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1966-03-02 第51回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二日(水曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 坊  秀男君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       岩動 道行君    大泉 寛三君       押谷 富三君    木村武千代君       小山 省二君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    地崎宇三郎君       福田 繁芳君    藤枝 泉介君       村山 達雄君    毛利 松平君       山本 勝市君    渡辺 栄一君       有馬 輝武君    小林  進君       佐藤觀次郎君    日野 吉夫君       平岡忠次郎君    藤田 高敏君       永末 英一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         大蔵事務官         (主計局次長) 岩尾  一君         大蔵事務官         (銀行局長)  佐竹  浩君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君  委員外出席者         日本開発銀行総         裁       平田敬一郎君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農業近代化助成資金設置に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第四一号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第四二号)      ————◇—————
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  農業近代化助成資金設置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。有馬輝武君。
  3. 有馬輝武

    有馬委員 昨日、二、三の点について農林省のお考えを伺ったのでありますが、本日は、開銀の問題がありますので、わずかな時間にしぼりまして、基本的な問題についてだけお伺いしておきたいと存じます。  私、この近代化資金について、農政局長に最初にお伺いいたしますが、近代化資金補助金との関連についてであります。きわめて抽象的でありますけれども、私は、農林省補助金類項別に見まして、きわめて多岐にわたっておって、その効率等について疑問を持たざるを得ないものが相当あるのではないか。といいますのは、過去にあったからということであげられておるものが相当残っておって、むしろ、これは期間の問題もありますし、また、補助率の問題もありますが、やはりこれを統一し、整理して、効率的に運用されるような方向で再検討すべき時期に参っておるのではないかと思うのでありますが、この点について、農政局長としての御見解をお聞かせ願いたいと思うのであります。
  4. 和田正明

    和田(正)政府委員 一般的に補助金整理をすべき時期ではないか、こういう御意見でございますが、御承知のように、農林省いろいろ局がございまして、必ずしも私が補助金行政全般を総括しておるわけではございません。すでに新聞紙上でも御承知のように、四十一年度の予算編成につきましては、ある程度効果の終わりましたものについては整理をしていくという考え方でやっておるつもりでございます。
  5. 有馬輝武

    有馬委員 次に、桧垣さんにお伺いしたいと思いますが、昨日お伺いいたしましたところ、草地改良面積について、三十九年度までに造成されたものが十二万三千ヘクタールで、四十年度の造成面積見込みで二万六千ヘクタール、十四万九千ヘクタールの累積になっておりまするけれども、現在の肉用牛飼養頭数需要、この関連を見ました場合に、草地一つ取り上げてみましても、対策がきわめておくれておったのではないかということと、いま一つは、きのうも指摘いたしましたけれども、その飼育に対して現在のような形態では、これは頭数その他をよほど考慮しないと、グリーンレポートでも指摘されておりますように赤字が出るということでは、増殖センターを七つくらい設けたりしたくらいでは、なかなかこれは解決しない根本的な問題が残っているように見受けられるわけであります。この点について、現在の需要を一応まかなうためにどのような長期計画肉用牛に限り立てておられるか、その展望と具体策についてお聞かせいただきたいと思うのであります。
  6. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 現在、御承知のように、肉用牛生産頭数を上回りますような屠殺が行なわれて、いわば自然の食いつぶし現象が進行しておるという段階でございまして、私どももこの状態を放置するわけにはまいらないということで、四十一年度から本格的に肉用牛対策と取り組みたいと考えておるわけでございます。従来の肉用牛生産あるいは肥育は、御承知のように、非常に零細な形で、数多くの農家が、副業ないし従属的な農業部門一つとして経営してまいったわけでございます。でございますので、お話のように、肉用牛のための草地改良造成というような事業は、そういう経営形態と結びつかないという事情もありまして、ほとんど進んでいないのでございます。現在まで約十五万町歩程度の牧野の改良が行なわれてまいりましたのは、ほとんどが酪農基盤のために開発をされてきたという性格のものでございます。今後、私どもとしては、肉用牛生産については、酪農のような良質飼料一点ばりの粗飼料給与する必要は必ずしもない。しかし、野草なり、農場残津等にのみ依存いたしますことは、産肉能力その他の経済効力の面でも適当でございません。良質飼料野草利用とをかみ合わせた飼料給与形態に応じて、草地等基盤造成を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。そういう観点から、四十一年度からは、野草地利用施設に対しまする助成や、それから、重放牧等による蹄耕法導入に対しても助成をするというととも考えてまいっておるのでございます。一方、肥育段階では、これは相当の良質飼料供給する必要がありますので、既耕地における飼料作物緊急作付増産対策に対しても、四十一年度から、肉牛対象とする、肥育牛地帯対象とするということを取り上げてまいっておるのでございます。  そこで、将来の計画の問題でありますが、私ども土地改良長期計画の中で、いわゆる良質飼料供給基盤となるべき草地造成につきましては、五十年度までに約四十万町歩草地改良を実施する、それから一方、その時期、五十年ごろまでには、既耕地における飼料作物作付面積をほぼ百十二万町歩程度増大をしていく、そういう計画をもちまして施策を進めてまいりたい。その中で、肉用牛及び酪農という草食性動物給与は、理想的な給与水準に達するようにつとめたいというふうに考えておるわけでございます。これを肉用牛には幾ら乳牛には幾らというふうに、さい然と区別することは技術的にも問題がありまして、それほどこまかく分けてないのでございますが、五十年度における肉用牛飼養頭数を二百五十万頭程度にまで回復するように増産をいたしたいという前提を持っており、また、乳牛については、約二百九十万頭程度飼育頭数に達するようにいたしたい、こういう前提で、給与の基準から見まして理想的な形まで持っていきたいという考え方を持っておるわけでございます。
  7. 有馬輝武

    有馬委員 たとえば、近代化資金助成法の二条の第三項では、その対象としまして畜舎その他についても入っておるわけでありますが、私は、いま述べられました計画、たとえば、四十六年ごろには御指摘のありました退潮期から回復期に向かう、その間にどういう形での飼育をさせるのか、そこら辺について、いま少し具体的なプログラムといいますか、それをお聞かせ願いたいと思うのです。目標としてはわかるわけです。しかし、はたしてそれが可能であるかどうかということになると、多大の疑問を持たざるを得ないわけです。  いま一つは、これは現在まで乳牛に力を入れてこられた点についてはわかるのですけれども乳牛に力を入れるからといって、肉食牛について見通しが立ってなかったはずはないのでありまして、そういう点の、一方をやれば一方が手落ちになるというような畜産行政あり方というものは、おかしいのではないかと私は思うのです。(「そうだ」と呼ぶ者あり)そういう点についてお聞かせ願いたい。といいますのは、いま山中君からやじが入りましたけれども、しろうとの山中君が畜産組合長にならなければならないほど、日本畜産行政というものはどうかしておるのでありまして、そういう意味で、やはり農林省一つ計画に基づく指導というものがなければなかなか——きのうも豚のことを申し上げましたけれども、なかなかついてこないのじゃないか、このような感じがいたしますので、ひとつお聞かせ願いたいと思います。山中君は、いまはくろうとになっておるかもしれませんから、これは失言を取り消しておきますが、そういう意味でひとつお聞かせいただきたいと思います。
  8. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 後半の部分からまずお答えをいたします。  肉用牛対策というものが酪農対策振興に比べておくれておったではないかということでございますが、その点は率直に私どもも認めざるを得ないと思います。なぜ認めたかは、陳弁をいたしますと長くなりますが、少なくとも、肉牛生産構造変化需給関係の変動という中で、肉牛につきましては、酪農と異なりまして、生産なり飼育なりあるいは食肉の流通なりという関係が、経済的な一つ関連を持って動いておるというような関係がしばらくなかったわけでございます。そういう肉牛ないし食肉需給構造生産構造というものが、新しい方向と認められるに足るだけの一つの機運の醸成がなされていないという段階では、確かに、農林省肉牛対策に手を出すこと、あるいはそれについての見通しをつけることに非常にちゅうちょをいたした時期があったわけでございます。そういうことから、肉牛対策についてその発足がおくれたということは、私は認めざるを得ないと考えます。  それで、今後の問題でございますが、目標としては理解ができるが、それの実現手段いかんということでございますけれども、まず、現段階肉牛振興に手をつけるべきことは、肉牛生産、つまり、子牛生産というものをふやすという以外には手がないわけでございます。子牛生産をふやそうとするためには、子供を産む雌牛を確保する、その屠殺を防ぐということから始めなければいけない、そういう考え方で、私ども当面の肉牛対策の重点を繁殖育成部門に置いておるわけでございます。肉牛生産なり肥育過程を通じまして、従来最も経済的に採算の悪かったものは子牛生産段階でございます。ただ、最近におきまして、肉の価格上昇肥育牛価格反映をするようになり、肥育牛価格上昇子牛価格上昇反映をするようになる、いわば、そこで新しい肉牛生産構造方向が出たように見受けられるわけでございます。ともかく、そういう段階でございますので、私は、子牛生産について、ある程度公的な機関が社会的なつながりを持ってそれに刺激を与えていくということがまず第一であるということで、四十一年度の繁殖センター設置の問題なり、あるいは繁殖牛の農協による共同導入の際の利子補給助成というようなことを考えたわけでございます。  今後の農業の種々の条件の中で、新しい肉牛経営の形というものを考えますと、それぞれその地域における条件によって変化があるわけでございますけれども、私ども考えとしては、急速にそういう形をつくることは困難にいたしましても、繁殖地域については、おおむね繁殖牛五頭程度経営をもって複合的な農業経営の一環として組み立てる、肥育段階では、良質飼料給与条件がある限りにおいて、十五頭程度肥育牛を持たせるというようなことで、今後の肉牛生産あり方としては、農家飼育戸数がふえるということを期待することなく、ほぼ、農業経営の中で経営部門として相当のウエートを持った肉牛生産なり肥育経営というものを育成をしていくという考え方に立って指導をしてまいりたい、その思想は、農業近代化資金制度運用の上でも、また、別に用意をいたしております農林漁業金融公庫における畜産近代化資金というものの運用においても、そういう考え方を持って進めてまいりたいというふうに思っております。
  9. 武藤山治

    武藤委員 関連。  いまの農林省肉牛のことですが、大体二年間はいまの肉の需給関係というものの状況は変わらぬ、こう見ていいでしょうね。というのは、農林省はまことに怠慢であるし、計画がずさんであるし、この問題は大失敗をした。なぜなら、豚の場合なら、豚は足らぬといって大騒ぎをして、大体半年たてばどんどん豚は肉になってくるのですよ。腹の中に入っている時間は、豚は三・五カ月でしょう。そして、八頭も十頭も豚はできるのです。しかも、六カ月たてばもう肉になる。ところが、牛の場合はそうはいかぬですね。牛の場合はどういうことになりますか。腹の中へ入っている月数から、出て、育って食えるまでの期間、どういう認識をしていますか。
  10. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 肉牛生産増大をはかるということはきわめて時間のかかる問題であることは、牛の繁殖生理観点から見て当然のことでございまして、わが国の牛だけが繁殖能力が低いというわけではございません。大体、種つけするまで育てますために、少なくとも二十四カ月かかる、それで、種つけをして分べんまでに約一年かかる、それが肥育されて、短期肥育をいたしましても、十八カ月ないし二十四カ月かかる、したがって、どんなに早くても、四年ないし五年の後でなければ肉牛増産ということはできません。これはわが国だけでなく、世界共通現象でございます。
  11. 武藤山治

    武藤委員 そういうことがわかっておりながら、なぜこういう事態になったかという根本を説明しなければいかぬ。あなたのいままでの答弁では、それを説明しておらぬのですよ。その根本は何かといえば、やはり飼料ですよ。百姓は、えさが高くて、子牛を育ててみても、一年間も飼って、売ってみると、もうけが一頭で一万二千円か一万三千円にしかならぬのです。これじゃ、牛を真剣に飼おうという百姓はふえませんよ。いま農林省計画では、一軒で十五頭あるいは十二頭、多頭飼育をさせよう、そして、二年半なり三年後には、輸入を減らしても、何とか需要に間に合うようにしたいと考えているらしい。しかし、それは飼料対策考えなかったら、これもまた机上のプランで終わりますよ。牛を飼ってみたものの、百姓もうけがなければまたやめます。いまから三年前はそういう状態だったのです。子牛を飼っても、とてもこれは手間ひまに合わぬ、こんなのはやめたほうがいい。——いまの状況はどうですか。乳牛をみんな食っているのですよ。北海道の乳牛子供家畜市場は買ってきて、これを売り飛ばして、肉にしている。ところが、酪農子牛を買ってやったのでは、えさをたくさん食って、とてもこれまた合わない。くそを見ればわかるでしょう。黒い牛のくそはこんなに小さい。乳牛のうんこはこんなに大きい。黒牛のほうがいかに消化がいいか、これでわかる。ところが、いま酪農の牛をみんな殺して食っているのですから、このままいくと、やがては、農林省は今度は乳牛が足りなくなる騒ぎになると思う。肉牛を一生懸命増産しようとしている間に、今度は酪農のほうの子牛をみんないま殺して食っているのだから。そういうずさんな農林省計画というのは、全くなっておらぬ。これは、農林省はやはりもっと真剣に飼料のことを考え農民幾らの所得になれば、なるほど今日の社会環境で牛を飼うなという最低生産費をもっときちっと出して、農民が投げ出さないような酪農とか、肉牛対策もやらなければだめです。農林省、そういう根本策を持っておったら、青写真を説明してみてください。
  12. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 肉牛が減少いたしてまいりました事情の一端を先ほど申し上げたのでありますが、現象的に見て、子牛生産頭数を上回る屠殺をして、資源的に食いつぶしてきた。なぜそういうことになってきたかといえば、肉牛生産構造として、従来日本肉牛というのは、御承知のように、役肉兼用牛として育成をされて、それに肥育過程を経て、肥育牛として出荷される、いわゆる野あげ牛方式をとってきたわけであります。これが動力耕運機、トラクターの導入によって、役牛の必要性がなくなってきたということから、子牛に対する需要が激減をいたしたわけでございます。したがって、三十五年から三十八年、三十九年の前半に至りますまで子牛価格が非常に低迷を続けたわけでございます。これが子牛生産の意欲を落とした。一方、国民経済の発展に伴います食生活の高度化ということで、肉類全般需要が伸び、牛肉需要も伸びてきた。そこで、役用として導入しました農家飼育牛というものをプールして、そこからの供給分だけにたよって牛肉供給が続けられてきた。ただ、その間におきましても、三十五年から三十八年の間におきましては、二百二十万頭ないし二百三十万頭という飼養頭数はほぼ横ばいに進んだのでございまして、昭和三十七年の農林省長期見通しにおきましても、四十六年まではおそらく横ばいに推移するであろうという見通しをしておった。ところが、その横ばい状態をささえてまいりましたのは、実は外国からの雑肉輸入、つまり、自由化されました羊肉、それから馬肉というものが肉類需要の強調に応じて増大をしてまいりまして、バランスをとっておったのでございますが、四十年に入りましてから、外国——といいましても、豪州ニュージーランドがおもでございますが、豪州ニュージーランドのそういう雑肉輸入限度に達してしまった。したがって、輸入増が期待できないという状態になって、国内の資源食いつぶしが一そう進んだということで減少したわけでございます。  生産のほうが伴いません事情は、ただいま申し上げましたような生産構造変化なり、生産構造変化過程において、牛肉価格というものと肥育牛価格関係がつながらない、肥育牛価格値上がり子牛価格値上がりにつながらない、そういう、かつて経験したことのないような非常な変革期にあったということで、その間に、農林省としても、和牛についての改良基地制度あるいは増殖基地制度をとって、若干の危惧を持ちながら対処をしてまいったのでありますが、どうも少しあやしくなってきたということに気づきましたのは、いまから二年ほど前でございます。その後、どういう形があり得るかということで検討を続けてまいったのでありますが、先ほど申し上げましたように、施策のとり方としてはややおくれているということは、私ども認めておるのでございますが、ともかく、この段階からは本格的に肉牛振興対策をとるべきであるという考え方になったわけでございます。  えさの問題につきましては、私は、肉牛について、購入飼料依存肉牛対策は今後もとりたくない、また、とってもむだである、肉牛は、肥育段階における一時期において濃厚飼料給与は必要でございますけれども、元来、その性質からいって草食性のものであり、また、乳牛と違いまして、飼育過程において他の畜産物をとるということがないわけでございますから、私は、今後野草ないし牧草の類による自給飼料中心自給対策を進めてまいりたいと思います。
  13. 有馬輝武

    有馬委員 いま武藤君からも端的に御指摘がありましたが、桧垣さんに輸入の問題についてお伺いしたいと思うのです。三十三、四年当時九七%あった自給率が、三十九年度には八九%になっております。少なくとも、畜産行政方向としては、自給率を高めていくという方向でなければならぬと思うのです。また、国際的に見まして、肉類輸入については、供給量が非常に少なくなっておりますので、たとえ期待しても期待ほどの輸入ができないという事情もあろうと思いますが、肉類については、どこどこから輸入しておるのか、豪州ニュージーランドだということになるでしょうけれども、ただ、アルゼンチン肉類等について検討される余地はないのかどうか、この点についてお伺いしたいと思うのです。
  14. 桧垣徳太郎

    桧垣政府委員 最近におきます食肉自給率は、お話のように九〇%をやや割るという段階に至っております。三十九年度の食肉全体の国内消費量は約八十二万トンでございますが、そのうち、約十万トンを外国から輸入いたしておるのでございます。おもなる輸入国は、マトンにつきましてはニュージーランド豪州から入っておるのでございます。これが約六万七、八千トンという数字になっておりまして、そのほかにアルゼンチンから馬肉を約二万七、八千トン輸入をいたしておるのでございます。そのほかアメリカから若干といいますか、五、六千トンのブロイラーが輸入をされておりまして、計約十万トンということでございます。お話のように、肉類については、おおむねどの国におきましても国内自給主義を原則としておるということでございまして、牛肉について申し上げますと、世界の年間総生産量は約三千万トン、そのうち、国際的な貿易にのぼっておりますものが約百万トンないし百五十万トンでございまして、貿易量は総生産量に対して三%ないし五%程度でございます。これが、しかも、古い取引関係から、特定の国と特定の国の貿易関係の商品になっておるということでございまして、輸入を今後大きく期待することはなかなかむずかしいという点は、御意見と全く同感でございます。アルゼンチン馬肉輸入については許可をいたしておるのでございますが、偶蹄類、つまり牛、豚及び羊につきましては、御承知かと存じますが、あの国には口蹄疫というすこぶるやっかいな病気がございまして、昨年度も三千件に近いような口蹄疫の発生があるわけでございます。これは、わが国にはいまだかつて発生しておりませんきわめて危険な病気でございますので、家畜衛生観点から輸入を禁止をいたしておるわけでございます。ただ、最近牛肉等につきましても、アメリカアルゼンチンとの間の共同研究で、内容はよくわからないのでございますが、口蹄疫のビールスを死滅させるためのキュアリングの技術が開発されつつあるということでございますので、国内における家畜衛生観点からの危険性がないということが実証されますれば、その点は今後の研究課題として十分配慮をしていきたいというふうに思います。
  15. 有馬輝武

    有馬委員 次に、森本さんにお伺いしたいと思うのですが、いま肉を一例としてあげましたけれども農産物輸入が三十九年で十七億九千万ドルにのぼっております。全輸入の二二%というくらいに、非常に率が高くなっておるのでありますが、農政全般方向として、この傾向についてどのように考えておられるのか、基本的な立場からお聞かせをいただきたいと思うのでございます。
  16. 森本修

    森本政府委員 ちょっと私の所管から全部カバーはし切れませんが、御指摘のように、農産物輸入は漸増をしてきております。総輸入額に占める比率もある程度高まってきておる、こういう状況でございます。それから、国内生産に対する輸入比率もここ二、三年増加をしてきておるという状況でございます。増加をしております品物は、大体穀類、それから砂糖、大豆というようなものが主でありまして、立地上といいますか、日本農業事情からいいまして、ある程度大きな面積で栽培をしなければいかぬというような品物が相当ふえておる。一がいにいいますと、そういう傾向になっております。そういうものにつきましては、たとえば、飼料にいたしましても、将来ある程度輸入に依存するというようなかっこうになってくると思いますが、国内における資源の有効利用あるいは外貨の有効な活用というような点からいえば、国内生産について、概括的でありますけれども、自給度の向上といいますか、国内生産による食糧の確保ということに、農政全般として今後相当重点を置いて考えていかなければならぬのじゃないか、こういうふうに思います。
  17. 有馬輝武

    有馬委員 次に、和田さんにお伺いいたしますが、農業構造改善事業が始まりまして、年間三百市町村くらいでやってきておりますが、その消化率といいますか、計画と実際とはどのようになってきておるか、ここ三年くらいの経緯をお聞かせいただいて、それから、指定されました地域でも指定ということばが当てはまるかどうかはわかりませんが、なかなか着手できないところがあるのです。その最大の理由はどこら辺にあるのか、これが一つ、それからいま一つは、土地改良等をやりましても、そのやったがために、二、三年は当初考えていたものの生産ができない、植えつけができないという状態のところも相当あるように見受けられるのです。こういう点について、農林省としてはどのような対策を講ぜられておるか、あわせてお聞かせをいただきたいと思うのです。
  18. 和田正明

    和田(正)政府委員 最初に、構造改善事業の最近までの実施の経過でございますが、御承知のように、三十七年に始まりまして、全国おおむね三千百の市町村について実施をすることにいたしました。計画段階で申しますと、四十一年度の予定も含めまして、大体計画を終わりますものが七割弱、それから事業の実施をいたしますものについては、それより一年以上おくれて事業に着手いたすわけでございますが、四十一年度に四百八十地区の着工を予定しております。それを含めて約五割弱という進行の状況でございます。  それから、計画を立ててから実施までの間にいろいろな事情で着工のできない地区があるのではないか、その原因は何かというお尋ねでございます。昨年秋にパイロット地区と、三十七年及び三十八年に事業を実施をいたしました地区の悉皆調査をいたしたのであります。その結果によりますと、現地で事業実施上一番困難だと考えておりますことは、権利関係の調整という問題でございます。つまり、圃場整備をいたしたりいたします場合に、それがいろいろ所有権の問題とからみまして、そのために農民の納得が得られないということが最大の原因だというふうに、調査では出ております。また、現実にそういうことであろうかと私ども考えております。それから、圃場整備等の事業の結果、作付ができないような地区があるというようなお話でございましたが、その調査では、必ずしもそういう形は出ておらないようでございますけれども、ただ、一部の地区で圃場整備等をいたしまして、その高低をならすというようなことをいたしますと、土が入れかわりました結果、反収が減るというような事実は幾つか指摘がございます。それらにつきましては、今後土壌改良対策等を並行して進めまして、反収の落ちないようなことを考えていきたいというふうに思っておる次第でございます。
  19. 有馬輝武

    有馬委員 その権利関係の調整ができないという最大の原因は、やはり私は地元負担の問題だと思うのです。本年度特に地方財政が窮屈なおりから、なかなか困難な面があろうかと思います。これは根本的に国庫の補助率というものを再検討すべきではないか。少なくとも、構造改善事業を推し進めていくことは、いまの日本の農政の一つの焦点であります。しかし、御指摘のような隘路があるとすれば、その隘路を打開するために、私は、補助率の再改定等のくふうがあってしかるべきだと思うのでありますが、この点について、和田さんと、それから政務次官藤井さんのほうから御答弁をいただきたいと思います。
  20. 和田正明

    和田(正)政府委員 構造改善事業におきます補助率は、御承知のように、五割ということにきめてございます。個々の関係農家がそれを負担するのがつらいと考えるかどうかということは、いろいろ個人の所得の差とか、個人の感覚とか、違いはあろうと思うのですが、現在は、その五割のほかに地方交付税交付金で二割をかさ上げをすることで、毎年の地方財政計画の中に組み入れてもらっておりますので、実際には補助額は七割ということであります。そのほかに、残りの三割部分については、構造改善事業推進資金というような形で公庫から低利の融資もいたしておりますので、この事業を始めました最初に比べますれば、相当国庫負担とか地方負担等も増加をいたしまして、あまり地元の負担にはならないような方向で改善をしてきておるわけでございます。  権利関係の調整は、補助率が低いことに原因があるのではないかというお話でございますが、私は、必ずしもそういうことではなくて、やはり自分の持っておる土地が、場所が変わったり、形が変わったり、いろいろそういうことのほうがむしろ問題なのではないかというふうに思っております。
  21. 藤井勝志

    ○藤井(勝)政府委員 実は、構造改善事業の円滑な推進に障害になっている一つの問題点は、補助率の問題——もちろん多いほどいいということもありましょうけれども、それより、やはり土地の所有権の問題、土地に対する私有権絶対の考え方が、もう一歩時代に即応して検討されるべきではないか。やはり、土地を個人に持たすということは、それによって、土地の持っている潜在的な生産力を引き出すという意味において私有を認めておるわけです。しかし、農民の土地に対する気持ちというものは、特別な愛着といいますか、そういう点がございますので、なかなか現実論は簡単にはまいりませんけれども、やはり、将来、土地は国土であるという考え方に徹して、憲法に許される範囲において、土地に対する権利関係を、もう少し構造改善が前進するように検討をすべきではないか。それが問題解決の一つのネックになっておるというふうに私も考えるのでございます。
  22. 有馬輝武

    有馬委員 和田さん、私、きのうからわずかな時間でお伺いしております点は、お聞きのとおり、近代化資金ということで銘打たれておりますけれども、その近代化の方向というものが、ぼくらにははっきりわからないわけです。たとえば、畜産一つ取り上げてみましても、どのような方向で近代化していこうとするのか、園芸にしてもそうです。ですから、ただ単に概念的なことで問題を処理するのじゃなくて、やはり一つの青写真をつくりまして、その中でどのような形態で推し進めていくのかということを明らかにしていただくことが、この近代化資金のワク七百億を一千億にも二千億にもしなければならないという一つの気運をつくることになるのじゃなかろうかと私は思います。そういう意味で、ひとつ機会を改めて、私は、そういう意味でのグリーンレポートの裏づけといいますか、そういうものをぜひ出していただくように特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  23. 三池信

    ○三池委員長 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これよう質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤觀次郎君。
  24. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 開発銀行の法案に入る前に、二、三の点を銀行局長にお伺いしたいと思います。  今度マニラにできますアジア開発銀行とどういう関係にあるか。大臣がおられないから、局長にひとつお伺いします。
  25. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 近く設立を予定されておりますアジア開発銀行と日本の開発銀行との関係はどうか、こういうお話かと存じます。御承知のように、開発銀行は、日本国内におきます設備資金の供給と、民間の金融を補完するという目的でやっておるわけでございます。一方、アジア開発銀行は、これは先生御承知のように、アジア地域全般の開発ということを目的として、各国から共同出資の形でつくられている、いわば国際機関でございます。その意味におきましては、直接の関係はございません。
  26. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 まあ、直接の関係はありませんけれども日本から二億ドルの金を出すのでありますから、大蔵省には関係あると思うのです。そこで、これは佐竹さんに質問してはどうかと思うのですけれども日本の東京にあれは設けられることになっておったけれども、マニラにとられたということについては、大蔵省——これは藤山さんに聞いたほうがいいのですけれども、大蔵省としては、マニラにできても差しつかえないかどうか、ちょっと参考意見を伺っておきたい。
  27. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 佐藤先生にちょっとお断わり申し上げたいのですけれども、実は、アジア開発銀行の問題は、私の所管外でございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  28. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そこで、実はお伺いしたい点は、日本の公債の問題と関係して、日本では金利の引き下げというものが行なわれていますが、いまの世界の趨勢としては、金利は非常に上がってきている情勢があるわけですが、こういう点について、日本の開発銀行とそういう関連はどのようになっておるのか。日本ではこの間国債の金利が六分七厘五毛ですか、そういうような形になったのですけれども日本では金利を下げよう、銀行は下げていませんけれども、そういうようなことについて、どういうようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  29. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 御指摘のように、最近、アメリカにおいても逐次金利の上昇傾向が激しいわけでございます。また、西独その他ヨーロッパ諸国におきましても、全体として資金の需給が非常に緊張しておる、そういう意味で、一般的に国際的には上昇傾向でございます。ただ、わが国におきましては、先生先刻御承知のように、かねがね日本の金利水準は国際的に割り高である、したがって、機をとらえて、できるだけ国際水準へさや寄せをしてまいろう、こういうことを金利政策の基本方針としてまいったわけでございます。その点につきましては、今日といえども変化はございません。しかし、現在、御承知のように、公定歩合等でごらんになりましても、かなり低水準になってまいりました。一部の金利については、むしろ国際的に日本のほうが割り安だというような、そういうものもあらわれ始めるというような状態でございますけれども、しかし、全体として見ますと、なかんずく長期金利の水準はまだまだ国際的には割り高、なかんずく先進諸国に比べますと若干割り高である、そういう意味から申しますと、今後ともできるだけ引き下げられていくような環境を整えなければならぬ、こう思っておりますが、この開発銀行金利は、御承知のように、長期の設備資金の金利でございます。したがって、市中におきます長期金利水準というものとある関係を持ちながら動いてまいるわけでございます。これにつきましても、市中の長期金利は、この一月から、企業努力によって引き下げが行なわれるという情勢にもなってまいりました。資金需給も相当緩和してまいったということを背景といたしまして、開発銀行の金利も、従来は基準金利が八分七厘でございましたが、これを年利で三厘引き下げ、八分四厘に引き下げるということで、実は一月一日以降実施をいたしておる次第でございます。今後とも、機会をとらえて、できるだけ引き下げ可能なような状態に持ってまいる、こういうことであります。
  30. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 この間予算委員会でやりました金融懇談会の席上でも、歩積み、両建てが非常にやかましくなったのでありますが、そういうことと関連して、企業家から絶えず非難が起きますのは、公定歩合の引き下げがあっても、なかなか銀行は利息を下げてないということがあるわけですが、こういうことはどのように指導されておるかということが第一点、それからもう一つは、御承知のように、この二、三年非常に不況で、事業家はどんどんつぶれておる。中小企業者の倒産は歴史的に初めてというような、レコードを破っておるほど倒産しておるけれども、銀行のつぶれたものは聞いてない。私たちは子供のころに、愛知県なんですが、その当時銀行がずいぶんつぶれて、非常に迷惑をしたことがありますけれども、そういう矛盾——銀行がつぶれぬのはけっこうでありますけれども、事業家がつぶれて、銀行は残っておるという傾向がずっとあるわけですが、こういう点についてどのようにお考えになっておりますか。これは佐竹さんの専門のことでありますから、この二つの問題をちょっとお伺いしたい。
  31. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 第一点の、公定歩合が相当下がっておるのに、市中の金利の引き下げがなかなか遅々として進まぬではないか、これに対して、一体大蔵省はいかなる指導をいたしておるかということかと思います。まことにおっしゃるように、金利低下の波及度が比較的にぶいという現状につきましては、私どもも非常にもの足りなく実は思っておるわけでございまして、ただ、昨年の一月、公定歩合の第一回引き下げがございまして、四月、六月、合計三回、合わせて三厘の引き下げがございました。それに対して、全国銀行の貸し出し金利の約定平均というものは、やはり着実に下がってはおるわけでございます。なかんずく都市銀行におきまして、昨年の十二月末までで見まして、この一年間において一厘三毛六糸の低下が見られておる、また、一月に入りましてもこの下げ足は依然としてとどまらず、かれこれ、今日において一厘四毛、先般大蔵大臣がたしか当委員会でございましたか、答弁を申し上げましたように、ここ二、三カ月を見ますと、昨年の一月以来おおむね一厘五毛程度の引き下げが実現するであろうということを実は申しておられるわけでございますし、現に、最近の足取りを見ますと、大体そういうところへまいるのではないか、これは、一般に公定歩合が三厘下がっておるのに、市中の貸し出し金利が一厘五毛、つまり半分しか下がらないのはおかしいじゃないかということだと思います。この点については、あまり長くなってもいけませんので簡単にいたしますけれども、実は、公定歩合と直接連動して動く金利もございます。それから、半ば連動はするけれども、その度合いが比較的少ないもの、それから全然連動の圏外にあるもの、いろいろな金利の種類がございまして、その意味で、普通公定歩合が一厘下がりますと、約六カ月たってその効果が波及する、その幅はほぼ五厘五毛ないし六毛というのが従来のあれでございます。そういう意味で、私どもは、機会あるごとに大蔵大臣からも特に叱咤激励をいただきまして、金融機関に対しては、極力貸し出し金利の引き下げを促進するように申しております。長期金利につきましても、その点を強く要請をいたしまして、そこで、一月から長期金利についても引き下げが行なわれ、長期金利の引き下げは、三十六年二月以来、実はようやく五年目にして実現するというような状態で、極力指導はいたしております。  それから第二の点でありますが、昭和の初めごろまでに非常に銀行はつぶれました。そこで非常に悲惨なことが起こって、預金は切り捨てられるというようなことから、銀行法が今日制定されました。昭和の初めに制定されました銀行法のもとで、金融機関というものは信用機構の中枢だということでもございますし、今日のように金融機関を利用する方が非常にふえますと、非常に社会化されてきたと申しますか、昔はお金持ちぐらいしか使わなかったものが、今日では全国民が使っておる、それだけ非常に社会化されただけに、網の目のごとくに組み合わさった金融機構というものは、どこか一つ傷がつきますと、連鎖反応をもって非常に社会的な信用不安が起こる。これではいけませんので、私どもとして、資産の健全化でございますとか、その経営の合理化というものを常に見まして、そして極力この金融機関というものが経営の破綻を起こさないように、実は日夜つとめておるわけでございます。しかしながら、一方においては、経営のしぶりが非常に放漫であるとか、あるいは資産内容の悪いものにつきましては、これは世間では表には出せませんけれども、私ども検査監督を通じましてその傷をなおし、そしてその内容の健全化を進めるという指導を実はやっております。その点で、一般の企業はいろいろ倒産があるが、金融機関は倒産がないのはどうだというお話でございますが、いまのような金融機関の特殊な役割り、使命から申しまして、私どもは今後ともそういう破綻を来たさないように十分注意をしてまいりたい、こういう考えでおります。
  32. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 福田大蔵大臣が来られましたので、一点だけお伺いしたいと思うのです。  先ほど佐竹銀行局長にちょっとお伺いしたのですが、アメリカとか西ドイツでは金利が非常に上がっていく傾向がある、ところが、日本は金利を下げようとしておる傾向にあるのです。これは世界の趨勢として、どういう見地から今後この金利政策をやっていかれるのか、これは日銀との問題もありますが、大臣としてはどんなお考えなのか、そういう点をお伺いいたしたいと思います。
  33. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 アメリカを中心としまして、世界景気は大体好況が持続されておる。ことにアメリカでは、ベトナムの問題があるものですから、景気の状況が他の国よりも非常に高い水準で動いておるようでありまして、たとえば、就業の状況なんか見てみますと、失業率というのが、ことしは見通しとしては三%台までになろう、これはアメリカとしてはいままで全く経験したことのないような状態だと聞いております。しかも、ベトナムに若い人が徴発されていくというようなことから、若年の労働者が不足する、その補給源をどこに求めるかというようなことがなかなかの問題でございますが、そういうようなことを考えてみまするときに、アメリカの景気というものは、これは今後非常に注目を要するという点かと思うのです。そういう状況を受けて、金利の関係なんかも、これはあるいはなお高くなる可能性なしとしない、こういうふうな見方をして注意をしておかなければならないんじゃないかというふうに思うわけであります。そういうようなことでありますが、アメリカの金利と日本の金利との開きの関係から円シフトが起こるんじゃないか——ユーザンスの関係ですね、よくそういうようなこともいわれますが、今日までの状態におきましてはさしたる影響はないのであります。しかし、今後アメリカあたりの景気の動きがどうなるかということを考えますときに、多少の影響がなしとはしないということも考えておかなければならない。そういうことを考えておきながら、日本の国際収支政策全体を調子をとっていかなければならない、こういうふうに考えておりますが、いまのところさしたる影響はない、依然として日本の低金利政策を遂行していくのにいささかも支障のある状態ではないのであります。
  34. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点大蔵大臣にお伺いするのですが、昭和四十年度に発行された公債の利子、また今度四十一年度に発行される公債の問題と金利の問題について、おそらく相当な苦心をされたと思うのですが、世界の金利水準の情勢とにらみ合わせて、いまの日本の公債の利子についての変更とか、そういうものについての心配はないものかどうか、これはいろいろ将来も予測されてやられたと思うのですが、この一点を大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  35. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 公債の利回りは、これはいま問題になっておりますのは、外債じゃございませんで、これは国内債でありまするから、国内の金利体系の中できめられる。したがいまして、直接海外の金利の動きが日本の公債に響いてくるというようなことはないと考えております。したがいまして、いま四十年度の公債を六分五厘の表面価額で売り出しておる。この公債の条件を四十一年度において基本的に変えるというような状況は予想しておりません。
  36. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 同僚の藤田委員からもあとでいろいろ質問があると思いますので、平田総裁に二、三点ちょっとお伺いしたいと思います。  御承知のように、今度四倍にするということで法律が出ておりますが、開発銀行の融資対象とされておった電力と海運、石炭、鉄鋼というのは、あなた方の融資の中のどれくらいの率を占めておるのか、その点を、大まかなことでけっこうでありますから、伺いたいと思います。
  37. 平田敬一郎

    ○平田説明員 御承知のとおり、開発銀行ができましたときから数年の間は、電力、鉄鋼、石炭、海運というこの四業種を重点産業といたしまして、重点的に融資するという方針でありまして、大体その当時は毎年の融資額の十割から九割ぐらいはこの四業種に集中されておったわけでございます。ところが、その後、御承知のとおり、だいぶ業務の内容、融資の対象が多角的になりまして、最近の数年間、二、三年では四業種が大体五〇%ぐらい、ただし、昨年来海運が御存じのとおり特殊な事情によりまして少しふえましたので、大体五割から六割の間というのが大体の状況になっておる次第でございます。
  38. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最近また融資のワクを広げられて、機械工業、化学工業等の産業開発のいろいろな事業に融資をされておるようですが、この比率は、いまの四大産業のほか、どれぐらいのものになっておるのか、また、いつごろからこういうワクが広げられたかということをちょっと伺いたいと思います。
  39. 平田敬一郎

    ○平田説明員 開銀の融資の対象は、ここ数年来現に相当な変遷がございますが、機械工業に対しましては、数年前から実は法律ができまして、若干の安い金利を適用しまして推進いたしておるわけでございます。昨年は機械工業は投資がやや低調でございまして、若干予定ほどにいかなかった状況になっております。来年もワクを少し縮めまして、この融資は続けていく考えでございます。それから、その次は国際観光でございますが、これも三、四年前からだいぶふえたのでございますが、一昨年をピークといたしましてその後漸減いたしておりまして、これも減るものと思います。他面、逆にふえる面がございますが、一つは、地域開発、地方開発の融資でございます。これは大体融資のワクで一割五分から二割程度年々増加いたしまして、四十一年度におきましては、全体といたしまして三百八十五億の資金のワクを予定いたしまして、この方面の融資は活発化することにいたしております。なおそのほか、四十一年度としましては、御承知のように、流通機構の近代化と申しますか、それがおくれておる。いままで開発銀行はそのような面には、主として倉庫等には融資いたしておりましたが、あまり融資していなかったのでございますが、来年あたりからボランタリーチェーンとか、卸機構の合理化とかいったようなことに関連しまして、新しく融資を始めるということになっております。  詳細に申し上げますとまだいろいろございますが、そのような変遷を経まして、全体といたしまして、融資のワクも四十一年度は二千六十億円という融資をすることになっておりまして、それに関連しまして法律案の改正をお願いしておるような次第でございます。
  40. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 今度の法案の改正の主眼の一つになっておる監事制度の改革のことについて、どういうわけでこういうことが必要になってきたか、その点をひとつ御説明願いたいと思います。   〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
  41. 平田敬一郎

    ○平田説明員 実は、開発銀行には監事が二人おりますが、従来とも、開発銀行におきましては、監事さんにいろいろな方面で当然の職務を遂行をしていただいておるのでございまして、一つは、決算書を作成しまして、それを確定前に監事の監査を受けております。それから、地方の現場に出るわけでございまして、地方の業務の監査をやっていただいております。それからさらに、個々の案件につきましても、重要なものにつきましては、これは事後点検でございますが、全部監事に目を通していただいているというのが従来の実情でございましたが、今回は、他の公団とか公庫等の法令の改正にならいまして、監事は、直接大蔵大臣とかあるいは総裁に意見を別途報告すると申しますか、言うことができるといったようなことにつきまして規定を明らかにしまして、監事の権限の強化及び職務の遂行の完遂をはかっていただこうという趣旨でございまして、ほかの公庫、公団の例に準じて改正していただこうということでございます。
  42. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 詳しいことは同僚の藤田議員からいろいろ質問があると思いますので、私の質問はこれで終わります。
  43. 小林進

    小林委員 議事進行で発言します。  このためにここで不規則発言をしているのですが、政府側の答弁がほとんど聞こえないのだ。だから、委員長の責任において、マイクをつけるならマイクをつける、あるいは政府側の説明に、もっと大きな声を出すなら出すようにという的確な指示をしてください。さもなければ、議員席を変えて、もっと前へ出すなら前へ出すようにする。対人関係で、一対一でやるなら、何も委員会を開く必要はない。これは大臣室へ行ってやるなり、政府委員室へ行って話を聞けばいいのであって、やはり委員会を開いて会議方式でやる以上は、この会議に列席する者が全部聞こえるような、そういう配慮を委員長がしなくちゃいけません。同時に、何回も言いまするけれども、国会法のたてまえは、委員会の人員の過半数がなければ委員会は成立しないたてまえなんだ。何です、この惨状は。こういうようなことは、委員長は委員会の主宰者として、よく状況を調べてやらなくちゃいけません。代理の席へすわったばかりにしかられて、ちょっと気の毒だけれども、やはり委員長席につく以上は、代理であろうとも、委員長の任務はりっぱに遂行しなければならぬ責任があるわけですから、どうぞさっそくに私の言うように配慮してください。人員の問題もしかりですよ。
  44. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 小林君の発言、了承しました。  政府側の発言をよく議員席に徹底するようにお願いをします。  藤田高敏君。
  45. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私も、実は、いま質疑に入る前に、小林先輩の言われたことを意見として出そうと思っていたわけです。私なんか特に一番うしろの端におりますので、この間からも、やじりたくないやじを入れておるわけです。委員長はじっとすわっておるのじゃなしに、ぜひそういう点についての配慮をしてもらいたい。それと、小林委員の意見を了承したと言うのですが、こういうふうに、定足数の点で成立していないのですが、これで了承したことになるのかどうか、これをひとつ。
  46. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  47. 金子一平

    ○金子(一)委員長代理 速記を始めて。  藤田君。
  48. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について、事務的な問題を含めまして、以下、質問をいたしたいと思います。  まず、簡単なことですが、今回の法改正の中心点は何かということについて、お尋ねをいたしたいと思います。
  49. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これは、御承知のように、日本開発銀行法におきまして、借り入れ金並びに債券発行の限度額を法律をもって制限をいたしております。と同時に、貸し出し並びに債務保証を行ないます限度、すなわち、信用供与の限度額というものが、この法律の結果自動的に制限を受けているわけでございます。最近におきます開発銀行の業務量の増大に伴いまして、現行の制限規定のもとでは円滑な業務の運営を期しがたい、よって、その限度の拡張をお願いする必要が生じたためでございます。
  50. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 今回の改正に類するような改正は過去何回ぐらい行なわれたか、その経過をごく簡単に説明してください。
  51. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 まず最初の改正は二十七年でございますが、その以前におきましては、発足当初、借り入れ並びに債券発行ができないことになっておりまして、それを、新たに借り入れ並びに債券の発行を行なうことができるということにいたしまして、それは自己資本と同額、これが第一回でございます。次は、三十三年四月の改正におきまして、この限度を自己資本の二倍に引き上げました。第三回が三十五年十二月改正でございますが、この際、例の外債発行の規定も加えられることになりまして、そこでこの限度の改正がございました。さらに、三十八年三月、ことで自己資本の三倍に改められました。したがいまして、都合四回の改正が行なわれたわけでございます。
  52. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 続いて、日本開発銀行の基本的な性格といいますか、産業金融界における開発銀行の位置づけといったようなものについての考え方をひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  53. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これは、開発銀行法の目的に定められておりますとおり、日本の経済の再建、産業の開発ということのために必要とする長期の設備資金等の供給をはかる、同時に、市中の金融機関の補完をいたす、あくまで産業の開発、経済の再建ということを中心といたしまして、市中金融によりがたいものについてこれを補完する、こういうことがたてまえでございます。
  54. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いま少しく、ごく事務的に近いことをお尋ねして恐縮ですが、開銀のここ数年来の年度別、業種別の融資、貸し付け額、これは単年度の融資ワクと累計額を教えてもらいたい。これが一つ、第二は、一企業当たり十億円程度以上の融資をしておる企業と融資額を教えてもらいたい。第三は、特に第二に関連をするわけですが、その融資をした業種の中で、自動車と、国際観光の部類に入ると思うわけですが、ホテルについての融資状況、これをやや具体的に説明を願いたい。それと、事務的なことだけ先にお尋ねしておきますが、第四点は、金利についてです。金利については、基準金利は幾らで、特別金利は幾ら、そして平均金利は現在どれくらいになっておるか。全体的に見て、基準金利と特別金利の割合は最近どういう状態になっておるか。次に、金利問題に関連するわけですが、業種別にはこの金利をどのように適用しておるか。いわゆる特別金利の適用については、どういう業種に対して特別金利を適用しておるか。そうして、その特別金利を適用する場合の貸し付け条件というか、基準は何によってきめておるのか。その判断の基準はどこに依拠しておるのか。こういうことについて、ひとつ聞かしてもらいたい。
  55. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 まず最初の、最近における融資対象別と申しますか、業種別融資の年々の額を申し上げます。これは三十七年度ごろからでよろしゆうございましょうか。
  56. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 三十五年、三十六年はあとでけっこうですから……。
  57. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 それじゃまず三十七年度、これは総額で千二百三億円の融資が行なわれております。その内訳は、電力二百九十七億円、海運二百十四億円、それから地域開発というのがございますが、これは一括いたしまして百九十二億円、石炭百二十五億円、それから硫安が百四十一億円でございます。それから特定機械というのがございまして、これが八十一億円、そのほかに国際観光三十億円、あといろいろこまかいものがございますが、おもなところを申し上げますとそういうことでございます。  いまの項目に応じて三十八年度に参ります。三十八年度実績千二百十四億円、電力二百五十一億円、海運二百七十六億円、地域開発二百四十二億円、石炭百七億円、硫安二十億円、特定機械八十億円、国際観光六十二億円、以上でございます。  次に三十九年度に参りまして、総額千四百五十一億円でございます。電力百八十五億円、海運四百五十八億円、地域開発二百八十四億円、石炭百九億円、硫安四十三億円、特定機械七十七億円、国際観光四十八億円、これが三十九年度の実績でございます。  次に四十年度、これは見込みで申します。総額二千四十九億円、電力百七十九億円、海運八百九十三億円、地域開発三百四十億円、石炭百四十億円、硫安二十億円、特定機械八十億円、国際観光三十億円、これが四十年度の見込みでございます。  さらに、四十一年度の計画で申します。総額二千八十億円、電力二百二億円、海運七百七十三億円、地域開発三百八十五億円、石炭百十億円、硫安十億円、特定機械四十億円、国際観光十五億円、以上のとおりでございます。  そこで、第二のお尋ねは、それの融資の残高がどうなっておるかということでございます。残高で見ますと、これが最近時点におきまして、昭和四十年十二月末の残高で申し上げます。総額九千二百七十三億円——億以下はちょっと申しません。電力三千三百十八億円、海運二千八百十二億円、石炭六百五十五億円、硫安二百二十二億円、特定機械二百四十九億円、国際観光二百十三億円、地域開発九百十三億円、以上のとおりでございます。  次にお尋ねのございましたのは、一件十億円をこえる貸し付けの額はどうかということでございましたが、これは後ほど資料で差し上げます。  それから、次が金利でございました。金利につきましては、これは開発銀行法の規定に従いましてその金利決定の基準が示されております。これは開発銀行の損益を償うということが一つ、それから市中の金利水準の動向を勘案するという二点をもとにして定める、その場合に基準となる金利を定めておりますが、これが、従来は年八分七厘でございました。それが本年の一月一日以降八分四厘に引き下げられて、今日実行されております。それがいわゆる基準金利でございます。そのほかに特別金利というものがございます。おもなものを申し上げますと、電力につきまして六分五厘、海運関係で、ことに外航船舶でございますが、これの建造資金の分はまた六分五厘、そのほか電子工業関係で六分五厘、石炭六分五厘、硫安六分五厘といったような六分五厘の系統がまず一つございまして、そのほかに七分五厘という系統のものがございます。七分五厘の系統は、特定機械の場合でございますとか、あるいは重機械のいわゆる延べ払いの場合でございますとかいったようなもの、あるいは離島航路の場合というものに適用されておるわけでございます。  そこで、総貸し出しに占めるいわゆるこういう特利の部分と基準金利貸しの部分の割合はどうかということかと思います。最近の時点において見ますと、基準金利の適用されておりますものは約二二%でございます。したがいまして、残りの七八%が特利適用ということでございます。そこで、その特利がいかなる基準に基づいて適用されるかということでございますが、この点は、電力につきまして、電力事業の重要性、ことに電力料金との関係、公益事業であるといったようなことから、電力に向けての分は一律六分五厘ということに昭和二十九年以来定められてきております。ただし、その場合にも、ただ何でもというわけにはまいりませんで、同じ電力会社が行ないますところの発電その他の設備のうち、一定のものを限りまして、いわゆる開銀の融資対象設備というものを定めて、それに対して適用をしております。その次に海運でございますが、海運につきましても、御承知のように、これはいわゆる計画造船というものに乗るもの、これを対象といたしまして適用をいたすということでございます。さらに、電子工業あるいは特定機械等につきましては、御承知のように、機械工業振興臨時措置法もしくは電子工業振興臨時措置法といったような、それぞれ振興のための法律がございまして、その法律に基づいて定められた種類の機械、それの整備に必要とする融資というものに限りましてこの適用をいたす、かようなことになっております。それから、申し落としましたが、産業公害につきましても特利が出ておりますが、これもやはり産業公害の防止のための措置という中で、特にまた対象事業を限定をいたしまして、その限定されたる事業に乗ってくる部分についてこれを見る、つまり、設備の種類、事業の種類によって限定をいたしております。  おおむね以上のような状況でございますが、よろしゅうございますか。
  58. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 大体わかりましたが、なお、金利の関係で、石油精製とか石油化学、それから自動車ですね。それから国際観光の中でホテル、こういったものに対してはどの程度の特利扱いをしておるのかということ、それと、特利で融資をする場合の判断の基準はどこによるのか、何によってきめるのか、この点をひとつ聞かしてもらいたい。
  59. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 自動車につきましては、実は融資をまだいたしておりません。そういう体制金融と称して、自動車向け融資のワクを設けたいということが昭和三十八年度にございまして、その際に設けました。しかしながら、今日までその適格要件を備えたものが出てまいりません。したがって、開発銀行におきましては、今日まで自動車に対する体制金融は実施を見ておりません。同時に、それの金利は、別して特利を適用する考えはございません。かりに行なうといたしましても、通常の八分四厘の基準金利ということは、きわめて明確に定まっておるわけでございます。それから、ホテルにつきましても、国際観光ということで、運輸省の一つの基準がございます。その基準に合致したものであって、運輸省の推薦するものの中から、開発銀行がコマーシャルベースに乗るかどうかという金融上の判断をいたして貸すわけでございますが、これについては特利適用はございません。通常の八分四厘の基準金利でございます。あとは石油でございます。石油につきましては、これは御承知のように、昨年度からいわゆる民族資本の育成ということから、共同石油という会社の設立を見たわけでございます。共同石油の行なうところの必要な設備に対しまして、開発銀行が融資をいたすということでございますが、昨年度は、昨年度と申しますか、四十年度から始まりましたが、四十年度中は特利の適用はございません。ただ、四十一年度におきまして新たに特利を設けようということになりまして、これは明年度以降六分五厘適用ということでございます。  いかなる基準と判断に基づいて特利の適用を行なうかというお話でございます。これにつきましては、やはり、日本経済全体から見まして、その事の重要性あるいは国際競争力の関係等々を見まして判断をいたすわけでございますが、ことに、なかんずく外航船舶に対する特利適用のごときは、OECD対策等でも先生御高承のごとく、いわゆる日本の海運の国際競争力を強める、貿易外収支改善対策、実はこういう大義名分がございまして、外国の船との競争におくれをとらないために金利負担の軽減をはかる必要があるということから特利にいたしておるわけでございます。同時に、これは国の一般会計におきましてもその利子補給という措置があわせとられておることは、御承知のとおりでございます。そのほか、電力につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり公共料金として、主務大臣認可、統制をされております公益事業としての性格上、極力金利負担の軽減をはかるという見地でこれを行なうということでございまして、要は、日本経済に占めるその業種の重要性、国際競争との関係等々、内外の諸事情を頭に置きまして定められてくる、共同石油なんかは、ことに外資が入ってくる、これでは困るということで実は発足したわけでございますだけに、外国資本から借りると非常に安い金利だ、それに太刀打ちできなければ困るという話が非常に強く出まして、そこで六分五厘ということを新たに定めたわけでございます。
  60. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 あとでも詳しく聞きたいのですが、自動車についてはどうですか。四十一年度は融資の対象にはするおつもりなんですか。
  61. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 これにつきましては、毎年度開発銀行等、政府関係金融機関の融資の基準、基本方針が実は閣議決定をされておるわけでございます。従来の閣議決定によりますと、自動車工業に対する融資の基準といたしまして二つの点をあげております。量産体制の確立によって相当な部分を輸出に向け得ることが明らかな場合、これが一つでございます。もう一つは、合併、統合等によりましてその生産の集約化を行なう、つまり、これによって国際競争力を築き得るというふうに認められたものという二つの条件があるわけでございます。今日まで実はそういう基準に該当する事例がございませんでしたので、融資もおのずから行なわれなかったわけでございますけれども、かりに四十一年度以降においてただいま申し上げましたような基準に合致する場合が出てくれば、これは閣議決定の方針に従って融資が行なわれる可能性はあるわけでございます。ただ、今日のところまだ具体的にどうという問題はここで固まっておるわけではございません。
  62. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 事務的な質問は、一応以上で終わります。  次に、今度の法律改正に関連をするわけですが、まずその前提としてお伺いいたしたいのは、現在の開発銀行法の十八条の二によって、先ほど局長からも御答弁がありましたように、自己資本金の二倍とか三倍とかという貸し付けあるいは借り入れの制限ワクがあるわけですが、こういう資本金を土台にして、その借り入れ、貸し出しの制限ワクを設けた理論的な根拠はどこにあるのか、これをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  63. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 この点は、一つには、金融機関としての健全性の維持ということでございましょう。さらには、開発銀行設立の本来の趣旨に立ち戻りますと、先ほど申し上げましたように、民間金融によりがたいものにつきこれを補完し、あるいは奨励をするという役割りでございます。したがって、そこはおのずから民主と申しますか、民間活動が主であって、開発銀行というものはそれを補うという従の立場である、したがって、その活動についても、おのずから、みずから秩序を保つ必要がある、この二点が、基本的な考え方である、かように思います。
  64. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、ちょっといまの説明では理解できないわけですが、いわゆる開発銀行の性格からいって、最初は、先ほどの経過の説明の中にもありましたように、その貸し出しあるいは借り入れの規制ワクというものは設けてなかった。その後、漸次、二倍、三倍、あるいは今回のように三倍、四倍というに漸増をしてきておるわけですけれども、この十八条の趣旨というものは、あくまでも出資金と申しますか、資本金といいますか、そういうものが基本になって貸し出しのワクを規制をしていく、あるいは借り入れのワクというものもおのずから規制をしていくというのが土台ですから、業務内容が拡大をするということで、その資金量のワクをふやさなければならぬということになれば、基本を、自己資本、出資金というものに置いておる以上、その倍率をふやすのではなくて、資本金それ自体をふやすことのほうが、ものの筋として正しいのではないだろうか。なぜ資本金を増大するという方策をとらないで、倍率だけをいじって改正をするのか、その理由を聞かしてもらいたいと思います。
  65. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 お答えいたします前に、ちょっとお断わり申し上げておきますが、先ほどの私の説明のことばが多少足りなかったのかもしれませんが、設立当初は、借り入れも債券発行も実は許されていませんでした。したがって、これに対する倍率規制の規定はない、こう申し上げたわけでございます。  そこで、おっしゃるように、やはり資本というものが基礎になるわけでございますから、確かに藤田先生御指摘のような面が私もあると思います。しかしながら、全く貸し付け原資がその資本金だけに限られる必要があるということになりますと、そこはやはり金融機関の健全性維持という観点から見ますと、必ずしも制限をそこにとどめる必要はないんじゃないか、ある程度の借り入れというものが行なわれましても、それがその金融機関の健全性を阻害しないということが明らかである場合には、そこは許されてしかるべきものではないか、かように思うわけでございます。
  66. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、理屈とこう薬はどこにでもつくということを、いまの答弁を聞いて、だれがそういうことを言ったか知りませんけれども、ほんとうにいまの答弁に当てはまるような気がするわけです。やはり開銀法の十八条の二項の趣旨は、先ほども申し上げたとおり、自己資本が中心になって、その借り入れ、貸し出しのワクを規制するということになっておるのですから、やはりその業務内容が増大をして、その資金量のワクをふやさなければいかぬということであれば、無制限とは言いませんけれども、なしくずし的に倍率をふやしていくというのではなくて、その必要があれば、資本金にまず手をつけていくということが本来的な改正の方法でなければならぬと思うわけですが、私も、そういう意味からいくと、このたびの改正は、その限界をどこに設けるかという専門的なことについてはいろいろ議論があろうかと思いますけれども、少なくとも立法の趣旨からいって、今回の改正というものは、前回に準じて、なしくずし的に、いわば便宜主義の立場といいますか、いま少しきつく言えば、このものの考え方としては、さか立ちしたものの考え方の上に立ってなされているのではないか。いま少し厳格に言えば、この十八条二項の趣旨に反する改正の方向ではないかと私は思うわけですが、その点についての見解を聞かしてもらいたい。
  67. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 結論的に申しますと、十八条二項の趣旨には反しないというふうに解しております。ただ、先生おっしゃいますように、やはり、まずもって資本を拡充すべきではないか、出資をふやすべきではないか、これは、私正論だと思います。私どもも実はそういうふうにできれば一番よろしいと思います。思いますけれども、そうかといって、それ以外に全然道がないか、それをやらずに借り入れをふやしたら、その法律に違反するかということになりますと、決してそういうことではございません。というのは、現に、開発銀行の資本金は、御承知のように二千三百四十億円という非常な巨額なものに今日達しております。現在の起債総額、負債総額を見ましても、大体一兆円の規模でございますので、それに対して二三%、四分の一に近い実は資本金を擁しておる、そのほかに法定準備金等による内部留保等々を積み上げてまいりますと、かれこれ三割近い準備があるわけでございます。そういう意味から言いますと、きわめて健全な姿である、したがって、でき得べくんば、出資をふやすことが望ましいことは、私も全く先生と同感でございますけれども、ただ問題は、やはりそこになりますと、そのときどきの財政事情等々もございまして、必ずしもそこで出資がそれだけできないということもあり得るわけでございます。そういうようなこともいろいろ考えまして、健全性を阻害しない範囲内において倍率拡大ということは決して法律に違反するものではない、かように考えたわけでございます。
  68. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いまの答弁によりますと、健全性を阻害しない範囲においては、今回の改正に類したような改正方法をとることもこの法の趣旨に反してないし、いわば今後ともあり得るというようなお話ですが、それでは、現在の開銀の資本金は二千三百四十億ですか、一応資本金を二千三百四十億と見た場合に、健全性を維持できるかどうかという大体の限界というものは、それではどういうところに目標を置かれているのか、この点を一つお尋ねするのと同時に、いま一つは、本来的な法改正の方向としては、私が主張いたしておりますような線に沿って改正することが望ましい、しかし、健全性を阻害しない範囲内においては、財政事情その他の理由から今回改正もやむを得ないのだ、こういうような答弁だったと思うのです。それで、あえて言えば、今回こういう方向で改正せざるを得ないのは、具体的には財政事情だというふうに理解してよろしいのかどうか、そういうことであれば、いま少し財政事情というものの具体的な理由は何か、これを詰めた形で答弁を願いたいのです。
  69. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 もちろん財政事情ということもございます。しかし、それだけでないことは、先ほど申し上げましたとおりでございまして、健全性を害しないということを常に念頭に置かなければなりません。そこで、ただいま先生お尋ねの、しからば一体、今日の自己資本を前提として、健全性を阻害しない限界はいかん、こういうことでございます。これは、今日の段階におきましては、今回御審議いただいておりますこの改正法案という点につきましては健全性を阻害するものでない、かように考えておるということを申し上げるにとどめさしていただきまして、将来のことは、将来一体貸し出しがどういうふうに動くのか、これはまた今後の情勢を見ないと何とも申せません。少なくとも、今日の段階において三倍を四倍に拡大することについては、いささかの危険はないということを申し上げたいと思います。
  70. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私の質問をちょっとはぐらかしたと思うのですよ。何も将来のことじゃなくていいです。それでは、今日の経済情勢下の中で、金融情勢の中で健全性を維持できる範囲の倍率というものは、最大どれくらいまで広げてもいいのか。これはやはり、一つの定見がなければ、こういった改正はできないと思うのです。そういう点について、見解を聞かしてもらいたいと思います。
  71. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 御指摘のような点、確かにいろいろ考え方があろうかと思います。私どもは私どもなりにいろいろ考えておるところもございますけれども、今日御審議いただいておりますのは、実は三倍を四倍に上げるということでございます。それを四倍に上げるということは、少しも健全性を害しないということを繰り返し申し上げるわけでございます。
  72. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 そんなことはわかって、おるのですよ。そんなことは、質問する限りにおいて、あるいは質問しなくても、法律が出されたらその内容はどういうものくらいのことはわかっておるのです。どうもいまの局長の答弁を聞いておると、失敬な言い方だけれども法律の改正のやり方についても、非常に便宜主義的な、極端にいえば、何らの定見もなしに、三十八年に改正をしたから、ことしも資金量というか、業務内容が、あとでも触れますけれども、いわば総花的なワクを拡大していく、そういう方向で資金量がふえるので、そのワクをふやさざるを得ない、その手段としては倍率をふやせばいいじゃないか、こういうような考え方でやっておるように——それは大蔵省のえらい人がやるのですから、私は、もっと定見のある改正をやられておると思うのだけれども、いまの答弁を聞いておる範囲では、遺憾ながらそのようにしか理解できない。ですから、私の質問しておることは、それでは、今日の情勢の中で健全性を阻害しないという限界は、一つのめどだったらめどとしてどの程度までいいのか、これくらいのことは当然大蔵当局としても、あるいは開銀当局としても十分検討された上でこの種の改正がなされておると思うので、そういうものについて聞かしてもらいたい。
  73. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 先生のおっしゃること、よくわかるのでございますが、ただこれは、かりにそれじゃ五倍、六倍ということを申したとしましても、それだけ、いわば融資のワクというものの許容限度が非常に広がるわけですね。ということは、つまり、四十二年度以降における今後の開発銀行の業務運営というものがどういう形に推移いたすか、これらをやはり十分見きわめませんと、一体どこまで活動範囲というものをあらかじめ定めておくべきかというのは、実は非常にむずかしい問題でございます。むしろ、私の申しておることは、逆に言えば、実は、非常に国会の御審議を御尊重申し上げた法案の出し方だと思うのでございます。つまり、必要最少限度に近いところのぎりぎりのところで、それは理論的にはもっと安全度は上かもしれません、倍率はもっと上げてもいいかもしれませんけれども、それは、将来における開銀の活動というものをいまにわかに予断できないという状況でございますから、最小限度のところで御審議をいただくと同時に、先ほど先生も御指摘のように、つまり、出資を拡大するのが本筋じゃないか、こういうお話もございます。私どもも確かにそういう面があると思うわけでございますので、そういうこともいろいろ考え合わせまして、この際、いわば必要最小限度のところ、しかも不安のない形で御審議をいただいていくということで実は参っておるわけでございます。
  74. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 ちょっと理解できないのですが、最小限度のところで改正をしたということは、逆に言うと、この倍率を四倍に引き上げましたが、これは今日の開銀の業務内容から言えば、いわゆる健全性を阻害しない、ある意味においては最大のものだ、一つの限界的なものだ、こういうふうに理解してよろしいのかどうか。この点については、ひとつ局長から再度御答弁願うと同時に、大臣の見解も聞かしてもらいたいと思う。
  75. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 大臣のお答えになります前にちょっと補足いたしますと、これが、今日の段階において、理論的にも実際的にももう危険のない最大限度、マキシマムであるかというお尋ねでございます。これは、私はマキシマムだとは思いません。しかし、これは先ほど申し上げたようなことで、片一方の貸し付けの規模というものとのにらみ合いにおいてこの段階にとどめておくということであります。
  76. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 資本金と債券の関係ですね。これは、いま局長が申し上げたとおりに私も思うのですが、もう一つは、運用利率の問題も考える必要があると思うのです。債券を発行いたしますれば、どうしても債券のコストというものは高い。したがって、その運用利率というものが高くならざるを得ないわけであります。資本金を充実すれば、それだけ利率を下げ得るわけでありますから、その辺もにらみ合わせなければならぬ問題だと思います。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕 いま債券発行の限度、倍率の限度はどうだというお話でございます。これは私は、相当高くなることが可能である、こういうふうに考えます。たとえば、昔、満鉄というのがありましたね。あれなんか何倍の社債を発行しておったか、これは相当の倍率のものを発行しておったと思うのです。相当の倍率の発行が開発銀行においても許される、こういうふうに思いますが、しかし、やはり必要最小限にとどめておくことがいい、その銀行運営のスケールについて、なるべく国会にも見ていただいたほうがよかろう、こういうようなことで必要最小限度にとどめる。しかし同時に、先ほど申し上げましたように、資本金との関係は、運用利率の点、それから、そういう一般財政に余裕がございますれば、そういうことを考えたほうがいい、こういう御議論もよくわかりますが、これは全体の財政や、あるいは銀行運営の規模、そういうものからそのときどきの判断でやっていかなければならぬと思います。
  77. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 大臣の答弁の趣旨からいいますと、やはり、本来的には資本金、資金ワクを拡大して運用しなければいかぬ、そういう必要条件が生まれたときは資本金をふやして資本金ワクの増大にこたえていく、これが筋だというふうに言われたと思うのです。これは、私も二、三金融専門家にもいろいろ意見も聞いてみましたけれども、本来そうあるべきだというふうに、私の聞いた範囲の人はみんな言われるわけです。ちょっとくどいようですけれども、本来的にはそのほうが望ましいということがわかっておりながら、なぜ今回こういう倍率で操作をするような改正にしたのか、この点、ひとつ最終的に大臣の見解を聞かしていただきたいと思います。
  78. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 資本金の増加によりますか、あるいは債券の発行を拡大するという方法によりますか、それは銀行運営の内容に着目しなければならぬと思うのです。ただいま申し上げましたように、運用利率が、債券発行に依存をするという結果、高くなって、開発銀行の使命というものにそぐわないというような状態におきましては、私は、一般会計からの補給について考えなければならぬと思います。思いますが、ただいまの段階ではそこまでの状態ではない、そういうようなことから判断いたしまして、債券の倍率を拡大するという方法を選んだわけです。しかして、債券の倍率につきましては、私は、もっと拡大することが可能であるというふうに考えますが、必要最小限のものを、措置を講じまして御審議をいただくというほうが、むしろ民主的なやり方である、こういうふうに判断したわけであります。
  79. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 この点については、最終的なだめの詰んだ形の結論を得ることができませんが、本来的な方向としては、こういう状態が起こった場合には、出資金といいますか、自己資本金といいますか、そういうものに手をつけた改正のほうが望ましいのではなかろうかという方向が、銀行局長の答弁にもありましたが、そういうものだというふうに、これはあとの質問の時間も関連しますので、一応そういう理解で次へ進みたいと思います。  今度の改正案の内容を見てみますと、先ほど大臣の答弁にもありましたが、いわゆる開銀自身の業務内容が増大する、その内容は、改正の具体的な条件の中にも出ておりますように、貸し付けの限度額が、現在の条件でいけば一兆一千八百八十億円だ、それが四十一年度末の貸し付け残高を見込んでみると、一兆二千八百三十八億円ですか、その程度になる。結局、その間の差額の九百五十八億円程度が資金不足をするので、倍率を改正して一兆四千何百億円かの貸し出しワクというものをつくらなければならぬのだというのが、ごく大ざっぱにいって、私は今度の改正の具体的な内容だろうと思うのです。そこで私は、先ほど冒頭の答弁にもありましたが、設立以来開銀が主として融資をしてきたいわば大口融資先といいますか、それは四大基幹産業といわれた電力、海運、石炭、そして鉄鋼、こういうものが中心だと思うのです。私自身不勉強で、具体的な数字にはうといかもわかりませんが、一般的には、たとえばこの四大基幹産業のうち、電力については、一つの例ですが、いまから十年前の九電力会社の総工事資金の中に占める開銀の比重というものはどのくらいであったか、それは約一割程度だった。それがごく最近の三十九年度の実績からいけば、もう五%程度に減っておる。これは電力の場合です。いわば開銀が設立してから一番力点を置いた産業の電力がそういう状態であるし、鉄鋼の場合は、四十年度の三月末の残高については約五百億円程度ありますけれども、新規事業に関する貸し出しというものはほとんどないというふうに私どもは理解をしているわけです。そうすると、過去の四つの基幹産業のうち二つまでがほとんど融資の必要がない——といったらなんですが、利用度が薄くなってきておる、こういう条件、さらには、これは一般的な条件ですが、今日の不況の性格からいって非常に設備が過剰になっておる。そして、鉄にしてもあるいはセメントにしても、合成繊維にしてもあるいは綿関係にしても、勧告調整をしたりあるいは自主規制、いろいろ方法には若干の違いはありましょうけれども、設備投資の抑制の方向というものをとらざるを得ない。少なくとも、一般的には設備投資鎮静の状態が生まれてきておると思うのです。そうすると、開銀融資の性格からいって、これらの基幹産業に対する設備投資の資金の量的補完というような役割りを果たしてきた開銀自身の性格が、そういう一般的な今日置かれておる条件の中で判断をした場合には、その資金ワクの増大というものは、私が指摘をしたような条件を加味した場合には、これはそのワクをふやすということにはならぬのじゃないか。むしろ、現状の資本金及び現行規定による倍率程度運用は十分可能ではないだろうか。そのワクを広げるということになれば、新たな融資産業というか、そういう今日まで果たしてきた開銀の性格の、極端にいえば、ワクを越えた形の業務内容、融資ワクの拡大というものが発生しない限り、今回のような法改正の必要がないのじゃないか、このように思うのですが、その点についての見解はどうでしょうか。
  80. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 確かに御指摘のような傾向があるわけでございまして、まさに電力は漸減傾向でございます。それから鉄鋼については、もう数年前から融資が行なわれてない。ただ、ここで非常に問題になってまいりましたのが、実は海運でございます。海運はOECD対策以来、実は急速にふえてきております。端的に一例を申し上げますと、来年度の貸し付け計画上、約二千億円と申しておりますが、その二千億円の中で海運関係が約八百億円出ることになっております。本年度においても九百億円近いものが出る。ここが実は四大重点産業の中でも非常に大きな変化でございまして、電力並びに鉄鋼のそういう減退傾向というものを相殺して、なおかつ余りがあるようなふえ方でございます。そういう意味から申しまして、先ほど開銀総裁からもお話がございましたように、四大重点産業に対する融資残高の比率というものは、確かに設立当時から見ますと低下しておりますけれども、今日でも依然として五〇%から六〇%という形にある。問題は、やはり海運の今後のあり方いかんということ、これは非常に重大な関係があろうかと思います。  さらにもう一言申し添えますと、そういう四大重点産業のほかに、先生も御承知のように、やはり開銀融資というものも、世の移り変わりとともにいろいろ新しい変化が出てこざるを得ません。先ほど来出ておりましたような、たとえば石油の問題とかあるいは公害防止とか、そういったようなことは従来あまり行なわれていなかった、こういうものがやはり一つのニューフェースとしてどうしても取り上げていかざるを得ない非常に重要な部門だと思います。つまり、そういったような新しい重点部門というものが台頭してきておる、こういう事情もやはり見落とすわけにはまいらぬのじゃないか、そういうことをいろいろ考えますと、確かに先生御指摘のように、十年前、一ころのごとき勢いで開銀融資が非常に大幅に伸びていくということは、これは確かにあまりないかと思いますけれども、さればといって、現在の倍率の中で、いってみれば、つまり回収金の範囲内でもって運用していけば足るという事態では、実は必ずしもない。そこに私どももいろいろ悩みがあるわけでございますが、この点は、今後の海運その他、新しいそういう産業というものの動きがどうなるか、それによってきまってくる問題ではなかろうか、かように思います。
  81. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 この資金量のワクを拡大する理由は、ごく抽象的には業務内容の増大ということになっておりますけれども、いま少し砕いて検討してみますと、ごく抽象的な言い方ですけれども、過去十何年間開銀運営としてやってきたそういう開銀の性格から一歩進めたといいますか、ワクについて、開銀の性格を越えた形の、たとえば、体制融資的な方向に足を踏み入れるために、資金量というものが四十一年度を境にして増大をしていく、そういう見通し、また、そういう条件を考慮して、今日この法の改正をやっておるのではないだろうか。  いま一つは、先ほど佐藤委員も質問をいたしましたが、一般的に金利がずっと下がってきた、市中の金利も下がってきた。こういう市中金利とのかね合いにおいて、開銀の金利も引き下げぬことには、開銀の融資というもののありがたさといいますか、効果というものが非常に少ない。さすれば、金利を引き下げて一定の収益性をあげるということになれば、その貸し出しの資金量というものは増大せざるを得ない、こういう理由が主たる理由となって今度のような改正になってきたのじゃないか、このように私は考えるのですが、その点はどうでしょうか。  それといま一つ、これは参考までに聞いておきたいのですが、国債発行に関連をして、開銀が国債を引き受けるようなワクというものは、部分的にもないのかどうか、これもひとつ参考までに聞かしてほしいと思います。
  82. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 第一の点でございますが、体制金融等の拡大に備えて今回の改正を行なうのではなかろうか、こういう御指摘でございます。その点は、実は全くさようなことは考えておりません。と申しますのは、金額でごらんになりましてもおわかりになりますように、いわゆる体制金融と称するものは、四十一年度におきましても七十五億円、これは四十年度が五十億円と先ほど申し上げました。それに対して、二十五億円の増という程度のものでございます。それよりも大きなものは、先ほど申した海運の関係で約八百億円、これがまあ非常に大きな要因になっております。したがいまして、そういう産業体制整備といったようなもののために開発銀行の融資ワクを拡大するということは考えておりませんし、事実また、これは本来市中金融の問題であろう、市中金融の問題でございまして、市中金融がどうしてもついていかない、いろいろ将来のリスクがあるとか、あるいは新技術その他のためになかなか市中が手を出せない、しかし、一方において、国策としてはそういうものはどうしても推進しなければならぬ、そういうものについて開発銀行というものが機能するわけでございますから、そういった意味で、市中金融が十分ついてくるようなところについて開発銀行の融資を考える余地はないわけでございます。  金利は、先ほど来申し上げておりますように、市中の長期貸し出し金利、これが国際的にはやはり測り高である、これも極力引き下げの努力をしていかなければならぬということで、昨今の金融経済情勢を背景にいたしまして、一月以来市中の貸し出し金利についても引き下げの努力が行なわれておるわけでございますが、開発銀行金利についても、当然やはり市中金利の動きというものをにらみ合わせてこれを引き下げてまいるということでございまして、一般的な金利政策全体としての問題としてこれは取り上げられておるわけでございます。特にそういう金利を下げなければ借り手がない、特利ででも出さなければなかなか借り手がない、だから特利の範囲を拡大しようというような考え方というものは、私どもには実はございません。  それから最後に、国債発行の場合に、開発銀行の国債引き受けということがあるのかというお話でございましたが、そのようなことは、全く予定いたしておりません。
  83. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 過去の法律改正の経緯を冒頭聞いたのですが、三十三年から四十一年までこれで三回改正するわけですけれども、その間の刻みは約三年刻みくらいになっておるわけですね。いま局長の答弁では、体制融資的な方向には考えてないのだ、こういうことなんですが、私は、なるほど今度の四十一年度の計画からいけば、海運のワクがふえたというふうに理解をしますけれども、部分的には体制融資的な方向、その地ならし的な方向に開銀融資が一部向きつつあるのじゃなかろうか。これはあとで私は私なりに判断しておることを申し上げますが、こういうふうに向いておると思うのですよ。いまこの法律の改正をやれば、過去の刻みからいっても、まあまあ三年くらいは改正はすまいだろう、そう朝令暮改的なことはやらぬだろう、こういうように想定をすれば、向こう三年間くらいの間体制融資的なものには手をつけないのかどうか、このこともひとつお聞かせいただいておかなければいかぬと思うのです。
  84. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 私が申し上げましたのは、そういう体制金融というものが、いわば大きな主導力になって開銀融資が拡大していくということではないと申したわけでございます。先ほど四十年度のワクが五十億円、四十一年度は七十五億円と申しました。わずか二十五億円ではございますけれども、それはふえております。そういう意味においては、確かに先生御指摘のように、体制金融というものに対するいわば芽が出たと申しますか、芽が出始めていることは事実でございます。しかし、これは今後どういうふうに運営さるべきかということは、これまたおのずから非常に慎重に取り扱わなければならぬ問題でございまして、決してそういうものをただむやみに拡大すればいいというような安易な気持ちは毛頭ございません。さようなことを先ほど申し上げたわけでございます。
  85. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、日本開発銀行業務報告書の、これは何年度版というのですか、第十四事業年度、昭和三十九年四月一日から四十年三月三十一日までの業務報告書の中の「業務活動の大要」という、いわば一番最近の開銀自身の業務活動の大綱、それから、一四ページの三十九年度における開銀自身の業務運営方針、運用の基本方針、こういうところを見ますと、いまの佐竹局長の答弁は、どうも私は、これもえらい失礼だけれども、便宜的な答弁にしか聞こえない。というのは、開銀の報告書を見ますと、四ページにはこう書いておる。「わが国は開放経済体制へ移行しているが、1国際競争力強化のための産業構造高度化国内産業体制の整備、2国際収支改善、3エネルギー・輸送力・産業関連施設等産業基盤の充実強化、4地域開発」こういう方向に、いわゆる開発銀行の融資は今後ますます重要になるであろうということを書いておりますね。そしてまた、十四ページにはこの運用の基本方針として、大体先ほど読み上げたことに類するわけでありますが、「国際競争力強化のための産業構造高度化、近代化と国内産業体制の整備、合理化」こういうことが(2)の中にあげられておる。これは全般的に見てみますと、やはり開銀の業務運営の方向というものは、現実には体制融資の方向を向いてきておると私は思うのですよ。それは、なるほど今日段階においては額は少ないかもわからぬけれども、そういう方向を向いてきておる。したがって、先ほどの過去の法改正の年度のきざみではないですけれども、一応今度改正をすれば、この法律が向こう三カ年くらい続くとすれば、その間において——私は、そういう体制融資の方向をとれと言っておるのじゃないのです。これは誤解してもらっては困りますが、少なくとも開銀自身はそういう方向を向きつつあるんじゃないか、それで、また大蔵省の方向としても、そういう方向をとりつつあることについて是認をしておるのじゃないか、しかも、この業務報告書等から判断できることは、具体的にそういう方向を明示しておるじゃないか、そういう点からいけば、この体制融資の方向というものに、さらに強い形で開銀の融資方向というものが向いていくような判断ができるのでありますが、その点についてはどうでしょうか。この点は、ひとつ、局長からだけでなくて、せっかく開銀の総裁もおいでのようですし、大臣もせっかくお忙しいところを出席されておるわけですから、こういう基本的な問題については、それぞれ見解を聞かしてもらいたいと思うのです。
  86. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 御指摘のような点、先ほどから私も申し上げておりますように、そういう体制金融の存在していることを否定しておるわけじゃないわけであります。ただ問題は、開発銀行本来の、つまり設立の趣旨、これはもう先生十分御承知のように、民間金融の補完機関である、こういうことは少しも変わっておらぬ、そういうことを十分腹におさめまして、そして、開銀として本来定められた役割りの範囲内において、その産業体制の整備、産業構造高度化に向かって協力すべきことは、これは当然のことでございます。ただ、私は、それが先生のおっしゃるような急激なことになるということはあるまいということを申し上げただけでございます。もし誤解がございましたら、どうぞ御了承をいただきたいと思います。
  87. 平田敬一郎

    ○平田説明員 ただいま銀行局長からるる説明のありましたところと、私ども別に見解の違いがあるわけじゃございません。ここに書いておりますのは、先ほど銀行局長から話がありましたように、開銀の融資方向につきましては、年々二ページか三ページでございますか、その程度にわたります方針が閣議了解のもとに決定されまして、それを示達を受けまして、その方針に従いまして私ども融資活動をいたしておるような次第でございます。その点、誤解ないようにお願いいたしたいと思います。
  88. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 開銀の融資目的は、私は、ずっとそのときどきの情勢で変遷があると思います。これは、創立当初は復興金融金庫の仕事を引き受けたわけであります。この色彩が相当濃厚であったわけであります。先ほどもお話がありましたが、四大産業というようなところに集中されておったわけです。それが、そういう使命が全然なくなったかというと、そうでもない。たとえば電力だとか、鉄鋼だとか、石炭だとか、こういうようなものをとってみますときに、まあ、自立経営ができるようにはなってきておりますが、なお国際競争というような点等を考える場合において、そういう特殊な政府金融を使うということが必要であるという場面も出てきたわけです。同時に、その後園の大きな課題となっておりますのは、これは地方開発だと思います。開発銀行が地方開発の一つの牽引力として働かなければならぬという使命も出てきておるわけです。そこへもっていって、さらに海運問題、そういう問題も出てきておる。そういうことから、事業量は、当初復金から引き継いだころに比べますと、性格が非常に変わってきてはおるのだけれども、また、性格が変わったから、自然融資ワクは縮小さるべきじゃないかという見方ですね。それは、私はそういう見方があり得ると思うのです。私もしょっちゅうそういう疑問を拘くのです。開発銀行ももうだいぶ使命を終わってきておるじゃないかということを考えます。ところが、たとえば、石炭だとかいうような問題がぽかっと出てくる、また、海運というような問題が出てくる、そういうようなことで、国家金融が介入する余地というものがまたふえる場面が出てくるわけであります。そういうようなことから資金ワクの拡大というようなものも必要とされ、それから開銀の使命というものもそのときどきの状況に応じて伸び縮みがある、こういうふうに御理解願いたいのであります。
  89. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 今日段階といいますか、今日の情勢の中では、開銀をしてどういう方向の政府金融機関としての使命というか、役割りを果たしていくかということについての考え方はわかりましたが、ただ、最近これは新聞の切り抜きではないですけれども、こういう大きな見出しがあって、これはごらんになられただろうと思いますが、通産省あたりが、いわば開銀の使命は一応終わった、したがって、開銀自身をして体制金融のいわば中心に据えていくのだ、こういう考え方が、開銀の改組問題として、少なくとも新聞あたりではかなり大きく取り上げられておるわけなんです。これはひとつ将来の見通しを含めてお尋ねいたしておきたいのですが、この新聞報道ではありませんけれども、この開銀の業務の中に、民間企業への出資あるいは株式の取得、こういうものまで開銀業務の中に加えるというような構想が、少なくとも政府機関の中ではあるわけですから、そういう構想に対する開銀自身の当局者の見解、大蔵省の大臣の見解というようなものを聞きたい。また、今日の開銀をしてそういう業務をやらすということになれば、これは私は、現行の法律自身を目的から改正しなければいかぬという問題が起こってくるだろうと思うのです。その現行の開銀をして、いま私が指摘したような、通産省あたりが強く提唱をしておるようなことができないとすれば、これは俗に言う第二開銀というようなことも一つの構想として考えられるのではないか。そのよしあしは、私は時間がありませんので触れませんけれども、政府部内の有力な通産省あたりの見解の中にはそういうものがあるようでありますが、これに対する大蔵省並びに開銀自身の当局の見解をこの機会に聞いておきたいと思います。
  90. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 ただいまお示しになりました新聞記事、私も新聞では読んでおりますが、通産省方面からは、実はまだ一度もそういう話を聞いておりません。したがって、通産省がいかなることを考えておりますか、これは、実は私もいまの段階では存知しておらぬわけでございます。ただ、このものの考え方といたしまして、伝えられるような、そういう開発銀行が体制金融のいわば中心推進力となったり、見出しにありますような自動車、石油等に積極的融資をはかっていくといったようなこと、もしくは民間会社の株式を取得するということについては、実はいろいろと問題が多いと思います。ことに、開発銀行設立の本来の趣旨ということに立ち戻ってこの問題は考えなければならぬ、かように実は思うわけでございます。したがいまして、何分にも、通産省の考え方は直接聞いておりませんから、とかくの批判は避けますが、私どもの基本的な考え方としては、あくまで開発銀行設立の本来の趣旨に立ち戻る、これを一刻も忘れない、こういうことで万事問題を処理していきたいと思います。
  91. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、私がいま指摘したような考え方で、今日の開銀自身の改組発展をやるというような考え方はいまない、いわんや、第二開銀などというものに対する構想についても、大蔵当局は考えていない、このように理解してよろしいかどうか。  それとあわせて、通産省側からはそういう具体的な話は聞いていないということですが、そのことに関連をして、そこまでは相談を受けておらないかもしらないが、開銀自身に、先ほど私が指摘したような体制融資の協力銀行としていわば手を貸してもらいたい、また、そういう役割りを果たすべきだという相談は、かなり具体的に受けておるのじゃないでしょうか。この点はどうですか。
  92. 佐竹浩

    ○佐竹政府委員 この点は、先ほども申し上げましたけれども昭和三十八年度の財政投融資計画編成の際、自動車工業等に対する体制金融について通産省から話を受けております。そのほか、自動車工業に限らず、特殊鋼でございますとか、石油化学についても話がございまして、現に石油化学、特殊鋼については具体的に融資が行なわれておる、これは先生御承知のとおりでございます。
  93. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 もう時間がありませんので、あと二つほどにしぼって質問をしたいと思いますが、今日段階においては、体制融資というワクの中に、開銀の融資量といいますか、資金量というものはさして大きくは動いてないですけれども、先ほど私が指摘をした開銀自身の出しておる業務報告書あたりから見ても、この四十一年度あたりを契機にして、だんだんとそういう方向に融資のワクというものが拡大をしていくのじゃないかと思うのです。私は、これがそういう方向に進むということは、たしか一昨年であったと思いますが、例の特定産業振興法が三たび国会に出されて廃案になりましたが、法律は廃案になったけれども、実際の金融機関の資金運営なり、あるいは通産省の行政指導を通じて、新産業体制というか、特振法体制というか、そういうものが現実に私は動きつつあるんじゃないかと思うのです。これはいろいろな問題もありましょうけれども、あの特振法が廃案になったときに、私も商工委員会で当時三時間余りいろいろ質問もした一人でありますが、私どもの立場としては、なるほど、にしきの御旗としては、政府側の主張としては、国際競争力の強化という点を非常に強く主張されるわけですけれども、ひるがえって考えてみると、この特振法体制というものは、一言にしていえば、やはり寡占体制をつくることになるのだ。まあ、一番早い例が自動車だと思うのですよ。いま日産とプリンスにああいう問題も起こっておりますが、自動車のごときは、もうトヨタと日産に集中する方向が、結果的には生まれてくるのじゃないか。そうすると、集中合併の過程において起こり得る労働者に対する資本家の合理化策、あるいはまた、結論として、独占価格体制というものを維持する条件というものがより強く生まれてきて、そのことが今日の物価上昇の大きな要因に発展をして、そうして、われわれ消費者、国民大衆の立場からいえば、この特振法体制というもの、寡占体制というものは、国民生活の立場からいえば、決してプラスにならない、こういう観点から私どもは反対をしてきたわけでありますが、そういうワクの中で、政府機関が——政府の開銀であれば、開発銀行自身がそういうワクの中に入る、そうして、量的補完にもせよ、質的協力にもせよ、重要な片棒をかつぐということは、これは開銀自身の方向としては好ましくないのではないか、私はそういうように思うのですが、それに対する見解をお聞かせいただきたいのと、時間がありませんので、質問点だけ先に申し上げたいと思うのですが、もう一つは、先ほど来から、大体今日段階における開銀融資の方向というものについてわかったような気がするわけですけれども、特にこれから先、やはり今年度だけでなく、これから向こう三年あるいは五年というふうに一つ長期の展望に立った開銀自身の運営方針というものも私は必要だと思う。そういう観点からいく場合に——なるほど、大臣のほうからも御答弁があったとおり、過去の四つの基幹産業にはでこぼこができた。しかしながら、海運なり石炭というようなものについては、依然としてこれは開銀の本来の使命を果たさなければいけない分野もある。しかし、それ以外は、今度の法改正でワクがふえますね。そういうワクがふえていく対象になるべきものについて、どういうものを重点的に今後取り上げていこうとされているのか。たとえば、地域開発というようなものを重点的に取り上げていこうとするのか、そこらの事情について、考え方について見解を聞かせてもらいたいと思います。  私は、先に私の意見を言わしていただきますならば、今日の経済の状態からいって、これは本会議、どの委員会を通じても問題になっているように、やはり今日の経済の大きなひずみを解消するというところへ焦点を合わせて開銀自身の業務運営もやっていくべきではないか。そういう点からいけば、地域開発というようなものに力点を置いて、住宅とか道路とかいうもの、あるいは上下水道というようなものに力点を置いていく、さらには公害対策、煤煙対策、汚水防止施設、こういうようなものに力点を置いていく、さらには、最近交通事故がひんぱんに起こっているというような実態から見て、交通事故の防止設備というようなものに、いわばおくれた公共部門といいますか、そういうところに開銀融資の焦点を合わせて、力点を置いて——この今年以降の開銀の業務運営というものはそういうところに力点を置いてやっていくべきではないか。また、今日の現行法でいう開銀の性格からいえば、おくれた産業部門を開発するということが目的の第一条の中にうたわれているわけですから、いま私が申し上げたような産業部門、公共部門に力点を置くと同時に、たとえば電子工学といいますか、原子力発電というか、こういう未開発分野に対して、この開銀融資の方向というもの、力点というものをそういう方向に向けて、そうして、経済のこういうひずみというか、おくれた部門の開発をやっていくのだというところに努力目標を設定して、開発銀行本来の使命を果たすべきだと思うのでありますが、そういう点についての見解を、時間がありませんので、私の見解を先に申し上げて、大臣をはじめとする関係者の方々の見解を承りたいと思うわけであります。
  94. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 ただいま藤田さんのお話、まことにごもっともなことだと思います。いま当面の問題は、ひずみの是正ということでありますが、私は、それがすなわち開発銀行が目下当面している最大の任務である、そういうふうに考えるわけであります。全く同感であります。
  95. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、理事のほうからもあらかじめ話がございまして、もう一時半になりますからこれで質問を終わりますけれども、実は、いま堀委員のほうから意見がありますように、まだ残余の質問点を幾つか持っておりますので、それらについては、私自身としては留保さしていただいて、質問を終わりたいと思います。
  96. 三池信

    ○三池委員長 次会は、明後四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十一分散会