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山田(耻)
委員 あなたは総務長官ですから、いま問題になっております——問題というよりか、いま作業の進んでおります
公務員制度審議会には御
関係ございますね。そこで、若干話を進めていきたいと思うのですが、三
公社五現業の
賃金問題というのは、従来、当時者能力ということが誇大に災いをして、
団体交渉をはばみ、
調停、
仲裁に逃げ込んでいた。
調停、
仲裁の
段階でその
一つの実力行使的なものがかまえられていた。ある
意味では不健康な状態だということもいえるかもしれません。しかし、その不健康な状態の源をなしておるのは、当時者能力がないがゆえに
団交というものが持たれなかったというところにも大きな要因があるわけです。
そこで、いま
制度審議会などでは基本権の問題について相談がなされておる。どの程度進んだか私わかりませんけれども、きょうそれを聞こうとは思いません。思いませんが、三
公社五現業の
ような
一つの性格、国家
公務員の
ような性格、地方
公務員の性格というものは諸外国にも全く類似の型がございます。こういうものをそれぞれの国が持ちながら、同じ
ような
賃上げ要求をされてきながらどういうふうな形で現実的な処理がされてきたかということをここでひとつ想起してもらわなくちゃならぬ。あなたが、ただ単なる
給与担当
大臣としてでなくて、国務
大臣として、
公務員制度審議会の
政府の代表の一人として想起してほしいのだけれども、
一つは、かつてかなり大きく話題になりましたイギリスのホイットレー方式です。イギリスのホイットレー方式では、国の経営する事業は国会でやっぱり
予算がきまります。この
予算を越えて
賃金なりの妥結というものはあり得るのです。それが、日本の場合は、
当事者能力がないからといって労働協約も結ばずに
仲裁に逃げておった。イギリスのホイットレー方式では、
予算の最高
責任者である大蔵
大臣が
交渉相手になっているのです。そうして、そこでまとまったものが両
当事者間の労働協約に直されていく。そうして、それが
予算上、資金上越えておるものは国会の承認を得る。国会の承認というのは、追加
予算か補正
予算か移流用か、その内容について賛否の賛はいいが否を言うことができない、こういう立場できちんと
労使慣行は確立されていっているのです。いま日本の場合というのは、それに似た
法律体系、
予算上、資金上越えた場合には十六条でやるという
法律体系を持っていながらも、やらずに逃げていたところに今日の紛争の大きな要因がある。これをどうかひとつ念頭に置いてほしい。
そこで、三
公社五現業というものは
当事者能力で縛られてしまって
団交ができないから何とかして打開の道を講じなくちゃならぬということで、
昭和三十五年に、時の官房長官大平正芳さんでしたけれども、初めて官房長官を窓口とする対
政府交渉が生まれてくるのです。イギリスの大蔵
大臣とは違っておりますけれども、官房長官を窓口として、その両翼に
給与担当
大臣と
労働大臣とがいましてこれを補佐して三
公社五現業の代表との
賃金交渉の衝に当たってきた。これを当時対角線
交渉と名づけていたわけです。企業ともやるし、
政府ともやる。その
交渉のしかたというのが、少しでも争いをせずに、実力行使などということをできるだけ控え目にして、
団体交渉で問題の
解決に当たりたいという
公労協の幹部なり
組合員の
一つの願望がそこにあらわれてきているのです。そのことがいま
政府部内で重要視されていない。重要視されていないということは、官房長官との会見、
労働大臣との会見がその場限りでとまっておるということなんです。あなたは、いま、私は担当外だから聞かなかったとおっしゃっている。おそらく、あなたが聞いていないということは、総理も聞いていないし、大蔵
大臣も聞いていないと思う。
熱意がないということになりやしませんか。今日の
公労協が、私が冒頭に言いました
ように、歯がゆくて歯がゆくてかなわぬから、多少ちょっと何かやっつけなければならぬという
気持ちになってきたということは、私はわかる
ような気がします。相手にしてくれる人がいないじゃないですか。どうしてもみずからの力にたより、団結にたよって何らかの意思表示をするという行動に結びついていかざるを得ないわけです。あなた方のお
気持ちとして、私の言っていることがわかるのかわからないのか。わかるとすれば
一体どういうふうにしていったらいいと思うのか。特に
制度審議会に
関係のあるあなたですから、あなたの抱負といいますか希望といいますか、そういうものを含めてでもけっこうですから、今日の
問題点として述べてほしいと思います。