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1966-03-09 第51回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月九日(水曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君    理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君    理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君    理事 中村 重光君      稲村左近四郎君    内田 常雄君       小沢 辰男君    海部 俊樹君       神田  博君   小宮山重四郎君       田中 六助君    中村 幸八君       三原 朝雄君  早稻田柳右エ門君       石野 久男君    沢田 政治君       實川 清之君    島口重次郎君       田中 武夫君    田原 春次君       山崎 始男君    栗山 礼行君       加藤  進君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  竹中喜満太君         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         通商産業政務次         官       進藤 一馬君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         通商産業事務官         (軽工業局長) 伊藤 三郎君         通商産業事務官         (繊維局長)  乙竹 虔三君         通商産業事務官         (鉱山局長)  大慈彌嘉久君         中小企業庁長官 山本 重信君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  原山 亮三君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局次長) 両角 良彦君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三二  号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 独禁法改正案の審議に関連いたしまして、公正取引委員会並び通産省その他に御質問いたしたいと思います。  最初は、実は総務長官にお伺いしたいと思っておったのですが、総務長官参議院予算で出られないようですので、公正取引委員長にお伺いいたします。  三月八日号の「エコノミスト」はごらんになったと思うのですが、その最初の「展望」というところに「公取委ドン・キホーテぶり」こういうことで若干ひやかしたような記事が出ているわけなんです。最後には「この公取委ハッスルぶりが巨大な風車に立ち向うドン・キホーテの姿に似ている」といっている。私は、最近の公正取引委員会の姿勢については敬意を払っているわけなんですが、それはこの「エコノミスト」の冒頭にも「カルテルに挑む公取委」あるいは「ハッスルする公取委」こういうようにいわれており、確かに最近の公正取引委員会ハッスルぶりというのは、われわれも敬意を表しています。しかし、これは当然のことなんです。経済憲法といわれる独占禁止法を守るという立場からいえば、当然の任務を遂行しているにすぎないわけです。ところがこれが、ハッスルする、あるいは張り切っているとかいわれるということは、いままでの公正取引委員会が当然のことをやらなかったということにもなるのではなかろうか、こう思うのですが、あえて北島さんが委員長になったからハッスルしたとは思えないのですが、最近の公正取引委員会カルテルその他の取り締まりあるいは監視、そういうことについての基本的な考え方及び、これはちょっといやな質問になりますが、竹中事務局長に、北島委員長以前と今日とはどう変わったか。北島さん以前のことを北島さんに聞くのはどうかと思いますので、これは引き続き事務局長の席にあった竹中事務局長に、同じ考え方できておられるはずなのに、今日「ハッスルする公取委」とこう一般にいわれるのは一体どういうことなのか。いままでは少しのんびりしておったのではなかろうかと思うのですが、その辺のところを委員長事務局長にお伺いいたします。
  4. 北島武雄

    北島政府委員 これは世論はいろいろで、自由だと思います。ある行為に対して、それに対する価値判断、いろいろ見方はあるわけでございますが、ただ公正取引委員会は何もいま始まってこういうことをやっておるわけではありません。公正取引委員会として当然なすべき仕事を私といたしましても渡辺委員長からしておったことをそのまま引き続いてそれを発展さしておるというだけのことでございます。ただし時節時節でございますので、私どもといたしましてもわずかな人数で、そうして独占禁止法運用に当たります場合におきましては、できるだけ効果的な運用をはからなければならないわけでございますので、現在物価対策等非常に喫緊の要務でございますから、私どもでも物価対策に多少でも意味のある仕事はできるだけお役に立つようにやっていきたい、こう考えて仕事をしておるわけでございます。もちろん公正取引委員会は決して価格統制機関ではございません。一たび公正取引委員会のことが新聞、雑誌に載りますと、まるで公正取引委員会物価統制の万能の神様のようなことまでいわれることがございますが、とてもそんなことを私ども考えておるものではございません。あくまでも独占禁止法の厳正なる運用ということによって、いささかでも現在の経済政策にお役に立つことをやるというだけのことであります。ただし、そうなってまいりますと、当然のことをやっておりましても、これは世間の人の見る目が違ってきておるのじゃなかろうか、こういう感じが多分にいたします。たとえば従来やっておりましたことが、たまたま私のこの時期になりまして効果をあらわして、そして勧告なり審判開始決定なりをする、そういう時期に際会しておりますので、いままで新聞で書かなかったのを一斉に書くというようなものでございます。それからまた、私就任いたしましてたとえば新聞の料金の値上げがございましたが、あのときに審査いたしましたが、新聞はほとんど一言も書いておりません。したがって公正取引委員会は何をしておるのだ、こういうことにもなりますが、ひとたび新聞値上げ事件がおさまりますと、今度は物価戦争というようなことでお書きになる。そうすると、私どものやっていることが目についてくる、こういうこともあり得るのでございまして、私は決して特にドン・キホーテぶりをやっているつもりはございません。当然独占禁止法上与えられた仕事を私の職責としてやっているだけ、こういうふうに考えております。
  5. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 北島さんが委員長になられましても、渡辺さんが委員長のときと業務運営の方法は変わっておりません。私ハッスルということばはあまり好かぬのですけれども、いままでも同じようにやってまいったのでございますけれども、最近物価問題が非常にやかましいものですから、御承知のようにセメントの問題を取り上げますと、前は経済面にわずか小さく出ておったものが、今度は社会面で取り上げられるというようなことで、外では公取はえらくハッスルして物価対策をやっておるというような印象を受けると思いますが、私どもとしましては渡辺委員長のときも北島委員長の場合も同じように熱心に業務運営をやっておると思います。
  6. 田中武夫

    田中(武)委員 あえて渡辺さんがどうだと、ことになくなった方について言っているのじゃないのです。とにもかくにも、いま委員長事務局長が言われましたが、同じ態度でやっている、それは当然でしょう。しかし今日公正取引委員会は見直されつつあると思います。しかしこういう経済誌等ドン・キホーテといったようなことが書かれるということは、その背景に何があるかということを考えねばならないと思います。というのは、ここにもありますように、巨大なる風車に刃向かうドン・キホーテぶり国民はどこまで期待しておるだろうか、そういった書き方なんです。ということは、公取がいかにがんばっても、あるいはいかに張り切ってもそう大きなことは期待できないということが裏に隠れておる。そのことはまず独禁法に対する経済官庁といいますか、通産省もそうだろう、あるいは経済企画庁その他もそうだろうが、それがあまりにも独禁法ということを重視をしていない。あるいは財界もそういうような考え方を持っておる。またジャーナリストもそういうような考え方を持っているところに、公正取引委員会がいかにハッスルをしてみてもたいしたことじゃない、こういうような評価が出るのではなかろうかと思うのです。そのことはこれに書いてある限りであって、別に私佐橋次官がそういう考え方を持っておるとは考えておりません。しかし佐橋通産次官などは「すでに、はっきりと「物価対策としてのカルテル取締りを強化するのは問題だ」」、物価対策のことでカルテルを問題にすることは問題だ、こう言うておられる。そういう考え方がほんとうに通産省にあるとするならば重大です。大臣がおれば大臣次官がおれば次官、いなければ——官房長もいなくなったし、ここにおられる通産省のおえら方どなたでもけっこうです。佐橋さんがそういうことを言ったか言わぬかということを聞いておるのではない。そういうことが出ること自体が、通産省あるいは経済企画庁等独禁法に対する態度カルテルに対する態度がうかがえると思うのですが、通産省のお歴々いかがです。
  7. 両角良彦

    両角説明員 通産省といたしましても独禁法の目的に書いてございますように、国民経済の健全な発展をはかり、かつ消費者利益を擁護していく意味におきまして独占禁止法の存在と役割りは非常に重要であると考えております。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 いや紋切り型で答弁してもらっては困る。物価対策としてカルテルを取り締まることには問題がある、カルテル取り締まりを強化することは問題があるという考え方、これは通産省に流れておる考え方ですか、そうではないですか。
  9. 両角良彦

    両角説明員 御承知のように独占禁止法自体物価対策のための立法ではございませんが、その効果におきまして物価上昇抑制という効果と結びつくということは、広い意味国民経済の健全な発展のためにわれわれとしては好ましいことだと考えております。
  10. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろんこの私的独占禁止法物価対策だけを考えておるのではないのですが、物価の問題については大きなウエートを持った法律です。自由なる競争と公正なる取引確保することによって中小企業あるいは消費者独占寡占等から守ろうというのです。したがって一般消費者の面からいうならば物価に結びつくわけなんです。したがって物価対策独禁法を考えずしては私たちできないと思います。その点については、これは経済企画庁のほうが適当かと思いますが、通産省いかがですか。
  11. 両角良彦

    両角説明員 独禁法におきましては、特に価格協定というものにつきましてはきわめてシビアーな態度で臨んでおられると思います。そういう意味におきまして現在行なわれておる価格面でのカルテル行為というものが、かりに独禁法上正当化されないものがあるといたしましたなら、さような面について独禁法が本来の機能を発揮いたしまして、全体の消費者物価上昇に対してある程度の抑制効果を持たれるということは、私どもとしてもけっこうなことだと思っております。
  12. 田中武夫

    田中(武)委員 エコノミスト冒頭の「展望」にこういうようなことが書かれるということ、私はその背景は深いと思うのです。そのことを端的に言うならば経済庁といいますか行政庁独禁法という法律、大きく言うなら法体制に対して甘く見ておるといいますか法を軽視しておる、財界またしかり。そういうことがこういう短い一文の中にあらわれてきておると思うのです。そのことについては逐次明らかにしていきたい、このように思います。  そこで軽工業局長にお伺いいたしますが、業者と役所、具体的にこれから取り上げるのは、軽工業局長に入れました念書です。そういうものは一体どういう効果を持っていますか。さらに役所の間に覚え書きというものを交換する、通産省と厚生省、あるいは建設省、こういった間において何か法律ができたときにその法律の施行にあたりまして覚え書きの交換をやる、この念書覚え書きはいかなる効果を持っておりますか。
  13. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 業界から入れました念書は、業界として念書に書いてあるような行為をいたしますとかあるいは書いてあるような行為はいたしませんということの意思表示でございまして、かりにその念書に違反いたしましてもそれに対して法律上の制裁というようなものはない。道義的なも  のであるというふうに考えています。
  14. 田中武夫

    田中(武)委員 道義的なというのは、その念書を入れた者が、相手方の、すなわち何々局長に負うべき道義的責任ですか。
  15. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 その提出した相手方役所に対する道義的な責任と考えます。
  16. 田中武夫

    田中(武)委員 先日沢田委員が当委員会でいわゆるアンホのことについて若干の質問をいたしました。それに関連をするわけなんですが、昭和三十九年七月十六日協同アンホ製造株式会社取締役社長高野太治郎から当時の軽工業局長倉八正さんに念書というものが入っております。それはあなたもお持ちでしょうから内容は読みません。これは火薬類取締法によって製造販売を認可したのではないのですか。製造販売を認可するに当たって、なぜこういう念書を必要とするのか。軽工業局あるいは通産省火薬類取締法の定むるところによってその製造販売を認可したらいいんじゃないですか。認可するに当たってその認可に条件をつけるというがごとき行為はどうなんです。そういうことは法律のどこに書いてありますか。覚え書きあるいは念書を入れなくてはならない法律的根拠はどこにありますか。
  17. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 協同アンホが三十九年の七月十六日付で通産省のほうへ出しました念書について、火薬類取締法上にそういう意味条件をつけるというような根拠はございません。
  18. 田中武夫

    田中(武)委員 法律になく、それでは通産省の内部における規定、省令あるいは政府の出す政令、そういうことに、そういうことの根拠はありますか。
  19. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 この念書協同アンホ株式会社のほうから提出をしたものでございます。それを通産省として受理したわけでございますが、通産省設置法にありますように、たとえばこの場合でありますれば、火薬類を含めまして化学工業品生産流通増進改善というような字句がございますが、そういう条項に基づいていろいろ行政指導をいたしておるわけでございまして、そういうものの一環としてこういう念書の受理もいたしておるというふうに了解をいたしております。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、あなたは先ほど法根拠がないと言ったが、設置法のどこかからか出てくるのですね。示してください。
  21. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 通産省設置法の第十一条、軽工業局任務のところに、「左に掲げる化学工業品雑貨工業品等輸出輸入生産流通及び消費増進改善及び調整を図ること。」とあって、その最初に「ソーダ、火薬その他無機化学工業品」というのがあります。この規定に基づきましていろいろ行政指導をやっておるわけでございます。先ほどこの念書につきまして、火薬類取締法上としてはこういう条件をつけているという規定はないということを申し上げたわけです。
  22. 田中武夫

    田中(武)委員 では、十一条のどこですか。
  23. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 十一条のいま読み上げましたところでございます。
  24. 田中武夫

    田中(武)委員 十一条全体が出てくるのですか。それとも、この「増進改善及び調整」という「調整」に当たるのか、「改善」に当たるのか、「増進」に当たるのか。
  25. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 「生産流通及び消費増進改善及び調整」、その全部だと思います。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 この全部に当たるのですか。では、この条文はどういうことを書いているのですか、「増進改善及び調整」というのは。——一つずつ聞きましょう。「増進」ということはどういうことか。「改善」とはどういうことか。「調整」とはどういうことか。
  27. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 これは輸出輸入生産流通消費、それぞれにつきまして増進の場合もあり、改善の場合もあり、調整の場合もある。たとえば輸出でありますと、輸出の振興をはかるというような増進のものもありますし、生産について、生産合理化をはかるというような改善もあります。流通面において調整をはかるというようなこと、いろいろあると思います。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは、この念書、これは何に当たるのですか。増進ではありませんね。
  29. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 生産流通調整ということに該当すると思います。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 この三つに当たるのですか。三つのどれに当たるのですか。
  31. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 主として流通調整でありますが、さらにそういう面から生産の面の改善調整ということにも関連してくると考えます。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 十一条は軽工業局所掌事務を定めた条文ですね。
  33. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 軽工業局所掌事務でございます。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 その根拠は四条にありますね。したがってそれは法に基づかねばならない、こう解釈しますが、いかがですか。所掌事務ならば四条の定むるところ——それは法によって定められたるものということなんです。
  35. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 この十一条の基本になりますのは、設置法の第三条通産省任務、その二にございます。そういう三条規定をさらに各局別に分けて規定をしておりまして、その軽工業局関係のものが十一条でございますので、十一条の基礎は三条であります。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 三条の二号の調整ということはいままで何回か議論をし、予算委員会で私が大臣とも議論し、その後分科会かあるいは当委員会でも出した問題です。任務権限所掌事務を明らかにしてください。任務とはどういうこと、所掌事務とはどういうこと、権限とはどういうこと、これは前からぼくが問題として指摘しておるんだ。こういう覚え書きというようなものはしょっちゅう書かしておるのですよ。常にやっておられるのですよ。そのことについて質問をしたら直ちに答弁ができぬというのは一体何です。あなた方は自信がない上に立ってそういうことをやっておったのですか。しかも火薬類取締法という法律には、その許可の基準、手続全部を法定してあるのです。条件をつけろというような規定はありません。この法律をことごとくあなた方は三条通産省任務、二号の調整によって変え得る、制限し得る、と解釈しておられるのですか。ここが問題だと言っておるのです。法律規定制限することができるという解釈をしておられるのですか。
  37. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 三十九年七月の協同アソホ念書は、火薬類取締法許可を受ける時期に出したもので、そういうことを引用しておりますが、私ども先ほど申しましたように、取締法上そういう条件法律的な義務として課すことはできないというふうに考えております。したがいまして、たまたまそういう時期に出された念書ですので、そういう字句を引用しておりますが、火薬類取締法上やったものというふうには考えておりません。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 法律によって許可をし、法律によって監督をするのでしょう。法律にないことをなぜやったのです。あなた方の先ほどからの答弁をもってするならば、設置法三条の二号の規定によっていかなる法律にも制限を加え得るというあなた方の解釈になりますよ。まさに行政権の法に対する挑戦である、そうではありませんか。
  39. 伊藤三郎

    伊藤政府委員 火薬類取締法によりまして、製造設備許可をいたしております。これはあくまで火薬類取締法規定に従ってやっておるわけであります。そのほかに軽工業局としましては、火薬類につきましては他の化学工業品と同じように生産流通について増進改善調整等任務を持っておるわけであります。そういう面の任務に基づいてこの念書は受理したものでございます。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、この念書自体は、これは法律的に意味がない。そうであるけれども差し入れた者とあなた方の約束である、そういうことになるだろうと思うのですが、このことはまさに火薬類取締法の定むる製造あるいは販売についての規定制限したものと違うのですか、どうなんです。それが設置法三条二号の調整でできるということならば、あらゆる法律制限を加えること  ができるのですよ。重大なる問題です。  委員長、これは内閣法制局長官を呼んでください。そうでなければ、こういうことが許されるということであるならば、いかなる法律をつくっても全部三条二号の調整によって制限ができる、コントロールができる。そういうことになるなら立法意味はありません。
  41. 天野公義

    天野委員長 法制局長官はただいま参議院予算委員会へ出ておられるそうですが、次長ではだめですか。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 それではこの問題はあとに残します。あらためて法制局長官に出てもらい、この前私、官房参事官設置法の問題について質問をし宿題を出しておりますので、そのこととあわせて後日やることにいたしたいと思います。  そこで質問を続けたいと思うのですが、経済企画庁国民生活局長が出席しておられますが、御承知のように実はいま私的独占禁止法改正案を審議しております。われわれの考えとしては、私的独占禁止法国民生活に大きな影響を与えるといいますか、私は保護の立場に立つ経済憲法であると考えている。経済企画庁私的独占禁止法をどう把握しておるか、そしてカルテル取り締まりの強化についてどのように考えておりますか。
  43. 中西一郎

    中西政府委員 お話し国民生活あるいは消費者利益についての規定独禁法第一条にも明記されておりますし、公正かつ自由な競争を通じてそれが実現される、こういうことについてはお説のとおりでございます。カルテル等についていまとやかくの議論がありますけれども、やはり大筋としては公正競争、自由な競争を通じてということが企業そのもの体質改善にも役立つことでしょうし、国民経済全体の利益にもなるでしょうし、同時に消費者利益にもなるということはそのとおりであると思います。それで、私どもの局といたしましては私的独占禁止法を執行する立場にあるものでございませんが、国民経済全体の中で国民生活に関係する場合について総合調整をするというような仕事をいたしておるわけであります。そういう観点から非常に大きな関心を持っておるわけでございます。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 現在公取が認可した不況カルテルは十七あるわけですね。もちろんこの不況カルテル独禁法二十四条の三の条件に従って認可せられたのだから一応適法なカルテルとは言えると思うのです。しかしこの不況カルテルは、半面を見ればやはり価格維持価格の値下がりを防ぐということに対して大きな役割りをいたしております。経済企画庁不況カルテルについてどう考えていますか。
  45. 中西一郎

    中西政府委員 お話しのとおり生産制限あるいは価格協定がございますと、その下がるべき価格が下がらないということは当然あると思います。ただ、その不況カルテルを認可する場合にいろいろむずかしい条件がありますけれども緊急避難的に期限を付してその間はやむを得ない、こういう措置は、国民経済全体の中で企業あるいは当該産業立場消費者あるいは国民生活立場の両方をよく勘案した上で、公正取引委員会あるいは産業関係のほうで調整願うべき事柄である、あくまで緊急避難として考えていただきたい、かように考えます。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 不況カルテルについては、緊急避難的ということは、私の予算委員会における質問に対して藤山経済企画庁長官もそう答えました。予算委員会は時間がなかったのでそのままにいきましたが、緊急避難には一定の要件があるわけです。緊急避難の要件をお伺いします。これは刑法上の要件じゃないです。刑法にも緊急避難がありますが、そうでなくて民法上のというか——まあこれは同じ概念に立っていますがね。緊急避難とはどういうときに成立するか。
  47. 中西一郎

    中西政府委員 緊急避難的と実は申し上げたのですけれども当該産業が非常な不況な事態におちいりまして、そのことが国民経済全体に相当重要な影響を及ぼすというようなことになりますと、やはり何かの形での措置が必要になってくると考えられます。その具体的な事態につきましては、お話の十七業種それぞれ事態の判断がなされたことであると思いますが、そういうふうな具体的なケースについてそれぞれ考えていく事柄であると思います。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 緊急避難ということばでそれを説明する、あるいは私もそういうことばしかないんじゃないかとも思いますが、緊急避難とは避けようとする法益とそれによって被害をこうむる法益の均衡ということが一番土台なんですよ。一番土台に考えなくちゃいけない。不況カルテルにおいて避けようとする法益といいますものはその産業であります。ほうっておけば採算割れをして倒産するかもわからぬ産業であり、片やは国民大衆である。この緊急避難としての要件——私的独占禁止法では不況カルテルを認めるときのいわゆる実質的要件、形式的要件がそれぞれ書いてあります。やはり北島委員長緊急避難をもって不況カルテルを考えるべきと考えていますか。
  49. 北島武雄

    北島政府委員 たとえといたしましては、緊急避難的ということばが適当であろうと思います。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 いま言ったように、法益の均衡、それから例外的の例外措置である、こういう上に立って考える。そこで一つの例として繊維の不況カルテルをあげてみたいと思います。  乙竹繊維局長にお伺いしますが、繊維新法の考え方と、繊維の不況カルテルというよりか、むしろそのことによって縮小再生産の方向へ進んでおるように考えられるこの考え方と相矛盾いたしませんか。
  51. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先生御指摘の繊維新法の考え方不況カルテルというお話でございますが、あらためて申すまでもなく、旧法におきましては、国が需給調整責任をとって、いわば限界企業の発達振興をもはかったのが旧法であったかと思うわけでございまするが、新法におきましては、その考え方を捨てまして、自由競争原理を導入しよう、これは新法がすなわち自由競争を現出したのではなくて、新法は私は経過法であるというふうに思うわけでございまするが、四年後においては、自由競争状態を現出させようということの目標を示しまして、その間ある程度の冷たい風に当てよう一ある程度の冷たい風と申しますのは、政府責任を持った需給調整はやらない、新法施行当時に一ぺんだけやっておきまして、あとはやらないというふうなことで新法はスタートいたしたというふうに思うわけでございまするが、こういう新法の精神から申しますと、極力業界を鍛えますために、これを冷たい風に当てるということが望ましいし、必要であるというふうに法律からいうと確かになると思います。ただまことに遺憾ながら、綿糸を中心といたします繊維の不況はあまりにも深刻、激烈でありまして、これを放置いたしますと、先ほど先生のお話になりましたような綿糸の業界のみならず、それに関連する業界に対して相当大きな壊滅的な打撃を与えるということのために、やむを得ず不況カルテルというものを認めたと私は思うわけでございます。認めたと申しますのは、あらためて申すまでもなくこれは業界の自主的な契約でございまして、それに対して独禁法上認めるべきか認めざるべきかという権限公取委員会が持っておるわけでございますが、通産省として協議を受け、これは必要であるというふうに認知したわけでございます。ただこれが縮小生産になるのではないかというもう一つの御質問でございますけれども、私考えますのに、不況カルテル的なことを長くやっておる場合においては、これはお説のようになる心配が非常にあるというふうに思うわけでございます。ただある非常時点を乗り切るためにやむを得ずとったというふうに考える次第でございます。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 これも緊急避難の論法の上に立っているわけです。しかしいまあなたのおっしゃったように、繊維新法は自由なる競争ということを踏まえて、精鋭化といいますか、設備の新鋭化を考えての法律ではなかったのですか。
  53. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 繊維新法のねらっておりますところは、先ほど申し上げましたような四年後の自由競争状態に対する準備をいたしたことが一つ、もう一つは、スクラップ・アンド・ビルドということでいわゆる表明されております法律施行当時におきます過剰設備、これを封緘いたしまして、それを二台つぶせば一台つくりてよろしいということと、もう一つ、二台つぶせば一台解除してよろしいということと、御承知のとおり二つの方法があるわけでございますが、その前者の二台をつぶせば一台つくってよろしいという方法論は、お説のとおり新鋭化をはかったものというふうに考えます。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 日本の繊維業といいますか、これには体質的なものがあると思います。その繊維の歴史はやはり調整発展調整ということを繰り返してきたわけです。ところが今日では後進地域といいますか、香港などはいい例だと思いますが、あるいはまた韓国においても日本の紡績界が出かけていって合同でやろうとしておる、そういうことを考えた場合に、いまもっと前向きなことをやらなければ、調整だあるいは不況カルテルだ、こうやっておれば世界の市場をますます狭めていくのではないか。繊維の、ことに紡績問題については、日韓の関係のことについては後日その問題だけでやりたいと思っております。保税加工工場の問題等についてもやりたいと思っておりますが、いま申し上げているのは、不況カルテルという温室の中で安眠をむさぼっておるならば、目がさめたときには世界の市場は後進国によって占められている、そういうことが考えられる。繊維局長としてはそういうことを頭に置きながら不況カルテルについて今後どう指導していくか、あるいはこの不況カルテル先ほど来論議があるように例外的の例外措置であり、緊急避難的なものであるとするならば、そう長らく存続さすべきものではない。どう考えておりますか。
  55. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 お説のとおりでございまして、昨年の十月、不況カルテルを結びたいということで、業界側からの意向表明がございましたときに、不況カルテルは便宜的な一時の措置であって、あなた方は根本的な構造改善の対策を考えなければいけません、それを条件にして通産省としてはやむを得ざるものとして認めますということをはっきり大臣業界代表に述べております。それから、今回はまだ業界は最終的にまとまっておりません。ただ新聞で報道されておるように、おおむねそういう方向にいくのではないか、またいった場合に、これもまことに残念なことではございますが、やむを得ざる客観的な事態はあるかというふうに思うわけでございますけれども、御指摘のように、不況カルテルはこれは目的ではございませんで、私はやむを得ざる手段であるというふうに考えております。手段と申しますのは、いま御指摘のように、日本の繊維産業、特に綿を中心にいたします繊維産業は、外は後進国の競争者、また先進国のマーケットの狭隘化、内は労働条件の変化、またいわゆる合成繊維の進出というふうな構造的な条件がございまして、この辺の条件の変化による立て直しを根本的にやらなければ、おっしゃるとおり綿関連産業の不況は永続的なものになるであろうというふうに心配されるわけでございます。こういうふうな構造問題を乗り切っていきますために、通産省でも昨年の暮れから繊維工業審議会と産業構造審議会の合同の審議会を設けまして、鋭意根本的な対策を検討中でございますが、ただいま私が手段と申しましたのは、いずれにせよ資本主義機構でございますので、この繊維産業の脱皮はあくまでも、いわゆる労働集約産業から資本集約産業へ脱皮せざるを得ないのではなかろうか。そういたします場合に、あくまでも中心になるのは業界の自分の力——自分の力と申しますのは、片一方は体制整備がございますし、片一方は合理化投資があるということで、どうしても合理化投資が必要ではなかろうか、そういう合理化投資を確保するためには、業界の収益力をある程度保持するという点が必要ではなかろうかと考える次第でございます。ただ御指摘のように、収益力をあまり考えますと、その点限界企業の温存になるという点がございますので、十分戒心しなければならぬというふうに思っております。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 通産省の繊維業界指導理念に二つの相矛盾したものがある。と申しますのは、自由競争というものを踏まえて、そうして繊維新法によって、設備の近代化等々によっていわゆる生産性を向上し、国際競争力をつけていこう、それまで時限立法によってまず保護しようといいますか、措置をしようという考え方。もう一面は、いま言った不況カルテルの指導、これは相反する理念の上に立っています。どちらが通産省の真の考え方かといえば、当然前者でなくてはならないと思います。これは見方によれば、繊維新法によって自由競争のための準備を与える一つの保護といいますか措置がとられておる。その中においてなおかつ不況カルテルによって緊急避難的に急場を乗り切るための措置がとられておる。二重の保護というか措置である。こういう中にあって、繊維業界、紡績業界を安眠させてはならない。風に当てるべきである。同時に、そのことが一般大衆に安い繊維が入るにかかわらずその価格を維持しているという役割りを果たしているとするならば、基本的な理念の上に立って、あなたは早く脱皮するように、早く国際競争力をたくわえて出発するようにしてやるべきであり、またそうせねばならない。いまは不況だからという不況カルテルの指導と相矛盾しておるので、通産省の真の考え方をひとつはっきりと言ってください。
  57. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 いまお話しのように、表面的には一応矛盾しておるようでございますし、また運用のしかたによりましては惰眠をむさぼらせる危険性が多分にあることは、われわれ十分戒心をいたしております。ただ真のねらいは、構造的に重大な変革期を迎えた繊維産業を脱皮させますためには、国際競争力をもう一ぺん備えた強い繊維産業に鍛え直さなければいかぬというふうに考えております。これを中心にして、施策いたしております。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 また別の機会に論議いたしたいと思いますが、繊維の生産調整不況カルテル、こういうことと、私はいつも思うのですが、商品取引所における三品取引ですか、これとは相矛盾しておる。この前もこういう議論を展開したと思います。きょうは企業局長にかわって法律に強い両角氏が見えておりますので、この間のことをもう一度おさらいをしてみたいと思います。  私は、生産面における調整、あるいは同じ繊維の中でも天然繊維と合成繊維は違うと思う。これがともに取引所において自由なる競争及びある程度の自然的現象というか将来への危険担保、こういうものを加味しての商品取引所は相矛盾しないかということが一点。さらに商品取引所はなぜ存在するのか、存在の理由。なぜ存在せしめねばならないのか、それは投機である、こう言われておるが、この行為とギャンブルとの違い、さらに商品仲買い人のモラルの問題について逐次御答弁を願います。
  59. 両角良彦

    両角説明員 取引所問題につきましては、御指摘のとおり、いろいろ問題がございまして、特に第三者である一般の方々の商品取引への介入ということがたいへん多くなりまして、それが不測の事故を来たさないためにいわゆる委託者保護という見地から所要の法律改正を将来において行なう必要があるのではあるまいかということで、目下取引所審議会においていろいろ検討していただいておる現状でございますが、しかし取引所機能そのものの変更の問題ではなくて、むしろ第三者、一般委託者の保護という見地からの検討をお願いする次第でございます。  なお、不況下におきまして、不況カルテルが結成されるならば取引所は不要ではあるまいか、取引所的な機能とは両立しないのではあるまいかという御趣旨かと思いますが、不況カルテルにおきまする臨時的、一時的な価格支持のもとにおきましても、将来の取引についてのある意味での危険性を担保いたします仕組みとしての取引所の機能というものは、通常の取引に関連して常に存在し得るものと考えております。以上でございます。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 えらい答弁が短いが、それじゃ逐次お伺いしましょう。  商品取引というものが存在する基盤は何ですか。公正なる競争、自由なる流通、これが基礎ではありませんか。いわゆる自由経済といいますか、これが基礎ではありませんか。
  61. 両角良彦

    両角説明員 自由なる流通なり自由なる取引というものを前提としての取引所の機能ということは、御指摘のとおりと思います。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 ならば、一面において不況カルテル、あるいは行政による調整、自由なる生産の許されないところに、自由なる取引、自由なる流通があり得ますか。
  63. 両角良彦

    両角説明員 不況カルテルによりまする生産調整ということと、その当該商品につきまして将来の取引のヘッジを行なうこととは両立し得るものと考えます。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 現在は不況カルテル、その前は行政による調整、あるいは繊維工業設備臨時措置法による指導、こういうことで近年繊維について自由なる生産が行なわれたことがありますか。一時的にごく限られた期間にそういうことがあるならば、それはあなたの言うことが通るでしょう。しかし、ここ数年来ずっとかっこうは不況カルテル、あるいは行政による操短勧告、あるいは前の繊維法といいますか、繊維工業臨時措置法でしたか、これによるずっと一貫した生産調整が続けられておるじゃありませんか。その中に、長期において、なおかつ将来において、まだここ三カ月や五カ月で自由競争、自由生産というものが望めますか。そこに自由なる生産、自由なる流通、自由なる取引ということを基盤とする商品取引所の存在の価値がどこにあります。
  65. 両角良彦

    両角説明員 御指摘のような御意見もあり得るかと思いまするけれども生産調整等不況カルテルによって行なわれておりましても、それは供給面における将来の当該商品の供給量のある程度の固定化を来たすかもしれませんが、当該商品に対する需要というものは別途また別の要素で出てまいるわけでございまして、この需給のバランスというもののヘッジの機能としての商品取引の機能ということは、生産面における調整をもってしてもなおかつ存立し得るものと考えます。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 繊維局長にお伺いしますが、生産面において不況カルテルあるいは勧告操短をやるときに、片や需要を考えずにやっているのですが、需要を土台として勧告操短なり不況カルテルということをやっているのじゃないですか。いかがです。
  67. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 当然、旧法及び新法を制定いたしましたときの政府サイドから凍結なり格納、これは需要を前提にいたしましたし、ただいまのカルテルを認めます場合におきましても、カルテルの率が妥当であるかどうかということは、当然十分なる需要といいますか、需要に迷惑をかけないということを前提にして考えております。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 両角さん、いかがです。
  69. 両角良彦

    両角説明員 生産調整を行ないます基礎として、もちろん需要の予測ということを行なった上での適正な需給バランス、それに基づく生産数量ということに相なっておるのでございますけれども、現実の商取引の面におきまして、将来の商品の需要というものが生産調整のときに予測した需要と狂うということをヘッジする意味においての取引所の仲買い人のヘッジに対する判断、要求というものは存在し得るわけでございます。そういう意味における将来の需給関係の価格面での調整のためにする取引所機能というものは当然あり得ると考えます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 将来というのは、乙竹局長は繊維の需給調整あるいは不況カルテル等で生産をコントロールするときに、将来の需給はどの程度まで見ています。それから両角さんの言った将来ということばは、百年先も将来でありましょう、三月先も将来でしょう、それはどのくらいの期間が概念として入っておりますか伺います。
  71. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 通産省で需要を考えます場合には、その設備の格納なりないしはカルテルによります凍結なり、これの影響と申しますか効果のあります場合の生産と需要、この辺を考えております。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ、今回の不況カルテルを、九月でしたか、それはいつのやつを見ていましたか。
  73. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 今回の不況カルテルは十月からでございましたが、この十月からの不況カルテルの認可に通産省が加わります場合には、十月から三月までを一番重視をいたします。ただしすでに十月には相当在庫もふえておりましたので、在庫を頭の中に入れて考えております。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは不況カルテル申請の六カ月間を考えたわけですね。両角さん、それならばあなたの言う生産と需給はおのずから違ってくるということは、あなたの意見が正しいとするならば、乙竹繊維局長の言ったことと矛盾する。乙竹繊維局長が言ったことがそういうことであるならば、少なくとも将来六カ月間というものは大体の需給バランスを考えた上でのことなんです。いかがですか。
  75. 両角良彦

    両角説明員 二つの意見とも正しいと思います。と申します意味は、御承知のように生産調整を行ないますときに需給の見通しというものは六カ月ないし三カ月という単位でいろいろ検討をされるわけでございますが、同時に商品仲買い人といたしましては将来の取引の安全性を考えます場合には、現在行なわれておる生産調整が絶対に将来の価格変動を来たさないということを前提とした取引だけを行なうわけにはまいらないわけでございます。たとえば国際的な商品相場の影響というものが国内に及んでくることもあり得るわけであります。そういう不測の価格変動というものに対処いたしまして、より安全な商取引というものを担保する仕組みとして取引所機能を活用するということは、当然両立し得ることであると考えます
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 国外のいろいろな問題といいますか、何かの事件といいますか、そういうものが日本の繊維なら繊維に影響することは考えられます、しかしいま乙竹局長が言っておる不況カルテル六カ月間を申請するならば、その六ヵ月間における需給というものを一応考えての上に立っておるわけですよ。そのときには少なくとも突発的なことは別として国際的な経済情勢、ことに繊維についての問題について実はある程度というか考えてやっておる。でなければ、日本の需給だけを考えてカルテルをやるということなら、これまた問題がある。だから両角さん、あなたの答弁は若干調弁だと思うのです。  そこで、もうこれ以上はやりませんが、どうです、はっきり言って、私は片や生産コントロールをやっているときには、こちらは押えるべきじゃないか、あるいは、私は少なくとも商品取引というのは人為的に予見することのできない天然現象といったようなものが加味してくるところに将来の価格を見越しての取引があり得ると思うのです。したがって穀物なんかはある程度納得がいくといたしましても、人為的にどうにもならないといいますか、そういう生産過程にあるものと、あるいは機械がつくっていく化学繊維、こういうものは私は矛盾していると思うのです。糸等が商品取引の対象になったのは、そのもとが綿花であり、絹であったときです。それは自然的現象、人為的には左右できないものがあるのです。しかし化学的にできていくものにはそんなことはないのですよ、そうでしょう。あなたが何と言われようとも糸を商品取引の対象としたときには、その土台というか原料は綿花であり蚕であったからです。そこに農水産的なものが出てくる。だからこの法律に載ったのだと私は思うのです。それのファクターがなくなったもの、あるいはそれに関係のないもの、これをあくまで商品取引の対象として今後とも続けていきますか。
  77. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 繊維に関しまして若干実情を申し上げます。  先生御指摘のように確かに人為的な相当のコントロールができるわけでございますが、コントロールをしながら、しかも値段が非常に動いておるのは御承知のとおりでございます。綿糸の四十番手に例をとりますと、三十七年がポンド百五十八円、三十八年が百八十六円、それから三十九年の一月は百九十二円、それがぐんと崩落いたしましてただいま百六十二円というふうな値段になっておるわけでございます。こういうふうに非常に大きく動くわけでございますので、現在機屋、メリヤス屋等、生産期間が相当かかるものでございますから、相当程度のヘッジは事実上やらざるを得ない。紡績もヘッジせざるを得ないというふうに思うわけでございますが、ただしかし繊維業界といたしますと、なるべく市販糸と申しますか売り先をきめないで取引所だけでつなぐという糸は、やはりある程度だんだん少なくなっていくということが将来は望ましいのじゃなかろうかというふうに考えております。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 その価格が動くところが問題なんですよ。商品取引所というものがあって、そこに投機、ギャンブル的な商売が行なわれるから価格が変動するのでしょう。あんなものがなければあなたのほうで生産調整を指導する、あるいは不況カルテルの認可を受けるという場合には、大体予見した価格によって維持できるのですよ。価格が動くから商品取引所が必要であるのでなく、取引所があるから価格が動くのですよ。そうじゃないですか。試みに三カ月停止してごらんなさい、価格が動くか動かぬか。私の意見を認めるのか認めないのか、検討するのかしないのか、どんぴしゃな返事をしてください。
  79. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先生おっしゃるとおり、取引所があるために価格の変動の幅が非常に大きくなるということは認めます。ただし、私申し上げておりましたのは、現在のところ実需に見合って生産をするという方式がまだ完全に綿糸業界に行き渡っておりませんので、すなわち新紡なり新々紡なりは取引所に売るということで生産をいたしておりますので、その辺のところをお考えいただきたい、こういうことでございます。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことが慣例づけられていないから、そのものを置いておくということは答弁になりません。ならばそれを廃止の方向で指導したらいいじゃないですか。価格の変動は投機にある、私はこれを指摘します。またその業界が商品取引所、三品取引所にかけることを長い習慣としておるからということは商品取引所の存在を基礎づけるものではありません。通産次官大臣にかわって、商品取引所を再検討する用意ありやいなやお伺いいたします。
  81. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 その影響の及ぼすところ、十分に考えまして、検討いたしたいと思います。
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 商品取引所法の法律の改正、ことに法二条によって指定品目となっているものに対して再検討する用意があるかいなか。
  83. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 いま審議会にかけておりますが、廃止する方向において十分に検討していきたいと思っております。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 審議会には繊維品のこれこれは除外すべきやいなやという諮問をいたしておるのですか。
  85. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 諮問はいたしておりませんが、いろいろな問題を含めて検討いたしております。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 直ちに、不況カルテルによってコントロールせられている品目並びに化学繊維、これをこの法律の指定の品目から除くことについての諮問を商品取引所審議会にかける用意ありやいなや。私は、すぐかけるようにやってもらいたいことの要望を込めて、確認いたします。
  87. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 御趣旨十分にくみまして、そういうふうに、なるべくそういうものを含めてやっていきたいと思います。
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣を要求したが、参議院の総括質問のためにこられない。次官のただいまの答弁は、三木通産大臣の確約と解釈しますが、よろしいか。
  89. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 さよう御了承願ってけっこうでございます。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 けっこうです。  それでは国鉄から見えておりますのでお伺いいたします。  国鉄の車内及び駅構内でのお茶が、二月一日から二十円に一斉に上がりました。このことについては、わが党の中澤委員予算委員会において若干触れております。しかし、私は問題の触れ方を変えまして、いま私的独占禁止法の改正をやっておりますので、その法案審議に関連し、独禁法立場からお伺いいたします。  まず第一に、国鉄は車内販売、構内販売価格について指導し、あるいは値上げ等については認可制とか許可制をとっておりますか、いかがですか。
  91. 今村義夫

    ○今村説明員 ああいう車内販売その他につきましては、構内営業の規則というものがございまして、それによって承認をし、それから販売品目その他値段につきましても、一部は承認、一部は届け制というようなことをやっておるわけでございます。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 それではお茶に限定します。お茶は届け出制度になっていますか認可品目になっていますか。
  93. 今村義夫

    ○今村説明員 お茶は認可制をとっております。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 二月一日から十五円を二十円にするということについての申請があり、これを認可したのですね。
  95. 今村義夫

    ○今村説明員 いえ、一月一日から国鉄が二十円にしていい……。前の答弁は間違いでございまして、国鉄が指定いたしたのでございます。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 国鉄から二十円にしろと言ったのですか。
  97. 今村義夫

    ○今村説明員 お茶の問題につきましては、業界から二十円にしてくれという要望が長い間ございましたし、それからお茶の販売が十分でない、ジュースやその他のものばかり売って、お茶が十分行き渡らないというようなお客さんからの苦情もございましたので、国鉄が二十円に指定をしたわけでございます。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 お茶がほしい。なるほどお茶は少なかった。そこでやむを得ず弁当を食べるのにジュースで食べたことがあります。だから値上げをあなた方は指定したのですね。  公正取引委員長、国鉄のことについては独禁法で除外規定もあるようです。しかし車内販売あるいは構内販売について独禁法は除外しておるか、いかがです。
  99. 北島武雄

    北島政府委員 組織はよくわかりませんが、そういう適用除外はいたしておりません。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 適用除外はないものと思います。しかもお茶の値段を指定するということは、国鉄内部の何とか営業法とか何とか取り締まり法にあるのだと思うのです。その規則を見せてください。指定したというのだから、根拠を見せてください。
  101. 今村義夫

    ○今村説明員 国鉄の構内営業規則というものをつくっておりまして、その構内営業規則の中に「営業者は、その販売する物品の販売価格及び取扱料金については、別表第五号表に定めるもののほか、国鉄が必要のつど指定するところによらなければならない。」ということで、第五号は業者から申請書を出さして承認するということにいたしておりますが、そういうもののほか、たとえばお茶なり弁当なりは国鉄が必要のつど指定することにいたしておるわけでございます。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 構内販売規則、これは車内も一緒ですね。
  103. 今村義夫

    ○今村説明員 そうです。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 公取委員長、国鉄内部の日本国有鉄道公社の定めるこれは、独禁法の除外規則にはございませんね、いかがです。
  105. 北島武雄

    北島政府委員 お説のとおりでございます。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 汽車で弁当を食う、日本人がめしを食う場合はお茶が必要ですよ。そのお茶を少なくして、ジュースとかそういう高いものを売りつける。そこで不平が出たら値上げを指定した、こういうことなんですよ。まさに不公正の取引あり。そこに価格指示の独禁法違反の行為がございませんか、いかがですか。
  107. 北島武雄

    北島政府委員 事情をよく調べませんとわかりませんが、お話のところでは、たとえば私的独占ということにはならないように思います。私的独占とは「他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、」「一定の取引分野に」ということでございますので、鉄道がその内部にある業者を入れてそれにやらせるということが、必ずしもすぐそれになるかどうかということは、ちょっと私たただいまの判断では疑問に存じます。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 もちろん車内なり構内販売には、国鉄の指定した業者が入っています。このことについても私は問題があると思うのです。必要ならそれを掘り下げていってもいいのです。ところがそれは一社じゃないのです。日本全国には何社かあるのです。それが一時に価格を上げる。それを国鉄構内販売規則によって指示するということ。しかもそれまではお茶のほしい者にお茶を与えずして、ジュースかそんなものしか与えていない。不公正な取引ですよ。まさに経済的優位ですよ。われわれ汽車に乗っておったら、思うところでは買えないわけなんです。車内販売以外に買えないわけなんです。たとえば「ひかり」なら「ひかり号」は新大阪に行くのに二回しかとまりません。時速二百二十キロで走っている。中に一つの独占体ができておるじゃありませんか。そうでしょう。そうしてお茶のほしい者に、ありませんといって高いジュースを売りつける。長らく営業をしておれば、何人の乗客があるということはあらかじめわかる。ことに指定座席のようなものについてはあらかじめわかるし、大体動向はわかる。国鉄においても、お茶がどの程度必要だということはわかるはずなんです。またその販売者も何両車は幾らほど売れるかということは予見できるわけなんですよ。それをやらずにやっておるのですよ。まさに独禁法違反であると断定します。直ちに公正取引委員会は調査を開始してください。いかがです。
  109. 北島武雄

    北島政府委員 実態がよくわかりませんので、実態をよく調査いたしまして……。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 直ちに実態の調査をいたしますね。
  111. 北島武雄

    北島政府委員 いたします。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 国鉄に対してはまだまだ言いたいことがあります。しかし公正取引委員会が実態を調査した後、何らかの結論を早く出してください、その上に立ってあらためて追及をいたします。
  113. 今村義夫

    ○今村説明員 お茶なりべんとうなり、いま国鉄が指定いたしておりますのは、全国でばらばらに値段が違っておられるということでは、非常にお客さまの迷惑になるということで、こういう指定のしかたをいたしておるわけでございます。ですから、お客さまに十分行き渡るようにすることと値段の問題との関係があるわけでございますから、その辺のところでそういう指定のしかたをしておるわけでございます。しかし、私どもも、先生のおっしゃることを十分考慮しながら、さらに改善をはかっていきたいとは思っております。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 行き渡らないのなら、なぜ行き渡るように指導しないのですか。それをやらずして、値段を上げることによって行き渡るようにしようとするところに間違いがあります。これは構内販売規則というものを資料として要求いたします。そして、公正取引委員会の調査に積極的に協力する、いかがですか。
  115. 今村義夫

    ○今村説明員 承知いたしました。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 同僚議員からの要求もありますので、一日の全国における国鉄構内及び車内におけるお茶の販売個数、その原価と、ジュースその他の販売個数、その原価、言いかえるならばそれらの業者のマージン、これを資料として要求いたします。いかがです。そうでなかったならば、国鉄は運賃を値上げするために、まず国鉄構内販売のものから値上げをすることによって、国鉄運賃の値上げを裏づけ、国民大衆に対してあきらめの気持ちを植えつけるために、一月一日から二十円にお茶を売りなさいと指示したと断定します。いかがです。
  117. 今村義夫

    ○今村説明員 資料の点はさっそく調製いたします。  構内販売につきましては、ただいまお話しのように、一月一日からやりましたが、同時に私どもといたしましては、構内営業料金として業者から売り上げの額に応じて営業料金をとっておるわけでございますが、これを大体二五%程度値上げをしたわけでございまして、国鉄としても十分その点は考えておるつもりでございます。
  118. 田中武夫

    田中(武)委員 だから、全国のお茶の売り上げ、原価計算、その中には、もちろん国鉄に二五%アップしたものを納めるものも原価に入ります。それを、値上げ許可したのが一月一日ですから、それを中心に前後にわたっての資料を要求いたします。いいですね。  それから公正取引委員長、事は急を要します。したがって国鉄の車内販売の実態の調査は、いつまでに完了する決意を持って臨みますか。
  119. 北島武雄

    北島政府委員 わずかな陣容でございますが、できるだけひとつ馬力をかけまして、早くいたします。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 私はこの質問の継続をやるのですよ。それが完了できるまでは、それでは公正取引委員会の関係の私的独占禁止法の審議を一時中止したいと思いますが、いかがですか。
  121. 北島武雄

    北島政府委員 それは御容赦願いたいと存じます。
  122. 田中武夫

    田中(武)委員 この法律の審議の中で出てきたやつが解決しないのですよ。
  123. 北島武雄

    北島政府委員 そのように早く調査するためには、どうしても人員を早くふやしていただかないと、審議のほうは繰り上げて早く……。   〔委員長退席、河本委員長代理着席〕
  124. 田中武夫

    田中(武)委員 しかしこれは通っても四月一日からなんですよ。それじゃあなたは、私の要求している調査は四月を越してからということですか。
  125. 北島武雄

    北島政府委員 そういうわけではございませんが、やはり私どもといたしましては、法案が早く通りませんと、準備万端が実はできないわけでございます。三十人の増員ということになりますれば、各省庁との話し合いもあらかじめしておかなければなりませんので、できるだけ早く……。
  126. 田中武夫

    田中(武)委員 ここで総務長官が必要になるのですが、それはよろしい。ともかく一日も早く資料をというか調査をして、独禁法との関係について当委員会へ報告してください。
  127. 北島武雄

    北島政府委員 かしこまりました。
  128. 田中武夫

    田中(武)委員 それではお茶の問題はこの程度でお茶を濁しておきましょう。  関連質問があるそうですから、やってください。
  129. 板川正吾

    ○板川委員 関連して。  きのうから議論になっておったのですが、協同組合の価格協定の問題で若干質問いたします。社会党は、中小企業者の組織として、協同組合によって中小企業者を組織し、協同組合によって大企業との対抗力を持ち、そして経済の民主化をはかろう、こういうたてまえに立っております。ですから協同組合を育成しようというのがわが社会党の方針であります。ですから、以下の質疑は協同組合に対するいやがらせの質問じゃない。ただし、法的な根拠が薄い場合には、これは法的な改正なりをして正々堂々とやるべきじゃないかという意味で申し上げるのですが、いろいろ公取の資料を見たり、新聞等を見ますると、事業協同組合の価格調整事業は公正取引委員会で全く関知しない事項のように考えられるものが多く、たとえば竹中事務局長が一月三十一日の日本経済新聞に「私の意見」として発表された論文の中に、「最近消費者物価上昇と関連して注目されているものの一つに、中小企業等協同組合法にもとづく事業協同組合の価格調整事業がある。従来、これらは法的には届け出も要せず、」という趣旨で、法的届け出も必要ないし、公取の直接管轄事項でもないような趣旨にもとれます。  そこで、まず中小企業庁長官に伺いますが、きのう中村君もちょっと触れたようですが、協同組合の価格調整事業、いわゆる価格協定は協同組合法の何条に基づいて行なわれておるのですか。それからまた、この協同組合の価格協定というのは、今日独禁法からはずされて自由である、こういうようなたてまえに中小企業庁はあるようでありますが、ひとつその法的根拠を示していただきたいのです。
  130. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 協同組合が行なっております価格協定につきましては、特に協同組合法上その価格協定という文句を使った規定はございません。一応の法律上の解釈といたしましては、組合法の第九条の二に、「生産、加工、販売、」等々の「組合員の事業に関する共同施設」という字句がございますので、この共同施設という範疇の中に価格協定も読めるのではないかという解釈をいたしております。
  131. 板川正吾

    ○板川委員 中小企業等協同組合法の第九条の二に、「事業協同組合」は、「次の事業の全部又は一部を行うことができる。」その中に一として、「生産、加工、販売、購買、保管、運送、検査その他組合員の事業に関する共同施設」こういう事項ですね。これを端的に言いますと、販売に関する共同施設というところにいま解釈しておると思うのです。たとえば協同組合で市場を持って、その市場の内における価格調整するということであれば、自動的に共同施設という中で同じような価格で売るということになるかもしれませんが、これで協同組合全般が価格調整価格協定が自由だというのは、私はおかしいじゃないかと思うのです。それでやるのはおかしいじゃないかと思うのです。ただ独禁法の二十四条に、「一定の組合の行為」として、「この法律規定は、左の各号に掲げる要件を備え、且つ、法律規定に基いて設立された組合の行為には、これを適用しない。」こうありますね。「但し、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」一として、「小規模の事業者又は消費者の相互扶助を目的とすること」二、「任意に設立され、且つ、組合員が任意に加入し、又は脱退することができること」三、「各組合員が平等の議決権を有すること」四、「組合員に対して利益分配を行う場合には、その限度が法令又は定款に定められていること」。この二十四条の全文の法律の適用をこれこれの組合の行為にはしないということで、本来協同組合というのは共同行為をもって大企業と対抗するのだから、したがって適用除外をここで受けているから、価格の協定もこの適用の除外を受けてやれるのだ、こういう解釈なんですか。
  132. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 協同組合法のほうにも、その独禁法二十四条を受けまして、第七条という規定が入ってございますので、いま先生がお示しになりました独禁法二十四条、これが言うなれば基礎的な規定でございまして、それを組合法の七条で引用しておりますので、その関係から価格協定をすることも認められるのではないか、こういう解釈でございます。
  133. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、公取委員長に伺いますが、きのうもちょっと触れたようですが、協同組合として価格協定はたとえばできるにしても、「但し、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」ということになりますと、ここで協同組合が価格協定は自由であって、公取はこれに関知できないということはないように思われる。  協同組合の価格協定についていろいろ議論があります。たとえば正田教授の「経済法」によると、「中小企業の組織化が認められるのは、すでに述べたように、大企業独占体との対抗関係においてであって、自らを支配者的な地位に立たしめるためのものでないことはいうまでもない。したがって、ここで共同行為が不当に対価を引き上げるとは、取引における組合の地位が優越的なものであるか否かによって判断されるべきであろう。消費者を相手にした中小企業者による価格協定が、かかる不当性を有するものの典型的なものとして理解されなければならない。」こういう説もあるのです。これは、協同組合というのは大企業に対抗する手段として認められるのであって、消費者に対抗するためのものではないのだ、そういう意味独禁法からはずされてあるので、したがって消費者に対抗するための価格協定はやはりいけないのだという説もあるのですが、まあそれはそれとして、この協同組合の価格協定というのが物価関係とにらんで非常に問題になっておるときに、公取がこれに対する発言権を何ら持たないというのはやはりおかしいように思うのですが、中小企業庁と公取との従来の取りきめなり考え方なりというのはどういう状況であるのですか。
  134. 北島武雄

    北島政府委員 従来の経過は私実はよく存じないのですが、この中小企業等協同組合法の事業協同組合が価格協定できるかできないか、その場合に独禁法との関係はどうか、まず第一にこういう点でございます。私は、事業協同組合が共同施設としてこういうことをできるかどうかということが、まず第一の問題点があると思います。かりにできた場合に、それが独禁法との関係がどうなるかということが第二段のかまえになってきます。第一段のかまえといたしましては、中小企業等協同組合法第九条の二の第一号でいっております「その他組合員の事業に関する共同施設」ということで、はたして価格協定ということが読めるかどうか、私はこれは非常に疑問に思う。これは私だけでなく公正取引委員会の意見として申し上げますが、これは非常に疑問に思っております。しかし従来この中に入るのだということで認められてはおりますが、そこで今度はこれが独占禁止法との関係はどうかということになります。独占禁止法は、お読みになりました二十四条で、一定の組合の行為については独禁法を適用しないとありまして、それからさらに適用除外法の第二条の「私的独占禁止法第八条の規定は、左に掲げる団体に対しては、これを適用しない。」そしてその一号で「私的独占禁止法第二十四条各号に掲げる要件を備え、且つ、左に掲げる法律規定に基いて設立された協同組合その他の団体」八号に中小企業等協同組合法がございます。そうしますと、この関係で一応中小企業等協同組合法はこの第二条によって独禁法の第八条の規定の適用を除外された感じでございます。  そうすると、読み方が二つあるわけであります。八条の規定を除外されておる。しかし二十四条の本法のほうに、「但し、不公正な取引方法を用いる場合又は一定の取引分野における競争を実質的に制限することにより不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」とありますから、このような団体でも、こういったただし書きにあたる場合には独禁法の適用に戻る。こういう解釈が一応できます。しかし、これに対しても異論はございますが、公正取引委員会としてはまだ意見を決定しておりません。一応二十四条のただし書きに入ると考えるのが私はいいのではないかと思いますが、考え方としては適用除外法の第二条で「第八条の規定は、左に掲げる団体に対しては、これを適用しない。」とありまして、二十四条のただし書きのようなただし書きがついていないので、一応これは全部はずれるのだという解釈もできそうな、ここに問題があるわけでございます。しかし私自身の考え方で、これは委員会の考えでありませんので、今後法制局なり、その他意見を伺わないとわかりませんけれども、私個人の考えでは、やっぱり第二条で、一応八条の規定を適用しないとありまして、ただし書きはございませんが、もし二十四条のただし書きのようなことに該当するならば本法に戻る、こんな感じでおります。そうしないと、いまのような価格協定が野放しにされておるということは、私どもとしてもまことにおかしな関係だ、こう思うのでございます。
  135. 板川正吾

    ○板川委員 協同組合は一定の取引分野における競争を実質的に制限することはいいのですか。独禁法の適用除外法の第二条に「私的独占禁止法第八条の規定は、左に掲げる団体に対しては、これを適用しない。」ということで、中小企業等協同組合法が入っておりますね。その中小企業等協同組合法は第八条を適用されないのだ。第八条の中には、「禁止行為」として「事業者団体は、左の各号の一に該当する行為をしてはならない。」「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」これは、してはならない。しかし、ならないというこの禁止規定を適用除外法の第二条ではずされておりますから、中小企業等協同組合は競争を実質的に制限してもいいのだ。しかし二十四条では、実質的に制限してもいいのだが、それによって不当に対価を引き上げることとなる場合はだめなんだ、こういう解釈になるでしょうか。
  136. 北島武雄

    北島政府委員 私個人の考えは、そのように思っております。
  137. 板川正吾

    ○板川委員 協同組合の価格協定の実態というのは、どういうふうに把握せられておりますか。協同組合が現在価格協定を行なっているという。ある人は何万件を言うし、ある人は何千と言っているのですが、どういう程度の価格協定をどういう範囲にやっているか。これは中小企業庁でもわかると思うのですが……。
  138. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 協同組合の価格協定の実態調査につきましては、ほとんどの場合に協同組合の範囲が県単位あるいはそれ以下の場合でございまして、特に価格協定につきましては三年ほど前に通牒を出しまして、各県で事前届け出をするようにということをいたしておりますので、県でかなり詳しく実態を調べております。それから組合の指導をいたしております中央会の系統でも実情の調査をいたしております。私のほうでは、その両方のルートから必要に応じて情報をとっております。特に中央会の関係では定期的に年に一回網羅的な調査をいたしておりまして、ただいま私のほうで手元にございますのは、昨年の四月一日現在のものでございますが、ことしも同じ日付で調査をしまして、五月ごろにはその結果がはっきりいたすと思います。現在では価格協定しております組合が六百十四ございます。そのうちで消費物資に関係のある組合が三百八十五組合になっております。
  139. 板川正吾

    ○板川委員 公取に伺いますが、正田教授が言うように、この学説は一つの学説だと思うのです。全体かどうか知りません。協同組合というのは大企業独占に対して中小企業者が団結して対抗するのだ。そのための共同行為は当然組合というもの自体の中にあるのだ。だからいいのだ。二十四条で適用除外しておるのだ。しかし消費者に向かって価格を不当につり上げる行為は協同組合自体ではない。価格を不当に引き上げられるような状態を持つこと自体は、消費者に対して優位な地位に立つので、そういう地位は協同組合には認めないのだ、こういうたてまえをとっておるのですが、これに対する公取考え方はいかがですか。
  140. 北島武雄

    北島政府委員 ただいまのお話のままでは、私自身はそういうふうに考えております。
  141. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、公取もこの協同組合の価格協定に対してはいま少し発言権を持って調査をし、それで不当な値上げをするような場合には、やはりこれに対する指導なりあるいは警告なりを発する必要があるのじゃないか。ところが従来公正取引委員会は、人がいないせいかどうか知りませんが、それは中小企業庁の管轄で、公取の管轄じゃないというように放任しておったのじゃないかなと思うのですが、今後どういうふうにこの問題を取り上げていきますか。
  142. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 協同組合の問題は独占禁止法上非常にむずかしい問題でございまして、独占禁止法が協同組合を適用除外いたしましたのは、先ほどお話がありましたように、中小企業が単独では大企業に対抗できない。これが協同組合をつくりまして大企業に対抗する。これを適用除外したわけです。ですから、独占禁止法が初めにねらっておりました協同組合というのは、原材料の共同購入とかあるいは共同加工とか、共同販売を行ないますところのいわゆる共同経済事業を行なうところの協同組合を頭に置いて適用除外したわけです。そういう事業をせずに、単に価格協定だけをやる協同組合、こういうものは考えていなかったわけです。それがその後、協同組合であれば独占禁止法の適用除外になるということで、そういうことだけをやる協同組合が出てきたわけなんです。それで、先ほどお話がありましたように、これが協同組合の事業の一体どこで読むのだという問題が出まして、これは「共同施設」で読むのだ、こういうことになったわけです。ところが、中小企業団体法あるいは環衛法を見ますと、こういう事業につきましてはわざわざ法律で共同施設と別に調整事業と書き分けているわけです。ですから、その「共同施設」で読むということは非常に無理なんですけれども、従来一般の行政官庁の指導も、協同組合ならできるのだということできておりますものですから、いまの段階になってこれをどうするかが非常にむずかしい問題になっているわけです。それでただし書きの場合は適用除外になる。それから適用除外法の二条で八条を落としておる。この八条は昔の事業者団体法の中にあった規定なんです。事業者団体法も独禁法と同じような趣旨で協同組合を適用除外していたわけです。ですからそれをそのまま独禁法の中に入れまして、適用除外法の二条で適用除外にしたわけなんです。  それでは協同組合がこのただし書きに該当する場合に、独禁法の適用はどうなるかという問題が出てくるわけなんですけれども、不公正な取引方法を用いる場合は、これは当然独占禁止法の違反になる。ただ、そのとき独占禁止法の十九条は「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。」こう書いてあるわけです。ところが価格協定だけをやって事業をやっていない協同組合に対して、十九条を適用するということは非常にむずかしくなってくるわけです。それから先ほどお話がありました一定の取引分野の競争を実質的に制限して、不当に対価を引き上げるという問題もございます。これは一体どの条項を適用するかという問題が出てきます。私的独占か不当な取引制限か。ところが私的独占につきましては、構成要件として他の事業者の支配排除という問題がある。共同行為は、事業者の共同行為で、協同組合がその執行機関で意思決定したものを共同行為と見ることができ得るかという法律論もあります。ですから、協同組合は現在適用除外になっておる八条の価格カルテルになっておりますれば全然問題にはならないのでありますが、最初予定しておらなかったような協同組合が出てきた。法律規定がそういうものを頭に置かないで書かれておりますので、そこにいま適用について非常にむずかしい問題があるのです。ですから公取が文句なしに適用しておりますのは、二十四条の各号の要件を備えてなくて、大規模事業者が入っておるような協同組合につきましては、これはずばり独禁法を適用しておるわけです。そのようないきさつで今日までまいっております。
  143. 板川正吾

    ○板川委員 協同組合法の九条の問題、それからいまお話しのように団体法とのバランスの問題もあります。しかし私どもが事業協同組合自体を取り上げてこの際究明していくという性質のものではない。協同組合を育成強化しようという考えの上に立つものであるわけでありますが、しかし法的な不備というものがあるからこの際検討してもらいたい。そういう点を要望して一応私の質問を終わります。
  144. 田中武夫

    田中(武)委員 いま協同組合の価格協定の問題が論議せられましたが、私は板川委員公取委員長事務局長との間にかわされたこの論議は正当だと思う。しかし山本中小企業庁長官の発言には異議があります。そこでお伺いいたします。  中小企業等協同組合法九条の二の一号、これの共同施設ということが、販売価格を含むということは誤りです。それは先ほど竹中事務局長が指摘したように、その後成立いたしました中小企業団体の組織に関する法律及び環境衛生法等から見ても、これは販売価格を含まない。それは明らかです。もしかりにこれが販売価格も含むとするならば、三十一年を思い出しましょう。何のために団体法をつくったか。しかも団体法の十八条ですら、販売価格については厳格なことでしぼっておるじゃありませんか。先ほど来論議がありましたように、経済的に弱いものが経済的に強いものと対等に立ち向かうための協同精神です。したがって協同組合は大企業独占企業に対して自分たちの事業を守る、そのことによる協同、これが精神です。しかし消費者との間においてはその立場は逆転します。この理論の上に立った場合に、九条の二、一号の施設が販売価格を含むとは考えられない。さらに先ほどあげました、竹中事務局長も指摘した。その後にできた中小企業団体組織法及び環営法等から見た場合にそうは読めません。どうします。
  145. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 先ほども申し上げましたように、この価格につきましては、はっきりした明文化をしたわけでございますので、その点確かに議論が起こり得るところかと思います。ただ、実際の運用面から見ますと、独禁法の第二十四条のただし書きにも、特に不公正な取引方法、あるいは不当に対価を引き上げるという場合にはこの例外にしないという点等もございまして、逆の解釈で、協同組合は全然価格協定はできないということを断定することも、私はいささかそこに無理があるのではないか、不当に対価を引き上げない場合ということは一応予想できるのではないかと思います。しかし、もともと運営面がはっきりしていない点でございます。私たちとしては、この法制上の問題としては今度さらに検討いたしましてその点ははっきりさせる必要があろうかと存じます。ただ、実際の運用から申しますと、ずいぶん協定をしておる組合の数が多いようでございますけれども、実は一つ一つ拾ってまいりますと、ある県、あるいは特に市単位ぐらいで、とうふとかコンニャクとかもやしとかごく零細な業者で、放置したならばお互いに過当競争で、うっかりすると自滅するおそれがあるようなケースがむしろ大部分でございまして、そういう実態から見ますと、私は法律運用法律解釈にもできるだけ実情にあった解釈をしていくということが必要ではないか、かように考えておる次第でございます。
  146. 田中武夫

    田中(武)委員 私は、中小企業を守るという立場は堅持しています。したがって、それはけしからぬとすべて言っているのじゃない。しかし、あなたはこの共同施設の中に販売価格も入るということはどこへいったって通りませんよ。何なら法制局を呼んで議論をいたしましょう。もしそうだとするならば、独禁法上これが問題になっていないとするなら、私は、むしろ、先ほど公取の方からも指摘があったように、それができるんだということで行政庁が指導していく、また一般もそう思っておるというこの慣行、慣習だろうと思うのです。もしあなたの言うような解釈をするなら、何のための団体組織法です。団体組織法は調整行為を主としてやる。しかも成立当時は不況であるということが要件になっておった。そのときですら価格協定については十八条ですべてのことは——価格協定もできないというようなきついしぼり方をしておるじゃないですか。そう簡単に協同組合でやれるのなら何のために団体組織法をつくったのです。どうです。私は、むしろいまここでは長い間慣行として行なわれておるということである程度許されるとしても、それは行政庁の指導の誤りである、このことを指摘したいのです。そのことが今日たとえばガソリン、たとえば何々にそういう状況が起こっておる。一般的にすべてがだめだというならば、もやしだとかとうふ屋だとか、これが立ち行かないとこういうことと同様、一般的に中小企業等協同組合法九条の二の一号の共同施設が販売価格を含むという解釈はそれ以上の弊害をもたらします。先ほど北島委員長、あるいは竹中事務局長の言われたことについては、私、それを聞いておって、一応同じような考え方です。しかし、独禁法の上から言って商慣習ということが一つのあれになっております。しかしそれが商慣習といえるかどうかということも問題だと思います。ここで私は提案をしておきます。公正取引委員会は、通産省、いわば中小企業庁、それから運輸省でも運賃の問題があるわけです。それから厚生省では環境衛生関係がある。こういうことについて一応独禁法を踏まえて整理をする。そして行政上の指導に独禁法上誤りがあるとするならば、これには警告なりあるいは勧告をする。そうしなければ何でも協同組合ではできるんだということは法解釈上できません。そういうことを提議したいのですがどうでしょう。そして一応整理をする。そして、いま山本長官が言ったように私もある程度認めざるを得ない実情があることも認めます。零細企業については、私も党において中小企業政策を担当しておる。ことにわが党は中小企業の組織については協同組合組織を推奨しております。またそのことの上に立つ中小企業組織法というものを過去何回か提出をしており、また今国会でも提出をいたします。先日の予算委員会における三木通産大臣答弁は、私の質問に対して組織の整理を行なうということの答弁分科会でいたしております。そういうことと関連をいたしまして、必要があるならば中小企業等協同組合法の手直し、これを必要と思います。まずそれをやらないことには、総括的にこれに含みますということは了承できません。中小企業庁長官公取委員長の御所見を承りたい。
  147. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 ただいま御指摘がございました点は、確かに法文上きわめて明白であるとは申し上げられない点でございます。ただ現実に相当数の業界で、特に零細企業がこの法律に基いて実際の仕事をしておるということも事実でございますので、その点はよく御認識いただいておることと存じます。法律改正につきましては、ただいまこの点も含めまして組織小委員会におきまして鋭意検討いたしておりますので、この検討の結果を待ちましてできるだけすっきりした形のものにいたしたい、かように存じております。
  148. 北島武雄

    北島政府委員 中小企業等協同組合法の解釈は、第一義的に私は中小企業庁がお持ちであろうと思いますが、しかし、私のほうから見ておりまして九条の二の第一号に対する解釈は、いかにも私ども納得できないものでありまして、中小企業等協同組合におきましてもいま言ったような価格協定をする必要もある場合もあると思います。それはそれで、たとえばお話のように中小企業団体組織法の商工組合のようなルールをつくって、その上に乗せて政府監督してやればいいと思うのですが、それでなくていまのようなあいまいなことで価格協定を認める。しかもそれが独禁法との関係から非常にあいまいな解釈になっているというので、たとえば私のほうで任意組合で審査いたしまして、価格協定について勧告いたしますと、すぐ団体解散をいたしまして、協同組合に改組して同じような価格協定をすぐやるという例が最近非常に出てまいります弊害を痛感いたしております。この点についてはただいま中小企業庁長官もいまの点を含めて中小企業政策審議会、そこで検討したいというお話ですね。ぜひひとつ御検討願ってルールに乗せてやるならやるということが、私はいいのではないかと思います。
  149. 田中武夫

    田中(武)委員 かつてそば屋が組合の申し合わせにより何々の値上げをいたしますと書いたことがあるのです。それを環衛法違反、環衛法にのっとっておらない、環衛組合にのっとっておらない、そして独禁法違反だといって厚生省を呼んで指摘したことがある。そうすると一晩のうちにその張り紙がめくられて組合の申し合わせというのをなくして、個々が値上げをしますという紙に変わった実例があります。これなんかも、厚生省はきょう来ておりませんが、厚生省が独禁法を知らないのか、あるいは環衛法というものをどう解釈したのか知りません。そういう事実が過去にあったわけです。ガソリンの価格協定にいたしましても、組合の申し合わせというのを張ってあったことがある。そしてそれを除いて個々に値段を、いわゆる定価販売、正価販売というのですか、それをやりますと直したことがある。これはやはり、私はいろいろ問題が残ると思う。そこで、いまお二人が答弁をせられたように、この点はやはり交通整理が必要だと思います。それで、必要ならば法改正、そういうこともしなくてはならないと思います。これも、大臣おりませんが、政務次官、私の言うことはわかりますか。
  150. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 おことばよくわかります。政策審議会の組織部会において、十分検討いたしたいと思います。
  151. 田中武夫

    田中(武)委員 組織部会での検討はけっこうです。  同時に、それには公取は入っていないでしょう。関係ありますか。
  152. 竹中喜満太

    竹中(喜)政府委員 中小企業政策審議会の私、幹事になっておりまして、組織部会には、おそらくだれかオブザーバーとして出ておるはずでございます。
  153. 田中武夫

    田中(武)委員 それならば、そのときに十分公取の見解も述べ、またきょう行なわれたこの論議をも参考にして早急な結論と手当てを要望しておきます。  本日は、私はこのくらいにしておきます。
  154. 河本敏夫

    ○河本委員長代理 中村重光君。
  155. 中村重光

    中村(重)委員 昨日は時間がなくて上すべりで質問したのだけれども、いま論議された協同組合の価格調整ができるということになってくると、非常に環衛団体、あらゆる団体にも波及してくるだろう。いま環衛法によって環衛団体が価格の協定をやると、あなたのほうは、これは独禁法違反として取り締まっているのですね。ところが今度、協同組合が価格協定ができることになってくると、環衛団体が今度協同組合を組織することになる。そこで価格協定が行なわれることになる。   〔河本委員長代理退席、委員長着席〕 そうすると、独禁法というものは、中小企業に関する限りは働かない、そういう形になるだろう。それは間違いですか。委員長解釈はどうなるのですか。
  156. 北島武雄

    北島政府委員 先ほどからの私ども答弁でおわかりいただけると思いますが、ただいまのあり方では、独禁法の適用上非常におかしなことがある、独禁法自体においても、非常にあいまいな点がございまして、かりに第二十四条のただし書きによりまして「不当に対価を引き上げることとなる場合は、この限りでない。」「不当」というのはどういうことかというと、いろいろな問題が起こります。それをまず第一に中小企業等協同組合法にははっきり、もしそういうことを認める必要があるならば、一定の条件のもとにおいて認める規定を置いて、そして政府監督のもとに、公取の監視のもとに認めたらいいのではないかという感じがするのであります。
  157. 中村重光

    中村(重)委員 法理論としてはいろいろあろうと思うのですが、政治論からいっても私は問題だと思う、中小企業庁長官のいままでの解釈というものは。そういうような協同組合が価格協定ができるんだという解釈で指導するということになってまいりますと、近代化なんというものはちっとも進まない。安易に価格協定をやって、そうして価格を引き上げていくという形になると思うのです。それは中小企業庁のほうではおわかりにならないはずはないと私は思う一あなたのほう自身もそうなんです。中小企業の近代化を積極的に進めるというような熱意を失って、不況をてこ入れして、そうして価格協定をやらせる。あなたのほうも安易にならざるを得ない。きっとそうなると思う。中小企業を指導する立場に立つところの中小企業庁もそういう形になってくるとどうなるんだ。同時にここで中小企業庁としては真剣に考えてもらわなければならぬことは、中小企業というものが、大企業との間の格差が、ましてや零細企業というものは、今日全く惨たんたる状態にあることは、これはゆうべのあなたのテレビでも私はよく聞いておった。そこであなたのほうが積極的に原局なんかにも向かって強く要求しなければならぬことは、大企業の管理価格なんです。そういうような大企業が管理価格をもって、卸価格も引き上げてというような、下がるものも下げないという形になってくる。そうして中小企業に対してはもっと安くおろせるものを大企業中小企業に高い価格を押しつける。こういう形になってくることは十分考えられるから、あなたのほうは中小企業を育成していく、中小企業利益を守るというような観点に立つならば、大企業の管理価格ということに中小企業利益を守るという立場の上に立って積極的に管理価格を除去するというような要求を強く推し進めていかなければならぬと私は考える。中小企業を守る立場に立っての中小企業庁長官としての心がまえはどうなんです。
  158. 山本重信

    ○山本(重)政府委員 主として大企業を中心といたしますいわゆる不況カルテルその他いわゆる管理価格的なものにつきましては、私どもとしても重大な関心を持っておりまして、たとえば不況カルテルを結ぶような場合でも、どの程度のところをめどにしてやるのか、またそれが中小企業にどういう影響を与えるかということを十分に検討した上で、妥当な線でどうしてもやむを得ない場合にだけやるということを強く個々のケースについても要請をいたしておる次第でございまして、その点は先生の御意見に私は全く同感でございます。
  159. 中村重光

    中村(重)委員 北島委員長に増員の問題に関係して伺っておきますが、今度三十名の増員をされた。ところが、いままであなたのほうからいただいた資料を見てみるのですが、機構も相当整備されてくるわけですね。そこで再販価格の維持契約に対しても、いわゆるやみ再販というものを押えるために、いままで二名でもって担当しておったが、ここで一課を設ける、五名ということになるわけですね。さらにはまた管理価格取り締まりも厳重にしていきたい。それから下請に対しましても増員をするような積極的なかまえが一応機構の中では感ぜられるわけです。ところが事務所にしても、四国にはまだ事務所を設置するということになっていないのですね。それからいまの再販価格の問題にいたしましても五名といったような程度で、端的に言って何ができるかと私は言いたい。それであなたのほうとしてはどの程度の増員を要求なさったか。前国会における附帯決議というものが相当強いものであったということだけは十分おわかりになっていらっしゃるだろうと思う。だから、あなたのほうとしてはこれで満足して引き下がったのか、どの程度要求されたか、またどの程度必要であるとお考えになっておられるか。
  160. 北島武雄

    北島政府委員 昭和四十一年度の予算要求に際しましては、ワクといたしまして前年度の三割増以内ということで閣議決定がございましたので、公正取引委員会におきましてもそのワクの範囲内ぎりぎりに要求いたしております。それによりますと、増加要求人員五十七名でございます。五十七名に対して予算上は三十三名認められたということになるわけでございます。私どももちろんこれで満足しておるものではございません。お話のようにまた今後四国にも置かなければなりませんし、それから各地方事務所が一カ所当たり平均十人なんということでは、これは仕事が十分できない。こういうことを考えておりまして、漸次年を追って充実してまいりたいと考えております。
  161. 中村重光

    中村(重)委員 閣議決定もありましょう。ありましょうけれども、現在の経済情勢下における公取の果たす役割りというものは非常に重要だということです。閣議決定は閣議決定として、あなたのほうで五十七名の要求をしたならば、それだけを今日認めさせなければ一歩も引かぬというようなかまえで取り組まなければいかぬと思うのです。  それからもう一つ、あなたに伺っておきたいんだが、どうなんです。物価対策として公取予算には、今度の三十名の増員というものを経済企画庁の中では物価対策の一つの柱として出しているんだが、だからあなたのほうとしては、今度のこの機構の整備の問題、あるいは増員の問題、当面重要な物価対策についてはどのように理解をし、認識をしておられるか、また物価対策上、どういう話し合いがなされておるのか、その点どうなんです。
  162. 北島武雄

    北島政府委員 公正取引委員会は、もとより価格統制機関ではございませんが、独占禁止法運用によりまして、現在の物価対策に寄与することがあればできるだけお役に立ちたい、こういうのが公正取引委員会の基本的な考え方でございまして、予算の要求にあたりましても、物価対策関係、それと下請代金支払遅延等防止法関係に主力を置きまして要求いたしたわけでございます。政府におきましてもその公正取引委員会の地位を認識されましたためでございましょう、五十七名に対して三十三名というのは、実は他の各省に比べれば格段に認められたということになっております。そこで先ほどお話のように、五十七名全部私どもいただきたかったのではございますが、この三十三名の獲得に際しましては、復活要求七回をやっているような状況でございまして、最後までがんばってこれだけいただいたわけでございます。私は、他の各省に比べれば非常に公正取引委員会の地位を認めてはもらっている、こうは考えております。しかしこれでもちろん十分というわけではございませんで、今後、漸次、日を追って充実いたしてまいりたいと考えております。
  163. 中村重光

    中村(重)委員 政府は今度、物価対策だというので、五つの項目の柱を立てて、その中の一つの柱であるこの公取の三十名の増員が物価対策になるということを強調しておるわけですね。物価対策としてこういうことをやるんだ。しかし、あなたのほうとの特段に物価対策という立場の上に立っての話し合いがなされておろうとは思わない。本来、いまあなたがお答えになったとおりだと私も思うのです。だがそれはそれとして、結果的に物価対策ということに関連をしてくることは否定できない。しかしあなたのほうとしても、公取任務というものは公取本来の立場に立って減税と取り組むということもなされなければならぬ。やはり現在の経済の情勢下における公取役割り物価問題との関連ということのかまえもやはりそれなりに推し進めていかなければならないと思う。それと同時に三十名の増員を行なう、これは五十七名の要求に対して三十名という形になった。欠員を含めて三十三名、実質的にはなるわけでございますが、ところがこの人をふやすということに対して、新しい人を増員しようという考え方の上に立っているのか、そうではなくていわゆる職員の質的充実というものを特にあなたのほうでは重視しておられるのではないかと思うのです。そうならば、公取としていろいろと要求というものがなければならぬと思う。またいろいろとそのことについての折衝も行なわれているのではないかと思われますが、その点どうなんですか。
  164. 北島武雄

    北島政府委員 予算的に三十三名、純増といたしまして三十名でございますが、実員三十名の増員というものは実際申しまして非常に困難であります。新しく三十名の人に来てもらってもすぐ仕事ができるわけではございませんし、出向といたしましても各省各庁の協力を得まして出向していただいた上で当面は充実させる、おいおいプロパーの職員を増していく、こういうことでいたし方ないと考えております。そういうことで、人員の量ばかりでなく質的の訓練ということも非常に大事でございます。この点につきまして、来年度は特に職員の質的向上ということについても十分力を入れていきたいと考えております。
  165. 中村重光

    中村(重)委員 きょうはこれで終わります。
  166. 天野公義

    天野委員長 栗山礼行君。
  167. 栗山礼行

    ○栗山委員 ちょっと資料要求をいたしたいのですが、中小企業カルテルの、いま公取が調査の対象として検討を進められておるものがあろうかと思うのですが、それは何件で、その中身はどういうものであるかということを、答弁はけっこうでありますから資料として御提示願いたいと思うのです。
  168. 北島武雄

    北島政府委員 御趣旨よく承りました。御趣旨に沿った資料をつくりたいと思います。
  169. 天野公義

    天野委員長 次会は、明後十一日金曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会