○武内五郎君 第三班について御
報告申し上げます。
第三班は、稲浦
理事と私の両名で九月三十日から十月四日まで五日間の
日程で新潟県、福井県及び岐阜県における
被害状況について
実情を
調査し、現地の方々に御見舞と激励を申し上げるとともに、切実な
要望を聴取してまいりました。以下、その概要を申し上げる次第であります。
まず第一日は、新潟県直江津市において
県下の
被害状況を聴取し、同市及び高田市の現地
調査をし、第二日目は名立町、能生町、糸魚川市及び青海町の現地
調査をいたし、第三日は福井県に入り、
交通途絶して孤立
状態にあった西谷村にヘリコプターで飛び、西谷村、大野市及び勝山市の現地を
調査いたしました。第四日は福井
県庁にて
県下の
被害状況を聴取して、今立町、敦賀市、三方町(高浜町、名田庄村、大飯町、上中町、美浜町、小浜町)等の
状況を聴取し、さらに現地の
調査をいたしました。その後岐阜県に入りまして、第五日目は岐阜県揖斐郡藤橋村、久瀬村、揖斐川町(根尾村、徳山町)の現地及び
被害状況を聴取いたしまして、全
日程を終了いたした次第であります。
今回の
災害をもたらしました
気象状況を見まするのに、新潟県においては、九月十七日、
台風二十四号の本州上陸後、
本県の南西部に小低気圧が発生し、その前から降っていた雨が
集中豪雨になり、
台風勢力がこの副低気圧に乗り移って
本県を
北上し、このため頸域、魚沼方面の
中小河川が急激に出水して各所に
はんらん、浸水を起こし、また
台風の
北上に伴って各地に
強風が吹き荒れたのでありますが、その瞬間風速は、新潟で三十七・六メートル、日雨量は高田で二百六十一ミリに達したのであります。福井県においては二十三
号台風が激烈な
強風となって吹き荒れたのでありますが、
前線活動によって
集中豪雨に変わり、岐阜県境、奥越地方では十四日から一日半のうちに未曽有の千四十四ミリの大雨をもたらし、ために
県下を縦断する真名川、九頭竜川の護岸
堤防は各所で
決壊し、特に大野市、勝山市、西谷村及び和泉村を含む奥越地方に壊滅的な打撃を与えております。さらに
台風二十四号が
県下全土に猛威をふるって嶺南、南越を中心に
災害をもたらしたのであります。二十三
号台風の瞬間風速は高浜町で四十八・六メートル、奥越
集中豪雨で西谷村の日雨量八百四十四ミリ、二十四
号台風では上中町の熊川の日雨量が四百ミリに達しております。岐阜県では、七月末以来
降雨がなく、干ばつの
被害が発生しておりましたが、九月十日に至って
台風二十三号は吹き荒れ、特に山間
地帯において百五十ミリをこえる雨量を伴って、その瞬間風速が三十二・六メートルに達したのでありまして、これに加えまして引き続く
台風二十四号、二十五号の影響によって、九月十四日夜半から西濃地域北部に
記録的な
集中豪雨があって、揖斐郡の徳山村において時間雨量が九十四ミリ、積算雨量九百五十二ミリに達し、局地的ではあるがきわめて甚大な
被害をもたらしておるのであります。
次に、
被害の
状況を申し上げますると、新潟県においては
死者行くえ不明八名、住家全壊
流失が九十七棟、
半壊十七棟、
床上浸水五千棟、
床下浸水八千棟であります。
被害総額は百九十一億円に上り、そのおもな
内訳は
土木関係では六十七億円、
農林関係では四十八億円、
農地関係で二十九億円、
商工関係で二十二億円、建物の
関係で十四億円等、その
災害のおそろしさを示しておるのであります。なお、農産物等の烈風の
被害は、全
県下にわたってきわめて深刻なものがございますが、
洪水を伴って生じた
被害は主として頸城、魚沼方面に起こり、
家屋の浸水、
道路、橋梁の破損
流失により孤立部落を生じ、また山地では地すべりの
被害を併発してきわめて深刻な
状態を呈しておるのであります。また
災害救助法の発動は高田市をはじめ六市町でありました。
さらに福井県におきましては、二十三
号台風、奥越
豪雨、二十四
号台風を合わせまして
死者が三十三人、
家屋全
半壊合わせて七千二百戸、一部破損が五万七千戸、
罹災者十八万二千人に上るおそるべき
状態を呈しておりました。また
被害総額は二百六十四億円で、そのおもな
内訳は
農林水産九十六億円、公共土木七十二億円、商工業四十五億円、
家屋四十三億円等であります。なお、
本県はわずか一週間のうちに二つの
台風と一つの
豪雨の
被害をこうむったわけでありまして、
被災地は全
県下に及んでおり、
被害額も、目下
調査中でありまするが深刻なものがございます。また
災害救助法の発動も、大野市以下十四
市町村に及んでおります。岐阜県におきましては、七月以来の干ばつによって農産物にすでに二十一億円の
被害があったのでありまするが、二十三
号台風による
農林関係二十一億円の
被害が加わって、その上に二十四号、二十五号の
台風の影響によって
災害の深度をさらに深めてまいりました。岐阜県においては
死者行くえ不明三名、住家全壊
流失三十七世帯、
半壊三十二世帯、
床上浸水三十六世帯、
床下浸水五百世帯を出しておるのであります。この
被害総額は三十五億円、そのおもな
内訳は、
農林関係では十八億円、
土木関係で十五億円等であります。
災害救助法の
適用は藤橋村等でございます。
さらに、以下
視察した
災害現地の
実情と、
地元市町村の
要望について申し上げたいと存じます。
新潟県におきましては、直江津市、高田市、名立町、能生町、糸魚川市、青海町等を流れる
中小河川、特に関川、桑取川、名立川、能生川、早川、青海川、歌川、外波川等に二百六十ミリの雨のため、また高田市の正善寺川その他これらの
支流、渓流、沢川が各所においてあばれて、人畜の死傷、護岸の欠壊、橋梁の
流失、耕地、
道路の埋没、
流失等が見られ、
家屋も多く侵され、激烈な
災害をもたらしておるのであります。これらの
地帯は、妙高、焼山山系に属する特殊火山灰土の
地帯でありまして、各地にまた地すべり、崩土を起こしておるのであります。これが下流に押し出して田畑を埋没し、
収穫期にあった稲が立ち姿のままで一メートル余に及ぶ土砂をかぶって、一夜にしてその惨害のきびしいものをもたらしておるのであります。また、
道路、橋梁の破壊のために、
交通は途絶し、生活を脅かされておる奥地部落、開拓部落があるのであります。
福井県においては、真名川、九頭竜川の流域、特に大野市、勝山市、西谷村、和泉村等では、九月十四日からの奥越
豪雨による千ミリをこす雨量で、山はくずれ、
河川は
はんらんを起こし、激甚な打撃を与えておるのであります。特に西谷村においては、膨大な山津波と渓流の
はんらんによって、全部落が
流失、埋没し、老人や子供を隣接の大野市等に避難さしておる次第であります。豪雪
地帯として、冬を目前に控え、住民は生活再建の方途に迷っているのが
実情でございます。また、日野川、足羽川流域の今立町、耳川流域の三方町、その他小浜市、上中町、高浜町等は、二十四
号台風と
集中豪雨は、奥越、嶺南南越等福井県に全県的な大きな
被害を与えておるのであります。
岐阜県においては、揖斐川及び根尾川
上流の藤橋村、徳山村、久瀬村、根尾村等が九月十五日の
集中豪雨によって、藤橋村東杉原地区は部落入り口の東前の谷の
はんらんによって、全戸数のほとんど全部が破壊され、また岩石、土砂によって埋没されるという惨状を呈しておりました。また、徳山村等は、
道路は寸断されて、完全に
交通がはばまれており、その惨状は目をおおうものがございます。この間、揖斐川の
上流の横尾ダムが下流を
災害から守ったことを、私は特に高く評価されなければならないと考えてまいりました。
このような深刻な
災害をもたらした
市町村当局並びに
罹災者の方々から、次のような
要望がございました。
まず第一に、
政府への売り渡し米の納期の延期の要請であります。新潟県、福井県は、特に稲作を中心とする農業県でございまして、特に第一期納入期限を十月十日まで延期し、あわせて規格外玄米も買い入れの対象とすることが望まれておったのであります。さらに、出荷不能の
被災農民に対して、前渡金の支払い並びに
利子補給について
政府では特段の配慮をいただくようにという
要望が強いのであります。この要請は、新潟県、福井県を通じて同じものでございます。
次に、激甚法のすみやかな
適用に関する
要望であります。特に新潟県並びに福井県では、激甚法第二章の各条項、第三章の各条項、第四章の各条項、第五章第十六条、第二十一条、第二十四条の各条項の
適用発令を強く
要望しておったのであります。
さらに、公共施設
災害の
早期査定と
復旧工事の実施、
被災地方公共団体に対する地方交付税並びに起債についての特別な配慮、商工金融の特別措置等による
被災中小商工業の再建援助、
家屋の内外に堆積したおそるべき量の岩石、土砂の排除についての特別な補助、
被災者救済、特に生活困窮者の
救済に対する特別な措置等を切実に
要望しておったのであります。
なお、今後
災害の防止については、公共土木の
復旧工事は
改良工事を加えるとともに、緊急治山
治水事業の実施、緊急砂防施設の事業の実施、林道
復旧工事、並びに
被災公立学校施設の
早期復旧等強い
要望がございました。特に全村岩石、土砂に埋没した福井県の西谷村、岐阜県の藤橋村、徳山村、久瀬村、新潟県の能生町、青海町、名立町等の村落の再建には特別なる
対策の樹立を必要とすると痛感した次第であります。
今回の
災害は、きわめて局地的であり、集中的でありますが、その
被害はきわめて深刻なものがございます。これが
復旧の努力については、いかにきびしいものがあるか、想像にかたくないものがあろうと存じます。また、これらの
地帯は、全国有数の豪雪
地帯でありまして、すでに冬が間近に迫っている今日、再建の施策を一刻も早く実施することによって民心の安定をはかることが肝要であると思う次第であります。国の敏速にして適切なる施策が望まれるものであります。
以上、御
報告いたします。