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1966-06-08 第51回国会 衆議院 商工委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月八日(水曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君    理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君       内田 常雄君    遠藤 三郎君       小笠 公韶君    海部 俊樹君       神田  博君    菅野和太郎君      小宮山重四郎君    田中 六助君       中村 幸八君    三原 朝雄君     早稻田柳右エ門君    石野 久男君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       實川 清之君    島口重次郎君       麻生 良方君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (企業局長)  熊谷 典文君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局物価政         策課長)    丸山 英人君         大蔵事務官         (主計官)   吉瀬 維哉君         通商産業事務官         (企業局参事         官)      瀬谷  徹君         参  考  人         (東京大学名誉         教授日本万国         博覧会協会テー         マ委員長)   茅  誠司君         参  考  人         (都市計画協会         会長日本万国         博覧会協会会場         計画委員長)  飯沼 一省君         参  考  人         (日本万国博覧         会協会事務総         長)      新井 眞一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本万国博覧会準備及び運営のために必要な  特別措置に関する法律案内閣提出第一二一  号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案議題として、審査を進めます。  本日は、参考人として、東京大学名誉教授茅誠司君、都市計画協会会長飯沼一省君、日本万国博覧会協会事務総長新井眞一君、以上三名の方が御出席になっております。  参考人皆さまにおかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございます。  会議を進める順序といたしまして、最初に、茅参考人及び飯沼参考人からそれぞれのお立場から大体十分程度の御意見をお述べいただき、次に、委員のほうから質疑がございますので、これに対しまして、忌憚のないお答えをお願いしたいと存じます。  それでは、まず茅参考人からお願いいたします。茅参考人
  3. 茅誠司

    茅参考人 私は、万国博統一主題テーマの決定のために委員会をつくられましたその委員会委員を承諾いたしましたところが、委員長もせよ——自然科学者でございますので、そういう点まことに不向きだったのでございますが、やむなくお引き受けした次第であります。  数回にわたりましてこのテーマ委員会を開きましたが、テーマ委員会第一回からだいぶ活発な議論がされまして、その際述べられた多くの委員意見は、アジア日本という国がこの万国博をするという意味はどこにあるかという点であります。日本という国は、欧州の文明とは違った流れ、伝統を持っておりますが、その伝統の上に、明治維新この方百年間に外国文化を吸収しましてそれをそしゃくし、そうして日本伝統調和させたという点に非常に特徴がある、そういう意味におきまして、この初めてのアジア万国博覧会では、いままでの万国博覧会意味の違ったものにしたい、それは文明というものには多様性——中国文明がインドネシアの文明日本文化が、それぞれの国がそれぞれの伝統を持っておりますので、その伝統の上にわれわれの文明というものが築かれていくのだという、そういう考えに立って文明多様性ということをはっきりと認識した上でこの万国博覧会というものを開きたい、こういうのが第一回における委員のほとんど全部の意見でございました。いままで開かれました万国博覧会、それもただ単に科学技術進歩文明進歩ということだけとは申しませんけれども、その結果は、それぞれの国が自分の国の最も進歩したものを陳列してそれを誇らかに陳列するといったような結果に終わっているが、そのままの原理ではおそらく東南アジアの諸国はこの博覧会出品することはないだろう、それらの国々が喜んで出品できる博覧会でなければならない、そうしますと、それぞれの伝統、いろいろの考え方がございましたが、たとえば、アンコールワットの遺跡、あの写真を大きく引き伸ばしてそれを陳列するというようなこととか、さまざまな具体的な問題等も出されまして、みなで意見の交換をしたのでありますが、結局そういう点におきましては意見が一致いたしました。そして現在の科学技術進歩はまことにめざましいものがある。これはわれわれ人類すべてを幸福にしておることは間違いありませんけれども、しかしながら必ずしもそれは調和されているとは考えられない。場合によっては、それが人類撃滅の機器にも使われ得る問題でありますし、また人間と科学技術の結果とのかみ合わせがスムーズにいってないというような点から、さまざまな事態が起こってくる。そういうつまり科学技術といったようなものの進歩に対して、まだ十分な調和がとられていないという点、そういう点等も十分考慮しなければならぬ。そういう考え方に立ちまして、この統一テーマをきめようということでございまして、第一の原理は、文明多様性という点に重点を置く、それから第二はこのテーマをお読みくださいますとはっきり出ておりますが、「一九七〇年の日本万国博覧会は、このような信念と希望にもとづいて設計されるものである。世界のすべての国民がそれぞれに発展させてきた英知とその成果を、誇らかにここに持ち寄られることを期待する。そこに人類協和のよろこばしい一つの広場が出現するであろう。」こういうような考え方、そしてこの博覧会を契機としてわれわれはこれから残りの二十世紀あと三十五年ほどあります残りの二十世紀を、調和のある二十世紀として次代の二十一世紀に引き渡したいといったような、こういう考え方になったのであります。そうしてそれを主題としてあらわすのにどうするかということにつきましては、実に長い討論をいたしましたが、結局「人類進歩調和」というのが最もよろしいということになりまして、英語で申し上げますと、この調和というのはハーモニーということばなんですが、ハーモニーというのとこの調和とは必ずしも私はあまり一致してないのじゃないかという感じがするのでありまして、この調和という意味は、東洋の和という精神でありまして、必ずしもハーモニーと完全に一致しているとは、私個人的には思わないのでありますが、しかし「プログレス・アンド・ハーモニー・フォア・マンカインド」という英訳にいたしました。そういうことにいたしましたが、これは相当高い見地に立って述べられたものでございますので、これを具体的にどのように博覧会出品物建物その他に反映させていくかということについては、相当むずかしい問題になってまいります。そこでわれわれといたしましては、この統一主題を四つのサブテーマに分ける。そしてそのサブテーマごとにまた項目をつくりまして、それを具体的な出品に反映できるような操作をいまいたしております。その内容等につきましては申し上げませんけれども、御質問がございますればお答え申し上げたいと思いますが、そういうやり方で逐次作業を進めていきまして、それがどういう形で出品に反映できるかということを、考え方をつくり上げまして、そしてそれを万国博に参加する国々に見ていただいて、それを如実に実現したい、こういう考え方でおります。  私、与えられました時間よりもたいへん簡単に申し上げましたが、御質疑がございますればお答えしたほうがかえってはっきりするかと思いますので、ごく簡単ではございますが、これで終わらしていただきます。
  4. 天野公義

    天野委員長 次に飯沼参考人にお願いいたします。
  5. 飯沼一省

    飯沼参考人 飯沼でございます。  会場計画委員会が昨年の暮れからことしの初めにかけまして発足をいたしました。この委員会任務は、会場としてきまっておりますあの場所、この中の計画を立てることでございます。私も会場計画委員会委員長をやれということでございましたが、私は技術のほうではございませんので、お断わりいたしましたのでありますが、まあその何も知らぬところがよかろうということで、長い間都市計画協会関係しておりますような関係で、委員長の仕事をお引き受けいたしたわけでございます。  この会場計画委員会では、原案作成者をまずきめまして、そうしてその原案作成者によってできました原案をこの会場計画委員会検討をして、そうして最後の結論に持っていこう、こういうことであります。大体の予定といたしましては、何回か原案をつくってもらいまして、それを逐次検討いたしまして、まず第一次の原案を四月中に検討する、その結果に基づきましてさらに第二次の原案をつくってもらいましてそれを検討する、これが六月ということになっております。すでに第一次原案検討、第二次原案検討を終わりまして、この八月にはさらに第三次の案について検討をし、十月までにこれを仕上げる、こういう予定でございます。原案作成者としましては、委員の中の西山委員、それから丹下委員、このお二人にお願いいたしまして原案をつくっていただいておるようなわけでございます。今日までつくられました第二次原案等の詳細につきましては、時間もございませんし、ここで申し上げることを省略いたしますが、この会場計画基本方針といたしましては、先ほど茅さんからお話のございました、この博覧会テーマ趣旨に沿うような計画であるということ、それからたくさんの人を引きつけるだけの魅力のあるような計画をつくらなければならぬのではないか。それからたくさんの人が入場いたすのでありますから、その人の動きが混乱しないような計画でなければならぬ。なおまた、この博覧会運営条件、まだ今日のところ詳細な運営条件がきまっておりませんので、その変化に対応できるようなものでなければならぬのではないか。それから、でき得るならば未来の都市一つのモデルとなるような計画にしたい。それから、さらにまたこの博覧会あと地がうまく利用できるようなことを頭の中に考えておいて計画を立てるべきではなかろうかというようなことを、基本方針といたしまして、計画検討しておるところでございます。  なおこの会場計画関連いたしまして、会場外部から入ってまいりますアプローチの計画、道路でありますとか、あるいはまた鉄道、軌道というようなものが会場計画をきめます上に大きな一つ条件になるわけでございます。このほうも関係当局の間でいろいろと研究を進めておられるようであります。また博覧会協会のほうからもそのほうに対していろいろ折衝をしておられます。また会場計画委員の中に特別に外部との関係をうまく連絡をとってまいります専門の専任の委員等もお願いいたしまして、そのほうとの折衝も進めておるようなわけでございます。  今後この会場計画を進めてまいります上に、国はもちろん、地元の地方公共団体その他にいろいろお願いしなければならぬような点がたくさんあるかと思います。何分とも皆さまによろしくお願い申し上げます。  簡単に大体の説明をいたしまして、またお尋ねによりましてお答え申し上げます。
  6. 天野公義

    天野委員長 以上で両参考人からの一応の御意見の聴取は終わりました。     —————————————
  7. 天野公義

    天野委員長 次に、参考人並びに政府当局に対する質疑の申し出がありますので、これを許します。田中六助君。
  8. 田中六助

    田中(六)委員 茅先生にお聞きしたいのですが、このテーマ文明多様性を主体にしてお考えになっているのですが、これが具体的にどのようにこれらの計画と結びつけておられるか。それからその進捗の構想をちょっとお尋ねしたいと思います。
  9. 茅誠司

    茅参考人 いまお尋ねの点が実はテーマ委員会において一番苦悩している点でございます。先ほども一つの例を申し上げましたが、それぞれの国の伝統、たとえば民芸の問題等をこの万国博に出していただいて、そしてそれを現在の文明とどう調和させていくかといったような問題について展示してほしいという希望でありますけれども、実際問題としてそれとどういうふうに結びつけられるかということは非常にむずかしい問題だと思います。たとえば先ほど申しましたが、アンコールワットといったようなりっぱなものがあった場合に、それを、できれば写真拡大等はわれわれの手で引き受けて、それが展示できるようにしようじゃないかといったような具体的な議論も出ておりますが、まだ私は、いまお尋ねになった点を私どもからほんとうに納得していただくところまでわれわれの審議が進んでいるとは実は思っておらないのであります。それをするために、今度はサブテーマをつくりまして、今度はサブテーマから項目に移りまして一々のところでそういう問題をやっていこうというので、たとえば第四主題は「より深い相互理解を」というところがありますが、そういうところになりまして、その項目に「社会制度と慣習」「芸術とその鑑賞」「国際間の理解と協力」といったような項目があがっておりますが、「芸術とその鑑賞」というようなことになりますと、その国の芸術というもの、その国の伝統というものがどういうふうなものであるか、それを展示してほしい。それから社会制度そのものも国によってずいぶん違っておりますから、それを示してほしいといったような点等、相当具体的なところもございますけれども全般として、いま一番大きな多様性をどういう陳列によってほんとうに実現するかということは、私いますぐにこれだと言って御納得のいくように申し上げる段階に至っておらないと思います。これは多くの専門家がいまだいぶ検討しております。いずれ相当のところまでいくと存じますので、ただいま私これだけ申し上げて、お答えにかえたいと思います。
  10. 田中六助

    田中(六)委員 アンコールワットなどの写真拡大を展示したいという御希望のようでございますが、今度の万国博は、アジアでは百年間くらいの間に初めての博覧会でございますし、多様性というような点から、アジア特殊性というものを出す一つ考え方としてアンコールワットが出ておると思うのですが、アジアといいますと、やはり中国文明というものが大きく代表されると思うのです。こういう点、中共との問題もあるのでございますが、そういう点はどういうふうにお考えですか。
  11. 茅誠司

    茅参考人 いまの問題はテーマ委員会としてはまだ一度も議論しておりません。ただ議論しておりませんというのではお答えになりませんので、個人の意見を申させていただいてはどうかと思いますが、私自身は、中国に一九五五年に初めて招待されてまいりまして以来、中国問題については非常に深い関心を払って今日まできております。そしてできるだけ学問の分野科学分野において両国を結びつけたいという努力をしてきたつもりでおりますけれども、しかしこれは非常にむずかしい問題でございまして、多くの国際会議日本で開かれた場合も、中国はどうしても出席いたしません。それはどういうわけかと申しますと、台湾代表が来るという場合もありますし、また台湾代表が来なくても、その国際会議台湾が加盟しているということだけでも来ないといったような実際の問題がございます。この博覧会趣旨から申しますと、中国文明をわれわれは見のがすことは絶対できないと思うのでありますけれども、しかし何の準備もなしに中国を招待するということがはたして博覧会を成功させるかどうか、それまでの準備工作というもの、つまりほんとう調和博覧会においても調和がとれるという段階まで持ってこなければならないのではないかと私は思います。ですからそういう点は私ども具体的にはよくわかりません。できればそれは政治的な立場からいろいろと研究していただいて、そしてここにかりに招待するといたしましても、その結果が人類調和を増すという方向になるという確信のもとでやっていただきたい。しかし場合によってはそれが反対になる場合もあり得ると思うのであります。そういうことのないような場合にのみぜひ招待したいのですが、ただ何も準備なしに、われわれただ呼ぶということだけではたしてうまくいくかどうかということについては、私は危惧の念を持っております。これは全く個人的な意見でございますが、申し上げておきます。
  12. 田中六助

    田中(六)委員 中国と申しますか、中共のことをいま議題にしているわけでございますが、たとえば招請状を出さなくても文明そのものは、たとえばアンコールワットにつきましても、招請状を出さなくても写真をとって、ある程度の了解を得ればこちらでできるわけでございます。そういう点で中国の奥深いいろいろな文明文化というものが、日本の今回の万国博覧会に欠けておるということになりますと意味が非常に希薄になる、つまり政治抜きにしてそういう点が考えられるのですが、この点もう一度政治抜きにして、招請状を出す出さないということとは問題を別にしてお考えを述べていただきたいと思います。
  13. 茅誠司

    茅参考人 たいへんデリケートな問題で、私、どうお答えしていいか実はいまちょっと迷っておるのですが、問題は確かにいまおっしゃいますように、中国文明ということを抜きにしてアジア文明を論議することはできない、この点はおっしゃるとおりだと私は思います。しかしたとえばアンコールワット写真をどこの国が展示するかというと、それを日本が展示するのはまずいと思うのでございます。
  14. 田中六助

    田中(六)委員 それは了解を得なくちゃいけないわけでしょう。
  15. 茅誠司

    茅参考人 そうです。そういう点等が、はたして——かりに招請しないで中国自身出品しない場合に、それにかわった出品等をするということがはたして、われわれの間に何かかえって国際間の摩擦を増すおそれがなければそれはけっこうだと思います。その辺のことについては私は十分まだ自信があるお答えができそうもございません。
  16. 田中六助

    田中(六)委員 その参加できるような努力はどうなるんですか。微妙であるからそのまま放置する、自分たち政治関係ないのだ、これは政治問題だということと、この万国博というものが純粋なものとしての博覧会であるということとは問題が別だと思うのです。こういう人類進歩調和という非常に高度のテーマがあるわけですね。こういう点については、やはり先生方政治抜きにして一応論ぜられたほうがいいんじゃないかという気がするんです、この点もう一度御見解を伺います。
  17. 茅誠司

    茅参考人 この博覧会の事柄が、完全に政治抜きにして行なえるということになると、非常に私簡単だと思うのですが、しかし実際問題として政治の問題とどうしてもからみ合うということを頭に置かなければ、われわれ判断はできないんじゃないかと思います。ですから、私どもだけの考えで、われわれはどうだということだけすぐに出して、そうしてこれを政治的な方面から見てそれは不可能であるということにするのか、あるいは私どもわからぬながらも同時に政治的な意見を承りながらわれわれの結論を出すのかということは、まだ私どもそこまで進んでおりませんので何とも申し上げられませんが、一方的にだけきめていって、そうしてそれに対して政治的な論拠から、それはおもしろくないからやめるというような対立的なことになるのは、私はおもしろくないのじゃないかと、実は個人的でございますが、考えております。
  18. 田中六助

    田中(六)委員 非常によくわかりました。ただあと三年十カ月という博覧会開会日までの日にちが、いままでの博覧会が行なわれた時間からいたしますと、ほんとうに短いのです。したがっていまだにそういう基本的な問題が日本国内相互に解決されていないということが、具体的ないろいろな関連事業の着工並びにその他を非常に遅延させると思うのです。そういう点よく先生方もお考えいただいて、政治を一応抜きにしたような考え方を統一してお出しになるのも一つの案じゃないかと思うのです。したがって質問したわけでございますが、次いで飯沼さんにお伺いしたいのですが、さっきあなた、外国関係とよく連絡をとって、いまこの話を進めておるというふうにおっしゃったのですが、これはちょっと私ははっきりわからなかったのですが、具体的にどういうふうに外国との連絡をとっておられるか。
  19. 飯沼一省

    飯沼参考人 外国とおっしゃいましたが、外部と私は申し上げたので、会場とその周辺との関係について連絡をとりつつあるということを申し上げたのでございます。
  20. 田中六助

    田中(六)委員 それからもう一つ、詳細な運営条件がまだきまっていないというふうにおっしゃったのですが、これはどういうことなんですか。
  21. 飯沼一省

    飯沼参考人 たとえばどこにどういう建物ができるとかいう詳細なことがまだきまっておりませんために、それが将来どうなってもまず差しつかえないような計画を、会場計画としては立てておくべきではなかろうか、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  22. 田中六助

    田中(六)委員 この秋までには一応の成案が出てくるというふうに、事務当局もあなた方も全部お考えのようですが、秋ごろにはイギリスから現地を見にくる、こういうような態勢であるようですが、この前のときもちょっと私お聞きしたのですが、外国では、特にイギリスなど国民性がそうなんですが、来てみてびっくりすると思うのです。ものごとをなすのにほんとうに十年もかかって、そして十分計画を練ってやるのが、もうあと三年十カ月足らずで実現できるような現地かどうかということを、イギリス人が見た場合非常に懸念して帰ると思うのです。こういうものが日本万国博の全体の空気というものを、外国でどういうふうに感ずるかということを私心配しているわけでございますが、こういう点との関連はどういうふうにお考えですか。
  23. 飯沼一省

    飯沼参考人 全体の運営計画になりますと、これは私ども直接関係するところでございませんので、私のほうとしましては会場計画を、とにかく与えられた、定められた期間にこしらえ上げる、こういうことが私ども任務でございますので、まず一応の標準である十月までには会場計画を全部つくりたい、こう考えております。
  24. 田中六助

    田中(六)委員 新井事務局長、同じ問題ですが、それはどういうふうにお考えですか。
  25. 新井眞一

    新井参考人 確かにおっしゃいますように非常に時間が足らないことは事実でございまして、おそらくこの秋口には二、三の国が視察に来るということは予定しておかなければならぬと思います。しかし何ぶん基本になります予算の問題等もこれからいろいろ御指導を受けてやっていかなければなりませんし、それからどういう国がどう参加してくるかという基本問題等も、ある意味においては相手のあることでございます。さようなことで時間はなかなか切迫いたしておりますけれども、いま飯沼委員長おっしゃいますように、この計画で十分やれるという確信で進んでおりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  26. 田中六助

    田中(六)委員 そうすると秋にたとえばイギリス現地を見る人が来て、お前の敷地はここだというようなことが言えるかどうかということはどうですか。
  27. 新井眞一

    新井参考人 そこまではまだいかないと思います。ただ外国の地域はこことここでございます。それから現在こういう計画で、ここにはどういう池をつくりますとか、そういう全般説明になろうかと思うのでありまして、個々の各国の割り当ても急がなければなりませんけれども、遺憾ながらそこまではなかなかいけないだろうと思います。
  28. 田中六助

    田中(六)委員 きのうの日本経済新聞の文化欄に、竹村健一さんという人が、「万国博売り込みの秘策」というテーマで書いておりますが、この人は万国博考える会のメンバーだそうです。それでアメリカを三週間ほど旅行したときに、日本万国博が行なわれるのを知っているかと会う人ごとに聞いてみた。すると百五人に聞いて一人も知らなかった。彼は最初こういうふうに書き出しておるのは、やはりいかに関心が薄いか——あなたたちの計画を見ますと約三千万の人、日本の人々も含めてですが、それで一日に多いときは四十万の人が来るだろうというような予定をしておりますが、オリンピックで、さあたいへんだというので旅館をどんどん新築してさっぱりであったというようなことを私ども聞いておりますが、万国博の宣伝のしかたというものが、国内においても大阪では非常にエキサイトしておるが東京ではさっぱりだというようなことも聞いておりますが、新井さん、こういう点はどういうふうにお考えですか。
  29. 新井眞一

    新井参考人 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、ほんとう万国博のPRというのは全然できていないというのにひとしいと思いますが、ただ外向きの問題にいたしましても、現に大使館それ自身が、私どももまだ御連絡にいっておりませんので、必ずしも理解をしてもらっておらない情勢でございますから、いわんやおそらくお会いになった外国の方は知らぬという情勢だろうと思います。まあわれわれの段取りとしましては、参加するためのPRを先行させまして、そして観客動員のほうは二年前から、そういうことでかなり長期の計画の中でどこに重点を置いておくかということでやってまいろうと思いますが、お示しのようにこれから十分——特にやっと五月十一日に国際理事会の承認も得ましたし、これからはひとつ堂々と外向きの宣伝をやっていい次第でございますので、十分これからやってまいりたい、現在まではほんとうにできておらない、こう思っております。
  30. 田中六助

    田中(六)委員 日本の今度のこの万国博というのは、つまり公式な国自身がやるのではないのですが、新井さんの立場といたしまして、非常に全体的な空気がちぐはぐな点を私は感ずるのです。政府にどういう点をすみやかに要望したいかというようなことを、具体的に述べていただきたい。
  31. 新井眞一

    新井参考人 先般関係者のお呼びをいただきまして、会長からもいろいろお話を申し上げたと思うのですが、あらためていろいろな点でこれからも格段の御指導をいただかねばならぬと思うのでございますけれども、さしずめ、やはり先ほどのお話にありますように、国として、招請問題は国のお仕事でございますから、これを早急にやっていただく。それから、これに関連をいたしまして、会場計画、先ほどお話しになりましたように、これを中心にいたしました予算の問題が当面ございますので、これはおそらく四十五年開催までの全体の計画を一応頭に置いた上で、四十二年はどうするか、こういう問題になろうかと思いますから、その節いろいろ国としての十分な御援助、御協力をいただきたい。これが第一の問題でございます。
  32. 田中六助

    田中(六)委員 せんだって大阪の府知事あるいは兵庫県知事等の参考人の方々からいろいろ聞いたのですが、関連事業関係の事業推進のぐあいなのですが、そのとき各参考人は、まあまあうまくいっているというような、突き詰めて言いますと、そういうような表現だったのですが、これも、私ども現地へ行きまして、大阪の交通状態、それからその他の状況を見ますと、外国のいままでの開催地と比べますと、非常に大きな差があるし、都市そのものも非常にきたない。そういう点で危惧するのですが、あなたから見ました関連事業、公共事業関係の推進のぐあいはどうですか。
  33. 新井眞一

    新井参考人 実は今度の万国博覧会の仕事をやります上で、私は博覧会協会の事務総長を拝命いたしておりますが、博覧会協会としての守備範囲を申し上げますと、実は千里、百万坪の中にりっぱな博覧会をつくるということでございます。しかし、御意見のございますように、周囲の関連はあるわけでございますが、何分周囲の問題のほうは、むしろ地方公共団体とかあるいは既存の近畿圏整備なり、あるいは建設省なり大蔵省なり、各般の方の御協力を得なければならぬわけでございまして、私どものほうからはある程度のツケは出しますけれども、実質その辺の問題についての取り組み方と申しますと、協会として主たる仕事でない。そういう点はあろうかと思うわけでございますが、先般御視察いただきましたときも、たいへんその点を御心配していただいております。主として現地におきまする体制の強化問題、これはあるいは協会みずからがいろいろ音頭をとる性格のものではなかろうかと思っておりますけれども、この点は、私どもとしては、早くそういうもののできることを切望する立場にあるわけでございます。
  34. 田中六助

    田中(六)委員 あと一点ちょっと新井さんにお伺いしますが、あのときかえ地の問題があったのですが、土地区というのはまだ残っておると言っておったのですが、その後どうなっておりますか。
  35. 新井眞一

    新井参考人 実は、土地の買収の関連問題でございますけれども、これは大阪府のほうでやっていただいておりまして、別に大阪府の準備事務局というものをつくってやっておりますので、私のちょっと知らない問題でございます。
  36. 田中六助

    田中(六)委員 いまあなたは知らないと言われましたが、やはり全体的な問題をできるだけ把握していかないと、この前も私申し上げましたが、ほんとうに心配なんです。あと三年と十カ月くらいで実現できるかどうかということでございますので、参考人の方々もピッチをあげて具体化にお進みになることをお願いして、私の質問を終わります。
  37. 天野公義

    天野委員長 板川正吾君。
  38. 板川正吾

    ○板川委員 茅先生にお伺いいたします。先生はテーマ委員長であると同時に、万博の理事でもあるのですが、そういう点で伺いたいと思うのであります。  統一主題人類進歩調和」という問題をきめて、その基本理念という文章、実はこれはわずか千五百字の中に人類の理想像をうたい、私どもまことに名文であると思います。こういう趣旨で万博が開催され、運営されるということにわれわれは満腔の協力を惜しむものではないのであります。しかし、どうもいろいろの雑音を聞きますと、必ずしもこういう精神を理解しないで、万博をもうける万博にするとか、あるいは理解と寛容という基本理念の大きな精神を逸脱したような議論もあるものですから、私どもそういう意味で二、三伺っておきたいと思います。  第一は、いま田中委員も触れられましたが、アジアにおいてこの歴史的な万国博覧会日本に開催されるのでありますから、アジアの万博というたてまえからいえば、当然私は中国に参加してもらいたい、こういうたてまえにあるべきじゃないか。いま先生は、万博の関係者として政治的考慮を払って判断すべきか、それともその問題は政府のほうにお預けすべきか実は迷っているんだ、こういうようなお話でありましたが、私は、万博の基本理念から申しましても、当然中国に参加してほしい、そのためにあらゆる手段を講じます、政府でもひとつ考慮してもらいたい、こういうたてまえのほうがあるべき姿じゃないだろうか。その結果があるいは不幸にして逆のことになるかどうかわかりません。政府の判断で出るかわかりませんが、万博側とすれば、私は、アジアにせっかく歴史的な万博が開かれるのですから、ぜひ中国に参加してもらいたい、するように国会なり、政府に要望したい、こういうことのほうが基本理念の実現という意味から当然妥当な考え方じゃないか、こう思うのですが、茅先生の所見はいかがでしょうか。
  39. 茅誠司

    茅参考人 先ほど申し上げましたように、その問題は、テーマ委員会ではまだ議論しておりませんから、個人の意見としてお聞き流し願いたいと思いますが、全く賛成でございます。ただ、テーマ委員会のほうでこれを論議しまして、いまのような結論になるかどうか、それは私自信ございません。  と申しますのは、先ほども申し上げましたように、われわれ政治的な問題とは全く別個に、希望だけ表明するという態度をとるかどうかという点が、まだわれわれの間で議論されておりませんものですから、そういう点で何とも申し上げかねますが、しかし、個人的に申し上げますと、いま申したようなお考え、何とかして参加してもらいたい、そうして、それが長い目で見て、非常な人類進歩と幸福に役立つ、そういうふうになってほしいと思うことには変わりはございません。全くおっしゃるとおりでございます。
  40. 板川正吾

    ○板川委員 基本理念の——これは先生がおつくりになったのですから、あえて読み上げる必要もないと思うのですが、われわれはこの基本理念の実現という意味で、この万博に協力したい。しかし、基本理念をはずれた運営、万博というようなことがねじ曲げられて運営されるなら、どうもわれわれはあまり心から協力するというわけにはまいらない、こういう気持ちであります。  それからもう一つは、この間石坂会長に来ていただいたら、石坂会長はこう言っているのですね、万博でひとつもうける、こういうことばは誤解はないか、あるいは間違って伝えられていないかと言ったら、いや、そのとおり言った、こういうふうなことを言う。それからある部分では、「テーマに従ってやっていけば損するにきまっているのです。」これは議事録の写しでありますが、テーマに従ってやっていけば損をするのはさまっているんだということを協会長は発言しておるわけですが、協会長は万博協会の運営について非常な権限を持っておる、こう思うのです。政府代表と肩を並べた権限を持っておる方が、テーマに従ってやっていけば損するにきまっているんだからということになると、テーマに従わない運営をやったほうがもうかるんだ、もうける万博というねらいはそこにあるというふうな感じがする。これは茅先生がしゃべったことじゃないんだからいいのですが、このもうける万博というものに対する考え方茅先生どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  41. 茅誠司

    茅参考人 私も実は会長とある座談をしたときに、もうけることは差しつかえないよという表現を承ったことがありまして、私それを解釈したのは、もちろんひとりでにもうかるものを遠慮する必要はない。ただもうけるというのは、つまり非常に狭義にとりまして、金銭的にプラスマイナスで必ずプラスになるということを目標にするという意味でなくて、私は、長い目で見ましてプラスになる、金だけの面ではない、そういう面でもうかるということをおっしゃっているんじゃないかととりたいのですが、会長にお聞きしたのでないから、私何とも申し上げられません。
  42. 板川正吾

    ○板川委員 会長ときどき会長立場を忘れて経済人として発言するんじゃないかと思うのです。その習性で、あるいはそういう日本全体にプラスという意味を経済用語で言ったのかもしれません。しかし、新聞等にもうける万博にするんだという声明なり談話なりが載りますと——関西地方では万博万博でことしから非常に大騒ぎしております。しかし関東では、万博というものに最近幾らか議論なり関心を持つようになっただけであります。政治の中心がこのとおりですから、おそらく九州や北海道や東北からいえば万博などということには全く無関心だ、こういう状態であろうと思うのです。そういうときにもうける万博なんと言われますと、どうも関西地方の一部の企業家がもうけるために自分の場所にお祭りを持ってきたというようなことであって、国民の心からなる協力というものは生まれてこないだろう、こう思うわけです。先生がいまおっしゃったように、万博をやることによって日本全体がひっくるめてプラスになるんだ、それが世界の平和にもつながり、人類進歩にもつながる、プラスになるんだ、こういうふうに私ども理解してその問題はそれで一応終わります。しかしいずれにしても、これは場合によってはまた石坂さんに来てもらって話をしたいと思います。  それから飯沼さんに伺います。いま田中委員がちょっと触れましたが、私の感じではオリンピックの工事の実績からいって、あれもあと半年か一年で間に合うのかなと思ったところが、オリンピックの日に間に合いましたね。だから、これは私この間現地を見た感じでは、会場のほうは三年十カ月あるから何とか間に合うだろうという感じがいたします。しかし、会場に続く接着点、これがもたもたして実はその辺にネックがあるような感じがします。これは直接会場計画を担当する飯沼さんのほうの責任じゃないということもあるようでありますが、いずれにしても周辺の交通機関、こういうものとの接点が会場計画に重要な影響があるわけでありますから、そういう点で、感じとしてどうでしょう、何とかなるにしても、まわりのほうがなかなかもたもたしておる感じがいたしますが、どのような感じでしょうか。
  43. 飯沼一省

    飯沼参考人 全くお話しのとおりでございます。たとえば会場計画といたしましては、入り口を東のほうと西のほう二カ所に設けたいというような考えを皆さん持っておられるわけでありますけれども、これにしましてもそこへ来る外部からの道路がどうなるのか、それからまた鉄道軌道がどういうふうになるのか、これがきまりませんことには最終決定ということにはいかぬわけであります。そういうわけで、前回委員会を開きましたときも、一応第二次案までは場内の計画はできておるけれども、これと連絡をとる外部の鉄道軌道等の交通関係、このほうが早くきまってもらいませんと、私のほうの会場計画もきまらないということを申し上げまして、協会のほうを通じまして、これは建設省、運輸省その他関係の公共団体、そういう方面にひとつ強力に働きかけていただいておるわけで、早くそのほうの決定をしていただきたいということを申し上げておったわけでございます。全くお話しのとおりだと私は思います。
  44. 板川正吾

    ○板川委員 もう一つ新井事務総長に伺いますが、一般規則の十条、この解釈は、政府代表が最終的にはするとしても、事務総長としての解釈をこの際承っておきたいのです。九条では外国政府の公式参加の問題、十条では公式によらない参加、その中で「前条の規定により公式参加する外国政府等のほか、参加を希望する者は、協会に対して直接参加申込みをしなければならない。ただし、その者の属する国が公式参加している場合は、事前に当該参加国代表の承認を受けなければならない。」これはわかるのです。たとえばある国の中で相当大きな企業が、国として参加する展示に加わらなかった、その場合に、自分の製品なりを別途に申し込んで展示してもらいたい、こういう希望があった場合には、公式参加しておる参加国代表意見を聞いて、よかった場合には展示もできる、こういうことだろうと思うのです。ただその国が公式参加している場合は、その代表に聞けということになっておりますが、公式に参加してない場合、この場合のことについてはどういう扱い方をしようとするのでしょうか。たとえば中国の場合ですね、あるいは北朝鮮、世界で七カ国あるようでありますが、中国の場合を考えて、政府は公式に参加していない。しかし中国の民間のある団体からこういうものを展示しようという申し込みがあった場合には、この公式参加している場合と逆な解釈で解釈ができると思うのですが、その場合にはどういうふうな処置を協会としてされるのですか。
  45. 新井眞一

    新井参考人 いまの十条のただし書きの問題でございますが、中共の場合という例と別に、私は一般的に御説明申し上げたいと思いますけれども、この点は日本万国博覧会に、たとえばイギリスイギリス館というものを建てておって、そしてほかにイギリスのある会社が横から来るというこの形を非常に心配しておりますので、したがって、ある国が公式参加をしていない場合は、非公式参加は別に承認を受けてもらわなくてもいいわけでございます。むしろ両方で来る場合に、やはり公式参加する国がどう考えているかということをよく打ち合わせしておきませんと、民間参加とごたごたしますから……。ですから、公式参加がないという国におきましては、これはもうおいでいただくならばおいでくださいという形で、必ずしも当該参加国代表の承認を受けなければならぬということにはなりません。  それからもう一つは、当該参加国代表というのは、これは公式参加をした国の場合にはそのときに政府代表というものができるわけでございまして、ちょっと専門的になりますけれども、コミッシャー・ゼネラル・オブ・セクション、日本の場合はコミッシャー・ゼネラル・オブ・ガバーメントというのですが、公式参加をした場合は必ずそういう代表がそのとき初めてできるわけでございます。ですから、現実的に参加をしていない場合には、そういう方もおられないわけでございますので、したがってただし書き事項は公式参加してない場合には当該参加国代表というものもございませんし、その承認はもとより受ける必要はない、こういうふうに解釈できるかと思います。
  46. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、あり得るかどうかわかりませんよ。たとえば中国なり公式に参加しない国のある団体、企業、これから参加を申し込まれた場合には、この十条なり十条のただし書きで取り扱うということになりますか。
  47. 新井眞一

    新井参考人 これは、この十条の本文のほうで取り扱うことになろうかと思います。
  48. 天野公義

    天野委員長 浦野幸男君。
  49. 浦野幸男

    ○浦野委員 茅さんにお尋ねいたしまするが、先ほど、この万博は文明多様性を生かしていきたい、こういうお話しがございました。私も、この万国博覧会という名のもとにやる以上は、文明多様性を生かすということは、一国でも多く参加をして、そうしてそれぞれの国々のその状況を、この万国博覧会に参加してもらって、いろいろと出品をしてもらうということが好ましいことだと思います。それと同時に、先ほどもお話がありましたように、アジアにおいては初めての万博であるから、いわゆる東洋的なあるいはアジア的なムードも相当強く出していかなければならない、こういうことを思うわけでありまするけれども、しかし西欧諸国あるいはアメリカ、こういった国々は相当大きな規模で参加をしてくるものと想像するわけでありますが、アジアということになりますと、これはなかなか問題が多いと思います。  そこで、アジアのうちでもいろいろそれぞれな国がございまするが、アジアあるいはときにはアフリカ、こういった方面の国々の参加を一国でも多くやるということは、その国の財政等もなかなか問題があると思います。さりとて博覧会の意義を生かすためには、なるべく多くの国を参加さしたい、こうなりますると、もちろん相当な規模で参加してくる国もアジアの中にはあると思います。またアジアの中には、参加はしたいけれども、そう大きな規模じゃやれない、参加できない、ただ出品という程度のことだということになりますると、何かこのアジア的なあるいは東洋的な意義がきわめて貧弱なところを紹介するような形になってしまうおそれがあるのじゃないかと心配をするわけでございます。そこで、そういった場合に、やはり日本はそういった国々のたとえば会場の建設とかあるいは出品に対する協力とかということについては、やはり日本の国が相当そういう国々に援助してでも参加さしたほうがいいと思われますか、いやそれはそれぞれの国々のことだから、そんなことまで日本がやるということはたいへんだ、こういう点についてはどういう御意見を持っておいでになりますか。
  50. 茅誠司

    茅参考人 たいへんむずかしい問題で、表向き援助すると言ってはまずいだろう、しかし多分の援助をする必要があるだろうという考え方なんでございます。つまり、援助するということを表に出してはまずいけれども、しかし内容的にはいろいろの援助をしなければ目的は達せられないということを考えております。ですから、要請があれば、最初から援助しますよということを言ってはまずい。しかし、どうも自分たちこういうことをやりたいのだが、ここのところうまくいかないがどうかとおっしゃれば援助すべきだろうと私どもも思っております。ですから、その出方はたいへんむずかしいと思うのですが、できる限りの援助をしていまの目的は達成したいというのがわれわれの念願でございます。
  51. 浦野幸男

    ○浦野委員 次に飯沼参考人お尋ねをいたしまするが、会場は千里丘百万坪を予定いたしておる。ところがいまの様子ではなかなか用地の買収あるいはこれからの話の進め方によっては、もちろんこの百万坪は買収しなければならないけれども、だんだん規模が大きくなって、百万坪ではなかなかうまく設計の都合でおさまらない。あるいはおさめるつもりで設計されるかもしれませんが……。そこで、当初万博の話が出た当時には、第二会場、第三会場というような計画——計画というのですか、うわさも相当出ておったわけですが、あの最初に出たときほどの大規模な第二会場、あるいは神戸あるいは大津、京都、こういった最初話の出ておったような大きな第二会場的なものはおそらく考えられないかと思いますが、しかしこの百万坪以外で、協力的な会場とかあるいは協賛的な会場とかいうようなことは全然考えておられないわけですか。百万坪の中で、あとはもう何も万博としては計画をしないという方針でいかれるのか、その点をちょっとお伺いをいたしたいと思います。
  52. 飯沼一省

    飯沼参考人 私どものほうの会場計画委員会におきましては、今日まではあの百万坪だけの計画を取り扱っておりまして、これで足りない、第二会場が必要だというような話は、ただいままでのところまだ出ておりません。また当初のお話、私どもよく承知しておりませんので、私どもとしましては、なるべくあの百万坪の用地を早く解決しまして、そうしてあそこの中で全体の会場としての計画をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  53. 浦野幸男

    ○浦野委員 それはいまどの程度の参加国を予定いたしておられるか知りませんが、いま言ったように、先ほど茅さんが申されましたように、なるべく広く文明多様性を生かしていきたいということになりますると、できる限りの多くの国々を招請する、そういう場合に、日本に対しては相当世界じゅうの関心があるから、よしひとつおれの国も参加しようという国がたくさんできた場合に、予定よりもちょっとよけいできた場合でも、この中でおさめていくという方針には変わりないわけですか。
  54. 飯沼一省

    飯沼参考人 百万坪と申しますと相当の面積でございまして、うまく運営していくという上には、やはり大きさの限度がありはしないかと思います。私どもこの百万坪で計画を立てていきたいと考えておりますが、しかしまた先ほどいろいろのお話を伺っておりますと、あるいはこれは私よりもむしろ協会の新井さんのほうからお答え願ったほうがいい問題かもしれません。私どもはまずただいま申し上げましたように考えておるわけでございます。
  55. 浦野幸男

    ○浦野委員 新井さんにお伺いいたしますが、先ほど田中さんから質問があったときの新井さんの答弁、土地の問題は大阪府がやっておる、それから周辺の道路の問題あるいは交通問題、あるいは会場以外の美化問題、こういった問題については博覧会としてはあまり関係しておらない。もちろんそれは博覧会の事務総長としてはそういう答弁も一理あるかと思います。しかしながら博覧会というものをやっていく上には、中だけをおれのほうはやれば、あとのことはよそのことでいいのだ、知らないのだ、いま土地の買収がどうなっておるのかわからないのだ、大阪府にまかしてあるのだということでは、私はどうも納得がしにくいのですが、やはり総長としては、いま買収問題はこういうふうに進んでおる——先ほど飯沼参考人は、計画に対しては第一次は四月、第二次が六月、第三次が八月と、十月までにはきちんとしたものをつくり上げてしまう——これは内輪でやれることで、相手の人があまり関与しないことだから、わりあいにやりいいことかもしれません。しかしながら、やはり三年十カ月ということは、これはわれわれが心配しておるだけでなくて、少なくとも博覧会というものに関心を持っておる人々は全部が心配しておることなんです。三年十カ月で、あの千里丘のごたごたした周辺が、道路から鉄道から何からやって、中に理想的な——世界にオリンピックで成果をあげたのですが、あれに増した日本の万博に対する世界の関心というものを集めることができるであろうかということは、非常に心配しておることなんですが、あなたはまだ土地の問題はわからないとおっしゃいましたけれども、大体の見通しというものは事務局でもわかっておると思いますが、自信があるかないか、その点ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  56. 新井眞一

    新井参考人 おっしゃいますとおりで、先ほどお答えしたときのニュアンスが悪かったと思いますが、もちろん私どもたいへん土地買収の問題は心配もいたしておりますし、非常な関心を持っておるものでございます。また関連投資の問題も非常に時間を要する問題でございますので、私どもほんとうに一緒になっていろいろ考えておるわけでございます。いまのお話の土地買収の問題、実は大阪府でやっていただいておりますが、大体見通しができまして、個々のたくさんの地主さんの問題につきましては大体話ができました。あとは御承知かと存じますが、大口の方のほうの話になりますので、この辺はまた個々の地主さんとの話とは別個の問題として、かなり見通しもあるのじゃなかろうかと思います。そういうふうな最近の情勢として、土地買収のほうはおかげさまでやっていける見通しであるということは伺っておりますけれども、こまかい問題につきましては、実は承知いたしておりません。
  57. 浦野幸男

    ○浦野委員 それでちょっと私も安心をしましたですが、いかにいろいろなことが進みましても、あの土地というものはなかなかむずかしい問題で、土地の問題が五里霧中だ、どうも事務総長も想像がつかぬというようなことを言われますと、なおさら不安が大きくなりますので、大体見込みが立った、いろいろ買収の都合で相手との関係もあるので、あまりはっきりしたことも言えないかもしれませんけれども、とにかくだいじょうぶ見通しはつくのだ、そして間に合うのだということは、最低の期限ははっきりと目標を立ててぜひ進めていただきたい。さらに、この間大阪の市長さんあるいは知事さん等も非常に大きな希望を申されましたけれども、これらもやはり事務局としてもどんどんと督励し、協力し、また国のほうも大いにこれに協力して早く見通しが立って、どこの国が来てもこの万博をやることによって日本の国がマイナスになるというようなことのないように、最善の努力をしていただきたいと思います。  以上でございます。
  58. 天野公義

    天野委員長 石野久男君。
  59. 石野久男

    ○石野委員 参考人の皆さんに二つほどお尋ねしたいのですが、今度の万国博覧会は、大体統一主題にも出されておりますような非常に高い次元での呼びかけをしておるわけでございまして、これを成功させるためにはいろいろなことが必要なわけで、特に会場準備がどうなるかという問題ももちろんございますが、しかしこの博覧会が成功するかしないかは、よってもって「基本計画の概要」にある一番最後の入場者の予想という、この三千万人の人をよく入れるかどうか、そして特にそのうちでも外国からの百万人の方をうまく入れられるかどうかという問題にかかっているのじゃないかと思います。それが達成されれば、「人類進歩調和」という問題がほぼ目的に沿うような成果があがるだろう、こう私は思います。  そこで、先般も会長さんにおいでいただいて、この外国からどういうふうに人を集めるかという問題について、非常に問題が多いようでございますので、いろいろお尋ねしました。きょうも各委員からお尋ねし、そして茅参考人からも、この問題については個人の意見としての御所見も伺ったわけでありますが、問題は政治的なものと別個に論ぜられるかどうかというところにあるのだ、こういうことでございました。私もそれはそうだろうと思うのですけれども、しかし問題は、基本理念のこういう筋書きからいきますと、そして特にアジア日本がこの博覧会を開いたということになりましてそれを成功させるのには、二つ問題点があるような気が私はするのです。一つは、これを開く一九七〇年というのは日本の安保改定の時期だ、こういうことで、世論がそういう問題で非常にやかましい時期にあるということが一つあると思います。それからもう一つは、各国に対して呼びかけるにあたって、先ほど来問題になっております未承認国との関係をどうするかという問題です。第一の一九七〇年の問題はここでははずしすが、問題は、協会の皆さん方ができる限り多くの国々をここへ集めるようにする努力をなさっていただかなければならぬだろうと思います。そこで、アジアにおける博覧会で、一番大きいものは中国だと私は思うのです。中国抜きにした博覧会をもし日本がやったとした場合、はたしてそれで成功したといえるのかどうかということを私は実は疑問に思います。茅参考人からは、先ほどいろいろな政治的な問題があるので、ということで、この問題については、個人的な意見でも制限を付したような御所見が発表されましたし、特に学問と教育の部面から、できる限り中国との接触点を持とうというように考えていきたいけれども台湾との関係でどうも寄ってきてくれないんだというような、きわめて悲観的な御所見も承ったのでございます。しかし私は、この際茅参考人お尋ねしたいことは、そういう事情はありましょうけれども万国博覧会基本理念の筋からいきました場合には、中国への働きかげをしなかったら、この協会の理事者の任務は果たせたといえないのではないだろうかとさえ私は思うのであります。そういう問題について、これはもろちんテーマ委員会やあるいは会場委員会などでいろいろ御検討なさることだろうし、また政府との折衝もあるのでございましょうが、しかし、これは個人でもよろしゅうございますけれども、その問題について茅参考人は積極的な御所見をお持ちなのかどうか、もう過去においてはこうだったからどうにもしようがないんだ、政治家の皆さんにおまかせします、政府の出にお待ちするんです、こういう御意見なのかどうか、この際ひとつはっきりお聞かせいただきたいと思います。
  60. 茅誠司

    茅参考人 最初にはっきり申し上げておきますが、まだこの問題は委員会としては何にも論議しておりませんので、完全に個人的の意見であることでお聞き取り願いたいと思います。  私は先ほど、少なくとも科学というのは政治抜きにしてできるという考えに立って非常に努力したのですが、政治の問題に妨げられて実はそれができない。私がむしろいま申し上げたいと思いますのは、政治の問題がわれわれの意思を妨げないようにしてほしいという希望なんです。われわれのほうで先にこう言っても、あとでひじ鉄を食ったのではかなわぬと思うんです。ですから、博覧会中国を呼びかけるだけの素地を政治的につくっていただかなければならぬ。私どもはやはり日本で一体になってやるわけですから、あまりそういうものとかけ離れた態度というものはとれないと思います。ですから、ちょっと逆襲的な意味ですが、政治分野におきまして、呼びかけができるその素地はつくっていただきたいということで、私のお答えといたしたいと思います。
  61. 石野久男

    ○石野委員 たいへんよくわかりました。ただしかし、この場合、まだ私のほうからもちょっとこれは希望があるんです。博覧会を成功させたいという希望は私たちも持っているわけであります。これを成功させるためには、政府なりあるいは政治分野で皆さんの意図を十分受け入れるような地ならし工作というものも必要だろうと思いますけれども、それは茅参考人もおわかりのように、いまの政府の態度は大体はっきりしているわけです。ただしかし民論と申しますか、世界の世論、あるいは博覧会運営される皆さんの高次な統一主題人類進歩調和というその大きなテーマに基づくところの運営をしようとする場合、必要条件として、また将来の歴史に残るさん然とした輝いた成果をもたらすためにも、これはどうしてもしなければならぬのだという皆さん方の意欲的なものが出てこなければいけないんじゃないかと思います。したがって、この段階で、私はこの博覧会を成功させるのは皆さんだけの責任だとは言いません。これはもちろん私どもの責任もあるし、政府の責任もあるけれども、しかし多分に、皆さん方からの能動的な意思の発表なりあるいは所見の具申というものがないと、なかなかこの難路を切り開くことはできないのではないかという実情だろうと私は思うのであります。そういう意味では、皆さんの運営に当たるあるいはテーマ委員会にしましても、その他の設定されました各委員の方々、会長さん、理事をはじめとする皆さんのそういう行動が出てこなかったら、やはり目的は達成されないだろうと思うのです。そういうことでぜひひとつ参考人の皆さん方、特に事務総長さんなどには——これは事務総長さんは事務の関係をやることですから、政策問題とはまた別個かもわかりませんけれども、しかし、この仕事を成功させるために、必要条件としてはそういうことをやはり企画しなければいけないだろうと思いますし、また献策しなければいけないだろうと思いますので、そういう努力をしていただきたい、こう思います。そのことについて、それは無理だということなのかどうか、ひとつ皆さんの御意見を伺いたいと思います。
  62. 茅誠司

    茅参考人 この統一主題の文をお読みくださいますと、はっきりと、人類調和という、それをねらっておるわけでして、現在で一等大きな不調和は、私は東西問題と南北問題だと思うわけであります。これを解消したいというのが一番大きなねらいなんです。これはその趣旨に沿って運営されるわけであります。そういうめんどうなことさえなければ問題はないのです。ですから私は、私たちが率直に意見をこの中で述べてございますから、これが実現できる政治的情勢をつくっていただくことをお願いしたいと思います。
  63. 石野久男

    ○石野委員 政府から次官もおいでになっておりますので、これは次官の所見もひとつ聞いておきたい。  いま参考人の皆さんは、問題はほとんど政治の問題だ、こういうふうに言っております。政府はやはりこれを主催する——政府が主催しているわけじゃありませんけれども、しかし政府としてはこれに強力な支持を与えておるし、また協賛をしておるわけですから、いまのような参考人意見を政府の中で十分読み取って、それに沿ったような方針なり施策を出していただくように、これは私お願いしておきたいのですが、所見をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  64. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 参考人の方々も、この日本に開かれる万国博を成功させるために非常な熱意を持っておられますので、政府におきましても、十分その熱意をくみ入れて成功させたいという決意で進める方針であります。
  65. 石野久男

    ○石野委員 これは次官にあまりくどく聞くこともなんですが、一般的なことはよくわかっているのですが、問題は、これを成功させるためにどういう国を呼ぶかという問題——私はあとで尋ねたいのですが、百万人の外国人を呼ぶについては、どういう国々から、どういうような比率で入ってくるだろうかということも、あらかじめ、これは運輸やその他の関係で当然出てくることだと思います。そういうことから考えますと、ここでは至近地において、アジアにおいて多数の人を呼ばなければいかぬだろう、こう思うのです。アジアにおいて呼ぶということになれば、アジアにおいて生活程度がどうであり、あるいは政治情勢がどうでありというようなことから考えていきますと、おのずから人員の制限は出てくるわけです。幾ら東南アジアからたくさん呼ぼうとしても、外貨も十分でないようなところから、そうたくさん来るはずはございません。そうすれば、やはり世界でも最大の人口を持っておる中国なんかから人員をたくさん呼び込むことによって、こういう百万人というなにが計画どおりに達成されるのだろうと思うわけであります。そこで、いま私がここで聞いているのは、押し詰めていきますと、結局アジア中国をどうするか、あるいは北朝鮮などのように社会主義の国としては進んだ国で、文化的にもわれわれが知らないところではずいぶん進んだものを持っている。そういうような国々をお互いに呼び込むことによって、おくれた国々を励ますこともできると思います。そういうことがなければいけない。政府に聞きたいのはそういうことを聞きたい。だから、一般的なことではなしに、そういうことについては、いま障害はここにあるということを、茅参考人や、この前は会長さんからもお話があったわけでございますから、そういう問題について政府は、特に次官はその問題について、政府にそういうところはなるべく打開していくような方針をとるように努力するというような所見が聞かれればいいし、それは無理だということならそれはまたちょっと考えなければいけない、そういう意味で私はお尋ねしているのです。
  66. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 ただいまの石野委員の御意向のように、なるべく多数の人に見ていただきたいと思う気持ちでございまして、十分に政府において今後またいろいろ検討しまして、進めていきたいと思います。
  67. 石野久男

    ○石野委員 あと一つお尋ねしておきますが、先ほどちょっと触れましたけれども外国から百万人の人を入れる計画になっております。事務総長、この百万人は大体国別——各国別ではなくてもよろしゅうございますから、各州、ヨーロッパからどのくらい、アメリカからどのくらい、南のほうからどう、東南アジアからどう、そういうおおよその構想があるだろうと思いますが、大体どういうふうにこの百万人というものを分類して計画しておるでしょうか。
  68. 新井眞一

    新井参考人 率直に申しまして、まだ国別の詰めばやっておらないのでございます。観光政策審議会の四十五年度に外人がどのくらい来るか、そのうちでどれだけの方が万国博に来るであろうか、来たらやっぱり一回では済まない。二、三回は見ていただく。延べ百万人という形でやっておりまして、まだお問いになりました国別の問題の詰めばございません。
  69. 石野久男

    ○石野委員 延べ三回くらい見てもらうということになりますと、それで割っていけば四十万くらいになるのだろうと思いますが、四十万人くらいの人は大体欧米諸国の方々でほとんど一ぱいになってしまうのでしょうか。運輸やその他の関係から、私計算したことはございませんが、ある一定の期間の中で、それだけのものを入れ、吐き出していくということが可能な地域、およそこれはアジア地域ではどのくらいを予定されましょうか。おおよそでよろしゅうございます。
  70. 新井眞一

    新井参考人 まだその段階までの詰めをいたしておりません。やり方によっても違うと思います。
  71. 石野久男

    ○石野委員 これは、たとえば中国とかごく近場なところをあまり考えないで、ヨーロッパだとかアメリカだとか、そういう遠いところだけで充足されるなら、私はもうあまりやかましいことは言わないで、皆さんの掲げている人類進歩調和という問題の限界がこういうことだというふうに見ますし、それで納得するわけではないけれどもなにしますけれども、しかし人類進歩調和という問題は全世界を含んでいる、こう見ますれば、人口数からしましても、やはり中国なんか非常に多いだろうと予想するわけなんです。そういう予想を片方で立てて計画をしているのに、片方では政治上の事情で全然入ってきません、一品も陳列はできませんということになってしまったら、この大計画は台なしになってしまうだろうと思うのです。だから基本的には会場の設営をどうするかという問題は非常に大事でございますけれども、もっと大きな世界をどういうふうにして呼び込むかという問題を練らないというと、これはずうたいだけはでかいけれども、ちっとも魂が入ってないということになってしまう。アジアで初めてやって、日本がこれだけりっぱな呼びかけをしておいて、中身のないようなことにしてしまうなら、ことに一九七〇年はごたごたの多い年なんですから、いっそのこと私はやめたほうがいいのではないかと思う。そういう不名誉なことを、茅先生をはじめとして皆さんがお世話をする必要はないように思うのです。だからこの問題は、成功させるためにただ人員をここで百万人並べただけではないのであって、この百万人というものは、統一テーマと密接につながっているというふうに考えますから、こういう問題についての計画は、やはり明確にしてもらわなければいかぬと思うのです。またその計画のあり方によって、おのずから政治方針というものに積極的にわれわれは働きかけていかなくちゃならぬ、こう思いまするので、こういう問題は単に設営の問題じゃない、もっと基本的な問題として協会としては考えてもらいたい。もちろん政府のほうもそういう点については積極的に努力しなくちゃいけないのではないか。私たちも、やはりこの万博を成功させようとすれば、そういう問題を明確にしてかからないと筋金が入ってこない、こう思いまするので、そういう点はひとつ早急に試算するというか、計画を出していただきたい。その問題については他日お尋ねしたいと思います。私はこれだけで終わります。
  72. 天野公義

    天野委員長 ほかに御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれをもって終了することといたします。  参考人各位におかれましては、長時間にわたりまして御出席をいただき、まことにありがとうございました。参考人の皆さんには御退席いただいてけっこうでございます。  それでは十二時三十分より政府に対する質疑を続行することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩      ————◇—————    午後零時五十三分開議
  73. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案議題として審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 時間のようですから簡単に質問いたします。これは大臣じゃなくても場合によってはいいのですが、万国博覧会と見本市、いわゆる国際的な見本市の相違点というのはどういう点にありますか。
  75. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 簡単に申し上げますと、万博といいますのは、やはり世界の文化の水準をお互いに示し合って、進歩の一里塚にしよう、こういうことでございます。見本市と申しますのは、簡単に申し上げますと、そこで商品を並べまして、できるだけそういう商品の取引を促進する、こういうことでございまして、本質的に非常に違うものがあるわけでございます。
  76. 板川正吾

    ○板川委員 万博というのは一つテーマを持って、そして産業と文明の展示をして、将来の人類進歩というか、そういうものに寄与しようというテーマを持っておると思うのです、いろいろあるかもしれませんが、根本的な相違は。だから、もうけるとかもうけないとかいうことよりも、テーマに従ってすべてが運営されるというものの方向を持っておる。しかし国際見本市というのは、これは展示をして商売をしょう。各国ができるだけ売り込もう。そういうところに根本的には差がある、こう思うのです。そこで、日本万国博覧会を開く目的をひとつ伺いたい。
  77. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 目的、特に日本万国博の目的といいますと、具体的に申し上げますと、テーマとして掲げております人類進歩調和、こういうことにあるわけでございます。
  78. 板川正吾

    ○板川委員 テーマ人類進歩調和、さらにそれを具体化した基本理念、サブテーマ、こういった理想をひとつ実現しよう。そして、それを成功させて、日本国際的な評価を高めていきたい。人類進歩調和に寄与しつつ、日本国際的評価を高めていきたい、こういうところに目的があるだろう、こう思います。  そこで伺いたいのは、なぜ、この日本万博を国の主催としないで、協会に、いわゆる公認の団体にこれを委任するという方式をとったのでしょうか。それだけの理想を実現するのならば、私は、公式開催といいますか、国が責任を持ってその理想の実現のために努力するという意味で、国が主催者になるべきであったと思うのですが、なぜ協会に一切を一任するという形をとったのでしょうか。
  79. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは国がやってもいいんですけれども、民間の団体のほうがいろいろ——国がやるといっても、国民的なものですから、創意くふう、いろいろな点で、国が主催するよりも民間のほうが、そういう目的、体制に日本の場合はいいのではないかという判断で、しかし、そのために政府が責任をのがれることはできないのですから、やはりよりよき万博にするためにそういう形のほうがいいのではないかという判断が、そういう協会によってそれを運営するということになったわけでございます。
  80. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、こういうことですか。国が主催してもいいのだが、しかし官製で号令をかけるよりも、国民的な行事だから、民間のそういう団体に運営等についてはおまかせする、しかし責任は国があくまでも負います、こういうことで民間にまかしたということでしょうか。
  81. 三木武夫

    ○三木国務大臣 そのとおりです。責任といったら、何か伏線がもしおありになったらこれは誤解を生じますので、国というものが、責任といっても、やはり地元などについてもできるだけの協力はしてもらう。全部責任で何もかもというようなことでなしに、最終的にはむろん国が責任を負うべきものですけれども、その間できる限り地元においても協力をしてもらわないと、これはやる場所の地元というものはやはり相当協力してもらわないと成功しませんから、そういうことで、責任というのはまるがかえだというふうにとらないで、みなの協力によってこれを成功さしたい。しかし政府はやはり責任を持っている、こう考えております。
  82. 板川正吾

    ○板川委員 まあモントリオールの場合には半分公式だと思うのです。国の責任だと思うのです。しかし、たとえば赤字の負担等については、国が半分、州が三七・五%、市が一二・五%、国の責任といっても、一〇〇%全部国で金を出してやるということではないのですね。しかしこの博覧会をりっぱな施設をつくり成功させ、そうして対外的なPRを行なってできるだけ諸外国から参加してもらうような手段というのは、政府がイニシアをとってやるということであろう、こう思うのです。ただ、この万国博覧会のパリにおける理事会で一般規則をこの間承認をされましたが、その際に、どうも協会と国の責任が明確でない、こういう批判があって、一般規則の一部を修正するということになったようですね。その間の議論をもう少し詳しく言うとどういうことなんですか。国の責任が明確でないという指摘というのはどういう点にあるのですか。
  83. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 御指摘のように、一般規則の中で国の責任が明確でない。特にこのときに問題になりましたのは、御承知のように万博につきましては政府代表というものを任命いたしまして、それが出展についての対外的責任を負う、こういう形になっております。そういう場合におきまして、協会が負うのか政府代表が負うのかという点が問題になったわけでありまして、そういう点は条約にもございますので明らかに政府代表が負うという形にしたわけでございます。  なお、いろいろな紛争があります場合に、最終的な処置は政府代表がとるような形にいたしたわけでございまして、そういう意味でパリで問題になりましたのは対外的な問題でございます。国内的に国がどれだけの予算を出し、地方団体がどれだけの予算を出すという点が問題になったのではございません。いま申し上げたような点がおもに問題になったと思います。
  84. 板川正吾

    ○板川委員 一般規則の四十九条が、最初政府の原案には「博覧会に関する諸規則の解釈は、政府代表の権限に属するものとする。」というふうにあったのですね。ところがあれを協会長の責任にして、そしてパリで指摘されて、また最初の原案のように政府代表というように変わったのじゃないですか。それはいいとしまして、私は責任の限界が明確じゃないということは、そういうことのほかにやはり資金的な面というものが何といっても入っていると思うのです。資金に対する国の援助の割合なりそういう面が不明確である。なかなか問題も多いようだから、その点で政府が明確にしろという意味も含まれているのじゃないですか。
  85. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 当時パリへ出席いたしました代表の報告によりますと、もちろんそういう問題は実際的に今後国内問題としてはあろうかと思いますが、具体的に財政援助がこのとおりであるべきだというような議論はなかったようでございます。ただ相当期間も迫っておるので、積極的に急いでひとつ海外に対してPRをするとか、あるいは招請をやるということは必要ではなかろうかというアドバイスはあったようでありますが、財政問題自体についてはパリでは問題はなかったように聞いております。
  86. 板川正吾

    ○板川委員 大阪府へ過日現地視察へ行った場合にも、大阪府市の陳情の中にも、政府の責任についてひとつ明確にしてはしい、こう言っておるのですね。この言わんとするところは、このたくさんな設備の費用に対してどういう割合で、どの程度まで政府が負担してくれるのか。もちろんそれは大阪府・市といえども自分のところは一銭も出さずにやるという意味じゃない。自分のところも出しますが、しかし政府の負担割合というものが明確でないために現地としてはやりづらい。したがって、本来政府が主催すべきものであるが、協会にまかしたならば、ひとつ政府は政府で負担の割合を明示してほしい、こういうことにあるようであります。この負担割合というのは今後どういうふうにきめていくつもりですか。これは大臣にお伺いします。
  87. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは適当な機会にやはり負担区分を明らかにしたいと思っております。いろいろ海外の例もありますから、それも検討しながら、そのときそのときできめるということでは地元も不安ですから、ある程度その区分を明確にしたいと思っております。いますぐする必要はないのですが、来年度予算編成にいろいろ関連してやはりそういうことにしたいと考えております。
  88. 板川正吾

    ○板川委員 来年度予算の場合には明確にするということですが、いつごろになりますか。
  89. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはどうせ来年度の予算編成ですから、今年の秋の予算要求のときにそういうことも頭に入れてやるようなことになりますから、予算を要求するころまでには大体見当をつけなければならぬと思っております。
  90. 板川正吾

    ○板川委員 今年の予算が五億一千万円ですね。これは国の負担割合と府・市の負担割合が一応出ておりますね。これではモントリオールの例から言って、国の負担が若干少な過ぎるという感じもいたしますが、いずれにいたしましても、来年の予算には、総額はまた最終的にきまるとしても、負担割合だけ早くきめてやったらどうかと思います。早くきめてやらないと実際の計画というものがどうも進まないおそれもありますから、総体の金額を来年度幾らとるかということと別に、負担割合というものを早急にきめてもらいたい、こう思います。  それから万博の事業というものはオリンピックの二倍以上の規模を持った建設費なり運営費がかかると思います。この万博の運営については、きょうも参考人と話し合ったのですが、どうも関西では今年の初めから万博万博で、万博の景気でえらく騒いでおります。その騒いでおる新聞等を見ると、どうも万博がくるから金もうけになるのだ、こういう一般的な機運があるのじゃないでしょうか。ところがこの関西以外になるとほとんど無関心の状態です。これはまだPRが足りないということもありましょう。しかし、一つはやはり関西だけもうけるのはおもしろくないという気持ちもあるだろうと私は思います。関西に万博を持っていかれて、そうして国の予算あるいは地方予算の相当部分をとられて、わがほうが悪くなるのは困る、関西だけうまいことをやる、こういうふうなひがみもあって、そうして一般が冷淡であるということもあるだろうと思います。こういうときに関西の一部財界人の中で、万博でもうけてやろう、もうける万博にするのだというようなことは、国民的な共感を生まないし、理解と協力もそれによって生まれてこない、こう思うのです。国家予算の面から見ましても、財政的な立場から見ましても、ある時期に集中的にその地区に金が使われるのです。その意味ではほかの地域には多少御遠慮願うものがある。実際にはそうならざるを得ないでしょう。だからそういう機会に、われわれだけ、その地域だけもうけるのだという方針ではなくて、国が本来主催すべき万博を関西地方でひとつ担当するのだ、国民の皆さんも協力してくれ、われわれも日本のこの世界的な国際的な評価を高めるために、万博をできるだけ協力して成功さしたいのだ、大阪の人はこういうような気持ちであるべきじゃないだろうか。もうけるために万博をやるのだ、万博をやるからもうかって、豊臣秀吉以来大阪地方がいんしんをきわめるんだというようなもうけ主義で万博を理解することは、国民の共感を得ないと思うのですが、どう思いますか。
  91. 三木武夫

    ○三木国務大臣 実際問題として、地元は万博の開催によって潤うことは事実でしょうね。しかし、やはり地元としてはもっと次元の高い理想を持つべきでしょう。もうけるためにやるわけでもないわけですから、そういうことでしかし潤うことは事実ですから、大阪の人のそういう表現を——大阪の人たちは端的に言うなにかあるので、そういうことばを使うのでしょうが、しかしそういうことばかり考えておるわけでもないんじゃないでしょうかね、大阪の人たちは。万博の開催というものは、そんなもうけになるということだけではない、もっと高い思想があるのだという板川さんのお説には、私も全く同感でございます。
  92. 板川正吾

    ○板川委員 では次に大臣に伺いますが、きょうも茅先生に来てもらっていろいろ伺ったのですが、万博の統一主題人類進歩調和の中の基本理念、これは人類の理想をうたった非常な名文であるし、こういう趣旨で万博が運営されるのなら、全く双手をあげて私どもは賛成したいと思うのですね。この基本理念というものを大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  93. 三木武夫

    ○三木国務大臣 やはり私も、人類一つの理想を表現しておるとして、端的ないいテーマだと考えております。
  94. 板川正吾

    ○板川委員 これは歴史的文献になるくらいの名文で、私どもも実際この趣旨に沿うようにしてもらいたいと思うのです。  そこで伺いたいのですが、このテーマの思想からいいますと、アジア万国博覧会が開かれるのですから、そういう意味で、従来先進国が自分の機械文明なりを誇示するというだけのものではなくて、人類進歩調和という意味からいっても、やはり従来と違った内容を持つということをいっておりますし、そういう点から考えますと、私はこの万博には当然中国が参加するような状態になるべきじゃないか、参加すべきじゃないか、参加してもらいたい、これが基本理念のいう調和の中に入ると思うのです。いままでは科学進歩して、しかし人類の争いが絶えなかったが、この辺で新しい時代が始まらなくてはならない、そしてそれは調和だ、こういう趣旨でこの基本理念が結ばれておるのですけれども、当然中国が参加すべきじゃないかと思うのです。この点に対して大臣は、六月中には外交ルートのある百二十五カ国に正式な招待状を出したい、中共などわが国と外交関係のない国についても二段がまえで、参加の希望があれば呼びかけるという趣旨のことを発言されておるようでありますが、この発言は間違いございませんか。
  95. 三木武夫

    ○三木国務大臣 ちょっとおしまいのほうが、私の発言と多少ニュアンスが違うわけであります。国交を回復しておる国に外交ルートを通じて呼びかける、国交の未回復の国は、いろんな推移等も見て二段の処置を考えたいというのが私の答えであって、一ぺんに国交回復の国にはやって、その次には、国交未回復の国にやるのだ、こういうふうにちゃんと段階を置いてというのじゃなくして、国交未回復の国に対しては、諸般の情勢などもにらみ合わせて、そして第二段の処置を考慮したいというのが私のニュアンスです。機械的に、国交回復国にやった、次は未回復国だというふうなそういうことの発言ではないわけです。ただしかし私の気持ちの中に、一九七〇年がきたらどこの国もみなが参加できるような万博にしたいものだという潜在意識を私は持っているのですよ。そういうアジアの情勢、世界の情勢が生まれることは好ましいとは考えておりますが、いろいろこうやって呼びかける手続というものは、国交未回復の国に対してはいろいろと検討しなければならぬ問題がございますので、第一段、第二段、こう機械的にやるということを申し上げたわけではないわけでございます。
  96. 板川正吾

    ○板川委員 そうするとこの新聞は大臣の真意ではないわけですね。五月十二日の日本経済新聞の朝刊ですが、「三木万国博担当相は十二日午前一時半、BIE理事会で日本万国博覧会の開催が正式に決まったことに関連し、各国への参加招請について「六月中には外交ルートのある百二十五カ国に正式の招請状を出したい。中共などわが国と外交関係のない国についても二段構えで参加の希望があれば呼びかける。」」というのは、参加の希望があれば呼びかけるということではないということですか。これよりももうちょっと消極的な表現なんですね。
  97. 三木武夫

    ○三木国務大臣 前段は、招請状を出したいということはそのとおりです。第一段は国交回復の国に対してやるのですけれども、国交未回復の国——中共に限らずほかにもあると思いますが、そういう国々に対しては、すぐに追いかけて向こうの希望を聞いて招請状を出すという機械的には考えてない。未回復の国に対してはいろいろな情勢などもにらみ合わせて、どう処理するかということは一応国交回復国と切り離して処置をしたいというのが私の言った趣旨でございます。ただ機械的にするんだということではない、そこでいろいろ検討してまいりたい。しかし私の気持ちの中には、できるだけ多数の国が参加できるような万博にしたいものだという希望を持っておることは、これは事実でございます。
  98. 板川正吾

    ○板川委員 万国博覧会というのは、大臣も御承知かと思うのですが、イギリスなどにおいても最初博覧会を持った。そうするとその国の最高の科学なり機械なり、そういった発明品なんか展示されるということは国防上からいってもおもしろくないということで、万博に対する保守的な反対運動というものがあったそうですね。これは瀬谷君の論文にありましたが、そういうふうに、保守的な人から見ると、万博というものに対して非常にブレーキをかけた例がたくさんある。しかしそういう反対を押し切って万博を開いたことによって人類というのは非常な進歩を示してきた、こう言えると思うのです。だからわが国でやる場合も、私は、中共など参加さすべきでない、中共、北鮮、そういった共産圏なんか、特に外交交渉を持ってない国なんか当然参加さすべきではない、こういう気持ちの者もあると思うのです。そういう保守的な気持ちの者もあるが、しかしそういう保守的な気持ちを打ち破って、新しい国際関係を生み出すというところにこの万国博覧会の大会の趣旨というものがあるのじゃないか、そういう趣旨が、基本理念の一番最後の結びとして、「いまこそ新しい時代が始まらねばならない。二十世紀は偉大な進歩の時代であるが、同時に今日までは苦悩と混乱を避けることができなかった。私たちはこの世界を、完全な平和が支配し、真に人類の尊厳と幸福をたたえうるところのものとして、次の世代につたえたい。この万国博覧会が、そのようなよき時代への転回点として役立ち、その場所と機会を提供しえたとするならば、私たちの光栄はこれに過ぎるものはないのである。」こういうような結びになっておりますが、この基本理念の思想もやはり従来の考え方から一歩進んで、いつまでも中国なりを国際社会からオミットしているわけにいかないし、アメリカですらそういう政策はいまや問題になっておる。特に万博といって、総理大臣の発言によれば政治関係ない行事だと言っておるのですから、こういうところに中国の参加を求めて、そして真にこの人類進歩調和に役立つような万国博覧会にすべきじゃないだろうか。どうもその辺で大臣ふん切りが悪いような気がするのですが、イギリスの故知にならってこの際何十年かの将来を見て、この際はやはり中国に参加するような手段を打つべきじゃないか。ただ大臣が何かの機会におっしゃっていたようですが、一九七〇年ごろは国際関係も変わるだろうと言っています。言っていますが、御承知のようにこの万国博覧会準備段階が相当期間長いのです。三年半前に招請状を出すということになっておって、そうして半年か一年前に国際関係が幾らかよくなってきたから招請状を出してもよいだろうというようなことでは、もうそれは割り込む余地がないのですね。だから相当期間前に向こうに呼びかけをしなければ実質的には呼びかけしないと同じ意味です。ですから一九七〇年ごろには国際社会国際状況も変わるだろうからというような考え方はこの際当てはまらないと思うのです。大臣いかがですか。
  99. 三木武夫

    ○三木国務大臣 板川さんのような考えは相当多数の国民も私は持っていると思う。したがって板川個人の発言ではなくて、こういう考えを多数の国民も持っておるという事実に照らして傾聴いたすことにいたします。
  100. 板川正吾

    ○板川委員 いや傾聴はいいのですが、大臣はそれに対してひとつどういうふうに受け取って——まあ聞いておくというだけのようではどうも……。いいことなら大臣どうですか。ふん切ってやるという気持ちはありませんか。
  101. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いや、いま言ったように、これは相当多数の国民もそういう考えを持っておる人も多いと思います。私としても、この問題はそういうことも頭に入れて今後十分に検討いたしたいと考えております。この段階ではちょっとまだ言い切るということは早過ぎると感じますので、とくと傾聴し、かつ十分な検討を加えたいと思っております。こう答えておきます。
  102. 板川正吾

    ○板川委員 まあひとつ早急に参加招請できるような措置、招請は条約によると外交ルートをもって行なうということになっておるようであります。しかしまあそういうのが原則であって例外も、別に禁止規定があるわけじゃないと思うのです。また世界各国も中国が参加してくるなら、なぜ参加するのか、けしからぬというのはおそらく一、二の国くらいでありまして、世界の各国は双手をあげて賛成するだろうと思いますから、ぜひひとつタイミングを誤まらない時期にそういう前向きな検討をして措置をしていただきたいと思います。  それからもう一つは、この際東独はどういうことになりますか。中国と以下同文になりますか。
  103. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は、多少はやはり私の感じではニュアンスが違うのですが、これは条約を結んでないという意味からいえば同じだというのですが、多少ちょっとニュアンスが違う感じは私はいたします。しかしながら条約の結果からいえば、結んでないということで、まあ同じだと申し上げてよかろうと思います。
  104. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると東独の問題は中国と一緒に同じ時期に解決するということになりますか、同じような扱いをするということになりますか。
  105. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は国交未回復国に対してはそう何も全部呼ばねばならぬというなにもございませんし、実際問題として外交ルートを通じてやるのですから、まあ未回復の国は普通の場合参加をしてないですよ、どこでも。モントリオールだってどこも国交未回復の国が参加してないのですね。だからこれは非常に例外的な処置なんで、しかしアジアで最初にやるということ、進歩調和を目ざすというテーマからして、まあいろいろ考えてみたいと考えておるので、普通の例からいえば国交回復してない国は万博に参加したような例はほとんど私は聞いてない。ほかにもほとんどないのではないでしょうか。それにもかかわらず、まあアジアで最初開く万博でもあるし、何かこうそういう点で考えてみる余地はなかろうかというのが私の心境で、板川さんに対しても多少の含みのある答弁をいたしておるのはそういうところからのことでございます。
  106. 板川正吾

    ○板川委員 まあこのテーマの精神からいってすべての国に呼びかけて、そして相手国がいろいろな国際関係からいって参加しない、たとえば台湾が出るから参加しないとかなんとかいうことになるかもしれません。両方に招請状を出すというかっこうになるかもしれませんが、いずれにしても日本としては参加してほしいという態度をとることが、将来の日本の外交上からもプラスの面があるのじゃないだろうか、こう思うのであります。まあそれはひとつ今後の善処を要望して、次へ移ります。  次に、これは局長でいいですが、万博協会の収支状況の見込みはどういう計算になりますか。どのくらい支出があり、どのくらい収入があり、幾らもうかりますか。これは石坂さんが心配なくもうかると言っているのですから、一体幾らもうかるか、その数字的な根拠を説明してもらいたいのです。
  107. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 万博の収支でございますが、御承知のように支出面におきましては、いわゆる運営費的なものもございます。それから会場内にいろいろ施設をするというような問題もございます。協会自体が施設をつくる、それから政府館とか外国館というようなものもございます。それをトータルいたしますと大体千二、三百億程度と現在考えておるわけでございますが、運営費自体を考えますと、百二十億程度考えております。それに対して収入の面でございますが、御承知のようにもうかる博覧会とか万博とかいう議論がございますが、収入の面におきましては、先ほど万博の目的のところでも先生御指摘のように、これはそれによって商売をする博覧会ではございませんので、収入は入場料その他こま代、こういう面が収入になるわけでございます。現在のところ大ざっぱな推定でまいりますと入場料が約八十億くらい、それからその他の雑収入が同額ぐらいあるんではなかろうか、合計いたしまして百五、六十億ということを考えております。そういう意味運営費だけを考えますと石坂会長のおっしゃいましたように赤字になることはないだろう、こういうように考えておるわけであります。千二百億のうちの百二十億を除きました部分の金につきましては、これは公共団体なり政府が補助してやらす、こういう形になろう、かように考えております。
  108. 板川正吾

    ○板川委員 収入は営業収入が百六十億、特定事業収入が切手、たばこ、競輪などで四十億、二百億。そして協会の会場建設負担が基礎施設が二百億、サービス施設が九十億、二百九十億。その中で幹線道路、こどもの国等、協会負担を要しない額三十五億を引くとネット二百五十五億、協会の運営支出百二十三億等を計算すると、われわれのほうでいうと百七十八億マイナスである、赤字になる、こういうふうにわれわれの資料ではなるんですが、その資料の食い違いはどうなんですか。
  109. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 先ほども申し上げましたように、営業収入といいますか、収入面が百五、六十億、それから今回御審議願っております法案によるいろいろな寄付というものを入れますと、御指摘のように二百億程度の金になるわけでございます。その点は間違いございませんが、先ほど私が申し上げました百二十億といいますのは運営費だけでございまして、先生がその後施設としておっしゃいました金額は、数字はそのとおりでございます。ただこの施設につきましては収入で必ず全部やるわけではございません。御承知のように公共団体なり国が補助をしていくという形があるわけでございます。そういう意味で申し上げたわけでございまして、先生のおっしゃるとおりでございます。
  110. 板川正吾

    ○板川委員 そうするともうかるという万国博覧会会長の発言は収入が入場料、敷地料、それから特定事業収入としてたばこ、競輪、寄付、これが二百億あるだろう、そして協会の運営費が百二十三億、したがってこれじゃもうからない、こういうことでしょう。あとの協会の会場建設、協会側の負担とかなんとかいうことは、これは負担しないのですか、協会負担するんですか。負担するんだが物は残る、だからそれは計算から除いて、入場料等から見ればまだ人件費その他払ってももうかる、こういうことですか。
  111. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 石坂会長がおっしゃった趣旨は、そこまで考えての御発言かどうか私はつまびらかにしておりませんが、おそらく収支償うという意味運営費百二十億、収入二百億ということで赤字にはその面ではならない、こういうお考えだと思います。それで二百億のうちを運営費だけに充てるのか、それとも施設費にも投入するかという問題でございますが、これは可能な限り施設費にも充て、足りないところはやはり公共団体なり国の補助で見る、こういう形に実際問題としてなってくる、かように考えます。
  112. 板川正吾

    ○板川委員 これはあとでまた議論もあると思うのですが、ひとつ機会を見て石坂会長にもう一ぺんもうかる理論の数字を説明して資料として出してもらいたいと思います。  それからこの特定事業収入の四十億、この内訳をちょっと言ってください。切手、たばこ、国鉄、競輪、寄付こういったものでどのくらいか、別々に内訳をちょっと言ってくれませんか。
  113. 瀬谷徹

    ○瀬谷説明員 実はオリンピックのときにこの法案に該当いたします金額でございますが、約二十三億集めたわけでございます。郵便切手が九億六千四百万、専売公社が、たばこが三億四百万、国鉄が、これは少しあとからやりましたので八千七百万、電電公社が九億六千四百万、合計いたしまして約二十三億二千万集めたのですが、今度の場合も大体それを下らないということで努力したいというふうに考えております。
  114. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、四十億の中に競輸、競馬の寄付というのは入っておりませんか。
  115. 瀬谷徹

    ○瀬谷説明員 この四十億の中には、たとえば日本自転車振興会ですかが持っております競輪の振興資金でございますか、それがある程度入っておりまして、今年度も一億八千万ほどいただいているわけであります。競輪の資金は大体今後二億程度のものを考えております。
  116. 板川正吾

    ○板川委員 四十億の中に二億程度ということですか。
  117. 瀬谷徹

    ○瀬谷説明員 いやそうではございません。五年間それでございますから約十億と申しますか……。
  118. 板川正吾

    ○板川委員 年々二億程度競輪から援助をしてもらう、こういうわけですね。これは競輪、競馬、競艇等ギャンブルの額全部まとめたものですか。
  119. 瀬谷徹

    ○瀬谷説明員 現在のところ、私ども協会に対する援助をお願いしているのは競輪の資金と、競艇の今年度五千万の資金でございますが、そのほかに競馬その他につきましては今後どうやるか、まだ方針を決定しておりません。
  120. 板川正吾

    ○板川委員 オリンピックのときにあったからというのではないけれども、これは田中委員もこの前ちょっと触れたように、こうしたりっぱな世紀の大事業をやるものにギャンブル行為のテラ銭をはめるようなカンパは私は受けるべきではないじゃないか、そういうのをもらっていてもうかるからなんという議論は、私は最も本末転倒した議論だろうと思うのです。そういう金はひとつもらわないでやるようにしなければいけないと思います。  じゃ、それはそれでいいのですが、これは外国館の建設費を一館十億円に見ていますね。モントリオールで日本館は三億であったものを、物価の値上がりで四億にしたと思うのです。四億の割合から言うと、一館十億円の見当というのは、規模が非常に大きいようになりますが、この関係は、モントリオールの規模よりもさらに雄大なものをつくるという意味で金額が高いのですか。
  121. 瀬谷徹

    ○瀬谷説明員 モントリオールの日本館はたぶん現在八億程度になっておると思いますが、いままでやりました世界博の文献によりますと、大体参加国は平均いたしまして十億以上のものを使っている。それから大国——大国と申しますとあれでございますが、たとえばモントリオールにおきますアメリカ館あるいはソ連館でございますが、これは約六十億程度の金を使っております。そのほか主催国になりますと、やはり大体五、六十億の政府館等をつくっておるのが例のようでございます。
  122. 板川正吾

    ○板川委員 わかりました。それは私のほうの資料がちょっと違っておったようです。  大蔵関係来ておりますか。——大蔵大臣にと思ったのだけれども、大蔵省に伺いますが、この万博の問題、これはオリンピック以上に資金等が必要だ、こういうことはわかっておると思うのです。オリンピックの場合には東京都が主催であったが、万博は実質的に国が主催者の地位にある。しかし大臣の言うとおりに、国民的協力を願う意味で協会をつくって運営をまかせる、対外的には国が主催、こういう形になります。これはオリンピック以上のばく大な資金が必要だということになると、なかなか地方自治体だけでやるわけにももちろんいきませんから、国がいろいろの補助をしたり、経費を分担したり、さらに金融的な措置をしなければならぬと思うのです。この万博に対する理解というか取り組みというか、大蔵省はどういうふうに考えておるか。特に本年度の予算等について大幅な削減をして、さらに何とか復活をしたということから考えて、まあ万博はもうかるというのだから、大阪地方でしかるべくやったらいい、国はきんちゃくを締めて最小限の補助しかしないぞ、こういう方針でおられるのか、それともこうしたアジアにおける初めての万博ということも考えて、相当な援助をするつもりか、ひとつその辺の心がまえを承っておきたいと思います。
  123. 吉瀬維哉

    ○吉瀬説明員 もちろんアジアで初めての万国博覧会でございますので、私どもといたしましてもその開催が非常に盛大に、かつ有意義に行なわれることを心から望んでおるわけでございます。目下のところ万国博覧会協会のほうでいろいろつくっております会場設計に関します一次案、二次案及び関連公共事業の促進に関連しますいろいろな具体的計画を待ちまして、私どもとして負担の度合いを決定していきたいと思います。この点につきましては、先ほど通産大臣がおっしゃられましたように、四十二年度の予算編成のときが一つのめどになるのじゃないか。ただいまお尋ねのとおり、私どものほうといたしましても先生のおっしゃるような万国博の意義は十分わきまえておるつもりでございます。できるだけ充実したものになることを望むのはもちろんでありますが、何ぶんにも国及び地方団体にも財源に限りがありますので、やはり経費を効率的に最も効果があらわれるような使用のしかたをしたい、こう考えております。
  124. 板川正吾

    ○板川委員 先ほども言ったように、この負担区分というのが明確でないために、いろいろの計画を立てるについてもおくれているきらいがあると思うのです。そういう意味でひとつ負担区分というのは、来年度の予算の総額がきまるいかんにかかわらず、負担区分だけは早急に示してやるべきじゃないかと思います。モントリオールの例なんかも、ちゃんと負担区分が明確になっているからやりいいと思うのです。そういう意味で負担区分は一刻も早く明らかにしてもらいたいと思います。  それから経済企画庁に伺いますが、この万国博覧会がいろいろ準備をされる、そうしてオリンピックに数倍する資金が流れる。しかもそれは最終年度、昭和四十四年から五年にかけて集中的に大阪地方に事業が拡大されますね。そうしますると、消費者物価の高騰というのが予想されるのです。モントリオールの例からいっても、非常に物価が上がって、モントリオールの周辺の住民が困ったという例が現に起こっておるのです。そこで、せっかく万博を開くについても、大阪地方の物価が大幅に引き上がったのでは、庶民から言えば、なんだ、万博というけれども、一部の旅館とか観光とかみやげものとか、そういうところはもうかっても、われわれは生活が苦しくなったじゃないか、こういう非難が起きると思うのです。だからそういうことのないように、その地域を中心に消費物資の流通機構を強化しなくちゃならぬと思うのです。こういうものに対する対策なり取り組みというものをどういうふうに考えておるか伺っておきたい。
  125. 丸山英人

    ○丸山説明員 御指摘のように、需要がふえますと物価が上がるということは、一般的な関係として考えられないわけではございませんけれども、現在の消費者物価が上がっております原因といたしまして、需要がふえているから消費者物価が上がっているのだというふうにあながち言い切れないところに、現在の消費者物価の大きな問題があろうと思っております。ただ御指摘のように、一地域に短期間に需要が集中いたしますと、もし流通がうまくいかなければ、その間に需給のギャップから物価が上がるということは、これは考えられないわけじゃございません。そういう問題もございますが、一般的に流通機構の問題につきましては、かねがね私たちのほうといたしましても、物価安定のために非常に重視いたしておりまして、いろいろそういった対策も考えているわけでございます。したがいまして、そういったものの一環といたしまして、特にこの地域がどうなるのかということにつきましては、まだどういう事態が起こるのか考えられませんけれども、一般論といたしまして、流通の問題は大いに手を打っていかなければいけない、かように考えている次第でございます。
  126. 板川正吾

    ○板川委員 モントリオールの例を調べてもらえばわかりますが、その地域で消費者物価が非常に上がって、労働賃金も上がり、そうしてある意味では建設に支障があるくらいになったという報道もされています。だからこの間石坂さんも、建設物資はそう違わないだろうけれども野菜、魚を中心とする食料品は当然上がるだろう。こう言っておる。それはあの地域としてはそういうことを予想しておる。それから、いま言った外国の例からいっても、そういうことが当然予想される。だからひとついまのうちからこれに取っ組んで、そういう事態に対する流通対策というものを強化して、物価安定にひとつ努力してもらいたい、こういうことなんです。  そこでもう一つ、これは労働大臣がいないから通産当局に聞いておきましょう。いま言ったように、その時期に消費者物価が上がる、労働者は実質的賃金が切り下げになる、したがってそれは困るということで紛争が起こる可能性もあります。この間ジェトロの駒村氏が、モントリオールの実情から見て、労働力が不足するんだ、消費者物価が上がる、賃上げができないとストが起きる、ストが起きると準備がおくれる、だからひとつ法制的にもストの対策を打ち出せ、こういうような言い方をした。これはわれわれとしては重大な問題だと思うのです。労働者が物価が上がれば賃金要求するのはあたりまえの話であって、万博だからといって生活が苦しくなっていいという理屈はない、だから当然そういうことになるのです。しかし政府がそれを流通対策で物価を上げないような方法をやるとか、やはり特殊な手当を出して実質的に賃金値下がりを防止するとか、そういう対策を打たなければ労働者に労働力を強制するということはできない。だからそれを法制的な措置で強権を持って賃上げやストを押えようなんということは不可能だと私は思います。これに対してどういう考え方を持っておりますか。
  127. 熊谷典文

    ○熊谷政府委員 私は全く御指摘のとおりだと思います。私どもの現在の考え方として現象を規制するということは毛頭考えておりません。むしろ御指摘のようにそういうことにならないような措置を総合的に考えていくということが大事だろうと思います。物価の問題につきましては企画庁からも答弁がございましたが、工業製品につきましてはやはり需給の調整といいますか一時に需要が殺到いたしますので、それに応じた措置を通産省としてもとってまいりたい。それから消費者物価等につきましても、この博覧会というのは十五日間くらいで済むわけじゃございません。半年程度行なうわけでございます。その間そこの消費者物価が上がるようなことになりますと、非常に悪影響を及ぼしますので、そういう点も十分考えながらやってまいりたい、かように考えております。なお流通機構の問題につきましては、御承知のようにわれわれのほうで通産省といたしましても全般的にも考えておるわけでございますが、特に東京、大阪、名古屋というような大都市につきまして、流通機構の整備といいますか、合理化を進めてまいりたいということで、今回国会にも流通業務市街地の整備に関する法律案というのを提出いたしておるわけでありますから、そういう線に沿いまして十分御注意の点を体しましてやってまいりたい、かように考えております。
  128. 板川正吾

    ○板川委員 きょうは私、実は一時から鉄鋼の特別委員会を招集してありまして、そっちのほうへ行かなければならないものですから、残余の質問はまたしかるべき機会もありますからその際にすることといたしまして、きょうはこれで終わります。
  129. 天野公義

    天野委員長 次会は明後十日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会