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1966-06-25 第51回国会 衆議院 建設委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十五日(土曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 井原 岸高君 理事 小金 義照君    理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君    理事 山本 幸雄君 理事 岡本 隆一君    理事 川村 継義君 理事 下平 正一君      稻村左近四郎君    大倉 三郎君       大野  明君    木部 佳昭君       佐藤 孝行君    丹羽喬四郎君       福永 一臣君    森山 欽司君       渡辺 栄一君    井谷 正吉君       金丸 徳重君    三木 喜夫君       山中日露史君    稲富 稜人君       山下 榮二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 鮎川 幸雄君         建設政務次官  谷垣 專一君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局消         費経済課長)  堀川 春彦君         通商産業事務官         (企業局商務第         一課長)    林 信太郎君         運輸事務官         (自動車局業務         部長)     黒住 忠行君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 六月二十四日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として中  村時雄君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として稲  富稜人君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員岩動道行君及び稲富稜人君辞任につき、そ  の補欠として松澤雄藏君及び中村時雄君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として稲  富稜人君が議長指名委員に選任された。 同日  理事松澤雄藏君五月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として山本幸雄君が理事に当選した。     ――――――――――――― 六月二十五日  流通業務市街地整備に関する法律案内閣提  出第一五五号)(参議院送付) 同月二十二日  幹線高速道主要地域自転車専用道路建設に  関する請願大野明紹介)(第五九一七号)  同(田村元紹介)(第五九一八号)  東京都外郭環状線道路計画反対に関する請願外  一件(神近市子紹介)(第五九八二号)  公団住宅空家家賃値上げ反対に関する請願(河  野正紹介)(第六〇二一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月二十二日  住宅政策に関する陳情書  (第五  八八号)  建設業法の改正に関する陳情書  (第六〇三号)  市町村道に対する国庫補助率引上げ等に関する  陳情書  (第六一三号)  中国縦貫自動車道建設促進に関する陳情書  (第六一四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  首都圏近郊緑地保全法案内閣提出第一三九  号)  (参議院送付)  流通業務市街地整備に関する法律案内閣提  出第一五五号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  首都圏近郊緑地保全法案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。山中日露史君。
  3. 山中日露史

    山中(日)委員 首都圏近郊緑地保全法案についてお尋ねをいたしたいと思います。  私のお尋ねするのは、主としてこの法案条文の解釈について、逐条的にお尋ねをしたいと思います。  その前にまずお聞きしておきたいことは、首都圏整備法による近郊整備地帯の中で、この法律近郊緑地保全区域指定されることを予定されておる地域がどのくらいあるかということです。これをひとつお聞きしたいと思います。
  4. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 この法案において指定予定されておる近郊緑地保全区域状況について申し上げますが、近郊緑地保全区域につきましては、第三条にいろいろ要件がございます。さらに緑地保全計画特別保全区域指定基準等をこれからきめることになるわけでありますが、概略現在の状況を申しますと、首都圏整備委員会におきましていろいろ調査し、今後指定をいたしたいと考えておる点につきましての具体的個所については、さらに公共団体とも相談し、地元意見を徴してきめるわけであります。そういう内容については、今後考えていきたいと思いますが、ただいま個所数として考えております大まかなところで申しますと、大体十五カ所ないし二十カ所、それから近郊緑地保全区域指定の一応予定として考えておりますのが、大体六千万坪ないし九千万坪程度でございます。
  5. 山中日露史

    山中(日)委員 その十五カ所ないし二十カ所の場所というのは、いまのところまだきまっておらないわけですか。予定ですか。
  6. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 まだもちろんきまっておりません。いろいろな点を調査し、先ほども申し上げましたように地元意見等も徴してきめるわけでございますので、確定は全然いたしておりません。
  7. 山中日露史

    山中(日)委員 五千万坪というのは、それは全体の広さですか、それとも一地域の広さですか。
  8. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 十五カ所ないし二十カ所程度地域の合計の面積でございます。
  9. 山中日露史

    山中(日)委員 大体平均して、一カ所の地域の広さというのはどのくらいの面積考えておられますか。
  10. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 その地域はそれぞれ土地状況地形等いろいろ変わっておりまして、平均的に申し上げるのはたいへんむずかしいわけでございますが、私どものいままでの調査の状況をもととして申し上げますと、一番少なくても大体三十万坪程度じゃないか、大きくなりますと百万坪、二百万坪というふうになるのじゃないかというふうに考えております。
  11. 山中日露史

    山中(日)委員 ついでに、特別保全地区指定予定されているところは何カ所くらいありますか。
  12. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 特別保全地区は、先ほど申し上げました近郊緑地保全区域、この一般区域の中に指定されるわけでございますので、大体その中で一カ所、場合によっては二カ所になることもあるかと思いますが、大体個所数はほぼ同様になるのじゃないかと思います。あるいは、もう少し中を細部に区切ってやりますから、数はふえるかもしれません。面積といたしましては、これもまだ現在の試算でございますから将来若干変わることも考えられるわけでございますが、四百万坪ないし六百万坪程度になるのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  13. 山中日露史

    山中(日)委員 それでは今度は条文についてお尋ねしますが、まず第四条第二項第三号ですが、この第三号によりますと、近郊緑地保全計画の中に「近郊緑地特別保全地区指定基準に関する事項」こういうことが書いてあります。この指定基準というものはどういう内容になりますか。
  14. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 近郊緑地特別保全地区につきましては、この法律の第五条で一号、二号の基準が一応出されておるわけでございます。ここにもございますように、一号におきましては「首都及びその周辺地域住民の健全な心身の保持及び増進又はこれらの地域における公害若しくは災害の防止の効果が特に著しいこと。」また「特に良好な自然の環境を有すること。」こういう抽象的な規定があるわけでございます。しかしこの地域につきましては、後ほど出てまいりますような権利制限等規定も働いてくるわけでございまして、その指定は十分慎重を期さなければならないわけでございます。このような法律条文だけでは、具体的にどういうふうな角度で指定すべきかという点について、詳細きめがたい点もございます。土地状況等もいろいろ違っておりますので、この保全関係におきまして、先ほど申し上げました法律条文に即して、できるだけ具体的に指定基準を定めたいというふうに考えております。
  15. 山中日露史

    山中(日)委員 次は第八条の規定であります。この第八条の規定によりますと、「保全区域特別保全地区を除く。以下この条において同じ。)内において、次の各号に掲げる行為をしようとする者は、首都圏整備委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、都県知事にその旨を届け出なければならない。」こう規定して、以下第一号から第五号まで規定があるわけでございますが、この八条によりますと、これは届け出だけすればいいということになっておるようでございます。ところで、第九条にまいりますと、特別保全地区許可制になっておりますが、八条と九条の規定を比較いたしますと、特別地区のほうは緑地保全重要度が強いというような意味から許可主義をとり、一方はそれほどではないということで届け出主義をとったのだろうと思いますけれども、この区別をつけたのはどういうわけですか。
  16. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 特別保全地区一般と、保全区域区別をつけた趣旨でございますが、この保全の面だけから見ますならば、一般地区も第九条のような厳重な規制をいたしまして、それでできるだけ全般の地域についての保全をはかるということが望ましいわけでありますが、しかし同時に私権の保護という点も考えなければならないわけでございます。そういう両面から考えまして、特別保全地区は、第五条にもございますように特にいろいろな諸条件が整っておるというところに指定されるわけでございますので、そういう条件の整ったところについては権利制限も強くなる。しかしその程度が若干低い地域につきましては、届け出ということによってできるだけ保全趣旨をはかっていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  17. 山中日露史

    山中(日)委員 同じく第八条の第五号に、「前各号に掲げるもののほか、当該近郊緑地保全に影響を及ぼすおそれのある行為政令で定めるもの」、これは政令でどういうことを定める考えでおられますか。
  18. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 政令はこの法案が制定されましたらできるだけ早く制定いたしたいと考えておりますが、ただいま一応考えております状況で申しますと、非常に水質を汚濁する行為とか、著しい悪臭を放つ行為を一応規制したらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  19. 山中日露史

    山中(日)委員 同じく第二項に、「都県知事は、前項の届出があった場合において、当該近郊緑地保全のため必要があると認めるときは、届出をした者に対して、必要な助言又は勧告をすることができる。」この助言もしくは勧告というのは、一体どういうことをしようとしておるのでありますか。
  20. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 この地域は、先ほど申し上げましたように届け出だけの地域になっております。したがいまして、これを規制することもできないわけでございますが、しかしこの地域で必ずしも好ましくないということも考えられるわけでございます。したがいまして、そういう場合に必ずしも強権に基づかないで助言をし勧告をして、できればこういうふうに変えてもらいたいというふうな点をアドバイスをいたしまして、実際上の話し合いなり、場合によっては注意を喚起するということをいたしまして、できるだけこの保全目的を果たしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  21. 山中日露史

    山中(日)委員 そこで問題になるのは、この助言もしくは勧告に対して応じなかった場合に、一体どういう処置をとるかということだと思うのです。その点についてはこの法律では何ら救われないのですが、私、考えますのに、この法律のねらいは、首都及びその周辺地域における住民の健全な生活環境を確保し、さらにまた首都圏近郊整備地帯内における無秩序な市街化を防止する、こういういわば将来に向かっての高い観点から公益性というものを考え法律をつくるわけです。しかし保全地域指定されたその地域土地所有者なり占有者——相当広い面積指定されるわけでありますから、そういたしますと普通一般の、たとえば道路をつくるとか公園をつくる、あるいは学校をつくるというような、つまり公益性よりもこういった緑地帯指定されておることが、身近に公益性重要性というものを感じない。したがって、たとえば将来この保全地域指定された地域の中で、あるいは土地を造成しよう、あるいは住宅を建てよう、あるいはその他の建築物を建てようというようないろいろな計画土地所有者なり占有者にあったとして、また地方公共団体もそういうような計画があった場合に、この助言勧告に応じない、また助言勧告があってもそれは緑地保全支障がないとかあるとかいうようなことで見解の相違が出てくる、こういうことで結局助言勧告を受け入れないでこの第一号から四号に掲げるような行為をした場合においては、容易にこれを防ぐことができないということになると思うのですが、その点は一体どういうふうにお考えになっておりますか。
  22. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 いま御指摘のございましたように、こういう地域につきまして、できるだけ特別保全地区に近い程度規制なり行為制限等をやりまして——こういう制度を確立することは、そういう面から見ますと非常に望ましいことであります。私どもそういう内容も検討いたしたこともございます。ただ、先ほど申し上げましたように、一方においては私権の存する地域が相当多いわけでございます。その私権との関係から考えますと、こういう地域についてはこれ以上の権利制限あるいは公益を害する強い規制をすることが非常に困難な状況法制上から見ましても実際上から見ましてもむずかしい点があるわけでございますので、私どもといたしましては、こういう地域については届け出助言または勧告ということでできるだけ保全目的を果たしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。お話のようにそれだけで十分目的を果たし得るかという点はまことにむずかしい問題として残されているわけでございますが、逆に現在の状況から申しますと、現在は届け出ることもございませんし、またもちろん助言勧告規定もなくて、ただ一般的な従来の法制でできる範囲のことしかないわけでございます。そういう面から見ますと一歩前進はしておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  23. 山中日露史

    山中(日)委員 先ほども申し上げましたように、こういう同じ公益性でありましても非常に広い面積指定されて、そしていろいろな計画が実現できないということでは困るということで、おそらく地方公共団体なり、またあるいは土地所有者占有者から抵抗が出てくると私は思うのです。その場合に結局この法律では救われない。特別保全地区指定しますれば、それは許可制でありますからいいですけれども、そうでない場合はそんな助言勧告などは聞き入れないでどんどん自分の考えているとおりに、計画どおりにやっていくということになりますと、この法律というものは全然効果を発揮できないということになりますので、それ以上の行政的な指導とかそういうことはできないわけですね。助言勧告に応じないで地方公共団体なりあるいはまた土地所有者なり占有者思いどおりに、客観的に見れば緑地保全するにふさわしくない施設をしても、それは防ぐことはできない、こういう結果になる。それではこの法律は結局何ら効果はないんではないか、こういうふうに考えるわけなんですが、その点はどういうふうに考えですか。
  24. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 その点は非常に厳密な意味で申し上げれば全くそういうことになると思います。そこで、先ほど事務局長からお話し申し上げておりますように、財政その他の関係で可能なことなら全部これはいわゆる特別地区指定するぐらいのことがいいと思います。しかし指定だけで裏づけがないということでも政治がちぐはぐになります。そこで二段がまえにしておるわけであります。八条の場合はここに規定してありますような行為をする場合にはやはり自然の条件相当変化を来たす。それでは緑地がつぶされる。良識に訴えると言うと非常になまぬるいようでありますけれども届け出をして、そして同じやるんならこういうふうにしたらどうかということを助言し、あるいは勧告をする、世論に訴えるという効果しかない。世論を聞かないということが実際社会に多うございますが、そういう意味においてはある程度なまぬるい。そこで問題はどうしてもそういうことが必要だ、どうしても保全しなければならない、そういう助言も聞かないでやるということは将来非常に困るのだというような地域は、やはり特別地区として指定する、そのかね合いであろうと思います。ほんとうは、理想的に言いますと、先ほど言いました広範囲にわたって第九条みたいなことをやればいいのですけれども裏づけがないとこれはまた結局元も子もなくなる、ここのかね合いだと私は思っているわけです。
  25. 山中日露史

    山中(日)委員 これはこのくらいにしておきまして、次は第九条の特別保全地区の問題ですが、この特別保全地区の第九条の第四項にこういう規定があります。「特別保全地区指定され、又はその区域が拡張された際当該特別保全地区内においてすでに第一項各号に掲げる行為に着手している者は、その指定又は区域の拡張の日から起算して三十日以内に、都県知事にその旨を届け出なければならない。」着手している場合はそうですけれども、もうすでに完了してしまっているというような場合においては、これは処置できなくなってしまうと思うが、どうですか。
  26. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 この規定は、現に工事をやっているものについての規定でございます。すでに完了している場合でございますが、これには、たとえば完了と申しましても、場合によってはその区域内にある場合があるかと思います。そういう場合もございますし、それは現況によって把握できるわけでございます。区域外はもちろん問題はないわけでございますけれども、完了いたしております場合は、この規定ではなくて別途現況によって把握する、こういうふうに考えているわけでございます。
  27. 山中日露史

    山中(日)委員 ところで、その同じ九条の第七項に、「助言又は勧告」というのがまた出てきているのです。そこで、すでに着手している場合に、それは届け出をしまして、それが結局緑地地帯支障があるというようなことであれば勧告助言するわけですけれども、その勧告助言に応じないで、着手したその仕事をどんどんやっていくということになりますと、これはまたどうにも処置がないということになるわけですが、その点はどうですか。
  28. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 いまお話にございました現在工事中、事業を執行中のものについての取り扱いの問題でございますが、この制度は新たな制度として、この法案が通過し、また政令その他地区指定等の準備が終わりましてから地域指定が行なわれるわけでございますけれども、その前に工事をやったものについて、すでにやっているものについてまでこれを排除するということは実際上も困難である、こういうふうに考えられるわけでございます。そこでその調整的な考えで、こういう現に工事中のものについては、できるだけその規模の縮小なりあるいはさらに計画の変更なりということを相談いたしまして、できるだけこの保全趣旨に沿うように協力をしてもらうというような協力要請も行なわなければならぬと思います。しかし、いまお話がございましたように、これをさらに特別保全地区として指定する必要があった場合どうするかという点にかかってくるわけでありますが、その場合は、この法律の問題として出ています損失補償という点で考えるべきかどうか、あるいはさらに買い入れの問題が起こってくるか、それぞれの状況によって変わってくるかと思いますが、できるだけ私どもといたしましては、話し合いをし、またどうしてもできない場合は、ほかの方法等考え保全目的を果たしていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
  29. 山中日露史

    山中(日)委員 ただいまのほかの方法というのは、何か適当な方法がありますか。ちょっと考えられませんけれども、どうでしょう。
  30. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 たとえばその地域がどうしても保全をしなければならないという地域で、そういう申し出等があります場合には買い入れをすることもできます。
  31. 山中日露史

    山中(日)委員 次は第十条の規定についてお尋ねしますが、この第十条に原状回復命令についての規定があります。そこで、この原状回復命令に応じなかった場合に、つまりそういう行為をした者の費用の負担において代執行をする、こういうことはできないわけですか。その点はどうでしょう。
  32. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 できるようになっておるわけでございます。
  33. 山中日露史

    山中(日)委員 できるようになっておると言いますけれども、できるのは、それは第十条の第三項にありまして、それは「過失がなくて当該原状回復等を命ずべき者を確知することができない」——その命令を受ける者はどこの者だかわからぬというような場合には、これは代執行ができると書いてありますけれども、そうでない前の場合には、これは本人がわかっているわけですから、それに対してどうしてもやらぬという者に対しては代執行ができなければならぬと思いますが、その規定がないのですけれども、それはどうしてできますか。
  34. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 代執行一般規定は、このほかに行政代執行に関する規定がございますので、その法律とあわせて適用していくということになるわけでございます。
  35. 山中日露史

    山中(日)委員 そういたしますと、第三項の「確知することができない」という場合でも、これは他の法律でもできるわけなんですね。特にここにこういう規定を設けたというのは、何か特別な理由があるのですか。つまり確知することができない場合においても、他の法律でこれは幾らでも代執行できるわけですけれども、特にこういう規定をここに設けたというのには何か理由があるのですか。
  36. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 一般的な代執行規定は、それぞれ一般法でできるわけでございますが、この規定は特にこういうような場合においては、さらに確知することができないような場合においては、特に法律でそういうことを定めまして代執行を行なうことができるようにいたしてあるわけでございます。
  37. 山中日露史

    山中(日)委員 次に第十一条の規定についてお尋ねしたいのですが、これは条文が長いのですけれども、第一項第一号の一番終わりのほうに「又は却下されるべき場合に該当する」ということばがあるのですが、つまりこの規定によりますと、これは損失補償の場合のことを規定しておるわけですが、他の行政庁処分によって許可されなかったというような場合においては、これは損失補償しなくてもいい、こういうのですね。それはここに響いてある「当該許可その他の処分の申請が却下されたとき、」その次に「又は却下されるべき場合に該当する」——まだ却下されるかどうかわからない、こういう将来の状態の場合において損失補償しないということを規定するのは、これはどういう意味があるのですか。
  38. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 原則としては却下されるというはっきりいたしたときでございますが、ほかの法規の関係で必ずしも却下という処分確定しなくても却下されるべき状態にあるという場合もございます。そしていろいろな手続その他の関係確定しなくても、そういう確定と同様の状況にある場合もございますので、そういうことも考えてこういう規定になっているわけでございます。
  39. 山中日露史

    山中(日)委員 どうもそれはちょっとおかしいような気がして、私は納得いかぬのです。これは「却下されたとき」というだけでいいと思うのですけれども、こういう規定がありますと、そうするとまだ却下されるかどうかわからない、あるいはまた行政訴訟とかいろいろな手続で争っている、そういう場合にはもうそれは却下されるのだとあらかじめきめてしまって、そうしてその損失補償しないという規定を設けることは、一体どういう意味があるのですか。これは却下されたときだけでいいと思うのですけれども、特にこういう規定を設けたのには何かそこに別な理由があるのかどうかですね。
  40. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 この具体的な認定というのは、運用上も非常に慎重を期さなければならないと思いますけれども、却下される場合ということがよほど確定した状況にまずなければならないと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この法律によりますと、一定の条件に合致する場合は損失の補償があるわけでございます。しかし損失補償のないようなほかのいろいろな規定がある場合がございまして、そういう規定によって明らかに却下されたときということがきまったとき、またはそういう規定が明らかに却下さるべきということが判明いたしたようなときには、この法律においては損失補償の対象にしない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  41. 山中日露史

    山中(日)委員 そうしますと、その却下されるかもわからぬ、されないかもわからぬという、まだ不確定状態の中で、却下さるべきものだというふうにだれが一体判断して損失補償をするとかしないとかきめるのか。却下されればこれははっきりしますけれども、まだ却下さるべき場合というだけで、まだわからぬわけしょう、その行政庁処分がまだ出ないうちは。それをされるのだというふうにあらかじめ予断して、そうしてそれはだれが一体そういう判断をするのですか。
  42. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 先ほど申し上げましたように、この規定の運用は、その事態に即して特に慎重な判断が必要になるかと思いますが、ただこの法律では損失補償規定があるから、この規定によってすぐに損失の補償が確定する、こういうことにはならないわけでございます。この却下されるという事態が明々白々になっておっても、ほかの規定のいろいろな状況から決定されないという場合には、必ずしもこの規定による損失補償はしない、こういうことでございます。しかしその運用については十分な見通しなり判断を持って行なわなければならないというふうに考えております。
  43. 山中日露史

    山中(日)委員 何だかわかったようなわからないようなあれですが、先にいきましょう。  第十二条、買い入れ規定でありますが、これは非常に私は重要な規定だと思うのです。この規定によりますと、「都県は、特別保全地区内の土地当該近郊緑地保全上必要があると認めるものについて、その所有者から第九条第一項の許可を受けることができないためその土地の利用に著しい支障をきたすこととなることにより当該土地を都県において買い入れるべき旨の申出があった場合においては、これを買い入れるものとする。」この「買い入れるものとする。」というのは、これは都県に買い入れの義務を負担さしておる義務規定なのか、それとも買い入れするしないは、これは時価その他の面でいろいろ意見の食い違い等もありますから、これは買い入れしないこともできる、一体任意規定なのか義務規定なのか、これはどうなっておりますか。
  44. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 この規定は、買い入れなければならないという規定ではないわけでございますので、これはこの買い入れをしなければならないという、一方においては権利を与え、一方においては義務を課した、そういう強い規定ではないわけでございます。ただ、この規定としては、そういう申し出があった場合において、またいろいろな条件から判断すれば当然買い入れるものである、こういうふうに考えた場合には買い入れをするということでございまして、必ずしも権利とか義務というような規定ではございませんが、実際上そういう条件に合ったならばこれを買い入れをする、こういうふうに考えて予算等も考えておるわけでございます。
  45. 山中日露史

    山中(日)委員 そこでこれは問題になると思うのですが、これは義務規定でなくて、単なる任意規定だということになりますと、結局特別保全地区指定された土地所有者なり占有者は許可も受けられない。つまり緑地支障があるからというようなことで許可もしない、不許可になる。また買い入れの申し入れをしても、値段が合わないから買い入れないということになりますと、この特別保全地区指定された土地所有者占有者は結局所有権があり占有権があったとしても、ただで取られたと同じ結果になるでしょう。許可もしてくれない、また買い入れも義務でないのだからしないということになったら、その土地というものはただで取り上げられたと同じ結果になってしまう。そういうことでいいのかどうか。
  46. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 この規定は、御承知の古都保存法と同様な趣旨規定でございます。すでにこういう内容で一応保存法も制定されておるわけでございますが、この指定ということによって必ずしも現状を著しく変更したり所有者権利者に対して著しい制限をかける、こういう規定ではないわけでございます。そういう地域保全のために必要な行為、将来のいろいろな行為について特に保全支障あるものについての規制を行なうわけでありまして、この指定を受けたからといって、すぐに従来の行為等が著しく変更を受けるとか、その所有者等に困った事態を引き起こす、こういうことにはなっていないわけであります。ただしかし、場合によりますとそういうことも考え得られますので、そういう場合には特にこの規定によってその土地買い入れる。こういうふうに考えておるということでございます。
  47. 山中日露史

    山中(日)委員 たとえば特別保全地区指定された地区土地所有者がそこにりっぱな木を持っておる、その木を自分が売って将来の自分の生活のかてにしようというような考えを持った人がおったとしますね。ところがそこは保全地区だからそういう伐採は許されないということになると、許可になりませんね。そうしてまた一方において、それじゃこの土地を買い上げてくれといっても、あるいは値段が折れ合わないということで、それは買い入れ義務がないのだから買わないということになりますと、先ほど言うとおり土地はただ取られたと同じ結果になる。こういうことでいいかどうかということをやはり考えてみる必要があると思うのです。その場合、土地を収用すればどうか。収用するったって、結局そこは緑地になっているのですから、これから緑地をつくるわけじゃないので、都県のほうでは別に収用して金を払う必要はないのだ。そうすると結局その人たちはただ取り上げられてしまう、こういう結果になるのです。これは買い入れ義務なら義務というふうになれば話は別です。これは買っても買わなくてもいい。しかも伐採とかそういうことは許されないということになりますと、その土地所有者占有者というものはただ取られたと同じことになりますよ。これはどういうふうにしますか。
  48. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 ただいまの御指摘の点は、この制度を運用いたします場合重要な問題の一つだと考えられますが、まず従来樹木の伐採等を主にしていろいろな事業をやり生計を立てられる、こういうような場合を考えますと、この規定はただ禁止とか制限とかあるいは伐採をできるだけやらせない、こういうことだけではなくて、この規定趣旨はできるだけ良好な自然の環境を維持するということが目的であります。したがってその自然の環境を維持する範囲においては、伐採等も当然考えられるわけでございます。たとえて申しますと、ある用地につきまして全部これをまる坊主にされましたら、これは非常に良好な自然環境を害するわけでありますが、その地域のある部分について計画的に伐採する、またそのあと植えていく、そういうことも考えられるわけであります。そういう場合は必ずしもこの伐採を初めから禁止するということではなくて、そういう良好な自然環境を維持するに必要な範囲のことをできるだけそういう方法でやっていただけば、必ずしもこれを頭から伐採を制限するというふうには考えてないわけであります。ただしかし場合によっては、非常に大事な場所で、その地区を伐採されると困るというような場合も出てくるかと思います。そういうところは伐採制限によって従来の営業等ができないということになりますと、これは当然相手方に対しましても非常な迷惑をかけるということになりますから、当然買い入れ等も考えなければならない地区であるというふうに考えておるわけでございます。
  49. 山中日露史

    山中(日)委員 どうもいろいろ考えますと、この法律の運用というものは非常に困難な問題が出てくると思います。  それはまたあとで申し上げますけれども、それから買い入れる場合、その時価と書いてありますけれども、この時価は申し出のときの時価ですか、それともいわゆる売買が成立したときの時価をいうのですか。その時価の算定の時期、それはいつですか。
  50. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 ただいまの御指摘の点は、実はまだ私ども確定した御返事ができるまで検討いたしておりません。しかしこういう規定はほかにもいろいろあるわけでございますので、この法律趣旨はできるだけ適正な価格で買うことになっておるわけでございますから、そういう適正な価格で買うことを原則として、この時期についてはただいまちょっとお答えできるほど私ども詰めて検討しておりませんが、ほかの諸制度等を検討いたしましてきめてまいりたいというふうに考えております。
  51. 山中日露史

    山中(日)委員 これは余談でありますけれども、この間土地収用法の改正があったときに、時価の算定の時期を事業認定の時期というふうにきめました。従来あれは裁決のときであったものを、ごね得を防ぐという意味で結局事業認定のときというふうに時期を固定してしまったのです。今度の場合これはごね得の問題と多少違いますけれども、その買い入れの申し出の時期の時価によるのか、それともその話し合いが長く続いてだんだん土地の値段が上がっていく、そうなると、その話し合いのついたときの時価で払われるのかという点は、やはり重要な問題になってくると思う。特にこういう土地収用法のときのように事業認定のときというふうに規定をしないと、結局それは自然に話し合いのついたときというふうに解釈せざるを得ないと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  52. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 ただいまお話がございましたように、土地収用法におきますその価格の決定の時期というのは、非常に大事な問題の一つでございます。特にこれが非常に重要な役割りを果たしておりますのは、土地収用法の場合は申し上げるまでもなく道路の建設、河川の工事とかいろいろな事業が行なわれるわけです。あるいは宅地造成、そういういろいろな事業が行なわれまして、その事業が行なわれますことによって土地の値段も変わるわけであります。いわゆる開発利益と申しますか、そういうことが出てまいるわけでございます。そういう開発利益と関連して、この価格を定める時期という点は非常に重要な問題になるかと思いますが、この法案におきます買い入れの点につきましては、原則としてはあまり現状を変更するということではないわけでございまして、開発利益的なものはあまりいまのところ考えられないわけであります。したがいまして、土地収用法におきます買い入れの時期の問題とはやや異なった立場で考えてもいいのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、そういう点は、先ほども申し上げましたように、ただいまいつの時期かという点までは詰めて考えておりませんが、この類似の制度等も十分に検討いたしまして、適正な時期に定めたいというふうに考えております。
  53. 山中日露史

    山中(日)委員 もうこれで質問を終わりますけれども、この法律の問題は、先ほど申し上げましたように助言勧告というものがありましても、それに応じないでやっていくというような場合が想定されますので、そういった場合に一体どうするかということについても十分これは考えていかなければならぬと思うし、それから保全地区指定されたときに、すでに着手しておった場合、そういう場合助言勧告といいましても、すでに着手してしまったからそのとおりやるんだということになると、助言勧告も何ら効果がない、こういうような結果にもなりますので、この法律だけではとても目的を達することができないというふうにも考えられます。と同時に、私どもこの法律が出るときに考えたことは、首都圏の関係法律というのはいろいろ規制が非常に多いわけですね、開発の面もありますけれども規制するという面が非常に多い。それで地方公共団体その他でもっていろいろな地域開発を行なうというようなことを計画いたしましても、この首都整備関係法律の制約によって、これがなかなかうまく進まない。したがって地域開発等も消極的になっていくというような傾向が出てきておりまするし、こういう問題は非常にまた抵抗も多いのですね。ですから、そういう場合にはどうするかということについてはもっとしっかりした一つの考え方で進まぬと、趣旨はたいへんけっこうなことでありますけれども、これを実効をあげるようにするには非常に困難な問題があると思うので、十分今後その点は行政上の措置として考えていただきたい、こういうことを希望いたしまして質問を終わります。
  54. 川村継義

    ○川村委員 私ひとつ関連して一言聞いておきます。  ある地域保全地域として指定された、これは皆さん方のほうに案があると思うのですが、指定されだとすると、そこに住んでおる、地域内の都民あるいは県民、住民にどうして周知徹底をされるか、その御用意がありますか。あなたのこの地域保全地域になりましたよ、ここは特別保全地区になりましたよ、だからこうこうこういうような法律の適用を受けますよということを周知徹底させる方法、腹案というものは、十分用意しておられますかどうか。
  55. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 ただいまお話がございました点は大事な問題でございますが、保全地域指定は二段階を経るわけでございまして、一つは一般的な保全地区、それから次には特別保全地区ということになるわけでございます。一般保全地域指定の場合は、関係各省はもちろんでございますし、首都圏の審議会、さらに各地方公共団体意見を聞いて定めることになっております。このほかに特別保全地区の場合には、その地域の中になるわけでございますが、都市計画の地方審議会の意見を聞いて定める。これは建設大臣が都市計画法の定める手続によって指定することになっておるわけでありますが、そういう手続をして行なわれるということになっておるわけでございます。  そこで、一般、直接の住民の方に対する周知は、必ずしも法規には明定はございませんが、そういう段階を通じてそういう住民の代表の方々がいろいろな立場で参加されておるわけでございます。そういう面におきまして御意見を聞き、そういう点の意見を拝聴しながら定めていくわけでありますが、もちろん一般地区指定については官報で告示されるということもございますが、私どもは、法規にはございませんが、できるだけそういう地域については、その地域がある場合には広い地域もございますが、そう必ずしも各住んでおられる方についての連絡ができないほどの面積でもございませんので、そういう点については具体的にできるだけ関係地方公共団体とも相談いたしまして、実際上のPR等の措置は講じていかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
  56. 川村継義

    ○川村委員 私、この前ちょっと関連で質問いたしまして、たいへんむずかしい問題をはらんでおるのではないかと申し上げたのです。いま山中委員の質問を聞いておりましても、やはりそういう感を深くするわけです。それは、指定手続はおっしゃったとおり、これは法的にちゃんときまっていくでしょう。ところが官報で告示したとかなんとかいうことで済まされない問題が残るわけです。何でもやる場合に足踏みするのは、そういう行政上の処置が、皆さん方の住民に対する納得、理解というものがいつでも不十分であるからであります。御承知のとおり外郭環状線というのがこの前問題になりましたね。外郭環状線という問題があって、ずいぶん長い間計画が進んできておって、突然案が示されたので住民の諸君がこれはたいへんだといって、道を通すだけでもあれだけの抵抗を受けておる。そうなりますとこれは官報に載るとかなんとかいう問題でなくして、よほどこれは行政的に住民の了解、納得を得られるというあたたかい方法をとらなければ、またとんでもないことになる。グリーンベルトの二の舞いをするのじゃないかということを心配をするわけです。特に第八条の規定で木を切ったとかなんとかいうそういうことで二十一条の罰則適用を受ける、そういう規定もある。あるいは第九条の違反事項については、これまた重いところの罰則規定が二十条に規定してある。こういう罰則が次から次に適用されることになっておればおるほど、やはり住民に対してよほど納得をさせあるいは了解を得る、そういうような手だてを講じていかなければ、これまたたいへんな問題を惹起するのではないかと心配しておるわけです。だからこれが指定されるという地域にきまったならば、具体的にどういう方法でやっていかなければならぬか、住民にそれをよく理解させなければならぬか、納得をさせなければならぬかというような手だては考えておられますかということなんです。
  57. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、特別地区並びに一般地区指定する場合の手続を申し上げたわけでございますが、その中間と申しますか、その間に特別保全地区の、特に権利制限等が強い地区につきましては、保全計画をつくることになっておるわけでございます。この保全計画はどういうふうにしてつくるかと申しますと、首都整備計画の一環としてつくる、こういうことになっておるわけでございますが、この首都整備計画をつくります場合には、これは首都圏整備法規定が働いてくるわけでありまして、この首都圏整備法の二十二条では、首都整備計画をつくりました場合にはこれを関係行政機関あるいは関係地方公共団体に送付するとともに、これを一般に公表しなければならない、こういう規定がございまして、「公表された事項に関し利害関係を有する者は、公表の日から三十日以内に、委員会規則の定めるところにより委員会意見を申し出ることができる。」こういうことになっておるわけでございます。  そこで、こういう規定は、実は従来の都市計画法その他の規定にはまだない規定でございまして、そういう点についてはこの首都整備計画におきましては、いろいろなところで利害関係、他との調整、私権との調整等をはかるような規定が新たに設けられておるわけでございますが、そういう規定をも十分に活用し、また先ほど申し上げましたように、法文としては十分ではない点もございますが、できるだけ実際にそういう当事者関係につきましては関係公共団体ともよく相談いたしまして、十分御意見が反映されるように措置をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  58. 川村継義

    ○川村委員 これ以上申し上げませんが、私が言っているのは、いろいろ手続上そういう法制上の問題の前に、あるいはそのあとに続く問題として、これが官報に載ったとか、あるいはその地区の有識者に、議会の議員さんに知らした、町村長に連絡したとか、そういうような問題でなくて、もっと全地域住民によく徹底させるような目バ体的な方法考えておかなければたいへんなことになりはせぬかということです。それだけ申し上げておきます。
  59. 田村元

    田村委員長 この際、暫時休憩いたします。    午前十一時四十分休憩      ————◇—————    午後一時五十八分開議
  60. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会談を開きます。  理事補欠選任の件についておはかりいたします。  理事松澤雄藏君が去る五月十七日委員辞任されましたので、この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、理事山本幸雄君を指名いたします。      ————◇—————
  62. 田村元

    田村委員長 流通業務市街地整備に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。川村継義君。
  63. 川村継義

    ○川村委員 ただいま議題になりました流通業務市街地整備に関する法律案について若干お尋ねをいたしますが、その前に、私は首都整備の問題について少しお聞きをしておきたいと思います。大臣からでも鮎川さんでもよろしゅうございますから、ひとつお教えいただきたい。  ちょうど首都圏整備法ができまして首都圏整備委員会が発足してからまる十年になるわけでございますが、せんだってはそれの記念も行なわれたようでございます。そこでこれから首都圏整備委員会として取り組んでいかれる問題はまことに大きなものがあるし、また困難なものもあるのではないか、こう考えておるのでありますが、首都整備の問題について、二、三お尋ねをしておきたいと思います。  昨年整備法が改正されたようでありますが、今日までいろいろやってこられた仕事を考えて、さらには新しい基本計画を作成しておられる、その検討に入っておられるということをお聞きしているわけでありますが、その首都圏の整備計画、これは基本計画整備計画、事業計画ということが法律にも書いてありますけれども首都圏の整備計画の基本的な構想というものをひとつお示しいただきたいと思います。  どうも今日までの首都圏の問題について、ずいぶんと当局でもやはり反省しておられる語問題かあるのではないか。初めの基本計画ではうまくいかなかった、それが整備計画、実施計画にもずいぶんとそごを来たしたというようなことがあると思う。いま新しい基本計画を検討しておられるということでありますけれども、その首都整備の基本的な構想についてこの際ひとつお示しいただきたいと思います。
  64. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 ただいま首都整備の基本構想についてどういう考えであるかというお話がございましたので、まず現行計画の概要を申し上げ、それにいまどういう点が問題になっておるか、またそれを今後どういうふうな方向で検討しておるかという点について御説明申し上げたいと思います。  現行の基本計画は、御承知のように約十年前に制定されたわけでございまして、この基本計画におきましては、計画の目標年次を昭和五十年といたしました。そのときにおきます首都圏における人口の目標を定め、またこの人口の目標と相関連いたしまして、首都圏における地域整備の基本的な考え方を示しておるわけでございます。地域整備の基本的な考え方といたしましては、まず既成市街またそれを取り巻く近郊地帯、グリーンベルトと申しておる地域でございますが、さらにその周辺に市街地開発区域整備する、こういう基本的な考え方でございますが、この人口規模、またこれに対する地域整備の基本的な考え方に即応いたしまして……   〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 御承知のように既成市街地につきましては、工場、学校等の人口集中の原因となる要因をできるだけ排除いたすために、そういう工場、学校等の制限をいたしておるわけでございます。またそれに関連いたしまして、集中する人口ができるだけ周辺地域において吸収、定着され、また首都圏の過密地域における工場、学校等が適正な立地条件をもって配置せられる、こういう観点から都市開発区域整備を行なってきておるわけでございます。こういう基本的な計画に基づきまして今日にまで至っているわけでございますが、御指摘のようにこの間においていろいろな問題が発生しているわけでございます。また一面、これらの成果も相当あらわれてきていると私どもは現在考えているわけでございます。  現在しからばどういう点が問題であるかという点を申しますと、まず一つは、先般来緑地法案関係いたしまして御説明いたしましたように、首都圏の地域的なものに対する従来の考え方が、昨年の首都圏整備法の改正によりまして、近郊地帯というものが廃止されて、近郊整備地帯というものを設けるようになったということが一つと、従来の市街地開発区域というものが工場立地を中心として考えられているわけでございますが、これを必ずしも工場だけではなく、もっと基本的な土地整備計画をする、こういうふうに変わってきているわけであります。そういう法律の改正による問題。それからもう一つは、約十年間におきます社会経済の変遷、またその中にたとえば公共的な施設で申しますと、東海道新幹線が開設され、また東名道あるいは中央道というような大道路網が逐次できつつあるわけでございますが、そういうような根幹的な施設がどんどんできてきている、こういう情勢の変化もございます。それからもう一つは、首都圏における人口が、その当時考えられておりました人口の予想よりもずいぶん多くなってくる予想が昭和四十年度の国勢調査の結果等によりましても見えてまいっておりますので、そういう人口の見通し等についても再検討する必要がある、こういうような点、いろいろ首都整備における問題がございますので、私ども委員会といたしましては、ただいま昨年の秋から首都整備審議会に諮問いたしまして、今後首都整備はどういう方向で考えるべきかという点につきまして、十三項目について問題点を一応取りまとめまして、いまその内容について検討いたしているというのが現段階の状況でございます。
  65. 川村継義

    ○川村委員 ただいまお答えいただきました諸点について、先般来いただきました「首都圏十ヶ年のあゆみ」というパンフレットの中に概要を示してございますから、その大体の構想は了解するのであります。  そこで、ただ一つ私ちょっと気になる問題がございますからお尋ねいたしますが、いま後段でお話しになりました首都圏の人口のとらえ方でありますが、これがこれからの首都圏の問題を考えていく場合には、相当大きな要素を占めるのではないかと存じます。つまり、皆さん方からいただいております資料に基づいてちょっと人口を見てまいりますと、昭和三十年が二千十九万人、昭和三十五年が二千二百五十七万人、昨年の国勢調査によって二千五百八十二万人、こう一つの資料には示してございます。ということは、三十年から三十五年には二百三十八万人の増加を示している。三十五年から四十年には三百二十五万人の増加を示しておる。この十年間で五百六十三万の増加であります。そこでお尋ねしなければならぬのは、今後あと十年間、昭和五十年に至る人口の増加を一体どのように皆さん方は想定をしておられるかということであります。いまの基本計画の人口想定等におきますと、皆さん方の資料によりますと、二千八百二十万人の想定であるようであります。しかしその基礎資料は二千八百八十五万人になるのではないか。しかしその中の六十五万人は他地域に吸収されるということを想定して二千八百二十万人と想定をしておられます。そうなりますと、四十年から五十年までの首都圏の人口増加というものは二百三十八万人である。過去十年間に五百六十三万人増加したものがこれからの十年間に二百三十八万人の増加で押えられるかどうか、この点が私が一つ疑問に思っておるところであります。ところが皆さん方の資料によりましても、四十年度の国勢調査で、首都圏の人口の資料のとり方で、二千五百八十二万人ととっておられる資料もあるかと思うと、二千六百九十六万人ととっておられる資料もあります。どちらが正しいか、私よくわかりませんけれども、とにかく十年間における人口の増加変動を、過去の十年間と今後の十年間の増加というものがはたしてこれでいいかどうか、そういう想定でいいかどうか、ここに一つ問題がございますから、これを御説明いただきたい。  申し上げるまでもなく、人口の増加ということは、流通センターを考える場合でも、緑地保全考える場合でも、道路整備考える場合でも、いろいろな問題にやはり大きな影響を与えるのじゃないか、こう考えるからであります。グリーンベルト等の失敗も、結局人口があふれ出ていって、予定のグリーンベルトを設定しようとしたけれども、そこに都市化がどんどん進んでいって、住宅がどんどん入っていって、結局だめになったというのが一つの原因を示しております。そういう点でひとつお考えをこの際お聞かせいただきたいと思います。
  66. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 ただいまお話がございました人口の数字に関する問題でございますが、御指摘がありましたように、現在の首都圏の基本計画におきましては、昭和五十年におきましては、二千八百八十五万人程度が一応予定されております。しかし、六千五万人程度は、全国の均衡ある発展という角度から考えられております施策等に基づきまして、その他の地域において吸収されるのではないか、こういう考え方のもとに現在の首都圏の人口の目標は、現行計画におきます目標といたします数字は、先ほど御指摘になったとおりでございます。ただ一言御説明申し上げますと、今日の人口は百キロ圏を中心として考えておりますが、六月からは一都七県の人口になっておりますので、その間の若干の食い違いもございます。それから先ほどお話がございました二千六百数万という数字は、この人口の数字が一度改定になっておりますので、そのときの数字ではないか、こう考えられるわけでございます。  いずれにしましても、御指摘がございましたように、この二千八百二十万人が妥当かどうかということにつきましては、いろいろ問題があるわけでございまして、この数字については、私ども先ほどから申し上げましたように、最近における首都圏の人口の増加あるいは集中傾向から検討すべきではないかということで検討を始めておるわけでございますが、まず二千八百二十万人がしからばどういう点に問題があったかという点を申し上げますと、首都圏の人口も、もちろん全国の人口がどうなるかという全国人口の問題から定まっていかなければならないわけでございまして、首部圏の人口も全国人口がどういうふうになるかというようなことを基本といたします。これは厚生省の人口問題研究所等が発表いたしております数字をまずもとといたしておりますが、その厚生省の人口問題研究所の発表いたしました数字を基本といたしまして、さらにそれに首都圏における集中率と申しますか、集まってくる数の動向等をあわせまして、そして現在の二千八百二十万というのがきまっておるわけでございます。しかし、この全国人口の見方につきましてもいろいろ将来の十年先、二十年先の見通しになると、非常にむずかしい点があるわけでございまして、この見通しが違ってまいりますと、各地域、特に首都圏の地域における人口等の推計の数字もだいぶ変わってくるわけでございますが、現在のこの首都圏の人口の見通しの基本になっておりますときの全国人口の見通しは、当時は現在よりも相当低めに見てあるということが一つの背景になっておるわけでございます。その当時は、昭和六十年から六十五年に日本の全国人口が最高点に達するのではないかということで考えられていたわけでございますが、現在では、日本の人口の一番増加するのは、昭和八十年くらいになるのではないか、こういう見通しが行なわれておるわけでございます。そういう全国人口における見通しの問題、これをどういうふうにするかという点が一つあるわけでございます。  それからもう一つは、しからば首都圏に集中する人口はどの程度であるかということは、これもいろいろな資料あるいは考え方、またそれに伴う施策等によってもきめなければならないわけでございますが、この集中する人口の見通しも非常にむずかしい点がございまして、この二千八百二十万人の基礎となっておりますときの数字は、最近の五カ年におきます集中は毎年大体六十万から六十五万になっておりますが、そこまで至ってなかった、こういう点に実は問題があるわけでございます。  そういう二点におきまして、現在の人口の集中の見通しが少し甘かったのではないかというふうに私どもも反省いたしておるわけでございます。そこで今後は、したがいまして、全国人口の見通しの問題もございますが、それとあわせまして、過去のいろいろな傾向その他のいろいろな問題を勘案して、首都圏の人口をどのように推定するのが妥当であろうかという点につきましては、それぞれ専門家等にも依頼いたしまして、現在検討中でございまして、検討いたしておる中にも一案、二案、三案、こういうふうな考え方があるように、非常にむずかしい要素がたくさんあるわけでございますが、ただいまそういういろいろな点を勘案いたしまして検討いたしておるというのが現状でございます。
  67. 川村継義

    ○川村委員 これは大きなことじゃありませんけれども、さっき申しましたように、皆さんのほうからついせんだっていただいた「首都圏十ケ年のあゆみ」というのには、四十年の人口の推定を二千六百九十六万人、これは推定というか、国勢調査にあらわれておる。そういうように計上しております。また「首都整備の概要」という資料には、さっき申しましたように二千八百八十五万人、こういうように書いてある。そこで、こういうような、資料によって相当開きのある人口を示してもらうときには、たとえばその集計した範囲というようなものはやはり付記していただくように、これはひとつお願いをしておきたいと思います。  いまお話のように、いろいろ考え方はございましょうけれども、現行の基本計画による首都圏の人口規模というものは、これから将来十年、つまり五十年に二千八百二十万人になる、こういう計画でやってこられた。ところが今日のような人口の都市集中と申しますか、こういう傾向を見るときに、特に昭和四十年度の国勢調査ではものすごい集中率を示しているわけです。こういう傾向がどれくらい停滞するかは別にして、これは相当のやはり増加趨勢を示すと思います。そうなると、先ほどもちょっと御指摘してお尋ねをいたしましたように、三十年から四十年の十年間には首都圏においては五百六十三万人の増加をしているではないか。ところが現行の基本計画の推定を踏まえて考えると、これからの十年間にはわずかに二百三十八万人しか増加しないことになってしまう。これではおさまらないだろう。そうなると、今度基本計画の中にはその人口をどう押えていくかということが大きな問題になってきはしませんか、こういうことであります。そこで二千八百二十万というこの人口は、これはいまお話があったようでありますけれども、おそらく再検討をしていかれる必要がある、そう考えて差しつかえございませんね。
  68. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 私どもも全く御指摘のお話と同様に考えておるわけでございまして、現在基本計画改定の最も重要な作業としてその二千八百二十万に該当し得る人口はどういうふうに考えるべきであるかということを、この基本計画改定の第一の目標として作業をしておる状況でございます。
  69. 川村継義

    ○川村委員 たいへん変なことば使いをするようですけれども、私は、皆さん方をはじめ、これらの計画あるいは指導に当たっておられる方々は日本の頭脳だと思っておる。また、各種の技術面から見ても、工学その他の学問上から見ても、最高水準の方々だと思っておる。そういう日本の頭脳を集めて首都圏の基本計画を立てて仕事をやってこられたけれども、ついにこれが行き悩んで大改定をせなければならぬような状態になった。そこにはいろいろの問題点があったと思う。これには十分反省をしておられると思います。一体、それだけの優秀な、日本の最高レベルの頭脳が集まってこれらの計画をし進めてこられるのについてわずか十年間でこういうような状態になったということは、計画自体にやはり問題があったのか、あるいはその計画を阻害するところの政治的その他の社会的要因があったのか、この辺のところが私は非常に大事ではないかと思います。もちろんそういう点については十分検討をなさって新しい基本計画のもとに進められると思いますけれども、これはよほどそういう点を、私たちが申し上げるまでもなく十分なる力を発揮していただかなければ、この後の東京を中心とする首都圏の問題というものはまたどこか大きな背伸びをするということにならざるを得ない。そこで、先ほど局長からもお話がございましたけれども、今日までの計画を進めてきて、その反省に立って、この後の問題点というものは一体どこにあるだろうか、これは大臣からひとつお聞かせくださいませんか。
  70. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 首都圏のみならず日本の全体について最高頭脳だというお話がありましたが、最高頭脳であるかどうかは別問題といたしまして、真剣に取り組んできた計画というものが事実において間違いを生じておった、これは御承知の事実でございます。そこで、私どもいま反省しておりますのは、戦後十年間の、今後もそうでありましょうが、科学技術その他が非常な発展を来たしておる、それがやはり人口の移動等、先ほど来問題になっておりますような大きな要素をなしてきていると思います。そういう点についての見通しが不足しておった、予想以上の科学技術等の発展というものが、その前に立てられた時点においての見通しができなかった、こういう点に根本の原因があると思います。これは御承知のとおりにあえて日本ばかりでなくて世界的にそういう現象があらわれて、各国ともいわゆる大都市問題ということで相当の混乱を来たしておる。これは戦後、特に過去十年間のこういう部面の非常な発展の結果である。今後の発展というものが、さらにまたどういうふうな驚くべき事態が発生するかということは、必ずしも明確に想定はできませんけれども、私どもが、やはりこういうふうな人類社会の現状であり、こういうような今後の諸種の新しい要件が出てくるであろうということを想像し得る限りにおいて、専門家の検討を求めたい、これが一番基礎的な要件であろう、これに基づいてさっきお話しのようにやはり人間社会の構造を整備するということでありますから、人口がどのくらいになるか、この見通しをできるだけ確実——と申すと将来の推定でありますが、違算を生じないようにすることが一番の前提である。それを前提にして整備計画、開発計画を立てる、こういうことであろうと思っておるわけでございます。
  71. 川村継義

    ○川村委員 たいへん短時間でいろいろお聞きする問題ではないかと思いますが、ただ一つ具体的にお聞きしますが、首都圏整備委員会というもの、その事務局がございますけれども、率直に申しまして私、少し事務局の体制が貧弱ではないかという気がしてならないのでございます。やはりもう少し首都圏整備委員会の事務局等を強化する、人員面におきましてもそういう必要はないのかどうか。私実際の仕事がどう進んでおるかよく存じませんけれども、どうもこの整備計画、専業計画等の計画を進めていかれる事態においても、何か知らん各省関係のあるいは東京都とかその他の地方団体が持ち寄ってきた意見を聞くだけというか——法律にもあるようでありますけれども意見を聞くことは大事でありますが、各省、地方団体から持ち出してきたものを寄せ集めたかっこうで、それをうまくまとめて整備委員会で立案をしていく、こういうことになっているんじゃないか。そうなっていなければいいんですけれども、そういう心配を実はしているわけです。そこで整備計画、事業計画を立てるにも、建設省がどうせこれは中心になりましょうけれども、もう少し首都圏整備委員会、その事務局等に権限を与えて推し進めるという体制が必要ではないか、そういう意味におきましては、この事務局の局構成と申しますか、メンバーと申しますか、そういうものに少し弱体なものがありはしないかと思うのでございますが、大臣のひとつ御所見をお聞きして、もしもそういう点があるとなると、やはり強化する必要があると思いますが、それについてのお考えを聞かせておいていただきたい。
  72. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおり、首都整備の問題は、きわめて困難な、しかも重要な複雑な問題であります。したがって、私は現行の人員機構で必ずしも十全であるとは思いません。けれども、御承知のとおりに人員をふやすということは、首都圏のみならず、きわめて困難でありますので、毎年努力はいたしておりますが、まだまだ私は満足であるとは思いません。ただ、このほかにそういう問題は、常に議論と申しますか、問題の大きな中心になっておりまして、むしろ首都圏庁というようなもの、特別な相当強大な権限を持つ機構をつくったらどうか、こういう意見も公式に出ておるわけでありますが、さらにまた、これがいわゆる地方自治体との関係等で、必ずしも簡単に進まない、こういう事情であります。  なお、地方から持ち寄ったものをただ整理統合するだけじゃないかというお話でありますが、そうでもありませんけれども、やはり地方からの意見と申しますか、出てくる材料というものも、これは尊重しなければならない。ただ、私ども整備委員会だけで静岡するということは、計画はできましても、必ずしもそれがスムーズに実際的に行なわれない、こういう点があるわけでありますから、そういう点は、私どもは調和をとっていくべきものである、かように考えておるわけであります。
  73. 川村継義

    ○川村委員 では、ついでに都市計画局長にお伺いをいたしておきますが、私はせんだって、この前ここにおいでいただいた首都整備局長の山田さんの講演というもののあるパンフレットをちょっと読んでみましたところが、これはもうわれわれが専門家でないから疑問に思うのかもしれませんが、その山田さんの講演の要旨をちょっと申しますと、都市の本質を述べておられますが、その中にこういうことばがあるわけですね。これはいろいろよって来たる今日の都市問題に触れておられますけれども、「局部的な現象をつかまえて、都市の本質を論ずるというわけにはいかない、」これは前にいろいろ響いてあります。「いわゆる過密都市問題から出発しまして、首都の移転とか、いろいろな発言をする人がおりますが、そういう発言は、私はその都市の本質を知らない人の議論か或いは都市計画とは別の次元の発言であろう、こういうふうに考えるのであります。」こういう実は論旨であります。もちろんわれわれも、今日の都市問題というものがどうしてこのような状態になっており、またこういう問題が起こっておるかということは、しろうとながらも考えておるわけでありまして、人口が集中するのは一体何だ。これはもう都市には、申し上げるまでもなくそれだけの集積利益というものが非常に過大である。どんなにとめようとしたって、それはなくなるものじゃない。そういうことも言えると思う。ところが、今日の都市問題を考えるときには、やはりその人口の集中というもの、人口の過密化ということを防ぐということも、私はやっぱり考えなきゃならぬ問題ではないか。それを、そういうことを言っておきながら、学校の移転だとかなんとかということを言っておるのは都市の本質を知らない人の論議だ。こういう偉い人にこう言われてしまうと、とまどってしまうわけですね、そうすると、都市問題を論ずる場合に、人口の過密をなるだけ排除していこうじゃないか、あるいは地方に分散しようじゃないか、この皆さん方の基本計画であったところの、いわゆる中心地域のものを茨城県とかよそのほうに送って、そこに地方の開発地域をつくって、こちらのほうに吸収するようにしようじゃないかというようなことが、この論議からいくと私はおかしな考え方になると思う。これは局長どうお考えでございますか、あなたの都市問題についての考えをお開かせいただきたい。
  74. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 いわゆる過密都市の問題に対する対策というものは三つの面から考えられると思います。  第一点は、東京を中心といたしますいわゆる首都圏と全国というような関係考えられる問題があると思います。これにつきましては、御指摘のように現在われわれが考えております基本的な線といたしましては、やはり人口、産業が地方に、近郊に張りつくというような形を考えておるわけでありまして、いわゆる地域格差の是正、過密解消というようなことで、新産とか工特というものを中心とする産業開発と相まって、各種の公共施設を投下してやっていく。全国的な問題としてはそういうような問題があります。  それから、首都圏の中におきまして、いわゆる東京というものと関東各地というような関係につきましては、ただいま鮎川事務局長がお述べになりましたように、必ずしも首都にあることを要しない施設、すなわち工場でございますとか学校でございますとか研究所、その他につきましては、これをある程度分散を考えていく。制限をしながら分散を考えていくというような考え方。  それからさらに、東京の中におきまして、都心に非常にいろいろな施設が集まっております。その都心の施設の中で、業務施設あるいは高級消費施設、あるいは今後御審議いただきます流通関係の施設、そういうようなものがごたごたと集まっておりますために、一点集中型の都市になっている。これを多点に分散しなければならぬというような考え方で、その一環といたしまして、流通業務施設というようなものを都市の郊外部に持っていくということを考えておるわけであります。  山田局長の真意はどこにあるかわかりませんけれども、ただ東京あるいは東京の都心を考えます場合に、やはり高度の中枢管理機能というものは東京になければならぬし、ある程度都心になければならぬ。そういうふうな考え方で、むしろ用途といいますか、そういうような機能を純化するというような考え方で都心を整理し、東京都を整理し、そして全国的、あるいは首都圏的、あるいは東京都の中というような三段階に分けまして、機能の向上あるいは多心型の都市というものを考えておるわけでございます。そういうような意味合いにおきまして、政治の中心地をほかへ移すというのはおかしいじゃないかということを言ったんじゃないかというふうに考えますけれども、われわれが基本的に考えておりますのは、ただいま申し上げましたような考え方で進んでおるわけであります。
  75. 川村継義

    ○川村委員 いずれかの機会にまたいろいろお聞きいたしますが、都心における住宅の高層化——なるほどそういう問題もあろうと思いますが、どこか少し離れたところに高い土地を買うて家を建てるということよりは、都内の中心部に高層化した住宅をつくり、それによって働く諸君の距離的にも場所的にも利便を考えるということも、これは必要だろうと思います。しかし今日のようなこの東京都を中心とする状態を見ておりますと、道路をりっぱに整備しても、あるいは各種の施設をやってみても、環状線を幾つかつくってみても、やがては集まってくる過密というものを計画が追っかけていって、一体いつまでたったらこれが安定するのであるかというような疑問さえ起こらざるを得ない。そこで先ほど問題になりましたような、環状線と、あるいは放射線と、今度問題になるような流通センター、こういうようなものができるならば、それがやはり一つの十分なる機能を発揮する見通しというものがなければならぬのではないか。今度東京の付近に流通センターを五カ所つくるというが、このままほうっておいたら、やがてこれがまたあまりまん中に過ぎた、もう一ちょう外につくれというようなことになりかねない。これは極端なことかもしれませんけれども、今日までのやり方、あるいはいまの状態を見るとそういう心配さえ出てくるわけです。そこで、やはりわれわれは——いろいろ山田さんの御意見も書いてありますけれども、何とかして東京における人口の集中というものを、まあこれは大きくは全国の地域開発計画、国土開発計画、こういうものとも関係してくるでありましょうけれども、そういう面を考えながら抑えていくという施策が必要ではないか、こう考えておるわけであります。  もう一つお聞きしますけれども、やはり山田さんの講演の中に、「従来の都市計画を深刻に反省する」ということばでいろいろ述べておりますけれでも、特に強く指摘しておりますのは「直接の原因のひとつは、これは土地政策、住宅政策の欠如であります。」として、土地政策、住宅政策の貧困を相当強く指摘しておられます。これはなるほどそういうことが今日までの状態では言えたと思います。「土地政策、住宅政策の拙劣なこと、それから首都整備計画のおかした誤謬、こういうような問題が、現在の東京の混乱を招来したといっても差し支えはなかろうと存じます。」こう書いてある。そこで、首都圏整備委員会鮎川さんにお聞きしますけれども首都整備計画の犯した誤謬、これは一体どういうことでございますか。これは山田さんにお開きしなければわからぬかと思いますが……。
  76. 鮎川幸雄

    鮎川政府委員 山田さんの真意は私どももよくわからない点もございますが、私どもなりに反省いたしておる点はいろいろあるわけでございまして、その点のおもな点を申し上げますと、第一は先ほど申し上げましたとおり、人口の想定に関する点については十分反省しなければならぬ、こういう点が一つございます。それからもう一つは、すでに法律の改正によって解決はされつつありますけれども、この古都の周辺を相当大規模な緑地帯で包む、遮断緑地的な意味を持ち、かつ緑地を豊富に提供する、こういう構想でございます。この構想自体が決して間違っておるというふうには考えておりませんが、先ほど申しました実際に東京に集まる、人口集中の度合いが非常に強かった、こういうこと、あるいはその緑地帯を守るべき施策が必ずしも十分じゃなかった、こういう点には私どもも多々反省いたしております。一つは、今後の古都圏近郊緑地保全法案等についてその一端を解決したいと思いますし、またもう一つは、この近郊整備地帯、そういう地域を設けまして、既成市街地及びこの周辺地域を一帯として、過去のいろいろ問題等を反省しながら今後はそういうことのないように計画を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。主要な点を申し上げますと、そういう点になるかと思います。
  77. 川村継義

    ○川村委員 またいずれかの機会によく勉強させていただきたいと思います。  そこで、この法律案でありますが、皆さん方の資料によって、この法案を提出されましたいきさつ、それも承りました。なおこの流通団地の機能、そういうものも承ったのであります。あるいはまた流通団地の整備効果、こういうものも承っております。時間がありませんから、いろいろ内容には触れませんけれども、ただ一つ、この点についてお尋ねをいたしますが、小さい小売りをしておるような西店街の諸君に、この団地ができると、われわれの仕事を圧迫するのではないか、われわれの仕事が取り上げられるといいますか、干上がるといいますか、たいへん問題があるのじゃないか、こういう意味で、少し一部の方面に騒がしくものを言っておる者があります。これは通産当局の担当の方に、そういう流通問題についてお聞きをしたいと思いますが、いま私が申し上げましたように、その団地ができると、いわゆる都内なら都内で小さい小売りをしておるたくさんの人たちが不安ではないか、結局仕事が干上がってしまうのではないかというような意見を出しておる向きがあります。私たちは、そういう心配はないだろう、ないはずだ、こう言っておるのですけれども、そういう意見が少しやかましくなってきた。そこでひとつそういう心配は要らないということを明らかにしていただきたい。
  78. 林信太郎

    ○林説明員 ただいまの御質問の点でございますが、私ども商業問題の政策を進める場合に、摩擦のないようにという考慮を特に注意いたしております。特に小売り商の方につきましては、御案内のとおり百貨店法という法律でその事業分野を確保するために大規模の小売り業を抑えるというところまでいまの制度で配慮しておるわけでございます。そういう精神を体得いたしまして、この流通センターの設置につきましても十分配慮いたしたいと思っております。  いま御指摘の小売り商の方の問題は、実は若干誤解されておる向きがございます。本流通団地に入りますのは卸商の方々でございます。その辺の向きを説明いたしまして、私どもに問題を持ってこられました方には御了解を得ております。そういういきさつになっておるのであります。今後とも、いま先生の御指摘の問題につきましては、十分配慮していくつもりでおります。
  79. 川村継義

    ○川村委員 この点は、通産局の担当の皆さん方のほうで十分ひとつ御指導を願いたいと思います。  そこで最後に局長にお聞きしますけれども、これは東京周辺でしたか、五カ所予定しておりますね。何か板橋が一番早く進むのではないかと聞いておりますが、この五カ所の団地をつくってしまわれるについて、一体どれくらいの年限を必要とするのか、あるいは資金等はどれくらい必要とするのか、大体腹案があると思うのですが、それをちょっと聞かせておいていただきたいと思います。
  80. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 実はこの法律案にございますように、東京の流通業務施設をどういうふうに配置し、また流通業務地区をどういうふうな配置にしていくか、何カ所にするかということは、関係者省が協議をして末木方針をきめることになっておりますので、私が申し上げますのは、建設省の関係専務当局の構想だというふうに御了解願いたいと思います。  五カ所考えておりますのは、全体といたしまして、これは流通業務地区面積でございますが、大体五百万平方メートル、五百ヘクタールくらいの地域になるのではないかというふうに考えております。  この施行年度でございますが、われわれといたしましては、この五カ所につきましては、大体七年ないし八年くらいで完成をしていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。用地の造成、分譲までの事業でございます。  それからお金でございますが、用地の取得造成費といたしましては、大体五百億くらいかかるのじゃなかろうか。そのほかに業務施設、建物のほうの費用がかかると思いますが、それが大体四百五十億、合わせて大体一千億くらいかかるのではないかというふうに、これは全くの推算でございます。
  81. 井原岸高

    ○井原委員長代理 山下榮二君。
  82. 山下榮二

    ○山下委員 いま審議の最中の流通業務市街地整備に関する法律案について、二、三お伺いをいたしたいと思うのであります。  提案理由によりますと、いろいろ五項目ほどの要点が集約されて述べられておるのであります。都市計画法の第一条を読んでみますと、御承知のごとく「本法ニ於テ都市計画ト称スルハ交通、衛生、保安、防空、経済等ニ関シ永久ニ公共ノ安寧ヲ維持シ又ハ幅利ヲ増進スル為ノ重要施設ノ計画ニシテ市若ハ主務大臣ノ指定スル町村ノ区域内ニ於テ又ハ共ノ区域外ニ亙リ執行」する、こう書かれておるのであります。この都市計画法の第一条だけを読んだだけでもいまここへ出しておられることに川を達するだけの事業というものが遂行できるのじゃないかという感じを直感的に受けるのであります。私は、東京、大阪という都市のもともとの都市計画に誤算があったというのですか、誤りがあったということになるのでしょうか、あまりにもわれわれの想像以上の急激な膨張率によってどうにもならない実情に立ち至った。したがって、かかる法律をもっていろいろ規制をしなければならぬ、こういうことに追い込められてきて、この法律をつくらなければならぬ、こういうことに考えるべきであろうか、こう思うのであります。そうすると、先ほど川村委員の申し上げておりましたように、また先でこれでは困ったという事態が出てくる危険もあるのではなかろうかということの心配をいたすのであります。政府がかような計画を立てられたということは、一体将来、東京都、大阪市というものがこれほどの膨張率という予想を立てて行なわれたのであるか、その辺のところを付いたいと思います。
  83. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 先ほど首都圏の事務局長からお話がございましたように、四十年度の国勢調査におきましては、大都市の人口が非常に急増いたしております。特に東京、大阪周辺につきましては、非常に急増いたしております。もっとも東京都あるいは大阪市という狭い範囲に限りますと、東京都の区部の中とか、大阪市に限りますと、これは前回の三十年から三十五年までの人口増に比べまして、非常にその伸び率が低下しております。これは都心の地域がいわば夜間の人口がどんどん減っておりまして、いわゆるドーナツ現象というようなことをいわれております。それが郊外に人口が移るというようなことでほんとうの都心部の夜間人口というものは減っておりますけれども、広い意味で実質的な大都市という観点で人口を見てきますと、非常な伸びを示しているわけでございます。そういうような大都市に対する対策といたしましては、先ほど川村先生の御質問にお答えしましたような基本線をもちまして、過密都市対策というものをわれわれのほうでもやっていくつもりでございます。  それから都市計画法との関連でございますが、都市計画法でやらないで、新しく法律をつくってやりますのは、従来の都市計画法におきましてもちろん収川その他の施策の手段がとられるようになっておりますけれども、今回やります流通業務団地造成事業と申しますのは、いわゆる面として地域を収用しょうというような、いわゆる地帯収用と申しますか、そういうようなことによって市街地の造成を行なおうということでございまして、これをやる権能を与えます上におきまして、その要件でございますとかあるいは内容というようなものを詳しく規定する必要があるということで、都市計画の一環ではございますけれども都市計画法の中で規定しないで別個の法律案を出したわけでございます。これは新住宅市街地開発法あるいは古都圏、近畿圏の工業団地造成とか、あるいは公共施設の整備に関連してやります市街地の改造事業というような面的に整備を行なうものにつきましては、従来の立法におきましても別の法律規定しておるわけでございます。   〔井原委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 山下榮二

    ○山下委員 従来の都市計画法というのが、法律に定められたとおりの行政的な指導あるいは都市計画の実施面というものがやはりそのとおりに行なわれていないところに今日の都市の混雑があるのではないかと私は想像するのであります。都市を無秩序に、自然のなすがままに放置してはならぬというところから、計画的に都市を造成していく、こういうことが都市計画本来のねらいでなければならぬと思うのであります。しかるに、都市計画本来のねらいどおりの都市計画が実施されている市町村というのが一体幾つあるのでしょうか。都市計画法にはあるいは工業地域、商業地域住宅地域、いろいろ議論がされてまいっております。しかしながら、これは一つの議論倒れであって、実施面に至りますと全く無秩序の姿が全国各地の姿であると私は考えるのであります。かように考えてまいりますと、法律だけはできるが、実施面に至ってはまことに思いやられる、こういうのが過去の実情ではなかろうか、こう考えているのであります。したがいまして、ここに新しく法律をつくるということになりますが、相当思い切った処置が行なわれるのでなければ、私はいままでと同じ結果におちいることは火を見るよりも明らかである、こう思うのであります。したがいまして今度の、この法律を立案されて今後の実施面、あるいは行政指導ということに対しては、一体いままでの都市計画とは違ったどういう観点で、どういう方法で理想どおりの仕事が遂行されるのだ、この確信のほどを伺ってみたいと思うのであります。
  85. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 従来の都市計画法の逆用について御指摘がございました。確かに現在大都市あるいはその周辺におきまして無秩序な市街化が行なわれているということがございます。これは、都市計画上は住居地域でございますとかあるいは商業地域、工業地域というような地域指定いたしまして、そして用途の規制をしながら建物を建てさせるという制度があるのでございますけれども、実際この運用にあたりますと、用途地域をかけると地価が上がってくるとか、あるいは用途地域のかけ方自体が、市町村長の申し出によらなければならぬということがございまして、なかなか理想どおりかけられないというような運用上の問題がございまして、必ずしもその用途地域どおりにいかないという事態が起こっているわけでございます。そういうような現行都市計画法の用途地域、あるいはそういうスプロール、いわゆる乱雑な市街化が行なわれるというようなことに対する対策というものにつきましては、われわれも非常に苦慮いたしておるわけでございまして、現在宅地審議会の土地利用部会というところでそういうような問題についての御検討はお願いしているわけでございます。そういうようなものの結論が出れば、また将来考えていかなければならぬというふうに考えているわけでございます。今回のこの法律がどういうような運用をするかということでございますが、まず今回の法律で、流通業務地区指定という、いわば端的に申しますと住川専用地区とかあるいは工業専用地区のような、流通専用地区と申しますかそういうような地区を都市計画としてまずきめるわけです。この場合におきましては、都道府県知事の申し出によるということにいたしておりまして、必ずしも広い意味の大都市の中の個々の市町村長の意思によらないで、都道府県の申し出によって流通業務地区指定するというふうにいたしております。  それから、流通業務地区におきます建築物規制、あるいは工作物の規制でございますが、これもこの法律にございますようにかなり専用的に考えておりまして、もちろん住宅は入らないというふうに考えております。それ以外の施設につきましても、流通業務施設に密接な関連のあるものしか建築は認められないというような形で考えているわけです。  それから流通業務団地、あるいは団地造成業務につきましては、これを公共団体なりあるいは住宅公団なりが資金を持って事業として行なうものでございますので、その予算上あるいは資金上の手当てがつけば、そういうものにつきましてはわれわれは努力するつもりでございますが、そういうような事業という形で行なわれますので、これは資金の問題等を除きましては、着手すれば計画どおり進めていくことができると思います。資金につきましては、われわれ大いに努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  86. 山下榮二

    ○山下委員 この法律の概要を読んでみますと、建設省関係だけではなく、農林省、運輸省あるいは企画庁、あらゆる関係があるように見受けられるのであります。それらの関連についてはどういう連絡、どういう調整をされることに相なるのでありましょうか。その辺のことを伺いたいと思います。
  87. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 今度の御審議になっております流通業務団地あるいは地区でございますが、これは、トラックターミナルとか鉄道の貨物駅あるいは卸売市場、あるいは倉庫、問屋というような非常に特殊な施設を持っているということでございますし、またこういう場所につきましては、そういう施設がある程度政策的な誘導によって入ってまいりませんと、団地というものが成り立たないというような意味合いにおきまして、それぞれの施設を担当いたしております行政機関、すなわち通商産業省は卸売り商業の関係でございます。それから運輸省はトラックターミナルとか鉄道あるいは倉庫の関係、それから農林省は卸売市場の関係、それに、こういう流通関係の調整官庁でございます経済企画庁、それと、いわゆる土地の造成あるいは都市計画の仕事をいたします建設省、こういうものが集まりまして、基本方針というのをきめます。実際の運用といたしましては、関係各省がおそらく協議会をつくって、そしてこういう基本方針につきまして検討していく、こういう形になろうかと思います。
  88. 山下榮二

    ○山下委員 いまお話しのとおり、 いわゆるトラックのターミナル、いろいろな個人利益を中心とするような公共施設、あるいは生鮮食料品その他の卸売市場、ほんとうの公益性を持つ市場というのですか、そういうものがあるようですが、公益性あるいは個人利益が中心であるにかかわらず、これは同一に並列に取り扱われる、土地収用法もかけられる、こういうことになるのでしょうか、そこには何らかの区別が行なわれることになるのでしょうか、その辺はどういうことになるのでしょうか。
  89. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 この流通団地は御指摘のように、トラックターミナル、鉄道の貨物駅あるいは中央卸売市場というものを中心にいたしまして、この三つにつきましては公共施設でございまして、収用権もそれぞれ単独で認められているわけであります。それを中心にいたしまして、そのまわりにいわゆる問屋と申しますか、卸商業あるいは倉庫その他が有機的な一体となりまして一つの陸の港湾ともいうべき物資の集散基地をここにつくろう、こういう考えでございます。  そういうようなことでございますので、そういう都市計画から見まして、最もふさわしいところにそういうような流通業務の基地をつくるということ自体に、都市構造上そういう市街地をつくるということ自体に公共性を認めて、そうしてそのまとまったものについての収用権を認めるというような構成をいたしておりますので、その中に営利性の企業が入ってまいります。しかしながら、営利性の企業が入ってまいりますけれども、そういうような営利性の企業のために土地を取得して分譲するという事業ではございますが、そういうような公共性を認めておりますので、収州権が考えられるというふうにわれわれは考えているわけであります。  取り扱いの問題でありますが、トラックターミナルとか鉄道の貨物駅、あるいは中央卸売市場というようなものにつきましては、これは当然そういうものがなければむしろ成り立たないものでございますので、これは特定分譲と申しますか、この仕事は土地を取得して、いま申しました流通業務施設に売るわけでございます。事業といたしまして、そういう場合にトラックターミナルとかあるいは中央卸売市場には優先的に分譲されるのは当然でございます。それ以外のいわゆる一般の倉庫あるいは卸売市場というものにつきましては、これはある程度まとまって一つのビルをつくろうとかあるいは組合によってこれを建てていこうというようなものにつきましては、やはりそういうものが成り立つような分譲のしかたを考えていかなければならぬ。個々に入りますものにつきましては、これは公募によりまして公正な方法で選考する、こういうことになってこようかと思います。
  90. 山下榮二

    ○山下委員 もし東京の場合を想定をいたしますと、現在の都心を離れて、ターミナルやいろいろなものができてまいる。たとえば生鮮食料品の卸売市場ができる、繊維雑貨その他の卸売市場ができる、こういうぐあいに都の外郭にそういうものを並べる、こういうことをいたしまして、都内においては大型のトラックあるいはいろいろな自動車のある程度規制ができて緩和される、そういうかっこうをねらっておられるのだろうと思うのですが、先ほど話を聞いていますと五カ所とか六カ所とか言っておられるのですが、それができた暁には、都内というものが今日の自動車の混雑、交通の困難から一体何%ほど緩和するという目安があるのでしょうか。また、それじゃ、現在都内にある既存の卸売市場等はどういうことにされるのか。たとえば神田にある青物市場、築地にある魚介類の市場、こういうもの等については一体どういう処置をされることに相なるのでありましょうか、その辺のことを伺いたいと思います。
  91. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 これはとり方がいろいろございますけれども、現在一番この種の流通業務施設が集中いたしておりますのは、東京で申し上げますと千代田、中央、台東という三区でございます。その三区におきます交通の発生台数というものがわかっております。これが全体で百五十六万台くらい発生台数がございますが、そのうちこういうような流通業務関係によりまして発生するものが、おおむね四割くらいじゃないかというふうに推定されます。そうしますと、これは全部出ていけば、四割交通発生量が少なくなるということでございます。もちろん発生台数でございますので、その都心内部におきまして、トラックターミナルから卸、それから卸から倉庫、そういうような相互間の交通がございますので、そういうようなものも考えますと、また複雑な計算になりますけれども、おおむねそういうふうに考えております。  ただ、それでは都内にございますこういうような流通関係の施設が全部外側に移るかというと、そういうふうにはまいらないんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、卸売り業におきまして、これは通産省のほうが主かと思いますが、卸売り業の中におきましても、いろいろな形態あるいは性向がございまして、どうしても都心になければ、あるいは副都心になければ商売ができないというふうなものもございますので、そういうようなものと、あるいは現にすでに倉庫がない、荷扱い場がない、あるいはだんだん人口が外側に広がっていきますので、小売りがだんだん外に広がっていく傾向があります、そういうような小売りの動向に合わせて、卸売り自体が出店を出していくというような、現在もそういうような分散の傾向が出ておりますので、そういうような分散するような型のもの、あるいは都心、副都心にある程度残らざるを得ないような型のものがございますので、一がいに全部持っていくというようなことはできないと思いますが、われわれといたしましては、そういうような分散型のものはある程度そういうふうに大きくまとめていく、それでどうしても残らざるを得ないものについては、別途の対策を講じる、こういうことが必要じゃないか。決してこれはこの法律で移転を強制するものではございませんので、そういうような誘導政策によりまして、それぞれの施設ごとに、あるいはその施設の性向ごとに考えていかなければならぬ、そういうような問題を、先ほど申し上げました五章におきまして、基本方針において、東京なら東京、大阪なら大阪においてどういうふうにするかということは、基本方針においてきめてまいろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  92. 山下榮二

    ○山下委員 それじゃ通産省がお見えになっておるようでございますからちょっと伺いますが、いま話がございました、強制するものではない、こうおっしゃって、やはり都内に分散する傾向もある、こういう話もあったのであります。たとえば通産省関係の繊維類、あるいは菓子類の問屋等が方々にあるわけですが、やはりこういうものをつくる限りは、ある程度規制をしなければ、また従来の都市計画と同じ轍を踏まなければならぬという結果に私はおちいるのじゃないかということも想像するのでありますが、通産省は、こういう計画のもとに、それらの卸業者というもののまとまった卸市場というものをお考えになっておるのであるか。これは日常生活必需品であって、そうむずかしく規制するわけにいかないから、従来のまま商売人が好むままに放置しなければやむを得ないものだ、こうお考えになっておるのですか。何らかの規制を、この法律に基づいて一定の処置をとっていきたい、こういうお考えを持っていらっしゃるのでありましょうか、通産省の卸意見を伺いたいと思います。
  93. 林信太郎

    ○林説明員 ただいまの卸質問でございますが、問屋が伝統的な都心の一カ地点に平面的に多数集まりまして集落を形成している、これが現実でございます。そのままふくれ上がっておるわけであります。そのことが問屋の持っております取引機能のほかに、集荷、保管、配送という機能を持っております。そういう問屋機能のうちの物的流通機能面が麻痺状態に入ってきておる。そういうことが問屋の経営自体にも悪影響を及ぼしてまいっておりまして、そういう事情から、先ほど都市局長から御説明ございましたように、いまのところに蝟集するという形でなくて、分散的な傾向が出ておるわけであります。しかしながら、現状でも御案内のとおり、一点集中的な形は極度に高まっております。これを問屋の合理的なあり方といたしまして、多点分散の形に持っていきたいと考えておるわけでございます。その際規制的な方法というのは、とても、相手が問屋という業態でございますので、非常に取引その他に高度の自由を好む業種でございます。規制というものは全然なじまないような状態でございます。したがいまして、たまたまトラックターミナルとか倉庫とかあるいはそういったものがより集まりましたロケーションのいいところに流通団地ができる、そういうことになりますと、そういう受けざらのところに問屋さんができてまいりまして、合理的な取引あるいは集荷、保管、仕分け、配送といった物的流通機能もあわせて行ない得るわけでございます。現在の段階では、そういう合理的な受けざらをなるべくいい条件で国がつくっていく、そういう受けざらをつくることによって、問屋が自主的にそちらのほうに移ってくるというような形を期待しております。ただし、待っておりましたのでは、なかなか問屋のことでございますので動きませんので、各種商品につきましての卸の団体、それから商工会議所等に十分話をいたしまして、そういった民間の諸団体が中心になりまして、いろいろ関係のところと、実際の問屋さんと話をあるいはPRをして、移るべくいろいろ話を進めているという現状でございます。
  94. 山下榮二

    ○山下委員 それじゃ何ですか、お菓子の例をとってみますると、錦糸堀の向こうのほうはほとんどお菓子屋さんの問屋さんがずっとそろっている場所なんです。そういうのは強制的にはやらないが、適当な流通団地ができればそのほうにいくように行政的な指導で行なっていきたい、こういうことに解釈していいわけですか。
  95. 林信太郎

    ○林説明員 いま先生の御指摘になられましたとおりでございます。
  96. 山下榮二

    ○山下委員 次に、運輸省がお見えになっておるようですから、運輸省にも伺いたいと思うのですが、トラックのターミナルをつくるということになりますと、これは何カ所ほどおつくりになる予定をお持ちでございましょうか。あるいは東海道方面から来る、あるいは甲州方面から来る、千葉方面から来る路線というものが幾つもあるわけなんですが、それをどこかまん中に一カ所といってもなかなかこれは容易なことではなかろうと思うのですが、そういう場合には、やはりその方面方面にトラックのターミナルみたいなものをつくろう、こういう計画でおられるのでしょうか、運輸省のお考えを伺いたいと思います。
  97. 黒住忠行

    ○黒住説明員 いま御指摘のとおりでございまして、総合ターミナルといたしましては五カ所を決定いたしております。これは京浜二区、板橋地区、調布地区、葛西地区、足立地区というふうに五カ所でございまして、そこに流通団地とともに総合ターミナルをつくることによりまして、その機能を発揮させたいという考えでおります。
  98. 山下榮二

    ○山下委員 そうすると、いまのところでは五カ所にターミナルをつくって、五カ所が都外から入ってくる荷物のさばき場所になる、こういうふうに考えていいわけですか。
  99. 黒住忠行

    ○黒住説明員 総合的なものはいま御指摘のとおりでございます。ただし補助的なものといたしまして、周辺には各会社がターミナルを持つ場合もございますが、総合的なものはいま御指摘のような五カ所でもってやるわけであります。
  100. 山下榮二

    ○山下委員 たとえば一例をとってみますと、材木というようなものを考える場合に、これは建築上欠くべからざる品物でありますが、そういう場合にはどういうふうにお考えになるのでありましょうか。やはり五カ所というか、分散するかっこうになってしまうのでしょうか。
  101. 黒住忠行

    ○黒住説明員 ターミナルの機能は、第一に現在街道を走っておりますところの路線トラックを一カ所に集中するということでありまして、そこに運んでおりますのは主として雑貨でございます。いま御指摘の材木のような場合におきましては、要すれば団地の中に材木問屋のようなものができる場合もあるかと思いますが、そういうふうな場合におきましては、そこにトラックが集中してくるわけでございまして、そのためにはトラックの駐車施設あるいは荷さばき施設等が併設されてくると思います。
  102. 山下榮二

    ○山下委員 それではもう一つ、農林省がお見えになっておるようでありますから、農林省に伺いたいと思うのですが、生鮮食料品の市場というのは、いま東京の中心は神田の市場であろうと想像するのですが、この場合に野菜その他生鮮食料品の卸売市場を、大体現在の東京都は昨年の国勢調査による一千百万人にものぼったようでございますが、その場合に一体何カ所ほどおつくりになる予定があるのでしょうか。また、その卸売市場の中には冷蔵庫、冷凍用のいろいろな設備を完備しなければならぬのであろうと思うのでありますが、これらは一体どこが主体になるのでしょうか。その事業の主体はどこが主体になって、どういう運営をされるかを伺いたいと思うのであります。
  103. 堀川春彦

    ○堀川説明員 東京都におきます中央卸売市場の整備計画が、昭和三十八年度から四十五年度までの八カ年について立てられておるわけでございますが、現在の時点におきまして、そのうち市場の建設計画として相当具体的になっておりますものが二つございます。一つは、板橋地区における青果の関係の市場の建設でございます。もう一つは、世田谷地区における青果の市場の建設でございます。それ以外に計画構想として考えておりますのは、大井の埠頭の埋め立て地区に、やはり青果の神田市場の分場のような性格を持つものを建設したらどうかという構想がございます。これはまだ確定はいたしておりません。なお、杉並方面におきまして二カ所の分場がございます。これは青果関係でございますが、これを統合して一つの市場にまとめ上げるという構想もございます。さらにまた、足立地区におきまして青果関係の市場を、やはりこれも統合してつくるという計画があるわけでございます。これらの、あとで申し上げました三つほどの計画構想というものは、まだ十分具体化していないわけでございます。先のほうに申し上げました二つの新市場の建設については具体化しており、本年度から用地取得をいたしまして、できるだけ早期に完成をいたしたい、かようなことで計画を組んでおり、この計画を国の計画でも取り入れまして、そのために必要な資金の手当てをいたす、これは起債ワクを確保いたしまして、起債によって財源を充当するという方法と、それからさらに建設費、建築費につきましては、補助対象施設をきめておりますその補助対象施設につき助成をいたす、かようなことにしておりまして、計画的にこれを進めていきたいと考えております。
  104. 山下榮二

    ○山下委員 その建設の事業の主体というのはどこになるのですか。何か公団的なものの建設が行なわれるのですか、どういうことになるのでしょうか。
  105. 堀川春彦

    ○堀川説明員 中央卸売市場の開設の主体が通常建設をいたすわけでございまして、東京都におきましては東京都ということになるわけでございます。  それから、先ほどの御質問に対するお答えを一つ落としましたが、冷蔵の施設等につきましては、これは市場の施設として最小限度必要であるものについては、やはり開設の主体であり、の主体として考えております東京都が、必要最小限度のものは市場用の施設として建設をいたすということになっております。しかしながら、たとえば生鮮・魚介等の場合におきましては、市場内における冷蔵施設だけでは十分でございませんので、市場外におきます冷蔵施設ももちろん利用をしておるようなわけでございます。農林省が助成をいたしましてつくりました消費地の大冷蔵庫も、大阪地区に一つ、東京地区に一つというようなぐあいにございます。これらの施設はもちろん十分活用いたしまして、中央卸売市場に対する入荷量の適正化ということをはかる、かようなことを進めておるわけでございます。
  106. 山下榮二

    ○山下委員 東京都のことは先ほどからいろいろ伺って、大体東京にできる予想は想像がつくのでございますが、大阪に対しては一体何カ所ほど、どういうようなお考えを持っておられましょうか。
  107. 堀川春彦

    ○堀川説明員 大阪市におきます中央卸売市場といたしましては、現在福島の本場が青果、水産を扱っておりますほか、東部の市場が青果、水産を同じく扱っております。そのほかもう一つ南部の市場、きわめて小さな市場でありますが、青果だけを扱っております。そのほか食肉市場が一つ、かようなことになっておりますが、現在の東部市場ができまして、大阪の市場施設としてはかなり整備をされ、他の大都市に比べますと非常に施設の利用状況も改善されましたけれども、しかしなお大阪の本場の狭隘化が著しいということで、さらにまたもう一つ新しい市場を建設するという考えを練っておるわけでございます。この市場の具体的な位置なり規模をどこにするかという問題については、大阪市の現在におきます構想によれば、臨海地区に一つ青果と水産の市場をつくりたいということを考えておるわけでございますけれども、必ずしもまだ十分計画確定をいたしておりません。近ごろのいろいろの流通センター構想なり新しいアイデアも出てまいっておりますから、将来のそういった大規模な市場建設につきましては、これらの関係を十分考慮をいたして建設をすべきものというふうに考えて、目下これらの問題は、私どもの役所に設置されております中央卸売市場審議会というような審議機関がございますが、そこにおいて検討を進めておる段階でございます。
  108. 山下榮二

    ○山下委員 業務団地の規模は、種類によって多少大小があろうかと思うのですが、大体業務団地というものの規模、広さ、大きさというものはどれくらいに予定を立てておられますか、ちょっと伺いたい。
  109. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 この法律地区と団地というふうに分けておりますが、ただいまの地区でございますが、場所によりましてもちろん違うのでございますが、大体六十ヘクタール、六十万平方メートルくらいというものを一つの団地というふうにして形成するのが適当ではないかというふうに考えております。
  110. 山下榮二

    ○山下委員 坪にするとどれくらいですか。
  111. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 十八万坪であります。
  112. 山下榮二

    ○山下委員 おそらくそれは全く郊外のたんぽのまん中につくるというわけでもなかろうと思うのですが、もしその指定された地域内に住居しておる者があるといたしますならば、その転出等に対する補償等は一体どういう処置をとられるのでしょうか。
  113. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 団地の整備につきましては、この法律でやりますような全面買収方式によります場合には、全部買いまして、それについての補償という形で解決するわけでございます。  さらに、この法律の二十四条におきまして、団地造成事業に必要な土地等を提供したため生活の基礎を失うこととなる者につきましては、住宅のあっせんその他必要と認められる生活再建のための措置を講ずるようつとめるものとするという規定がございます。この法案の線に沿いまして、生活再建のための措置を講じていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  114. 山下榮二

    ○山下委員 なかなか最近はそういう公共施設の施設内に住居している人の立ちのき移転等が困難をきわめていることは皆さん御承知のとおりであります。それらの問題についてはよほど慎重な取り取いを願わなければならぬということを私は申し上げておきたいと思うのであります。  次に、もう一つ伺いたいと思いますのは、この流通業務市街地整備に関する法律案の中で、東京、大阪その他政令で定める大都市、こういうことがうたわれておるのですが、東京、大阪以外の大都市、政令で定める都市とは一体どういう都市をさしておられるのでしょうか。
  115. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 「政令で定める大都市(その周辺地域を含む。)」というふうに書いてございます。したがいまして、われわれのほうといたしましては、政令で定める都市、大都市の中の母都市の規模を考えているわけでございますが、母都市につきましては、おおむね人口五十万以上で都心にこういうような流通業務施設があるために非常に混雑を来たしているというような都市を具体的に名前をあげて政令指定したい、こういうふうに考えているわけでございます。
  116. 山下榮二

    ○山下委員 最後に私は大臣に伺いたいと思うのですけれども、こういう試みが東京、大阪に限って考えられるということは、あまりにも都市集中が激増し過ぎているという関係ではあろうとは思うのですけれども、同じようにあるいは福岡、神戸その他の都市においても、都市に人口が集中する傾向にあるのであります。これもまた先になって、どうにもならないようになってものを考えるというのであれば、まるで政治がない世の中みたいな感じがするのですが、これらの問題に対しては一体建設省としてはどうお考えになっておるのですか。さしあたり東京、大阪にこの法律を施行するが、引き続いて大都市で激増しつつある名古屋、神戸、福岡というような大都市に対してもこれに匹敵するような法の規制を設けて推進しなければならぬ、こういうお考えを持っておられるのであるかどうかを伺いたいと思うのであります。
  117. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおりに現在は東京、大阪をさしあたりやりたいと思う、こういうことでございます。しかし東京、大阪みたいな事態を生じてからやるのは下の下でございます。いまお話しのような推移を見ながら、そういう悪い結果を生じない前に計画を進めていきたい。こういう点は先ほど来御説明いたしておりますように、そういう現場の事業を所管しておられる各省と協議をしながら進めていきたい。ただ問題は、御承知のとおりにまだまだそういう事態になっておらないのにこういう団地をつくっても、トラックターミナルをつくったり市場をつくったりするということは行なわれませんから、そこは事態の推移を見てそういう弊害が起こらない状態をつくるという前提のもとに逐次指定して、計画を進めたい、かように考えておるわけでございます。
  118. 山下榮二

    ○山下委員 最後に一言だけお願いを申し上げておきたいと思うのであります。  私が心配をするのは、こういう団地ができて、団地の中にあるいは生鮮食料品、魚介類などの業者等が入る場合に、ややともすると大きな業者のみが入って中小業者というものははみ出す危険があるのじゃなかろうかということもおそれるのであります。したがいまして、これらの団地に入る人たちの選別等については公平を期して行なわれなければならぬ、こう考えるのであります。いわゆる大手筋の商社のみが入り込む、こういう結果がややともすると行なわれるのじゃないかということを私はおそれるのであります。これらを最も厳正に、公正に行なっていただかなければたいへんなことになるのじゃなかろうか、こういうふうに思うのであります。それに対しての規制を何かお考えになっておりましたらひとつお聞かせを願いたい。なければ、私は今後できるだけ公平な措置をとられるように、中小企業、零細企業が締め出しを受けるという制度でない、こういうことに思いをいたしていただきたい、こう実は考えておるのであります。
  119. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほど来事務当風から御説明をいたしておりますように、多くは自動車ターミナルだとか、あるいは倉庫であるとか、中央卸売市場であるとか、こういうことでありますから、これは別に大資本とかなんとかいう問題は起こらないと思います。ただ問題は、卸売り業、これは比較的中小企業の方が多くどこでもやっておる。たとえば東京においては一例をあげると横山町であるとか、大阪の船場、こういうところであります。これはあとで通商産業省のほうから特に御説明を願いますが、そういう弊害のないように、さっきいろいろお話がありましたが、そういう組合あるいは商工会議所等とよく相談をいたしまして、集団的に移ってもらわなければ意味がないわけでありますから、問題は交通のふくそうあるいはそういう問屋街の機能を円滑にする、これがねらいでありますので、私どもいまの御趣旨の点は十分注意いたしたいと思います。なお、通商産業省から特に御説明を願いたいと思います。
  120. 林信太郎

    ○林説明員 流通団地に入ります問屋さんの選別の問題でございますが、これは民間で商工会議所なりその他適当な組合等があっせん役になりまして、それで一つの統一的な建物なり、あるいはそういう運営をやるという形でいま進められておるわけでございます。したがいまして、その中でおのずから問屋さんが移っていった先で十分採算がとれるように、しかもその問屋さんのグループ、グループでそういうことが達成可能なような相談が進んでいくものと考えておるわけでございます。私どもといたしましては、いま山下先生から御指摘のように、大問屋だけが得をして、中小問屋がはみ出るということのないように、特にそういう中心になって本計画を民間で進めております卸の組合あるいは商工会議所に要請をいたしますと同時に、そういう民間の動きが、開発銀行等から融資を受けて、あるいはこの法律に基づきます団地造成事業をやられます住宅公団その他自治体から用地の払い下げを受けてやるわけでございます。そういう土地の払い下げあるいは融資の面で十分そういう中小の卸屋さんもはいれるような条件が満たされるようにお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
  121. 山下榮二

    ○山下委員 これで質問を終わります。
  122. 田村元

    田村委員長 次会は来たる二十七日月曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十一分散会