○
武藤委員 ただいま議決されました
共済組合関係法に対しまして、三党一致の
附帯決議をつけたいと存じます。
文案につきましては、すでにお手元に配付されておりますので、読み上げることを省略いたします。
今回ほど本
委員会において
共済組合法に関連した
質疑がなされたことはございません。延々三週間以上に及ぶ慎重
審議をいたしました。その結果、
政府側の方々も御了承と思いますが、われわれが改善をしなければならないと思う点が多々発見をされ、また、前向きの姿勢をもって改善をしなければならぬ点が数多く見受けられるのであります。しかしながら、国会の限られた会期の中で直ちにこれを全面的に改善する方途は、時間的に制約を受け、さらに、予算的に制約を受ける面が非常に多うございます。したがって、われわれ与野党とも直ちにこれをここで改善をすることを避けて、
附帯決議を付することにいたしたのであります。したがって、大蔵
大臣並びに郵政
大臣、あるいは
大蔵省各担当官は、この
附帯決議を実行するにあたっては、すみやかに、しかも誠意をもってこの
附帯決議が生かされる
方向に善処されんことを私は強く要望するものであります。
第一は、今回設けられた調整
規定、すなわちスライドと呼んでおる方々も多いのでありますが、この
規定は、非常に画期的な
規定であると期待をされておる条文であります。しかしながら、今回はその条文がただ文章に書かれただけであって、
質疑応答の中で明らかにしようとしても、
公務員の給与水準、物価の変動等、著しく
事情が変化した場合にこの
規定が働くという
意味ではありますけれ
ども、内容については何ら
規定がないのであります。もちろん、政令の公布も規則の制定もいまだ考えていないという、訓示
規定的な
意味すら感ずるような
規定でありまして、私たちはまことに不満でございました。そこで、
質疑応答の中で、このスライド
規定が直ちに働くように
政府はすみやかに検討しなければならないではないかという強い要望が展開されたわけであります。したがって、第一の
附帯決議の内容は、調整
規定の
運用については、その実効ある
措置、ここが非常に大切であります。実効ある
措置が、
国家公務員共済組合、
公共企業体職員等共済組合を通じ統一的に講ぜられるよう適切な
配慮をすべきである、こういうわれわれの強い要望でありまするから、恩給
審議会にすべてをゆだねるという姿勢ではなくて、積極的に、
国家公務員、三
公社五現業もこの
規定が実効あるように検討せられたい。
第二の問題点は、いま御
承知のように物価の変動が非常に激しく、下落を見ない騰貴一方の一方交通であります。その原因が那辺にあるかは別といたしましても、物価騰貴が国民生活を非常に脅かし、これが
医療費の増高を招いていることもいなめない事実であります。さらに、
政府が年々鳴りもの入りで減税を主張し、実行をいたしてまいりましたが、この減税の効果を受けない低所得者階層というものが非常に多いのであります。これらの
人たちは、一方は物価騰貴、
医療費の増高によって実質生活水準が低下し、
医療費の負担感というものは著しく重く感ぜられるようになっております。さらに、医術はどんどん進歩し、
医療費というものは高くなる一方であります。この科学の進歩を押えるということは時代逆行でありまするから、これらの科学の進歩に見合った
医療を受けるということは当然であります。そうなってまいりますと、どうしても物価の変動、減税の効果の問題、医学進歩の問題等から考えましても、
医療費が年々著しく高騰を続ける、それをどこで処理するかというと、
組合員の掛け金引き上げに処理の方針が向けられている、まことに残念であります。しかし、掛け金率の引き上げにも一定の限度があってしかるべきであります。私たちは、それらの問題点について、
福田大蔵
大臣を交え、三週間にわたる
質疑応答を続けたわけでありまするから、今回その
質疑の中から出てきた第二の
附帯決議の内容は、短期
給付については、
医療費の増加に対処し、
組合財政の健全化及び
組合員の負担が加重にならぬよう、すみやかに国庫負担
制度についても検討すること、この点については再三有馬議員からも
福田大蔵
大臣に強く
指摘をし、要望されたのでありますが、
大臣はいまだ納得のいく適切な
答弁をいたしておりません。今回三党共同でこの
附帯決議が付せられるに及びましては、十分前向きの姿勢でこれが検討をせられたいと望むものであります。
第三は、先ほど
渡辺美智雄議員からも
指摘されましたが、
共済組合の運営の問題、特に
長期給付関係の
資金の
運用等について十分
配慮しなければならぬ点が与党議員からも
指摘されました。私
どももそのとおりだと考えます。そのための
一つの方法としても、現在の評議員会の運営というものをもっと民主化し、適正な運営が行なわれ、お互いが牽制機能を生かして、十分
管理の行き届くような体制に改善をすべきであると考えます。すなわち、具体的には、評議員会の構成を検討し、これらの問題が起こらぬような、しかも
職員団体の意見が十分反映されるような
措置を講じてほしいというのが野党側の主張でありました。しかし、今回の第三の
附帯決議の内容はあまり具体的ではありませんけれ
ども、そういう
趣旨を織り込んでいる気持ちを十分参酌されて、善処されんことを望むものであります。
第四は、本年の十月末日期限の到来する男子の退職一時金と通算
年金の選択制については、通算
年金制度創設の
趣旨を勘案しつつ、
実情を考慮して検討すること、これは御
承知のように、今日他の
年金が非常に低額であり、共済
年金と比較した場合に格差がはなはだしい現状から、通算
年金法ができたとはいえ、一挙にこれが移行には諸般の情勢というものを十分検討しなければならないとわれわれは考えるものであります。できるならば、われわれは直ちに十月三十日期限の切れるものを明年さらに延期をして、これらの選択権を認めるべきであるという
趣旨でありまするから、これらの点を担当責任者は
十分勘案の上、すみやかに善処されんことを強く要望いたします。
いずれにいたしましても、今国会における
共済組合法の
審議というものは、まさに慎重
審議であり、これらの中で、
大臣が善処する、検討する、こういう
答弁をいたした点については、
附帯決議に盛られていなくとも、
主計局次長以下担当官は十分
承知をしておるはずでありまするから、
附帯決議に載らない部分についても、約束された事項については、
附帯決議以上の力があるものと認めて、善処されんことを強くお願いをいたし、
附帯決議に対する提案
説明を終わりたいと思います。
—————————————
[参照]
昭和四十年度における旧令による
共済組合等からの
年金受給者のための
特別措置法等の
規定による
年金の額の
改定に関する
法律等の一部を改正する
法律案及び
昭和四十年度における
公共企業体職員等共済組合法に
規定する
共済組合が支給する
年金の額の
改定に関する
法律等の一部を改正する
法律案に対する
附帯決議案
一、今回設けられた調整
規定の
運用については、その実効ある
措置が
国家公務員共済組合、
公共企業体職員等共済組合を通じ統一的に講ぜられるよう適切な
配慮をすること。
二、短期
給付については、
医療費の増加に対処し、
組合財政の健全化及び
組合員の負担が過重にならぬよう速やかに国庫負担
制度についても検討すること。
三、
国家公務員共済組合連合会の運営については、
加入組合員の意向が評議員会に十分反映できる方途につき検討の上その実現を図ること。
四、本年十月末日期限の到来する男子の退職一時金と通算
年金の選択制については、通算
年金制度創設の
趣旨を勘案しつつ、
実情を考慮して検討すること。
—————————————