運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-03 第51回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月三日(木曜日)    午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 田中正巳君    理事 小沢 辰男君 理事 藏内 修治君    理事 齋藤 邦吉君 理事 澁谷 直藏君    理事 竹内 黎一君 理事 伊藤よし子君    理事 河野  正君 理事 吉村 吉雄君       伊東 正義君    大坪 保雄君       熊谷 義雄君    西岡 武夫君       西村 英一君    橋本龍太郎君       松山千惠子君    粟山  秀君       亘  四郎君    滝井 義高君       辻原 弘市君    長谷川 保君       本島百合子君    吉川 兼光君  出席政府委員         厚生政務次官  佐々木義武君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      中原龍之助君         厚 生 技 官         (医務局長)  若松 栄一君         厚生事務官         (薬務局長)  坂元貞一郎君         厚生事務官         (児童家庭局         長)      竹下 精紀君  委員外出席者         専  門  員 安中 忠雄君 三月一日  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出第一七号) 同月二日  保健所に栄養指導員必置等に関する請願外三件  (藤本孝雄紹介)(第一四四六号)  老後の生活保障のため年金制度改革に関する請  願(三木武夫紹介)(第一四四七号)  長崎大学医学部原爆犠牲学徒の慰霊及び遺族援  護に関する請願細谷治嘉紹介)(第一四四八  号)  結核対策拡充に関する請願外四件(川村継義  君紹介)(第一四七二号)  国立病院療養所医師充足等に関する請願外  四件(川村継義紹介)(第一四七三号)  健康保険改悪反対及び医療保障確立に関する請  願外四件(川村継義紹介)(第一四七四号)  国民健康保険料引上げ反対等に関する請願外四  件(川村継義紹介)(第一四七五号)  環境衛生金融公庫設置に関する請願外十一件  (横山利秋紹介)(第一四九四号)  肢体不自由児母子通園訓練施設に関する請願  (地崎宇三郎紹介)(第一五〇二号)  性病対策強化に関する請願門司亮紹介)(第  一五一〇号)  旧令共済組合期間国民年金通算に関する請願  (山花秀雄紹介)(第一五二五号)  保育所拡充強化に関する請願外四件(八木昇  君紹介)(第一五二七号)  療術の新規開業制度に関する請願小沢辰男君  紹介)(第一五三九号)  調理師法廃止反対等に関する請願小林進君紹  介)(第一五四〇号)  日雇労働者健康保険法の改正に関する請願外三  百十四件(野原覺紹介)(第一五四一号)  長崎市の原爆被災者遺族援護に関する請願(西  岡武夫紹介)(第一五四二号)  国立岐阜療養所災害補償に関する請願滝井  義高紹介)(第一五六七号)  同(野田卯一紹介)(第一六〇二号)  国立療養所左沢光風園医師充足等に関する請  願(安宅常彦紹介)(第一五九二号)  同(華山親義紹介)(第一六〇三号)  社会保険診療報酬支払期日法制化に関する請  願(平林剛紹介)(第一六〇四号)  同(門司亮紹介)(第一六〇八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 田中正巳

    田中委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。伊藤よし子
  3. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 第一に私申し上げたいのですけれども、私、きょう公報で十一時十五分でございますか、委員会が始まったら質問をすることを予定しておりましたのに、参りましたところ、いまもって、十一時なのでございますけれども理事会もありましたのですけれども理事会が終わってからも私が要求いたしました政府委員の方がおいでにならなくて、ちょっとまたおくれました。こういうことはけしからぬことだと思います。その点、せっかくの時間がおくれましたことについてどうお考えになっておりますか。
  4. 田中正巳

    田中委員長 委員長からも申し上げますが、ただいま伊藤委員からそのようなお話がありましたが、これは単に伊藤委員だけでなしに、与党並びに委員長もこのような傾向についてはまことにどうも遺憾に存じますので、自今かようなことのないようにやっていただきたいと思います。
  5. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 はなはだどうも粗漏を申し上げまして、申しわけございません。以後こういうことのないようにしたいと思います。
  6. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は、まず第一にお伺いいたしたいのでございますけれども大臣おいでになりませんから次官にお尋ねしたいのでございますが、昨日予算の分科会で、最近たいへん問題になってまいりました大学病院における無給医局員の問題について、文部当局に若干の質問をいたしたわけでございます。これは御存じだろうと思いますが、この無給医局員の問題はもう数年来の問題でございまして、特に昨年の暮れでございましたか、東京大学の一部と、それから名古屋大学あるいは群馬大学等無給で働いている医師の方が、ストということばはあれでございますけれども研究専念日というようなものを設けて、そして診療を拒否なすったというような記事がだいぶ新聞に出ました。そういう点で、最初に申し上げましたように、この問題は社会的な問題にもなっていると思うのでございます。これは文部省昭和三十八年の御調査によりましても、国立大学付属病院実態調査というのが出ておりますが、それによりましても無給医局員というのが全国で八千人ございまして、それからこれは公立医科大学等を合わせますと一万三千人ぐらいあるというようなことのようです。それで名古屋大学の場合なんかでも、百六十人の有給医師に対して、無給で働いている方が五百人もおいでになるというようなことでございまして、半分以上がこうしたインターンなり無給医局の人によってささえられていて、大学病院業務が、こういう人を除いては一日たりとも行なえないという状態現状のようでございます。これについては、もちろん文部省の管轄の問題だと思うのですけれども大学病院というものが、教育とか研究診療というようなことをやっていく上においてこれは非常に問題になって、ぜひこの定員を増加して、そうして無給医師という前近代的なような状態を解消するために、私は一昨日質問を申し上げたのです。これはまた一面、国民医療という立場から、現在の大学病院の持つ意義と申しましょうか、そういう点から考えますと、年々大学病院診療を受ける人がふえておりますし、その上、近代的な医学進歩によって、検査とか、いろいろ診断をするにあたって業務もふえてまいっております。ですから、こういう正式に医局員でもない方たちによって診療現実に受けている国民立場から申しますと、この診療責任所在と申しますか、そういう点からもたいへん問題があるのではないかと思うのでございます。これは厚生省にとっても決して無関係ではなくて、国民医療という立場から、こういう状態があるということはたいへん重大な問題だと思いますので、これについてどういうようなお考えを持っておいでになりますか、まず第一にお伺いしたいと思います。
  7. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 ただいまの無給医局員の問題でございますが、医学の振興という立場から見ますと、現在のように無給医局員責任ある診療をするというような行き方は、私は正しいものだとは思いません。ただ、発生過程等から考え、あるいは現状をいろいろ調べてみますと、その大学病院に専属に配置されておる方もいますし、あるいはまた籍だけ置きましてという方もあるようでございまして、必ずしも条件が均一であるとは言えないような状況であるようであります。そうなりますと、給与の支給に関しましても全部一律というわけにもなかなかまいりかねるのではなかろうかと思いますので、そういう点、公務員並み云々という問題になりますといろいろ問題が出てくると思います。そういう点から考えまして、お話しのように文部省が主管でございますから、文部省とも十分相談の上、事態改善をはかりたいというふうに考えております。
  8. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私がいま申し上げましたのは、その点もございますけれども、この方たちは、いま次官がおっしゃいましたようにいろいろな形の、たとえば週のうち七日間いっきりで病院に来ている人と、一日くらい来ている人とか、あるいは三日、四日来ている方とか、いろいろな階層の方がいらっしゃると思います。しかし、大部分の方は臨床研究をするために入ってきているわけでございます。しかし、現実には、大体最低年齢が二十六歳くらいで妻帯をしている方、中には学位なんか取って五年も十年もたっている人も相当あるようであります。四、五年という方はずいぶんいるようでありますが、こういう物価高のときでございますし、医学の勉強はずいぶん長い期間かかるので、生活の資を得るために、いろいろ医療機関などにアルバイトをしながらやっているわけでございますね。そこで、最初に申し上げましたように、そういうような状態大学病院研究診療を担当しているということになりますと、患者のほうの立場からいいましても、医療に対する責任というものの問題が一つ出てくるのと、それからまた、アルバイト先医療機関における働きについても、これは国民立場から申しまして問題があると思うのでございますが、それらの点についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  9. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 やはり診療面まで担当するということになりますと、反面、患者のほうから見ますと、もちろん医師でございますから責任ある診断等をしてくださるとは思いますけれども、万が一にもそういう事態があるというふうなことになりますとたいへんなことでありますので、先ほど申し上げましたように、できるだけ給与その他で改善の措置を講じまして、そういう憂いのないようにいたしたいというのが私どもの希望でございますので、文部省ともよく相談いたしまして善処いたしたいと思います。
  10. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 続けて申し上げてたいへん恐縮なんですけれども、しかし、この問題は、最近日本の僻地の医師が足らないとか、あるいは国保なんかの診療所医師が足らないという問題は非常な社会問題にもなっておりまして、そうして医療機関なんかの医師の配属の問題というのですか、そういう問題ともからみ合わせて、ひとつ根本的に、医療制度の中でこういう状態があることを解消していかなければならない。もちろん、中には学位を取るために、ずっと六年なり何年かいなければ取れないという徒弟制度のような古いしきたりというようなものも、現在の大学病院なんかの中には残っているようでありまして、そこに入っていないと、いい病院なり何かに就職ができないというような矛盾した問題もあるようでございます。   〔委員長退席小沢(辰)委員長代理着席〕 私はたいへんしろうとで、こういうことを言うのはあれかもしれませんけれども医学方面学位というものの問題もここにひとつ問題になってくると思いますけれども、とにかく医師が不足の中で、何とかこういう問題も、全体の医療制度という立場から考えていかなければならぬ時期にきているので、そういうことについてもう少し高い見地から、国民医療医学進歩という立場から、何とかもう少しお考えをいただかなければならない。単に無給医局員有給にするとかいうことだけでは、とどまらない問題であると思います。こういう点についてどういうふうになっておりますか。
  11. 若松栄一

    若松政府委員 ただいまの問題、かなり技術的なこまかい問題もありますので、私から申し上げたいと存じます。  いまの大学に非常にたくさんの無給医局員がいる。現在診療に従事する医師が十万ちょっと、そのうちの約一割近いものが大学無給医局員として働いているというようなことは、非常に変態的な状態だと思います。しかし、この変態的な状態がよってきましたゆえんは、やはり日本医療が、非常に古い時代から大学における徒弟的な教育によってきたという問題と、ただいま御指摘のありましたような学位制度の問題が、これにかなり強い関連を持っていると思います。大学に何年間かいれば学位が取れる。学位が取れれば名医であるかのごとく、世の中も、医師自身も錯覚してきた。そのために、看板としての学位を取るために医局に長くいるという習慣がいつの間にかついてしまったというようなことが、大きな原因であろうと思います。そういうようなことを改善するために学位令改善があって、学位は、原則的には大学院のコースをとって初めて学位を取るという制度に改められるべきはずであったものが、それが過渡的に少しひねくられまして、旧式の論文学位制度が残ってしまったために、また依然としてその制度改善がおくれてしまったというような事態がございます。また一方、医師技術というものは、学校を卒業しただけではなかなか満足なものができませんで、相当長い間、相当りっぱな施設で修練するということが不可欠の条件であるという特殊な事情もございまして、その場として大学が最も適当であるということから、医師がみずからの技術研修するために、大学に数年間あるいは相当長期間残るというような状態が起こってまいりました。しかし現在では、昔の医師と価値が違っておりまして、やはり医師であっても、卒業して間もなく、卒業すればすぐ相当の俸給なり生活の資を得なければ、実際そういう研修ができない状態になっております。そういう意味で、いまこそといいますか、すでに手おくれではございますけれども、そういう制度の本質的な改善をはかっていかなければならない。そういうためには、学位の問題あるいは専門医の問題というようなことが制度としてからまってまいりますし、また、現在の大学のあり方といたしましても、大学教育研究診療と三つの仕事を持っておりながら、しかも大学教授一、助教授一、講師一、助手四というような少ない職員でこれをやっていくということ自体が、全く物理的にも不可能な状態でございます。そういう意味で、多少私見にわたりますけれども、やはり大学には、その目的にかなうような、教育研究診療に必要な職員は、これは定数として置く。そうしてできるだけ無給というような職員は排除していく。しかし、一方、医師診療技術それ自体研修する場としての大学というものが必要でございますので、そういうものは、本来の目的と別に、研修機関としての活用をはかっていかなければならぬと思いますし、当然そういう制度ができてこなければならぬ。したがって、そういう医師臨床技術研修というために、どうしても大学あるいはそれとの関連ある教育病院大学以外の優秀な病院である教育病院というようなものを制度化し、これを系統化して、そこにレジデント制度とでもいいますか、一定期間は、研修と同時に診療を行なっていくというような制度が望ましいと私は考えております。そういう意味で三年なり五年なりというものを、少なくとも最低生活費、あるいは普通の勤務医と若干差があっても、レジデント制度というようなものができることが非常に望ましいと考えております。そういう意味国立病院におきましても、わずかでございますが、レジデント制度を設けて、もっぱら臨床的な研修を行なう人のためのポストを持っているのでございます。そういうように、この制度は非常に伝統的ないろいろな問題と多角的な制度関連がございますので、一朝一夕になかなか困難だと思いますけれども文部省方面とも協力をいたしまして、何とかこういう制度改善に努力いたしたいと存じます。
  12. 河野正

    河野(正)委員 関連無給医局員に対する改善方策については、いま伊藤先生からもあらゆる角度から御指摘になっているわけですが、そういう問題点については主として文部省関係の問題でございます。そこで、私は人道的な立場なり、また医療法という立場から、一、二関連をしてお尋ねをしたいと思うのでございます。  それは、国立大学等——これは一般の国立病院でけっこうでございますけれども、非常に顕著な問題は国立大学だろうと思うのです。国立大学で、いわゆる無給医局員という、制度ではございませんけれども、そういう実態がある。そうして実際診療行為、あるいは教室の行為というものはこれが担当している、こういう実情だと思うのです。そこで、実際のそういう機関における診療責任というものは一体どこに所在するのかですね。こういう点について、これは診療責任所在ですから、制度の問題であると同時に、一つは人道上の問題だと思うのです。そういう意味診療責任所在というものは一体どこにあるのか、これらについて、ひとつ次官のほうから御見解を承りたい。
  13. 若松栄一

    若松政府委員 診療責任所在ということは、確かに非常に重大な問題だと私も思っております。いまでは大学保険医療機関になっておりますので、当然病院であり、保険医登録をした者が診療に当たっているはずでございます。そういたしますと、おそらく無給副手、しかも全日勤務でなく、あるいは一過間のうち一回、二回というふうな無給副手というものは、おそらく正規職員になっておりませんから、したがって、これはおそらく法律的には正規職員助手みたいな形で診療に従事している形になろうと思います。そういう意味では、確かに、責任所在というような問題が非常に大きな問題だろうと思います。ここら辺も、私どももまだ十分、従来からの因襲になじんだままで、はっきりしておりませんので、ここらも検討してみたいと思います。
  14. 河野正

    河野(正)委員 これは、局長もおそらく大学卒業医局研修されたから、経験があると思うのです。それならば、現実主治医制度というものが——これは法的でございます。慣習現実には主治医という地位があるわけですね。この主治医という地位をどういうふうにお考えになっておるか、ひとつお聞かせいただきたい。
  15. 若松栄一

    若松政府委員 現在は、法律的には主治医というような概念はございませんので、これに法規的な解釈をすることは無理でございまして、もっぱら慣習的な問題だろうと思います。したがって、現実に多数の勤務医等を持っておりますところでは、おのずから慣習的に主治医とそれからその助手というものがきまっているのでございまして、法律的な問題は、現在のところ明確なものは何もないのでございます。
  16. 河野正

    河野(正)委員 法律的にはそういうような規定というものがないとしても、現実に長い間主治医制度というものが認められ、現在実施されてきておるわけですね。そういう主治医保険医であれば問題ない。ところが、主治医であるという人はほとんど、大学医局においては、そういう段階の方々は保険医じゃないわけなんです。そうすると、一体医療行為責任というものはだれが持っているのだ。私どもも十年近く在局しておりますし、それからまた、局長もおそらくそういう経験があろうと思いますが、現実にそういう制度が、法的には別としてもずっと続いてきておるわけです。これほどやかましく医療上の責任というものがいろいろろ社会問題化され、政治問題化されながら、今日それを厚生省——これは文部省関係じゃない、厚生省関係ですよ。厚生省がこれを認めておるという現実をどうお考えになるか。
  17. 若松栄一

    若松政府委員 そういう主治医というような考え方が、きわめて昔からの慣習的にでき上がった問題でございますので、法律的な手当てをしてないということはいま申し上げたとおりでございますが、はたしてこの主治医という形のものを法的に規制し、その診療責任をきわめて明確にするほうがいいのかどうかということに対しては、やはり多少検討する余地があろうかと思います。主治医アシスタント責任の限界あるいは大学教授等指導する場合の指導責任というようなものと、これがもし万一、医療事故というようなものが起こりました場合に、はたしてアシスタント責任がどれだけ、主治医責任がどれだけ、あるいは指導者としての責任がどうというような問題が起こる可能性もありますので、法律的な問題としては非常に困難な問題であろうかと思います。
  18. 河野正

    河野(正)委員 いま局長は、もし不幸にして事故が起こった場合の責任所在が、プロフェッサーがどれだけ、助教授がどれだけ、あるいはライターがどれだけというようなお話があったけれども現実に国の機関の中で、公務員でない者がそういう仕事に携わるということが問題です。それならば、一体国機関の中で、全然公務員でない者がそういう仕事に従事している機関がどれだけあるのか。これはどういうようにお考えになっていますか。
  19. 若松栄一

    若松政府委員 国の機関の中で公務員でない者がどれだけ従事しているかというのは、いまの病院以外のことでございますか。
  20. 河野正

    河野(正)委員 そうです。
  21. 若松栄一

    若松政府委員 病院以外の国立病院におきましては、いま申しましたように、正規職員のほかにレジデントというものが若干、ごく少数ございます。これは定員化されて俸給を出しております。したがって、これは公務員ではございませんけれども、手当を出しておる職員でございます。それからそのほかに、国立病院におきましても、いわゆる研究生というものが若干おります。それは研究生規定というような規定を設けまして、院長が直接これを監督するたてまえにしております。
  22. 河野正

    河野(正)委員 公務員でない者が、全く所在不明の者が国の機関の中で仕事に携わる、しかもそれが仕事の主力になっておるというような例は、私はおそらく厚生省関係だけだと思うのです。これはたとえば学校で、学校職員でない者が授業にタッチすることができますか。できないでしょう。その他の役所で公務員でない者が——たとえば極端に申し上げますと、税務署で、大蔵省の役人でない者が税務署仕事ができますか。できないでしょう。ところが、国立病院なりあるいは国立大学では、もうずっと長い間、国の公務員でない者が国の機関の中で、しかもその中の仕事の大部分を担当しておる。こういうケースは他の機関ではないです。しかもそのことが、人の命を扱っておるわけですよ。それがたとえ慣習といえども、今日までずっと見のがしてこられるという手はないと私は思うのです。これが慣習だから、慣習だからというならば、今度はわれわれがよその家に行って税金を取ってよろしゅうございますか、そういう慣習ができれば。そういう極論になるのですよ。ですから、こういうことがいつまでたっても許されるというところに、今日の日本の悲劇があると私は思うのです。私は、これは即刻改善されなければならぬと思いますが、いかがでございましょう。
  23. 若松栄一

    若松政府委員 税務署職員でない者が税務署仕事をするということは、これは適当でないことはお話しのとおりだと思います。
  24. 河野正

    河野(正)委員 だって、やっているじゃないか。国の職員でない者が仕事をやっているじゃないか。同じことじゃないか。
  25. 若松栄一

    若松政府委員 ところが、そういう大学病院あるいは国立病院の優秀なものが医学技術研修の場として使われるということは、これはむしろ望ましい姿であろうと思います。そういう意味で、国の正規職員でない者でも、研修の場として将来ともおそらく使わざるを得ないのではないかというふうに考えます。ただこれが、いたずらに無給の者あるいは研修中の医師の労力にたより切らなければならぬというような状態は変則であって、是正すべきものと考えます。
  26. 河野正

    河野(正)委員 あなた、医者の出身でありながら、そういう審議を冒涜するようなことを言ってはいけませんよ。あなたがそういう答弁をするので、自民党の皆さんが、黙って聞けとか、あなたの意見がいかにも正しいように言っているけれども現実はそうでないことは十分御承知でしょう。承知してそういうことを言っているのでしょう。  いま大学病院へ行ってごらんなさい。国家公務員でない医師主治医を担当しているじゃないですか。カルテを見てごらんなさい。主治医と書いてある。しかも診療の大部分というものは、そういう無給の、国家公務員でない医師がおもに作業をやっている。教授助教授、講師、こういう者は指導をやったり、講義をやったり、手術をやったりしているが、実際に患者を日々見ているのは——教授だって一週間に一ぺんしか回診しませんよ。それも、ほとんど顔を見るだけですよ、重症の患者は別としても。だから、日々の診療業務に当たっている大部分というものは無給医師ですよ。眼科とか耳鼻科とか、医局の少ないところは別です。非常に医局の多い内科とか外科には無給医師が多い。あなたは、研修研修ということで言いのがれされるけれども研修はけっこうです。ところが、主治医という制度のもとでやっておるから、私どもはそれはおかしいじゃないかと言っている。こういう制度があるということは、あなたは御承知でしょうが、法的には別として。現実にそういう主治医制度があるのは御存じでしょう。失礼かもしれませんけれども、あなたはそういう実態を御存じないのですか。それはおかしいですよ。そういう人が局長になるのは、なおおかしい。事務系統の人は、大学研究した経験がないからそういう実情がわからないと言うのなら、話は別です。あなたは医者でしょう。れっきとした新潟医科大学の出身でしょう。そういう人がそういう実態を知らぬで、これは失礼なことばかもわかりませんけれども厚生省の最高の地位につくなんて、私は最もけしからぬと思うのですよ。あなたは即刻にやめるだけの資格ができていますよ。だから、あなたはそういう現実を知っておるなら、そういう点については率直に、謙虚に耳を傾けて、今後どうするというような御発言ならけっこうですけれども、それをあなた方があえて言いのがれするのなら、審議を続行するわけにはまいりません。非常に重大な問題です。そういうことでは、いつまでたってもこの点は改善されないですよ。あなたは依然としてそういう点を言いのがれされるならば、私は審議は続行すべきでないと思う。そういう誠意のない答弁なら、伊藤さんが一生懸命勉強されてここで発言されても意味がないと思う。そういう現実現実として認めながら、そういう制度があるなら、そういう制度を一日も早く改善する、こういう前向きの姿勢であるならばいいけれども、そういう制度があることを知っておりながら、依然としてほおかぶりをして三百代言的な発言をして言いのがれをされるならば、伊藤先生が一生懸命に資料を集めて勉強され、審議しても無意味だ。そういう意味では、私は、この審議を続行することについては賛成しかねまえ
  27. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 先ほど来いろいろ御指摘がございましたが、無給医師給与の問題から話が始まりまして、責任所在をどうするか、あるいは医療体系の中でそういう人たちの扱いというものをどういう地位に置くかといったような問題に触れてきているようでありますが、先ほど私、冒頭申し上げましたように、現状のままで、もちろん医学の向上の上から見まして、あるいは患者の面から見ましても、いいとは思っておりません。したがいまして、所管は文部省ではありますけれども、よく相談をいたしまして、厚生省としては、医学向上という立場あるいは患者立場考えまして、いま御指摘のありました三点等につきまして今後十分検討いたしたいと思います。
  28. 河野正

    河野(正)委員 関連ですから重ねて申し上げませんけれども、いま厚生次官から、たまたま前向きなお答えがございました。それについてあなたはどう考えますか。
  29. 若松栄一

    若松政府委員 先ほど伊藤先生の御質問にもお答え申し上げましたのですが、現在の制度にも、昔の因襲にとらわれたまま、あるいは学位制度その他の弊害が尾を引いて、非常に不自然の状態がある。したがって、これを改善すべきであるということは、私申し上げました。しかもその要点といたしまして、本来、大学というものは教育研究診療をやっている。しかもそれらの三つの目的を果たすために十分な職員がない。したがって、それらに必要な職員は当然定数化すべきであるということは最初に申し上げました。そのほかに、やはり研修施設として、もし純粋にそういう病院診療業務以外に、研修という立場で、診療をしながら自分の技術をみがくという立場も必要であろうから、そういう意味レジデント制度というものがそこにさらに補足されて、有給診療技術研修ができるという制度も望ましいということを申し上げたわけでございまして、決して現在の制度を是認したわけではございません。非常に前向きで私は改善意見を申し上げたわけでございます。
  30. 河野正

    河野(正)委員 そういうふうに私の質問をぼかされるから私は憤慨するわけなんです。いまの制度改善しなければならない面はいろいろございます。それは封建的な面もありましょう、あるいは学位制度の問題もありましょう。私も医局に十年おったことがありますから、そういうことは身をもって体験しておりますので、その中の一つとして主治医制度について私は取り上げて申し上げておるわけです。ところが、その点についてはちっともお触れにならないで、改善すべき余地があるということを前提としてお話を進めてきたのだ、こういうことであなたがごまかされようとするから、納得できぬと言うのです。ですから、具体的にいまの主治医制度というものが浮き彫りにされてきたならば、これについて自分はどう考える、これについて自分は将来どういうふうに改善したい、こういうふうに御答弁なさらないと歯車が合いません。それをおやりにならないで、あなたがほおかぶりしてごまかそうとされるからけしからぬということで、いま厚生政務次官から前向きの御答弁をいただいた。せっかく政務次官から前向きの御答弁をいただいても、あなたがその点について依然としてほおかぶりして、改善するということは、私、さっき伊藤先生にお答え申し上げたんですということで逃げようとするならば、ここで質疑応答いたしましても無意味でありますから、この問題についてこのままで審議を続行することはできない、こういうことを申し上げているのです。
  31. 若松栄一

    若松政府委員 主治医制度の問題は、いまの無給医師云々の問題と関連しまして、さらにもっと広い問題だと思います。そういう意味で、要するに、診療責任体制の確立という意味では、確かに十分これからも、いまのような制度関連いたしましても、あるいはそれとは別に、主治医というようなものの確立あるいは明確化が必要であろうと思っております。
  32. 長谷川保

    ○長谷川(保)委員 いまの主治医制度は法律にないというお話でございますけれども、しかし、法文には明らかに主治の医師ということばがあります。これは保健婦助産婦看護婦法の三十五条です。三十五条に、「保健婦は、傷病者の療養上の指導を行うに当って主治の医師又は歯科医師があるときは、その指示を受けなければならない。」と、ちゃんと法律にことばがあるのです。だからそれをいまのような答弁ではいけないと思います。やはりその点は、主治医という問題はもっと重大に考えなければいかぬと思いますね。その点いかがですか。
  33. 若松栄一

    若松政府委員 確かに、保健婦助産婦看護婦法では主治ということばがございます。忘れておりましたが、そういう意味で確かに主治医という概念があると思います。今後もそういうものの明確化、ことに不明確な分野については明確にしてまいりたいと思います。
  34. 河野正

    河野(正)委員 さっきのごまかした発言は取り消しなさい。
  35. 若松栄一

    若松政府委員 先ほど主治医制度がないと申しましたのは誤りでありますので、取り消させていただきます。
  36. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいまの質疑の模様でもおわかりのように、私はしろうとでありますけれども現実に、大学病院においては、たくさんの外来患者あるいは入院患者に対しましても、そこの医局員の、正式な国家公務員として定員の中に入っている方じゃない無給の人たちによって診療が行なわれ、治療も行なわれているという現実の姿があります。それもわずかなことでなくて、何か統計によりますと、全体の医師の中で、教授助教授、それから講師、助手などの有給の人は、わずかに二六・一%というような数字も出ておるわけであります。これはやはり現実の問題として、私はたいへんな問題だと思います。それの反面、いわばただいま申し上げましたような無給で働いている人の身分の問題が出てきておるわけです。  先日も私、局長のところに御案内だけいたしましたが、全国各地から無給医局員の人が東京に集まられまして、ことしで第四回目だそうでありますけれども、御陳情に来られました。その人たちの話の中に、われわれはこうしてアルバイトしながら苦労してやっておるので、一生懸命で研究診療をやっているのだ、そのためにたいへん病気になる者が多くて、そのときに自分たち医療の問題をどうしていいか、保障がないのだということを非常に訴えておられました。これはあのとき局長もお聞きになったとおりでございまして、いまの裏返しに言えば、公務員でございませんから、その人たちの身分の保障がつきませんために、自分たちが病気になっておるときには病院で見てもらうけれども、結局病院の費用の中に、わずかな研究費の中に食い込むことになる、正式な保障がついていないが、何とか、私たちが病気したときも、そういう保障がつくようにしてもらいたいという訴えもあった一点からもわかることでございまして、この点は、国民医療進歩の点からも、ぜひ現実の問題として取り上げて、文部省ともお話しの上、ぜひ積極的に改善をやっていっていただきたいと思うのです。それについてひとつ……。
  37. 若松栄一

    若松政府委員 先日、無給医局員の方々たちの代表が見えまして、ただいま伊藤先生のおっしゃったようなお話を承りました。自分たち患者診療を毎日しておるけれども、自分が病気になった場合には保険制度も何もないということで、非常にその点不安が大きい。結局、現在のところ雇用関係がない、身分関係のはっきりしない人たちでございますので、健康保険に入る道がない。したがって、せいぜい国民健康保険である。したがって、給付率も健康保険に比べて非常に低い。自分たち診療しながら、自分の診療について非常に困るという矛盾を感ずるということでございました。これは現在の制度からいいまして、身分を明らかにするということが、結局この問題の解決につながることでございます。いわゆる無給職員の定数化、そして大学であれば国でありますが、そういう無給という、身分の硬いものでなしに、はっきりした雇用関係といいますかを結んで、初めてそこの解決ができることでございますので、この問題もいまの有給化あるいは定数化の問題が解決いたしませんと非常に解決困難であろうと思います。別にそういう学生等で共済的な組織をつくることは可能でございましょうが、よしんばそういうものをつくりましたとしても、なおかつこれはめいめいの負担でなければできない。政管健保等であれば、ある程度雇い主あるいは国等の保険金の負担があるわけでありますが、そういう自費でやる共済制度を立てましてもそういう負担がないために、結局非常に負担が大きくなる。どうしてもそういう定数化、身分関係の確立が先決問題であろうと思います。
  38. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点は、先ほど来私の触れました点で、現在の僻地とかあるいは医師の不足の面が出ておりますけれども、それとこういう制度との関連で、どのようなお考えを持っておりますか。何とか改善をして、この医師の不足、たとえば、あとで触れたいと思いますけれども、保健所の医師どもずいぶんなり手がなくて困っています。その医師不足の問題と、こういう大学の中の無給医局員との関係というものは、どういうふうにお考えになっていますか。
  39. 若松栄一

    若松政府委員 医師が非常に不足しているのに、一方、こういう大学医局等で無給で八千人もいるということは、非常に矛盾だと思います。しかし、無給研究あるいは検診している者を、君たちはいなかの診療所へ行ってくれと言うような強制もできませんし、また、最近になって、無給医局員が急増したということでもございません。昔からこの程度のものがおそらくあったものと思われます。そういう意味で、この問題をすぐ僻地における医師の不足問題と直接的に結びつけ、あるいはこれによって解決の策を見出そうということは、困難であろうと思います。やはり僻地等の問題は、従来からのように、どこまでも待遇改善であるとか、あるいはその他医師自体を僻地に常任させるという問題と、僻地からむしろ逆に交通機関その他を利用して出てくるというような問題によって解決すべきものと思います。そういう意味で、この無給医局員の問題が、直接僻地における医師不足の問題とかみ合うかどうかは、まことに疑問だろうと思っております。
  40. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 もう一つ伺っておきたいわけでございますけれども、最近インターン・ストとか、大学院の入学をけるとかいうような、だいぶインターンの問題が新聞等で取り上げられております。私はその面がよくわからないのですけれども厚生省は、現在のインターン制度について、どういうようなお考えを持っておいでになり、今後どういうふうにしようとお考えになっておりますか、参考のために伺っておきたいと思います。
  41. 若松栄一

    若松政府委員 インターン制度改善につきましては、実はいろいろ込み入った事情がございまして、私ども自身は、厚生省の国家試験審議会のインターン部会の先生方の御答申をいただきまして、厚生省の事務当局の案を持っております。これに対しまして、大学医学部長あるいは病院会議は、それぞれの会議にはかりまして、意見をお出しになっておられます。それらの両方で一番相違いたしておりますのは、私どもの原案では、インターンを制度として義務的に存続させるという考え方でございますし、大学病院長、医学部長会議の意向は、インターン制度を廃止して、大学が自主的に卒業生の研修をやりたいという意向でございます。非常にその点がかけ離れておりますので、その点は、自民党のインターン小委員会でそれらの意見を調整されるよう、現在御努力をいたされております。
  42. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 それでは最後に、最初に申し上げましたように、いまの質疑応答の中でもはっきりしてまいりましたように、非常に矛盾に満ちた前近代的な、大学病院の持っている現状でございますので、何とかこの問題を解消して、ほんとうに研究する人たちが腰を落ちつけて研究もでき、そうしてまた、大学病院の持つ国民医療との関係という点からも、大学病院国民医療進歩のために貢献できるような状態がまいりますように、格段の御努力をお願い申し上げまして、この問題については、あらためて機会を得て、大臣も御出席のときにまた御質疑をさしていただくことにして、一応この点で終わります。  次に、保育所の問題で御質問を申し上げたいと思います。昨日、私は、予算の分科会保育所の問題についても触れたのでございますけれども、短い時間でございましたので、きょうは、少し残りました問題で引き続いて御質問を申し上げたいと思います。  ことしの保育所予算の中で、保育の単価といいますか、これが措置費といいますか、どういうことに予算の上でなりましたか。
  43. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 本年度の予算におきまして、保育所につきましては、第一番に、定数の改定がされました。これは、最近におきまして、乳児保育に対する要望につきましては昨日も先生御指摘のとおりでございまして、そういった面から、乳児の取り扱い児童数は、四十年度は八人に一人という保母さんの数であったのでございますが、本年は、七人に一人というふうに定数の改定を行なったわけでございます。  第二番目としましては、現在保育所職員給与につきましては、甲地と乙地の二つの差が本俸においてございます。そういった甲乙の二つの地域差を解消したいということで、その第一年度としての地域差是正を見込んだわけでございます。   〔小沢(辰)委員長代理退席、竹内委員長代理   着席〕  第三番目は、昨年の九月一日から実施されました補正予算に伴いまする給与改定の平年化をいたしました。その他通勤手当、補修費、庁費というのが若干上がっておりますのと、民間の施設につきましては、民間施設経営調整費、こういったものを新設いたしまして、民間につきましての財政的な補助、あるいは給与の問題等につきましての改善をはかっているような次第でございます。また飲食物費、日常諸費、こういったものにつきましての改善を行なっておるのでございます。  大体、以上でございます。
  44. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 ただいまの定数の増加の中で、三歳未満児が八人に一人を、七人に一人になさった。私は、その中で、昨年よりも全体として多少の進歩が見られたことは喜んでおるわけでございますけれども、前から一番問題でございますのは、いま三十人に一人でございますね。そのほうは、三歳以上ですが、ことしも全然変わりがないわけでございますか。
  45. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 三歳児以上の児童につきましては、現在三十人に一人でございまして、児童福祉審議会の意見としましては、二十人に一人というところまで改善するようにという意見が出ております。この両方をということはたいへんな金額でございますので、本年度は、先ほど申し上げましたように、乳児ということに重点を置きまして要求し、実現を見たわけであります。
  46. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点は長い間の問題でございまして、私たちは、十五人に一人ということをかねて御要求申し上げておるのですけれども、せめて児童審議会の答申どおり二十人に一人くらいまでにはやっていただかなければならない問題だと思うのです。  それはこういうことにもつながるので、先日こんな問題が出ておりました。板橋の平和保育園というものの問題が新聞に出て、無資格の保母ばかりがおって、そしてその中の保母が子供をたいへん虐待した。私たちが身ぶるいするような問題でございましたけれども、正式な保母が定員だけもおらないような状態の中でこういう問題も起きてくると思うのですが、この問題は特殊な問題だといえば特殊な問題のようですけれども、私は、一般の保母さんが少ないということにもつながっておるし、保育所がたいへん少ないので、多少評判がよくなくても、そういうところに入れざるを得ないというようなことにもなってくるんじゃないかと思います。この点について、厚生省としてはどういうような御見解を持っておいでになるか、ついでながら伺っておきたいと思います。   〔竹内委員長代理退席、委員長着席〕  それともう一つは、やはり同じころでございますけれども、これは姫路の施設で、必ずしも保育所の問題ではございませんが、やっぱり児童局の関係だと思うのです。園児のしつけをするために、真冬に両手足を縛って池の中につけたというような事件があったようでございますが、あわせてその問題について、厚生省の御見解をちょっと……。
  47. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 最近におきまして、児童福祉施設職員によりまする、収容された児童について不祥事が起きておりますことは、まことに残念に思う次第でございます。  第一の板橋の平和保育園でございますが、これは社会福祉法人といういわゆる民間の施設でございまして、御指摘のように八人の保母さんがおるわけでございますが、その中で有資格は一人、あとの人は、高校を出まして助手として保育の専門の養成施設に通っておるわけでございますが、そういうことで、運営自体につきまして、必ずしも適当な運営でなかったということが見受けられるわけでございます。私ども調査によりましても、やはり民間施設の経営的な困難という面もございますし、また有資格の保母がなかなか得られない、こういった事情もございまして、先ほど申し上げましたような、こういう民間の施設に対する特別な助成というものを、来年度から実施をいたしたいと考えておるわけでございますが、施設経営者の立場といたしましては、少なくとも預かりました子供さんにそういった危害を加える、あるいは不安を与えるというようなことがあることはもってのほかのことでございますし、そういう面ではまことに珍しい例ではございますけれども、今後ともそういうことのないように現在十分指示をいたしております。また、東京都のほうでも、運営自体につきましての改善について勧告をしたようでございます。  それから、第二番目の姫路におきまする養護施設の問題でございますが、大体新聞に報ぜられたのがほとんど事実に近いわけでございまして、これにつきましては、児童自体が、教護院から実は措置がえになった子供でございまして、そういう関係もございまして、施設をたびたび脱走といいますか、逃げ出すというようなことで、そのみせしめのためにああいうことを行なったわけでございます。これは、報告によりますると、指導自体も一緒に池に飛び込みまして、自分も同じような苦労をしたということを申しておりますが、いずれにいたしましても、手足を針金で縛るというようなことは、いかにしつけと申しましても行き過ぎの点があると私ども考えますので、今後そういった点につきましては、施設職員の資質の向上、また子供の取り扱いということにつきまして、十分注意するように指示いたしたい、かように考えております。
  48. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 養護園の子供であって特別なくせの悪い子供であっても、そういう肉体的な虐待ですか、しつけは、いかにもこれは過ぎておると思います。ときたまこういうことが新聞に出ましたが、他の養護施設においても私は必ずしもあり得ないことではないように思いますので、こういう点については——少なくとも児童なんですから、あたたかい配慮をしていただきたい。ひとつ厳重に御監督をお願いしたいと思います。私もちょっとこれがひっかかったのでございますけれども、この吉田園長の話というのに、最後に、「池に入れたことはあとで聞いたが、みんな問題児で、場合によってはみせしめのためやむをえないと思っている。」というように、肯定しておることばが出ておる。たいへん残念だったと言うのならともかく、この点は非常に問題があると思います。ときたまこれは一つあらわれた問題ですが、ほかにもあるのではないかと思います。この処置について、もう一度、厚生省はどういう処置をおとりになりましか。
  49. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 姫路の広畑学園につきましては、厚生省といたしましては直接の措置はいたしておりませんが、調査の報告をとりまして改善をするように県のほうへ申しております。県のほうでは、まだ警察の問題がございまして調査中でございましたが、いずれ児童福祉法に照らしまして適当な措置をするというふうに考えております。
  50. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 その点はぜひひとつ厳重にお願いを申し上げます。  次に、時間もございませんので、私がきょうぜひ伺っておきたいことは、公立保育所に対する自治体の持ち出し分でございますね。いま措置費に対して十分の八を国がお持ちになっておるのでございますか、そして市町村が一ですが、県が一でございますか、これが今度措置費が上がってまいりますと、現実にはやはりなかなかそのとおりの割合でいかないし、物価やいろいろなものが高くついて、給食費等もきめられた範囲ではなかなかできないのが現状でございますね。そういう点について、地方の自治体からの持ち出し分というのがかねて問題になっておるのですけれども、私の手元にある調査によっても非常に大きくなっておるのです。こういう点については、厚生省の児童局のほうで御調査がございましたかしら。
  51. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 市町村の自己負担と申しますか、いわゆる補助対象にならない分の持ち出しにつきましては、厚生省のほうでこれを正確に調査したことはいままでございません。自治省のほうで調査したようでございますが、主として設備費の負担、きのう先生の御指摘のございました設置する際の負担の問題と、それから実際運営上の問題としましては、給与費は非常に大きな部分を占めておりますので、特に大都市関係につきましては、補助単価と大都市の実際に支給されます単価が、かなり開いておるように考えておるわけでございます。大体私どものほうでは、給与の問題としまして補助単価を一〇〇といたしますると、二三%程度地方のほうでは持ち出しておるのではないかと考えております。
  52. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 この点は、昨日施設の問題では御質問申し上げて、もうこれはたいへんな問題ですけれども、その上に、運営の面でもだいぶ持ち出し分が多くなっておるようでございますし、また、巷間伝わっておるところによりますと、大蔵省が国庫負担を切り下げるというような傾向もあるといってたいへん不安に思っております。ただでさえ地方自治体の負担が多くて、そして施設をつくるにあたっても、超過負担が多い。こういうことが、地方の一般の婦人の非常に保育所がたくさんほしいという要望に対して、市町村がそれにこたえられない一つの大きな原因になっていると私は思います。現状においては、ことしは幾らか給与のほうはベースアップされましたけれども、給食費、日常諸費というのがことしは上がっているようですが、現実にはこれだけでは実際足らなくて、やはり持ち出し分が出てくると思うのです。これはぜひいまよりももっと格段に上げていただかないと、ますます超過負担が多くなるのじゃないかと思いますので、格段の御努力を願いたいと思うのですけれども、もう一度局長から……。
  53. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 超過負担の問題につきましては、私どもも、できるだけそれを改善するように年々努力をいたしておるわけでございますが、昨日も申し上げましたように、来年度の保育所の設置費の基準単価、これは一般的にも建築単価が上がるわけでございますので、来年度は本年度以上に単価を上げたいということについて努力いたしております。  また、運営費につきましては、甲乙の地域差の問題あるいは給与の平年度化の問題につきましても、そういった超過負担の問題に関連いたしまして、できるだけ実態に近づけるように努力をいたしておる次第でございます。今後もまた格段の努力をいたしたい、かように考えております。
  54. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 それでは、もう一つ。ただいまの問題に関係してくるわけですけれども、措置費を上げますと保育料も上がってくることになるわけです。非常に保育料が上がって困るということを耳にするわけです。昨日もこの問題で千葉のおかあさんの投書の問題を申し上げたのですけれども、これは全体として昨年度、保育料がどの程度の割合で上がっておりますか。保育所の家庭負担のほうですけれども、そういう御調査がありますか。A、Bじゃなくて、Cからの家庭負担の保育料の値上がりの問題は、どの程度のパーセントで上がっておりますか。
  55. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 家庭負担と申しますと、昨年の補正予算に伴いまして単価のアップがございますが、これは私のほうでD2階層と呼んでおります、かなり所得としましてはいい階層になるわけでございますが、そういったD2階層の所得税を三千円以上負担している階層につきまして、保育料を上げたわけでございます。それ以下の、たとえばC階層とかD1階層、そういったところには保育料は上げておりません。ただ、上げ幅の問題でございますけれども、大体最高月二百円というのが上げ幅でございます。
  56. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 この点は、ただでさえ物価が上がりまして子供にかかる費用もどんどん上がっておる中で、地域によってはかなり保育料が上がっています。これは東京都の場合ですけれども、保育料が上がらないようにという要望がたいへん強いものですから、何とか一定の限度で、リンクして上がっていくことをやめるような状態にぜひ御努力を願いたいと私は思います。その点を御要望申し上げます。
  57. 吉村吉雄

    ○吉村委員 ちょっと関連質問さしていただきたいと思います。  保育所費の中で、寒冷地帯に対して採暖費が出されていると思うのですが、これはどういう区分で出しておりますか。
  58. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 地方交付税によりまして寒冷地についての区分がございますが、私どものほうでは、それに従いまして寒冷地における採暖費を加算いたしております。
  59. 吉村吉雄

    ○吉村委員 私が採暖費と申し上げているのは、全体を含めて言っているのです。職員の事務運営費というのですか、それと子供に直接要する採暖、こういうものは、北海道とそれ以外の地域で区別されてはおりませんか。
  60. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 御指摘のように、北海道とその他の寒冷地の間では、若干の差別がございます。
  61. 吉村吉雄

    ○吉村委員 田中現委員長が北海道出身だからというわけではないと思うのですが、そういうつもりで言うのではないのですが、しかし、この寒冷地に対する採暖というのは、北海道だからあるいはそれ以外だからという区分けのしかたは、私は問題だと思う。やはりそれは寒冷の度合いに応じて給付される、こういうものでなくてはならないと思います。北海道とそれ以外とを、特に区分けをしているという根拠は一体何ですか。
  62. 竹下精紀

    ○竹下(精)政府委員 これは保育所のみの問題ではございませんで、ほかにも、医療費の問題にも関連いたしておりますが、職員給与につきましても北海道とその他の地域と区別がございまして、大体そういった原則によりまして保育所のほうも区分けをしている、こういうことでございます。
  63. 吉村吉雄

    ○吉村委員 これはなるほど、保育所関係の問題だけではありません。しかし、特にこの保育所の場合には子供たちなんですよ。ほかの関係もあるかとは思いますけれども、子供が寒い思いをしている。北海道は寒いという一般的な概念はあります。ありますけれども、北海道以上に寒い地域が日本にはたくさんあるのも御存じのとおりです。ですから、ほかのほうでも、そう私は例はないと思うのですが、どうもこの点は北海道だけが特別な扱いをされて、北海道の子供だけは寒い思いをして、ほかのほうは寒い思いをしてないのだ、こういうことではいけないと思うので、これはぜひ何とか処理をしていただきたい。特に私、申し上げるのは、社会労働委員会委員長は北海道出身で、社会福祉関係についてはきわめて熱意を持ってやってきているので、そういうことからこういう結果になったという印象を世の中の人に与えてはいけない、こういうことを考えますので、この国会中でも若干私は問題にしようと思っていましたけれども、これは強く何とかするようにしてもらいたいと思いますが、次官はどうですか。
  64. 佐々木義武

    佐々木(義)政府委員 御承知のように、公務員の寒冷地手当に関しましては、その地域地域の積雪状況とか温度の関係、風の関係等を考えながら、ずいぶん四級地、五級地の手直しはしたのでありますが、保育料その他全般の問題に関しましては、御指摘のようにまだそういうところまで達しておりませんので、これはできるだけ公務員の寒冷地手当のやり方等を見習いまして、そういう方向に進むべきだと考えております。
  65. 吉村吉雄

    ○吉村委員 関連ですからこれで終わりますけれども、とにかく所々方々の施設職員、特に保育所の問題については、いろいろ問題があることは局長御存じのとおりだろうと思うのです。たいした金がかかるとは思いませんから、これは委員長にあとで御要望申し上げて、そして委員長の御努力というものが北海道だけにとどまらずに、全国の施設に普及されるように要請をしようと思いますので、きょうは私の質問はこれで終わります。
  66. 伊藤よし子

    伊藤(よ)委員 私は、まだいろいろ御質問を申し上げたいし、特に児童手当について大臣なんかにも伺いたいと思いますので、きょうは大臣おいでになりませんから、これで一応質問を保留をいたして、終わりたいと思います。
  67. 田中正巳

    田中委員長 次会は来たる八日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会