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1966-04-13 第51回国会 衆議院 科学技術振興対策特別委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十三日(水曜日)    午後一時四十九分開議  出席委員    委員長 原   茂君    理事 中曽根康弘君 理事 西村 英一君    理事 前田 正男君 理事 岡  良一君    理事 田中 武夫君       大泉 寛三君    加藤 高藏君      小宮山重四郎君    三木 喜夫君       森本  靖君    山内  広君       稲富 稜人君  出席国務大臣         文 部 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣 上原 正吉君  出席政府委員         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         科学技術政務次         官       田川 誠一君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   小林 貞雄君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  高橋 正春君         外務事務官         (国際連合局         長)      星  文七君         運輸政務次官  福井  勇君         気象庁長官   柴田 淑次君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         建設政務次官  谷垣 專一君  委員外出席者         文部事務官         (大学学術局議         官)      木田  宏君         建 設 技 官         (国土地理院         長)      安藝 元清君         参  考  人         (東京大学宇宙         航空研究所所         長)      高木  昇君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (関西テレビ放         送株式会社常務         取締役)    林  龍雄君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君     ————————————— 四月十三日  委員米内山義一郎君及び内海清辞任につき、  その補欠として森本靖君及び稲富稜人君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員森本靖君及び稲富稜人君辞任につき、その  補欠として米内山義一郎君及び内海清君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地震予知研究推進に関する件  科学技術振興対策に関する件(宇宙空間平和利  用に関する問題)      ————◇—————
  2. 原茂

    原委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  地震予知研究推進に関する件について、自由民主党、日本社会党民主社会党の三党を代表して三木喜夫君外二名より、決議をすべしとの動議が提出されております。  まず趣旨説明を求めます。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ただいまの動議につきまして趣旨説明をいたします。案文の朗読をもって説明にかえたいと存じます。     地震予知研究推進に関する件(案)   わが国においては、地震に関する研究が始められてよりすでに八十年以上の歴史を経ている。この間地震研究は着実に進歩し、現在では国際的にもこの学問の分野における指導的な役割を果している。   それにもかかわらず、適確地震予知は未だ不可能であるという現状である。地震による災害の多いわが国にとっては、その予知に密接な関連を有する研究を強化し、観測を拡充することは極めて重要であり、その実現を図ることは現在の急務である。特に松代地震の現況にかんがみ、政府は、各省庁にまたがる研究及び観測体制をすみやかに再検討し、綜合的見地よりその一元的効率化を図り、地震予知実用化目標とする研究を強力に推進すべきである。   右決議する。 以上であります。  各位の御賛同をお願いいたします。
  4. 原茂

    原委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  おはかりいたします。ただいまの三木喜夫君外二名より提出されました地震予知研究推進に関する件を本委員会決議とするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 原茂

    原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいまの決議に関して、中村文部大臣上原国務大臣福井運輸政務次官谷垣建設政務次官及び細田総理府総務長官より、それぞれ発言を求められておりますので、この際これを許します。中村文部大臣
  6. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 ただいま地震予知研究推進に関する決議が御決議になりました。  この地震予知研究につきましては、測地学審議会建議もありましたので、この建議に基づきまして、関係各省の緊密な協力のもとに、昭和四十年以来年次計画的に体制を整えてまいりつつあるところであります。  この地震研究重要性にかんがみまして、ただいまの御決議趣旨に沿って、今後一段と強力な推進努力いたしたいと考えております。  特に今回の松代中心とする地震のように緊急な事態に即応するためには、一そう機動的、効率的に対処できるようにする必要がありますので、さように政府としましては最善の努力をいたしたいと考えております。
  7. 原茂

  8. 上原正吉

    上原国務大臣 ただいま行なわれました地震予知研究推進に関する決議につきましては、関係各省庁と協議の上、その趣旨を十分尊重してその実現にできるだけの努力を重ねてみたいと存じます。
  9. 原茂

  10. 福井勇

    福井政府委員 ただいま地震予知研究推進に関する決議に対しまして、中村文部大臣上原国務大臣から所見が述べられましたが、運輸省といたしましても、地震予知研究に関する計画及び推進体制につきまして一元的効率化をはかることは、まことに当を得たものと考えます。
  11. 原茂

  12. 谷垣專一

    谷垣政府委員 ただいま地震予知研究推進に関します決議が行なわれましたが、建設省といたしましても、国土地理院において実施いたしております水準測量三角測量などの測地観測をさらに計画的に実施いたしまして、関係各省と緊密な連絡をして、今後決議趣旨に沿うよう努力をいたす所存でございます。
  13. 原茂

  14. 細田吉藏

    細田政府委員 総理府といたしましては、災害に関しまする各省間の連絡調整の仕事を担当いたしておるわけでございますが、最近の松代地震につきましても、いままでに例のないような種々の問題がございます。しかし、何と申しましてもただいま御決議がございました地震予知研究推進が一番基礎になる基本的な問題でございます。ただいま関係各省から御発言もございましたが、私どものほうといたしましても、できるだけ御決議の御趣旨に沿うように努力いたしたいと考えております。
  15. 原茂

    原委員長 なお、ただいまの決議につきましては、関係当局へ参考送付いたしたいと存じますので、その手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 原茂

    原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。      ————◇—————
  17. 原茂

    原委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  宇宙空間平和利用に関する問題調査のため、本日、日本放送協会会長前田義徳君、日本放送協会専務理事野村達治君、関西テレビ放送株式会社常務取締役林龍雄君及び東京大学宇宙航空研究所所長高木昇君、以上四名の方々を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 原茂

    原委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  19. 原茂

    原委員長 この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用のところ、本委員会に御出席くださいまして、どうもありがとうございます。どうかそれぞれの立場から放送衛星開発に関し忌憚のない御意見をお述べくださるようお願い申し上げます。  なお、時間の都合もございますので、参考人の御意見の開陳はお一人約十五分前後にお願いすることとし、後刻委員からの質疑の際、十分お答えくださるようお願いいたします。  それでは前田参考人よりお願いいたします。
  20. 前田義徳

    前田参考人 ただいま委員長から御発言のありました趣旨につきまして、私ども立場から御説明申し上げたいと思います。  最近の通信衛星、特に通信衛星によるテレビジョン世界中継ということは、すでに事実として御承知のように、去る東京において開かれた世界オリンピック競技会において、すでにその実効をあげているところでございます。通信衛星の中のテレビ中継部分については、ただいま申し上げましたように、現実的にはすでに実用段階に入っており、また、その部分を含む通信衛星自体世界実用機構もすでにでき上がりつつあることは御承知のとおりであります。この際、私は放送事業者として、世界放送事業界現状並びに日本国内における放送事業現状から申しまして、私ども立場から見ますと、いわゆる通信衛星という形においてではなく、もし可能であれば放送衛星の形においてこれを一日も早く実行すべきであるという見解を持っております。  その理由は、第一に、通信衛星の場合は、各種の通信目標として、その中の一部分としてテレビ中継ということを考えるわけでありますが、したがいまして、その主要目標は特別の利用者を対象とする部分と、それからまた、テレビ放送という面ではいわゆる大衆利用に供する部分とが同じ範疇の中に入り、したがって経済的に財政的に、この一般的な通信衛星利用による放送中継は、かなり高額の費用を必要とするという点が、世界的に今日では一般の問題として取り上げられているわけでございます。  この点について、私は昨年十一月ユネスコ本部特別会議新聞通信放送を含む通信衛星利用促進に関する特別専門委員会出席を求められまして、パリのユネスコ本部において約一週間にわたり詳細に、世界各国代表がこの問題を討議した実情を簡単にお伝え申し上げたいと思います。  この会議結論を申し上げますと、第一に、通信社にいたしましても新聞社にいたしましても、また、もとより放送事業者としては、放送衛星の、あるいは通信衛星放送部分を通じての今後の利用は、世界的な協力のもとにこれを一日も早く実現すべきであり、しかもその費用という点からいえば、できれば放送衛星中心となることが望ましいという結論に達しまして、この結論については二種類の問題が、最近開かれるユネスコ予算編成年次総会において、勧告として提出されることになっております。その第一点は、いわゆる先進国実情と即応するいわゆる放送衛星開発とその基地の整備計画、これを全世界的に推進すべきであるというのが第一点であり、第二点は、いわゆる開発途上にある国の実情を勘案しながら、あらゆる国際機関は財政的にもこの問題を実現するために、いわゆる開発途上の諸国家に対して放送衛星利用の援助をなすべきであるという、この二点であります。  この勧告はすでに正式にユネスコにおいて作成されており、先ほど申し上げたようなことしの年次総会に、予算編成目標としてこの勧告が提出される運びとなっているのであります。こういう世界的ないわゆる国際協力機関、文化的あるいは科学的な国際協力機関中心として、放送衛星の問題は単なる通信衛星部分的活用という面から一歩前進して、すでにこの面が大きくクローズアップされているという点は、ただいまの簡単な御説明で御理解いただけるかと思います。  第二に、この放送衛星と関連する実情を申し上げますと、アメリカにおいては、御承知のように通信衛星という形ではございますが、しかしやはり放送国際中継という点にかなり重点を置きまして、御承知のような経過をたどりつつ、幾つかの通信衛星世界を一体化することを目標として、それぞれの地域に打ち上げられ、そしてそれが最終段階に近づきつつあるという現状でございます。  これに対して、ソビエトはすでに一昨々年以来二個の放送中継衛星を打ち上げております。この型式アメリカ型式とは全く異なるものでございますが、これはソビエト国内テレビ中継についてはすでにここ足かけ三年来実用化されて、実際にこれが使用されているという現状でございます。  それからまたカナダにおきましては、先ほど申し上げた昨年十一月のユネスコ専門委員会において、カナダ放送協会は二カ年計画で近く二個の放送衛星を打ち上げることを明らかにいたしております。  フランスにおいても、すでに通信衛星ないし放送衛星の実験的な打ち上げを二回にわたって実施していることも御承知のとおりであります。  さらにヨーロッパ大陸においては、イタリア中心として、この放送衛星の問題を実現化すべく努力いたしており、前のイタリア放送協会会長が、その後新しく設立された宇宙衛星開発公社の総裁に任命されて、その面で非常な努力をしているということも事実であります。  このような環境の中で、私は日本放送事業者として、二つの問題を提起いたしたいと考えております。一つは、国内的な問題でございます。もし、かような形での国内中継を可能とする放送衛星の打ち上げが非常にすみやかに実現され得るとするならば、たとえば、私が責任者となっているNHKのいわゆる基本的義務であり、責任であり、同時に使命である全国普及という立場から考えまして、今後NHKは数年間に少なくとも数千局の中継所を建設しなければならないわけでありますが、これと比べますと、放送衛星の打ち上げによって全国中継がかなり具体的に、しかもわりあいに格安に、いわゆる地上建設局費用と比べてかなり格安にこれが促進されるという私は確信を持っております。この点について、国内放送事業者の中に多少の異論があるようでありますが、この問題については、後ほど私の見解を述べさせていただきたいと思います。  さらに国際的に見ますと、壁頭に申し上げましたような世界的情勢であるに加えて、御承知のように一昨々年新しくアジア放送連合というものが結成され、その第一回総会が一昨々年の十月シドニーにおいて開かれたわけでありますが、このアジア放送連合総会において、特に東南アジア地域の諸放送機関NHKに対して、東京オリンピック放送宇宙中継実施の成果を土台として、将来この面で教育放送中継放送を強く要望され、それが決議となって実はあるわけでございます。  このような環境から申しますと、少なくとも国内的に非常にすみやかに、かつ経済的に全国普及をはかり得る中継能力を持っているという点から考えても、国際的な第一義的な日本中心とする東南アジア諸国との関係、それの開発と向上に協力するという面でも、私といたしましては放送衛星の製作とその打ち上げがやはり日本の根本的な国策一つと密接に関連する重大な問題であるというように理解するわけであります。  さらに地域的な問題を除いてみても、私は、一方において、アメリカ通信衛星テレビジョン中継をも包含しながら全世界網を張りつつある今日、他方、ソビエトがすでに両三年実際上二個の放送衛星を通じてソビエト国内はもちろんのこと、昨年十一月にはフランスとの間にカラーテレビジョン中継放送を実施しているというこの事実、また日本国内におけるラジオテレビジョンについてもその傾向を深めておるのでありますが、いわゆる国外からの混信の問題、これを簡単に言いますと、あるいは中共からの放送、あるいはソビエトからの放送というものをラジオ並びにテレビの経験の上に立って考えますと、このような放送衛星の問題で日本一つの谷間になるということは、将来国策上重要な問題として考慮すべきではないか、このように考えられるわけでありまして、国際的な第二のこのような観点から申しましても、私は、当然日本もできるだけすみやかに放送衛星を打ち上げるべきであるということを信じておるものの一人であります。  さらに第三の国際的観点は、私は放送衛星による格安な世界的なテレビ中継実現によって、世界の平和は大衆大衆の理解を深めるという方法で確保される可能性がより大きくなるということを確信しているものであります。これは一つの夢かもしれませんが、そのような事態実現する暁においては、いわゆるニューヨークの国際連合という建物の中での政府代表間の議論は、世界大衆から見てまことにこっけいな結果になりはしないか、そのような長期的一つのビジョンから申しましても、同時に、世界平和の確立に寄与するという点から考えましても、私は実際問題としてこの際放送衛星について具体的な計画を立てるべきであるという確信を持っております。  大体御指示の時間は一ぱとなりましたが、一言国内放送事業者の間に、たとえば放送衛星が打ち上げられた場合、いわゆる地方放送会社が消滅するおそれがあるというような俗論が二、三行なわれているようでありますが、これは全く意味のないことだと考えております。私の記憶によりますと、一昨々年のITUの決議に基づいて、電波法のうち放送衛星に関する条項が新たに加えられ、しかもその技術的原則は直接放送衛星から各戸が受信できるようにするという条項が加わっておりますが、ただいま申し上げる段階における私ども放送衛星は、各戸に直接受信できるものを目標とするのは時期尚早であるという考え方を持っており、したがって、私の申し上げる限度の国内における放送衛星利用は単なる中継という点に焦点を置くべきである、このように考えるのでございますので、したがって、それが全国ネットと地方局との関係を根本的に改編したり混乱させるおそれはないということを私は確信いたしております。  以上、はなはだ簡単でありますが、私の見解を申し述べさせていただきました。
  21. 原茂

    原委員長 次に、野村参考人
  22. 野村達治

    野村参考人 私は、NHK放送衛星に関連しますもの、そのほかの技術開発を担当いたしておる者といたしまして、私ども考えを申し述べたいと思います。  放送衛星必要性につきましては、いま会長から御説明がありましたようなことでございますが、実際これをいかにして実現するか、あるいはその実現可能性はどうかというような点についてお話し申し上げたいと思うのであります。  今次第二次大戦が終わりまして間もなくから、空から直接電波を出して放送したいという考えはその当時から出ておったのでございますが、その後人工衛星発達がかなり急速に進みまして、いよいよこれが目の前に近づいてきているというような状態にあるわけであります。ことにオリンピック東京で開催いたします際に、各国になまの放送をお伝えできるようにしなければならぬということがかなり強い必要性となりまして、その当時ありました、かろうじてテレビジョン中継に使えるか使えないかというようなシンコム衛星を使おうということになりまして、日本の全力をあげましていろいろ努力をいたしましたが、その際に、いわゆる方式というようなことを十分考えますと、そういう点に手を入れますと、あの程度の衛星を使いましても十分な中継ができるというようなことが証明されましたことから考えまして、かなり弱い電波を出すことしかできないような衛星をもちましても、中継というようなこと、あるいは電波をさらにしぼりますと直接放送といったようなことにもいくようなことがそうむずかしくなかろうというふうに考えてきておるわけであります。そういうようなことから、実現性につきましては、あるいはロケット開発であり、あるいはエレクトロニクス発達の急速なスピードを考えてみますと、現在の放送に使われております電波帯の一部あるいはマイクロ波帯を使いまして、そう大きな電波衛星の上から出さなくても、地上で十分に利用できるというような見通しが十分立ってきておるわけであります。そういたしますと、衛星そのものの大きさにしましても、そうべらぼうなものでなくて済む。もちろん現在世界的にいろいろ検討されておりまして、あるいは非常に強い電波を出します衛星から、あるいは非常に重いものに至りますまで、かなり提案がなされておりますが、必ずしもそんなものを使わなくても十分に放送衛星としての価値を発揮できるし、ことに放送衛星静止衛星としてでなければあまり価値がないわけでありますが、静止衛星といたしますと、地球のいわば三分の一くらいをカバーするわけでありますが、この衛星から出ます電波をもっとしぼってやりますと、たとえば日本本土だけに限ることもできるわけであります。そうなりますと電波の密度がずっと高くなりまして、かなり小さな電力を上から出しましても地上では十分な電波の強さになるというようなことが考えられますし、その実現可能性も十分にあり得ると考えておるわけであります。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたようなオリンピック中継のときに、いろいろテレビジョンをなまで送るといいます場合に、手を尽くしましてそれを中継するというようなことをいたしますと、結局方式を変えまして送るというようなことをいたしますと、かなり電波の強さを節約できるというようなことがありまして、こういうことからいたしますと、実現する上の問題としますと、いかにしてそういった方式をきめていくかとか、あるいはどれだけ衛星を軽くするかというようなことで、しかもそれで有効な電波を出していくというような問題に帰着するかと思うのであります。そういう点につきまして現在研究を進めておるような状態でありますが、かなり見通しは明るいようにわれわれ考えております。ことに一度衛星を上げますと相当期間これが生きていて働いてくれませんと困るわけでありますが、結局寿命が問題になるわけでありますが、これは最近のエレクトロニクス発達ということ、それから、ことに静止衛星として上げますと、あそこら辺ではいわゆる放射能障害というものが比較的少ないというようなことがすでに実証されてきております。そういうことから考えますと、この点も努力すれば、十分にできそうなことではあるというふうに見当をつけておるわけでございます。  それからもう一つは、現在の技術進歩発展の速度といいますものは非常に早いわけでございまして、いまから三年先あるいは五年先ということを考えてみますと、現在の尺度でものをはかっていろんなことをやっておりますと、三年後あるいは五年たちましたときの状態が非常に変わってきておるわけでございます。そういうことから考えますと、現在ではかなりむずかしいと思われることが、三年ないしは五年たちました際に十分に実現可能性が出てくるということを計算に入れまして、いつできるかというようなことを検討しなければならぬかというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、私どものほうといたしましては、研究の主問題をそういったようなところに置きまして、できるだけ早い機会にこの放送衛星の本体を実際に打ち上げられるような状態にし、一方、国としましてロケット開発をやられておりますほうは、静止衛星軌道にあまり重くない放送衛星を打ち上げられるという事態の一日も早くくることをこいねがっておるような状態でございます。
  23. 原茂

    原委員長 次に、林参考人
  24. 林龍雄

    林参考人 ただいま前田NHK会長及び野村専務理事から種々放送衛星のことについてお話がございましたが、私は一方民間放送事業者の一人といたしまして、経営者立場からこの問題についての意見を述べさせていただきたいと思います。  お手元に黄色のパンフレットを差し上げました。その左側に優劣比較表というのがございます。これが少し小さいのでまた別にプリントを持ってまいりました。それをごらんいただきながらお話し申し上げたいと思います。  放送衛星の問題は、ただいまお話しのように、非常に新しい、また国際的に重要な問題でございます。ただ、先ほど前田会長からも言われましたように、この放送衛星の問題が提案されましてから、国内にかなり俗論と申しますか、間違った考え方による発言というものが非常に多い。また論理の飛躍とかあるいは全然技術を無視した発言とかがございまして、そのために相当混乱をしております。それをもう少し整理して、そうしていいことはいい、進めるべきは進める、あるいは考え違いは正すべきだということを明らかにいたしましたのが私の論文でございます。  まず、この放送衛星問題を論ずるにあたりまして、一番大切な基本的な態度はどういう態度でこれを論じなければならないかと申しますと、まず、先ほどお話がございませんでしたけれども、国際的な電波行政という非常に困難な問題があろうかと思います。すなわち、私もかつてジュネーブで国際会議出席さしていただいたのでございますが、そのときに、やはり東西陣営におきましてFMのステレオの方式一つきめるにいたしましても非常なむずかしい議論が行なわれております。そういうふうな現段階、あるいは将来は非常に好転するかもしれませんが、そういうふうな段階におきましてこの放送衛星用の、あるいは直接放送衛星用の波を確保するということはなかなかむずかしい作業である。その困難性ということをまず十分理解しておく必要があるということであります。  その次に、後ほどもう少し申し上げますが、ことにわれわれ民間放送の番組におきましては高度の融通性というものを必要といたします。その融通性という見地からも番組問題からもこの問題を考慮すべきである。また、NHKと違いまして、われわれはスポンサーからコマーシャルという形によって収入を得ておりますが、その収入の入り方というものの影響、それから技術的な困難性、最後に放送衛星を受信するための受像機の価格の問題、その五つの柱をまず考えまして、その五つの柱についての十分な基礎的な理解の上に立ちまして、なおかつ経済性を検討してこの進路を定めるべきであるというのが私の基本的態度であります。  それで、最近放送衛星の問題を論ぜられますときに、オリンピックのときに使われました通信衛星とこの放送衛星と直接放送衛星との間の混同が非常によく行なわれまして、そのための話の食い違いというものは非常に多いのでございまして、それをまず簡単に申し上げますと、通信衛星の場合は、比較的わずかな五ないし十ワット、最近出ますブルーバードにおきましては二十五ワットぐらいの小電力の放送機を積みまして、これをシンコムあるいはそういうような形で三万六千キロメートル上に上げるわけであります。一方受信する側は、非常に大きな、たとえば直径三十メートルぐらいの非常に大きなパラボラアンテナを使いまして特殊な方法で受けますために、その受像機の値段は一億円あるいはそれ以上の非常に高価なものを使っております。すなわちプロがこれを受ける。衛星のほうが弱くて受信側で非常に強める。それに対しまして直接家庭に送らなければならない放送はこんな高い受像機では困るわけでございますので、非常に小さな、一メートルあるいは一メートル半ぐらいの小さなアンテナで受けなければならない。したがって、簡単に計算いたしますと、面積で約千分の一ぐらいの小さなものになりますので電力のほうは千倍ぐらい大きくしなければならぬ。ここにいらっしゃる上田電波監理局長の御計算を利用さしていただきますと四十四キロワットぐらいの電力を必要とする。したがって、これは形は同じようでございますけれども、困難性ということにつきましては格段の差があるように私は感ずるのであります。  もう一つ、この場合には、この間のオリンピックの場合にはこういうような専門家が受けまして、それからそれを家庭に配給してくれますのでよろしいのでございますが、直接受けますときには、われわれ聴視者そのものが受像機を買わなければならない。この値段がかなり高いのではないか。一例としてでございますが、アメリカのヒューズという会社で計算しました例でございますと、一万台量産した場合には三十六万円、十万台で十八万円、これは周波数がどこにきまるかわかりませんのでほんの一例でございますが、いずれにいたしましても、かなりのお値段の受像機をまた新しく買わなければならないという点において、直接放送衛星のほうは大きな問題があるわけでございます。この間、アメリカでABCという放送会社が、先ほど前田会長が言われたいわゆる配給衛星に相当するものの申請を出したのでございますが、これはアメリカで却下されたようでございます。これはどちらかと申しますと、こんなに高い受像機ではなしに、放送局で受けられる程度の何千万という程度の受像機にいたしまして、放送局で受信いたしまして、これをもう少しあげて、それを再び各家庭に放送局から放送するというふうな、いわゆるディストリビューションサテライト、配給衛星というものを考えておるようでございます。  現在われわれが使っております伝達方式と申しますのは、いわゆるマイクロを使っているわけでございまして、ここに東京の局がございまして、そして仙台、札幌あるいはその他のところに全部マイクロというものでつながれてある、そこに番組をとりまして、そこで各地の放送会社放送しているわけでございます。そして、ここに赤線と青線で示してありますが、このブルーのマーク、ローカル番組が入ります。それからローカルニュースも入りますし、ローカルコマーシャルも入るというふうに、各地でその地域に密着した番組というものをつくるように現在なっております。また、今度新しく提出されました放送法におきましても、第五十一条の三に、地域のための放送をやるべきだということを加えられております。  ところが、この放送衛星がどういう形できまるかは別といたしまして、まず衛星管理機構というものをここにつくらなければいかぬと思うのです。それから直接放送衛星を打ち上げて、プログラムを送りまして、それから直接受けますと、これは一つの番組、すなわち一方向的な番組しか受けられない。もちろんこういうことも全然できないことはございませんが、非常にむずかしいことになると思います。したがって、全国単一のプログラムというものを受けるのでありまして、現在のように、各地域地域性を放送しなければならないという精神というものがこれで失われてくるというおそれがここにあるわけでございます。一方、配給衛星のほうで考えますと、衛星管理機構からここへ上げまして、それを各放送会社で受けまして、ここでミックスいたしますので、その場合にはローカル番組も、ローカルニュース、ローカルコマーシャルというものも入れられるのでございます。われわれ民間放送会社におきましては、このローカルコマーシャルというものはかなり重要な収入源でございまして、たとえば、われわれの関西テレビの例をあげますと、全国一円の番組から入ります収入が約一億円、ローカルセールス及びローカルスポットで入りますのが一億八千万円というふうに、六四%の比率を示しております。これは広島あるいは熊本程度の局に参りますと、大体三六%くらいになってくるわけでございますが、かなりローカルのスポンサー、たとえば一例をあげますと、大阪の阪急不動産というスポンサーは大阪だけに広告すればよろしい。岡山の天満屋は岡山だけに放送すればよろしいわけでございまして、全国的に放送するということになりますとたいへんな金額になりますので、各地のスポンサーというものはそこに存在するわけでございます。また各メーカーにいたしましても、今度はこの地域で、特に広島なら広島地域で扇風機の広告を重点的にやりたいとか、そういうふうな問題がそこに発生いたしますので、そういうふうなローカル性ということから申しますと、直接放送衛星は大きなウイークポイントを持っているのでございます。  それから、民間放送の番組の例をちょっと申し上げますが、東京から全国に送ります全国番組、そのほかまた全国番組でございますが、地方のもの、たとえば「ゆく年くる年」のような場合には、新潟の番組が入って、次に四国の番組が入って、九州の番組が入るというふうにどんどん切り変わってまいります。また、地方の番組が地方から出るというようなケースもございますし、いろいろ複雑な、また東京地方がかけ合い的に話をするというケースもございます。すなわち、全国一円の番組と、それからローカル番組というものはきれいに分けることができない。それが非常に複雑な巧妙な形で融通的に加わっているというのが現在の番組でございます。そういうふうな地方番組というものを無視してもいいのだということであれば別でございますが、やはりわれわれのような民間放送のような立場でございますと、地方番組あるいは地方性、地域性というものを非常に重視していかなければならないということを申し上げたいと思います。  次に、受信機のことにつきましては先ほど申しましたが、マイクロウエーブが全然発達していない国、たとえばアフリカでありますとか、パキスタンでありますとか、そういうふうな国、しかも放送会社がないという国では、そういうふうな全国一円の番組でこれをカバーするということは一の巧妙な方法だと思うのであります。現在日本はマイクロウエーブでは世界第二に発達した国と称しておりますが、そういう国において、マイクロウエーブの現在の方法というものを無視してしまうということはできないのでございます。たとえば過日のような飛行機事故がかりに熊本とかあるいは鹿児島のようなところで発生いたした場合には、これを逆に東京に送ってくるのには、放送衛星でやれないことはないと思いますが、非常にむずかしい。それよりもマイクロウエーブでこれをやったほうがずっと巧妙でございます。そういう意味におきまして、日本のように国土が非常に狭くて、そうしてマイクロウエーブが非常に発達した国において、しかも基幹的な放送にこの放送衛星が有利であるか不利であるかということについては、相当慎重に考えなければならない。もちろん純教育放送のような、飛行機が事故を起こそうが何しようがかまわないというふうなものにつきましては、全国一円のものでいいというのでありましたならば、これも一つ方式だと私は考えます。  それからもう一つ、現在NHKも民放も中継局をつくって難視聴地域の対策をやっておりますが、この難視聴地域の対策は、先ほど前田会長も言われましたように、NHKの場合は全国あまねくやるというので、最後の何%かの地域をカバーするということは経済的に非常にたいへんである。それをカバーするために放送衛星をやるのだというようなお話でございましたが、その意味におきましてNHK一つの意義があると思うのでありますが、ただ、すでに建設した中継局は要らなくなるのだというような意見を言われる方が一部にあると、私はそれには賛成しかねる。たとえば九州なら九州におきまして、そのローカル性の入った番組を見ている方が、新しく放送衛星ができたからいままでと違った受信機を購入してくれ、それにはローカル性が入っていないということになりましたならば、みな非常に問題にすると思います。したがって、すでに中継局を建設したものは、むだにならないというふうな考え方を私は持っております。  それで、技術的な困難性につきましては、先ほど野村さんからお話がございましたが、これも野村さんのようにいいほうに好転するというケースもありましょうが、また、よそよりもむずかしいというふうに悪転ずるケースもあり得るのでございまして、日本の国家予算と同じくらいの予算を持っておりますNASA、アメリカの航空宇宙局は、直接放送衛星は一九七七年に研究をするように発表いたしております。昨年の十二月のアメリカの雑誌に出ております。それくらいの予算と、それくらいの膨大な組織を持っているところが、十一年先にこの研究の具体的な案を一応示しているということは、やはり慎重に考慮すべきだろうと思います。  また、私が一番理解しにくいのは、そういうような非常な金をかけて、そしてかりに技術的にそれが解決した場合に、この直接放送衛星のほうのメリットが一体どこにあるのだろうか、現在の普通の放送形態よりも、国外の話はまた別にいたしますが、少なくとも国内考えた場合にどういうふうなメットがあるのかということの探求をやはり一番まじめにやらなければならないというふうに考えます。国外につきましては、前田会長と同じように、やはり日本が一流国家になるために、また将来波をできるだけたくさん確保するためにも、国際的に貢献するということは必要でございまして、研究体制を充実していくということは非常に必要なことだと思います。そうして私は、先ほど前田会長の言われましたように、直接放送衛星というのが非常にむずかしい現段階において、まず配給衛星的なものを考慮して、そしてNHKの二番組とそれから民放の四番組、現在日本に六番組がございますが、これを一緒に考えた配給衛星的なものを考える、そして放送衛星公社といいますか、そういう特別の機関でもつくってやっていくというような方向に進めるのが一つの案ではないか、その場合でも地方に起こったニュースをどういうふうに送るかというふうな問題がかなり考えられなければならないと思います。  それから放送衛星の場合といまのマイクロウエーブの場合の経済比較、これもかなりまじめにやるべきではないかというふうに考えております。そして、もしいま国際交換をやるという場合に、先ほど会長の言われましたように、現在におきましては非常に高いのでございます。たとえば一時間番組を送ろうといたしますと、何百万円というふうな金を払わなければならないのでございまして、アメリカからフィルムで送ってくれば比較的安くいくものが、こういう方法でやりますと非常に高いのでございます。したがって、スポンサーがわれわれの場合はつかない。オリンピックとか、そういうふうな非常に特殊な場合はもちろん問題はありませんが、一般の番組においては即時性が必要ないような場合にはこういう方法をとるということは非常に高いのでございます。したがって、むしろ国際的な配給衛星機構を考えて、たとえばその配給衛星を三個上げて世界をカバーして、そして日本の番組を一日二時間、アメリカの番組二時間、イタリアの番組二時間、フランスの番組二時間というふうに二時間ずつぐらいでもやって、それを三個の配給衛星世界各国どこでも受けられる、そしてそれを適当に録音録画して自分のところで番組をとってやる、こういうふうな国際的な機構を考えれば、比較的経済的な方法ができるのではないかというふうな感じを持っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、現在の日本放送は、NHKは全国通っておりますが、民放を考えますと、東京、大阪では四番組、名古屋では三番組、広島では二番組、その他の地区では一番組というふうに非常に跛行的な形で、せっかくつくられた番組が地方にいっておらないわけであります。こういうものをいろいろな形によって、できるだけ多彩な番組を地方に送るということが一つ放送界のビジョンでなければならない。そういうことにこの放送衛星なりあるいはむしろ配給衛星を活用するというふうに持っていくべきではないかというように私は考えます。  ちょうど時間になりましたが、放送衛星あるいは通信衛星研究を進めるということについては私は賛成でございますが、ただその場合に、その利害得失を、この表にございますように、いろいろな立場から十分検討願って、現在のマイクロと比べてどういう点がいいのか、たとえばヨーロッパでございますとカラーテレビの場合なんかは方式が違いますので、直接放送衛星をやってもなかなかうまくいかぬと思います。一たん打ち上げた放送衛星が、非常に高いものが故障を起こしたときにどうなるのだろう、あるいはそういうことは考えたくありませんが、戦争状態になったときにはこれを打ち落とされたらどうなるだろう、そういうあらゆるケースを考え、そして御検討願うということが必要だろうということを申し上げておきます。
  25. 原茂

    原委員長 次に、高木参考人
  26. 高木昇

    高木参考人 放送衛星につきまして私見を申し上げたいと思います。  ただいま御専門の分野の参考人から、放送衛星の利害得失などについて詳しく御説明がありました。そのとおりでございます。  さて、実用衛星と名のつく気象衛星から始まりまして、通信衛星というものはもうすでに非常な成果をあげまして、現在なくてはならないものの一つになっております。通信衛星も、方式が低高度用のテルスター。リレーから始まりまして静止衛星になり、その静止衛星が逐次大西洋に、また太平洋にだんだんと数を増していく状況でございます。たとえば太平洋、日本の南の赤道に上げました静止衛星というものは、東はハワイから西は。パキスタン、北はシベリアから南はオーストラリアと、非常に大きく包含しておるものでございまして、したがって、商業コムサットを通じまして、ここ一、二年に急途に人工衛星利用通信が行なわれようとしている段階でございます。そうなりますと、ただいま御説明がありました放送衛星あるいは航海衛星というものが、これは十年先になりましょうか、その辺で実用の段階に入るということは、いままでのテンポから見まして当然感ぜられるわけでございます。日本としてどういうふうにこういうものを将来利用し、またそれに対してどういう研究開発の態度をとるか、ここにやはりビジョンというものを、非常に積極的にながめるサイドと保守的なサイドと出てくるのは当然でございますが、現在国際的に利用されるものは、どうしても今後は国際的な一つの会社か公社というようなものを通じまして行なわれるようになることは、商業通信衛星の示すとおりでございます。  一方、日本は国土が狭小でございますし、たとえば通信一つとりましても、テレビ中継、それから非常に多数の公衆通信をさばくということにおきまして、細長い特殊な地形であります関係上、マイクロ回線の数も将来どのくらいとり得るか、これも十分これからの調査事項でございますが、一方、これは私見でございますが、電電公社あたりでも日本国だけが使ういわゆる国内使用の通信衛星も必要ではなかろうかと私は前向きに考えておるような次第でございます。これは地上のマイクロ回線あるいは有線、同軸ケーブル、それプラスそういうふうな衛星を持つことによって、電電公社が二十四時間即時ダイヤルでサービスできるような時代も、十年から二十年たったら当然起こる事態ではないかと思います。  一方、放送衛星にしても、さしあたっては通信衛星からスタートして分配衛星が順序でございましょうし、その次は直接受信するような放送になるかもわかりませんが、これは十年、二十年という次元で考えるテーマではなかろうかと思います。  ただし諸外国の情勢が日に日に動いておりまして、たとえばそういう大きな高い衛星も、アメリカなりあるいは世界で打ち上げ会社というものができるような事態も起こるのではないかというふうに私も先を見て考えておりますので、もしもそういう放送衛星というものが国内的に何年後には必要であるというようなお見通しのもとに着手するとすれば、当然それに伴って研究開発を進めなくてはなりませんし、かりに人工衛星自体を日本で上げないといたしましても、それに必要な地上の受信局なり地上分配局などもいまから十分検討しておいてもおそくないものでございますので、こういう問題につきましては、ほんとうの専門家を集めた調査を十分にし、全体システムのうちの一部分でも国内でやれるものがあれば、当然いまから開発しておくことは大切なことではないかということを私痛感しておる次第でございます。  それに伴いまして、日本でのロケット開発というようなものは、これとどう組み合わせていくかということも、利害得失を十分考えて、それに見合ったものを開発していくならばしていく、あるいはそれの基礎開発をやるというような点は、専門家によって出た意見を十分世の中の批判を受けて進めるのがほんとうではないかと思います。  簡単でございますが、これで終わります。     —————————————
  27. 原茂

    原委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。前田正男君。
  28. 前田正男

    前田(正)委員 どうも先ほど来の参考人のお話の中で、私の理解が困難だったかと思うのでありますけれども、わかりにくかったものですから、念のためお聞かせいただきたいと思うのです。NHK前田会長さんにちょっとお願いしたいのですが、先ほどのお話を私が聞いた範囲で理解するところによると、とりあえずNHKが上げよう——将来のことは別としまして、とりあえず上げようと思っているのは、林参考人の言われた配給衛星式のものを上げようということですね。直接受信する放送衛星を上げようということではないように私お聞きしたのですが、その点をひとつ……。直接受信できる放送衛星と配給放送衛星の問題について、NHK民間放送との間には、あるいは放送法との関係でもいろいろ問題があるようにわれわれ聞いておるものですから、その点をまず第一にお聞かせ願いたいと思うのです。
  29. 前田義徳

    前田参考人 私が申し上げました放送衛星の形式も、林さんのいわゆる配給衛星でございます。なぜかと申しますと、これは技術的にもその必要があるということをまず考えなければならないと思います。それは現状すでに林さんも指摘されたように、マイクロウエーブの普及がかなり日本世界的な躍進をしている。これをゼロにすることは意味がないということが一点であります。  それからCCIRとかITUの決議に基づいて、日本はすでに電波法の一部を改正して、これは一昨々年かと記憶しておりますが、いわゆる直接衛星にまる各戸への配給という原則を法律上つくっておりますが、これについて日本放送事業界ないしは一般世論が何も知らなかったということは、私は政治的に重大な問題をはらんでいるのではないかと考えております。それはどういう意味かと申しますと、よかれあしかれ世界政治が非常に激しく分裂している今日において、ただ技術観点からのみ直接各戸向けの放送衛星中継を原則とする条文を入れるということについては、やはり政治的配慮が足りなかったのではないか、このように考えております。
  30. 前田正男

    前田(正)委員 いまのお話しのようなことであれば、当面して林参考人とか、民放の方の一部でいわれておる問題とNHK考えておられる問題との間に、私はあまり抵触することもないし、放送法の中で地方の民放に対するような問題等もあまりないように思うのですけれども、ただ、いまお話のありました将来の問題については、これからの宇宙開発技術の発展もありますし、それからまた受信のほうの問題もございます。いま政治的なお話がございましたけれども、またその時代になりますと、世の中も平和共存とかいろいろ情勢が変わってくる可能性もあるのではないかと思いますので、その段階のことは別として、現在において私たちもあまり議論する余地がない、現実の問題としてここで日本放送衛星を上げる場合に、お互いにあまり利害が対立しないし、またお互いに今後意見のマッチするようなものを上げていくべきではないかと思うのですが、念のため、ちょっと林参考人にお聞きしたいのですが、いまの前田会長のような配給衛星、林さんがたしかおっしゃったと思うのですが、そういうようなものを、将来の問題は別として、とりあえず上げていくということについては、民放のほうもあまり御異存がないように、先ほどのお話では思うのでありますけれども、一応念のためにお聞かせ願いたいと思います。
  31. 林龍雄

    林参考人 私、民放の代表ではございませんので、民放の経営者の一人といたしましてお答えさしていただきます。  先ほど前田会長の言われましたように、配給衛星的なものでございましたら、私個人といたしましては非常に好ましいのではないか、と申しますのは、配給衛星でございますと、技術的にはほとんど解決ができたといいますか、アメリカで上げましたアーリーバードあるいはブルーバードの技術をもしそのままいただければ、それに非常に近いものでございますから、技術的にそれほど困難なものは残っておらない。一方、直接放送衛星でございますと、技術的に電池の問題とか、いろいろ非常にたいへんなことがございますので、配給衛星的なものでありましたならば、できれば政府のほうなりどこかに御指示願って、そういう中立的な機関によってNHKの番組と民放の番組が一緒にのせられるような、しかも配給衛星でございましたら六番組を一緒にのせることが可能だと思います。直接放送衛星でございますと、一番組上げるのでさえもなかなか困難な問題だと思います。  それからもう一つお許しいただきたいのでございますが、先ほど申し上げるのを忘れたのでございますが、アメリカのコムサットという放送衛星会社でございますが、そこの社長のクラークという方が、この間やはり直接放送衛星は経済的に無理であるという発言をしていらっしゃいます。  それから先ほどの受像機の問題でございますが、もし直接放送衛星のためにかりに十万円かかるといたしました場合、二千万台の受像機を買おうとすれば二兆円の金が要るということで、国民にそれだけ負担をかけるということになりまして、相当大きな問題だと思っております。
  32. 前田正男

    前田(正)委員 いまの林参考人のお話でも、配給衛星のことは当面別に差しつかえないようなお話でございます。直接放送の問題は、いま経済的なお話も述べておられましたが、私はやっぱり実用化されるのは十年かもっと先だと思いますが、一の時分になりますとやはり多少価格の問題も変わりてくる。たとえばいまのトランジスターなどを使うというのは、新しいもっと電子的な要素とかエレクトロニクス等ができたりしまして、変わったものができるのではないか。したがって値段なんかも、そういうふうな航空宇宙関係技術だけではなしに、エレクトロニクス技術も非常に進歩すると思いますから、あるいは何年か後には直接放送もわりに安い値段でやられる時代がくると思います。しかし、それに、いまちょっとお話がございました国際情勢とかいろいろな問題もからんでくるし、日本における放送体制もからんできますし、また世界放送体制にもからんでくると思いますから、いまここでそう早急な問題をわれわれ考えていくのはちょっとむずかしいのではないかと思いますが、ただ当面いたしましての配給衛星といいますか、それには大体両方とも御異存がないように思いますので、これはちょっと具体的な話になりますけれども、実は科学技術庁のほうは、昭和四十五年に実用衛星を打ち上げる、こういう目標で、ことしも政府の間に多少異論がありまして、東大の人工衛星と科学技術庁の人工衛星と両方一ぺんに予算をつけるのはどうかという議論もあったのでございますが、われわれはぜひひとつ両方やれということで、一応の目標として、四十五年には科学技術庁のほうで実用衛星を打ち上げる、こういうことに努力をしておるわけであります。いまいろいろ宇宙衛星その他もありますけれども、わりあいに皆さん方の御意見がまとまっていくならば、この機会に配給放送衛星を上げたらどうかというふうなことをわれわれ検討しておるわけでありますけれども、その第一の打ち上げが昭和四十五年ごろで、NHK会長さんとされては、これを時期的にどう考えておられるものでしょうか、それでは早いというのか、おそいというのか、あるいは第一に取り上げていくのにはちょっと危険性があるというのか、あるいは第一に取り上げてもらいたいという気持ちでおられるのか、その辺をひとつわれわればかり考えないで、皆さんの実際に使おうという立場から御意見を率直に聞かしていただきたい。
  33. 前田義徳

    前田参考人 この問題は技術開発と直接関係がありますので、私としては、放送事業者、ことにNHKとして放送事業の全般を見ているというたてまえから申し上げますと、昭和四十五年ではおそ過ぎはしないかという考え方を持っております。  その理由は、先ほど林さんも言及されましたが、国際的な波の割り当てという問題を一つ考えてみましても、すでに事実上上げている国が幾つかあるわけです。現状においては一種の海賊的な様相をとっているかもしれませんが、ただ技術面からの考慮ばかりを払ってその計画年数をきめるということは、それができ上がったときには適当な波長を獲得できないという逆の結果もあり得るかと考えております。したがいまして、私としては早いほどよろしい。  ただ問題は、やはりロケット開発がこれと即応しなければいけないだろう。放送衛星についてのこまかい技術的問題は、研究する側からいえば、全力をあげればそれほど時間のかかる問題ではなかろうというように考えております。
  34. 前田正男

    前田(正)委員 そういうようなお考えであるなら、ひとつきょうは大臣も御出席でありますから、科学技術大臣がひとつ中に入られまして、これは郵政省にも非常に関係が多いことでありますから、郵政省にもよく御相談願ってぜひ促進をする、せっかくつくるなら役に立つ時期に促進する必要があるのじゃないかと思うのです。もちろんそういうことでいまお話しのようなお気持ちであれば、NHKその他民放の方も異論のないことであるなら御協力願えると思います。問題は、技術的な開発というものにも時間的な制約がありますけれども、同時に金のほうの予算的な制約があるわけでありますから、たとえば皆さんのほうで衛星自体についてはできるだけ協力するというなら、科学技術庁のやっておりますロケットの打ち上げのほうも、予算的にも時間的にも、できれば人員を技術的にも集中していくとか、いろいろ方法があると思うのです。そうして昭和四十五年のものを一年でも早く繰り上げていくということもできぬことはないと思うのでありまして、こういう点は、そういうふうな御希望であり、そういう科学方面にあまり異論がないようだったら、科学技術庁が中心となって促進すべきだと思うのであります。大臣の御意見を伺う前にちょっと郵政省の電波監理局長に伺いますが、いまのようなことで皆さんはわりあいに配給放送衛星というものにつきましては異論がないように聞くのですけれども、これは御異論がないならば、また政府として金を投じていま実用衛星を打ち上げようとしておるならば、せっかくこれを促進する方向に努力すべきだと思うのですけれども、郵政省としての御意見を聞かしておいてもらいたい。
  35. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 実は放送衛星の問題につきまして多少これまで考えてきたのでございますが、放送衛星というカテゴリーのために、配給衛星というものは一種の通信衛星であるというような考え方から、いま先生が御指摘になりましたように、早急にこれを実現するというようなことにつきましてあまり考えていなかったのでございます。したがいまして、技術的な面なり、それから先ほどからの御議論がありますように、その技術的な可能性なりあるいはその他の設計なりというような面におきましては、放送衛星に比べれば楽であることは間違いございませんが、しかし、打ち上げの問題、それから六チャンネルというようなものを持ち込みました場合にどういうことになるかということ、それから国内マイクロというものにつきましてどういうぐあいに考えるべきかというような問題がまだまだあるかと思います。こういうことがございますので、ちょっと即答はできかねると思いますが、先生がいま御指摘になりましたような意味はよくわかりますので、そしてまた、NHKなり民放のおっしゃったこともよくわかりますので、帰りまして十分検討させていただきたいと存じます。
  36. 前田正男

    前田(正)委員 いまお話がありましたように、実は私たちも、初めは直接放送衛星ではないかということで、民放とNHKに非常に混乱があるのではないかといろいろ心配をしておったこともあるのですが、先ほど来参考人の方のお話を伺って、将来は別として、とりあえずはお互いの話も非常に協力するというような話でございますから、これはひとつその問題を早急に取り上げて郵政省でも御検討願いたい。大臣もせっかくお見えでございますので、先ほど来のお話しのように、当面いたします放送衛星の打ち上げに対しては、配給の放送衛星であれば、技術的にも直接放送衛星よりは相当楽だと思いますし、昭和四十五年をさらに短縮することは技術的にもできる可能性があると思います。さらに、政治的ないろいろな問題もわりあい少ないと思います。あとは各関係の方たちの御協力を得れば促進もできると思いますので、従来の経緯もありますので、科学技術庁が中心になってひとっこれを促進していかれるようにされたらどうか。せっかくきょうお歴々の参考人にお集まり願いまして、われわれもいろいろな話を聞いておりましたが、きょうのお話で大体まとまったような感じを非常に受けたのでありまして、これは非常にいい委員会であったと実は思っておるのであります。こういうふうな機会にひとつ大臣からも、政府としての積極的なお考えを御表明願いたい、こう思っておるわけであります。
  37. 上原正吉

    上原国務大臣 御案内のように、科学技術庁といたしましては、昭和四十五年に実用衛星を打ち上げる、何か役に立つ、実用に供し得る衛星を打ち上げる、こういう目標を立てまして、それに従っていま開発を進めておるわけでございますが、その実用衛星をどういう実用のものにするかということを先般来庁内で相談いたしておりまして、それから関係方面などにも多少の打診をいたしまして、放送衛星が打ち上げ得れば一番役に立つ実用衛星であろう、こういうことで、できることなら放送衛星を打ち上げたい、こう考えておりまして、その下準備のような心がまえで進めておるわけでございます。きょうはいろいろとお話を伺いまして、やはり放送衛星から実用的なものに着手するのが一番よかろうと、私は伺っておりまして、そう考えたわけでございます。これからまた、庁内その他関係方面とよく協議をいたしまして、御協力を得て実現に向かって進みたい、かように考えております。
  38. 原茂

    原委員長 岡良一君。
  39. 岡良一

    ○岡委員 私は、きょう皆さんがお見えになって、この問題で委員会がいろいろ審議をするということは、実はけさ初めて知るようなことでありましたので、むしろ教えていただきたいという気持ちでお尋ねをいたします。  この直接的な放送衛星というものが、たとえば、適当な数が適当な軌道上において宇宙に何個配置されておるときに、たとえば、日本の私の家庭のテレビ受信機でスカンジナビアもアフリカも南米も北米もカナダも、あるいはアラスカも南極も受像し得るものなんでしょうか。そういう技術は可能なのですか。
  40. 野村達治

    野村参考人 いまのお答えをいたします。  直接放送衛星としまして地上で受信をいたしますときには、地上でおそらく各家庭におきますいわゆるパラボラアンテナと申します、これはおそらく一メートルか一メートル半の直径のものを使いまして、そのパラボラアンテナで受けられますのは、大体二度から三度ぐらいの方向の違いましたものに対しては受けられる。一方、静止衛星軌道上にどれだけ置けるかということを考えますと、これは非常にたくさんの数が置けると思います。二度ないし三度の中には何個かの放送衛星が当然入り得るようなことは考え得ると思います。それから個々の放送衛星は波長さえ異なっておりましたら、別に混信を起こすこともなく使えるかと思います。
  41. 岡良一

    ○岡委員 いや、スカンジナビアのものでも南アメリカのものでも、われわれの家庭の受信機が適切なパラボラを備えておれば直接に受けられるわけですか。
  42. 野村達治

    野村参考人 ただいまのお話は、世界じゅうをどうやったらカバーできるかというお話かと思いますが、一つ放送衛星では、先ほども高木参考人からお話がありましたように、たとえば日本の南の赤道上にありますと、ほぼハワイぐらいから西はパキスタンの西くらいに至るくらいをカバーすることができるわけでございます。したがいまして、たとえばノルウェーの放送を受けたければ、おそらくは一度そういった放送衛星に移しまして、それからもう一回こちらへ中継するというようなことをすれば可能かと思います。数としますと、全体をカバーしますにはほぼ三個あればできるかと思います。
  43. 岡良一

    ○岡委員 そうすればその直接の放送衛星のほかに、いわばノルウェーで発信をしたビームを受け取って中継をされて、その中継をされた衛星から発信されるビームによってわれわれの家庭の受像機においてはスカンジナビアの何らかのできごとがとれるということは可能なんでございますか。
  44. 野村達治

    野村参考人 さようでございます。
  45. 岡良一

    ○岡委員 私ども考え方からいえば、世界のおそらくできるだけ多くの家庭がその好むところに従って、世界の至るところに起こっておるできごとを自由にわれわれがまのあたり見ることができる、また聞くことができるという、そういう世界ができ上がってくることが、これはもう当然な私どもの、あるいはまた、すべての人類の希望だと思うのです。同時に、科学自体がそういう方向に向かって世界を進めておる。いわば通信衛星にいたしましたところで、もともとV1なりV2というあの戦争のロケットから出発をして、それが中距離弾道弾となり大陸間弾道弾となり、そして宇宙開発への平和利用へと発展をしてきておるというこの科学技術の発展が、いま申し上げたように、世界のすべての家庭が世界のあらゆる国々におけるできごとを手にとるように見ることができる日を、科学自体がそういう方向に世界を進めておると思うのです。そういうような考え方から考えまして、いまアメリカのほうで十年あまりあとには一応直接放送衛星システムができ上がるというようなお話がどなたかからありましたが、もう少し具体的にその計画について承りたいと思います。どなたかそう言っておられたのじゃないですか、七七年には実現される……。
  46. 林龍雄

    林参考人 現在私の手元にございますアメリカの「エレクトロニクス」という雑誌の十二月十三日号でございますが、これの「エレクトロニクス・ニューズレター」の中に、英語で読ませていただきますと、「NASAオフィシャルス・ビリーブ・ザット・ダイレクト・テレビジョンブロードキャスト・サテライツ・クッド・オールソー・ビー・オービテッド・バイ・一九七七、ユージング・ア・SNAP8・ニュークリアパワー・サプライ・ウイズ・三五キロワッツ・オブ・パワー」先ほど申し上げましたNASA、航空宇宙局は日本の国家予算と同じくらいの予算を持っておりますが、ここの幹部が、直接家庭にいく放送衛星は一九七七年には軌道に乗せることができるであろう、そのときにはSNAP8という三十五キロワットの原子力の電力を積むであろうというニュースが昨年の十二月十三日号の雑誌に出ております。それを御紹介した次第でございます。
  47. 岡良一

    ○岡委員 星国連局長が来ておられますし、大塚さんもお見えになっておられますが、国際連合の中に宇宙平和利用委員会ができまして、あれに日本の松井代表も参加しておられますが、ごく大づかみにあの委員会における経過、あるいはまた、その結論等が総会においてどう取り上げられておるのか、またその総会における世界各国の、その委員会勧告なりあるいは結論に対する態度はどうであるか、ごく概略のところをお話し願いたい。
  48. 星文七

    ○星政府委員 国連におきます宇宙空間の平和利用の問題は、国際連合総会の第十一回総会あたりから問題となっております。これは先ほど岡先生もちょっと御指摘がありましたが、軍縮問題と関連いたしまして、大気圏外の将来の研究開発はすべて平和的、科学的な目的をもってなされるべきである。その第一歩として、人工衛星の実験を国際的監視と共同のもとに行なうということをアメリカが提案したことから始まっているように私は理解しております。  その後、国際連合総会ごとにこの問題を取り扱っておりますけれども、第十三回総会あたりまでは主としてこの問題は軍縮問題、あるいはまた、ソ連とアメリカの首脳者の間の話し合いというようなかっこうで運んでおりまして、十一回総会以来十二回総会総会でも決議はしておりますけれども、それもやはり軍縮協定というものに関連してきめております。  ところが十三回総会になりまして、ここでアメリカとソ連の提案がございまして、これを一緒にいたしまして、宇宙空間の平和利用問題という議題のものに、初めて独立の議題として取り扱ったわけでございまして、そのときにわが国をはじめ十八カ国からなるアドホック委員会——大気圏外の平和利用に関するアドホック委員会というものを設置いたしました。ところがこのアドホック委員会では、構成国の問題であるとかその他の問題についてソ連等の反対がございまして、ソ連をはじめソ連圏諸国はこの会合に欠席した、ボイコットしたという状態が続きまして、せっかく十三回総会決議したにかかわらず、この問題は国連総会では取り上げられなかったということになりました。  十四回総会ではさらにこの宇宙空間平和利用委員会のメンバーを大きくいたしまして、二十四カ国にも広げております。ところが依然としてこの特別委員会の役員の問題であるとか、あるいは討議の内容、あるいは運営というような問題について、ソ連とアメリカの間に意見の一致を見ない、また構成等についても意見の一致を見ないということで、十六回総会に至りまして、さらにこの二十四カ国に四カ国を加えまして、現在では二十八カ国の宇宙空間平和利用委員会というものができております。  そういうものが拡大されまして、初めてこの委員会も正式にこの問題を取り上げまして、一九六二年の三月でございましたか、初めて第一回の会議を開きました。それまでも会議はございましたけれども、ソ連が参加する会議はそれが初めてだったというふうに私は了解しております。  ところで、そういうふうに会議をいたしまして、十六回総会、十七回総会、十八回総会というふうに続いておりますけれども、現在までのところ、この問題について別に最終的な決定が行なわれておりません。いろいろなむずかしい法律上の問題もからみ合っておりまして、議事が進んでいない状況でございます。  しかし一九六三年の十八回総会では、御承知のように核兵器などの大量破壊兵器の宇宙軌道の打ち上げ禁止に関する決議が満場一致で国連総会で採択されました。またその十八回総会では、宇宙空間の探査及び利用に関する国家の活動を規制する法的原則宣言という決議が採択されました。また宇宙空間の平和利用に関する国際協力決議もできております。この最後の決議では、将来適当な時期に法的ないろいろな原則を国際協定にまとめることを勧告して、さらに宇宙空間の平和利用委員会に対して、打ち上げ物体より生ずる損害の賠償責任並びに宇宙飛行士及び宇宙飛しょう体の救助返還に関する国際協定の早急な作成の準備を要請しております。十八回総会はそういうような決議を採択いたしました。  十九回総会は、御承知のように分担金の問題で散会にひとしいような状況になったわけでございます。  昨年の二十回総会でもこの問題が再び取り上げられまして、国連のこの宇宙空間の平和利用に対する仕事をさらに技術的にもまた法的にも進めていかなければならないという決議が満場一致で通っております。  そういう状況でございまして、各国ともこういうふうに技術がだんだん進んでまいるに従いまして、この宇宙の平和的利用ということに非常に関心を持っているわけでございます。ただ、先ほど申しましたいろいろな法律的な問題につきましては、米ソの間に多少意見の相違があるというふうな状態で進んでおります。  わが国も、先ほど申しましたように最初からこの委員会に参加しておりまして、この会議ではわがほうは、宇宙開発というものは全人類のために平和的に公開され、かつ秩序をもって行なうべきであるという原則を繰り返して申しているような状況でございます。  以上が大体今日に至るまで国連での宇宙平和利用委員会の状況でございます。
  49. 岡良一

    ○岡委員 たしか一昨々年でしたか、私ベオグラードのIPU総会出席いたしましたが、日本代表としてぜひ宇宙法の制定を主張すべきであるということで、みんなで相談をしまして、そのときにいまおっしゃった宇宙に大量破壊兵器を打ち上げるのはいけないというこの国連の決議案はもっと拡大的に解釈していいのではないか、宇宙を通過する弾道弾にもこれを適用すべきではないかという意見も加えて私がその席上で話をしたことがありました。ただしかし、その当時の現状もやはり宇宙の平和利用の問題についてアメリカとソ連がどうもしっくりしていなかった。現在もどうもしっくりしていない。ところが私どもは、科学技術というものはもっと国境を越えたものであって、その越えた真理の追求を基礎としてこれが発展するものが科学であるという立場から、当委員会としても昨年モスクワ科学アカデミーのエム・ウチケルディシュに会いまして、そのときに革命的に発展する科学技術の進展というものは、それ自身が国境を越えた国際的な協力を要請しておるという立場から、科学技術に関する日ソ間の協力をもっと緊密にすることは、単に両国の親善関係だけではなくて世界の平和に貢献するものであるという合意に到達したという事実もございます。  しかしながら、現実には、日本国内の政治情勢も国際的な政治情勢も、高い次元に向かって進みつつあるとはいうものの、現状はまだなかなかそこには至っていない。こういう段階で直接放送衛星が論議されることはもちろん非常にけっこうなことであり、先ほど来申しましたように世界の多くの家庭で、そういうものを通して世界のすみずみのいろいろな現象がテレビによってまのあたりに映される時代が訪れてくることをわれわれは進めるという意味合いから、この直接放送衛星というものに私どもは取り組む必要がある。これが私どもの基本的な態度であるべきではないかと思っている。  しかし現実に、いま林参考人からおっしゃったように、ゴダードか何かの発表では、一九七七年には一応直接放送のできる衛星の打ち上げができるというようなことでございましたが、この機会にちょっとお伺いしておきたいことは、日本アメリカの宇宙開発に関する協力関係については、数年前にたしか当時の外務大臣の大平さんとライシャワー大使との間に交換公文か何かあったと存じております。それ以後具体的にどういう協力あるいは交流関係が結ばれ進められておるか、この点ひとつお伺いしたいと思います。
  50. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  実は宇宙通信の実験をいたすにつきまして、この実験のやり方が国際間にわたるものでございますので、実は日本からアメリカに対して衛星を通じての実験についての申し入れを行なったのであります。私実は郵政省に属しておるのでございますけれども、郵政省の電波研究所では、従来も国際間の実験というものはときどきやっておりまして、そういうことからいたしまして従来と同じように考えておったのでございますが、宇宙通信に関する実験に関しましては、アメリカとしては国としての覚え書き交換と申しますか、了解というものがなければ実はやらないことにしておるのだ、ヨーロッパ諸国ともそういうことであるということでございまして、それではということで、日米間で話を進めてまいりました。交渉の当事者といたしましては、郵政省とNASAとの間で覚え書きの交換という形をいたしまして、国としてアメリカの国務省と外務省との間の協定という形になったかと存じます。  そういうようなことでございまして、その後ずっと続いてやっております宇宙通信の実験、NASAが打ち上げましたところの衛星に関する宇宙通信というものは、いま申しましたような覚え書きに基づきまして実験を進めておる状態でございまして、現在もそのままで進んでおります。おそらく、現在の状態が続きますれば、NASAの打ち上げる衛星そのものについての宇宙通信の実験というものは継続すると考えております。
  51. 岡良一

    ○岡委員 アメリカでは、これも数年前にたしかケネディ大統領の提案もあって、つまり宇宙通信法とでもいうような法律ができた。それに伴ってコムサットという会社ができまして、あれと日本の国際電電が具体的な協力関係に入る、出資もしておるというように聞いておりますが、その辺はどうでございますか。
  52. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 御指摘のとおりにケネディ大統領がアメリカの議会に法案を送りまして、通信衛星法案というものを出しまして、それが通って、そしてアメリカの中でもとかくもめておりましたところの宇宙通信についての方向づけというものができ上がったわけでございます。その目的は、一つにはアメリカの中を統一すること、それからもう一つは、宇宙通信というものの性格からいいまして、これは世界的な規模にすべきものである。しかも世界通信網としてはこれはユニークな単一のものでありたいということをうたいまして、世界各国に訴えたわけでございます。そのようにしてできましたのがただいま御指摘のありましたコムサットでございます。このコムサットは実はアメリカの会社という形でできておりまして、それからもう一面が、アメリカ代表する宇宙通信代表者たるコムサットと、それから世界各国に呼びかけましてこの中に参加するところの連合体と申しますか、そういうものがやっていくようなもの、この二つの面、そのあとのものの事務局というようなものをコムサットが引き受けたいということがございまして、アメリカ国内的な問題とそれから国際的な通信網の事務当局というような面を兼ねてできたものがコムサットでございます。そういたしまして、実は現在ではインテルサットと申しておりますけれども、この国際衛星通信組織は二つの部分からなっております。暫定協定とそれから特別協定と、この二つがございます。暫定協定のほうは、各国が寄りましてできるところの世界的な通信網というものができるまでの暫定機関といたしまして、政府代表して協定を結んでいるようなものでございます。だから国の間の協定というのが暫定協定に相当いたします。そしてこれを実際に本協定に持ち込むのが一九七〇年というのを目標にしております。それからもう一つのは特別協定でございますけれども、この特別協定のほうは、いま申しました暫定協定を背景にいたしまして、これを受けて各国通信事業者が実際の通信をやるということで結んでおります事業者間の協定でございます。したがいまして、この事業者のほうに日本といたしましてはKDD、国際電電が加盟しております。したがってこれに出資しているわけでございますけれども、その額は当初が二%でございまして、現在は国がだんだんとふえてきましたために少しそれから減りまして、たしかいまは一・八%くらいかと思いますが、そのくらいな額を出資しておるということになっております。
  53. 岡良一

    ○岡委員 資料を見ると、アーリーバード計画、引き続いてベーシックシステムのような計画をだんだん進めていこうとしております。アーリーバード、それからブルーバードを太平洋に打ち上げることを含めて、この計画をべーシックシステムということでだんだん規模を大きくし、実用化の道に進もうとしている。先般オリンピックNHKが非常な高い技術水準を世界に示されたことは私どもも同慶にたえないのですが、あの場合のテルスターの利用はやはり国と国との協定の上に進められたものなんですか。テルスターはNASAのものなんですか、その関係はどういうふうになっておりますか。
  54. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 テルスターというのは、初めてアメリカとヨーロッパとの間の大陸通信に成功いたしました通信衛星でございますが、これはただいま先生のおっしゃいましたとおりにATTの所有でございますが、これを打ち上げましたのはNASAが打ち上げました。そしてその通信衛星に関するところの宇宙通信の実験というのは、国と国との間の協定によりまして、さっき申し上げましたような線で取り結んでおりますところの協定に基づいて実験をやるということでございますので、ATTがNASAに実験に関するところの権限をおそらくまかせたと申しますか、そういう形でアメリカとヨーロッパとの間の実験をやった、こういうぐあいに解釈したらよろしいかと思います。  オリンピックの場合はシンコムの三号というのを使ったのでございますが、これはNASA自体が打ち上げました衛星でございます。これは静止衛星でございまして、太平洋に打ち上げました。したがいまして、アメリカ日本の間でそれを使ってやったわけでございますが、これは先ほど申しましたように、NASAが打ち上げましたNASAの衛星でございますので、先ほどのメモランダムの線に沿いまして日本アメリカの間で実験をした、こういう線でございます。
  55. 岡良一

    ○岡委員 シンコム三号は、いまは何に使われておりますか。
  56. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 シンコム三号は、オリンピックに使用いたしました直後に、たしか軍に渡したと思います。したがいまして、軍でただいまでも使っておるのじゃないかと思います。詳細につきましては存じておりません。
  57. 岡良一

    ○岡委員 まあシンコム三号が何に使われようと、ぼくらの知ったことではないが、御存じのとおり、あれはベトナムとの関係で非常に便利な重宝な通信機関として使われておるということであります。そういうことはどうでもいいが、そうしますと、具体的にいま日本放送衛星あるいは直接衛星を打ち上げる計画を積極的に進めてはどうかという御意見もございましたが、前にいろいろ問題があるわけである。外交的な問題とか、あるいは放送法上もいろいろな問題がありましょうし、放送体制現状でいいのかどうかという点にも私はいろいろ問題があると思うのです。たとえばパキスタンからハワイまで入るということになりますと、平壌の放送局がビームを直接衛星に当てた。それを日本の家庭が受け取ったということになれば、平壌もとれるし、ハノイもとれるし、サイゴンもとれるし、ソウルもとれるというような状態が起こってくるわけだ。それは十年後に世界が平和に返ってくれればいいが、われわれはそれを念願するけれども、もしそういう事態じゃないとする場合には、そこに非常に問題が起こってくるわけです。こういうことについては一体、前田さん、どういうふうにお考えですか。
  58. 前田義徳

    前田参考人 宇宙利用に関する法制、もしくはその法制に基づく実際上の国際的な波の割り当て、したがって日本側から言えば波長の獲得、そういう点は私は行政官ではありませんので、私の考え方では実験の時代においては、それを全部整えるまで実験を待つということは得策でないという考え方を持っております。ただいま御質問の趣旨の、もし放送衛星を実験的にでも上げた場合に、それが北朝鮮にせよ、あるいは南ベトナムにせよ、北ベトナムにせよ、すべてカバーできるのではないか、それが法制上の問題とどのような関係に立つかという、その法制の問題については、私はただいま申し上げたとおりの考え方を持っており、実験段階における使用の方法としては、相手国との了解が得られ、同時に、それを受信しもしくは発信する設備ができる場合には、当然事実上の実験としてもそれは可能であり、その限りにおいて私は特別の問題を引き起こすことはない、このように考えております。
  59. 岡良一

    ○岡委員 そうあるべきだと私は思うのですが、しかしこれは政府としてどうですか、電波監理局長。
  60. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 いま先生のおっしゃっているのは、先ほど問題になりました配給衛星ではなくて、ほんとうの意味の放送衛星のことだと思いますけれども、この放送衛星の場合には、国際放送という面と国内放送というものと二つはっきりと分けて考えないといけないだろうと思うのであります。特に国際放送の問題につきましていま御指摘のありましたように、ある国のものが他の国の台所の中までもどんどん入ってくるということに対してどういうぐあいに考えたらよろしいか、こういう御質問だと思うのでございますが、これにつきましては、一番問題点じゃないかと思います。この問題につきましては、おそらく国の政策というような面できめなければならない問題だろうと思いますので、高度な政治的な面から解決すべき問題だと思います。それに従いまして、ある程度技術的にそれにマッチするような方法ということは、これは完全ではなくてもとることはできるかと思います。たとえばアンテナを幾つも一つ衛星にのせまして、そして各ある国向けというようなぐあいにいたしまして、それを切りかえていくというようなこともできるでございましょうし、実際の技術的にはいろいろしぼる方法はあるかと思います。しかしながら、これを完全にしぼるということは非常にむずかしいと思いますので、やはりこの問題は政治的に解決しなければならぬ基本問題かと思います。
  61. 岡良一

    ○岡委員 私はそういうところに一つの基本的な問題があると思います。国があるいはそのときの政府が、政府の意思によって放送に統制を加える。かりに配給衛星でない直接の放送衛星ができて、それがいろいろな国々のビームを受け、そしてまた、日本の家庭が自由に好むものを受けるというような状態にあるにもかかわらず、政府政府のいわば政策的な意図からその自由なる選択を許されないような状態がコントロールされなければならぬということになれば、そのこと自体は一つの大きな問題ではないかと私は思う。そういう点について一体あなた方は技術を担当しておられる行政面の方として、どうお考えになるか。
  62. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 たいへんにむずかしい問題だと思いますけれども、この問題は放送というものの自由と申しますか、こういう問題と、それから国というものの立場といいますか国としての権益と申しますか、そういうようなものと、両方十分考えてみなければならぬ問題だと思います。たしか前田会長が先ほど引用しておられましたユネスコのパリ会議の議論におきましても、こういうような問題が非常に多かったというように拝聴しております。やはり放送衛星というものが、ある国においてたとえば自由であったとしても、それが向けられた国においては自由でないのだというようなことさえも起こり得るのだというようなこともありまして、こういう問題をどういう面でどうとらえていくかということは、やはり高度な政治家の解決されるべき問題ではないか、国が国策としておきめになる問題ではないかと思います。
  63. 岡良一

    ○岡委員 ともかく中国の代表を私どもは迎えたい、ところが気に食わないからだめだ、こういう話である。しかし電波というものはなかなか出入国管理令で取り締まることはできない。しかもやはり正しい姿というものを、この放送衛星から直接に発信されるビームというもので受け取って、日本人は自由なる選択のもとに自分たちの要求する像を受信したいという自由を持っておる。ところがいま放送衛星というものが出現をしてきた場合に、そこに一つの矛盾が起こってくる。こういうような点は高度な政治的な判断に待つものであるということですが、一体国務大臣としてあなたはどうお考えになるか。
  64. 上原正吉

    上原国務大臣 世界各国が、それぞれ何らかの方法があればその方法をとるのではないかと思いますけれども、方法があるのかないのか、私まだよくわかりませんし、きょうのお話を伺っておっても、そういうつまり規制する方法があるのかないのかわかりませんので、お答えができないというのが正直なところでございます。
  65. 岡良一

    ○岡委員 放送に関する基本的なこと、放送というよりもこれは国民の基本的な自由にかかわる問題だと私は思うのだが、先ほど前田参考人の御意見では、こういう場合選択的にビームを受けて、そして各家庭に流すこともあり得るということもあったように思うのだが、そういうことをおっしゃいませんでしたか。
  66. 前田義徳

    前田参考人 私が先ほど申し上げたのは、CCIRの決定に基づいて、わが国電波法もすでに一昨年からいわゆる放送衛星による直接受信という条項を加えておりますが、現実の問題、技術的にも直接受信の問題はかなり時間を要すると思います。それから日本中心として考えますと、すでに日本テレビジョン関係のマイクロウエーブの発達は、先ほど林参考人も申し上げておられたようですが、世界第二位の現状にある。そういう現実をとらまえて、私としては、すべて投資したものを無視すべきではない、そしてさらに、それに前進の方向を加えるべきであるという考え方から、私としてはいわゆる直接受信の衛星中継でなくて、純然たる中継方式をとって、それをさらに放送局がディストリビュートすべきである、こういう考え方を申し述べたわけであります。
  67. 岡良一

    ○岡委員 しかし、問題は、科学の発展が直接衛星というものの出現をすでに明確に予見し、またそれを推進しょうという立場にある。ところが、日本放送体制というものが直接放送する衛星のビームを中継する役割りをするというようなことでは、それはやはり宇宙における開発の大きな躍進としての直接衛星と、日本放送体制というものとの間における科学技術的な大きなギャップじゃないですか。放送法がうたっておるように、やはり直接この受信機が受け得るという方向に行くべきが正しいのであって、科学の進歩に逆行するようなマイクロウエーブが云々などというようなことは、これは企業の採算からいえばどうか知らないが、実際問題としては科学に逆行する方針じゃないですか。
  68. 前田義徳

    前田参考人 これは私が御説明申し上げる立場にあるかどうかは別として、第一、世界共通の波を使って、世界共通の受像機で世界各戸が共通な番組を享受し得るという可能性はきわめて少ないと思います。と申しますのは、国際的にやはり波の割り当てを受けなければなりませんから、したがいまして、それは各国別に波長が変わってくるという点から考えましても、一般的にすべて世界各国が、同じ波長によって同じ効果をあげ得る単一の受像機で世界各国のものを選択して見るという時期は、私ども実務を取り扱っている者から見れば、なかなか予想のできない時期になるんじゃないかというように考えられます。もちろんお説のとおり、理想的にはそのような時期がくることが望ましいのでありますが、やはり電波には世界全体にも一種の制約がございますので、それをどのようにして分配を受けるかということが、実はいまの問題と直接関係する問題になってくると思います。現在、たとえば短波につきましても、私どもも海外放送を実施しておりますが、これはやはり世界的な会議において割り当てられた波を使うわけでございまして、したがって、どの短波も同じように効果をあげるということはあり得ないと思います。ただ現実の問題として、この世界機構に入っていない国、入っておりながら特殊の政治的な考え方を持つ国は、割り当てられた以外の波を無断で使用しているという事実がございますが、そういう意味では、放送衛星についても、原則的には世界的に見ればラジオと同じ結果になりはしないかというように考えております。
  69. 岡良一

    ○岡委員 私はあまり技術的なことはよく知りませんので、ただ原則論と申しますか、基本的なあなたのお心がまえを実はお聞きしておるわけです。ただ問題は、そういうような非常にはるかなかなたのことかもしれませんが、直接的な放送衛星が出現をし、また先ほど参考人の方もおっしゃったように、この放送衛星の中には中継的役割りを持つものもでき、したがって、日本の各家庭が好む、世界のいずこかにおけるそのときその時点の現象を受信し得るような時代がもし来るとするならば、そういうときにはそういう技術発展に即応して、それをその時の政府が政治的に個々人の受信をコントロールするというようなことは、放送の事業というか、放送というものの公共的なあり方から見てきわめて不適当ではないかという、この点についての率直な御所信を承っておきます。
  70. 前田義徳

    前田参考人 言論の自由、したがって放送においては放送の自由という観点からいたしますと、原則的には全く同感でございます。
  71. 岡良一

    ○岡委員 いまちょっと前田さんのおっしゃった問題なんですが、電波監理局長に……。もしそういうようなことになると、私ども聞いておるところでは、国際電気通信条約に付属する無線通信規則、これはいわば国の領土の外の上にあるものならば、その移動体からの放送は禁止されておる。陸上上空にある場合ならば差しつかえないというように第七条等できめられておるが、これは変えなければならないということになるわけですか。
  72. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ただいま先生のおっしゃった規則でございますけれども、これは確かにそのとおりになっております。そこに書きましたものは、業務としてやる場合におきましてそういう形にしなければならぬということだと思いますので、実験段階には適用されないとは思いますが、実際に放送業務ということになりますれば、そこにありますように、移動体からの放送というものは領土以外からは禁止されておるというのが、現行の国際上の規定でございます。
  73. 岡良一

    ○岡委員 それから、先ほどからぼくがたびたび申し上げておるそれは、まだまだ先のことかもしれませんが、直接衛星からビームが個々の家庭に飛び込んでくるというように、家庭でそれが受信できるような状態になってくる場合、これをチェックするというようなことがないということになりますと、この番組の編成とかいう問題に非常にいろいろな問題が起こってくるので、こういうことになりますと、これはやはり衛星そのものだってたいして寿命があるものでもない。それがへたに機能を落としてくると、かえってじゃまになってくるような状態さえも起こしかねませんから、そういう意味では、そうした静止衛星の監視も必要であるということになりますし、やはりそういう条件を含めて、先ほどどなたかおっしゃったように、これは国際的な一つの大きな連合組織といいますか、そういうものが運営をしていかなければならないというような性質のものになるのじゃないかという気持ちがするのですが、どういうものでしょうか。
  74. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 国際放送に関する限りは、先生のいまおっしゃったとおりだと思います。
  75. 岡良一

    ○岡委員 それからその場合、先ほど林さんがおっしゃいましたように受け入れ体制ですが、これは前田会長、どうなんでしょうか。やはり国として、いろいろそうした国際的な機関か組織がこの静止衛星、直接衛星のほうを監視していくということになりますと、各国のそれを受け入れるための公共的な機関というものが窓口になる。これはいわば民放とかNHKというような現在の体制ではない、別なものが窓口になっていくというような形で運営をされるときに、国際的な面とそれぞれの各国の面というものが組織的な連関を持ってくるというような感じがするのですが、その点についてのこうした放送衛星、直接衛星という段階における現行のこの放送体制というものはこれでいいのか、こういう点についての御意見をもう一度お聞きしたい。
  76. 前田義徳

    前田参考人 私もまだそこまでの考え方を持っているわけではございませんが、先ほどちょっと例を申し上げましたように、イタリアにおいては特別の公社をつくっております。たとえば日本の電電公社、国際電電、そのほかに宇宙通信に関する特別公社というものを一昨年設立いたしまして、ある意味では国家の行政を代行するというところまでいっているようでございます。
  77. 岡良一

    ○岡委員 私もほんとうにしろうとで何もわからないのでぶしつけなことを申してたいへん恐縮でしたが、一応何かしら輪郭がつかめたように思いますので、もう少し勉強させていただきたいと思います。  これで質問を終わります。
  78. 原茂

    原委員長 私からちょっとお三方に質問をさせていただきたいのですが、最初前田参考人に、先ほどおっしゃった配給衛星というものを考える前提としては、いま日本のマイクロウエーブの十分発達した施設というものをむだにすべきではないという御意見があったのですが、もし配給衛星が打ち上がったあと、マイクロウエーブはまだ何割くらい使うということになるのでしょうか。おそらく配給衛星が、先ほど一応示されたような林さんの構想によると、マイクロウエーブそのものがフルに利用されるわけではないだろう、こういうふうに思うのですが、どういう関係になるのか、その点をひとつ。  それから時間がありませんからあと高橋局長に、当初の科学技術庁の予算の中に、宇宙開発推進ロケット関係の予算として三億五千万円くらい見ておるわけですね。先ほど前田会長のお話からいっても、いまはもう衛星そのものよりはロケット開発が焦眉の急だし、それが待たれる、こう言われているのですが、科学技術庁としてはあの予算を一応見積もった中に、もちろん直接放送衛星ではなかったろうと思うのですが、通信衛星すなわち配給衛星に類するものを構想したのかどうか、構想したとするなら、いつごろまでに大体打ち上げていくロケットをつくろうという目標を期限的に持っておられたのかどうか。それが全然ないわけはないと思うのですが、期限は一体いつごろの目標でおやりになろうというのか。第一の前提として三億五千万円のうちのどのくらいの予算を使おうとしているのか、この点を高橋局長に。  それから高木参考人に、いま言われたように、このロケット開発されれば衛星そのものが打ち上げられることが大体可能だということになるわけなんですが、先ほど林参考人の言われた程度の配給衛星というものを打ち上げようとするときに、いま日本ロケット技術としてその程度のものは技術的に可能だとお考えになるのか、いままでやった経験の中から、まだまだ他の種類の研究をしないとこれに対する確信というのが持てないのかどうか、その点をはっきりひとつ御明示願いたいのと、打ち上げられたいわゆる衛星の寿命はどの程度のものになるのか、その二点を高木参考人から。  おそれ入りますが、前田参考人からひとつ……。
  79. 前田義徳

    前田参考人 お答え申し上げますが、私は主としてNHK計画、いわゆる放送法上の第一のNHK責任という点から申し上げますと、来年の三月末までに置局の中継局の増設によって、NHK日本全体でカバーする率は九五%になる予定でございます。残りの五%、これは実際問題としては五%を計数的に完全にカバーするということはある意味でかなり問題でございますが、計数的に考えますと、残りの五%をカバーし得る中継設備をつくるには、技術的にいまNHKが検討している段階では少なくとも約一万余の中継所をつくらなければなりません。これには、技術開発によってコストの安いものを計算しても、おおよそ最低百五十億円を要すると思います。しかもこの置局の年次計画と工事能力から申しますと、かなり長期を要するのではないか。そういう意味では、もし放送衛星というものの国内利用が可能であれば、もちろんその寿命の問題がございますけれども、寿命の問題をしばらくおくとして、たとえば最初の放送衛星が二年ないし三年の寿命を持つということになりますと、これはまだ正確な数字ではございませんが、かなり完全な放送衛星をつくるとしても、NHK技術研究所の予想的計算では、大体一個三十億円ないし五十億円と計算されます。そのような点を私が私なりで総合的に考えますと、このほうがよりスピーディーであり、より効果が上がり、よりコストが安いという一応のめどを私としては立てているわけでございます。
  80. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 科学技術庁で計画をいたしておりますいわゆる四十五年の実用衛星計画におきましてどのような衛星を打ち上げますかということは、ただいままでの計画におきましては四十二年度中にきめる。これは技術的あるいは社会的な要請を十分に検討いたしまして、その後にきめるということに一応相なっております。したがいまして四十五年度に打ち上げます衛星につきましては、重量百五十キログラムのものを千キロメートルの軌道に上げるための多目的衛星ということになっておりますので、現実につきましては、さらに先ほどお話しのございましたような放送衛星というものを取り入れられます場合におきましては、お話しのございますようにロケットの重量を多くしなければなりませんし、さらに静止衛星というための誘導並びに制御というような関係がございますので、その点につきましては、さらにそのうちの従来の計画につけ加えましての検討を加えなければならない。なお、四十一年度予算につきましては、ロケットの能力開発に関しますのは約七億円の予算でございます。
  81. 高木昇

    高木参考人 ただいま局長が説明されたような順序で科学技術庁のほうの仕事は進んでおりますが、放送衛星となりますとどうしても静止衛星を使います。静止衛星を上げるということは技術的に非常にむずかしいとされております。非常に精密な移動、動いておる人工衛星がまずできましてから、それを楕円軌道に移らせまして、一番遠地点で再びキックモーターを使って静止に持っていく、こういうのでございまして、当然日本技術も年々進歩してまいると思いますし、ただいま局長が説明いたしました実用衛星の第一号が上がりましてから、やはり二、三年は今度は静止衛星ということを目標に、そういう軌道のやり方というものを勉強してまいらなければならないのではないか、こう考えております。  二番目の寿命の点でございますが、これは現在は一応二年間ぐらいの寿命というものを目標にしておりますが、アメリカの例では、これが通信衛星は三年、五年、六年というふうに年々寿命予測が伸びておる状況でございます。しかし日本でこれを行ないますといたしますと、いままで過去何十、何百と上げた経験もございませんので、一応上げる前には少なくとも二年を目標にしてやりますが、時世がたとえば今後五年となれば、世界の新技術をいろいろと見聞きして寿命をできるだけ長くして上げることになると思いますが、現在考えておる第一号の実用衛星を上げようというときの人工衛星本体の寿命は一応二年を想定して準備を進めております。
  82. 原茂

  83. 森本靖

    森本委員 ちょうど科学技術庁長官もおられますので、私はこの際科学技術庁長官にひとつ要望しておきたいと思います。ロケット科学については私もあまり知りませんけれども電波科学についてはある程度私は承知しておるつもりでありますが、いま問題になっております放送衛星についても、非常に慎重なそれぞれ参考人の御意見があったわけであります。この放送衛星については、確かに早急に研究を要するということは事実でありますけれども、しかしながら、これが放送界に及ぼす影響力というものも非常に大きいわけでありますので、これはかなり慎重な配慮とまた周到な計画によって実験段階はしていかなければならぬというふうに考えるわけでありまして、そういう点からNHK前田会長あたりもいま言ったような慎重な回答をしておると思います。  そこで、私が科学技術庁長官に特に要望しておきたいと思いますことは、日本のこういう研究体制が非常に各個ばらばらである。特に御承知のとおり、いまNHKNHKとして技研においてやっておる。それからいわゆる通信関係においては電電公社は電電公社でこの通信関係については最高のメンバーをもって研究室を持っておる。それから国際電電は国際電電として別途の一つ研究機関を持っておる。東大などの大学等においても研究室を持っておる。さらにメーカーにおきましても、相当大きなメーカーになりますと、メーカー自体が研究室を持っておる。そうしてそれぞれがばらばらの研究を行なっておる。これを政府が総合的にかつ周到な計画のもとに配合するならば、かなりいいものができるのではないか、おそらく私の想像では、防衛庁においてすら、この電波関係についてはかなり研究体制を持っておると思う。そういうものを、日本としては今日軍事機密も何もないわけでありますから、平和的に利用するという意味においても、もう少し科学技術庁が音頭をとって、こういう各方面にわたっております研究体制というものを総合的にひとつ行政機構としてまとめて指導していく、こういうことがなぜ科学技術庁においてできないものであろうか、それがために科学技術庁という名前がついておるのではないか、にもかかわらず、今日までのこういういわゆる科学行政というものを見ておりますと、非常にばらばらなかっこうが多い。これについてひとつ科学技術庁長官の御回答を得ておきたい、こう思うわけです。
  84. 上原正吉

    上原国務大臣 おっしゃるようなばらばらな研究が行なわれておることは事実でございます。そこで、科学技術庁といたしましては、各省庁で行なっております研究を総合いたしまして、重複やロスがないようにするために、予算の見積もり方針の調整ということをやっております。これが設置法によります科学技術庁の権限で、各省庁が大蔵省に要求します予算の見積もりを全部ちょうだいして調整をするという権能が一つございまして、それを実施しておりますし、それから各省庁にまたがります研究は特別の研究促進調整費という予算を、わずかでございますが持っておりまして、これを各省庁に配分をいたしまして、そして御研究をいただいた結果を御報告いただいて、それを取りまとめて総合的な判断を下してまいる、こういう権限もございまして、それによって調整をやっておるわけでございますが、しかし、おっしゃるように、それで完ぺきである、こうは申しがたいと思うのでございまして、仰せのようなことが実際に行なわれますように、科学技術庁といたしましては、今後ともますます力を入れてまいらなければならぬ、こう考えておる次第でございます。
  85. 森本靖

    森本委員 もう一言だけちょっと聞いておきたいと思いますが、何か放送衛星等についても、科学技術庁あたりが音頭をとってそういう各方面の科学者の知識を網羅するというふうな一つ計画的な会議を持つという計画はないのですか。たとえば、この放送衛星に関してNHKあるいは民放、国際電電あるいは東大、そういうふうなところ、あるいは郵政省の電波研究所あるいはNHKの技研、こういうところの科学者も集めて、そうして一つのテーマを論議するというふうな場は、いま科学技術庁あたりは考えておりませんか。
  86. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 ただいま先生御指摘の各省庁技術的な問題の情報の交換あるいは調整につきましては、現在二つの場を使っております。  一つは、宇宙開発審議会の場におきまして、各省庁から出ました長期計画を昨年の秋以来検討いたしていただいておりますが、その中に、技術的な各分科会等をつくりまして、関係省庁並びに研究所の方々にお集まりをいただきまして御協議を相願うことが一つ。  それからもう一つは、当庁の宇宙開発推進本部は、これは各省庁が共通するもので重複いたしまして開発をいたしますると非常に経費を要しますものにつきましては、宇宙開発推進本部が一元的にこれを開発するということに相なっておりますので、そういう意味合いにおきまして、推進本部自体の中で運営委員会あるいは技術委員会というようなものをつくりまして、各省庁研究者の方にお集まりいただきましての検討を行なう、この二本立てでやっております。
  87. 森本靖

    森本委員 そこで、NHK、民放あるいは大きなメーカーというものは、これは官公庁ではございませんが、そういう場合に、そういうメンバーの中に入っておりますか。
  88. 高橋正春

    ○高橋(正)政府委員 御指摘の放送衛星に関しましては、端的に申しまして、まだ、ただいま実は私的にNHKとお話し合い等をこの間からやっておるようでございますが、形式的にはまだ発足いたしておりません。たとえばただいま衛星の追跡設備に関しましての委員会等を持っておりますが、これにつきましては、関係各省研究者並びにメーカーの方々の研究者の方もお入りになっております。
  89. 森本靖

    森本委員 追跡設備については、これはむろん電波関係でありますので、こういう面についてはこれは電波研究所のほうが一番詳しいわけでありますが、ただ、放送衛星ということになってまいりますと、これはやはりNHK等においても、あるいは国際電電等においても、あるいはメーカー等においても、非常に詳しいわけでありますので、これは各省庁に限らず、そういう方面の科学者を網羅して、そうして科学技術庁あたりが音頭をとってやるべきである。また、日本放送協会においても、私はこの際特に会長がおられますので言っておきたいと思いますが、NHKだけでこれを開発しょうということは、私はやはり行き過ぎであろうと思う。できるならば、これはやはり日本全体のいわゆる国力において開発をしていくべきである。確かに日本放送協会というものは公共放送というたてまえをとっておりますけれども、しかし、放送衛星というような問題になりますと、これはもはや日本放送協会独自の問題ではないと私は考える。これは少なくとも科学技術庁あたりが音頭をとって、日本放送協会あるいはさらに電波研究所、そういうところのあらゆる階層を集めて、そこで練りに練って一つの問題点を研究解明をし、到達をしていく、こういう形をぜひ私はとってもらいたい。そうでないと、一カ所において幾ら研究をしても、やはり他で同じようなものを研究するということが、相当出てくると思います。そういう点について私は特にNHK会長にも、こういう放送衛星というふうな国の行事的な問題については、NHK放送衛星研究するところの大きな支柱になる一つの機関であることについては間違いないけれどもNHK独自においてこれを行なっていくという考え方に立たずして、国全体の中においてNHKも大いに協力をしていく、こういう態勢を私はぜひとっていただきたい、こう思うわけでありまして、そういう点について、特に前田会長からも御意見を伺っておきたい、こう思うわけです。
  90. 前田義徳

    前田参考人 まことにごもっともでございまして、私といたしましても、そういうたてまえを堅持いたしております。実際問題としてそういう総合的な場がいつできてくるか、これと関連して、少なくともNHKは、先生御指摘の立場においては準備的な検討を開始しておるという限度のものでございます。
  91. 森本靖

    森本委員 もうこれで終わりにしますが、長官、いまのNHK会長のことばもよく聞いていただいたと思いますし、局長もよく聞いたと思いますので、ひとつこれは科学技術庁、郵政省の電波監理当局あたりが音頭をとりまして、早急に総合的な国の施策としてのあり方を検討していただきたい、そうして前進の方向でやっていただきたいということを特に要望しておきたいと思います。
  92. 原茂

    原委員長 この際、参考人各位一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十四日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会