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1966-04-27 第51回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十七日(水曜日)    午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 野田 武夫君    理事 有田 喜一君 理事 加藤 高藏君    理事 藏内 修治君 理事 壽原 正一君    理事 多賀谷真稔君 理事 松井 政吉君       大坪 保雄君    上林山榮吉君       神田  博君    田中 六助君       廣瀬 正雄君    野見山清造君       三原 朝雄君    細谷 治嘉君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         通商産業事務官         (石炭局長)  井上  亮君  委員外出席者         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮沢  弘君         参  考  人         (産炭地域振興         事業団理事)  堀坂政太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五四号)  産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第五五号)      ————◇—————
  2. 野田武夫

    野田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。なお、本日も産炭地域振興事業団理事堀坂政太郎君に参考人として出席していただいております。  それでは、質疑の通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  3. 細谷治嘉

    細谷委員 まず第一にお尋ねいたしたい点は、三十五年、四十年と国勢調査が行なわれたわけでありますが、産炭地域関係人口激減ということは非常に顕著なものがあるわけでございますが、これによって交付税法計算七の基準財政需要額がどういうふうに移動するのか、これをお尋ねしたいと思います。
  4. 宮沢弘

    宮沢説明員 実は、私税務のほうを担当いたしておりまして、財政のほうはきょうは各委員会に呼ばれておりますので、こまかいことは後ほど参りまして御説明を申し上げたいと思いますが、一般的には、御承知のように、国勢調査の結果、全国的に市町村人口激減をしているところが多いわけでございます。交付税法人口の要素をきわめて重要に見て計算をいたすことになっております。したがいまして、従前のような取り扱いをいたしますと、人口激減市町村交付税法上きわめて、不利になるわけでございます。したがいまして、今回、人口激減市町村につきましては、交付税法上特別な取り扱いをいたす、こういうことにいたしているわけでございます。  先ほど申しましたように、なお詳細につきましては、後ほど関係の者が参りまして御説明を申し上げたいと思います。
  5. 細谷治嘉

    細谷委員 それでは、まことに残念でありますが、交付税ないし六条関係の問題はあと回しにいたしまして、産炭地域振興臨時措置法十条、十一条の改正が昨年行なわれて、その結果どういうふうになったのか、それをまずお尋ねしておきたいと思います。
  6. 井上亮

    井上政府委員 ただいまのお尋ねの点についてお答えを申し上げます。  産炭地域の今回の公共事業財政援助等措置によりまして、この法の適用のあります市町村といたしましては、六条関係市町村では一応百十三、それから、二条地域では市町村数としまして八十一、合計いたしまして百九十四市町村が一応この指定対象に相なったわけでございます。なお、四十年度の事業にかかわります補助率引き上げ市町村数は、以上申しましたうち、六条地域については六十七市町村、二条地域については二十三市町村、合計いたしまして九十市町村でございます。なお、四十年度事業にかかわります国庫負担引き上げ額は、六条地域で一億九千三百万円、二条地域で三億二千九百万円、合計しまして五億二千万円が一応予定されております。大体そういう状況に相なっております。
  7. 細谷治嘉

    細谷委員 ただいまの御説明でありますと、六条指定市町村では百十三のうち六十七、二条指定市町村では八十一のうち二十三市町村だ、こういうことでありますから、法適用市町村数百九十四のうち、大体九十ということでありまして、五〇%を割っておる、こういう状態であります。そして、その金額は、いまの御答弁によりますと、六条指定引き上げ額が一億九千三百万程度、二条指定が三億二千九百万円程度、合わせて五億二千二百万程度となっておるわけです。この結果を見ますと、本来財政事情が非常に悪くてどうしてもやはり救済をしてやらなければならない必要性の強いところ、ここは市町村数が多いにかかわらず、金額では二対三以下、こういう状況になっております。せっかく昨年法律を修正したのでありますけれども、これでは、この目的からいきますと、さか立ちをしておる、こういうふうに言えると思うのでありますが、通産省はどうお考えですか。
  8. 井上亮

    井上政府委員 ただいま御指摘がありましたように、法適用市町村といたしましては百九十四市町村適用になっておりますので、これは相当広範な市町村が網羅されておると思いますけれども、四十年度の市町村事業にかかわります補助率引き上げ該当市町村数といたしましては、百九十四市町村のうち九十市村町が該当になりますので、その意味では、先生指摘のように、半分にもならぬではないかという御指摘も事実でございます。ただ、特に疲弊の著しい産炭地域、これは六条地域でございますが、六条地域につきましては百十三市町村のうち六十七市町村該当しておりますので、これは過半を一応は占めておる。ただ、しかし、全体としては、先生おっしゃるような、まだ手薄いということも、その意味では言えるかと思います。ただ、しかし、疲弊した産炭地域につきまして特に金額的に手薄くて、むしろ二条地域のほうが手厚いという御指摘、こういった制度産炭地振興としては少しさか立ちではないかという御質問があるわけでありますが、それは、見ようによりますとそういうことになろうかと思いますけれども、ただ、私ども産炭地振興政策考えますときに、単にこの十条、十一条の関係産炭地振興助成政策だけを考えておるわけじゃありませんで、やはり、産炭地振興については、他の施策と合わして振興政策考えていきたい。たまたま、この制度につきましては、産炭地域市町村事業を営むその事業に対する補助という制度仕組みになっておりますので、そういった仕組みの必然の結果としてそうなっておるわけであります。さか立ちと言われますと、さか立ちではなくて、そういった助成制度仕組みがそうなっておりますので、その点は御了承いただいて、むしろ、事業もできないような疲弊した産炭地域については別途の助成政策をやはり考えなければならない。産炭地振興政策はこれだけではございません。いろいろございますから、そういった点で、むしろ事業もできない産炭地市町村についての助成は別途の方法考えてまいりたい、そういうふうに考えております。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 産炭地振興計画というものは総合的なものである、これは申すまでもございません。しかし、産炭地がいろいろな事業をやらなければならぬ。その事業というものは、これから開発されようという市町村とは事情が違うのですよ。疲弊をして、どんどん底のほうに落ちていくというものを、いかにして食いとめるか、いかにして回れ右さして、いかにして前向きに一歩でも二歩でも踏み込むか、こういうことなんであり一まずから、当然、一般の市町村が取り上げ事業とは内容が違うのですよ。あなた方、さか立ちしてないと言うけれども現実にさか立ちをしているでしょう。私が申し上げたいのは、そこまで抗弁するのなら、こういう補助率引き上げ方式をとったところに根本的な問題がある。せんだって市長会を代表いたしまして佐賀県の多久の市長さんが来たのですが、参考人として述べたところによりますと、「現行の補助率引きあげ方法を改めて、産炭地域振興実施計画の具体的な策定によってその地区振興になるべき公共事業費補助率を超重点的に引きあげる方式を取るべきであると思います。」、こういうことなんですね。産炭地実施計画に載った事業に対しては超重点的に補助率引き上げをやりなさい、——かさ上げじゃないのですよ。補助率引き上げをやりなさい、一定水準以上の事業に対して補助率を伸ばすというやり方じゃなくて、底のほうから個々事業について実施計画に載ったものについては補助率引き上げをやってもらいたい、たとえば、二分の一の補助ならば五分の四に、三分の二の補助率なら十分の九に、こういうことを佐倉宗五郎の気持ちで言っているんだ、こういうふうにこの前参考人は述べられたのですよ。ですから、さか立ちでないとおっしゃいますけれども、この方式を採用したところにあなた方のさか立ちした姿勢がある、こう申さなければならぬのでありまして、通産大臣もお見えになっていますが、この方式が悪いのですから、結果としてさか立ちが出ることはあたりまえなんです。通産大臣、どうお考えになっているか、お考えをお聞きしたい。
  10. 三木武夫

    三木国務大臣 従来の市町村に対する財政援助の処置、これは各府県とも同一の基準でいくわけです。この上に四十年度から特別の産炭地に対しての財政援助をするということで計上してあるわけですから、このことの構想が悪いとは私は思わないのですね。普通ならば一律的な国の補助に対して、別途に予算を計上して、産炭地疲弊しておる町村財政的援助を与えようという。この金額が少ないじゃないか、もっとふやすべきだというならば、それは承ってよろしかろうと思うのですけれども、この制度が悪いとは思わぬのです。この金額についてはいろいろな御批判があろうと思いますよ。いま言われたように、こういう町村というものはだんだんと疲弊していく傾向にあるのですから、この金額をふやすべきだということは傾聴すべき意見だと思いますが、この制度自体が悪くてほかに何かいい方法があればですけれども、この制度自体が悪いものだと私は思わぬ。さか立ち、こう言われますけれども、さか立ちもしてないように思う。金額だけはふやせということならば、これは承っておって、将来の予算編成にはそういう努力はいたすことにやぶさかでないですよ。この構想自体がさか立ちだという御意見には、私は承服をいたしかねるわけであります。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 この計算方式についてよく御理解をいただいておらないと思うのです。結論は、大臣がその点は考えよう、補助金額の五億二千万というのは少ない、これについては考えようということでありますが、そのもとに問題がある。金額も少ないことは、私は申し上げて、だんだんこれから話を詰めていきたいと思うのでありますが、大臣、この方式は、昨年法律がこの国会に政府案として出されたわけです。これと同じタイプの算式のものに新産と、工特がある。これらはいわば地域開発に関するもので、政府が正規の陳情を受けて指定したといわれる新産が十三地区、今日は十四地区、それに工特地域六、合計二十地域ある。その法律タイプそのままを自治省から通産省が借りてきて産炭地適用したところに問題がある。これから発展させよう、地域開発をどんどんやっていこう、こういう方式に対して、それをそっくりそのまままねたわけです。ウのまねするカラスは水におぼれるということばがあるのです。地域開発計算方式をそのまま利用したところに問題がある。現に、大臣、きのうですか、首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等財政特別措置法というのが衆議院の本会議を通過したわけであります。その内容はどうかといいますと、法律タイプ新産工特と同じなのです。この法律タイプは同じなのでありますけれども、大蔵と自治省話し合いで、これは新産工特より財政力がもっとあるといいますか、まあどこでも疲弊しておりますけれども、比較的今日の地方自治体の中でも恵まれたところが首都圏近畿圏にある、’そういうところに対しては新産工特そのまま適用するのではなくて、同じ方式タイプ法律でありますけれども、ひとつ制限をしようじゃないかというので、その制限はどういうところに求めたかといいますと、第一は、その自治体財政力指数調整をしていこう、減らしていこうということであります。第二は、どういうことかといいますと、不交付団体にはやらないで交付団体にだけやっていこう、こういうことであります。第三が、新産工特では十五年でありますけれども、これを七年度に限ろう、こういう三つの制限をいたしたのであります。これは前向きのところであります。しかも財政力が比較的いい首都圏近畿圏についてそういう方式をとったのであります。これは一応理屈は通っていると思うのですが、全く事情の違った産炭地に同じタイプ法律を押しつけて、そうして首都圏やあるいは近畿圏にとった考えのような、産炭地らしい財政調整措置というのを一つもとっておらぬところに、この法律は問題があるわけなのであります。もともと、間違っておる、適切じゃない、ウのまねをするカラスのような方式で、産炭地らしい調整措置を講じておらぬところに問題があるわけであって、結果としてさか立ちしておることは、まぎれもない事実であります。大臣はその間の経緯を御存じないので、金だけふやせばいいだろうと簡単におっしゃっていますけれども結論は金をふやしていただけばいいわけですけれども産炭地の実情に即応するように補助率引き上げが伴って起こってくれば私は文句を差しはさむものではありません。そういう実態になっておりますから、ひとつ大臣、この点を御認識いただいて、私はやはり、個々事業についての補助率産炭地に対しては変えていくのがほんとうのやり方、正当なのだ、こういうふうに考えておりますので、もう一度この点について所見を伺っておきたいと思います。
  12. 三木武夫

    三木国務大臣 補助率というのは、いずれの場合でも非常にやっかいな問題です。補助率上げるということは、各方面にいろいろな理屈をつけて補助率上げろという要求があるわけです。その中においても産炭地というものは相当理由を持つでおると思いますが、これは検討をさしていただきます。金額をふやすということについては努力をいたします。補助率の問題については、検討をいたします、こういうお答え以上にはでき得ないのであります。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣から補助率の問題にもそういう形で法律タイプにまで検討を加えるという非常に前向きの姿勢を承って、私は非常に心強く感ずるのでありますが、そこまで大臣おっしゃいましたから、私ども協力することにやぶさかでないのであって、寄り寄り理事懇談会等でもこの問題がどうあるべきかということを検討されているのでありますが、抜本的なものについては、大臣がこれから検討する、法律をこれから五年間延ばすわけでありますが、検討するということでありますから、四十二年度にはぜひ実現していただかなければなりませんが、さしあたって四十一年度の問題であります。  これは、現に法律があります。そうして一年間やってきた実績が出ておる。そこで、私は、当面の問題といたしましては、基本的には大臣姿勢を貫いていただいて、産炭地らしい事業対象というものをこの計算対象事業に入れていただければ、このさか立ちしておると私が申し上げておる点がかなり是正されるのではないか、こう思うのであります。たとえば、産炭地振興に基づいて国や県が道路をやるといたします。そうしますと、必然的に、地方財政法がどうだといっても、これは必ず地方負担が起こってまいります。その市町村負担というものについては、これはやはり産炭地振興事業実施計画の一環として行なわるべきものでありますから、それにのっとって当然地方自治体市町村負担が起こるわけでありますから、これはやはり、事業の一翼をになう市町村負担分として、いわば市町村事業としてこれをやはり対象事業の中に入れてやるべきではないか。それから、産炭地でありますと、たとえば進出した工場ができる。工場団地ができる。それにはやはり国が県道のほうから取りつけ道路をしてやらなければならぬ。排水路もつくってやらなければならぬ。そういうことについての市町村事業というのがございます。ところが、これは認められないのであります。この計算事業対象になっていないのであります。あるいは、産炭地ではどうしてもやはり明かるい空気をつくり上げなければならぬということで、公民館とか、児童館とか、あるいはひとつ市に公園をつくってやろうとか、あるいは水泳プールをつくって明るい環境をつくってやろうといったことも、これはこの事業対象から除かれておるのであります。こういう事業を、これは実施計画にのっとっておるわけでありますから、そうしてぜひともそれは環境づくり上必要なのでありますから、こういうものをやはり入れていただくことによって、いま言ったようなさか立ちしたものは、基本的にはそれは大臣の意を継いで検討していただかなければなりませんけれども、かなり改善をされるのではないか。これは大臣政令なんです。法律ではないのです。通産大臣の権限で他省協議をしていただけばできることでありますから、これをひとつ具体的にここで言明をしていただきたい。個々のことについては、大臣にかわって、大臣ことばとして石炭局長から、こういうものをひとつふやしますとここで言明していただければけっこうであります。ぜひひとつ政令を改正していただきたいと存じます。いかがでしょう。
  14. 三木武夫

    三木国務大臣 ごもっともなことだと思います。対象範囲拡大しようと思います。たとえば、環境を明るくするために運動場をこしらえたり、あるいはまた公園をつくったり、そういうことに対しては対象拡大できるように、各省とも協議をしなければなりませんが、そういう方向で検討します。また、取りつけ道路などは、これはやはり運用でできるのではないかと思いますが、言われることは理屈があると思います。これは対象の中に入れるべきだと言われることは理屈がありますので、そういう本来の固有の事業に付随したようなことは、運用でできるだけやるということにして、それでもできぬということなら対象範囲考えましょう。そういうことにいたしたいと思っております。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 大臣に特にお願いしたいのですが、あと局長に具体的にこういうことを考えておるということはひとつぜひ答弁をしていただきたいのでありますけれども、たとえば、道路にいたしましても、この五億なら五億という予算通産省が持っておる予算ではないのです。道路に関する限りは建設省がお持ちなんです。そうしますと、建設省のほうでは、道路五カ年計画なら五カ年計画に基づいて、その中に入っている事業補助率引き上げならできるのでありますけれども、それに入っておらぬ道路というのは、もともと補助がないのでありますから、これはオミットなんです。そんな補助はとても出せない、そんな補助予算になっていない、こういうことでオミットされてしまう。そこで、私は、通産大臣がおきめになった産炭地域振興基本計画に基づく実施計画に載った事業は、これは通産大臣が認めた事業で、いわば政府の認めた事業でありますから、この実施計画に載った事業については、やはりそういう措置を講じていただくということが必要であろうと思う。現実には元の補助がないのでありますから、どうして補助引き上げるのか、引き上げようったってゼロではないかということになるのでありますから、その辺はひとつ特段の配慮をしていただきませんと、せっかく事業範囲を広げたといっても、一年たってみたらゼロはゼロだった、こういうことになるのでありますから、その辺についての大臣の御配慮をとくとお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。同時に、石炭局長においては、考えていらっしゃる事業対象拡大範囲をおきめいただきたい。私が言ったような各省との問題があります。通産省実施計画に基づく十億なら十億という予算を握っておれば問題はないが、各省が握っており、元が補助対象になっておりませんと、伸ばすもくそもないのですから、その辺についての事務当局の御見解も聞きたい。
  16. 井上亮

    井上政府委員 ただいま大臣からお答えがありましたように、ただいまの御質問に対しましては、私ども対象範囲拡大につきましては今後さらに努力してまいりたい。大臣もただいまおっしゃいましたように、特に産炭地域は暗いムードがあります。ただいま指定になっておりますのは、オーソドックスな公共事業については、大きいものはほとんど列挙されておりますけれども、なお都市公園とか、体育館とか、運動場とかいうようなものについては抜けておりますし、これはささいのことのようですが、特に産炭地域にはこういうものは必要ではないかという意味合いもありまして、こういった点につきましては、なお関係省とも協議しなければいけませんけれども、私どもとしては、これが実現できるように前向きに努力してまいりたいというふうに考えております。ただ、同じく大臣が御答弁されましたが、工場団地の引き込み道路等につきましては、これは運用によって建設省に御配慮をいただけるのではないかと考えております。私ども以前の事務的な話し合いでも、そういう御意向も承っておりますので、さらにそういう線で私ども努力してまいりたいというふうに考えております。  もう一つお尋ねの、産炭地域振興計画は、産炭地域振興臨時措置法に基づいて、現在産炭地域振興基本計画実施計画ができているわけでございますが、近く、この法案を通していただきまして五カ年延長の暁には、さらに次の五カ年についての改定計画計画いたしたいというふうに考えておりますが、その改定計画作成に関連いたしまして、建設省その他関係各省の皆さんこの計画作成に参加していただくことになっておりますので、そういった過程で十分関係省にもその計画が具体的に実現できるように私どもとしても努力してまいりたいというふうに考えております。
  17. 細谷治嘉

    細谷委員 前回質問いたした際に、実施計画現実とはかなりの隔たりが生じてきておる、基本計画に基づく実施計画は、五カ年を経た今日、いわば絵にかいたもちにひとしい状態になっておる、こういうことで、前回も、ひとつ検討し直しましょう、こういうような御答弁をいただいておって、私はそうしなければならないと思っておるわけでありますが、せんだって参考人がお見えになった際に参考人にもお願いしたのでありますが、ちょうど五年間経って、さらに五カ年延長しようというこの時期でありますから、五カ年を顧みて、実施計画が各地域においてどういう状態で推進されてまいったか、その実績実施計画と比較して資料として御提出を願いたい、こう思います。  そこで、もう一つこの問題についてお尋ねをしたいのであります。十条で県の起債の充当率引き上げ利子補給というのが規定されておるわけでありますけれども、それはどういう実績になったか。先ほどちょっとお尋ねしたのでありますけれども答弁がありませんでしたから、その実績、見込みをお聞かせいただきたいと思います。
  18. 井上亮

    井上政府委員 ただいま仰せられました資料につきましては、即刻つくりまして御提出いたしたいというふうに考えております。  それから、第二のお尋ねの道県に対します財政措置適用実績でございますが、御承知のように、この制度昭和四十年度から始めました。昭和四十年度に発行を許可されました産炭地域振興事業債の額は十一億三千六百万円でございますが、このうち、かさ上げ分といたしましては七億七千五百万円でございます。これに対します利子補給額といたしましては、先生も御承知のように、一千万円を予算上計上いたしておったわけでございますが、四十年度中に利子の支払い時期が到来したのはありませんでしたので、実際にはこの一千万円は使わず、四十一年度に繰り越されるというふうに考えております。なお、四十一年度に新たに発行を見込まれます産炭地域振興事業債は十五億五千二百万円でございますが、これに対します利子補給金といたしましては、前年度一千万円に対しまして、三千九百万円程度、これはこうなるであろうという見込みでござまいますが、そういう想定のもとにこれを予算に計上しておる次第であります。
  19. 細谷治嘉

    細谷委員 せんだって福岡県の知事がこの特別委員会参考人としておいでたときにお聞きしたのでありますが、福岡県では利子の補給額が四十年度で千五百万円程度、こういうふうに見込まれる、大体四億六千万円くらいの起債をもらっておる、こういう答えでした。今年は十五億で三千九百万円の予算が計上されておるわけであります。昨年の一千万円というのは半年分なんですよね。昨年は二千万円であります。今年は十一億が十五億になった。その分が一千万ばかりであります。ふえたという形でありますけれども、これではちょっと十分ではないようなんですけれどもね。たとえば、福岡県の例をとりましても、産炭地域振興事業として取り上げられている計画というのは約九十億円なのです。これは、これからあと五カ年で消化するといたしましても、二十億くらいあるわけですね。昨年十一億のうち四億六千万ということでありますから、四〇数%というのが福岡県に来ている、こういう形になっておるわけでありますが、七億くらいの起債ですね。年間のペースというのは、九十億あるとしますと大体において二十億くらいのペースなんです。これでは十分でないと私は思うのですけれども、どうなんでしょうか。
  20. 井上亮

    井上政府委員 ただいま福岡県の例をあげられてお話がありました。私ども関係各道県と打ち合わせをして予算編成に臨んだわけでありますが、しかし、実際問題として、四十一年度の各道県におきます事業は今後確定していくものもありましょうし、その実績を見て私ども最終的に補給額を確定するわけでございます。予算といたしましては、先ほど言われましたような金額を一応計上いたしておりますが、これはいわば義務費でございますから、実際にこれ以上利子補給額が必要になったという場合には、当然これに対します補てん的な財政措置を講ずるわけでございます。そのように御理解いただきたいと思います。
  21. 細谷治嘉

    細谷委員 ある程度実情に即した措置をやるようでありますが、一例を福岡県にとれば、せんだっての参考人答弁を通じて、私はこれでは少な過ぎるのではないかということを申し上げておるわけでありますが、実施計画の再検討もあるようでありますから、実情に即応するようにひとつ改定すべきものはしていただきたい、こう思います。  この問題についてはこの程度にいたしまして、次にお尋ねいたしたい点は、せんだって多久の市長さんが見えまして、その参考人としての意見の中にこういうことを書いてあるのです。「産炭地域振興臨時措置法第六条の減免補てんの範囲は租税特別措置法第十三条の規定に基づいて行なわれておりますが、建物直下の土地、償却資産は機械器具に限られておりますので、例えばコンクリートパイル工場の長期にわたる養生期間のための放置場、セメントサイロ、燃料タンク、原料タンクの敷地、大型製罐鉄骨工場等の屋外作業場、屋外クレーン等の敷地は対象とならず、公害防止のための水槽、沈澱槽、原料搬入のためのドルフィン、油送管、原油タンク等は償却資産の対象となっておりませんので、少なくとも法人税法施行令第十三条各号、所得税法施行令第六条各号に定めるもの及び敷地については、直接生産に必要なものはその範囲拡大していただきたい。」ということが述べられております。これは重要な問題だと思っております。もう一つこの問題についてありますのは、たとえば、租税特別措置法十三条の規定により、製造事業にかかわる設備で取得価格が一千万円、常時雇用の人が二十人以上のものについて対象になっておったのでありますけれども、今度は政令を改正いたしまして、これが五百万円と十人ということになったそうでありまして、一歩の前進であります。そういうことでありますから、いまの多久市長が具体的に述べたこの問題について、一体自治省はどうお考えなのか。これはきわめて具体的な非常にこまかい質問になりますけれども、こまかいところが今日産炭地に行き届いておらないわけでありますから、ひとつ前向きの答弁をお願いしたいと思う。
  22. 宮沢弘

    宮沢説明員 ただいま細谷委員から幾つかの点を御指摘になったわけでございますが、第一番目に、この法律対象となる施設その他の問題といたしまして、いわゆる構築物、こういうようなものが対象になるべきではないか、こういう問題であろうと思うのでございます。御承知のように、現在対象となっておりますのは機械及び装置でございまして、いわゆる構築物は対象となっていないわけでございますが、この立法の趣旨は、やはり工場事業場等の主要な施設、主要で一般的な施設を対象にいたしているという趣旨であろうと思うのでございまして、しかも、御案内のように、租税特別措置法で特別償却が認められているものと範囲を同一にいたしているわけでございます。租税特別措置法で特別償却が認められておりますものは機械及び装置でございまして、いわゆる構築物はこれに該当をいたしておりません。国税、地方税あわせてやはり同じ体系で、機械及び装置については対象にし、構築物についてはしていないというたてまえになっているわけでございます。これまでずっとこういうたてまえでまいりましたし、国税と同様な取り扱いで来ておりますので、私どもといたしましては、構築物につきましてこれを対象にするという考え方は、ただいまのところ持っていないわけでございます。  それから、第二番目は、土地についての御指摘でございました。現在工場用の建物とその敷地が対象になっているわけでございますが、ただいま御質問になりました具体的なものは、いわゆる工場用の建物の敷地以外の敷地について対象にすべきではないか、こういう御意見、御質問であろうと思うのでございます。現在工場用の建物の敷地のみを対象にしておりますのは、一般に工場用の敷地と申しましても、その用途が多種多様でございますので、一般的な指定というか、規定をいたすわけにはまいりません。やはり生産そのものに必要なものを限定的にいたしている趣旨であろうと思うのでございます。しかし、御指摘のような大型製かん鉄骨等の作業が屋外で行なわれている、つまり、建物の敷地に隣接をいたしまして、その建物の中で行なわれます作業と一体的なものが行なわれるというようなものも中にはあろうと思うのでございます。従前は、工場用の建物の敷地というふうに法律も規定しておりますので、その運用がやや厳密と申しますか、工場用の建物の敷地に限るような趣旨で運用をいたしていたと思うのでございますけれども、ただいま御指摘のような幾つかのむのにつきましては、建物に隣接をいたしまして建物内の作業といわば一体をなすものも、これは現実にあろうと思うのでございます。そういう意味合いにおきまして、これは各企業のやっております中身によりまして、工場用の建物の敷地と、それに隣接してどの程度まで認めていいかということにつきましては、なお関係省とも相談をいたしいたと思うのでございますけれども、いままでのようなややいわばしゃくし定木的なこの工場用の建物の敷地という考え方を、実際に合いますように運営を緩和するという方向でこの点は検討してみたい、こういうふうに考えているわけでございます。  それから、第三番目に、公害防止用の施設についていろいろ御指摘になったわけでございますが、この点につきましては、現在地方税法におきましても、特定の公害防除用の施設につきましては固定資産税を非課税にいたしているわけでございます。これは細谷委員御案内のとおりでございます。  それから、第四番目に、対象となります工場事業場の規模と申しますか、租税特別措置法で、従前資産の取得価額が一千万円、それから増加する雇用の人数が二十人、これを五百万円で十人というように緩和をいたしておることは、御指摘のとおりでございます。現在の法律政令のたてまえが、この不均一課税、減免につきましても、租税特別措置法のたてまえに準じてやるような形になっておりますので、この点は、租税特別措置法の改善に応じまして、この税の減免に伴う交付税の補てん措置につきましても、条件が緩和をされることに相なるわけでございます。
  23. 細谷治嘉

    細谷委員 私の質問に対して、法人税法なりあるいは所得税法なり租税特別措置法なりについては、やはり法律のたてまえを守りたいということであるが、敷地については考えたい、しかも工場建物と直接関連する範囲内においてということでありますけれども宮沢さん、近代工場というのは、いま中核的な工場産炭地に導入されるということが皆無だということが議論になっておるところでありますけれども、中核的であろうとなかろうと、最近の工場というのは、昔のように建物を建ててその建物の中に施設、償却資産を入れるというやり方じゃないのですよ。いまはもう建物なんかには金をかけない。可能な限り屋外でやってしまう。雨にぬれるものは困りますけれども、可能な限り屋外でやってしまう。ちょうど石油工場なんというのが野っ原に建物は一つもなしにパイプだけずっと立っているのと同じような、そういう工場の建設のやり方になってきているわけなんです。そうなりますと、ここにありますようにコンクリートパイル工場の養生期間に置いてあるところの土地は対象にしないということは、いまの工場の経営のあり方というのを無視したやり方だと思うのです。いまそういう傾向なんです。建物を建てない、そうして工場敷地内でできるだけ装置だけで作業をやる、こういうことにみんななっているのですから、これは、建物に直接関係あるなんということでなくて、直接生産に必要な土地というものはぜひ見ていただかなければならぬ、こう思うのです。  第二の点は、公害防止等について、今度の地方税法等でも課税の対象から除かれておるわけでありますが、除いた場合に、第六条で財源の補てんはおやりになりますか。  第三は、一千万と二十人ということでありますけれども、この参考人の陳情書を見ますと、十人というのはよろしいが、五百万というのを二百万にしてくれということを書いてありますけれども、直す用意はありませんか。
  24. 宮沢弘

    宮沢説明員 第一番目の敷地の範囲の問題でございます。これは私どもなお前向きで検討をさせていただきたいと思いますが、例におあげになりましたコンクリートパイル工場の養生期間に、屋外にできましたものを積んでおるというようなものは、いま私が御答弁を申し上げました範囲で申し上げますと、やはり製造いたしたものを出荷する前にそのまま養生をするわけでございますから、その辺までは私どもは考慮していいのじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。私どもは、各工場事業場の実態によりましてさまざまでございますから、関係省とも御相談いたしまして、いままでのような、ややしゃくし定木的な解釈を改めまして、実態と即応するような方向で考えていきたいと思っております。  それから、第二番目の公害防止でございますが、これは非課税になっておりますので、細谷委員十分御承知のとおり、非課税が法律上きめられておりますと、交付税法上の基準収入額には算入をされませんので、その点におきましては、措置は十分されているわけでございます。  それから、第三番目の、製造事業対象の問題でございますが、この点につきましては、この法律の体系全般がやはり国税の租税特別措置と同じ取り扱いで進んできておりますので、今回一千万が五百万になりましたが、なお要望としては、御指摘のように、二百万円でございますか、要望があるようでございます。これは、なお今後国税当局とも相談をして、検討事項といたしたいと思います。この際は、一千万を五百万にして改善の実を示したということで御了承をいただきたいと思っているのであります。
  25. 細谷治嘉

    細谷委員 人口急減についての交付税措置についてもなお問題があるのでありますが、自治省の担当者が見えませんから、この点は保留しまして、きょうの質問を終わります。
  26. 野田武夫

  27. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、主として産炭地域振興事業団法の一部改正について、今度の改正点を中心に質問をいたしたいと思います。  まず、今度の事業団の業務の範囲拡大の点について、工業用水の供給というのが一つの大きな柱になっておるわけです。これは、提案理由によりますと、鞍手地区におけるクリークの活用による用水開発事業、こういうことになっておりますけれども、このクリークというのは、本来、鉱害を復旧いたします際に、この復旧に要する土が足りないというので、特定地域のたんぼをむしろ深く掘り下げて、その掘り下げた土を他の鉱害復旧に充てた地区である。そして現在確かにクリークになっておるわけですけれども、一体これは恒久的に水が湧水をするのかどうか。要するに、これは雨水がたまったという程度であるのか、地下からわき出るのか、恒久的な量として確保できるのかどうか、これをどういうように御調査になっておるか、御答弁を願いたい。
  28. 井上亮

    井上政府委員 鞍手地区の工業用水につきましては、これは、かねてより、特にこの筑豊地域におきましては、工場を誘致いたします上の一つの大きな隘路が、やはり工業用水がないという点でございますので、この工業用水の確保の一助といたしまして、現にございます。御指摘のありました鞍手地区のクリーク水を活用したいということで、実は数年前からこの活用計画について検討してまいったわけでございます。そのために、いままで国の費用も支出いたしまして調査もいたしてまいったわけでございます。その調査の結果、私どもの確認といたしましては、水の量も相当量確保できる。これは、面積にしますと約四十八万平方メートル、深さが五メートルないし八メートル、貯水量は百五十万立方メートルというような量になっておりますが、なお、この池の補給水源といたしましては、流入いたします地表水のほかに、湧出する地下水もあるというふうに考えておりまして、これらの点につきましては、今後相当長期にわたって工業用水の水源たり得るというような確認は一応できましたので、一応事業団として、正式にこのクリーク水の活用をはかろうという決心をいたしまして、本年度から予算措置を講じた次第でございます。
  29. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この点はかなり長い間調査をされておりますから間違いないと思いますけれども、しろうと目で見ると、はたしてこれが恒久的に使われるのかどかうという点が問題になると思います。  そこで、いままで調査費も組んでやったわけですから別に異論はないわけですが、そのほかに、現在の炭鉱の坑内水ですね。坑内水を工業用水に利用する、活用する、こういう点については今後どういうように考えられておるか、お尋ねいたしたいと思います。
  30. 井上亮

    井上政府委員 坑内水の問題につきましても、先ほど申しましたと同様な趣旨で、やはりこの筑豊地帯に水が非常に不足しておりますので、工業用水確保対策としまして、クリーク水だけではありませんで、同じく坑内水の活用についても私ども検討を続けているわけでございます。ただ、坑内水の場合は、クリーク水と違いまして、この坑内水の活用につきまして、調査は同じく委託費をもってやっているわけでございますが、まだ完全なる確信をつかむに至っておりませんので、とりあえず、四十一年度におきましては、クリーク水の活用計画、そういう事業をともかく振興事業団にやらせることにいたしたわけでございますが、坑内水についての問題点としましては、工場用水たり得る水質の確保の問題、まあ地域によりましょうけれども、場合によるとこれは浄水をして活用しなければいかぬという問題になる。そうしますと、その浄水費をどう見るかというような問題もありますし、さらに精緻な検討が必要ではなかろうか。それから、先生からも御指摘がありましたように、やはり水の供給量としての継続性がなければいけない。そういうような点でなお少し問題が残っておりますので、これはあきらめたわけではございませんで、今後ともさらにそういった諸問題につきまして検討してまいりたいというふうに考えております。
  31. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 現在、周囲の炭鉱が閉山することによって、残存炭鉱にものすごい量の水が流出する、こういう形になり、それが経営に非常に大きな影響がありまして、ついに閉山せざるを得ない、あるいは経営が赤字になる、こういうことを繰り返しているわけです。ですから、この利用ということが考えられないかどうかということですね。ことに、北九州の工場地帯に近い地区における利用というものが考えられないかどうか、あるいは経費節減をするためにも考える必要があるのじゃないか。もちろん、坑内水は温度が高いそうですから、すぐには工業用水に使われない。だから、貯水池が必要であるという議論もあります。しかし、何にしても、今度の法律改正で、工業用水の供給というのが事業団の業務の範囲の中に入ったわけですから、この点は、単に鞍手地区のクリークの活用だけでなくて、ひとつ積極的に十分予算を取って、この活用計画を早くつくってもらいたい、このことを希望しておきます。  次に、運転資金の問題ですけれども、この運転資金はどういう基準で今後貸し出されるのか。五億しかないのですが、その点をどういうようにお考えですか、お聞かせ願いたい。
  32. 井上亮

    井上政府委員 本年度から産炭地域振興事業団の融資業務といたしまして運転資金の貸し付け業務の追加をお願いいたしたわけであります。従来は設備資金だけでしたものを、最近特に誘致しました産炭地の企業が運転資金に非常に困まっておる、特に、誘致しました企業ですから、地元の金融機関とコネクションが十分でないというようなために、設備はできて売り先はあるけれども、運転資金がないというようなことがありましたので、長期運転資金につきまして今回産炭地域振興事業団の融資事業一つとして追加をお願いしたわけですが、この運用方針につきましては、現在政府部内におきまして検討中でございまして、結論が出ておるわけではありませんが、いずれにいたしましても、市中銀行から融資を受けられるものについては特に産炭地域振興事業団からの運転資金の融資は要らないかと思いますけれども、そういう市中からの調達が困難な企業であって、運転資金を貸し付けることによりましてその再建が可能だ、再建というのはちょっと大げさかもしれませんが、一応急場をしのいで十分やっていけるというようなものにつきまして、この運転資金を活用してもまいりたいというふうに考えております。
  33. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 もうこれは具体的に作業を始められておるのですか。一応、基準等について、いろいろ施行令の改正その他を含めて、どういう基準でいくのだということを、いまきわめて抽象的な話でありましたので、伺いたいと思うのです。
  34. 井上亮

    井上政府委員 これは、政令とかなんとかいう事項でございませんで、むしろ実際問題として事業団の貸し付けについての業務方法になろうと思いますので、事業団のそういった方針をいま役所も加わりまして検討しておる。具体的には事業団が検討しておるわけですが、ただ、これは、そうむずかしいことではありませんで、いずれにしましても、先ほど言いましたように、どこに貸しちゃならぬということはありませんので、やはり、産炭地域振興のために融資しました企業であって、そして市中にもなかなか乗りがたいだろう、しかしこれは融資をしてやることによって十分誘致企業がまた立ち直り得るという場合に貸すわけですから、そうむずかしい基準は私は考えておりません。また、うるさい基準をきめるべきでもないというふうに考えております。
  35. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで、一つ基準をお示しになったのですけれども、誘致企業であってすでに産炭地域振興事業団から設備資金の融資をしておる事業というのが一つ基準になるのですか。
  36. 井上亮

    井上政府委員 原則としてはそういうことになろうと思います。やはり、まず第一義的には、産炭地域振興事業団が設備資金を貸しておること。これは、特に産炭地域振興事業団並びに政府あるいは商工会議所等、一連の産炭地域振興に関連しまして誘致の体制がありますので、その誘致の政策に沿って来られました企業を原則的にはまず優先的に見る。しかし、ではそれ以外は一切見ないのかと言われますと、これは運用の問題としまして、やはり、余裕があれば、産炭地域振興という見地から、必ずしもそれに限定しなくてもいいのではないか。ただ、初年度は五億でございますから、そこまで余裕のあるふるまいもできないかと思いますけれども考え方としてはそのように考えております。
  37. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ですから、私も固定的に考えているわけではないのですが、少なくとも設備資金を産炭地域振興事業団が融資をしておる事業というのが一つ基準になるのですか。
  38. 井上亮

    井上政府委員 原則としてそういうことを考えてまいりたいと思います。
  39. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それから、それは今後来る企業なんですか、それとも、すでに現在設備資金を借りて来ている企業で、非常に全融が逼迫しておるという企業なんですか。
  40. 井上亮

    井上政府委員 この点につきましては、先生の御質問を機会に、方針を明らかにしておいたほうがいいと思うのです。といいますのは、やはり、私どもに対しまして、今後誘致される企業のみに貸すのではないかというような御疑問が各方面にあったわけですが、私どもはそのようには考えておりません。既存の誘致された企業であっても、今後の新規のものと区別しないというふうに考えておりますので、この点は明確にそういう運用をしてまいりたいと考えております。
  41. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 せっかく産炭地に進出した企業であるのに、運転資金が枯渇して倒産をするといううき目にあう、これは事実そういう会社が出てきておるわけです。ですから、まず第一に、新しいものよりも、すでに来ておる企業が当然対象になるべきだと、かように思います。何にしても、最初五億ですから、この使いようがなかなかむずかしいと思いますけれども、きわめて有効適切に配分をしていただきたい、このことをお願いをしておきます。  次に、改正点の第三であります出資につきまして質問いたしたいのですが、今後産炭地域振興事業団がいわば出資会社になり得るというきわめて大きな法の改正であります。ですから、私は、もし産炭地域振興事業団というものの最初の出資が成功をすれば、将来にわたって、いわば中小企業投資育成会社というような性格も考えられていいと思うのです。そこで、いま考えられておる第一の計画というものはどういうものであるか、これをお聞かせ願いたい。
  42. 井上亮

    井上政府委員 御指摘のように、今般産炭地域振興事業団の新しい業務として出資業務を行なうことにいたしたいわけでございますが、さしあたっての計画といたしましては、御承知かと思いますが、ボタ山利用に関連いたしまして人工軽量骨材をつくる事業を、ただいま関係者といろいろ技術的にも検討を進めておるのでございます。私どもとしましては、この事業はいわば新規産業的なものでございますので、工業技術院傘下の研究機関、この研究者も非常に熱心な者もおりますし、こういった工業技術院系統の試験研究、それから、民間におきましても、いろいろ著名なセメント関係の企業等におきましてはこういった研究をしております。これはセメントに限りません。いろいろマイニング関係をやっておるところで研究をしておるところもございます。そういった熱心な企業も幾つかございますので、そういったところと、この企業化について、産炭地域振興事業団が中心になりましてただいま検討を進めております。大体構想は、産炭地域振興事業団のほうで、でき上がりもしないかもしれませんが、相当なところまで検討が進められておりますので、本日ちょうど産炭地域振興事業団から堀坂理事見えておりますので、その点さらに補足していただいたらどうかというふうに考えております。
  43. 堀坂政太郎

    ○堀坂参考人 それでは、私から補足して申し上げたいと思います。  ただいま石炭局長からお話のございましたように、当面の出資の対象として考えておりますのは、ボタを利用いたします人工軽量骨材の製造事業でございますが、これは、日本のボタの中で、人工軽量骨材に利用しやすい、いわゆる膨潤性の頁岩及び膨潤性の粘土を含んでおりますようなボタを利用いたしまして、いま不足しておりますところの砂利のかわりになるだけでなくして、今後のプレハブ建築あるいは道路舗装等に使われると思われる人工軽量骨材をつくろうとするものでございます。このボタを利用いたしましたところの人工軽量骨材の製造は、諸外国におきましては非常に古くから例があるものでございます。この製法等におきましては、それぞれの国が特許を持っております。先ほどお話がございましたように、国立大学及び通産省の工業技術院の試験研究所の研究その他若干のコンサルタント等の御協力を得て調査をいたしてきたものでございまして、さしあたりの事業の場所といたしましては、筑豊の北部のボタ山が軽量骨材の原料として非常に適するということと、それから、立地的に見まして、北九州北部でございますならばそのような原料を使うべき需要というのが相当あるということ、それから、さらに、必要に応じては、石炭を関西に送っておりますように、比較的容易に軽量骨材を船等を使って送れること等の事情にかんがみまして、筑豊の北部でそのようなもので工場を建てたいと思っておるのでございまして、大体の規模といたしましては、年間約六万立米ないし十万立米程度の製造能力を持つものにいたしたい。設備投資額といたしましては、土地代等を含めまして二億五千万ないし三億程度考えておるのでございます。
  44. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、この会社は、出資あるいは資本金は幾らになるのですか。
  45. 堀坂政太郎

    ○堀坂参考人 資本金は、産炭地域振興事業団が出資いたしますのは五千万円でございますので、大体同額以上を民間の出資に期待をいたしたいと存じておりますので、資本金は一億円以上と考えております。
  46. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、これが成功すれば、各地区のこういう軽量骨材に適するボタ山のある地区には一応工場を建設するというような考え方もあるわけですか。あるいは、いまお話しの筑豊の北部に集中してその製造をする、こういう考え方ですか。
  47. 井上亮

    井上政府委員 次の計画につきましては、率直に言いまして、まだ具体的な計画は持ち合わせておりません。この軽量骨材の問題につきましては、かねてからボタ山の利用というようなものと兼ねまして構想を練っておりましたものが、ただいま堀坂理事からも御説明がありましたように、ようやく構想が実りまして、企業化のめどがつきましたので実施するわけです。これができますと、今度はまた需要との関係がありますが、私は、需要の点はほとんど心配ないのじゃないかと思っております。最近の建築需要からいたしますと、これは砂利にかわるもので、特に高層建築になってまいりますと、どうしても砂利にかわるものとしての軽量骨材というものの需要がふえるわけですから、したがいまして、事業としてこれが成功すれば、見通しとしましては、同種の事業ができようかと思います。それはしかし、必ず国がこれと同じように出資してやるのかということにつきましては、これは今日の段階で私の私見でございますけれども事業として成り立つ見込みがあれば、こういうことをする必要はないのであって、むしろ、出資をいたしましたのは、新技術による新規産業という意味の、先駆的な役割りを果たす意味であえて国が出資したわけですから、そういった状況を見て判断してみたい。なお、出資業務につきましては、ことしはこれでございますが、将来の問題としましては、一応こういう制度もできましたので、産炭地振興にふさわしいそういった事業を、私どもはもちろんでございますが、産炭地事業団のほうでも研究してもらいたいというふうに考えておるわけであります。
  48. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これは、技術的にも先駆的な、しかも産炭地にある特殊な原料というところに特徴があると思うのです。それで、いわばその一カ所にキャパシティーを多くして供給するということも、経営から言えば必ずしも悪くない。しかし、ボタのようなかなり輸送費の要るものを遠方から輸送さしてくるというところには、また一つの問題がある。あるいは地域開発の面から見れば、あるユニットの工場が可能であるならば、各地につくったほうがいいという問題もある。ですから、これは今後の運営によっていろいろ考えられるところでありますけれども、これにとどまらず、ひとつ出資については十分考えてもらいたい。むしろ最初から東北開発株式会社のようにやったらどうかという話をわれわれしたわけですけれども、どうも東北開発株式会社があまり成功をおさめておるという印象を与えていない。それでどうもうまくいかなかったわけですけれども、これは法律で言えばわずかの改正ですけれども内容的に言えば振興事業団としてはかなり抜本的な改正ですから、ぜひこれを今後拡大をするように、予算並びに事業の遂行を行なってもらいたい、かように希望しておきます。  次に、産炭地事業団の土地造成についてであります。現在まで相当工場用地の土地造成が行なわれておるわけですが、現在までにどのくらい行なわれ、どのくらいそのうちで売買になり、さらにその単価はどうなっているか、平均だけでなくて、最高と最低、これをお知らせ願いたい。
  49. 井上亮

    井上政府委員 昭和四十一年の二月末で調査をいたした数字でお答えを申し上げますが、御承知のように、この土地造成は昭和三十七年度から始めまして、昭和三十七、三十八、三十九、四十年度とやってまいったわけでございますが、その総計といたしまして、造成計画といたしましては、面積にいたしまして、これはメートル法で言わなければいかぬかもしれませんが、坪数で申し上げますと、百九十四万坪でございまして、そのうち完成いたしました面積が八十六万九千五百三十四坪でございます。そのうち譲渡いたしました面積が十八万三千三百坪でございます。なお、件数で申しますと、件数としましては、完成件数が二十八件、譲渡件数が二十二件ということになっております。造成計画としては百九十四万坪と申しましたが、この件数としましては五十二件、大体こういう計画でございます。
  50. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 価格は。
  51. 井上亮

    井上政府委員 一つお答えを落としましたが、売買価格でございますが、最低の売買価格としましては坪当たり千五百円、最高約七千円というような状況に相なっております。
  52. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 平均価格は。
  53. 井上亮

    井上政府委員 平均といたしましては、大体二千円から三千円ぐらいの間と考えております。
  54. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 第二次有澤答申に、産炭地事業の土地造成についてその譲渡価格を進出企業にとって魅力的なものとするように措置を講ぜよ、こう書いてあるわけです。一体どういう措置を講ぜられたのか。
  55. 井上亮

    井上政府委員 調査団で言いましたのは、結局、御承知のように、産炭地域につきまして、第  一義的には、まず疲弊した地域振興するために、石炭にかわる企業を誘致並びに振興いたしまして、地元経済に活気を与えるという点が大きなねらいでございまして、やはり、誘致企業を有利ならしめる意味で、誘致をしやすい形といたしまして、その助成措置として低利の政府資金の融資の問題もありましょうし、あるいは工場適地をつくりまして誘致するという考え方があるわけでございまして、そういうような意味合いで、できるだけ土地造成等につきましてもそういった趣旨からやったらどうだという趣旨だったと思います。しかし、同じく調査団の考え方の中には、産炭地で土地造成をやるといたします場合に、やはり産炭地らしい国土の有効利用ということも考え、あるいは、産炭地に滞留しております離職者あるいは新規に出てまいります不幸な離職者というようなものをこの土地造成事業にあわせて吸収いたしまして、この人々に雇用の機会を与えるという構想も同時にあったわけでございます。したがいまして、一番有利な土地造成という考え方からいたしますと、それはもう、最適の土地に工場団地をつくりまして企業を誘致する、こうすれば、コスト的にも非常に安くなり、安い土地がまた有利な地点にできるわけであります。ところが、産炭地振興一つの他の面の要請といたしましては、ただいまも申しましたような、要するに離職者対策あるいは国土の活用ということもある。国土の活用というのは、例といたしまして、たとえば、産炭地のボタ山を処理して、有効な土地として利用できるような姿にするというようなことも入るわけでございます。これがまた産炭地の人心を明るくする一つの大きな国家的な事業でございますので、こういった理想もあわせておりますので、地域によりましてはその土地造成に非常にコストがかかる。たとえば、ボタ山を処理して土地をつくるというようなことになりますと、この土地造成費は非常に高くなります。ところが、立地条件も適当によくてあまりコストのかからないところもございますので、先ほど私が申しましたように、造成費でも、安いところもあるし高いところもあるというような姿になっております。いずれにしましても、この土地造成につきましては、そういった多目的な目的を持った造成をいたしておる次第でございます。
  56. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 いや、私が言っているのは、「譲渡価格の決定に当たっては、その方式を改めて、引下げ措置を講ずる。」、こう書いてある。これは一体どういう措置をなさいましたか、こう聞いておる。
  57. 井上亮

    井上政府委員 この譲渡についての条件の問題だと思いますが、造成しました土地につきましては、私ども、長期の賦払い、割賦支払い、現在の運用といたしましては十年程度、——スタートにおきましては七年程度のところを考えておったわけでありますが、現状におきましては十年間の割賦支払いというような措置を講じております。それから、なお、その運用につきましても、プールする等の措置考えまして、できるだけ合理的な譲渡ができるように、そういった配慮を加えております。
  58. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうも、せっかく答申があったのに、これについては何もしておらぬということですね。首をかしげなくても、事実上はそのとおりでしょう。この問題はかなり前から言っておるのに、何もしておらぬということですよ。要するに、政府補助金を出してやらなければできないのですよ。金のないところに幾ら知恵をしぼってみてもこれはできない。ですから、これは結局やっていない、こういうことに尽きるわけです。  土地の問題は従来からずいぶんこの委員会でも論議になっております。日本の法律は全部どれもそうですけれども、日本くらい石炭に対して法律のある国はないですよ。とにかく、昔は鉱業法一本であったのが、いまものすごく法律があるのに、どこか背骨がない。もう外国が見たらびっくりするだろうと思う。実に親切に法律ができておる。ところが、それがどこかでかなめで動いていくような方式になっていないのですね。私がドイツに行ったときにも、いや日本には法律があるね、こう言う。ことに、電力用炭代金精算株式会社というのができたときに、この説明をしても、向こうはどうしてもわからない。それを説明するのにかなり苦労したわけですけれども、とにかく手厚い法律体系にはなっておる。ところが、予算も十分ついていないが、実際は実っていない。だから、どれもこれも法律を出して、どれもこれも十分でない。これは石炭だけじゃないですよ。全体的な仕組みですよ。だから、産炭地域振興法という法律があるなんといったら、外国がおそらくびっくりするだろうと思う。外国では、地方雇用法だとか、工場配置法だとか、あるいは地域再開発法だとか、こういうことで、実質は産炭地に集中して非常に手厚い保護をやっておるでしょう。日本では産炭地域振興法というものがあって、きわめて石炭に有利であるようだけれども内容はきわめてお粗末だ。全体がそうなっておるわけですよ。土地価格というものも、日本のようにコスト主義でやっておるところはどこだってないでしょう。それから、補助金だってほとんど出していないでしょう。融資がありますけれども、融資だって、六分五厘で貸しておるわけではない。相当高い金利で貸しておるわけです。ですから、どうも日本の政治というものは、全体的にいろいろ頭の中で役人が書いてくれるけれども、推進をしないというのが実情です。これは大臣に対して私は後刻別の機会に地域開発の問題全体についてひとつ質問したいと思うのです。これはただ事業団法だけの問題ではなくて、日本の地域開発というのは、欧州等がやっておるのと全く逆行しておるとは言いませんけれども地域開発らしいものがない。要するに、日本のは、どこにも企業を誘致したいという考え方でしょう、全く重点もない。最近、過密都市の問題あるいは公害を中心とする交通地獄あるいは水飢饉等の問題がございますから、やっと気がついたようですけれども、ほとんど地域開発らしいものがない。ですから、それは、どこでもよくしてやろうということです。これは何も政府の責任だけじゃなくて、議員の責任でもある。今度中部地区振興法が出る。日本でもう全部ある。全地域振興法のないところはないわけですよ。そういう政治の姿勢というものが問題だと思うのです。この土地格価の問題も、かなり長い前から引き下げを要望されておるけれども、実現を見ていない。  そこで、一つの案ですけれども工場用地といいましても、実際は、八十六万坪も造成しておるのに十八万坪しか売れていない。そうして、宅地はかなり要望がある。この第二次答申におきましても、「地形、工法等からみて適当なときは、工場用地に附随して住宅用地も造る等、事業の能率化、弾力化を図る。」、こういうことを述べておるわけです。そこで、住宅用地というものについてどういうようにお考えであるのか。産炭地域振興事業団も住宅用地の造成ができる、あるいは住宅用地にも譲渡できる、こういうような方法をとられたらどうか、かように思いますが、この点いかがですか。
  59. 井上亮

    井上政府委員 現在、先生も御承知のように、造成しました土地につきましては、工場敷地、工場用地に主として払い下げておるわけでございまして、いわゆる一般住宅そのものには譲渡しないのをたてまえにいたしております。しかし、先ほどちょっと触れましたように、実際に、産炭地域におきます事業団の土地造成は、最適な土地に工場敷地をつくるということだけではありませんで、先ほども申しましたように、ボタ山処理、ボタ山を取りくずしまして、これを新たに利用できる土地にするというようなこともあわせてこの事業団はやっておるわけでございます。一がいに土地造成といいましても、そういったいわゆる公共事業的な性格、あるいは、先ほども申しましたように、産炭地に発生いたしております離職者をこのボタ山処理事業の中で吸収していくという面もあるわけでございますので、どうしても造成費が高くなるわけでございまして、そのためには、単に一括した工場敷地として販売するだけではなしに、地域によりましては、それに関連する住宅等に対しましては、これを払い下げたほうが、当然事業団経理としても有利になりますし、国土の有効な利用という観点からしましてもよろしいわけでございますので、今後はそういった方針で運用してまいりたいというふうに考えております。
  60. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大体、産炭地域振興事業団の土地造成に荷物、目的が多過ぎるですよ。あれもからわせ、これもからわす。雇用対策もやれ、ボタ山処理もやれ、それから工場用地もつくれなんといっても、これはいつものコスト主義というのですからね。実際、事業団にあまり荷物をからわせて、そして純然たるほかの政策目的のものまで事業団に負担させておる。こういうところに問題が確かにある。工場用地とボタ山処理というのは、一致した面もあるけれども、必ずしも一致しない地域もあるのですよ。ですから、いま局長答弁をしておりましたが、大臣のほうで、この法律運用についてひとつ十分配慮をして、住宅用地の造成もできるように、あるいは払い下げもできるように考慮していただきたい。ひとつ大臣から御答弁願います。
  61. 三木武夫

    三木国務大臣 運用の面で御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  62. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 次に、自治省見えておられますから、事業税の問題についてお尋ねいたしたいのですが、産炭地域の進出企業に対する事業税の免税の問題は、これもかなり本委員会で追及をされ、また、本委員会だけではなくて、石炭鉱業調査団の第二次答申にも事業税については明記をされておるし、さらに、昨年の十一月三十日の産炭地域振興審議会におきましても事業税について言及されておるのですね。低開発地域振興法律には事業税の減免措置があるわけですからね。当然産炭地域のほうがより深刻ですよ。低開発というのは一応現状維持なんです。ところが、産炭地域というのは現状が変わっていきつつあるのです。ですから、非常に深刻さが違うわけです。ですから、少なくとも低開発にこれがあるならば、産炭地域こそ事業税の減免をすべきではないか、かように考えるわけですが、ひとつ大臣から御答弁願いたい。
  63. 三木武夫

    三木国務大臣 私はもっともだと思うのです。実際にもっともだと思うのですが、なかなかこれができなかったのは、いろいろ関係方面との話し合いがまとまらなかったことだと思うのです。これは今後はひとつ研究をいたしたいと思います。
  64. 宮沢弘

    宮沢説明員 ただいま通産大臣から御答弁がございましたが、一応自治省の事務的な考え方を申し上げたいと思います。  確かに、いま多賀谷委員御指摘のように、低開発の立法には事業税が入っているわけでございます。私、当時この立法に事業税の入りましたいきさつを十分知悉をいたしておりませんが、後に申し上げますような理由で、どうもこういう法律事業税が入ることは、税の理屈上、私どもには納得できない面があるわけでございます。事実、低開発以後の産炭も含めました各特別の立法には事業税を含めていないわけでございます。  理屈上と申し上げますのは、二、三の点を申し上げたいと思うわけでありますが、第一番目には、多賀谷委員も十分御承知のように、事業税というのは所得に対する課税でございまして、利益が出て初めて課税されるわけでございます。その点、不動産取得税あるいは固定資産税というようなものと異なっております。利益が出ますれば、やはり地域社会で事業を営む者として若干の負担をしていただくのが、地方税制のたてまえから申しましても当然ではなかろうか。これが第一点でございます。  それから、第二点といたしまして、先ほど細谷委員の御質問の中でも出ておりましたけれども、この産炭地域事業の執行につきましては、法人税につきまして機械、装置、家屋等について特別償却が行なわれているわけでございます。事業税の所得の計算も法人税の所得の計算と同一に行なわれているわけでございます。そういたしますと、特別償却をいたしまして、さらに税自身もまけていくということ自身の理屈の問題があろうと思うのでございます。  それから、第三番目に、これはいささか技術的な問題にもなろうかと思うのでございますが、事業税は、御承知のように、産炭地だけに事業所がございます事業でございますと、そこで生み出されました所得について課税されるわけでございますけれども産炭地域以外に本社がありますとかほかの工場があるとか、要するに、全国二以上の市町村に分かれて事業所を持っております企業でございますと、その所得を分割いたすわけでございます。二以上の府県にわたって事業が行なわれておりますと、この所得を分割いたすわけでございます。そういたしますと、必ずしも産炭地の所得というものとは結びつかないわけでございます。従業員数で分割をいたしますので、その点、税制の理論から申しまして議論の多いところであろうと思うのでございます。  おっしゃいますように、産炭地については、各種の特別立法の中では、最も条件の悪いところをいかにして振興していくかということでございますので、その辺の御趣旨は十分わかるのでございますけれども、同時に、ただいま申し上げましたような私どものほうの考え方もございますので、私どもといたしましては、御趣旨でございますから検討はいたしますが、なかなか前向きの形にはなりにくいどいうことを申し上げざるを得ないかと思うのでございます。ただ、通産大臣も先ほど御答弁がございましたので、通産省のほうともよく御相談はいたしたいと思います。
  65. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣、このものの考え方は役人ベースじゃないです。役人ベースで言うなら、産炭地域振興法になくて低開発地域振興法にあるというのがむしろおかしい。これはちょっと理屈が通らぬですよ。役人が答弁できないところですね。低開発にあるのになぜ産炭地にないのか。それは、新産都市は将来とも伸びるところであるから、これはむしろ事業税の減免はなくてもよろしい、こういうことは言い得るけれども、現状が続く低開発については事業税の免税があるのに、その現状が刻々急変して疲弊化していく産炭地に対して事業税の免税がおかしいという議論は、役人ベースの議論だ。あとは税制の体系としていろいろ問題があるけれども、政治としてどちらを重んずるかという問題だと私は思う。ですから、いま大臣からそういう答弁がありましたから、これはひとつ政治ベースでものを考えて、これこそ前向きで検討してもらいたい。このことを要望して、本日の質疑を終わりたいと思います。
  66. 野田武夫

    野田委員長 次会は明二十八日午前十時三十分から委員会を開き、委員会散会後に理事会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会