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1966-03-10 第51回国会 衆議院 体育振興に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十日(木曜日)    午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 福永 一臣君    理事 川崎 秀二君 理事 田邉 國男君    理事 高橋 重信君 理事 前田榮之助君       伊能繁次郎君    上村千一郎君       海部 俊樹君    佐藤 孝行君       佐藤洋之助君    砂田 重民君       古井 喜實君    佐藤觀次郎君       長谷川正三君  出席政府委員         文部事務官         (体育局長)  西田  剛君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  体育振興に関する件(国民の健康、体力つくり  に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 福永一臣

    福永委員長 これより会議を開きます。  体育振興に関する件について調査を行ないます。  国民の健康、体力つくり関係の施策について、質疑の通告がありますので、順次これを許します。田邉國男君。
  3. 田邉國男

    田邉委員 きょうは体育局長が出席されておられますので、若干質問をしてみたいと思います。  まず現在の日本小中学校における給食状況を教えていただきたいと思います。
  4. 西田剛

    西田政府委員 学校給食は、終戦後二十年を経まして年々普及、発達をしてまいりまして、現在の普及状況を概括して申し上げますと、小中学校合わせまして、ミルク給食も含めまして考えますと、八五・四%の普及率になっております。なお、そのうち完全給食につきましては、全国で五七%という程度でございます。なお、そのうち特に小学校普及率が非常に高うございまして、小学校の場合、児童数で申しますと九三%のミルク給食を含めての実施率完全給食につきましても七九・八%と、約八〇%に近い実施率になっております。それに比較しまして、中学校のほうはまだややおくれておりますが、ミルク給食を含めまして七三・三%、それから完全給食で二三・三%というような普及率でございます。
  5. 田邉國男

    田邉委員 この給食をやっての最近の小中学校児童生徒体力と申しますか、そういうものは、文部省で見まして非常に体力が増進しておるというような、何か統計上にあらわれたものが出ておるか、その点を伺いたいと思います。
  6. 西田剛

    西田政府委員 御承知のように、最近児童生徒体位は非常な伸びを示しておるわけでございますけれども、これと学校給食との関係、これは非常に深い関係があるというふうに学者先生は論証されております。特に東北大学の近藤名誉教授等その他大ぜいの先生方が、これを立証いたしておりますけれども、ほかのいろいろな要素もございますので、最近の児童生徒体位伸びというものが、ただ学校給食による栄養改善によってのみ進行してきたと断ずることはできないのではないかと思いますけれども、ただいま申し上げましたように、先生方の研究の結果、あるいは奄美大島等ミルク給食実施した結果、鹿児島県、本土の平均よりもよくなったというような実例等から見まして、学校給食効果は非常に多大である、非常に大きなものがあるというふうには言えると存じます。
  7. 田邉國男

    田邉委員 そうしますと、学校給食というものが小中学校児童生徒に非常な効果のあるものである。特に、最近のミルク給食というものが非常な効果を示しておるということでございますが、一体文部省見通しとしては、何年ごろになれば粉乳となま乳の混合が完全ななま乳に切りかえられるのか、その点を伺いたいと思います。
  8. 西田剛

    西田政府委員 なま乳の学校給食における拡大、これはなま乳の国内における生産の関係、あるいは需給調整関係等もございまして、主として農林省所管になっておりまして、このなま乳に対する補助金は、いわゆる通常十円八十銭ぐらいいたしますが、そのうち一合について五円の補助を国がいたしておりますが、その補助金農林省のほうで計上されておるというような事情でございまして、なま乳の今後の学校給食への拡大というのは、どちらかと申しますと、ただいま申し上げましたように今後の酪農の量産の状況、あるいは社会における需給調整というような問題とからみますが、私ども農林省のほうの試案といたしましては、四十五年度までに全体としていまの脱脂粉乳をなま乳のほうに切りかえていくという大体の考え方で計画をお立てになっておるというふうに承知をいたしております。具体的な試案としての数字は、私ども承知いたしておりますけれども農林省のほうの所管でもございますので、一応その程度の答弁にさせておいていただきたいと思います。
  9. 田邉國男

    田邉委員 あまり専門的にそれをやると、それは農林省所管だということでございますが、四十五年を目標とするというそのなま乳の総石数というものは、どのくらいになるのですか。
  10. 西田剛

    西田政府委員 大体、三百五十万石というふうに推定をいたしております。
  11. 田邉國男

    田邉委員 いまの三百五十万石という数字は、小学校生徒が一合、中学生徒が一合五勺という量と、それから小中学校児童生徒を、たとえば約八百万人という数字で出しておるのですか。その点を伺いたい。
  12. 西田剛

    西田政府委員 これはお話のように、小学校については一合、中学校については一・五合ということで、将来の伸び見通しての概算でございます。もちろん私どもといたしましては、そのように全体として国内産のなま乳によりまして脱粉と切りかえていくという方針に賛成でございますし、そういうふうに御協力いたしておるわけですけれども、事実問題としては、やはり僻地、離島等では、なま乳を使用することがどうしても無理なような地域も若干残り得るのではなかろうかと思いますけれども、そのようなこまかい数字は一応はずしまして、概算三百五十万石ぐらいかかろう、こういうふうな見通しでございます。
  13. 田邉國男

    田邉委員 いま、四十五年に三百五十万石を予定しておると農林省はいっておる、また、それに合わして文部省手順を整えておられるのだというお話でございますが、いまの三百五十万石という数字は、四十五年の小中学校児童生徒該当数は、総数どのくらいになるかということを聞いておるのです。
  14. 西田剛

    西田政府委員 一応将来の伸び見通しまして、全体といたしまして小学校では九百四十二万人、中学校では四百七十二万人、小学校には一合、中学校は一・五合というふうな考え方に立って概算いたしておるようなわけでございます。
  15. 田邉國男

    田邉委員 いまのは小学校が九百四十二万人ですか、それから中学校が四百七十二万人。そうしますと、総計で約千四百万人の小中学校児童生徒が、昭和四十五年にはおるということですか。私は、何かこの数字は少し多いような感じがするのですが、その点を重ねて伺います。
  16. 西田剛

    西田政府委員 これは、四十五年度に推定される小学校の全児童数及び中学校の全生徒数でございます。
  17. 田邉國男

    田邉委員 児童生徒の数を伺ってまことに失礼ですが、現在の小中学校児童生徒総数は、千三百万人だと私は思っておりますが、そうしますと、それよりもふえていくということになるわけなんですか。
  18. 西田剛

    西田政府委員 現在の小中学校児童生徒数は、概数千五百万人になります。より正確に申し上げますと、これが四十年五月現在で見ますると、だんだん減ってきていますけれども、四十年五月現在の小学校児童数が九百七十七万人、中学校が五百九十五万人という実数でございます。
  19. 田邉國男

    田邉委員 そこで私は、いまの学校給食制度というものの中に、かつてなま乳というものを入れ、そしてそれが小中学校児童生徒体育には非常に大きな役割りを果たした。そこで私は、もう一つ新しい試みとして、数年前から文部省にもお願いをしておりますが、日本では果樹振興という立場から、くだもの各地で非常な増産が行なわれておる。そういうものを小中学校児童生徒に、なま乳と同じような体系で、フレッシュジュースを配給していこうという考え方文部省にあるのか、その点を伺いたい。
  20. 西田剛

    西田政府委員 ただいまお話のありました果樹濃縮ジュースを、学校給食用拡大していったらどうかというお話でございますが、国内産果樹園芸もだんだん振興してまいりまして、濃縮ジュース類も非常に多く生産されるようになってまいりました。これを、たとえばミカン類にとって申しますと、ビタミンCが非常に豊富である。一方、一般学校給食におきまして、栄養素の中ではビタミンCはなかなかとりにくい要素のものであるというようなことを考えますと、ミカン濃縮ジュースといったようなものを学校給食に取り入れるということは、ビタミンCを補てんしていくというような意味で相当の長所があるのではないか。また同時に、一般的に食生活の水準もだんだんと向上いたしてまいっておりますおりから、児童生徒に対して非常に喜ばれるような給食内容に持っていくというような意味でも、変化を持たせる、内容を豊富にするというような意味からいいましても、このような濃縮ジュースを使うということは望ましい点もあるのではないか、こういうふうに考えております。  そういうことで、文部省といたしましてはいろいろと試作品を、厚生省栄養研究所等とも連絡いたしまして一定の基準を設け、学校給食会を通じましていわゆる学校給食用の指定された物資として扱い得るような仕組みの中に織り込むように今後取り運んでまいりたい、かように考えております。しかし、いまお話しのように、なま乳と同じような方向でというところまでは、事柄の性質上これは無理かと存じます。したがいまして、いまのところさような方法をとりまして、正規に、いわゆる学校給食用物資としていいものだということで、文部省学校給食会取り扱い指定物資として指定して、これのあっせんを積極的にするという方向で処理すべきものであろうか、かように思います。  学校給食におきましては、一つ問題点は、値段との問題にもなるわけでありますが、できるだけ安価に供給してもらうというようなことにつきましても、いろいろと関係者との間に折衝を重ねてまいりまして、いま大体一合七円程度のところまで、ミカンについていえばいけるのではないかという考え方でございます。したがいまして、それくらいの値段でありますれば、学校希望によりまして、学校給食の中にある程度これを取り入れていくということは可能であろうということでございますし、また、若干学校側希望もあるようでございますから、ただいま申し上げましたように、学校給食会取り扱い指定物資ということで、積極的に日本学校給食会あるいは県の学校給食会を通じて、学校希望に応ぜられるような仕組みにしてまいりたい、かように考えております。
  21. 田邉國男

    田邉委員 いま、日本学校給食会指定物資としてやってまいりたい、こういうお話なんですが、先般、党の文教部会でいろいろと話が出た際に、六大都市はこの濃縮ジュースを一応指定物資として始めるんだ、そしてミカン濃縮ジュースを一合五円の単価で出すということの話し合いをしておる、こういう説明がございました。その点文部省のほうは、まだそういう指定物資としてやりたいという考え方程度で話を進めておられるのか。これは厚生省関係もあると思うのですが、しかし現実には、学校給食指定物資ということになれば文部省の管轄でございますから、私は、文部省担当局長はその内容をもっと十分把握されておられるのだと思いますが、もう少し具体的に、六大都市がやっておられるのか、あるいは地方都市で、ミカンを生産しておる県の中小都市が始めるということになったのか、その点をひとつ明確に教えてもらいたい。
  22. 西田剛

    西田政府委員 文教部会でのお話では、六大都市ですでにミカン濃縮ジュースについて具体的にこれを取り扱うような話があったという趣旨お話がございましたが、私、実はそういう話を承知いたしておりません。ただ、ただいま申し上げました私どものほうの事情をもう少しこまかく御説明申し上げますと、学校給食会取り扱い用物資とすることによって、全国的に希望する学校が安く手に入りやすいという形態になります。ですからそういう意味で、学校給食会取り扱い指定物資路線に乗せるということは、全国を通じまして、もし学校ミカン濃縮ジュースを利用したいという場合には、低廉な価格で、また安易な方法で手に入るという路線に乗せることができるわけでして、御承知のように学校給食会では、脱粉のほかに、いわゆるバターとか、チーズというふうなものをやはりあっせんをいたしておりますが、それと同じようにあっせん対象にしてまいりたいということでございます。そのために、ミカンジュースにつきましてはいろいろと試作品をつくりまして、厚生省栄養研究所等とも、どの程度濃縮にしたらいいかというようなことで相談いたしまして、いわゆる温州ミカン夏ミカンとを半々にして五分の一ぐらいの濃縮にする、その場合の栄養素がどういうふうになるというようなことで、ほぼこの基準ができました。そして値段の点も、農林省が中に入っていただきまして、大体いま申し上げましたように、七円程度のところでおさまるというようなところまでまいりましたので、これを大蔵省のほうと協議いたしまして、学校給食用物資ということになりますと法人税の免税の対象になるわけでして、そういう手続も経まして、近々実施に移してまいる手順に相なっておる次第であります。
  23. 田邉國男

    田邉委員 ミカン濃縮ジュース指定物資としての内容がやや明確になりました。  そこで文部省は、ミカンだけでなく、たとえばグレープジュース、あのブドウジュースを使うというような考え方はあるのですか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  24. 西田剛

    西田政府委員 ミカンのほかに考えられるものとしましては、さしむきリンゴジュースの問題がございます。またグレープジュースの問題もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、それらの問題につきましては価格の問題、あるいは栄養素問題等とも関連しますし、現場における要望というようなものも考えて、今後十分研究してまいりたい、こういうように思います。
  25. 田邉國男

    田邉委員 私は、そこで一つお願いがあるのですが、ミカンビタミンCは、小学校児童中学生徒が非常に不足をするビタミンであるから、これを補充することは非常に大事なことだという御意見、私どもまことにけっこうだと思うのです。ただ、リンゴだとかブドウだとか、また桃だとか、いろいろなくだものがございます。そういうものを、文部省にしても厚生省にしてもやはり順次拡大をして、そして国民体位の向上という意味からいえば、ビタミンだけをとればいいということでなくて、新鮮なくだものの中からあらゆる栄養源をとるということ、これをやはりやる必要がある。同時に、それが日本果樹振興に非常に重大なつながりがあるのだということ。それからもう一つは、市場に流れておるイミテーションジュースというものが非常に多い。それが非常な高い価格で売られておる。日本市場で、いわゆるジュースという名前で出ておるもののおそらく九〇%はイミテーションのものだ。これが一般人たちに、ジュースというものはこういうものだという一つの錯覚を起こさしておる。ヨーロッパへ参りますと、たとえばリンゴジュースでも、オレンジのジュースでも、みな一合びんのような小さいものに入っておって、そして見た目は非常に色が悪い。飲むときには必ずびんを振って、その上でせんをとってコップヘあけて飲んでくれ、そうすれば非常に味はいいのだということで、私どもはそれをためして飲んでみると、見た目は非常によくないけれども、味は非常にいい。こういうものが日本には現在ほとんどありません。私はそういう意味で、学校給食の中にほんとうフレッシュジュース濃縮ジュースというものを普及していくことが、やがては市場にあるイミテーションジュースも駆逐していく一つの大きな要素になるだろうと思う。そういう意味で、この問題は私はミカンということに限定をせずに、いろいろなくだものも積極的に取り上げて、いいものはやっていくのだという一つの前向きの姿勢で進めていただきたいと思います。これは各県とも、果樹振興をやっておられる県は非常な強い要望が私はあるのだと思う。日本イミテーションジュースというものを子供が飲まなくなる、そして自然に日本一般市場からイミテーションジュースが駆逐されて、ほんとうフレッシュジュース、純粋のジュース普及するようになる、そういうようないろいろの効果が私はあると思う。そういう意味で、ミカン濃縮ジュースというものを給食物資として指定すると同時に、ぜひひとつ他のフレッシュジュースも同様に進めていくという前向きの姿勢で検討していただきたい、これをお願いするわけです。
  26. 西田剛

    西田政府委員 学校給食にあたりまして一番大きな問題は、やはり価格の問題が一つございます。何といいましても一食三十円以下の価格で用意するわけでございますから、その価格の中で取り扱い得る範囲のもので扱っていく、しかも、その値段範囲内において所定栄養量を確保していくというような実情にございます。したがいまして、野菜とかあるいは果実、特に果実のかわりに果汁濃縮ジュースとして使うというような場合には、どちらかと申しますと、食事変化を持たせるというようなところに主たる要素がまいりまして、栄養的にどうこうという点では、ほかの栄養素所定量等から比較しまして、値段との均衡上もいろいろ問題があるところであろうかと思います。したがいまして、いま申し上げましたように、食事変化を持たせて子供に飽きさせずに、学校給食が安かろう、まずかろうということでなくして、多少安くあり、かつおいしい、こういうふうな方向でいくのに、一つ方法としてかような処置をとってまいることを考えたいというように思っておりますけれども、ただいま先生お話のように、この学校給食果汁を使用することをてことして、社会におけるいわゆる人工ジュースの欠陥を駆逐していくというような点にまでは、なかなか及びにくい問題ではなかろうかと思います。私どもといたしましては、学校がそうした学校給食変化を持たせるのにそういうものも希望する、そうした場合になるべく低廉な価格で手に入りやすい、こういうふうな手だてを講じていくという点では積極的に研究してまいりたい、こういうふうに思います。
  27. 田邉國男

    田邉委員 大体文部省考え方はわかりましたので、私はもう一つ、別の面からお伺いしたいことがあるのですが、それは、いま文部省学校給食施設の推進ということをおやりになっておる。私は、これを大いにやることはけっこうなことだと思います。ただ、一面問題のあるのは、各中小都市給食センターというものがございます。これはいろいろの名前をつけて、社団法人でやっておるものもあるし、それからまた株式会社でやっておるものもあるし、協同組合でやっておる給食センターもある。ところが、工場、それから会社、その他家庭まで配給をしておる個人給食センターというものが、いわゆる給食人口というものが非常に少なくなってきて、そして各地経営が非常に困難になっておる。これは全国で、数えますと相当な数にのぼっておるだろうと私は思います。そういうことを考えたときに、この給食センターというものは大きな金を投じて、千万、二千万の金を投じていろんな施設をしておる。そして完全給食としての施設を備えておる。また、そういう設備の資金というものが融資されておる。そしてそれを五年とか十年の償還期限で貸しておるわけでございますが、こういう中小企業給食センターというものが経営に非常に困難を来たしておる。片方において、学校給食というものが非常な速度で進んでおる。そして、一単位の学校給食施設をしておったものを、それを市あるいは町全体の学校給食センターというものにして、一カ所に置くという指導が行なわれつつある。私は、こういう際に、その地方にある給食センター施設個人施設であろうとりっぱな施設であるならば、この給食施設というものを、委託経営といいますか、そういう形にさせることも一つ方法ではないか。現実に、私ども調査によりますと、全国でとにかく数百と数えられるものが、経営困難を来たしておることは事実です。当初の一年くらいは給食人口というものがありましたけれども、それが給食人口が非常に減ってきた。そこで、二千五百食なら二千五百食のペイすべき基準まで達しない状態である。そういうときに、私は、学校給食というものの委託をさせるという制度文部省は考えられないのか、こういうふうな気がするわけでございます。その点について、ひとつ体育局長意見を伺いたと思います。
  28. 西田剛

    西田政府委員 全国集団給食を扱っておる中小企業が相当ある。そうしてそれが営業上なかなかむずかしい状況にある。一方学校給食というものがだんだんと前進しておるのだから、学校給食にこの委託という形式が取り入れられないかというお話でございますが、これは学校給食のそもそもの成り立ちからの関係に戻りますが、考え方としてはいろいろありましょうけれども、現在行なわれております学校給食は、学校で、学校の責任のもとに調理して給食を行なうというたてまえのもとに法律ができております。やや具体的に申し上げますと、たとえば施設設備については、設置者である地方公共団体が持つ、さらに調理員等人件費についても、設置者である市町村に持っていただくという給食制度のそもそものたてまえのもとにスタートをいたして、今日まで約八五%の普及の実績をあげてきておるような実情でございます。それで、もともと委託経営かあるいは直営かというような問題が、会社企業体の場合にはいろいろ議論としてあり得るところでございますが、学校給食の場合には、それらの議論とはまた別の角度におきまして、そもそも学校給食そのものが、学校において調理をし、そして子供の教育の一環として調理も取り扱うし、学校給食も行なうというたてまえでまいっております関係から、これを委託に改めるということは、目下のところ考えられない実情にございます。  なお、それらの点につきましては、さらに具体的に申し上げますと、まずさような場合には、コストかどうしても高くなって父兄負担が増大することになる。もともといまの法体系が、先ほど申し上げましたように、施設設備も、人件費等も、設置者に持っていただくというたてまえになっておりますから、それらの分について市町村が、委託でも済むということであれば熱意を失い、設置者負担をしないというような傾向にもなりますので、事実上一般的にいって父兄負担が非常に増大を来たすという可能性が、非常に強いということが一つの難点であろうと思います。  また、民間企業の場合、いま先生お話のように、一般的に見まして中小企業の場合が多く、かつ、なおさら経営的にもどうかというような状況であるとするならば、学校給食にとりましては、これは栄養的にもあるいは衛生的にも十分行き届いたものであると同時に、永続性を持ったものでなければならない。要するに、安定したものでなければならないというような観点から見ましても、ただいま先生お話のような、多少ことばは適当でございませんけれども、多少窮状にある一般集団給食を取り扱っている民間給食企業体を、救済するというような意味での利用というようなことは、考えるのは適当ではないのではないか、かように私どもは考える次第であります。  また、私どもはこの問題につきましても、かねていろいろと研究してまいっておるところでございますが、やはり栄養管理、あるいは保健衛生上の管理指導、こういう点で趣旨を十分に徹底し、責任ある体制のもとに学校給食実施していくためには、やはり現行の制度が最も適当であると、かように考えておるような次第でございます。御承知のように、今日まで、いままでの制度によってここまで学校給食がすでに普及してまいっておる実情でございます。そこで、ここでそういうふうな委託も可能であるというようなことになりますれば、これは、制度そのものの基本的な変更にもなるし、ある意味におきましては、いままで非常に苦しい財政の中から、市町村が非常に苦労して学校給食をみずから施設し、実施してきているという熱意に対しても相済まぬということになりますので、私どもとしましては、一応従来の方針にのっとって学校給食普及、充実してまいりたい、かように考えておる次第であります。
  29. 田邉國男

    田邉委員 私は体育局長意見を異にするのです。と申しますのは、この学校給食をするということが市町村の負担を非常に軽減し、そしてまた人件費を軽減できる、また同時に栄養価値も非常にある、それからまた、この施設というものが完全に衛生的なものである、学校給食をやっておる自治体経営給食センターというものは、実際そういう形で運営をされておっていいのだ。しかし、個人経営をしておる給食センターというものは、これは非常に不安定の企業である、その給食センターを救済するということについては非常に不安があるんだ、それは経費が非常にかかる、人件費がかかる、それから従来の制度を根本的に変更するという問題もある、また地方自治体が今日まで非常な苦労をしてやってきた、しかも非常に成果を上げてきた学校給食のいわゆる給食センター、その自治体の経営をしておるセンターのほうが効果があるんだ、こういうようなことをいま列挙をなさったのですが、私が局長にお話ししたことを十分に理解しておらないのじゃないか。と申しますのは、いまの個人経営しておるその給食センターというものは、やはり非常に厳重な検査を受けて、この融資というものは、国の外郭団体である福祉年金事業団というものが融資あっせんをして、厳重な監督のもとに給食施設というものの整備をさせておる。そしてこれは、少なくも三千食というものを一つのめどとしておりますけれども、四千食ないし五千食できるような、要するに弾力性のある施設になっている。そして、いまの小中学校給食施設以上に整備をされた施設というものが各所にございます。ただ、これが当初の事業計画のときには約三千食、将来は四千食、五千食になると言っておきながら、給食センターを実際に始めたところが、給食センター食事をとることを一カ月やめるとか、一週間やめるというようなことで、給食人口というものは毎日非常に浮動をしておる。やはり学校給食でも、できるだけ負担軽減をするようにたくさんの生徒に食べてもらわなければならぬけれども個人のというか、いわゆる普通の会社組織の給食センターというものも、当然給食人口というものはペイする限界というものがある。それを割ったときには非常に経営が苦しくなる。ですから、そういう場合に福祉年金事業団への利子の返済、元金の返済というものも苦しくなってくる。これが苦しいからこの内容は悪いんだ、なるほど経営的には悪いが、しかし、施設だとか出てくる食事というものの内容が悪いということではないと私は思う。こういうものを一方においては厚生省、そういうところで厳量な監督のもとに許可をして、そしてこれの施設をさして、またこれを一面においては奨励をしておる。今度は文部省のほうは、学校給食というものは地方自治団体がやってこそ初めて健全経営ができて、そして衛生管理ができるのだ、そして完全な栄養食ができるのだと言うけれども、これはほとんど同じ内容だと私は思う。ただ、それを自治体が経営をするのか、個人経営するのかという差だと私は思う。そのときに、片方の省では現実個人給食センターというものを認め、どんどん推進をして、そういうものが一つ見通しとして全国的にうまくいかない、給食人口が十分にないというときに、これを利用するということは、これはもうすでに施設に何千万も投じておる、そして栄養士も雇ってあり、大ぜいの人も雇ってある、その中へ監督権と指導権と、栄養食の献立でどういうものをつくるのだということの監督を厳重にしていったならば、地方自治体がつくる給食センターと何ら変わりがないものができる。そのときの市町村の負担する経費というものは、一体増大するか軽減するかという問題になれば、軽減するほうが多いと思う。  そういうことを考えたときに、文部省が一律に、自分のところでこういうものをつくるのだというその分野というものが、個人給食センターに食われていくということはまことに困るのだというようなことは、これはお役所のなわ張り根性というものが、そういうところに端的にあらわれている一つの例だと思うのです。父兄負担が少なくなり、自治体の負担が少なくなり、そして施設をつくらなくてもいい。既存の施設が使えて、監督を十分にしてこれをやっていく。その場合に、どうしてもこの給食センターはだめだというときにつくっても少しもおそくはない。これは、既存の中小企業のセンターの一面においてはてこ入れにもなる。そういうものが、いわゆる学校給食には絶対に併用できない、こういう考え方については、私は非常な疑問がある。この点について、私は体育局長がもう少し視野の広い、そして学校だけのことを考えず、やはりもっと一般社会のことも考えてもらいたい。たとえば、先ほどのミカンジュースの問題でも、これは果樹振興につながる。それからなま乳にしても、これは酪農振興につながる。やはり全体の施策の中で総合的にものを見ていくべきで、そういう意味で、私は個人給食センターというものを使う段階にきた、これを検討することは、やはり前向きにやるべき時代がきたのだということをひとつ御認識をしていただきたい。その点に対する局長の答弁を、重ねてひとつお願いをいたします。
  30. 西田剛

    西田政府委員 田邉委員お話は、ごもっともの点もございますが、何と申しましても、学校給食はすでに八五%の普及率を見るまで現実に育ってきておる問題でございます。そして、育ってきておるその根底の方式をゆるがすような方針というような点にもかかわる重大問題でありますので、十分に今後先生の御意見等も取り入れまして、いままでも研究してまいっておるところではございますけれども、さらにいま一度検討をいたしてみたいというふうに思います。ただ、いまのお話のうちで私ども一番心配いたしますのは、市町村の負担は軽減されるかもしれぬけれども、どうしても父兄負担の増加という方向をたどるということになるのではないかということがまず心配になる第一点でございます。そう申しますのは、先ほど来申し上げておりましたように、いままでのシステムが、そもそも市町村が責任を持ってやっていただく、そして市町村施設設備及び人件費をカバーしていくというたてまえになっておりますから、これが委託になった場合に、一般にはこの補助方式をとるのか、それとも委託そのものの形でいくのか、いろいろの問題はありましょうけれども、いずれにいたしましても父兄負担の増大ということにつながりかねない。そのこと自体は、もちろん市町村自体の負担の軽減にはなろうかと思いますけれども、逆に父兄負担の増大ということをどうしても避けがたいのではないか、こういうふうに考えられるのが第一点でございます。  それから、監督とか指導とかいうような点でございますけれども、何と申しましてもこれは委託契約によってやるわけでございまして、通常、役所その他の食堂等におきましても、一応委託契約によってやるわけでございますけれども、かような食事のような場合に、実際上委託内容その他を確保していくというようなことは、実際問題として非常に困難な面があるということもまた事実でございますので、さような点も十分検討する余地があるのではないか、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、私どもはなわ張り根性でどうこうというような考え方ではないのでございまして、むしろ、学校給食自体はすでに二十年の歴史を持って、そういうシステムで今日まで進んできておる。そして学校給食自体、それによって行き詰まってどうにもならないということになっておる事態ではない。ただ、ほかとの関連において、いままでの大方針に大きな変動を来たすというようなことは、これは軽々に考えるべき事柄ではないのではないかというふうに私どもは深く信じておるわけでございます。ただ、先生お話もございましたから、ただいま保健体育審議会の給食分科会におきまして、給食制度の問題一般につきまして検討中でもありますから、先生の御意見のあったところも御披露しまして、一応議題に供するようにいたしたいと存じます。
  31. 田邉國男

    田邉委員 私は重ねて、私の主張を貫くという意味ではございませんが、文部省によく考えていただきたいことは、二十年の歴史を持って八五%まで育ってきた、これを基本的に変更することは困るのだ、いまだかつてこれで非常な悪い結果というものはないのだ、非常に順調な経過と、そして給食センターというものが非常に大きな役割りを果たし、そしてまた栄養の問題においても、他のいろいろの問題も非常に順調にこなしてきたのだから、これに大きな変革を与えることは困るのだ。変革を与えるということよりも、むしろ時代が進むに従ってやはり新しいものを取り入れていく、そしてある程度合理的なものもひとつ加味していく、こういうことを考える必要があるのではないか。というのは、二十年の伝統があり、それが順調に進んでおるから、それ以外のものは一歩も入れないのだということでなくて、片方において民間給食センターというものができておる。これは、とにかくある程度政府の指導によって、そして何千万という金を投じてできた施設というもので、これは一企業であるから、その企業の責任は企業自体がとるべきだ。こうは言っても、非常にこれには重大な意味があって、福祉年金事業団というものがほとんど全額の金を出してつくらしておるという事実があるわけです。こういうものが片方にあって、そしてこれが全国的に経営が非常にうまくいっていない。これは、先ほど申しましたように、給食人口というものが少ないからうまくいかない。そこで私は、個人給食センターでやれば父兄負担が増大するのだと言うけれども、この点はもっと研究をしていただきたい。私は逆に父兄負担が少なくなるのだ、こういう説明をするのです。  といいますのは、先ほどジュースの話をした。ジュース学校で配給する指定物資にした。私は五円と聞いたのですが、体育局長は一合七円だとおっしゃった。七円というジュースは、市場にあるものの金額から比較すれば、三分の一かあるいは四分の一の金額だと思う。そういうものが学校給食では、そうやって業界自体も果実ジュースをつくっておる連合会自体も、大きな犠牲を払って、そして片方において小中学校に配給をしていこう。学校給食センターも、学童に配給する食事でもうけようということじゃないのですから、それらがそれだけのものを別にワクをもらえば、総数において四千とか五千食になるので、この学校給食というものは、いわゆる市町村がやっておる経営と同じものがつくれるのだ、こういうことになるのですから、父兄負担が多くなるということより、私は軽減されるという見方をしている。これは見解の相違なんですが、体育局長がさらに検討をするというお話ですから、この場限りの答弁ではなくて、実際にこれを検討していただきたい。この問題については、私も予算の際に党の文教部会ではかった。そうしたら原田憲代議士が、それは高槻市ではこの方式をとってりっぱに経営している、一度これを見たらどうだろうか、こういう話までしております。私は、やはり文部省においても、高槻市の経営の実態、内容というものをよく参考資料として検討をしていただきたい。  以上で私の質問を終わります。
  32. 福永一臣

    福永委員長 前田榮之助君。
  33. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 田邉委員からいろいろな角度から御質問になったので、それに付随するような案件についてお尋ねを申し上げたいのですが、いま体育局長の御説明によりますと、給食も漸次発展しつつあると御報告があったわけでありますが、全国小学校は一〇〇%完全給食をするのには何年を目標としておるか、中学校はまた何年か、その年次別の計画はどういうようになっておるか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  34. 西田剛

    西田政府委員 今後の普及につきましては、一〇〇%まで持っていきたいという考え方につきましては、小中学校ともできますれば大体四十五年を目標にして努力をいたしておるわけでございますが、何と申しましても、これを開設するかいなかということの決定自体は、地方自治団体がきめてまいる状況でもございますので、計画どおりにまいるかどうかという点は、必ずしも確実ではございませんし、また、この計画自体大蔵省等と協議が済んだ計画というものではなしに、私どもとしましては、不均等の計画ではございますが、四十五年ないし六年を目標に何とか持っていきたいというような考え方で、それらの多少具体化したものにつきましては、なお保健体育審議会の学校給食分科会において御検討も願い、やや具体的な計画をさらに策定いたしたい、かように考えております。
  35. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 大まかな御答弁のように思うわけなんですが、私は、今日の日本小中学校児童生徒というのは、いわゆる日本民族の土台となるべきものであって、したがって、内閣のほうでも「体力つくり運動というものを推進されようとする時代なんですから、年次計画というものが、何年には何%までくる、したがって四十五年には一〇〇%だ、こういう計画がきちっとされておっても、大体できないのがいままでの情勢でございますが、ましてやそういうことがあってはならぬ大事なことでありますから、ひとつ年次別に正確な計画を立てて進むべきではないかと思うのであります。  それと、いま田邉委員からの御質問の中にありました果実濃縮ジュースというものの利用ということでありますが、これは価格の問題、また地方地方によって実施の困難な問題等もあろうと思います。しかし、いまの日本の農業政策全般から考えて、酪農によらざれば日本の農業は曲がり角にきておると言われておるのは、これはもう現実のはっきりとした事実であります。したがって、計画的になま乳の使用を進めなければならぬ。いわゆる酪農の発展というものは、やはり年々に発展すると思いますけれども、その消費が伴わなければ、実現というものは支障を来たすことになるのでありますから、したがってその基礎になるのは、国民の中でもいわゆるいたいけな子供のときから牛乳に親しむ、こういうことにならないと、消費市場というものが――四十や五十の人に、君は一日平均一合ずつ飲んだのじゃいかぬから二合ずつ飲めと言ったって、それは飲みようがないのだ。したがって、日本の曲がり角にきておる農業というものを立て直すのには酪農奨励でなければならぬ。酪農奨励については、なま乳の消費というものの市場拡大にならなければならぬ。しかし、市場拡大というものは、小中学校子供のときからそれに親しませなければならぬ。と同時に、このことが、欧米諸国の例を見ても、国民体力の強大になっていく基礎であると私は思うのです。それをやはり十分に見定めて、計画的にやらなければならぬ時代がきておると思うのであります。  このことは、果実の問題も私は同様だと思う。われわれがミカンを食べます。ミカンを食べるけれどもほんとうの生産地で食べるミカンの食べ方は、私の経験によりますと違うのです。たとえば、ミカンの皮の中に白い皮がありますが、これなんかはもう文化人は口にすべきものじゃないと思っておりますが、ほんとうの栄養価のある食べ方はこれを食べなければだめだといって、広島県の産地に私はおるのですが、若い人でない年をとった人が、おまえの食べ方はかすを食べておるようなものだと言っておるわけなんです。また、田邉さんにきわめて因縁のある甲州ブドウだって、甲州ブドウの産地で食べる食べ方と都会で食べる食べ方は、私が聞いたところでは違っておる。したがって、これらの栄養のとり方については、体力つくりの上から申し上げますると、もっと科学的に研究しなければならぬと思う。そういう上から言いましても、これらの使用についてはもっともっと――現在幸いにして学校給食が、まあまあ順当にいっておると考えられ、そうして全国にわたるこれらのやり方については、それぞれ現地において適当な方法を考案をしながら進められておるということはよくわかります。わかりまするけれども、もっと科学的にやるということを積極的に研究をしなければならぬときがきておると思うのです。  ついては、私は体育局長に、そのほうの担当ではないような気もするのですが伺いたい。文部省は、いわゆる学校給食小学校の一、二年、あるいは中学校の相当発育した子供、進んでは高等学校等になっては相当おとなに近いからだになっている。これらに対して、ほんとうはどういうものを食わしたならば一番科学的であるかというようなことの試験場といいますか、研究所といいますか、そういうものを文部省のどこかにつくらなければならぬ時代がきておるのじゃないかと思うのです。そういうものはどこで研究させておるのですか。ただ常識的に、いろんな人から話を聞いたのを、これでよかろうというようなかっこうでやっておるのでは私はいかぬと思うのです。やはり文部省のほうで、研究所であるとかあるいは試験場であるとかいうようなところで科学的に試験をして――このごろは栄養士によっていろいろ味のつけ方等もやっておられるようでありますが、これは味のつけ方、調理方法であって、もっと本質的に研究する時代がきておると思うのですが、そういうことをなされておるかどうか、この点をひとつお尋ね申し上げます。
  36. 西田剛

    西田政府委員 ただいま前田先生からお話がございましたのは、発育期にある児童生徒の栄養に関して、内容的に、科学的にどういうふうな研究をしておるかというお尋ねでございますが、それらの点につきましては、一応科学研究費をもちまして、文部省で、この種の研究をする学者に対して研究費を若干交付しているという実情にすぎません。そのほかにつきましては、一般的に、この年齢層にあたっての栄養量基準というようなものにつきまして、学者先生方あるいは厚生省関係の方々等に御参画願いまして、いわゆる児童の一日当たりの栄養摂取量、そういうものを策定いたしまして、それに基づいて実施をする。そして、さような栄養量を確保する場合にどういうふうな食品分類によって摂取したらしかるべきかというような点につきましても、一応基準をつくりまして実施をいたしておるような実情でございます。
  37. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 もうあまり時間がありませんので、簡単に御質問申し上げますから、また簡単に御説明を願いたいと思います。  体力つくりのほうで特に力を入れております体操の問題でございます。各小中学校にはそれぞれ体操の先生がおると思うのですが、その学校の学級数に対する体操教師の数の比率はどうなっておるか。それは小学校中学校と高等学校と別々な率になっておると思うのですが、その別々な率がどうなっておるかをお聞かせ願いたいと思います。
  38. 西田剛

    西田政府委員 ちょっとただいま手元に資料を持っておりませんが、小中高等学校それぞれに教育課程の中で、たとえば小学校の場合ですと、一年生から六年生までにわたりまして、週間各三時間というふうな時間構成になっておりますので、大体全体の各教科時間といたしまして三十時間ないし三十二時間くらいの週間の時間でありますので、ほぼ十分の一くらいの数の体育を主とする先生がいるわけでございますが、いまちょっと手元に資料を持ち合わせませんので、後ほど提出さしていただきたいと思います。
  39. 前田榮之助

    ○前田(榮)委員 それではひとつ後日調査をして、プリントに刷って委員諸君に全部配っていただきたいと思います。小学校中学校、高等学校別々に、そうしてできれば専門にやっておるのかどうか。小学校中学校、高等学校あたりとは違うかと思いますが、その違い方。それからその体操教師の、全部の学歴ということにもなかなかいかぬと思いますが、何か大ざっぱな標準を、小学校はこう、中学校はこうだということまで、できればプリントに刷って出していただくように資料を要求しておきます。  私はこのくらいで終わります。
  40. 福永一臣

    福永委員長 川崎秀二君。
  41. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 中国問題は、政治的にも非常に大きな問題でありますが、日中スポーツの交歓という面でも、幾多の困難な問題を提供してきそうな形勢になってきておるのであります。新聞紙上並びに御本人の直接私に話されたところによると、日本陸上競技連盟の会長である河野謙三氏は、六月の初め、国会明けとともに中国を訪問したいという御意思のようであります。中国陸上競技は、近来とみに実力を向上してまいりまして、したがって、日本が将来世界の陸上競技の舞台へ大きく伸びるためにも、一つの交歓相手として日中対国競技というものが生まれることになれば、今後オリンピックその他の場合においても、力の向上という面では非常によいし、また、スポーツの交流の主流を形成していくということになると思うのであります。ところが、残念ながら中国は国際陸上競技連盟から脱退しておるし、国際オリンピック委員会からも脱退をしておる。したがって、日中対国競技が行なわれるということになると、中国と対国競技をした国は自動的に国際陸上競技連盟から除名をされるという懸念がないわけではないのであります。これらの問題について、深く掘り下げて議論をすれば切りがございませんけれども体育局長は、もちろん河野謙三氏の訪中ということについては、政治家としてもスポーツ界の指導的人物としても歓迎されると思うが、そういう計画が実施されて、わが陸上競技連盟あるいはスポーツ界が世界から締め出しを食らうようなことになると、これまたたいへんだと思うのであります。そういう点で、日中スポーツ交流ということについてどういうふうに期待をし、また懸念をしておるか、微妙な点もありますけれども、大臣にかわって局長から御答弁をいただきたいと思います。
  42. 西田剛

    西田政府委員 ただいまの日本と中国とのスポーツ交流の関係の問題でございますが、お話のように、けさの新聞にもございましたGANEFOの大会等とも関連いたしまして、非常に微妙な問題であろうかと思います。ただ、中国は近いところでもございますし、スポーツの水準も高いので、いまのままでいいかどうかというような問題もございますが、ただいま先生お話のありましたとおり、一方国際陸連におきましては、一応中共のほうが国際陸連に加盟しておらない。したがって、さような国と試合等交流するということは、除名を受けるという可能性もあり得るわけでございまして、それらの点は、もともと日本の陸連としても基本的な非常な大問題であろうと思いますし、また、日本体育協会としても非常に重要な問題と考えられます。もとよりこれらの体協あるいは日本陸連におきましても、そのような点も慎重に検討されておるようでございますが、私どもも、これらの問題につきましてはできるだけ慎重な態度をもって、かつ、現実的には近くて水準も高いというような問題等もございますので、それらの点も考えあわせ、慎重に対処していく必要があるのではないか、かように思います。
  43. 川崎秀二

    ○川崎(秀)委員 体育局長、こちらのほうが、いろいろ内情も規約関係も、また将来発展するIOCあるいはIAAFの関係も、多少連絡もあることですから知ってはいるわけですけれども、当局者としてどの点までを期待するかということについて、まあ明敏なあなたですから答弁をいただけるものと思っておったのですが、日中スポーツ交流というものは期待をする、除名される懸念も競技の開催のしようではある、私はこういうふうに思っておるのです。つまり、国際オリンピック委員会並びに国際陸上競技連盟の目的とする世界的競技あるいは地域的競技会、オリンピックあるいはアジア大会、ヨーロッパ選手権、米州地域競技会、パンアメリカンですね。あるいは地中海競技会、アフリカ競技会、こういう地域競技会は、一応IOC並びにIAAF等が関連をしておるわけですから、そういうものに反旗をひるがえして、たとえばGANEFOのように、アジア大会とは別の一つのイデオロギーを持った大会を開くということならば、これは国際陸連並びにIOCも容赦はしないです。現にインドネシアは除名をされておる。そしてインドネシアはGANEFOをやっておりますけれども、競技的にははなはだ低い水準であってものにならぬ、こういうことだろうと思うのです。けれども、一国と一国との対国競技というものを、これに準じて禁止してはおるのですけれども、なかなか除名はしきれないと思うのです。しかし、ことに日中スポーツ関係ということになると、それにつけ込んでいろいろやるというのもどうであろうかと思っておりますが、たとえば日中親善競技で両国が対国競技をした場合に、正式に二人ずつ出して得点を争う、それを天下に公表するという形式を主催者がとらなければ、親善競技であれば、いままでにソビエトも中国と何回もやっておる、それからポーランドもやっておるわけですから、あるいはルーマニアもやったことがあると思うので、そういう形式も、河野さんなどは考えたらいいんじゃないかということを、昨晩もお話をしておったわけです。こういう点は、ひとつ、うまく文部当局も陸連の自主性を入れつつ指導して、なるべく日中スポーツ交流というものが盛んになるようにしていただきたい、これが私のきょうの質問の趣旨であるわけですが、どういうふうにお考えか、その点をひとつ承っておきたい。
  44. 西田剛

    西田政府委員 私は、基本的にはスポーツのよさは、一つにはルールを守るところにあると思うのでございます。さような意味から言いますと、いまのIOCのルールなり国際陸連のルールなり、いろいろ問題もルール自体にあるかもしれませんけれども、またそれらの運用のしかたに、あるいは規定している精神から見まして、おのずからその辺に具体的な打開の方法といいますか、適当な方法があり得るかとも思いますが、それらの点につきましては、もとより陸連におきましては真剣に検討を尽くされておるような実情にもございますので、先生お話のございました陸連の自主性と申しますか、自主的な検討というようなものを十分踏まえまして、私どもも慎重に対処していかなければならぬというふうに考えております。
  45. 福永一臣

    福永委員長 他に質疑はございませんか。――他に質疑もないようでありますので、本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十七日木曜日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時十五分散会