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八木(一)
委員 建設大臣のお話ですね、八分通り理解をいたしますが、それではいかぬと思うのです。気持ちをもっと固めていただきたい。世の中がああいう状態になって、いま落ちついて、そういうわれわれの
民族の遺産である世界的財宝を守ろうという精神だ、そういう非常に適切な
法律だ、しっかりやりたい、そこまで八十点くらいですが、あと二十点足りない。というのは、こういうものは、どういう状態であろうと、それにまかしておいてつぶしてしまえば、あとに復元ができないわけです。ですから、いままでそういうときに世の中が
歴史的風土を破壊されるのをそのままにほうっておくような風潮であっても、そこで、
政府というものは——そういうものはそこで破壊されてしまったら復元はできない、
民族の遺産はなくなる、世界的財宝はなくなるという観点を持って、そういうところでも権力を持って、そのような
責任を持っている
政府がこれを食いとめることをまつ先にやられなければならない。そういう点で、いま
建設大臣だけの御意見を伺ったわけですけれ
ども、
政府としてのいろいろな
責任を持っておられる方々の決心が十二分ではないと思います。これから十二分の決心を固めていただきたいと思います。この
法律が
制定されても、なかなかこのような空気が万全ではないと思う。もうけるために
歴史的風土を破壊することをいろいろ画策をして、平気でもうけるためにいろいろなことをやる連中が世の中に横行しておる。それはほんとうに性根を固めていただかないとたいへんなことになろうと思う。そういう点で決心を固め直していただきたい。
実は、この
法律について、私
どもも立案に参画をさしていただきました。私
どもは、先ほど同僚の
岡本さんが言われましたように、たとえば罰則の問題で、基本的にはこれは罰金では防げない。全部懲役刑でなければ、そういうような
民族の遺産を忘れて自己の利益だけを追う連中によって破壊をされるという観点を持っております。依然として、この罰則については非常に弱い感じを持っております。
それからもう一つ。いろいろの
古都の
指定をするときにあたって、その
指定の
区域について、ほんとうにこの
法律の目的に従った運営がされるかどうかということについても非常な疑問があります。私
ども疑問はございましたけれ
ども、一方にはいまどんどんとそういうところが破壊されておる。非常に急速にやられなければならない。いろいろの法理論その他の調整が要るというような事情も私
どもも知っておりますので、とにかく早くやらなければならないという同僚間の相談、そのような大乗的な見地にも賛成をいたしまして、この
提案者の一人にさしていただいておるわけであります。しかし、安全なものであるとは考えておりません。私
ども居住をいたしております
奈良市において、そのようなことを心配する人
たちの
団体が、もっと完全なものにしたいというような、非常な熱心な、まじめな運動をいたしております。そういうような人
たちの請願の文書、要請の文書も、各
委員もまた
関係の大臣においてもお沈みになったと思いますが、そういうことについて私
どもはぜひ完ぺきを期したい。
田中さんの
提案理由にありましたように、これがほんとうにうまくいけばいいけれ
ども、うまくいかなければ、さらにわれわれは
立法的その他のことについてこれを前進させなければならないという決心を持っておるわけです。ところで、このことをもし
政府の
関係の
各省、各機関がほんとうに決心を固め直していただいてやられたならば、この
法律でも直ちにそのような目的が達成できると思う。そういう点で、ひとつ内閣全体の決心を固めていただきたいと思います。
建設大臣は特に御
関係が深いので、いま善意でおっしゃったことでありますけれ
ども、
国民的な要望を再度かみ直していただいて、決心をさらに強く固め直していただきたいと思います。
また、法務大臣がおいでになりますが、この問題は直接でないかもしれませんけれ
ども、
国務大臣として、全般的な
責任に当たられる、私
どもの先輩の大
政治家であられますから、閣議で指導されて、そういう点についてやっていただきたいと思う。特に所管
事項については、
岡本委員から御質問がありましたけれ
ども、いろいろ私
どもはまだその点について心配を持っております。ですから、裁判官が決定する問題でございますけれ
ども、これについて問題を進める法務省、この法務省の方針に従っていろいろ進められる検事、そういう検事の人
たちがほんとうにこの精神を熟知して、熱意を持って当たられるならば、こういう問題がこの条文でもさらに強く
規制がされて、そういう間違った、一部の人の利益のために大切なものが破壊されることを防げる道になろうと思います。そういう点は法務大臣の大事な指導
事項であろうと思います。いま申し上げたことについて、
建設大臣なりまた法務大臣なり、
国務大臣としての御答弁をひとつ伺いたいと存じます。