○多賀谷委員 どうも、せっかく答申があったのに、これについては何もしておらぬということですね。首をかしげなくても、事実上はそのとおりでしょう。この問題はかなり前から言っておるのに、何もしておらぬということですよ。要するに、
政府で
補助金を出してやらなければできないのですよ。金のないところに幾ら知恵をしぼってみてもこれはできない。ですから、これは結局やっていない、こういうことに尽きるわけです。
土地の問題は従来からずいぶんこの
委員会でも論議になっております。日本の
法律は全部どれもそうですけれ
ども、日本くらい石炭に対して
法律のある国はないですよ。とにかく、昔は鉱業法一本であったのが、いまものすごく
法律があるのに、どこか背骨がない。もう外国が見たらびっくりするだろうと思う。実に親切に
法律ができておる。ところが、それがどこかでかなめで動いていくような
方式になっていないのですね。私がドイツに行ったときにも、いや日本には
法律があるね、こう言う。ことに、電力用炭代金精算株式会社というのができたときに、この
説明をしても、向こうはどうしてもわからない。それを
説明するのにかなり苦労したわけですけれ
ども、とにかく手厚い
法律体系にはなっておる。ところが、
予算も十分ついていないが、実際は実っていない。だから、どれもこれも
法律を出して、どれもこれも十分でない。これは石炭だけじゃないですよ。全体的な
仕組みですよ。だから、
産炭地域振興法という
法律があるなんといったら、外国がおそらくびっくりするだろうと思う。外国では、
地方雇用法だとか、
工場配置法だとか、あるいは
地域再開発法だとか、こういうことで、実質は
産炭地に集中して非常に手厚い保護をやっておるでしょう。日本では
産炭地域振興法というものがあって、きわめて石炭に有利であるようだけれ
ども、
内容はきわめてお粗末だ。全体がそうなっておるわけですよ。土地価格というものも、日本のようにコスト主義でやっておるところはどこだってないでしょう。それから、
補助金だってほとんど出していないでしょう。融資がありますけれ
ども、融資だって、六分五厘で貸しておるわけではない。相当高い金利で貸しておるわけです。ですから、どうも日本の政治というものは、全体的にいろいろ頭の中で役人が書いてくれるけれ
ども、推進をしないというのが実情です。これは
大臣に対して私は後刻別の機会に
地域開発の問題全体についてひとつ
質問したいと思うのです。これはただ
事業団法だけの問題ではなくて、日本の
地域開発というのは、欧州等がやっておるのと全く逆行しておるとは言いませんけれ
ども、
地域開発らしいものがない。要するに、日本のは、どこにも企業を誘致したいという
考え方でしょう、全く重点もない。最近、過密都市の問題あるいは公害を中心とする交通地獄あるいは水飢饉等の問題がございますから、やっと気がついたようですけれ
ども、ほとんど
地域開発らしいものがない。ですから、それは、どこでもよくしてやろうということです。これは何も
政府の責任だけじゃなくて、議員の責任でもある。今度中部
地区の
振興法が出る。日本でもう全部ある。全
地域、
振興法のないところはないわけですよ。そういう政治の
姿勢というものが問題だと思うのです。この土地格価の問題も、かなり長い前から引き下げを要望されておるけれ
ども、実現を見ていない。
そこで、
一つの案ですけれ
ども、
工場用地といいましても、実際は、八十六万坪も造成しておるのに十八万坪しか売れていない。そうして、宅地はかなり要望がある。この第二次答申におきましても、「地形、工法等からみて適当なときは、
工場用地に附随して住宅用地も造る等、
事業の能率化、弾力化を図る。」、こういうことを述べておるわけです。そこで、住宅用地というものについてどういうようにお
考えであるのか。
産炭地域振興事業団も住宅用地の造成ができる、あるいは住宅用地にも譲渡できる、こういうような
方法をとられたらどうか、かように思いますが、この点いかがですか。