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1966-05-10 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十日(火曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       西岡 武夫君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       渡辺美智雄君    小林  進君       佐藤觀次郎君    只松 祐治君       野口 忠夫君    平岡忠次郎君       藤田 高敏君    横山 利秋君       永末 英一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主税局長)  塩崎  潤君         国税庁長官   泉 美之松君  委員外出席者         国税庁次長   中嶋 晴雄君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月十日  委員川野芳滿君及び竹本孫一君辞任につき、そ  の補欠として砂田重民君及び永末英一君が議長  の指名で委員に選任された。     ————————————— 五月二日  戦傷病者恩給担保融資額是正に関する請願  (今松治郎紹介)(第三六〇二号)  同(木村俊夫紹介)(第三六〇三号)  同(田中龍夫紹介)(第三六〇四号)  同(黒金泰美紹介)(第三七二九号)  同(松澤雄藏紹介)(第三九七六号)  黄色申告制度創設に関する請願水井勝次郎君  紹介)(第三九六二号) 同月七日  都市近郊農地相続税軽減に関する請願福田  篤泰君紹介)(第三九九九号)  戦傷病者恩給担保融資額是正に関する請願  (床次徳二紹介)(第四〇三三号)  同外一件(大橋武夫紹介)(第四〇三四号)  同(仮谷忠男紹介)(第四一六〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、税務署設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出、承認第一号)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求に関する件について、おはかりいたします。  金融及び証券に関する小委員会において、来たる十一日、証券取引に関する件について、東京証券取引所理事会議長瀬川美能留君、日本興業銀行頭取中山素平君、富士銀行頭取岩佐凱実君及び三菱銀行頭取田實渉君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 三池信

    三池委員長 地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、税務署設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。只松祐治君。
  5. 只松祐治

    只松委員 大臣がお見えになる予定がおくれておりますので、先に長官のほうに具体的な問題からお尋ねをいたしたいと思います。  過日、一応資料はいただきましたが、本委員会の席で、現在の国税の調査状況、それを具体的に税務署管内局管内、そういうふうにおおよそ分類をして、それぞれ更正決定なり重加算税適用状況、そういうものを含んでひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  6. 泉美之松

    泉政府委員 お答え申し上げます。  まず、申告所得税法人税に大きく分けて申し上げます。三十九年分の申告所得税について全国的に申し上げますと、申告件数二百八十一万五千八百四十一件に対しまして、更正決定件数は四万四千五百六十五件でありまして、その割合は一・六%、それから重加算税は二百四十三件でありまして、その更正決定件数のうち重加算税適用した割合は〇・五%に相なっております。ただ、これを税務署別府県別あるいは国税局別に見ますと、いろいろ差があるわけでございます。たとえば、都道府県別に申し上げますと、東京都でございますと、いまの所得税更正決定割合は、全国平均が一・六%でありましたのが一・一%、大阪府では二・七%、愛知県では一・六%、宮城県では一・〇%、埼玉県では一・〇%、岡山県では一・一%、熊本県では〇・八%とそれぞれなっておるわけでございまして、必ずしも全国的に同じ割合ではございません。もっとも、その更正決定割合が多いか少ないかということは、その土地納税者の動向あるいは税務署態度等によるわけでございまして、若干の差があることは当然かと思いますが、しかし、それにいたしましても、その間あまり大きな差異がないように私どもは心がけてまいりたい、このように考えておるわけであります。  それから次に、所得税重加算税適用割合を申し上げますと、全国平均が〇・五%でございますが、東京都の場合は、これはパーセントに乗ってまいりませんで〇・〇%、大阪府が〇.一%、愛知県が〇・九%、宮城県が〇・三%、埼玉県が〇・四%、岡山県が〇・五%、熊本県が〇・五%という割合になっております。  次に、法人税について申し上げますと、昭和三十九事務年度、つまり、昭和三十九年七月から四十年六月までの間に処理いたしましたものについて申し上げますと、先ほど所得税と同じように、申告件数が七十五万八千百九十二件に対しまして、全国的な更正決定件数は二十八万四千五百十件でございまして、その更正決定割合は三七・五%になっております。しかし、これを都道府県別について見ますとかなりの差がございまして、東京都で三八・六%、大阪府で四二・三%、愛知県で三九%、宮城県で四〇・四%、埼玉県で三一・八%、岡山県で三六・六%、熊本県で二九・六%、こういうことになっております。  なお、重加算税適用割合は、全国平均で見ますと、更正決定件数二十八万四千五百十件のうち、重加算税適用いたしましたのは二万八千百六十九件でございまして、九・九%になっております。これも都道府県別に見ますと若干の差異がございまして、東京都で九・〇%、大阪府で一六・七%、愛知県で一三・五%、宮城県で四.七%、埼玉県で一一・八%、岡山県で一〇・九%、熊本県で五・六%、こういった数字に相なっておるわけでございます。これらにつきましては、先ほど申し上げましたように、地域によって、納税者態度税務署態度等によりまして若干の差異が出てまいることはやむを得ないことだと思いまするが、あまり大きな差異が出ないように配慮すべきだと考えて、私どもといたしましては、全国的な見地からその点を配慮いたしておるような次第でございます。
  7. 只松祐治

    只松委員 まず、いまの御説明の中から若干お伺いをいたしたいと思うのですが、私はほかのところまでそうたびたび行けませんので他府県のことはつまびらかに存じませんが、埼玉管内では私は多少税務署等に行って調査をいままでしておるわけです。今回この資料を見ましても、埼玉の、いま後段に御説明がございました法人税更正決定状況ですが、三一・八%、こういうことになっております。約三二%、この数字がどういうものか、東京よりも低いし、大阪よりも約一〇%も低いわけです。いままで私たちは、大都市がいろいろな調査、徴税その他税の執行が甘いのではないか、いなかや地方都市が非常に厳格に過ぎやしないか、こういうことを言ってきたのですが、このデータを見ますとずっと下がってきております。たいへん私はふしぎだと思います。いままで私が調べた範囲内では高かったのが、低くなっておる。作為的なものだとまでは私は申しませんが、このデータのとり方はどういうふうにおとりになっておるのか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
  8. 泉美之松

    泉政府委員 この表は税務署所管法人について調査いたしたものでございまして、お尋ねの御趣旨は、従来からいろいろ言われておりますのは、資本金五千万円以上の調査課所管法人の場合に、大都市調査課所管法人が多い、ところが、それに対して必ずしも税務の手が十分に伸びておらない、そういった点からいたしまして、調査課所管法人におきましては、大都市の場合と地方局の場合を比べますと、実調率がやや大都市の場合が低い、こういったことが原因となりまして、更正決定割合も若干大都市が低いような傾向があるわけでございますが、税務署所管法人について申し上げますと、先ほども申し上げましたように、必ずしも大都市のある府県だから更正決定割合が低いということにはなっておりません。したがって、お尋ねの点は調査課所管法人の点かと存じます。
  9. 只松祐治

    只松委員 たとえば、地方都市では、これも繰り返し言っておりますように、大体調査率が四〇%か四五%くらいになっておりますね。それに対する更正決定割合は、私ちょっといまデータが見当らないのですが、あなたのほうから出ておるデータを見ても、大体八五%から九〇%の間、更正決定に対する割合はそのくらいになっておるわけです。そういたしますと、浦和なり川口なり、こういうところをとってみましても、それを引き当てますと、埼玉県内で三二、三%の更正決定率というものが出てくるわけですね。じゃ東京はどうかといいますと、東京は大体二〇%前後の調査率なんです。二〇%前後の調査率の中から、いまの、たとえば八〇何%、九〇%にいたしましても、なかなかこれだけの更正決定割合というものは出てこないわけです。だから、これは埼玉地方都市よりも調査率が五〇%、六〇%と高いか、あるいは八五%か九〇%——九〇%をこした更正決定が行なわれておるか、こういうことになると思うのですが、東京法人はそんなに調査率は高いですか。少なくとも私たち調査した範囲内ではそんなに高くないのです。どういう数字からこれは出てきたのですか。
  10. 泉美之松

    泉政府委員 その点は、先ほど申し上げましたように、東京実調率が二〇%とおっしゃいましたけれども、これは極端な事例でございまして、それほど低くはございません。埼玉県を含む関東信越国税局東京国税局とを対比してみますと、税務署所管法人につきましては、むしろ東京局のほうが実調率が高くて、関東信越国税局のほうが実調率がそれより若干低いというような状況になっておるわけでございます。その点から、先ほど申し上げましたように、更正決定割合東京都は三八・六%でございますが、埼玉県は三丁八%というようなことになっておるわけでございます。
  11. 只松祐治

    只松委員 私が調べたところでは二〇%前後のものがあったわけです。そうすると、ある税務署は二〇%くらいで、ある税務署は五〇%、六〇%、非常に高いところもあるということになるかと思うのですが、私は、これはほかならぬ長官の答弁で、そうでたらめがあろうはずがありませんから、さらにもう一回調査に行きたいと思います。  東京法人数税務職員数、その他そういうものから割り出してみても、一日に何社くらい調査に行けるか、これも出てくるわけですから、その答えはすぐ出ると思います。ただ、私たちがいままで繰り返し言っているのは、大都市調査が低いのではないか、あるいは調査が弱いのではないか。したがって、大都市法人の本社を置いておいて、工場や何かを地方に置く、こういう現象が起きておる。そういうことはあなたたちもお認めになって、東京にあるいは大都市税務職員をふやす、こういうことのために異常な協力をされて、オリンピックの選手村あたりを強制的にといいますか、無理に使う、こういう事態まで起こってきたことは御承知のとおりだと思います。しかし、この数字を見て、私は何かつくられたもののような感じがしてならない。そういうふうに、地方よりも東京のほうが高いとするならば、私もそういうことで若干、これは質問よりもお願いという形でしようかと思っておったんですが、大都市にそんなに税務職員を集中させる必要はないわけです。だから、この調査のつくり方について私は多大の疑問を持つ、この調査の方法も、いわゆる出されてきた書類審査という程度のものを含んで、たとえば、埼玉県下におけるものはそういうものはあまり含んでおりませんけれども、ちょっと指導をしたというようなものを含んで——顔出して、ある程度そこの店に見に行ったというようなものを含んで四五%程度になるわけですね。しかし、実際上相当力を入れて調査するのは二〇%から二五%くらいになるそうです。東京の場合は、その調査というのは、ちょっと指導に行った、あるいは指導しないまでも、更正決定の率というものを見ますと、おそらく書類審査の中から更正したものを含む、こういうことなら私はわからぬことはないと思いますよ。無理に更正決定割合を高めたというふうに見える。調査までしたものを含んで更正決定率がこんなに高いということは、おそらく専門家意見を聞いても、それは絶対にあり得ないだろう、こういう意見でございます。重ねてお聞きしておきたい。
  12. 泉美之松

    泉政府委員 更正決定を行ないます場合に、実地調査を行なって、それに基づいて更正決定するのが一番多いわけでございますけれどもお話のように、年々実地調査をやっておりますと、その次の事業年度におきましては書類審査だけで更正決定できる場合——前期是否認なとがはっきりいたしておりますと、そういうのがございますから、いま申し上げました更正決定件数の中には、もちろんそういった実地調査をしないで書類審査で行なった更正決定件数を含んでおります。ただ、先ほど申し上げましたように、東京国税局関東信越国税局とを対比いたしますと、実地調査割合は、税務署所管法人について申し上げますと、東京局は三四・九%、関東信越国税局は三二・一%でございまして、先ほど申し上げましたように、関東局のほうがやや実調率が低いということになっております。ただ法人について、先ほど申し上げましたように、調査課所管法人になりますと、東京局の場合にはできるだけ大法人に重点を置いて調査をするように、こういう指示をいたしております。そのために、調査課所管法人ではあるけれども資本金額の比較的少ないほうにつきましては、どうしても実調率が低くなりがちである、そこで税務署所管法人調査課所管法人との間で、何と申しますか、実調率に谷間みたいなものができるおそれがございます。そこで、私どもとしては、そういうことではいけないので、そういった調査課所管法人税務署所管法人との間のつなぎ目の辺の調査率差異が出ないようにする必要がある、それからまた、ここで申し上げましたのは三十九事務年度数字でございまして、東京局におきましてはその後も法人数が急激にふえていっておるわけでございます。ところが人員はなかなかふえないわけでごいます。むしろ相当経験年数を積んだ有力な税務職員がやめていくといったような傾向がございます。そこで、あらかじめそういう事態を考えて、先ほどお話がございましたように、地方税務職員を、東京とか大阪とかそういった大都市に集中するような施策をとっておりますが、これは過去の数字と、それから現在法人数がふえて、それに対する実調率が低下するおそれがある、こういうことからきておるわけでございまして、実調率それ自体も、かつては相当、五割近く実調が行なわれた、つまり、二年に一回は実調を行なっておったわけでございます。それがだんだん実調率が下がってきておりまして、現在では三〇%を割るような状況になってきておるわけでございますので、それを回復するためにそういう措置をとっておるわけでございます。統計数字自体は正しい数字でございますが、そういう動きを考えて、われわれとしては施策を講じておるような次第でございます。
  13. 只松祐治

    只松委員 いまいろいろお話がありましたけれども、一々反復はしませんが、木村さんのときにも私がお聞きしたら、全国平均が約三三%程度で、五〇%の実調率はないのです。その全国平均三三%程度のときに埼玉は四五%くらいの実調率、現在でいっても、埼玉は、これは指導なんかの程度の軽い調査を含んで四五%の実調率なんです。だから、埼玉県が大体四五%の実調率で、関東信越国税局管内が三二%とするならば、ほかの税務署で二〇%か二五%くらいの実調率のところがたくさんあるのだろう。これはあとでひとつ資料出してもらってもいいけれども、こういうアンバランスはないと思います。埼玉管内は四五%、ほかの山梨や群馬やそこいらは二〇%前後があるとするならば、これはたいへんなことだ。法とともに、法をどう適用していくかということに公平でなければならぬわけです。五年に一回調査に来るのと二年に一ぺん調査に来るのとでは、いまのようなこういうインフレが進んで、貨幣価値変動して、経済情勢変動しているときには、これはもうまるっきり違うわけです。したがって、調査率の問題というのは実質的な問題を非常に含んでおるわけですから、私が調査率というものを常に問題にするのは、非常に貨幣価値が安定したり、経済が安定したときには、まあ三年あるいは四年、五年と多少調査の時期が違いましてもそれほど変動はない。ところが、こういうふうに経済変動の激しいときには、調査時期というのが非常に問題になるわけですよ。そういう意味で、あるところは二〇%、あるところは四五%というような調査の実態では、たいへん国民に不公平になる、こういうことを言っておるわけで、そういう点からも私はこれを問題にしておるわけなんです。  まあ、これはあなたのほうのミスであるかどうか知りませんが、さらに私がこういうものの疑点を深くするのは、いま全国調査率が三七・五%とお答えになりましたが、少し前に、これは武藤委員かだれかにお出しになったと思うのですが、「法人税更正決定状況」というものをお出しになった。その資料によれば、三十九年度は三二・四%、こういう資料をお出しになっておるわけですね。これから見ますと、五%も違う資料がわずかの間にこの大蔵委員会二つ提出をされておるということになるわけなんです。まあ〇・何%の違いなら計算の違いということになりますが、五%も違う資料を当委員会に出されるということは、これは誤りであったということだけでは私は済まされないと思いますが、これは理事の諸君にもひとつ聞いてもらって、そういう資料のつくり方、出し方という問題についてもう少し——まあ私は、全国的な統計というものはなかなかとれませんから、一応全国的なものはあなたたちに聞いて、具体的な末端のところの数字とあなたたち全国的な統計数字とをかみ合わせるということをいままではやってきておるわけです。全国的な統計に五%も食い違いがあるということはどういうことですか。
  14. 泉美之松

    泉政府委員 先般武藤委員資料要求に対しまして提出いたしました数字は、これは税務署所管の全法人を含んでおるわけでございます。その特別法人公益法人を含みました数字でございます。この場合には実調割合全国で二七・五%というふうになっております。それに対しまして、先般只松委員にお示しいたしましたのは、全国法人についての数字でございまして、その法人について申し上げますと、先ほど申し上げましたように、法人の場合の実調割合は三七・五%で、税務署所管だけで見ますと二七・五%というふうに低下いたしております。
  15. 只松祐治

    只松委員 この三二・四%という数字は何ですか。何ならここに資料がありますからお見せします。
  16. 泉美之松

    泉政府委員 三二・四%という実調割合は、これは個人類似法人を含んでおらない場合に三二・四%、と申しますのは、税務行政をやっていく過程でいろいろ個人から法人成りになったものにつきまして、従来所得税のほうで調査をやっておったのだから、所得税のほうで法人税課を兼務してやらせるというやり方をとるか、あるいは、もちろん法人になったのだから、もう法人税課のほうで処理すべきかという点につきましていろいろ問題がございまして、現在はだんだんと法人税課だけで処理するという方向に向かっておりますが、その数字の出ました当時におきましては、相当数国税局におきまして個人類似法人所得税のほうで担当して処理をいたしておりまして、そのために、いま只松委員のおっしゃった三二・四%という実調割合の場合には個人類似法人は入っておりません。個人類似法人を入れますと、私が先ほど申し上げました二七・五%ということに相なるわけでございます。
  17. 只松祐治

    只松委員 この数字論争だけでやっておりますと時間がたちますし、それからこれの根拠全部を明らかにすべき時間の余裕もございません。いまお聞きしますと、個人類似法人を含むのだ、こういうことですが、しかし、その処理件数というのは八十三万五千七百六十五件の法人数、こういうことになっております。そうすると、これは三十九年度の全法人数ではないかと思うのです。個人あるいは類似法人が何件になるか知りませんが、そういうものをのけるとこんなに多くの法人数にはならないと思うのです。だから、そういうふうにその場その場で説明されますと、なるほどというような形にもなりますけれども、まあ、これにもそういう注釈も何もついておりませんから、やはり委員会資料としてお出しになる場合には、この前にいただいたものは個人類似法人を含まれるなら含まれるということなり、明確な、親切な説明をした上で出すべきで、ただこの数字を並べて、そうして何か、私たちがこういう全国的な統計もとれないし、データがないからこれでごまかせる、そういう形のものであってはたいへん困ると思うのです。あとから出される場合でも、せいぜい書いてあるのは年限ぐらいのものであって、そういう内容というものは書いてない。それで、これを見ろ、一枚だけ見れば、なるほどこれは三七%かと思う、片方を見れば三二%か、こう思う。これはしろうとならずとも、多少勉強しておる者でもわけがわからぬと思うのですね。だから、委員会なら委員会に出すものは、ちゃんと説明を書く、あるいは、書けなければ、やはり来て、そういう説明をして、その上に立って、この数字はこうでございます、こういうことでないと、これでは、われわれがわからぬくらいだから、日本国民というのはよけいにわかりっこないと思うのです。私はきょうはこれで満足するわけではございません。そういう御説明がありましたから一応そういうものだということを承ってだけおいて、時間がございませんから次に入りたいと思うのですが、ぜひひとつ、もう少し正確なデータ出していただくとともに、そのデータにはぜひ親切な説明をしておいていただきたいと思うのです。こういう法人調査状況、あるいは個人も含むわけですが、これには大法人中小法人あるいは零細法人、こういうもの、あるいは地域によっていろいろ格差が生じてきておりますので、順次そういうものの格差をなくしていく、こういうことにつとめられておることは認めます。それから、今回出されている法案も、そういう意味税務署設置、こういうことだと思いますので、その意欲はわかりますけれども、ぜひひとつ、国民が法のもとに平等である、こういうたてまえを生かすのが大蔵省、国税庁当局皆さん方だと思いますので、一そうのそういう面に対する御努力をお願いしたいと思います。  次に、私たち社会党は、常に巨大資本あるいはいわゆる山林や土地やいろいろな大金持ちの人人、こういう人に対する課税の不公平というものを問題にいたしております。まあ、私たち質問が一時間程度でございますので、全部を出すことができなくて、一つ一つ例をあげて私は現在まで委員会質問を行なっておるわけですが、そういうものの一つとして相続税の問題について若干伺いたいと思うのです。  たとえば、近ごろ遺産相続が行なわれた人々の中で顕著な人々、そういう人で西武の堤さんであるとか東急の五島さんであるとかいう方々がおいでになる。この御両者の遺産相続の状況、あるいはそのほかにいままで最高の遺産相続をなされた方にはどういう人がございますか、まずお教えをいただきたいと思います。
  18. 泉美之松

    泉政府委員 相続税につきましての御質問でございますが、現在私正確に記憶いたしておりませんけれども、ただいままでの最高の遺産の場合は四十億円くらいの遺産の方が一人おられたと思っております。  それから、お尋ね個人の場合でございますが、申告書の公示だけで申し上げますと、五島慶太さんは三十四年になくなられたわけでございますが、その当時の遺産額は五億五千万円くらいになっております。それから堤康次郎さんは遺産額は二億三千六百万円というふうになっております。ただ、これは申告額でございますので、その点をあらかじめ申し上げておきます。
  19. 只松祐治

    只松委員 通常、遺産相続されて、二代目、三代目ということばがよく使われておりますが、こういう大資産家は、本来ならば、七〇%遺産相続税に持っていかれますから、二代目三代目の方が井戸へいになるかどうかは別にいたしまして、相続税を納めるのにたいへん困るとかなんとか——本来ならば七〇%持っていかれると、たいへんな問題が起きると思うのです。私たちが知っておる個々人の庶民では、相当高い相続税でございますから、いろいろ私たちも御相談を受けるわけでありますが、遺産相続税を納めるのは容易でない。ところが、こういう高額の所得者は、いま社会問題になったり、社会問題にならなくても、とにかく、たいへんでお困りだ、こういう話をほとんど聞かない。あるいは、山林はたしか二十六条の二項によりまして、時価の百分の八十五の割合を乗ずるわけで、若干下に見ることになっておりますが、それでもなおかつ、正しい評価が行なわれますならば、いわば相当木を切って売らなければならない、こういうことになるだろうと思うのですが、山林地主の山が坊主になったという話も聞かないわけです。これにはいわばたいへん作為的な行為、脱税行為が行なわれておる、こう見なければならないと思うのです。そういうものの一つのあれに、資本家の場合は名義株というのが公然と行なわれておりまして、これは森脇事件のような検察庁の手が入るとわかりますけれども、あれでも検察庁の手が入らないとなかなかわからない。こういう大資本家の場合、向こうの申告を、多少皆さん方がそれはお調べになると言いますけれども全国的に散在したり、特に名義株で他人名義になったり、いろんなことをされておるのはちょっとさがしようがないそうですね。こういう点を皆さん方はどういうふうにお調べになっておるか。その隠し資産なり、いわゆる作為的な行為がこの御両家に行なわれているということを言っているわけではありませんけれども、一般的に大資産家の中にそういうことが半ば公然と行なわれているけれども税務署としてはいたし方ない。それから、たとえば息子や何かが小さいときから、おやじさんが保証人になって金融機関から金を借りて株や何かを持って、そしてその借金を順次支払っていく、こういう形でずっと一人前になるまでにその株を譲渡していく、こういう形で事実上譲渡が行なわれている、金融機関をかりて遺産相続が行なわれる、こういうことも公然と行なわれておるわけです。ところが、株を持たないほとんどの国民というものはそういうことはできないわけです。こういう資産家は、それ独自のいわゆる脱法行為、合法的な脱法行為と言えば言い方が変ですけれども、行なわれて、なかなか遺産相続というものが確実に行なわれない。あなたのほうから言えば相続税が完全に捕捉されない。こういうことがあるわけです。そういう点があるかどうか、どういう状況になっておるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  20. 泉美之松

    泉政府委員 相続税の場合について申し上げますと、相続の開始があったことは市町村長のほうから税務署のほうに通知があることになっております。もちろん、そのほかに新聞その他で大資産家の方が死亡されたというようなことは資料として持っておるわけでございますが、そういう相続の開始がございますと、まず住居地の市町村においてわかる範囲の資産をお聞きします。そのほかに、税務署といたしまして、先ほどお話がございましたが、会社の株主でございますれば、当該会社に対して、あるいは従来の所得税の申告の状況等からいたしまして取引先の銀行がわかっておりますから、取引先銀行、それから登記所等からその人についての死亡当時の財産額というものの資料を集めるわけでございます。その際に、お話のように名義株であって、実質上は死亡した人の所有に属するけれども名義が他人名義になっておる、あるいは登記が他人名義の登記になっておる、しかし実質はなくなった方の所有財産であった、こういったものがいろいろございます。それからまた、預金にしましても、架空名義の預金になっておったというようなことがいろいろございますので、実は相続税調査におきましては、そういったところの解明をするのに税務職員としては苦労をいたしておるような次第でございます。しかし、いろいろ苦労をいたしましてそういった調査をいたしておりますけれども、なかなか表にあらわれない資産もさらにございまして、御存じだと思いますけれども、たとえば宝石類であるとか書画骨とうというようなことになりますと、なかなかその把握ができにくいといったような実情がございまして、相続税調査にはたいへん骨を折っておるような次第でございます。  それから、いまお尋ね法人の場合、大株主が子供に株を譲渡する、もちろん、その場合には贈与税を納めていただくわけでございますが、しかし、そういう株を持っておると、増資の際に金融機関から借りて増資払い込みをしていくということになって、だんだん株数がふえてまいる、そのために、当初贈与を受けたときの贈与税は課税できますけれども、増資払い込みによってふえていった場合には、これは当然のことでございますが、課税はできない、こういった点がございます。現在、そういう株式の場合にそういうことになっておりますので、増資払い込みによって株数がふえて、実質的にその所有株の価値が上がりましても、それは贈与税の対象になっておりません。相続が起きましたときに、そこで課税するかどうかということになってくるわけでございます。そういった関係がございまして、私どもとしましては相当努力をいたしまして相続税調査をいたしておるつもりでございますが、まだ必ずしも十分でないという点はあろうかと思います。今後とも努力をいたさなければならない、このように思っておるわけでございます。
  21. 只松祐治

    只松委員 相続税というのは、故人に対しては死者にむちうつことになりますから、そういう面ではあまり私も聞きたくない問題ですけれども、ただ、本年度のこの所得額を見ても、高額所得の上原さんが五億一千万円、松下さんも五億一千万円から申告されておるわけですね。こういう一年間の所得より天下に名だたる方々の遺産が下回っておるというのは、これは国民どなたがお考えになっても、常識的にちょっとふしぎではございませんか。天下に名だたる大資本家が死んだら、それは数十億円の、宅地から始まって、書画骨とうその他、相当のものがあるはずです。まあ、たまたまある人は借金が多かったり、事業に失敗したりで、ないかもしれませんけれども、全体として見るならば、そういう人々はもっと高額の遺産を残しておるはずだと思う。さもなければ、逆に、日本に一年間の所得がこれだけ高額な人があるというのはうそになってきますね。年間数億円の高額所得者が日本にあるのに、日本に名だたる資産家が死んでも、それが高額所得者の一年間の所得額を出ないということは、これはたいへんにふしぎな物語だと思うのです。そういう面で、いわゆる庶民なり一般国民の遺産相続や何かは隠しようがございません。銀行に三十万円や五十万円預金があっても、あるいは百万円や二百万円あっても、ほとんど仮空名義でございませんから、これはなかなか隠しようがない。家屋敷、預金、株を持っている人は少ないけれども……。(発言する者あり)ところが、こういう大資産家と言われる人々は、あらゆる手段方法を通じて——いま外野席から、死んだ有名な政治家のものを聞いてみろというやじがありましたけれども、私はまあそこまではお聞きしませんが、こういう問題も含めまして、この遺産相続は国民に大きな疑惑を残していることは事実ですよ。やはり、国民の納税意識を正しく導いていったり、あるいは納税意欲を起こさせる、失わしめないためには、なるほどと国民が思う程度のことはしなければならない。そうすると、そういう著名な人々が死んでも——たとえばこのことは、邸永漢氏が日経新聞に「ゼイキン報告」とかいうものを書いていますね。それにもちょこっと書いてあるわけですよ。それで、あの人のところにたくさんの投書が来るとかなんとかということを書いておりますね。ということは、国民がだれしも疑惑を持っているんですよ。そういうものを時の権力者である自民党なりあるいはそれを執行されておる大蔵省、国税庁というものは解明をしていく必要があるわけです。ぜひ皆さん方も、この点について、もう少し厳格に、正しくと申しますか、国民の疑惑を起こさしめないような調査方法、課税を行なっていただきたいと思うのです。さもないと、一般国民なり零細な業者なり、そういうまともな営業を行なっている人々からはちゃんと税金を取る、あるいはまともな生活を行なって遺産を相続した人からはちゃんと取る、しかし、私がいま言いますように、不労所得的な人々、あるいはこういう巨大資産家で、なかなか資産調査が困難な人々、こういう者にはまず第一手がつかない、税務署の職員が足りないということが根本になってくるわけですが、そういうことを含んでなかなか調査のメスを入れられないということでは国民は浮かばれないわけです。ひとつそういう点について、長官だけでなくて、これは国税全一般のあり方として、この問題もあとでちょっと大臣にお聞きしますが、大臣からも御感想を聞いておきたいと思います。
  22. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように、大資産家の場合に、資産の種類が相当たくさんあったりなどいたしまして、なかなか調査が十分にいきかねるといった事態につきましては、私どもといたしまして、今後ともそういった努力を十分いたさなければならないと思っております。お話のように、長者番付からいたしますと、年に所得が五億円もある方がおられるわけでありますから、したがって、遺産ということになりますと相当多額の遺産があってしかるべきだ、これはお話のとおりだと思います。収益を生まない資産もあるわけでありますし、収益を生む資産だけでも相当ある上に、さらに収益を生まない資産を含めて考えますと、この所得の五億円というものに比べて、遺産がもっとあってしかるべきではないかという御意見はよくわかります。ただ、先ほどお話の五島さんとか堤さんは生前それほど所得があったわけではございません。したがって、その点からいたしますと、もちろんまだ今後調査しなければならない点もございますけれども、さほど申告漏れがあるとは考えておらないわけであります。いずれにいたしましても、表顕資産ばかり多いところの少額の遺産の場合と、それ以外の資産の非常に多い方との間の課税のバランスということにつきましては、今後とも十分調査を充実してまいりたい、かように考えるわけでございます。  なお、先ほどたいへん恐縮でございますが、私ごとばを間違えて申し上げました点がございますので、その点訂正さしていただきたいのでございますが、先ほど只松委員から、武藤委員の要求されました資料法人税実調割合は三二・四%ではないかというお話がございまして、ついそのまま申し上げたのでございますが、三二.・四%というのは税務署所管法人更正決定割合でございます。それから、私が申し上げました実調割合二七・五%というのは、これは実調割合でございまして、更正決定割合ではございません。それで、実調したもの以外につきまして、書類審査で更正するものがございますので、実調割合は二七・五%でございますが、更正決定割合は三二・四%ということに相なるわけでございます。それから、只松委員にお渡しいたしました資料のほうの更正決定割合三七・五%というのは、先ほど申し上げましたように、全法人更正決定割合でございまして、武藤委員に差し上げました更正決定割合とは違っておるということでございます。  いずれにいたしましても、御注意がございましたように、資料をお出しする際にそういった関連を明確にいたしておきませんと、いろいろ誤解も招くことでございますので、そういった点につきましては、今後十分注意いたしてまいりたいと存じます。
  23. 只松祐治

    只松委員 ほんとうは大臣に先にお伺いしようと思ったのですが、あとでお見えになりましたのであと先になったわけですが、まず、こまかい問題からひとつお伺いしておきたい。  いま申し上げたことと関連をいたしまして、国税庁の徴税態度というのは、国民にとってなかなかきびしいものがあるわけでございます。ほんとうは私は、きょうはそういう具体的な問題を提示いたしまして大臣のお考えを聞きたいと思っておったのですが、時間もなくなりましたし、そういう問題は提示いたしません。ただ一つ、簡単な問題として、税務署の職員の態度がきびしいというだけではおわかりにくいと思います。大臣も雲の上じゃございませんが、なかなかそういう末端のことはおわかりでないと思いますので、一つだけ簡単な問題を提示いたします。  ある税務署で大工、左官さんの方々の調査をしたわけです。調査をしに行った。土建総連というのに入っておるわけですが、土建総連を脱退しなさい、脱退すれば五十万にしてやろう、脱退しなければあなたは倍にして百万にするぞ、こう言う。相手方にとっては非常な脅迫をされた。それで脱退文書を十何枚かとったわけです。それで、私がそういうことを知りまして、そういうことはやめてもらいたいというお話をしたら、そういうことは一切ございません、こういうことをおっしゃるわけです。しかし、代議士のところまで話を持ってきたのですから、その人も、私はそんなうそを言う人とは思いませんので、あるでしょうから、ぜひそういうものを返して、そういうことがなかったように円満に解決したらどうですかと言うけれども、一向そういうことは知らない、こういうことです。それではというわけで、本人を連れまして、こういうことがあるではないかと言ったら、今度は署長さんのほうから、あることはあります、こういう話です。あることはあるけれども、たいしたことではございません、脱退届けまでとっておりません、こういうことです。それならばということで、そのときに私はちゃんと証拠を一つ持っておりまして、そこの税務署の係長さんが、そういう一札を書いたわけです。金額は明示しておりませんけれども、私の言うとおりにするならば、私があなたにお約束したことを実行いたします、署名捺印をしているわけです。そのリコピーをとりまして——初めは円満におさまると思って私はそういうことまで言わなかったんだが、そこまでがんばられるならば、ひとつ証拠を出して、そのかわり、出す以上は署長さんが責任をとるなり、当の係長さんを首にしなさい、出しますぞといって、写しを出したわけです。ところが、びっくりして、いやまことに相済みませんでしたというわけで、それでもなおかつ、脱退届けを一通だけお返しになった。そんなことを言わないで、全部返しなさいと言ったら、最後は四、五通くらいお返しになりました。これは去年の暮れの話で、そう遠くない話なんですが、いわゆる末端でそういう脱退届けをしろ——録音も現在ありますが、相当激しい調査が行なわれてやられたから脱退届けまで書いたわけですね。ところがそれを、当の職員の人もやらないと言うし、税務署長さんも絶対やってない、知らない、こういうことをおっしゃる。大蔵委員会で税の小委員をしておるわれわれが行っても、なおかつそういうことは知らぬ存ぜぬ、ないとおっしゃるわけです。だから、一般の国民、あるいは特に力のない庶民の方々が税務署においでになりましてそういうことをかけ合われたり相談をされた場合に、いかにいわば強権的な、権力的な態度でお臨みになっておるかということが想像できる。いまの最後の証拠を出すまでは知らぬ存ぜぬ、こういうことなんです。そういうことを経験したことが、私自身の問題でもあるわけなんです。だから、そういうことを考えますと、わずかな職員で全国民の徴税あるいは納税事務をするわけですから、これは容易でないことは事実でございます。したがって、商売人のようにもみ手だけでそういうことが簡単にできるというふうに思っておりませんけれども、しかし、いま申しました事例から見ると、まことに権力的な税務行政というものが依然として行なわれておるわけです。そういう点について、警察官でも、一般的に警察官は非常に民主化をしてまいりましたように、徴税行政においても民主化をするようにぜひ特段の御配慮をいただきたい。そのためには、いや、もう民主化しておるんだ——私は民主化と機械化のことを常に申しますけれども、そういうふうな認識をされたのでは、する必要はないと思います。私が言いますように、まだ例をあげろとおっしゃれば幾らだってきょうは具体的な例を用意しておりますけれども、きょうはそういうほかの例は申し上げませんで、いま、一つ一番簡単な例をお話し申し上げて、大臣の徴税行政に対する下部への意向の伝達をお願い申し上げたいと思います。いかがですか。
  24. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 きょうは只松さんから税務の現場の行政執行につきましていろいろ御参考になるお話を承りまして、たいへんありがたく思っております。もとより、税務の執行は国民の最も大事な財産に関する問題でありますので、これは公正ということが貫かれなければならぬわけでございます。しかし、同時に、これは国民に接する末端の行政そのものでございますから、接し方というそこにもいろいろ検討、研究を重ねていかなければならぬ問題がある、かように考えます。行政の第一線に立つ者は、常に接する国民のその人の立場に立って一応自分も考えてみるという態度が必要である、私はかように常々申し上げておるわけであります。いまお話の諸点などもとくと参考といたしまして、今後も税務の執行が円滑に行なわれるように気をつけていきたいと思います。
  25. 只松祐治

    只松委員 次に、これも大臣にお聞きをいたしますが、三十九年度の法人数は六十五万六千八百六十五社、その中で欠損会社が二十一万五千五十社、約三分の一赤字を出しておるわけです。なお一億円以上の会社で千四百八十五社欠損でございますけれども、三分の一赤字を出しておる。こういうのは、私どもとしてはちょっといただきかねるといいますか、いろいろな問題があるだろう。これは基本的な経済の不況——三十九年から少し下がってきております。そういうものによるのか、あるいは脱税といっては失礼でございますけれども、会社組織にしてうまくやって赤字にする、こういう形で法人というのが欠損を出しております。これも一般勤労者がいかに家庭内で病人が出ようと、息子さんが学校に行こうと、いろいろな赤字要因が出ようと、サラリーマンはこういう赤字は出てこない。会社組織にしますとこういうものが出てくるわけです。こういうものも何らかの指導をやっていかなければならない、こう思うのです。  これは話がちょっとそれますけれども、あるいは青色申告の問題にいたしましても、年々下のほうでは青色申告会員の人をふやしておるが、そのふやしておると同じ程度のものが否認されて減っていっておる。そうして青色申告というのは全体としてそんなにふえておらない。これは税務行政の矛盾、税務行政から出てきたいまの欠損会社の問題は、税務行政だけからではなく、経済問題と関連してきますけれども、こういう問題について大臣はどういうふうにお考えになりますか、聞いておきたい。
  26. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 いわゆる法人成りという、そういう問題のお話のようですが、同じ事業をやっておって、これが法人形態でやっておる場合と個人形態でやった場合と、その税の負担が違うてくるということがありますことは、これはもしそういうことがあればはなはだ遺憾なことかと思うのであります。そういうことで、一時は法人にしたほうが有利だというような風潮があって、法人成りの傾向がずいぶん露骨に出てきた時期もあるように思います。しかし、今日は私は、そういう風潮は大体ないのじゃあるまいか、そういうふうに見ておるわけでございますが、これは税法自体にも気をつけなければならぬところもありますし、同時に、税務の執行の面でも気をつけなければならぬ点もあるのでありますけれども、とにかく、法人個人が同じ事業をやっておるという場合にありましては大体つり合いがとれる状態に置くべきである。どっちを得にし、どっちをどうというわけにはまいりません。両々ともつり合いがとれるということが基本でなければならぬ、かように考えます。
  27. 只松祐治

    只松委員 いまの問題はもう少し突っ込んで論議したいのですが、時間がございませんので、最後に、あとのためにも聞いておきたいと思います。  一つは、もう終わりましたから、昨年度の税収の状況をお聞きしたい。それから、本年も五月に入りまして、四月の税収がおよそ出たと思いますから、それをお聞きしたい。そういうことを前提にして、大臣は「財政新時代」というようなものをPRされたり、いわゆる新時代の財政政策の構想をお持ちになっている。しかし、帰するところ、税収の問題と予算というものは一番大きく関連をしてくるわけなんです。この税収というのは、また、いまあなたが構想されておる新時代の経済の発展段階、発展状況、こういうものと密接に関連をしてまいる。ほんとうは、一番最初私は、大臣とこの問題について多少討論をいたしたいと思って、きょうは準備してきておったのですが、あと先になりまして、一番最後に、そういう前提を踏まえまして大臣のお考えを聞くという程度にとどめざるを得なくなりましたけれども、税収の見通しに立って、今後の経済問題、経済情勢というものをお聞きしておきたい。
  28. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 四十年度は、御承知のように、年度の途中で税収に欠陥を生ずる、こういう状態になりまして、二千六百億円近くの公債を発行するということにいたしたわけです。その実績を見てみますと、二千六百億円まで欠陥はまいりません。多少減少額が減少する、こういう状態になってきております。しかし、これもたいした額じゃないのです。いま数字をはっきり覚えておりませんが、はっきりしております。それとまた、歳出面の不用額なども若干出てきておるのでありまして、そういう点から、公債発行額二千六百億円近い、二千五百九十億円ですね、予定したものが若干減額し得ることになってきておるのであります。  それはそれといたしまして、税収がどういうふうになるかという今後の問題は、非常にむずかしい問題と思うのであります。経済が非常に変転をする、そういう際に税収がそれを受けてどういうふうなかっこうになっていきますか、それを捕捉することはきわめて困難でありますが、最善の努力をいたしまして、ともかく四十一年度は、すでに御審議をいただいたような税収見積もりをすることが最も適切である、こういうふうに考える。その前提としては、昭和四十一年度では経済成長は七.五%、それに伴いまして鉱工業生産なんかはどういうふうになっていくか——それに伴いましてというよりは、それの前提としてどうなっていくか、会社の収益は一体どういうふうになるだろう、いろいろ想定をいたしまして、ただいま申し上げましたような予算になってきておるわけでございますが、ただいまのところは、昨年の暮れから鉱工業生産にも若干の上昇カーブが見られるようになってきております。また、出荷の指数も改善されてきております。在庫率、これも改善されてきておる。あるいはデパートの売り上げを見ましても、あるいは輸送指数というようなものを見ましても、いずれも堅実な方向が打ち出されてきておるわけであります。私は、昭和四十一年度の予算の早期執行ということを言っておるのでありますが、これが大体見当がついてまいりまして、早期執行が可能であります。そういうことを総合いたしますと、昨年の暮れから上昇に転じました景気はそのままの勢いをもって昭和四十一年度に移っていく、昭和四十一年度としてみると、年間を通じて、経済見通しにおいて見通しております七・五%程度の成長は大体達成できるのではあるまいか、そういう見通しを持ち得るに至っておるわけであります。したがいまして、税収も予定いたしましたものが実現できる、こういうふうに存じますが、今後の経済の動きがなるべく経済見通しの線に沿うていくように注目しながら、かつ、努力していきたい、かように考えております。
  29. 只松祐治

    只松委員 若干ならあれですが、たいへんPRされておりますように、非常な経済の復興、伸長を来たし、あるいは株価の先行性に見られますように——これは明日委員会があるそうでありますから問題になりますが、こういう状態だと、もちろん昨年度に対する税収になるわけでありますが、法人税や何かもいずれにしても伸びる、こういうふうになりますと、公債問題その他もいろいろ関連してくるわけです。そういう問題についてきょうは論議しようと思ったが、時間がありませんから、やめますが、いずれ他日、本年度の経済動向、それに伴う税収の問題等についてもひとつお聞かせをいただきたい。  きょうはこの程度質問を終わります。
  30. 三池信

  31. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大臣が所用があるようですから、二、三点だけちょっと質問いたします。  いま只松委員から意見がありましたが、実は福田さんは御承知のように大蔵省のベテランであります。功なり名遂げた人でありますから、大体物価の上昇率などと関連して、四十年度に比べてどのくらいの税収があるかという見通しは持っておられると思うのです。その点は、具体的にはっきり数字はあらわさなくてもいいと思いますが、どのくらいの推移でいくだろうということについてちょっとお伺いしたいと思います。
  32. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 昭和四十一年度の税収見通しにつきましては、慎重にも慎重を期してきめたのが昭和四十一年度の予算でございます。その前提としては、ただいまも申し上げたのですが、経済成長七・五%、それが経済界にどういうように具体化されるか、こういうことを基本としまして税収見積もりをしたわけでございます。いまその後の経済の動きを見ておりますと、予算編成の当時七.五%という見通しの上に立って編成が行なわれた。その予算の前提としての七・五%成長、そのコースを大体まっすぐ動いておる、こういうのが今日の経済の情勢ではあるまいか、そういうふうに見ておるわけであります。したがいまして、昭和四十一年度予算で見積もりました税収は、ただいま今日のこの時点におきましては、大体この額が徴収されることになろう、こういうふうに存じておるわけであります。
  33. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから、もう一つの重大な問題でありますが、税制調査会、これを改組する御意思があるのかないのか、また、これをどういうような方向に持っていこうというのか、その方針をちょっと伺っておきたい。
  34. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 税制調査会を改組する考え方は持っておりませんです。  それから、税制調査会は、とにかく昭和四十一年度の減税につきまして御協力をいただきましたが、昭和四十二年度以降の問題につきましても、また御協力をいただきたい、かように考えているわけです。それはなぜかというと、今日まで減税ということが毎年行なわれてきておる、その毎年毎年の減税というものは、その年度その年度の発想によって行なわれてきておるわけでありますが、そうではなくて、長期の目標、この数年後においてはどういう税制であるべきかという長期の目標を立てて、それに向かって毎年の税制がそのときの財政状態を勘案しながら一歩一歩積み重ね式に前進していく、こういうことであって初めて税制の均衡性というか、総合性が保たれる、こういうふうに考えるわけであります。そういうことで、長期税制、つまり、われわれが毎年度毎年度実現すべき税制の目標はどこに置くべきかという問題をひとつ御論議願おうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  35. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 時間がありませんから、あとでまたゆっくりお伺いしたいと思いますが、もう一点、地方の財務局と地方国税局の問題について根本的に検討すべき時期がきているんじゃないか、もう少し有機的に活動ができないのかということを私は感じているのですが、そういう点の支障はないものですか、その点、大臣にこれを最後にお聞きしたいと思います。
  36. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 財務局、国税局は大蔵省の出先官庁としては最も重要なものの二つでございますが、この出先両機構が連絡を密にしながら動かなければならぬ、これは当然でありますが、しかし、やる仕事は、一つは国税の問題であり、一つは国税以外の大蔵省の金融だとか、あるいは予算の執行でありますとか、あるいは国有財産だとか、そういう問題の処理に当たっておりますので、やる仕事の具体的な諸問題は、そう密接な関係は実はないのであります。しかし、同じ財政、金融をあずかっておる大蔵省の出先機構である、そういう意味において、これはその意味からの連絡、協調、これは当然なければならぬわけであります。現に、出先におきましては、たとえば、同じビルにおりますとかというようなことで、連絡を密にしながらやっておるわけであります。私は、いま直ちにこれが制度上改正を要する点があるというふうには考えておりませんです。
  37. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大臣は退席されてけっこうです。  国税庁長官に伺いたいと思いますが、国税局にある協議団本部、これは民間の苦情処理のような非常にいい役割りをやっておりますが、どうも最初にできたときほど有効に利用されていないのではないかと思うのですが、この点は全国的にどのように行なっておられますか、伺いたいと思います。
  38. 泉美之松

    泉政府委員 協議団の制度は、御承知のとおり、シャウプ勧告に基づいてでき上がったものでございまして、でき上がった当時におきましては、課税問題につきまして異議申し立てを行なった場合、国税局長がその異議申し立てに対して処理をする場合に、協議団の議を経てやらなければいけないということになっておりまして、第三者的な立場に立って、納税者税務官庁との間において、事実に基づくところの適正な処理をするということから生まれたものでございます。当初におきましては、第三者機関とはいいながら、国税局長の任命権のもとにある、そのために、悪いことばでいえば、同じ穴のムジナではないかというような御批判もございましたが、しかし、その人事につきまして、非常に能力のある者をできるだけ協議団に回すというようなことにつとめました結果といたしまして、最近におきましては、協議団に付議する事案が相当ございます。それにつきまして、異議の申し立てをした者からは、なるほど協議団は公正な決定をしてくれるということで、かなり良好な評判を得ているように思っておるのでございます。私どもといたしましては、この協議団の制度は現在きわめて有効な働きをいたしておる、このように評価いたしておるのでございます。
  39. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ぜひひとつ民間の非難のないように、先ほど只松委員からも質問がありましたが、いま一般に民間の中で非常にこわがられているものは、実は警察ではなくて税務署です。これは自分の持っているものを取られるというような感じも中にはありますけれども、一番こわもては税務署だということですね。実はこれは昔の憲兵隊くらいに民間の人は思っておる。これは、泉さんはそんな人じゃないし、主税局長も苦労人だからそんなことはないと思いますが、こういうことを払拭しないと、非常に税務署は恨まれるような形が出てきておる。これは税務署に対して、税務職員のことはあとでいろいろお尋ねしますが、非常に悪い感覚に一般になっておるわけです。これは過去の経験の中にそういうような行き過ぎがあったことがあると思うのです。そういう行き過ぎがあったことを是正しなければ、これはなかなか払拭されぬと思うのですが、その点は一体泉さんはどのようにお考えになっておられますか、お伺いしたいと思います。
  40. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように、戦後、昭和二十二年に申告納税制度を導入したわけでありますが、当初、納税者もまた税務職員も新しい申告納税制度になれておらない、しかも、御承知のとおり、戦後のインフレ時代でございましたので、税務の関係が非常に混乱いたしまして、そのために、特に所得税でございますが、更正決定件数が非常に多く、また、それに対して異議申し立てが非常にたくさん出る、こういったような混乱がございましたが、その後だんだん経済も落ちついてまいり、それからまた税務職員も経験者がふえてまいりました。戦後一時急激に税務職員をふやしまして、あまり経験のない者をたくさん採用しておったのが、だんだん経験を積んでまいりまして、そういったことが重なりまして、最近におきましては、税務行政に対する不満もやや少なくなってまいっておるようにお見受けするのでありまして、この点は、以前に比べますとずいぶんよくなったという御批判をいただいておるのでございますが、しかし、まだまだ世間には税務行政に対していろいろ不平不満がございます。また、お話のように、何と申しましても、国民から、国の課税権に基づきまして、その所得あるいは財産に対しまして直接に賦課徴収を行なうという権力行政であります面がございます。そのために、納税者のほうからこわもてするということも確かにございます。私どもといたしましては、そういった納税者の方が不当に畏怖心を抱くようなことのないように、税務行政を行なうにあたりましては、親しみやすい税務署にすると同時に、先ほども大臣のお話がございましたが、賦課徴収は公平に行なわないと税務行政の目的が達成できませんので、賦課徴収を公平に行なうこと、そして税務職員が綱紀を正すということを考えなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。そういった点からいたしまして、今後とも税務行政のためには努力をいたしてまいらなければならない、このように考えておるわけでございます。
  41. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 私はもう長い間大蔵委員をやっておりますから、国税庁長官の人柄にもよる点があり、いま、この前の前の長官木村さんは私の愛知県か何かにつとめておられて、ときどき駅で会うのですが、何か、人はいいのですが、ぎごちないところがある。こういうことも影響するし、国税庁長官あたりは、やはり地方へ行って現場にも行くような習慣をつくっていただくと同時に、泉さんや塩崎さんは、私長い間知っておりますけれども、税金を取ることばかり考えておられた人でありますから、取られるほうからすれば、こわい人だと思うのもこれは無理もないと思うのですが、しかし、いま私らも泉さんはよく知っているのですけれども、少し明るい気持ちで、ほがらかな気持ちで、あなたや塩崎さんのために取るのではないので、国のために取るのでありますから、そういう点について、税金を取るということについて非常に熱心であるけれども、使うほう、これは主計局でありますか、使うほうには案外ルーズな点があるのじゃないか。そういう余裕があるならば、取るときにあんなにきびしくしないでもいいのじゃないか、こういう感じを持つわけです。こういう点は、これはあなた方は法律の上に立って、制度の上に立ってやっておられるから、別段それを悪いとは言いませんけれども、ひとつ、取られる身になって——あなた方は一生涯主税局長国税庁長官をやっているわけではない、いつかは民間かどこかに行ってえらくなるかもしれない、あるいは大臣になる人もあると思うのですが、ひとつそういう点を考えて、ぜひ地方国税局のずっと下の税務署に対してもそういう態度をとっていただきたいということが私どもの願いであります。  それから、話は別になりましたが、これは数字出していただく意味でもって、ただいま大蔵大臣にもちょっと質問したのでありますが、今度の税収、これは公債との関係が出てくるわけですが、昨年の同期に比べていまの税収の状況はどのようになっておるか、どういう見通しかというくらいのことは、これは数字をあげなくても、大体の見通し……。(「出ている」と呼ぶ者あり)いや、これはもらったのだけれども、簡単でいいですから、どういう傾向にあるかというような将来の見通しをちょっと聞きたいと思います。
  42. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 ただいま私どもが発表しておりますところの最近の数字は三月末までの数字でございます。したがいまして、四十一年度の見通しはまだ実は数字的には発表しておりませんし、まだ私どもも確たるものをつかんでおりません。したがいまして私どもは、四十年度の歳入がどうなるかということから四十一年度の見通しを立てたわけでございます。こんなことだと思います。四十年度の三月末の収入状況では、前年同期に比べまして一・四%ばかり収入歩合が上がっております。一・四%と申しますと、大体このままで推移いたしますれば四百億円はかりの自然増収——補正後の予算に対しまして増加が生ずることになるわけでございますが、これはたびたび私どもが申しておりますように、法人法人税の延納の減少、これによりますところの繰り上げ収入という結果がございますので、四月には前年同期と同じような金額は入らないであろう、こういう見通しはございます。そういたしますと、四百億円の補正後の予算に対する増加ということはとうてい望み得ない。新聞によって御存じのように、百五十億円から二百億円くらいというのが、現在のところの私どもの内部の見通しでございます。これは四月末の数字が判明いたしますれば、こんな結果がいずれ出ようかと思っております。  今後の税収の見通しでございますが、これは先ほど来大臣が申されておりますように、景気の動向いかんでございます。三月決算の動向は、日本経済新聞その他が予想をいたしておりますけれども、まだまだ中間集計程度の予想でございます。五月五日の中間集計では、三月決算の増益率は六・二%というような見通しがございますが、これはおそらく欠損法人の欠損が減った分も入っておろうかと思います。したがいまして、厳密には利益法人分は何%かということはまだわかっておりません。二月二十八日の発表では、増益率が一四・六%でございますが、利益法人分では三・六%というふうな見通しもございました。そうなりますと、六・二%の増益率は、利益法人だけを抽出いたしますともう少し下がってくる、こんなような感じでございます。私どもの予算では、三月決算は約二%ばかりの増益があるのではないか、こういうように見ておりますので、大体各社の予想とそんなに変わらない。したがいまして、現在のところから推定いたしますと、延納の減少分はございますが、決算の見通しにつきまして、いままでの予算上の見積もりとそんなに違いはないというのが最近までの数字でございます。今後どういうようになってまいりますか、これは経済政策あるいはまた景気の動向、これによってだんだんと明らかになってくるのではないか、かように思っております。
  43. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点、次に塩崎さんにお願いしたいのですが、法人税が少し上がっていますね。どうですか、今後の見通しはわかりませんか。
  44. 塩崎潤

    ○塩崎政府委員 三月末の収入額ですでに予算を突破したわけでございます。これは先ほど申し上げましたように、延納が非常に減少——利子が低下いたしまして延納が減ってまいった、この結果でございまして、ただいま申し上げましたように、実体でございますところの法人の利益状況が特によくなったということではないわけでございます。しかしながら、だんだんと景気の見通しも明るくなりましたし、関税におきますところの輸入引き取り分あるいは揮発油の引き取り、さらにまたビールの蔵出し、これらのところから見まして明るい状況でございますので、私どもの見通しのような法人利益が、大体いまのところからでは推測ができるのではないかというような状況でございます。
  45. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 法案に即してちょっと泉さんにお尋ねするのですが、現在税務署の数は全国で幾つございますか。
  46. 泉美之松

    泉政府委員 現在税務署全国に五百七署ございます。
  47. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それから、戦後税務署の増築、改築があったのですが、いろいろ税務署のいいところもあるし、古いところもあるのですが、最近の鉄筋コンクリートといったような税務署はどのくらいの率でありますか。数と比率とわかりませんか。
  48. 泉美之松

    泉政府委員 ただいま手元に正確な資料を持っておりませんけれども、私どもといたしましては、税務署の庁舎はいままで古いものあるいは戦後の急造バラック的なものが多うございまして、職員の執務環境としては必ずしも十分ではないという点がございましたので、昭和三十八年から税務署庁舎の改築五カ年計画というものを立てまして、およそ毎年三十税務署程度を改築していきたいということで、三十八年、三十九年、四十年、それからことし四十一年ということで、本年四年目に入るわけでございますが、そのときの考えでは、五百七の税務署のうち、とりあえず改築を要するのが百八十程度ある、それを早く改築したいということで始めたわけでございます。いろいろ予算当局の理解を得ておりますけれども、なかなか所期のごとく三十数署というわけにまいりません。当初は三十足らず、四十一年におきましては三十二署ほどになっておりますけれども、そういった点からいたしまして、まだ予定に対しましては必ずしも十分でございません。したがって、来年の四十二年度で一応当初の五カ年計画は終わるわけでございますけれども、その五カ年計画で達成できなかったものにつきまして今後努力していかなければならないと思っております。やや統計が古いのでございますが、全国五百六の税務署、当時の数字で申し上げますと、耐火構造のものが百九十九署、それから防火構造になっておりますものが百九十九署、それから木造のものが百八署、こういうふうになっておるわけでございます。そのうち、すでに建築後五十一年以上経過いたしたものが十署、それから三十年以上になるものが百一署、こういった状況にございます。したがいまして、なお今後そういったものにつきまして新しい計画を立ててやってまいらなければならぬと思っています。なお、戦後急造いたしましたバラック的な建物は、経過年数こそ二十年足らずでございますけれども、それは軍の古い建物を移築したといったようなものもございまして、こういったものは、むしろ古い時代のいい材木を使った建物のほうが堅固であって、戦後のバラック的なもののほうこそ早く建て直さなければならない、こういった状況にもございます。そういった点も配意してやってまいりたい、このように考えております。
  49. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 われわれが地方調査に行くときに一番問題にされるのは宿舎ですね。公務員の宿舎の問題が非常に問題になるのです。これはあとの待遇の問題と関連してくる問題ですが、いま希望の何%ぐらいかなえられているのか。この宿舎の問題について、これは税務職員はいろいろ転任が多いのでそういう問題が出てくるのですが、その点についてどのようになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  50. 泉美之松

    泉政府委員 宿舎につきましても、御承知のとおり、税務職員は転勤の度が激しゅうございますし、また、民間の宿舎におりますことにつきましてはいろいろ問題も生ずるわけでございますので、できるだけ官で施設をつくりたいということで、宿舎を毎年増加いたしてまいっております。現在のところ、職員は約五万でございますが、それに対しまして、公務員宿舎が一万九千程度でございまして、三八・一%の保有率になっております。したがって、約三万程度の人たちは自分の家あるいは借家、それから府県の住宅、市町村の住宅、こういったものに住居いたしておるようなわけでございますが、宿舎に対する要望は相当強いものがございますので、この保有率をもっと上げてまいらなければならない。お尋ねの公務員宿舎に入りたいという希望に対してどの程度の充足率になっておるかと申しますと、これは正確な統計が、毎年異動するたびごとに変わってまいりますので正確になかなか申し上げかねるのでございますけれども、現在早急にこの宿舎を希望いたしております者が四千二、三百名ございます。しかし、毎年それだけの建設がなかなかできかねまして、現在のところ年に三千戸程度しか建設ができないのでございまして、これもできるだけ早く建設いたしまして、そういった要望に沿いたいというふうにせっかく努力いたしておるところでございます。
  51. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 ひとつ、ぜひもう少し急速にふえるようにやってほしいということを申し上げておきます。  それから、地方税務署の署長の地位について、私ら子供のころに考えた税務署の署長さんと最近の待遇は、これは一般にもそうでありますが、非常に格差がある。そこで、私のほうの例をあげますと、一宮にいろいろな所長がおるのですが、そこのトップクラスの人二十一人のうちで税務署の署長は大体十九番目くらいらしいですね。そういう待遇を受けておるということを私伺っておるのですが、やはり私は、社会的にも銀行の支店長並みのような金を扱う商売でありますから、もう少し——おそらく多くの税務署員の中で署長になる人は功成り名遂げた人でありますけれども、いまの経済状態が非常に貧弱だという感じを受けるのですが、この点は長官はどのように考えておられるのか。また、何とかほかの方法でもこういう人を救ってやる必要があるのじゃないかと思うのですが、どんなものでございましょうか。
  52. 泉美之松

    泉政府委員 お尋ねのように、税務職員はその仕事がきわめてむずかしい上に、綱紀を正しくしてまいらなければならない立場にあるわけでございますが、そのわりにはその受けておる待遇が十分でないではないかという点、御指摘のとおりでございまして、私どももいろいろ調べておりますが、この税務署長の待遇がその地方におけるいろいろな民間の方、あるいは地方団体の出張所長さん、こういった方々と比べるとあまりよくないという面がございまして、税務署長がそうでございますから、一般職員もそれと同じような、状況にあるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、現在一般公務員と違いまして、税務職員につきましては税務俸給表を適用させていただきまして、一般公務員よりは少しいい待遇をしていただいておるわけでございますが、しかし、戦後税務俸給表が設けられました当時に比べて、一般職員との間の水準差というものがだんだん少なくなってきているような傾向がございます。人事院のほうにお願いして、そういった点ではやはり税務俸給表ができた趣旨からいたしまして、一般職員との間の水準差が落ちることのないように、それを維持するように持っていきたいということでいろいろお願いをいたしておるわけでございますが、もちろん国家公務員でございますから、すべてその俸給表によって給与を受けるわけでございます。それ以上に他に収入をはかることはできません。また、そういうことをすべきものではない。したがいまして、私どもといたしましては、そういう俸給表以外におきましては、先ほど申し上げましたように、庁舎を明るい近代的なものにし、また宿舎をできるだけ増設して、署長をはじめとして職員が明るい気持ちで仕事がやっていける、こういう状況に持っていくように努力いたしたい、このように考えておるわけでございます。
  53. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 署長がそういう待遇でございますから、直税課長とか間税課長というものが、ちょうど課長になってからよその会社へ引き抜かれた例が、数年くらい前には非常にひんぴんとして行なわれた。せっかくの優秀な課長を会社なんかに引き抜かれるということは、税務署にとって非常に痛いことなんですが、その傾向はいまはないのかあるのか、あるいはまた、そういうことに対して国税庁の幹部の方はどのように考えて処理をされているのか、この点もあわせて伺っておきたい。
  54. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように、課長くらいになりますと、引き抜かれるということが、将来の一応の見通しもありますので少ないのでございますが、むしろその課長なんかになる前、まあ、税務署に入りまして十五年ないし二十年経験を積んで、ほんとうに第一線の働き盛りになった人たち、ちょうど係長くらいのところ、そのちょっと手前ぐらいの人、こういった人たちが一番実務としては仕事をやる、年齢的にも若いし、仕事ができる人たちでございますが、そういう人たちがかなり民間にひっこ抜かれると言っては語弊がございますけれども、やめていきまして、あるいは税理士になって自分が税務職員当時よりはもっと多い収入を得る道を得たり、あるいは会社に就職して、税務署におった当時の倍額あるいはそれ以上の収入を得るといったような人たちもございます。私どもといたしましてはその対策に非常に骨を折っておるような次第でございまして、一時は、毎年高等学校卒業生を採用いたしまして税務大学校の普通科に入れるわけでございますが、その人数がきわめて少なかったために、やめていく人を補充するのに容易でなかったことがございます。最近におきましては、いろいろ各方面の御協力を得まして、毎年約千五百名近い普通科生を採用いたしまして、一年の教育を経まして、それから税務の第一線につかせる、こういう状況になっております。理想的に申し上げますと、いまの千五百名をさらにふやしまして千八百名くらいまでに持っていかないと、十分職員の新陳代謝について処していくのに足らないのじゃないかという気がいたしております。やっと最近千五百名近い数字にまでなってきております。しかし、そういった職員の状況を考えますと、もっと普通科生の採用人員をふやして、千八百名くらいになれないものかということで、いま苦労をいたしておるわけであります。
  55. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 大体泉さんもよくわかっておられるので、あまりくどくどしいことは申しませんけれども、国税庁の長官という職は、実際に実務をやっている人たちの人事も握っておるわけでありますから非常に大事でありますが、これは公務員の制度の中で人事院にある点まで実権は握られておるのですけれども、国税庁の長官として、こういうことはやってやれるという権限がどこまであるのか。また、そういうことについては、国会まで出てこなければならぬ、半年以上国会があって、いろいろ質問を受けてやらなければならぬということで、そういう点を考える余裕がないほど忙しいだろうと思います。けれども、末端の人は一体だれをたよりにするかといえば、国税庁長官が何とかしてくれるだろうという期待を持って税務署に志願をして、希望を持ってやっておるということになるわけですが、そういう点についてはどういう感想を持っておられるのか、これもあわせて聞いておきたいと思います。
  56. 泉美之松

    泉政府委員 私、国税庁のほうに参りまして、私ども税務行政の基本的な方針といたしております近づきやすい税務署にする、課税、賦課徴収を公平にやる、綱紀を正しくして職場を明るくする、この三つの方針に基づいていろいろ仕事をやっていきたいと思うわけでございますが、国税庁長官独自の権限でやれるというのは、実は意外に少ないのでございまして、俸給につきましては、先ほど申し上げましたように、税務俸給表の適用を受けるわけでございまして、特別昇給の制度はございますけれども、これも人事院によって職員の定数の一割以内ということできめられておりますし、また、どういう官職の場合には何等級であるということも大体きめられております。したがって、そういう面で独自に何とかして職員の待遇を改善するということはできにくい面がございます。ただ、先ほど申し上げましたように、予算の面におきまして、庁舎であるとか宿舎であるとかあるいは超勤の予算であるとか、そのほか事務をやっていく場合の予算、こういったものをできるだけ確保いたしまして、職員が明るい気持ちで仕事をやっていけるような予算的な裏づけを与える、そういうことが私の主たる任務である、もちろん、そのほかに、人事につきましてやはり公平な人事を行ないまして、職員が将来に対して希望を持ってやっていける、こういう状況に持っていく必要があることは申し上げるまでもございませんが、そういった点にあると思います。今後ともそういった点につきまして努力をいたしてまいりたい、このように考えておるのでございます。
  57. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 いま地方税務署の署長のむすこは東京の大学に入れられないほどの月給だと思うのです。これはいろいろ泉さん十分御存じだと私は思うのですが、税務署の職員とか、それから国民金融公庫、中小企業金融公庫とかの金を扱う職員については、特に銀行との関係もあって非常に間違いやすい問題が起きてくると思うのです。これはいま言われるように大きな規則がありますからやむを得ないとしても、これはもっと十分に宿舎の問題とか、移転料の問題とか、あるいは超勤などのことについても検討してやる必要があるのではないか。これは国税庁の長官、次長、それから直税部長、間税部長等も幹部としてもっと具体的な方針を出して、末端のほうから安心をして税務に専念できるような、そういう希望を持たせる必要があると思う。  それからもう一点は、密造酒を監督する危険な仕事をやる人がおりますね。こういう人に対して、その後——どもは昨年は東北に行き、その前に九州の島原に行って、密造酒の問題についての税務職員の苦労をしみじみと聞いたことがあるのです。そういうこともここでたしか質問したこともあるのですけれども、どういうような方法でこれらの人の障害のための補償をされておるのか、また、どういうような方法で優遇されておるのか、これもひとつ伺っておきたいと思います。
  58. 泉美之松

    泉政府委員 密造酒の取り締まりにつきましては、戦後正規の酒が不足いたしておりました当時に急激に密造酒がふえてまいりました。ことに第三国人などを中心といたします集団密造が非常にふえまして、税務当局といたしましてはその取り締まりに非常に苦労をいたしたわけでございます。今日におきましては、いわゆる農村密造というのはだんだん少なくなってまいりました。また、集団密造もだんだん少なくなってはまいっておりますけれども、まだ十万キロリットルをこえるといったような状況にございまして、その取り締まりのためには間税の職員は非常に苦労をいたしておるわけでございます。ただ、戦後一時は密造取り締まりに参りまして障害を受けたような事例もございましたが、最近ここ二、三年はそういった障害を受けるということはなくなってまいっております。しかし、それにいたしましても、取り締まりに参った際に、いろいろばり雑言を浴びせられたり、不愉快な目にあっておるという事例は相当ございます。  そこで、私どもといたしましては、そういう密造取り締まりに従事する場合には、警察官の場合でも出動手当というのがあるそうでございますが、密造の取り締まりに当たる際には何か手当を出すことはできないかということで、いろいろ検討をいたしたのでございますが、なかなか承諾が得られませんで、現在のところそういった密造取り締まりに従事した場合に特別の処遇を与えるということはできません。もちろん、障害を受けた場合におきましては、公務障害でございますので、公務障害として取り扱って、医療給付等については十分配慮いたしておりますけれども、密造取り締まりに従事するということのために特に手当をもらうといったようなことはできておりません。
  59. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 先ほども私から伺おうと思ったら泉さんから言われましたが、税務職員の希望の人が、私どもが想像すると、さほど多くない。それはやはり税務署の職員が決して優遇されていないという半面にもなると思うのですが、これは十分検討して——何も募集人員がふえたからといって自慢する必要はありませんけれども、十分に検討してやっていただきたいと思うのです。  それから、今後税務署が何といってもふえてくる可能性がありますけれども、ひとつ、新しい税務署には新しい器をつける、民衆からも信頼されるような建物を建てる必要があるのではないか。それは形式だけでは私は感心しませんけれども、ある程度までそういうようなことをしないと、税務署に対して尊敬がなくなるのじゃないか。がたがたしたバラック建てではまずい。たしか、札幌へ昨年行きましたときにも、何か昔の連隊のあとを使っておる。兵舎のようなところではよけい感じがかたいので、どうも、一般民衆に与える気持ちは、私は必ずしもいいものじゃない、悪い印象を与えるのじゃないかと思いますが、そういう点で、今度税務署を増築される場合には新しい形でつくっていかれたらどうか。ただふやすだけで、ちょこちょことやってやるだけでは何ら新しい税務署のあり方として感心しないのですが、その点はどうですか。
  60. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように、税務署を新しく建築いたします場合に、納税者税務署に参りまして親しみを感じやすいような構造にしておく、これは非常に大切なことだと思っております。予算が必ずしも十分でございませんので、なかなか思うようにはいきかねておりますけれどもお話のように、権力行政を行なうところでありますから、納税者の方がお見えになって威圧を感ずるような建築構造でなく、税務署に行くことにつきまして親しみを持てるような建物の構造並びに事務机の配置、いろいろな環境の整備、こういったことに今後十分気をつけてやってまいりたい、このように思っております。
  61. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 あとで横山委員から質問があると思いますから、あまりくどくど言いませんけれども、ひとつ泉さんの時代には、さすが泉さんは人情があったといわれるように、あらゆる法律の限度で十分に下級職員にも行き渡れるように、いろいろ考慮を払っていただきたいということが希望であります。  もう一点、ほかのことでございますが、私は芸術家連盟の税対策委員長をやっておるのです。中嶋さんも来ておられるのですが、これは非常にむずかしい問題で、一人一人収入が違いますし、それから一千万円以上の人がたしか百人以上あるらしいのですが、いろいろ内容を聞いてみると無理もないなあという感じがします。ケース・バイ・ケースで違うので非常にむずかしいけれども、芸術家なりスポーツマンとか、そういう非常に不規則な、一時的に人気があっても長い間生命を保っておられないような地位の人については、やはりある点までは税務署の中あるいは国税局の中でも考えてやってほしいと思うのですが、この点についてどのような御感想を持っておられるか、泉さんでもまた中嶋さんでもけっこうですが、お伺いしたい。
  62. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 ただいま芸術家あるいはスポーツマンというような方々の所得課税の問題につきましてお話がございました。仰せのとおりでございます。その所得を稼得される期間が非常に短い、これはサラリーマンと違いますので当然でございますが、そういう点で非常に不安定ではないかというお話でございます。私ども所得課税の問題につきましては、こういう自由職業と申しますか、芸能関係の方々の収入、支出は非常に把握しにくい面がございます。また、いろいろお話を伺ってみますと、そういう方々はなかなか目に見えない経費がかかる、その辺を税務署はもっと見たらどうかというお話もございます。私どもは十分その辺を考えまして、無理のないように課税をいたしておりますし、さらに、ある程度の標準的なものを考えまして、そういうことで無理のないように課税をしてまいりたい、かように考えております。
  63. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後に、いま中嶋さんも言われたように、そういう点はたいへんなことでございますけれども、その人にとっては重大なことでございまして、税務署から取られた金は、貯金と違ってあとで返ってこない、地方税にはね返ってえらいことになる。御承知のように、七割くらい取られる人もあるのですから、十分そういう点を勘案して考えていただきたい。  同時に、泉さんに要望しておくのですが、とにかく、せっかく税務署の職員があなたの部下として働いておられて——税務署の職員は、実際正直にいって、どこへ行ってもあまり優遇されておりません。昔の税務署員というのは、われわれ子供の時分を知っておりますが、非常に尊敬もされ、二十五年もつとめれば、鶏でも飼っておればめしが食えた時代があった。これは何も税務署員だけでなくて、公務員全体が、そういう点ではいまは社会情勢が違いまして、悪い。けれども、ひとつ、あたたかい手の差し伸べられる限りは十分尽くして、そのほかに予算上の問題もありますから、税務署の関係だけは特別ということはできませんけれども、しかし、許す限りそういうような愛情を持って税務署の職員を優遇するようにやっていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  64. 小林進

    ○小林委員 関連質問を申し上げます。  新潟県知事選挙も終わったのでありまするが、例の選挙を六カ月以内にやり直しをしなければならなかった理由がどこにあるか。これは大蔵大臣にお聞きしたいのでありまするが、大臣おいでになりませんから、国税庁長官にお伺いしましょう。半年もたたないうちにやり直しをしなければならぬ理由はどこにあったか、お伺いしましょう。わかりませんか。では政務次官にお伺いしましょうか。——おわかりにならなければ、時間の節約上私のほうで説明いたしまするけれども、昨年の七月二十日から八月十日にかけて約二十日間、塚田前知事が、自民党の県会議員四十二名に中元と称して二十万円から最高百万円の金を分けたということなんですよ。それが国税庁の手入れを受けて、結論においては、四月十日に検察庁の検事正が、これは白でもない、黒でもないが、灰色だ、確かに怪しいけれども、公訴して、裁判において判事の前で戦って勝つ自信がないから、一応不起訴にするということで終わった。まあ、裁判の問題は別だが、四十二名個々に当たってみると、どうも二十万円から百万円の金が渡っている、四段階にわたっているというのだけれども、これもあとでどうも作為せられて、一律に二十万円ずつ四十二人にくれた、こういうことになったらしい。検察庁の四十二名に対するお取り調べの内容では、一律に二十万円ずつもらったが、その四十二名のうちの十四名は、とてもこんなおそろしい金はもらっていられない、こんな選挙違反にひっかかるような金はもらっていられないといってお返しになった。ところが、あとの二十八名は、検察庁のほうへは口をそろえて二十万円平均とされたそうでありますけれども、個々に当たってみると、みんな四段階も五段階もあって、二十万円、三十万円、四十万円、七十万円、百万円、  いろいろとバラエティーに富んでいるらしいですけれども、そのバラエティーは別として、一体そのネコババをきめて、いまでも返さない諸君の税金はどうなっておるか、私はこれをお伺いしたい。県知事に返した諸君の課税は一体どうなっておるか。これほど天下をわかした問題だから、あるいは国税庁はそういう税金の課税方法はお調べがつきませんなどといって、のほほんとしている性質のものではないのだから、どういうふうに課税をおやりになって、どういうふうにお取りになったか、これをお聞かせ願いたい。
  65. 泉美之松

    泉政府委員 お話の前新潟県知事の塚田さんが自民党の県会議員の方に対して、まあ、お中元と私お聞きしておりますが、そういうお金を贈られたという点についての課税関係の御質問でございますが、私どもが考えますと、これは塚田氏個人が、個人たる県会議員に贈られたものでございますから、これは贈与税の対象になるものでございまして、本来は一時所得の性格のものでございますけれども所得税法上は、贈与によって得ましたものは所得税は非課税でございますが、贈与税を課税することになるわけであります。  ところで、贈与税につきましては、御承知のとおり年四十万円の控除がございます。したがって、他に贈与がなければ、二十万円だけ受け取ったのでは贈与税の納税義務は生じないわけでございます。他に贈与がございまして、合わせて四十万円をこえることになりますれば贈与税を納めなければなりません。また、同一人から三年以上引き続いて二十万円をこえる贈与を受ければ、その二十万円をこえる部分について贈与税の納税義務があるわけでございますが、塚田さんから三年連続して二十万円をこえるものを受け取っておったということはないようでございます。したがいまして、いま申し上げました昨年じゅうにそういう県会議員の方個々が贈与によって取得したものが四十万円をこえるかどうか、それによって納税義務があるかどうかということになるわけでございます。私どもといたしましては、世間で注目されている事件でありますだけに、その点につきましては、十分慎重に調査をいたしたいと思っているわけでございますが、ただ、何ぶん従来検察庁のほうで取り調べが行なわれておりまして、一応不起訴という処分になったようでございますが、検察審査会のほうに事案が移っているようでございます。したがいまして、私どもは、そういう検察審査会のほうでの処理を待ちまして、あるいは、中には贈与税の申告をなさっている方がいらっしゃるかもしれませんので、そういった調査の終了を待ちました上で、それについて申告義務があるかどうか、また、申告されている方がおられるかどうか、そういった点を十分調査いたしたい、このように考えております。
  66. 小林進

    ○小林委員 事件は、昨年の七月二十日から始まって、大体八月の十日に終わっている。私は、塚田さんの贈られたその数千万円の金がどこから出されたのかわからぬけれども、国税庁はちゃんとおわかりになっているだろうと思った。ましてや、そのお金をもらったことも、もはや八カ月も十カ月もたっているから、国税庁独自でそういったもらった人たちの個々の課税問題も御研究になっていると思った。いまのお話によると、検察庁が手を入れられた、あるいは審査請求をやられている、だから、審査請求が終わるまでは慎重にかまえて何もやらない、こういうような御答弁だ。それでは、あなた方は何もやられなかったんですね。しかも、検察庁がお手入れになって、いわゆる新潟県知事の公邸も、自民党の本部もお調べになったら、数千万円に近いような、いわゆる贈収賄のもろもろの書類が出たと言われる。これはもう天下周知の事実だ。そういう金銭の授受に関するような書類が山ほど出ているけれども、そういうことも国税庁はノーコメントなんですね。もっぱら検察庁の結論を待つと言うが、検察庁は一応不起訴にした。審査請求はしているが、これが半年になるか一年になるか。小林章君の請求なんかも、まだ結論が出ないでそのままになっておる。何年かかるかわからぬが、それが出るまでは全然ノーコメントで何もおやりにならない、こういうことですね。もっぱら庶民階級の二十二万円から新しくぶっかける所得税なんかは厳重にお取りになりましたけれども、二十万円か、四十万円になるかならないか、そういうものをもらったものは、これはそのままほおかむりしていこう、こういうことなんですか。いかがでございますか。うまい話は要りませんよ。気持ちのまま、そのままずばりとおっしゃっていただけばよろしいのでございます。
  67. 泉美之松

    泉政府委員 私ども、決してそういう検察審査会の処理が終わるまでほおかむりでいこうというつもりでは毛頭ございません。ただ、世間で二十万円均一であるとか、いや二十万円より多くもらった人がおるとかおらぬとか、いろいろうわさがございますが、正確な資料は、やはり検察庁が押収いたしておりまするものの中にあるわけでございますから、私どもは、その資料を検察庁のほうからいただきまして、その上で、いま申し上げましたように、贈与税の申告義務があるかどうか、それを確かめたい、もちろんいろいろうわさはお聞きしましたし、また、うわさについて投書などもいろいろございます。しかし、それだけを信用してやっていくわけにまいりませんので、正確な資料を基礎にいたしまして課税問題を処理したい、このように考えておるわけでございます。
  68. 小林進

    ○小林委員 検察庁から資料はいつおもらいになりましたか。まだおもらいにならないでしょう。
  69. 泉美之松

    泉政府委員 検察庁のほうには、資料の私どもへの引き渡しを要求いたしておりますが、まだ検察審査会にかかっておるから資料を渡すことはできない、しばらく待ってくれ、こういうことになっております。
  70. 小林進

    ○小林委員 あなたはそういう巧みなことをおやりにならないほうがいいでしょう。県会議員の多くの者が、これは選挙運動でもらった金です、こう言っているのに、いわく、検察庁は、自白は証拠にならないなどという、こういう陳弁を用いられて、われわれ庶民階級には、ほんとうのことを言わないといって、頭をすりつけたり、なぐったり、け飛ばしたり、どうかつしたりしながら強制的に自白さして、それが自白だから証拠だ、もはやのがれることはできないと言って、みな黒にしながら、検察庁はなごやかな話し合いで、実はこれは選挙運動でもらった金ですと言いながらも、自白は証拠にならない。今度はそれを国税庁が受けて、何しろ知事さまのおやりになった仕事だ、県会議員さまの仕事だから、ともかく、人の調べた、検察庁という人の調べた書類をちょうだいいたしますまではわれわれはお調べはできません、慎重にかまえます。——一体、国税庁は人の収入を調べるときに、いわゆる検察庁や他省の資料をもらわなければ調査ができないなんという規定はどこにありますか。税法の何条にそれは一体ありますか。私は寡聞にして知りませんが、一体どこにそんなものがあるのですか。どうぞお聞かせを願いたい。
  71. 泉美之松

    泉政府委員 もちろん、今回の事件につきまして、検察庁の資料以外に、御本人に当たっていろいろ調査する道はございます。それからまた、聞くところによりますと、御本人が幾ら渡したか、また幾ら受け取ったかということは、それぞれ言われておるようでございます。したがいまして、私どもといたしましてはそういう調査の道はございます。けれども、基本的には、検察庁が押収しております書類に、いつ、幾ら、だれそれに贈ったという記述がございますので、検察庁のそういった証拠の資料をいただきたい、このように思っているわけでございます。検察庁の調査の内容をいただくというのではございません。検察庁で押収されておるいろいろな資料を引き継ぎを受けまして、それに基づいて課税問題を処理していきたい、こう言っておるのでございます。
  72. 小林進

    ○小林委員 こんな押し問答をしたってしようがないからもうよしますが、あなた方はじょうずに逃げよう逃げようと思っているんだけれども、そんなことで私が納得すると思っていますか。なめちゃいけませんよ。あなた方は、弱い者と見れば食いついて離さないのにもかかわらず、相手が県会議員だとか知事になったら、その資料がなければやらぬとか、本人に会って話を聞けるけれども聞いていませんとか、そんな巧みなことを言っちゃいけませんよ。なぜやらないのですか。あしたまた大蔵大臣が来たら言います。あなた方とけんかしたって始まらないから、きょうのところはほこをおさめるが、そんなへらんちゃらんなことを言っちゃいけませんよ。そんなことじゃいけませんよ。なめちゃいけない。私だってこの道でめしを食っているんだ。あなたになめられて、おいそれと引っ込めるか。あなた方はほんとうにやる気があるのかね。あなたは自分たちのやらないことの言いわけを言っているんじゃないですか。何もやらないことの言いわけじゃないですか。そんなことで人をなめちゃいけませんよ。やれないならやれませんと、あっさり言いなさいよ。そのほうがりこうだよ。わずかにその日のパンに追われておるような者を、さっきも言ったようにぐんぐん権力でもって痛めつけておいて、そうして、いまの県知事のやった仕事や県会議員のやった仕事になれば、やれ資料をいただけませんの、当たってみればわかりますけれども、当たりませんの、それで国税行政が公平と言えるのですか。それで公平ということになるのですか。一体何ですか。大臣も言われたように、これは公平になっているのですか。冗談じゃない。私は、私たちの候補者がもし勝っていたら私はとことんまでやるんですよ。どうですか。それで公平と言えますか。ひとつここで言いなさい。これで国税行政が公平だと言える自信があるならここで言いなさいよ。
  73. 泉美之松

    泉政府委員 小林委員、何か誤解されているのじゃないかと思います。私どもはこの問題について調査しないと言っているのではないのであります。調査をいたしますということを申し上げておるのでございます。ただ、現在そういったことについての課税の基礎になる資料は検察庁が押収しておりまする書類の中にありますので、その書類の引き継ぎを受けました上で調査を十分にいたしたい、こう申し上げておるわけでございます。更正決定の期間は三年ございます。しかし、そういうゆうちょうなことでなしに、できるだけ早い機会にその事実を調査して、適正な処理をしたい、こう申しておるのでございます。
  74. 小林進

    ○小林委員 あなたはけんかを売ってくるのですか。冗談じゃない。将来やろうとしていることじゃないんだよ。だから私は期日を何べんも繰り返している。昨年の七月十日から八月の二十日ですと何回言ったか。それから何をやったかと聞いている。これからやるという話を聞いているのじゃないんですよ。その間にどういう調査を具体的に進められたか。もはや申告納税の時期も済んでいるじゃないか。源泉所得も済んでいるじゃないか。それがちゃんとことしの一月から二月、この期間の間にあなた方調査した結果はあらわれなければならない。三年の期間がありますからこれから調べますの、これから行って資料を借りてきますのという話を聞いているのじゃないんですよ。検察庁のお調べに並行してあなた方も当然やるべきことをやらなくちゃならぬじゃないですか。八月十日から今年にかけて、一体どれくらい調査をおやりになったか、税金をおかけになったかと聞いているのですよ。それをやらなければ不公平じゃないですか。
  75. 泉美之松

    泉政府委員 御承知のとおり、贈与税は申告納税制度になっております。贈与税の申告期限はことしの三月十五日まででございまして、そこで申告が行なわれておるかどうかということが問題になるわけでございます。したがいまして、もちろん、私ども税務当局といたしましては、昨年来いろいろ新聞紙上でうわさも出ておりますので、そういった点につきましていろいろ調査はいたしておりますけれども、正確な、だれそれに幾ら、いつやったかどうかということの資料は検察庁が押収いたしておりますので、その資料を把握した上で最後的な課税処理をいたしたい、こういうことでございます。したがって、おくれておりますことにつきましてはたいへん遺憾に存じますが、私どもといたしましては、ぜひともその点につきまして世の疑惑を招くことのないような適正な処理をいたしたい、このように思っておるのでございます。
  76. 小林進

    ○小林委員 それじゃ、私はきょうのところはこれで終わりますが、結局、結論においては、あなた方は何もやっていないということだけ——多くのことばは言われたけれども、結論においては、こういうような問題については何もやらなかったということをいま答弁せられた。慎重にかまえて、これからようやくひとつ手をつけようというお話でございますから、お手並み拝見であります。十分ひとつ見せていただきましょう。あとの分はあしたまた十分質問することにいたします。きょうは関連ですからやめておきます。
  77. 三池信

    三池委員長 横山利秋君。
  78. 横山利秋

    ○横山委員 例年七月には税務署の大異動があるわけですが、それに関連をして、なるべくふくそうしないように質問をしたいと思います。  第一は、これは大蔵本省なんですが、先月の二十一日、大蔵省は、五十五歳以上は一律に四月の定期昇給を停止する、五十歳以上五十五歳未満は各人の勤務状況を考慮して一部定期昇給を停止する、こういうことを大蔵省の組合に通知したそうです。それでたいへん方々で心配をしておるのですが、国税庁はこういう措置があるのですか、ないのですか。
  79. 泉美之松

    泉政府委員 お話の措置を大蔵省がとったということは聞きましたが、御承知のとおり、国税庁は大蔵省には所属いたしておりますけれども、人事給与等につきましては国税庁長官の権限で行なっておりまして、私は、目下のところ大蔵本省に同調したような措置をとる考えは持っておりません。
  80. 横山利秋

    ○横山委員 次に、私は本委員会で歴年こういうことを主張しておるのです。それは、大体全国的に七月には三分の一ぐらいは大異動が行なわれる。この各官庁に見られない大異動は税務署の特色である。なぜそれをしなければならないかについては、本来的に性悪説に立っておるのではあるまいか。少し誇張があるかもしれぬけれども、同じ税務署に長く置いておくとよくないという立場で、吹きだまりができないように大異動を行なうということのようだ。それは考え直す必要があるから、この際定期異動をできるだけ小幅にとどめたらどうか。一つには、それは住宅がないからである。それから一つには、いろいろ無理が生ずるからである。たとえば、非常に遠いところへ送らなければならぬ、あるいはそのほか不当労働行為の問題もときとしてなしとしない。いままでと違ってできるだけ異動を押えたらどうかということを歴年主張してきておるのですが、本委員会において、歴代の長官は、趣旨ごもっともだ、できるだけそのようにするとおっしゃっておるのだけれども、どうも実績を見ると、ここで答えられたことと実際とは違うようなのです。私の調査したところによりますと、三十九年度で二八・二%、四十年度で二八・六%、四十年度はたしか一万一千八十七名の転勤の模様であります。税務職員税務署だけで三万八千か三万九千名でしょう。そうしますと三割ですね。この私の調査しました数字には大体間違いありませんか。
  81. 泉美之松

    泉政府委員 おことばではございますが、横山委員がどこからそういう資料を御入手されたかわかりませんが、私どもの持っておる定期異動の資料からいたしますと——定期異動のほかに年間いろいろ異動がございます。そこで定期異動で申し上げますと、四十年の異動は一万一千八十七名でございます。税務署の現員三万八千七百三十四名に対しては二八・六%に相なっております。ただ、国税局、国税庁全部を含めましたところでこの全職員が五万名でございますが、五万名について申し上げますと、四十年についての年間の異動は二六%ということになっております。これは国税庁、国税局におきましてはわりあい異動が少ない、仕事の性質上長らく勤務いたしておる、こういった事情が影響しておるかと思うわけでございます。この税務職員の異動につきましては、私もかねてから横山委員のお説はよくお聞きいたしております。なぜ税務職員はそのような転勤を多くするのかという点につきまして、いわば性悪説的に、あまり同一税務署に長くおると納税者との間にいろいろ好ましくない関係があるといったようなお話もございますが、それだけではないのでございまして、やはり年々上級の税務署長あるいは課長、そういった人たちが退職されますと、そのあとを埋めていく、その場合に、横山委員御承知のとおり、税務署に署格と申しますか、A級署であるとか、B級署、C級署といったような署の格がございます。したがって、同じ税務署長でも、異動にあたっては、成績のいい者はできるだけいい署格のところへ配置してやりたい、こういったことからいたしまして、一人が動きますと、それに関連していろいろ動くということになるわけでございます。しかし、そういったことでところてん式にいろいろ動かすということは好ましくございません。それからまた、性悪説というような考え方も適当にも思いません。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ定期異動の幅を小さくするように、また異動にあたって、在勤一年くらいでかえるというようなことは絶対にしないようにということで、異動の幅をできるだけ小さくしていこう、署の格に応じていろいろ人を配置しておこうという、これは人事配置の上からは一つの大切なことでありますけれども、あまり序列ばかりを問題にいたしまして次から次へ動かしていくということは適当でないと思って、多少、同じような力の人が、一人は異動のときに上のほうへ行く、異動しなかった人はそれよりおくれる、しかし、その次の異動のときには、おくれておった人は今度は先へ行く、いわばシーソーゲームのような形になっていってもいいのではないか、こういうつもりで、できるだけ異動幅を少なくするようにというつもりでおるわけであります。何分にも年々やめていく人が相当多うございますので、どうしても異動幅というものが一万名をこえるというような大きなものになっております。しかし、これも横山委員は御承知と思いますけれども、以前の姿に比べますとだんだんと少なくなってきておることは確かなのでございまして、ことに、今後、ここ数年は上級の官職にある人で退職する方がだんだんと少なくなる見込みでございます。したがいまして、そういった異動幅も少なくできるように考えておるのでございます。
  82. 横山利秋

    ○横山委員 私は、今まであなたのそういうお話をもっともとして引き下がっておったのですよ。ところが、数字的に見ますと、あなた方がそう言われながら、実際は実績があがっていないということに私は気がついたのです。あなたの数字と私の数字と違いはないのですよ。二八・六%ですね。三十九年度は二八・二%です。そうでしょう。それから在職年数もおそらく私の見ているのと同じ数字だと思う。三十八年十一月一日現在で税務署平均が一・九年、課長以上は〇・八年、係員、総務関係が三・四年、徴収が二・四年、直税が一・六年、間税が一・八年と承知しております。上が動けばところてん式に動くというのは、何も税務署ばかりじゃありません。国鉄だって全逓だって、どこだって同じです。しかし、それにもかかわらずこんなに税務署が三割近く動く、動く半月くらい前から異動の発表があった半月あとくらい、約一カ月というものは、私税務署へ行ってよくわかるのですけれども、もうそわそわそわそわして、事前事後のあと片づけや引き継ぎや、まず全国的に非常な停滞を見せますね。やむを得ないことだとは思います。思いますけれども、転勤が間近いから早く片づけなきゃいかぬという気持ちが出る。これはもっともです。なるべく早く、ある場合には、すぐ片づけましょう、私の責任ですから、という場合もあるし、無理をして納税者に早く片づけなきゃなりませんと言うて、やる場合もある。いい悪いを言うておるのではありません。どうしてもそうなるという意味です。あなたのほうでちゃんと委員会において、なるべく小幅にとどめますと言っているのですけれども、どうしてその実績があがっていかないのだろうという点については、私は、気持ちはわかっておるけれども、結局は、正直な話、やっていないのじゃないかと思う。気持ちはみんなわかっておる。けれども、そこに何らかの抑制力、圧力をあなたのほうで加えなければ、これはだめじゃないかという気がしているのです。会議や何かでなるべく小幅にとどめろとおっしゃっても、習慣、惰性というものもありますのでだめじゃないか。もしことしほんとうに長官がそういうお考えであるならば、一木筋を通してもらえぬだろうか。方法は言いません。私の思いつきのようなことを言ってもしかたがないけれども、二八・六%ならば相当パーセントを落とす決意でやってもらいたいと思うのですが、どうですか。
  83. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど税務署の職員の転勤の多い理由といたしまして、上級官職のものがやめていった場合に、どちらかというと、ところてん式の異動がある、これはお話のように必ずしも税務官庁だけではなく、よその官庁にもあることでございます。そのほかのもう一つの理由といたしまして、最近特にそうであったわけでございますが、税務職員の優遇という見地からいたしまして、新しい官職をいろいろふやしまして、その関係での異動もかなりあったわけでございます。そこで定期異動の割合がなかなか落ちない。以前はもちろん三〇%ちょっと上回っておったわけですが、それが三〇%を割る状態にはなっております。それにいたしましてもまだまだ定期異動の率が多過ぎる、これでは住宅の関係もありますし、なかなか容易でない、これは私も痛感いたしておりますので、お話の趣旨をくみまして、本年度の異動にあたりましては、従来よりもっと小幅な異動にとどめるように努力いたしたいと思っております。しかし、それにいたしましても、いろいろな官職などもできます関係上、それとまた、今度税務署の新設あるいは統廃合するというような関係もございまして、一挙に二八%というのを半分以下にというふうにはなかなかできかねるかと思います。できるだけ私努力いたしまして、異動幅を少なくするようにつとめたいと思っております。
  84. 横山利秋

    ○横山委員 その次は、やはりそこにあると思うのですが、年々遠距離通勤者がふえています。これはおそらく大都市税務署強化というところから出てきたのではあるまいかと思うのですが、三十五年が、二時間以上が七百二十六名、三十八年が千六名、四十年が千八百四十一名、約三・七%くらいですね。それから一時間三十分から二時間までのものが、三十五年で二千百十五名、三十八年で三千八百九十一名、四十年で六千二百五十四名という多数にのぼっておる。これはおそらく数字に違いはないと思います。それで、通勤に二時間以上かかるということは、これはどう考えても、往復時間によって心身が消耗するいい例で、やむを得ないことがおそらくある程度あるとは思いますけれども、しかし、転勤をされる基準を作成されるにあたって、遠距離通勤は結局業務のためによくない。それから二重生活ですね。別居しておるもの、住宅の不安定なもの、これが表によりますと三百六十二人以上あると出ています。こういうことは、たとえば署長なり課長が、横山をどこそこに転勤させようと考えてみて、二時間以上になる、じゃ、彼は向こうへうちをかわる方法があるか、こちらにうちがあり、女房、子供もあり、ちょっと無理だなということはすぐにわかる。これはだれでも考えておると思うのです。それにもかかわらず、そういうことについてあまり拘泥をしていないような気がするのです。こういう遠距離通勤ということについては、役所のことだからしようがないというように考えておられるのではあるまいか。もう少し配慮があってしかるべきではなかろうか、こう思うのです。で、私の言う少し小幅にしてもらいたいという条件の中に、遠距離通勤、二重生活というものについては抑制措置をとらせる、これは絶対ではありませんけれども、そういう条件を一つ入れてやるわけにはいかないかと思いますが、どうですか。
  85. 泉美之松

    泉政府委員 御趣旨はよくわかるのでございます。ただ、税務署職員の配置の場合におきましては、何と申しましても、公務のほうの要請、つまり、署長であり、課長であり、係長であり、一般職員であるという場合に、その署の仕事の量からいたしまして、どの程度の経験年数なり、職歴のある者でないと適当でない、こういった事情が優先いたしますので、遠距離通勤の人、あるいは二重生活を余儀なくされる人が全然なくなるということは、なかなか期待できないことかと思います。しかし、お話のように、私どもも一時間半程度まではやむを得ないかと思っておりますけれども、二時間をこえるというような遠距離通勤のあることは、これはもう能率の上からいきまして適当でございません。できるだけそういうことのないように、異動にあたりましては、各国税局税務署で十分そういった点は配慮させていきたい、このように思っております。ただ、いろいろな都合でどうしてもその人に係長になってそこへ行ってもらわないとそこの署の仕事がうまく回らない、こういった事情もございまして、遠距離通勤をなくしてしまうとか、あるいは二重生活をなくするということがなかなかできかねております。しかし、そういった点は今後十分配意いたしまして、それには、一つは住宅を確保いたしまして、その異動した後にもその近くに住宅があって通勤に支障がないというようにやっていけますれば、そういった異動もできやすくなるわけでございます。異動の面と住宅の確保という面、これを両方あわせて今後考えていきたい、こう思っております。
  86. 横山利秋

    ○横山委員 問題がこまかいようではありますが、全国税務職員がこの七月異動を前にいたしまして非常に関心を持っておるところでありますから、煩をいとわず、もう少しお伺いをいたしたいと思います。  これほど業務が社会の変遷によって多く動きますと、東京大阪、名古屋のようなところへ人員を集中しなければならぬ、それと同様に、今度七署が廃止されるわけですが、それと同じようなところへどうしてもだれか行かなければならぬという逆の場合、還流があるわけですね。まだ大都市へ来る人は確かに多少の希望があって来ます。ところが、こういう廃署みたいなところへ行く者はほんとうにいやがっているわけです。私が体験いたしました二、三のものでも、横山さん何とか断わってもらえぬだろうかという話があるわけです。しかし、それをあえて上長の者が、あそこは君のような人がないと困るから行ってくれと言われれば、じゃやむを得ません、しばらく行ってきます、君、そのうちには必ず帰すからということが、あうんの呼吸にしても、公式でないにしても必ず言われているわけです。それを頼みにしながら遠い僻陬の地に大都市から行っておる諸君が、あの人がああいうことを言ったということを非常に心のよりどころにしておるのですが、この人がすぐにかわってしまうわけです。そうすると、大体において、じきに帰すからということは、口約、空文に終わって、そうして常にもんもんの情を抱いておる。これはどういうふうに考えたらいいのか。私どもが、一々人事の問題について、あれは僻陬の地でがんばっておるから帰してやらないかということもあまり言えないと思うのです。まあ、言うてもあまりよくないと思うのです。そういう僻陬の地へ左遷でなく、普通転勤なりあるいは本人の意向を十分考えながら送り出した上長並びに税務署長としては、局長としてはどういうふうな心がけでいらっしゃるのか伺いたい。
  87. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように、同じ職場につとめておりましても、たとえば離島とか、お話の僻地、こういったところへ転勤することは、税務職員といたしましてはあまり好まない傾向があります。これはひとり税務職員だけではなしに、いろいろな官庁でも、また会社でも同じだと思います。そういった場合、しかし、そういう人が、署長なり課長なり係長なり主任なりあるいは上席の職員として、どうしても行ってもらわなくちゃならぬというような事情がございまして行ってもらうわけでございますが、その場合に、長いことはない、二年たったら帰してやるからという約束で行っても、その約束した人がやめてしまうというようなことでお話のような事例があるかもしれません。私どもといたしましては、そういうことにつきましては、局の人事のほうにちゃんと全部、だれそれはどういう事情で行った、したがって何年後には帰してやる必要があるという記録をきちんとしておきまして、約束した人がかわったからその約束が履行できないというようなことのないように、客観的な資料を整備しておきまして、それに基づいて人事を公平にやっていく、これが大切だと思っております。したがいまして、そういった記録を整備しておきまして、そういうことで離島、僻地へ行った人が不平、不満を抱いたままおるというようなことがないような姿に持っていきたい、このように考えます。
  88. 横山利秋

    ○横山委員 次は転勤に伴う不当労働行為の問題であります。これは何が不当労働行為であるかどうかについては議論のずいぶんあるところであります。しかし、局長なり総務部長とざっくばらんに話し合えば、局長なり総務部長はぼくにいろいろ話をしてくれるわけです。それがだれであるかということはここで言うつもりはありません。しかし私は、なるべくそれはおやめなさいと言っているわけです。もしもどうしても組合運動として適当でないとか、あるいはなんだというなら、別な角度で処理なさるべきであって、人事というものが便乗をするということは厳に戒めなければならぬ。もしも横山という職員が組合役員をやっておって、そいつをかえさせたい、この機会に大波の中にのましてやってかえさせたいというやり方をすれば、横山だけでなくて、鈴木も佐藤もおれもそうじゃないかというような気になるのは必定であるから、この定期異動という大波の中で便乗的な不当労働行為、組合役員であるとか、あるいはあれは組合役員として非常に活動しておるからこの際やるというようなことはおやめなさい。先般もある人事で聞いたんです。どうしてもその人を動かさなければならぬ、その人でなければならぬ人事であったかと言いましたら、そうではありません、そうではありませんなら、それだけ目に立った組合役員の異動については、他の人よりもよけいに慎重な扱いをなさるべきではなかったか、それはごもっともだ。ごもっともはいいけれども、それは済んだあとで、ざっくばらんに話をしてみたら、いや実は、ということだったんです。結局、やはりぼくらの言う不当労働行為だったんですね。それは私だけにいろいろな話をしてくれたんですから、いまこれを取り立てて申し上げるつもりはないのですけれども、どうしてもそういう人事をやる署長なりあるいは課長なりの頭には、そういう考え方が常に潜在意識としてあることを私は洞察をしました。この機会に、あなたから、一般の定期異動の中で便乗的な組合役員なるがゆえの異動、不当労働行為については厳になさらないというお話を伺っておきたいと思います。
  89. 泉美之松

    泉政府委員 お話のような定期異動のときに、不当労働行為にわたるような異動があるかどうかという点でございますが、この点につきましては、私どもも十分注意いたしまして、組合役員をどこかへ転勤させたいという意図のもとにやるということはしないと思います。ただ、組合役員であるからといって、いつまでも転勤がなくて同じところにおるということも、またこれは適当でもないと思います。したがいまして、組合役員であるかどうかということで考えるのではなしに、その人の職歴、能力等からいたしまして適正な配置をするということが主眼であるべきだと思います。したがいまして、お話のような事例がもしあったといたしますと、そういうことで転勤に関して不当労働行為にわたるようなことのないように十分配意いたしたいと思います。
  90. 横山利秋

    ○横山委員 念のために申し上げておくのですけれども、組合役員であろうとなかるまいと、税務署並びに国税局の人事異動は何ら変わりはないということを言うたんではいかぬのです。といいますのは、実は組合役員は選挙によって選出されるわけです。ですから、そういうことを無意識に行なわれることによって、選挙によって選ばれた組合役員並びに組合の機構を全く度外視してやってしまうという結果になるわけですね。私は、組合役員だから特別な計らいをしろと言っているのではないのです。横山というのは、少なくともそこの税務署の分会長である、こういう認識だけは持っておってもらいたいということです。必要があって異動をされる場合においては、そのような何かの配慮があっていいじゃないか。横山が分会長であろうとなかろうと、そんなことは一切関係ない、全く自由濶達に人事を行なうという、ことばは非常に適当なように見えますけれども、そのことばの裏では、方法いかんによっては組合の機構を全く壊滅させることもできるわけです。したがいまして、デリケートな言い方ではありますけれども、組合役員の人事については特に配慮をしてほしい、こういうことをお願いしているのですが、私の言う意味はおわかりでございましょうね。
  91. 泉美之松

    泉政府委員 お話の御趣旨はよくわかっております。ただ、組合の役員であるからその人はいつまでも転勤させることができない、こういうわけにはまいりませんというだけでございます。したがいまして、そういった辺の事情は十分考慮して異動を考えるべきだ、こう思っておるわけであります。
  92. 横山利秋

    ○横山委員 本年の異動にあたっていろいろ注文をいたしましたけれども、要約いたしますと、一つには、身上申告書ですか、ずっとおとりになっていらっしゃると思うのです。先年言いましたのですが、だいぶ前に出ておるものがある。したがって、その直前における問題、たとえば名古屋の本多さんのような、妊娠しておるという事実について知っておったか知らなかったかわからないというおかしな事実が出てきている。だから、身上申告書が前に出ておったけれども、その直前においてはもう一度念査すべきであろうというのが一つ、それから転勤の幅を少なくしてもらいたいというのが二つ、三つ目は、長距離のものになる者については、長距離にならないように十分配慮すべきであるというのが三つ、それから不当労働行為については厳に戒めてほしい、それから五つ目には、佐藤さんが言っておったのですけれども、住宅の確保に努力してもらいたい、それから六つ目には、かねがね私が言うておるのですけれども、苦情処理の機構をつくることができないかという点、それから七つ目には、上級職だけが内示をされておるわけですが、なぜ下級職にも内示をしないかという点、これらを私は意見として申し上げておきたいと思います。  先ほど話の出なかった点について若干説明をいたしますと、内示というものが公平化されなくてもいいのです。少なくとも転勤直前に、従来から課長なり係長が自分の部下であった者については、君、今度向こうに行くようになるかもしれぬけれども、という話があるのが人情じゃなかろうか。こういうことを上級職だけは内示をさせておいて、下級職については、発表になるまで全然知らさぬというのは、非常に非人情なやり方だと思う。  私が体験いたしました一つの例を申しますと、半月ばかり病気で寝ておったのです。そうしたら、私も、ふまじめな人では恥をかきますから調べてみたのですが、非常にまじめな人で、成績もいい。病気で寝ておったら、いきなりぽんと左遷です。それで、本人が病床で非常にかっとなった。どういうわけかと調べてみましたら、病気療養中だから十分に療養させるという意味であったという説明でありました。もしもそういうあたたかい気持ちがあるならば、少し上の人が内示をして——明らかに左遷ですから、左遷のように思うけれども、ここならば十分療養ができるから、君はひとつ心配なく療養して出てきてもらえばいいんだ、こう言えば済んだのです。ところが、全然話がない。左遷である、ばかにしておるとおこりまして、そして、結局は、いろいろな経緯がありまして、私が注意を申し上げたら、上の人が初めて見舞いに行ったそうです、悪かったと言って。ところが、本人も翻意したのですが、そこでおかしな零囲気が出てきて、結局は退職をしました。私は、こういうことは、ほかの官庁にはあまり例がない、こういう内示制度が全然ないために起こるような問題は例がないと思う。  それから、苦情処理といいますのは、昔年私が、私どもの体験を含めて言うておるのですが、最近の組合は、御存じのように、この人事の問題に非常に熱意を持っておるようです。これは税務署並びに国税局としては人事に介入しておるということで非常にいやがっておるようです。しかし、こういう組合が取り上げています二、三の例を私どもが読んでももっともな点がある。ところが、もっともな点があるけれども、大衆運動として発展したために、某署長の話を聞きますと、——これも知り合いの署長ですけれども、横山さん、ここまで来たら何ともならぬ、意地になっちゃう、組合も意地かもしらぬけれども理事者側も意地だ、ここまで発展してきたときに譲ったのでは、理事者側のメンツが立たぬ、これは率直に私に言っておるわけです、局内の零囲気やいろいろなことを。情けないことだと私は思いました。ほんとうに情けないことだ。こんな意地にかられて、組合は、組合運動、大衆運動ですからなんですが、理事者側までが、ここで一歩を譲ったら組合は何を言ってくるかわからぬというようなばかげた根性で、客観的に見て気の毒だという人事を固執しておるということは適当なことではないと思う。そういう意味合いにおきまして、私は、苦情処理と内示制度——方法はいろいろあるのです。私たちは、何回も歴代の長官に申し上げておるのですけれども、これが端的にいって、組合活動に悪用されたり、妙なふうなものにならないということについて私は自信がある、アメリカからこれは導入されたのですから。ですから、これほど全国の官庁の中で最も大異動のあるところでは、人事の中にもう少し特色があってもいいではないか。特色のある人事のあり方という点については、考え直すべきことがあるのではないか。くどく申しましたが、ひとつ御検討をいただきたいと思いますが、どうでしょう。
  93. 泉美之松

    泉政府委員 横山委員から税務職員の定期異動に関連いたしまして、いろいろ御注意をいただきました。そのうち、いままでお答えを申し上げました以外の点で、身上申告書で私どもはその職員の身上を把握して、転勤の問題を考えておるわけでございますが、お話のように、身上申告書に書いてあった後に生じた事柄についての調査が十分でなかった、そのために、妊娠しておったとか、あるいは病気しておったというようなことを十分把握しないで異動を立ててしまった、そして発令になった以上はしかたがないではないかということも、過去においてはいろいろあったようであります。したがいまして、そういう点につきましては、今後とも身上申告書を定期異動が始まる前に出していただくことになっておるのですが、それの最新のものを基礎にいたしまして、異動についてそういう不手ぎわのないようにいたしたいと思っております。  それから、苦情処理機関と内示制度につきましては、横山委員の御意見は前から承っておるのでございます。内示制度につきましては、最近は、離島とか僻地へ行く人には、住居移転を伴うような場合がございますので、あらかじめその職員に知らせるということもいたしておると思いますが、一般の、住居の移転を伴わないような場合におきましては内示をしないというたてまえになっておるわけでございます。まあ、これにつきまして、私もかねてからいろいろ考えておるわけでございますが、そういう制度を新しく入れることが、はたして人事異動が円滑にいくことになるのかどうか、まだ十分確信を得ておりません。今後、その点につきましてさらに検討をいたしていきたいと思います。  それから、苦情処理の機関でございますが、これにつきましては、従来から署の総務課長なりあるいは人事についてカウンセラーの制度を設けておりまして、そのカウンセラーを通じてそういった苦情を申し出るようにということで処理いたしておるのであります。これに対して、横山委員のほうでは、おそらく組合があるのだから、その組合と官と両方で委員会的なものをつくって苦情処理をやれ、こういうおことばかと思うのであります。現在、税務職員の組合がいろいろ全国的に組織が分かれておったり何かいたしておる関係もありますし、そういった点を考えますと、いまのカウンセラーなりあるいは税務署の総務課長を通じて苦情処理をやっていくのがいいのではないかというふうに考えております。いずれにいたしましても、税務署職員の定期異動ということは、税務官庁にとりまして非常に大きな問題でございます。私どもといたしましては、そういった点につきましては今後ともなおいろいろ十分検討いたしまして、転勤に際して職員が不安動揺を抱いたり、不平不満を持つということがないように、できるだけの努力をいたしていきたい、このように考えます。
  94. 横山利秋

    ○横山委員 端的に言えば、官と組合との代表者が出るというやり方でありますが、しかし、私は非常に弾力性のある考え方を従来から申し上げておるわけです。職員の代表者でもいい、職員の代表者はその税務職員が全員で選出すればよろしい、あるいは、場合によれば第一組合と第二組合とで別々に職員の代表者を選出させてもよろしい、いろいろな方法があると思います。そして傘下の、自分の影響下にある職員の利益を代弁させるようにしてもよろしい、方法はいろいろあるのですから、その点については、もう少し御検討が進めば、諸外国、特にアメリカなどの苦情処理機構、あるいは私どもがやっておりました国鉄の苦情処理機構等の御検討が進めば、私はあなたも考慮の余地があるものと確信しておるわけであります。先般、金沢でしたか、カウンセラーの状況を聞きました。まあ、進んでおると申しますか、ほかの税務署にないやり方をして感心はいたしましたが、しかし、いずれにしても、直属の長ないしは直属ではない総務課長に自分の一身のことを言う。たとえば本多さんを例にとってみましょう。妊娠をしておるというようなことで、それで生み月が何月で云々ということを言わせるということは、いささか酷な点があるのではあるまいか。そうすると、いろいろなことを、人情こまやかな、世話にくだけた人間をして代弁させるということが必要なことである。また、総務課長でなくて、特別にカウンセラー的な役割りをする人にやらせたほうがいいのではないか、こういうふうに考えているわけですから、その点は十分ひとつ御検討を願いたいと思います。  それから、時間がなくて病気の表を整理することができませんでしたが、一見したところ、やや税務職員の健康状態が悪いような気がするのです。そこに表があればひとつ聞かしてほしいのですが、総体として結核だとか循環器だとかその他の罹病率は、いま税務職員はどのぐらいになっていますか。もしも他の官庁との比較表がありましたら、あわせて、簡単な数字でけっこうですが、聞かしてもらいたい。
  95. 泉美之松

    泉政府委員 横山委員御承知だと思いますが、税務職員は戦後一時結核系統の病気が非常に多うございまして、そのために私ども非常に苦労いたした経験があるわけでございます。最近におきましてはそういった結核系統の病人はだんだんと少なく、罹病率もだんだん少なくなってまいっておると思います。人事院のほうで発表いたしております結核の検診実施実績によりますと、これはやや古い数字でございますけれども昭和三十八年におきまして、呼吸器系統でA、B、C、Dの指示を受けた者のうち、D3の指示を受けた者を除きますと、国税庁では、受診人員が四万九千七百九十七人に対しまして、そのD3を除いた指導区分の指示を受けた者が三千六百三十七名で、七・三%ということになっております。全国の官庁の平均は三・八%でございますので、それに比べますとやや多いように思われますが、しかし、国税庁以上の、そういう指導区分の指示を受けた者の率の多いところが、人事院でございますとか、外務省でございますとかいったところがあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、戦後一時に比べますと、罹病率は低くなったとはいいながら、なおまだ相当罹病率があるということは、私ども今後十分注意してまいらなければならないと思っております。なお、D3の者につきましては、他の官庁では、たとえば結核になりましてなおりましてから三年とか五年とかたちますと、もう指導区分をやめてしまうような取り扱いをいたしておるようでございます。国税庁におきましては、かつて結核にかかった者につきましては、D3の指示を相当長くやっております。そのためにD3に関しましては、国税庁の比率はきわめて高いことになっております。これは職員の健康管理ということを十分配意いたしたいという気持ちで、かつて罹病いたしました者につきましては、相当長く、そういった健康状態に戻りました後もなお指導区分を続けておるということによるせいであると思っております。ただ、最近は結核以外に、世間一般でもそうでありますが、たとえば精神病であるとかあるいは高血圧であるとか、そういった系統の病気がふえてまいっております。ことに、税務署の場合でございますと、課税あるいは賦課徴収の処理ということになりますと、納税者との折衝その他で相当ストレスを感ずることが多うございます。したがって、場合によって、精神的にノイローゼになるとか、あるいは高血圧になる、こういった職員が最近目立ってふえてきております。これらの点につきましても、職員全体の健康管理の上から十分注意してまいらなければならない点である、このように思っております。
  96. 横山利秋

    ○横山委員 私は、先年尋ねたところ、健康管理が非常に進んでおるという報告を受けたのですが、この表を見ますと、思いのほか、やや意外なほど健康管理がうまくいっていないといいますか、いま伺いますと、やめさせなくて、そのまま療養さしておるんだから、その勘定がよその官庁よりは多いというような御説明でありました。なるほどとは思いますが、それにしてもこれだけ疾患患者を多数かかえておるということは考えなければならぬことだと思います。別の機会に、一ぺんどういうことにしたらいいのか、私も検討してみたいと思います。  具体的なことで恐縮なんですが、先ほどちょっと話をいたしました人事の問題について、二点だけ例をあげて御意見を伺いたいと思うのです。  一つは、本多佳子さんの問題であります。私も地元のことでありますから、本人に会いました。会って本人からもいろいろと話を聞いてみたのです。ところが、先ほど申しましたように、もう局長は決してそういう考えはないようでありますが、中堅の幹部の人が意地になっておるという雰囲気が非常に露骨に看取せられたわけであります。これはあなたも御存じのことだと思うのですが、もうじき産み月になる、休むということになったときに、浜松から突然に掛川へ転勤させられた。だんなさんも豊橋の税務署の徴収係で、子供は三人で、だんなさんのおとうさんが七十一歳で、だんなさんがおやじさんを扶養しておる。ですから、朝四時半に起きて、食事、洗たく、子供のめんどうを見て七時半にうちを出て、バスに乗って浜松から東海道線に乗りかえて掛川の職場まで約一時間半かかる、帰りは、預けた子供を連れて帰ると、早くて七時ごろになるので、家事をして休むのは十二時ごろになる。このことについて理事者側の皆さんの言い分を聞いてみますと、誇張があると言うのです。誇張はあるいは多少あるかもしれません。あるかもしれませんが、しかし、誇張があるということしか言わないのです。私は、その気持ちに納得し切れないものを感じたわけです。多少の誇張がかりにあったにしても、子供を預けて、そうして浜松から掛川へ転勤をしておる、気の毒じゃないかということばが先に立たずに、誇張があるということばが先に立つというのは、意地になっておるという感じがするわけです。この際、ほんとうにこういう若い女の人が子供三人かかえておるならば、いろんなことがあっても、親心を出して、どうしてもこの女の方が掛川の税務署にいなければやっていけないことでもないのでしょうから、本人の希望をいれてやったらどうか、この際さらっと考え直したらどうかというのが、私の一つの結論です。  それからもう一つは、室蘭の人ですが、人事院事務局職員課長からの国税庁官房人事課長あての公務災害の認定についての回答、「本人の業務は、提出された資料で判断する限りにおいては、高度の精神的、肉体的過労があったとは認め難く、この程度の精神的、肉体的負担では、発病ならびに病状悪化に相当の影響があったとは認め難いので、本件は公務外の災害として取り扱うことが適当である。」という文書を見ました。「提出された資料で判断する限りにおいては」というところに気がかかるわけです。先ほどから職員の罹病率、健康状態をずっと見たのですけれども、累積して疲労が重なる仕事なんですから、きょう突如として悪くなったりする業務じゃないのです。累積した疲労というものが一体どこまで立証されたのであろうか。国税庁から提出された資料いかんによって人事院の判断が違ってくるんじゃなかったかということが考えられるわけですが、国税庁としては、この林勝太郎という人を公務災害に該当するという立場をとったのか、とらなかったのか、それとも、どっちともなく人事院に出したのか、その点、差しつかえない限り意見を聞かしてほしいと思う。
  97. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 お尋ねの点が二点ございますが、問題は、個別の問題でございますので、私かわりまして御答弁申し上げます。  最初の、掛川税務署の本多さんの転勤の問題でございますが、昨年七月の定期異動で浜松署から掛川署へかわったわけでございますが、この本多さんの転勤の問題につきましては、実は私も前から横山先生からお話を伺っておりまして、非常に、心配いたしまして、名古屋国税局のほうへもよく話を聞いて、どうしておるのだということで注意をしてまいっております。転勤の事情そのものは、これはもう横山委員よく御存じだと思いますが、実は、浜松税務署でそれまで掛川税務署並びに磐田税務署の管理事務集中管理をいたしておったわけでございますが、これを昨年廃止いたしまして、それぞれの署へ事務を戻したわけでございます。本多さんは、それまで浜松税務署におきまして管理事務の中心的な存在として非常に活躍をしておられたわけでございまして、すでに在勤歴七年ということになっております。そこで、掛川署で管理事務がこれから忙しくなりますので、その中核的な存在として本多さんを必要としたということでございます。ただ、これまで浜松署につとめておった時代と比べまして、通勤時間がかなり汽車通勤でかかるというような点がございます。また、お話のように、妊娠しておられたとか、あるいは転勤後貧血症状が出てきたとか、いろいろ話を承っておるわけでございます。そこで、そういう点につきましては、現地の税務署の管理者並びに名古屋国税局で細心の注意を払ってまいっております。育児の点もございますので、昨年の終わりごろからだったと思いますが、四時半以降早びけと申しますか、早退を承認いたしまして、早く帰っていただくというような形をとっております。それから、御本人の健康状態につきましても、ときどき健康診断を受けていただきまして、状態を注視しておるわけでございますが、最近は健康であるというように私どもは伺っておるわけでございます。いろいろお話のような事情がございまして、お気の毒な点が個人的には私どもよくわかるのでございますけれども、やはり事務の都合上、この点はひとつ掛川署の管理事務の中心として御活躍を願いたいということで、現在のところ、健康状態がこれ以上悪くなればこれはまた別でございますが、いまのところその点を注視しておる状況でございます。  それから、次にお話のございました室蘭税務署の林勝太郎君がなくなった問題でございます。林君が昭和三十九年四月三日に死亡いたしまして、これが公務死であるかどうかという点が争われておるわけでございますが、同君は実は糖尿病性の昏酔によりまして死亡したわけでございまして、非常にお気の毒なことをいたしました。確定申告期、忙しいときに働かれて、そのあと健康診断を受けられて、間もなく死亡されたというような事故でございます。私ども何とか公務死にならないであろうかということで、そういう検討も十分いたしたのでございますが、結論を申し上げますと、やはり公務外の死亡であるとして取り扱うことが適当であるということに相なっておるわけでございます。この問題は、実は本年の一月十三日、林君の奥さんより人事院に対しまして審査請求の申し立てがございました。現在人事院におきまして継続中でございますので、私ども、その結果がどうなりますか、現在注視しておる段階でございます。
  98. 横山利秋

    ○横山委員 本多さんの件ですが、健康管理の方法について、診断を受けさしたらじょうぶであったということについてもずいぶん問題がある。こんなことまで言いたくないのですけれども理事者側の言い分と組合側の言い分では、健康診断のあり方についてまた議論が出てきた。あなたはまあまあというような話をしていらっしゃるようだけれども、本多さんが掛川の管理係にいなければどうにもならぬということでもなかろうじゃないか。子供を三人かかえて一時間半を通っておる。だから、いままでのいきさつやいろいろなことは抜きにして、かえてくれと言っていることにもう少しおおらかになってもいいじゃないか。この際そのくらいの親心ができない国税庁でもなかろうじゃないか。やはり何かどこかで意地になっているという感じがするんじゃないかと私は思う。そういうことで、あちらこちらで感情的な、あるいは角突き合うような労使関係をつくり上げたりなんかするよりも、本人がそれほど希望するなら、できるだけ早くかえてやるのに何が一体国税庁に支障があるのか。何が一体税務署に支障があるのか。もう少し全般的なことを考えて、本人がかわりたいと言っているならば、その辺の弾力性ある措置の一つや二つはできないはずがないじゃないか、こう言いたいのです。どうなんですか、長官、この辺のことくらい少しは考えたっていいではないか。ここで御答弁ができなければ、まあ、一ぺん検討します、でもいいのですよ。しかし、そういうことをきちんと言わなければ進まぬようなことでもありますまいに。ここまでならない前だったら、私が電話をかけて、長官どうだねと言えば、じゃ、考えましょうと、きっと言ったに違いないと思うのです。ところが、ここまでくると、あなた方も何かメンツにとらわれている。私が局長に話したら、局長個人は決してそういう気持ちはないと言ったのです。私はそのことばを信用しているのですよ。ところが、どこかでそれに抵抗する動きがあるのですね。別にこれは局長の威令が行えなわれないという意味で言ってるわけじゃないんですよ。どこかでそれに抵抗する、これは一つのメンツである。去年の七月からもう一年近くなるでしょうが、メンツがあるとしたならば、メンツは立ったじゃないですか。本人が子供三人をかかえて一時間半を通っておる、そしていやだと言っておる。あなたのほうはじょうぶでいいと言っておる。そんなばかげた理屈がどこにありますか。何とか考えてくださいよ。
  99. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように、全国に五万名の職員がおるわけでございますので、掛川税務署の管理の仕事が本多さんでなければできないということはもちろんございません。他の者でできる点もあろうかと思います。ただ、本多さんが浜松から掛川のほうへ行っていただくときの事情といたしましては、浜松署におきまして管理事務の相当のベテランであった、したがって、新しく掛川の税務署で管理事務を再開することになったときに本多さんにぜひ来てもらわなくてはならないといったような事情があったことかと思います。その後、妊娠しておられて、出産後貧血症状を呈したというような事実があったようでございます。別段メンツにとらわれてどうこうということはないと思います。そういった点で、私ども御本人の健康ということをいままで十分考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、そういった点につきましては十分検討いたしまして、こういうことのために官側と職員組合側との間でつまらない争いにならないような配慮を十分いたしたいと思っております。
  100. 横山利秋

    ○横山委員 あまり追い詰めてもかえってなんですから、この辺で長官ににこっと笑ってもらえばそれでよろしいのですから、あとはまた……。  時間がありませんので、最後に長官に希望だけ申し上げておきたいのですけれども先ほど佐藤さんがあなたに質問をしておることを聞きまして、私の言いたいことを佐藤さんが言ってくれたなというような感じがするわけです。春闘で当事者能力があらためて問題になりました。これは何も国鉄や電通ばかりではなくて、国鉄、電通以上に国税庁長官の当事者能力が本来議論されなければならぬところです。私がここでいままで意見を含めて言ったことは、長官がそのお気持ちになれればできることばかりだと私は思うのです。これから言うことは、長官のいまの当事者能力ではなかなかむずかしいことでありますから、ひとつがんばってやっていただきたいという意味で申し上げるのですが、何といっても、中堅幹部がやめていく、先ほど聞いておれば、千数百名やめる。何といっても、あのやめていく雰囲気をなくすることを考えなければ私はだめだと思う。何ぼ学校で教育し、何ぼ送り込んでやっても、ある時期になるとやめていく。先ほどお話のように病気になったとか、何かのちょっとした拍子に、こんなところはやめるからいい、やめて、おれはどこかの会社に入るのだという雰囲気が中堅幹部になると必ず一ぺんは出てくるというふうに聞きました。そういうような雰囲気でなくして、税務署につとめておれば暮らしには困らぬ、よその官庁よりは多少いい。いい意味でいいのだ。悪い意味でよかったら困りますからね。いい意味でいいのだという何かの証左がなくてはこれはだめだと私は思うのです。その意味では、俸給表のつくり方が私は一つ問題ではあるまいかと思う。組合からは二五%と言うておるのですが、公団、公庫職員はたしか二〇%から二五%国家公務員よりはいいわけですね。税務職員の特殊性というものを一体どこで主張したらいいのだろうか。ぼくはぼくなりに一。へんどえらいことでもやってみんかいなというような気もせぬでもない。何かの転機に、税務職員の特殊性というものを、理事者側としても国税庁長官が政府、大蔵大臣にけつをまくってでもやるようなチャンスをつかまなければ、いつもいつもこの委員会で大臣やあなたに言っているだけでは結局話がつかぬという感じがいたします。中堅職員がやめないような何かのてこを考えて政治的な手を打ってもらいたい。  それからもう一つは住宅難なんですけれども、これもまた長官が一人お骨折りをされたところで長官の自由にはならない問題なんですけれども、これだけの転勤で常に住宅の問題が議論になる。そして税務署おかかえの借り上げですか、いまはどうなっているか知りませんけれども、前に私が承知いたしましたところによりますと、借り上げ民家と税金ということにどうしても関連が出てくる。そうすると、結局税金をどうかこうかするという雰囲気がどうしてもついて離れぬのですよ。よくないことだと思うのです。転勤がスムーズに行なわれるためには、思い切った住宅政策がなくてはいかぬ。この間財務局で聞いてみたのです。税務署と他の官庁との配分の比率はどうなっておるかと言いましたら、公平にやっておりますと言う。公平ではいかぬじゃないかと私は言ったのです。人数割りの公平だったら何もなりゃしない。これは本省で一番最初割り当てて、それをあなたのほうで全国へ配分するのでしょう。そうすると、地元でがんばったってこれはどうにもなりませんので、中央において税務職員の住宅確保について特段のことをしなければならぬと思うのです。さっきから長官ばかりに質問をして、政務次官に一言も質問をしなかったのは、よく聞いておってもらいたいと思って申し上げたのですが、最後に申し上げた、役に立つようになったら税務署からやめていくという傾向と、住宅の建設について、政務次官も、政務次官御在任中に何かひとつおみやげを出してもらいたいと思うのですが、どんなものでしょう。
  101. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 ただいま御発言のございました二つの項目、それぞれ重要な問題だと思います。特に、中堅幹部が給与の関係その他において、一番役に立つころになってよそに出ていくということは、税務行政上もまことに憂うべきことでございまして、そういう点から、かつての税理士法改正という問題も一つの考え方としては検討に値する問題であろうと思うのでございますが、まあ、いろいろこの問題については、簡単にすぐきめ手が見つかるものでもないし、総合的に判断して御趣旨の線を生かしていきたい、このように思います。  第二の点は、これはもう具体的に家が確保できればいいのであって、私もいまおっしゃった御意見と全く同感でございまして、以前政務次官になる前から当委員会においても私は私で意見を述べておりまして、やはり特に仕事の特殊性からいいまして、税務職員の場合は、特に割り当てを特別に配慮をすべきである、そして一刻も早く住宅難の解消をはかるべく積極的に手当てをいたさなければならぬ、このように思っております。
  102. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官にお願いしておきたいのですが、ぼつぼつ来年度の予算要求の原案が下から出てくるわけです。この機会に、来年度の予算編成に際して、税務職員の住宅、それから税務職員の俸給、そのことについて格段のお骨折りを願いたいと思います。ずっと政務次官に御在任だと思いますから、あなたの御在任中に政務次官の力によって住宅並びに俸給に格段の措置が行なわれた、こういうふうにひとつやってもらいたいのですが、がんばっていただけますか。
  103. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 給与の問題につきましては、公務員の給与体系全体の問題とのからみにおいて、いろいろ御趣旨の線はよくわかりますが、具体的にどういう方法をとるか、十分検討させていただきたいと思いますが、住宅対策、宿泊施設、こういう問題は、御説の線を、微力ではありますが、最善を尽くして実現いたしたい、このように思います。
  104. 横山利秋

    ○横山委員 では、時間のかかることではありますが、大いに政務次官の政治力を期待いたしまして、年末には税務職員をたくさん連れて来ますから、ありがとうとあなたにお礼を言わせるようにひとつお願いいたしたいと思います。
  105. 三池信

    三池委員長 次会は、明十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時二十四分散会