言っているのじゃない、一生懸命働いている管理者を含めた者にビジョンを与え、希望を与え、そして働かせることが政府の責任じゃないかと言うのです。その意味では、この健全化対策は十分ではないが、この「第一、方針」、「第二、要領」 「地方公営企業制度改正」この辺には問題がある、問題があるが、財政的にやろうとしている第三以降の自治省考え方は私はりっぱだと思う。こういうものが、背景として銭がちゃんとそろえられておって、さあやってくれしかしこれこれのことはしてくれよというように地方公営企業法の一部を改正するのならば、働く者も理事者もあるいは管理者も、欣吾雀躍としてやるでしょう。そこで初めて、十年の間、長い間呻吟してきた、赤字のために悩んできた労働者、あるいは理事者なんかは、それを乗り越えて働く気になるでしょう。それを全部一億五千万円にしてしまって、そして三十八条は変える、再建計画を出したらそれは自治省がチェックをする、地方自治の権限も縮小をする、そういう出し方ではだれが働けるか。そこに地方公営企業の今回の改正の一番の問題がある。それを言いたいのです。だから鳩山さん、いま私が言ったようなことでいけば——私は何も自治省出身じゃないから自治省に義理はない、地方公営企業のことを考えて言っているのだが、そういう考えでいけば、どうして少なくともこの自治省が要求をしている健全化対策の金ぐらいは出してやれるようにしなかったか。
  124. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 ただいまお話がありました健全化対策というものにつきまして、これは私ども自治省予算の要求案をつくられるときのいろいろ考え方を書いたものと、こう考えておりまして、最終予算の話し合いをいろいろいたしまして、本年度の御承知のような対策になっておるわけでございます。それぞれの個々の項目につきましては、いろいろ折衝を重ねた結果こういうふうに落ちついたのでございまして、これは御要望としてはいろいろ御議論のあるところと思いますが、本年度国全体の財政事情がきわめて窮迫しておることは皆さん御存じのとおりであり、もともと地方公営企業は非常に苦しい——赤字の原因はいろいろあろうかと思いますが、これがこうした大きな問題になるということは、やはり地方財政全体が苦しい、人件費の高騰が非常に影響をしている。地方財政全般、一般会計のほうにつきましても非常に大きな負担になってきております。こういつたことでいろいろ経常費の増高を来たしておるわけでございますが、これらにつきまして、本年度はまた一般会計の対策が非常に膨大な資金が必要だということは御承知のとおりでございます。私ども考え方といたしまして、企業の赤字というものは、これを短時間に処理するということは、現在の国の事情からいってもなかなか困難でございます。これは相当長期に見てやはりなしくずしにやるということでなければ、一気に根本的にこの赤字を国家資金で埋めるということは、国のほうでも非常につらいわけでございまして、これは現在非常につらい立場にございますけれども、もっと長期的に見てその対策を講じていきたいということで、一応現在各種の措置として、利子補給をするとか、あるいは公営企業金融公庫に出資をするとか、あるいは地下鉄の利子補給をふやすとかということをやっておるわけでございますが、これだけをもってすべて公営企業がすぐうまくなるというふうに私ども考えておりません。長期的に見てできることからやっていくというふうな考え方をとっております。
  125. 野間千代三

    野間委員 時間がなくて残念ですが、自治省が出しているものは別に国家資金をものすごく使うようになっていませんよ。たとえば公庫に出すのだって、これは公庫に出すだけだから、すぐなくなってしまうわけじゃない、公庫に残っているわけです。それから、現実地方公営企業に現ナマとして渡す分は、これは説明するつもりでいたのだけれども、この自治省の方針でそんなにたくさんないですよ。いま鳩山さんの言うような、国家資金ががたがたするほどの金じゃありません。それからもう一つ、鳩山さんの言う地方財政が悪い、窮迫している。しかし地方財政が、地方財政の窮迫している中から、かつ地方公営企業に補てんしている。それは相当な額になっている。これは解消しなければならぬでしょう。それはそれとして、地方公営企業自体に、地方公営企業だけでは解決ができない問題があって、その分だけは側とか多少でも見てやろうというのが自治省の対策ですね。ですから、鳩山さんの言うほど多額なものじゃないでしょう。私は二百億と言ったけれども現実に大蔵省が現ナマとして自治省に渡してやらなければならぬ金、地方公営企業に渡してやらなければならぬ金はおよそ三分の一くらいです。それが一分にも満たない一億五千万円程度になってしまったところに問題があると言っているわけです。これはなおこの審議中に機会があればやっていきたいのだけれども、もう少し政府がこれは支出してやる点についても検討してもらいたいと思います。たとえば、ちょっとこれはあれですが、首都ワシントンの地下鉄建設に対する連邦政府資金参加に関する法律というのができておる。これはこの間できた。これはたしか四億三千万ドルかかかるのだけれども、建設費及び附帯費の三分の二は国で見る、三分の一をその州で見る、国で見る三分の二のうち三分の一を現ナマでやる、二分の一は長期融資で出すというふうになっているのですよ、この法律は。皆さんが信奉するアメリカの法律だ、これは。最近できたのです。首都ワシントンで、二十五マイルの地下鉄をつくろう、これをやっている。いま東京都がやっているあれですよ。こういうことをやっているくらいなのです。それで私は地下鉄法案を運輸委員会へ出したのですが、そういうことをいますぐやらなくても、少なくともいままで赤字になっていた分くらいはめんどうを見てやったらどうかと思うのです。自治省が出している分くらいは見てやっていいじゃないかと思う。これは機会を見てまたお尋ねしますけれども、十分に検討してもらいたいと思います。  さっきの給与の問題ですが、「給与は、給料及び手当とする。」という、これは誤植でないとすると、第四項の「企業職員給与種類及び基準は、条例で定める。」こうなっている間へ、二項、三項でさっきから問題になっていることが入ってくる。私はこれも問題にしたいのだが、結論だけ聞いておきましょう。条例できめるというふうになっておるのであって、これは二項、三項を間にはさんでおるからそうなっておるのだが、これが一項のところへすぐ四項がくると、これは危惧かもしれませんが、政令できめるというふうになりかねないと思うので、そういうことはないかどうかだけ聞いておきたい。ないと答えれば、けっこうです。
  126. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ございません。
  127. 野間千代三

    野間委員 以上で終わります。
  128. 岡崎英城

    岡崎委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十九分散会