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1966-02-15 第51回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十五日(火曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君    理事 壽原 正一君 理事 勝澤 芳雄君    理事 田原 春次君 理事 山田 長司君       福永 健司君    堀川 恭平君       神近 市子君    栗原 俊夫君       華山 親義君    吉田 賢一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君  出席政府委員         外務事務官         (大臣官房長) 高野 藤吉君         外務事務官         (アジア局長) 小川平四郎君         外務事務官         (中南米移住         局長)     廣田しげる君         外務事務官         (経済協力局         長)      西山  昭君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君  委員外出席者         外務事務官         (大臣官房外務         参事官)    内田  宏君         会計検査院事務         官         (第一局長)  保川  遜君         専  門  員 池田 孝道君     ————————————— 二月十四日  委員森本靖君辞任につき、その補欠として永井  勝次郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十八年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十八年度政府関係機関決算書  昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十八年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書  (外務省所管)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  昭和三十八年度決算外三件を一括して議題といたします。  本日は、外務省所管について審査を行ないます。  まず、外務大臣より、概要について説明を求めます。椎名外務大臣
  3. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 昭和三十八年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳出予算現額は二百三億九千八百八十六万九千百四円でありまして、支出済み歳出額は百八十五億四千六百十二万八百九十九円、翌年度繰り越し額は四億六千六百四十五万二千四十九円、不用額は十三億八千六百二十九万六千百五十六円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額百九十一億三千八百八十一万二千円、そのうち当初予算額百九十一億二千八百四十八万一千円、農林省所管から移しかえを受けた額一千三十二万一千円、前年度繰り越し額十二億五千七百二十九万一千百四円、予備費使用額二百七十七万六千円でありまして、前年度から繰り越したものの内訳は、海外技術協力実施委託費三億千七百一万八千二百四十四円、国際連合分担金二億千三百九十万七千五百二十円、移住者支度費補助金四千六十七万円、移住者渡航費貸し付け金六億一千六百八万一千円、在外公館施設関係費六千九百六十一万四千三百四十円であります。  支出済み歳出額のおもなものは、科学技術振興のため、国際原子力機関に対し、同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として、六千二百万八千九百二十円並びに国際連合その他各種国際機関に対する分担金等として十八億八千七百四十万八千九百八十九円、また、貿易振興一環として、外国におけるわが国商品輸入制限運動に対処して、関係国議会公聴会及び関税委員会公聴会に出席し陳述をする等、輸入制限問題に関し、政界、業界首脳わが国に対する理解を深めしめるとともに、輸入制限動向実情調査、分析を行なって、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌等マスコミに対する啓蒙宣伝工作PRパンフレットの配付を行なう等、輸入制限運動阻止のため二億七千八十二万四千三百二十六円、次に、経済協力一環としての技術協力実施につきましては、コロンボ計画等に基づく技術研修員千三十二名の受け入れ及び専門家二百四名の派遣業務並びに海外技術センター事業メコン河開発事業調査、投資前基礎調査海外技術協力事業団出資、EPTA及び国連特別基金拠出等に要した経費二十四億八千五百八十一万九千百二十四円、さらに、移住振興につきましては、中南米等への移住者千五百二十六名、ほかに派米短期農業労務者六百七十二名を送出するため等の経費十億七千百十七万七千七百六十二円であります。  次に、翌年度繰り越し額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰り越しのものは四億三千四百九十八万四千百八十九円でありまして、その内訳は、海外技術協力実施委託費二億六百二十七万百九十九円、移住者支度費補助金九百四十六万八千円、移住者渡航費貸し付け金五千九百十五万九千円、在外公館施設関係費一億四千六百六十七万七千九百九十円、公務員宿舎施設費一千三百四十万九千円、また、財政法第四十二条ただし書の規定による事故繰り越しのものは三千百四十六万七千八百六十円でありまして、その内訳は、外交用器具等購入費五百十三万三百円、日本人墓地整備費一千六百三十一万六千六百四十円、在外公館施設関係費一千二万九百二十円であります。  不用額のおもなるものは、コロンボ計画等に基づく技術者の交換及び各種技術センター設置等相手国国内事情により遅延したので、海外技術協力実施委託費を要することが少なかったこと、第十八回国連総会で決議されたわが国の支払うべき分担金予定より少なかったので、国際連合分担金を要することが少なかったこと、南米等移住者の送出が予定数まで達しなかったため、移住者渡航費貸し付け金を要することが少なかったこと、並びに在外公館の項では、職員諸手当を要することが少なかったこと等のためであります。  以上であります。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、会計検査院当局より、検査概要について説明を求めます。保川会計検査院第一局長
  5. 保川遜

    ○保川会計検査院説明員 外務省所管決算につきましては、書面並びに実地に検査実施いたしましたが、特に検査報告に不当として掲記いたした事項はございません。
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 これにて説明聴取を終わります。     —————————————
  7. 吉川久衛

    吉川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。田原春次君。
  8. 田原春次

    田原委員 私の質問は大別して二つになります。一つ外務省人事在外職員給与等の問題、もう一つは、海外出生二世の日本語教育の問題であります。  第一の問題から入りますが、外務省は、人事配置は、われわれが見てどうも適当でないようなものが相当あるのです。ということは、最近の例でいきますと、海外移住事業団に出向しておりました山中理事が今度サウジアラビアの大使になる。山中理事大使になること自体はけっこうだけれども、せっかく海外移住仕事をやっておったならば、人事配置の場合、中南米にやるべきものではないか。それから、前に移住局長高木広一君、非常に熱心に移住行政をやっておったのでありますが、これはヨーロッパ大使になり、今度はパキスタンの大使になる。その前に、名前はちょっと忘れましたが、ユーゴスラビア大使をやっておったロシヤ語のうまい人が、ベネズエラ大使になる。逆だったかしら。ベネズエラ大使をやっておって、その後ユーゴスラビアに行ったのか。そういうふうに、日本外務省人事配置というものは、年功序列式に、将棋の駒をあっちこっちに回すふうであって、そこに一つの原則というものがないように思うのです。これに反してイギリスは、たとえば中国外交官補として出しますと、二、三年おって本省に帰り、次は三等書記官でまた来る。その次は青島の総領事として出す。その次は北京の参事官をやるというぐあいです。あるいは、有名な話は、タイイギリス大使——この間退職しましたが、クロスビーという人は、タイだけに、通算して四十三年おるのです。あのむずかしいタイ語のなぞまで解けるというまでになって、深くタイの王室に食い入っておったのです。私が青年時代南米を旅行しまして、ブラジルのアマゾン河の下流のベレンというところに行きました。必要があってイギリス領事館に行きましたところ、副領事がおりました。聞いたら在職二十五年だという。五年に一回ずつは有給休暇で本国に帰ります。それでずっと給料が上がっていくから、二十五年間副領事をやっておっても少しも不満なことはない。そうして彼は、顕微鏡を持って、アマゾンの木材の木目の研究などをやっておる。これに反して日本は、あそこに二年置き、こちらに五年置く。それは語学別に、英語の優秀な者は英語関係に派遣する、フランス語の優秀なものはフランス語関係ラテン語系統に出す、ドイツ語関係の者を北ヨーロッパに出すということならわかる。そうではなくて、先ほど申しましたように、ロシヤ語のうまい者をベネズエラにやったり、まことにいつもしろうと配置しておるような感じがする。だから、今後の採用方針にも関係があるけれども、たまたましろうと椎名さんが外務大臣になったから、この際やれるのじゃないか。語学別にするか、たとえばヨーロッパ専門にし、一方は北南米専門にするというように国別にするかにして、何十年かのキャリア外交官が、その地方における専門家になるようにしたらどうか、そういう手配ができないものかどうか、そういうことについて、大臣並びに官房長から、いままでのしきたり、今後のやり方等について聞いてみたいと思うのです。
  9. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘の問題につきましては、事務当局から御説明をいたすことにいたしまして、概括的に申しまして、やはり何といっても語学あるいは専門知識中心として配置するのが適当であると考えます。しかし、必ずしもそれにのみとらわれるということも、今日におきましては、国際関係が非常に、地域のいかんを問わずきわめて濃密になっており、その例としては、国際連合といったようなものができて、年々活動が多岐複雑になっておるというような関係でございまして、地域専門あるいは語学専門ということで人事配置考えるということは、必ずしも適切でないという事情もございますので、これらのことを十分に加味して、そして適正を期してまいりたいと思いますが、ただいま御指摘の問題につきましては、事務当局から申し上げることにいたします。
  10. 高野藤吉

    高野政府委員 御指摘山中大使高木大使、確かに移住専門家であるわけでございますが、中南米に全部移住専門家というわけには——人が足らない場合と余る場合とございまして、ほかに行くということも、人事の都合上ある程度やむを得ないかとも存じますが、現在、しかし移住専門家で、ペルーには山津大使、パラグアイには石井大使、サンパウロでは鶴我総領事、みな移住関係をしておった方でございます。先生指摘のように、専門家をつくってやるということは、適材適所、確かに考え方でございますが、しかしまた、ソビエトならソビエト中国なら中国ことば専門で、やはり現在、大臣が申されたとおり、世界はなかなか流動的で、相互関係ますますきびしくなってまいりましたので、そういう専門家の人でも、アメリカ、イギリスないしは東南アジアに回って、ほかからまた自分専門を見直すということも必要ではないか。またことばの上からも、ロシア語中国語ないしはアラビア語だけではなかなかできないので、第二語学も勉強する機会も与えたいということで、専門家一般家、これをかみ合わせてどうするかということも今後の課題でございますが、先生のおっしゃったとおり、専門家に向く、またそこに一生を捧げるという人をと、今後そういうふうに考えていくのも一つの観点かとも存じますが、外務省の全部が全部移住関係ばかりするということも、ちょっと全体の考えからできないかと思います。
  11. 田原春次

    田原委員 これはたとえば、私もソビエトに行きましたが、ある大使英語だけなんです。それからある書記官ドイツ語なんです。ロシア語をやれる人はほんの二、三人しかいないのです。ああいうむずかしい国で、その国のことばがわからぬではどうにもならぬと思う。日本では、私ども社会党の接する面で、東ヨーロッパ各国大使はほとんど日本語をしゃべれますよ。チェコスロバキアハドリチカ大使とか、ソ連の大使館の連中は日本語をしゃべれます。その国のことばをしゃべれる人がその国に駐在しないというのはもったいないと思う。必要があれば予算を少しふやして——いま官房長の言うように、第二語学の必要なものもあります、そういうところには定員外というか、あるいは定員をふやすかして、少し置いておいて勉強さしたらいい。そうでないと、どんなにいい外交方針を立てましても、相手の国のことばがわからぬ大使では、通訳つきでやることになる。日本外交がふるわぬといわれるのは、主としてこういう外交人事配置が、国内において、給与とか年功序列できておるものだから、適地適材主義でないところにあるのじゃないかと思う。こういう点は、必要あらばいまの一割くらい人をふやして、始終予備軍をつくっておく、審議官とか参事官とかいうようなものをつくっておく、あるいは研究費をやるとかして、あらゆる国の——日本では特に英語が普及し過ぎるくらい普及しているが、それ以外は普及しておりません。したがって、それ以外のことばをじょうずにあやつる、少なくとも二カ国語くらいあやつれるような者を養成しておく必要がある。いまのは言いわけで、今後の前向きの形になっておらぬ。そういうふうに進むべきであると思うが、もう一度御答弁いただきたい。
  12. 山田長司

    山田(長)委員 関連して。当局の御答弁をいただく前に、田原委員質問に関連して、参考までに申し上げておきますので、お答え願いたいと思います。  それは、一年ほど前にギリシアに参ったときに、ギリシアギリシア語のわかる外交官書記官一人だ。私はこの状態を見て、とにかく書記官ギリシア語がわかるというのですが、君が重要なときには全部出て行くのかといったら、重要なときには私は出て行きます、君がかぜをひいたらどうするんだ、そういう場合にはことばの通ずる人は私一人だ、ということを聞いたのですが、実際に大公使で、ほかの国はどうかわかりませんが、ギリシアの場合、ことばの通ずる人は一人だった。その事実を見たときに、どうも日本外交陣容というものはまことに貧弱だという印象を持ったのですけれども、ただいまの田原委員質問に関連して、御参考までに申し上げておきます。
  13. 高野藤吉

    高野政府委員 ロシア語につきまして御指摘がございましたが、現在キャリア専門家大使がおりまして、近隣諸国に駐在しておりまして、たまたま現在の駐在大使ロシア語専門家でない、これは大国の大使、特に特殊語学のところでは、ことばももちろん必要でございますが、そのほかの判断力その他交渉力等々も要素になりますので、ことばプラス・アルファという点を加味いたしまして人事考えられますので、必ずしも中国ないしソビエトロシア語ができる方ばかりではございません。しかしその下にはロシア語のできる参事官書記官配置しているわけでございます。  それから、いま山田先生指摘特殊語学でございますが、これはいわゆる特殊語学というものは、相当若いときから勉強しておりませんとできませんので、ヒンズー語ウルドウ語アラビア語ギリシア語トルコ語ができる方をそこの国の大使にするわけにはまいりませんので、外務省といたしましては、いわゆる語学研修生というものを毎年二、三十人とりまして、特殊語学を勉強さして、書記官理事官としてやっておるわけでございますから、御了承願いたいと思います。
  14. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 関連して。大臣にちょっと御質問したいのですが、いま山田委員から発言がありましたが、これはギリシアの例ですけれども、私もよく知っている高木さんという大使がいらっしゃいまして、私は聞いてみますと、あそこでは書記官一人しかギリシア語がわからないわけです。ことばのわからない大使が、その国の大使として一体ほんとう外交官としての活動ができるだろうかどうだろうかという点を——あなたが日本の国におられて諸外国人たちとお会いになって、ことばが通じ、初めてお互い意思疎通ができて、その国の内情がよくわかると思う。ですから、中心になっている人がその国のことばがわからないということは、私はやはり問題だと思うのです。先般資料として出していただきまして、一体諸外国におる人たちの勤続がどうだろうかと調べてみますと、運輸省やあるいは農林省や、あるいは通産省などから出ている人は約二年か三年です。短いのでは一年です。これはやはり家庭事情があるわけでありまして、子弟日本に置く、あるいは小さければまだ教育関係がないから連れていく、こういう形ですから、結局、何といいますか、たらい回し人事が行なわれておるわけでありまして、各省では、結局、日本にいるよりも二年ばかり外国に行ってこいという形で、ただ行くだけの仕事であって、その国に行って仕事をするなんということは何もできないと私は思うのです。しかし外交官のほうは二年、三年という人はございません。平均やはり三、四年おるわけでありますけれども、その際考えなければならぬことは、いま大臣官房長と同じようなものの考え方に立っておっては困ると私は思う。世界は流動しておりますから、この国に一年置いて次の国に回さなければならぬという、ばかばかしいことを外務大臣が言っている限り、日本外交というものはよくならないと思う。やはりその国に長い間おって、その国のことをよくわかって、初めてその国の内情というものがわかるわけであります。日本人同士でも、私はそうじゃないかと思うのです。会って話しただけでわかるかといえば、いやお互いに酒をくみかわし、そして打ち解け合って初めてその人間がわかる、という話があるじゃありませんか。そういう点から考えてみれば、外交官をわざわざやっておる、そしてそれを二年か三年で交代するのもやむを得ないではないだろうかと、外務大臣考えているところに、私は問題があると思う。ひとつその点について、そう考えているならしかたがありませんけれども、その点はやはり少し考え直していただいて、もう少し配置の問題、あるいはことばの問題、あるいはそれに伴う家庭の環境の問題、子弟教育の問題、あるいは待遇の問題、こういう点までも含めて、どこに隘路があるのかという点を考えていただいて、やはり根本的にこの問題はひとつ研究をして、われわれの要望に沿った方法がやはりいいと私は思っておりますし、それは外務省の方々も、やはりいろいろの問題が解決するならば、そのほうがいいというのはあたりまえのことですから、そういう点について、ひとつ大臣のお考えをはっきりさせていただきたいと思うのです。
  15. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御趣旨は十分にわかります。やはり外交官である者は、いやしくも一国や二国のみならず、特殊語学等についても十分に習得して、そしてことばを通じて十分に駐在国の事情がわかるということは、これはもうけっこうなことなんでありますが、ただ日本の従来の事情から考えて、なかなか急にそこまでいかなかったという点があるのでございまして、その点を御了承いただきたいと思います。  ことに、過ぐる大戦の前後の事情から申しますと、満州事変、それに続いてジュネーブの国際連盟において日本各国国交が断絶するような、全く孤独状態におちいって、それから何年かたって大戦ということになりまして、その間かなりの空白があった。そういう状況もあり、また地理的にも非常に隔絶しておって、特別の金をかけて、そして勉強しないと、なかなか一人前に役立つ語学習得ということはむずかしい状況日本は置かれておった。ヨーロッパ各国でございますと、もう五カ国も六カ国もべらべらやる外交官が非常に多いのであります。聞いてみると、自分の国以外に、おやじが外交官でどこそこの国におった。そのときから二、三カ国歩いているうちに、いつの間にか身についた、こういったようなことがよくあるのでありますが、日本なんかではほとんどそういうことがない。そういう関係もございまして、お説の点は何ら異存はございません。そういう線に沿って、今後われわれは努力すべきものと考えております。
  16. 吉川久衛

    吉川委員長 華山君の関連質疑を許します。華山君。
  17. 華山親義

    華山委員 ただいまことばの問題が出ておりますけれども、現在、政府中国に対しまして背を向けておるような感じもいたしますが、今後中国との国交は大きく開かなければいけないと思うのです。その際におけるところの通訳官、そういう者の養成はどういうふうにお考えになっておるか。中国語通訳官というようなものは、これは非常にむずかしいのです。ことばが共通であるだけにむずかしい。たとえば古典が同じです。それですから、あっちの人々がその古典を引用する。その際に、その古典の、たとえば孔子、孟子、老子のことば、そういうものを全部理解しておかなければ完全な通訳はできません。そういう意味におきまして、中国語通訳官というようなものは非常にむずかしい。私も失敗したことがありますけれども、あちらでは、いまどうか知りませんけれども、考慮しますということば——これは日本では考えてみましょうということばなんですけれども、中国では儀礼的なことばのことなんです。それを通訳官がただ、考慮します、こう言ったのじゃとんでもない間違いなんです。私も間違いを起こしました。そういうふうに、単にことばの直訳ができるということじゃ間に合わない、非常にむずかしいものでございますが、現在台湾との間にはありますから、中国語がそのままになっておるとは思いませんけれども、中国に対します通訳官、そういうものの養成について私心配しております。どんなふうになっておりますか。
  18. 高野藤吉

    高野政府委員 中国語は今後非常に大事だということは、先生指摘のとおりでございまして、毎年、上級試験を通りまして、二十二、三人でございますが、その中で、希望者ないしは、これは素質があると申しますか、そういう関係に向くという人を二、三人ピックアップいたしまして、中国語を専心に勉強させるようにしております。それから、先ほど御説明申し上げましたいわゆる語学研修所、これは中国語で受ける人もおります。通った人はもちろん中国語を勉強させる。同時に、英語フランス語ドイツ語で通った人でも、中国語を勉強するようにして、二、三年勉強し、その後は館務につきながら勉強させるということで、中国語養成も大いに力を入れておる次第であります。
  19. 華山親義

    華山委員 特に中国語につきまして、そこを出ましてもすぐに仕事がない、そういう実態もありますし、また中国というのは古い伝統があって、外務省通訳官のわれわれの知っている人はもう大体やめている。非常に困った状態にあるのではないかと私は思うのでございますが、国交が回復した場合に、毎年毎年若い二、三人の人や五、六人の人を養成していたのでは、私は間に合わないと思う。今日から大規模に、ほんとうにりっぱな中国語のできる人を養成するような御計画はございませんか。
  20. 高野藤吉

    高野政府委員 毎年採用人員がある程度限られておりまして、先ほども御指摘のあったとおり、ほかの特殊語学もやらなければならぬ、英、独、仏、ロシア語等も勉強するということで、現在におきましてはいま御説明申し上げた程度でございますが、今後とも先生の御趣旨に沿って努力していきたいと思います。
  21. 華山親義

    華山委員 中国語を教えておられる先生は、どういう経歴のどういう人ですか。
  22. 高野藤吉

    高野政府委員 外務省に入りましてから、いわゆる外務省研修所で勉強しておりまして、その中に……。
  23. 華山親義

    華山委員 先生……。
  24. 高野藤吉

    高野政府委員 講師の方は、中国人の方もおられたと記憶しております。
  25. 華山親義

    華山委員 私は、今後の日中関係考えるならば、中国語というものに対しまして、現状がこうだからといってやってもらっては困るのであります。ほんとうに力こぶを入れて、あの広い中国でございますから、多数の優秀な中国語のわかる人を養成していただきたい。その人が研修を終わってもそのまま使えないかもしれませんけれども——何年勉強したって、中国語なんというものはわかるものじゃない。ほんとう古典から勉強しなければだめなんです。そういう意味におきまして、中国日本とは特別の関係がありますから、とにかく中国語通訳官養成、そういうことにもっと力こぶを入れて、とるべきものなら予算をとってやっていただきたい。だれが先生だかわからないのじゃ私は困ると思う。英語フランス語と別個の雰囲気がございますから、その点十分に予算でもとって、そして今後の日中国交回復の場合に備えていただきたいと思います。大臣どうですか。
  26. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御趣旨は十分に尊重して、大いに努力したいと思います。
  27. 田原春次

    田原委員 次は、語学専門の在外研究員なりそれから在外公館の二、三等書記官、官補の待遇の問題——待遇が悪いのみならず、地位が低くて、いま山田委員の言うように、ギリシア語は非常にわかっても、その人がある政策を持っておっても、それを大公使が採用しなければどうにもならない。したがって、外交官試験を通った者を中心にすることはよろしいけれども、これには英語以外の語学、特に東洋、アジア語等必ず第二外語をとって研修さしておくということと、それからアラビア語やインドネシア語あるいはタイ語あるいはユダヤ語等をやった者の地位を引き上げて、参事官から大使か公使にでもするくらいにやってもらいたい。従来そういう例がないようでありますが、今度椎名さんが、おる間に——外務省人事というものは、農林省や通産省とは違うと思うのです。農林省では、農業専門家であれば、各局をぐるぐる回ればいいでしょう。文部省も教育専門家であればそれでいいでしょう。外務省世界各国相手にするのですから、少なくとも語学を尊重して、地位や待遇を上げていく、特別任用でもしていくというくらいにしてもらわなければ困る。どうも外務大臣のいまのような答弁では、私は満足しかねる。この機会に抜本的に、語学中心国別中心専門家外交官養成する、その中には、東大出の外交官試験を通った者以外にも相当地位を引き上げていく、望みを持たせる、希望を持たせるというようにすべきではないかと思うのですが、そういう点についての外務大臣のお考えをお聞かせ願いたい。
  28. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 語学だけというわけにもいきませんが、とにかく外交の手腕、力量というものはもう少し総合的に考えるべきものと考えます。現に、スペイン語を修得した人で、特別に、外交官試験を通ってない人で、大使までいった人もあります。これは非常にいい例だと思いますが、そういうふうにだんだんしむけてまいるようにしたいと考えております。
  29. 田原春次

    田原委員 いろいろ時間の都合もあると思いますので、次の問題に移りますが、今度は、在外公館の現地採用の人の地位及び待遇、給与の問題——先ほど山田委員も言いましたように、その国の特殊なことばを知り、それから特殊な技能があるために、在外公館で、用員というか雇員というか知りませんが、雇っておる。実際はこういう人が非常に役に立っておる。しかるに地位が実に低くて、内地から行った三等書記官にあごの先で使われるのだが、相当年配の方であっても、給与、地位ともにまことに不安定なんですね。これはどこということは言えませんが、私ども旅行しても、至るところで聞きます。したがって、そういう声が中央に届かない前に、中央ではよく気をつけてやって、やはりラテンアメリカのボリビアやペルーに特別任用の大使があるように、大使までいかなくても、在任地において正規の外交官あるいは外務省の事務官にするくらいの待遇を与えてもらいたい。二十年もおって、やはり給与が低いのですね。ところがその人の力によらなければ外交はできない、通訳もやれなければ、その国の人との折衝もできないようなのが多い。こういうわけですから、外務省の一番の欠点は、キャリア外交官を一国に二年ずつくらいくるくる回して、永久にしろうとでおいて、はっと気がついたときには、もう定年退職をしているようなことになっておる。それならそれで、語学別国別専門家養成するとともに、各地一国限り、一公館限りにつとめている人の給与の安定もしくは給与の引き上げ、したがって待遇の是正というものをすべきだと思うのですが、これに対する声がちっともない。外務省だけ労働組合がないのです。労働組合のあるなしは別といたしまして、その声を代表する者が一人もいない、不平満々のうちに一生を終わるのでは、これは国の重要な外交をまかせるのに不安であるので、この際在外公館の現地雇いの者に対する待遇をよくして、安んじて仕事ができるようにすべきであると思うが、官房長はこれに対してどういうお考えを持っておられるかお伺いしたいと思う。
  30. 高野藤吉

    高野政府委員 御指摘の点は、外務省といたしましても非常に困っている点と申しますか、注意を向けておる点でございまして、定員が少ない。したがって、各館に配置する定員が少ない。のみならず、現地の事情ないしは山田先生の御指摘のように、現地のことばもわからない。それを補助するのがいわゆる現地補助員でございまして、非常に有能な方もおられます。この中には、いわゆる二世、三世の方と、それから当該国民と二つあるわけでございますが、特に日本系の二世、三世の方は献身的に働いてくれるわけでございまして、この方の給与問題、身分の保障の問題、退職後の問題等々はわれわれとしては頭を痛めておるわけで、とりあえず、本年度は現地補助員の給与を大幅に上げまして、四十年度は十二億でございましたが、それに対して一億三千の給与ベースアップを総額としてはかりまして、今後ともこの方針で、現地補助員の待遇改善、身分の保障等々を考えていきたいと考えておる次第でございます。
  31. 田原春次

    田原委員 まだ内容について納得できないのでありますが、時間もないので次の問題に移ります。  第二点に聞きたいのは、海外における日本語教育の問題であります。元来これは文部省関係ではないかと思ったのですが、いま所管庁は外務省になっておるようであります。東南アジア、あるいはヨーロッパあるいは北米、南米等におりまする日本人が、その連れていっておる子供、そこで生まれた子供の日本語教育が不安なために、金を出し合って、ささやかな私塾的なものから、あるいは国によっては独立の校舎をつくっているものもあります。問題は、これらの経費の問題とそれから教師の問題と教科書の問題があるわけです。教科書も国々によって違えなければならぬ。日本での教科書をそのまま使えない場合が多い。たとえば南米においては雪を知らない。それより、雪の降る教科書で、説明できないという問題もあります。したがいまして、せっかく海外に発展しておる、商売や、移住で行っておる者に対して、その子供たちに対する教育、特に日本語教育、それらの人々は、二世、三世はその国々の人ですから、将来日本外交のよき理解者となるわけです。したがって、十分な日本語教育を施していく必要があると思います。最近それに対する努力が足りない。これはたとえば、西ドイツのデュッセルドルフには三百から四百の商社が行っておりまして、日本語学校がありますが、教師の身分が安定しておりません。新しく日本から採用しようとしても、日本の小学校をやめていかなければならぬ。なかなか行き手がない。したがって、間に合わせにやっておるという状態であります。でありまするから、日本語教育に対する根本的な方針を立てていただいて、教師は少なくとも出向程度で、三年なり五年なり、家族ぐるみ、夫婦ぐるみで行って、日本語を教える。日本の風習や礼儀作法を教え、帰ってからまた教頭になったり、校長になったりする。人事に対する配慮がまことに個別的であり、おざなりでありますために、せっかく日本語学校をやろうとしても、教師のいい人を得られなくて困っている。これに対しては移住局長でもいいですが、政策として、外務大臣にお聞きしますけれども、積極的に、言ってみれば、海外日本語教育協議会というか、あるいは日本語学校協会といったものをつくって、文部省と外務省と打ち合わせしまして、相当恒久的な施設を考える必要があるのではないか。今度の予算でもそれは出ておらぬようです。部分的に学校に対する補助はありますが、教師に対する手配というものはされておりません。これは現地のあらゆる階層の人々の希望なんですから、これを外務省はどうお考えになっているか、どうしようとしておられるか、お伺いしたいと思います。
  32. 高野藤吉

    高野政府委員 在外で働いておられる方の子弟教育問題、これも非常に大きな問題でございまして、外務省といたしましても、数年来これに力を注いで、逐次学校等をふやし、先生の派遣もふやし、予算も逐次ふやしている次第でございまして、今年度は画期的に予算がふえまして、四十年度は四千二百万、今年度は一億七百万、学校も新しく東南アジアを主として、シンガポール、マレーシア、カルカッタ、ボンベイ、コロンボ等ふえまして、あとこれは東京から先生を派遣いたします。そのほかに現地で講師を雇って、その謝金ないしは学校の借料等を考えております。それで、先生の御指摘の、いい先生が行かない。これは文部省ともいろいろ協議して、いい先生を派遣するようにしておるわけですが、今後とも待遇の点等々もからんで、いい先生をどんどん送るようにしていきたいと考えておる次第であります。
  33. 吉川久衛

  34. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣にお尋ねいたしますが、最近の移住者の行政を見てみますと、海外移住のあり方について、もう一度やはり再検討しなければならない時期に来ているのじゃないだろうかと私は思うのですが、大臣のお考えをまずお聞かせ願いたい。
  35. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 最近、海外移住といいましても、ほとんど大部分が中南米でありますが、そういう方面に行こうという希望者が著しく減っておる状況でございます。これは移住の層がだんだん枯渇といいますか、少なくなったことと、それから、最近、日本の技術革新によって、近代産業が非常に膨張して、労力不足の現象が漸次あらわれてきておった、こういう二つの原因によるものである、こう考えております。しかし、それでは移住に対する熱意が国民の間に薄れておるかといいますと、そうでもない。ことに、最近、一時的現象かもしれませんが、労力が少しだぶついてきた。そういうことがあるいはあるのかもしれませんが、国民の間の移住に対する熱意は必ずしも減退したものではない。それからまた、移住先の方面の意見を聞きましても、依然として日本人の移住を歓迎する。のみならず、カナダあるいはアメリカ等において、特殊の技術を身につけた移住者を歓迎するというような状況にもありますので、これらの事情を十分に考慮して、移住方針を、どっちかといいますと、ただ向こうへ行って生活ができればいいというような意味ではなしに、進んで移住先の経済建設に貢献し得る、役に立つ人を送る、いわゆる量よりも質というものに重点を置いた移住政策を今後とるべきである、こう考えておるような次第でございます。
  36. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 移住を進めるために事業団ができたわけでありますけれども、この事業団の実情を見てみますと、移住行政というものが何ら前向きにされていないようでありますけれども、私は、一体事業団をつくった理由というのは明確にならないように思うのです。この移住行政というものを一元化すために、海外協会連合会と日本海外移住振興株式会社を合併をして事業団をつくられたわけでありますけれども、大臣は、事業団の運営がどういうふうになっておるのか、いま移住の現状がどうなっておるのかということをどの程度知っておられるか、ひとつ御説明願いたいと思います。
  37. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 その点は、まことに不勉強で、あまり実情を詳しく申し上げるなにを持っておりませんが、事務当局のほうから申し上げたいと思います。
  38. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 事務当局の答弁は、あとでまた、大臣がいなくなってから聞きます。  そこで大臣、私は、せめて決算委員会に来て、ほかの、予算だとかあるいは外務委員会だとかいう政策の場でなくて、実際のあなたが一生懸命とってきた予算というものがどういうふうに使われておるのかという点について、知っていただきたいと思うのです。片方ではこれだけ金が余っている。しかし片方では在外公館なんかみんな借家だ、あるいは待遇の問題もよくない、いろいろ問題がある。でありますから、そういうのをいままでの固定概念でなくて、毎年毎年同じことを繰り返さないで、新しい角度から、こっちはむだなんだからこっちは切り捨てて、こっちにもらおうじゃないか、こういうことをしようとするならば、外務省全体なら、まだうまくいく方法があるのですよ。  それで、いまここであなたから先ほど決算についての報告がありました。その中で、移住者渡航費貸し付け金というのは六億一千六百八万一千円というのが、これが実は繰り越しになっておるわけです。これは繰り越したけれども、実は何も使われていないのです。実は必要がなかったわけです。もう少し詳しく申し上げますと、三十七年度に六億一千万繰り越して、そしてこれは七千人分の渡航の貸し付け費なんです。七千人分の渡航の貸し付け費をとにかく翌年に六億一千万繰り越しをして、そして三十八年度は、七千人分にプラス千人分を足して、そしてやったのですけれども、実際には千五百人しか要らなかったから、また繰り越しているわけです。結局、この渡航の実績を見てみますと、まさに計画の半分しか行なわれていないわけでありまして、このことはやはり今日の移住の政策というものをもう一回再検討しなければならぬときに来ているわけです。具体的に申し上げますと、三十七年度に一万一千人の計画ですが、実績は二千二百一人です。三十八年度は八千人の計画に千五百二十六人、三十九年度が四千人の計画に一千百五人、四十年度が二千人の計画に千百人、これほど計画と実績が落ちているわけであります。この計画に基づいていつも予算を取っておいて、実際にはそれが不用額あるいは繰り越しに回っているわけです。ですから私は言うのですけれども、ほかに外務省としてまだやらにゃならぬことがたくさんある。いま田原委員質問されたような問題等重要な問題があるわけでありますから、やはり必要に応じて予算の分配を考えながら、重点的な施策というものをやっていかなければならぬではないか。そういう意味で、前の外務大臣もそうでした。ここへ来て初めて移住の話を聞いて、そうですかと言って、善処しましょうと言って帰ったけれども、もうこの次の決算をやるときは大臣が交代になったわけでありますから、きょうもあなたは聞いていって、努力しましょうと言って、この次に決算するときは大臣がかわってこられれば、また努力をしましょう、こういうことになると思うのですけれども、これでは一体外務大臣なんというものはだれがやっても同じじゃないか、けっこう椎名さんでもできるわ、なんていう人はございませんけれども、やはり少しは実績を残していっていただきたいと思うのです。そういう意味で、私は、移住状態についてあなたの率直な御意見をいただきましたから、移住状態についていま話をいたしました。  それで、移住の実績は私が申し上げたとおりでありまして、それから次に、事業団の問題なんです。事業団を見てみますと……。
  39. 山田長司

    山田(長)委員 ちょっと移住の問題に関連して……。  ただいま大臣が、さっぱり移住事業団の内容も知らぬようですし、向こうの状態も知らぬようですから、この機会に一考をわずらわしたいと思うのです。実は、事業団なるものは、どういう資格で各府県に移民の募集をやるのか。この移民募集をやる人たちの地位、私はこういう問題について、大臣または大臣以外の人でもいいのですが、お答え願いたいと思うのです。なぜそういうことを聞くかというと、実は私の郷里にたいへんな失敗をして帰って来た人がいる。それは事業団の説明者のいわば甘言に乗せられて、それでこっちの身上を全部売り払い、子供を連れて現地へ行ったところが、見渡す限りの石の川原に属するような地点を与えられた。それがために向こうに二、三年ほどおって、それで向こうを引き揚げて帰って来たわけです。こっちへ帰って来てみると、当時とだいぶ事情が違っていて、生活に困窮されて、私のところにもう十何回か苦情の手紙をよこしてきております。一体事業団の責任の範囲、それから勧誘して歩いている人々の責任——私どもは勧誘している人は、ただ人を送り込めればいいというつもりで、実績主義でおそらく人を勧誘していると思うのです。それがために、財産を売り払って行った人は、帰ってきて無一物になってしまった。一体その苦情はどこに持っていったらいいか、損害をどこに要求したらいいかということをたびたび質問してくるのですけれども、一体こういう場合の救済措置ですね。事業団の責任というものは、一体どの点まで外務省当局はまかしてあるのですか。この点、損害を要求して、損害を補償してもらえるものならば、出してやりたい人もいるわけです。お答え願います。
  40. 廣田しげる

    ○廣田政府委員 事業団の業務でございますが、事業団法によりまして、本部のほかに、各府県に地方事務所がございます。そこに三、四人の職員でございますが、常駐しておりまして、そして、いわゆる海外の移住に関するPR、それから現実に行きたい方に対するあっせん、指導、それから現実に送り出す事業、業務、そして、現実に行かれますときは、横浜、神戸に移住センターがございますが、そこへ入っていただきまして、渡航する前にその移住センターで、向こうへ行った場合のいろいろの現地の事情等を講習いたしますとか、そういうような事業をやっております。  先ほど御指摘の、現地に行かれて、事業団の話と違うので帰ってきたという、それに対する損害賠償というお話がございましたが、具体的にどのケースかわかりませんのでお答えしかねるのでございますけれども、しかし現地の事情はなるべく詳しく、行く前に、移住者の、聞かれる方によく説明するように指導してございます。
  41. 山田長司

    山田(長)委員 あなた方はやはり事業団の報告を聞かれただけで、実際の状態というものを知らないんじゃないかと思います。説明を聞いて行かれた人は、見渡す限りの大きな石のころがっている地点を与えられておる。それで、それじゃとてもだめだから帰りたいという希望を申し出た。ところが、帰るならば、日本に帰ってデマを飛ばすだろうからというので、監視つきで、逃げ出すことも困難な事情に置かれたという。それがようやく危機を脱して日本に帰って来た。その帰って来る事態になりましたのも、帰って来てからもなお恐怖にかられているというような事態なんです。それは真実を語る場合に、おそらく脅迫されるだろうということから、そういう恐怖観念にとらわれていると思うのでありますが、やはりこれは現地の実情も知らない人が、もっともらしく、行けばすぐに開墾できて、しかもそれがすぐに実る田畑になるような印象を持って行かれていると思うのですが、それらについての説明がまことに不備だったろうと思うのです。それはおそらくその移住者の案内者の成績をあげようという意図から、こういう失敗が出たと思いますけれども、この失敗はほんとうは国が負うべき筋のものですよ。そういういいかげんな説明をした事業団の口車に乗って出ていってしまった。たびたびそういうことについての質問を私は受けておるのですけれども、これらの責任は外務当局に帰するものだと思います。その点やはり明確にこの機会に出してもらわなければならないと思うのですが、同時に移住すべき人に対する説明者の場合に、これはやはりりっぱな、現地視察をされた人でなければ無理だと思う。この点どう考えますか。
  42. 廣田しげる

    ○廣田政府委員 地方事務所の職員でございますが、これは毎年本部のほうから集めまして、いろいろ講習してございますし、それから事業団始まりましてまだ二年半でございますので、すべての職員が現地につとめた経験があるというところまではまいりませんけれども、その点やはり在外の支部と本部と人員を交代させまして、なるべく現地の経験のある者も地方に出るように、あるいは本部にも行くように指導してございます。
  43. 山田長司

    山田(長)委員 損害については。
  44. 廣田しげる

    ○廣田政府委員 具体的なことがございましたら、よく調べて検討したいと思いますが、一般的には、損害のあれがあったのかどうか、どういうことかちょっとわかりかねますので……。
  45. 山田長司

    山田(長)委員 実情をつぶさに聞いていただいて、勧誘者がまことに甘言ろうらくしたものであるという事実がわかったならば、損害は補償しますか。その場合どういう結論を出しますか。
  46. 廣田しげる

    ○廣田政府委員 一般論でございますが、もしほんとうにうそをついて、ある意味ではだまして送り出したようなことがございましたら、その責任はあると思います。一般論でございます。
  47. 山田長司

    山田(長)委員 これは私が聞いたことだと言ったのではまずい。本人を呼びますから、その実情を聞き、ここで証言してもらいたいと思うのです。どうです。これは委員長お取り計らいを願います。
  48. 吉川久衛

    吉川委員長 検討いたします。
  49. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大臣、せっかく聞いてもらおうと思ったのに、いなくなってしまったのですが、移住関係の決算を見てみますと、たとえば三十七年度で十七億一千二百二十五万、計画が一万一千人に対して実績は二千二百人、一人当たり七十五万一千円。それから三十八年度を見てみますと、二十三億五千八百三十九万円で、計画が八千人に対して千五百二十六人、一人当たりが百三十六万円。それから三十九年度が三十億四千六百五十二万円の予算に対して、計画が四千人で千百人、一人当たりが二百七十五万七千円。ですから、この移住関係の決算だけ拾い上げてみても、一体移住というものが、割りに合うとか合わないとかいう言い方がいいか悪いかわかりませんが、やはり移住というものについて何か新しい角度から検討し直さなければならぬと思う。検討し直した結果、事業団ができたと思うのです。しかし事業団を見てみますと、三十八年度の第一年度を、これは八カ月ですから、前の旧海協の場合と会社と合併したときの計算をしてみますと、たとえば人件費は二つを合計しただけで一億七百六十七万、しかし事業団ができたために一億二千四百五十九万という形で、この管理費は二つの会社であったときよりも、一つにしたためにふえているわけですね。そうすると、一体何のために一緒にしたのかという問題が出てくると思うのです。よく調べてみると、前の海外移住振興株式会社のときには社長は十七万円だった。日本海外協会連合会のときには会長は十三万であった。それが海外移住事業団になったら、とたんに理事長が二十六万五千円になっている。常務だって株式会社のときは十六万、片っ方連合会は十万、今度は事業団になったら二十万、こういう形で、一体何のために移住事業団をつくったかというと、結局役人をそこへ入れるために、民間ではまずいからといって、ごっちゃにしたんだという結論に実はならざるを得ないわけです。こういう点から考えてみても、この事業団のあり方——できちゃったんだからしかたがないかもしれませんが、やはりあり方についてもう少し移住局としてはきっちりした指導をしなければいかぬと思うのです。せっかくつくった事業団が何も実績も上げないし、むしろ管理費だけに食われている、こういうことではいけないと思うのですが、今度また貸し付け金とか何かいろいろな点を整理されるようですけれども、やはり方針をきめてもらわないと、あらゆるここで使われている金は、これは国民の税金ですから、納得のいく形で、効果のある形で生かしていただきたいと思うのですが、そういう点いかがですか。
  50. 廣田しげる

    ○廣田政府委員 事業団になりまして、一人当たりのあれが高いとおっしゃる。特に役員の給与も会社当時よりは上がったということでございますが、理事長以下の役員の給与は、ほかの事業団並みにしたのでございまして、特に海外移住事業団の役員が高いということではございません。  それから、いわゆる管理費的な点でございますが、ただいま事業団の四十年度の予算定員は四百八十六名ございますが、そのうち本部に百名、それからさっき申し上げました神戸と横浜のセンターに約五十名、地方事務所に一県当たり三・三人くらいで百五十名、その他百七十五名が、海外支部がございます中南米の非常に広い地域で、いろいろ移住者のめんどう、お世話をするわけでございますが、この百七十五名でやっておりまして、むしろもっとふやすべきであると思いますけれども、いろいろの関係で現在百七十五名でございますが、そのわりあいには現地の支部の職員の人はよくやってくれている、こう考えております。
  51. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私も移住の必要性については認めますけれども、そのやり方、それから今日までのやられてきた経過というものを見ると、もう少し新しい角度からものを見てやらないと、いつまでも同じことを繰り返していると思うのです。さっき大臣が言いました、不景気になってきたら移住者の希望があるようだ——希望者があるないといったって、一年に千百人ですよ、実績が。希望者があるなんていうものの言い方には、私はならぬと思うのです。千百人の移住者を送るために膨大なものが使われていいのか悪いのか。いや、かつて移住者が何十万と行っているんですから、そういうものを考えれば、移住行政の必要性というものは私は認めますよ。認めますけれども、ここ二、三年、この問題についてはいろいろな角度から検討されているわけでありますから、いま大臣、はしなくもよく知りませんと、こう言われましたが、知らなくて予算を取っているんでしょうけれども、もう少し、私はこの際真剣に、あり方などについてもひとつ考えていただきたいと思うのです。たとえば、先ほどの官房長の話で、大使も二年か三年で交代せにゃならぬ。交代せにゃならぬのがいいか悪いかということすら、私はやはり考えていただきたいと思う。それはどこに隘路があるかというと、子弟教育なり、待遇なりそういうものがある。そういうものを解決せずに、二年や三年でけしからぬというのは、言うほうがけしからぬのかもしれませんが、そういうものを解決しないで、逆の言い方をしているわけです。そういうことの掘り下げ方が足らぬ。外務省のほうは、一線のほうばかりはでやかで、その下のもろもろの問題がなおざりになっているのではないかと私は申し上げているのです。特に私は要望申し上げておきます。
  52. 吉川久衛

  53. 山田長司

    山田(長)委員 実は大臣がいるときに質問したいことなんです。その時間まで休みにしてもらいたい。  大体、きょうの外務省の初めての決算の時間に、十時四十分に出てきて、十一時に出ていく約束をしてくるなんて、まことにけしからぬですよ。そんな約束をして決算委員会に臨むこと自体に無責任さがあると思う。だからやはり大臣が来てから……。
  54. 吉川久衛

    吉川委員長 御意見はごもっともですが、タイ大使と会見の都合がありまして、中座を認めました。後刻またここへ戻ってまいりますから、そのときに山田委員の御質疑を続けていただきたいと思います。  簡単に一つだけだそうでございますから、押谷富三君に発言を許します。
  55. 押谷富三

    ○押谷委員 これも大臣にお尋ねをしたいと思っておったことですが、私のは事務的な問題でありまして、わずかな事務的な御努力をわずらわすことによって、在外公館の要望にこたえ得るような問題であります。それは、私が昨年の夏ロンドンへ参りました際に、ロンドンの大使館で大使の口から私に要望をされた事柄であります。それをここで反復してお伝えをしようということでありますが、多分官房長もあるいは大臣も、たびたびロンドンの大使館は訪れられていると思いますから、大使から同じようなことはお聞きになっていると思いますが、大使館の応接室に日本の代表的な美術を紹介する日本画が掲げられているのであります。たしか川端龍子、横山大観、そうした大家の名作が三面か四面かかっております。これは日本画を世界に紹介する好個の場所であり、訪れる人はいずれも日本のすぐれた美術、芸術に敬服をして帰るというので、たいへんけっこうな場所でありますが、しかしその絵が実は十年ぐらいかえたことがない。十年一日のごとくこの絵がかかっているので、それから出てくる人は、またこの絵か、またこの絵かといって、一向感興を覚えない。日本の芸術、美術を紹介するには、あまりにもどうも感覚がずれている感じがする。ところが、国は実際りっぱな代表的な美術をたくさん持っているのです。文部省のごときは毎年代表的な日本画あるいは洋画を買い上げているのです。国費でもって買い上げて、そのりっぱな日本画、代表的な美術は蔵の中にしまわれているのです。蔵の中にしまわれているものを外国にある在外公館に貸してやるという手は、事務折衝の段階においてなし得ることだと思うのです。それを貸してもらって、そうしてぐるっと回してまたもとに戻るということになれば、一年か半年ごとに、新しいりっぱな日本の美術を紹介することができて、そうしてそれは訪れる人のサービスにもなり、日本の文化水準の高さを紹介することにもなるのでありますが、こういうことはわずかの事務折衝で実はできるのではないかと考えております。皆さんの御努力によって、在外公館の希望も満たすことができれば、また日本の文化、芸術を広く世界の人に紹介する好個の場所であります大使館の応接室のことですから、そういうことについてひとつ何とか御配慮をしてくれというのが、ロンドンの大使館における大使のお話でありました。またそれと同種のことは、各所における大使から同じことを聞いております。日本大使館の応接室に掲げられた絵は、十年一日のごとくちっともかわっておらぬというのじゃ、これはどうも少し親切味がないか、感覚が足りないか、少々そこらに努力が不足しているように考えるのでありますが、この点について、そういう御努力を願うというお考えはどうでございますか、その御意見を伺っておきたいと思います。
  56. 高野藤吉

    高野政府委員 御指摘のとおり、ロンドン大使館は、二十七年講和発効以後、横山大観、川合玉堂、結城素明という大家の絵を送りまして、その後全然かわっておりませんで、一時これをほかに回してぐるぐる回すとかいう考えもしたのですが、これもあまり実効的でない。文部省等も新しい絵とか、古いいい絵をということですが、いろいろな技術的な問題がございまして、努力いたしたのですが、現在まで成功しておりません。それから毎年少しずつ絵を買っておりますけれども、新しい公館がふえ、それに充足するので手一ぱいで、既設公館にはなかなかふえない。御指摘の点は、私ども外務省としても努力しておりますが、いままで右から左と、われわれの努力が足りなかったせいもあるかもわかりませんが、保険の問題とか、国宝だから出せぬとか、いろいろな問題がございまして、今後とも、われわれとしても格段の努力をしていきたいと思います。
  57. 押谷富三

    ○押谷委員 お手持ちの外務省所有の絵だけではやっぱり不足です。文部省は毎年買うのです。展覧会のあるごとに、文部省お買い上げというのがあるのですよ。国の金でどっさり買うて、そうして倉庫の中に寝かしているのです。もったいない話なんです。これを利用せいということが私の希望であり、大臣折衝で、文部大臣外務大臣が話をして、そうして国のものだから、文部省はなわ張り根性を持たずに、これは外務省に貸すのがほんとうだ、私はこう考えます。ひとつ御努力を願います。
  58. 白浜仁吉

    ○白浜委員 ちょっと簡単にお尋ねして、要望などを申し上げたいと思いますが、いま大臣説明を聞きますと、相当施設費などにも予算が使われているようでございます。承りますと、各地で相当高い家賃を出して公館を借りている。しかも非常に狭隘だというようなことなどをかねがね承っておりますが、外務省としては、日本も少し国力を得た際でありますから、この際、高い家賃を出すばかりが能ではないわけでありますので、日本の建築技術の紹介にもなることであろうし、そういうようなものをあわせ考えて、何かもう少し斬新な方法で、本来の日本の固有の建物を建てるとかなんとかして、公館を日本のものにするというようなことで進むような考えはないかどうか。またどれくらいのところを借りて、どれくらいの家賃を払っているのかということなどの資料がわかりますれば、あとでけっこうですから、ひとつ手元に届けていただきたいと思います。
  59. 高野藤吉

    高野政府委員 日本は終戦後七、八年、各国からおくれまして外交が開けましたもので、いい場所の公邸、事務所は全部とられまして、あとから行ったもので、非常に割り高なところを借りてやっております。しかし借料で払っているものを一挙に買ったほうが、長い目で見れば予算の効率的な使用になるわけで、逐次三カ年計画で公邸並びに事務所の国有化ということを進めておりますが、全体的な予算のワクがございまして、外務省だけの営繕費が急激にふえるというわけにまいりませんが、われわれは国有化のみならず、日本の国力に相当な事務所、公邸を今後ともつくっていきたいと考えております。  それから、現在、国有と借料の関係は大体三分の一くらいになっていたかと——詳しく調べまして、資料を差し上げたいと思います。
  60. 吉川久衛

    吉川委員長 午後一時より再開することとし、休憩いたします。    午後零時六分休憩      ————◇—————    午後一時十一分開議
  61. 吉川久衛

    吉川委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。山田長司君。
  62. 山田長司

    山田(長)委員 昭和三十八年度と昭和三十九年度の予備費使用について国会の議決を求められておりますが、これは昨年当委員会で承認した案件になっておりますが、参議院において審議未了となったいわくつきのものでありまして、今日は再提出ということになったものであります。こうしたことは、長い間決算の衝に当たっておりますわれわれとしては、これまでになかったようなことでございます。その原因はどこにあったのかということになりますが、聞くところによると、この中に五億数千万円にのぼるベトナムの救援の医療物資の調達に関して、何か非常なからくりがあったように聞いており、それが参議院の決算委員会においてひっかかったということから、このことが問題になっておるようなわけであるようです。私は、この物資を取り扱った財団法人の東南アジア文化友好協会、理事長は石井光次郎さん、についても、またとかく話題にのぼっております貿易商社の平岡なるものについて、詳しいことは知らないんですけれども、ベトナム医療援助について緊急を要する事態がどうしてあったのか、それから五億数千万円が予備費から支出されたということについて、それらのものがほんとうにベトナムに喜ばれている事態であったのかどうなのか、この点が。国民の一人として、私が特に知りたい点であるわけであります。海外援助の機関として、外務省の所管している海外技術協力事業団とかいう国営の機関もありますし、それから日本赤十字社という医療を専門に扱われるような機関があるにかかわらず、これらの機関がなぜ使用されないで、文化協会とか平岡とかいう全然聞いたことのないような人たちにこれが仕事を依頼したのか。何かどうしても使わなければならなかったという関係はどういう点にあったのか、この点がわれわれには不明確でありますので、ひとつこの機会に明確にしておいていただきたいと思います。
  63. 小川平四郎

    ○小川政府委員 当時南ベトナムにおきましては、難民が次第に増加しておりまして、これに対して医療施設あるいは薬品その他が非常に不足しておる状態でございました。そこでベトナム政府からも、医療援助についてぜひ協力してもらいたいという要請がございまして、これに応じたわけでございます。ただいま御指摘の事業団を使わなかったという点につきましては、そのときの援助は主として医療その他の物資でございました。医者の派遣もございましたが、これは一部でございまして、むしろ物資のほうが多かったわけでございます。事業団といたしましては、技術協力という点で、人間の派遣というものがおもになりますれば、事業団を使うことが適当であったかと思いますが、この援助は逆でございまして、物資の援助がおもでございましたために、事業団は適当でないと思いまして、他の団体を選んだわけでございます。  ただいま御指摘の東南アジア文化友好協会は、当時バリ島の地震の援助等に積極的に貢献しておりまして、この種の援助をやってもらうのには適当な団体であるというふうに認定いたしまして、これに依頼したわけでございます。  平岡商社というものがその後問題になっておりますが、当時は——新聞その他に伝わりまして、事件が起こりましたのは、援助が済みました後のことでございまして、本件援助については、ただいまの平岡の事件は全く関係ないというふうに承知しております。
  64. 山田長司

    山田(長)委員 ただいまの御答弁によりますと、物資のことであるから、別な機構を通して五億数千万円のものを送ったというようなことでありますが、海外技術協力事業団というものは、そうしますと、医者とか技術者を送るだけの機関という印象になりますけれども、この点は、将来も、この事業団の仕事及び旧赤の仕事というものは、これはただいまの御答弁にありましたように、別な機関の文化協会というようなものを、大きな仕事をする対象にするおつもりなんですか。
  65. 小川平四郎

    ○小川政府委員 物資の援助がおもになりますし、特に緊急の物資の援助というような場合には、やはり事業団は適当でないと思います。医療団を派遣してこれが中心となるような協力であるならば、当然事業団に扱ってもらうことになる、こういうふうに考えております。
  66. 山田長司

    山田(長)委員 私は、ベトナムに対しましては、医療及び物資等について、党の立場から考えてみると、南にだけ送るのではなくて、やはり北にも送ることが、日本外交関係上から考えてみて、将来いいのではないかという印象を持つわけですが、その点、大臣としましては、一体こんな物資の送り方で異存はないとお認めなんですか。
  67. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 人道上の立場に立っての事業でございますので、北からの要請があり、またその実行に際して十分な保障が得られる状況であれば、これは北、南の差別はつけるべきものではない、かように考えております。
  68. 山田長司

    山田(長)委員 決算の審議にあたりまして、五億数千万円の物資がこの地点に送られたというけれども、いつ、どういう品を、どれだけの数量を、それからどこの機関中心になって送られたのか、実際はわれわれ知らぬわけです。そこで、聞くところによると、文化協会なるものは、事務員は二人しかいない。その二人しかいないようなところに、たくさんの物資の輸送を依頼したところに、外務省で輸送人員の補助までしなければならぬというようなことがなされたやに聞くのですけれども、審議にあたって、私はこれらのことの資料の提出を願いたいと思います。もし資料の提出がなくても、ここで御説明ができるならば、詳細御説明を願いたいと思います。
  69. 小川平四郎

    ○小川政府委員 総額は五億三千万でございます。このうち救援物資が五億百万、医療団の派遣の経費が二千七百万になっております。救援物資の内訳はこまかくございますが、大ざっぱに申しますと、医療器械一億五千九百万、医薬品九十九品目、一億三千三百万、衛生材料千九百万、エックス線フィルム等二千百万、救急箱五千百万、救急車二千六百万、簡易診療所用のプレハブが三千九百万、トランジスターラジオ四千九百万、合計五億三千万でございます。
  70. 山田長司

    山田(長)委員 それらのものが、どこの機関を通して輸送されておるのですか。
  71. 小川平四郎

    ○小川政府委員 先ほどお話に出ました東南アジア文化友好協会、これが責任を持って送ったわけでございまして、その集荷あるいは通関手続等に平岡商社を使ったわけでございます。
  72. 山田長司

    山田(長)委員 その点が一体、公の機関でないものに、これらの多量の物資を輸送さしたところに、人的な不足があったり、あるいは輸送品目の中にたいへん目的とそごするようなものが入っておったという話を聞くわけですけれども、そういうことがあったんじゃないですか。
  73. 小川平四郎

    ○小川政府委員 私どもといたしましては、国が直接にこれを送ることができれば一番いいと考えております。しかしながら、現在の財政法のたてまえ上、海外に国のものを送ることができませんので、できるだけこういう友好協会、あるいはそういう民生安定の事業をしておる団体に依頼する以外ないわけでございます。したがって、先ほど申し述べました東南アジア文化友好協会に依頼したわけでございますが、しかし、その金額の算定とか、あるいは価格の算定その他につきましては、すべて、たとえば日本医薬療品輸出組合とか、あるいは電子工業会とか、こういう、いわゆる公平に認定できる団体の意見を徴しまして、文化友好協会で措置しておりますので、間違いはなかったものと信じております。
  74. 山田長司

    山田(長)委員 聞くところによると、たとえピンセット一つについても、物をはさむことのできないような不良品が行ったやに伺っておるのです。これらの品目についての検査は通産省がおやりになったのですか、外務省がおやりになったのですか、それともいま委託された文化協会が自分のところで検査をしたものなんですか。
  75. 小川平四郎

    ○小川政府委員 若干の不良品があったという事実はあったようでございまして、長崎医科大学の医療チームが持参したものの中に若干の不良品が出ております。これは団長からの報告によりまして、直ちに取りかえが行なわれております。  それから検査につきましては、先ほど申し上げました各種の品種につきましては、各業種の輸出検査の協会がございまして、これがやっております。外務省あるいは友好協会が検査をやるということはございません。
  76. 山田長司

    山田(長)委員 なぜ私がこういうことを伺うかといいますと、ダットサンのような車や、あるいは三輪車のような車を、タイやビルマへ賠償物資で出されておりました。ところがその品物は、パーツがなかったことや、日本の国土の事情から勘案してみて、道路が向こうはかなり整備されておりますので、長距離の間飛ばすことができるので、エンジンが焼ける、こういう場合に、その検査はどこでしたのだということを調べてみましたらば、それは通産省でやっておるのじゃなくて、業者がやっておるということがわかりました。ですから、品物の一定数量をそろえるために、かなり無理があったのじゃないかということが当時わかったわけです。その結果が、現地に送られていっていたみが早くて、それで日本商品の粗悪であるということの立証が向こうでしていられるようでありますけれども、その結果、最近では、このロードウエーが各業者によってつくられて、長距離のテストがなされておるようでありますけれども、当時はそれがなされておらなかった。そのことをやはり決算委員会で指摘しまして、当時通産省で検査をしていなかったことがわかったわけです。ただいまの場合も、それだけの品物を送るにあたって、外務省当局が調べるとか、あるいは通産省で調べるとかいう念入りな送り方はされていなかったのではないかという感じがするわけです。その点、やはり外国へ送られるものについては、国内ならばすぐ品物の粗悪品の取りかえもできるでしょうし、あるいはどこの商社ということがわかっているから、代理店等で取りかえることもできるでしょうけれども、外地へ送られたものについては、なかなかそういう点が困難だろうと思うのです。それが困難だけで済むならばいいけれども、日本外交上にも、やはり私は大きな支障を来たしてくると思うのです。この場合においてどうして——まあ量が多かったからといえば、なお調べなくちゃならぬ筋合いのものだと思うのですけれども、通産省や外務省当局はどうしてその品物の注意をしなかったものなんですか、この点伺っておきます。
  77. 小川平四郎

    ○小川政府委員 援助物資は品種が非常に多く、また数量も多かったわけでございますので、またその検査には専門的な知識と技術を要するわけでございます。したがいまして、その品物につきまして、おのおの権威のある検査機関検査を依頼したわけでございます。先ほど申しましたとおり、日本機械金属検査協会あるいは日本検査株式会社というようなものの専門的な検査を受けておるわけでございます。この検査株式会社につきましては、技術協力事業団その他も、これに検査を委託しておるわけでございます。私どもがしろうとの目で検査するよりも、専門家検査のほうがなおしっかりしたものであるというふうに考えております。
  78. 山田長司

    山田(長)委員 医薬品等につきましては、現地の倉庫に、かなり使用されずにストックされておるという話を伺っておりますが、その点については、当局ではお調べになりましたか。
  79. 小川平四郎

    ○小川政府委員 医薬品は、ベトナム政府の厚生省の薬品需給部に一括渡しまして、この厚生省から全国の病院、診療所に各種の要求に従いまして、逐次に配給を行なっていた模様でございます。御承知のような状況でございますので、国内の輸送その他で、ある程度遅滞が起こったという話も聞いておりますけれども、ベトナム政府としては、極力日本からの援助物資を有効に使うということで、その後配給が順調に進んでいるというふうに了解しております。
  80. 山田長司

    山田(長)委員 文化の程度が違うということから、これが専門的な知識のないベトナム人の間において、医薬品の使用についてはかなり疑問を持っておるというようなことから、使われずにおるという話を聞くのですけれども、そうすると、順次専門家によって、それが使われておるということでありますか。
  81. 小川平四郎

    ○小川政府委員 この薬品は、すべて現地の病院あるいは診療所が使うものでございまして、直接にしろうとが使うものはございません。したがって、薬が難解で使えないということはないようでございまして、順次、現地の病院、診療所で使用されておると了解しております。
  82. 山田長司

    山田(長)委員 この機会に大臣に伺っておきますが、去年の一月、総理はアメリカへ行きまして、東南アジアの医療施策については十分検討するということが、アメリカにおいて発表されました。この総理のものの考え方は、東南アジアについて、こうした人道的見地に立たれて、医師の派遣をするということをかなり考えられての発表だと思いますが、これはどういう角度で、外交上において、総理の発表した東南アジアの医療施策ということが進められておりますか。
  83. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 昨年の一月、佐藤・ジョンソン会談が行なわれまして、その共同声明に、アジアにおける医療問題を取り上げております。しかしこれはもともとジョンソン大統領のほうから提案された問題でございまして、直ちに医療の実際行動に入るということではなしに、アジアの大部分の住民が困っておる病気のおもなるものを取り上げて、そしてこれに対する学問的な研究から始めて、そしてだんだんこれが実際的な効果を生み出すように研究を進める、こういう趣旨の提案でございました。それで佐藤総理大臣は、双手をあげてこれに賛成をいたしまして、そしてこれは日米の間においてこの問題を力強く取り上げよう、こういうことになって、声明が発せられたのでございまして、東京で予備会談をやりまして、そしてその結果、第一回の日米合同の学者グループによる医学上の会談が、たしかハワイで行なわれております。今後第二回、三回と引き続き行なわれ、そしてその結果、あるいは実行に移されることになるかとわれわれ考えております。
  84. 山田長司

    山田(長)委員 理解のあるような発表をされておりますが、さっぱり理解がないんじゃないかということを私は感じておるので、この際申し上げるわけですが、実は白浜委員が当決算委員会の委員長当時たまたま決算の人たちで、外国に決算の実情を調査に参りました。そのときにアフリカで、日本の医師の問題について、キャラバン隊が派遣されてから、たまたまキャラバン隊が薬品を持ってくるよりも、医師団派遣のほうが重要だということから、それでは何とかして医師を派遣する形をつくってやろうじゃないかという努力をしたわけですが、実際は、お医者さんの実収入というものは、われわれが考えておるよりもはるかに日本国内においてはあるようです。それでケニアの卜部特命全権大使がこちらへ来ましたとき、その要請があって、われわれもそれにできるだけの協力をしようということで、特に白浜委員が先頭に立ってその協力の衝に当たりました。ところがなかなか一年たってもそれが実現をしないというのは、給料の差が非常にあるということです。それで、たまたま長崎医大から、外務省のお骨折り等で行くことにはなったけれども、これから先、政府の施策として医療問題が考えられておりますとき、安い手当で、たとえ三十カ月の契約で行くにしましても、医師や看護婦を次々に出して医療協力をしようというときには、過日きめられたような待遇ではなかなか後続部隊が続かぬと思うのです。こういう点について、外務省の御理解ある措置として、第一陣が来月出発することになるようですが、この点、将来の見通しとして、何とかもっと高額な扱い方をされる道を講じなければ、せっかくの施策が続かぬことになると思うのであります。この点では、これは党派を超越しまして、白浜委員があちらの病気の実情等を勘案して、日本の医療団を派遣する努力をしようじゃないかということで進行したわけですけれども、外務省当局では、医者の収入の実態を知らないんじゃないかと思うのです。これから続けようとする場合においては、もう少し国内における医者の収入状況というものを調べて、せっかく第一陣が送り出されるのですから、このあとを続かすためには、医者に対する待遇の処置というものを考えてもらう必要があるのじゃないかと思うのです。これは私だけじゃなくて、ひとつ関連して白浜委員にも発言を願いたいと思うのだが、どうぞそういう点で、ひとつお取り計らい願いたいと思います。
  85. 白浜仁吉

    ○白浜委員 かねがね外務省も御熱心に医療協力のことについて御努力なさっておったわけでございますが、私ども、党としましては、いろいろと貿易政策の問題もあるし、国際親善の立場にも立って、最も喜ばれることをAA地域に広くやってみたらどうかというようなことで、かねて海外医療協力の問題を取り上げておったわけでございます。しかしただいま山田委員から御発言がありましたとおり、せっかく派遣をするということになりますと、国際競争の場でありますし、優秀なお医者さんに行ってもらうというふうなことにしなければいかぬというのが、私どもの実は念願であるわけであります。また事実そのとおりにしなければ、信用も得られないし、たいへんな問題も残すのではないかというふうなことも考えておったわけでございます。ところがコロンボ・プランその他のことを見ましても、給料の問題が非常に低いというようなことで、私どもこれを残念に思っておったわけでありますが、四十一年度の予算で、やっと一人千ドルくらいまで上がったというふうに私ども聞いておるわけでありますが、これではなお私ども足りないというふうに考えておるわけであります。最も喜ばれることをやりまして、そうして国際親善というか、そういうふうな問題と取り組み、同時にまた日本の貿易政策もそれによって推進される、その国に行く日本人も、医療機関が存在するということによって安心して駐在をされるというふうな、一石何鳥かのねらいを込めて、特に当決算委員会の各委員はこのことを熱心に推進をしてまいったようなわけであります。非常に個々のことを申し上げて恐縮でありますが、本席をかりて、特に私は御礼を申し上げたいのは、日本大学の古田会頭が非常な犠牲を払って、ケニアには二人の教授を現地調査に派遣していただいたというようなことなども、これは山田委員の非常なお骨折りもあったことでございますが、私どもかねがね感謝をいたしておるようなわけであります。今回長崎大学のほうから、犠牲を払って、ケニアに医者二名、看護婦二名の四人の派遣がきまったようなわけでありますが、どうか外務省におかれましても、こうした私ども委員会の希望に沿って、ますますこの事業が各地で喜ばれるような方向で発展をしていくように御努力願いたいということをあわせてお願いして、経過なり何なりの報告と兼ねて、山田委員から何か言えという御要望におこたえしたいと思うわけであります。
  86. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 医療問題に関しましては、なかなか懸案があるのでありますが、何よりも、ある国に医師を派遣する、約束の年限を終えて帰ってくると、もう国内に働き場がなくなるというわけじゃないが、とにかく従来の好条件が全く色あせておるというようなこと、それから海外派遣中でも、西欧の医者に比較いたしまして非常に待遇が悪いというようなことで、せっかく日本が海外に誇るべき技術を持っておるにかかわらず、十分に力が発揮できないということで、国の信用なり威信にもかかわるような問題でありますので、こういう問題については何とか改善したいという考えを持っておったのでございます。今度初めて、皆さんの御声援によりまして、技術協力事業団が行なう医療協力に関して、正式に予算がついたような次第であります。それで、いま十分な条件を備えておるわけじゃございませんが、これを足がかりとして、今後十分に改善をいたしまして、御要望にこたえ、また海外のいろいろな要請に対して、十分わが国の医療における協力のいかにりっぱなものであるかということを具体的に示していきたい、こう考えております。
  87. 山田長司

    山田(長)委員 この機会に、外務大臣のいまの御答弁から、これは外務大臣に特にお願いすることですが、それは医科大学で協力したくても、いまの待遇の問題が一つですが、もう一つの問題は、百名なら百名という募集人員に、大学の学生の募集に増員をちっとも文部省は許可せぬそうです。これも私は、大臣が文部大臣に閣議の席上等で——できれば各大学の募集人員に五人でも十人でも、南方行きなら南方行き、あるいはアフリカのほうへ行って医療協力をするなら医療協力をするという形において、応募者の人員をふやしたらいいではないかと思うのです。五人か十人でいいです。そんなにたくさんふやさなくてもいいと思うのですが、そうすれば、最初から、東南アジアなりあるいはアフリカのほうなり、南米のほうなり、行く意欲を持って、医学部へ入るのではないかと思うのです。こういう点について、文部大臣と、募集人員についての人員増の懇談をしていただきたいと私は思います。そうするとかなり学生の数が変わってくると思うのです。この点はどうですか。
  88. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 非常におもしろいアイデアでございますので、研究をさしていただきます。
  89. 山田長司

    山田(長)委員 それから、去る二月十日の新聞で、政府は昨年と同様に、四十年度の予備費から二十万ドルの緊急援助をすることを、閣議で決定を急いでいるようでありますが、これは事実なのかどうなのか。その場合に、もしこれが決定を見た場合に、北ベトナムについてはどう考えるのか。人道上の立場から考えて、北と南とをわざわざ分離するようなものの考え方はたいへんな間違いじゃないかと思うのですが、この点について閣議決定を急いでおるやに聞きますが、この点はどうなんです。
  90. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 これは、二十万ドル程度大蔵省に要求しておりますが、まだ決定しておりません。これは南ベトナムの要請によって、四十年度の予算において考慮していきたい、こう考えておるわけでありますが、いまお話の、北から要請があれば、やはり同様に考えていくべきものと考えます。
  91. 山田長司

    山田(長)委員 いまはっきりしなかったのですが、北からも要請があれば、北へも物資を送るというのですね。
  92. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ことに医療協力の問題は、これは人道上の見地からやるのでございまして、北からの要請があればやはり考えたい、こう思っております。
  93. 山田長司

    山田(長)委員 こういう場合に、先ほど私は申し上げましたが、素性のわからない機関に、これらの物の輸送をお願いするのではなくて、やはりせっかく国の機関として存在している機関があるのですから、これらについては、やはりあとで問題を起こしたような場合に、いろいろ外交上にも障害が起こることになるように思われるので、一応私の老婆心でございますが、ひとつ使用する機関については、やはり国の機関を使うことを要望します。その点どうですか。
  94. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 国際赤十字あたりがこの問題を引き受けてくれるということになりますれば、これはもう一番いいと思うのであります。もしそういうことを具体的に引き受けてくれるということならば、将来こういう機関をまずもって使うべきである、こう考えております。
  95. 山田長司

    山田(長)委員 もう一点だけ伺います。ジェトロで、去年アフリカのキャラバン隊が計画されて、南のほうから北に向かって歩きました。このジェトロのキャラバン隊の計画というものについては、商品宣伝になって困るということで、かなり反対された地域があるようでありましたが、それをあえて強行いたしたようでありますけれども、これは実質的にばく大な経費を使ってキャラバン隊が動いたが、私は必ずしも成果はあがっていなかったのじゃないかと思います。けれども、外務省当局は、これに対してどういう考え方をお持ちですか。
  96. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  御質問のキャラバン隊は、ジェトロがいたしまして、一次的には通産省の所管ではございますが、外務省もこの地域に対しては関係がございます。それで、当時出します際に、片貿易の国もございまして、いろいろと日本に対して不満があったという点が御質問の点だと存じますけれども、それに対しましては、経済協力その他につきまして十分手を打ちながら、なおかつ輸出の振興についても努力を怠らないという意味におきまして、予定地域にキャラバン隊を出しまして、日本の商品の宣伝に非常に役立ったという報告を受けております。
  97. 吉川久衛

    吉川委員長 華山君の関連質問を許します。華山君。
  98. 華山親義

    華山委員 ベトナムにつきまして、医療のことでございますが、ベトナムは長い間フランスの統治下といいますか、そういうことでありまして、ベトナムの医事行政は、いろいろな諸規則等はフランス流になっている。また医療の方法等につきましても、フランス流の医療である。そういうことにつきまして、日本から医療団が行きましても、なかなか満足しない点がある、活動が不十分だということを私は聞きます。これにつきまして、ベトナムのこちらの出先機関は、そういう問題の解決に努力していない、こういうことを聞きますが、そういう話は外務省は聞いておりませんか。
  99. 小川平四郎

    ○小川政府委員 御指摘のとおり、ベトナムは元来フランスの経営でございましたけれども、戦後はアメリカあるいは豪州、英国等の影響で、だいぶその点は是正されてきているようでございます。特にただいま御指摘のように、この点についてベトナム政府のほうから話があったことはございません。ベトナムのほうでも、日本に、看護婦の研修その他人間を送っておりますので、そういう点についての不便は感じていないのではないかというふうに考えます。
  100. 華山親義

    華山委員 そういう話を私はしばしば耳にいたしますので、今後、日本のせっかくの医療というものが、あちらとマッチしてできるようなふうに、十分に努力をしていただきたいと思います。  それから、先ほどお話のありました東南アジア文化協会ですか、そのことにつきまして、事務費はどのくらい出していらっしゃるのですか。
  101. 小川平四郎

    ○小川政府委員 この仕事を扱いますについての事務費でございますか——百十二万でございます。
  102. 吉川久衛

    吉川委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十六分散会