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1966-02-16 第51回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月十六日(水曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 壽原 正一君 理事 關谷 勝利君    理事 田澤 吉郎君 理事 田邉 國男君    理事 山田 彌一君 理事 久保 三郎君    理事 肥田 次郎君 理事 矢尾喜三郎君       有田 喜一君    浦野 幸男君       小渕 恵三君    川野 芳滿君       木村 俊夫君    草野一郎平君       高橋清一郎君    高橋 禎一君       中馬 辰猪君    南條 徳男君       増田甲子七君    松浦周太郎君       山村新治郎君    井岡 大治君       小川 三男君    泊谷 裕夫君       野間千代三君    山口丈太郎君       内海  清君    竹谷源太郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         運輸政務次官  福井  勇君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  原山 亮三君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道副         総裁      磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     遠藤 鉄二君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         日本国有鉄道常         務理事     林  武次君         専  門  員 小西 真一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案内閣  提出第一六号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。竹谷源太郎君。
  3. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私は、昨日政府並びに国鉄当局に対しまして、今回提案されました国鉄運賃値上げは、国民生活並びに諸物価に対していかなる影響が起こるかという点について御質問をいたしましたが、なお多少疑問の点がありますので、国鉄運賃値上げ家計に及ぼす影響についてお尋ねいたしたいと思います。  国鉄のほうから提供された「第3次長期計画とその効果」、こういう黄表紙の印刷物の第二十ページに、(3)として「運賃是正物価家計にほとんど響かない」、こういうグラフつき記事がございますが、これを見ますると、昭和三十六年から三十九年まで、年によりまして交通費家計に占める割合は違ってはおりますが、大体交通費家計費のうち二%を占めているという状況でございます。そこでこの二%の交通費は、むろん旅客運賃でございますから、三一・二%の値上がりということになりますと、家計費全体に対して〇・六何がしになるわけでございまして、ここに月五万円の家計を営んでいる家族があるといたしますと、大体三百十五円ぐらいの交通費値上げということになると思いますが、この交通費値上げ、いわゆる旅客運賃値上げによって三百十五円の家計費増のほかに、食糧住居被服光熱雑費というようないろんな家計支出があるわけでございますが、これらの家計支出に対しまして、むろん食糧のうちお米は、これは公定価格できめて、あるいは光熱のうち電気料金とかガス代とか、これは公共的な料金あるいは政府の統制を受ける料金というような点で、運賃が上がったからといって必ず上がるものばかりではございませんが、しかし食糧なぞは大部分北海道種ジャガイモを九州に運ぶとか、木材北海道から持ってきて家を建てるとか、これは相当運賃がかかるわけであります。雑費の中のたとえば文化費につきましても、紙や印刷物輸送費も上がる、こういうことになると思うのですが、国鉄当局見込みでは、この交通費二%を除いた九八%の家計費のうちどれくらい、今回の国鉄運賃値上げでこれらの諸物価影響を与えるか、御見解があればお示しを願いたいと思います。
  4. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 ただいま竹谷先生お尋ね交通費、これは総理府の「家計調査報告」によります人口五万人以上の全国の都市の平均でございますけれども、その場合には交通費は一・八%でございますけれども、そのうち国鉄運賃部分汽車電車賃は〇・五九%、鉄道定期〇・一六%ということでございまして、その割合でもって直接家計に、今回の定期外運賃が三一%、定期運賃が六八%値上がるといたしまして計算をいたしますと、〇・二九%という数字的な影響が出てまいります。全家計に対しましては〇・二九%ということであります。お尋ねの間接的な鉄道旅客運賃が上がったからほかの物資がいかに上がるかということでございますけれども、これは昨日も説明がありましたように、正確な計算はできない。ただ内閣総理府統計様式に基づく産業連関表から試算をいたしますと、これは機械計算になりますけれども、大体今回の二五%値上げというものは消費者価格に対しましては〇・三%から〇・四%、〇・三五%くらいではないか、かように推定いたしております。
  5. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしますと、交通費値上げによる家計費の、この図面の中の、いわゆる旅客運賃値上げによる家計費に対する費用増並びに食料や住居被服雑費や、そうした方面に及ぼす影響は、合計したらどれくらいになる見込みですか。これは住居などはすでにできている家に入っているとおっしゃるかもしれないけれども、それらの材料の運賃値上げによる高騰によって、終局的にはこれらのものも値上がりになるのでありまして、それらを見込んだ金額はどれくらいになりますか。
  6. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 産業連関表によって試算いたしますということは、木材運賃が今回これこれ上がったから、それが結局家計に転嫁されるという仮定で計算をいたすわけでございます。しかしこの実際の値段の形成というものは、原価ではなくて需要対供給のあれによってきまるわけでございますから、その結果がいつどう出るであろうということは、これはもう計算できないわけでございます。機械計算で、結局上がったものがどこかにかぶさっていくというふうに計算をいたしますと、二五%の値上げでは、全体の卸売り価格に対しましては大体〇・四%以下である、かように考えております。
  7. 竹谷源太郎

    竹谷委員 いまの数字はなかなかもう水かけ論になりますが、結局この記事グラフ物価家計にはほとんど響かないといっておりますけれども、結局家計費全体に対しては私は一%ないし一・二%くらいの増高を来たすと思う。だから家計にほとんど響かないというような記事は、どうもどうかと思うんですね。宣伝に過ぎるんじゃないかと思うのです。結局家計費値上げのほかに他の諸物資、諸物価値上げに当然響いてくる、どうもこの家計に響かないという書き方は非常に困ると思う。お米が一〇%くらい上がるとすると、五万円の家計の家にとっては、まあお米を一人一回に一合、一旦三合、五人家族で一日一升五合ですか、そうすると四斗五升という一カ月の消費、そうなると七、八千円の米代と思いますが、その一割上がると七、八百円の家計費増高を来たす、今回の国鉄値上げはほとんどそれに近い影響家計に及ぼすのではないか、私はこう思う。そういう点から見ましてこの記事はあまり正確ではない、宣伝に過ぎるのではないかと思うのです。これはこの程度にしておきたいと思います。  さて、次にこれは大臣がいないので、あとで確かめたいと思いますが、政務次官なりあるいは国鉄当局として知られる限度でお答え願いたいのです。  一昨年、すなわち昭和三十九年の十一月二十九日に国鉄基本問題懇談会意見書を提出したのでありますが、その翌月の十二月十五日に、私の聞くところでは、閣議において国鉄運賃値上げをやらない、そしてその資金調達の方法についても財投政府出資その他によって政府はそれらの負担をするということをきめて、首相が声明を出したというように聞いておるのであるが、それはどのような閣議決定であり、また首相の言明であったかお伺いいたしたい。政務次官かあるいは国鉄の方、御承知ありましたらお示し願いたい。
  8. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 昨年の暮れということでございますが、一昨年の暮れのことだと思います。一昨年の暮れの四十年度予算編成方針審議されます閣議の際に、運賃値上げ国鉄といたしましては四十年度からお願いいたしたのでございますけれども閣議決定といたしまして一年間値上げを行なわないということをおきめになったように思っております。
  9. 原山亮三

    原山政府委員 三十九年十二月二十五日に経済関係閣僚懇談会がございまして、その席上で、政府日本国有鉄道の新長期計画をおおむね二兆九千億円の投資規模をもって昭和四十年から昭和四十六年までの七カ年間実施するものとする、こういう旨の了解がなされております。
  10. 竹谷源太郎

    竹谷委員 一昨年の十二月の、これは十五日ではなくて、二十五日ですか、二十五日に第三次長期計画をきめた際に、値上げをしないということを首相発言をしておるように記憶しておるのだが、そうではなくて、あなたの答弁によれば、昭和四十年度予算編成方針として値上げをする、このようにきめたんですか、どっちなんですか。
  11. 原山亮三

    原山政府委員 三十九年十二月二十五日の経済関係閣僚懇談会では、新長期計画規模実施年閣議了解いたしております。したがいまして、先生のおっしゃるような点については、三十九年十二月二十五日の経済関係閣僚懇談会では話は出ておらないと思います。
  12. 竹谷源太郎

    竹谷委員 語尾が不明瞭で聞こえないのだが、三十九年十二月二十五日の経済閣僚懇談会においては第三次長期計画決定したが、運賃については全然触れなかった、首相発言もなかった、こういう御答弁ですか。
  13. 原山亮三

    原山政府委員 三十九年十二月二十五日の閣僚懇談会では、そういう旨の発言はなかったように承っております。
  14. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私はそれを逆に聞いている。私は十二月十五日と聞いておるのですが、二十五日か、どっちが正しいかなお調べる必要がありますが、そこで、その長期計画等をきめますとともに、運賃値上げはやらないということをきめておる。ところが昨年、すなわち四十年の九月十日に、今度は前と方針を全然変更して、そして値上げをやるということをきめた、こういうのですが、三十九年十二月に従来の方針をくつがえしてやったのではなくて、昭和四十年の九月になって初めて方針を変更したのであるかどうか。それとも一カ年間は値上げをしないというその中に含めて、昭和三十九年の十二月二十五日の閣僚懇談会では鉄道運賃値上げも今後一年間やらない、こうきめたのか、それとも期限を付さずして鉄道運賃値上げをしない、こうきめたのか、その点はっきりしませんか。
  15. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 私から補足説明いたしますと、一昨年の十二月十五日の予算編成方針審議されます閣議のときに、総理大臣運賃改正は四十年中はやらないということであったように覚えております。そうして十二月の末の、その二十五日の経済閣僚懇談会では、国鉄の新長期計画は七カ年で約三兆円の規模でもってスタートさせるということをおきめになったわけです。したがいまして、運賃改正が一年間おくれますことに対しまするかわりの財源といたしまして特別債券を、これは財投以外の、国鉄が自分の力で調達する債券になりますけれども、それを六百八十八億円計上されまして、工事経費規模昭和四十年は三千億ということでとにかくスタートをさしていただいたわけでございます。その後、去年の秋でございましたけれども国鉄はやはり運賃改正をしていただきませんと新長期計画が遊行できませんので、運賃是正を四十一年一月からということでお願いいたしたのでございますけれども、これは御承知のように、運輸審議会審議を経まして、昨年の十一月の幾日でございましたか、政府方針として決定されたわけでございます。
  16. 竹谷源太郎

    竹谷委員 ただいまの遠藤国鉄理事の御説明で少しわかりかけました。そうすると、昭和三十九年十二月十五日の閣議においては、四十年中は値上げをやらないということをきめ、なお、同月二十五日の経済閣僚懇談会において、国鉄基本問題懇談会答申等に沿うて第三次新長期計画決定した、そうして四十年度においては財投その他によって三千億円の第三次長期計画第一年度分の財源等決定した、こう了解していいですね。——わかりました。  次に、国鉄基本問題懇談会意見書等についてお尋ねをいたしたいのですが、その前に、国鉄経営は、いまは日本国有鉄道という公社、公団の形で運営されておりますが、その前は特別会計でやってきた。そこで別個の法人格である現在の経営とは性質的にも違う点もございます。しかし別途会計経理がはっきりしておるわけでございますからお尋ねしたいのだが、戦争前は国鉄という企業特別会計経営をし、一般会計から分離して経営をしてきた。その時代に、国鉄は公共的な企業としては採算のとれない仕事もやらなければならない、そういうことをしている国鉄状況にかんがみて、一般会計から国鉄に対して相当援助をした実例があろうと思うのです。そういう戦前における国鉄経営上の一般会計からの財政的援助補給その他の事情をひとつお知らせ願いたいと思います。
  17. 原山亮三

    原山政府委員 戦前におきます政府からの特別会計への補助という問題でございますが、現在持っております資料からわかります点は、長期低利資金相当入れておりまして、この点につきましては、昭和十一年におきまして長期低利資金融資額が約十九億円ございます。それ以外の問題につきましては、いましばらく資料等を検討さしていただく時間をいただきたいと思います。
  18. 竹谷源太郎

    竹谷委員 新線建設等にあたりまして、赤字線等の場合にはその建設費利子補給するというような形で、同じ国家経営ですから、財政的に一般会計からつぎ込むというような実例はございませんか。
  19. 原山亮三

    原山政府委員 戦前におきましては、新線建設に対する利子補給というものはございませんでした。
  20. 竹谷源太郎

    竹谷委員 戦後はいかがですか。
  21. 原山亮三

    原山政府委員 戦後は昭和三十六年から特別の法律ができまして、国鉄新線建設に対する利子補給をいたすことになっております。三十六年から四十年までの間におきまして大体総額三十一億円程度利子補給をやることになっております。
  22. 竹谷源太郎

    竹谷委員 三十六年から四十年までが三十一億円でございまして、四十一年度の予算はどうなっていますか。
  23. 原山亮三

    原山政府委員 御承知のとおり、新線建設につきましては、日本鉄道建設公団法というものができまして、従来国鉄がやっておりました新線建設はあげて鉄道建設公団でやるということになりまして、従来の新線建設に対する利子補給というものは国鉄に対する利子補給でございまして、国鉄新線建設することによって非常に負担がかかる、そういうことをできるだけ軽減するという趣旨でございますので、鉄道建設公団法が通りまして、建設公団設立に伴いまして、新線利子補給をする必要がございませんので、国有鉄道に対する新線建設利子補給は四十一年度からはなくなるということでございます。
  24. 竹谷源太郎

    竹谷委員 いま日本鉄道建設公団お話が出ましたが、これは国鉄経営と非常に関係が深い問題であるから、この日本鉄道建設公団についてこれからちょっとお伺いをいたしたいのであります。  日本鉄道建設公団法は、その第一条で「日本鉄道建設公団は、鉄道新線建設を推進することにより、鉄道交通網の整備を図り、もって経済基盤の強化と地域格差是正に寄与することを目的とする。」という趣旨日本鉄道建設公団が三十九年の三月すなわち昭和三十八年度の末に設立を見まして、新線建設はあげてこの建設公団でやらせるということでやってきたわけでございますが、この日本鉄道建設公団に対しまして行政管理庁が査察をして、運輸省に対しましてその結果を勧告している。その勧告によると、鉄道建設公団の任務を十分に遂行させるために、その資金政府で大部分負担すべきではないか、こういうことを言っておりますが、従来の状況を見ると、この鉄道建設公団に対する政府出資ははなはだ貧弱で、従来二十五億しか出しておらぬ。来年度、つまり昭和四十一年度の予算では三十五億の出資を計上しておりますが、これを加えましても六十億でございます。四十一年度、新しい予算はきまりませんが、かりに新しい予算の三十五億を加えましても六十億。従来は二十五億しか出しておらぬ。ところが赤字に悩んでおる国鉄のほうからたくさんの出資をして、従来まで百四十四億、昭和四十一年度の運賃値上げを大きくやらなければならないという苦しい経理の中から、相変わらず七十五億新年度にも出資をしなければならぬ。こういうことになると、これは政府よりも国鉄出資をすることになってどうも、営業開始すれば大部分赤字線になるであろうところの新線建設出資の大部分国鉄負担させるということは、非常に無理な問題です。それからまた、鉄道建設公団設立した趣旨にも反すると思うのですが、政府はどうお考えですか。また行政管理庁勧告に対して、どのような方針で今後進もうとするのか、運輸大臣に聞くべきかと思いますが、出席しておりませんので、部長からお答えを願いたいと思います。
  25. 原山亮三

    原山政府委員 公団設立しました趣旨はおもに二点ありまして、第一点は従来の国鉄がやっておる場合においては、新線建設が進捗しないから、公団を特につくってそれに専念さして投資規模を拡大させるということが第一点、第二点は、御指摘のとおり、国鉄に対する負担が非常に多うございますので、それを軽減するというふうな点もあったのでございますが、行政管理庁勧告が出まして、政府出資の額を相当大幅にふやせというようなことでございまして、われわれとしましても、来年度の予算要求でも、御指摘のとおり三十五億、従来の十億から三・五倍というふうに大幅に増加しておりますので、今後もそういうふうな政府出資の増額というふうな方向でやってまいりたいと考えておるようなわけでございます。
  26. 竹谷源太郎

    竹谷委員 昨日私が要求した日本鉄道建設公団建設する鉄道新線等に関して資料をいただいたのであります。この資料によると、第一に、建設公団から国鉄に対し、有償貸し付け、または譲渡が見込まれている線。(2)として、建設公団から国鉄に対し、無償貸し付けると見込まれる線と二つに分けて工事線を分類してきておる。丸森線以下十四線は有償貸し付け、もしくは有償譲渡をする。それから久慈線以下四十八線は無償譲渡するか、あるいは貸し付ける線、こういうので十四線と四十八線を分類しておりますが、有償貸し付けのほうは企業として採算のとれる線、それから無償のほうはもう赤字線でどうにもならぬ。だから無償貸し付けてもしかたがない。こういう意味で、要するにこれは赤字線黒字線の区別と解釈してよろしいか。鉄道監督局からの資料ですから……。
  27. 原山亮三

    原山政府委員 お手元の資料で(1)のほうが有償貸し付けまたは譲渡線でございます。(2)のほうは無償の問題でございますが、法律地域開発その他非常に採算がとりにくい線につきましては、これは無償貸し付けするということになっておりまして、(1)のほうは建設当初は大体赤字かもしれないけれども、将来黒字に転化し得る、相当経営成績がよろしいとされる線でございます。(2)のほうは、相当経営成績赤字が続くであろうと想像されるものでございます。ただ(1)と(2)が非常に数が違いますけれども、(1)のほうの有償貸し付けまたは譲渡の線は、たとえば武蔵野線とか京葉線根岸線等相当大幅な金額が投入されるわけでありまして、線の数は違いますけれども金額の面におきましては、(1)のほうと(2)のほうはほぼ均衡する程度数字になろうかと思います。
  28. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうしますと、(1)のほうはどうにか経営ができる。(2)のほうはマイナス、こういうのですが、この(2)のほうも無償で借りて営業を開始するのならば、まあ赤字なしにとんとんぐらいでいく、こういうお見込みなんですか。それでもなおかつこれは赤字になる。全体としては四十八線、将来の見通しですからなかなか簡単に割り切るわけにはいかぬと思いますが、お見通しとしてはいかがでありますか。
  29. 原山亮三

    原山政府委員 (2)のほうの無償貸し付け線につきましては、将来相当長い間におきまして赤字が続くであろうと考えられる線でございます。
  30. 竹谷源太郎

    竹谷委員 (1)の有償貸し付けまたは譲渡のほうは、これは全部黒字になる見込みですか。黒字かあるいはとんとんになるか、少なくとも赤字を出せぬという——有償のはそれらの貸し付け料あるいは譲渡代金の金利、償却等を見込んで赤字を出さない見込みですか。
  31. 原山亮三

    原山政府委員 開業早々では黒字とは考えられませんけれども、開業して相当ある程度の期間がたちました場合においてはとんとんまたは黒字になるであろうと予想される線でございまして、御指摘のとおり貸し付け譲渡計算基礎償却利子等を合わせまして貸し付け料計算するということになっております。
  32. 竹谷源太郎

    竹谷委員 二、三年前に私が見た資料ではこの工事線六十二線、調査線三線、それらのうちで将来黒字を見込まれるのは二、三線しかなくて、六十五線のうちたしか六十二線か三線までは赤字だという数字を見たことがある。その資料は遺憾ながら紛失をいたしましたが、そのときに比べると、赤字を出さないで済むであろうという線が十四線にもふえておる。この点国鉄のほうではこれら十四線は有償貸し付けもしくは譲渡を受けても赤字を出さないでやれる自信が一体あるのかどうか、お尋ねしたい。
  33. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 いまお尋ねの、数年前の資料ですと、(1)に属するものが非常に少なかったというお話でございますが、確かにそうでございます。と申しますのは、私どもの新長期計画の遂行に伴いまして、現在営業していない線でもって建設公団のほうでぜひ私どものほうの現在線の輸送力を増強するために建設していただかなければならぬ線の問題が持ち上がりまして、さような線がその後追加になっておるわけでございます。したがいまして、見込みのある線区の数が前の数字よりはふえております。  それから第二点、これに列挙してあります線が有償貸し付けを受けてもいいかどうかという問題でございますけれども、これはいま運輸省から御説明がありましたように、先のことではっきりとはわかりませんけれども、ここに列挙してございます線は相当輸送量を見込まれる。これは国鉄の今後の営業やり方によるわけでありまして、ある地点からある地点へ行くのに現在の鉄道を通ってもいいし、こちらの鉄道を通ってもいい、こういう場合があるわけでございまして、その客貨輸送上どう分配するかという問題がありますので、必ずしも結論をいま申し上げるわけにはいきませんけれども営業やり方によりましては相当成績をあげることができるのではないか、かように思っております。
  34. 竹谷源太郎

    竹谷委員 数年前とは事情は違ってきておりますけれども、何しろ十四線はどうにかやっていけるが、四十八線もが赤字が見込まれるような線でございまして、将来国鉄がこれを引き受けてやるといっても非常に問題がある。こういう線は当然政府出資なり政府投資によって行なうべきであって、それにもかかわらず、国家よりも日本国有鉄道が大部分出資金負担しなければならぬという現状は、どうも理屈に合わない。この点行政管理庁からも強い指摘勧告によってなされておる。これは将来も鉄道公団への出資を継続して、非常に赤字で苦しい国鉄が、大幅な運賃値上げまでして国民に迷惑をかけなければならぬのに、こういう出資金を出させるということは非常に不当だと思う。政府はこれを将来是正する意思ありやいなや、お尋ねいたします。
  35. 原山亮三

    原山政府委員 出資金と借り入れ金または債券等の使い方でございますが、現在われわれのほうといたしましては、出資金については、いわゆる地域開発に寄与する線、この表の(2)の線でございますが、このほうに使う。それから借り入れ金または債券のほうは、この表の(1)の有償線に使う、こういうふうにやっておりますので、無償貸し付け線につきまして出資金を使う関係上、それほど利子負担に関して困るという点はないと思います。  それから国鉄出資の問題でございますが、これは国鉄のほうにお聞き願いたいと思いますが、国鉄の要望線というものがございまして、たとえば(1)の武蔵野線、京葉線、根岸線、あるいは伊勢線、こういうところは、国鉄のほうは新長期計画との関連において、長期計画の年次に合わせて建設してほしい、こういうような要望がございましたので、国鉄のほうも鉄道公団との関係におきましては、全然金を出さないというようなことは相当問題もあろうかと思いますが、国鉄のほうと公団とが一体となって、こういう新長期計画との関連路線は維持する必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  36. 竹谷源太郎

    竹谷委員 出資の問題はあとでまた運輸大臣に御質問をいたしますが、次に基本問題懇談会の意見書の内容等についてお尋ねをいたしたいと思います。  基本問題懇談会の意見書の中に資金調達の方法について具体的にいろいろと述べております。この第三次長期計画の三兆円の資金の捻出方法については、財政投融資を増加しろと第一に強く述べておりますが、この意見書によって昭和四十年度並びに四十一年度の予算案等においては、いかなる考慮が財政投融資の増加についてあらわれたか御答弁を願いたい。
  37. 原山亮三

    原山政府委員 昭和四十一年度の財政投融資の額でございますが、それにつきましては四十年度に比較しまして二百億程度の増加をいたしております。
  38. 竹谷源太郎

    竹谷委員 これは金利は幾らですか。金利が高ければやはり国家利子補給をするというような方法はありますかどうですか。
  39. 原山亮三

    原山政府委員 金利は六分五厘でございます。
  40. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に、第二として、政府出資という財源捻出の方法を述べておる。これによると、この第二の政府出資の末尾に「今後の問題として出資またはこれに代る負担金等について検討することが必要である。」このように述べておるが、この点については、政府は、国鉄に対する出資あるいは負担金等についていかなる考慮を払って新年度の予算を組まれたか。
  41. 原山亮三

    原山政府委員 政府出資は、従来から議論されておりますように、現在八十九億の政府出資がございまして、これを歴史的に見ますと、二十四年の国鉄設立のときにおきまして、総資産から総負債を引きましたいわゆる正味資産の額は四十九億である。それに、その後四十億の現金出資が追加されたということでございまして、最初の四十九億の正味資産、現物出資でございますが、これに対応するところの自己資本というものが、再評価積み立て金というものの中の、一兆一千二百億程度でございますが、その中に相当大幅に含まれておる。したがいまして、資本構成の面におきまして相当いいかっこうになっておると言えるのじゃなかろうかと思っております。
  42. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私のお尋ねをするのは、今後の問題として出資またはこれにかわる負担金等について考慮せよ、こういっておるので、過去のことを聞いておるのじゃございません。これは昭和三十九年の十一月に出された意見書でございます。したがって、昭和四十年度並びに昭和四十一年度の予算等においていかなる出資またはこれにかわる負担金が考慮されているか。これはゼロなのかどうか。
  43. 原山亮三

    原山政府委員 政府出資の増額というものは来年度予算にはございません。ただ、負担金の問題につきましては、従来から、戦傷病者負担金というものが、金額はある程度でございますが、昭和三十一年からございまして、来年度も七千四百万円程度負担金の政府からの支出があるのでございます。
  44. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に、運賃収入の増加という項目がありますが、この意見書ではこれについていろいろな問題について述べておる。これは国鉄に伺いたいのですが、運賃収入の増加といっても、必ずしも運賃値上げするばかりでなくて、コストダウンをすることがまた収入増加の重要な方法であるわけですが、そういう収入を増加する、コストを低めるために、経費の節約あるいは合理化の施策を行なえ、こういっておりますが、この収入増加そして経費節減のためにこれらの点についていかなる研究をし、また実際の施策を国鉄として行なったか、それをお伺いしたいと思います。
  45. 石田禮助

    ○石田説明員 これは私は当然に起こる問題と思ったのです。要するに、国鉄運賃値上げをするときには、国鉄はまずもって合理化に徹せよということが、これは過去の運賃値上げのときにもすぐに起こった問題でございまして、今回も必ずこういう御希望があると思いますので、詳しく申し上げますが、国鉄の合理化というものについては私は三つあると思うのです。  第一は、工事費というものをむだなくきわめて効率的に使う、こういうことです。この点につきましては、国鉄自身としても最大の注意を払いまして最も経済的に、最も効率的な輸送力増強をやる、こういうことにいたしておりますし、また、会計検査院から三百六十五日、五十人ばかりの検査員を国鉄に送りまして、非常に綿密な監督をしておるのであります。私は、工事費の使い方については相当に能率的、効率的にやっておると思います。  それから、第二は経費の問題です。この経費の問題でありまするが、たとえば四十年度における経費は、五千四百四十億であります。もっともこの中には、金利であるとか、あるいは償却費であるとかというような、これはもう合理化しようにもできないものは別にしてありまして、この経費というものは要するに、人件費とそれから動力費、修繕費、業務費、こういう四項目に分かれたものであります。それが四十年度におきましては五千四百四十億ある。そのうちで、人件費というものは三千六百五十九億、約三千七、八百億円、それから動力費、修繕費、業務費というものが約千八百億、この実際の数字はこれより多く出ておりますが、私の申し上げた動力費、修繕費、業務費というものの千七百八十一億というのは、この数字が出ておる表の中に入っておる人件費を差し引いたものであります。要するに、大略して申し上げますと、人件費が三千七、八百億、それから動力費、修繕費、業務費が千八百億ということにお考えいただけば大体において間違いがないと私は思う。  そこで、一体この合理化をどうするか。一番大きな問題はやはり人件費なんです。これがつまり総収入の六千七、八百億に対して大きなパーセンテージを占めておる。それで、この三千七、八百億の人件費をどうするかという問題でありまするが、御承知のとおり、国鉄の職員に対しては国鉄業務の性質上からいたしましてストライキ権というものを剥奪しておるのであります。したがって、この職員に対する給与のベースというものに対しては、これは仲裁裁定にまかせるということになっておって、私は、大体いまのところで、仲裁裁定というものはきわめて公平な裁定をしておるということに考えておるのでありまして、問題は、だから国鉄総裁としてできる合理化の方法というものは、ベースの決定の問題でなくて、いかにして人間を少なくして、少ない人間でもって経営をやっていく、ここにあるわけでございます。しかしこの点につきましては、国鉄というものは私は相当にやっていると思う。たとえば昭和二十七年から昭和三十七年ころまでは人間の数は一つもふえていない。その間に業務量のふえ方というものは、これは非常なものであります。最近におきましては、新幹線もでき、業務量も非常にふえたためにやりきれなくなりまして、四十一年ぐらいからは相当に人間をふやさなければいかぬというふうになりましたが、この人間のあたま数を多くしないということに対しては最大の努力をやっておる。現に三十六年時分から四十年までの間におきましても、約三万人の配置転換をやっておる。要するに、ひまなところから忙しいところへ配置転換をやる。この配置転換ということは、これは簡単なように考えますが、職員の立場からいえば、これは実にいやな問題であります。大体住居地が変わる。そこで始終組合との間にごたごたやるのですが、組合をなだめすかして、とにかくこの配置転換というものをやって、そして人間をできるだけふやさないようにしている。これがつまり人件費に関する、国鉄総裁として合理化の唯一のし得る手段なんです。ただ、この三千六百五十九億という人件費については、これは相当国鉄当局者の苦心の作であるということにひとつ御了解を私は願いたいと思うのです。  その次の、動力費と修繕費と業務費の合計千人百億でありますが、動力費のごときは、たとえば蒸気機関車を電気機関車にかえる、ディーゼル機関車にかえる、電化する、ディーゼル化するということによって相当に節約をしておるのでありまして、二、三年前までは、非常に業務量がふえたにもかかわらず、ふえなかった。最近におきましては、この動力費というものは多少ふえておりますが、これはきわめてわずかである。それから、修繕費なんというものに対しては、これはできるだけ機械化をするとか、あるいは工場の従業員の数を減らすとかいうこと、あるいは修繕の回帰キロを延長するというようなことによって、これも相当に努力をしておる。業務費のほうはこれは業務の増強によってふえておりますが、これに対しても、われわれとしては不断の注意を払いまして、ふやさないようなことにしております。こういうことでありまして、つまりこの経費の合理化というものに対しては、国鉄相当にやっていると私は思います。  それから、竹谷さんに私が申し上げたいことは、そのほかに、それじゃ何か合理化の方法はないかというと、大いにある。それは積極的の合理化である。積極的の合理化というものは、国鉄というものが企業性を発揮して、そうして投資効果をふやす、こういうのです。その点につきまして一番いい例は、いまの乗客の要求するところはスピードですね。そうしてまた、われわれからして限定された路線の使用効率をふやすという点からいえば、過密ダイヤもありますが、やはり速力の速い汽車を走らせる、こういうことなのです。社会党のほうでは、国鉄はどうも営利に力を入れ過ぎておる、こういうことを言っております。労働組合あたりでも、国鉄は営利にきゅうきゅうとしているということを言いますが、それだけ国鉄企業性が発揚をしてきたということですね。私から見れば、まだまだこんなことでは足りない。一面ではその点はありますが、しかし、ただその一面だけ見るのをやめて、全体をひとつ判断をしてもらわなければ困る。まだまだ国鉄としては企業性を発揮しなければならぬ、営利性を発揮しなければならない、こういうことなのです。その点につきましては、私は監査委員長のときからして、国鉄人よ、君たちはうしろに日の丸の旗が立っているというふうに考えてはいかぬ、やはり民間の企業経営と同じように、企業心を発揮してくれ、こういうようなことでありまして、投資効果を十分にふやす。それがゆえに、どこにそういう結果が端的に出てきたかというと、例の急行列車の増発だ。通勤通学なんというものは非常に人数は多いですが、これによる収入というものは四百五十億くらいです。ところが、あの通勤列車をふやすことによる国鉄運賃以外の料金収入というものは、三十九年度においては六百億。これはそこにおられる久保さんなんかはどうも急行列車を走らせるということに対しては少々御反対のようですが、しかし一般の乗客というものが急行列車をいかに愛しているか。われわれは、やはり乗客の嗜好にミートするということが国鉄のサービスと思う。その点からいきますと、定期以外の収入というものはこの四、五年の間でわずか三割か四割しかふえてないのですが、急行列車による乗客の数というものは五倍くらいふえておる。こういうことで、一般世間の空気にミートするということが国鉄のサービスです。同時に、これによって収入がふえる。合理化の一端をなすということで、積極的の合理化に対しては大いにやらなければならぬ。社会党の諸君はだいぶこれに対しては批判的ですが、私は、これはどうも考え直してもらわなければならぬというように考えております。まず国鉄の合理化というものにつきましては、経費の節減と積極的合理化と工事費のカット、大体この三項目において最善の努力をわれわれはいたしております。こういうことを申し上げましてお答えといたします。
  46. 竹谷源太郎

    竹谷委員 石田総裁が国鉄経営のために経費の節約や合理化のために持っておられる企業的手腕によって大いに努力せられる点は、私も高く評価を申し上げたいと思うのです。ことに労務管理につきましては、多少の意見もございますが、国鉄は一時は六十万人をこえるような人員を擁しておりましたが、漸減しまして、大体いま四十六万人くらいの人員をずっと維持しておる。しかるに業務量は飛躍的に増大をしておる。そしてまた仕事の内容も非常に変わりつつある。これに対処をして配置転換その他非常に御苦心のほどもわかります。この後における国鉄従業員の、安全確実なる人並びに物の輸送のために日夜を分かたず全精魂をぶち込んで一生懸命国民のためにやっておるその熱意と御労苦に対しましては、石田総裁に対する以上の敬意を、四十六万の全鉄道従業員に払うものでございます。職務に精励する従業員のために、そしてその幸福なる生活、家計の豊かさを増してくるために、当然にベースアップはやっていかなければならぬ。そのために要する経費を支払うことにわれわれ国民はだれも異議がないところでございますが、その他の経費の節約や合理化の問題、あるいは、国鉄基本問題懇談会の意見にもありますが、乗客の少ない路線をどういうふうに合理化するかという問題や、あるいは国鉄自動車の問題や、いろいろ経費を節約したり合理化したりする面が多々あろうかと思います。これについては今後とも御努力を願いたいと思う。  さてそこで、同じ国鉄の職員ではありますが、職務の性質が違う公安官というものがある。これは一体いま何人くらいおって、それに要する総経費はどのくらいかかるものであるか。資料がありましたらお答えを願いたい。
  47. 今村義夫

    ○今村説明員 公安関係の職員の数は現在約三千四百名でありまして、経費は三十九年度約二十七億でございます。
  48. 竹谷源太郎

    竹谷委員 三千四百人の公安官、これに要する経費が二十七億ということでございますが、一体公安官の職場は、国鉄の駅なり車内なり民衆の自由に往来、交通をする場所でございまして、天下の公道と同じようなものだと思う。こういうところにおける治安の維持あるいはいろいろな事件の処理は、当然国家の警察がやらなければならぬと思うのです。そうしてまた、警察官と同じような職責を持っておると思う。こうした経費は当然、国が国の仕事として、国の責任においてやらなければならぬ。したがって、公安官がかわってこれをやる以上、この全経費は国費で持つべきものだ、こう思いますが、いかがですか、国鉄総裁として。
  49. 石田禮助

    ○石田説明員 これは私は、警察でやるべきものであるかどうかという法律的な見解はわかりませんが、事実問題として、警察官を使ってやるということは私はむずかしい問題だと思うのです。とにかく二十七億の経費を年々公安官に使うということは、国鉄にとっては相当大きな問題でありますが、しかし御承知のように国鉄の列車における治安、ことに夜汽車における治安というものは、公安官を相当に配置しておるにかかわらず、年々減らぬ。もしも公安官を配置するとか、あるいは強化してあの治安を保つにあらずんば、国鉄における旅行というものは決して安全な旅行ということにはならぬ。これは私は国鉄としては万難を排して、経費は少しよけいにかかってもいいから、やはり国鉄の列車に乗れば安全に旅行ができるという状態に置くということが国鉄としての責任であり、私は義務だと思う。これを警察官に預けるということは、なかなかこれは事実むずかしいです。  さらに二十七億の経費というものは、これは相当の経費でありまするが、竹谷さんに申しますが、公安官というものは不正乗車の取り締まりにも相当援助をなしている。不正乗車の取り締まりの問題でありまするが、これはどうもほっておくというと年々歳々ふえこそすれ減らぬ。どうも最近の若い諸君なんというものは、一ぺん何か変な不正乗車をやりますと、どうも少しスリルを感じるのだ。そうして伝染病のようにそれがだんだん伝わって、ますますふえていく。これは悪の追放という点から見ましても、これが蔓延しないように、芽であるうちに早くつみ取ってしまおう。この悪の追放というものは大いにやらなければいかぬ。いわんや国鉄の不正乗車の取り締まり、この中には不正というものではないものもありまするが、まあ大体において不正が多いのです。その取り締まりによって国鉄の収入というものは、三十九年度においては六十億をこえているのです。だから、その六十億をあげるについては公安官の努力というものが相当に寄与するところがあるのでありまして、この二十七億というものは、治安を保つほかに収入の面においても相当に寄与しておる。こういうことで公安官というものは私はあるいはもう少しふやすことがほんとうではないかと思うのでありますが、これは経費の関係で、これで今日守っているのですが、そういうことで公安官の存在というものはいかに重要であるかという点はひとつ御了承願いたいと思います。
  50. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私は、公安官をやめて警察官が乗車をして取り締まりをやれということを主張するものではありません。ただ公安官の職務は警察に属するものであるから、その費用は国家が持ったらいいのではないか、こう思うのです。ところがいまお話を聞くと、公安官は不正乗車を取り締まる、こうおっしゃっておりますが、これは私は国鉄の職務規程をよく知りませんが、車掌の職務じゃないのでしょうか。公安官は、ある場合にそういうものが——ただ乗りというのはどういう罪になりますか。国鉄の運送法違反でありましょう、と同時に、刑法的に見ましても無形の窃盗もしくは詐歎になると思う。そうなれば、これは犯罪者として警察権の発動ということになるかもしれませんが、公安官は、これはやはりそういうのが本務じゃない。これは車掌の仕事じゃないかと思うので、したがいまして、こうした費用は国家が出せばいい。すなわち国家にかわって国鉄が警察権を執行する、その費用は国家が全額負担をする、こういうのが本筋じゃないか、こう思うのですが、政府はいかがお考えですか。
  51. 原山亮三

    原山政府委員 犯罪捜査の関係は、警察庁または法務省の関係でございますので、そういう点について今後そういう関係課長と連絡をとって、検討してみたいと考えております。
  52. 竹谷源太郎

    竹谷委員 さて次に、私は国鉄経理面のほうをお尋ねしたい、こう思うのです。  いま国鉄には、約一兆円の借金がある、こういうことでございますが、この借金がどうしてできたか。議論すると長くなりますが、概論的に言えば、日本国有鉄道は独立採算制であるというたてまえから、政府はろくな財政的出資もしくは負担をしてくれない。しかるに国家の要請に基づいて、企業としては採算のとなれい多くの運送営業に従事しなければならぬ、こういうことから起きてきたんじゃないか。したがって、現在の一兆円の借金などというものも、これはそうした、いわば公共負担の集積ではないか、こう思いますが、国鉄経理運営に当たっておる国鉄当局としてはいかがお考えであるか。その一兆円の債務をどうしてきたか。
  53. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄の四十年度までにおける借金というものは一兆円をこしておる。それがために支払う利子及び元金の不足額は千百億をとえておる、こういうことでありまして、これは要するに国鉄が公共企業体である、公共性を帯びておるものでありまして、それらの点においては収支を度外視して公共性を発揮しなければならぬ、こういうことできたのでありまするが、しかし現在の状態では公共企業等で公共負担、つまり政府の政策を国鉄の犠牲においてやっておるものだけで、四十年度においては九百億に達しておる。これは国鉄が公共企業体のゆえに公共性を発揮するのはいいが、しかしそれも国鉄がそれだけのことをして、しかも余裕があるならいいのですが、少なくとも独立採算制というものに縛ばられている以上は、これは少し行き過ぎだ。ここにおいて、つまり今度の運賃値上げ是正なりについても、運賃を上げるだけでなしに、通勤の、つまり公共負担の一部を是正していただきたい。公共負担金額というものは、三十二年から三十九年までで約五千三百億国鉄負担している。四十年度においては九百億を負担している。もしもこのままで運賃値上げをしないでいくということになると、四十一年度に千億をこえるのではないか、こういうことでありまして、ここにおいて私どもは、第三次計画を改めましたが、政府としてひとつ出資してくれたらどうか、こういうようなことを申し上げた次第でありまして、どうせ今後とも公共負担是正というものに対しては、漸を追うて是正していかなければならぬ。そうして、やはり自己資金の蓄積をはかって、借金をもってしてはどうしても輸送力の増強のできない、通勤通学の問題であるとか、あるいは輸送の安全の問題であるとかいう方面に、十分力を入れていかなければならぬ、こういうことを考えております。
  54. 竹谷源太郎

    竹谷委員 この黄表紙の第三次長期計画の十九ページに、昭和三十二年から三十九年度に至る八カ年間の年度別公共負担調べというものがある。その合計は、いま総裁のおっしゃいましたように五千二百六十一億円になる。いま国鉄総裁の答弁によれば、四十年度は九百億、四十一年度は千百億ということでありまするから、この二千億円増額されて七千二百六十一億円という金が昭和三十二年度から四十一年度までにできる、そういう公共負担国鉄がした。こういうことになるのであるが、このような数字は、政府のほうではこれだけの年度別の公共負担国鉄がやっておるということをお認めになりますか。この国鉄印刷物に書いてある、この八カ年の公共負担、なおまた四十年度九百億、四十一年度千百億、こういう公共負担になる、こういうことを政府はお認めになるかどうか。
  55. 原山亮三

    原山政府委員 この表にあがっております通勤通学定期なり学生割引、新聞の特別扱い、特別等級、こういうものが存在いたしますことは事実でございまして、こういう制度が存在いたします理由といたしましては、やはり日本国有鉄道法第一条の国鉄の目的が、公共の福祉を増進するというところにございまして、その目的を遂行するためにはある程度の公共負担的なものはやむを得ない、しかし過度のそういうものについては是正する必要がある、かように考えておる次第でございまして、こういうものが国鉄経営にある程度圧迫を加えていることは政府としても認めている次第でございまして、この表の数字がこのとおりであることも認めます。   〔委員長退席、山田(彌)委員長代理着席〕
  56. 竹谷源太郎

    竹谷委員 ただいま政府当局の御答弁によりますと、昭和三十二年度から昭和四十一年度に至る十カ年間に、七千二百六十一億円にのぼる公益のための犠牲的な負担国鉄がしておるということをお認めになりました。ところで、昭和三十二年度以前にもこのような負担をずっとしてきたことと思う数字があらわれています。だとすると、現在あります約一兆円の国鉄負債というものは、こうした公共負担の累積であるということになれば、国鉄企業として成り立たないものを政府から強要されてやるのであるから、その部分政府補給するなり負担するなり、そういう義務があるのではないか。こう考えるのですが、それを政府が出すか出さないかは別といたしまして、運輸省当局としては、そういう責任が政府にある、このようにお考えだと思うが、いかがでございますか。
  57. 原山亮三

    原山政府委員 鉄道運賃制度につきましては、個別原価主義は従来からとっておりませんで、総括原価主義をとっておりますので、こういうふうな通勤割引なり通学割引等を含めて、全体として収支適合するという考え方でございまして、それがいわゆる独立採算制じゃないかと思います。したがいまして、この割引が即赤字につながるというわけではないのでありまして、こういうものを含めて全体として収支を適合せしめるという考えでございます。
  58. 竹谷源太郎

    竹谷委員 次に、減価償却資料をお願いいたしましたところ、きょうそれをちょうだいした。その資料によりますと、昭和三十八年度における減価償却費は六百七十六億である。三十九年度に制度改正した結果九百八十八億、四十年度は千九十九億、四十一年度は千百九十八億、こういうことで、四十一年度以降は百億ぐらいずつ増加するというきのうの答弁がありました。四十年度における千九十九億、四十一年度における千百九十八億というようなことになりますと、三十八年度の償却に比べまして三百億ないし五百億だけ——これは、三十九年度から四十一年度までの間に、三十九年度は三百十二億、四十一年度は五百二十二億だけ減価償却の費用を計上しなければならなかった。これだけ国鉄の収支は赤字を増す、こういう結果になるわけでございます。その償却制度の改正については、具体的に各物件について、いままでの耐用年数を変更した、これは法人税法の方向にのっとったのであるという御説明でございましたが、法人税法につきましては、これは私法人の財政経理の内容をよくするために、すなわちこれを課税対象からはずすというようなことでいろいろ有利になる点がありますので、そういうふうに、私法人ならばこうした減価償却の方法をとることは妥当と考えますけれども国鉄の場合はそのような税の問題は考える必要はない。これでやっていけるのなら、何もいま運賃値上げを前にして特にこの支出を多くするような経理をやる必要はないのじゃないか。何十年にわたって従来の減価償却制度でやってきたものを、いよいよ国鉄運賃値上げしなければならぬという、一そう経理が窮迫しているときに、なぜこのような制度改正をやらなければならぬのか、非常に疑問に思う。このように支出が多いから値上げをしなければならぬというように、運賃値上げのために、償却制度を、ことさらこの三十九年度、四十年度に改正したようなうらみがある。国民運賃値上げをしいるための一つの方便にこれを使ったようなうらみなきにしもあらずと考えられる。当分この従来の減価償却制度を維持してよろしいのじゃないか、たいした支障がないのじゃないかと思いますが、いかがでございますか。
  59. 石田禮助

    ○石田説明員 この運賃値上げと同時に、直前に減価償却が多くなったということは、いかにも運賃値上げをぜんがために減価償却をふやしたような状態になりますが、実は、国鉄の従来の減価償却というものがきわめて不合理であるということは、これは何も最近に起こった問題ではない、私が監査委員長の時代からやかましく言ってきた問題でありまして、ついにせっちん詰めのところにきた。たまたま運賃値上げというものにぶつかった、こういうことなので、決して運賃値上げをせんがためにわざと償却費をふやした、そういう悪意というか何かしらぬが工作をしたということではないのでございまして、これはひとつ善意に御解釈を願いたいと存じます。
  60. 竹谷源太郎

    竹谷委員 どうもこの問題はあまり善意に解釈できないですね。みんなそう思っておりますよ。何もいままでやってきて経理ができたものを、突然年額数百億ずつ減価償却を多くして、値上げの収入とバランスを合わせるような、そういう必要はないのじゃないかと思う。  なおこの問題に関連をして質問を継続したいのでありますが、運輸大臣が間もなく見えられますので、それに譲りまして、他の問題をちょっとお尋ねします。  運賃改正案の内容について一、二お尋ねをいたしたいと思いますが、日本のように国土が狭くて長い国、こういう国にとっては、私は遠距離逓減制というものは非常に適切妥当な制度ではないかと思います。おそらく日本のように細長い国は——似よった国ではニュージーランド、イタリアがございますけれども、イタリアだって日本よりはずっと短いわけです。ところがイタリアも遠距離逓減制をとっておる。これは非常に妥当な制度ではないか。これをやめてしまう、あるいはやめてしまわないまでも逓減率を低めるというようなやり方は、この際とるべきではないのじゃないか、こう思います。関東地方の人も、あるいは北海道、九州の人も、東京や大阪に出てくる用事が非常に多いのです。そのために、さらでだに経済圏から遠くて、所得も非常に少ない、また生活も苦しい、その中からたくさんの鉄道運賃を出す、また貨物を輸送する、こういう点で、それらの僻遠の地の支出を一そう増大し、生産物は、運賃が高くなるゆえに高くなくては売れなくなりますから、その収入は非常に激減をする、こういうことになりますと、地域格差をますます拡大する、こういう結果になると思うのです。方針としてこのような遠距離逓減制の廃止の方向にいくということは、公共性を事業の目標とする国鉄としてはとるべからざる方針である、こう考えるのでございますが、遠距離逓減制をとっている外国の例はどこにあるか、そういう問題とあわせて御答弁を願いたいと思います。
  61. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 遠距離逓減制の問題は、旅客、貨物別々に考えなければならないものだと思います。貨物輸送につきましては、国鉄は従来とも遠距離逓減制をとっておりますし、今回の運賃改正におきましても一律にアップするだけでございまして、特別な修正を加えておりません。この貨物が遠距離逓減制をとっておりますことは、貨物の運送コストに関係があるわけであります。貨物の運送コストは発着のコストと途中の輸送のコストに分かれるわけでありまして、輸送の距離が短くても長くても発着のコストは同じであります。したがいまして平均の一キロ当たりの運賃というものは、長くなれば長くなるほど安いわけであります。これはいろいろな原価を計算いたしまして、現行の貨物の遠距離逓減制はたいして矛盾がないとわれわれ考えておりまして、今回は現在の制度をそのまま維持いたします。  それから旅客につきましては、もしかりに原価的に遠距離逓減の数字が出てくれば別でございますけれども、旅客は発着のコストが非常に少ないのであります。大部分輸送のコストであります。したがいまして、原価から見ますと、遠距離逓減をする必要がないわけであります。しかしながら、長年日本におきましては、政策的に、ただいま御説明のような遠隔地の便宜という意味におきまして、遠距離逓減制をとっておりまして、これをいま急激に変える意思はないのでございますけれども、やはり国鉄もだんだんと原価制に移さしていただきたい、こういうことを考えておりまして、今回の改正におきましては、従来三百キロのところで切っておったわけであります、三百キロ以遠が割引きになっておりましたのを、今回は四百キロ以遠を割引する、こういうように変えさせていただきました。ごくわずかな改正でございます。  これを世界じゅうの例から申し上げますと、ほとんどの国は遠距離逓減制をとっておりません。旅客につきましては距離比例というのがもう原則でございまして、欧州におきましては往復割引はございますけれども、片道の遠距離逓減というのは、原則的にはないわけでございます。わずかにイタリアが遠距離逓減制を採用いたしておりまして、それは最初の地帯と第二の割引になる地帯の境目が七百キロであります。イタリアはやや日本と地形を同じくいたしておりますせいかと思いますけれども。日本は今回改正いたしても四百キロ、イタリアは七百キロでございまして、われわれは旅客の運送原価ということも考えまして、そこを三百キロから四百キロに上げさせていただきたいというのが今回のお願いでございます。
  62. 竹谷源太郎

    竹谷委員 イタリアは違いますが、多くの国、たとえばヨーロッパのイギリスにしろ、フランスあるいはスペイン、ドイツあたりでも、三、四百キロまでで海岸へ行けると思う。フランスのパリは中心からはずれておりますけれども、中心から言えば、海岸まで全地域多分三百キロから三百五十キロ以内であろう。スペインも同様に海へ三、四百キロ、それならば、日本の運賃法を用いても、遠距離逓減制が適用になるところがない。そういうところはそれでいいわけなのです。どこからも三、四百キロで、一番北は仙台、南は名古屋以内に全部入りますから、現在の日本の運賃法を適用しても遠距離逓減にはならない。ところがそれ以遠の東北北部、あるいは大阪を起点といたしましても、九州、北海道等は距離が遠くなる。そういうところが、大金を使ってでなければ、文化や経済の中心である東京や大阪に行けない。しかも日本の経済はほとんど東京と大阪を中心にして運営されているという現状にありましては、ヨーロッパの各国のごとく大都市が方々に分散せられ、産業が適当に配置せられているところとは違って、遠距離逓減制の異議は非常に深い。こういうことを独立採算制の国鉄に要求することは無理であって、これは一つの大きな公共負担でございまして、政府として考えなければならぬ問題じゃないか。  これに関連して私、思い出すのは、仙台のある新聞経営者のいわく、仙台で発刊している新聞を松島——すぐそばでございますが、松島へ送る運賃も、東京あるいは大阪から松島へ送る鉄道運賃も同じだ、こう言うのでありますが、これはプール制といいますか、公共的なことが新聞輸送については行なわれているのですが、そのとおりかどうか、もしそのとおりだとすれば、日本では国鉄運賃については、そういう面を相当考慮に入れた運賃制度を設ける必要があるのではないか、こう考えるのですが、いかがでございますか。
  63. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 ヨーロッパにおきましても、いま御説のように三百キロ地帯というのはごく——たとえばパリからマルセーユということになりますと、これは相当長い距離でございます。そういうところは往復割引の適用によってやっておるように思っております。  それから、ただいまの新聞の運賃でありますけれども、これは政策的にわれわれ公共負担と言っておりまして、その総額の中に相当大きな部分を占めておるわけであります。相当大きな割引をいたしております。そのために均一運賃をやっておりますということは、これは輸送技術的にも非常に忙しい仕事でございまして、個々の一束を距離別に運賃計算するということは実際できないわけでありまして、非常に短時間に積み込むというようなことがございまして、公共性のほかに技術的にも均一運賃でなければ実際やりにくいわけでございますので、さようなことになっております。
  64. 竹谷源太郎

    竹谷委員 そうした公共性の見地からも、日本においては国土狭小で、しかも僻遠の地も便利にしてやらなければならないという時代の要請からいいましても、これは遠距離逓減制についてはぜひ従来の方針を維持していくべきものだと考えるのですが、一例として旅客について、東京から札幌、東京から鹿児島、これは今度の運賃値上げによって一体幾ら値上がりになるのか、これは急行料金を含まないで、普通運賃だけでいえば今度何%高くなるのですか、お答えを願いたい。
  65. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 札幌の例でございますと、往復割引を今回実施いたしますので、運賃でいいますと札幌まではたしか四割何分か上がるように思います。しかし、私ども、現在長距離のお客はほとんど全部が急行を利用しておられるわけでありまして、今回は長距離の運賃は上がりますけれども、急行料金はごくわずかの修正にとどめ、寝台のほうもこれはごくわずかの修正にとどめるつもりでいたしておりまして、総体の御負担になります札幌までの急行利用の場合の負担増は、片道でもって割引なしの場合には三四・五%でありますが、往復割引の適用をいたしますと三〇・二%という負担増になりまして、平均の負担増は三一ということにお願いいたしておりますので、往復割引を適用いたしますと大体一般の値上がり率に近い数字であると思っております。
  66. 竹谷源太郎

    竹谷委員 資料によりますと、通勤定期の場合、いろいろでこぼこがありますが、東京−大宮間の六カ月、これが現在五千五百十円、それが一万一千三百四十円、二倍以上になりますね。これが一番高いようです。だから、二五%アップといい、あるいは旅客だけについていえば二二・二%アップといいながら、実際は先ほどの札幌のように四割、五割ということで、通勤の場合だと倍以上になる、こういう例がある。かと思えば、もう一つ、遠距離逓減は変更になりました結果、いままでは三百キロ以上は遠距離の安い運賃が適用されて、三百キロから四百キロまで一キロ当たり一円三十五銭であったものが、今度は四百キロまでは遠距離逓減がないので三円六十五銭、こういうことになる。三百キロと四百キロの間は一キロについて一円三十五銭が三円六十五銭ということで、計算してみると二・七倍、三倍近い値上げになる。このようにして内容的にはいろいろでこぼこがあって非常に運賃値上げが高い、こういう印象を国民に与えるようであって、二五%アップということとは非常な違いがある。まやかし、インチキじゃないかという印象を国民に与える。いかがでございますか。
  67. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 定期は、公共負担是正という意味におきまして、通勤定期に限りまして今回大きな割引率を是正さしていただいておるわけでございます。いわゆる公共負担と申しております額の大体三割程度を今回是正さしていただきた、それにプラス基本の賃率が上がりますので、通勤定期の平均値上がり率は六割八分でございます。しかし、どんな場合でも倍をこすということはございませんので、大宮でももちろん倍をこすということはございません。それから区間によりまして相当値上がり率が違います。やはり三百と四百の間のところが、三百の刻みが四百に上がりましたので、そこがかなり高くなっておりますけれども、これも急行料金等を総合いたしますればそう大きな上がりにはならないように計算ができておるわけでございます。
  68. 竹谷源太郎

    竹谷委員 鉄道という企業はどうも各国において斜陽産業になっておる、こういわれておりましたが、日本の東海道新幹線の出現ということが鉄道企業に新生面を開いたようにも見受けられる。まあ普通の役人、公共企業体の職員などは事なかれ主義で、昇進して月給が上がってたくさん恩給でももらうということに熱心で、ほんとうに国家のために、国民のために、いい仕事を身を賭してもやろうという熱意のない者が多い世の中に、国鉄においては、上は総裁から末端の一般の現場の従業員に至るまで非常な熱意をもって団結して、いい国鉄を運営しようというので努力していることに対しては、私は敬意を表しておったのであるが、この冒険的な東海道新幹線という問題と真剣に取り組んで、非難にも対抗しながら十分勉強してついにこの仕事を実現したということに対して、私は満腔の敬意を表する。こうなってくると、一体今後鉄道企業というものはどのような新しい開拓すべき分野があるかということについて非常に明るい見通しがあるのじゃないか。こういう観点に立って、今後日本国有鉄道をどういうふうに運営していくか。政府としても、また国鉄としても、一昨年の十一月に出された国鉄基本問題懇談会の第三次七カ年計画というような線で当分はいくのでしょうけれども、もっと長期的な交通政策の面からどういうふうに持っていったらいいとお考えであるか。これは運輸大臣並びに国鉄総裁に聞かなければならぬ。運輸大臣にあとで聞きますが、国鉄総裁いかがお考えですか。
  69. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄は新幹線というもので相当に面目は新たになったのでありますが、しかし、今後一体どういうふうに持っていくかということについては、これは決して研究を怠っておるわけではありませんが、それよりも現在われわれが解決しなければならぬというものは、そういう積極的な面より、通勤通学のあの交通地獄をどうするかという問題、さらに幹線の過密ダイヤをどうするかという問題、その間に処して輸送の安全をどうするかという問題、新幹線におきましては、なかなか小さい事故というものが多いのでありまして、これをまずなくするようにして、お客さんにもほんとうに安心してお乗り願えるようにしたい。こういうことに実は頭を集中しておるのでありまして、今後の十カ年、あるいはそれ以後の国鉄をどうするかということに対しては、実はまだ余裕がない。現在直面しておる、つまり火の粉というものを払うにはどうしたらいいか、こういうことがわれれわれの問題でありますので、ひとつその問題の解決のめどがつきましたら、さらにまた新しいものを考える、こういうことにいたしたいと思います。
  70. 竹谷源太郎

    竹谷委員 国鉄の総裁としては、当面国鉄運営上のいろいろな目の前の問題を解決しなければならぬ、これは当然だろうと思います。むしろこの問題は国の交通政策一般の重要な陸上交通部門として、国策として考えなければならぬ点であるが、一体この長期七カ年計画のほかに、もっと長期の展望に立った国鉄の基本政策がありましたならば御披露願いたい。これは政府のほうです。
  71. 原山亮三

    原山政府委員 交通全般の政策につきましては、昨日もお話がございましたように、交通基本問題調査会というものがございまして、その答申もすでに出ておりますが、海運とトラックとの関係、あるいは鉄道と自動車との関係、あるいは大都市交通の解決の問題あるいは交通安全の問題、こういうふうな大きな問題があるわけでございまして、それぞれの面につきまして、各輸送機関の特徴をそれぞれ生かして、しかもその輸送分野をそれぞれ守りつつ、公正な競争が行なわれていくような方向に持っていきたいと考えておる次第であります。
  72. 竹谷源太郎

    竹谷委員 結局、いま国鉄部長お話では、私の質問するような、長期の展望に立った運輸政策はまだ確立しておらぬようであります。  それでは当面の問題として、この七カ年計画の中には山陽新幹線、岡山までの分を考慮しているようでございますが、その先、あるいは東北新幹線というようなものについては、国鉄としては研究調査をしているのかどうか、これをどうしようというお考えがあるのか、あるいは政府のほうはどうか、お尋ねしたい。すなわち山陽新幹線のその先の山口なり、あるいは鹿児島へ行く線及び東北、そして北海道へ行く線、北海道については青函鉄道トンネル、これは調査線に入っていると思いますが、調査をなさっておると思う。そういう方面に新幹線をどういうふうに延ばしていくか。そして何といっても東京−札幌間一昼夜もかかるようじゃ全く日本国土全体の開発、また日本のどこに住んでおっても所得が高く、文化に恵まれた国民の生活を保障するようなことはできない。そういう面からもこれは非常に重要な問題であると思いますが、そういう九州なり東北なり北海道に対して、新幹線をどうするといういま一応の構想を持っておられるかどうか、お尋ねしたい。
  73. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 山陽新幹線は、今回の第三次長期計画では新大阪−岡山間を仕上げることになっております。そのほか、関門トンネルが輸送の険路となりつつございますので、これは四十六年までには完成はいたしませんけれども、新関門トンネルの着工をしたい、かように思っております。  それから東北新幹線の問題は、これはまだ全く話だけでございまして、調査にも何もまだ着手しておりませんが、しかし、国鉄の技術者といたしますればいろいろ夢があるわけでございまして、個人的には相当いろいろ研究もいたしております。しかしながら、この席でもってこれこれのプランがあるというような段階にまで至っておるものはまだ何もないわけでありまして、おそらくすべて昭和五十年以降の問題になるかと思っております。
  74. 竹谷源太郎

    竹谷委員 近く着工するであろう関門新トンネル及び現在調査中の青函トンネル、これは従来の狭軌の汽車を通すトンネルをつくる予定なのか。その目的で着工し、もしくは調査しておるのかどうか。それとも関門トンネル及び調査中の青函トンネル、これは広軌のスピードのある新幹線も通せるようなトンネルとして着工しもしくは調査中であるかどうか、それを尋ねたい。   〔山田(彌)委員長代理退席、委員長着席〕
  75. 原山亮三

    原山政府委員 青函トンネルの調査は鉄道建設公団が現在やっておりまして、北海道のほう及び本州のほうから調査の掘さくをやっておりますが、現在の調査をおおむね昭和四十年度末までやりまして、それから資料を整えてから具体的な内容になっていくわけでございまして、それを新幹線のレールにするのかどうか、そういう点につきましてはまだ決定いたしておりません。
  76. 竹谷源太郎

    竹谷委員 関門は……。
  77. 遠藤鉄二

    遠藤説明員 新関門トンネルは広軌が通れるようにいたします。
  78. 竹谷源太郎

    竹谷委員 国鉄はニューヨークに事務所を持っておると聞いておる。したがって、アメリカにおける交通事情等を御調査になっており、昨年の九月三十日と記憶しますが、アメリカ合衆国の議会を通って、高速度陸上交通研究開発法ができておる。しかもその法律の中には、向こうの予算でいえば昭和四十年度から四十二年度になるが、すなわち昨年の七月から始まる年度において、三カ年間に九千万ドルの研究開発費を支出して、そして研究開発の権限を商務長官——向こうは運輸大臣がないようでありまして、商務長官に委任をした、こういう法律ができておるはずだ。これはボストンを出発してニューヨーク経由ワシントンまでの六百五十キロの、すなわちアメリカにおける北東回廊地帯の人口稠密な、交通がほとんど麻痺状態にあるこの地帯を六百五十キロ、三時間くらいで走れる高速度陸上交通機関をつくろうという問題の研究開発法であるようであります。これについて国鉄相当の調査をしているはずであり、この研究開発を委託されたマサチューセッツ・インスチチュート・テクノロジーというそうですが、マサチューセッツ工科大学の人たちが東海道新幹線を去年あたり視察に来たようであります。これは陸上にパイプを設けてその中を走らせるか、それともトンネルにするか、まだ未決定であるが、トンネルにする方向の意見が強まっておる、こういうことでございます。アメリカのように地域広大なところでさえも、地下を使って高速度の汽車を走らせなければならぬ。汽車というよりも車両を走らせなければならないというのは、時代の進展に伴って当然であろうかと思うのです。日本のように、世界じゅうどこにも例のないような細長い国、しかも狭い、そして人口が膨大である、こういう国では、遠距離の、現在では不便で役に立たない地帯を役に立たせる、そうするためには大量の高速度交通機関が必要であって、幾ら速くても飛行機じゃ役に立たない。こういう観点から、国鉄はすばらしい高速度の交通機関、それも地下を開発してトンネルで結ぶ必要があるのではないか、こう私は考えます。いま東京から青森まで地下を直線で貫けば六百キロそこそこであろうと思う。したがって、時速六百キロの交通機関ができれば、一時間で青森から東京へ来られる。そうすると、青森県という僻遠の——東京の半分か三分の一しか県民の所得がないと思います。そういう地帯が一時間で東京から行けるということになれば、青森県が埼玉県か千葉県に転居してきたということになる。それによって狭い国土がいまの何増倍にも使える、こういうことになるのじゃないかと思う。その一部の夢を果たしたものとして、私は東海道新幹線に最大の敬意を表する者であるが、しかし、いまのスピードでは間に合わない。ぜひ五、六百キロのスピードで、青森は一時間、大阪も一時間、下関は一時間半くらい、札幌や九州へも二、三時間で行けるということになれば、日本はまんまるい領土を持っているということになって、日本の領土というものは実質的に五倍にも十倍にもふえるということになる。政府は、二十一世紀のビジョンという、何か論文か作文かを懸賞募集しているが、これはたいへんいいことだと私は思います。学者等の言うところによれば、二十一世紀になれば月世界には大都会ができるであろう、何千人、何万人という人が地球から往来をする、そういうふうに宇宙開発は進む。いまわれわれ日本人は、ことに台風というものに苦しめられておりますが、これなどは臭化銀粒によって目つぶしを食わして台風を消滅きせる、あるいは太平洋に右旋回をさせる。長雨は雲を吹き飛ばして、あたたかい太陽の光線とさんざんたる光を地球に与えて大豊作。また電子頭脳が開発されて、現在人類が考えているような、あるいは働いているそうした仕事は全部やれることになろう、こういうのでありますが、こういうときに日本はおそらく一億五千万から二億の大人口をかかえることになるであろうと思う。それに対して、月に五十万なり百万なりの収入を保証するような、高い生活ができるような日本をつくることも考えておかなければならぬ。そういうときに、遺憾ながらわれわれの国土は非常に狭くて、天然資源も貧弱、しかもそれが非常に細長くて使いにくい、土地がない、こういうのでありますが、こうなるとどうしても地下開発をやり、そして高速度交通機関でこれを連絡するということが、日本の国土を広げ、利用価値を高め、そして現在の住宅難の解消というような問題、交通緩和あるいは公害の防止という、国民の生活の上においても大きなプラスがあるのではないか、こう思いますが、こうした長期展望に立った交通運輸政策を抜本的に政府は考える必要があるのではないか、こう思うのです。これは大臣、遺憾ながら私の話を途中からしか聞かないのだが、そういう観点から、長期的な根本政策を立てる必要があるのではないか、こう考えますが、ひとつ他の政府委員から、私がいま申したことを聞いて御答弁を願いたい。  大臣が御答弁の用意をなさる前に、国鉄ニューヨーク駐在事務所で調べた、アメリカ合衆国の陸上高速度交通機関研究開発法の概要をひとつ御説明願いたいと思います。
  79. 林武次

    ○林説明員 ただいまの先生お話しの、ボストンとワシントン間の高速陸上交通機関を開発する目的をもって、ただいまお話がございましたように、昨年の九月に陸上高速交通機関研究開発法という法律が制定をされております。この法律の骨子は、一九六五年から六七年までの三年間に九千万ドル、日本円に直しまして約三百二十億円くらいの研究費をもちまして、次に申し上げるようなことをやりたいという法律でございます。一つは新しい型の鉄道、車両、エア・クッションの上を走る地下鉄のような、革命的な輸送方法を実験いたします研究開発計画、私どもの聞き得たところでは、最大時速四百マイル、キロに直しまして六百四十キロくらいの最大時速を目標にしておるようでございます。それから二番目に、現存の旅客鉄道を実験的に改良して、社会の反応をテストする公開実験計画、これは現在ございますペンシルバニア及びニューヘブンの鉄道を利用しまして、大体百マイルないし百五十マイルといいますから、キロに直しますと百六十キロないし二百四十キロ、いまの国鉄の新幹線程度と思いますが、それに現在の旅客鉄道を改良するにはどうしたらいいかという実験研究。それから三番目に、現在政府機関が収集をしております交通関係に関する統計、データを総合する運輸統計制度を研究する。この三つの研究をいたすことにいたしておりまして、北東回廊地区の人口の増加により生ずる輸送需要に対処することを目標とし、三年計画の三面作戦を開始することになっておるというふうに、米国の有力新聞は伝えております。私のほうでニューヨーク事務所から得ました情報は以上のとおりであります。
  80. 中村寅太

    ○中村(寅)国務大臣 私は竹谷委員お話を直接聞いておりませんので、あるいはお答えが的をはずれるかもしれませんが、現在の時点における日本の交通の事態というものは、すべての機関、陸も空も海も、あるいは地下鉄、自動車、国鉄、私鉄等を含めて、総合的に一貫した計画の上に進めていかなければならぬのじゃないかというお考えであると思いますが、私も全くそういう時期にきておる、かように考えておるものでございまして、やはり陸上輸送、それから空、海上と、一貫した交通政策と、同時にまた都市計画等とも関連を持たせまして、国民の要求する輸送需要というものに対して十分の処置ができるように対策をすべきである、かように考えております。
  81. 竹谷源太郎

    竹谷委員 私の話を十分聞いてないので、的はずれではございますが、そういう将来の交通基本政策を立てるにあたって、私、ぜひ運輸大臣に御考慮を願いたいことは、過密都市の交通難解消は、これはもう地下鉄によるほかはないということは、世界じゅうの学者や経験家の一致した意見でございます。そこで、日本は土地が狭いとは申しますけれども、このごろは、山に木を植えたって、山林というものは経済的に引き合わない。きこりあるいは炭焼きが、まきや炭でなしにプロパンガスで御飯をたく時代なんです。だから、山林原野というようなものは、高い生産性はとうてい生まない。ところが東京の銀座では、土地が一坪一千万もする。山の中ではほとんど坪百円もしない。そういう山林原野が日本の九〇%近くを占めておる。これを住宅に利用すれば、労働者の家庭といえども、百坪、二百坪の広さの宅地に五十坪くらいの住宅がつくれるわけであります。尾瀬ケ原の景色のいいところに住宅をつくって、いまの時速五百キロ、六百キロという交通機関によって東京へ通えば、十五分か二十分で通勤ができる。この間経済企画庁の何か付属研究機関の調査によると、東京へ通勤する通勤者の七割は、通勤をして毎日非常に疲労を覚える。頭脳も労働力もともに優秀な、日本民族の非常に優秀な人が東京に一千万人も集まっておりまするが、これらの人々の七割が通勤のために非常な疲労を覚える。うちへ帰れば狭いところに家族が重なり合って休まなければならない。こういうことでは日本人の頭脳も労働力も開発をされない。われわれ二十一世紀を迎えるにあたって、高い所得を獲得するには、欧米人に比べても、それよりも知能指数が二〇%高いといわれる日本人の頭脳を開発する以外に、われわれは豊かな生活をする道はない。その頭脳開発は住宅にある。いまのような豚小屋に重なり合って住んでいるようでは、とうていいい考えが浮かびません。労働者といえども豚小屋にかわるにりっぱな宮殿のような大きな邸宅に住めば、一億何千万という日本民族の頭脳からあらゆる知恵の光が出てくる。日本はいま何百億というライセンス、特許料を払って、外国から発明発見を買ってきて、それを使っていろいろな製品をつくって外国へ売ってもうけている。それを今度は逆に、日本人の知恵の結晶である、頭脳の産物である発明発見を使って優秀な製品をつくって売る。それをまた外国へ、発明発見を高く売り飛ばす。その頭脳を開発し、その頭脳の力によって日本人は今後高い生活を営む以外に、この狭い細長い、資源の乏しい日本では生きる道はないと考える。そうだとすれば、この住宅問題の解決、過密都市の解消、そうして全国土を有効に使う。私がこういうことを申し上げると、山の中では雪が降って不便でどうにもならぬ、こうおっしゃるかもしれないが、その時代になれば、天候は人間の力によって自由に改変できますから、あたたかい、空気のいい、太陽のさんさんと降るような、スイスの別荘のような住宅から東京へ二、三十分で通勤できるということになれば、あらゆる労働者の頭から、世界の人類がつくり得ないような発明発見を生み出すことができる、こう考えるのです。  聞くところによると、三菱重工業や石川島播磨の造船所あたりでは、直径二十メートルくらいのボーリングマシンがたやすくできる。そうだとすれば、地下五十メートル、百メートル下の深いところを掘れば、土地買収費も移転費も要らない。そこを使えばいい。東海道新幹線の三倍からの幅員の自動車やトラックをそのままフェリボート式に乗せるような、そういう交通機関を走らせればいい。アメリカではジェットもしくはターボプロップ式の動力を用いるというようなことを聞いておりますが、日本の国立にある国鉄技術研究所では、リニアモーターという、電力を使って、しかも架線もパンダグラフも要らない、電気がはね合う力を利用して、三百キロないし五百キロのスピードを出せると言っている。そういう研究を日本の国鉄技術研究所はすでに実験をやっておる。そういうことを利用すれば、ジェット噴射のごときことはせずに電車が通せる。なおまた、水が至るところ不足でありますが、その大きいトンネルの下のほうは水を流して、東京の水不足なんてすぐ解消できる。あらゆる地下埋設物はその中を通すという多目的の大トンネルをつくることが、日本の開発の道だろうと思う。少し駄弁みたいになりますが、そうして掘った排土をもって人工島をつくって、そこへ東京国際空港をつくればいい。茨城県であろうと千葉県であろうと、あのマッハ三というような飛行機を飛ばしたら、衝撃波によってガラスなんかみな破れちゃってたいへんなことだろうと思う、この間全日空機が落ちたのでも。ああいう大きな騒ぎをしておるのだ。あれが陸上に落ちたらたいへんなことになった。だから、人工島なら落ちたって魚が死ぬくらいで、魚がうるさがるくらいの話で、国土の狭い日本では、そのような地下トンネルを掘り、その排土をもって人工島をつくって、そこへ東京新国際空港をつくるというような構想も持ちながら、日本国土の大改造をやらなければならぬと思う。その先鞭はひとつ国鉄がつけるべきだ。国鉄の五、六百キロのスピード幹線を敷くとともに、そこへ多目的の利用に供す、水あるいは地下埋設物、できれば高圧の電力線も今後の開発によってはその中を通せる。そうすれば、電力会社がいま高い金を出してポールをつくって電線を通してありますが、これはいろいろな災害にぶつかっておる、こういう心配もなくなる。ひとつこういう大構想で、政府はせっかく二十一世記のビジョンの懸賞論文も取っておるくらいだが、そんな懸賞論文を取っただけではだめだ。政府としてのりっぱな日本民族百年の大計を打ち立てるべきではないか。そのヒントを東海道新幹線が与えた。そういう意味で、私は、国鉄の功労を賞揚するとともに、ひとつ運輸省並びに国鉄は指導者になって、そういう日本民族の頭脳開発に資するような方向に御研究をぜひ願いたいと思うが、運輸大臣、どうお考えですか。また国鉄総裁、どうお考えですか。
  82. 中村寅太

    ○中村(寅)国務大臣 私も、現在持っております日本人の頭脳を動員し、さらに日本にある資源のすべてを動員しまして、そうして悩みの多い生活を一日も早く解消して、楽天地をつくりたいという気持ちには全く同感でございますので、できるだけその方向で努力をしてまいりたいと思います。
  83. 石田禮助

    ○石田説明員 ただいまの御理想は、私はごりっぱなものだと思いますが、われわれはいま火の粉の中に入っていて、いかにしてこれから脱出するか、こういうことが先決問題であります。これとひとつ戦ってこの問題を解決しまして、それからおもむろに御理想の線に沿っていきたいと思っております。
  84. 竹谷源太郎

    竹谷委員 最後に運輸大臣にお伺いしたいことが一つ残っております。先ほど来国鉄に対する政府出資、あるいは国鉄が支払っている利子問題、公共負担の問題等をお尋ねしたのでありますが、昭和四十一年度において、国鉄日本鉄道建設公団に七十五億円、また帝都高速度交通営団その他地下鉄に十九億円と九十四億円の出資を、貧乏な国鉄から金を支出しなければならぬ。また公共負担を一年に九百億、一千億というふうにしなければならぬ。それが累積していま一兆円の借金ができて、昭和四十一年度の利払いが八百四十四億、こういうわけで、九百三十八億円も出資並びに公共負担のためにできた借金の利息を払わなければならぬ。こういう状態であり、また今後の公共負担は四十一年度には一千億をこえる負担をしなければならぬ。こういう現状でございますので、それを運賃値上げに持っていく、こういうことはどうも理屈に合わないので、公共負担は当然政府が持つべきものである。また第三次長期計画三兆円のうち、少なくとも四〇%ぐらいは、公共負担を伴うところの、いわゆる企業として採算のとれない投資だ。そういうものをやらなければならぬ国鉄に対して、この際運賃値上げをせずに、公共負担一千億円、また国鉄から他の公団に対する出資はこの際取りやめる、こういうふうにやれば、そこで一千億以上の金が出てきます。それから減価償却運賃値上げにあたって引き上げておりますが、これをやめれば、これからまた四、五百億出てくる。そうしますと、あと足りないのは三、四百億なんであります。将来出資をやめて、公共負担を一千億ないし一千百億政府が持つ。それから減価償却を従来どおりにする。これで千六百億か七百億になると思うのです。なお二千億の運賃値上げには三、四百億足らないのでございますが、御承知のように、いま日本では海運というものは非常に重大な産業でございますが、外航船のためにたくさんの利子補給を現実にやっております。これは運輸省からの資料によると、外航船舶建造費に対する関係において、市中金融機関に対する利子補給が十七億、日本開発銀行融資に対する利子補給が四十六億、そのほかに、海運業の再建整備に関する臨時措置法に基づいて、日本開発銀行が外航船舶の建造融資によるその利子支払いを猶予するために六十九億九千三百万、約七十億、これを合計いたしますと百数十億の利子補給を一営利会社である海運業者にやって、日本の海運の助成をやっておる、こういう状況でございますので、国鉄という全国民が朝晩使うところの大切なこの公共負担、こういうものは当然政府がそれのめんどう見ていいんじゃないか。まずその責任がある。企業としては成り立たない仕事をやらす。その分を負担してやる。これは当然の措置ではないか。外航船舶の建造に対する援助以上に重要な国民国家負担ではないか、こう考えます。それを安易な道でもって国民からその金を取り上げるということは、りっぱな為政者としてなすべからざる措置ではないか、こう考えるのでありますが、運輸大臣は、この間に処して、たぶん何とか政府出資、あるいは利子補給、公共負担の分を政府が持つというようなことで、閣議等において大いにがんばってくださっておると思うが、一体どうしてそれが実現できなかったのであるか、今後実現すべく最大の努力をするやいなや、従来の経過並びにあなたの御決意を伺いたいと思います。
  85. 中村寅太

    ○中村(寅)国務大臣 国鉄経営にあたりまして、運賃値上げに依存しないで国鉄経営が完全にできていくということは、まことに好ましいことではあると思いますが、現在の国家財政との関連もございますし、あるいは公共的な企業体としていままで国鉄が歩いてまいりました経緯等から考えましても、現在の段階ではある程度運賃値上げもやむを得ないという段階に到達いたしておるのであります。公共負担を国が持つとか、あるいは出資をやめろというような御意見もありますが、結局いまやっております出資金国鉄関係の深いものでありまして、むしろ国鉄のためになるような部面に出資をいたすということでございます。そういう事情でございますから、現在の段階で出資をしていくということも、これは私は妥当ではないかと考えております。ただ、竹谷委員が仰せられる、金利負担が非常に国鉄経営に圧迫を加えておる点につきましては、好ましい傾向ではございませんので、できるだけ金利負担等で国鉄経営を圧迫しないようにということでは、非常にといいますか、全力をあげて努力をしてまいったのでありますが、現在の日本の財政事情等から考えまして、今回の予算にあらわれております姿が、ぎりぎりの努力の結果と御了解願いたいと思うのであります。しかし、今後の問題といたしましては、いまお話しになりましたこと等の点でいろいろ考えさせられる点も多いのでございますから、いまの御意見等もくみまして、将来公共負担をもう少し国鉄負担から軽くしていくとか、あるいは利子の圧迫を少なくしていくとか、そういうことについてはできるだけ努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  86. 古川丈吉

    古川委員長 肥田次郎君。
  87. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は、今度の国鉄運賃値上げの問題点を質問する前に、いろいろと経過を聞いておりますと、国鉄運賃値上げを実施せざるを得ないというこのこと自体は、国の交通政策といいますか、こういうことに非常に深い関係を持っておるということが理解できるのです。したがって、まずここでお伺いしたいことは、運輸大臣に、国としての交通政策に対するビジョンというものについて、ひとつ詳細な御意見を聞かしてもらいたいと思うのであります。いま当面するところの問題は国鉄運賃でありますけれども、しかし先般来起こっておりますところの航空の問題についても、これはすでにそれぞれの各航空会社の統一調整というような問題まで表に出ておるし、これについては大臣の考え方もある程度示されておるようであります。それからさらに海運の問題につきましては、かつて海運整備法に基づくところの多額の補助をきめたけれども、しかし国鉄にはそういうことについての何らの処置も講ぜられない、こういうふうなことがいろいろと議論されております。したがって、国としての交通政策というものは、いかにして問題点を解決すべきか、こういうことについてまず大臣のお考えというものを聞かしてもらいたいと思うのであります。
  88. 中村寅太

    ○中村(寅)国務大臣 現在日本の交通事情というものは、交通需要の伸び方が非常な急速度でございまして、これに対しまして、交通施設というものの持っております能力は、非常にその間に差がある。これが私は一つの大きな問題点であると思うのでございます。これは陸上、それから空もやはり同じでございますが、そういう点を考えまして、現在の日本の交通設備のすべての持っております能力というものをやはり土台にいたしまして、国民のその企業に対する需要を満たしていくような方向で、整備といいますか、整理していくべきである、かように考えておるわけであります。その一つのあらわれとして、空の問題もやはり日本が国際的な路線を開拓いたしました。そういう現実に合うような一つの航空企業の体制をやはり整えていかなければならぬ。それから陸上におきましては、国鉄国民の交通輸送の中では大きな柱でございますが、これと同時に私鉄というものと組み合わせて、あるいは自動車道を組み合わせながら、現在の交通需要に対応するかまえをつくっていくべきである。海運にいたしましても、これは日本の国民が要求する海運の輸送需要だけでなく、やはり外国貿易等によるいわゆる外貨の獲得というような一つの別な使命等もございますので、そういうものまで含めて日本の海運政策というものは考慮されていくべきではないか、そういうことを総合しながら、運輸行政をやっておるような実情でございます。
  89. 肥田次郎

    ○肥田委員 一口に簡単に大臣は言われましたが、私は実はもっといろいろな問題が聞きたかったのです。それはどういうことかというと、およそ問題になっておるところの今日の交通対策というものは、これはすべて公共性という立場の上に立って議論されておるのです。ですから、この公共性があるがゆえに、すべて交通問題に関する限りは、運輸大臣の認可という措置がとられておる。決して運輸大臣の手を離れて一つもやれることはない。しかもそれに公共性が課せられておる。この公共性が課せられておるにもかかわらず、公共性だけを課して、この責任だけを負わして、そうして国が公共性というその重大な責任を果たさせるところの措置を講じることが欠けているのじゃないか。これが今日の交通政策に対する問題点になっておると私は思うのです。ですから、簡単に問題点を一つにしぼって、およそ公共性を課せるところの交通企業に対して、大臣は現在のままで、いままでどおりでよいと思っておられるのか、何か新しい計画というものがおありなのか、これだけでも聞かしてもらいたいと思うのであります。
  90. 中村寅太

    ○中村(寅)国務大臣 交通機関の公共性というのはいま仰せられたとおりでございますが、特に公共性の強い性格を持って国民に奉仕しておるのは国鉄だと私は思いますが、私鉄あるいはその他の交通機関に至りましても、やはり公共性を忘れてその運営をやるべきではない。国鉄はもちろん、私鉄あるいは海運等に至りましても、十分公共に奉仕していくという精神を忘れないように運輸行政をやっておるつもりでございます。
  91. 肥田次郎

    ○肥田委員 大臣のお答えと私の聞いておることとは少しすれ違うのです。私は、公共性というものは国が課した任務だ、ころ思っているのです。ですから、公共性を果たさせるということは、国が公共性が果たせるような、そういうしむけをしてやらなければいけない。相手にただ公共性の任務だけを求めるという大臣のお考え方では、私は本末を転倒しておると思うのです。そういうことを私はお聞きしたのです。ですから、公共性というものが課せられる以上は、公共性が果たせるようなしむけ方、仕打ち、助成、こういうものを国が責任を持たなければいけないじゃないか。それによって初めて交通政策というものが公共性を発揮し得る、こう私は考えるから、特にこの点だけにしぼって大臣のお考えを再度聞きたいと思います。
  92. 深草克巳

    ○深草政府委員 ただいまの御質問は、公共性を企業に義務づけをしておって、それを担保してやるのは国の責任ではないかという御質問だろうと思いますが、それぞれ各企業認可制になっておりますが、認可制の場合に、企業に対する担保の一つとしましては、認可に際して需給の均衡ということを考えて認可をしておる。たとえばバスにしましても、あるいは私鉄にしましても、同じ路線を需要がないのにやたらに免許をする、こういったことのないように、ということは、裏を返しますと、その企業が安心して経営がやっていけるということを担保しておる一つの証左だと思います。それからもう一つは、運賃の問題でございますが、運賃決定の原則はそれぞれ各事業法にきめられておりまして、いろいろな原価が上がった場合には運賃を上げるというような意味での担保もいたしておる。つまりこれは財政的な面での担保だろうと思います。それから最終的な問題といたしましては、運賃を上げてもペイしない。たとえば中小施設とか離島航路の船とか、こういった問題につきましては、運賃を上げてもそういった公共性を担保しなければならぬ。運賃はもう上げる限度にきておる、こういった場合には、国の補助ということで経営を存続さしていく、こういういろいろな段階があるわけでございまして、認可にあたっての需給の均衡の考慮、あるいは経営を保証するための運賃値上げの認可、あるいは最悪の場合の国の補助、こういったいろいろな段階を経て担保しておるというふうに思います。
  93. 肥田次郎

    ○肥田委員 どうも官房長の話をお聞きしましたら、私の話を横のほうに持っていかれてしまって、筋を少しはずしたようなことなんですが、私がお聞きしておるのは、そういういわゆる公共類似のときには公共性を果たさなければならぬような、いわゆる一般のささいな運送事業者といいますか、こういうものについてのことを言っておるのではないのです。これはいま確かにあなたの言われたように、企業保護という措置を講ぜられておるのは、この企業保護も、別に企業を成長さすようなそういう保護をするのではなしに、競争相手を押えて、そうして乱立させないようにという、きわめて簡単な、単純な方法をとっておられることはよく知っております。だけれども、それと、私の言うところの国が公共性を求めて、そうして公共性を果たさせるというこの本質問題とは、だいぶこれは違うのです。これはどうでしょう、大臣。私の質問が要領を得ないで悪いようでしたら、もっとこまかくお聞きしたいと思うのですが、私の言っていることがわかりませんか。
  94. 中村寅太

    ○中村(寅)国務大臣 現在の交通企業は、御承知のように国営でやっておるのではございません。民営を中心にやっております。国鉄は公共企業体というような形でやっておりますので、その企業の性格に応じまして、国はで奉るだけのやはり協力といいますか、援助をしておるようなわけでございます。国鉄に対しましては、国もできるだけの援助の道は講じておるのでありますが、民営の企業に対しましては、これはいま政府委員の言いましたような面で、いろいろ配慮はいたしておりますが、直接これに補助をするというようなことは、これにもやはり限界がございまして、地方開発等の観点から非常に不便な、採算はとれないけれども必要であるというような場合には、直接補助等の政策をとりますけれども、やはり民営には民営の性格がございますので、これに国が援助するという点についてはおのずから限界がある、かように考えておるのでございます。
  95. 肥田次郎

    ○肥田委員 失礼な言い分ですが、私は実はざっくばらんに言って、もっと大きなことを聞いておるのです。ですから、そういう意味では答えはまことに小さくて、どうも歯車が合いません。しかしこれはそういうふうにうまく答弁をせられると、これだけで時間をとってもいけません。  そこで、そういうことなら、もう一度こちらへ向いてもらって返事を聞かしてもらう意味で、今日いろいろな交通上の問題がたくさん起こっております。決して私は、いまはやりの交通基本法というようなものをどうこうという、そこまでは申しませんが、それに類するような問題点を解明するような措置を運輸省当局としてお考えになったことがございますか。
  96. 深草克巳

    ○深草政府委員 この点については、御質問でございますが、研究はいたしたことはございます。きのうも申しましたが、交通基本問題調査会あたりでもそういった指摘をいたしております。われわれ基本法と申しますか、わが国の交通体系をどういうふうにするかというのが中心になると思いますが、鉄道につきましては、御承知のように、明治年間に、鉄道基本法というような意味の敷設法がちゃんとできて、将来の体系までできております。これは再検討する必要もあろうかと思いますが、そのほかに、道路につきましては御承知のように高速道路網が法律でできております。ただ、そういった点が、各輸送分野につきまして、これは省も違います関係もございますが、ばらばら、必ずしも緊密な連絡をとりながら立てられたという問題でもございませんし、先生のおっしゃる交通基本法の構想も、おそらくそういった各輸送機関を体系づけて、きのうも申しましたが、どういう輸送体系をとることがほんとうに国民経済的に見て経済的かどうかという観点から輸送網を敷け、鉄道についてもあるいは道路についても、それらを調整しながら輸送網を敷けという御質問だろうと思います。そういった点につきましては、国民経済的に何が得だという点につきましての研究がまだ不十分でございます。計算も非常にむずかしゅうございますし、スタートラインを同じにして、固定費用あるいは車両とかその他の可変費用、こういったものをどういうふうにつかんで計算したらいいかという計算技術の問題も非常にむずかしい問題でございまして、私のほうの官房に審議官がございまして、その下でいろいろじみちな研究をいま続けておる最中でございます。
  97. 肥田次郎

    ○肥田委員 私も実は唐突に思いつきで申し上げたいというわけではないのです。すでに今日各地域において、たとえば一つの例をもって見ても、私鉄相互間における問題、国鉄と私鉄間における問題、公営事業であるところの市電だとか市バスだとか地下鉄だとかの問題、それから私営のバス、こういうところでいろいろな問題が出てきておる。ですから、これは、そういう関係を調整するところの交通基法的のものを整備しなかったら、どうにもならぬ状態が起こってくるのではないか。こういうことを常々考えておるので、専門家であるところの運輸省当局では、当然そういうことについて検討が進められておるだろうということでお聞きしたわけです。これはいまわれわれは皆さん方にすぐこのことをどうこうと言うわけではありませんが、少なくとも省の方針としてそういうものを検討されるように望んでおきたいと思うのであります。  特に、先般もこういう意見がありました。これは国鉄にまたあとでお伺いすることになりますが、たとえば国鉄が東海道新幹線をつくって、これを二百キロで、そして出そうと思えばこれ以上のスピードも出る。さらに、研究所あたりでは四百キロあるいはそれ以上のスピードを出そうという列車の計画も進められておる、こういうことをいわれておりました。この問題は、ただ単に当局として熱心にこの検討が進められておるという、そのことだけでは済まされない問題があると私は思うのです。たとえば、学者になんか言わすと、こういうことを言っております。鉄道のスピードの限界点というものはあるのだ、鉄道が無制限にスピードを出して、そして空と地上とで競争するという、いわゆるレースではありませんから、そういうふうなことを考えることは、これは行き過ぎではないか、こういう意見さえあります。ですから、国鉄が考えておられる、いわゆる高速列車のスピードというものを、かつてのプロペラ時代の飛行機のスピードと同じようなものにしようという——それは百五十キロから二百キロ程度のもので、大戦が始まった当時——話が古くなりますが、このころやっと三百五十キロから四百キロ程度の飛行機が最高速の飛行機であった。これとスピードを競おうということになってまいりますと、列車というものの感覚が変わってしまう。私は、やはり国鉄のあり方というものについては、この点がおのずから制限が加わってくるのじゃないか、こういう気もするのです。スピードということを一つの例にとってみてもそういう問題がありますから、いろんな検討をこの際しておかれる必要があるのだろうということを考えるわけです。  それでは、事のついでに一つ。国鉄のほうで現在持っておられるところの第三次長期計画、三兆円をつぎ込もう、こういう計画を立てられました。これは国鉄基本問題懇談会その他のいろんなサゼスチョンもあったようであります。しかし、国鉄が今日この運賃値上げをするにあたっての前提とされる条件の中には、幾通りか含まれておるので、その運賃の内容を検討する前に、まず、国鉄長期計画、いわゆる七カ年計画というもののみをいま考えておられるのか、あるいはもっとそれから先のことを考えておられるのか、いわゆる国鉄のビジョン、これをひとつ聞かしてもらいたいと思います。
  98. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄のビジョンと申しますか、やはり私どもこういう仕事をしておりますので、夢を持っていることは事実でございます。しかしながら、まだとてもこういう席上でお話をするほどの夢ではございませんので、とりあえず私どもといたしましては、昭和四十六年度までの一つのコンクリートのもの、さらにできれば昭和五十年度時点まで、ちょうど十年先の一つの大体の構想を持っております。それから先は、先ほど先生のおっしゃったように、スピードの問題もありますし、また人口の集中化、分散化という問題もありますし、また日本の産業構造もいろいろ変わってくることでございますので、いま私どもといたしまして具体的な計画を持っておりますのは、昭和四十六年度まで、さらに昭和五十年度までは、これをどういう形で引き延ばしていくかという意味の、一つのごくラフな計画を持っております。これは、そのために幾ら金がかかるか、あるいはどういうふうなことになるかという、具体的な内容の検討は五十年度まではできておりませんが、四十六年度までを一つの塊とし、それから一応五十年度、それから先は先ほど申しましたとおり、もっといろんな要素を考え合わせた上で研究をしてみたい、こういうふうに考えております。
  99. 肥田次郎

    ○肥田委員 当面十年間の考え方、こういうふうにおっしゃっているのですが、この十年間の考え方の中には、これはいろいろあろうと思います。副総裁、実はこれは確かに唐突な質問ですが、十年間と申しますと非常に長い年月です。そこで、先般の臨時国会で、ああいう形で、とにかく日韓の関係がこれからうまくいくのだ、こういうふうにおっしゃっておられます。したがって、あなたのほうで、あるいは国鉄だけではなしに、運輸省でもどういう計画を持っておられるかということで聞きたいのです。計画という問題よりも、単純に表現いたしますと、空路はともかくとして、韓国それから日本、この間の、両国間の旅客というものをどういうふうに考えておられるのでしょうか。これは事のついでですから、運輸省国鉄と両方から聞かしてもらったらいいと思うのです。たとえば、いまでは、かつて日本の鉄道が朝鮮、満州までいったようなことはございませんから、かつてあったような関釜連絡船というようなものの復活はなかろうと思う。しかし相当輸送量というものは確保しておかなければならぬと思う。そういうものについては民営でやらすのかどうかということ、これは海運局長がきょうは見えていないでしょうが、運輸省でひとつ。それから国鉄としては、そうは言うものの、民営にまかせられないぞ、やはり青函連絡は地下トンネルも掘ろうというようなことだから、ここはやはり国鉄の領分だ。領分ということが誤解があれば、こういうことは国鉄がやってやらなければだめだろう、こういうふうに考えておられるかどうか、これをひとつ聞いておきたいと思います。
  100. 深草克巳

    ○深草政府委員 韓国との間の交通でございますが、現在航空によります交通が民間ベースで行なわれておりますが、日韓協定ができましたので、今後それを政府間協定に移すということで、いま交渉を進めておる段階でございます。それから船につきましては、私も法律的にははっきりわかりませんが、現在博多から釜山までの民間の航路がございます。それを国営でやるかどうかというようなことは、ただいまのところ運輸省としては考えておりません。
  101. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私のほうも、いわゆる関釜連絡あるいはその他の韓国との連絡を国鉄が現在の力でやれるとも実は思っておりませんし、もっと国鉄としては純国内輸送に全力を注ぐべきだ、こういう考え方を持っております。ただ国の御方針その他もいろいろあるかと思いますが、現時点におけるわれわれといたしましては、われわれの力から申しましても、国内輸送に全力を注ぎたい、こういうように考えております。
  102. 肥田次郎

    ○肥田委員 それでは企画庁長官にお伺いいたしたいことが二、三点ありますが、国鉄運賃の問題を質問する前にお伺いいたしたいことがございます。  最近公共料金の問題について、これが調整と申しますか、検討は主として経済企画庁で行なわれておるわけでありますが、これについてどうこうということじゃないのであります。そこで今度の国鉄運賃の旅客の三一%値上げについて、結局われわれが考えられるところのものは、三十六年以来四十年まで据え置かれた、したがって今度三一%の値上げが認められた、こういうふうに考えるのであります。実は去年こういうことを聞きました。もし四十年の四月に国鉄運賃値上げしてもらったのならば、これは二六%くらいでよかったのです——よかったのですというふうに限定されたかどうかということは別にして、大体そのくらいでいけますという話を聞いたことがあるのです。そうすると、去年の秋に申請が出たときからの関係を考えてみますと、一年おいたために五、六%もアップ率が上がってきた、こういうことになる。去年一年は公共料金は据え置きだということを決定したから、上げないということだけで押えられたのか。今日私が事情は少しも変わっていないと思うのであります。この変わっていない事情の中で、ことしになって公共料金が——去年とことしの二回続けて米が値上げになりました。そして私鉄の運賃、それから国鉄運賃、まだまだ続々と公共料金値上げというものが計画されておる。いわゆる計画的に公共料金値上げして、はたして去年一年押えた、あるいは去年、おととし押えた、その押えた意味が今日成り立っておるのかどうか。この点の理解のしかたがどうもわれわれわかりませんので、まずこの点をお伺いしたいと思います。
  103. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 お説のように、公共料金全体について考えてみましても、たとえばストップをする、押えるということ自体は、国鉄経理に何らの改善を加えておらぬと思うのです。ただ乗客の運賃あるいは貨物運賃値上げを一年延ばしたというにすぎない。したがって、その間に国鉄内におきます資金の運用からくる利率なり、あるいはその他の経費なりというものがかさんでくることは当然なことでございます。ですから、ただストップをしただけでは赤字幅が増大していく。そこで、ストップをすれば、やはりその原因を探究して、改善を加えるべきものは改善を加えて、あるいは新しい観点に立って再検討するなり何かして、そのストップ期間中に諸般の問題の解決をはからなければ、ストップしただけで、次には同じような値上げをしなければならぬ、あるいは同じよりも以上の値上げをしなければならぬということになろうかと思います。ですから、私といたしましては、むしろ安易にストップをかけて、そのときの問題をただ回避するだけでなしに、こういうものと正面から取り組みまして、その根源をなすいろいろな原因を探究して、将来改善の道を開いていく、こういうことが長い目で見たいわゆる公共料金の政策の一つでなければならぬと考えております。
  104. 肥田次郎

    ○肥田委員 先般、私鉄の運賃値上げの問題のときに、経済企画庁から国民生活局長に来てもらって、質問に対する答えをいただきました。それは、今度の国鉄の三一%の値上げ率が、結局年間増収平年度において千六百五十億あるいは千八百億ということになるのだが、これが物価に及ぼす影響はどうだろうかと聞いたところが、たいしたことはないとおっしゃるのです。それじゃ幾らも上がらなくて済むのかと聞いたところが、大体〇・三四%程度の上昇率は起こってくるだろう、こういうふうに答えられた。これはまことに単純な数字の上から出てきたところのいわゆる統計的な計数でありまして、そんなことではおさまらぬと私は思うのです。御承知のように五年間なら五年間ストップした。この間にとにかく年間六%ないし八%の間で物価はずっと上昇を続けてきておるのです。公共料金を押えたときでも同じ状態が続いておる。まして公共料金がこういうふうに上がってきた場合に、どこの基礎数字をもって〇・三四%だというふうに考えられたのか。これは数字なら出てくるかわかりませんよ。数字はいじるために数字をつくるのですから、これはできますが、そういうものじゃおさまらないと私は思うのです。たとえば今日までずっと上昇過程をとってきた一般物価というものは、国鉄運賃が上がった、私鉄の運賃が上がった、こういうことになれば必ず便乗値上げを行なうのです。ところが、これに対して、日本の政府はこれを抑制する能力はもちろんありません。方法がないですから、強権を発動することもできない、こういうことになろうと思うのです。そういうことを考えると、私は決して運賃値上げしろということを言うわけじゃありませんが、大臣が言われた、軽々しく公共料金を押えるべきじゃない、この考え方に共通することにはなりますが、五年間据え置いたために三一%も上げるという、この事態の影響というものはきわめて大きい。これはどういうふうに押えるという計画をお持ちなのか、聞いておきたいと思うのであります。
  105. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 消費物価から割り出してまいります数字は、国鉄で〇・三男、私鉄でもって〇・〇七%、一応こういうふうに推算されます。これはいわゆる各家庭におきます旅行回数というようなものが統計から出てまいりますので、そういうものの平均に対して料金を掛け合わしたものでありまして、都市、農村それぞれ個々の家庭生活におきます影響というものは、全体としてこれよりも大きい感じを持つということは、お説のとおりあろうと思いますが、全国平均にCPIの上で計算してみれば、いま申し上げたような数字が出てくるわけでございます。  そこで、やはり運賃を四年も五年も据え置いて、そしていまのお話の、たとえば大幅に上げるよりも、ある場合には小幅にときどき実情に応じてやったほうがいいのではないか、こういうような含みもおありのように聞こえるのですが、一ぺん運賃を改定しますと、少なくも四、五年はなるべくならばその状態であることが私は望ましいと思います。郵便料金の問題など扱ってみますと、十四年は据え置かれているのでありまして、相当長期にわたっておりますが、今日はそれが財政上とうてい計数が伴わない、赤字になっておるので上げなくてはならないということでありますが、長ければ長いほどいいというわけじゃないと思います。しかし、やはりそういうような値上げをいたしまして、できるだけやった期間の中に——私は、やはり国鉄側におきましても、経営問題について十分冗費を節約する、合理化をする、あるいは経営そのものについて考えていく、またわれわれ政府においてもいわゆる国鉄の公共性という問題について一ぺん考えてみなければならぬものがあるのじゃないかと思います。はたしてそういうことがどの程度にいまの財政事情なりその他でもって適用されるかは別としまして、基本的にはそういう問題をやはり物価問題の一つとして考えていかなければならぬ。ということは、私は、こういうことを機会に、一つの視点としてわれわれも一ぺん考えてみるということは必要なことだと考えております。そうして四年置いてもそう大幅な上昇ができないで済むように、国鉄自体も合理化——石田総裁は非常に熱心にやっておられますから、これ以上余地があるかどうかという問題については、われわれもなかなか言えないところでもございます。しかし、経営自体についていえば、私も今度初めて国鉄にいろいろな話を伺ったのですが、日本の鉄道は旅客が六〇%で貨物が四〇%、自動車が非常に多いから、したがって自動車に取られて、なかなか国鉄の貨物が十分でない、少ない、こういうことですが、外国とすればその逆になっておるような傾向もございます。こういう点もやはりどうしたら外国はそういう事情であるのか、日本はそういう事情であるのか、単に自動車ができてそのほうが便利だ、安いんだという観点だけならば、外国でも同じ傾向が起こりはしないかと思います。だから、そういう点も私は経営全体として、合理化が進むとか進まないとかを別にして、考えてみる必要があると思うし、また公共性の問題についても相当われわれとしては考えていかなければならぬ問題があると思う。それがどの程度に、それは公共性を見てやれるかやれないかという問題は、財政その他の問題もありますから当面すぐに決定しかねるにしても、どういうものがあるのかということをやっぱり考えて、長期にわたって国鉄運賃というものはどうあるべきかという考え方をこの際すべきではないかというのが、私が国鉄運賃問題を取り扱ってみまして感じておるところでございます。当面は、何と申しても赤字が出ておりますし、やらなければならぬ仕事が非常に多いのでありますから、これをそのまま放置して、そういう問題が解決するまでストップしておくというのには、あまりにも国鉄経理というものは私は窮屈であって、過密ダイヤを解消するとか、あるいはそういう問題にすぐ手をつけていく必要がある今日においては、やむを得ず値上げをせざるを得ないのじゃないか、こう考えております。
  106. 肥田次郎

    ○肥田委員 何ですか、そうすると、いろいろとお考えがあるようですが、今度の三一%の値上げについては、三十六年の四月に運賃値上げをいたしましたね。それでその後三年くらいたったときに、かりに上げておったとすると、今度のような三一%というものは要りませんね。それはそういうふうに考えてよろしいのですか。
  107. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 この前上げて、それからそのあと小刻みに上げたら、今度ほど要らないのじゃないか、それは現状からいえばおそらく言えると思います。何といいますか、小刻みで補給していくことになりますから、それはそういうことが言えるだろうと私は思います。パーセンテージその他は現実に当たってみませんとわかりませんから申し上げかねますけれども、大ざっぱな考え方としてそういうことは言えるのじゃないか。それはあります。
  108. 肥田次郎

    ○肥田委員 私は数字ははっきり記憶しておりません。あれは三十六年は一三%でしたかね。何か端数がついていましたが、これは三十二年から——物価の上昇率もそのときはだいぶにぶかったですね。三十二年に上げて、三、四、五、六と四年目に一三・何%上げたのです。それから三十六年に上げまして、そして三十六年から今度は七、八、九、四十年、それでことしのいまの状態です。これで三一%。そうすると、前期の値上げをした期間にはこれは四年で二二%だ。ところがそれ以後の五年間には、今度は三一%上げることになっておる。結局このやり方が私は考えられるべき性質のものじゃないだろうかと思うのです。三一%というような高率のアップを一挙にやらなければならぬということは、これは私は言うまでもなく、ただ単に政策的に何らの方法を講ずることなく運賃を押えておった、とのことに尽きると思うのです。ですから途中に何かやっておれば三一%も上げなくて済む。けれども途中に何もやっていないものですから、政府が直接国鉄に対する助成策というものを積極的にやらないものだから、五年間据え置いたそのお返しに、三一%の値上げをしょう、こういうことになる。国民にとっては私は迷惑しごくだと思うのです。こういう理論が出てくるわけです。もしその間に適切な処置がとられておるなら、一挙に高額な運賃値上げをしなくても済むじゃないか、こういうことである。私はこれが問題点だと思うのです。  実は、私もいまこまかい資料がほしくて探しておりましたが、どうしても手に入りません。ところがこういうことがちょっと書かれておりました。去年の五月ごろですか、EECの副委員長のマルジョランという人が欧州のインフレということについて報告書を出しています。その中に、ちょうどこれは企画庁長官のおっしゃったと同じような中身なんですが、この公共料金というものを抑制することは決してインフレの抑制にはならない、こういう結論のようです。ですから、公共料金というものは、やはりなしくずしに必要なら上げていくということが正しいのであって、政策的に公共料金を無理に押えて、そしてこれを解き放したときの影響というものを考えると、決してインフレの抑制策にはならない、こういう結論になっておるのです。ですから、私は、政府としては運賃値上げをするという問題とは別個に、こういう問題について考えられなければ、私は、とどのつまりはいつの場合でも国民にしわ寄せがくる、ですからこれはもうたいへんなことだと思うのです。  それからもう一つ、この際国鉄は何か転換策があるように大臣もおっしゃった。先ほどの問題は、これは経済企画庁、それから政府全体として考えていただくべき問題だ。あとの問題は、これはたまたま大臣がおっしゃったから、藤山さんの意向ということでお聞きしたので、さらにその意向というものをもうちょっと聞きたいのですが、どういうことでしょうか。たとえば国鉄というものは、公共料金という関係で、確かに運賃四原則というもので押えられているが、幅がきわめて狭い。けれども、一方私企業であるところの民営鉄道の場合には、特に顕著なのは、いわゆる並行路線だとか、都市周辺だとか、こういうところにおいては、国鉄との運賃調整というものがなくしては、運賃というものはきめられない。いわば国鉄と同じ公共性を課せられておるということになるのですね。これは赤字になるのがあたりまえなんです。そう簡単に鉄道というものはもうからなくなりましたから、そこで逃げる。赤字を埋める手段として、いろいろな傍系企業といいますか、兼業に手を出すようになってきます。それで穴埋めをしておるのが現状ということは、これはだれの書いておる資料を見ても同じであります。たとえば西武鉄道あたりはばく大な鉄道赤字を兼業で補っておる。そうして配当しておるのです。国鉄も、将来国の国鉄に対する助成策というものが不十分な場合には、そういう方向へ転換せざるを得ないのじゃないかというような気がするのですが、それはどうなんでしょう。
  109. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 いま後段のお話のような仕事を国鉄がやるということは、私は国鉄自身の性格からいって必ずしも適当だとは思いません。しかし、同時に、そういう立場に立っていえば、私は先ほどもちょっと触れましたけれども国鉄の公共性というものと独立採算制というものはどういうふうに調節されるかという問題は、もう一ぺん考えなければならぬ。独立採算制だからすべて国鉄でまかなえ、そうして公共的なものに対する負担国鉄に全部押しつけるのがいいのか悪いのか、これは私は重要な問題だと思います。外国の例を見ましても、たとえば今日学童割引というものは九割もしておる。外国の鉄道では、フランスあたりでは政府負担しておる。また、たとえば引き合わないところの山間地帯に対して、開発のための線を敷く。当然当分はもうからないにきまっております。そういうものに対しては、その建設費に対して何らかの援助をするという問題も、国鉄が独立採算制の間にあってその公共性をどうしていくかという問題を、国鉄自身の経営内容の合理化と合わせて、もう一ぺん真剣にわれわれも考えてみなければならぬのじゃないか、私はそう申し上げておるのでございます。
  110. 古川丈吉

    古川委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後二時四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕