○
川村委員 急ぎます。こまかな再度の
質問をいたしません。
ことしの予算書を見ますと、工事費あるいは用地費の単価是正が幾ぶん行なわれております。しかし第一にこれくらいの単価是正で十分かどうか疑問だと私は思っております。これがやはりたいへんな障害にぶつかるのではないか、こういうことであります。卸売り物価の指数を
日本銀行が調べたのを見ましても、たとえば御
承知のとおり、木材等の製品がものすごく上がってきておるというようなこと、そのほか各種の資材の値上がりというものが
相当ひどい。これはごく最近の景気動向を見ましてもそれが明らかであります。こういう問題等が、この後建設を進めていかれるについて、最も私ども憂慮するところであります。こまかなことを私が
説明するまでもありません。
そこで、この工事費あるいは用地費、特に工事費等の単価是正をやられて、一二%であるとか二八%であるとかやっておられますけれども、これは
一体基準年次をいつに求めておられるのか。前年度に対してという
ことばは書いてあるけれども、あるいは公営住宅等の三カ年
計画を進められるその一番初めの年次に対して上がったのかというような内容の問題、そういう点に非常に大きな問題があるのではないか、こういうことであります。
用地費にいたしましても、東京の例をとりますと、私が聞いておるところでは、四十年度は坪一万円とかいうような単価であったそうでありますけれども、これなんかは実際数字をあげなくても、こんなことではとてもとてもたいへんなことだということが
指摘できるわけであります。東京都で発行しておりますところの都営住宅の現状というような冊子を見てみましても、ものすごい開きがあるわけであります。こういうようなところに、鋭意国として努力していってもらわなければ、これは東京に限らず、各
地方の、特に公営住宅等の
関係においては大きな問題を起こすのじゃないか。この前の
委員会でも問題になって
指摘しておられましたように、公営住宅の用地費の坪当たりの補助単価が、全国平均で、自治省の調べでありますけれども、四千十円程度にしかすぎない、こういつておる。ところが調査実績では一万六百五十六円だ、こういっておりますから、そこにはものすごい超過負担という問題が生じてくる。もちろんこれをまるきり全部国が背負い込むということについては、これは
大臣のこの前の
ことばに出ておったようでありますが、ある点
地方団体がやはり協力するという
考え方もあるかもしれませんけれども、こういうような基礎的なものについて算定する場合には、超過負担等が起こらないような形においてやるということが大事ではないか。
そういう面から考えてまいりますと、このような物価等の値上がりを招来した場合に、この建設
計画を進めていく場合に、
一体どのような対策を立てるのかという問題が残ってくると私は思います。これが
一つのやはり大きな問題ではないか、こういうことを考えておかなければ、あるいはそういうものが
一つの方針として示されておらなければ、この住宅
計画というものが途中でまた行き悩む、あるいは事業の縮小をやらなければならぬ、超過負担に転嫁しなければならぬ、こういう形になってくるのではないかということが、実は
指摘したい
一つの
問題点でございます。
時間がありませんから、次に私の
一つ気づいておることを申し上げますけれども、これは宅地の問題について私がここでとやかくもう繰り返して言う必要はございません。何といっても住宅対策イコール宅地対策だ、こういわれておるのでございますから、やはり
計画された場所に正常な区画で、必要な時期に用地を確保するということが、申し上げるまでもなく、重大なことであります。先ほど局長は、あるいはこの前の
委員会等においても、
土地収用法等の問題で対処すると言っておられますけれども、今度出てくる
土地収用法がその役目を果たし得るかどうかは、これは大きな疑問であります。
土地収用法が出たから宅地がうまく手に入るなんと考えたら、これはたいへんな問題になると私は思っているわけであります。統計等にあらわれておりますように、宅地の値上がりというものがずんずん大きくなっておる。こういうことを申し上げると、やはり宅地対策というようなものが
住宅建設計画には並行して同時に立てられていかねばならぬというようなことが大事ではないかとわれわれは考えておるわけであります。自分の持ち家を持ちたいと考えた場合あるいは分譲の住宅をとりたいと考えた場合、いろいろの困難点があることは、もう専門家であります皆さん方がよく御存じのとおりであります。
そういう点で、この宅地に充当される本年度の予算という問題について考えてみましても、私の計算が十分でないかもしれませんが、公団が本年
計画するのは工業用地を除いて二千七百二十五万坪、公庫が
計画するのが一千二十万坪、土
地区画
整理組合等がやるのが一千百六十万坪、公共団体が二千七百三十万坪、そこで
地方公共団体の分を除いて資金
計画を宅地
関係のを見てみると、五百三十七億、これは
地方債の三十五億を含んでそのようになっておると思います。そうなると、算術計算でありますけれども、これをぶち割ってみると坪当たり一千二百円程度ではないか。こういうような宅地予算で
一体十分なる宅地が取得できるかどうか、まかなえるかどうか。これは資金
計画の上から見ても、本
計画が遂行しようとしておる
住宅建設には非常に大きな困難があるのではないか、私はこう見ておるわけであります。これが
一つの問題。
それから、
機構の面で、なるほど公団に副総裁を置かれた、公庫に
理事を
増加された、そういうことも必要であります。あるいは、構想がつぶれたようでありますけれども、宅地造成の信用保証協会、こういうような問題等も、やはり十分検討されねばならぬこの後の
機構の面においての
一つの問題が残っておるのではないか、こう考えるわけであります。先ほど
お話が出ましたけれども、
土地収用法が提案されておりまして、これは後ほど審議に入るわけでありますが、住宅対策の根本であるところの宅地対策にどれほどの効果が発揮できるかどうか、これは実は大きな
期待はいたしておらないわけであります。
そこでいま
一つの問題としては、この土地政策に
関係する
法律は少なくありません。いろいろありますけれども、見るところではずいぶん混乱をしておるのではないか。そこで、これらの各種の
法律を体系づけると申しましょうか、法体系を
整備する必要が当面緊急な課題ではないか、私はそのように考えておるわけでありまして、そういうふうな方向でこの土地対策あるいは地価対策というものを樹立せねばならぬ、このように考えるわけであります。これは前に聞いたことでありますけれども、東京オリンピックが行なわれたときに東京都が実施いたしました
道路の総事業費が七百億と聞いております。そのうちの何と七〇%の五百億が用地取得に費やされた。特にあの放射四号線のごときは、八〇%が用地取得費に回ったということを聞いておるわけであります。たいへんなことでありまして、宅地の問題ばかりでなく、公共事業すべての遂行に大きく用地、土地問題というものが立ちふさがっておるということを考えるときには、何としても、土地対策、宅地対策というものを抜本的に解決するところの
熱意と努力と勇気が
政府側には必要ではないか、こう考えておるのであります。これが
一つの問題。
それから、いま
一つは、この前から各
委員の諸君も
指摘しておりましたけれども、やはりいま少しく公営住宅のワクを拡大して、そうして勤労者に与えるという
考え方が大事ではないか。
政府施策の四〇%程度の形では、これまたいろいろの障害が起こってまいりますし、家に住みたいというような者についての十分なる施策ではないではないか、こう考えておるわけであります。東京では、これも正確な数字であるかどうか知りませんが、聞いておるところでは、公営住宅の入居者の競争率が六十倍あるいは百何十槽、こういうふうにいわれておりまして、いつかの新聞にも出ておったように、
一つのあき家を抽せんするのに長蛇の列をなして、東京都の事務局がちょっと手違いをしたためにたいへんな騒ぎになった、こういうような、実に残念な事態が考えられるわけでありまして、東京都は四四%家に困っておる者がおるということでありますけれども、こういうことを考えると、これは宅地の問題もありましょうけれども、やはりこの公営住宅というものについて十分なる配慮が必要ではないか。今日、持ち家を持ちたいという者でも、これはなかなかたいへんなことで、私がここで一々数字をあげて
指摘する必要はございません。あるいは分譲住宅の問題についてもそうであります。
そこでこの際、私、問題として
指摘したい、あるいは
お答えがいただけるならば答えていただきたいと思いますが、公団の財源手当て等を見てみましても、どういう理由なのか私にはわかりませんが、本年は
政府資金が二百二十二億も前年に比べて減少をしておる、そうして民間資金が二百億よけいになっておる。これは
一体財源的な理由それだけなのかどうか。一方では、なるほど公庫、公団に三十九億の補給金が出ております。しかし、本年の三十九億の補給金というものは、これは本年度だけでとどまらない、来年は必ずそれが
増加される、そうなりますと、公団の資金からはやはりコスト高を招いてくるし、このような補給金制度というものは公営住宅の資金に大きなしわ寄せをするのではないか。こういうことを考えますと、これはなかなか、家に住む者の家賃等の値上がりあるいは持ち家を持ちたい者に対するところの建築費用の増高ということで、問題が非常に出てくるし、私は警戒をすべきではないかと思いますが、この点は
あとで、この公庫の
政府資金を減少し民間資金を
増加したという、この辺の経過は、ひとつ簡単に
説明願いたいと思います。
時間がありませんから、最後にもう一点私の考えを申し上げておきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、これは建設省だけの問題ではございませんけれども、また、
大臣にこんなことを申し上げる必要ございませんけれども、何といってもやはり今日の
政府が取り組む
一つの前提は、住宅対策を考えるにしても物価対策というものが土台となっていく必要があるのではないか。
それからいま
一つの問題は、たとえば東京、大阪は考えるまでもなく、都市の過密化という問題をどうするかという問題が考えられなければ、都市の過密化解消といってもこれはなかなか困難でありましょう。しかし、この過密化を抑制するという問題等々が
政府の重大施策として遂行されていかなければ、これは住宅対策にいたしましても
あとから追っかけるようなかっこうでございまして、五カ年
計画などといってもとてもとてもこの目的を達成できないのではないか。私が申し上げるまでもなく、
昭和四十年の十月の国勢調査でおよそ九千八百万人、つまり十年間で九百万人
増加したわけであります。その九百万人の
増加の中で、東京周辺に集まった者が六百万人、大阪周辺に三百万人、
名古屋付近に百五十万人、一千五十万人がこの三
地区に集結しておる。そこで、九百万人の
増加のうちで百五十万人というものが人口の減ったところからここに吸収をされておる、この趨勢はますます高まるようであります。こうなりますと、これは住宅対策にも大きな影響を与える。皆さんが
あとから追っかけても追っつかない、こういうことを考えると、この都市に集中するところの人口問題、都市の過密化問題等々を
政府の根本施策として考えていく必要があるのではないか、その辺に手をつけていかなければ、たびたび申し上げますように、
計画そのものが画餅に帰する、極端な
ことばでありますけれども、そう私は
心配をいたしておるものでございます。都市の過密化問題がいろいろな社会問題を惹起していることは、もうとやかく申し上げる必要もありません。そういう点で根本的な大きな高い次元でひとつ
大臣が中心となって
政府の施策を進めていただくよう、これをぜひ私は要望したいと思います。
そこで、先の公団の資金の問題は局長、
あとの問題は
大臣からひとつ御見解を聞かせていただきたいと思います。