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1966-02-18 第51回国会 衆議院 運輸委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十八日(金曜日)    午前十時十三分開議  出席委員   運輸委員会    委員長 古川 丈吉君    理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君    理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    草野一郎平君       高橋 禎一君    増田甲子七君       山村新治郎君    井岡 大治君       小川 三男君    勝澤 芳雄君       泊谷 裕夫君    野間千代三君       山口丈太郎君    内海  清君       竹谷源太郎君  物価問題等に関する特別委員会    委員長 小笠 公韶君    理事 木村 俊夫君 理事 倉成  正君    理事 砂田 重民君 理事 舘林三喜男君    理事 山本 勝市君 理事 井岡 大治君    理事 兒玉 末男君 理事 村山 喜一君       岩動 道行君    小渕 恵三君       海部 俊樹君    竹内 黎一君       藤尾 正行君    粟山  秀君       伊藤よし子君    板川 正吾君       大村 邦夫君    沢田 政治君       芳賀  貢君    平林  剛君       玉置 一徳君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁国         民生活局長)  中西 一郎君         農林政務次官  仮谷 忠男君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         通商産業事務官         (大臣官房長事         務代理)    吉光  久君         通商産業事務官         (鉱山局長)  大慈彌嘉久君         中小企業庁長官 山本 重信君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君  委員外出席者         通商産業事務官         (企業局産業立         地部長)    中川理一郎君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一六号)      ————◇—————   〔古川運輸委員長委員長席に着く〕
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより運輸委員会物価問題等に関する特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
  3. 古川丈吉

    古川委員長 本案についての趣旨説明は、お手元に配付してあります資料によって御了承願うこととし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。山本勝市君。
  4. 山本勝市

    山本(勝)委員 私は、国鉄運賃値上げ問題を、物価との関連で、少しきめのこまかい質問をしてみたいと思うのであります。  国鉄運賃は、国鉄が提供するサービスに対してお客が支払う代価である、こういうふうに私は理解しておるのであります。ちょうど、品物を買う場合に、品物を受け取って代価を払う。国鉄が提供するサービスに対してお客が支払う代価である。代価であるという以上は、その代価が高いか安いかということは、その提供する品物、すなわちこの場合は国鉄の提供するサービスの質、量との関連で、高いか安いかということを考えなければならぬと思うのであります。もしサービスがいまのままで運賃が上がるということでありますなら、それは確かにその運賃は上がったということが言えると思います。しかし、もし運賃もとのままでありましても、サービスが悪くなるというのであれば、それは、運賃はストップしておりましても、サービスが悪くなるのだから、その運賃は高くなったと判断すべきだ、こういうふうに思うのであります。したがって、運賃が上がりましても、そのかわりに国鉄が提供するサービスが質、量においてよくなるということであれば、これは私は必ずしも上がったとは言えない。多少の値上がりがありましても、そのサービスが著しくよくなるということでありますなら、かえってその運賃は安くなったと判断すべきである。質、量を離れて、単に数字上の価格だけをもって高いとか安いとか、上がったとか下がったとかいうことは、少なくとも国会のようなこういう場所で政治問題として論じることは間違いである、こういうふうに考えるのであります。  そこで、時間がありませんから、なるべくかいつまんで申しますけれども、第三次長期計画というものを拝見いたしますと、通勤輸送改善であるとかあるいは幹線輸送力の強化であるとか安全度改善であるとかいう点において、かなり大きなサービス改善が同時に行なわれる、そのためにこの運賃の値上げが必要であるというふうに報告されておるのであります。そうでございますなら、国鉄当局といたしましても、この二五%の引き上げに対して国鉄が提供するところのサービスは、こういう点、 こういう点において、場合によっては、たとえば単線であったところが複線になったという場合は、倍近くのサービスの提供がふえてくる。車両がふえたためにこれだけ——これは数字であらわすことはかなり困難ですけれども、それにしてもあらわし得る場面もある。もしこれを上げなければかえってサービスが悪化して、事実上値上がりになるのだということを懇切に国民に同時に示すべきである。そうしないと、一般国民は、現状のままのサービスで、運賃だけが平均で二割五分上がるのだ、こういうふうに誤解をするおそれがあると思うのであります。この点についての総裁のお考えを伺いたいと思います。
  5. 磯崎叡

    磯崎説明員 本日、総裁が少しからだが悪くて、たいへん申しわけございませんが、私からかわって御答弁申し上げます。  ただいまの山本先生のお話でございますが、私どもも全くそう考えております。今度の第三次長期計画内容は、何と申しましても、先生のおっしゃったサービスのうち、一番大事なことはやはり輸送の安全だというふうに私ども考えております。安全度を高めるということが国鉄としては最大のサービスだというふうに考えておりまして、まず今度の長期計画内容の一番重点を置きましたのは、安全の確保でございます。これが第一でございます。  第二は、やはり大都市の通勤問題、東京大阪付近の通勤問題につきましては、どうしても現状のままおいておくわけにはいかないということで、思い切って線路をふやして、徹底的に通勤輸送改善したいというのが第二でございます。  それから第三は、日本全国幹線は、ほとんど明法の末あるいは大正の初期に敷設されたままでございます。いわゆる地域格差の是正あるいは地方開発等の点から考えますと、主要幹線がまだ単線であるということは、日本経済発展に非常に大きな隘路だというふうに考えまして、今回の計画におきましては、ほとんど全国主要幹線複線化する、さらにそのうちのおもなものは全部電化する、こういうことによりまして、サービス改善をはかってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  6. 山本勝市

    山本(勝)委員 その点をやはりよく説明されて、つまりこれだけを支払っていただくけれども、そのかわりこちらからはこれだけ提供するんだ、これまで提供しておったものに対して、二割五分上がるけれども、三割も四割もよく提供するんだという点があれば、それを同時に説明しますれば、よほど誤解は解けるのではないかと思うのです。  それから時間がないものですから次に移りますけれども、十五日の運輸委員会で、国鉄総裁野党のある委員質問に答えて、二五%の運賃引き上げ消費者物価に対して〇・三六ですか、これだけの影響を与えるのだという答弁をしたということを新聞で拝見いたしました。一体そういうことがどうしてわかるのかということが私にはふしぎなんです。これは詳しいことを言えば、とても時間がございませんから、御答弁を願うことはできぬと思いますが、私の考えを申し上げて御意見を伺いたいと思います。  かりに所得を一定と仮定いたしますと、国鉄運賃に対して二五%よけいに払わねばならぬとかりにいたしますれば、どこかで二五%よけい払わなければならぬといたしますと、どこかで二五%ほかの方面への支出を減らすほかはない。消費者物価の中で、もう三百三十二品目もあるわけでありますが、その中で国鉄のために二五%よけい払えば、所得がかりにふえないといたしました場合なら、ほかの方面で二五%減らすほかはない。そうしますと、他の方面需要がそれだけ二五%の減少を来たすほかはない。それだけその他の方面における価格引き下げ要因となるべきものだと思う。ことに他の方面におきまして、需要弾力性の非常に弱い、つまり生活必需品以外のところで、需要をそれだけ減らすほかはなくなる。だからそこで需要が減るだけ、やはり価格引き下げ要因になるものですから、結局全体の物価指数に対しては影響はないというのが、私は理論上当然だと思う。逆に申しますと、かりに国鉄運賃を二割五分下げたら、一般物価指数ないしは消費者物価指数に対して〇・三六の値下がりを生ずるのかどうかというと、私はそういうことはないと思います。よく物品税が下がったんだから、それだけ物価指数は下がるのだというようなことを言う人がありますけれども、そういうことはないと思う。下がって、そこに購買力余力ができますと、その購買力余力は必ずどこかほかのほうの需要に突き上げてくる。そしてほかのほうで物価引き上げ要因になるし、逆にどこかへ払えば、それだけ貨幣動きがほかのほうで減ってくるほかないから、減ったほうで今度は引き下げ要因になる。これは両方は逆で、どちらの場合もそうだと思う。一般物価が上がるかどうかということは、これは別の要因で起こってくることです。簡単に申しますと、一般物価水準というものは、全体の商品供給量に対する総需要量——需要量というのは、簡単に申しますと貨幣総量だ。貨幣総量が物の数量との関係でふえてくれば、水準は上がってきます。しかし上がった分は、全体が上がってくるのでありますから、国鉄だけの責任じゃありません。しかし個々商品価格というものは、それは一ところで上がれば必ずどこかで下がるような波のようなものである。山があれば谷があるのであって、下がるほかはないのです。全体の水準が上がるか上がらないかという問題と、個々価格が上がるか下がるかとは、決定事情が違うし、性格が違うのですから、したがって私は、労賃が上がったから物価が上がるとか、運賃が上がったから物価が上がるなどというのは、一般物価水準というものと、個々価格というものとの性格の違い、決定事情の違いというものを混同しておるからであって、私は総裁が言われたように絶対に——もちろん消費者物価一般物価とは違います。三百三十二品目にすぎないのですから、そのほかにもたくさん物がありますから、必ずしも一般物価とは言いませんけれども、かりにこの消費者物価貨幣価値の変動を大体あらわすものといたしますなら、国会で論議されておるように、物価水準の問題、貨幣価値の問題として、インフレの問題としてこの問題が取り上げられるのならば、これはインフレ要因である一般物価水準上がり下がりと、一つ一つの物の上がり下がり事情が違うことをはっきりしなければ、一般物価水準は別個の理由で、つまり通貨数量が物に対して上がれば上がります。しかし一つ一つの物は、一般物価水準が安定しておりましても、上がるものもあり下がるものもある。ところがその方面では、一ところで上がれば必ずほかで下がらなければならぬ。平均が安定しておる以上は、どこかで下がればどこかで上がらなければ平均が安定するわけがないですから、平均水準上がり下がりするということと、一つ一つ物価上がり下がりするのとは全然事情が違うのですから、総裁消費者物価指数に対して〇・三六——これは藤山長官もおられますけれども、一体政府がああいう〇コンマ以下の消費者物価指数なんというものを国会の論議の中心に持ち込んでくることが間違いであると思う。そういう一%だの二%なんというものは、消費者物価指数をつくったときの過程を考えてごらんになればわかりますけれども、ウエートの置き方一つですぐ変わってくる。品目を少し減らすかふやすかでもすぐ変わってくる。ことに食料費などというものは四五%のウエートを置いておるといいますけれども、あれは三十五年から四十年までの間には非常な所得増加があります。所得増加すれば、食料に対する支出の割合というものは、エンゲルの法則で非常に低くなってくるのは当然であります。ですから四十年度における食料費ウエートというものは、三十五年における一万に対する四千五百二十二というウエートよりははるかに低いに相違ない。それを三十五年そのままのウエートで続けておるからそういうことになっておりますけれども、そういう点をはっきりしなければ、〇コンマ以下の数字などというものを問題にするのならばそこまで問題にしなければならぬ。そういう意味で、時間が来たというのでやめますけれども、御考慮願いたいのは、政府自身がそういうアンビギュアスな、不確かな問題を国会に持ち出して、そしてそれに野党が食いついて、それで物価問題を論ずるなんというのはそもそも愚だと思う。この点をひとつ、お答えをいただく時間がありませんけれども、御考慮願いたいと思う。
  7. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 山本先生経済は明るいのですから御承知だと思いますけれども、いまお話しのように、物価指数とりかたウエートとりかたその他は、これは生活環境が違ってまいりますから、企画庁としても毎五年を期してそのウエートの修正をしなければならぬ。ですから、三十五年を基準に今日までしておりますものを、四十年にはさらにそのウエートを適当に考え直していかなければならぬ。御指摘のようにこれは当然のことでございます。  そこで、いまお話しのように、たとえば国鉄運賃が上がった、他のものが下がった、それだからということでございますが、しかし、個々物資消費者物価に対する影響というのは、それは下がるものもごごいますし、あるいは上がるものもある。しかし、われわれが国民生活全体を見ておりますのは、それを総平均した、たとえば前年に対して五・五%上がるとか四%上がるとか七%上がるとかいう一応の水準を見て、そして国民生活にどう影響するかということ、これは政治としては私は考えていかなければならぬ問題だと思います。したがって、その内容からいえばあるものは下がる。たとえば過去の例をとりましても、耐久消費財等は下がっております。したがって、下がっておるその指数をとっておる。しかし、上がっているものは上がっている指数をとる。そして全体としては平均して五・五%とか四・五%になっている。いまのお話しのように、今日の状況から申せば構造上の問題から物価がきておりますが、御説のように、そうでなくて単純に、いわゆる貨幣の上からのインフレというものでございますれば、これは個々物価に対して一斉にそのインフレ状況があらわれてくると思います。したがって、貨幣そのもの価値を維持すること、維持すると申しますか、あるいは操作することによって全体の物価が下がる、そういう作用が通常の場合にあり得ることは、これは当然でございます。しかし、今日の状況から申すと、たとえば生産性が非常に向上してないところもある。したがって、労働賃金平均化等のために、需給の関係を別にして物は上がっているという面がございますから、いまお話しのように、貨幣だけでもってこれが動いていくという状況にはございませんので、したがって、あるものは上がりあるものは下がるという状況が起こっております。ですから、総平均したものが国民生活の上でどの程度影響を与えるかということは、われわれも政治の道においては考えていかなければならぬ、こういう意味指標を使って大局の観察をいたしておるのでございます。ただ指標ウエートとり方その他につきましては、今日でも三十五年のウエートをとっておって、四十一年の今日になりますとウエートとり方がたいへん違っておるところがございます。たとえばテレビとラジオについてもウエートとり方などは逆になっている、私はこう思っておるのでございまして、そういう点は訂正することによって影響が違ってくる、こう考えておりますので、ウエートとり方については大体毎五年でこれを改定していきたい、こう考えております。
  8. 山本勝市

    山本(勝)委員 もう時間がございませんから、いずれゆっくりお伺いいたしますが、ただ〇コンマ以下の数字などを、指数を持ち出して、そうして貨幣価値物価問題、インフレ問題を論ずるということは私は避けたほうがいい、こういうことを実は申し上げておるわけであります。それから品質を全然無視して価格を論じる、これは品質数量にあらわすことはむずかしいから指数からのけておりますけれども、少なくとも国民生活影響を及ぼすという観点から政治問題として論じる場合には、品質もとのままで上がった分と、品質が非常によくなって上がった分と、これをはっきり分けてやらなければならぬし、また生活必需品で、みんなどうしたって需要弾力性がないために上がってもやめるわけにいかない、ほかのものにかわれないという品物と、そうでなしに、もし上がればほかのものにかわれるとか、あるいは省くことができるというものとはっきり分けて、そうして対策をとられないといかぬと思うのです。これはいずれ時間をいただいて物価委員会のほうでゆっくりお伺いしたいと思う。
  9. 古川丈吉

  10. 兒玉末男

    兒玉委員 国鉄当局にお伺いしたいのでありますが、今回の運賃法改正による運賃改定につきましては、全国民が非常な関心を持つ課題であります。運輸省の出しました年次報告によりましても、三十九年度における輸送量におきましても、大体旅客数において六十四億という多くの人を運んでおります。また輸送人キロにいたしましても、大体全体に占めるシェアは四六・二%、きわめてその比率は大きいわけでありまして、今回の運賃改定に対する将来への期待といいますか、安全輸送なり、あるいは大都市における輸送量緩和など、また特に今日、輸送量増加と相まって、鉄道事故に対してその安全性ということが非常に期待をされておるわけでございますが、今回の運賃改定目的がこのような国民の要求にはたしてこたえるものであるかどうか、今回の改定目的についてその所信を明らかにしていただきたいと存じます。
  11. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますが、先ほど山本先生の御質問にお答えいたしましたとおり、今回の第三次長期計画は、まず第一に輸送の安全を目的にいたしております。これに約二千億以上の金をつぎ込むつもりでおります。現在大体三百億程度のものを入れておりますが、これは踏切をはじめといたしまして、自動列車停止装置に至るまで、徹底的に輸送の安全を第一にするということを目的にいたしております。  第二は、先ほど申しましたとおり、大都市通勤輸送でございます。東京大阪付近のおもな電車の線路はほとんど昭和十年前後にでき上がったまま、それからあとほとんどふえておりません。その後は車をつぎ込むことだけによりまして通勤輸送緩和をはかってまいりましたが、完全にそれは限界にまいりまして、今回はすでに昨年から当委員会の御了承を得まして、四十年度から東京付近の八カ所の線につきまして現在鋭意複線化複々線化工事をやっております。これができますと全体的に非常に入れものが大きくなりますので、あと車両をつぎ込むということで、当分の間は通勤輸送緩和には非常に役に立つというふうに考えております。  第三は、日本鉄道は、大体単線蒸気鉄道として完成いたしました大正の末期、それから今日までやはり地方幹線には実はほとんど金が入っておりません。北海道にいたしましても、東北にいたしましても、北陸、山陰、九州、ほとんど各地とも敷設当時のままの単線蒸気鉄道としての形で現在運営いたしておりますが、これではとても旅客、貨物の輸送要請に応じられないということで、今回の計画におきましては、地方幹線複線化をまずやる、それからできれば電化をやりたい、したがって、これによりまして日本全体の物資の交流なり人の動きがいままでと違って、たとえばお盆、暮れには全然汽車に乗れないというようなことのないように列車の増発が簡単にできるような、線路をぶやすということによりまして、国民へのサービスをいたしたいと考えております。  以上の三点が今回の長期計画主眼点でございます。
  12. 兒玉末男

    兒玉委員 いまその目的の大綱を明らかにされましたが、いずれにいたしましても国鉄運賃改定ということは、国民にとってその負担が非常に大きいわけでありまして、しかも今日の国鉄経営の状態というものが、いわゆる昭和二十二年の機構改革以来、公共性というものと企業性というものを並列的に背負わされましたところの、非常にいびつな形で運営がなされるところに、私は今日的な大きな課題があるのじゃないかと思うわけです。そういう点から、この点は大臣にお伺いしたいのでありますが、一体国鉄公共性ウエートを置くのか、あるいは企業性重点を置くのか、そういうふうな形では常にこのような矛盾が繰り返されてくるのではなかろうかと思うわけでありますが、そういう立場から、やはりこの際、公共企業体としての国鉄経営形態、やはり機構そのものを改革する必要があるのじゃなかろうかと考えるわけでございますが、この点についての問題をひとつ大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  13. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国鉄は、仰せられましたように、公共性を多分に持った企業体でございまして、公共企業体としての体制は独立採算制によってこれが運用をしていくということになっております。この間の関係は非常にむずかしい部面がございまして、公共性を十分発揮させながら、しかも独立採算制のワクの中で運営していくという、この間の調和をはかりながら現在やっておる次第でございます。私は、いま委員も仰せられるように、国鉄が持っております公共性限界といいますか、そういう点については、これは将来の問題としてやはり検討を要するのではないかと考えておりますが、現在では、いま申し上げますように、公共性公共企業体独立採算制との調和をはかりながら国鉄運営をやっておる次第でございます。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの大臣答弁ではとても納得できないわけでありますが、あとの時間の関係もございますので、進めてまいりたいと存じます。  そういうことでございますならば、現在国鉄が相当新しい新線建設に着工し、あるいは工事中の路線が相当あるわけです。この路線のほとんど九割近くというのが、いわゆる採算無視といいますか、明らかに非採算線区でありまして、当初から赤字を覚悟の上で新線建設が進められている、こういう点の一つの問題、さらには現在大体九百億近くの公共負担というものを国鉄は行なっております。さらにまたこれによって今次のこの運賃改定必然性というものが生まれているわけでありますが、これに加えまして、先ほど申しましたとおり、輸送人キロにおいても大体四六・二%という広域の輸送路線を持っている関係から、特に自然災害、天然災害による国鉄の復旧費というものはばく大な金額にのぼるのじゃなかろうかと思うのですが、もし企業性公共性ということを当分調和していくと言われる大臣の御所見でありますならば、当然このような赤字線区、公共負担あるいは災害復旧等に対しましても、もう少し思い切った措置がとらるべきではなかろうかと思うのですが、かような点について大臣はどのようにお考えか、伺いたいと思います。
  15. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 現在新線建設鉄道建設公団でやっております。採算が非常に悪いような線は無償で貸し付けるというような制度も持っておりまして、そういう形で新線建設等あるいは採算が非常に悪いような線の運営国鉄全体の経営を圧迫しないような方向で今日ではやっておる次第でございます。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 これは国鉄当局にお伺いしたいのですが、今回の二五%の運賃値上げ平均でありますが、大体過去十年間の実績を見てまいりますと、旅客関係では大体昭和三十年から三十九年まで約二千六百億程度の黒字、それから貨物においては約六百六十七億程度の赤字ということになっておりますが、一体その要因というものはどこにあるのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  17. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうのやっております旅客、貨物の輸送の原価との関係の御質問だと存じますが、実はこれは世界各国とも鉄道の原価をどうやって旅客と貨物に分けるかということにつきましては、非常に議論のあるところでございまして、各国ともいろいろ検討いたしております。たとえば、旅客、貨物輸送に共通な面が非常に多いわけでございます。たとえば線路を一本、単線複線にする、その複線旅客、貨物両方で使う、その場合に、たとえば重さで分けるのか、通過トン数と申しますか、旅客、貨物の重さで分けるのか、あるいは列車の長さで分けるのか、いろいろ議論がございます。現在一応私どもといたしましては、旅客、貨物の従量でもって分けるというたてまえをとっております。したがって、原価計算の前提にはいろいろ前提がございますので、結果だけごらんになりますといろいろ議論があると思います。一応現在では、いま申しましたとおり、全体の経費の中のほとんど七割以上、八割弱、七七%くらいが共通面でございます。この分け方によりまして非常に変わってくるのでございますが、現在私どものほうで施行しておりますやり方によりますれば、現在旅客運賃は一応黒になっておる、貨物運賃は赤になっておる、こういう計算でございます。これは逆に一方収入の面から申しますと、御承知のとおり、最近非常に道路がよくなってまいりまして、トラックが非常に発達してきている。トラックの運賃は御承知のとおり原価主義でございます。ところが鉄道運賃は昔の、一世紀前の貨物運賃のままでございますので、御承知のとおり従価主義と申しますか、値段の高いものからたくさん運賃を取る、値段の安いものからは少ししか運賃を取らない、こういうちょうど税金のような運賃制度になっておりまするので、結局、運賃の高い貨物は必然的にトラックに流れる、そして鉄道には足の長い運賃の安い貨物が残る、こういう形になるわけでございます。したがって、同じ二億トンを運ぶにいたしましても、その輸送構造の内容が変わってまいります。たとえば昔は、灘の酒はほとんど一〇〇%国鉄が送っておりましたが、国鉄の酒の運賃が非常に高いということで、現在は一割にも満たないものしか国鉄にきておりません。ほとんど九割以上はトラックで運ばれるわけでございます。そういうふうに、貨物の全体の輸送トン数は変わりません、少しずつ伸びてはおりますが、輸送内容が非常に下がってきていると申しますか、輸送する貨物の運賃が、トン当たりの運賃と申しますか、これが非常に下がってきておるわけでございます。したがって、貨物収入のほうは、収入の面から見ましても、非常に収入状態が悪くなってきている。これは主として自動車の発達に対応できない鉄道の持っている、しかも非常に古い運賃制度の結果、収入面から非常に大きな減少がまいりまして、現在ごらんのとおり、旅客二に対しまして貨物一の収入でございます。昔は、十年ほど前は、大体旅客、貨物とんとん、ちょっと旅客が多い程度のことでございましたが、現在は二対一ということで、旅客収入がずっと多くなっております。そういう両方の面からいいまして、ただいま先生のおっしゃいましたような形の黒字、赤字の問題が出てまいったわけでございます。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 そういうことでありますならば、今回の改定では、黒字である旅客引き上げ率が高くて、逆に貨物の引き上げ率というのが平均一二・三%と、赤字の部門の貨物が低くて、旅客のほうが高いというのは、一般的に考えますと、旅客のほうの一般大衆からの収入で貨物運賃をカバーする。極端な表現で言うならば、独占資本に奉仕するために大衆収奪をやっておるのじゃないか、こういう受け方をするわけですが、その辺はいかがでございますか。
  19. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、従来、私どもの説明がたいへんまずくて、非常に誤解を招いておったと思うのでありますが、ただいま申しましたとおり、現在の貨物の運賃は、値段が高いものからたくさん取って、値段の安いものからは少なく取る、こういう運賃制度でございます。さらに、それのうちから、特別等級と称しまして百数十種類の品物、米を筆頭にいたしまして、米、鮮魚、そういった国民生活必需品はさらにそれを割り引いておるわけでございます。したがいまして、現実に貨物に赤字が出ておるとすれば、その赤字の一番大きな要因は、農産物あるいはその他の食料品というような国民生活必需品に該当すべき、現在の私どもの特別等級と申しましたその特別等級による百数十億の赤字が一番大きな要因であります。しかし、これは後ほどいろいろ御質問があると存じておりますが、たとえば農産物の運賃を下げろというようなお話がございます。そうすると、コスト割れのものはさらにコストを割るというようなことになってまいります。しかしながら、国民的要請としてどうしても農産物の運賃の上げ方をよけい上げちゃいかぬとおっしゃれば、どこかでそれを負担しなければならない。国が負担してくださるかあるいは国鉄全体で負担するか、その二つしかないと思うのであります。現在私どもといたしましては、旅客、貨物を分割した原価主義でなくて、旅客、貨物一本にいたしまして、国鉄全体としての収支のバランスがとれる、そうして多少の減価償却ができるという運賃制度をとってまいるわけであります。したがいまして、たとえば同じ旅客運賃の中でも、定期の旅客運賃と定期外の旅客運賃との原価計算上の関係はやはり違ってきておるし、また、同じ貨物におきましても、一車扱いの貨物と小口扱いの貨物とはやはり同じ赤字であっても赤字の率が非常に違っておるということで、私のほうの輸送内容から申しますと、この黒字、赤字は、旅客、貨物という総体的な分け方の、さらにこまかくいたしますと、各部門部門で非常に大きな赤、黒が出てまいります。これを一々調整することは不可能でございますので、国鉄全体として収支のバランスがとれるように、しかも将来輸送の増が期待できるような運賃制度に持ってまいりたいというのが、今回の改定のごく一部の制度改正に当たっているわけでございます。
  20. 兒玉末男

    兒玉委員 特に貨物の問題で、今回等級の改定がなされて、四等級に圧縮されたわけですが、いま副総裁の説明にありましたが、価格の高いものからは高い運賃を取る、こういう説明はもっともだと思うのですけれども、今回の改定の中において、特に一等級の高級貨物といわれるたとえば時計だとか自動車、冷蔵庫など、こういうものについては、確かに賃率は上がっておっても、等級の査定によって逆に運賃が下がっておるというような例もあるわけですが、この辺は一体どういうふうな仕組みになっておるのか、この点明らかにしていただきたい。
  21. 磯崎叡

    磯崎説明員 現在の国鉄でとっております貨物運賃制度は、御承知のとおり、陸上交通機関として鉄道以外のものはなかった、鉄道が独占しておった時分の貨物運賃制度をそのまま踏襲いたしております。したがって、逆に公共的な見地から、鉄道で送ります貨物を全部物の値段で分類いたしております。これは十四に全体の貨物を分類いたしておりまして、そうして値段の高いものが一級、これと一番値段の安いものとは倍も運賃が違います。たとえばたばこを一車送る場合と米を一車送る場合とは、たばこは米の倍の運賃を取っております。あるいは冷蔵庫にしてしかり、自動車にしてしかり、同じ貨車一車送る場合に米の運賃と一等級の運賃とは二対一になっております。したがいまして、さっき申しましたように、トラック運賃というのはちょうどまん中できまっておりますので、まん中より上のものがどんどん国鉄からトラックに逃げるのは、これは当然でございます。私どもといたしましては結局、何とか上と下を圧縮したい、そうして原価主義的な運賃に近づけたいと思っております。それで逆に、たとえば時計とかたばことか生糸とか冷蔵庫とかいうものは、運賃を上げると輸送量が減ってまいるわけであります。現在の現実の問題として、たとえば時計とか冷蔵庫とかはほとんど国鉄輸送される実例がないわけでございます。こういうものは運賃をある程度下げてむしろ荷物をとってくる。それでもって安いものの生鮮食料品等の運賃の赤字の補てんにいたしたいというふうなたてまえでございます。現在十四等級ございますが、そのうちの一応原価を償っているものが五等級から上のもの、五等級まででありまして、六等級以下は全部コスト割れの輸送をいたしております。これを多少なりとも上と下を調整したい。そうして上のほうの高級貨物を少しでもとって、それでもって下のほうの貨物の運賃の赤字を補てんしてまいりたい、こういうのが今回の制度改定の趣旨でございます。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 特に貨物運賃の点について企画庁長官と大臣にお伺いしたいのでありますが、いま副総裁の説明にありましたが、特に国民生活関係の深い食糧とか野菜、魚介類、肥料等特別措置による品目が六十九日以上ありますが、その点については相当国鉄はコスト割れの輸送をやっているわけです。その点については特に公共負担という面から、さらにまた物価政策という面からも、相当国鉄が犠牲的な輸送をやっているわけです。この点公共負担という面についてもう少し積極的な措置が私は必要ではなかろうか。その辺の運輸大臣並びに企画庁長官の見解を承りたいと思います。
  23. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国民の生活に密接な関係のある物資については、できるだけ引き上げ率を低くするように特別の処置をとっておる次第でございます。
  24. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は、国鉄公共負担というものをある程度考えていくことはやはり必要だと思います。が、しかし、ただいま磯崎総裁もお述べになったように、たとえば貨物では赤字だ、旅客では黒字だ、それじゃ貨物をどういうふうにして黒字にしていくかということは、これは私はたいへんな大きな国鉄の今後の問題だと思います。永久に赤字でもって、乗客だけで国鉄の収入をはかるということは、私は、必ずしも適当だとは思いませんので、磯崎総裁もそういう点について、昔から非常に長い間やってきた従価主義がいいのか、あるいは、原価計算による従量主義がいいのか、そういう問題について国鉄でもまず検討していただいて、そうして外国にありますように、貨物も赤字にならぬというようなこと、これはいまのお話では、たとえば高いものを値下げすればトラックと競争して、非常に貨物運賃がふえてくるんだ、そうすれば、貨物のほうの収支も合ってくるんだということになれば、値下げそのものが、私は、公共性の上からいっても、国鉄に非常に悪い影響を与えるというふうには考えられないわけでございます。ですから、そういう点もやはりまず国鉄自身が、今日いろいろな合理化というか、石田総裁は非常に御熱心で、私は総裁は信頼できるくらいないろいろ合理化をやっておられる、あるいは、国鉄の職員、労働組合もみなそれに協力しておられる、こう思っておりますが、同時に、いまのような制度上のそういう問題もひとつ検討していただいて、そうして経済的にそういうものが立つ、その上に立って私は、国鉄が持っている公共的使命というものについてどの程度考えていくかということを考えていくべきだ、こう考えております。
  25. 兒玉末男

    兒玉委員 これは要望でありますけれども、とにかくそういう国民生活関係の深い物資輸送について、先ほど当局の説明があったとおり百数十億の赤字というものはそれによって切り捨てる、こういう点から特に運輸大臣並びに企画庁長官としても、公共負担の面については積極的にひとつ取り組んでいただきたいということを要望いたします。  次に、これは昭和二十五年以来常に国会でも問題になっているところの木材等に対する暫定割引の制度でありますが、すでに十六年間経過しまして、この問題の取り扱いのたびに非常に国会で紛議をかもしているわけでありますが、大体この暫定割引というものが国民大衆に対してどの程度の利益をもたらしておるのか、またこの暫定制度というものもここらあたりで根本的に改革を要する時期に来ておるんじゃなかろうか、このように考えるわけですが、この暫定割引制度に対する見解を承りたいと思います。
  26. 磯崎叡

    磯崎説明員 暫定割引につきましては、毎国会で農林水産委員会でいろいろお話が出ているわけであります。私どもといたしましては、先ほど申しました貨物等級制度という一つの一貫した考え方で貨物運賃をいただいておりますが、この暫定割引の九十数品目、約百品目になりますが、この暫定割引につきましては、全く現在の等級制度と別なと申しますか、全然これと離れた割引をしているわけでございます。これは非常に沿革もございまして、私どもといたしましては、ぜひこれは廃止したいということを常々強く申しておりますけれども、実は年間二十億でございまして、すでに昭和三十年度からでも暫定割引の累計が二百億に達しているわけです。これは一時、四、五年前でございましたか、衆議院の農林水産委員会で議決されまして、一ぺん政府で検討してみろ、やめるものはやめろ、残すものは残して、そのかわり運賃補給金みたいなものでやらないか、こういう御意見が実はございまして、事務当局の間で検討いたしましたが、結局結論の出ないままに今日に至っておるわけでございます。私どもといたしましては、不利ながらも、現在の貨物等級制度というものはきちっとした筋の通っているものである以上、これの非常に例外的なものが、しかも年間二十億もある、累計二百億をこしているというようなことでは制度上からも非常にまずいし、公平の原則からいっても少しおかしいということで、何とか合理的なものにいたしたいというふうに思っておりますが、一たん割引いたしましたものをはずすことは、非常に実は困難でございます。今国会におきましても、いろいろ委員会からの御注文も実は受けておるわけでありますが、私どもといたしましては、やはりこれを廃止をしてすっきりした制度にいたしたいというふうに、これは私どもの希望でございますが思っております。しかし、今回の時点におきましては、これは廃止どころではなくて、むしろ強化しなければいけないような形になっておるわけでございます。
  27. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣にひとつお伺いしたいのですが、いま当局から説明があったとおり、非常に制度的にも私は矛盾したやり方じゃないか、こういうふうに考えるわけでありますが、この暫割りに対する大臣としてのひとつ御所見を承りたいと思います。
  28. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この問題の根拠は、私は、国鉄の持つ公共性という性格から出てきておる問題でございまして、いろいろこれには検討をする要素もあると思いますが、これはできるだけ合理的に解決するように将来検討してまいりたい、かように考えております。
  29. 兒玉末男

    兒玉委員 もう時間が来たそうで、もうしばらくひとつお伺いしたいと思いますが、特に今度のこのような運賃改定によって、国民各層が相当な期待を持っていることに対する考え方が披瀝されましたが、特に一般庶民階級が関心を持っておる準急行料金というものが、今度は急行と特急に統合されたわけです。準急は比較的小都市にもとまって非常に便利のいい列車であり、しかも急行の大体半分、これが統合されることは非常に大衆に痛いわけですが、これはどういうことでこういうような制度をなくしたのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  30. 今村義夫

    ○今村説明員 従来の普通急行列車と準急行列車との区別が必ずしも明瞭でございませんし、最近におきましては運転区間なりあるいはスピードというような面におきまして、普通急行と準急行との間の区別が判然としなくなりました。したがって、こういう差異がなくなってきておりますときでございますので、百キロまでの区間を運転する列車を準急行列車にする、百キロ以上のものは普通急行列車にするというたてまえにしたわけでございます。こういうことにいたしまして、料金の関係は急行列車の百キロまでの運賃をいただく。特に急行列車につきましても、いままでは百キロでも急行料金をいただいておったのですが、今度は急行列車で百キロ未満は準急行並みの百キロ分の運賃をいただくということで、かえって近距離のお客さんには安い料金で乗っていただけるという制度にしたわけでございます。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 いま、東京周辺は別ですが、九州あたりでは急行のほうがおそくて準急のほうが早いという形態もあるわけです。こういうような点から考えても、なおさら私は、今回の準急行制度をなくしたことには不満があるわけであります。そういう点で、いまの答弁には不満があるわけでありますが、時間の関係もありますので、次に進みたいと思います。  特に先ほど説明がありましたが、野菜だとかあるいは生鮮食料品というようなものは、消費都市との間における輸送距離というのが相当長いわけです。でありますから今後の流通機構の改革という面からも、科学技術庁あたりにおいてもこれに対抗する措置として相当な構想が練られておるのでございますが、少なくとも今度の第三次長期計画が完成する暁においては、流通機構面における一つの改革ということについて相当の期待を持っておるわけでありますが、特にこのような生鮮食料品等の輸送について、どういうような計画をお持ちであるか、明らかにしていただきたいと思います。
  32. 今村義夫

    ○今村説明員 仰せのとおり、生鮮食料品の輸送につきましては私どもも重大な問題として考えておるわけでございますが、今度の第三次長期計画におきましては、流通の円滑化と流通経費の軽減ということに重点を置きまして施策を練っておるわけでございます。第一は高速貨物列車を運転する、あるいはコンテナ列車網を拡充する、パレチゼーションを推進する、それから適合輸送をやるということに重点を置いておりまして、特に生鮮食料品につきましては適合の、たとえば魚でございますれば高速の冷蔵車をつくりまして、長崎なりあるいは下関から東京なり大阪市場へのあれを、いまの三日売りを二日売りにする、あるいは四日売りを三日売りにするというような、一日早めくらいのスピードで運転するというようなことを考えておるわけでありまして、これはことしすでに試作をいたしまして、十月からは大体そういう列車が走り得るというように考えております。その他の、たとえば枝肉輸送というようなことにつきましても冷凍コンテナというものをつくりまして、そういう要望にこたえたいというふうに考えておるわけでございます。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 企画庁の中西国民生活局長お見えになっておるようですが、特に物価対策の一環としての流通機構の中における国鉄輸送網というのは非常に大きいわけですが、企画庁の中西局長として、これらの点に対する御所見を承りたい。
  34. 中西一郎

    ○中西政府委員 非常に広範で、技術的にもむずかしい問題が多いのでございますが、生鮮食料品問題が今日のように国民生活上非常に大きな問題になっておるという観点で、特に国鉄の貨車輸送面におけるその合理化を推進していただきたいと熱望いたしております。  その一環としましての冷蔵車、冷凍車等に力を入れていただきたいし、さらに国鉄だけで合理化いたしましても、その両側が合理化されませんと、全体のコストが下がらないというような問題があります。したがって、通運関係の合理化にも何かの形で推進を考える必要があるんではないか。さらに、これから操車場等相当大きな規模のものを東京周辺その他にもおつくりになるようですが、その地域の中に冷蔵車、冷凍車と連結して貯蔵をする、あるいは集散ができるというようなものもあわせて設備していただくと全体の流通がうまくいく。特にコールドチェーンというような問題にも対処し得るような装置ができる、そういうことは非常に望ましいことであると思っております。申し上げることはいろいろあるのでございますが……。
  35. 兒玉末男

    兒玉委員 委員長、時間がありませんから、最後に一問だけ、まだたくさんありますけれども、あと控えておりますので、一問だけ質問いたします。  最後に国鉄当局にお伺いいたしたいのでありますが、今回の第三次の長期計画が完成まで約七年近くかかるわけですが、これだけの運賃値上げをやりまして、この事業を遂行するためにばく大な資金が必要であり、同時にまた国民の要請にこたえるためには、七年の間——すぐ明日から効果を期待することは困難であろうと思うのです。その間の資金運用等においても相当の困難が予想されるわけですが、第三次計画の完成までの過程におけるこのような資金運用等の面について、どういうふうな配慮をしていこうとするのか、この点最後にお伺いしまして、私の質問を終わります。
  36. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は、今回の七カ年計画の資金問題でございますが、私どもの説明が多少いままで明確を欠いたせいか、何か運賃値上げだけで設備計画をやるんだというふうに世間にとられまして、非常にまずい説明をしたと思っておるのでございます。今回の設備投資計画は全体で約三兆でございますが、三兆に、さらにこの七カ年間に借りかえその他をやりましても返さなければならない長期の借金が一兆、所要資金が全体で四兆でございます。その四兆の所要資金のうちの二割をこの運賃の増収分にお願いして、あとの八割は全部借金でやっていくことになります。したがいまして現在ちょうど昭和四十年度末におきましては、国鉄の長期負債は一兆一千億をちょっとこしております。これが昭和四十六年度末には二兆九千億というばく大な借金になるわけでございます。この七カ年間に借ります借金がちょうど三兆でございます。長期負債が昭和四十六年度末には二兆九千億、利子だけで四十年度の利払いが二千億をこすという形になるわけでございます。もちろん国全体の財投その他の資金量から申しますれば、七カ年間に三兆を国鉄に貸していただくことは、これはできると思っております。しかしながら、利払いの問題と元金の償還、ことに各地方でいろいろ御無理をお願いしておりますいわゆる利用債等につきましても、すでに累計八百億をこしております。利用債は、これはどうしても借りかえができませんので、お返ししなければならない。もうそろそろ償還の期限がまいっております。こういった利子の問題と借り入れ金の償還問題、この二つを頭におきながら、しかも自己資金からは、運賃を上げていただきましても、全体の工事量の約二割の金しかできない。八割の借金はどうしてもしていかなければならないということになりますと、あとは、これだけの設備投資をしてできました輸送力をどう使うかという問題であります。私どもといたしましては、一応七カ年間ではございますが、昭和四十三年というものを一応中間目標にいたしております。昭和四十三年の秋に大体の主要幹線複線化が完成いたしますので、四十三年秋を一つのピリオドといたしまして、その時点で一応全面的なダイヤ改正をいたしまして、そうして一応それまでの四年間の投資の集積をそこで実らせる。それで四十四、五、六の三カ年間は、次の昭和四十六年度に至る一つの段階としての投資を果たしていきたい、こういうふうに二つに時期を分けておりまして、全体の投資が七カ年間動かないということではもったいないですから、まず初めの四年間で一応の区切りをつけて、それで形をつける。それで企業努力をしまして現在考えております自己資金を少しでもふやしたい。あとは企業努力をいたしまして収入をあげる、あるいは経費の節約をする。これ以外には道がないわけでございます。この借金をしながら、しかもこれだけの利払いと元金の償還をするためには、相当われわれ自身が企業努力をほんとうに真剣になってやらなければならないというふうに考えております。それによりまして、数字的には四十六年度以降徐々に国鉄の経営状態はよくなっていく、こういう推定をいたしております。
  37. 古川丈吉

    古川委員長 村山喜一君。
  38. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間を十五分程度しかもらっておりませんので、その範囲で質問をいたしますので、簡潔にお答えを願いたいと思います。  国鉄が今回第三次長期計画によります産業別生産誘発額というものを発表いたしました。これによりますと、七カ年計画で六兆四千七百二十八億の生産誘発が行なわれる、こういうような発表がなされているわけであります。それぞれ産業別に産業連関分析によりましてそれだけの生産誘発額が見込まれているわけでありますが、それに対しまして、四十一年度通算省が出しましたいわゆる鉱工業生産の見通しについてという中において、国鉄工事量として予定をしております三千六百億というものがどういうウエートを占めて日本経済の中で動いていくのかという点については、あなた方はどういうような形でこれを見ておられるのか、という点をまずひとつお聞きいたしておきたいのであります。と申し上げますのは、問題はやはり、そういうような長期的な経済の見通しというものを発表されると同時に、私はやはりこの際、国鉄運賃引き上げたその関連性において物価上昇の上にどのような影響を来たすかという点まで国鉄当局も分析をしておくべきであるというふうに考えるのであります。  なお、運輸大臣に私どもそういう立場からお尋ねをいたすのでありますが、地下鉄については二六・六%引き上げた、さらに私鉄十四社については二〇・二%の引き上げを行なった、そうして昨年の十一月の物価指数の統計の上から出てまいりますいわゆる対前年比におけるバス代の値上げに伴います上昇寄与率というものが二%あるのだ、そうして対前年上昇比率において総体で総合的には一〇六・三%という上昇率でありますが、その中におけるバス代の値上がりによる上昇寄与率というものが二%あるのだ、こういうようなものが統計的に出されているわけであります。私のところに学生の諸君がやってまいりまして、もう今日五人ぐらいの集団を組んだら、地下鉄やあるいは国鉄——今度国鉄値上がりになった場合のことですが、そういうものに乗るもんじゃない、私鉄にも乗る必要はない。もう五人だったらタクシーを雇うてタクシーに乗ったほうが安あがりで、近くのところにはそのほうが便利で早く行けるのだということを話をしておるのであります。そういうふうになってまいりますと、今度はまたタクシーの運賃値上がりというものがそろそろ出てくる。すでに九州地方におきましては、業者が集まりまして、三三%程度のタクシーの値上げ申請をやろうじゃないかという打ち合わせをいたしておる。こういうような形の中で、私は、物価の上にあらわれてくるいわゆる国鉄運賃の占める割合というものが〇・七%程度にすぎないからそれは問題にするにあたらないという議論は、これは当たらないと思うのであります。こういうような総体的な国鉄運賃値上がりに伴う直接の物価上昇が何%になるのか。それと関連をいたしまして、いわゆる生活必需品物価上昇にどういうような影響を及ぼしてくるのか。さらに卸売り物価に与える影響の度合いというものはどういうようなものに測定をされるのか、やはり産業別の生産誘発額を測定をすると同様に、国鉄自身においてもそういうような計算をしたものがなければならないのではないか、こういう立場から私はお伺いをいたしているのでありますが、国鉄はそういうようなものを計算されたものがありますかどうか。また経済企画庁の国民生活局においては、あらゆる問題について、それらの影響度合というものを測定をし、これに対処する対策というものを立てておられるかどうか。こういう点についてお伺いをいたしたいのであります。  それから、先ほど山本委員質問の中にございましたが、サービスが向上をすれば幾らかの値上がりもこれはやむを得ないのだという議論のように聞きました。しかし通勤ラッシュの緩和にいたしましても、昭和四十五年において、そのラッシュの指数というものは二五〇だと私たちは聞いているのであります。そうなれば、これは今日より少し緩和される程度であって、ほとんど緩和されないというような状態の中で値上がりがされるということに予定をされているのではないか。さらにまた、この問題が将来においてさらに運賃値上がりという問題を呼び起こす要因になってくるとするならば、経済閣僚会議において、これは藤山長官であったかと思いますが、私鉄運賃等については向こう四カ年間は値上げをしないのだという決定をなされているようであります。とするならば、国鉄の場合においては、将来向こう何年間は値上げをしないのだという約束が国民の前に示されるかどうか、この点についてお伺いをしたいのであります。これは中村運輸大臣からお答えを願っておきたいのであります。  第二の質問の要点は、御承知のように科学技術庁におきまして、「南九州の農産物の海上輸送について」という本をつくっております。この中におきますいわゆる貨物運賃の割合、そうして新しい冷凍船を配属をすることによりまして、南九州の農畜産物を東京や大阪市場に運び入れる場合のコストの割合が相当詳細にわたりまして計算がされて出されているのでございます。これによりますると、いわゆる運賃比率を計算をいたしてみますが、トン当たり国鉄の貨物輸送にいたしますと、これを一〇〇にすると、船舶輸送による分は係数が三五になります。トラック輸送は四七二になるのであります。こういうような点から考えてまいりまするならば、しかも所要時間は国鉄よりも船舶輸送によるもののほうが早い。大量輸送がきくという形になる。いま話をお伺いいたしてみますると、まあ冷凍専門の貨車を増設をする、そういうようなことにおいて国民の生活の安定に寄与したいというような話であります。そういうような問題は、国鉄自体としては、一部門としては考えてしかるべきであると思うのでありますが、日本のいわゆる国民生活を安定させるという立場から考えてまいりました場合には、それぞれの受け持ちの分野というものがなければならないはずであります。冷凍船を配属をし、計画輸送をする、大量輸送をすることによって、庶民の生活の安定ができる、物価の安定ができるということに相なるならば、これはやはりそういうような方向において国家の財政資金というものを使うべきである、こういう考え方を立てなければならないと思うのであります。将来の輸送体系の問題に関する問題でありますが、そういうような点を考えながら、いわゆる僻地の開発の問題等を取り上げていかなければならないのに、やはり新しい赤字がみすみす出るような路線に五百億を投入をして、そして新線建設をやらなければならない。将来にはまた赤字要因ができる、こういう姿の中から政治的に動いていく国鉄の姿というものを考えてまいりますと、非常に問題があるのではないか。これはやはり日本輸送の上における全体的な配慮というものが今日欠けているところに、こういうような問題点があるんだということを考えるのであります。そういう立場から、ここにいわゆる試案として出されました科学技術庁の考え方というようなものを取り入れながらやってまいりまする場合において、将来における国鉄の貨物輸送に対する考え方というものは、国民生活との関連性の上において、どういうふうに考えておられるのかということをお尋ねをしておきたいと思うのでございます。
  39. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 今回の国鉄運賃の是正の影響は、物価の中に運賃が占めております比重等を考えますと、物価に大きな影響をそれほど与えるものではないという見解に立っております。しかしながら多少の影響のあることは、これは当然でございますが、現在国民生活が要求しております輸送需要というものの実態と、現在の輸送施設の状態との間に、非常に大きなアンバランスがございます。国民の交通その他輸送等に不安を生ずるような実情でございますので、やむを得ずその運賃の是正によって、第三次の長期計画を進めてまいるということでございます。  それから私鉄その他の運賃は、四年間ぐらい上げないのではないかという質問でございますが、現在国鉄の七カ年間の第三次長期計画の中におきましても、特殊の値上げ要因等が生じない限り、大体値上げ等をせずにやっていくという考え方でございます。私鉄の運賃は、いま村山委員仰せられましたように、これもやはり特殊の、だれが考えても特別の情勢だという経済的な要因が生じない限り、四カ年ぐらいは上げないという方向でいくという方針で、今回は値上げを認めた次第でございます。  その他物価に対する影響とか経済問題につきましては、経済企画庁の長官から、さらにその他具体的な問題については政府委員から答えさせます。
  40. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 貨物輸送がどの程度に卸売り物価もしくは消費者物価影響するかという個々物資につきましては非常に困難でございまして、なかなか数字としては出てまいりませんので、われわれ確定的な数字をいま企画庁で持っておりません。ただ旅客に対してはある程度数字が整いますので、われわれの見通しを出しておるわけであります。私は、今回の国鉄の場合についても、やはり日本経済の今日の面について総合的に問題を考えていかなければならぬのでありまして、先般実は国鉄貨物の値上げがありましたときに、木材関係あるいはパルプ関係の有力な会社の方がおいでになって、あまり上げてもらっちゃ困るというお話があったのですが、私はいまの事情から申せば、産業会社がある程度金利の負担を軽減すれば、こういう面は吸収できていく。だからあなた方自己資本の蓄積ということについて努力したらどうですか、あるいは金利の引き下げというような問題について、もっと考えてもらえないだろうかということを申したのですが、私は今回の貨物に対する運賃の値上げも、ただ単に国鉄が値上げするから、それだけがすぐに物価にはね返ってくるというのではなくて、もし金利が若干でも経営者の立場において下げることができるなら、これは吸収して協力してもらえるものじゃないか。ですから全体の経済としてこの問題を考えていく。だから、運賃が上がったからすぐに卸売り物価その他にはね返ってくるということも考えられますけれども、それをはね返らさないで吸収させるという考え方も私はできないわけではない。こういうのは、全体の経済政策としてわれわれが経済運営の上で考えていかなければならぬ点だ、こう考えております。
  41. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄工事費の波及効果でございますけれども、これにつきましては、たとえば、私どもといたしましては、先ほど申しました七カ年計画の約三兆のうちから、用地費と人件費をまず除きまして、その残りにつきまして具体的に検討したわけでございますが、昨年景気回復の関係で二百億ぐらい財投の増加がございました。それにつきましては実は詳細にあとをトレースしてみたわけでございます。  たとえば電車一両発注いたしますと、強弱電はもちろんのこと、たとえばビニール工業からガラス工業まで、非常に波及効果が大きいということで、具体的な例をとりまして、東芝なら東芝で電車をつくる場合に、それが末端の下請にどこまでいくのだということも全部検討いたしました。  また、土木建築につきましては、やはりセメント、鉄、ガラス、そういった方面についての効果を具体的に検討いたしました結果、大体二・五倍前後という数字が出たわけでございまして、これは理論的な根拠と申しますよりはむしろ実績から割り出した数字でございますので、あるいは多少そのときそのときによって違うかもしれませんが、大体百億のものが二百四、五十億には回るという実績で出したわけでございます。  それから、将来の物価問題等につきましての検討がなされてないじゃないかという御説でございますが、これは私どもといたしましては、国鉄輸送という非常に小さい窓の中からしか見ておりませんので、なかなか、総合的な輸出入の問題あるいは総供給量、総需要量の問題、そういった根本的な、物価の基礎をなすいろいろな問題についての勉強が非常に足りませんで、将来国鉄運賃をこれだけ上げたら物価がどうなるという、直接的な関連をつかまえて将来の物価まで検討するというだけのことは実はいたしておりません。  二番目の御質問の南九州の問題でございますけれども、これは実は私どもも非常に興味深く、いま先生のお持ちになっていらっしゃる論文を読んだわけでございます。これは実は私どものほうもそれに多少入りましてそれができておりますので、大体内容は承知いたしておりますが、確かに運賃から申しますと船運賃が徹底的に安いのは事実でございます。ただ、現在私どもで経験いたしております北海道の物資でございますけれども、たとえば北海道の物資の中でも木材のようなもの、これは当然船舶輸送がしかるべきだというふうに思っておりますが、やはりどうしても貨車輸送になる。と申しますことは、取引の単位の問題が一つあるわけでございます。ことに戦後、木材あるいは農業関係が中小企業的になりましたために、一回の出荷量が非常に少ないわけでございます。船一ぱいまとまるまでとても資金繰りがつかないというようなこともございまして、船舶輸送に一番適していると思っている木材でさえ、なかなか鉄道から離れない、こういうような事情もございます。しかし、ただいまのお話は、私どもといたしましても、将来、コールドチェーンの問題等に関連しまして、十分それらを考え合わせて、決してむだのないような投資をしてまいりたいと考えております。
  42. 吉光久

    ○吉光政府委員 ただいまの御質問にございました来年度の鉱工業生産の見通しの点でございますけれども、一応GNPの伸び七・五%程度というものを前提にいたしまして、鉱工業生産関係で約八%の生産の伸びを見込んでおるわけでございます。特にその場合に一応の原動力になるものといたしましては、輸出の伸びと公共投資関係の伸びというものを中心にしてはじいておりまして、たとえば、端的に申し上げますと、鉄鋼業関係につきましては、輸出関係の伸びというものはほぼ本年度と横ばいという意味であまり認められませんけれども、全体としてはじきまして、粗鋼ベースで七・二%の増をはじいておりますが、これは先ほどお話がございました国鉄等の公共投資を前提にいたしまして、これが非常な原動力になった生産の伸びというふうにはじいております。  それから波及効果は、先ほどお話にございましたように、多方面にわたるわけでございますけれども、端的に、鉄道車両だけでは一〇%程度の伸びを見込んでおります。セメント関係につきまして、これも国鉄だけではございませんけれども、公共投資全体の伸びにささえられまして、約七・八%程度の伸びというふうな計算をいたしております。  大体以上のとおりでございます。
  43. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 答弁が長くなって時間がなくなりましたので、このあたりでやめますが、問題は、運賃の値上げをやる、それが大衆の心理の中にはね返ってくる影響度というもの、関連する物価上昇というもの、そういうようなものについて、詳細な産業連関表に基づく生産誘発額を積算するだけの能力を国鉄自身が持っているのですから、これだけの運賃引き上げに伴う直接の影響度というものは百円程度だという説明ではなくて、それは家計調査費の中のウエートの割合から打ち出した数字にすぎない。事実上は、通勤の人の場合には何割も上がるわけだ。それを全部通勤費で、補助対象として各会社が吸収してくれるのであるならばそう家計には響かないけれども、それは全体の四割程度しかないわけです。残りは、そういうような恵まれない職場におる人たちは、なおひどい影響を受けるということになる。だから、所得階層ごとの影響度合いというものまで私はメスを入れるべきだと思うので、第一分類の人たちにはこういうような影響がある、第五分類の人たちにはこういう影響があるのだ、だからこれについてはこういうような配慮をもって臨むのだという、国民の生活を中心に考えていくような立場での分析というものもあなた方自身がおやりにならなければ、国民のための国鉄であるとはいえないと私は思うのですよ。ただ物価には影響はありませんというような、そういう機械的な答弁だけでは過ごされない事態になっているのではないか。その点をあなた方自身が、幹部みずからが反省をしてもらわなければならない。運輸大臣は運輸大臣として、単に国鉄だけの問題ではなくて、日本輸送体系の上において、国鉄は将来どういうふうにあるべきかという問題のあり方の中から総合的に問題を把握してもらいたいという点を要望申し上げておきたいと思うのでございます。  それと、先ほども、いわゆる家計調査費の中に占めるウエートの取り方については問題が指摘をされました。今日におきまして国鉄運賃ウエートなどというのはわずかに一万分の九十八にすぎない、こういうような数字が出されておりますが、これなどにつきましては非常に問題がありますので、物価特別委員会の場合に取り上げてまいりますが、これにつきましてもし答弁がありましたら総理府のほうからお答えを願っておきたいと思うのでございます。  以上をもちまして質問を終わります。
  44. 古川丈吉

    古川委員長 大村邦夫君。
  45. 大村邦夫

    ○大村委員 理事から発言時間の制約を受けまして、その関係で十分な質問ができませんが、おもな点について若干御質問を申し上げておきます。  私は、今回の国鉄運賃の値上げについては、その内容においても経緯においても、きわめて不明朗さを感ずるものであります。  まず第一に、私は政府政治姿勢について所管大臣のお考えをお聞きしたい。それは御承知のように、国鉄が運輸大臣に対して運賃改定申請を行なったのは昨年の十月二十五日でございます。これに基づきまして、政府与党六者会議で十一月十七日に、平均二五%の値上げを四十一年二月十五日から実施をすることを内定をいたしました。この時期は、御承知のように、たまたま運輸審議会の公聴会が開かれておる時期でありまして、その結論が出ないままにおいて政府がこういう方針を内定するということは、政府みずからがきめた諮問機関の権威あるいは公聴会の趣旨、そういう点から私は単に遺憾に存じますだけでは済まないと思います。こういう傾向は、かつては昨年消費者米価の決定にも見られました。すなわち政府、自民党は、十一月十三日に経済閣僚会議を開きまして、消費者米価を平均八・六%引き上げるという内容をきめたわけであります。このときも、米価審議会がまだ開かれておりません。諮問中でありました。こういうふうに次々に諮問機関の権威を傷つける政府のやり方、民意を無視する政府のやり方、この点について私はまことに問題があると思います。その点について所管大臣の御所見を聞きたい。
  46. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 大村委員の仰せられます党と政府運賃の問題を運輸審議会の諮問中にきめたではないかという御質問でございますが、実はあれは十一月十七日に、党の首脳部と私と関係閣僚と集まりまして、大体運賃値上げの時期の見通しを御相談するつもりで私がお集まりを願ったのでございます。そして大体の引き上げの時期の見通しとしては、私は大体一月一日から上げたいということを強くお願いいたしたのでございますが、そのとき一月一日というのはいろいろ無理があるようだから、二月の十五日ごろを目途としてやってはどうかということになったのでございます。そのときに、たまたま引き上げの率の問題についていろいろ意見が述べられておったことは承知いたしておりますが、私は、運輸大臣としては、いま運輸審議会に諮問をして、しかもいま公聴会の最中であるから運賃率をきめるということは適当でないということを申し上げまして、それはいろいろ個人的な意見が出たということでございました。運審の公聴会途中にきめたということはございません。
  47. 大村邦夫

    ○大村委員 時間の関係で、この問題にいつまでも食い下がってはおられませんが、あなたはそうおっしゃいますが、方針を内定したということは各新聞とも一斉に書き立てたわけです。しかも、私は名前は忘れましたが与党の幹部が、実は政府与党六者会議の中で値上げ幅まできめる意思はなかったのだが、いろいろ強い意見が出て、ついに数字に触れざるを得なかった、こういうことも言われておるので、とぼけるのもほどほどにしてもらいたいと思います。  それから、次に運賃値上げの理由でございますが、私が説明するまでもなく、一つには経営上の収支のバランスが失われたということがあげられております。二つ目には第三次の長期計画、つまり輸送力を増強するための所要資金の一部を調達するということになっております。そこで私がふしぎに思うのは、これはおそらく運輸委員会でも御質問が出たと思いますが、国鉄運賃引き上げに際してはその前年度に、昭和三十二年、六年に例をとりましても、三十二年では三十一年に、三十六年では三十五年に、さらに今回は三十九年に、大幅な損失を計上したりあるいはまた利益が減少しておるわけであります。こういう点はどうも私ども、これは大ざっぱな考え方ではありますが釈然としない。数字は時間の関係がございますから一々申し上げませんが、世上これは粉飾決算である、こういうことがいわれております。その点について、納得のいく説明を実は願いたいのであります。これまた、再々言いますが、時間の関係がありますからひとつ簡潔に御答弁を願いたい。
  48. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの三十九年度の決算の問題でございます。過般、当委員会でも御質問がございまして御説明を申し上げましたが、三十九年度と三十八年度と比較いたしますと、数項目において相当大きな経費の増がございます。これはまず第一にいま御指摘の減価償却費、その次が人件費でございます。人件費は御承知のとおり国鉄の職員と他の企業体との格差是正ということで、九・五%という非常に大きなベースアップをいたしました。これの人件費の増、それからあとは利子の増でございます。減価償却費は三百十二億、利子が百三十四億、人件費が四百四十二億、これが三十九年度と三十八年度の経営上の大きな違いでございます。  さらにもう一つは、三十九年度の収入が思うほど伸びなかったという点も一つでございます。  人件費と利子につきましては一応御質問ございませんので除外いたしまして、減価償却費について御説明申し上げますと、これは御承知のとおり三十六年度に運賃改定いたしまして、そのときに従来の定額法を定率法に改めたわけでございます。これは運賃値上げの前でなしに、運賃値上げの済んだあとで減価償却制度を改めた。その後国鉄の監査委員会その他から、いまの償却では足りない、もっときちっとした償却をしろということで、法人税法施行令にございます取りかえ資産による、取りかえ資産の場合の償却方法並びに即時償却、この二点を三十九年度から実施をいたしたわけでございます。これが三十九年度におきまして即時償却は七十六億、半額法が二百十二億、これだけ増加したわけでございます。あとの償却費の増加は、財産がふえることによって当然ふえてまいります。したがいまして、三十九年度におきましては一応法人税法でやる程度の償却ができたわけでございますが、さらに私どもはそれだけではいかぬということで、その後国鉄の財政会計制度の調査会等を開きました結果、さらに耐用年数が短か過ぎる。ことに最近の技術の発達に伴いまして非常に陳腐化が激しい。たとえば電車で申しますと、私のほうの電車が二十年償却でございます。ところが私鉄の電車は十三年の償却でございます。そういうようなことを一つごらんくださいましても、実は粉飾決算どころか、非常に償却費が足りない。むしろ公共企業におきましては十分な償却をしないと、取りかえ資産の取りかえが十分行なわれないというような議論もございます。今後耐用年数等につきましては十分検討しろ、こういうふうな御指示も受けておるわけでございまして、償却制度の改正につきましては、国有鉄道法の四十二条によりまして運輸大臣、大蔵大臣並びに会計検査院の御承認を得てやったわけでございます。
  49. 大村邦夫

    ○大村委員 あなたは減価償却云々と言われましたが、減価償却制度はいまに始まった話じゃないでしょう。昭和二十二年までは、国鉄はいまのような減価償却制度は設けていなかったですね。二十三年から設けて、三十年には資産の再評価をやって今日に及んでおる。毎年毎年会計監査というものがあるわけです。最近になってやっと減価償却費が少ないということが国鉄当局や監査委員会が気がつくということは、私ども常識としては考えられないのですよ。その点が一つ。  それから、今回にスポットを当てていろいろ御説明がありましたが、やっぱりこれは歴史の経過というものを無視することができないと思うのです。数字をあげることは控えたかったのですが、たとえば昭和三十二年に運賃の値上げをやった。ところが昭和三十一年の損益決算を見ますと、百五十三億の赤字を実は出しておるわけです。そして値上げをやった。値上げをやるから当然黒字になるのはわかるのですが、その値上げをやった三十二年には二百二十六億の黒字になっておる。ところが、そのすぐ翌年は半分の百二億、さらにその翌年は値上げ当時の四分の一、これはいろいろ備設投資の関係もあるでしょう。しかしそんなに差が出るものじゃないと思うのです。それに、さらに昭和三十六年の値上げの前年である三十五年を見ましても、これも五十五億、非常に利益幅が少なくなっておる。そして今回、四十年に、おたくのほうでは値上げを予定しておったようですが、三十九年になると、前年五百四十何億の黒字が、一挙にマイナス三百億、その差実に八百億というように営業成績が落ち込む。こういうことはどうあなたたちが説明してみても、たまたま偶然にそれが一致したんだと言ってみても私どもにそれを説得されることにはならないと思います。納得できないのです。しかしこの論争をやっても、いつまでも平行線だからやめますが、いつかはこのマンモス企業の国鉄内容というものは明らかになるときが来ると思います。国民はたくさんおるのですから、あなたたちがいかにりっぱな決算をつくってみても、国民の目はごまかせないと思います。やがてこのことは白日のもとにあきらかになると思います。続けますが、本年度の三百九億の赤字は、これは先ほど説明のありましたような内容をもって、つまり経費が約一千百億円ほど増加をしたから赤字になったんだ、こういうことを言われております。その赤字の内容をいろいろ見てみますと、これまた説明のありましたように利子、それから借金の返済経費、これが合わせて七百四十九億くらいになりまして、一番増加率が多い。これをもし国が出資しておれば、この支出は節約ができ、銀行にどんどん利子を払う必要もなく、しかもその利子を国民運賃負担することもなくなるはずです。そういうものはやらなくて済むのです。私は、いつか何かで読んだことがありますが、国鉄総裁の石田さんがNHKのテレビ対談で、今日の国鉄というのは国有鉄道じゃない、国から一文も出資を受けていない。これは極端な言い方です。調べてみますと四十九億で、資産額二兆円から四兆円といわれる中で、わずか四十億程度の出資。これで一体国有鉄道というのは、大臣どう思いますか、恥ずかしく思いませんか。国有じゃないですよ。この議論から始めれば、いろいろまた議論の余地もあるでしょう。あなたたちが国有鉄道というなら、もっとこういう点で考えなければいけないじゃないですか。そういうことで利子の、あるいは借金の返済が非常にふえておる。その次は減価償却である。減価償却は金額にして昨年比増が三百十二億、四六%増。この減価償却はあなたがいま説明されましたが、そのやり方を最近になって、値上げ前になぜ改めなければならないのか。それは会計監査等で指摘をされて、償却費が安いからと言われたのであわてて直したんだ、こういうことになるでしょう。しかし従来あなたのほうの減価償却のやり方を見ますと、その年に取得をした、いわゆる財産ですが、資産については翌年でなければ減価償却費の対象にしなかったわけです。それを今度は一挙にやった。だから新幹線でも四十一億、総体で七十数億円の減価償却が増になるのじゃないか。そんなことをいまごろ気がついたのですか。言い方はいろいろあるでしょう。こういうやり方は粉飾決算といわれてもしようがないじゃないか。あなたは首を振るけれども、そうしか思われませんよ。あれだけのマンモス企業ですから、やり方によればどうにでもなるでしょう。修繕費もそうでしょう。これも非常に弾力性がある。ずっと経費を調べてみますと、値上げの前の年には、いつでも修繕費がふえておるのです。そうなんじゃないのですか。反撥がありますか。昭和三十一年ですか、このときの国鉄の修繕費を見てみますと、改良工事と修繕費との区別がほとんどあいまいである。これは指摘をされたでしょう。それから今度区分をしだした結果、たとえば車両の鋼鉄化あるいはまくら木をコンクリートにする、こういうものは一体何に入るのですか。あなたのほうは従来は修繕費に計上しておったでしょう。そういうことを昭和三十一年にやって指摘をされた。しかしそれを区分してもこの区分というものは非常にむずかしい。やり方によってはどうでもなる。極端に言えば修繕工事をどんどん将来分を含めてやろうと思えばやれないことはない。前年度はこれだけ要りました、本年度はことだけ要りました、こういうやり方が随所に指摘ができると思う。行政管理庁からも指摘をされたでしょう、三十一年に。そういうことをやっていまの減価償却費がふくらんでおる。あるいはまた修繕費が……。そういうことを総合してみますと、どうあなたたちが言われても、私どもしろうと考えかもしれませんが、やはり粉飾決算のにおいが濃い。これは私一人が指摘をするのじゃなしに、いろいろな雑誌や、経済雑誌に批判が書いてあるのを読んでごらんなさい。ほとんどこのことを指摘をしております。しかし、それをいまここで何が何ぼ、何が何ぼと説明したって、なかなか時間の関係でできないでしょう。しかし国民の目はごまかせませんということを、私は言いっぱなしのようですが、ここで言っておきたいのです。ただ一言だけ先ほどの、新年度の取得分を、翌年度に繰り越しておったものを、急に年度に減価償却費として計上しなければならなくなった理由は何ですか。これだけ聞いておきます。
  50. 磯崎叡

    磯崎説明員 減価償却費の問題につきましては、先生の御説のとおり、いろいろ議論のあることは事実でございます。私どもといたしましても、昭和三十九年度に減価償却の制度を改めるにつきましてはずいぶん検討いたしまして、ちょうどたまたま内閣に設置されておりました国鉄基本問題懇談会というものがございます。その懇談会にはいろいろ専門の方がたくさん入っております。そこで十分検討いたした次第でございますが、ただいまの半額償却、即時償却、特に御質問は即時償却のほうであったと思いますが、即時償却につきましては、たとえば年度当初に投資したものを、翌年度でなければ償却しない、これは償却制度から申しましても非常に手数を省いたやり方といいますか、現実の実態と照らしていないやり方、少なくとも翌年からやるべきだ。多少の人がふえ、手間がかかってもそういう正確な償却をしなくてはならぬということは、三十六年に定額法から定率法に変えるときに実はこの話が出たのです。しかし一度にやったのでは困るということで、三十六年度は、御承知のとおり定額法を定率法に改めるという一つの制度改正をいたしました。その後この償却制度の健全化ということにつきましては、三十九年になってあわててやったのではなしに、毎年委員会をつくりまして、いろいろ検討いたしまして、たまたま三十九年度の内閣の調査会でもって御承認を願って諸般の手続を済ました、こういうことでございます。
  51. 大村邦夫

    ○大村委員 減価償却のやり方についてはずいぶん疑問がありますが、ここでは時間の関係で先を急ぎます。  国鉄運賃をきめる場合の基準、考え方、これは国鉄運賃法というものがありますね。この原則によると、一つは「公正妥当なものであること。」、二つ目には「原価を償うものであること。」、三つには「産業の発達に資すること。」、四つ目は「賃金及び物価の安定に寄与すること。」、この四つがあがっておりますね。これは例は妥当でないかもしれませんが、政府の言う不況克服と物価と、その二つを同時に解決をするんだ、いやそうはなかなかいかないじゃないかと議論があるように、この四つの原則は同時に満たされますか。私はずいぶん矛盾があると思うのですがどうお考えですか。今度の運賃値上げは、この四つが忠実に守られておるかどうか。運輸大臣答弁願います。
  52. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 条件を満たすような方向で決定したもののようであります。詳細は政府委員から答えさせます。
  53. 堀武夫

    ○堀政府委員 運賃法の第一条に、いまおっしゃいました運賃をきめる場合の四原則が書いてあるわけです。この四原則おのおの全部満足させることができるか。確かに相矛盾するような要素もあるかと思います。しかしこれを矛盾なく解釈をしなければ——法律でありますから、矛盾なく解釈することが必要である。この原則の最も中心となるべき原則というのは、やはり原価を償うものであることということが一番中心となる原則ではないか。この原則を貫ける範囲内においてあとの原則を調和できるように考えていく、こういうふうに解釈をいたさなければならない。そうしますと、原価を償うということをまず第一に考えて、そして産業の発達に資するとか、あるいは賃金及び物価の安定に寄与するということをできるだけ配慮してやっていく、こういうふうに解釈をいたしております。
  54. 大村邦夫

    ○大村委員 わかったような、わからぬです。矛盾なく解釈をする、調和をし——わからぬです。指摘をしましょう。  まず一つの公正妥当なものであることですね。私が説明するまでもなく、今回の運賃値上げは旅客は三一・二、貨物一二・三、これは平均でしょう。だから高いのもあるし、低いのもある、こういうことだと思います。そこで私が遺憾に思うのは、今回の改正案によりますと、三百一キロから四百キロのところ、これは一体どれぐらい上がるのですか。十五割も上がるじゃありませんか。一五二%、だまかしですよ。それから先ほど説明のありました準急、急行、この区別がまた変わった。たとえば例をとりますと、東京−名古屋間の準急、東海号、ずいぶん利用者が多いようですが、これは従来運賃が九百二十円、準急料が百円。今度の改正によりますと、百キロをこえればみんな急行になるのですから、しかもスピードアップなんてありやしません。所要時分もほとんど変わっていない。到着時分も変わらない。にもかかわらず今度の改正では運賃が一千三百四十円、それに急行料が三百円、合計千六百四十円、六一%のアップであります。私はこういう数字を見てたまげました。さらに通勤定期です。これもずいぶん割引率が高いとおっしゃっておられます。しかし、もうかっておるじゃありませんか。東京近郊の電車を見てごらんなさい。殺人的なすし詰め運転じゃありませんか。整理係までおって、うしろから腰を押さなければ入れない。今度改正しても二・四倍ぐらいの混雑度の緩和、こういう実態です。しかもいま申しますように、この東京近郊はドル箱といわれておる。そうして通勤者は、土地の値上がり、あるいは住宅難から、都心から年々だんだん離れていっていますね。国鉄調査でもちゃんと出ておる。一番多いところはどこか見てみますと、大体二十一キロから三十キロの範囲の通勤者がふえておりますね。これはたとえば昭和三十八年二一・六%、三十九年は二二・九%。逆にゼロから十キロの範囲内が一四・三、それが三十九年には一三・八、十キロから二十キロが二六・七、三十九年には二六・四というようにだんだん減って、つまり二十一キロから三十キロがふえております。そこを一番ねらっての運賃の値上げなんですね。個々の上昇率、副総裁御承知でしょう。ずいぶん上がっておりますね。二倍近くなっておりますよ。旅客平均三一・二%、いかにもほんとうのようですが、実態を拾ってみると、こういうかっこうになっておる。  それから黒字についても、減価償却を引いて、つまり黒字ですが、昭和三十九年では二割の十三億、三十八年では三割の百五十六億、電車はみんなもうけていますよ。これについて、今度は何でしょう。いまのような料金の値上げ、いろいろ計算方法がありますが、あなたのほうが専門家ですから説明を省略します。  今度は貨物のほうです。貨物運賃のほうはいろいろ拾ってみますと、一等級——時計とか自動車とか冷蔵庫、こういうのは賃率が一六八から一三五に引き下げられた。そうして基礎率が一七%に上がったけれども、逆に六%引き下げられておる。安くなっている。もっともいまごろ時計を汽車で送るような者はいないでしょう。それをわざとねらって下げておる。ずるいですね、やり方は。そうしていま申しますように六%程度下がっておる。さらに重量階梯率の採用によって、品目によっては十五トン車の場合には最高四〇%も現行より安くなっているのがある。一方中小企業関係、商工業者あるいは農漁民の生産物、これはどなたか先ほど説明がありましたが、これはすごく高くなっている。ですからこういうことを考えてみますと、今日の値上げ案の重点は貨物よりも旅客、それから貨物の中では中小業者の生産物、つまり消費者にとっては生活必需品ですね。それから旅客の中では通勤者、これに重点を置かれておる。どこが公平ですか、調和がとれていますか。とれていないじゃないですか。しかも一等級、二等級と何で分けたか説明つかぬでしょう。政策的な等級区分じゃないですか。それからさらに減価償却を償うものである。この点についても貨物は減価償却を償っておりますか。ちょっと副総裁に聞きます。
  55. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど申しましたとおり、全体の中の共通費は約七〇%ございます、旅客貨物の輸送率につきまして。したがってそれを貨物のための減価償却費、旅客のための減価償却費というように分けることは非常にむずかしいのでございます。しかし一応いろいろなことを前提といたしまして、もちろん償却費を分けております。分けた結果、先ほど冒頭に兒玉先生の御質問のとおり累年から申しますと、貨物の赤が大きく旅客が黒になっておる、こういうことでございます。
  56. 大村邦夫

    ○大村委員 私の存知するところでは、今度値上げをしても貨物に限っては三%程度の大体赤字ではないか、こういうように考えている。いずれにしましても先ほど説明しましたように、非常に旅客と貨物との間にはアンバラがある、こういう指摘ができると思います。そうしますと、第一点の公平云々とか、減価償却の云々とかいうことは、もうくずれておるじゃありませんか。それから第三の産業の発達に資すること。これも先ほど副総裁かどなたか説明がありましたが、国鉄基本問題懇談会の会長脇村義太郎名誉教授、これをわれわれは御用学者と呼んでおりますが、世上そう言われております。この人が書いた中にこういうことをいっていますね。今回の不況は容易ならぬ不況で、尋常一様の手段では短期間に克服することができない。どうしても新しい需要を呼び起こして不況の深刻化を押えながら、その間に景気を上昇させていく道を見つけなければならない。それには鉄道の建設を思い切ってやることが一番いいのじゃないか。鉄道は住宅と並んで産業の広い分野に関連を持っていますから、景気の振興には最大の効果があると思います。いまや不況に悩んでいる建設業や電気機械工業、車両工業、セメント工業などに直接の景気回復剤になるし、間接的には危機を伝えられる鉄鋼業も相当大きな利益が受けられるようこの際、国鉄第三次計画の期間短縮を何よりの不況対策として声を大にして主張をいたします、こういうことをいっていますね。この基本問題懇談会の答申を受けた政府は、かなり尊重しています。そのことは、この考え方と変わらないじゃないか、こういうことを私は指摘をしたい。波及効果の問題もいろいろ言われましたが、政府は、いや、これが主体じゃないとおっしゃいましょう。おそらくこれは議論しても平行線かもしれませんが、明らかにこのねらいがあるということは指摘ができるわけです。  特に私が驚いたのは、当局の業界とのなれ合いです。たとえばあなたのほうの国鉄資材局長の千葉照夫さん、おられますか。いまどうか知りませんがね、当時資材局長。これは「国鉄の資材管理」という冊子の中で、「車両業界との関係に触れて車両業界の成長の過程において、国鉄はある意味で産婆役をつとめ、さらに車両予算を栄養分として補給し、技術という教育をも導入して、その成長を助長した」こういうことを言っていますね。これはずいぶん言い方がひどいと思いますね。副総裁、どうですか。あと答弁してください。まるで国鉄車両会社みたいだ。だから、見てごらんなさい。車両会社に国鉄の官僚がどれだけ入っておるか。時間があれば、実はあなたからお聞きをしたいと思うのですが、表があります。ずいぶんこれは入っていますね。汽車製造、社長、副社長、常務一。日本車両、副社長、専務、常務二、工場長。帝国車両、社長、副社長、常務一。近畿車両、社長、副社長、常務二。川崎車両、会長、専務、取締役一。東急車両、専務、常務、取締役一が国鉄官僚出身となっています。何かお感じになりませんか。あるとかないとかいっても、こういう事実は否定できないでしょう。こういうやり方をやっておるのですから、国鉄がいや赤字だなんだといっても、非常に私ども不明朗さを感ずる。私は、この席で、国鉄が出資をしておる外郭団体、それに国鉄の官僚がどういうポストについておるか、この一覧表の提示を求めます。  それから、国鉄の資材の発注ですね、これは公開入札を避けておるようですね。そうじゃないですか。車両もそうでしょう。大部分が随意契約になっておるように私どもは把握をしておりますが、この点ひとつ御答弁願います。
  57. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど御質問のございました中で、いまの最後の車両に対する発注の問題でございますが、これは御承知のとおり、車両会社と申しましても日本の一流車両会社というのはごくわずかでございます。これの中の指名競争ということよりも、各車両会社ごとに、たとえば電気機関車しかできない会社、あるいは電車の専門会社、あるいは貨物の専門会社、ほとんど日本車両業界は先生御承知のとおり、単能化されております。したがいまして、たとえば電車メーカーに電気機関車をつくらせる、電車メーカーに貨物車をつくらせることはできないということで、大体その最も得意な車種を受け持った会社にこれを配分しておるわけであります。そのほかに、たとえば町の工場にじかに発注するわけにいきませんので、日本の有数の車両会社、しかもおのおのの特殊技術にたんのうな会社に合わせて発注しておるわけであります。
  58. 大村邦夫

    ○大村委員 理由は何とでもつけられますが、しかし、そのことをもっていまのようなやり方は私は許されないと思う。もっと説明しますと、あなた御承知のように、民有車両制度というのがありますね。メーカーに国鉄が発注する場合に、アンバラがあるから、フル操業させるために、銀行から国鉄が保証になって金を借りてやって、車両をつくらして、そして利子の補給をして、減価償却分もして、それから五年くらいたてば買い入れてやる、こういうやり方をやっておられますね。これは国の予算とか、おたくの資金操作上、そういうことをやらざるを得ないといえばそれまででしょう。しかし、それと、先ほど言ったように国鉄出身の官僚がどんどん車両会社にいく、ここに結びつけたら、私どもはきわめて不明朗に思うのですよ。あなたはこの民有車両制度というのは好ましいとお考えになりますか。
  59. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は民有車両につきましては、現時点で三百億ぐらいございますが、いま先生がたまたま御指摘になりましたように、予算の不足を補うという意味で結局、国鉄が民間会社から車両を買う。これは私鉄でもどこでも主として信託の形式でやっておる問題でございます。ただ、先生のいまの御発言の中で一つ私ははっきり申し上げておきたいのは、利子、減価償却費の分は買い入れ価格からもちろん引いております。利子、減価償却費を払ってやり、そして買い入れ価格をまるまるやっておるということは絶対にありません。このことはきちっとしまして、五年間なら五年間に分割して私のほうでは使っておるわけであります。むしろ会社としては、いま先生のおっしゃったように、作業は平準化するけれども、利子負担につきましては、私どもは七分一厘しか払っておりませんので、銀行利子との差額につきましては、車両会社にある程度負担させざるを得ない。そのマイナスと、年間の作業が平準化することによる人夫の遊びのマイナス、それを計算いたしましてやらせている制度でございまして、私も必ずしもこれはいい制度だとは思っておりませんが、しかし現在の予算事情から申しますとやむを得ないことであり、ことに、昨年から始めました御承知のように特別債というのがございます。これは財投でもない、しかも利用債でもない、全く国鉄が自分の力で集めろということで千二百億の予算をきめられる。ことしまた約六百億近い予算がきまっておる。この特別債の消化などにつきましても、よほど私どもも考え方をかえないと、これからのこの金融市場で消化ができなくなるのではないかというふうに思っております。しかしながら、できれば私どもは民有車両制度はなるべく減らして、せめて特別債のほうに振りかえていきたいという気持ちを持っております。しかし特別債は利子が高くて七分五厘をこしますので、利払いは、去年千二百億に対する利払いがすでに百億をこしてしまっておるということで、私どもは、車両会社を相当泣かせながら利ざやは持たしております。そういう形でありまして、今後民有車両の問題につきましては十分検討してまいりたいと思っております。
  60. 大村邦夫

    ○大村委員 いずれにしましても、好ましくないことは私が言うまでもないことですよ。政府でさえも、不況になっても、その年間の予算の財投なら財投の後半期の分を前期に繰り上げるとか、ごく限られた期間ではそういうことはやりますけれども、おたくのように、予算事情が悪化しておるからというので五年も先の先食いをして、そうしてそれを国鉄運賃で大部分はまかなう。それは企業はいいでしょう。フル操業ができますから、企業の育成だのといえばそれは理由が立つかもしれません。そうして銀行はばく大な、しかも一番安全な融資じゃありませんか。国鉄という、国鉄大一家というマンモス企業に金を貸せば、金がないときは運賃値上げでまかなってくれる、銀行利子もどんどんくれる、こういうやり方は私は間違いだ、このことを指摘しておきます。  それから、消費者物価、私は、物価対策特別委員会委員ですから、むしろこれからが本論になるのです。ところが、もう二回にわたって実は委員長の時間制限の注意を受けました。残念ですが、これで終わりますが、しかし、国鉄当局が申しておるような、他物価への寄与率あるいは国民の生活費の中に占めるウエート、これはおよそ実態とは離れておる。そうしてしかも、おれのところが三一%上げても、大体国民は年間三百何ぼぐらいしか汽車賃を使わないのだから、百円ぐらいの値上げだ、こう思っても、郵便のほうもそう思い、電信電話もそう思い、小売り商人もそう思い、とうふも十円が十五円になってもまあこれくらいは、郵便料金もはがきが五円が七円になってもこれくらいは、これくらいこれくらいでみんなやってごらんなさい。たいへんなことです。あまりにも自己中心的過ぎるということを私は指摘をして、残念ながら終わります。
  61. 古川丈吉

    古川委員長 沢田君。
  62. 沢田政治

    ○沢田委員 今次の国鉄運賃値上げについては、すでに国民ののろいの的になっていることは周知のとおりであります。特に運賃の値上げをして、そのためこういうものにつきましても多くの国民には非常に大きな負担を重くして、その半面においては、貨物とか、特に独占で扱うところの貨物に対しては負担が非常に低い、こういうふうに、実感としてわれわれは受け取れるわけであります。  そこで、私がお聞きしたいのは、国鉄運営のあり方、あるいは国と国鉄のあり方、こういうものにつきましては、すでに同僚議員のほうから高所大所から質問されておりますので、今度の国鉄運賃が産業にどういう影響を及ぼすか、こういう角度からお聞きをしたいと考えておるわけでございます。といいましても、私は決して特定の産業のちょうちん持ちをして、そうしてその犠牲のしわ寄せというものを防ごう、こういう意味ではないわけであります。特に私は、産業といっても、中小企業の問題に重点を置きたいと思うわけであります。今度の国鉄運賃あるいは貨物運賃の値上げによって、瀕死じゃない、とん死するという産業が出ておる、こういうことはまことに重要なことであるというように考えるわけでございます。通産大臣が見えておりまするならば、私は広範な範囲においてお聞きしたいと思いますけれども、来ておられないようでありますから、特に鉱山局長さんがおりますので、今度の国鉄運賃値上げによって、特に通産省全般でなくても、鉱山局長の所管であるそういう一次産業、資源産業、こういうものに対してどういう影響を及ぼすのか、あるいは倒産、破産の危険性は、その産業のうちのある業種においてあるのかないのか、こういう点をお聞きしたいと思います。あるとするならば、当然所管官庁であり、その責任者である局長が、国鉄当局に対しどういう意見を出したのか、その意見に基づいて国鉄はどういうような態度をとったのか、こういう点をまず最初にお聞きしたいと思います。   〔委員長退席、山田(彌)委員長代理着席〕
  63. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 鉱業の状況でございますが、先生御承知のとおり、鉱業については国鉄運賃の占める率が非常に大きい。これは立地条件から、鉱山の場所が限定されているということでございます。それから、鉱産物については、国際商品といいますか、国際価格影響が非常に強いために、消費者物価というものは、一般論としてなかなかむずかしいという状況でございます。さらに、ただいま先生御指摘いただきましたように、中小鉱山が多い。特に非金属鉱山については、ほとんどが中小企業でございます。そういう意味で、国鉄運賃値上がりは広範な影響を鉱山に及ぼすわけでございますが、石灰石であるとか石こう等、非金属鉱山については特に影響が大きいと思われます。当初の国鉄の原案どおりの値上がりになりますと、石灰石のうち、国鉄に依存している鉱山についてはほとんど赤字になる。それから石こうの山につきましても、やはり過半数が赤字に転落するのではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、公共割引、営業割引、こういうふうな割引で、非常に影響のきついところについては特別の配慮をお願いしたい、こういうことで協議をしております。
  64. 今村義夫

    ○今村説明員 ただいまお話しのように、鉱石類の運賃につきましては、国内鉱保護という見地から、今回の値上げに際しまして、いろいろ通産省とも折衝をいたしまして、特別のものについては、恒久的な特別な割引措置をとる、あるいは営業割引で対処するということで、まだ最終的なあれは出ておりませんが、折衝中でございます。
  65. 沢田政治

    ○沢田委員 私は決してそういう、運賃を上げてくれとか下げてくれとかいうことじゃなくて、これが倒産に結びつく可能性、可能性というより、それが現実に出てきておるから、これをどうするか、こういう中小企業の倒産を防ぐという意味から聞いておるわけですから、念のためにそのつもりで聞いていただきたいと思っております。  国鉄運賃がコストの中に占める率が五〇%以上の業種があるわけです。そういう業種があるということを国鉄のほうで知っておるかどうですか。知っておるならば、教えてください。
  66. 今村義夫

    ○今村説明員 特別の砂利とか、そういうものにつきましては、そういうものはございますが、ほかのものにつきましては、それほどの大幅なものはないと思います。
  67. 沢田政治

    ○沢田委員 そういうことをわからないから、国鉄百年の大計のためにどうとかこうとか、中小企業がつぶれるのはわからないで、国民の反対にもかかわらず、こういう値上げ案を出してくると思うわけです。例をとってたとえるならば、石灰石の場合は、従来の価格の中に占める運賃の比率は四九・五%なわけです。今度の値上げ案がこのまままかり通るならば六二・一%なわけです。したがって、この産業というのは石灰石でありますけれども、国鉄運賃で倒産するための産業みたいなわけですね。これはつぶれることは明らかなわけです。しかも石灰石は国鉄にとっては非常に重要な顧客だと思う。たとえば主要貨物の中でも五番目に入るのじゃないかと思うわけです。年間の輸送量は、私の計算によりますと、たしか千二百万トンくらいになるわけですね。非常に大きい地位を占めておるわけです。しかも輸送効率は、集約輸送あるいはピストン輸送というようなことによって一〇〇%なわけです。したがって、このまま運賃がまかり通るならば、石灰石の山は九億円くらいの運賃増になることは火を見るよりも明らかなわけです。そのためにこれは倒産にならざるを得ないわけです。そういう事実を一体知っておりますか。中小企業がつぶれてもやはり運賃を値上げしなければならない、こういう立場に立つわけですか。その点を明確に答弁願います。
  68. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま石灰石の例をお引きになりましたが、なるほど石灰石は私のほうから申しますならば、輸送量は非常に多い、効率もいい。しかし運賃は十級で、百のコストに対して八十しか運賃をいただいておりません。したがいまして、今後これを私のほうでは、いまの計算では石灰石は五六・八%というふうに思っております。これは距離をどういうふうに先生おとりになっておるか存じませんが、一応私のほうの石灰石の平均輸送量が六二・二キロ、ですから私のほうで計算いたしますと現在の運賃が四九・何がし、今度の運賃の割合が五六・八、こういうことになります。もちろん、私のほうといたしましても、どんな山がどんなになろうとかまわないというのではなしに、しかしプリンシプルとしましては、先ほどから諸先生質問のございましたとおり、やはり貨物運賃というのは、五十キロ、百キロというものを送るわけでありますから、送るに見合ったコスト、人件費というものはあっていい。しかしいままではそれを政策的に、百のものを八十しか取ってはいけないということで、八十まで押えておった。それを今度の値上げである程度原価に近づけるという努力をさせていただきませんと、結局その分を中小企業の保護というか、先ほどからほかの先生方のお話のように、あるいは国が税金でまかなう——いわゆる国鉄運賃だけで負担できる限界というものがあるわけであります。戦前のようにわりあい運賃レベルの高かったときは、どちらかと申せば、旅客運賃も貨物の運賃も、私のほうで負担する余裕のあったことは事実であります。しかし現在のように、先ほど償却でしかられましたが、償却でさえ満足にできない国鉄が、自分の身を削って石灰石その他にどこまで奉仕すべきか。政策論だと思います。しかしそれは最終的には通産省と私のほうとの話し合いになりますが、やはり私どもから言わせていただきますれば、何でも運賃国鉄がしょえということでなしに、ある程度は通産省なり農林省で、運賃の補給金をどうするとかいうような角度から、中小企業の保護というものをやっていただきませんと、国鉄としても、今回の特別措置だけで、現在きまっておるのは約四十億でございます。ですから先ほど先生にしかられましたが、旅客から収奪して、貨物に甘いじゃないかとおっしゃいましたが、やはり貨物の中にはこういうものがおもなものであります。したがいまして、私どもといたしましては、ある程度値上がり、まあ破産しないまでの値上かりくらいはやっていただきませんと——それじゃその分だけは、やはり税金からと申しますか、通産省の予算なり農林省の予算からある程度めんどうを見ていただきませんと、もう国鉄としては、いままで特殊物資の割引としては、先ほど二十億という暫定割引があります。それをさらに四十億にふやせ、こういうふうに言われておるわけであります。その上に、御質問がございませんでしたが、たとえば石炭でございますが、石炭は購入価格は三百円すでに四十年度当初から上げられております。これは石炭産業に対する強化ということで、買う値段は三百円高く買え、しかしながら運賃は払わぬぞ、こういうようなことで、私どもとしては一体どうしてやっていくのかということになりますので、ある程度最小限の運賃負担は、石灰石でも鉱石でもやっていただきたい。しかしその限界は、通産省が行政的な立場から見られて、これ以上困るとおっしゃることについては、十分折衝してやっていただきたい、こういうふうに思います。
  69. 沢田政治

    ○沢田委員 もちろん全部国鉄の責任だとは言っておりません。これはもうやはり政府政治責任だとぼくは思うわけです。そこに帰すると思うわけであります。  そこで、通産大臣がおりませんので、藤山経済企画庁長官にお聞きしますが、今度の——産業にも生活にもあまり影響ないというような適当なことを言っておると思うわけです。こういうふうに非常に影響があるわけです。たくさんの矛盾があると思うわけです。たとえば同じ貨物の中でも、コストの中に占める運賃の率ですね、こういうものを見たならば、旅客と貨物でも、私は独占擁護だと思うわけだ。その貨物の中でも、今度はまたさらに独占擁護という傾向が非常に強いんじゃないか、こういうふうに私としては感ぜざるを得ないわけです。先ほど申し上げましたように、石炭石は、従来の価格の中に占める運賃の率は四九・五%ですね。石こうでは三九・九%。石こうとか石灰石というのはこれは零細企業ですよ。大きいところで二、三百人の人を使用している中小企業です。中小企業でも下位のほうです。非常に零細企業です。こういうものを、コストの中でも半分も、しかも今度の運賃値上げによって石灰石のごときは六二・一%ですよ。国鉄のために産業があるような産業なわけです。こういう産業がある。片一方において鋼材の場合には、従来の価格の中に占める運賃の率というのは四・九%です。紙パルプの新聞用紙で三・七%、白板紙で二・二%、こういうように非常にアンバランスがあるわけです。そういうことで、藤山長官は、急激な運賃の値上げによって産業がつぶれる、つぶれたらどうしますか、あなたの政治責任は。あなたも、たいした影響はないということでこれを認めているのだから。そういう事実を十分頭の中に入れて、あなたはこれに賛成したのかどうか、その点を明確にお聞きしたいのです。あなたも、地下産業というものは、日東金属の社長というものをやって、幾らか知っていると思うのですから、その点をお聞きしたいと思うのです。
  70. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話のとおり、私もかつて弱小鉱山をやっておりまして、こういう問題について非常に苦労したことがございますので、その点よく存じております。ただこういう問題は、国鉄だけに背負わせるということは、私はどうかと思います。やはり全体の経済政策の中で、中小企業の育成、合理化、そういう問題を取り上げていかないといかぬ。したがって国鉄運賃としても、できるだけ安いほうが業者にとっていいことはむろんでございまして、私どもも陳情で大いに下げてもらいたいという運動をした側でございますから、それはよくわかります。しかし今日のような国鉄の経理状態その他から見て、旅客運賃も上げる場合に、貨物は少しも手を触れないというわけにはまいらぬ。そういう点について、経済政策全般として、中小企業対策というものの上から、これらの面が強化されていく、これは物価問題を扱っておりまして、ことごとくそう感じるのでありまして、先般製粉の価格を押えましたときも、中小製粉という問題は別個に、通産行政の上から、中小企業対策でやっていただかないといかぬという点がございます。そういう点で、私も御同感でございます。
  71. 沢田政治

    ○沢田委員 非常に長官さわりのいいことを言って、国鉄運賃問題で解決する問題ではない、通産行政全般の問題で、倒産防止とかそういう角度から解決すべきだ、とさわりのいいことを言われて、まさしく言うとおりですよ。しからば何をやっていますか。そのやる前に変死する、とん死するわけですよ。それに対して何もやっておらぬじゃないですか。私は非常に間口を狭めて、たとえば非鉄金属をとらえていっても、国が幾らくらい援助していますか、わずかに五億円くらいでしょう。今度値上がりになるのは十四億円ですよ。いままでの政府の政策というのは、帳消しにされておつりを出さなくちゃならぬようになるでしょう。一体どうするつもりですか。抽象的じゃない、現にこういう国鉄運賃値上げによって、いい悪いは別としても、倒産破産を余儀なくされなければならぬ産業がある。その場合に、これは通産行政全般で考えますなんて、五年先六年先のことを言っているのじゃないですよ。現実にこれが惹起するわけですから、長官として、これはどういう態度をとりますか、あなたは。
  72. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 これは運賃問題だけでなしに、物価問題全体として、私はやはり中小企業の問題は、今日物価の高騰になっているということはいなめない事実が出ておる。それは中小企業が合理化なりあるいは生産性の向上ができてないというところに一つの原因がある、ということをかねがね申しておるのでございまして、これは政策の上でわれわれが考えていかなければならぬ。ただ経済企画庁としては、個々物資に対するそれぞれの処置というものについては、それぞれ当該官庁においてやっていただくより方法はないのでありますから、そういう意味で、各大臣と話し合いながら、物価対策の問題については進めておるわけでございまして、中小企業が倒産をしていいということはだれも考えておらぬと思います。したがって、そういう面において、できる限りわれわれがその方向に向かって進んでいく、こういうことでございます。
  73. 沢田政治

    ○沢田委員 ともかく長官が何と言おうとも、今度の貨物運賃の値上げによって倒産を余儀なくされるわけですよ。しかもこれらの石こうとか石灰石というのは中小企業である。しかも鉄鉱とかあるいはセメント、こういうものに原料を供給しているわけですよ。従属産業なわけですよ。これは間に合わぬから値段を高くしてくれといったって、とても弱肉強食で、物理的にとうてい値上げできないのですよ。だれにも負担させることはできないのですよ。負担を転嫁させることはできないのですよ。十年間全然動いておらぬでしょう、これらの鉱物の値段は。つまりみずからが死ぬ以外に解決の方法はないと思うのですよ。こういう点はやはり十二分に考慮願いたいと思うのです。それと同時に、国鉄だけで解決する問題じゃない、これは中小企業対策である、通産行政の政策である、こういうことはわかりますよ。わかるけれども、しかし国鉄といえども公共性のある事業でしょう、公共企業でしょう、これは。もちろん、片一方においては採算性というものを要請されると思うわけです。それと同時に、やはり産業に対する貢献というものも、また半面においては要請されると思うわけです。したがって私は冷厳に言うならば、これはもう国鉄の問題じゃないと言われますけれども、国鉄のために産業があるのじゃない、産業と国民のために国鉄がある、そう考えるならば、やはりこういうような、現実にそのために倒産する、せざるを得ない、こういう産業に対しては、やはり国鉄運賃法の第一条の決定の原則、「産業の発達に資する」こういう角度から、やはり特別のものに対して、特別の——収益か減るとか減らぬとか、そういうものはまだ余裕のあるほうですよ。ショック死するというものに対しては特別の配慮を、この条項からいっても、配慮をするのが公共企業としての当然の立場じゃないかと思うのですけれども、これはいかがですか。
  74. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、先ほどの問題の運賃法第一条の、「公正妥当」という、あれを立案いたしました際には、これは運賃の平等主義ということでございます。たとえば旅客運賃で申しますれば、東京の人も北海道の人も一キロ乗るのに同じ運賃である。これが運賃の平等主義であります。貨物につきましても、同じ石灰石を出す人は、どの人も同じ運賃を払うのだ。それが「公正妥当」の、当時の立案の趣旨でございます。したがいまして、ある石灰石の荷主には安くする、ある石灰石の荷主には高くする、あるいは同じ非鉄金属の中でも、なるほど先生のおっしゃいましたように、中小企業もございますが、やはり大企業もあると思うのです。たとえば同じ銅鉱石を出す山で、片方を安くして片方を高くするということは、これはまさにできないことだと思うわけであります。そういう点で、たとえば石灰石の中小企業だけを保護しろということになりますと、運賃制度から申しますと、非常にそれは不平等になるわけです。本質的には不平等じゃないかもしれませんが、形式的には不平等になりまして、これは絶対に許されない。いままでのたてまえで申しますと、ある同じ品物を送る場合に、ある人には安くする、ある人には高くするということは、実はできないたてまえになっております。私どもからいえば、その石灰石の中でも大企業がないとは申せません。したがいまして、そういうところと中小企業と、何かプールするような方法でもないのか、あるいはいま先生がおっしゃったように、石灰の山は全部鉄に隷属している。公共価格等についても、もう少し通産省が中に入ってめんどうを見てやれないのかということは、言い過ぎでございますが、申したこともございます。そういったように、私どもは決して中小企業はつぶれてしまえということではなしに、あくまでも運賃の制度をこわさないで、具体的な割引はどこまでできるか、いまの私どもの運賃でどこまでできるか、こういう問題になる、私はそういうふうに思っております。
  75. 沢田政治

    ○沢田委員 いまあなたから、通産行政のことは聞かなくてもけっこうです。  そこで、現実にこういう産業があるということは理解願いたいと思うのです。しかもこの産業が二次産業、三次産業と違って、国鉄運賃が高くなったから、船舶輸送しようとかトラック輸送をしようとか一こういうことは立地条件からいってできないんですよ。銀座のまん中に炭鉱を持ってくるとか、石灰を持ってくるということは不可能です。つまるところは、運賃の問題のみならず、通産行政の中で、国の政策として考えるべきであると思うのです。したがって、私はここでこれ以上この問題について重ねて聞きませんけれども、藤山長官は何とか配慮をする、これは通産行政としても考えなくちゃならぬ、企画庁としても考えなくちゃならぬ、こういうことを言われておるので、別の委員会で、その点を確約を迫るために、もう一回突っ込んだ議論をしたいと思うのです。  私の質問をこれで終わります。
  76. 山田彌一

    ○山田(彌)委員長代理 芳賀貢君。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この際、委員長に申し上げますが、本日の連合審査は単に政府提案にかかわる国鉄運賃の改正案に対する審議だけではなくて、社会党から提案されておる国有鉄道の整備特別措置法も、これは一括審議の対象になっておるわけです。ところが公報を見ますと、政府提案の運賃改正案だけが掲載されて、社会党提案の特別措置法が連合審査の対象にならないがごとき印象を与えるのはどういうわけなんですか。委員長にお尋ねいたします。
  78. 山田彌一

    ○山田(彌)委員長代理 お答えいたします。連合審査を開く際に、政府提案の本法案に関して連合審査を行なう、かような決定に基づいて、連合審査を行なうことにいたしたものであります。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 たとえば昨日の参考人招致にしても、同じように政府案だけに対して参考人の意見を徴する。まことにわれわれとしては正常を逸している扱いだと思う。基本的には、立脚点が違っておっても、今後の国鉄の健全なる経営を公共性を基礎にして発展させるという場合においては、国民運賃だけを負担させるという劣悪な方法もあるが、これは公共性の維持を原則にして、政府公共性の維持に対して政策的な努力、財政上の負担をするという、そういう優秀な構想から発している法案というものを提案されているわけですから、やはり国民に意見を聞くという場合においては、同時に提案されている両者の法案を議題に供して、完全な審議を進めるということが当然の措置であると思うのです。ですから、そういうところに悪意がなかったとすれば、これはすみやかに理事会を開いていただいて、本日の議題に呈していただきたいと思う。
  80. 山田彌一

    ○山田(彌)委員長代理 この連合審査を開く際には、理事全員で協議したので、いま委員長おりませんから、私はいまのところ理事会を開くという考え方はございません。このままひとつ芳賀さんの質問を続行していただきたいと思います。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは、私は質問を進めますから、その間、関係理事の諸君において、これは御相談願えるわけですから、何もむずかしい問題じゃないでしょう。本会議と違いますからね。随時適宜に行なうというのが賢明なる議事運営ですから、その点を要望いたします。  そこで、運輸大臣はじめ政府当局に、まず前提となる問題について明らかにしておいてもらいたいと思います。  まず、国有鉄道の基本的な法律に基づいて、その目的規定というものは明らかにされているわけですが、今回の運賃の値上げというものは、これは国鉄法のその目的規定である能率的な企業の運営をすることはもちろん、これは当事者の努力でありますが、同時に、国民の公共的な福祉に寄与するための公共性の堅持ということは、これは政府の責任において、あるいは経営担当者の努力と相まって、進めていかなければならぬ点であると思いますが、この原則規定に照らした場合に、今回の運賃の、国民負担を増大させるような改正だけに重点を置いたということに対して、運輸大臣はいかようなお考えですか。
  82. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 今回の運賃改正は、何も利用者に負担だけをかけるということでやっているのでないことは、芳賀委員も御承知のことと思います。国鉄の経営は、芳賀委員も言われましたように、国民の福祉を増進することを中心に、公共的な性格を持たしていくという大きな一面を持っております。と同時に、公共企業体としての独立採算制という一つの規定のもと運営されておるのであります。そこで、現在国民が要求しております輸送需要の実態と現在の輸送施設、その中で、国鉄が受け持っております分野における輸送施設と、国鉄に対する国民期待しております輸送需要というものとの間に、非常に大きなアンバランスが生じていることは御承知のとおりであります。そこで、これを解消して、国民輸送需要期待に完全に沿うということが基本でありますけれども、現在の輸送施設あるいは輸送需要等の実情を見ますと、どうしてもある程度利用者によって負担してもらって、利子のつかない自己資金を使うということにならなければ、国鉄運営が健全な方向に向かっていかないという観点から、好ましいことじゃないということは、芳賀君言われますように、これは安いにこしたことはございませんけれども、いろいろ国家財政等の関連ともにらみ合わせまして、いろいろの方法をくふういたした結果、現在の段階では、今回改正の審議をお願いしております程度の利用者負担はやむを得ないものであるという見解に立って、運賃是正をお願いしておるわけでございます。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで、国鉄運賃だけを国会の法律決定事項にしてあるわけですが、これは理由がなくてそうなっておるわけではないと思うのです。いまある法律がそうなっておるからそうするのだ、というものではないと思うのです。国会でこれをきめなければならぬという最大の根拠は、法律がいま現存しているからやむを得ぬというものではないと思うのです。それで、国会できめなければならぬというその最大の理由は、政府としてはどうお考えになっていますか。なぜきめなければならぬというふうに考えていますか。   〔山田(彌)委員長代理退席、委員長着席〕
  84. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国鉄が持っております国民輸送需要期待量に対しまして、国鉄が持っております責任量というものがきわめて大きい。そこで国鉄運賃の値上げというものは、やはり国民の生活に大きな影響を及ぼす、こういう観点から、国会においてこれをきめるということになっておるものと考えております。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣も御承知のとおり、輸送賃の場合は、国鉄運賃以外はほとんど全部、企業体が運輸大臣に申請して、運輸大臣が、一定の基準に基づいて、適宜の判断をして、許可するということになっておるわけですね。国鉄運賃だけはそうではないことは、結局これは国鉄という企業体の独立採算とか企業性重点にして、国鉄から申請さして許可するということになれば、どうしてもやはり企業優先ということに堕しやすいわけです。ところが、法律では公共性というものを堅持しなければならぬという、もう一面の重い荷物を企業体に負荷しておることになっておるからして、その際、それは国の責任で、国会で審議して決定して実行させる。その場合、公共性の維持という部面に対する経済的な負担というものは、単にこれは企業体だけに負わせるということでなく、当然その企業というものは完全に運営されて伸展する状態を見守りながら、公共性の維持について必要な部面は、国の責任で負担する。そういう必要性があるからして、国会で十分審議して運賃決定することになっておると思うわけです。その点は間違いありませんか。違っておれば指摘を願いたいと思います。
  86. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 それはそのとおりだと思います。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、現在の全国輸送企業の中に占める国鉄のいわゆる市場占有率というものは、逐年変化しておると思いますが、現在の時点において、あるいは旅客輸送、あるいは貨物輸送等のいわゆる市場占有率はどのように変化しておるのですか。これは経済企画庁長官からお答え願いたい。
  88. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 事務当局からお答えさせます。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 事務当局でなくて、あなたに聞いているのです。経済企画庁長官がそのくらいのことがわからなければ、的確な企画が立たないじゃないですか。
  90. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 パーセンテージを私から正確に申し上げるわけにはまいりません。いま承知しておりませんから。しかし国鉄自身が持っております路線あるいは運輸の量から申しまして、非常に大きなパーセンテージを占めておると思います。したがって、その意味から言えば独占企業である、こう言えないことはないと思います。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の聞いておるのは、どのくらいの割合を旅客輸送とか貨物輸送の中で占有しておるのか——しかし、前にすわっている皆さんがわからぬというのはおかしいじゃないですか。大事なことがわからぬで、全部当局に言わせますというのでは……。まあわからなければしょうがないです。
  92. 堀武夫

    ○堀政府委員 旅客輸送について申し上げますと、人キロ、輸送人員と輸送人キロと二つ数字がございますが、輸送人キロで申しますと、国鉄の占める割合は四六・二%、それから貨物輸送について見ますと、これはトンキロについて申しますと、国鉄は三二%、これは三十九年度の実績でございます。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま政府委員から説明のあったとおりの状態です。ですから、いまの国鉄の企業面における占有率は、これは旅客にしても貨物にしても、五〇%を下回っておるわけですね。個々の企業に比較すれば、まあ優位性を保っておるということは言えるが、しかし占有率が半ばを下回っておるということになると、やはり支配的な影響、指導性というものはだんだん低下してくるということにならぬですか。これは大臣からでも長官からでも……。
  94. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 日本の国内の交通需要に対しまして、いろいろの民営企業等もありまして、これはやはり国民の要請にこたえながら、企業というものは生まれていっておると思います。その分野の点におきましては、芳賀君が言われますように、傾向としては、やはりそういうふうに向いておるということが言えないこともないと、私ども考えます。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の言っておるのは、やはり企業間の、公営企業であっても私企業であっても、同一目的の事業というのは、これはやはり競争というものが行なわれるわけですから、したがって、これは国鉄運賃が高過ぎるから占有率が低下しているわけではないと思うのですよ。そういうことを考えた場合、運賃だけ安ければいいとか安くすればいいというものではないと思うのですね。やはりそこに国有鉄道の行なう使命とか、事業の大きな負荷された大目的というものが、公共性の堅持であるということを私どもは考えておるわけです。それだからして、結局国鉄の正常な経営を強化するということになれば、公共性の維持ということから、政府の責任で、施設とか、そういう近代化等に必要な経費等の資本については、これは計画的に国が負担しなければならぬということで、社会党から緊急措置法案が提案されたわけなんです。こういう二つの法案を対比してみないと、参考人を呼んでも連合審査をしても、対照ができないじゃないですか。いずれも目的国鉄の健全経営にあるとする場合において、このいずれの措置が最も妥当であるかということについて、運輸大臣としても、国鉄総裁としても、自分の出した法案だけが完全無欠であって、野党の出したものは一顧に値しないというものではないと思うのですよ。社会党提案の法案に対して、どういうような検討をされたのか。
  96. 古川丈吉

    古川委員長 その点については、委員長から申し上げます。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 あなたに聞いているのではないのですよ。
  98. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 芳賀君の言われますように、国鉄の帯びております公共性の問題等を考えますと、さらにいま芳賀君が言われるように、やはり採算が合わなくても、いわゆる地域開発等の観点から、新しい線等を開発していくというようなことがだんだん進められて、国鉄の姿というものが、国民全体の輸送需要の要請にこたえていく姿が出てくると思うのでありまして、そういう点につきましては、現在では採算が合わないような場所でも、やはり地域開発等の関係から、必要な新線等を建設するためには、鉄道公団をつくりまして、これによって、そういういわゆる国民の要請にこたえて、国鉄が持っております公共性の不備な点等を整備していくという方向で、今日進めておるわけであります。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 時間の制約がありますから、具体的に主として農林水産業関係の問題についてお尋ねしますが、今回の政府案の改正によって、農林水産の部面に与える影響について明らかにしてもらいたいと思います。  これを区分して、生産面に対してはどういう影響を与えるか。たとえば、農業については、生産の資材である肥料とか、あるいは家畜の飼料であるとか、農薬であるとか、生産に必要な資材の輸送確保、これに対して、貨物運賃の大幅値上げということがどういうように生産面に対して負担を与えることになるか。もう一つは、その生産資材を投入して生産された、いわゆる農林水産物の消流の場合、当然これは生産地から消費地帯に輸送して、そこで販売するということになるわけでありますから、この生産された、いずれも原始産業ですから、いわゆる第一次産品ということになるわけでありますが、その重量とか容積の割合に比較して非常に価格の安い、こういう農林水産物の消流面に与える輸送上の負担というものがどういうような変化をもたらすか、この二面から改定の及ぼす影響を説明してもらいたいと思います。ごく簡潔に明瞭にお願いします。
  100. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、今回の国鉄運賃改定が農業生産物等に影響を及ぼすということも承知いたしておりますが、これは基本的には、先ほど藤山長官も言われましたように、国鉄だけの責任において農業生産等の問題を解決するものではないということは、芳賀君も御了解していただけると思います。しかし、現在置かれております農業の状態あるいは農業生産の実態、農業生産物の価格の状態等を考えまして、やはり国鉄が持っております公共性という一つ考え方の中から解釈を拡張しまして、そうして農林水産物の中で、特に農民の所得に大きな影響を与えるとか、あるいは国民の生活に大きな影響を与えるとかいうような特殊のものにつきましては、できるだけ値上げの幅を大きくしないように特別の配慮をして、改定の案をつくり上げた次第でございます。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そこで事例をあげて御質問いたしますが、値上がり率を適用すると、たとえば米については三三・九%、野菜については総体で三三・九%、鮮魚類については三四・四%、肥料等については三三・九%ということになってくると思いますが、これはいまの運輸大臣の説明によると、これらのものについては特別の措置を講じてあるということですか。
  102. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 一々一品一品について私は申し上げておるのではございません。いま芳賀君が言われたのは六十数品目だと考えておりますが、その中に入っておるかどうかということはなんでございますが、大体農林関係の、先ほど私が申し上げましたような意味での特殊の品物につきましては、特別の考慮をいたしておるはずでございますが、具体的の問題につきましては、政府委員から答えさせます。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その前に、国の食糧管理特別会計で扱っている食糧品があるわけですね。たとえば米については、これは全量国が扱っておるわけです。あるいは麦類にしても、これは食管特別会計で直接買い付けた輸入飼料、そういうものは全部国の特別会計が扱っておるわけです。その中で輸送費の一番大きなものは、何としても国内で生産された米ですね。これは運賃の支払い方法というものは、政府機関同士ですから、運賃という形ではなくて、国有鉄道に対する納付金という形で、これは食管特別会計から支払いをしておるわけです。当然米も、管理食糧であっても、これは貨物には変わりはないわけですから、貨車に載せれば貨物になるわけです。そういう国の機関が直接管理しておる大事な食糧品等に対しては、どういうような賃率を適用して、食管会計において負担させるか、この点について明確にしてもらいたい。
  104. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 米の点につきましては、これは国民全体の食糧でございますので、国民全体が食べる食糧である米に、運賃引き上げが大きな影響を及ぼさないようにという考慮をいたしまして、運賃引き上げ率はきめておるはずでございますが、具体的には政府委員から答えさせます。
  105. 今村義夫

    ○今村説明員 米その他の生活必需物資につきましては、ただいま大臣のお話にございましたように、特別措置として、今度の値上げ額が相当大幅な値上げに、計算上はなるわけでございますけれども、それを一五%程度にとどめるということになっております。
  106. 芳賀貢

    ○芳賀委員 特に、食管会計においてはどういうことになるのですか。
  107. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 私からお答えいたします。  米の売り渡し価格は、消費者価格から大体逆算をして算定をいたしております。したがって、政府は経費としての運賃は、この売り渡し価格には盛り込まれてはいない。そういう観点から、運賃はかりに上がりましても、消費者価格には影響しない、こういう考え方で進んでおります。
  108. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはわかるのです。消費者価格には負担させないかわり、食管特別会計が直接負担しているわけです。そうでしょう。だから食管として、今度の賃率改定に伴って、どれだけ米とかあるいは麦類等に対して負担がふえるかということを聞いておるわけです。
  109. 森本修

    ○森本政府委員 今回の運賃改定によります食管会計の運賃負担額増というお話でございますが、内外の米麦を合わせまして、一年間で約八億六千万円ということになっております。
  110. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは運賃改定に伴う負担増ですか。特別勘案して八億六千万円の運賃負担がふえるということは、賃率の面においては、何%上げてこうなるということなんですか。
  111. 今村義夫

    ○今村説明員 米につきましては、ただいま申し上げましたように一五%の値上げ率でございます。
  112. 芳賀貢

    ○芳賀委員 米は一五%ということはわかりましたが、その他の部面については、大体一五%程度配慮すべき、特に農林水産関係物資については、大体どれくらいの品目なんですか。一五%で押えるというものですね。これは国鉄のほうからでもいいです。
  113. 今村義夫

    ○今村説明員 米、鮮魚、野菜、なま野菜でございます。
  114. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま言ったものはみんなそうなんですね。生きのいい魚、鮮魚ですから……。魚は全部と、野菜もいろいろ種類はあるけれども、野菜のすべてと、あるいは肥料とか、そういうものになるわけですね。いままでみたいに、こまごまと、鮮魚については何と何とか、あるいは野菜についてはこれこれというような、そういうちゃちなやり方はしないわけですね。大きく分類して、米、麦は当然同じでしょうが、あるいは野菜類とか、鮮魚類とか、肥料類とか、飼料とか、そういうふうな理解でいいわけですね。これらはすべて一五%で押えるということですか。
  115. 今村義夫

    ○今村説明員 鮮魚は下級鮮魚だけであります。下級鮮魚は全部入ります。野菜は、なま野菜は全部入ります。
  116. 芳賀貢

    ○芳賀委員 生きの悪い魚だけが大衆に供する魚であって、生きのいいのは、これは所得の上層階層に食わせる、所得の多い国民運賃負担をしてもいい、これはそういう考えなんですか。鮮魚なら鮮魚でいいじゃないですか。生きの悪い下級のものだけは賃率を押えてそれは大衆に食わせるが、生きのいいものは高いけれどもまた運賃も高くてもかまわない、そういう考えですか。
  117. 今村義夫

    ○今村説明員 今度の改正では、大体原価主義に近づけるということで、等級を圧縮したわけでありますが、下級鮮魚と上級鮮魚ではやはり値段が相当違いますし、運賃負担力もあるということで、今回は下級鮮魚だけを、特にそういう国民生活に密接な関係があるものは下級鮮魚ということで、下級鮮魚だけを特別措置の対象にしたわけでございます。
  118. 芳賀貢

    ○芳賀委員 経済企画庁長官は運賃改定には積極的に賛成された側ですが、一体食料品等について、上級とか下級ということで運賃に特別配慮を加えるということの適否、それはどう考えておりますか。それは貧乏人は麦を食えと同じ論法じゃないですか。
  119. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 私は、むしろ逆ではないか、この間も私ども市場調査に参りましたときに、タイの運賃とイワシの運賃とが同じような状態ではおかしいのじゃないかというのが消費者の方から出たわけです。私どももやはり高級魚に対してはある程度負担力があるということは——しかし何も安い魚ばかり食えというわけではございませんけれども、そういう消費者の声もありますから、しかしその境をつくることは非常にむずかしいのですから、こういう問題については、できるだけ一律が望ましいことではございますけれども、そういう状況から見れば、ある程度そういう配慮をされることもやむを得ないことじゃないか、こう私は思います。
  120. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、鮮魚そのものの価値は、運賃が大半を占めているわけではないですからね。上級の鮮魚はそれ自身が価値的に高いわけだから。それを云々しているわけではないですよ。しかし、鮮魚として、たとえば冷凍車等でこれは一緒に扱うわけでしょう。上級、下級を区分して別別の貨車に載せるわけじゃないのじゃないですか。そういう貨車輸送等の実態から見た場合に、それを特別の分類をして、ここから下は安くするとか、これ以上の上級魚は高くするということはちょっと問題があると思う。これだけを論議していたら時間がありませんが、そういうような配慮というものは、従来の実績から見ると、大部分生かされておるというふうに解釈して差しつかえないですか。従来の農林水産物資等に対する取り扱いの基本と、今回の賃率改定による取り扱いの方針というものは、基本的には変わっていないというふうに解釈していいわけですね。
  121. 今村義夫

    ○今村説明員 基本的には、従来は特別等級として措置しておりましたのを、今回はそういう国民生活物資についてのものを特別措置をするということでございます。  なお、下級鮮魚、上級鮮魚につきましては、現在もそういう区分をしておりまして、やはり上級鮮魚のほうは高いわけでございます。ただそれを、下級鮮魚についてはなお特別の措置を加えたということでございまして、その点は現在よりもなおよくなるということでございます。
  122. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、私の聞いておるのは、単に鮮魚だけではなくて、先ほど運輸大臣が述べられた品目等に対する取り扱いというのは、従来の基本が大きく変わっていないのじゃないかということをお話したわけです。  そこで次にお尋ねしたい点は、従来、公共性維持の立場から、たとえば公共政策割引とかあるいは特別割引の措置というものが講ぜられておったわけでありますが、これは運輸大臣の権限できめるのではなくて、国鉄総裁の権限で措置できるということになっておるわけですね。それに変わりありませんか。
  123. 堀武夫

    ○堀政府委員 そのとおりでございます。運賃法の第八条によって、総収入に対し著しい影響を及ぼさない軽微な変更については、国鉄総裁でできます。
  124. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ですから、公共政策割引とか特別措置は、国鉄総裁の権限の範囲内でできる、別に大臣の決裁は要らぬわけですからね。しかし運輸大臣としては、国鉄に対する監督権とか指導の責任というものはあるわけですから、それが不適正に行なわれるということは許されないと思うわけです。そこで、副総裁がおられますけれども、従来、公共政策割引の場合、最近は三カ月延ばしますとか六カ月延ばしますということで、一年間に二度も三度も、こま切れで延長、延長でいままではきておるわけですが、こういう公共政策割引をやるということであれば、やはり少なくとも最低一年とか、経済事情が大きく変動しない場合には数年間という、半ば恒久的な割引制度というものがとられるべきでないかと思うのですよ。そうでないと、何日かたつとまた延長の運動をしなければならぬとか、国鉄に陳情に行かなければならぬとか、自民党の代議士諸君にお願いしなければならぬということで、何か政府国鉄と与党の宣伝の道具にこれが使われるような場合もないとはいえないと思うのですよ。ですから、あくまでも国鉄の基本的な方針にのっとって、公共政策割引というものが目的に合致して行なわれるという場合においては、最低少なくとも一年で次にまた継続するとか——一年以内のこま切れとか小刻みというのは、この際改善さるべきであるというふうに考えますが、副総裁としてはいかように考えておられるか。
  125. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの問題は、冒頭に兒玉先生からも御質問がございまして、お答え申し上げましたが、いままでのいきさつは、芳賀先生実によく御承知のことでございますので申しませんが、実は累計二百億をこしたわけでございます。私どもといたしましても、この問題は、先生のおっしゃったいわゆる国鉄運賃上の公共性の問題は、現在の等級制度並びに特別等級制度、これは今度多少変わりますが、それでもって大体貫かれている、これはよしあしは別といたしまして、一応貫かれている。したがいまして、そういう一つの貫いたものを、理由なしにと申しますか、一品一品については、沿革的な理由だけでああいう特別割引していること自身は、運賃制度上から申しますと、おかしな話なんです。したがいまして、私どもといたしましては、御承知のとおり、実はかねがね廃止を主張しておって、これも数年前に、御承知かと存じますが、農林水産委員会で、一ぺんこれは政府で検討しろということがきまりまして、企画庁が中心になりまして、あるいは運賃の補給金等を出してはどうかという検討まで実はされたわけであります。しかしその後それが結論を得ず、やはり国鉄でそのままやっておけということになって今日に至っておりますが、私どもといたしましては、この暫定割引の問題並びに今回、ただいまお話しのような特殊な品目についてやります約四十億程度、四十億こすと思いますが、その割引きについては、やはりある時期に根本的に、貨物運賃制度と関連して、検討しなければいけないのじゃないか。ただ国鉄だけが背負うという形でなしに、もう少し全般的な政策としてお考え願いたい、こういう気持ちがあるわけでございます。したがいまして、期限もなるべく長くなく、三カ月、半年ということで切ってあるわけでございますが、今度たまたま三カ月に切りましたのは、御承知のとおり、二月十五日に運賃改定されるかもしれないということで、そのときまでを切った。今度だけは暫定的に非常に短くなっております。
  126. 古川丈吉

    古川委員長 芳賀委員に申し上げますが、持ち時間十五分がすでに……。
  127. 芳賀貢

    ○芳賀委員 十五分ばかりじゃ、あいさつするくらいしかできないじゃないですか。あなた、どこかへあいさつに行ったって、十五分くらいかかるじゃないですか。少なくとも審議とか質疑ということになれば——運輸委員会に、私はあいさつに来たのじゃないですよ。意図的に延ばす考えはないが、重要な点については、やはり政府の見解を明らかにさせてもらわないとね。これは正常化の原則もそうなっておるじゃないですか。  それじゃ、能率をあげてお尋ねしますが、今度の問題点である、従来の遠距離逓減制を実キロ制に近づけた改正をしているわけですね。従来の従価制を重量制に移行させるという問題、やはり賃率改正の大きな変化が出てくるわけです。ところが日本のような立地条件から見ると、たとえば農林水産関係の主要なる生産地帯と主要なる消費地域というものは、相当遠距離ということになるわけなのです。生産地と消費地が完全に密着しておれば、これは問題がないが、生産物とか資材を生産地から消費地へ運ぶということになれば、よほど距離的なものが考慮に入るわけです。ところが、従来は遠距離逓減の措置が講ぜられておったが、今度は実キロに近づけるということになれば距離の計算から見る運賃負担というものは、両面において重なるということに当然なると思うわけなのです。こういう点は、単に運輸行政の面だけではなくて、農林行政の面から見ても重要な問題だと思うのです。ですから、政府部内において改正案を用意するまでの過程において、一体こういう遠距離逓減制の改悪とか、従価制から重量制への移行という、そういう弊害の除去というものはどういうふうに考慮されておるか、という点について明らかにしてもらいたいと思うのです。
  128. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 企画庁としては、国土総合開発計画を持っておりまして、そういう観点から申しまして、旅客並びに貨物の遠距離逓減制に対しては非常に大きな関心を持っております。したがって、われわれとしては遠距離逓減制について十分な考慮を払ってもらうように、運輸省とも御協議を申し上げたわけであります。運輸省におかれましても、国鉄におかれましても、それらの点について相当な心を用いられた、こう考えております。
  129. 今村義夫

    ○今村説明員 ただいま遠距離逓減制のお話がございましたが、今度の貨物運賃の改正にあたりましては、遠距離逓減制は現行のままでございます。修正はいたしておりません。と申しますのは、貨物におきましては、発着費のコストが非常に大きくて、遠距離になればそれだけコストは安くなるという理論的な問題がございますので、遠距離逓減制はそのままにしておるわけでございます。
  130. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それじゃ、あとまとめて問題を提起して、お答えを願いたいと思いますが、今回の貨物運賃の大幅引き上げ等によって、この影響を受けて連鎖的に通運料金の引き上げが当然予想されるわけですが、この点に対してはどういう事前配慮が行なわれておるか、まずお尋ねしたいわけであります。  もう一つ、この通運関係に対してお尋ねしておきたいことは、先ほどお話のありました、たとえば食管で扱っておる米麦等については、国鉄に対して納付金ということで、大体一年間に六十四億円程度納付しておるわけでありますが、そのほか、日本通運に対して八十三億円、いわゆる諸掛かりという名目で、これは食管会計から出ておるわけです。これを問題にするわけではありませんが、ただ問題は、食管で扱っておる米麦等の取り扱いを、日本通運一社だけに限定して、日通の独占的な取り扱いということで契約を継続しておるわけですが、これは問題があると思うのです。通運事業法に基づいて、通運事業を行なうに十分な能力、資格がある者に対して、運輸大臣が認可をしておるわけですから、政府の管理物資に対しては日本通運以外とは契約しない、独占的な契約だけをずっと継続しておるということについては、非常に問題があるだけでなくて、これに基づいた弊害がいろいろ起きておる。これは運輸大臣も農業出身者ですから、おわかりだと思うのです。仮谷政務次官は農林次官ですからわかっておると思いますが、この際、このような特定の会社だけと独占契約を結んで、安易な利潤提供をやるというような態度を、今後も続けるかどうかということを明確にしておいてもらいたいと思うわけです。  もう一つ、通運事業に関係しまして、昨年秋から、荷物の混載方式というものが突如として実行に移されたわけですが、混載方式というのは運輸大臣も御存じでしょう。これがもう国民に対して非常に甚大な犠牲と迷惑を与えておるわけです。実施早々だからやむを得ぬといえばそれまででありますが、委託した荷物を一定の個所に集結して、全部混合して、それを混載した方法で輸送するわけですから、たとえば昨年北海道の特産であるバレイショを内地の親戚へ一俵送ったのが、一カ月たっても着いておらぬ。二カ月目にようやく着いたときには、腐敗したり凍って用をなさない。せっかく送った隣人愛というものが、何らの意味がなかったというような現象がたくさん出ているわけです。一体この混載方式というものは、利用者である国民の利益を考えてやったのか、あるいは国鉄とか通運業者の利益を考えてこういう方式を採用したのか。これはやはり経営上重大な問題だと思うのです。国民を犠性にしても、国鉄や通運業者が利潤を確保すれば、何をやってもかまわぬというような輸送や取り扱いの方法というものは、断じてわれわれとしては認めるわけにはいかないのでありますが、これらの諸点に対して、一体どういうような考えで取り扱っておられるかということを、この際明確にしてもらいたい。
  131. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 政府委員からお答えさせます。
  132. 深草克巳

    ○深草政府委員 通運料金につきましては、今度の貨物運賃の値上げとは全然関係がございません。
  133. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 通運との問題でございますが、あと必要があれば、具体的に当局から答弁させますが、御承知のように主食でありまして、問題は円滑に迅速にしかも正確に配給をされるということが一番重要な問題でありますし、そういう意味におきまして、全国的に組織を持ち、目的が十分に全うされるという観点に立っての契約であると私ども考えておるわけですが、ただその契約は毎年一回更改をいたしておりますので、そういう点に立って、必要があれば、問題は検討していかなければならぬ、こういうふうに思っております。
  134. 今村義夫

    ○今村説明員 国鉄輸送の問題につきまして、昨年十月から改正いたしたのでございますが、目的はあくまで荷主さんの利便のため、また流通経済の円滑化とコストの逓減ということがねらいでございます。と申しますのは、鉄道輸送と自動車の輸送をコンバインしたやり方で能率を上げていこうというのが趣旨でありまして、決して国鉄や業者の利便のためではございません。ただ昨年十月、作業のふなれのために混乱をいたしまして、先生御指摘のような事故がございましたことは、われわれも十分承知いたしまして、非常に遺憾に思って、御迷惑をかけたことをおわび申し上げますが、その後いろいろ手当てをいたしました結果、十一月からは改善されまして、年末も無事乗り切ったようなかっこうでありまして、制度の趣旨は、今後において十分生かされるというふうに、われわれは考えております。
  135. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いま仮谷さんが言われた点ですが、正確迅速ということですが、実態はそうじゃないですよ。たとえば農村地域の日通の所在地とか駅の所在地に行ってみると、日通は支店くらいは統合してありますが、営業所とか出張所というのはほとんどもうないのですよ。これは全部、力のない下請に、現地の作業とか取り扱い業務というものはやらしておって、実際に末端事業というものを、農村でも漁村でも、生産地帯の現地において行なっておるという事例は、ほとんどもうなくなったのですよ。そうなると、正確の度合いというものは全く減退されておるし、迅速の点についても、昔から見ると問題が生じておることは、副総裁においても、運輸大臣においても、御存じのとおりであります。だから、これはどうしても日本通運だけでなければできないなんというものではないのですよ。ですから、そういう特定の企業体に対して特定の利益を提供するような形の独占契約というものについては、政府においても迅速に検討を加えて、これは改善してもらいたいということを指摘しておるわけです。どうですか、運輸大臣
  136. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 芳賀君が言われるような意見があることは、私も承知いたしておりますので、農林省等と、今後の問題として、検討してまいりたいと思います。
  137. 古川丈吉

    古川委員長 板川正吾君。
  138. 板川正吾

    ○板川委員 今回の国鉄運賃値上げについて一ひとつ率直な国民の気持ちを代弁して、伺いたいと思います。  まず、今回の国鉄運賃の値上げの、政府から出されておる関係資料を見ますと、実はこれこれ必要だから、これこれ値上げするのだという趣旨に貫かれております。これこれ必要だから値上げをする、こういうことで貫かれておる。その改正案の提案理由、資料の、投資計画、基本問題懇談会の意見書、国有鉄道運賃制度の概要、補正予算の資料、それから鉄道運賃改訂要綱、こういったものを一べつしますと、これこれが必要だからこれだけ値上げをする、こういう趣旨に貫かれているのですね。しかし私は、国鉄運賃値上げの提案は、必要だから値上げするという立場であって、このために負担をする国民大衆の立場というものを歯牙にもかけないような態度に貫かれているような感じがする。御承知のように、今回政府が減税を行ないます。国税二千三百億円何がしかですか、減税する。しかし国鉄運賃の値上げによって、国民は千六、七百億から千八百億の、ある意味では、増税をされると同じ結果になる。だからこの内容は、実に私どもは重大だと思うのです。ところが、磯崎総裁以下国会における答弁、審議中は、なるほど丁重、ごもっともな点もありますが、しかしこの値上げ案の中に貫かれているのは、国民の立場を考えずに、必要だからこれだけよこせというような感じがある。われわれはそうとる。なぜこのような運賃値上げをこの不況下にやらざるを得ないのか。旅客運賃平均三一%、貨物一七・二%。これほどの値上げをなぜこの不況下にやらなくちゃならぬか。そしてその値上げをするため、国民の皆さんに迷惑をかけますが、これこれの理由だからひとつごかんべん願いたいという趣旨のことが、ほとんどこの提案理由の中にも、資料の中にもない。一体こういう態度は、私ども国民の一人として、まことに不愉快な提案態度だと思う。大臣及び国鉄当局者はどういうふうにお考えになっておるか、伺いたい。
  139. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 今回の運賃の値上げの必要な根拠というものは、今日の国民あるいは国民経済が要求しております輸送需要が非常に大きな伸びを来たしたという、そのこと自体が運賃値上げの出発点の問題でございまして、その国民の要求しております輸送需要というものに対しまして、できるだけ利用者負担というものをかけないようなという方向で、いろいろ検討いたしたいのでございますが、国家の財政事情その他いろいろな点を考えまして、あるいは国鉄の借金だけでやれば、その金利が国鉄の経営の上に非常な圧迫を生ずるとか、いろいろすべての問題を検討いたしました結果、利用者負担という形で運賃の補正をさしていただくということになったのでございまして、心の中では、ほんとうに利用者に対しては申しわけないと思っておりますけれども、現在の日本輸送事情、あるいは輸送施設等の実態を見ますときに、やむを得ない一つの行き方であろう、かように考えておる次第でございまして、国民の方方に対しましては、そういう点はやはり十分考えておる次第でございます。
  140. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいま板川先生の御指摘のとおり、確かにお手元に配付いたしました資料から、そういう私どもの心がまえと申しますか、そういうものが受け取れるということでございますので、その点は事務の責任者としての私の至らなかったことで、たいへん申しわけないと思っております。ただ私どもといたしましては、やはり何と申しましても、どんな理由があるにしても、利用者大衆に負担をかけることはほんとうに心苦しいという気持は、十分持っておりますが、それが現われておりませんということは、やはり私どもの心得の至らなかったという点でございます。その点、率直に反省いたします。
  141. 板川正吾

    ○板川委員 その問題は率直な国民の気持ちです。いつまで追及してもしかたがないから、次に入ります。  この運賃値上げの基礎になりましたのは、日本国有鉄道基本問題懇談会の意見書、これが基礎になっておりますね。そしてこの懇談会の意見が、国鉄輸送増強長期計画についてこういう結論を出したから、その趣旨を尊重して運賃値上げ案を作成した、こういう趣旨のように、先ほどからも言われておりますが、間違いありませんね。
  142. 磯崎叡

    磯崎説明員 実はその前にもう一つ話がございまして、それは意見書の中につけてございますが、明けて一昨々年の暮れでございますか、実は毎年予算編成の際に、一体国鉄に対して財投を幾ら出すかということは最後まで問題になって、政府部内において毎年予算のきまらないのが国鉄予算でございます。これではいけないということで、昭和三十八年に、政府の中で、国鉄の問題を根本的に検討し直そうという話がありまして、それからこの懇談会ができた、こういうことでございます。
  143. 板川正吾

    ○板川委員 その過程があったにしろ、この基本問題懇談会の意見書が中心になっている。しかしこの懇談会のメンバーを見て、この中に、いわゆる利用者の代表、あるいは労働者の代表、あるいは消費者の代表という性質の方はだれもおりませんな。この中におるのは、大学教授あるいは何々会社社長、会長、頭取、こういった人たちであって、この人たちが、ほんとうに国民の立場から、この値上げ案を考えたのじゃない。やっぱり国鉄の、まあ国民の立場はどうなってもいいから、とにかく国鉄だけもう少しよくしなければならぬという一つの片寄ったメンバーによって、この案がつくられたのじゃないかと私は思う。この点はどう考えますか。
  144. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国民の立場に立って公正妥当な見解を出していただける学識経験者と考えまして、委嘱したわけでございます。
  145. 板川正吾

    ○板川委員 これは社長、副社長、頭取がいて、一体なぜ勤労者の代表あるいは消費者の代表が入っていないのですか。なぜ、そういう人の意見をこの中に取り入れるような考え方をとらなかったのですか。このメンバーは国鉄が推薦したのでしょう。どうなんです。
  146. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国鉄の利用者の立場を代表して正常な意見を出し得る人というような観点から、学識経験者ということで選んだのでございまして、職域的な代表というような形のものをことさらに加味する必要はないという見解のもとに、そういう選定をしたものと考えております。
  147. 板川正吾

    ○板川委員 海運会社の社長、ガス会社の社長、銀行の頭取、こういった人たちで、ほんとうに国民、消費者の立場からの意見が、私は反映しなかったと思うのです。こうした片寄ったメンバーを中にした意見書、これに基づいたというところに、今回の運賃値上げの一番の問題がある、問題の出発点があると私は思う。それはそれとしましょう。  次に、値上げの提案理由を読むと、三十九年度約三百億円、四十年度一千億円の赤字が出た、たいへん赤字だ赤字だ、したがって、これをこのままにしたんじゃ、ますますふえるお客さまの要求を満たすわけにいかないから、大幅な運賃値上げ、こういうことになったんだろうと思う。しかし私は、国鉄が赤字だ赤字だということに対して、国民は非常な不信感を持っていると思うんですね。それはなぜかというと、かつて新幹線のときどうだったでしょう。新幹線のとき、当初は千九百七十億円で新幹線ができます、三十七年になったらば二千九百二十六億円かかります、約一千億増加し、さらに三十八年、最終になったら三千八百億円と九百億円もふえる。この三千八百億円というのは当初の全く二倍に当たる。こういうようにずさんな新幹線建設をやる。そして膨大な費用がかかった。原因は何かというと、近江鉄道の景色補償とかなんとかで、何億円も金を払う、こういうようなことがある。だから要するに、こういうような国鉄の経理というものに対して、国民がすなおに、ああ、ほんとうに三百億円赤字なのか、一千億円赤字なのか、たいへんだ、こういう気持ちを持ち得ないと思う。一体三百億円、一千億円の赤字というのは正しい数字ですか。
  148. 磯崎叡

    磯崎説明員 いまおっしゃいました三百億と申しますのは、たぶん三十七年度の決算だと思います。これは、私どもの機関でございません、運輸省任命の国鉄の監査委員会でこれを了とせられ、さらに検査院その他でもって検査を受けたものでございまして、私どもといたしましては、正確なものだというふうに考えております。
  149. 板川正吾

    ○板川委員 会社の経理というものは、事業体の経理というものは、なかなか複雑で、いわゆる粉飾決算なんていうのがあって、妥当な粉飾決算と不当な粉飾決算とがあるといわれるくらいで、なかなかむずかしい。そこで、先ほど大村委員も触れたんですが、収支上赤字だという、運賃値上げをする寸前になると赤字幅を多くする、そのためには償却を非常にふやしておる、ということを先ほども言われました。定率法の償却は三十六年の運賃値上げ以来やっております。ところが本来ならば、私は運賃値上げのときには、定率法で計算すべきじゃないと思うんです。これは法人税法にもありますように、定率法でも定額法でもいいんですよ、定率法でなくちゃならぬというのじゃないのです。だから、運賃値上げをするときには、少なくとも定額法で計算した結果赤字だというなら、ある程度話はわかります。これは時間がないからこっちが言いますが、通算省関係で、電気事業審議会というのが答申を出しました。電気も独占事業で、同じ公益事業です。この電気事業の場合には、値上げをするときには定額法で原価を計算しなさい、そのかわり値下げをするときには定率法で計算してもかまわない、こういっている。国鉄は、運賃値上げをするというのに、なぜ定率法で目一ぱい償却をとって、赤字だ赤字だ、こういう宣伝をするんですか。
  150. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄が定率法をとりましたのは、御承知のとおり、車両と機器だけでございまして、全財産定率法でやったわけではございません。車両と機器だけでございます。三十六年に定率法にいたしましたのは、運賃改正は三十六年度からでございますが、三十六年度から、運賃値上げの前に定率法にしたのじゃございませんで、値上げしてから定率法にしたのであります。三十九年度になって触れましたのは、一応その三十六年度のベースを基礎といたしまして、それに先ほど御説明いたしました半額法と即時法を加えた、こういうことでございまして、この点につきましても、監査委員会から、前から指摘を受けておった問題であったわけでございます。
  151. 板川正吾

    ○板川委員 ぼくは、監査委員会というのは、健全財政とすればそうあるべきだということを言っておるのだろうと思うのですよ。私はその報告書を見ていませんけれども、しかし税法の趣旨からいって、定額法でも定率法でもいい、しかし値上げをするのです。その場合に、なるべく内輪にしてやるというか、さっき言った態度からいって、国民に対して、幾らやっても足らないのですからこれだけ上げてくださいということなら、私はある程度わかるのです。定率法で償却は目一ぱいとって——三十六年の運賃改正も定率法をとっております。そうして赤字もできるだけ大幅にとって、赤字だ赤字だと言って、そして値上げ幅を多くするという態度じゃないかというのですよ。なぜ定額法で計算しなかったのですか。この赤字だという、三十九年三百億の赤字、四十年一千億の赤字という中に、なぜそれならば定額法で計算して赤字幅を少なくしなかったのですか。
  152. 磯崎叡

    磯崎説明員 この点につきましては、三十六年度に一応定率法に変えたものでございますから、それを基礎にしまして、そして特に現在の陳腐化の非常にひどい車両につきましては、技術開発が進みまして陳腐化のひどいときに、これを定額法に戻す理由はないというので、定率法のままやったのでございます。
  153. 板川正吾

    ○板川委員 償却は定率法でも、その収支見込みで赤字幅を考えるときには、定額法で計算して幾らかという計算をしたっていいのですよ。それを定率法で目一ぱいだ。それから、いま言いましたように、取りかえ資産の半額法でもそうです。確かにそれは、健全財政のあり方からいえば、取りかえ資産——半額法のそれはけっこうですよ。そうありたいですね。しかし、いまこの日本に何万という企業体があるが、定率法をとり、あるいは取りかえ資産の半額法的な——半額法というのは、鉄道関係ですから、こういうように目一ぱい償却をして内部留保を高める、そうしてそのとった結果、赤字だからさらに値上げをする。あるいは新幹線の三十九年十月からのいわゆる即時償却、これなんかも、普通ならば、新線が開通した、あるいは新しい店ができた、そのできた期はあまりお客もないから、それはもうからない。しかし長期的に見ればもうかるという意味で、大体はその期は償却は計上しないで、翌期あたりから計上するのが普通ですよ。そういうことを、国鉄は従来はとってきた。この運賃値上げをする前になって、そうしたものを即時償却にしたり、取りかえ資産の半額法を実施したり、目一ぱい償却をとって、そして赤字なんだ、三割一分も旅客値上げをするのだ、こういう態度はどうでしょう。
  154. 磯崎叡

    磯崎説明員 先ほど申しましたとおり、償却につきましてもいろいろ議論があったように聞いておりますが、たとえば現在私のほうで半額・即時法をとりましたが、たとえば耐用命数から申しますと、先ほどもちょっと申し上げましたが、車両一つとりましても非常に長い。客車が三十年、あるいは電気機関車が二十年というふうに長くなっております。たとえばトンネルの鉄筋コンクリートづくりは九十年というふうな、私鉄関係より約五割長い耐用命数になっております。これらにつきましても、やはり検討しなければいけないと思いますが、これをいますぐやったのではべらぼうな金になってしまうということでございますし、これは技術的にもう少し検討した上でやりたいということで、耐用命数はそのままにしてやったわけでございますが、三十九年になりまして即時法と半額法を急にやりましたけれども、前々から、実は三十七年、三十八年もやるべきであったのでございます。その点が、特に先ほど先生の御質問にございました、基本問題調査会が三十八年度にございましたので、そこで十分、先ほどごらんになりましたような会計の専門家もおられましたので、御相談申し上げまして、三十九年度からやった、こういういきさつでございます。
  155. 板川正吾

    ○板川委員 まあ基本問題懇談会のメンバーからいえば、それはこの際、国鉄運賃は戦前の平均からすれば安いのだから、大幅に値上げしたってしょうがないじゃないか。何とかという公述人が、もっと上げろ、こう言っておるそうです。そういう人も数の中にはおりましょう。しかし、実際に負担するのは、一日何百万という国民なんですよ。三倍も上げろ、安いからもっと上げろと言う人は乗らないです。自家用車に乗っているのですよ。だから、大衆が国鉄を利用しているのです、そういう人たちの気持ちが基本問題懇談会のメンバーの中にない。だからそういう意見を言う。国鉄側としてはそのほうが都合がいい。都合がいいから、そういう人を任命しておるに違いない。それは時間もありませんから言いませんが、とにかくそうした運賃値上げの前に、食べられるだけ腹一ぱい食べちゃって、そして物がないからくれ、こういうわがままな気持ちに通じておると私は思うのです。そういう率直な気持ちを国民は持っておるということを承知してもらいたい。  次に、新幹線の収支を見ますと、三十九年は八十億の赤字ですね。しかし、四十一年になると三百五十億の黒字になると言っておる。ちょうど赤字だ赤字だというときには新幹線の赤字が入る。そうしていまの経営状態からいえば、四十一年度は三百五十億円の黒字になると言っておる。黒字の分は計算されないで、赤字だけを計算して、赤字だ赤字だと言っておる。これらも、どうも態度としてはおかしいな。どうです、その点は。
  156. 磯崎叡

    磯崎説明員 新幹線につきましては、御承知のとおり、先ほど先生から御指摘のございました工事費につきましては、確かにお説のとおり、当初のちょうど倍近い金がかかっておることは事実でございます。三十九年度が赤字でございました原因は、まず何と申しましても初めてのことでもあり、列車回数が少なかった、車両の数も少なかった、またわずか半年の期間しかなかったということでございますが、四十年度になりまして、御承知のとおり、列車回数も五十回にふやしました。そうしてだいぶお客さんがふえてまいっておるわけでございますが、これはことしは大体とんとんくらいのつもりでおります。来年度以降は、大体四十一年度は三百五十億くらいの予定利益をあげたい。ただこれとうらはらになって、東海道の現在線のほうの収入が減ってまいるわけでありまして、ことに、御承知のとおり、急行等を減らしまして、通勤列車を非常にたくさん入れましたので、そのために通勤列車、貨物列車がふえましたので、新幹線の裏に、現在線の収入減が多少あるということだけは御了承願いたいと思います。
  157. 板川正吾

    ○板川委員 時間がないから、次に行きましょう。  国鉄の経営悪化の原因に、人件費の関係がありますか。私の調べた範囲によりますと、昭和三十年には、総収入に対する人件費の割合というのは四六%、三十一年が四五%、三十三年が四五%、三十四年が四五%、三十九年が、赤字と言ったが四五%。そうすると、国鉄の経営悪化の原因は人件費じゃないですね。
  158. 磯崎叡

    磯崎説明員 国鉄の経営悪化の原因につきましては、私はいろいろあると思っております。たとえば、さっき先生の御指摘になった利子の問題もございます。あるいは人件費、物件費、ことに物件費はたいしたあれではございませんが、人件費の高騰も一つの原因でございます。と申しますことは、第二次五カ年計画のときの予定と実績とが非常に違っておる。いまお説のとおり、たとえば昭和三十年に比較いたしますと、人件費は三一二%、輸送量は一七一%、人件費の割合は、現在提出している四十一年度予算におきましては六三%ということになっております。したがいまして、国鉄全体といたしましては、人件費の問題は非常に重大問題であるということは申し上げられると思います。ことに、ごらんのとおり、三十八年度と三十九年度の比較では、人件費が非常にふえておるわけであります。私のほうの修繕費の中に……(板川委員「これは新幹線が入っているから」と呼ぶ)新幹線はほとんど人をふやしておりません。実はこの修繕費の中に、工場関係の職員の経費はみな入っておりますので、それを摘出いたしませんと正確な人件費になりませんが、先ほどちょっと申し上げましたように、他の公社と比較して、三十九年度は非常に給与が悪かった。それを他の公社並みに一応追いつかしていただいた。その分が四百億ばかり入っております。三十九年度の人件費の膨張は経営上は多少こたえております。
  159. 板川正吾

    ○板川委員 ぼくら国鉄から資料はこないからあっちこっち本を集めて資料を集めている。なぜ経営がこういうふうに悪くなったのかということは、それはそのために運賃値上げするなら、もうちょっとやはりこの運賃改定の資料の中に、経営が悪くなり、こういう見通しだから、だから運賃を上げさしてくれということでなくちゃならぬ。ところが、経営が悪くて運賃上げなくちゃならぬという理由は一つもなくて、こういうふうに運賃を上げて金を使うのだ、これだけしかないのだ。そういうところに、国鉄当局がやる日の丸会社的な、官僚的な立場がある。また総裁総裁で、庶民の気持ちはわからぬじゃないか。国鉄さえ成り立てば国民はどうでもいいような考え方になるような感じがする。そういう国民の率直な批判があるということを頭に入れておいてもらいたい。  そこで、次に伺いますが、設備投資計画の資料の中で、四〇ページの中に、これはどういう趣旨ですか。一応ひとつ内容だけ明らかにしてもらいたい。四〇ページに「(1)自動車」として、「現在、国鉄の自動車事業は、バス二千五百四十両、トラック六百八十両を以って、主として鉄道の補助的交通手段としての使命を果しているが、今後は幹線道路においても鉄道との補完輸送を行なうこととし、次のように車両を増備する。現有バスの取替、新製二千六百両」同じくトラック四百二十両、この「今後は幹線道路においても鉄道との補完輸送を行なうこととし、」とありますが、この内容はどういうことを考えておられるのか。具体的に示してください。
  160. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、運輸大臣の御承認がなければやれないことでございますので、「行なうこととし、」というのは少し書き過ぎかも存じませんが、私どもといたしましては、これを書きましたときは、例の名神国道に国鉄バスを入れるか入れないかということの最中でございました。私どもといたしましては、どうしても東海道の補助の意味で名神国道に国鉄自動車も入れてほしいという強い要望を持っておりましたのでこう書いた次第です。今後東名等ができました際にも、ぜひこれは国鉄にもその一翼をになわしていただきたい、こういう意味でございます。
  161. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、当面考えているのは名神、東名、こういう幹線だけを考えているのですか。
  162. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、いま申しましたのは高速道路でございましたが、そのほかにいま現実に問題になっておりますのは、たとえば博多−長崎の問題とか、いろいろそういう有料高速道路でない、自動車専用道路でないところにつきましても、ある程度の希望を持っております。非常に民業との調整がむずかしくて、なかなか運輸省で御認可になりませんので、実際には拡張は、われわれとしては気持ちは持っておりますが、やはり民間バスとの調整問題等もございまして、なかなか一般幹線道路に対する国鉄の進出はむずかしい事態だというふうに考えております。
  163. 板川正吾

    ○板川委員 そうすると、いまのところは名神、東名それから福岡−長崎というところを考えている。具体的……
  164. 磯崎叡

    磯崎説明員 まだあと二、三カ所ございますが、ちょっと忘れました。
  165. 板川正吾

    ○板川委員 どこですか。
  166. 磯崎叡

    磯崎説明員 東北のほうも正式に運輸大臣のほうに申請だけは出しておりますが、ほとんど出されていないでそのままになっております。
  167. 板川正吾

    ○板川委員 それから今度の運賃値上げで、普通の定期券を廃止した理由、これはどういう理由でしよう。
  168. 今村義夫

    ○今村説明員 今度の運賃改正によりまして、通勤定期がかなり上がりますので、普通定期を設けておく意味がなくなる、通勤定期に統合してもちっとも差しつかえないじゃないかということで通勤定期に統合したわけでございます。ですから、普通定期の利用者も通勤定期で御利用いただくということで、その点は不便はございません。
  169. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますと、通勤というのはどこかに勤務していなければならぬけれども、そういう一定の勤務場所を持たなくても通勤定期で乗れるのですか。
  170. 今村義夫

    ○今村説明員 たとえば行商とかいうような方はある程度乗車区間がきまるわけでありますから、どこどこ間を買いたいという購入申し込み書があれば、それを通勤定期の申し込み書と同じように扱いまして通勤定期を発行するのですから、利用者の御希望によってそういうかっこうをとるわけであります。
  171. 板川正吾

    ○板川委員 行商の人が多いと思うんですね。いわゆるかつぎ屋さんというのが多い。確かに、乗客の一人として考えると、大きな荷物を持って車内でがんばられると迷惑な感じがする。しますが、しかし、大体そういう人たちを見ると戦争未亡人、あるいは不幸な人というのが多いですね。だから、そういう人たちに従来与えられておった恩典といいましょうか、そういうものを全部取り上げるということになると、これはどうも国鉄さん血も涙もない仕打ちかなと思ったのですが、それは通勤定期を買ってよろしい、勤務場所が一定してなくてもよろしい、わかりました。  そこで、次へ移ります。貨物運賃で従価等級制から重量原価主義に変更した。先ほど芳賀委員からもこの点問題として取り上げられましたが、こめ説明のときに、運賃の算定にあたっては原価主義を貫いていくのだということを言っておられました。確かに、それは原価を無視して運賃をきめるわけにいきません。わかります。わかりますが、しかし、重量原価主義をとるということは、従来の従価等級制からのこの変更というのは実は大きな社会政策的な後退といいますか、そういう意義を持っておるのじゃないかなと思うのです。それはたとえば地域の人の税金を、負担能力主義によらないで、費用がかかるのだから人頭割りで、おまえたちは貧乏人も金持ちも月に何百円出せ、こういうことに通ずる思想だと思うのです。だから、重量原価主義というのを今後追及していくと実はこれは社会政策的に問題になると思うのです。しかし、原価主義を放棄していいという理屈にもなりませんが、これは同じ変更するにしても社会的な影響を徐々に与えるような方法をとるべきであって、急激に重量原価主義を強行するという態度は私は問題だろうと思う。それでは、原価主義だからといって東海道のお客さんを三分の一の運賃で、北陸のほうのお客さんを三倍の運賃でやりますか、線区的な原価主義はとらないでしょう。そういうことになりますと、一面において都合のいいところだけ重量原価主義を強調して、そしてそうでないものもあるんですね。線区の原価主義をとるなら東海道を三分の一にしたってもうかるじゃないですか。だから、そういうことはできっこない。ないのだから、重量原価主義はそう早急にやるべきではないと思うのです。ですから、これをもしやるにしても、影響力を与えないような措置をとりつつやるべきじゃないかなと私は思うのです。これは運賃値上げを認めるわけではないですよ。ないですが、考え方としてそうですが、どうお考えですか。
  172. 今村義夫

    ○今村説明員 お話しのとおり、私どもとしては国鉄のあれは総括原価主義でいくべきことは当然でございますが、ただ、こういう個別のあれにつきましてもできるだけ原価を考えながらやっていくということは当然のことだろうと思います。ただ、お話しのとおりに、今回の等級の問題につきましては、現在、普通等級十等級と、特別等級四等級、十四の等級に分かれておりますが、お話しのような点を考慮いたしまして、本来ならば一本の等級にすべきだと思いますけれども、今回はこれを四等級に改めてある。しかも三、四というようなところは原価を割った指数考えてあるということで、お話しの点は十分生かされておると思うわけでございます。重量主義につきましては、現在は貨物の比重トン数で運賃をいただいておるわけでございますが、少なく積んでも十五トン分運賃をとるということは非常に不合理でございます。なお最近のいろいろな新しい製品を見てみますと、非常に軽いものが多い。目一ぱい積んでも重量は非常に軽いというのがございまして、その点を緩和するためには、むしろ重量で積んだ、荷物の重さで、運賃をいただくということのほうが合理的であるということで、こういう措置をとらしていただこうということになったわけでございます。
  173. 板川正吾

    ○板川委員 私の趣旨がよくのみ込めないらしいけれども、重量原価主義というのは、あまり行き過ぎると問題があるということを言っておるのです。  時間がないから次に移りますが、通産大臣の代理鉱山局長に伺いますけれども、運賃値上げによる金属鉱山、非鉄金属鉱山、こういうものは、先ほど沢田委員が言ったように、コスト中に占める運賃の割合が多い。石灰石のごときは半分、こういう状況ですね。この金属鉱山の企業形態を見ますると、百人以下というのが四百一社中に三百十二社、八〇%、それから五十人以下というのが七〇%、二百七十四社、これは金属鉱山。非金属鉱山、石灰石とかドロマイト、こういうところを見るともっと零細です。全国で六百二十一社、百人以下というのは九五%、五十人以下というのは九〇%、これは全く独占企業体でも何でもない零細な企業者、こういう企業体が今度の運賃改定が実施された場合に、貨物運賃の重量原価主義が採用されると、非常に値上げ賃率が高くなる。たとえば石灰石のごときは三六・四%も上がる。それから消石灰のごときは二四・五%も上がる。等級変更と値上げの率で……。鉄道運賃が上がってもコストの中に占める運賃の割合が小さければたいした負担じゃないが、コストの中に占める運賃の割合が従来も高いのに、三割六分も、二割五分も今度上がるということは、これは中小鉱山に及ぼす影響というのは非常に大きいものがある。通産省の調べによると、もし五%でも石灰石あるいは非鉄金属鉱山、生産者、山側が負担した場合には、七百七十三鉱山のうち百六十二鉱山が赤字に転ずる。五%負担してもそれほど赤字に転ずる。まして二五%も三〇%も上がることになると、前回三十六年の運賃値上げのときに見ても価格が上がらないのですから、結局生産者側で値引き、運賃負担するかっこうになる。値上げ分を負担するかっこうになる。そうした場に、どのくらいの影響力、たとえば倒産がどれくらいあるか、その倒産の見込みに対してはどういう対策をとっておるか。それを具体的にこの際明らかにしていただきたい。鉱山局長でもいいし、中小企業庁長官でもよろしい。
  174. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 中小企業鉱山が非常にウエートが大きい、それから運賃比率が同じくウエートが高い。したがいまして今度上がりますと非常に影響がある、いずれも先生御指摘いただいたとおりでございます。一部の金属鉱山につきましては、最近の市況の問題等、若干従来とは変わっておりますが、非金属の鉱山については市況の状況が非常に悪いということが言えると思います。先ほどもお話しいただきましたが、石灰石の鉱山については国鉄に依存しております山についてはほとんど大半が赤字に転落するのではないか。石こうについては半分以上というのがやはり赤字に転落するおそれがあると思います。そういうことで、対策のほうでございますが、国鉄の当局にはお願いをいたしまして、割り引き制度で極力カバーしていただきたいということで協議をしております。  中小鉱山の対策でございますが、これのほうは、中小鉱山一般ではございますが、新鉱床探査の補助金であるとか、広域調査の充実強化をいたします。それから近代化の設備資金を貸し出す。中小企業近代化のために組合制度等極力活用するとか、諸般の施策をできるだけやっていきたいと考えております。
  175. 山本重信

    山本(重)政府委員 ただいまお話がございましたような山につきましては、今後も運賃の値上げが相当に経営に深刻な影響を与えますので、私たちも十分な注意を払っております。やはり何としましても当面運賃の値上げについて、何か特別な配慮ができないかどうか、いま鉱山局の方が国鉄のほうといろいろ御相談しておりますので、何とかそこで一つの道を開いてもらいたいと思っております。  それから、なお一般的な対策としましては、中小企業庁のほうで、個別の鉱山に対します合理化のための企業診断の制度とか、あるいは資金の特別な制度等がございますので、必要に応じまして、そういう面は極力活用いたしたい、そのように考えます。
  176. 板川正吾

    ○板川委員 この二五%ないし三六%、石灰石の場合には三六%も値上がりする、一体値上げした分をどこが負担するようになりますか。価格を値上げすることができますか、それとも山元で負担するようになりますか、買い手が負担するようになりますか。この点についてどういう見通しを持っておるか。
  177. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 石灰石の山でございますが、山全体といたしましては四百近くございます。ただし、ほとんどが海上輸送に依存をしておりまして、国鉄のほうに大半依存しておる国鉄ウエートが非常に高い山といいますのは、四十弱という状況でございます。それで消費者転嫁ということはいたしたいわけでございますが、これはもう鉱石といいますか鉱山一般、先ほども御指摘いただきましたように、十年間ほとんど値段が上がっていない。こういうことで、消費者に転嫁することは非常にむずかしいだろう、こういうふうに考えます。できるだけ共同輸送とかピストン輸送とか、そういうことで合理化もはかりたいと思いますが、相当程度鉱山の中で負担をするしかしかたがないのではあるまいかと考えております。
  178. 板川正吾

    ○板川委員 ピストン輸送は現在やっておるのです。だから山の使用効率からいうと普通より三、四倍も高い。これ以上回転率を高めろといったってそうはいかない。これをもし山元で全額負担するような形になれば、これはたいへんな影響を与えるのじゃないかと思います。これは重大な問題ですよ。ですからその点は具体的に時間がないから聞かないが、ひとつ十分な対策を講じてもらいたいと思う。中小企業庁長官もその点ひとつしっかりやってもらいたい。  それから国鉄にひとつだけ伺いますが、生石灰の危険割り増しが従来五%であったのを今度は全部一〇%に底上げしますね。生石灰の危険性というのは、実は昔は、木製車の場合には雨漏りして中が熱くなってという危険性があったが、最近は鉄板車だからそういう危険性はないのですね。この生石灰の危険割り増しを五%から一〇%にするというのは上げ過ぎるのじゃないか。危険性というのは、そんな爆発するものじゃないし、発熱するんだけれども、鉄板車になった今日では割り増しをはずしてもいいのじゃないかと思うのだが、国鉄はこの点はどうお考えですか。
  179. 今村義夫

    ○今村説明員 危険品の割り増しにつきましてはいまいろいろ検討いたしておりまして、いろいろな種類によって違いますが、生石灰に対する分につきましては、いまのところ検討中でございまして、いずれ近いうちに結論を出すつもりでおります。
  180. 板川正吾

    ○板川委員 私は、今回の国鉄運賃の値上げの提案の態度や内容、そういった点から見て、国民の立場から全く遺憾の意を表します。なお発言したいのですが、時間の都合もありますから、これで質問を終わります。
  181. 古川丈吉

    古川委員長 玉置一徳君。
  182. 玉置一徳

    ○玉置委員 今次の国鉄運賃の値上げに関しまして、二、三質問を申し上げたいと思います。  そこで第一点の問題は、今次の第三次長期計画大都市通勤輸送改善主要幹線輸送力の増強による過密ダイヤの緩和及び列車自動停止装置、踏切改良、人命の安全にかかわるような設備投資に最大の重点を置いたものであって、いわゆる先行投資には及んでない、こういうように説明に書いてあるわけであります。なお御承知のとおり、もう一つの説明には、国鉄運賃値上がりが、卸売り物価並びに消費者物価に対する高騰の割合というものをお書きになったり、あるいは昭和十一年度の都市消費者物価指数の三百九十一倍、卸売り物価指数の三百四十倍に比べて貨物運賃が二百十七倍であって旅客運賃が百六十一倍、決して高いものではないというような御説明がございます。こういうような投資がこれからずっと続いていくわけでありますし、なおかつ決して高くないという皆さんの言い分もわからぬことはございません。それにいたしましても、こういった投資は前から予定されていたことであり、これについては、やはりこのような数字では出しておいでになりますけれども、気分的にいろんな要素としてからまり合って物価の高騰を助長するのであるということは、いなめない事実だと思いますので、こうしたものを突如出してくるということは、国民にとっては好ましくないことだけは事実だと思うのです。こういった恒常投資をここに第三次長期計画には——必ずしも第三次だけじゃございません。先行投資のような余裕のあるものじゃございません。精一ぱい現在必要なものばかりやっておると書いてありますが、過密ダイヤを大体正常に戻し、そうしてその後ふえていくものをなおそういうように戻していこうと思うのには、第三次だけでは及ばぬように思いますが、私はおそらくここ当分、二、三十年間はこういう投資は必要だと思いますが、副総裁のほうではどういうようにお考えになっておりますか。
  183. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの計画は、けさほどの御質問でも申し上げましたけれども、昭和四十六年度までで一応切ってございます。その中で四十三年度までを一つの区切りにいたしておりますが、現時点におきましては昭和五十年程度のところまでは頭に描きまして、そして計画を立てておるつもりでございます。それから先は少し経済情勢の変化あるいは道路の事情の変化等いろいろあると思いまして、一応昭和五十年度時点を頭に描きつつ今度の七カ年計画をつくったわけでございまして、この七カ年計画が終わりましても、ただいま先生の御指摘のとおり、全く投資が要らなくなるというわけではないというふうに考えております。
  184. 玉置一徳

    ○玉置委員 そういうことになれば、なぜもっと——いまおっしゃっておる運賃収入及び財投、その他じゃいかぬから、自己収入から出す分をある程度増加しなければ健全な経営にならぬというので値上げを請求されてきたわけでありますけれども、こういうことがわかっておるのに、もう少し改善を加えなければいけなかったこと、たとえば政府の出資分の増とか、あるいは財投に対する利子補給の観点とか、これはあとで御質問いたしますが、もう少し尽くすべきものを尽くしてからやるべきだったと思いますが、それに手ぬかりはなかったかということと、もう一つは、こういった問題を国民にもう少し前から予知させるようなPR運動というものがうまくできてないような感じがするのですが、国鉄当局の御意見を伺いたいと思います。
  185. 磯崎叡

    磯崎説明員 ただいまの御質問でございますけれども、たとえば財投につきましても、実は十年ほど前を見ますと、全体のうちの五%弱というくらいのシェアしかなかったようでございますが、その後非常に努力いたしまして、最高のときは一三%まで上げる、さらにその後大体大蔵事務当局とは全財投の一〇%というところまで、実は内々に話をつけまして、ことしは住宅その他に取られましたので少し減りましたけれども、大体一〇%を目標にしてひとつ財投はふやしてやろう、そこまで財投はふえてきたわけでございます。ただ、いま御指摘の政府出資につきましては、実は私どもずいぶんいろいろ折衝いたしましたけれども、先ほど板川先生御指摘の、基本問題懇談会の意見書の中にも、あれは大蔵次官が入っての意見書でございますが、大蔵次官が出席しつつも、政府出資については今後は考えなければいけないという、大蔵省には珍しく前向きの答申も実は出してきたわけであります。現実にはことしはまだ出てまいりませんが、考え方としては、大蔵省としても何とかして、ある程度政府出資ができればしなければいかぬという気持ちにだけはさせたということでございます。財投はいま申しましたとおりでございます。そのほか特別債という、先ほど申しましたが、全然政府のお力もかりない、国鉄だけでもって借金するという借金も、昨年千二百億、ことし六百億、ほんとうに背伸びした借金まで実はいたしたわけでございます。それらを総合した結果、やはりどうしても自己資金でやらなければならぬ工事だけは、何とかして運賃でやりたいということでございます。ただ先生がいまおっしゃった、国民に対する周知のしかたが非常に唐突だったということにつきましては、私どもは及ばずながら、三年ほど前からいろいろな機関を通じて国民にも申し上げておりたのでありますが、非常にその点不手ぎわで、十分趣旨の理解もしていただけないままに本日に至ったことは、たいへん残念でございますが、今後とも国民に理解をいただくように、できるだけの努力をしてまいりたいと思っております。
  186. 玉置一徳

    ○玉置委員 ただいま申しましたように、国民諸君にはなるべく安いほうがいい、最も公共的な運賃でとどめておいていただいたほうがいい。と申しましても、なるべく近代化されたりっぱなものにしたいわけですが、せめて保安施設のごときものは、国の財政からある程度の補助をもらってしかるべきかと思うのですが、国鉄考え方は、どういうように折衝されたのですか。
  187. 磯崎叡

    磯崎説明員 ことに保安施設の中でも踏切の問題でございます。これは最近の運輸省の御尽力によりまして、私鉄については多少の補助が出るようになりましたけれども、国鉄にはまだとても補助をしていただくまでになっておりません。ただ建設省との協定で、立体交差いたします場合には、建設省はある程度出してくれるという約束になっております。それ以外に一般的な保安施設につきましては、やはりどうしても、政府に頼んで断わられても、ほうっておくわけにまいりませんので、やはり自己資金で最優先に保安施設をやるというたてまえでございます。しかし今後とも保安施設のうちの、国鉄だけが利益を受けるのでない保安施設につきましては、やはり相当程度政府にお願いしなければいけないのではないかというふうに考えております。
  188. 玉置一徳

    ○玉置委員 私は、今度の運賃値上げだけでなしに、このような経営、財政のあり方を続けていけば、やがてまた三年、四年後に大幅な旅客運賃の値上げを要求せざるを得ないところにくるのではないかということをおそれるから申し上げているわけでありますが、出資金というものは、いかに国鉄であろうとも独立採算をされている経営体としては、どのくらいの部分を出資金として持っておるのが妥当であると国鉄はお思いになっているか。
  189. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、一般の私企業と国鉄のような公共企業との間では相当違いがあると思いますので、一がいに——いま突然の御質問で、お答えするだけの力がございませんけれども、ただ現在の約三兆近い資産に対しまして、いわゆる資本として八十九億しかないということにつきましては、実は昨年一年かかりまして、財政関係先生方にいろいろ見ていただきました。結局現在の国鉄には資本というものはあっても、資本金という観念自身がおかしいのだというような理論がずいぶん出ました。その辺につきましては、もう少し理論的にも解明いたしまして、現在持っておる資産のほかに政府からほんとうに出資していただく分、それからいわゆる資本としていままでの国民の蓄積の部分、その点をよく分析した上でその比率を考えなければならぬ、こういうふうに考えております。
  190. 玉置一徳

    ○玉置委員 これまた同じく将来の運賃関係がございますのでお伺いしたいのですが、自己資本二割、それから他人資本八割で今後十年二十年近くこういった非常にせっぱ詰まった急を迫られておるような思い切った公共投資をしていかなければならない国鉄としては、どの程度の自己資金でまいるのか。あるいはこのような割合を続けていかなければならないのか。あるいはこの割合がどういう割合になったときに初めて大きく運賃にはね返らずに済ましていけるのか。あるいはもう一つ、少なくとも船会社にも利子補給を現在しておるわけです。そういうような意味では緊急な——いま中央線の複々線工事なんかに過密ダイヤの解消のために思い切って投資をしているわけでありますが、どういう投資だけは、少なくとも利子補給をしてある程度長期、低利のやつにやっていただければ運賃にそう思い切ってはね返らずに健全運営と申しますか、そういうものができるというようにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
  191. 磯崎叡

    磯崎説明員 その点につきましては、ちょっと御質問の趣旨と違うかとも思いますが、逆に私のほうでやるべき工事をいま先生ちょうど御質問のとおりな分類で一ぺん分けてみたわけであります。その結果、四十年度から四十六年度までの全体の計画の中でやはりどうしても自己資金でやるべきものだ、あるいは無利子の金でやるべきものだという工事が一兆一千三百四十二億、それから当然これは利子が払える仕事だという仕事が一兆八千三百九十六億、残りの約一兆は借入金の返還でございます。したがって、御質問に対するお答えとしては、二兆九千億のうち約一兆一千億だけは理論上からも、また将来の経営の上からも自己資金でやっていかないと、利子負担だけで完全に参ってしまうということになろうかと思います。
  192. 玉置一徳

    ○玉置委員 そこで運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、本日問題になっております国鉄運賃の値上げの問題は、運輸大臣のほうとされましては片一方では過密ダイヤの問題の解消あるいは近代化あるいは保安施設の充実というようなもので国鉄に相当思い切って急激にこれをやりなさいということを言わなければならないし、だからといって、突如こういう値上げがやむを得ず出てくるとしても、これは国民大衆に大きな影響を与えることも事実でありましょうから、いま申しましたよう兵今後も国鉄独立採算制並びに運賃の形成という問題につきまして、相当思い切った根本的なメスをふるっていただく時期にきておるのではないだろうか、でないと、やがてまた三年、あるいは四年ほどすれば、次に同じことをやらなければならないのではないかということが現在想定されるわけであります。こういうような意味国鉄の側の経営の問題につきまして、懇談会はいろいろと御勉強なすったことは事実でありますが、それについて政府当局からも思い切った考え方を打ち立てるべき時期にきておるのではないか、こういうように思うのです。一つはいま申しますように、何と申しますか、国鉄の出資金の問題があり、あるいは財投を出すにつきましても、公共投資の急激な分と、国の必要に基づいた過密ダイヤの解消というような必要なもの、あるいは先ほど申しました保安施設、こういうものにつきましては補助まで出せぬでも、せめて国鉄と相談をされて、利子を二分なり三分なりの低利長期に持っていけるような利子補給を考えてやるというような財政支出をお考えになることを御検討される決意があるかどうかお伺いしたいと思います。
  193. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 今日国鉄の経営が非常にむずかしい情勢にあることは玉置委員の御指摘のとおりであります。その中で公共負担の面がございますが、ひとつこの点につきましては、これはやはり国鉄公共性独立採算制との関連を勘案しまして、将来の問題として検討する課題であると考えております。  それから利子負担等の問題でございますが、やはり国鉄の経営が金利の圧迫によって健全性をなくすというようなことにならないようにこれは政府としても考えなければならぬ問題であると思いますが、それはやはり運賃等によるいわゆる金利のつかない資金の造成等ともにらみ合わせましてやっていかなければならぬ点等が含まれておるように思います。  さらに玉置委員のおっしゃる保安設備、この保安設備につきましては、先ほど副総裁の言いますように、非常に大きな資金をかけなければ、現在の国鉄の踏切の事故等を完全になくするようなことには容易にならぬ、こういうことを考えますときに、やはり国家の援助というようなものはある程度必要であるというように考えられますので、先ほどから玉置君の仰せられますような点につきましても、将来の問題として検討を続けてまいりたい、かように考えております。
  194. 玉置一徳

    ○玉置委員 一昨年でありましたか、私災害対策委員として北陸の大豪雪のときに参りましたのですが、一日もすみやかに国鉄の開通をして人心の安定を非常にせがまれておりまして、自衛隊の大出動をいただいておったわけでありますが、あのときの大災害ですら、あれは全部国鉄の除雪費になっていたように現地では伺いました。したがって平年度くらいのものは別といたしまして、ああいった場合にも一切財政支出が出ないというようなことではどこかに無理がくるというように感じたのであります。  そこでひとつお伺いいたしたいことは、先ほど申しましたように、将来とも国鉄の経営の安定をはかると同時に、当然必要な財政支出は財政支出をすることによって、一般乗客にはね返る分をいわゆる政策運賃として適切なところでとどめていただきたいと思いますからお伺いするのですが、閑散線の合理化に関する新線の建設でありますが、いま着工されておるところは、私たち見ましても、真にやむを得ざるところというような感じがいたします。けれども、これがややもすると政治的に走るようなことになり、なお、国鉄の経営の合理化に無理をいかすことのないように、厳に運輸大臣としてお考えをいただきたいと思いますが、御意見を承りたいと思います。
  195. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 新線建設につきましては、玉置委員の指摘なさるような点を考慮いたしまして、政府といたしましては、鉄道建設公団でやらせることにいたしました。そして採算が非常に悪いような線につきましては、無償で貸し付けるというような点を考えてやっておるわけでございますが、なお、御指摘の点等は十分注意いたしまして、今後の新線建設等につきましては、公正な運営をやらしてまいりたい、かように考えております。
  196. 玉置一徳

    ○玉置委員 国鉄並びに運輸大臣にお願いしておきたいことは不採算線になった場合は無償で貸し付けるというようなことを現にしようと思っておる。片方では、東海道線もしくは環状線等の、非常な過密ダイヤを解消し、日本輸送力を増強しなければいかぬ非常に重要なところは、七分何厘で適当にやりなさいというところに、この政策は私は非常に矛盾があるのではないか。どっちかというと、まあ国鉄のことですから、もちろん全国くまなく国土開発のために敷かなければいかぬことはよくわかりますけれども、あしたから日本の動脈がとまるということで、片一方では猛烈な勢いで新幹線を敷設し、中央線の複々線をやらしておるところでは、七分何厘である。片一方、山の奥のほうの国土開発のためにやるやつは無償で貸し付けてあげましょうというところに私は、無理がある。そこらが無償だったら、ここらは半額くらいの補助をしてやるべき性質のところじゃないかという理論も成り立たぬことはありませんので、そういうことも勘案されてお願いを申し上げたい、こう思うのです。  以上申し上げましたことは、要するに私は、こういう大投資が必要に迫られておること、こんなことは、五年前、十年前から当然わからなければならないはずのやつを、去年まで黒字と称し、ことしから大赤字であるというので、突如値上げはやむを得ないという持ち出し方をした国鉄当局の策のなさということについては、これは厳重にやはりわれわれは警告を発しなければならないと思うし、今後ともこういうことのないように、政策運賃として適切な経営体になるように、やはり運輸大臣、運輸省のほうは、このことを将来ともやっていかなければならぬと思うのです。  こういうことで、本日お答えのように、こういうことを機会にもう一度国鉄と運輸省はひとつ一体になって御検討いただきたいと思うと同時に、私は、運輸大臣にもう一つついでにお伺いしておきたいのは、地下鉄でございますが、この過密ダイヤを収拾するのにはどうしても大阪の周辺では地下鉄を当然利用しなければならないと思いますし、その他の私鉄も同じであると考える。そういった全体からものを考えなければいかぬのですが、地下鉄もキロメートル当たり五十億というのですか、五百億でしたか、ちょっと数字は忘れましたけれども、ともかくものすごい新線の建設費を要しながらやっていくわけでありますから、運賃が上がっていくのは当然でございます。これも、大都市に通勤し、大都市に住まっている人々のためには、国鉄と同じような政策運賃でなければならないと私は思うのですが、いままでのようなやり方を根本的にひとつメスを入れ直して、これまた妥当な運賃に押え得るような財投もしくは利子補給もしくは補助金等のようなものをなさらなければ無理だと思います。今後において御検討をひとつお願いをしたいと思うが、運輸大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  197. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 政府といたしましては、輸送力増強のためには、第一次の長期計画、第二次の長期計画等と眞剣に取り組んでまいったのでありますが、最近における輸送需要の急激な上昇は、御承知のように、第三次計画に切りかえなければならないような段階まで入ったのでございます。そういう急激な輸送需要に当面しております現段階といたしましては、地下鉄等も含めまして、やはり交通政策全体に一つの一元的な考え方のもとに積極的な方策を検討してまいりたい、かように考えております。
  198. 玉置一徳

    ○玉置委員 最後に、連合審査と違うことを言いまして委員長から、それはもう答える必要はないと言われましたらそれでよろしいのですが、これで運輸委員会のほうに出ませんから……。  先般、運輸委員会のときにかわりまして、遺体の収容されておるところをお見舞いいたしました。そのとき大臣に御質疑をいたしまして、遺体の収容については政府が責住を持って全力をあげてやる、こういう力強いおことばをいただきまして、非常に感激をいたしておるのでありますが、その後大臣は、先頭に立たれて一生懸命におやりいただきましたことは、国民もそれぞれの報道を通じまして感謝をいたしておると思います。残念ながら、なお若干の遺体があがらないように伺っておりますが、今後大臣は最後まで御努力をお続けいただけると思いますが、決意を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  199. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いま玉置委員の仰せられました今回の全日空の遭難による遺体の引き揚げでございますが、これは私は当初から、全責任を持って最後の一人まで必ず引き揚げるという努力を続けておるのでございます。  実は、昨日、一昨日までの処置といたしまして、ここの一週間くらいまでで大体いままでの探しましたところでの遺体の収容はし尽くしたのではないか、あとどうしても百体以上が伸びませんので、あの段階で機材をのけまして——機材の下等に遺体があるのではないかということが考えられましたので、この二、三日機材をのけてしまっておるのであります。そこで、きのうから底びきを入れて全面的に遺体の捜索に全力をあげております。きょうちょっと資料を持ってきておりませんが、遺体捜索も全部切りかえてしまいました。底びきでやることにいたしておりますので、艦船、大きい船等の数は減らしております。あるいは潜水夫等が減っておりますので、国民の皆さん方から見られると、何か力が弱くなったように考えられるかと思いますが、そうではございません。全部底びきで一面に遺体の引き揚げに集中しておるわけでございまして、きょうようやく一体揚がりまして現在まで百七体、あと二十六体というところになっておりますが、私は、全力をあげまして二十六遺体全部を引き揚げることに最後まで努力する決心で取り組んでおるわけでございます。
  200. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わります。
  201. 古川丈吉

    古川委員長 連合審査会はこれにて終了いたします。    午後二時四十九分散会