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1966-04-12 第51回国会 衆議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十二日(火曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 河本 敏夫君    理事 始関 伊平君 理事 板川 正吾君    理事 田中 武夫君      稻村左近四郎君    遠藤 三郎君       海部 俊樹君    神田  博君       黒金 泰美君   小宮山重四郎君       佐々木秀世君    田中 六助君       三原 朝雄君  早稻田柳右エ門君       石野 久男君    大村 邦夫君       沢田 政治君    島口重次郎君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  三木 武夫君  出席政府委員         内閣審議官         (内閣官房内閣         審議室長)   高柳 正巳君         内閣法制局参事         官         (第四部長)  田中 康民君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (大臣官房長) 大慈彌嘉久君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         通商産業事務官         (鉱山局長)  両角 良彦君  委員外出席者         検     事         (民事局第三課         長)      住吉 君彦君         通商産業事務官         (重工業局計量         課長)     東   現君         建設事務官         (計画局宅地部         長)      井上 義光君     ――――――――――――― 四月八日  中小企業近代化資金貸付事業に対する国の貸付  率等引上げに関する陳情書  (第二五三号)  石油の生産調整に対する過剰保護是正措置に関  する陳情書  (第二五四号)  実用新案制度改善に関する陳情書  (第二九三号)  は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  通商産業基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  先ほどの理事会において御協議を願いましたとおり、内閣提出機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、参考人から意見を聴取することとし、その人選、日時、手続等に関しましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 天野公義

    天野委員長 次に、通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  5. 田中武夫

    田中(武)委員 この質問はいわば葬式済んで医者話のような、少し間の抜けたような質問になろうと思います。しかし重要だと思いますので、あえて質問いたしたいと思います。  実は土地建物メートル法統一整備法についてでありますが、そのときに、いろいろまだ不動産登記等関係で疑問がある、しかし採決をこの際やらなければ四月一日実施に間に合わない、そういうことで、一応質問を留保いたしまして、法案だけの採決をやったわけなんですが、その後いろいろと問題もあるようでございますので、その点について質問いたしたいと思います。したがいまして、もう法案が通ったのだというような安易な考え方で答弁せられるとするならば、こちらにも考えがございますから、あらかじめ御注意を申し上げておきます。  まずあの三月三十日の質問の際に、まだ問題として残っておりましたのは、いわゆる不動産登記謄抄本の性格、これが証明行為になるのかどうかという点であります。私もその後いろいろ考えてみましたのですが、やはりこれは証明行為だ、こういうように思うのです。  そこで不動産登記法の二十一条に、途中ですが、「全部若クハ一部ノ写ノ交付ヲ請求シ利害関係アル部分二限リ登記簿クハ其附属書類ハ地図クハ建物所在図閲覧請求スルコト」ができる、こう続くのですが、この登記簿記載の中の一部に利害関係が生じる、争いがある、その中には当然表題に関する争いもあろうと思います。そこで、そのために不動産登記簿抄本なり謄本を請求した場合は、その争い表題部に関する争いである——二十一条には「全部若クハ一部」とあるのですから、表題部だけの争いもあり得ると考えるのです。その場合、出されるところの謄抄本はまさに証明行為じゃないでしょうか。いかがですか。
  6. 住吉君彦

    住吉説明員 いま御質問の、表題部について争いがあるという場合に、その全部もしくは一部それ自体について謄抄本を、まあ抄本でございましょうが、それを出すという場合には、その目的によっては証明ということもあり得ると思います。
  7. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは三月三十日の法務省答弁でいくならば、その場合も現実登記簿表題部尺貫法であるならば尺貫法で出すということになるのですね。そうしたら、まさに証明に対して尺貫法で出すということになりますが、その点どうなんです。
  8. 住吉君彦

    住吉説明員 先生御存じのように、表題部には物件の所在地、種類、すなわち土地につきましては土地の地目、建物については構造、種類、さらに面積土地につきましては不動産登記法上これを地積といい、建物につきましては床面積といっておりますが、それらを記載するわけですが、いま計量法上問題になる地積床面積について争いがあるという場合には、その抄本をとりまして、地積に百坪とあるけれども、これは四百平方米が正しいんだという趣旨争いならば、登記法上は通例地積の更正、変更という形の申請がなされます。これは名義人個人で出しておりまして、これをたとえば買い主がその謄抄本を信用して買ったところが地積が足らなかった、あるいは床面積が足らなかった、登記簿上の表示以下であったという場合には、おそらくはいま申します登記申請別個の事件としてあらわれてまいることと思います。
  9. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、その売買なり抵当権設定の前段において争いがある場合です。利害がある場合です。考えられるでしょう。あなたの言っているのはその契約後においての話。契約前提として利害がある場合、登記簿では何百平米あります、しかし見たところそんなにない、あるいはあの建物は幾らある、しかし自分が見たところじゃそうないというような場合、いわゆる契約前提としてそれでは登記抄本なり謄本をとりましょう、そういうような場合、一部に利害があって、そしてそれに対する証明行為になるわけですよ。それをあくまで証明行為ではないとおっしゃいますか。登記簿謄抄本はすべてが証明行為であると言われないまでも、そういう場合はまさに証明行為ですよ。
  10. 住吉君彦

    住吉説明員 いま先生のおっしゃる問題を私なりに理解して具体的に申し上げますと、こういう事例ではないかと思います。たとえば百坪の土地であるという登記簿謄抄本に基づいて買った、ところが後実測したところ、それが八十坪しかないという場合に、その前提において出されました謄抄本はまさしく証明ではないか、こういう御趣旨ではないかと思いますが、これは証明である場合もあると思いますが、それは契約当事者意思解釈ではないかと思います。不動産を特定いたしますためには、不動産所在土地または建物種類と、それから面積という三者を合体して不動産を特定しておりますが、百坪と登記簿にあるから、自分はたとえば五百万円で買ったという場合に、それが坪当たり五万円であるという趣旨契約に解される場合に、登記簿謄本は百坪でございましたが、実測した結果それが八十坪しかないという場合には、五百万円ではなしに四百万円ではないか、こういう意味でその謄抄本証明行為を営むということはあると思います。ただ、しかしそれはいま申します当事者間の契約意思解釈でございまして、坪当たり五万円として登記簿土地積が百坪とあるから五百万円だ、こういうふうに契約をされた場合と、そうでなしに、この土地だという意味でその土地を特定するためにとられた謄抄本と申しますか、それに基づいてとにかくこの土地を買うのだということで総額五百万円という場合とは、意思解釈が少し違ってくるのではないかと存じます。
  11. 田中武夫

    田中(武)委員 かってに意思解釈をしては困るのだね。その契約前提として、こういう土地は幾らありますとこう持ってきた場合、これはあなた証明行為ですよ。だからあくまでも証明行為でないとあなたががんばるなら、まだいろいろと例をあげましょう。しかし一がいに登記謄抄本証明ではないと言い切るというなら、私は納得できない。それは何のために金を払って、あるいは閲覧料を払って謄抄本をとるなりあるいは閲覧をするかといえば、それは何らかの取引前提となるのでしょう。そのときにはまさにそれは証明行為ですよ。あなたがどのように解釈せられようとも、もしあなたがまだそうでないとするならば、この点につきまして、だれかしかるべき参考人を呼んでひとつ意見の十分ななにを詰めていきたい、このように思います。
  12. 住吉君彦

    住吉説明員 先日謄抄本証明でないと、こう抽象的に申し上げましたが、いま先生の御指摘のように証明になる場合もあるではないかということにつきましては、証明になる場合もある、こう答弁を変更さしていただきたいと思います。
  13. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、通産省証明にもなり得るということなら、その場合はやはりメートル法でなくてはいかぬですね。
  14. 川出千速

    川出政府委員 さようでございます。
  15. 田中武夫

    田中(武)委員 では、さようでございますなら、実際問題として、まだ坪で、尺貫法表示せられるのに対してどういう措置をなされるか。これは当然法務省の所管です。だから通産省からは尺貫法メートル法に整備するためにはこういう措置が必要であるというような意思表示をし、それを受けて法務省は検討するというか、趣旨に合うようにしなくてはならない、こう思うのです。  なお計量法の十条に、ここで「第五条に規定する物象状態の量については、」こうあって、カッコして「物象状態の量の表示を含む。」こうなっておるのです。この条文の五条というのは面積もはいっておりますね。それから十一条二項に「証明」とは、公に又は業務他人一定の事実が真実である旨を表明すること」こうなっておるのですよ。「公に又は業務他人一定の事実が真実である」ということを知らすのです。謄抄本はこれには入るでしょう。いかがですか。
  16. 川出千速

    川出政府委員 入ると思います。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 それならこの整備法を出す前に法務省通産省の間にもっと詰めなくちゃならないことが残っておったと思うのです。それを言ってもしかたがないが、そういう通産省答弁の上に立って、あとから通達等についても触れていきますが、これは当然法務省へ申し入れをし、法務省はそれを受けて予算措置等も考えて、それに応じていくようにしなければならないと思います。これは第三課長責任を持たすのはどうかと思いますが、法務省用意いかん。どうです。
  18. 住吉君彦

    住吉説明員 いま重工業局長お答えにございましたように、謄抄本証明になり得る場合もある、したがって謄抄本を出す際にはそのつどメートルに書きかえて出してほしいという事前の申し出がございました。ただ私どもは、先日先生のほうでも問題にされました計量法施行法の十三条によりまして、確かに行政指導といいますか、土地建物が本年四月一日からその面積表示についても全面的にメートル法になるということであれば、そのつど書きかえて出すべきであるとは考えましたが、ただ、先日も申しました一日に数百件の謄抄本申請のある繁忙登記所におきまして、そのつどそういうようなところから——それといまの計量法施行法十三条の規定から登記簿原簿を書きかえるまで御猶予をいただきたい、こういう趣旨で先日答弁いたしました。その後、政府の、すなわち通産と法務の見解が若干そごをしているということで一般国民に御迷惑をかけておりますので、私どものところでは、先日も申しましたが、本年度は書きかえの予算として特別に認められてはおりませんけれども、実行の段階においてできるだけ書きかえて出すというふうに通達を書き直しております。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 答弁としてはそれで一応了承しますが、事務が繁雑だとか人手が足りないということは理由にならないし、またかりに、だからということであるなら、これだけ別に不動産登記についてはこうするといったような除外を設けるとか、あるいは不動産登記法施行令あたりで何らかの措置をとる必要があると思うのです。  そこで不動産登記法施行令を出しましたのでついでにお伺いしますが、三十五年の八月五日に出ました不動産登記法施行令の第四条ではすでにメートル法ということになっておる。しかも不動産登記法の二十五条ではもちろん申請主義をとっております。しかしながら二十五条の二では職権主義も併用しておるわけです。それですでに施行令メートル法をとっておるなら三十五年から時に触れおりに触れてこの二十五条の二の職権主義に基づいて直していくべきであった。それを怠っておったと言えるのですが、その点いかがでしょうか。
  20. 住吉君彦

    住吉説明員 これもまた若干言いわけにはなりますが、いまの施行令附則というのがございまして、その附則の三項に「地積は、昭和四十一年三月三十一日までの間は、第四条の規定にかかわらず、次の各号の規定により定めることができる。」そういたしまして、「宅地及び鉱泉地地積は、六尺平方を坪」云々、それ以外の土地については云々建物については四項になりますが、そういうことで、先ほどおっしゃいました不動産登記法表示登記については職権主義があるのだからということでございますが、この点につきましては先日も申しました土地改良法に基づく確定図あるいは国土調査地籍調査に基づきます成果図、これについてはいずれも平方メートルということになっております。ところが一般申請が依然として尺貫で出てまいっておりますので、それを受けて表題部を書きかえるということはいたしておりませんでございました。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 いたしておりませんのが実情だ。しかし、この附則になるほどそういうことを書いてあるけれども、これは四十一年三月三十一日までに土地建物に対しては猶予期間があった、それを受けての何ですね。しかしながら四条でメートル法でいくんだ、こう宣言しておるわけですよ。そうすると本年四月一日からはそうなるんだということがわかっておるんだからその準備をすべきではなかったか、そういう意味施行令の四条にはこうあるじゃないか、そういうことを申し上げたわけです。しかもすべては申請を待って、こういうことではあるが、職権主義というのを併用しておるじゃないか、だからやれるんじゃないか、やってないのはやはり猶予期間に頼り過ぎての怠慢ではなかったか、こう言っておるわけです。言っておることはわかりますか。
  22. 住吉君彦

    住吉説明員 怠慢であったではないかというおしかりでございますが、そうおっしゃられますと怠慢であったと言わざるを得ないと思います。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 同じく不動産登記法の四十九条に申請書の却下について一号から十一号まであります。そのうちの五号には、申請書登記簿抵触せずということばがある。七号には、申請書契約書符合しなければならない。この意味は、広さにおいて現実には違っておるというようなことを言っておるんだと思うのですが、この符合せずとか抵触せずとかいうことは尺貫法メートル法との間においてはどう解釈しておられますか。
  24. 住吉君彦

    住吉説明員 まず第五号の抵触という解釈でございますが、これは不動産登記簿表示と合致しておるといいますか、これは御存じのように登記官には実体的な審査権限がございません。あくまでも権利の登記につきましては全くの申請主義でございまして、これが申し上げるまでもございませんが対抗要件ということでございますから、申請人相互申請によりまして登記官吏がそれを受けて記入をするということになります。したがいまして、その表示と食い違っておりますと、たとえば全然別個土地について抵当権設定がなされるとか、あるいは別個土地について所有権移転登記がなされるということはあってはまずいのでございまして、そういう意味できわめてシビアに、厳格に解釈しております。ところがいま問題になります地積床面積、すなわち面積表示でございますが、これは確かに単位が変わっただけで、実質的には抵触している、こう見るべきではなかろうと思っております。それから第七号の登記原因を証する書面申請書符合しておらなくてはならない、この符合抵触よりもより厳密な用語であろう、こう考えます。したがいまして、登記原因を証する書面というものは契約書そのものではございませんが、契約書中登記に必要な事項だけをダイジェストした文書でございます。それと申請書は全く一点一画間違っておっては困る、こういう規定だと解釈されております。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど特定の土地建物、これは地番だとか建物番号とかが必要なんです。そのことだけが表題部じゃないのです。表題部という欄は地積まで含めて表題なんです。だから、地番とか建物番号だけで答えても私はいかぬと思うのです。地積も頭に置いてもらいたいと思うのです。同時に、それではあなたの意見をそのままにして、一応五号のほうはそう解釈するとしても、七号のほうは、契約書は、いわゆる登記原因証書ですね、これは今後は全部尺貫法ではいけないのでしょう。そうすると、メートル法で書いてある。そうするなら、それと符合しなくてはならないということなら、申請書メートル法になるわけですよ。そうすると、その申請書メートル法であって、今度は五号に返って、その申請書登記簿抵触してはいけない、こう戻ってくるわけですね。そうすると、やはり尺貫法ではまずいということになるのじゃないですか。
  26. 住吉君彦

    住吉説明員 いま申し上げましたように、抵触符合よりも少しゆとりのある文言だろうと思います。そうして面積はただ単位が変わっただけであって、客観的なものを表示しているという意味では抵触していない。でございますから、登記原因を証する書面平方メートルで、それと符合する意味申請書平方メートルで書かれます。その場合に、登記簿尺貫で書いてあるから平方メートルで書かれた申請書と、今度は登記簿が五号でもって抵触するのではないかということにつきましては、いま申し上げましたように、抵触はしない、こういうふうに解釈しております。
  27. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、尺貫法申請書を出してもいいということになるのですか。そうはならぬでしょう。
  28. 住吉君彦

    住吉説明員 その点につきましても、先日来通産省それから内閣法制局その他と御協議いたしまして、平方メートルあるいは平方メートルの説明書きとしてのカッコ尺貫、これは受理すべきである、こういう趣旨解釈いたしました。
  29. 田中武夫

    田中(武)委員 先に答えてしまったですな。そこで、法務省は三月二十六日に、併記を認める、こういう通達を出しましたね。建設省見えておりますか。——建設省は三月四日に、坪数を取引証明併記しては違反となる、こういう通達を出していますね。間違いありませんか。
  30. 井上義光

    井上説明員 そのとおりでございます。
  31. 田中武夫

    田中(武)委員 通産省は三月十八日に、併記を禁止する、そういう通達を出して、三月三十日の当委員会における答弁で、川出局長は、併記はかまわないと思う、と答えておる。この答弁は、三月十八日の通達と違った答弁である、しかもいま言ったように、三月二十六日の法務省、三月四日の建設省、三月十八日の通産省がそれぞれ違った通達を出しておるということは認められますね。お互いに各省とも認めますね——なぜそんなことになったのです。それが指摘せられて、あわてて調整して、いま答えておられることは私も承知しております。その以前において、三月三十日の質問のときこれを私が言うておったらどう答えますか。なぜそういうことになったか。これは結局は各省間に十分な連絡ができていなかった、こういうようにも思われるし、各省まちまちのかってなことを通達したと思います。  そこで、総理府、見えておるはずなんだが、こういうばらばら通達について、一体どこが監視しておるのか。問題が起きて初めてあわてて調整するのではおそ過ぎる。そうでしょう。一体通達を出すのは各省かってに出しておるのですか。私は、通達行政ということは、いままで予算委員会、本委員会等々で取り上げてまいりました行政という面において問題がある。通達はその省あるいはその庁がかってに法律解釈を下す、そういう結果になる。そこで、今後通達を出すときは、どこかでそれをチェックする必要がなくてはならぬと思う。それを行管がやるのか、総理府がやるのか知りませんが、だからといって通達を出すたびに法制局意見を聞かなくてはならぬということもどうかと思うが、大体むずかしいところについては法制局意見なんかも聞いておると思いますが、しかし、そういったようなかって気ままな通達を今後どのようにチェックしていこうと考えておられますか。これは責任ある答弁はだれができます。
  32. 高柳正巳

    高柳政府委員 今回のような通達の間に解釈統一がとれないということはまことに申しわけないことでございまして、御指摘通達統一を保持する方法は何かということになりますと、通達は言うまでもなく法令に基づきまして各省大臣行政の執行に必要な範囲で通達を出すわけでございますので、その通達の数というのは膨大な数にわたるので、したがいまして、各省大臣責任において出される通達を一々全部総理府なりまたは内閣でチェックするということ、これは実際問題として困難かと思います。しかし、通達の根拠となりますところの法律または政令というものは、第一次的には法制局審議をいたします。その審議の過程において各省にまたがる法令解釈統一保持ということは、閣議にかかる前の法令審査において法制局機能として統一保持をはかる機会があるかと思います。  次は、法律及び政令はただいまのルールといたしましては次官会議にかけ、それから閣議の決定を経ておるわけでございます。次官会議の運用につきましては、内閣官房におきまして次官会議に提出される議題及び案件の内容について、各省調整をはかり、また、はかられないものについては、はかるまで必要な場合において内閣官房調整をはかる、こういう機能を持っております。  今回の場合には、まず一次的には法制局統一見解に基づいて各省がそれぞれ通達を出せばよかったかと思うのでありますが、その点について若干の手落ちがあった。次の次官会議という場合において内閣官房調整する。そのほかに、こういうふうな御指摘のような事態が起こりました場合には、何も次官会議というものを待たずに、行政一体の原則として内閣に負わされる機能といたしまして調整をはかる義務があるかと思います。そういう趣旨にかんがみまして、ただいま各省から御答弁いたしておりますような結論につきまして、内閣官房各省意見調整した次第でございます。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 いまのお答えは新法なり改正の際のことで、既往法律についても通達を出すわけなんです。その場合に往々にして法律解釈をかってに各省庁がやる場合があるのです。ところがこれは第一次的にはその通達が法を支配しておるわけです。そうでしょう。法の最終的権威は、これは裁判所においてきめられると思うのです。しかし第一次的には各省庁の通達がこれを左右する、そういった問題の通達があり得るわけです。いま高柳さんが答えられたのは、新しく法をつくる場合のことなんです。と同時に既往法律について実際の場において疑問が出たときに障害がある。ことに一番問題なのは、自治省がいま来ていませんが、自治省あたりがかってな解釈をどんどん出して、通達、次官通牒とかいうことで、各地方自治体を拘束しておる。そういう例がたくさんあるわけです。行政のあり方として、行政がかってにつごうのいいように法律解釈してそれを流す、これは行き過ぎだ、行政指導と同様弊害をもたらすとともに、法の領域といいますか法域に対する行政権の挑戦である、そのようにも考えております。したがいまして今後この通達等については十分なる連絡、あるいは十分なる検討、ことに法制局等からの法律見解の上に立って出されるように希望するとともに、これは内閣において十分に気をつけてもらいたい、そう思いますが、いかがですか。
  34. 高柳正巳

    高柳政府委員 ただいま御指摘趣旨は十分今後考慮してまいりたいと思います。法令を越えて、法令に定められた以上のことで国民の権利または義務を制限または課するようなことは、内閣法におきましても、政令法律でゆだねられた範囲以外にそういうことをしてはならないという規定がございます。ましてや内閣法でそういう政令に与えられておる権限を越えて各省大臣通達でそれ以上のことをするということは、当然許されないことだと思います。今後注意してまいりたいと思います。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 行政の行き過ぎの中に通達行政というものがある。そのことがおわかり願えればそれでよろしい。今後通達については十分なる配慮をしてもらいたい。これはいまおられる二、三の省庁だけに言ったってしようがない問題だが、ここで私は大臣が、責任者が必要になってくるのですが、いない、官房長おりますか——いない、それなら次官から、これは通産省だけの問題じゃないのですが、大臣に言ってもらって、それから高柳さんからも官房長官に言ってもらって、閣議においても十分気をつけるように、ひとつ今後十分配慮願いたい。この通達行政ということについては、今後私も事あるごとに委員会で問題として取り上げます。第一次的に法の解釈を流し、法をかってに行政のつごうのいいように解釈している例がたくさんあります。示せというなら、あらためてこの委員会において全部あげて、一つ一つその該当法律との間にどういう食い違いがあるかということをあげてもけっこうです。次官なり高柳さん、これは失礼な言い方ですが、内閣責任者としてはいまだれも責任者が出ておらないので、お二人からひとつ大臣なりあるいは官房長官なりに十分に言ってもらって、そして今後そういうことは閣議等で話題として自粛してもらうということについて、責任ある答弁をお願いします。
  36. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 ただいまの田中委員の御趣旨、十分に大臣にもお伝えいたしまして、今後そういうことが起こらないように注意していきたいと思います。
  37. 高柳正巳

    高柳政府委員 ただいまの御趣旨は、帰りまして官房長官に確実に御報告申し上げます。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで、結局は併記を認めるということで意見統一になったと思うのですが、その併記のしかたが二つあります。たとえば三百三十平方メートルはカッコして百坪と書く方法と、三百三十平方メートル、そして一坪は三・三〇五八平方メートルだという表示のしかたと、二つありますが、前者ですか、後者ですか、どっちですか。
  39. 川出千速

    川出政府委員 平方メートルと尺貫法による坪と完全に同列で併記をすることは、これはいけないと思います。したがって、平方メートルを掲げまして、それを説明するために参考としてカッコをつけてその中に尺貫法による表示をするやり方はよろしいかと考えます。そのカッコの中は、私はいずれでもよいと考えております。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 三百三十平方メートル、カッコして百坪、約と入れるかどうかわかりませんが、そう書くのがいいのか、もっと小さく——不動産登記法ではコンマ二までを記入して以下切り捨てということになっているが、そういう書き方と、それからその説明のように三百三十平方メートルと書いて一坪は三・三〇五八平方メートルと書く書き方と、これはどちらでもいい、そういうことなのですか、統一した見解統一通達趣旨は。その点はどっちになっておるのです。高柳さん、どうなのです。いま川出さんは二つの方法があるがどちらでもいいと言っている。あなたのほうで調整したでしょう、そのときのカッコの中の入れ方はどうきめたのです。どっちでもいいときめたのですか。それならまた混同しますよ。混乱が起こりますよ。
  41. 高柳正巳

    高柳政府委員 技術的なことで、若干知識が不足しておりますが、当時の話では、一坪カッコして三・三平方メートルと書くほうが好ましいという両者の意見を採択しております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 法務省、それでいいのですか。登記簿は百坪と書いてある。申請者は三百三十平方メートル、カッコして一坪は三・三〇平方メートル——その以下切り捨てだから三・三〇になるわけだが、そう書くのでいいのですか。それとも九十何坪といったような、登記法では何坪何合何勺までありましたね、それに合わすように書かなければいけないのか、どっちなのです。
  43. 住吉君彦

    住吉説明員 どちらでも私はいいと思います。ただ、登記と申しますか処理上はそれの逆のほうがいいのでございますが、それは一応は登記官がそこで掛け算をいたしまして、そして数値が合っているかどうかということになります。ただしかし、メートル法運営の趣旨から通産のほうでそれが望ましいと言われている場合に、私のほうから登記の便宜上それを逆にしていただきたいということもいかがかと思いますので、そういうことでやむを得ないと思っております。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 やはり主官庁が通産であり、通産省がそうありたいということでやむを得ない、こういうことなんですが、ばらばらの通達を出した、そして本委員会答弁等で通達と違った答弁をした、現実に混乱が起きた。そこであわてて内閣官房のほうで各省意見調整し、統一通達を出すことにした。そこまではいいんですよ。併記を認める。その併記の中でまだ十分に意思の疎通がはかられていない点がありますね。一体何をしておったのですか。技術的なものだ。そんなことカッコで書くのだったら、百坪と書くのか、一坪は三・三〇平方メートルと書くのかというようなことは当然わからなければいかぬ。そういうことについても意見統一をはかるべきだ。私が言う後者のほうのカッコでいくということなら、それでけっこうでしょう。それが十分守られていかなくちゃならぬと思うのです。それには登記官というものはやはり相当な労力を必要とします。もちろん換算表か何かでやることになろうかと思いますが、いまあなたがそういうことを言うくらいなら、初めからつまらぬ意地を張らなくてもよかったんだ。そうでしょう。事務が繁雑だとか手数がないとかということを言って……。結局、計算しなければいけないんだ。それなら初めから変なことを言わなくたって、もとのところへ戻ってきたわけなんです。  そこで、私はきょうはこの程度で終わります。しかし先ほど来も指摘しているように、通達を出すにあたっても十分考慮をしなければ、各省ばらばらな通達を出せば現実に混乱が起きる。しかも直ちに法は適用しないとしても、まかり違えば五万円以下の罰金を四月一日から科せられるのですよ。にかかわらず、監督官庁である建設省通産省法務省がそれぞれ違った通達を出すというようなことは一体何ですか。まあ済んだことでもあるし、それは統一したということならこれで終わりますけれども、今後十分気をつけてもらいたい。同時に、この際、何回も言いますが、通達によって法の解釈をかってにする、いわゆる行政権によって法を曲げることもあり得る、またあった、そういう経緯も問題にして、十分注意してもらうことを要望しておいて、この点で終わります。
  45. 天野公義

    天野委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩    午後零時二分開議      ————◇—————
  46. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について質疑を続行いたします。板川正吾君。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 通産大臣に伺います。  第一は鉄鋼問題であります。去る三月ですか、鉄鋼業界に永野発言というのがありました。富士製鉄の永野社長が鉄鋼業法に一つの秩序をつくるべきじゃないか、それも法律に基づいた秩序づけをすべきじゃないか、こういう発言をされておりますが、この永野発言を通産大臣はどういうふうに受け取っておるか。永野氏とその後大臣は会談をして、永野氏の意見なり真意なりというものを承知しておると思うので、大臣からひとつそれに対する所見を伺っておきたいと思います。
  48. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は率直に言って傾聴すべき意見だと思っています。しかし、この問題は、鉄鋼というものが基礎産業でもあるし、全般の産業に影響も多いし、こういうことで、鉄鋼の基本問題小委員会で永野提案も含めて十分な検討をしてもらいたいというふうに考えております。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 大臣は名古屋での記者会見において、鉄鋼は基幹産業だし、政府が乗り出すよりも業界が自主的に調整することが望ましい、こう言っておるのですが、その考え方はどういうことを言っておるのですか。
  50. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私はこういう考えなんです。産業に対して行政の関与というものは、できれば産業界が自主的にいろんな調整作用というものを果たし得るならば、行政がむやみに入るべきではないというのが私の基本的考えなんです。しかし、それでどうしてもできないというときにはやはり行政が入るなり、あるいは立法ということも考えなければならぬでしょう。その産業が野放しにしておいていいという場合は、それは別ですよ。そうでない場合においては、第一番はやはり産業界自体が自主的に調整する、その能力をやはり持つことが必要だ。それでもどうしてもできぬときには行政が関与したり、あるいは立法化を考えたりすることは第二の手段としてやむを得ない。その一つのプリンシプルのために産業界全体を混乱におとしいれるなら、それはプリンシプルというようなもののために産業行政というものはあるものだというふうには考えないのでございます。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 いま自由経済ですから、自主的な調整機能が働いて調整できることが望ましい、これは当然でしょう。しかし通産大臣が、御承知のように、勧告操短をさせておりますね。指示しておりますね。こういうことは、自主調整がその点においてできないという前提に立っておると思うのです。  それから、いま鉄鋼の問題には、そのほか公販、公開販売制度をとっております。公開販売制度も、これは若干似たようなものが諸外国にもありますが、悪用されると、公開された価格よりも日本は安く売っておる。アメリカ等ではこれは、だからダンピングだ、こういう非難さえあるのです。こういう点で公開販売制度自体も、そういう面において問題もありましょう。同時にこれはまた行き過ぎればある種の価格協定ということにもなる可能性もある。独禁法からいえば、好ましくない方法だということもあります。それから問題の設備調整ですね。これも先ほど留守の間にわれわれ議論をしたのですが、各社がある程度協定して、設備を制限して生産の調整をはかる。それも最終的には、拘束力を持たないんだから、独禁法上では問題ないように解釈をされておりますが、これも厳密にいいますと、やはり独禁法上からいって問題の点もあると思う。設備調整を法に基づかないで業界だけで公然とやる。しかし、それが事実上競争制限に至らないということで公取も目をつぶっておる状態であろうと思う。しかし、この設備調整を自主的にやって、それも協定してやって、それが競争制限になるとなれば、これは独禁法違反になります。ですから、こういうような問題点があるのですね。そうすると、私は、法的な基礎をもって秩序をつくるという永野発言というのは傾聴すべき示唆を持っておると思うのです。そこで一体大臣は永野発言の真意ですね、ほんとうのねらいというのはどこにあるとお考えでしょう。たとえば、永野さんは、いままでの調整なり話し合いではやっぱりだめだ、これは最終的に押えるわけにいかないから、拘束性を持たないからだめなんだということで、業法なるものをつくれということを提言しておる。一方、もし、そういうことができなければ、徹底的な競争をしよう、いままでちょっとわれわれ高圧メーカーに対して遠慮しておったが、今度はもう遠慮しないで徹底的にやるんだ、鶴崎の設備も拡大しよう、東海製鉄も増設しよう、こういうようなことで徹底競争でやろうということの二つを持っておると思う。一体、この二つの発言の中で、いずれを重点に置いておると思うか、大臣はどういう受け取り方をしておりますか。
  52. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は、永野氏の意図というものを、こういうように私なりに受け取っておるわけです。これは鉄鋼のような基礎産業で、しかも業界、必ずしも数が多いとは言えない。やはり一つの自主的な協調の態勢ができぬということならば、何をか言わんや。これは立法化でもせざるを得ないのじゃないかということで、永野さん自身は、立法化を何が何でもやれという立場でなくして、そういうものができなければ、立法化もやむを得ないじゃないかということで、ほんとうはもう少しみなが協調的な立場に立って、自主的な調整をやるべきではないかということに重点があるんだと私は受け取っておるわけです。それができぬときは、そういうこともやむを得ないということで、初めから立法化が前面に出ておるとは受け取ってないわけでございます。しかし、私自身の解釈で、本人の意図と食い違う場合があるかもしれませんが、私はさように解釈をいたしておるわけでございます。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 永野発言は、自主調整は、過去の例からいって、これはとても不可能なんだ、だから法的な根拠を持った秩序づくりが必要じゃないか、これが第一点です。過去の評価はできないということを認めた上での議論なんです、自主調整はだめだということを認めた上での議論なんです。法律に基づいた調整行為を行なうか、それとも、できないならば、徹底的な競争で、実力でいく。負ければ玉砕するということになるかもしれませんが、それは別として、とにかく徹底競争しようということになると思うのです。  このほんとうのねらいは、法的な根拠に基づいて秩序を設けようというところにあるか、それとも、どうせそれもできないだろうから、あくまでも競争でやるんだ。それには、鶴崎の工場も新設をする、東海製鉄も大拡張する、こういう方向でいくほかないというのか、どっちかなと、このニュアンスを、大臣の受け取り方を実は聞きたいわけです。
  54. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は秩序のほうに重点があると思います。それは野放しで、将来の鉄鋼需要の伸びも何も計算しないで、みなが相当な資本の動員力を持っているのですから、みながむちゃくちゃな設備投資をやっては、永野さん自身だって、それが好ましい姿と思ってないのに違いないわけですから、鉄鋼業界にもっと秩序づけをされなければならぬということに重点があって、そうでなければ徹底的な自由競争だということは、重点ではなくして、一つの警告であるというふうに私は受け取っておるわけでございます。
  55. 板川正吾

    ○板川委員 これは数字的な問題ですから、重工業局長から聞いてみたいのです。  昭和四十三年でもいいですが、いま各社が永野発言による鶴崎あるいは東海の増設、こういうものを含めて、四十三年なら四十三年、あるいは適当なところでいいのですが、生産能力と、輸出も含めた需要の関係、どの程度に見ておりますか。
  56. 川出千速

    川出政府委員 現在粗鉱の生産は四千万トンを若干こえておるわけでございますが、四十三年ごろの政府の、これは非公式の見通しということになりますけれども、五千万トンぐらいと見ておるわけでございます。見方はいろいろございます。五千万トン弱に見る見解もございますし、五千三百万トンに見るものもございます。現在の能力といたしましては、五千万トンくらいでございますので、現在の生産の実績から見ると、一千万トンぐらい供給力が上回っておる。  今後の投資計画と申しますのは、これは非常に長期的なものでございますので、各社まだ確定をしておるわけではございませんけれども、それぞれ新基地をすでに用意をしたり、あるいは用意をしつつございますので、これがほんとうに実行段階に入るかどうかは別といたしまして、実行するというようなことになりますと、相当大きな能力になろうかと考えております。
  57. 板川正吾

    ○板川委員 鉄鋼の生産は、ここのところ急速に伸びてきて、大体アメリカ、ソ連に次ぎ世界第三位になっております。西独もすでに抜いております。この分でどんどん各社が設備競争をして拡大していきますと、ある意味では過剰な設備投資ということが行なわれる。しかし、ある程度の過剰は伸びるために必要であるかもしれませんが、それが過大になると、国家的に見て、非常なロスになります。  私のちょっと計算したところによると、一メーカーで二百五十万トン規模の設備については、一万トン当たり五億五千万円大体かかる。これが五百万トンになれば、三億五千万円になる。これがもし一千万トン過剰な設備——千万トン全部過剰とは言いませんが、この中で七、八百万トン過剰設備ということになれば、二百五十万トン規模で計算すると、約四千億近くの金が実は遊休することになる。これをいまの各社の設備計画をそのまま認めていけば、これは一千万トン以上のギャップができて、むだな投資ということにもなるだろうし、それが場合によっては、設備が需要に見合って伸びていけばいいが、設備のほうが先に出ると、その意味で乱売等も起こり、非難も受けるかもしれません。その意味で、私は、設備等については、各業界でやるよりも、法的な根拠を持った規制というものが必要ではないか。それは押えるための規制でなく、伸ばすための規制である、同時に、需要に見合ったバランスをとる規制である。こういうふうに考えれば、私は永野発言というものは、そういう方向に受け取っていいじゃないか。しかし、私は永野さんの発言が内容的に全部いいということを言っておるわけではありませんが、考え方の方向として、そういう方向もとるべきではないかなという感じがするんですが、どうでしょう。
  58. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私も、鉄綱業のごときものを野放しに——自由競争といえばそれは自由競争かもしれぬが、むやみに——これは普通の中小企業なんかと違って、大きな資本力を持った大企業で、しかも基礎産業ですから、野放しでいいとは私は思っていない。だから、形は、自主的に将来の需要の伸びも考えて、一つの節度のある設備の増設というものが一番好ましいわけです。それがどうしてもできないということならば、いろいろ考えざるを得ないと思います。しかし、できればなるべくこういう産業界に行政が関与することは最小限度にとどめたほうがいい。しかし、どうしてもできぬというときなら、それでも行政が関与していかぬというと、私はそうは思わない。そういう場合は思い切って入れ、それはそれだけの責任行政は負わなければいかぬ。  そういうことで、この問題も鉄鋼の基本問題小委員会が近く発足するわけですから、ここで十分に検討してもらいたいと思っております。
  59. 板川正吾

    ○板川委員 あげてその鉄鋼問題基本小委員会ですかでやる。しかし必要があれば思い切って法が介入することはやむを得ない、こういうお話のようであります。  私どもここで一つ注文しておきたいのは、鉄鋼問題を考える場合に、いわゆる大手一貫メーカーだけのことではいかぬじゃないか。大手一貫メーカーと合金、特殊鋼、こういう関係、従来は銑鋼一貫メーカーと特殊鋼というのは、実は高炉、平炉の関係で分野が全く分かれておった。最近は転炉というものができて、一貫メーカーが特殊鋼の分野に相当入ってきておる。これが特殊鋼の今日の不況をもたらした大きな原因だろうと思うので、そういう点の調整等も十分考えてもらいたい、こう思います。  それから次に四−六の粗鋼の操短を大臣は依然として認めておりますが、一体この勧告操短をいつごろまでやるつもりですか。行政指導による勧告操短というのは、この前議論したとおり法的にも問題がありますから、それは全く緊急避難的な短期的なものであって、長期にやるのは私は不況カルテルに乗せるべきじゃないか。不況カルテルでまとまらないというけれども、まとまらないというなら、まだある意味ではそういう段階であって、ほんとうに不況になって困るというなら不況カルテルでまとまらないはずはない。不況カルテルでまとまらないというのは、まだそういう深刻な段階じゃない、こういう理屈さえあるのですよ。ですから、勧告操短というのはもう一年たったのですから、この辺で打ち切るべきじゃないか。四−六で一年たったのですから打ち切るべきじゃないか。それで不況が乗り切れないというなら不況カルテルに乗せてやりなさい、こういうふうにやるべきではないか、こう思うのです。大臣は、行政があまり関与すべきじゃないと言っておる。しかし関与すべきじゃないと言って、いまの不況で、あるいは在庫が三百万トンまだたいして切れないからといつて、いつまでものんべんだらりと勧告操短を続けるべきじゃない、四−六でやめるべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  60. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いまのところは四−六は勧告操短をやらざるを得ないが、そのあとのことは鉄鋼の市況の状態ともにらみ合わせて慎重に検討いたしたいと思っております。
  61. 板川正吾

    ○板川委員 私が言うのは、大臣は自主的に調整するのが一番いいことだ、行政はあまり介入すべきでない、こうおっしゃっておる。それならば、行政の介入である勧告操短というのはやはり短期間にすべきであって、少なくとも一年をこえて行政指導による勧告操短が続くのはまずいと思うのです。これはぜひひとつ、もし続く必要がどうしても不況のためにあるというならば不況カルテルのほうに回しなさい。公取の正式な認可を得て公取の条件の中でやりなさい、私はこういうことを主張しておきたいのです。いかがですか、大臣。
  62. 三木武夫

    ○三木国務大臣 勧告操短がこう非常に長期にわたることは、私も好ましくないと思っております。ですから四−六の勧告操短を通じて今後どうするかということは十分に検討いたしたいと思っております。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 まあそれはそれくらいにして、次に競輪の場外車券売り場について伺いたいのですが、これは別に技術的な問題を聞くのではないのです。私が伺いたいのは公営ギャンブルであるこの種の問題について通産省では競輪、オートバイですか、これは通産省関係ですね。特に競輪の問題でこの間競輪審議会の答申があったようですから取り上げたいのですが、公営ギャンブル、こういった行為についての大臣の基本的な考え方、これは好ましくない、あるいは最小限に食いとめていくのだということなのか、多少何か有益な仕事をしておるからある程度伸ばしてもいいのではないか、こういうふうに考えておられるのか、大臣の基本的な考え方を伺いたいのです。
  64. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は個人的にはこれを大々的に奨励していきたいという考えではないのです。しかしながら自転車競技法などに対しても審議会の答申があるでしょう、これは尊重しなければならぬということになっておる。審議会はここ五年間という期間を置いて、そうしてこれがより健全な大衆の娯楽として育つものか、あるいは地方財政に対する影響は一体どうなるか、いろいろ五カ年間に検討してみて、そこで将来どうするかということをきめるべきだということが答申の精神だと私は受け取っておるわけであります。その過程において場外売り場などをもっと整備したらどうか、調査をされたのですが、調査してどうもいろいろな設備が不完全な点があるからこれを整備したらどうかということでこの線に沿うてやるわけであります。世の中のことというものは必ずしも——必要悪と言うとおこられるでしょうけれども、悪だとも思いませんけれども、これが大衆娯楽として定着するのにはまだ試験期間を置きたいという感じを私は持っております。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 これは近代的政治家を自認する通産大臣の答弁としてはちょっとおかしいな。こういうギャンブル行為は好ましいのではない、好ましいのではないが、必要悪だから最小限にとどめていきたいのだ、こういうのが通産大臣三木武夫氏の所見でなければおかしいじゃないですか。必要悪ではないのだ、ある程度の効用もあるから健全娯楽だというのはおかしいじゃないですか、どうですか。
  66. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私はこういうものを大々的に奨励しようという考えはないのです。しかしいままで地方財政にもいろいろ寄与してきたし、このものが与えてきた社会的影響というものができてきておる、いますぐにどうということは——審議会なども五年という年限を置いてその間の推移を見てみるべきだというこの答申は私は妥当だと思うのです。五年間という期間を置いて、その間これはどういうふうなことに競技というものの国民の受け取り方、地方財政の影響、そういうことを勘案して根本的な方針はその後にきめようという考え方は、やはりこういうものが一つでき上がって、それによっていろいろな影響を持ってきたときの措置としては妥当ではないか。しかも法律によってその答申は尊重しなければならぬという規定にもなっておるようでありますから、あまりそういう一つの秩序にのっとらない私の個人的見解をいろいろ申し述べることは弊害があると私は思います。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 どうもこの間の競輪審議会の答申以降のことしか大臣は考えていないのですね。こういうギャンブル行為のあり方というものは、政治家としてこうあるべきだという見解があっていいのではないですか。これは大臣、昭和三十三年七月二十九日の閣議了解として——これは競輪だけに限って議論してみますが、今後、競輪等の競技場の新設は認めないように措置するほか、既設のものについてもその運営の健全化をはかるように配慮しようというのが閣議決定になっている。大々的に奨励などしないことはもちろん当然ですよ。奨励すべきじゃないのですよ。ただ新設を認めないという趣旨は従来認めておったが今度はさせぬぞということは、できればこれはなるべく少なくしていこうという趣旨に基づいて閣議決定がされたんだろうと思うのですよ。そうして池田内閣のときに公営競技——こういう競輪、競馬その他、こういったものはどうあるべきかということをこの調査会を設けて審議して答申をさせたのですね。これは御承知と思うのですが、公営競技調査会長の長沼弘毅氏が昭和三十六年七月二十五日に答申をしているのです。この答申の前文でこういっておるのです。これは基本的な考え方なんですが、「本調査会としては現行公営競技の存続を」認める。しかし「少なくとも現状以上にこれを奨励しないことを基本的態度」とする。そして「その弊害を出来うる限り除去する方策を考慮した。」こういう趣旨なんですね。これは存廃を議論しておるのですから、廃止するまでに至らないが、しかしこれ以上奨励しない。そして残す以上は悪い点は直せ、これが公営競技調査会の報告なんです。この公営競技調査会というのは内外のこれこそは学識経験者といわれる人を集めて国民的な立場から審議した結果の結論なんです。この点からいえば、こういうギャンブル行為というのはいろいろな議論があるから全廃するわけにいかぬ。しかしこれを基本的にはこれ以上拡大するような方向はやめるべきだ。残っておる以上はその悪いところを直せ、こういうことです。この原則の上に立って車券等の場外売り場については現在のものを増加しないことを原則とするといって、ふやさないということを答申しておるのですね。これは頭に入れておいていただきたい。  次の議論なんですが、この法に基づいて公営競技調査会が内外の学識経験者を集めて答申をした。大臣が先ほどからいっておる競輪審議会の答申というのは、競輪を存続するという、競輪の運営をどうするかということで、この競輪審議会のメンバーを見ますと、大部分は競輪に賛成しておる人なんです。計算してみたところが、大臣、この競輪審議会の十八名の中に競輪の恩典を受けていると思われる者は八人おるのです。四人はこれは重工の局長とかあるいは通産省官房長とか警察庁保安局長とか、こういった人ですから、これは政府機関の者で、きまればそのとおりにやりますということなんです。みずからその積極的な意見を言い出す者じゃないのですね。第三者と称する人は六人ですよ。だから六対八ですから——たとえば賛成者の中には関東自転車協議会の会長だとか、九州電力常務取締役小出さん、これは昔競輪関係をやった局長でしょう、そのほか何とか産業の社長とかあるいは自転車振興会の会長とかあるいは何とか工業の社長とか、みんなこれ競輪関係者です。競輪によってある種の——まあ競輪の存在を是認した上の運営ですね。ですから私はこの競輪審議会の答申が前の公営競技調査会の答申を曲げるようなことがあってはいけないと思うのですね。競輪審議会は、これは競輪を是認した上ですよ。それから公営競技調査会は、これはある種の公平な第三者という者の意見、それでこの基本的な方向を出されたのですから、だからその方向の内で競輪審議会というものは運営さるべきだ。競輪審議会の答申が正しいのだから尊重しているといって内閣総理大臣答申の公営競技調査会の答申をはみ出すような競輪審議会の答申なんというものは、大臣は聞く必要はないですよ。そうじゃないですか。そうしますと、この場外車券売り場を五年間さらに存続しろ、これはやはり問題だと思うのです。どうしてかというと、競輪の場合、従来の公営競技調査会の報告に基づいて通産省がやっていた中には、この調査会ができるときにはすでに通産省一定の売り上げの基準に達したらば場外売り場をやめるという原則をとっておったのです。そのとっておった上において、この公営競技調査会の報告が出されておるのです。だから、この公営競技調査会の報告というのは、競輪の場合には一定の売り上げ基準になったらばそれは場外をやめるんだということを基本的な前提としているというふうに私ども解釈するのです。ところが、今度の競輪審議会では、これはさらに五年間延長しろ。五年を目途に延長しろということは、競輪審議会が公営競技調査会の方針を変更するような答申じゃないだろうか。こういった答申を大臣が尊重する必要はないのではないか、こういうふうに考えるのです。いかがですか。
  68. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この公営競技調査会の一つの答申というものは、私はこれは全面的に尊重していきたい。それは現状維持でいく。これは新設を許さない。競輪の新設を許す考えはありません。こういう現状維持の線でいこうというわけでございます。また、公営競技調査会も、場外売り場に対しては設備とかあるいは販売の方法なんかの改善の答申もこの中に入っているという記録がここにございますが、これは重工局長から少し——この間われわれは矛盾をしないと考えておるのですが、重工局長からもう少し詳細にお答えいたします。
  69. 川出千速

    川出政府委員 公営競技調査会の御答申の趣旨は、公営競技全般についていろいろ批判もあるけれども、また社会的に貢献している点もございますので、さらに判断として現状以上に奨励をしないという根本原則を打ち出しておることは、ただいま板川先生の御指摘のとおりであります。  それからなお具体的な細目についての答申の中で場外売り場問題に触れまして、この場外売り場施設の新設につきましては法律上許可制になっておるわけでございますけれども、この新規の施設の許可は認めないということ、なおただいま大臣が申し上げましたように施設の改善等についての勧告を行なっておるわけでございます。  それから具体的な問題でございますが、公営競技の中で、これはいろいろな公営競技がございますから、あまり不均衡にならないようにという答申が最後に入っておるわけでございます。したがいまして私は、文理解釈と申しますか、その答申の解釈法律制度とも関連して考えますと現在以上に新設は認めないというところが妥当なところではないだろうかと思います。そのかわりに設備の改善等はやらなければいけないわけでございます。また一方、これも板川先生指摘のように、競輪の場外売り場につきましては、従来通産省は漸減方針を行政指導としてとっておったわけでございますが、これは間違いないところでございまして、一番多いときは四十幾つ場外売り場があったわけでございます。これを売り上げが増加して一定の基準をこえた場合に一定猶予期間を認めまして許可の取り消しをしてまいりまして、公営競技調査会の答申が出た当時はたしか十四、五場外売り場が認められておったと思いますが、現在は十になっておるわけでございます。そういう際に、これは実態調査の結果施設の改善ということをやらなければならぬ点が相当あるわけでございまして、今度の競輪審議会でもその点を指摘しておるわけであります。環境の整備でございますとか、へいをめぐらすとかあるいはサービスの改善でございますとかいろいろあるわけでございますが、それはやらなければならないわけでございます。そういう点を総合的に判断いたしまして、これを急速に漸減していくよりも、現在財政面でいろいろ寄与している点もございますので、五年程度と言っておりますけれど、五年程度の暫定期間を認めまして、その間に施設の改善を早急にしようということを競輪審議会のほうは答申をしておるわけであろうかと思います。  なお法律の制度としましては、これは許可制になっておって、増加してはいけないとかあるいは減らさなければいけないとかいうようなことは、法律制度としては出ていないわけでございます。私はそういう答申が出ましたので、なるべく早く施設の改善につとめたいというわけでございます。それではただいま先生質問の、従来の漸減方針というのは今後通産省の考えは根本的に変わったのかどうかという点があろうかと存じますが、その点について私は根本的に変わったとは思っていません。今後いろいろの社会事情あるいはそれに対する批判等も考慮して検討しなければならない問題ではないかと考えております。
  70. 板川正吾

    ○板川委員 技術的な問題ですから局長に聞きますが、公営競技調査会の答申の13で、いま言ったように均衡を失している点が少なくないので各省において是正しろ、こう確かに出ています。しかしこれはこの項目があるからといって基本的な態度、原則をはずしていいということじゃないのですよ。それならば競馬ではどこでも場外売り場を持っているじゃないですか。競馬でそういう場外売り場を持っているから、一部の拡大論者の言うように不均衡だから競輪も全部しろということじゃないでしょう。だからこれは原則として現状維持を奨励する方向はとらないのだ、こういうたてまえの中で何か扱い上不均衡があればそれは直せ、しかし直す方向も奨励する方向で直せという意味ではないのですよ。そう解釈すべきではない。そう解したら競輪の場外売り場を規制する措置なんかもっと拡大しなければならないんじゃないですか。規制していること自体がおかしいと思うのです。だから私は答申13をもって均衡をはかるためにやるんだという解釈は成り立たないと思います。  それから場外車券売り場については漸減方式を行政指導でとっておりますが、これはいいことだと思うのですよ。答申された当時にはすでにその方式をとっておるのだから、この答申はその方式を当時認めた上において出されたとわれわれは思うのです。だから答申の5によって「場外売り場については、現在のものを増加しないことを原則とし、」というのは法律の運用にとどめをさしたものであって、従来一定の基準に達したらば廃止しろという方針を直せということでこの答申は出ていないと私は思う。答申を出された三十六年以降でも宇都宮や何かやめたところがあるんでしょう。だから答申以後もそういう原則をとっておって今後もとっていくというんですね。そうだとすれば、その原則によるとすでに三カ所の場外車券売り場が抵触してきているんでしょう。それらはやめられるという前提に立って今後設備を改善するとかなんとかいうんならわかるけれども、すでに基準に達してやめなければならないところをそのまま置いて、さらに五年間これをやらせるというのはおかしいじゃないかと私は言うんです。
  71. 川出千速

    川出政府委員 当初、一定の売り上げ高をこえた場合に——これは正確に申しますと本競輪場の一年間の平均で一開催五千万円以上でございますが、それが物価等の上昇もございまして現在一億円という基準に修正をしております。これはいずれも法律に基づくものではなくて行政指導でやっておるわけでございます。しかしながらその後物価の上昇もありますし、それから何といいましても財政面に非常に寄与しているという現実の問題もございます。それから施設の改善という問題もございまして、御指摘のとおり現在一億円の場外売り場基準をこえているところがあるわけでございますけれども、今度の答申がございましたので、施設の改善をするとともにしばらく暫定的に存続をするという方向で検討をしているところでございます。
  72. 板川正吾

    ○板川委員 一億円以上に達した場合には原則として廃止するというこの態度は、今後も原則として変えないということをさっき局長言われましたが、これは間違いないですね。漸減方式をとることは間違いないのですね。
  73. 川出千速

    川出政府委員 そこまではっきり申し上げたわけではないのでございまして、従来の漸減の方針をこの答申によって根本的に修正をして恒久的な制度にするというところまで考えていないということを申し上げたわけでございます。
  74. 板川正吾

    ○板川委員 この答申で五年程度を目途としてといっておりますが、五年程度を目途とするというこの答申をどういうふうに受け取っておりますか。たとえば五年だから五年もたって考えたらいいんだろう、あるいは五年事前に一つの考え方をまとめるべきだ。つまり次の手を五年たってから考えるのか五年事前に考えるのか、どういうふうに受け取っておりますか。
  75. 川出千速

    川出政府委員 これは五年たってからではなくてその事前ということで考えております。
  76. 板川正吾

    ○板川委員 今度の答申を受けて設備を改善しろ、設備を改善するのには若干の費用がかかるだろう、かかったとたんに場外を廃止するということでは設備をしないだろう、だからある程度の時期は待ってやろう、こういうことだと思うのです。ですから場所によっては五年間たたなくたってその改善費用を十分回収し得る利潤を得られることがあると思うのです。要するにところによっては設備をした金を十分回収し得る時期があると思うのです。だからそうならば五年前でも漸減の方式をとってやはりやめるべきじゃないか。ところが設備を改善すると、設備ができたのだから、これは当然恒久的に置けということになってくるのじゃないですか。設備はできたし、弊害もなくなったと解釈をして宣伝をして、そしてまた漸減方式を放棄して従来どおり恒久的に場外売り場を置くような方向にいくのじゃないですか、この答申は。その前提としてとりあえずこういう五年間の期限ということをやったのじゃないですか。どうですか。
  77. 川出千速

    川出政府委員 施設につきましては実態調査をして非常に改善すべき点が多々発見されたわけでございますが、それもそう巨額な資金を必要とするというようなことではございません。ですから施設をしたことによって、事実上これを恒久化したのだというような指導はしないつもりでございます。
  78. 板川正吾

    ○板川委員 まあたいした設備費用にはなるまい、たいした設備費用にはなるまいから、設備費をかけたから、恒久化するという解釈はとらせない、こういうわけですね。しかしわれわれがおそれるのは、五年間の猶予期間を置いて、これは実はなしくずしに恒久化の方向にいくのじゃないか、こういうことを非常におそれるのです。だから五年間——従来は一定の基準に達したならば、一年間の猶予を置いて廃止するという方式をとっておったのでしょう。一年間の猶予期間を置いて、だから設備をしたのだから、一年が二年になるあるいは場合によっては三年になるということならわからぬでもないですよ。しかし全部を五年間延長するというのは、どうも通産省が競輪奨励の立場に立っておるのじゃないか。それは同時に公営競技調査会の方針、内閣に答申されて、内閣がこれを了承した方針と相反するのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  79. 川出千速

    川出政府委員 ただいま通産省のとっておる方針は、公営競技調査会の答申の趣旨に反していないと考えております。先ほど大臣が御答弁申しましたように、奨励をするという方向はないわけでございまして、あくまで現状維持をもとにしておるわけでございます。
  80. 板川正吾

    ○板川委員 局長、あなたが実際的に扱っているのだけれども、現状維持現状維持というならば減らすことはないのじゃないですか。公営競技調査会の答申が現状維持だというなら、減らすという従来の制度はおかしいのじゃないですか。実際この答申後減らしてきたわけでしょう、栃木、宇都宮ですか、幾つかは。だから公営競技調査会の答申というのは、そういう漸減方式をとっておることの前提の上でこれ以上ふやすなというのであって、漸減方式をやめろといってないのでしょう。あなたが現状維持だからいいのだというのはおかしいじゃないですか、その解釈は。
  81. 川出千速

    川出政府委員 私の答弁が少し至らなかったと思いますが、通産省は漸減方式を変更したわけではないということを先ほど申し上げたのに変わりはございません。  なお五年程度ということでございますけれども、その前に廃止してもいいような状況になれば、もちろんそれに従ってやるわけでございますし、何にいたしましても、競輪全般に対する世論とかあるいは場外についての財政的な寄与という面も現実の問題としてはございますものですから、そういう点もにらみ合わせて御趣旨に沿うような運用をしてまいりたい、かように考えております。
  82. 板川正吾

    ○板川委員 現状維持というのは取り消してください。現状維持じゃないのです。漸減する方式が現状維持ですから、数が現状維持だと思ったら間違いですよ。  それから大臣、幾らか前後の関係がわかってきたと思うのですが、やはりこういう賭博行為というのは必要悪ですよ。決して奨励すべきものではないですよ。なるべく減らすべきものだ。これから近代的ないい政治をやろうというなら、こういうことがなくても国民生活が安定し、国民が喜んで生活するような社会というものをつくらなくちゃならぬじゃないですか。競馬や競輪や、こういうかけごとに熱中して非生産的なものに熱中して、それで国が栄えるということじゃないのじゃないですか。だからこういうものはなるべく減らしていくという考え方のほうが私は正しいと思うのですが、政治家三木武夫氏の所見をひとつ承わりたいのです。
  83. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私はこの答申、ここに書いてありますのを読んでみて私なりにこういう解釈をしておるわけです。これはむろんこれ以上新設をしないとここで私は言いました。それから場外売り場も増設は認めない、こういうひとつの現状維持の中で、現状維持というか、この答申に現状維持というような線を強く打ち出しておりますが、しかしできればこういうふうなことは、いろいろな寄与をしておるといっても、弊害の面も非常に多いと思うので、漸減のほうがいいと私も思うのです。しかしにわかにということになればいろいろな摩擦も起こるものですから、この五年間という審議——板川さんはいろいろこれは存続のための五年間だというが、この五年間という間に根本的に検討してみたらいい、こういう競輪のごときものは。そこで将来さらにこういう競輪を続けてやるのか、あるいはまたこういうものを廃止するのかということは、そのときに、やはり五年の間にひとつ根本的な将来の方向というものを検討したらいい、こういうふうに私は五年間というものは受け取っておるのです。だから考え方としては、これを奨励しようという考え方ではないわけであります。ただしかし、こういうものができ上がりますと、やはり少しある期間を置いて検討しないと、あまり理想だけに走り過ぎても混乱が起こりますから、そういう点で慎重にお答えをいたしておるわけでございます。
  84. 板川正吾

    ○板川委員 重工業局長、大臣は重要な発言をされていますよ、あなたは内容をわかっておるでしょう。五年のうちに存続するか、廃止するかもひとつ考えていきたい、こう言っております。そういう慎重な審議を必要とする、これは競輪全体の話ですよ、場外車券の話だけじゃないですよ、いまの話は。いまの大臣の議論を、公営競技調査会で三十六年に議論したのです。しかしそれからあと三、四年たてば十年近くなりますから、もう一ぺんその廃止か存続かということもやはり議論していくという大臣の考え方は、私は正しいと思うのです。そして地方財政に寄与すると言ったって、これは水害にあったとか、戦災にあったとかいうところでしか競輪の開催を認められていないのです。一般のところは競輪開催をやってないのです。その開催を認められた理由は、戦災復興や水害復興のために認めたのですから、もう二十年も二十五年もたてば、そういう前提は大体なくなってくる。だから大臣が、存続するか廃止するかということも含めて、次の五年以内にもう一ぺん慎重に審議すると言うことは、私は正しいと思うのです。その意味でいまの大臣の見解を大いに……。
  85. 三木武夫

    ○三木国務大臣 いま答弁の中に存続というものを前提にしていろいろな答弁もしておるようですが、こういう制度というものは、やはり絶えず政治の検討の課題になる。しかし、現状においてあまり弊害が起こらない、社会的にこういうものは廃止すべきであるというような、そういう声が起こらずに——どこの国でもやはり競馬もありますし、イギリスなんかドッグレースなんか、わりあい大衆娯楽として育っておるような面もあって、そういう面で大衆娯楽として定着するならば、こういうものの存続を考えていいわけですから、そういうことで、この問題は板川さん、私が廃止のほうに重点を置いての答弁だということで、重工業局長もいろいろ材料を持ってあわてておるようですけれども、そういう廃止に重点を置いた答弁ではない。しかしこのようなものは、やはり絶えず政治が、そのことからもたらすいろいろなプラス面、マイナス面を考えて検討する課題である。やはりこれから五年もたってくるといろいろな変化もあるだろうし、そういうときに再検討してみるということは、政治として当然のことだと思うのです。それを廃止だ廃止だというふうには受け取らないでください。そうなってくると、いろいろ総理も答弁しておるようですが、食い違うわけです。五年という歳月は相当な歳月で、こういういろいろ社会的な反響のある問題は検討してみるという私の考えで、このことが、従来の存続していこうという方針をくつがえすという答弁ではない。一つの政治家として当然なことを言ったのだというふうにお受け取りを願いたい。
  86. 板川正吾

    ○板川委員 ごもっとものようで、ごもっともでない点がある。こういう制度は常に十分な監視をして、必要があれば廃止するという勇断を持つ必要もあろうと思います。ただ私が当面議論をここで結論的に出したいのは、少なくとも従来とってきた、場外車券売り場は一定の基準に達したらやめるんだ、本場だけ——私も行ったことはないですが、木場だけでやるのだという方式、この方式だけは当面貫いてもらいたいと思うのです。これまで現状維持だなんていうような解釈をして——この公営競技調査会で現状維持かのごとく答申しているのは、当時通産省が漸減方式をもうとっておったのですよ。そのとっておることも承認の上で、この答申が書かれておるとわれわれ解釈しておるのですよ。だから少なくとも漸減方式という従来の方式はとってもらいたい。この設備を若干改善するについて、従来の一年の猶予期間を若干延ばすということがこの際やむを得ないというなら、われわれ目をつぶるにしても、それを漸減方式をあたかも変更するようなこと、十カ所だけは永久に置けるがごとき考え方は、はっきりしてもらいたい。すべきではない、こう思う。大臣じゃないけれども、できれば将来これはやめる方向に常に考えていくべきだ。そういうことを結論として私は申し上げたい。この点は大臣も同感だろうと思うのです。
  87. 三木武夫

    ○三木国務大臣 漸減方針は変更いたしません。そういう考え方、そういうワクの中でものを考えていこうとしております。
  88. 石野久男

    ○石野委員 関連して。いまの一定基準に達したものはなるべくこれはやめさせるということについて、今度は基準の設定のしかたですが、先ほど重工業局長から、物価が上がってくるとかなんとかによってまたこれが漸次移動して、確定された基準の設定がまただいぶあやふやになってきておる。こういうことになりますと、いま大臣の答弁があったりいろいろしますけれども、結局はやはり通産省は奨励しているやに見える。こういう法の解釈のしかたは、先ほどメートル法の問題で、田中君から解釈問題がずいぶん質問されておったのですが、今度の場合でもやはりその点が非常に重要だと思うのです。その点通産省はどういうところに考え方の基底を置いているのかということが一つ。それから先ほど重工業局長から現在一億円の売り上げ以上になっておるものはあるけれども、これは地方財政等に寄与があるので、一応これをやめさせることをしないでおるのだという御答弁がありました。これはいま全国でどのくらいありますか。三カ所ということでなく明確にどことどこというふうにはっきりしてもらいたい。
  89. 川出千速

    川出政府委員 順序が逆になるかもしれませんが、一億をこえておりますのは函館の場外の札幌、伊東の場外の清水、観音寺の場外の高松の三カ所であります。  それから一億円、あるいは過去は五千万円だったのですが、その解釈の基準というお話でございますが、これは法律上は全然書いてないわけであります。法的には設備、あるいはその場外場の位置の問題等を言っておるだけでありまして、これは先ほど田中先生のお話がございましたが、純然たる行政指導でやっておるわけでございます。いわば相当強引なやり方をして、念書を取り上げて、それをこえたら許可を取り消すぞという非常に強い行政指導をしておるわけでございますので、この辺は経済情勢その他とにらみ合わせて考えたい。現在は一億ということできたわけでございます。
  90. 石野久男

    ○石野委員 この基準のとり方については、公営調査会の答申もそんたくしつつ、法的規定ではないけれども、できる限り行政指導としてそういう方向をとっておるということは、私はそれはけっこうなことだと思っております。ただしかし、せっかくそういういい行政指導をしているにもかかわらず、現在三カ所なら三カ所のところで、その行政指導の範疇をこえたものをなお認めるという実情が出ております。この売り上げ高がどの程度のところまではまだ認めているのか。その行政指導の範囲をこえてはいるけれども、まだ一応認めているという、この範囲の問題ですね。これだっていつまでもこれを野放しにするというと、かえってせっかくいい行政指導というものはむだになってしまうということになってまいります。だから、私はここでそういう額の問題をこまかいことまでお聞きするのはどうかと思いますけれども、いずれにしても、それらの問題もある幅があるだろうと思いますから、その幅をこえた時期には早晩公営競技調査会等の方針に基づく廃止の方向へ持っていくのかどうか。それは当分まだずっと五年間なら五年間様子を見ようじゃないかという範囲の中へ入れてしまって、それを野放しに置いておくのかどうか、そこらのところをこの際ひとつ聞かしておいていただきたい。
  91. 川出千速

    川出政府委員 五年間野放しにしておくということではございませんので、今後の情勢等もよく検討しながらいきたいと考えております。
  92. 板川正吾

    ○板川委員 それから、最近テレビ、ラジオ等で競輪、競馬の開催について宣伝をする機会がやや多くなった、こういう傾向があります。これは公営競技調査会の答申を審議した際に、長沼委員長が私の質問に答えてこう言っています。例は、あるときある地域へ行ったら花火を上げておった。何だろう、お祭りかなと思ったら、それは競輪、競馬の開催を知らせるんだ。景気のいい音だ。あまり奨励するようなかっこうになっておるし、それからテレビ、ラジオ等ではコマーシャルで、どこそこの競輪、だれそれが選手でというようなことが出ておって、そういうのは宣伝としてあまり好ましい方向ではないということを言ったらば、長沼参考人は、全く同感で私もやめるべきだと思う、こういうことを言っておるのですね。その後指導によって、ラジオ、テレビにおける競輪等の宣伝というのは少なくなりました。少なくなりましたが、最近またちょいちょい始めてきておるようなことがあります。こういう点は、ひとつ最初の方針どおり、テレビ、ラジオ等で宣伝するようなことのないように指導してもらいたい、こういうことを要望いたします。  いずれにしましても、大臣、あまり好ましい制度じゃないのですから、ひとつ常に廃止の方向ということを念頭に置きつつ、十分な監督あるいは指導をしていただきたい、こう思います。  以上をもって終わります。
  93. 天野公義

    天野委員長 次会は明十三日水曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十三分散会