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1966-06-24 第51回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    六月二十三日  小委員長押谷富三君同日委員辞任につき、その  補欠として押谷富三君が委員長指名で小委員  長に選任された。 ————————————————————— 昭和四十一年六月二十四日(金曜日)    午後四時七分開議  出席小委員    小委員長 押谷 富三君       岩動 道行君    木村 剛輔君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       佐藤觀次郎君    只松 祐治君       平岡忠次郎君    堀  昌雄君       武藤 山治君    春日 一幸君  出席政府委員         大蔵事務官         (証券局長)  加治木俊道君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 地崎宇三郎君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      佐々木 直君         参  考  人         (日本共同証券         株式会社社長) 三森良二郎君         参  考  人         (日本証券保有         組合専務理事) 山崎 文治君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月二十三日  小委員押谷富三君同日委員辞任につき、その補  欠として押谷富三君が委員長指名で小委員に  選任された。 同月二十四日  小委員毛利松平君及び渡辺栄一君同月十七日委  員辞任につき、その補欠として毛利松平君及び  岩動道行君が委員長指名で小委員に選任され  た。 同日  小委員岩動道行君及び武藤山治君同日小委員辞  任につき、その補欠として渡辺栄一君及び只松  祐治君が委員長指名で小委員に選任された。 同日  小委員松祐治君同日小委員辞任につき、その  補欠として武藤山治君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 押谷富三

    押谷小委員長 これより会議を開きます。  証券取引に関する件について調査を進めます。  本日は、お手元に配付いたしております名簿のとおり参考人方々の御出席を願っております。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  本日は、去る五月二十五日に引き続きまして、凍結株の問題につきまして参考人各位より御意見を伺うことにいたします。  それでは、ます三森参考人及び山崎参考人より、その後の御検討経過、いきさつ、放出処置概要等につきまして、それぞれ御説明をいただきたいと存じます。  ます三森参考人よりお願いをいたします
  3. 三森良二郎

    三森参考人 ただいま御指名をいただきました三森でございます。ただいまの御指示に基づきまして、若干の御説明を申し上げたいと存じます。  御承知のとおりに、証券界をめぐる諸情勢にはいろいろな問題はございますけれども、まあ、市場は漸次底固め情勢になってまいりました。こうした情勢に対応しまして、私どもとしましては、百十億足らずの株をすでに放出いたしましたことは前回説明申し上げたとおりでございますが、その後の情勢を見てまいりますと、当社並びに保有組合の株の放出の報道がいろいろ伝わりまして、これに基づきまして株価下押し商状となり、一般に市況も低迷状況を続ける、こういうふうな様相でございました。また、取引高を見ましても、たとえば東京証券取引所第一部の取引高は、三月には平均いたしまして一日二億株でありましたが、六月になりますと、最近までの統計では一日平均八千六百万株、こういうふうに激減をいたしてまいりました。二十日のごときは一日四千四百万株の出来高にとどまった、こういうふうな状況に相なってまいりました。これらによりますと、たな上げ株放出問題の影響というものは、やはり現在の市場情勢から見て非常に大きな影響がある、こういうことを言わざるを得ないかと存ずるのでございます。そうして、この取引高を見ましても、こういうふうに三月、四月、五月と、数字は省略いたしまするが、いろいろ非常に変化がございまして、私どもといたしまして、はたして今後どういうふうな取引高になっていくかという見当がなかなかつきにくいという情勢でございます。さらにまた、投資信託のごときも、御承知のように、年初来五月まで相当放出をいたしておりますが、これが今後どういうふうになるかということも、これまた非常に大きな影響がある問題かと思うのでございます。こうした点から見まして、私どもとしまして始終この前以後検討を続けてまいりましたけれども、一定の放出計画を立てることは、実際問題としてどうも困難と申し上げなければならぬと存ずる次第でございます。ただ、私どもといたしましては、やはりこうした市場情勢を見ながら慎重に検討を要することではありまするけれども、でき得れば、逐次株の放出をいたしてまいりたい、かように存じております。その後、株数といたしましてはさほど大きくございませんが、安定層への消化が確実視され、比較的市場への影響も大きくないと考えられる点からいたしまして、六月に入りましてから二十七銘柄金額にいたしまして十九億円の売却を実施いたしたような次第でございます。  この売却方法につきましては、いろいろ前回も御議論がございました。これは実は、それぞれ当てはめ先がきまっております層に対しまして証券業者を通じて売ったのでございまするが、この場合に、取引方法といたしまして、前回バイカイに関するいろいろな意見がございました。目下、これに関するいろいろな規制、これにかわる方法を御検討中ということでございます。私どももそうした新しい案ができれば、それに従ってまいりたいと存じておるのでございまするが、まあ、当面といたしましては、まだそこまでいきませんので、いろいろ相談をしました結果、やはりつけ合わせバイカイ方法ということでやらざるを得なかったというような情勢でございます。これは、いま申し上げましたように、今後これにかわるいい方法があれば、もちろんわれわれはそれに準拠してやりたい、かように考えておる次第一でございます。  なお、この売却代金十九億円というものは、日本証券金融を通じまして、全額日本銀行からの借り入れ金返済に充当いたしたような次第でございます。  今月に入りましてからわれわれが実行いたしました点を申し上げますると、以上のような状況でございます。  最近、この発行会社あるいは証券界金融界、各方面におきまして、この放出株に関する関心が非常に高まってまいりまして、いろいろの方面において検討がされているようでございます。ただ、こうした検討が漸次進められることはまことにけっこうでございまするが、一部には、この検討に伴って、無理に大量の放出受け入れ体制をつくろうというふうな動きもなきにしもあらずのように考えられるのでございます。しかし、こうした無理なはめ込み情勢は、たとえ一時消化ができたといたしましても、あとになっていろいろ問題を起こすということは、前にもそうした例もあったように思います。やはり、われわれといたしましては、市場の実勢を無視して大量の放出を急ぐと、いま申しましたように、あとに禍根を残しますので、こうした点は慎重に考え、やはりそのときどきの情勢に応じまして、その地合いをくずすことのないように配慮しながら市場が漸次株の放出になれていくというふうな情勢をつくり上げ、そうして、この株の放出資本市場発展を阻害することなく順次行なわれていくようにわれわれは努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。  なお、その方法といたしましては、あるいは機関投資家に当てはめる、また、発行会社従業員に持つ希望があればそれにも応ずる、またさらに、一般投資家市場に出して売るというふうな方法も考えていいかと思います。これらのものにつきましては、一つ方法にスティックすることなく、そのときの情勢に応じまして最も妥当と思われる方法をやってまいりたい、かように考えるのでございます。ただ、こうした放出にあたりましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、問題を将来に持ち越すようなことのないように十分配慮しながら、公正かつ円滑に処理を進めてまいりたい、こう思っておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、その後の検討経過並びに実績につきまして一言御報告を申し上げました。
  4. 押谷富三

    押谷小委員長 次に、山崎参考人お願いをいたします
  5. 山崎文治

    山崎参考人 ただいま三森社長からその後の経過の御報告がございました。私どものほうにおきましても、同じような見方でいろいろ検討をいたしておるわけでございまして、したがいまして、申し上げることの中には重複する点もあろうかと思いますが、しばらくお聞き取りいただきたいと思います。  初めに申し上げたい点は、私ども放出にあたりましてかねがね考えております点といたしまして、三つ条件があるように考えておるわけでございます。  前回にも一部触れましたわけでございますけれども、その三つ条件の第一は、証券市場に直接の影響を与えないということが一つでございます。第二には、安定投資層消化されるということかと存ずるわけでございます。それから第三には、日本銀行借り入れ金が無事に返済できるということであろうかと思います。この三つ条件を同時に実現していくというところに、実は非常にむずかしい点があるわけでございまして、その一つを欠きましてもやはりぐあいが悪いということに相なりますことは申し上げるまでもないことであります。たとえば、安定投資層にはまったと思いましても、それが大量なもので、また市場に還流してまいりますというようなことがありますと、一つ条件を欠いたということに相なりますわけでございますし、また、証券市場相当影響を与えますと、株価がそれによって変動いたしますので、これまた放出にとって一つの障害にもなるというようなことで、結局、ただいま申し上げ三つ条件を同時に解決しながら実現していくのだというところが、いわば私どもといたしまして非常に苦心いたしております点でございます。  さらに、こうした条件を満たしながら放出を実現していきます一つ背景といたしましては、これも申し上げるまでもないことではありますが、景気の動向、企業の業績あるいは金融動向というようなことが一つ背景をなすわけでございます。さらに、その軸となりますものといたしましては、今後の安定成長の問題もその軸と相なってまいりますわけで、同時に、タイミングとスピード、すなわち時間がやはり一つの重要な要素に相なってまいりますわけでございます。そうしたいろいろな要素をかみ合わせながら今後放出を進めてまいりますわけですが、それだけに、いろいろの条件がそろうためには、やはりある程度の時間を要するということは当然避けがたいことかと考える次第でございます。  さて、放出検討経過でございますけれども、やはり原則は、公正なる価額で広く安定投資層に円滑に消化お願いするということでございますが、株式取引原則に立ちました場合、その放出方法といたしますれば当然市場に集中するのが原則——市場集中原則にのっとりまして市場に売り注文を出すということが一つ原則かと考えておる次第でございます。と同時に、時価で売りさばくということに相なるわけでございますが、同時に、広く安定投資層売却いたしますためには、全国の正会員業者販売お願いするということも、やはり当然そこから生まれてくる方法一つかというように考えておるわけでございます。  なお、業界の販売体制を一本化すると申しますか、秩序のある販売体制を築きますために、一つ共同販売シンジケートというようなものをつくる話が大体用意ができましたようでございますが、こうしたものに入りますメンバーも広く業者に入っていただく、たとえば、私のほうの組合で申し上げますと、組合はすでに脱退されたことになっておりますが、元組合員の方にも御参加を仰いで五十四社がシンジケートメンバーに相なるように伺っておるわけでございます。  なお、売却方法といたしまして、入札ということも一つ方法としていろいろ検討いたしておりますわけでございますが、現在の段階では、市場での売却が困難な銘柄等につきましては、将来入札というようなことも行なわざるを得ないかと、こんなふうに一応考えておる次第でございます。  最後に、前回の当委員会あとの私のほうで取りきめました問題並びに市場株式売却いたしました状況を御報告申し上げたいと思います。  六月の六日に、私ども組合員総会を開きましヵわけでございますが、これは、私ども組合規約によりますと、組合目的が達成される見込みが生じたということを総会で認めた場合に、それ以後初めて株式売却ができるという規定に相なっておるわけでございます。すなわち、凍結状態である保有株解除するという決定は、総会決議事項に相なっておるわけでございます。本年の三月以来、いわゆる本業分と私ども申しておりますが、証券会社手持ち株を売り戻し条件つきで買い入れました五百億を三月、四月、五月と順次業者返済いたしました。大体いわゆる本業分が片づいてまいりました。したがいまして、今後は、いわゆる投信から入りました投信分を今後措置することに相なりましたわけでございまして、われわれといたしましては、凍結解除決議をできる限り早目に御承認をいただいておきまして、それに基づいて漸次放出の準備を進め、同時にまた放出も行なってまいりたい、こういうように考えましたので、総会お願いいたしまして決議お願いいたしたわけでございます。同時に、そのときに、今後の放出株につきましては、その銘柄の選定あるいは販売の時期あるいはその他の条件というようなものにつきましては、これを山田理事長に御一任願うという議案を提案いたしまして、これまた規約に基づいておりますわけですが、同時に御承認をいただいたわけでございます。  六月六日にそういう措置を早目に取りきめましたわけでございますが、こうして凍結解除がきまりますと、私どものほうといたしますと、増資株に対して、従来と同じように無条件で払い込みに応じるということが矛盾することに相なるわけでございます。したがいまして、六月六日以後の増資株につきましては、全額これを売却するか、あるいはその一部を売却いたしまして払い込み資金を調達する金繰りの問題が新しく起こってまいるわけでございます。先般、電力株共同証券さんと御一緒に売却いたしましたが、これもやはり増資の株でございまして、この払い込み資金を調達するか、あるいは全額売却するか、いずれかに決断をしなければならなかったわけでございますが、幸い安定投資層全額消化が確実にできるということに相なりましたので、その全株を売却いたした次第でございます。その後、六月二十二日にも八銘柄ほど売却いたしましたが、いずれもそのうちのあるものはやはり増資株であり、またあるものは従業員が特にこの六月の賞与で買い取りたいというような差し迫った事情もございましたのでこの売却に応ずることにいたした次第でございます。  大体経過並びに放出の方向と申しますかは、以上のとおりでございます。一応私の御報告を終わりたいと思います。     —————————————
  6. 押谷富三

    押谷小委員長 続いて質疑に入るのでありますが、小委員諸君に御了解を得ておきたいと思いますことは、きょうは、参考人方々に午後五時までの時間を切って御出席をいただいておりまするので、でき得る限り五時にこの小委員会を終わりたいと思います。また、御都合を伺えば、それぞれ五時以後の御予定をお持ちのようでありますから、その点御協力をいただきまして、小委員の御質疑の時間はおおむね五分以内にお願いをいたしたいと思います。御協力を願います。  では、通告順位に従いまして、只松祐治君から御発言をいただきます
  7. 只松祐治

    只松小委員 五分ということでございますので、前文後文を省略いたしまして、率直な御質問になるかと思いますが、御了解をいただきたいと思います。  私たちは、このたな上げのときに、当時は田中大蔵大臣でございましたが、いろいろ御論議をし、御忠告をしたり注文を出したりしたわけであります。そのときに、一つの問題として、こういうふうに徐々に放出がされてきておる、必ず利益が出るだろう、金は日証金を通じて事実上日銀から借り入れる、それで、高くなって売る。安いとき売るのじゃないわけですから、必ず利益が出てくる。その利益は、てまえがってとまでは申しませんけれども、いわば自分たち都合がいいように配分していく、こういう形になった。そういうことでは国民に相済まないのではないか、もちろん、健全な証券界発展のために使う云々というようなことも必要であるけれども、これは本質的には、その利益が出たならば、やはり国民へ何らかの形で返していく、こういうことが望ましいのではないか、こういうことを言ったわけでございます。今日こうやって千二百円の平均株価、まあ、千五百円か六百円の間で放出をされる、こういう形になりますと、これも時間があれば、ひとつお聞きしてお答えをいただいて、その上で質問を続行していったほうがいいわけですが、私たちが概算しても、いま六、七百億になるのじゃないか、こういうことが考えられております。こういう点について、まずどういうふうにお考えになりますか、それぞれの方、あるいは代表されてでもけっこうでございますが、ひとつお答えをいただきたいと思います
  8. 三森良二郎

    三森参考人 ただいま私のほう並びに保有組合のほうに、株の買い入れ、また将来売却をする場合、相当大きな利益が出る、それをどういうふうに処理するつもりか、こういうふうな御質問と存じますが、なるほど、最近の株価から見ますると、私どものほうにも相当評価益が出てくることは確かでございます。おそらく保有組合さんも同じだと思うのでありますが、ただ、私自身としまして、株価というものは非常に変動の激しいもので、現在のところ相当巨額評価益が出ているといたしましても、実際にこれが現実利益となるかどうかということは、いろいろなことが言われますけれども責任者として申し上げますと、やはり現実に売ってしまわないとなかなか申し上げにくいのじゃなかろうか、かように考えております。かりに相当利益が出たといたしましても、御承知のように、私どものほうにも現在出資金もございますけれども日本銀行から借り入れているもの、また、市中銀行から借り入れているもの——私のほうとしますと、市中銀行から借り入れている金額のほうが大きいのでございますが、これの利払いが株の配当収入よりも大きいのでございます。ことばをかえて申しますると、経理相当の赤である、これが普通の状態でございます。こうした経理上の赤ということも、結局売却益からカバーしていかなくらやならぬのでございます。また、出資金につきましては、私のほうの現在の資本金は三百億円でございますが、一昨年設立いたしましてからずっと現実経理が欠損の経理をいたしておりまして、株に対しましても配当は一切いたしておりません。しかし、これらの出資金は、やはりそれぞれの出資者がコストのある金を出資されておるものでございますので、利益が出た場合にある程度の配当をしていくということは、これは必要なことだろうと考えておるのでございますが、もちろん、どのくらいの配当が適当かということは、まだ現実にそれだけの利益が出ておりませんから、私ども、まだ御協議するほどの段階には至っておりませんが、ただ、やはりそういうことも必要だろうと思います。なおその上に巨額利益が出た場合にどうするか、もしそういうことがあるとしますれば、これは私の一存ではできないので、株主とよく相談して善処いたしたい、かように存じます。これは仮定の問題でございますので、さように御了承願いたいと思います
  9. 只松祐治

    只松小委員 時間がございませんのでこまかく御論議をしようとは思いません。確かに仮定といえば仮定でございますが、すでにアイ・エヌ・ジーの仮定放出されてそういう状態が出てきておる。結果的には、よほどの弊害がない限り、凍結したときより安く放出するということは考えられない、有利にするわけです。したがって、必ずしも架空仮定ではない、現実の問題として私は論議をしておるわけです。きょうはこまかく論議しようと思いませんが、ひとつぜひその点をお考えいただきたい。確かに、資本主義社会ですから、出資金に応ずる配当ということも全然無視することは不可能であるかもしれませんが、保有組合にしても共同証券にしても、設立の趣旨そのものは、そういう配当をしたり利潤目的としたものでないことは御承知のとおりでございます。したがって、そういうふうに配当前提とした、利益配分前提とした御論議は、いささか私としてはいただきかねる、こういうことになるわけでございます。きょうは論議をいたしませんけれども、順次こういうふうに放出されてきておる過程でございますので重ねて申し上げますが、必ずしも架空仮定の問題じゃなくて、現実の問題として、ひとつそういう点について御考慮方を現在からお願いをいたしたいと思います。  それからもう一つ、新聞にもいろいろ書かれておりますし、巷間伝えられてもおるわけでございますが、一つのうがった見方として、この放出が行なわれて、いまちゅうちょされておる一つの原因に、九月から証券会社免許制度にかわります。そういたしますと、単に市場の混乱ということだけでなくて、ずばり言うならば、もう少し株価をつり上げていかないと、各証券会社、特に零細証券会社等においてはいろいろな点でお困りになる面もあるのじゃないか、そういう形で、単に証券経済界等の問題だけでなくて、免許をめぐってそういうことがいわれておりますけれども、もしそうであるならば、私は本末転倒もはなはだしいと思うのです。そうであるとはなかなかお答えもいただきにくいと思いますけれども、そういうことと関連して、保有組合の方、共同証券の方、どちらでもけっこうでございますが、ひとつお答えをお聞かせいただきたいと思います
  10. 三森良二郎

    三森参考人 ただいまの問題についてお答えをいたします。  何か、私どもが株の放出を最近いろいろ考えておる場合に、証券業者免許制に備えて、株価つり上げということに反するようなことになってはいかぬという考慮があるのじゃなかろうか、どうもこういうふうな御質問のように伺うのでございまするが、私どもといたしましては、証券業者——私のほうも証券業者でございますけれども、私のほうは別にいたしまして、一般証券業者免許制に備えるために私ども放出をどうする、こうするということは全然考えておらぬということを申し上げたいと思います。私どもといたしましては、あくまでも市場情勢を考える。市場が非常に悪くなるということは、やはり今後の資本市場の安定、育成ということに害がある、そういう大局的な見地から、あまりそうした、いま少しずつよくなろうとしているような地合いを悪くしないことが必要であり、これがまた大衆投資家の信頼を博する方法になるのじゃなかろうか、かように考えてやっておるのでございまして、いまの免許制云々のことにつきましては、私は全く考えてないということを申し上げておきます
  11. 只松祐治

    只松小委員 時間がございませんので一つだけお聞きしたいと思うので、日銀の副総裁、これも簡単にお答えをいただきたいと思います。  二千七百億円いま貸し出しが行なわれておるわけでございますけれども、さっき申しました利潤の問題も含んで、ひとつ国民の納得のいく返済方法というものを御考慮いただきたい。時間があれば、そういうことについて詳細にお答えをいただきたかったのですが、時間がないので、簡単でけっこうですから、ひとつそういう点をお答えいただきたい。  それから、これもすでに論ぜられておることでございますが、この返済分、いわゆる放出分だけいろいろな形で、とにかく、また事実上市銀で貸し出しを振りかえる、こういうことが考慮されておるようでございます。そういうことになれば、この変則的に行なわれておった証券界への貸し出しというものが正常な経済行為に組み入れられてくることになって、インフレというものがより本格化してくる、こういうふうに私どもはたいへん憂えるのでございます。そういう点について御考慮をいただきたい。皆さん方はそういう点をどういうふうに考えてやっておるか、お聞かせをいただきたい。
  12. 佐々木直

    ○佐々木参考人 第一の点につきましては、いまの株の放出に従いまして、代金は日本銀行の貸し出しの返済に充てられております。すでに五百五十億円余りの返済が実行されております。  第二の問題は、これは非常に技術的な面がございましておわかりにくいかと思うのでございますが、いま日本銀行が発行をいたしております銀行券の残高は大体二兆円でございます。この二兆円というものが発行されましたルートは、大体大きく考えて三つございます一つは、日銀貸し出しを通ずる、第二は、金外貨を買い入れる方法、第三は、有価証券の買い入れ、この三つのルートを通じて出ております。したがって、この三つの残高を合わせますと、ほかのこまかいものを全部省略いたしますと、この二兆円という銀行券の発行高に見合うわけでございます。したがいまして、もし今度株を売却いたしましたときに、それによって日本銀行返済される部分を全部日本銀行券で返してもらうということになりますと、二兆円の発行商が、たとえば一兆九千億円になるあるいは一兆八千億円になるというふうに、これは完全なデフレ的なことになるわけです。これは経済の成長のさなかにおきまして純減させることはなかなかむずかしいのでございます。したがいまして、いまのような特別な貸し出しが回収されるにつれまして、他方、正常な姿においていまの三つのルートのいずれかを通じまして、しかも正常な姿で信用を供与するということは決してインフレーションにならずにやれるものだ、こういうふうに考えております
  13. 押谷富三

  14. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 時間がありませんから、保有組合のほうの方から三点、日銀から二点お答、えいただきたい。  三森さんにお願いしたいのですが、いま、あとの残りの株はどれくらいあるか、大ざっぱでいいです。  それから、これはいつまでたっても解決されそうもないような感じがするのですが、先回も堀君からもいろいろこの問題について追求があって、もっともっとこれは進行していなければならぬ。きょう皆さん方をお呼びしたのは、解決されていないのがわれわれは不自然と思いますので、そのめどをいつごろに置いているかということが第二点。  第三点は、これは井上理事長にも会っていろいろ苦しい立場を聞いたのですが、何といってもこれは商売でございますから、あなた方のほうではいつまでもいつまでもやっていきたいのはやまやだろうけれども、これは当然ある時期には解決しなければならぬ問題だと思うのです。そこで、この間六百万株関西電力の株を売られたあとで、あとのたな上げ分についてどうするかということについては、三森さんと山田さんにこの間まかされたことになっているのですが、どういうようなことを一任されてやっておられるのですか、この点をお伺いしたい。  それから、佐々木さんにお伺いしたいのは、日銀は御承知のように重要な役割りをしておられるのですが、いつごろこの問題が解決されるのか。何か日銀では、計画的に一定の方針があっておやりになっておられるかどうか。これは総裁もたびたび言っておられますけれども、どういうような方針でこの問題を片づけられるかということが第一点。  それから、経団連の堀越事務局長が、私の胸三寸にあるというようなことも言っておられるし、そうして同時に、この問題はやはり資本主義の社会の中では当然解決されなければならぬ、いつまでもほうっておくわけにいかない、回収するのが当然であるからというようなことも言っておられますが、あなたのほうの考え方では、この問題の処理を、日銀が中心になってどのようにやられるのか、その方針があらば承っておきたい。その二点でございます
  15. 三森良二郎

    三森参考人 お答えを申し上げます。  第一の問題は、私のほうが現在保有しておる株はどれくらいか、こういうことでございます。現在放出いたしましたものが今月になりまして十九億円、その前に百十億円、現在手元に残っておるものは簿価で千八百六十億円と御承知を願いたいと思います。  それから第二番目の問題は、今後これを放出するめど、こういうお話だと思いますが、先ほどもちょっと陳述申し上げましたように、市場状況というものがまだはっきりした見通しもつきにくい、ことに投資信託のような問題もありますので、どのようにしたら市場に支障をあまり生ぜずに買却できるかということにつきまして、われわれはできるだけその方法を見つけるように努力はいたしております市場にあまり悪影響なしに円滑に処理できるようなことについて極力その方法検討いたし、今後もいたすつもりでございまするが、ただ、残念ながら、現在のところにおきましていつまでにできるというふうな、はっきりしためどを申し上げかねるということ、これが実情でございます。その点を御了承願いたいと思います。  はなはだ申し上げにくいのですが、第三点がちょっとはっきり聞き取れなかったのでございますが……。
  16. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 この十五日に関西電力株を六百万株売られましたね。そのあと放出問題については、あなたと山田さんに一任するということになっているそうですが、その打ち合わせや内容はどうなっているかという点です。
  17. 三森良二郎

    三森参考人 この間の経団連の会合のときのお話でございますか、それとも一般的な問題でしょうか。
  18. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)小委員 経団連の会合のときの話です。
  19. 三森良二郎

    三森参考人 その点についてちょっと申し上げたいと思いますが、さっきもちょっと申し上げましたように、最近放出につきまして各方面の関心が高まったことはけっこうだと思いまするが、やや行き過ぎの傾向がございまして、もしこれを放任いたしておきますると、市場情勢を全く無視した無理なはめ込みということが行なわれる、これは先ほど申し上げましたようにいろいろな面に影響がある、金融的にも影響があろうかと思います。また、市場にもどういうふうな影響があるか、また、かりに一時は実行できたといたしましても、将来にどういうふうな問題を起こすか、こういうふうないろいろな問題がございますので、こういうような無理なことはしないようにみんなが自粛していこう、こういうような意味でこの間の会合は持たれたわけでございます。その結果、あの席でみんなが自粛していくということに相なったわけでございますが、この処理については、なお今後経団連の方々におかれましても非常に関心の大きい問題でございますから御検討があろうかと思います。われわれ自身といたしましてもいろいろ検討いたしておりまするが、また外部でそういういい検討の案ができれば、それをまたわれわれも尊重していきたいと思っておる次第でございます。ただ、最終的な責任を持つものは私と山田理事長でございますので、その辺のところで適当に逐次連絡をしながら、なるべく市場に変な影響が出ないようにして、なるべく円滑にすみやかに実行いたしたい、これは別にいつということはきまっておりませんが、逐次連絡をいたしていきたい、かように考えておる次第であります
  20. 佐々木直

    ○佐々木参考人 私に対するお尋ねは、今後の、日本銀行としてこういう特殊な貸し出しの回収についての方針についてお尋ねがあったと思いますが、いまのように非常に特殊な形の日銀貸し出しでございまして、株が処分されないと返ってこないというものでございますので、いま三森参考人から申し上げました、要するに、今後のそういう株式の処分の状況に応じて回収していくというふうにしか申し上げられないのでございます。この点について、特別にいつまでに全額返せとかあるいは毎月幾ら返せといったような具体的な指示は、性質上なかなか困難であると考えております。  それから第二の御質問は、堀越さんのことばをお引きになりましたが、おそらく、これまた三森参考人の言われた経団連における問題の打ち合わせのことであろうかと思います。堀越さんが経団連の事務局長として中心になって皆さんと御相談なさったわけであります。この点については、われわれとして、こういうことが二度と繰り返されないように、安定した株の最終的な処分ができることを衷心希望しておるわけです。そのためには、いわゆる建て株会社と申しますか、自分の会社の株がこの両機関に組み入れられておりますので、それぞれの会社のいろいろ利害の関係もございます。そういう点が無理を及ぼさないような方法、すなわち、その無理を及ぼさないことが、結局は最終的に株を安定させる道だと思いますので、そういう方向で解決されることを私ども希望しておる次第でございます
  21. 押谷富三

  22. 岩動道行

    岩動委員 私は、大体国会であまり具体的な証券放出問題等を取り上げることについては必ずしも適切な場所であるとは考えないのでございますが、本日は、せっかく共同証券の方あるいは保有組合の方もお見えになっておりますので、まずその点から、時間もありませんのでごく簡単に皆さん方のお考えを承っておきたいと思います。  まず第一に、凍結株放出につきましては、これを計画的にやったらどうかというような意見、あるいは日銀借り入れ返済についても計画的なものがあったほうがよくはないかという御意見もあったようでございます。これは一つの考え方として私も了承できる点もございますが、先ほど来お話にありましたように、証券市場は生きものでございます。また、投資家の心理というものもきわめて微妙であり、複雑でもある。かような観点からするならば、計画的放出ということについては、かなり慎重な態度でお考えいただかなければならないのではないか。また、無理なはめ込みも十分に検討しておやりにならないといけない。さらにまた、これが、事業会社の過当競争的に——自分の会社の株だけを早く安定機関に持ってもらう、あるいは生保等の投資家に持ってもらうというようなところで、過当競争が起こってきておるというような面も出てまいっておるようであります。したがいまして、これらの点から見ましても、放出株の処理ということはきわめて慎重でなければならないということを、まず私は申し上げたいのでございます。特に、非常に大量の巨額の株をかかえておられます二つの機関は、株式市場の価格形成には特に重要な役割りを果たしてまいる立場にあるわけでございます。したがいまして、これらの凍結株放出について、基本的にどういうお考えを持って処していかれるかをまず伺っておきたいと思います
  23. 三森良二郎

    三森参考人 ただいまの御質問の要点は、いろいろの点からしまして、凍結株放出市場の価格形成にもきわめて重要な関係を持っておる、今後基本的にどういうふうな放出体制で臨むか、こういう御質問と存ずるのでございます。  先ほどおあげになりました、無理なはめ込みがいろいろな弊害を起こすおそれがある、それからまた、事業会社の過当競争を起こすようなことは厳にやめさせるようにしなくちゃならない、こうした点は、一々ごもっともと思っております。先般経団連の会合が行なわれましたのも、やはりこういう点に注目された会合であったのでございまして、われわれとしましては、こうしたいろいろの方面に悪影響の起こるようなことのないように十分気をつけてまいらなければならぬ、ことに、市場はよくなったといいましても、これはいろいろな人によって見方があろうかと思いますけれども、最近のようにいろいろ放出談義が出ますと、やはり市場低迷状況になるというふうな、まだほんとうに市場がよくなってきたということはちょっと申しにくいのじゃなかろうかと思います。ただし、こういう状況下でも、安定をくずさずして慎重に処理して、先ほども申しましたように、市場保有株放出になれてくる、そうすればだんだん出していってもあまり影響がない、こういうことをまず当面考えていきたい、かように思っております。そうしまして、漸次そういうふうななれの一つ状況というものが出てまいりますと、今後経済諸方面発展とともに漸次そうした放出株の処理も進んでいく、こういうふうに思います。ただ、その間に、先ほどお話がありましたように、無理をすると逆行することになる、かえってそのために大衆投資家市場に対する信頼も失墜することになろうかと思います。われわれといたしましては、やはり将来証券市場というものが漸次発展していく傾向を阻害せずに、ことに投資家のそうした市場に対する信頼も今後漸次ふえていくということを期待しておるのでございます。こうした期待は裏切られるようなことがあってはならぬ、そうしたことを慎重に考慮しながら漸次放出をして、いろいろ計画等のごときは、もしできれば、われわれとしても非常にやりやすいのでございますが、現実の問題として、先ほど申し上げましたように、こういったことはいまの状況から考えてちょっと困難だ、かように考えております。ただ、そういうふうに慎重に考慮しながら漸次市場凍結株放出になれていく、そうして、いろいろな悪影響をなくして、だんだんそうした処理が円滑に進んでいくように考えたい、かように考えております
  24. 岩動道行

    岩動委員 保有組合のほうのお考えもおそらく同じだろうと思いますので、時間の節約から、その点は、そういうことであろうかどうかということについて、うなづいていただければそれでけっこうです。  そこで私は、特に日本共同証券株式会社、日本証券保有組合等、こういうものができたその根幹をまずついて、そこから日本の証券市場の立て直し、健全な資本市場をつくってまいるということに目を向けていくのが、私ども国会としての議論をする主要な目的ではないか、かように考えておるのでございます。したがいまして、この凍結株をもたらした原因、またその是正をする方策、さらにまた、これは証券取引法を改正いたしまして、新たな証券市場の機能を発揮させていかなければならないわけでございまして、この証券業界の体質の改善、投資信託のあり方の問題、あるいは具体的にはバイカイの規制の問題と公債発行下においての証券市場のあり方等、いろいろと大きな証券市場の問題があろうかと思います。これらの問題を健全に解決していくことによって、こういう凍結株を持つというような不健全な姿が自然に解消していくように努力しなければならぬと思うのでありますが、この点に関しまして、大蔵省の証券局長見えておりますので、この機会に御意見を表明していただきたいと思います
  25. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 たいへんごもっともと存ずるのでございます一つは、環境の変化が大きく影響したと思うのでありますけれども、しかし、今日の事態を来たしましたのは、単に環境のせいだけに責めを帰することはできないと私は思います。それに対して、証券会社の業務運営のあり方、あるいは投資信託というものの仕組みといいますか、制度面についての市況との関係でかなり激化要因となるような要素が含まれておったのではないか、これが今日の事態に相当の因果関係を持っておるのではないか、こういう点から、投資信託のあり方あるいは証券業界の体質改善、また自己売買のあり方、これらについて今後積極的に検討を進めて、できるだけ早い機会に方向づけを行ないたい、かように考えております。   〔「政府に質問することないよ」と呼び、その他発言する者あり〕
  26. 岩動道行

    岩動委員 社会党の先生方から政府に聞くのはよけいなことだと……。   〔「そんなことはあたりまえだ」と呼び、その他発言する者多し〕
  27. 押谷富三

    押谷小委員長 お静かに願います
  28. 岩動道行

    岩動委員 時間がありませんから、その点は時間の節約上これ以上のことは政府には伺いませんが、要は、証券市場の育成、資本市場の健全な発達のためには、皆さん方の立場は重要な役割りを持っているということを認識して、いたずらにいろいろなムードによって動かされることなく、みずからのベースで金融界においての確固とした地歩を固めるように、特にこの機会に御要望を申し上げまして、私の質問を終わります
  29. 押谷富三

    押谷小委員長 春日一幸君。
  30. 春日一幸

    ○春日小委員 私は、この共同証券証券保有組合の機能をいろいろ研究してまいりました過程の中で、実はそれ以前の問題として、証券保有という基本的な問題について大きな疑義を抱くに至りましたので、この機会にこれをお伺いいたしたいと思います。すなわち、その問題は、持ち合い株の弊害についてでございます。  申し上げるまでもなく、最近の傾向といたしましては、企業が安定株を確保いたしまする手段といたしまして、同一系列の企業間で株式の相互持ち合いなどが盛んに行なわれるようになった。ことに、大会社ではその株が分散をいたしておりまするから、したがって、たとえば二〇%程度の割合の株式保有で全体の支配も可能である、こういうことで、持ち合い株が、このために重要な、重宝な手段としていま乱用されておるのではないかと思われるのでございます。これを調べてみますと、現在のところ、事業会社の保有株というものは、三十三年三月では、当時一三%であったものが、現在では二一%に達しておる。この持ち合い株は安定株と称せられてはおるけれども、一昨年から昨年にかけての現象をとらえるならば、あの株価の暴落時には持ち合い株の売却がひんぱんに行なわれて、株価暴落の一要因となったことは御承知のとおりでございます。このような実績から案ずるならば、この持ち合い株というものは、株価安定の要因にあらずして、むしろ不安定要因になってきた、こういうこともこれは認めてしかるべき問題であろうと思うのであります。しかしながら私は、いまこの弊害は、そんな安定、不安定というような問題ではなくして、むしろ根本にさかのぼってよくこれを探求してみる必要がありはしないか。ということは、持ち合い株は、言うならば一個の擬制資本である、すなわち架空資本である。何もないものが、あたかもあるかのごとくにあらわれてまいっておるものである。これは具体的に言うならば、相互に貯金しあっておるようなものであり、あるいは中小企業が手形を交換しあっているような、交換手形と何も異なるところはないと思われるものでございまして、したがって、一方がその株を売るということは、すなわち、ありもしないところの預金を引き出すようなものであって、このことがいろんな弊害を衝撃的にあらわしてくることは当然のことだと思う。東証第一部の株式価格の総額が九兆円といたしますならば、この二一%とあれば実に二兆円、これが仮装信用であった。みんな持ち合って、手形を交換しあって、手形でないとしても現金を交換しあっている仮装資本というものが二兆円ある。こういうようなものがわが国証券業界の不安定要因となっておるものではあるまいか。のみならず、このような架空の株に対して事業会社が配当を行なっておることは、一体見のがされていいことであろうか、許されていいことであろうか。本来は株主に配当せなければならないところの金を、利益を、それを仮装の株主に配当しておるということは、言うならば、これは不当利得である、あるいは利益の横領である、そういうことがなされておるといってもこれは過言ではない。したがって、この際持ち合い株に相当する資本は、交換手形をなくさなければ企業資本というものが堅実化されないと同じように、これはすべからく厳守すべきものであるが、少なくとも、そのような持ち合い株に対しては配当を禁止せなければならぬ筋合いのものではないかと思われる。この問題は、機能的には、独禁法第九条以下持ち株行為の禁止事項があるけれども、そこに抵触するかしないか、独禁法上の問題は別といたしまして、とにかくお互いの株を持ち合って、それで配当し合っておるというこのあり方は、株主の利益を著しく侵害しておる、横領しておる、そういうきらいがあると思うので、この問題についてはこれは是正すべき問題ではないかと思うが、この機会に持ち合い株の不健全性並びにその弊害、こういう問題についてお三方いかがお考えか、御所見を伺いたいと思います。  私は、この凍結株放出、その機能効果、いろいろ考えてみた中において、全体的な根本的な問題として、この持ち合い株のあり方を究明するしとが必要であると思う。この問題は重大な関係であるし、特にわが国将来の証券行政の根本的なふり方として、また会社法の根本義にも触れて重大な疑義があると思われる。すなわち、善良なる株主がその配当分をこの持ち合い株の株主によって横取りされているのである。この際、この問題についてお三方の御所見を伺いたい。——それでは、こういう根本的な重大問題は十分御研究の上、ひとつ次の機会に責任ある方々から明確なる御答弁をお願いすることにいたします。  なお、加治木新証券局長においても、証券行政の根本的なあり方から、十分御検討の上、次回の金融委員会で責任ある御答弁を得たい。  本日はとりあえずこの問題についてのアドバルーンを上げて、そして証券業界全体の問題として十分御検討の上、後日責任ある御答弁を求めることにいたしておきたいと思います
  31. 押谷富三

    押谷小委員長 了承しました。  堀昌雄君。
  32. 堀昌雄

    ○堀小委員 今度の放出株の問題で、何ですか、非常にうっとうしい状況になっているのですけれども、私は、どうもこれだけが何かうっとうしい状況になっている最大の要因で、ほかには要因がないかのようにいわれておる点に疑問が実は非常にある。しかし、ここは時間がありませんから議論をいたしませんが、こういうことが言われておるようですね。株の放出が行なわれると、その金は日本銀行に入ってしまう、要するに、それだけオペレーションをやったと同じ効果になってくる。確かに実際はそういうことになると思うのです。しかし、それはそれだけ還流すれば、市中の資金状態をにらんで、日本銀行としては、現在の公債発行下におけるところのある程度の金融緩和状態を置きたいというお考えでしょうから、そのことは織り込み済みで金融政策は行なわれるものだ、こう私は了解しておるわけです。株を放出されること自体が、いま金融上にタイトになる原因をもたらすのだということは、これは一つの側面としてはあるけれども金融政策でカバーできる、こう考えておりますけれども、佐々木さんいかがでございますか。
  33. 佐々木直

    ○佐々木参考人 先ほど、日本銀行券の出てまいりますルートを三つほどあげて御説明申しました。そのときにも私はその立場で申し上げたつもりでありますが、いまの経済を円滑に運営するためには、いまのやや売りオペに似た債券、株式の処分による資金の調整は、当然日本銀行においてやっていかなければならない、また、それは可能であると考えております
  34. 堀昌雄

    ○堀小委員 ですから私は、金融サイトの問題はいまの御答弁で問題はない、こう考えております。  その次に、最近ずっと約一カ月間の経過を見ておりますと、この放出のスタートはもうきまりましたから、そこで起きておるのは、事業会社あるいは金融機関、証券会社等の中における競争上の諸問題というのが実は起きておりまして、これが実は不測の状態をもたらしておる。放出そのものよりも、放出をめぐる思惑と申しますか、それによって利益をあげよう——利益の中には、金銭上の利益といいますか、具体的なそのことによる利益もありましょうけれども、それ以外に、事業会社の株を持つことによって金融上の結びつきを強化するとか、いろいろな問題もいま派生をしておるように私は理解をしておるわけであります。そこで、きょう特にお願いをしておきたいことは、このたな上げ株という問題が行なわれた目的というものは、証券市場の安定のためでありましたし、そのために国家資金が用いられたのである以上は、これは共同証券保有組合もひとつ十分お考えを願っておきたいことは、それが特定のものの利益に奉仕するような形にならないように、厳にひとつお考えを願いたいと思うのですが、これについておのおのからちょっとお答えを願いたいと思います
  35. 三森良二郎

    三森参考人 ただいまの堀さんからの御質問の要点は、われわれが国家資金を使って証券市場の安定をはかった、これは全体のためのものである、したがって、今後放出についても特定のものの利益になるというふうなやり方は好ましくない、こういうふうな御意見かと思うのでございます。根本論といたしましては、私は全く同感でございます。ただ、現実市場を見ますと、これはいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、私どもは、まだ完全に安定し切ったとは思っていないのでございます。安定の方向に向かっていることは確かでございます。したがいまして、放出方法につきまして、こういう方法が最も望ましい——いろいろな形が出てくると思いますが、その形を初めから全部とり得るかどうかということになりますと、やはり処理をある程度していこうと思いますと、市場をこわさぬということがまずその前提になる、これがやはり全体の利益に奉仕する一つのゆえんだと思います。そうした点からまず考えていかなければならぬと思います。したがいまして、いま堀さんのお考えになる方法、いろいろな方法はあると思いますが、いますぐそれを実施できるかどうかということになりますと、非常に問題がある、ただ、長い目で私どもそういう精神をくんでやりたいと思います
  36. 堀昌雄

    ○堀小委員 山崎さんにも……。同感なら同感でけっこうでございます
  37. 山崎文治

    山崎参考人 同感でございます
  38. 堀昌雄

    ○堀小委員 いま放出方法——この前一つ入札という問題がありました。私は、必ずしも入札だけにこだわっておるわけじゃありません。売り出しであってもいいでしょうし、いろいろバラエティーがあっていいと思います。その用い方も、銘柄により時期によっていろいろあっていいと思いますが、いま私が申し上げているのは、そういうことでなくて、いま非常に過当競争的に行なわれておる、それを、ある程度少しそういうものが動いてきて、それのできたものだけにすぐそのものが出ていくということになりますと、要するに、われ先に行こうとして、それが利益になるということを許してはうまくないのではないか。だからそのことは、放出を急げと言っておるのではないのです。要するに、放出方法については十分内容を吟味して処置をしていただきたい。そうして、少なくとも国民の批判を受けないようにしていただかないと、これは金融界——皆さんに申し上げる以上に、証券業者金融界の方に来ていただいて申し上げるべきことでありますけれども、私どもは、十一日に金融界全部呼びますから、この点については、あらためて各協会長に十分に申し上げることにいたします。しかし、そういうことのないように、皆さんのほうもそういう姿勢でやっていただかないと、抜けがけの功名をしたがる金融機関なり、事業会社なり、証券会社なりの特定のものに奉仕する結果になっては困る、そういうことでありますから、そういうふうに御理解をしていただきたいと思います。  最後に、もう一点だけ申し上げておきますのは、さっき自民党のほうでは、できるだけあまり放出をしないでと、非常に神経過敏に言っていらっしゃるのです。ただ、私がここで申し上げておきたいのは、何だか問題がうしろへうしろへずれますと、かえって条件の悪い状態が長続きをする。ですから、ある程度やはり情勢を見きわめながら——非常に悪くなることを私は賛成しておるわけではありませんよ。しかし、あまりに消極的になることは、かえって問題を先に延ばすことになって、それはどうも現状では適当でない。スタートしたら、やはりある程度の歩度で考えられないといけないのではないか。ですからその点は、私どもはこの問題を政治的に取りしげたつもりは全然ございませんから、どうかひとつそういう意味で、私どもが政治的に取り上げたのではなくて、やはり本来の経済上の行為として最も適当な処置が講じられることを要望して実は当委員今に皆さんにお越しを願っておるわけでございますから、その点については誤解のないようにひとつ皆さんも御理解をいただいて、慎重であってけっこうですが、同時に、慎重だけではなくて、将来を見通して、ひとつこの処理については責任を持ってやっていただきたい、こう思いますが、その点は重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります
  39. 押谷富三

  40. 武藤山治

    武藤委員 五時という約束ですから、一点だけお尋ねします。  いまのような順序で放出していくと、機関投資家に当てはめようとしてもなかなか当てはまらない、いわゆる業績不振会社の株、これを最終的に処理する名案というものは何か考えておられますか。それをひとつ。
  41. 三森良二郎

    三森参考人 ただいまの御質問は、放出を漸次やっていくけれども、結局業績の悪いものは最後に売れ残るのではないか、それをどうするのだ、こういうふうな御質問かと思いますが、この問題になりますと、これはなかなかむずかしい問題でございまして、その会社の業績も、これはまた努力によってよくなる。いまこの会社が悪いというのも、永久に悪いということではなく、いま悪くても将来改善によっていろいろよくなるということもあろうと思います。また、われわれとしてはそういうことを望んでおるわけであります。したがって、いまのところこの会社の業績が立ち直らぬのだから、それは特別の方法をやらなくちゃならぬのだというふうなことは、これはわれわれとしてもいま考えておりません。ただ、順序に従って処理していく、その順序につきまして、なるほどいまおっしゃったように、当面いますぐに、たとえば業績がそうよくないものについては買い手が少ないということはあり得るかと思いますけれども、漸次、会社側の努力とまた市場の伸展、これに応じまして適切な処理がはかられることを私ども期待をし、またつとめていかなくちゃならぬと思っております。いまのところ、それをどうするかというようなことを、いま一種の前提のもとに私どもは特別に考えていない、かように申し上げます
  42. 押谷富三

  43. 平岡忠次郎

    ○平岡小委員 あとから来ましたから、あるいは重複するかもしれませんが、証券界の首脳で考えていると伝えられるたな上げ株の共同販売団、シンジケートですね、これにつきましては、あなたのほうとすれば、どういうふうにお考えでしょうか、奨励すべきものとお考えか。簡単でいいです。
  44. 山崎文治

    山崎参考人 シ団をつくるというお話は、だいぶ前から業界の中に起こっておるのでございますが、第一のねらいは、やはり秩序のある販売組織をつくるということが一つかと思います。それから、広く一般の投資層に売りますためのは、やはり売り出しという方法がございますので、シ団という販売団を組織いたしまして、そしてそういうところへ私ども販売を委託するというようなことが、今後の情勢によっては起こってくるのではなかろうか、こんなふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほど申し上げましたが、シ団の現在固まっております案では、メンバーといたしましては、私のほうは組合員五十四社、なお共同証券におきましては株主関係で十九社というふうに伺っております
  45. 押谷富三

  46. 毛利松平

    毛利委員 時間もないようですから、一問だけ質問し、一言あとで簡単に要望します。  わかり切ったことといえばわかり切ったことですが、景気回復が来つつあるのに株価が低迷しておるというのは、ずばり、どういう原因でしょうか。
  47. 三森良二郎

    三森参考人 確かに一般の景気は最近よくなっておると思います。それに反して株価が最近低迷しておるというような状況は確かでございます。この原因につきまして、なかなか証券市場のいろいろな特徴もありまして、見方によりましては、少し早く、いわゆる先見性を発揮した点もあろうかと思いますが、現実の問題といたしますと、やはりまだ投資信託相当売却超過になってきたとか、それから、保有組合とわれわれが従来相当——相当というのはいろいろ御議論があるかもしれませんが、とにかく売却したとか、そういうものが、ある場合におきましては順調にさばけても、ある場合にはその影響が出てくるということも考えられる、それからまた、市場の内部要因といたしまして、いわゆる技術関係というふうな問題、そういうようなこともやはり影響しているかと思います。それに、先ほどちょっとお話がありましたが、最近、やはり今後の放出に対するいろいろなうわさというものも影響していることもあろう、こうしたいろいろな問題が影響いたしまして、今日の一つ株価の低迷、取引の不振ということがあるのじゃないかと思います
  48. 毛利松平

    毛利委員 ちょっと要望を申し上げますけれども、いろいろ話が出まして、やはり堀さんの質問やら春日さんの質問もありましたが、一体、共同証券なり保有組合ができたということは、歴史的に見て不幸なことであって、それだけ日本の経済が、市場が混乱しておる。株価は事業成績の反映だ。不幸なことであるが、しかし、今日必要があってやむを得ずやった。これからの問題ですが、放出については、やはりいろいろ聞いてみると、私は、慎重にやることが株価安定だ、こういうふうに考えておるのが一点と、さりとて、将来に向かっていま少し明確に、まあ、きょうあしたとは申し上げないけれども、この解決に対する積極的な策を打ち出してもらいたい。これを要望したいのと、それから、証券市場の皆さん方——従来、社会党の諸君も民社党の諸君もなかなか勉強しておるのですが、わがほうは勉強しておるかといえば、必ずしも私は勉強しておるといえない点がある。同時に、われわれは証券界なり金融界の者に、政権をとっておりながらなじんでいないのですよ。理解が足らないのです。それは裏を返せば、あなた方のほうにも理解と啓蒙がいかに足らぬかということを反省してもらわなければいかぬ。ということは、さらに私が言いたいことは、今後の公債市場なりあるいは株式市場がいかに直接投資の上で重要であるかという観点に立って言いたいのは、具体的積極策を立てて、遠慮なく政府に対しても日銀に対してももっと強い意見を出してもらいたい。今後こうあるべきだ——公債市場の問題にしても、市場育成の問題にしても、さらに、あなた方が自己責任の立場におけるいわゆる市場の内部革新といいますか、近代化といいますか、そうしたものに反省と実行を示しながら、もっともっと強い意見を大蔵省に対しても、日銀に向かっても、われわれ立法府に向かっても、かもうことなく、遠慮なく啓蒙もし、訴えてももらいたい、これを要望しておきます。  さらに、社会党の諸君は、とかくこういうことに勉強もしておるし、言いたがるのですが、この際、委員長に申し上げておきます。  こういう市場に対して非常に微妙な影響を持つ会議——金融界は一厘公定歩合が下がってもあれだけ影響するのですから、大衆に非常に大きな影響がある、特に投資家に影響がある、経済界に影響がある、この点をもっともっと委員長に配慮して、社会党の諸君の要望もあろうから、三度に一度、五度に一度はやむを得ないでしょうが、言われたとおりこの委員会を容易に開かぬように、用意を十分にして開いてもらうように、特に委員長は慎重なる配慮のもとに委員会の開催をしてもらいたい、両方に要望しておきます
  49. 押谷富三

    押谷小委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆さんには、たいへん長時間にわたりまして御出席をいただき、また、貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとう存じました。小委員全員を代表して、厚くお礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十五分散会