運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1965-10-29 第50回国会 参議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十月二十九日(金曜日)    午前十時四十一分開会     —————————————    委員異動  十月二十一日     辞任         補欠選任      中村 波男君     鈴木  力君      松永 忠二君     永岡 光治君  十月二十八日     辞任         補欠選任      森部 隆輔君     青田源太郎君  十月二十九日     辞任         補欠選任      鈴木  力君     松永 忠二君      中村 英男君     中村 波男君      高山 恒雄君     中沢伊登子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大倉 精一君     理 事                 青田源太郎君                 稲浦 鹿藏君                 永岡 光治君                 白木義一郎君     委 員                 大森 久司君                 近藤英一郎君                 高橋  衛君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 武内 五郎君                 中村 波男君                 松永 忠二君                 吉田忠三郎君                 浅井  亨君                 中沢伊登子君    国務大臣        運 輸 大 臣  中村 寅太君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        内閣総理大臣官  高柳 忠夫君        房審議室長        農林政務次官   後藤 義隆君        林野庁長官    田中 重五君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        海上保安庁長官  栃内 一彦君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省河川局長          事務取扱     畑谷 正実君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省大臣官房        参事官      尾中  悟君        農林省農政局参        事官       横尾 正文君        水産庁生産部長  亀長 友義君        気象庁長官    柴田 淑次君        建設省河川局次        長        青木 義雄君    参考人        電源開発株式会        社副総裁     大堀  弘君        電源開発株式会        社理事      中神 忠雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (台風二十三号、二十四号及び二十五号等によ  る災害対策に関する件)  (マリアナ海域漁船遭難に関する件)     —————————————
  2. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  十月二十八日、森部隆輔君委員辞任され、その補欠として青田源太郎君が選任されました。  十月二十九日、鈴木力君、中村英男君、高山恒雄君が委員辞任され、その補欠として松永忠二君、中村波男君、中沢伊登子君が選任されました。     —————————————
  3. 大倉精一

    委員長大倉精一君) おはかりいたします。森部隆輔君委員辞任に伴い理事が一名欠員となりましたので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票方法によらないで委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないと認めます。それでは理事青田源太郎君を指名いたします。
  5. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は前回に引き続き、台風二十三号等による災害対策に関する件並びにマリアナ海域における漁船遭難に関する件について調査を進めます。  なお、建設大臣が御出席でありますけれども、時間の制約がありますので、まず建設大臣に対する御質疑からお願いしたいと思います。質疑の通告がありますので、逐次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  6. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をつけて。
  7. 大倉精一

    委員長大倉精一君) おはかりいたします。中村英男君の委員辞任に伴い理事が一名欠員となりましたので、この際その補欠互選を行ないたいと存じます。互選投票方法によらないで委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないと認めます。それでは理事永岡光治君を指名いたします。
  9. 松永忠二

    松永忠二君 私は秋葉佐久間ダムの問題を中心にしてお聞きしたいわけです。この問題は建設委員会でも問題になっておるし、またこの災害特別委員会でも九月二十一日に吉田委員発言をして、関係局長からも説明があったわけであります。この問題については現在検討中だから早急にまとめたいというようなお話があったわけでありますが、一体どういうまとまりができたのか、この点について、大臣が御無理なら、河川局長がいま見えていない、次長が見えているという話ですが、簡潔にひとつまとまった結果を御説明をいただきたいと思います。
  10. 青木義雄

    説明員青木義雄君) 九月二十一日の委員会におきまして、河川局長から、今般の災害を勘案いたしまして利水ダム対策至急に案をまとめたいという発言がございました。私どものほうといたしまして種々の観点から検討をいたしまして、現在一応の案を得ておるわけでございますが、結論するところ、いまの河川法の五十二条に洪水調節のための指示規定がございます。したがいまして、この指示の内容につきまして、いかなる民間ダム——民間ダムが非常に数が多いわけでございまして、したがいましてどういうダム対象とするか、ある程度これは調節能力を持ったダムでないと、こういう能力がございません。したがいまして、そういうダムにつきまして調節能力を有します幅等につきまして、現在出先地方建設局並びに都道府県と照会いたしまして現在協議中でございます。  そういうダムにつきましては、特に建設大臣洪水予報を実施しておる重要な河川約十八河川ございますけれども、そういう河川につきまして貯留制限指示、あるいは調節指示予備放流指示、解除の指示等の諸問題につきまして検討しておるという段階でございます。この案が出先なり県と協議しまして成案を得ますれば、これによりまして来年度から出水期までに結論を得まして実施したいというふうに考えております。ただこの問題につきましては、民間電発あるいは電力会社等ダムでございます。したがいまして、他の行政機関とも協議が必要でございます。そういう点で至急協議を行ないまして結論を出したいというふうに考えております。
  11. 松永忠二

    松永忠二君 ダム操作全体の問題について、いわゆる河川法が改まってダム操作規程を再検討する時期にきている、これはもうそのとおりです。ただ私が問題にしているのは、具体的に質問が出ているのは、秋葉佐久間ダムの問題に触れて、これについて具体的な検討をするということを言ったわけなんです。その検討一体できたのかできないのか、そこのところを聞いておるわけです。
  12. 青木義雄

    説明員青木義雄君) 佐久間ダム並びにその下流秋葉ダムにつきまして私ども検討の案、原案というものは持っております。大まかな考え方を申し上げますと、対象洪水を四千万トン、あるいは七千万トンといったような二つのケース等を想定いたしまして、それに基づきますカット量をどうするというような具体的な案につきまして一応の案を持っておりまして、ただいま申し上げましたとおり、地方建設局並びに県等とも、この問題だけではございません、全国各地に問題がございますので、そういうダムにつきましても相談をしておるという段階でございます。
  13. 松永忠二

    松永忠二君 いま、数字を明確に言わなかったんですが、その数字のところだけをひとつ言ってください。
  14. 青木義雄

    説明員青木義雄君) 数字につきましては、ただいま対象洪水を四千万トンあるいは七千万トン・パー・セカンドということを……
  15. 松永忠二

    松永忠二君 何、六千万トン……。
  16. 青木義雄

    説明員青木義雄君) 四千万トンでございます。——及び七千万トンの洪水の数を申し上げたわけでございますが、その場合の四千万トンの……、四千トンです。失礼いたしました。四千トン及び七千トンでございますが、その場合の調節流量四千トンの場合は千三百トン、放流量は二千七百トンになるわけでございます。洪水流量が七千トンの場合には、調節流量四百トン、放流量六千六百トン、こういうケースが想定されるわけでございます。したがいまして、そういうケースの想定の上に立ちまして、相当詳しく技術的に検討をいたしまして、目下相談をしているという段階でございます。
  17. 松永忠二

    松永忠二君 私は今度の秋葉佐久間ダム放水というのが、一体適切であったかどうかと、こういう問題を問題にして、同時にダム操作規程というものに対して、法律でもすでに改正をするようになっているので、これを旧来の古い河川法に基づく堰堤操作規程というものを改めさせて、そしてその新しい河川法に基づくダム操作規程をつくるべきだということを御質問しているわけなんです。  そこで、大臣にひとつ、順次お尋ねをしたいと思うわけですけれども秋葉佐久間電気専用ダムだ。したがって、洪水調節ということには十分な使用ができないんだというようなことを考えられておるようでありますけれども、現在の河川法に基づくと、河川の効用を利用するダムであっても、こうした洪水の際には、洪水調節ダムとして使用していくべきだと、こういうふうに考えるわけなんですけれども、この点については、大臣はどういうふうにお考えになっているんですか。
  18. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私はこの前、ほかの委員会であったかと思いますが、この問題について私の基本的な考え方を申し上げておきました。それは、二十四号台風の際に、天竜佐久間及び秋葉ダム操作の問題が起こり、ちょうど私は、直後あの地帯を回りましたので、現場は見ておりませんが、その状況を中部地建局長に報告を求めて聞いたわけであります。ところが、簡単に申し上げますが、議論がありますけれども、あの状態下におけるダム操作そのものには、遺漏はなかったという結論であります。それは、こまかいデータその他については、必要があれば事務当局から御説明を申し上げます。そういうことでありましたけれども、私はその際、感じましたことは、なるほど従来きめられておるダム操作、ああいう場合の操作は非常に困難であるそうでありますけれども、いずれにしても、その規程そのものは守られておったけれども現実の問題として下流災害が起こった、この事態治水担当責任者としては、放任するわけにはいかないという感じを持ったわけであります。そこで、その際は、天竜佐久間ダム調節ダムでありませんけれども、あれほどの規模を持っておるダムでありますから、ある程度の調整能力を持っておる、こういう技術的な説明があったわけであります。もちろん、あの当時も、その調整能力操作規程に従って活用していることは事実でありますけれども、もっとそれ以上にあるという説明を聞きましたので、それならば、われわれのほうとしては、なるほど発電もこれは必要であるけれども、そういう臨時応急の場合には、人命、財産の損害を防ぐということを第一義に考えるべきである。したがって、佐久間ダム操作については、もう少し再検討をする必要がありはしないか。そういう非常の場合というものは、しばしば起こることじゃないのであるから、非常の場合が起こってから、操作規程に基づいてあるいはそれ以上のことをやったらどうかというようなことは、気象の変化に応じてやるということは、技術上きわめて困難な場合があるようでありますから、事前にそういう場合を想定して——現にあったことでありますから、そういう場合を想定して、あらかじめ発電管理者と話し合いをきめていく、そうして、その場合になっていろいろ検討するということでは間に合わないわけでありますから、現操作規程を再検討して、そういうことを想定した操作規程にすべきである、こういうことを指示しておる。技術的のこまかい、何トンであるとかというようなことは私はわかりませんから、可能最大限のことをやるべきである。秋葉ダムについては、これはあまり調整能力のないものでありますから、問題は佐久間ダムである。ただ、その際に説明がありましたのは、発電当局でも話したそうでありますが、ダム操作には遺漏はなかったけれども下流に、秋葉ダムとの中間に数本の支流がある、気田川、阿多古川、二俣川その他の支流があって、その流量予想外に大きかったので、こういうことになった。これは事実でありましょうが、私は河川全体としてはそれも含めて、ダム操作——そういう場合もあり得るのであるから、途中の川から入ることは当然でありますから、それも含めて下流の安全をはかることを、全体を総合してダム操作の再検討をしなさい、こういうことを指示してあるわけです。そこで、次長説明が、いま、せっかく整備等について協議中であります、相談中でありますということを御説明申し上げたわけでありますが、その際に、単に天竜川だけでなくて、全国ダムについて、もう一ぺん再検討しなさい。こういうことに、先ほど一般的に申し上げましたように、全国ダムについて、いま私が申し上げたような考え方に従って早期検討をする。こういう態勢にあるということを御了解願いたい。
  19. 松永忠二

    松永忠二君 それでは、少し具体的な問題で質問いたしますが、いまお話のあったように佐久間ダムというのは、相当大きなダムでありますから、調整能力をもっているわけであります。それから、後ほどこまかいことは関係の人にお聞きいたしますけれども、この満水位ダム水位というのは四十メートル、平常なときの水位であるわけであります。それで、これは平常のときというのは、ダムへ送入する量が一秒間に千トンのときに、結局、そういうことになっているわけです。これは、その出水時のトン数というのは二千トンであるわけです。ところが今度の場合には流入量が四千トンだったわけです。したがって、平常のときとは非常な大きな流入量があったわけなんです。ところが佐久間ダムが平常の水位の四十メートルになったのは、一回しかないわけです。あとはもう全部水位が下がっちゃっているわけです。この操作規程の中には常時満水位水位を四十メートルと定めて、水位上昇する特別の場合には、その水位を上昇する場合があるが、この限りでないということが書いてある、操作規程にあるわけです。ところが一回しか水位が常時満水位になったのは、そのときだけである。しかも、私は順序をもってお尋ねしたいと思ったのですが、時間がないというお話でありますから協力をすることにいたしまして、このダム操作に対する指示というものも、実は出ているわけです。特にその洪水のあった十七日の深夜には、特に佐久間ダム管理主任技術者に対して、気田川の雨量、及び水位は、特に多いので佐久間ダム放流については、慎重に操作されたいという指示が出ておったわけです。ところが深夜から放水量はずっとふえてきているわけなんです。だから一体、どういうような指示を尊重して佐久間ダム放水を行なったのか、いまお話のように常時満水位以上の水はためてないのかどうかということがあるわけです。もっと言えば予備放水をやっておかにゃいかぬ、二千万トンの貯留ということについて、打ち合わせしておったようでありますから、いま調整役割りを果たさなかったわけじゃないけれども、もっと役割りを果たす能力のあるダムである。そうであるのに結果的には常時満水位を一回満たすと、すぐとたんに放水を始める、しかも、それは放水に気をつけてほしいという指示のあったときから放水が非常にふえてくるというところに、私たちはこのダム操作の問題があると思うわけです。ところが現在のダム操作規程というのは、この旧河川法に基づいてダム操作の、昔の堰堤操作規程というものを、そのまま準用しているわけなんです。こういうふうなことで、この操作規程が非常に欠陥があるということを私たちからいうと、指摘したいわけです。そこで、今度の秋葉ダム操作にあたって、特に各方面からでありますけれども静岡県の陳情書などを見ても、今後緊急時ダム操作、特に河川法五十二条による指示が具体的にでき得るようにお願いいたしたいというようなことが出ているわけです。いまの操作規程に基づくと、つまり指示ができないわけです。向こうが一方的に操作をして、ただその操作の結果を報告するだけにとどまっているわけです。  そこで、いま私、大臣にお聞きしたいのは、やはり、この佐久間ダム秋葉ダム操作がはたして適切であったかどうかについては、なおもう少しこまかいことを検討していかないと、私はそう簡単に適切であるかどうかということを規定づけることは、これは私はできないと思うのですが、これは、佐久間ダムだけではなしに、河川法の五十二条に基づいて、新しい河川法によるダム操作規定というものを直ちにつくっていく用意があるのかどうか、これをひとつお聞きをしたいわけです。
  20. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほど申し上げましたように、全部再検討してできるだけ早く操作規程の改めるべきものは改める。こういう態勢におります。
  21. 松永忠二

    松永忠二君 そこで私、なおお聞きをするわけでありますが、佐久間ダム危険限界放水量、つまりこれ以上佐久間ダム放水をしては下流河川が危険だという放水量があるわけです。これはもし誤まりであったら御訂正をいただきたいのでありますが、一万トンの放水量佐久間危険限界放水量だということになっているわけです。今度の場合の佐久間ダム放水量というのは、これは三千トンの上をこしているわけでありまして、秋葉ダムが五千五百トンの放水をやっているわけであります。そうすると、一体天竜川下流護岸の改修といえば、一万トンの危険限界放水量に基づいて検討されているのかどうなのか。こういう点について大臣はどういうふうに聞いておるのでありますか。
  22. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) お答えいたします。いまお話しのとおりに秋葉ダム計画放水量は一万トンでありまして、今回のやつは五千六百トンの放流量であります。しかし現実にこういうことでございまするけれども、仰せのとおりに、被害といいますか、浸水したところがあるということでございまして、これはお話しのとおりに、最も重要な地区である二俣を中心としたそれから以後、これは一万一千百三十トンの計画高水量で、それに相当する治水対策を昔からやっておるのであります。その間におきまして、その上流部におきましても、当然一万立方メートルの最大の高水量が出たときには、当然それだけの水が流れるわけであります。それに対する治水対策が当然処置されなければならぬのでありますが、なかなか、それまで、現在まで治水対策がいっていなかったということでございまして、今回の出水を十分検討いたしまして、これに対応する対策至急講じたいということで、いま検討しておるわけであります。
  23. 松永忠二

    松永忠二君 それではっきりしたのは、一万トンの危険限界放水量があるのに、その一万トンの危険限界放水量に耐える護岸というものが一体できているのかというと、いまお話のようにできていない。下流のほうにはできているけれども上流のほうにはできていない。これじゃ、もしも今後佐久間秋葉等放水量を一万トン出したということになれば、もう上流、そういうところはめちゃめちゃになってしまうわけです。この前の昭和三十三年のときにもそういうことを言って、住民に対してはこのダムができれば、今後は洪水はないのだ。だから協力をしてくれということで、佐久間秋葉ダムをつくることに協力をさせた。しかも、この前も一万トシどころか、四、五千トンの放水佐久間ダム放流の地点は、もう護岸はめちゃめちゃになってしまって、そこで護岸建設をやったわけです。だから、全くいまお話しのように……、大臣に私たちがお願いし実行してもらいたいことは、この一万トンの危険限界放水量に耐える護岸をつくることを計画的に実施をしてもらわなければできない。このことについて大臣はどうですか。
  24. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 河川全体について言えますことは、ダムをつくる場合、このダムの築造によってこれだけの水が貯留され、調節されて水害がなくなる、こういう計画でやるわけであります。ところが、河川全体の、その他の堤防あるいは護岸等は、必ずしもそれと一体となって施行されておらないという現状が、残念ながらたくさんあるわけであります。これは、非常に河川の多いわが国で、急流河川等関係で財政が伴わないというと、これは言いわけのようになりますけれども、そういう事態が各所にあるわけであります。しかしそれは決して言いわけで済む事態じゃありませんので、いまお話しのように、それだけの水を放流をして安全に流すという設備をすることは当然でありますから、この天龍についても早急に案を立てて実行に移したい、かように考えておる次第であります。
  25. 松永忠二

    松永忠二君 そこで大臣にお聞きをしたいのでありますが、佐久間秋葉の第一、第二の建設費というのは、五百四十二億というふうになっておるわけです。建設してから後に現在までに、一体いわゆる販売電力の料金はどのくらいになっておるかというと五百六十八億。だから、建設費に見合うものはすでにもう水を発電として出して売っておるわけです。極端なことを言えば、もうあとはもうけだということになっておるわけなんです。しかも、これは公けの水を使ってそういうことをやっておられるわけです。そこで、私は電源開発のほうから出てきておられるので、あわせて電源開発のほうにもお聞きをしたいことは、静岡県と電源開発との間の協定の中にはこういうことが出ておるわけです。「治水障害を及ぼし、またはそのおそれがあると認めたときは、許可を受けた者に命じてその障害を除去させ、またこれを予防するために必要な施設あるいは措置をさせることがある。」あるいはまたそういうことをほかの知事との間にも協定をこさえているわけです。したがって、こういう危険放水量を持ったダム建設をしてその水を使っている、利水をしている。その設置者として、当然こういう問題については責任を持って建設省相談をしてその責任を果たしていく必要があると私たち考えるわけです。そういう点について一体電源の副総裁はどういうお考え、御決意を持っておられるのか。また建設省はそういうことについて電源開発に対してどういう責任を果たさしていこうというようなお考えを持っておられるのか、この点を副総裁大臣のほうからお答えをいただきたいと思うわけです。
  26. 大倉精一

    委員長大倉精一君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりをいたします。  台風二十三号等による災害対策に関する調査のため、本日、電源開発株式会社総裁大堀弘君、理事中神忠雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
  28. 大倉精一

  29. 大堀弘

    参考人大堀弘君) ただいまお尋ねの点でございますが、ちょっと最初に建設費と電気料金の件についてございましたので、ちょっと申し上げさせていただきたいと思いますが、この点は、私どもは、これは電気専用のダムでできておりまして、建設費に対して適正な報酬率を加えまして原価をはじいて料金をきめておるわけでございますが、今日までおっしゃったような収入があったと思いますけれども、これは建設のための金利の支払い、償却その他の経費に充当いたしておるわけでありまして、経済ベースでやっておりますので、全部がこれがもうかっておるということには相ならぬわけでございます。  なお、このダム利水の目的のダムでございますので、その範囲の制約はございますけれども、私どもとしてはできるだけ、許す限りにおいてダム操作について洪水等の場合に御協力を申し上げておる次第でございまして、詳細の点は、先ほど建設大臣から御答弁ございましたように、私どもも監督官庁に詳細な御報告を申し上げ、われわれの措置が遺漏があったか、なかったかという点についても御検討を賜わっておるわけであります。私どもとしては、最善の努力をして今回の場合、遺漏なきを期してやったつもりでございます。  今後の問題といたしまして、先生の御指摘の点でございますが、私どもはもちろんそういった道義的責任といいますか、そういう意味におきまして最大限度の御協力を申し上げるつもりでございますけれども、何と申しましても、私どももやはり経済ベースでやっている点もございますので、これらの点は政府の御方針を御決定をいただきませんと、われわれだけで措置ができない関係にございます。御趣旨については、できるだけ御協力を申し上げるというつもりでございます。
  30. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 佐久間ダムにかかわらず、一般的に申し上げましてダムの設置ということは、これはそれぞれの条件をつけて認可してやっておるわけであります。したがって、その条件等に違ってダムのために格別の事態が起った、こういうときにはダムの、ダムと申しますか、ダム管理者責任においてやるべきこともあると思いますけれども、そうでない場合は、これはやはり治水の問題でありますから、治水上の責任として各般の対策を講じなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  31. 松永忠二

    松永忠二君 電源開発の副総裁の言ったことは、これはたいへん間違っているわけなんです。従来の河川法の場合には、御協力を申し上げるとか何とかいうようなことは言えたわけなんです。ところが、河川法が改まって、そういうことでなくなったのです。これはもう河川法について建設省自身が出しているものでありまして、これはダムの設置によって生ずる河川関係の支障を防除するための規程ではなく、緊急時において利水ダムを活用して災害の発生防止または軽減をはかろうとするものである、こういうのです。今度のこの洪水調節のための河川法指示というのは、利水ダムであっても洪水調節のためには、指示を受けてそういう働きをしなければできないということになっておるわけです。だから、電気専用ダムだから御協力を申し上げ、それでこの調節をするなんという筋合いのものじゃない。旧来はそういうことが許されたけれども、これはもう河川法が非常に古いものであって、しかもこういうふうなことが問題になったので、そこでこの前、行政措置で、いままでやっておったけれどもそれはまずいというところから河川法が改まった。河川法を改めたにかかわらず、建設省はまだそのダム操作規程については旧来のものをそのまま認めて、そうしてそれをそのまま使わせているところに、も一つ建設省責任がある。直ちに、河川法が改まったならば、ダム操作規程検討して改めていくべき責任があるのに、従来のそういう河川法に基づく古めかしいものをもとにしたものをそのままにして、ダム操作規程を認めていたというところに問題があったわけだが、この点については、建設大臣は明確に言っている、直ちに改めていくと。  そこで、電源開発の副総裁のほうに、電気専用ダムだから利用を、協力を申し上げているなんという筋合いではない。また、私が言っているように、静岡県、愛知県、長野県知事の協定の中にも、治水障害を及ぼす、または、そのおそれがあると認めたときは、許可を受けた者に命じて、その障害を除去させ、または、これを予防するために必要な措置をさせることがある、予防のために措置することができるようになっている。こういう点からいえば、やはりこの際、建設省との間に協議をして、利水者としての責任を果たしていくべきだ。同時に、建設省のほうは、ダム操作が間違って、そうして何かあったときには電源開発責任だけれども治水の問題については私たちがやるんだということについては、ダムの設置に関する限り、そういうことはないわけです。当然建設省責任でもあるけれども、もう設置をしたときに、設置に伴って、その設置した者の責任としてこれを果たしていかなければならないという面もあるわけです。したがって、私がさっき申し上げておるように、この放水量に耐える護岸をつくるということについては、建設省責任でもあるし、同時に、それを設置した電源開発責任でもある。そこで、この際一万トン放水量に耐える護岸をつくることについて、計画的に建設省が実施をすると同時に、電源開発にも協力をさせて、そうしてこれを実施させていくということが必要だ、当然なことだと私は思うんだが、この点について、再度御両者からひとつはっきりした御答弁をいただきたいと思うわけです。
  32. 大堀弘

    参考人大堀弘君) 今後の問題につきましては、政府当局、特に建設省と十分御相談して進めてまいりたいと考えておりますが、ちょっと横道にそれるかもしれませんが、私ども関係でも、総合開発ダムに対する対策と申しますか、たとえば、川内川の発電所等につきましては、建設省と私どものほうでダムの負担割合をきめまして、その限りにおいては、治水の目的のために完ぺきに操作ができるということになっております。そういった関係もございまして、経済的な問題等の関係で、私どもも十分政府と御相談をいたしませんと、処置いたしかねる次第でございますが、新しい河川法の趣旨に沿って、私どもも十分政府当局と御相談してまいるつもりでございます。
  33. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先ほども申し上げましたように、今回の場合は現在のダム操作規程と申しますか、方式から見ますると、遺漏はなかったという各種の検討がなされております。けれども、さっき申し上げましたように、事実が、かりにダム放水その他のために災害が起こったと、これは政府の責任である、こういうことを先ほど申し上げたわけであります。そこで河川法の中で、いまお話規程の審議については、非常に議論のあったところでありますが、緊急非常の場合には、平常の場合と全然違った観点をもってやるべきだ、こういうことでいまお話しのような規程ができておるわけでありますから、私が先ほど申し上げましたのは、そういう事態に対する事前の対策が不適当ではないか、こういうことを考えて、事務当局指示をいたしておるわけであります。そういうことが現に起こっておるわけですから、そういう場合をかりに想定して、そうしてその場になって指示するということは、私専門家ではありませんけれども、なかなか困難だそうであります。その台風の状況、雨量、その時点、放流あるいは貯流の時点などおのおのの検討が、なかなか専門家でも苦労をするそうでありますから、そういう事態が起こる前に、そういうことが想定された場合にはどうすべきかということをあらかじめ検討しておいて、そうして機を逸せずこの指示ができるような体制をつくっておく必要がある。そういうことをダム管理者ともあらかじめちゃんと相談しておきなさい、こういうことで操作規程の再検討を命じておる。そのために全国にも考え方を広げて、全部のダムについて再検討をしておきなさい、こういうことであります。  それから、下流についての治水は、先ほど申し上げましたが、もちろん治水責任者がやるべきものであります。ただその流量全体について、それに対する対策、あるいは堤防、護岸等を全部つくるかどうかということについては、あの地帯の地形を私は詳細に存じておりませんけれども、ある程度の知識はありますけれども、あるいは間違っておるかもしれませんが、大体あの区間はいわゆる峡谷的な地帯になっております。
  34. 松永忠二

    松永忠二君 電源開発との関係を聞いておるんです。それを設置する場合の……。
  35. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 電源開発関係は、いま申し上げたとおりでありますが、下流治水対策でありますが、これは経済効果とか何とかいう議論もありますから、その点とかみ合わせて下の治水対策もやらなければなりませんけれども、これは計画的に進める、こういうことであります。
  36. 松永忠二

    松永忠二君 大臣の話はわかりました。最初のことは、ただ検討じゃなくて、もう法律ができているわけですから、直ちに実施をする。あと護岸の問題については、電源開発のほうでも、設置者として責任を果たしたいと言っておるわけですから、それに応じて治水者としての責任を果たすために、電源との協力体制をつくっていくということは、はっきりさせていただかないと、電源のほうには何も協力を求めないようなことを言われるけれども、これはかなわないと私どもは思う。
  37. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 協力を求めないということではありません。そういういわゆる治水ダムに関する下流災害を防ぐにはどうするか、ダム管理者はどのくらいの責任あるいは力を出すか、こういう点も含めて協議をする、こういうことでございます。
  38. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、私はダム操作規程を将来改正をしていっても、やはり現在起こっている横山地区の浸水というものはなかなか防ぐことはできない。事実。いまこまかい話を大臣にして、そこで実はいま大臣にも認識してもらいたいと思っているわけですけれども、地元の人たちはこの悲惨な水害になりましたことは、上流ダム放水の影響であると断定するほかはありませんということを言っているわけです。事実天龍の市長並びに市会の決議なども、そういう点について明確にこの午前二時ごろに至り三十分間に二メートル以上の急激な増水にあって遭難をしている。そのころいわゆる最高の放水秋葉ダムはやっているわけです。そういうことで私どもは、佐久間秋葉ダム建設当時、ダム完成後は洪水等による被害は絶滅されるということを、ことばを信じ、これが全面的協力を惜しまなかったのでありますが、現に再びこの災害をこうむり悲哀の念を禁じ得ませんということを言っているわけです。また、県議会などでもそういう考え方をもって考えているわけです。そこで私たちはあの地域については、天龍の護岸をつるか、あるいは護岸というものは、経済的な価値というような意味からいって非常に建設費がかかるということになれば、あすこは実は国道が通っているわけです。そこで国道に沿った住家が国道以外のところにはほとんど点在していないところなので、国道をかさ上げをしないと、いつでも浸水のときに交通を遮断される。したがって国道をかさ上げしてそれに沿った住家もかさ上げするか、あるいは護岸をつくるということなくしては、とうていこの浸水を防ぐことは、将来できない。もうこの前の放水のときにやられて、今度もやられておる。この前のときに、やってくれと言われたのに、何らたいした措置をしなかったためにこうなってしまった。秋葉ダムの落水したところだけはやってくれたけれども、これはやってくれなかったというふうに考えているわけです。こういうことについてダム操作規程を直ちに改正すると同時に、具体的にどうしたら一体浸水を防ぐことができるのか。特にさっき言うとおり、将来一万トンの放水限界量というものを持っていることを考えるときに、具体的にこういう措置に基づいて浸水の危険をなくしていくという、そういう決意を持っておられるかどうか。
  39. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) その決意を持っております。実はここにおります畑谷技監もこの事態に対してあの地域を検討するということで近々に派遣することにいたしておりますから、その検討に従って計画を進めたい、こういう決意でおります。
  40. 松永忠二

    松永忠二君 実は私、砂防の問題について、建設大臣からこれは非常に基本的な問題であるのでお聞きしたいわけですけれども、ほかに関連して大臣に御答弁いただきたい人があるようでありますから、時間が許されれば砂防の関係でひとつ——建設省と農林水産の関係の限界の問題が出てきていることであるし、私たちの承知しておるところでは、一時、河野農林大臣が出た当時に、これについて治山課長と砂防課長の人事交流を行なって何とかこの問題を解決しようと考えたけれども、人事交流ではだめだということでまた再び返ってしまった。もっとこれは一貫性を持った対策が必要であるということが考えられて、いま砂防の問題について政府のはっきりした態度を私はこの際、今度の災害でも各地に砂防の被害が起きているわけでありますから、聞きたいわけであります。ただ、直接の佐久間秋葉ダムに関連して大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、後刻時間があればこの問題についてぜひ……。では、ほかの人に。
  41. 武内五郎

    ○武内五郎君 いま、同僚の松永委員からダム操作規程についてまことに重大な質問がございました。ことに今年度の第二十三、二十四の台風に伴う集中豪雨の災害は、きわめて地域的であって、非常に局限された場所に深刻に起きておる。災害直後、建設大臣が現地を回られたようでありますけれども、大いに私たちはその労を多としておったわけであります。ことに私は建設大臣であると同時に災害本部長である国務大臣にまずお聞きしたいことは、現地を回ってみますると、実に私は憂うつにならざるを得ない。暗い気持ちになって帰って参りました。したがって、その気持ちを承っていただきたいと思うのでありますが、ただ、特に現地で私どもに対して被災者がこう言った。今回のような災害は山間僻地に起きたのであり、きわめて投資効果の少ないところである。政府ば本気になって災害復旧を考えてくれるのかどうか。われわれは結局政府にたよらなければならないのですが、どういうことを言って表現したらいいかわからないと言うのです。こう現地の人たちが私たちのほうにささやいておる。なお私どもは非常に暗い気持ちになって帰って参りました。現地で建設大臣が大いにやるんだ、復旧のために努力するんだという談話を発表されたように新聞記事等にも見えております。私はそういう現地の人々の希望、要望を災害本部長としてどういうふうに受け取っておられるか、どういうふうにして立ち上がる気持ちをふるい立ててくれるのか、まずその点からお伺いしたい。
  42. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いまお話しのように災害については、全く暗い気持ちと申しますか残念と申しますか、そういう気持ちに変わりありません。特に災害はどこに起こっても、これは全く残念と申しますか、気の毒でありますが、最近の災害は大河川等非常に広範に災害が起こるおそれのあるところに、今日まで相当の防災的な対策を講じておりますから、その点については相当な台風、豪雨でも災害を予防する体制が、もちろん万全ではございませんけれどもできてきております。ところが最近の災害は、御承知のとおりに、中小の河川流域あるいは山間僻地と申しますか、比較的山合いの地帯における災害が非常に起こっている、これが最近の現象であります。そういう意味で、中小の河川あるいは山間等の砂防あるいは河川砂防等に重点を移していかなければならぬということでやっておりますが、そういうところの災害は、なるほど範囲は比較的狭うございますけれども、局地的にも非常に深刻なところがあるのでございます。しかも、こういうところはこう言っちゃ失礼でありますけれども、比較的個人的にも何といいますか生活力といいますか低い、また地域的にも市町村等の財政がきわめて薄弱な地域が多い。こういうことで私どもはそういうところはできるだけ政府は法律で許される最大限の御協力をいたそう、こういう決意で、特にそれぞれ各省のほうを督励してやっておる、これが現状であります。もちろん見られる方あるいは現地で受けられる方々が、必ずしも十分でないという御感想があるかもしれませんけれども、私どもはそういう気持ちであとの処理につとめたい、これが現状でございます。
  43. 武内五郎

    ○武内五郎君 その気持ちは了とするにやぶさかではございませんが、ただ、御承知のとおり、いまお話がございましたようなきわめて生活の貧弱な地域です。したがって、ほとんどこれは自力では立ち上がれないと思うのですが、特に現地へ行ってみますると、臣大な岩石が山のように家を押えている。土砂に埋まってしまって、かろうじて屋根のひさしが出ているというような現地の状態であります。これは新潟県における能生、青海、福井県の西谷——これは有名な村になってしまいましたが、西谷、岐阜県の揖斐川の奥地、これらはもう立ち上がりがまずこのままでは不可能なところだと思うのです。特に岐阜県で最後に私どもが新聞記者の一団から次のようなことを聞いた。昨年度の国会で山村振興法の成立を見たんだが、一向動く気配もない——まあもっとも私は準備が相当かかると思うのでありますけれども、政府が各省とも一向にその熱意もないのじゃないか、しかもこれは山間僻地の住民の生活の安全と福祉を願って、災害防止を主眼として産業、経済の発達を考えた法律であるようだが、一体この発動等がいつのころになるのかというような質問さえ私どもは聞いている。こういうような状態で、私は国民がきわめて懐疑的な状態になっているんじゃないかと思うのであります。私はこれはまことに重大なことだと思う。いろいろ私ども力をふるい立てるようなことを申し上げてきましたけれども、それだけでは私はどうにもならぬので、具体的にやらなきゃならぬ、こういうふうに考えて、特に本部長たる瀬戸山大臣のお考えをお尋ねしたわけであります。  特に私は、いま松永委員からダム操作についてお話がございましたが、これは特にダム建設所在地というのはほとんど上流であって、その操作の影響というものは下流に非常に大きく出てきております。今回の災害を拡大さした大きな原因の一つに、ダム操作の重要な問題が入っておるように考えられてきたんです。いまかなり具体的に、深刻な質問でかなり明らかになったと思うんですが、この問題は今日始まったのではなくて、いままで災害対策委員会建設委員会等においてしばしば問題になったものであります。ダム操作の誤りが災害を拡大してきたという問題がしばしば出てきたことなんでございます。そういうようなことで、実は非常に重大な問題でございますが、特に私は、今回の天竜川とか、あるいは九頭竜川、あるいはその他における発電ダム操作がかなり下流に大きな影響を及ぼしておったことは、これは否定できないので、特段のこれは検討を願って、早急にダム操作の具体的な基準をつくっていただくことをお願いしたいと思うのであります。  その点が一つと、次に砂防であります。この砂防は、災害地を見ますると、ほとんど渓流砂防がかろうじて土砂を押えておったけれども、もう押え切れなくなっちゃった。山から山土が流れ落ちてまいりますものを押え切ることができなくなったというところに問題が出てきている。だからそこに、先ほど松永委員がちょっと触れておりましたが、治水と治山との接点が問題じゃないかと考える。おのおの、おれのほうはこういう治水をやるのだという一方の考え方、おれのほうはこういうような治山の計画でいくのだという一方の考え方、その接点がほとんどない。その科学的な接点がちっともないというところに、今回の問題が起きたのではないか。西谷の惨たんたる状態を誘発したのも、あるいは能生谷の全村、能生谷の学校のひさしは天井まで土砂が入っている、そういうような事態に導いてきたものは、その接点がないということです。これはあまりに言い古されて、いいことばじゃございませんが、各省のなわ張りがあったというようなことも言われておりまするけれども、私はそういうことはあまり触れたくはない。いやなことばでありまするので触れたくないのだが、それらの調整についてどういうふうに考えられているか、これからどういうふうな具体的な対策で接点の調整をはかっていくか、まず承っておきたいと思います。
  44. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 最初のダム操作等については、先ほど松永委員にお答えいたしましたから、ああいうことで一応御了承を願いたいと思います。ただ、いまお話の中にもありましたように、わが国におけるダムというものは、御承知のように、いわゆる多目的ダムで、治水を眼目としたダム設置というのはほとんど戦後のことであります。戦前と申しますか、それまでのダムは、およそ主として電源、いわゆる利水だけ、電源オンリーというかっこうが多かった。そういうことで、やや極論かもしれませんけれども、とにかく電気を起こす、災害等のことはそれほど気にとめないというやり方が日本には私行なわれておったという感想を持っております。それがやはり今日まだまだ尾を引いているといいますか、その間の弊害がある程度残っているように思います。それはあくまでもやはり、国民の財産と申しますか、それをいかにして守るかということに最重点を置いてやるべきである、かような基本的な考えを持って、それによって進めていきたい、こう思っているわけであります。  それからもう一つ、山間等の砂防、山腹の崩壊等の災害がきわめて最近特に多うございますが、これについて建設省あるいは農林省、治水と山との関係が必ずしもうまくミックスしていなかったのじゃないか、その点を私は率直に認めます。従来ややもするとそういう点があって、住民の、いわゆる国民の側からいうと、山であろうと、川であろうと、これはいわゆる災害を防ぐと申しますか、対策を立てるということは同じものでありますが、残念ながら機構が違う、担当が違うということで、これは必ずしもうまくいっておらなかったということは事実であります。しかし、最近は、当然それは適当でないのでありますから、機構を統一することはなかなか簡単にまいりませんので、行政の統一をはかるということで今日まで努力を重ねてきておるわけであります。まだ万全でないという御批判があれば、あるいはそういうこともあるかもしれませんけれども、先ほどもお話がありましたように、農林省あるいは建設省の係を交換して、相互の認識を深めるというやり方もあります。現在は、課長の交換はやめておりますけれども、課長補佐等の交換はやっておる。しかし、それは私は、一歩前進でありますけれども、そういうことだけで簡単にこれが片づく問題ではございません。したがって、御承知の今度の一兆一千億のいわゆる治水計画、それから一兆一千六百億余の治山計画、これは治山治水一体のものでありますから、この計画策定の際には、個別にこまかく、個所別にそういう接点の検討をいたしまして、その両方の治水、特に砂防でありますが、それから治山、それとの個別の検討を加えて、いわゆる治山あるいは治水計画を立てておるわけでありますから、この線で進めてまいりたい、こういうように考えておる次第であります。ただ、それで満足かというと、日本のような山岳地帯の多い、急傾斜地帯の多いところで、これを全部まんべんなく、一挙に防災工事ができるということではありませんので、たとえば、今度のいわゆる天竜、九頭竜川の上流、真名川上流、あるいは揖斐川上流というものは、どこでどういう事態が起こるかわからないというぐらいの率直にいって日本の地形であります。したがって、そういう点に手が及ばなかったということはきわめて残念でありますが、方策としてはいま申し上げましたようなことで進めていきたい、そういう方針でおるわけであります。
  45. 武内五郎

    ○武内五郎君 大体わかりましたが、そこで、かりにダム操作で、また上流に急激に集中豪雨があったとかいうような事態に、その下流においてこれを安全に流す、吐き出す護岸または堤防等のそれと相見合った状態が今日ちぐはぐになっておる。そういうアンバランスが私は今回の災害の大きな原因で、たとえば河川計画の中で計画降雨量——想定降雨量といいますか、あるいは計画流量、警戒水位がこうだ、この川はここなんだというならば、それに見合った、それをいささかでもこえた場合における堤防、護岸の安全性というものが必要になってくる。ところが、それがバランスがとれてない。下流の堤防の強弱を考えないでダム操作をする。その操作は、豪雨が来るんだ、何時何十分あたりから雨が来るんだという予報に基づいて、あるいは人為的に操作するとか、下流がそれに伴なわない場合においては、当然堤防が決壊する、護岸が決壊するという結果が起きてまいります。今日の災害のこれも一つの大きな拡大された原因になってきたと、こう考えます。たとえば、降雨量が二百六十なら二百六十ある、二百六十ミリだという地域において、わずか三百程度になって堤防が決壊しておる。高田の関川、これが百六十だそうです。ところが、わずかこれが二百をこえておる、それでもう堤防が決壊して、高田地域が洪水になっておる。さらにそれが下っていって、直江津の地域が全面的に水をかぶっておる、こういうふうな結果が出ておる。河川行政というものは、上流から下流までの一貫したものがない限り、どっかで破れるのは当然です。こんなことではいけない。病気というものがあって、その病気の治療が発見されてまいりますように——しかし、これが前から発見されておることでありますから、もうすでに措置されてなければならぬ、この苦労をわれわれが生かして、全面的な一貫した対策がそこに立てられていかなければならないと思うのですが、これはあたりまえのことですが、本部長の考え方はどうですか。
  46. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) もちろんそれがあたりまえのことだと私も思います。ただ、弁解するわけではございませんけれども、そういうことがあたりまえでありますが、これが一挙にできない、こういうところに、率直に言って私は、この言っては恐縮でありますけれども、自然と人間の戦いでありますから、国民の力と自然の力とのバランスがとれるまでにはなかなかまだ時日を要する、こういうふうに、考えておるわけであります。
  47. 武内五郎

    ○武内五郎君 総じて今回の災害は、先ほど申し上げましたように、山間僻地、ふだん政治上の思恵のきわめて薄い、こういうところにきわめて深刻な今度の状態が出てきた。特に私は、経済効果のないところでありますから、資本主義の社会ではやむを得ないかもしれません、やむを得ないならばやむを得ないで、とてもわれわれ資本主義の制度のもとでは救うことはできませんといってその山間僻地を放棄するならば、そこにはもう政治というものはないです。曲がりなりにも政治というものを考え、政治というものを打ち立てていこうとするならば、山間僻地もあるいは下流の産業地帯も同じことでなければならぬ。ぜひひとつ私は、現地においてささやかれたそのことばを中心として、本部長のお考えを承った次第です。  そこで次に、私は、この前、総務副長官ですか、細田さん、二十二日あたりに激甚法の発動を見るように決定されるだろうというお話であったのですが、その詰果について承りたい。
  48. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 今回の二十三号ないし二十五号台風並びにこれに伴う豪雨を含めまして、第一回は、十月十二日に公共災害をはじめとしましてほとんどのものを閣議決定をいたし、十五日に政令を公布した次第でございます。しかし、農作物に対する天災融資法の特例の激甚、また天災融資法の発動その他数項目ございますが、残されておりましたわけでありまして、十月二十二日の閣議でこれを決定をいたした次第でございます。これで大体今回の二十三号ないし二十五号台風に対する激甚の関係の政令は全部出したようなわけでございます。
  49. 武内五郎

    ○武内五郎君 それもひとつ文書で出していただけませんか。
  50. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 御承知のように、激甚法の項目がずっとございますので、これを資料として、十二日のものと、それから二十二日のものとに分けまして、項目別に本委員会に差し出すことにさせていただきます。
  51. 永岡光治

    永岡光治君 ちょっと関連で建設大臣に……。  建設大臣は中座されるそうでありますから、ただいままでの質問に関連をして、具体的な問題を特に私は要望して、できれば——できればじゃありませんが、この次の委員会にぜひひとつ資料を提供していただきたいと思うのですが、質問の中で明らかになりましたように、中小河川に対する対策、これは非常に手抜かりであることは、大臣も率直に認めておると思うのです。この中小河川の流域における治山治水、砂防という問題は、災害のつど当委員会において何回もこれは問題にされたはずであります。そのつど所管の大臣は、善処いたしますという答弁に終始しておったと私は理解するわけです。しかし、こう災害が続きますと、これは明らかに人災でありますから、善処してもらわなければならぬのでありますが、大臣もその必要を認めた。認めたのですが、一気に全国的にこれをやることはできないという話でありますが、だとするならば、災害が特に起こるであろう、予想されると申しますか、そういう状況のものは、私は関係の省において十分調査できておると思うのです。だから、そういうところは、中小河川ということに限らずに、やはり一つの重要地域と申しますか、重要河川という名前を使ってもけっこうでありますけれども、大河川並みの対策を講じてもらわなければ私はならぬと思うのです。そういう意味で、その中小河川に対するところの具体的な対策ですね、それを治山治水、砂防、こういう問題について、次の委員会に、政府はこういう方針でいくのだ、いままで抽象論でありますから、抽象論でなしに、具体的な対策を講じてこの委員会にひとつ報告をしてもらいたいと思うのです。
  52. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) こまかく申し上げておりませんけれども、抽象論で申し上げておるわけでありますが、実はその治水全体を担当省として検討いたしております。率直に言って、月本の治水行政は、ここ特に戦後が非常に注目を浴びるようになりまして、日本の河川調査、雨量の集計というようなものの歴史は比較的短いのであります。しかし、最近はそれが相当整備されて、大体のいまお話しのような状況が判明しておりますから、それに従って先ほど申し上げました今回の治水計画も立てております。一挙にできませんので、いまお話しのような大河川、中小の河川等、災害が予想される、あるいはたびたび起こるというところをどうしてもやはり重点的にやらなければならぬ、こういうことであります。全体を私ども見ておりますと、今度の一兆一千億円を加えて約十兆円余りの経費がかかると、こういうことになっておりますが、少なくとも、この間本会議でも申し上げましたように、五百河川ぐらいは今後十二カ年で——それも含まれておりますけれども、二千河川ぐらいを十五年ぐらいの間でそう心配しないような状態にしようじゃないかというのがいまの治水計画であります。そう十年も先のことを申し上げるわけにいきませんから、現在どういう点に注意をしておるかという資料を差し上げたいと思います。
  53. 永岡光治

    永岡光治君 もちろんいまどういう計画を立てて進捗をしておるかという問題も必要でありますが、その中に私の特に要望したいことは、やはりこの中小河川というものは、まあお話もありましたように、地方財政もなかなか逼迫しておる今日ですから、思うようにまいりません。そこで、これは大河川並みに国が思い切った措置を講じてもらわないとだめだ、こういうことを私は痛切に感じておりますので、そこで全河川は無理だとおっしゃる。十五年計画でやると言っているのですけれども、これは非常にまあゆうちょうな話です。地元民になってみればこれはたいへんな問題だと思いますので、いまお話のありましたその中小河川の中で非常に災害が起こると予想されるもの、しばしば起こって改良工事もできていないというところはたくさんあるわけですから、そういうものを県別にあげて、こことここはするのだということを私は明確にあげてもらいたいと思うのです。そういう資料もぜひ出してもらいたい、こういうことを特に要望して、この次の委員会にひとつその資料を出してもらいたいと思うのです。
  54. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そういうふうにいたしたいと思います。
  55. 白木義一郎

    白木義一郎君 一問だけ関連。  簡単にお伺いしますが、いま武内委員からの質問に対しまして、大臣並びに本部長としてお答えになったことでちょっと大事な問題を伺っておきたいと思うのです。  それは、災害というものに対して、自然の力と人間の力のバランスには相当な時日を要すると、こういう御答弁があったわけですが、これは災害対策の根本問題として私は非常に興味を持ってお伺いしなければならないと思って質問さしていただくのですが、どのようなお考えで相当な時日とおっしゃったか、その時日はどのように災害対策本部長としてお考えになっているか、人間の力と自然の力のバランスがどうとれていくかという基本的な考え方をぜひ詳しくお伺いしておきたいと思います。わかりやすく、むずかしい問題だから。
  56. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 詳しくというお話でありますが、先ほどちょっと触れておきましたように、全河川検討いたしておりますが、私どものほうの専門家が検討いたしておりますのは、おおよそ日本の河川でそれほど災害によって国民が苦しまないような状態にするのについては今後十兆円余の経費を要する。これはしかし、いまの時点での計算でありますから、先に行きますとある程度変化を来たすと思います。それと、技術の問題と自然の状況の変化というものが常にあるわけでありますから、そういうものを勘案いたしますと、やはり、先ほど申し上げましたように、少なくとも今後十五年くらい——これでもなかなかだと思いますけれども、目標でやりたい、こういうことであります。
  57. 白木義一郎

    白木義一郎君 私のお伺いしたい点とだいぶはずれているわけです。大臣の答えられた人間の力と自然の力がバランスのとれたときに災害がなくなるのだと、そういう時点までには非常に時間がたくさん要ると——やらなくちゃならない問題ですが、河川だけならば、これは相当な金をつぎ込んで全部堤防をつくればいいのですけれども、風もあり、地震もあり、爆発もあるのですから、その人力と自然の力のバランスということはどういうふうにお考えになっているのか。それをこれからどう進めていけばバランスが何年くらいでとれるか。これはもう災害対策の私は基本だろうと思うのです。根本問題だと思ってあえてお伺いする次第です。無理だろうとは思いますがね。
  58. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 地震その他のことまで入れると、これはなかなか自然の状況は私どもの人間の力で制御するということはきわめて困難でありますが、そのバランスを私はいま申し上げておるつもりじゃなかった。ただ、台風豪雨等によって、治水の問題から、河川、海岸、あるいは山林もありましょうけれども、それと台風豪雨等の自然の——これは時によって変化がありますけれども、これは継続的に来ることは想定しなければならないと思っております。したがって、過去の歴史から今日の状態を見まして、そういう面における対策と申しますか、防除と申しますか、それについては、治水の面から資金的に、あるいは時間的にはこのくらいの力をいたさなきゃならない。それにはやはり、国力と申しますか、国民の力でありますから、相当の時日を要しますと、こういうことを申し上げておるわけであります。
  59. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 建設大臣が所用で時間が参りましたから、私は追ってあらためて大臣出席を求めますが、ただいままでの同僚の御質問にもございましたように、治山治水、砂防対策の促進について、あるいはまた内水排除事業がかなり最近各方面で進められておりますから、それに対する姿勢の問題、あるいはまた都市における下水道整備の問題もかなり社会的な問題になってきておりますから、こういう関係の問題、さらには災害と関連をいたしまして農政の基本的な政府のかまえ、姿勢等について各大臣にきょう質問しようと考えておりましたけれども、それぞれ大臣が御都合がございましてここに出席しておりませんから、冒頭申し上げますように、追ってこの関係につきましてはお伺いをいたしたいと思いますので、きょうただいまは北海道の僻地における自家用の電気施設の実態並びに共同受電の解消対策に限ってのみ私は質問をいたしたいと考えます。したがいまして、それぞれの、私はこの際、いままでのような事なかれ主義的な答弁じゃなくして、実のある答弁を求めたいと考えております。  御承知のように、本年度末、つまり三十九年度における北海道の未点灯の戸数は、ここにもございますけれども、通産省の出先機関でございます札幌通商産業局の調査によりますと、約四千四百戸がそれであります。それから共同受電戸数が四万二千四百戸がいまだに残る見込みである。こういう調査結果が、中間的な報告でございますけれども、出ております。そこで、私が申し上げるまでもなく、今日の国民生活における電気の占める位置というものは、空気あるいは水と同様の位置にあるのじゃないか、こういう気がします。しかるに、戦後二十年を経てなお今日、北海道だけがかかる多数の未点灯や共同受電農漁家を残しておるということは、まさに私は、政府における電力政策の欠陥として、真剣に反省すべきときであると考えます。今日さなきだに低所得階層である共同受電農漁家は、この電力政策の欠陥の犠牲となって、なお一般家庭の三倍にも相当する料金、経費を負担して、はなはだしいところでは、この調査結果にも明らかになっておりますけれども、消費電力量が一キロワット当たり百十円、実に一般家庭の約七倍を負担しているところさえあるのでありまして、こういうことでは、私は、憲法の中にございます平等にして文化的な生活が営まれるものであるというこの精神からしても、まことに不平等であると言わなければならないと思うわけであります。前にも申し述べましたとおりに、戦後二十年を経て、このような共同受電農漁家が北海道電力に移管されたものは、ただいま今日までにわずかに累計七千二百戸でございます。このような速度で参りますれば、まだ四万二千戸の農漁家を解消するには、一体何年かかるかということでございます。先ほど、これとは別の問題でありますけれども建設大臣の治山治水計画等についても、かなり遠いようなお話がございましたが、私ども国民の立場から考えてみれば、まことに心細い次第であるというふうに申し上げなければならぬと思います。  それからさらに、北海道電力、略して北電と申しておりますけれども、北電は、歴代の政府の、あえて私が申し上げますけれども、誤れる政策によって、いまだに民間企業形態をとっております。そうしてまた、この事業が、御案内のように、電力会社というものは、私はやはり今日、電気事業法によってかなり保護をされており、いわば独占事業である、こう言っても過言ではないと思う。それと、公益性がきわめて高いことは、言をまちません。ですから、そういう面から見ましても、この会社そのものも公益事業としての私は使命を果たさなければならないはずであると、こう思っている。かかる観点から申し上げますけれども、北電もまたそういう意味で、共同受電農漁家の解消について、もとより、さいぜん申し上げておりますように、その大きな責任は政府にございますけれども、やはり何といたしましても、会社自体も十分な社会的使命を果たしていないのじゃないか、こう考える。これは私は、次官もお認め願える実態だと思うのです。したがいまして、この際、政府は、どうしても国民の福祉を行政諸般にわたって推し進める責任が、私は何としてもあると思うのです。そういう立場から、こういう未点灯農漁家並びに共同受電農漁家問題を今後一体どのようにして具体的に解消していくという対策を持っておられるのか、私がこの場で冒頭求めておきましたように、それを明快に明らかにしていただきたい、こう思っているわけでございます。答弁を求めます。
  60. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 農政局参事官
  61. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いや、次官に聞いているのです。これは政策上の問題ですから、参事官などという役人がいま答えられる問題ではない。あとでまた聞くから、これは大臣を代理する次官に聞きたい。
  62. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) ただいまお尋ねがございましたが、僻地に未点灯農家並びに共同受電農家がある、まだ今日まで現存しているということは、まことに遺憾なことでございまして、至急によく調査いたしまして、対策検討いたしたいと思っております。
  63. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 まことに遺憾であるという点については、これまた遺憾であるわけでございますけれども至急調査してお答えしますというようななまぬるい答弁では、私は遺憾にたえない。残念だけれども、ただいまの答弁は、私は政府の所管大臣を代理する政務次官としての満足すべき答弁ではないと考えます。  そこで、若干私の考え方も含めて申し上げますから、次官はこの点を農政の一つの政策、施策としてぜひ具体的に実行に移していただきたい、こう思うのです。そういう立場で伺いますけれども、私のいま前段申し上げた実態をお認めだと思うのですね。ですから、そういう点で、今後このまま推移をしてまいりますれば、おそらくや向こう十年間は本問題の解消は望み得ないのではないかと推測いたすわけです。ですから、次官は、そういう点をも含められて、ただいまのようなまことに遺憾であるというような答弁と、すみやかに調査をして御回答したい、こういう答えになったのじゃないかと思う。私は善意に理解して申し上げる。  そこで、具体的な実績として申し上げますけれども、ことしはどの程度見込まれておるかというと、わずか千三百戸ぐらいです。それから昨年は千八百、それから一昨年は二千八百戸の移管の実績がこの調査の結果で明らかになっております。そこで、いま三つ申し上げましたが、その推移を見ますと、一昨年が一番多いのです。なぜ多いかというと、その当時はそれが社会的な一つの大きな問題にもなったし、それからそのときにちょうど台風二十九号、三十号の災害がございました。そのために、無電灯下のためにより災害を増大する、より悲惨な状態が発生をしたということで、国会の中でも議論されて、そのときには若干ふえておる。しかし、それが過ぎたら、のど元過ぎたら何とやらで、政府のほうはことしは一千戸ぐらいに減らしておる。こういうところに、あなたの将来において調査をして善処したいなどという答弁は、私はとてもじゃないけれども信用ができない。できないから、ここであらためて聞いておるわけです。大体このペースで進んでまいりますれば、今後十年とか二十年もかかっても、こういう問題は私は政府のいまのやり方では解消できないのではないか。なぜかならば、今後次第にあと回しになってまいりますれば、非常にこの条件が、きわめて僻地だけ、あるいは山間部だけに悪くなっていく。そういうこと等も若干手伝って取り残されているという現状は、私はないとは言えないと思うんです。しかし、かような状態を見きわめた場合、いまの北電、つまり先ほど申し上げました北海道電力の企業の能力の中では、まず当分これが解消ができないのではないかと考えるわけです。ただいまの答弁でも、そういう点では、私一人ではない、ここにおられます全委員は、そういう点は推察できると思うんですよ。だから私は、ただ単なる心休め程度としてあなた方の答弁はされている。決してこれに政府の非難をするという立場から言っているんではなくて、過去の実績から申し上げているわけですから、この点はぜひ将来解消するように、具体的にすみやかに、もう調査はすでにできているんですから、ですからこれを施策として実行に移していただきたい、実行していただきたい、こう思うのです。私は、この際それをやっても、なおかつ抜本的な対策にならないと思う。ここから私の意見が入るわけですけれども、私はこれらの問題の抜本的な解決の方策は、私の意見は多少飛躍をするかもわかりませんが、あると思う。で、今日の電力事業は、冒頭に、抽象的でありますが、簡単に指摘をしておきましたけれども、国有化をする、もしくは一社化する——いま電力は全国で九社ありますね、ですからこれを一社化する、このような抜本的な企業形態の変革がなければ、この種問題についての解決というものはきわめて困難だと思うんです。このことは、先ほど私が今日の電力政策が間違っているということを指摘したのも、北海道だけがただいままでに申し上げた状態に取り残されておりますから、しかもなおかつ今後十年あるいは二十年を経なければ本問題が解決できる見込みは立たないというところに、この日本の電力政策の基本的に間違った幾つかの問題が存在していると指摘をせざるを得なかった、こういうところに私の意見の根拠があるわけです。そういう意味合いから、私はここでこれ以上は電力政策の基本的な形態論までこの場では申し上げようとはしません。しかし、少なくとも北海道だけがこの問題が残されているということになりますれば、これはやはりたいへんな問題だけに、あなたの早急に調査ではいかないから、すでにしてありますから、早急に解決するところの対策、手段というものを政府みずから私は明らかにしなければならない責任があると思うのであります。あなたのいままでの答弁では、全く三下り半的なお話よりしていませんから、私はあとあとまた関係者から伺いますけれども、何らかの、つまり微々たるものかもしれませんけれども、あると思う。そこで、私は具体的に政府にこういう考えでやったらどうかということを言ってみますから、その点ひとつ、次官の考え方でけっこうですから、答弁してもらいたい。それと申し上げますことは、御承知のように、英国であるとか、あるいはアメリカ等々、ヨーロッパにかなりこういう実態が多うございますけれども、すでに御承知のような組織がございまして実施をしております。その一つは、御承知のように、電力事業の国有化であります。その二つは、この農林電化に対する公団、こういうものがございます。これは日本だけではありませんから、山村僻地というものは。ですから、こういうものがございます。それから三つ目には、政府がたいへん、こういうものについては、各種公団、公社というものを何か非常に好んでやるような傾向がございますけれども、そういう話は別にして、三つ目には公社組織、こういったものを組織していく考えがあるのかないのか。おそらくあなた方は、自民党の政権、自民党の政府でありますから、一つ目のわが党が主張しているような電力事業の国有化などということは一挙にやれと言ってもできまいから、そういう返事は私必要ございませんけれども、とにかくこの第二、第三の問題等については具体的に考えてみる必要があるのではないか、そういう組織について。そして、一挙にできないとしても、現在の料金増加の差をかような公共投資によりカバーをしていく、漸次縮小をして、自後の財政投融資等との見合いの中でその差額というものを縮めていくようにしなければいけないのではないか。しかも、現在の共同受電農漁家の中で、それぞれ単位の組織がございます。その中でも、比較的に立地条件等々が好条件の、よいところもございますから、そういうところは逐次、この現在行なわれておりますように、北海道電力——北電に移管をしていく、こういう道も一つある、いわば現在政府がやられておりますような鉄道建設公団方式とでも申しましょうか、あの場合は新線建設のために公団を組織して、政府がほんのちょっぴりでございますが、公共投資をして、そこででき上がったものについては、赤字の出るものについてはむしろ鉄道の場合は貸与していくというようなやり方をやっていますね。だから、こういうような方策があると私は存ずるわけであります。しこうして、さらに残余のものについては、未検討のものとあわせて早急に先ほど申し上げました農村電化公団あるいは公社なりが吸収をしていくという対策を政府が今日特殊な状態に置かれております北海道に樹立をするというような方策がこの中から私は生まれてまいらなければならないのではないかというように考えますので、この際政府を代表して次官の見解を承りたい、こう思うわけなのです。
  64. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) 北海道における未点灯部落の解消につきましては、一応農林省のほうでもって計画を立ててやっておりますから、また事務当局から御説明申し上げたいと思っております。  それから、その次に、非常にこれは重要な問題でありますが、農村での電力の国有化、あるいはまた農林電力化に対する公団組織、あるいはまた公社組織というようなふうなことはどうかというお尋ねでございますが、非常にこれは大きな問題でありまして、農村電力の関係は農林省だけではなかなか考えられないところでありまして、非常に影響の及ぶところが大きいのでありますから、にわかにこれは賛成でありますとか、あるいはまた反対でありますとか、お答えすることができないのでありまして、十分にただいまのお説は研究してみたい、こういうようなふうに考えております。
  65. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大きな問題だけににわかに賛成か反対か答えられないので十分研究してみる、こういうお話でございます。まあ次官としては、これはその程度より答弁できないのかもわかりませんが、あなたのいま答えられたように、それほど大きな問題なんです。大きな問題だからこそ、電力の需給等々の関係もございまして、通産省の原局である札幌通商産業局に調査費を年度予算で編成して、調査をして具体的に出ているのです、あなた見ていないからそういう答弁になっておりますけれども、これはあとでお貸ししますから見てください。この結論にちゃんと出ているのです。政府がこの際僻地における無点灯あるいは共同受電等の漁家の問題については具体的に抜本的に対策を立てなければいけないという結論になっていますよ、この結論が。ですから各省庁が関係もありますから、大きい問題でそこら辺を伺ってみなければ賛成であるか賛成でないか結論を出せません、答弁できませんというのは、なっていないと思う。明らかにこういう問題は、直接そういう大きな組織をつくるかどうかということは、これは次官の職務権限ではできないかもしれませんが、私はだからそれはあえてどうこう言いませんけれども、こういう実態があり、すでに政府機関の一原局がこういう答えを出しているということだけは、あなたは十分認識をして、認めた上でこの問題の具体的な前向きでの施策を考えていく、こういうことにならなければこれはたいへんですよ。その地域に居住しておりまする道民というものはたいへんです。ですから、その点をもう一回あなたに答弁していただくと同時に、こまかな点についても少し触れましたから、関係の参事官なりあるいは関係のお役人さんから若干、次官で説明のできないものは私は説明を求めたいと思う。
  66. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) やはり非常な重要な問題でありまして、政府の一機関からそういうようなふうな意見があったといたしましても、農林省の意見としては、ことにまた私の意見としては、直ちにこれは賛成であるとか反対であるとか、適当、不適当ということをお答えするわけにはやはりいきませんから、十分ひとつ検討いたします。
  67. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 検討はけっこうですから、十分検討していただきますが、農林省だけではと、こうおっしゃっておりますが、そうしますと、同じ自民党の政策なり方針なりものの見方なり考え方が一緒である北海道知事の町村君がこういう答えをしておりますよ。地方におけるわが党の砂原清治君のややこれに関係した答弁に、いろいろ今日まで道の経済、財政の状態、それから国の補助等等でこの問題について対処をしてきたけれども、お説のとおりの現象になった。まことにあなたと同じことを言っていることは遺憾であります。そこで、多少私見ではあるけれども、この際は何としても、国有化もしくは一社か、あるいは公団、公社等々でやらなければ解決できないと思うので、自分としてはそういう考えを持っています。だから、こういう点についても、積極的な、いわゆる地方の行政を通して政府に働きかけます、と答弁しております。これは速記録の控えでございますが、この程度のものは、あなた、政府を、しかも、担当している大臣がいない場合、あなたそれを補佐する任務を持っておりますから、ただ単なるあなたは名前だけの次官じゃない。総理大臣が代表する政府のあなたはやっぱり次官ですから、もうちょっとこの点は——あえてあなたにこれ以上私は聞こうとしませんが、その居住者、国民あるいは道民の心にほんのりするような答弁がここであってしかるべきだと思う。具体的に昭和何年何月までやりますなんて言うことはできないと思うが、そういう方向といいますか、方針といいますか、その程度のことは私は言えると思うのですが、再度答弁を願います。
  68. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) 私がここで御答弁申し上げますことは、やはり政府を拘束することになるわけでございますから、そう簡単に、にわかにここでもって、適当とか不適当だとかいうことはやはり申し上げられないので、十分に、早急に私も研究してみたい、検討いたします。
  69. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 これ以上次官に答弁を求めても答弁できないと思うので、したがいまして、この問題につきましては、追って次回の委員会に農林大臣出席を求めて、この問題の答弁を求めたいと思いますから、この分は保留をしておきます。  先ほど申し上げたように、その他のこまかな問題がありますから、一般的な点については、関係の係官からひとつ説明をしていただきたい、こう思います。
  70. 横尾正文

    説明員(横尾正文君) 僻地の農山漁村に対します電気導入につきましては、一つは、未点灯部落の解消、もう一つは、不良かつ老朽化しております共同自家用電気施設の改修の事業、この二つを軸にして進めてまいるという考え方のもとに、計画的に事業を実施してまいっておるわけでございますが、第一の、未点灯部落の解消につきましては、従来五戸以上の未点灯部落のある地区を対象にいたしまして、三十五年から事業を本格的に実施をいたしまして、現在までのところ、七カ年計画ということで進めてまいっておるわけでありますが、その対象戸数は四万七千戸ということでございますが、三十五年から四十年度までの実績を見ますと、なおかつ残余の戸数がございますので、これにつきましては、関係地元と関係都道府県等の意向を徴した上で、四十一年度におきまして、五戸以上の未点灯部落につきましては、四十一年度につきまして極力解消するということを考えて、そのための予算措置を講ずることにいたしております。  それから、第二の、共同自家用電気施設改修事業でございますが、これは三十八年度から四十一年度までの四年間でもって事業を進めるということで、できるだけ計画的に施行する、こういうことでやってまいっておりますが、現在残っております残戸数の状況からしまして、かつまた、災害等の関係もあって事業実施が四十一年度をもって完了することが困難でありますような場合につきましては、その実情をも十分考慮した上で、さらに四十二年度以降も対処することを頭に置きながら、さしあたりまして四十一年度までにできるだけのことをしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  71. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 担当官からそれぞれのお話がございまして、四十一年度をめどにして、できるだけのことをしたい——できるだけのことをしたいと言っても、これはまことに抽象的なことなんだね。そうでしょう。先ほどぼくは具体的に、去年が何戸解消されたか、昨年度は何戸であったか、本年度は何戸かということを具体的に聞いておりますから、しかも、残余のものについては、あなたもいま申されたように、四万数千戸ある。だから、こういうものについてどう対処するかということを明らかにここで答弁をしていただかないと、これは私、納得いきませんよ。そういう具体的な、あなたのほうとしての計画数字的なものをここに持ち合わせがないなら、次回の委員会に資料として出していただいてもけっこうですが、そういうことでなければならないと思う。  そこで、若干、これは次官がさっぱりその点うといようですから、経過的に申し上げますと、これは全国的な規模は昭和二十五年から始まった。これは御承知のように、対日援助の見返り資金による長期の融資対策として、農林漁業金融公庫による長期融資の措置がとられた、これが経過。しかし、北海道は、国のこういった経過とは別に、一年間先がけて、昭和二十四年から五カ年計画で北海道の道費による助成措置というものを講ぜられてきたわけです。しかし、これは次官は御承知でないと思うが、農林省の係官は十分承知だと思うが、あくまでも自家用の小規模の発電用の施設であり、電力会社と直接契約をするというような一般供給のやり方ではないのです、二十四年からやっているのは。  そこで、国のこれに関係する、しからば法律というのはどういうことになっておるかということを私は調査してみました。ところが、昭和二十七年は、いま答弁されたように、農山漁村電気導入促進法というものが制定されて、法律第三百五十八号、翌年の二十八年に離島振興法の中に——法律第七十二号にございます。それぞれ法律に従いまして措置がされてきたけれども、これはその法律は当初開拓部落といいますか、俗に言っておりますところの開拓部落、開拓農村、そういうところに入植する者のみを対象として補助措置がとられておる。ですから、非常に弊害がある。弊害があったわけですから、いろいろ国会内で議論をされて、昭和三十四年に同法の一部が改正になって、現存の農漁家に対する補助率が拡大されているという経過がある。離島についても、やはりそういうふうに法律が一部改正になっている。  それから北海道の未点灯の戸数の推移を見てまいりますと、昭和二十四年ころは十一万五千戸あった。それが、その率を当時全国的な中に占めるものはどうかというと、約二〇%程度だった。その程度二〇%程度。ところが、昭和四十一年、いま係官が答弁したように、四千七百戸近いものが残余として残されて、これは全国的なものと比較してみたらどうなるかというと四六%。そうすると、大多数が北海道にあるということだけは、このパーセンテージ見ても、お聞きになっても、おわかりになると思うのですね。  それから、いろいろこれから四十一年度をめどとして、できるだけのことをする、こう言っていますけれども、導入に対する補助の現状というものはどうなっているかというと、工事の経費の対象は三万から十五万ということになっておりますね。それはできるだけのことをすると言っても、国が三分の一よりしないのですよ。あとは道が三分の一、残りの三分の一強はすべて僻地における農漁家がみずから負担する。さなきだに、先ほど申し上げたように、低所得階層が、一体こういう負担を余儀なくされて、この問題が本質的に解決するかどうかということについては、決して私は非難するのではないけれども関係各省庁は、ほんとうにその心になって、真剣に過去の行政措置というものを反省してまいらなければならぬのじゃないか、こう思います。  以下たくさんこれは申し上げればございますけれども、私はやはりこの際、先ほど、質問に対して満足する答弁じゃないですから、保留をしましたけれども、少なくても政府当局としては、北電なら北電の一般供給に切りかえる方途を強力に進めていくというようなやり方をやらなければ問題にならぬ。現に本州八社は農村地区における一般供給に全部切りかえつつあるから、先ほど申し上げたように、非常にパーセンテージがぐんぐんぐんぐん下がってきておるということは、実施されておるということの証左になるわけでしょう。そういうことをやっておるわけですから、ですから、北海道の場合も、少なくても農民がみずからかなりの負担をして、あるいは組合をつくったりしで電力会社まがいのようなことをやらせるようなことは、日本の公益性の強い電力事業の政策からも私は間違いだと思う。この点は一体どう考えるかということですね。  時間がありませんから多く申し上げませんが、一つの例をとってみますと、網走というところに、昭和二十七年に三十五戸で、受益者負担で、いま申し上げたような組合をつくりました。何と三十五戸で七百五十万負担しているわけなんです。二戸当たりそうしますと、計算しますと二十万円です。開拓農家です。そのうち、今日ではすでに五戸離農しておりますけれども、こういう実態がございます。そこで、一月の電力の消費量は、電力料、電灯料はどのくらいかかっておるかというと千三百円、消費量は二十キロワットです。そうしますと、一般われわれ家庭に供給されておるものとどういう関係になるかということは申し上げるまでもないでしょう。しかも、このほかに毎月組合費というものは五百円取られる。それから電気でありますから、農村の諸君がだれでも彼でも、どこでもやるというわけにはまいりません。ですから、当然電気に関係いたします技術者、管理者等々置かなくちゃなりません。これにかかる経費は一人頭やはり五百円、そうしますと月に二千三百円、実質的に、先ほど申し上げた二戸当たり二十万のほかに、月々にこういう膨大な負担を余儀なくされている、こういうことになっているわけであります。こういう点をぜひひとつ十分認識されて、理解されてこの問題に対処しないと、実のあるものにはならない。国民の福祉あるいは道民の福祉向上などという演説をしても、それは全然なっていない。こういうことになるわけですから、ただ単に先ほどの答弁のように、四十一年度をめどに、できるだけのことをやるなどという抽象論でごまかしたって、私どものほうはそういう実態を把握しておりますし、そういう考えも一つ持ち合わせておりまするので、納得しません、そういうことではね。ですから、これについての考え方を明らかにしていただきたい。  それからもう一つは、次官が、これから調査をして、さらに理解の高まるような答弁をいたしたいと、こう言っておりましたが、その調査でありますけれども、現在では原局の札幌通商産業局がやっておりますが、その調査は微々たる予算措置であります。ですから、全く局部的に、点でやっていく以外やっていけないのですね。これでは全く、調査というのは具体的に施策、計画をつくり出すもとですから、そのための調査には私はならないと思う。ですから、やるとすれば、全北海道を対象として調査ができるような予算措置をしてまいらなければならぬのではないか、こう思うのですが、この点、一体どうお考えになっておるか。  それからもう一つは、これは中小企業に対する金融と同じように、あるいは他の補助金等々にも非常にこういう点が多いわけでありますが、非常にこの補助の対象金額そのものも少ないですし、それからもう一つは、この制限がどうも、これはまた役人根性といいますか、ああでもない、こうでもないと言ってまことにむずかしいものをつくり上げて、みずからそれの解消を阻害しておるという面がございます。だから、こういう点は、できるだけそういう手続上についても全くなくするということはできませんが、無制限にするというわけにはまいりませんが、簡略にして、ともかく農漁家のそれぞれの財政的にも、それからいれ以外の労力についてもですね、負担のかからないように、行政として施策を施さなければならぬじゃないかという面が多々ございます。これが一つ。  それからもう一つは、これまたいろいろございますが、かりにそういうものが将来漸進的にやっていくということで、一挙に、いま私が申し上げたような理論は理論としても、具体化をしていく場合に困難性があるということで、いまのままの姿をある程度維持していくということになりました場合においてもですね、今度は組合をつくらなければならぬのですね。そういうことになりますと、管理維持費がかかりますよ。これなどについても、さなきだに高い料金を支払っているわけですから、それ以上にそれらの諸君に負担を増大させるというようなことでなくして、前段申し上げたその電力設備を設備するときに国が補助するわけですから、それと同じような考え方に立って、運営費あるいは管理維持費ですね、そういう関係についても、補助の措置を、これは非常に消極的な対策、施策であるけれども考えてまいらなければならぬじゃないか、現段階ではこう思うのであります。この点についても御答弁を私は求めたいと思います。
  72. 横尾正文

    説明員(横尾正文君) 先ほどの御答弁で、四十一年度におきます事業の内容につきまして、若干抽象的なことを申し上げたわけでございますが、五戸以上の未点灯部落の解消につきましては、四十一年度に全体といたしまして全国におきまして二千四百三十戸程度のものを予定をいたして、それに必要な予算を確保するようにいたしたいということで、検討、努力中でございますが、そのうちで、北海道の分は、二千四百三十のうち八百九十六戸という数字を、これは道からの要望ないし積み上げを基礎にいたしまして考えております。  それからもう一つ、共同自家用電気施設改修事業につきまして、これは北海道でございますが、四十一年度はいままでの事業の経過と計画との関連からいたしまして、若干多くの戸数——一万戸程度が予想をされます。したがいまして、この点につきましては、先ほども申し上げたわけでございますけれども、四十一年度可及的に努力をし、なおかつ、災害その他の関係から対象戸数の残が残ります場合につきましては、その実情に対応いたしまして、四十二年度以降もできるだけ解消するような方向で努力をいたしてまいりたい、こういうことで考えてるわけでございます。  それから補助につきましては、先ほどもお話がございましたような実態でございますが、地元負担につきましては、一方、公共融資等のことも考えまして、できるだけ現在の補助率ないし補助額で運用上の合理化をはかるよう、国及び県も努力してつとめてまいりたいという気持ちでおります。  それから、先ほど次官から調査云々のお話を申し上げたわけでございますが、現在の補助事業の一環といたしまして、電気導入地域の調査等につきましては、道府県につきまして事務費の補助をいたしております。こういった事務費の補助を基礎にいたしまして、道府県から解消を要する未点灯部落の戸数でありますとか、あるいは共同自家用の電気施設改修事業につきましての内容でありますとか、そういうものをまとめて国のほうに出しまして、国のほうといたしましては、そういった数字を可及的に考慮をし、それを積み上げ、ベースにいたしまして、必要な事業についての予算措置を講ずるよう努力してまいっておりますし、今後もその方向で努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから共同受電の一般受電切りかえ事業につきましては、御承知のごとく、現在も共同自家用電気施設改修事業の中で、その他のものに比べまして補助率を若干上げる、こういったようなことをやっておりますが、今後もその切りかえにつきましては、さらに円滑にまいりますよう努力をしてまいりたいということを考えております。  以上の、さしあたり計画をもちまして、できるだけ事業の合理化、推進をはかってまいりたいということでございますが、なおかつ、残ります問題につきましては、今後も検討を重ねて、より充実したものにしていくように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  73. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 どうもまだ、いまの答弁でも抽象的な面が多いのですね。私はそれで納得するわけにはまいりません。しかし、もう十三時になっていますから、食事もしなくっちゃいけませんから、午後に再質問するということにして、ここで休憩することを了解いたします。
  74. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をとめて。   〔速記中止
  75. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記をつけて。  暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      —————・—————    午後二時三十六分開会
  76. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまより災害対策特別委員会を再開をいたします。  午前中に引き続き、質疑を続行いたします。質疑の通告があります。順次発言を許します。  なお、理事会の申し合わせによりまして、おおむね四時に終了ということで質疑を続行したいと思いますので、各委員おおむね四十分というめどで御質疑を願います。中村君。
  77. 中村波男

    中村波男君 私は、建設大臣というよりも、政府の災害対策本部長としての瀬戸山さんに、治山治水の根本的な対策についてお伺いしたいと思うんでありますが、午前中の御答弁によりまして、自然と人間の戦いだと、しかし、それを解決するために、政府としては最善の努力をするんだと、そのために要する費用は一兆円にものぼるし、まあ十五年はかかるだろう、こういうお話でございましたが、もちろん、私たちとしても、三年や五年に根本的な解決を迫まるという、そういう立場ではございませんけれども、従来政府のこの種の計画というのが、計画どおり進んでおらないんじゃないか、計画は立つけれども、実際に事業予算等がついてこなかったと思うんであります。そこで、さらに今後善処し、積極的におやりになるということであるならば、来年度、治山治水の予算のワクを計画よりもさらに大幅にふやすというような考えがあるかどうか、また、具体的にそういうことがいま検討をされておるのかどうか、このことをまず第一番にお尋ねをいたしたいと思うわけであります。  それからもう一つは、私の不勉強で間違っておるかもわかりませんけれども、今日、治山治水計画の工事の基準になっておるものといたしましては、いわゆる五十年確率といいますか、伊勢湾台風程度の雨量をもとにいたしまして計画が立っておるように承っておるのであります。そこで、御承知のように、今回は集中豪雨で岐阜県、福井等等におきまして、千ミリ以上の雨が降った。これはいままで予想もできなかったような雨量でありますが、こういう雨量がしからば百年目に一度来るのだという断定はできないのであります。来年来るかもわかりませんし、再来年来るかもわからないと思うのでありますが、そういう点を考えますと、いわゆる千ミリ、百年確率の災害というものをめどにいたしまして、計画高水なり、あるいは工事の基準というものを検討する必要があるんじゃないか、こういう点について、政府はどのような考えをお持ちになっているのかということをお尋ねいたしたいわけであります。  それから三つ目といたしましては、アリの穴から堤防が切れるというたとえがございますが、従来、災害復旧がおくれて進んでおらぬために、災害災害を呼びまして、大きな被害をつくり上げておることは、私が言うまでもないのであります。そこで、岐阜県におきましては、初年度に予算外義務負担等の措置をとりまして、何とか四〇%程度の初年度災害復旧をやってきたのでありますが、最近、岐阜県のみならず、地方財政が窮迫しておりますと、このような措置はとれないのでありますが、また、このことは、地方がそういう措置をとるのでなしに、国が進度率を高めるような努力をしていただく必要があるんじゃないか、こういう点について、従来どおりの方針を一歩でもそのワクを越えるような考えがいまあるのかないのか。  まず最初に三つの点につきましてお尋ねをいたしまして、さらに、災害の現状と照らし合わせて具体的な問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけであります。
  78. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) まず第一に、災害防除といいますか、治山治水のことについてということであります。このあらましは午前の委員会で申し上げましたが、どうも政府の計画がいわゆる計画倒れになって、そのように進んでおらぬじゃないか、こういう点であります。なかなか、いろいろな目標を立てて、治水のみならず、ほかにもやっておりますけれども、場合によっては計画どおりいかないこともあります。こまかい数字の点は、あとで資料に基づいて事務当局から御説明申し上げさせます。今年度を起点としますいわゆる治山治水五カ年計画は、十カ年計画というものをやっておりまして、それの前期五カ年計画で今日まで進めておるわけであります。それはいま途中でありますけれども、それでは不満足であるということで、四十年度を初年度とする五カ年計画に入ったわけでありますが、前のときより——これはあと数字は御説明させますが、計画を上回ってやってきておるわけであります。先ほども申し上げたかと思いまするが、治水について一兆一千億、あるいは治山計画について一兆一千六百億余、必ずしも私どもは、これが現状の日本の客観情勢において十全の計画だと率直に言うことは考えておりません。したがって、これは計画よりももっと進度を早めて、そして五年経過前にさらにもっと幅を広げた計画にすべきである、かように現在考えておりますが、現在初年度であります。したがって、来年度も前年度に比べてもっとこの計画の実施を進めたい、かような考え方でいま予算要求と申しますか、予算編成に取りかかっておるような状態であります。  それから、どうも千ミリ程度の雨があって、これは百年か何年かに一度たまに降るという雨と申しますか、天然現象である。しかし、それにもかかわらず、やはりああいう事態が起こるのであるから、一体治水計画などというものは何を目標にしておるか、全く適切なお尋ねであると思います。これは数字的には、専門家がおりますから、あとで詳しく御報告いたさせますが、川によって違うということであります。理想を言いますと、百年に一度くらいの雨量を想定して河川計画を立てること、これは理想だと思いまするけれども、ことばは適切でありませんが、わが国の国力といいますか、あるいは土地の問題、百年を目当てにして全部の河川を改修するという工事にいたしますと、工事の大部分は河川堤防になるということも想定されるわけでありますから、そこまでは考えておりません。非常な大河川等については、百年に一度、今日まで経過いたしましたものを想定して、それ相当のプラス・アルファもつけて百年に一度、あるいは六十年に一度、三十年に一度、こういうものを想定して、河川の大小によって計画を立てておるわけでございます。ところが、最近の情勢を見ますると、そういうことで河川計画を立てておりますけれども、別にまた、御承知のとおり、自然の状況というものも違ってまいります。というのは、国民経済、産業等の発展の度合いが必ずしも想定どおりにいかない、あるいは住宅地の開発、あるいは道路その他の舗装が完備しつつある。そういたしますと、同じ雨量でも、なかなか排水処理等の状況が違ってくるわけでありますから、そういう点も考え合わせて、従来の河川計画を、さらに情勢の変化というものを頭に入れて、今日までの計画も変えなければならないものが相当あるのであります。たとえば、いろいろ繰り返して恐縮でございますが、利根川というのは、御承知のとおり最大の河川でありますが、数回にわたって河川計画を変えた。これは百年に一度ぐらいのものを目標にしてやると、堤防だけ、あるいは護岸だけでは、日本の領土の狭いところでありますから、それだけでは防ぎ切れない状態である。したがって、今日では、できるだけダムサイトの適切な地域にあります上流においてとめる。午前にもだいぶダムの問題がありましたが、それによって相当治水利水を兼ね合わせたものが今後は必要である、こういうように情勢の変化によって改定が必要である、そういうことによってやっておりますが、もう少し具体的なことは事務当局から御説明申し上げたいと思います。  それからお話の第三点、災害復旧というものをもう少し促進する必要がありはせぬか。御承知のとおり、戦後国土が非常に荒廃いたしまして、もう全く災害の連続でありますが、それに対する国力もなかなか応じない、そういう時代には、およそ五年を目標にして災害復旧をいたしました時代が相当続きました。現在はそれを縮めて、まず四年ということを目標にしております。しかし、これでも年々日本はああいう台風、豪雨があるわけでありますから、そういうもので満足をいたしているわけじゃございません。これは数年前からの問題でございますが、お話のとおり、できるだけ早く復旧をして、再び災害が起こることを防がなければならないことは当然のことであります。問題は、しばしば申し上げて恐縮でありますが、それに耐え得る財政の問題であるわけでありますが、今日の段階は相当国民経済も伸展してまいっているわけでありますが、ただ河川あるいは災害だけに集中して財政を投入するということはできませんけれども、しかし、災害が重なるということは、全く国家的に経済上も、それから精神的にも不経済でありますから、できるだけこれを縮めなければならない、数年前からの問題でありますが、だから、これはどうしても今年の災害の状況から見まして来年必ず来るということを想定してかからなければならないと思いますので、現在は直轄でやっております工事は、二年でいま回復しております。これは技術的にも時期的にも二年はかかるわけでありまして、最大限やりまして二年であります。補助災害——補助災害の大部分は、いまお話しのように、都道府県等のやります補助災害は、四年を目標にして、重要なものは三年ということで大部分片づく、四年目に幾ぶん残るというのが現状でありますが、これを何とか目標は三年、重要なものは二年にするという、こういうふうにすることが適当である、こういう考え方で、来年度の予算の編成もそういう目標で要求いたしておりますが、これはいまここでそう申し上げましても、よほどの努力をいたしませんと、この計画は達成されない、これは財政上の問題でありますが、私どもは何とかして、これは全く国民の悲願でありますから、しかも、不経済のことでありますから、これを三年に短縮いたしたい、こういうことで、いませっかく努力をいたしておるというのが現状でございます。
  79. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 数字について御説明申し上げます。  第一点の、治水事業の数字でございますが、現在まで三十五年から治山治水緊急措置法によりまして、治水十カ年計画というものを計画しまして、その前期五カ年としまして、三十五年から三十九年度まで、三千六百五十億円という計画事業費をもちまして治水の事業をやってまいったわけでございますが、やはりこの事業ワクでは、連年発生する災害ではとても足りないということで、実績におきましても、三千六百五十億円に対しまして、四千三百五億円という実際の治水の事業費が投資されて三十九年度を終わったわけでございまして、超過率は一八%を数えております。こういうような経緯から、四十年度から新しい河川法に並行いたしまして、新しい治水事業五カ年計画というものをつくりまして、その初年度として、災害も含めまして、いわゆる治水投資としまして一千九百億円の初年度の事業をきめまして、それによりまして、御承知の一兆一千億円に相当する五カ年計画、それを四十年度千九百五億円の事業費から伸ばしていこう、こういうことで本年度から着工したわけでございますが、これは一兆一千億を平均して伸ばしていきますと、一二%という平均の伸び率になるのでございますが、今年の災害の例からもかんがみまして、治水事業がどうしてもおくれているということで、治水をできるだけ促進をしたいということで、いま私どものほうも要望をしているわけでございますが、それは治水事業の伸びは二四%、事業費で二四%、国費で三〇%、こういうような伸びの予算を要求したのでございます。災害を入れますと、全部で三三%、事業費で三三%、それから国費で三八%の伸びの事業をぜひやっていきたい、こういうことで、来年度四十一年度において、治水の足りないところをもう少し積極的に伸ばしていきた、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから第二点の、治水事業の計画規模といいますか、どういうような雨を対象にしてやるべきかというお話でございますが、ただいま大臣からお話のありますとおりに、これは治水事業をどういうような、いろいろな観点からこれを進めていくかというわけでございますが、少なくとも私どもは、重要な河川におきまして、これは一朝水があって、それがはいらんするということは非常な大きな災害がございますから、少なくともやはり百年とか二百年とか、そういうような既往の、過去におきまして経験されました最大の水、そういう点を十分に考慮しまして、少なくとも百年というような洪水対象にしてやっております。  それから御承知のとおりに、昭和三十年度で諌早地区におきまして、やはり千ミリというような雨がございました。これはあの地区としては非常に希有な現象でございますので、現実にそういうような災害が起こった場合、やはりそれに対処するには、それに相当するような治水事業の計画を立てまして、それにこたえるような、耐えるような治水事業を計画してやっておるわけでありますが、これも全般の、国全体のどんな小さな川でもそういうようなことというわけにはいきませんので、重要な河川においてはそういうような観点でいきますと、やはり重要でないといいますか、経済的に見てあと回しにしてもいいというようなところにおきましては、多少、たとえば既往の第二位の洪水対象にするというような一応の計画規模で治水計画を立てるというふうに考えておるわけでございます。  それから災害復旧の問題でございますが、いま大臣からお話のとおりでございますが、四カ年と言いましても、従来、実は初年度二五%、それから次年度六五%、三年度八五%、それから四年度で一〇〇%の竣工ということで、一応の予算の、それぞれ一年、二年、三年、四年の配分をしまして進捗をはかってきたわけでございまするが、それではいけないというので、実際には、四十年度におきましては、初年度三〇%、それから次年度は七〇%、それから三年度は八七%、それから四年度のものは一〇〇%、少しずつではございますが、できるだけ進捗の度合いを早めていくというふうに、事務的に大蔵とも話をつけまして進んでおるわけであります。来年度におきましては、できるだけ三カ年復旧でこれをやってまいりたいというふうに希望しておるわけでございます。
  80. 中村波男

    中村波男君 大臣の午前中からの御答弁を聞いておりましても、前向きで今回の災害等に対処する、工事その他が十分でなかったというような点を率直に認められまして御答弁いただいたことについては、好意を持つのでありますが、何と言いましても、災害と言えない人災的な災害もたくさんあるのでありますから、さらに今後検討をされまして、いま質問をした事項が具体的に進みますようにお願いをいたします。  次に、岐阜県の問題でおそれ入りますけれども、具体的な工事の問題をお尋ねしたいと思うのでありますが、伊勢湾台風、室戸台風等によりまして、長良川のはんらんその他によりまして堤防の決壊、大きな被害を受けたのであります。その当時、地元としては防災ダムをつくってもらいたい、また当時、政府なり建設省がつくることを約束をされたのでありますが、聞くところによりますと、昨年多目的ダム建設するという調査費がついたと承っておったのでありますが、地元の洞戸村、板取村等でダム建設期成同盟を阻止するというような地元の大きな反対運動がありまして、本年度の調査費も他に回されたというようなことを聞くのでありますが、もちろん、地元がそれほど反対をするのにつくるということはできないことでありますし、と言って、それがいつまでも地元が反対するからということを理由に放置されますならば、再びおそるべき被害を来たすのでありますから、したがって、ただ漠然と地元の反対がおさまるというような、そういうことではなしに、どうしてもその地域につくることができぬのであれば、次の地点を考えるとか、いろいろ方法があると思うのでありますが、この問題について、積極的な建設省としての推進なり努力が払われておらないように思いますので、この間のひとつお考えなり事情をお聞かせいただきたい。  それから二つ目は、これは直接的には災害関係がないようでありまするけれども、木曽川のいわゆる伊勢湾の河口に河口ダムをつくる、こういうことに対しまして、地元は防災的立場で反対をいたしておりまして、先般の県会にも請願が出まして、県会は、これを採択したといういきさつがあるわけであります。この計画については、どのような計画がいま今日あるのかということも、この際お聞きをしておきたいと思いますし、また、今回の災害等の経験から言いまして、河口ダムをつくるということについては、いまの堤防の実態から言うならば、地元が大きな不安を持つことは当然でありますから、そういう点も考慮して、これを今後お進めになるような場合には、十分配慮がないとこれは問題だというふうに私は思いまして、いま二つの問題をお尋ねしてさらに質問をしたいと思うわけであります。
  81. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 木曽川の河口ダムのことについては、次官から答えさせることにいたします。  先ほどお話ダムの地点がどこであったか、お話なかったのでありますが、御承知のとおり、治水上、あるいはそれに兼ねて、どうせ水をむだにすることはもったいないことでありますから、利水を含めたダムをつくりたい、先ほど申し上げましたが、だんだん堤防だけでは間に合わない時代になりましたので、できるだけ上流に適当なダム地点がありますと、ダムをつくって防災をいたしたい、これは最近の原則にいたしております。ところが、御承知のとおり、そういうところに限って、比較的狭いところでありまして、あるいは住家があったり、その他農耕地がある、こういうことで、そのダム地点だけの方々は全体から言うと迷惑だ、率直に言って、そういう場合があるわけであります。下流の大きな効果をねらうために、上流ダムをつくる、これは全体の水系から言いますと、また、国民経済から言いますと、それが適当であることはわかり切っておっても、なかなか理解が得られないという場合が多いわけであります。よくダム計画を始めますと、地元では賛成ということはあとでは出てまいりますけれども、反対というのが常道だというとおかしいのですが、多いわけであります。けれども、それは理解を深めて、そうしてまた、水没される方々等については、別途の再建計画等を立ててやるという方式に変えておりますが、本来のところは、やはり治水上どうしても必要なところは積極的にやりたい。余談でありますけれども、そういう根本的対策をいたしませんと、必ずまた再び起こるということは、技術的にも、あるいは客観的にも起こり得るところがたくさんあるわけでありますから、たとえば島根県の江川の問題も、毎年同じことを繰り返しておる。ダム問題等ありますけれどもダムに対する反対の空気があって、今日まで放置されておったのでありますが、私は、昨年、ことしの連続的なあの地帯の災害、それから球磨川の上流地域における川辺川の災害、五木村の付近でありますが、これはあくまでもダムをつくり、そうして根本的な治療をいたしますということを地元にも申し上げて、最近はたびたび災害を受けておられますので、だんだん理解が深まっておる。これは必ず強行するということは、私はそれがほんとうの愛情ある皆さんに対する政治の姿勢ではないか、こういうことで、いまその地帯に対処いたしておりますが、岐阜県の場合も、皆さんのぜひお力添えをかりて実行に移したい、かように考えておるわけであります。
  82. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 河口せきのお尋ねで申し上げます。  これは私ども治水上、利水上必要であろうということで、一応のこういうような構想を考えておりますが、具体的にそれをどこの地点にどういうかっこうでどういうことをやるということまでは、まだ実際の計画が立っておるわけではございませんが、いまお話しのとおりに、こういうような構造物を河川の中につくるということになりますと、いろいろ水利の問題、利害の問題等、あるいは付近のいろいろな人々に、それに相当するような影響があるわけであります。少なくとも悪い影響をそういうことによって及ぼすということは決してできるわけではない。十分そういう点を考慮いたしまして、具体的に計画ができる前に、よく水利調査あるいは地元のいろいろなそれに対する影響というものを調査した結果、進めていきたいと考えております。
  83. 中村波男

    中村波男君 次に、いろいろ災害に関します法律、規則等で改正の要望が、陳情請願等で一部出てきておりますし、また、私もぜひ改正を願わなければならぬという問題もありますが、時間の関係もありますから、激甚法の関係で特に改正をする必要があるのではないかということを考えます点について御質問をいたしたいと思うわけでありますが、それは法の第三条に、民間家屋宅地等への流入土砂の排土について、この事業を一つ加える必要があるのではないか。これは申し上げますまでもなく、福井県、岐阜県等にもそういう実態があるわけでありますが、岐阜県の例をとりますと、藤橋村においては、三十戸以上が土砂に家全体が埋まったという。しかし、その土砂を出すというのにはどうしてやったかというならば、家族、親戚、知人等の応援を得てやっと家の外まで土砂を出した。その土砂は宅地の中に山と積まれておる。これでは実際は住めないのでありまして、これをどうするかということについて、具体的な問題として考えがあるならば、お聞きしたいし、根本的には、私はこれを追加する必要があるのではないか、こういうふうに思うわけであります。  それからもう一つは、特殊緊急砂防事業というものも、それに加える必要があるのではないかということを思いますし、それから、これは法の中で改正するかどうかは別にいたしまして、被害住宅の復旧移転についての救済措置がほとんどないじゃないか。ずっと災害関係の議事録を、三、四年読んで見たのでありますけれども災害が起きますたびに、個人被害に対して何とかしろということが、国会なり地域なりで強く要望されておりまするけれども、これらの対策について、ほとんど前進がないのであります。したがって、いま申し上げますように、家屋が土砂に埋もったというときには、三条の適用を受けるような法改正をすべきであります。また、実際そこに住めなくなり、家が被害を受けたというような住宅の点等についても、救済措置を考える必要があるのではないかというふうに思うわけであります。  さらに、これに関連をいたしまして、法の五条の関係規定を見ますと、流入土砂量による適用除外規定の撤廃をお願いしたいと思うのでありますが、平均厚さ五センチ未満とある有害土砂流入の場合というものを撤廃してもらう必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  それから、これらと関連をいたしまして、実際に行政上の措置として改めていただきたいということをお願いするのでありますが、堰堤等の復旧工事につきまして、災害復旧としては大体一本だけ谷一つに認めない、しかし、今回の災害等で流出した土量というものは、一本では防ぎ切れない、こういう事例があるのであります。これは別に法律によって規制を受けておらないのでありますが、予算的な措置として、従来それを建設省は認めてこなかったと思うのでありますが、そういう実態があるのでありますから、必要だと認めた場合には、通常砂防として来年に回すのでなしに、その年に災害復旧として認めるという措置をぜひ考えてもらいたい、こういうことをお願いをいたしたいと思うわけであります。
  84. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 排土の問題等について、激甚法の改正の必要がありはせぬか、こういうお話でありますが、改正しなければどうも適切な措置がとれないという事態がありますれば、あえて私は改正をするにやぶさかでないという考えを持っております。今回の、たとえば上流の西谷村、それから揖斐川上流のいまの藤橋村ですが、こういう問題は今回の激甚法の適用によって解決はできる、そして私は従来の取り扱い基準等も下げて解決を、先ほどもお話を申し上げましたけれども、失礼でありますけれども、山間僻地で苦労している者を助けなければならぬ、こういう方針で進んでおるわけであります。そのこまかい点については事務当局から御説明いたさせます。  それから砂防、もちろんこれは非常な土砂崩壊等がありましたところの砂防は、適切でありませんと重ねて起こりますから、これも実情に応じて緊急砂防なりあるいは一般砂防をやる、こういうことを進めたいと思っております。具体的な問題がありますれば、ひとつ御指示を願いたいと思います。  それから問題の個人災害、これはなかなかむずかしい問題であります。現在、個人災害的なものは農業問題、これはまあ農地復旧あるいは天災融資法の融資、これはまあいわゆる個人災害にも入る部面であります。それからその他の民生住宅等についても一種の個人災害でありますが、災害住宅、あるいは厚生省関係の各種の助成をやっておるわけでありますが、いまお話のように、災害にかかって住宅を移転するというような場合に、地すべり地帯その他の法律があるものは別でありますけれども、一般的にこれを国が全部助成するかどうか——して悪いということはないと思いますけれども、すべての他の案件と比較いたしまして、個人全体についての災害の場合の措置を国が見るべきかどうかということは、簡単に割り切れない点がありますので、これはやはり将来の検討にゆだねていきたい、かように考えておるわけであります。  それから最後の点は、よく私には御質問の趣旨がわからなかったのでありますが、砂防関係堰堤がもしこわれますれば、それはもちろん将来再び災害が起こらないような措置をとらなければなりませんから、その具体的な事例に応じて措置を講じていきたい、かように考えておるわけであります。
  85. 高柳忠夫

    政府委員(高柳忠夫君) 排土の問題につきましては、現在のここにいういわゆる激甚法の規定にも第三条の十三号でございますが、「激甚災害に伴い発生した前号に規定する区域外の堆積土砂であって、市町村長が指定した場所に集積されたもの又は市町村長がこれを放置することが公益上重大な支障があると認めたものについて、市町村が行なう排除事業」については適用がございます。それの適用基準といたしましては、施行令で、施行令の第四条の第二号でございますが、一定の土砂量の基準がございますが、この基準がただいまのところ二千立方メートル以上の一団をなす特定堆積泥土または二十メートル以内の間隔で連続する特定堆積泥土というような基準がございまして、その費用がその当該市町村の標準税収入の十分の一を超えるような場合にはこの激甚法が適用になるということになっております。ただいまお話のありました西谷村等の堆積土砂の数量及び地形等は関係官庁でつぶさに調査しておりますので、この基準でまかなえる場合には当然基準でやりますが、もしこの基準がややきついというふうな場合にはこの施行令の改正をもって対処できるのではないかと、その点をいま検討しております。したがいまして、本法のほうの改正はただいまのところ私たち必要ないのじゃないか。ただいま本部長からお話がありましたように、そういう山間僻地の市町村でございますので、できるだけするという方向で検討さしていただいております。
  86. 中村波男

    中村波男君 いまのその個人の家屋の排土の問題ですが、私も一応激甚法を読んでみたのですけれども、地元としては、これはほとんど何ともしてもらえないという不安を持っておりまして、何とかこれに対する対策を要望してくれという強いものがありましたから、その取り扱い方が、町村がやるということがありますので、こまかいことは私たちももう一度調査いたしますが、問題はどういう方法でもよろしいから、個人負担にならないように少なくとも土砂ぐらいは国が全額を持って排除していただくということをお願いしたいし、そういう意味で法の改正を要望したわけであります。  最後にお願いだけして質問を終わりたいと思うのでありますが、二十二日の閣議で激甚地がきまりまして、発動になったわけでありますが、具体的に岐阜県におきましても四カ村の災害地が激甚地の指定になることを強くお願いをし、また、実際それがきまるかきまらないかということが人心の安定の上に大きな影響があるわけであります。この指定がなければ災害復旧はできないのだという極度の不安を持っております。したがって、いまの作業から言いまして、いつごろ具体的に各地域の指定が行なわれるのかどうか、また、その見通し等がはっきりしておれば、この機会にお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  87. 高柳忠夫

    政府委員(高柳忠夫君) 激甚法の制度は指定を、各市町村ごとにこの適用があるないというふうな指定のしかたを原則としてしておりませんで、その災害を起こした台風なり豪雨なりというものを、これを激甚災害対象とするという指定のしかたをいたしております。天災融資法のような場合には、それの適用範囲の地域を指定するということになる。ところが、ただいま御質問のような公共土木施設のような場合には、当該市町村に激甚法が適用になるかどうかということは、当該年度の標準税収入の一定割合をこえた場合に適用するというたてまえになっておりますので、ただいまのところ市町村の場合には、標準税収入の百分の十以上でありますれば適用になる、非常に低い制度になっております。ことに今回の災害のように、標準税収入の少ない地区でございますので、被害の状況及び市町村の財政状態等を勘案いたしますと、おおむね適用になると考えてよろしいと思いますが、それは一種の精算補助の形をとっております。したがって事業のほうが先行いたしまして、その当該年度の標準税収入が確定いたしますと、その通常補助率のほかに、この特別財政援助の法律が適用され、補助率のかさ上げが行なわれる、こういう仕組みになっております。ただ私たちといたしましては、御指摘のように、一体なるのかならないのかという御心配はまことにごもっともでございますので、関係省庁に、当該復旧事業をやっております関係省庁に対しましては、もう事業計画が今年中にはおおむねめどがつきますので、これでいけばお宅は激甚法の適用になりますはずだというような指導はやるようにということを要望いたしております。
  88. 浅井亨

    ○浅井亨君 滋賀県下のほうに行ってまいったのですが、一番問題になっておりますのは、琵琶湖の問題ですが、琵琶湖の水位がああいう集中豪雨にあいますと、非常に高くなるわけでございます。それでいまありますのは、瀬田川の排水門、これだけは完備しておるのであります。そこをいろいろな点からその琵琶湖の水が徐々に流れるようにと、こういうことになっておるのですけれども、こういうようなことでありますと、滋賀県下全体が水位が高まるために全部水田が陥没してしまうというようなことで非常に災害を受けているわけでございますけれども、向こうの滋賀県の知事も申しておりましたが、ちょうど滋賀県は下流の大都市である大阪の工業地帯のために水を流すことができないので非常に災害を大きくしているんだと、こういうふうな話をしておるわけです。そこで渇水時におきますと、大阪のほうは琵琶湖の水をくれぬかと、こういうふうな問題が常に起こることは御承知のとおりだと思うのです。そこで地方の知事さんなんかいろいろと折衝して、なおかつ今後の問題を解決しようとしておるのでございまするけれども、何にしても問題はでかいものでございまして、こういうことに対して建設省として乗り出してこれをひとつ解決していこうという気持ちがあるのかないのか。また、瀬田川の排水門一つで今後滋賀県下のこういうようなときに災害を防ぐことができるのかできないのか。もう一つ排水門をつくるというような計画があるのかないのか。これは非常に重大な問題だと思うのです。この点に対して軽々しく御答弁をなされないだろうと思いますけれども、これは何としても国家百年の大計でありますので、何にしても東京と大阪は稠密人口を持っておりますし、京都とまた大阪の関係の中に、京都とそれから滋賀県の関係の中におもしろからざる雰囲気ができてくることはまことによくないことと思いますので、建設大臣としてひとつこの点を明らかにしていただければけっこうだと思います。
  89. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御説のように、琵琶湖の水の処理の問題、これはわが国において現時点では一番最大のものであると考えておるのです。そこで、これはいまお話のとおりもう長い間の懸案でありまして、特に近年になりまして、大阪あるいは堺、あるいは神戸というようないわゆる阪神地域の工業用水、あるいは上水道等の関係から琵琶湖の水が中心となっていろいろ研究もされ、論議もされてきております。ところが、いまもお話がありましたように、滋賀県は琵琶湖によって生きてきた県と言っても差しつかえないような県でありますから、なかなかこの琵琶湖の水の処理ということについては、滋賀県としては非常な特に重大問題といいますか、神経をとがらせる問題でございます。そういう関係下流上流の利害関係が、これはどこでもあることでありますが、特にこの地域は上下流の利害が相反する。こういうことで、治水上もあるいは利水上も非常に困難をいたしております。最近ようやく阪神と申しますか、大阪あるいは兵庫、それから滋賀県、こういう地域の指導的な方々がこの問題の処理をどうしてもしなければならない、下流は水がない、上流は水はあるけれども、いまお話のように放水路といいますか、瀬田川だけでは放流ができない、増水のときに非常に困るという問題がありますので、これを上下一体となって解決しなければならぬ、こういう機運がだいぶ進んでまいっておると見ております。もとより、建設省といたしましてはこれを今日まで放任しておるわけではございませんで、下流の水の需要と、それから淀川の治水の問題、それから琵琶湖の開発、この治水利水の問題、これをあわせて非常に苦労をいたしており、研究を進めております。技術的の問題は事務当局から御参考になると思いますから御説明いたさせますが、いま真剣にそれを検討いたしておるわけでありまして、琵琶湖の水をたとえば水位を下げる、そういたしますと、あの周辺のまあ漁業もそうでありますけれども、農業利水、あるいは飲料水に非常に影響があります。これをどうするか、滋賀県を中心とした琵琶湖地域の開発を進めて下流の水の需要に資したい、それから災害の防除をいたしたい、こういう観点からせっかく検討を進めております。できるだけ早くそういう技術的な結論を出して、関係県の方々の御協議を願いたいと、こういう強い意欲を実は持っておるわけであります。私は専門家じゃありませんけれども、近く琵琶湖並びに淀川水系を私の目で見て、皆さんの意見を聞いてみたいと、かように考えておるわけであります。技術上の問題は技官から御参考までに御説明をいたさせます。
  90. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 琵琶湖の問題につきましては、相当前から、過去十年間にわたりましていろいろそういうようなお話災害の問題もございますし、近畿圏における水の需要に対して琵琶湖というものをどういうふうに活用したらいいかという非常な強い最近の技術上の要請から、これが早く結論を出さなければならないということで、私どもも鋭意検討してまいったのですが、大臣から指示もございまして、実はできれば今月末ということでやる努力はしておりました。多少おくれましたが、来月中には私どもとしてはこういうようにやりたいという一応結論を出したいと思っております。具体的な数字その他はまだ固まっておらないわけでございますが、要すれば、琵琶湖の水をどこの水位までやったらどこの災害が起こるかという過去の統計資料から全部それを調査いたしまして、それからこれをどこまで水位を下げたら、もちろん水位を下げればそれに相当するようないろいろな悪影響があるのでございますが、そういうものを全部統計資料その他のこれからのいろいろな推定値を考えまして、そういうような資料を全部まとめまして、しからばこの最高水位といいますか、水位に対してどこまでが許容である、許容といいましても、多少上げてもやはり影響があるわけでございます。影響に対するその損害の補償といいますか、対策といいますか、そういうものを総合勘案いたしまして、そういう一つの最低水位、最高水位をきめまして、それに対してどういう処置、対策、これは建設省の問題ばかりでなく、あらゆる総合的な地域開発という問題もございますので、そういう点を考慮しまして、できるだけ早く来月中に結論を出したい、こういうふうに思います。
  91. 浅井亨

    ○浅井亨君 ただいまお話を聞いていると、ずいぶん進んでいるように承りますけれども、地元の滋賀県または京都、大阪と、いわゆる近畿一円の方が話し合って、だんだん進んでいるようにみていると、こういうふうにまあおっしゃったように私は思うのですが、私はみているのじゃなくしてですね、こういう問題はもう積極的にこれを働きかけていかなければ、日本のまん中にあるというところで、このような対策が立てられないという政治であってはならないと、こういうふうに私は思うのです。それが一つ。  もう一つは、いわゆるこの間の雨では、ちょうど琵琶湖の水位が一メートル五十センチですか上がったそうです。そこで瀬田川の排水路を全開しましても一日に二センチぐらいきり下がらぬというのです。そうしますと、一メートル五十センチもありますのを一日に二センチやそこらしか下がらないとすると、ああいうような雨のときにはたいへんなことになると思うのです。そういうことになりますと、陥沈冠水した田畑はそれっきりになってしまうわけです。これをやはり回復してやるためには、何とかしてもう一つの排水路をつくろうという考えがあるのかないのか、そういう点をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。そういう点をひとつよろしく。
  92. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) お話しのとおりに琵琶湖の面積は非常に大きいものですから、それによって水位の上昇に対しまして水門の操作というものはごくわずかより影響がありません。しかし、これは先ほど来お話しのように、下流のいろいろな治水対策、こういうような面からも勘案しなければならぬわけでございまして、そのためにはある程度の水量といいますか、雨量を予想しまして、その前から相当な時間をかけまして水門の操作その他をやりまして、そういう水位上昇に対する処置をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただいまのところは、新たに別にそういう水門をつくるということは具体的には考えてございません。
  93. 浅井亨

    ○浅井亨君 地元ではこの琵琶湖の水没ダムをつくるのには反対だそうですが、これに対する考え方はどういう……。
  94. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) まだ正式にというとおかしいですけれども、一応構想として、水没といいますか、琵琶湖の中に水位の低下を全体にわたってやらず、部分的に水位の低下の最大許容限度というものをつくりまして、一応そういう操作をする、それによって琵琶湖のいわゆる効率的な水の利用をはかったらどうかということを考えておるわけでございます。それに対応しまして地元としては、県民感情からそういう点に対しては賛成できないということは聞いてはおりますけれども、まだ具体的にいろいろ話を詰めて進めるという段階には至ってないわけでございます。
  95. 浅井亨

    ○浅井亨君 もう一つあるんですが、琵琶湖を二分して、その水位の問題で二分してやれば効果があるのじゃないか、こういうふうな話も聞くんですが、そういう点はお考えになっておりませんか。
  96. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) いまの水没ダムとおっしゃったのは、ダムといいますけれども、結局中に入るもので、それがいまの二分するという構想でございます。
  97. 浅井亨

    ○浅井亨君 わかりました。  その次に、滋賀県下には天井川というのですか、非常に高い川が多いのですね。こういう問題で私行ったところ、高島町の横山ですが、ここで決壊いたしまして、五十メートル先の数戸が押し流されてしまった、こういうような問題があるのでございますけれども建設省のほうでは滋賀県下における天井川というのはどれくらいあるのか、その数御存じですか。
  98. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 正確な数字はお答えできませんけれども、淀川水系として全部で支川が相当ありますが、琵琶湖関係には三百四十ぐらいの小河川が入っております。
  99. 浅井亨

    ○浅井亨君 これは全部天井川ですか。ぼくは天井川がどれくらいかと聞いておる。
  100. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) それは大小を合わせました川でございまして、天井川というのは、おそらく急に平地に急流で流れてきて、平地部からずっと琵琶湖に入る川だと思います。それはまだ数字は調べてございません。
  101. 浅井亨

    ○浅井亨君 天井川、いわゆる川が普通の民家より高いんですから、ここを流れて堤防が決壊したんじゃたまったものじゃないのです。こういう問題に対して地元ではとてもやりきれたものじゃないと思うのです。建設省としてはこういう面でほんとうに河川改修をお考えになっているかどうか、こういうふうに思うのです。
  102. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 技術的なことは事務当局のほうで御説明いたしますが、残念ながら日本の河川はだんだん天井川になりつつあるわけであります。といいますのは、非常に急流河川でありまして、御承知のとおり雨が降りますと一ぺんに山岳地帯からの土砂を放流する、これがどうしてもたまって、だんだん河床が上がってきて、治水上堤防をつくらなければ困りますので堤防をつくる、こういうことが、滋賀県の実情をつまびらかにいたしておりませんけれども、各地にあります。特にああいう盆地のところ、たとえば長野県その他ああいうところにはたくさんそれがあるわけでありまして、実は治水上これは技術的に非常に困難をいたしております。それなら川をさらったらどうか、こういうことを考えるわけでありますが、さて長大な川をさらってその土砂をどこへ持っていくか、こういう問題がいろいろありましで、実は苦しんでおるわけでございますが、そういうことを前提にして治水に努力する、これが現状でございます。
  103. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまお聞きいたしますと、ちょっとへんな気持ちがするのですが、日本の国はずいぶんと急流であるのでこういう天井川ができやすいのだ、こういうように私は聞いたのですが、そうであるならば、できやすいということがわかっておられるならば、それに対する対策というものは常にお考えになって、それに対する施策をしていくのが私はほんとうじゃないかと、こういうふうに思うのです。何もことばじりをとって申し上げるのじゃないのですけれども、はっきりとそういうふうになるのだということをおっしゃられますと、それに対する対策を毎年立てていくのがあり方じゃないか、いくんだよいくんだよではこれはうまくないと思うのですが、こういう点はどうなんですか。
  104. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) ですから、その天井川の土砂を外に出しますと、たんぼであり畑であり、それは捨て場所がないのです。率直なところ、それはまたたいへんな費用がかかりますが、それを前提にして堤防の修築その他をしてそれを防ぐという治水をいま一生懸命やっておる、こういうことでございます。
  105. 浅井亨

    ○浅井亨君 たいへんな問題だと思いますので、これは特に技術的にお考え願いたいと思います。また今後もこれがずっとあるというお話ですから、ますますこれは研究していただかなければならぬと思うのです。  次いで、宇治市の六地蔵ですが、ここへ行きましたところが、天ケ瀬ダムが非常に全力を上げて水位調節をした、こういうので非常に地元の人は喜んでいた。しかし宇治川右岸と山科川の河川改修ですが、これが未完成であった。ほんとうはこれはことしでき上がっていたにもかかわらず——これは建設省お話ですが、できることになっておったそうです。それがおくれたためにこうなったのだ。まあ人間というものはあとで文句を言うのですが、あとで気がつくてんかん病というのがありますけれども、やはり先へ先へと、財政の問題もあるでしょうけれども、これはどういう事情で一年おくれたのですか。
  106. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 確かに結論的には天ケ瀬の竣工と同時にできておるべきであったと思いますけれども、やはり私ども当初できるだけそういう線で下流の被害のないように工事の進捗をはかったわけでございますが、財政その他の関係でおくれまして、こういう被害が出たことはまことに申しわけない、早急にこれが完成するようにいま努力しております。
  107. 浅井亨

    ○浅井亨君 次いで福知山のほうですが、由良川の水害のところを見てまいりましたが、ここは上流に大野ダムですか、これがありまして、非常に調子がよかったと、こういうふうに非常に地元の人が喜んでおるのですけれども、あの下流におけるところの川のあり方というのは、ちょうどヘビが卵をのんだような形になっておりまして、あちらこちらがふくれておるわけなんです。こういうものをこのまま放置したんでは何ぼたってもだめだと思うのですが、これを何とか改修していこうというような建設省のお考えがあるのでしょうか。
  108. 畑谷正実

    政府委員畑谷正実君) 由良川につきましても、事実災害が起こっておるわけでありますから、やはり都市を形成しているそういうような重要地については、できるだけ早くそれをやるというような執行体制をやってきましたが、実際問題として下流部におきます治水対策、これは必ずしも十分ではございません。したがいまして、その間におきましてそのふくれた部分といいますか、低地の部分が浸水するということでございます。やはり治水の全体計画として、計画高水量といいますか、全体の流れる最大の水に対しては治水の万全を期したいというふうなつもりでこれが執行をはかりたいと思いますが、先ほど大臣からお話のとおり、全体を工事するに約十兆円というような予算規模があるわけでございまして、そういう年次に従いまして進めておる関係上、やはりおくれている点がありますので、災害その他のことを勘案しましてその順位というものを上げまして、積極的にそういう点を進めていきたい、こういうふうに思います。
  109. 浅井亨

    ○浅井亨君 次いで、先日の委員会のときに私質問したんですが、神戸の和田岬の問題ですが、あの防波堤が寸断されて非常に荒らされておりました。そのときの工事のことについて申し上げたんですが、それに対する御返事をまだいただいておらぬと思うんですが、どんなふうになっておりますか。
  110. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ちょっと港湾局長が来ますから、私詳細承知しませんので……。
  111. 浅井亨

    ○浅井亨君 次いで、先にもう一つありますからお聞きいたしますが、淡路島ですが、また兵庫県下には非常にため池が多いわけです。このため池ですね、これを建設省としてはどのようにお考えになってこれに対する対策を立てておられるか。また、淡路島なんかは土の関係が非常にくずれやすいのですから、こういう点に対して建設省としてもいろいろな観点からお考えになっていると思うんです。こういう点はどのようにお考えになっているか、お知らせ願いたいと思います。
  112. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) これは農林省関係でありますが、いま農林省見えておらぬそうでありますから、災害対策本部長として……。  いまお話のように兵庫県、特に淡路島、それから香川県等もあるわけでありますが、非常にため池によってかんがいをしておる、こういう地帯でありまして、今度の集中的な豪雨で相当に破堤——災害を受けております。これはまあ農林省といたしましては、老朽ため池の改良の方法はありますが、それでやるものもありましょうし、それからいわゆる農業施設の災害としてこれを復旧する、こういう取り扱いをするということで、この前の別な災害対策委員会でも農林省がお答えをいたしておりますから、積極的に進めると、こういうことで御了承願いたいと思います。
  113. 浅井亨

    ○浅井亨君 もう一つ。先ほど個人災害のことについて質問がありましたけれども、この個人の災害に対する融資額はどのくらいになりますか。
  114. 尾中悟

    説明員(尾中悟君) お答えいたします。農林関係でいわゆる個人災害に対します融資といたしましては、今回の台風に関連いたしまして、まず天災法の発動をやったわけでございますが、その融資ワクは八十四億円ということで、現在各県に割り当てをしております。そのほかに農林漁業金融公庫、あるいは自作農創設資金等によりまして、農家個人の災害復旧のために資金の融通を考えているわけでございますが、なお天災法以外の自作農創設資金につきましては、現在算定中でございます。近いうちにその額が決定すると思っております。なお農林漁業金融公庫、それから近代化資金その他につきましては、農家からの申請に応じまして逐次融資額を決定してまいるというふうに考えている次第でございます。
  115. 佐藤肇

    政府委員(佐藤肇君) 和田岬の災害復旧につきましては、昨年よりも非常に高い波が参りまして、新しい事情が起こったわけでございます。したがいまして、これを抜本的に防ぐためには、昨年度考えたような第二線を主にしたやり方ではだめではないかということになりまして、第一線に強力な防波、防潮の堤防をつくる、こういうことにきまりまして、この工法をいかにするかということで、神戸市が技術委員会をつくったわけでございます。この委員会には私どもの港湾局から、また港湾技術研究所、それから京都大学その他関西の大学のそのほうの教授の方、そういった方が入っておりまして、すでに二回委員会をやりまして、本日神戸でその委員会をまたやっております。本日その最終的な案が決定することになっておりまして、その案に基づいて早急に復旧をはかりたいと思っております。
  116. 浅井亨

    ○浅井亨君 いまお話を聞きまして、研究中だということですが、災害というのは人間の考えた以上にやってくるのを災害と言いますので、これはなかなか問題だと思います。そういうことについて今後の——あすこではよほどお考えになりませんとたいへんだと思いますので、万遺憾なきよう、ひとつ大いに考えて施策をしていただきたい、こういうふうにお願いしておきます。以上であります。
  117. 松永忠二

    松永忠二君 だいぶおそくなりましたので、簡潔にお話を聞かしてもらいたいと思いますが、だいぶ前から待っておりますので建設大臣ひとつ。先ほどお話のありました渓流砂防と山腹砂防というものについて、非常にこの限界がむずかしい。そこで十分調整をとってやっていこうとこういうお話でありますけれども、具体的に一体どうするのか。われわれの印象ではむしろ非常に後退をだんだんしている。一度前進をしたけれども、人事交流も課長の人事交流をやめてそしてきている。そこで具体的に一体この調整をどうしていこうと考えているのか。この点をひとつ大臣からお聞きしたいわけです。
  118. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) その点については先ほどもお答えしたわけでありますが、先ほど申し上げました治水五カ年計画、それから治山五カ年計画、これは設定がありますから、砂防関係等については、それを全部個別に具体的地域について打ち合わせをいたしまして、そうして双方の五カ年計画同時に策定いたしたい、これがまあ基本的なことであります。そこで個別にやります場所も、個々にやはり双方打ち合わしてやる、こういう方式をとっておりますから、従来のようなことはないと思います。ただその課長等の人事交流をやめたではないか、これはまさにそのとおりでありますが、そういう計画を立てます前に人事交流いたしまして、双方の意思の疏通をはかってやってまいりました。現在は課長の交代はやめておりますけれども、課長補佐等はやはり交代して、両方で出入りをしておる。こういう状況で、従来の弊害をぜひなくして国民の皆さんに御迷惑をかけないようにしていこうと、こういう体制で進めておるわけでありますから、もしまた現実に不適当な個所等がありましたら、ひとつぜひ御指摘を願いたいと思います。
  119. 松永忠二

    松永忠二君 大臣お話では、具体的に計画の上で明らかにして、それを推進をしていく。ここにいま資料を出しております賀茂郡の白田というところで土砂が非常な崩壊があった。そこでその前川砂防と、渓流砂防と山腹砂防の問題については、この場所については非常に迅速に的確にやられていること、私たちは認めるわけであります。で、こういうふうな点は、従来災害の際にいつでも問題になってきて、このために工事が遅延をするという場合があるし、その設定も非常に不明確だという点を感じていたわけなんです。今度はその各河川について計画的にその設定を明確にして、紛争のないようにしていくということで、その点はわかりました。で、もう大臣はお帰りいただいてけっこうです。  それで関連をして、少し長く待っていただきましたので、運輸大臣にもう少し待っていただいて一つだけお伺いをいたします。いま林野庁の長官がここに見えていると思うのでありますが、今度の災害等でも予防治山をやった効果のあらわれているところが非常にあるわけなんです。同時にまたこれが十分でなかったために、非常に緊急砂防を必要とするというところも相当出てきていることは事実であります。そこで林野庁は今度の災害について、一体砂防工事として要する費用を幾らと見ているのか、そうしてまたこの予防治山の問題について、具体的にどういう計画を立てて実施をしていこうとしているのか、林野庁の長官にひとつお尋ねをしたいのであります。
  120. 田中重五

    政府委員(田中重五君) 今度の九月台風におきます災害については、災害額一応百五十億円というふうに見込んでおりますけれども、これの査定につきましては、治山事業、それから林道事業合わせまして大体十一月中にはその査定を完了いたしまして、そうして事業実施に入りたいというふうに考えております。それから予防治山等につきましては、先ほど来建設大臣からお話もございましたが、昨年度までは治山治水緊急措置法に基づきますところの十カ年計画の前期五カ年計画によりまして進めてまいりました。そうしてやはり治水事業と同じように、前期五カ年計画計画をされました予定の経費を約一八%ほど経費としては使いこしまして、そして仕事としてはある程度のものが残ったというかっこうになっておりますので、あらたにここで新治山五カ年計画建設省治水事業と十分に調整をいたしまして、そうして予定の事業費を計画したわけでございます。その金額を見ますと、昨年までの十カ年計画では総額千六百六十七億円であったのに対しまして、本年から始まります新治山五カ年計画では五カ年だけで千八百七十億ということになっておりますので、相当大幅な投資を見込んで予定をしておるということでございます。で、その事業の中で、予防、それから復旧治山、その他防災林の造成等を進めていくわけでございます。
  121. 松永忠二

    松永忠二君 先ほどは治水関係についてお話がありました。治山計画についてもなおこれを充実して実施をしていきたいというお話で、この点についてひとつ十分に充実した計画のもとにこれを実施をしてもらいたい。私たちは渓流砂防よりもむしろ山腹砂防というものが非常に根本的で重要なものだということを考えているわけなんです。こういう点について、東伊豆町の白田の崩壊地のことなどについても林野庁としては非常に早急にこの仕事を進めて計画を立てておられるようでありまして、私たちこういう点では適切な措置をされておるという判断をしているわけです。この点については、特に私たちは住民のいない非常にじみな根本的な砂防の仕事をやっているわけでありますので、林野庁も、ひとつそのことについては一そう充実をして進めていかれるように、特に政務次官もおりますけれども、農林省なりの配意をぜひお願いをしたいと思うわけです。  以上で農林省関係災害は終わりまして、マリアナ近海の遭難漁船の問題について、私はこの前実はやったわけでありますが、運輸大臣が出ておりませんでした。そういう関係ではっきり責任のある御答弁がいただけなかったので、きょうはこの点について大臣から直接御答弁をいただきたいと思うわけであります。  まず、総理府の関係の方にお話を聞きたいのでありますが、マリアナ近海の遭難の漁船対策連絡会議というものは、一体今度のマリアナの遭難漁船の対策について調整をする役なのか、それとも根本的な対策を樹立をして実行をする機関なのか、この点についてはどういう考え方で今後進めていかれるのか。これをまずお聞きをしたいと思います。
  122. 高柳忠夫

    政府委員(高柳忠夫君) 十月の十二日に閣議の了解を得ました趣旨は、台風二十九号によるマリアナ水域アグリガン島付近において遭難したカツオ・マグロ漁船七隻の救援対策を講ずるため、総理府にマリアナ水域遭難漁船対策連絡協議会を設置する、こういう趣旨で総理府に協議会が設けられておりますので、私たちといたしましては、このマグロ漁船の七隻の救援対策、この救援対策を分けて、まず十二日現在におきましては、行くえ不明の船五隻、沈没一隻、座礁一隻、こういう実情がわかっておりましたので、これが遭難者の発見に全力を尽くすというのが第一の主眼であります。そのために、御承知のように防衛庁及び海上保安庁、水産庁の船及び米軍等の救援をお願いたいしまして、あらゆる努力を払いまして捜索に当たる、その各省における連絡の調整ということが第一の目的であったと思います。不幸にして遭難者を救助することができませんで捜索が打ち切りになりましたが、その後の家族の援護措置というのがまた第二の本協議会の仕事と思いまして、ただいま関係各省とその救援措置につきまして対策を連絡協議しておる次第であります。しかし、本事案に基づきまして、今後の海難に対する問題をどういうふうに考え処理していくべきかというのも、本来の第一次的な業務かどうかはこれは若干問題がありますが、今回の遭難を機といたしまして、運輸省等から御要望がありました点について協議した事例もございます。ただ、私たちはこの閣議の了解の意味では救援対策を講ずるためというのを当面の目標に考えております。
  123. 松永忠二

    松永忠二君 運輸大臣、いま総理府のほうからお話があったように救難対策のための対策中心であるというお話で、したがって、この農林省あるいはまた運輸省に関係した問題はその省が実施の責任であるということがはっきりしているわけなので、この点については一そう運輸省として徹底した考え方をひとつ述べてもらいたいし、また考えていただきたいと思うわけであります。  そこで、気象庁の長官にまず最初に伺うわけでありますが、気象庁が漁業通報で出した六日の遭難の前日の予報というものは、台風予想位置というものは非常に西に片寄っていたという事実があるわけでありますが、これはそういうふうにお認めになりますか、どうですか。
  124. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 台風の進路の位置についての御質問かと思いますが、六日の日に発表いたしました台風進路予想のうちで、六日の十五時と十八時の台風の位置に関しまして発表しました台風進路は、それは台風進路の予想でございますが、それはアグリガン島に対しまして西に片寄っていた、西に片寄り過ぎていたということは確かでございます。資料を調べましたらそういうふうになっておりました。
  125. 松永忠二

    松永忠二君 そうすると、この六日の予報というのは、台風予想位置というものは、七日の未明に遭難があったわけでありますので、非常に重要な予想位置であります。この予想位置がいまお話しのように西に非常に片寄っていたということになると、そうすると五日から六日にかけて遭難をした船がなぜ一体アグリガン島沖に停泊をしにきたのかという問題があります。ここに私はその当時遭難をした漁船がどこの場所にいたかというようなことがこの対策本部、特に焼津の無線に入って掌握したものを行動的にとったのがあるわけです。遭難をした第三永盛丸などは硫黄島という島に実はいたわけでありますが、これがだんだんとアグリガン島のほうに近づいてきたわけであります。これは四日の七時ごろには硫黄島にいたものが今度六日の七時にはアグリガン島のところにきているわけであります。あるいはまた第八海竜丸というのは、これまた非常にアグリガン島よりも西にいたのがだんだんとアグリガン島の付近にきて遭難した、全部の船が。一番早いのは十月の五日、そのほかの船は十月の六日の早朝から夕方までにかけて全部アグリガン島のところに集まってきているわけであります。そうすると、これはいまお話のあったように六日の台風予想の位置が非常に西に片寄っていたということと関係があって、このアグリガン島沖に避難をすれば安全だろうというような予想のもとに私たちはここに集まってきたと思うのでありますが、これについては一体気象庁の長官はどういうふうに考えておられるのか、この関係についてはっきりさせていただきたいと思うわけです。
  126. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 気象庁といたしましては、その漁船の行動についてははっきりした資料がございませんので、それとこれと直接関係を結びつけるということは気象庁としては困難でございます。気象庁として発表いたしましたその台風の進路のうちで、アグリガン島のほうへ向かっているものは五日の二十一時の台風の位置を基準にしました台風の進路予想から以後、その二十一時、三時、九時、十二時、その四つはアグリガン島が台風進路の扇型の中に入っております。ただ、先ほど申しましたように十五時と十八時だけがアグリガン島のちょっと西のほうに向いていたのでございます。それからなお、先ほど申しました五日の二十一時よりも前の台風の位置に対しての台風予想は、それから二十四時間後には台風はまだアグリガン島に達していないような状態でございましたので、五日の二十一時前に発表いたしましたものについては、二十四時間後の予想はなんともわからないということでございます。なお、この西寄りに傾いていたということにつきましては、なんとも現在の観測体制及び現在の台風予報技術水準からはどうにもできなかったことでございまして、われわれとしてはたいへん残念に思っておりますが、技術の限界以上のことだと実は考えておる次第でございます。
  127. 松永忠二

    松永忠二君 余分なことを言わないで、私の聞いたことだけひとつ答えてください。まず、六日のつまり台風予想の位置、これはこの前も話したとおり何度から何度までというこの予想の位置ですね。この位置は西に片寄っていたのかいないのかということを私はまず聞きたいわけです。
  128. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 先ほど申しましたように、アグリガン島よりも西に傾き過ぎておりました。したがって、アグリガン島はその扇型の中には入っておりません。
  129. 松永忠二

    松永忠二君 それならば、その台風予想、このことを聞いて、六日の日に放送された台風予想の位置を聞いて、そしてアグリガン島よりもはるか離れていた漁船がアグリガン島へ全部集まってきたということと関係があるのかないのか、この点はどういうふうにそれを考えているのかということを、わからないならわからない、こうならこうだと考えるということをお聞きしたいわけです。
  130. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 先ほども申しましたように、漁船の行動については気象庁のほうでは詳細に把握しておりませんので、なぜアグリガソ島へ漁船が集まってきたのかということは気象庁としてはわかりません。
  131. 松永忠二

    松永忠二君 その関係について明らかに検討して、この次の機会にそれをしっかり答弁をしてくれという要求をこの前したわけです。これについては、総理府の副長官がそこにおられて、この点を明確に答弁をしてもらいたいということを要求をして、検討をして話しましょうという話になったわけであります。運輸大臣はおりませんでした。ここにいる農林政務次官はいたわけであります。この関係一体どういうふうに判断をするのか。この判断がなければ、漁船が遭難をした原因の一つがどこにあるかということを明らかにすることはできないと思うわけなんです。この点については、水産庁は、この漁船の位置をいつどこにあって、いつアグリガン島沖に入ってきたかということを明確にしていると思うわけでありますが、それと一体台風予想が六日の日に西に片寄っていたこととどういう関係があると判断をされておるのか、水産庁長官にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  132. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 私、生産部長でございます。かわりましてお答えいたします。漁船の行動につきまして、私どもとしまして、現在カツオ・マグロ漁船に関して、毎日の行動を報告するというような制度はとっておりませんので、その地点へどういう経路をたどっていったかということは、自後に報告を聞いてわかった程度でございます。当日の模様につきましても、実際に漁船が与えられた台風の情報に基づいてなぜ災害を受けた地位に至ったかという詳細につきましては、個個の漁船によってそれぞれ判断が異なるようでございまして、私どもとしまして、その点そこにどういう関連があるのかという点については、調査を県から報告を聞きましたけれども、十分関連づけられたような報告は得られなかった次第でございます。
  133. 松永忠二

    松永忠二君 それではだれが一体そういうことについて答弁ができるのですか。漁船がどこの位置にいたのか、どういう理由でそこへ来たのか、何もわからない。さっき話をしたように、この位置にいれば遭難はしないと思われる場所から全部集まってきているわけです。六日の日に全部集まってきているわけです。だから六日にどういうわけで遭難の一番ひどかったアグリガン島沖に船が集まってきたのか、それと気象の西に片寄った予想というものと一体どういう関係があるのかというようなことを考えたこともないというようなお話では、これはこの遭難の問題について原因を明確にいたしましょうと、そういう政府の責任はどこが一体とってくれるのですか。だれでもいいから、そこの大臣を含めてひとつその点について御答弁をしてください。
  134. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 当日の漁船の行動なり、それから気象台のほうでお出しになりました台風の予報については、事実を調査いたしております。ただし、その間漁船がどういう判断でそういう行動をしたかという点については、調査を県のほうから報告を聞きましたけれども、その点は、残存者も少ないので非常に不明だということ以上に、現在の段階ではお答えする資料を持っておらないわけでございます。
  135. 松永忠二

    松永忠二君 あなた無責任なことをこの場で言ってもらっては困りますよ。一体遭難の原因というものが、漁船がなぜここに集まってきたかということが追及ができなくて遭難の原因を究明することができますか、ひとつその点をお聞かせください。
  136. 亀長友義

    説明員亀長友義君) その点につきましては、台風予報の問題なり、それから漁船の常識的にとられる行動、あるいはその地点に、実際に船長がどういう判断をしたかということが総合的にわかりましてからでないと、私どもとして、その間の関連性の追及は困難であろうかと考えております。
  137. 松永忠二

    松永忠二君 遭難をしてから幾日たちますか。そんなことを明確にできないで一体原因をはっきりさせることができますか。直接の水産庁が原因を明確にしてその把握をしなくて一体だれがそういうことをやってくれるのですか。副長官が見えたようですがね、一体水産庁はどうして原因を突き詰めるつもりですか。原因を突き詰める努力をしているのですか。いまわかったところは、どういうところに原因があるというような判断をしておるのですか。
  138. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 現在調査の結果が出てはっきり申し上げられることは、客観的に気象台から予報された予報の内容及び漁船のとられた航跡図でその地点は通信その他によって明らかでございますし、また、これを現認したものもあります。そういう資料を収集して事故のあった地点、あるいは事故当時の気象状況というものは明らかになっております。ただし、その間の関連性につきまして、個々の漁船が行動した動機と申しますか、内容と申しますか、その点につきましては調査がまだ不十分な段階でございます。もちろん、われわれとしましてそういうものをなおざりにするつもりは毛頭ございませんので、県その他と打ち合わせてできるだけの調査はして、原因はできるだけ早く明らかにしたいとは考えておりますが、現在の段階では、いままで申し上げましたような程度にしか、遺憾ながら調査ができておらない実情でございます。
  139. 松永忠二

    松永忠二君 その点は、いまごろそんなことを言っていたんでは、実際問題として、政府が一体今後の対策をどれだけやっていこうかということについて熱意があるという判断はできません。現在、遭難をした船がどういう位置にいて、どういうところへ来たかということもわからなくて、しかも、気象の予報というものとこれとがどういう関連性があるかということも検討をしない、後刻調べましょう、なぞというような言い方をしていて、一体この遭難を受けた人たちに対して、また遭難を受けたために非常に窮迫している家族などに対して、私はそういう言い方をしては申しわけないと思うのです。この前おりました総理府の副長官にこの点を答弁をしてくれといって、あなたはそれを約束をされたわけですがね。いま気象庁の長官が、六日に台風の予想位置を通報したのは西に傾いていたということを言ったわけなんです。この前もそういうことをただはっきりでなしにいろいろなことを言って、二回ほどずれていたという話があったわけでありますけれども、遭難の前日に、台風を予想した位置を通報したけれども、それが非常に西に傾いていた。それで同時に、五日から六日にかけて原位置におれば遭難をしなかったと思われるような位置にいたわけであります。これはもう第十一弁天丸であるとか第三永盛丸であるとか第八海竜丸などというのは、アグリガン島よりずっと離れた場所に操業をしていたわけでありますが、いま申しましたように、十月五日から六日にかけて全部この船がアグリガン島の沖に停舶をしてきたわけであります。そのほかの船も実はアグリガン島よりもほかのところにいたのでありますが、それが全部ここに集まってきた。どういうわけで、この前水産庁長官が、この漁場はこの漁民の人たちのほとんど庭先と考えた、開拓をした自分たちの漁場であって、全くいろいろ周知をしている海域だというお話があったわけでありますが、そういう海域に操業をしていたものが、一体どういうわけでこの五日から六日の間にアグリガン島沖に集まったのか、それと六日の台風の予想位置が西に傾いていたということとどういう関係があるかということをひとつ御説明いただきたい。これについては、十分検討して御説明いたしましょう、というお話をあなたは申されたわけですが、どういう一体結論が出ましたか。それをお聞かせいただきたいと思う。
  140. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) たいへんおくれまして申しわけございません。今回の遭難の原因につきましては、これは非常に重大な問題であることは申すまでもございません。私どもは、究極的には海難審判庁が詳細にあらゆるデータを集めて調査されることになると思います。で、先生の前回の御質問——西に片寄っておったのが実際は東にもっと来た、したがって、船がそこへ集まって遭難を受けたんじゃないかというような御質問があったと思います。私、もちろん気象の専門家でもございませんし、いろいろ私どものほうの連絡協議会では議論をいたしておるわけでございますが、その点につきましては、気象庁のほうからお答えを申し上げようというふうに前回の委員会ではなっておったと思いますが、本日あるいは申し上げたのでございましょうか、まだかもしれませんが、その辺ちょっと、私おくれて参りましたのでわかりませんが、気象庁のほうで……、その点前回の先生の御質問では、どのように予報を出し、そしてそのときどういうふうになっておったか、そういう点を詳細に説明をせよと、こういうことでございまして、その点について、気象庁のほうから御説明を申し上げましょう、というようなことになっておったかと思うのです。
  141. 松永忠二

    松永忠二君 その関係を気象庁のほうから説明をさせるということになっていたというお話ですか。それじゃ、それを気象庁のほうからお話を聞きます。
  142. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) これは、私どものほうでまだはっきりつかんでおりません。いま気象庁のほうに伺ってみますと、その当時の予報の状況、それからまた台風現実に歩いた状況につきましては、気象庁のほうからお答えしたということでございます。私、途中で参りまして、その点聞いておりません。これがどのようにして船の転覆になったかということにつきましては、私どものほうで、今日までの段階ではお答えを申し上げるような段階になっていません。
  143. 松永忠二

    松永忠二君 この台風の予想位置などは御説明を聞かないでも、この前この問題をやったわけです。そういうことから、西に片寄っていたということと、その予想位置を聞いている六日の日にアグリガン島沖に来たことと一体どういう関係があるのかということを検討してもらいたいし、それを明確に話してもらいたいといってお願いをしたわけですが、この関係については、一体いつだれが説明をしてくれるのですか。また、政府はいつそれを明らかに言えるのですか。
  144. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 私先ほど申し上げましたように、この海難の原因につきましての究明については、私はこれは海難審判庁が最終的にはやることになると存じます。私どものほうといたしましては、当面の諸対策ということに重点を置いていろいろ連絡協議会としてはやらせていただいておるということでございます。ただ、私どものほうでどのような——先生の御質問に直ちにお答えになるかどうかは別といたしまして、大体どうして起こったのだろうかという状況につきましては一応の検討をいたしておりますが、ほんとうにこれが原因であるというような問題になりますと、これは非常に重大な問題でございますし、責任のある問題でございますので、専門の官庁で十分調べた上でないとお答えができないと思います。で、一応どういう状況であっただろうかというような点につきましては、やや常識的な線でございますけれども、私ども静岡県なり、漁業組合の皆さんなり、また海上保安庁あるいは水産庁等の意見を総合いたしますると、非常に急速に気圧が下がった。これは気象庁から先ほど御説明があったと思いまするが、ちょっと例を見ないような異常なスピードで気圧が下がって、九百十五ミリバールぐらいまで下がった。気圧計でもはかれないようなところまできたというようなことをおっしゃっておる向きもあるようですが、その問題と、台風の方向がかなりジグザグなコースをとった、こういうことが非常に常識的な、私どもがいま大体こういうことではなかっただろうかといっている結論でございまして、私どものほうの協議会といたしましては、むしろただいままでは捜索と、それからさらに自後の対策ということに実は重点を置いてやっておるような次第でございます。
  145. 松永忠二

    松永忠二君 前日の台風の予想が西に片寄っていたということについては検討をしたのですか、しなかったのですか。
  146. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 気象庁の予報が西のほうへ片寄っておったということにつきましては、私ども承知しておりますが、なぜそういうふうになったかというような点につきましては、気象庁  のほうから御答弁をさせていただきたいと思います。
  147. 松永忠二

    松永忠二君 私は、西に片寄っていたということがわかっていたらば、西に片寄っていたということと、遭難と、漁船がそこに集まったことと関係があるかないかということは、その次の段階として検討さるべき性質のものだと思うので、これは全然検討しなかったということなのですか。したけれども結論は出なかったのですか。検討はしたのですか。西に片寄ったということをあなたおっしゃった。予想位置が西に片寄っていたということ、そのことは明確だ、そのことは話したけれども、それと、そこに漁船がアグリガン島に集まったということと関係が、どういう関係にあるかということは検討しなかったというのですか、どうなんですか。
  148. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 常識的にどういうふうであったかということと、事故の原因がはっきり明確にどうであったかということは、区別して考えるべきだと私どもは思っております。したがいまして、今回の事故、非常に大きな結果をもたらしておるわけであります。この事故の原因につきましては、あらゆる角度から専門的に調べなければ、どうであるという判断を下すわけにはまいらないと、かように考えておりまして、私どもの連絡協議会として、協議会自体でそこまで、技術的な点まで全部検討して原因の究明をするというふうには実は考えておりませんので、これは専門の海難審判庁のほうで十分科学的に調査をしていただかなければならないと、かように考えておる次第でございます。
  149. 松永忠二

    松永忠二君 まあどういうわけで、遭難の原因はどこにあるかということを検討したいし、そういうことを明らかにして、対策は十分にやりたいということが政府の態度であったわけです。そうなってくると、いま台風は急激に発展をしたということ、また台風の進路が非常にジグザグであったということと遭難とは関係があるのではないかという判断もされているわけです。そうなってくると、遭難した前日の台風の予想の位置が非常に西に片寄っていた、そういう事実がはっきり、いま言うとおり連絡協議会で話し合いがされ確認されたとするならば、これと一体その台風で遭難した漁船の避難した方向とどういう関連があるだろうかということを当然検討されてしかるべきものだと私は思うんです。私の言っているのは、それが遭難の原因だということを明確にいえと言っているのではなくて、この関係検討すべき性質のものだというふうに私たちは思うんですが、この点の検討を要しないと思っているのか、そういうことはどういうふうに考えているんですか。
  150. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 私が先ほど台風の方向について、気圧の問題とあわせて、非常に進路がジグザグと申しましたことは、結局予報ではもっと西に向かうというものが北のほうに向かったということがあるものでございますから、そういう点がいま考えられるのではないかというふうに、実は何といいましょうか、非常に専門的な考え方ではございませんけれども、そういう意味で西寄りとおっしゃいますけれども、西寄りというよりは、西のほうに向かうのが北のほうに急激に変わっておるというようなことが原因ではなかろうかというようなところまでの検討はいたしたと、こういう意味で、先ほどジグザグというような、方向につきましてはかなり急カーブで非常に変わっておりますから、そういうことを申し上げたような次第でございます。
  151. 松永忠二

    松永忠二君 私は、それだけの検討がなされれば、当然この台風予想の位置というものと関係づけて一応検討されるということは当然のことだと思うわけです。そうすると、この問題については、審判が明確になってから、それを待ってその原因を突き詰めるというつもりなんですか。それとも事前にそういう問題について政府として知り得る、いわゆる検討し得る限界というものを明確にして一応原因の把握をされるということを、政府としてされる気持ちがあるのか。それともこれは審判を受けて、その結果に基づいてでなければ、政府としては見解を出されないということなのか、その点はどうなんですか。
  152. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) これは対策がいろいろあるわけでございます。たとえば遺家族に対してどういうふうな処遇をするといったような問題、あるいは漁船に対してどうするかというような問題もあり、たくさんの項目がございますが、これらの対策によっては、詳細な原因を究明しなければできないというものばかりではございませんので、むしろそうでなくて対策を立て得るものが実はたくさんあると思います。したがいまして、そういう対策につきましては、どんどん立ててまいらなければならないと、こう考えて、せっかくいまいろいろやっておるようなわけでございます。ただ厳重な、科学的な原因はどうだ、また、それがわかった暁においては、さらに何かしなければならぬかどうかという問題は別にあろうかと思いますが、当面やらなければならない問題は、科学的な詳細な権威のある原因探究が必ずなされなければ何もできないという性格のものではない、かように考えておるようなわけでございます。
  153. 松永忠二

    松永忠二君 私は、あなたとは見解を異にするわけですが、もちろん審判を受けて明確にするということと、政府が持っておる関係の機関、連絡協議会などというものを設けて、関係機関と協議をして、政府の考えておるのはこういうところに欠陥があったのではないか、こういうふうなところに大きな原因があったのではないかというような判断を政府として出すということはこれは当然のことだと思うんです。
  154. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) たとえて申しますれば、この地域の気象観測のいろいろな情報が足りないんではないか、足りなかったことが直接の何か知らぬが原因ではないかということにつきましては、これはもうそういう点は十分反省し、これに対する対策を立てなければならない、あるいは事後の対策として、これは原因とは関係はございませんけれどもあとの問題ではございますが、たとえば巡視船艇が非常に微力である、あるいは航空機を持っておらない——こういうことが被害をもっと小さくできるかもしれない、そういう点については不十分な点がある、こういう点についての対策も立てなければならない、こういうような点につきましては、これはもう十分わかっているわけでございます。いまおっしゃっておりますものは、どのケースの場合をおっしゃっているのかどうもよくわからないのでありますが、私どもといたしましては、いまいろいろわかっている範囲における対策というものにつきましては、いろいろ協議をいたしているような次第でございます。
  155. 松永忠二

    松永忠二君 やはりこのわかり得る原因というものを突きとめて、そうしてその原因の上に立って対策をするということはあたりまえであって、あなたのお話によると、原因はわからなくても、できることはやっていくというお話だけれども、いわゆるどこに一番欠陥があったのかということがわからなければ十分な対策が打てないということは、これはあたりまえのことと思う。いまお話しのように、気象観測が不備であったということと、それとの関係はあるということは、遭難も関連はあるという判断をするからこそ、この際観測については対策を明確にしていこうという判断が出てくると思う。したがって、私は観測というものが、一体この前日のとにかく予想位置というものが、大きく漁船の進路に影響を及ぼしたであろうというような考え方をかりに持つとすれば、ますますその予報について的確性を持つような努力を政府としてやっていかねば、前もって判断できない事故ということが出てくると思う。そういう意味で私は、やはり可能な努力をして原因を政府として明らかにする、そうして紛争の問題とか、あるいはその他科学的に検討を要する問題については、捜査機関にゆだねていくとしても、やはりそういう点について、政府の一応の見解というものは海事審判の出ない先において、やはり政府として明らかにしておく必要があるんじゃないかということを申し上げているわけです。
  156. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) お話はよくわかりました。対策は、いまの科学的なあるいは詳細な原因がわからなくても、こういう点がどうも不十分であったんじゃないか、悪かったんじゃないかということになれば、それよりももっと悪いという点、これに対して対策を立てるということじゃないかと思うのです。したがって、この地域における気象観測といったようなものについては、ほんとうにぎりぎりの原因はどうであろうか、とにかく、そういう点についての対策至急に立てなければならない、こういう意味におきまして、ある程度までの原因についての究明は、先ほど申し上げましたようにいたしました。それに応ずる対策ということで立てているわけでございます。で、いま私が多少この御質問との間に食い違いが起こりましたようなことは、いわゆる法律的な、最終的な原因はどうかというような点につきましては、先ほどで申し上げましたように、非常に重大な問題であるということを申し上げている、対策を立てるのには、大体悪いほうの場合を考えてそれに応じた対策を立てるべきじゃないか、かように考えておりまので、今後気象の通報の問題とか、あるいは予報の精度の向上の問題とか、あるいは、先ほど申し上げました救難体制の問題とか、そういった各般の問題については対策を進めていく、こういうことにいたしておるようなわけでございます。
  157. 松永忠二

    松永忠二君 これは気象庁の長官に聞くのですが、現在の気象の観測の状況では、この程度の正確の予報を出すというようなこと以外には、その方法がないというふうに私たちは思うのですが、この点は気象庁として、どういうふうに考えておられますか。
  158. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) おっしゃるとおりでございまして、特にマリアナ海域、南方海域は非常に観測点が少ないということが一つございます。それからもう一つは、あの辺では、実は少し専門的になって恐縮でございますが、一般流と申しまして、空気の流れの、いわゆる気流でございますが、この気流が非常に流れが弱いところでございまして、そういうような程度の、緯度の低いところの海面における、この台風の進路予報というものは非常にむずかしいのでございまして、先ほども少し申し上げましたように、そういった現在の観測体制と、台風予報の技術水準からは非常に困難なことでございます。技術的に困難でございます。
  159. 松永忠二

    松永忠二君 そこで運輸大臣にもお聞きをするわけですけれども、いまお話しのあったような、現在の気象観測の施設、設備の状況では、この程度の正確さを期するよりほかにはないということだと思うのです。この程度の、つまり先ほどからお話の中にあったように、この気象の予報なり、気象通報については、誤りはないというか、現状の状況の中では、これ以上のものを、正確を期するということはむずかしいというお話があったわけです。そうすると、逆に漁船というものは、この正確を期しがたい観測の通報以外には何ものもたよるべきものはないわけです。何ものもたよるべきものはない。そうなってくるとどうしても、ここで漁船の唯一のたよりにしている気象観測の通報が、いまより正確になるということについて、やらなければ今後も同じような遭難がまた起きるということを予想もすることができるわけなんです。こういう点について、運輸大臣はどういうふうな考え方を持っておられますか。
  160. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 松永委員のおっしゃられたとおりでございますけれども、私は、今度の事件を通して考えますときに、まず気象情報を把握する設備、それからこれを通報する、あるいは、これを船舶とか漁船が、これを受けるほうの装備等が、やはり完ぺきでないということは、いま皆さんがおっしゃったとおりでございます。私は、気象情報を把握する設備といたしましては、飛行機を使う、いままではアメリカのいわゆる軍の飛行機にたよっておるようなことでございますので、そういうことはやはり十分でございませんので、みずからの力で把握するような方向に設備を整えて、あるいは巡視艇とか巡視船等を、足の長い大きな船を用意しまして、そうして、いまマリアナ近海等には大体年間を通じますと、三、四千の漁船が出ておるというような実情でございますので、常時船を、台風の来るときなんということは前からわかっておりますので、船をその方面に配置しまして、定着させまして、そうして国内との通報等を向こうにこれを通じまして、それを直ちに漁船に知らせるとか、いろいろそういう、もっと行き履いた、一つの守っていく方法考えられると思いますので、そういうあらゆる点について万般の処置を早急に進めたい、かように考えておるわけでございます。
  161. 松永忠二

    松永忠二君 ちょっと、運輸大臣はいろいろ具体的なものをやって、気象観測の予報について正確を期して、漁船に対して不安を取り除いていきたいという、こういうかたい決意を持っておられるのですか、もう一度。
  162. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) そのとおりでございます。
  163. 松永忠二

    松永忠二君 そうなってくると、実はいままでやらなければできないことばたくさんあった、いままで。まあいまお話のあったようなことについても、もうすでにこれは累次の災害等においても、こういう必要性を強調されてきたわけでありますが、特に、一体運輸大臣は、このアメリカの飛行機の観測を日本が利用できるということについては、日米行政協定の第八条に基づいて、協定事項としてできているわけなんです。これについて、この前にも私はお聞きをして答弁をしていただきたいと、こう言ったのは、一体米軍の観測機が日本に通報する義務というものを、義務づけるような交渉をやったことがあるのかどうか。それからまたもう一つは、これはもうこの漁業の関係の大会では、たびたび漁業基地というものをつくってもらいたいということを、大会として決定をしておるわけです。一体漁業基地をつくるということについて、アメリカとは交渉したことがあるのかどうか。また、この緊急入域といって緊急に避難をするということについても、非常にやかましいのだ、米軍が管理をして。そのために緊急の入域の場合でも、経路をとって明確に入っていくのにはやはり半日を要する。そうしてまた、まあもし間違って緊急入域をして、アメリカがこれは適当でないということになれば、これは処分を受けるということになるわけです。したがって、この緊急入域について、もっと簡単な方法で緊急入域のできるような方法を講じてもらいたいということは、数次にわたって、こういう関係者の強い要望だったわけです。こういう三つのことについて、一体アメリカ側と一回でも交渉したことがあるのかどうなのか。これをまず運輸大臣からひとつお聞かせをいただきたい。
  164. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) アメリカの飛行機による情報をこちらに通報してもらうということは、最初は約束をしておるわけです。その後はことさらにやったということはないと思うのですけれども……。  それから緊急の場合、台風等の場合は、何らの制約も受けないので直ちにやはり利用できることになっております。
  165. 松永忠二

    松永忠二君 私の聞いたことをお答えください。一体漁業基地を交渉したことがあるのかどうか。漁業基地をほしいということを交渉したことがあるのかないのか。
  166. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 漁業基地のほうは農林省の所管でございますから、運輸省のほうでございません。
  167. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 漁業基地と申しましても、常時利用できる緊急避難港的な意味での漁業基地の設置の要望が、われわれに対して業界からしばしばございます。これにつきましては、御承知のように、マリアナ地区におきましては利用できる可能性のある場所は三カ所しかございませんので、それらはいずれもアメリカ側で軍用に供されているような事情もございまして、私どもとしては、緊急避難の場合の緊急入域を認められるよう交渉してきておりまして、従来も緊急避難として漁業無線局、海上保安庁を通じて交渉すれば、拒否されたという例は少ないのでございます。また、若干時日の点について御指摘がございましたけれども、最近は非常に敏速化されてきております。もちろん、恒急的に緊急避難港として何らの了承なく入るということは、国際法上のたてまえもむずかしいかと思いますけれども、でき得べくんば、漁船とその避難しようとする港を管轄する責任者との直接交信か、何らかの方法がとられれば、はるかに便利であるという考えを持っておりますので、今後はそういう面での交渉を続けてまいりたいと思っておりますが、従来も、保安庁を通じての連絡方法で相当な実績もございますし、断わるという場合はまずまずございませんので、実際上従来はそれで大体用が足りてきたという実情にございましたので、恒久的な基地設定の交渉はいたしておりませんけれども、今回の事件を契機といたしまして、さような要望が非常に強うございますので、でき得べくんば、直接交信か何らかの方法でできるようなことを交渉いたしたいと目下検討中でございます。
  168. 松永忠二

    松永忠二君 漁業基地を交渉したことがあるのかないのか。
  169. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 漁業基地というおことばの意味になるのでございますけれども、あの地域でございますと、日本から非常に遠いところという、まあ全体の日本の漁船の進出しておる地域に比較すれば非常に遠いところというわけではございませんので、常時あそこで漁業基地という意味が持っておりますような油の補給であるとか、食糧の補給であるとか、燃料の補給であるとかいうような通常の——災害とかの場合を除きまして、通常の漁業の経済的な動きの範囲に関する限りは、必ずしも必要でないのじゃないか。もしそういうものが必要であるとすれば、もっと南方の地域でないかと、いまの漁船の実際の経営なり活動から見てかように考えております。むしろ常時簡単に避難できる港という意味で漁業基地ということばを使われておるように私ども承知いたしております。
  170. 松永忠二

    松永忠二君 それを交渉したことがあるのかないのか。
  171. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 御承知のように、このマリアナ地区の島は現在米国の管轄下にございますので、われわれとしましては、従来は緊急避難を中心として、緊急避難をできるだけ早く実現してもらうというふうなことで、そういう通常のルートとして漁船から保安庁を通じて米軍の許可を得て入域するということが従来交渉してきた内容でございます。
  172. 松永忠二

    松永忠二君 漁業基地をほしいという——あなたの言う避難港にしても、漁業基地をほしいという要望は、一体漁業関係者にはなかったのですかあったんですか。
  173. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 先ほど私が申し上げましたような、いわゆる漁業基地という意味ではなくて、緊急避難港という意味であったかと、かように考えております。ただ、現在の手続よりもできるだけもっと簡易化してもらいたいという要望は、従来から承知いたしております。たださっき申し上げましたような経済的な意味での漁業基地というふうな要望は、私どもなかったんじゃないかと考えております。
  174. 松永忠二

    松永忠二君 なかったのではないかと思うというお話ですけれども、これは現地の漁協では、そういう要望を再々大会で決定しておる。それから緊急入域の問題については、もっと簡単にしなければできないということを考えておられるのか。また、いま言うとおり、避難港については、避難港を必要としてどうしてもこれを解決していかなければならないと考えておるのか、できるだけ努力をしたいというのか、どうしても解決をしていきたいと考えておるのかどうか、それをひとつお答えください。
  175. 亀長友義

    説明員亀長友義君) 現在の制度でも、これはとにかく若干の時間を要することは事実でございます。私どもとしては、もちろんこれは米国側との交渉によるわけでございますけれども、できるだけ早く簡単な緊急避難ができ得るように努力をしてまいりたいと考えております。
  176. 松永忠二

    松永忠二君 一つ運輸大臣に聞くのは、米軍の観測機の通報を義務づける、あるいは回数を多くするということについて、運輸省としては交渉したことがあるのかないのか。また交渉しようとするのかどうか。
  177. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員から答弁させます。
  178. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 私からお答え申し上げます。米軍の飛行機の一日四回の観測を増加してくれということは、従来アメリカのほうとは話し合っておりません。話し合ったことはございません。
  179. 松永忠二

    松永忠二君 実はさっきの副長官のお話のとおりに、予想し得るいろいろなことを考えてこれから努力をしていく、また、いままでの観測について、その体制に不備があった、充実をしなければいけない点があったというお話もされたわけです。それはそのとおりだと思うんですが、そういうことについて、それじゃどれだけ具体的に日本政府がやってきたのかということになると、まだ、日米行政協定で日本の義務は非常にきびしいけれども、アメリカのそういう観測の報告の義務づけという交渉をしたことはない、また漁業避難港というのは、具体的に漁業避難港をほしいということをいって要求したことはない、これからは要求をしたいと思っている、あるいは緊急入域についてはもっと簡単にしたいと思って話をしていたというお話があったわけです。緊急入域についても、現状はそんなに簡単ではなくして現在でも半日を要する、もしも現実にもう危険だということで中へ入ったという場合において、もしその判断がアメリカのほうと違うということになれば、アメリカから処置を受けるということになっているので、うっかり中へは入れない。事実上これの管理を米軍がしておりまして、なかなかやかましいという現在の状態、したがって、こういう点について、従来交渉をしたということも、いついつ一体交渉をしたのかという時日を明確にすることはできないわけです。こういうことについて、この際やはり一歩進んで漁業避難港を設けることを要求をする、あるいはかつては日本は測候所を三つ持っていたわけだから、無人島もあることであるから、こういう点について観測のための島を借り受ける、あるいはまた緊急入域について、もっと簡単に緊急入域できる方法についてアメリカ側と協議をする、あるいは直ちに日本の飛行機をもって観測をすることができるという——すぐに明日からということにいかないのだから、観測については、米軍の好意にたよるだけじゃなくて、回数とか義務づけるという問題について交渉をしていきたい、こういう具体的な決意が、一体関係大臣にあるのかどうなのか、また、この対策協議会の議長である総理府総務長官として、こういう問題についてやはり米軍との間に交渉していこうという決意と予定を持っておられるのかどうか、この点をひとつお答えをいただきたいわけです。
  180. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 初めて御答弁いたしますが、重複したこともあるし、いままでいろいろと話し済みだと思います。われわれ、今度の遭難にあたりまして、救助を中心とした対策本部をつくりまして、その善後策の処置に全力を尽くしてまいった次第でございます。しかし、その過程におきまして、いま御指摘のように気象通報等が現状のままで決して安全だといいますか、満足だという状況でないということは、いろいろの方面から指摘も出ております。したがって、そういう方面につきましては、今後さらにそれぞれの官庁と相談をいたしまして、より強いより有効な通報施設あるいはそのあり方、また必要に応じては米側と交渉をやるというようなことを、これから進めていきたいと思っておる次第でございます。
  181. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 米軍の飛行機による気象条件通報は、これはいまの段階では義務づけるということはむずかしいと思います。アメリカのやはり日本に対する協力によって約束をして行なっておる実態なのでありますので、いまの段階では、これを向こうに義務づけるというようなことはむずかしいと思います。
  182. 松永忠二

    松永忠二君 協力を明らかにするということはできないんですか。協力をしてもらうということについて明らかにしておく、現に、ある日には一日中全然観測機から通報はないわけです。だから、この行政協定の細目を改めるという、こういう必要は私たちはあると思うわけだが、細目を改めないとしても、この点について、やはりただ好意で向こうから言ってくるということじゃなくて、この点についてやはり話し合いをして、義務づけということばが悪ければ、その好意の回数とか、そういう問題について明確にしていくという、こういう用意があるのかどうなのか。これはアメリカがやっているからしかたがないという、こういう考え方なのか。行政協定は、この前申し上げたんだが、日本のアメリカ側に対する義務というのは非常にたくさんある。アメリカ側が日本に対しての義務づけというのは何にもなくて、ただ好意的にそれを通報するというだけなんです。だから日本も行政協定でこれだけの義務づけがある以上、アメリカ側としても、特にこの地域というのは単に日本の漁船だけじゃなくて、この南太平洋を航行する船舶というものについてはやはり通報というものが相当大きな影響を及ぼしてくることは事実だから、こういう点については、むしろアメリカも積極的にこれをやることのほうが、アメリカにとっても非常に広くアジアの人たちに喜ばれる施策ではないかということさえいわれているわけです。だから、こういう点について具体的に運輸大臣としては、アメリカ側と今度の遭難を機会に、今後それを除去するために具体的に話し合いをしていく、あなたの所管の問題について話し合いをしていくということは考えていられるのか。初めからもうこれはだめだというふうに捨てて考えているのか。何か具体的なもっと日本が観測の整備するまで、アメリカ側に対して協力を求める具体的な話し合いをもっていこうという、そういう用意があるのかないのかということを、私は聞いているわけです。
  183. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) その点につきましては、アメリカ側ときちんとした話し合いをして、通報するということになっておるのであります、現在でも。詳しいことは気象庁長官から……。
  184. 松永忠二

    松永忠二君 そんなことはないですよ。行政協定の中にはそういうことは明らかになってないんです。だから横田にいたときと、グアム島にいたときと全く回数が違っている。だから義務づけじゃなくて、向こうの好意によるということに規定されている。したがって、向こうが観測をしたときには必ずこちらのほうへひとつ結果を通報してもらいたいということを話し合いをするとか、気象観測については、やはりそのレーダー基地なり、あるいはまた、こうした問題について、戦前日本の国がそこに持っていたわけだから、戦前日本の国が持っていて、その地域で漁業をやっていたわけだけれども、いまや南洋の委任統治がなくなってしまっておる今日でも、なおかつ、日本の漁業はそこで行なわれている。こういう点についてアメリカの協力を求めていく、所管のことについて話し合いをしていくのかいかないのか、そんなことはもう話し合いする余地はないというふうなお考えになっているのか、この点をひとつお聞かせをいただきたいと思うわけです。
  185. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 仰せられましたようないろいろの問題につきましては、できるだけアメリカの協力を得るように話し合いもしていきたいし、つとめてまいりたいと思っております。
  186. 松永忠二

    松永忠二君 総理府長官もそういうお話をされた。アメリカ側との話し合いをすると、また運輸大臣もそういう点については努力すると、直ちに日本の国が整備をするといってみたところが、予算措置をもってやっていかなければできない段階の中で、しかも、それで直ちに完全にできるという筋合いのものではない。やはり米側の協力を求めるということがぜひとも必要だということを私は考える。ただ口先でここで御答弁があるだけじゃなくて、現実にどういったときにどういう方法でどういう話がされたのか、今後私たちが十分伺えるようにひとつ、お忙しいでしょうが、御努力をいただきたいということをお願いするわけであります。そして特に運輸大臣には、定点観測船の問題、それからまた、この日本の飛行機による観測という問題については、防衛庁なんかと相談をして、事実上アメリカの飛行機でない日本の飛行機で観測する方向にとにかく踏み切っていくという、そういう決意をもっておられるのか。定点観測船については、何が何でもこの際ひとつ実現をはかっていく、まだそのほか小さい問題については、ここに運輸省のこの前資料提出された中に出ていますけれども、最も大きなおもなる問題点については、定点観測船についてどうしても明年度、この説明では、債務負担行為によってこれをやりたいというようなことが具体的に出ているが、これはただ考え方じゃなくて、事実上この国庫債務負担行為に基づいて、そうして計画を実行に移していく、明年度ですね。そういう決意があるか。それから飛行機の観測についてはどういう方法で、いつ実現をはかっていくかということについてお考えを持っておられるか、この点ひとつお伺いしたい。
  187. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 定点観測船につきましては、明年度予算を獲得してぜひ設備したいと思って追加要求をいたしているような次第でございます。  飛行機による気象観測は、これもやはりどうしてもアメリカのものだけにたよっているのではだめでございますので、日本国の飛行機設備によって観測をする、こういう方向で、これはおっしゃるように、一年やそこらで簡単にできるとは思いませんけれども計画を立てまして、ぜひその段階に進めてまいりたいという方向でいま進めているわけでございます。
  188. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ、実は対策についてもう少しお聞きをしたいんですけれども、だいぶもう時間もおそくなりましたので、この点については、関係の省の人と具体的にまた御相談することにしたいと思うんですけれども、そこでひとつ総理府長官、先ほどのお話によりますと、とにかく遭難漁船の救助の対策中心であって、その後出てくる家族の対策の問題とか、あるいは基本的な問題についても順次話し合いができている段階だというお話です。そこで、私たちがここでひとつ考えていかなければいけないことは、地上の災害については災害救助法というものがあるわけです。そうしてこれが発動されれば救助が行なわれて、国と市町村の負担というものがおのずからそこに区分けが出てくるし、また非常に激甚の場合には、先ほどの話の出てきているように、激甚災害の指定もあれば、激甚地の指定も行なわれて、補助の率も高率になるという措置が行なわれているわけです。ところが、この海難についてはそういうことがないわけです。そのために現実に困っているのは、たとえば遭難救助費の問題についても、一体これはどこから出していくのか、出す場所がないわけです。特別に予算化して要求をしていけば別でありますけれども、これについてはそういう措置がなされていないわけです。それでこの際、私たちの聞いたところでは、自民党のほうでも、この際災害救助法のような海難救助というようなものを考えて、立法的な措置もしていかなければできないんじゃないか。また、地元の各府県あるいは漁協等でも災害救助法に類するような立法をこの際考えてもらいたい、そういうことによって、総体的なひとつ海難救助対策というものを樹立してもらいたいという、こういう要求が出ているわけです。この点については総理府長官は、こうした問題についても今後協議会として取り上げて、関係の省の努力によって何とかこの際具体化してこの海難救助について法的な整備をしていきたいというお考えを持っておられるか。具体的に一つ一ついまある問題について、たとえば、その免税措置、税の減免等も災害関係では災害基本法に基づいて発動ができるわけです。ところが、今度の場合には、市町村や県はこの減免をやっても、国としては減免をやる問題はないわけです。だから、この点あたりも実は法律的に整備をしていかなければいけない問題が出てきているわけです。あるいは遭難積み立て金の免税措置というような問題についても、法的にこれは検討しなければいけないことがあるわけです。したがって、そうしたものを含めてこの際海難救助の、災害救助のようなものを立法し、検討して、具体化するという御決意があるかどうか、こういう点と関係の法律の中で改正を要するものがあれば、こういう点については、この際改正をしていきたいというような用意があるのか、実はこの点については、むしろあなたに御質問するというのはあるいは筋違いであるかもしれませんけれども、いまのところ協議会の議長であるし、関係のほうと協議をする責任の部署でもあるので、この際ひとつこの考え方について長官の御意見を、お考え方を聞きたいと思うわけです。
  189. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 御指摘のように、この海難救助法といったようなものが、こういう遭難の場合に適用されるようになっていかなければいかぬのじゃないかというお話でございます。これは御承知のとおり、領海内で起こりました場合には、海難救助法という適用がございますが、公海で起こった場合には、お話のとおり、いまはないわけであります。何ぶんにも広い海域、いろいろなケースで、どのような救助法をつくるかということについては、技術的にも非常にめんどうな問題が多いので、現在のところないのであります。しかし、この点はいまお話しのように、今後相当研究を要する問題であることは事実だろうと思います。ことに、このマリアナの遭難を契機にしまして、こういう問題につきましても、この対策協議会というものは当面の対策協議するということが主たる任務でございますが、これは政府全体の問題として今後私どももこれはぜひ検討をいたしていきたいと私思っておるわけであります。  それから、具体的に個々の海難については、いろいろ現段階でもでき得るものを検討いたしておる、これは地方団体だけでやるのでなくて、国も援助し得るものはできるだけ援助をやろう、あるいはまた、それによってどうしてもこれは不合理じゃないかというようなものについては、将来の法改正についても必要が起こればこれも検討していくつもりであります。また具体的に、現在どういう対策を立てておるかというものにつきましては、審議室長のほうから具体的に御報告させてもよろしいかと思います。
  190. 松永忠二

    松永忠二君 具体的にこまかいことはあとに聞くことにして、実は水難救助法という法律がある。これは明治のころのかな書きの法律がある。この水難救助法というものをあのままの法律で残しておくということはできない状況になっているので、この水難救助法というものをもっと拡大をしていけば、やはりちょうど河川法が古くて、そのために河川法が非常な努力でついにできたように、水難救助法などという何か聞いたこともないような法律が残存しているわけですから、これをひとつ検討して、具体的にこの際そういう点について政府の責任を果たしていくという、そういう決意を持っていただきたいと思うのですが、再度この点についてお聞かせをいただきたい。
  191. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは御承知のとおり運輸大臣の所管でございますが、幸いにして運輸大臣もお見えになっておりますので、確かに古い法律であることはおっしゃるとおりでございます。私どもも直接の責任者ではございませんが、よく相談をして、そういった方向に運輸省でやっていただくことを期待いたしたいと思います。
  192. 松永忠二

    松永忠二君 じゃ運輸大臣ひとつ。
  193. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) できるだけ万般の措置をいたしまして、今後の災害の場合も、被災者のために手厚い待遇の措置ができますようにやりたいと思います。
  194. 松永忠二

    松永忠二君 関係の方から、アメリカとの間にもう具体的に協議をしていこうというお話もある、また気象観測については、具体的に明年度定点観測船をつくっていくということがある、まあ少し私は、農林省の関係についてはやや不満でありますけれども、もう少し、きょうは責任の方もおらないので、あまりそういう点を追い詰めるということもできないと思うわけでありますけれども、私は、所管は運輸省が——水難でありましょうけれども、やはりこれを海難にしていくということになれば、当然農林省に関係のあることであり、また全体の問題としては総理府とも関係のあることであるので、ただ、ここで一通り申されただけでは困るので、具体的にひとつ、われわれのほうとしてもこういう点については十分努力をし、また自民党、その他の政党とも相談をして、必要なものについては立法して、この際ひとつ今後の憂いを断つということで、そういう御決意をもって臨んでいかれるように、特に最後にお願いし、要望申し上げて、非常に長くなりましたので質問を終わりたいと思います。
  195. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、残余の質疑につきましては、次回の委員会に譲りたいと思います。  次回の委員会は十一月四日午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十七分散会      —————・—————