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1966-06-01 第51回国会 衆議院 建設委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月一日(水曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 井原 岸高君 理事 小金 義照君    理事 服部 安司君 理事 廣瀬 正雄君    理事 岡本 隆一君 理事 川村 継義君    理事 下平 正一君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       小川 平二君    大倉 三郎君       小山 省二君    佐藤 孝行君       丹羽喬四郎君    福永 一臣君       堀川 恭平君    湊  徹郎君       森山 欽司君    山本 幸雄君       金丸 徳重君    神近 市子君       佐野 憲治君    中村 高一君       長谷川正三君    帆足  計君       三木 喜夫君    山中日露史君       山下 榮二君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 鮎川 幸雄君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君         建設政務次官  谷垣 專一君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君         建 設 技 官         (河川局長)  古賀雷四郎君  委員外出席者         運輸事務官         (鉄道監督局民         営鉄道部長)  蜂須賀国雄君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     富樫 凱一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     内田  襄君         参  考  人         (東京首都整         備局長)    山田 正男君         専  門  員 熊本 政晴君     ――――――――――――― 六月一日  委員木部佳昭君、井谷正吉君及び石田宥全君辞  任につき、その補欠として小山省二君、帆足計  君及び長谷川正三君が議長指名委員選任  された。 同日  委員長谷川正三君及び帆足計君辞任につき、そ  の補欠として中村高一君及び神近市子君が議長  の指名委員選任された。 同日  委員小山省二君、神近市子君及び中村高一君辞  任につき、その補欠として木部佳昭君、井谷正  吉君及び石田宥全君議長指名委員選任  された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  土地収用法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四四号)  土地収用法の一部を改正する法律施行法案(内  閣提出第一五一号)  都市計画に関する件(東京外郭環状線建設計  画)      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  土地収用法の一部を改正する法律案及び土地収用法の一部を改正する法律施行法案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  この際、両案審査のため、本日、日本道路公団総裁富樫凱一君日本住宅公団総裁林敬三君の両君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。     ―――――――――――――
  4. 田村元

    田村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  5. 岡本隆一

    岡本委員 それでは、先日の質疑に引き続きましてお尋ねをさしていただきたいと思います。  まず第一番目に、土地収用法は、公共の利益のために事業を行なう者に対して収用権を与えるものでございますが、しかしながら、そういうふうな他人権利を抑制することができるような事業団体というものは、またそれに伴うところの義務を負わなければならないと思います。事業目的以外にその土地原則としては使えないはずです。たとえば道路をつくるのだといって土地を収用すれば、その道路以外の目的にはその土地は使えないはずです。またその事業以外のものに使った場合には、百五条でもって、返してくれという返還を要求する権利が売り渡した者にあるはずなんです。だから、そのような事業目的以外に原則として使えないんだというふうな考え方に対して、建設大臣はどういうふうにお考えになっておられますか。
  6. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 もとより公共目的に収用するわけでございますから、その目的に反することには使ってはならない、これは原則であろうと思います。ただ、公共目的のために収用してその事業をいたします場合に、やはりその事業に付随して、たとえば道路にいたしましても、インターチェンジ付近休養所休憩所といいますかをつくるとかあるいは売店をつくるとか、そういうものは道路を使用する上において関連して必要な施設、この程度のことはやむを得ないであろう、こういうふうな原則が正しいと考えております。
  7. 岡本隆一

    岡本委員 もう一つ、そういう事業認可を受け得るような団体事業を行なう場合には、やはりその付近住民にあまり迷惑を与えないようにしなければならぬと思うのです。   〔委員長退席廣瀬委員長代理着席〕 ところが、実質上はその施設のためにいろいろな公害が発生しております。たとえばじんあい焼却場ということになりますと煙が出ますし、悪臭が出ますし、またその管理が悪いとハエがわきますし、あるいは鉄道でありますと非常な騒音があります。また中央卸売市場というふうなものでありますと、やはりいろいろな騒音から悪臭からさまざまな影響周辺にあるわけなんです。だから、そういうふうな事業をやる者はやはりそういう事業に伴うところのやむを得ざる公害、やむを得ざる公害といえども、付近に及ぼす迷惑をできるだけ僅少にするための努力をするというその努力義務がなければならぬと思うのであります。ところが、この土地収用法にはそういう認定される事業団体の負うべき義務というものの規定が何もないのです。あるというならどこにあると言われるか、ひとつその点……。私はこれがこの法律の非常な欠陥であると思うのです。一方では他人の私権を制約するところの大きな権利を付与されておる。権利を付与されておりながら何ら義務を負わされておらない。だから、この法律のどこにそういう義務を負うなにがあるかということをひとつお尋ねしたいと思います。
  8. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 現行の土地収用法に、いまお話しのように公共事業等に収用した事業をする場合に、先ほどお尋ねがあり、またお答え申し上げましたようなことをやるべきであるという明文の規定はないと思います。収用法は御承知のとおりに公共事業あるいは公益事業のためにその土地を使用、収用する手続の規定を書いておりますので、そういういまお話しのような趣旨規定は、法の体系と申しますか性質上は入っておらないものと解釈いたしております。ただ、収用した土地の上に各種の公共事業あるいは公益事業をする場合に、その事業法に基づいていわゆる公共公益のためにやる仕事でありますから、いまおっしゃったような、ほかに迷惑をかけるとかあるいは公害を及ぼすとかということをできるだけないようにすべきであるという趣旨はそういう法律規定する、これが法の体系上のたてまえとして今日までできておる、こういう解釈をいたしておりますが、しかし法文になくとも、それは当然といいますか、そういう起業者の責務であるということは明らかである、かように考えております。
  9. 岡本隆一

    岡本委員 ところが他の事業法にもそういうことの規定が現状では何もないのです。この前の土地収用法改正のときにも、私はこの点を指摘して修正を行なうべきであるということを主張したのでございますが、法の体系からいえば、いま大臣がおっしゃるように、事業法ごとにこれは規定していくべきであるというふうな御意見もあり、何しろ政府原案が出るとそれの修正を非常にきらわれるものですから、まあまあこれでしんぼうしてくれということでこの前は原案のまま法律は成立したのです。しかしながら、そのとき、当時の計画局長やあるいは与党の理事さんなんかとの話し合いの中で、この次改正するときには、あなたの言うことはもっともだから、ぜひひとつ入れようじゃないか、こういう御意見が出ておったのです。ところが、今度また改正案が出ておるのにそれが入っておらない。ですから私は今度はひとつ修正に応じていただきたい。またその後もたとえば運輸省あたりと話をいたしておりますと、事業法一つ一つ改正で入れていくのはたいへんだ、だからそれよりも土地収用法でもって一括して改正してもらったほうが楽だというふうな話もございます。だから今度はひとつ修正に応じてもらいたいと思うのですが、大臣としてはどういう御見解をお持ちでございますか。
  10. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 従来とってまいりました法律体系といたしましては、いま申し上げた考え方によっておると思います。それも必ずしも法律体系として間違っておる考え方じゃないと思います。ただ実際問題として、いまお話しのように、前にこの収用法改正のときしばしば問題になりました、たとえば高速道路公団法律改正等についても、そういう注意事項が議論になっておるわけであります。行政的にはそういう指導をしてまいっておるわけでありますが、必ずしも各事業法、各単独法に、おっしゃるように理想的に盛り込まれない実情がありますから、たてまえとしては、この体系としては従来のとり方は必ずしも間違いではないと思いますけれども、しかし当然な原則でありますから、この収用法にそういう規定があって不適当である、不都合であるとは考えておらないわけであります。
  11. 岡本隆一

    岡本委員 そこでお尋ねいたしたいのでありますが、そういうような公共施設ができた場合に、付近住民受忍義務というのはどの範囲のものであるか。この土地収用法では、立ち入り検査なんかには応じなければいかぬというふうな受忍義務がございます。しかしながら、そういう施設ができたあと、どの程度受忍義務があるのか。  実例を申しますと、これはこの前の土地収用法改正のときにも申しておりましたのですが、私は京都の近鉄沿線に住んでおります。近鉄のできましたのは昭和の初めでございますか、いまの陛下の御大典のころにできたと思います。ところがその当時は木造の二両ぐらいがせいぜいでございまして、したがって、あんまり振動もなかったわけです。ところが最近、近鉄かわりましてから、五、六両連結急行特急が走るようになった。そうしますと高架構造について民鉄部長お尋ねいたしますが、近鉄高架線をつくらせるときに許可された際には、どういうものをどういう速度で走らせるということでその構造を許可されたのか。
  12. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 奈良電気鉄道ができましたのは大正の初めでありますが、昭和三十八年ごろ近畿日本鉄道吸収合併になったのであります。鉄道につきましては工事施行認可がございますが、これに対しては相当余裕を見て認可しておりまして、現在の近鉄になりましてから車両を増結いたしまして、急行も走っております。なお、これについて振動も激しいということも聞いておりますので、これについては長尺レール等にかえさせまして、できるだけ振動を減らせたいと考えております。  なお、認可につきましては、安全性というものを見ておりますけれども、安全性については確保されておると考えております。実際問題といたしましては、付近に迷惑にならないように指導していきたいと考えております。
  13. 岡本隆一

    岡本委員 大正の初めに許可された、そのときには木造のあまり重くないものが走っておったが、近鉄になってから重量車高速度で走るようになった、ところがいまは、付近住民に迷惑にならないように指導しておると言われますが、そういうふうな数両連結高速車を走らせることを許可されるということについては、あの高架線はどの程度に耐え狩るものかということをあなたのほうで十分検討した上で許可されるべきだと思います。ところがそういうふうなことを検討もせずに――たとえて言えば、高速車を一本走らせてみて、その線路の付近でその振動がどの程度のものであるか、地震計か何かを持ってくれば振動の度合いはわかると思います。だからそういうふうなものを検査してから許可されるならばそれでもよいと思います。現実にはそういうふうなことが行なわれずに許可されておりますから、屋根がわらはどんどんずってくるし、壁ははがれてくるし、ひどい影響が出てまいっております。きょうは例として写真を持ってまいりましたが、これは私の家のふろ場です。大臣、回して見てください。    〔岡本委員瀬戸山国務大臣写真を示す〕  貧乏代議士ですから粗末な家に住んでおりますが、しかし、いかに粗末な家であろうとも、こういうふうな影響が出ておる。この二、三日前の日曜に帰ったら壁が落ちておるのです。木ずり壁が順繰りにふろの中も周辺もだんだんぼこぼこ落ちてきた。一週間ほど前にぽこんと壁が割れて落ちておる。ものすごい振動です。私の家から五、六メートル離れたところに近鉄高架で通っておりますが、毎朝六時半過ぎには起こしてもらえる。ものすごい音と一緒に振動がやってまいりますから、目ざましのかわりをつとめてくれるのです。いままで近鉄になるまでは電車の音は全然気がつかなかったのでありますが、しかしながら最近は、毎朝第一番の急行だか特急だか知りませんが、六時半過ぎに走る電車振動で目をさます。そのくらいの振動がある。これはひとり私の家の問題だけを言うのではない。この近隣の人がみんな私のところに、あの近鉄振動は何とかならないものでしょうかということを言ってくるのです。現実に私の一軒置いて隣の洋服屋さんなどは、家は傾き、壁の端は全部欠けてくる。そうして屋根かわらがずるものですから雨漏りがしてしかたがない。絶えず補修しなければならぬというふうなことで、非常な影響を及ぼしておるのでありますが、土地収用権背景に取得された土地あと管理、その事業運営というものは、そういうふうなことがあってはならないと思うのです。だから、いま民鉄部長お話でございますと、長尺レールにかえさせるようにしておるということでございますが、現実にはまだかわっておらないのです。では長尺レールにかえることによって振動がなくなるという自信を持っておられるなら、そういうふうな重量のものをハイスピードで走らせるのには先に長尺レールにかえさしてから後、そういうふうな車の運行を許可されるべきである。許可してから迷惑を及ぼした。しかる後に、文句が出たら、いやそういうふうな計画にしておるのだ。これでは私は指導が十分であるとは言えないと思うのです。大体運輸省はどうも私鉄とかその他に対して少し指導が甘過ぎると思うのです。私は、もうちょっとしっかりして指導してもらわないと、公共用地に提供した、提供したのはいいが、しかしながらあとでそのような重大な影響を受ける、被害を受ける、そんなことなら土地を出すのではなかった、こういうことになってくると思うのです。だから土地収用権背景用地を取得できる者は、やはりそれだけの迷惑を付近住民に及ぼさないという管理についての義務が当然あるべきだと思うのでございますが、これは今後もっと指導を強化していただきたいと思いますが、御意見はいかがでしょう。
  14. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 ただいまお答えいたしたのでございますが、これにつきましてさらに事情を聴取いたしまして、お話のように指導を強化したいと思っております。
  15. 岡本隆一

    岡本委員 そういうふうな場合に、これは当然付近人々に対して補償義務があると思うのです。これは私のところの壁をどうしろと言うのではありませんが、しかしながらそういうふうな影響を受けている人たち、そういう人たちに対して補償義務はあるものか、ないものか。これは建設大臣からひとつお伺いしたいと思います。
  16. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 一般公害の問題にも関係があると思いますが、これを裁判所の判定を受けないと最終的な、結論的なことは申し上げられないと思います。問題は近代科学技術といいますか、文明が発展すると、それに応じて社会生活が非常に複雑になってくる。そういう問題についてはお互いがまんし合わなければ社会化活はできないと思います。これは私は原則だと思っております。ただその近代科学技術を応用する場合に、やはりできるだけ社会と申しますか、人々に迷惑をかけないという努力をするこれまた社会的な義務がある。その限度というものが非常にむずかしい、こういうことになると思いますが、そういう社会的な義務を怠って、なおかつ他人といいますか、社会に害を及ぼすという場合には、やはり損害賠償義務を生ずる。非常に抽象的でありますが、そういうことであろうと思います。  近鉄の場合は実情を知りませんけれども、いま部長さんもお話しのように、そういう想定をしなかった設備をして、想定しなかった近代的な運行をするという場合には、やはりそれに応ずるだけの設備を改修すべきである、これは当然のことだと私は解釈をいたしております。
  17. 岡本隆一

    岡本委員 それでは、鉄道監督局長見えてますね。お尋ねいたしますが、いま民鉄部長から、そういうふうな被害を及ぼさないように指導するというふうなことでございますけれども、それじゃいつごろまでに近鉄の場合それだけの被害を――いま写真で見せたように、壁が落ち始めて、まくれてありますから、これから順々に落ちていくだろうと思いますが、そんなふうな影響を与えつつある。あるいはまたたとえば私の家の例にいたしましても、かわらがずって、屋根をふきかえたり、それから天井がしみだらけになりますから、天井板を張りかえたり、そういうことをやらなければならぬ。そういうことはその近辺の家はみんな同じことなんですよ。ただそれらの人たちは、やはり文句を言いながら、不平を言いながらしんぼうしておるのです。しかしながらこれは受忍範囲を越えていると思うのです。だからそういうふうなことをいつまでもしんぼうさす筋合いのものでは、われわれ付近沿道住民はないと思うのです。だからその長尺レールにかわるまでの間、そういうふうな急行運行を停止すべきだと思いますが、いかがですか。
  18. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長代理 岡本君、鉄道監督局長かわり民鉄部長が見えておりますから。
  19. 岡本隆一

    岡本委員 出てくるということになっていたよ。
  20. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長代理 ちょっと速記をとめて。    〔速記中止
  21. 廣瀬正雄

    廣瀬委員長代理 速記を始めて。
  22. 岡本隆一

    岡本委員 私が鉄道監督局長出席をきょう求めたのは、やはりこういう鉄道のこのごろのスピードアップ、それから重量化、こういうものに伴うところの沿線被害というものがはなはだしいものがある。そしてまた鉄道沿線に住んでおる私自身、日々そういうふうな影響を受け被害を受けているから、その人たちの気持ちがよくわかる。また私のところに始終そういうことを言ってまいります。だからその声を代表して私は言っているのです。私の個人のことを言っているのではないのです。私個人なら幾らでもある程度しんぼうします。またそんなものを修理するぐらいの能力も持っていますから、黙って修理していますよ。しかしながらこういう被害を受けておる者は全国に幾十万、幾百万とあるわけです。そしてこれから後ますますひどくなっていくのです。だからそういうものをどう処理していくか。スピードアップを許す、あるいはまた重量連結車をうんと長くさすことを許す、それを高架線で走らせる、大きな振動が起こるようなときには、それを許可する前には一度試運転をしてみて、そしてまたその地域ではどれだけの振動を与えるかということも調査してから許可しなければ、許可してからあと文句が出てきて、また泣き寝入りになるところをほうっておくというようなことは、行政の指導上間違いであると思うのです。唯々諾々と、いやもう今度はスピードアップ何ぼさしていただきます。ダイヤはこのように変更さしていただきますというふうな申請がきたときには、もう文句なしに判こをついていく。あと文句が出てきた、それじゃ何とかいたしましょう、これでは管理監督が十分に行なわれているとは言えないです。だから私は、この際そういう問題をきちんとしてもらいたい。長尺レール振動がなくなるものなら、長尺レールになるまではその運行を停止してもらいたい。全国至るところにこういう問題が出てきておるのだから、一度振動が多かろうと思われるところは一斉に調査を始めなさい。そして調査をして、振動がどの程度以上のものについては運行を停止さす、そしてその区間については、設備の改善ができるまではそういうような重量物高速で走らせない、こういうような指導監督をやらなければ、私はあなた方が十分な責任を果たしておられるとは思えないのです。だからそういうようなことができるかどうか。あなたは監督局長かわりに来ておられるなら、その点について明快なお答えをしていただきたいと思うのです。
  23. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 振動につきましては実は非常にむずかしい問題がございまして、いま直ちにどの程度振動ならばいいかということにつきましてはちょっとわかりませんので、われわれのほうでよく調べまして善処したいと思っております。
  24. 岡本隆一

    岡本委員 どの程度振動についていいか悪いか調べた上でということでございますが、それでは壁がそのようにはげ落ちる、おふろに入っておれば湯舟で湯が少したぶたぶする、ごおっとからだがゆすぶれるほどの振動です。そして毎朝必ず定期的に起こされるのです。そういうように安眠も妨害されるというような状況で、これは調査もくそもないでしょう。だから、そういうような調査する必要もないような程度のところについてはどうされるのか。すぐその運行を停止されますか。
  25. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 この近鉄奈良線につきましてはすぐに調べましてどうするかきめたいと思いますが、ただ運行停止するかしないかにつきましては、現在すでにお客を運んでおりますので、具体的にこういうことが起こらないような方向で考えてみたいと思います。
  26. 岡本隆一

    岡本委員 そういう御答弁だと困るから――あなたでは御答弁の限界を越えておるだろうと思う。だから私は局長に来てもらいたい、こういうことを要求したのです。そして民鉄部長を出すがそれでいいかというお話でございましたが、この委員会前にそういうふうな運輸省からの申し入れでございましたから、いやそれは無理だ、大臣に出てもらいたいのだ、しかしながら大臣ということは少し無理かもしれぬから局長に出てもらってくれ、そして責任ある答弁をしてもらうように出てもらいたいということを、私は特にそのときに申し上げておるはずなんです。それがきょう局長が見えておられない。しかもこうして委員会で議論いたしましても、こちらの納得のいくような御答弁が出ない。どうにもしようがないから、いまの場を濁しておこうというような御答弁よりいただけない。しかし来ておられないものをそういうことを責めましても話が進みませんから、私は強くお願いしておきたいと思うのです。こういうふうなあなたのほうの管理の態度というものを絶対に改めてもらいたい。  とにかくこれは土地収用法背景にして応じないと言っても、やはり収用権を発動して応じざるを得なくなるのが公共事業の性格なんです。それだけの力を持って事業を始められる、それだけの権限を与えられたところの事業というものは、あと事業運営の中でやはり付近住民にそれだけの迷惑をかけないような管理をしなければなりません。私の家の場合の例を引き合いに出しますが、家のうしろのほうを斜めにすぱっと切られているのです。だれでもそういうふうな奇妙な形に土地を切られたくありません。だから、裏のほうがすぐ鉄道に接してしまうようにされちゃったのです。そういうようにされてしまった住民というものは、これはやはり公共事業だから住民義務があると思って買収に応じているわけです。ところが非常に管理の状況がよくないために、いろいろな迷惑を受けておる。そういうような迷惑を与えないための努力を起業はやらなければならない。ところが一たん土地を買収してしまったら、買収した土地は私のほうのものでございます。私のほうのものでございますから、どのようにその土地を使っても文句はないでしょう、こういうことでは困る。だから公共の福祉が阻害されないように管理しなければならないという義務があるはずです。だから今回の土地収用法改正ではどうしてもそういうふうな修正をしてもらわなければ、この土地収用法を私は成立さすことはできないと思っております。しかしながら、同時に指導の任に当たっていられるところのあなた方のほうでも、当然そういうふうな指導をやらなければならぬと思うのです。だからそういう点をひとつこの際、今後必ずきちんとやりますということを大臣にかわってあなたから言っていただくことでこの場をおさめておきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
  27. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 今後こういうことが起こらないようにできるだけ指導する考えでございます。
  28. 岡本隆一

    岡本委員 このことは、私はもう一度申し上げておきますが、この前の土地収用法のときに、綾部さんに出ていただきました。それでこういうふうな種類の問題を出しまして、高架下の管理がでたらめしごくである、飲み屋街をつくってみたりあるいはきたない倉庫をつくったりあるいはまた工場にしたり、廃品処理場に貸したりいろいろなことをするために、付近住民に非常な迷惑を及ぼしておる、だからそういうことはやめてもらいたいということを申しましたら、綾部さんがそのとき――きょうは速記録持ってまいっておりますが、施設の貸与について、いま私が実例として言ったようなことをやっておるということはまことに遺憾だ、だから経営者に命じてその建物の撤去をさせたり、衛生上、公衆上の不便だとか良俗に反するようなことは直ちにやめさせる、こういうようにはっきりと綾部さんも言明しておられる。そうしてその後あなたのほうから各鉄道管理者に対して通達を出しておられるのです。同時にこれは参議院でも、私のそういう意見に基づいて土地管理について適正に行なわなければならぬということの附帯決議をつけておるのです。そういう附帯決議がついておるから、あと管理については間違いのないようにというところの通達を出しておられるのですが、それじゃその後その通達がどれだけ生きたかということです。一片の紙切れが出ただけです。何も実行されておらない。綾部さんがここで運輸大臣として国会のこの場で約束されたことが全然実行の場に移されておらない。運輸大臣ですらここで約束されても、一片の紙切れが向こうにいっただけで、国としてははがき、郵便料と手間を損しただけですよ。何の役にも立っておらぬ。そんなことじゃだめですよ。少なくとも大臣がここで言明され、また運輸省鉄道監督局長の名で通達が出たとするならば、その通達はきちっとりっぱに守られなければうそでしょう。守るべきでしょう。ところがそれが全然守られておらぬ。だからどんなことがあっても今度は守るというようにしていただきたい、私はこれだけをひとつお願いいたしておきたいと思います。  それから道路公団の総裁お尋ねをいたしますが、同じような問題は公団道路高架の下にも出てくるわけでございます。ところで、こういうふうな問題がありましたから、この建設委員会でも議論いたしました。その結果、公団道路については、まだ高架下は他の事業以外の目的には利用を許しておられない模様でございますが、しかしながら、新聞によりますと、あなたのほうで財団をつくって、それで高架下の施設を利用させたい、こういうふうなことを報道いたしておりますが、一体公団では、いつごろからどういう機構でどういうふうな目的のものにその施設設備を利用させようというふうな考え方を持っておられるのか、公団の御方針を承りたいと思います。
  29. 富樫凱一

    富樫参考人 お話のように道路公団は相当の高架の延長を持っておりまして、この下の利用が問題でございます。差しつかえないものは利用いたしたいと考えておりますが、利用の方法は、財団法人の施設協会というものをいま持っておりますけれども、その財団法人で一括いたしまして一元的に運営するようにいたしたいと考えております。従来高架下の利用がいろいろ有益でないものもございますので、その管理につきましては十分に厳戒いたしまして、遺憾なきを期したいと考えております。ただいま高架下の一部につきまして、建設省に、その利用方法を添えまして認可を申請いたしております。
  30. 岡本隆一

    岡本委員 その一元的な運営をやっていきたいということは、これから後全国的にたくさんの高架道路ができるわけでありますが、その道路全部を一本にまとめて一元的に管理をさせられるのか、あるいはたとえば東京、大阪、名古屋というふうに全国をある程度の地域別に割って、そこで地域ごとのそういう財団法人をおつくりになるのか、この辺はいかがですか。
  31. 富樫凱一

    富樫参考人 ただいまのところは名神高速道路高架下を問題にいたしております。さらに他の高速道路ができていくわけでございますが、これらにつきましては、将来具体的に検討いたしたいと考えております。
  32. 岡本隆一

    岡本委員 そうすると、今度名神の下につくられるところの財団が施設協会として、他の、たとえていえば東京でも、これから後どんどん横浜とかあるいはなにに入っていく高架道路がございますが、そういうふうな高架下の道路管理、中央道ができましたときあるいは東名ができましたとき、そういうふうな時期にずっと、今度できる協会が管理を引き受けて担当していくのか、あるいは名神は名神だけで一応打ち切りとして、東名ができたら東名、あるいは中央道ができたら中央道というふうに各個別にしたいというふうなお考えか、いまのところそのときの問題として検討したいと言っておられますが、現在すでにそういうふうな利用すべき高架下の部分があるのではないかと思いますが、それは公団には全然ないのですか。
  33. 富樫凱一

    富樫参考人 東名、中央道にはまだ利用すべきものがございません。名神だけでございますが、その名神の下もできるだけ駐車場というようなこと、それから倉庫などに利用いたしたいと思っております。
  34. 岡本隆一

    岡本委員 次に、第三条で三十五号、いろいろな公共事業の極数を並列してございます。ところで、まず第四条には、この法律または他の法律によって収用権を与えられたものというふうなことになっておりまして、またその他のものがあるわけですね。ところで、土地収用権を持つところの公共事業を総合的に分類していきますと、まず第一番には営利を目的としない純粋の公共事業道路であるとか港湾であるとか学校、そういうふうな純粋な公共事業と、それから営利を目的としたところの公共事業、またはもう一つ違った考え方に立たなければならないのは、国民の間にそれが公共事業であるかないかということについて意見の相違があるものがありますね。三種類に分けることができると思うのでありますが、その営利を目的としないものについては強い収用権があっても当然だと思います。しかしながら、営利を目的とするものについては、今度これが便乗するのです。ある営利を目的鉄道を敷く、あるいはいろいろな施設をやる、しかしそれは公共事業だ、その名のもとにやはり認定時の価格で収用できるというふうに、営利を目的とするものも便乗できるわけですね。それには買収価格についてもある程度の差があってもいいのではないか。ことに売り渡す側については、これは純粋の道路になるのです、あるいはこれは水害を防ぐために堤防をつくるのですというふうなことに提供する場合と、それからあとその事業になってじゃんじゃんもうけるのですというふうな事業、しかしながら、それは路線の変更がきかないのだから、そいつを買えなければ困るから収用権を与えられておるというふうな場合等には、おのずから収用する力にある程度の差があってもいいのではないか。これは収用される者の側から考える考え方でありますが、この点について、住民としてはそういう収用法の適用を受ける場合に少し割り切れない感じを受けるのじゃないかと考えるのでありますが、これは建設当局はいかがお考えになりますか。
  35. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま岡本先生からお話がございましたように、私企業でけっこう利潤をあげておるというものを道路等と同じように扱うのはおかしいじゃないかというふうなことは感覚としてよくわかるわけでございますが、事実、地方鉄道法とかあるいは、ガス事業法とかというふうなことで、地方鉄道なりガス事業につきましても収用権が与えられております。しかしおのおのの法律によりまして、その事業公益性にかんがみて、その事業を行なうことにつきましては主務大臣の免許あるいは許可を要する、また料金につきましても監督官庁の認可を必要とする、かってに料金をきめることができないというようなことでございます。また事業途中でかってに廃止できない、継続する義務がある、休止、廃止というふうなことは主務大臣の許可を要するというようないろいろな制約を受けましてその事業公益性を確保いたしておるわけでございます。さような意味におきまして、土地収用法上は他の公共事業と同じように公益事業を取り扱っておるわけでございます。
  36. 岡本隆一

    岡本委員 おっしゃることわからないでもありません。わからないでもありませんが、こういう点で収用される者の側に立つ場合に、認定時の価格で安く用地を取得すればそれだけコストが安くなるわけでありますから、それだけ公共料金が安くなる。ですから、そういうふうな方針で今後もその事業運営されていればいいのです。ところが、一たん土地を取得してしまえば自分の土地のような形で、先ほど私が申しましたような運営のしかたをしておる。そういうことになってまいりますと、これはこういうふうに今度の収用法改正に便乗できるようになっていくということについては、一般のなにからは大企業に対して、ことに、公共事業の名におけるところの大企業、こういうものに対して、割り切れないものを持つということだけは私は指摘しておきたいと思うのです。  さらに、道路の場合にいたしましても、これは純粋な公共的な道路、これと、やはりいま言ったような営利を目的とした道路、いわゆる観光道路というのがある。これにもやはり土地収用権があるわけです。私は、ここで建設大臣お尋ねいたしたいと思うのですが、大体日本道路公団がやっておる道路、これにもいろいろの性格のものがあります。いわゆる公共的にどうしてもなくてはならぬ道路、あるいは観光的な道路、いろいろなものがございますが、これは道路公団はどういう道路を開発するのか。それで、いま道路をつくるのに、ことに高速自動車道の場合三つの道路があると思うのです。    〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕  その第一番は道路法によるところの道路として国が建設する道路、それを高速自動車道路としている。ついこの間、私、名阪道路を通ってまいりました。なかなかいい道路ができております。ところが、それと一方では、道路公団がつくっておる道路、たとえば名神のごとき、あるいは京葉のごとき、それと、さらにもう一つはいわゆる有料の民営道路、自動車道というのがございます。この三つの道路があるわけです。これはどういうところは公団にやらし、どういうところは国でやり、どういうところはそういう有料自動車道として民間事業としてやらせるのかということについての何か基準がありますか。その場その場の都合でやっておられるのか。その辺を承りたいと思う。
  37. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 公共道路のうちで、有料でやるものとやらないものということが第一問題になろうかと思います。私どもといたしましては、一般の有料道路を採択する一つ考え方を持っておりまして、こういうものについては道路公団でいろいろ採算等を検討して、もし有料道路として成り立つならば、道路公団で有料道路でやらせようというふうに考えておるのであります。それはどういうものかといいますと、実は、この採択方針というのは三十七年ごろできましたもので、若干数字等については現時点においては変えなければならぬ点があろうかと思いますが、簡単に申し上げますと、たとえば国道のうちで一次改築を完了いたしました、区間のバイパスとしての機能を有する二次改築、または新設、そういうものは有料道路としてやってもよかろう。それから海峡また湾を横断します国道の新設、改築、それから橋またはトンネルの長大なものの設置を主たる目的といたしますところの国道、都道府県道等の新設、改築、それから現在、海峡、湾を横断しまして渡船施設がございます。そういうものの施設がない場合、渡船施設を新たに設ける新設または改築、そういうような場合、それから次に、国際観光地またはこれに準ずるような著名な観光地に関係のあります国道、都道府県道あるいは主要な市道等の新設、改築、それから大都市付近で非常に交通がふくそういたしまして、その周辺で都道府県道または指定都市の市道を新設、改築しなければならぬもの、これは主として自動車専用道路としてやるわけでございます。そういうようなものを道路公団でやらしたらいかがであろうかということでございます。それから額、有料道路の新設または改築に要する事業費の額は、おおむね三億円といっております。これは当時三億円でございまして、現在いま少し上げるべきかと思いますが、そういう規模の高いものということ。それから、いま申しましたのは有料道路でやる場合でございますが、それで、有料道路としての採算条件でございますが、これは、資金コストを年六分としまして、原則として三十年以内で償還が可能である、渡船の場合には二十年以内で償還可能であるというようなことを一般的な基準といたしまして、たくさんの、大体年間二十本くらいの調査をいたしまして、その中で、このような条件に適合するものは道路公団でやったらいかがか、こういうような一般的な基準をもってやっておるわけでございます。  それからもう一つございました一般道路運送法によります民営の道路事業でございますが、これにつきましては、これは運輸省と建設省との共管事項でございますけれども、これは主として私企業としてやるにふさわしい道路、したがって、それが産業道路になるとかというようなことになりますれば、路線としてこれは適当でないという観点から、建設省といたしましては、一本一本そういう観点で審査いたしまして、その近くに県道があるとかあるいはそれが市道として考えなければならぬ区間というようなものにつきましては、道路運送法の事業としては採択しないという立場で、運輸省と相談しながらやっておるわけでございます。
  38. 岡本隆一

    岡本委員 いま一番大きな方針としては、公団にやらせるのが採算上成り立つというものについては公団にやらせる、それ以外のものについては政府のほうでやっていきたい、こういうお考えのようでございますが、名阪道路を通りまして、私がそのとき走りながら考えたことは、たとえば伊賀上野あるいは奈良、その沿道近くですね、そういうふうなところの住民と、彦根、大津といったところの住民との間の何といいますか、公平といいますか、片一方は、名古屋や大阪へ出るのには必ず名神に乗らなければならぬ。それには高い料金を払わなければならぬ。ところが、伊賀上野の人はただで突っ走れる。しかも快的な、同じような自動車道だ、こういうことになってくると、これは非常に不公平だ。こんな道路ができるのなら、国がこんな道路を無料で開放するのなら、名神も無料で開放してもらわなければならぬと考えるのは当然だと思うのです。しかも、採算の問題に入っていきますと、これからつくるところの中国道路あるいは九州縦断あるいは東北道路、こんな道路の利用率というものは、これは名神や東名よりもはるかに低い、あるいは名阪道路よりもこれはおそらくずっと低いであろうと思うのです。そうすると、そういうところを道路公団にやらせて有料道路にしてやって、開発道路としてのそういう道路を有料道路にして、それから、名阪なんかは相当利用率が高い。また、名阪ができることによって名神の償還がおくれる。利用率が落ちますから、ただのところを走ったほうが、ただのところでしかも距離が近い、こういうものを走ったほうが、名神を走るよりもはるかに賢いですから、名古屋-大阪間の旅客並びに貨物輸送というものは、これは主として名阪を通るということになってまいりますと、名神沿線の者はいつまでも高い償却費を払わされる。こういうふうなことでたいへん不均衡が出てまいります。この不均衡をどう処理されますか。これは私は走りながら、こんないい道路を、こんないい自動車専用道路を国がつくられるのなら、これは名神のほうの利用料金もちょっとまけてもらわぬと困る、こう思うのですが、まあ道路局長から答弁を求めるのには少し政治的な性格があると思いますから、これは建設大臣からお答え願ったらどうでしょう。
  39. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 名阪を公共投資でやりますのは、これはちょっと事情がございます。それは、あれは天理と上野の間は新たに国道に編入されました路線でございまして、そこで、これは現在の旧道をごらんいただけば、一次改築のほうもまだ終わっておらぬ、そういう道路でございまして、そのいま申しました二次改築的なものは有料道路でやる、こういう一つの方針を持っております。名阪の場合はあれはまだ一次改築でございます。そういう一次改築として公共道路でやった、こういうことでございます。  それから将来の名神あるいは他の中国道路との関係は、これは高速自動車国道でございます。私、先ほど申し上げませんでしたが、一般有料道路の採択方針を申し上げたのでありまして、高速道路をどうしていくかということはこれからの問題で、これこそ大臣からお答え願わなければなりません。
  40. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ただいま局長からお話しいたしましたように、バイパス的なものを今日までの有料道路ということでとっておるわけであります。これもまあ無料でああいうりっぱな道路ができることは好ましいことでありますが、岡本さん御承知のとおり、問題は、道路は早くつくらなければならない、しかもそれに財政が伴わない、こういうことからああいう道路の制度をつくったわけでありまして、これは御理解願えると思います。ただ衆議院でも御可決願いました今後つくる全国的な高速自動車道網、これは従来の区間的な有料道路制度ではとうていいけない、またそういう性格のものであってはならない、かような基本的な考えを持っております。これは全国の産業経済、文化といいますか、それに対応する高速自動車道網をつくろうというのが今後の構想でございますから、いままで考えておりますようなペイすればいいというような考え方ではその目的に反する。かといって、相当の財政資金が要るわけでありますから、必ずしも一般財源ではいけない、全然有料制を廃するというわけにもいかないだろうと思います。したがって目下検討中でありますが、まあおおむね言いますと、従来の国鉄のような考え方で、ある程度の料金をもらわなければならない、政策料金というものはあると思います。それには相当のペイを要しない一般財源を投入しなければ成り立ちませんから、これは大きな問題でありますので、いま建設省として一応試案を考え、今後大蔵省あるいは経済企画庁と、この道路の性格に合う程度の有料制ではどのくらいになるか、したがって一般財源をどのくらい投入しなければならないか、この道路をつくって産業経済に寄与をする最低限の賃料はどのくらいか、こういうことを検討して、このいわゆる全国高速道路網の体制を整えたい、こういう考えで進んでおるわけでございます。
  41. 岡本隆一

    岡本委員 これは中央道にいたしましても、中国道路にいたしましても、たとえば名阪のごときものでありますと至るところに小さなインターチェンジがありますね。だからその地域の人たちは非常にその道路を利用しやすいですから、これは同じ土地を提供いたしましてもいわゆる起業効果が出てくるわけです。ところが名神のように村や町を分断されるだけであって、インターチェンジはない、そういうようなところでありますと、その道路ができることによっていろいろな公害は起こるが利用効果はあがらないということで、結局起業効果というものは期待することができない。だからそういう意味においては同じ収用権を持つ道路にいたしましても、片一方は非常に起業効果があるから勢い地価が上がる。片っ方は、買収のときにはしゃにむにやらなければならぬからいい値を出すかもしれませんが――いままでそういう悪例がありますが、道路公団は地価をずいぶんつり上げまして、これはだいぶ迷惑を受けております、その沿線の者は。だけれども、ある一面また、その事業が済みますとかえって地価を下げて地価を押えるというふうな働きがある。だからそういう点、同じ道路をつくる場合にも、その道路の性格によってたいへん違うのであります。だからそういう点、これから後の道路政策のあり方の問題として、できるだけそういうふうな利用効果の面を勘案しつつ公平な行政をやっていただかないと、その沿道の住民にとってはたいへんな受益の相違というものがありますから、その点ひとつ今後施策の面で、料金のきめ方その他の面でひとつお考えを願いたいと私は思うのです。  それからそれに付随してお尋ねしたいと思うのでございますが、先日新聞を見ておりますと、大文字山にドライブウエーをつくるのだ、そうして道路公団にそれをやらせる、こういうふうな新聞記事が出ておりました。そして道路公団はすでに予備調査を済ませておるというようなことでございますが、これは純粋の観光道路です。東山ドライブウエーというのは大臣お上がりになったのではないかと思いますが、東山の将軍塚まで上がっていく観光道路ができました。ところがその観光道路を岸さんのときに、高山さんが陳情して岸さんのお声がかりでできたというような道路の模様でございますが、利用率が非常に悪い。道路公団がつくった道路について利用率を、事業費百万円当たり一日の料金徴収額どれくらいかということで比率を私見てみました。そうしますと参宮道路と鳥飼大橋、これは非常にいいです。七百三十九円が鳥飼大橋、八百三十円が参宮道路。これだけ利用率の高いものはどんどん早く償却していくのですね。ところが、それに比べまして大山道路、これが一番悪いのです。これは鳥取県の観光資源の開発ということである程度意味があるかもしれませんが、とにかく大山道路が百四十一円。だから参宮道路に比べまして五分の一というようなことになっているわけですね。さらに東山道路が二百三十一円でそれに続いておるわけなんです。ものすごく利用率が悪い。あるいはそれはこの大文字山のルートをつくれば東山道路の利用効果が少しあがるかもしれません。しかしながらこういうふうな純粋の観光道路道路公団がやるべきでないと私は思う。また今日道路公団の帯びてきた使命というものは非常に大きなものになってきたと思うのです。国土縦貫自動車道法ができまして、改正されまして、それで道路公団としては開発道路高速自動車道を全国的に大きく建設していかなければならない。そのためには道路公団としては非常に多くの資金が要る。さらにまた非常に多くの技術者が要るのであります。そういうふうな非常に大きな使命を帯びてきた道路公団がこういうような道草を食うべきでないと私は思うのでございますが、道路公団は、このみずからの使命にかんがみてやはりこういうふうな道草もときにはやむを得ぬ、こういうふうにお考えになりますか。いまのところ実はとても困難だとお考えになりますか。その辺私はお伺いしたいと思います。
  42. 富樫凱一

    富樫参考人 ただいまお話しの東山の有料道路は、仰せのように利用率が悪うございます。したがいましてこれをどうしたら利用率がよくなるかということも検討いたしてみました。それにつながるいわゆる大文字山の有料道路、これは昭和三十六年に京都市の御要望がございまして三十七年に予備調査をいたしました。その結果有料道路としては若干問題もございましたので、それ以上進展いたしませんで現在に至っております。最近京都市のほうでまたこの道路をやってもらいたいという御要望が大阪支社のほうにあったと聞いておりますが、まだ本社のほうには正式には承っておりません。いま先生のお話の御趣旨はよくわかるのでございますが、東山道路につながる大文字の有料道路につきましては、あの辺の情勢も昭和三十七年ごろとはだいぶ変わってもおりますので、それらを今後必要に応じて検討いたしたいと考えております。
  43. 岡本隆一

    岡本委員 必要に応じて検討いたしたいということは、やる用意がある、こういうふうな意味にとるべきなのですか。私は、こういうふうな純粋の観光道路は民間の資本でやるべきである。だから開発銀行その他の融資がありますから、またその地域は国有地が多いそうでありますね。だからこれは、政府が払い下げるなり出資するなり、そういうことについては、私は財政上のことをよく知りませんが、とにかく私は、道路公団としてはこういうふうなレジャー道路を――大体日本はレジャーが多過ぎると思うのです。たとえていえば、こういうふうな道路をつくるということは、これはもうパチンコ屋を建てたり、温泉マークはどんどん建つけれども、庶民の住宅は相変わらずのあばら家だ、それが日本の実態です。だから、道路にいたしましても、国十開発に必要な道路、あるいはまたほんとうに国民が日常の経済活動に必要な道路、そういうふうな国民生活に欠くべからざる必要な道路というものが非常に立ちおくれておる今日の現状の中で、山をどんどんくずして風致を害する。しかもそれがレジャーのために利用されておる。しかもそのレジャー道路がどんどん発達いたしますと、そのレジャー道路へ行くための取りつけ道路が非常に狭くなって、そのためにそのレジャー道路への取りつけ口でもって非常な交通の困難を来たしておる。  たとえば、適例を申しますと、今度、比叡山のドライブウエーの次に、それに隣接して、奥比叡ドライブウエーというのができました。それが堅田のほうにおりることになっております。そうしますと、堅田方面は従来から、あの国道は何号線でございましたか、旧二級国道でございますが、あれが非常に交通麻痺で困っておったのが、より一そう交通麻痺がひどくなってきて、いまではどうにもならない程度にまでなってきておるわけですね。  だから、一般道路の開発がおくれておる段階で、レジャー道路をどんどん開発して、そこへ多くの観光バスを誘致する。したがって、その周辺道路は一そう混雑をきわめるというふうな今日の段階において、政府が当然政府資金でやるべき一般道路の開発をなおざりにしておいて、しかもこんなレジャー道路に国の資金を投入する、私はそういうふうな態度はとるべきでないと思うのです。それに対して、いま道路公団の総裁のお答えでは、いや検討さしてもらいたいと思うというふうなことでは、都合によって、採算が成り立つのならやってもいい、採算が成り立たないのならしようがないというふうな意味にもとれないではないのです。しかしながら私は、採算は度外視して――そういうふうなレジャー道路、観光道路については、これは民間資本の開発にまかすべきである。道路公団のような国家目的を持った性格の団体は、これはもっと国土開発のほうに専念してもらうべきである。ことに、いま、道路開発のための人がなくて困っておられるのでしょう。これから後開発しなければならない多くの任務をかかえ、それをどう果たしていくかということについて、あなたのほうは相当人的な面で大きな障壁に当たっておられるというふうに私は見ております。しかし、そういう余技をやる余裕があなたのほうにあるのなら話は別でございます。そういうふうな余裕があるのかないのか、そういうふうな点も加えて、ひとつお答えを願いたいと思います。
  44. 富樫凱一

    富樫参考人 御趣旨のとおりであると思います。ただ、この席であれはやらないのだというふうにきめるだけ調査がいっておりませんので、先ほどのようにお答えを申し上げたわけであります。
  45. 岡本隆一

    岡本委員 時間がなくなってまいりましたから、重要な点だけ少しお尋ねさしていただきたいと思います。  先ほども、公共事業の種類を三種類にして、そうして営利の目的のもの、また営利を目的としないもの、さらにまた国民の間に意見の相違の相当あるところの事業というふうに分類することができる。その典型的なものとして、米駐留軍に供する土地、これについて土地収用法が適用される、施行法の改正の中にはそれが入っております。そこで、この施行法の改正というものは、土地収用法改正に伴うところの関係法律の整備だ、こういうことでございます。そうすると、米駐留軍の土地使用というものは、土地収用法によって行なわれるのか、土地収用法と無関係のものなのか、それをひとつお答え願いたいと思います。
  46. 志村清一

    ○志村政府委員 駐留軍に関する特別措置法は、それ自体として一つ法律でございまして、いろいろな手続をきめておりますが、同法律の中で土地収用法の各条章を準用いたしております。さような意味におきまして土地収用法の本則と関係があるわけでございます。
  47. 岡本隆一

    岡本委員 土地収用法と関係があるということになってまいりますと、これは、公共の利益に基づいて土地収用法は発動していくわけですね。そうすると、駐留軍の施設公共の利益と関係がある、公共の利益に沿うもの、こういうふうな御理解に立っておられますか。
  48. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 米駐留軍の基地が日本にあるということは、これは見解の相違のある方もございますけれども、わが国の国民及び国土の防衛上、やむを得ず米駐留軍の駐留を認めておる、条約上さようになっておるわけであります。したがって、国土を防衛し、国民を守るという、公共といいますか、そういう立場で同じ取り扱いをしておる、かようなことでございます。
  49. 岡本隆一

    岡本委員 そうしますと、土地収用をやる場合に、その補償基準はどうなりますか。
  50. 志村清一

    ○志村政府委員 収用法補償に関する条章も、特別措置法の中で準用いたしておりますので、収用法上の補償基準を適用いたしておるわけでございます。
  51. 岡本隆一

    岡本委員 この建設費計画局総務課の出しておられる補償基準では、駐留軍の用に供する土地等の取得または使用に関しては補償基準は適用しないということが附則に書いてあるのです。
  52. 志村清一

    ○志村政府委員 公共用地の取得に伴う損失補償基準と申しますのは、収用法規定されております補償のいろいろな原則を個々にわたって取りきめたものでございまして、収用法そのものの補償基準とは別途のものでございます。  ところで、この補償基準に関しまして、駐留軍の補償について適用しないというふうに書いてございますのは、実は駐留軍関係の収用関係では、いわゆる土地を取得するという収用の案件はほとんどございません。使用が大部分でございます。さような意味におきまして、多少性格が違うものでございますから、適用いたさないということにいたしておるわけでございます。
  53. 岡本隆一

    岡本委員 いや、使用にも土地取得しなければば使用できぬでしょう。借りるかて、これはやはり補償なしには借りられぬでしょう。だから、やはりそういう場合に補償は必要でございますから、その補償について別個の基準が何らかなければならないと思います。ただ私が言いたいことは、米駐留軍については、これは国民の意見の分かれているところだ、だから他の公共用地のようなわけにはいかない、駐留軍用地についてはだから別途に話しましょうというようなことになっておるのではないか、こういうように私は理解しておるのです。そういう意味からいきますと、この米駐留軍の使うところの土地につきましては、これは公共事業であるかないかということについては、いま大臣はやむなく使わせるのだ、そういう施設だから必要があるときには提供もしてもらわなければならぬということであって、ほんとうの公共の利益のものかどうかということについては、当然国民の間に異論があっていいと思うのです。たとえて言えば水戸の射爆地、かりにあれにかわるものを別につくりたいというようなことになりましたら、これは猛烈な反対が起こってくるのは当然です。付近住民は、何どき誤射によってどんな被害を受けないとも限らない。だからそういう意味においては、これは公共の福祉どころか、公共の福祉に反する施設であるわけです。そうでなくとも厚木の飛行場の近くで墜落事故が起こったり、米駐留軍付近についてはいろいろな事故が起こるものでありますから、国民の間で、その地域の住民の間で、非常な反対の抗議の声が出ておるのです。そういうふうなものについては、公共の利益というものは当てはまらない。だからこの前の土地収用法改正のときに、河野建設大臣のときに、駐留軍施設公共の利益に沿うものかということを尋ねましたら、河野建設大臣はこういう答弁をしておられます。「ただいま御指摘になりましたように、「公共の」という条件がついております。軍施設を「公共の」の範囲に入れるということは適当でない、これはもう社会通念じゃなかろうかと私は思います。」だから前の建設大臣土地収用法改正のときに、軍施設については公共施設でない――林さんがここにおられますから、これはまた御意見があるかもしれませんが、きょうは立場が違いますからお答えになれないと思いますけれども、しかしとにかく軍施設というものは公共施設でないというように河野建設大臣は言明しておられるのです。だからそういう意味においては、土地収用法公共施設に関係のあるものについて法改正をやる、そのための関連法規の整備である、こういうことになってまいりますと――私はきょうはほかにももっと議論したいと思って、たとえば森林法であるとか採石法、鉱山法というふうなものにも土地収用権を与え、それも同じように土地収用法が適用されれば、認定時の価格というものがやはりうまく上に乗っかってくるわけです。非常な漁夫の利を占める、ということばは適当でないかもしれませんけれども、とにかくうまくこれに乗っかって便乗できるのです。だから、こういう一応公共の利益というものに縁が薄い、あるいはまた営利上の性格が非常に強い、あるいは国民の間に異論がある、そういうものを一般の公共事業と並列に貫いて同じ見方で便乗させるというふうなことについては、私はこれは好ましいことではないと思うのです。    〔委員長退席、服部委員長代理着席〕 だからそういう意味においては、少なくともこの米駐留軍施設というものについてはこの施行法から削除すべきである。必要があるなら別個に法律改正したらいいでしょう。別個に扱えばいいじゃないですか。他の公共事業にみんな便乗させて、都市計画法は公共的なものですが、都市計画法と米駐留軍施設と同列に置いてものを考えていく、これはたいへんな間違いです。だから、こういうことについては私は反対です。これはどうしても削除してもらわなければならぬというふうに思いますが、これはどうですか。円満にこの法案を通すのには削除されたほうがいいと思いますが、建設大臣いかがですか。
  54. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 重ねて申し上げますが、河野大臣がどういう趣旨でお答えにたったか、私、詳細知りませんけれども、私どもはやはり国土を防衛し国民の生命、財産を守るという施設、これは最も公共的なものであろうと思います。ただその取り扱いを適当にするということはもちろんでございますが、趣旨といたしましてはそうであろうと思う。したがって、収用法の各種の規定をこれに適用するというか準用するたてまえになっておる。したがって、本則であります土地収用法改正いたしますと各条章が変わってまいりますから、それに応ずることだけは、やはり駐留軍の施設に関する収用法を準用しております部分については、同じようにこの際改正をしておくべきである、こういう法律体系としてやっておるわけでありますから、御了承願いたいと思います。
  55. 岡本隆一

    岡本委員 それはあなたのかってな解釈です。その施設というものが公共のなにに沿うものか沿わぬものか、これは社会党のわれわれは、そんなものあって迷惑、こう言っておるのです。だから、そういう意味ではこれは非常に見解の離れている問題であるから、他のものは少々文句があってもいやいやながらでもついていける。しかしこれはどうしてもいただきかねる。こんなこぶをひっつけて、これ、のめと言われても、ちょっとのみにくい。だからこういうものがくっついている限りこの土地収用法にはどんなことがあっても賛成できないというふうなことになるわけです。しかしこれは議論しても並行線でありますから、この程度で私は終わっておいて、また他の諸君からも意見を出してもらおうと思います。
  56. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 関連しますので、一言だけお聞きしておきたいと思います。  この法律の施行法の問題ですが、防衛庁からかなり強い意見が出され、そうしてこの中に含めたという経緯を私は聞いておるのです。一体どういう意見でどういう経過でこれが挿入されたかということを計画局長からひとつ聞きたい。
  57. 志村清一

    ○志村政府委員 収用法改正案を作成するにあたって、相当いろいろな問題ございましたので時間がかかりました。それに伴いまして本来附則として規定すべき分量も相当ふえたわけでございます。その附則の分を施行法で取りまとめるという段階におきまして、いろいろ議論が私どもの内部にもございましたが、この機会におきまして法律体系として全部直すべきは直していくという方向で決定いたしたわけでございます。
  58. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それは施行法が出されておる様子を見れば、その答弁のことならわかるのです。いまあなたのお話しになった中で、かなり議論があったということなんですが、どういう議論があったか、それを聞いておきたい。
  59. 志村清一

    ○志村政府委員 施行法を作成するにあたりましていろいろなたくさんの都市計画法なりその他の施行法に載っております各法律がございます。これらの法律について全部の手当てをするということについてどういうふうに手当てをしたら間違いなくできるかという議論でございまして、施行法に入れる入れないというふうな問題についてはさしたる議論はなかったわけでございます。
  60. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 公共施設ということについて、公共性に立ってこれを認定しなければならぬということがいま非常に問題になっておるわけです。そこで、いま岡本さんの御質問の中ではっきりしたのですが、河野建設大臣が駐留軍の施設というものは公共施設ではないという言明をいままでしておる。これは国の安全と平和を守るための駐留だという解釈は、これは自民党の中にあると思いますが、しかしながらかつて大臣がそういうようなことを言っておられるのに、これを公共施設であるということで、十ぱ一からげにして突っ込んできたということについては異論が出てくるわけです。そのかつての答弁からわれわれは非常に矛盾を感ずるわけですが、その点大臣なり計画局長はどういうぐあいに思っておられますか。いま岡本さんのお話の中には、これは矛盾だという表現をされておりますが、明らかにそういう印象を持つわけです。かつての答弁と、それから今回防衛庁が強引にこれを突っ込んできたということから考えてみますと、私どもはそういうぐあいに解釈せざるを得ないわけです。そこで大臣計画局長にお伺いをしておきたいと思います。
  61. 志村清一

    ○志村政府委員 前回の土地収用法改正のときに、私、担当でございませんでしたので、経緯は十分承知しておりませんが、私の承知している範囲内では、先ほどお話のございました件につきましては、公共用地の取得に関する特別措置法の改正に伴う御議論であったかと承知いたしております。すなわち公共用地の取得に関する特別措置法は、一般の収用できる事業の中で、特に国家的な、国民経済あるいは国民生活を豊かにしていくというような重要なものを取り上げたわけでございます。それらの取り上げ方についての御質問の際に、駐留軍関係の分もこの特別措置法の適用事業にするかという御質問があったかと存じます。それに対して、特別措置法の適用事業に入れるつもりはないという御趣旨の御答弁であったかと存じております。
  62. 岡本隆一

    岡本委員 いまの問題についてはまだもう少し議論したいと思うが、時間がありませんので、次にもう少しお尋ねしておきたい問題が残っていますから進みたいと思います。  損失の補償の場合、一応七十条でもって、損失補償の方法は金銭をもってするのだ、こういうことが土地収用法に書いてございます。そして、「但し、替地の提供その他補償の方法について、……収用委員会の裁決があった場合は、この限りでない。」こういうふうな規定になっておるのであります。したがって、一応現在では損失補償は金銭でやる、こういうことになっておる。そういうふうな項目があるために、何でも金で片づけようという考え方補償の場合に出てくるわけです。金さえ払えばいいのでしょう、こういうことなんですね。ところが金じゃなかなか――たとえて言えば、商売している人は、従来どおりの生活を続けようとすれば、なるたけ従来どおりの生活が続けられるような形のものを与えてやるということが一番円満な解決の道になると思うのです。だからそういう点についてもう少し従来どおりの生活が続けられるようにという考え方補償基準の中に盛り込むように――その補償基準の中には生活再建の方途を講じるということがうたってございます。しかしながら、それをもう少し強く、生活再建、落ちぶれたらそれを立て直すというような考え方でなしに、従来の生活が続けられるような考え方の上に立って補償をやっていくのだという考え方補償基準を改正していくべきでないか、こういうふうに思いますが、建設大臣いかがですか。
  63. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 補償でありますから、原則として金と申しますか現金で補償するというたてまえをとっておるわけであります。しかし、いまおっしゃるように、補償は、川地を取得するということは、その人の生活を破壊することが目的じゃございませんから、その好みに応じてやるというたてまえをとっております。ただ、かえ地ということになりますと、どうしても具体的の場合にかえ地が取得できない、また地形上ない、こういう場合もありますので、必ずしもそれを原則にするわけにいかない、こういう事情でありますが、今後大規模な、たとえば住宅団地その他広大な地積を収用する事態が起こりますから、いまお話しのように将来の生活を考えるというたてまえで補償の問題を考えるべきである、かように考えております。したがって、従来の補償基準に、もしそういう考え方に必ずしもそぐわない点がありますれば再検討したい、こういうふうに考えております。
  64. 岡本隆一

    岡本委員 私は一つの例として言うのですが、いま私が解決に関係している問題に触れたいと思います。宇治川の右岸でもっていま洪水防止のために大きな築堤工事をやっております。ほとんど本年度の工事は完了いたしました。ところが、山科用のごく一部、約百メートルほどの間がまだそのまま取り残されております。せっかくずっと大きな築堤工事が完成しましても、その支流の一部分ができ上がらないために、かりにこのつゆに梅雨前線でもあって大洪水が起こりましたら、せっかくできました築堤の裏側に全部水が回りまして、せっかくの大工事が台なしになる、こういうようなところがあるのです。これについては地建のほうでも急いでおります。ところが、補償問題が解決しない。それは京阪電鉄がその山利用を鉄橋で渡っております。その京阪電鉄の鉄橋はかさ上げいたしました。鉄橋を全部上げました。これはかさ上げ工事で上げました。従来も年に二回くらいは線路も停留場もどっぷりつかって一日運行停止ということになるのを、今度全部堤防を上げるものですから、鉄橋も上げなければなりません。だから上げました。河川工事で上げました。それだけの補償工事で京阪電鉄は利益を受けておるわけです。ところがその駅の前にたばこの売店があるのです。従来その土地は、一部京阪の土地、一部は民間の土地を借りて、それで店を開いておったわけです。それは家は自分のもので、土地は借り地だと思うのです。ところがその土地を京阪が全部いつの間にか買収してしまったのです。それで京阪の土地になっておる。だから立ちのきを要求しておるのです。ところが店をどこかへ開かしてくれということで立ちのきが進まない。その立ちのくべきたばこ屋さんは、京阪が駅を移転するのだから、その駅の中でひとつ売店をやらしてもらいたい。いまも駅の構内の売店に近いような形で売店をしておるのですから、駅の構内で売店をやらしてもらいたい、それなら無条件で応じると言っておるのです。ところが京阪はそれには応じられないと言うのです。構内の売店は全部会社直営でやって、他の商人は入れないことに方針をきめたから、それには応じられない。それなら私のほうは立ちのかないということで立ちのきがおくれておるのです。私は、そういう公共事業補償の場合、駅前で乗降客相手にたばこ屋さんをして生活をしておったのなら、やはり当然前どおり、その駅へ来るお客さん相手にたばこ屋ができるようにしてやるのが補償のあり方だと思うのです。そして新たにりっぱな駅をつくったのなら、そこは広いのですから、またその中へ売店をつくるつもりなんだから、そんなことをいれてやるくらい何でもないのに、鉄道がそれを受け付けない。自分のほうは補償事業として鉄道のかさ上げから線路のかさ上げから――それは駅がよくなる改良部分については自費で負担しているかもしれません。しかしながら、その大きな補償事業としての利益を受けておるのに、たかが売店一つを許可しない。ちょうどこの補償事業を機会に、この河川事業を機会にうまく、ていよく追っ払っちまおう、まあ、いわば全く火事どろ的な行為なんです。そんなことを公共的な性格の私鉄としてすることは、私は許されないと思うのです。にもかかわらず、私も、そんなことはいかぬ、同じように商売できるようにしてやれと用地の係に何べん言っても、それはもう私のほうは重役会議できまったのですからどうにもなりませんと言って、はねつけで、受け付けない。だから淀川の事務所でも所長は困っているのです、そのために工事がおくれから。それでしようがないから、あれは先生、話がつかなんだら、矢板を持ち込んで、その向こうに上のうでも積んで水を防ぐようにして、何とかして出水を防ぎたいと思います。しかし、そういうことをやれば、手戻り工事やいうことで会計検査院からしかられるかもしれませんが、しかられても先生やむを得ません、こういうようなことを言っています。やはりそこまでのことをしなければならぬということですね。そういうことは鉄道側に公共事業に対する協力の態度が非常に欠けておると思うのです。  これは民鉄部長お尋ねをいたしますが、公共事業としてそういういろいろな、先ほどから申しているような権限を与えられ、しかも今度はりっぱに堂々と河川工事に伴うところの補償も受けておる。その場合には、河川事業として今度は立ちのかさなければならぬ。ちょうど堤防を築く土地に売店があるのですよ。だから、そんな売店を中へ許してやるくらいのことは、当然もっと寛容な態度で臨まなければいかぬ。除外例として別な例ができるということは、電車として困るかもしれません。しかしながら、との河川事業というものがなければ、従来どおりその店はそこで営業しておるのです。河川事業があるから追い出されるのです。また、それを機会に出ていってもらおう。こういうふうなことは、私は、公共的な性格の事業、河川事業という公共事業にもっと協力する、そういう姿勢でいくべきであると思いますが、民鉄部長どう思われますか、私の話を聞いて。
  65. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 ただいまのお話は、いま伺ったばかりでありますが、さっそく調べまして善処いたしたいと思います。
  66. 岡本隆一

    岡本委員 これはぜひ電鉄側にも、そういう公共事業に御協力願うようにしていただきたいと思うのです。  それに付随して、私は民鉄部長にお願いしておきたいと思いますが、とにかくこういう公共事業の、たとえて言えば踏切です。これは私も前から何べんも委員会で申し上げました。道路を広げますと踏切を広げなければならぬ。ところがその踏切を広げる場合に、これは原因者負担だ、私のほうは知りませんと言って、なかなか踏切を広げるということに積極的に協力しようとしません。だから踏切のところだけ狭くなっている。道路が広がっているが、踏切だけ狭いから、そこだけ交通の隘路になり、そのために事故が起こる。そういうふうなことも起こっておりますので、道路が広がったら、進んで鉄道側は踏切を広げる義務がある。こう思うのです。だからそういう点、鉄道指導方針として、道路が広がったら踏切を広げる。大きな施設をつくらなければならない場合は別ですよ。たとえばそこへブリッジをつけなければならぬとか、そういうふうなことであれば別ですが、踏切くらいの、費用のあまりかからないものなら、鉄道側が喜んでそれを受け入れて、交通の便益に協力すべきである、こういうふうに思うのでございますが、そういうふうな指導をこれからやっていきますかどうか、民鉄部長に伺いたいと思います。
  67. 蜂須賀国雄

    蜂須賀説明員 踏切の改善につきましては、道路管理者と連絡してやっておりますので、そのようなものにつきましても管理者と協議いたしまして、御内意に沿うようにいたしたいと思います。
  68. 岡本隆一

    岡本委員 きょうは最後はおとなしいほうがいいですから、お願いをさしていただきます。なぜ踏切を広げてくれないのだろう、なぜ鉄道側はもうちょっと協力してくれないのだろうということを、通行する者はみな感じておるわけであります。だから、こういうふうな地域住民道路利用者の考え方というものを、あなたはひとつかみしめて、今後鉄道側を監督指導していただきたい。特にこれは、私お願いしておきたいと思います。きょうは幾つかお願いいたしましたが、これは来年の通常国会にもう一ぺん、どの程度実行していただけたか、いずれお伺いさしていただこうと思います。ひとつその点、一片の通達でおしまいになってしまったということがないように、今度はどうもいろいろありがとうございました、たいへんお世話になりましたと言って、私が心からお礼が申し上げられるような御指導をひとつお願いいたしたい。このようにお願いしておきたいと思います。  それから、きょうは公団の総裁に来ていただきましたが、土地収用法の問題とちょっとそれていくのでございますけれども、これは緊急の問題でございますので、少し本日の議題からそれるきらいがないでもございませんが、やはり土地収用法と全然無関係でもございませんのでお尋ねさしていただきたいと思います。  住宅公団では、本日からあき家家賃の値上げをされるということを新聞に発表されております。そこで私ども、昨日建設大臣並びに公団総裁に抗議を申し上げにまいりました。しかしこういう問題はもう少し掘り下げて委員会で明らかにしておかなければならぬと思うのでお尋ねをいたしたいと思うのであります。公団は今度の家賃の値上げは不均衡是正のためだと言っておられます。不均衡ができたところの一番大きな原因は地価の高騰であるということは、前回の委員会でもお答えがございました。地価が上がったから家賃上げてもらいます、そうすると今度は、新たにできる家と従来の家とは不均衡になるから、それも上げてもらう、こういうことになりますと、地価の値上がりというものは政府の怠慢です、政府の無責任です。その無責任な政府の責めを今度は居住者のほうへしわ寄せしていくということになるのでございますが、これは値上げされる側の者からいえば、政府の怠慢が結局は物価高になり、地価の高騰になり、そのしわ寄せを受けて、家賃の値上げが行なわれる。これから後、絶えずこの値上がりが何年かに一回繰り返されていくということになるので、はなはだ迷惑に感ずると思うのでございますが、それについて建設大臣はいかなる責任を感じておられますか、承りたいと思います。
  69. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 今度住宅公団のあき家に新たに入る際に、家賃をある程度引き上げよう、このことは前の委員会でもいろいろ御意見等承りました。その際も申し上げておりますように、できるだけ家賃は安いに越したことはございませんが、公団はやはり一定の資金量の中で、制限された家賃をきめておりますが、ずっと前に建てました家の家賃と、最近建った公団の家賃とに非常に差が出てきておる。そういう関係でアンバランスがはなはだしい、こういうことでありますので、公団法の中にも規定しておりますように、調整することができるようになっておりますから、この際公団の家のあいたものについて相当な手直しをしよう、そしてそれに新たに入る方には、ある程度の家賃をよけいいただいて、そして、たいした収入ではないと思いますけれども、その分の八〇%を、今後建てる公団の家の高いものについては――都市内等に建てますと非常に高くなりますから、そういう家賃の引き下げの財源に使おう、こういう考え方で措置をする、こういたしたのであります。最近建つ家が高くなるというのは、地価が高騰するのが大きな原因じゃないか、全くそれは多くございます。それは政府の地価対策が怠慢であったから、それを入る人に負担させるのはおかしいじゃないかというようなお話のようでございますが、地価対策は怠慢といいますか、出おくれといいますか、ありますけれども、そうかといって、これは政府が持っておる土地でございませんから、こちらの思うとおりにいくわけではございません。地価対策は地価対策で今後努力をいたしたいと思いますが、やはりそういう土地を使って、土地を買い上げて、そしてそこに家を建てる以上は、どうしても原価が高くなってくる。これはいまの社会現象でやむを得ない事情でございますので、そのバランスを幾らかとりたい、こういう事情でございます。
  70. 岡本隆一

    岡本委員 今度の値上げは、公団法の施行規則の第十条の適用される初めてのケースである。そこで、この前の委員会でも、こういうふうな第十条を適用される――第一番目には、物価であるとか、経済事情の変動が起こったときには値上げをする。また、貸しておる賃貸住宅の相互の間の家賃の不均衡が起こったとき、または、大きな改良を施したときには値上げしてもらいます、この三つのいずれもが今度の場合には当てあまっておるのでありますが、こういうふうな値上げをされる場合には、どういうふうな状況になったときに値上げをいたしますという基準をはっきりさせておかぬと、前会も、五割以上の不均衡が起こったときであるとか、時期は五年の範囲というか、五年以内にはそういうことはやらぬようにしたいとかいうふうなことはおっしゃっておりますが、それは不明確でありますから、もう少しはっきりした基準をつくったほうがいいのではないか、つくるべきではないかということを申しておきましたが、その後そういう基準ができたというお話はちっとも聞きませんが、一応この前ああいうふうな議論をいたしまして、本日から値上げするということなら、こういう基準によってやりますというふうなお話し合いくらい、われわれのほうにあってもいいんじゃないか。にもかかわらず、何ら――この前の委員会では、こういうふうな引き上げは妥当でない、こういうことはすべきでないということを申し上げておきましたにかかわらず、何の基準も何もつくらずに、そのまま引き上げられる。なに話は聞いておきます。議論はもう必要はないというふうな形の引き上げ方では、これは委員会としてはちょっとピントをいかれたような感じがいたしますのですが、これはいかがですか。何か基準をつくられたのですか。
  71. 林敬三

    ○林参考人 六月一日からあき家住宅の家賃を変更いたします趣旨については、御承知のところでございますが、いま御指摘のように、これは格差があまりひどくなってまいりましたので、あまりひどくなった分について、新しく公団と契約をして入居する人について、新しいところに入る人とそれから古いあき家に入る人との間の差を少しでも少なくして、そして妥当な家賃で、そしてまた新しいところに入る人のあまりにも高いところを少しでも緩和していこう、こういう趣旨のものでございます。  そこで、この前この席上で御質問がありまして、建設大臣が、こういう十条を適用するケースについての基準はどうかという岡本さんのお尋ねに対して、これは建築後五年以上たったもの、そしてしかも新しいものと、それから理論的適正価格としての古いものに入る家賃との間の差が五割以上のもの、こういうようなものについて適用していく方針であるということをお話しになったわけでございます。家賃を十条を適用して上げますときには、当然の措置として、私どものほうでは、建設省の大臣の承認ということが必要である。また、建設省の大臣が御承認をなさるときは、現在で申しますと、臨時物価対策の閣僚の協議会その他事務的な手続を経、また、広く国内の政策的見地からも物価対策からも考えて、妥当やむを得ぬと認める部分だけについて承認があるものでございますので、社会的妥当性というものを欠くようなことはいやしくも行なうということはない、かように考えておるのでございます。  なお、現在のところは、五年以上たったものについて、五割以上の格差があるものについてこれを考えるという方針でございまして、今後ともこの方針でまいるつもりでございます。しかし、今後のいろいろ社会情勢のことで、こういう基準というものについて、もっとこまかくもっと詳しく何か方針を確定しなければならないというようなことが研究の結果起こりますれば、建設省にお願いをしてそういう基準を出していただこうと思っております。現在のところ、何ぶん初めてのケースでもございます。それから、少ないとも申せませんが、全体の何十万と持っておりますものの中から見れば一部分のことでございまして、それで、こういう基準ということでいまのところはまいっておるのでございますが、なお、今後の必要性に応じては、検討をいたしてまいらなければならぬかと存じております。
  72. 岡本隆一

    岡本委員 そうすると、五年以上、五割以上というその基準でいかれますと、いま三年目だ、四年目だという住宅につきましては、来年も再来年もその部分について順繰りに引き上げていかれるおつもりですか。
  73. 林敬三

    ○林参考人 御質問のとおりに行なう予定でございます。
  74. 岡本隆一

    岡本委員 そうすると、一たん値上げいたしました住宅が、今後また地価の値上がりのために、また数年たちますと、中間をとっておりますから、また五割以上の変動が起こってくるというようなことは考えられます。そういう場合、また再値上げということになってくると思いますが、そのとおりですか。
  75. 林敬三

    ○林参考人 一たん上げましたものにつきまして、いままたその先にそういう問題が起こって同じような状態になったら上げるかということは、そこまでは考えておりませんのでございまして、いま上げるというものについてだけ考えております。これは繰り返し繰り返しすると、何年かたつと三回、四回変えるか、そこまでは考えていないのでございます。
  76. 岡本隆一

    岡本委員 それでは、そのルールがないということになりますね。これは無軌道なという考え方に立たざるを得ないですね。上げないなら上げないということをはっきりきめなさい。一ぺん上げたものは数年間は上げませんということをきちんときめないと、もうこれからの地価がどのようにまた――それは政府は、地価対策をやっていますから、これ以上あまり上がらぬでしょうというような希望的な観測の上に立っておられます。しかしながら私は、必ずしもそうは楽観していない。だから、これからどのように上がっていくか知れない。その場合に、何時またもう一ぺん再引き上げが行なわれるかわからぬというふうなことでは、これは問題があると思うのです。またあなたはいま、今度新たに入る人で、現在住んでいる人は上げないのだ、だからいいじゃないか、こういうふうなお考えに立っておられます。しかしながら、公団の居住者というものは、これは比較的職業上の理由あるいはその他の理由でもって、わりあいに転居率が多いのです。勤務先がかわれば次の団地にかわらなければならぬ。そうすると、今度はいやおうなしに高い家賃の中に入らなければならぬ。だから、きょうは上がらぬからいいわと思っても、あすはわが身になって上がってくる。今度転勤のときは高いところにかわらざるを得ない。転勤のときは高いところにかわることを強制されるのです。だから、これはいま上がらないから自分の問題ではない、そういうふうには居住者は考えておらない。居住者は、これはいつかはわが身にくる問題だということを考えておる。だから、そういう意味においては、その現在の居住者と全然無関係ではございません。そうしてそれらの家賃が順繰りに始終上がっていくということになりますと、公団の居住者にとりましては、これはもう大きな脅威の問題として取り上げられるのは当然であろうと思うのです。  そこへ、もう一つ問題点として出てまいりますのは、今度、三十年から三十五年に建てた家については現在五千二百六十円だから、それが最近のは一万円だから、その中間の七千五百円程度にするのだ、こういうことでございます。そうすると、その次にまた数年たって一万五千円になりますと、五千円の家賃が一万五千円になって、その中間になりますから、結局その分は一万幾らになりますか、一万円ちょっと出るというふうな家賃になってまいりますね。そうしますと、同じ団地でも、いま上がったところについては、中間で七千五百円程度でございます。数年先になってまた新たな引き上げをやる、新たにあき家ができたときに、そのあき家については、やはりその時点におけるところの建設費に見合った引き上げをやりますからということになれば、今度は七千五百円のと一万円のと、それもまたしばらくたてば今度は一万二千五百円くらいの三種類に分かれてくる。同じ団地で、段階的にいろいろな家賃ができてくると、腹違いの子供を何人もかかえて家庭がややこしいのと同じようなことが公団住宅で起こってくる。あそこは長いこといるからえらい安い家賃で済んでおるが、うちはえらい高い家賃を出している、奥さん方同士で、そこはやはり感情のそごが起こってくると思う。そういうふうな団地内の融和ということを、あなた方はこのような差別的取り扱いの中でどのようにお考えになりますか。その点を承りたいと思います。
  77. 林敬三

    ○林参考人 初めの、何べんも上げるのじゃないかということでございますが、現在は一たん上げたものはもう上げないという方針で、この原則をお認め願っております。  それから、転勤をした方、やはり新しく転勤をして名古屋から東京へ来られれば、これは新しい一般の志願者と同じような家賃の標準でいただくというようにいたすよりほかないと思っております。ただし、いま転居してくる方は優先入居の特権がありますので、入ることは一般のくじの方よりはずっと有利に入れる。しかしながら、入られるときに、転勤してこられて新しい団地に入ってこられるときには、相当格高な家賃に入る、あき家のときには若干低くなってくる、そこのところが若干調整されてくるということで、その点その方だけのことを考えると、そこだけ高くなるということになりますが、これはやはりもう少し広い見地から考え、公平ということからいってがまんをしていただきたい、かように考えておるわけでございます。  それから、いま入っている人を上げないからもういいじゃないか、そういうような気分で私ども考えてはおりません。ただ、その点御心配になっていろいろと聞かれる方がありますので、いま入っていらっしゃる方は公団ととにかく約束をして入っておる方である、それで、現在こういうのを上げる考えは全然ございませんということを申し上げておるのでございます。したがって、おまえら関係ないからいいじゃないかという、そういう気持ちではないのでございます。  それから、幾つもの極数の家賃ができてきはしないか、これは融和に悪い影響があるのではないかという点でございますが、私どももできるだけ条件、というのは、同じ団地の同じ社会生活をしている方は、同じような待遇をしていくことが望ましいのでありまして、いろいろちぐはぐにいたしますとなかなかむずかしいことになるのでありますが、今回のは、ずっと過般来申し述べておりますような理由で、一つの部分の手直しとしてこういうことをお認め願おうということになったわけでございます。そこで、来年になったらまた違ったのができはしないか、再来年になったらまた違ったのができはしないか、そうなると幾種類にもなる、こういう御心配でございますが、大体団地は建設年度がそろっておりますので、ほとんどそういう御心配はございません。ですから、ことし上がる部分はことし上がってしまって、来年上がるというのはないわけでございます。ただ、時に道路を隔ててこっち側とこっち側とで、すでに家賃が現在でも違っている、建設年度もずれておりましたために違っているものもございますけれども、それを基準としてずっといくわけでございまして、それほど幾つも、腹違いを八人もかかえるというような、そういう状態には団地はならないように仕組んでやっておるわけでございます。しかし、融和ということについては、やはりとくと考えていかなければならないことでございます。それも一つの原因がございまして、理論的価格は倍になるのを、五分の四四%の値上げということで、そうしてしかも内容はすっかり変えるということでもって、隣と隣との間の気分というものは、できるだけそこでちぐはぐにならないようにという苦心をいたしておるのでございます。今後も団地の管理運営につきましては、こういう家賃の状態は状態といたしまして、お気持ち、御指摘の点は十分気をつけて、運用に遺憾ないよう期してまいりたいと存じます。
  78. 岡本隆一

    岡本委員 私のお尋ねしておりますのは、たとえば三鷹台なら三鷹台で、五年以上たってことしそれが適用されておると仮定いたします。そうすると三鷹台については五年先にかりにあき家ができましても、その当時の建設費が一万円のものが現在二万五千円になっておりましても、それはやはり二万円の基準において現在の値上げからそのままでいかれるのか、あるいは、いま三鷹団地というのは五千円といたします、一般の新設が一万円といたします、現在は七千五百円になるんだ、ところが五年先に建設費が二万五千円になったとします、そうすると同じ三鷹台でも、五年先にあき家ができたら、そのできた分についてはやはり一万五千円を基準にしてその中間をとるような値上げになるということになるのではないか、そういうことをされるのかされないのか、それを聞いておるのです。だから三鷹台なら三鷹台を一たん今度きめたら当分そのままでいくのだ、また建設年度の違うものについてはまたその中間をとっていくんだ、こういうふうなお考えでございますか。
  79. 林敬三

    ○林参考人 いま御質問になりました後段のお考えのとおりでございます。したがって、ここで一たんきめまして一たん上げます、それはそれで変えないという方針で、現在今回のお認めを願っております。  それから、先ほど申し落としましたが、一つの団地の中でも家賃はいろいろあるわけであります。大きさがいろいろ違います。それから場所とか口の当たりぐあいとかで差をつけておるのでございます。そういう違いはあるわけでありまして、さらに今度のあき家入居の是正によりまして、そこのところの違いがひどくなる、それが毎年毎年どんどんひどくなるのではないかという点は、大体年度をそろえておりますから、ずっとはずれておるところは団地の中でも建設年度が違うところがありますが、同一年度のところは同じくらいになっておりますから、軒並みに私生子続出ということにならないと存じております。
  80. 岡本隆一

    岡本委員 そういうことになりますと、あなたのほうではいま不均衡是正のためにやるんだと言っておられるが、不均衡是正と言いながら、不均衡をつくっていかれることになるのです。そうでしょう。建設年度の新しいのは高い家賃になっております。高い家賃はこの次の改定のときには次のまた高くなる家賃との中間をとられるのですから、改正家賃というものはまた高くなる。そうすると古い住宅のものは、ちょっと先に値上げになるが、比較的安いところにある、年度の新しいものは、次のまた上がる家賃の中間をとられるからまた高くなる、またそこに不均衡をつくっていく、そういうことになりますが、不均衡是正にならないじゃないですか。そういうことをやられるのならば、むしろ全体のプールをやるという考え方に立って、新しいものも古いものも全部プールして、同じ住水準のものなら同じ家賃をとるというのが不均衡是正であって、これは居住者の抵抗にもってなかなか困難だから、とにかく一応安易な道でちょっとでもかせごう、こんな考え方だからいまのような案が出てくる、私はそう思う。だからそういう中途はんぱなことをやるよりも、これは政府の怠慢によって起こったことなんだから、不均衡があろうとも、これは政府のほうがもし不均衡だというのなら、みんな下げたらいい。もしそれができぬのなら、いまの程度でもやむを得ない。また、あまり高過ぎるというのなら、そこへ何らかの資金の補てんというものを考えるなり、あるいは地価対策をもっと強硬に急ぐなり、あるいはまたいろいろな土地利用促進税あるいは土地の増価税、そういったところの税収の道を考えて、そのことの中から住宅費を安くしていく、こういう方向に進むべきであって、全部土地の値上がりの犠牲を住居者にしょわしていこうというふうな考え方は不当である、こう私は思うのでありますが、いかがですか。
  81. 林敬三

    ○林参考人 新たに入居します人が一年に何万とおるわけでございます。その人の間で、あき家に入る人とそれから新築されたところに入る人の家賃というものの間をもう少し是正しておかなければ、ますます格差が今後ひどくなるということでこの方法を出したわけでございます。あと基本的な問題というものは、これはなかなか借地借家法の存在もございますし、家賃統制令の存在もございますし、それからやはり借家人というものを保護すべきであるというような立場もあり、また居住している者の安定した状態というものも考えていかなければならないということで、そこいらともにらみ合わして、大きく国家の政治として、今後一番妥当なところをおきめいただくべきだと思うのでございます。お預かりをしておる三十万戸、そして年々これが五万三千戸ずつふえていく、こういう状態のところのものとして、新たにふえていくものと、新たに入っていくものとの格差を少しでも是正していきたい、まずやれることをやっていこう、こういうことでございますので、御了承いただきたいと思います。
  82. 岡本隆一

    岡本委員 林さんは、防衛庁でなしくずしに軍備を進めてこられたから、今度はなしくずしに家賃の値上げを考えられる。なかなかやはり、さすがに公団の総裁になられた、これはたいした腕前を発揮されたことになると思います。しかし、非常に巧妙だが、こういう点については、私は割り切れないものを持っておる。私どもとしては賛成するわけにいかない。しかもいま住宅建設五カ年計画をこれから参議院で審議を始めようという段階ですよ。だからその住宅建設五カ年計画の中で、わが国の住宅建設の今後の方向あるいは家賃政策の方向、そんなものを参議院でこれから議論しよう、こういうような段階に、抜き打ち的にぱしゃっと、われわれの申し出があるにかかわらず上げてこられた。なかなか度胸のあるやり方だと思うのです。しかしながらこういうことは、私は、あなたのほうはもう少しこの前に基準を設けなさい、得心のいくような、納得のいくような基準を立てて、いかなる場合にいかなる方法でいかなるものを対象としてやっていくかということを明確にして、その上で――そういうふうなものを示して、それをもってわれわれに議論さして、その上で納得いけば、あるいは納得いかなくても、それである程度修正を加えるとか、話し合いをして、それでこの家賃の値上げをやられるということなら、私たちはこれはやむを得ないと思う。しかしながら、われわれがすでに四月の末に、少し待つように、こういうことは十分議論をした上でやるようにということを申し入れてあるにかかわらず、それを無視して、いま、六月一日からもう値上げでございます。ぴしゃっと新聞にまで発表して、入居を募集している。これは少し行き過ぎなやり方だと思います。  これは参議院で相当またいろいろ議論が出て、林さんもちと参議院でやいとすえられたほうがいいのではないか、なしくずし家賃値上げなんというものについては、これは相当な抵抗があってもやむを得ないのではないかと思います。私は、できるならもう少しとにかく国会の場で、この住宅公団法の施行規則というものは――これは法律ではございません、政令でございますから、あなたのほうである程度任意にどのようにも扱うことのできる性格のものでございますが、しかしながら、政令というものは、これは法律の裏づけをする、いわば法律の肉づけをするものでありまして、われわれは、大体法律の場合にはどういうふうな政令ができる――重要な問題については、どういう政令をつくるのだ、どういう方針でやるのだ、われわれがここで議論したものが政令の中へ盛り込まれるのです。つまり家賃のきめ方というものは減価償却主義でいくという、減価償却プラス管理費というものが公団家賃だ、こういうふうにきめられている。しかし、第十条に、こういう場合には値上げもやむを得ませんということが表明されている。しかしながら、それがやむを得ない場合に該当するかしないかというところまで十分な議論の煮詰めをやらないで値上げをされるということについては、われわれとしてはたいへんに不満を持つということを、この際御了承願っておきたいと思います。  あまりきょうは時間がございませんので、これ以上は皆さんにも御迷惑でございますから、この程度で終わりたいと思います。
  83. 服部安司

    ○服部委員長代理 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時五十六分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十六分開議
  84. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  都市計画に関する件について調査を進めます。  本日は、本件調査のため、参考人として日本道路公団理事内田襄君及び東京首都整局長山田正男君の御両名の御出席を願っております。  参考人の方々には、御多忙中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。さきに御通知申し上げましたとおり、都市計画に関する件につきまして御意見を拝聴し、もって委員会調査の参考に供したいと存じます。どうぞ忌憚のない御意見の御開陳をお願い申し上げます。  なお、参考人からの意見聴取質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。     ―――――――――――――
  85. 田村元

    田村委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。小山省二君。
  86. 小山省二

    小山(省)委員 会期を延長して重要法案の審議を急いでおりますとき、いささか議案に関係のない問題につきまして御質問を申し上げますことはたいへん恐縮でございますが、先般突如発表されましてただいま東京都の都市計画地方審議会において審議をされております東京都市計画外郭環状線の問題につきまして、参考人から少しお考えをお聞きしたいと思うのであります。  この計画は、私ども東京都選出の国会議員の大部分の先輩同僚諸君も、実際のところこの計画がこれほど進行しておったということについては十分承知をされておらなかったようであります。したがって、この問題が都市計画地方審議会に審議を付託されると、関係住民の間から一斉に反対の陳情がありまして、私どももようやくにしてこの路線が決定的のものであるということを承知したわけであります。したがってこの環状線の原案を決定されますまでに、どのような方法で利害関係を持つ住民に説明をされておるか、あるいはそういう住民の了解を今日まで得る努力をされたかどうか、そういうことについてまずお尋ねをいたしたいと思うのであります。  特に、関係住民の反対の趣旨を聞いてみますと、いわゆる公益優先という考え方が非常に強く押し出されている。言うならば、この考え方の乱用とまで極言をしておる。そして今日それらの住民が一回も関係当局からこの路線決定に至るまでの間に説明を開いていない。言うならば、寝耳に水だ、こういうことを訴えておるのであります、関係当局が極秘のうらにいろいろ計画を進められる気持ちというものはわれわれもよくわかるのでありますが、しかし一たび原案がきまりまするならば、これを正式の機関に審議をゆだねます前に、十分利害関係を持つ住民の意思を聞くということは、今日の情勢下においては当然であり、また妥当な考え方であろうというふうに私ども考えておるのであります。まずこの点について、この計画をされ立案に当たった関係者のお考えをひとつ承りたいと思います。
  87. 山田正男

    ○山田参考人 東京都の首部整備局長をやっております山田でございます。  ただいまの御質問につきまして若干お答えを申し上げたいと存じます。  私ども、都市計画として街路計画その他公共施設計画を立案するわけでございますが、現在のこういう計画の立案のしかたは、都市計画法の定めるところに従いまして、建設大臣から都市計画審議会に対しまして原案を諮問いたしまして、都市計画審議会の中でその計画の当否を審議をして答申をする、こういう審議のしかたをいたしております。それにいたしましても、建設大臣から付議を受けます原案調査、立案は、私ども東京都の場合は私が責任者でございますが、原案の立案は私どもがいたすわけでございます。  そこで、こういう街路計画等の原案の立案をする際に、住民の方々にあらかじめ御説明をし、御了解を求めるということは、私はこれはいいことだとは思いまするけれども、現在の日本の状態におきましては、原案を作成する以前にそういう説明を行なうということは、むしろ、原案をきめる立場から申しますと、これはたいへん困難だと思います。と申しますのは、道路計画に直接影響のある方々は賛成しないのが大部分でございまして、そういうやり方で計画を決定する、原案を作成するということはたいへん困難であります。  そこで、私どもは原案を作成する場合には、極力公平を期するために都市計画審議会の中に学識経験者をもって組織する特別の調査委員会を設けまして、第三者としての学識経験者の意見を聞きながら道路計画原案を立案する、こういうのが私どものやり方でございます。  なお、私どもが今回都市計画審議会で審議しております街路綱計画は、数千キロに及ぶたいへんな網でございます。これを直接住民の方々に一々御説明しておるということになりますと、これはもうたいへんな時間と労力を要することになるわけでございます。それにいたしましても、この原案都市計画審議会に諮問され審議が始まりました後におきまして、関係の地元の方々からいろいろ御意見がございます。審議会に提案される以前には、私どもに都市計画協議会という、東京都の特別区並びに市、町の長が組織しておる組織がございます。その都市計画協議会に、事前に、こういう内容の議案が近く都市計画審議会に提案をされる予定である、こういう説明をいたします。そういたしますと各特別区長、市長あるいは町長等はそれぞれ審議会の前までに、その原案に対する見解を十分相談いたしまして審議会の席で正式に見解を述べる、こういうようなやり方になっております。  今回のこの、現在都市計画審議会で提案中の議案につきましては、審議会にかかる前に、提案される前に、ある市議会あるいはある町議会あるいはある区議会等におきましては、その内容を事前に説明を受けたいというような申し入れがございまして、そういうところには職員を派遣いたしまして、それぞれ原案の内容の説明をいたしております。直接住民の方々に説明をするという機会はつくっておりません。それにいたしましても、審議会を開催いたしましたところ、関係住民の方々から多数傍聴あるいは陳情発言方の要請がございましたから、都市計画審議会の運営からいきますときわめて異例でございましたけれども、申し入れのございました団体、十六と記憶いたしておりますが、十六の団体を代表する方々に都市計画審議会の席でそれぞれ陳情の趣旨を発言をさせまして、審議会の委員の方々が直接関係者の方々の希望なり意見なりを聞いたわけでございます。そうしまして、その上でこの議案の審議を慎重にいたそう、こういうことで審議に入った、こういう形で住民の方々の御意見を伺うこととしたわけでございます。  以上でございます。
  88. 小山省二

    小山(省)委員 いまの局長の御答弁を聞きますると、事前に住民にこれを周知徹底させるということは今日まで行なっておらなかった、また今後もやろうとするような意思はない、審議会においては建設大臣の諮問に対して、まあ委員会の中で学識経験者を入れて、そうした第三者の意見を十分取り入れて答申するということをやっておるのだ、こういう御答弁のように承りました。一応私もその考え方を了といたします。  しかし、それは問題によって多少私はその考え方を流動的に見なければいかぬと思います。その利害が住民の相当数に影響を持つ同額と、きわめて限られた部分だけの住民の利害とは、おのずと私は考え方を異にしなければならぬ。いま局長みずからもおっしゃるように、数千キロにわたる路線の決定ということになれば、その影響はきわめて大きいと見なければならぬと思うのです。したがって特に要請のあった公共団体に対しては職員を派遣して説明をしておる。これは確かに気がついた団体はそういう要求をされたかも存じませんが、私どもの知っている範囲ではきわめて少数の団体ではなかろうかと思うのです。大部分の団体というものは当局の発表までこれに対する知識というものは持ち合わせておらなかった。したがって私は、都市計画審議会に諮問されてから初めて住民というものはこの道路の持つ住民への利害関係が非常に大きいことに気がついた、そしてあれだけの大きな反対的な運動に展開したものであろうと思うのであります。そうなりますると、個々の住民に全部説明して納得させるということは確かに困難ではあろうと思う。私はそこまできめのこまかいPRをしろとは言いませんが、少なくとも東京都の選出しておる衆参国会議員は当然今後住民からいろいろと陳情を受けるわけであります。そういう立場の者に対しては特に当局が、こういう大事業をするからには、私は、事前に説明をして、住民代表である国会議員の了解を得ておくという程度のことは、たとえそれを従来やっておってもおらなくても、当然その程度努力をなすべき問題であろうというふうに考えておる。それからこの外郭環状線の構想が大きければ大きいだけ、相当これに対する利害関係者の陳情があることは、おおよそ今日までいろいろの道路網を決定される上においてあったわけであります。あらかじめそれらのことを考えますならば、要請があってもなくても積極的に関係機関、たとえば区議会であるとか、あるいはその他の重要な利害関係を持つ団体等に対しては、進んでこの外郭環状線の必要性といいますか、重要性といいますか、そういう問題を説明するということが、私はこれの立案に当たる当局の責任ではなかろうかというふうに考えておる。したがって、異例ではあるが、都市計画審議会で代表者に発言を許したと局長はおっしゃいますが、われわれのほうに関係住民から訴えておりますことは、きわめて非民主的な取り扱いであったということをるる訴えておるのであります。特に、会議の進行を急いで十分な発言ができなかった。それから、できるだけ陳情を整理しようというお考えであったかどうか存じませんが、当日まで会場を知らせない、何回問い合わせても会場を知らせなかった。都市計画審議会が開かれるにあたって関係住民の中からその会議の進行に非常に強い不平不満が述べられておる。いま局長の言われたような、異例に属する民主的な取り扱いをしたという御答弁とははなはだ食い違った関係住民の陳情がきておるわけです。従来とにかく十分住民に周知徹底ができなかった。したがって、残された道は、この都市計画審議会において十分にひとつ住民意見を取り入れるというこの形において、せめても手落ちであったと思われるそういう事前了解というものを取り返すために、当局がさらに一そう民主的にこの都市計画審議会の運営をはかられるという御意思であるならば、今後ともこの審議会の開会にあたってある程度の、もちろん発言者の整理は必要と思いますが、関係住民の発言というものをお認めになる考えがおありであるのかどうか、この点をひとつ承りたい。
  89. 山田正男

    ○山田参考人 お答えを申し上げます。  最初に原案を作成する場合に、たとえば都内で選出される国会議員の方々に事前に説明する気はないかというような御発言がございましたが、こういう街路計画、これは計画制限を伴いまして、計画をきめますと、法律に基づきましてある程度の建築制限が行なわれる。こういう計画をきめます際には、とかくこの計画がある特定の人の発言によってゆがめられたとか、修正されたとか、変更されたとかいう発言を受ける場合が往々にございますので、私どもは原案を作成する以前には、これは外部のどなたにも御説明はしないし、意見も伺わないつもりであります。完全に都市計画審議会の中の調査特別委員会の中で作業をいたしまして、原案が作成された後におきましては、ただいま御発言のように、事重大なる問題であるから、国会議員の方々に御説明をしろというお話まことにごもっともだと存じますから、今後こういう問題がございました際には、原案作成後において御説明を申し上げる機会を得たいと存じます。しかし、原案をつくりました以上は、私どもは原案としては変更する意思はない、こういうことでございます。ただ、この原案を審議するのは都市計画審議会でございます。審議会が修正を適当と認めるならば、もちろんこれは審議会として修正すべきものであり、原案が適当であると認めるならば、原案どおり審議会が答申すると存じます。万事審議会に一任をいたしたい、こう考えおる次第でございます。そういう状態でございますから、都議会に対しましても、私どもは原案作成後において初めて都市計画審議会の事前に説明をする、こういうことにいたしておる次第でございます。  なお、PRにつとめたことがあるかというお話でございますが、実は市長、町長、特別区長等が首都道路協議会という団体をつくっております。これは財団法人と存じておりますが、会長は中村梅古先先がやっておられます。この協議会におきまして。パンフレットも二、三回作成してございます。東京の二十三区の外郭にこういう強い幹線道路をつくる必要がある、そういう計画をいま立案しておるというPR誌をつくりまして、これは何千部作成したか記憶いたしておりませんが、関係公共団体間にPRをいたしておる次第でございます。なお、新聞紙上等にもそういう内容は何何か載ったと記憶いたしております。  なお、今度は都市計画審議会の運営のしかたでございますが、先ほど私は異例の審議のしかたをしたということを申し上げましたけれども、なお不満があるという御発言でございますが、審議会の運営のしかたにつきましては、審議会の議長がそのつど審議会の委員にはかりましてきめております。たとえば傍聴の申し入れにつきましては、傍聴の可否をはかりまして、審議会におきましては、たしか二回の審議会におきましては傍聴を許可いたしております。なお、さらに公開審議を要請する御意見もございましたが、これは審議会にはかりましたところ、最初の二回は傍聴を許した審議をしましたけれども、それ以後は、いわゆる公開といいますか傍聴を認めて審議をすべきでないという審議会の決定になったわけでございます。万事審議会にはかりまして、議長は民主的な運営をいたしておると私は存じております。  なお、会場をなかなか知らせないというようなお話がございましたが、そういうことは私ども別段考えておりません。ただ過去、本審議会を三回、それから特別委員会を三回いたしましたが、多数の方がお見えになりまして、議事妨害を受けるおそれがある場合が多数あったわけでございます。そこで実は会場を貸してくれなくなりまして、会場をきめるのに手数がかかりまして、なかなか会場が決定できないという場合が過去においてあったわけでございます。故意に会場をきめないとか知らせないとか、そういうことをいたしておるつもりはございません。  なお、今後都市計画審議会の席におきまして傍聴者を許可するかとか、あるいは傍聴者の発言を認めるかという御質問がございましたが、これは万事議長が審議会にはかってきめることでございまして、私ここで答弁を申し上げることは遺憾ながらできない次第でございます。
  90. 小山省二

    小山(省)委員 局長としての答弁の限界というものがあるから、一応その気持ちはわれわれもわからないわけではないわけでありますが、いま局長答弁をされております中で、事前に相談をするということは行なわない、もちろん都議会でもやってない、こういう考え方を明らかにされたわけであります。われわれは原案をきめる以前にわれわれの意見を徴しろという意味ではない。もちろんそれはあくまで技術的な面、そういう長年経験をした人が良心的に原案をつくろうとするのですから、われわれはその範囲までわれわれの意見を開陳しようという意思はありませんが、少なくとも原案が作成されそれが決定をされてしまっては、住民の意思というものが反映する場がないわけです。たとえそのことがどう原案影響しようとも、決定以前に住民がそれに対して十分な発言をするということは、今日の民主政治の中において当然とられなければならない過程ではなかろうか。いまお話しのように、あまりそういう話をすると一部の人の意見によってゆがめられたという感じを持つからということであります。一部の人にそういう誤解はあるかもしれませんが、少なくとも事実において、原案作成者でも、それは神さまでない限りミスもあり、あるいはさらにそれ以上の良策もないとはいえぬと思うのです。私はそういう意味から、やはり関係者の意見を聞き、取り入れべきものは取り入れ、取り入れられないものは取り入れられないとして、単なる意見として十分利害関係者の意見を聞くという気持ち、第三者が多少批判をしたからといって、そういうことを重視する必要はない。むしろそこに問題を円満に解決する一番重要な。ポイントが私はあると思う。ものを言わせないで強引にきめようとするところに実は逆な住民の反発というか反感が起こるわけです。事態を円満にやろうとする努力をするならば、その程度の方法は当然当局が努力すべき一つの方法であろうというふうに私は考えております。  今回の反対の最も大きな理由は、言うならば、長年居住専用地区として指定をされ、そこに生活の本拠を築いている、そういう地区が比較的道路予定地として該当しておる。言うならば、相当多数の住民がこの道路をつくることによって他に移転をしなければならない。その犠牲を引き受けなければならぬこういうところに特に強い反対の根拠があるわけです。もちろんどの場所を通っても、住民の生活上に何にも影響しないというような場所があるはずはない。ただ比重の問題ですから、そういう居住地区、非常に密集した居住地区あるいは環境のいい地区、そういうものが多少でも配慮できるなら、そういう技術的な面だけが重視されて、そういう生活環境というものが全然無視されたというような形において、原案がつくられるということについては、やはり技術者も一歩下がって、技術の面と住民の感情、そういう面とをある程度比較検討して、許される範囲は、やはりその原案作成にあたってそういう点を配慮する必要――私はその点の配慮が今度の原案を作成する上においていささか欠けておるというふうに考えておる。  したがって、何とかこの都市計画委員会において原案の一部変更をしてもらいたいという切なる住民の要望というものが、私は今度の反対運動になっておると思う。したがって、一たんきめたものはもはや絶対変更不可能だ、こういう考えに立たずに、変更するしないは別として、謙虚にその反対の陳情に耳を傾け、誠意を持って善処するという当局の考え方、これが私は問題を解決する一番重要な心がまえだろうというふうに考えております。局長はこのことにつきましてどういうお考えを持っておられるか。局長のお考えをひとつ承りたい。
  91. 山田正男

    ○山田参考人 再度原案を作成する際に利害関係者の意見を聞く意思はないかという意味の御発言と存じますが、原案を作成する過程におきましては、私どもは、利害関係者と目される方々の御意見を伺うということは、現在の日本の社会情勢におきましてはおよそ不可能に近い、こう考えております。したがいまして、今後も原案作成中に関係者の御意見を伺おうとは私は考えておりません。しかし、原案を作成した後において、審議会に提案されました後におきまして住民の御意見がございましたら、これは十分に御意見を聞く用意がございます。そういう意味におきまして、都市計画審議会におきましても審議会の議長が審議会にはかりまして住民の代表の方々の御発言を認め、審議会の委員全員が住民の方々の意見を聞いたのでございます。いずれにいたしましても、そういう住民の方々の御見解も聞き、さらにその原案がいいのか、原案修正すべきであるかということは審議会がきめることでございます。私も審議会の委員の一員をいたしておりますが、審議会として、審議会の各委員がそれぞれ見解を述べて結論を出すべきことであろう、こういうふうに考えております。  なお、私どものきめ方は、道路だけをきめておるのではないのでございまして、私どもは都市計画のあらゆる施設全般をいかに調和をはかっていくか、こういう立場で道路もきめております。道路だけつくればいいというようなことは毛頭考えておりません。そういう意味におきまして、この外郭環状線のような場合にも、道路計画と同時にこの計画をきめるとしますならば、その沿道の将来の土地利用計画あるいは生活環境の維持をどうするかということは、並行して都市計画として議題にのせていく予定でただいま作業をいたしておる次第でございます。  なお、実は原案を変更することがいいかどうか、原案が適当であるかどうか、こういうことを実は特別委員会におきまして議長が関係の市長、町長、特別区長、これらが全部委員になっておりますから、各行政区域単位に発言を求めて意見を聞いたわけであります。東の江戸川、葛飾、足立といった東側、それからなお北区等の区長は全員原案に賛成でございます。西側の部分、この外郭環状線に関係のある部分の市長、たとえば武蔵男市長の見解は、武蔵野市の中にこの道路をつくることは困る、二十三区のほうに移してくれ、こういう意見でございます。それに対しまして杉並区長の御発言になりますと、杉並区の中は困る、武蔵野市のほうに出してくれ、こういう見解でございます。他の公共団体の長もおおむね同様の見解でございまして、自分の行政区域内は困る、他の区域にしてくれ、こういうような発言。ただし、具体的な路線というものは、その発言者の立場として、発言者は持っていない、こういうような見解であった次第でございます。いずれにいたしましても、なお都市計画審議会におきまして各委員が慎重にこの道路計画の可否を審議する予定になっております。
  92. 小山省二

    小山(省)委員 いま局長の御答弁を聞きますと、第三者の意見を徴することは審議会において十分行なう、可能である、しかし実際問題として一番影響を持つ利害関係者の意見を聞く場というものが全然ないわけですね。言うならば、そういう陳情があれば聞くことはやぶさかでない、こう局長は言われておりますが、それは通り一ぺんの単なる利害関係者の意見を聞くというだけで、それが必ずしも会議に反映するような形の上で聴取されるわけでない。したがって私は、そういう直接利害関係者の意見を代弁する場というものがなくてはならぬと思うのです。そうでなければ、住民権利というものは全然無視されてしまう。公式の場において、何らその人たち意見というものが述べられる機会がない。これは私は、憲法で許された、十三条、あるいは二十二条、二十九条のこういう精神に反すると思う。たしかに公益優先の趣旨というものはわれわれも認めるにやぶさかではないけれども、そういう人たちが出ると自分の利害にこだわるからと言いますが、利害にこだわらない意見だけが公正であって、利害を代表する意見は全部破棄すべきものだという考えには私はならぬと思うのです。やはり自分の正当な権利を保護しよう、擁護しようという趣旨において発言するという、そういうものが公式の場で認められる機会がないということは、はなはだ一方的なことになりやすいと思う。したがって、今日の制度の上にないとすれば、私は、将来ひとつ都市計画審議会の構成の中に、当然利害関係者の意見を代表するそういうものを組み入れる必要があると思うのでありますが、この点についていかがお考えになりますか。
  93. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 現在の都市計画法のたてまえにおきましては、都市計画の決定は建設大臣がする。それに対しまして、その地方ごとに置かれます都市計画審議会が、意見、その他諮問に応じて意見を述べることができるということになっておりまして、都市計画審議会の中で、それぞれ都道府県の議会の議員、及び関係があります場合には関係市町村の長並びに議会の代表者が入る、こういうような形になっておりまして、そういう形で都市計画の設定がなされているわけでございます。したがいまして、地元代表者というものが直接審議会に入るというようなことではございませんけれども、地元の市町村長あるいは市町村の議会の方が入っているということで、地元の意見が十分に反映される仕組みになっておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  94. 小山省二

    小山(省)委員 私は、都市計画審議会のメンバーに利害関係者を加えろと言うのではない。少なくとも制度の上で、そういう利害関係者の意見を徴する機会というものを必ずつくっておかなくちゃならぬ。たとえば、そういう人たち意見を徴さなければならないということになれば、今日国会においても参考人として、各種利害関係者の意見を徴することを――別に国会法の中には、それが決定的の要件になっておりませんが、できるだけ重要な問題については利害関係者の意見を聞いておる。したがって、都市計画審議会の機構の中に、その審議会の委員に利害関係者を入れろと言うのではない。そういう機構の中に利害関係者の意見を当然徴する必要があるのです。いかなる第三者の意見といえども、それは絶対のものじゃないのですから、十分その内容、利害関係というものを承知していただくといっても、必ずしもそれは十分でない点があります。したがって当然一番の問題は、その利害関係者なんですから、そういう関係者の意見を徴する何らかの場をつくるということを、審議会の中に規定として設ける必要がありはしないか、こういうことです。
  95. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 現在の都市計画法の政令におきまして、審議会の運営に関することがきまっておりますけれども、その規定の上におきましては、もちろん利害関係人が意見を審議会において述べることを禁止するようなことにはなっておりません。したがいまして、運用の問題といたしまして、利害関係人がいろいろ意見を述べるということは適当なことであろうと思います。審議会の規則自体におきまして、利害関係人が意見を述べ得るというような規定を入れるということは適当なことではない、かように考えておる次第でございます。
  96. 小山省二

    小山(省)委員 どういう理由で適当でないというあなたはお考えを持たれるか、われわれ理解に苦しむ。何もその意見に左右される必要はない。あくまで意見意見として聞くべきものは聞く。しかし、その聞いた意見が用いられなければならないような規定であれば制約を受けるけれども、しかし自分がその意見は単なる意見である、こういうふうに考えれば、あえて問題を変更するという拘束力はないのでありますから、やはりそういう意見をできるだけ民主的に取り入れる、聞いてやるということが、こういうふうな他人権利を剥奪するような場合においては、最も私は必要な事項だろうと思う。今後審議会の制度を変更しようとする場合に、この点十分ひとつ検討してもらいたいと思う。  それから、原案を決定します以前に、首都圏整備委員会の原案となっているかどうか知らぬけれども、首都圏整備委員会において考えられた案というものが出されておるわけです。それが今日の原案と多少変更されておる。その変更になった理由というものは、どういうところで変更になったのか。その点、首都圏整備委員会事務局長にひとつ……。
  97. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 ただいま首都圏整備委員会のきめた路線と原案が変わっておるのじゃないかというお尋ねでございますが、首都圏整備委員会の道路に関する整備の概要を簡単に申し上げますと、首都圏整備委員会におきましては、首都圏におきまする重要な連絡幹線道路網の整備計画をつくって、その実施の推進の役割りを果たしておるわけであります。したがいまして首都圏におきまする整備計画は、計画を中心として、その路線が必要であるかどうかという点を重点に置いた計画であります。したがいまして必要性をあらわす、概略の傾向をあらわす図面は持っておりますけれども、起点から終点に至る、経過地を通る詳細なものをきめておるわけではないのでございます。これらの具体的な詳細な各路線につきましては、それぞれの関係機関におきまして、それぞれの手続によってきめられるわけでございます。したがいまして最初の御質問は、変更されたということではなくて、私どもの計画が非常に必要性をあらわした図面にすぎない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  98. 小山省二

    小山(省)委員 必要性をあらわしておる、そういう図面であるとおっしゃいますが、これは山田君のほうの東京都の考えと国の考えとはもちろん多少違うからでありますが、山田君のほうの考えでいきますと、原案をつくるまでは絶対公表しないんだ、立案に当たる人以外に相談もしなければ、外部に公表もしない。原案ができたならば、その原案について将来利害関係のある国会議員等には御説明を申し上げましてもよろしいような考え方を述べられておる。首都圏整備委員会のほうでは、それが重要性をあらわした図面だと言うけれども、これは一般に公表しているのです。それが重要性であるとすると、そこまで取り入れられるものだというふうに利害関係者が信ずることは、私は当然だろうと思うのです。これは単なる重要性をあらわした図面だというだけでは――そういう解説がついていない限り住民はその路線が決定されるものだというふうに即断をするということは、私は当然の結論だろうと思うのです。内容はどうあったか知りませんが、とにかくそれを信じていた一部の住民から見ると、変更されたということは、第三者の意見が全然介入されないという山田局長の考えとは違って第三者の意見によってこのような変更が行なわれたのじゃないか。そういう逆な疑惑を一部の住民は持っておるわけです。これらのいきさつは、単なる重要性をあらわしたというだけではなくて、その重要性が変更された理由というものをもう少し私は明らかにしてもらいたい。住民の疑惑を解く上からいっても必要な問題だろうと思う。
  99. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 首都圏の計画は、先ほど申し上げましたように、外郭環状線だけではございませんで、首都圏における幹線的な放射路線及び環状路線についてそれぞれ重要幹線道路整備計面というものを設けておるわけでございます。これにつきまして、外郭環状線以外の全般の――たとえば東名道にいたしましても、中央道にいたしましても、全般的な幹線道路計画考え方は、そういう重要性といいますか、大体起点、終点程度を告示にあらわしておるだけでございまして、図面はその参考資料にしかすぎないわけであります。先ほど申し上げましたように、それが決定的な内容を持つものではなくて、図面そのものは参考にあらわしたものであるということであります。したがって、それが故意にいろいろ変更されたというわけではなくて、それぞれの各種関係のところにおかれまして、特に外郭環状線などは重要な道路でございますから、いろいろな面を調査されて、いろいろな点の比較考量の後に現在都市計画審議会にかけられているような原案ができたもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
  100. 小山省二

    小山(省)委員 首都圏整備委員会としては参考案であっても、受け取る住民のほうから見ると、特にそういう解説が――これは単なる参考案だというふうに示されていない限りは私は往々にして誤解を生むと思うのです。それがそういう区域をきめる重要な機関でなければそれは単なる参考案だというふうに考えるかもわかりません。しかし、首都圏整備委員会が出された図面であるとすると、少なくとも一般の住民なり国民なりは、これをいわゆる単なる参考案というふうに考える人はない。やはりそれが当局の決定案だというふうに解釈するのが私は当然すなおな解釈だろうと思う。したがって、そういうことが変更されておるということになれば、やはり一部の意見というものが加わって変更をされたという感じを利害関係住民が持つことは私は当然だろうと思う。したがって、将来そういう参考案というものを乱発されるということは、住民にとってはたいへん迷惑なことだろうと思う。どれがほんとうの案かわからない。もう少し権威のあるものを示してもらいたい。それはあなたのおっしゃるように確かに参考案であるかもしれない。しかしそういう図面の中には、これは参考であるということは何も書いていないのだから、住民はそれは決定案だというふうに解釈しがちです。だから、この点は十分関係機関と連絡をとって、少なくとも首都圏整備委員会が出されるそういう図面というものはもう少し権威のあるもの、そういうふうにひとつお願いしたいと思います。  それから、今度の問題で先ほどちょっと触れたのですが、住宅専用地域とかあるいは緑地地区を非常に通るわけです。したがって、これによって移転をする人は多少そういう環境から免れることはできるかもわかりません。該当しない、その道路のすぐわきに残された多数の居住者というものは、これによって相当長くいろいろな問題で悩まなければならぬ。たとえば公害の問題を一つ取り上げても、騒音であるとか、じんあいであるとか、長く生活環境をこわされる問題でいろいろ苦しまなければならぬ。こういう人々に対して当局はどういうふうな対策を立てようとするお考えであるのか、あらかじめそれらの対策について御意見を伺いたい。公団でも局長でもけっこうです。
  101. 山田正男

    ○山田参考人 今回の原案が、住居専用地区あるいは緑地地区内を通るわけでございます。そういう中を通りますために、いろいろ生活環境を破壊するではないかという御意見があることは、私も承知いたしております。この道路の位置を定めましたのは、将来の交通需要がどこで発生をするか、交通の発生地点を、交通の起終点調査を基礎にいたしまして、こまかい調査をいたしたわけでございます。すでに既定の計画は環状六号線、七号線、八号線というような計画がきめられ、環状七号はほとんど西部につきましては全線開通をいたしておりますが、その各地区別に一番交通の発生地点に近いところに必要な幹線道路を補強する必要がある、こういう意味で環状六号、七号、八号ではどうしても足らない。この路線はそれぞれ必要な強化措置を講じますけれども、さらに環状八号線の外側に環状九号ともいうべき街路をどうしてももう一本はさむ必要がある。そうしてここにあわせて自動車専用道路をつくる必要がある、こういう判断をいたしたわけでございまして、住居専用地区の中を通らざるを得ないことになったわけでございます。  そこでこの自動車の排気ガスの問題、自動車の騒音問題等は、獲はこれも私が所管をいたしておりまして、都市公害対策審議会というようなものを東京都はつくっておりまして、ひとり外郭環状線のみに限らず、道路全般の問題としまして、自動車が交通機関である限り、現在の自動車によります排気ガスの問題、騒音の問題は、これは処理すべき問題でございますから、ただいま公害対策審議会の中で真摯な検討をいたしております。  自動車の排気ガスの問題につきましては、自動車のエンジンの構造改善の問題等につきまして、これは通産省あるいは運輸省、そういう関係方面とも協議をいたしまして、この改善措置についてつとめておる次第でございます。米国等におきましては、自動車のエンジン構造の改善の研究が相当進んでおります。また騒音の問題等は、これは道路構造の問題にも若干影響のあることでございます。これは道路構造等につきまして十分留意をいたしたいと考えます。  そのほかに交通安全というような問題のあることも承知いたしております。そういう問題は道路の建設とあわせまして、あるいは一般的な問題としまして、並行して解決に努力いたしたい。  いずれにいたしましても、沿道の生活環境の維持改善ということは、道路の建設とあわせてつとめていきたい、こう考えておる次第でございます。
  102. 小山省二

    小山(省)委員 発生源を除去しようという努力は、これは道路の敷設とは関係なく当然関係当局が努力しなければならぬ。しかし、それが現在の科学的な技術をもってしては、これを完全に除去するということは、いまのところ私は困難だという見解を持っております。さすれば住宅専用地区としてきわめて恵まれた環境にあった、そういう場所が、今度高速道路をつくることによってその環境というものはかなり破壊をされるわけです。したがって、個々の単なる原因発生源を除去する努力をするということだけでは、私はなかなか住民は納得しないと思う。それは除去ができるという保証はないのですから……。あなたが除去するのでなく、第三者に研究をさせるわけですから、そうなると、その保証というものは、努力をしたと言われればそれは確かに努力したのだろうけれども、それ以上のことはあなたの責任として追及できないということになれば、当然住民は何らかの形においてその代償に対してもう少し明快な考え方を聞かなければ納得してこないと思う。道路の建設とあわせて行ないますという程度では、そういう環境を破壊された住民はおそらく納得しないと思う。私は、大臣とも相談をして、そういう被害を受ける住民に対して何らかの形で補償をするとかあるいは特別な措置をするとか、もう少し具体的に問題の解決の前進をはかれるような考え方を打ち出してもらわぬと、これはなかなかこの問題で住民が承知いたしましたとは私はいかぬと思うのです。そういう点でもう少し前向きの考え方で問題の解決をはかるような努力をしてもらいたいと思う。  それから、公共の利益の増進ということと私有財産の調整の問題、もちろん、今後直接買収の衝に当たる公団の仕事にはなると思うのでありますが、住民は現在のところ、この外郭環状線の設定に反対をしておる立場からいくと、容易に買収に応じないと思うのです。これは将来のことだからわかりませんが、現状においての見通しに立ちますと、容易に買収に応じない。また、応じないということを現在明らかにしておる。そうなりますと、この仕事が非常に現存の交通難を緩和する上に重要な仕事だというお考えの上に立っておる関係当局は、当然土地収用法なりその他強権を発動してこの仕事の促進をはかるという道を、好むと好まざるとにかかわらず、お選びになるだろうと想定されるわけです。そういう場合に、いま言った公共の利益、公益優先という考え方はわれわれは否定しませんが、その場合における私有財産との調整、そういう問題について、これは直接これから責任の衝に当たられる公団の内田理事にひとつお尋ねしたいが、どういうお考えの上に立ってこの用地の買収に当たられるか、そのお考えをひとつ承りたいと思います。
  103. 内田襄

    ○内田参考人 私、道路公団の内田理事でございますが、その前にちょっとお断わりしておきたいのは、実は外郭環状道路につきましては、去る三十八年ですか、あの全線のうちで、第二京浜から東名道路を交差しまして、中央道路に至る区間約二十キロの区間、これについて、有料道路で施行したらどうかというような方針が打ち出されまして、そういう方針のもとで、私のほうは一部調査をやっておる次第でございます。実は、まだ全然実施にも触れておりませんし、将来、諸般の問題が解決すれば、あるいは公団が施行主体になるということを想定して、現在調査しておるという段階であります。したがって、そのルートの選定とかその他につきましては、これはもちろん従来からずっと建設省等で調べられたことでもございますし、かたがた、ルートにつきましては、東京周辺の大きな交通問題の処理、交通処理の網にも関係することでございますので、一方では、土地利用計画その他の関係もあることだと考えておりますので、ルートの選定等につきましては、公団は直接は自主的な立場はとっておりません。諸般の問題が片づきまして公団がやるという手続が完了しましたら、実施に踏み切りたい、そういう用意を持っておるわけでございます。  ただいまのお話の、一体どういう態度で臨むかということを申し上げるにつきましては、ただいまやっておりまする東名の高速道路なり中央高速道路なんかのやり方を大体踏襲してやっていくんだろう、そういうふうに考えております。そのやり方につきましては、おおむねは、現在の土地収用法を適用してやっておる現状でございます。それにつきましては、一般的な補償その他の問題の処理につきましては、現在、公共事業補償基準といいますか、そういったものがありまして、それに準拠してやっておる次第でございますので、この外郭道路につきましては、実施命令を受けましてから実際に着手したいというふうに考えております。
  104. 小山省二

    小山(省)委員 私は、そこまであなたが大胆に考え方を表現されるとは思わなかった。土地収用法なんていうものは、それは確かにこの法律の必要性、そういうものは私どもも認めるのにやぶさかではないのですが、こういう伝家の宝刀というものはむやみに抜くべきものではない。よほど話し合いが行き詰まって、そうして買収が困難である、そのために著しく計画をおくらせる、全体の計画がそれによって阻害をされるというような万やむを得ざるときに適用をすべき法律である。当初から大体これによって進行をはかろうというような考え方は、私は少なくともこの土地収用法の精神に反すると思う。    〔委員長退席、井原委員長代理着席〕 今度のように当初からもう反対を明らかにしておる、こういう人々の買収にあたって、いまあなたのおっしゃるような土地収用法という伝家の宝刀をもう大上段に振りかざして買収に入るということになれば、問題の解決を一そう後退させる以外の何ものでもないと思う。このような考えで買収に当たられるということになれば、私は、住民感情を刺激して、そうして一そう土地の買収を困難ならしめるものだというふうに考えておる。私は、少なくとも今度のような問題には原則として、土地収用法というものは適用しないのだ、あくまでも住民の理解と協力を求めて問題の解決をはかりたいんだ、こういう基本的な姿勢でこの路線の買収に当たられる、そういうふうにあなたが御答弁されると、こう考えてお尋ねしたのでけが、従来の道路土地収用法を適用して買収しておりますという、この伝家の宝刀というものは当然これを使用して買収しなければこの問題の解決をはかれないというような、当初からそういうお考えであるとすれば、私はたいへん危険だと思う。もしそのようなお考えであるならば、これはさらにあらためて、この買収はそういう困難な前提の上に立って行なわれるわけである。たとえばそれが現状であるか、将来変更になるか、それは審議会の結果だからわかりません。しかし、現状であろうと変更であろうと、少なくとも私は、そういう考えの上に立って土地の買収に当たるということでなければ、いかほど権力を、強権を発動しようと、そのことで問題の解決ははかれないと私は思う。もう一度ひとつ公団の責任者のお考えをお聞きしたい。
  105. 内田襄

    ○内田参考人 ただいまの私の答弁に少し誤解を招いて申しわけないと思っておりますが、実は、土地収用法を適用してやるという意味ではございませんで、外環も、現在やっています東名、中央道路と同じように重要な路線でございますから、現在の政府の方針もそういうふうに打ち出されておりますし、土地収用法に基づく事業認定でございます。これは特定事業であるという事業認定の手続はとってやっていくということを申し上げたわけであります。事業認定をとっても決して土地収用法をすぐ発動するという意味ではございませんで、それだけのバックは措置をしてやっていく、現在のところは大体そういう方向でやっております。実際に土地収用法を適用したのはごくわずかなケースでございます。もちろんそういった事業認定をした上でも買収補償につきましては、任意交渉によって了解のもとにやっていくというのをたてまえにしておりますので、一応そういう手続を踏んでやるということを申し上げたわけです。誤解を招いて申しわけないと思っております。
  106. 小山省二

    小山(省)委員 ほかに同僚先輩の諸君で本問題について御質問もあるようでございますから、あまり私が一人で申し上げることはどうかと思いますので、一応この程度で問題を締めくくりたいと思うのでありますが、最後に一つ山田局長お尋ねしておきたいと思います。局長は、先ほど来の御答弁で、問題の決定は審議会だ、したがって審議会から修正があれば謙虚にその修正案に耳を傾けたい、こういうお考えである。形式的には私も確かにそうだろうと思うのです。しかし何といっても、原案の立案に当たり、それを提案した当事者のウエート、その考えというものは、その審議会の考え方を決定的のものにするということは、私は従来の審議会の経過のあとを見ても否定できない事実だろうと思うのです。やはり従来その考え方が最大限に尊重されておった。それで、技術的な面において審議会の人は専門家じゃない。したがって、そういう面から技術的に反駁がなかなかできない。それから、一つの案を立てるまでには、先ほど局長が言われた、数年にわたって厳密な事前調査がなされている。審議会の委員が出された案を机上でながめて、そしてこの案はこういう欠陥を持っているという指摘をするということは、事実上において不可能だろうと私は思う。したがって、多少の問題があってそういう質疑がなされても、やはり長い間検討をした専門家の答弁なり考え方というものが尊重をされ、それが大作決定案になるという従来の例からいって、なるほど形の上では都市計画審議会が修正すればということになりますが、事実においてはそういう長年積み上げられた原案を変更するということは、よほどのミスか重大な誤りがない限り、事実においては困難だ。そこで利害関係者から見ると、どうしてもその立案に当たった責任者にできるだけ利害関係者の考え方を聞いてもらう。そうしてよくそれを理解して、できるならひとつそれらの意見を取り入れてもらいたい、こういう考え方を持ってくることはしごく私は当然だろうと思います。  そこで、そういう委員会修正があった場合は別として、今度の問題は利害関係の範囲が相当広いんです。将来の住民生活の上にも重大な影響を持つ重要な路線の決定ですから、ぜひ早急にこれを決定するという態度でなく、あくまでも、たとえそれが計画変更に至らないまでも、それらの意見というものは十分聞くべきものは聞いたのだ、検討すべきものはしたんだという、そういう態度が十分に住民の間に浸透するような努力というものを関係当局は持ってもらいたい。これは後日問題を円滑に行なう上にきわめて大切な条件だというふうに考えております。この法案の決定を急ぎたい、早く決定したいという当局の気持ちはよく理解できるのですが、問題が問題だけに、この原案の決定を急がない、そうして十分にひとつ住民考え方、利害関係者の意見というものを聴取する、こういう基本的な姿勢を堅持するという考え方をぜひこの機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  107. 山田正男

    ○山田参考人 実は、先ほども私御答弁を申し上げたのでございますが、今回の外郭環状線に関連する計画案の審議につきましては、ただいまの御発言のような趣旨を考えまして、最初に審議会にこれを提案して審議をする前に、ひとつ利害関係者の代表者から発言をされて、審議会の委員が直接利害関係者の意見を開こうではないか、こういうことを従来やったことはございませんが、そういうことを積極的に求められる前に、私どもは考えまして、審議会の当日でなく、その事前に関係の特別区長、あるいは市長、町長に連絡をいたしまして、代表者を何人か選定をしてください、そうしてその選定された代表者の名前を通知してください、そうすればその方々に審議会の議場で発言をさせ、直接各委員意見を伺いましょう、こういう連絡をしたのであります。そうして審議会におきましては、通告のあった代表者から約二時間半か三時間にわたりましてそれぞれ発言をして、見解を面接開いたわけであります。今回の審議につきましては、規則の有無にかかわらず、私どもはそういう機会を積極的につくったつもりであります。そういう意味でございまして、利害関係者の発言に耳をかさないで、いたずらに計画の決定を急ぐということを考えたことは毛頭ないと思っております。審議会の委員の方々も、大部分が地元の方々の見解を十分に聞いたということに満足しておられると存じております。いずれにいたしましても、計画原案どおりになるか修正されるかは別といたしまして、計画をかりにきめましても、事業実施までの間にはまだ相当の期間があるわけでございます。そういう期間をもちまして私どもは利害関係者の御意見は十分承る用意がございます。そういう意味でございますから、一方的に決定を急ごうとは決して私どもは思っておらない次第でございます。
  108. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いままでのこの案の経過、考え方等についてはお聞きのとおりでございます。  ただ一点だけ小山委員から、こういう都市計画の街路その他を決定する場合に利害関係者の意見を聞くことが非常に大切じゃないか、こういうお話がありました。今度の場合は、いま東京都の山田局長から御説明がありましたように、従来やっておらなかったことであるけれども、今回は利害関係者の方もたくさんだし、またいろいろ利害のあるところも多々あるということでいま御説明申し上げましたような措置をとった、こういうことであります。  そこで私、従来から考えておるのでありますが、制度の上では利害関係者の意見を聞いても悪いことはない。ただ大正八年以来都市計画法というものは施行されております。けれども日本の場合は、私は率直にものを言う男でありますが、都市計画などというものについての一般国民の認識がきわめて薄い。したがって仕事がなかなかスムーズに進まない。これは欧米と非常に違うところであります。長く法律は施行されておりますが、なかなかこの都市計画事業などというものについてなじみが少ない。そういうことを常日ごろ考えておるわけであります。  そこで、都市計画法は数年来の懸案でありますけれども、だいぶ時代が違っておりますから、しかもこういう都市計画事業というものを住民のしあわせのために、全体のしあわせのためにますますわが国においては行なわなければならない時代になっている。そういうことで、大正八年にできてその後一部ずつ改正しておりますけれども、社会の進展、変化に応ずる法律体系に必ずしもなっておらない。この検討をずっとしておるわけでございます。できるだけ早い機会に都市計画法の改正をいたしたい、こういう考えでありますが、一番大事な点はいま小山さんが指摘された点であろうと思うのです。といいますのは、都市計画というものが、なるほどこれは非民主的にできておるとは思いません。いろいろ関係団体の長であるとか、あるいは委員であるとかという方々が集まって、それぞれ地域の問題等を頭に入れてこの都市計画を研究し決定されておるという姿は、必ずしも非民主的ではないと思います。けれども、さっき申し上げましたように、都市計画事業案というものについて、わが国の国民の性質上といいましょうか、なじまないものですから、平素これにあまり関心がない。町の問題に非常に文句はありますけれども、これをお互いに相談をして、公園をつくり道路をつくってもう少しよくしようじゃないかという積極面は率直に言ってないのです。そういう点も私は今日の問題にからまっていると思います。したがって、そういう問題をなじませるというような意味と、できるだけこういう都市計画事業というものが地域住民全体のため、社会公共といいますか、非常に必要だという認識を高める上においては今後技術的に検討を要するわけでありますが、やはり住民参加の場を設ける必要がある。利害関係者といいますか、住民参加の場をこの審議の過程でつくる必要がある。これが私は一番大切なことであろうと思います。利害関係者は率直に言ってかってなことを言う場合がお互いあるわけでありますから、必ずしもそのとおりにならなくとも、なるほどああいうことを聞くとこうだという理解が深まると同時に、お互いに集まって町づくりをしなければならぬものだという意識が高まると思います。ただ、非常に関係者が多いので、全部それの意見を聞くなんということはできるかできないか、いかなる場でそういう議論を徴する機会をつくるか、これは法律技術的に検討を要する問題でありますから、いまどういう場でどうするということは申し上げませんけれども、今度の法律改正将来のこともお話しになりましたが、都市計画法の改正で一番重要な点はそこだ、私はこう考えておりますから、ぜひそういう制度をどこかの場でつくりたい。それがわが国の社会公共に対する認識と、お互いが集まって地域社会をつくるんだ、あるいは町づくりをするんだという共同性というものができる素地になるのじゃないか。と同時に、そういうことをしてきまった計画というものは、実行にあたって比較的従来とは変わって、協力的にスムーズにいくんじゃないか、こういうふうに考えておりますから、この点をぜひお答えをいたしておきたい、かように考えております。
  109. 小山省二

    小山(省)委員 たいへん大臣から御理解ある御答弁をいただいて、私も同感に覚えるものであります。確かに、日本の国民は都市計画、ことに都市に住んでおる人が比較的都市計画関係に理解がないということは、私も残念に思っております。しかし、これは私ども考えてみるのに、住民だけの責任ではないと思うのです。いまお話に出ましたように、そういう決定にあたってきわめてこれを秘密裏に扱う。従来ごく一部の特殊の人がその立案に当たる。言うならば、広く住民にそういう問題を理解させるような機構になっておらないところに、私は問題が発生してくるのだろうと思う。確かに民主主義はたいへん手数がかかり時間がかかるといわれております。そこに私はやはり住民の問題に対する協力の度合いというものが生まれてくるのだと思う。ぜひ大臣お話のように、何も利害関係者全部の意見を徴しなければどうというやぼな話ではありませんが、少なくとも住民の声がその審議会の中に取り入れられる入れられないは別として、ある程度発言の場を持つということは、今後のそういう、たとえば都市計画ばかりではありません、あらゆる問題の決定の重要な要素であるというようにも考えます。この上ともすみやかにそういう問題の解決のために大臣のお力添えをお願いいたしたいと思います。  では、これで質問を終わります。
  110. 井原岸高

    ○井原委員長代理 帆足計君。
  111. 帆足計

    帆足委員 先ほど同僚議員からるる意見の開陳がありまして、私も全く同感でありますが、私ども東京都出身の議員がこの案の概略を知りましてわずか二週間しかたっておりません。まさに晴天のへきれきとはこのことでありまして、審議いたそうにも十分な資料を持っておりませんために審議もはかどっておりません。このような次第でありますから、率直に大臣にお目にかかりまして、また地元の良識ある代表の力の意見も徴して一緒に参上いたしまして、大臣には御多忙中にもかかわらず、ただいまお述べになったような大所高所の御趣意から私どもに快く面会してくださいまして、心から感謝いたす次第でございます。また、ただいま田村委員長が御用があって退席なさいましたが、十分ゆっくり審議しなさいという好意あるおことばをいただきまして、またこうして委員長代理にも御苦労をかけておりますが、本建設委員会におきまして与党野党を問わず、委員各位が私どものためにこのような十分な機会をお与えくださいましたことを心から感謝いたす次第でござます。  実は、東京都の議長といたしましては、現在制度上の欠陥がありますのか、たとえば私は外務委員、尊敬すべき長谷川同僚議員は文教委員、御高名な評論家の神近議員は法務委員、重盛議員は地方行政、中村高一議員は内閣というふうに分散しておりまして、しからばそれでも私どもの勢力の三割くらいは建設大臣を助けて首都圏整備のために御協力しなければなりませんのに、ふしぎなことにこういう機会がありませんで、ほとんどつんぼさじきのような状況に置かれておりまして、先ほど与党の議員の方から、君たちも東京都について、少し熱意が足らないのじゃないかというおしかりのことばを受けましたが、それも半面の真理でありまして、実は私ども、隅田川があのように濁ってふん尿が流れようとも、また夢の島からハエのじゅうたん爆撃を受けようと、玉川上水の桜並木がいつの間にか切られておろうと、あるいはお茶の水川の堀の将来がどうなろうと、ほとんどそれに発言の機会もなく、見通しすら知らないという状況でありました。これはいわゆる国会内の問題であり、また議院運営委員会等で御相談願いたいのですが、できるならば特別委員といたしまして随時東京都出身の国会議員は必要に応じて出席いたして、資料もちょうだいし、意見も限られた時間に述べ得るような機会を与えられる何か考慮が必要ではないかと痛感いたしておる次第でございます。  さて、今日の東京は御承知のごとく住宅難、教育難、交通地獄、また人心の退廃、すべてこれ原因をただせば同根、四者一体でありまして、まことに皆さんとともに深憂にたえないのでございます。建設委員の皆さまが現在土地収用法の重要な法案の審議の途中において、特にこのような時間をお与えくださいましたのも、皆さまのふるさとのほかに、第二のふるさと首都東京のことをお思いくださる御理解と御友情のたまものと感謝にたえぬ次第でございます。私は最初に一言思いを申し述べまして、逐次具体的に御質問申し上げたいと思うのでございます。  思えば、だれしも思うことですけれども、戦いに敗れまして、国民の大多数が、東京都民の大多数が郊外に、また遠くに疎開いたしました、また爆撃によって大半が灰じんに帰しました、あの終戦の直後に、一人の後藤新平伯のような人が知事に選ばれて、政府と協力してしっかりした都市計画を立てて、われわれ年とともにこれを理解し協力したならば、いまごろは東京の町はいにしえの奈良の都のように一条通り、二条通りと、町全体が原宿駅前の参宮通りのようになったであろうものを、いまとしてほんとうに返す返すも残念でございます。これは大臣指摘されましたように、われわれ市民にも罪があるのでございまして、私ども自身が都市計画、首都の計画というものについて十分な理解がなく、自分の生活のことばかりに追われて首都を顧みる、または大にしては祖国を顧みるいとまもなかった。しかし認識が足りなかったのはわれわれ国民だけではなくて、政府もまた認識がなかった。一体二十年何をなされておったか。たとえば夢の島といえば私はやはり昔の大森海岸を考えておりまして、いずれは子供の手を引いて海水浴へ参りたいと思っておりましたところが、夢の島はハエの巣くつ、そしてまた近ごろ隅田河口の小ハゼがばかに太っておると思いましたら、そのウジを食ってハゼが太っておると聞きました。また夏はハエのじゅうたん爆撃、冬はネズミのゲリラ戦、このようなことでまことに国民に対して相すまぬ次第と思っておるのでございまして、過ぐる選挙におきまして、社会党は第一党になりましたけれども、決して自慢にはなりません。社会党の票も減っておるのです。それから、責任を負っておりました与党の票はもっとたくさん減りました。社会党も与党も野党も投票が減って、棄権が非常にふえておる。これが痛ましい東京の姿でございますから、私は野党としていたけだかになって、自分には責任はない、ただいたずらに政府を責める、そういうような態度できょうは御質問申し上げようと思っておるのではないのでございます。しかしおしなべて今日の東京を見てみますと、盲腸炎程度ならば簡単な手術でできるでしょうが、このままでは腸捻転になるか腸閉幕になるか、とにかく帝王切開をしなければならぬ。どこかに風穴をあけて、そして将来の展望を――子供たちが安心して住める東京になさねばならぬということだけは、これはもういかなる利害関係者といえども、わが家をくずされる人といえども私は痛感しておる問題であろうと思うのでございます。  しかし、それならばどのようにして東京の町をこの際大改造するかというならば、第一は将来への展望を明確にすること。第二には計画性を持ち、手順正しく、段取り正しく事を行なうこと。第三には総合性を持って考えねばならぬ。第四にはその手続が民主的でなくてはならぬ。いざという場合には土地収用法が、おそらく今国会で成立するでしょう。ごね得をしてもうけようとするようなやましき連中に対して伝家の宝刀を準備するということも私はやむを得ないと思います。しかしそうであればであるほど、それに至るまでの手続は民主的で、尽すべき情を尽くし、尽すべき理を尽くし、十分な資料を持ち、総合性、将来への展望、計画性、そして何人も納得するスマートな段取り等々を――十分納得した上でなければ私はむずかしいだろうと思うのでございます。今日着手するこの環状線のごときは大東京首都整備のまだほんの第一歩を踏み出したばかりのことでありまして、前途はなおかつ遼遠でございます。したがいまして私は総合性という見地から、きょうは大蔵省当局にも運輸省当局にも御出席願いました。本来ならばさらに厚生省、文部省当局にも御出席願わなければならぬと思っておる次第でございますが、ただいま田村委員長が、この重要な問題については理事の皆さまの御了解を得てまたこういう機会をつくることもできるから、文部省、厚生省関係とともどもに君が議論したいというならばその機会をつくってあげよう、と申しますのはこの問題は、交通地獄で子供たちの死ぬ者数知れず、教育地獄、それから住宅難、これはもうほとんど同じでございます。また人心の退廃と申しましたけれども、住宅がないために、たとえば四百万戸のアパートのうち、聞くところによれば二百万戸は一家族が六畳の部屋に住んでいる、そして便所は共同である。こういう環境のもとにおきましては孔子といえども不良少年にならざるを得ない。かつて孟母三遷の教えというものがありましたが、三たび公団のくじに当たるのを待つにはおそらく三十年かかるでしょう。血気盛んな孟子が成長するまでにすでにもう素行不良の青年になってしまうことは孟子のおっかさんといえどもどうにもならぬ、いわんや、われわれ凡人においておや。今日人の平均年齢は七十四歳に女子は達し、男子は多少心がけが悪いので六十九歳とか聞いて、まことに遺憾ですが、しかしそれよりも痛ましいことは、六十歳以上の老人の自殺率は女子は世界一、男子は世界第三位と聞いております。まあ十万人に六十人と四十人の自殺率だそうです。この自殺もどういうことかといえば、これは世をはかなんで、子供に嫁がくる、そして新婚旅行から帰ってくる、三畳の隠居部屋すらなく、世をはかなんで、そして自殺する、その数がかくのごとき数、世界第一位。これもやはり道路問題であり住宅問題でございます。交通難のために命を捨てる子供たちの数は、病気で死ぬ数に劣らないというような状況にある。その緑のおばさんがまたひかれて死んでしまう。さらには、近ごろのお葬式の追悼会のお手紙を見ますると、おじ夫婦仲よく御睡眠中突如としてトラックに襲われあえなくあの世に去りました、こういうことはもうしばしばでございます。したがいましてこの問題に取り組まれる専門家の皆さんの御苦労のほども十分にお察しするのでありまして、山田局長にいたしましても他の方々にいたしましても、技術者としての御苦労のことは私はよく察知するのでございます。しかしながら従来二十年、一体東京都市計画はどうなっていたか。市民だけに罪があるのでなくて、政府の怠慢もまた同罪でございます。いままでは酒に酔っぱらったような状況で、そうしてしっかりした都市計画も持たず、私どものおりまする杉並区などは高円寺、阿佐ケ谷、迷路の中を歩きますと、これはラクダが針の穴をくぐるよりむずかしい場所、道はくねっておりまして、道路というよりもミズムシの穴の広がったごとき状況でございます。何としてもこれでは切開手術をいたさなければならぬときにきておるのは当然でございます。しかしそれならばどういうような抱負と経綸をもってなさるか。そしてその一環として今度の環状線がこういう形でなる、そういう説明であるならば比較的早く納得し得るのでございますけれども、私どもは原案のままではどうも納得できません。むだな犠牲であると思いながら緑の安住の地を捨てることはできないということは、私は当然のことであろうと思うのでございます。大局から申しますならば、まず市内の、すなわち緑地帯でないところの市内の将来の整備、整とんはどうするか。高円寺あたりで一たび大火が起こったならばもうたちまちにして焼けてしまうでしょう。その焼ける機会を待って都市計画を立てるというなら別ですけれども、それは荒唐無稽なことでございます。したがいまして、私はしろうと考え――ときとしては独断的な専門家よりも良識あるしろうとの意見のほうが正しい場合も世間には種々あります。私は、山田局長お話を聞きまして、専門家としては尊敬しておりますけれども、ときとしては敗戦のエキスパートから戦略を習うような気がいたしまして、一体――御承知のように自衛隊の幹部諸君は昔の陸軍士官学校の教師ですが、それから原爆とロケットの時代の戦略を聞きますと、三矢計画など、まるで、鞭声粛々夜川を渡るを原爆のもとに聞いておるような思いがいたします。それと同じように東京都の都市計画も、何か白虎隊の物語を聞いて、それでは横で筑前びわでも伴奏せねばなるまいというふうな感じすらする一面があるということは、専門家の諸君もちょっと耳が痛いでしょうけれども、これはまた皆さんの責任ではありません。政治力の責任ですから、むしろわれわれの責任でございます。したがいまして、そういう環境のもとでこれがなされるというところに、しかもこのような膨大な計画が、東京のちょうど心臓部に当たりますような緑の住宅地に突如としてなされるというところに、悩みがあるのでございます。東京の市民は日本の大脳といわれておりまして、それほどばかでもございません。聞き分けは案外いいのでございまして、理にかなうことであるならば身を犠牲にいたしましても納得するであろうと思います。しかし理にかなわないことであるならば、泣く子と地頭にはかなわぬ、長いものには巻かれろ――農村に行けばそういう場所も、文化果つる場所にあるかもしれませんけれども、東京の杉並、また三鷹等におきましては、泣く子と地頭にはかなわぬならば、泣く子はチョコレートでもやって甘やかしてねんねこの歌を歌ってもいいけれども、地頭は許すことはならぬ。長いものには巻かれろというならば、長いものは適当な長さにはさみで刻んで整理整とんすればよろしい、こういうのが今日の民主社会における東京市民のおおよその考え方でございますから、理においても、情においても、段取りにおいても筋道の通ったことをせねばならぬ。そのためにただいま良識ある建設大臣から、この問題については慎重に審議しなさいというおことばがあったのであろうと思うのでございます。私は東京都政は率直に言って、この前の選挙で診断を受けましたように、やっぱり大失敗の二十年の歴史であったことを謙虚に反省すべきだと思います。いままでは酔っぱらいのような状況で、よたよた、よたよた、どこに行くやらさっぱりわからぬ。急に近ごろしらふになって、そして大詔勅を渙発して、ヒトラーのごとくふるまうというようなことでは困るのでありまして、これは多少時間をかけても、やはり十分話し合って各方面の意見を徴して、そして検討すべきことは検討し、原案のみに固執せず修正すべき点があったら修正するという気持ちでこそ両方が近づき得るのでないかと思うのでございます。  さて、前置きはこのくらいにいたしまして、一つずつ御質問したいと思いますが、何ぶんにも私どもは資料を持っておりません。資料なくして地元の皆さんはどう思うかと言えば、自分のからだについているシラミぐらいはわかりますけれども、全体として東京はどうなるかということについて正鵠な判断ができない。正鵠な判断ができないから、君らの陳情は利己主義クラブの陳情である、こういうふうに見ることは私はやはり過酷であろうと思うのでございます。まず何よりも詳細な資料をちょうだいいたしたい。そしてわれわれ東京の議員は、それを次会までに心をむなしくして前向きの姿勢で再検討するでありましょう。資料がなくして今日御賛同申すのでありますから、外交のことになれば私も十七年間やっておりますし、その専門のことでは人後に落ちませんけれども、建設のことになりますと、建設委員の皆さんがちょっとお笑いになるような質問をするかもしれませんけれども、どうかお許しのほどお願いいたしたいのでございます。  さて、二十年もほっておいて、この六月の五日にきめたいとか六日にきめたいとか一週間後にきめたい、それはあまりどう欲なことであろうかと思うのでございます。もし一週間、二週間後にきめたい――それほどきめたいならば、せめて一年くらい前にプロポーズしておいて審議の機会を与えるべきだ、こう思うのでございます。私が三十年前にいまの家内と一緒になりましたときに、一週間で家内にほれられました。そして帆足さんという人は東大出でいい人だから結婚したいと申しましたけれども、うちのおばあちゃまは、それはいけない。おかあさんが何のおまえたちのデートのじゃまをしたか。せめて半年か一年はつき合ってみなければわからない。私はこの母を尊敬しておりますが、都市計画の問題にしてもそうでしょう。二週間のデートできめなさい。そういうのは、ちょっと大東京都市計画としては無理である。その無理であることを建設委員理事の皆さまが御理解くださって、こういう時間を与えてくださった、まことに感激の至りでございます。  さて、次々と一問一答で質問いたしたいのでございますが、第一には大臣にとくと了解を得たいのでございますが、私ども十分な資料のもとに、心をむなしくして与党野党ともどもに検討いたしまして、そしてそこに理があり、合理性があります場合には、現在、首都圏整備委員会が大臣の最高の諮問機関でございます。またその小委員会が設けられたことも存じておりますが、その整備委員会と小委員会はずいぶんの委員の御人数だと聞いておりますから、委員名簿を後ほどいただきたいのでございます。同時にまた本建設委員会もこの問題に非常に関係の深い大臣の助手であり、忠言者でありまた協力者であり助言者でございますから、建設委員会における論議も大臣に尊重していただきたいのでございます。最後の決定は、これは建設大臣の御決定と聞いておりますから、私ども言いましてもただ聞きおく。封建時代の殿様のように、よう申した、聞きおく、迫ってさたあるまで待て、茶と大福もちをねぎらうであろう、というようなことでは困るのでありまして、今後慎重に私心なく審議いたしまして、これはどうも三多摩のほうの受け入れ態勢から見ましても、また練馬、世田谷、三鷹、武蔵野等の見地から見ましても、これはいろいろな角度から長所があるというようなときには、御再検討くださるにやぶさかでなかろうと思うのでございます。ただいま世間ではがんこ一徹と誤解されておりまして、実際は山山さんはやさしい心を持たれておることを私は存じておりますけれども、その山田さんですらと申すとちょっと表現がまずいのですけれども、責任者の山田さんがたとえ原案であろうと、修正案であろうと、合理的になることが望ましい、こういう御発言もございました。大臣におかれましてはそういう心持ちで、私どもが御助言もし協力もしておる。すなわち原案は、大詔が渙発されたものとは思わないで、この民主社会ではそれが合理的であり実際的である場合には修正の余地もあり、検討をするのにもやぶさかでない。そのように先ほどの大臣のおことばを承りましたが、人生は短く、ただ聞きおく、お茶と大福もちをとらせろというだけでは、こういう時間を費やすことは、いかに空気が安いからと申してもむだなことでありますから、そのことをまず大臣から一言だけ承っておいて、そしてできるだけ短い時間に大勉強いたしたい、こう思います。
  112. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 まず最初に、いま審議中の委員会首都圏整備委員会のようにおっしゃいましたが、そうでなくて、これは東京都の都市計画審議会、そういうことでありますから、東京都の委員さんの名簿等は資料として差し上げていただけると思います。  なおその審議が、先ほど来山田整備局長からお答えいたしておりますように、その委員会で御審議中であります。原案そのものは、先ほど来いろいろ御説明いたしておりますように、慎重にと申しますか、東京都のいまいろいろお話しになりました大問題の解決の一助としていろいろ検討いたして出してある原案でありますけれども、その都市計画審議会でいろいろ検討されて、修正されるとかあるいは一部変更するとかいうことは、これはもちろんそのための審議会でありますから、そういうことはあったということで、私どもは何らの異存はないわけでございます。
  113. 帆足計

    帆足委員 実は後ほどこれはお尋ねしますが、ただいまの首都圏整備委員会にいたしましても、道路建設の東京都の審議会にいたしましても、これは小委員会のようなものですが、委員構成から見ますと、大臣先刻御承知でしょうが、郊外の市長さんたちは、現在、地方自治権を持っておると申しますものの、いわば一割自治制でありまして、一割か二割の力しか持っておりませんで、大部分は都並びに国の意向によっていろいろなことをいたさねばならない。そのために、郊外の市長さんたちの発言力というものは、右顧左べんいたしまして、多少発言しにくいような立場にある事情もございます。まだ区長のほうは不幸にして区長公選になっておりませんで、東京は官選ということではありませんが、間接官選の区長でございます。それから各専門委員の方は、いわば大工さん、優秀な左甚五郎のような集まりのものでございまして、木を見て森を見ず、専門家というものはやはりそういう傾向がございまして、私は東京都の都市計画が、先ほど申し上げましたように、今日ミズムシの巣のように混乱しておる、こうなっておるのも、そういうところにも欠陥があるのではないか。したがいまして、首都圏関係の審議会で、最終的にはそれを大臣は尊重されるのは当然でありますけれども、もう少し広く、たとえばこの建設委員会とかその他の世論にも耳をお傾けになって、逐次、大臣、次官を通じて、これを直接検討もし、注意も与えられるということが必要ではあるまいか。東京都のその委員会の構成を見ますと、粗末というよりも内容が既定事実をうのみにするようなしかけにできているような感が多少いたすのであります。これは委長名簿を拝見いたしまして検討いたしまして、私は意見を述べたいと思うのでございます。  ところで、問題の大綱は存じておりますけれども、現段階で、世評では六月の六日にもうきめるのだとか、どんなことがあっても二週間内にきめねばならぬ宿命にあるのだというようなことをいわれますけれども、私は、そんなに早くきめねばならぬなら、一年前に言ってくださればよかった。来春には市長の選挙もありますし、知事の選挙もありまして、そして市長、知事、新構想のもとに東京の前途を考える、また、手順から申しましても、まず立体交差の問題の解決が私は一番急務を要するものでないかと思っている。その他人京都の将来の展望を考えながら、総合的に大体の輪郭ぐらいが、国会、建設委員会においても大体理解されておる。その総合計画と展望のもとの一環として、この計画の手順がどの辺のところに当たるか、こういうことでなくてはなりませんので、まさか、この六月五日か六日に結論を無理に出さねばならぬ、そういう差し迫った状況でしょうか。もしそういう状況なら、私は家内に言い含めて、しばらく徹夜で勉強せねばならぬということにもなるわけでございますが、一週間、二週間に差し迫って決定せねばならぬ問題とは思われません。むしろ土地収用法等の伝家の宝刀のほうはこれは必要でございましょう。しかし、それが強くなればなるほど、審議のほう、計画のほうは、納得いくようなものに近くなる。そして、その納得のいく、民主的なものにする。反逆するのに対しては多少の進歩的弾圧を加えてもこれはやむを得ない。ごね得というものほどいやらしいものはありません。そういうものに対して、収用法が伝家の宝刀になることは賛成でありますけれども、先ほど小山委員が正しく指摘されましたように、審議の過程は民主的でなくてはならぬ。すなわち、あと数日とか十日とかにきめねばならぬ運命にあるのでしょうか。一言このことだけをもう一度大臣に確かめておきたい。
  114. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ぜひ誤解のないようにしていただきたいのでありますが、この都市計画審議会は私のほうでさいはいを振っているわけではございませんので、これは東京都の独立の機関でありますから、そちらの事情は山田局長から御説明いたしてもらいます。
  115. 帆足計

    帆足委員 山田さんは官吏でございますから、これはまた事務以外にできない立場にありまして、非常に良心的な行政官でございますから。やはりこの一週間、二週間に迫って、これを大臣が裁決せねばならぬというようなことにもう迫ってしまっておるかどうか。私はそういうはずはないと思うのです。きょう初めて建設委員会で、東京都の議員ではまだ青写真一つ見てない人が多いのです。これが小さな案でしたら問題ありませんけれども、将来の東京計画の展望の中で非常に大きな位置を占めるものでございますから、一週間、二週間にきめねばならぬ、大臣が裁決するためにきめねばならぬというようなものであるかどうかということを、大臣のお考えを承っておきたい。
  116. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 希望といたしましては、できるだけ早いほうがいいと思います。率直に申し上げまして、東京の問題はすべてが手おくれであります。そうでありますけれども、この問題を五日や一週間できめなければならぬとは私は考えておりません。
  117. 帆足計

    帆足委員 そこで今度は事務的な問題を、他の同僚議員の御質問がございますから、逐次重要点だけをお尋ねいたしますが、外環九線と申しますものの役割りは、大体バイパスすなわち通り抜ける、それから内に入ってくるのをさばく、それから近隣の者が土曜日や日曜日に少し遠い親戚のところや、普通の通勤よりもやや遠いレクリエーションなどに行くのにもバスや自家用車を使いやすい、こういうふうに聞いておりますが、この外環九線の大体の役割りはどういうものでございましょうか。
  118. 山田正男

    ○山田参考人 外郭環状の役割りについての御質問でございますから、私からお答えを申し上げたいと思います。  先ほども若干申し上げましたが、実はただいまの御質問の中で、二十年間眠っておったのではないかという意味の御発言がございましてが、(帆足委員「その言いわけはけっこうです、もう経験でよく知っております」と呼ぶ)実は眠っていたわけではない、私、実は東京都市計画に関係するようになりましてこれで満十年でありますが、私が東京都市計画に関与する最初から、実は東京都市計画を立て直す作業を始めたわけであります。との間に全体の都市計画、街路計画、そういう各公共施設計画の立て直しの作業をずっとやってきたわけであります。これが外環と関連があるわけでございます。  従来の都市計画昭和の初期にきめられたものでございましたが、そういうものを、戦後の社会情勢にマッチするように全面的に改定する作業を順序を立てて行なってきたわけであります。今回の外郭環状線を含みます周辺区の街路計画の改定作業というのは、全般的な、マクロ的な都市計画の改定作業の一番最後に残されたものでございます。環状六号線の内側の街路計画は、たしか昭和三十八年に全面的に改定をしたわけでございます。この改定作業のやり方を申し上げますと、二十年後、三十年後の交通需要を推定いたしまして、各交通需要の発生地点ごとに、この交通需要を処理し得るような交通能力のある街路計画を立てる、こういうことでございます。ただいま立体交差を早くやれというお話でございましたが、今回都心計画審議会に提案されております街路計画の中には、数百カ所の立体交差計画を追加する案になっております。  そこで、この外部環状線の役割りでございますが、先ほども御説明申し上げましたように、これは長距離交通を処理するのが主目的ではないわけでございます。交通調査の結果によりますと、環状六号線の外側の周辺区の交通需要は急激に増加いたしております。これは周辺部の市街化が急激に進んでおるのに比例してふえておるわけでございます。これに対処するためには、従来の環状六号、七号、八号線を立体交差化する程度では処理し得ない、そういう意味で、その外側に環状九号線とも申すべき外郭環状線を一本追加する、こういうことでございます。  なお、かつて建設省に設置されておりました大都市再開発問題懇談会とかあるいは首都圏委員会にございました首都圏基本問題懇談会等で、東京の、主として二十三区の都市構成を将来どういうふうにすべきであるか、将来の展望でございます。こういうことにつきましていろいろ審議がございまして、現在の都市構成は一心型である。都心一つに放射形に構成されている。これをもっと多心型化する必要がある。この多心型化を達成する最も有効な手段は、二十三区の周辺を取り巻く強い交通能力のある道路をつくる必要がある。こういう結論が出ておりまして、この外郭環状線はこの多心型化を達成するためにまた重要な道路でございます。  なお東京に向かってきます外部からの長距離交通の状況を申し上げますと、現在二十三区の周辺から東京に入ります交通は大部分都心に来る交通でございまして、東京を通り抜けて東京に用のない交通はほんの数%でございます。外国の例を申し上げて恐縮でございますが、ニューヨーク、シカゴ等の長距離交通の発達しておる国におきましても、ニューヨーク、シカゴに川のない交通は二〇%から二五%くらい、大部分はやはり大都市に指向する交通でございます。東京の場合は長距離高速道路が発達しておりませんから、ただいま申し上げましたように九十数%以上が都心に向かう交通である、こういうことです。そういう意味におきまして、この外郭環状線が東名高速道路とか、あるいは中央道とか、東京-川越道路とか、高崎道路とか、そういうものと接続するという説明を先ほど申し上げましたが、接続しますのは、これは自動車道路体系から言いまして接続するのであります。将来はもちろん長距離交通も現在よりはふえると思います。ふえましても、アメリカの大都市においてすら先ほど御説明申し上げた程度でございまして、長距離の通り抜ける交通がないとは申しません、将来は若干はふえると存じますけれども、やはり主体は都市内交通でございます。都市内と申し上げましたのは二十三区、郡部という区別でなくて、事実上の東京を構成しておる市街地をさして申し上げておる次第であります。  そういう意味におきまして、この外郭環状線の役割りというものはいろいろな多目的、将来の都市構成を多心化する目的を持っておる、それから周辺区の周辺部に急激に増加しつつある交通需要をまかなうための道路である、あわせて長距離の高速道路体系を形成する道路であるといったいろいろな目的を兼ねておる次第でございます。
  119. 帆足計

    帆足委員 よく了解いたしました。山田局長が十年来御苦労なさったことはよくわかりますし、その御苦労に対しては――私はむしろ都市計画派ですから、山田さんのファンであり、支持者であると言いたいくらいです。しかし私が申し上げましたのは、終戦直後にこれをやっておけばよかった。十年後ならまだ手おくれでなかったけれども、十年後に着手するときはもう十五年前に計画ができていなければならなかった、チャンスを失った。もうこの十年のインフレーション、土地の暴騰というものはたいへんなものでありまして、山田さんの御就任になったときに、もう、おまえ、計画はできておる、実施しろ、こう言われたらどんなにすばらしかったかと、私も深く理解し御同情いたしておる次第でございます。しかし、ただいまの意見を伺いまして大局はわかりましたが、バイパスの通り抜けの部分は二〇%、大部分は外からやってまいります膨大なる交通量を放射線を通じてどうさばくかということにあることは前から承知いたしております。これはシカゴでも、私がいままで訪れましたヨーロッパの大都市でも同じようなことでございますが、それならばもう少しあき地のところへ環状線をつくる、三多摩の諸君と相談いたしまして。そしてその線は樹林で囲みまして交通の安全度もふやしまして、そして街頭とぶつかりますときにはそこにげたばきマンションでもつくりまして不満なくはけ、それから住宅にぶつかるときは森の木陰へ移っていただく。ただいまのようなバイパス及び外から来入しますいろいろな車をさばきますならば、私はあそこへ固執する必要はなかろう。これは後ほど申し上げます。  ちょっとお尋ねいたしますが、時間がありませんからなるべく簡単にお願いいたします。私も今後は簡単に申します。  着手の時期、完成の時期は、順調にいった場合どのくらいにお考えになっておりますか。
  120. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 外郭環状道路のうちで、特に第三京浜とか、あるいは現存建設をやっております東名高速道路あるいは中央高速道路、これらの道路ができました場合に、いま申しましたような機能の一部をこの環状道路に持たせなければならないわけでございます。そこで私どもの立場では、とりあえず第二京浜から中央道路までの区間をなるべく早く仕上げたい、こういうようなつもりで事業計画を立てております。すでにこれは有料道路でやるという考えのもとに予算化を一部いたしております。そういうことで、いま私どもが持っております五カ年計画の中におきまして、おそくとも東名高速通路あるいは中央高速道路ができるまでに、その区間につきまして一部実施をはかりたいというようなことで、この五カ年計画なり四十三年までにその区間について最小限つくりたい、こういう希望を持っておるわけでございます。
  121. 帆足計

    帆足委員 どうも御答弁が不親切ですが、私は、いつ着手して、いつでき上がるかということを聞いておる、南北二つの計画があるのでしょう。どこまでぐらいはいつ着手する、どこまではいつ着手していつごろでき上がるということを、ごく簡単でけっこうですから……。
  122. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 いま申しましたように、第二京浜と中央高速道路の間を四十三年までに仕上げたい、こういう考えでおりまして、予算的には四十年度、四十一年度若干措置されておりますが、しかし、いま先生からお話しのようにこういう計画の決定がされておりませんので、事実上着工はいたしておりません。ただいま申し上げましたのは高速道路でやりたい、こういう考えでございまして、その計画決定がされました区間について、そういう部分だけを先に仕上げたいというつもりでございます。
  123. 帆足計

    帆足委員 あとの北の分はいつ着手して、いつごろ完成するか。
  124. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 他の部分についてはまだ計画は未定でございます。
  125. 帆足計

    帆足委員 それから、先ほどの立体交差を三百カ所近くつくるということは、私は四百カ所でも賛成ですが、これはどういう方式で、いつ着手して、いつごろでき上がる予定でしょうか。これはたいへんいいことだと思うのです。
  126. 山田正男

    ○山田参考人 先ほど私が申し上げましたのは周辺区、おおむね九区でございますが、その中の今回の街路網の改定計画の中にこれを織り込んでいくわけでございまして、ある場所はフライオーバー――橋梁式でございますが、ある場所はオープンカット方式、その地形、地物に応じてきめておりますが、これはまだ計画でございまして、これをどういうふうに実施するかということになりますと、それぞれの交通需要に対処するために、これも新しく改定される予定と聞いております道路整備五カ年計画等の中で順位をつけて事業を実施していきたい、こう考えております。
  127. 帆足計

    帆足委員 このような立体交差こそは、しかも都内の立体交差こそは、山田さんが最も全力を注ぐべき得意の場所であって、こういういま議論のあるようなものが半年や三カ月延びても問題はありませんが、そういうものから先に、すなわち市内の立体交差から先に進めたらどうであろうか。  それからもう一つは、市内は――これはむしろ創価学会の御意見に近いのですが、げたばきマンションに逐次移ったほうがよかろう。そうして道路率をワシントンに近くして、芝化の庭を広くして、各自がかってな木を植えないで、ハギのマンションとかフヨウのマンションとかいうふうにして、四十までは大体市内に住む、四十過ぎてから郊外の緑地帯に住む、こういう方程式がよかろう。そういう哲学なくして、いきなり人の心臓部のところをぐさりと切りさくようなことは、どうしても私は納得できないのでございます。そういう問題を論議するのには首都圏整備委員会はあまりにも弱体または視野狭小ではないか。そういうところから、ずっとこの辺のところに、外から来るバイパス並びに都内進入の各種の車をさばくというならば、おのずからその位置についても、われわれ理解するところがあろうと思うのですが、都内の計画についてはどういう計画を持っておるか。緑地帯をいたずらに指定しておいてこうして破壊する。私は、京都の議員の方もおられるので、京都、奈良の方にはよくかかっていただけると思うのですが、東京の町のいまのあわれなさまはどうでしょう。(岡本委員「いや、京都もあわれでっせ」と呼ぶ)京都ですらあわれというのですから、東京に生まれたふしあわせ、いかなる星のもとに、その星も見えない。そこで、そういうことを先にきめて、首都圏整備委員会にもよく説明して、そうしてずっと類推して終着駅はこの辺のところはこうせねばならぬというならば話がわかるのですが、いまの立体交差もまだ海のものとも山のものともわからぬというのですが、都内の計画についてはいかがですか。
  128. 山田正男

    ○山田参考人 私どもの東京都の街路計画を全面的に改定いたしますのには、将来を誤らないように、先ほども将来の展望が重要であると言ってくださいましたけれども、まさに御指摘のとおりでございます。その将来の展望をしまして、そしてそれに対する幾つかのプロセスも考えながらプランニングをきめるわけであります。そういう意味で全体の二十年後、三十年後を見通した街路計画を立てるわけでございます。そしてその個々の事業、プロジェクトをいつどういう手段で行なうということは、そのつどの需要に応じながら順序をきめていくわけでございます。実はおおむね旧東京市の区域に属する環状六号線の内側の交通問題は、オリンピックを契機といたしまして行ないました幾つかの街路事業によりまして、全面的に改善されたわけであります。最近の交通渋滞の状況を見ておりますと、この交通渋滞はまさに二十三区の周辺部に急激に移っているわけであります。この周辺部の交通渋滞を先に解消する必要がある、こういうことでございます。もちろん旧東京市の区域内にも局部的に交差点の改善を要する個所がございます。そういうところはもちろん現在事業を進めておりますが、それにも増して私どもがいま最も重要な施策と考えておりますのは、周辺部の交通渋滞の解消でございます。そういう意味におきまして外郭環状線の計画周辺部の交通事情に対処する重要なる施策であると考えております。  なお緑地帯を破壊するというお話がございましたが、いわゆる緑地地域という制度は、これは変則的な制度でございまして、順次地域的な区画整理等を行ないまして、これは住居地域を主体とした通常の地域になるべき個所でございます。公園等の個所はこの計画はよけまして、公開に被害のないような道路計画を立案しておる次第でございます。
  129. 帆足計

    帆足委員 いずれ学校の問題、それから緑地帯、風致地区等の問題につきましては、他の議員から、もっと専門的見地から御質問また御要望があろうと思いますけれども、私は重ねて申しますが、都内の都市計画の方法もきまって、立体交差も三百カ所といわれましたから私は胸のわくほど喜びましたところが、いやそれはまだまだこれからのことだ、具体的にどこどこという地図もいただいていない。それで突如として、周辺が先に必要だ。記憶喪失症はときどき何か思い出してぽこぽことやる、やられたほうはかなったもんじゃない。どうしてもこれは総合性と計画性と、そして仕事には段取りというものがありますから、段取りが必要である。私ども卒然として考えますと、もう少しあき地のほうにりっぱな環状線を樹林で囲んでつくる。そうすれば土地の値段は非常に安い。これには税制の問題も関係があります。私は今回はもう時間がありませんからあと二、三分にいたしますが、大蔵省の方に来ていただきましたけれども、私は、自分の住んでいる土地の問題とあいている土地を所有している問題とは、これは区別して考える必要があると思う。そもそも今日、自分の住んでいる土地はカタツムリのからのようなもので、これに相続税をかけたり高率の固定資産税をかけるのは、ちょうど、きさまの肝臓はいつの間にか一グラム十万円になっているぞというようなもので、まことに迷惑千万な話であります。ですから一家族について百坪、子供一人について五十坪とかいうように控除して考えるべきである。あき地については、高速道路というものができて、そこがはなはだしく騰貴した場所につきましては、インフレによる値上がりを除いた純粋の受益者負担につきましては若干の税金はかかるべきであると思います。こういう問題も土地問題として大蔵省に十二分に検討していただきたい。また、教育問題の観点からも検討をしていただく。  最後に、排気ガスとか音響の問題でも、私どもはただいま了解いたしておりません。最近のアメリカの資料によりますると、排気ガスは微粒子を完全燃焼させることはできますし、一酸化炭素をどうやら少なくすることもできますけれども、二酸化炭素の処理は非常にむずかしい。これは郊外に樹林をつくって、その葉緑素で吸引させる、騒音の一部もこの防風林で吸収させる。それならば三多摩地区のもうちょっと向こうのほう――その場所は軽率に指摘すべきではありませんけれども、もう少し向こうに、しっかりしたそういう荷さばき環状線をつくるということは可能ではないか。おくれおくれでやってまいりますと、もうそこの場所も第二の荻窪になってしまいますから、そういうところこそ、いま非常に安いときに早く手を打ってしまう、そのほうが得策ではあるまいか。  わずかな時間に次々のことを申し上げまして恐縮でございますが、これらいろいろな問題があることを伺いましても、首都整備についてのわれわれ国会議員の協力体制、研究体制がおくれておることを、私は建設大臣にみずからの責任としておわびせねばなりません。それはそれといたしまして、問題が数多く残っておる。私どもが目前の利己主義からこれに反対しておるのではなくて、どうも納得いかないので、むしろ整備局長の技術者としての良心をお助けするというような心持ちまで込めて、この問題に対して私どもは早急にきめがたいという思いがしておりますことを御了解願いたいのであります。  他の同僚議員の方がおりますので、私は御質問したいことのまだ半分も質問いたしておりませんが、先ほど建設委員長からお約束がありましたように、ただいま土地収用法を急いでおるから、その審議に差しつかえない時間において理事会の皆さまの御友情と御理解をもってこの委員会は続けるから、どうぞ心ゆくまで、納得いくまで大東京のことを論じてもらいたい。これがよい機会になって災い献じて福となるならば、これほどよいことはない。私は委員長並びに建設委員会理事外位の御理解と御友情に対して深く感謝いたすものでございます。私どもが東京都民として過去において努力の足りなかったことを建設大臣におわびいたしまして、そしてこの環状線の問題を契機として、もう少し認識を深めて、そして山田局長がほんとうに明るい気持ちでお仕事が進められるようにこれを再検討したい。こういう強い、かたい気持ちを、しかも前向き、建設的な気持ちを持ち――これを党利党略に使おうなどという気持ちは全然ありませんことは、与党の小山議員の申されたと同様であります。私の地元におきましては、敬愛する岡崎自民党議員、また重盛議長とも始終相談いたしまして、もう少しこれは何とかせねばならぬというので検討し、勉強いたしておりますから、建設委員会の権威におきまして、建設委員会もまた首都圏整備審議会と並んで、大臣に助言し協力し、また一種の諮問機関としての役割りもあるのですから、したがいましてどうぞ建設委員会意見を御軽視なさることなく、さらにこういう機会をなるべく早く与えていただくことをお願いいたしまして、他の同僚議員の発言に譲りたいと思うのでございます。
  130. 井原岸高

    ○井原委員長代理 長谷川正三君。
  131. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 外郭環状線に関する問題につきまして、すでにだいぶ長時間にわたりまして、小山委員帆足委員から御質疑がございまして、私が御質問申し上げたい点についても相当触れられておりますので、時間も経過いたしておりますし、あと神近中村委員も御質問の御予定がございますそうですから、ごく簡潔に二、三の点について御質問申し上げたいと思うわけです。  前二人の委員の御質問にいろいろ御答弁がありまして、大体事態がどうなっておるかという点についてはわかりましたが、しかし、小山委員の質問に対して、最後に瀬戸山建設大臣が、都市計画法につきまして抜本的な改正の御意向を漏らされた点については胸に落ち、大いに御期待を申し上げますが、それ以外の点につきましては、なお、短い時間だったせいもありましょうが、十分納得をするというわけにいかなかったことを私はたいへん残念に思うわけであります。  この外郭環状線につきましては、この計画住民に伝えられましてからまだ日が浅いのでございますけれども、まさに関係地帯からは燎原の火のごとく反対の気勢が上がった、これはまことに残念なことだと思うわけです。先ほど来、前町委員も指摘されていますように、今日東京都をはじめ大都市におきます交通の麻痺状態というものはきわめて深刻な段階に達しておりまして、ただいま帆足委員から指摘されましたように、長期の展望に立って、しかも緊急に解決を迫られているという事態だと存ずるのであります。そういう意味から申しますならば、この外郭環状線の計画につきましても当然これが事前に十分発表され、住民の納得いく手だてが行なわれておればこういう事態にはならなかったと思うのでありますが、先ほども小山委員のおことばにあったように、住民の皆さんとしては、あるいは地方自治体自体も寝耳に水のような状態でこれを受け取りまして、緊急に、わずかの間に非常な反対の機運というものが上がってきたわけであります。今日、東京の交通状態あるいは住宅状態、この過密状態がこのままでいいと思っている都民は一人もいないのでありまして、もし、これについて真に長期の展望に立って新しいビジョンを持った科学的、合理的な計画が立案され、その一つとしてこの問題が自信を持って各住民に訴えられるということであるならば、おそらく、いろいろ論議はあり、多少の時間はかかりましょうとも、落ちつくべきところへ落ちつくと私は思うのであります。  ところが、今日、連日のように家庭の主婦は、御主人や子供のことに心を引かれながらも、家庭をよそに外をかけずり回り、署名をとって歩いたり、あるいは再三再四にわたって委員会なり審議会が開かれるたびに陳情にかけつけなければならない、あるいは、先ほどもちょっと触れられましたが、建設大臣自体にも非常にお忙しい中を何回か貴重な時間をさいて陳情しなければならない、こういう状態が起こったということは、これはまさに行政の責任ある者といたしまして、あるいは政治そのものを担当するわれわれ議員といたしましてもきわめて重大な責任があるということをまず自覚しなければならないと考える次第であります。もし手だてが今回のように急速に、しかもきわめて非民主的と申しますか、そういう形に受け取られる進行を示さなければ、こういうむだなエネルギーをお互いに生活と真剣に取り組んでいる中で使わされなくてもよかったのではないか。私は、その途中の手だてにおいてはなはだしく官僚的であり、独善的であり、天下り的である、地域住民の激しい反発を買ったということが残念でならないのであります。私は、この計画に非常な無理があり、合理性がなくて、住民を納得させる自信がないためにこれが秘密裏に行なわれたのか、あるいは十分合理性があったにかかわらず、それを十分説得する誠意と努力に欠けておったのか、あるいはまた、もしその内容がよくとも、その進行の手だてにおいて細心の配慮、先ほど来るる皆さんが述べましたように住民の意向をくみ上げる努力というものが欠けておった、こういう点に今回の非常な、後に考えれば不必要だと思われるような紛争すら起こしたのではないか、このように考えるわけであります。  もちろん、今日、東京都をはじめ全国で非常に行き詰まっておる交通事情、住宅事情、都市の事情から見ますと、山田局長がその豊富な経験と自信とから、だれかがどろをかぶっても蛮勇をふるわなければこういう大事業はできない、そういう非常な心意気に燃えてこの問題に真剣に取り組まれているというその心意といいますか姿というものに対しては、私は一面敬意を表し、これを評価するにやぶさかでございません。しかしながら、戦後日本政治の最大の変革は何かというならば、これは私がいまさらここで申し上げるまでもないことでありますけれども、繰り返し繰り返しわれわれはこのことを強調しなければならないと思いますからあえて申し上げますが、憲法が厳粛に宣言しておりますように、主権在民、基本的人権の尊重にあるということをわれわれはあらゆる場合に忘れてはならないと思うのであります。民意が聞かれず、住民の納得が得られなくとも、権力をもって強行すれば足りるというそのことが、結局は国民に奉仕する公務員としての責任を果たすことなんだというようなお考えがもし当事者にあるといたしますならば、私はこの際、このことはいつも最大の眼目として反省をしていただきたいと思うのであります。先ほど瀬戸山建設大臣が述べられた信念も、やはりこの辺をお考えになっての御答弁だったと了解いたしまして、私は今後の御努力に期待をするわけでございます。  私はそういう観点からほんの二、三のことを御質問申し上げたいのでありますが、その第一は、今回のこの外郭環状線の計画をきめるきめ方、さらにそれを今後実施していくにつきまして、どのような法律の根拠とどのような法律の条章に従ってこれを進められているのかという点を、ひとつ明確にしていただきたいのであります。私は、先ほど帆足委員からもお話がありましたが、現在文教委員をいたしておりまして、率直に申し上げまして、建設委員会としましてはしろうとでございまして、たいへん不勉強な点はおわびをしなければなりませんが、ここ二、三日いろいろ調べてみますと、おそらく都市計画法あるいは土地区画整理法、首都圈整備法、土地収用法公共用地の取得に関する特別措置法等の法律がこれらにからみ合っておるように存ずるのでありますが、その法律のどの根拠によってこれが計画され、どの法律の適用によってこれが実施され、その中で住民の意向というものがどのようにくみ上げられる仕組みになっているか、私は法的に明らかにしていただきたいと思うのであります。まず第一にそれをお尋ねいたします。
  132. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 今回の都市計面の決定は、都市計画法第三条の規定に基づいて決定するものでございまして、第三条に、都市計画都市計画審議会の儀を経て主務大臣がこれを決定する、こういうふうに規定されております。事業につきましては、都市計画決定をしたあとでそれぞれの事業を行なうわけでございますが、高速道路として考えておりますので、高速道路を、将来施行者がきまりますと、これは道路法なりあるいは高速道路法なりによってそれを実施に移す、こういうことになります。
  133. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 たいへん大づかみな御答弁だったと思うのですが、都市計画法のうちの三条によるということはわかりますけれども、そうしますと、私がいま申し上げました土地収用法あるいは首都圈整備法、土地区画整備法、公共用地の取得に関する特別措置法、こういうような法律には関連がないということですか。それともそれは都市計画法自体の中にこれらの法律に関連ある条項があるから、それでそれとの関連はあえて触れずにいまのような御答弁になったのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  134. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 私からお答えいたします。  いま都市局長から申し上げたのは、問題になっております街路計画道路計画、それが何の法律に基づいていま審議に付されておるか、こういう観点からお答えいたしたのでありまして、それはまさに都市計画法に基づいていま都市計画委員会にかけられておる、こういうことであります。  それからこの計画がかりに決定いたしますと、この道路はどういう極数の道路でやるか、これは先ほど一部申し上げましたように、高速道路、東名あるいは中央道との間にはさまれております区間をこれでつなぐ意味において高速道路としてやりたい。そういたしますと、高速道路法に基づき、また道路公団法に基づいて道路公団がやるということになるであろうということを道路局長から先ほど御説明いたしました。  そのほか、これは環状でありますから、だいぶ延長長いわけでありますが、その他の道路は、これを国道とするかあるいは都道とするか、こういう問題があとに残ります。それは道路法に基づいていろいろきまりをつけていく、こういう順序になろうかと思います。  そこで、その他の法律のことをおっしゃいましたが、これは執行する場合にどういう手段でやるか、あるいはそれは土地収用法で収用する場合もありましょう、こういう段取りになるかと思います。それから首都圏整備に関する法律、これも全然関係ないとは申しません。これは先ほど首都圏の事務局長からお答えいたしましたように、首都圏における道路その他全体の構想というもののアウトラインをきめますのがそれでありますから、それも全然関係ないとは言いませんけれども、これは別に執行する機関でございませんから直接の関係はないといえばないかもしれぬ、こういう事情でございます。
  135. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 それでは続いてお尋ねをいたしますが、首都圏整備法を見ますと、これはいまの御答弁で、直接は関係ないが、計画を立てるだけで実施はしないのだ、計画の段階では関係があるというふうに受け取れますが、その中にこういう条項がございます。二十二条「首都圏整備計画は、委員会が関係行政機関の長、関係都県及び審議会の意見をきいて決定するものとする。」とありまして、これが一項で、五項までございますが、その三項を見ますと、「委員会は、首都圏整備計画を決定したときは、これを関係行政機関の長及び関係地方公共団体に送付するとともに、委員会規則の定めるところにより公表しなければならない。」「4 前項の規定により公表された事項に関し利害関係を有する者は、公表の日から三十日以内に、委員会規則の定めるところにより委員会意見を申し出ることができる。」「5 前項の規定による申出があったときは、委員会は、その申出を考慮して必要な措置を講じなければならない。」次に二十三条には、首都圏整備計画の変更の問題に触れて「委員会は、その決定した首都圏整備計画が情勢の推移により適当でなくなったとき、その他これを変更することが適当であると認めるときは、関係行政機関の長、関係都県及び審議会の意見をきいてこれを変更することができる。」「2 前条第二項から第五項までの規定は、首部圏整備計画の変更について準用する。」こういう規定がこの法律の中にございますが、この条項は今回のこの問題とはどういう関連がございますか。
  136. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 ただいまの点についてお答え申しますが、ただいまお読みになりましたのは首都圏の整備計画をきめ、またそれをどういうふうにして公表し、またそれを変更するかという点の規定でございます。首都圏の整備計画は、首都圏の基本計画に基づきまして、この二十一条の各項に掲げております宅地あるいは道路鉄道、公園、水道その他の諸項目につきまして事項ごとに、また地域別に計画を定めておるわけでございますが、その際には関係の行政機関あるいは公共団体意見を聞く、または首都圏整備審議会の意見を聞いて定めるように、こういうことになって、それについての変更の手続を定めておるわけでございます。  この件とただいま論議されております外郭環状道路の関係について申し上げますが、外郭環状線についての首都圏の整備計画は、この二十一条の三項の二号に該当する規定によってつくられておるわけでございまして、首都圏における重要連絡幹線道路整備計画というものができておるわけでございます。ごく概括的に、重要な幹線道路網の一環として、環状幹線の中の路線として外郭環状線、こういうことが規定されました。それが全般のほかの道路網とあわせまして整備計画がつくられる。そしてこれにつきましても、過去二度ばかり改定されて現在に至っておるわけでございますが、そういうことになってただいまきめられておるわけでございます。  ところがただいま論議されております問題は、こういう概括的な計画に関する問題ではなくて、各経過地路線の具体的な、どういうところを通り、どういう幅の道路をつくられるか、都市計画の決定の問題に立っておるわけでございます。したがいまして、こういう概括的な規定については、先ほどお読みになったとおりのことできめられる。また修正されるわけでございますが、そういう基本的な内容の変更等は、いまのところ考えておりませんし、またこれについて、そういうことのきめられるときの問題でございますが、ただいまの段階でこういう規定が発動されなければならない状態にあるとは考えていないということでございます。
  137. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 首都圏整備委員会の御見解はわかりました。しかしこの条章は、先ほど瀬戸山大臣がおっしゃったお気持ちをややあらわしたような、一つの手だてのように私は読み取ったわけなんです。そうしますと、今回の外郭環状線につきましては、これは都市計面法一本でいくということになるんだろうと思うのですが、その際にやはりこのような条章がなくとも、こういう精神が当然生かされるべきじゃないかと思いますけれども、これについての大臣あるいは局長の御見解を承りたいと思います。
  138. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 その点については、先ほど都市計画法の改正をしたいという私の考え方の中で申し上げました。都市計画法は古くできた、旧憲法時代の法律でありますから、必ずしも近来つくられる法律とスタイルは同じではございません。そういう意味において、そういう規定はございません。ありませんが、しかし意見を聞くことは別に禁止するわけでもないし、好ましいことでありますから、先ほど東京都の山田局長もお答えいたしましたように、この件については直接地元の利害関係者が代表者でありますから、御意見を承りたい、こういうことであります。
  139. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 いまの大臣の御見解でございますので、これは最終的にも申し上げたいと思いますが、ぜひ今回の計画による決定につきまして、十分今後の問題として慎重な御配慮をわずらわしたいと思うわけです。  そこでもう一つお伺いしたいのは、先ほど小山委員の質問にお答えになった山田局長のおことばに、私たいへん気になる点がございました。それは、何しろ非常に、長い距離にわたる道路計画だから、とても一々住民の意向などは聞いていられない、こういう意味の御発言があったと思うのです。これは確かにそこの住民のすべて一人一人を呼んで、その意向を聞くなんというばかなことを考える者はだれもおらないわけであります。しかし、そんな長い区間だから聞かないということで、即オール聞かないということにつながるような御意向で、冒頭申し上げたような今日の日本の政治の根本の精神から、お仕事に熱心のあまりはずれていっているんじゃないか、こういう印象を深くいたしておるのでありますが、その点に関しまして、問題の土地収用法においても第一条におきまして、「この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。」特に「私有財産との調整」ということを強くうたっておると思うのでございます。したがって先ほど来外委員からもるる御質問があったわけでありますけれども、特に今回の地帯、外郭環状線のいま原案で示されたところの地帯を見ますと、いろいろな意味で風致地区の問題もございました。あるいは学校その他文教施設がそこに非常に多いという問題もございました。同時にここは住宅指定地域として、多くの勤労者が粒々辛苦して、一生働いて、ようやくできたお金でその土地を買い、そこにやっと家を建てて生涯の夢といいますか、幸福の最後をここで享受しよう、こういう気持ちでそこに住みついたという方、都心から、あるいは逆に農村部から、それぞれこの地帯を非常にいい地帯として求めて出てきた方々が非常に多いわけであります。そういう基本的な権利というものの保障がどうなるかは別といたしまして、この道路がもしこのまま行なわれるということになれば、奪われるという実態が出てくることは必至でございます。これに対しまして、なお国家的な見地、大きな都市計画の国民的なビジョン、そういうものの中から納得をしていただいて、またこれから十分な補償措置があってこそこれは問題が落ちつくと思うのであります。あるいはまた、さらに重要なことは、はたしてこういうところにやることが、その犠牲と公共性とをてんびんにかけた場合に、なお犠牲をしているだけの科学的根拠があるかどうか。こういう点も問題だと思うのでございます。  したがって私は、第一に、この公共の福祉と私有財産の擁護という問題の調整について、この地帯に原案をおきめになるについて、どう判断をされ、それについてまたどういう手だてをとって住民の納得を得られようとお考えになったかをまず御質問申し上げます。
  140. 山田正男

    ○山田参考人 先ほど私が、道路の延長がたいへん、長いから云々ということを申し上げましたのは、小山委員の御質問は、計画を立案する段階において、利害関係者の意見を聞きながら計画を作成する気はないか、こういう御発言でありました。今回は二十三区の周辺、旧区に及ぶ膨大な街路網、網の目の計画でございます。そういうことを計画立案段階において、利害関係者の意見を聞きながらやろうとしますと、なかなか現存の日本の社会状態のもとでは、計画案は作成できないんだという意味のことを申し上げたわけであります。今回特に問題になっております西部の外郭環状線に関連するような問題は、これは格別何千キロという問題ではございませんし、住民の方々からも強い要請がございます。したがって先ほども御説明申し上げましたように、積極的に私どものほうから特別区長なり市長、町長のほうに連絡しまして、適当な代表者を定めて発言をしなさい、審議会として十分にその発言は聞く意思がある、こういう態度をとったわけでございます。決して計画原案を作成後において、これを審議する段階において、住民意見を聞く気がないなどということは考えていないわけです。意見は十分聞く用意はございます。ただ、その意見に沿い得るかどうかということは、これは審議会が判断することでございます。  それから、この案を作成する際に公共性と私有財産の調整をどんなふうに考えたか、こういうお話でございますが、この沿道には風致地区あるいは文教施設、住宅専用地区等ございます。そういう地域的な問題を――これは都市計画道路でございますから、都市計画全般という立場から調和のある姿で道路計画を立案した場合にはどうなるかという検討をいろいろした結果がこの原案でございまして、都市計画の個々の施設の調和という意味では私どもは十分その調和をはかるように努力をしたつもりであります。問題は、土地収用法にいうところの私有財産との調和の問題をいま御発言ございましたが、これは事業執行段階のことを土地収用法規定しておるわけです。これは計画段階の問題ではないと思います。
  141. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 計画段階の問題ではないしかし計画がきまれば執行に移るわけですから、先行したそういう問題も配慮のうちに入れて計画を立てられるのが当然ではないか、そういう意味でお開きをしたのでございます。
  142. 山田正男

    ○山田参考人 計画立案の段階に事業の執行のしかたについても考慮すべきであるという御発言でございますが、もちろんその事業の執行をする際にはどういう措置をとるべきであるかということは、これは一般的にはもちろん考慮いたしております。先ほども御指摘がございましたが、私どものほうにいろいろ陳情なり要請なりをされている方々の中には、たとえば、最近ようやくこの地域に住宅を建てたばかりだ、生活が破壊されるといわれるようなまことに切実な御要請もございます。また、私は道路にかかるのだけれども、積極的にこの土地は提供するからすみやかにきめてやれという激励の投書をいただく方もございます。それぞれの方々、御事情が違いますから、私どもはこういう事業を実施いたします際には、これは一般的なことでございますが、特に代替地をあっせんする要のある方は代替地をごあっせんする。あるいは公営住宅を提供する必要のある方には公営住宅の提供をする。あらゆる正当な補償方法を講じて極力こういう事業は円満に進めたい、これは一般的な問題でございますが、そういうことはもう常識として、前提として実は考えておるものですから、特に外郭環状線において特別にということはないわけでございます。
  143. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 山田局長のお考えの中に、計画原案を立てるまではやたらに利害関係者の意見も聞かない、有力者によって左右されたりゆがめられた計画になってもいけない、そういう御配慮があることはわかりますし、それはそれなりに一つの態度です。しかし、いずれにせよ、直接利害のある住民の意向というものを十分にくみ上げ、その要求を聞き、その納得を待てやるということは当然だと思うのです。その立場から申しますならば、私はやはり二つの方法があると思うのです。  一つは、立案過程においてできるだけ広く意見を聴取し、そういう空気を醸成し、そうして多くの英知がそこに集まって、やはりこの辺が一番よろしいということが納得されるようにして、原案を固めるという方法はちゃんとあり得ると思う。日本の社会実情がどうだこうだとおっしゃいます。それもわからないわけではありません。しかしそのときこそ、やはり行政当局はき然とした態度の中で自信を持って民主的に事を進められればよろしいと思う。あるいは百歩譲って局長の言われるように、原案をまとめる段階では、その衝にある専門的な責任の場にある者が、責任を持って立案して原案をつくる、そういうやり方をやった場合は、今度審議の段階において十分時間をかけ、住民の意向をくみ上げる。そのいずれかをとらなければ民主主義は貫徹しないと思う。そういう意味におきまして、今回は幸か不幸か局長のお考えによって原案の作成段階では、一応当事者の責任においてこれを行なう。しからばこの審議については、形式的に一回か二回、その住民代表が限られた時間発言をしたら、もうこれでその意向はくんだんだ、あとは形式的に、これは協議会だから議長が統裁して多数決できめるのかどうかよくわかりませんが、そこで議決すれば、それで一切民主的手続は済んだんだということであれば、これはあるいは形の上では一応民主主義を通したということになるかもしれませんが、それで決して住民各位が、民主的に自分たちの意向は十分に反映をされた――結果は要求したことがそのとりになるならないの問題ではないと思う。やはりそういう胸に落つるところにいくかどうか。これはやはりこの間の審議を十分にやらなければならぬ。今回の場合はまさに後者でございますから、審議については、先ほど瀬戸山建設大臣は、今日の東京なり日本の実情から見れば、一刻も早く急ぎたい。しかしさればといって、機械的にここ数日できめるというような態度はとらぬという御発言もございましたが、聞くところによりますと、六月三日にはもうきめるんだというようなことも流布されまして、一そう地域住民はいら立っているというのが実情であります。したがいまして、そのようなことがないように十分審議を尽くすということについて明確な御言明をひとついただきたいと思います。
  144. 山田正男

    ○山田参考人 今回の問題の都市計画審議会の審議のしかた、運営のしかたでございますが、先ほども私申し上げましたように、審議会の議長が審議会にはかりまして、審議会の多数の意見に従いながら運営をしておるわけであります。その多数の意見に従って関係者の発言を許し、発言を聞いたわけであります。その後、もうこの程度で発言は十分聞いた、こういうような多数の意見がございましたから、その後は非公開で審議を進めてきておる、こういうことでございます。万事審議会の委員の多数の意見に従って議長は――これは議長の定めることでございますが、審議会の多数の意見に従って審議会を運営していくと思います。  いずれにいたしましても、住民意見を聞かないで審議をするという態度ではございませんから、その点だけは了承されたいと思います。
  145. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 先ほども同様の御答弁がありましたが、いまの御答弁は幾ぶんそれよりも住民の意向について尊重しようとするお考えが少し濃くなっているようには伺ったのですけれども、形式的に民主的な手続をしたんだという御答弁を私は要求しているのではないのであります。あくまでも実質的に住民がある程度納得のいくような総合的ないろいろな説明、あるいはこの原案がきまったから、これだけに固執するということでない、幅を持った検討が自由に審議会の中でなされるような方向と申しますか、そのことが一番いい結論にいく、遠いようで急がば回れということばもありますが、それが私は近道だと思うのです。そういう点について、あなたは議長でないから、議長のような口ぶりの答弁はできないでしょう。しかし有力な審議委員ですから、審議委員として努力いたしたいという、こういう御言明をいただきたいと思います。
  146. 山田正男

    ○山田参考人 お答え申し上げますが、審議会の中でこの原案を審議いたしますのは、住民の意向をまず聞いておきまして、そうしてあとは審議会の委員として、審議会の中で専門的な立場で審議を進めていくというやり方でございます。審議会そのものは住民を説得する役割りを持った組織ではないわけでございます。むしろ住民に対して説得する役割りを果たしますのは、私どもであり、事業執行者であるわけです。審議会の審議を続行しておる過程におきましても、あるいはまた審議会が何らかの結論を出した後におきましても、事業実施段階までにはまだ時間が相当ありますから、そういう全区間を通じまして、私ども行政当局が住民に対していろいろ説得をし説明をしたい、極力御理解を得るように努力をいたしたいと考えております。
  147. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 これは大臣に御要望申し上げておきたいのですが、これは大臣が最終的には御決定をなさることでありますけれども、都の審議会が審議しておるのに干渉がましいというか、そういうことは避けるという御態度も一面あろうかと思いますが、しかし最終の責任のある大臣として、これまた形式を申すのではなくて、実質的に慎重審議されるような御指導をぜひいただきますように、強く要望申し上げます。  なお、もう一つだけ伺っておきますが、この外郭環状線の計画にあたりまして、おそらくいま原案としてきまったもののほかに、幾つかの案が私は考えられたと思う。それらは一体どういう案があったのか。そしてそれぞれの得失はどうなのか。これは詳しく御説明を願うということは短い時間では困難だと思いますが、でき得れば、これについても、今後十分に幅を広げた審議ができる意味からも、ひとつその経過につきましてこの際お聞かせをいただきたい。
  148. 山田正男

    ○山田参考人 この原案を作成いたします過程におきまして、いろいろな案があったのでありまして、それについて利害得失を説明しろというお話でございます。そこで、時間に限度がございますから、概要を申し上げますと、一つの案は、環状七号線に近い方面、こういう方面に一つの案があったわけでございます。と申しますのは、環状七号線、西部は特定の交差点を除きましてほとんど開通いたしておりますが、道路ができたとたんに交通壁はごらんのとおりでございます。あの個所でこれをさらに増強するという趣旨の案になります。ところが、交通の発生状況を見てみますと、その発生状況は、環状七号のところに特に強く発生するのではなくて、その外側には道路がございませんから、環状に抜く交通量がやむを得ず環状七号まできて出入りする、こういう実情でございます。同様のことは、実は環状七線が開通していなかった時代には、そういう交通は環状六号線まで入って、放射線を通って外に出ていった。それがいま環状七号線に移った、そういうことでありまして、本来ならもっと外にほしい、こういうことでございまして、第一案は適当でない。  第二案としましては、環状八号線を強化する案でございますが、これは実は環状八号線は、すでに部分的に事業を進めておるところでございまして、これをそのまま強化いたしますと、一度買収したところをさらに拡幅して再度買収することになりまして、これは事業の実施の手法としてきわめて拙劣である。特にまた交通需要の配分からいきましても、実は発生地点というのはもう一つその外側にある、こういうことでございまして、この第二案も経過地は適当でない、こう判断をいたしたわけでございます。  そこで、この図面をごらん願いますと、環状八号線の外側には、既定の計画では、この黒で示しましたように、郡部のほうにも環状線がすでに将来を見越して計画されております。その環状線と環状八号線の間に相当な空間がございます。やはりここの間に道路が足りないのだ、こういうのが結論でございます。したがいまして、この中のどこかに入れる必要がある、こういうことでございます。  それから、先ほどもう少し外へ出したらどうだというような御発言がどなたかからございましたが、ここの外にきまっております環状線のその二本の間にこれをはさむことの可否につきましても検討いたしました。残念ながら、それは交通需要の発生地点と食い違っておりますし、また、すでにきまっておる街路計画を相当乱すことになりまして、これも適当でない。やはりこの環状八号線の外側の、すでにきまっております環状線の間に新しい環状線を貫く必要がある、こういう結論になったわけであります。  その中の通り方につきましても、この中には星の数のごとく教育施設がございます。そういう教育施設、あるいは公園もございます。風致地区もございます。ただいま示しております図面の赤く点々になって星のごとく散らばっておりますのは、学校、幼稚園等の施設でございます。これをよけながら、また、緑で表示されておりますのは公園でございますが、この公園の環境も極力乱さないように道路をつくるにはどうしたらいいか。また、すでにある程度、きわめて不満足の状態でございますが、市街地を形成しておるところがございます。そういう市街地の形成をなるべく乱さないように通るにはどうしたらいいかというような見地から路線を選定するわけでございます。現在の原案はそういういろいろな検討を経た結果原案が作成された、こういうことでございます。
  149. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 原案に固まっていった経過はわかりましたが、その最終案についてはなお幾つかの案といいますか、ついては二つくらいの案があったのじゃないですか。
  150. 山田正男

    ○山田参考人 最終案につきましては、これはただの一つでございまして、ほかの案はございません。
  151. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 最終案は一つでしょうけれども、そうではなくて、つまり八環よりも外で、かつ、予定されておるさらに外の、二本の環状線予定との間ですね。つまり、現在の原案、この間を通る案にも、なおいましかれている線だけではなかったのじゃないですかと承っているわけです。
  152. 山田正男

    ○山田参考人 もちろんこの赤で示します、原案のルートにつきましても、これを右に振る、左に振る、いろいろ検討いたしたのでございます。
  153. 長谷川正三

    ○長谷川(正)委員 時間がございませんので、この辺で私は質問を終わりまして、次の質問者にバトンを譲りたいと思いますが、いろいろ御苦心のあとはわかりますけれども、どうもいままでの御説明では、あの線がはたして最良の案なのかどうかについても、まだ真に胸に落ちるところまでいかないわけであります。これは住民の方々にすればなおさらそうではないかと思うのです。したがいまして、すでに原案としてこれは示されてしまったわけでありますけれども、この審議の過程では、なお先ほど再三繰り返しましたけれども、経過において出た案も含めてひとつ十分考慮に置いて慎重な審議を切望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  154. 井原岸高

    ○井原委員長代理 神近市子君。
  155. 神近市子

    神近委員 私は、もう三人の方々が十分に御質問になりましたから、ごく部分的な問題に限ってお尋ねしたいと思います。  第一に、大臣に、ずいぶんお忙しいところを長い間われわれにおつき合いくださって、ありがとうございます。お礼を先に申し上げます。  それで、私が御質問することには、建設関係というよりも文化的な関係のものが含まれております。きょうの新聞によりますと、三井寺、それから青蓮院の重要文化財がたいへん散らかってしまっているということで、古都保存法によっていろいろ御調査があるということなんですけれども、昔の江戸というようなものはある意味で古都なんです。そして古都のシンボルのようになっていた芝公園だとか、あるいは上野公園だとか、あるいは向島というようなものはもうなくなってしまいましたけれども、いま気がつけばずいぶん惜しいものがたくさん、死滅してしまっているというような状態のところに、いまの外郭環状線の問題が出てきて、そして初めて東京都の人たちは古都というような意味をいまわかりかけているんじゃないかと思うんです。  問題は、外郭環状線が近くを通るところの石神井公園というものがあるのです。大臣は、南方のほうの御選出ですからあるいは御存じないかもしれないと思うのですけれども、ここには天然記念物だとか重要文化財とかが非常にたくさんあるのです。私も実はこれを見てびっくりしたのですけれども、非常に古い王朝時代からのものがある。それから原始民族の生活した、たて穴というようなものがある。私も初耳でしたから、大臣もきっと御存じなかったろうと思うのですけれども、そんなものが公園の中に含まれているのです。いろいろありますけれども、大体に天然記念物が三つあります。それから都が史跡として指定して管理しているものが四つ、そのほか史跡が五つ、こういうように、そんなに広い範囲ではないんですけれども、かなり多くを含んでいる。道も確かに日本の最近の状態でいろいろ大事でありますけれども、芝公園みたいに一ぺんあれをこわしてしまったら永久に取り返すことはできない。そう言っちゃ悪いけれども、道なんかどこへでも持っていけますよ。そして今日の交通を何らかの形で緩和しなければならない。私はそのことについてもいろいろ案は持っておりますから、今度は法務委員で問題を取り上げるつもりでおりますけれども、この日本の民族の残しておいたところの文化財というものをひとつぜひ残していただきたいということが、私の大臣に対するきょうのお願いでございます。道路も大事でございますけれども、われわれの歴史につながるところの古跡、そしてこれは公園というような意味も含まれております。これをひとつぜひ保存するということに大臣のお気持ちを向けていただきたい。これが私が一番先にお願いしてみることでございます。ただ単純に天然記念物がなんでございますというようなことを言ってもおわかりにならないと思いますけれども、非常に珍しいものがあるのでございます。天然記物の一つには大きなケヤキがあります。それからもう一つは、尾瀬沼よりほかにはないというところのタヌキモ、ミツガシワ、こういう水草がありまして、そのほかにセミが六種類。あすこだけにしかいないんだそうです。そうしてもう一つの記念物は、木の群落、原始林が残っておるのです。その三つが保存されるようにという規定が出ておるのです。また都の文化財あるいは単純な文化財、重要な文化財もあるようでありますが、これはここには出ておりませんが、とにかくたくさんかかえておる。私は、そういう意味で、民族が残しておいたところの文化財というものをぜひひとつ残していただくようにお願いしたいのですが、それに対する大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  156. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおりに、文化財あるいはいにしえから保存されておるもの、こういうものはできるだけ保存したいと思っておりますし、保存すべきであると思います。  それと違いますけれども、緑地あるいは公園のお話がありましたが、残念ながら東京あたりでは従来あった公園もつぶされていくという実情でございます。そういう意味で私どもは公園とか緑地とかいうものをできるだけ造成していきたい、あるいはあるものを保存していきたい。特に文化財とか珍しいものとか、昔からとうとばれておったものとか、そういうものはやはりできるだけ保存して残したい、こういう気持ちであります。  ただ、お考え願いたいのは、やはり狭い領土の中で、その当時からしますと数倍以上にもなっておる人口の母体をいまつくっておるわけでありますから、どうしてもそういうものにさわらないで数倍にのぼった人口を動かすわけにはまいらない。動かすばかりではなくて、その活動の舞台を広げておるわけでありますから、背あったものを全部そのままにしておけと言ったら、日本の発展はないと思います。また改革が行なわれない。その調和をどうするかというところに苦心があるわけであります。でありますからその苦心の際に、いまおっしゃったような考えと申しますか、それを強く持っていきたい、かように考えておるわけであります。  先ほどお話しになりました石神井公園の問題も、原案をつくります際には非常な苦労をして、先ほど図面を示しましたが、どこへ行っても何やかやあるわけでありますから、その中にこれほどの大きな道路をつくるということは、なみなみならぬ苦心の要るところであります。あの史跡公園にはできるだけさわりたくないということで避けておりますが、やむを得ず一部だけかかるところが多少はある。そのくらいの苦心をしておるということをひとつ御理解願いたいと思います。
  157. 神近市子

    神近委員 大臣のお気持ちはよくわかります。あそこには日曜日になりますと何百人という遊びにくる人たちがおる。この遊覧とそれから文化的な意味、そういうものを兼ね備えておるので、これは相当大事にしておいていただいてもよいのじゃないかと私ども考えるのです。問題はこれからいろいろございますけれども、ともかくこの文化財、天然記念物、そういうものを残すということには大臣は御賛成とおっしゃるのですね。そうですね。
  158. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 もちろんそのように考えております。
  159. 神近市子

    神近委員 前の方々の御質問でいろいろ伺いましたけれども、この環状線ができるまでに私も新聞でちょっと読んだように思ったのでありますが、飛行機でお回りになって、そしてごらんになったということがあったのですか。
  160. 山田正男

    ○山田参考人 私ども、道路計画を立てますときには、空から見るというよりも実際に職員が現地を踏査しまして、この通り方が適当かいなか、そういう手段を講じております。飛行機からということは、私は特に記憶はございません。
  161. 神近市子

    神近委員 私は、これは投書で初めて思い出したのですけれども、昔新聞で、何年前になるか知りませんが、ともかく飛行機を使うとか使ったとかということはあったと思うのです。そのときの原図があったか、あるいは飛行機を使うくらい熱心に住民の状態をお調べになったのかだろうと思うのですけれども、今日、これはあなた方都の方は御存じでしょうけれども、大臣は御存じないと思う、石神井のある練馬の地区というものは一年に三万人から三万五千人くらいの人がどんどん入っていくところなのです。ですから、古い調査を基本になさっては、私どもこれはいただけない。新しく現実に、いまどういうところを、どういう人が、道路があってどういうところがあるかということをやはりお考えになければならないのじゃないかと思いますけれども、それは最近の数字なりあるいは最近の住民の状態なりをお調べになりましたか。
  162. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 その投書というのはいつのことか知りませんけれども、もし飛行機とかいうことでありますれば、あるいは私自身が昨年でありましたかことしになりますか、二回首都圏地域を飛行機とヘリコプターで見ております。といいますのは、どういうふうに変化を来たしておるのか、どういうふうに住宅が建っておるのか、どういうふうに山林原野というものが荒らされておるか、それを見るために二回全地域を見ております。あるいはそれをこの道路関係ともし誤解されておりますれば、この道路との関係ではございません。もちろんいまお話しのように、旧東京都あるいはその周辺、首都圏の各県の事情というものはつぶさに調査をしてやっておるということは、ぜひ御了承願いたいと思います。
  163. 神近市子

    神近委員 いま山田局長は学識経験者を出す、いま名簿が出てきましたけれども、その中に、学識経験者といったってこういう人たちかなと私考えたのですけれども、不動産会社の人が二人も入っているじゃありませんか。三井地所と三菱不動産、今日一番悪声の高い不動産屋さんを、道路をつくるためにどうしてその審議会にお入れになったのか。これはお避けになるべきだと思うのですが……。大体学識経験者――練馬の地区には動物学者だの植物学者だのたくさん住んでいらっしゃる。そういうような人を避けて、不動産屋だとか汽船会社の社長さんだとか、何か変な人たちを連れてきた。それは一体どういうことでこういう人選をなさったのですか。
  164. 山田正男

    ○山田参考人 どうもお手元に届いております資料を私存じませんが、都市計画審議会の委員の名簿ではなくて首部圏整備委員会の名簿だそうでございます。それは都市計画審議会とは関係ございません。
  165. 神近市子

    神近委員 これは何度もさきに話が出ましたけれども、今度の発表はみなびっくりしたのです。五月十日くらいに私どもは初めて耳にして、それから困るという運動が起こって、今日一万人くらいの署名が集まっております。さっきいろいろおっしゃったようではありますけれども、どういうわけでこれを隠密になさったのかどうか、もう一ぺんはっきりおっしゃってみてください。
  166. 山田正男

    ○山田参考人 隠密にという御発言でございましたが、隠密にという御発言が私は適当とはいただかないわけで、先ほど来いろいろ御発言がございましたように、原案を作成する過程において住民の御意見を聞いたらどうだという御発言もございました。それから、私どもはそういうやり方ではなくて、原案を作成した後、原案を決定した後に審議段階においてなら伺いましょう、こういう態度をとっておりますが、私の三十年に及びます都市計画の経験によりますと、たいへん不幸なことでございますけれども、住民の納得を得てきめた計画というのはただ一つ。ほかの計画については一つ住民は納得してくれないわけでありますこれは日本の将来のためにたいへん不幸なことだと思います。たった一つだけという例があります。これは住民の方々が全部で原案をこういうふうに修正しようじゃないかという御発言がございまして、住民の方々が全部納得して修正される案が道路の効川上支障がないなら私どもは変更する用意がある、こういうことで変更しまして、現に杉並にできております俗称大場通りという道路でございます。これはそういう形で計画を変更してできております。そうでない場合は、どうも脚納得をいただけないのが通例でございまして、そういう意味で、原案を作成する段階においては、いろいろな政治力によって曲がったとかいろいろ御批判を受ける場合が多々ございますが、そういうことのないように、これはやはり都市計画審議会の中の学識経験者だけの意見を聞きながら原案を作成しよう、こういう考え方でございます。
  167. 神近市子

    神近委員 この問題が五月十日くらいに私どもの耳に入ったときには住民が何も知らないのです。そして共産党の何といいましたか区政メモというのが相当広くまかれて、それでみながびっくりして立ち上がったということで、十五日にはもう千五百人くらいの人が集まって、この石神井公園を何とか助けたいということになっておるのでございます。その過程で山田局長のお名前がちょっと出るのです。  それであなたは、この問題がまだ秘密になっておるときに、練馬の区会議員の加藤弥平次、それから櫻井米蔵、この人たち二人と、それから須田区長と四人で話し合いをしましたか。これは昨年の八月ごろに内示はあったということです。
  168. 山田正男

    ○山田参考人 さような記憶はございません。
  169. 神近市子

    神近委員 おかしいですね。五月五日に二百人ばかり集まって、この区会議員にこの問題の説明を聞いております。これは共産党が聞きつけてその区政メモに出したんじゃないかと思います。それから五月の七日に議長が来て、またその人たちに会った、場所は私は学校だろうと思います。それから五月の九日に区長さんが来ましたときにそれをちゃんと言っているのですよ。あなたとこの二人の区会議員とが、内密だったかどうか知りませんが、会ったということ、それからいろいろお気の毒に疑惑を持たれているということにつながるのですけれど、これは区長がはっきり言ったということをたくさんの人が聞いていますから、区長が言い誤りでなかったら、あなたの名前は出ております。  このことが問題になりますのは、いま問題にしている石神井公園のところに地図で見ますとぴったりつけてあるのですよ。これが八十メートルぐらい離れている。ところがこの先はさっきの二人の区会議員の持っている地所なんです。だからあなたが変なことで疑われて、わいろでももらったんじゃないかということになっているのですよ。それをあなたははっきりなさると同時に、地所はあるのですよ。この八十メートルでは、いま大臣は、文化財は大事にやって、緑地も大事にしてやろうとおっしゃった、その文化財がほんとうに危機に瀕するのです。だから地元の問題は、この公園の保護と、それから学校がゼロメートル地帯に十幾つかあるでしょう。このゼロメートルのところをそれが通るというので、もう少し離してもらえないかということが、地元の一万人の――いま署名が国会に持ってこられると思いますけれども、それだけの人たちを動かしている。これは何も不動産屋的にこっちへしたほうが値上がりがいいから、こっちのほうが値下がりが多いということじゃないですよ。この署名をしている人たちは――わりに知識人がこのごろは練馬というところにはたくさん住んでいらっしゃる、その人たちが中心になっているように私は見ているのですけれども、悪意ではないのです。道路をこっちへ向けてもうけようとかあるいは自分の土地を値上がりさせようとかいうのでなくて、子供たちのため、あるいは東京都全体のために、あの公園ぐらいは生かしておいてもいいじゃないかというのがみんなの切望なんです。この地図を見てごらんなさい。私なるほどなと思った。天然記念物に指定された三宝寺池にぴったりついているじゃありませんか。これはほんとうは八十メートル離れているそうですけれども、地図で見ればぴったりついております。こっちのほうにも善福寺池があります。少なくともこの区間だけをひとつ考え直して、もう少しこれをずらすことができないか。ここには団地もすぐそばにあります。団地の人も大騒ぎしております。そういうことであなたがなくてもいいようなどろをかぶせられておるというようなことは、住民の不満がそういうふうに反撃してきていることをお考えになって、この区会議員の二人の土地を提供させてもう少し外側を回るように考えてくださったらどうだろう。私はこのことについてあなたからはっきりしたお返事を承りたいと思います。
  170. 山田正男

    ○山田参考人 どうも幸か不幸かさような区会議員を私は存じませんし、区長とこういう外郭環状線の案について相談をした覚えがございません。  先ほど来私どもが原案作成段階においては外部の人の見解を聞かないと申し上げておりますのは、ただいま御発言のありましたような、そういうあらぬ疑いを受けるのが不愉快でございますから聞きたくても聞かないわけであります。そういうことは絶対にございません。  なお、石神井公園等の問題でございますが、私どもは都市計画を業としておるわけでございまして、道路をつくるばかりが芸ではないのであります。公園の造成も都市計画の重要な仕事でございます。現に石神井公園も営々としまして、まだ公園の拡張事業をやっておるところであります。決して公園をつぶそうなどとは考えていないわけであります。  そこで、先ほど若干この外郭環状線が公園の敷地にかかっておると申しましたのは、これは計画公園の部分、計画の区域にかかっておるわけであります。現状公園の区域には全然かかっておりません。三宝寺池からは百数十メートル距離を離して通過するようにいたしておるわけであります。そういうことでございまして、石神井公園の周辺には民間の運動場等もございますけれども、そういうものには万事敬意を表しまして両立、調和、こういうことをはかって原案を作成した次第でございます。
  171. 神近市子

    神近委員 これは私もう一ぺん確かめてみます。ともかく地元では加藤弥平次とそれから櫻井米蔵、こういう人たちと区長とあなたが――区長が話したのですからね、二百人くらいの人の前で報告したのです。そうしたところが、四人だけだと思っていたら、加藤源蔵も知っていた、それから大村仁道といって、これはもとの都会議員です。加藤源蔵はいまの都会議員ですか、ともかくそのボスのような人たちは知っていたのに一般の人はだれも知らなかった。それであなたがこの二人に内容を聞いたか、あるいは参考にお呼びになったかということが問題になって、彼らの土地が、あの石神井公園のちょっと外側に地主ですからたくさん持っておる。そこをあなたによけさせたのではないかということがうわさにのぼっているのです。私は気の毒に思いますので申し上げたので、何もあなたをいじめるために申し上げたのではなくて、あの外側だったら話し合いによっては取れる土地がありはしないかと思うから申し上げたのです。そういう意味で、悪くとらないでいただきたいと思うのです。だけれども、あなたが会ったこともない人のことがこうやってちゃんと日にちまできまって区長の口から出るということは、私、何とも納得ができない。それは二百人くらいの人が聞いているのですから、私がここで捏造して申し上げているのではないですよ。  それでいま学識経験者というようなことをおっしゃったのですけれども、あなたはここでどうしてそんなことをおっしゃるのですか。学識経験者は一人しかいないのに、学識経験者の御意見を聞きまして、そんなことをおっしゃるからああやってやられるのですよ。こういう場合にあまりかたくなっておしまいになるからとんでもないことをおっしゃるのだと思う。あそこの植物学者でこの石神井の中の水草類あるいは樹木の類――森林がある、自然林があるということを申しましたね、そういうことをよく研究していらっしゃる方がいるのです。これはそこの居住者で加藤昆虫研究所、それからセミ類の博物館というようなものをつくって土地のことをいろいろ勉強していらっしゃる理学博士がいらっしゃる。この人なら私は学識経験者と言うことができると思うのですけれど、いかがですか。現地の人から少し意見をお聞きになって公平におやりになるということさえ信頼ができれば、この区の人たちも納得するのじゃないかと思うのですけれど、いかがですか。
  172. 山田正男

    ○山田参考人 最初に御礼を申し上げますけれども、本日初めて御注意をいただきましてありがとうございました。  さような区議会議員とか、そういうものは全然会ったこともありません。私は職掌柄いろいろなあやしげな新聞に中傷されることは星の数ほどございます。あまり気にはしていないわけでございます。しかし、私はかたくな云々というお話もございましたが、事実を事実のまま申し上げておるわけでございます。道路計画をつくる際に、区長、区議会議員等の意見を聞いたこともありませんし、相談ということは全然ございません。  それから都市計画審議会の委員の構成の問題でございますが、私が学識経験者と申し上げましたのは都市計画に関する学識を持っておる人をさしたことでございます。ただいま御発言の、植物学者の意見を聞いたらどうだというお話でございますが、たとえば、石神井公園をいかにして造成し、いかにして保護し、維持管理するかというような際には、ただいまいい博士がおるというお話でございます。そういう方々の御意見を聞きまして、石神井公園の維持管理をつとめることにやぶさかでございません。ただ、遺憾ながらこの都市計画を審議する場とはいささか場が違います。今回の学識経験者と申し上げましたのは、都市計画について学識を持っておる方々、こういう意味に御了承を願いたいと思います。
  173. 神近市子

    神近委員 ともかくこれを見れば石神井公園のほうにくっついているんですよ。何でこれを離さないかということで、この外郭には、土地はさっき言ったような区会議員や何かが持っておるから、それでひとつぜひへこんだところをすなおにまるくしたほうが、土地があるんですからいい。こっちの側はわりに住宅にも学校にも関係がない。私どもの希望としては、もっと外側にまだあき地のたくさんあるところに行ってもらいたいというのがみんなの願いですけれど、あなたのお話を聞けばなかなかそう新しく考えるというわけにはいかないというふうにおっしゃるように考えますから、あとまた、交通の問題だとかあるいは学校の問題だとかいうことで御質問申し上げる機会があると思いますけれど、ともかく時間がさっきからずいぶん長くたちましてあとの方にも悪いと思いますから、との点あなたが疑惑を持たれているということをよくお考えになって、公平に、変ななにを持たないで、私がこういうようなことを言ったということ、あるいはこういうことのうわさが流れているということにおこらないで、ひとつ善処していただきたいと思います。  これで終わります。
  174. 井原岸高

    ○井原委員長代理 中村高一君。
  175. 中村高一

    中村(高)委員 だいぶ時間が過ぎましたから、十分間ばかり、二、三質問をいたしたいと思うのであります。  先ほど来から説明を聞いておりましたが、局長はもちろんでありますけれども、大臣も大体この線でいきたいという腹のようでありますし、また、できるだけ早くきめたいということも本音のようであります。これは計画をしておられるのでありますからさもあろうと存じますが、どうしてもあの赤い地点でなければならないという説明については、どうも納得するような説明を得られないのであります。どうもあの地図も、あれは多少事実に反しておるようであります。ちょうどまん中があいているところを赤いのがまん中を通っているような地図でありますけれども、ほんとうは、あの八環と外環との間は、一番近いところで一キロぐらいしかないし、遠いところで三キロぐらいしかないから、あまり幅があり過ぎます。あの地図は作為的にかかれたわけかどうか知らぬが、そうでもないでしょう。おそらく説明しやすいからああいうふうにしたのでありましょうが、ほんとうはもっと接近しておるのです。  そこで、地元の者などのいろいろな意見は、まだ八環は始まったばかりで、いま局長の説明によっても着手し始めたというのでありますけれども、買収を始めたくらいでしょう。あの上に乗せることがどうしてできないか。いま答弁を聞くと、もう着手したところを何か途中で変更するのは拙劣でありますとかなんとかいうのでありますが、たぶんていさいが悪いということもあるだろうと思いますが、役人のていさいなどは悪くたって平気です。大臣なども、ていさいが悪くたって、これだけ多くの人に迷惑をかけておいて自分のていさいなど考える必要は一つもないし、いまにして、まだ八環が買収にかかっていますかな、やっているところはあるかもしれないが、それに乗せられないということはないじゃないですか。ことに多少買い増しをするという場合もあるかもしれませんけれども、新しい土地をこれから買収にかかるということと比べると、これはもう手数はずっと簡単ですよ。もうあそこは八環がきて、おれは立ちのかなければならぬという覚悟をしておりますから、ついでにあと二軒か三軒どうでしょうかということと、まだできたばかりの新築の家、できたばかりだといって大騒ぎしているところを買収するのと、一体その難易はいかがでありますか。やってやれないことはありませんよ。八環をいま変更した、国会でもだいぶ議論が出たし、地元でも反対するから、ていさいは悪いけれどもやめた、それくらいのことはいいじゃないですか。山田局長がていさいが悪くなったっていいから、やってやれないことはないと私は思う。  もう一つ、あの八の次の九、十ですか、ちょっと局長見てもらいたいが、いまやったあの二つですね。あれは構想ですか、計画ですか。ああいう線を引いたところを見ると、あれがやはり一つ計画に入っておるだろうと思う。そうすればあの計画の上に乗せるということも、あの指でいま示されたところを、ちょっと曲がっておるけれども、あんなところはぶっ切ってまっすぐにすることも困難ではないのだから、あの上に乗せる。もう一つ、端のほうにも乗せるということが必ずしも至難なわざではないとわれわれには考えられる。ですから、もうあそこに計画されたものだけでも三本ある。その上にあのまん中があいておるから、あそこがちょうどいいからといってやるほどの根拠が一体あるかどうか。中に入るということができれば、これはもちろんけっこうであります。あの外の青い線の上に乗るということによって経済効率が著しく阻害されるというようなことであるかどうか、それほどにはわれわれには考えられないのです。あの赤い線と青いのとの間の距離が何キロあるか知りませんけれども、自動車で飛ばして歩いたとするならば、あのくらいのカーブを回ったってほとんど十分か二十分しか違わない。大げさに困難だ困難だというほどの根拠はない。この三つを構想して、これの上に乗せるということをなぜ考えられないのか。どうしても、大ぜいのこれだけの反対を押し切って、恨まれて、そうしてたいした経済的効率もないということを決行しなければならぬほどの根拠があるかどうか、局長にひとつお尋ねしたい。
  176. 山田正男

    ○山田参考人 最初に、なぜ環状八号線を高架にして、ここに高速道路を通さないかという御指摘でございます。  先ほどあちらの交通需要の配分、あそこに赤い線でかいてございますが、この配分の御説明を申し上げました際にも申したのでございますが、環状七号線、八号線だけではこの周辺部の交通を処理する能力がないわけです。そして環状八号線の上に自動車専用道路を重ねただけでも処理能力が足りないわけです。したがってどうしてももう一本環状線をつくらなければならない、こういうことでございます。その際に、どうしても環状線をつくらなければならないとすれば、一番交通需要の発生地点につくるのが常識でございます。その発生地点は環状八号とその外側の武蔵野、三鷹地域にきめられておる環状線の間にあるのだ、こういう御説明をしたわけでございます。ただ問題は、環状八号線をここですでに事業を進めております。ただいま指でさしております区間は、すでに用地買収をしまして工事をいたしておる区間でございます。また羽田飛行場に近いほうでも若干事業をいたしております。それから練馬の一部につきましても事業を実施いたしておりますが、そういうものをていさいが悪いから変えないというような御発言もございましたが、そういう意味でなくて、そこを広げて、そこへ高速道路を乗せるのも一つの方法でございます。方法ではございますが、そうしましてもやはりその外に環状線が要るわけでございます。その環状線が高速道路を乗せない通常の平面の幹線街路になるだけのことでございます。  なお、全体の都市内の自動車専用道路計画を将来の展望をしながら練っておりますが、一番右に図面に黒い線で示してございますのは、これは環状六号線の内側の交通を処理するための自動車道路計画、いわゆる首都高速道路計画でございまして、すでに三十数キロ開通しておるものでございます。しかしこの全体の交通処理をするためには、この九本の放射の足を出しておりますが、この放射線をさらに二十三区の外側周辺のほうに延長しなければならないということ、それから二十三区の周辺に環状の高速道路を追加する必要があるということ、それだけでは足りなくて環状六号線と環状七号線の間に、これは中間環状線と称しておりますが、もう一本環状の周速道路を追加する必要がある。こうすれば、将来の二十年、三十年後の東京の交通需要に対処し得る、こういう目標でただいまこれも高速道路調査特別委員会の中でいろいろ検討をしておるわけであります。そこでこういう環状の高速道路の配置から申しまして環状七号、八号、これは連続的立体交差の道路にする、そしてこれをはさんでさらに強力な自動車専用道路を内側と外側に設ける、こういうことが全体の交通処理から見て適当であろう、こういう判断をいたしたわけであります。そこでさらに外側に黒い線でかいてある環状の計画線を持っておりますが、これらはいずれも三十八年と記憶しておりますけれども、すでに都市計画として決定してある路線でございます。この決定線に基づきまして建築制限をいたしております。そこで、これをさらに変更いたしまして、それへ乗せることの可否でございますが、もしそれをそちらに持っていきましてその上に高速道路を乗せる、こういうことになりますと、この図面で黒い線でかいてありますのは、これは幹線だけでございます。その間に、遠方からはごらんになりにくいかと存じますが、この図面に出ておりますように補助線が網の目のごとくこまかい道路がきめられておるわけでございます。そこへこれを持っていくためにはその網の目のような、これは主として調布、狛江の部分ですが、これを全部改定しなければいけない。これまたたいへんな紛争を巻き起こすことでございます。そういうことと、交通の発生源というものは、その外側ではなくて、環八とこの道路との中間地帯にあるのだ、こういう二つの理由によりまして、遺憾ながらその外に持っていくことは適当でない。なおまた、外へ持っていきますと、放射線の高速道路をそこまで延長しなければいけないわけでございます。工事費もよけいかかってくる、こういうようなこともあるわけでございます。
  177. 中村高一

    中村(高)委員 外の二つの線というようなのに乗せることの困難性は、下のほうに網の目のようにこまかいのがあって、これがむずかしいとかなんとかいうような説明でありますけれども、それほど大きな困難な理由にはちょっととれないのでありますけれども、まだ、これは検討を要することでありますから、十分にこれは検討をして考える余地のある点だと思うのです。われわれが考えれば、ああいうものの上に乗せることによって新しいものをつくって住民を脅かすよりは、かりに困難があったとしても、その困難は十分の一か二十分の一で足りるのだと考えておるのであります。  それからもう一つ。いまの局長の説明では、あの辺が現在交通が最も混雑しておるというのでありますけれども、この道路ができるのは五年先かあるいは十年先になるだろうと思う。そうすると交通事情は変わってくるのではないですか。現在あそこが非常に混雑しておるからというて、完成をしたときに、あそこが最大かどうかということは、あなたそんなことを保証できますか。いま郊外に工場もあるいは住宅もどんどん発展してきて、そうしてこれからあれが完成したときには、いまのところが一番であるかどうか、それはそんなことは言えませんよ、あなたが幾ら専門家であっても。それくらいのことは私は見通しがつかないはずはないと思う。ことに御承知のように、この二十三区は工場の制限地帯になっておって、もうこれ以上工場の建設は許さない。政府もしょっちゅう言っているじゃないですか。学校や官庁は筑波山に持っていけとか、富士山のすそ野に持っていって、そうして部内を疎開するのだ。そうやって現在東京都内の昼間人口は減っておるわけですね。そういうような都市の非常な変貌というものを考えれば、いま混雑しておるからというて将来必ずしも混雑するかどうかというようなことはわからぬと思う。工場も最近都内の工場が三多摩地方にどんどんきております。驚くべき大工場がどんどんつくられて移動してきておるのです。これは私は当然だろうと思うのです。もう都内では拡張の余地がないし、第一勤労者が都内にいない、ほとんど郊外に住んでいるのですから。私はこれから五年、十年の間には都市の非常な変動があると思う。そういうことも考えないで目先のことだけでいまやってしまう、決行するということがいいことかどうか、これもひとつ考えてもらいたい。  それからもう一つは、いま中央線が複々線の工事をしておりますけれども、これとの関連をどういうふうにお考えになっておるのかお聞きしたい。御承知のように中央線が複々線工事で高架になってきます。今度の計画でいきますと、高架の上にまた高架になる。まるで空中サーカスみたいな道路を一体つくらなければならぬのかどうか。ところがあの中央線でも荻窪とか三鷹辺にくると高架線が下がるのですね。そういう下がったところへこの外郭線を持っていけば、まるで空中を高速道の自動車がすっ飛ぶというようなものを見ずに、荻窪あるいは三鷹周辺であれば、あるいはそれから先とか、いろいろなそういうことも当然考えられなければならぬと思うのでありますけれども、高架線も相当高い。あの上にまたこれができるというのでありますから、ずいぶんあの付近は高いと思うのでありますが、住宅地の目の前を、まるで三十メートル、四十メートルの空をこのトラックや自動車がぶっ飛ばすというようなことは、一体都市構造の上において、そういう構想がいいのかどうか、お考えをお聞きしたい。
  178. 山田正男

    ○山田参考人 将来の交通需要の推定及び配分の問題でございますが、本日は実は図面を持参いたしませんでしたけれども、東京都内を幾つかの地域に分割いたしまして、その各地域からどういう交通が発生し、各地域へどういう交通がくるかというOD調査、起終点の調査をいたしております。その起終点調査を、あれは三年に一回くらいずつやっておりますが、そういう起終点調査を行ない、それの推移を基礎にしまして、また先ほど御指摘のございました工場等制限法の関連等、将来の都市発展の可能性の動向を推察いたしまして、将来の交通需要を推定し、またその配分を行なっておるわけでございます。そういう配分を基礎にいたしませんと、将来のこの都市の展望もできませんし、将来を展望した街路計画も立案はできないわけであります。その推定のしかたが間違っておる、こういう御指摘を受けますならば、それは間違ったしかたのもとに計画を立てることは適当でないことはお説のとおりでございます。そういう意味で、数年来かけまして、将来の交通需要をどう推定するか、どう配分するかということに力を注いできたわけであります。私どもはそれは間違っていないという基礎のもとに計画を立案いたしておるわけでございます。  そこで将来は都心部の夜間人口はなくなってしまうのではないかというような御発言もございましたが、そういう都市構造は適当ではございませんから、都心部、下町方面は市街地再開発を推進いたしまして、夜間人口を定着させる、そういうことによって通勤通学による交通の移動を少しでも少なくしよう、こういうのが私どもの考え方でございます。もっとも区部の周辺三十キロ、五十キロ圏のほうはもちろん積極的な計画的な開発を進める必要があることは当然でございます。  そこでこの位置を、中央線との関連もあるから三鷹より先にすれば中央線が平面であるから立体交差が楽になるという御発言もございましたけれども、(中村(高)委員「荻窪付近もね」と呼ぶ)荻窪付近に、中になってきますと、まさに環状八号ときわめて接触する場所でございます。さらに密集地域になってくるわけでございます。全体の二十三区の中のこの街路網につきましても、黒く示してございますのは、これは幹線の網を示しただけでございます。その中にまた網の目のごとくこまかい補助幹線道路計画があるわけであります。そういうものとの関連も考えて配置する必要があるわけでございます。  鉄道高架線の上を高速道路がまたいでおります例は、首都高速道路においてすでに京浜東北線の上をまたいでおりますし、あるいは代々木でも高架線の上をまたいでおるわけであります、特にむずかしい二重とは私は考えておりません。ただまあ周辺の住居環境、生活環境ということを考えながら構造物を設計する必要があることは、御発言のとおりでございます。そういう見おろされる問題、騒音の問題等につきましては、特に留意をした設計をいたしたいと考えております。
  179. 中村高一

    中村(高)委員 時間がまいりましてお約束でありますからもうおしまいにいたしますが、先ほど大臣のこの計画決定について早いのはいいけれども、少しくらいを急ぐわけではないというあのことばでありますが、どうかまあ地元の関係者もいま非常に興奮して憂慮しておる状況でありますから、時をかして、その間にできるだけ住民の希望というものを審議会に反映をさせていただくというようなそういう機会をつくって、急いではならないということを、ひとつ希望を申し上げまして、慎重に審議を続けていただきたい、そして最善の案をつくるように努力してもらいたいということを申し上げまして、終わりにいたします。
  180. 帆足計

    帆足委員 資料をお願いしたいのですが、私どもは将来の展望、それから総合性、それから最も犠牲少なく最も能率的効率的並びに予算措置等を考えねばなりませんので、まず文部省関係はこの次にお願いするとしまして、学校はどういう関係になっておるのか。  それから運輸省関係もありましょうが、排気ガスについての、もう時代の進歩があると聞いておりますが、排気ガスの進歩、装置の費用、それから排気ガスを排除する命令がどういうふうに出し得るか。また排気ガスの現状等についての資料。  それから立体交差三百点。まことに心強いのでありますが、それは一体夢物語なのか、どことどこになさるのか、その計画、予算、いつから始めるのかという具体的なポイントをかいた地図の資料。  それから八環道路をいま中村さんの案のように応急措置の、都内を便利にするために、一部しかできておりませんがどうなっておるのか。それから上に、大環状線ほどのことはできませんけれども、若干の措置ができはしないか。  それから最初A、B、C、D、という案がありました。そのCないしC’案はややわれわれに興味のある案でありますが、そういう政府が御研究なさった幾つかの選択案。それから第十、第十一のところでまた道路ができる、それの入った地図。私どもとしては、外のほうの大環状線のほうは荷さばきの場所ですから、十年の先、それから三多摩のほうの大工場計画を考えて、大環状線が必要であると思っております。外から入ったものをさばく場所でありますから。したがいまして、第九、第十、第十一その他には非常に興味を持つ次第であります。  それから最後に、住宅の入った郊外地図でなければ、夢物語でありますから、われわれはまだあき地のところをねらわなければならぬ。  それから交通量の現在及び将来の予想についての統計、右に関する予算措置はどういう手順になっておるか。  それから大蔵省はこういう問題についてどういう租税措置を現在行ない、さらに準備しておるか。  最後に、学識経験者といいますけれども、東京都市計画審議会委員を見ますと、これは官庁連絡会議であり、また法律家の連絡会議でありまして、学識もなければ、経験は多少ございましょうけれども、学殖豊かな人物はほぼ見当たりません。したがいましてこれも一度検討したいと思いますので、委員名簿をお出し願いたい。  こういうふうに、これが災い転じて福となる機会にもなりますから、こういう資料をいただきまして、東京都出身の都議会議員も国会議員も前向きの姿勢で検討いたしたいと思います。十分な資料、統計、材料をいただかないでおまえはどう思うか、こう言われましても俳句のではあるまいし、お答えしようも御批評しようもないのであります。ただ当たったところは痛い痛いと泣き叫ぶ。しかしこれを大局的見地から、大東京を愛するという建設委員の皆さまの御友情と御理解に訴えまして、そうして先ほど委員長のお約束のように、理事会におはかり願いまして、今度の土地収用法の御審議におじゃまにならぬ時間を縫いまして、ひとつ審議の機会を与えていただきたい。それにはまずこの資料をいただきたい。委員会の前にあらかじめいただいておきますればさらに好都合でございますし、おくれましたものは次回の委員会にいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  181. 山田正男

    ○山田参考人 ただいま御要求の資料、関係部局相談いたしまして、でき得るものはもちろん準備いたしますが、いま御指定のままですと、たいへん膨大なる資料でありまして、若干のお時間をいただく必要がございます。  なお、最後にちょっとこれは私、念のためにお願いを申し上げたいと存じます。  都市計画審議会の内部にいます学識経験委員が、さも学識経験を所有していないような御発言がございましたけれども、これは私ども本日の審議経過を都市計画審議会に伝えようと思っておりますから、そういう御発言だけはぜひお取り消しを願いたい。
  182. 帆足計

    帆足委員 まことに失礼なお話で、経験は大いに認める。しかし学殖者ではない。博士は何人おるかわかりませんが、天文学、生物学、現代の排気に関する科学的学者その他の学君が集まっておるようにはちょっと思えません。全部官庁、役所です。彼らが学識経験者ならば、日本は大部分が学識経験者です。ですから率直にこれは官庁連絡会議であると、一国会議員が申しておった、しかし学識経験者というのには、ちょっと日本の慣用語と異なるとおっしゃっていただいてけっこうでございます。
  183. 井原岸高

    ○井原委員長代理 参考人の方々には、御多忙中にもかかわりませず、長時間にわたりまして御出席をわずらわしましたこと、ありがとうございました。お礼を申し上げます。  次会は来たる三日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時三分散会