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1966-05-25 第51回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十五日(水曜日)    午後三時六分開議  出席小委員    小委員長 押谷 富三君       奥野 誠亮君    木村武千代君       毛利 松平君    佐藤觀次郎君       平岡忠次郎君    平林  剛君       堀  昌雄君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (証券局長)  加治木俊道君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 大泉 寛三君         大 蔵 委 員 谷川 和穗君         参  考  人         (日本共同証券         株式会社社長) 三森良二郎君         参  考  人         (日本証券保有         組合専務理事) 山崎 文治君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      佐々木 直君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月二十五日  小委員武藤山治君同日小委員辞任につき、その  補欠として平林剛君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員平林剛君同日小委員辞任につき、その補  欠として武藤山治君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 押谷富三

    押谷小委員長 これより会議を開きます。  証券取引に関する件について、調査を進めます。  本日は、お手元に配付いたしております名簿のとおり参考人方々の御出席が予定されております。ただいま三森参考人山崎参考人のお二方の御出席を得ております。  両参考人におかれましては、御多用のところ御出席をいただきまして、ありがとうございました。  本小委員会は、当面の証券取引に関する諸問題につきまして調査を行なっておりますが、本日は、特に凍結株の問題について参考人方々の御出席お願いいたした次第であります。両参考人におかれましては、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いをいたします。  それでは、まず、日本共同証券及び日本証券保有組合設立の経緯並びにその後の業務運営、これからの見通し等につきまして、それぞれ御意見をいただきたいと存じますが、まず参考人の御意見をちょうだいいたしましてから後に質疑を行ないたいと思います。  それでは、まず三森参考人お願いを申し上げます。
  3. 三森良二郎

    三森参考人 ただいま御指名ございました私、日本共同証券三森でございます。  御指示によりまして、これから設立の経過並びにその後の運営状況につきまして、簡単に御報告申し上げたいと存じます。  すでに皆さま御承知のとおり、わが国株価は、昭和三十六年の七月に天井を打ちましてから以来部分的な波動は見受けられましたけれども、大勢といたしましては、二年有余にわたりまして下げ調のままに続き、三十九年を迎えるように相なった次第でございます。  このような株価の不振は投資意欲を低下させまして、市場への資金流入をとだえさせるところとなり、したがいまして株式需給のバランスが大幅にくずれるようになったのでございますが、この需給関係悪化がまたさらに株価悪影響を及ぼすというふうに、株価需給関係との悪循環を招く結果と相なった次第でございます。  かようにいたしまして、この流通市場の不振というものがまた発行市場機能をも漸次低下させるに至りました。開放経済体制を控えまして、企業自己資本充実ということが非常に大切となりましたにもかかわらずこういうような情勢に相なりましたことは、わが国経済にとりまして少なからざる悪影響を及ぼすものとして非常に憂慮されておった次第でございます。  こういうふうな情勢に対処いたしまして、金融界証制界には、互いに相協力いたしまして新しい会社をつくり、他の諸施策と相まちまして、株式需給調整の面から一そう強力な資本市場育成を推進しようという機運が高まってまいりました。三十九年一月二十日に都市銀行、四証券会社の人々が集まりまして、授権資本百億円、払い込み資本金二十五億円の新会社、つまり当社が発足するに至った次第でございます。  さて、市況を見ますると、当社設立前後一時立ち直るように見えましたが、その後、国際収支悪化金融引き締めの懸念、こういうふうなことを反映いたしまして、薄商いのうちに相場もじり安をたどりました。当社といたしましては、こうした情勢に対処いたしまして、市場浮動株の吸収を通じて需給アンバランスの解消をはかり、流通市場機能適正化に資するために、三十九年三月六日を皮切りといたしまして買い出動に出てまいりました。引き続きまして、四月二十五日までの間に約一億三千万株、百五十五億円の買い入れを行ないました結果、市場はようやく小康を得るに至った次第でございます。その後、市況は仮需要を中心として一時反騰に転じましたけれども、秋口に入りますると再び市況は反落に転じました。ことに、株式投資信託月々元本純減を来たして、組み入れ株式を大量に売却せざるを得ない事情にも立ち至りましたのに加え、金融難よりする法人筋手持ち株処分も続出いたしまして、需給アンバランスはさらに拡大をいたし、また、この間予期しなかった内外の悪条件の出現もございまして、市場の不安と動揺が相当目立つような状況に相なったような次第でございます。  こうした状況に対処いたしまするため、当社といたしましては、八月下旬から再び買い出動を始めました。特に十月以降はほとんど連日のように市場に買い出動をいたしまして、その結果といたしまして、年末までに十四億九千万株、千七百四十億円の買い入れを行なったような次第でございます。したがいまして、先ほど申し上げました三月から四月へかけての買い入れを合わせますると、三十九年末におきましては、当社が購入いたしました株式の累計は約十六億二千万株、千九百億円の多額に達した次第でございます。  こうした買い入れを円滑にするため、その所要資金といたしまして、当初資本金二十五億円で発足いたしましたけれども、数次にわたりまして増資を続行いたしました。最初は、株主も、銀行十四、証券会社四でございましたのが、その後ほとんどの銀行株主として参加され、また、保険会社も全保険会社資本参加をされて、証券会社も十九社、四社のほかにさらに十五社が資本参加をされまして、合計百三十九社、資本金総額として三百億円に相なった次第でございます。この三百億円の資本金に加えまするに、市中銀行から協調融資を受けました額が一千億円であります。さらにまた、年末に至りまして、日証金を通じまして日本銀行資金借り入れました金額も六百七十八億円に相なった次第でございまして、こうした三つの資金源も得まして、先ほど申し上げました株式買い入れを実施いたしたような次第でございます。  この間、私どもも、業務運営にあたりましては、こうした会社特殊性にかんがみまして、常に中立公正な立場から、株式需給調整市場の安定ということをはかって、そして資本市場育成に資する、これを基本方針として株式買い入れに当たったような次第でございます。  こういうふうにいたしまして、先ほど金額買い入れ実行いたしましたが、たまたま、同年末になりますると、新たに過剰株式を処理する機関といたしまして、ここにお見えになっています、いま山崎さんの主宰される日本証券保有組合設立が決定し、さらにまた、新年早々には公定歩合引き下げが予想されるに至ったために、株価年あけ反騰に転じまして、商い高も久しぶりに活況を呈するような情勢の好転が見られましたために、当社といたしましては、四十年初頭以後は買い出動を停止し、もっぱら市場の動向を静観する態度に出た次第でございます。  しかしながら、一方におきましては、景気の回復はなかなか進まず、むしろ企業の業績は漸次低下をするという状況が明らかとなり、三月にさらに山陽特殊鋼という問題も出てまいりました。また、五月になりますと、一部証券会社の問題が表面化するということもございまして、投資信託や運用預かりの解約が激増する情勢と相なった次第でございます。  そこで、私どもといたしましては、万一の場合にはやはり市場の不安を除去するために再び買い出動せざるを得ないかと考えまして、ひそかにこれに備える準備だけはいたしたのでございますが、御承知のとおり、七月の後半に相なりますると、政府財政政策の転換ということをいれまして、市況も急激に反発に転じてまいりましたために、昨年は、当社といたしましては買い出動という事態は回避することができたような次第でございます。  その後の状況は、皆さん御承知のとおりに、市況も相当顕著な回復を見、また取引高もだいぶ多くなる等の状況を示してまいりましたのでございまするが、こうした情勢の推移に応じまして、私どもとしましてはそれに応ずる体制をとってまいったのでございます。  申し上げますると、昨年の末には、金額的には非常にわずかではございまして、わずか二億円弱ではございましたが、最初買い入れましたとき独禁法との関係の問題が一つございました。持ち株比率一つ会社の一割をこえますものが実は三銘柄生じたのでございます。これを証券会社は一年町は持ってもよろしいということに相なっておりまするが、ちょうど一年間という期限も大体きましたので、これを実は昨年の末に処分をいたしました。金額はわずか二億円弱のものでございまするが、そういうことをやりました。次いで本年の三月にいたりますと、当面の借り入れ金返済かたがた利払い賞金とか増資払い込み資金などを白まかないするという体制をとることがいいかと存じまして、市場への悪影響を回避するために、慎重な態度はとりながらも、持ち株の一部約行徳円処分いたしたような次第でございます。  最近までに私どもが現実に動きました運営状況はこういうふうなことでございまするが、御承知のように、証券市場を取り巻く問題、今後免許制に備える証券業者体制整備、あるいはまた投資信託体質改善等、いろいろな問題が多いのでございまするが、市場状況は、幸いにいたしまして漸次明るさを加えていく、底がだんだん固まるというふうにも見られるのであります。  こうした情勢に対しまして、私どもとしましても、今後こうした市場の地合いをくずすようなことがないように、慎重な考慮をしながらも、漸次所有株処分をいたしまして、日本銀行借り入れ金のほうを漸次お返しするようにつとめたい、かように考えておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、これをもって終わります。
  4. 押谷富三

    押谷小委員長 どうもありがとうございました。  ただいま日本銀行副総裁の佐々木参考人がお見えになりました。  参考人にはどうも御多用中ありがとうございます。  引き続きまして、山崎参考人の御意見を拝聴いたします。山崎参考人
  5. 山崎文治

    山崎参考人 本日は山田理事長出席いたしますはずのところ、ちょっと病気をいたしまして、私、かわりに出席いたしました。  ただいま三森社長から御説明のありました前段の事情あとを受けまして保有組合設立されたわけでございますが、設立の当時、一般に株式市場が不振でありましたばかりでなくて、特に投資信託解約が増加いたしておりました。そのために一そう株式市場需給アンバランスを加えてまいっておりました。そういうような状態から組合設立されたわけでございますが、組合は、組織としてはいささか前例の少ない民法上の組合ということで、組合員証券業者がそれぞれ出資をいたしまして設立いたしました。そして、日本証券金融株式会社を通じて日本銀行資金借り入れる、こういう構想で出発いたしたわけでございます。  したがいまして、私のほうの株式買い入れは、大きく分けますと二口に分かれるわけでございます。一口は、投資信託が保有しておりました株式証券会社が一たん引き取りまして、それを私どものほうに売却するという手続をとっているのでございますが、この取引市場内での普通取引取引実行いたしたわけでございます。したがいまして、最初に、一月に買い入れ実行いたしましたわけでございますが、四日前に約定を結びまして四日目に受け渡しをいたしたわけでございます。  次に、投資信託株式だけ買いましても、当時証券会社の力が非常に弱まっておりまして、総体的に手持ち株が多かった関係もありまして、証券業者の手持ちの株式を買い取ることになりました。これは一カ月おきまして、翌月の二月に実行いたしましたわけでございます。このときの価格は、組合設立されました一月十二日以前一カ月間の東西三市場における終わり値の平均価格をもってその価格と決定いたしました。それぞれその価格を算出して計算いたしましたものでございます。このほうは、後日証券会社の力が回復した暁には、同じ条件で売り戻すという約定のもとに買い入れをいたしました。したがいまして、投信から買いましたものは、保有組合理事長の名義に書きかえられたわけでございますが、証券業者から買い入れましたものは、そのまま担保として徴求いたしたわけで、いわば担保金融的な性格もそこに備えておったわけでございます。  買い入れましたのは、投信分の第一回が四十年一月、六億八千四百万株、金額にいたしまして八百二十億円、それから四十年二月証券会社分買い入れました。これは株数が四億八千百万株、金額五百億円、それから三月に実行しましたのが投信分の第二回買い入れでございますが、株数が三億七千九百万株、金額が四百十一億円、それからしばらく間があきまして、七月に投信分の第三回を買い入れまして、株数が五億七千四百万株、金額が五百九十四億円、合計いたしますと、二十一億二千万株、金額が二千三百二十七億円ということに相なります。結局、いわゆる本業分と称しております証券会社分が五百億円、それから投信分と称しております投信保有のものの買い入れが千八百二十七億円、こういう数字に相なったわけでございます。  これの資金の調達でございますが、組合といたしましては、最初資金借り入れ限度を二千億円と決定いたしました。その後七月に三千億円に増額いたしましたわけでございますが、この借り入れ債務につきましては、組合員が連帯してその債務負担するということを規約で決定いたしておりまして、その債務連帯保証の保証書をいずれも債権機関に提出いたしたわけでございます。  それで、買いました金額はただいま申し上げた数字でございますが、結局、買い入れました株式担保になっております。買い入れ株式担保として日証金から日銀の金をお借りしたわけでありますが、この担保が八掛けということに相なっておりますので、残りの一割を組合員出資金として拠出いたしたわけでございます。さらに残りの一割は、組合員手元債券組合に預託いたしまして、組合といたしましては、その預託債券担保として日証金より借り入れをいたしたわけであります。結局、金融形式といたしましては、日証金がさらに組合の振り出した手形並びに債券担保として日本銀行から借り入れたのでございますが、金利は、当時の日本銀行公定歩合第六項でございますが、一銭九厘で最初お借りいたしまして、その後二度にわたります公定歩合引き下げがございまして、一銭七厘ということに相なっておるわけでございます。買いましたのが昨年の七月十五日で、ちょうどダウが千二十円のときでありまして、株価としては七月十二日の口が底であったわけでありますが、十五日に買い入れまして、その後約半年間は、組合といたしましては市場情勢をじっと見守っておったわけでございますが、ただいま三森社長からも御説明がございましたような事情で、漸次株価回復してまいりまして、十二月ごろから私どもといたしましてはそろそろ売り戻しのことを検討し始めたわけでございます。投信から買いましたものと、本業から買いましたものとでは性格も違いますし、最初本業分を返すことが適当であろうということで、本業から買いました、いわゆる売り戻し条件つき株式の売り戻しを三月二十三日に第一回を実行いたしました。引き続きまして、四月、五月と、和次いで二回目の売り戻しを実行いたしました。現在、一証券会社でわずかばかりまだ残っておりますが、五百億円のほとんど大部分は売り戻しができたわけでございます。同時に、売り戻しまして、代金についてそれぞれの日に回収が行なわれるわけでございますが、そのつど、即日日本銀行に返金いたしたわけでございます。  ただいまの売り戻した数字を申し上げますと、四十一年三月には株数で一億九千万株、二百八億円、四月が一億七千九百万株、金額が百九十八億円、五月が九千万株、金額が七十七億円、合計いたしまして、四億六千万株、金額が四百八十四億円、こう相なっておりまして、日本銀行借り入れば、当初一番ピークになりました昨年の七月には二千百五十六億円借りておりましたのですが、売り戻しの実行に伴いまして逐次返済をいたしまして、現在借り入れ残高は千七百十八億円、四百三十八億円の減少と相なっておるわけでございます。  次に、組合経理状況につきまして、簡単に御説明申し上げておきます。  九月の本決算が、一月に組合設立されましたので、昨年九月はちょうど九カ月目に当たりますが、九カ月の決算で約三十億円の赤字が出たわけでございます。それから、年一回の決算をとっておりますのですが、三月に仮決算をいたしましたところ、七億円の赤字と相なっておりまして、現在までのところ約三十七億円の赤字ということに相なっておるわけでございます。その赤字の原因は、金利が年利にいたしまして大体六分二厘ということでありますが、配当金が平均いたしますと、大体五%から五・五%というようなところで、しかもこの配当金には一〇%の源泉課税が徴収されますので、結局、受け取り配当金支払い金利との間に逆ざやが起こっておるわけでございます。それに加えまして、金利は前払いでございますが、配当あと払いというようなことで、そのズレによるある期間赤字がそこにまた加わるわけでございます。  現在手持ちいたしております投信分株式評価益は、前月末のところで四百五十億円の評価益が出ておりますけれども、現在までに三十七億円の赤字があることでございますし、それから、今後株を処分いたしてまいりますときに、配当づきのまま株を処分いたしますケースが多いと思いますので、自然その期の配当は、組合といたしましては受け取りに立たず、金利支払いとしては支払いますので、自然逆ざや関係が大きくなるというようなことで、組合存続期間が四十三年一月までになっておりますが、この三カ年をおおよそ推算いたしますと、やはり六十億円、七十億円というような、あるいは、処分の時期いかんによりますともう少し大きい赤字が累積されていく、こんなふうに考えられるわけでございます。その赤字は、現在は組合員である証券業者支払い金利負担というような形でその赤字を維持しておるわけです。証券業者としても、昨今はともかく、一ころはかなりこの金利負掛につきましては負担であったように私どもは伺っておりました。  最後に、ちょっと役員の機構について申し上げたいと思います。  組合員は、一番多いときには五十六社でございましたが、先ほど説明いたしました売り戻しの実行に伴いまして漸次減少いたしまして、現在では十四社ということになっております。役員のほうは、組合員を代表する理事二名、それからその他から理事三名ということで、理事会構成は五名で、組合員を代表する理事は二名ということで、つまり過半数以下になっておるわけでございます。理事長が元会計検査院長山田義兄氏、専務を私が仰せつかっておりまして、もう一人の中立理事は元日本証券金融社長で、現在中央信託銀行会長をしておられます白根清香氏でございます。組合員を代表しております理事は、東証の会長として瀬川氏、それから証券業協会連合会会長という御資格で福田氏ということで、なお監事二名が組合員から出ることになっております。現在の監事日興社長の湊氏、それから日本勧業証券社長の相原氏、こういうことになっております。組合員のほうを代表します理事業務執行権を与えてございません。したがいまして、意見の開陳は理事会でできるわけでございますが、業務執行権は与えていないという構成になっておるわけであります。  御説明漏れの点もあったかと存じますが、以上で設立後今日までの概況の御報告を終わりたいと思います。     —————————————
  6. 押谷富三

    押谷小委員長 参考人総括意見の聴取はこの程度にいたしまして、これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤觀次郎君。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 三森さんにお尋ねするのですが、この前証券界の人に来てもらったときに、あの当時非常に深刻な状況で、何かそうそうの間に共同証券ができて非常にたいへんなことだと思っておりましたが、あのときの心境はどうでしたか。あなたの心理的な状態をお伺いしたい。
  8. 三森良二郎

    三森参考人 お答えいたします。  当初、私のほうの会社ができましたときには、もちろん証券市場育成強化に資するということが目的でございますし、その目的はもちろん変わりはございませんが、ただ先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、当時流通市場が、一言で言えば非常に萎靡沈滞の極に達しておるという状況で、これをほったらかしておいたならばどういう事態になるかというふうなことも非常に心配されておったわけです。私が就任いたしましたときに、それでは一体どのくらいの株を買い入れたら需給調整がつくかということにつきましては、必ずしもはっきりした見通しがなかなかつきにくかったのでございますが、しかし、事態は相当重大なことであるということだけは十分覚悟して行ったのであります。その後、実際仕事に当たってみますると、内心私どもが考えておったより以上の多くの株の買い入れ実行せざるを得なかった、こういうのが一言で申せば言えると思います。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 いま笑って済ませるのですが、今日では利益があって、利益処分を問題にしているような、そういういい状態になったのですが、佐々木さんからあとで話を聞くのですけれども、これは日銀という大きなバックがあったので行ったと思うのですが、しかし、いつごろになったら解散されるのですか。予定はあなたでは言えないのですか。
  10. 三森良二郎

    三森参考人 この問題につきましては、いろいろ御意見があるように思っております。もうすでに今日は設立目的をほぼ達成したから、今後は逐次解散の方向に進んでいいのじゃないか、こういう御意見もあるようでございます。また、これから日本資本市場育成強化ということはきわめて大事でありますので、なお今後に当社としてお手伝いすることがあるのじゃないかというような議論もあるやに聞いておるのであります。まあ、この問題、いろいろそれぞれの理由があると存じます。ただ、私どもとしましていま考えておりますことは、いずれにいたしましても、いまここでどういう方向に踏み切るというのには少し時期が早過ぎるのではないか、かように考えるわけでございます。これからは、先ほども申し上げましたように、証券界はいろいろな問題を控えております。証券界の再編成をどういうふうにすべきか、あるいはまた、市場がどういうふうに発展していくかとか、投資信託がどういうふうになっていくかとか、いろいろな問題があるように思われるので、そうした問題の帰趨を相当われわれとしましても見ましてから、そうしたことについてのはっきりした態度をきめていいのではなかろうか。目下のところ、私どもとしましては白紙の状態でおるのでありまして、いろいろそうした状況の発展を注視すると同時に、各方面から起こる御意見も十分拝聴したい、かように思っております。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 日銀がバックして証券会社の株をだいぶお買いになって市場が安定したのですが、こういう例は外国にはあるのですか。やはりイギリスとかアメリカとかドイツとか、そういうところにあるのですか。
  12. 三森良二郎

    三森参考人 いまの問題につきましては、私ははなはだ不勉強でございまして、十分お答えする資料を持たぬことをたいへん残念に思います。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 共同証券は近々に解散されるだろう、なしくずしに解散されるだろうと言われておりますが、将来再びまた日本共同証券などができるような、そういう危険はないものですか、どうですか。
  14. 三森良二郎

    三森参考人 私は、一昨年当社がやりましたようなことを再びやらざるを得ないような状況が来るということは、これは絶対にしてはならぬことだと思っております。現に、現在証券界はじめ、その他の方々もみなそういう方向でせっかく努力なさっておると思います。したがって、一昨年のようなことが再び起こるということは、私はいま予期もいたしませんし、そういうことがあってはならぬと思います。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 あってはならぬことは、それは日本経済みなそうだと思うのです。しかし、解散されぬような危険があるから——危険がないというならば、解散してなにしたらいいのじゃないかと思うのですが、そういう見通しですね。それは、幾ら三森さんが偉くたって、自分で証券界をこうやろう、ああやろうということはできないのですから、そういうような見通しはどうですか。
  16. 三森良二郎

    三森参考人 いまの問題なんでございますが、私はさっき、なお存続する必要がありはせぬかというような議論もあるように思うというふうに申し上げましたけれども、それは、私の知っている範囲におきましては、そういうふうな危機がいま再び来るおそれがあるということでそういう議論があるとは思っておりません。ただ、いろいろ自己資本が非常に不十分になっておるとか、いろいろな問題からしまして、今後資本市場育成強化することが必要である、そういう意味から何らかお手伝いすることが必要なんじゃないかという理論かと拝聴しております。
  17. 押谷富三

  18. 平岡忠次郎

    ○平岡小委員 御両所にお尋ねいたします。  株価維持の役割りを終えまして、二つの機関が大体発展解消していくべきだという議論になっておると思うのです。そこでどちらが先にとか、いろいろな問題があると思うのですよ。  私がお伺いしたいのは、当初共同証券のほうが三十九年の一月に発足し、片や、保有組合のほうは一年おくれまして四十年一月十二日に発足しているわけですね。同じ機能を求められて二つが発足をしなければならなかったのかどうか。私は、最初共同証券株式会社というものが発足したのなら、機能を期待しているのは同じことなんですから、それ一つだけでもよかったのじゃないかと思うのですが、追っかけあとのものができたという、その辺のいきさつはどういうふうにお考えでしょうか。
  19. 山崎文治

    山崎参考人 当時、先ほどちょっと申し上げましたのですが、やはり投資信託解約が非常に多くなってきたという事情——一般の株価の下落に伴いましてそういう現象が強くなってまいりました。そういうことで共同証券市場出動するよりも、これを一括凍結したほうがいいというようなお考えが急速に高まって組合設立という方向がきまったように伺っております。同時に、投資信託の保有株だけでは、いわゆる本業が相当の手持ちをいたしておりまして力が弱まっておりましたので、補完的にこのものを凍結して、両方で株を市場から引き揚げておくということで組合というものが急速に出てまいったと思います。
  20. 平岡忠次郎

    ○平岡小委員 山崎さんのお答えで、日本証券保有組合のほうは補完的にそのことを必要としたからできたということですね。そうしますと、解消の順序もやはり補完的なほうから先ということですか。
  21. 山崎文治

    山崎参考人 私どもといたしましては、実は先般瀬川理事が、共同証券よりも、保有組合の放出の問題に関連いたしまして早くてよろしいのではないかというような御発言があったように伺いましたのですが、私ども日常やはり日本銀行資金を使っておるという点に非常に肩身の狭い思いをいたしております。私どもは全額それをお借りしている、市中のお金は一銭もいただいていないというようなことで、やはり日銀返金を急ぐという関係から申し上げると、私ども、まあこれは一日も早くということを念願しておるわけであります。いずれが早いかということについては、当事者同士では話したことがございません。私どもも今後は共同証券と一そう緊密に連絡してまいりたいとは思いますが、いずれが早いかということは考えておりません。
  22. 平岡忠次郎

    ○平岡小委員 これはちょっと質問が違うのですけれども先ほど五百億円の買い戻しをされたことをおっしゃいましたね。そのうち、正確に言いますと四百八十四億円、あとの十六億円というのは、これはどういうことなんですか。
  23. 山崎文治

    山崎参考人 これはもう山一証券が来月買い戻すということでおくれておりますので……。
  24. 三森良二郎

    三森参考人 いま山崎理事からお話がありました、どちらが先かということは、これ、なかなかむずかしい問題でございまして、私のほうもどちらが先とかあととかいうことは考えておりませんが、ただ、まあわれわれとしましても、先ほど申し上げましたように、市場情勢を十分考え、それに悪影響がない場合には適当に処分して、日本銀行借り入れ金なんかは返していきたい、かように考えております。日本銀行借り入れ金を返すということになりますと、保有組合も私も同じような立場になるのではないか、かように考えておるということを申し上げておきます。
  25. 押谷富三

    押谷小委員長 堀昌雄君。
  26. 堀昌雄

    ○堀小委員 きょうこうやってお越しをいただいて、私どもは少し詰めた議論をさしていただくつもりでおります。詰めた議論をさしていただくということは、客観的ないろいろな指標、データに基づいて、先ほど三森さんがお話しになったんですけれども需給アンバランス適正化をするような目的でおやりになった、こういうことですから、現状が需給アンバランス適正化をしておるかしていないかということが、放出をすべきかどうかということ、目的が達成されたかどうかということのきめ手になると思います。  そこで、前段としてお伺いをしておきたいことは、私は、昭和三十九年の三月でありましたか、当時の山際日銀総裁にお越しを願って、この共同証券の問題について議論をしたこともございます。そのときに山際さんは、緊急やむを得ざる処置として考えておるんだから、これは普通の状態としてものを考えておらないと、こういう御答弁を明確にされておるわけであります。  それから、大体、この日本銀行からの資金の出方は、私の承知しております範囲では、当時のコールは相当に高い状態にあったにもかかわらず、ともかく公定歩合で処置をされておった、私は、非常に特殊な取り計らいが行なわれておった、こう考えておるわけです。ですから、いま三森さんもおっしゃったように、いずれにしても、私どもは、需給関係アンバランス適正化をしておるということについて、客観的な判断がある程度きまらなければ、少なくとも保有組合の分と、共同証券の六百億円余りの日本銀行から直接行っておるものは当然日本銀行に返されるべきである、第一こう思いますし、第二点の、共同証券の一千億円という協調融資なるものは、当時の金融情勢からしますと、私は、銀行の余裕手持ち資金をもって融資が行なわれたとは見ておらないわけです。共同証券ができました当時の金融情勢、その当時の引き締めをやっておいでになった金融情勢の中において協調融資が一千億円出たということも、なるほどこれは、形式的には銀行からの協調融資でございましたけれども、これは当時の山際さんの御発言にもありますけれども、そのしりは日本銀行として見る考えだというふうな御答弁があったことから見ても、この協調融資一千億円といえども、やはり政策的配慮によって日本銀行がかなり弾力的な考慮を払われたものだ、こう理解しておるんですけれども、そこらを含めて、ひとつ佐々木さんの御答弁を最初にいただきたいと思います。
  27. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいまお話のとおりに、三十八年の暮れから金融の引き締めを始めまして、三十九年一ぱいは大体金融は引き締め基調にあったのであります。したがいまして、いまの協調融資の千億円といえども、融資銀行が自分の余裕金をもってそれに充て得るというような状態ではありませんでした。したがいまして、当時われわれとしましては、都市銀行に対して当てはめておりました貸し出し限度額について、こういう共同証券に対する融資についてはワク外にするというような扱いを実行したわけであります。したがって、いまお話がありましたように、日本銀行日証金を通じまして、はっきり特別扱いということで出したものだけでなくて、一般融資の一千億円につきましても、日銀信用が相当の部分使われておるということは、おっしゃるとおりでございます。
  28. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、最近の状態を少し分析をしてお伺いをしたいわけですが、御承知のように、最近ようやく少し増資が行なわれるようになりまして——時間がございませんから私のほうから申し上げます。誤りがございましたら証券局から御指摘をいただいてけっこうですが、ことしの一月は増資払い込みが四十五億円、投資信託の売り越しが百五億円、一月は、その他外からの要因で市場に加わったものと合計で百五十億円あります。二月は、増資が八十一億円、これは一部でございますけれども、それから投信の売り越し額が百二十六億円、合計二百七億円、三月は、増資が二百五十六億円、投信の売り越し額が四百三十九億円、共同証券の売却額が百六億円、保有組合の売却額が二百八億円、合計一千九億円三月は売られているわけです。四月は、増資が百四十四億円、投信の売り越しが二百三十一億円、保有組合の売却額が百九十八億円、合計五百七十三億円であります。  そこで、このいまのような状態で、保有組合なり共同証券なり、さらに問題になっております投資信託の売り越しというものが市場に相当に出ておった、その一番多い一千九億円でありますけれども増資払い込みを含めて出ておりました三月という月のいろいろな状態を少し分析をしてみたいと思うのでありますが、三月の東証の一部の月中平均の旧指数は千五百四十六円七十三銭でございます。実は、これまでの平均株価で一番高かったのは、さっき三森さんもお触れになりましたけれども、三十六年の七月というのが最高でございましたが、この三十六年の七月という月のあった三十六年は、旧ダウは千五百四十八円九十四銭でございますから、ダウだけで見ますと、この三月のダウというのは、一番高かった三十六年のダウと同一のところにきているわけです。これが第一点です。  第二点は、これはしかし相対的に考えておかなければなりませんので、昭和三十六年の株式の上場の数は四百八十一億五千四百万株、これが上場株式の総数であります。四十一年の三月は八百五億三千百万株ということになっておりまして、その比率は一・六六倍です。それから株式の売買高を比較いたしてみますと、年率で、昭和三十六年は三百十億八千九百万株、そうしてこの三月は、年率で見ますと五百四億株、こうなるわけでございます。この比率がやはり一・六倍でありますから、要するに上場株数がふえたという点が一・六六倍、片方の出来高の平均値で見ましても一・六倍ですから、この点から見ますと、昭和三十六年の同月の出来高とこの三月の出来高というのはパーになっているわけです。旧ダウ・ジョーンズが同じところにきている、出来高も同じ状態である。この三十六年というのは、少なくとも過去における最高のレベルですから、そういう状態にきて、その月というのは一千億円というものが要するに放出をされたかっこうになっているわけですから、なおかつ同じ条件にあるということは、いろいろといま言われておりますけれども、私は、いまの市場というものは、需給アンバランスが適正なものになっていると判断するのが客観的には正しいのではないか、こう考えるわけであります。この点について、共同証券及び保有組合ではどうお考えになるか、こういう客観的な数字の上からした各種の指標を見て、需給はしかし依然としてアンバランスだと言い切れるのかどうか、これをひとつ詰めた形で承って、次に移っていきたいと思います。
  29. 三森良二郎

    三森参考人 いま堀さんから詳細な数字を拝聴いたしたのでございますが、私どもとしましても、そういう数字につきまして考えてみますと、ただ一つここで問題でありますことは、三月一月をもって本年の状況を全部律していいかどうかということが一つありはせぬかと考える次第であります。これは私どもとしましても、まだそうでないとも言い切れないのでございますけれども、その辺のところは、やはり相当ある期間を通じて考えてみなければいけないのではないかと考える次第です。これは結論ではございません。私もわかりません。  それから、いまの需給アンバランスが完全に解消したじゃないかという御議論でございますが、なるほど、現実のいまの状況を見ますと、先ほどお話のあったような相当な取引ができておりまして、相場もさほど下がっていないという点だけに着目すれば、確かにおっしゃるとおりと思います。それから、その背後にはもちろん私のほうと保有組合のたな上げがあるということも、これは否定し得ない事実だと思います。ただその場合に、いまの状況からしまして、放出をしますと、いまの需給のバランスがそこでまた違ってくるわけであります。その辺のところは、今後、一般の証券投資の増加と、それからまた増資その他の供給要因でどういうふうなバランスになってくるか、私どもとしましても、必ずしもいまはっきりしたビジョンを持っているわけじゃございません。ただ、そうした状況につきましては、現実の市場情勢を常に見ながら、先ほど申し上げましたように、市場に悪い影響を及ぼすことがないような場合には、そういう点は十分考慮しながら逐次放出していきたい、かように考えております。
  30. 山崎文治

    山崎参考人 ただいま三森参考人から申し上げましたと同じ考え方でございますが、しかし、方向としては、需給も改善の方向に向いているというふうに判断いたしましたので、私ども三月に売り戻しを実行した、こういうことでございます。自後引き続き三月、四月、五月というふうにして戻してきたわけであります。
  31. 堀昌雄

    ○堀小委員 佐々木副総裁にお伺いいたしますが、なるほど、こういうレベルに達したところが三月ですから、今後の問題が確かにあると思いますけれども、私が三月を特に引いておりますのは、一千億円ともかく出たわけですから、要するに投信の売り越しが四百三十九億円というふうな、これはちょっと私は例外的な売り越しだと思うのです。私は、大体これまでも、投信をもう少し売るべきだ、市場がよくなっているのだから売るべきだという主張をしておるわけですけれども、どちらかというと、売り越し額はそんなに多くないわけです。ところが、この三月は、いろいろな事情が重なったと思いますけれども、四百三十九億円も売られた。そうして、たまたま共同証券保有組合もお出しになった。そういう条件がかみ合い、なおかつ増資もこの月は比較的多かった。一千億円も要因が外から加わったにもかかわらず、実は私が比較をいたしましたように、三十六年と同じぺースだ、こういうことでございますから、私の考えはこれまでも申しておるのですけれども、やはりいま証券会社は非常に景気がよくなりまして、この九月期には、ところによっては記念配当までやろうかというような条件に実はきておるわけですね。それだけやはり売買益もあり、それから経常収入もあるという条件が片方にありながら、依然として、私がさっきから申し上げておる保有組合が一千七百億円、片方が六百億円、二千三百億円くらいになるという、ストレートに出ている日銀の特別な融資が、徐々にはお返しになっているけれども、そのままにしてあるということは、これは国民としてはいかようにも納得のできないことなんですね。ですから、私が日本銀行にここで特に望みたいことは、日本銀行として、償還についてのプログラムをひとつ考えていただく必要があるのではないか。償還についてのプログラムは、やはり今後の投信解約状態もありましょう、あるいは増資についての見通しのいろいろな問題もございましょう。しかし、そういうものを含めて、やはりもうここまでまいりましたら、日本銀行としては、月間二百億円なら二百億円ベースとして、一応一年たてば二千四百億円は返してもらえるわけでございますから、一応のそういう基準的なプログラムを立てていただいて、ただし、それが市況に非常に影響を持つようなとき、あるいは、さらに株価が上がってきて、市場が十分消化能力ありと認められるときにはふやすとか減らすとか、弾力的な処置はとっていただくとしても、私は、少なくともここで、その金額と時限の問題については御検討いただいてからでけっこうですが、日本銀行としても、プログラムをきめて、毎月幾らかずつはこれから返してもらいますよという形を明らかにしていただくことのほうが、市場価格の問題についてもいいのではないか、いつ、どれだけ、どかっとくるのかという不安は、一つの面では株価に対しての悪い影響があるかもしれません。また、なかなか出ないのだということは、スペキュレーションを奨励することになっておると思うのです。ですから、そうではなくて、プログラムがきまって、必ず大体毎月二百億円だ、そうなれば、現状ならどうだということになって、この問題は、私は国民がやはり納得のできる形で処理される可能性があるのではないか、こう考えるのですけれども、その時期、一年であるのがいいのか、一年半であるのがいいのか、そのことはおまかせをいたします。月間に幾らずつ証券を両方から受けるかということも、これはおまかせをいたしますけれども、私の感触として申し上げるなら、いまの情勢なら、月間二百億円ベースのものは現在の市場にほとんど影響はない、こう考えておるわけです。そういたしますと、約一年で二千四百億円は日本銀行のほうに返る、残りました共同証券のものは、これは当然、さっきお話がありましたように、純粋に都市銀行の余裕資金ではなかったわけでございますから、それらを含めてやはり売却がされて、返還されることによって、都市銀行はオーバーボローイングを是正をしていただくということも、私は都市銀行のバランスから見て当然のことであろう、こう考えるわけでございますが、その点についての副総裁のお考えを伺いたいと思います。
  32. 佐々木直

    佐々木参考人 先ほど、山際前総裁が、証券不安解消についての緊急対策であるという御説明をされたこともあり、それから先般宇佐美総裁が、共同証券保有組合株式については、できるだけすみやかに処分して貸し出しの回収をはかる、こういう基本方針を本国会でお話になっておりまして、われわれとしても、さっきもちょっとお話がございましたが、外国にほとんど例のない措置をいたしておりますことについては、できるだけ早くそれを解消したらどうかという気持ちは、中央銀行として非常に強く持っております。ただしかし、この措置が証券市場の非常に異常な事態調整するために生まれたものでありますので、その解消のしかたも証券市場に悪い影響を与える解消のしかたでは元も子もなくなるという点はぜひ考えなければなりません。そういう意味で、証券市場のごきげんをうかがいつつ、できるだけ早く解消していく——ごきけんということは、言い方としては悪いかもしれませんが、市況に悪い影響を与えない範囲においてやっていくという配慮も必要であろうかと思います。そういう意味で、いまのような、市場の人気で相当動きます事態で、具体的に、たとえば何年間たてば必ず解消するとか、毎月幾らは必ず売るとか、そういう数字あるいは期間を明示いたしますことは、これは市場に逆に今度材料として使われるおそれもあるのではないか、したがいまして、基本的な方針はきめておいて、そうしてそのときの模様を見ながら、あるいは、きょうきめて、あす売るというような、機動的な方法をとっていくほうが方策としてはいいのではないか、そういうふうに考えておりますので、実はスケジュールをいまお話のようにつくるというところには、まだ私どもとしてはいっておらないのでございます。
  33. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ちょっと関連して。  ちょっと佐々木さんにお伺いいたしますが、いま堀さんからいろいろお話があったのですが、どうも寛大過ぎるのじゃないか。現にもう三森さんなんか笑いがとまらないようなあれになっているし、それから山一証券の問題もこの前やったのですが、もうそろそろ片づけなければ、どうも日銀の特別融資で片方はほくそえんでいる、国民は貧乏で困っているのに、証券会社にだけは慎重で、混乱をしてはいかぬとか、非常に寛大過ぎはしないかと思うのですが、この点はどうですか。
  34. 佐々木直

    佐々木参考人 御意見の趣旨もよくわかりますのですが、どうもわれわれとしては、いまのところ、市場の動きを見ますと、処分の話が出ますとやはりある程度下がるというような事実もございますので、そのところは、きめてすぐやるといったような機動的なやり方で実際にはやっていく、ただ、基本的には、先ほども繰り返して申しましたように、できるだけ早くこの異常な状態を解消するということはもちろんでございます。
  35. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は私は、その市況というものが、何というか、一般的な雰囲気だけからできておるということならば、多少まだいまのお話がわからぬではありません。しかし、大体ずっとこまかく統計と資料をにらんでおりますと、要するに、四社が買わないときは値段は上がらないのです。これは、御承知のように、四社の占めておるウェートが非常に大きいし、そして、その中におけるバイカイがまた非常に大きいし、いろいろな点で、どうもいまの市況というものは、相当四社の意思によって、上げようと思えば上げられるし、上げまいと思えば上げないで済む。実は私最近ずっと市況欄を見ておりますと、本日ここでこれをやるために模様を見ようというので大体上がらないのだ。特に上がっているのは何かというと、保有組合、特に共同証券等に入っておるものを避けて、そこへ入っていないものが市場で動かされる。これは私は非常にノーマルな姿でないと思うのです。ですから私は、いまのお話で、市況を気にするという問題は、裏返していえば、四社の考えを支持しながら、四社に追従をして日本銀行が行くということになりかねないのではないか。私は、逆手を取って、ここでひとつプログラムをきめて、毎月二百億円ずつ出しますよときめれば、四社の皆さんはその二百億円をバランスシートの上に乗せてみて、今月はもうちょっといけるならやろう、どうもその他の諸要因で無理ならばちょっと控えておこう、こういうことに結果としてなってくるのではないか。ですから、いま佐々木さんのおっしゃることは、抽象論としてはわかります。できるだけすみやかに、適切に、市況に悪い影響を与えないように——市況に悪い影響を与えるということは一体何なのか。私は、これがほんとうに公正に、もう議論の余地なく価格が形成されておると万人が認めるのならこういう議論はしたくないのでありますけれども、当委員会でバイカイ規制問題を取り上げたりいろいろなことをやっておりますのは、現在の市場価格というものが、ほんとうにそういう自然にできておる公正な価格なのか、かなりそういう四社の、まあ株式部長あたりの人たちの感覚を中心に行なわれておるとか一あるいは、いまの四社の自己売買の率をうんと減らすというようなことが前提になれば、これは話は別になるでしょう。いま四社の自己売買の大きさというのは非常に大きな状態になっていることは御承知のとおりでありますけれども、そういうディーラー活動を一方に許しておいて、片方では、市況が上がったらどう、下がりそうになったら売れないのだ、こういうことは、私は、日本銀行の主体性というか、国民不在の日本銀行ということになって、これでは困ると思うのですが、佐々木さんいかがでございましょう。
  36. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいま堀委員から、日本銀行でスケジュールをつくったらどうだというお話がございましたので、私はそれはなかなかわれわれのほうではつくりかねるということを申し上げたわけです。したがって、この株の処分のしかたにつきましては、われわれのほうからこうしろというふうに、共同証券保有組合に対して言うという考え方よりは、現実に市場に非常に密接な関係も持ち、いろいろ調査機関も持っておられるこの二社の今後における具体的な処分の方針、計画、そういうものをわれわれが御相談を受けてきめていく、段取りとしてはそう運ぶべきものだと思います。
  37. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 ちょっと関連して、佐々木さんにお尋ねするのですが、日本銀行は中央銀行でしょう。どうも、ちょっと証券に対してえこひいきじゃないかと思うのですよ。佐々木さんは日銀はえ抜きだけれども、どうもあなたのほうのこういう関係の人はみんな日銀出身ばかりで、井上理事長山崎さん、三森さん、みんな日銀出身ばかりです。それで、あなた方仲間で国家の資金をうまいことしているのではないかと、うがち過ぎた話が出るわけだ。佐々木さんは将来の日銀総裁に擬せられる人だが、この点はどうもわれわれ考えて不公平な気がするのですが、こういう小委員会だから速記をやめてもいいですが、どうですか、それは。何か理由があるのでしょう。
  38. 佐々木直

    佐々木参考人 私どもは、決して証券に非常にへんぱな扱いをしているとは考えておりません。と申しますことは、この前のこういう日銀資金による債券買い入れに踏み切りますまでに、日本銀行としては非常に苦しんで、最後の手段として踏み切ったような例もありますし、なお、先ほどからお話が出ておりますように、日銀資金による分は、とにかく先に早く返してほしいということをそれぞれの団体に申しておるようなことでもございますし、いまの私が申し上げました市場情勢を十分考えてやっていくという、その点が市場に対して甘過ぎるという話でございますれば、これはやむを得ないのでございますが、市場情勢のしんしゃくのしかたを具体的にどうやっていくのか、この点は、それぞれの具体的な措置の実行でひとつ判断をしていただくよりほかはないのじゃないかと思います。
  39. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 もう一点佐々木さんにお伺いするのですが、中央銀行が証券にこんなに、日本銀行ほどにやるところは、どこか例がありますか。
  40. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいまのお話は、金額ですか。
  41. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 いや、金額でなくて、こういう中央銀行が証券に対して一いろいろな共同証券とかそういうものがっくられて、あなたのところは貸し主でしょう、金を出しているのでしょう。そういう特別融資をしているところが外国に例があるのでしょうか。
  42. 佐々木直

    佐々木参考人 先ほども申しましたように、ほとんどないと思います。
  43. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 それをやるところに何かおかしなものがあるのじゃないかと思うのです。ぼくは、堀さんが言われたように、山際さんにいろいろ質問をしたときにも考えたのだけれども、どう考えても、ちょっと少し片手落ちで、少し不公平じゃないかというように思うのですが、その点はどうですか。あなた方から見て、やむを得ないからしかたがない、たとえば、三森さんが最初見えたときには非常に気の毒な顔をしておった、日銀をやめて、あんなところの会社をやっていいかなと思っておったが、きょうは笑いがとまらぬような顔をしている。悪いけれども、それは空気が違うですよ、わずかの間に。それもみんな日銀の特別融資だからこういうふうになったというふうに、われわれ貧乏人はひがむのですが、その点はどうですか。
  44. 佐々木直

    佐々木参考人 やりましたことについては、決してこれが中央銀行として常道なことをやったとは思いません。万やむを得ない非常な苦しい立場でやったのでございますが、その後、そういうことを続けてやらなくて済んだ。組合ができまして、そうして三回ばかり投資信託の分を買い上げることによって、その後は一切そういうことを新しくやることは必要がなくなりました。その点は非常にわれわれとしてはありがたいと思うのでありますが、さらにまた、ことしに入りましてからは、金額もまだわずかでございますし、それから、その進め方については、いまのいろいろな御批判のあったところだと思いますが、とにかくマイナスの解消の方向には踏み切ることができたわけであります。あとは、この解消の早さをできるだけ早くやっていく、こういうことに努力をすべきであると思いますが、中央銀行としてこういうことをいつまでも続けるべきものでないということは十二分に存じております。
  45. 堀昌雄

    ○堀小委員 一般の企業銀行から金を借りますと、ともかく景気がよくなって、あなたの会社がしっかりもうかるようになるまで返さなくてもよろしい、三年でも五年でも、要するに、市況回復するまでは返さなくてもよろしい、市況回復しても、もし下がるようなときがあったら返すのを待ってあけましょう——一般的に言いまして、それほど私は日本の金融というものは甘くないと思っておるのです。いま私が特に佐木さんに申し上げておるのは、異常な条件で貸し出しが行なわれた、緊急的な処置だと当時の総裁がはっきりこの委員会で言明をされた。緊急避難の時期はいまわれわれは過ぎたと考えております。緊急避難の時期が過ぎたのならば、通常の金融ベースに戻って、とにかく毎月幾らずつ利子と元本を返しなさいというのは、私は名企業に対しては全部行なっておられるのじゃないかと思うのです。なぜそれが証券に対してだけはそれほど神経質に、それほど慎重でなければならないのか。私は何も証券市場を暴落させろと言っているのじゃないのです。裏返して言いますと、現在の状態が、かっての千二百円下ささえの管理相場と同じように、千六百円の管理相場になっているということは市場として望ましくないと私は考えているわけです。そういう管理相場は一日も早くやめよう、千二百円の管理相場をやめようというのが、保有組合の形に転換した一つの大きな原因であることは皆さん御承知のとおりでありますから、もうここまできて、需給バランスで千億円も出てもなおかつ三十六年ベースのところを動いておるということになれば、そして、一日も早く管理相場を取り除いて、フェアな市場でおやりになるならば、私たちはどういうふうに動かれようと、当委員会で議論する必要はないのですが、われわれがここでこうやって議論しなければならないというのは、緊急避難ということで日本銀行がばく大な資金を融資しているからです。現在の日本銀行の貸し出し残高の中で、この証券関係にだけ出ておるものはどのくらいでございますか。現状としては、日本銀行の貸し出し残高から見まして、三分の一くらいはこれだけであるのではございませんか。どんなものでしょうか。
  46. 佐々木直

    佐々木参考人 三分の一まではいっておりませんけれども、それに近い数字です。
  47. 堀昌雄

    ○堀小委員 ですから、日本銀行の貸し出しとしては非常にウェートの高い部分になっておると私は思うのです。そういう条件から見ましたら、私は、日本銀行として一つの目安をつくって、要するに金を返してもらいたいということをおっしゃることは、金融問題としては何ら特異的なことじゃないと思う。ただ、それについて、共同証券なり保有組合のほうとして、今月はどうもこういう市況で適当でありませんから待ってくださいとか、あるいは、今月はもう少し売りましたからもっとお返ししましようとかいうことがあるのは至当と私は考えるのです。日本銀行としては、やはり一応の目安をつけて、ひとつ償還をしてくれと言われて差しつかえないのではないか。そのことは、新山一の問題だって、やはり償還しなくてもよろしいということじゃないと私は思っているのです。それは十七年になるか何年になるかわかりませんけれども、元利合計で償還をされるということが日本銀行として当然のたてまえだろうと思うのです。特に私どもがこの間当委員会で新山一を議論したときも、三行はひとつ一番泣いてもらいたい、十五行も泣いてもらいたい、国民の納得できる線で協力してもらいたいということは、日本銀行の特融については、やはり優先をして早く返してもらいたいということであるわけですね。だから、この山一の問題にしても、凍結株の問題にしても、いまの佐藤さんのお話ではないけれども日本銀行がはたして中央銀行として適正な処置をしておるかどうかについて国民は疑問を持っているのじゃないかという感じがしてなりません。ですから、その点は、本日突然申し上げたことですので佐々木さんから御答弁はいただけないかもしれませんから、後日また日をあらためて御三者にもう一回当委員会に出てきていただいて、私が提起をした問題について、日本銀行日本銀行として、共同証券共同証券として、保有組合保有組合としての結論をお出し願いたいと私はいま考えておりますが、ともかく私は、そういうことを考えるのは国民的には常識ではないのか、こう考えますけれども佐々木さん、しつこいようでございますけれども、もう一度お答え願いたい。
  48. 佐々木直

    佐々木参考人 おっしゃる点は私も非常によくわかります。われわれとしても、もちろんさっきから申しましたような基本的な考え方を持っておるわけです。そして、わずかながらその緒にもついておるわけであります。ですから、これを今後どういう段取りで運ぶかについても、もちろんわれわれとして十分勉強をしなければならないところでございます。
  49. 平林剛

    平林委員 この機会に、政府のほうの考え方を聞いておきたいと思うのです。  いま堀さんが言われている問題について、政府のほうは一体どうなのか。つまり、この問題は、当初共同証券なり、もう一つ日本証券保有組合なりができなければならぬという事態については、とにかく政府、大蔵省のほうは一生懸命でしたね。時の証券対第というものを一生懸命練って、そのときは、なくなられた池田総理もそうだったけれども、田中前大蔵大臣もしばしばこの大蔵委員会で積極的にいろいろな証券対策について発言をされた。私の記憶しておるのでは、たしか三十九年の九月ごろ、政府のほうでもいろいろ協議をして、日銀日証金を通じて行なう証券業者向けの融資を市況が安定するまで制度化する、そして、必要な資金を供給できるようにするということをきめたり、あるいは日本共同証券資本金や運用可能資金を拡充して、同社の買い入れ株式は、市況が上昇しても売却しないよう、株式凍結機関としての性格を強めるというようなことをきめたり、あるいは当時、三十九年の九月でしたが、明年二月以降は一定期間増資を原則として認めないというようなことを、たしか省議としてきめたことを私も記憶しておるわけです。最近は、増資のほうは一定の条件を付してこの柵をゆるめましたけれども、今度は逆な状態になってきたときに、政府としては、いま堀さんが言われるような国民的立場に立ってどういうふうにものを言うのか。私は特殊な問題であるだけに、これを共同証券であるとか保有組合だけの運営にまかせておくべき性質のものではない。堀さんが言われるように、日銀も指導性を発揮してもらいたい、同時に、政府自体もこの問題についての処理を明確にして、その指導性を発揮すべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
  50. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 保有組合あるいは共同証券需給バランスを回復させるために、特に中央銀行の特別な配慮のもとにああいう買い出動をせざるを得なかったような事態はほとんど解消しているという皆さんの御認識は、私も全く同感でございます。ただしかし、この放出のしかたのいかんによっては、ああいう事態を引き起こすとは私も思いませんけれども、同質の問題を引き起こす可能性なしということも、これは簡単に言い切れない問題だと思うのであります。したがって、基本方針として、こういう事態になれば当然もとへ戻すべきである、流通市場としても、四千億円近い株式というものが流通市場外で凍結されているということは決していい姿であるとは私考えておりません。流通市場機能を正常化するためにも、それは市場に戻すべきだと私も考えております。ただ、いま参考人方々から申し述べられたことに私あまりつけ加えることはないのでございますが、一番問題になっておりますのは、具体的なプログラムをはっきり確定するほうがいいのじゃないかということのようでございますが、よかれあしかれ、市場というものはかなり人気によって左右される可能性があるのであります。そういう市場がいいかどうかという問題もあります。これはいろいろ問題もあると思いますけれども、かなり投機的に動く、しかもこれは微妙な心理によって左右されるということでございますので、そういう市場性格を、やはり現実の事態としては前提に置きながらこの問題を処理せざるを得ないのではないか、基本方針としては、できるだけ早くこれを解消するという方向は、おそらく証券界としても異存のないところだと思います。その具体的なプログラムを明確にここで確定することがいいかどうかという点に若干問題があるのじゃないか、だからといって、具体的なプログラムを明らかにしないことが、いたずらに事態の解決を遷延させるということであってはならないと私は思います。
  51. 平林剛

    平林委員 市場状態をどう見るかというのは、私らそういう方面はしろうとですからよくわからないのですけれども、しかし、つい二年ばかり前はああいう状態があったにもかかわらず、最近の株の高いということ、株がじりじり上がっておるというような状態を見ると、私らまことにふしぎなものだ、こう思うのです。のど元過ぎれば熱さを忘れるというようなことがあるけれども、あんなことがあったんかしらと思うような状態が現在続いておる。堀さんが言われたとおり、出来高にしても、すべての動きにしても、もう株としての最高の時代を再現しているような状態だ。いろいろな理由があるにしても、中には、景気はこれ以上悪くならぬとか、あるいは、政府のてこ入れもあったし、場合によると、ベトナムのほうの金もこっちへ回ってきたとか、株高の現象が起きるのはそういうことだという話を私よく聞くのですけれども、中には、こんなに株が高くなってくるのは、証券界はじめそういう方面にインフレ期待というようなものが動いているんだという説もあるわけです。私は、そういう望ましくないような傾向に対しては、むしろある程度積極的に政府がすみやかに態度をきめるほうが、国民的立場から見るといいんじゃないだろうか、こう思うのです。なぜちゅうちょしているかわからぬ。むしろ私たちが警戒すべきことは、そうした株を売り買いする中において、政府がインフレにならない、ならないと言っても、株のほうだけは先見性があるかないのか知らぬけれども、インフレ期待でもって買いあおっているという状態に対して反省の機会を与える、両面相まって具体的なプログラムをつくることが必要なんだ、私はこう感ずるのですけれども、これは日銀副総裁に御意見があればひとつ聞かしてもらいたい。
  52. 佐々木直

    佐々木参考人 先ほどから申し上げておりますように、解除をできるだけ早くしなければならないという基本方針の上に立って、それをどういうふうにすれば具体的に実行できるかということについては、もちろんわれわれとしても非常に責任もあり、検討しなければならないと思います。それはまた、先ほど申しましたように、現実に売買の事務に当たっております業者の意見を十分参酌してそういうことを考えなければならない、こういうふうに思っております。ただ、具体的なスケジュールをどういうふうにつくるかということについては、さっき堀委員もおっしゃいましたが、私ちょっといまその準備をしてきておりませんものですから、そのことについて具体的に説明する、あるいはそういうやり方についてこちらがどういう結論を持っておるかということについて申し上げる準備が実はございません。
  53. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 加治木局長にお尋ねしますが、こうやって参考人の御意見をいろいろ聞いている中で、何といっても、あなたは局長になったばかりだけれども、これをどうするという計画は大蔵省はできているのかいないのか。それから、株を放出するという話が新聞に出ていたのですが、ダウ平均がどれくらいになったときに放出するのか、そういう考え方はあるのかないのか。この二点をちょっとお伺いしたいと思います。
  54. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 考え方といたしまして、いま堀先生から示唆を与えられましたようなああいう形での具体的なプログラムというものがきめ切れるかどうかという問題、そういう考えを持っておるのかということですが、まだ現実としてはプログラムを持っておりません。それから、ダウの水準でこの問題を考えるということは、そう考えるべきではない、むしろ、株価がどの辺がいいかということは、この問題とは別の問題だと思います。あくまでそれは実勢価に従って正常な価格が形成される、その正常な価格形成に阻害にならないようにやらなければいけないということ、だけでありまして、ダウの水準を目標にしてこの問題を処理することは、私は決していいことじゃないと思っております。
  55. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 もう一点だけ。それでは加治木さん、これはいつまでもほうっておけぬでしょう。日銀の特別融資でずっとやらしておいて、いまの三森さんの会社なんかは一晴的な会社で永久不変なものではないでしょう。いっかは解消しなければならぬでしょう。私らの聞きたいのは、何年ごろの日空で、ダウ平均がだめなら、どこでどういうふうになったらこういうものを解消するのですか、その点、だけ伺いたいと思うのです。
  56. 加治木俊道

    ○加治木政府委員 市況いかんによるわけでございまして、一応、保有組合としては、存続期限という意味で、期限は三年、一年間延長できることになっておりますが、具体的な処理の方法として、はっきりこの際いつまでということをきめること、自信のある結論を出すことは非常にむずかしいと思うのであります。証券界全体としても前向きでこの問題を考えております。  思いつきで恐縮でございますけれども、やはりある程度買い需要というものを発掘してきて、注文を集めてこれに対応するようなやり方をすれば、市場需給関係はスクエアになるのですから、これはやりようがあるのじゃないか、こういうやり方はモデレートな処理のしかたじゃないかと考えておりますが、そういうことがはたしてうまくできるかどうか、市場関係者の意見も十分聞いた上でそれはきめたいと思っております。しかし、いつまでもほうっておくということをきめておるわけでは全然ございません。
  57. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、保有組合のほうにちょっとお伺いをいたします。  この間ちょっと新聞で承知をしたのですけれども、瀬川さんが当委員会へおいでになって、時期は来ておると思うから、保有組合のほうから先に放出をしたほうがいいと思う、こういう御答弁があった。その後新聞で承知をしておるところでは、理事長一任ということで、何とか放出をしていったらいいというような報道がなされておる。その中身として、出し方ですけれども市場に出す場合、証券会社に仕切って適当なところへはめ込むという問題、あるいは、発行会社、事業会社、金融機関その他へ持っていくというようなことが出されておったわけですが、私どもは、いまこの問題と並行的に、さっきもちょっと触れましたけれども、バイカイ問題を当委員会では取り上げておるのです。これは大蔵省もそう考えておるようですが、私ども市場価格の正常な価格形成にどうも問題があると考えておりますから、今後共同証券を含めて、放出をなさる場合はできるだけひとつ媒介も含めてバイカイというような処置でなく取り扱っていただけないか、まず第一点の要望であります。そうなりますと、どうしても一つの入札的な処置を行なうということにならざるを符ないのじゃないかと思いますが、そこは皆さんのほうでいろいろ御検討をいただいてけっこうだと思うのですが、私はどうもそういうものが事業会社、発行会社に媒介ですぽんとはまったりするということも、これも多少問題があると考えるのでありまして、ともかく対象について、いまのように市場に出す問題と、それから証券会社を経由する問題と、直接金融機関その他にいく場合とあると思うのです。いずれにしても、保有組合及び共同証券は、形式的には民法あるいは商法によってつくられておる法人でありますけれども、内容的には公共的なものだと考えておるわけでありますから、そういう公共的な機関が株を放出されるのに、少なくとも、政府なり国会として望ましくないという方向で規定をしております手段方法によってやっていただくのは、われわれは望ましくないと考えておりますので、そこらも含めて御検討いただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。これを共同証券及び保有組合、おのおのからお答えをいただきたい。
  58. 三森良二郎

    三森参考人 今後株の放出をやります場合、どういう方法でやるか、先ほども御指摘がありましたが、いろいろ方法があると思います。私どもといたしましては、まず第一に考えますことは、なるべく多くの株が支障なくさばけるということを考えていくことが一番大事だと思っております。そういうことでいろいろ検討しておるのでございますが、ただ、ここでお触れになりましたバイカイの問題、私もあまり専門家じゃございませんけれども、いろいろ伺っておるところによりますと、御指摘のようないろいろな弊害があるということ、何かこれは、この間堀さんなんかのお話では、廃止すべきだという点であります。その弊害の点がもし多いとすれば、これは私個人の感じでございますが、確かにそういうふうな御意見のようにすべきものではなかろうかというように考えます。  その問題につきまして、いま申しましたように、私は直接の専門家じゃございませんけれども、新聞等で拝見しますると、いま東京証券取引所で何か案ができておるようであります。それについていろいろ関係者が寄って、また審議されて、大綱が大体廃止のほうにきまったかのごとくに私は聞いております。それもたいへんけっこうなことだと思っております。そうしますると、われわれとしましては、要するに、バイカイを廃止した場合にどういうふうにして大量の取引をスムーズにやるかということがやはり現実問題になってくると思います。そういう点につきまして、専門家がひとついい案を至急に御検討になり、御決定になることをわれわれとしては切望しているわけでございます。そういうあれができました場合には、われわれも全面的にそういう方法で処理していきたいと思います。まだ、どういう案が出ますか私はわかりませんけれども、そういうふうな感じでいまのところはおります。
  59. 山崎文治

    山崎参考人 ただいまの御発言と同じでございますけれども、私どものほうでも、いろいろ事務当局としてはこの問題の研究はつとにやっておりますけれども、何ぶんいろいろ問題も多いように伺っておりますので、できるだけ慎重にこれをきめたいということで、大蔵省をはじめとして、逐次関係方面の御意見も伺いながらきめてまいりたい、こんなふうに考えております。  なお、新聞にもちょっと出ておりまして、私どものほうから出たわけではないのでございますけれども、私どもの考えとしては、発行会社の御意向あるいは御協力を仰ぐということもいま検討中でございます。
  60. 堀昌雄

    ○堀小委員 この問題は今後の問題でございますから、ひとつ御検討をいただいて、ただ、大蔵省の方針もあることでありますから、できるだけそれにかわる方法——私どもは入札というのも一つのかわる方法だろうと考えておるのですけれども、何らかかわる方法、そしてもう一つは、一ぺんに大量に出すことはどっちにしても問題があろうかと思う。ですから、何回か小刻みに出していただくことのほうが、いまのような特殊な処置を講じなくても出しやすいのではないか、同時に、市況に与える影響もショック的にならないのではないか、こういうふうに思いますので、ひとつそこらを含めて——ただ、ちょっとこだわるようでありますが、市況というものは、もしかりに、きょうここで二百億円ベースで向こう一年間で二千四百億円放出すると御答弁がきまったとしましょう。そのときは確かに一応多少のショックはくるだろうと私は思いますけれども、しかし、よく考えてみれば、私がいま触れましたように、現実には相当出ているわけです。一千億円出したところで市況にあまり影響しなかったという月もあるわけでございますから。その次の四月でも五百七十三億円、これは増資を含めてでございますけれども、そうなっているわけですから、ある程度のものがきまってきますと、ちょうど、投資信託解約がある程度あって、売り越しがある程度あるんだということは、市況を考えている人は実はみな頭の中に置いてやっているわけですから、これと大差なくなるんじゃないか。投信は向こう一年やそこらの間毎月百五十億円やそこらの売り越しにならなければならないような客観情勢にいまの情勢は置かれておると思うのです。そうすると、それは計算に入っておる。増資がことしは二千五百億円なら二千五百億円といま言われておりますのが、昨年は一千億円ぐらいしかなかった。三十九年に共同証券で一生懸命買いささえをされたときも、たしか四百億円をこえる増資があったわけです。その四百億円の増資をしながら片方で共同証券が株を買ったというナンセンスなことを考えてみますと、いまは二千五百億円にきまっても、それを計算して市況はそれで動いていくということになるので、かえって、いつ、何が、どれだけ出るかという不安感を与えるよりも市況に与える影響は小さいのではないか。最初はあるかもしれませんよ、あるかもしれませんけれども、それはやがて慢性化するような状態で、それを計算に入れて問題は発展をしていく。ことしはいいんじゃないか。ことしは二千五百億円以上の増資はあり心ないと思います、来年のことわかりませんけれども。そういう意味では、いまの情勢というのは比較的プログラムをつくっておやりになるに適当な客観情勢ではないのか、私はこういう感じをしておるわけです。ですからこの問題は、きょうはいきなり問題提起をさしていただいておりますから御答弁をいただけるとは思いませんけれども、約一カ月いたしますとまた水曜日がまいりますから、そこらをめどに、日本銀行共同証券保有組合とも、いまの売却先の問題、売却方法、売却のやり方、プログラム等、私ども提起をしました諸問題についておのおの御検討をいただいて、一カ月あとくらいにまたこの問題についてやりたいと思います。私は何も証券会社を目のかたきにしておるわけでもありませんし、あるべき証券市場というものをつくりたいという念願をしておるのにほかならないわけであります。時限としては、四十三年の四月は、御承知のように新証取法によりまして免許制が一斉に施行される時期でございますので、そのときまで依然として国家資金がささえておる免許制の時代なんというのは、私はどう考えてもあまり望ましい状態だとは思わないのであります。証券局長どうですか、いま答弁は要らぬのですが、そういう感触を含めてひとつ皆さんに御検討いただきたい、こう思います。  私は以上で終わります。
  61. 押谷富三

    押谷小委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、御多用中のところを長時間にわたりまして御出席をいただき、かつ、貴重な御意見をお述べをいただきまして、まことにありがとうございました。  小委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十八分散会