○大塩説明員
建設省としましては、
公害対策の問題、大きく分けまして二つの類型があると
考えております。
一つは、すでに
公害が
発生しておりまして、緊急にその対策をしなければならないというような類型に属するものでございます。もう
一つは、国の
地域計画あるいは
国土計画的な立場からいいましても、そこに当然
工場をもってこなければならないというふうな
立地上すぐれた要件があるような
場所につきましては、まだ住宅その他の被害を受ける人口等が集まっていない間に、予防的にこういう
公害をなくする、あるいは少なくするような措置をとるべき
場所、こういう二つに分けることができるかと思うのでございます。
第一の類型に属する大都市の周辺部における工業
地域に多く例が見られます
地域につきましては、四日市であるとか、千葉の五井あたり等につきましては、すでに住宅が現存して、被害というものが出ておりますので、いまおっしゃいましたように、われわれといたしましては、
企業の側におけるその
公害の
発生源の対策ということの技術的な開発を期待するものでございますけれ
ども、現実にそういった被害が起こっておるという事態に対処いたしましては、やはり
都市計画というのは
一つの都市の間取りの計画でございますので、その間取りの改定をいたさなければならない。そこで
土地利用上の
地域、地区制の改定、あるいはそこで現実に学校あるいは住宅地が密集いたしまして被害の度が強いものにつきましては、住宅の移転を対策として取り上げなければなりませんので、いわゆる一種の都市改造という形における事業を現にそれらのところでやろうとしており、またすでに着手しかけておるわけでございます。これが
一つでございます。その場合に、住宅等が移転しましても、その移転する先の宅地造成なり、あるいは住宅の融資、あるいは賃貸住宅の供給という、住宅対策の面における
公害問題と
関連したてこ入れが
一つ必要でございます。この面におきましては、金融公庫の融資であるとか、あるいは公営住宅であるとか、あるいは住宅造成における諸種の金融措置等、現在ございますものをフルに総合的に活用するという手だてがございます。ただ、移転しましたあと地を、今度は
公害のない形に利用することが必要でございまして、できるだけそこは夜間人口の少ないような用途に切りかえていく。できれば
工場にそういう厚生施設なり、あるいは
公害を起こさないような
工場の用途に使わせる、あるいは緑地を入れていくというふうな計画を、その地形その他によって一がいに言えませんが、そういう対策を講じておるのが
一つでございます。さらに下水道等の整備をはかることによって水質の汚濁等の
公害を除去するというような方策とあわせて、そういう第一のグループにおける
公害対策につきましては、一種の総合的な都市改造という形でもって市民の側の移転ということを
考えざるを得ない状況にございます。
ところが、そういう町におきましては、一挙にそれだけの大きな事業を起こすことにつきまして、財政上のかなりの負担を伴いますので、これにつきましては、できるだけ
現行法の総合的な活用によってできるところまでは行ない得ましても、どうしても負担力が伴わないという面につきましては、何らかの緊急の特別措置法というような
法律の制定によりまして、たとえば補助金のアップであるとか、あるいは特別の財政上のてこ入れというふうな面がとられなければ、そういう緊急対策に応じ得ないという面がかなりございますので、この点につきまして目下
事務当局において検討いたしておるような状況でございます。
それから、第二のグループにおけるやや予防的な面の
公害対策につきましては、これはその
工場の
立地計画等も比較的明らかでございますし、それから、すでに
発生しておる第一のグループの前者の例もございますので、地方公共団体等と連絡
調整いたしまして、
土地利用の面における
規制を、たとえば工業
地域におきましても、特別工業
地域という特別用途
地域の
制度を条例によってつくらせて、煙の
発生しやすいもののグループ、あるいはここは住宅に接近しておるから
公害の
発生しないようなグループを入れる
場所というような、特別な用途
規制を指導して、できるだけ住宅地、それからそういう
公害発生源を風向きその他によってそういう
配慮をいたしておる次第でございます。
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