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1966-02-25 第51回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十五日(金曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 井原 岸高君 理事 小金 義照君    理事 丹羽喬四郎君 理事 松澤 雄藏君    理事 岡本 隆一君 理事 川村 継義君    理事 下平 正一君       逢澤  寛君   稻村左近四郎君       小川 平二君    木部 佳昭君       佐藤 孝行君    服部 安司君       森山 欽司君    渡辺 栄一君       井谷 正吉君    金丸 徳重君       佐野 憲治君    三木 喜夫君       山中日露史君    山下 榮二君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      日原 正雄君         建設政務次官  谷垣 專一君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君         建 設 技 官         (河川局長)  古賀雷四郎君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君         建 設 技 官         (営繕局長)  小場 晴夫君  委員外出席者         文部事務官         (大学学術局庶         務課長)    井内慶次郎君         文部事務官         (調査局宗務課         長)      萬波  教君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局次         長)      平間  修君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     上村健太郎君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  住宅金融公庫法及び産業労働者住宅資金融通法  の一部を改正する法律案内閣提出第六二号)  日本住宅公団法の一部を改正する法律案内閣  提出第六三号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  住宅金融公庫法及び産業労働者住宅資金融通法の一部を改正する法律案、及び日本住宅公団法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、提案理由説明を聴取いたします。建設政務次官谷垣專一君。     —————————————
  3. 谷垣專一

    谷垣政府委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び産業労働者住宅資金融通法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  住宅金融公庫は、昭和二十五年設立以来、国民建設する住宅に必要な資金及び産業労働者住宅に必要な資金を融通する等により、住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったのであります。  この法律案は、最近の公庫貸し付け金に対する要望及び公庫業務運営実情にかんがみ、公庫業務範囲を拡大するとともに、既存の貸し付け制度の改善を行なおうとするものであります。  その要旨を申し上げますと、まず住宅金融公庫法の一部改正でありますが、第一は、公庫融資を受けて建設される集団住宅居住者利便を増進するため、賃貸住宅または分譲住宅集団的建設に伴って必要となる幼稚園及び児童保育施設建設資金を融通する道を開くこととするものであります。その貸し付け限度額は、住宅の場合と同様とし、利率は年六分五厘、償還期間は十年以内としております。  第二は、大規模宅地造成事業すなわち新住宅市街地開発事業またはこれに準ずる事業を行なう場合には、宅地造成に伴って居住者利便に供する施設及び道路公園下水道等整備が必要となりますので、現在実施している学校施設への融資のほかに、幼稚園その他の利便施設建設及び道路公園下水道等公共施設整備についても融資の道を開こうとするものであります。その貸し付け利率現行の年七分五厘を年六分五厘に引き下げることといたしております。  第三は、公共的な賃貸住宅または分譲住宅と一体となって建設される中高層耐火建築物等の非住宅部分すなわち店舗、事務所等について、その貸し付け限度額現行の八割から九割に引き上げることにより、市街地高度利用を一そう促進することとするものであります。  第四は、一般中高層耐火建築物等の適正な使用を確保するため、住宅部分用途変更についての規制を強化し、非住宅部分用途変更の場合と同様に、建物全体の貸し付け金について繰り上げ償還の請求ができるようにするものであります。  第五は、公庫宅地造成事業量の増大に対処し、宅地造成融資部門の増強をはかるため理事を一名増員するとともに、役員欠格条項につきまして所要改正を行なおうとするものであります。  次に、産業労働者住宅資金融通法の一部改正でありますが、公庫貸し付け対象を拡大し、新たに、事業者等がその使用している従業員に対し、住宅建設し、または購入して譲渡しようとする場合に、その建設資金または購入資金を融通する道を開き、事業者等の協力と相まって勤労者持ち家取得を容易にしようとするものであります。この場合の貸し付け条件は、従来の社宅建設融資の場合と同様としております。また、これらの譲渡条件等につきましては、譲渡を受ける者の負担能力を考慮して適正に定めることとしております。  これらの改正に伴い、北海道防寒住宅建設等促進法について、北海道において建設される幼稚園等利便施設は、北海道の気象に適したものでなければならないものとする等、所要改正を行なうとともに、登録税法租税特別措置法及び地方税法について、事業者等がその従業員譲渡するための住宅及びその敷地にかかわる登録税及び不動産取得税の減免について所要改正を行なうこととしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。  次に、同じくただいま議題となりました日本住宅公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、公団が行なう住宅建設及び宅地造成とあわせて整備されるべき公共の用に供する施設整備等公団業務に加えることといたしました。  公団住宅建設または宅地開発を行なうにあたっては、道路下水道等公共の用に供する施設が適切に整備されることが必要でありますので、これらの施設整備等公団が施行することができるようにするものであります。  次に、新住宅市街地開発事業及び首都圏近畿圏における工業団地造成事業を施行することを公団業務範囲に規定することといたしました。  公団は、新住宅市街地開発法首都圏市街地開発区域整備法並び近畿圏近郊整備区域及び都市開発区域整備及び開発に関する法律において、それぞれ事業施行者として規定されておりますので、公団法におきましても、これを明らかにすることとしたものであります。  次に、公団の副総裁を一名増員することといたしました。  公団宅地開発事業を強力に推進してまいりますためには、従来の組織機構では不十分であり、宅地開発部門を拡充強化する必要がありますので、これを担当する副総裁を置き事業を推進するためであります。  なお、公団管理委員会委員及び役員欠格条項についても所要改正を行なうとともに、公団建設する家屋で、国、地方公共団体が公用または公共の用に供するものを不動産取得税の非課税の対象に加えることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 田村元

    田村委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  5. 田村元

    田村委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  なお、本日は、本件調査のため、日本道路公団総裁上村健太郎君が参考人として御出席になっております。同君の御意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。井谷正吉君。
  6. 井谷正吉

    井谷委員 先日の当委員会におきまして、大臣は、最近急増する道路交通需要に対処するとともに、国土総合的開発と均衡ある発展をはかるために、全国的規模における高速道路建設を緊要とし、このために高速自動車国道網をすみやかに策定してその計画的な建設を推進するとの所信を表明されました。また、政府は近く本国会高速自動車国道建設法案なるものを提出して本委員会審議を求められるようでありまして、私は、大臣高速自動車国道建設について、このたびかつてない積極的な姿勢を公に出されましたことは、わが国道路行政一大前進であると思って、欣快としておるのであります。だが、大臣の述べられました先日の所信表明はきわめて概念的なものでありますから、私はここに三、四点の具体的な問題について、大臣の率直な御答弁をお願いいたしたいと思います。  第一は、御承知のように、高速自動車道には議員立法が非常に多いのでありまして、前国会におきましても三本の議員立法がなされました。私は、わが国民主議会であります以上は、原則として議員立法は正しいと信ずるものでありますけれども、遺憾ながらわが国民主議会というものは、設立が日が浅うて、いまだすこぶる幼稚でありますために、この種の立法になりますと、ややもすれば国家的な大所高所からものごとを判断するのではなくて、第二義的な、限られた特殊地域利便に偏し、あるいは議員の選挙区に対しまする配慮等が加わるきらいがなきにしもあらずと思うのであります。しかしながらこれは私は政府の側にも大きな責任があると思うのであります。なぜかならば、高速自動車道が今日近代輸送交通の中堅をなすものであり、経済文化興隆発展とその向上には、一に高速自動車道建設に期待されているにかかわらず、政府高速自動車道路網に対する企画構想が実にもことして徹底を欠いていた、こういうことが言えると思うのであります。ゆえに私は、この際政府が率先してわが国高速自動車道路網基本策定して、言うなれば、われわれ議員が待ち切れないで思い思いの立法をいたさないで済むような、合理的なしかも積極的な企画国家的見地からすみやかに策定されたいと思うのであります。  そこで、大臣にお伺いいたしたいのは、政府は今国会高速自動車国道建設法案提出されまして、高速自動車道予定路線をお定めになるようであるのでありますが、高速自動車国道網整備をはかるためにその予定路線を定めるとなると、従来ありました国土開発縦貫自動車道建設法との関連は一体どうなるのであるかということであります。それで、国土開発縦貫自動車道建設法によりますと、建設に関する基本計画は、総理大臣が立案をいたしまして、国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経てこれを決定する、こうなっております。新高速自動車国道建設法によって高速自動垣道路網を決定する場合に、これらとの関連はどうなっていくかということであります。また、国土開発縦貫自動車道建設法において、その第三条に、国が建設すべき高速自動車道予定路線を定めておりますが、その中に四国及び北海道自動車道については別にまだ法律で定まっておりません。大臣高速自動車国道網をすみやかに策定してその計画的な建設を推進すると申されておりますが、この北海道及び四国高速自動車道についてはどういうお考えを持っておられるか。議員立法するまでお待ちになるお考えでありますか。この点をまず第一にお伺いしたいと思います。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 まず最初に、いまの御質疑に対してじゃないのでありますが、私はお聞きのとおりのどを痛めておりますので、議員各位の御同情によりまして、あまりのどを使わないようにということを御指示いただいておるということで、まことにありがたく思っております。そういうことでできるだけ簡潔にということでございますから、簡単にお答えいたします。  いまお話しの、縦貫自動車道その他のいわゆる高速自動車道法律提案についてのお話でありますが、結論を申し上げますと、全国高速自動車道路網というのを従来からずっと検討しておるわけでありまして、今後十年ないし十五年の将来の日本産業経済文化等を想定いたしまして、そしてそういう道路網策定し、しかもこれを建設することがわが国の今後における道路政策の基幹である、かように考えまして、せっかくいま提案を急いでおるところであります。いろいろな手続が要りますが、日時の点は、はっきりいたしませんけれども、おそくとも三月中旬くらいまでには国会に御提案をいたしたい、かように考えております。  国会が制定された事態がたくさんありまして、むしろこういう国家基本的な政策について、国会みずから率先して従来おやりになったことは、これは大いに敬意を表すべき問題であると私は思っております。ただしかし、いまお話しのとおりに、やはり何といいましても建設省あるいは政府といいますか、特に建設省はそのほうの専門的な調査、検討をする機関でありますから、全国的な組織的道路網というものはやはり積極的に建設省が担当して、そしてその案を国会にはかるのが適当であろう、こういう判断をいたしまして、いまの措置をとりたい、こういうことであります。その構想は、縦貫自動車道を軸といたしまして全国に必要な路線をこの際網羅する、こういう考え方に立っておりますから、縦貫自動車道法その他の単独立法にあります、約五千キロでありますけれども、それを統一した法体系にしたい、これが第一点であります。したがって、いまお話し北海道四国道路網も全部これに網羅したい、こういう構想でいま案を作成中でございます。こういうことであります。
  8. 井谷正吉

    井谷委員 この四国高速自動車道につきましては、自民党さんのほうにおきまして最近二つの案が練られておるようであります。いわゆる四国の島をアラビア数字の8の字型に各県庁の所在地をくるくる巡回をする、こういうのが第一次の案であったようであります。ところが、これが改められまして、今度は8の字の上下のまるみのあるところだけのけていわゆるX型になりまして、もはやこれが決定的なものであるというふうに地方では宣伝をされておりますが、私はこんなばかげたことはないと思うのであります。というのは、大臣もひとつお考えを願いたいことは、本州から離れた四国の島、しかも四国全島と申しましても岩手県そこそこの四国の島に8字型で高速自動車がくるくる回ってみたり、あるいはしり切れトンボのX型で高速道をつけてみましても、これはわが国の総合的な国土開発の上には何らの価値がないものだと私は思うのです。  そこで、私の考えます四国総合開発ないし国土開発というのは、四国が西は九州と連絡直結し、東は阪神、近畿近畿圏経済と直結をする。要はこの四国孤島性を脱却するという観点に立脚せねばならぬと思うのであります。四国横断の大動脈であるこの高速自動車道をそういう意味において建設してこそ私は意義があると思うのであります。これはただ単に私の独断ではありません。先年建設省、自治省が国連から招かれたワイズマンの報告を見ますと、ワイズマンは、第二東西幹線という名前のもとに、西は長崎から大分九州横断大分からは愛媛県の佐田岬、三崎町から徳島に出る、こういう路線を発表しておるのでありまして、高速自動車道国家的な重要性に結びつける意味においては、私はこれが一番最適の路線であると思っておるのであります。すでに前国会におきまして長崎大分間の九州横断高速自動車道路網法案は成立をいたしておりますし、さらにこれは、当時この法案提案理由を御説明になった馬場さんのお話によりましても、この九州横断高速自動車道の目的とするところは、四国横断高速道に結びつけて京阪神、近畿に直結するものであるということを言われておるのであります。したがいまして、私は、この四国と8の字やX型で、こういう大局から見て縁のないやり方は不適であると思っておるのであります。これは四国高速自動車道企画する上においての重大な問題でありますから、大臣の御所見を承りたいと思います。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 全国高速道路網策定しますについては、いまここでどこからどこまでということを申し上げる段階にはなっておりません。したがって、基本的な考え方だけを申し上げておきますが、いま結論的なことを申し上げますと、まあいま申し上げられたようなことは、十分勘案すべきものだと考えておるということが一点であります。先ほど申し上げましたように、少なくとも十年、十五年あるいは二十年の将来を考えての私ども道路網策定したいということで、これは省内のみならず、いわゆるそのほうの、道路ばかりでなく、この構想をつくりますについてはいろいろ各方面の専門家学識経験者等意見を徴しておるわけであります。なお地元の各地域のいわゆる意見も徴しておるわけであります。そういうことで現在の地方における重要な地点、あるいは将来の産業経済——これは現在の状態だけに応ずるわけではありませんから、将来のしかるべき地点、重要な地点、こういうところをおおむね二時間以内で高速自動車道に連結ができる。これは一般道路整備がずっと進みますから、全国の重要な地点は二時間以内で高速自動車道に乗ることができる。こういう一つ条件といいますか、基本的な考え方、あらゆる面からいろいろ検討して策定をいたしつつあるわけであります。  四国の場合、8の字という構想もありました。しかしこれは、将来五十年、百年先を考えるということもいろいろ出てくるでしょうけれども、い衣の段階では十五年ないし二十年先を私どもは想定をして、各般のデータから検討しておるわけでありまして、そういう時点における道路網という考え方でやっておりますから、全国を8の字にしたり、海岸線を全部つくるというようなことは、現在できもしませんし、必要を感じておらないわけであります。四国の場合は、いまお話しになりましたようなことも十分考慮に入れまして策定をいたしたい、こういう考え方であることを申し上げておきたいと思います。
  10. 井谷正吉

    井谷委員 次は国道整備についてお尋ねをいたしたいと思います。  私は、今回大臣一般道路整備促進にも積極的な熱意をお示しになったことに、非常に敬意を表しておるのでありますが、従来、一つの県が他県と接続をいたしております道路、その建設当時は県道ないし邪道でありました。これが両県の物資交流交通の上に非常な役割りを果たして、現在においてもますますその重要性を増しておりまするし、さらに将来、より以上の使命を、あるいはまたその道路としての効果をあげるのはたくさんあるわけでありますが、しかしそうした県道ないしそれから選ばれました主要道にいたしましても、そのままにとまっておりまして、その後にできました県道等が、時代の進歩に従うて幅員等も十分できておりますけれども、大事な幹線であったその道路が昔のままでおるというのがあるわけであります。この道路設計をいたしまする当時は自動車も見たこともない、馬車馬の輸送を中心にしたような設計でありましたから、むだなカーブも多いし、そしてヘビのほうたような屈曲した、距離的にも、またこれを使います時間の上においても、非常なむだな路線が現在あるわけであります。今度国道整備をなされるという上におきましては、こうした昔からの重要な路線であり、しかも道路が部分的には改修されていても、やはり旧態依然たるこういう道路、こういうものを今回御整備になるお考えであるのでありますか。さらにまた、いままでの道路五カ年計画、それをその上にこれは加えるということはむずかしいと思いますが、どういうふうにしてこれの整備をなされるのであるか。その点を伺いたいと思います。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 結論から申し上げますと、いまの全体の道路整備は、五カ年計画のワク内でやるわけでございます。ただ、私が全国の模様を見まして、これは少し冗長になるかもしれませんけれども、この前の、昨年十月の国勢調査状況、これは内容は申し上げなくても御承知のとおりで、非常に人口移動があった。これは産業経済の戦後の急速な発展で、どうしても人口移動が伴う、これは一つの当然な帰結であります。ところがその弊害が、いわゆる過密の問題、地方の疲弊の問題、こういうものが伴っております。一面その状況を見ますると、国民所得生産性が低い、言いかえますと未開発国民所得の低いところが人口の減少が非常に多い。これが一つ要素であります。したがってそういうところはまた出かせぎが非常に多い。出かせぎの状況を調べますと、当然にいわゆる低生産地であるとか、あるいは未開発地であるとか、後進地域であるとか、こういうところが非常に多い。これは農業政策にも関係がありますけれども、これは別といたしまして、それからそういう人口移動の多い中で、出かせぎの多い中で、どういう部面に一番出かせぎがふえておるかというと、建設事業に非常に多い。六〇%あるいはそれをこしておる。大半がいわゆる大都市等の周辺における建設事業に出かせぎしておる、こういう実情でございます。それからもう一つは、そういう低開発地あるいは生産性の低い、人口の非常に減りつつある地帯を見ますると、非常に道路整備状況が悪い。各般要素を調べてみますと、まだほかにありますけれども、大体そういうことがよく明らかになる。  そこで、建設行政から見ますると、出かせぎを全部防ぐということはできませんけれども、同じ建設事業をするのであれば、やはり未開発地帯において相当働く場所をつくる必要がある。同時に道路整備の進まないゆえんによって、農業の振興がおくれたり、いわゆる文化経済がますます停滞するという状況になって、道路整備条件からすると非常な偏差がある。おくれておるところは極端におくれておる。これは今日まで、道路整備が、何しろ急場に間に合わせる、当面の問題を解決するという点に重点がありましたから、これは私もあながち不適当であったとは言いません。これは急激な戦後経済発展をはかり、また発展をしなければならない、こういう事情に応ずる道路整備の問題があったことはやむを得ない事態である。しかし、さっき簡単に申し上げました諸情勢を考えますると、いわゆる建設行政によってそういう点を是正する方策も、政治全般として考えなければならない、こういう基本的な考え方を持っておるわけであります。  今度の道路五カ年計画の中においても、こういう考え方整備重点をだんだんそういう地帯に移さなければならない。これは二、三年前からそういう考え方建設省としてはやっておるわけでありますけれども、もっと重点の移し方を、そういうところを勘案して地方に移すべきである。いまお話しになったように、地方幹線道路で、幹線という名前はあるけれども幹線としての用をなさないというところがたくさんありますから、そういうところをできるだけすみやかに整備する、こういう体制で進みたいと思っております。四十一年度の予算の配分といいますか、道路整備やり方もそういう考え方で進めたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
  12. 井谷正吉

    井谷委員 大臣は、先般、元二級国道について、これから国の直轄の事業としてすみやかにこれを推進するように努力をしたい、こういうお話でございました。これは局長からでいいのでございますが、従来、二級国道について、国の負担率あるいは県の負担率、それから今度直轄事業を行なうようになった場合、これはどういう方法になるか、それをひとつお聞きしたい。
  13. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 いますでに二級、一級の差がございませんから、すべて一般国道でございます。したがいまして、国の負担につきましては、一般国道は四分の三、地方が四分の一ということになっておりますので、そういう点については何ら変わりはございません。ただし直轄でやります場合には国で全部やるということで、四分の四を予算上国が組みます。地方の四分の一の負担は、当該年度に別の形で地方自治体が国庫に納入する、こういうことになっております。予算の形式は全額という形をとりますが、負担の関係は他の補助国道と同じように四分の三、四分の一、こういうことになっております。
  14. 井谷正吉

    井谷委員 次に、四国と本土の架橋の問題についてお尋ねをいたしたい。  現在、四国と本土に架橋をする、こういうことを中心にいたしまして、まず四つの団体が活動をいたしております。一つは南日本国道建設促進連盟、二は本土淡路四国連絡橋架設促進協議会、三は瀬戸大橋架設促進協議会、四は中国四国九州連絡道路建設推進期成同盟会、この四つがあるわけであります。  そこで、第一の南日本国道建設促進連盟と申しますのは、神戸市と四国四県の各市、熊本、大分、宮崎、鹿児島の各市長ほか二百十二町村長から構成をされておる団体でありまして、これは明石・鳴門海峡の架橋並びに豊予海峡、三崎−佐賀関間にフェリボートを開設、南九州四国・本土の幹線道路を統一的に建設整備をいたしまして、これによって四国及び南九州の総合開発を促進し、これらの地域をヒンターランドとして阪神港を通じて輸出の増大をはかり、四日本経済の一体的発展をはかることを目的とする、こういうふうになっておって、すでに昭和三十六年には、徳島県におきましては鳴門市の撫養から大毛島に小鳴門橋を架設しておるという状態であります。  次に、本土淡路四国連絡橋架設促進協議会というのは、大阪、兵庫、徳島、高知、愛媛の各県知事、府県市議会議長、市長等によって結成をされまして、明石・鳴門架橋につき不断の活動を展開しております。  これと趣を異にいたしまして、瀬戸大橋架設促進協議会というのは、香川県と岡山県がやっております。香川県の坂出市から岡山県の下津井へ六車線の道路、鉄道の複線の併用橋として建設をする、こういう主張をいたしております。  第四の中国四国九州連絡道路建設推進期成同盟会というのは、島根県、広島県、愛媛県、大分県の各県知事並びに県議会議長によって構成をされております。その目的といたしますところは、島根県の松江市から広島県三次を経て尾道に至って、ここより瀬戸内海の島々を架橋によって愛媛県の今治市に渡って、松山、大洲、八幡浜の各市を通過して佐田岬からフェリで大分県に上がる、こういうのであります。この松江・尾道・今治・大洲・三崎・大分間の中国四国九州連絡道路を一貫した国道にしてもらいたいということと、尾道−今治間の連絡架橋をすみやかに実現してほしい、こういう要望になっておるのであります。この尾道−今治間の架橋は、十カ所も橋がかかるのでありますけれども、各島々が非常に接近しておりまして、橋の長さも非常に短く、工事費も長大橋に比べますと、たいそう安上がりになるということを特徴としておるようであります。ただ、この尾道−今治間の架橋は、瀬戸内海大橋といっておりますので、香川県・岡山県の瀬戸大橋架橋というのとちょっと混線をするようでありますが、実質的には違っておる。  要するに、このように四国と本土の架橋問題は、これは時代の切なる要望であります。私は、瀬戸内海海域の開発あるいは中国、四国九州のこうした開発の面から言うならば、この橋が三本や四本あっても差しつかえないと思うのでありますが、これは大きな工費も重なることであって一時に始めるわけにはまいらないので、およそこれは順序というものがあろうと思いますけれども、この各地域はばく大な調査費あるいは設計等にお金をつぎ込んで、お互いにこの四本の中の第一の優先した路線に入ろうとして、しのぎを削っておるような状態であります。こういうことをほっておきますと、地方としてもその線に漏れた県としては、たいへんな迷惑であると思います。そこで建設省としても、こういうことを見放しにするのではなくて、何かここに順序を立てて、はっきりした線を打ち出す必要があると思うのでありますが、これに対する大臣の御所見を承りたいと思います。
  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 お話しのとおり大まかに言って三カ地点に本土と四国との連絡架橋をせよという強い要望が数年前からあるわけであります。結論的に申し上げて、できれば私は三カ所あってもけっこうだと思います。ただ、いまお話しのように、どのくらいかかるか、まだ積算はする段階になっておりませんけれども、ちょっと考えてもばく大な金がかかるわけでありますから、やるべきであっても一挙にはできない、こういう状態でありますが、いずれにいたしましても、いまお話しの各地点というものは、橋をかければ適当な地点であろうという場所でありますから、御承知のとおりに建設省あるいはところによっては運輸省が今日まで調査をいたしております。国費にいたしましても建設省は十七億余の、数カ年にかけて三カ所の各種の調査、地質その他技術調査をずっと続けておるわけであります。何ぶんにも広範にわたっての調査でありますから、最高の学界等の技術陣にお願いしておるわけでありますが、この技術調査の結果がおおむね今年度中には報告されるであろうという段階にきております。しかし、それは技術調査でありまして、なおそれで調査が済むということではございませんから、四十一年度さらに結論をまとめる意味調査をやらなければならない。こういう意味で五億前後の調査費を本年度さらに要求しておる、こういう事態でございます。  どちらかにきめたらどうかというお話でありますが、これは高度な技術を要する問題でありますから、そういうものが出ませんと、どこにやるべきか、どうすべきかという結論をいま出す段階ではございません。お話しのように、地元でも非常な努力をされておるし、どのくらいかかっておるのか知りませんけれども、相当経費をかけても調査なんかしておられるところもあるようでありますから、できるだけ早く結論を出すべきだと思っております。思っておりますが、いまの段階ではさような事態であります。  私どもは、まず第一に、これはいつの場合でもそうでありますが、特に海上あるいは海底のしかも非常に瀬戸内海の潮流の激しいところ、地震国であり台風国であり、しかもわが国では航海の、最も船の航行のひんぱんなところでありますだけに、そういう各種の高度な研究を要する事態でありますから、技術を最高度に尊重するということ。それから、問題は資金であります。こういうことを勘案して最終の決定をすべきであろう、かように考えておるわけでございます。
  16. 井谷正吉

    井谷委員 次に、私は、最近政治的な疑惑にまで発展しております愛媛県の佐田岬から大分県の佐賀関に連絡をいたしますフェリボートの件についてお尋ねをいたしたい。  この豊予海峡のフェリボートについては、この前なくなられました河野さんが大臣であられたころから問題になっていたのであります。私は、河野さん、その次の小山さん、この両建設大臣のときから、数次にわたって本委員会で論議をいたしたのであります。そもそもこの九州四国近畿に一貫する国道の一部であります豊予海峡フェリボートは、当初公団がおやりになる御計画でありましたが、河野さんが、道路公団でやるほどの仕事ではないから民間でよろしいと主張されました。その後、小山さんになりまして、公団と民間で半々でやったらどうかという案を出された。それから一そうこの問題はごてついてまいったのであります。しかるところ、最近大分県知事と公団との了解ができまして話し合いがついたと報ぜられておりまするが、私はこの内容について公団総裁から御説明を願いたいと思います。
  17. 上村健太郎

    ○上村参考人 九州四国のフェリにつきましては、いまお話のありましたような経緯で、私どものほうで一ぱいつくり、民営で一ばいという案で一応大分、愛媛両県に御協議を申し上げましたが、御了解を得るに至りませんで今日に至っております。なお大分県側から私どものほうにはまだ話がございませんので、いまそれについてお答え申し上げることができない状況にございます。
  18. 井谷正吉

    井谷委員 私は、このフェリ就航は将来の九州横断高速自動車道との関連がありますから、道路公団一本の手において運営するのが正しいと思って主張してきたのであります。いまでもそう思っておりますが、また、道路公団が一本でどうしてもやることができないということであるならば、これは全部民営にやらせたらいいと思う。しかるに公団がいまお話しになりましたように、公団が一ぱい船をこさえる、民間会社が一ぱいこさえる、こういうような何だか割り切れない、筋の通らないような構想はどういうところから出てくるのであるか、これを伺いたいと思います。
  19. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 その問題は私のほうからお答えしたほうがいいと思います。  今日までのいきさつは御承知でありますから重ねて申し上げません。私どもの態度としては、できるだけ早く四国大分間の連絡フェリをやったほうがよろしい、こういう態度には変わりありませんが、御承知のとおり、これはやはり地元両県知事といいますか、両県の協力がなければできない仕事でありますから、その問題で今日まで延びておったわけであります。そこで、従来から地元関係両県についてできるだけ意思を統一してもらいたい、こういうことを申し上げておったのでありますが、つい昨日であります、両県当局あるいは両県の選出議員さんと御一緒に、こういうようなことでやってもらいたいというふうに意思統一した、こういうお話があったわけであります。  それは口頭でありますから簡単に申し上げますが、いわゆるフェリの接岸施設と申しますか道路になるわけでありますが、その点は公団と両県とでやる、こういうことが一点であります。次は、船でありますが、船は公団が一隻、民間会社が一隻ということに、建造するというか持つというか、してもらいたい。それから第三は、運航航路権といいますか、航路権は公団が持つ、こういうことにしてもらいたい。こういう三つのお話がありました。  私どもは、率直に言って、長い間の懸案でありますし、しかも交通は一日も早く通じたほうがけっこうでありますから、関係地元の意見が一致すれば、できるだけ尊重してそれを進めたい、かように御返事を申し上げてあります。けれども、これは、まだこれだけですぐ私どもの態度を最終決定するわけにはまいりませんので、細部についてどういうふうにするかということは、まだこれから研究をしなくちゃならない。特に航路権を云々するということは、建設省や運輸省できめることじゃありませんので——最終的には運輸省できめますけれども、これはまた運輸審議会等によって検討する事項になっているそうでありますから、そういう点の検討をしてからでなければ、かようにいたしますという御返事はできない状態であります。  なお、予算等の関係もありますから、こういう申し出があったということを前提にして、それが可能であるかどうか、こういうことを検討しよう。できるだけ早く運航ができるような状態をつくりたいという考え方に基づいて、いま申し出のことが実現できるかどうか、こういうことを検討いたしまして、こういうことで御返事を申し上げておる段階でございます。
  20. 井谷正吉

    井谷委員 航路権は公団が持つ、それから業務運営は局間にまかす、そういうことがあったら、二隻とも民間にやらしたらいいと私は思うのです。この辺が非常にややこしい。これは民間会社のほうで船を二隻こしらえるだけの力がないからそうなるのか、あるいは何かほかに理由があるのでありますか。  それを伺いたいのと、もう一つは、豊予海峡は案外波浪の強いところでありまして、公団でお調べになったところを見ましても、年間に約二五%の欠航率を見ておる。万一ここで大きな海難事故でも起きましたような場合の補償、これは民間が業務運営をしているんだから、その責任はみな民間会社が負うんだ、こういうふうになるのか、そうしたことを委託しておるのであるから、その責任は公団が持つのであるか。船の二はいさえこしらえられぬような、一隻の能力しかない会社が、海難事故の起きた場合の補償が果たし得るかどうかということを、私は疑念を持つのであります。こういう点についてお伺いをしたい。
  21. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほどちょっと落としておりましたが、船は公団と——これは申し出であります。こうきめておるわけではありませんが、申し出は、船は一隻公団が建造する、一隻は民間会社が建造する。それから航路権は公団が持つようにしてもらいたい、その運航といいますか、それは民間会社に委託するという形式にしてもらいたい。こういうことで、ここは先ほどちょっと落としておりましたから、つけ加えておきます。  さて、かりにそうなった場合のことのお話でありますけれども、これはもっと検討を要しますけれども、いまのお話が出ましたから、私から私の知識による範囲でお答えをしておきますが、航路権を公団が持って、公団の船あるいは民間の船——民間というのはどこか、まだこれは、かりにそうなっても、もちろんきまっておるわけではありません。  まず第一点から申し上げますと、かりに公団が航路権を持って民間に委託する、こういう場合に、その民間会社というものは、公団が選定して適当な民間会社に委託する契約をする、こういうことになるのであろうと私は思います。航路権の設定は運輸省のことでありますけれども、航路権を持ってどこのどういう会社に委託するかということは、航路権を持っている公団が適当な会社を選定してそれと契約する、こういうことになると思います。そういたしますれば、これは法律上の問題でありますからもっと検討を要しますけれども、それを前提にして申し上げますと、いまお話しのように、海難事故その他の事故があった場合の補償等の問題は、これは公団が持つことになろう。不可抗力その他の場合は別でありますけれども一般海難事故で普通の会社が持つべき責任は、これは公団が持つことになろう。ただその際にもう一歩進んで、契約上さような場合には公団に対する最終の責任はその会社が持つことになろう、かように考えます。したがって、もしかような形でやりますれば、公団はそれにふさわしい民間会社といいますか、それを選定する必要があるのではないか、かように考えているわけであります。
  22. 井谷正吉

    井谷委員 私が、最初申し上げましたように、公団一本を主張するのは、これは九州の縦貫道、やがてできるであろう四国の縦貫道、これの連絡は当然三崎−佐賀関のフェリによるわけであります。そうした場合に、こま切れでなくて一貫した作業が私は一番よろしいと思っている。そういう場合に、現在民間に委託をしているこれをかりに接収しなければならないような状態になったときに、公団は多摩川のゴルフのあれについても思い切った補償をせられるから、そういう前例もあることであるから、私はこれはたいへん取り越し苦労であるかもしれぬけれども、そういう場合のことを考えて心配している。そこで、この民間委託の契約は、九十九年の契約があるか、あるいは三年ないし五年で契約の更新をするのか、これを接収する場合のことを考えた場合のこれの扱い方、こういうものを私は知りたいのであります。
  23. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 まだそうなるかならぬかという前の話でありますから、何年で契約するかということは今後の検討でありますが、常識的に考えまして、非常な厳密な意味現行予算制度等から考えますと、公団国家機関でありまして予算によってやっておりますから、普通なら一年契約になろうかと思います。それでいいかどうかということは、私は運航のこと、海運のことは知りませんからわかりませんけれども、予算上でやることでありますから、普通ならば一年契約、こういうことになろうと思いますけれども、これから先もっと検討を要する事項でありますから、いまここで何年にするであろうということは答えられない、こういうことであります。
  24. 井谷正吉

    井谷委員 いま大臣は、民間会社を選定する場合に、公団がおきめになるようなお話でありましたけれども、私どもの耳に入っているところによると、これは地元の大分県、愛媛県の諸君において大体きめる、こういうようなことを聞いている。それはどういうことなんですか。
  25. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そういう話は私は何も聞いておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、かりにこういうケースでやるといたしますれば、公団が各種の事項については責任を持つことになると思います。また、私は法律でそうなると思います。しかし、その最終責任は公団に対してはまた民間会社が持たなければなりませんから、それを持ち得るだけの資格、能力を持たない人には公団は契約すべきでない、これは当然なことだと思っております。そのほかの人がきめるということは私は聞いてもおりませんし、さようなことはあり得べからざることだと思います。もっともそれが非常な優良なことを推薦してきて、それが適当であるということになればこれは別でありますけれども、愛媛県あるいは大分県ですか、そういう方々をこの会社に据えるということは、これは私は筋としてそういうことは通らない、かように考えております。
  26. 川村継義

    ○川村委員 ちょっと関連して……。何かたいへんこんがらがっているようなお話を承っておりましたが、そこで関連して一つお聞きしますが、九州大分から熊本を通って長崎に行くいわゆる横断国道、昔の一級国道五十八号線ですか。局長、路線番号は五十八でしょうね。
  27. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 日田を通る道路でございますか。
  28. 川村継義

    ○川村委員 現在ある国道——長崎から海を渡って三角に上陸して、熊本を抜けてそれから大分へ通ずる、前の一級国道、これは五十八号線でしたね。
  29. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 五十八号線だと記憶しております。
  30. 川村継義

    ○川村委員 そこで、大臣、いま五十八号線が御承知のとおり三角から島原に渡る船の線があるのですね。ここもやはり五十八号の線に入っておる。ここをフェリボートが走っておりますね。これはどういう形になっておるのですか。航路権はやはり道路公団が持っておるのですか。そしてあのフェリボートは、あれは道路公団がやっているのですか。民営がやっているのですか。
  31. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 これは海上に国道が指定されておりますが、公団はフェリボートをやっておりません。民間で、自動車ではなくて人員の輸送をやっております。
  32. 川村継義

    ○川村委員 それはちょっと局長、あなたらの調査が不足じゃありませんか。人員ももちろんそうですよ。大型のバスあたりを何十台積んで渡しておりますよ。そのボートは民営がやっているのか、いまのお話と関係して、公団がやっておられるのか。
  33. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 三角からはフェリはないと私は記憶いたしております。もしフェリがありましても、これは道路管理者ではやっておりません。民間でございます。
  34. 川村継義

    ○川村委員 そうすると、三角−島原間のやつは民営がやっておる。航路権はもちろん公団が持っているわけですか。
  35. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 航路権も何も公団は持っておりません。海上運送法によります純然たる民営事業でございます。
  36. 川村継義

    ○川村委員 わかりました。  そうすると、いまの質問に出ておる四国九州間のやつとはずいぶん取り扱い方が変わっておるわけですね。ところが今度はまたそれとは違ったやり方考えておられるようですが、その点はそういうところに一貫性というものがないのですか。
  37. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 海上が国道その他の道路につながります場合に、海上を民間でやっているところ、これが大部分であります。国で海上輸送までやっておるところはほとんどない。あるかもしれませんが、ほとんどないと言ってもいいくらいです。(「いっぱいある」と呼ぶ者あり)それは公団のもありますけれども、ほとんど民間でやっておるわけであります。公団の分も一部ありますが、これは民間に運営を委託してやっているところはあります。面接やっているところも一、二カ所あります。  ただ、いまの問題の、井谷さんの話は、四国佐田岬から大分に至る国道につながるのを、さっきお話がありましたように、南日本というのですか、国道連絡を早くせい、豊予海峡を早くつなげということからそこにフェリを通す、それを有料のフェリを通せ、これを公団でやるかあるいは民営にするかという、いろいろ議論があって、いきさつがあった路線であって、それをどう解決するかということがいま問題になっておるわけであります。
  38. 川村継義

    ○川村委員 私、どうも話がふに落ちないのですが、そういう点はやはり行政上一貫した方針をおとりになることが大事ではないでしょうか、やはりその場所場所によっていろいろ形を変えて航路権はこうするのだ、運営は民間でやるあるいは半分は公団がやる、そういうようにばらばらでおやりになるほうがいいのですかね。やはりこれは国として一貫した何か方針を持っておやりになることが大事ではないかという気持ちでいまお話を聞いているのですが、どうです。
  39. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 従来海上を道路に指定している個所がかなりございますが、先ほど大臣からお話がございましたように、大部分が道路管理者ではなくて、一般民間事業でこの輸送をやっている場合が多いことは事実でございます。  そこで、代表的な例といたしまして、明石−鳴門、この国道をつなぐものとして、日本道路公団で明石−鳴門のフェリをやった事例が一つございます。それから北海道で、厚岸湾の入り口の、これは道道でございますが、これを一カ所フェリ事業としてやはり道路公団でやっておる事例がございます。これは実は道路公共事業でやるべきだという考え方もあったのでございますが、何ぶん船を運航いたしますと、それを運営するために経営的に常時非常に多くの人が従事し、また船を運航するために経費がかかるというようなことで、どうしても有料にならざるを得ないということに性格上なったものと承知いたしておりますが、これらのフェリ事業を今日までやってまいりました経験から見ますと、必ずしも民間に比べて公団のほうがいいという実績はあがっておりません。厚岸の場合は公団が採算性が必ずしもよくございません。明石−鳴門につきましては御承知のとおりでございますが、これも競争いたしまして、並行したしまして、やはり民営のフェリがございます。  そういうようなことからいたしまして、私どもといたしましては、いま御指摘のように、将来そういう海上の道路を、道路管理者があるいは公団がみずからフェリでやるかどうかということについて、まだはっきりした見通しを持っておりません。かたがた、他方民間ではそういう事業を大いにやりたいという希望もございます。そういうような希望があるところは、むしろ民間にやらしたほうがうまくいくのではないか、こういうような考え方もあるわけでございまして、その辺従来のいろいろ実績を勘案いたしまして、今後方針をきめなければなりませんが、そういうような事態にありますときに、この九州四国のフェリ問題が起きましたために、ただいま非常に妙に思われますような、一隻公団、一隻民営というような妙な形の問題が起きておるわけでございます。そういうふうな事情でございますので、今後公団でやるかどうかということにつきましては、建設省といたしましても、いろいろ研究すべき点がまだ残っておる、かように考えております。  それからなおこの機会に、先ほど私、五十八号線、たぶんそうであろうと申しましたが、五十七号線でございます。訂正さしていただきます。
  40. 井谷正吉

    井谷委員 先ほどの大臣の御答弁で、海難の場合の補償については了解をいたしました。  ところが三崎−佐賀関間の、これは公団で最初おつくりになったものなのですが、三崎−佐賀関間は航路延長が三十キロであります。フェリボートの速力を十三ノットとして、航行所要時間は一時間十五分という計算になる。そして四十一年の初年度は二隻で六便、四十二年から八便、四十四年から十二便として、積載台数は一便で三十二台となっておる。料金は乗用車で三千六百円、バスが平均で九千三百円、こう想定されておるのであります。これは想定でありますから、これ以上あるかもわからぬし、ないかもわからない。ただ、私の懸念するのは、三崎半島の道路、そしてまた五十六号線に通じます道路が、まだ改修をされておらないというようなことのために、当分はこれは赤字が続くと思う。運営を民間に委託してあるのだから、この赤字は民間が負担するということになるのであるか。またそういうふうでありますならば、よほど資力のある会社でなくては、これは長くやっていけないと思う。一例を申し上げますと、八幡浜から臼杵に昨年フェリが就航しましたけれども、これは荷物がなくて万歳一歩手前の状態になっておる。道路ができなくては、幾ら船をこさえましても、これは利用する者がない。この間の操作はどういうふうになるのであるか、お伺いをしたいと思います。
  41. 上村健太郎

    ○上村参考人 まだ運航委託契約の内容などははっきりいたしておりませんので、どういうようなことにいたしたらいいか、申し上げる段階に至っておりませんが、一応は二十年で償却できるという計算をいたしております。ただ、もしいろいろな事故その他で赤字が出ました場合には、この運航契約に基づきまして、会社が負担すべき赤字は会社に負ってもらわなければなりませんが、道路公団が負担すべき赤字につきましては、一般有料道路と同様に、道路損失補てん金という積み立て金で落としてしまいますか、あるいは最後は公団の負担となって公団の損失になることと存じております。したがいまして民間の委託をいたします会社は、お話しのとおりに、相当力のある会社でないと私どもも困ることが生ずると思っている次第でございます。
  42. 井谷正吉

    井谷委員 私一人で相当時間を使った形になりましたので、簡単に——これは私の意見でありますが、御参考までに申し上げたいと思う。  この民間に委託の問題は、当時から、私は、この航路の申請をしておる豊予商船は絶対に反対であるということを申し上げていた。これはいまでも私は反対であります。というのは、豊予商船がこの航路をやろうとしてまいりましたその間に、これは非常に不明朗な点があるのであります。さらにまた、豊予商船は八幡浜から三崎−佐賀関−大分へ従来就航しておりました青木石油会社の青木繁吉の航路権を譲り受けた、こうなっておるのでありますけれども、青木君は、現在この譲渡を否定しておる。しかもこれは、ここで申し上げませんけれども、非常に複雑な内容を持っておる。少なくとも天下の公団が委託をするような場合に、こういう根底の明らかでない不純な会社にこれを許すというようなことは、私は絶対に賛成ができないのであります。  さらに、どこの会社に認定するかということは、いまここで問題ではございませんけれども、私の意見を申し上げまするならば、これはやはりこの航路を生命として生きてきた関係の会社が優先さるべきものだと思う。私は宇和島運輸会社とは何らの関係はありませんけれども、前にここに参考人として出てまいりました長山社長の話を聞いてみても、明治十八年から豊後水道海域だけの開発に会社の全力を注いできた、さらに太平洋戦争中には二十二隻という汽船を徴用せられて、拿捕、沈没せられて、国家はこれに何ら補償を与えておらない気の毒な状態であります。しかもこのフェリが就航いたしますと、このフェリには計画によると四百人からの人を乗せることになっておりますが、そうなってくるならば、宇和島運輸会社の航路は万歳の姿になってくる。かような点を勘案いたしまして、私は何ら関係はないけれども、政治の公道からいって優先すべきものであるということを意見として申し述べまして、私の本日の質問を終わります。
  43. 田村元

    田村委員長 三木喜夫君。
  44. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私は、住宅問題と、公共事業地方財政に及ぼす影響と超過負担について、お聞きしたかったわけですが、この問題は法案審議の中でお伺いしていきたいと思うので、きょうは一つだけ、京都の双ケ岡の問題についてお聞きしたいと思います。   〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕  古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法が制定されまして間もないことでございますが、古都とみなされておる京都の双ケ岡を買収するという問題をめぐりまして、われわれとしては非常に遺憾な事態が起こりつつあるのではないかと思うわけであります。したがいまして、その件について建設大臣文化財保護委員会、これらの方々にお聞きしたいと思うのです。  まず第一に建設大臣にお聞きしたいと思いますが、同法を実施する場合、この双ケ岡とどういう関連があるか、ひとつお聞きしたい。
  45. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 双ケ岡の問題は、私も新聞等で承知いたしましたが、その後調査をいたしましたところ、これを他に売り渡されておるということのようであります。聞くところによりますと、何か大学を設置したいとかなんとかいうことでありますが、それがどういうものであるかということは、具体的なことはまだもちろんわかりません。ただ問題は、いまお話しの古都保存法を制定いたしましたのも、いわゆる京都、奈良その他の古都の保存すべきところを残そう、これが趣旨でありますから、あの地帯に大体いろいろな工作をされるということは結論的に申し上げて不適当である、かような判断をいたしております。  これを法律的に申し上げますと、古都保存法はまだ政令その他制定の必要がありますから、いま直ちに実施するという段階には至っておりません。ああいう事態が起こりますので、できるだけ早く準備を進めたい、実施を早めたい、かように思っているのですが、やはりこれは、御承知のとおり審議会等が発足いたしましてから審議会等の議を経なければなりませんから、法律上の実施はややおくれます。できるだけ早めたいと思いますが、ああいう事態には間に合わない、こういうことであります。  ただ、御承知のとおり、あとで御説明があると思いますが、文化財保護法によると、あの地帯は史跡名勝のうちの名勝に指定されておる。一面、都市計画上は風致地域になっております。こういう法律では所有権の移転を制限するという効果はございませんけれども、しかし名勝に指定され、風致地区に指定されておりますところは、かってにその形状を変更する、あるいは工作物を建設するということは、これは許可を得なければできないことになっておりますから、地元の京都市等とも連絡いたしまして、そういう許可等の事態が起こらないように、こういうことを協議しておる状態でございます。
  46. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私は、この古都保存法案国会提出されますや、双ケ岡という問題が大きくクローズアップされて、うわさにのぼってきたと思います。そういう関係で私もこの法律が制定される過程ないしはその後こういうものについて重大な関心を払っておったわけですが、はたせるかな、と言うと悪いですが、こういう問題が、法律の制定、そうしてその施行のやられる前に起こってきたわけです。そこに私は問題の焦点があろうと思うのです。  そこで、警察庁にお聞きしたいのですが、黒いうわさが流れておる。これは一年半かかって、その間に数億円の金と数百人の人が動いただけに、背任等黒いうわさが流れておると聞いております。そうして京都では地検それから警察も内偵に動いておると新聞に書いてあるのですが、はたしてそういう事実があるのか。それから内容は、背任であるということが書いてあるが、背任であるのかどうか。その点をお伺いしたい。
  47. 日原正雄

    ○日原政府委員 警察といたしましては、この問題についていろいろ複雑な事情があるようでございますので、一応事情を聞いておるという段階でございまして、はたしてそれが民事問題だけなのか、それとも何らかの犯罪が背後にあるのか、いまのところは全然見当をつけておりません。一部新聞に背任、横領というような名前が出ておりますが、私どものほうはそういうことを考えておりません。具体的にどんな犯罪があるのか、犯罪があるのかないのか、一応各方面の事情をお聞きしておるという段階でございます。
  48. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 警察庁としては、進行過程ですから、詳しい内容は言えないだろうと思いますけれども、これが汚職的なものとして調査をされておるのか、あるいはまた、いま申しましたような背任的なにおいがするので調査されておるのか、そこは私は言えると思うのです。二月の十九日に、売買契約の一方の責任者である立部瑞祐、仁和寺の財務部長を京都地検に出頭を求めて、そして事情を聞いておるようですが、この結果は刑事事件に発展しそうだという、こういうことが新聞に出ておるわけなんです。私もそういうように聞いておるので、その内容がどちらになるという見通しを持って調査をされておるか。調査をする以上その目的がなければ調査しませんから、ただうわさだけで、どういうわけで売った買うただけの調査ということになれば、これは調査にならぬと思う。目的があろうと思うので、その点……。
  49. 日原正雄

    ○日原政府委員 地検のほうで呼びました事柄は、私のほうに報告を受けておりませんので、法務省の側に聞いていただきたいと思います。  警察といたしましては、ある犯罪容疑を持っての捜査という段階でございませんので、現在は具体的な何々の犯罪、はたしてその犯罪もあるのかどうかということは全然頭に入れておりません。一応、ただ契約の状況、登記の状況等から見て、複雑な背後事情もありそうだ、そこにまた何らかの犯罪もあり得る可能性もある、こういうことだけでございまして、どういう種類の犯罪という段階にまで至っておらないわけであります。
  50. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 しつこくは聞きませんけれども、背任、横領あるいは汚職、こういう名前をあげて言えないだろうとは思いますけれども、可能性があるということに立ってこれを調べられておる、こういうように理解していいですね。
  51. 日原正雄

    ○日原政府委員 一番最初に申し上げましたように、それはほんとうの意味での可能性でございまして、どういう犯罪、あるいはどういう点に非常に容疑が持たれるというような段階には、私どもの聞いております限りでは至っておりません。それぞれの捜査員があるいは個々に腹の中に考えておることがあるかもしれませんが、表立って報告を受けた限りにおきましては、現在のところは単なる民事問題かもわかりません、私どものほうは全くその点は白紙でございます。
  52. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 文化財保護委員会にお聞きしたいのですが、私は、この古都保存法あるいは文化財保護法にいたしましても、この古都保存法にいわれているところの日本の歴史的の風土、あるいは建物、そういう国宝、こういうものを十分に守っていかなければならぬのが文化財保護委員会の仕事である、事務局はもっぱらその仕事をしておるものだ、こういうように思います。しかしながら、私が文教委員をしておったときにその問題を指摘して、非常に遺憾に思い、そして皆さんの責任を尋ねたことがありますが、あの姫路市の姫路城です。あの姫路城の下は特別史跡になっておるのです。あの特別史跡に、法の番人であるべき文化財保護委員会が、こともあろうに、あの特別史跡の中に自動車学校を許可した。私は、許可をいってきても、そういう政治情勢が動いても、それをチェックするのが文化財保護委員会の仕事でないかと思うのですけれども、それを許したわけです。これは私は、問題が残っておるので、そのまま置いておく気持ちはございませんけれども、まだ疑問は残っております。それと同じように、またここにこういう問題が起こってきて、民事上かあるいは刑事上の問題が起こってこようとしておる。国会がこれを重要視して、そうしてごく最近に古都保存法をつくったにもかかわらず、ここにこういう問題が起こってきている。そしてこれが、まあいま警察庁は調査だけだ、こういうようなことを言っておられますけれども、刑事問題か汚職問題かに発展しようという、こういう疑いが私は起きてくる。そこで、文化財保護委員会としてはこの問題をどう考え、どう対処しようと考えられるか、これをひとつお聞きしておきたい。
  53. 平間修

    ○平間説明員 すでに御承知のとおり、名勝地として双ケ岡は文化財保護法上指定されております。したがいまして、所有者がだれであろうと文化財保護法上の名勝として、つまり国民的財産としてこれを保存していかなければならないということは、もちろんこれは言うまでもないと思います。したがって、さしあたり考えられる措置としましては、何かこの現状を変更するというようなことが起こります場合は、いま先生のお話にもありましたように、文化財保護委員会の許可が必要でございます。したがいまして、名勝地保存上好ましくないというような現状変更は、これを許可していくべきものではない。やはりこれは自然の保護という一面も持ちまして、そういう強い態度で保存していきたいという考えでおります。
  54. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ちょっとわかりにくいのですが、私は姫路城のときにあなたもおられたと思うのですけれども、よく言っておいたのですが、あれは国有地だったわけです。国有地を私有地にし、私有地を民有地に払い下げた。この関連において、特別史跡とかあるいはまた風致地区、そういう文化財あたりは逆に国が買い上げる方向に進まなければならぬと私は思うのです。それを、国が買い上げるのではなくして、個人に売り渡してそこが自動車学校になる、自動車の練習場になった、特別史跡をだれが守っておるのかということです。いろいろな言いのがれをして、いままでこういうぐあいにどんどんと、各個人の常利の目的のために恣意にまかされてきたのが文化財保護委員会の一つの問題点じゃないか。ここもこういう事態が起こっておるのに、だれの持ちものであろうがかれの持ちものであろうが、その状況を変更するときにわれわれが出ていくのだ、こういうことなんです。もちろん、法的にいえばそうなんですけれども、幸いここが古都保存法の対象地区だということで、いま建設大臣お話もあった。それから国は予算まで計上して、二億円か何か用意してあるそうです。そういうこととからめて、文化財保護委員会としてはもっけの幸いだから、この際こういう方法をとるべきだったという青写真がなければならぬと私は思うのです。ただ成り行きにまかしておくだけでは意味はないと思うのですが、こういう論議はまた別の機会に、あるいはまた文教委員会ででもやりたいと思いますが、そういう点もひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  55. 平間修

    ○平間説明員 おっしゃるとおり、所有権の尊重というような一面を考えますと、これは最終的にはそういう買い上げというようなことも考えてみなくちゃならないと思いますし、文化財保護委員会としても、そういう予算を次第に多く計上していただいているというような状況でございます。ただ、現在はきわめて貧弱な予算でございますので、なかなか手が回らないという実情でございます。したがいまして、もちろん地元の府あるいは市というようなものの意向も十分これは参酌しなくちゃなりませんので、そういうものを参酌しまして、それから関係官庁——いま先生のおっしゃいました古都保存法の関係かとも思いますけれども、関係官庁とも相談してそういう方向に持っていきたい。ただ、ただいまはまだ府、市のほんとうの意向というものも確かなことを確かめておりませんが、そういう方向に持っていきたいという気持ちは持っております。   〔丹羽(喬)委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そういうふうに願いたいと思います。京都の知事は、ここの状況変更は断固としてやらせないという強い決意を持っておりますし、京都市の文化財保護関係の仕事をしておる方々もかなりこれに深い関心を示しておると思いますので、今後の推移によって、なお文化財保護委員会の意向もただしながら、政治的に正しい方向に持っていきたい、こういうふうに私たちも思うのです。  そこで、文部省にもう一点お聞きしておきたいのですが、この買い主の言い分によりますと、ここに工科大学をつくるという。そこで今月中にその大学の認可申請を出す、こういうようなことを言っておるのですが、それがもう出ておりますか。もう今月もあまり残すところございませんが……。この点、お聞きしたい。
  57. 井内慶次郎

    ○井内説明員 大学の認可申請は、認可いたします前年の九月三十日までに認可申請を提出していただくことになっております。したがいまして、明年度の四月開学予定のところの申請につきましては、まだ一件も私どもにはきておりません。  なお、本件につきましては、関係者その他からの話とかそういうことも私どもは全然承っておりません。そういう状況でございます。
  58. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 建設省にお聞きしたいのですが、私はこの持ち主でありました仁和寺の内部のことについて云々する気持ちはありません。またさらに、これを買った人が第三国人であろうがだれであろうが、そのことをとやかくいま言ういとまは持ちません。しかしながら、ただ法律上明らかにしておきたいのは、この仁和寺が同双ケ岡を取得したのは、昭和二十二年の四月十二日に出ました社寺等に無償で貸し付けてある国有財産の処分に関する法律、これによって所有したものであるかどうか。これをひとつお聞きしておきたい。
  59. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 私が直接調べたわけではございませんが、京都市からの報告によりますと、昭和二十七年に境内地として無償譲与されたものである、官有地であったものを無償譲与されたものであるという報告を受けておりますが、私どものほうで調べたものではございません。
  60. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 昭和二十七年ですか。
  61. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 そういうふうに聞いております。
  62. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 二十七年にどういう名義で…。もう一回言ってください。
  63. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 簡単な報告でございますので、こまかく書いてございませんが、境内地として無償譲与されたということであります。
  64. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 私の申しました法律によってこれが払い下げられておるということになりますと、時限法ですから二十二年から一カ年内でなければならぬ。それにはこういう規定がある。宗教活動を行なうに必要なために、こういうことが書いてあるのですが、境内地として無償払い下げたのには、そうしたらどういう言い分があるのですか。
  65. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 所管官庁でありませんので、ただいまのところ関係が全然わかりません。
  66. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それはそれでいいのですが、ひとつその点は調べておいてください。しかしながら、建設省としてぜひこれは心にとめておいていただかなければならぬことは、この国有地を無償払い下げをするときに念書が入っておるわけです。この念書が入っておるということをあなたは御存じであるか御存じでないか、それも御存じであったら言ってください。御存じでなかったら調べておいてください。
  67. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 詳細に調査いたしまして御報告申し上げます。
  68. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 あなた方がはっきりしたものがないのに、その上に立って想像によってものを言うことはいけないと思いますけれども、この念書によりますと、これの売り渡しができないようになっておる、模様がえもできないようになっておる、そういう制約的なものが入っておるということですが、これは明らかになってから論議いたしましょう。  それから次に、宗教法人法によりますと、これを売り渡したりする場合には公示しなければならない。一年半前に、かつて代議士であった佐藤虎次郎さんに、この土地を売ろうとか買おうとかいう話があったときには公示いたしましたけれども、今回のときにはこれを公示していない。公示をするということの意味、これははっきりと押えておかなければならぬと思いますが、これはどういう意味があるのか、お聞きしておきたい。
  69. 萬波教

    萬波説明員 お答えいたします。  御承知のように、宗教法人法の第二十三条に、宗教法人が財産の処分を行なうという場合には、その寺の規則に基づき、その処分を行なおうとする行為の少なくとも一カ月前に公告をしなければならない。その公告の内容といたしましては、行為の要旨を公告しなければならない、こういうようになっております。  私どもも、この件が新聞に出始めまして、まず、これはこの条項を行なっておるかどうかということを、京都府を通じまして調査いたしました。その結果、仁和寺の規則でございます寺法の中で、この法律でいうところの規則に当たりますが、それによって、この公告は、六大新報——六大新報と申しますのは古義真言宗派六派の機関紙でございます。これに一回掲載して、及び寺務所の掲示場に十日間掲示して行なう、こういう条項がございまして、これに基づきまして、昭和三十九年の十月十四日から十日間、寺務所の掲示場に掲示をいたしました。さらに、六大新報へは、三十九年の十月二十五日付で公告をいたしております。  ただ、この際ちょっとつけ加えたいのは、公告する内容でございますけれども、どのような内容を公告するかということにつきましては、法律に全然規定がございません。ただこういう事件も、実は買い受け人が転々としたという事例がいままでもございませんので、私どものほうも慎重を期しまして、法務省の訟務局の見解をただすという状況によって考えてみたのでございますけれども、処分の行為を行なおうとする要旨を公告するということは、少なくともその処分を、どのような目的のために、どのような個所、どの程度の価格で処分するという程度の外観がわかればいいのじゃないか、すなわち買い受け人がだれだれであるという公示をしたあとにおいて、その買い受け人がかわった場合に、それを公告しなければ、これは無効になるかどうか、二十四条におけるあの無効に入るかどうかということを、特に法務省にもお願いして研究していただいたわけです。しかし行為の要旨ということはそこまで入るべきじゃないだろう、やはり基本的な処分のための目的がはっきりし、理由がはっきりしておれば一応無効とはいえない。したがいまして、この仁和寺の場合は、公告はこれで、一ぺんで終わっておりますけれども、その後、規則に基づきまして、真言宗御室派の宗会を三十九年の九月十日、それから四十年五月二十日、四十一年の二月十日及び十一日、それぞれ宗会を開きまして、この宗会において承認をしたものとして進めてきておる状況でございます。  状況どおり御報告さしていただきます。
  70. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 この問題は、念書が入っておるかどうか、その事実の有無が判明してから、なお公告の義務があるかどうか、法律的な論争の余地もかなりあると思います。そこで、そういう点がもう少しはっきりしてからこの問題を突き詰めていきたいと思いますが、ただ建設省文化財保護委員会のほうとしても考えておいていただかなければならぬことは、こういう社寺の境内地としていままで貸しておった、それを払い下げる、しかも無償で、というような場合は、その宗教活動にプラスになるために払い下げておるのに違いないと思う。それを、お寺の財政が不如意になってきたから売る、そうすると、ただでもらったものを二億円何がしでぼろもうけをやるというようなことが行なわれるとしたら、これはたいへんなことになる。この点は道義の上からも私たちは十分に考えなければならないし、その法律の運用の枝葉末節の問題ではないと思う。根本的な問題だと思うわけです。  そこで、建設省にも文化財保護委員会にもお願いしておきたいのは、この問題の視点としてとらえるのは、古都保存法の対象地にのぼっておるにもかかわらず、個人にこれが売りさばかれたことに問題が一つある。それから社寺の持ち山が売られたのにこれが刑事問題に発展するかどうかというところに大きな社会問題がある。それから本来の文化財保護をめぐるところの市民の非常な関心——われわれもそうです。そういう立場から、文部省、いわゆる文化財保護委員会としても、これは対処してもらわなければならないと思いますので、まだ不明の点が多いと思いますから、それらが明らかになってから、あるいは当委員会でやるかあるいは文教委員会でやるかいたしまして、この問題をもう少し明確に掘り下げていきたいと思いますので、そのときまでしばらくこれは預からしていただきたいと思います。時間も約束がありますので、私は一応これで中止さしていただきます。
  71. 岡本隆一

    ○岡本委員 関連して一、二お尋ねしておきたいと思います。  いま三木委員がお尋ねいたしました双ケ岡の問題でございますが、古都保存法が一応制定されたという瞬間に、社寺の境内地が民間に払い下げられたというところに問題があることを指摘されたのでございますが、こういうふうな時期にそういう売買が行なわれるということについては、相当やはり買った者の側にも、奇襲作戦をやるというふうなことがあるのではないかという心配をしなければならぬのであります。そういう問題に関連してお尋ねするのでございますが、この古都保存法は公布の日から六カ月以内に実施しなければならぬというふうなことに附則ではなっておりますが、いつから実施される御用意がありますか、建設大臣にお尋ねいたしたいと思います。
  72. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほど申し上げましたように、できるだけ早く実施ができるようにしたい。御承知のように、政令その他の問題がありますから、それをいま準備を進めておりますが、これはまた審議会もつくらなければなりませんから、できるだけ早くしたい、こういうことでございます。いまいつということはちょっと申し上げられません。
  73. 岡本隆一

    ○岡本委員 そこで、指定される場合に、これは審議会がきめることでございますから、建設大臣がおきめになることではございませんけれども、しかしながら、歴史的風土保存区域に指定されますのと、それから特別保存地区に指定されますのとでは、公益性の上にあるいはそれに対するその後の措置の上に非常に大きな開きがございますが、双ケ岡のごときものは、単なる風土保存区域に指定されるべきものか、あるいは特別保存地区になるような性格のものか、その辺についての理解ですな、そういう点についてお尋ねしておきたいと思います。
  74. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 法律によりますと、特別保存地区の指定の基準というのは、内閣総理大臣が風土審議会の意見を聞いて、保存計画の上においてきめることになっております。私どもといたしまして、いま直ちに双ケ岡につきまして、これをどうするということは申し上げられないのでございますけれども、非常にすぐれた文化的遺産でございますので、今度特別区域の中に入ってくる可能性が非常に強い地域ではないか、こういうふうに考えております。
  75. 岡本隆一

    ○岡本委員 そういうことになりますと、特別保存地区に指定された場合には、一応現状の変更をやる場合には許可を得なければならぬ、こういうことになっておりますね。また、その許可に反して別状の変更をやったものは、原状復帰をしなければならない。また、それをやらない場合には行政代執行ができる、こういうことになっております。ところが、そういうふうな対象になるものが、いま権利の移転が行なわれて、そしてそれに現状変更がいま行なわれておる。そうすると、実施前に行なわれている。また、地区指定の前に行なわれた場合に、その行なわれたそれに対して原状復川を命ずることができるのかできないのか、あるいはまた、いまの行政代執行を行なうことができるのかできないのか。法律が実施される前なら、私は、これはやむを得ないのではないか。実施された段階からは、あるいは指定された段階からはなにされますが、それじゃ、法律が実施されました、しかしながら、審議会でいろいろ手間どっておる間に、ばばっとものを建てたり現状の変更をやってしまう。樹木の伐採をやったりあるいは道路をつけたりというふうなことをやった。こういうことになってまいりますと、それはいつの時点に区切って原状復帰を命令したりそういう法的効果をあらわすことができるのか、その辺についての御解釈を承りたいと思います。
  76. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 法が実施されて指定されなければ、この法律に基づく効果は出ないと思います。単に所有権が移転されただけではこれを禁止をしておることではございませんから。ただ、先ほど来私からも申し上げ、また文化財保護委員会からもお話がありましたが、これは現在のところでも、都市計画法に基づいてあそこは風致地区に指定されております。また一面においては、文化財保護委員会で名勝史跡に指定されております。こういうところは許可を受けなければ形質の変更はできないわけでありますから、その点でこれはそういう措置をとりたい、こういうことでございます。
  77. 岡本隆一

    ○岡本委員 しかしながら、それには原状復帰命令やそれに伴うところの代執行というものが、文化財保護法の中にありますか。それだけの効果があるのでしょうか。
  78. 平間修

    ○平間説明員 現在の文化財保護法におきまして、無断で現状変更をした場合のいわば罰則でございますが、これは所有者がそういう行為をした場合と、所有者以外のものがした場合とでは少し違うのでございますが、この場合は、所有者が無断で現状を変更した場合のことを申し上げますと、二年以下の懲役もしくは禁錮または一万円以下の罰金もしくは科料、こういう罰則の規定がございます。それから、原状回復命令というのが文化財保護法によってもできることになっております。ただ、代執行というところまで、そこまでの規定が実はございませんので、これはあくまでも原状回復を命ずるということで規定がございます。
  79. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 京都市の風致地区規則の上におきましても、許可を得ないでやったり許可条件に反したりした場合には、原状回復を命ずることができるという規定とそれから罰則もございます。
  80. 岡本隆一

    ○岡本委員 こういう罰則は、体刑に処せられるということはほとんどないわけでございます。したがって私は、非常に甘くこれが見られているのではないか。だから、今度の場合、問題の対象になり——いまも古都保存法が成立して実施されんとしている直前にこういう権利の移転が行なわれているというところに私は、これをやはり相当慎重に考えるべき必要があるのではないか。したがって、一日も早くその法律を実施をしてその法的効果ができますように、やはり向こうも奇襲作戦を考えておるならこちらもそれに対するところの十分な先手を打って、後手に回らないように大臣のほうで善処されるようにお願いしておきたいと思います。
  81. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほど申し上げましたように、できるだけ急ぎたいと思います。同時に、先ほども申し上げましたが、京都市と連絡をとりまして、現在の法律、規則によって現状変更等起こらないようにするという措置をとりつつありますから、御了承願いたいと思います。
  82. 田村元

    田村委員長 山下榮二君。
  83. 山下榮二

    ○山下委員 時間も相当たったようでございますから、まことに恐縮でございますけれども、きょうが建設行政一般に関する質問の最初ということになっておりますので、しばらく時間を与えていただきたいと思うのであります。  建設行政の全般に対して、あるいは基本施策について大臣から所信の表明があったのでございますが、大体これに基づいて順を追って伺っていきたいと思うのであります。  先ほどからいろいろ問題になってまいったわけでございますが、まず冒頭に大臣は、住宅問題を取り上げられておるのであります。御承知のとおり、戦後二十一年、衣と食につきましては相当進歩してまいったのでありますが、住宅は依然として困難な実情にあることは皆さん御承知のとおりであります。そこで、建設省では、四十五年度までに六百七十万戸の建設をするという方針をここで打ち出しておられるのでありますが、この基礎となるもの、たとえばいま現在日本住宅が幾ら不足をしておるか、あるいは、火災その他天災地変等において年々つぶれていく住宅が大体幾らぐらいになっておるかということ等を総合して考えられた上に立ったものであろうと想像をするのでありますが、その返の戸数をどう勘定されてこういうことになっておるか、伺いたいと思うのであります。
  84. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 住宅問題が重要であることはもう重ねて申し上げないことにいたします。  そこで、四十五年度までに六百七十五戸、これは計画的にやりたい。その建設計画法といいますか、そういうものを国会におはかりするつもりでおりますが、それを査定いたしましたものについて、こまかいことはあとで局長からお答えいたしますけれども、三十三年の住宅調査——五年目ことに住宅調査をやっておりまして、これは総理府の統計局が統計調査をやっておるわけでありますが、それに基づきまして、三十六年から十カ年に一千万戸くらい不足をしておる。十カ年ということじゃありませんけれども、十年先を想定するとそういうことだ。四十五年まで想定いたしまして、三十九年度からいわゆる七カ年計画というもので七百六十万戸と立てたわけであります。これはもう法律をつくったり非常な厳格な意味の閣議決定をしたというような計画でございませんけれども、一応政府はその想定のもとに今日まで進めてまいりました。そのときの人口統計、昭和四十五年が大体世帯にいたしまして二千三百万戸余り、こういう想定が立ちました。それに基づいて七百六十万戸という計画を立てた、こういう事情であります。ところが三十八年の十月の住宅統計によりますと、その想定が相当に違ってきておる。もうすでに現在、この間の人口統計によりましても、現在二千四百万世帯くらいになっておる。この前の想定は、昭和四十五年度で二千三百万余世帯とこういうふうに想定しておったわけであります。ところが、そこで昭和三十八年度住宅統計を見ますると、相当違ってきておる。違ってきておる事情は、もう長く申し上げませんが、人口の動態の移動、あるいは産業構造の発展によって都市集中が行なわれた。あるいは戦後のいわゆる世帯の分解といいますか、世帯分離が非常に急速に進んでおる。最初そういうこともある程度想定しておりましたけれども、想定以上に伸びた、こういう状態であります。今度の国勢調査を見ましても、約五百万人が五年間にふえておる、こういう状態であります。そこでそういう前提におきまして今後の推定をはかる。昭和三十八年の住宅調査のときに、いわゆる住宅不足数が二百七十八万戸——住宅不足といいましても、これは外に住んでおるというわけではありませんけれども、いわゆる間借りをしておるとか、いわゆる今日はやっておる小さなアパートにいるとか、あるいは老朽した不適当な住宅、そういうものでありますが、そのほかに今後いわゆる火災あるいは台風その他で滅失する場合がある。それは従来の推計を基礎にして推計いたしておるわけでありますが、それが大体百四十三万戸。それからある程度の余裕戸数を見なければならない。これが五十二万戸くらい。これは将来の伸びの推定であります。そこで先ほど申し上げました人口から、大体どのくらいの世帯があるか。人間はたくさんおりましても、世帯を持たないで、一人で、あるいは学校に行っておって寄宿しておるとか、たくさんありますから、そういうものをどう見るかということに大きな論点があるわけであります。そういういわゆる世帯にはならないけれども、どこかにおるという人々がどのくらいおるか。そこで私ども標準世帯というものを考えておりますが、最初に私どもが五カ年計画で今後七百六十万戸必要であろうということをずっと申し上げて、その計画でおりました。今度六百七十万戸ということにしておる。九十万戸の差があります。その差はどこから出てきたかといいますと、こういうことであります。九三%強がいわゆる一戸をかまえる人だ。その他は一人で下宿をしたり学校へ行ったりいろいろやっておる、これが七%弱。九三%くらいの世帯の構成を何人に見るか、そこで開きが出てきております。私どもの計境ではできるだけ家の余裕を見ております。私、欲があるほうですから、多く建てたいほうですから。標準世帯を三・七人くらいに見たら相当な余裕が出やせぬか。それをさっき申し上げましたように人口で割ってみますると、そういう計算をしますと、大体七百六十万戸。ところがこれはいろいろな議論が、見方がありますから、三・八人くらいでいいんじゃないか。〇・一の違いでありますけれども、三・七と三・八の相違が、非常に基礎が大きいものですから九十万の差が出てくる。こういう事情でありまして、いろいろ議論がある。将来のことでありますからこれは議論倒れになりますので、標準世帯を三・八で計算した。それでさっき申し上げました滅失とかあるいは純然たる住宅不足、こういうものを加算いたしますと、六百七十万戸。こういうことでまず四十五年までに六百七十万戸充足しよう、これは政府、民間もちろん一体となって。こういう計画にいたしたわけでございます。
  85. 山下榮二

    ○山下委員 大体建設省構想はわかったのですが、ここにいまのお説を要約いたしますと、一世帯一住宅ということを掲げておられるのであります。私は住宅問題をなぜ取り上げたかと申し上げますと、最近の日本の青少年の非行問題、いろいろなこと等は、おそらくこまい一室に何人も雑居して寝る、いろいろな環境から青少年の不良化等が起きてくる可能性もこれは少なくない、こう見ておるのであります。したがいまして、住宅建設あるいは改良あるいは改善、こういうことはきわめて重大な問題ではないかと思っておるのであります。一世帯一住宅、こう言うよりもむしろ一人一室、こういうぐあいにだんだん発展していくべき姿のものではないか、こういうふうに考えておるのであります。  そこで、私は大臣に伺いたいと思うのは、最近非常に公団建設が盛んである。りっぱな公団もあればおそまつな公団もあるようであります。ところが東京でもそのとおりでありますし、大阪でもそのとおりでありますが、大都市近郊の町村に大きな公団建設する場合、一番市町村当局が困っておるのは公営施設であります。学校等であります。こういう場合に建設省は、公団住宅建設即公営施設をここに計画をせしめ、あるいは建設せしめて、そして貧弱な町村ではなかなか学校を建設する資金を持ち得ませんから、分譲住宅と同じように年賦償却で町村に学校を譲り渡す、こういうような計画を立てられる結果として、大きなニュータウン、住宅公団経営というものは当然に市町村に対して大きな負担をかけ、非常な無理をしいるんではないか、こういう感じがするんですが、こういうこと等に対してどうお考えになっておるのか、これを伺いたいことが一つ。  時間がないようでありますから続けて申し上げますが、もう一つは、住宅の問題に関連して、宅地がほしいために勤労者階級あるいは国民各層がいかに苦労しているかという点であります。住宅金融公庫住宅公団が各地に宅地造成をいたしておりますが、その場合に、宅地債券というのを発行して、あるいは一定額を納めたら一年ないし五年以内に宅地を持たす、こういうような制度をとっておられることは皆さん御承知のとおりであります。ところが、私、地元のことを申し上げて恐縮でございますが、兵庫県の明石あるいは舞子、あの付近の宅地造成に対しましては、当初の計画ときわめて大きな狂いを生じておる。予定価格よりも六十万円も七十万円も、おそらく百万円近くの価格をたくさん払わなければならぬ。こういうことで契約者が戸惑っておるという姿があらわれてまいっておりますが、これはおそらく氷山の一角であろうと思うのであります。全国各地にあるいはこういう問題が起きるんじゃないかという心配を持つのであります。こういうこと等に対して、一体建設省はどういう対策を立てておられるか。どういうふうにお考えになっておられるか。その二つをまず先に伺っておきたい。
  86. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 適正住宅国民生活の基礎である、あるいは青少年の環境等にも重大な影響がある、そのとおりであります。従来、住宅についても、私は、率直に言って、住宅政策は不満足であったと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、国力に応じた努力は相当続けてきておるわけであります。従来は、戸数が足らぬものですから、とにかく家を建てようということでやってきておりますけれども、今日の段階では、率直に言って安住の地を与えるということがもうすべての政治に最優先すべきものである、こういう基本的な考え方住宅政策を進めようとしております。したがって、戸数ももちろんでありますけれども、どうしてもおっしゃるように質の向上をはからなければならない。これも一挙にというわけにはまいりません。欧米のように云々と言われますけれども、これはやはりからだに応じてやりませんと、欧米のようにやるといったって、数が少なければできますけれども、そうもいかない。数と内容と、これはやはり勘案いたしますが、少なくとも今後建てるものは、一人一室というわけにはなかなかいかぬ場合がありますけれども、三寝室以上を標準にしよう、おおむねそういう計画で今後できるようにしております。これは財政、日本経済において、だんだんそれを向上させていく、当然であると思っております  それから、いまおっしゃったように、公団宅地などをつくります場合に、従来どうしても家を建てることが先立つものですから、あるいは街路、あるいは学校、幼稚園、あるいは診療所、その他いろいろあります公共施設、下水道、そういう問題で、家は建てたけれども、なかなかほかの施設ができない。これは正面からいきますと、地方公共団体の責任ということになりますけれども地方は、どさっとこられたんでは、財政が非常に困る。こういう事態がしばしば起こっておりました。そこで数年前から学校などには、住宅金融公庫からそういう市町村に融資をいたしまして、建ててもらって、年賦で返すということをやっておりましたけれども、その他下水道であるとか、いわゆる一般公共の用に使ういろいろな施設が必要であります。そういうものを市町村等にまかせるということは、ありがた迷惑だ、率直に言ってそういう事態であります。そこで特に本年からは、そういう街路であるとか、学校あるいは下水道、その他幼稚園等いろいろありますけれども、そういうものを公団で建てます。地方公共団体宅地造成いたします場合には、御承知のように金融公庫から造成費を借りてそういうものをつくるわけでありますから、金融公庫はただ宅地造成だけでなくて、そういう施設に対する融資もいたします。そして、これは公共施設ですから、地方の交付税とか、文部省の学校の補助金とか、関連道路の補助金とか、そういうものはあとから出るわけですから、それでこれを長期にわたって年賦で返す、こういうことにしようということで、今年度はそういうふうに予算も盛っております。これで十分であるかどうかはやってみなければわかりませんけれども、御参考までに申し上げますれば、たとえば住宅公団におきましては、学校、道路下水道等公共施設の建てかえ施工をする。ものによっては三年あるいは五年の年賦で——国の補助金はおくれますから、年賦で返してもらおう、そういう意味で、公団関係で学校施設が九億円、その他が八億円、こういう予算を今度の国会で要求しているのはそのためでございます。それから金融公庫は、同じく地方団体にやってもらう場合に、学校、道路下水道等の費用として五億円、それからその他小さなものがありますが、幼稚園、保育所とかありまして、それが一億五千万、こういう予算を計上して従来の弊害をこれで取り除こう、こういう措置をいたしているわけであります。  それから宅地債券の問題、特に最近表に出ましたのは兵庫県神戸地区で、これは今後私どももっと注意をいたしますが、こういう事態であろうと思います。三年ぐらい後に土地を差し上げるということになっておりましたが、率直に申し上げて、兵庫県の場合は大体坪一万六千円の予約であって、いざそれじゃもらいましょうということになると、それが一万九千円ぐらいになった、いまごろに坪一万九千円ではそう一ぺんには払えぬ、約束が違うじゃないか、これは全くそのとおりであります。これはやはり最初計画いたしますときに見積もりが相当違ったのではないか、その間に多少物が上がりますし、工費も上がった、造成費用がさかんだ、こういう事態であろうと思います。これは全く約束違いでありますから、申しわけない次第で、表に出ましたのは兵庫県だけでありますけれども、まだ表には出ませんにしても、他にもそういう事態があって困るということがあるのではないかと思っております。そこで、やはりあまり見積もりを過小にして喜ばせるということをしないで、納得ずくですから、将来を見通して造成に要する費用等もちゃんと見込んで計画を立ててもらわなければいけない、こういうことで今後よく指導いたしたいと思います。兵庫県の問題は、これはやはり債券発行団体が責任があるわけでありますから、いまいろいろ御相談をしている、こういう状態でございます。
  87. 山下榮二

    ○山下委員 いま大臣から答弁があったとおりでありまして、おそらく勤労者は、月々の月給の中から何がしかの金をもって土地を求めたい、自分の家を求めたいということで、債券を買いして、努力をしてまいっておると思うのであります。それがとんでもない予算の目安が狂ったというようなことになったのでは、それはたいへんな迷惑なことでありますから、そういうことのないように、建設省のほうでは指導をしていただかなければならぬ、こう思っておるのであります。  もう一つ、これと同じような土地造成に関して、東京都立の自然公園に指定されておった多摩の丘陵というのですか、丘の八カ所ばかりが非常にくずされて、全部住宅になってしまった。こういう大きな新聞記事が出ておるのですが、こういうようなことは一体建設省はどうお考えですか。都といえども、緑地帯あるいはしかもこれは自然公園、こういうものに指定したところが、そういう景勝地であって、非常にいい場所であるからというので、宅地造成して荒らし回って、自然公園じゃなくなってしまう。こういうことはとんでもない話ではないかと思うのであります。一体なぜこういうことになったのか。建設省はそのことにはタッチしていない、都のことであるから知らぬ、こうおっしゃるのであるか。首都圏整備法とは一体どういう関係になるのか。これらの点について一体どういう指導監督をなすっていらっしゃるのか、伺いたいのが一つ。  それからもう一つ住宅の改良、改善にしても、日本のアパートあるいは公団住宅、こういうものを見てみますると、テレビアンテナが無数に立って、トンボの羽みたいに、きわめて高く不細工な姿であります。外国を回ってみますると、あまりあんなものを見ない。おそらく公団でもアパートでも一つテレビ塔を立て、それから各部屋にアンテナを利用する、こういうようなこと等も行なわれておるように思うのですが、大体建設当局、住宅局というのはそういうことの研究を行なわれていないのであるかどうか、これらは放任されておるのであるか、その辺も伺いたいと思うのであります。
  88. 志村清一

    ○志村政府委員 宅地造成につきましては、従来非常に粗雑な宅地造成が行なわれたり、また保存しておかねばならぬところに手をつけたりという、いろいろな問題がございました。そのために宅地造成等の事業に関する法律宅地造成事業法を制定いたしまして、それによりまして宅造が行なわれる地域を指定しまして、その指定にかかる地域につきましては、一ヘクタール以上、場合によりましては〇・一ヘクタール以上の宅造をやる場合には、事業計画その他を全部添えまして知事の認可を得るという法制にいたしております。ただ、この法律が施行されまして期日がまだ十分たっておりませんので、その以前の分につきましては若干の問題がございますが、今後ともそういうことにつきましては十分の配慮を払ってまいりたいと考えております。  自然公園につきましては、自然公園法によりましていろいろなチェックもあるわけでございますが、特別の地域につきましては、土地の形質変更等については知事さんの許可が必要だということになっております。
  89. 山下榮二

    ○山下委員 都知事の許可が必要だと言う、そのとおりだと思いますけれども、多摩川のこの問題は、一体どういうことでそういう結果になったのであるか。建設省は何も知らない。こうおっしゃるのであるかどうか。  それから住宅の改良等についてのテレビアンテナ塔等の、こういうこまかいことですけれども、そういうことは研究されていないのかどうか。そういう点も伺いたいと思っておるのですが、時間もないようですから、簡単にちょっとそれだけ説明を伺いたいと思うのであります。
  90. 尚明

    ○尚政府委員 いまお話しのテレビアンテナのことでございますが、確かにアパートにテレビアンテナがいまのように乱立するのは、たいへん見苦しいので、実は私ども公共住宅につきましては、御承知のように流しであるとか洗面器等、なるべく合理的なものを、標準設計をつくってやっておるわけでございまして、テレビアンテナもぜひそういたしたいと思いまして、ただいま製造メーカー等と二年くらい前からいろいろ話し合っておるのでございますが、今日の技術段階では、適当な値段でもって、他のテレビのほうを阻害しないで、中央でうまくとれるという器具がまだ十分できていないのでございます。したがいまして私ども目下研究中でございます。ぜひそういたしたいと思っております。
  91. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほど多摩のどこかで、自然公園宅地造成でこわしておる、こういうお話は、こちらでよくわからぬようでありますから、もし何かありましたら、お示しくだされば、調査してみたい、こう思っております。
  92. 山下榮二

    ○山下委員 次に進めたいと思います。  次に 水資源の問題についてちょっと伺いたいと思うのであります。大臣のことしの説明の中で、四十河川ほど一級河川に指定をされておるのであります。水の重要なことは、これはいまさら申し上げるまでもない。そこで御承知のごとく、水資源開発促進法ができたりあるいは水資源開発公団ができたりいたしておるのであろうと思うのであります。そこで、こういう各重要河川、一級河川をことし四十河川指定されたわけですが、これと水資源開発公団あるいは水資源開発促進法、こういう法律等との関係、これは一体いかような関係に置かれてあるのか。ただ河川を一級河川に指定しただけでいいとお考えになっておるのか、その水系の水というものの利用度等を考慮に入れて行なわれているのかどうか、伺いたい。
  93. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 まず第一に、水資源公団との関係でありますが、御承知のとおり、水資源開発公団は、重要なエネルギーとしての水の開発をしよう、集中的に開発しよう、こういうためにできておるわけであります。そこで、これはもちろん必要なところにできるだけ大規模にやらなければならぬわけでありますが、これも一挙にというわけにまいりませんので、そういうような必要な個所を政府でいろいろ検討いたしまして、水資源公団にやらせる必要がある、こういう場合には、その基本計画に基づいて、水資源開発公団がその地点開発をする、その水系の開発をする、こういうことになっておるわけであります。それで現在やっておりますのは利根川水系、これであります。それから淀川水系を現在やっております。その後指定されておりますのは筑後川、それから木曽川、こういう点をいま水資源開発公団基本計画に基づいて開発に着手をしておる、こういう段階であります。その他の水系も、もちろん水はたいへん必要なものでありますから、一級水系、二級水系にかかわらず、私どものほうとしては、水の治水とともに、利用をはかる、こういう考え方でありまして、その水の調査というものは、治水のほかに、水の資源の調査開発調査等をやっておりまして、開発公団がやらないところは、御承知のとおりに水利と防災とを兼ねた多目的ダムということで、建設省が直轄でやっておるところもありますし、あるいは都道府県等の地方でやっておるところもございます。こういうことでありまして、大規模な集中的なところを水資源開発公団にやらせる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  94. 山下榮二

    ○山下委員 いま申されました、その各水系によるいわゆる多目的ダム等の建設の問題でありますが、一例を淀川水系の私の地元である猪名川水系のダムにとってみますると、当初ダム計画をされまして、そうして地元が大騒ぎをいたしておりましたが、下流のほうではダムをつくって水の調整をやっていただかなければ洪水のときに困るということで、下流と上流とでは非常な摩擦がございました。最近になったら、うわさに聞きますと、今度はダムの場所を全然ほかのほうに変えてしまう、こういうことで、またあのダムは取り消しになった、こういう話を聞き、どうも建設省の行なわれようとしていることが首尾一貫しないのじゃないか、ころころ変わるのじゃないか、こういうことで非常に不安にかられておるのですが、ダムを行ないたいという場合には、その水量と、そのダムに大体包容できる水の量、あるいはその用途、あるいはその河川における水害その他の災害等、いろいろな総合的な綿密な調査の上に立って行なわれるものであろうと想像いたしておるのに、なぜそういうぐあいに変わるのですか。その変更される原因がわれわれわからないのですが、どういうわけですか。
  95. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 御指摘の猪名川のダムは、虫生ダムと称しておるダムだと思います。虫生ダムにつきましては、いままで予備調査を行なってまいったわけでございます。この猪名川の上流にダムをつくらなければいかぬということは、猪名川の改修の関係におきましても、また下流の水需要地区の水の補給に対しても、どうしても上流にダムをつくるべきである。ただいま私らがやっているものは予備調査と称するものでございまして、猪名川の上流の地域につきまして、たとえばいま申し上げました虫生ダムでどういう計画になるのか、そういった点を具体的に調査しておったわけでございます。さらにもう一つの個所につきましても、これはどういう計画になるか、それぞれ比較検討いたしまして、効果のあるダム、経済効果的にもあるいは事業量的にもすぐれておるダムを採用していくような考えでおります。
  96. 山下榮二

    ○山下委員 基礎調査ってえらいのんきな話を私は伺うのですけれども、いまから二十数年前、私が兵庫県会に出ている時分に、当初のダム計画というものがありまして、これが地元と相当もめたものです。戦争のおかげで中断されましたが、その後さらに調査が進められて、大体当初予定されておったところに決定が見たかにわれわれは伺っておったのであります。ところが全然ほかのほうに回って計画を進めておられるとか、調査を進めておられるとか、こういうこと等で、もう一つわれわれにとっては建設省の行なわれることが首尾一貫しないというふうに考えられるのであります。そういうふうに地元にあまり動揺を与えないようにひとつ考えていっていただきたい。私、時間がありませんから、こう申し上げておきたいと思うのであります。  次に私が伺いたいのは、建設省は下水道をおやりになるわけなのですが、御承知のごとく、道路法に基づいて共同溝の構想が行なわれて、これに対する特別措置法が制定されておるのでありますが、共同溝に対しまして、この法律に基づいていま一体どれほど共同溝が建設されておるのであるか、その辺を伺いたいと同時に、今後さらにできようとする新しい道路には必ず共同溝というものが計画の中に入っておるのかどうか。どうも私らが見た目では、せっかくできた道路があとから掘り返される、こういう例が少なくないのでありまして、共同溝があれば、さようなことがなくなるのじゃないかと私は思っておるのですが、共同溝の特別措置法ができてから、一体いままでどこどこの道路に共同溝ができて、どういう成果をおさめているか、この法律の効果がどれだけあがっておるか、お知らせ願いたいと思います。
  97. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 共同溝の整備につきましては、御承知のように三十八年に特別措置法ができまして、それに基づきまして実施いたしておりますが、この制度は道路の管理者が共同溝、すなわち公益業者であります電電でございますとか、あるいは電気事業、ガス事業、水道事業、下水道事業というような占用予定者とうまく話がつきませんと、実際にはできないわけでございます。私どもはそういう意味におきまして、地下鉄工事あるいは道路を拡幅するとか都市の高速道路をつくる際に、できるだけこういった占用予定者に、共同溝をつくることに参加するように奨励指導しておりますが、なかなかこういう占用予定者との連絡調整がつかない、そのために必ずしも計画どおり進行してないというのが実情でございます。  いままでやりました実績を申し上げますと、昭和三十九年度には、東京都内でございますが一カ所、昭和四十年度には三カ所、延長にいたしまして二キロ三百メートルほど、昭和四十一年度にはさらに四カ所、一キロ八百メートルほど予定いたしております。これらは当初考えておりました規模に比べますと、いま申しましたような事情で必ずしも計画どおりいっておりません。私ども道路をつくる場合に、ぜひ共同溝をやっていきたいというつもりでおりますけれども、いま申しましたように、相互に入るべきものが、なかなか思うように入ってこないということで、やはりこの制度運用上の問題点が残っておるようでございます。今後引き続き指導いたしてまいりますけれども、やはり限界があるという感じがいたしております。私どもは、せっかく道路をやる際でございますので、少しでもそういう施設をしていくという方針は堅持したいと思っておりますが、いま申しましたような事情で十分できておらぬというのが実情でございます。
  98. 山下榮二

    ○山下委員 国道建設される場合は、必ず共同溝の予算もつけた設計等が行なわれるべきではないか、こう私は考えておるのであります。  もう一つ道路の問題で伺いたいと思うのは、国道上で、最近の交通事情等からいろいろな事故がたくさん発生いたしておるのであります。たとえば過般大きな問題を起こしました西宮市でのプロパンガスのタンクローリーの爆発事件というのがございます。これは原因がどこにあるか申し上げてみますると、ちょうどあそこに陸橋がございまして、陸橋の柱にぶち当たってひっくり返ったという事故でございます。したがいまして、道路にいろんな公共物があるわけなんですが、これらによって起きた交通事故というものに対して、一体国は責任がないものであるかどうか、御所見を伺いたいのであります。  いま、交通法規を調べてみますると、人に対しては傷害補償保険制度が強制的に行なわれております。ところが物に対しましては損害補償法というものは強制的ではございませんが、最近は自動車が家の中に飛び込んだりいろんな事故が発生いたしておるのであります。過般来から私は、これは国道であるから国が責任を持つべきだということで罹災者の方から相当強く責められておるのであります。大体、国道におけるさような傷害等については、国はこれは責任がないとおっしゃるのでしょうか。いかようにこういうことに対してお考えになっておるのか、その点を伺いたいと思います。これは直接建設省の関係でないかもわかりません、運輸省の関係であるかもわからぬと思うのですが、人間の命のとうといことは申すまでもないのですから、人に対する損害補償強制保険のあることはこれは当然でありますが、これほど交通が発達してまいりますと、物的ないわゆる損害補償法というものも考えていかなければならぬのじゃないか、こういうこともあわせて考えておるのですが、建設省としては道路をつくられる立場にある側として、一体こういうことにいかようなお考えをなさっていらっしゃるのであるか、この機会に伺っておきたいと思うのであります。
  99. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 一般的に申し上げますと、道路上で起きます事故に対する損害の補償でございますが、これはやはりその事故の原因によって違うと思います。まあ大部分の場合には運転者のあやまちあるいは通行者のあやまち、そういうことが多いかと思いますが、かりに道路施設上における原因のために事故が起こったと判断されますと、これはやはり道路管理者の責任になろうかと思います。  昨年西宮で起きました事故につきましては、御承知のようにたいへんな事故でございましたが、これは警察庁の調査結果によりますと、明らかに運転者の過失であるということでございまして、道路上の工作物に瑕疵があったということは指摘されておりません。したがいましてこれについては国におきまして責任をとるべき、賠償すべきものでない、かような措置がされておるわけでございます。  そのほかに他の府県等におきまして道路上の瑕疵のために道路管理者が責任をとるべしというケースが若干ございますが、やはりいま申しましたようにそれぞれ事故の形態によりまして管理者に帰せらるべきものもございますし、そうでないものもあるわけでございます。  そういうような事態でございまして、私どもはできるだけ道路上の事故の発生を防止するために、近く本委員会にも交通安全施設整備につきまして特別の法律案を出しまして、その万全を期したい、かようなつもりでおりますので、よろしくその際は御審議願います。
  100. 山下榮二

    ○山下委員 もう時間がきましたから多くを申し上げませんが、もし国道の事故で国が補償をしたのなら、それはどういう場合に補償をされておるのですか。西宮のような場合には、これはまあ運転者の誤りであるから補償は下せないけれども国道のきわにあった家は二十数軒全部まる焼けになってしまったという結果であって、罹災者は、なかなか、自分は土地まで供出して、そして国道ができたのに、この国道のおかげで家まで焼かれて住むところもなくなった、こういうことで文句を言っておるのですが、一体国が補償されたという場合にはどういう原因の場合に補償されておりますか、それを伺いたいのが一つ。  もう一点伺っておきたいのは、文部省の方がお見えになっておるのでありますが、尼崎にいま、これは建設省とは関係はないでありましょうが、尼崎や伊丹で共同工業用水道の施設をいたしております。その結果あそこに田能遺跡というのが発見されまして、いま大騒ぎをいたしておるのですが、この田能遺跡というのはなかなか貴重な遺跡であるということで、文部省のほうでも相当関心を持っていらっしゃるであろう、こう思うのですが、いま地元でそれをそのまま保存すべきであるか、場所を変えるべきであるかどうかと議論が沸騰いたしております。これに対して一体文化財保護委員会として、国全体としてこれは重要なものであるから保護したい、こうお考えになっておるかどうか、その辺のところを伺いたいと思います。
  101. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国が、また国以外の道路管理者が賠償責任を持った場合と申しますのはいろいろ事例がございますが、たとえば道路工事の際にいろいろのものを置いておりまして、夜間その置いたものにぶつかって大きな事故を起こした場合、これは当然何かランプをつけるとか、事前にその安全措置を講ずべきことをやっておらなかったという場合、あるいは道路に立っております並木が風水害によって倒れまして、その倒れたことによって損傷を受けたというような、風水害による場合はこれは天災の場合もございますが、事前にそれを保護できたのに、それをやらなかったために不幸にして事故が起きたというような場合、あるいは道路のわきの非常に高いところからものが落ちてきた、それが落ちることが予想されるようなところにもかかわらず、それを防護するさくがなかったというような場合に、まあ道路管理者として責任をとらされておる場合がございます。その他にもあるかと思いますが、私どもの報告を受けておりまするのは大体そういうような事例でございます。
  102. 平間修

    ○平間説明員 ただいまの田能遺跡の問題につきましては、実は地元尼崎市におきまして、従来、埋蔵文化財包蔵地であるということで、事前の発掘調査をいたしました。その結果、弥生中期から後期にかけての住居地であるということが大体判明したようなわけでございます。その価値につきましては、実はもう少し詳しく発掘調査をしてみませんと的確に決定づけられないという面もございますので、実はただいまから三月までの間に、国もその発掘調査費に対して補助をいたしまして詳しく調査をいたすことになっております。その結果によりましてそれがきわめて重要である、現在出てきておる遺物等から見ましても木棺がこの辺で発見されたのは初めてであるということで、非常に大切だとは思いますけれども、なお調査をいたしました結果どうしてもこれを保存しなくちゃならないということになりました場合は、この場所、つまりポンプ置き場の予定地だそうでございますけれども、その場所を何か保存しておかなくちゃならないという場合が出てくるかと思います。さしあたりの措置としては、通産省の方と話し合いまして、ポンプ置き場というものを別な地に一応変えまして、その点はもう支障なく進めていく。ただ、そこは今度は池にする予定でございますので、どうしても保存しなければならないという場合は、別な土地をさらに買わなくちゃならないというような事態になるかもしれません。そうすると相当の余分の費用も要するということになりますので、その辺、文化財の保護とその工業用水の建設に差しつかえのないような、何とか両立するような方法も考えたいとも思いますし、場合によってはそういうかえ地というようなことも相談しなくちゃならぬと思いますが、いずれにしましても、来年度も引き続き大体八月ころまでかかって綿密な調査をした上で、その結果を待ってきめていきたい、こういうような話し合いをしておる現状でございます。
  103. 山下榮二

    ○山下委員 そうすると、結局いまの保護委員会では文化財保護地として指定をしたいというお考えを持っていらっしゃるわけですか。
  104. 平間修

    ○平間説明員 実は現在のところそこまでまだ決定しておらない、そこまではっきりとは考えておらないわけでございますが、今後の調査によってはあるいはそういうことが起こるかもしれぬ。そのときの場合のことを先ほどるる申し上げたわけでございます。
  105. 山下榮二

    ○山下委員 まだ私の伺いたい点で都市計画に関する方針やその他、おとといわが党の稻冨君が質問をいたしました建設省関係の工事に対する入札問題等、いろいろ伺いたい点がたくさんあるのですが、時間がお約束の一時半になったようでございますから、それらは他の法律案審議のおり、あるいは他の機会に伺うことにいたしたい、こう思いまして、きょうはこれで終わります。
  106. 井谷正吉

    井谷委員 私は委員長に申し入れをしたいと思います。  それは、先ほど来私が質疑を繰り返しました九四連絡の問題、これは河野さんから三代にわたる事柄であります。非常に複雑であり、地元におきましても不明朗な感情を持っておるわけであります。幸いに公団がまだ最終的なあれになっていないようでありますから、当委員会がぼおっとしたような態度をとっておってはいけない。それで、実際の状態を把握するために、適当な機会に現地の調査に御派遣になる機会を失わぬようにお願いしたい。
  107. 田村元

    田村委員長 ただいまの井谷君の御要望でありますが、しかるべき機会に理事会にはかりまして、できる限り御要望に沿うように委員長としては取り計らいをいたしたいと思いますから、さよう御承知おきを願います。      ————◇—————
  108. 田村元

    田村委員長 連合審査会開会に関する件についておはかりいたします。  本委員会に付託になっております交通安全施設整備事業に関する緊急措置法案につきまして、地方行政委員会から連合審査会開会の申し入れを受けておりますので、この際、これを受諾し、連合審査会を開会することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお開会の日時等につきましては、地方行政委員長と私とで協議の上決定いたしたいと思います。  本日は、この程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後一時三十四分散会