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1966-03-09 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月九日(水曜日)    午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 平林  剛君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       奥野 誠亮君    押谷 富三君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    田澤 吉郎君       谷川 和穗君    地崎宇三郎君       福田 繁芳君    村山 達雄君       毛利 松平君    山本 勝市君       渡辺 栄一君    有馬 輝武君       小林  進君    佐藤觀次郎君       野口 忠夫君    日野 吉夫君       平岡忠次郎君    藤田 高敏君       横山 利秋君    永末 英一君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局次長) 沢  雄次君         日本開発銀行総         裁       平田敬一郎君         日本開発銀行理         事       加藤 悌次君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第四二号)  国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第四九号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び国家公務員等旅費に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。平林剛君。
  3. 平林剛

    平林委員 日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきましては、同僚の藤田委員からこまかくお尋ねがございましたから、私からは、その部分の中で少しく聞いておきたい点だけにしぼってお尋ねしたいと思うのであります。開発銀行の今回の改正趣旨お尋ねしてまいりましたけれども、昨年来、通産省のほうでは、今後の産業政策課題として、政府民間の協調による産業体制整備国際競争力強化をはかるという考えのもとに、その一環として開銀機能拡充考えられておるという話を聞いておるわけでありますけれども、今度の日本開発銀行法改正案は、そういう通産省側構想関連をして発せられたものであるかどうか、その点を初めにお聞かせいただきたいと思うのであります。
  4. 佐竹浩

    佐竹政府委員 そのような関係は全くございません。
  5. 平林剛

    平林委員 藤田委員お尋ねしておりましたけれども、もし、かりに、開発銀行法改正の中に、通産省考えておる今後の産業政策構想というものが全く考えられていないものであるとするならば、それでは、しかたないから、別に第二開銀というようなものをつくっていったらどうかというような考え方もあると伝えられておるわけでありますけれども、これは、この間の答弁の中では、そういう話を聞いていないとか、いまのところないとかというお話があったと聞くのでありますけれども、いまのところはないけれども、しかし、伝えられる通産省提案——同じ政府部内としてのことでありますから、いろいろとその方策を検討されているうちにこういう方向考えられるんではないかと思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  6. 佐竹浩

    佐竹政府委員 先般の当委員会におきまして大蔵大臣からもその点についての答弁がございましたように、通産省がどのようなことを考えておりますか、私どもも実は何も正式に聞いておりません。したがって、新聞報道の域を出ないわけでございますけれども、伝えられるような、ああいう第二開銀といったようなものは、考え方自体がきわめて不明確でもございますし、ああいう伝えられたものとして見る限りは、そのような必要は全くない、現在の開発銀行というものを活用することによりまして十分目的を達し得ることでもございます。と同時に、何と申しましても、やはり民間金融というものが主でございます。これがやはり本体でございまして、それのいわば足らざるところ、あるいは民間金融をもってはなかなか行ないがたい、しかしながら、一方において、国策としてはどうしてもやらなければならぬといったようなものがございます場合に初めて政府関係金融機関というものは発動するわけでございます。そういう意味において今日開発銀行というものが設けられておるわけでございますので、したがって、伝えられるがごとき第二開銀といったようなものは、現在はもちろん考えておりませんし、おそらく、将来ともそういったような考え方というものは、やはり非常な客観的な妥当性を持って出てくるものとは実は考えられない、かように考えておるわけでございます。
  7. 平林剛

    平林委員 事務当局のその考え方は、私に言わせると正しいのでありまして、そういうことが本来の開発銀行法制定趣旨なのでありますから、当然のことと思うのですけれども大臣のレベルのほうでは、そういうことはどういうお考えですか。いま言われたのと全く同じような考え方で今後ともいかれるかどうか、政務次官からお答えいただきたい。
  8. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいま銀行局長からお答えをいたしましたとおりでございまして、通産省側で多少いろいろ個人的な見解新聞を通じて漏れたのではないか、これは私の推測でございますけれども、一切大蔵省部内においてはそういう話は出ておりません。銀行局長答弁のとおりであります。
  9. 平林剛

    平林委員 さて、そこで、産業体制整備とか、国際競争力強化をねらって開銀機能を拡充するということは全く考えておらない、また、第二開銀というような構想を立てて同じ目的を果たそうとすることも適当でない、このことはわかりました。しかし、いまお答えになった中で、その二つ考え方は適当ではないけれども、実質的にそれを果たす役割り開銀融資ワクの中で果たしていこうという考えはあるかどうかということが、私やはり問題だと思うのであります。たとえば、通産省考えておりますのは、石油精製であるとか、石油化学であるとか、自動車であるとか、合繊とかいう企業に対して特別なてこを入れる、外国資本の攻勢が強まっている中で、また、これらの外資と競争できる企業をつくるということに当初の目的があるわけでありますから、二つの方法はだめだけれども、実質的に開銀ワクのほうは増資計画を立ててやっていこうということであれば、話はまた違ってくるわけですね。そこで、これら、いま私具体的に言いましたけれども石油精製石油化学自動車合繊などに対する融資計画は、昭和四十一年度においてどういう計画が持たれておるか、それから三十九年、四十年あたりはどうなっていたかというようなことを、ちょっと総括的に御説明をいただきたいと思うのであります。
  10. 佐竹浩

    佐竹政府委員 これは昨日藤田委員の御質問お答え申し上げたところでございますけれども開発銀行資金運用基本方針というものが閣議決定をされておるわけでございます。つまり、その中の四大重点項目と申しますか、その一つとして、国際競争力強化、これに対応して国内産業体制整備ということが明記をされております。したがって、開発銀行としてはその範囲内におきまして必要な融資をいたす、こういうことでございます。  そこで、ただいまお尋ねの、最近におきますそういう石油でございますとかあるいは合成繊維等々についての計画並びに実績をごく簡単に申し上げてみますと、石油関係でございますが、これは石油精製関係かと思います。石油精製につきましては、実は昭和四十年度において初めて融資計画が計上されたわけでございます。これは先生十分御承知のごとく、実は民族資本の育成と申しますか、御承知のように、外国資本というものは、石油業界においては非常に強い力を持っておる、それに対して、民族資本を育てなければならぬ、これは、単に一通産省の問題ではなく、やはり日本経済全体として非常に必要なことであろうということから、昨年共同石油という会社ができたわけでございますが、その共同石油の必要とする施設に対しまして、その一部を開発銀行融資で見るということで四十億円が計上されたわけでございます。これはおおむねその計画額が本年度内において実行されるものと見られております。次に四十一年度になりまして、これが六十億円予定をされておるわけでございます。  次に、合成繊維関係でございますが、これは、御承知のように、例の繊維関係生産体制整備ということで、特に立法措置どもとられました。その立法措置に相呼応いたしまして、必要な施設整備をいたすものについて開発銀行が見ておるわけでございますが、これは昭和三十九年度からでございましたか、その後今日に至るまで、金額は十億円でございますとか十五億円といった比較的小さい額でございますが、今日行なわれておるわけでございます。  なお、自動車につきましては、昨日藤田委員質問で詳細お答えいたしましたように、現在四十億円といういわゆる繰り越しワクがございます。しかしながら、これにつきましては、今日ただいまの段階までにおいては融資は実行をされておりません。また、明年度予定といたしましては、これはまだ確定をいたしておらない、こういう状況でございます。  石油化学につきましては、これは実は昭和三十八年ごろから特に出てきたわけでございますが、三十八年度は二十億円でございました。三十九年度が二十五億円、四十年度が四十億円、四十一年度は、実はまだ配分が未定になっております。いわゆる体制金融全体といたしまして七十五億円という予定を一応立てておりますが、そのうち、石油化学幾ら特殊鋼あるいは自動車幾らという内訳が現在はまだ未定でございまして、これはこれから関係当局の間で十分打ち合わせの上できまってくるという順序でございます。
  11. 平林剛

    平林委員 結局、こういうことになるのじゃないですか。通産省産業政策課題としての産業体制整備国際競争力強化ということで、開銀機能を拡充したりあるいは第二開銀をつくったりすることをいろいろ画策をしたけれども大蔵省筋のほうではこれはまずいということになりまして、それじゃかわりに体制融資のほうの額をふやしてもらいたい、そういうことで、たとえていえば、石油化学が、三十八年当時二十億円であったのが二十五億円あるいは四十億円と増加し、自動車繰り越しワクが四十億円あった、しかし、四十一年度はまだないけれどもそれより増加させるとか、あるいは合繊については、いまこまかいというお話でしたが、十億円とか十五億円、それでまたことしもふえていく、石油化学も、国内石油資源開発ということは重要であることはわかりますけれども、これも漸次ふえていく、こうなれば、通産省のほうも、何も第二開銀とかあるいは現在の開銀機能拡充ということを表ざたにしていかなくとも実際には目的を達する、そういう結果になったのでこの話は立ち消えになった、こういうふうに理解できるのでございますけれども、いかがですか。
  12. 佐竹浩

    佐竹政府委員 通産省のほうで、はたしてそういう第二開銀とかなんとかいう構想立ち消えになったのかどうか、これはもともとそういうものがあるのかどうかということを私承知しておらぬものでございますから、したがって、立ち消えになったかどうかちょっとよくわかりませんが、いずれにいたしましても、私どもといたしましては、開発銀行閣議決定で定められた融資重点項目、こういうことを実行していくために必要な融資計画を組んでいくということでございまして、実はそれ以上のものでもなく、またそれ以下のものでもないというふうに心得てやっておるわけでございます。
  13. 平林剛

    平林委員 言うならば、必要にして十分であるから、もうこれでそういう話は必要ないという結果になっているというふうに私は見るんです。ですから、藤田委員指摘をいたしましたときに、いや、体制金融の芽は出ていない、開銀法というのはそういう目的のために設定されたのではないと言われたけれども、すでに実際上の融資ワク増大から見ると、今日において必要にして十分、しかも、本来は都市銀行その他でやるものであるが、その足らざるところということに名目はつけていますけれども、必要にして十分な措置はこれでなされている、こういうふうにも見ることができるのですが、いかがですか。
  14. 佐竹浩

    佐竹政府委員 ちょっとその前にお断わり申し上げておきますが、藤田委員の御質問に対して、体制金融の芽が出ておるということを実は申したわけでございまして、ただいま先生は、芽も出ておらぬというふうにおっしゃいましたが、その点は御了解いただきたいと思います。  なお、御指摘の点、必要にしてかつ十分なものが措置されておるのじゃないかという御指摘の点については、おっしゃるとおりだと思います。
  15. 平林剛

    平林委員 私は、この傾向が増大するということは、日本開発銀行法制定趣旨から見まして、必ずしも適当とは考えられません。こういう点については、今後も全般の金融を見て、本来の趣旨に基づいた運営がなさるべきことであるということを、私はこの機会に強く強調しておきたい。同時に、開発銀行においても、こうした見解、批判があるということは十分頭に入れて今後の運営——直接の責任者は、平田さん、あなたのほうですから、十分心得てもらいたいと思うのですが、御意見を伺いたいと思います。
  16. 平田敬一郎

    平田説明員 先般も申し上げましたように、実は開発銀行運用基本方針でございますね、いま論議されたようなことにつきましては、各省が集まりまして、企画庁を中心に十分審議されまして、その上で閣議決定を経まして、政府から実は示達があるような次第でございまして、私どもは、その趣旨に従って、忠実に、できるだけ効率的に資金運用をはかっていこうという考えでございます。  それから、なおもう一つ申し上げますが、資金ワクにつきましても、毎年度大体各省大蔵省との間で話がまとまりまして、そのワク原則としまして尊重しまして、そのワクの中で、時によって、情勢の変化で若干のやりくりをすることはございますが、目的を達成するようにつとめておる次第でございまして、率直に申し上げますと、実は政府方針でだいぶ縛られておりますので、将来の問題としてはいろいろ問題はあるのでございましょうが、私どもとしましては、そういう形できまったものに従いまして、できるだけ有効に資金運用をはかっていくようにつとめていくという所存でございますので、どうぞよろしく願いたいと思います。
  17. 平林剛

    平林委員 次にお尋ねしておきたいのは、藤田委員指摘しておりましたけれども、これから新しい分野をもし開発銀行で開拓をしていくとするならば、一つの例でございますけれども、最近の公害などが一つの社会問題になっておるわけでありまして、これは都銀、市銀とか、いわゆる地方銀行ではなかなか採算のとれるものではございませんが、しかし、今日の社会情勢から見ますと、緊急に解決せなければならぬ問題の一つであろうと考えておるわけでありまして、公害防止緊急性考えると、開発銀行はこういう点には少し目を向けるべきだ、こういう考えを持っておるわけでございます。そこで、この公害施設に対する融資という問題について、現状はどういうふうになっておるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  18. 平田敬一郎

    平田説明員 御趣旨、全く私どもも同感でございまして、実は公害防止につきましては、最近特に開発銀行としても、政府方針を受けまして重点を入れてやっております。だいぶ前から一部の汚水防止等についてはやっておったのでございますが、実績をちょっと申し上げますと、三十六年度が四千八百万円、三十七年度が九千五百万円、この当時は、率直に申し上げまして、まだちょぼちょぼしたもので、三十八年度が一億七千万円、三十九年度が十件で五億二千五百万円、四十年度は四十三件の大体二十億円前後の貸し付け実績になろうかと思いますが、ここ二、三年実はたいへん増加している部門でございまして、私も、日本経済がこういう段階になりましたらこういう問題が非常に重要だということで、政府とも話し合いまして、こういう状況になっていることを申し添えておきたいと思います。  なお、さらに公害防止につきましては、公害防止事業団というのが実は昨年から活躍を開始しておりましたので、そことの調整もはかりながらやろうということでございます。公害防止事業団最初共同施設だけやるということでございましたが、やはり融資活動を通じてもやらぬと目的が達成できないというので、新年度から相互に話し合いまして、いわゆる公害多発地域でございますね、四大工業地帯、これは電力等、特殊の部門を除きまして、共同施設融資原則として事業団にやってもらう、両々相まちまして、公害防止に対しましては目的を達成するようにしたいという方向に進んでおりますことを御報告申し上げておきます。
  19. 平林剛

    平林委員 これは、先ほどの私の体制金融に対する皮肉のような質問という意味じゃありませんけれども公害施設に対する融資などについては、必要にして十分とお考えになっておるのでしょうか。公害防止事業団あるいはその他関係方面からいろいろ要望があると思うのでありますけれども、そういうものをどの程度充足しておるものと御判断になっていますか。
  20. 平田敬一郎

    平田説明員 公害防止必要性は、実は最近は企業自体もたいへん痛感するようになりまして、二、三年前までは、率直に申し上げまして、融資の道を開きましてもなかなか出てこなかったのですが、最近は相当出てきております。来年度も相当予定しておりまして、両方からしまして相当資金政府につけていただいておるように思いますが、もちろん十分だとは考えませんけれども、いままでに比べますと相当な改善が行なわれることを期待し得るのじゃなかろうか。これも一定の段階になりますとまた減り得るかもしれませんが、早く公害防止目的を達成しまして、融資効果をあらわすように私どももつとめたいと考えておる次第でございます。
  21. 平林剛

    平林委員 今度私は、ちょっと方向を変えまして、海運向け融資の問題について少しお尋ねをしてまいりたいと思うのであります。  大蔵委員会調査室で整えてもらいました資料によると、海運向けの三十九年度年度末の貸し付け残高が二千二百八十九億八千九百万円、藤田委員質問かに答えまして、四十年度貸し付け残高が二千八百十二億円ということに私記憶をいたしておるのでありますけれども、現在、ことしの海運向け融資という計画はもうきまったものがあるのですか。
  22. 平田敬一郎

    平田説明員 先般も御説明大蔵省からありましたように、海運向けは、実はこの二、三年急激にふえている部門一つでございます。四十一年度の大体の計画、現在の計画によりますと、建造トン数で百九十万トンで、前からの資金必要額繰り越しを含めまして、本年度所要資金としまして七百六十三億円の資金計画を立てておる次第でございます。なお、内訳は、簡単に申し上げますが、内容は、定期船が約十五万トン一般貨物船が約十万トン、石炭とか鉱石の専用船が九十五万トン、それからタンカーが六十二万トン、その他含めまして百九十万トン程度の新造船計画に相なっております。
  23. 平林剛

    平林委員 運輸省から海運局次長が来ているそうですね。——海運向け融資は、私の承知しておるところでは、昭和三十九年に改定のものを含めて百二十万総トン融資として、改定後約四百五十億円、昭和四十年度においては百五十万総トン建造予定しておられまして、五百七十三億円程度融資昭和四十一年度は、いまお話のとおり、百九十万総トンで七百六十三億円の開銀融資、こういうことになっておると私承知しておるのですけれども、この船舶の建造計画というものはいまどういうふうになっておるか、説明をしていただきたいと思います。
  24. 沢雄次

    沢説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生の言われました数字のうち、昭和四十年は当初五百六十億円でございましたが、その後改定になりまして八百八十億円になっております。  それから、建造計画でございますが、これは先般政府中期計画をつくりましたときに、大体四年間に七百四十三万トンの船を建造いたしまして、今後、貿易量増大いたしますが、国際収支の赤をほぼ現状と横ばいにするという目標でこのように七百四十三万トン建造計画を立てた次第  でございます。
  25. 平林剛

    平林委員 そうすると、中期計画の四年間で七百四十三万トン、今日までやってまいりました建造計画になると、あと四十二年幾らというような残ですね。中期計画を完遂するならば、あとどのくらい、どういう計画になっているかということをひとつ明らかにしてほしいのです。
  26. 沢雄次

    沢説明員 この中期計画を立てましたときの予想と、日本全体の輸出入量その他、相当大幅な相違が出てまいりまして、この中期計画は現在では廃止いたしたことになっております。それで、目下のところは長期の建造計画というのはないわけでございますが、先ほど先生の言われましたように、三十九年度に約百二十万トン、四十年度に百八十万トン、本年度は、先ほど開銀総裁の言われましたように百九十万トン建造になっております。来年度何万トン建造になるかということは、まだ計画が立っていない次第でございます。
  27. 平林剛

    平林委員 中期経済計画御破算になりましたから、一応この七百四十三万トンは、今日までおおよそ四百九十万トン建造したということになりまして、あの当時の計画で進めば、なお二百五十万総トン程度建造しなければならぬということになるわけですけれども中期経済計画御破算になるならないにかかわらず、あなたのほうではこの程度は必要だという計画が策定されておると思うのですけれども、その点はどうですか。
  28. 沢雄次

    沢説明員 お答え申し上げます。  船の建造計画は、先ほど申し上げましたように、やはり国際収支との関係、あるいは日本輸出入量の見通しなどと密接に関係をいたしておりますので、運輸省だけで船の建造がどれだけ必要であるということを策定いたしますことは、なかなか困難でございます。しかし、運輸省独自といたしましては、先ほど申し上げましたように、国際収支の赤をこれ以上悪化しないという点にめどを置いて考えますと、本年度も約百九十万トン程度、本年度以降も二百万トン程度計画造船を維持してまいりたい、このように考えております。
  29. 平林剛

    平林委員 この点は、船を幾らつくったとしても、それだけで国際収支赤字が克服できるものではない。船をつくれば、それだけ船を動かすだけの燃料もふえるわけですし、それから港湾経費増大もあるわけでありまして、船をつくっていけば、それによって国際収支赤字の解消、そうした方面効果があるということについては疑問を感じているわけです。むしろ貿易外収支でうまくやって、そしてその方面から、たとえば、技術導入の問題であるとか、在外公舎経費を節約していくとかという貿易外収支改善をはかることが、海運対策関連をして必要であるという考えでございまして、運輸省がお考えになっているようなことは考えていないわけですけれども政府のほうはこういう問題についてどういう考えを持っておられるか、政務次官ひとつ……。
  30. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 国際収支健全化という問題を中心に、ただいま海運造船計画建造計画中心にいろいろ御意見が出ておりますが、私は、やはりこの造船国際収支改善への一つのささえである、柱である、このように考えるわけでございまして、政府としても総合的にいろいろ施策を進めてきておるわけでございます。こういう海運建造計画、そしてまた、日本もようやく自国船による海国日本という地位にたどり着きまして、運賃ベースにおいても、すでによその貨物を運んでいけるだけの能力になってきたというのが昨今の状況でございますから、大いに海国日本としての真価を発揮すべき建造計画海運政策、こういうものは積極的に進めていくべきである、このように考えておる次第でございます。
  31. 平林剛

    平林委員 大蔵政務次官、のんきなことを言っていますね。その点については、大蔵政務次官なんだから、海国日本だなどというような景気のいい話ばかりしていないで、やはりこれは船舶の建造計画が真に必要なのか、大体私らの認識では、諸外国全般を見ても、まだ船舶はだぶついているような時期にこういう造船計画——それは計画を立ててやったかもしれませんけれども、それほど必要であるかどうかということは疑問に思う。かつ、いまお話のように、表向きの看板は国際収支赤字というにしきの御旗を飾っているのでしょう。こうなると、大蔵省のほうは、これではたして効果があるのかどうかという見地から大いに議論を戦わしていただかないと、どこへ船が飛んでいくかわかりませんから、そういう点は、ちょっといまのお答えは、私まともには受け取っておきませんけれども、十分検討してもらいたいと考えておるのですよ。  それで、大蔵省のほうでけっこうですが、お尋ねしますけれども、この海運融資がこれからどうなるか。四十一年度はわかりましたけれども中期経済計画御破算になりましても、いまのお考えでは、また全般的な見地で検討しないで進みますと、これは私別な意味で問題が起きてくるだろうと思うのです。しかし、同時に、現在でも海運融資の中には相当焦げつきが出ているんじゃないですか。それらの状況について、ひとつ御説明をいただきたいと思う。
  32. 佐竹浩

    佐竹政府委員 海運向けの貸し付け金につきましては、いわゆる元本の返済につきましては、昭和二十八年以降、いわゆる内入れ猶予という措置をとっておるわけでございます。つまり、償還期が来ましても、現実に償還が困難だ、普通は償還期日に償還できないと、そこで延滞になるわけでございますけれども海運の助成という見地から、これを延滞にしませんで、内入れ不足を生じました場合でも、これを直ちに延滞にしないで、その次の期の内入れ期限まで返済の猶予を認めるという措置がとられておるわけでございます。その結果、これはもうかなり金額がふえてまいりましたが、三十九年の三月が実はピークでございまして、そのときの内入れ猶予の総額が四百三十四億円でございました。以後、逐次これがだんだんと減ってまいりまして、ちょうど昨年の十二月の末におきましては二百五十億円に減少をいたしておるわけでございます。ただ、この間におきまして、先生先刻御承知のように、いわゆる海運業の再建整備に関する臨時措置法ということで特別な措置がとられまして、いわゆる利息の徴収が猶予され、たな上げをされまして、元本の返済に優先的に充てられるという新しい措置がとられました結果、急速にこの内入れ猶予の残高というものが減少をいたしてきておるわけでございます。
  33. 平林剛

    平林委員 昭和三十九年三月がピークで四百三十四億円、そして昭和四十年末で二百五十億円、私が調べたのは四十年九月の数字でございますが、三百五億円、そうすると、確かにここ急激にいわゆるたな上げ分の減少が見られたのですが、これは自力の返済ですか。
  34. 佐竹浩

    佐竹政府委員 もちろん自力返済でございますが、ただ、先ほど申し上げましたように、いわゆる利息が徴収猶予になりまして、五年間、 つまり、再建整備計画を実行いたしますその五年間の利息の徴収が猶予される、俗なことばで言いますと、たな上げをしてもらっておるわけでございます。したがって、これはその部分を元本の償還に充てられるということでございます。したがって、元本の残高はそれだけ減少が促進されるということでございます。
  35. 平林剛

    平林委員 ちょっとわからないのですが、利息を猶予しても、いつかは利息は返してもらうわけでしょう。そういうのを入れたらどうなるんですか。
  36. 佐竹浩

    佐竹政府委員 どうも、ちょっとことばが足りませんで、もう少し詳しく申し上げますと、海運業の再建整備に関する臨時措置法並びにその施行令で定められておりますところは、いわゆる再建整備の期間、すなわち五年の間に発生する利息を猶予する、こういうことでございます。それはもちろんその再建整備が進んで、収益が回復をしてくるというときに、将来にわたって逐次返済をさるべきものでございますが、ただ、その再建期間中は、通常でございますと、まずもって利息を払わねばならぬわけですが、その払うべき利息を払わないでおいて、そしてその猶予金をもって元本の返済に充てられる、こういう仕組みでございますので、残高としてはどんどん減っていく、一方、すでに発生した利息は、その猶予期間中といえども、たとえば、税引き後の利益が年八分をこえるといったような場合には、これは猶予利子も支払うということになりますけれども、そこまで収益がいかないものは、利息を一応払わないで——払わぬというのは、つまり一時的に支払いを先へ延ばせる、そういう制度でございますので、元本の返済が比較的楽に行なえる、こういうことでございます。いずれにしましても、海運業のみずからかせぎ出した収益の中から払っているわけでございます。
  37. 平林剛

    平林委員 まだよくわかりませんから、これはまたあとでこの問題について資料その他で御説明をいただきまして、それで理解することにしますが、ただ私、去年ですが、この海運政策を進めるときにあたりまして、船舶の増強が今日の現状においてどういう効果をあらわすか、また、国際収支の面において赤字を解消するというにしきの御旗があるが、これに対する効果はどうか等、いろいろな疑問を発しました。同時に、海運業が、今日の状態になって開銀からも手厚い融資を受け、そしていろいろな面において保護、助成の措置がとられているというのに対して、海運界における経営者の自粛、心がまえは非常に欠ける点があるのではないかという点を指摘したことを実は記憶しているわけであります。ここでしゃべったものですから、いまそれを思い出したのでございます。しかるところ、たな上げ分についてはその後減少されているということを聞きまして、なおわからないことがありますから、それはまたあとで聞きますが、昨年私の指摘した自粛、心がまえが欠けている一つの例として、海運界の合併があったときに、名前は言いませんけれども、ある社長さん、副社長さんが退職をされて、役員退職金あるいは慰労金で二人が合算して五千二百万円ももらった。これはいろいろ内規がきまっておりまして、その内規から見ると、必ずしも間違っているというわけではないにしても、海運界の置かれている立場、あるいは国の助成がこのように行なわれているときに、これはいかがなものであるかということを指摘いたしました。運輸省のほうは、そのとき、たしか内面指導を行なうというようなことがございましたので、きょうはその経過報告を承っておきたいと思います。
  38. 沢雄次

    沢説明員 お答え申し上げます。  御指摘の五千数百万円と申しますのは、たしか、合併前の昭和三十八年のある社の社長、副社長の退職金でござますが、これも、会社内規によりますと、これは戦争前からずっとその会社の重役をやってこられて、重役としての在職年数が二十数年にのぼる方々であったためにそのように高額なものになったわけでございますが、それでも、そのとき運輸省では、約半分にこれを自粛するように申したわけでございます。しかし、その後合併が行なわれましてから、三十九年度、四十年度と、会社役員の退職金につきましては、運輸省で非常に強く行政指導をいたしておりまして、そのような高額の退職金の出ないようにいたしております。
  39. 平林剛

    平林委員 これは本題ではありませんから、これ以上追及いたしませんけれども、いずれにしても、開発銀行からの融資残高は年々膨大化する一方である。そこへもってきて、四十一年度も百九十万総トン、七百六十三億円の融資がきめられる、四十二年度以降はまだわかりませんけれども、おそらく七百億円や八百億円というのは用意しなければならぬという事態になるのじゃないですか。そういうことになりますと、そうでなくても、この開発銀行海運融資というものはちょっと行き過ぎている点があるのじゃないか。そしてまた、かりにそれが国家的要請であっても、それについては多大の疑問を私は持っておる。また、私だけでなく、大蔵省筋でも同様の見解を持たれる人もあるし、経済的な効果をいろいろ考えた場合には、検討をしなければならぬ要素をずいぶん含んでいると思うのであります。加えて、ただいま明らかにされましたように、かなりのたな上げその他をやっておるわけですから、やはりそういう立場において、海運界における経営者のあり方についても、私は、相当の自粛的態度を続けてもらいたいということを、この機会に注文をしておきたいと思うのであります。  だいぶ時間がたちましたから、最後に、いわゆる開発銀行の焦げつきですね。これはいまどのくらいあるのでしょうか、開発銀行総裁に伺いたい。
  40. 平田敬一郎

    平田説明員 開発銀行の延滞状況につきましてお尋ねでございますので、数字を最初に申し上げさしていただきたいと思います。  最近二年間若干増加の傾向にございますが、少しさかのぼって申し上げますと、一番延滞が多かったのは三十六年度でございますが、年度末七十三億円、それがその後若干減ってまいりまして、三十八年の九月末が五十二億円でございました。その後若干減りまして、三十九年三月が四十三億円、三十九年九月が三十六億円、四十年三月が四十九億円、四十年九月が五十億円、こういう状況になっております。ただし、その間元本が相当ふえておりますので、元本に対する滞納額の比率としましては相当低下いたしておる次第でございます。なお、そのほかに、さっきも御指摘のように、海運につきましては特殊の返済条件をきめておりまして、内入れ猶予という形で残っておる額が、九月末で三百五億円で、十二月末ですと、これは二百五十億円くらいになっております。内入れ猶予が一番多かった年は三十九年の三月でございますが、これが四百三十四億ということでございまして、概況を申し上げますと、そういうことに相なるかと思います。
  41. 平林剛

    平林委員 海運は別にいたしまして、ただいまお話しになりました四十年九月、五十億円の内訳をちょっと御説明願いたい。
  42. 平田敬一郎

    平田説明員 大体おもなものを申し上げますと、九月末現在でございますけれども、石炭が一番多くて十九億七千万円でございます。ただし、このうち復金から引き継ぎましたのが、大分回収をはかりましたが、なお八十二件、七億八千七百万円という復金から引き継ぎましたものの延滞が残っております。その次は機械、それから海運は、いま言いましたように、内入れ猶予のほかに純粋の、いわゆるほかの業種と同じような延滞と見るべきものが五億一千万円、それからその他いろいろこまかく分かれておりますが、石炭が何しろ件数として一番多いという状況を特に申し上げておきたいと思います。
  43. 平林剛

    平林委員 この焦げつきは、全般の融資総額から見ると、金額的には五十億円程度で、割合としてはそうたくさんあるとは思いませんけれども、これは貴重な、特殊な資金でございますから、開発銀行総裁はこの焦げつきの処理について、どういうような基本的な考え方をもって当たっておられるか、お尋ねをしたいと思うのであります。
  44. 平田敬一郎

    平田説明員 御指摘のように、私の銀行の資金は、大部分いわゆる財政資金でございますので、私ども資金の回収につきましては、特に適正を期すると申しますか、厳正を期する方針で一般的にいたしておりまして、各件ごとに、焦げついておるものにつきましては、特別に開発銀行の中におきまして管理部という部を設けまして、そこでもっぱら債権の取り立てでございますか、その目的を達成するように鋭意つとめておる次第でございます。なお、こういう問題につきましては、検査院等にもよく見ていただきまして、せいぜいできるだけ目的を達成するようにつとめておりまして、特に私この点につきましては非常に重視しておりますということを総裁として申し上げておきたいと思う次第でございます。
  45. 平林剛

    平林委員 なおまだ若干ありますけれども、一応私の質問は、これで終わっておきます。
  46. 三池信

    ○三池委員長 堀昌雄君。
  47. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、きょうは開発銀行融資というものが、はたして開発銀行法第一条の定めたような融資が行なわれておるのかどうか、第十八条に規定をするような本来の目的に使用されておるかどうかについて、少し疑義のある具体的なケースがありますので、これを中心にしながら、現状における開発銀行融資態度、及び今後のそうした事業に対する貸し出しの問題について、少しお伺いをいたしたいと思います。  最初にちょっと確認をしておきたいのですけれども開発銀行法第一条は、私が申し上げるまでもなく、「日本開発銀行は、長期資金の供給を行うことにより経済の再建及び産業の開発を促進するため、一般の金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」と、こういうふうになっております。そこで、ことばの意味として「経済の再建」とか「産業の開発を促進する」ということは、抽象的でありますから、非常に広範囲にわたると私は思うのでありますけれども一つ企業が観光を目的として——昨日も委員会でホテル等の問題がありましたが、そのホテル等が外貨を獲得する等、国家的利益に非常に連なっておる場合には、これはまた多少角度は違うかと思いますけれども、純粋に営利的な事業を目的として行なうものであって、それが必ずしもその地域の開発——開発という表現はいろいろありますけれども、産業経済についての開発に直接あまり関係がないというものについては、私は、どうも日本開発銀行法第一条から見て、言うなれば、そういう不急不要、観光目的に限られるというようなものについての融資というものは適当ではないように思いますけれども、これは、まず法律の問題ですから、銀行局長のほうで、原則としてはどうなのか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  48. 佐竹浩

    佐竹政府委員 再三申し上げておるところでございますが、開発銀行法第一条並びに第十八条に基づきまして年々の開発銀行資金運用基本方針、これを閣議決定をいたしておるわけでございます。その閣議決定の中で定められておりますところの融資方針というものにのっとっておるというふうに考えられます場合には、これはそのまま開発銀行法目的、業務というものに矛盾をしない、実は原則的にこう考えておるわけでございます。  ただいま先生の御指摘の、純粋の営利会社であって、観光開発を目的とする企業、そういうものに対する融資がはたして当てはまるかどうかということでございます。このうち、一般的に申しますと、いわゆる国際観光ホテルをもしそういう企業が経営をするという場合には、これは閣議決定方針の中のいわゆる国際収支改善というところでそういう国際観光施設への融資というものを認めておるわけでございますから、一応これは規格に合うということができようかと思いますが、そのほか、閣議決定の線に沿って定められておりますものには観光関係では、いわゆるホテルに限りませんで、その他の施設といったようなものがございます。あるいは産業の開発に関連いたしまして道路の建設をするとかいったようないろいろなことがあるわけでございますけれども、そういったような仕事をもしやっておるということでありますならば、これは融資対象として合格をいたす、一般論として申しますと、そういうことになろうかと思います。
  49. 堀昌雄

    ○堀委員 ただいま銀行局長お答えになった昭和三十四年度政府資金の産業設備に関する運用基本方針昭和三十四年五月八日閣議決定、これがいまお話のような具体的な問題ですね。その中を見ますと、こういうふうになっております。国際観光施設という項があります。そこで「外貨獲得に特に顕著にして確実な効果のある国際観光施設整備を図る」というのが一つございますから、私がいま指摘をしましたように、国際観光ホテル等であって、外貨獲得に特に顕著にして確実な効果のあるもの、こう規定されておるわけですから、これを離れると、これは政府運用方針に反するということになりますね。よろしゅうございますね。
  50. 佐竹浩

    佐竹政府委員 御指摘のとおりだと思います。
  51. 堀昌雄

    ○堀委員 開発銀行の総裁にお伺いをいたします。  昭和三十四年の十二月に芦有開発株式会社に対して開発銀行融資をしておいでになりますね。これはどういう条項のもとに——政府運用方針に基づかざるものと私は理解をいたしますけれども開発銀行法第一条及び十八条にも反し、さらに、運用方針も私これをつぶさに見ましたけれども、こういうものは該当する部分がないわけでありますが、これに対して、三十四年十二月に五千万円、三十六年三月に引き続き五千万円、都合一億円の融資が行なわれました法的根拠をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  52. 平田敬一郎

    平田説明員 御指摘の件につきまして、趣旨を御説明申し上げます。  いまの件につきましては、各種の見地から総合的に考えまして、融資してもいいという判断になったように記憶しております。なお、具体的なことは、担当の理事がおりますので説明いたさせますが、第一は、地方の産業交通の整備上非常に役割りを果たし得るという点でございます。それから第二点は、お話のとおり、国際観光ということに限定しておるわけではございませんが、その地方のそういったようなことにもあわせて資し得るということでございますが、どっちかと申しますと、あの開通によりまして、特に奥地への連絡その他がよくなりまして、そのことによって産業の地方的な開発に相当な貢献をする、こういう点を重視いたしまして融資したような次第でございます。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 ぼつぼつやりますが、そうすると、いまのお話は、地方の産業の開発ということが目的であれば、この使途は地方開発というワクで処置をされておるのでしょうね。
  54. 平田敬一郎

    平田説明員 開発銀行ワクは、一応おもなものにつきましてはそれぞれきまっておりますが、地方開発のワクという中で特にやっておりますのは、その当時は四地方に限っていたかと思います。したがいまして、これは一般のワクの中の「その他」でございますか、そういうものの中から出したのではないかと記憶いたしております。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、担当者のほうでお答えいただいていいですが、この道路は芦屋と有馬温泉をつないでおるわけですが、有馬温泉における地方産業は一体どういうものがあるか、ちょっとお答えいただきたいのです。
  56. 加藤悌次

    ○加藤説明員 先生の御質問に直ちにお答えすることにはならないかもしれませんが、実は私、先生の御質問について、いろいろ当時の担当者の話を聞いてみたわけでございますが、現在まだ実現に至っておりませんが、その芦有道路の計画の一環といたしまして、第二期工事として有馬からさらに三田で国道の第十一号線に連絡するという計画が実はございまして、そういうことになりますと、いわゆる三田盆地、あるいはさらに篠山地区、こういった地区の産業開発に大いた裨益するところがあるのではなかろうか、こういう考え方に基づきまして、先ほど総裁がお答え申したような趣旨融資を行なったというふうに聞いておるわけでございます。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 建設省に伺います。  いまのお話は、現在芦屋から有馬を経て三田に至るから地方の開発に関係がある、こういうことでありますが、芦屋というところは大体産業の主要な地域ではございません。あの地域における状況は、大阪及び神戸が交通としては主要基点でありまして、その中間から有馬に行くこと、有馬から三田に続くその新たな道をつけなくても、現在十分輸送を確保できるだけの国道があると私は理解しておりますが、現在宝塚から三田に至る道路、あるいは神戸から三田に至る道路、これは国道か県道かは知りませんが、十分輸送を確保するに足るものであって、わざわざ有馬と芦屋をつないで輸送を確保する、そういう意味で産業開発のために道をつけなければならぬという必要性があるのかどうか、ちょっと建設省のほうでひとつお答えいただきたいのです。
  58. 志村清一

    ○志村政府委員 お答えいたします。  本件道路は、御指摘のとおり自動車道でございまして、自動車道法に基づいて一応認可を得ております。開発銀行からお話がございましたように、地方開発に役立つものとして認可を受けたものと思っておりますが、そのほかの国道等につきましても、あの地域は重要でございますので整備を兼ね行なっておる状況でございます。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 いまお聞きをいただいたように、産業開発が主体であるならば、私は、現在の神戸から三田に至る道路及び大阪から三田に至る道路は完全に舗装されておりまして、その交通量もまだそんなにふくそうしておらず、新たにそのまん中に、それも芦屋と有馬を通ずる第二期計画なんというのは絵にかいたもちであるということはこれから申し上げますけれども、そういうことで、実は、私に言わせれば架空の計画に基づいて行なわれたものという感じがいたします。それをいま開発銀行のほうでは地方の産業の開発だと、こうおっしゃったのですが、第一、三田というところは、建設省にお伺いをいたしますが、大阪から芦屋へ行って、有馬を回って、それから三田に行ったほうが近いのか、大阪からまっすぐに福知山線沿いに三田に行ったほうが近いのか、これはどうでしょうね。ひとつ地理的にもわれわれ常識的な判断をさしてもらわないとまずいのですが、私どもは、大阪から行く場合には、大阪から福知山線に沿っていくあの国道を通るのが近い、主としてこの道路を通っておる、こういうふうに思っておりますけれども、どうでしょうか。
  60. 志村清一

    ○志村政府委員 私、道路の担当でございませんもので詳しいことは存じませんが、おそらく近いものと考えます。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 道路の関係者でないからそうだろうと思いますが、これは御存じの方ならどなたでもわかります。わざわざ西へ行って、また曲がるより、二等辺三角形は底辺を通るのが一番近い。これは常識でございます。そこで、実は、開発がほんとうにその地域産業のためになるのなら、また今後なる見通しがあるのなら、私はこの問題をここにあらためて議論する意思はないのですけれども、現実の姿は、六甲山の中に道路をつけることによって、有馬の開発には非常に役に立っていると思います。温泉その他のためには役に立っているでしょう。しかし、現実にはもう有馬でとまっておりまして、そこから先にはちゃんとりっぱな道路がございますから、わざわざ有馬から自動車専用道路を三田につけなければならぬという理由は現状ではないと思います。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕  第二点は、実はこの問題を取り上げるに至りました経緯は、この芦有開発という企業会社が、他人が占有しておる土地を一方的に土地収用にかけて、そうしてそこにインターチェンジをつくるという問題に端を発したわけでありまして、昨年予算委員長及び建設委員会で私はこれを取り上げてきたわけであります。そのやり方が、私どもから見ますと、まことに違法な処置でありまして、収用で取り上げた土地を、今度は坪三万円、三万五千円で住宅地帯として売り出しておる。ですから、その開発というのは、有馬の中に、いわゆる高級住宅地でありますとか、あるいは会社の寮その他のものを開発するのにはこの道路はたいへんに役に立っていると思いますけれども、しかし、少なくとも、国の開発銀行融資が高級住宅地の開発のために使われておるということになりますと、私はいささか問題があろうかと第一考えるわけであります。  それから、この道路は非常に高い有料道路であって、産業開発には何ら役に立たない。トラックなんか一台も通らない道路なんです。全部乗用車であって、観光目的のみに使用されておるという、そういう施設開発銀行融資をしておるということは一体どういうものであろうか。要するに、私は、常識的に判断をしていただいても芦屋から有馬を通って三田に行くために、産業開発という名のもとに道路をつけるなどということは、当初からこれは常識の判断として適当でないと思うのです。その審査にあたってその決定をした者は、少なくとも、開発銀行法の定める常識的な観点から逸脱をしておったのではないのか、弁解の余地がないように私は思うのですが、総裁いかがでしょうか。
  62. 平田敬一郎

    平田説明員 最初に、先ほどの説明でちょっと違ったところがございますから申し上げておきますが、三十五年度ころはまだ地方開発という四地域の特別ワクはございませんで、一般の融資方針の中でこの地方の産業開発に役立つものについては融資するという一項目がございまして、その項目によりまして実は融資しているということでございます。  なお、いま堀委員からその後の実情につきましていろいろ御批判があったようでございまして、私は当時のことをよく記憶いたしていないのでございますが、大体、やはり兵庫県庁、関西財界等が支持しまして、特にそういったような産業開発、ことに奥地の産業開発でございますので、相当顕著な効果があるという見地から特別に実は推薦をいただいたようにも記憶しております。しかし、これは古いことでございますから、書類がありますかどうですか、わかりません。もちろん、審査にあたりましては、御指摘のような点については調べたと思いますが、おそらく当時計画されていたような事情が、何しろ七年前のことでございますからだいぶ変わってきたのじゃないか、当時はほかから行く交通機関、道路等の計画等もまださだかでなかったのじゃなかろうか、それから、特に私ども、あれからあそこどまりじゃなくて、それから先に通ずる道がどうなるかということを重視しまして、実は建設省等にも意見を聞いたのじゃないかと記憶しております。それから第二阪神国道との連絡をよくするとか、いま係がよこした記録を見てみますと、そういったことが書いてあります。当時その辺の事情が、この六、七年の事情の変化によりましてだいぶ変わってきているのじゃなかろうか、こう感じます。しかし、御指摘のような点について、この道路で今後とも目的を達することができないのかどうかについては、実は私いま軽率にここで判断を下すのはいかがかと思いますので、そういったような点につきまして、なおよく調べまして、融資の本来の趣旨に即応したような利用計画ができるように、間接的にでございますが、私ども銀行としても注目をしてまいりたいと存ずる次第でございます。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 前段はいいのですが、私後段は全然納得できないのです。実は、あそこは率直に申して、全部私どもの選挙区のワクの中でありまして、私、有馬は違いますけれども、三田は選挙区でございますから、神戸から大阪からしょっちゅう私は参っております。ですからよく知っているが、あそこにはこの道路ができます前からすでに国道があったわけです。東側にはちゃんと国道がありました。西側にも、国道か何か知りませんが、神戸から有馬を通って三田に行く道路はすでにあったわけですから、産業開発のためにあらためてそのまん中に山を越えて巨額な投資をしなければならぬという事情はなかったと思うのです。これはすべて有馬温泉開発には非常に役に立ったと私は思いますよ。しかし私は、開発銀行が温泉の観光地帯の開発のために資金を出すということにはなっておらぬのではないか、そう思いますから、この点、第一の問題点がございます。  それからいま一つ、さらに今後有馬から三田に通るための自動車専用道路を、開発銀行その他で出した金でつくる、そんなことはやめてもらいたいと思うのです。これは十分現在の道路があるのですから、国の費用で国道の拡幅をされるなり——私はいましょっちゅう通っておりますから、現状ではあの道路で十分だと思っておりますが、しかし、それが拡幅なり何なりされるならいいですが、また別途に自動車専用道路をそんなことで設けることには絶対反対です。その点については、総裁、ここではっきりお答えをいただかないと、これ以上に禍根を広げるようなことはもう絶対やってもらっては困ると思うのですが、どうでしょうか。
  64. 平田敬一郎

    平田説明員 私申し上げましたのは、そういう意味で実は申し上げたのじゃなくて、現在できている道路についても産業用にもっと活用する方法はないかという角度で検討しまして、できればそういう方向に利用の道が開けていくように銀行としまして配意してみたいということでございます。  そのほかにさらに計画がありまして、それで私どものところに融資してくれといったようなことにつきましては、現在のところまだ何も聞いておりません。しかし、おそらくその連絡道路でございますね、これは普通の道路であってしかるべきだと思いますが、その辺が、最初私どもが審査しましたときにはたして聞いていたとおりにうまくなっているかどうか、その辺におそらく問題があるんじゃないか、現地のことは何しろ堀さんお詳しいので、私、とても半分想像でお答えするのはあれでございますから、なお別途にさらに御意見等も個別的によく伺いまして、できるだけ目的を達成するようなくふうをしてみたいということでございますので、あしからず御了承願いたいと思います。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、第一点として、この道路は、少なくとも開発銀行の対象となるべき性格のものではないという点は、これはお聞きになっている委員の皆さんも御了解をいただいたことと思うのですが、第二点は、この一億円の融資に対して、どういうふうに開発銀行の定める償還計画が実施をされておるのか、その点をひとつ具体的にお伺いしたい。
  66. 加藤悌次

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  貸し付けは、先ほど先生指摘のように二回に分けて実行いたしておりまして、第一回が三十四年の十二月五千万円、第二回が二年後の三十六年の三月に五千万円、合計一億円の元高になっておるわけでございます。両方とも、期間は当初の第一回が八年でございますので四十二年の十二月、第二回もそれに合わせまして、四十二年十二月ということになっておりますので、期間としては、第二回目は六年九カ月の償還期間、こういうことになっております。その後の返済の状況につきましては、すでに御高承だと存じますが、延滞を生じております現時点におきまして、利息につきましては延滞がございませんが、元本の償還について五千七百万円、ただし、昨年の四月から月々内入れをいたしておりまして、それがすでに三百八十万円ばかりにたまっておりますが、それを差し引きますと、元本の延滞は五千三百万円、こういうことになっておるわけでございます。
  67. 堀昌雄

    ○堀委員 元本の延滞が現在時点で五千三百万円ということでありますが、貸し出し残高は、要するに、一億円貸して、すでに三十四年十二月に貸しましたものについてはまる六年以上経過しております。それから三十六年一二月のものにつきましても、償還開始が三十七年九月ですからまる三年半余りたっておるわけですが、貸し出し残高は、いまの内入れ金を差し引いて現在幾ら残っておるのでしょうか。
  68. 加藤悌次

    ○加藤説明員 ただいまの内入れを返済に充当いたしますと、現在の残高は九千二百万円、こういう数字に相なっております。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 開発銀行が一億円金を貸して、四年も五年も償還期限が過ぎておってわずか八百万円しか返さないような会社、これは一体開発銀行として償還能力ありとみなしたのか。あなた方のほうは、金を貸す以上は、どれだけの利益があって、どれだけ償還がされるという計画なくして貸しておるはずはないと思うのですが、こういうことになっておるのは一体どういうわけでしょうか。
  70. 加藤悌次

    ○加藤説明員 私のほうの銀行で貸し付けを実施いたします場合には、一方においては、むしろ厳格過ぎると非難されるほど厳重な審査をやっておりまして、貸し付けにあたりまして、償還が可能であるかどうかということも、御指摘のように十分に検討をいたしたわけでございます。しかるに、その後いろいろの状況の変化と申しますか、あるいは思わざる障害にぶつかったというふうなことで、この会社が資金的に非常に苦しい状況になってきた、こういう事実がございます。おもだった項目を簡単に申し上げますと、トンネルの中で断層にぶつかったとかあるいはがけくずれが起きたとか、こういった事情によりまして、一番最初に融資の申し込みがございましたときには七億円ちょっとという金額であったわけでございます。第二回目の融資をいたします場合には、その金額がふえまして十五億円強という数字にふくれ上がったわけでございますが、結果的に見ますと、最終的には全体の工事費が二十五億円強かかったということで、収支採算の面で非常にそごを来たしたということが一番大きな理由ではなかろうかと思います。その後、会社といたしまして道路の利用効率を高めるという意味で、兼業的にタクシー業だとかあるいはパス運輸業といった事業を始めたわけでございますが、これはまだ開業早々ということもあるかもしれませんが、よかれと思って始めた事業が、現在までのところ事実問題としてさらに足を引っぱるようなかっこうになっている、そういうことで、現在までまだ繰り越し赤字が五億五千万円ばかりございまして、資金的には非常に不如意の状況でございまして、この回収につきまして、一般的には、先ほど総裁からお答え申し上げましたような態度で臨んでおるわけでございますが、やはり元を殺してはいけないということで、まだ正式に返済の条件を改定するということまでには至っておりませんが、事情やむを得ないということで現在まで延ばしてきたわけでございます。ただいまちょっと申し上げましたように、ようやく昨年の四月からわずかばかりでございますが、内入れも可能ということになりまして、現在その内入れ金額が三百八十万円ばかりになっております。さらに、最近会社の側から今後三年間に六億六千万円ばかりの返済をいたしたい、とりあえず四十一年度中には、これは関係金融機関を含めてでございますが、二億円の返済をいたしたい、こういう申し入れがございまして、開発銀行といたしましては、現地の支店を中心にしまして関係金融機関と目下いろいろ協議をやっておるという状況にあるわけでございます。
  71. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、いまのお話は、そんなことならどこだって金を借りられると思うのですよ。最初の予定計画が八億なり何億で工事にかかって、途中へいったときに、三十六年三月に事業費が十六億円になった、ここですでに問題を考え直さなきゃならぬところだと思うのです。ところが、三十六年の三月に、そういう事情になった以後にあなたのほうは貸し出しをしてしているわけですね。三十六年の三月にそういう事業計画の変更をしておいて貸し出しをしておるわけです。そうして、さらにそれが九億円もオーバーして竣工した。こんなでたらめな計画を、あなた方は当初から成り行きにまかせて、金が要れば幾らでもふえたっていいんだ、そういうことで開発銀行というところは金を貸すのですか。
  72. 加藤悌次

    ○加藤説明員 お答えします。  本件のような土木工事におきましては、先ほども申し上げましたように、当時予想していなかったような不測の、いわば災害と申しますか、そういう面からの工事費のその後の増大ということは、ある程度やむを得ないのではなかろうか。ただ、先ほど申し上げました、第一回に出したときと第二回に出したときとの工事費の金額はかなり食い違っておりますが、これは相当長期にわたって一つの工事をやります場合に、第一回の金が特に急ぐというふうなことで、計画の細部まで綿密に検討をいたさない段階で、そのうち一部の金を御用立てするというふうなこともままあるわけでございまして、第一回に融資申し上げたときの工事費は、そういう意味である程度精密を欠くというふうなことはあるのではなかったかと存ずるわけでございます。
  73. 堀昌雄

    ○堀委員 それはどんな工事だって多少はありましょうが、最初の計画の二・五倍になるような——それは単に、偶然山のところに何かがあったということだけで解決のつく問題ではないと私は思うのです。それと、いまお伺いしておってちょっとわからないのは、今日まで開発銀行に対して、四年間たって八百万円しか払えないものが、どうやって三年間に六億六千万円を払えるのですか。都市銀行に対して当時約十二億円借り入れ金があったと思うのですが、現在この借り入れ金に対する利子は年間一体幾らになるのですか。その上に、あなたのほうで簡単に、三年間に六億六千万円払うんだなんというようなことをそのまま聞いて、あなた方はああそうですかと言って、都市銀行と協調の話をしているのですか。もう少しあなた方はきちんと詰めたことで言ってもらわなければ、私は了承できませんよ。一体、この会社が月間にどれだけの収入があって——あなたのほうのいまのお話では、累積赤字が五億円ないし六億円あるというお話です。その五億円なり六億円の累積赤字が前のほうにあって、現在はどんどん黒字です、そして三年間に六億六千万円返すというが、六億六千万円ということは、年に二億二千万円ずつお返ししますということですが、その返すやつ以外に金利は払わなければいけないのでしょう。それでなおかつそういうことで可能なのかどうか、この話は、最初から現在に至るまで全くずさんですよ。政府関係金融機関として、これほど国民をばかにした融資の態度はないし、その後の監督もきわめて不十分だと私は思う。どうですか。
  74. 平田敬一郎

    平田説明員 本件につきまして、私、最近の状況を実は堀委員の御質問前に十分点検する機会がなかったのでございますが、おそらく担保も十分取っておるかと思います。返済の資力もあるんじゃないかと思います。至急大阪支店に命じまして、少なくとも延滞を早急に解消するようにベストを尽くしてみたいと思いますので、もうしばらく成り行きをごらんおき願いたいと思います。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 まだ私ども開発銀行の法案については金曜日まで審議の期間がありますから、ひとつそれまでに最近における年次別のこの会社の収益状態、そうして、今後、はたして、いま理事がおっしゃった三年間に六億六千万円がほんとうに払える見通しがあるのかどうか、国会でそういう答弁をなさった以上、これはかなり権威のあるものとして理解せざるを得ないわけですから、それがさらに払えないというようなことになったら、これは私重大な問題だと思うのです。だから、その点は特に考えておいていただきたいと思うのです。開発銀行の総裁にちょっとお伺いをしたいのは、このような例がたまたまここへ一つ出てきましたが、まだ相当その他にあるのではないのか。これを現状段階において、このようなかっこうで焦げついておる開発銀行融資を一ぺんリストにして出してもらいたいと思う。これはわれわれ大蔵委員会として、少なくとも国の機関であるところは——民間金融機関にも私は問題もあろうと思いますが、特に国の金融機関ですから非常に問題がある。そこで、その他の例について、ひとつ一覧表を当委員会に御提出願いたいと思います。
  76. 加藤悌次

    ○加藤説明員 ちょっと先ほどの答弁を補足させていただきたいと思いますが、三年間に六億六千万円ばかりの返済の申し入れということを申し上げましたが、先生指摘のように、はたしてそれが可能かどうかという問題は、実はあるわけでございます。そういった点を含めまして、実は三月に入って十日に二回目の金融機関の会合をやるわけでございますが、関係金融機関も集まりまして慎重に検討しよう、こういうことになっておるわけでございます。それをそのままにこちらは信じておるということではございませんので、念のために申し上げておきます。
  77. 平田敬一郎

    平田説明員 延滞のリストという御要求でございますが、これは、いつも申し上げておりますように、実は会社と銀行との信頼の関係もありますので、個別的にこういうものについてということでございましたら、よく考えまして御説明申し上げるつもりでございますが、一覧表をお出しすることは差し控えさせていただきたい。なお、会計検査院からは毎年実は延滞状況については特にいろいろ見ていただいておるような次第でございますし、リストを出すということだけはごかんべん願いたい。しかし、特に何かこういう会社にということでございましたら、これは必要に応じまして御説明するようにしなければならぬ、こう思うのでございます。
  78. 堀昌雄

    ○堀委員 たまたま私がこの芦有開発の問題に気がついたから、ここでこういう議論が出たわけです。もしこれが私が気がつかなければ、現実にはこういうことはわからないで済んでいるわけです。だから私は、個別の企業の名前をつけて出していただきたいとは申しませんけれども、少なくとも、Aという企業は、いつ、どれだけのものを主としてどういう目的のために貸したけれども、現在は貸し付け残高がこうで、延滞はこれだけだ、そういうふうに、匿名というか無記名というか、その名前は要りません。要りませんけれども、少なくとも、どれだけの企業がどのような形で延滞になっておるかはわれわれ承知しない限り、簡単にこの法案を通すわけにいかぬ。片方ではそんないいかげんなことが行なわれておるのに、ワクを広げて、そういうことを助長するかのような片棒をかつぐわけに当委員会としてはまいらないと思いますので、その点については、個々の企業の名前はけっこうでございます。しかし、現状としてこのような——多少のことはよろしいですよ。これはむちゃくちゃな延滞ですよ。一億円貸して、四年も五年もたってようやく八百万円しか払ってないなんということは、そういうでたらめなものがほかにも相当あるのではないかという心配を私どもはいたしておるわけでありますので、その基準その他については、また後ほどお話をしてもよろしいけれども、少なくとも私は一応リストを出していただきたいと思います。
  79. 平田敬一郎

    平田説明員 別途に堀委員によく御説明申し上げたいと思いますが、業種別を細分しまして何か作成させることができるかどうかよく検討いたしまして、お答えいたしたいと思います。
  80. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの件につきましては、委員長のほうにおいてもひとつ善処方を要望いたしておきます。  そこで、次は建設省のほうにお伺いをいたしますけれども、実は私がこの問題に気がついたのは、最初に申し上げましたように、インターチェンジの土地を一方的に収用委員会にかけて、そこに大きなインターチェンジをつくって、その奥地の住宅地開発をしたいということで、この芦有開発が土地収用法に基づいて収用申請をした、こういうところに端を発しておるわけです。しかし、これほど借金があって、開発銀行から借りておるものすら返せないようなものが、土地を収用して、さらにそこに膨大な経費のかかる自動車専用道路のインターチェンジをつくる。大体、インターチェンジをつくるというのは、いまの常識からしまして、自動車専用道路の場合は普通でもどのくらいの費用がかかるのですか、これは一つの例として、大体の見当ですね。
  81. 志村清一

    ○志村政府委員 お答えいたします。  インターチェンジの中でも、非常に大きなもの、小さなもの、いろいろあるわけでございますが、当該芦有道路の事業計画の中に含まれているインターチェンジの費用でございますが、ちょっと手元にいま資料がございませんので、はっきりとしたお答えができないことを残念に思っております。
  82. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと電話で問い合わせてくれませんか。これはやはりいまのことに非常に重大な関係があるものですから。私は二百万円や三百万円でできるものではないと思う。これだけのインターチェンジは少なくとも四、五千万円かかるのじゃないか。よそで借りた金を七年も払えない者が、何千万円もかかるインターチェンジをつくると称して他人の土地を収用法にかけて取り上げようという考え方は、私は全く違法の措置だと思うのです。だから、この点については、私はいまちょっとお調べを願って、やはり金額を明らかにして、そうして、現在のこの企業が能力もないのに他人の土地を土地収用法にかけるというような収用法の乱用については、私は十分警告をしなければならぬ問題だと思うのです。私どもは、公共の目的のために土地収用法が行なわれることについては賛成です。しかし、このように、一営利事業のために、開発銀行をじょうずにごまかして金を借り出したり、そうして、借りた以上、今度はなかなか払わなかったり、そういう事実の経過のある中で、さらに他人の土地を収用法にかけて二束三文で取り上げて、そうしてその取り上げた土地は、それではすぐそこにインターチェンジができるか、金がなくてできもしない者が計画を立てる。私はこの問題に関するケースについては、昨年予算委員会及び建設委員会でやりましたけれども、もう違法の企てと言わざるを得ないのでありまして、私はこの点は全く納得ができません。  そこでいま一つ、御連絡をいただいてわかるまでちょっと待ちますが、開発銀行の総裁にお伺いしたいのは、この問題はこれでよろしい。よろしいというか、今後処置をしていただきますけれども、これに類似したような問題がほかにあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。こういう観光道路と目されるもの、最近非常にあります自動車専門道路、そういうものに一体ほかには貸し出したことはないのかどうか、この点をちょっと明らかにしていただきたいと思う。
  83. 平田敬一郎

    平田説明員 東京付近それから京都付近でございますかに、観光道路と申しますか、開発道路と申しますか、そういうものに貸し付けた例があるかと思います。たしか、この道路は一番初期に融資したのではないかと記憶しておりますが、しかし、その後、その他の道路融資につきましては一定の基準を設けまして、その基準に該当するものだけを取り上げるということにいたしておりまして、特に資金の回収等につきましては、増資、経営者の適否等をよく見まして、遺憾なきを期することにいたしております。延滞になっている会社はないと思いますが、なおこれもよく調べてみたいと思います。
  84. 加藤悌次

    ○加藤説明員 現在まで自動車専用道路につきまして融資をいたしておりますのは七件、金額にいたしまして十五億円ばかりございますが、本件以外にはまだ延滞はございません。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 いま延滞のほうはないようですが、いずれもこれは、さっき最初にお話になった地方産業の開発に関係があると称して融資がされておるのでしょうか、それとも、もう割り切って観光道路として融資がされておるのでしょうか、これはひとつ個別に一ぺん出していただいて、実際にそうかどうかは、ただいまのこの例から見ても明らかなように、産業と無縁でありながら観光道路に開発銀行融資をしておるということでは、われわれ適正ではないと思う。観光施設については、先ほど私が申し上げたように、三十四年の閣議決定は、外貨獲得に特に顕著にして確実な効果のある国際観光施設、こうなっているわけですから、この点とにらみ合わせて、いまルールをおつくりになったという総裁のお話ですが、そのルールをちょっとここで言っていただけませんか、どういうルールになっているのか。
  86. 加藤悌次

    ○加藤説明員 融資対象としてどういう自動車道を考えるかという点につきましては、三つ大体考えておりまして、そのいずれかに該当すればいい、あるいは、対象によってはその二つに該当するというのもあるわけでございますが、第一点は、産業基盤の充実強化及び後進地域の振興開発に貢献する、その次に、第二といたしまして、国際観光重点地域内にあって重要な国際観光ルートを構成するもの、それから第三が、大都市交通緩和のため都市計画道路として決定されたもの、以上の三つのいずれかに該当すれば対象になる、こういう基準でやっております。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの都市計画道路ということになれば、これはおそらく建設省とも御相談になってのことでしょうから、これは項目として問題がないと思います。国際観光地域にあってその観光のあれを高めるという、これは私ちょっとひっかかる点があります。それから、最初の産業基盤の充実はいいのですが、後進地域の開発なんというのは、これはきわめて抽象的なことばであって、ほんとうにこれが開発に役立つのか、さっきのように、特定の温泉のために役立っても、これは後進地域の開発ということになりかねないわけですが、その点は、後進地域の開発ということは、ほんとうの、私どもが常識で考えられるようなことになっておるのかどうか、その点は、いまの第一項は、産業基盤の充実でなしに、後進地域の開発に役に立つということであればそれで通るということになれば、その後進地域の開発というのは、さっきの問題と非常に似てくるわけですが、その点の解釈はどういうことになっていましょうか。
  88. 加藤悌次

    ○加藤説明員 お答えいたします。  先ほど来申し上げておりますが、国際観光の見地から国際収支改善に寄与するものというのは、例としてはそう多くはない、したがいまして、自動車道を考えます場合に、地域開発的な見地からいたしまして、やはり産業の基盤でございます道路、まあ、基幹的なものは公共事業として当然やられるわけでありますが、必ずしもてん補その他から見て十分でないという場合に、その道路のできることによりましてその地域の産業開発が非常に進む、その一環といたしまして、観光の面についても非常に貢献するというふうなことがございますれば、これもしんしゃくの一つのポイントにはなるというふうな感じでいままでは行なっておるわけでございます。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 具体的にお伺いしなければ、これは議論ができませんからあれですが、ちょっといまの三つというのは、そうすると、自動車専用道路であって観光目的にもかなっておるもの、こういうことでしょうか。
  90. 加藤悌次

    ○加藤説明員 観光目的にかなっておるかどうかということは、先ほど申し上げましたが、重視はしておらない、むしろ産業開発にどの程度貢献するであろうか、あわせて、結果的に見ますと観光の開発に役立っておるというものも非常に多い、こういうことでございます。
  91. 堀昌雄

    ○堀委員 総裁、いまの分は延滞もないようですから、この会社の名前をお出しになっても問題はないと思うのですが、これは、いま特に産業基盤の充実、後進地域開発のほうに比重がかかっておるためにお認めになった道路だろうと思うので、私どもが見たら、それがはたしてそうなのかどうか、ちょっとわかりませんが、いまの道路の名前をちょっと出していただけないでしょうか。芦有道路までここに出したのですから、どういう道路がその対象になっておるのか。
  92. 平田敬一郎

    平田説明員 個別的のお話は、実は別途に申し上げてもいいかと思いますが、いま加藤理事説明しましたような基準と、それから、道路の規格でございますか、長さ、それから、それが主要道路とどういうふうに結びつくことになっているか、その結果、道路利用がその後どういうことになり得るかということにつきましても、実は建設省なり運輸省とよく打ち合わせまして、打ち合わせができたところで、相当ルールをつくりまして、それで運用しているように記憶いたしておりますので、個別的な点につきましては、別途にあれさせていただきたいと思います。
  93. 堀昌雄

    ○堀委員 加藤理事にお伺いしますけれども、そのことはあとにしますが、ここの芦有のような例は、その他にはありませんね。
  94. 加藤悌次

    ○加藤説明員 現在のところは、先ほど申しましたように、延滞はないわけです。
  95. 堀昌雄

    ○堀委員 延滞じゃなしに、ペテンにかけられたような……。
  96. 加藤悌次

    ○加藤説明員 そういうふうなものはございません。
  97. 堀昌雄

    ○堀委員 建設省、さっきの件連絡つきましたか。——いま金額がわからないからあれですが、建設省としても、府県に置かれておる収用委員会に対して指導するといいますか、あまりにも適当でないそういう土地収用の申請については、それは取り下げたらどうかという指導というようなことはできないのでしょうか。私、これをつぶさに見ておりまして、この問題はどなたがごらんになっても.あまりに常識と離れておる。昨年建設委員会でやりましたときにも、建設委員の与党の皆さんも、全くこれは想像以上だというお話でございましたが、本日、私がここで議論をしておりまして、おそらく与党の委員の皆さんも、そういうことが適法な収用とは考えておられないと思うのです。ですから、私は、一つのそういう政治上の常識の範囲については、建設省として収用委員会に対して、一応この問題は収用の却下をして、あらためて経済能力がちゃんとできて、十分に収用ができて、収用してもなおかつ工事が可能だという時点に再度行なわせるべきことではないのか、こう考えますが、建設省側としての見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  98. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほどのお尋ねでございますが、ただいま調べておりますので、正確なことを申し上げられないのでございますが、収用を予定している駐車場、インターチェンジの面積は大体七千八百坪と記憶いたしております。そういたしますと、ちゃんとしたインターチェンジなり駐車場をつくるとすると、おそらく七、八千万円くらいかかるのじゃなかろうかと思います。もっとも、工事の内容等によって変わりますので、正確ではありません。ただ、この問題につきまして、現在収用委員会で起業者と土地所有者との間でいろいろ調停をしようという動きが出ておりますので、この七千八百坪全体が、先生のおっしゃるインターチェンジなり駐車場になるかどうか、この規模が小さくなりますと、おのずからお金も少なくて済むということになろうかと存じます。  また、お尋ねの件でございますが、今回の事業認定は、実は知事の事業認定ということになっておりまして、知事の事業認定に基づきまして、裁決の申請を収用委員会に申し出て、ただいま収用委員会で審議中ということでございます。事業認定をいたす場合に、先生のおっしゃるとおり、事業の施工能力があるかどうかというのが非常に大きな問題でございます。当初事業認定をいたしましたのは三十五年の暮れかと存じますが、そのときにおきまして、施工、完成する能力ありと知事側が判断して事業認定をいたしたものと推定いたしますが、その後、ただいまお話のございましたようないろいろな問題があろうかと存じます。一般論といたしまして、破産をするとか、とうてい実現が不可能だというような場合になりますと、起業者、申請者のほうから事業認定の撤回と申しますか、さような措置を講ずるほうが適当だと私は思います。  次に、そういうことがなく、どうしても自分がやるんだということで、たとえば、収用裁決になった場合でございますが、これまた先生承知のとおり、収用法におきまして、いついつまでに払わなければならぬという規定がございます。もし払わなかった場合には、その収用裁決は無効になりまして、全然もとのとおりになるという規定がございます。また、土地を買う金だけはあったという場合がございます。土地を買う金があったので、収用が成立した、しかし、その後、工事費がなくて事業にかかれなかったという事態もあろうかと存じます。そのような事態に即応しまして、同様に土地収用法の中では、収用しましてから五年間事業の用に供しなかった場合にはもとの土地の所有者が買い戻し権を行使できる、そうして安い値段で買い戻しが可能であるという制度になっております。ですから、これらの制度なり運用を十分にやっていく必要があろうかと考えておるわけであります。
  99. 堀昌雄

    ○堀委員 お話のようなことですけれども、いまのように、収用して取り上げてから五年もほっておく、その五年はちょっと長過ぎるのではないかと思うのですけれども、五年たたなければ買い戻し権がないというのも、私は問題があろうかと思いますし、この問題については、さらにもう少し開発銀行のほうで調査をなさるということでありますから、あらためていろいろな調査をなさって、今後の見通しが明らかになった時点で、もう一回当委員会で取り上げさせていただくことにしまして、本日はこの程度にいたしますけれども、特に私、総裁にいまお願いをしておきたいことは、開発銀行というものの任務は、さっき、きびし過ぎるくらいにおやりになっておるということですが、そのきびし過ぎるということが、こういうものにはあまりきびしくなくて、一例をあげますと、甘蔗糖の精製工場というようなものが国内にある。そういうようなところの設備投資その他のワクはなかなかきびし過ぎるほどきびしくて、これこそまさに日本の産業開発の一つの有効な方途であろうと思うようなところはかなりきびし過ぎるほどきびしいというようなアンバランスが現実に相当あると私は思うのです。  私は、いま一つ甘庶糖の精製工場の設備投資の問題に触れたわけですが、これらの問題は、地域的な開発にも非常に関係があるし、国内的にも、後進地開発と同時に、やはり産業開発という開発銀行法の定めるところに従っておる業種であると私は思いますが、そういう点についてはそんなにきびし過ぎるほどきびしくする必要はない、少しワクを拡大したらどうか、こんなふうに思いますけれども、総裁、いかがでしょうか。
  100. 平田敬一郎

    平田説明員 審査にあたりましては、実はそんなに特殊扱いしたつもりはないと私記憶しておりますが、むしろ新規な融資案件でございましたので、いろいろな角度から審査したのじゃないかと思いますが、その当時予想していたものとだいぶ狂いが出てきたのじゃないかと思う次第でございます。たくさんいろいろな新規事業を私どものほうで審査してやっておるのでございますが、やはり、たとえば道路公団あたりでつくりましたあとでも、利用度と申しますか、そういうものがどうなるか、これは実際問題として、特に初期の段階にはなかなか予想どおりにいかない。しかし、それにしましても、この案件は相当予想よりもはずれが多かったのじゃないかと思っておりますので、その辺、反省の意味でもさらによく検討してみたいと思っておりますが、新しい事業になりますと、審査と判断がなかなかむずかしいケースがございまして、私どもベストを尽くすつもりでやっておりますが、たまには予想はずれのものが出てくるといったようなケースが絶無とはどうも言いかねるという状態でございます。しかし、ますますそういうものについては慎重な審査なり判断を加えまして、誤りないように今後ともいたしてまいりたいと思います。  それからもう一つは、甘蔗糖の話でございますが、これは奄美大島の件だといたしますと、私どもの地方開発の中でも奄美大島の甘庶糖は非常に重視いたしております。ただ、御指摘のとおり、何しろ国際的に見ますと相当高い価格になっておりますので、農林省なり政府のそれを前提とした一種の保護政策、これが一番ささえになっておりまして、そういったようなことも加えまして、できるだけ能率よく工場が動きまして、そして赤字で問題を出すことがないようにつとめてきております。私の記憶では、たしか奄美大島に五つか六つ、あるいはもっと多いかもしれませんが、各島ごとに一つずつ、あるいは一つの島に二つか三つあったかもしれませんが、融資をいたしまして、ごく最近向こうから言ってきた報告を聞きましたが、最初予想したのよりもうまくいっておる工場がある、しかし、なおまだなかなか確実な長期見通しをつけかねている工場もあるようですから、それぞれ工場別に適切な調査あるいは指導等も行ないまして、うまくいくようにいたしたい、そうして、今後ともそういったような見地に合います限りにおきましては、何しろあれは奄美大島の非常に重要な特産物でもございますし、一番利益を受けるのは結局農民でございますので、そういう見地から考えまして、地域開発、地方開発の中でも重視する項目として取り上げてまいりたいと存じております。
  101. 堀昌雄

    ○堀委員 それでは、さっき要求をいたしました資料は、委員長委員会にひとつ提出をしていただくというふうに御了承をいただいて、自余の問題については、ひとつ開発銀行のほうでこの案件についての調査を十分にしていただいて、その時点でまた取り上げさしていただくこととして、本日の私の質問は、これで終わります。
  102. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 この際、昨日有馬委員の質問に対して答弁を留保されました件について、藤井大蔵政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。藤井大蔵政務次官
  103. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 昨日当委員会で、在外邦人の子弟教育につきまして、きわめて理解ある御熱心な有馬委員の御意見がございまして、それに対して後刻調査して御報告を申し上げる、こういう点がございますので、この機会に実情を御報告さしていただきたいと思います。  在外勤務者の子弟の教育につきましては、昨日もるるお話がございましたし、私もそのときにいろいろ御答弁申し上げたわけでございますが、昭和三十四年におきましてバンコクに小学校を設けて以来、まず第一の問題は、邦人が外国にあって子弟の教育をどうするか、この問題につきまして、いま申しましたとおり、バンコクをはじめといたし、小学校の教育施設を設けておりまして、昭和四十一年度、本年度は六カ所設けることにいたしまして、香港、シンガポール、クアラルンプール、カルカッタ、ボンベイ、コロンボ、こういうふうに施設を飛躍的に増加いたしました関係から、これに要する経費といたしまして、ことしは八千三百万円、去年が四千三百万円でございまして、四千万円の経費増加、こういうことで、積極的に手当てをことしはいたしております。それから、これを裏づける文部省関係の教官の派遣も年々増加いたしまして、ことしは三名教官の派遣を増す、こういう裏づけをやっておるようでございます。また、親たちが海外に勤務しておって、内地に残っておる子供の教育環境、落ちついた環境で勉強さす、こういったことのために、ことし在外邦人子弟寮という寮を設けまして、国内にこれを建設をして、海外で親が働いておる子供たちが落ちついた環境で勉学にいそしむことのできるような施設を設けようと、二カ年計画でことしから始めました。内容を簡単に申し上げますと、経費は約八千三百万円でありまして、三分の二を国が出す、三分の一は自己資金でやってもらう、こういうことで、約一千坪ばかりの敷地も予定いたしておりまして、二カ年計画でこれが完成をいたす、そして、大体、今後の在外邦人子弟教育につきましては、高学年の者、すなわち高等学校以上の子弟は原則として国内で、低学年、すなわち小中学校の子弟は親とともに現地で教育を受けさすように持っていこう、こういうことで、在外勤務者が安心して働いてもらえるように子供の教育の体制を整える、こういうことになっておるわけでございます。なお、去年から東京学芸大学の附属大泉中学校に、子供の時分に長年海外で生活をした子弟がまた転勤で国内に帰りますと、ことばその他の関係で非常に不便を感ずる、こういうことに対して帰国子女教育学級というものを大泉中学校に設けまして、昭和四十年度からこれを実施するということで、三学級、定員十五名、こういうことで発足をいたしておるわけでございます。なお、海外勤務者の子弟教育の向上は、今後も充実整備をはからなければならない問題が残されておりますので、海外勤務者子女教育対策連絡会というのを定期的に開きまして、そしていろいろ問題点をその連絡会で協議をいたしまして、具体的に年を追うて整備していく、こういうかまえをもちまして、昨日お話のありましたような御意見に沿うて逐年整備をいたす、こういうことになっておるわけでございます。
  104. 有馬輝武

    ○有馬委員 非常に理解ある、そして実態に即した施設を考慮していただいている点について感謝いたしたいと存じます。  そこで、一つだけお伺いしておきたいと思いますが、今度計画されました二カ年計画のものについては、その収容人員がどの程度で、そしてその高等学校、大学、また小学なり中学なりの割合をどの程度考えておられるのか、それだけをお聞かせおきを願いたいと思います。
  105. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 収容人員は一応五十八名という予定にいたしておりまして、広さは、建て坪五百八十坪、こういうことで四階建てを予定いたしておるようでございます。これは、経営の主体は外務省の共済組合がこれに当たる。それで、高学年と低学年との割合でありますが、先ほどもちょっと触れましたように、原則として、低学年は親とともに海外で住まう、したがいまして、高学年すなわち高等学校以上の子弟を預かる、こういうことになっておるわけでございます。
  106. 有馬輝武

    ○有馬委員 外務省と文部省来ていますか。——それでは、委員長にお願いしておきますが、外務省で、現在、これは世界各国でありますが、在外公館にいる人たちの子弟が、高等学校以上が何名あって、それから現地の大学、高等学校に何名入っておって、そして日本で勉学したい者が何名程度あるか、それを各国別に資料として提出していただくように御配慮をいただきたいと存じます。  それと、開銀総裁に一言だけお尋ねしておきたいと存じます。  ただいまわが党の堀委員から全国的な視野に立って理解ある質問がなされ、それに対して、また的確な総裁からの答弁がありましたが、その御答弁を伺っておりますと、採算の面から甘蔗糖の生産についての答弁があったわけであります。苦境に立っておることは事実でありますけれども、この苦境に立った原因が、昭和三十八年の政府の世界の糖価に対する見通しの誤りからきておることは、これは開銀総裁も御存じだろうと存じます。当時、砂糖の自由化に池田内閣が踏み切りましたときには、農林省をはじめといたしまして、この異常といわれるほどの糖価が当分はこの状態で続くという見通しの上に立っての自由化が行なわれたのであります。私どもはそのとき、これはキューバのああいった事態と、それからソビエトその他におけるてん菜糖の干害によるところの減産からきた一時的な糖価の状態であって、これはもう一年か二年かでまた前の状態に戻るということを指摘したのでありますけれども、これに対しては、政府のほうで、そんなことはありません、こういうことで押し切ったわけであります。その結果が現在のような事態になっておることを御認識の上、先ほど堀委員から要望のありました、また質問の中で指摘されました、いわゆる甘蔗糖に対する優遇措置といいますか、資金ワクの拡大その他の点については、やはり国策の一環として、いま御答弁がありましたように十分な配慮をしていただきますようにお願いを申し上げ、その見通しについて、総裁のほうからお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
  107. 平田敬一郎

    平田説明員 私どもも、いま御指摘のとおりのような成り行きを経て今日に来たっておると存じておりまして、特に先ほど触れましたように、政府のこれに対する支持と申しますか、保護政策、これがぐらつきますと、なかなかうまくいかぬのじゃないのだろうか、その点を少しはっきりしていただきたいということをいつも政府に実はお願いをいたしておるわけで、そのもとに立ちまして、できるだけ工場等も集約化、大規模化等をはかりまして、サトウキビの値段が若干上がりましても、あと経営がうまく成り立つようなふうに持っていく、そういう角度でいきますれば、私は、長い目で見ますと、奄美大島の甘蔗糖は、必ずしも一部でいわれているように悲観すべきものじゃない、そういう判断で、今後ともできるだけのことを尽くしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  108. 有馬輝武

    ○有馬委員 いま開銀総裁から政府の指示に従ってということでありましたので、この点についての政府考え方を、もう繰り返して質問しなくてもお聞きになっておったと思いますので、お聞かせおきを願いたいと思います。
  109. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 ただいま有馬委員の御質問の、甘蔗糖の今後の生産体制の近代化のためのいろいろ金融面における手当ての問題につきましては、担当農林省の意見ももちろんよく徴しますが、積極的にこれが対策を講じなければならぬ、これは同時に沖縄の問題ともあわせ考慮すべき問題である、このように思っております。
  110. 有馬輝武

    ○有馬委員 終わります。
  111. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 永末英一君。
  112. 永末英一

    ○永末委員 開発銀行目的は、産業の開発を促進することが一番大きな問題でありますが、産業の中には生産部門と流通部門とありまして、その流通部門ないし流通施設に対する開銀融資方針、基準について伺いたい。
  113. 平田敬一郎

    平田説明員 開発銀行は、率直に申し上げまして、従来はあまり流通部門には融資いたしていませんでした。しかし、御承知のとおり、流通部門の近代化と申しますか、なかんずく大都市付近におきましては、大都市の再開発と関連いたしましてそういうことを行なう必要があるという方向に世論並びに政府方針がまいりまして、新年度から大都市再開発及び流通の近代化といったような、一つの小さい柱でございますが、柱を設けまして、その中でそういったような問題につきまして御要請に沿う考えでやっておるのでございます。大体、具体化はおそらくこれからだと思いますが、一応いま私どもの耳にいたしておるところによりますと、都市開発事業との関連におきまして、東京の近く、それから大阪の近傍ですか、そういったようなところに流通センターというものの計画があるようでございます。これはおそらくトラックなり交通施設を含めました一つの流通センターだと思いますが、そういったものが出てくるかと思います。それから、その次は卸問屋センターといったようなものがやはり二、三計画があるようでございまして、そういったものを取り上げていくことになるのじゃなかろうか。なお、さらにもう少し流通の近代化という面を特に重視しましたものといたしましては、ボランタリチェーンとよくいわれておりますような、少し新しいシステムを日本に導入するにつきまして、特にパイオニア的にやるものについて融資してほしいというような要請がございまして、来年若干の資金を用意いたしておる次第でございます。しかし、何しろ大部分は新しい分野でございますので、開発銀行といたしましても、できるだけ事前にさらに融資方針を定めまして、その方針に従いまして合理的と認められるようなものを取り上げていくという考えでございまして、目下その方針につきましては作成中でございまして、まだ完成しておりませんので、その趣旨だけを申し上げて、御説明といたしたいと思う次第でございます。
  114. 永末英一

    ○永末委員 私は、その大都市開発、再開発と申しますか、その点について伺いたいのでありますが、大都市のいま一番大きな問題は交通の困難ということであります。したがって、交通の困難というのは、ことに流通部門につきましては、道路の問題もございますし、自分たちの立地条件もございます。大都市の中で自分たちのそういう条件を変えるために融資するのか、それとも、それがその大都市の周辺に移って、そうして新しくそこにいま申されたようなセンターをつくる、そういう場合もあります。その両方ともに対してお考えかどうかを伺いたい。
  115. 平田敬一郎

    平田説明員 先ほど申し上げましたように、具体的な方針は、実はこれからさらに各省と相談しまして作成するつもりでございますが、いままで私どもサンプルとして伺っておりますケースとしましては、大体大都市の立地条件、交通条件が変わってきますので、その変わったことに応じまして、新しい道路ができるとか、そういったようなものに関連して立地して新しくできるというものがどうも大部分のようでございます。そのままの形でやり直すといったようなものも、あるいは状況に応じまして考えるに値するかどうか、少しその辺の具体的な問題になりますと、実はよく検討いたしまして、趣旨に沿うように運用してまいりたいと思っておるわけでございます。
  116. 永末英一

    ○永末委員 具体的な一例を申し上げますと、京都で室町というのは繊維問屋が集結しているところである。これは昔からの町並みでございますから、きわめて交通困難で、これが名神高速道路を利用し得るところへ一括して移ろう、こういう計画を三年前から持っておりましたが、その当時は、開発銀行はいまのような御方針がないためにこれは対象にならぬということでございました。問題は、土地造成のための費用、あるいはまた施設を建てるための費用、ちょうどいま総裁が申された大都市再開発なり卸問屋センターに適合しておるもの、これができるということになれば、おそらくはそのほかの大都市の同様の流通部門にも同様な計画が出てくると思いまして、こういう点について、いままだきまっていないというお話でありますけれども、御方針の中に組み入れられるものだとお考えかどうか伺いたい。
  117. 平田敬一郎

    平田説明員 いま御指摘の具体的なケースとしてここでちょっとお答えするわけにはまいらぬと思いますが、そういったようなものを問題にしておると申しますか、そういったものは考えておるカテゴリーの中に大体入っているのではないかと存じますが、ただ、その辺は、もう少し具体的な問題につきましてはよく調べ、さらに融資方針をどうするかということにも関連しまして、もう少したった上でないとあまり確たることを申し上げることができないのを恐縮に存じますが、そういったようなケースでございましたならば、それも検討の対象にいたしまして、方針をきめることにいたしたいと思う次第でございます。
  118. 永末英一

    ○永末委員 いつごろまでに大体固められる御方針か伺いたい。
  119. 平田敬一郎

    平田説明員 この問題は何しろ比較的新しい問題でございますので、まだいつまでということを申し上げかねますが、新年度に入りますと現実に動きが出てくるわけでございますので、新年度に入りましてからできるだけ早い機会に固めたいと思っております。
  120. 永末英一

    ○永末委員 新年度には実施したい、そういうお気持ちであると了承してよろしいか。
  121. 平田敬一郎

    平田説明員 来年度には、必ずできるだけ早い機会に方針をつくりまして、実施したいと考えております。
  122. 永末英一

    ○永末委員 終わります。
  123. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  124. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 速記を始めて。  次会は、明後十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十一分散会