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1966-03-03 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会科学技術行政に関する小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本小
委員会
は
昭和
四十一年二月十日(木曜日)
委員
会において、設置することに決した。 二月十日 本小
委員
は
委員会
において、次の通り選任され た。
菅野和太郎
君
小宮山重四郎
君
纐纈
彌三君
中曾根康弘
君
西村
英一
君 藤尾 正行君
前田
正男
君 岡
良一
君 河野 正君
田中
武夫
君 原 茂君 三木 喜夫君
内海
清君 二月十日
岡良一
君が
委員会
において、小
委員長
に選任さ れた。 —————————————————————
昭和
四十一年三月三日(木曜日) 午前十時三十三分
開議
出席小委員
小
委員長
岡
良一
君
菅野和太郎
君
小宮山重四郎
君
纐纈
彌三君
西村
英一
君
前田
正男
君
田中
武夫
君 原 茂君
内海
清君
出席政府委員
総理府技官
(
科学技術庁計
画局長
) 梅澤
邦臣
君 小
委員外
の
出席者
科学技術会議議
員
篠原
登君 参 考 人
山県
昌夫
君 ————————————— 本日の
会議
に付した案件
科学技術行政
に関する件 ————◇—————
岡良一
1
○岡小
委員長
これより
科学技術行政
に関する小
委員会
を開会いたします。
科学技術行政
に関する件について
調査
を進めます。
本件調査
のため、本日
参考人
として
日本海事協会会長
、元
東京大学教授山県昌夫
君に御
出席
を願っております。 この際、
山県参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多用のところ、本
委員会
に御
出席
をくださいまして、どうもありがとうございました。どうか忌憚のない御
意見
をお述べくださるようお願い申し上げます。 それでは
山県参考人
から御発言をお願いいたします。
山県昌夫
2
○
山県参考人
近ごろ
科学技術
の
振興方策
につきまして、あらゆる場におきましてあらゆる角度、たとえば
科学技術行政
、
科学技術教育
あるいは
研究体制
、
研究投資
、こういったものにつきまして十分御検討になっておられまして、私
ども
は、いわばこれらの結果の
実現待ち
ということがいえるわけでございますが、本日は
民間
の人間といたしまして、平素考えておりますことを簡単に申し上げさせていただきます。 まず、
科学技術
の
定義
でございますけれ
ども
、第一は、
科学
と
技術
という
意味
の
科学技術
でございます。第二は、
科学
を
技術
の形容詞とする
科学技術
であります。これは御
承知
のとおりであります。第三の
定義
として、これを
一つ
の名詞と見ることもできるのではないかと私は考えております。 と申しますのは、
科学
と
技術
とをそれぞれ明確に
定義
するということでございまして、その間に一線を引くことは、これは不可能なことでございまして、現に漏れ承っておるところによりますと、
科学技術基本法案
におきましても、この
二つ
のものを正面切って
定義
することは避けておられるようでございまして、裏から国策の目標によって区別をしておるようでございます。
科学
といいましても、
技術
といいましても、広い
意味
におきましては、
目的研究
の
対象
でございます。たとえばいわゆる
純正科学
、ピュアサイエンスといいましても、いまでは単純に
科学
のための
科学
ではございませんで、その
研究者
は、それが文化的、社会的に持つ意義をいつも念頭に置いておられることでございましょうし、また
現代
においては、そうなければならないと考えております。少なくとも、
純正科学者
といたしましても、それの
研究成果
が人類のために悪用されるということのないように心がけねばならぬ責任があると存じます。要するに、真理の探求から出発しておりますか、あるいは
国家社会
の要請から出発しているかの違いでございまして、実際
研究
の
分野
は幅広くオーバーラップしておるのが
現状
である、こう私は考えております。このようなわけでございまして、原則として
科学
と
技術
とを分離して考えることは妥当ではないのでありまして、
科学技術
は
科学技術
という
一つ
の
ことば
である、こういう見地に立ってすべての
施策
が考えられるべきであると私は考えます。 きわめて素朴な
考え方
をいたしますと、
科学
の学という字と
技術
の術という字をつなぎ合わせますと、いわゆる
学術
という
ことば
になるのでございまして、古く
学術
という
ことば
が創造されました
時代
には、いわゆる
近代的技術
というものはございませんで、
技術
はいわゆる大工とか左官のたぐいの
技術
であったわけでございまして、そういった
関係
からこの
学術
という
ことば
の響きが後の
科学
という
ことば
に通ずるものであったわけでございますが、
現代
におきまする
学術
の
内容
は、私の申します第三の
定義
による
科学技術
の
内容
にひとしい、こう考えるべきであろうと私は存じております。たとえば現在の
科学技術会議
の
科学技術
と
日本学術会議
の
学術
、これは
人文科学
のみにかかわるものの有無を除きますと、全く同じ
ことば
であると私は解釈しております。 このような立場から
科学技術
の
行政組織
を論じますと、
行政機構
は当然単体、
一つ
のものであることが望ましいわけでございまして、現在
科学技術庁
と
文部省
と二本立てとなっている、こういう姿は理想的なものではないといえると思います。しかし、これは歴史的な
理由
、あるいは
大学
が
学術
の
研究
の場であるとともに
教育
の場でもあるという実際的の
理由
その他によるものでございまして、これを一元化することはなかなか困難であると存じます。結局、この現実といかに妥協するかということが問題であると思います。 この
妥協方策
としてはいろいろ考えられるわけでございますが、比較的実行容易と見られる私案として
一つ
の例を申し上げますと、現在の
科学技術会議
の
任務
に
人文科学
のみにかかわるものを加えまして、
会議
を
強化
していわゆる
行政委員会
にしてしまう。これに対応いたしまして、
科学技術庁
も改組いたしまして、
行政委員会
たる
科学技術会議
の
事務局
とする。こういったような
組織
によりまして、
基本計画
の
長期安定性
、公正妥当な
調整
、
研究
の
自主性
、こういったものが
確保
されるようになるだろうと思います。 一方、
文部省
はその内局は
義務教育
、
高等学校教育
、こういったものの
行政
を担当いたしまして、現在の
大学学術局
は
学術行政機能
を充実いたしまして
外局
といたし、常時、
科学技術会議事務局
との人事の
交流
をはかるとかそういった
措置
、さらに
科学技術会議
内に
外局
との
科学技術行政
に関する強力な
連絡機構
を設置いたしまして、
両者
を結ぶ太いパイプに役立たせる、これによりまして
科学技術行政
の
事務機構
の二本立てによる
欠陥
をある程度緩和、解消できると私は考えております。 それから
国立試験研究機関
についてでございますが、現在における
国立大学
の
付置研究所
あるいは各
省庁
の
試験研究機関
、こういったものの
最大
の
欠陥
は、
物的施設
と
人的施設
との著しいアンバランスと
研究費
の不足ということだと思います。近来こういった
研究機関
の
物的施設
は、必ずしも十分とは言えませんが、次第に
整備
されてまいりまして、だんだんりっぱなものになりつつありますが、これに伴う
人的施設
は、量におきましても質におきましても欠けるところが多くて、また、
研究者
はいろいろな雑用に追われ、あるいは
研究費
が不足する、こういうことをかこっておりまして、したがってこのまま放置いたしておきますと、せっかくの宝も持ちぐされになる、こういった心配が出てくる懸念が十分あると思います。
基本法
の案におきましても、
研究者
あるいは
研究費
の
確保
について規定しておりまして、したがいまして、
政府
も今後これに対して十分な適切な
措置
を講ずることと思いますが、
財政事情
もあって、これにもおのずから限度があるのではなかろうかと私は考えております。このようなわけで、
国立試験研究機関
の
運営
には、多少の差はあれ、何らかの形で
民間
の
経済的援助
が必要となるのではなかろうかと私自身は考えております。たとえば
研究施設
を有料公開する、こういったことによりまして、
民間
における
研究施設
に対する
政府
との
重複投資
と申しますかが避けられましょうし、また
受益者
から何らかの方法によって実質的な
ひもつき徴税
あるいは出資、寄付、こういったものによる
資金導入
、あるいは
民間研究者
の出向、そういったものを考慮いたしまして、
物的施設
に対する
投資効果
、これを改善することが必要と存じます。 このような
考え方
を実現いたしますためには、現在の
特殊法人
ではなくて、
試験研究機関
の
機能
を十二分に発揮することができ、
研究効率
が
最大
となるような、全く新しい構想の
官民協力
による特殊の
研究法人制度
、こういったものを考える必要があると思います。
国立大学
の
付置研究所
、それから各
省庁
の
試験研究機関
、これらは
大学
における
教育
及び各
省庁
の
行政事務
に直結するものは除きまして、必要に応じ
整備
集約いたしまして、ただいま申し上げました
研究法人
とし、これによって特に
大学教授
に対しましては、
長期
にわたって
教育
の
義務
から離れて自主的な
研究
に専念する場を提供する、それから
民間
からの
経済的支援
の
受け入れ体制
を整え、さらには
官民
の
共同利用研究所的性格
のものにするということが必要ではなかろうかと思います。 これらの
研究法人
は、現存の理化学
研究
所、
原子力研究所
、これらと一緒にしまして、これらとともに、
西ドイツ
における
マックス・プランク研究協会
のような
連合機構
を
組織
いたしまして、これによってあらゆる
分野
にわたる
研究活動
の
総合性
を
確保
するとともに、
主管庁
たる
科学技術会議
の
科学技術行政
に一元的に密着することができると思います。 次に
日本学術会議
でございますが、御
承知
のように、
日本学術会議
は会員が
任命制
でなくて、
選挙制
になっておりまして、
わが国
における
科学技術行政組織
において特異な存在として、高くその業績が評価されるものでございます。 この
学術会議
の
任務
といたしましては
二つ
ございまして、
一つ
は
科学技術
に関する
審議機関
、
政府
の
諮問
に対して答申する、あるいは
政府
に対して勧告する、こういった
審議機関
としての
性格
、それからもう
一つ
は、
科学技術
に関する内外の
研究連絡
の
実施機関
、これは旧
学術研究会議
から引き継ぎました
事項
でありまして、たとえば
科学
の
国際交流
及び
協力
、そういうような
二つ
の
性格
がございます。
一般
には
科学者
の自由な
意見
を取りまとめる場といたしまして、
日本学術会議
は、
審議機関
として広く認識されておるようでございます。しかし
審議
の
対象
は、
科学技術会議
の
審議
の
対象
と密接な
関係
にあるものが多く、したがいまして、
科学技術会議
の
行政委員会化
を
機会
に、
総理府
の
機関
から
内閣
に移しまして、
総理
のブレーンとして、いわゆる独立してその職務を行なうという
日本学術会議法
の
立法
の
精神
を生かすようにしたのがよいのではなかろうかと私は考えております。 そこで、もう
一つ
の
日本学術会議
の
任務
、すなわち
実施機関
としての業務は、今後も
科学技術振興
のために強力に推進しなければならないわけでございますが、これは
行政委員会
たる
科学技術会議
に移管されるのが妥当である、こう考えております。 それからもう
一つ
、これは問題がたいへんこまか過ぎて恐縮でございますが、現在私
ども
数十億円の
資金
をもって船に関する
近代的科学技術博物館
を計画いたしております。こういう
事情
もございまして、
近代博物館
の問題について簡単に触れてみたいと思います。
博物館
、特に
近代科学技術博物館
は
科学技術
に関する
教育
、
研究
及び普及の場とじて、
科学技術振興
のためにきわめて重要な
役割り
を持っておるわけでございます。元来、御
承知
のように
博物館
には二
種類
ございまして、
南ヨーロッパ
あるいは
中部ヨーロッパ
にございますような伝統的な
博物館
、それから北米あるいは北欧にございますような近代的な
博物館
、こういう二
種類
に大別することができまして、伝統的な
博物館
は古いということに
価値
をおいておる。それから
近代的博物館
は新しいということに
価値
を置いております。したがいまして、
近代博物館
におきまする
展示物
などの寿命は非常に短くございまして、
一般
に三年でもって
展示品
が一新される、こういうことがいわれております。したがいまして、
博物館
の
運営費
、こういったものが非常にかかるわけでございます。現在
博物館法
が制定されておりますが、これに基づきまする国の
施策
というものはきわめて不十分で、特に
私立博物館
に対しましては、資料の
国鉄運賃
を軽減するといったようなことだけが具体的の
措置
のように思われます。
一般
に
私立博物館
については放置されておるというのが
現状
だと思います。このような
現状
でございますので、
博物館法
の
立法
の
精神
、すなわち
国民
の
教育
、
学術
及び文化の発展、こういった
立法目的
のために、特に
私立
の
博物館
、
近代的科学技術博物館
に対しまして、必要ならば法律を改正してまで積極的な
助成措置
が講ぜられるよう、私、たまたま
海事博物館
の設立に
関係
しております
関係
から、この
機会
を拝借いたしましてお願いする次第でございます。 以上で私の
意見
の開陳を終わります。
岡良一
3
○岡小
委員長
以上で
参考人
からの
意見聴取
は終わりました。 引き続き、
科学技術行政機構
に関して
篠原科学技術会議議員
より
説明
を聴取いたします。
篠原科学技術会議議員
。
篠原登
4
○
篠原説明員
科学技術会議
の
議員
の
篠原
でございます。 申し上げるまでもありませんが、最近における
科学技術
の進歩は非常にすばらしいものがございまして、
原子力開発
あるいは
宇宙開発
のような先端的なもののほか、たとえばエレクトロニクスとか、あるいは
石油化学
とか、私
ども
の身近の問題につきまして非常に
科学技術
の恩恵を受けておる
現状
でございます。私はすでに
一般
によくわかっていることをダブって申し上げるかも存じませんけれ
ども
、いささか私見を申し上げまして御
参考
に供したいと思います。 このような
科学技術時代
におきましては、
科学技術
をほんとうに重く見ておる国が栄えまして、これを軽く見ている国はやがては
国際
間の
落後者
となるということは非常に明らかなことであろうかと思うのでありまして、
わが国
の
現状
を見るために、まず諸
外国
の例をひとわたり簡単にながめていきたいと思います。 御
承知
のとおり、
アメリカ
は
昭和
三十二年に、たまたま
ソ連
が
人工衛星
を打ち上げましたときに初めて
大統領科学技術特別顧問
を設置いたしました。それから
昭和
三十四年に
連邦科学技術会議
それから
昭和
三十七年に、これはアイゼンハワーから
ケネディ大統領
に移ったあとでございますが、
大統領行政府
の中に
科学技術局
を設けまして、この一連の
科学技術
の新らしい
体制
を
アメリカ
は打ち立ててまいったので、ございます。
イギリス
は
マクミラン内閣
のときに、
昭和
三十四年でございますが、初めて
科学担当
の
大臣
を設けましたが、その後
昭和
三十九年
ヒューム内閣
におきまして、特にこれを
強化
いたしまして、
教育
と
科学
との間の
連携
を十分にとることを考えまして、
教育科学省
を設置いたしまして、この
閣内相
に当時の有力な
ヘイルシャム
、これは名前がその後変わりまして
ホッグ
となりましたが、この
ホッグ
を
閣内相
として
教育科学大臣
に
任命
をいたしました。で、
閣内相
のもとにさらに
二つ
の
担当大臣
を設置いたしまして、片方は
高等教育
及び
科学担当大臣
であります。もう
一つ
は
一般科学担当大臣
でありまして、いずれも
閣外相
でございます。ところが、
昭和
四十年
ウィルソン内閣
になりましてから、この
教育科学大臣
のほかにさらに
技術省
を加えまして、ここで産業との
連携
をはかるために新しく
技術大臣
を置いたのでございます。 また、
フランス
におきましては、
ドゴール大統領
のもと、
昭和
三十三年に初めて
科学技術研究閣僚会議
を設置いたしまして、議長は
総理大臣
で、
関係閣僚
が全部集まって
会議
を開催する。なお、そのうらはらに
学識経験者
十二名からなります
諮問委員会
を設置いたしまして、強力な
総合体制
を確立したのでございます。また、特に
科学研究大臣
も設置いたしましてドンシャンボンを
任命
し、さらにその
事務局
といたしましては、
科学技術研究総務庁
がこれに当たるというような
体制
を整えたのでございます。
西ドイツ
におきましては、
昭和
三十二年に
科学会議
が設置されまして、
ドイツ研究協会
、あるいは
先ほどお話
の
マックス・プランク協会
とも
連携
をとりまして、
科学技術
の
水準
の
向上
に努力をしてまいっておりますが、特に
昭和
三十七年、従来の
原子力省
を昇格させまして、
宇宙
並びに
一般科学技術
を含めて
科学研究省
を新しく設ける等の
措置
を講じております。
ソ連
におきましては、
フルシチョフ時代
でございますが、
昭和
三十六年、従来、
科学技術国家委員会
がございましたが、それを拡大
強化
いたしまして
研究開発調整国家委員会
が新しく設けられまして、副
首相ルノメフ
が
委員長
になりました。
ソ連科学アカデミー総裁等
はその
委員会
のメンバーの一員ということで参加いたしております。 このように
各国
とも新しい
体制
のもとに
科学技術
の
水準向上
をはかってまいったのでありますが、これら
各国
に共通した点を次に申し上げたいと存じます。 まず第一点は、
トップレベル
の
強化
で、ございます。すなわち、
科学技術
に関する
総合行政体制
、特に
トップレベル
の
体制
を
整備強化
をいたしまして、
重要事項
の
調整
と決定は、
内閣レベル
で行なわれる、こういうようになったのでございます。それまでは
トップレベル
の
行政機関体制
はございませんで、
専門家
にまかせておったのでございますが、そうではなくて、
総理
みずから
科学技術
に対する非常な関心を持って
トップレベル
の
体制
で
科学技術
を論じようということになったのでございます。これは、いずれの国におきましても、そういう
体制
でございます。 第二点は、
研究
の
総合化
でございます。
各国
によりまして、
研究機関
が、ある国は、たとえば
イギリス
とか
オランダ等
は全部一元化されまして、あらゆる
研究機関
が
一つ
の
行政組織
のもとに一元統一されておりますが、そういう国もございますし、また
フランス
やなんかのように、一元化されない国もございます。各省に分属されておる国もございますが、そういう国におきましては、
総合調整機構
が
強化
せられまして、あたかも全体が一元的であるかのごとき
運営
がはかられておるのでございます。 それから第三点は、
大学
における
研究
との協調でございます。
大学
における
研究
とその他の
国立研究機関
、または
民間研究機関
との間の
連携
がきわめて密接でございます。そうして
大学
で
研究
ざれた
成果
が、
国立研究機関
なり、あるいは
民間研究機関
なりに移っていきまして、そうしてこれが具体的に製品となってあらわれるという過程が非常に緊密な
連絡
のもとに行なわれております。あるいは最近の
産学協同
というようなことも、まさに
各国
ともこのような方針によってやっておるのでございまして、この点は学ぶべきであろうと存じます。 第四点は、
長期
的、
総合的政策
の
樹立
でございます。これは最近の著しい状況でございまして、
大学
、
民間
を含めまして、総合的な
長期計画
がいずれの国でも行なわれまして、
政策
全体としての
措置
がとられておる。それが継続的に実施されておるということが著しい特徴であろうかと存じます。 第五点は、
研究投資
の問題でございますが、
各国
とも多額の
研究投資
を使っております。大体
世界各国
におきましては、これは
予算
の
関係等
もございましょうけれ
ども
、
政府
が大体三分の二を負担し、
民間
は三分の一を負担するという
現状
でございます。その額におきましては、ことに
アメリカ
は断然他を抜いております。大体昨年度は七兆円くらいでございますが、本年度は二百三十億ドル、すなわち八兆円をはるかにこえるような額になる予定になっております。これは
わが国
の約二十倍に当たる額でございます。また、
イギリス
、
西ドイツ
、
フランス等
においては、大体
わが国
の
研究投資
の二倍弱、まあ二倍前後というところであろうかと思います。御
承知
のとおり、
政府投資
の
国民所得
に対する
比率
は、
アメリカ
が三・六、
イギリス
が二・九、
日本
が一・七、これは
昭和
三十八年の数字でございますが、このように
日本
は劣っております。また、
政府予算
に占める
科学技術予算
の
比率
につきましても、これも大方の御
承知
のとおり、
アメリカ
が非常に多くて一五%、
イギリス
が六%、
日本
は三%と、これも一番低位になっておるのでございます。このように
世界各国
におきましては、
科学技術
の
重要性
を認識いたしまして、特に
政府
が率先して
研究予算
を増額しており、
民間
これに相和して、全体としての
研究投資
が非常に多いのでございます。 以上、
世界
の
各国
につきまして五点を申し上げましたが、さて、ここでひるがえって
わが国
の
現状
を考えたいと存じます。 そこで、
わが国
の
現状
につきましては、やはり五点を考えてみたいと思います。第一は
研究投資
の問題、第二が
研究体制
の
整備
、第三が
長期
的、
総合的計画
の
樹立
、第四が人材の
確保
とその待遇の問題、第五が
民間研究
の
助成
、この五点につきましてこれから簡単に申し上げたいと存じます。 第一点の
研究投資
の問題は、
先ほど
諸
外国
の例を申し上げましたとおり、
わが国
では
政府
の
支出
が三分の一、
民間
の
支出
が三分の二と、ちょうど
欧米諸国
の逆のような場合になっております。これにつきましては、
政府
といたしまして、これからますます
政府
における
研究
の
責務
がだんだん重大になってきつつある現在、
政府予算
をもっと増額すべきであろうかと考えます。たとえば
民間
ではできないような
基礎科学
の充実、それから公共的な
研究
、それから
中小企業
あるいは
農林関係
の
技術指導
、あるいは
民間
でできない大規模な
研究
、こういうようにますます
政府
の
研究
に対する
責務
がふえてきておりますときに、
研究投資
全体に対する
政府
の
予算
が少ないことは
時代
に逆行であろうかと存じますので、この際
予算
の増額を必要とすることは当然でございます。これは何回も言われておることでございますが、たとえば
国民所得
または
国家予算
の一定の割合以上に
科学技術
に対する
予算
を出さなければならないということが今後検討されなければならない点であろうかと思います。
一つ
の例を申し上げますと、
科学技術振興費
でございます。これは、
国立試験研究機関等
あるいは
研究助成費等
を含むものでございますが、これはもちろん
大学
の
研究
は含んでおりませんけれ
ども
、その
科学技術振興費
の
昭和
三十九年度の
予算
は四百二十七億でございます。その同じ三十九年に
技術導入
によって支払いました
外貨
は五百五十九億円でありまして、
日本
の
科学技術振興費
よりも
技術導入
の
外貨支払い
のほうがやや上回っているという点は、われわれ反省しなければならないかと思います。御
承知
のとおり、
外国
の
技術
の
導入
がだんだんむずかしくなり、根本的な
技術導入
はだんだん減りまして末梢的なものがだんだんふえ、また、それによって
過当競争
が起こる。
国内
における
過当競争
、それから株式の参加あるいは
合弁会社
でなければ
技術
を売ってくれない、また販路の制限を行なうというような、だんだん条件がむずかしくなってきておる現在におきまして、
国内技術
の育成に努力いたしまして、これから先、堂々と
外国
に対しまして
技術輸出
をむしろ助長していかなければならないときに、いたずらに
外国
にたよっているということはまことに遺憾であろうかと存じます。
技術輸出
は
昭和
三十九年大体二十八億円でございますので、
技術導入
に対してわずかに五%の
外貨獲得
しかしておらないという点はまことにさびしい限りでございます。 次に第二点、
研究体制
の
整備
について申し上げたいと存じます。国全体として
研究
を有効に行ないますためには、各
部門
の
研究
を総合的に推進することが必要でございまして、それに対しまして
研究体制
の
整備
もまたその線に沿ってやらなければならないと思います。
民間部門
と
政府部門
との
関係
におきまして、
両者
の
研究分野
を相当明確に分けるべきであり、また、
協力
すべきところは
協力体制
を確立すべきであろうかと思います。国といたしましては、
先ほど
も申し上げましたように、
基礎研究
あるいは
公衆衛生
、
災害防止
、
公共事業等
の
研究
、あるいは
中小企業
、農林業等についてのその指導の
技術
の
研究
等は必要でございますので、こういうような面につきましてさらに一そうの
総合体制
の
整備
をしていくべきであろうかと思います。従来ややともすると、
わが国
では
基礎研究
に対する認識が不十分でございまして、
基礎研究
に対する
予算
の配分等に欠けておりましたのでございますが、この際是正いたしまして、
基礎研究
、応用
研究
、開発
研究
に対して調和のとれた
施策
が行なわれなければならないと思います。 各
研究機関
相互の
連絡
、協調の問題でございますが、これはますますその
連絡
を緊密にいたしまして、特に最近は
研究
がだんだん大きくなってきております。また、複雑になってきております。こういうことでございますので、
連絡
、協調の面で一段と配慮の必要があろうかと存じます。特に
先ほど
のお話にもございましたとおり、
大学
の
研究
と
国立研究機関
と
民間
の
研究機関
等におきましては、ややともすると共通な広場がございません。それぞれ独立していろいろな
研究
を行なっておりますが、せっかくでき上がりました
成果
がそのまま埋もれてしまって次の段階に移っていかないうらみが
日本
では間々見受けられるところでありますので、
大学
、
国立研究機関
あるいは
民間
の
研究機関
の間でできるだけ共通な広場をつくりまして、そうしてそこでお互いに協調していくことが必要であろうかと思います。
先ほど
も
行政機構
のお話がございましたが、このような共通な広場をつくって、
研究体制
をやりやすいように援助する
意味
におきまして、
行政機構
の改革が考慮されるべきであろうかと思います。 第三点は、
長期
的、
総合的計画
の
樹立
でございますが、これは
先ほど
も申し上げましたとおりでございまして、特に
基本法
が制定されました暁は、計画の面で一段とその
成果
の見るべきものがあろうかと存ずる次第であります。 第四点は、人材の
確保
とその待遇の問題でございますが、何といいましても、
科学技術
水準向上
におきましては、人材が最後のポイントでございます。したがいまして、質量ともに十分にこの点を考慮しなければならないことはもう言うまでもございません。そのためには待遇の改善を行なう。また、
研究
公務員制度の検討等につきましても十分考える必要がありまして、たとえば採用の問題、勤務時間の問題、それから研修の問題、職務発明に対する報償等のいろいろな問題がありますので、この際、
研究
公務員特例法のような法律を制定すべきであろうかと存じます。 第五点は、
民間研究
の
助成
でございますが、
先ほど
たびたび申し上げましたとおり、現在
民間
に負わされている
研究投資
は、国全体の
研究投資
の三分の二を
民間
が出しておる。これは将来
政府
がもっと出すであろうかとは思いますけれ
ども
、
現状
におきましては
民間
の努力は並みたいていのものではございません。したがいまして、
民間
に対する
研究
の
助成
を
政府
は十分検討しなければならないと思います。もちろん補助金、
助成
費等の増額とか、手続の簡素化、合理化とかが必要でございますし、あるいは
日本
開発銀行、新
技術
開発事業団等の
政府
機関
からの援助も必要でございましょうが、私個人で考えますと、何といいましても一番
民間
の会社の方が喜ぶもの、能率のあがるものは、税制上の優遇
措置
が一番適切であろうかと思います。こういう点につきましては、国会におきましてもしばしば熱意を尽くされておりまして、ある程度の優遇
措置
ができておりますけれ
ども
、今後とも
民間
の
研究
に対しまして税制上の優遇
措置
はもっと大きく展開していかなければならぬものであろうかと私は存ずる次第でございます。 以上、たいへんわかり切ったことを申し上げた次第でございますが、私の考えを申し上げまして、諸先生の御
参考
に供した次第でございます。 —————————————
岡良一
5
○岡小
委員長
質疑の通告がありますので、これを許します。
前田
正男
君。
前田正男
6
○
前田
(正)小
委員
山県参考人
にちょっとお聞きさしていただきたいと思うのでございますけれ
ども
、
先ほど
の御
意見
の中で、
研究法人
的なものをつくるとか、ひとつ
研究機関
のあり方というものに特別に方法がないか、こういうお話があったと思うのでございますが、われわれもかねてから、
政府
関係
あるいは
政府
の出資しています
特殊法人
的な
研究機関
その他がいろいろと思い切った処置をしようと思っても、なかなか
予算
的にもあるいはその
研究者
の待遇の問題等においても十分な処置ができにくいというので、これを切り離した
一つ
の
研究
特殊法人
的なものにしてはどうか、こういうふうな感じもするのでありますけれ
ども
、そうするとまた身分の問題が非常に困る、官吏と離れてくるというふうなときに非常に困るとか、いろいろな
意見
があるわけでございますけれ
ども
、
参考人
の
山県
さんは前に
大学
におられたこともございますし、そういった
研究
の、あるいは学者の立場から見られまして、そういう特殊な
組織
というものに対して
研究者
が集まりやすいか、あるいはまた、そこにおって
研究
しやすいかどうか、こういったようなことについてのお考えをひとつお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。
山県昌夫
7
○
山県参考人
前田
先生からのお話で、
研究
特殊法人
と申しますか、私かねがねこれは何とか考えなければいかぬと思っておりましたのですが、手近に例を申し上げますと、戦前の理化学
研究
所と現在の理化学
研究
所と少し
性格
的に違っておりますが、さしあたり戦前の理化学
研究
所的なものでいいんじゃないか。と申しますのは、当時、理化学
研究
所の専属の主任
研究
員もたくさんおられましたが、と同時に東京
大学
その他の
大学
の方々が、いわゆる
研究
の場として理化学
研究
所の施設をお使いになって所員として非常に御活躍になっておられた。私あの当時のことを詳しく存じませんが、いわゆる
大学教授
ということと理化学
研究
所の所員であるということが世間的に見てどっちが優位であったかということでありますが、
大学教授
であることと理化学
研究
所の所員であるということは同じように学者として外部から見られておったのだろうと思います。御
承知
のような理化学
研究
所が
科学
研究
所になり、いろいろ戦後困難な状況に立ち至りまして、そのためにいわゆる
大学
の
付置研究所
というものが——本来、戦前の
考え方
ならば理化学
研究
所でやったほうが筋であったものを
大学
の
付置研究所
でやるようにだんだんなってまいりまして、したがいまして
付置研究所
が非常にふえてきた。そこで、現在におきましては、戦争前のように理化学
研究
所の所員というものが学者として世間的に高く見られておるかどうか。この点についてはある程度疑問は持っておりますが、私率直に申しまして、たとえばドイツでプロフェッサー・ドクターという称号がございますが、ああいったものに似たような制度を
日本
でもおつくりになりまして、いわゆる
大学教授
というものと、
研究
所、
特殊法人
でございますか、そこの所員と身分上に
研究者
としての差をつけないもっと総合的な何か
一つ
の
組織
をおつくりになりますと、わりあいにその点が解消されてくるのじゃないか、こういうふうな気がしております。 お答えになったかどうか存じませんけれ
ども
、かねがね考えておりますことを申し上げました。
前田正男
8
○
前田
(正)小
委員
もう
一つ
聞きたいと思いますことは、
先ほど
科学技術会議
みたいなものを
行政委員会
式にというお話がございましたが、実はこれについてもいろいろと
意見
があったのであります。
大臣
や
総理
が出ていろいろと
一般
的な
審議
をしなければならぬ問題がやはりあるものですから、
行政委員会
的にはなっていないわけなのでありますけれ
ども
、臨時
行政
調査
会の答申には、そのかわりに
科学技術庁
の中に
科学技術会議
の下部
組織
というような形で
科学技術
政策
委員会
といったような
行政委員会
を設けたほうがいいのじゃないか、こういうふうな
意見
が実は出ておるのでございます。この臨時
行政
調査
会の答申についてどういうふうにお考えになっておられるか、ひとつお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。
山県昌夫
9
○
山県参考人
臨時
行政
調査
会の答申に関しましては、お隣の
篠原
さんがたいへん御努力になっておられるようでございますので、直接いろいろなことは
篠原
さんから申し上げたほうがいいと思いますが、私いつも感じておりますことは、非常に入り乱れた
行政組織
を考えまして理論的に検討してまいりますと、いつも
行政委員会
というものが結論になります。それから
研究機関
につきましても、いろいろ検討してまいりますと、落ちはやはり
研究
特殊法人
ということになってしまう。確かに理論的には
行政組織
として
行政委員会
というものは特色はございますし、また、
研究施設
、
研究
所といたしましても、
研究
特殊法人
というような特別なものを考えるということは、理論としては非常にすっきりして、私自身正しいと思っておるのでございますが、いろいろ実際
行政
をおやりになっておる方から伺いますと、たとえば
行政
運営
の機敏性に欠けているとか、あるいは
行政
上の責任が不明確化するとか、いろいろ実際上の問題がございまして、どこかで妥協しなければならぬということで、おそらく臨時
行政
調査
会の結論はああいう結論になったんだと思います。要は、実際問題と理想的に考えたこと、その妥協の結果だろうと私は考えております。 私、重ねて申し上げますが、
行政組織
を議論しますと、必ず
行政委員会
というものが一応は結論的に出てくる。一方において、
研究
所の議論をしますと、
特殊法人
というものが出てくる。しかし、これまた、反面、
行政委員会
なり
特殊法人
の
研究機関
なりの持つ悪い面もございますから、そこで、やはりどこかで妥協しなければいかぬだろうというのが、私のいままでやってまいりましたことの結論でございます。
前田正男
10
○
前田
(正)小
委員
篠原
議員
にちょっとお聞きしたいのですけれ
ども
、だいぶいわゆる
基本法
もまとまりつつあるようでありますけれ
ども
、
基本法
がいま漸次まとまりつつありますと、今度は人文も含めて
長期計画
を立てるのですから、当然その受けていきますときの事務的な機構問題及びそれに伴って
行政機構
の改革というような問題が出てくると思うのです。これらについて
科学技術会議
のほうでいまどういうふうな検討をしておられるか、その点、
基本法
の制定に伴う
行政機構
の改革についてどう考えておられるか、そこをお伺いしたいと思います。
篠原登
11
○
篠原説明員
前田
先生の御質問にお答えを申し上げます。
基本法
に
科学技術会議
に関する二点があらわれてまいります。 第一点は、第七条でございますか、
基本計画
をつくります場合には
科学技術会議
の議を経なければならないという点でございます。それから二十一条かと思いますが、
科学技術
の振興あるいは
科学技術
の
水準向上
のために
科学技術会議
を設置するとかいうことで、二点、
科学技術会議
があらわれてまいります。これを受けまして、それでは従来の
科学技術会議
をどのように変えて新しいものにしていくかという点につきましては、
科学技術会議
の昨年十二月一日の本
会議
におきまする答申におきましては、特に第一部会長の私から
科学技術会議議
長に対しまする「
科学技術
基本法
の制定について」という題目で、左記のようなことを申し上げております。 第一は、
先ほど
前田
先生のおっしゃったように、自然
科学
のみならず、人文、社会
科学
を含める。それから第二が、
科学技術会議
については、おおよそ次のような
考え方
に基づいて
審議
をしてまいるということでございます。これは
総理府
に付属
機関
として
科学技術会議
を置く、この
科学技術会議
は、
基本法
で申します
科学技術
基本計画
の策定及び修正をする、それから
科学技術
に関する重要な
政策
に関することを
審議
する、それから
日本学術会議
への
諮問
及び
日本学術会議
の答申または勧告に関することのうち、重要なものに対して
内閣
総理大臣
の
諮問
に応じ答申する、こういうことでございまして、
内閣
総理大臣
はこの答申及び
意見
を尊重しなければならない、まあ大体従来のとおりでございますが、特に
人文科学
が入った点が違うことと、それから新しく
基本計画
をつくるということが従来よりも非常に違った点でございます。 メンバーとしましては大体従来の線を踏襲いたしますが、人文、社会の各
分野
から大体二人くらい入れまして、現在の六人の
学識経験者
を二名ふやしまして、八名程度を置くというようなことでございます。 それから
事務局
をどうするかという問題につきましては、いま
政府
部内でいろいろ検討しておりまして、主として
科学技術庁
、
文部省
の間でいろいろ案が出されて検討中でございますが、その点につきましては、ある程度
政府
部内におまかせをしているというのが、われわれ
科学技術会議
のほうの立場でございます。 お答えになったかどうかわかりませんが、以上申し上げた次第であります。
前田正男
12
○
前田
(正)小
委員
先ほど
その問題について、
山県参考人
のほうからもお話が出ておったのでありますけれ
ども
、
科学技術
基本法
が人文も入れる、
科学技術
へ統一してやるということになる以上は、新しく
科学技術庁
というものの
性格
を変えて、そうして
科学技術庁
自身がまとめていく、したがって当然
文部省
のほうからもそういう人たちに来てもらって、新しい
科学技術庁
として、
科学技術会議
全体の仕事を受けて事務的な仕事もやる。同時に、
科学技術
基本法
に基づいて
長期計画
その他をこしらえていく。別に
文部省
の権限を減らす必要はないと思いますけれ
ども
、しかし
科学技術庁
自身としては、それだけの仕事は、
科学技術会議
できめることは全部やれるというような仕事をし、同時に、
文部省
から人も来ていただいてやっていくというのが当然の筋じゃないか、そういう
山県参考人
の御
意見
があったと思います。私もそう思いますが、こういう点については、まだ
科学技術会議
としてきめておられないかもしれませんが、
篠原
議員
個人としての御
意見
でもいいですけれ
ども
、お聞かせ願いたいと思います。
篠原登
13
○
篠原説明員
新しい
科学技術会議
が人文、社会を含めて新しく発足するという点につきましては、全く
前田
先生のおっしゃるとおりでございまして、
人文科学
に関しまして、
文部省
がいろいろな人文の
研究
所を持っておられますので、
文部省
の御
協力
を得て
科学技術庁
の
事務局
の
役割り
を十分果たしていかなければならぬじゃないか、かように考えておるものでございます。ただ
科学技術会議
、これは個人の
意見
か
議員
の
意見
か、その点は明確で、ございませんが、
科学技術庁
なりその他に関連する機構につきまして、この通常国会までに機構を十分に整えるということが、ちょっと時間がございませんので、まず
基本法
を通していただきまして、それに
基本法
を通すについての
科学技術会議
の改組を行ないまして、その後十分に一年間検討をされまして、
科学技術庁
なり
文部省
なりの
体制
につきましては、とりあえずは、一応は変えることはいいとしましても、根本的な問題はちょっと一年くらい十分に検討されたほうがいいんじゃないかと、私個人といいますか、そう思います。とりあえず必要なところだけ改正しまして、あとはそれに合うように少し時間をかけて検討するのが妥当じゃないか、かように考えております。
岡良一
14
○岡小
委員長
ほかに御質疑はございませんか。——それでは私からちょっと一言だけ
篠原
議員
にお尋ねいたします。
先ほど
技術導入
の問題に触れられましたが、国産
技術
の育成という立場から、
技術導入
については何らかの規制というもの——というときびし過ぎますが、対策が立てられなければならないのではないか。具体的にいえば、外資法の改正、ある いはまた外資
審議
会の
運営
などについて何か具体的なお考えがございましょうか。
篠原登
15
○
篠原説明員
ただいま岡先生の御質問でございますが、別にいま具体的の考えを持っているわけじゃ。ございませんけれ
ども
、外資法が制定されましたのは、たぶん
昭和
二十五年でございましたか、と思います。でございますので、それからもう約二十年たちますので、当時の
事情
とだいぶ違っております。当時は
日本
は無一物で、何もなくて、戦争のためにめちゃくちゃにやられてしまったのでございますから、その際、
外国
人が
日本
に投資をしやすいように、特に外資の支払いを必ずやるというような規定を設けましてこの外資法ができ上がりまして、それ以来、空白であった
日本
の
技術
が今日に至るまで十分に進歩はしてまいったのでございますが、このような現在におきましては、
日本
の
技術
レベルも相当上がりましたし、また、
先ほど
申し上げましたように、販路制限とか、あるいはジョイント・ベンチャーの要望とか、あるいは資本参加とか、そういうようないろいろな欠点がございます。
技術導入
にあくまでもたよるということは、これは
時代
が許しませんので、これに対しましては、私たち検討する必要があると思います。ところが、その反面に、開放経済という立場から見ますと、全然かきねを取っ払ってしまって自由に入るようにしたほうがいいんだというような説もありますので、
二つ
の道がございますけれ
ども
、その点、どちらを選ぶべきかということはなかなかむずかしい問題でございますが、私個人は、やはり
技術導入
に対しましては十分に警戒をしながらやるべきである。これは法律をもって縛るのがいいか、あるいは各会社の社長さん方の良識にまって、その反省を求めてやるのがいいか、通産省でやっておりますいわゆる
行政
指導によって行なうのがいいか、その辺はなかなか問題でございます。私としましては、やはり独自の
日本
の
技術
を発達させるために、
技術導入
は十分に考えなくてはならぬ、こういうふうに考えておりますが、たまたま通産省の工業
技術
院で、これに対してアンケートをとった結果がございますので、御
参考
のために申し上げたいと思います。
技術導入
の現在の認可制度についてアンケートをとったのでございますが、従来
技術導入
を行なったことのある企業四百六十一社のアンケートの結果がまとまりました。それによりますと、第一は、もう開放経済のもと
技術導入
は制限する必要はない、かってに入れさせろ、認可なんか要らないというのが八十八社で一九%。それから
技術導入
の制限をする必要がある、こう答えておりますのが百四十社、三二%。それから第三でございますが、認可制度は
現状
のままでよい、やはり一定の審査を経て外資
審議
会でやって認可をしたらどうかというのが二百九社で四五%。これでございますように、会社の社長さん方がお考えになって、もうかきねを取っ払えというのがわずかに一九%でございますから、会社の首脳部も、
わが国
の
技術
の国産化についてある程度関心があるということがいえると思います。こういうようなことを
参考
にいたしまして、
政府
ではいろいろ検討する必要があろうかと思います。
岡良一
16
○岡小
委員長
昨日
科学技術庁
からいただきました資料で見ますると、昨年まで三カ年間に
導入
された
外国
技術
のうち九八%はOECD諸国から入っておる。ところがOECD加盟に際して、
技術導入
については
日本
は留保しました。その
理由
は、
国内
における
過当競争
を防止するという立場、いわば現在の外来
技術
の
導入
に対しては経済的な観点からの規制はあるけれ
ども
、国産
技術
の育成という観点からの規制が十分ではない、この点に何か具体的な対策というものがやはりあっていいのではないか、こういうふうに考えますが、この点については……。
篠原登
17
○
篠原説明員
全く
委員長
のおっしゃるとおりでございまして、ポリプロピレン等、過去において例がございましたけれ
ども
、
日本
のようなどっちかというと狭い国におきまして多くの会社が乱立して、そのいずれもの会社がそれぞれ
外国
から
技術
を
導入
するために
技術
援助契約を結ぶ。そうしますと、したがいまして設備投資もふえ
過当競争
になりまして、それだけはみ出る。それが輸出されればいいのでございますが、輸出のほうは販路制限がございまして、こっちに輸出しちゃいかぬというような条件つきの
技術導入
でございますので、その辺
日本
の国産
技術
を育成する面におきましても十分に考慮しなければならない問題だと存じます。
岡良一
18
○岡小
委員長
なお一問尋ねいたしますが、先年、私
ども
前田
先輩のお供をしてヨーロッパ諸国における
研究
の実態
調査
に出かけたことがあります。そのときに、
イギリス
、
フランス
などでは、かなりな業種にわたって
研究
協同組合をつくっておる。しかも、これは鉄鋼であれば、単に大きな鉄屋さんだけではなく、小さなやすり屋さんまでも、そういうことで企業の規模のいかんにかかわらざる大きな協同組合をつくって、そうしてその共同
研究
の結果はあらゆる企業に公開をされるという方式をとり、英国はその
研究
協同組合に若干の補助をするという
体制
をとっておる。
フランス
では、
政府
に依存しないで業者自体の
資金
によって
研究
協同組合を
運営
し、また、英国のようにあらゆる
研究
の
成果
というものは公開をするということで、その業体自体の近代化のために非常に強力な協同
体制
がしかれておったわけです。
アメリカ
は、
資金
のあるがままに大きな
研究投資
をビッグメーカーがやる。
ソ連
は、国家権力のもとに、
先ほど
おっしゃったような
研究活動
を
研究活動
調整
国内
委員会
などを設けてやっておる。その谷間にあるヨーロッパにおいては、
民間
業者の
研究
の共同というものを、非常に伝統もあり、また強力に推進をする。場合によっては
政府
がそれに対して
助成
をしておる。
日本
も、最近大体七十カ所余り
日本
の大きなメーカーにはいわゆる中央
研究
所等が設けられております。ところが、これらの各
民間
の
研究
所の間には
協力体制
というものがどうも不足しているんじゃないか。むしろ商業上の秘密という形において
研究
の
成果
というものがお互いに
交流
の
関係
にない。その点は事実上設備の二重投資ともなり、マンパワーの足らない
日本
がマンパワーがますます足らないというような状態になって、一種の好ましくない状態にある。こういう状態に対して一体どうあるべきかという点、
山県参考人
の御
意見
をお伺いしたい。
山県昌夫
19
○
山県参考人
ただいま何と申しますか、
研究
組合と申しますか、
研究
協同組合と申しますか、そういうものについて申し述べられました。実は私、造船でございますけれ
ども
、私、戦後海軍がなくなりましたので、何か造船に関する
科学技術
の中核体をつくらなくてはいかぬ、こういうことを考えまして、
日本
造船
研究
協会というものを、何年前になりますか、十数年前につくりました。ところがいまお話がございました
イギリス
で戦時中からああいう
研究
組合をつくっておる、それが戦後私
ども
がつくりました後にそういう情報が入ってまいりまして、ちょうど私
ども
が考えておったと同じことをすでに
イギリス
が戦争中からやり始めておったということを知ったわけでございます。そこで、ほかの産業と違いまして、造船業はわりあいに業者といいますか、企業体もそう数は多くございません。したがいまして、共同
研究
ということが、造船
研究
協会を中心にして非常にうまくいっております。たとえばいま御
承知
のように十五万トン、二十万トン、さらに二十何万トンという船の引き合いまでございますが、それの基本になりましたものは、このわれわれの
研究
協同組合が中核体となって、むろんこれは
政府
がこれに対して
研究
補助金を出しております。それからおもな
資金
は、造船工業会が出しております。この造船工業会とか、われわれのほうでいえば船主協会とか、そういったような企業の団体が、自分自身が
研究
所を持つ場合と、こういった協同組合的の
研究
所を外に持つ、二
種類
のやり方があると思います。たとえば船主協会は海運の
研究
所を船主協会の中に持っておりますし、造船工業会は外に造船
研究
協会を持っている。むろんこの
資金
は、大部分は造船工業会が会員会社たる造船所からの会費を集めまして、それに流しておるわけであります。したがいまして、この共同
研究
ということは、ただいまお話がございましたように、非常に有効に造船業界では効果をあげたわけでございます。ただ、私、近ごろ感じておりますことは、いわゆる共同
研究
というものの
対象
は、基礎的なものあるいは普遍的なもの、共同的なものと申しますか、そういったものが
対象
になるのは当然だと思いますが、だんだんみんなでもってそういう
研究
をやっております場合に、具体的の問題と申しますか、実際の商売といいますか、工業に直接つながっていく、たとえば船の構造であるとか、そういった具体的の問題に入りつつあります。これはちょっと考えなければならぬことだと思います。と申しますのは、資本主義経済下でございますから、そういう具体的の問題になりますと、これはやはり各企業体が自分自身で
研究
されて、それを武器として商売をやるというのがほんとうだろうと思います。現在まではいま申し上げました基礎的、普遍的な
研究
に終始しておったのでございますが、だんだんそういった問題が出てまいりまして、これを共同的にやるということはなかなか問題があるというような感じを現在持っております。たまたま私
ども
戦後から
研究
協同組合たる
日本
造船
研究
協会というものをつくりまして
運営
してまいりました経験を申し上げまして御
参考
に供する次第でございます。
岡良一
20
○岡小
委員長
この際、
山県参考人
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、長時間にわたり、貴重な御
意見
をお述べいただき、
本件調査
のため、たいへん
参考
になりました。 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十五分散会