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1966-06-07 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第48号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月七日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       押谷 富三君    木村 剛輔君       木村武千代君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       羽田武嗣郎君    福田 繁芳君       村山 達雄君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    有馬 輝武君       小林  進君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    日野 吉夫君       平岡忠次郎君    藤田 高敏君       横山 利秋君    永末 英一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (恩給局長)  矢倉 一郎君         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主計局次長) 岩尾  一君         大蔵事務官         (主計局次長) 武藤謙二郎君         大蔵事務官         (国際金融局         長)      鈴木 秀雄君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君  委員外出席者         外務事務官         (国際連合局外         務参事官)   滝川 正久君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      辻  敬一君         厚 生 技 官         (保険局医療課         長)      浦田 純一君         日本専売公社職         員部長     園部 秀男君         日本国有鉄道参         与         (厚生局長)  中西 幸雄君         日本電信電話公         社厚生局長   飯森  実君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月三日  委員松浦周太郎辞任につき、その補欠として  砂田重民君が議長指名委員に選任された。 同月七日  委員日野吉夫君、山田耻目君及び横山利秋君辞  任につき、その補欠として西宮弘君、八木昇君  及び川俣清音君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員川俣清音君、西宮弘君及び八木昇辞任に  つき、その補欠として横山利秋君、日野吉夫君  及び山田耻目君議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 六月三日  勧業基金法案綱島正興君外四十名提出衆法  第四七号) 同月一日  国民金融公庫環境衛生部融資による公衆浴場業  者の借入金利子減免に関する請願原健三郎君  紹介)(第五一一九号)  同(砂田重民紹介)(第五一九二号)  同(松山千惠子紹介)(第五二一八号)  公衆浴場業に対する所得税及び法人税減免に関  する請願松山千惠子紹介)(第五二一七  号)  同(赤澤正道紹介)(第五二五三号)  同(草野一郎平紹介)(第五二八九号)  同(森田重次郎紹介)(第五二九〇号)  土地対策のための税制改正に関する請願(玉置  一徳君紹介)(第五二三四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第五二五四号)  同(河野正紹介)(第五二五五号)  同(坂本泰良紹介)(第五二五六号)  同(田中武夫紹介)(第五二五七号)  同(森本靖紹介)(第五二五八号)  同(横山利秋紹介)(第五二五九号)  同(中村梅吉紹介)(第五二九一号)  同(福田篤泰紹介)(第五二九二号)  戦傷病者に対する所得税の軽減に関する請願  (木村俊夫紹介)(第五二八八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十年度における旧令による共済組合等か  らの年金受給者のための特別措置法等規定に  よる年金の額の改定に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出第七七号)  昭和四十年度における公共企業体職員等共済組  合法に規定する共済組合が支給する年金の額の  改定に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出第一二三号)  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第四〇号)  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律案内閣提出第七六号)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 先般来、国鉄等タイビルマに戦争中派遣されました鉄道手以下の雇用人共済組合法上の取り扱いについて質疑応答を重ね、また、理事間でのお話がございましたが、ここに法案が上がるに際しまして、最終的な質問をいたしたいと思います。  任官できなかった国鉄外地派遣員処遇処置は、先般の委員会において実態調査するよう取り計らうとのことでありましたが、実際に気の毒なので、どう取り扱うか、御説明を願いたいと思います。
  4. 中西幸雄

    中西説明員 当時の事情から見まして、任官を約束したということは現在明瞭ではございませんが、仰せのとおり実情気の毒な方もあったことと存じますので、すみやかに実態調査いたしまして、任官し得た者で任官しなかった者につきましては、十分な配慮をいたしたいと考えております。
  5. 横山利秋

    横山委員 実情調査はいつごろできるのか、せっかくのことでありますから早くされたいのでありますが、いかがでございましょうか。
  6. 中西幸雄

    中西説明員 何しろ戦時中の問題でございまして、履歴も明白でない方もありまして、実情調査は困難をきわめると思われます。したがいまして、調査は可能な限り全力をあげて行ない、善処いたしたいと存じております。
  7. 横山利秋

    横山委員 調査可能な範囲はどの範囲でありますか。
  8. 中西幸雄

    中西説明員 調査対象実態から申しまして、現在の職員に限定されるものと思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 外地派遣地域はどう考えられますか。ビルマタイ仏印に限るのでありますか。
  10. 中西幸雄

    中西説明員 そう考えておりません。ビルマタイ仏印以外でも、該当するものがあれば含めることにいたしたいと存じております。
  11. 横山利秋

    横山委員 いろいろと問題もあると思いますが、内閣委員会での附帯決議並びに他とのバランスを十分考慮して、最善の努力を望みたいと思います。
  12. 中西幸雄

    中西説明員 御趣旨はよくわかりますので、前向きに検討をいたしまして、善処する所存でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 国鉄のいまの御答弁は、大蔵省としても御了承の上でございますか。
  14. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 ただいま国鉄から答弁がございましたように、実態調査が行なわれる、こういうことになっておりますので、その実態調査の結果に基づきまして、国鉄当局から御相談があった場合には、よく事情を伺って検討したい、そう考えております。
  15. 横山利秋

    横山委員 よく事情を伺って検討したいということにちょっとひっかかりを感ずるのであります。先般来これだけ煮詰めてきたのでありますから、そこで、あなたのほうの気持ちが、このいままでの質疑答弁を尊重してやるということでなければ意味がないのであります。重ねてひとつ前向きの答弁を願いたい。
  16. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 このお話、非常に長い期間にわたってよく承っております。したがいまして、このお話のいろいろないきさつを十分考慮して、相談があった際には御返事をする、そういうことにいたしたいと思います。
  17. 横山利秋

    横山委員 相談があった場合には、何ですか。
  18. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 あった際には御返事をする……。
  19. 横山利秋

    横山委員 それは話がおかしい。妙なところで、こちらはひっかかるつもりじゃありません。ひっかかっているのはあなたのほうでありまして、本委員会並びに次官、国鉄等の話をまとめてきたのでありますから、あなたが一番最後の答弁として、それはおれたらの採択は自由だなんということでは話が合いません。国鉄から調査の結果がありましたときには前向きに善処いたします、こういう御答弁があって、これで質問は終了する、こういうことであります。
  20. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 これまでのいろいろないきさつを十分尊重いたしまして御返事いたします。
  21. 横山利秋

    横山委員 そんなことではだめだ。これは話が違う。こういうようないままでのことがあったのはあなたも百も御存じの上だ。そして、いま自分フリーハンドにしておこうなんていうぜいたくな話は承知ができぬ。このいまの質疑応答承知の上、善処いたします、こうこなければ、あなたおかしいじゃないですか。
  22. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 どうも食い違いがございますのは、実は、私どものほうの直接担当いたしますのは国家公務員共済組合なものですから、公社のことに関しましては、国鉄、それから運輸省が主管でございますので、それで非常にえんきょくな答弁を遠慮してしておるわけでございますけれども、従来のいきさつは重々よく知っておりますから、もし相談がございますれば、私どもその方向で返事をいたします。
  23. 横山利秋

    横山委員 わかりました。
  24. 三池信

  25. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 私は、共済組合運用の問題についてお尋ねをしたいと思います。  いままでの議論を見ますと、いろいろな共済組合に対する国の援助、助成を厚くしろというような趣旨が非常に多かった、かように考えております。共済組合に対する国の助成措置を強化することは、私はけっこうだと思います。しかしながら、助成を受けておるところの共済組合自体が、もう少し冗費を節約したり、あるいはもっとえりを正すべきことがたくさんあるのではないか、かように考えますので、それらの点について、二、三質問をしてみたい、かように存じます。  私は、たくさんの共済組合の中で特に一つの例をとってみたいと思いますが、それは国家公務員共済組合連合会でございます。国家公務員共済組合連合会は、直接大蔵省管理監督をしておるものですから、特に答弁その他のことで便利ではなかろうか、かようなことでそれを例にとったわけでございます。国家公務員共済組合は、長期給付とか、あるいはまた年金の問題あるいは病院の経営あるいは宿泊所というような厚生業務をやっておるのでございますが、これに対して、国は年々二百億円ないし三百億円の助成あるいは交付金を出しております。昭和三十九年度の例をとると二百六十八億円、四十年度では二百八十二億円、四十一年度が三百十九億円というような相当膨大な額の助成をやっております。そして、この共済組合連合会はどういうような資産の運営をやっておるかというと、一号、二号、三号、四号資産というふうに分けておるわけでございますが、一号資産現金等流動資産で、年金支払いのための資金という手持ち資金のようであります。ところが、私はここで非常に感じられることは、現金等手持ち資金が全体の資金の中で大体三%ないし四%という状態であります。しかも、年々の傾向を見ると、支払いのための準備金といいますか、いわゆる一号資産が減少しておる。これは来年は二%台になるのじゃないだろうか、そういうような状態ではたして支払いに支障を来たさないのかどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
  26. 辻敬一

    辻説明員 ただいまお尋ねの一号資産につきましては、御指摘のように支払のための資金でございます。これはたてまえとしては全体の五%ということになっておりますが、現在積み立て金が次第に増加してまいる段階でございまして、現実支払いのための資金はそれほど必要でございません。そこで、経過措置といたしまして従来三%ということにいたしておりましたが、四十一年度から実情を検討いたしまして二%ということにいたしております。それで十分支払い資金はまかなえるわけでございます。
  27. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 いまのお話だと、二%程度あればいいのだ、こういうふうなことは、その裏を返せば、九八%もだぶついたお金を持っておるということになります。二%かそこらの金、入ってくる金のうちそれだけ手持ちがあればいいのだ、あとの九八%というお金はだぶついているわけですから、このだぶついた金の運用ということは重大問題だ。しかも、昭和三十九年度の決算額を見ると、資産の総額は一千二百十六億円ある。四十年度は、予算額ですが一千五百五十億円、四十一年度は一千九百三十七億円、この調子で大体三割くらいふえているから、あと十年もすると一兆円近い財産ができるようになる。しかも、その二%程度手持ちがあればいいので、あと運用するということになります。この運用というのは、国が直接運用するわけじゃない。組合にまかしてある。それだけに、この管理監督というものを厳重にやらないと相当問題が起きてくる危険性がある。現に、国家公務員共済組合の問題としては、新聞などでも報じられているように、ことしになって事件が続出しておる。いずれも不動産の買収をめぐって問題を起こしておる。中には理事や何かが逮捕されて、贈収賄で起訴までされておる。こういうふうな実情である。これらについては国会であまり論議されてない。しかしながら私は、将来はこういうふうに相当財産がだぶついてきて、しかも運用の問題であやまちを起こすおそれが多くなってくることを心配しておるものであります。現に、三号資産不動産または不動産取得目的とする資金貸し付け金というようなものは、昭和三十九年度は全体の資金の中で一六%だったものが、四十年度は二一・八%、四十一年度は二〇・二%、漸増の傾向にある。また、四号資産不動産取得以外の貸し付け金、こういうものは、三十九年度は資産の中で二六%のものが二九%、三一%と非常にふえておる。こういうふうなことで非常にふえておるけれども、これらについてどういうふうな運用をしておるかということをお尋ねをしたいのでありますが、厚生大臣がお見えになったので、約束でありますから、私は暫時質問を保留をして、交代をしたいと存じます。
  28. 三池信

  29. 堀昌雄

    堀委員 厚生大臣にお伺いをいたします。  現在、北海道地区に限って、冬季間社会保険医療給付に加えて暖房料というものが設けられておりますけれども、私は実はこの暖房料北海道だけに設けられておるという点についてはいかがなものであろうかという論議を先般当委員会でいたしたわけでございます。御承知のように、現在医療を行ないます場合には、一般的に申しまして、内科の診療患者上半身裸にしなければ診療はできません。日本の現在の冬季温度は、病気である患者の上体を裸にして診療するのに適当なほどの温度のあるところというのは、ほとんど日本国中ないのではないかと私は思います。ですから、実は暖房ということは、診療所病院冬季には全国的に行なわなければ診療行為は行なえない。ただ、北海道というところは内地一般に比して温度が低いことは私どもも了承いたしますけれども、これは程度の差の問題であって、暖房するということにおいては、全国冬季暖房しておることに変わりはない、こう考えておるのであります。ただ、そのために北海道にいる人たちだけが医療費の上にプラス暖房料という負担をしておるということもまた現実事態でございまして、これは制度のいろいろの沿革もありますから、その沿革を無視して議論のできない点もあろうかと思いますけれども、たとえば、かつて甲地乙地がありましたのが、全部いま甲地一本になったというふうに、医療費給付の問題というのは、水準を全体としてかさ上げをしてまいっておる事態から考えてみますと、この暖房料取り扱いというものも、そろそろ一般的な措置として考えてみなければならぬ段階にきておるのではないか、こう考えるわけであります。  そこで、私がお伺いしたいのは、そうすると、一体内地診療費の中には暖房料はどういう形で消化されておるのか、いまの北海道暖房料というのは、上積みとして適当な額と認められるのかどうか、そこらをちょっと最初にお答えを願いたい。
  30. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 採暖費につきましては、医療費の中に、不十分ではございますけれども含まれて算定されておるわけでございます。ただ、北海道につきましては、寒さが特にきびしいというようなことで、その上積みといたしまして、療養担当手当という制度におきまして暖房費上積みされておりますことは御指摘のとおりでございます。一面におきまして、地域差を撤廃するということが、制度を改善いたします際に強く指摘をされまして、そういう方向地域差の撤廃ということがなされておるのでありますが、これだけが一つの例外というような取り扱いに相なっておるわけであります。しかし、堀さん御指摘のとおり、わが国の気候条件等からいたしまして、この暖房費につきましては、ただいまのものでは不十分でございまして、東北その他、北海道に準じて暖房料を増額すべきである、こういう御要望が非常に強いのであります。そこで、私といたしましては、ただいま社会保険中央医療協議会診療報酬体系適正化につきまして御審議を願っておりますので、この中医協に、暖房料の問題もその際にあわせて御審議を願うようにお願いを申し上げておる次第であります。
  31. 堀昌雄

    堀委員 そういたしますと、いまの大臣の御答弁は、現在全体に多少暖房料があるけれども北海道の場合には、それを補完する意味で別途手当がくっついておる、この手当十分勘案をしながら、要するに、医療費全体の中に、たとえば初診料であるとか、そういう診料行為の中の点数として新たに暖房に見合うものを上げるといいますか、上げて、そうして北海道とその他の地域に著しいアンバランスがないという形にかさ上げすることによって、北海道暖房料という特別な扱いを除いていこう、こういう御趣旨に理解してよろしゅうございますね。
  32. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 そのとおりでございます。
  33. 堀昌雄

    堀委員 それじゃ、厚生大臣、けっこうです。
  34. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 それでは引き続いて御質問を申し上げます。  先ほど中途になりましたが、国家公務員共済組合連合会現金等流動資産あるいは資金運用部に預けた預託金定期預金有価証券等のいわゆる二号資産、こういう流動資産が年々だんだん減少をしてきて、三号、四号資産、つまり不動産または不動産取得目的とする貸し付け金とか、不動産取得以外の貸し付け金というような、いわゆる固定資産的なものが非常にふえてきておる、こういう傾向にある。これは一体どういうわけなのか、ひとつ武藤次長説明を願います。
  35. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 まず、三号資産と申します不動産または不動産取得目的とする貸し付け金、これが非常にふえているのはどういうことかということでございますが、これがふえている主たる原因は、公務員宿舎の特別借り受けと申しますが、こういうものの取得関係でございます。それから、その次の四号資産と申します不動産取得以外の貸し付け金がふえておりますが、これはどういう貸し付け金かと申しますと、貸し付け経理と申しまして、組合員の臨時の生活資金等を貸し付けるもの、それから物資経理と呼んでおりますが、組合員のための生活必需品の販売の運転資金加入組合に貸す、こういうことでこの関係がふえておるわけでございます。
  36. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 いま三号資産の中で公務員宿舎建設等が非常にふえているのだというお話がございましたが、公務員宿舎建設というのは、これは共済組合で行なうのですか、それとも国家が行なうのですか。
  37. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 現在、一般会計公務員宿舎として認めているもののほかに、共済組合が建てて、政府に貸すというのと両方になっております。
  38. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 一般政府がつくって貸すというものはよくわかりますが、共済組合がつくって政府に貸すというやり方について、なぜそういうふうなことをやるのか、私はちょっと疑問を持っておるのです。と申しますのは、公務員宿舎を建てた場合においては、共済組合自分の金でまず宿舎を建てる、総建築費というものをそこからはじき出す、しかも、そのはじき出した額をそっくりそのまま大蔵省に貸したことにする、そうして六分五厘の利息をとっているわけです。六十五年たったらその建物国家に帰属するのだということをおっしゃっておりますが、なかなか六十五年などもちそうな建物なんか建ててない。実際問題として、政府が直接いろいろ厳重な監督に基づいて建てているわけではなくて、共済組合のほうで、自分で入札、設計をして、落札をしてやっておる、しかも、そのままその額面の金額でそっくり国のほうは借り入れて、六分五厘の利息を払う。そればかりじゃない。しかも国は二DKなり三DKなりの建物を建てて、そしてそれを一般公務員に貸す場合においては、これは実際問題として二DKなら二千円前後、三DKなら三千円前後の家賃であります。そうすると、家賃でもとてもまかなえない。片一方では利息は六分五厘で払う、そして今度はあがってくる家賃利息の半分にも満たない、しかも修善費その他は全部国が持つ、こういうふうなことをやっておる。これは共済組合に対する二重助成みたいなものであります。資金運用部資金で預かっている金も、郵便貯金や何かはもっと安いはずです。定期郵便貯金だって五%くらい、あるいは銀行だって五・五%くらいでありますが、共済組合から預かる場合は、現金で預かる場合も六分五厘、あるいは建物を建ててもらって、その建物を評価をして、それの金を借りたことにした場合も六分五厘、こういうふうなずさんな計算を主計局ともあろうものが——主計局というのは、普通の役所やなんかに対する査定はもう少し厳格をきわめて、なかなか理屈の多い役所だということを私は聞いてわかっておるのですが、仲間同士であるせいかどうか知りませんが、そこらの理論的な説明を願いたい。
  39. 辻敬一

    辻説明員 共済組合資金運用につきましては、共済組合法の第十九条に規定がございまして、「事業の目的及び資金の性質に応じ、安全かつ効率的にしなければならない。」ということになっております。この原則に基づきまして、先ほど来お尋ねの、いろいろ資産運用割合を設けますとか、そういう配慮をいたしておるわけであります。しかし、一方におきまして、この資金性格から見まして、共済組合員福祉のために還元するということも必要でございますので、安全かつ効率的の趣旨に沿いながら、また、組合員福祉のために資金運用、活用をはかっているわけでございます。  なお、六分五厘の金利につきましては資金運用部のほうでもきめているわけでございますけれども共済組合ばかりでなくて、長期預託金につきましてはそういう金利になっているように承知いたしております。特別借り受け宿舎金利につきましても、共済組合資金性格上、効率、安全的に運用をする必要がございますので、国との間で六分五厘という金利を約定しているわけでございます。
  40. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 めんどうを見るのはけっこうです。けっこうですけれども、しかし、運用という問題についてはもう少し厳格な態度をとってもらいたいと私は思う。特に、宿舎建設等いろいろやるについて、各地で土地の買いあさりをやっている。しかもそれが、厚生施設のためだといって、この間も京都で、何か問題がある土地を五億円か金を出しまして買うことになって新聞ざたになっている。その前も、東村山でもそういうごたごたを起こしている。もう一つ、資料がありますが、どこかで問題を起こしている。そういうように、都心や何かで、しかも坪何万円、何十万円というようなところへ建物を建てて、それが一般に広く大多数の国家公務員が利用できるものとは私には思えない。特定な少人数の者は利用できるかもしれぬけれども資金運用ということについて、膨大な金を使うならば使うように、もっとたくさんの人がなるべく多く機会均等を得られるような金の使い方をさせるべきじゃないか。共済組合がやるのだから大蔵省関係がないのだといっておっても、実際は、いま言ったように、建てた建物についても利息を払って借りるというような——資金ももちろん返すのでしょう。そのほかに利息も払うのでしょう。こういうようなことまでやって、家賃は払う利息の半分にも満たないような家賃しか取らないというようなめんどうの見方をしているのだから、めんどうを見ているならば、見ている一方、やはりその運用というものが、ほんとうに国家的な見地に立って有効に運用されているか、あるいは組合員大多数の人たちが機会均等を得られるような形で運用されているかというようなことをもう少し検討してもらいたいと思う。どうですか、武藤さん。
  41. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 まず最初におわびせねばいけませんのは、先般来この委員会でも問題になりましたけれども、連合会で不祥な事件が起きまして、これが先ほどお話のような不動産、宅地の分譲の関係でございますが、したがって、私ども共済組合の連合会に対して、これからもさらにこういうことが起こらないように、十分責任を感じて監督を充実していかなければならないと思っております。いままで申しわけないことができたのをこの席をお借りしておわびいたしておきます。  それから次に、特借宿舎のような場合、これはお話のように入る人は限られるわけでございますから、そういう少数の人間でなくて、もっと広く組合員全体が喜ぶような施設に資金を使ったらどうかというお話がございましたが、御趣旨、まことにごもっともでございますが、実態は、職員が非常に望んでおりますのは住居の安定でございます。そういうことで、先ほど御説明いたしましたように、一般会計宿舎をつくっているのでございますが、これでは足りない、そういうことで、組合員が出した長期資金福祉に還元するということでこの特借宿舎というものをつくっているわけでございます。これは、大きな団地ということになりますと、付帯施設や何かで非常に金がかかりまして共済組合の連合会の手に負えないということでございますので、そういう大きなところでないところで、しかも、国家公務員が通勤できるようなところというところを探して、一般公務員宿舎の補足としてこういう宿舎をつくっておるわけでございます。  次に御指摘がありましたのは、結局六十五年間政府が借りて、あと政府に帰属するんだから、これの監督は厳重にやれというお話でございまして、まことにごもっともでございます。いままでも、建設につきましては財務局が相当厳重に見ておるというのが実情でございますけれども、いろいろな事件もございますので、これからもなおそういう点で遺漏のないように注意いたしたいと思っております。
  42. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 武藤次長から、監督についてはこれから部下にまかせっぱなしにしないで、よく監督するというようなお話がありましたから、実は事件の問題について私は言及しようと思ったんだけれども、それは割愛さしていただきましょう。それはやめます。どうかひとつ、今後とも課長補佐とか係長とかにまかせっぱなしにしないで、なれ合いでやるようなことはやめさして、もっときちんと筋を通す——これはなかなかやりづらいことだと思う。たとえば、共済組合連合会の会長とかなんとかいうえらい人になると、みんな大蔵省から出ていきますから、おまえらぐずぐず言っても、どうせ将来退職すればおまえらも世話になるんじゃないかというようなことを言われてしまうと監督しづらいでしょう。しづらいでしょうけれども、それはそれ、これはこれで、やはり筋を通してもらわなければならぬと思う。私は、特に共済組合連合会に人がなかなかいないということ、月給が安いというお話も聞きました。確かに、会長さんか理事は十八万円か幾らか取っておりますが、ほかの事業団から見れば月給は安い。ほかの事業団なんというのは、もうくだらない事業団で——くだらないなんて言っちゃしかられるかもしらぬけれども、実際月額三十万円も三十二万円も報酬を得ておるというような例がたくさんある。それから見れば確かに安い。しかし、安いからといって、ともかく幹部の者がろくな監督をしないということじゃだめなんです。安いのにはもっと下がある。国鉄総裁みたいにただみたいな人もあるんですから。しかし、ただだから必ずしもいいというのじゃないので、やはり取るものは取ってけっこうですから、もう少し——これだけだんだん規模が大きくなって、あと十年もしたら一兆円という財産運用しようということなんですから、もっと有能な人を入れて、そうしてしっかりした長期的な見通しのもとに経営をやってもらわないと、先になってにっちもさっちもいかない状態になって、幾ら補助金を出しても焼け石に水みたいになっちまうんじゃないかということを心配しておるのであります。その点についての御所見をひとつ承ります。
  43. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 まず最初に、御指摘がありましたように、私、かねがね部内でもいろいろな機会に申しておるのでございますが、どうも共済組合連合会に対する監督が不十分じゃないかという声をよく耳にいたします。ただいまも御指摘ございましたけれども、そういうことではいけませんので、よそから見てもそういうことはないと外から見られるように、われわれは連合会に対する監督はしっかりやらにゃいかぬ、そう感じておりましたし、いろいろな機会にもそう申しておりますが、ただいまのお話のとおりでございますので、そういう点、これからも十分注意してやっていきたいと思います。
  44. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 それからもう一つ、経理の改善ということについて、私ちょっとお尋ねしたいのですが、共済組合連合会の決算書というものがここにあるんですけれども、非常にわかりづらい。ともかく、複式簿記で決算書ができておる。複式簿記ですから発生主義をとっておる。それらの点はいいんですけれども、一番私がわかりづらいと思うことは、どの決算書を見ても貸借対照表の剰余金、要するに、当期利益金ですね、それと損益計算書の当期利益金というものが合っているものが一つもない。全部合わない。これは説明を聞かなければわからないのです。損益計算書のほうで利益が出ると、普通だったらちゃんと貸借対照表の純益と損益計算書の純益は一致しなければならない。財産計算と損益計算というものは一致しなければならぬ。つまり、こういうふうな原因に基づいてこれこれの収入と支出があって、その結果これだけ残ったというものと財産を比較して、去年のある一定の時間からことしの一定の時間に、それを一定時点において比較した場合においては、原因どおりこれだけ財産がふえたというのが貸借対照表です。ですから、損益計算書の純益というものと貸借対照表の純益というものは合わなければおかしい。ところがこれは合わない。合わない理由も聞きました。それはどうして合わないのだと聞いたところが、それは利益が出てしまうので、その利益が出ないように操作しなければならない、これはほんとうの利益じゃないんだ、組合から負担金を取っているから利益が出るんだから、その負担の部分というものは、これは別に考え直さなければならないので、出た利益の中から長期の改善積み立て金だとかなんとか、いろいろな名前をつけておりますが、要するに、減価償却費の引き当て金みたいな形で損金に落としてしまうのだ、普通の経理だったら損金に落ちるわけはないのです。普通の会計原則、財務諸表準則に基づくところの経理上では経費では落ちっこないのだけれども、これは税金がかからないものだからそういうふうなことで落とす経理をとっておるのだ、そういうお話です。その意味もわからないことはない。わからないことはないけれども、それならそのように、やはり期中においても説明を聞かなければ、決算書を見ても、私のような専門家でさえもわからないのだから、これは普通はわからないのはもっともだと思う。ですから、これはやはりちゃんと利益処分というものを明らかにして、そうして、普通だったら当然利益処分案というものをこしらえて、そこでこれは積み立て金に充てる、これは何に充てる、その結果翌期の期末において振りかえればいいのですから、そういうことをやったらいいと私は思うんですが、その点どうですか、改善の余地はありませんか。武藤さん、どうです。
  45. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 先生御指摘のように、どうも非常に変則なでき方になっているのじゃないか、それで先生のような詳しい方でも一応見られてなかなかわからない、それですから一般組合員にはなおわからないということになりますので、この点、その技術的な問題と、それから非常にわかりやすくするという問題とどう調整したらいいかということをこれから研究いたしたいと思います。
  46. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員 これは研究する必要はないんです。技術的にも何にも簡単にできるのです。勉強が足りないからこんなことを言うのであって、簡単にできるのですから、ひとつもっとよくわかりやすい経理というものをこしらえていただきたいということを強く要求をしておきたいと存じます。  いろいろ申し上げたいこともございますが、時間もございませんのでこの程度にとどめたいと思いますが、ひとつ、今後とも十分に、共済組合は連合会のみならずほかに共済組合はたくさんあるのであって、これには相当多額な金が国庫から出ておるのですから、やはりむだな経営が行なわれないように、国家機関と同じようにやはりよく指導してやって、人を得て、りっぱな経営ができるように今後十分に努力されんことを望みまして、私の質問を終わります。
  47. 三池信

  48. 堀昌雄

    堀委員 先般、国家公務員共済組合あるいは公共企業体、市町村職員共済組合の付加給付の問題について、大臣がおいでになりませんでしたけれども、少し論議をいたしました。その後資料を御提出いただいて調べてみますと、全体として非常にでこぼこのある状態になっておるわけでございます。私どもは、先般、地方公務員共済組合に互助会という団体がございまして、この互助会で実は付加給付のいろいろな形のものが行なわれておりましたのが、昨年の所得税法改正の結果、これらの互助会の掛け金については社会保険料と認められないから課税の対象とするという問題が出てきたわけでございます。その後、与党の方といろいろ御相談を申し上げた結果、最終的には、私と山中理事との間に覚え書きを交換いたしまして、その非課税措置取り扱いを一年経過期間として延長しながら、互助会のあり方としては、こういうものについては非課税の対象にしますという取りきめをいたしまして、それは政令をもって公布をされて今日に至っておるわけでございますけれども、この写しは大蔵大臣にすでに差し上げてあるわけでありますが、その中でちょっと申し上げておきたいことは「地方公共団体職員互助会の掛金に対する社会保険料の取扱いに就ては、昭和四十四年三月三十一日まで政令の定める範囲内において、課税控除の対象とすることになった。  これらの給付内容は、当然国・地方公務員共済組合給付に付加されることが望ましいので、今後三年以内にこれらの必要なる処置がとられるべく相互に努力するものとする。」こういう覚え書きを実は与党の山中理事と私との間で交換をいたしまして、大蔵大臣に写しをお送りいたしておるわけでございます。現在の全体的な傾向といたしまして、私どもは、ばらつきのある問題についてはできるだけ——これはもちろん当事者たちの間の努力にまつところが大きいわけでございますけれども、こういう方向は、当然時代の変遷あるいは現在の社会保障の充実という面から見ても必要な問題だ、こういうふうに考えておりますので、政府としても、これらの問題についてはできるだけ側面的な協力をすることによって、これらの付加給付——外側にありますものが中に入る、こういう処置についてひとつ協力をしていただきたい、与野党ともに努力をしよう、こういうような覚え書きを交換しておるわけでありますが、この点についてひとつ大臣のお考えを承りたい。
  49. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 互助会の扱いにつきましては、いまお話のとおり与野党間で話が行なわれておることは、私もよくこれを承知しております。その話し合いの結論はできる限り私どもも尊重していく、かように考えております。
  50. 堀昌雄

    堀委員 その話し合いの結論のところの「これらの給付内容は、当然国・地方公務員共済組合給付に付加されることが望ましい」とうなっております点も御了承いただいたものと理解をいたします。  いま郵政大臣がお入りになりましたから、さっそくでありますけれども、実は、国家公務員共済組合の短期給付に対する家族療養費の付加金の問題を私ども委員会でいろいろと調査をしてまいりました。その中で、郵政省の家族療養費の付加金の内訳というものが、まことに私どもとしては不十分な感じがいたしておるわけであります。ちょっと一般的な例を申し上げてみますと、短期掛け金率は、対本俸千分率で政府が出してまいりました資料全体を平均いたしますと、三十五になっております。郵政省も短期の掛け金率は三十五でありますから、これらの衆議院、参議院、総理府、法務省、外務省、大蔵省、文部省、農林省通商産業省、運輸省、厚生省、厚生省第二、労働省、裁判所、会計検査院、刑務、防衛施設庁、防衛庁、アルコール専売、連合会職員、郵政省、印刷局、造幣局、林野庁、建設省、これだけの中で大体平均的なところにあるわけでございます。ところが、現在行なわれております付加給付は、入院一日につき百円という付加給付だけが行なわれております。その他のところは、まだ法務省、防衛庁、林野庁に同じように入院についてだけのものがございますけれども、家族療養費の付加給付を行なうというたてまえからいたしますと、この入院というのは、比較的現状では数が少なくて、一般疾病の中で占める入院の比率というのはそう高いものではございません。ですから、よくよくのときにだけは付加給付がもらえるけれども一般的には郵政省職員は付加給付というものはないと同じかっこうになっておりますので、この点はずっと拝見した中で特に一番目につくところなんですが、もう少しこれは組合——特にこの前も私議論しておりますけれども、郵政省の職員の給与は、勤続年数その他から勘案をいたしまして必ずしも十分でないという感じがいたしておるにもかかわらず、さらにそういう付加給付の面でも不十分だということは、これらの職員にとって非常に残念なことだと私は思います。これは郵政大臣、これらの組合側の方と少し協議をしていただいて、もう少しその他のものと、一ぺんにはいかないと思いますが、順次権衡がとれるような方向で御検討をいただきたいと思いますけれども、いかがでございましょう。
  51. 郡祐一

    ○郡国務大臣 おっしゃるように、郵政省の家族療養費付加金は少し低いようですが、ただ、これの運営審議会で組合の方などとも御相談をいたすときに、やはり郵政省というものの性質でございましょうか、傷病手当金の付加金だとか、そういうほうにどうもウェートがいっておるようでございます。御案内のような出産費の付加金だとか、結婚手当の付加金だとか、いろいろございますが、その中でどうも傷病手当金の付加金のほうに給付内容を充実させたいというのが審議会での話し合いの経緯にあるようでございます。しかし、これらの御注意の点はごもっともであります。短期給付の経理というのは決して楽じゃございませんから、これから短期給付の推移を見てまいる必要はあると思うのですけれども、一方、推移を見ながら、また運営審議会とはよく相談をいたしまして、改善すべきものは改善するように努力いたしたいと思います。
  52. 堀昌雄

    堀委員 もちろん、いまお話のように、個々の共済組合におのおのの特殊事情もございましょうから、私どもが外から見て、ただ、一律の問題としていかない点も私ども了承いたしますけれども、現在私ども一般的に見ております点では、一番疾病率が高いのはやはり子供でございます。小さい子供の多いときは一番家族療養費が要るわけです。その小さい子供のいる人というのは給与所得が非常に低い、若い年齢層のところに実は子供があって病気をする、ところが、収入のほうは、年齢が若いために勤続年数も低いために所得が十分ではない、片や物価は上がる、こういうことで、ちょうどはさみ打ちにあって、非常にこれらの方が生活の面で大きな圧迫を受けておられるというふうに感じますので、傷病手当金の問題その他ももちろん重要だと思いますけれども、やはり現在の比較的給与の低い、しかし子供がわりにいて、これが一番病気にかかりやすくて、家族療養費の負担が大きい部分でありますので、この点はひとつ十分運営審議会ともお話をしていただいて、すみやかにレベルアップの方向で善処していただきたい、こう考える次第でございます。  最後に、大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、旧令による共済組合制度が終わりまして新法で行なわれることになりまして、その新法と施行令が行なわれます期間の間における退職者が、施行令後の退職者との間に著しく不均衡な状態に置かれているということは、すでに当委員会指摘をされてまいっておるところでございます。私どもは、一般的にこういうふうな問題を常に遡及させるということになりますと、これは一応保険をたてまえとしているといわれる共済組合の経理上からいたしましても、そのつどそういう遡及が行なわれるということでは問題があろうかと考えておるわけでありますけれども、実はこの間から議論をいたしておりますこの問題については、制度が新たに変わって、その新たに変わった制度という中で、新法と施行令とが同時に公布されるような具体的な状態になっておりますれば救済され得たものが、いろいろと法律上の手続その他のために、その間に断絶期間を生じて、そのために、この間に退職をされた方が、法律が施行されておりながらも、その内容がさだかでなかったために十分な給付が受けられないという状態については非常に遺憾である、こう私ども考えておりますので、いま申し上げたような趣旨で、ひとつこの際、この部分に関してのみ特例的な処置を次の法律改正の際には善処していただきたいと考えるわけでありますけれども大臣のこれに対するお考えを承っておきたいと思います。
  53. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 本件につきましては、先般来この委員会でかなり詳細な論議が行なわれておりまして、私の見解はその際申し上げたのですが、ただいまお話のように、本件は特別な事情もありますので、また、堀委員におかれても、一般的に遡及原則ということはとらないというお話でもあります。そういうようなことを特別に考慮いたし、他に波及させないというようなことでありますれば、御趣旨の線に沿って検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  54. 堀昌雄

    堀委員 いまの御答弁で、私どもは、次回における法律改正の際にはこれが実施される、こういうふうに期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  55. 有馬輝武

    ○有馬委員 関連して。  この前、藤井政務次官に対しまして、せんだっての短期の国庫負担の導入の問題について、前の回答はきわめて遺憾でありますので、前向きの姿勢で検討願って、本日大臣より回答をいただきたいということでお願いをいたしておきましたので、その点についての大蔵省のまとまった考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  56. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいまお話の問題につきましては、慎重審議いたしたわけであります。その結論といたしましては、医療費体系、医療保険制度のあり方については、いろいろの御議論もありますが、将来にわたってその長期的な安定と発展とをはかるためには、制度の根本的な検討を行なう必要があると考えております。政府としては、国民皆保険下における医療保険制度の全般にわたる基本的事項について調査審議するため、今国会に臨時医療保険審議会を設けるための法律案提出し、ただいま御審議をいただいておるところであります。保険給付の負担の基本的あり方につきましては、この審議会の結論を待って検討してまいりたい、短期給付に対する問題につきましても、この一環として考えていきたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 有馬輝武

    ○有馬委員 臨時医療保険審議会に対しましてのわが党の態度は、大臣も御承知のはずであります。この件につきましてはここで論議することを避けますが、少なくとも、前の大臣の回答に含まれておる二つの理由は、均衡論と財政的な理由であったと思うのであります。しかし、財政的な理由につきましては、この前事務当局からお伺いいたしまして、予算の規模から見ましても、また常識的に考えましても理由にならない。あとは均衡論だと思うのでありますが、この点については、やはり低いところを念頭に置いておっては一歩も前進しないのでありまして、この前も私申し上げましたけれども、やはり一つのところから一歩ずつでも前進させる、こういう方向で検討を加えてほしいということを強く要望いたしたのであります。私どもも、何も二〇%ということにこだわっておるわけではないのでありまして、いまの大臣答弁からいたしますと、審議会の答申が出なければ検討の余地はないというふうに受け取れたのでありますが、やはり並行して大蔵省としての考え方もまとめていくべきではないか、このように考えておりますので、とにかく窓口を開く考え方があるかどうか、この点についていま一度大臣のほうからお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  58. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま医療保険につきましては、どうしても根本的にこれを再検討しなければならぬ段階に来た、こういう認識を持っておるわけであります。それで、そういう考え方で、根本的な改正をどういう方向にすべきかというので、今回十二人以内の委員による審議会を持ってこれにその意見を求める、こういうことをきめたわけであります。私どもも、その審議会のことはともかくとして、根本的にこれは再検討しなければ壁にぶち当たる時期に来ておる、こういう認識を持っておるわけであります。そういう段階に来ておる本問題について、全体の一環としてこの問題も考うべきものである、こういう見解をとっておるわけであります。審議会が、答申が出るか出ないか、あるいは審議会ができるかできないか、いろいろ御見解もあるようでございますが、私どもとしては、とにかく、それとは別個にいたしましても、根本的に改正をしなければならぬ、こういう時期に来ておる、そういうことから、との問題もその一環として考えていきたい、さような見解でございます。
  59. 有馬輝武

    ○有馬委員 それでは少しも前向きになりません。ですから、今度は別な角度から、四十二年度の予算編成までに、私どもがいままで本委員会審議を続けてまいり、討論を重ねてまいりました方向で具体的にまた話し合う用意があるかどうか、この点をいま一度お伺いしておきたいと思います。
  60. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 とにかく、私ども政府としては、審議会を設ける、こういう方針であります。ですから、その方針に向かって前進をするわけでございます。しかし、審議会を設けたからといって、審議会に責任を全部という、そんな無責任なことは考えておりません。政府におきましても、どういうふうにすることがよろしいかということは並行して検討する、これはもう当然のことであります。
  61. 有馬輝武

    ○有馬委員 私がお尋ねしていることにお答えください。話し合う用意があるかどうか。
  62. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 十分検討し、必要があれば。いつでも有力なる有馬委員の御意見も求める、これも当然のことであります。
  63. 有馬輝武

    ○有馬委員 私の質問を終わります。
  64. 三池信

    三池委員長 岩動道行君。
  65. 岩動道行

    岩動委員 私は十分程度の時間を与えられておりますので、きわめてかいつまんで、二、三の点について政府の所見を明らかにしていただきたいと思います。  第一は、恩給の性格あるいは共済年金性格についてでございまするが、先般の当委員会におきまして、内閣の恩給問題審議室長の御答弁によりますと、いささか恩給の性格についてわれわれの従来の考え方あるいは政府当局の考え方と異なったような答弁がなされたのであります。それは、恩給というものについて、これを社会保障制度のワクの中で考えるのか、あるいは社会保障制度とは全く別個の制度であるかという点についての答弁でありましたが、恩給が何か社会保障制度的なものになりつつある、あるいはそういう方向に向かうべきものだといったような御答弁があったのであります。これは従来の恩給局の見解、あるいはわれわれとの間において種々討議をした結果の結論、方向ともかなり違った考え方でありまするので、この際、恩給局長からこの問題についてまず伺っておきたい。  あわせて、共済年金につきまして、これが社会保障制度の範疇に入るのか、あるいは恩給と同様に過去の勤務に対して国家手当てをしてまいるのだという意味において、純粋の社会保障制度とは別のものである、こういう考え方に立っておられるのかどうか、この点を明らかにしていただきたいと思います。この点をもし間違った考え方で進まれますと、非常に大きな問題が起こってくると思うのであります。先般当委員会で平林議員から、何か社会保障制度方向に共済年金等も近づけるんだという方向お話があったようでありまするが、もしそうなりますると、これは過去の勤務といったようなものが全く抹殺されて、最低の保障という点にむしろ共済年金も追い込まれてしまって、現在の制度より逆に悪くなるのじゃないかという心配もありまするので、この点を特にこの機会に明らかにしていただきたいと思います。
  66. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 ただいまの岩動先生の御質問に対してお答えを申し上げます。  あるいは、私のほうの審議室長の答えました点に若干舌足らずの点があったのではなかろうかと存ずるわけでありますが、恩給制度は、先生も御指摘のように、旧来国に対する特別の勤務義務を持っていた者に対する一つの国の補償的意味合いを持っているのが恩給であるというふうに考えておりますし、この考え方は、現在もわれわれのとっている態度は少しも変わりはございません。ただ、審議室長の申しましたことは、やはり恩給制度も長い連続の中で一つの発展を遂げていく考え方も決してないではございませんので、そこで、たとえば、今回の調整規定等におきましても、実はその考え方がある程度明確にされておりますのは、やはり恩給は恩給なりの特別な制度であるという考え方が、国家公務員の給与等を一つの柱とするという考え方にもあらわれておりますので、したがって、今後の恩給に対する運用のしかたにおきましても、旧来の特別な勤務義務を持った者に対するそれなりの補償的意味を持たせつつその制度運用のしかたとして考えていく考え方には、確かに恩給の一つの発展を示すように、たとえば上薄下厚的な考え方もあらわれておりますので、あるいはさような点についての説明を申し上げたことがいまのようにお受け取りいただいたのではなかろうかと存じます。したがって、恩給に対する今後の運用のしかたは、ただいま申し上げましたように、公務員に対する特別な制度として発展をさせていく、かように考えておるわけでございます。
  67. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 お話のように、いまの公務員の共済制度というものは、純粋な社会保障制度というだけではございませんで、法律にも書いてありますように、公務員の「生活の安定と福祉の向上に寄与する」ものとし、「公務の能率的運営に資することを目的とする。」こういうことになっております。したがいまして、社会保障ということばが使われることはございますけれども、やはり公務員の特殊性ということを加味して動く制度である、そういうふうに考えております。そういう特殊性がございますので、給付水準等につきましても一般の社会保険とは異なった点がございます。これは御承知のとおりでございます。それから、さらに沿革的には恩給制度を引き継いで吸収しておるという面がございますので、恩給との関連も非常に深い、そういうことになっております。そこで、共済制度は他の社会保険制度のような純粋な社会保障制度とは違った面がある、そういうことであるというお話のとおりだと思います。
  68. 岩動道行

    岩動委員 恩給、共済年金性格についてはこれで明らかになりましたので、次の問題に移ります。  今回、新たに恩給法におきましても調整規定が設けられ、あるいは共済年金あるいは公共企業体の共済組合年金につきましても同様の調整規定が設けられたのでありますが、これは長年各方面から強く要望されておりましたが、なかなかその実現を見ないで今日に至ったのでございます。しかるに、今回の法律改正におきましてこれが実現を見るということになりましたのは、政府としてもきわめて大英断をもって前進をされたものと深く敬意を表し、関係者とともに、今後この調整規定運用について万全を期していただきたい、かように思うのでございます。  先般来、各委員からこの「著シキ変動」等についてどう考えるのか、どういう場合にこの調整規定が働くのかという具体的な質問もなされ、答弁もありますが、これはそのときの情勢にもよりましょう。変動の基準幅が、人事院勧告で国家公務員の場合には五%が一つの基準になっておりますが、これも一つの目途ではございましょう。しかしながら、諸般の情勢、事情を総合勘案してやる、ここにこの規定運用の妙もあり、また関係者もこれに期待をするところがきわめて大なわけでございます。  ところで、この調整規定運用については、恩給に関しましては恩給審議会においてその結論を出していただく、こういう体制になっておるわけでございますが、その恩給審議会において結論が出るまでは「著シキ変動」があっても、年金額の改定、調整は行なわれないのかという問題が実は出てまいるわけでございます。恩給審議会におきましては、二年間という存続期限でございまして、その間にもし二年目に答申が出るという場合には、たとえば昭和四十二年度の予算編成のときに著しい変動があっても、答申がない限りは調整が行なわれない、こういうことになりますと、受給者の間におきましてはきわめて大きな不満が起こることも考えられるわけでございます。したがいまして、恩給審議会を中心として、それに準じて国家公務員共済組合あるいは公共企業体の共済組合等措置をとられるわけでございますが、二年間たたない間においても、著しい変動があれば当然これは調整規定が働くものである、また、そのような努力を政府側としては一体となっておやりになるべきであると考えるのでございます。この二年間の恩給審議会の存続期間、審議期間というものが二年間の休戦協定になるというようなことでないということをこの際確認しておきたいと思うのでございますが、政府の御見解を承りたいと思います。
  69. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 実は、調整規定につきましては、しばしば内閣委員会あるいは当大蔵委員会において御質疑がございまして、この調整規定運用のしかたにつきましては、これが一つの成文化をされたということによりまして、今後の長期展望の中においてこの規定をいかに運用していくかという点が一つの課題でございます。そこで、内容におきましてはいろいろな問題に将来にわたって重大な影響を与える規定でもございますので、私たちは、政府側としてこの恩給審議会に慎重なる御検討をわずらわしたい、かように考えまして、旧来私たちのお答え申し上げましたのは、調整規定につきましてせっかくできます審議会に十分慎重な御審議をわずらわしたい、かように申し上げたわけでございます。  さて、そこで二年の期間を付しております審議会におきまして、これら恩給の根本的な制度検討等とあわせて、こういった新たに設けられる制度運用のしかたについても御検討をわずらわすわけでございますが、その間においてもしも緊急の事態が生じるというふうな場合には、審議会があるからということですべての問題を据え置きにするのではないかという御懸念がありまして、さような点についての御質疑もいただいたわけでございます。私たちが政府側として御答弁申し上げておりますのは、そういった緊急の状態が起これば、それについて審議会とは別個に政府側としての措置をとってまいることは当然のことでございましょうというお答えを申し上げておるのでございます。したがって、この問題の取り上げ方として、たとえば「著シキ変動」ということに対する判断のいかんでございましょうが、それらの問題についていかように考えるかという点につきましては、たとえば、格別の事情が起こってまいりました場合に、さような点について、審議会がございましょうとも、別個にそういうふうな問題の検討を政府側としていたすということはあり得ると考えるわけでございますが、ただ、この機会に必ず——たとえばこの二年間に恩給についてのベース改定が行なわれるかどうかということについては、今後の事情いかんにかかる問題であろうかと考えております。
  70. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 共済関係でございますが、共済の関係につきましても、恩給との間に均衡が破れるというようなことでは困りますので、そういう点も考えながら、新しく設けられた規定でございますので、この運用はこれから十分慎重にやらなければいけないと思いますが、そういう趣旨で適当な措置を講じて、この規定ができました趣旨である年金の実質価値を維持する、そういう趣旨に沿うように運用していきたい、そういうふうに考えております。
  71. 畠山一郎

    ○畠山政府委員 公共企業体共済組合におきましても、恩給及び国家公務員共済組合法とほとんど同じ趣旨規定を設けることにいたしておりますので、その趣旨につきましては、ただいま大蔵省から御説明がありましたのと同様でございます。初めての規定ではございますが、この規定趣旨十分勘案いたしまして、年金の実質的な価値の維持ということを十分考慮いたしまして慎重に運用してまいりたいと思います。
  72. 岩動道行

    岩動委員 慎重審議もけっこうでありますが、大体、人事院勧告が出るか出ないか、まだ予測はできないのでありますが、そういう事態になれば、やはりこの問題は、慎重であると同時に、真剣に、直ちに取り組んでいただかなければいけない。昭和四十二年度の予算編成もあと六カ月以内ということになってまいっておりますので、この点、積極的にこの問題に取り組んでいただきたい、かように考えます。  そこで、三公社につきましては審議会みたいなものがないので、これは一体どういうふうにおやりになるのか。先般来、同僚議員から何かそういうものをつくるべきではないか、こういう意見が出されたのでありますが、これはまことにもっともな御意見でもあると思います。したがいまして、政府においては、そのような御意思をお持ちになって、早急にその実現に努力をされる御用意があるかどうか、この点をこの際最終的にひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  73. 武藤謙二郎

    武藤政府委員 公共企業体職員共済組合につきましては、従来法律改正の場合に担当省が変わりますので、いろいろ経緯、議論がございました。そこで、関係の運輸省、郵政省、大蔵省相談をいたしまして、一応三公社共済組合の中で一番大きな組合員を持つ国鉄共済組合、これを監督しております運輸省が常任的に法律改正を担当するのがよいだろう、こういう結論に達しまして、その方向で努力してまいりました。ただ、今回はまだ準備ができておりませんので、とりあえず、御承知のように、郵政省が法律の改正の関係を担当するということで、三省、三公社で連絡を密にしていく、こういうことでやっておりまして、今後の点につきましては前述のいきさつもありますので、持ち回りということで支障があっては困りますので、何とか一本化するということで考えていきたい、そういうふうに思っております。
  74. 岩動道行

    岩動委員 これで質問を終わりますが、共済年金については、従来、ややもすれば恩給一本にたよって、恩給できまればそうなるのだというような他人依存的な感じがきわめて強く、しかも、話し合いをする相手がばらばらであるというような弊害があって、ややもすれば不熱心であるというような印象をきわめて強く私どもも持っておるわけでございます。したがいまして、そのような審議会あるいは何らかの機関を設けることによって、それをてことして、さらに三公社においても所轄官庁と十分に連絡をとりつつ最善の努力をしていただきたいということを御要望申し上げておきます。  なお、最後に、恩給に関連いたすのでありまするが、農林年金について障害年金の最低保障額を修正してまいったわけでありますが、これは恩給についてはそういうふうなことになっておったかどうか、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  75. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 本件については、実はまだわれわれのほうにさような御連絡がございませんので、私どもは十分明確にいたしておりません。
  76. 岩動道行

    岩動委員 そうじゃなくて、恩給のほうにおいては障害年金の最低保障額六万円、三万円というのがあったのかないのか、そういうものは設けられていなかったと私は記憶するのですが、その点をまず明らかにしていただきたい。
  77. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 もし岩動先生の御質疑が、長期在職者の最低保障ということでございますれば、今回の法改正におきまして、長期在職者に対して、いわゆる恩給年金として普通恩給は六万円、それから扶助料については三万円というふうな保障規定を設けることにいたしております。
  78. 岩動道行

    岩動委員 そうすると、農林年金のほうとの関係はどういうふうになるのか。それと平仄を合わせるための農林年金の改正であるのか、あるいは別個の問題であるのか、あるいはこの委員会においても何か修正案を用意しているような話も伺うわけでありますが、これらとの関係は一体どういうことになるのか、大蔵当局からその点について明らかにしていただきたいと思います。
  79. 矢倉一郎

    ○矢倉政府委員 農林年金に関しては、恩給との関係は別個でございます。
  80. 岩動道行

    岩動委員 別個なことはわかっております。ただ、同じような趣旨の改正が恩給のほうの場合には行なわれておったかどうか。農林年金のほうが一歩先に進んだのか、つまり、長期在職者だけが最低保障を受けるというのが恩給の改正であった。ところが、農林年金の場合には、長期在職者でなくても障害年金に関しては最低保障が設けられたというふうに私は聞いておりますので、もしそうだとすると、そこに恩給とその他の年金との間に差別が出たのではないかと思いますので、その点をまず明らかにしていただきたいと思うのであります。どなたでもけっこうです。
  81. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 恩給の場合におきます廃疾年金と農林年金との関係でございますが、先生御承知のように、恩給法の改正をやります場合に、恩給といたしましては、長期在職をされた方で、しかも非常に普通年金の少ない方について何らかの最低保障をする必要があるのではないかということで、いま恩給局長からお話がありましたように、六万円、三万円という最低保障をやったわけでございます。その際に、恩給につきましては、これは御承知のように増加恩給ということでございまして、普通恩給プラス増加恩給ということで、廃疾年金一般年金より高いわけでございます。したがって、本来そういう低い制限にかかってくるというものがいないわけでございます。そとで、今度は旧令共済を改正いたします場合にいまの恩給の精神を組み入れまして、そして、やはり長期在職の方につきましては、廃疾年金といっても、旧令の場合には、これは恩給と違いまして廃疾年金自体が低いのもありますから、したがって、との分の最低保障をつけましょうということでつけたわけでございますが、その際にはやはり長期在職という制限をかけたわけでございます。ところが、よく考えてみますと、廃疾年金と申しますのは、年金に加入いたしまして二、三年でなる方もありますし、必ずしも長くいたから非常にお気の毒であるというふうにはいえないわけでございます。そこで、農林年金でその分について長期在職というワクがあるのは少しおかしいのではないかということになりまして、農林年金、私学さらに旧令につきまして、廃疾の分の長期在職という制限だけを除いたわけでございます。こういう経過でございます。したがって恩給とは全然関係はございません。むしろ恩給にはそういう該当がないというふうに御理解願いたいと思います。
  82. 岩動道行

    岩動委員 そうしますと、実質的には恩給についてはそういう該当者はいない、それ以上の処遇を受けている、こういうことに理解できるわけでありまして、したがって、制度的には法律上はおかしいけれども、実質的には害がない、こういうふうな理解をしてよろしいわけですか。
  83. 岩尾一

    ○岩尾政府委員 制度的にはおかしいというような問題ではございませんで、特に恩給の際には、いま申しました長期在職の人で、しかも非常に低い年金の方を救おうという趣旨でこの改正をやった、それに応じてほかの年金を改正いたします場合には、その趣旨をさらにふえんいたしまして、廃疾年金についても、長期在職の人についてはこれの最低保障を行なおう、しかし、その場合に長期在職という制限を加えることは、廃疾年金の本質からいたしましてややおかしいのではないかという意味で、その長期在職というワクをほかの年金についてははずした、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  84. 岩動道行

    岩動委員 終わります。     —————————————
  85. 三池信

    三池委員長 両案に対しまして、木村武千代君外三十八名より、三党共同提案にかかる修正案がそれぞれ提出されております。     —————————————
  86. 三池信

    三池委員長 この際、提出者の趣旨説明を求めます。木村武千代君。
  87. 木村武千代

    木村(武千代)委員 ただいま議題となりました両修正案につきまして、提出者を代表して、提案の趣旨及びその内容を簡単に御説明申し上げます。  修正案の案文は、お手元にお配りいたしてありますので、朗読は省略させていただきます。  この修正案は、廃疾年金受給者に対する低額年金の是正措置につきまして、長期在職の要件を撤廃しようとするものであります。  御承知のとおり、今回、政府長期勤続者の低額年金を是正することとし、このため、原案におきましてそれぞれ所要の改正規定が設けられております。すなわち、共済年金の基礎となっている実在職した組合員期間の年数が退職年金についての最短所要年限以上である年金受給者のうち、退職年金あるいは廃疾年金の額が六万円に満たない者、または遺族年金の額が三万円に満たない者に対しては、それぞれ六万円または三万円を支給することといたしております。  しかしながら、これらの年金のうち、廃疾年金につきましては、当該年金が、高度の廃疾により退職した職員にその退職後の生活保障を行なうために支給されるものであり、また、現行法の規定では、組合員期間が退職年金についての最短所要年限に達しておらない場合でもそれぞれ相当額の給付が行なわれていること等にかんがみまして、この際、原案をそれぞれ修正し、実在職した組合員期間の年数要件を削除して、すべての廃疾年金受給者に六万円の支給を保障することが適当であると考えられるのであります。  さらに、過日本院を通過いたしました農林漁業団体職員共済組合法等の一部改正案及び私立学校教職員共済組合法等の一部改正案につきましても、それぞれ同様趣旨を内容とする修正が行なわれておりますので、これらと平仄を合わせることが必要であると認められるのであります。  なお、本修正の結果、必要となる増加所要額は、国家公務員共済年金関係では、昭和四十一年度において約五百万円と見込まれますが、これにつきましては、追加費用として、いわゆる修正実額負担方式により明年度以降予算措置が講ぜられることとなりますので、本年度予算には影響を及ぼさないこととなっております。  また、公共企業体共済年金関係の増加所要額は、昭和四十一年度において、三公社で約七百五十万円と見込まれますが、追加費用として、いわゆる修正賦課方式により繰り入れを行なうこととなりますので、公社予算には、本年度はもとより明年度以降にも格別影響を及ぼさないこととなっております。  以上が、両修正案の提案の趣旨及びその内容であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  88. 三池信

    三池委員長 これにて両修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、修正案について、内閣において御意見があれば、述べていただきます。福田大蔵大臣
  89. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま提案のような修正がなされますことは、政府としては、やむを得ないものと了承いたします。     —————————————
  90. 三池信

    三池委員長 これにて両案並びに両修正案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  91. 三池信

    三池委員長 これより討論に入るのでありますが、両案並びに両修正案につきましては、討論の申し出がありませんので、これより順次採決に入ります。  まず、昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び同案に対する修正について、採決いたします。  まず、木村武千代君外三十八名提出の修正案について、採決いたします。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。  これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決いたしました。  次に、昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案について、採決いたします。  まず、木村武千代君外三十八名提出の修正案について、採決いたします。  本修正案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について、採決いたします。  これを可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決いたしました。     —————————————
  96. 三池信

    三池委員長 ただいま議決いたしました両案につきまして、武藤山治君外三十八名より、三党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、この際、提出者より趣旨説明を求めます。武藤山治君。
  97. 武藤山治

    武藤委員 ただいま議決されました共済組合関係法に対しまして、三党一致の附帯決議をつけたいと存じます。  文案につきましては、すでにお手元に配付されておりますので、読み上げることを省略いたします。  今回ほど本委員会において共済組合法に関連した質疑がなされたことはございません。延々三週間以上に及ぶ慎重審議をいたしました。その結果、政府側の方々も御了承と思いますが、われわれが改善をしなければならないと思う点が多々発見をされ、また、前向きの姿勢をもって改善をしなければならぬ点が数多く見受けられるのであります。しかしながら、国会の限られた会期の中で直ちにこれを全面的に改善する方途は、時間的に制約を受け、さらに、予算的に制約を受ける面が非常に多うございます。したがって、われわれ与野党とも直ちにこれをここで改善をすることを避けて、附帯決議を付することにいたしたのであります。したがって、大蔵大臣並びに郵政大臣、あるいは大蔵省各担当官は、この附帯決議を実行するにあたっては、すみやかに、しかも誠意をもってこの附帯決議が生かされる方向に善処されんことを私は強く要望するものであります。  第一は、今回設けられた調整規定、すなわちスライドと呼んでおる方々も多いのでありますが、この規定は、非常に画期的な規定であると期待をされておる条文であります。しかしながら、今回はその条文がただ文章に書かれただけであって、質疑応答の中で明らかにしようとしても、公務員の給与水準、物価の変動等、著しく事情が変化した場合にこの規定が働くという意味ではありますけれども、内容については何ら規定がないのであります。もちろん、政令の公布も規則の制定もいまだ考えていないという、訓示規定的な意味すら感ずるような規定でありまして、私たちはまことに不満でございました。そこで、質疑応答の中で、このスライド規定が直ちに働くように政府はすみやかに検討しなければならないではないかという強い要望が展開されたわけであります。したがって、第一の附帯決議の内容は、調整規定運用については、その実効ある措置、ここが非常に大切であります。実効ある措置が、国家公務員共済組合公共企業体職員等共済組合を通じ統一的に講ぜられるよう適切な配慮をすべきである、こういうわれわれの強い要望でありまするから、恩給審議会にすべてをゆだねるという姿勢ではなくて、積極的に、国家公務員、三公社五現業もこの規定が実効あるように検討せられたい。  第二の問題点は、いま御承知のように物価の変動が非常に激しく、下落を見ない騰貴一方の一方交通であります。その原因が那辺にあるかは別といたしましても、物価騰貴が国民生活を非常に脅かし、これが医療費の増高を招いていることもいなめない事実であります。さらに、政府が年々鳴りもの入りで減税を主張し、実行をいたしてまいりましたが、この減税の効果を受けない低所得者階層というものが非常に多いのであります。これらの人たちは、一方は物価騰貴、医療費の増高によって実質生活水準が低下し、医療費の負担感というものは著しく重く感ぜられるようになっております。さらに、医術はどんどん進歩し、医療費というものは高くなる一方であります。この科学の進歩を押えるということは時代逆行でありまするから、これらの科学の進歩に見合った医療を受けるということは当然であります。そうなってまいりますと、どうしても物価の変動、減税の効果の問題、医学進歩の問題等から考えましても、医療費が年々著しく高騰を続ける、それをどこで処理するかというと、組合員の掛け金引き上げに処理の方針が向けられている、まことに残念であります。しかし、掛け金率の引き上げにも一定の限度があってしかるべきであります。私たちは、それらの問題点について、福田大蔵大臣を交え、三週間にわたる質疑応答を続けたわけでありまするから、今回その質疑の中から出てきた第二の附帯決議の内容は、短期給付については、医療費の増加に対処し、組合財政の健全化及び組合員の負担が加重にならぬよう、すみやかに国庫負担制度についても検討すること、この点については再三有馬議員からも福田大蔵大臣に強く指摘をし、要望されたのでありますが、大臣はいまだ納得のいく適切な答弁をいたしておりません。今回三党共同でこの附帯決議が付せられるに及びましては、十分前向きの姿勢でこれが検討をせられたいと望むものであります。  第三は、先ほど渡辺美智雄議員からも指摘されましたが、共済組合の運営の問題、特に長期給付関係資金運用等について十分配慮しなければならぬ点が与党議員からも指摘されました。私どももそのとおりだと考えます。そのための一つの方法としても、現在の評議員会の運営というものをもっと民主化し、適正な運営が行なわれ、お互いが牽制機能を生かして、十分管理の行き届くような体制に改善をすべきであると考えます。すなわち、具体的には、評議員会の構成を検討し、これらの問題が起こらぬような、しかも職員団体の意見が十分反映されるような措置を講じてほしいというのが野党側の主張でありました。しかし、今回の第三の附帯決議の内容はあまり具体的ではありませんけれども、そういう趣旨を織り込んでいる気持ちを十分参酌されて、善処されんことを望むものであります。  第四は、本年の十月末日期限の到来する男子の退職一時金と通算年金の選択制については、通算年金制度創設の趣旨を勘案しつつ、実情を考慮して検討すること、これは御承知のように、今日他の年金が非常に低額であり、共済年金と比較した場合に格差がはなはだしい現状から、通算年金法ができたとはいえ、一挙にこれが移行には諸般の情勢というものを十分検討しなければならないとわれわれは考えるものであります。できるならば、われわれは直ちに十月三十日期限の切れるものを明年さらに延期をして、これらの選択権を認めるべきであるという趣旨でありまするから、これらの点を担当責任者は十分勘案の上、すみやかに善処されんことを強く要望いたします。  いずれにいたしましても、今国会における共済組合法審議というものは、まさに慎重審議であり、これらの中で、大臣が善処する、検討する、こういう答弁をいたした点については、附帯決議に盛られていなくとも、主計局次長以下担当官は十分承知をしておるはずでありまするから、附帯決議に載らない部分についても、約束された事項については、附帯決議以上の力があるものと認めて、善処されんことを強くお願いをいたし、附帯決議に対する提案説明を終わりたいと思います。 ————————————— [参照] 昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び 昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案 一、今回設けられた調整規定運用については、その実効ある措置国家公務員共済組合公共企業体職員等共済組合を通じ統一的に講ぜられるよう適切な配慮をすること。 二、短期給付については、医療費の増加に対処し、組合財政の健全化及び組合員の負担が過重にならぬよう速やかに国庫負担制度についても検討すること。 三、国家公務員共済組合連合会の運営については、加入組合員の意向が評議員会に十分反映できる方途につき検討の上その実現を図ること。 四、本年十月末日期限の到来する男子の退職一時金と通算年金の選択制については、通算年金制度創設の趣旨を勘案しつつ、実情を考慮して検討すること。 —————————————
  98. 三池信

    三池委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  おはかりいたします。  武藤山治君外三十八名提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、武藤山治君外三十八名提出の動議のごとく、両案には三党共同提案による附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣
  100. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府としては、御趣旨を勘案して、よく検討いたします。
  101. 三池信

    三池委員長 郡郵政大臣
  102. 郡祐一

    ○郡国務大臣 附帯決議の御趣旨をよく体しまして、検討いたします。     —————————————
  103. 三池信

    三池委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  105. 三池信

    三池委員長 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。平岡忠次郎君。
  106. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 アジア開発銀行設立をめぐる諸点につきまして、本日は主として政府の政治判断をお伺いしたいと思います。  一昨六月五日の日本経済新聞の朝刊は、政府筋が四日明らかにしたところによるものとして、バンコクでのアジア開銀の第二回準備委員会で、十一月に設立総会がイランのテヘランで行なわれるべきこと、この設立総会の総務会で行なうべき総裁選挙では、わが国の推す渡辺大蔵省顧問の当選は、これまでの打診の結果確実視されていると伝えておるわけであります。ニュースソースが政府筋ということなので、政府の確信と思いますが、渡辺武氏当選予想を裏づけるものは何であるか、御説明をいただきたいと思います。
  107. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いま日本経済新聞の記事を引用されての話でありますが、引用の政府筋というものが一体どこか、私にもはっきりわかりません。あまり権威のない筋ではないか。つまり、アジア開銀の設立総会は十一月じゃないのです。十月中旬テヘランにおいて開催される、こういう動きになっておるわけであります。  第二の、渡辺武氏が有力な総裁候補になって、決定的なところになっておるというお話でございますが、これはそういうふうに私どもは見ておるわけであります。つまり、総裁の決定は本店の所在地決定とその方式が違うのです。本店のほうの決定は、域内加盟国の一国一票の投票によってきめられたわけであります。総裁のほうは域外国をも含め、その投票権は出資額に応じて差等をつけた投票をする、そういうことが中心になるわけでありまして、決定の方法にも違いがありますが、それはそれとして、渡辺武君が総裁に当選されることは、私ども政府としてはこれを歓迎をしておるわけであります。また、その歓迎に対しまして、別に関係諸国の間に異論もないような雲行きであります。有力なる対立候補がただいまのところ見当たらないという現状から察しまして、渡辺君の総裁当選ということは相当確実視していいのではないか、そういうふうに見通しをいたしておる次第でございます。
  108. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 私がお尋ねしたのは、日経が伝えておるところがどうとかということはいま問題ではない。いま大蔵大臣のおことばからも、大蔵省としてそういう確信を持っておるというお答えでありますので、その根拠を明らかにしていただきたいと思います。その根拠の一つとして投票方式が違ってくるというところに期待が持てるというお話でありますが、それ以外に何か有力な根拠があるかどうか、ひとつお知らせをいただきたいと思います。
  109. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま詳細に申し上げたとおりの根拠において申し上げております。
  110. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 それでは、各国を打診した結果、有力と判断しておる、ほとんど確信に近い当選の期待がある、そういうことでございますが、その支持は渡辺さんの世銀の理事等の閲歴からして最も適任者だという才幹を期待されて支持が出ているのか、それとも、本店招致でマニラに破れた日本に穴埋めをしたいというそういうことから総裁のワクは日本にやるという可能性が多いという判断に立ってのことか、どちらですか、ひとつお答えをいただきたい。
  111. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 アジア開銀の本店所在地、また総裁の決定、そういう一連のものの考え方とといたして、関係国の間にどうも総裁もあるいは本店の所在地も一国だということはちょっと片寄り過ぎてはいないか、総裁がどこかの国から出るならば、本店所在地は他の国である、こういうふうな考え方があったようであります。これは関係諸国にばく然とではあるが、共通して流れておった考え方のようであります。それからもう一つは、さてそれじゃ総裁を一体どうするかというような問題につきましては、国際的に理財家として名の通っておるりっぱな人格者である渡辺武さんという人が日本におる、この人が総裁として適任者であるというそういう空気もまた同時に流れておったようであります。そういうことが、本店所在地を東京でなくてマニラだというふうに決定させ、また、ひいては渡辺武候補が最も有力であるという結論になりつつあるという動きを決定した要因である、私はこういう見方をしておるわけであります。
  112. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 蔵相の御答弁は問いに対し必ずしもはっきりしていません。二つながら支持要因であるように受け取れます。しかし、藤山さんが、四月十五日の本会議での答弁の東京敗北の理由の中で次のように述べておられる。本店の所在地と総裁の、二つながらとれる機運ではなくなって、結局、才幹のある渡辺氏が総裁の候補として控えているのだから、本店はマニラであるということに落着したという趣旨を答えておるわけです。そうすると、渡辺さんというのは、日本からの候補者といわんよりは、アジア開銀を十分引っぱっていける才能を持っている方という、そういう評価でマニラの動きがああいう結果になったと私ども判断しておるわけですが、その点の御確認をまずいただきたいのですが、どうですか。
  113. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま申し上げましたように、私もそういう見方をいたしておるわけであります。
  114. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そういたしますと、あなた方の見込みどおり総裁当選を予想した上で、問題が二つあると思うのです。渡辺氏の才幹、手腕を買っての渡辺氏への支持であるということがいまあなたから確認をされたわけですが、対立候補がないほど渡辺氏の支持がかたいということであるわけですが、もしそうだとするならば、渡辺氏が健康その他の理由でこのポストを受けない事態がもしあるとする場合、各国からも名のりをあげる可能性があると私は判断をします。必ずしも日本の勝利が約束されることにはならないのではないかという懸念が生ずるわけであります。  そこで、まずお伺いしたいのは、常勤で東京ではなしにマニラにつとめることの合意が大蔵省渡辺さんとの間で成り立っているのかどうか、これが一点であります。渡辺氏は東京本店の条件では承知していたことであるけれども、マニラでは二の足を踏んでいるのが実情だということを私はある筋から聞いたのですが、真相はどうであるか。商社とか銀行等の例で見ましても、南方づとめの例では、若手ですら通常二年、長くても三年と相場がきまっております。これは政府筋の海外駐在の期間も大体その程度だと私は聞いておりますが、よわい六十歳の渡辺さんが五カ年間の任期をあえて辞せずとしてこれが受諾を政府に意思表示をしているのかどうか。この段階ではこの点を明確にしておく必要があると私は思うのであります。もう少し突っ込んで申し上げますと、渡辺さんの肩書きは大蔵省顧問であります。大蔵省顧問とは、官制上定められた職であるかどうか。そうではないのではないかと思います。官制上の職なら、マニラ出向の任命は拒否することができないと思いますが、大蔵省の組織規程の八条にうたい上げておる職務であるにすぎないのでありますから、政府大蔵省に強制的任命権、すなわち出向指示の権限は私はないと思う。結局、政府と当人との間の合意によるほかはないと思います。この際、渡辺さんと政府の間で合意されているのかどうかを明確にされたいという意味であります。
  115. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 渡辺さんに対して、政府は強制出向権は全然持っておりません。これはお話のように、渡辺さんの御意図がどうだという問題が唯一無二の決定的なものであります。渡辺さんとの間はどうかというと、私もじきじきに渡辺さんと会っています。政府としては渡辺さんを推戴して総裁選に臨むという考えであるが御意向はどうかというのに対しまして、渡辺さんも、事は国際的にきわめて重大な問題である、また日本としても重大な問題である、そういうことから、当選の際には決意を持ってその職に当たってみたいというかたい御決心のようであります。
  116. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 その点はわかりました。  当選を予測した上での問題に、さらに次のことがあると思うのです。渡辺さんが当選いたしまして、初代総裁を五カ年間つとめ上げた後において、次の総裁は、こういう国際機関の例として持ち回りになる例が多いわけでありますが、日本の手からこの総裁のポストは離れるのではないか、この点の見通しはどうでしょうか。
  117. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 五年先のことまではただいま考えておりませんです。
  118. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 非常に不親切な答弁です。定款には重任を妨げないことになっております。なっておりますが、先ほど私が質問した中で、日本に総裁のワクをくれるのか、そうではなしに、渡辺氏の才幹を評価しての支持なのかということを聞いたのですが、その点で非常に重大なんです。日本にワクをくれるということになりますれば、その次に渡辺さんにかわるピンチヒッターが出ても日本から推薦される総裁が定着するわけでありますが、そうでない可能性がある点に問題があると思うのです。私はそれを聞いているのですから、いま五年先はわからぬというようなお話でなしに、もっと親切に御答弁を願いたい。
  119. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ほんとうに、五年先のことはまだそこまで考えていないのです。ただ、ワクが日本だということじゃありません。渡辺氏個人が選挙の対象になる、こういうことであります。ただ、日本といたしますと、加盟国の中で最大の出資者であります。そういう立場は、先々におきましても重く考えられてしかるべきものである、かように考える次第であります。
  120. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 後段に大蔵大臣がおっしゃった、日本は二億ドル出資の大株主なんだ、そのことはやはりマニラ会談——マニラ代表者会議前にも、日本としては、この大株主であるというところに根拠をおいて、間違いなく東京招致ができると確信しておったはずですね。手痛い先例があるわけですから、二億ドル出資したからといって日本に必ず来るのだというのは、少し楽観に過ぎると思います。この点はどうですか。
  121. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 二億ドル出しておるから日本に五年後の総裁も約束される、こういうふうに申し上げているわけじゃないのです。二億ドル、つまり最大の出資者であるという点は、これが総裁交代の際において、後継者を選定するにあたってきわめて重い選考要因をなすであろう、こういうふうに考えておるということを申し上げております。
  122. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 いままでの論議を通じまして、結果として、日本は二億ドルの大株主であるにもかかわらず、本店を失い、総裁も失うこともあり得る。しかも、創業の準備のためにマニラで大汗をかいて、せっかく五カ年間つとめて、いざこれから運営というときにこういう結果になることもあり得るということは、やはり私どもは心にとめておく必要があると思うわけであります。藤山長官、どうでしょう。
  123. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 総裁の問題につきましては、むろん渡辺君が世銀の理事として東南アジアの各国を代表して世銀へ入っておられる。したがって、東南アジアの各国の代表の方々は、渡辺君の人物、識見、また世銀における働きを十分見ておられるわけであります。その意味におきまして、渡辺君に対する評価は非常に高かったと思います。同時に、日本が——私は訓令をいただきまして、本店は東京、総裁は逆に日本以外のところからという訓令を持って出たわけです。いろいろお話してみますと、やはり日本はアジア開銀から金を借りないのですね。借りない立場にある。ですから、そういうところから総裁が出るほうが、本店の所在地よりも運営上適当なんじゃないかという考え方もございます。ですから、そういう二つの考えが合わさりまして、むろんさらに、いま大蔵大臣が言われましたように出資額も大きいということもございますが、しかし、直接日本は金をアジア開銀から借りるわけではありませんから、総裁は借りないところの人がいいだろう、私はむしろそういう訓令をいただいて参りましたのは、本店は日本に置いて、そうして総裁は、アジアの開発事情に周知した人を各国から選ぶのがいいんじゃないか。それで、みんなの空気は、総裁も日本がとるのだ、本店が日本にきまってしまったら総裁もとるのだ、こういう誤解がだいぶございました。それをいまのような形で私は釈明いたしたのですが、みんなの受けている感じは、総裁は日本のようなところから出す、しかも、渡辺君という適任者がいるからそれがいいじゃないか、場所は日本以外がいいじゃないか、こういうのが実情でございます。ですから、渡辺君が五年間十分な、過去における実績と同じような実績をあげてこられれば、渡辺君に対する評価は絶対なると同時に、いま大蔵大臣が言われたように、出資額も多いところでございますし、なお、日本が公平にアジアの各国に金を貸すという立場に立って、日本自身が金を借りるということでございませんから、そういう意味では、十分な運営をするには日本からの総裁がいいのじゃないかという感じが持たれると思います。がしかし、五年先のことでございますし、われわれも、いま大蔵大臣の言われたとおり、どういうふうになるかということは、これはいま想像するわけにもまいりません。
  124. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 さっきも触れました四月十五日の本会議での答弁のうち、あなたが一番謙虚に反省をされて、責任を痛感しておるという語感があらわれております。しかも、いまお話を聞くと、これは政府の訓令であったかどうか知りませんが、全権となられましたあなたの判断の中には、総裁と東京の本店のどっちをとるかというならば、東京をとるべきだという判断は、全く私も同感です。その所信がなぜ貫き得なかったかという点、投票の経過を追ってみますと、そのチャンスは十分あったという点で私は悔やまれてなりません。占有は所有を決定するということばがありますが、それと同じように、アジア開銀の本店を日本に招致しておれば永久的に日本は影響力を行使できるわけです。ところが、総裁になったのでは、孤影しょう然としてマニラに渡辺さんが赴任をしても、バックアップがないわけです。だから、そういう点で七百二十億円、二億ドルの出資に値するかどうかという点は、現在では最初のときとは違うのじゃないか。条件が変わってきたように思うのです。七百二十億円、二億ドルというなけなしの金を日本が出すのですから、その条件が変わったにもかかわらず、前と同じように、これはアジア開発のために役に立つのだというきれいごとばかり言ってはいられないと思うのですが、選挙の点でまたぞろ——日経が信憑性がないというならば別ですが、楽観ムードがあおり立てられておるような判断は甘いと思います。  さて、先ほど大蔵大臣は、投票方式が違って、今度は域内ばかりでなく域外の国の投票権もある、しかも、出資の株式数方式によって、投票に対して前回とかなり違う形が出てくる。もっと具体的に言うならば、日本が二億ドルの出資を持っていますから非常に大きな投票権があるわけです。それで米国もたぶん日本を支持してくれるだろうからということになれば、米国はやはり二億ドルですから、十億ドルのうち四億ドルが確保できるという形におきましては日本の優勢があると思います。ただ、御注意願わなければならぬのは、アジア開発銀行協定の三十四条の一項によりますと、総裁選挙の投票は総務会できめるということ、総務会というのは、加盟国代表で構成しますが、その総務会できめるということ、その方法は、一国一票を投じて、そのマジョリティーを得るということと、それから、いま大蔵大臣からお話のあった、各国の持ち分投票によるマジョリティー、この二つが要求されておるわけです。この二つがないと、片方だけでは日本渡辺さんの当選はできないわけです。持ち分投票によるマジョリティーはアメリカと日本で四〇%ありますが、正確に言うならば、均等分が二割ということになりまして、足が切られますから、日本とアメリカだけで三四%程度であります。しかし、その強い持ち分がございますから、これでは勝てると思うのです。ただし、一国一票の投票になりますと、現実にマニラで日本は九対八で負けておりますね。そこへ持ってきて、今度は域外国の投票が行なわれ、域外国が十三ぐらいあると思うのですが、しかしこれは、西独にしてもそれから英国にしても、やはりアジアの地盤というものはもと自分たちが持っておったわけですから、これは北の連帯性ということで日本に入れるとは限りませんよ。むしろ英国とかあるいはドイツは逆に回ることは十分にありますし、単に英国とかドイツだけでなしに、その両国の影響力というものを行使して、形勢がひっくり返ることは十分あると思うのです。そうすれば、一国一票のほうでは負ける可能性だって考えておかなければならないですね。私の判断はそういうことです。この間マニラで負けたばかりで、政府筋の報道に楽観論、こういうことが、かりにニュースソースが間違っておるといえばそれまでですむけれども、火のないところに煙は立たないのですから、そういう楽観ムードが政府筋にあるということは厳に戒めなければならないと思っております。そういう諸点を乗り越えて、日本がはたして楽観的見通しに立ち得るのかどうか、手痛い経験をなめられた藤山さんからあらためてお伺いしたいと思います。
  125. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 大蔵大臣から出発当時私にお話がありましたのは、平岡さんの考えと同じ考え方です。本店を日本に誘致しておけば永久に変わらぬ、しかし、総裁は第一回に総裁をとらなくても、二回以後にとれるのだからというのが大蔵大臣の考え方でして、私もその考え方に従ったのです。ちょうど平岡さんのお話と同じ考え方です。私が現場でもって十分な成果をあげなかったことはまことに済まぬと思っておるわけですが、ただ、それにはいろいろ情報不足があったと思います。したがって、あの経緯を見まして、今後の場合におきましても、楽観ムードだけに支配されないで、そして選挙のことですから、最後までやはり票数が多いということだけによらない、あるいは渡辺君の信望が高いということによらないで、最後までいろいろ努力をしてみなければならぬと思います。先般の経験から見ましても、たとえば、タイ自分が国際機関を——あそこにエカフェその他を集めておりますから、タイ自分のところに持っていきたい、こういう考え方だろう、もしタイにいかない場合には日本にくるだろうという考え方でわれわれ行ったわけでございますけれども、しかし、フィリピンに行ってみますと、タイとフィリピンとはすでにSEATOの本部でもって妥協をいたしておりまして、SEATOの本部はバンコクに持っておる、したがって、今度のアジア開銀の本店はマニラに持っていくということのかたい約束ができておるということははっきり承知いたしたわけであります。私は、そういう点は、率直に申しまして情報不足だったと思います。この開銀の選挙が終わりましてブラック総裁にお目にかかりましたときも、最後の段階でイランとフィリピンが妥協してフィリピンとイランの系統が投票したのです。そのときにイランの代表であります国立銀行の総裁は、自分が総裁になりたいということを自分のところに言ってきた、しかし、自分は、とてもその任じゃないといって一蹴したという話を私にしております。今度テヘランで会議が開かれることは、ある意味でイランの面目を立てたのじゃないかというような感じもいたします。ですから、やはり国際会議に出まして、そうして最後は選挙でございますから、私はやはり楽観しないで、万全の手を打ちながら進んでまいらなければならぬ、こういうふうに思っておりますけれども、大勢から言えば、渡辺君の信望と、そして、日本は本店よりも総裁をとるべきだというような当時の空気もございますから、大勢はそうだと思いますけれども、やはり最後まで油断しないでいくべきだ、こう考えております。
  126. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 藤山さんのいまの御答弁と、四月十五日の御答弁の中に東京の敗因がいろいろあげられております。そこで、いまもお触れになりましたが、読みが浅かったということ、パキスタンとイランとの関係は回教徒同士であるというような関係もあるし、それから印パ問題におけるイランのパキスタンに対する同情、ここでお返ししようというようなこともあったのだ。それからもう一つには、SEATOの本部とアジア開銀の本部とをフィリピンとタイで分かち合うという密約ですか、取引もあった、そういう点に対して読みが浅かったというふうにあなたはおっしゃったわけです。しかし、私はそういう投票誘致の技術的な面もあったと思うのですけれども、それより根本的にまだ問題があるのではないかという気がするわけです。結局問題は、投票誘致の技術的失敗ではなしに、東南アジア諸国にとって、日本が、連帯感を分かち合う域内国としてよりは、むしろ北という感覚が東南アジア諸国の中にあるのではないか。そうなりますと、問題はしかく簡単ではないと思うのです。この辺のところがよく究明もされ、日本として反省すべきなら反省するということがないと、今度の総裁選挙では勝ちましょうが、次の総裁選挙でやはりほかにいってしまうということで、結局、日本がなけなしの二億ドルを払った価値がなくなってくるという事態に追い込まれはせぬかと思うのです。その点に対する御見解をお伺いします。  それからもう一つふしぎに思われるのですけれども、社会党の場合には、日本が米国の走狗となってコンプラドール的なビヘービァをするのはまっぴらだという基本的な姿勢がありますけれども、ただ、議論を一応現実問題にしぼって考えた場合に、そういうコンプラドール方式と違うような一つの形が出たんじゃないかと思うのです。と申し上げますのは、結局日本としては、ほんとうは東京本店も総裁も、二つながらとるという立場に立つべきだったと思いますが、しかし、そうもならずに、二者択一ということにおりてきた。そうですね。そのときに、投票の経過を見ると、初め、第一回の投票でマニラなんて三票きりとってないですね。日本は八票、二回目の選挙にいってイランのほうの票でもかせいだのか、マニラが六票になって、日本は依然として八票、それでまだ過半数ではないからというので、三回目の決選をフィリピンと日本でやったところが、フィリピンのほうは最初の三票の三倍の九票に躍進し、日本は依然として八票に停滞したということですね。これはあなた自身が飛び回るわけにはいかぬですが、大蔵省なり外務省から行った随員は何をしておったかということです。結局負けたのですが、その背後関係を探ってみますと、やはり東南アジアでの動き方で、アメリカと日本ということの緊密性をあまり出してはいかぬという配慮かどうか知りませんけれども、米国自身がやはり本店はマニラに持っていくという工作をした疑いがある。そのことなんですね。この辺の究明をせぬといかぬと思うのです。アメリカ自身だってどぎつい国益に立っているのですから、これはやはり日本に独占させておいたのでは、東南アジアの市場関係において日本を野放しにすることになりかねない、それならここのところは分断しておいたほうがいいという長期展望に立って、日本の出方それ自身に牽制球を送ったと見られないことはないと思うのです。その辺のところはどういうふうに御判断になっておるか。その二つの問題について御見解を伺いたいと思います。
  127. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 投票のいろいろの経過は、おっしゃることはそのとおりです。アメリカがどういうふうに考えていたかということでございますけれども、アメリカも非常に注意をしまして、本店所在地の投票が済むまではアメリカの代表団はマニラに参りませんでした。そして、それが終わってから域外国を一緒に合わせた会議を開くときに入ってきたわけでございます。ですから、直接アメリカが現場で飛び回ったということは私はないと思うのです。しかし、アメリカが渡辺君の才能を非常に買っていた、ということは、アジア開銀を運営するのに渡辺君のような人が非常に必要だ、東南アジアの各国に彼以外にそう適当な人はいないということで渡辺君を高く評価しておりましたことは事実でございます。したがって、そういう意味からいって、ある程度渡辺君個人というものに重点が置かれたという形は出ております。ですから、そういうようなことでアメリカがいきなり投票を左右するような直接の運動をしたとは私考えません。しかし、そういうような長い間の背景、渡辺君のような人でなければアジア開銀の運営というものはできないだろうというような形からきている感じは一般に広まっていたんじゃないかという感じはいたします。  それから、日本が経済問題である程度公平な立場に立ってやるだろうという感じはみんな受けておったことは間違いございません。ですから、日本が本店までとらなくても、総裁をとって公平に運営をしてくれればいいんじゃないかという気持ちがございますから、何か、日本が出てきてみんなドミネートするというような感じは、私としては現場では感じられませんでした。
  128. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 率直に言いますと、今度のアジア開銀の問題では、日本は域内国であって、二億ドルアメリカと同額を出すけれどもその意義は違うのだというたてまえ、そういう日本独自のたてまえに立ってよかったと私は思うのです。それで、私のような前提に立つ限りは、やはり本店所在地も総裁もこっちでとってもちっとも差しつかえない。それはアジア自身の開発、前進のためになるという確信に立つべきだったと思うのです。と申しますのは、三十九年、池田さんが御存命中の国会ですが、私が党の代表質問を二番バッターでやりましたときに、当時国連の貿易開発会議というものが脚光を浴びまして、その年の三月から六月ぐらいまでの間にジュネーブで開かれまして、南北問題がクローズアップされたわけです。日本は敗戦国ですから国連の第二次機関のあらゆるところから締め出されておったけれども、そういう時勢に処してエカフェの日本の招致を国連貿易開発会議で提案すべきじゃないかという質問をしたわけです。ところが、その当時池田さんはにべもなく国会答弁でそれをはねつけてしまいました。大平君は弾力性のあるようなことを言っておりましたが、その弾力性のあるということは、エカフェ自身はもうタイ国にいっているのだから、これを日本に持ってくるということはできないのだというふうな消極的なことでした。しかし、エカフェ自身の本部は最初は上海にあったのですからね。それからバンコクにいったわけです。それで、日本がその名に値するほど実力があるというなら、国連貿易開発会議というものが発展していく展望においては、日本にエカフェを持ってこいという提案をしたってちっとも差しつかえなかったと思ったのです。しかし現実にはそれができずに、せめて国連に関連のある機関を将来持ってきたいという大平君の答弁があったわけです。ですから、このアジア開発銀行こそまさにエカフェから発想されていることでもありますし、これは全面的に日本に持ってきてもらって、それで米国のコンプラドールとかそんなことでなしに、日本がこれに対して真剣に取り組んでいく、この機関を通じてアジアに貢献していくという、そういう唯一のチャンスであると思っていただけに、私の気持ちとしてはこれがマニラにとられたことは返す返すも残念に思っているわけです。ですから、そういう次元に立てば、これは返らぬ繰り言のようになりますけれども、やはり東京招致に対して徹底的にやるべきだと思っておるわけであります。  この際、随員としてついて行かれた大蔵省と外務省の局長級の方は一体どなたであったか、明らかにしていただきたい。
  129. 鈴木秀雄

    鈴木(秀)政府委員 藤山大臣が首席代表でございまして、外務省からは牛場審議官と経済協力局の吉野参事官、大蔵省からは国際金融局長の私、それから企画庁からは田中調整局参事官が参りました。
  130. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 福田大蔵大臣、あなたはいろいろな国際会議に出られたり、あるいはついこの間も東南アジア経済開発閣僚会議で東南アジア諸国を集められて、いろいろな知識、体験を得られていると思うのです。そこで、この間のアジア開発閣僚会議のときに外務省筋は成功した成功したというようなことを言っていますが、思いもよらぬ参加国が集まってきただけの成功で、中身はあまりない。私はこれをそう評価するわけにはいきません。いずれにしても、そのときに大蔵大臣はトレジャリー・エンプティだ、金がないんだ金がないんだということをおっしゃっておられる。まさに日本の国庫はからっぽだと思うのです。そういう点で、ここで二億ドル出すということは容易なことではないのですよ。しかし私は、アジア開発銀行を文字どおりこれが日本の東南アジアに対する民主的な一つの開発、これはひもつきでないというような高次な次元に立っての開発の一つの中心機関として機能するということ、このことは大いに期待してもよかったと思うのです。その意味におきましてはエンプティ・トレジャリーから二億ドルを出しても出しがいがあると思っておったのです。しかし、いまやその条件が全部変わってしまったということ、本店は日本にはない、総裁は一時的なもので永久的な保証はない、もし保証があったとしても、本店所在地でないこの日本で影響力を常には与え得ない、こういうことで事情が変わってきました。そこで、二億ドルを出資するその投資価値と申しましょうか、その価値が変わってきたと思うのですが、大蔵大臣どうですか。日本が本店を持ち、総裁ではなくて副総裁でも持つということで影響力を十全に行使し得るという想定のもとにおいては、なけなしの二億ドルは投下の価値があったけれども、いまやその事態は一変していますので、この二億ドル、大枚七百二十億円を投下する経済的効果、その点に対しまして大蔵大臣は疑念がないのでしょうか。
  131. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 本店がマニラにきまったということにつきまして、私はそれによって形勢が一変したというふうには考えておりません。初めから私も、本店も日本だ、総裁も日本だ、これは無理だ、こういうふうに考えておりました。ところがマニラに本店がまずきまった、そして総裁は日本だという動きになってきておるわけです。そういうことになりましたが、とにかく総裁はわが日本から出る。銀行の運営につきましては日本人である渡辺武君が全責任を負う、こういう形になろうとしておる。そういうことを考えてみますと、私は、本店決定がマニラになったからといって、アジア開銀に対するわが日本の期待が全然変わってきたというふうには考えておりません。依然として十億ドルのアジア開発銀行構想に対しましては、わが日本としては全面的に協力をしていかなければならぬ筋合いのものである、かように考えております。
  132. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 大臣としてはそう御答弁なさるよりほかないと思うのです。騎虎の勢いですからね。だけれども、七百二十億円は国民のお金ですからね。この投資効果というものが、五割、三割、二割にも低下したということを私ども現実に認めないわけにいかぬと思うのです。私がしゃくにさわったのは、そういう事態であるにもかかわらず、総裁はもう間違いなく日本へくるということが流布されているということ、これは日経がかってに書いたわけじゃないと思うのです。さっきあなたはそれは全然大蔵省関係のない記事だということをおっしゃったのですが、私も当初関係はないだろうと思って、実は国際金融局の——これは局長でありませんけれども、名前は別段言いませんが、ある人に問い合わせたわけです。そうしたら、絶対勝てるんだと言っているわけですからね。ものすごい甘い判断だと思うのです。さっき藤山さんからお答えがあまりなかったのですけれども日本が負けるということがあるとするならば、それはやはり日本自分で思い込んでいるほど域内におけるところの同志ということではなしに、日本は北の一人だというそういう判断がアジア諸国にあったときが一番こわいということ、しかも、北自身も利害関係の錯綜から北の連帯感を分かち合おうというのではなしに、北のそれぞれの国の東南アジアにおける経済の利害関係から日本に投じてこないということも十分ある。その辺の読みにつきまして、大蔵大臣はどうも部内の雰囲気がいいからだいじょうぶだというふうな確信に立っておるかもしれぬけれども、しかし、そうでないことがあり得ることは、マニラの代表者会議でもいやというほど経験上なめているわけですから、その辺のところを、これは大臣からでなしに事務当局からひとつ御説明いただきたいと思うのです。私どもは選挙をやっている人間ですから、六カ月先のことを読んで、当選間違なしと思うばかは一人もないですよ。六カ月先のことを、それを当選確実ということを言っている気が知れぬです。気が知れぬだけで済むならいいけれども、負けた場合には七百二十億円の投資に値しない、とんでもない負担義務だけをしょい込む結果になるのですから、この点につきまして、当選確実の明確な見通しがあるなら、その根拠をあらためてお聞かせいただきたい。
  133. 鈴木秀雄

    鈴木(秀)政府委員 大蔵省の国際金融局のだれかが平岡先生にそういうお返事をしたそうでありますが、私どもも、これは六カ月先ではございますけれども日本の選挙と違いまして、個別訪問式のことが自由にできるわけでございまして、各国の大使館あるいは中央銀行総裁、大蔵大臣等に当たりまして、ここに名前をあげるのは——向こうからコミットをとったとかなんとかいうことを申し上げるのは、ちょっとこういう席ではいかがかと思いますけれども、そういったことについてのある程度の約束のようなものをもらっているということがあるわけでございます。したがって、そういうことから大蔵省のだれかがそういうことを言ったのだろうと思います。  それから、いま北と南の問題もございましたけれども、南におきましてもやはり利害の対立というのが実はあるわけなんで、もし借り手である一国が総裁になった、あれは御存じのとおり総裁は域内の国からしか出られないことになっております。したがいまして、一国のどこかがなるということは、その国によけい貸し込むのではないかというようなほかのほうからの反発もあるわけで、そういう点からやはり中立的な域内国の貸し手である日本から出たほうが——もちろん渡辺さんの個人的なメリットも十分あると思いますが、そういった点が一番いいのではないかというのが一般的な空気である、こういう二つの点からそういった返事を不用意にしたのかもしれません。もちろん、私どもも今後とも外務省と協力いたしまして、間違いのないようにやっていきたいと思っておりますが、現状の判断はそういうところから出てきておるわけであります。
  134. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 お答えによると、相当各国別にサウンドしてみた、そのはね返りから判断してだいじょうぶであるという、その程度にとどまると思うのです。だけれども、マニラの代表者会談の前にも東京の本店はだいじょうぶだというサウンドもあったのじゃないですか。それと感触が違うのですか。
  135. 鈴木秀雄

    鈴木(秀)政府委員 マニラに負けた理由の一つには、これはあとから私どもも知ったのですが、投票手続において秘密投票ということをやったわけでございます。したがいまして、事前に約束しておっても、はたしてその人が入れてくれたかどうかという確証はなかったわけでございます。いまだに八票というものが一体いかなる国から来たかということについては、意見は区々でございます。だれが、どの国が日本に入れたかということでございますが、その途中の経過についても非常にわからない点があるわけでございます。しかし、今回の総裁選挙というものは秘密投票ではございません。なぜなれば、総裁の選挙というのは各国が自分の出資額に若干応じた投票数によってやるわけでございますから、どこの国が何票ということが計算されなければ選挙の開票ができないわけでございます。したがって、秘密投票でないということで、外交上約束したものを、現実にもしそれを破ったというようなことになれば、それはわかるわけでございまして、その点はマニラの投票よりは、私どもよほど事前の約束というものが信頼性が持てるものだ、こういうふうに判断しておるわけでございます。
  136. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 各国の代表の総務、これが構成するのが総務会、そうすると、現実には各国の代表が持ち株数に応じて投ずるし、それから一国一票を投ずるわけですね。それで、一国一票のほうはこれは秘密なんでしょう。
  137. 鈴木秀雄

    鈴木(秀)政府委員 同時に投票いたしますから、秘密ではございません。
  138. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 まあそれはあとでわかるから、向こうが内心じくじとしてあとで困るから、そういう事前に取り付けた内約というものがかなり実現性が多いのだという判断ですね。でも、そういうこともそうかもしれないのですが、しかし、各国とも国益に対してはがめついですよ。日本はそういう点では非常にお人よしだと思うのです。私が寓話的に聞いていることに、外交場裏におけるかけ引きというものは油断もすきもあったものじゃないということ——外交官ですから、お互いにノーということはあまり言わぬわけですね。ノーということは絶対に言わぬですね。もしこちらからある案件に対してサウンドした場合、向こうがパハップスと言ったときにはノーと考えなければいけない。それから向こうがイエスと言っても、パハップスの程度でとらなければならぬということがあるのです。これは御婦人に当たりをつける場合と逆でありまして、御婦人のときにはノーと言っても、それはパハップスの可能性がある。パハップスと言えばイエスと、こう判断してもいい。(笑声)それを取り違えているのじゃないかと思うのです。外交官は決してノーとは言いませんよ。その辺の読みはだいじょうぶなんですか。
  139. 鈴木秀雄

    鈴木(秀)政府委員 これは、各国の大使に、今度はアジアの公館長会議もありまして、重ねてそういったことについて遺憾なきを期するように、サウンドを大蔵次官からもその席上でもお願いいたしましたし、私どもも機会あるごとにそういった人たちと会うときにはそういうことをしております。したがいまして、遺憾なきを期しておるつもりでございます。非常にあぶないあぶないというお話なんですが、もう一つ、われわれが楽観と言っては非常に語弊なんですが、わりあいに現状ではそういったような感じを持っているのは、現在のところ、総裁候補というものの対立候補がよそのほうから全然ないということでございます。それは最後のどたんばになって出てくるかもしれませんが、現在では全然ないということで、したがって一般的にそういった空気がある、こういうことでございます。
  140. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 日本の場合でも、佐藤総理に対抗馬がないといっても、六カ月先はわかりませんよ。それと同じようにこのことについても断言できぬと思うのです。あなた方がわれわれに何と言って回答をしようと、マニラ代表者会議で負けているのだから、この点はよほどのことがないとわれわれ安心できぬということですよ。それから、もし総裁選挙に勝ったとしても、そんなことはあたりまえくらいのことで、それに勝っても七百二十億円では高くつき過ぎるというのがわれわれの考え方なんです。それで負けたらたいへんなことであるから、いまからあなた方斎戒沐浴して準備をせよということです。よしそれで勝ったって、われわれは満足しているわけではないし、二億ドルは高くついているのだ。実際に日本のアジア経済に対する寄与という門出においてたいへんぶざまな失敗をしておるということはぬぐうべからざる事実なんです。この点を反省してもらいたい。トレジャリー・エンプティの大蔵大臣の二億ドルの支出について、これは二億ドルに値するかどうか、やはり十分に国民の立場から反省をしてもらいたい。  きょうはこの程度にとどめまして、私の質問を終わることにいたしますが、最後に、大蔵大臣から総くくりとして御所見を承っておきたいと思います。
  141. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 平岡さんの非常に慎重な、注意深いいろいろなアドバイスにつきましては、感謝申し上げます。ゆめゆめ怠ることなく努力いたしたいと思います。      ————◇—————
  142. 三池信

    三池委員長 この際、参考人出席要求に関する件について、おはかりいたします。  国の会計に関する件について、明八日、日本道路公団総裁富樫凱一君に参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は、明八日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十五分散会