○多
賀谷委員 私も、遊休労働力を他に移すということは非常に賛成です。おっしゃるように、住宅問題が最も隘路でありますから、この推進はぜひはかるべきだと思う。しかし、それだけでは解決しない。おっしゃるように、その
地域を開発をしなければならぬ、再開発を行なわなければならぬわけですが、いまおっしゃるような先行投資ぐらいでは、いまからいかぬのじゃないかと思うのです。なぜかというと、先ほど
指摘されました賃金の
地域差というのがだんだんなくなっている。ですから、あの
地域に行けば低賃金で使えるということがだんだんなくなっていく。御存じのように、アメリカでは賃金差によって競争するということを非常にきらっているわけです。むしろその
地域が賃金が安いから移動するなんという
工場を禁止していますね。
現実にだんだん物価水準等も上がってくる、そしてエンゲル係数等がだんだん低くなってくれば、食料以外の他の消費物資というのはむしろ都会のほうが安いということになる。そこで、賃金差というものはだんだんなくなりつつあるときに、いまのような若干の——まあ先行投資は必ず必要ですけれ
ども、
固定資産税の免税をやるとかいうぐらいのことでは、とても企業は来ない。そこで、いま
現実に、過密都市においては、東京都における特別区であるとか、横浜であるとか、川崎であるとかいうところでは、千平方メートル以上の
工場の誘致については、いわば開発許可制をとっております。しかし、私は、大都市に
工場が集まるときには、税金をかけると言うとまた問題がありますから、
租税特別措置法の恩恵をなくする、逆に重税をかければこれは大問題になりますから、そうはいかぬでしょうが、いままで均一的に与えておった恩恵をなくする、その
地域には
租税特別措置法の恩恵を与えない、こういうふうにしなければ解決できない問題だと思うのです。みな議会人は、演壇に立てば、その税金は安くせい、支出は
増大せいとこう言うが、それでは政府だってもてませんから、そういう
意味においては、そういった
租税特別措置法の恩恵を過密都市における
工場についてはなくするといったような
措置をとらないと解決できない問題だ、私はかように思うのです。これは企画庁長官の範囲でなく大蔵大臣の範囲でしょうけれ
ども、しかし、ものの考え方は、そういうようにしなければならぬのじゃないか。
それでは、時間がありませんから私は続いて
質問をいたします。イタリアの南部開発で、イタリアは非常に苦労しておる。しかし、イタリアは、御存じのように、政局は非常に不安定でありますけれ
ども、政策は安定しておる。これは、
法律に初めから長期にわたる資金の支出予算を明示しておること、議会が優先しておって、
法律で明示をして、それに伴うて政府は予算の支出をしなければならぬ、さらにまた、これは公的金融機関が扱っておるというようなことですけれ
ども、何か長期計画というものを立ててやらなければだめじゃないかという気もするわけです。
それから、通産大臣もおられますけれ
ども、私は、いまの電力料金というものが全くさかさまになりつつあると思うのです。いまなっておるとは言いませんよ。やがて東北の電力料金は上げざるを得ないでしょう。北陸も上げるという話がある。結局どういうことになっておるかというと、九分断をされてから後のこの料金の上がり方を見ると、かなり上がっておりますけれ
ども、その上がり方が大都市に供給をしておる電力
会社の上がり方と、いわば低開発
地域に送電をしておる電力
会社の上がり方とは、むしろ低開発
地域のほうが非常に上がる率が高い。これは、将来水力のウエートがぐっと少なくなり、火力のうちでも重油専焼のウエートが非常に高くなる。そうすれば、アラビアから持ってくるわけですから、どこの地点に持ってこようと運賃はほとんど変らない。それで、大容量の新鋭火力で多く発電をする。しかも送電線の配電
コストの安い
地域が安くなるのはあたりまえです。ですから、東北のように電柱を何本もつけなければ一軒がまかなえぬというところと、東京等のように一本の電柱があれば——これから電柱はなくなるでしょうけれ
ども、何百軒もまかなえるというところとでは、
コストの違いは明らかです。そうすると、いまの日本の電力料金政策を見ると、全くそういう
意味の
地域開発の政策料金は入っていない。私は、これは今後の大きな問題になると思うのです。最近の傾向をずっと見ると、東北が三十九年度において五円四十二銭、中部が五円五十四銭。こんな状態になれば、私は東北に企業は来ないと思うのです。九州のごときは一番高いです。七円しておる。これは電灯、電力を含めてです。ですから、
地域開発といっても、事電気については全くさかさまになっておる。こういう点を
一体どう考えておるのか。
次に、どの
地域の新産都市の計画を見ても、工特
地域の計画を見ても、石油化学、鉄鋼、電力、みな同じです。こんなコンビナートをつくったらたいへんです。いま日本で大体一年間に鉄鋼が二百万トンないし三百万トンしか伸びがないという。ところが、今後国際競争に勝っていくためには一千万トンのキャパシティーの
工場をつくらなければならぬという。一千万トンの
工場を一つの
会社がつくれば、
あとは三年ぐらいじっとして投資をしないで待っていなければならぬという状態です。しかも各
地域みんなそれを期待している。ですから、政府としては、親切に、この
地域は何が適するということを、勇気をもって、勇断をもってやらざるを得ないんです。もしそういうことを考えれば、いま
産炭地域等において問題になるのは、やはり水も少ない、資源も
石炭以外にはないということになれば、機械工業です。労働力を吸収する機械工業です。なるほど、いまおる老齢化した失業者がすぐ機械工業に向くとは私は思いません。思いませんけれ
ども、これは子弟を持っておる。ですから、どうしてもこういった
地域には機械工業というものを何らかの形で考える必要がある、こういうように考えるわけです。これはなかなかむずかしい。ことに、機械工業というのは、本来、国有とは言いましても、わりあいに適さないのです。これは私のほうから言うと変ですけれ
ども、わりあいに適さない。資源工業とは違うのです。しかし、それかといって、ルノーの自動車
工場のように、国有にして公団でやっておるという
工場もあるわけです。フォルクスワーゲンだってやはりそういう形態ですよ。イタリアのように、非常に不景気のときに金融機関を救済するために政府が借金を肩がわりした。そのときに株を取ったんです。ですから、イタリアの企業というのはみな政府が株を持っている。それを世界大戦後も維持しておる。政府が投資をしておる。交付公債とちょっと
関係があるわけです。政府が株を持ってコントロールしておる。こういう方法が日本ですぐできるかどうかということは別として、何らか機械工業というようなものを
産炭地域に持ってくることができないかどうか。そういう考え方はできないか。
それから、
産炭地といっても、何でもかんでも鉱工業というわけにはいかないと思う。ですから、
地域によって、あるいは特殊な農業の振興をやらすとか、あるいは観光をやらすとか、何か立地条件に合ったような施策が必要ではないかと思う。どこもここもみな
工場を持ってきたいと言う。これもやはり親切でない。地元としては当然でしょうけれ
ども、方法を考えざるを得ないと思うのです。
時間がありませんが、これらの点についてひとつ企画庁長官並びに通産大臣から御
答弁を願いたい。