○塩崎政府
委員 まず、交際費の
数字から判断して、交際費の割合がふえているのではないか、私が申し上げました
数字が三十七年から始まっているために、三十五年、三十六年の
数字が意識的に落とされて、交際費の趨勢のふえたことがカムフラージュされているのじゃないか、このような御
質問だと思うのであります。
まず第一に、
数字的なことでございますので、少し詳しく申し上げたいと思うのでございますが、私は、交際費の金額を隠そうということは全く思っておりませんし、さらにまた、同時に、
数字を提供することによりまして、誤解を生ずることを私も避けたいと思いますが、なぜ三十五年、三十六年の交際費を申さなかったかと申しますと、三十七年から
税制が変わりまして、過去におきましては、資本金千万円以下の
法人では、交際費は特別な手当をしなかった、と申しますのは、資本金千万円以下の
法人については交際費は無条件に損金算入という企業会計のルールに従っておったために、資本金千万円以下の
法人については交際費を調べて
いなかった、したがいまして、いま御
指摘の
数字は、おそらく資本金千万円をこえますところの交際費をあげられた結果、
法人税に対する割合が少なく、したがって、最近の全
法人について調べました交際費を分子といたしまして
法人税額を分母といたしますところの
数字とは合わない、断続性と申しますか、全く異質のものの比較であろう、かように思いますので、こういった趣旨からひとつ御検討を願いたい、かように思います。推定をすればできるかもしれませんが、非常に危険でもございますから、私は意識的に三十五年、三十六年は省略したつもりでございます。
次に、このような
数字は、確かに交際費の増加を示すではないかということでございます。
法人税収を分母といたしまして、分子を支出交際費を置くことは、これは大ざっぱに申しまして、確かに
法人税が企業の収益をあらわすならば、まさしく収益の増加以上に交際費がふえておるではないかというようなことを意味されるのかもしれません。しかし、
法人税は、御存じのように、企業収益をそのまま反映している点もございますけれども、同時に、
税制改正によりまして、たとえば三十九年には減価償却によって
法人税が減った’いう面もございます。四十年には留保税率が一%下がった、あるいは三十七年には配当軽減税率が下がったとか、税収と比較されるよりも収益そのものと比較されるほうがより正確なものではないかと思うのでございますが、それはそれといたしまして、
法人税収が収益を反映しておると大ざっぱに見ますならば、おっしゃるように交際費は決して減ってはいない、むしろふえる傾向にあることは、この絶対額からおわかりのとおりでございます。
そこで、この第二の御
質問の、政府はこれを抑制する気持ちがあるか、こういう御主張でございます。交際費の
課税が始まりましたのは、私の記憶では
昭和二十九年から、そのときから行き過ぎありということで、交際費の無条件損金算入を制限してきたのでございます。当時におきましては、支払い配当よりも交際費が多いではないか、こういった非難がございましたが、確かに当時におきましてはそういった傾向を示しましたが、それはわずか一年だけで、その後は支払い配当金額のほうが多くなっております。三十九年度の
税務統計を見ましても、交際費は五千三百億円でございますが、支払い配当は六千四百八十一億円でございますので、過去においての
数字は私は決してそうなってないということを申し上げたいと思います。しかし、やはり交際費の行き過ぎがあるということは大方の声でございますし、社用消費がはんらんしているということは世の中で
指摘が多いところでございます。これには私はいろいろな原因があるかと思います。
法人税が高い、あるいはもう
一つは、個人
所得税の税率が非常に中堅層以上のところで高いから、給与でふやしてもらうよりも
会社から交際費をもらったらいいというような声が多いようでございます。さらにまた、そういった一ぺんいい目にあいますと、なかなかこれがやめられないのが人間の性格かもしれません。アメリカにおきましても、ドイツにおきましても、社用消費がふえておるのが実情であり、
税務でもそれに弱っておるのが実情だろうと思います。そこで、政府といたしまして二十九年から交際費の制限
措置を始めたのでございますが、その間私も
税制第一課長をいたしまして、この制限
措置によって紆余曲折を経てきたことをよく知っております。結局は、業種ごとのいろいろな複雑な基準を設けたり、基準年度の基準を設けたり、いろいろなことをやってまいりましたが、いまは一番簡単な方法で、四百万円と資本金の千分の二・五との合計額を控除した残りの半分を損金に算入しないという
措置となっておるのでございますが、過去におきましては、私が直しましたときには、その不算入の割合は二割でございました。ところが、大方の声もあり、資本蓄積の声もあり、また、まだまだ社用消費の行き過ぎもありということで、三十九年にはこれを三割にいたしました。さらにまた、その翌年の四十年には五割と、半分はもう損金算入しないのだということにしたのでございます。このようなことでおわかりのように、政府といたしまして、こういった社用消費の行き過ぎあるいは交際費の行き過ぎに対しましては、できるだけ
税制面で行き過ぎを是正したいという気持ちでやっていることは、もうこれでおわかりのことだと思います。ただ、基本的には、これは本来企業維持の性格の強い、損金性の強いものでございますが、行き過ぎがある、この行き過ぎはなぜかという点をぜひひとつ企業の
方々にも反省していただき、また
税制においても反省したい、こう思っております。これはいま申し上げましたように、
法人税も高い、
所得税もまた高いし、個人給与で渡すよりも、社用消費ならば損金に算入になるという
税制上の理由もあるということも
一つ反省しながら、この交際費の
措置をきめてまいりたい、そしてまた自粛を促していきたい、かように
考えております。