○中山
参考人 たしか、この前この
委員会で同じような御
質問が出ましたときに私お答えしたと思うのでございますが、御
承知のように、割引債をなぜ長期信用銀行が使っているかという問題であります。戦前は、御
承知のように、やはり金融の逼迫期というものでなかなか債券の消化がむずかしいものでございますから、そのときには割引債をむしろ主体にして資金を集める。金融の緩慢期にむしろこれを利付債に借りかえるというような
意味におきまして割引債が資金源としての効用をしておりましたが、戦後もその本質には変わりございません。ただ、御
承知のように、戦後、特にここ七、八年というものは資金需要が非常に強いものでございますから、絶えず資金の不足ということから割引債がむしろ常態化してきているというのが
現状でございます。ただ、私
どもが経営をやってまいります場合には、もちろん長期信用銀行といえ
ども短期資金の融通もしております。したがって、資金の長短吻合ということは十分
考えます。もう
一つは、いまお話のように、資金コストとしても一年ものと五年ものというものも実質的にそう大きな開きがない。それから一年たちますと借りかえをいたさなければなりません。たとえば、例のボンドオープンの問題が起きましたときには非常に借りかえが困難でございました。したがって、われわれは経営といたしまして、やはり割引債が売れるからということで非常に大量に売るということは、むしろ一切慎むべきものである。いままでも、さっき申し上げた常時資金不足というような
状態でも、大体債券の発行量の三割ぐらいを限度というくらいに
考えてやってきております。
そこで、問題の運用預かりでございますが、昨年問題が起きましたときに、たとえば、この
制度がなければ割引債の消化がむずかしいんじゃないか、あるいは割引債の消化はこの
制度によってささえられていたのではないかという御疑問なり御批判もあったのでございますけれ
ども、しかし私
どもから見ますと、おそらく投資家の
皆さんとしては割引債をお買いになりまして、それを自分のうちに置くということは、盗難ですとか火災ですとか、いろいろな危険がございます。したがって、信用のある
証券会社にむしろこれをお預けする、保護預けというような感じで、本来なら保護預け料を出すということのような感じでお預けになる。しかし、いまお話のように、
証券会社のほうでは、これをむしろ運用に使おうということから預かり料を出される、利回りが上がるということで投資家が活用されたのですが、その本来は、さっき申し上げたような保護預け、その
一つの事実といたしましては、あの問題が起きましてから、投資家は、従来運用預かりいたしますと現物はむしろ御自分の手にまいりませんで、
証券会社の
皆さんのほうではこれを運用するという便宜から、大券でこれをむしろ発行機関に要求されておったのですが、あの問題以後は、つまり、小口債券規模で、
現実には私
どものほうでそれを大量に印刷しなければならぬというような状況が出ているわけであります。でございますから、これはおそらく小口債券で御自分が一度手に入れて、それをさらに他の保護預けという形でいっているのではないか。消化の面におきましても、あの問題が起きましてから御
承知のように別に減っておりません。したがいまして、今後運用預かり
制度が廃止されて消化に困るんじゃないかという御疑問に対しては、私は支障ないんじゃないかと思います。それからまた、本来私
どもが割引債を出すということについては、さっき申し上げたような経営として当然これに安易に依存するとか、大量に出すということは採算的にもむしろいたしませんでしたから、その面では御心配は要らないんじゃないか、そういうふうに
考えております。