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1966-05-11 第51回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和四十一年二月四日(金曜日)委員 会において、設置することに決した。 四月十三日  本小委員委員長指名で、次の通り選任され  た。       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    坊  秀男君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       佐藤觀次郎君    平岡忠次郎君       堀  昌雄君    武藤 山治君       春日 一幸君 四月十三日  押谷富三君が委員長指名で、小委員長に選任  された。 ————————————————————— 昭和四十一年五月十一日(水曜日)    午後二時四分開議  出席小委員    小委員長 押谷 富三君       奥野 誠亮君    坊  秀男君       毛利 松平君    渡辺 栄一君       佐藤觀次郎君    只松 祐治君       平岡忠次郎君    堀  昌雄君       武藤 山治君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 大泉 寛三君         大 蔵 委 員 金子 一平君         大 蔵 委 員 西岡 武夫君         大 蔵 委 員 有馬 輝武君         大 蔵 委 員 平林  剛君         大蔵事務官         (証券局長)  加治木俊道君         参  考  人         (東京証券取引         所理事会議長) 瀬川美能留君         参  考  人         (日本興業銀行         頭取)     中山 素平君         参  考  人         (富士銀行頭         取)      岩佐 凱實君         参  考  人         (三菱銀行頭         取)      田實  渉君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月十一日  小委員武藤山治君同日小委員辞任につき、その  補欠として只松祐治君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員松祐治君同日小委員辞任につき、その  補欠として武藤山治君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 押谷富三

    押谷小委員長 これより会議を開きます。  この際一言ごあいさつを申し上げます。  今般、皆さまの御推挙によりまして小委員長に就任いたしました。金融並びに証券行政幾多の問題が山積いたしているおりからでありますから、本小委員会の使命もまたきわめて重大なるものがあると存じます。つきましては、皆さまの御協力を心からお願いいたしまして、就任のごあいさつといたします。(拍手)  証券取引に関する件について、調査を進めます。  本日は、お手元に配付いたしております名簿のとおり参考人の御出席を予定いたして一おります。ただいまは瀬川参考人が御出席になっております。  参考人には、御多用中のところ御出席をいただきましてありがとうございます。  これより質疑に入ります。  まず、バイカイ規制につきまして、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤觀次郎君。
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 東証議長瀬川さんにちょっとお尋ねしますが、バイカイの廃止問題がややこしくなってきておりますが、あなたはどういうお考えを持っておりますか、お伺いしたい。
  4. 瀬川美能留

    瀬川参考人 瀬川でございます。  本委員会が常に、特に証券問題について真摯な御検討、御討議を重ねていただきまして、私ども昨年から非常な病状を経過いたしました証券界がどうやら薄紙をはぐように一歩一歩前進し、立ち上がったような次第でございます。この点、まず劈頭、各皆さまに対してお礼を申し上げる次第でございます。  さて、バイカイ規制についての御質問でございますが、バイカイということをいろいろ基本的に御説明申し上げますのもだいぶ時間がかかりますから、いろいろ技術的な問題につきましては、これは私どもただいま証券取引所に設置いたしました特別委員会で、取引所を交えて種々検討中でございます。技術的な問題はまず差し控えさせていただきまして、いまのバイカイ規制の問題について私がどう考えておるかということにつきまして、抽象的にお答えを申し上げたいと思うのであります。  バイカイという制度は、御承知のように、明治の日本証券取引所以来ある制度であります。これはもう御承知のとおりであります。欧米各国におきましても、バイカイという制度、あるいはこれにかわる制度というものが現存して、それが流通市場拡大あるいは価格形成に寄与いたしておるのであります。日本の場合には、今日の証券取引所というもの、取引所取引というものがまだ未成熟の、そうしていろいろの組織が完備してない状態においてあることは、これはもう御承知のとおりであります。それともう一つは、日本取引所はあらゆる取引市場に集中するという理想的な形に進んでいるのであります。私どもは、よくアメリカの取引所がどうなっているかあるいはイギリスの取引所がどうなっているかということを勉強し、また研究するわけでありますが、この点は、私どもとしては決して欧米取引所をそのまままねようという考えもなければ、あくまでも日本日本の風土にふさわしい日本独特の取引所として発展させていかなければならないと考えておるのであります。その意味で、未成熟な、未完成な日本証券市場に今日ほど大量の取引が集中しているということは、バイカイそのものが果たしたメリットというものも高く評価しなければならないと思うのであります。同時に、バイカイの持ってまいりました、あるいは世間から誤解され、またわれわれが反省すべきバイカイ弊害というものには、私どもは過去において幾多の制限を加え、また純化を試みてきたわけであります。今日においてもなお純化すべき点は多々あるんじゃないかと私ども思うのであります。また世評もそうであります。  そこで、私どもといたしましては、まずこのバイカイ純化という点につきまして、全力を傾けてバイカイ純化をはかっていく、バイカイ制度そのものをいつまでに廃止するというふうなことは、今日の流通市場というものがこの一つの大きな血管によって動いておる現実の姿でありますがゆえに、これをいつまでに廃止する、どう廃止するというふうな大胆なことは、市場をあずかる者としては私は言えないと思うのであります。そこで、バイカイをいつまでに廃止するかという点は、これはやはりバイカイを廃止できるような環境が熟するということが大事で、その環境一つ一つつくるにつきましては、私どもは熱心に、真剣に努力を傾けて、証券流通市場並びに価格市場正常化のためにやる決心で現在かかりつつありますが、これをいつまでに廃止する、あるいは何ら代替案なくして、何らこれにかわるべき流通を阻害しないような案なくして、バイカイだけを取り上げてこれをやめるんだ、これを禁止するんだということが世上よく言われておるようでありますけれども、これはもっと緩急よろしきを得て、慎重に考慮すべき問題であろうと考えておるであります。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 あと同僚委員からいろいろ質問があると思うのでありますが、もう一点、瀬川さんは野村証券社長であるけれども、きょうはそういう四大証券社長という立場でなくて、広く取引所議長として考えていただきたいと思うのです。その一つは、四大証券とその他の中小証券との間にバイカイ規制についての意見相違があるというようなことも聞いておるのですが、この点は、率直にどういうようにお考えになっておられますか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  6. 瀬川美能留

    瀬川参考人 お答えいたします。  バイカイについて業者間にそれぞれの立場において意見相違があるのではないか、あるとすればどういう点かという御質問のように拝察いたしますが、バイカイというものが禁止されるのだというふうな、あるいはバイカイというものについていろいろ検討するというふうな声が起こりましたときに、それぞれの立場から考えておったことは事実であります。しかしながら、今日、一つ試案らしきものが新聞に出ましたり、示されたりしてまいりますと、これはやはり証券市場全体の問題である、証券市場として、もしこの制度を強行するということであれば、証券市場は萎靡沈滞して本来の職能を発揮し得ないということで、それぞれの立場意見をただいま調節し、統合して、そして統合した意見一つわれわれとしてつくり上げたいという研究委員会が発足いたしまして、それがレールに乗っていま盛んに検討を始めている、そういう段階でございます。
  7. 平岡忠次郎

    平岡委員 関連しての質問ですが、いろいろな機関でこの問題は重大だからということで審議をされているということでございますが、私の仄聞しているところでは、証券取引法の百六十五条に基づきまして証券取引審議会というものがございます。したがいまして、バイカイの件は重要ですから、この審議会でひとつ審議をしてくれという大蔵省の方面からの意向によりまして審議を始めた。その段階東証井上理事長が下問されたわけですね。そういうことになっておりますね。そうしますと、井上さんのほうは、ごもっともですから、自分たちで一応案をつくってみましょうということから、過般、四十二年九月までに全部やめようという執行部案、これは執行部案というのは常任執行部案ですか、そういう案をまとめたということを聞いております。まだ全体の理事会に提案できないという状態にある。それには、特に瀬川さんを中心に非常に反対が強いということで、もう少し根回しをせぬと、出してもとてもものにならぬというような現状だということを聞いておるのですが、瀬川さんはきわめて個性が強くて、その脱線するところが非常に興味があるわけです。きょうは、瀬川さんの言い分はどうなのかということを、むしろこの機会に率直にお聞かせをいただきたいと思っております。
  8. 瀬川美能留

    瀬川参考人 お答え申し上げます。  証券取引審議会で、いま平岡さんのお話のように、数次にわたって討議が重ねられております。私ども参考人として呼ばれましていろいろ陳述いたしましたことは事実であります。それと並行いたしまして、何としても証券市場の生きた仕法の問題でございますから、私ども市場部会検討委員会をつくって検討さしておりました。ところが、これは事なかなか大きな問題で、心臓部の問題であり、しかもいろいろのものに関連する問題でありますがゆえに、なかなか一致した結論が見出しにくい。証券取引審議会のほうも、いろいろの意見を聞いていろいろのことがあるので、なかなか早急に結論出しにくいというふうに御判断になったのだろうと思いますが、そこで、業界でなるべく一つ意見をまとめてほしいという御希望もあったし、われわれもその前に、これは大事な問題だから、われわれだけの問題でなく、日本経済界全体の問題だから、いろいろの言い分を聞いて、念に念を入を入れて徹底的に検討してみたいということから、われわれのほうも検討しておったのであります。ところが、多少無責任にもなるし、われわれも、それじゃだれかひとつ案をつくって、それを中心検討してみようじゃないか、無理なら無理だということで検討してみようじゃないかということで、率直に申しますと、委員会から取引所に対しまして、取引所事務局あるいは理事長試案なるものをひとつつくつてほしい、それの説明を聞いた上で、それを中心に論議していこう、その上で業者意見が一致したなら一致したでけっこうだ、一致しない場合はこういう意見こういう意見で並行的な意見があったということでひとつ証券取引審議会答申をしようじゃないかというふうに考えまして、そうして井上理事長取引所試案の提出を求めたわけです。取引所試案が出まして、それを市場研究委員会検討いたしまして、さらにこれが理事会検討されるという段取りなのであります。私は、そんなものは要らぬ、そんなものはどうでもいいと反対しているというふうにとられがちな——人徳のしからしめるところで申しわけありませんけれども、決して私ががり押しに反対しているわけじゃないのでありまして、何としてもこれは非常に大事な問題だから、そう簡単に、いつまでにやめるんだ、やめてあと考えるんだというふうな無責任なことでは、私としては市場を預かる立場として非常に無責任だ。私は、これは投資家全般に及ぼす大きな問題であり、また、非常にいろいろの問題に関連がありますがゆえに、慎重に慎重を重ねた上で一つの成案をつくりたい、一致するようなものをつくりたい、一致せぬものなら一致せぬもので、これはまた考えていかなければならぬ。これは簡単にバイカイ廃止バイカイ廃止というふうに新聞あたり取り上げて——たいへん失礼でございますが、取り上げておられますけれども、これは検討していただけば非常に根の深い、むずかしいものでありまして、率直に申し上げて、私自身も実務にうといからよくわからぬというような点も多いようなことでございまして、そういう性格の問題でございますからして、これは生きている人間の血管一つ一つ切り取って、あとからひとつ血管の補給を考えようかという議論に通ずるような気もいたしますので、実は慎重にこの問題に取り組んでいるというのが現状でございます。
  9. 平岡忠次郎

    平岡委員 あなたのおっしゃる一番主要な点は、タイムリミットを設けて機械的にこの問題のけりをつけるというようなことに対しては、そう同調はできない、慎重な上にも慎重にやっていきたいという御意向のように聞きました。ただ、大蔵省のほうで弊害として——確かにメリットもあったでしょう、しかし、弊害のほうとして指摘している点が、要約して二つにまとめられると思うのです。  その一つは、実質的な推奨販売によって市場を独占し、中小証券との間の格差拡大をもたらすの弊害指摘されております。もう一つは、投資家保護立場からいって、正当な価格構成が阻害されるという場合がある、この指摘があるのですけれども、どうでございましょうか。
  10. 瀬川美能留

    瀬川参考人 お答えいたします。  第一に、タイムリミットの点でございますが、私が、いつまでにやれというふうなことを言うことは、問題の性格上非常にむずかしいと申し上げた意味は、何も五年も十年もそのままでほっとけという意味じゃないのであって、それにかわるものがあれば、当然バイカイという制度をやめてもいいじゃないかという考え方であります。しかし、なるべく早くやると申しましても、証券市場内部だけでなしに、内部はむろんのこと、外部に対しましても、いろいろの条件が整わなければ、やり方に非常に無理があるという点を申し上げたのでして、この問題は、これだけの問題でなしに、制度の問題とかあるいは信用取引の問題とかあるいは中のスペースの問題とか、いろいろの問題に関連するものですから、それをみな並行的に進めていけばいいんじゃないかということを申し上げたわけであります。  それから、第二の弊害の点につきましては、推奨販売とよく結びつけて今日のバイカイが議論されておりますけれども推奨販売が起こってきました過去の歴史というものは、これは御承知のように、日本証券市場はまず証券市場のないところに新しくスタートいたしまして、そうして、財閥株とかあるいは再建整備の株とか、大量株大量方式に売っていくというところから始まって、それから流通市場というものが昭和二十四年に起こった。つまり、株主づくりというものを夢中にやっていかなくちゃならないというのが一つの情勢にあった。その時代に推奨販売という制度が生まれまして、そうしてそれが取引所に集中するという意味においてバイカイという制度推奨販売という制度とが結びついたというわけでありまして、今日は、われわれは推奨販売はやっちゃいけないということの規定もできておりますし、現実において推奨販売はやっておりません。  それから、価格形成についてバイカイという制度が非常に弊害があるということは、つまり、価格操作という点であろうと思うのであります。この点につきましても厳重な規定ができております。ただ、そういうふうに誤解される面がないことはないと思いますけれども、われわれは、価格操作という点に疑いがあるといたしましても、むしろバイカイ制度のメリメットのほうがずっと大きい、ただし、価格操作という問題は厳重に取り締まるべき問題であって、こういうものは許しておくべき問題ではない、こういうふうに考えております。
  11. 押谷富三

  12. 堀昌雄

    ○堀小委員 最初に、資本市場研究会という、高橋亀吉さんが委員長をしていらっしゃる会がございますね。実はここが「資本市場在り方」という報告をお出しになっておるのを私拝見しておるのですが、ここの中には代表的な証券会社の幹部の方も委員として名前を連ねていらっしゃいますね。野村証券では副社長北裏さん、それから当時山一証券で専務をしておられた中島さん、大和証券投信委託社長をしておられた西村さん、それから日興証券社長の湊さん、それからあと玉塚証券の関口さん、日東証券の土屋さん、これもやはり業者の方がお入りになった委員会答申が出ておりますね。この答申はこれだけの業者皆さんが参加をされてお出しになった答申ですから、これは少なくとも現在の証券界としての一つの集約された意見だ、こう見たいと思うのですが、その点をどうお考えですか。
  13. 瀬川美能留

    瀬川参考人 そのとおりでございます。
  14. 堀昌雄

    ○堀小委員 この報告の中には「証券取引所在り方」といたしまして、その(A)というところに「その第一は、公正な価格形成を確保するために、上場証券に対しては市場集中制度を堅持し、時間優先顧客優先原則を徹底すると同時に、競争売買の行なわれる環境整備することである。」こういうふうに答申をしておられて、その中に少し以下説明があるのですが、ちょっと皆さんにもお聞きいただく意味で読み上げておきますと「証券取引所における価格形成の仕組は取引所心臓である。わが国では市場における競争売買を十分に行なうため、会員業者については、一定単位以上の上場証券取引につきすべて市場に集中することとされ、また、取引執行にあたっては、時間優先顧客優先という原則によるべきものとされている。ところが実際の取引執行にあたっては同一業者の受けた同一銘柄、同一数量に対する売りと買いの注文、あるいはこれに対応する自己勘定売買は、他の業者なり注文優先して成立させるという、いわゆる自店優先が行なわれ、このため、先着している売買注文が成立しないまま、バイカイ取引優先して執行されるという不合理が生じ、競走市場としての機能を不十分なものとし、時間優先原則をゆがめている。」こういうふうに明らかに規定をされておりまして「このようなことは市場集中を建前とする証券取引所にとって、価格形成機構上の大きな欠陥である。売買注文は個別的に市場内部注文の出された時間にしたがって、先着順処理するという時間優先原則をより忠実に守るべきである。」さらに「証券業者自己売買は必ずしも禁止すべきものではないが、顧客注文はそれに優先すべきで、顧客優先原則は守らなければならない。」こういうふうにここではっきりうたってあるのですが、この前段のほうですね。これはおそらく皆さん意見も同じだと思うのですが、「公正な価格形成を確保するため、上場証券に対しては、市場集中制度を堅持し、時間優先顧客優先原則を徹底する」、このことはもう当然として理解してよろしゅうございましょか。
  15. 瀬川美能留

    瀬川参考人 目標としては私はそのとおりだと思います。ただ、事務的な限界とか、物理的な限界とか、あるいは現在の不完全な取引所制度のもとにおきましては、なかなかそのとおり守りにくい面もあるということは私は事実だと思うのであります。それを一歩一歩環境整備をしながら近づけていくというところに大きな問題があろうかと思います。
  16. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうすると、具体的にはどういうふうにすればできるのか。私どもはこれだけはっきり書かれておって、欠陥があるのだと皆さんのほうで御指摘をしておられる以上、欠陥はすみやかに是正をしなければならぬと思うのです。私も、時間にはこだわりませんけれども、これだけの指摘があることは改めなければならないと当然考えるわけでございまして、それを改めるためには、皆さんのほうでは具体的にどうすればいまの徹底ができるのか、それを示していただかないと、私どもとしては、環境整備環境整備とおっしゃっても、環境整備とはどういうことをするのだ、これが具体的になりませんと、これは十年たっても環境整備ができなかったからバイカイ——いまこれだけ「時間優先顧客優先原則を徹底する」と書いてありながら、これは書いただけでは何にも権威がないものだ、こうなるものでございますから、私どもは、そこに証券業者皆さんが、皆さん立場からいろいろ物理的あるいはその他の条件——確かにフロアトレーダーのようなものがないということも一つの問題だと思いますけれども、そういうふうに、こういうことをすればよろしい、これはこうするというものをここにちょっと二、三ひとつ例示していただけませんか。
  17. 瀬川美能留

    瀬川参考人 その点は非常に具体的な問題になりますので、私の申し上げることが多少ピントがはずれるかもしれませんけれども、実は、その点を慎重に取引所証券業者と、現実に場を預かるもの、売買を預かるもの同士が腹を突き合わせて話をして、どうしていけば流通並びに価格形成の面において、いま書かれたような点が遂行されるかということを真剣に検討してかかろうというのがいまの段階であります。取引所から試案らしいものが示されましたけれども、その説明を明日聞いて、取引所としても、こうやる、あるいは、こうすれば、たとえば機械化の点においてこうだろうとか、あるいは電話設備の点においてこうだろうとか、あるいはフロアの点においてこうだろうとかいうことは、取引所側から当然示さなければならない問題でございまして、われわれはそういう市場の具体的な問題はよくわかりませんが、たとえば、信用取引制度をどうしていくとか、あるいはアンダーライターとディーラーの関係をどうしていくとか、いろいろ問題がございますが、そういうこともバイカイと通じていく問題でございまして、大口取引をどうして処理していくとか、あるいは取引所の中の大口取引処理バイカイだけでやらずに、ほかの方法でやれる方法はないだろうかというようなことも、これは着々と研究していかなければならないと思うのであります。何にいたしましても、非常に具体的な問題だということと、現在、とにかく生きて市場が構成されているところにメスを加えていくわけでございますから、なかなか簡単にはやれない。よほど慎重にやらなくちゃいかぬ。どうも少し騒ぎ過ぎるような気がしまして、方向ははっきりしているんだから、じっくりかまえていけばいいんじゃないかというふうに、私はむしろそう考えておるのでございます。
  18. 堀昌雄

    ○堀小委員 確かに、いま大量に集中してきた場合の処理のしかた、これは機械化関係のある点もあると思いますし、あるいは電話の問題とか、いろいろな技術的な問題も多少あると思います。このバイカイ問題の中で、証券取引法は、第一条で公正な価格形成ということをうたっておりますし、このことは、もう市場の基本的な命題でございます。ところが、一般の私どもがもし株を買おうとするならば、たとえば、どこかの株を買う、買い始めて、買うもののほうがふえれば当然価格は上がるというのが市場性格でございますね。もし売りに出るときにたくさん売れば価格は下がるのが、一般投資家の場合はそうなんです。ところが、機関投資家なり一部の大口投資家の場合は、ある一つの銘柄を百万株買っても一つの値段で買えるというきわめて不公正な問題が実は存在をしておると思うのです。これは確かに、金融機関その他がそういう買い方をすれば、そのほうは便利だと思うのです。非常に大量に売っても値段は下がらない、大量に買っても値段は上がらない。これほどけっこうな制度はないと思うのですね。しかしこれは、市場という証券取引というものが国民一般に対して公平になければならないという原則からいたしますと、機関投資家というものが異常なメリットの恩恵に浴しておるし、そういうものがあるから、ある意味証券業者としてはバイカイをやらざるを得ないという制度関係とうらはらの問題がある、こう思っておるわけです。  そこで、銀行局長にちょっとひとつ、この大蔵委員会としては、これは証券サイドからだけの問題ではなくて、現在の機関投資家というのは、保険会社であるとか、あるいは各種金融機関とか、その他それに類似した農林中金だとか農協とか、いろいろなものがあるのでありますけれども、それは現状では金融機関的なものが主体をなしておると思うのですが、こういう機関も、売買については一般のその他の国民と同じベースで処置をしているのじゃないか、こう考えるのですが、銀行局長、どうでしょうか。
  19. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 全くおっしゃるとおりだと私ども考えております。したがって、当面問題になっておりますような、いわゆるバイカイというものを廃止して、すべて市場を通じての取引でいく、これはまさに正常化の問題でございますので、機関投資家といえども当然そういうルートを通じてやる、そういう方向で協力して考えていただくことは、これはもう当然さように考えております。
  20. 堀昌雄

    ○堀小委員 瀬川さん、いまのように、私は、やはり一つの大きな問題はこの機関投資家の売買の中にあると思うのでございますね。一般の投資家の場合でも、やはり市場価格形成が公正になるかどうかというのは、できるだけ競争売買の中に参加するように、いまバイカイという制度があるから大口でものを持ってくると思うのです。制度がなくなれば、告示でやらざるを得ないわけでして、そのときに初めて一般の国民と機関投資家が同じベースになるという点では、やはり本来のあり方としては、大口取引というものはそういう形で市場に出されて他の国民と同じベースで価格形成に参加をしながら売買をしてよろしいのではないのか、こう考えるのですけれども、その点、いかがでしょうか。
  21. 瀬川美能留

    瀬川参考人 たいへん技術的な御質問になってまいりましたのでなんですが、市場価格というものは、必ずその価格で大口の取引ができるか、小口の取引ができるか、それは市場の地合いによってわからないのです。たとえそのときの市場の安定度とか、あるいは市場の立ち会いによりまして、一万株の株を買っても上がる場合もあるし、あるいは一万株の株を売っても下がる場合がある。同時に、百万株の株を市場に売ってもそのまま売れる場合もあるし、あるいは買い注文出して値を動かさず買える場合もあるというのが市場価格であります。市場価格というものは、必ずそこでこれだけのあれがあるというもので、この価格を動かさずにできるんだという価格じゃないのであります。そこで、この大量の売買があらわれましたときに、私どもといたしましては、大量の売買は、上げ下げともなるべく市場に変動を及ぼさずに買いたいというお客には、なるべく、買いたい数量のものを一定の御希望の価格で納める、売りたい価格の場合には一定の価格で売れるように尽力するというのがブローカーの大きな責任であります。そこで、率直に申しまして、金融機関が株を買いたいということであれば、これに百万株、二百万株——どもは百万株、二百万株という株が大きな単位だとは考えておりません、日本の株式の単位からいきましても。むしろいまの株式市場というものはもっともっと規模を大きくして、そしてもっと大量の取引が円滑にできるような方向に持っていかなくてはいけない。そこで、大量の売買があらわれましたときに、大量の売買はやはり大量の売買として相場に大きな影響を与えずして処理していくということは、やはり私は、株主あるいは証券市場の秩序を維持するゆえんであると思います。それを、機械的に市場出しまして、大きいから、小さいから——大きい売り物を出せば下がるのが当然ではないかということはきわめて機械的な御意見でありまして、実際問題としましては、やはり大量の売買は大量の処理方式でやらなければならない、そう思うのであります。
  22. 堀昌雄

    ○堀小委員 私がいま申し上げておりますのは、それは百万でも五百万でもいいのですが、金融機関というものは、株式投資によって利益を得ることを主たる目的としておると私は思わない。資産運用上、もちろんそれは利益があるほうが望ましいですけれども、ディーラーではないのです。機関投資家としては、株価の値上がり値下がりをもってそこで利益をあげようというのがもし金融機関としてのあり方として正しいというのなら話は別ですがね。私どもはそう思っていないのです、いわゆるいまの日本の機関投資象のあり方は。と同時に、私どもが念願をしているのは、発行市場拡大流通市場の安定ということを通じて、市場が広くなり、大きくなることによって、そのインカムゲインを中心とした安定投資をする人たちがふえることを望んでいるわけですね。そうすると、本来はインカムゲインを得るのが目的なはずなのです。同時に換金性もあるという流通性の問題を含めて金融機関は証券投資をしているのであって、キャピタルゲインをあてにもし金融機関が投資をしているというならば、それは重大な問題であって、そんなことはあり得ないと私は思うのです。そして、いまはバイカイという制度で同一価格で買えるから大口に出すのですから、その制度がなくなれば、当然機関投資家としては市場に影響のないように徐々に買うという買い方に変わるのが私は正当であろう、こう考えているのです。この問題は制度といまの行為とがうらはらにくっついているわけですから、そういう制度があるから大量取引をするのです。金融機関は大量の取引をしなければならぬという理由は一つもないと思うのです。徐々に買い、徐々に売る。機関投資家が相互間に動いて初めて公正な価格形成というものができるのが、私は本来の市場のあるべき姿であろうと思う。ですから、私どもが念願しているのは、やはりすべての人に平等に公平に処理されて、なおかつ市場拡大しながらあるべき資本市場の姿にいくのはどうしたらいいかということを考えてみますと、どうしても私どもは、バイカイの問題についてはすみやかにやめていただきたい。ただ、それを一年以内にやめろとか、そういうことは、おっしゃるように、他のいろいろな問題が解決がつかないのにただやめろと言っても無理な問題でありますから、その点は私ども了承いたしますけれども、やはり方向としては現在のバイカイ制度はやめるのだということだけはひとつ議長に明らかにしていただきたい。  その次には、いまのいろいろな問題点がございますね。大量の取引の問題も、当面、それを一ぺんに市場に出すというのが困難ならば、入札の制度もありましょうし、あるいは価格を明示をして申し込みを受け付けるという方法もありましょうし、方法はいろいろと今後考え得る問題だと思うのですが、少なくとも、あるべき姿に前進をしていくプログラムと問題提起を積極的にやっていただくという経緯がなくして遷延時間をかけていただいては困るとわれわれは考えておりますので、制度としてはバイカイの問題はやめるということが明らかになりましたら、そのあとの問題は私がいま申し上げたようなことで、これは大蔵省もそれに参加をして十分助言をしながらこの問題の早急な解消をはかるようにやることが、私はあるべき証券市場をつくる方向であるし、やはり答申でこのように答申をした本意ではないかと、こう思うのでございますが、いかがでございますか。
  23. 瀬川美能留

    瀬川参考人 バイカイという制度があるから法人が大口で売るんだ、したがってバイカイ処理しなくちゃならないんだという、まず最初の御意見のようでございますが、この点は多少ワンサイドの御意見じゃないかと思うのであります。独断じゃないかと私は思うのであります。今日の証券市場の果たしております役割りというものは、機関投資家未熟成の市場ではございますけれども、しかし、機関投資家が株を売り買いする数量というものは、これはそう小さなものではないのであります。非常に大量のものであります。それをいかにスムーズに流通市場に、流通過程に乗せていって、そして価格市場を混乱させずに処理していくかということが、私はむしろ重大な問題だと思うのであります。あるスケールの金融機関の投資家は、これはおまえたちが仕切ってバイカイをふるとか、あるいはぐずぐず得意先をさがして両方で突き合わすよりも、五万でも十万でも毎日売ってくれという機関投資家もあるだろうと思うのです。同時に、やはり一つの判断に立った投資活動、機関投資家といえども皆さん値幅を取るものではございませんけれども、資金の需要とか、あるいは年度の見通しによって有価証券を一挙に売却するという機関投資家もあるわけであります。そういう機関投資家に対してどうこたえていくかということも一つの問題であります。そういうことで、やはり大量取引を導入する、資本が要るという問題がございまして、現在の証券市場のスケールというものが機関投資家の要望にこたえるだけだんだん成熟してきているかどうかということを、私はむしろその点において非常に不安を持つわけであります。  それから、大量取引がいかにも一般の個別の取引と特殊の地位のもとに行なわれているという判断の御意見でございますけれども、これは大量取引といえども市場売買を基準にいたしまして、そして市場の気配を中心に行なわれているものであり、五千株の商いでありましても、百万株の商いでありましても、市場価格を基準にして行なわれておるわけでありまして、決してそう不当な立場において行なわれておるという、別の相場で行なわれているものじゃないわけでございます。そこで、バイカイというものをいつ幾日までに……。
  24. 堀昌雄

    ○堀小委員 いや、そんなことは言っていない。やめるかどうかという原則を明らかにしてもらいたい。やめるのならやめるんだということを言っていただけば、時間はけっこうです。
  25. 瀬川美能留

    瀬川参考人 私はやめるということは大胆に言い切れない。それにかわるこういう制度があるから、この制度はやめていくんだということが本筋だと思うのです。と申しますのは、現実に動いている、その姿のもとにおいて動いている市場であります。それをやめるんだ、それにかわるものはあとから考えるんだ、これから研究するんだというのではなしに、これが生まれたからしてこのバイカイはやめるんだというのが、私は正しい立場ではないかと思うのであります。
  26. 堀昌雄

    ○堀小委員 私が申しておりますのは、いつ幾日にやめてくれというのじゃないのです。バイカイというものの性格は、私どもが見ても不公正だと思いますし、ここにちゃんと書いてあるわけです。時間優先顧客優先の徹底をしろ、こう言っている。これは皆さんの御意見が入っているのですから、それをすることに間違いはないと思っているわけです。間違いがないけれども、いまおっしゃったように、環境整備されていないからできないとおっしゃるわけですから、環境整備できればやめるんだということに私はなると思うのです。そういう意味で、バイカイという制度は、要するに終局的にやめるんだ、ただし、いまおっしゃったように、環境整備され、個々の問題について、それはこういうふうに解決する、この次はこういうふうに解決していくということで、それは個々の問題として、その過程においては、ある時期にすぽっと全部なくなるのではないということは私も了承しております。一つ一つの問題について検討を加えて、それにかわる制度ができたときにやめる、こうなることは理解をしておりますが、制度としては、やはりそういうものに代替されるものがあれば、それを新たにつくっていくことによって、現在行なわれておって、そこに書かれてあることはやめるんだということだけは確認をしていただかぬと、要するに、何かやはりいままでの話を聞いていると、やめないという感触に聞こえるほうが強いわけです。やはりそれはやめるという感触が主体にならない限り、私はこの委員会でこれから保険から全部金融機関をここに呼んで、一ぺん大量取引を徹底的にやりますし、あらゆる角度から私どもも最大のエネルギーと当委員会の権威にかけてこの問題に取り組んでいきたいと真剣に考えているわけです。そのことは、何も皆さんをいじめるということではなくて、あるべき市場をどうやって早急につくるかということが、私は証券行政の一番重大な問題だと考えておるから実は真剣に申し上げておるわけです。決して、ただ機械的な措置ではなくて、原則はやめるのだ、取り扱い方は段階的で、それは対案ができたら処置をして、終局としてはやめるのだ、こういうふうに御答弁をいただきたい、こう思っておるわけであります。
  27. 瀬川美能留

    瀬川参考人 バイカイというものが非常に悪いもので、こういうものをとにかく置いておくことがけしからぬのだ、バイカイはすべて悪なりというふうな御判断に立っておいでになるのじゃないかなと心配するのであります。
  28. 堀昌雄

    ○堀小委員 ここに書いてあるのです。資本市場研究会が書いてあるのを言っているのです。
  29. 瀬川美能留

    瀬川参考人 それにはいろいろ前提があるわけですが、そこで、原則として、バイカイにかわるものがあれば、バイカイを廃止していくということにしていただいてけっこうであります。ただ、バイカイというものが全部なくなってしまっていいものかどうか。今日やはりイギリスの市場においてもバイカイというものはまれにある、アメリカの市場においてもバイカイにかわる制度がちゃんとできておるわけでありまして、原則として、これは時間はきめぬが、それにかわる制度があれば、バイカイというのはまず取り急ぎ純化方法をとって、それにかわる方法があればバイカイというものを順次、ステップ・バイ・ステップに廃止していくということは、私はできれば当然のことだと思うのであります。ただ、ただいまの段階において、一体、バイカイというものは全面的に廃止ができるものかどうかということについて、自分は確信は持ちません。ですから、これは責任ある御答弁はできませんけれども、それはこれから研究していきたいと考えております。
  30. 平岡忠次郎

    平岡委員 関連ですが、場に出してできざるときのみ自分が相手になって立ち向かう、そうして売買を成立させる。アメリカでクロスというのですか、そういう制度もあるわけですね。ですから、対案がなければてこでも動かないということでなしに、やはりそういうことを研究していく、たとえば大量の売買に関しては別なポストでやるとか、そういうやり方があるのじゃないですか。
  31. 瀬川美能留

    瀬川参考人 あるのでございます。いま平岡さんのおっしゃたように、そういう問題をひとつ一々はっきりと浮び上がらしていこう。アメリカじゃ、御承知のようにフロアトレーダーとかあるいはスペシャリストというような制度がありまして、それがディーラー的な役割りを果たして調節をしていくわけでございますから、そういうものを具体的に取り上げて、これがあればこの種のバイカイはやめていいのじゃないかというような、そういうふうな段取りでやっていこうと思っております。
  32. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 関連してもう一つだけ。  瀬川さん、ここではいろいろ言うが、あなたの腹の中ではほんとうにやりたくないのでしょう。その点をひとつここではっきり言ってもらえば、事実われわれも考えがあるわけだ。われわれはそれほど専門家でもないものだからお伺いするのですが、その真意はどうですか。
  33. 瀬川美能留

    瀬川参考人 腹の中でやりたくないからのらりくらり言っているのだということは、はなはだもってけしからぬ御質問だと思うのですが、私は腹の中と口の先と違ったことをいままで申し上げたことはございません。  ただ、いま申し上げたように、私は証券市場拡大と、正常な流通市場と正常な価格形成という点を願う点において、私は決して皆さんに負けるものじゃありません。むしろそれが証券市場を発展させる根本だということはよく理解しておるのであります。ただ、ものにはステップがあり、順序があり、やり方がある。これは現実に歴史を持ってできた市場をこうやるのだ、ああやるのだということは、なかなか勇敢に申し上げられない。これは市場全般の問題でありますから、これはひとつこの辺でお許しを願いたいと思います。
  34. 押谷富三

    押谷小委員長 バイカイ規制につきましてはこの程度にいたしまして、次に、職能分離につきまして、質疑を行ないます。堀昌雄君。
  35. 堀昌雄

    ○堀小委員 御承知のように、証券業法が今度改正になりまして、免許制が四十三年の四月から実施をされることになります。そこで、この免許には四つの種類を法律は書いておるわけでありますが、一般的なことばでいえば、ブローカーとディーラーとアンダーライターとに区別する、こういうふうに理解をしてよろしいかと思います。  そこで、実はこのバイカイ問題というのは、一つはこの職能分離の問題にかかわりがあるわけでございますね。いまの市場問題の中での一つの不十分な点というのは、その場内におけるものが現在は才取り会員がブローカー業務だけを行なっておる。この中にディーラー業務を行なう者がないという点が一つ取引所機構の問題点だと思います。がしかし、同時に過去のいろいろな問題点の中で指摘をされておりますのは、特に四社がディーラーとブローカーと兼業になっておりましたために、自分の店のディーラーの部分で顧客のブローカー的なものに立ち向かうというのですか、表現は適当かどうかよくわかりませんが、相対するという問題がこれまで非常にしばしば論議されてきておるわけです。それが、一つの職能分離を私どもが問題提起した経過となっておるわけですが、そのことでは、実は職能分離がもし完全に行なわれるならば、いまのバイカイの問題というのは、その点では、非常に変わってくると思うのですが、それらについて、ひとつ瀬川さんの御意見をお伺いしたい。
  36. 瀬川美能留

    瀬川参考人 取引所内の機能分離の問題につきましては、いまの才取り会員が単にブローカー業務だけをやっておりまして、ディーラー活動は一切やっていません。アメリカでは三百何十軒のスペシャリストが、それぞれの資力を持ち、それぞれの背景を持って活動して、それが市場の調節をはかっているということは、御承知のとおりであります。私ども、そういろ業界内のます機能分離ということを考えなくちゃいかぬ。おそらくどういう方がそのまま——実栄会という才取り会員がありますが、それはブローカー業務をやっていてディーラー業務をやっていない、ブローカーハウスがそのままなるということは、一部の人はなるかもしれませんが、全部がなるということにはいきますまいとすれば、そういう機能をつくらなくちゃいかぬということを真剣に検討しなければならぬ、そういう問題が出ることは、先ほどのバイカイの問題と結びつけても非常に希望するわけであります。  それから、四社の——四社と申しますか、大証券会社の職能分離につきましては、これは私ども過去においてブローカー業務とディーラー業務というのは両立すべきじゃない、これは利益が背反することだというような御批判をしばしば指摘され、またそれが批判の対象になったわけであります。しかし、私どもがいままでブローカー業務とアンダーライター業務とを運営する観念は、こういう観念で運営をいたしておりました。今日、市場というものはなかなか——今日じゃありません。これは過去の時代においての一つ考え方、今日も続く考え方でありますが、特に過去の狭小な証券市場のときには、証券を短時間に大衆化していく、そしてそこで時期を調節していくためには、どうしてもいまの市場だけでは、株式取引所だけでは、われわれとしてはデマンドに応じ切れない、仕事ができない。そこであくまでもブローカー活動を活発化し、そしてブローカー活動を通じて客にいいものを買っていただくために、われわれは悪いときに手当てをして、株式を商品として持って——それはあくまでも商品であって、スペキュレーションではないという考え方も一そう推し進めていくべきだと思います。さりとて、ディーラー業務というものは、それぞれの証券市場の時点において、自分の資力の範囲内、力の範囲内において特色を発揮していかなければならないものでありますから、これは将来はおそらく分かれることが観念的には最も正しいと思います。ただ遺憾ながら、これは私も株式会社の経営者として会社の経営責任を持っておりますために、一体、分離して職能をはっきりすることがいいのか、あるいは一緒にやっていくことのほうが能率があがるのかということは、これは慎重に事態の進展とともに考えてみなければならない。いまからでも、数年先のそのことを考えながらやはりやっていかなくちゃならぬ、そう考えております。
  37. 堀昌雄

    ○堀小委員 おそらく現在の証取法は、免許をいたしますときに条件を付することができることになっておるわけであります。ですから、私は四十三年の四月という時点では、当然、いま完全に分離するということは、いまのちょうどバイカイ問題と同じように、要するに、いろいろな条件が完全に整わないうちにはできないと思いますから、ある部分は兼業的なものになると思いますから、これには条件をつけて、制限をさせていただくということになろうか、こう考えております。このことといまのバイカイの問題は、実は表裏一体と申しますか、不可分な問題だというふうに考えておるわけですが、そういたしますと、やはり一番近くにある時点というものは、何と申しましても、目標としては、四十三年の四月というのが一つの時限でございます。この免許制が発効するという一つの時限でございますから、そこまでに、要するに、この職能分離の問題なり、バイカイの問題というものに積極的に取り組んでいただいて、内部改善を含めて、大幅な改善がされてこないとなると、私は、やはり証取法の精神から見て問題が残る、こう考えるわけでございます。その点についてはどういうお考えでございますか。
  38. 瀬川美能留

    瀬川参考人 おっしゃるとおりだと思います。私どもといたしましては、なるたけ四十三年何月といわずに、できれば正常化していく姿が一日も早ければいいと考えておるのであります。同時にまた、法によって示された限度をぎりぎり守るということは、これはやはりわれわれの態度じゃない、むしろそれより高い次元に証券業というものは経営していくべきだと考えて努力いたしておるわけであります。
  39. 押谷富三

    押谷小委員長 職能分離の問題につきましては、この程度にいたしまして、次に、免許基準の問題について、調査を進めます。堀昌雄君。
  40. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は、三十八年の四月に証券が少し不況になる時期に、例の坂野通達といいますか、財務比率に関する通達が行なわれたわけであります。私どもが、あの通達を一応見てみますと、まことに常識的な当然のことであったわけですが、たまたま市況が非常に下降時期でありましたために、あの通達を守るということは、必ずしも当時の市況に関してはプラスでないという判断をいたしましたから、私も当委員会において、それの取り扱いについては弾力的な処置を講じてもらいたいという発言をした記憶があるわけでありますけれども、今日、免許制の基準はまだ非常に抽象的になっておりまして、法律で明示しておりますのは、負債倍率を十倍に置くということを最高の限度としておるだけで、その他の財務比率の問題については何ら具体的な問題がまだございませんけれども、私は、日本資本市場が正常に発展をしていくためには、やはり権威のある証券会社ができて、少なくとも今日の金融機関と同様のレベルで国民の信頼を得るということなくしては、証券市場の発達も困難であるし、このことは、間接投資を直接投資へと誘導するのが非常にむずかしいと思っておりますのでこの免許制の問題の提起をしたわけでありますが、その点では、この間も日銀の宇佐美総裁にお越しを願って、少なくとも負債倍率は八倍ぐらいのところで考えるという程度の、わりにレベルの高い免許基準というものを考えてひとつやっていただきたいという発言をしたわけでありますが、その点についてのお考えを伺いたい。
  41. 瀬川美能留

    瀬川参考人 御承知のように、証券界は、昨年の九月を転機にしまして好転してまいったわけでございますが、その前の不況の三カ年間というものは、これは業界としては、皆さんにもいろいろ御心配をかけたようなさんたんたる状態を三年問続けておりました。昨年来の好転で、おかげさまで落ちつきを見せてまいりましたが、この三年間に証券業界が体験した企業の合理化、企業努力というものは、これは私は、よそのことはよくわかりませんけれども、まあ、平たいことばで申し上げますと、血の小便をしたという表現をもって……(「そんな顔をしていないよ」と呼ぶ者あり)三年間でございます。ことに徹底した合理化の上に、今日、やっと政府の政策なり、産業界の回復でどうやら緒についてきたのが現状であります。で、私どもといたしましては、むろん一日も早くりっぱな証券会社にならなくちゃならない、一日も早く体質を強化して、御心配をかけぬように全体としてしなければならぬということを念じておりますものの、やはり業界全体として見渡しますときには、そこにいろいろ遅速の差、程度の差がございますので、いまそういう一つ段階であるということを、免許基準の上には御認識をお願いしなければならぬのではないかと思うのであります。それから、証券業のようにこれだけいろいろのスケールの業者がいろいろな角度から扱っている仕事はおそらくないと思います。特殊な仕事であります。したがいまして、免許基準につきましても、画一的な基準というよりも、やはり一つの上限と下限をお考えになっていただいて、そうしてそれを非常に弾力的に運用していくというふうなことをお願いできるのではないかと思うのであります。どうも、あつものにこりてなますを吹くといいますか、日本人の通弊といたしまして、何か過去に間違ったことがあると、それを改めるのあまり、それに気を使い過ぎるあまりに、前進を怠たる。今日日本の経済の回復、日本の輸出力の増進は過去の大きな過剰設備のメリットでありますが、しかし、一たんああいう目にあうと、どうもしばらく設備投資はできない、じっとがまんしておろうかという空気さえ産業界にあるような感じを受けるのでありまして、あまりあつものにこりてなますを吹くというようなことのないように、弾力的にお考え願えぬだろうか、いまの段階というものはそういうふうな配慮をお願いできぬだろうかということは、私の全体をながめましてのお願いであります。
  42. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 投資家保護立場もありますけれども、何といっても、証券界規制をしなければならぬような時代が来たと思うのです。そこで、あなたは、これは大証券の大社長だが、ほんとうは中小企業の代表者もここへ呼んで話を聞くといいけれども、なかなかそうはいかないので、公平な立場から、いまは野村証券社長という立場ではなくて、広く証券界の代表者として、そういう点の免許基準のことを、今度行なわれる制度についてあなたはどういうふうに理解をされておりますか、簡単でいいですから、あなたの感じだけをお聞かせ願いたいと思います。
  43. 瀬川美能留

    瀬川参考人 佐藤さん、しばしば野村証券社長とおっしゃいますけれども、きょうは決して野村証券社長として伺っておりません。ただ、私が非常に未熟なために業界の代表的な意見が吐けないかもしれぬと思うのでありますが、基準のきめ方につきましては、これは行政当局もいろいろ御検討のことでありまして、私はいまこれがこうあるべきだというような具体的なことは申し上げられませんけれども、くれぐれも申し上げたいことは、これからの真摯な努力というものが、証券業者の体質を非常に強化し、前向きでいくんだ、われわれはむろん投資家保護が第一である、それに徹しなければ証券業者は成り立たないんだということを十分に業界全体として認識して、前向きに進んでおります。それはひとつあたたかいお気持ちで基準を弾力的に守っていただきたいということがお願いであります。
  44. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 そこで、おそらく佐竹さんも加治木さんも来ておられるので、大蔵省としては、結局政治的な問題もあるが、資本の大小で基準をきめてしまうような傾向があるのではないかと思う。この前、ちょうど瀬川さんと中小証券代表の丸宏の武井社長が来ておって、ここで参考意見を聞いたのですが、そういう資本の大きさを基準にしてやってしまうんじゃないかというような心配があるのでありますが、その点はどんなふうにお考えになっておられますか。
  45. 瀬川美能留

    瀬川参考人 私は、単に資本の大きさとかというふうなことではなしに、やはりいろいろの要素を考えて運用をお考えになるのだろうと思うのであります。私がかりに当局の場にありましたならば、私は、単なる資本ということではなしに、全体のいろいろの立場考えまして、そうしてきわめて公平に処理されるのだろうと思うのであります。
  46. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 証券業界はこのごろ昔と違って非常にまじめになってきた。伝統もあるし、私は名古屋の取引所なんかのことをいろいろ聞いておりますけれども、長年、親子三代もやっているような証券会社があるわけです。そういうことからいえば、資本の大きさだけで基準を置いたのでは、まじめな、いままで長い間やっておった人の立場上非常に気の毒じゃないか、せっかく、続けたいけれども資本が弱いからというようなことでやめさせられるということは非常に気の毒なように思うのですが、そういう点は一体どういうように考えておられますか。
  47. 瀬川美能留

    瀬川参考人 これはどうも私がお答えしていいか悪いかわかりませんが、ただ単に資本のあれではなしに、やはりおっしゃるように個々のケースで、実際にまじめに経営して、りっぱな内容を持っておれば、法定の資本基準さえ整っておれば、大小によって社会的な機能に区別はないと思います。また、証券会社はそうあってしかるべきものだと思います。
  48. 堀昌雄

    ○堀小委員 いま私はいろいろな問題の中で一つ忘れられている問題があると思うのは、証券会社の配当の問題だと思うのです。私、実はこの前新聞で、経団連かどこかで瀬川さんの御発言があったのを拝見をしたときに、何か凍結株は九月になったら解除してもいいんだというような新聞記事が出て、その後、実はあれはそういう意味で言ったのではなくて、九月までは放出はしてもらいたくないという意味のことを言ったのがそう誤り伝えられたんだというふうな新聞記事も読んだわけです。一つ私がひっかかるのは、実は九月というのは一体何なんだろうかということなんでございますね。たしか、九月だけは、話の角度は別としても、九月という点は動いていなかったようでありますから、これは私が憶測をすれば、次の決算の終わりが九月だということになるのではないか、こう思ったのですが、その点、これはあと配当の関係もあるからちょっと伺うのですが、真意はどういうことだったわけでございましょうか。
  49. 瀬川美能留

    瀬川参考人 お答えいたします。  実は、私はあのときにああいう発言をした覚えはないのです。それから同時に、経済団体連合会の発表もああいう発表はいたしておりません。私の発言をそのまま発表しておるわけです。したがって、全体の新聞の記事にはそうなっていない、一新聞の記事になっておるわけであります。ただ私は、あのときにその新聞の記者に笑ったのでありますが、それはあなた方の観測記事として、ものの判断としてお書きになるのならば、あるいはこれはりっぱな記事だったかもしれないけれども、私が発言した、私がしゃべったということは、これは事実を曲げて書かれたわけです。私が発言しましたことは、まだ景気の回復も途中だし、増資の質的規制につきましては、もうしばらくいまの一割配当という基準をひとつ続けさしていただきたい、そして九月の決算が済んで、産業会社の業績の裏づけがはっきりしてまいりましたならば、あらためてそこでまた御相談を申し上げてもいいじゃないかという発言をしたことは事実であります。それだけの発言で、凍結株の「と」の字にも触れておりませんから、ひとつ御了解願いたいと思います。
  50. 堀昌雄

    ○堀小委員 これは私は新聞で見ただけですから、おっしゃるとおりだと思います。  そこで、免許をされた後に当然やはり配当がされなければ——これは企業会社でしょうから配当という問題が起きてくるかと思うのですが、ただその配当のあり方ですね。今後の配当のあり方というものは、各種金融機関もおおむね八分なり九分なり一割なり、多少のバラエティーはありますけれども、そこらに大体落ちついているようでありますが、やはり証券会社も将来配当なさるべきだと思いますし、その兼ね合いを見てやはり資本金のあり方もきまらないと、ただ資本金さえ大きければいいということでは配当もできないということになりましょうから、配当の問題は十分考えて、次のときに手をあげられることになろうかと思いますが、大体どのぐらいを証券会社としては適正とお考えになっておるか、ちょっとそれを伺っておきたいと思います。
  51. 瀬川美能留

    瀬川参考人 なかなかむずかしい問題でございますが、配当制限業種、つまり、金融機関とかそのほかございますが、これは要するに、戦後の復興から、金融機関なり、ことに証券会社は今度はいよいよそういう体制に入るわけでございますが、大衆の大事な金を預かったり、大衆の大事な財産を扱う機関というものは、どうしても内容を充実して、そうしてどんな場合にもびくっとしないような企業体質に持っていかなければならないという趣旨から、おそらく配当を制限されているに違いないと思うのであります。そういう観点からいきますと、今日の銀行の配当なんかぼつぼつある制限を設けて、もっと上に率を持っていったらいいのじゃないか、それがほんとうの資本市場を育成する道ではないか、銀行の配当制限はたしか八分、市中銀行が八分と聞いておりますが、それを一割五分くらいのところまで幅をつけて、そうして配当をしていってもいい段階にきたのじゃないか、そういう制限のしかたをすべきが筋じゃないかというふうに考えております。証券会社はまだ内部蓄積は非常に貧弱でありまして、これから蓄積の段階でありますから、これはあくまでも証券会社としては配当制限をしていくべきだという点については異論はございません。ただ、証券会社もむろん今後の収益力に見合っての資本の規模を考えていかなければならないわけでございますけれども、私は、少なくとも金融機関より信用が薄い、しかも、資本調達が今後市場の発展に伴って必要だということであれば、一分ないしは二分くらい上であってしかるべきだというふうに考えておりますが、配当制限という問題は、これはある時点では幅をもっと広げていくべきだというふうに考えております。
  52. 押谷富三

    押谷小委員長 免許基準に関する問題につきましてはこの程度にいたしまして、次に、凍結株に関する問題につきまして、調査を進めます。平岡忠次郎君。
  53. 平岡忠次郎

    平岡委員 現在共同証券日本証券保有組合の両者で約三千六百億円の株式が凍結されております。この手段をとりましたので、昨年の市況の惨落を食いとめてきたわけでありまして、歴史的使命は十分果たせたと思うのです。しかし、現在におきましては、他企業が資金的に困っているときに、どうして証券業界のみがかかる恩典を切らざるままに置かれるのかという点に対しては、かなり疑問があると思うのです。ことしの三月の仮決算で、ほとんどの各証券会社は創業以来の最高の利益をあげていると聞いております。瀬川さんの野村証券も、うそかまことか知りませんが、これは荒利益でしょうが、半期で七十億円のもうけ、そういうことで、なべて証券会社が非常に利益をあげたということ、これは御同慶の至りなんですが、そういう状況ですから、この凍結株もそろそろ始末をしなければならぬと私ども考えております。御意向はどうでしょうか。
  54. 瀬川美能留

    瀬川参考人 保有組合と共同証券の問題でございますが、私は保有組合の理事をいたしておりますから、まず保有組合の点だけをひとつお答えを申し上げたいと思うわけでございます。  保有組合は、御承知のように、昨年の一月に結成いたしまして、ちょうど一年半経過いたしてまいったわけであります。お話のように、市場の安定に非常に役立ちまして、それなりに効果があがったことを非常に感謝をいたしておりますが、保有組合の存続期間は三年になっております。しかし、三年だからといって、三年までほっておいていい問題ではなくして、お話のようにいろいろの情勢が熟してまいりましたならば、これは当然一歩一歩解消のほうに持っていくべきものだと考えております。この五月に、とりあえず保有組合の二千三百億円のうち、業者の買い戻し分五百億円というもの、これを解除いたしまして、まずその分を解決の方向に大きく進めたわけでございます。残りの千八百億円は、御承知のように投資信託の肩がわり分でございます。私どもはこれはいつどういう方法で売るか、どうするかというようなことは、非常に市場の強弱にも影響を及ぼす問題でございまして、はっきりと答えられないのでございますけれども、私どもはこれを処分するには、やはり市場に大きな影響を及ぼさない、市場の安定ということを目的として設立された組合でございますから、これを処理する場合にも、やはり市場の動向等をよく見まして、大きなショックを与えずに処理する、そして処理期間も、したがって早急に大きく一挙に処理するということはでき得ないだろうと思います。ただいま保有組合自体におきましても、事務局も非常に拡充いたしまして、同時にまた、私どもも、どういう方法で、どういう時期に、どういうふうに処分していくことが最もいいかというようなことを、いろいろの観点から真剣に検討を続けております。幸いに、最近は市場もだんだんと先行きを期待する仮需要と申しますか、信用取引あたりを縮小してまいりまして、それにかわって現実の業績があがっておる業種に対しての実需の買いものが入ってくるということで、健全な状態に一歩一歩復してきておるように思いますので、確かにこれを実行する条件がだんだんと徐々に熟してきつつあるような情勢に幸いなっておりますので、ただいまいつ、どういう方法で、どうやるかというようなことを実は真剣に検討を続けておるということで、それ以上のことはただいま申し上げられない段階でございます。
  55. 平岡忠次郎

    平岡委員 市場に影響があることですから、そう具体的にはっきりおっしゃれないこともよくわかります。いまあなたのお話で、とにかく解除しなければならぬ時期にはきて、そこでいかに放出するかが問題であるということになろうと思います。日銀も大蔵省証券界も、それぞれ漸次放出すべきものであるということでは意見は一致していると思うのです。具体的なプログラムといたしましてプログラムを示すと市況に関係がありますから、そうもまた踏み切れないでしょうが、ただ一点お聞きしたいのは、この放出先ですね。これは当然、場に出し処理すべきものだと考えております。片や証券会社がこれを買いたいという意向もあると思うのですけれども、この二つの問題についてはどっちを選択されますか。
  56. 瀬川美能留

    瀬川参考人 処理する時期がだんだんと熟してきつつある、しかし、これは非常に慎重にいろいろな条件考えなければならぬ。売り方につきましても、市場に売るか、業者がディーラーとして仕切るか、あるいは法人筋とかそういうところへ大量にはめるか、いろいろの方法があるわけでございますが、それはやはり株の数とか株の性格とか、そういうことによってきめるべき問題で、そういう問題をいま非常に検討しているということでございます。
  57. 平岡忠次郎

    平岡委員 方法としては、場に出すのか、それともはめ込むとか、ディーラーとか……。
  58. 瀬川美能留

    瀬川参考人 これは要するに、市場に影響を及ぼさない、また、最も買い方の希望する、また売り方がスムーズにいけるような方法をつかんでいくということで、方針として場に出すとかどうするかということは、きまった方法考えられないと思います。
  59. 只松祐治

    ○只松小委員 いま共同証券の分については全然お答えになりませんでしたが……。(「保有組合のほうだから」と呼ぶ者あり)しかし、まあ全然無関係だというわけでもないですね。答えられないということなら別ですが。
  60. 瀬川美能留

    瀬川参考人 私は共同証券のほうは一株主でありまして……。しかし、非常に市場に重大な影響がある問題ですから、自分が希望として考えておりますことは、やはり保有組合はこれは業者のそれぞれの手持ちの変形である。十四社がそれぞれ保有組合員として残っておるわけでありますから、それがそれぞれの拠出した頭金とパーセンテージで共同でホールドしておるわけでありますから、こういう不正常な状態はまずわれわれは正常化していきたい、保有組合から正常化していきたい。共同証券は、株式会社という形式で株主の危険においてホールドしておるあれでございますから、まず保有組合が先行して、共同証券をどうするかこうするかということはそのあとに考慮さるべき問題じゃないか、そういうふうに考えております。
  61. 只松祐治

    ○只松小委員 当時この問題を論議したときは、大蔵大臣は、稲田さんじゃなくて田中さんだったのですが、そのときは一年間たな上げしておけば何とかなる、それが多少期限が延びましたけれども、当初は一年間一年間ということを非常に強く言われたわけです。ところが、いま一年半を過ぎまして保有組合のほうだけ何とか——共同証券のほうは時期的には何にもお答えになりませんでしたけれども、当委員会において論議をされたときには、期限もそういうことで相当強く言われておりましたが、そういう点に関してはどういうふうにお考えですか。
  62. 瀬川美能留

    瀬川参考人 一年間一年間というふうなことは発言があったかどうか知りませんが、これはあの段階におきましては一年間でそれが解除できるような状態になるだろうと私どもはむろん考えてなかった、そういうことは考えられなかったと思うのでございます。むしろ一年間であれが解除できるような状態であれば、ああいうものはつくる必要がないという判断でありまして、それで保有組合のほうも、三カ年という期限をいただいたのも、実は三年くらいたてば何とかなるだろうという判断の上に立ったわけでございます。これはどう判断いたしましても、それぞれの判断でよしあしを申し上げるわけではございません。結果論だけでございますけれども、しかし、三年間あるから三年間ゆっくりしておっていいという、そんな大それた考え方は毛頭持っておりません。すでに五百億円のものを保有組合として解除できましたのは、実は昨年末から寄り寄り相談しながら、やっとまず第一段階が終わったわけでございまして、この処理につきましては、私どもは決してあだやおろそかな考えではおりませんから、ひとつ御安心を願いたいと思います。
  63. 只松祐治

    ○只松小委員 当時一年間というのは、初め二千億円という説明があったわけですね。二千億円で、これは一年間の増資に見合う云々というようなことで一年間ということを力説されたことを覚えております。そういうことですが、しかし共同証券のほうは全然期限についていまお触れにならない。この点はあと質問で触れるということでありますが、これと関連いたしまして、そのときにも、安いときに放出することはないと思うから、必ず利益が出るということを私たちは言ったわけです。その利益分をどうするか。大体千二百円平均のときにたな上げになったわけですが、いま千五百円です。そうすると七、八百億円の利益がある、あるいはそれ以上だ、こう言われておるわけです。これをめぐって業界内部の資金にすべきだとか、いろいろ問題が提起されてきておるようでございます。これをどういうふうに処理されますか。これはあとの山一証券その他の問題とも関連しますが、きょうの答弁を聞いておりますと、瀬川さん、なかなか強気のようでございますけれども、一年前に私たちが論議したときには青菜に塩と申しますか、とにかく、お願いします、お願いしますというような感じだった。
  64. 瀬川美能留

    瀬川参考人 たいへんどうも生きのいいところをお見せして申しわけございませんが、保有組合の利益の処理につきましては、結成のときに、あげました処分益は、五〇%は証券界の共同目的のため、証券界の地位向上のために使うというお約束を申し上げておりますので、それをどういうふうに使うのかということは、まだなべに入らない先でございまして、いまから言明の限りではございませんけれども、また皆さんとよく相談してきめなければならない問題でございますが、大体そういうたてまえになっておると思います。
  65. 只松祐治

    ○只松小委員 残りは。
  66. 瀬川美能留

    瀬川参考人 残りは各企業の利益になるわけでございます。
  67. 堀昌雄

    ○堀小委員 凍結株の問題は、市場ではいま一番気にしておられる問題だと思うのです。これはちょうど、かつて共同証券ができまして、下値管理価格といいますか、一種の管理価格のようなことが最終的になって出てきた経緯があるわけですが、今日どうやらこの凍結株というものが上値の管理価格になってきているんじゃないかと思うのです。だから私は、やはり証券市場が正常になるためには、できるだけ早くこの問題の処置をしなければ、市場の問題としてもあまりフェアでないし、またわれわれもダウが千六百円、千七百円となるのをただ国民の立場からじっと見ていて、これだけ日銀の信用によってささえられている狭いところを利用してスペキュレーションが横行するなんということは、これは国民的な不信感が証券市場にまたはね返ってくるのではないかという感じもするわけです。だから、この点についてはこの前、宇佐美総裁にお越しいただいたときも確認をいたしたのですけれども、やはりできるだけ早く、しかし時宜に適して処置をするということにしていただかないと、私はこれは非常に禍根を残す問題になりはしないかという感じがいたしますけれども、その点はいかがですか。
  68. 瀬川美能留

    瀬川参考人 非常に転変の激しい証券市場であり、財界でございますから、御趣旨を体して、可能な限りいろいろの情勢を勘案して、やはり早く解決できれば早く解決できるほどしあわせだというふうな考えが基本的な考えでございますから——ただ、私どもいろいろのことを考えながら処理していくものでございますから、もうすでに前向きの方針がとられて一部やったということでも御了解願えるだろうと思っております。
  69. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)小委員 瀬川さんにちょっとお伺いするのですが、実はこの間三月の中旬にアメリカのウォール街に行っておったわけです。たまたま課税問題が起きまして、そうしたら、御承知のとおりハドソン川を越えて向こう側のニュージャーシーへ行けば税金がかからないということで、直ちに取引所その他業者の方々が全部結束して引っ越すということになったわけです。ところが、そういうことをおそれて政府はようやらなくなったんですが、事の理非は別にして、あの資本主義の中で徹底しているんじゃないか。政府が課税するということになれば自分たちは応じないというような  これは国全体とすれば、私は感心しないけれども、事の理非は別にして、証券業者が非常に結束をしておるということに感激をしてきたのですが、あなたもこの間アメリカへ行かれたけれども、そういう点は、日本のような場合はどうですか。その点だけあなたの御意見を伺っておきたいと思うのです。
  70. 瀬川美能留

    瀬川参考人 いまのお話は、ニューヨーク取引所の理事長が、取引税を増税するからニューヨーク市を出ていこうという何でございますね。いままでこういう問題は三回ございまして、そのたびごとに実は取引所側の勝利に終わっております。今度は市長の態度がかなりきついものですから激しいところまでいっておりますが、これも大体解決する見込みのようでございます。アメリカの証券業に比べて日本証券業がはたしてそれだけの結束力があるか、それだけの迫力があるかという御質問でございますが、遺憾ながら、まだ未成熟市場でございましていろいろ問題の多い市場でございますので、われわれは一日も早く自主的に判断し、自主的に行動する、正しいことはあくまでも通していくという信念に立脚しなければならぬと考えております。そういう時期が、生きている間にくるようにと思って一生懸命やっておるところでございます。
  71. 平岡忠次郎

    平岡委員 この四つの議題と違うのですが、やはり重要なことと思いますので、この際御質問したいのですが、投資信託です。御承知のとおり、半分以上が元本割れになっております。投資家保護の観点からこのくらい投資家に迷惑をかけたものはないと思っております。いまだに償還の一年延長をやっておるわけですね。この証券不況を招いた要因の一つがこれであったし、いまなお市場への圧迫要因となっております。それで、投資信託、文字どおり信託ということばを使っているのですけれども、名前は信託ですが、内実は決して信託に値しない。投資家と投信会社との信託関係はないと言っても過言ではないと思うのです。ですから、この投資信託自身をどういう方向でよくしていくかということは、当然証券業界の責務の一つであろうかと思っております。この点につきまして、お考えはどうでしょうか。
  72. 瀬川美能留

    瀬川参考人 投資信託も、一つの時点で御批判を願えば、まるですべてが罪悪であったような御意見でありますけれども、、投資信託が過去におきまして投資家の信頼にこたえたという事実もあるし、日本の高度成長に大きく貢献してきたというメリットもあるし、日本資本市場拡大してきたというメリットもあるわけであります。しかし、私どもがこの仕事を運営する立場としては、いま平岡さんがおっしゃったような苦い経験もあるので、もっと固めていかなければならないけれども、そんな投資信託ばかりじゃないのじゃないか、投資信託に対する投資家の信頼は相当あるのじゃないかということを実は言いたいのでありますけれども、私どもの今後の投資信託の改善の態度としては、批判に対しは必要以上に低姿勢でそれを守っていかなければならない、それに向かっていかなければならないと思うのであります。ただ、投資信託は、その意味で過去二回くらい大きな試練を受けましたが、おかげでだいぶ償還額面可能のものも出てまいって、一時よりは非常に内容は改善されてまいりました。そしてまた、過去の投資信託のいろいろの過程におきまして、安定的な投資信託あるいは社債の投資信託、大型の投資信託というような新しい商品、決して客に迷惑をかけずにりっぱにメリットを果たしているという投資信託も、今日の状態においても生まれております。たとえば、大型投資信託あたりは、この悪い時期においても額面を割ったことがないという投資信託が生まれておりますし、社債の投資信託あたりもおかげで順調に発展してきておるのであります。ただ、これからの投資信託制度というものは、これはいろいろと過去の苦い経験に照らし合わせて——なかなかこの投資信託も、社債の投資信託とかあるいは一部の限られた投資信託であれば、あらゆる場合においても値下がりしないという投資信託が生まれますけれども、、本質が株の投資信託であります以上は、やはり上がったり下がったりするのは当然のことであります。しかし、終局においては、投資家の信頼に大きくこたえなければならないことは当然のことでありますが、商品の本質がそうでありますから、いろいろと過去のわれわれの経験に照らしまして反省を加えて、ひとつ投資信託をリバイブさせていきたい。今日投資信託の解約、設定がどうやら均衡がとれたような状態にまでぼつぼつ回復してきております。しかし、投資信託の受益層の入れかわりというものが相当現状においてあるわけでございまして、われわれは、投資信託の勧誘態度におきましても、運用態度におきましても、それぞれ商品を十分理解して投資信託を持っていただくという方向に進めていきたい。また、制度の改正につきましては、必要なことは逐一やっておりますけれども、今回特別委員会を投資信託協会の中に設置いたしまして、先般の高橋亀吉さんを中心とした研究会の結論中心に行政当局ともよく打ち合わせながら、前向きの姿勢で取り組んでおるような状態でございます。
  73. 平岡忠次郎

    平岡委員 投資信託がかなり大衆の怒りを買ったことは、結局、証券会社という親会社、それからそれの系列の投資信託委託会社が形式上は分離しましたけれども、実態はやはり親会社の力が強いということで、その意思に甘んじて正常な運営をしていないという、率直に言いまして、そういうきらいがいまでもあると思うのです。要するに、実質分離はいまだきの感があると私は思うのです。そういうことですから、抜本塞源的に投資信託というものを考え直す必要があると思うのです。たとえば、極端に言いますと、オープンとユニットの各一社ずつを設立する、そしてその公開販売は全証券会社を通じて売らせる、こういうふうなことにしますれば、私は、非常に安全に、しかもいま言った親会社と系列の投資信託委託会社との間の暗い面もすっきりすると思うのです。反面、そういうことでは魅力がないという反論があるかもしれないが、抜本的塞源的なことを考えないといかぬように思うのですが、どうでしょうか。
  74. 瀬川美能留

    瀬川参考人 投資信託と委託会社との関係でございますが、これは御承知のように、日本の投資信託が当初証券会社の兼営で出発した、当時戦後の荒廃した中に、証券会社が兼営で出発をしなければならない投資信託は採算的に成り立てなかった。また、それが必要であった。しかし、われわれは、そのときに司令部に対して、これが一人前に育ってくれば必ず分離いたしますというお約束を司令部なり大蔵省に当時して発足いたしたわけでございます。そして昭和三十三年か四年だったと思いますが、分離いたしました。それは形式的な分離でありまして、その後二、三年たちまして株式の公開をやったわけでありまして、今日では投資信託の委託会社と証券会社という形はだんだんと切り離されて、そうして委託会社本来の能力と運営を発揮してきた状態に進みつつあります。こういうものは一気に——いままでの動いてきた習慣ですから、そこに委託会社と証券会社との間に、御指摘のように親会社のままに委託会社が動いた面があったかもしれないが、しかし同時に、親会社があったがために委託会社の運営が非常にうまくできたという面もあったかもしれない、両々私はあったと思います。ただ、ここ数年の間に非常に喜んでおり、着目しておることは、委託会社にほんとうにエキスパートということがだんだんと育ってきた。そしてそれが過去数年間のあれによって完全な独立の方向に実質的に進んできたということであります。私どものほうの会社の野村証券投資信託委託会社に対しては、投資の参考上いろいろ情報を出しましてアドバイスはいたします。しかし、どの株を買って、どう運営していくかということは、一切委託会社の社長が決定するというたてまえは厳重に守られておる。これはどこの会社毛そういうふうなたてまえでやっておるわけでありまして、だんだんとこの実があがってきたということだろうと思います。お話にありました、いろいろこうやったらこうだという点は、これはひとつ先ほど申し上げました委員会で十分検討いたしておりますので、また結論が出、いいものがあれば一歩一歩その実現に移していきたい、こう考えております。     —————————————
  75. 押谷富三

    押谷小委員長 ただいま中山参考人が御出席になりました。  中山参考人には、御多用中御出席いただきましてありがとうございました。  引き続きまして、運用預かりの問題について、調査を進めたいと思います。  両参考人への質疑を続行いたします。平岡忠次郎君。
  76. 平岡忠次郎

    平岡委員 運用預かりの件でお伺いいたしますが、弊害は万人の認めるところであります。大蔵当局も四十三年三月までに断固やめさせるというかまえをしておられるわけであります。問題は事態の収拾の方途いかんということにあると思うのです。この四十三年三月のタイムリミットを厳守するという大前提のもとにいかなる方式があるかを、ベテランの瀬川さんからお答えいただきたいと思います。
  77. 瀬川美能留

    瀬川参考人 私は、運用預かりの制度そのものは、これは間違った制度であって、悪い制度とは考えない。と申しますのは、問題は、運用預かりの制度そのものにあるのじゃなしに、運用預かりの制度の運用のしかたにあった、運用が間違っておったのだということであります。現在運用預かりのルールがそこなわれた。そのルールを守っておればどうこういうことはなかったのだということだと思うのであります。これは詳論は差し控えますが、本来、人の信用でどんどん仕事を拡充し、異常な発展を遂げていったという反省を持っておりますからして、これはやはり自分の力と自分の範囲内においてやっていく体制を一日も早くつけなければならない。それが正常化だ。金融機関もそれが正常化なら、証券会社もそれが正常化、したがって一日も早くその体制をつくっていかなければいかぬという点においては異見はないのでありまして、同意するわけであります。四十三年を区切って、大蔵大臣の言明によりますと、当局が廃止に踏み切られたということに対しては、異論を差しはさむことはない、当然のことだと思うのであります。  そこで、証券会社としていままでどういうやり方をやってきたかという点について申し上げますと、昨年のいまごろでしたか、例の不祥事件がありましたときから、私どもは割引債券を売却する場合に、運用料を入れた、運用料を加味した利回り表示を絶対にしない。つまり、運用料を入れますと六分六厘、運用料を入れませんと六分二厘になります。そこで六分二厘という表示をして、運用利回りを入れて六分六厘という公告なり表示は一切やめたいということと、積極的に勧誘しない、ふやさない。客からどうしても従来どおり運用でやってくれというものはやむなくけ受るが、しかし積極的に勧誘しないという申し合わせをし、お互いにその態度を厳守してまいったのであります。ところが、私どもはその過程において運用預かりはだんだんと実際的に減らしたいが、さしあたり十万円以下の小口の運用からでもひとつやめていくというふうな方針をとったらどうかといろことも、内々いろいろ話し合ったこともあるのでありますけれども、これはあくまでもお客さんの希望があれば機会均等にして、小額と大口を区別すべきじゃないという感覚に立ちまして、これもやらずに終わっておるわけでありますが、お互いに申し合わせまして、さしあたりこの七月から運用料を現在の一厘から七毛五糸に下げよう、四分の一下げ、そしてだんだんと下げてなくしてしまえば、ここで運用証券というものはなくなるわけであります。運用料がなくなってしまえば、当然お客に返すわけであります。私ども企業の内部体質を強化いたしまして、同時に内部体質に流動性をふやしまして、一日も早くこれを解消したいと考えております。そしてまた、できれば、四十三年の三月を待たずとも、それまでに一日も早くこれを解消したいという念願でつとめておりますが、全体として見ますときに、やはり四十三年になりましたときに一時的に無理が起こる場合があるかもしれぬと思うのであります。私どもはそういうことは決して考えておりません。なるべく四十三年三月までに全体として解消したいという考えを持って、企業体質の強化と企業資産の流動性を心がけておりますけれども、そういう場合がございましたなれば、そういう場合には、ぜひひとつ特別の御配慮をお願いしなくちゃならないかと思います。一時暫定的な措置が要るかもしれないと思うのであります。それからもう一つは金融問題でございますけれども、運用証券を解消するためには、やはり株式担保金融の円滑化ということをぜひお願いしたいということと、それから、証券会社には担保にならないいろいろの財産がやはりあるわけでございまして、そういう面につきましても流動性のつくような御配慮が願いたいような場合があるかもしれませんが、要するに、暫定的な措置というものが要るような結果にならないように、私どもはなるべく早く解消していきたいと考えております。
  78. 平岡忠次郎

    平岡委員 少し具体的にお伺いしますが、いま十九社で運用預かりの残高が二千六百億円のそこでタイムリミットが二年先ですから二十四カ月ないかもしれません。二十四カ月そこそこです。そうすると一カ月百億円くらいずつこれはくずしていかなければならぬわけですね。可能ですか。
  79. 瀬川美能留

    瀬川参考人 現在の保有組合が解消いたしますと、大体四百五十億円というものが戻ってくるわけです。そういたしますと、二千七百億円のうち、現在使っておりますのが千六百億円くらいだろうと思います。そのうち保有組合が四百五十億円ばかりですから、千億円が千百億円というものがこれから返還していくべき筋合いのものだと思います。私は可能かどうかということは、いまの時点ではっきり答えられませんが、多少かわり金融というものが要るのではないかという事態が起こってくるのではないかということを心配いたしますので、そういう点について御配慮いただければと思っております。
  80. 平岡忠次郎

    平岡委員 大筋は、運用預かりは二年先に大体解消できる。もっと積極的に言うと、乗りかえがあるわけでしょうから、二年先ではなしに、四十四年三月まではいけるのじゃないかと思うのですがね。
  81. 瀬川美能留

    瀬川参考人 そういうこまかい点は多少のちぐはぐがあるかもしれませんが、あるいは四十三年の三月にやはりかわり金融を御考慮願わなければならぬようなことになるかもしれないと思います。その点はわかりませんが、われわれの心がまえといたしましては、四十三年を待たずとも、なるべく早く解消をしたほうがいいのではないかと考えております。それで、まず第一段階として着手いたしましたのが運用料の引き下げでございます。
  82. 堀昌雄

    ○堀小委員 いまの運用預かりの問題は興業銀行の中山頭取に御配慮いただいておりますが、これは割引債との関係で問題があるわけでございます。そこで、実は長期銀行の問題としては現在利付債と割引債とを発行しておいでになるわけですが、今度は手数料をお下げになるという問題もありましょうから、店頭で売られておるものならば別に逆ざやにはならないと思うのでありますが、証券会社を通じてお売りになる場合には、おそらくいまの金利では割引債の部分についてはやや逆ざやになる分があるのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  83. 中山素平

    ○中山参考人 私どもの資金源として利付債と割引債を使っておりますことはお話のとおりでございます。資金コストとしては、御承知のように手数料の関係がございますので、利付債と割引債を比較いたしました場合に、証券会社消化の分についてはそう大きな差がないということは言えるのでございます。ただ、金利が下がりましても、割引債の資金コストで逆ざやということはございません。
  84. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、運用預かりというものが制度としては四十三年の三月になくなる、こうなりましたときの割引債の今後のあり方でございますね。いまはやはり一厘なりついておりますから、割引債に上乗せをした形で、投資家のほうにすれば非常に有利でございますし、おまけに信用があるところならば、預けておいても心配がないという問題があるわけですが、山一をはじめ、私ども非常に不安な条件でありますから、制度としてはやめてもらいたい、こうなってきたわけでございますけれども、今後そういう制度がなくなった後における割引債の発行状態ですね。私は、やはりあり方としては利付債のほうをふやして、なるたけそういう制度と並行して割引債の発行も少し減らしていただくという形が望ましいのではないか、こう思うのでございますけれども、その点いかがでしょうか。
  85. 中山素平

    ○中山参考人 たしか、この前この委員会で同じような御質問が出ましたときに私お答えしたと思うのでございますが、御承知のように、割引債をなぜ長期信用銀行が使っているかという問題であります。戦前は、御承知のように、やはり金融の逼迫期というものでなかなか債券の消化がむずかしいものでございますから、そのときには割引債をむしろ主体にして資金を集める。金融の緩慢期にむしろこれを利付債に借りかえるというような意味におきまして割引債が資金源としての効用をしておりましたが、戦後もその本質には変わりございません。ただ、御承知のように、戦後、特にここ七、八年というものは資金需要が非常に強いものでございますから、絶えず資金の不足ということから割引債がむしろ常態化してきているというのが現状でございます。ただ、私どもが経営をやってまいります場合には、もちろん長期信用銀行といえども短期資金の融通もしております。したがって、資金の長短吻合ということは十分考えます。もう一つは、いまお話のように、資金コストとしても一年ものと五年ものというものも実質的にそう大きな開きがない。それから一年たちますと借りかえをいたさなければなりません。たとえば、例のボンドオープンの問題が起きましたときには非常に借りかえが困難でございました。したがって、われわれは経営といたしまして、やはり割引債が売れるからということで非常に大量に売るということは、むしろ一切慎むべきものである。いままでも、さっき申し上げた常時資金不足というような状態でも、大体債券の発行量の三割ぐらいを限度というくらいに考えてやってきております。  そこで、問題の運用預かりでございますが、昨年問題が起きましたときに、たとえば、この制度がなければ割引債の消化がむずかしいんじゃないか、あるいは割引債の消化はこの制度によってささえられていたのではないかという御疑問なり御批判もあったのでございますけれども、しかし私どもから見ますと、おそらく投資家の皆さんとしては割引債をお買いになりまして、それを自分のうちに置くということは、盗難ですとか火災ですとか、いろいろな危険がございます。したがって、信用のある証券会社にむしろこれをお預けする、保護預けというような感じで、本来なら保護預け料を出すということのような感じでお預けになる。しかし、いまお話のように、証券会社のほうでは、これをむしろ運用に使おうということから預かり料を出される、利回りが上がるということで投資家が活用されたのですが、その本来は、さっき申し上げたような保護預け、その一つの事実といたしましては、あの問題が起きましてから、投資家は、従来運用預かりいたしますと現物はむしろ御自分の手にまいりませんで、証券会社皆さんのほうではこれを運用するという便宜から、大券でこれをむしろ発行機関に要求されておったのですが、あの問題以後は、つまり、小口債券規模で、現実には私どものほうでそれを大量に印刷しなければならぬというような状況が出ているわけであります。でございますから、これはおそらく小口債券で御自分が一度手に入れて、それをさらに他の保護預けという形でいっているのではないか。消化の面におきましても、あの問題が起きましてから御承知のように別に減っておりません。したがいまして、今後運用預かり制度が廃止されて消化に困るんじゃないかという御疑問に対しては、私は支障ないんじゃないかと思います。それからまた、本来私どもが割引債を出すということについては、さっき申し上げたような経営として当然これに安易に依存するとか、大量に出すということは採算的にもむしろいたしませんでしたから、その面では御心配は要らないんじゃないか、そういうふうに考えております。
  86. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は割引債は一年でございますから、前年にたくさん出て、その次の年にあまり出なかった、こういうことになりますと、大体長期銀行は貸し付け先が比較的固定をしておるわけですから、さっそく資金繰りという問題が出てくるのではないか。その点はやはりかなり金融の全体の流れと関係がございますけれども、緩慢になっておる時期にはかなり慎重な配慮が要るのではないか。最近拝見していますと、コールに千二百億円くらい入る——これはちょっと前の資料でございますが、入るようでございますし、それはおそらくそういう問題に対処するためにお出しになっているのだろうと思うのですけれども、そこらは、これまでに比べるとコールが非常にふえてきておるという点についてはどういうふうなお考えでございましょうか。
  87. 中山素平

    ○中山参考人 現在の資金の運用につきまして、余裕金が多少出ておりましてコール運用していることは御指摘のとおりでございます。私ども長期信用銀行の経営を考えてまいります場合、先ほど御説明申しましたように、本来は日本銀行の借り入れとかコールというようなものを資金の運用面から考えますと、一般預金銀行さんよりはむしろ消極的に控え目に考えるというのが当然の態度だと思います。ただ、私どもの銀行なんか預金銀行さんに比べますれば非常に少ない預金をお預かりしております。したがって、この預金が動きますものですから、その関係において日本銀行から借り入れをするというようなことはいままであったわけでございます。われわれ経営をしてまいりますと、先ほど御指摘のように、いろいろな金融情勢の変化がございます。ある程度の余裕金を持って、そうして経理が成り立つということでなければ、すぐ日本銀行にかけ込む、コールに依存するということはまずいのではないか。前回の緩慢期にも多少そういう意味におきまして余裕金を持ったことがあるのですが、すぐ資金の需要期にぶつかりますものですからそれが実現できなかった。今度はたまたまこういう時期になりましたので、私どもといたしましては、ある程度の余裕金をむしろ持つという経営に持っていきたい。しかし、そうは申しましても、先ほどから申しておりますように、やはり銀行としては経理を考えなければなりませんので、そう経理を無視した余裕金ということは出てまいりません。したがって、そうなりますれば、どうしても資金需要との関連におきまして、債券の募集のほうは圧縮していくということにおいて調和をはかっていくということがわれわれの経営の考え方だと思います
  88. 堀昌雄

    ○堀小委員 大体これでけっこうでございます。
  89. 押谷富三

    押谷小委員長 これにて瀬川参考人に対する質疑は終了いたしました。  瀬川さんにおかれましては、御多用中のところ、長時間にわたりまして御出席をいただきまして、いろいろ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。随時御退席をいただきましてけっこうでございます。     —————————————
  90. 押谷富三

    押谷小委員長 ただいま岩佐参考人及び田實参考人が御出席になりました。  両参考人におかれましては、御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございます。  引き続き、各参考人の御意見を伺うのでありますが、調査の便宜上、これから懇談の形で議事を進めたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 押谷富三

    押谷小委員長 それでは、懇談に入ります。      ————◇—————   〔午後四時三分懇談会に入る〕   〔午後五時三十分懇談会を終わって散会〕