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1966-06-22 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十二日(水曜日)     午後一時四十七分開議  出席委員    委員長 原   茂君    理事 菅野和太郎君 理事 纐纈 彌三君    理事 中曾根康弘君 理事 前田 正男君    理事 石野 久男君 理事 岡  良一君       小沢 辰男君    大泉 寛三君      小宮山重四郎君    河野  正君       山内  広君    内海  清君  出席国務大臣         国 務 大 臣 上原 正吉君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    梅澤 邦臣君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君  委員外出席者         参  考  人         (東京大学教         授)      熊谷 寛夫君         参  考  人         (東京経済局         長)      常陸 壮吉君         参  考  人         (東京人事委         員会事務局公平         部長)    小宮山幸治郎君         参  考  人         (東京都立アイ         ソトープ総合研         究所所長)   飯塚 義助君         参  考  人         (東京都立アイ         ソトープ総合研         究所庶務課放射         線管理係長)  糠沢  敦君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興対策に関する件(放射性同位元素  等の管理及び障害防止に関する問題)  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 原茂

    原委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず最初に、科学技術行政に関する小委員長より、小委員会調査経過について報告いたしたいとの申し出がありますので、この際これを許します。科学技術行政に関する小委員長岡良一君。
  3. 岡良一

    岡委員 科学技術行政に関する小委員会経過について御報告申し上げます。    科学技術行政に関する小委員長報告要旨  一国の産業経済発展国民福祉向上は、科学技術進歩発展に支えられている。最近のわが国経済発展科学技術進歩技術革新進展に負うところ極めて大きかったことはいうまでもない。  しかしながら、これは主として、欧米先進諸国技術導入し、これを消化し得たことによるものであると思われる。開放経済体制の下、わが国が他の先進諸国に伍して、更に一層の経済発展国民生活向上を図っていくためには、今こそ、外国技術依存を脱却し、独創的な国産技術開発に努めなければならない。  このような観点から、本小委員会は、去る二月十日設置以来、関係分野から参考人を招致しその意見求めるとともに、関係資料参考として、検討した結果、予算画期的増額研究開発体制飛躍的前進等わが国科学技術行政上の問題点に関する意見を、次のごとくとりまとめ本委員会報告する。  本報告に関しては、政府が責任をもつて措置すべきである。一、科学技術関係予算大幅増額  現代においては、研究投資は、国民英知自然界の諸法則を探求しその成果に基づいて経済繁栄国民福祉向上をはかるもっとも緊要の投資である。しかるに次にかかげるごとく、わが国全体の研究投資国民所得に占める比率は、欧米諸国に比べて格段の低率であり、しかもこの研究投資に占める政府負担割合もこれら諸国に比較して極めて低率となっている。  したがって、政府は、科学技術振興重要性を認識し、長期計画を策定し、これにのっとって、わが国研究投資の対国民所得比が、現在の諸外国における比率(ほぼ二・五%前後)をすみやかに達成するよう所要の措置を講ずるとともに、政府科学技術関係予算大幅増額をはかり、科学技術の画期的な振興を期すべきである。  なお、重点政策予算については、原子力関係予算のごとく予算一括計上を行ない、その運営においても、単年度主義にとらわれず、予算の効率的、かつ弾力性ある運用が必要である。  科学技術分野においては、研究開発調査の面において、当面、予想しがたい資金需要がおこるのである。従って、これに対応するため、特別研究促進調整費のような研究調整原資は、大幅に増額すべきである。     (資料一) 研究投資比率本号末尾掲載)二、研究体制整備  基礎研究、応用、開発研究を経て企業化試験までの一貫的体制整備が必要である。現在、基礎研究は、主として、大学に委ねられ、各省庁もまたそれぞれ試験研究機関を設けている。しかし、科学発展が要請する総合性および計画化は、これら各機関における研究総合的推進により始めて成果が期待できるものであるので、科学技術庁総合調整機能をいっそう強化するとともに、これら機関を計画的に集中することによって研究環境の改善、共同研究促進等試験研究を効果的に行なうことのできる研究学園都市の建設を早急に推進する必要がある。  なお、必要に応じ、試験研究機関の所管をも考慮しつつ、基礎から開発にいたる一貫体制整備して、施設、設備、予算人員等総合的効率的運営を可能とするよう努めるべきである。三、民間技術開発の助長  イ 科学技術が革命的に発展しつつある技術革新時代において、わが国産業はなおその多くの部分を外国技術に依存している。    (資料二) わが国技術導入本号末尾掲載)    (資料三) わが国技術輸出本号末尾掲載)   従つて外国技術導入に関しては、単に経済的見地のみならず、国産技術育成見地から、その審査機能を充実し認可の適正を期するとともに、その動向を的確に把握し、外国技術に対抗しうる国産技術育成のための施策の策定に資すべきである。  ロ 発明奨励とその企業化推進    国民創意工夫に基づく発明奨励と共に、その企業化のための試験および開発に要する予算は大幅に増額すべきである。    (資料四)発明実施化試験費補助金交付実績本号末尾掲載)    (資料五)新技術開発事業団に対する政府出資金本号末尾掲載)    (資料六) 日本科学技術情報センターに対する出資金および補助金本号末尾掲載)  ハ 特許行政は、一大刷新を計り、特に審査機能を充実し、その迅速を期すべきである。   次の如き事情においては、折角の国民創意工夫をいたずらに地下にうもれしめるものといわなければならない。    (資料七) 特許実用新案の出願および処理件数本号末尾掲載)  ニ 企業研究投資は近時相当程度の増加をきたしているが、諸外国に比して未だ低いので、さらにその努力をいっそう助長する必要があり、このため、たとえば、試験研究準備金制度、新技術研究開発促進のための所得控除制度のような画期的な税制上の措置を講ずる必要がある。    (資料八) わが国産業別研究費売上高比率本号末尾掲載)  ホ 中小企業における技術共同研究は、未だいたって未熟である。従って単に、税制措置のみならず補助助成および技術指導等においても国が積極的な施策を行なうべきである。    (資料九)資本規模別にみた共同研究を行なっている企業数本号末尾掲載)    (資料十) 研究組合数本号末尾掲載)    共同研究は、単に中小企業にとどまらず、大企業においても共通の分野においては、その共同化を積極的に推進すべきである。  ヘ 国民一般科学技術に関する理解と関心を高め、科学技術振興基盤を確立するため、政府は、自らまたは関係団体助成措置により、国民に対する科学技術に関する知識および思想の普及および啓発に関する諸事業を総合的に推進すべきである。さらに、ぼう大な量にのぼる科学技術に関する情報の迅速かつ的確な流通を確保することも必要である。四、科学技術行政機構整備  技術革新の今日、各国はそれぞれ、行政機構整備に努め、時代動向に対処せんとしている。  わが国においても行政機構整備については、臨時行政調査会の答申に示されている科学技術行政にかかる政策決定機能および総合的企画調整機能強化等趣旨に基づき、行政監理委員会に声いて検討しているところであるが、科学技術進展に即応した適切な行政機構整備を進めるべきである。五、科学技術基本法の制定  科学技術基本法については、各方面における格段の努力にもかかわらず、本国会に提案の運びに至らなかったことは、きわめて遺憾である。  わが国繁栄および人類文化向上に重要な役割をになう科学技術長期計画的に振興するうえでその統一的指針となる科学技術基本法を制定することは、国家の将来のため必須のことである。政府国会はすみやかに科学技術基本法を制定すべきである。六、国際協力強化  科学技術国際協力は、文字通り世界的規模において推進されなければならない。このため、政府は、国際機関を通じて、あるいは直接、二国間の技術協力関係強化することにより、研究協力実施情報の交換、科学者技術者交流等国際協力を積極的に進めるべきである。このような国際協力の実現こそ世界平和の重要なる基盤である。  科学技術人類英知成果であるかぎり、これが人類文化や生命を破壊するが如き事態は、もっとも不幸なる矛盾であり、これを克服することは、現代政治にかせられた最大の政治課題というべきである。  わが国における科学技術政策は、常に平和を目的とし、平和に貢献しなくてはならない。  以上であります。
  4. 原茂

    原委員長 以上で小委員長報告は終わりました。  ただいまの報告を了承するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 原茂

    原委員長 御異議なしと認めます。よって、了承するに決しました。  ただいまの小委員長報告に関し、上原国務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  6. 上原正吉

    上原国務大臣 ただいま御報告のございました科学技術行政に関する小委員長報告につきましては、科学技術庁といたしまして、その御趣旨を十分尊重して努力してまいる所存でございます。      ————◇—————
  7. 原茂

    原委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  放射性同位元素等管理及び障害防止に関する問題調査のため、本日、東京大学原子核研究所教授熊谷寛夫君東京経済局長常陸壮吉君、東京都立アイソトープ総合研究所所長飯塚義助君、東京都立アイソトープ総合研究所庶務課放射線管理係長糠沢敦君及び東京人事委員会事務局公平部長小宮山幸治郎君、以上五名の方々参考人として意見聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 原茂

    原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  9. 原茂

    原委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。どうかそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  なお、参考人からの御意見聴取質疑応答の形式で行ないますので、さよう御了承願います。  質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
  10. 石野久男

    石野委員 私は、都立アイソトープ総合研究所のことにつきまして、きょうおいで参考人皆さんに少しお尋ねしたいと思います。  参考人皆さんほんとうにお忙しいところ御苦労さまでございます。私どもは、先日、都立アイソトープ総合研究所をこの委員会で視察させていただきました。視察しましたのは、最近研究所にからんで、放射能の線量の漏れ方がきついのじゃないかというようなことでいろいろと話がありますし、私どもとしても、そういう実態がどういうふうになっておるかということを見たかったわけです。そういうようなことにつきまして実はこれからお尋ねするのです。  最初経済局長さんに……。きょうは実は私、都知事さんにも来ていただきたかったのですが、都議会の関係などでおいでいただけませんが、これはおそらく経済局長さんだけじゃなしに、都知事の御判断を聞かなければいけないこともございますので、どうしてもそういう必要のあるときは、またあとで知事さんに来ていただかなければいかぬかと思います。  そこでお尋ねいたしますが、最近出ました週刊読売の六月二十四日号、あるいはまた、六月七日の朝日新聞東京版などで、アイソトープ研究所の問題についてのいろいろな記事が出ております。その中で、特にアイソトープ研究所では、最近中小企業に対する協力指導という意味から、真珠に対して、あるいはまた水晶に対してアイソトープ照射をすることによって、黒真珠だとかあるいは黒水晶だとかいうものをつくる、それ々めんどうみてやっておる、こういう記事が出ておりまして、これは記事の中ですが、それでやはり相当な手数料かせぎをしている、こういうことも書かれておるのですが、そういうような実情はいまどういうふうになっておりましょうか。これは皆さんのほうの所の処理規程でございますか、こういうところから報告は十分出ていることだと思いますので、その間の事情をちょっと御説明願いたい。
  11. 常陸壮吉

    常陸参考人 ただいまお尋ねの週刊読売記事並びに朝日新聞記事によります水晶あるいは真珠等に対します問題は、私も承知しております。現に研究所でそれぞれの物質に対しまして放射線をかけてその結果産業振興に寄与できるかどうかという立場から研究しているものと信じております。当研究所は、いろいろの将来の東京都の産業発展のために研究所研究成果が寄与できるかどうかという点で研究を主体としてやっておりますが、その過程におきまして、やはり将来の産業振興ということでございますので、いろいろの照射依頼があるわけでございます。その照射依頼に対しましては、その成果産業との結びつきは別といたしまして、当然それに応じ、きめられました手数料を取りまして実施しているわけでございます。単に水晶とか真珠だけでなく、求めに応じまして可能なものについてはできるだけそういうような便宜を与えるというたてまえにしております。
  12. 石野久男

    石野委員 都が中小企業放射能照射によるいろいろな便宜を供与する、あるいはまた、そのための研究をするということは非常にけっこうなことでございますから、私どもそれには賛意を表したいと思うのです。  ただ、ここでちょっとお尋ねしたいのですが、そういうような照射をした場合の真珠とかあるいは水晶というものは黒真珠黒水晶変化して、それはもう永久にやはり黒真珠黒水晶としての品質を保ち得るものなのかどうか、そういう点についてはどうですか
  13. 常陸壮吉

    常陸参考人 先ほども一言しましたとおり、それの商品的な価値あるいは水晶自身価値の問題につきましては私も承知しておりませんし、照射依頼に応じまして手数料を取って照射したという事実だけで、その後どういう商取引があったかということは、私自身承知しておりませんので、きょうここでそれ以上御返事申し上げられません。
  14. 石野久男

    石野委員 その点について、所長さんがおいでになっておりますので、所長さんからちょっと……。
  15. 飯塚義助

    飯塚参考人 先ほど局長からお答えしましたように、いろいろな照射依頼がまいります。研究所業務全体から見ますというとそのほんの一部ではございますけれども、お求めがあれば依頼に応ずるということでやっております。私どもはそういう義務があるわけでございまして、やっておりますが、その照射したものがあとどういうふうにして商品になって、どういう価値を生み出しているかということは私も存じておりません。ただ照射依頼おいでになった人に御注意申し上げますことは、水晶にしましても真珠にしましても、照射をして差し上げたそのときと、それから時間がたったあととで全然変わりがないかどうかという点については御注意を申し上げます。特に熱をかけると若干色は薄れますと、そういう点注意は申し上げております。
  16. 石野久男

    石野委員 手数料を取って依頼に応じてそういう仕事をするのは任務だからやるのだということは、それは仕事だからやるのだということでわかるような気がするのですが、その場合、その真珠なりあるいは水晶に対しては経歴書のようなものをつける、これは高熱をかけたりあるいは時間がたつと色は消えますよということを証明書の中へ書きつけますかどうですか。
  17. 飯塚義助

    飯塚参考人 そのような証明書はつけません。
  18. 石野久男

    石野委員 週刊読売によりますと「コバルト六〇から出る強烈なガンマ線を当てると黒くなることを利用したもの。黒真珠になると、珍しいから十倍の値段で売れるとあって注文うなぎのぼりにふえ、」こういうふうに書かれておる。確かにそうなるだろうと私は思うのです。照射をしたものが市販になったときにどういうふうになったかは私どもは見届けません、こうおっしゃられたのですが、それではちょっと誠意がないんじゃないでしょうか。私は、おそらく商売人がこういうふうなことをやっていけば、商店に並べたときには、本物の黒真珠ですよ、こういうふうにいって、売るのだろうと思うのです。イミテーションであるということの証明書も何もついていないのですから、ほかの形での着色とはまた違って、コバルト照射をするのですから、これはちょっとしろうとには見分けられないだろうと思います。したがって、十倍も二十倍もの値段が出るのは当然だろうと思うのです。これではちょっと東京都立研究所という研究所仕事としては誠意に欠けるのじゃなかろうか、こういうふうに私は思うのですが、経済局長さんはどういうふうにお考えになりますか。
  19. 常陸壮吉

    常陸参考人 照射した物質がどういう販路を経て消費されているかということは承知しておりませんが、私の承知している範囲内では、やはり研究段階として照射した物質変化をたどっているということでございまして、それが商品として流通するかどうかということは、まだ先のことだろうと存じます。したがって、市販されている事実は私は承知しておりませんが、冒頭申し上げましたとおりこの所の設立の目的産業振興のためにありますので、確かに、それが優良なる商品として価値づけられるならば、やはりそういうような流通経過を確かめなければいけないと思います。そういう点十分これからの業務を遂行する上の参考にして検討いたしたい、かように思います。
  20. 石野久男

    石野委員 私は、研究課題としての過程でそういうふうにおっしゃるのなら、それはもうよくわかるのです。しかし現実にはやはり商売をやっている方々から注文を受けて、あなた方はただ照射するというだけで、それが任務だからやるのだということになると、これはインチキ商売奨励しているようなことになる。しかも、これは都が企業体という形で、利得に専念するというような一般の市中の商売人だとかあるいはそういう会社だとかいうなら、これはまあ私どもも、いいとは言いませんけれども、そういうものもあるのだからと思いますが、しかし都がこういうようなことを、しかも研究所という名を打ってやっていることに対して反省をしないとか、あるいはそれに対してチェックをしないということでは、一般需要者をだましていることになる。非常によくないと思うのです。条例がそうしているのだからということでやるとするならば、私はこれはけしからぬことだと思うのですが、そのことについて局長はどう考えますか。
  21. 常陸壮吉

    常陸参考人 先ほど来私の承知している範囲内で申し上げましたとおり、研究段階としてそれが高価な物質になり得るかどうかということを実施しているのだと承知しております。したがって、それが将来流通するような問題が起きればやはり検討しなければならない、そういう意味で申し上げているわけでございますので、御了承賜わりたいと思います。
  22. 石野久男

    石野委員 了承願いたいと言うけれども現実には、将来流通過程に入ればと言うけれども注文をしてきたのはこれは商売人でしょう。あなた方はその照射した物質——何個やったか私はわかりませんが、これはあと資料を出していただきましょう。いままでどのくらいの数量を照射したかという資料をひとつ出してください。それを注文してきた方は研究者じゃないと思うんですよ。これは商売人だと思います。そうするとその人たちはおそらく照射されたものを黒真珠だと銘打って売っているんだろうと思うのです。こういうことになると、いわゆる善良な市民、善良な需要者というものをだましていることになる。しかも、研究所という名においてだましている。これは間違いだと思うのです。  私は所長にお尋ねしますが——経済局長には、またあとでお尋ねしますけれども所長は、こういうようなことに対して善意な立場から良心的に恥じませんか。
  23. 飯塚義助

    飯塚参考人 私ども研究所では、基礎的な研究から積み上げて何か役に立つ芽を見つけて、それを伸ばして、実際に都下の中小企業に役立つようなものを生み出そう、こういう意欲で研究を進めておるわけでございまして、水晶とか真珠照射すると黒くなる、こういう事実はもちろん私どものところで見つけたものではございません。すでに古くからわかっていた事実でございますけれども、そういう黒くなるという事実、そういうものがどのくらい温度をかければ色がさめるとか、あるいはどのくらい経時的な変化があるとか、そういうようなことも研究の一つの対象にしようとしておるわけでございます。やはり私どもとしましては、基礎から積み上げて役立つものならばそれは役立てたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  24. 石野久男

    石野委員 役立つものならば役立てる、所長はそういう形でこれをやっているようですが、この場合どういう役立ちをしておりますか。
  25. 飯塚義助

    飯塚参考人 先ほど局長から申しましたように、商品価値とかあるいは流通の状態というものにつきましては、現在のところ私どももまだ存じておりませんので、そういう点で、どのように価値を生み出しておるかということはお答えできないわけでございますが……。
  26. 石野久男

    石野委員 商品としての価値がまだ認め得られないようなものを照射して商売人から手数料をとるということは、非常に不見識なことじゃございませんか。
  27. 常陸壮吉

    常陸参考人 商品としての価値判断の問題は、商品流通する過程におきましては、それを求め立場からのほうが多うございます。ただ、これは水晶の非常に高価なものであるという印象でそれが非常に高く売られたということになりますと、そこでそういうことを承知して買ったかどうかというところに問題があろうかと存じますが、少なくともアイソトープ研究所を利用してできました商品世人の誤解を受けるような立場になりますれば、やはり問題は多少あろうかと存じます。現在の段階でそこまでいっているか、私は再三申し上げるように承知しておりません。しかしながら、やはり冒頭申し上げましたとおり、水晶なら水晶アイソトープ照射することによってできましたものが、商品価値も高く、また世人に喜ばれるものであれば、これは流通しても差しつかえないものだと私は判断いたします。そこで、それが欺瞞であるかどうかということは、そのときの時点において判断すべきもので、ただ照射したものが珍しいからという宣伝だけで高く売っているという事実だけで欺瞞であるとは言い切れないと私は信じております。
  28. 石野久男

    石野委員 局長、あまり逃げ口上を言わないようにしたほうがいいですよ。参考人に私はここではほんとうのところを言ってもらいたいのですよ。あなたがほんとうに良心をもってあれするのだったら、照射した物質が色が変わるとか価値のあるものになるということが認められれば、その認められた範囲で販売されるということだったらけっこうだと思います。しかしここでは、あなた方は、照射したものに対して、これは照射しました、イミテーションでございますということを何もそれにつけていませんね。証明も何もついていないわけです。だから商売人は当然それを本物の黒真珠だといって売るでしょう。そういうことはいまの社会通念上からいって当然のことだといわなければならない。またそのくらいのことは参考人もおわかりだろうと思うのです。そうすると、研究所でそういうように照射したものをほかへ持っていって、これは本物の黒真珠でございますよということで売られても、これはそのまま通っていくわけですね。だから、需要の側に立つもの、いわゆる求める側における価値というものは、その時点では非常に高く価値づけられるだろうと思うのです。しかし、事実は、ある程度の一定の時間がたち、あるいは一定の温度をかければ、これはもとへ戻ってしまう。本物の黒真珠はそんなことはないわけです。そこに欺瞞があるわけです。こういうことは、研究所商売人じゃないのだから、良識をもって当たるならばできないはずだと思うのです。やってはいかぬと思うのです。だからもし研究所がそういうものをやる場合は、これはイミテーションでありますということを明確に表示するという形でやるならば、私は何とも申しません。また買うほうでもそのことを承知で買うでしょう。おそらく今日の時点では、いままで何個照射したかわかりませんが、みんな本物の黒真珠でございますということで売られていると思います。私はそう推測する。間違っておるということでございましたならば、あなた方はその照射したなにを全部調べてみてください。どこでどういうふうに売れたかということをひとつこの際調べていただきましょう。いずれにしましても、やはりこういうやり方は、研究所立場からしますと非常に非道徳的なやり方だと思います。これはこの際——研究は続けてください。だけれども一般商売のために商売人が持ってくるようなもの、それがやはり需要者を誤らしめるであろうようなものに対しては、幾ら条例がどうであるとか、あるいは手数料をとりさえすればいいのだということであったとしても、これは学者的な良心で、研究所所長は学者だと私は思うのです。学者的な良心でこういうことはやるべきでないと思う。かりに所員の諸君がそれをやろうとしても、そういうことをしてはいけない、もう少し明確になるまではやめるべきだ、こういう指示をすべきじゃないかと私は思うのです。この点についてはこの際参考人、特に局長さんのほうから、あなたはここを管理しておるわけですから、明確にひとつあなたの考え方なり、従来やっておることについての反省があるなら反省の所見を聞かしていただきたい。
  29. 常陸壮吉

    常陸参考人 くどくは申し上げませんが、間違った考え方のもとに間違ったルートに乗せるような産業振興のためにアイソトープを利用してはいけないということははっきりしております。したがって、ただいまの御質問に盛られております事情をよくかみしめて今後研究所運営に当たっていきたい、かように思います。
  30. 石野久男

    石野委員 研究所は、昨年でございますか、九月のころ、都の人事委員会から勧告を受けておりますね。その当時の勧告の事情はどういう事情でございましたか。局長さんからお答え願いたい。
  31. 常陸壮吉

    常陸参考人 中性子発生装置を許可なくして使っておる、これはすみやかに許可をとるようにという勧告のように承知しております。
  32. 石野久男

    石野委員 事実、中性子発生装置というものを許可ないままに使っておったのでございますか。
  33. 常陸壮吉

    常陸参考人 非常に申しわけないと存じますが、私も中性子の理論構成その他を存じておりません。したがいまして、所長から承知した範囲内では、中性子発生装置を組み立てる過程において試みの照射を行なったというように聞いております。
  34. 石野久男

    石野委員 中性子発生装置というものは、都がきめました予算の中で、都立アイソトープ総合研究所の中へそういうものを設置する予算措置はしておりますか。いつ、どういうふうにしましたか。
  35. 常陸壮吉

    常陸参考人 中性子発生装置それ自身は、人事委員会の勧告を受けたとおり、放射できる状況になりますまでに科学技術庁の許可を得てやらなければいけないものでございます。ただ、その中性子発生装置はそれぞれの部品を組み立てて完成させるものなので、たしか三十八年度からだと存じておりますが、それぞれ予算経理の都合上、部品を単年度に求められなくて、歴年少しずつ求めまして完成を急いでいた、そういうような経過でございまして、先ほど御質問のありましたことも、その過程におきましての事実でございまして、先ほどお答え漏れしましたけれども、勧告を受ける状態を承知しまして、直ちに、そういうことを今後しないようにはしておりますし、自後正式の手続を経て、許可を現在はいただいております。
  36. 石野久男

    石野委員 人事委員会から委員長さんがきょうお見えいただけないで、公平部長さんの小宮山さんにおいでいただいておりますが、昨年九月二十四日でございましたか、あなたのほうから勧告を出しております。当時その勧告を出さねばならなかった事情はどういう事情であったか、この際ひとつお聞かせいただきたい。
  37. 小宮山幸治郎

    ○小宮山参考人 アイソトープの職員の方が数名当委員会へ見えられまして、科学技術庁長官の許可を受けて使用すべき中性子の発生装置が許可を受けないで、先ほど常陸参考人からお答えになったように、一部テストをしておるという苦情の申し立てがございました。それで私たちは、そういうことではいけないと存じまして、さっそく調査いたしまして、九月の二十二日付で委員会におはかりして、勧告の文書を出した次第でございます。
  38. 石野久男

    石野委員 当時勧告はどういうような勧告をなさったですか。
  39. 小宮山幸治郎

    ○小宮山参考人 でございますから、職員から苦情の申し立てがあって、調査したところが、中性子の発生装置等が許可を受けないでテストをされておるということであるので、これは危険であるからさっそく許可を受けるよう、なお私たちのほうの人事委員会といたしましては、労働基準法に基づきまする職員の安全衛生、そういうことを監督するのが主でございますので、定期監督の結果を規定どおり行なって、その結果を遅滞なく当委員会報告するように、そういう二つの要旨でございます。
  40. 石野久男

    石野委員 所長にお尋ねしますが、あなたがこの所を管理する——当時は所長さんが違っておりましたね。しかし飯塚参考人も、その当時やはり前所長のもとに一緒におられたと思うのです。きょうは千谷前所長さんがいませんから、私は飯塚さんにお尋ねしますが、こういうような装置を科学技術庁長官の許可を得なくしてやるということはよろしいことだとお思いになって、こういうふうにやられたのですかどうですか。  あなたは原子力平和利用についての三原則などというものも十分に御理解があるのですかどうですか、この際あなたから所見を聞かしていただきたい。
  41. 飯塚義助

    飯塚参考人 こういう装置を無許可で、たとえ試験的にしろ動かしたということはまことにもって悪いことと存じます。所をあずかる責任者といたしましてまことに申しわけないことをしたと存じております。  原子力三原則ということにつきまして一々そのこまかい文面は覚えておりませんけれども、原子力をともかく安全に、そして平和のためにこれを利用するという趣旨のことはうたってあると私は信じております。
  42. 石野久男

    石野委員 私は科学者である飯塚参考人にあれこれ言わなくても、参考人のほうがよくおわかりだと思いますが、放射能障害というのは、われわれが何かどこかで機械的な障害を受ける、そういうようなものとは比較にならないような大きい人体障害を来たすものである。そういうことから、われわれは放射能障害というものを、かつては戦争の中で広島あるいは長崎等の被爆の実情から見、今日でもやはりそういう問題と関連して、これを神経質的にまで一つの問題にしているのです。ことに研究所が設立される場合には、地元の方々が非常に強い反対をされたはずでございます。その中で、あそこはだいじょうぶ、こういうふうにやりますからということで安全性を第一にあの研究所が設立されたということは、私よりもあなた方のほうがよく知っているはずです。そういう中で、無許可のままで中性子発生装置の試験——試験と申しますけれども、実は試験というのは、施設をしなければ試験はできないんですよ。しかも、先ほど局長がお話しになったように、予算の十分な措置がないものだから、こま切れで、やみで、あっちからこっちから部品を集めてきて、これを組み立てたものでしょう。そういう長い間意識的に、作為的に中性子発生装置なるものをつくって、しかも認可を受けないままでやってしまうということは、これはちょっと常軌を逸しているのではないか、こう思う。いま中性子発生装置がある部屋は、もともと最初からああいうものをつくる予定でつくった部屋でございますか。
  43. 飯塚義助

    飯塚参考人 いま置いてあります部屋は、最初から中性子発生装置を置くということでつくってあった部屋ではございません。
  44. 石野久男

    石野委員 あそこにはどういうものを設備する予定でございましたか。
  45. 飯塚義助

    飯塚参考人 非破壊検査をやるという目的であった部屋でございます。
  46. 石野久男

    石野委員 いずれにしても、もともとから中性子発生装置なるものをあそこに置くということではなかったところへあれを置いたわけで、ここにも一つ問題があると思う。これは、こういうことが今後またしばしばあったのでは困るのだが、常陸参考人は監督者という立場でこの問題をどういうふうにお考えですか。
  47. 常陸壮吉

    常陸参考人 先ほどからお話がありますとおり、安全性を確保して事業を遂行しなければいけないというのは、そのとおりだと存じます。したがって、中性子発生装置を置くために建てられた建物でない、これは所長からいまお答えしたとおりであります。それで、少なくとも現在は許可は得ただろうけれども、それを正式に稼働させるためには、やはりそれ相応の施設をしなければいけないということで、四十一年度も所全体の整備予算のワクの中でございますが、取れております。  それから先般来この問題につきまして、都としましても、それだけでもし予算が足りない場合はどうするかという問題がございます。これはまだ議会の議決もいただいてないことでございますけれども、私としましては、今後、現在の技術陣営あるいは場合によりましては外部の参考人意見もよく聞きまして、だいじょうぶなような状況でなければ中性子発生装置は稼働させないように、整備してから稼働するという考え方をもって現在所長とも話し合っております。
  48. 石野久男

    石野委員 当時中性子発生装置を置く予定がなかったところに中性子発生装置を設置しなければならなかった事情、どういうことからこういうものを置こうと考えたか、そういう点ひとつ御説明いただきたい。
  49. 飯塚義助

    飯塚参考人 中性子発生装置をあそこに置きました主要な目的は、放射化分析に使うということでございます。
  50. 石野久男

    石野委員 放射化分析をやるということのためにそういう施設をし始めたのはいつごろでございますか。
  51. 飯塚義助

    飯塚参考人 部品を、先ほども局長から申しましたように単年度で買わないで三年度にわたって部品を購入しておりまして、最初の部品を購入しましたのが三十八年度末、三十九年の三月でございます。それから三十九年度、四十年度で最後の部品を購入しております。
  52. 石野久男

    石野委員 科学技術庁にお尋ねしますが、科学技術庁はこの研究所に若干の補助金を出しております。河川トレーサーに対する補助金を出しておりますね。
  53. 村田浩

    ○村田政府委員 科学技術庁のほうでは毎年原子力平和利用の研究委託費並びに補助金を扱っておりますが、その研究委託費及び補助金の交付対象といたしまして、その一つの内容にアイソトープ及び放射線の利用に関する事項がございます。その事項に対して毎年各方面からいろいろと交付要請が出てまいるわけでございますが、都立アイソトープ総合研究所から出てまいりましたものをこの補助金の中で取り上げて補助金を支給したということはございます。
  54. 石野久男

    石野委員 科学技術庁はこういう補助金を出すにあたって、まあ申請があったからということで出すのでしょうけれども、私がただいま参考人各位に質問いたしましたような、こういうような事情科学技術庁は御承知でございましたか。
  55. 村田浩

    ○村田政府委員 先ほどお話の出ておりました真珠放射線を当てましてこれを変色させまして、いわゆる黒くなった真珠というようなことが放射線の一つの利用方法としてあるのではないかという研究はすでにだいぶ前からございまして、その関係にも、これは都立のアイソトープセンターではございませんが、ほかのところに補助金を出したことがあったと記憶いたします。しかし、都立のアイソトープ研究所現実に新聞に報道されたようなことがあったということは、新聞によって承知したわけでございます。
  56. 石野久男

    石野委員 これはまたあと科学技術庁に、監督上の問題でございますし、それから安全性確保という形についての重要な科学技術上の責務として考えてもらわなければならぬものがたくさんあると思うのです。私はまだほかにいろいろ参考人に聞かなければならぬことがありますから、科学技術庁のほうは途中で質問をとめます。  そこで問題は、この中性子発生装置が三年間の単年度計画で部品、設備、まあ一切の機械関係を集めて四十年に一応組み立てを完成した。それから人事委員会に問題が提起されるまでの間には何回かにわたるところの照射実験をしただろうと思いますが、そういうこと、あるいはまた、それを稼働させたということについてはどういう事情でございましょうか。その間の事情をひとつ聞かせていただきたい。
  57. 飯塚義助

    飯塚参考人 まず最初に、許可申請はどういう日時、経過をもって進んでいったかということをお話しいたしますと、四十年七月に担当部から放射線管理係に許可申請をしたいという要望がまいりまして、担当部と管理係とでいろいろ条件を打ち合わせてまいりました。それで資料を整えまして、十月二十九日科学技術庁長官あて申請いたしております。その後十二月末にさらに追加資料を提出いたしまして、そして本年一月二十四日正式許可を受けたものでございます。その間におきまして、八月の末、九月の初めにかけまして申請のためのデータをとる試験的な試運転をやった、これは事実でございます。
  58. 石野久男

    石野委員 この試験運転といいますか、やはり中性子発生装置を稼働させると相当程度放射能被曝線量というものが出てくる。それに対する防衛というか防護措置、そういうようなものがありませんと、その室内はもとより所の構外に対してもやはりたいへんな危害を与えるだろうということはおよそ予想されることなのでございますが、そういうことを所長はお考えでございましたでしょうか。
  59. 飯塚義助

    飯塚参考人 中性子発生装置を試運転することによって放射線がそこらに出る、これは事実でございまして、この点非常に間違ったやり方をしたということを非常に心から残念に思い、また後悔しておるわけでございます。それでそのときにやりました試験の状況でございますが、私の知っております限りでは二十回くらいの測定をやっております。一回の測定がカウント一分、その前後あるいは予備的な操作も考えますと、実際にビームが出た時間と申しますものは延べ一時間あるいはうんと大きく見て二時間程度であろうと推定いたしております。
  60. 石野久男

    石野委員 そこで問題になるのは、発生装置に対する許可が出まして実験をしておりますね。実験数値は現在のところだいじょうぶだ、外へこれだけのものを放射させてもだいじょうぶだという安心感の持てる事情でございますかどうですか。
  61. 飯塚義助

    飯塚参考人 許可はとりましたけれども、御承知のようにこういった発生装置は、すべて計算でもって許可申請し、それで審査されて許可が出るわけでございまして、許可が出たと申しましてもすぐ本式に使えるというものではございません。実際に試運転してみまして、そのデータを見た上で最後的に使ってもいいという断定が下されるということでございます。そこで、私どもは許可の出たこの装置につきましてともかく実測をするということで進めてまいりまして、いろいろ機械の故障その他ありましておくれましたが、五月二十四日と六日に試験をしております。そのときにはその号館の仕事はすべてストップいたしまして、そして測定する間は赤旗を立てまして、十分な管理体制下に測定をしております。その結果は、このお手元の資料の中にも入れてございますけれども、相当量の放射線がまだ出ておる、こういうことが事実でございまして、私の判断といたしましては、まだそういう漏洩がある状態では、科学技術庁にこれでよろしいですかと伺いを立てるところまでもまだいっていないと私は判断しておりまして、さらに安全性、遮蔽に十分意を尽くしまして手を施した上、さらに試験を重ねまして十分安全を確認いたしました上で使用したいと存じております。
  62. 石野久男

    石野委員 私は、あなたのほうから科学技術庁のほうへ出された中間報告のようなものを手元に持っております。資料の中にもあるんだろうと思いますが、まだ見ておりません。飯塚参考人がいま言われるようにこの出ておる——しかもこれを実験したのは、あなたがいま申されたように速中性子測定一分、熱中性子測定一分とでやったわけですね。そういう形でやったもののいわゆる全漏洩線量というものはたいへんなものですね。これではとても科学技術庁に許可をもらうところまでいかないくらいのことはあなた自身もわかっているし、科学技術庁だってこれはよくおわかりだろうと思います。私は、いまの中性子発生装置というものが、許可はあってもなかなか稼働できない事情にあるということはここではっきりしたと思うのです。ところが、先ほど飯塚参考人が言われたように、過去一年の間に延べ一時間ないし二時間ぐらいの照射実験をしているわけです。しかも、この期間中にやったことは、おそらくあなた方が今度きびしい、科学技術庁への許可申請という前提のもとに行なった事情とはだいぶ違いまするから、非常に安易な気持ちでこれは照射していると思います。同時にまた、今度の照射は他のたとえばコバルト照射だとか、あるいはベータトロンだとか、あるいはバンデグラーフだとか、こういうふうなものの照射を一切とめて単独照射をしたわけですね。ところが、過去二十回程度、延べ一時間ないし二時間行なわれたものは全部同時に照射してやってきているのですよ。その危険度というものは、これはたいへんなことだと私は思うのです。こういう事実を科学技術庁は何と思いますか、科学技術庁の所見をちょっと聞かしてもらいたい。
  63. 村田浩

    ○村田政府委員 科学技術庁は、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律に基づいて、放射性同位元素等を使用しようとするものから所定の申請を受け付けましたときに、これを審査しまして、そして技術上安全であるという判定をしましたときに許可を出しておるわけでございます。  その申請の中には、どのような設備を使うか、どういう方法で使うか、またその遮蔽装置等はどのような設備でこれを遮蔽するようになっておるかということがつぶさに説明書として出てまいるわけでありまして、そのような技術資料をもとに審査して、安全上支障がないと認めたときに許可するわけであります。  この都立のアイソトープ研究所の場合の一月二十四日にこちらで許可しましたのは中性子発生装置でありますが、他の放射線関係の機器あるいはコバルト六〇等を含めまして、たしか申請書のほうには、これらのものが最悪の条件で所外に漏れたとするときにどの程度の線量率になるかということを推定値として計算して出してこられておったと思います。そういう線量率は一時間幾らということで出てまいるわけでありますが、御承知のとおり障害防止法では、各事業所における漏洩線量の規制は、管理区域外におきまして一週間当たり十ミリレム、こういう数値で規制いたしております。したがって一時間の線量率が直ちにそのまま一週間の規制の率とはならないわけでございまして、結局これの使用の方法、毎日どのくらいの時間どういうふうに使うか、他の機器との関係をどういうふうにして使うかというようなその内容と関連してまいるわけでありますが、それらの点は、同じく法律に基づきまして、こういった機器あるいは線源を使用する際の放射線障害予防規定というものをその事業所でおつくりになりまして、これを届け出ていただくことになっております。その内容をまた私ども審査しまして、それが障害防止上有効であると認めますときにはそのまま受け付けておりますが、その内容においてさらに変更を要すると考えますときには指示をいたしまして内容を変更してもらっております。都立アイソトープ研究所の場合のこまかい予防規定の内容等についてはちょっとここに資料がございませんが、手続上は以上のような手続をとりまして障害防止上支障のないように措置を講じてきておるわけであります。
  64. 石野久男

    石野委員 科学技術庁が許可するときの事情はそうだということはよくわかるのです。都立研究所のほうから出ておる申請というのはどういうふうになっておるか、私はそれを見せてもらいたいのですが、最悪の場合でもそんなに大きい線量が出ないということになっておるからこれは許可したのだと思うのです。私の聞き及んでおるところでは、おそらくあそこはすぐ公道になっておるわけですが、あの申請の中には、公道の面ではゼロという数字が出ておるはずです。しかし最近、特に中性子発生装置を稼働した場合、ほんの一分間ぐらいの時間でも相当な量が出るわけです。ただいま局長は、一週間十二レムという線量に満たなければと、こういうことでございますが、一週間の線量十二レムというのは一日を二十四時間と計算するのですか、作業時間五時間くらいですか、どっちですか。
  65. 村田浩

    ○村田政府委員 障害防止法等でのいわゆる許容量というものをきめますのは、御案内のとおり国際放射線防護委員会、ICRPといっておりますが、世界各国の専門の科学者がお集まりになって、放射線の人体に及ぼす障害予防というたてまえから、この許容量の線量を核種こと、あるいは使用の条件、ことにおきめになっておるわけですが、この技術資料を勧告としていただいておりまして、それをもとにして許容量というものを法律できめております。法律というか、実際は科学技術庁の告示でございますが、障害防止法の場合は科学技術庁の告示二十二号できめてあったと思いますが、その考え方は、放射線事業に従事する者と一般人とを区別いたしまして、まず従事者に対する年間の外部放射線の許容量を五レムと規定いたしております。それに対して一般の人はその十分の一、つまり〇・五レム、ことばをかえますと五百ミリレムということでありますが、そういう年間の許容量を出しておる。これをわが国でも採用いたしておるわけでございますが、年間といいますと、非常に長い期間になりますので、法律上は、これを三カ月ということ、引き続く十三週間ということで、これを〇・三レムに押えております。その〇・三レムをさらに障害防止法等実施します際の便宜を考えまして一週間にいたしまして、一週間で十ミリレム−−先ほど十二レムとかおっしゃったようでございますが、十ミリレムでございます。つまり〇・〇一レムということでございますが、十ミリレムに押えておるわけでございます。つまりICRPの考え方は、大量の放射線を人体に与えますときには、これは問題なく非常に大きな障害が残りましていけないわけでありますが、ごく微量の線量が当たりますときの影響ということが、これは学問上まだむずかしい点が多々ございます。しかし遺伝等のことも考えまして、できるだけ低線量に押えるわけでございますが、これはある期間との関係におきまして、いわゆるコンペンセーションという考え方に立っております。したがって年間五レムというものを一年三百六十五日、一日二十四時間で割ったものを直ちに一時間当たりの率とせよ、こういう趣旨ではないわけであります。しかし他方におきまして、放射線管理いたします上に、あまり長い期間の集積線量をとらえますと非常にやりにくいというようなことから、わが国におきましては、法律規則等において一週間を単位としてとらえておる。そういうふうに、この放射線管理の記録保持等もまとめて出すようにいたしてございます。実際測定いたしますときは、ただいまもお話ございましたように、一時間当たりのいわゆる線量率を測定するわけでございますが、したがって、その一時間の線量率は非常に高いと当然一週間十ミリレムに達しますので困るわけでございますが、これがある程度低く押えられておりますときは、一週間百六十八時間になりますが、十ミリレムを百六十八分の一としましたものでなくても、使用の方法等がきちんと守られておれば、それで支障は起こらないものというふうに判断いたしております。この使用の方法等につきましては、申請にあるとおりに行なわれるということが当然の条件でございます。そういった点につきましては、先ほど申し落としましたが、放射線取扱主任者という規定がございまして、事業所ごとに国家試験で資格をとりました放射線取扱主任者の中からその点における管理者を事業所が選任しまして、その人がそういった面での技術的な取り扱いの主任になる、こういう組織をとっておるわけでございます。
  66. 石野久男

    石野委員 いま被曝線量の問題で、これは見方もいろいろあるのでしょうが、私どもは年間五ミリレムというものを現場作業員が受けるということについての見方を、大体一週間当たり——年間を五十週間くらいの作業時間と見て、一週間を五日と見て、一日を五時間くらいとか、そういうように見ていく計算のしかた、それがやはり現場での作業者の被曝線量としての許容量、こういうふうに見ていくんだというふうに理解しているわけですよ。そういうことから私どもの見方では、大体〇・五ミリレムというようなものを一時間当たりで受けていく場合、そういうものでいった場合、そしてそれの十分の一の〇・〇五ミリレムというものを普通人、こういうぐあいに考えているわけですが、いま局長の言うのと〇・〇一というのとだいぶ違いがあります。ここのところは非常に重要だと私は思いますが、そこだけで言っていると、いまの東京都立アイソトープ総合研究所の問題にちょっと入れませんから、いずれにしてもその問題はあとで論議をすることにしまして、もう局長は、中間報告にあった数値は見ておると思うのです。飯塚参考人も言っておるように、これは、とてもじゃないが、稼働できるような範囲のものじゃないと思うのです。ましてや、他のコバルト六〇だとかベータトロンだとか、あるいはバンデグラーフとかいうようなものを稼働させるというようなことになると、これはその放射線量というものはたいへんなものになるだろう、こう思いますので、この時点で、私は、中性子発生装置というものだけじゃなく、研究所自体の中での施設について技術庁が許可しておりますが、あれでいいのかどうか、もう一ぺん再検討する必要があるのではなかろうかと私は思うのです。と申しますのは、先日、あそこを見まして非常に狭小な場所に幾つかの施設がごみごみしているわけです。どちらかというとその辺の町工場へ行ったよりももっとひどいと思うのですよ。あの状態の中でもし、ふだん事故がないままでおっても、かりに地震とか何かがあって事故が出てきた場合、あれでいいのかどうかという問題が出てくると思うのです。私はああいう状態のままでいいのかどうかということについての科学技術庁のはっきりした所見を承りたいのですが、しかし、局長は申請された書類で認定するわけでございますから、実情はわからないだろうと思うのですよ。きょう参考人に総合研究所から放射線管理係長をしておられます糠沢さんがおいでになっておりますが、糠沢さんにお尋ねします。あなたは放射線管理の当面の実務担当者だと私は思いますけれども、あなたが「原子力工業」という雑誌に「都立アイソトープ総合研究所の実態」という文章を発表なさっておられます。これによりますと、やはりいろいろな御意見があるようでございます。あなたの立場上、おそらくこれは書きにくいところまでこういうように書いておられるのだろうなというふうに思いながら私は読む項目がたくさんございますが、「原子力工業」に書かれました放射線管理につきましての総合研究所での問題点というものはどういうところにあるのだろうか、この際、ひとつ率直にお聞かせいただきたいと思います。  私はこの際、参考人、特に常陸参考人、それから飯塚参考人にお願いしておきたいことですが、私がいま糖沢参考人にお聞きします場合には、これは職場の上ではやはりそれぞれの関係があるわけでございますから、なかなか言いにくいこともあろうかと思うのです。しかし、そういう点はひとつざっくばらんに言ってもらうことが、参考人としておいでになった方には非常に大事なことだと思うし、私どもも非常に大事だと考えます。それで、ここで言ったことについて、あとでいろいろ職場の中で問題が起きては困るので、糖沢さんのほうも原子力の安全保持という立場からの良心的な発言をしていただく。所管の長であられるあなた方が、それをことさらに職制の上であれこれやらないようにしていただくことをひとつお願いしまして糠沢さんから御所見を聞かしていただきたいと思います。
  67. 糠沢敦

    糠沢参考人 お答えいたします。  ただいまの私の「原子力工業」に書きました放射線管理問題点につきましての御質問でございますが、まずこの本が書かれました経過から申し上げますと、これは東京大学の医学部の吉沢助教授が、放射線管理につきましての講座を一年間以上にわたりまして「原子力工業」に載せております。そのあと、各事業所におきます放射線管理の実態についてゼミナーの形で載せてほしいということで、私のところへも参りまして、実際の姿を載せてほしい、そういうことでございました。私としましては、一応研究所放射線管理のあり方がいかにあったほうがいいかという問題から書き起こしまして、実際の姿がこうである、今後こういう問題が残るというところまで書いたと記憶しております。  ただいまの御質問の中の焦点は、どういうところに問題があるというふうに考えて書いたのかという御質問だと思います。その点につきましては、具体的に何ら「原子力工業」では触れてないと記憶しております。ただ、私が実際にやっております管理立場から痛切に感じております問題点を申し上げますと、まず第一番目は、やはり放射線管理仕事は、お互いの信頼の上に立たなければ何も行なえないということが第一原則であります。それはなぜかと申しますと、放射線管理というのは決して警察権を持っておるわけでもございません。そういう形であっては決していけないわけでして、やはり研究が安全にスムーズに進むようにサービスするというのがこの精神であります。そのためには研究を進めていく研究者方々の良識がわれわれにとっては非常に重大な問題になります。ですから放射線管理にとりましては、何がやりたいか、どういうことが行なわれているかということを逐一御相談していただきたいということが放射線管理の第一原則でございます。そのためには研究所の中のヒューマンリレーションというのが非常に大きな問題でございます。ですから私は、放射線管理の大きな柱としてヒューマンリレーションと、それから研究所の職員の健康管理という大きなテーマを掲げております。それでそれぞれにつきましていろいろ書いてあったと思います。その具体的なことは、また具体的な御質問がございましたらお答えできると思いますが、結論から申し上げますと、要するに放射線管理というものに対する認識が非常に低いということがまず第一でございます。研究者立場に立ちますと、自分のやりたいことも規制されるのではないかあるいは何か探られるのではないか、まあそういうような立場もございましょうが、放射線管理というものは決してそういうものではないということを認識していただきたいということが第一の問題であります。  それから第二の問題は、やはり予算とか人手の問題でございます。と申しますのは、いろいろの放射線管理上の測定器械というものをたくさん持っております。しかも一応自動化された管理方式というものをとっておりますが、これが非常に問題でございまして、自動化ということは決して人手減らしにはならないということ、その認識が足りないのではないかと思います。と申しますのは、自動化するということは決して人手を少なくするために自動化するのではない、自動化することによって逆にその自動化された機械を保守するための人手が非常に要るということ、そういうものに対する認識というものが若干欠けているのではないかと考えられます。  それから次には、いろいろな測定の基準、これはもう研究所だけの問題ではございませんで、一般的に放射線管理業務に携わる者の大きな悩みでございますが、一体測定の基準というものをどこに置くか、それの記載はどうするか、それの評価はどうするか、そういう問題が統一されていないことが大きな悩みでございます。ですから各研究所間の横の連絡というのはなかなかとりにくい。たとえば大きな研究所ですと相当の技術者がおられる、専門家も相当たくさんおられて、そこでやられた測定というのは相当高度のものでございます。ところが私どものような研究所でございますと、ある程度やっておりますけれども、やはり大きな研究所に比べて測定技術というものに若干開きがございます。ですから私どものところでやった結果がその大研究所でやった結果と直接比較できるかというと、なかなかむずかしい問題だと思います。そういう意味研究所間のそういうデータの横の連絡というのはなかなかスムーズにまいりません。そういう意味で私どもは測定基準の統一というものが何らかの形で行なわれる必要があるのではないかというふうに考えております。  それからいろいろの管理上の装置、たとえばエアフィルターのようなもの、そういうものの維持管理の基準というものはございます。私どももいろいろと寄り寄りほかのいろいろの研究所との間で研究会を設けておりますけれども、非常にむずかしい問題で、もちろん経済的に余裕がある場合にはどんどん金をかけて取りかえるなり、あるいは新しいものを補給するなりという形がとれるのでございますけれども、やはり安全管理はそこにもう一つ経済的な安全管理ということも考えなければならない、そういう意味でそういう維持管理の基準というものがいかにあるべきかということを確立することも大きな問題だと思います。  それから次には、ただいまお話にも出ましたように、放射線取扱主任者の職分というものがきわめて不明確でございます。これは法律に書かれている職分は非常にあいまいと申しますか、非常に抽象的でして、実際には各事業所がその放射線取扱主任者をいかに考えるかという問題にかかってくると思います。ですから、この問題はあくまでも事業所自体の問題でございますけれども、ただそれを事業所の中できめますときに非常に裏づけが弱いためになかなか職分を明確にできないという悩みがございます。そういう点をはっきりする必要があるのではないか、そういうふうなことを書いたように覚えております。  以上でございます。
  68. 石野久男

    石野委員 ありがとうございました。私は時間の関係もありますので、こまかいことは質問いたしませんが、いまの糠沢参考人のお話の中でも、またありのままのことを書いたというような意味でここに書かれておるこの論文の表の中に「使用線源保有状況」というのがございます。これは現有のものと計画上の予定のものと分離しておりまして、ここの中では、計画上はほとんどなかったものがずいぶんここへ入っているわけですよ。その中にたとえばバンデグラーフの電子線とか、エックス線のところに新たに中性子線なんかがずっと入ったりなんかしておるわけでありますが、私どもしろうとが実際にあそこに行って入ってみて、非常に設備過剰になっておる、非常に狭い面積の中にずいぶん多くのものがごみごみと、もうこれ以上は詰まらないと思われるような設備が行なわれているように思うのですが、こういう状態は危険防止の上からいきましても、安全性確保の上からいってもよろしくないのではないか、こういうように考えるわけです。この点はひとつ参考人、特に常陸参考人には、管理者として十分考えてもらわなければいかぬだろう、いまここでどうせよということは申し上げませんが、これは考えてもらわなければいかぬ。同時に、科学技術庁としても、やはり書類上の認可だけではなしに、これは現実に実地調査をやっていただいて、やはり十分検討を加えていただく必要があるのではないか、こういうふうに思いますので、この点をまず第一にお願いしておきたいと思います。  そこで、問題になるのは、先ほど中性子の発生装置が稼働する間に出る放射線量が非常にきついから、当分は仕事ができないということだけはっきりわかったのですけれども、従来のものでみましても、やはり申請当時のものから見れば、申請当時はゼロですから外へ出るのははるかに多いわけですよ。ところが、たとえば週刊読売がここに書いておりますようなこの例を見ましても、ここに出ているのは許容量よりは少ないのだからいいんです、こういうことかもしれませんが、しかしここでもはっきりしておることは、公道の中で 〇・一二というものが出ておるわけです。こういうような状況が出てくるのにはやはりどこかに原因があるはずだと思うのです。その原因はただいま糠沢さんからもお話があったエアフィルターなどの問題も一つあろうかと思います。この前私は見学というか調査にいきましたときに、所長さんから、たとえばコバルト六〇の照射の問題なんかについて飯塚参考人は、そのときの照射角度がどの方向かによって外での線量が違ってくるのだというような話をなさっておりました。私はあれを聞いて、実をいうとあなたの安全性の問題に対する関心の度合いを疑ったのです。そもそもこういう施設を行なうにあたって、特に申請をする場合には、その施設が先ほど原子力局長のほうからも話があったように、最悪の場合における漏洩線量というものはどのくらいかということを出しておるはずだと思うのです。一つの実験室内でその照射角度がどうあろうと、それは平常な事態においてただ方角が違っただけなんですよ。それですでに外へ出る量が違ってくるというようなことをわれわれに納得させようという御説明をなさいましたが、あれはあなたの間違いだったろうと思うのです。ああいう説明を聞くというと、私どももしろうとだけれども、実にばかにしておるのにもほどがあると思ったわけですが、いまでもあなたはそういうような考え方をしておりますか。
  69. 飯塚義助

    飯塚参考人 ベータトロンの使用許可につきましては、ビームを出す方向まで規定されておりまして、下向けとコバルト照射室向けにおいて使うという条件下に許可をとっておるわけでございます。平常はその使い方をやっておるわけでございますが、あのデータが出ましたのは、ともかく出得る最大のものを出すということで、ベータトロン、コバルト、バンデグラーフを同時稼働いたしまして、特にベータトロンを道路側に向けましてやったデータでございまして、科学技術庁求めによってそういう資料を提出したわけでございます。そういう条件におきましては、公道上において〇・〇六ないし〇・一二という漏洩線量がはかられたということは事実でございます。平常の使用状態におきましては、三つの線源を同時稼働いたしましても、その公道上における漏洩というものはきわめて微弱でございまして、測定器で精度のよい測定はできにくい程度のものでございます。
  70. 石野久男

    石野委員 平常時何にも事がない場合はかりにいま参考人のおっしゃたような事情であったといたしましても、それが事故のあったときに不安であるということからいろいろやはり認可、許可の条件がきびしく出ているのだと思うのですよ。いま、科学技術庁からの命によってやりましたときにはこうでございました、しかし平常の時は何でもありませんからそれでよろしい、こういうお考え方かどうかということを聞いているわけです。
  71. 飯塚義助

    飯塚参考人 御指摘のありましたように、安全性というものは最も大事なことと存じておりまして、そういう線源の使い方その他につきましては十分これは検討を要する問題があるかと存じております。いろいろ御忠告いただきまして肝に銘じております。安全性の点にはさらに一そう注意をし、十分安全を確保していきたいと存じております。
  72. 石野久男

    石野委員 所長は、中性子を使って昭和電工からのアルミニウムに対する照射のなにを研究所でやっておりますね。
  73. 飯塚義助

    飯塚参考人 昭和電工から来た試料をそういう試験に使ったということは聞いております。
  74. 石野久男

    石野委員 私は検事じゃございませんからここであれこれのことをそうしませんけれども真珠の問題だとかあるいは水晶の問題なんかで照射したこと、そのこと自体は何でもないけれども、それが流通過程に行ったときにいろんな非道徳的な事態が出てくるということを先ほど問題にいたしました。中性子発生装置の問題については実験過程であったと言っておる。しかし、その過程の中でやはり昭和電工の注文を受けている、これはよくないことじゃないですか。
  75. 飯塚義助

    飯塚参考人 私が聞きました範囲におきましては、これは委託を受けてこれの照射をやったという形のものではございません。昭和電工から将来中性子発生装置ができたときのことを想定して共同研究をしたいという申し出があったということは聞いております。そのときに、こういう試料があるということで提供されたものをその試験のときに使ったということは事実であると私は報告を受けております。
  76. 石野久男

    石野委員 その照射をなにするときに、やはり同位元素協会のほうからトリチウムのなにを受けておるわけですね。
  77. 飯塚義助

    飯塚参考人 トリチウムを……。
  78. 石野久男

    石野委員 使っているわけでしょう。
  79. 飯塚義助

    飯塚参考人 運転するときには使っておるわけでございます。
  80. 石野久男

    石野委員 こういうようなことは、許可もない前からそういうことをやるという認識の問題が非常に重要だと私は思うのですよ。しかも今度実験過程の中で線量がもう想像以上に出ているわけです。過去一カ年間に事故が起きるというか、作業者から苦情が出て、人事委員会の勧告を受けるに至るまでの間には、参考人のお話によると、二十回ほど照射している、こういうお話でございますが、その間の放射線量といいますか、そういうものを管理する立場にいました糠沢さんはどういうふうにごらんになっておられましたですか、ちょっと所見を聞かしてもらいたいと思います。
  81. 糠沢敦

    糠沢参考人 たいへん申しわけないのですが、いまの御質問の具体的な趣旨がちょっとのみ込めなかったので、もう一度おっしゃっていただけませんでしょうか。
  82. 石野久男

    石野委員 中性子発生装置というものは、過去において何回か実験だか何だか知らぬけれども、作業しているわけですね。今度中性子発生装置の試運転といいますか、そういう試運転をやったときに、そこから出た線量というものは非常にきついということが今度わかったわけですよ。過去二十回かの間、連続的であったかどうか知りませんけれども、そういう中性子発生装置の作業に入る事態があったわけですね、これは参考人からそういうお話でしたから……。そのときには外部に対して放射線量というものが全然出ていなかったのかどうか、そういうことについてあなたのほうはその間のデータなどというものを持っておられないのかどうか。
  83. 糠沢敦

    糠沢参考人 中性子発生装置が使われていたということにつきましては、放射線管理立場といたしましては、全然存じませんでした。と申しますのは、昨年の七月にあらためて担当部のほうからこういう装置があるから申請してほしいという話はございましたが、その前にそういうものが稼働状態にあるということは全く存じませんでしたので、データも持ち合わせてございません。
  84. 石野久男

    石野委員 これはデータもないのだからどうにもしかたありませんが、これは科学技術庁のほうもこの際——都立のこういう公的なりっぱな研究所でもこういうことをやっているわけですね。ほかにもそんなことがあるのかどうかわかりませんが、商売人がいろいろなことをやる場合にはもっとひどいことがあるのじゃないかと思います。いまのような事情から見て、これはこのまま放置しておいちゃいかぬと思うのです。しかもまた、こういうような過去におけるところの実験期間中に出た放射能障害というものが、累積線量というものが大きくならなければいいですよというようなわけのものじゃなかろうと思うのですよ。こういうことをやること自体が問題なんだろうと思いますよ。そういうことも勘案して、この際、科学技術庁としては、都立アイソトープ総合研究所が過去においてやってきたようなことを再び繰り返さないためにどうすべきかということを、ここではっきりひとつ所見を聞いておかなければいかぬと思います。いま現実には実地調査というものをやっていないからわからないのでございましょうけれども、こういう事態に対処する科学技術庁のあり方というものについての所見をひとつ聞かしていただきたい。
  85. 村田浩

    ○村田政府委員 先ほど私が申し上げました累積線量の問題は、使用の申請をしまして許可されたときの条件を前提といたしているわけでございまして、先ほど来の話にございましたように、申請いたしませんで黙って放射線発生装置を使っておった、こういうようなことはもちろん全然問題外であります。これは突き詰めてみますと、明らかに法律違反になるわけであります。ですから、その際に、たとえ非常に少量の線量しか漏れないような状況でテストしておられたにしても、これはいけないわけであります。私が申し上げましたのは、申請されて許可した後の問題としてお聞きとり願いたいと思います。私どものほうもたくさんの事業所を監督いたしておりますので、過去において必ずしも一〇〇%満足な障害防止上の管理ができておったかどうかという点は、あるいは問題があるかと思うわけでありますが、先ほど来申し上げましたような規制の方法のほかに、法律にもございますように放射線の検査官というものが法律で置かれるようになっております。現に私どもの原子力局のほうに検査官が任命されておるわけであります。この検査官によります立ち入り検査を随時行ないまして、そうして申請書に記載され許可された事項のとおりに実際の運用が行なわれておるかどうか、このことを毎年ピックアップして全体の事業所の中から順次立ち入り検査を行なってきておるわけであります。従来の例で申しますと、年間大体二百から二百五十カ所くらいをこのような立ち入り検査の対象としてまいっております。しかしながら、お話にもございましたように、だんだんと放射性同位元素あるいは放射線発生装置の研究開発及び実用への利用ということが広まってきておりまして、そのため、ことしの四月現在の数字で申しますと、全国で千三百五十カ所程度の事業所が今日許可もしくは届け出をいたしております。これらの事業所に対しまして昭和四十年度は大体三百カ所ほど、また本年は三百二十カ所ほどを立ち入り検査の対象とするように計画をつくっておりまして、その計画に従って検査官を派遣して随時内容のチェックをいたしております。全体の数がふえるに伴いまして中央一カ所で全部見るということはたいへんなことでございますけれども、将来は別としまして、ここしばらくはただいま申し上げましたような組織をさらに強化いたしまして、そうして、書類審査だけでなくて、その後の実際の運用状況等を立ち入り検査によって確認してまいる、こういった点での監督を一そう強めていきたい、こういうふうに考えております。
  86. 石野久男

    石野委員 科学技術庁もこういう点は厳重に監督してもらわなければいかぬと思います。先ほど飯塚参考人は昭和電工からのアルミニウムの問題については共同研究だというようなお話でございましたけれども、私たちの聞いているところでは、これは昨年の五月に昭和電工の某氏からこの問題のやはり注文を受けて、それで実際に実験に当たったというものだと聞いておるわけですよ。そして、それだけじゃない。最近こういうことが問題になってからあの地域の人たちの話を聞いてみますと、ちょうど三年前にあの近くの子供で、やはり白血球か何かそういう病気でなくなった方がおるんですよ。こういうことも聞いておりまして、つい最近私どもはあそこで地域の人との懇談をやりましたときにも、ああそうかなあということで、その時期がちょうどこの発生装置を何回か実験したか稼働さしたか知りませんが、そういう時期のときなんです。おそらく、それと直接関係あるかどうかわかりませんけれども、周辺地において子供さんが白血球関係の何かそういう病気でなくなっているという事実も出ているわけですよ。しかもその上に、この公道におけるところの被曝線量というものは非常に大きいということももうおよそはっきりしてきております。それで私はやはりこの時期においてこういうものを、かりに中性子発生装置なら発生装置というものを設置してそれを稼働状態に置き、ノーマルな形で仕事をさせようとするのにはおよそどの程度の配慮を、安全とかあるいは作業上必要な防衛処置とか、そういうようなものをしなければならぬかというようなことについてこの際、お忙しいところをおいでいただいております熊谷参考人にひとつ御所見を聞かしていただければと思います。
  87. 熊谷寛夫

    熊谷参考人 私、参りましていろいろな話を伺っておりましたのですが、自然科学的な技術的なことよりも、何か心がけということに関することが多うございまして、私の申すことはないのかと思っておりましたのですが、私に何か意見を申せと言われますと、実は私ども原子核研究所でございまして、加速器がございます。届けを出しまして、科学技術庁のお許しを得てその範囲で運転しておりまして、一度立ち入り検査においでくださったことがあったかと思います。私は原子核研究所放射線取扱主任者でございます。長くそのことを考えておりまして、最近だんだんと加速器の性能も上がってまいりまして、多少考えなければいけないことがありますのですけれども、昔は加速器の性能が低くてたいしたものではなかったのですが、それでも私まず申しましたのは、所内の人の健康管理をまずやろう。東大の本部の事務のほうの人が来まして、非常に厳重な白血球の検査をしております。ところが、サイクロトロンその他で働く人までも含めて放射線とおぼしき障害は四、五年来全然見当たりません。それは当然でありまして、いまのICRPの勧告によって法律以下に押えておりますから、あるいは遺伝のことまで考えに入れて押えているのだそうでございますから、白血球の現象などに簡単に影響があらわれるようなものではない。法律で押えたというのは非常に安全な押え方だそうでございます。  それで今度は研究者は——私も年をとりまして、研究者であるかどうかちょっとあやしいのですけれども糠沢さんのおっしゃったように、研究者研究したいということでたいへんわがままでございます。ですけれども、私ども年をとりますと、研究したいという欲望をあまり押えるのも結局科学発展のためにいけない点もあるとは思いますけれども、私しょっちゅう言っておりますのは、私ども研究所も田無へ研究所をつくるときに土地の方にいろいろ御意見を伺って、いわば反対されたこともございまして——反対されたから神経質になるべきだ、そんなことはございません。もっと一般論で、私どもが申しますのは、研究者は少し欲望を持つけれども、二つある。研究所には研究に直接関係のない働き手がございます。そういう人は、先ほどの一週間に十ミリレムであるか、三十ミリレムであるか、その境界線になる人たちでございますが、それに対しては法律以上の被曝は絶対いかぬ、絶対規制する。それから一般人は一週間十ミリレム以下、それに対しては絶対にいかぬ。研究者が幾らやりたいといっても、それこそは絶対にいかぬ。測定をちゃんとやりまして、糠沢さんのおっしゃったように測定装置にも問題がありまして、いまその境界線のあたりでどうであったかというようなことは問題があることもございますけれども、少なくとも良心として、研究所の中で働く人、あるいは境界線に近い一般人に迷惑をかけるというのは——法律を守れば迷惑をかけることは絶対ないわけで、法律以上のことをしないようにということは絶対にしております。研究者研究したいということは押えると申しますか、現に先ほどのことを繰り返しますと、研究者はときどきわがままを申しまして、私ども最近反省しておりますのは、研究者自身は少し当たってしまうこともあるらしいのですね。それは大目に見るんだなんということを私言ったこともございます。最近はそれも反省しまして、それもいかぬ、こういうように言っております、気がゆるんでまいりましてはいけませんから。  何を申していいかわかりませんけれども、自分の経験と、要するに自分の研究所放射線取扱主任者として数年間の考えてきたことだけを申し上げました。
  88. 石野久男

    石野委員 たいへんありがとうございました。私はやはりこういうものをやるときは放射線を利用して人類文化を進めていくということは非常に大事なことですから、これはもうどんなときでもそんなに引っ込み思案にならないでやるということは私も肯定するわけです。ただ、その場合には、いま熊谷参考人からお話があったように、あくまでも研究者なりその周囲の人々に被曝とかなんとかいう危害の加わらないような準備がまず先行しないといけないのじゃないかと思います。都立研究所の場合、最初の着想は非常によかったと思うのですが、しかし実際の運営過程の中で、たいへん中小企業にお役に立ちたいという気持ちが先行して、そして一切の法律を無視する——そこまで言ってはひどいかもしれませんが、もう原子力平和利用の根本的な概念までもなくした形で、条例にこうきまっているのだから、注文を受けて照射するのは私のほうの仕事でございますよというような考え方を所長さんなりあるいは管理責任者という方が持つようになってくると、その研究所は非常に害悪を周囲に及ぼすことになってくるだろうと思います。だから私はこの際、この都立アイソトープ総合研究所所長さんはいわゆる所定の資格を持った責任者だろうと思うのですよ。飯塚参考人はそのりっぱな認定を受けた有資格者である。その方がこういうことをやっているということになっては、私はこれはその認可を取り消すべきだと思うのですよ、率直に言って。こんなことを許しておいたらあぶなくてしょうがないですよ。このことは厳にひとつ所管の場で考慮してもらいたい。  それから、せっかく参考人おいでになったのにこういうことを言うのはきついかもしれませんけれども、私は決して参考人にあれこれ言うのじゃなくて、全体としての安全性の問題から申し上げるのですから誤解のないようにしていただきたい。  それから都の機構上の問題について、私がこういうことを言うのはおこがましいことでございますけれども、私はこの都立アイソトープ総合研究所というものの機構上のなにを見ますると、これは経済局の所管に入っております。そのために経済局ということが先行して、サービスをオンリーに考えるという非常に誤った運営が行なわれているんじゃないかと思います。もしこういうような事情が続くとするならば、これはやはり研究所の資格を少し考えなくちゃいかぬのじゃないかと思うのです。そういう意味で、科学技術庁もやはり研究所に対して新しいものの見方をしてもらいたいし、それから都の中では機構上の問題として経済局の中へこれを置いていいのかどうか、ここもひとつ配慮していただきたいと私は思う。  それからいま一つ、研究所の庶務規程というのを見ますと、放射線管理の問題は庶務課の中に入っているのです。私はこういうところにも安全性の問題に対する都の考え方といいますか、この研究所の視点の合わせ方というものに少しずさんなところがあるんじゃなかろうか。これはもう明確にこの部門だけ一つ管理形態をはっきりすべきじゃないだろうか。そうでないとこういう問題に対しての十二分な管理が行き届かないし、あるいはまた、やみくものようなこういう施設が行なわれたりしてくるということになるのだと思いますので、私は、東京都のほうでこういう都立アイソトープ総合研究所の機構上の問題についてもこの機会にひとつ考えていただいて、一般の人々が不安感を持たないようにしてもらいたい、こういうことをひとつお願いしたいのです。  それともう一つは、皆さんはこういう立場ですから、外部に対しての漏洩線量というものはそんなに危険はございませんよと、こういうことを言っておりますけれども、しかしあそこの中の施設を見ますと非常にごみごみしておりまして、全く町工場みたいな状態でございますし、しかも施設は折り重なったような形で配置されているわけですから、こういう状態はやはり改めなければいかぬだろう、もしあのままでやるならば、もっと厳重な防護装置をすべきじゃないだろうか、こういうふうに私は思うのです。特に中性子発生装置を置いておりますところの部屋は、配電室であったとかあるいは変電室に引き当てるようなものを暫時ああいうふうに引き当てたものでございますので、周囲の障壁などというものも必ずしも十二分じゃないと思うのです。そこで結局放射線量の漏洩を防ぐためにブロックを積み重ねて、あそこに簡単に置いてみるというようなことをしたりしておりますが、しかし非常に危険なものを取り扱う場所で、ただ障害が出ないようなブロックの積み重ねなんというようなことは、これはあまりにも法規を無視したものだといわなければいかぬと思うのです。これなどももっと堅固なものにしなければいけない、若干の地震があってもくずれることのないようにしなければいけない、こういうような一般の所内施設に対しての法規に十二分に即応するような処置をすることを私はお願いしたいと思います。  きょうは私はせっかく参考人皆さんおいでいただいて激しいことばで申し上げましたが、ただいま私が申し上げましたことについて所長さんなりあるいは局長さんの御所見も承り、最後に、大臣がおいででございますが、こういうような事情がすぐおひざ元であるという実情にかんがみて、大臣はどういうようにお考えになっておられるかをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  89. 常陸壮吉

    常陸参考人 いままで数多くの御質問なり御意見をちょうだいいたしました。主として住民に対します安全性並びに職員、家族に対して不安感を与えてはいけないという点が重点だろうと存じます。御質問の中には、これがまっすぐに第三者に聞かれましては、いかにもふていさいなアイソトープ総合研究所のような印象を受けるようなおことばもございましたけれども、ただいま石野委員御自身も質問の過程だからこう言ったんだと言われました。そこで私どももその真意のもとに、これからなるべく安全性を——なるべくというよりも真に安全の保てるようなことにしたいと思います。ことに局長限りでできます局内の組織の問題につきましては、ただいまの意見そのとおり拝聴して、一日も早く実行に移したい、さように思います。いかにもしろ科学的の問題でございますので、明確なお答えができなかった点は多少あろうと思います。しかしながらいろいろな法律に規制されました許容の範囲内で、やはりアイソトープの将来の平和利用のために努力していかなければならないと思いますので、今後ともいろいろ御叱正賜わる場合が多いと思いますが、東京都のアイソトープ総合研究所の健全なる発達のために、今後ともよろしくお願いしたいと存じます。  以上でございます。
  90. 石野久男

    石野委員 私は、時間がもうだいぶ長くなっているので申しませんが、これは特に常陸参考人、それから飯塚参考人注意してもらいたいことは、たとえばエァフィルターの問題にしましても、結局あそこにはもっと微細な粒子を確保するための装置としてのエバポレーターのなにを入れなければいかぬわけでしょう。そういうものも入ってないわけですよ。これは予算措置なんか足りないからそういうことになっているんだろうと思いますが、やりたいけれども予算がないのでできなかったというような実情だと、これなんかやはり十二分に——中国の灰がこわいとかなんとかいっているのに、すぐそばではそんなものがどんどん出てしまうのではしようがないのだから、やっぱりこういうこともやってもらいたいし、それから、やはり排水の問題で、せっかくあそこにはエバポレーターがちゃんとあるにもかかわらず、それが十分使われないままでおるように聞いておりますから、これなども使うなら使うようにしなくちゃいけませんし、使えないのなら使えないようにまた別な考え方をしませんといけないと思うのです。ことに、私が特に配慮してもらいたいことは、あそこには第二国立病院もございます。それから、あの呑川の下流には東京工大もあるわけです。それらがみんな放射線の危険のある残滓物を流したりなんかしているわけでございまするから、東京都の総合研究所のほうで排出するものは許容量でありましても、今度それに第二国立病院だとかあるいはまた東京工大のものがみんな流れて、いきますると、その川の中に含むところの残滓物の持つ放射線量というものは非常なものになるだろうと思うのですよ。これは、もちろん東京都の問題であると同時に、やはり科学技術庁の問題でもあろうかと思うのです。その上になお、先ほど技術庁からもお話がありましたように、全国的に見ましても非常にたくさんの放射性物質に関する取り扱いをしている業者がおるわけです。ことに最近では中小企業アイソトープを利用するというようなことをよくやっておりまするし、夜光塗料などを使うところもたくさんあるわけです。こういうところで使っている方々が、やはり使用可能なときには使っておりますけれども、使用不可能になったようなものをどういうように処置するかという問題なんかもあるわけです。残滓物をどこへ捨てるかという問題で困り抜いているところもたくさんある。こういうようなところは、東京都のほうでももちろん考えていただきたいし、科学技術庁のほうでもこういう問題については配慮していただきませんと、いたずらに、それがいいからというようなことであっちでもこっちでも危険性を無視した形で使うだけのものを使うということになってしまうと、どこもここもみんな放射能で一ぱいになってしまって、しまいにはこの呑川の下流地帯なんかでは、夏場になれば海水浴をやっているのです。そこへみんなそういうものが下水を通って流れていくのです。これはたいへんな危険だと私は思うのです。だからそういうところの管理を十分にしていただくような配慮を願いたいと思うのです。これは、東京都もそうですが、ひとつ科学技術庁としてもその管理を厳重にしていただきたい。大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  91. 上原正吉

    上原国務大臣 きょうはたいへん貴重な質疑応答を拝聴させていただきまして、たいへんしあわせに存じます。アイソトープは放射性物質でございまして、これがあらゆる方面に使われる、ますます広く大きくひんぱんに使われる、こういうことに相なってまいりますることは当然のことでございますから、その安全性というものにつきましては、現在払っておりまするさらにさらにより以上の注意を払わなければならぬということを痛感した次第でございまするし、これには法制上も予算上も相当処置をとらなければ期待する実効はあげがたいと感じますので、今後この方面にも極力努力をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  92. 原茂

    原委員長 この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十三日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後三時四十五分散会      ————◇—————