○藤田(高)委員 もう時間がありませんので、あと二つほどにしぼって質問をしたいと思いますが、今日
段階においては、体制融資というワクの中に、開銀の融資量といいますか、資金量というものはさして大きくは動いてないですけれ
ども、先ほど私が
指摘をした開銀自身の出しておる業務報告書あたりから見ても、この四十一年度あたりを契機にして、だんだんとそういう
方向に融資のワクというものが拡大をしていくのじゃないかと思うのです。私は、これがそういう
方向に進むということは、たしか一昨年であったと思いますが、例の
特定産業
振興法が三たび国会に出されて廃案になりましたが、
法律は廃案になったけれ
ども、実際の金融機関の資金運営なり、あるいは通産省の行政
指導を通じて、新産業体制というか、特振法体制というか、そういうものが現実に私は動きつつあるんじゃないかと思うのです。これはいろいろな問題もありましょうけれ
ども、あの特振法が廃案になったときに、私も商工委員会で当時三時間余りいろいろ質問もした一人でありますが、私
どもの立場としては、なるほど、にしきの御旗としては、政府側の主張としては、国際競争力の強化という点を非常に強く主張されるわけですけれ
ども、ひるがえって
考えてみると、この特振法体制というものは、一言にしていえば、やはり寡占体制をつくることになるのだ。まあ、一番早い例が自動車だと思うのですよ。いま日産とプリンスにああいう問題も起こっておりますが、自動車のごときは、もうトヨタと日産に集中する
方向が、結果的には生まれてくるのじゃないか。そうすると、集中合併の
過程において起こり得る労働者に対する資本家の合理化策、あるいはまた、結論として、独占
価格体制というものを維持する
条件というものがより強く生まれてきて、そのことが今日の物価
上昇の大きな要因に発展をして、そうして、われわれ消費者、国民大衆の立場からいえば、この特振法体制というもの、寡占体制というものは、国民生活の立場からいえば、決してプラスにならない、こういう
観点から私
どもは反対をしてきたわけでありますが、そういうワクの中で、政府機関が
——政府の開銀であれば、開発銀行自身がそういうワクの中に入る、そうして、量的補完にもせよ、質的協力にもせよ、重要な片棒をかつぐということは、これは開銀自身の
方向としては好ましくないのではないか、私はそういうように思うのですが、それに対する見解をお聞かせいただきたいのと、時間がありませんので、質問点だけ先に申し上げたいと思うのですが、もう
一つは、先ほど来から、大体今日
段階における開銀融資の
方向というものについてわかったような気がするわけですけれ
ども、特にこれから先、やはり今年度だけでなく、これから向こう三年あるいは五年というふうに
一つの
長期の展望に立った開銀自身の運営方針というものも私は必要だと思う。そういう
観点からいく場合に
——なるほど、大臣のほうからも御答弁があったとおり、過去の四つの基幹産業にはでこぼこができた。しかしながら、海運なり石炭というようなものについては、依然としてこれは開銀の本来の使命を果たさなければいけない分野もある。しかし、それ以外は、今度の法改正でワクがふえますね。そういうワクがふえていく
対象になるべきものについて、どういうものを重点的に今後取り上げていこうとされているのか。たとえば、
地域開発というようなものを重点的に取り上げていこうとするのか、そこらの
事情について、
考え方について見解を聞かせてもらいたいと思います。
私は、先に私の
意見を言わしていただきますならば、今日の経済の
状態からいって、これは本
会議、どの委員会を通じても問題になっているように、やはり今日の経済の大きなひずみを解消するというところへ焦点を合わせて開銀自身の業務運営もやっていくべきではないか。そういう点からいけば、
地域開発というようなものに力点を置いて、住宅とか道路とかいうもの、あるいは上下水道というようなものに力点を置いていく、さらには公害
対策、煤煙
対策、汚水防止施設、こういうようなものに力点を置いていく、さらには、最近交通事故がひんぱんに起こっているというような実態から見て、交通事故の防止設備というようなものに、いわばおくれた公共部門といいますか、そういうところに開銀融資の焦点を合わせて、力点を置いて
——この今年以降の開銀の業務運営というものはそういうところに力点を置いてやっていくべきではないか。また、今日の現行法でいう開銀の性格からいえば、おくれた産業部門を開発するということが目的の第一条の中にうたわれているわけですから、いま私が申し上げたような産業部門、公共部門に力点を置くと同時に、たとえば電子工学といいますか、原子力発電というか、こういう未開発分野に対して、この開銀融資の
方向というもの、力点というものをそういう
方向に向けて、そうして、経済のこういうひずみというか、おくれた部門の開発をやっていくのだというところに努力
目標を設定して、開発銀行本来の使命を果たすべきだと思うのでありますが、そういう点についての見解を、時間がありませんので、私の見解を先に申し上げて、大臣をはじめとする
関係者の方々の見解を承りたいと思うわけであります。