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1966-06-09 第51回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月九日(木曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 井手 以誠君    理事 奥野 誠亮君 理事 小山 省二君    理事 保科善四郎君 理事 中井徳次郎君    理事 野間千代三君       熊谷 義雄君    堀川 恭平君       山本 幸雄君    和爾俊二郎君       肥田 次郎君    三木 喜夫君       吉川 兼光君  出席政府委員         警  視  監         (保安局長)  今竹 義一君         警  視  監         (交通局長)  内海  倫君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君  委員外出席者         警  視  長         (交通局交通指         導課長)    広山 紫朗君         厚 生 技 官         (環境衛生局公         害課長)    橋本 道夫君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         長)      山中 義一君         通商産業事務官         (企業局次長) 中川理一郎君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君     ————————————— 六月九日  委員山崎始男君辞任につき、その補欠として三  木喜夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(ばい煙水質汚濁及  び騒音対策)      ————◇—————
  2. 井手以誠

    井手委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  最初に、昨日丹羽委員から強い御要望がありました交通騒音取り締まり実績並びに一般市街地における一般騒音警察官による自発的取り締まり実績について、関係当局からその回答を求めたいと思います。警察庁内海交通局長
  3. 内海倫

    内海政府委員 昨日私、からだをこわしておりまして出席をいたしかねたことは、申しわけございません。きのう交通指導課長のほうからお答えを申し上げたわけでありますが、なお私報告を聞きまして、きょうあらためて私からお答えを申し上げたいと思います。  昨日丹羽委員から御要望のございました昭和四十年中の交通騒音に関します警察取り締まり件数の統計につきましては、御要望に沿いますように、できるだけ早急に調査をいたしまして、資料として当委員会に提出をいたしたいと存じます。よろしく御了承願います。
  4. 井手以誠

  5. 今竹義一

    ○今竹政府委員 建設工事騒音の問題でございますが、昨日雨森保安課長から苦情に基づくものが報告されました。苦情処理が三百七十八件、このうち警告制止が二百八十二件、調停による解決が三十九件、他機関移牒四十五件で、警察検挙はない、こういう報告であります。このほかに、警察官が認知しまして取り締まりをいたしましたものが、警告制止につきまして七十二件ございます。なお、これ以外の一般騒音につきましても苦情の受け付けが六千七百九十六件ございまして、これをそれぞれ警告制止調停、他機関移牒検挙等解決いたしておりますが、このほかに、警察官が認知いたしまして行ないました取り締まりが、警告制止において千三百六十四件、検挙取り締まりにおきまして七十七件ということになっております。
  6. 井手以誠

    井手委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。野間千代三君。
  7. 野間千代三

    野間委員 交通局長のほうの御回答ですと、資料がまだ整備されないようですが、実際に警告をしたり、あるいは自主的に取り締まったり、あるいは苦情処理したということは相当あると思うのですね。ですから、それは資料としてまとまらぬにしても、たとえば件数としてどの年次にどのくらいあるという説明はできないでしょうか。
  8. 内海倫

    内海政府委員 お答え申し上げます。  交通騒音につきましては、私どもも、道路の上におけるいわば異常な騒音でございますので、取り締まりにあたりましては極力努力をいたしておるところでございます。ただ、御承知のように、常時警察官が街頭におるということもなかなか困難で、一般の、通行されておる人あるいは居住されておる人から見れば、あんなに騒々しいものをなぜほっておくのかというふうな意見も当然であろうと存じますが、私どものほうでは、こういう公害に対しましては、他の悪質な交通違反と同じように考えて、極力取り締まりあるいは指導ということに努力をいたしておるわけであります。どういうふうな結果になっておるかということにつきまして、きのうも私どものほうの課長お答えいたしましたように、年間における全国取り締まりいたしましたものを数字であらわすということになりますと、いろいろ整理いたしまして抜き出さなければいけませんので、いますぐここでお答えする資料を持ち合わせませんが、本年の四月一カ月の間に送致いたしましたものの概要を、数字をあげて御説明申し上げたいと存じます。  御存じのように、道路交通法では特に規定を設けまして、自動車あるいは原動機付自転車装置が不良で騒音を出す、あるいはばい煙を吐き出すというふうなことを禁止し、そして罪を設けておる。また、警音器を、ほんとうに法律に定められた場合のほか、単に人をよけさせるため、あるいは前の車を追い越すためというふうな形で使用することをきびしく制限いたしておるわけでありますが、それらについて取り締まりました四月中だけの件数を見ますと、騒音防止装置及びばい煙防止装置関係で千五百七十四件、内数としましては、原動機付自転車が四百件、その他の装置不良のものとして三十五件、うち原付が十一件、警音器使用制限違反が九十件、原付が六件、総計いたしまして千六百九十九件というものが送致されておるわけであります。
  9. 野間千代三

    野間委員 きょうは特に原付の問題でお尋ねをしたいのですが、その前にいまの御答弁は四月中の送致件数ですね。そうすると、一カ月で千五百七十四件あるいは千六百九十九件ですから、相当な件数になっておるわけですが、問題は、いま言われるように警察関係取り締まりのできない部分、目の届かない部分が非常に多い。われわれが道を歩いておって原付に出会うと、必ず騒音でひどい目にあうというのが通例であります。それともう一つは、最近はスポーツカー相当騒音を出しております。まず初めに、いま御説明のあった件数と、それから、言われましたように非常に取り締まりがしにくい、これは警察官人員の面もあるでしょうし、あるいは騒音を取り締まるものがはたしてどこの官庁が直接担当すべきものであるかという点についても多少題問がありはしないかというふうに思いますので、いまやっていらっしゃる警察庁関係取り締まりをする場合に、取り締まりにくいとか、あるいは手が届かないとか、そういう事情があろうと思うのですが、そういう点について御説明があれば若干していただきたい。
  10. 内海倫

    内海政府委員 まさしく御意見のように、たいへん取り締まりにくい点があるわけであります。まあ警察官人数の問題は別にいたしましても、まず取り締まり技術的な面から申しますと、やはりこういうものは現行を把握して処理する必要があるわけでありますけれども、音を出した、あるいは煙を出したというふうなものにつきまして、出しておるそのときをとらえることのむずかしさというものがしばしば私どもは痛感させられておるところであります。その辺はまあ多年の経験の上で処理をいたしておりますけれども取り締まり上非常にむずかしい点があるわけであります。  それから問題は、やはりこういうふうなものは、もともと根元からこういう音が出ないような装置消音装置というものがあるわけでございますから、特に原動機付自転車のような場合には、在来から消音装置装着がたいへんやかましくいわれておるところなんですが、前からいわれるのは、ぽんぽんいい音がしないと乗ったような気がしないということで、そういう消音装置を取りはずしておるというふうなことも聞きますし、また、そういう音のする形で売るということも一部にはあるやに聞いております。したがって、原動機付自転車装置というものを、売る場合に厳重にし、また、絶えずそういう装置が完備しておるかどうかということを私どもも見ていくということがこの場合必要ではなかろうか。そうすると、いわば音がどんどん出ておるとき以外でも、事前にいろいろ指導するというふうなことが行なわれるならば、原動機付自転車についての消音装置の不良、あるいはこれを取りはずしたまま走っておるというふうな問題はだいぶ変わってくるのではなかろうか、こういうふうなことを私どもは感じておるのでございます。  それから一般的に、特に普通の大きな自動車の場合に、スタートいたしますときに非常に黒煙を吐き、あるいは多くのガスを排出するわけですが、これは装置にも問題があるかもしれませんけれども、同時にまた、燃料そのものにも考える余地があるのではないかということを感じております。大きなバスなどのそういう燃焼装置並びに使用する燃料というふうなものについて、行政を担当する向きで一そう十分な指導措置が必要ではないか、こういうふうなことも私どもは考えております。  それから警笛につきましては、これはもっぱら私どものほうでやる以外にいい方法はないと思います。いままでいろいろいわれた中には、警笛ホンをもっと落としたらどうだというふうな意見も出ておりまして、運輸省主管局といろいろ相談したこともありますけれども、この点についてはなかなか妥当な結論を得にくいわけであります。  以上、はなはだ不十分でございますが、お答え申し上げます。
  11. 野間千代三

    野間委員 いま言われるように、一つは、実際に騒音の起きているときに取り締まるという方法、それから、産業公害でよく問題になりますが、原因から除去していくという問題、両方ありますが、最初取り締まり方法ですけれども、いまの法律の体系でいくと、道交法軽犯罪法くらいですね。一体、騒音が実際に起きておるところを取り締まるというのはなかなかむずかしいのじゃないか。したがって、警察の手にかかるわけですが、道交法軽犯罪法だけで実際に取り締まるということは、いま言われるようになかなかむずかしい点がある。もちろん、道交法軽犯罪法等で取り締まるという部分も重要ですから、これは強化をしなければならなぬというふうに思います。それともう一つは、他にもう少し適切に騒音を実際に取り締まる方法はないかどうかということが相当大きな課題じゃないかというふうにぼくらは思うのです。これはすでに当委員会で問題にしております公害基本法を制定するときには、そういう体制ができておらなければならぬというふうに思います。それで、警察の手で取り締まる部分と、それから他に有効な方法で取り締まるということを併用していかないと、いま住民なりあるいは道路上でわれわれが感じる騒音取り締まりはむずかしいのじゃないか。特に最近、たとえば十字路であるとか、あるいは騒音の激しいところとか、そういうところはホンを測定する機械を取りつけたり、あるいはそこへ特別に警察官を派遣する。大体そういうところは駐在がありますから、取り締まりは、する気になればできると思うのですけれども、そうでない道路上で単発的に起こる、いまぼくの言った原付であるとか、あるいはスポーツカーとか、そういうものは取り締まりが非常にしにくいと思うのです。しかし、私もこの取り締まりということばはあまり好きじゃないのでありますけれども住民なり交通者から見れば、何とかしなければならぬ。特に最近の原付あるいはスポーツカーはひどいところがあると思うのですが、そういう点は検討を始めているのでしょうか。これは直接には厚生省のほうの検討すべき事項になるのじゃないでしょうか。
  12. 橋本道夫

    橋本説明員 いま先生のおっしゃいました実施体制の問題は、実は私ども最も頭を痛めておりまして、非常に残念でありますが、現在までのところ、本省の体制県本庁レベル体制を何とか整えるということにきゅうきゅうといたしておりまして、現地レベルまで十分至っておらないということが実情でございます。私ども実施体制をどうするかということにつきましては、衛生のほうでできることもございますが、衛生だけではとうてい及ばない問題もございますし、その点につきましては、基本法では原則の問題が出てまいりましょうが、そのあと実施体制をどうするかということは、基本原則とはまた分けで検討しなければならない問題ではないだろうかというふうに私は思っております。総理府の連絡会議で出てくる答申の意見もございましょうが、それにあわせて厚生省としても積極的にその検討方向を進めたいと思います。
  13. 野間千代三

    野間委員 考え方として、基本法が制定される、その基本法はもちろん基本的な問題ですから、取り締まりあるいは実施の問題などは別に法律ができ上がってくると思いますが、少なくとも基本法制定の段階までには、そういう体制がある程度できておらなければ、基本法ができても価値がないことになりますから、当然、基本法を提案するまでには、それに即応した体制が必要じゃないかというふうに思いますから、そういう方向でひとつ実施体制の問題も十分に確立ができるように閣内できめていただきたいと思います。  それはそれとして、いま各県などに条例がありますけれども、この条例では、公害の中に騒音を確かに含んでおるのですが、いま問題になっている道路上の騒音、特に単発的に出てくる騒音を取り締まるという条例はあまり見当たらないと思います。東京でしたかの条例には、何かそういう点について取り締まる可能性がある条文があったと思いますが、私の住んでいる神奈川県の条例では、工場設備その他というものはできますけれども、なかなか道路上のはしにくいと思います。それで警察官が取り締まる場合、いま申しました単発的な騒音を取り締まる以外に——私、警察官取り締まりは権力的なにおいを強く感じて、それ自体公害ではないかということになりかねないくらいの気がするのですが、それはそれとして、やはり取り締まるべきものは取り締まらなければいけない。われわれよく見て、人員としてはそう少なくないという気がするのです。ちょっと冗談めいて聞いていただいてけっこうですが、たとえば横須賀にこの前原子力潜水艦で行ったときなど、あれだけの人員を町に出していただけば騒音はたちどころになくするような気がするのですが、もう少し、市民生活を守ることが警察官任務でもあろうと思いますから、中央の警察庁あるいは地方の警察、そういう体制を通じて単発的な騒音を取り締まるといいますか、警告ですね、あと原因のところで触れてまいりますが、警告なりする体制についてもう少し強化してもらいたいというふうに思います。  きょうは所管の大臣が見えていらっしゃらないので残念ですが、それぞれ通産省厚生省警察庁運輸省と、関係向きは見えておりますから、これはぜひ警察の手以外の取り締まりといいますか、そういう体制について検討してもらう必要がありはしないか。  もう一つは、人権的な問題が相当あります。特に最近の原付などは、多少人権を侵害するような音を出して——私の住んでいる家のすく裏が広い道路なんですが、相当速く、ものすごい騒音を出しながら、しかも高い単発の音を出しながら走るという原付自転車ですね。これはぼくだけでなく、おそらくどの方も経験されていると思うのですが、これはもう少し取り締まる体制について確立してもらう必要があるというふうに思うのです。警察関係と、人権擁護局ですか、人権関係とでひとつ協議をしてもらって、そういう方面での取り締まり体制強化してもらいたいと思いますが、それはいかがでしょう。これはやはり警察庁のほうに答えていただいて、それから厚生省のほうでもお答えいただきたい。
  14. 内海倫

    内海政府委員 先ほど申しましたような点に関しまする、要するに交通警察のほうで所掌いたします範囲につきましては、お説のような趣旨のもとに今後さらに適切な指導取り締まりをいたしたいと思います。
  15. 今竹義一

    ○今竹政府委員 公害、特に騒音の問題につきましては、私ども、これは重要な社会生活の保護の問題である、かように考えております。今月の去る三日、全国の担当の防犯課長会議を開催いたしました。その際にも、十分この問題について対処するようにという指示をいたしております。なお、一般警察官にも、公害、特に騒音の問題について教養を徹底いたしまして、市民生活を守るという観点からこの問題に対処してまいりたい、かように考えております。
  16. 橋本道夫

    橋本説明員 現地実施体制の問題につきましては、実は一週間前、公害主管課長会議というものを通産省厚生省両方合同で開きまして、ぜひとも行政体制強化してほしいということ等につきまして協力を依頼いたしておるところでございます。ただ、先生のおっしゃいました市民生活のすぐそば市民の状態を見守っている人という問題になりますと、現在の法規の権限の配分の問題等もございますが、厚生省といたしましては、重要な問題であり、従来比較的その点にまで手が及んでおりませんでしたが、来年度の予算の検討の際に、実施体制強化ということを含めまして、厚生省としての基本施策検討の際に十分注意を払っていきたい、そういうように思っております。
  17. 野間千代三

    野間委員 私のお尋ねしたことに関する答弁としては別に異議はないのですが、どうも現在実際に道路上で起きておる騒音のことを考えてみると、多少といいますか、どうもぴったりしないのですが、それはあとから原因の問題で少し伺いますけれども原因からなくすということがまず重要なことで、これは技術上あるいは自動車の構造上から単発的に起きているいまの原付なりあるいはスポーツカー騒音をなくす装置というのは、そう苦労の要ることではないというようにぼくらは思うので、それができればいいのですけれども、それができても、やはりいまのような騒音が直ちになくなるということにはなかなかならぬと思うのです。  それで、もう少しはっきりしたいのですが、いまの取り締まる法律が、いま言いましたように、道路交通法あるいは軽犯罪法程度でやっておるのですが、これは警察庁のほうで見た場合に、警察で取り締まる部分としてはいまの法律で十分なのかということが一つ。  それから、いま橋本さんの言われるように、この問題は市民生活の中で起きている問題で、常に一定のところで起きておるわけじゃないわけですね。工場のように一定のところで起きていれば、これは非常に取り締まりがしやすいけれども、そうでないという関係でありますから、そうすると、警察庁関係での必要な法律以外に、ぼくがさっきから言っているように、別の問題があるというふうに思うのです。それはいま下部の体制を整備するように協議を進めているとはおっしゃるが、これはぼくは協力を求め合ったりということでそう直ちにというわけにはなかなかいかぬと思うのです。したがって、できるだけ早急のうちに警察庁関係以外の方法をとるとすれば、どういう方法をとることが最も有効であるかということが、いま一つの大きな問題になると思うのです。したがって、それはいまのような法体系の中ではいかんともしがたいとなれば、それはどういう方法によって解決をしたらいいかということは、それぞれ関係していらっしゃる官庁としてはすでに検討をしておいていい問題じゃないかというふうに思うので、そういう問題について警察庁厚生省のほうから御答弁願いたいと思います。
  18. 内海倫

    内海政府委員 先ほども申しましたように、道路交通法の、こういう騒音あるいはばい煙に対する取り締まりの根拠というのは、いわば消極面からするもの、要するに装置が十分でなくて——と言いますよりも、騒音防止するために装着を義務づけられておるその装置が不完全、不良なために音が出ておる場合に、その音について、あるいはそのばい煙について、出ておるという事実をとらまえて取り締まるというものでございますから、非常にむずかしいわけでございます。しかも、先ほども御意見のありましたように、行き過ぎれば、そのこと自体またいろいろ非難も受けなければならない。また、これを犯罪として送致しておるわけでございますから、結局、正確にとらえてその事実を明らかにしていくということになりますから、実際にこの取り締まりに当たる者としては、非常に困難な、しかも、白バイなりあるいはパトカーなりというものを用意して取り締まるのであれば、必ずしも不可能ではないわけですが、立っておる警察官では、音を聞いたときには、もう現物ははるか遠くに行ってしまっておるというふうな、実情もまたそういうことが非常に多いわけですから、警察官が、そういうばい煙あるいは騒音が出ておるのを現認しながら、しかもそれを取り締まるためにおりながら、なおかつそれを押えて処理していくということのできない場合もしばしばあるわけでございます。したがって、根本的に騒音防止という措置をとろうとするならば、このような消極面からする取り締まりにしわ寄せをするようなことでは問題の解決はできない。むしろ、根本的なその原因を正す、原因においてこれをとらえていくというふうなことが最も必要であろう、こういうふうに考えております。
  19. 野間千代三

    野間委員 私のほうでも、原因からなくすということが必要なので、これはこの次にちょっと聞きたいのですが、いまは交通関係取り締まりは、主として交通規則違反に対して取り締まるという体制のほうが多いと思います。これはもちろん重要なことで、交通戦争といわれるくらいですから、重要な問題なので、それは強化をしていく必要があります。交通災害をなくしていくということで必要ですが、これはいまのところ警察官の手をかりて道路上の騒音を取り締まる以外にはほかに方法がなさそうなので、交通規則違反以外に、騒音を取り締まるという意味での警察官を配置する、あるいはそういう任務を持った警察官を勤務させる、そういう意味での体制はいまどうなっておりましょうか。
  20. 内海倫

    内海政府委員 私どもとしては、交通全般取り締まり指導、その一環として、こういう騒音についても取り締まりを行なっておるわけですけれども騒音専門にいろいろな装備を設け、専門にこれを取り締まっていくというふうなこと、今後において人員をそのために増加し、あるいは装備を充実するというふうなことを考えられれば別問題ですが、現在においては、まことに残念なことでありますけれども、これだけを専門に行なうために特別な組織を設けるということは、他のいろいろな道路上にあらわれておる交通違反あるいは交通災害防止ということをあわせ考えますと、現状におきましてはなかなか容易なことではない。私どもとしましては、やはり現状におきましては、一般的な交通取り締まり一環として、こういうものもあわせて——というよりも、こういうものも行なっていく。ただ私どもは、しばしば、たとえば酔っぱらいを重点的に取り締まる、あるいは無免許を重点的に取り締まるというふうなことはいたしておりますので、ときに週間を設け、あるいは旬間を設けて、こういう騒音取り締まりに集中していくというふうなことは、もとより行なわなければならないと思いますし、また行なうこともできると思います。ただ、先ほど申しましたように、単に人数だけの問題でなく、取り締まり技術上こういうものは非常にむずかしい点がございますので、十分効果が上がるような取り締まりということになるかどうか、なお一そうわれわれも研究をしなければならないと思います。
  21. 野間千代三

    野間委員 私は、こういう商売柄、よく二国あるいは一国を通るのです。そこでは白バイが通っておるのですが、そのそば相当騒音の高い原付が単発音を出すのですけれども、これは全然、取り締まるというか、そういう感じがなくて、主として交通違反のほうだけを重点にしているようです。そういう場合には、白バイ警察官でも、騒音について警告をしたり何かすることは差しつかえがないのでしょう。ですから、これはなかなかたいへんでしょうけれども交通違反を取り締まる警察官の方が、その際に、騒音の問題があったときには警告をしていく、あるいはひどいものは法規に照らして取り締まる、そういうふうな体制をもう少し騒音のほうにも向けていただいたらどうかというふうに思います。それが一つ。  いま言われるように、あるときには騒音に相当重点を置いて取り締まり強化する、そういう面も必要ではないかというふうに思います。  もう一つ警察官だけが取り締まるというのは、現状では多少問題があるというふうにぼくも思います。したがって、厚生省あるいは国家公安委員会、総理府なり、あるいは人権擁護局などが中心になって、警察官以外の取り締まり、これは騒音のパトロールみたいなものを、警察官でなくてやっていただいてもいいのではないかというふうに思いますから、そういう点について、早急にそういう体制をつくっていただけるようにひとつ閣内で御検討をしていただきたいというふうに思います。きょうは大臣がどなたも見えていらっしゃらないので残念なんですが、ぜひそういうことを早急のうちに検討していただいて、多少予算が必要になってくると思いますが、それはそれぞれ協力を願って予算を捻出していただいてそういう体制をつくってもらいたいというふうに思いますので、その三点についてお答えをいただければ、この問題は以上で終わります。
  22. 内海倫

    内海政府委員 交通警察の観点からは、取り締まりにつきましては、できるだけ御趣旨のほどを尊重いたしまして今後も取り締まりに当たりたいと思います。  また、他の機関によるそういう防止措置あるいは防止体制というものにつきましては、できるだけそういうものが実現するように私どもも期待をいたしております。また、政府としていろいろそういう点の検討というふうなことがあれば、私どもも大いに協力いたしていきたいと思います。
  23. 野間千代三

    野間委員 それで、次に原因の問題なんですが、宮田さんが見えていらっしゃいますので、お伺いしたいのですが、特に原付スポーツカーがたいへん騒音が大きい。その他自動車は、最近は大型の貨物自動車がいろいろな音を出す意味での騒音がひどいというふうに思うのです。これはたしか消音装置がついているはずなんですが、最近聞くところによると、消音装置を取りはずしたり、あるいは切断をしたりするとよけいに騒音が高くなる、そしてそれを起こすことによって一般の人が散らばっていったりするのがたいへん愉快で、特に音を出すようにするというようなことを伺っているのですが、そういう自動車の構造上の問題についてちょっと……。
  24. 宮田康久

    ○宮田説明員 いま先生からお話がございましたとおり、自動車騒音の中でやはり問題になりますのは、ディーゼルエンジンを使っております大型のトラックでございますとか、特に過積載しておるようなものが一つと、もう一つは、いまお話のスポーツカーでございますが、スポーツカーは、実際にレース場で走りますような場合には、もちろん馬力をさらに上げますために、ほかのマフラーをつけますとか、あるいは取りはずすとかいう問題がありますけれども一般道路を走ります場合には、同じような規制をされておるわけでありまして、これが第二の問題だと思います。第三の問題は、お話のとおり原動機付自転車の問題でございます。  そこで、自動車騒音につきましては、技術的な規制がございまして、道路運送車両法に基づきまして、その保安基準で具体的な数値、基準をきめております。これは八十五ホンという数値をきめておりますが、これは世界的な、ヨーロッパその他でもやっております基準とほぼ同じような基準であります。そこで私どもも、騒音問題につきましては、かれこれ十年前になりますけれども昭和三十一年以来取り組んでおりまして、当時特に二輪車関係を重点に技術的な検討をいたしました。当時七ホン、八ホンから十三ホン程度下げた例がございます。そこで、現在新車で出ております車は、実際に使用しておりますとやはり騒音が高目のほうにまいります。したがって、新車で出します場合には、必ずその八十五ホンから相当下回った数値のものを出すという行政指導をしております。そこで、現状を申し上げますと、原動機付自転車は約七十二ホンから七十七ホン程度、それから先ほどお話がございました大型トラックのほうでまいりますと、七十三ホンから七十九ホン程度になっておりますが、これは私どもが新型の審査をいたしておりますときの数値でございます。したがいまして、先生方が街頭でごらんいただきましても、新しい車の騒音というのは、昔から比べますといま非常に静かになっていることをお感じだと思います。  そこで、実は問題点でございますけれども原動機付自転車につきましては、先ほどお話のとおりでございまして、せっかく静かな製品が出ておりますものを、さらに音を趣味的に上げたいというようなことで、お話のとおり、マフラーの先を切りましたり、あるいはマフラーの先によけいなものをつけましたり、あるいは一部を取り除きましたりというようなことが実は問題点でございます。それから、スポーツカーでも同じようなことでございますけれども、レース場では、速度を出しますためにマフラーを一部取り除きましたりということはいたしておるわけでありますけれども、そういう製品はレース場用としては出ておるわけでありますが、それを街頭で使うということが一つ問題点でございます。それから、大型のトラックとかバスとかのディーゼルエンジンの問題でございますけれども、これはそういうような特に悪質だということではなくて、トラックで非常に過積みをしておりますようなものが、先ほどお話がございました加速のときに相当音が高くなる、あるいは整備の状態が不良になってまいりますと、やはり音が高目のほうにまいります。そこで、大型のトラックとかバスとかいうほうは、運転操作に気をつける問題、整備を確実にやる問題、さらに過積み等をしないというようなことで、こちらのほうの音は押えていけるわけでございますけれども、問題は、いまお話のとおり、レース場でもっぱら使うべき装置スポーツカーが街頭でも使うというような場合、あるいは原動機付自転車で本来の消音装置を使わないで、それを切りましたり、一部改造しましたり、あるいはよけいなものをつけましたりというようなもの、これが実は一番問題だと思っております。
  25. 野間千代三

    野間委員 特に問題にしたいのは、いま部長の言われるようにスポーツカー原付なんですが、いま指摘しましたように、マフラーを切断したり、取りはずしたり——消音装置そのものは速度には直接関係はないのでしょう。つまり、競争をするくらいの速度にしたい場合には多少関係があるかもしれませんが、日常使っておる分についてはそう関係はないと思うのですが、いかがでしょう。
  26. 宮田康久

    ○宮田説明員 お話しのとおりでございまして、消音器によって何馬力か馬力が損失をいたしますけれども、日常で使うにはもちろん差しつかえない程度のものでございます。
  27. 野間千代三

    野間委員 したがって、原付スポーツカーの場合は、別段ことさらに排気ガスと同じようなぐあいに費用をかけて整備をしなければならぬという問題ではないわけですね。現在の消音装置の機能でいけば、いま心配になっているような道路上の騒音ということにはならぬのですか、どうでしょう。
  28. 宮田康久

    ○宮田説明員 本来の装置をつけまして、適切な整備をしておりますれば、いまお話のとおり問題はないわけでございます。
  29. 野間千代三

    野間委員 そうしますと、定期的に車両法によって整備をした、その整備さえきちっとしておれば、騒音はそう問題はない。したがって、警察の手をかけたり何かしておるのは、私が指摘しましたような特殊なかっこうをその本人がするというところに問題があるわけですね。これは警察庁さん、いま言いましたように、マフラーを切断したり取りはずしたり、そういうかっこうで騒音が起きて取り締まりの対象になったというものはいままでにありますか。
  30. 広山紫朗

    ○広山説明員 道交法の六十三条の二に、騒音防止装置等、こういったものを備えていないかあるいは不備であるために著しくその他の人に迷惑をかける、こういった車は運行しちゃいかぬ、こういう規定がございます。したがいまして、私どもが実際上取り締まりますのは、そういった点をむしろ注目いたしまして取り締まりをやっておる現状でございます。
  31. 野間千代三

    野間委員 その例がいままでにあるかどうか。
  32. 広山紫朗

    ○広山説明員 ちょっと申しおくれましたけれども先ほど局長からお答えいたしました、ことしの四月中の調査によります千五百七十四件というような件数は、大部分がこういうものが入っておるわけでございます。
  33. 野間千代三

    野間委員 それで事態がはっきりしたわけです。  そこで、定期点検なり整備をしている段階ではこれは大体ついているわけですね。ただ、切断をしたり何かした場合には、それは整備へ回ってきた場合にはあらためて直さなければならぬ。したがって、整備をし直して出すということになるわけですね。ですから、その時点ではもうとらえにくいわけです。したがって、どうしても街路上でとらえないといけないというふうになるわけです。そこで、まず整備をしておるときに、いま言いましたような切断をされておったり何かしたままで整備工場に入ってくるということがあるわけですが、それは当然それまでの間に騒音を起こしておったと思うのですね。しかし、その際には、騒音工場にきたときには起こしていないわけですから、現行犯として取り締まるわけにいかないという問題になるわけなんですが、そういう切断をしたり、マフラーを変形させたりするということ自体は、これは別段法規に触れる問題はその部分ではないわけですね。ただ目的は、騒音が起きる、単発的な大きな高い音が起きるということ以外には、それはほかに作用はないということになると思うのですね。そうすると、現在の車両法では整備の問題が重点ですから、取り締まりの対象にはならないというふうになる矛盾があるわけですけれども、この辺は、いまの整備工場では、そういう場合に勧告をするとか何かはないのでしょうか。
  34. 宮田康久

    ○宮田説明員 いま整備工場で実際に整備をいたしました場合には、保安基準に適合するような状態でその車を出すという義務づけがございます。それに従わない者は認証を取り消すというような手段もあるわけでございます。ただ問題は、実はこれは非常に技術的な問題で、新しい車等を私どものほうで試験場、研究所的なところで測定をいたしますことは、いろいろ手段があるわけでございますけれども、実際問題になりますのは、簡易な測定方法とその測定機器の開発ということが実は一番問題でございまして、したがって、たしか高いなと思いましても、実際それでは基準を越えているのかどうかという判断がなかなかできないわけでございます。その点実は技術的に非常に問題がございまして、私どももここ何年か簡易な測定方法とその機器の開発に取り組んでおりますけれども、御承知のとおり音でございますので、いろいろの音も入ってまいりますし、なかなか技術的に困難な点がございまして、大学の研究所その他を動員いたしましていままでも検討しておりますけれども、なるべく早い機会に簡易な測定方法と測定機器の開発をして、それが整備工場等にも備えつけられるような事態にぜひいたしたいとは考えております。
  35. 野間千代三

    野間委員 測定機器の問題も確かに必要なんですが、特に原付のような場合には、マフラーの状態で大体音が出るか出ないかということが判断できる。それがちゃんと整備を規定どおりされておれば、町でそう高い音が出るわけがない。したがって、もっと本格的に自動車から起きてくる騒音を構造上から防止していく、そうしてそれを整備の段階で維持していくという場合には、部長の言われるように測定機器の開発が必要なんで、そういう意味での測定機器だろうと思います。それはぜひそういう方向強化をしてもらいますけれども、とりあえず、きょう問題になっております原付のやつは、測定器があろうとなかろうと、大体はっきりしちゃう問題だろうと思うのです。ですから、これはしろうとですが、マフラーは、構造そのものから、いたずらをして切っちゃうわけですね。それはわりあい簡単にできるというふう  になっておるわけです。それをそうではなくて、消音装置そのものが、排気ガスのところ、そこの構造そのものであるというふうになれば、これは理屈ですけれども、切るわけにいかない。こうなるのですが、そういうことには構造上はならぬのでしょうか。
  36. 宮田康久

    ○宮田説明員 実は消音装置は、見かけましたところ、ただの筒のように見えますけれども、中に、音を消すじゃま板でございますとか、その他共鳴室でありますとか、いろいろ設備がしてございます。実はその中身を取ってしまうというようなことの例が非常に多いわけでございまして、外観から見ますと同じようなかっこうをしておりますけれども、実は中身がない、それによって非常に音が高くなってしまうという例が非常に多いわけでございます。ですから、先を切断したというようなものですとすぐわかりますので、この切断に対しての処置もできるわけでございますけれども、外観はそういうようなことで、なかなか取り締まりの点ではむずかしい点もあるかとは思いますが……。
  37. 野間千代三

    野間委員 たいへん微妙なむずかしい問題——簡単な問題のはずなんですけれども、むずかしい問題のようです。  そうすると、これは実際に高音が発したときには、取り締まりの対象として警察庁のほうで取り締まってくれる。ところが、あれは始動をするときに相当高くなるという場合と、走っているときに速度を急に上げて高くなるという場合がありますね。ですから、原付自転車のいま言いました構造の中に、外見ではわからない、取りはずしてしまった部分がある。そうすると、これはちょっとやっかいな話だけれども道路上でそういうものを発見することができれば、ちょっと見て調査ができるというふうになれば、理屈でいえば、街路上に取り締まり官が立っておって、原付自転車が通るたびに調べるというふうになれば、これは発見ができるわけですね。そういうことをする以外には、整備から整備の期間の原付自転車騒音取り締まり、なくしていくということはちょっと困難なように見えますが、ただ申請をして、それが整備から整備の期間はだれの手からも離れるわけですから、その御本人の道徳上の観念以外にはないというふうになるわけですね。だから、道徳上の観念と、もし起きておった場合にはこういう取り締まりの対象になるということで、法規上予防をするということは現在でもできておるのですが、実際にそれをする場合には、街路上で発見をしてそれに警告をする以外にはないような気がしますけれども、そういうことなんでしょう。
  38. 宮田康久

    ○宮田説明員 先生のお話のとおりだと思います。
  39. 野間千代三

    野間委員 そういう状態であれば、主として整備の回数ですね。特にスポーツカーあるいは原付、そういう騒音が出やすい自動車消音装置だけを整備工場で見るということはわりあいに簡単じゃないか。定期的な点検ということは、これは全体を見ますから、なかなか手間がかかりますね。そうじゃなくて、原付のような簡単な車は消音装置のところだけを定期的に点検するということを義務づけるようにすることはできるのじゃいなかと思うのですが、それはどうでしょう。
  40. 宮田康久

    ○宮田説明員 現在、原付につきましてそういうような義務づけはしておりません。自動車につきましては、御承知のとおり、検査対象のものにつきましては定期的な検査をいたしております。あるいは検査の対象になっておりません軽自動車につきましても定期点検の義務づけをしておりますので、その際に半年に一回のチェックはできるわけでございます。原動機付自転車につきましては、実はいまその種の規制をしておりませんので、それについては今後十分検討はすべきだとは考えております。
  41. 野間千代三

    野間委員 原動機付自転車の保安基準が、車両法の四十四条でしたかにあるわけですね。いま法律を見ないのですが、保安基準で騒音レベルが大体具体的にきめられておるわけです。そして原動機付自転車の保安基準でもやはり騒音レベルについてはここで規定がしてあるわけです。したがって、新車の際には、その基準に従って発売されるということになりますね。あと原付の場合には、いま部長が言われるように定期的な点検はしてないわけですが、保安基準を改正することによって、原動機付自転車も定期点検の義務づけをするようにして、他の自動車よりも特に消音装置のところだけは点検回数を多くするということをすれば、原付の問題は一応ある程度解決がつきはしないか。千六百幾つというようなことは減ってくるのじゃないかというふうに思います。問題は、そうかといって、どの原付も全部が悪いわけじゃないですね。良心的に使っているのも多い。たまに悪いのを見かけるわけです。したがって、善良な持ち主、特に商売で忙しい人々ですから、それをしも全部手数をかけるということは、なかなか問題があると思います。したがって、そういうものは何かの形で保護するようにして、なかなかむずかしいでしょうけれども、それは気持ちとしてはそうなんですが、とりあえずは、相当騒音が出るわけですから、原付自転車の定期点検制度、特に消音装置に関する定期点検——これは原付の場合には、ぼくは構造上の定期点検というのはそう必要がないのじゃないかと思うので、特に消音装置の、問題のところの定期的な点検を義務づけるということにしたらどうかと思うのですが、それはいかがでしょう。
  42. 宮田康久

    ○宮田説明員 いまお話の点でございますが、現在は、原動機付自転車につきましては、先ほどから御説明いたしましたように、新車で規制する。それから実際に保安基準で一定の規制は運行の要件になっていますし、さらに道路交通法上の取り締まりがあるというような規制の方法をとっているわけでございますが、いまお話のように、さらに定期的な点検を義務づけるということについてはどうか。しかも大多数は善良な使用方法をしている、一部の者だけが非常に悪質な使用方法によって他人に迷惑をかけている、そういう状態で全体の車両の持ち主に対して規制をするというような点は非常に困難な点が、お話のとおりございます。私どもは、できますれば規制というものは最小限度にいたしまして、行政指導その他によりまして効果をあげるほうが最善だと思っております。その点で先生のお話もよくわかりますし、私どもも今後の行政指導につきましては大いに積極的にやりたいと思います。その辺の推移を見ましていろいろ検討さしていただきたいと思っております。
  43. 野間千代三

    野間委員 法律をいま見てわかったのですが、道路運送車両法の四十四条で、部長の言われるように、八号に「消音器」と、ちゃんと独立して書いてございます。ですから、これはやはり当初から騒音という問題については相当関心があったというふうに考えられますね。法の趣旨がそうだというふうに思っている。  そこで、いまの部長の答弁ですが、具体的に申し上げると、ぼくはこういうようにしたらいいと思う。原付自転車も定期点検の対象にする。そうしてそれは半年なり一年なりでけっこうです。消音器に手が加えられておったもの、あるいはそういう部品が脱落されておったもの、これは故意にやったものか、あるいはそうでないものもあるかもしれないけれども、そういうものがあった場合は、それは次期の定期点検の時期を繰り上げる。毎回あれば、それを繰り上げていけばいいわけですから、繰り上げるというふうなことにすれば、大体とらえられるのじゃないかと思います。  したがって、整理をすると、定期点検にあたって消音器に破損、脱落があったものについては、次の定期点検の時期を繰り上げるというようなことを規則化したら、それはそう無理な話じゃないというふうに思いますが、いかがですか。
  44. 宮田康久

    ○宮田説明員 先年定期点検制度を義務づけいたしましたが、その際に、軽自動車につきましては、実際に定期点検を義務づけましても、車の所有者あるいは使用者自身が自分の車を点検するという例は、従来の例から申しましても非常に少ないわけでございまして、ほとんど整備工場へ持ってまいりましてそこで点検を受け、しかも悪いところは整備してもらうという例が通例でございます。したがって、定期点検を義務づけいたしましても、受け入れ体制である整備工場がしっかりしておりませんと、いたずらに義務づけしただけに終わってしまうわけでございまして、その点で、実はさきに定期点検を義務づけいたしましたときにも、軽自動車関係の整備工場が整備事業の認証の対象になっておりませんでしたが、それを認証の対象にいたしまして、そして設備でございますとか、あるいは整備士を置いて、技術的にもしっかりできるような基準のもとに、全国の軽自動車を扱っております整備工場の認証をいたしたわけでございます。したがって、いま先生のお話のように、原付自転車について検討いたすといたしますと、いま全国でかれこれ八百五十万台の原動機付自転車がございます。しかも、それを取り扱っておりますところは、御承知のとおり、ほとんどいわゆる自転車屋でございます。したがって、こういうものを規制いたしました場合に、はたしてその辺の受け入れ体制からいいましても、お話のようなことで十分効果があげられるかどうか、その辺がかなり問題点だと思います。ただ、先生のお話まことにごもっともな点もございますので、私どもといたしましても今後十分検討を進めてまいりたいとは思っております。
  45. 野間千代三

    野間委員 実は次の委員会に行くので急ぎますが、いま部長も言われるように、原動機付自転車全体を定期点検に入れるというのが理想的なんで、そういう意味での体制の御準備をいただくというふうに願いますけれども、いま原付の自転車は、全体の整備をそう重視する必要はないというふうにぼくは思うのです。消音器だけならば、そうむずかしい点検でなくていいのではないか。ただ、それを脱落しておった場合にそれを整備するということはありますから、その点についての工場の準備は必要ですね。技術士も必要だと思います。したがってある程度の準備段階が必要です。そういうふうに考えられますから、ぜひいまぼくが言いましたようなことで体制強化してもらえるように、早急のうちに運輸省として具体案をつくっていただいて、所期の目的が達せられるように——これができ上がれば警察のほうはそう必要はなくなってくるので、警察官も本来の任務に戻れるわけです。そういうふうに御検討、御準備を願いたい。これは整備上はそう大きな問題じゃないから、規則をつくって、特に消音器のところのぐあいの悪いものだけをやっていくことが任務ですから、そういう意味での体制をつくってもらうことはそう無理ではないと思います。できればいついつまでにと言いたいところですが、ぜひ準備を願いたいと思います。これが一点。  それからもう一点。それまでに多少の期間がかかるから、これは警察庁さん、消音器はいまのような事情ですから、消音器関係を重点にした取り締まりの旬間なり週間なり、そういうものをやるということによって、運輸省で考えていることが一そう促進できるし、あるいは運輸省がやることについての援助になるというふうに思うので、交通取り締まり一つの項目として、週間なり旬間なり、これを重点にやるということをしてもらえれば、運輸省で準備ができる期間のつなぎにもなるでしょうし、また、運輸省が準備していま言ったようなことになってきても、それが必要になると思いますので、そういう点についていかがでしょう。  この二点を運輸省警察庁から答えていただきたいと思います。
  46. 宮田康久

    ○宮田説明員 先ほどの御説明に漏れておりましたが、実際にいま検査対象になっております車につきましても実はそういう悪質なものがあるわけでございまして、検査に持ってまいりますときは、自分で十分意識しておりますので、直して持ってくるというような事態がございます。したがって、いまのお話のような線で規制するといたしましても、その場合だけ直して持ってくる。実際に走っております場合には中身を抜いてしまうということでは、これまた非常にしり抜けになってしまいます。その辺で具体的な問題につきましては非常にむずかしい点がございますので、私どもも慎重に検討をいたしたいと考えております。
  47. 内海倫

    内海政府委員 先ほどからたびたびお答え申し上げておりますように、これ自体取り締まりというものは、取り締まり技術上非常にむずかしいものでございます。私どもとしては、公害防止という観点から、できるだけ取り締まりはいたしたい所存でございますが、ただ、御期待に沿えるような効果が直ちに出得るかどうかということになりますと、いま申しましたような取り締まり技術上の観点からも困難な点がございます。私どもとしては、やはりこういう問題は、長年の取り締まりの体験からも、根本において解決していくということを強く要望いたしておるところであります。
  48. 野間千代三

    野間委員 いまの整備部長さんのおっしゃることはよくわかっております。ぜひ私が申しましたような趣旨で準備をしていただく。いま警察庁お答えも、そのほうを重点にしてくれということだろうと思うのです。  それから、警察庁もいまの質疑で事情がおわかりと思います。直ちに効果があがるにはなかなかむずかしい点もあるし、それから、そういう体制になっても、なおその本人のやり方によってはその目からのがれられるということになりますので、これは希望ですけれども警察庁さんの事情もわかりますが、おたくでつかまえた件数でも千六百幾らくらいですから、ときにはぜひ騒音の問題を重点にした取り締まりの時期をつくっていただけるように御検討をいただいて、それを実施していただくことが、私は、一回でも二回でもやれば、相当大きな効果が出るような気がしますので、そういう点についての御努力をいただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  以上で終わります。
  49. 井手以誠

    井手委員長 せっかく野間委員から消音についての御質問がございましたので、私からも一言交通局長と整備部長にお伺いしておきます。  交通取り締まりは多岐にわたっておりますけれども原付自転車騒音は、これは一部じゃなくて、ほとんど消音装置を取りはずしておる実情でございますから、月に一回か二月に一回、それを中心とした一斉取り締まりができないはずはないと委員長は考えております。せっかくの御要望でございますから、また、公害の問題もやかましいおりでございますから、騒音だけというわけにはまいりませんけれども、それを中心とした取り締まりを月に一回か二回おやりになるお考えはございませんか。
  50. 内海倫

    内海政府委員 たびたび申し上げておりますが、私どももこういう公害防止にはできるだけ努力をいたしたいと考えております。いま、一月に一回あるいは二月に一回、こういうものを重点にする取り締まりをやれるかどうかというお話でございます。できるだけそういうふうな御趣旨に沿うようなことをいたしたいと思っておりますが、私どもなお正確に検討いたしまして——道路交通法の規定が、取り締まり技術上で若干困難な点があるように考えます。たとえば先ほど課長が言いましたように、一般の公衆に迷惑を及ぼす、そういう音ということなのでございますので、その辺の実情をよくとらえた上でないと、取り締まり自体がくずれるおそれがございます。取り締まりというよりも、指導警告というふうなことでできるだけ騒音防止に寄与できるような取り締まりを今後行ないたいと考えます。
  51. 井手以誠

    井手委員長 重ねてお伺いします。  騒音の発生源を押えることは、先刻も交通局長からその重要性をお話しになりましたが、そうなりますと、いま問題になっております消音装置を中心とした定期検査を行なうことが必要であるかどうかについて、交通局長はどうお考えになっておりますか。最近の原付自転車の事故を考えてみますと、ブレーキの点やその他やはり検査の必要が相当あると思われる点が多々ございますが、しかし、台数も多いことでございますので、特に消音装置の点を中心として定期検査を必要とするお考えが交通局におありになるかどうか、お伺いいたします。
  52. 内海倫

    内海政府委員 私、いま直ちに御答弁申し上げることはいいかどうか、はっきりした答弁は、ちょっとなお研究させていただきたいと思いますが、何らかの形で消音装置が正確に使われておるかどうかをチェックするということは、やはり騒音防止という大きな政策の前においては、やらなければならないのじゃないか。ただ、運輸省の整備部長の先ほどの御答弁にもありましたように、たいへん数が多いということと、一応チェックをしましても、すぐ取りはずしたり、どうこうするというふうなことがありますと、実際上の効果がなかなか出ない場合があろうと思いますが、何とかやはりチェックしていくような——そのチェックの方法はいろいろあろうと思いますが、そういう面の必要はあるのじゃなかろうか、私はこういうふうに考えます。
  53. 井手以誠

    井手委員長 原付自転車騒音についてはすでに定評のあるところでございますから、交通当局においても運輸当局においても、ただいまの野間委員の強い御要望を十分考慮なさって対策を講ぜられるように、委員長からも強く要望いたしておきます。
  54. 井手以誠

    井手委員長 次に、産業公害について、特に兵庫県における石油コンビナートの問題について審査を進めます。三木喜夫君。
  55. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 最初委員長要望しておきたいのです。  姫路港沿岸に出光興産の製油所ができるというので、石油公害の状況を知った者は非常に驚き、知らされていない住民は、いま非常に不安に思っておるわけです。そこで、四日市、市原、姫路と、姫路が第三の四日市になるということで、地元では非常な反対運動が起こっております。本日は実態を質問で明らかにせよということですから、私は質問をして、そして政治責任等を明らかにしていただきたいと思うのですが、結論として、いろいろな施設とか事業とかいうものを生みつばなしでは、住民不在の政治になると思うのです。  そこで、市、県の行政責任者を本委員会に参考人として招致して、そして一体になった対策を立てることこそ、本委員会の使命じゃないかと思いますので、これを一つ要望いたします。  それから、政府の責任でこれが行なわれるわけですから、現地の視察を、当委員会委員が政府の関係者と一緒にやっていただきたい。  三番目に、これも政府の責任において、地元民に納得のいくように公聴会を開いていただきたい。  最初に、このことを理事会でおはかり願うように私はお願いをしておきたいと思います。  そこで、姫路港の沿岸に建設されようとする出光興産の製油所問題について私は質問いたします。  地元では、漁場を奪う、公害を呼ぶ、住民生活が破壊されるということで、出光興産姫路製油所設置反対運動が起こっております。きょうはこの事態を質問の中で明らかにし、責任を問いたいと思うわけです。そこで、皆さんに知っていただくために先に姫路港沿岸の状況を少し説明させていただきたいと思います。    〔地図について説明〕  この地図でひとつ見ていただきたいと思いますが、大体姫路港沿岸には、十二キロにわたって工場、住宅、こういうものが非常に稠密に並んでおるわけです。わけても工場が非常に多いわけですが、まず、問題の妻鹿地区というのはここです。出光興産は、ここの赤く塗ってあるところ約三十万坪のところに工場を建てようとして、五月十一日に起工式をした。その横には関西電力の第二火力発電所があるわけですが、能力は九十万キロワットで、これは重油一〇〇%専焼です。二つがここにあります。それからこちらの飾磨地区には、これはまたたくさんございまして、あの問題になりました山陽製鋼がまずある。それから日本砂鉄、播磨製鋼、日伸製鋼、片倉、敷島紡績とありまして、ここに第一火力発電所もあるわけです。これは重油を一〇%使う発電所で、四十二万キロワットの出力です。それからその西にいきますと、これは御存じの、これだけ広い敷地を持つ富士製鉄がございます。これは御存じの特別重油をたいたり、あるいは石炭からコークスをとって、またそれから肥料をつくることも副次的にやっております。それから、これは広畑地区ですが、その隣にもう一つ工場がありまして、これが製鉄化学、それから網干寄りに神戸鋳鉄東工場、それから、これは網干地区ですが、こちらはたくさんございます。神戸鋳鉄西工場、大日本セルロイド、滝川セルロイド、大和工業、西芝電機、それから日伸製鋼、東京芝浦電気、日本触媒。こういうように十二キロの沿岸にたくさん工場が櫛比しております。  さらに、人口の集中度ですが、この青く塗っておるのが大体住宅のあるところですが、この付近、これは工場地帯と住宅の状況です。姫路市はもう少しこちらのほうに中心部がございまして、中心部は商工業の町であります。それから一般農村地区と、三つに分かれておるのですが、ここに大体十幾万の人が集中しておるわけです。  そこで、この経過ですが、ここに出光がくるというようなぐあいになった経過は、三十五年の四月、播磨総合開発というようなかっこうで始められたわけでありますけれども、出光としては、関西電力とコンビナート計画を持つということで、三十五年の八月、大阪か姫路に石油コンビナートの計画を持ちたい、こういうように考えておったのですけれども、いろいろな経緯がありまして、結論的には、県と姫路市とがこれを誘致して、そうしてここにつくるようになったのであります。まだその上に、姫路市長、それから兵庫県知事、商工会議所の会頭、これらの名前で早期建設を陳情しております。特に責任者は姫路市長と姫路商工会議所の会頭です。だから、言うならば、行政の責任者が、この地にもう少し早く建設してくれ、来年建設起工の予定を一年早めたようであります。  これが大体かいつまんで申し上げます経過ですが、機構としましては、ここにできます出光興産姫路製油所というのが、起工が四十一年五月十一日、完成目途を四十二年に置いておりまして、一日通油量は八万バーレル、将来は二十万バーレルで、シーバースは、これは世界最大のシーバースを使うといっておりますから、相当大きな計画があるのだろうと思う。これについて私たちもきょうはお聞きしたいと思うのです。装置としては、最初は、蒸留装置八万バーレル、そのほか、水素化脱硫装置等を備えつけよう、こういうようなかっこうのものでる。  そこで、質問に入りたいのですが、まず、厚生省からおいでいただいておりますので、厚生省の、瀧林環境衛生局長にお聞きしたい。いま私は、工場立地の背後状況、それから住民の状況を申し上げました。そうして姫路市のいまわかった人が立ち上がっておる様子として、第一の公害都市は四日市、第二の公害都市は市原、第三がいまつくられようとする姫路を公害都市にするなという合いことばのもとにやられておるわけですが、私は、この二都市に比較して、前車の轍を踏まぬというのが、政治、行政の責任じゃないかと思うのです。そこで、あなたは、四十一年二月十六日の産業公害対策特別委員会でこのように言っておられます。事前調査をし、予防的計画を立てたい、そうしてその当面のところを兵庫、福島、大阪、徳島、愛知、こういうようにきめておるというようにお話になっておりますが、今日までどのようなことをこの姫路地区において厚生省としてやってくれましたか、まずこれからお聞きしたいと思います。
  56. 井手以誠

    井手委員長 三木委員の御要望のあった参考人の招致並びに現地視察、公聴会については、後刻理事会で協議いたしたいと思います。
  57. 舘林宣夫

    舘林政府委員 播磨地区は工業整備特別地域として指定されておる地域でございまして、この地域におきまする産業開発の基本計画は、当然、国の関係各省の協議によってその内容を各省がチェックする。したがって、そのチェックの内容の中におきましても、お尋ねの公害問題がないようにという配慮をした上で国はこれを了承するというわけでございまして、したがって、この地域に今後産業計画を立て推進するにあたりましては、国は十分それらの点を配慮した監督をいたしていく、かような決意でおるわけでございます。したがって、御心配のような事態にこの地域がなりませんように、国も十分事前調査等をして予防措置を講じてまいりたい。厚生省としては本年度この地区を対象として調査を進めたい、かように考えておるわけでございます。なお、いままでの段階におきましては、姫路市を中心としました各種調査資料というものを承知いたしておりまして、それを参考にして、私ども調査もこれに加えて、公害防止等の万全を期してまいりたい、かように考えております。
  58. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 これはあとで触れようと思っておりますけれども、姫路市もそれから兵庫県も、何ら対策を立てておりませんよ。県会で質問をしましても、これからやるのだと言っておるのです。あなたの御答弁では、各種の調査資料を、こういうことですけれども、どういう資料があるか、これはあとでけっこうですから、ひとつ見せていただきたいと思います。それから、概略どんなものがあるか、お聞きしたい。
  59. 橋本道夫

    橋本説明員 事務的な問題でございますので、私のほうから御説明申し上げます。  姫路市につきましては、一つは、ばい煙規制法の指定地域の問題として姫路を検討いたしておりまして、指定地域姫路市自身につきましては、指定地域の基礎調査をいたしまして指定をしたところでございます。ただ、その横の加古川や高砂につきましては、現在のところまだ指定はいたしておりません。そういうことでございまして、県と市と両方が、降下ばいじん、亜硫酸ガスについての測定をいたしております。現在まで県、市が実施いたしました実測についてのデータは私どものほうに送致されております。
  60. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 厚生省からもいろいろ資料をいただいたわけですが、加古川、高砂地区の公害の状況、亜硫酸ガスの排出状況というようなものは定点的に調査をされておりますけれども、姫路市のいま申しました約二十の工場の排出するものについては実際やられましたか。そこに出光のコンビナートができるということになると、それがプラスされる。そしてこれは通産省においてもう去年シーバースの設置の認可までおりておるわけです。そして県知事は、五月二十二日、公害審議会に初めてこれを諮問しております。こういう状況で、厚生省としてはそれだけの調査ができておるとは私は思えないのです。あなた方からいただいたこの資料を見ましても、やっていただいておるように思えません。私の具体的に言いたいことは、この二十近くの、特に関西電力なんかは煙突に黄色と白のだんだらのしるしをつけて、排出するところの亜硫酸ガスに対して警戒警報的な色は塗っておりますが、しかしながら、私は非常にたくさんの亜硫酸ガスが出ていると思うのです。四日市では一企業は一日十数トンの亜硫酸ガスを落とすということをこの公害対策委員会説明されておるのを見ました。四日市には二十施設ほどあるそうですが、それが一日四百三十トンの亜硫酸ガスをその付近にばらまくということは、三重県立大学の医学部の教授も証言されております。そういう実態を踏まえてみますと、前車の轍を踏まぬようにするためには、個々にわたって調査しなければ、出光興産の製油所を興すということには問題があると私は思うのです。それをやっていただいておるかどうかをお聞きしておるのです。
  61. 橋本道夫

    橋本説明員 姫路市につきましては、昭和三十九年度からのデータがございまして、市内の八カ所で測定をいたしております。その荒い数字を申し上げますと、三十九年の降下ばいじんは、一平方キロメートル、一カ月の単位でございますが、平均が十五トン、最高が二十一トンでございます。この数字から申しますと、少しよごれてきておるということでございます。十五−二十一という数字は、少し高いという数字と思っております。  もう一つは、亜硫酸ガスのことでございますが、これはPbO2法ではかっておりまして、百平方センチメートルに一日〇・四五ミリグラムの沈着がある。最高が〇・五四でございます。亜硫酸ガスのほうの汚染は、沈着という角度から見れば、若干よごれ出したということがこの数字からわかりました。  これがいままで私どもの承知いたしておりました状況でございますが、先生のおっしゃっておられます高度の測定という観点からは、いまだ不十分なものがあるということは私どもも考えております。そういう点におきまして、先ほど局長がお答えいたしましたが、工業地域整備基本計画のときにおきましては、私どもも、もちろん紙上の問題として、地図、計画等を通じて点検いたしましたが、公害防止につきまして、基礎資料の整備あるいは総合事前調査の必要性等をすすめまして、本年度の予算におきまして、厚生省もいたしますし、通産省も、両方で総合事前調査をいたそうというような段階に至っておるわけでございます。
  62. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それから、そこの関西電力の稼働なんかを踏まえて、実情としてはもう少しよごれておると思うのです。その調査された場所は、一体どこでやられたのですか。姫路全体の平均ですか。私は、公害対策という問題は局地的に見ていく必要があると思うのです。
  63. 橋本道夫

    橋本説明員 調査された場所といたしましては、姫路市内で八カ地点ございまして、資料をお持ちであろうと思いますが、日赤病院、姫路工業大学、関西電力城東変電所、飾磨信用金庫支店、網干農協、姫路警察署、市役所飾磨支所、広畑本町というようなところでございます。そのほか、加古川において二地点、高砂において五地点、相生一地点、赤穂一地点ということが出されておりまして、この資料は、厚生省指導いたしておりますが、市及び県が自体でやられた調査でございます。
  64. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 次に移りますが、四月五日に閣議で四日市の公害をきわめて重要視して、総理が強力対策を立てることを要請しております。これは参考のために聞いておきたいと思うのですが、一ぺん前車がこういうぐあいにひっくり返りまして、それから強力対策とは、一体どんな対策ができるのか。私は姫路ですが、私の地区も、ことによったら強硬にこの企業の進出ができてしまう。それから公害対策、脱硫装置等が不完全なまま、あれよあれよといっておるうちに、また第三の四日前にならぬとも限らぬと思います。そこで、一体強力対策としてはどういうことをやるのか。ことばとしては、私は、総合対策をやるということになったり、あるいは公害対策推進連絡会議も開くというようなことになったりすると思うのですけれども、そういうことだけやっておったって、これは会議ですから、対策じゃないと思うのです。現在四百三十トンも一日に落ちておるものをどうしてとめるかということにならねば、これは対策でないと思うので、この点ひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  65. 舘林宣夫

    舘林政府委員 先般きまりました四日市の対策を強力に進めるという主要点は、先ほど来お話のございますように、わが国の工業都市の中で、四日市の公害状況が一番対策を必要とする危険な状態である、大気の状況は非常に悪い、また、港湾に対する汚染状況も非常によくないということで、これに対しまして特に力を集中して現状を打開いたしたい。現在でもすでに公害の弊害があらわれておるというものを早急に排除いたしたい。それには個々ばらはらの行政では不可能である。各省力をまとめて、かなり大がかりな徹底した対策を立てる必要がある。その中には、当然都市計画というものも練り直す必要があるというようなことで、国としても各省一つにまとまって強力な対策を進める必要を認め、あのような申し合わせを行なったわけでございまして、もちろん、四日市に限らず、各地区とも同じ問題はあるわけでございますが、特に四日市が最大の公害地区であるということから、先般あのような措置をとったわけでございます。
  66. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 総合対策、都市計画を練り直すんだ、こういうことなんですが、九鬼市長のことばをかりますけれども、中央では石油工業の公害については全く認識がない、非常に不満だということを朝日ジャーナルに言っております。私、事の真偽は知りません。五月八日の朝日ジャーナルに「公害の谷間の集団疎開」「四日市市」ということでこれは出ておりますけれども、この計画によりますと、建設省の外郭団体の都市計画協会に九鬼市長はマスタープランを委嘱しております。それによりますと、コンビナートと住宅地とを区画するグリーンベルトをつくる。南部の丘陵地に六万人、将来十二万ふえると見て、十八万のニュータウンをつくる。しかし、これには二十年の歳月と八百億円の金が要る。  そこで問題は、四月市はほんとうに不幸なモデルケースになっておるのですけれども厚生省だけではそれはいけぬでしょうし、建設省だけでもいけぬでしょうし、通産省だけでもいけぬだろうと思いますけれども、強力総合対策を立てると総理が公言した以上、これをやるのかどうか、これを聞いておかぬと、姫路も第三の四日市にずるずると入ってしまって、あれよあれよと、あとから幾ら医者話をしても、これは話にならぬと思うのです。四日市の対策、これは強力なものだろうと思うのです。年間四十億円の予算で八百億のニュータウンをつくるということは非常にむずかしい。しかし、国がやる気ならやれると思います。これは私、建設省の計画局長でも呼んでおきたかったと思うのですけれども通産省厚生省、どうですか、ひとつお聞きしたいと思います。
  67. 舘林宣夫

    舘林政府委員 四日市市が考えております現時点におきます具体的な計画、あるいはそれに基づきます経費というような点はさておきまして、先ほど申しましたように、都市計画からして基本的に考えていきたいということで、先般あのような特別対策という措置を講じたわけでございまして、もちろん、これらの仕事を一挙に仕上げるということは容易でございませんので、最も公害のはなはだしい地点から手をつけていく、あるいはそういう問題から解決していくということで、着々と国としては四日市の対策を進めていきたい。これに対しては、あくまでも公害を排除するということを目標に、かたい決意で国はまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  68. 中川理一郎

    ○中川説明員 四日市につきましては、三木先生御承知かとも思いますが、中部電力の火力発電所と昭和石油の工場から出ます亜硫酸ガスが最も顕著な問題として、南側と申しますか、海を隔てた磯津地区に対しまして大きな汚染をさしておったわけでございます。これは四日市問題が大きな問題となりましたときに、私のほうと厚生省と合同いたしまして、黒川先生を団長とする四日市の調査団を派遣しまして、どれが一番問題であるか、どこから手をつけていくかということについて、きわめて科学的な検討を加えていただきまして、その結果、四日市火力と昭石の煙突を高煙突にすることによって相当程度効果があがるはずである。なお、風向が海から吹きました場合に、いまの磯津と反対の側の市街部になります塩浜地区等は、あまりにも工場地帯の中に商店も含めました一般住宅が入り組み過ぎている。この辺のところを考えなければいかぬのじゃないか。こまかい点はございますけれども、大ざっぱに申しまして、そのような結論が出まして、その結果、中部電力と昭石の煙突を改造せしめましたことによりまして、昨今の磯津地区における亜硫酸ガスの汚染度につきましては期待以上の好成績がおさめられておるわけでございます。これが風向の逆の場合にどれくらいきくか、これは季節風の関係がございまして、あと数カ月で実証が終わることでございますので、これは相当改善されてくるはずだと私どもは信じております。  一方、市街地につきましては、かりに数値的な改善が見届けられましても、都市のあり方として、あまりにも入り組み過ぎているという感じがございますので、このほうは建設省のほうがたいへん御努力をしていただきまして、交通広場と申しますか、そういう計画を進めていただく。それから、移転希望のある住民に対しまして公営的な住宅を用意するということを、現実の四十一年度の事業としてある程度考えていただいておるわけでございます。三木先生のおっしゃった大きなマスタープランは、それをさらにもっと基本的に直そうという大がかりな構想のようでございまして、都市局長から聞いております限りにおきましては、先生御指摘のとおり、たいへんな金額でもございますし、どういう手段でどれをどうやっていくか、その点についてはまだ見きわめはない、かように言っておりますけれども、当面問題になっておる地区の住宅移転については、実際的な措置がいま講ぜられつつある状況でございます。
  69. 中井徳次郎

    ○中井委員 関連。私も三木さんの御心配を同僚議員として横で伺っておったのですが、いま四日市の話が出まして、それについて舘林君や中川君から回答があったけれども、この回答は少しどうも、そんな甘いものではないように思いますから、私の見解も申し上げ、参考に供したいと思う。  皆さんの御意見も伺ってみたいと思いますが、先ほどから伺っておると、三木委員の質問は、要するに、ころばぬ先のつえで、いまその準備をしていかなければいかぬ、こういうことであろうかと思う。これは、先ほどの御要望もありましたから、これから今国会の間に参考人の意見も聞きたいと思うが、その例としての四日市なんですが、四日市は、これは失敗をした例なんです。そうしていま皆さんが必死になってやっておられるというが、どうもまだまだすこぶる微温的であります。たとえば煙突を上げたから少し減つた。あるいはそれは一週間のうちに四日あるのが三日になったかもしれない。ところが、現実にはその三日が困る、二日が困る、一週間に一日が困るという、その時点がどうもまだ少し認識が甘いように思います。  それから都市計画の面ですが、住宅が工場の中に入り組んでいるという表現で、いま初めて見ましたら、そのとおりだろうと思います。しかし、住宅に住んでおる者から見れば、工場がかってに入ってきたんです。このことは日本全体できわめて重要なことだと私は思うのです。特に漁港関係の人たちは、それはもう生活と密着いたしておりますから、四日市の場合などは、ある町は、全部町で疎開をしたいと言うし、逆に、その漁港のほうは、疎開をしてはもう生きていけないから、いかに状況が悪くてもそこにおらなければならぬ、こう言いますし、市当局としましても、そこで非常に困っておるわけであります。県に向かっても、あるいは国に向かっても、その説明が非常にむずかしいわけです。みんながかわるんだといえば、それほど苦しいとよくわかるが、幾ら苦しくても、おるんだというふうな意見を申し述べる者もたくさんございますので、やはりころばぬ先のつえでありますから、いま伺ってみて、四日市あたりの皆さんに向かってはいろんな説明もありましょうけれども、根本的にはまだちっとも直っておらぬ。黒川調査団の判断は、科学者の集まりですから、間違ってはおるまいと思いますが、非常に微温的でございまして、たとえば、その当時はまだ脱硫装置等につきましてはほとんどそれは不可能であるという形の中で結論を出されておるように、私はあの文章を読みましたが、この点は非常に進んでおるように聞いておる。そこで、出光さんのこの間ここでの参考人招致の場合における意見発表におきましても、アメリカから施設を導入してひとつやりたいと思うというふうなことがございましたから、これはほかの会社よりもこれでもまだましだという考え方も、私としては少しどこかにあるわけですけれども、やはりこれはそのチャンスをとらまえて、脱硫装置ができ上がるまでは工場の設置を待たす、それくらいのことでありませんことには、やってしまったわ、出てきたわ、それのあと始末、これほど国家的にも、国民的にも、皆さん仕事をしている各省の立場からいっても、むだなことはないと思うので、そういう意味で四日市の計画——これは八百億なんと、九鬼君がこの間初めて市長になったのでそう言っておるのですけれども、それでは国としてやるということになると、この間ようやく取り上げたのはわずか二十四億で、そして十六億が国費で、八億が府県、市町村、地元、その八億さえ、なかなか高いの安いのと言っている。計画はいいですけれども、始めるというと、そう簡単にいくものではないという面から、私は中川さんなり皆さんの御説明が少しどうも甘いように思うので、もっとその点は割り切って考えていただかぬことには、この問題は、これだけではありません、舞鶴のほうにもありますし、全国的にこれは各地でも必ず反対運動が、しかも猛烈に起こって、収拾がつかなくなる。このチャンスに脱硫装置を少なくとも完成して、そして現実に一月なり二月なりやってみせて、それでよしということになれば拡大をしていくとかなんとか、もう少し深い知恵を出してもらわなければならぬと思うのです。  私は、実は一週間ほど前にこの地区の関係者の供述を他の会合におきまして聞きました。三木さんとは何の連絡もありませんし、先ほど初めて三木さんから詳しいことを伺ったのでございますが、なかなかどうして現地のそのときの発表の形はまことにすさまじいものがございまして、漁民が非常に多額の経費をみずから投じて、そして船を借り切り、旗を立てて、たいへんなデモをやった、一日何百万円使ったというようなことを言っておりました。あの零細な漁民がそういうことをなさるということ、これはやはり三木さんは、選挙区でありますから、しかも御性格からいって非常に謹直な方でありますから、ほんとうに客観的に、冷静にとお話をなすっているように私はうかがうのです。現地ではそんななまぬるいことではありませんので——あなた方は簡単に判を押されたのだろうが、問題は、あなた方が判を押されたのを受けて、県や市がもっと早く発表して大いに住民の意思を問うべきであった。しかし最近は、問うたら反対されるから、もうほおかぶりでいったなんという、そういう、防ぎ切れないことを防ぎ切れると思うような非常に軽率な動きがありまして、そういうものとも関連して、私は、四日市の対策もうまくいっておるように聞き取られますと、はなはだ迷惑でありますので、一言そういう意見も申し上げて、率直な見解をあらためて伺っておきたい。もう過去のことはよろしい。都市計画は失敗であった、こういうことはこうだったということをはっきり言うてくれてよろしいと思います。これは将来のことで、まだ起工式が終わったところですから、ここで、今後どう処理していくかということについて率直な意見を伺っておきたい。
  70. 中川理一郎

    ○中川説明員 先生からたいへん率直な御意見で、私が三木先生の御質問に対してあまり即し過ぎた答え方をしたのではないかという感じを持っておりますが、四日市は、通産省厚生省、これはもう政府部内通じまして、経験不足の失敗例であったということは、みんな痛感しておるわけでございます。それだけに、でき上がった工業地帯を望ましい状態に戻すということは、努力のわりにはなかなか効果があがらないことは、いま先生お話しになったとおりでございます。その範囲でそれぞれの努力をしておる、そしてそれ相応の効果はあがっておるということを申し上げたわけでございまして、政府全体といたしましては、私、前々からこの委員会で御答弁申し上げておりますように、公害問題というのは予防的な見地が最も大切なんだということ、それには実は既存の公害法規だけの考え方ではなかなか問題が解決しない。そこで、三木先生には初めてでございますが、通産省といたしましては、いま産業立地部会というものを設けまして、この中で、所要の地区についての特定の業種についての立地の調整、これは場合によっては禁止もございますし、場合によっては調整をするということも含めたこういう制度をつくり出す必要があるんじゃなかろうかということを、目下精力的に検討を始めておる状況でございます。御承知のように、播磨地区は、工業地帯といたしましてたいへん有力な地帯でございまして、先ほど図面で三木先生お示しになったようなことは、私どももよく承知しておるつもりでございます。しかもなお、活用し得るものであれば活用したい地帯でございますので、それだけに、今後の立地にあたって、どれだけの予防的な配慮というものをかっちりやっていくかということは、おっしゃるまでもなく、たいへん大切なことでございまして、実は私のほうと厚生省のほうで事前調査の計画を別々に立てておったのでございまするが、照り合わせてみましたら、播磨地区はとにかく四十一年度にやろうじゃないかということに期せずして一致しておるというのも、この工特地帯でさらに企業の立地が急速に進みそうであるということを両省とも意識したからであります。  出光の立地につきましては、先ほど中井先生からお話がございました、この委員会でも問題になりました、重油からの脱硫の装置を出光が考えておるというのは、実はこの姫路の製油所で考えておるわけでございまして、これは脱硫装置といいましても、既存の製油所にそういう装置を加えるということはなかなか設計上むずかしい点もございますので、できれば新しい製油所でそういうことをやってもらうほうが望ましいわけでございます。これは当該地区だけの問題ではなくて、日本全体の亜硫酸ガス対策というものに貢献し得る可能性を持っておる製油所でもございますということをひとつ御留意願いたいわけです。  出光につきましては、三木先生がおっしゃいましたように、四十年八月四日付で、常圧蒸溜八万バーレルということで石油業法の特定設備の許可をいたしております。その際に、私どもは、水並びに大気汚染につきましてのそれぞれの数値を役所として調べまして、支障なきものと判断をいたしたのでございます。その際、先ほどお話のございました関西電力の姫路第二火力発電所との、これは大気についてでございますが、亜硫酸ガスの汚染の重合の可能性というものも、これは実測ではございませんで、机上の計算ではございますけれども、一わたりチェックをいたしまして、支障なきものと判断しておるわけでございます。  詳細なことにつきましては、こまかい数字もございますので、いずれまた機会を見て御説明いたしたいと思いますが、第一に、排水につきましての問題は、現地でこれを中心にしたトラブルがあったようでございますけれども、私の感じといたしましては、会社側が、妻鹿の周辺の漁民関係のところには、計画の内容と公害防止措置等について御説明をしておったのだけれども、問題の家島、坊勢島のほうにまで話をしてなかったと思われる節を察知しております。たまたまここは水深の関係から大型タンカーが入ることを考えますと、普通のところよりもシーバースを突き出す長さが相当長いというところから、そのさらに先にあるいまの島の方々が御心配になったということのようでございます。シーバースにつきましては、この計画によりますと、先ほど申しました水深の関係もございまして、約六キロメートル突き出す計画になっておるようであります。そこで、シーバースの構造その他につきましては、過去十年間問題なく運転されている同社の徳山製油所のものと同じタイプのものでございますし、シーバースのために海面がよごれるという心配は、私どもとしてはないと考えておるわけでございます。  それから工場からの排水につきましては、油分を含んだ廃水が製油所から出るのが水質一般についての問題点でございますけれども、これにつきましては、PPI方式の処理装置を設置する、さらにそれを活性汚泥法によりまして処理をするということによりまして、油分は大体この処理施設によって一PPM以下にすることができる。それを冷却水で大体十倍に希釈いたしまして製油所から外に出るようにいたしますので、総合されました排水の油分は〇・一PPM以下のものであることが可能でございます。これが海域に入りまして希釈拡散をいたすので、この効果を考えますと、さらに一つオーダーが下がって〇・〇一PPM以下のものになるということを私どもが確認いたしまして、本件支障なしと考えておるわけでございます。ちなみに、四日市の場合等に異臭魚の発生を防止する限界として考えておられますのは、〇・一PPMという数値でございますので、私ども技術的に設備の内容その他を調べまして判断いたしました限りにおきましては、当製油所によります海水の汚濁は、ゼロというわけにはまいりませんけれども、問題になるような汚濁は起こり得ないものと判断しておるわけでございます。  この辺の事情を、あまり離れているということのために、おそらく家島その他の方々に説明をしていなかったということが、一つトラブルの原因になったのではないかと考えておりますし、現在地元のほうで、自治体に中に入っていただいて、隔意のない意見と状況説明をするということで進んでおるように私どもは聞いておりますので、会社側が十分誠意を持って説明を尽くすならば、水に関します限りにおきましては、かなり誤解その他が取り除かれるのではなかろうか、あるいは具体的な希望があれば、それがはっきりするのではなかろうか、こう考えておるわけでございます。  大気につきましては、多少おくれておりますけれども、今年度中両省で調べます。これは三木先生おっしゃいましたように、広畑、網干と、ずっと広がっている地帯でございますので、私どものいまの机上の計算では、出光を入れることによって特に支障が起こるものとは考えておりませんけれども、この地区全体の工場配置についてどんなふうに考えるかという角度から考えますと、先ほど御指摘のように予防が大切でございますし、今後十分なる調査を必要といたします。そしてまた、その調査結果に基づいた企業の配置が可能になりますような法律的な制度というものを、他面私たちは急速に実現するようにいま努力をしておるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。その点のことを御理解いただきまして、四日市のような失敗例を繰り返さないという意味で、一生懸命このことについて真剣に考えておるという気持ちをわかっていただけたらと思います。
  71. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 具体的な問題について中川企業局次長に私、お聞きするつもりでしたが、中井さんの質問によりまして、その点まで触れて説明があったわけでありますけれども、その説明を通してまだ疑問の点がありますので、その点はあとでお聞きいたしたいと思います。  そこで、厚生省のほうの質問をまとめてみたいと思うのですが、定点観測はやった、出光が加わることによってどの程度これがふえるかというようなことは、これからやられるのか、あるいは、もしそこで確信が持てなければ、厚生省としては、これは設置をやめてもらうように強力に働きかけられるのか、その辺が最終的には政治的に談合になってしまうという心配がありますので、この点をひとつ念を押しておきたいと思います。  私が通産省の中川企業局次長にお聞きしたのは、九鬼市長がこういうようなニュータウン方式をとっておるけれども通産省としては、設置を許可しておるのですから、失敗した失敗したとおっしゃいますけれども、言うならば加害者の立場。厚生省は被害者の立場です。両方にこのニュータウン設置推進の意図があるかどうかをお聞きしておったわけですが、それについては、どうせ総合対策でありますから、部分的に、通産省としては、改造しましたから、かなり成果があがってまいりました、こういう御返事で、こういうニュータウンについての決意が聞かれなかったのは非常に遺憾に思います。  そこで厚生省にひとつお聞きしますが、これが加わった場合の計算はされておるかどうか、いわゆる出光さんが加わって定点観測の上にプラスされるとどうなるかということは考えてみられたのか、いまの通産省説明のように、これからやられるのか。それから、確信が持てねばこれはチェックできるのか、その点をひとつお聞きしておきたいと思います。
  72. 舘林宣夫

    舘林政府委員 従来から特別工業都市のようなところの通産、厚生両省の共同調査におきましては、まず現状がどのようなものであるか、それに新たに産業が具体的にどのようなものがどのような規模で加わった場合、大気の状況なり何なりがどう変化するかということを十分事前に調査いたしまして、その上で、これであれば公害上さして支障がないという見定めをつけて具体的に計画を進める、かような基本方針をとっておるわけでございます。いま一つ基本的には、先ほど来お話のございましたような、四日市のような事例は再び繰り返さないという基本的な姿勢で事前にチェックをし、あのような状態は再び招来はさせないという方針で進んでおるわけでございまして、したがいまして、お尋ねの姫路港周辺の工業立地政策を進める上におきましても、既存の状況を十分調査し、また、具体的に進出工場がきまり、それらの排出する公害基本物質の量もきまりました暁に、それがいかなる影響を及ぼすかということを十分調査いたしまして、それが公害上はなはだしき障害を来たさないために、必要があればその計画を変更せしめる、かような措置もとってまいる、このような決意でおるわけでございます。
  73. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 明快な御答弁をいただきました。先がた、私、この背後地にあるところの人口を大まかな言い方をしましたけれども、いま四十一年四月三十日の住民登録によりますと、飾磨、妻鹿、白浜、広畑、網干、合計いたしますと十八万五千人ほどございます。それに外国人が二千人ほど加わりますから、約十九万ほどの人がこのうしろにおるわけですから、厚生省としては、一企業の進出が大事か、この十九万の人の生命、健康、財産こういうものを大事にするかということで十分考えていただきたいと思いますが、いまの御答弁によりまして私大体了解はできました。そこで納得のいかない場合には計画を変更さす、こういうことを強力にやっていただきたいと思います。  それからいよいよ通産省のほうに入りたいと思います。  中川企業局次長にお聞きいたしますが、総理は、先日公害防止、絶無を呼びかけて、産業構造審議会にこれをはかっております。公害防止、絶無の対策を立てよ、こういうように呼びかけておりますけれども、そういたしますと、この首相の呼びかけというものを空念仏に終わらなくするためには、この産業構造審議会が播磨工業地帯、工特地域を対象にして考えるのかどうか、これはもう別だということになるのかどうか、ひとつお聞きしたい。
  74. 中川理一郎

    ○中川説明員 通産省にございます産業構造審議会というのは、非常に範囲の広い審議会でございまして、実際の運営は、ちょっと数を忘れましたけれども、数多くの部会によって実質的な審議を進めておるわけでございます。本件に関連いたします部会といたしましては、産業立地部会と申しますのと、産業公害部会というのと、二つの部会をもって審議をいたしておるわけでございます。産業立地部会におきましては、これは産業立地という角度で、大きな問題点といたしまして、一つは、過密都市と称されておる大都市及びその周辺のスプロール化の問題をどう考えていくか、それから地域開発といった問題をどう考えていくか、それから産業公害との関連において、工場の立地というものをいまの既存の公害法規だけに準拠しないで環境の良好さを保つという見地から、特定の地区についての業種別な立地調整を考えるべきではないかといった事項を検討してもらっておるわけでございます。したがって、これは一般的な制度という形での政策に関しての御審議をお願いしておるわけでございまして、審議の過程のうちで、ケーススタディーとして特定の場所のことを御説明することはございますけれども全国各所の地区について一つずつ問題を拾っていくということは、会の性質上、私は運営としてはいたさないつもりでおります。ただ、片方の産業公害部会に、これはまさに公害プロパーを審議していただくことになっておりますので、技術問題その他を含めまして、いろいろ政策的な問題もございますが、問題地区については、その地区の公害をどうやって予防するかという角度で具体的な検討をお願いすることもあり得るわけでございます。したがいまして、播磨地区等の公害防止対策についてどんなふうに考えていくのが一番具体的であるかということを、現地に即して御審議を願うとかりに仮定いたしますと、それは産業公害部会のほうがより適切であろうかと思っております。
  75. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私のお聞きしておるのは、結局、ここで播磨工業地帯というもののうち、姫路の出光の進出しようとしておるところが非常に不適当であるという線が、大きな政策あるいは制度と照らし合わせて出た場合には、これをどうされるかという意味合いを聞いておるわけなんですが、もう一つ厚生省公害審議会、これとの関連がどうなるか、産業公害部会として部会を持たれるわけですが、ばらばらにいろいろな部会や審議会を持っておられて、それぞれの連絡提携がどうなるのか、この辺も聞いておきたいと思うのです。これは厚生省にも聞いておきたいと思うのです。
  76. 舘林宣夫

    舘林政府委員 現在厚生省公害審議会がございますが、これに対しましては、将来公害基本法に織り込むべき基本的な諸問題について目下諮問中でございまして、その全体的な問題のほかに、それぞれ部会に分かれて、大気汚染その他騒音等を対象として審議をいたしておりますが、基本的には、国の公害に対する基本的な姿勢に関する諸問題というようなことを審議いたしております。これらと、そのほかの通産省公害に関連する審議会、あるいは水質の関係の経済企画庁の考えというようなものの調整は、総理府におきまして各省連絡会議が設けられて相互に連絡をいたしておるわけでございまして、厚生省といたしましては、公害審議が行われるつど、その内容を報告いたしまして、各省と連絡をとっておる次第でございます。
  77. 中川理一郎

    ○中川説明員 ただいま環境衛生局長からお答えになりましたように、審議事項の重複するものもございますけれども、それぞれの審議会の特色を生かして専門的な角度から調査をお願いしておるのでございます。審議会相互の間には連絡がございませんけれども、人選の上で多少重複しておることは、同じような目的を持ったものでございますので、当然のことでございます。実際上の連絡も、事務当局としての私のほうと環境衛生局とで相互に連絡をし合っておる、こういうことでございます。
  78. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いまのお話を聞いてみますと、高次なる政策、制度等を考える。それから厚生省のほうでは、産業公害基本法、これをつくるために諮問しておる。そこで、私、これは政治のあり方として思うわけなんですが、高次な問題、基本法、こういうものをつくったところで、農業基本法がよい例でありまして、現地におきましては具体的には公害で困る、こういう事態を放置しておいて、基本的なものだけを検討しておっては、結局、仏をつくって魂を入れぬのと一緒でありますから、私は、この中でやはり並行的に事例をあげて検討される必要があると思うのです。四日市、市原、そしていままさにやられようとしておる姫路、これについても当然審議の対象にし、それを比較検討しながら進めていただきたい、こういうふうに要望するわけです。  そこで次長にお伺いいたしますが、この姫路の出光興産の進出は、大体三十五年以来進められてきて、いま一年早めて本年起工式をやるというようなことになったわけですけれども、この間に県、市におきましても公害の問題についてはあまり触れてない。先般の県会の代表質問におきましても、知事の答弁を見てみましても、公害問題については何ら答弁らしい答弁ができておりません。それにもかかわらず、県、市は相当の費用を持ち出して企業の誘致をやっておるわけなんですが、全体では五十二億の施設の投資をやっております。そこで県、市、国の負担はそれらについて幾らか、明らかにしていただきたい。土地埋め立てについて、漁業補償について、設備費について、それから負担金について、工業用水について、県、市、国の負担をひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  79. 中川理一郎

    ○中川説明員 私、これは調査をいたしました上で正確な御返事をいたしたいと思いますけれども、この場の私の感じで申しますと、国が関与しておりますのは、工業用水は私のほうでやっておりますので、これについては少なくとも補助金が出ておることは確かでございます。それから、埋め立てでございますので、港湾関連がございますと、運輸省筋から補助金が出ておるのではなかろうかと思いますが、この辺のところは、少し調査をさせていただきまして、正確な御返事をいたしたいと思います。
  80. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 三十五年からこちらに立てられたところの企業の進出計画というものは、先がた、くしくも次長のお話がありましたように、播磨工業地帯というものは、活用したいところの地域である。なるほどそうでありますけれども、現代的な観点でこれを見ましたときに、公害を抜きにして活用だけ考えては私は問題だと思います。したがって、三十五年から播磨工業地帯を新産都市としてやってもらいたいとか、あるいは工特地域として考えてもらいたいというような計画を立て、運動を進めておったときの計画というものは、私は平面的な計画だと思う。いまや、首相のいうところの立体的計画がなければならぬと私は思うのです。それにもかかわらず、市、県の行政責任者は、あまりにも、企業が来ていただいたら御の字であるということで、県費、市費の持ち出しまでしてこれを歓迎しておるわけでございますけれども、一方、住民奉仕の姿勢というものが飛んでしまっておるというような感じがするのです。先般の県会の質問においてもそれがうかがえますし、私は県の企画室長に会ってみました。公害対策についてどうするんだと聞くと、これから考えるんだということですが、全くこれでは、きょうは通産省のお話を聞きましたし、厚生省のお話を聞きまして、かなり前から定点的な観測をされており、あるいはまた、机上の計画ですけれども、脱硫装置の様子によってかなり支障がないんだろうというところまではきておると思うのですけれども、県、市においては、これらの考え方が非常に希薄であります。これでは地方の行政責任者は大企業の走狗だといわれても、私は返すことばがないだろうと思うのですね。したがって、私は、県、市の責任者とともに、通産省厚生省、建設省、農林省をまじえて、当委員会で再度検討をやってもらいたい。非常な意欲を持つわけなんです。  そこで、これはお知りかどうか知りませんけれども、さらにその上に企業としては要望事項が出ております。妻鹿の町有地の買収交渉をせよ、町名をきめよ、排水路を新設せよ、市道を舗装せよ、上水道を新設せよ、工場用地内の市道を新設し、排水路をつくれ、こういうような要望がまた出てきておるわけであります。こうしてなしくずし的に企業の要望をどんどんいれるうちに、もうここにつくらなければならぬ必然性ができてくるけれども公害はその次の問題だ。実際的に出てくるのは次の問題であって、住民がその公害によって苦しめられなければならないという実態は後に出てくるわけです。そこで、行政の責任者としてはその点は十分に考えていただかなかったらだめです。平面的な計画の上に立体的な計画を加味せねばなりません。そしていよいよ実績を積んでしまったから、許可せざるを得ないということで許可をした、公害はそれからだというのでは、たまったものではございませんので、住民としては反対をしておる理由はここにあるわけなんです。そこで、納得のいくような方法をとってもらいたい。それから、納得がいかなければこれはやらさない、こういうようにひとつきめていただきたい。次長の御答弁をいただきたい。
  81. 中川理一郎

    ○中川説明員 いまの先生のお話の中で、三十五年ごろからということでございますが、率直に申しまして、先生御指摘の平面的な工業地帯計画という感じは、私もそう思います。これはある程度時代の推移というものを御考慮願いまして、県、市等の考え方に不足な点がございましても、公害問題がかほどに問題になってきましたのは、時期的にはやはりごく最近の事柄に属するわけでございます。ただ、問題の性質上、こういうものは中央政府の私どもだとか、厚生省だとかが一歩先んじて手を打っていくことが必要なわけでございまして、その気持ちではやっておりますが、なかなか力の及ばないところ、気のつかないところがあることは、私自身も考えておるわけでございます。  そこで、いまお話の点でございますが、今年度私ども厚生省と一緒に事前調査をいたすつもりでおりますので、将来のこの地帯の工場配置につきましては、かなりはっきりしたところまで図が描けるものと考えております、と申しますのは、事前調査を昨年度もかなりの場所をやりまして、たとえば大分・鶴崎地区におきましてかなりの埋め立て地があるわけでございまして、そしてまた、まだ工場配置が終わっていない埋め立て地もあるわけでございますが、これにつきまして大がかりな事前調査を行ないまして、例をあげますと、たとえば第五号埋め立て地というようなところには、亜硫酸ガスを出すような工場の設置は望ましくないという具体的な結論を出しておりますし、他のところにおきましては、地元が計画いたしました緑地のスペースが少し狭過ぎるということで、勧告をいたしまして計画を変えてもらっておるような例もございます。そういうことで、今回播磨地区を行ないますならば、その結果かなり具体的な意見が言い得るのではないかと考えております。そこで、そういう科学的な根拠に立ったものをもって、その中で許容され得る工場の立地というものにつきましては、これを十分説明いたしますならば、地元の方々にも御納得いただけるものと私は確信いたしております。そういうつもりで、ことしは両省で精一ばい努力してみるつもりでございます。
  82. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 御努力をいただきたいと思います。そこで現地の様子ですけれども、私は、出光興産の姫路製油所の、工場長と話はできなかったのですが、次長と話をいたしました。納得のいくまでは工場は中止いたします、企業の中心部であるところの常圧蒸溜装置、世界最大のシーバース等もやりません、こういうことも約束いたしましたし、兵庫県としても、公害審議会の結論は一カ年かかると言っております。したがって、いずれ通産省厚生省と連絡の上で地元としての結論を出すだろうと思うのですが、それまでは中止するということを言っておるように思います。この二つを踏まえて、国の態度としても、当然こういう疑問のあるものについて、ただいまの御説明がありましたように、科学的な根拠を明らかにし工場立地を説明する、こういう御態度でありますから、この二つを踏まえて、一カ年は少なくとも中止をするということを、ひとつ国としても御決意をいただきたい。押しつけがましいですけれども、両方ではそういうことになっておりますから、よく御調査の上、国としての態度を明らかにしていただきたい。その点、次長からもう一度承りたい。
  83. 中川理一郎

    ○中川説明員 私どもの事務的な検討といたしましては、出光製油所の設置については支障がないと考えておりますが、あの地帯全体の将来の利用計画というものについては、総合事前調査等によりまして、さらに工場の増加があると考えられ得るわけでございますので、増加されたものがどういう形になるか、どういう形で増加すべきかということにつきましては調査を進めるということを申し上げたわけでございまして、全体の環境といたしましても、いまの出光が入ることによって問題があるというふうには、いまの時点では考えておらないのでございます。ただし、現地において企業側と地元側との間にフリクションがあるような状態で工事を強行するということではなかろうと考えますので、その点、地元における説明で御納得いただければ、それで動いてよろしいと私どもは考えております。ただ、その間に見解の上で非常に大きな相違があるというようなことでございましたならば、役所の立場といたしましても、双方の言い分をよく聞いて、役所でチェックいたしました事柄もあわせて御説明いたしまして、その上で対処いたしたいと思います。したがって、三木先生のおっしゃるように、いまの状態で一年間工事を中止するかどうかということについては、私はここで御返事を申し上げるわけにはまいらない、かように考えておりますが、地元側にかなり意見の食い違いがありそうだということは、情報として承知しておりますので、この辺は混乱の起こらないように処理をしたいと思います。
  84. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 もう少し明快にしておかなければいかぬと思うのです。兵庫県の公害審議会の結論は一年かかると言っているのです。公害審議会にかける以上、やはり科学的な調査、それから住民の意思、それから被害の状況というものを具体的に検討していかぬといかぬと思うのです。また、外国の例とか、あるいは脱硫装置のあり方というものをよく検討を加えなければいかぬと思うのです。ただ、それは見せかけに公害審議会をやっているのでは困るので、やはり尊重してもらわなければ困ると思うのです。そこで知事としては、一年もかかっては困るじゃないか、もっと早く出してくれということは要望しておるようです。しかしながら、私もこの特別委員会のものは全部読ましてもらいました。あなたの説明も、あるいは企業側からの説明も全部読んだのですが、その上では、脱硫装置というものはまだ開発中で、問題である。これに信を置いてあなたは、だいじょうぶだ、こう言っておられるわけですが、この脱硫装置がどの程度脱硫できて、そして大気汚染と水質汚濁防止が行なわれるかということ、これを一つのネックにしなかったら、だいじょうぶだということは言えないわけです。これしか出ないということをたてまえにしなければだめだ。出てもいいというたてまえで、この上にふえて、現在の工場の排気ガスの上に、あるいは水質汚濁の上に出てもまだだいじょうぶだ、こういう考え方ですか。  ちょっとその前にはっきりしておきたいのは、公害審議会の取り扱い方です。これを先に言ってください。あと、その脱硫装置の問題でもう一回質問しますから。
  85. 中川理一郎

    ○中川説明員 県の立場と国の立場とは、いまの工場立地につきましても、権限上の立場から申しますと、おのずと違いがあろうと思います。本件の埋め立て地が県有地であるかどうか、私、具体的なことをいま承知していないわけでございますが、もし、従来私ども経験しておりますように、いろいろな意味で、地元の自治体側のイエスがないと現実に立地ができないという場合が多いわけでございますので、そういう判断をなさる上に県側がいろいろな処置をなさるということについては、これはあり得ることでございます。それから、私どものほうが石油業法上許可をいたしました場合にも、公害上のチェックをいたしまして許可をしておるわけでございますので、これは許可としては十分に有効でありますし、いまの時点で私どもはこの許可について問題があるというふうには考えておらぬわけでございます。ただ、実際問題として、県側がこれについて完全に了解をしていない状態で現実に工場の建設ができるかどうかということは、おのずと大きな問題であるわけであります。したがって、県の公害審議会あたりでいろいろ御審議をなさいますときに、そこに必要な資料等を私どもの側からも提供するというような努力はいたしたいと思っております。  それから、亜硫酸ガスの濃度についての先生のいまの御質問の中に、これは私の言い方があるいは足りなくて御理解を得ていないのではないかという感じがいたしますのは、いまの時点で、いまの環境で出光の製油所を置くことが支障ないというふうに私どもが考えておりますのは、特に使用重油を硫黄分の少ない重油を使ったという前提で支障がない、こう申しているのではないのでございまして、現実にいま手に入るような重油、これを前提にいたしましても、計画の中にございます煙突の高さ、それの排出速度、いま申しました使用燃料、それから排気ガスのうちのSO2の濃度、それから地上の最大濃度、それから地上の最大濃度となる地点、それから硫黄の回収装置、こういうものを念頭に置きまして、そうして姫路の第二火力等との関連を考えましても、現行の排出規制法から見て十分に余裕のある数字であるし、環境基準をどの辺のところに置くかは、これはいまだ制度的なものがないわけでございますけれども、かりに緊急時の数値をとりましても、それを非常に大きく下回っている数字になりますので、支障のないもの、こう判断しております。石油精製工場でございますので、当然に軽質油段階での脱硫はやります。ただ問題は、使用重油の硫黄分でございます。これは先生も御承知かと思いますが、重油そのものから硫黄分を抜くという技術は、現在のところまだ確立しておりませんし、また、そういう現実の工場があるわけではございませんので、そういうことが実現できた暁に、たとえば硫黄分一%くらいのもので計算して支障がないというようなことでチェックをいたしたわけではございませんで、三%を上回る重油でもって計算いたしまして支障がない。しかし、これは将来そのような技術開発が進みますならば、いま計算の前提にしております数値よりは低い数値になって、いまよりはより安全になるということになるだけのことでございます。
  86. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 これは次長、重大な問題にぶつかったわけですが、そういう御答弁を聞くならば、結局あなたはどこまでも加害者の立場、それから厚生省は被害者の立場でひとつ検討してもらいたいのですが、そこで先ほどからずっと言っておるのですが、石油業法上許可するに支障がない、問題がない、それには排出規制法の規制と合わせて、十分余裕があり、非常に大きく下回っている、こういうように一つの根拠を置かれたわけです。それなら、その事実を示してもらわなければいかぬと思うのですが、その以前に、石油業法上許可に支障なしということで、いままで四日市に許可したじゃないですか。一つの企業が規制法の基準の中にみな入っているわけです。しかしながら、それを全部合わせて四日市の公害になっておるわけです。これは御承知のとおりだと思うのです。みんな基準以下に押えられておったわけなんですが、私も日本油化へ行きまして、責任者にも会いました。そうしたら、四日市ぜんそくは絶対ございません、実にりっぱな脱硫装置がいまできておりますからということで、るる説明を聞きました。あるいは、研究室も中へ入って調べました。それは去年のことです。そういうことばだったのですけれども、これは厚生省、ひとつ聞いておってください。現地へ行って、病院に入っておる人の話を聞くと、私はいつでも証人になって行きます。私は外へ行きますと体は楽になってくる。帰ってくると廃人のようになるのです。いつでも病院から出ていきます。出ていったほうが体が楽なんですということを言っておる。こういう事態がどんどん出てきておるのは、石油業法上は許可するのにやぶさかでないというような立場に立って、いままでみな許可されてきたのです。それと、いま問題になっておることは、公害ということが最近非常にやかましくいわれたというその中に、規制を厳格にしなければいかぬのじゃないかということと、このレファレンスを読みましても、その中には、行政的な指導だけではなくて、工場のこういう公害を起こしておるものに対しては、刑事罰も加えよということがいわれ出したわけです。そういうような強い規制がいわれておるときに、次長から、石油業法上許可に支障なしと言われる。これは支障ないからみなやってきたのですけれども、現実に支障が起こったのです。だから現地では、県知事は、漁民の納得がいかなかったらシーバースはやらせません、こういうように言った。これは県会の社会党議員から私は聞いたので、まだ知事と会っておりませんが、漁業権者の同意なしにはこれはやらせませんと言った。さらにまた、公害審議会の結論が一年かかりますよ。その審議会は尊重いたしますと言ったり、県知事が、納得がいかないならばやらせません、納得のいくようにいたしますと言っているけれども行政の責任者であるあなたみずからは、そのことを否定されるようなかっこうで、石油業法上差しつかえありませんというようなことばを聞くのはどうかと思う。しかしながら、現地では、実態を申し上げますと、去年の八月、あなた方はシーバースの許可を与えておられる。しかし、現地では公害審議会を開いていないのです。五月二十二日になって開いたのです。こんなおくればせおくればせのことをやっておきながら、市民が納得できそうなはずはない。そういう立場でひとつ御検討をいただきたいし、さらに、大きく下回っておるところのデータも見さしてもらいたい。国会までこの問題を持ち込んできて、重大な問題だと思ってお話をしておるのに、そういうことばだけでおさめられようとするのには非常に不満足です。さらに、こういうようなデータもひとつ出してください。そのデータの根拠のある脱硫装置というものを基本に置かなかったらできないだろうと思う。先般出光興産の取締役の北脇金治氏が参考人としてやってこられてお話をしておられます。水素脱硫には大体自信があるというのですけれども、この水素脱硫の自信のあることをどうして実証するのですか。外国でいま開発中じゃないですか。そんなものを机の上に持ち込んできて計算して、だいじょうぶです、ほかの産業と競合してもこの公害はだいじょうぶですという結論は、一体どこから出るのです。私は、これは許可権を持っておられる立場の日本の監督官庁としては、非常に考慮してもらわなければいかぬことではないかと思うのです。そういう点から御答弁いただきたいと思います。
  87. 中川理一郎

    ○中川説明員 どうも私の申し上げましたことがことば足らずで、多少御理解をいただいていない点があったのではないかというふうに、先生の御意見を聞いておって感ずるわけですが、石油業法の許可と申しますものは、石油業としてのいろいろな観点から考慮した許可でございまして、公害予防を主として許可をするというものでないことは、法律の性質上、先生御承知のとおりでございます。したがって、石油業法によって許可があったから完全なんだというふうに私が申しましたとすれば、非常に問題があるわけでございます。  ただ、実際の行政の運用といたしましては、四日市の事例にございますように、そういう配慮をどこまでしてきたかということに問題があったわけでございますので、法律の条項で云々ということではございません。業法上の許可を与えるときにも、実際問題としての行政の立場で公害上のチェックをいたしておる。それは、前のそういう意識の薄かった状態のときよりは、現在ただいまにおきましては、石油業法上の許可をする場合にも、可能な限り十分な公害上のチェックをいたしております。そのチェックによりますと、私どもとしては、ただいまのところ支障はない、こう考えておるということを申し上げたわけでございます。  ただ、当該地区全体として将来どれくらいのものを入れてよろしいか、どういう形で入れてよろしいかということは、御指摘のとおり、たいへん重要な問題でございますので、こういう問題につきましては、出光以降に立地する工場等につきましては、総合的にどういうものがどこまで許容されるかということの答えを持つ必要がある。それには、事前調査を今年度やって、ある程度の答えを持って、それによって実際上の行政指導をやっていこう。公害特委で再三問題になっておりますように、現行の公害法規で適法に動かされますものが、実際上おもしろくない結果になってきているというところが、法律という観点、制度という観点で見たときの問題点であるわけであります。私どもは、法律上のチェックに従って支障がないから、ただそれだけの判断で許認可をいたしていくということではございませんで、実際上問題になる——平たく言いますと、環境基準的なものを念頭に置きまして、それによって一つ一つ処理していくということを心がけておるつもりでございまして、少なくとも出光の製油所につきましてはそういう観点でチェックをいたしたつもりでおります。ただ、これについても、あるいは立場をかえれば御議論があるかもわかりません。それについては、十分御納得がいただけるかどうか、説明をする用意はございます、こう申し上げておるわけでございます。  それから、脱硫その他につきましては、先生御指摘のとおり、まだそういう重油はないわけでございますので、それを前提にして計算をしたということではないということは、先ほど答弁申し上げたとおりでございます。
  88. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 まだちょっと観点の食い違いがあるんです。通産省の進藤一馬政務次官が、「新産業都市等新規の工場地帯への工場立地に際しては、いやしくも産業公害の起こることのないよう指導するため、総合事前調査を拡充強化する」こう言われております。それから、あなたは、新産、工特地域等の新規工業地帯の公害の未然防止策としての事前調査をする、こういうぐあいに言われておるわけです。しかし、その調査が、あなたのお話では、出光を含めて、これまでの工場の立地しているのは、それはパスだ、これからの分についてはやるんだ、こういうふうに私には受け取れる。それなら、出光から出るのはどれだけ出るかということになると、脱硫装置等の向こうの考え方を基本に置かなかったならば、計算できないじゃないですか。これは全部一緒になったらどういう公害が起こるかということを検討されたんですか。たとえば二十工場、これはほとんど硫黄分の非常に多い重油をたくのです。特に出光は、中近東の石油で、硫黄分を非常に含んでおる石油を使うのですね。この重油専焼の関西電力第二火力発電所も、たくさん硫黄分のあるものをたくのです。それらの全部を合算してこういう計算が出ましたという証拠があるのですか。そういうものが必要である。それが事前調査であり、いやしくも産業公害がないようにやります、総合事前調査をします、拡充強化します、その総合事前調査の拡充強化されたものを見せてください。それなしに、いや自信がありますと言うのは、あたかも、出光の北脇金治さんが、水素化脱硫装置には大体自信がありますと言うたことをそのままうのみにするのと一緒ですよ。国会で、そういうような行政的な指導をやっておるということだけで私たちは満足できません。そこで、その証拠をひとつ示していただきたいと思う。
  89. 中川理一郎

    ○中川説明員 先ほど申しましたように、現行の制度におきまして、環境全体の汚染状況を調べた上でなければ工場を立地さしてはいけないという制度はないわけでございます。これは、そのことがいいか悪いかということを別にいたしました事実問題としてのお話です。そこで、実は環境についても、厚生省で、いま環境基準がどういうものが必要であろうかということについて御審議を願っておるような状況でございますから、判断の基準もないというのが、これはいいか悪いかは別にいたしまして、事実問題でございます。そこで私どもは、そうではございますけれども、何がしかの目安をもって、そうしてあのエリアとしての、地域の複合された汚染というものを念頭に置いて仕事をしていかなければならぬ。制度がどうであれ、そういう考え方で仕事をしていかなければならぬという考えを持っておるわけでございます。その地区全体についてのいまの重合した数値を求めるということは、実は先ほど来申しております総合事前調査というような、かなり大がかりな調査をいたさない限りにおきましては、なかなか確信を持った答えの出てこない問題でございます。そして、これは法律的な制度ではございませんで、予算の上で実行しておることでございますので、私どもで言いますと、大気関係は年間に四カ所というふうに限定があるわけでございます。したがって、これは順番をあるいは取り違えておったという御意見もあろうかと思いますが、当該地区についての総合事前調査は本年度に行なうという計画にいたしておるわけでございまして、事実上まだ行なっていないわけでございます。したがって、この調査が終わらない限り、出光がいいか悪いかは判断できないではないかという御議論が一つあろうかと思うわけでございます。ただ、私どもが考えますのに、全体の環境の汚染レベルというものが、地区によりましてそれぞれたいへんな隔たりがあるわけでございます。私どもの感じといたしましては、将来問題としてこの地区は非常に大きな問題のあるところであるという意識はございますけれども現状において一つ工場を許すことも問題があるというような土地だという感じは持っておらぬわけでございます。これは率直な実感でございます。そういたしますと、総合事前調査を行なうというようなことでなくて、とりあえず環境的な観点で出光の適否を判断するに際しましては、先生もおっしゃいました姫路の第二火力というものとの重合がどれくらいになろうかということをもっぱら念頭に置いてどうチェックをしてみても、出光だけの立地ということに関する限りにおいては、そう大きな隔たりはあるまいという感じを持ちまして、その上に立って実際上の会社の計画に従いましたもので計算をしてみまして支障はないのではあるまいか、こう考えておるというわけでありまして、この辺にまた問題があれば、私ども検討し直し、場合によってはその工事について多少待ってもらうということも考えなければいけない。こう考えておりますが、総合事前調査が終わるまで出光についての判断ができないかということについては、私どもはいささか違った感じを持っておりまして、この地区に関する限りは差しつかえないものではなかろうか、こう考えておるということでございます。これは率直にいって、先生方のほうにも多少の御疑問なり御意見もございましょうと思いますが、その辺のところは、こういう場所での御質疑を通じての議論ということではなくて、実際上の数字でも一度お持ちいたしましてお話をしたい。問題は、あの地区は、将来さらに追加されていきます工場の立地についてはよほど気を配らなければいかぬというふうに考えておることは、さいぜんから申しておりますように、かなり重要な問題だという意識を持っておるわけであります。
  90. 井手以誠

    井手委員長 三木委員に申し上げますが、どうでございましょうか、この問題はかなり政治的判断が必要に思われますし、また、資料の提出もなくては御理解も得られぬと思いますので、来週、大臣または政務次官を呼んで審議を進めることにしてはいかがでございましょうか。
  91. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 委員長の仰せのとおりで私はけっこうだと思います。当然やっていただく必要があると思いますが、そこで、最後の詰めだけをしておきたいと思うのです。  いまのお話の中で、実際会社の計算したもので支障ないだろうと思いますということですが、支障ないという確信のあるところまで、やはり監督官庁としては明らかにしていただきたいと思うのであります。これをひとつ要望しておきます。  まだいろいろ意見の食い違ったところもありますし、私も明快にしてもらいたいことがたくさんありますが、要するに、いまのお話の中で承っておりますと、予算の上で仕事をしておるから、お金が相当かかる大がかりなものはできない、こういうお話ですけれども、一たん前車の轍を踏んでしまいますと、これはたくさんの金が要るのです。そうなってからではおそいのですから、これはぜひやっていただきたい。それから、企業に私が問い詰めてみますと、企業もやはり限度があるからということで、これまでは脱硫装置はできますが……ということで、これまた逃げる。そういうことになると、被害を受けるのは住民でありますから、そこまで十分考えていただきたい。  そこで最後に、農林省に来ていただいておりますから、一つはっきりしておいていただきたいのですが、この間、五月十一日にあれだけ漁民が非常に問題にいたしました。これは御存じのとおりであると思いますが、一体何がこういうことをさしたか、お聞きしたい。  なお、農林省としては、ハマチの養殖に八百万円も地元には借金を負わして、漁業構造改善事業としてこれをやらしておきながら、この点一体農林省としてどうしてくれるのか。漁民としては、これが実際に影響が及んでハマチが大きくならなかったら困るということを言っております。この二つをお聞きしておきます。
  92. 山中義一

    ○山中説明員 ただいまの御質問の点でございますが、私ども構造改善で出しておりますのは、家島あるいは坊勢という、現在出光の工場のあるところからかなり沖合いのほうの島の漁場でございます。ただ、その点で、今後工場の廃油、あるいは船からバースへつぎ込むときにあやまって油を落として、それが風向きあるいは潮の方向で全然憂いがないということの断言は困難でございますけれども、その辺のことがつまびらかにまだわかりません。計画その他もわかりませんので、現在直ちに必ず被害があるという予想でものを判断するということは、ちょっといたしかねるということでございます。  それと、この間の大騒ぎでございますが、これは実は播磨灘の漁協組合長会議というのが、あの沿岸の漁業協同組合の組合長を構成員といたしましてできております。そこが出光からの計画の話は聞いたことがありますが、、具体的な計画というところまではいっていない。ただ、出光がここへ来て石油の工場をつくる、こういうことだけ聞いておる。その中には、先ほど通産のほうからもお話がございましたが、おそらくその辺は県のほうの判断もあったと思いますが、家島の漁協は呼んでいなかったのでございます。この漁業協同組合というのは、沿岸の人だけ呼んでいて——沿岸のほうには、県の埋め立て等で相当の埋め立てをやりまして、漁業権の買収をいたしまして補償をいたしましたので、かなりの程度補償金が出ておりますが、この沖合いのほうの島の漁協には何も知らしてなかった。今後シーバースが、先ほどのお話で六・八キロですか、それだけ出ますと、もう漁業権漁業ではございませんけれども、県の許可漁業というのがございまして、その漁業への影響は、さっき御説明の石油とハマチとの関係よりもっとはっきり影響があるといえるというふうに考えております。そのおそれがあるということで、この間あのように不満が爆発いたしまして、具体的な話し合いがついていないのにもかかわらず、もう工事を始めるとは何事だということで不満があったと承知しております。
  93. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 漁民はつんぼさじきに置かれたということが一つある。それから、漁区が非常に狭められるということの不満もあると思うのです。しかし、漁民の不満も、そういうぐあいになかなか根強いものがあると思うのです。それから不安もある。これについて、農林省としては、せっかく養殖漁業を奨励してやられたのですから、その立場に立って十分考えていただきたいと思うのです。  要は、いま委員長がお話しいただきましたように、次会また取り扱っていただく機会を与えていただきましたので、そのときには大臣、次官に出てもらい、さらに、都合によっては、先がた私委員長要望いたしました参考人を呼んでいただくなどして、もう少し完膚なきまでに問題を掘り起こしておく必要があると思うのです。現在、一部の人は知っておった、しかしながら、頭をなでられて、そうしてあとでびんたを張られたような気持ちにみんななっておるわけですから、どうかその点、委員長もあるいは関係官庁も十分お考えいただきまして、次会にはひとつ納得のいく御答弁をいただきたいと思います。  私は長く皆さんに御迷惑をおかけいたしましたけれども、本日は一応この程度で質問を終わらせていただきたいと思います。御苦労さまでした。
  94. 井手以誠

    井手委員長 次会は公報で通知することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十五分散会