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穗積委員 時間節約のために、足らざるところはこの次にして、重要な点だけ一括してお尋ねいたしますから、石井
法務大臣、御退席前に、
法務大臣だけの
立場でなくて、自民党の重要な領袖として私はお答えをいただいておきたいと思います。
第一、
お話しのことは先ほど
外務大臣との間でやりとりをいたしましたから繰り返しません。ただ一点申し上げておきたいことは、
向こうはアメリカ帝国主義の問題がアジアの平和と独立を脅かす根源であると
考えておる。私どももそう
考えております。それはおのおのの政治的な思想の自由の問題でございます。自民党がこれを相手に対して、または国内において、合法的な政党である
社会党に対して干渉し、抑圧すべき性質のことではありません。ただあなた方がおそれるのは、国民に与える影響云々ということでございますけれども、われわれは初めから立ち会い演説会みたいなものをやろうというのではない。心を割ってほんとうに両国の団体の代表が十分話し合いをしよう。それは公開ではございませんよ。その話し合いの討議の
会議というものは、いままでもそうです。それで、すみからすみまで全部が一致するわけではない。
向こうは
中国共産党、われわれは
日本社会党ですから、思想にもおのおのの限界があるわけです。違いがありましょう。政策についても事によって一致せざるところがいままでもありました。ただ違いを荒立てるのでなくて、一致したものをまず先にさがし求めるように努力しようという、非常にトレレートな
態度を
向こうも持ち、われわれも持っているわけです。したがって、意見が一致した点、しかし重要で意見が一致しなかった点、たとえばこの前における核実験の問題については意見が一致しませんでした。そういう点は紳士的にそのままコミュニケに書いて、大部分が一致点をのみコミュニケに書く、こういうことでやってくるわけです。そういう状態ですから、さっきの御
説明の認識とちょっと違うと思うのですね。意見が違うから引き離される、そんなことはありません。意見の違いがあればより話し合いをする。友だちの話というものは、けんか別れをするためじゃない、より近づくために話し合いをするわけです。両国の友好と平和と独立ということは、これはおのおのの至上命令でございます。それを逸脱するようなことは、われわれ
社会党、小なりといえどもありません。そんな御心配は要りません。そういう会談ですよ。そこで、その御判断の基礎認識がちょっと違うということ、この使節団の滞在中の行動について。
それからもう一つは、先ほど言っておったのですが、
政府の
政経分離ということはわれわれは間違いだと思っておりますが、それをとやこう言うわけではない。そういうことを理由にして、
政府の
立場に、アメリカ帝国主義に
反対するということは、アメリカと組み、アメリカに追随しておる
日本としては困るということを自民党としてはお
考えになるでしょうが、
社会党にそのことを強要される権限はないはずです。われわれは自由です。したがって、
社会党に対する思想の自由、国民外交の行動の自由、そして与党、
野党、政党政治を行なっておるこの国における
反対党に対する信義、礼儀の問題もあります。それを今度一挙に踏みにじるということに対する
責任は、一体自民党として一方的におとりになる決意でございますかどうか。それならそれでわれわれも
考えがあります。それが一点。
それから、第二点は、この使節団を踏みにじったということに対してわれわれも大きなる怒りを持っております。それから
中国もそうです。あなたは都合よく、こんなことは一
入国の問題だから、押えても
中国は理解してくれるだろうというような、かってなことを言っておられますが、たとえば、一例だけとりましょう。先年
日本共産党の大会に北京の彭真市長を
中国の代表として招請をして、これは断わられた。その当時ここにおられる黒田壽男さんが北京におられたときに、つぶさにそのときの
中国に対する反響を見てこられたわけですね。これはあなた方がお
考えになっておるより、この一
社会党に対する抑圧の問題が
日本と
中国全体に大きな影響を持っておる、いわばエポックメーキングなケースであるという自覚に立って
法務省は検討されたかどうか。このことは必ず今後の日中の友好に影響をし、大きな障害になるということを踏まえて御検討になったかどうか。その
責任も自民党が一方的にかぶる決意でおやりになったかどうか。それがお尋ねの第二点です。
それから第三点は、今後これに引き続きまして、国内におきましては他の経済
交流あるいは文化
交流、それからその他の人事
交流、この三つに
日本国民として大きな熱望を持っておりますが、
中国との経済、文化、人事
交流の発展に大きな障害になるという認識に立ってこれをおやりになったかどうか。その
責任も自民党としておとりになるつもりであるかどうか。
以上三点について
責任のあるお答えをいただきたい。それは単に
法務大臣としてではなく、きょうは総理が来ていただくといいのですが、まだお見えになりませんから、総理にかわるような政治的判断のもとで御答弁をいただきたい。
第一は
社会党に対する政治的自由の問題、
反対党に対する信義の問題、それから第二点は
中国と
日本との友好に大きな障害になるという点、第三点は経済、文化、人事の
交流に大きな障害になる、その三点について自民党としての、あるいは
政府としての
責任のある御回答を順次いただきたいと思うのです。