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1966-05-25 第51回国会 衆議院 建設委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十五日(水曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 小金 義照君 理事 服部 安司君    理事 廣瀬 正雄君 理事 岡本 隆一君    理事 川村 継義君 理事 下平 正一君       逢澤  寛君    岩動 道行君      稻村左近四郎君    小川 平二君       大野  明君    佐藤 孝行君       丹羽喬四郎君    福永 一臣君       堀川 恭平君    松澤 雄藏君       湊  徹郎君    森山 欽司君       山本 幸雄君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       田口 誠治君    楯 兼次郎君       山本 幸一君    山下 榮二君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         大蔵政務次官  藤井 勝志君         建 設 技 官         (河川局長)  古賀雷四郎君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         議     員 江崎 真澄君         議     員 増田甲子七君         議     員 山本 幸一君         議     員 春日 一幸君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     水野  岑君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 五月十七日  委員松澤雄藏辞任につき、その補欠として岩  動道行君が議長指名委員に選任された。 同月十八日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として玉  置一徳君が議長指名委員に選任された。 同日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として稲  富稜人君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員大倉三郎君、木部佳昭君、佐野憲治君、三  木喜夫君及び山中日露史辞任につき、その補  欠として大野明君、松澤雄藏君、楯兼次郎君、  田口誠治君及び山本幸一君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員大野明君、松澤雄藏君、田口誠治君、楯兼  次郎君及び山本幸一辞任につき、その補欠と  して大倉三郎君、木部佳昭君、三木喜夫君、佐  野憲治君及び山中日露史君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 五月十八日  流通業務市街地整備に関する法律案内閣提  出第一五五号)(予) 同月十六日  東九州縦貫及び南九州横断自動車道建設に関す  る請願池田清志紹介)(第四四九一号)  有楽町駅前整備事業に関する請願外十件(中村  高一君紹介)(第四六一五号)  幹線高速道主要地域自転車専用道路建設に  関する請願受田新吉紹介)(第四六二五  号)  土地収用における完全補償に関する請願(坪川  信三君紹介)(第四六六八号)  戦傷病者公営住宅割当等に関する請願藤井  勝志君紹介)(第四六六九号) 同月二十日  自転車専用道路法の制定に関する請願宇野宗  佑君紹介)(第四七五二号)  同(臼井莊一君紹介)(第四七五三号)  同外一件(遠藤三郎紹介)(第四七五四号)  同(中村幸八君紹介)(第四七五五号)  同外三件(西村直己紹介)(第四七五六号)  同(水田三喜男紹介)(第四七五七号)  同(山村新治郎君紹介)(第四七五八号)  同外二件(神田博紹介)(第四八二四号)  同(小泉純也君紹介)(第四八二五号)  同外一件(始関伊平紹介)(第四八二六号)  同外一件(藤田義光紹介)(第四八二七号)  同(藤本孝雄紹介)(第四八二八号)  同(岩動道行紹介)(第四八九五号)  南九州横断自動車道建設に関する請願池田清  志君紹介)(第四八四二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中部圏開発整備法案増田甲子七君外八十五名  提出衆法第四三号)  住宅建設計画法案内閣提出第一一〇号)  河川に関する件      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  中部圏開発整備法案議題とし、審査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本委員 首都圏整備法さらに近畿圏整備法がある中で、最近急速な発展を遂げつつある中部圏開発整備計画がないということを遺憾に思っておったのでありますが、このたび中部圏開発整備計画法案として出てまいりましてまことにけっこうだと思うのであります。ただ私は近畿圏整備法の成立に相当関心を持っておりました関係から、近畿圏整備法との関連について少しお尋ねをいたしたいと思うのであります。  第一に、滋賀県は地勢の上からもまた現実経済的な面からも京阪神に密接につながっております。ところが今度中部圏の中に滋賀県が取り入れられておるのであります。私はこれは少し奇異な感じを抱かざるを得ないという気持ちを持ちますので、なぜ滋賀県を中部圏の中に取り入れたのか、まずその点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 増田甲子七

    増田議員 お答えを申し上げます。  実は私がまずお答えいたしますのは、岡本君も御承知のとおり三党共同提案でございまするから、三党それぞれ連帯責任を持って御答弁申し上げるという、こういう前提でまずもって私が御答弁申し上げます。  滋賀県が入っておるのは、あなたのおっしゃるとおり近畿圏整備法の中に滋賀県が入っております。また、今回われわれが共同して提案いたしました中部圏開発整備法の中にも滋賀県を全体として取り入れておりまして、重複しておるという観がございまするが、私どもはこの重複というところへむしろ意義を置いておるのでございます。重要なる意義がある、こういうふうに思っておるのでございます。と申しますのは、中部圏開発整備法は名前のとおり開発もいたし整備もいたす。近畿圏のほうは整備だけでございまして、俗なことばで言えばうろぬきというだけでございます。こちらは過密都市をうろぬいたり、それから滋賀県の相当部分には開発を要する部分がございます。中部一体となったりまた近畿圏一体となったり、そこは両方の性格がございまするから、やはりどうしても重複するほうが有意義である、こういう感じでございます。開発整備法であるということに恩義があるということで、岡本委員においてもぜひ御賛成をお願いいたしたいと思います。なお足りない点は、三党共同提案でございまするから、それぞれの党が責任を持ってお答えをいたします。
  5. 岡本隆一

    岡本委員 少し提案者増田さん、近畿圏整備法を誤解しておられるのじゃないかと思うのでございますが、近畿圏整備法でも、やはり既成都市整備地域とそれから都市開発地域というものを指定することになっておるのであります。したがって滋賀県はそういう意味においては近畿圏におけるところの後進地域として、一部は琵琶湖という非常に雄大な景観を持っておりますので、これは保全地域になっている。同時にまた滋賀県の一部にも開発地域が指定されております。そこで近畿圏整備法が出発いたしましてすでに二年になりまして、近畿圏整備計画というものがすでに形の上ではプランが立っておるのであります。ところがこれからその中部圏開発整備計画を樹立される、こういうことになるのでございますが、しからば近畿圏整備本部でもって立てたところの近畿圏整備計画というものをどこまでも尊重をして中部圏開発計画をお立てになるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  6. 増田甲子七

    増田議員 近畿圏はすでに発足されておりまして、過去二カ年間にわたって相当計画ができておることは私も承知いたしております。そこで、中部圏開発整備法ごらんになればわかりまするが、ごらんのとおり、重複いたしておることに意義はございまするが、相互間隔がないように、そごをしないように、内閣総理大臣においてこれを調整いたしまして、そうして御期待にこたえる、こういうことでございます。ことに琵琶湖を経路といたします中部縦断運河等計画もございまして、これはいまのところ名古屋−敦賀を琵琶湖を経て結ぶという案でございます。この案もございまするし、また、先ほど申したことばにこだわるわけじゃございませんけれども、整備法の中にも開発があることは承知いたしておりまするが、開発整備とを総合的に行なうという意味におきまして、法律の命題にも開発整備というわけで書いてございまして、開発整備両方とも力を入れる、こういうような見地から、両方の、開発計画整備計画が、そご間隔がないように、政府をしてつとめしめるつもりでございます。
  7. 岡本隆一

    岡本委員 そこで一番問題になるのは琵琶湖の水の取り扱いであると思います。私は、近畿圏整備法というのができた大きなねらいの一つは、琵琶湖水資源近畿の水として産業経済並びに都市発展のために利用していきたい、こういう考え方が大きなものだと思う。琵琶湖は、近畿の中の観光地琵琶湖という考え方、同時にまた水資源としての考え方、この二つの考え方で、いわば近畿圏琵琶湖というものは近畿圏の中におけるところの一つの大きなかなめのような位置を占めておるわけです。そこで、この近畿の、いわば生命の源泉といわれる琵琶湖の水を、中部圏はどのように理解しておられますか。中部圏は御承知のように山岳地帯を多く持っておりまして、水資源の非常に豊富なところでございます。したがって幾らでも開発していけば水はつくれる。しかしながら、近畿圏は、御承知のように、そういう水資源というものは琵琶湖以外にはきわめて乏しいのであります。したがって、この琵琶湖の水について、将来中部圏近畿圏の間でお互いに水争い紛争を起こすようなことがあってはならないと思うのです。したがって、琵琶湖の水というものを非常に大きな問題として近畿圏整備法が樹立されておるのに、あとから中部圏が割り込んできて、滋賀県を確保——いやこれは両方のなにだ、やはり両方で話し合った上だというふうなことを、将来そういう問題として起こされると困る。そこはやはり中部圏は、そういう点については、なるほど岐阜県と滋賀県とは隣合わせでございますから、いろいろな経済開発計画に含めておいたほうが便利だという意味滋賀県をその中に入れられたことはわかりますが、しかしながら、近畿圏生命となっているものを、中部圏のほうから、将来、問題の紛争の種を起こされると困るから、私は念のために申し上げるのであります。  もう一つ、いま増田さんから御説明のありました横断運河の問題であります。私はこれも重要な問題であると思うのです。なるほど、日本海太平洋とをつなぐという意味においては、あるいは重要な意義を持つかもしれません。しかしながら琵琶湖の水の水資源保全ということになると、横断運河というものはたいへん大きな問題を将来起こしてくると思うのです。これはやはり、日本海太平洋のほうへ琵琶湖の水を流さなければ運河はつくれない。だから、そういう意味においては、琵琶湖の水の保全、ことに渇水期横断運河のための水をさくというふうなことになってまいりますと、これは近畿にとっては重大な問題でありまして、単に運輸とか交通の問題にとどまらない重大な問題でありますから、近畿圏としては、この横断運河の問題に対しては無関心でおれないのであります。したがって、そういう点について、明確な近畿圏の承認なしにはそういうふうな計画は樹立しない、同時にまた、琵琶湖水資源としてこれは尊重する、こういうふうなお約束がない限りは私はこの整備法賛成するわけにいかない、その点をひとつ明確に御答弁願いたい。
  8. 山本幸一

    山本幸一議員 どうもこれは増田さんからえらいことを言われて、私が答弁しなければならぬということはまことに恐縮ですが、先ほど増田さんから、近畿圏中部圏おのおの開発整備関連について御説明がございましたので、その点私はもう触れる必要はないと思います。問題は、岡本さん御心配の点は全く私は重要な問題だと思います。御指摘のとおりに、近畿圏におきましては、やはり水不足の重要なポイントが琵琶湖であることは私ども存じております。したがって、この保全のためにトラブルを起こしたりあるいは紛争を起こしたりすることは断じて避けなければいけない。あくまでも近畿圏の従来の方針を尊重するというたてまえを貫いていきたいと思います。  なお、第二の横断運河の問題で、あるいは近畿圏側がたいへんな心配の趣があると思います。これらも中部開発整備協議会だけでやるものではないと思います。御指摘のとおりに、両協議会十分——水はやはり人間の生命関係する重要な問題でありますから、単に道路とか港湾とかいうだけでないと思います。なおそこに大きなウエートを置かなければならぬと思いますので、したがって十分あなた方のほうの地域と協議いたしましてスムーズにやっていきたい、こういうつもりでおりますから、御了承願います。
  9. 田村元

    田村委員長 これは非常に重要な問題でございますから、各党の御意見を承っておいたほうがいいと思います。  春日一幸君。
  10. 春日一幸

    春日議員 ただいま自民党、社会党から、十分理を尽くされての御答弁があったと思います。もとよりわが党も全く同感でございまして、その趣旨について、今後、法の運営に万全を期していただくよう努力してまいりたいと思います。
  11. 田村元

  12. 江崎真澄

    江崎議員 もうすでに三党の代表的立場からの答弁で万事が尽きていると思います。御指摘のように、滋賀県と中部の間というのは、ちょうど名古屋のインターチェンジから名神高速道路琵琶湖の見える滋賀県の県境までわずかに三十分、これはまさに高速道路による交通革命だと思います。そういうことが、まあ近畿圏にも入り、中部圏にも入ることになる有力な現実であります。したがって、山木議員も御説明のように、近畿圏側の御意向は十分尊重しながら、中部圏としては両々相まって対処していきたいと存じます。ことに滋賀県は開発が比較的おくれた地域でありますから、両方からこれを開発整備するといったような形で話し合ってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしく御了承願います。
  13. 松澤雄藏

    松澤委員 関連。ちょっと一言だけ政府に基本的な面でお聞きしておきたいのです。それは、どうも議員立法というためにかどうかわかりませんけれども、議員各位熱意を込めてつくり上げた法案に対しまして、政府側が実行に際しては、大臣各位はともあれ、事務当局等においては必ずしも熱意が見出せない。私は東北出身ですが、昭和三十二年に東北開発法の基本法的なものができました。ところがその後の経過約十年、十年間見てきましたが、基本法的なものはできましたけれども、これに準じた、これといった具体法的なものはちっとも具現されてこない。その結果、今日東北地方等においては、あの東北開発基本法的なものは一体どうなったのだ、審議会等においても、したがってちっとも熱意が入ってこない。昨今においては、これがために、政府側においては、審議会等をめんどくさいから統合してしまえ、そんなものは、要らないじゃないかというふうな意見すらもあるということを聞いております。内閣のほうには、審議会統合的な面における整理法案というものが出てきておる。こういうふうな面を見てみると、必ずしもこういうふうな法案ができたあと政府が非常に熱意を持って——日本の行政なり立法措置が少しく他の国々と違っておるような点もあるのですが、本来であれば、立法府が、おのおの議員各位が知恵を持ち寄ってつくり上げたものであるならば、政府責任を持ってこれに従ってやっていかなければならぬものであろうと思うのであります。しかるにもかかわらず、昨今におけるこの状態を見ますと、もちろん日本全体、ほとんどもう各地区、各地方ともにいまのような開発法等が出ておりますから、あるいは統合といったような面がでてくるかもしれませんが、こういうふうなものの考え方というものは、政府が根本的に変えてもらわなければ、こういうふうな法案ができ上がっても、ただ単に地元民に期待を持たせるだけであって、裏切るという結果になりはしないかという心配が私にあるのであります。そうでございますから、政府側を代表する意味において、総務長官、せっかくの御出席ですから、政府の御意見をまず聞かしてもらいたい。
  14. 安井謙

    安井国務大臣 松津さんのお尋ねでございますが、政府は国権の最高機関である国会でおきめいただきましたことについては、これは忠実に実行するつもりでございます。  なお、各種のこういった開発審議機関等統合するというふうな話が進んでおるのじゃなかろうかという御質問でございますが、これは全体の能率をよくするためにはどういうふうなことがいいかというようなものに対する検討は常に行なっておりますけれども、いまこの段階で、こういうものを統合するというような案をつくってこれを進めていこうというふうなことは現在考えておりません。
  15. 松澤雄藏

    松澤委員 そうしますと、いまのお話からいたしますと、現在内閣に出ておる審議会等整理に関する法案というものは、いまの御答弁によりますと、各地区とも必要なためにできた結果的なもの、しかもこれはほとんどが議員各位がつくられた法案として生まれてきたもの、それが統合というようなことはあり得ないと思いますが、もう一度、今回出ているものは統合になるかどうか、はっきりお答えを願いたいと思います。
  16. 安井謙

    安井国務大臣 あれはむしろ統合と申しますより、従来もうすでに使命を果たして存在の意義がなくなったからこれは廃止をしようというふうなものを整理したものはやっております。現在使っておるものを改めて新しい機構統合するといったような形のものではございません。
  17. 松澤雄藏

    松澤委員 いまの話だと、まだはっきりしませんけれども、それに時間をとりましては申しわけありませんからやめますが、せっかくいま新しくできるものさえあるのに、みなを統合してしまうとするならば——国土開発法というのが別にあります。国土全体のものが別にある。それならば新たにつくらぬでもいいという結果になってしまうのでございます。でございますから、いまの点を総務長官のほうでよく御記憶願って、政府のほうでも御処置を願うようにしていただきたいと思います。幸いにして、私もいま内閣委員会理事をさせていただいておりますから、いまの御趣旨に沿うて、もしもそういうことがあったならば向こうで考えさせていただきたいと思います。  もう一つだけ聞かしてもらいたいと思います。しからば、こういうふうな法案ができまして、政府は御承知のとおり新産都市というものを盛んに熱意を込めてやっておりますが、これは新産都市とどういうふうな関係になると思いますか。まだここで立法されておりませんから、政府側としてはよく勉強さしてもらってからということになるのだろうと思いますけれども、新産都市とこれの関係一言だけ御説明願いたいと思います。
  18. 安井謙

    安井国務大臣 ごく一部、松本でございますか、新産都市指定地域が含まれるような場合もございましょうが、これは新産都市新産都市でそのまま動いていくというふうに考えます。
  19. 松澤雄藏

    松澤委員 そうしますと、別個に動くということば新産都市中部開発計画とは全然関連性がないということですか。そうでなくて、結果的においては、新産都市は幸いにしてあそこにできておるのですから、今度新しく住まれてくるところのこの法案にのっとり、これらも含めて、そして特に松木地区に対しては新産業都市としての目的達成のためによりよく進めていくのだ、こういうことにならざるを得ないと私は思うのでありますが、もう一度ひとつ……。
  20. 安井謙

    安井国務大臣 お話のとおりに考えておりますし、また重複しましたような地域につきましては、これは総理大臣手元十分調整をいたしましてそごのないように扱っていきたいと思います。
  21. 田村元

    田村委員長 これにて質疑は終了いたしました。  この際、国会法第五十七条の三の規定により、内閣意見があればこれを許します。内閣総理府総務長官安井謙君。
  22. 安井謙

    安井国務大臣 中部圏開発につきましては政府もつとに意を用いておりまして、その促進をはかる考えでございます。したがいまして、四十一年度の予算にも調査費二千万円というようなものを計上したのもそのゆえでございます。ただ、政府の従来のたてまえから申しますと、機構の新設あるいは定員増加、これは極力押えたいというたてまえをとってまいりました。したがいまして、そういうものはでき得れば好ましくないという気持ちは持っておりました。しかし、本案が成立いたしますれば、必要な人員といったようなものはでき縁れば政府全体の定員の中で十分充足をするような措置も考えたい。そういう意味からは、全体の定員増加になるという御措置は願わくば避けていただきたいという気持ちはございます。  それからなお、先ほども議論になりましたような地域的に重複する措置というようなものにつきましても、本来いえば規定あるいは政令等であらかじめそういった問題が起こらないように措置するということも考えられますが、しかし、本案がもし成立しますれば、その精神に沿いまして十分総理大臣手元でそういったそごのないように措置をいたしたい、こう考えております。  なお、本案の中で特徴になっております地方協議会調査審議を経て各関係県が作成する基本計画というものにつきましては、これは非常に貴重な資料として、政府が基本的な計画を策定するにあたりましては十分にこれを尊重いたしまして、国、地方を通ずる一貫した計画の樹立に努力いたしたい、こう考えております。     —————————————
  23. 田村元

    田村委員長 これより本案討論に付すのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  中部圏開発整備法案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  24. 田村元

    田村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。(拍手)  おはかりいたします。ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  26. 田村元

    田村委員長 次に、住宅建設計画法案議題とし、審査を進めます。  この際、本案審査のため、本日、日本住宅公団理事水野峯君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取質疑応答の形式で行ないたいと存じますので、御了承願います。     —————————————
  28. 田村元

    田村委員長 質疑通告がありますので、これを許します。川村継義君。   〔委員長退席廣瀬委員長代理着席
  29. 川村継義

    川村委員 住宅建設計画法については、これまで各委員から各般にわたって質疑が行なわれてまいりましたが、その問題点も明らかになりましたし、またわれわれも了承いたしたのでございます。きょうは十二時までにこの法案を採決するという理事会約束でございますから、たくさんの質問をする時間がいただけません。一問一答を繰り返しておりましてはとても時間がございませんから、私は最後の集約をするという意味で私の考え方等を申し述べ、必要によってお答えを願う、こういう意味でスピードで進みたいと思いますので、御了承をいただきたいと思います。  この住宅建設計画法案についての大臣提案理由、それはわれわれも正しく了解をいたしております。住宅問題が今日非常に重要な問題であるということはもう申し上げるまでもないことでありまして、建設省当局の取り組みのその熱意にも敬意を表しております。  ただし、この建設計画の政策を実現する、目的を達成するということになりますと、これを阻害する経済的、社会的ないろいろな情勢があろうかと思います。したがって、この法案だけでそれらのものを排除できるかどうか、ここに私は一つの疑問を持たざるを得ません。この法案だけでこの目的が達成できるかどうか、大きな疑問を持っているわけであります。前回の委員会でわがほうの佐野委員からいろいろ質問がありました。その中に、このような計画を進める場合には緊急措置法的な性格の法案でなくて、建設の基本法的な性格を持ったところのものをつくることが大事ではないか、こういう意味質問があったと思いますが、私はこの法案の性格にもやはり触れておる質問であったと思います。私もそういうような立場で実は取り組んでいかれたほうがよくはなかったかという問題点を持っておるわけであります。  今度のこの住宅対策は政府が進めておりますところの景気対策として考えられておるということもあろうかと思います。もちろん私が申し上げるまでもなく、住宅難が経済の成長の足を引っぱるというようなこともよくいわれてまいっておりますし、住宅対策が有効な景気刺激をもたらすものであるし、それがまたいろいろの生産資財、生産設備に波及効果を及ぼして大きく景気を上昇させる問題を持っておるという、そのこともよく了解されます。ただ、政府が進める景気対策に乗っかかって今度の住宅対策が進められた、そういうようなところにねらいがあったとすれば、今後たいへんなそごを起こすのではないか、私はそういうことも実は憂慮しておる者の一人であります。  今度の計画によります、この五カ年計画を単位として進めようというには、やはり先ほど申し上げましたように、どうも法案の立て方それ自体に何か手薄なというか、そういうものがあるのではないか。五年ごとに進めていこうというのでありますから、やはりもう少し基本的なものを確立しておく必要があるということをそういう意味でも私は感じておるわけであります。五カ年計画で六百七十万戸をつくる。地方団体もそれに右へならえをせよ。各省関係は協力するものとする。こういうことだけでは何かしらん心もとないものが残ってしようがありません。  そこで、これはお答えをいただくことになると思いますけれども、この法案の目的に第一に示しておりますように、全部読む必要はありませんけれども、「総合的な計画を策定する」という非常に大事なことばがございます。ところがこれまで皆さん方の質疑応答の中で、大臣及び局長等の答弁を聞いておりますと、この「総合的な計画を策定する」ということは、ただ単に各省ばらばらの施策を総合調整をする。そういう意味に解釈をしておられるのではないか、私はこういうふうに聞いて今日までまいったのであります。一体それだけでいいのか、各省が今日までばらばらに進めてきた施策を総合調整するということだけで、一体「総合的な計画を策定する」というその目的に合致するのかどうか、総合的な計画とは一体どういうことか、ここに私は一つ考え方のギャップが——私自身は持っておるようでありますが、この点はいかがでございましょうか、簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  30. 尚明

    ○尚政府委員 第一条にございます「総合的な計画を策定する」ということでございますが、いまお話ございましたように、一点といたしましては、在来の住宅政策の実行のしかたが各省及び国、地方公共団体という関係におきまして総合性が欠け、政策に一貫性を欠いておるという点があったわけでございまして、これは行政管理庁等からも指摘をされていたところでございます。そこでこれらの欠点を取り除きまして、この計画に一貫性を持たせるということが第一に考えられます。  それからこの「総合的な計画」というのは、もちろん長期的な計画という意味も含んでいるわけでございまして、そのために法律の第四条におきましても、「国民の住生活が適正な水準に安定するまでの間、」というふうに長期の計画をうたってあります。そこで私どもといたしましては、実はこの長期的な計画というのにつきましては、やや抽象的でございますが、昭和五十五年までに一人一室の状態を実現したいということでいるわけでございます。これにつきましては、なお最近におきまして、さらに今日の事態に即しまして、経済企画庁を中心にして長期の計画政府もこれから立案をさらにいたそうということをしているわけでございまして、当然これらの中でもって住宅の戸数、質の改善というようなものを私どもとしては想定し、それにそれぞれまた第一期にどの段階まで、第二期にどの段階までというふうな計画とあわせてやりたいというふうに考えている次第でございます。
  31. 川村継義

    川村委員 後段のお答えの問題等でございますけれども、この法案を読んでみて、またこれまでの質疑を聞いておりまして、せっかくのお答えでございますけれども、そのような問題を踏まえながら、移り変わるところの経済、社会情勢に対処していくだけの基本的なものがやはり何か抜けておるのではないか。五カ年間に六百七十万戸を建設しよう、それを実現しようということであれば、やはり政府施策の戸数あるいは民間自力建設戸数の割り振り、年次別戸数目標を立てる、そういうことだけでなく、よくいわれます一番大きな問題になっておるところの住宅の用地を確保するにはどういう方針でいくかというようなもの、特に大都市におけるところの土地利用の計画というようなものがやはり示されておりませんと、それだけの根本的なものをその建設計画というものが踏まえておらぬと、目標を達成するにはいろいろ障害にぶつかって結局足踏みをすることになるのではないか、こういう考え方を持っておるわけでありまして、どうしてもそういう点について何かしらまだ疑問がぬぐい去れないものがございます。先ほど申し上げましたように、そういう点について具体的に一問一答を繰り返そうと思いませんけれども、これからいよいよ踏み出すわけですから、一年間やってみる、あるいは二年目に入ってみるという時点においては、やはり再度勇気を持って御検討なさる必要があるのではないか、こう私は思わざるを得ません。  そこで、今日まで政府は、これまでの公営住宅建設三カ年計画もそうでございましたけれども、何回か住宅計画を策定して努力をしてこられました。しかし、目標を達成するには中途で挫折したというか、あるいは計画変更を余儀なくされたというか、そういうようないろいろの外的あるいは内的の障害がこの計画遂行にあたっては起こってきたと思います。たとえば、資材がうんと値上がりをして、たいへん資金的に行き詰まったという問題もあったのではないか。よくいわれます宅地の取得の問題が大きな障害となっておる、あるいは労賃の問題がやはり建設費に大きな影響を与えておる、国家の資金手当てが十分思うようにまいらなかった、いろいろあるかと思います。そういうものにやはり対処するだけの方針というものがないと、繰り返して言うようでございますけれども、せっかくのこの五カ年計画がまた途中でその目的を達成することができないのではないか。  そこで、見解を一応お聞きしておかねばなりませんが、いままでこの住宅計画を進めてこられるにあたって、その障害となったものは皆さん方の立場で見てこられてどういうものがあったのか、あるいは今後この五カ年計画を進めていくについてどういうものが障害となるであろうか、こういう点をひとつ簡単に御説明願っておきたいと思います。あるいは国の資金手当て等も一つの大きな問題であったということになるかと思いますけれども、そうなれば、あわせて聞いておきたいことは、今年度のこの住宅五カ年計画において、たとえば住宅公団の資金計画を見てみますと、六百八十億という繰り越し金が前年度はある。一体この六百八十億にのぼるような前年度繰り越し金というものはどういうものなのか、なぜこういうような形によってあらわれてきておるのか、そういう内容等もあわせてこの際簡単に御説明をいただきたいと思うのです。   〔廣瀬委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 尚明

    ○尚政府委員 いま御指摘になられましたように、住宅建設を確実に実施していくためのあらゆる手段という点で、たとえば用地の確保、あるいは十分なる土地利用計画ができておるか、こういうような問題につきましては、残念ながらまだわが国の全体の段階といたしまして住宅を建設していくための前提となる問題がすべて片づいておるという状態ではございません。そこで、これらの問題につきましては、御承知のように今国会でも、たとえば土地を取得する、あるいは価格をある程度押えて低廉な宅地の供給をはかるというような目的をもちまして今後土地収用法の改正を御審議願うというような措置もとっておりますし、またいろいろ首都圏整備委員会等におきましても、新しい近郊地帯の整備計画をすべく諸般の準備を整えつつあるというようないろいろな点がございます。これらの点につきましては、おっしゃられますようにいま直ちにすべてが整備しておるわけではございませんので、一刻も早くこれらの問題を整備いたしまして、住宅建設その他公共事業等が円滑に行なわれ、また地価対策等が十分に実を結ぶように、今後も一段と努力をいたさなければならない点だというふうに考えております。  それから、在来住宅計画は何回か変更をいたしました。この変更は、おもなる理由は住宅事情の変化に伴うものでありまして、たとえば資材の高騰とか宅地取得難とかいうそういう障害のために変更せざるを得なかったという面はほとんどないのでございます。その住宅事情の変化というものの一番大きな問題は、やはり人口の都市集中あるいは世帯の細分化というものが、計画当初に推定いたしておりましたものよりも、その後の国勢調査あるいは住宅調査等によりまして事情が違っておることが判明いたしました。それで新しい事情に対応すべき計画を立てるというような実情で、これらの急激な変化に対処するためにここのところしばしば計画を変更せざるを得なかったという事態でございます。  そこで、今後もこれから住宅建設計画を実行していく上におきましていろいろな問題が起きて障害となるであろうということはやはり当然考えられます。  その第一の問題といたしましては、国及び地方公共団体の財政が住宅計画を十分にこなし、そして質のいい住宅を大量に供給していくというような点において十分の配分ができるかという問題があるわけでございます。これはもちろん大きな財政計画でございます。それから具体に仕事をするものにおきましては、土地の確保という点で、御承知のように用地はこのままで放置しておくならば非常に価格が高騰してきて、一方で財政的な裏づけをかりにしても土地の取得が容易でなくなるということでありまして、これが想像される一番大きな問題でございます。  それから、当然私どもも想定しておりますと、労務者の、不足というようなものも、今後のわが国全体の社会資本の充実に対応する労務者の数ということを考えますと、どうしてもこれは不足ぎみにならざるを得ません。そのためにはやはり工事の合理化ということが大きな問題でございます。これは私ども住宅のほうで考えますと、当然建築生産の工業化、いわゆるプレハブ化という方向へいかざるを得ないわけでございまして、このためには私ども数年来非常な努力を払っております。御承知のようにこれが端的に必要性が迫られましたのは、昭和三十五、六年のいわゆる設備投資の加熱のときでございまして、あのとき非常に建設工事が多くなりまして、われわれ低廉な建設費で建設をいたさなければならない公共住宅の建設には確かに支障がございました。そこであれを契機に私どもはプレハブ化の研究ということを決断いたしまして、今日公営住宅ではおおむね、たとえばことし七万二千戸のうちの一万二千戸程度は完全なプレハブで建設するという段階まで到達いたしました。また住宅公団等の行なっております四階建てのアパート等につきましても、そのプレハブ化を研究いたしまして、昨年おおむね一千戸程度そのプレハブ化に成功いたしましたわけで、今後これを格段と伸ばしてまいりまして、労務による障害、それから資材等の高騰による障害、これらをいわゆる生産の合理化によって片づけたいというふうに考えている次第でございます。  以上のような点がおもなる障害でございますが、さらに民間建設の問題も共通の土地の問題等がございますので、これにつきましては政府としても低廉な宅地を大量に供給する。あるいは民間の宅地造成事業等について、あるいは融資保険というような制度で十分な資金が回るようにし、かつ技術的に、御承知のように宅造事業に関する法律というようなもので取り締まって、良好な宅地が供給されるようにするということを行ないたい。さらに住宅建設に伴ういろいろな免税措置等において住宅の建設を促進したいというような点で、おっしゃいます点のように、いま直ちにそれらがすべて非常に円滑に用意されているということは残念ながら言えませんが、今後極力努力をいたしまして、これらの問題を片づけたいというふうに考えております。  それから日本住宅公団の予算の六百八十億ばかりの前年からの繰り延べ資金があるという問題でございますが、これは初めから住宅公団の建設に対する資金の供給のしかたということがさようになっているわけでございます。どういうことかと申しますと、住宅公団が家を建てますのに対しまして、土地及び建築費を資金として用意するわけでありますが、土地を買い、そうしてそれに道路その他を造成しつつ、四階建てあるいはそれ以上の高さのものを建ててまいりますと、どうしてもその一年のうちで全部の建設を終了するわけにまいりません。それからすべての建設を四月に発注するということは人的配分等もありますし、また土地の取得の順序等もありましてできませんので、どうしてもその年に工事に着手するものは、おおむねその六割しか資金は要らないことになるわけでございます。したがいまして、翌年に四割の資金を、前年の工事の引き続きのために用意するわけです。それは政府としましては、翌年になって渡せばそれで用は足りるわけでございます。やっておりますのは、本年建設いたします総戸数のために、所要のお金の六〇%を当年に準備し、そして残りの四〇%を翌年に準備する、こういう形で仕事をやっているわけでございます。発注は、もちろんその年にすべてを行なうわけでございますが、資金がずれる。それを初めから計画の中に乗せて資金を用意している、こういう実情でございます。
  33. 川村継義

    川村委員 急ぎます。こまかな再度の質問をいたしません。  ことしの予算書を見ますと、工事費あるいは用地費の単価是正が幾ぶん行なわれております。しかし第一にこれくらいの単価是正で十分かどうか疑問だと私は思っております。これがやはりたいへんな障害にぶつかるのではないか、こういうことであります。卸売り物価の指数を日本銀行が調べたのを見ましても、たとえば御承知のとおり、木材等の製品がものすごく上がってきておるというようなこと、そのほか各種の資材の値上がりというものが相当ひどい。これはごく最近の景気動向を見ましてもそれが明らかであります。こういう問題等が、この後建設を進めていかれるについて、最も私ども憂慮するところであります。こまかなことを私が説明するまでもありません。  そこで、この工事費あるいは用地費、特に工事費等の単価是正をやられて、一二%であるとか二八%であるとかやっておられますけれども、これは一体基準年次をいつに求めておられるのか。前年度に対してということばは書いてあるけれども、あるいは公営住宅等の三カ年計画を進められるその一番初めの年次に対して上がったのかというような内容の問題、そういう点に非常に大きな問題があるのではないか、こういうことであります。  用地費にいたしましても、東京の例をとりますと、私が聞いておるところでは、四十年度は坪一万円とかいうような単価であったそうでありますけれども、これなんかは実際数字をあげなくても、こんなことではとてもとてもたいへんなことだということが指摘できるわけであります。東京都で発行しておりますところの都営住宅の現状というような冊子を見てみましても、ものすごい開きがあるわけであります。こういうようなところに、鋭意国として努力していってもらわなければ、これは東京に限らず、各地方の、特に公営住宅等の関係においては大きな問題を起こすのじゃないか。この前の委員会でも問題になって指摘しておられましたように、公営住宅の用地費の坪当たりの補助単価が、全国平均で、自治省の調べでありますけれども、四千十円程度にしかすぎない、こういつておる。ところが調査実績では一万六百五十六円だ、こういっておりますから、そこにはものすごい超過負担という問題が生じてくる。もちろんこれをまるきり全部国が背負い込むということについては、これは大臣のこの前のことばに出ておったようでありますが、ある点地方団体がやはり協力するという考え方もあるかもしれませんけれども、こういうような基礎的なものについて算定する場合には、超過負担等が起こらないような形においてやるということが大事ではないか。  そういう面から考えてまいりますと、このような物価等の値上がりを招来した場合に、この建設計画を進めていく場合に、一体どのような対策を立てるのかという問題が残ってくると私は思います。これが一つのやはり大きな問題ではないか、こういうことを考えておかなければ、あるいはそういうものが一つの方針として示されておらなければ、この住宅計画というものが途中でまた行き悩む、あるいは事業の縮小をやらなければならぬ、超過負担に転嫁しなければならぬ、こういう形になってくるのではないかということが、実は指摘したい一つ問題点でございます。  時間がありませんから、次に私の一つ気づいておることを申し上げますけれども、これは宅地の問題について私がここでとやかくもう繰り返して言う必要はございません。何といっても住宅対策イコール宅地対策だ、こういわれておるのでございますから、やはり計画された場所に正常な区画で、必要な時期に用地を確保するということが、申し上げるまでもなく、重大なことであります。先ほど局長は、あるいはこの前の委員会等においても、土地収用法等の問題で対処すると言っておられますけれども、今度出てくる土地収用法がその役目を果たし得るかどうかは、これは大きな疑問であります。土地収用法が出たから宅地がうまく手に入るなんと考えたら、これはたいへんな問題になると私は思っているわけであります。統計等にあらわれておりますように、宅地の値上がりというものがずんずん大きくなっておる。こういうことを申し上げると、やはり宅地対策というようなものが住宅建設計画には並行して同時に立てられていかねばならぬというようなことが大事ではないかとわれわれは考えておるわけであります。自分の持ち家を持ちたいと考えた場合あるいは分譲の住宅をとりたいと考えた場合、いろいろの困難点があることは、もう専門家であります皆さん方がよく御存じのとおりであります。  そういう点で、この宅地に充当される本年度の予算という問題について考えてみましても、私の計算が十分でないかもしれませんが、公団が本年計画するのは工業用地を除いて二千七百二十五万坪、公庫が計画するのが一千二十万坪、土地区整理組合等がやるのが一千百六十万坪、公共団体が二千七百三十万坪、そこで地方公共団体の分を除いて資金計画を宅地関係のを見てみると、五百三十七億、これは地方債の三十五億を含んでそのようになっておると思います。そうなると、算術計算でありますけれども、これをぶち割ってみると坪当たり一千二百円程度ではないか。こういうような宅地予算で一体十分なる宅地が取得できるかどうか、まかなえるかどうか。これは資金計画の上から見ても、本計画が遂行しようとしておる住宅建設には非常に大きな困難があるのではないか、私はこう見ておるわけであります。これが一つの問題。  それから、機構の面で、なるほど公団に副総裁を置かれた、公庫に理事増加された、そういうことも必要であります。あるいは、構想がつぶれたようでありますけれども、宅地造成の信用保証協会、こういうような問題等も、やはり十分検討されねばならぬこの後の機構の面においての一つの問題が残っておるのではないか、こう考えるわけであります。先ほどお話が出ましたけれども、土地収用法が提案されておりまして、これは後ほど審議に入るわけでありますが、住宅対策の根本であるところの宅地対策にどれほどの効果が発揮できるかどうか、これは実は大きな期待はいたしておらないわけであります。  そこでいま一つの問題としては、この土地政策に関係する法律は少なくありません。いろいろありますけれども、見るところではずいぶん混乱をしておるのではないか。そこで、これらの各種の法律を体系づけると申しましょうか、法体系を整備する必要が当面緊急な課題ではないか、私はそのように考えておるわけでありまして、そういうふうな方向でこの土地対策あるいは地価対策というものを樹立せねばならぬ、このように考えるわけであります。これは前に聞いたことでありますけれども、東京オリンピックが行なわれたときに東京都が実施いたしました道路の総事業費が七百億と聞いております。そのうちの何と七〇%の五百億が用地取得に費やされた。特にあの放射四号線のごときは、八〇%が用地取得費に回ったということを聞いておるわけであります。たいへんなことでありまして、宅地の問題ばかりでなく、公共事業すべての遂行に大きく用地、土地問題というものが立ちふさがっておるということを考えるときには、何としても、土地対策、宅地対策というものを抜本的に解決するところの熱意と努力と勇気が政府側には必要ではないか、こう考えておるのであります。これが一つの問題。  それから、いま一つは、この前から各委員の諸君も指摘しておりましたけれども、やはりいま少しく公営住宅のワクを拡大して、そうして勤労者に与えるという考え方が大事ではないか。政府施策の四〇%程度の形では、これまたいろいろの障害が起こってまいりますし、家に住みたいというような者についての十分なる施策ではないではないか、こう考えておるわけであります。東京では、これも正確な数字であるかどうか知りませんが、聞いておるところでは、公営住宅の入居者の競争率が六十倍あるいは百何十槽、こういうふうにいわれておりまして、いつかの新聞にも出ておったように、一つのあき家を抽せんするのに長蛇の列をなして、東京都の事務局がちょっと手違いをしたためにたいへんな騒ぎになった、こういうような、実に残念な事態が考えられるわけでありまして、東京都は四四%家に困っておる者がおるということでありますけれども、こういうことを考えると、これは宅地の問題もありましょうけれども、やはりこの公営住宅というものについて十分なる配慮が必要ではないか。今日、持ち家を持ちたいという者でも、これはなかなかたいへんなことで、私がここで一々数字をあげて指摘する必要はございません。あるいは分譲住宅の問題についてもそうであります。  そこでこの際、私、問題として指摘したい、あるいはお答えがいただけるならば答えていただきたいと思いますが、公団の財源手当て等を見てみましても、どういう理由なのか私にはわかりませんが、本年は政府資金が二百二十二億も前年に比べて減少をしておる、そうして民間資金が二百億よけいになっておる。これは一体財源的な理由それだけなのかどうか。一方では、なるほど公庫、公団に三十九億の補給金が出ております。しかし、本年の三十九億の補給金というものは、これは本年度だけでとどまらない、来年は必ずそれが増加される、そうなりますと、公団の資金からはやはりコスト高を招いてくるし、このような補給金制度というものは公営住宅の資金に大きなしわ寄せをするのではないか。こういうことを考えますと、これはなかなか、家に住む者の家賃等の値上がりあるいは持ち家を持ちたい者に対するところの建築費用の増高ということで、問題が非常に出てくるし、私は警戒をすべきではないかと思いますが、この点はあとで、この公庫の政府資金を減少し民間資金を増加したという、この辺の経過は、ひとつ簡単に説明願いたいと思います。  時間がありませんから、最後にもう一点私の考えを申し上げておきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、これは建設省だけの問題ではございませんけれども、また、大臣にこんなことを申し上げる必要ございませんけれども、何といってもやはり今日の政府が取り組む一つの前提は、住宅対策を考えるにしても物価対策というものが土台となっていく必要があるのではないか。  それからいま一つの問題は、たとえば東京、大阪は考えるまでもなく、都市の過密化という問題をどうするかという問題が考えられなければ、都市の過密化解消といってもこれはなかなか困難でありましょう。しかし、この過密化を抑制するという問題等々が政府の重大施策として遂行されていかなければ、これは住宅対策にいたしましてもあとから追っかけるようなかっこうでございまして、五カ年計画などといってもとてもとてもこの目的を達成できないのではないか。私が申し上げるまでもなく、昭和四十年の十月の国勢調査でおよそ九千八百万人、つまり十年間で九百万人増加したわけであります。その九百万人の増加の中で、東京周辺に集まった者が六百万人、大阪周辺に三百万人、名古屋付近に百五十万人、一千五十万人がこの三地区に集結しておる。そこで、九百万人の増加のうちで百五十万人というものが人口の減ったところからここに吸収をされておる、この趨勢はますます高まるようであります。こうなりますと、これは住宅対策にも大きな影響を与える。皆さんがあとから追っかけても追っつかない、こういうことを考えると、この都市に集中するところの人口問題、都市の過密化問題等々を政府の根本施策として考えていく必要があるのではないか、その辺に手をつけていかなければ、たびたび申し上げますように、計画そのものが画餅に帰する、極端なことばでありますけれども、そう私は心配をいたしておるものでございます。都市の過密化問題がいろいろな社会問題を惹起していることは、もうとやかく申し上げる必要もありません。そういう点で根本的な大きな高い次元でひとつ大臣が中心となって政府の施策を進めていただくよう、これをぜひ私は要望したいと思います。  そこで、先の公団の資金の問題は局長、あとの問題は大臣からひとつ御見解を聞かせていただきたいと思います。
  34. 尚明

    ○尚政府委員 最初のお話の超過負担の解消につきましては、鋭意努力を続けてまいるわけでありまして、昨年からことしにかけまして、単価の改正をいたしましたが、それでも私どもも不十分と思っております。一そう努力しなければならない問題だと考えております。  それから公団等の財源措置につきまして、民間資金をたくさん入れまして、その利子調整をいたしますために、利子補給金を相当に出すということを実は昨年からやっておりますが、今年さらにはっきりとそういうやり方をいたしました。これは政府のことしの財政計画におきましても、公債発行等の措置を積極的に行なうということの一環といたしまして行なった次第でございます。これによって資金は御承知のように住宅関係千億程度拡充したわけでございます。  そこで新たにとられました利子補給制度でございますが、これはやはり一般財源から出すようになりますから、先ほど御指摘のように、公営住宅の補助金の財源と同種のものになります。したがいまして、今後これが非常に大きくなりますと相互の影響が全くないとは言い切れない問題でございまして、全体として一般財源をふやすことに今後相当の努力をしなければ、低家賃の住宅の供給等を確保するというところに非常に大きな努力が要るということを私ども認識しております。そのつもりで今後とも努力をいたしたいというふうに考えているわけでございます。
  35. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 いま川村さんからるる住宅計画の遂行にあたっての困難な問題点等を指摘されましたが、私どももその指摘された問題点はいずれもきわめて重要な問題だと思っております。しばしば申し上げましたように、今度計画法を御審議願ってこれを制定し、なお六百七十万戸の住宅計画を遂行するということは決してなまやさしいことではない、こういうこともしばしば申し上げておるわけであります。しかし、なまやさしいことでないけれども、これを遂行することがわが国における現下の一番重点の問題である、かような認識のもとに立って今後この住宅政策を進めていきたい、かように考えておるわけであります。いま御指摘問題点等については、これは単に政府ばかりでなく、国民の御理解と御努力を得なければなかなか簡単なものではないと思います。そういう点についても今後努力を進めたいと思います。  なお、御参考までに申し上げておきますが、今日までの住宅政策のみならず各種政策を遂行いたします場合に、御承知のとおり経済計画、十カ年計画あるいは五カ年計画、中期計画等をやっておりましたが、今度それを改めることをいま政府経済企画庁を中心に検討いたしております。従来の財政金融等の運営計画を見ますと、いわゆる経済計画を見ますと、従来の惰性に基づいた数字の積み上げというきらいがあった。今度は、いかなる政策をわが国においては重点的に行なうべきか、これを先に定めまして、それに応ずる財政金融計画を立てよう、これが今後の、いま策定に努力いたしております十カ年計画、なおその間の五カ年計画の財政計画を進めよう、かようにいたしておりますので、十分いま仰せられたようなことを注意いたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  36. 川村継義

    川村委員 きょうは採決の日でございますし、実はいろいろ一問一答でお尋ねをしなければなりませんけれども、約束の時間が過ぎましたから、約束に従ってこれで終わらしていただきますが、私は、私がこれまでの委員会質疑応答を通じて感じ取った問題点、そういうものを二、三指摘いたしまして、政府の御努力を要望して私の質疑を終わりたいと思います。
  37. 田村元

    田村委員長 山下榮二君。
  38. 山下榮二

    ○山下委員 時間が迫っておるようでございますので、質問をまとめて申し上げますから御了承をいただきたいと存じます。  建設省はさきに昭和三十九年度から四十五年度までの住宅建設七カ年計画を立てられたのでございますが、今回また四十一年度から五カ年ごとの五カ年計画に変更されてまいってきておるのであります。一方政府全体といたしましては、三十九年度から四十三年度までの中期経済計画を立てておきながら、それを破棄しておられるように考えられます。また一昨二十三日、総理大臣経済審議会に対しまして新しい長期経済計画を諮問されましたことは御承知のとおりだと思うのであります。この中期経済計画にも住宅計画が含まれておったことは皆さんすでに御承知のとおりであります。ところが、一昨日の経済審議会の諮問の際の総理のあいさつを新聞で拝承いたしますと、土地あるいは住宅の問題に特にこれは言及をされておるようでございます。このように政府や建設省の基本的な長期計画が安易に破棄されたり変更されるようでは、一体計画と言えるのであろうかどうか疑わしく思うのであります。今後五カ年間で、いま提案されております一世帯一住宅を実現するという計画をどこまで本気で遂行するつもりでおられるのか。その基本的なほんとうの心がまえというものを、私は建設大臣に伺いたいのであります。  また、政府全体としての新しい経済計画が今後立てられる際、建設省の住宅計画はそのまま尊重され、優先されて計画の中に組み入れられていくものであるかどうか、この点も建設大臣のお考えを伺いたいと思うのであります。  次に、本法律案のことについて第四条第三項の「適切な規模、構造及び設備を有する居住環境の良好な住宅」とは、一体具体的にどんな内容と水準を持つものであるかということの内容を伺いたい、こう考えておるのであります。ことに最近の住宅の情勢を見ますと、都市における住宅には相当環境的にも文化的にも改善、改良が加えられてまいってきたと思うのでありますが、御承知のごとく、農山漁村の住宅環境あるいは居住の改善、改良という点は著しくおくれておると思うのであります。これらに対して一体建設省としては、どういう心がまえで今後の改善あるいは改良の考え方、構想を持っていらっしゃるか、それをあわせて伺っておきたい、かように考えておるのであります。  それから次に、住宅の質の問題について伺っておきたいと思うのであります。住宅の中でいま一番質がいいのは、会社の社宅あるいは政府の建てる公団等の賃貸住宅、これが大体いいように思うのであります。民間の、普通いう借家、民間が建てているいわゆるアパート、こういうものは、きわめて貧弱であり、非文化的であり、環境が非常に悪い、私はこう考えておるのであります。ことに東京、大阪のような大都市においては、その家賃等においても著しく高い値段でございます。こういうこと等に対しまして、一体政府関係、公共団体等のつくる公団等と民間アパート住宅等との家賃の格差の是正、あるいは住宅環境衛生等の点に対して、どう不均衡を是正しようと考えていらっしゃるか。このままの姿で放任されてまいりますならば、民間が利益採算主義を中心といたしまして、貧弱な、先ほど申し上げたような実情にますます追い込まれてまいるのじゃなかろうか、こういうことを心配いたすのであります。これらに対する民間と公団あるいは公共用の住宅との格差、あるいは民間アパート等に対しての対策というものを、いかようにお考えになっておるか、この点を伺いたいと思うのであります。  時間がないようでありますから、この辺でひとつ御答弁を伺ってから……。
  39. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 簡単に御答弁申し上げますが、従来の住宅計画が変更された、今回の計画も同じようなことではないか、こういう趣旨の御指摘であります。なるほど従来の計画は変更されております。これはいままで、ここで御審議の中にいろいろ出ましたように、人口の増加あるいは移動等、諸般の情勢が変わりましたので、その実態に合わせるためにやむを得ず変更した。と同時に、率直に申し上げて、従来、政府住宅建設政策に対する情熱にやや欠けたところがある、私はさように意識いたしております。したがって今回は、そういうことのないように、先ほども申し上げましたように、国民の住生活は基本的な問題である、かような意味においてこの法案を策定し、計画を進めよう、かようなことでありますから、困難性があることは先ほど来いろいろございますとおりでありますが、この困難を克服してこの目的を達成したいというのが今後の政府の重大決意であるということを申し上げておきます。  なお、いま策定中の経済計画も、そういう趣旨において計画をせっかく策定中である、これも先ほど川村さんにお答えしたとおりでありますから御了承を願いたいと思います。
  40. 尚明

    ○尚政府委員 お尋ねのありました農村住宅の改善という問題につきましては、すでに前から住宅金融公庫の特別融資ワクとして、個人住宅の新築の促進をはかる、それから住宅改修資金融資というものが、住宅金融公庫にございますが、これも農山漁村には優先的に貸し付けを行なうというようなことを行なっておるわけでございます。本年は新築住宅についての特別個人住宅融資は、農村ワクは一万戸用意してございまして、実際的にいいますとほとんど無抽せんで農山漁村の方は、住宅新築される場合には融資が得られるような措置をいたしております。それから改修融資も四万二千軒分用意されておりますが、これも農山漁村における住宅改善にお使いいただくように、ほとんど無抽せんでお使いいただける状態になっております。  なお、農山漁村住宅改善と申しますのは、金の用意だけではだめでございまして、やはりこれを指導しなければならないわけでございます。このために農林省と建設省で提携いたしまして、各県に農山漁村住宅改善推進協議会というものをつくらせるよう指導しておりまして、おおむね全国で二十数県現にできております。さらに昨年十一月には中央にも同様の機関を農林省各団体と、建設省各団体といずれも協力いたしましてこれを設置いたしました。こういう形におきまして、金の準備をするとともに、さらに農村住宅の改善の指導を行なうという政策を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから次に、大都市周辺等の民間住宅建設が家賃も高く劣悪であるという問題でございますが、これはまさに御指摘のとおり、それ自体が住宅問題なのでございます。したがいまして私どもとしましては、まず第一の方法としては、公共の賃貸住宅等をできるだけ多く建てる。多く建てることによりまして、これらの方々が公営住宅なり公団住宅のほうに移っていただくということを目的として、供給を増大するというのが第一義でございます。次にこれらの住宅について、直接何らかの方途を講じて、家賃を適正化し、あるいは質の向上をはかるということを考えているわけでございますが、これは実際問題としてはなかなかむずかしい問題でございます。この方法としては、融資あるいは減税等いろいろのことが考えられるわけでございます。これらにつきましては、今後具体的にこれを推し進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。一部の府県におきましては、これをせめて危険な状態でないようにするために不燃構造にするときには融資あっせんをするというような政策をとっているところもございますが、私どもとしては、このむずかしい問題につきまして何らか直接的に民間のアパート等を誘導していい形にするということで、目下研究中というのが実情でございます。
  41. 山下榮二

    ○山下委員 いま答弁を伺っておりますと、非常に矛盾があると私は思うのであります。民間のいわゆるアパート住宅は非常に劣悪であるからできるだけ公団、公営に進めていきたい、こういう考え方である、こう答弁をされたのですが、この五カ年計画の中身を見ますと、六百七十万戸ですか、この住宅のうちでも民間住宅というのを四百万戸と規定をされておるのであります。公共用の住宅建設が少ないのであります。ここはあなたのおっしゃることときわめて矛盾していると私は思うのであります。  もう一つ、農漁村の住宅の改良、改善というものの具体性が一つも皆さんのほうにはない。御承知のごとく農村の青少年がいわゆる都市をあこがれて出てくるということは、最近農村の近代化とか、いろいろなことがいわれておりますけれども、農村の青少年が農村をいやがるのはそれだけではないのでありまして、生活環境自身から変えてこなければだめだとわれわれは考えておるのであります。それに対する住宅局としての一つのいわゆる改善、改革の方針がないのであります。それをどういう規模で農林省と連絡をとって改善をし、改良を加えていくか、この具体性がすでにあらわれてこなければならぬのではないか、こう考えるのであります。重ねてひとつ伺いたい。
  42. 尚明

    ○尚政府委員 いまお尋ねの第一点であります、民間の狭い四畳半一間、六畳一間のアパート、これが六百七十万戸の中で民間自力建設として四百万戸計算されているのではないかということでございますが、私どもの一世帯一住宅の目的自体が二人ないし三人家族は少なくとも九畳以上、つまり二間でございます。それから四人以上の世帯は十二畳以上に住んでいただく。この一世帯一住宅を目標にしてやっているわけでございます。民間自力建設四百万戸は過去の趨勢から考えまして、そのうちから過去の建設されております数のうち六畳一間等のアパートはすべて除きまして、いずれもいま申しました一世帯一住宅の目標以上のものが四百万戸達成されるという考えのもとに計算をいたしている次第でございます。  それから農山漁村住宅につきましては、実はこういうことになります。端的に申しまして、農山漁村の生活全般を改善するという方針そのものは——私ども住宅部面は受け持っておりますが、全般の問題というと、やはり農林省の生活指導にかかわる問題がより多うございます。そこで私どもはいま申しましたように、農林省といろいろの協議会等を持っておりまして、農林省に一般的な方針を出してもらいまして、そのうちの住宅部分につきましては、先ほど申しましたように公庫の優先貸し付けというような点で御協力申し上げる。と申しますのは、端的に申しまして、農山漁村の方と直接常に接触しているのは、どうしても農林省系統の方が多いわけでございまして、そこから第一の発案をいただいて私どもは協力する。しかしその場合に、やはり住宅は一番金がかかります。その場合に私どもが引き受けるということでやっておる次第でございまして、そのほか農林省はいろいろな形で、たとえば井戸の改善とか、環境整備の点でいろいろやっているわけでございます。なお、私どもとは部局が違いますけれども、都市計画の部門等でも街路その他の補助等を行なって、農村の環境をできるだけよくする、促進するという努力はいたしております。そうして農林省と今後緊密な連携をとってやりたいと考えております。
  43. 山下榮二

    ○山下委員 もう時間もきたようでありますから、あまりしつこくは申し上げませんが、答弁としてはいまそうおっしゃられなければしようがないので、一世帯一住宅というたてまえ、あるいは持ち家という考え方等々から考えて、いまあなたのおっしゃるとおり答弁をされたんだろうと想像をいたします。しかしやはりこの五カ年計画の中に民間がそれぞれアパートを建てることは間違いないのであります。これらに対して、もう少し監督官庁として行政的指導というものが明確になっていかなければならぬ、かように考えますので、私は希望を申し上げておきます。  最後に住宅公団のほうにちょっと伺いたいと思うのであります。  水野さんがお見えになっておるようですが、住宅公団も公営住宅もですが、この経営方針というものは一体どういう経済理念に基づいて経営をおやりになっておるのか、その経営の経済面あるいは経済的理念というものを先に伺いたいと思います。
  44. 水野岑

    水野参考人 住宅公団の経営方針についてのお尋ねでございますが、公団という性格からいたしまして、利潤追求ということは決していたさないたてまえでございますことは申し上げるまでもございませんが、やはり独立採算というたてまえがございます。したがいまして、できるだけ家賃というようなものは低く押えていくという方針をとりつつも赤字を出すということは、これは厳に避けなければなりません。できるだけ低家賃にしていく、そういう方針を一方でとりますと同時に、他方におきまして独立採算で赤字が生じないように、こういうような考え方でございます。
  45. 山下榮二

    ○山下委員 独立採算のたてまえ、こうおっしゃいますが、それならいま問題になっている住宅公団あるいは公営住宅等のあき家の家賃の値上げということは、一体どこから出てくるのでしょうか。どう考えても、やはり利益追求のたてまえに立っておられるのではないかという疑いを持つような感じがいたすのであります。日本の今日の住宅事情から考えて、国がここまで力を入れて日本住宅公団をつくり、あるいは公営住宅を建設する、こういうことになってまいりますならば、この問.題はどこまでも社会保障的な考え方の上に立った経営でなければならぬのではないか、こういう感じを持つのですが、いま問題になっているあき家というものはすでに償却が終わったものもあるでありましょう、まだ償却の半ばのものもあるであろうと思うのですが、もしあなたのおっしゃるようなぐあいにいくのであるならば、償却の終わったものは安い家賃にして、いわゆる一般低所得者にこれを入居せしめる、こういうようないろいろな手段、方法が講じられなければならぬのではなかろうか、こう思うのですが、これに対していかようにお考えになりますか。
  46. 水野岑

    水野参考人 公団住宅でございますが、公団住宅につきましては御案内のとおり三十一年度に初めて完成したのが第一号でございまして、したがいまして、公団住宅の家賃というのは、御承知のとおり七十年償還ということで家賃の計算をしておりますが、まだ七十年を経過しておりませんので、全部償却が済んでいるというものではございません。この際あき家住宅の家賃の値上げをするに至りました趣旨は、前々から申し上げておりますとおりに、第一に古い住宅と最近できました新しい住宅との家賃のアンバランスがあまりにもひどすぎる。大体古い住宅と最近の住宅と比較いたしますと、二倍以上家賃が上がっておりまして、しかも最近建てる住宅は都心から離れたところに建てざるを得ないというようなことで立地条件が非常に悪い。それにもかかわらず、家賃が二倍以上というような格差が出ておるわけでございます。そういうような格差をなくして、今後できる新しい住宅の高額な家賃が出てくると思いますけれども、そういうものの抑制にこれを使っていきたい。つまり古い住宅と新しい住宅との格差をなくして、おおむねプールしていこうじゃないか。古い住宅のあき家の家賃を上げた結果、増収になりますけれども、この増収分を人件費とか事務費とかそういうものに回すものでは決してありません。これから建てられる新しい住宅の高い家賃の抑制に主としてこれを使っていこうではないか、こういうような考え方でございます。  それから古い住宅の家賃を値上げする第二の理由は、古い住宅というものは御承知のように質的にまだ非常に劣った住宅が多いのでございます。たとえば台所が人とぎ流しといいますか、非常に悪いのでございます。それから、ふろなんかも木製のふろになっている。そういうようなものを質的に改善しよう、人とぎ流しというものをステンレス流しにしよう。木製のふろをほうろう引きのふろにしていこう。そういうふうに質的に改善いたしまして、新しい住宅に近づけたい。こういうようなことが古い家の家賃を値上げする第二の理由です。  以上申しましたとおりでございますので、われわれは決して利潤を追求するというようなものではないのでございます。
  47. 山下榮二

    ○山下委員 いまの答弁では私は納得がいきません。そういう古い不便な、環境のあまりよくない住宅の人が、最近できるりっぱな近代的なものの家賃を少しカバーをしなければならぬというようなかっこうに持っていくということは、筋違いの考え方ではないかという感じを私は持っております。しかし時間がございませんから、これ以上議論は申し上げません。  最後に建設大臣に伺っておきたいと思うのは、これの七条、あるいは八条にも関連しておるのですが、団地が新しく建設される地域の自治体には、団地に関連する公共施設等の建設に必要な財政能力が必ずしも十分でないところがありまして、いわゆる団地返上論というのが東京都とかいろんなところに起きているということをちょっと伺うのですけれども、こういうところに対しては一体どういう処置をされる考えでございますか。これはなかなか重大であろうと思うのですが、ひとつ伺いたいと思うのであります。  それからもう一つ新産都市その他の計画とこの住宅計画というものとがマッチするように持っていかれることをお考えになっておるのかどうか、その辺のことも最後に伺いたいと思います。
  48. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおりに、従来、大団地等をつくりますと一挙に人口がふえる。したがって道路の施設、あるいは上下水道、学校、幼稚園、その他一挙に施設をしなければならぬというようなことで、地方公共団体は財政的に非常に圧迫を受ける、そういう意味でありがた迷惑だ、こういう風潮が出ておるところもあったわけであります。そこで従来も金融公庫等は、そういう場合に学校施設について一部融資するという方法をとっておりましたが、そういうことではまだなまぬるいのでありますから、今度公団法の改正もすでにでき上がりましてお願いいたしましたように、予算措置もいたしまして、地元の市町村等が負担すべき街路であるとか、あるいは学校あるいは幼稚園、そういう公共的あるいは公益的な施設は公団の資金によって建造する。そして後刻政府から支給される補助金あるいは起債等で順次償還をしていく、こういう制度に今度切りかえました。したがって今後は、従来のような地方の自治体を非常に圧迫するという事態は起こらない、さようなことはしない、こういう方針でいきたいと思います。  それから新産都市でありますが、もちろんそこに住宅が必要である。この法律にもありますように、市町村から都道府県に上がりまして、それから国全体の住宅計画を立てる、こういうことにしておりまして、当然に必要な住宅計画もこれに含まれておる、かように御了解願ってけっこうであります。
  49. 山下榮二

    ○山下委員 時間がないようでございますから、これで質問を終わります。
  50. 田村元

  51. 岡本隆一

    岡本委員 せっかく藤井政務次官に来ていただきましたのですが、時間がないのでまことに残念でございますけれども、二、三重要なこの法案問題点について大蔵省の見解をお尋ねさせていただきたいと思います。  まず第一番に、この五カ年計画が策定されましたが、この五カ年計画を策定されますについて、私どもは昨年は七百六十万戸を建設するのだというふうに建設省から説明を聞いておりましたのが、六百七十万戸に減りました。その減った理由につきましては、これは経済成長に伴って世帯分離がふえたからその目測を誤ったものだ、だからそれを是正したのだ、こういうふうな説明を聞いておるのであります。しかしながら私たちは、それをそのまますなおに受け取っておりません。これはやはり財政的な理由で大蔵省の抵抗のためにつぶれたのだ、こういうふうに思っております。そのことははっきり計画の内容の中に出ておるわけです。減ったのはどこで減ったのかというと、公的施策住宅の戸数が減っております。民間自力はわずかしか減っていないで、政府施策住宅でがたんと削られておるというところから、その証拠が歴然としておるわけであります。したがいまして、初めの七百六十万戸のときには、民間自力建設が五割五分で政府施策住宅が四割五分というふうに建設省は考えておったのが大きく後退したわけです。御承知のように従来は、公的の政府施策住宅は、いつの場合も四割というのが政府の方針だったのです。ところが今度建設省が樹立いたしました計画の中では、それが四割五分ということで、わずか五%でございますけれども、政府施策住宅が前進したわけです。私どもはそれを一つの躍進と思って非常に大きな希望を持っておったのです。ところがそれがもとのもくあみの四割に減らされてしまった。こういうところにこの五カ年計画に大きな不満があるわけでありますが、一体大蔵省はどういう見解を持っておられるのか。いま民間自力建設というものに六割を期待しておられる。この民間自力建設は、いまは持ち家よりもむしろ貸し家住宅が非常にふえてきた。しかも貸し家建設のほとんどがいわゆるアパートづくりの長屋になってきておる。そういうものがいまどんどんつくられておるということは、昭和三十八年に発表されました住宅建設の実態調査の中にもはっきり出ておるのです。だから、そういう認識の上に立てば、もう民間自力建設にまかしておいたのでは粗悪な住宅ばかり建っていく。二階建てのアパートの二間きりくらいの中には便所が共有だ。さすがにこのごろは流しが共有というのは減ってまいりました。しかしながら、便所の共有というのはたくさんあるのですね。そういうふうな粗悪なアパートがどんどん建って、それが結局その民間自力建設のほとんどを占めているということになりますと、今度の五カ年計画というものは、これは全く住宅建設五カ年計画というよりも、スラム建設五カ年計画であるといったほうがその名にふさわしい、こういうふうに思っているのでありますが、一体いまのようなこういう民間自力建設に依存するような住宅建設計画でそれがよいと思っておられるのかどうか、こういう基本的なかまえの問題ですな、これについて大蔵省はどう思っておられるか。建設省につきましては、始終委員会で私たちは議論いたしておりますので、いまさら尋ねる必要もないと思うのですが、大蔵省の見解をお伺いしたい。
  52. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 先刻来建設大臣から、当面の政府の最重点施策の一つとして住宅対策五カ年計画を立てて、四十一年度これが予算措置をしてまいっておることをるるお話がございました。われわれもその精神に沿って四十一年度予算の措置をいたしたつもりでございます。ただ、ただいま御指摘のように、公的資金によるいわゆる政府施策住宅と民間自力住宅との割合が、公的資金による住宅のほうが少ないという点、これはやはり民間住宅を実施するにあたっては宅地の問題等いろいろ無理のない計画を立てていかないと、先ほどおっしゃるようなスラム的な住宅をはびこらすということにもなりますので、民間の受け入れ態勢の実情、こういったものを考えてこのたびの予算措置をいたしたわけでございます。したがって、われわれとしては、公的資金による住宅は治山治水計画ないしは港湾整備計画、あれと同じような措置で実施していきたい、財政投融資あるいはまた予算上措置をすること治水対策と全く同じ措置をしよう、同時にまた、民間自力住宅については宅地の造成を含めて財政上、税制上、金融上予算の許す限り最大限の配慮をしていきたい、このように考えておりますので御了承願いたいと思います。
  53. 岡本隆一

    岡本委員 時間がございませんので議論が尽くせないのが残念でございますが、三十八年の住宅統計調査を見ますと、第一番に目立つことは、持ち家の建設が減少してきているということですね。昭和三十三年度の調査では持ち家が七一・二%であったのが、三十八年の調査では六四・ 三%というふうに七%持ち家分が減っております。それからまたその反面、民間の借家が非常にふえてきておりまして、一八・六%から二四・一%というふうに民間の借家がふえておる。しかも公的な貸し家というものは横ばい状態で、三・五%が四・六%であり、給与住宅が六・七%が七%になっておるというふうに横ばいの状態であります。だから公的な施策の政府施策住宅というものはパーセンテージは横ばいであり、民間の貸し家がずっとふえて持ち家が減ってきておる。そのことは、このごろ建てられてきておるところのアパート貸し家がものすごくふえてきておる、つまり国民の住生活というものがものすごく低下しつつあるということを住宅統計調査がはっきり物語っているわけです。だから、大蔵省におかれましては一もう議論よりも希望を申し上げておくよりいたし方ありませんが、そういうふうな、政府が行なっておるところの統計の中にはっきりと出ておる国民の住水準の低下というものにこれからどう対処するかということについて真剣な態度で取り組んでいただくこと、建設省は、われわれがしょっちゅうしりをひっぱたいておりますからある程度それに応じて動こうといたしますが、しかしながらその前にいつも立ちはだかってそれをはばんでおられるのがやはり財政の問題なんです。しかしながら、いまの日本の国民生活にとって一番重要な問題は住宅の問題であると思います。衣食住といわれますが、衣と食とは大体戦前の水準に戻りました。しかしながら住水準というものは戦前よりもはるかに低いというのが今日の状態でありますから、これを一日も早く戦前の水準に戻すということ、これはやはり戦争をやった政府責任でもあると思う。戦争を契機にこういうことになったのでありますから、やはり戦争を指導したところの政府責任である。同時にまた、この住水準を向上するということがやはり国民の心をすなおな明るいものにしていく。一日の住まいが、せせこましい非常に劣悪な条件の中に住んでおれば心もすさもうというものです。ですから美しい心をつくる、りっぱな人をつくるということは、何をおいても住水準の向上ということに非常に大きな影響がある。美しい心というものは豊かな住まいの中に生まれるということに十分心をいたされまして、国民の住水準の向上ということにあらゆる財源をさいて、最も優先的な措置を、住宅のために注がれるという配慮を私は特にきょうはお願いしておきたいと思います。  次にもう一点お尋ねいたしたいことは、この法案の内容でございますが、この第七条に書かれておることがきわめて抽象的なんです。これは五カ年計画実施に対する政府責任を書いたものでございます。ところがこの政府責任を明示したものが、「五箇年計画に係る公的資金による住宅の建設の事業の実施のために必要な措置を講ずるとともに、住宅建設五箇年計画を達成するために必要なその他の措置を講ずるように努めなければならない。」何のことやらわからないわけです。きわめてあいまいもことして非常に抽象的な表現が用いられておるために、私どもにはこれの内容はよく理解することができません。しかしながら公営住宅法を見ますと、まず第一に三カ年計画を立てる、三カ年計画を立てたら国会の承認を得なければならない。これは大きな問題です。こういうような計画でやりますということをやはり国会の論議の場に乗せてもらいたい。ところが、今度の住宅建設計画というものは国会の承認を得なければならぬということがございませんから、国会における論議の場に乗ってこない、こういうことが一つこの法案の中に大きく欠けておる点であると思う。それと一緒に、公営住宅法では、必要な予算の計上をやらなければならぬということを義務づけておるわけです。ところがそれがないのです。そういう文章はどこにもこの法案の中にない。だから私はそういうふうに修正すべきだということを強く主張をした。ところが住宅局長が来て、いやこのほうが意味は強力なんです、こういうことなんです。むしろ公営住宅法に表現されておる国会の承認が必要だということ、さらにまたその必要な経費は予算に計上しなければならぬという表現よりも、この第七条のほうがはるかに強力な規定である、こういうことなんです。したがって私は政務次官にお尋ねいたしたいことは、この第七条を具体的に説明をしていただきまして、そして公営住宅法におけるところの規定よりも、この第七条の規定のほうがはるかに強力なものであるということをはっきりわかりやすく私に御説明をお願いしたい、こういうことでございます。
  54. 藤井勝志

    藤井(勝)政府委員 住宅対策の緊急性に対する認識は、岡本委員の御意見と全く私も同感であり、同時にまた大蔵大臣が予算査定の省議におきましてもこれが最重点の配慮をされた事実もあわせて御報告をいたしまして、御了承をいただきたいと思うのでございます。  第二の点。この住宅建設計画法第七条第一項のこの法案の文意でございますが、先ほどもちょっと触れさしていただきましたように、決してこれは抽象的な宣言規定ではなくして、具体的な内容を確認をいたしております。すなわち公的資金による住宅、いわゆる政府施策住宅の建設については、治山治水五カ年計画ないし港湾整備五カ年計画等と全く同じように、政府は予算上、財政投融資上、その他の施策をこの予算の許す限り最善の配慮をする、こういう考えであります。同時にまた民間自力住宅等に対しましては、住宅対策を含めて税制上、金融上、財政上あらゆる措置を考えたい、こういうことでございますので、公営住宅法三カ年計画よりも時代の要請は一そう強くこれを求めておりますので、要請に沿うて政治は適応するのは当然だというふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。
  55. 岡本隆一

    岡本委員 まだほかにもたくさんお尋ねしたいことがございますが、時間の制約がございますので、これをもって打ち切りにいたします。
  56. 田村元

    田村委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  58. 田村元

    田村委員長 これより本案討論に付すのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  住宅建設計画法案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  59. 田村元

    田村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  60. 田村元

    田村委員長 ただいま議決いたしました住宅建設計画法案に対して、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、小金義照君外二名から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨説明を求めます。小金義照君。
  61. 小金義照

    ○小金委員 ただいま委員長の指示されました附帯決議案を朗読いたします。    住宅建設計画法案に対する附帯決議(案)   政府住宅建設の総合的な計画の策定に当つては、特に左の諸点に留意し、これが実施に遺憾なきを期すべきである。  一、住宅対策は不足戸数の数的解決と共に質及び居住環境の向上を図る必要があり、特に四〇〇万戸を民間の自力建設に依存している点にかんがみ、住宅基本法等これが対策を樹立すべきである。  二、公的資金による住宅の建設については、勤労者の住宅を確保するため、公共賃貸住宅を大量に建設すると共にその家賃の低廉化を図るべきである。  三、公営住宅の建設に伴なって生ずる地方公共団体の建設費の超過負担は、地方財政の在り方から避けるべきものであり、このためその原因となっている地価の安定及び建設単価の引上げについてすみやかに措置を講ずべきである。  四、住宅建設五ケ年計画に基づく六七〇万戸の住宅建設には約五万ヘクタールの宅地開発を必要とするが、このため土地利用計画等早急な土地対策を樹立し、住宅適地の需要に支障を与えないよう措置すべきである。   右決議する。 以上でございます。
  62. 田村元

    田村委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  63. 田村元

    田村委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、小金義照君外二名提出の動議のとおり本案に対して附帯決議を付すことに決定いたしました。  この際、建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。建設大臣瀬戸山三男君。
  64. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議の各項目は、しごくもっともな事項だと思います。政府といたしましてもこの決議の趣旨に従いまして、全力を尽くしたい、かように考えております。     —————————————
  65. 田村元

    田村委員長 おはかりいたします。ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  67. 田村元

    田村委員長 次に河川に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  68. 岡本隆一

    岡本委員 先般岐阜県下の揖斐川におきまして、その砂防工事が非常に粗悪なものであるという陳情がございました。私どもも、これは防災上捨てておけないと思いましたので、実地の調査に参りました。その調査に参る際に、一応政府のほうにもその調査に協力してもらうようにお願いをいたしまして、政府からも砂防課から来てもらいましたし、同時にまた、一方そういうような問題があることがわかっておりましたので、政府のほうでも一応県に命じて調査をさしておられた模様でありますが、その調査の結果をひとつ御説明願いたいと思います。   〔委員長退席、服部委員長代理着席〕
  69. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 調査の結果を御報告いたします。  いまお話のありました砂防のダムにつきまして、これは揖斐川の支流の根尾東谷川という川にあります三基の堰堤でございまして、名前としましては和井谷堰堤、東谷堰堤、能谷堰堤でございます。いずれも三十二年から三十七年までに施工されたものでございます。それらにつきまして、ただいま岡本先生からお話がございましたような経緯で調査した結果を、簡単に御報告いたしたいと思います。  この調査につきましては、県におきましてつぼ掘りその他の調査を行ないました結果に基づきまして、鑑定人を岐阜県から出してあります。その鑑定人は中部地建の河川部長渡辺豊君、それから京都大学教授の遠藤隆一先生、建設省の土木研究所砂防室長の村野義郎君、元砂防部長をいたしておりました矢野義男君の四氏でございます。その鑑定人が県の調査資料によりまして鑑定した結果を報告いたします。  第一点の和井谷堰堤につきましては、ボーリング等の調査結果を見てみますと、コンクリートは良好とは言えないが、そう粗悪なものでない。表面剥離は深部まで達していない。表面剥離の一つの原因と見られるものは、型ワクのゆるみ等に起因した表部の粗悪コンクリートをカバーするため上塗りを行なっており、この上塗りコンクリートと下部のコンクリートの接着が悪く、その後雨氷の浸透により凍結を起こし、剥離されたものと思われる。  上記のことは、砂防ダムの致命的な欠点とまでは言えないが、このままでは表面風化が深部まで影響すると思われるので、次の補強工事が必要である。  対策といたしまして、表面の剥離している悪い部分を適当にはぎ取る。コンクリートを上下流法面に五十センチ、それの天端に三十センチの厚さに腹付ける。  それから能谷堰堤につきまして、鑑定といたしまして、決して良好なコンクリートとは言えない。内部コンクリートは練りまぜの不均一な個所がところどころあると判定される。また、三十五年施工後の上部は、凍結のため硬化していないところがあると思われる。表面の風化の程度は、さきに申し上げました和井谷堰堤より大きいと見られる。原因は和井谷と同様と考えられます。しかし水通部下流法面は著しい欠点は見られない。  総合的に見れば、内部の不硬化コンクリート部分があるとすれば、一応ダム安定上考慮しなければならないが、砂防重力式ダムは、圧力のみを許容し、引張力は許容されないから、これをもって直ちに不安定とは断定できないが、そのまま見のがすことは好ましくない。  対策といたしまして、表面措置については、和井谷と同様補強を行なう必要があるが、下流側の腹付けは厚さ一メートルで行なう。なお、下部既設腹付け部分は除くということで、調査結果の報告が出されております。  そのほか、一番初めに申し上げました東谷堰堤については、昭和三十六年工事完成後水通し部より四メートルの高さに水が出たが、これは最大の荷重状態になります。それに耐え、また現在の満水状態でも漏水がないので、堰堤の安定上何ら問題はない。ボーリングも不要である。底部のせん掘と下部の亀裂についての問題がありますがW、いまは水中で不明でありますので、後刻確認の上必要があれば補強する必要がある。これらは高堰堤築造後の維持管理の問題で堰堤の強度安定に問題はないということで報告がきております。
  70. 岡本隆一

    岡本委員 この調査委員会の結果を文書でちょうだいいたしたのでございますが、それを見ますと、まず第一に、和井谷につきまして私どもが参りました調査の結果とはかなり見解の相違があるようであります。  まず第一にボーリングがきわめてその位置が不適当であるということであります。いわばボーリングをやっておる位置というのは比較的堰堤の端のほうでありまして、コンクリートの当然置かるべきところ、そんなところにコンクリートがなかったらどうにもならぬというようなところにボーリングの痕跡がある。さらにまた、つぼ掘りの状況でありますが、掘り方がきわめて浅い。この工事はいわば地域の住民は、あれは土まんじゅうだ、外側にコンクリートをして、中身は全く石や土がほうり込んである、こういうふうなことを言って、それゆえにそれが脆弱であるということを強調しておるのであります。したがってこの和井谷にいたしましても、それから能谷にいたしましても、これは仕様書のとおりに全然行なわれておらない。またその工事の途中にとった写真なんかも保管されておりまして、このように粗漏な工事が行なわれている。元来仕様書によりますと、五対五の比率においてコンクリートと玉石とを入れなければならぬ、こういうことになっておるが、玉石はほとんど入っておらない。そうしてまた仕様書には、その玉石は外部から運んでくる、現地で調達したものでなしに、他の地域から運んできた玉石を使えというふうに指示されておるにもかかわらず、ところがそこに入れられておるところの中身というものは、現地で調達された、しかもその辺にころがっておる石やあるいは足らなければハッパをかけて岩をくずしてきてそこにほうり込んだというふうなことを現地の人は言っておるのであります。そういうふうな指摘を何回も現地の人がしておるのにかかわらず、その調査の場合に、ことさらにあんこの部分にまで達することを避けて調査が行なわれておるという点が私ども調査を見てみた点で不審に思うのでございますが、そういう点適正な調査が行なわれたものと確信しておられますかどうか、その点をまずお伺いいたしたい。
  71. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 ただいま御報告申し上げましたのは、岐阜県がみずからの責任でやった調査でございまして、その調査結果に基づいて鑑定報告を鑑定人がやったわけでございます。したがいまして、この内容につきましては、われわれとしましても、国として補助事業で行なっているわけでございますので、この内容を十分精査いたしまして、ただいま申し上げられたような問題があれば調査をいたしまして、具体的な対策を立てていきたいというふうに考えております。
  72. 岡本隆一

    岡本委員 この調査は岐阜県側が建設省からやれと言われてやったものでございますが、岐阜県のほうはできるだけ自分たちの落ち度を隠したい、こういうふうな考え方に立ってやっておるという疑いがある。したがってこれはやはり監督官庁である建設省が調査すべきであって、そんな粗漏工事をやった当の県側にその調査をやれといっても、これは満足な調査の結果を出そうはずがございません。したがって、直接その監督の任にあられる建設省で再調査をすべきである、私はこのように思うのでございますが、建設大臣どうですか、あなたもそうお思いになりませんか。
  73. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 この資料によりましても、会計検査院の検査を受けておらない工事のようでございますし、私はこの問題はきょう報告を受けたばかりであります。しかしいずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、これは国家の補助工事でありますから、危険を感ずる状態であるという陳情がありますから、すみやかに調査をさせたいと考えております。
  74. 岡本隆一

    岡本委員 けさの岐阜県の新聞を見ますと、この工事が粗漏工事であったということをはっきりと県側も認めておる模様でございます。新聞はこういうことを報道いたしております。この工事は粗漏工事であった、だから補強工事をやってくれ、その補強工事は施工者側にやらせる、県の建設業協会がやらしてもらいたいと言ってきておるから建設業協会にやらせようと思う、またこういうふうな粗漏工事をやった工事人には、指名の停止をやるし、登録の取り消しをやる、こういうふうなことを発表しております。なるほどそういうことも必要でありましょう。しかしながら、これは県の工事でありますから、それ以上にそういう粗漏工事を見のがしてきた県の監督責任はどうなるのだ。これは建設大臣として県に対していかなる措置をおとりになりますか。こういうふうな粗漏工事を監督してきた県の責任を建設省としてどう要求されますか。その点をお伺いしたいと思います。
  75. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 調査の結果を待たないといまどうということは言えませんが、調査の結果危険な工事である、あるいは設計どおりにいっておらない、一応設計書を見ているはずでありますから、建設省といたしましても、それはやはり手直しをさせる責任を負ってもらいたい、かようになると思います。
  76. 山本幸一

    山本幸一委員 関連河川局長、建設大臣もですが、先ほどから聞いていると補助工事である、したがって建設省にも責任がある、こういうことですね。けっこうなことだと思います。  そこで一番重要な問題は、鑑定人の鑑定結果を承ると、これこれの補正をやれば安全性がある、こう言っておりますね。私はぜひやってもらいたいと思います。やってもらいたいと思うが、工事を請負人と県側が契約するときに、一定の仕様書が出ているわけです。それから工事条件というものが出ているはずですね。もし検査の結果仕様書に反した場合にはどういう措置をとられるのか、ポイントはそこにあると思うのです。要するに、日本は不幸にして災害の多い国ですから、国民を災害から守るということは政治の最大のポイントです。したがって建設省においてもできるだけ工事を厳格に指導し、監督する、こういう努力を払ってみえると私は思います。ところがもし仕様書に反して工事が行なわれて、しかし検査の結果、仕様書のことは別にして、しかじかかようかようで安全であるとすれば、仕様書どおりにやらなくてもいいかどうか、この点もひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  77. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 工事請負契約は、仕様書に基づきまして契約しているわけでございます。したがいまして仕様書どおりに行なわれる必要があるというふうに思います。したがいまして、ただいま私のほうでみずから調査いたしておりませんから具体的な事実はわかりませんので、ここで明確に御答弁はできないのですが、もしも仕様書どおりいっていないとすれば、当然請負人は仕様書どおりに訂正する必要があるというふうに思います。
  78. 山本幸一

    山本幸一委員 ただいまの答弁は私は適切だと思いますが、先ほど岡木さんが指摘されたように、私どもがボーリング、破壊検査のあとを見に行ったわけです。ところがボーリングというものはコンクリート側の表面に近いところをされております。こんなところを何ぼボーリングやったって、それはコンクリートないしは玉石の周囲ですね。それから破壊検査をやった個所を見ると、大体三十センチから三十五センチ四方。普通は一メートル四方ぐらいやらなければいけないそうですか、私はしろうとだからわかりません。同時に、やった個所が、第一期工事と第二期工事の継ぎ目です。これは御承知のとおり、第一期工事が終われば直ちに役所が検査なさるのですから、したがって第一期、第二期工事の継ぎ目は当然仕様書どおり行なわれていることはあたりまえです。検査で見られるんですからね。そういう場所をやっておる。しかも奥行きは、岡本さんが御指摘のように、わずか十五センチか二十センチしかやっていない。こんな検査で鑑定人が鑑定結果を出すということは、私はいささか納得いかないですよ。われわれしろうとが見たって、その検査は不当です。全く当を得ていません。だから岡本さんがおっしゃったように、もっと厳格な検査をやっていただかぬと、私はたまたまこの問題だけを発見したのですが、おそらく全国各地に、また岐阜県にも何十カ所、何百カ所あると思うのです。こういうことを十分やっておかないと、あとに悔いを残すおそれがあると思いますが、特に瀬戸山さんが建設大臣になられてから、災害問題にはたいへん熱心に努力をしておるので、私は信用しておるわけだ。そういう意味からも厳格な検査をやらなければいかぬということです。仕様書に反した場合の措置をどうするかということをはっきりさせること、建設省が鑑定人を呼んで、鑑定の結果について建設省が具体的に突っ込んでもらうということをやっていただかなければいけないのじゃないか。そういうことをおやりいただけますか。
  79. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 先ほど申し上げましたとおり、われわれとしましては国の補助事業として岐阜県をして行なわしめておるわけでござ、います。そういう公共事業としての監督責任がございますので、建設省としては建設省独自の立場で調査をいたしたい、こういうふうに考えております。  それから鑑定人の報告に出てきました基礎資料、たとえばボーリングの結果とか、あるいはつぼ掘りの結果とか、あるいは第一期工事と第二期工事の継ぎ目、そういうものが適、不適であるか、あるいは妥当であるかということは、建設省の独自の調査で具体的に明らかにする必要がありますので、場合によりましてはボーリングの位置をかえるとか、つぼ掘りの深さを深めるとか、あるいは第一期、第二期工事の継ぎ目のところをやめて別なところにするとか、そういった処置は、先生の御趣旨に沿うように調査を行ないたいというふうに考えております。
  80. 山本幸一

    山本幸一委員 具体的には岡本さんが一番詳しいわけですから、岡本さんから後ほどまたいろいろ質問願って、建設省との間で結論を出していただきたい。また他の一緒に参りました楯委員田口議員からもそれぞれ——こういうことは重要なことで、今後に関することですから、具体的な質問があろうと思いますが、私、ちょっとほかに用があるので、もう一点だけ質問させてもらいたいと思います。  この資料をお出ししたように、一方の東谷というところは、鑑定人の結果は、先ほど局長が報告されたように、ほとんど何もない、心配ないということですね。結論を言えば、それだけのことです。ところが東谷の工事の工事過程について、ずっと現地におりました、かつて建設省の技官をつとめておった一柳正雄という人が、これについて証言をしております。証言を要約してみると、官給セメントが全量使われていない、したがって横流しされているおそれが多分にある、しかも玉石を埋めたときに石と石との間にセメントの突っ込みを全然していない、いわゆる玉石と岩石と、その周辺でハッパをかけてとった岩のくずれを一緒にほうり込んで、その上へ表面上さあっとセメントを流しておるだけである。こういう点をはっきり証言しているんです。しかもこの証言は、しろうとじゃない。一柳正雄さんという建設省名古屋地建につとめておった人です。技術屋です。この人の証言からいっても非常な疑いがある。私どもが現地を見てみると、なるほど表面はきれいです。表面はきれいでありますが、漏水個所が十数カ所あります。かなりひどい漏水個所があります。こういう点から見ると、満足な工事でないということは私は言えると思うのです。もちろん後ほど岡木さんから御質問があると思いますが、たしかその写真があったと思いますけれども、官給セメントを横流しした事実があるわけですね。他の工肝場にこの供給された官給セメントが使われておる。その写真もあります。それから、ある警察官はこれを認めております。   〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 こういうようにいわば仕様書に反し、不正と思われるような工事が行なわれた。相当それを実証するものがある。そういうものを無視して鑑定人が、県の依頼とはいいながら、あのような簡単な不親切な結論を出すことは、私は許されぬと思います。これは災害のことを考えれば念には念を入れよです。したがってそういう観点に立って、これもぜひ能谷、和井谷と同様に適当な検査をいただきたい、こう私は思います。このことは岐阜県じゅう、全国にある今後のそうした請負契約等に一つの警鐘を鳴らすことになるのじゃないか。むしろ建設省の方針に私どもは協力する、こういう立場をとることも私どもは考えるわけですから、そういう点はおやりいただけるかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  81. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 この問題は、先ほど申し上げましたように、建設省が直接すみやかに厳重な調査をしたいと思います。その調査結果を待って当委員会においても御報告申し上げ、さらに御検討願いたい。そうしませんと、仮定のやりとりではこれは進まないと思いますので、これは厳重に、他の場合のことも想定されますので、いまおっしゃった部分も含めてよく調査をしてみます。それから御報告いたしたい、かように考えます。よろしくお願いいたします。
  82. 岡本隆一

    岡本委員 いま大臣から明快なお答えがありましたので、もうこれ以上言う必要もないと思います。ただ、いま大臣手元に写真をお出しいたしました。それは一柳という、いま山本さんの言われた、前に建設技官をしていた人が、現地で工事の模様を見て、こういう工事では困ると思って、まあ念のためにその写真をとっておいたのです。そしてまたそれに基づいてその人は、当時やはりしかるべきその筋へ一応の意見書を出しておるのです。ところがそれが顧みられずに、そういう粗悪な工事が行なわれておる。そのときの模様を一柳さんその他、当時現場で仕事をしていた人たちの話を聞きますと、パネルを立てます、片方へ石を並べます、そしてその外壁となるべき部分にコンクリートを打ちます、ところがそれから中のほうは全部ごらんのような砕石です。砕石をばあっとほうり込んで、その上にざあっとコンクリートの平打ちをかますのです。本来なら玉石コンクリートというものは、コンクリートをほうり込んでそれに玉石を詰め込んでいって、またコンクリートを流して宝石を詰め込んでいくというふうな形で、きちっとコンパクトにコンクリートと玉石をすき間なしに密着させるべきものであると思うのです。そしてまた玉石コンクリートの場合に、実際コンクリートの量と玉石の量との比率というものは五対五ということになっておるが、一体そういう場合に石のすき間にぴしっと入っているときに五対五で済むのかどうか、あるいはコンクリートのほうが少したくさん要るのではないか、こういうふうに思いますが、一応五対五で玉石を詰め込んでぴしっとコンパクトにしなければならないものを、外壁、外側の部分だけパネルと石とでつくっておいて、その間にそういうふうな土や砕石を詰め込んでおるというふうなことでありますから、一たび亀裂が生じたら中にどんどん水が入り、それが大きな岩なんかがぶち当たって一面こわされましたら中ががらがらと出てまいりますから、もう堰堤に大きな突破口がつくられて破壊するおそれがあるのです。だからそのことを現地の人は非常に憂慮しておるわけです。  ことに東谷につきましては高さが二十四メートルもある大きな堰堤です。そして幅は六十四メートルです。行って見てまいりましたが、そこに満々と水がたたえられております。一朝これが破堤いたしますと、そこから百メートル離れないところには大きな部落が繁栄しておるのですから、大惨害、大災害が起こるということは当然予想されるのです。また現地の人の説明によりますと、すでにその根っこが掘れているというのです。裏っ側が掘れているというのです。そこにたくさん魚がいるものだからそこのところでは魚がよく釣れるというのです。その掘れておる理由というものは、その堰堤を築くときに床掘りをやらなかったというのです。床掘りを十分にやらずに、付近の岩石を運んできて、ぽんと岩を置いて、それでいかにも床掘りができているようなかっこうに見せかけて、それでもって土に乗せていった。そういうことだから、下がすきがあいてきている。だから堰堤の底に空洞ができてきているのです。そんなふうな危険な堰堤で、しかも非常に大きな堰堤です。しかし、外観上コンクリートはきれいです。もう外から見たらきれいだから中のあんこのことは調べる必要はないでしょうということで、東谷堰堤はボーリングもつぼ掘りも行なわれておらないのに、これは安全だからさして心配要らぬでしょうというような調査結果の結論では、これは下流の住民は安心して住むわけにいかない。だからその点、東谷の堰堤につきましてはこれは十分な御調査を願わなければならぬ。  それから能谷やさらに和井谷につきましては、もうその写真をおあげしましたように、外はぼろぼろいたします。ここにとってきたコンクリートがございます。手で割れます。はがしてきたコンクリートは手で計れるのです。こういうふうにやるとこれは手で割れるのです。この調子です。こんなコンクリートです。見てください。この大きなものがこう割れるのです。この堰堤の外壁はそのようなもろいものです。そんな脆弱なもので囲われた堰堤というものは、どんなに危険なものであるか、付近の住民は非常な危険を感じつつ不安に脅かされておるということ、これは察していただかなければならないと思うのです。したがって私はこういうふうな工事は、もう一ぺんこの和井谷並びに能谷については補強工事をやるということを県側でも認めて、やると言っておるのでありますから、その点は一応いま県の計画しているものでいいのかどうかということをひとつ検討願わなければならないということです。その次には東谷についても十分な調査をしてその安全性を確保するということをしていただきたい。  さらに私は、この岐阜県におけるところの土木行政というものについて疑惑を持たざるを得ないというわけです。この岐阜県の土建業者のほとんどが県知事の後援会の幹事、役員をしておる。そこで、この能谷の建設のときには、現にその現地の新聞記事なんか見ますと——現地の住民がずっと私どもの調査についてきて説明しました。その現地の住民が毎日仕事に行くときに建設の状況を見ておる。そうすると、外を囲って中へ土を入れておったというのです。石ならまだいいのですよ。土を入れておった。だからそんなことをやってもらったら困るということを指摘して申したら、おれは県から言われて仕事しているのだ、おまえら黙っておれというようなことで、その抗議にも応じない。いわば県知事の庇護があるから、何をしていったところであと心配ないのだというふうな調子で工事が行なわれておる。そういうふうな風潮は岐阜県下にみなぎっておるのじゃないかと私は思うのです。さればこそ、この粗悪工事のしりぬぐいは県の建設業協会がさしていただきます。建設業協会が一部の人の粗悪工事のしりぬぐいをするということはないですよ。建設業協会がやりますということは、建設業協会が、建設業の全体がもうだんごになってそういうふうな不正工事をやっておるというふうなことも私は想像にかたくないと思うのです。想像してできないことはないと思うのであります。したがって、岐阜県下の、今度松野君が知事になってからの——松野ズル平と関係ないかもしれませんが、松野という名字がどうもこれはよくないらしい。どうもやはりこれはズル平ではないか、そういうことに通じるらしい。とにかくこういうふうな粗悪工事を県知事が庇護しておるというような形跡がある。だから松野さんになってからのそういうふうな砂防堰堤というもの、あるいは河川工事、護岸工事も同じだと思うのですが、そういうふうな河川工事については全部もう一ぺんしっかりした調査を建設省でやっていただきたい。この和井谷と能谷はやりました、ほかのほうは問題が提起されておりませんから知りませんということではいけないと思うのです。和井谷も能谷も、それから東谷もそういう心配があるのなら全部やっていただく必要があると思うのです。(「各府県やればいい」と呼ぶ者あり)各府県全部おやりになったら、それはよけいけっこうですよ、そこまでのことができるなら。とにかく一応岐阜県についてはそういうことをやってもらいたいと思うのですが、建設大臣の御所見をいただきたい。
  83. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 ほかの問題がどうなっておるということはいまもちろんわかりません。先ほど来申し上げておりますように、問題のところをよく調査いたしましてその結果を待って判断をいたしたい、かように考えております。
  84. 田口誠治

    田口(誠)委員 いま山本さん、岡本さんから質問を申し上げ、建設省のほうでも誠意を持った回答がありましたので、あまり念を押す必要はないと思いますが、大臣は厳重な調査をするということでございますので、これは県が第一回目に調査をしたときの経過は先ほど話されたが、ボーリングをやったボーリングの個所は、県がこことここにボーリングして、ここを破壊調査をしようといって指定したところを請負師が検査をしたわけなんです。だから当然そこはボーリングをしても、破壊検査をしても、これは不正工事ではないという、こういうところに検査をさして指定をしておるのですから、そういうところを十分に建設省のほうでは知っていただいて、ほんとうにいままで質問の中にありました手抜き、不正工事のあった個所を十分に調査をしていただきたいということをお願いがてらあとから御回答をいただきたいと思います。したがって、能谷、和井谷は、これはやはり破壊検査をする必要があると私は思います。  それから先ほどの東谷の関係ですが、これはちょっと私もユーモアな陳情があって笑ったのですけれども、東谷の堰堤は水族館ができております。こういう話が現地の人からあったのです。堰堤に水族館ができておるなんておかしいと思って聞きましたら、いま岡本さんが質問されましたように、水面の下のほうに円壊ができて、夏になるとそこへもぐっていって、そこに遊泳しておる魚をとってくるというので、これを名づけて水族館ができておるということを言っておるのですが、それはどの程度深さがあるかということがぼくらは確認できなかったので、これは当然潜水夫によって厳格な調査をしていただきたい。この点をお願いいたしておきたいと思います。  以上のお願いについてひとつ御答弁をいただいて、もう一問だけ私から質問をして終わりたいと思います。
  85. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 検査をした場所の問題でございますが、これは建設省みずから独自の立場で検査いたしますので、位置その他につきましては私のほうできめたいと思います。したがいまして、技術的判断に基づきましてどことどこをやるべきかということはおまかせ願いたいというふうに考えます。  それから能谷、和井谷につきましては、コンクリートの状況も見せていただきましたので、当然破壊検査をすべきじゃないかというふうにも考えられます。ただこれも現地の調査の結果によって判定していきたいというふうに考えます。  それから東谷堰堤につきましては、お説のような空洞ができておるとすれば非常にあぶないダムでございます。しかも商さが、先ほど二十四メートルという話がありましたけれども、私の手元には十八メートルという報告がきております。十八メートルもありますと高堰堤でございます。非常にあぶない。しかも下流に人家があるとすれば非常に問題でございますので、安全の上にも安全を期す必要がある。したがいましてこれも私のほうで調査をいたします。それの調査につきましては、技術的の良心に基づいて調査をいたしますので、おまかせをいただきたい、こういうふうに考えます。
  86. 岡本隆一

    岡本委員 調査の時期ですが、やはり雨期もあることですから、付近の住民の気持ちを安定させるためにも雨期までにやっていただくというふうにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
  87. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 早急に調査段取りをつけまして、できるだけ御趣旨に沿うようにやります。
  88. 田口誠治

    田口(誠)委員 まあ満足な答弁でございますので、時期的にも早急にお願いをいたしたいと思います。  それからこの問題が問題化しましてから二件また投書がきております。一カ所だけは私の秘書が調査に行きましたが、これもまたたいへんなものでございますが、大体昭和三十四年ころから三十七年ころまでの工事は同じような工事ではないかと想像されるわけなんです。これが今日国会で問題になりますと、おそらくあとからあとから投書がくると思いますので、またその時点でいろいろとお願いをすることになろうと思います。  そこで、ただ一つ疑問がありますのでお伺いをいたしたいと思いますが、こういう工事に対するところの工事中の県の検査、監督、これはどの程度やるようになっておるか、これをお聞きしたいと思います。そうでないと、直轄工事でない場合には、私は非常に心配がありますので、その点を明確にしていただきたいと思います。
  89. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 県には、必要に応じまして監査官というのがおりまして、名前はいろいろ県によって違います。定期的にあるいは随時監査ができるような立場の人がおります。したがいまして、必要に応じて検査を行い得るという状態にあるわけでございます。本省におきましては、これは竣工検査でございまして、竣工した結果を検査するということになっておりますが、そういう状況の検査を行なっております。
  90. 田口誠治

    田口(誠)委員 それで岐阜県の場合には、先ほど岡本先生のほうからお話しになりましたような結果で、非常にお恥ずかしい工事しかできておりませんが、その検査に来られる場合には予告をするわけです。これは現地住民の方の話、あるいはその工事に立ち会っておった人夫の話を聞きますと、予告があるわけなんです。予告があって、検査に来るときには正常な仕事をやっておるわけです。そして検査が終わると、また先ほど来岡本先生のほうから指摘されておるような工事がなされた、こういうことを現地住民が言っておりますので、したがって、私は予告をして検査に行くというようなことは、場合によっては非常に悪くこれを利用する場合があろうと思うのです。いつぞや岐阜県の郡上郡の手抜き工事といわれておって、三年間引き続いて災害が続出いたしましたときに、その内容を建設省に暴露をして、それで建設省のほうも非常に力を入れていただいて、そして工事中にも建設省から直接三回調査に来ていただいて、今度はほんとうに堅実なりっぱなものができておるのです。だから、私はそういうように抜き打ちの調査、検査をしなければならないと思いますので、こういう点の指導は建設省がおやりになるのか、全く県の自主性にまかせるのか、これも承っておいて、今後の参考にしていただきたいと思います。
  91. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 公共事業でありますし、税金を使っておりますから、当然りっぱな仕事ができ上がるということが必要でありますので、従来からも直接事業におきましては、請負工事につきましては随時点検を行なっておるわけでございますが、補助工事につきましてはなかなかそこまでいっていない場面もございます。われわれとしましても、かりに調査の結果そういう結論が出れば具体的に抜き打ちとかそういう検査も行なう必要があると考えられますので、措置について十分協議いたしましてやっていきたいというふうに考えております。
  92. 田口誠治

    田口(誠)委員 もう一間だけ。建設大臣、県によって格差はあろうと思いますが、ただいままでの質問で、両先生が指摘をされたような非常に手抜き工事がなされておる。これは県が管理監督をしておるわけです。ところがその管理監督の県が検査に行く場合に、予告をして行くというようなやり方は非常に危険だと思いますし、そしてこういうことをしでかした県に対するところの建設省の処置、態度というものはどのようなものであるか、これもひとつ承っておきたいと思います。(「知事辞任だ」と呼ぶ者あり)これは大臣のほうからひとつお答えをいただきたい。
  93. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますように、私ども全国のたくさんの仕事をいたしておりますから、これを全部抜き打ちで始終のぞきに行くというわけにはまいらない。これはやはり地方公共団体等を信頼するよりほかにはないわけであります。年がら年じゅう疑っておったら仕事になりません。しかし、いま御指摘のような事態がありますから、これについては厳重に調べまして、危険感を地元住民等に起こさせないようにいたしたい、かように考えております。と同時に、先ほど来申し上げておりますように、調査の結果によりまして他の部面等についても適切な措置をとってみたい、かように考えます。  ただ、知事さんがどうのこうのということは私の段階では答えられないことであります。
  94. 田口誠治

    田口(誠)委員 私これで質問を終わりますが、いままでの非常に誠意ある答弁に岐阜県民は期待をしておるわけなんですから、ひとつ答弁どおりの行動をしていただくことを強く要請をして私の質問を終わりたいと思います。
  95. 田村元

    田村委員長 楯兼次郎君。
  96. 楯兼次郎

    ○楯委員 三分ばかり質問をいたしたいと思いますが、こういうことです。  私は去年災害の委員長をやっておりまして、自分の県のことですし、去年話があればあなたにもお願いして何とか手を打ったわけですが、ことしになって突然こういう問題が起き上がってきた。私も現地へ行ったのでありますが、これは建設当時からこの問題が地域村内においては大きな論議を呼んでおったということがわかったわけです。七、八年前の村長はじめ下流に住む区長といいますか町内会長といいますか、そういう人たちが、これではおちおち豪雨のあるときには夜も眠れない、こういうので、村役場へ陳情したり、あるいは地方事務所か土木出張所か知りませんが、そういうところへ声を大きくして陳情をしておったわけです。ところが何だか知りませんけれども、あんまり言うとためにならぬぞということでしょう。結局あるところまで声は上がるのですが、そこで立ち消えになっておった。ところが昨年、御案内のようにあの地方に集中豪雨があった。幸い東のほうであったので、その集中豪雨の流れには入らなかった。西のほうの同じようなところがあったところは全部流れてしまったわけです。したがって、もうがまんできない、これはどれだけ迫害されてもいま声を大にしてやらなかったならば、この次自分の谷へ集中豪雨がきたときには、下流何百戸かあるいは何千戸か知りませんけれども、流れてしまうのじゃないか。ここに七、八年前工事をしておったこの問題が大きく浮き上がってきた。そこに原因があるということを建設当局はよく胸に刻んでいただかぬと、何か作為的なような印象を受けられておりますので、念のために一言申し上げておきます。  それからいま一つは、先ほど山本代議士が言っておりました地建の一柳という人でありますが、私は地建のほうの仕事の分轄ということは知りませんけれども、何か自分の巡回管轄区域といいますか、そういうものがあるかどうか知りませんが、そこをたまたま監査のために巡回をしておった。ところが第一期工事の場面に出会って、先ほど各委員質問をいたしておりましたような作業をやっておるので、これでは恒久的なじょうぶな堰堤はできないじゃないか、まんじゅうでいえばあんこを詰めて皮の部分だけコンクリートを張るということではだめだ、どこへ注意をしたか私ちょっとわかりませんけれども、その現場の監督者あるいはおそらく地建のほうへも再三その話をしたのだろうと思うのですが、注意をしたけれどもいれられなかった、こういう経緯があるわけです。しかし昨年のような豪雨があったら、自分も下流に住んでおるので流されてしまう、ここで多少の抵抗はあっても奮起せざるを得ない、こういうのが今日の国会の問題になっておる。こういう点をひとつ考えていただいて、まあ検査をしていただいても私もしろうとでありますが、見てきた結果から申せば、手続はどうなるか知りませんけれども、これはつくり直さざるを得ないではないか、こういうふうに考えましたので、念のために一言御忠告を申し上げておきたいと思う。
  97. 田村元

    田村委員長 次会は来たる二十七日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十一分散会