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1966-04-21 第51回国会 衆議院 決算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十一日(木曜日)    午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君    理事 堀川 恭平君 理事 勝澤 芳雄君    理事 田原 春次君 理事 山田 長司君       根本龍太郎君    山手 滿男君       神近 市子君    栗原 俊夫君       中村 重光君    吉田 賢一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         総理府事務官         (行政管理庁長         官官房会計課         長)      北山 恭治君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         総理府事務官         (行政管理庁統         計基準局長)  後藤 正夫君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  稲木  進君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第一局長)  斉藤  実君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 四月二十一日  委員華山親義君及び森本靖辞任につき、その  補欠として山口シヅエ君及び山本幸一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員山口シヅエ君及び山本幸一辞任につき、  その補欠として華山親義君及び森本靖君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十九年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十九年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十九年度政府関係機関決算書  昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書   〔総理府所管行政管理庁)〕      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十九年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管中、行政管理庁決算について審査を行ないます。  まず、行政管理庁長官より、 概要説明を求めます。福田行政管理庁長官
  3. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 昭和三十九年度における行政管理庁関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  行政管理庁歳出予算現額は、二十八億四千八百七十九万七千円でありまして、支出済み歳出額は、二十八億三千九百八十一万二千円、不用額は、八百九十八万五千円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額二十九億一千三百八十二万八千円、宮内庁へ移用した額五千七百三万一千円、経済企画庁へ移用した額八百万円であります。  支出済み歳出額のおもなものは、人件費十四億二千六百六十九万六千円、事務費二億一千三百二十万四千円、統計調査事務地方公共団体委託費十一億九千九百九十一万二千円であります。  不用額を生じましたおもな理由は、職員に欠員がありましたので、職員俸給等給与費を要することが少なかったこと等のためであります。  以上、昭和三十九年度の行政管理庁関係決算につきまして、その概要を御説明申し上げました。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、会計検査院当局より、検査の概要説明を求めます。斉藤第一局長
  5. 斉藤実

    斉藤会計検査院説明員 昭和三十九年度の行政管理庁決算につきまして検査いたしました結果は、特に違法または不当として指摘すべき事項はございませんでした。
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 吉川久衛

    吉川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。勝澤芳雄君。
  8. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 臨時行政調査会答申取り扱いについてお尋ねいたしますが、この臨時行政調査会答申は、約二年七カ月、国としての相当りっぱなスタッフによって出されたわけでありますが、今日のこの意見に対する取り扱いを見ておりますと、どうもその取り扱いが不十分なように思うわけであります。まず最初に、内閣の機能の問題、それから中央省庁に設置されている審議会整理あるいは機構統合許認可事務簡素化一般事務運営、あるいは公社公団整理統合、こういう問題についての概況を御説明願い、さらに行政改革本部行政監理委員会の現況についても御説明願いたいと思います。   〔委員長退席押谷委員長代理着席
  9. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御指摘のとおり、臨時行政調査会答申はきわめて広範な内容を持ったものでございまして、二年七カ月、並びに相当多額国費を要し、専門家を動員いたしました非常に貴重な答申でございまして、私ども昨年の八月に行政監理委員会を設置いたしましたのも、この答申の趣旨に沿ったわけでありますが、この委員会設置の当初におきましても、まずその委員会性格として、一番大きな任務目標は、答申の実現にあるということを取りきめたことでございます。  そこで、一体いままでに、事務的に、いま列挙せられました問題等どういう実績を上げたかという御質問でございますので、概要を御報告申し上げたいと思います。  まず内閣強化の問題でありますが、これは内閣官房中心にしまして一応の案ができまして、国会審議をお願いするようでありますが、この点につきましては、行政監理委員会中心になりまして検討した結果、これは臨調答申の線とはほど遠いものである。——内閣の案としては、当時官房長官国務大臣にする、この点は任務性格からいって当然認めておるし、報道官を設ける、これも必要であろう。しかし、いわば経済関係調整官を設けるという点については、およそ内閣強化という基本的な考え、すなわち予算編成のあり方その他を含むような抜本的な内閣強化とは、およそほど遠いものである。したがって行政管理庁といたしましては、内閣強化という案としてはこれを受け取りがたい。激増しておる官房長官事務増に対する、いわば処理であるという観点で、私どもはこれに対して率直な批判をいたした次第でございます。結局これは内閣側も、内閣強化という基本的なものじゃなくて、行政事務の増加に対する応急の処置であるという見解をとりまして、国会に、法改正についての御審議を願うたてまえに相なった次第でございます。  なお、許認可の問題でありますが、これは臨調でも大きく取り上げた一つ事務改善の問題であります。三百七十九件、いろいろ各省とほとんど連日専門官折衝を続けてまいりまして、今日まで九十三件だけ話し合いがつきました。しかしまだまだ不十分でありますので、大体この国会中の目標としては、五二%ぐらいまでは整理いたしたいと考えております。ただこれは御案内のとおり、たとえば厚生省など一括整理案法律が通りませんと、なかなか運ばない点もありますが、極力この点も整理統合に持ってまいりたい。  それから審議会でございますが、これは二百九十一という非常に多くの数に上る。いろいろ調査して驚いたのでありますが、中には年一回未満というのが実に三十以上もある。また大蔵事務次官のごときは、三十幾つも委員を兼ねておるといったような、事実上不可能な性質のものであります。もともと審議会は、民間の意向を十分取り入れて、これを行政に反映する大事な任務は持っておりますが、時代の進展に伴って、あるものは必要性がなくなってきた、あるものはいま申し上げたような、活動がきわめて不活発である、こういうような事例がいろいろありましたので、一応の基準を設けまして、鋭意各省庁と折衝を続けて、整理統合努力をいたしておる最中であります。いまのところ、三十三ぐらいまでは話し合いがつきましたが、まだまだ不十分、幸い自民党内にも小委員会を設置していただきまして、党としての立場において、各部会と真剣に折衝努力をお願いしておるわけであります。これはむしろ超党派的な問題でもありますので、ぜひとも私どもの大体の考え、少なくとも七、八十、できれば九十ぐらいまで整理の実をあげたい、といませっかく努力中でございます。  大体いま御質問の点は以上のとおりでございますが、なお具体的のものにつきましては、いろいろ具体的にお答えいたしたいと思います。
  10. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私、きょうあまり時間もありませんから、具体的な問題は別の機会に譲りますが、行政改革がどう積極的に行なわれるのかというのは、やはり時の内閣政治力いかんにかかっていると私は思うのです。その中でも一番中心になるのは、やはり行政管理庁長官の手腕にかかっておる。それは、こういうことをお話ししていいかどうかわかりませんけれども、たとえば経済企画庁長官河野一郎さんがやっていると、経済企画庁というものはものすごい大きな権限を持っているように見える。今度は建設大臣河野さんがやっておると、建設省というものはものすごい膨大な力を持っているように見える。だからいまの内閣からいって、やはり人の問題だと思うのです。それでいまの長官はたいへんに御熱心ですから、これはどうしても、自民党の中でも、あるいは社会党の中でも、あるいは官僚の中でも、労働組合の中でも、反駁を食うのはあたりまえです。結局スポンサーのない政治ですから、なかなかたいへんだと思いますが、やはりいつか、だれかはやらなければならぬと思うのです。その役割りを、いまあなたは行政管理庁長官という立場でやられておる。これは一つの例ですが、この間もある飛行場で、百姓にいままでは畑に使わせておった、これでいま占用許可のまた切りかえどきが来て、そしていま航空局が断わっている。何と断わっているかというと、いや国会決算委員会がうるさいからたいへんだから……。それも私は一つの口実だと思う。それはけっこうだと思うのです。この決算委員会というのは、与野党一緒になりまして、何とかしてこの行政改革というものを、お互い、うしろのほうからぶったたきながらも、何とか進めなければしようがないじゃないかというような立場で行なっているわけです。そういう点で、やはり私は自信を持ってもらいたいと思うのです。  たとえば、一つ言いますと、いま看護婦不足をしている。不足している責任はだれか、私は極端に言うとそれは、厚生省でもない、文部省でもない、行政管理庁長官責任だ。何となれば、これはもう行政監察の結果、看護婦不足だと二年前くらいに勧告しているわけです。大いにやりなさいと言っているわけです。そのことをもっと強力に閣議の中でやっておれば、今日の事態は実はこないわけです。こういう点が私はたくさんあると思うのです。  そういう点で、行政監察をした結果、あなたのほうがいろいろ計画をきめられる、そしてなかなかいいデータをつくられたと私は思う。いかにして国費の乱費を防ぎ、経済的効果をあげるかという立場で、実に私はすばらしい案だと思う。それが出される。出されるけれども各省の受け取り方というのは、事務クラスの中でがちゃがちゃやってしまって、それがいつの間にか終わってしまって、この今日の看護婦不足の状態ができた。しかし、いやあれはもう行管が指摘したのだ、あのとき指摘したとおりやっておれば、いまのような事態は起こらなかった、それが実はたくさんあるわけです。ですからそういう面から、私は、この行政監察であなたのほうが勧告をしたというものが、やはりあなたのほうは、監察の結果、行政運営については、その設置法で、内閣総理大臣に対しあるいはまた関係行政機関に対し、改善の指示をするよう意見具申することができるとなっているわけでありますから、具体的にそういう取り扱いはどういうふうに行なわれておるか、お尋ねいたします。
  11. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 まず前段の、行政管理庁長官として、この困難な行政改革と真剣に取り組むべきである、実績をあぐべきだ、まことにそのとおりであります。激励を感謝申し上げます。私が申すのはまことにおかしいのでありますが、就任以来、その点、私も任務が非常に重大である、かつ実効をあげなければいかぬということを旨として努力をしてまいっております。たとえば四十一年度の予算編成方針につきまして、定員とか、新しい公団特殊法人、二十一、要求がございました。一切これを認めない。これはおそらく、いままで前代未聞じゃないかと思いますが、消極的な面で相当実績をあげ得た。いま特別班編成中でありまして、今月末に発表いたしますが、大体千二百名くらい動員いたしまして、中央地方行政需要実態を、実態的な立場から厳密な精査をする。いままでの、マンネリズムにおちいりました定員制を、一ぺんここで考えを変えまして、各省庁間の大幅な配置転換をやるということも実は考えておる次第でございます。  なお、後段で御質問のありました、行政監察実効の問題でございます。これは全く御意見のとおりでありまして、言いっぱなし、聞きっぱなしでは、何にもならない。私は就任以来、この点は厳重に部下に督励いたしまして、現実的に実効をあげなければいかぬ、具体的には、まず閣議で報告いたしまして、各関係省長官に対して具体的な勧告をいたします。それから、文書をもって勧告したあとで、回答文書で求める。回答を得たものは、六カ月以内に再調査をいたす。実際、まだ何もしてないじゃないかとか、いろいろ適切な再勧告も実は行なってきております。具体的に例を申しますと、いま看護婦の例がございましたが、これもおっしゃったとおり、私ども監察勧告の結果を、厚生省なり労働省なり、関係の庁が真剣にやっていただければ、相当前に顕著な改善を見たと思うのでありますが、残念ながらまだ実績はそうあがっておらぬ。定員その他につきましても、われわれ特別の配慮をいたしましたが、きわめて不十分であることは、率直に認めざるを得ないと思います。  ただ、実績をあげました点を一、二御報告申し上げますが、たとえば公害問題で、二年ほど前に隅田川の浄化の勧告をいたした。昨年の夏に再調査を、私ども専門家あるいは関係各省責任官を同行しまして、現地を調査して、改善の実がきわめてあがっておらないということで、具体的に再指摘しました。その後、幸い通産省、厚生省あるいは東京都といったような関係の官庁が、相当真剣に動き出しまして、相当改善を見たというのが最近のいい例でございます。ただ、悪い例をまた申し上げますと、昨年夏に、三回にわたって、鉱害、石炭鉱山の不幸な事故が起こった。そのときにも、いろいろ事故防止についての具体的な改善勧告を出したのでありますが、その後どう行なわれておるか、昨年の暮れに再調査いたしました。北海道、九州であります。その一月にまとまりました結果を見ますと、遺憾ながらきわめて緩慢な改善しか見ておりません。そうなりますと、事故が起こりましてから、幾ら本部を設けたりあるいは救済で努力いたしましても、これはあとの祭りでございまして、せっかく専門家調査して的確な勧告を出しておるのでありますから、やはりこれは関係各省でしっかりと実行していかなければならぬ。文書鉱山局長あてでございますが、通産大臣に、私から二度にわたりまして、もう少し関係局長を督励して、行政管理庁行政監察勧告を実行するように申し入れたような、実は最近の例がございます。いずれにいたしましても、司法権的な権力は持たない、いわば並行的に勧告という弱い権限であることは、残念ながらそれ以上持っておらぬということは、実際の実をあげる点では、きわめて不便を感じております。しかし、総理の強い指導力と意思があれば、また私どもの真剣な努力があれば、相当問題は改善できるのじゃないか。要は、繰り返し申し上げますが、言いっぱなし、聞きっぱなしではいけない、絶えずこれを見ていく。  もう一つの方法は、最近私、考えておりますことは、この八月に行政白書を出しますが、結局、たよるところは国民のきびしい批判、それから同時に、協力していただく報道陣、マスコミの正しいきびしい批判が、一番私どもにとってはありがたいことでありまして、やはり政府はてまえみそになりがちでございますので、むしろ客観的な立場におけるそういう協力を絶えずしていただいて、これがまた、私ども行政管理の実をあげる有力な支援となるものであります。この点についても、今後いろいろ努力いたしたいと考えております。
  12. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 答申が出されましてから、一昨年のときの政府態度と、昨年の予算編成期における政府態度とは、長官がおかわりになってから、内閣の姿勢に、数段この答申を実践しようという態度がうかがわれることは、私は長官努力のたまものだと思います。しかしながら、その中心がどこにあるかというと、やはり抵抗の少ないところに一番最初手をつけざるを得ないようになっているわけです。たとえていいますと、先ほど言いました審議会調査会協議会整理統合という点に相当力を入れている、これはわれわれが見ましても、年一回もやらぬようなものがあるわけです。あるいはたくさんの委員を兼任しておって、満足に出られるだろうかというのがあるわけですから、これは常識的にも手を入れやすいし、あるいは自民党の中でも、まあそう無理がいえない。しかし、今度はその次の問題ですね。その次の問題で、たとえば公社公団の問題、ことしになってようやく新設は食いとめた、しかし去年は新設せざるを得なかった、こういうところまできておるわけであります。ですから私は、これからの問題としては、公団、公庫、事業団の中でも、やはり整理すべきものがあると思う。私も一度質問したこともありますけれども、当然必要のないものがあるわけです。これはやはり勇断をもって、一つでも二つでもやめさしていく。  それからもう一つの問題は、今度は人の問題だと思うのです。部局統合整理だと思うのです。片方、ふやさなければならぬ部局はどんどんあるわけです。これは、私はふやすべきだと思う。しかし片方、減らすものを減らさないで、その中で総合的などんぶり勘定でやっているからそうなるわけです。ですから、そういう点でも、各省にまたがる問題もあるわけでしょう。これもやはり、大臣がいま建設大臣になったら、いつまでも建設大臣でおるというわけではないですから、政党内閣ですから、全体としてものごとを考えてやっていく、そのためにも、長官にうんと私はがんばっていただきたいと思うのです。その点だけを、いまの答申中心として、私は特に申し上げておきます。今度の、来年度の予算を組むときには、相当思い切った、そういう整理をしていかないと、公債を発行しようとするときに、行政改革も何もやらぬということでは始まらないと思いますので、そういう点で、また総理が来たときにも申し上げますけれども、ひとつ長官としてのこれからの心がまえについて、もう一度お伺いしたいと思います。
  13. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 民間がいまの不況を克服するために思い切った整理統合をする、あるいは行きがかりを捨てて合併をするとか、真剣な努力をしておるのに比べまして、残念ながら、役所関係は、やはり何といいましても、その取っ組み方が、真剣さが少ない、あるいは長い間の慣習にとらわれがちであるということは認めざるを得ないと思います。  そこで、公団の要らなくなったもの、あるいは必要性の乏しくなったものの整理考えたらどうかというお話でございますが、この点は前にも監察いたした点もありますし、これからも、先ほど申した各行政需要を、実態調査をやりまして、私ども考えていきたいと思います。ただ法律裏づけをもってでき上がりますものでありますので、この点もやはり、各政党間とのいろいろの御協力も、これからお願いする必要があろうと思います。  さらに、今後の行政改革の根本的な構想でございますが、実は数回幹部会を開きまして、いままでの行政改革あるいは行政管理庁やり方だけでは、どうも微温的で、思い切った本質的な取っ組みができないのではないか。そこでいま考えておりますのは、特別班に指示しておりますのは、日本の今後の体質改善、これをまず本質的にもっとはっきり分析すべきである。藤山長官ともいま打ち合わせておりますが、日本が今後新しい成長をする場合に、経済的にまた政治的に、あるいは文化的に、どういう体質改善考えられるか、それから行政需要というものの本質が出てくる。量だけではなく、質から見ても、これは思い切ってこの際廃止すべきである、これは思い切って拡大強化すべきである、まずその日本の今後の体質改善なり、あるいは成長の特徴という方向をはっきりつかまなければならない。その上で、思い切った一つの、マンネリズムにとらわれない行政改革実態、非常に困難な事業でございますが、夏ごろまでに、一応骨組みだけはつくり上げてみたい、私どもはこう考えております。その結果、相当客観的に見ても世論も納得でき、また政府も当然だという自信と客観的な分析を背景として、思い切った行政改革方向をひとつ打ち出してみたい。いままで単なる機構いじりとか、部分的に、この課をはずすとか、部をふやすとか、そういうものを第二義的にしまして、もう少し角度を変えた考えで検討いたしたい、と考えておるわけであります。
  14. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大いに私も期待いたしまして、次の問題ですが、行政相談というのが各所でやられておりまして、相当国民の中でも期待があがっておるわけであります。たとえば私らなんかでも、いろいろ相談に来ると、時間のないときは、行政監察局へ行って相談しなさい、各省にまたがっている、あるいは地方の問題でも、丁寧に相談に乗りますよ、ということで、相当実績をあげられているわけであります。したがって、いま行政相談というものがどういうふうな傾向にあるのか、どんなようなやり方をされているのか、そうしてまた、一つ法律的な強制力がないわけでありますけれども、そういう問題について一体どういうふうにお考えになっておるか、という点で御質問いたします。
  15. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 行政相談委員は、昭和三十六年から制度化したことは御承知のとおりでございます。その後非常にこの任務重要性が認識されまして、毎年受付件数もふえております。昭和四十年度は六万七千件をこしておるわけであります。全国でいま三千六百五名の行政相談委員に活動していただいておるわけであります。厚生省を筆頭にいたしまして、各省にわたる身近な国民生活に対する不便不満について、連日相当大きな改善の実をあげておるということは、まことに私ども喜んでおるわけであります。ただ問題は、人権擁護委員とか民生委員みたいに法律裏づけがございません。訓令によってつくられました制度でありますので、やはりもっと法制化された制度にして、こういう名誉職的な、献身的にお働き願っておる委員方々を権威づける必要がある。そこで、ただいま行政相談委員を、訓令によらずして法律による制度にするように、法案をつくって、この国会で御審議をお願いする予定でございます。各省庁にもやっと窓口ができましたが、これにわれわれも協力いたしております。私ども実際に名古屋で一ぺん一日行政相談をやりましたが、私みずから接して苦情を伺って驚いたことは、当時百数十名おいでになりましたが、いかに役所仕事のために国民の多くの方が不便をこうむっておるか、あるいは、知らないためにいかにむだをされておるか、痛感した一人でございます。この点は今後ますます強化充実いたしまして、国民の方方の——国民のための政府であり、国民のための行政であるのでありますから、身近にある問題はどしどし解決していきたいと思います。公害問題だけ調べましたが、昨年だけでも八百件解決した。相当身近な、生活に密着した問題の解決でありますので、国民方々にも喜ばれ、われわれも大きな業務として、これを充実していく考えでございます。
  16. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 この国会でも、特に最近決算委員会で、国有財産の問題について相当審査をしたわけであります。それが新聞人たち協力によってだいぶ新聞に出たために、国有財産の現況についても、たくさんの投書が、われわれ衆議院の決算委員会にも、参議院の決算委員会にも、来ております。その一つ一つを見てみると、相当真剣なあるいは重要な問題も含んでおるわけでありまして、そういう点から、国民の関心というものはやはり埋もれておると思うのです。そういう点を掘り下げて、あなたのほうで取り上げて、一つ一つ解決する中で、いろいろの行政上の欠陥、そういう問題をお調べになって、また是正していく、たいへん私はいいことだと思っております。  それからまた、行政相談委員の人選を見てみますと、私のほうの静岡で見ますと、ほかの人選では見られないような、新しい角度の人選をされておるわけであります。これもたいへん珍しい方向だと私は思います。しかし、それが長い間たちますと、また新しいものの見方というものがなくなるわけでありますから、やはり行政相談委員の人選については、いつも新しい時代の要求に沿った人たちがおって、そうして国民の期待にこたえた解決をしていくということが行なわれるように、特に私は要望いたしておきます。  それから、次の問題ですが、この統計調査事務の地方公共団体への委託費として、三十九年度で十一億九千九百九十一万二千円の支出がなされておるわけでありますが、これに基づいて地方公共団体の実情を見てみますと、どうも実情に沿わない面があるのではないかと思うのであります。かりに予算の単価を見てみましても、昭和三十九年度は一万九千五百円で、地方公共団体の支出額は二万八千四百七十一円で、その差は八千九百七十一円、地方公共団体の持ち出しとなっておりますし、四十年の四月一日現在、予算単価は二万一千五百円、九月以降は補正によって千三百円増額になったようでありますが、地方公共団体の支出額は三万三千円で、その差は一万一千五百円、これが地方公共団体の持ち出しの超過分となっておるようでありまして、最近、地方財政の超過負担分がやかましく言われているときに、少なくとも国の事務を地方公共団体に委任する場合に、実情に沿った支出を考慮しなければならないと存じますが、この点についてどうお考えになりますか。  それと、定員の問題も、昭和三十二年から何ともされていないようですが、その点についてどうお考えですか。
  17. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 お尋ねにつきましては、御指摘のとおり、地元負担が確かに過重になっておると思います。昭和四十年では、国の負担が六五%でございます。四十一年度予算で、大蔵省と折衝いたしまして、増額いたしました。今度は国の負担額が八〇%くらいで、大幅に地元負担が減るわけでございます。もちろん国の統計事務のみならず、都道府県の、地元の統計の仕事もやっておりますけれども、逼迫した地方財政を考えた場合に、やはりこれは少しでも負担を軽減する方向が正しいのではないか。これからも予算措置については努力する覚悟でございます。  なお、定員については、政府委員に説明させます。
  18. 後藤正夫

    ○後藤(正)政府委員 ただいま御質問定員についてお答えいたします。定員は、昭和三十二年以来、ただいま御指摘のとおり、三千二百三十三名で、その後増員も減員もいたしておりません。したがいまして、行政管理庁では、毎年各省が実施いたします統計調査を、この定員で、都道府県で処理いたすわけでございますから、その事務量を調整いたしまして、職員の負担が過大にならないように、また過小になってもいけない、そういう点の調整をいたしておりますので、今後も、この定員の範囲内で、国の統計調査のなるべく充実した調査ができますように調整していきたい、そのように考えておる次第でございます。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 行政官理庁に期待している国民の声というものは大きいわけでありまして、特にこの臨時行政調査会答申をどう実行していくのだろうということは、たいへんみな希望を持っておるわけであります。そういう立場から言うならば、国会でも、特に決算委員をやっている与野党の人たちというものは、特に党派をこえた形でこの問題について関心を持ち、推進をしなければならぬ。ときには党の中からも文句を言われるかもしらぬけれども、やるべきものはやらなければならぬ。それはかりに自民党内閣であろうが、社会党内閣であろうが、同じだという考えだ。それからまた、いまの行政についての不満というものについて、行政管理庁に対する、また変わった期待もあるわけであります。行政管理庁並びに会計検査院というのは、役所としては特別な立場にあるわけであります。ですから、特別の立場にあればあるほど、またその仕事のやり方というものはむずかしいと思うわけであります。しかしそうは言っても、選ばれてその職をやっているわけでありますから、どうか国民の期待にこたえ、あるいは今日の行政機構の刷新というものに、ひとつ特に勇断を御要望いたしまして、質問を終わります。
  20. 押谷富三

    押谷委員長代理 吉田賢一君
  21. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大臣に伺いたいのですが、行政白書を八月にお出しになることは、ちょっといま伺いましたが、非常に重大な課題でございまして、臨時行政調査会の結論も、その実現いかんは、行政白書が大きな推進力にあるいはなるかもしれぬ。そこで伺いたいのですが、大体、編集の方針としては、どういう方針をもっておやりになろうとするのか、まずその辺からお聞かせ願いたい。
  22. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いまの御質問、あるいは御指摘の点も、全く同感でございまして、行政管理庁の仕事自体が、いわばにくまれ役と申しますか、政府部内にいたしましても、国民方々から叱正を受ける前に、みずからえりを正すという立場にあるわけであります。したがって、白書につきましても、あくまでいわば与党的と申しますか、政府的におちいってはならない。客観的な立場で、正すべきは正すという厳しい態度で、白書の編集に当たる考えであります。それにはやはり行政監理委員会といった、民間の代表の方々で構成した委員会意見も十分生かして、いわば相当点の甘い、与党的な、あるいは政府を弁護するような考えから脱却して、客観的に見ても厳しい、そして国民立場に立った白書というものをつくり上げたいと考えておるわけであります。
  23. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 基本的な、抽象的な姿勢としてはわかるのですけれども、やはり内閣にいたしましても、国会にいたしましても、臨調答申が出て一年半有余たなざらしになっておったことは御承知のとおりであります。よって来たる原因は、私は深くして大きなものがあるように思います。それだけ難事業でございます。でありますから、完全を期さなくても、大体いまの段階におきまして、最も効果的なものを御編さんになってはどうか。たとえば、はばんでおるものは一体何であるか。一体、改革の意見というものは実際は何なのかということも、わかったようでわからぬのです。広範な改革意見というものは、一部の人だけが知って、大部分の国民が知りません。ましてや、利害関係につながる人々は、自分の局部に直接関連ある事項だけが目に映るのでありまして、全体の視野から批判するというゆとりもないと思います。でありますので、やはりこれはいわゆるなわ張り根性といいますか、それが抜け切らないようなものもあると思います。また仕事大事といいますか、これももっともなことであります。また、自分にあらざればほかの人にできようかという自負心もあろう、これももっともだと思います。何やかやと積み重なって原因があるのですから、ずばっと民間意見を全部取り入れて、ざっと並べたところで、また何にもならないことになると思いますので、その辺は、はたしていまの段階において一番有効適切な白書はどうか、ということも一つ考え方でないか。そうじゃなしに、素材全部を一ぺん爼上にのぼせてみるんだ、行管が出した白書は、これをもう一ぺん国民は再認識してくださいという意味で出すのか。その辺の基本的な態度を聞きたかった。大体のお気持ちは万了承しておりますけれども、さてそれを扱うことは、実際におきまして、その辺はどうだろうか、むずかしいと思いますので、伺います。
  24. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 白書の性格から申しましても、裏を返せば、いわば日本現代政治実態というものが浮き彫りにされてくるのじゃないかと思います。したがって、組織だけを取り上げるのじゃなくて、背景その他も取り上げざるを得ないと思いますが、この点は、客観的に見て、厳しいそしてまた正しい材料をそろえたい。幸いにここ数年間、大体一月に一回ずつ、具体的に行政監察を行なっておりますので、資料その他は相当豊富にあるわけであります。したがって、この点については積極的な改善を見た、今後ますますやっていって、私どもよい点も十分認めたいと思いますし、同時にまた、この点はきわめて不十分である、なぜ改善をおくらしているかという要因についても、やはり勇敢に率直に掘り下げる必要があるのじゃないか、この二面から持ってまいりたいと存じます。  最後の、結びつきにつきましては、これはまだ申し上げる時期ではありませんが、いま御指摘の点は、貴重な参考の御意見として、白書の中に十分盛り込んでまいりたいと考えておるわけでございます。
  25. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 非常に広範にわたります問題で、簡単な問答では、私自身もよう意を尽くさないのでありますが、やはり臨調答申を基本線としていかれるのでありますか、あるいはまた毎月月報をお出しになりまして、私もこれを拝見しておりますが、時宜に触れた適切なものがずいぶんございます。しかしいずれにしても手不足で、超マンモス的な日本行政運営実態をなかなか——行管でそれぞれ問題を掘り下げているということは事実ですが、ほんの局部的になっておると思います。実は月報をここにも十冊ほどさげてきたのですが、月報を見ましても、これはほんの一部です。膨大な組織の中で、運営の実態というものはなかなか容易なことじゃないと思います。でありまするので、そのうち時間もたってしまうわ、事態も変化すわ——流れておるのですから、じっとしている富士山みたいなものじゃありませんから、その辺を思いますと、行管の業績を主としておやりになるのか。これも大事なことだと思います。これも非常に貴重なもので、要約しましてお出しになって、そして出版センターあたりでもってずっと並べてすることも、一つの大事な方法だと思いますが、それが基礎になるのでありましょうか。そうじゃなくて、臨調答申というものを基礎にして、これを盛り上げていくということ、これを基本にして、あなたのほうでいろいろお気づきになり、また他と御相談になって、問題点となった、指摘する点を盛り上げていこうとするのか、その辺をもう一ぺん聞いておきたいと思います。
  26. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 基本的には、やはり臨調答申というものが一つ大きな骨組みになろうと存じます。ただこれは、昨年夏の行政監理委員会発足のときにも、相当議論された問題でありますが、あれだけが金科玉条ではない。やはり毎年新しい事態というものが起こっておりますし、相当急激なテンポで時代も変わり、情勢も変わっておりますので、基本的には、あくまで臨調答申を尊重し、これを骨組みにしながら、同時にまた現実面における実態というものもあわせてまいらなければならぬ。その場合に、やはりいま御指摘の、絶えず行なっております行政監察指導でありますとか、あるいは監理委員会という立場から見たいろんななまなましいデータも相当ございますので、そういうものも併用してまいりたいと考えておるわけであります。
  27. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 マスコミの進歩というものはすばらしいものであります。こんなこと、申すまでもないことですけれども、ケネディにいたしましても、何百人というブレーンを持って、テレビに出ること一つも企画性を持ったとさえ伝えられております。たとえば、行管の月報を読んでみましても、あまりにむずかし過ぎます。あんなむずかしい字はこのごろ、はやりません。私自身でも、どうもおまえの書いたものはまるで漢文のまねごとみたいだと指摘せられて以来、非常に自分で自責しまして、このごろだいぶわかりやすくなったと笑われているのです。週刊誌は、電車、飛行機なんかでも全部読んでおります。週刊誌は実に読みやすいです。そしてつられていきます。したがいまして、やはり中学校を出たくらいの程度の人が親しみ得るという、基本的なこともお考えになってはどうか。大体、官庁文学といいますか、あるいは裁判文学とかなんとかいって、むずかしい文句を使いたがるものでございますが、そうじゃなしに、やはり当用漢字で限定して、わかりやすくするということにひとつなさって、そしてこんな大きなものを書いて——たとえば農林白書もありますよ。農業の実態報告、あるいは中小企業、その他その他ありますが、実のところあまりむずかし過ぎます。そうして何でもかんでも盛り込んでいこう。何でもかんでも盛り込んでいこうというのは技術屡のくせです。技術屋のくせがそうなっていきますと、これは一般化、大衆化いたしませんので、そこで、あまり大きなものをお出しになると、高閣につかねて読み手なし、いたずらに書庫を飾るだけになってしまいます。ですから、できたら、やはり私はその辺をお考えになって、マスコミやらいまの実情の週刊誌のことやら、実にわかりやすいことばが、たとえば百の文章、文句よりも、漫画一つのほうがどれだけ効果があるか。ですからサザエさんの漫画でも、あるいは朝日の一面の漫画でも、他の週刊誌等の漫画等にしても、実に読み手が絶えません。実にすばらしい生命力です。これを思いまして、私は、一番むずかしい問題を一番わかりやすく書く、これはひとつ基本的に、あなたのほうでおやりになったらどうかということを考えたい。  それからもう一つは、やはりできるだけ、たとえばいまの勝澤委員もおっしゃった許認可の問題にいたしましても、あるいは機構問題、あるいは運営問題にいたしましても、これはいろいろと議論があるなら一応のけておいて、大体いけるというような辺をなるべくひとつお出しになったらどうだろうか。たとえば臨調答申なんか見てみましても、どうもよくわからぬです。よくわからぬものがよけいあります。といいますのは、それはぎょうさんな資料を持ってきたらわかります。しかし集約し集約したものが出てきておりますので、だからその辺は、できたら具体的な行管実績になるように、具体的にお出しになるような提案的な、それを適切にお出しになるようなことを各省庁にわたって、公団等にわたって、おやりになったらどうであろうか。私自身の気がつくことでございますけれども、御所見を伺って、この点は終わります。
  28. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 全く御指摘のとおり、行政改革というのは難事中の難事でございます。官僚組織あるいは政党、あるいは労働組合、あらゆる圧力なり反対が予想されるわけであります。また絶えず行なわれるわけでございます。これを打ち破って、ほんとうに国民のための行政をするということはたいへんな難事でございます。先ほど来申し上げておりますように、一番私どもがたよりにしまた力にするのは、国民世論でございます。したがって、これは私の個人の考えでありますが、編集にあたって、やはり平易な、中学生が読んでわかる程度、そうしてみんなが疑問を感じ、あるいは問題を考えていただく、そういう気持ちで、大衆のものにして、むしろ反響を期待し、専門家の一部の御意見も大事でございますが、やはり大衆の直感と申しますか、行政に対する希望なり要望というものは、非常に私は、大事ではないか、したがって、御指摘の御参考意見、全く同感でございます。大体中学生でもわかるような平易な、そうして文章だけではない、いろいろの図解なり、わかりやすいものにつくり上げたいと考えておるわけであります。
  29. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これは白書にかかわらず、特に大臣でありますので、国務大臣のお立場におきまして、やはり各委員会を通じまして、国会行政問題等を取り上げてやっておりますので、やはりそういったところで随時出していくというくらいな気がまえが必要ではないかと思うのです。そういたしませんと、私は、総合的にならぬだろう、こういうふうに考えております。たとえば総合調整といいましても——実はここでも総合調整の問題についていろいろ議論もしてみたいのです。しかしそうならば、たとえば青少年問題一つ扱うとしましても、文部大臣も必要だし、厚生大臣も必要だし、総理も必要だし、運輸、農林、外務省から、みんな出てもらわなければいかぬ、そういうことになりますから、やはり私は、この臨調答申というものを実現し、前進さすためには、各委員会一つの基本的な歩調をやはり大臣自身がお持ちになる必要があるのじゃないだろうか。そして、佐藤内閣で何もかも一ぺんにやるということはできません。できませんけれども、前進の姿勢は確固としてあるのだ、柱は立っておるのだということを知らすぐらいの、やはり意気込みが必要でないか。もしそうでなかったら、われわれも——私もやかましく言うゆえんのものは、何も臨調答申なるがゆえに言うのじゃありませんです。これの指摘しておるような問題の解決ができないようなことでございましたら、私は、日本の将来はどうなるかほんとうはわからぬ、こう見ています。いろいろな不祥事のよって起こるところは、日本政治に胚胎するところがもう大きな問題ですから、それを思いますと、全部でありませんけれども行政面の重大な解決というもの、同時に、これはたとえば福田さんでも、補助金の整理についても、これは議員みんなが協力しなければできぬとおっしゃるのだから、国会の問題にもつながると思いますけれども、即政治の姿勢にもなり、行政国民の利害、税金、時間、要らぬことにいろいろなむだがぎょうさんあるということに、一切につながる問題でありますから、それを思いましたら、これは寸刻もゆるめるべき問題ではない。私は、二年も三年もたなざらしになりましたら、もう一ぺん手直しをしなければだめですよ。もう間尺に合いませんわ。いつまで社会もそのままでない。経済も成長するだろうし、人間も変わるだろうし、いろいろな素材が変わってきますから、この行政の中でもう一ぺんということになると、これはたいへんなことになる。そんなことをやっていく時間もなければ、金もないと思う。そのうちに事態はもっと悪化しますよ。ですから、たとえばいまの白書にちなんで、たまたま私はむずかしい文句のことを言いましたが、これは日本人が持っておる一つの官僚傾向ですよ。官僚が民衆より偉いと思っておるような考えが、まだ潜在しておるのですよ。ですから、地方からでも陳情してきて、一ぺん顔を見ぬと、熱意がないということになる。熱意があるなら補助金をつけてやろう、聞いてやろう、出てこいと言わんばかりの姿勢でございましょう。そういうようなことは官僚王国ですよ。だから、こういうことががんとしてある以上は、行政改革なんてナンセンスです。そう思います。ですから、私は、国務大臣なるがゆえに申しまするが、できるだけ、これがほんとうに重大なことであるならば、各委員会とも、大小とも、機会あるごとに、こういうことが一歩一歩前進するようにしていきましたら、知らぬ間に私は浸透していくと思いますよ。そしてどなたもおっしゃるがごとくに、日本の公務員はみな優秀ですよ。アメリカやヨーロッパあたりを歩いてみましても、優秀ですよ。だから、この優秀なものをほんとうに完全に使い得るような体制をつくらないこと自身は、私は政治責任だと思う。こういう意味において、われわれも責任を感じるのです。だから、立ち腐れにならぬようにしてもらいたい。こういうような意味におきまして、ひとつ各委員会に臨むごとに、各問題ごとに、この基本的な問題を一つ一つ前進させるような態度が望ましい。これは御希望申し上げておきます。  それから、発表しておられます三月の月報に、四十一年度の監察業務運営方針というものをお出しになっております。そこで、これにつきまして気がつくのでありますけれども中央監察地方監察につきまして、もうちょっと監察のあり方とか、監察の実情だとか、監察の重要だとかいうようなことを、何か国民との間につながっていくような面はできぬものだろうかというふうに考えるのです。これは私のほんの気のついたことだけなんですけれども国民とのつながりにおいてもう少し行政監察の効果を上げることができぬだろうか。中央監察の方針がある。地方監察についてまた、それぞれ方針を持っておやりになっておる。もう一つは、相談もしておられるだろうが、そんなものが何かもうちょっと国民とともに行政監察していくという、こういう手は打てぬもんだろうか。これは一つの懸案かもしれませんけれども、これは本年度の監察業務運営の方針なるものを読んでみた私の感じですけれども、どうも、その辺がからの中だけでおやりになっておる、こういうふうに考えるのですが、その辺は、ひとつからの外の国民の声も取り入れて、そうして監察するという、こういうことはできぬものだろうか。そんなことは邪道だろうか。むだだろうか。浪費だろうか。効果的でないんだろうか。その辺はどうなんでしょうかな。
  30. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 中央監察地方監察と二つあるのは、御承知のとおりでございます。いま御指摘になりました地方監察は、大体昨年度だけで百十九件、ローカルに最も問題になっているような現地的な問題を取り上げて、やってきておるわけであります。なお、中央については、大体毎月一回、第一・四半期に三つないし四つ、相当慎重な検討を加えて、監察の対象をきめるわけでございます。御意見の、国民生活に密着した問題、いわば消費者行政というのは、今度第一四半期に入れましたが、こういう点について、十分御意向を盛り入れて、調査の対象にいたしたい。なおまた、絶えずこれはやっておりますので、中央地方の両面の監察について、いろいろ御注意する点がございましたら、これからもいろいろと積極的に御指導いただきたいと思います。ねらい方はあくまで、なるべく国民生活に密着した問題を中央ではやる。地方では地方で、それぞれの特色のある問題をやっていく、こういう考えで取り組んでいきたいと思います。
  31. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはり行政監察というものは、帰するところ、国民の福利増進ないしは民福のためにやるのでありましょうから、したがいまして、たとえば先般来、ここで問題にする時間がなかったのですけれども、消費者行政が出ましたから話すのですが、たとえば消費物の生鮮食料品の流通過程における行政のあり方を見ましても、やはりいまですと、たとえば蔬菜なら蔬菜、キャベツ、トマトは蔬菜の代表物ですが、そういうふうなもの、あるいは魚のようなものがありますけれども、こういう野菜のようなものにいたしましても、それを流通過程において行政的にどういうふうにやっていくべきかということになりますと、これはやはり市場法の問題もありますし、あるいはまた、その他いろいろな地方自治体における行政面もありましょうが、私どもは、流通過程におきましても、たとえば卵ですな、断然うまくいっております。卵は、たとえば八円の卵は十二、三円ですか、ところが、野菜になりますと、八円の野菜は二十四円と、三倍です。どこでそうなるんだろうかとよく調べてみますと、途中の運賃がよけいかかる。運賃がよけいかかっているということは、ちょっと行政指導をやりましたらうまくいくんですな。その辺の積極的な行政改革——改革というんですかな。それは一種の勧告ですか、つまり、おまえは曲っているじゃないか、曲っているからまっすぐにせいというんじゃなしに、一歩前進の改革というものはできぬもんだろうかということを、実は考えているのです。これは予算の面から、効果的に使用しなさい、それと同じことだと思う。予算の面から、たとえばこのビルをこさえるのには三千万円要る。しかしこれは甲の建設計画である。しかし乙の建設計画によると、資材あるいは労賃あるいは設計、いろいろなものを、同じものをつくって二千五百万円でできる。いま二千五百万円でつくったものと三千万円でつくったものとを、検査院は、検査院的な角度から見ると、これはどうしたから五百万円余剰なんてできたのか。それからまた、使うほうも、年度末になって使わなんだら困る、だから三千万円予算があるんだから三千万円だ、というふうになってしまいますと、効率的な使用じゃないですね。そういうふうな辺は積極的に、この橋をこさえる、このビルをつくるのに二千五百万円でできるじゃないかというような、そういうことが勧告はできる。そこまでいくことは行き過ぎなのかどうか。マイナスのことばっかりで、消極的なことばっかりで、やはりわれわれは、チープガバメントというふうなものは、そこまで踏み込んでいくのがほんとうじゃないだろうか。最も経済的に、最も合理的に行政をやるというのは、そこまでいって、そして国民の血税ですから、一億円の金は一億円使ってしまうのが偉いのではなしに、八千万円で済ませたほうが国民は喜ぶのですから、そういうふうな意味で行政勧告をやる。そういうときには、これまでは予算の効率的使用ということは、あまり月報に報告は出ておりませんけれども予算の効率的使用というやつはいま一番重大な問題です。だから、臨調予算関係意見も出ておるがごとく、うんと効率的に使えということを、行政自身も積極的にやれないものでしょうか、こういうことを考えるのですが、いかがですか。
  32. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先般行ないました教育行政改善勧告の中に、ちょうど御指摘のような問題もありまして、たとえば老朽校舎の改築なんかも、予算単価が実情に沿っていない、これでは結局、何教室といったところで、実際上困るのは地元であるということは、これは公然の秘密と申しますか、各地地元の感じている矛盾でございます。この点はやはり具体的に指摘しまして、大蔵省に予算単価の改定を改善をしたという実例がございます。  なお、こまかい点につきましては、政府委員から報告さしていただきます。
  33. 稲木進

    ○稲木政府委員 行政監察立場からしましては、常に、目標としまして三つの柱を考えておるわけでございます。第一には、行政国民のためになっているかどうか。行政というものは当然国民のために行なわれるものである、そういう意味からすれば、現実に行なわれている行政国民のためになっておるものでなければならない、こういう考え方です、それから次に、第二点としましては、行政が行なわれる場合において、それが最も能率的でなければならない、そういう点を第二点に考えております。それから第三点は、先ほど先生からお話がありましたように、行政を行なう場合においては、当然国費が使用されるわけでありますが、その国費が最も効率的に使われていないことがある。むだがあってはいけない、こういう観点で考えておるわけであります。特にこの国費の効率的の使用という面からいえば、その行政効果というものに常に着目しまして、行政がほんとうに効果があがっておれば、いわばその使われた国費というものはほんとうに役に立っているのだ、こういうような考え方を持っておるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、私ども監察を実施する場合に、当初計画を立てる際には、常にそういうような角度で考えておりますし、実際調査する場合におきましても、行政の効果というものに着眼しておるわけでございます。大体そういうような考え方でもって計画を立ててやっておるわけでありますけれども、たとえば、いままでにもそういうような意味で、補助金等の問題につきましては、その補助金の効果というような面から、いろいろ現実に実施されております各種補助金について、あるいはその補助金が十分効果があがっていないからという面から、それを廃止するとかあるいは統合するとか、そういうようなことについてのいろいろな意見勧告を出しまして、それもある程度成果があがっておるというふうにわれわれは確信しておるわけでございます。  いろいろ、先生のお話にありましたような具体的な問題については、ただいま詳細には、私ども資料を持っておりませんので、ちょっとお答えいたしかねるわけでございますけれども、いま申し上げましたような意味合いにおいて、常に国費のむだな、効果のあがっていない面の改善ということについては、今後とも一そう努力していきたいというふうに考えております。
  34. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 勧告はわかるのです。わかるのですが、勧告の成果は、実は必ずしもおっしゃるように、そうあがっておらぬのです。いま補助金のことをおっしゃいましたが、補助金はおっしゃるほど成果があがっておりません。本年度の調査によって見ましても、一般会計の四兆三千億円に対して、すべての補助金は一兆二千億をこえております。臨調が指摘いたしました三十八年度補助金が、特別会計一切を加えますと、一兆五、六千億円くらいあったかと思いますが、一兆二千億円の一般会計の補助金は、目にいたしまして八百あります。佐藤さんの言い分ではありませんけれども、五十万円の補助金を取るのに四十万円使った、ところがふたをあけてみたら、五十万円もらうはずが、いろいろの都合で三十万円になった、そうすると十万円というものは持ち出しになった補助金をもらいに行った村長さんがあった、という話を聞きました。そういうことで、補助金問題は成果はあがっておりません。これはたいへんな問題です。これは福田大臣がおっしゃいましたように、国会議員が自粛しないといけません。国会議員は、補助金を取ると喜ばれるのです。補助金は、国民の税金であろうと天から降ったものにしろ、取ったものは喜ばれる。補助金に冷淡であれば、議員は落選する。これが選挙界の実情なんです。これは大臣は御承知かと思いますけれども、こういうのが日本の状態でありますから、みながこれは反省し協力しないと、補助金というのはえらいことです。私はほんとうにそう思います。そんなことはけしからぬと言いましたら、たいへんなんです。そういうことでありますので、流すべきところには流して、昔どなたか有名な政治家の言い分ではないけれども、肥料は必要なところに回す、肥料の分配は公平にということばがありますが、いずれにいたしましても、必要なところに回し、必要でないところを切る。むだを省くということは、補助金の面に向かいましてはこれはえらいことだ、たいへんだと思っております。  最後に、なお念を押して伺っておきますが、臨調答申に対する各省庁からの意見が出ました。それから、その意見が出たについていろいろと検討しますると、実施したものもあり、再検討もあり、調査中もあり、反対もある、いろいろあるようでありますが、これはやはりさらに促進をはかって、結着はどうかというところまで、二回も三回もおやりになったらどうだろうか。これが出ましてから一年も経過しております。だから、これはぜひとも、その後どうか、さらにどうかということを——たいした手数はかかりませんから、各項ごとに回答をとって、そして促進をはかって、だめならだめで切っていくというふうに、きまりをつけることをなさることも必要ではないかと思います。  これをもって終わります。
  35. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 最後の御指摘の、区切りをつけて、改善の実のあがるものは改善するとか、あるいはまだこれは不十分である、いろいろ整理しろ、全く同感であります。夏に予定されておる白書にも、だれにもわかりやすく、こういうところは関係者の努力ではっきり解決した、この点はまだやってもらうとか、これは将来どうしてもやってもらわなければいかぬとか、具体的に分類して、区切りをつけたいと考えております。
  36. 押谷富三

    押谷委員長代理 栗原俊夫君。
  37. 栗原俊夫

    ○栗原委員 私は、きわめて局部的な問題についてでございますが、二、三質問してみたいと思います。  昨年の四月一日から新河川法が実施されたのを機会に、行政管理庁では、河川行政についての行政監察を、言うならば、初めて実施するということかもしれませんが、昨年の秋あたりから実施している、こう聞いておりまするが、実施の概要をひとつ御説明願いたい。
  38. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
  39. 稲木進

    ○稲木政府委員 河川法の改正に伴いまして、その後どういうふうになっているかというようなことを調査したいということで、実は昨年の第三・四半期に調査にかかったわけであります。これをやります場合に、私どもいろいろ考えたわけでございますが、新河川法が施行になりましてからまだあまり間がありませんので、はたして調査の時期として適当であるかどうか、もう少しあとにやったほうがどうかということも、実は考えてみたわけでございますが、やはり新河法と旧河川法とのつなぎの時期に、旧河川法におきましていろいろ問題になったことが、そのまま、問題のままで引き継がれてはまずいのではないか、そういうような意味において、切りかえの時期に見たほうがかえってよかろう、こういうような考え方で、この調査に携わったわけでございます。一応現地調査は終わっておりますけれども、これにつきまして、まだ現地のほうからの報告書等を目下検討しておる段階でございますので、その結果につきましては、ただいまはちょっと申し上げかねるわけでございます。
  40. 栗原俊夫

    ○栗原委員 河川について河川行政監察をやってくれるということは、非常に機宜を得た、いいことだと思うわけです。実は、河川に関連しまして、河川の実態は、河川敷というものを中心にして河川があり、これに水利というような問題でいろいろ意見がある、こういう点なんですが、私、河川に関連する土地の所有権の問題に関連して、いろいろと問題があることを扱ってきたわけです。そして、主管省である建設省、それからいまひとつは、河川付近に、経済企画庁が国土調査法による国土調査をやっておって、しかも、登記法上の登記面には存在するけれども、具体的に区画が明らかでない、こういうところを、公図における白地図地帯というものを設定して、登記簿を閉鎖しているわけです。ですから、所有権はあるけれども、所有権が完全に所有権として登記されないというような状況になっておる、こういうような問題を、行政の一環としてこのままでいいのだろうかということを考えるわけです。特に河川の敷地については、四月一日から、河川法によって私有権を排除した土地は国有になる、こういうことになっておるわけなんですが、その地域がきわめて不明確なところがたくさんあるわけなんです。建設省といろいろ詰めていきますと、わからぬけれどもこれでいいのだと、なかなか我を折らぬわけですね。じゃあどこだと言っても、どこだかはわからぬけれども、これでがんばるのだ、こういうことを言っておるわけです。経済企画庁のほうは経済企画庁のほうで、登記面によって存在するものを対象に国土調査をやった。しかし現地に当たってみると、区画が明らかでない。区画が明らかでないものは、公図には区画が入れられない。したがって、公図は白地図になる、こういう形になって、登記簿を閉鎖しておる。一体、この所有権というものは、登記簿が閉鎖になっておりますから、完全な売買の対象にはならない。こういうような形にほうり出されておるわけです。私の建設的な意見と、みずから言うと、少し口幅ったいかもしれませんが、こういうところは、実際は国が買い上げるなりして——区画がわからない、公図の上では白地図になっておるところは、国が買い上げて、河川敷に編入すべきだと思っておるのですが、なかなかそういうこともしない。特に今度の新河川法は、河川区域を指定しても、旧河川法のように私権を排除することなしに、私権はそのまま残るという法律になったのですから、白地図であって、相当河川地域に編入しても、買収しない限りは、白地図であっても、民間の所有権というものは残っている、こういうような姿がある。こういうものは、やはりもっと国が総合的に国土調査をすることはけっこうだが、買い上げもしない、個人の所有権があるにはあるが、どこかわからないというような、そういう中間的な投げ出し方をせずに、国が買い上げるか、あるいは区画をあらためてはかり直してやるか、あるいはもっと大きな区画できめて、その地域を旧持ち分による共有地に振りかえていくか、何らかの方法で、やはり所有権というものを完全なものにしてやらないと、国土調査の結果、所有権が宙ぶらりんのかっこうでここに浮かび上がってしまったというような関係があるわけです。こういうような関係と河川区域との関係がまた重なって、民間所有権の区画が明らかでないようだから、また河川区域も明らかでない。こういうような形が二重になってくる、こういうことであります。特に河川区域の認定等については、これから行政監察をやっていかれるといろいろとわかると思いますけれども行政処分の万全が期せられていない。言うなれば瑕疵のある行政処分の、河川区域の認定である。こういう中で、どうしても、河川区域の認定はしたけれども、ここだということが明らかにできない河川区域認定という行政処分をしたところが、かなり数多くあるわけです。したがって、こういうことですから、当時の河川法で要求した、河川区域になったところは直ちに、不動産登記法によって、嘱託抹消登記をしろということが要請されておるにもかかわらず、嘱託抹消登記もできないまま今日にきておる。こういう行政がそのままでいいのか。具体的には、建設省と詰めていくと、裁判でやってもらうよりしかたがない、こういうことになってくるわけですけれども、それでは、行政としてはあまり味がなさ過ぎるのではないか。もちろんお役所に間違いがあってはならないけれども、人間がやることだから間違いもあり得る。あってはならないけれども、あり得る。したがって、間違いがあったということが確認されたら、率直に間違いだったと改むべきではないか、こういうことを強くすすめ、要請するのですけれども、やった仕事でありますから、なかなか間違ったとは言いにくい。それじゃやれるかというと、やれない、こういう姿で、明文で国有になったといいながら、国有になれない。国有になるところが明らかでないから、国有になったところに対する救済規定があるのだけれども、どこが国有になったかわからないから、今度は救済規定を旧所有者が主張しようとしても、主張する根拠が出てこない。こういうような、全くばかばかしい実態があるわけです。したがいまして、せっかく河川管理行政というものを監察を始めたのですから、こういう点等について、ひとつ十分行き届いた監察を行なって、間違いは間違い、こういうことを、行政上の誤りが明らかに出ておるならば、わざわざ裁判にいって所有権確認の訴えなんかをやらせる必要はないと思うのです。やはり行政の誤りは誤りとして取り消して、そして河川管理を完全にできる方法があるわけです。私は常に言うのですが、所有権を奪った、これも相当問題があるのですが、所有権が目的ではなくて、河川管理が目的なんですから、河川管理の万全の策がとられるならば、所有権についてはあまりこだわる必要はない。したがって、誤った行政処分については、多く固執すればこういうことを言うのですが、ここらあたりについても、もちろんどこがそういう事態になっておるかということについて、資料もございます。六百六十河川区域を認定した中に、民地があるのが二百十ある。そして二百十の中で、民地を行政処分によって所有権を奪っているわけです。その所有権を奪った行政行為が完全でないために、今日までどこだということがわからずにおる。こういうことでは非常に困るので、ひとつこれらについても十分調査して、しかるべく方向を出していただきたいということを特にお願いいたしまして、一応所見だけ伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  41. 稲木進

    ○稲木政府委員 河川の敷地内における民地の問題について、いろいろ承ったわけであります。この点につきましては、新河川法によって、従前の規定と変わった規定をしております。われわれも、一応この問題は調査することにいたしておったわけであります。お話の内容につきましては、さらに私ども十分に、もうすでに調査がある程度終わっておりますので、その調査結果をさらに検討しまして、また不十分な点があれば、ひとつさらに補足するというような考え方でいきたいと思っております。  なお先ほど申し上げました河川管理についての監察を、四十年度の第三・四半期にということを申し上げましたが、実は第四・四半期の誤りでございます。この際、訂正させていただきます。
  42. 栗原俊夫

    ○栗原委員 いま一言。この問題は、実を言うと、私は、河川敷の問題では、河野さん時代からずっとかみ合ってやってきておるのですけれども、先ほど来るる申し述べましたとおり、なかなかおりぬのですよ。やはり一ぺんやった行政処分を間違ったとは言いにくいわけなんです。よくわかります。言いにくいのならやってみろというんだけど、できぬですよ。ということは、できぬような行政処分をやっているんだから……。こういう問題は、いずれまたもっと詰めた建設委員会等の場で、行管の方にも出てもらって——いよいよ詰まってきておるわけなんですよ。ひとつ十分研究しておいていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
  43. 押谷富三

    押谷委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十二分散会