○中川
説明員
先生からたいへん率直な御
意見で、私が三木
先生の御質問に対してあまり即し過ぎた答え方をしたのではないかという感じを持っておりますが、四日市は、
通産省、
厚生省、これはもう政府部内通じまして、経験不足の失敗例であったということは、みんな痛感しておるわけでございます。それだけに、でき上がった工業地帯を望ましい状態に戻すということは、
努力のわりにはなかなか効果があがらないことは、いま
先生お話しになったとおりでございます。その範囲でそれぞれの
努力をしておる、そしてそれ相応の効果はあがっておるということを申し上げたわけでございまして、政府全体といたしましては、私、前々からこの
委員会で御
答弁申し上げておりますように、
公害問題というのは予防的な見地が最も大切なんだということ、それには実は既存の
公害法規だけの考え方ではなかなか問題が
解決しない。そこで、三木
先生には初めてでございますが、
通産省といたしましては、いま産業立地部会というものを設けまして、この中で、所要の地区についての特定の業種についての立地の調整、これは場合によっては禁止もございますし、場合によっては調整をするということも含めたこういう制度をつくり出す必要があるんじゃなかろうかということを、目下精力的に
検討を始めておる状況でございます。御承知のように、播磨地区は、工業地帯といたしましてたいへん有力な地帯でございまして、
先ほど図面で三木
先生お示しになったようなことは、私
どももよく承知しておるつもりでございます。しかもなお、活用し得るものであれば活用したい地帯でございますので、それだけに、今後の立地にあたって、どれだけの予防的な配慮というものをかっちりやっていくかということは、おっしゃるまでもなく、たいへん大切なことでございまして、実は私のほうと
厚生省のほうで事前
調査の計画を別々に立てておったのでございまするが、照り合わせてみましたら、播磨地区はとにかく四十一年度にやろうじゃないかということに期せずして一致しておるというのも、この工特地帯でさらに企業の立地が急速に進みそうであるということを両省とも意識したからであります。
出光の立地につきましては、
先ほど中井
先生からお話がございました、この
委員会でも問題になりました、重油からの脱硫の
装置を出光が考えておるというのは、実はこの姫路の製油所で考えておるわけでございまして、これは脱硫
装置といいましても、既存の製油所にそういう
装置を加えるということはなかなか設計上むずかしい点もございますので、できれば新しい製油所でそういうことをやってもらうほうが望ましいわけでございます。これは当該地区だけの問題ではなくて、日本全体の亜硫酸ガス対策というものに貢献し得る
可能性を持っておる製油所でもございますということをひとつ御留意願いたいわけです。
出光につきましては、三木
先生がおっしゃいましたように、四十年八月四日付で、常圧蒸溜八万バーレルということで石油業法の特定設備の許可をいたしております。その際に、私
どもは、水並びに大気汚染につきましてのそれぞれの数値を役所として調べまして、支障なきものと判断をいたしたのでございます。その際、
先ほどお話のございました関西電力の姫路第二火力発電所との、これは大気についてでございますが、亜硫酸ガスの汚染の重合の
可能性というものも、これは実測ではございませんで、机上の計算ではございますけれ
ども、一わたりチェックをいたしまして、支障なきものと判断しておるわけでございます。
詳細なことにつきましては、こまかい
数字もございますので、いずれまた機会を見て御
説明いたしたいと思いますが、第一に、排水につきましての問題は、
現地でこれを中心にしたトラブルがあったようでございますけれ
ども、私の感じといたしましては、会社側が、妻鹿の周辺の漁民
関係のところには、計画の内容と
公害防止の
措置等について御
説明をしておったのだけれ
ども、問題の家島、坊勢島のほうにまで話をしてなかったと思われる節を察知しております。たまたまここは水深の
関係から大型タンカーが入ることを考えますと、普通のところよりもシーバースを突き出す長さが相当長いというところから、そのさらに先にあるいまの島の方々が御心配になったということのようでございます。シーバースにつきましては、この計画によりますと、
先ほど申しました水深の
関係もございまして、約六キロメートル突き出す計画になっておるようであります。そこで、シーバースの構造その他につきましては、過去十年間問題なく運転されている同社の徳山製油所のものと同じタイプのものでございますし、シーバースのために海面がよごれるという心配は、私
どもとしてはないと考えておるわけでございます。
それから
工場からの排水につきましては、油分を含んだ廃水が製油所から出るのが水質
一般についての問題点でございますけれ
ども、これにつきましては、PPI方式の
処理装置を設置する、さらにそれを活性汚泥法によりまして
処理をするということによりまして、油分は大体この
処理施設によって一PPM以下にすることができる。それを冷却水で大体十倍に希釈いたしまして製油所から外に出るようにいたしますので、総合されました排水の油分は〇・一PPM以下のものであることが可能でございます。これが海域に入りまして希釈拡散をいたすので、この効果を考えますと、さらに
一つオーダーが下がって〇・〇一PPM以下のものになるということを私
どもが確認いたしまして、本件支障なしと考えておるわけでございます。ちなみに、四日市の場合等に異臭魚の発生を
防止する限界として考えておられますのは、〇・一PPMという数値でございますので、私
どもが
技術的に設備の内容その他を調べまして判断いたしました限りにおきましては、当製油所によります海水の汚濁は、ゼロというわけにはまいりませんけれ
ども、問題になるような汚濁は起こり得ないものと判断しておるわけでございます。
この辺の事情を、あまり離れているということのために、おそらく家島その他の方々に
説明をしていなかったということが、
一つトラブルの
原因になったのではないかと考えておりますし、現在地元のほうで、自治体に中に入っていただいて、隔意のない
意見と状況
説明をするということで進んでおるように私
どもは聞いておりますので、会社側が十分誠意を持って
説明を尽くすならば、水に関します限りにおきましては、かなり誤解その他が取り除かれるのではなかろうか、あるいは具体的な希望があれば、それがはっきりするのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
大気につきましては、多少おくれておりますけれ
ども、今年度中両省で調べます。これは三木
先生おっしゃいましたように、広畑、網干と、ずっと広がっている地帯でございますので、私
どものいまの机上の計算では、出光を入れることによって特に支障が起こるものとは考えておりませんけれ
ども、この地区全体の
工場配置についてどんなふうに考えるかという角度から考えますと、
先ほど御指摘のように予防が大切でございますし、今後十分なる
調査を必要といたします。そしてまた、その
調査結果に基づいた企業の配置が可能になりますような
法律的な制度というものを、他面私たちは急速に実現するようにいま
努力をしておるということは、
先ほど申し上げたとおりでございます。その点のことを御理解いただきまして、四日市のような失敗例を繰り返さないという
意味で、一生懸命このことについて真剣に考えておるという気持ちをわかっていただけたらと思います。