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1966-05-11 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十一日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       小林  進君    佐藤觀次郎君       只松 祐治君    平岡忠次郎君       藤田 高敏君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  津田  實君         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         国税庁長官   泉 美之松君  委員外出席者         大蔵事務官         (証券局長)  加治木俊道君         自治事務官         (選挙局管理課         長)      小池 昌雄君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 五月十一日  委員藤枝泉介君辞任につき、その補欠として地 崎宇三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十日  租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する  法律案内閣提出第一五〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十日  不動産に対する税制改正に関する陳情書  (第三五五号)  輸入ハチみつ関税率据置きに関する陳情書  (第四三二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、  税務署設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  今般新たに就任されました加治木証券局長より発言を求められております。これを許します。加治木証券局長
  3. 加治木俊道

    加治木説明員 昨日付をもちまして証券局長を命ぜられました加治木でございます。  格別の御指導を賜わりたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)
  4. 三池信

    三池委員長 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小林進君。
  5. 小林進

    小林委員 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件、この議題に関連をいたしまして、昭和四十年度のいわゆる長者番付なるものが、五月一日、全国五百七の税務署から一斉に公示をせられた。この問題に関係いたしまして、資料提出方を願いたいということを昨日政府委員を通じて国税庁に申し入れをいたしましたところ、そういうようなことは発表いたした覚えはないから、資料をお渡しすることはできない、こういう拒絶のあいさつを受けた。これは商業新聞から週刊誌から、あらゆるところに公表されているものだが、国税庁発表した覚えがないから資料をやるわけにはいかぬと言って拒否せられた。どうもおかしい。政府委員が断わりに来ましたから、それはおかしいというので、今度は私みずから電話をとって、国税庁長官泉何某電話口に出てもらって、泉君に話した。ところが、そういうものを発表した覚えはありませんからやることはできないと、明確に断わられた。どうも理解に苦しむ。君は一体われわれ国会議員国会における質問や審議の妨害をする気か、こういうことを言ったら、妨害する気はありませんけれども発表した覚えがないから資料をやるわけにいかぬ、こう言う。大蔵大臣、そういうふうな五百万円以上の高額所得者国税庁は御発表になったことはございませんか。
  6. 泉美之松

    泉政府委員 事柄をまず申し上げたいと思います。御承知のとおり、所得税法規定に基づきまして、所得税申告書が提出されますと、五月一日から十五日間その申告書のうち、総所得金額山林所得金額及び退職所得金額合計額が五百万円超の者につきまして、税務署におきまして公示をすることに相なっております。そこで、その公示をしたものにつきまして、毎年新聞社のほうで長者番付――あるいは作家、芸能、スポーツ関係の方、そういう方々につきまして、新聞社のほうで、その公示に基づきまして、所得金額番付新聞に掲載いたしておるのであります。国税庁といたしましては、各税務署で非常に多数のものを公示いたしておりますけれども、それを国税庁で全部取りまとめているわけではございません。したがいまして、国税庁としてはそれを全部取りまとめて発表するという措置はとっておらないわけでございます。もちろん、税務署国税庁指導監督下にある役所でございますから、税務署公示いたしましたものは、すなわち国税庁公示いたしたものと言って差しつかえないかと存じますけれども、ただ、それを分類したり何かしてやっているわけではございませんで、私どものほうとしては、その資料全国から取って差し上げるという措置はとっておらないわけでございます。
  7. 小林進

    小林委員 それが三百代言的な言いのがれなんですよ。五百七の税務署で五百万円超のいわゆる確定申告者公示したということと、発表したことと、一体どう違うのだ。公に示したということと、発表したということとが違うのか。しかも、その五百七の税務署公示というか発表というか、そんなものはことばあやです。発表したものに対して、きのうは、君は発表した覚えはないと言った。国税庁は五百七の税務署に対して一体関係はないのかね。無関係な事務所かね。一体監督、指揮、命令関係はないのかね。
  8. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど申し上げましたように、税務署は、国税庁本庁指導監督下にある役所でございますので、税務所署におきまして公示いたしたものは、国税庁公示したと同様なものであるということは、先ほど申し上げたとおりであります。ただ、長者番付として、四十年分の所得税高額者の方の一番から十番までというような意味での発表は、国税庁としてしたわけではございませんで、五百万円超の所得者について、どういう方が申告をしておられるかという公示をしたということでございます。長者番付と、こうおっしゃるものですから、長者番付として公表したわけではない、五百万円超の所得者公示をしたというだけでございますので、それを所得高額順に並べて発表したということはございません、こういうことを申し上げただけでございます。
  9. 小林進

    小林委員 大臣、お聞きでございましょう。あなたはそんな答弁を教えているのですか。何です、小学生か幼稚園の子供にものを言わしているようじゃないか。それじゃ、長者番付ということばだから拒否したというのか。高額所得者の氏名をほしいと言ったら、君はそれに応ずるけれども長者番付と言ったから資料を提出できないというのか。どういう意味だ。どう言えばいいのだ。そういうことばあやで人を侮辱するようなことはやめたまえ。
  10. 泉美之松

    泉政府委員 いや、ことばあやで申し上げておるのではございませんで、全国五百七の税務署公示いたしました数量は非常に膨大なものでございまして、それを私のほうで全部取りまとめて発表するということは、手数でとてもできませんので、そういうことはいたさないということを申し上げておるだけでございます。その五百七の税務署公示をいたしましたものにつきまして調べて、高額者の順に並べてみれば、それは一つの表ができると思いますけれども、そういうことはいたしておりませんということだけ申し上げたわけです。
  11. 小林進

    小林委員 ぼくは君に順位序列をつけてくれと言ったのじゃない。そういう高額所得者資料をもらいたいというだけの話なんです。その資料も、御承知のとおり、こういう毎日新聞やら週刊誌やら、各誌に全部出ているんだ。ぼくはその資料が不幸にして手に入らなかったから、国税庁にくれと言ったんだ。そんなに困難なものかね。君たちがあまり抵抗するから、ぼくは町に出てみたら、町では五十円の週刊誌の中にも各府県ベスト高額者のやつが全部載っている。そんなに困難なものかね。一体、君たちはそれくらいのことの協力ができないというのかね。
  12. 泉美之松

    泉政府委員 そこで、お電話がございましたので、申し上げましたとおり、これは新聞発表されておるものでございますから、私ども、もちろん秘密にすべきものでも毛頭ございませんから、その資料を差し上げたわけでございます。ただ、これは特に小林委員から御注文のありました各閣僚申告状況ということでございましたが、この分につきましては、私どもは特に調べておりませんので、これは新聞社のほうで調べられた結果、これは毎日新聞が調べられたわけでございますが、その分をお示ししたということでございます。
  13. 小林進

    小林委員 まことに、君たちはしゃべるけれども毎日新聞の記事だけをコピーか何かして持ってきたが、町の週刊誌を見たまえ。この中には、各府県ベストファイブ高額所得者全国のものが載っていますよ。週刊誌だけでも全国税務署ベストファイブ全部を載せているのに、国税庁長官国会議員から資料としてそういう高額者のリストをほしいと請求されて、そういうのは発表いたしておりません、見せるわけにいきません。何です。それでりっぱな長官としての職務がつとまっていると考えているのか。問題はことばのやりとりの問題じゃないんですよ。あなた方の姿勢の問題ですよ。態度の問題ですよ。大臣、あなたは一体こういうような答弁野党議員にはやりなさいと教えているのですか。指示されているのですか。大臣にお聞きしているのです。されているのかされていないのかとお聞きしているのですよ。
  14. 泉美之松

    泉政府委員 法律問題で……。
  15. 小林進

    小林委員 君、黙っていたまえ。ぼくは君に質問しているのではない。そういうような、野党議員週刊誌新聞にも発表されている程度の資料要求をしているのを、そういう発表はいたしませんからやることはできないというふうな答弁をするようにあなたは指導されているのかどうか、大臣にお聞きしているのですよ。
  16. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 小林さんと長官とのきのうからのいきさつ、私はよく承知しませんが、所得税法においてはっきりしていることは、各税務署において多額納税者公示するということになっております。(小林委員公示発表と違うかね」と呼ぶ)これは発表でございます。これは広く国民発表することであります。そのとおりなんです。ただ、おそらくそれを全国五百幾つの税務署発表したものを国税庁で取りまとめて、序列をつけていなかったのじゃないかと思います。そこで、そういう資料はまだ整えておりません、こういうことだと思います。もう発表はあなたのお話のとおり、政府において発表しておるわけであります。ただ、その整理を、あなたが御期待のようにしておらなかった、こういうことかと思います。
  17. 小林進

    小林委員 そういうふうなあなたの答弁ならいいんですよ。発表はしていませんから、こういうことだった。発表はしていませんからやるわけにはいかない、こう言うのですよ。(「局長大臣のえらさの違いだよ」と呼ぶ者あり)そうじゃないんだよ。大臣はまだ野党議員のおそろしいことも一応知っている。尊敬することも知っている。そういうのは知らないんですよ。うまくその場さえごまかしさえすればいいというような気になっているけれども、こういう大蔵官僚がいるから、いわゆる国民不在政治が行なわれるんです。だから大蔵官僚が一番悪いというんです。どうせこんなのは、いま一年か半年いれば、その次には何とか証券局長のように、どこかの公団にすべり込む、そうしたら、退職金はたんまりもらって、それから公団に入る、あるいは市中銀行か何かに入る、また三十万も五十万も給料をもらえる、野党何食らえ、こういうような潜在的な意識があるからこういう失敬な電話をよこすんです。自分の五百七の税務署発表しているものを、公示したものを――公に発表したものが公示でしょう。それを発表いたしておりません、だからありません。――大臣のように、発表したが、まだその中で順序、序列のそういう集計したものができておりませんという話ならば、一応恕すべきところがある。一言もそんなことを言っておりませんよ。だから、こういう悪徳の国税庁長官などというものは、あなたは処分しなさい。大臣、李下に冠を正さずということばがあるならば、まずあなたの足元から姿勢を正していかなければ、国民の血と汗とあぶらの税金を取り上げるというような聖なる仕事をこんな者にはまかされませんよ。私はほんとうに泣いて憤慨しているのですよ。時間がありませんけれども、ひとつ、こういう問題は、大臣真剣に考えていただきたい。  そこで、次に移りますけれども、この税務署発表いたしました高額所得者の問題について、世論は実にごうごうたるものです。それは新聞紙上、週刊誌でも全部この問題を批判をしておる。これぐらい世上に喧伝せられておるものをわれわれが国会の中で取り上げないというならば、何の国民の代表かと言われるおそれがありまするから、あえて私はこの問題を取り上げる。  その代表的な意見といたしましては、法政大学の工業経済を教えている力石定一助教授が「日本では、高額所得者、大企業が税を免れる租税制度になっているんですね。だから、新聞にのっている高額所得者の本当の所得は、二倍、三倍ではききませんよ」と言っておる。言いかえれば、上原正吉松下幸之助鹿島守之助大塚武三郎石橋幹一郎石橋正二郎大林芳郎本田宗一郎上原昭二熊谷太三郎、竹中錬一など、それ以下これに準ずる高額所得者確定申告、こんなものはみなうそなんだ、実際は二倍、三倍になっているのですよ、こういうことを発表せられておる。これが一体実際であるのかないのか、まず大臣からひとつこういう批判に対する明確な御答弁を承っておきたいと思うわけです。
  18. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 国税庁では全力を尽くして所得の捕捉に当たっておるわけです。国税庁が調査しておる結果は、私は、今日の段階におきましてこれは最も正確なものである、それをどういう資料によって違うとおっしゃられるのか、おっしゃられるほうの立場も聞いてみたい、こういうように存じます。
  19. 小林進

    小林委員 聞いてみたいということばは非常によろしい。ぜひひとつ、この問題は理事諸君も頭に置いてほしい。国税の問題を堂々とこういう誌上に論陣を張られて、大蔵省国税庁一言も反問できないというのでは、国民の不信が増すだけですよ。こういうような論説をなす者は、私はあとで全部名前を言いますから、ひとつ大蔵大臣も自信を持ってこういうふうな公の席上で大きく論陣を張って、税務行政がいかに正確であるかということを国民公示する機会を設けるということを確言せられるならば、私は大蔵大臣の勇気を多といたします。  それに関連して、私はもう一つ申し上げましょう。上原科学技術庁長官まだ見えませんか。大臣はいま参議院へおいでになるそうですから、おいでになる間こまかい質問をして、あなたのお帰りを待っています。上原さんもいま来ましょうけれども上原さんもこう言っておられる。「現に、上原正吉氏自身こう語っている。「ボクは、ガラス張りだからなあ。所得の面では、ボクよりもっと多い人がいるはずだと思うよ」」こういうことを「週刊現代」の五月十九日号の中で言っておる。学者や政治評論家が言うことばと違って、上原さんはいまを時めく内閣閣僚です。閣僚がみずから口を開いて――これは多額納税者の中の日本一だ。五億一千七百三十一万円、これを確定申告をしておきながら、わしのは正直だけれども、まだ日本の中にはわたしよりもっと多額所得者がいるはずだ、それが申告を偽って私より下のほうのランクにしか載っていないということを言われていることは、あなたの閣僚の中で、あなたの内閣の中で、あなたの政府の中で、あなたの同僚が、あなたのいわゆる税務行政を何も信用してないということになる。あなた方の徴税方法が非常に不公平だということだ。何にも真実をついてないということをあなたの同僚が言っておられることになる。この問題はどうでありますか、大蔵大臣
  20. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これはひとつ上原さんに聞いていただきたいのですけれども、私は上原さんがどう言ったか、いま初めてあなたが雑誌を読まれるのを伺っただけであります。これは上原さんがどういうことを言われたか伺ってみないと、私の責任のある所見は申し上げられない。
  21. 小林進

    小林委員 いま、いみじくも大臣は、上原さんに聞いてみてくださいと言った。私はその返答を聞きたいから、いま上原さんにここへ来ていただくようにお願いしたのであります。おいでいただきましたら、大蔵大臣科学技術庁長官のお二人の前でこの話を聞きましょう。それからまたそれに対する所見を承りたいのですけれども、私は、こういうものがこの雑誌の間違いであることを祈っておりますよ。祈っておりますけれども、しかし、こういう「週刊現代」などというものも権威のある雑誌だから、私は大臣の言わないことを載せるはずもないと思っているが、こういうようなことが事実とすれば、いかに税務行政というものがでたらめであるかということを、内閣みずからが国民に訴えておられる問題でありますから、私はたいへんであると思う。  次に、私はこの問題はあとでまた長官おいでになったらお伺いいたすことにいたしまして、こういう高額所得者や大企業に対して日本課税というものは決して公平に行なわれておらないということが、残念ながら国民の中にほとんど世論化しているという情勢です。いまの国税庁長官あたりは、この国会の中で野党議員にさえ一つの技巧でうまく言いのがれしていれば、それで政治の舞台はうまく通過できると思っているか知りませんけれども大衆はばかじゃありませんからね。論らざる大衆は決しておろかではありません。大衆ほどりこうなものはないのであります。いまの税務行政が、貧富にかかわらず、権力、無権力にかかわらず、みんな公平に行なわれているなんということは、国民一つ考えておりません。これをいかにして信頼を挽回をし、公平に処置をしていくかというこの問題が解決されなければ、民主政治だとか政党政治なんというものは成立いたしません。いまの警察行政も、権力支配階級には実に甘くて、そして、権力もない、金の力もない庶民階級だけに厳格に法を適用して、いかに不公平な警察行政が行なわれておるかということに対して、国民は歯がみをして憤慨をしているのですよ。それと同じことがいまの大蔵省税務行政の中にも行なわれているのだ。支配階級や、富める者や、権力階級に対して、税務行政が公平にいっているなんて、国民のだれが一体そんなことを信用していますか。その例として、政界を通じて、衆参両院合わせて国会議員が七百十八名ですか、おりますけれども、そのうちで、私どものような、毎日貧乏に追いまくられている気の毒な国会議員も少数はおりますけれども、大方の与党議員なんというものは、まさにぜいたくざんまい生活をしていらっしゃる。その生活庶民生活と比較してみれば、まことに垂涎あたわざる、それはおごれる生活です。その中で、しかし、税関係から見たら二千五百万円以上の納税者は、四十年度において、田中角榮幹事長小平労働大臣、たったお二人、五百万円以上の納税者は、この七百十八名の議員の中でたった十二名だ。これほどのはなやかな生活をしていらっしゃる議員族の中で、一年間五百万円、一カ月四十万以上の所得をお取りになっている方がたった十二人しかいない。二千五百万円の者を入れてもたった十四人、こういうことを一体国民は納得いたしますか。これを国民が納得して、税務行政が公平でございますの、公正無私に行なわれています、そういうことが国民の前に言い得ますか。言われるとお考えになりますかどうか、私は、それをまずひとつ大臣にお聞きしておきたいと思います。大切なことです。
  22. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 国会議員所得は、議員歳費が中心で、そして、それにその人々個人個人の、あるいは株を持っている人もありましょうし、あるいは貸し家を持っている人もありましょうし、そういういろいろな所得が付加されて、まあ課税所得、こういうことになると思うのです。国税庁においては、それらの一切の調査をいたしまして、申告に基づいてこれを決定する、こういうことで、現状といたしましては、私は、最善を尽くされておる、かように考えております。
  23. 小林進

    小林委員 最善が尽くされておって、間違いないとあなたは確信をお持ちになっていますか。
  24. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 まあ、大体申告を基礎にして、そしていろいろの資料を参酌して、そして更正すべきものがあれば更正したりいたしまして決定するわけでありまして、大体正鵠は得ているんじゃないか。しかし、とにかく二千万円を上回る納税者でございますから、その問いろいろ誤謬等もあります。それは発見次第訂正する、こういうことにいたしております。
  25. 小林進

    小林委員 私は、大蔵大臣、これからだんだん質問していきますけれども、どうか、この委員会において野党議員質問を小手先でのがれようなどという考えはおやめいただいて、私のうしろには、ともかく重税の中であえいでいる二千万人の国民がいるということを考えて、その国民に対してものを言うつもりでひとつ答弁をしていただきたいと思います。私は、二千万人の人たちが全部間違っているなんということを聞いているんじゃない。いわゆる国民指導者だとか、税制の問題をきめるとかという最も国民の焦点にある国会議員えりを正して政治をやらなければならない、そういう人たち確定申告のしかたが、一体これでいいのか、これで間違いはないのかと私は聞いているのです。特に、国会議員の中でも、さらにえりを正して、国民の前に裏表のない生活実態所得実態を示す道義的責任を持っておるのは閣僚でしょう。閣僚でなくてはならぬと私は思う。現在閣僚は十八名です。その十八名の閣僚の中で五百万円以上の納税者はたった七人しかいない。名前をあげましょうか。上原科学技術庁長官小平久雄労相藤山愛一郎企画庁長官安井謙総務長官福田赳夫蔵相佐藤榮作首相鈴木善幸厚相、これだけです。あと加うるに衆参両議院の議長、副議長計四名です。こういう状態です。そんなに一体いまの大臣収入というものは少ないものでありますか。これで間違いないとお考えになりますか。五百万円にも達しない所得者の中には、石井派閥の親分である石井法務大臣、これは悪い人が来ればふん縛る方面の親玉です。三木派首領三木通産大臣、教育をつかさどる中村文部大臣、いろいろの方々が入っておられる。この人たち収入は、いわゆる課税面からいえばみんなこれ年間の所得五百万円にならざる方々です。大蔵大臣は間違いないと確信を持って言い切れますか、あなたの同僚大臣のことですから。
  26. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 御承知のように、大臣になりますと兼職禁止というものがありまして、それまで事業会社に関係しておったというのをみんな辞職をいたすわけであります。そういうようなことで、おそらく大臣になる前に比べると所得が減っておるというようなケースが出てくるのじゃあるまいか、そういうふうに見られるわけであります。現在の税制のもとにおいては、資産所得でありますとか、そういう特別の所得はないというような人は役員報酬そういうものを受けるわけにまいりませんものですから、自然実際の所得も少なくなる、こういう結果がそういうところに出てくるのではあるまいか、かように思います。
  27. 小林進

    小林委員 そうすると、あなたは閣僚十八名の中で五名の人たちだけは五百万円以上だが、その他の人々は大臣になったゆえに兼職はない、だから五百万円以上の所得はないというこの申告は正しいのだ、間違いはないのだ、こうおっしゃるのでございますね。
  28. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いや、一つ一つ当たって申し上げておるわけじゃないのですが、これはとにかく税務当局が非常に努力をしてそう判定した結果でありますので、それに私は間違いがあるということをいま申し上げることはできない、かように思います。
  29. 小林進

    小林委員 日本の経済評論家に三鬼陽之助という人がいるが、その三鬼氏がこういうことを言っておる。三鬼氏のことばですよ。「早い話が、権勢並ぶもののない政治家、とくに〃実力者〃たちの所得が軒並み低いのはどういうわけか。ちなみに、有力政治家たちの申告所得をみてみると、昨年は土地家屋を売却したため三億八千万円余で全国三位だった藤山愛一郎氏が、今年は二千四百万円余にへったのはわかるとしても、佐藤榮作首相が六百三十四万九千円、田中角榮幹事長が三千八百五十七万円、福田蔵相が六百四十二万円で佐藤首相より多く、五百万円以上の政界実力者は自民党議員ばかり十四人。他の有力者は、いずれも年所得五百万円に達しないという結果になっている。「それにしても、佐藤首相の六百万円というのは解せない。あの生活ぶりで……そういえば故池田首相も三十九年度所得六百十二万円だったが……」と、三鬼氏も〃矛盾あり〃というのだが、」云々、こういうことを言っておる。三鬼さんなんというのは、経済評論家にしても、むしろあなた方の唯一の味方なんだ。そのあなた方の側につくこういう人までも、この政界実力者のこの申告は大きな矛盾だと発表している。それを大蔵大臣のあなたは矛盾ではないとおっしゃる。そういうことをそのまま国民の前に発表される。一体あなたは恥じないのですか。あなたのうしろには権力ある政府を持っている、何を言ってもいいんだ、あなたはそんな気持ちで答弁されているのじゃありませんか。いま少し良心的に、ここのところは謙虚な気持ちで御答弁になったらいかがでございましょうな、大蔵大臣
  30. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 所得税は、御承知のように、申告を基礎にいたしまして、それに税務当局の見方を加味して訂正する場合もある、そういう過程を経て決定するわけでありまして、これはどうしても申告のその当事者である個人個人が御協力をいただく、これがどうしても必要なことでありまして、さような体制下できめられる所得額でございますが、今後ともできる限り努力してまいります。
  31. 小林進

    小林委員 あなたは、あくまでも個人の所得が主になって、ほかの大臣方々所得に対してそれほどまで詳しく介入することができないとおっしゃるならば、人の問題は別にいたしましょう。あなた自身の所得をひとつお伺いすることにしましよう。これは笑いごとではありません。あなたはその税金を取る――これは国民の一番興味のある問題です。その中心にあなたがいられるのだから、いまこの機会を通じて、国民にあなたの確定申告所得の内容を発表して知らしめるということは、私は大いに意義があると思います。進んで明らかにせられることが、国民に対し勇気を与えることになります。どうぞその意味において、私の質問を神の声とお考えいただきまして、正直にお答えをいただきたいと思います。福田赳夫氏の四十年度申告所得六百四十二万九千円、総理大臣佐藤榮作氏より八万円多い、なかなか味のある申告である、こういう批判をしておる。しからば、その六百四十二万九千円の所得の内容は一体どういうふうになっているのか。いや、これは笑いごとじゃありません。そのあとに私はお伺いしますけれども、総理大臣の佐藤さんの所得は、区分別に出ている。また、われわれの同僚木村禧八郎氏も、あるいは婦人参議院議員の市川房枝さんも、みずから自分の所得の明細書を発表しておる。そういう方々に準じて大蔵大臣はその所得の内容を発表できないわけがない。市川さんや木村さんや佐藤総理大臣のその所得の内容も、ちゃんと世間に公表せられておる限り、むしろ大蔵大臣はさらに一歩進んで明らかにすべきだと思いますから、あなたのこの六百四十二万九千円の所得の内容をここでつまびらかに具体的にお示しをいただきたいと思います。
  32. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私、詳細にここで申し上げる材料も持っておりませんけれども、大体国会の関係ですね、これが主です。それから四十年度というと、私は六月の三日から大蔵大臣に就任しておるのでございますが、それまでの関係会社等の所得、これが次にあると思います。それ以後は関係会社のものがなくなっております。それから第三は、テレビだとか、ラジオだとか、あるいは雑誌社とか、そういうところの出演でありますとか、寄稿でありますとか、そういう謝金、それから、その他どういうものがあるか、いま記憶しておりませんけれども、雑収入、こういうものです。そんなところじゃないかと思います。それから若干の資産収入はあるかもしらぬ、これはごく軽微だと思います。
  33. 小林進

    小林委員 それはあなたは、大蔵大臣として申告所得税の項目をお述べになっただけなんです。私はそんな項目を聞いておるのじゃなくて、あなたのいわゆる議員として歳費の収入が幾らであって、雑収入が幾らであって、あるいは資産収入が幾らである、そういう数字を私はお聞きしたいと思っておるのです。それをお示しにならなければ、それは国民に話をしたことにならぬでありましょう。あなたのお出しになった六百四十二万九千円をその項目についてきちっと数字を当てはめたものをお示しをいただきたい、こういうのです。どうですか。
  34. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 必要があれば、それは後日申し上げます。いま資料は持っておりません。
  35. 小林進

    小林委員 これは私が前もって要求しておけばよかったのでありますが、いかに頭脳明晰なあなたも、あなたの確定申告の数字を一々お覚えになっていられないでありましょうから、いまお示しになるということは、あるいは困難かもしれません。しかし、その控えもあることでございましょう。早急にひとつお示しをいただきたい。もちろん、あなたがいやだとおっしゃるなら、税務署に行けばわかるでしょうが、それでは余分の手数がかかります。しかし、あなたがおいでにならなくても、あなたの部下の国税庁長官全国税務行政にタッチせられておるのだから、自分の仕えておる大臣確定申告の内容ぐらい御存じでしょう。国税庁長官、あなたのほうでひとつ答弁をしてください、大臣申告の内容を。
  36. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもは、所得税法規定に基づきまして、総所得金額山林所得金額及び退職所得金額合計額五百万円超の方について公示するということをいたしておりますけれども、その所得の種類別の内容は公示いたさないということになっております。これは御承知のとおり、その所得の内容は、それぞれ各人のプライバシーに関する問題でございますので、当該のその個人の方が自分で公開される場合は別といたしまして、国税庁といたしましては、そういう総所得金額のみを公開しまして、所得の種類別内訳は申し上げない慣例になっております。
  37. 小林進

    小林委員 こういう頭の悪い答弁ばっかりしている。私は一般論を聞いているのじゃない。先ほどから繰り返して言っているように、大蔵大臣というものは税務行政の頂点にいられるんだ、国民は税金で泣いているんだ、そして、上のほうの人たちほど不公平な税制でみんな助けられているじゃないか、税務行政は、警察行政、検察行政と同じように、これほど上には軽く下には重いものはないという不信感が国民の間にみなぎっているから、せめて大蔵大臣だけはガラス張りで、これほど私は正確に所得があって、これだけの納税をしていますということを、みずから範を示したらいいじゃないかというのです。その範を示すモデルとして、君は大蔵大臣に仕えているんだから、そういう自分の仕えている大蔵大臣のそういう納税の形だけは知っておいて、いつでも説明のできるようなかまえをしていたらどうかと、私はこう言っている。全国人たちのプライバシーを侵すなんということを一つも私は言っていない。何というとんちんかんな答弁ばかりあなたはしているのだ。いいですか、ほんとうにあなたの仕えている大蔵大臣は納税や確定申告に対する態度がこれほどりっぱなものだと、ちゃんとモデルケースくらい持っておって、万人にそれを示して、そして納税の促進をするくらいのかまえをなぜ持っていないかと私は言うのです。大臣に対する信頼がない、大臣申告確信がないから、うちの大臣が一番じょうずに税金をごまかしていると考えているからそれを言えないのだろう。なぜ確信を持って国民に示そうとしないのですか。
  38. 泉美之松

    泉政府委員 お話のようなお考えもあろうかと存じますが、私はそこまで、所得の種類別内訳まで税務署からとっておりませんので、私自身存じておりません。いまお話のように、大臣が、大蔵大臣として模範的な申告をなさっているものと私は存じておりますけれども、その内容はこうであるということを、これは大臣の御承諾なくして申し上げるわけにまいりませんし、そういうことを大臣の御承諾を得ないで集めるのもどうかと思いましてまだ集めておりませんけれども、そういうお考えもあろうかと思います。これにつきましては、いずれ大臣と御相談いたしました上で処理いたしたいと存じます。
  39. 小林進

    小林委員 実に不勉強きわまる。まことに、国税庁長官というのは、答弁をしていればいるほど、実にあなたは不勉強で、歴代国税庁長官の中でもあなたが一番不勉強であると思う感をますます深うする。実に国家のために残念しごくだ。  そこで私は、大蔵大臣所得税生活実態をほじくろうという気持ちはちっともない。ないけれども、私のところにはいろいろ言ってくる。大蔵大臣確定申告が六百四十二万九千円だ、それにしては、あの大蔵大臣は東京にごりっぱな御住宅をお持ちになっている、あれを一カ月経営、運営していらっしゃるのはたいへんだろう、大蔵大臣はそのほかに選挙区の高崎にもりっぱなおうちをお持ちになっている、あれを一カ月経営されるのもたいへんだろう、そのほかも何か生家もどこかいなかのほうでお持ちになっている。これは私のところへいろいろ言ってくる人の話でありますから、間違っているかもしれない。その生家のほうも運営せらるべき一カ月の経費はたいへんだ、どこかで別荘をお持ちになっている。これも私はよく知りませんが、そっちの費用もたいへんであろう、なお、大蔵大臣にはいわゆる私設秘書といいますか、国会から経費が出て使っている公的秘書の二名のほかに、私的の秘書というものを何か十数名大蔵大臣はお持ちになっている、それを養っていく俸給、給料だけでもこれはたいへんだろう、そういうことを換算しても、国民の常識から見て、一カ月五十万円そこそこの費用であの活動、生活ができるわけがないじゃないか、なおそのほかに、福田派の巨頭として次期総裁道をまっしぐらに進んでおられるために、これまたその派閥の人たちをやはり春秋養うだけの費用、これはあと質問する政治資金規正法かなんかで問題が出るといたしましても、それにいたしましても、選挙区ではピラミッド型のいわゆる福田後援会というものがあって、無慮六万人がその後援会に入っておって、ピラミッド型、昔の戦時中の隣組と同じようにちゃんと組織ができ上がっておって、それが上の頂点福田天皇を中心にして、ずっとピラミッド型にでき上がっておる。この前も御質問いたしましたように、それが旧のお盆になると、あなたの高崎の福田事務所の隣のあき地に全国からそろいのゆかたを着た二万人からの福田宗の後援会の大衆が集まって、福田音頭など歌いながら夜明けまで踊り狂う、まことにおそるべきそういう組織ができ上がっておるが、これを運営せられるための費用もばく大であろう、そういうようなことを勘案してくれば、その年収入六百四十二万九千円などというようなことは、いかにも生活実態とかけ離れた、まさに天文学的な開きのある架空の数字じゃないか、こういうようなでたらめなものを出しておいて、われわれ庶民階級の税金には血も涙もないような強制をするとは一体何ごとだ、こういう声が私のところに山のごとくきておるわけであります。いまの私の質問は、私の声ではない、庶民の声であります。いまのあなたの問題を庶民に聞かせる気持ちで、どうかりっぱなお答えをいただきたいと思います。つまびらかにお答えを願いたいと思います。
  40. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 小林さんはいろいろ事例をあげて言っておられますが、あなたは、要するに、正確に私の政治行動だとかあるいは私生活だとかを存じていない。私は、そんなことを言われると、非常に迷惑なんです。  そこで申し上げるわけですが、大体、私は自宅は東京に持っております。そこで私生活を営んでおります。また、選挙区には自宅は持っておりません。これは事務所を持っております。それから私の生まれたうちは、私の兄貴のせがれが経営しておるわけで、これは何も私に全然関係のないことなんです。それから、いろいろ後援会とかなんとかありますが、これは後援者の盛り上がるその集団的行動でありまして、私の生活とは何らの関係のない問題であります。また、秘書がたくさんおる、これも私の後援会の使用人でありますとか、そういう形のものでありまして、運転手は私のところに属しておるような気持ちもしますが、いまはっきりしたあれは持っていませんが、後援会のほうの所属になっておるかもしれません。そういうようなことで、これも私の生活には関係ないのです。私は、大蔵大臣として非常にその身辺には気を使い、正しいあり方ということを常に念頭に置いてやっておる。何かいろいろ言ってくるという話ですが、そういうふうにひとつ御吹聴のほどをお願い申し上げる次第であります。
  41. 小林進

    小林委員 そういたしますと、あなたはいろいろ大ぜいの人間もお使いになっている、後援会もあるが、それはみんなあなたに関係のない別途の所得で養われているのであって、あなた自身は国税庁の届け出のとおり六百四十二万九千円の年間所得以外には何もない、これであなたの生活は最もきれいに行なわれている、こういうことでございますね。
  42. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 さよう御了承願います。
  43. 小林進

    小林委員 私が了承しようとしても、国民は納得しませんよ。それはできない。それを、あなたはそういうことでこの委員会を押しまくろうとされても、国民は納得いたしません。ここに日本の保守党の政治、いまの自民党政治国民の前に一番不信を買っている根本問題がある。そういうようなことであなたはここを通れるとは私は思いませんが、いますぐ参議院へ大臣行ってくれということだから、しょうがないけれども、参議院に行ってください。十五分くらいだそうですから、その間に答弁考えてきてください。そんなことでは国民は納得いたしません。これは重大な問題です。  それでは、大臣のおられないうちに国税庁長官にお尋ねをいたしますけれども、あまり不誠意な答弁ではなしに、誠実を込めて答弁をしてください。お互いに感情のある動物ですから、人の感情を刺激するような、人を軽べつしたような、腹の中で侮辱するようなそういう答弁はなさらないようにしてくださいよ。  佐藤総理の所得額は六百三十四万九千円、この内容を週刊誌がこまかく報じておりますが、これをごらんになりましたか。
  44. 泉美之松

    泉政府委員 お話は「週刊新潮」に出た「佐藤首相の収入と財産」という記事かと存じますが、これは拝見いたしております。
  45. 小林進

    小林委員 その週刊誌の中に世田谷の税務署員談話というのが載っておる。その中で、佐藤さんの場合、給与と雑収入を合わせて、大体六百五、六十万円と理解されてよろしいのではないかというようなことを言っておりますが、一体、世田谷の税務署というのは佐藤総理大臣申告の内容をどんな程度に調査されたのか、その調査の経緯を国税庁長官から承りたい。
  46. 泉美之松

    泉政府委員 世田谷の税務署員に私会ったわけではございませんので、この記事についてどう申し上げていいかわからないのでありますが、現在のところは、三月十五日までの確定申告期限に申告詳が提出されまして、その後その申告書につきまして計算違いがあるかないかといった申告審理を行なっておる段階でございまして、これからその申告書に出ておる所得の種類、内容、金額が正しいかどうかの事後調査を行なうわけでございます。したがいまして、現段階でこの三月十五日までに確定申告されたもののすべてが正しいというわけにはまだまいらない、中に更正を要するものがあるかと思いますが、これは今後調査をしなければならぬわけでありまして、特に佐藤総理の場合についてまだ調査をいたしてはおらないわけでございます。ただ、世田谷の税務署員といたしますれば、前年の申告状況からいたしまして大体その程度の収入ではなかろうかという感じで申し上げたのではないかと存じます。
  47. 小林進

    小林委員 いまあなたが言うように、まだ調査の段階に入らないというならば、なおさらです。世田谷の税務署員が、いかにもこの確定申告が調査の前にもはや合理的だというような談話を発表する。こんなことは庶民感情をさかさまになでたものですよ。総理大臣所得の内訳は、そこにも書いてあるように、月給が月四十万円、年間四百八十万円、総理大臣としての暫定手当が月二万二千円で年間二十六万四千円、ボーナスが三カ月、百二十万円、合計して六百二十六万四千円、そのほかに雑収入としてNHKが六回、十二万円、民放六回、六万円、計十八万円、これを総合計して六百四十四万四千円、こうなる。ところが、それに対して十万円少ない六百三十四万という発表になっているわけだから、この週刊誌の計算からいっても、NHKに六回出られた分くらいは減っているという勘定で、総理大臣所得は、総理大臣としてもらういわゆる月給と暫定手当とボーナスと、それからNHKの六回も削って、それ以外は何も収入がない。貯金もなければ債券もない。あるいは資産もなければ何もないという勘定だ。そうしなければこの六百三十四万という年の所得ができ上がらないわけだ。いかがでございますか、そういう計算になりませんか。
  48. 泉美之松

    泉政府委員 私、佐藤総理の申告書の内容を拝見いたしておりませんので申し上げることが正鵠を得ているかどうか存じませんが、いまお話のテレビの出演料などは、これは雑所得であることは小林委員承知だと思いますが、雑所得につきましては必要経費を差し引きますので――この雑誌記事によりますと十八万円ぐらいでしょうということになっておりますが、その十八万円は収入金額でございますから、それから必要経費を引いたものが所得になります。それから給与所得につきましても、御承知のように、給与所得控除というのがございますので、これが十四万七千五百円、これを差し引いたものが総所得金額として公示をいたしました六百三十四万九千円になるのでございまして、そのほかに総理に所得があるかどうか、これは調査した上でないと何とも申し上げかねます。
  49. 小林進

    小林委員 ともかく、総理大臣としてもらう金額の総額が六百二十六万四千円でございましょう。総理大臣申告は六百三十四万円だから。差し引いて、総理大臣としてもらう以外の雑収又と称する収入は年間にたった八万円しかないことになる。そういうようなことを国民一体信用ができるかどうかです。国会からもらう収入のほかに、雑収入はもちろんでありまするが、その他の資産収入から一切の収入を総合してたった八万円という勘定が一体正しいでしょうか。正しいと国民に信ぜよとおっしゃられても、国民は信じますか。
  50. 泉美之松

    泉政府委員 私は、佐藤総理は正しい申告を提出していただいておるものと考えておりますけれども、その金額が正しいかどうかということにつきましては、まだ調査をいたしておりませんので、まだそういう調査をいたしておらない段階において、これが正しいかどうかというようなことを申し上げるのは差し控えさしていただきたいと存じます。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
  51. 小林進

    小林委員 国税庁長官は、権力者や支配階級に対してはいつでもそういうネコなで声を出して、そして弁護の立場に立っておられる。しかし、世人は何と言っていますか。大宅壮一氏は週刊誌の中で何と言っているか。「秘書だけでも十五、六人。まさかそれに給料だけしか払ってないということもないだろうし、佐藤派なら佐藤派といわれる人たちもあれだけかかえていれば、選挙ごとに面倒見るのはもちろん、盆暮の手当なんかも出しているに決まっているんだから、そんな収入ですむわけはないことは見えすいているというわけです。河野一郎の場合なんか、彼が一生の間に受け取った給料というものをそっくり積み立てても、あらかじめ一族に分散された分をふくめた遺産の額のごく一部にしかならんでしょう。こういう生活実態と正式の申告との天文学的数字に近い金額のへだたりには、トリックがあることを国民はよく知っているんだから、そこへこんな数字を示されるのは、下手な手品を見せられているようなものですよ」こう批判をしている。これは一大宅壮一だけの批判にあらずして、大かたの国民の気持ちですよ。そこをあなた方は国民の気持ちになって問題を解明しようという気持ちが一つもない。それで一体国民に奉仕する国税庁長官だの何だのといわれますか。あなたの腹の中は、権力に迎合して、おれも東大の十四年組だ、いま二、三年すれば定年だ、そうしたら、何とかどこかの公社の副総裁にでも入れてもらって、今度は月給の五十万円ももらおう、それまで御身大事にしよう、庶民階級のほうに顔を向けたところで、わが身があぶなくなるだけだ。そんな考えしかないんでしょう。そうしかあなたの答弁はとれないじゃないですか。この大宅壮一の批判をどう考えますか。へたな手品を見せられているようなものだというこの大宅さんの批判をどう考えますか。これが国民の声だというふうに聞こえませんか。
  52. 泉美之松

    泉政府委員 私ども税務当局といたしましては、総理であるとかあるいは政治家であるからその所得の調査をしないというようなことは毛頭考えておりません。調査すべきものにつきましては、どなたでありましても調査をいたすつもりであります。ただ、佐藤総理の場合、おそらく小林委員承知だろうと思いますけれども政治資金規正法の関係で、公職の選挙に関連して届け出たものにつきましては、これは税をかけないということになっておりますので、その関係を見ませんと、この申告がはたして正しいかどうかということは言えないわけでございます。その点は御承知だろうと思いますけれども……。
  53. 小林進

    小林委員 委員長、選挙局長を呼んでいただけませんか。――政治資金規正法に基づいて、各派閥といいますか。各団体がそれぞれ寄付を得た金は届け出をすることになっているはずでありますが、その寄付を得た金が、各派閥の中で個人の議員にそれをまた交付した場合、個人の議員はそれをどういうふうに扱うことになっていますか。
  54. 泉美之松

    泉政府委員 その点は、小林委員承知だと思いますけれども、その各個の個人が議員として受け取ったもの――派閥その他いろいろあろうかと思いますが、直接その議員として政治資金規正法の届け出をしたものは課税になりませんけれども、それからさらに受け取った人につきましては、これは課税になるわけであります。
  55. 小林進

    小林委員 政治資金規正法で、個人が金をもらってそれを届け出して、所得に加味して課税せられた実例は、いままでどれくらいありますか。数字でお示しを願いたい。
  56. 泉美之松

    泉政府委員 その統計は特別にとっておりませんので、その実績はいま私の手元でわかりかねます。ただ、概括的に申し上げますと、政治資金規正法の関係がなかなか複雑のようでございまして、税務当局でいろいろ議員の方にお聞きいたしましてもなかなかわからないというのが実情ではないかと思っております。
  57. 小林進

    小林委員 あなたは、何か聞くと、いつも、それはなかなかむずかしいということばで逃げるが、いままではタッチしなかったんでしょう。数字があるとかないじゃなくて、取ったことないんでしょう。ないならないと言ったらいいじゃないですか。与党の議員がおっかないから、触れるとしかられるから、自分の出世にも影響するから、手を触れなかったんでしょう。そうじゃないですか。正直に言ったらいいじゃないですか。
  58. 泉美之松

    泉政府委員 別段、自分の出世云々ということは関係ございませんけれども、現在までの段階におきまして、そこまで十分な調査ができておらないというのが実情だと存じます。
  59. 小林進

    小林委員 調査はできなかったのではなくて、おっかなくて触れなかったんでしょう。それがもう天下公知の事実だ。政治資金規正法に基づく寄付金の金はこの議員にいっているけれども――選挙資金の場合にはまた別個に扱いがあるでしょう。それが選挙の資金の場合は別として、いっていることはみんなわかっているけれども、手を触れるとおっかないから、調査の段階、調査もいたしませんということで、見のがしてきたということなんでしょう。その点は公平に税務行政はやりませんでした、その点は確かに不公平でございました、こういうことなんでしょう。
  60. 泉美之松

    泉政府委員 いや、そういう意味ではございませんので、従来その点についての調査は十分できておらなかったわけでございますが、私、昨年国税庁に参りまして以来、その点の調査を始めたいということで、調査に着手することにいたしております。
  61. 小林進

    小林委員 私は将来のことをお聞きしているのではない。いままでやらなかったのでしょう。調査をしなかった。その点においては、税務行政は非常に不公平があるし、怠慢があるし、盲点があった。公平じゃなかった。当然やるべきことをやらなかったことは事実でございましょう。いかがですか。
  62. 泉美之松

    泉政府委員 その点が必ずしも十分でなかったことは認めます。したがいまして、昨年末以来そういうところについても調査すべきであるという態度を明らかにいたしまして、調査に着手することにいたしておるわけでございます。
  63. 小林進

    小林委員 十分ではなくて、全然触れなかったのでございましよう。
  64. 泉美之松

    泉政府委員 従来も全然触れないということはございません。それはいろいろ調査をいたしておるわけでございますが、調査していきましてもなかなかわかりにくい、なかなかおっしゃっていただけないという結果のために、十分な点ができておらなかったというふうに思っております。
  65. 小林進

    小林委員 そういうところにあなたたちの税務行政の不公平があるということなんです。いまあなたはしぶしぶながら、不十分だと認めた。税務行政は公平にやります、公平をモットーにしてやりなさいと、きのうも大蔵大臣はここで繰り返して言ったじゃないですか。税務行政の最大の目的は公平にやることだ。あなた方が聞いても一般庶民がしゃべらないときにはどうしますか。税法ではどういうふうにきめておりますか。そうですがと言って、そのままにしていいときめておりますか。
  66. 泉美之松

    泉政府委員 税法に基づいて質問検査をし、ゆえなくしてこれを拒めば罰則の適用があるということになっておるわけでございます。従来から、政治家の方につきましてもいろいろお聞きしておりまして、お答えいただいておる場合もかなりございますけれども、お答えいただけない場合もあったわけでございます。資料のない関係がありましてそういう結果になるわけでございますが、今後はそれらの点につきまして反面資料を十分調査いたしまして、その資料に基づきましてお答えをいただきたい、このように考えておるわけでございます。
  67. 小林進

    小林委員 私は、何も国会議員やそういう政治家に対しても過酷な調査をなさいということを言っているのじゃないのです。あなたたちの税務行政を公平にやりなさいということを言っているのです。権力のある者や支配階級や、あるいは大企業や大金持ちだけに対して、聞いても答えないからそのままにしましたなどという、そういう庶民階級だけを痛めつけるような不公平なことをやめなさいと私は言っているのです。あなたはいみじくもそれをお認めになった。いままでいかに大企業や大政治家や与党に対して不公平であったかということをお認めになったから、その問題はひとつ根本的に改めてもらうことにいたしまして、またもとへ戻ります。  私は、何も佐藤さんに恨みがあるわけじゃないけれども、佐藤さんの六百三十四万円の課税所得に対して、大宅さんだけじゃなく、わが社会党の木村禧八郎さんもこういうことを言っている。この人はわが社会党の経済関係の専門家です。オーソリティーです。その人が、ここに書いてありますが、こう言っている。「「私の一月分(四月)の収入議員手当二十四万円、調査費十万円、それに非課税の通信費というのが十五万円、合計四十九万円です。一方、支出のほうは所得税が七万八千六百七十円、党への納入金が八万六千九百五十円、このほか雑費を引かれて手取り三十万七千二百五円です。これで一カ月の家族の生活から私の政治活動までまかなっているわけです。私は自動車も持っていないし、ゴルフもしない。それでも、国会の自動車を利用すると、運転手さんに心づけを渡さにゃならん、結婚に招かれれば、祝金もはずまねばならない。結構いりますよ。しかし、私はまだそれだけですむが、総理・総裁である佐藤さんが月額四十万円ではちょっと暮らしていけませんよ」木村議員とは違って、佐藤さんは四十万円で総理としての活動までまかなっているわけではない。が、私的な費用としても、これでは無理だ、」こういうのであります。いかがでございましょう。わが木村禧八郎議員批判は間違っておりましょうか。藤井政務次官にお伺いをいたしたい。わが木村議員批判一体間違っておるとお考えになるかどうか、あなたの生活実態からも割り出して、良心ある答弁をお願いいたしたいと思うのであります。
  68. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 ただいまお話を聞きましたが、木村先生御本人がそうおっしゃっておられるわけでございますから、間違いのないことだと思うのであります。佐藤総理は、お立場上相当費用がかかるだろうという推測も、一応木村さんの生活体験を通じておっしゃっておるこの事実は、これまたすなおにわれわれとしてもお聞きできる御意見だと思います。
  69. 小林進

    小林委員 あなたの一カ月の収入はどれくらいで、どれくらいかかりますか。
  70. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 どのくらいですか、例の袋に書いてありますね。大体お互いがもらっておる毎月のあの線が中心でございます。
  71. 小林進

    小林委員 税金の問題だけはほんとうに深刻ですよ。深刻ですから、あなたも副大臣なら、あれが中心という雑な話でなく、あなたもちゃんと申告せられたのでしょう。そのコピーをとって国民の前に公示する、こういうくらいの態度を示しなさいよ、国民はみな泣かされておるんだから。その意味において、後日あなたの確定申告のコピーを国会にお示しいただくことを要望いたしますが、いかがでございましょう。
  72. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 私も、自分のことをよく知る意味においても、御要望に沿って処理いたします。
  73. 小林進

    小林委員 そこで、私は大臣おいでになるまでお聞きしたいのでありますが、政治資金規正法で個々の政治家がもらった金を届け出ることになっておるのだが、これが一体どういう形になっておるのか。国税庁長官からさっきいろいろ答弁があったが、この際、あわせて自治省の関係局長にこの問題に対する御答弁をいただきたいと思うのであります。
  74. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 小林委員に申し上げますが、選挙局長がすぐ参りますから、ほかの質疑をお続けください。
  75. 小林進

    小林委員 それでは、局長が来るまででよろしゅうございますが、政治献金と選挙資金というものは、この際明確に区別する必要がある。議員になれば、選挙というものは当然くぐらなければならない。選挙になれば、公職選挙法に基づいてちゃんと公的費用は政府みずからきめておる。その選挙に使った費用に対しては必要経費として控除を認めておらない。この問題は私はどうかと思う。正すべくは正し、控除すべきは控除する、彼我の関係を明確にして、あくまで交通整理をしておく必要があるのじゃないか。国家が認めておる公認の選挙費用は、これは議員たる者の必要経費じゃないですか。この費用を課税から免除しておりますか。
  76. 泉美之松

    泉政府委員 小林委員承知だと思いますけれども所得税法第九条の第一項第二十一号におきまして「公職選挙法の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条の規定による報告がされたもの」これは非課税所得ということになっております。したがいまして、幾ら受け取ったかということを公職選挙法第百八十九条の規定に基づいて報告したものにつきましては、そのうち幾ら使ったかどうかということにかかわりなしに、この報告がされた金額は非課税所得である、したがって、収入があって、それからそのうち使ったものだけを経費的に見て課税しないというような形をとらずに、全部そういう報告があったものについては非課税所得であるという形をとっておりますので、したがって、選挙に幾ら使ったからその分を引くというような制度には現在なっておりません。
  77. 小林進

    小林委員 いまもあなたの言われるように、選挙のときに幾らかでも寄付を受けて――これは平時の場合は、法人からの贈与によって取得した財産については、一時所得として所得税がかかりますね。個人から贈与によって取得した財産に対しては、贈与税がかかりますね。選挙の場合だけは、いまおっしゃるように、他から寄付金をもらっても、使った分は非課税だ。余った分は別ですね。これは課税の対象になる。ところが、われわれはもらったことがない。われわれ野党議員というものはない。それだから、いま毎月国会からもらっておる歳費の中から血の出るような思いをして、食うものも食わないでこれをためて、そうして選挙に使っている。これが必要経費として所得税の控除の対象にならないというのは不公平だ、この問題を私は言っておる。人からもらったものは非課税にしておきながら、みずからがつめに火をともすような気持ちでためたお金で選挙しているものを、その必要経費として控除しないのは一体なぜか。たとえていえば、われわれの本俸を二十四万円とする。二十四万円のうちから十万円ずつ必要経費として来たるべき選挙に備えていくとするならば、その十万円は当然必要経費として非課税にならなくてはならぬ。それを二十四万円そのものにすぱっと税金をかけるということは、これこそ庶民を痛めつける悪徳地主と同じ、悪徳代官と同じです。どうですか大蔵大臣、ここにも税の不公平があるじゃないですか。
  78. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように、選挙の場合におきましては、法定選挙費用の範囲内におきましても相当の金がおかかりになることはよくわかります。ただ、国会議員の方が歳費を受け取られます場合には、これは給与所得という形になっておりますので、したがって、給与所得控除以外の必要経費控除というものはないというのが現行法のたてまえになっております。それが不公平であるかどうかということにつきましては、税制上の問題としていろいろ議論はあり得るかと存じますが、私どもとしましては、現在の現行法に基づきまして税務行政をいたしておりますので、それを必要経費と認めるかどうかというのは、税制の問題として今後議論さるべきことかと存じます。
  79. 小林進

    小林委員 大蔵大臣、あなたに申し上げるから聞いてくださいよ。われわれ議員をやっておる以上は、国会、県会、市会、村会を問わず、必ず次にまた戦うということは予定せられる。必ず選挙をやらなければならないのです。自分が引退すれば別ですよ。その意味において、常時備えがなければ選挙にならない。あなたのように天下をうならす者は人が山のごとく金を持ってきてくれるからみんな人の金で勝負できるけれども、われわれ野党はそうはいかない。だから、その金を、もらっている毎月の収入の中から食うものも食わないで蓄積をしていくわけだ。そうして、その金で解散後あるいは任期が来たときには選挙をやる。議員である以上は、引退しない限りはその金は完全な必要経費じゃないですか、必要な経費だから。だから、それは収入の中から課税の対象としては控除すべきではないか。たとえていえば、国会議員の歳費は二十四万円だ。来たるべき選挙のために必要な経費として十万円は蓄積していくならば、あとの十四万円をこそ課税の対象にすべきであって、その選挙に備える十万円は必要経費として課税の対象から除くのが、私は、公平なる税制のあり方ではないか、こういうことを言っておるのです。
  80. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 それは立法上の問題ですね。税制をどういうふうにするか、こういう問題で、徴税上の問題じゃないように思います。税制上の問題として、そういう控除を認めるかどうか、これはなかなかむずかしい、いろいろな角度から検討を要する問題かと思います。ちょっと、一がいにそれがいいんだとか、悪いんだとか、そういう結論をここで申し上げるわけにはいかないくらい複雑なる諸要因をはらんだ問題である、それだけをきょうは申し上げておきます。
  81. 小林進

    小林委員 しかし、理論的には私の言うことが正しいならば、手続上の問題としてじゃなく、理論としてはどうですか。これは間違っていますか。考え方が正しいならば、やはりそれを正しく理論づけ、立法づけるような方向に持っていってくださいよ。
  82. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 これは理論として相当問題があるのじゃないかと思います。つまり、私がいま代議士をやっています。この次一体出ることになるのかならないのか。私は出るつもりでおりますけれども、すべての人にそういうような共通の問題ではないわけでありまして、そういうことを前提として、その人が将来立候補するというための特別控除をする、これはその一事を見ましても一つの問題がありはしないかと思う。その他、いまの御提案の問題にはそういういろいろな考うべき点が多々あるというふうに思いますので、一つの問題は提起されておるように思いますが、ここでこれがいいんだというふうにはお答えができません。
  83. 小林進

    小林委員 それはあなたの言うように、立候補するかしないかわからない者は別として、立候補した者だけは追加して控除してくれればいいのであって、そんなことは明らかである。ただしかし、複雑怪奇だとおっしゃるならしかたがないが、あなたのように多分に金を持って、選挙の資金なんか心配なしにやる人にはわれわれ庶民階級の苦しみはわからないからあなたはそんな散漫な答弁をしておるが、わが身になって考えてください。そうして、ひとつそういうふうな者にはやはり控除をするという前向きな形でこの問題をやっていただきたいと思うのであります。  それで、あとでまた相続税の問題でお尋ねしますけれども、さしあたってこういうこともやはり週刊誌に載っている以上は聞かなければならぬ。それは大宅壮一氏がこういう例をあげてしゃべっておる。「いつか岐阜県から代議士で出ていた男に会ったら、〃おれは月収百万円越すけど、税金は払ったことない〃と威張る。どうして、と聞くと、〃百万はいるけど、みんな右から左へ通過する。全部通り過ぎるだけの金で、とどまるわけじゃないから、所得税は払わない〃というのが、その言い分なんですよ。そんな言い分を岐阜県の税務署が認めていたとするなら、まことにおかしな話ということになる。それでいけば、サラリーマンにはいる金なんか、みんな通過する金じゃないですか。それを、通り過ぎるのじゃなく、とどまる金だけが所得税の対象になると考えるんですな。こういう感じ方が、政治家にはある」、こういうことを言っているわけでありますが、これは、大宅さんが具体的に岐阜県と銘打って某代議士と言っているからには、われわれの名誉にも関する問題でありまするから、事実そういうことがあるのかないのか、国税庁長官ともあれば、もうそういうことは知っていなくちゃならぬけれども、どうですか。あなたは何を勉強していられる。さっきからたばこばっかり吹かして、何を勉強しているか知らぬけれども、知らなければ、さっそく誠意をもって調査するとかなんとか答弁をしていただきたいと思います。
  84. 泉美之松

    泉政府委員 大宅壮一さんが言っておられることにつきましては、私まだ聞いておりませんので、大宅さんにどういう方であるか、その方をお伺いした上で調査いたしてみたいと思います。
  85. 小林進

    小林委員 大宅さんに聞けと言っているのじゃない。こういう週刊誌、あなたの手元にあるじゃないですか。持っているじゃないですか。発行なんかもう三日も四日も一週間も前の発行なんだ。とういう問題に対しては最も敏感にぱっぱっとやらなければだめだ。会って話を聞かなければ話ができないなんて、何です、そのスローモーは。こういうこと自体があなたの全生命に関する仕事じゃないですか。しかも、まだ見ていないとか。あなたの手元にちゃんとあるじゃないですか。そういうものを持っておりながら、何もやらないと言うて、国税庁長官一体何をやっているのです。高禄をはんでマージャンでもやっているのですか。ゴルフでもやっているのですか。そうでなければ、そういう問題をいま少し敏感に考えて処置しながら、ぱっぱっと答弁をしてくれなければ仕事になりませんよ。  そこで、先ほど大臣おいでになりましたけれども上原国務大臣どうしましたか。上原さんが言われた例の問題であります。自分が二年間も多額納税者になっておきながら、そういう税務行政が実際信用を置けないような話を国務大臣みずからが言っていて、ここで答弁できないなんて大臣、あなた同じ閣僚でありますから、上原さんの雑誌発表でありますから、それをひとつ聞いて、次の大蔵委員会の当初にこれに対する御見解を表明をしていただきたいと思うのです。「週刊現代」の五月十九日号の一〇九ページの中に上原正吉さんの談話が載っておる。私よりももっと所得の多い人がいるはずだということを言っておる。これは言いかえれば、日本の国税行政は非常に不公平だ、信用が置けないということを国務大臣みずからが言っておられることですから、それをひとつあなたが確かめて、次のこの委員会において御答弁をいただきたいと思うのであります。  問題は、私はいままで聞いていますると、やはり政治資金規正法にあると思います。この問題をこのままにしておく限り、政治家は、対税金問題や対実生活の問題について国民の信頼を得ることがまことに困難だと思う。この点を大臣は何か処置をする、改正をするお考えはないのかどうか、現状のままでいいとお考えになっているかどうか、お聞かせを願いたいと思います。
  86. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 政治資金規正法は、政治資金をどういうふうに扱うか、その基準ということから検討に検討を重ねられた結果、今日のような形になってきておると思うのです。これはいい面もあるし、また欠陥がないというわけにはいかぬと思いますが、しかし、現状においてはこれ以外あるまい、こういうことになっておるわけです。それで、あれが施行されてから年月もたっております。そういう経験等も参酌いたして、その改むべきものは改める、常時、ああいうものは、政界の刷新浄化ということを考えながら検討していくべきものである、こういうふうに考えておる。これは、私はいま具体的にどこをどうすればというような案を持っておるわけじゃございませんけれども、そういう気持ちでこの問題には立ら向かっていったらいいのじゃないか、そう存じております。
  87. 小林進

    小林委員 あなたも何とかいう後援会をお持ちになっておりますけれども政治資金規正法に基づいてお届けをなさっていますか。これはたしか自治省に春秋二期に、年二回届けることになっておりますけれども、お届けになっておりますか。
  88. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 政治資金規正法による団体は、漏れなくそれに従って届け出その他の手続はしておる、そう承知しております。
  89. 小林進

    小林委員 届けばお幾らになりますか。
  90. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 さあ、いろいろなものがあって、ここで私もはっきりしたことを申し上げるわけにまいりませんけれども、必要があれば、また後日申し上げます。
  91. 小林進

    小林委員 これは自治省が来てくれればすぐわかることなんです、自治省に届けているのですから。その金がやはりあなたの手からあなたの派閥の子分衆にそれぞれ個々に流れているのではございませんか、率直に言って。
  92. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 率直に言って、政治活動に必要な資金ですね。そういう性格のものでありまするから、いろいろな代議士さんの人が組織をつくり、あるいは党のPRをするというようなことのために必要だという際には、政治資金規正団体からその資金を支出しておる、こういうことになります。
  93. 小林進

    小林委員 そうすると、個々の代議士にもいっているわけでありますね。
  94. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 個々の代議士にもいく場合もあるし、代議士のつくっておる団体にいく場合もありまするし、いろいろあります。
  95. 小林進

    小林委員 個々の代議士にいった場合は、それは個人の所得として当然届け出をしなければならぬ性質のものでございますな。
  96. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 個人が使用するというたてまえのものは申告を要するものである、そういうふうに思います。
  97. 小林進

    小林委員 そうすると、いまのあなたの答弁を集約いたしますると、あなたの後援会を通じてその金が個々の代議士まではいった、そこまではお認めになったわけだ。しかし、それから先は、その金が届け出になっていないわけだから……。
  98. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 それは知らぬです。
  99. 小林進

    小林委員 あなた御存じないですか。さっきあなたいないときに国税庁長官に言ったけれども、届け出もしていないそうだ、調査もしていないそうです。そうすると、それは一体どういうことなのですか。
  100. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 私は、私の後援団体が、個々の代議士の政治活動と、あるいは組織をつくる費用だとかあるいは広報活動、そういうものだとか、そういうために必要だという資金を出しておるケースがあるのじゃないか、こういうふうに思いますが、それを受けた人がいかなる税制上の手続をしておるか、それは私チェックしておりません。
  101. 小林進

    小林委員 大臣としてはそれが精一ぱいの御答弁でございましょう。私は、大臣、われわれの仲間のことをほじくろうとか、そういう気は一つもないのですが、やはり大蔵大臣ともなって、いま大衆が頭を向けているこういうような栄華をきわめた空活実態、ゴルフもやります、子分も持ちます、はなやかな生活をしている。そういう中で、どうも五百万円とか六百万円の確定申告のやり方じゃ了承できないという、こういう庶民の声にこたえるためには、他の大臣はともかく、大蔵大臣としてはこの際いま少し姿勢を正しゅうして、ほんとうに国民にこたえるという答弁のしかたが必要じゃないか。私はチェックしておりませんから知りません。それでは大衆は納得できない。大蔵大臣、いかがでございましょう。私の言っていることに無理がありましょうか。私が意地悪い質問をしているようにお考えになりますか。私はしごくまじめなんです。この二千万有余の零細な納税者が痛めつけられている、血を吐くような気持ちを代表して私は言っているつもりなんですから、どうかひとつ、私の気持ちを尊重してまじめに――いや笑いごとじゃありません。深刻なことです。お答え願いたいと思います。
  102. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ですから、政治資金規正法、これは実施されましてから年月がたっておる。弊害の面もあるかもしらぬ、あるいは非常に所期の目的を達してきたという面もあるかもしらぬ。ああいうものは、常時これがどういう利害得失を持ちながら運営されてきたかということを反省して、そして政治の浄化刷新、円滑な運営、こういうために貢献すべきものである、こういうふうに考えます。ただ私は、残念ながら、政治資金規正一法をいまこういうふうにしたらどうだろうという具体案を持っていない。それは非常に残念ですが、私もなお気をつけてそういう問題も考えてみる、こういうことにいたしたいと思います。
  103. 小林進

    小林委員 現在の資本主義の段階の中で、一時に政治資金規正法の問題を明確にして、一から十までこれをガラス張りの中に入れようったってそれは不可能だと私は思いますが、先ほどから繰り返しておりまするように、総理大臣でも大臣でも、あるいはあまたの国会議員でも、所得申告をさせれば年収五百万円にも至らない、五百万円以上の者がたった十四名しかいない。あと人たちは、しからば年収五百万円、月に見積もって四十万円以下のつつましやかな生活をやっているかといったら、国民のだれもがそんな国会議員――社会党は別ですよ。社会党の議員はつつましやかだ。ないんだからしょうがない。しかし、与党の議員がそんな月収四十万円くらいの生活をやっておるとはだれも考えていない。国民は信用してない。実際私はやってないと思っておる。けれども、それ以上の生活をしておるのは、いわゆる政治資金規正法に基づいて多額の金が――八幡製鉄なんというものは一年に四億円もそういう寄付金の用意がされておるそうですから、その大半は政界に流れているだろうといわれるけれども、それは私ども真偽はわからない。しかし、あの自治省の政治資金規正法の届け出なんか見ますると、自民党の中でも各派閥の中に八幡製鉄から献金が五百万円だ、一千万円だ、五口、十口に分かれて献金されておるから、そういう形で出ておるでしょう。そういう金が議員生活の中に流れている。だからはなやかな生活ができておる。できておるが、そこへ至ると、いまも言うように、国税庁は調査はいたしません、調査不十分です。これからやろうと思っております、こういうことでノータッチです。そうすると、あなたのおっしゃるように、政治の研究だとか、あるいはPRだとか、あるいは団体だとか、ほんとうの政治活動にだけその金が使われるというならばまだ恕すべきものがあると私は思うけれども、そういうふうな団体から政治資金規正法の名前で流れてきた金がみな個人の所得になって、個人の生活費に化けておる。しかし、それは所得にならない。届け出もしない。そして、あらゆる栄耀栄華をしておるというならば、せっかくつくった政治資金規正法に基づくそんな政治のワクというものは、むしろ政治家を堕落せしめる結果になる。PRにならない。また、あなたのように、流れた金で福田音頭でもやって、おばあちゃん連中にそろいのゆかたを着せているならば、まだ稚気愛すべきところがある。福田音頭で済んでおるけれども、それが個々の代議士の生活費になったり、栄耀栄華の種になったりしたのでは、意味がないじゃないか。それがまた国民からいま課税の問題に関連して一番信頼を失っておる根本の理由でもあるわけで、ああいう少ない金で何であんなぜいたくな生活ができるのか。ゴルフをやります、自家用車を二台も三台も持ちます、見上げるような邸宅にも住んでおります。それで年収の所得はといえば、五百万円になる者がたった十三人か十二人しかいない。何だ一体、振り返っていけば、そういう形で全部やみの金が出ておるということだから、国民の信用を挽回する意味においても、政治資金規正法というものを正しく運用し、そのお金が政治活動や政治のPRや研究だけに使われて、個々の代議士の生活費にあまり流れないように考慮するという考え方が必要で、それが今日国民に対して政治家が姿勢を正していかなければならぬ問題ではないか、私はこう言っておる。いかがですか。
  104. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 全く賛成、同意見であります。何とかそういうふうにしたいと思う。法というものは、法をつくりましても、その運用よろしきを得ざれば、その効果を発揮し得ないものでありますので、ひとつ、政治資金規正法の運用に当たるわれわれ議員全体が心して、この目的達成ということに努力すべきだ、かように考えます。
  105. 小林進

    小林委員 自治省の選挙局の管理課長が来たそうだから、政治資金規正法に基づく内容の中で、福田さんの何とか政治経済研究所からの届け出はいま幾らになっておりますか、ちょっと教えてください。  いわゆる国税行政、税務行政に対する非難の声は山ほどある。これを見なさい、税金の問題を書くと売れ行きが違うそうですから。これだけ国民が関心を持っている。「池田さんと河野さんはいくら残したか「、「公示された実力者の遺産」の中で「河野さん四億、池田さん一億」これを読んでいけば、まるで不信でみなぎっている。私はいま所得税のことをお聞きしたが、相続税は一体どうなっているかという問題、その相続税の問題を私はあなたにお聞きをしたい。一級品の名画がごろごろとある。あるいは「むずかしい庭石の評価」、「河野は死して土地を残す」、会社や友人名義のものもある。私どもはやはり政治家の連帯責任において耐えられない。この問題をあなたは一体どういうふうにお考えになりますか。池田さんや河野さんのこの申告に対する国民の非難をあなたはどう受けとめていらっしゃいますか。それをお答えになって、そして用があるなら行っていただきたい。
  106. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 それは週刊誌ですか、まだ見ておりませんが、池田さんや河野さんが相続税をどういうふうに申告されているかについて報告を受けておりませんが、国税庁においては適正にこれを審査し、最終決定をする、こういうふうに確信をしております。
  107. 小池昌雄

    ○小池説明員 ただいまお尋ねのございました福田さんの後援会の政治資金の関係の届け出はどうなっているかという点は、先般四月二十日に公示いたしました四十年上半期分の報告書の概要によりますと、そういった名前によります後援会という形でははっきり出ておりませんものですから、ちょっとわかりかねる次第でございます。
  108. 小林進

    小林委員 福田さんの後援会は新政治経済研究所か、福田政治経済究研所とかになっておるはずです。
  109. 小池昌雄

    ○小池説明員 新政治経済研究会という名前によりまして届け出のございました団体につきましては、収入または寄付の総額というところの欄は一千五十万円ということになっております。
  110. 小林進

    小林委員 それはずっと続いているのですか。何月から何月までの分ですか。何年何月何日から何月何日までと遡及して、二、三年分まで言ってみてください。
  111. 小池昌雄

    ○小池説明員 いま手元にその資料がございませんので、後ほど調べましてからお届けしたいと思います。
  112. 小林進

    小林委員 それでは、政治資金規正法に基づく自民党内部における各派閥のそういう届け出の資料は、一括して、自治省から文書にしてお出しいただくことにいたしまして、それに基づいてまたあらためて質問することにいたしまして、これは後日に譲ります。  それで、国税庁長官にお伺いをいたしますけれども、河野さんの相続税の申告の問題については、一月神奈川県の平塚の税務署公示になっておる。その総額は四億九百三十七万六千二百五十八円、こういうことになっておりますし、池田さんの相続税は四月一日四谷の税務署公示をせられまして、これが九千八百三十二万一千九百円になっております。池田さんの財産の内容でございますが、宅地が二百二十六坪五勺、建坪が百十二坪六合二勺、小田原に若干の土地がある、そのほか熱海とかどこかにも家はあるけれども、これは池田さんの名義にあらずして、あるいは他の人の名前になっておる、こういうわけでございますが、この「週刊朝日」の報ずるところによりますと、この信濃町の宅地が坪当たり十万円に評価されておるけれども、時価から見れば四十万から五十万円――私は、あの土地が四十万円か五十万円するというのもちょっと高過ぎるのではないかというふうに感じておるのでありますけれども週刊誌ではそう言っておる。こういうことでございますが、そういう相続のときの宅地の評価等はどういう基準でおやりになるのか。これも私は決して安いのが悪いと言うのではありませんよ。これは誤解しないでください。安いのが悪いと言うのではないけれども、私が質問をしておる焦点は、いつもそうですが、権力者と庶民階級とを差別してくれるな、その問題だけで聞いておるのでありますから、この点はいかがですか。この週刊誌の報ずるとおり時価相場に対して四分の一くらいの申告にしかなっていないじゃないか。そこにも不当な不公平さがあるのではないかと言っておるのでありますが、この点はいかがですか。
  113. 泉美之松

    泉政府委員 相続税につきましては、毎年国税庁におきまして、各国税局、税務署に調査を依頼いたしまして、全国的に相続税の課税にあたっての評価額の基準を毎年きめております。それは前年中におきましてその土地の取引が行なわれますと、その取引が行なわれました売買実例というものを基礎にいたしまして、その売買実例の仲値を基準にいたしまして、そこから相続税の課税にあたって基準とすべき評価額を出すことになっております。御承知のとおり、相続税法におきましては時価で評価するということになっております。その時価につきまして、いま申し上げましたような売買仲値を基礎として評価することになっているわけでございますが、実際の売買におきましては、いろいろな条件によりまして、たとえば、銀行がどうしてもそこに店を出したいということになりますと、かなり高い額でも買うといったような事例がございますので、必ずしもその売買価格そのものをとらずに、そういういろいろな条件なくして、普通の状態で売買が行なわれたならば幾らの価格であったろうか、そういうものを基礎にいたしまして、大体その売買仲値の七割相当額で評価する、こういうたてまえにいたしております。したがいまして、この点はどなたがおいでになりましても、税務署では路線価図というものを持っておりまして、その地域におきましては幾らの評価でございますということを相続税の申告の際にお知らせすることになっているわけでございます。私、池田さんの申告書の内容を存じませんけれども、もし週刊誌の報ずるごとく坪当たり十万円で評価して申告されておるとすれば、おそらく税務署にお聞き合わせの上評価されたことと思います。もし税務署の評価額と申告額とが違うかどうか、その点は今後調査してみたいと思っております。
  114. 小林進

    小林委員 私は自治省に、この際速記録を通じて正確に御要望いたしますが、先ほどお願いいたしました政治資金規正法に基づく各団体、各派閥の届け出の資料を、今期だけではございません、前期、前々期、さかのぼって三年くらいのものを、膨大になりますけれども、こまかく書面にして当委員会に配付をしていただくよう要望をいたします。よろしゅうございますか。
  115. 小池昌雄

    ○小池説明員 いまお尋ねの件で、団体の数をどういうぐあいに拾い上げるとか、いろいろな技術的な問題点はありますけれども、至急検討してみたいと思います。
  116. 小林進

    小林委員 これはあなた、前に発表したことがある、資料も配付したことがあるのですから、いまさら検討などという通り一ぺんの不誠意な答弁をしてはいけません。そういう人を小ばかにしたような答弁をしてはいけませんよ。(武藤委員「こまかいものをやると数が多いから、一千万円くらいに区切ったらどうですか」と呼ぶ)それでは、武藤さんの示唆もありましたから、一期五百万円以上、それ以下のこまかいのはよろしいが、五百万円以上、各団体、派閥のものを網羅して、つとめて詳細に報告をしていただくように要望しておきます。  そこで、時間もないですから私は結論を急ぎまするけれども、池田さんや河野さんはわれわれの大先輩です。しかも、生前は功罪相半ばするにしても、私は死者にむら打つつもりは一つもない。非常に尊敬をいたしております。尊敬をいたしておりまするから、これをほじくろうなんという気は一つもないが、こうやって世間に喧伝をせられて、国税行政が非常に不公平であるがごとくいわれ、その焦点の中にあるとき、私は黙っておるわけにはまいりません。国民の疑惑を解く責任があるわけでありまして、その意味で私は申しておるのでありまするから誤解のないように願いたいのでありまするけれども、その週刊誌の報ずるところによれば、そんなわけで、宅地が二百二十六坪で、これを坪十万円の評価しかしてない、建坪が百十二坪だけれども、固定資産税は三百八十七万円、建物については、坪三万円強しか評価をしていない。もちろん、どんなおうちか、入って見たこともない。表で見ただけでございまするから、うちなんか、古くなれば値打ちがなくなるのでありまするから、あるいは三万円が高いのか安いのかわかりませんけれども、そういうような形になっていて、宅地と建坪だけで二千六百四十七万円だ。九千八百三十二万円という申告の中に、この固定資産税を差し引き、あとの七千万円というものが、いわゆる預貯金あるいはその他動産を含めた勘定になる。ところが、池田さんのうちへ出入りいたしておりまする荻原安之助という人の談話がここへ載っているが、それによれば、池田さんのうちには、竹内栖鳳、速水御舟、菱田春草、橋本雅邦、富田溪山、村上華岳、富岡鉄斎、小林古径、安井曾太郎、梅原竜三郎、林武、池大雅、それから今度は古典に入って桃山期の浮世絵びょうぶや、焼きものの非常に高価な仏像、あるいは中国の殷時代の青銅のつぼ、東山魁夷、中村岳陵、金島桂華などの献上したもの、それから奈良時代の乾漆の観音像など、ともかく国宝級に該当するものもたくさんあって、これをほんとうに安く評価しても五千万円以上のものである。そうすると、あの池田さんの生前お好きであった庭石などというものも一体どういうふうに評価をされているのか。国税庁あたりのお話を聞くと、庭石というものは評価がなかなか困難だということで、それなんかも評価の中に入っていないようだが、いずれにしても、池田邸というものは、不動産と美術品だけでもはや相続税申告の額を満たしてしまって、その他預貯金といいまするか、証券類といいまするか、宝石類といいまするか、庶民の日常の家庭に必要なものは一円もその申告の中に入ってないという勘定になって、いかにも庶民感情から見ては納得がいかない。これは一体どうなっているんですかというふうな記事になっているのでありまするけれども、これはいかがなものでございますか。
  117. 泉美之松

    泉政府委員 「週刊朝日」に載りましたこの記事につきましては、私も拝見いたしております。故池田さんの相続税の申告書は、この二月の十四日に提出されまして、四月一日から公示いたしたわけでございます。私どものほうといたしましては、池田さんの御性格からいたしまして、正しい申告が提出されているものと信じておりますが、これにつきましてはこれから調査に着手いたしたい、お話のような点につきまして正確に調査をいたしたい、このように考えております。
  118. 小林進

    小林委員 私も池田さんの人柄を尊敬いたしておりますし、確かに正しい申告をされていると思います。けれども、それがそれであるならば、なおさら世間の疑惑を解くように国税庁ではしっかり最後の決定をせられて、われわれの口を通じて国民の前にその正当性を明らかにするように御努力していただきたい。特に河野邸の問題については、もはや確定申告が決定したかのごとく――決定しておりませんか。そんなことはないでしょう。遺産の相続は四億円、相続税が二億三千万円、五年間の分納を決定したという記事に出ております。その中の分納の決定については、河野さんの弟さんの参議院の河野謙三さんといま一人の末弟の河野何とかという二人が保証人になられて保証書を国税庁に入れられて、そして二億三千万円の分納が決定した。初年度は四千六百万円、初年度分はすでに納入せられたというふうに報道されておりますが、これはやっておりますか。
  119. 泉美之松

    泉政府委員 河野さんの相続税の申告書は、本年一月七日に平塚税務署のほうに提出されたのでございます。申告の額はいま小林委員のおっしゃったとおりでございます。税務署といたしましては、この申告に基づきまして、税法に基づいて五年間の年賦延納を認め得ることになっておりますので、五年間の年賦延納を許可したわけでございます。ただ、この申告額が正しい相続税の申告であるかどうかということにつきましては、池田さんの場合と同様に、これから調査に着手するわけでございます。
  120. 小林進

    小林委員 その問題に関しまして、あなたのほうの東京国税局の林宏という課長さんの談話もこれに載っている。それによると、こういう池田さんや河野さんの相続税に関連して、相続税の調査の担当者が国税局においては非常に少ない、だからなかなか調査が困難である、いまはまだ三十八年度の相続税の調査をしているかっこうであって、三十九年度になかなかまだ入っていけない、同時に、美術や骨とうや石などの評価はむずかしい、他人名義の株も調査することはなかなか困難だ、こういうことを言っておられる。これは事実かもしれませんけれども、美術品なんか持っている者は庶民じゃない。みんな支配階級の金持ちです。骨とう品を持っている者も庶民じゃない。みんな金持ちです。石なんか持っておるのもなおさらのこと、みんな庶民階級に縁もゆかりもない権力者とか支配階級や金持ちです。いわゆる税務署の手が足りない。そして評価がなかなか困難です。他人名義の株も不明ですから、これも相続税調査の対象になりませんと言わぬばかりのことを言っておる。こんなことを堂々と雑誌発表されたら、一体庶民階級はどう思いますか。隠すこともできない二十二万円の零細所得からぽんぽん税金をふんだくられていっている庶民階級はどうなるのですか。こういう二十二万円や三十万円のわずかの所得税にこそ手が足りないということでけっこうです。私は喜んで手のないことに賛成いたしますよ。そっちのほうに手がないというなら、そんなものはいいから、こういうふうなあり余る階級のあり余るぜいたく品を調査する者こそうんと人員をふやしたらいいじゃないですか。そうして、こういう者にこそ税制の正確さを示して、この重税で痛めつけられている庶民階級一つの慰めと税の公平を示すのが、新しい近代国家における、民主主義国家における税制のあり方じゃないでしょうか。どう思いますか。一体こんな雑誌発表が正しいですか。
  121. 泉美之松

    泉政府委員 東京国税局の林課長がどういうことを言ったか私存じませんけれども、このとおりであるとすれば、はなはだ遺憾に存じます。もちろん、相続税調査の国税局の担当者はそう多くないということは事実でございますけれども、お話のように、世間でいろいろうわさになる方のものでございますから、私どもとしては世間の疑惑の種にならないように早く調査に着手いたしまして、的確な調査の結果で処理いたしたいと存じます。ただ、御両所とも相当たくさんの財産がございますので、調査に着手いたしましても、調査完結までに相当日時がかかるであろうことはあらかじめ申し上げておきたいと存じます。林課長がこう言っておりましても、私としましては、できるだけ早い機会に調査に着手するように命令したいと思っております。
  122. 小林進

    小林委員 そこで、最後に私は言いますが、明治大学の藤原弘達氏は言っている。政治家というものはこれほど国民の疑惑の中にあるのだから、この際、財産を明らかに公示するという何らかの立法処置を講じたらどうだ、第二番目に、政治資金規正法という、こういう脱税の穴を持っているこの政治家の不当利得を密告、提訴する権利を庶民に与えたらどうだ、それから、政治家は死んでいっても――私は池田さんや河野さんのことを言うのじゃありませんよ、こういう国家の功績者の人たちを言うのじゃないのですが、一般論として、生前その不浄なる金でつくり上げた政治家の財産なんというものは国家で没収したらどうだ、こういう三つの提案をされていますが、国税庁長官として、あなたは首をひねる以外に答弁の余地はないだろう。だから、あなたには聞かぬけれども、そういう庶民に公表すべき責任のあることを記録にとどめておいて、あらためてこれは大臣にお伺いします。  同僚議員質問せい質問せいと言っておりますが、私はかけ足ですけれども、いま一つだけ言っておきます。それは、同じく脱税問題についてだ。森脇将光だ。天下一の高利貸し、天下一の脱税男といったその検査は一体どういうふうになっておりますか。その経緯をひとつお知らせ願いたいと思う。
  123. 泉美之松

    泉政府委員 森脇関係につきまして申し上げますと、脱税をいたしておりますのは、現在調査いたしておりますのは株式会社森脇文庫でございまして、森脇将光個人につきましては、なお目下調査中の段階でございます。株式会社森脇文庫の脱税総額は、三十五年の七月三十一日終了事業年度から四十年一月三十一日までの終了事業年度分につきまして調査いたしまして更正いたしておるわけでございますが、その金額は法人税額で五十二億円、加算税が十七億円、両者合計いたしまして六十九億円、このほかに地方税であります事業税、法人住民税などがございまして、合計いたしまして百十億円くらいの税額になると存じます。  それから、その徴収につきましては、株式会社森脇文庫の財産と認められるものにつきましていろいろ差し押えなどをいたしておりますが、現在までのところ徴収済みのものは、先ほど申し上げました国税の六十九億円に対して二十七億円を徴収済みに相なっております。そのほかの分につきましては、なお今後滞納処分を続行していく予定でございます。
  124. 小林進

    小林委員 その資産価額はどれくらいになりますか。
  125. 泉美之松

    泉政府委員 現在徴収いたしましたものは、主として銀行預金及びそれに伴う利子でございまして、現在差し押えいたしておりますものは大部分が貸し付け金債権でございます。これは同時に逮捕されております吹原弘宣氏、それから大橋富重氏に対する債権でございまして、現在のところ、債権金額はありますけれども、はたしてこれが徴収し得るかどうか、なかなかやっかいな問題だと思っております。そのほかに若干の不動産等も差し押えいたしております。それらのものにつきまして今後滞納処分を続行していく予定でございます。
  126. 小林進

    小林委員 その森脇個人について目下調査中ということはどういうことですか。
  127. 泉美之松

    泉政府委員 今回の脱税額の内容につきましては、株式会社森脇文庫での脱税が主でございまして、その森脇文庫から森脇将光氏個人が受け取っておるいろいろな所得がございます。それは給与だとかなんかがあるわけでございますが、それらにつきましては、一部申告になっておるものもありますし、申告のないものもございます。それらの資料につきまして、御承知のとおり、現在これが検察庁のほうで証拠書類が押収されておりますので、その検察庁の取り調べのひまを見て、そういった資料を私どものほうで拝見しながら調査を進めておるわけでございますから、したがって、森脇将光氏個人につきまして調査をいまなお進めておるわけでございます。これも不日決定できる見込みでございます。ただ、脱税額はほとんど大部分が株式会社森脇文庫でございまして、個人のものはきわめて少ないというふうに認められます。
  128. 小林進

    小林委員 そこで、検察庁にお伺いいたしたいのでございますけれども、森脇氏は逮捕されて未決へ入れられたのは、昨年の何月ですか。
  129. 津田實

    ○津田政府委員 森脇逮捕の日は昭和四十年の五月十日であります。
  130. 小林進

    小林委員 その昨年の十日からいわゆる未決へ入れられて、それで今日までもう一年じゃないですか。その一年の間でまだ取り調べは終了しないのですか。いいですか。世間の人は、高利貸しに同情するものはいません。脱税憎むべし、脱税憎むべしだけれども、しかし、未決の中へ一年近くもたたき込んでおいて、起訴もしなければ釈放もしないというこの検察行政に対しては、最も大きな疑問を持っておりますよ。そうでしょう。一体こんな反人道的な残酷な話はどこにありますか。諸般の事情を承りたい。
  131. 津田實

    ○津田政府委員 御承知のとおり、森脇将光は、吹原弘宣関係の事件から捜査の端緒を得て逮捕されたものであります。ただいまお話に出ました脱税事件を摘発されますと同時に、吹原関係等、非常にたくさんの詐欺その他の関係、あるいは恐喝というような事件等が重なっております。そこで、本件につきましては、すでに昨年の五月三十一日から本年の三月十九日までの間に七回にわたりましてそれぞれ事件について起訴をいたしております。そこで、本件に関しましては、すでに昨年の七月保釈の請求がなされましたが、最初のうちはいずれも保釈は請求却下になっております。昨年の十二月十六日に保釈金三億円で保釈が許可になっております。しかしながら、この保釈金額について争いを森脇の弁護人から申し立てておりまして、その結果、本年の二月十四日、これは最高裁判所まで行きまして、この保釈金三億円というのは相当であるという決定になっております。したがいまして、森脇自身の保釈は三億円で許可されているわけでありますが、本人がこれを納入することができないために今日依然として勾留されておる、こういう実情になっております。
  132. 小林進

    小林委員 先ほどからも国税庁が言われているように、もはや株式会社森脇文庫の財産は、知る限りにおいて全部差し押えしたのですよ。個人の財産はわずかと言われた。そういう人たちに三億円の保釈金が適当とは、一体こしらえられるわけはないじゃないですか。だから世間の人たちは、これはできないことを吹っかけている、検察庁はできないことをふっかけて、そして本人を苦しめている。言いかえれば、これは出ると、権力の支配、支配階級に不利な証言を法廷やあるいは世間において発表する。だから、極端に言う人は――これは政界の人たちも言っていますよ。国会の中でも言っていますよ。森脇は完全に気違いになるか、あるいは未決の中で死んでしまうまではおそらく出されないんだろう、こういうことを言っておりますよ。この点の世間の疑惑に対してあなたはどうお考えになりますか。一体三億円の保釈金が森脇にあるとあなたはお考えになりますか。刑事局長、この世間の風評に対して答えてください。
  133. 津田實

    ○津田政府委員 本件の保釈金額三億円が適当であるかどうかという問題になると思います。保釈につきましては、森脇の出頭を確保するために必要な金額であるということであります。そこで、森脇がどの程度の金額によって保釈がなされるかということは、これはいろいろ判断の資料があると思います。これは当該裁判所において判断をいたしましたし、また弁護人がその金額は不当であるという趣旨のことを高等裁判所及び最高裁判所まで争って、結局三億円が適当であるという結論が出ております。私どもといたしましても、これ以上この金額が不当であるという議論はもちろんできません。これは裁判そのものに対する批判であります。それは、これにつきましては世間の批判はいろいろあると思いますけれども、現段階におきましては、最高裁までの結論を経たこの金額は、私どもとしては相当であると考えております。
  134. 小林進

    小林委員 それにいたしましても、いままであなたたちは一体、一年近くも未決の中に入れて、そしてこういうふうに調査をせられた例がありますか。戦時中は別であります。戦後民主政治がしかれて、もはや一応の証拠調べが済んで、証人の証拠もそろったら、逃亡のおそれがないとか、あるいは危険のおそれがないとか、証拠を隠滅するおそれがないという場合には、人道に基づいて、これを保証人をつくるか、保釈金をつけるかして釈放するというのが法律のたてまえでしょう。新憲法のたてまえでしょう。それを一年近くもあなた方は本人を閉じ込めて――六十七歳ですか、六十八歳ですか、それであなた方はもののあわれを感じないですか。それをあたりまえと考えておるのですか。どうですか。この問題を、保釈金の三億円も正当だ、一年近くもぶち込んでいるのも正当だ、そうおっしゃるのですか。どうですか。
  135. 津田實

    ○津田政府委員 先ほども申し上げましたように、本件につきましては、昨年の五月十日最初に逮捕したわけでありますけれども、その後引き続いて起訴がなされておりますし、本年の一月四日及び本年三月十九日にも起訴をされております。したがいまして、その間にはとにかく別途の容疑は確かにあったわけであります。そういう意味におきまして、この間ただ一つの事実をつかまえてそれを勾留しておるということではございません。そこで、勾留につきましては、もちろん当然保釈の請求ができるわけであります。保釈の請求につきましては、裁判所が本人の人権その他も十分考慮して判断をするわけでありまして、これは政府や検察庁が容喙する性質のものではございません。したがいまして、その金額の点につきましても最高裁判所の最終決定を得ておるわけでありますから、この者の勾留自体は正当であるということは当然だと思うのであります。なお、本人の心身の状況につきましては、これは勾留している当局において十分配慮をいたしておることは当然であり、また事実であります。
  136. 小林進

    小林委員 私は時間がないからやめますが、国税庁に申し上げまするけれども、こういうふうな人道問題、検察庁は心身ともに十分考慮しているとおっしゃるけれども、どの点に考慮をしているのか。前例もあることだ。いまから三年前、東京都の東龍太郎のあの選挙のときに、川島副総裁が関係せられて、これも天下周知の事実だ。肥後亨という男を使嗾して、にせ証紙事件、天下周知の事実でしょう。そのにせ証紙事件を起こした肥後亨が未決へ入れられて、あれは一カ月ですか、一カ月半ですか、不可解な形で未決で死んだということで出されたんだ。そういう前例も世間の人はみんな知っているんです。肥後亨の問題はあとでお聞きしましようけれども、ちゃんと未決の中へ入れて、時の権力者と結んでいる者が冷たいむくろになって死んでいるんだ。だから、世間の人はみんなそれを考えて心配しているのですよ。そこで、あなたにお伺いするのは、いま、森脇将光が三億円の保釈金が積めないといって苦しんでいる。あなた方がみんな差し押えしているから保釈金が積めない。保釈金を積むために、国税庁に解除してくれと言ったら、三億円に該当するものを解除しますか。やってくれますか。
  137. 泉美之松

    泉政府委員 私ども、差し押えしておるものにつきましては、差し押えを解除してもらえれば、国税の滞納処分で公売するより以上に高い値で売れて、したがって、国税債権をより多く満足することができるという理由がある場合のほかは、また、生活に非常に困って生計ができないという場合のほかは解除をいたしません。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、いまの、保釈金を積む必要があるから解除してくれといっても、これは解除いたさない方針であります。
  138. 小林進

    小林委員 ともかく、脱税をやったということで、あなた方は全部財産を差し押えた。今度は、検察庁や日本の裁判官が三億円の保釈金を積め――できない相談じゃないですか。そして、本人は一年近くも未決の中へたたき込まれていて、それで次から次へ起訴だといって新しい事犯を言うならば、未決の中へ入れている形においては何にも変わりがないのです。そんなことが世間の了承する姿ですか。これが一体、法治国家といわれ、民主主義国家といわれる、人道を尊重する日本の中における行刑ですか。それがあなた裁判行政ですか。それが一体国税庁のあり方ですか。もう時間もありませんからやめますけれども、ひとつ、いまのあれをお聞きしましょう。肥後亨の例のにせ証紙事件、東龍太郎の選挙違反被疑事件で未決へ入れられて、そしてその結果どうなりましたか。お聞かせを願いたいと思います。
  139. 津田實

    ○津田政府委員 肥後亨は、昭和三十八年の十二月八日犯人隠避罪によりまして警視庁に逮捕されまして、翌九日から東京拘置所に勾留されておったわけでありますが、同月の二十八日、公職選挙法違反及び犯人隠避罪により東京地方裁判所に身柄拘束のまま公判請求をされましたために、その後も引き続いて東京拘置所で勾留中でありましたところ、翌年三月七日午後六時四十分過ぎごろから言語障害等の脳出血症状を呈し始めましたので、直ちに東京拘置所において医師が手当てをいたしました。あらゆる治療を施しましたが、翌八日午前九時四十五分同拘置所内の病室において死亡したわけであります。この死亡後東京都の監察医による行政解剖の結果、脳出血であるということが確認されている次第であります。
  140. 小林進

    小林委員 そして、東京都知事の証紙事件で、当時の支配階級の川島副総裁は、肥後亨との関連の問題で一つのお調べを受けたかどうか知りませんけれども、それはそのまま起訴も受けないで済んでいる。それから、池田総理大臣の前の秘書官、あれも総裁選挙に非常に関連せられた。あの秘書官は何と言われましたかね。あれは火の見やぐらから飛びおりて死にました。もう時間がありませんから、私はこの問題はあらためて聞きまするけれども、これはみんな税金関係です。首なんかかしげなさるな。税金関係と検察庁と権力者とこういうものが結びつくと、起訴されたりされなかったり、一年近くも未決の中へ入れられたり、起訴された者は公判請求のままで死んでしまったり、あるいは火のみやぐらの上から落ちて死んだり、不可解な問題ばかり起きているじゃないですか。これで一体租税行政や所得行政や課税行政を信用しろといって、信用できますか。検察行政に信頼を持てといって、できますか。  私はきょうはまだ質問の要旨は徹底しませんけれども、何しろほかに質問があるそうでありますから、全部留保いたします。全部留保いたしまして、この問題は次の私に与えられた時間に徹底的に質問させていただきます。どうぞひとつ、大いに回答の準備もしてきていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  141. 三池信

    三池委員長 平林剛君。
  142. 平林剛

    ○平林委員 小林委員の縦横の質疑のあとでございますが、私がこれから申し上げる問題も、やはり大蔵省においては慎重な取り扱いをしてもらわなければならぬ問題であります。  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署設置に関し承認を求める件について、こまかい点はあとで時間があればお尋ねいたしますけれども、初めに、これに関連をして国税庁長官にお尋ねをいたします。  たぶん御承知だと思いますが、全国の信用金庫の協会長であった小野孝行氏、中央信用金庫の理事長ですね、これは昨年の十二月、その職員組合の金庫民主化の要求提出を契機にしてその職を辞任いたしました。その経過は、私が手元に持っているように、いろいろな新聞雑誌に報ぜられておりまして、私もこの文書でその背景、その事情などについてはある程度知ることができたわけであります。この各種雑誌新聞その他の報ずるところによりますと、小野孝行という理事長は、金庫運営において独断専横があった、それから、いわゆる小野一族によって金庫を私物化しておった、業務上の横領容疑もある、いろいろ伝えられておるわけであります。ところが、最近私はある筋から、これだけではない、もう一つ、小野という人が理事長であった時代から相当巨額な脱税容疑があるという情報を得たのであります。国税庁長官はこの事実をつかんでおられますかどうか。
  143. 泉美之松

    泉政府委員 小野孝行氏が理事長をしておりました中央信用金庫につきましては、昨年末から、その所管であります本所税務署におきまして法人税の調査をいたしております。まだ相当過去にさかのぼって調査しなければならぬ点がございまして、昭和三十六年三月期までさかのぼって調査をいたしておりますためにかなりの日数を要しておりますけれども、まだ十分完結するまでに至っておりません。その調査の内容を途中経過の段階で聞きますと、その金庫の申告所得につきましては、年によって違いがございますけれども、五年間を通算いたしますと、現在調査されておる段階におきましては、若干脱漏があるようでございまして、その金額はまだ正確に申し上げかねますけれども、絶対額といたしますと一億円をかなり上回る金額になるという程度が判明いたしております。今後さらに調査をいたしました上で所要の措置をとるということにいたしております。
  144. 平林剛

    ○平林委員 国税庁長官もお認めになりましたように、一億円を相当こえる脱税容疑である。私の承知しているのでは二億円に近い巨額であるということでございます。この件につきまして、またあらためて別の機会に私はお尋ねしたいことがありますけれども、中央信用金庫といえば、昨年は創立四十周年を迎えて、資金量も四十年の三月末では二百三十億円、預金残高では全国信用金庫五百二十八の中で二十三位、出資金も七億六百十八万円、会員数も九千四百二十七人、その理事長であります。この理事長辞任の背後には私は相当複雑な事情があるとは思います。しかし、職員組合の要求書を検討してみますと、相当前時代的な金庫運営に対する反発が見られるわけであります。それよりも私は、これらの事情を報道した記事を読んでみますと、小野理事長の金庫の私物化、業務上の横領容疑などございまして、東京の地検に告訴するとかしないとか、したとかいうようなことまで伝えられておるのであります。小野理事長は、昨年はたしか生存者叙勲でもって勲三等まで受けた栄誉の人であると聞いておるのであります。こういうような事実を指摘されるということは、私は、そういう立場から見ても看過できない問題があると思います。  大蔵省銀行局にちょっとお尋ねします。この紛争問題の中身は別にいたしまして、少なくとも、金庫の私物化あるいは業務上の横領容疑などの指摘があることは、あなたのほうも職掌柄御承知だと思うのです。これにつきましてはどういう調査をなさいましたか。
  145. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 中央信用金庫につきましては、三十九年十月に金融検査を実施いたしております。大体、信用金庫の検査は、御承知のように一年ないし一年半、二年という周期でやっておるわけでありまして、そろそろ検査の周期にはまいっておるわけでございます。先ほど先生御指摘のように、昨年の暮れ以来、経営陣の交代をめぐりまして紛争が起こったことは承知をいたしております。世上いろいろ伝えられるところもございますので、これはやはり誤解であるならば解かなければならぬし、事実であるならば是正しなければならぬわけでございますので、御指摘のように、現在の実態を洗うことは当然必要だと思っております。ただ、私ども配慮いたしましたのは、ちょうど、そういう経営陣の交代で内部が若干ごたごたいたしておる、そういうときに検査に入るということは、さなきだに預金者心理に一そう不安をかき立てるということがあってもなるまいというような配慮もございまして、現在紛争といわれておりました点も、昨今信用金庫協会長が間に入りまして、あっせん調停ということで話を進めております。近く落着をいたすものと思いますので、その落ちつくのを待っておるわけでございます。その上で最近時点における十分詳細な実態を調査いたす必要はあろうかと思っておりますが、ただ、過去の検査におきましても、経営体制については、やはりしばしば問題にいたしておりまして、組織と機構を活用して本来やるべき近代経営の原理がどうも怠られておる、これはいかぬ、その是正を指示して今日に至っておるわけでございますが、今後とも十分その点は気をつけてまいりたいと考えております。
  146. 平林剛

    ○平林委員 銀行局の検査が昭和三十九年十月行なわれたというお話でございますけれども、私の得た資料によりますと、かなり問題があることが多いのです。紛争の最中であるから、しばらく時間を見て、そして金融行政上、金庫の信用の問題もあるでしょうから、それを待とうという配慮はわかりますけれども、たとえば、全国の信用金庫の協会長の職責でありますから、都内あるいは全国だったかもしれませんけれども、コールマネーを取り扱っておる、それをピンはねして、ある特定の名義で預金をしているという事実も伝えられております。この点は三十九年十月のときになぜわからなかったか。それから、私は税務署の調査資料でわかったのでありますけれども、「信用金庫の監督について」という大蔵省の通達ですか、「資金運用基準」によると、融資を行なう場合には中小企業者等に対する小口融資に重点を指向させる、業務方法書に定める同一人に対する信用供与の最高限度を厳守させることはもとより、当該地区の経済状況等を勘案して、その融資対象が大口に偏寄しないよう指導するというようなことが書かれておるわけです。ところが、非常に小さな資本金の特定の会社に対しまして、普通、基準があって、預貸率というのは二五%とか三〇%というふうにきめられておるのに、ここでは何と二一六二%ですか、そういう融資まである。これは税務署のほうが知っています。これも三十九年の調査のときになぜわからなかったか。いまこれは紛争がありまして表に出てまいりましたけれども大蔵省の調査というものがあったのにかかわらず、こんな歴然としたことがなぜわからなかったのか。これはあなたが銀行局長の時代でなかったから、責任は、罪一等減ぜられましても、やはり一つ銀行局の監督そのものに問題がありはしないか、こういうことを示唆しておると思うのでありますが、いかがお考えですか。
  147. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 第一の点でございますが、おそらく、おっしゃるのは、コールローンとして運用したものに対する利息収入、その利息収入についての、つまり正当経理をしないで一部不当な経理をしたんじゃないかというお話かと思います。そのような事実は、実は前回検査の際には出ておりません。おそらく私は、そういう通常金融機関がコールローンに運用したもの、その利息の一部をたとえば簿外にするとかなんとかいうことは、これはとうてい許さるべからざることでございます。事実そういうことはないと思っておりますが、しかし、なお今後それは調査いたしまして、もしそのようなことがあれば、厳重な処分をしなければならぬと思います。  さらにもう一つ、預貸率の話がございました。預貸率は、御承知のように、前回検査の時点並びに最近時における状況を見ますと、つまり預金に対する貸し出しの比率、金庫全体としてはこれは八三%前後を推移しておるわけでございまして、ただいま先生がおっしゃいました二千何百というのはどういう意味かよくわかりませんが、預貸率そのものは八三%でございます。  それからなお、御指摘のございました信用金庫の資金運用に関する基本方針、これも全くお示しのとおりでございまして、大口に偏離せざるように、同時に、一債務者当たりの貸し出し総額というのは、いま五千万円限度で押えて実行いたしております。おおむねその基準の中に入っておりますが、検査等を通じてみますと、中には多少例外的にそれをこえておるものも間々見られます。これについては、そのつど指摘をいたしまして、是正をするようにつとめてきておるところでございます。ただいまのは具体的にどういう会社のことをおっしゃっていらっしゃいますかよくわかりませんが、全体として見ますと、そういうことで指導いたしております。
  148. 平林剛

    ○平林委員 きょうは時間もありませんし、この問題については、私、適当なときにあなたにもお示しいたします。私資料を具体的に全部持っているのです。だから、あなたがこれからおやりになるときには、いつでも私のほうへ参考のために資料を見に来てもらいたい。とにかく私は、そういう意味では、信用金庫の監督について昨年来いろいろ言ってきたんですよ。結局今度の紛争を契機にして表に出てきたのが多い。だけれども、ふだんの信用金庫に対する銀行局の監督について少し欠くるところがあるんじゃないか。  そこで、私はこの機会に一、二要望しておきます。  それは、一つには、全国の信用金庫の中で同族で経営をしておるということは、やはり今度の中央信用金庫の紛争に関連をして考えてみなければならぬ問題じゃないだろうか。たとえば、今度の中央信用金庫においては、職員組合の要求では、小野理事長をはじめ一族の即時退陣ということがうたわれております。これだけ聞きますと、どうもたいへんな要求のように見えますが、私が得た資料によると、やはりこういうことをせないと金庫の明朗化ははかれないということを私は事実として知ったのであります。たとえば、専務理事、経理課長、支店長、理事長、全部一族で経営をされておりますと、こんなことも表に出てこない。そこで、多数の善良な預金者あるいはこれに加入をしておる人たちにたいへんな迷惑をかける結果になる。それは全国に何百とありますね。この機会に銀行局は、こうした同族によるところの経営についてやはり何かのけじめをつけるべきだ、私はこういう感想を持つのであります。  もう一つは、最近大蔵省の役人が信用金庫界に入っていくという傾向が強くなっています。大蔵省の役人の人は、従来は偉い人のほうですと、政府関係金融機関に入っていくとか、地方の銀行へ入っていかれまして、世間でも批判を受けたことがございます。ところが最近では、上のほうではないが、中堅クラスのほうへだんだん翼が広がったというか、手が伸びて、信用金庫界に就職をされるということが多い。このことは、去年もことしもかなりの数あります。私きょうは全部申し上げません。適当な機会にあれしますが、全部調べてみるとたいへんな数です。その割合も非常に高くなっています。これは検査や指導にあたって大蔵省措置が適正を欠くおそれが出てくる。何らかの便をはかってやるという役割りを持ってそこに入るという効果がないわけではない。大蔵官僚がたくさん迎えられた信用金庫は、信金界のほうでもとかくうわさが流れている。入ったとたんにそれが下火になるというような、これはうわさですが、口にとびらを立てるわけにまいりません。しかし、そのうわさは、やがて真実になる場合もあるわけでございまして、こういうようなとかくのうわさが出るようなことはやはり避ける必要がある。大蔵官僚がもし金融界に入るとするならば、実力を買われて入るという場合もありましょう。その人が有能であるから、どの部門においても役に立つということで、特に大蔵省の役人は頭がいい人がそろっていますから、これはある程度認めないわけではない。しかし、在職時と関係のないところにやるような配慮はやはりしなければならぬ。これは政務次官も十分考えてもらわなければならぬ。大蔵大臣にこの点は確認をしておきたかったのでありますが、いずれこの全部の問題をひっさげて、金融小委員会などの適当な機会にやりたいと思っているのです。  そこで、あなたに直接関係はないかもしれませんが、私、去年不動信用金庫の問題を取り上げたことを覚えておられると思うのであります。あのとき、不動信用金庫が破産をすることによって小口の預金者は救われたけれども、大口の預金者はとうとう預金を奪われた。大口といっても二百万、三百万、五百万の人ですよ。そこで結局、小野孝行という理事長と大蔵省の管財局とが、私に言わせると、しめし合わせて、導入預金というレッテルを張った。そうして三割の預金を返すだけで始末しようと考えた。その立て役者になったのは小野孝行さん、自分ではいろいろやっているくせに……。そしてこの問題については、管財の役人と一緒になって、結局善良なる預金者がとうとう導入預金という結論へ流れた。その善良なる預金者の資金を三割しか返さぬということで結末をつけた。ところが、最近私はわかったのです。私がこの質問をするときに大蔵省の役人が、平林先生のような方が導入預金の肩を持つようなことはよくありませんよ、と言って牽制をしたのですよ。私は良心に恥ずることがない、こういう信用金庫の営業的な、公共的立場に立たないものは、預金者保護の上からもまことにけしからぬことだと思って、委員会で追及しました。ところが、しきりに私に牽制する役人がいた。名前を言ってもいいですよ。その大蔵省の役人が、実は不動信用金庫に導入預金をやっていたんですよ。そして、たぶん小野孝行さんだろうと思うんだ、話して、自分のやつだけは全額返してもらった。そうして私に対しては、こういう問題を取り扱うべきではないぞ、こう言う。大蔵官僚の全部ではありませんね。全部ではありませんけれども、特定の地位を利用して、そして、当時この問題は、小野孝行氏と一緒になって、裏で糸を引き、導入預金というレッテルを善良な預金者に張って始末をして、自分では陰でうまくやっている。これは私は、大蔵大臣にも一度調査してもらう必要があると思う。こういうことを許しておいてはいけないですよ。これは最近になってわかったんだ。そのときは、しゃあしゃあとして、平林先生、導入預金なんかの問題についてあんまり関係しないほうがいいですよ、なんて言ってきている。これはまた別の機会にやります。つまり、こういうふうに、特定の金融関係の役人が力のある者と組んでやられるところの検査、指導というものについては、私は今後警戒していかなければならぬ問題が含まれていると思うのです。私は、この問題については、新しく銀行局長になられたあなたの直接の責任じゃないわけですが、高橋さんにやりたいと思うのです。高橋俊英銀行局長――彼じゃないですよ。彼の下僚だけれども、いずれあらためてこまかくやって、その後の処置もしっかりとってもらわなければならぬと思っています。きょうは時間がありませんし、約束がありますから、こまかい問題については、適当な機会にさらに政府にお尋ねをしてまいりたいので、保留をしておきたいと思います。  なお、本法案の問題につきまして若干お尋ねしたいことがありますが、次の機会に保留しておきたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  149. 三池信

    三池委員長 次会は、明後十三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十二分散会