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1965-10-19 第50回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十月十九日(火曜日)    午前十一時九分開会     —————————————    委員異動  十月十三日    辞任          補欠選任     岡本  悟君      大森 久司君  十月十九日    辞任          補欠選任     鈴木  力君      松永 忠二君     永岡 光治君      中村 波男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大倉 精一君     理 事                 中村 英男君                 白木義一郎君     委 員                 大森 久司君                 重政 庸徳君                 園田 清充君                 高橋  衛君                 山内 一郎君                 武内 五郎君                 中村 波男君                 松永 忠二君                 吉田忠三郎君                 浅井  亨君                 高山 恒雄君    政府委員        内閣総理大臣官        房審議室長    高柳 忠夫君        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房長  大口 駿一君        水産庁長官    丹羽雅次郎君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        海上保安庁長官  栃内 一彦君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省住宅局長  尚   明君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        食糧庁総務部長  田中  勉君        気象庁長官    柴田 淑次君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事互選派遣委員報告災害対策樹立に関する調査  (台風二十三号、二十四号及び二十五号等によ  る災害対策に関する件)  (台風二十九号によるマリアナ海域における漁  船遭難に関する件)     —————————————
  2. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  前国会に引き続いて、このたび重ねて委員長に御指名をいただきまして、ほんとうに光栄に存ずる次第であります。  どうぞ、この上ともそう一そうの御協力のほどをつつしんでお願いを申し上げる次第であります。(拍手)
  3. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 委員異動について御報告申し上げます。  十月十九日鈴木力君が辞任され、その補欠として松永忠二君、永岡光治君が辞任され、その補欠として中村波男君が選任をされました。     —————————————
  4. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ただいまから理事互選を行ないます。  本委員会理事の数は四名でございます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないと認めます。それでは理事森部隆輔君稲浦鹿藏君、中村英男君、白木義一郎君を指名いたします。  速記をとめて。   〔速記中止
  6. 大倉精一

  7. 大倉精一

    委員長大倉精一君) この際おはかりをいたします。  前国会災害対策特別委員会において台風二十三号、二十四号及び二十五号による被害状況等調査のため委員派遣を行ないましたが、本国会召集日前日まで派遣中であったため、派遣報告を聴取することができませんでしたので、本日派遣委員から報告を聴取いたしたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 御異議ないものと認めます。それでは順次御報告を願います。第一班浅井君。
  9. 浅井亨

    浅井亨君 御報告いたします。  第一班は、九月二十八日より十月二日までの五日間滋賀県、京都府、兵庫県下被害実情調査いたしました。  派遣委員は、大倉委員長浅井、私の二名であります。  まず調査いたしました順に、そのおもなものについて申し上げます。  第一に滋賀県下でありますが、県当局による総被害額は百二十三億円で、日本一の大きな湖である琵琶湖治水が第一の問題となり、瀬田川による排水門のみでは、今回のごとく湖畔の水田が大きく水没冠水するので、もう一つ排水口の設置、あるいは琵琶湖を半分に仕切って、その水位調節をする等の案が聞かれるのでありますが、地元では、大阪方面の大工業都市のためにその水門を閉ざし、われわれが犠牲となったという声が強く、また渇水時等もあわせ考えて国が調査し、政府においてこれが治水利水計画を樹立すべきものと考えます。なお豪雨のため水位が平水時より一メートル三十センチも上がり、水門を全開いたしましても、一日二センチより下がらなく、九月二十八日になお五十センチ高くなっておりました。  県下では水口町における農業利水のための堰堤の決壊、甲南町における木橋流失洪水状況、近江八幡市における洪水蛇砂川、一名尻無川といいますが、蛇砂川はんらん個所等視察いたしました。  また、守山新田琵琶湖大橋わきの野州川河口の孤立した三角州であって、農家十七戸、人口百名足らずで、住民が畳まで運んで堤防決壊を防いだにもかかわらず、堤防が切れ、屋根まで水につかり、濁流に囲まれ、救いを求める人々を救助するため、木浜港より漁夫が強風雨の中を五時間を要して救出し、なお翌朝残存の数十名の人々の救援の食糧を運ばんとした自衛隊員がロープを伝わって野州川を渡らんとして殉職しております。仮橋を渡り州の中に入りますと、まことに惨たんたる情景であり、水田果樹園もすべて泥土におおわれ、ひび割れをしており、農家の中には親類へ行ってやっかいになっておる人もありましたが、帰ってきた人々は、むしろ一枚に寝起きしておるありさまで、今後の生活とその営農がいかになるかと心配されるのであります。  琵琶湖西岸の高島町横山においては、八田川農業構造改善事業を見ました。これまた堤防決壊で、この下のわずか五十メートルくらいの間の数戸が全壊し、被災せざる農家と対照的でありまして、天井川のおそろしさをまのあたりに見、このような河川は一日も早く抜本的改修を行なうべきであると痛感しました。  第二に、京都府下であります。  府庁対策本部長説明によると、被害総額約七十八億円のうち、農業被害約四十二億円で、台風二十三号はまず丹波以北において強風と雨をもって開花期水稲を襲い、収穫間近い丹波グリを落とし、農家を突風で全壊する等の被害をもたらし、続いて豪雨とすぐまた台風二十四号と連続しております。  最初に宇治市六地蔵、木幡地内に至り、天ケ瀬ダムの全力をあげての水位調節にもかかわらず、宇治川右岸及び山科川の河川改修が未完成のため、溢水による被害状況を見ましたが、なぜ建設省最初に発表したごとく、三十九年度に完成する工事を一年おくらせたか、これに対して地元人々の不満の声を聞きました。  続いて由良川に沿う大江町、福知山市に参りました。福知山市における由良川水害記録を見ましたが、昭和三十四年から七年間のうち、昭和三十五年は四千八百万円、三十九年は三千六百万円の損害があり、あとの五カ年間は一億円以上の大被害を受けておるのであります。この河川上流大野ダムが完成し、水位調節にたいへん活躍したことは、大江町、福知山市民の認めるところでありましたが、全般的に川幅が狭く、流水量がさばききれず、川のところどころがより狭くなっていることによって水害を増大しているのであって、一級河川に編入し、本流、支流もあわせた河川計画を樹立し、一日も早くこれが工事を行なうべきであります。  大江町の大雲橋より福知山市内に至る約七千メートルの間の、主として水田と桑園は一面にどろをかぶり、全滅であり、大江町で水稲面積四百八十ヘクタール中、冠水したものが二百四十ヘクタール、養蚕は蚕児の放棄、繭の重量減等による減収も合わせて晩秋蚕生産計画の約七三%、一千八百万円の損害を受け、福知山市においては水稲面積約一千九百ヘクタール中、冠水せるもの七百五十ヘクタール、養蚕は掃き立て箱数約二千箱中千二百箱を放棄しております。府庁においては、鳥取県より桑を購入し、これが輸送費も補助しているとのことでありまして、ここでは特に冬を越すために、救農土木事業政府保有米の払い下げが直ちに必要であるとのことでありました。  第三に、兵庫県下であります。  県発表によると、被害総額が本年度県予想税収を八十五億円上回る四百五十三億円にのぼり、県下二十市七十七町のうち、十二市四十一町に災害救助法適用死者三十七名を出しております。  調査は、まず市島町、山南町、西脇町、小野市、稲美町を経て海岸道姫路市に至りました。この途上で、市島町においては全壊家屋を、山南岩屋においては山林の風倒木状況を、西脇市においてはかわらが飛んで、雨漏りのため輸出品物織が損傷する等を視察いたしましたが、県内では鶏舎が飛び、鶏の被害が意外に大きく、二十八万羽に及び、産卵率が約十日間落ちたとも聞き、また酒米の主産地小野市においては風にもまれ、雨にたたかれた酒米が、その検査を合格するものが少ないものと予想され、損害が甚大であるといわれておるのであります。海岸道路に沿いましては、強風による塩害水稲等に悲惨な損害を与え、その及ぶ範囲海岸線より十ないし十五キロの幅を持っておるとのことであり、第二種兼業の多い地帯といわれておりますが、災害対策には万全を期していただきたいと思います。  姫路市におきます陳情で、市川治水が問題となり、上流福崎町においては、さきに述べた大江町、福知山市と同じ状態になったと考えられ、姫路市に入った市川は、河口より護岸工事を施しておるところが数キロであり、そのすぐ上流では川の中に州ができておるなど、上流の荒れがひどいことを物語り、国の直轄河川にしてほしいとの要望があったのであります。  次いで、姫路市より神戸市に至り、須磨、長田地区より和田岬神戸検疫所等護岸工事を見ましたが、予想外破壊状態に驚いたのであります。このたびの災害を基本にして、根本的な設計の改良を考察し、かつ単年度防潮堤を完成すべきであります。検疫所の官舎は、視察したとき、まだ人が住んでおらず、被災直後にここへ来た人は、その屋根にふとんがひっかかっておったといわれておるのであります。  次に、神戸市役所より県庁へ、そして長田港より今次災害の最もひどかった淡路島視察いたしました。  この島においても家屋の破損、倒壊が至るところに散見され、道路決壊、橋梁の流失、田畑の塩害、冠水、流失果樹被害等まことに目をおおう惨状でありました。五色町におきましては二万トンの溜池決壊し、一名の死者を出し、都志川は流土が川床を海までおおい、橋を押し流しておりますし、緑町においてはたび重なる降雨に、満水の溜池決壊し、国道二十八号線に交差する初尾川の現状は、上流の三十万トンの溜池決壊し、水田にばく大な砂礫を運び、説明を聞くまでは水田であったと気がつかぬほどでありまして、これがため同町広田水田十一町歩が壊滅しておりました。同島の西側を通る三十一号線の五色町より南淡町に至る海岸に沿いますところは、山くずれが多く、道路の補修をしており、西淡町においては、三原川のはんらん堤防決壊により四日間水浸しとなり、全町三千三百五十六戸中、床上浸水七百六十八戸、床下浸水千二百六十九戸、人口一万五千百七十九人中、罹災者九千二百十三人となっており、収穫皆無の耕地が七百町歩にも及んでおり、町の復旧はいかにすべきか、とほうにくれておるという状態でありました。  南淡町福良町役場において、この町は果樹の盛んなところであるが、徹底的に痛めつけられましたと聞かされ、その見本を見ましたが、淡路ミカンとビワは洲本市の人々でも口に入らないのではないかと言われておりました。続いて、西岸の三十一号道路五色町より岩屋に至る間は、道路潰滅、山くずれのため交通が途絶しておりました。洲本市より島の東岸二十八号道路岩屋に至り、その間各町長より被害状況を聞き、また水稲を見ましたが、塩害を受けており、まことに同情にたえぬものを感じたのであります。  明石市においては特に中小企業災害保険制度確立を切望しておりました。  最後に、今回の調査の全般から特に感じましたことを若干申し上げますと、これらの地方の今回の災害は、台風二十三号、豪雨台風二十四号と風害、高波、水害等災害を大きなものにする要素がつみ重なって、今回のごとく激甚なる被害をもたらしたものであり、その時期が農作物果樹収穫期の直前であり、養蚕は掃き立て時期に相当していたために、農業関係被害額が高額となっております。また、災害防止施設不備個所が徹底的に痛めつけられており、一府二県に今日まで施されました災害防止施設を十二分に活用いたしましてもなおかつこの災害最小限度にとどめ得なかったであろうと思われるのであります。  個々に見ますと、その区域の広い場所も多いのでありますが、範囲の狭い小災害が多発しているのでありまして、個人災害救済を特に切望しておりました。また早急な災害査定を行ない、激甚地指定を早くいたしてくれと望んでおりました。特に、査定にあたっては、技術者の意見を尊重してほしいということが聞かれたのでありますが、これはセメントや鉄骨が強く、かたければすべてよいというようなことでなく、個々工事に適合したものを使用すべきであるということ等でありました。  中小企業者に対しましては、商品の損傷に対する保険制度確立が望まれ、農業災害補償制度があるにもかかわらず、果樹地帯では果樹共済制度がないので、その確立が強く望まれておりました。  気象観測については、琵琶湖京都府下天ケ瀬ダム由良川大野ダム兵庫県下の約五万個の溜池並びに豊岡市を泥海と化した円山川水位調節等を行なうために、より早く確実な気象状況を知りたいとの声が大きく、気象観測施設の増設が望まれておりました。  徹底的な被害を受けました滋賀守山新田琵琶湖岸水没冠水田京都府下由良川に沿う福地山市、大江町、兵庫県下円山川に沿う豊岡市、市川支流の七種川の合流点福崎町、瀬戸内海に臨む沿岸地帯山間部における中小河川はんらん淡路島における溜池決壊等におきましては、一目して収穫皆無でありまして、諸制度融資据え置き期間償還期限等の延期、利子の引き下げあるいは必要に応じて補給金等補給政府予約米概算金利子免除被災農家に対する飯米の直売制度共済金の早急な前渡し払い、明年度種もみ購入補助救農土木事業の早急な実施等が必要であり、さらに現在償還の終わっていない者に対する再融資の必要があります。  また、治山治水工事でありますが、今般の調査では、補強工事の申請中のところ、あるいは砂防指定地以外の災害が多く、少なくとも今後の復旧は、今回の災害を基準とすべきであるとの声が多く、いかにその災害の甚大であるかを物語っております。  このような大きな災害になりますと、通信連絡の確保が必須のことであり、交通がとまり、送電が不能となり、無線によるより連絡方法がなくなります。したがって的確な気象予報のもとに、各市町村部落無線電信の配備を行なう必要があります。  今回は、有線放送網被害も甚大なものがあり、これが復旧に対する助成も望まれたのであります。  また、今回の調査で、木橋のいかにもろいものかを知らされたのであります。可能な限り永久橋とすべきであります。  特に個人災害に対しては、救済制度がなく、したがって被害の度合い、所得額などを勘案して補償すべき制度確立することが、目下の急務であると痛感するものであります。  報告を終わるにあたりまして、被災された方々の一日も早い復興を祈るものであります。  以上です。
  10. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、第二班の報告を求めます。山内君。
  11. 山内一郎

    山内一郎君 それでは、四国班について御報告申し上げます。  四国班は、高山委員と私の両名で、去る九月二十六日から三十日まで五日間の日程で、香川県、徳島県及び高知県に派遣され、今回の台風二十三号、二十四号等による被害状況について実情調査し、あわせて県並びに被災市町村から切なる要望をも聴取してまいりました。以下御報告申し上げます。  まず、私ども日程について申し上げますと、九月二十六日東京を出発、二十七日香川県庁にて知事をはじめ関係者から県下災害状況について説明を聞いた後、高松桟橋から船で小豆島に渡り、肥土山の台風による地すべり状況調査、終わって牟礼町の原浜海岸堤決壊状況津田町の津田防波堤決壊調査、引田町等の稲作状況視察して徳島県に入り、県庁にて知事被災市町村長並びに農業団体代表から災害状況説明、また陳情を受け、徳島市役所災害状況説明を聞いた後、川内南小学校の全半壊校舎視察、翌二十八日、小松島市役所南小松島小学校、同高等学校被害状況、次いで阿南市役所見能林中学校被災状況国道百九十五号線の決壊状況桑野川一帯の浸冠水した水稲状況視察後、土讃線阿波池田駅から汽車で高知県に入りました。  高知県では、二十九日県庁において知事被災市町村並びに農、商、工業関係者から災害状況について説明を聞いた後、新居海岸防波堤決壊復旧状況調査、続いて土佐市、 佐川町、越知町、吾川村の農作物水稲果樹等被害状況高知県と愛媛県を結ぶ国道三十三号線の改良復旧工事視察しながら吾川村引地を通って大渡ダム視察という行程をとりました。  次に、各県別被害概要等について申し上げます。  最初香川県についてでありますが、本県は、十日午前六時ごろから県下全域台風二十三号の暴風雨圏に入り、高松市では九百五十八・九ミリバール、瞬間最大風速三十九・五メートルを記録小豆島の土庄町では連続雨量二百三ミリを記録しております。このため、県は、水防本部並びに災害対策本部を設置して万全の対策を講じたが、大量の降雨強風のため、県下各地被害が相次いで発生、農林土木関係を中心に甚大な被害を受けたのであります。また、引き続き台風二十四号と二十五号の北上により、四国付近に停滞していた前線が著しく活発化し、九月十三日以降連日百ミリ内外の雨を降らしており、二十三号台風被害をさらに大きくし、その回復を一そう妨げたのであります。特に前線による集中豪雨は、十三日以降十七日までに県下平均四百五十四ミリという平年年間雨量の三分の一強の降雨量を見ております。このような台風二十三号、引き続く豪雨並びに台風二十四号により、県下各地にがけくずれ、ため池の決壊等、多大の被害を生ぜしめたのであります。特に農産物並びに農業用施設被害は大きく、昭和三十六年の第二室戸台風による被害を大きく上回るものであるといわれております。台風二十三号、二十四号並びに豪雨による被害状況を合わせて申し上げますと、死者六名、負傷者二十五名、被災者六万五千四百三十二名、全半壊流失九十五戸、床上下浸水一万四千七百三十六戸となっており、被害額総額にして八十億円でありまして、内訳を申し上げますと、農畜林産物関係四十億円、土木関係十五億円、農地関係九億円、水産関係八億円、商工関係一億円、林業施設関係一億円、その他文教、厚生関係等で六億円となっております。  次に、徳島県について申し上げますと、台風二十三号は徳島県の中央部通過、特に今回の台風は瞬間最大風速六十七・六メートル以上という県史上最大の猛威をふるい、ために県下各地に多大の被害を与えており、鳴門、小松島、阿南徳島の四市と、那賀川、松茂の両町合わせて六市町村災害救助法を発動いたしております。  また、九月十三日から十七日までに至る四日間の集中豪雨と九月十七日の台風二十四号は本県南方海上通過、この間の連続雨量は、本県山間部福原で千百七十ミリ、平地部徳島市で七百八十八ミリの降雨量となり、県下の吉野川、那賀川の二大河川をはじめ中小河川警戒水位を突破し、堤防決壊、溢流による床上下浸水農作物等に多大の被害を与えたのであります。このため徳島小松島、阿南の三市、日和佐、海部、牟岐の三町合わせて六市町村災害救助法を発動いたしております。  次に、県下被害状況を申し上げますと、死者十一名、被災者十三万四千名以上、全半壊千六百八十八戸、床上下浸水三万四千戸以上であり、被害額は総計百六十億円であり、おもな内訳を申し上げますと、建物関係五十五億円、農業関係七十五億円、土木関係十一億円、林野関係六億円、その他水産商工業関係等で十三億円となっております。  さらに高知県について申し上げますと、台風二十三号は、本県の安藝市の東部付近に上陸し、室戸岬において瞬間最大風速七十七・一メートルという記録的な暴風雨に襲われ、また、台風二十四号は二十五号と互いに牽制しながら北上四国中央部を東西にわたる前線を刺激し、本県に対しは、九月十四日から十七日明け方まで集中的な豪雨をもたらしたのであります。また、台風二十四号はその後南方海上通過したのでありますが、九月十七日から夜半にかけて県中央部一帯強風となったため、被害がさらに大きくなったのであります。降雨量を申し上げますと、足摺岬で五百、堂=森七百六十、高知六百、室戸岬で六百ミリ以上を記録しております。災害救助法は室戸市、東洋町に発動されました。  次に、被害状況ですが、死者四名、行くえ不明一名、負傷者二十六名、建物全壊百三戸、半壊等六千戸、床上下浸水九千戸、また被害額総額にして八十八億円で、おもな内訳を申し上げますと、住宅関係十億円、農林関係五十億円、土木関係で十八億円、水産関係で五億円、商工業関係二億円、その他教育、通信関係等で三億円となっております。  次に、各県、市町村からの要望事項について申し上げますと、  一、今次の台風二十三号等による被害はきわめて甚大であることにかんがみ、これら一連災害を一括して激甚災害指定し、同法を適用されたい。  二、天災融資法早期発動適用にあたっては、一連災害として適用政令をすみやかに公布していただきたい。  三、自作農維持資金融資ワクを大幅に増額されたい。  四、果樹等に対する災害補償制度を早急に確立されたい。  五、土木災害復旧にあたっては、再度災害防止の見地から、早期に完了するよう配慮されたい。  六、砂防事業の促進と予算の増額措置を講じられたい。  七、中小企業に対しては、政府系金融機関災害融資ワクの拡大と低利融資をはかられたい。  八、県及び市町村に対する特別交付税増額配分について、特段の配意を願いたい。  九、災害復旧工事のための財政措置として補助災害単独災害の起債のワクを拡大していただきたい。  十、災害査定早期に実施されたい。  十一、四十年産米規格外買い上げを実施されたい。というのが要望のおもなものでございます。その他こまかい要望事項がありますが、時間の関係上省略させていただきまして、委員長の手元に資料を提出いたしておきましたのでごらん願いたいと存じます。  次に、私ども調査の結果でございますが、ただいま申し上げました要望事項はそのままが現地を視察いたしました私ども調査の結論になるのでありますが、さらに二つ三つつけ加えさしていただきますならば、まず第一に、三県とも今回の二十三号、二十四号台風集中豪雨による被害の最たるものは、何といっても農業災害であります。水稲被害につきましては、今回の災害を受ける前に四国管内では、八月に入ってからほとんど雨が降らなかったため、干ばつによる被害が発生しておりまして、中でも農作物に対する被害が激しく、水稲の枯死や果樹の落葉、秋野菜の播種が遅延しておるところへ、重ねて台風等の被害を受けたのでありまして、その地域は四国全域に及んでいるといわれ、中国、四国農政局の報告によれば、被害総額は実に二百十二億円にも及ぶものと見込まれておりまして、中でも水稲被害が最も大きく、全体の五四%も占めているとされております。先ほど被害額を申し上げましたが、香川県においては被害総額八十億円のうち四十億円が農、畜、林産物関係であり、徳島県においては被害総額百六十億円のうち七十五億が農業関係であり、さらに高知県にあっては被害総額八十八億円のうち五十億円が農林関係災害でありまして、三県とも被害総額の五〇%ぐらいは農業災害であります。このような相次ぐ甚大な被害に、農家は最悪の事態に直面しております。私ども各地で農民代表から陳情を受けたとき、また現地を実際に視察したとき稲を手にいたしたのでありますが、風害、冠水等により白穂または変色もみとなり、稔実きわめて悪く収穫はほとんど期待できず、またあったとしても、品質は著しく低下することは必至であります。このように実りの時期を前にして今回の災害農家経済に与えた影響は、きわめて憂慮すべきものがあるのでありまして、政府に対しまして万全の対策を講じられるよう要望いたすものであります。さらにまた被害米については、全米政府において買い上げられるよう、また品質低下により政府の買い入れの対象とならなかったものについては、共済減収量として認めるよう要請いたしたいのであります。  次に輸送通信施設の確保についてでありますが、いかなる災害が発生しても、隣接県、また県中央部と辺地市町村との連絡に障害が起こらないように、また孤立などすることがないように輸送動脈である国鉄線並びに国道の防災については、十分考慮をする必要のあることを痛感いたします。さらに無線電話を各市町村に一つづつ常設されることが必要ですし、送電等については、災害によって運行の障害が起こらないように配慮すべきでありましょう。  次に、文教施設についてでありますが、いままでにもすでに幾たびとなく言われておりますことですが、老朽校舎は台風等の災害に対しては非常に危険であり、一歩間違えば、学童の幼ない生命を奪う惨禍をもたらすのであり、老朽校舎は一日も早く鉄筋化に改良されねばならないと思います。今回私ども視察いたしました徳島川内南小学校の校舎、南小松島小学校の校舎は全壊半壊ですが、いずれも四十年から五十年以上もたっており、このたびの災害のときは台風襲来の予報が入っておりましたので、学童を登校させなかったので、幸い大事に至らず済んだのでありますが、もし生徒が授業中のできごとであったらと思うと、胸がしめられるような思いをいたしたのであります。両校ともいまだに全半壊校舎の除去作業も始まっておらず、分散授業をいまだに続けている実情にあります。学童が安心して授業を続けられるよう文教施設の災害復旧については早急に対策を講じられるよう強く要望いたします。  その他香川県土庄町肥土山における地すべりに対しまして一言触れておきたいのですが、九月十四日から十八日まで連日にわたって亀裂、陥没が各所に発生し、農作物、農地、農業用施設被害を与えたのであります。その被害面積は、水田三ヘクタール、果樹園三十ヘクタール、畑十七ヘクタールで、被害額は四億円をこえております。また東部地区の県道上部が二百メートルにわたって高さ三十メートルの地すべりがあり、その崩土が下部の民家まで達し倒壊させております。このために危険を予想される民家の人たちは、近くの公民館、寺院等に避難しておりますので、農業の従事に支障を来たしておるのが現状であります。さらにまた西部地区においても地すべりによる泥土が大鈬小学校の西側まできておりまして、現在厳重な警戒を続行中でありますが、再び集中豪雨台風等がありますれば、民家や小学校は一ぺんに押しつぶされてしまうような危険をはらんでおるのであります。したがって、このような危険を除去するために、緊急地すべり防止対策事業の早期実施の必要を痛感いたすものであります。  以上が私どもの所感でありまして、今回視察した三県とも台風常襲地帯として、被災市町村は連年にわたる災害を受け、財政力の貧弱な団体が多く、今後の災害復旧は容易ならぬものがあると思います。民心の安定と住民生活の再建のための国の施策が強く望まれるのであります。また国土を保全し、国民の生命や財産をもろもろの災害から守るためには、災害が起こってから治療するのではなくして、積極的に治山治水の防災対策の推進をはかるべきであることを痛感いたした次第であります。  以上をもちまして、台風二十三号、二十四号及び集中豪雨による香川県、徳島県及び高知県の被害状況等を調査いたしました私ども被害報告を終わりますが、最後に本調査にあたりまして終始御協力下さいました関係各位に対しまして、心から感謝の意を表する次第であります。以上です。
  12. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に第三班の報告を願います。武内君。
  13. 武内五郎

    ○武内五郎君 第三班について御報告申し上げます。  第三班は、稲浦理事と私の両名で九月三十日から十月四日まで五日間の日程で新潟県、福井県及び岐阜県における被害状況について実情調査し、現地の方々に御見舞と激励を申し上げるとともに、切実な要望を聴取してまいりました。以下、その概要を申し上げる次第であります。  まず第一日は、新潟県直江津市において県下被害状況を聴取し、同市及び高田市の現地調査をし、第二日目は名立町、能生町、糸魚川市及び青海町の現地調査をいたし、第三日は福井県に入り、交通途絶して孤立状態にあった西谷村にヘリコプターで飛び、西谷村、大野市及び勝山市の現地を調査いたしました。第四日は福井県庁にて県下被害状況を聴取して、今立町、敦賀市、三方町(高浜町、名田庄村、大飯町、上中町、美浜町、小浜町)等の状況を聴取し、さらに現地の調査をいたしました。その後岐阜県に入りまして、第五日目は岐阜県揖斐郡藤橋村、久瀬村、揖斐川町(根尾村、徳山町)の現地及び被害状況を聴取いたしまして、全日程を終了いたした次第であります。  今回の災害をもたらしました気象状況を見まするのに、新潟県においては、九月十七日、台風二十四号の本州上陸後、本県の南西部に小低気圧が発生し、その前から降っていた雨が集中豪雨になり、台風勢力がこの副低気圧に乗り移って本県北上し、このため頸域、魚沼方面の中小河川が急激に出水して各所にはんらん、浸水を起こし、また台風北上に伴って各地に強風が吹き荒れたのでありますが、その瞬間風速は、新潟で三十七・六メートル、日雨量は高田で二百六十一ミリに達したのであります。福井県においては二十三号台風が激烈な強風となって吹き荒れたのでありますが、前線活動によって集中豪雨に変わり、岐阜県境、奥越地方では十四日から一日半のうちに未曽有の千四十四ミリの大雨をもたらし、ために県下を縦断する真名川、九頭竜川の護岸堤防は各所で決壊し、特に大野市、勝山市、西谷村及び和泉村を含む奥越地方に壊滅的な打撃を与えております。さらに台風二十四号が県下全土に猛威をふるって嶺南、南越を中心に災害をもたらしたのであります。二十三号台風の瞬間風速は高浜町で四十八・六メートル、奥越集中豪雨で西谷村の日雨量八百四十四ミリ、二十四号台風では上中町の熊川の日雨量が四百ミリに達しております。岐阜県では、七月末以来降雨がなく、干ばつの被害が発生しておりましたが、九月十日に至って台風二十三号は吹き荒れ、特に山間地帯において百五十ミリをこえる雨量を伴って、その瞬間風速が三十二・六メートルに達したのでありまして、これに加えまして引き続く台風二十四号、二十五号の影響によって、九月十四日夜半から西濃地域北部に記録的な集中豪雨があって、揖斐郡の徳山村において時間雨量が九十四ミリ、積算雨量九百五十二ミリに達し、局地的ではあるがきわめて甚大な被害をもたらしておるのであります。  次に、被害状況を申し上げますると、新潟県においては死者行くえ不明八名、住家全壊流失が九十七棟、半壊十七棟、床上浸水五千棟、床下浸水八千棟であります。被害総額は百九十一億円に上り、そのおもな内訳土木関係では六十七億円、農林関係では四十八億円、農地関係で二十九億円、商工関係で二十二億円、建物の関係で十四億円等、その災害のおそろしさを示しておるのであります。なお、農産物等の烈風の被害は、全県下にわたってきわめて深刻なものがございますが、洪水を伴って生じた被害は主として頸城、魚沼方面に起こり、家屋の浸水、道路、橋梁の破損流失により孤立部落を生じ、また山地では地すべりの被害を併発してきわめて深刻な状態を呈しておるのであります。また災害救助法の発動は高田市をはじめ六市町でありました。  さらに福井県におきましては、二十三号台風、奥越豪雨、二十四号台風を合わせまして死者が三十三人、家屋半壊合わせて七千二百戸、一部破損が五万七千戸、罹災者十八万二千人に上るおそるべき状態を呈しておりました。また被害総額は二百六十四億円で、そのおもな内訳農林水産九十六億円、公共土木七十二億円、商工業四十五億円、家屋四十三億円等であります。なお、本県はわずか一週間のうちに二つの台風と一つの豪雨被害をこうむったわけでありまして、被災地は全県下に及んでおり、被害額も、目下調査中でありまするが深刻なものがございます。また災害救助法の発動も、大野市以下十四市町村に及んでおります。岐阜県におきましては、七月以来の干ばつによって農産物にすでに二十一億円の被害があったのでありまするが、二十三号台風による農林関係二十一億円の被害が加わって、その上に二十四号、二十五号の台風の影響によって災害の深度をさらに深めてまいりました。岐阜県においては死者行くえ不明三名、住家全壊流失三十七世帯、半壊三十二世帯、床上浸水三十六世帯、床下浸水五百世帯を出しておるのであります。この被害総額は三十五億円、そのおもな内訳は、農林関係では十八億円、土木関係で十五億円等であります。災害救助法適用は藤橋村等でございます。  さらに、以下視察した災害現地の実情と、地元市町村要望について申し上げたいと存じます。  新潟県におきましては、直江津市、高田市、名立町、能生町、糸魚川市、青海町等を流れる中小河川、特に関川、桑取川、名立川、能生川、早川、青海川、歌川、外波川等に二百六十ミリの雨のため、また高田市の正善寺川その他これらの支流、渓流、沢川が各所においてあばれて、人畜の死傷、護岸の欠壊、橋梁の流失、耕地、道路の埋没、流失等が見られ、家屋も多く侵され、激烈な災害をもたらしておるのであります。これらの地帯は、妙高、焼山山系に属する特殊火山灰土の地帯でありまして、各地にまた地すべり、崩土を起こしておるのであります。これが下流に押し出して田畑を埋没し、収穫期にあった稲が立ち姿のままで一メートル余に及ぶ土砂をかぶって、一夜にしてその惨害のきびしいものをもたらしておるのであります。また、道路、橋梁の破壊のために、交通は途絶し、生活を脅かされておる奥地部落、開拓部落があるのであります。  福井県においては、真名川、九頭竜川の流域、特に大野市、勝山市、西谷村、和泉村等では、九月十四日からの奥越豪雨による千ミリをこす雨量で、山はくずれ、河川はんらんを起こし、激甚な打撃を与えておるのであります。特に西谷村においては、膨大な山津波と渓流のはんらんによって、全部落が流失、埋没し、老人や子供を隣接の大野市等に避難さしておる次第であります。豪雪地帯として、冬を目前に控え、住民は生活再建の方途に迷っているのが実情でございます。また、日野川、足羽川流域の今立町、耳川流域の三方町、その他小浜市、上中町、高浜町等は、二十四号台風集中豪雨は、奥越、嶺南南越等福井県に全県的な大きな被害を与えておるのであります。  岐阜県においては、揖斐川及び根尾川上流の藤橋村、徳山村、久瀬村、根尾村等が九月十五日の集中豪雨によって、藤橋村東杉原地区は部落入り口の東前の谷のはんらんによって、全戸数のほとんど全部が破壊され、また岩石、土砂によって埋没されるという惨状を呈しておりました。また、徳山村等は、道路は寸断されて、完全に交通がはばまれており、その惨状は目をおおうものがございます。この間、揖斐川の上流の横尾ダムが下流を災害から守ったことを、私は特に高く評価されなければならないと考えてまいりました。  このような深刻な災害をもたらした市町村当局並びに罹災者の方々から、次のような要望がございました。  まず第一に、政府への売り渡し米の納期の延期の要請であります。新潟県、福井県は、特に稲作を中心とする農業県でございまして、特に第一期納入期限を十月十日まで延期し、あわせて規格外玄米も買い入れの対象とすることが望まれておったのであります。さらに、出荷不能の被災農民に対して、前渡金の支払い並びに利子補給について政府では特段の配慮をいただくようにという要望が強いのであります。この要請は、新潟県、福井県を通じて同じものでございます。  次に、激甚法のすみやかな適用に関する要望であります。特に新潟県並びに福井県では、激甚法第二章の各条項、第三章の各条項、第四章の各条項、第五章第十六条、第二十一条、第二十四条の各条項の適用発令を強く要望しておったのであります。  さらに、公共施設災害早期査定復旧工事の実施、被災地方公共団体に対する地方交付税並びに起債についての特別な配慮、商工金融の特別措置等による被災中小商工業の再建援助、家屋の内外に堆積したおそるべき量の岩石、土砂の排除についての特別な補助、被災者救済、特に生活困窮者の救済に対する特別な措置等を切実に要望しておったのであります。  なお、今後災害の防止については、公共土木の復旧工事改良工事を加えるとともに、緊急治山治水事業の実施、緊急砂防施設の事業の実施、林道復旧工事、並びに被災公立学校施設の早期復旧等強い要望がございました。特に全村岩石、土砂に埋没した福井県の西谷村、岐阜県の藤橋村、徳山村、久瀬村、新潟県の能生町、青海町、名立町等の村落の再建には特別なる対策の樹立を必要とすると痛感した次第であります。  今回の災害は、きわめて局地的であり、集中的でありますが、その被害はきわめて深刻なものがございます。これが復旧の努力については、いかにきびしいものがあるか、想像にかたくないものがあろうと存じます。また、これらの地帯は、全国有数の豪雪地帯でありまして、すでに冬が間近に迫っている今日、再建の施策を一刻も早く実施することによって民心の安定をはかることが肝要であると思う次第であります。国の敏速にして適切なる施策が望まれるものであります。  以上、御報告いたします。
  14. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 以上で派遣委員報告を終わります。御苦労さんでした。     —————————————
  15. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、台風二十三号、二十四号並びに二十五号等災害に対して政府のとられた措置について報告を求めます。総理府総務副長官。
  16. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 今回の二十三号ないし二十五号の台風、この被害状況並びに当面とりました措置につきましては、前回の本委員会におきまして高柳審議室長から御報告を申し上げた次第でございますが、その際の資料は十月一日現在の資料でございます。本日お手元に十一日現在の資料を差し上げております。これにつきまして、まず被害を総括的にただいままで判明しております数字について御説明を申し上げたいと思います。  第五ページ、第六ページをお開きいただきたいと存じます。第五ページをお開きいただきますと、激甚法の関係といたしまして総額千八百七十七億という数字が出ておるのでございます。このうち最も大きな被害は、公共土木施設八百十二億余でございます。これに続きまして農作物等被害が六百五十八億——これは農林省の統計調査部の調査による今日まで判明しておる数字でございます。さらに農地等におきまして二百四十億余、このような数字になっておるわけでございます。なお、六ページの表は、激甚法と関係のない、国鉄の被害でございますとか、あるいは電電、郵政等の被害その他合わせましたものでございまして、これが三百六億、被害額合計は二千百八十四億の巨額に達しておる状況で、ございます。  前回御報告を申し上げましたが、政府といたしましては、災害対策基本法第二十四条に基づきまして、九月十七日の閣議決定で、昭和四十年台風二十三号、二十四号及び二十五号非常災害対策本部を総理府に設置いたしまして、瀬戸山国務大臣が本部長に当たることになり、自来、前回の御報告では六回の本部の会議と申しておりましたが、その後七回通算開いておる状況でございます。  なお、本部の決定に基づきまして、政府調査団を九月二十日から逐次派遣をいたしておるのでございますが、前回の御報告は五班出しておりまして、兵庫県、福井県、岐阜県、三重、滋賀京都、奈良四府県、さらに香川徳島高知の四国の班、それから新潟の、この五班を御報告申し上げましたが、その後、小豆島の地すべりにつきましては、きわめて特殊な事情がございましたために、東京農業大学の教授小出先生を団長にわずらわしまして、建設省並びに農林省の専門家をもって小豆島の地すべりの学術調査団を編成をいたしまして、これを出したのでございます。これは十月の七日から十日にわたって現地の調査に行って帰ってまいっております。さらに、岡山県及び兵庫県の山陰の部分、丹波、但島、これにつきましてさらに班を編成いたしまして、現地調査をいたした次第でございます。  対策についてでございますが、前回御報告を申し上げましたように、瀬戸山本部長から十三の項目にわたりまして指示をいたしまして、各地方の御要望等に対し即時手を打てるものは打つ、こういうことでいろいろ対策を立ててまいっておるような次第でございます。その中でも、特に各地から最も強い御要望がございます楽甚災害特別財政援助法の関係でございますが、今回はこれを二段に分けまして、第一次的には、十月十二日に閣議決定をいたしまして、十五日に政会を公布いたしております。この第一次の政令の対象となっておりますのは、財政援助法の、いわゆる激甚法の第二章全般、いわゆる公共土木施設災害復旧事業、公立学校施設災害復旧事業、公営住宅災害復旧事業をはじめといたします第二章全部、さらに第五条の農地、農業用施設、林道、大きなものだけを拾って申しましたが、あるいは中小企業信用保険法の特例、あるいは近代化資金助成法の特例、商工中金貸し出し金利の特例、いわゆる中小企業関係のもの、なお、社会教育、私立学校等のもの、あるいは母子福祉、伝染病予防事業、それから小災害復旧事業の元利補給の問題、これらの各条項につきまして第一次的にすでに政令を公布いたしている次第であります。  さらに第二段の残されております最も大きな問題は、いわゆる農産物被害に対するものでございまして、天災融資法の発動、天災融資法の特例の問題がございます。これら数項目その他でございますが、一番大きなのは天災融資法の特例の問題でございます。これは、いわゆる農産物被害額調査がおくれましたために、たいへん残念でございましたが、おくれておりますが、その二十二日に閣議決定をいたしまして、直ちに政令を公布いたす、かような考え方でございます。なお、今回の激甚災害特別財政援助法につきましては、二十三号から二十五号までの台風を一括いたし、その間の豪雪、降雪等についても一括いたすという措置をとることにいたしました。激甚法につきましては以上のとおりでございます。  現在、本部といたしましてその後の状況で最も重点を置いて急がせておりますのは、災害査定の問題でございます。特に降雪があるというような地帯につきましては、これは他の地域ももとよりそうでありまするが、災害査定を急がなければならないわけであります。緊急な査定につきましては終わっておりますが、本格的にいま全国的にやっておりますまっ最中でございまして、特に昨日も瀬戸山本部長から、査定の促進——もちろん改良復旧というようなことにつきましては前回申し上げました基本方針には変わりがございませんが、早急に査定を実施せよという強い命令を出しているような次第でございます。個々のいろいろな対策につきましては、前回も種々御説明申し上げましたし、御質問がございますれば、それぞれ関係の各省参っておりますので、お答え申し上げたいと思います。  たいへん概略的で恐縮でございますが、支部として以上御報告申し上げます。     —————————————
  17. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 次に、二十九号台風気象状況並びにマリアナの遭難漁船に対する状況、経過について御報告をお願いいたします。
  18. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 今回のマリアナ水域におきまする遭難漁船の問題でございますが、たいへん遺憾な事態でございまして、政府といたしましては、直ちに連絡協議会、さらに対策協議会等を設けて、種々の対策を講じておるわけでございます。  災害の概要につきまして申し上げたいと思います。詳細につきましては、関係の気象庁、水産庁、またその後の海難救助に当たっております保安庁あるいは防衛庁のほうから御説明を願います。私どものほうの総務長官が、この対策の、政府における協議会の会長をいたしております関係から、まとめて申し上げたいと思います。  遭難は、六日夜半から七日の早朝にかけて発生したと考えられております。初めにお断わり申し上げておかなければなりませんが、原因につきましては、目下いろいろな角度から調査をしておるところでございます。六日から七日にかけまして台風二十九号が非常な勢いで急速に発達をいたしまして、六日の昼には九百五十ミリバールに発達し、七日にはさらに九百二十ミリバール、中心付近の最大風速が七十メーター、半径二百キロ以内では二十五メーターというような台風でございます。  遭難をいたしました漁船は七隻でございまして、そのうち一隻「第十一弁天丸」はアグリガン島に乗り上げまして、四十名の乗り組み員中三十九名が遭難し、行くえ不明が一名ということでございます。あとの「第三永盛丸」以下六隻につきましては、「第三永盛丸」の乗り組み員三十五名中三名が僚船に救助をされましただけでございまして、死亡が確認された者一名、行くえ不明が二百八名という大事故を起こしたわけでございます。これに対しまして、海上保安庁以下それぞれとりました措置につきましては、あとから各省庁からお答えをいただくことにいたしまして、政府といたしましては、九日にマリアナ近海漁船遭難対策連絡会議を総理府に設置をいたしまして、直ちに第一回の連絡会議を開催し、その後数回にわたりまして、ほとんど連日これを開いておるわけでございます。私どもといたしましては、これまでの段階では、この行くえ不明の船並びに船員の方々の捜索に最重点を置いておるわけでございます。何しろ非常に遠方でございまして、さっそく海上保安庁の巡視船艇を出しますとか、あるいは防衛庁の自衛艦、防衛庁の飛行機を出す、またいち早く、米軍の地域でございまして、米軍のほうにもお願いをいたしまして、米軍も全力をあげて捜索に協力をしていただいておる状況でございます。本日までのところ、その後行くえ不明の方につきましては、杏として消息がわからないというのが実情でございます。  遭難いたしました六隻の船に積んでおりましたものや、部分的なものは、全船とも見つかっておるわけでございます。そこで、今日まだ、海上保安庁、自衛隊、また米軍と協力いたしまして、これが捜索を続けてまいっておる状態でございます。  政府といたしましては、このいま最初に申し上げました「第十一弁天丸」の生存者も一部帰ってまいったようでございまするし、また僚船——当時ほかに出ておりまして、幸いにして遭難しなかった船もぼちぼち帰ってまいった。これが原因につきましては、徹底的な究明をいたしたいと考えておるわけでございます。さらに、その原因の究明とあわせまして、今後の対策、これが当面の対策と恒久的な対策——もちろんゆっくりするわけではございませんが、そういうものとあるわけでございまして、そういうものにつきまして、実は本日も対策協議会を開いて、いろいろ検討を続けることにいたしておるわけでございます。そこで実は、この留守家族の方々に対する当面の援助措置その他やっておるわけですが、いろいろな問題がございますけれども、いまのさしあたり当面の段階としては、まだ捜索を打ち切っておりません。留守家族の方も、何とかしてさがしてくれということでございますので、私どもとしましては、その点は、遭難者の留守家族の方のお立場は、非常にデリケートな大切な問題でございます。あとの問題というよりは、とにもかくにも最悪の場合は遺体でもさがそうというような気持ちで、実は全力をあげておるような状況でございます。で、具体的な今後におけるいろいろな対策につきましては、各省それぞれの所管がございますので、御質問等がございますれば御説明をいたしたいと思いますが、二百八名の方がなくなられたということは、私どものほうはまだそういう扱いをいたしておりませんので、その点はひとつ御了承をいただきたいと思います。依然として捜索は続けておるわけでございます。その点だけひとつ御了承をいただきたいと思います。  たいへんこれも概略で恐縮でございますが、何か御質問がございますれば、水産庁からお答えを申し上げたいと思います。政府といたしましては、いずれにいたしましても、原因の究明と対策の万全を期したい。先般も閣議でも、総理から特に発言をいたしまして、こうした遠洋はもちろんでございますが、近海、沿海等における漁船の安全に対する対策の万全を期するようにというような御指示もございました。私ども本部といたしまして、その線に沿ってやっていくという考えでまいりたいと存じておるわけでございます。
  19. 高柳忠夫

    政府委員(高柳忠夫君) ただいま総務長官から申し上げました政府の連絡会議の名称について補足をさしていただきます。  十月九日には、事実上の連絡会議といたしまして、マリアナ近海漁船遭難対策連絡会議というものを設けて、直ちに各省との連絡を行なって対策を立てたのでございますが、これを正式な協議会といたしまして、十月の十二日にマリアナ水域遭難漁船対策連絡協議会というものを閣議口頭了解で設置いたした次第でございます。  なお、十月の十二日には、現地の家族の方々並びに漁業協同組合等の対策本部が設けられております。焼津に農林大臣及び海上保安庁、防衛庁の担当官が随行いたしまして、現地の実情を聴取するとともに、家族の方々の激励を兼ねたお見舞いをいたしております。
  20. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 気象庁長官の柴田でございます。台風二十九号につきましての概略を御説明を申し上げます。  ただいまお手元にお配りいたしました資料によって御説明申し上げたいと思いますが、まず、台風第二十九号は、十月の二日に熱帯性低気圧として発生いたしました。それが十月の四日の十二時に、そこに書いてございますように、北緯十二度四十分、東経百五十一度三十分の付近で台風ということになりました。中心気圧九百九十六ミリバールということで、台風第二十九号と名づけられたのでございます。その後台風は、大体同じくらいの速度で北西に進みまして、大体十五キロないし二十キロとお考えくださいますればけっこうでございますが、そうして六日のお昼にはサイパン島の北百五十キロメートルの付近に達しまして、そこで進路を北の方向に変えたのでございます。  台風は、十月六日に入りまして急激に発達いたしまして、六日の三時から十二時までの間の九時間に九百九十四から九百五十というように非常に急激に気圧が降下いたしました。その後なお気圧の降下が続きまして、六時間ごとに約十三ミリバールの割合で下降を続けまして、七日の九時ごろには九百二十ミリバールとなりました。中心付近の最大風速七十メートル、暴風半径は二百キロメートルということでございまして、二百キロメートル以内では風速二十五メートルというような暴風半径を持った非常に強い台風となったのであります。この台風の圏内にありましたマリアナ海域の漁船の遭難は、御承知のように、六日の夜半から七日の早朝にかけて発生したものと思われるのでございます。  気象庁でとった処置がその次に書いてございます。気象庁といたしましては、英文と和文の海上の船舶に対する気象庁の無線気象通報というのがございまして、これはJMCという名称でわれわれ呼んでおります。これは一日四回放送しております。それからNHKのいわゆる漁業気象通報、これは一日三回でございますが、それによりまして海上警報と台風の概況報を発表放送しております。  この放送はいつからやりましたかと申しますと、台風になったとき、十月四日からこの放送が開始されておるのでございまして、十月四日から七日にかけての間に発表されましたこれらの情報を、その後詳細に検討いたしまして、まだ実は最終的なところではございませんけれども、詳細に検討いたしましたところ、気象庁で発表いたしました台風の位置、強さ、進路の予想内容というものは大体適切だとわれわれは考えておるのでございまして、現在の観測網の体制と現在の台風予報技術の水準においては大体適切であったのじゃないかと考えておる次第でございます。  以上でざいます。
  21. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) お配りしております資料につきまして御説明いたします。  四十年十月七日の早朝台風二十九号が——これは六日からというふうにも判断されますが、急速に発達しまして北上し、アグリガン島付近を通過いたしました。この際、同島付近海域に出漁中の静岡県船籍のカツオ・マグロ漁船七隻が遭難いたしまして、ここに書いてございますように、沈没一隻、乗り上げ一隻、行くえ不明五隻という悲惨な事故を生じまして、一名死亡、二百八名が行くえ不明となりました。なお、救助された者は四十二名でございます。  海上保安庁としましては、七日午前六時二分に「第八海竜丸」がマリアナ海域において遭難通信を発信したという情報を得まして、直ちに在日米海軍司令部に救助の要請を行ないまして、その他情報収集につとめたわけでございます。それから、七日夜半に至りまして、いろいろ情報を総合しまして、漁船七隻が依然として消息不明であるという事実がわかりましたので、大型巡視船二隻を遭難現場に八日に急行させまして、そして付近で操業中の漁船約十三隻と緊密な連絡をとりながら救難活動に従事したわけであります。さらに九日には、事態の重大性にかんがみまして、防衛庁に対して艦艇、航空機の出動を要請いたしました。なお、アグリガン島の陸上捜索を行なうことができるよう米軍の許可を申請し、これに基づきまして向島の捜索をいたしましたが、手がかりが得られなかったわけでございます。一方、捜索船に対する補給のため、米軍に要請をいたしまして、補給については引き受けるという返事をもらいました。  その後、ただいま御説明がございましたように、総理府に対策本部ができまして、そこを中心として以後今日に至るまで捜索活動を続行いたしております。ちなみに、米軍は七日一機を出動させました。当日は非常にまだ台風の余波で天候が悪うございましたが、八日以後本格的に三機をもって捜索を開始し、また艦艇一隻の派遣も得ております。防衛庁は、十日対潜哨戒機十機及び自衛艦四隻を派遣、さらに十一日には補給艦を派遣いたしました。水産庁もまた、連絡をとりながら水産庁の船を派遣しまして捜索を行なっております。以上で、十八日までに捜索に従事した艦船は延べ百七十一隻、航空機は延べ八十六機、海面は延べ約二十四万八千平方海里でございます。先ほど申しましたように、以上の捜索にもかかわらす、残念ながら、一名の遺体を収容したということで、その他浮遊物は揚収しておりますが、行くえ不明二百八名につきましては現在までのところ手がかりを得ておりません。  最後のページには、遭難船の状況としまして、七隻の遭難船の船名、トン数、乗り組み員、遭難状況、乗り組み員の救助状況等を記載してございます。なお、備考にはその他参考になる通信連絡につきまして掲載してございます。  以上をもちまして御説明といたします。
  22. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  23. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 速記つけて。  これより質疑に入ります。質疑の通告があります。順次発言を許します。松永君。
  24. 松永忠二

    松永忠二君 いま関係の方からお話がありまして、特に今度の漁船の海難について、その捜索について全力をあげておやりになったことについては、私たちも非常に感謝もし、また、そうなくてはならないという気持ちを強く持っているわけであります。しかし、今度の捜索の救難体制というものについてやはり問題があるのではないかという点について、運輸大臣はどういうふうな点についてなお配意をしていかにゃいけないものがあるかという点について大臣はどういうふうなお考えを持っておられるのか。まず、その点について救難体制の不備な点があるかどうか、あるいはまた、こういうふうな点について充実をしていかなければいけないという点についてのお考え方を持っておられると思うのでありますが、この点についてひとつ運輸大臣に質問をしたいと思います。大臣いないですか。(「いない」と呼ぶ者あり)  それじゃ総理府の副長官がいるわけですから……。
  25. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) ただいまの問題につきましては、運輸大臣が本日出席いたしておりませんけれども、海難救助に当たる担当の海上保安庁長官が来ております。海上保安庁長官からお答え申し上げたほうがよろしいと思います。
  26. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいまの御質問でございますが、体制といたしましては、私どももいろいろいま検討しております。根本的にはやはり海上保安庁の力が足りないということを今回も痛感したわけでございます。と申しますのは、遭難で最も能率のあがる航空機にいたしましても、足の短い航空機しか保有しておらないという点、あるいは巡視船につきましても、数の面でも、また質の面でも非常に弱体であるということでございまして、私どもとしましては、やはり基本的な捜索、救難の飛行機あるいは船艇というものをさらに充実しなければならないという点を特に痛感した次第でございます。この点につきましては、協議会のほうにもよく実情を申し上げまして、今後これらの整備につきまして努力をしたい、かように考えております。
  27. 松永忠二

    松永忠二君 いまお話がありましたが、海難についての保安庁の報告にもありますように、海上保安庁から巡視船が出動したのは八日というふうなことになっているわけですか。八日の午後出動されて、マリアナの遭難の海域に着いたのは十二日の午後ではないかと思うのです。この点は、そういう点に誤りはないんですか。それひとつまずお聞きをしたい。
  28. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) いま仰せられましたように、船が出ましたのは八日の午後でございます。それから現場に到達いたしましたのは、十二日の午後に到達しているということでございます。
  29. 松永忠二

    松永忠二君 お話がありましたように、遭難があったのは七日の未明から、大体ひどかったのは七日の午前中だと思うわけですけれども、すでに漁船の中でも八日の未明から「大鵬丸」というのがすでに捜索に当たっているわけです。で、八日に出動されるときには、別に防衛庁に協力の要請というものはなされない。ここにも出ておりますけれども、在日米海軍司令部に救助の要請を行なったと言うけれども、防衛庁には協力の要請をしない。その後、防衛庁あたりから海上自衛隊の護衛艦とか、あるいは哨戒機等が出て現地に到着して捜索をしたあとで、海上保安庁の巡視船が到着していると、こういうようなことを考え合わせてみたときに、一番遭難にあたって早急に捜索をし救援をしなければいけない海上保安庁の船が非常におそく着くというようなことについては、お話しのように、やはり私たちは保安庁の持っている巡視船、あるいはまた、飛行機も非常に航続距離の短い飛行機は少し持っておられるようですけれども、能力が非常に低いというようなことが考えられるわけです。この点については、やはり、いまお話しになりましたように、そういうことであろうと思うわけなんで、具体的に一体その点についてどういう充実の対策をひとつ実行していこうと考えておられるのか、この点をお聞きをしたいわけです。
  30. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいま私のほうで対策を立てておりますのは、いまの船と飛行機の充実の問題につきましては、現在まだ政府として決定したという段階ではございません。海上保安庁あるいは運輸省としてこういうことをしたいという段階でございますので、そのおつもりでお聞き願いたいわけでございますが、私どもといたしましては、巡視船につきましては、長期の整備目標を持って現在毎年少しずつ整備しております。明年度は九百トン型の巡視船を一隻代替建造ということで要求をすでに出しておりますが、今般の事故にかんがみまして、そのほかに別に二千トン型の高速巡視船を要求しようというふうに考えております。  それから飛行機につきましては、従来から足の長い飛行機ということで、国産のYS11というものを要求しておったわけでございますが、残念ながら、小型の飛行機は認められますけれども、いわば中型と申しますか、大型と申しますかの飛行機は、現在まで認められておりませんめで、明年度は小型でなくYS11をぜひほしいということで要求しておりましたが、今度の事故にかんがみまして、さらに一機を追加して二機を要求したい、かように考えている次第でございます。
  31. 松永忠二

    松永忠二君 連絡会議の議長にかわって副長官が出席されているわけです。いまお話のあったように、海上保安庁の救難の体制というものは非常に不備で、非常にこういう遠い海域で漁業を行なう場合においては、こういうことを二度と起こすというような——こういうふうなことに対して適切な処理ができる能力を持ってないということは、もう明らかになっているわけです。しかも、関係の長官から、そういうふうな明確な要求が出されているわけです。これについて連絡会議としては、この実現に対して、どういうふうな態度で臨んでいくおつもりなのか、この点をひとつお聞かせいただきたい。
  32. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) マリアナ水域遭難漁船対策連絡協議会は、一応今回の災害に対する救援対策を講ずることを当面の目標にいたしております。しかしながら、政府として当然今後の対策を考えなければならぬということでございます。実は、これらの点に関しましては、いま海上保安庁長官から説明がありましたような点については、私どものほうも聞いているわけでございますが、やや恒久的な対策につきましては、もっと実はいろいろな角度から検討しなければならぬのじゃないか、救難の体制が不十分であるという点につきましては、これはもう率直に認めざるを得ませんわけでございます。十二日でなければ船が着かぬ、十ノットぐらいの船しかおらぬというようなことでは、これは役に立たぬわけであります。これらの点につきましては、実は遠洋のものだけではなくて、近回りのものについても、さらにもっと強化せにゃいかぬじゃないかというような説も実は出ております。  それから気象の問題も、いま、あとから御質問があるかもしれませんが、こういうものもあわせて総合的にこれらの対策政府として講じてまいりたい、かように思っているわけでございます。  予算編成のちょうど前の時期に当たっているわけでございますが、予算編成の間に合わせるように、私どもとしましては、これら各般の状況を総合的にひとつ考えまして、強力な対策を進めてまいりたいと、かように思っているわけでございます。
  33. 松永忠二

    松永忠二君 その点については、ただ単なる遭難対策の連絡会議というよりは、やはりそういうふうな意図を持たれて会議を持たれる、関係の省庁一緒になってやられているわけなんです。また、遭難対策でこれが実現できないということになれば、その後のいわゆる操業なるものが非常な不安を伴ってくるわけです。これについては、単に口だけでなしに、まじめにひとつ、特にいま話の出ている保安庁の体制の整備のことについて、十分な努力を払っていただきたいと思うわけです。  そこで、水産庁の長官にひとつお尋ねをしたいのですが、今度の遭難にあたって、台風の発生するところに近い海域で危険を承知して操業したのではないかというような、こういう考え方が一部いろいろなものに報道されているわけです。これは無理な操業をやっているのではないか、危険な漁労の状況の中でこういうものが起こったのではないかと、こういうふうなことが流布されていることも私は事実だと思う。これについて水産庁の長官はどういうふうなお考えを持っておられるのか、この点をひとつ。今度の場合ですね、いままでいろいろなものをお調べになっておられると思うのでありますが、こういう台風の発生するところに近い海域で、危険を承知の上で無理な操業をした、カツオが不漁であったために、かつおぶしの原料が不足であるから、そういうものを得ようとして、特にあらしの直前には魚がたくさんとれるから、危険を承知の上でやっておるのだというようなことが相当なものに社説として書かれている点も私たちは見ているわけなんです。やはりこういう問題については、責仕者としての水産庁の長官としては、どういう見解を持っておられるのか、この点をお聞きしたいわけです。
  34. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 今回遭難をいたしました船は、お配りしました資料にもございますように、百六十トンから二百数十トンの鋼船、これらのカツオ・マグロ船は、大西洋からインド洋まで走り回って操業をいたしておるカツオ・マグロ漁業の一環の船であります。ことに、この静岡県のカツオ船は、いわばあの地帯は庭先と申しますか、毎年継続的に操業をいたしておるので、台風のこわさも十分承知しておる方々でございます。のみならず、台風の情報を聞きましてアグリガン島のほうに退避をいたした船につきまして、この被害が起きておるわけです。それから一方、一部新聞紙等で、本年度のカツオが不漁であったからというのが出ておりますが、実態を調べますと、近海のカツオはやや不漁でございましたが、遠洋のカツオは不漁ではなく、相当の水揚げをあげておったという関係も判明いたしております。したがいまして、私どもといたしましては、非常になれた、しかも、台風の危険を非常に承知しておる、しかも、毎年操業しておるところでございますから、漁労のために危険をおかして操業したとはどうしても考えられない。したがいまして、私どもとしては、先ほど細田副長官が申しましたとおり、幸い生命が救われましてお帰りになった方方から、退避のときの状況その他を十分お聞きいたしまして、もしそういう誤解があれば解いてまいりたい、かように存じております。
  35. 松永忠二

    松永忠二君 誤解があればということではなくて、現に、ある新聞のごときは、社説でそういうふうなことを言われていることは御承知だと思う。したがって、特にそういう点については、いまお述べになったようなことを明確にやはり関係の人にしっかりと知らせる、周知をするということなくしては、生命を失ったこれらの家族の人は耐えられない一つのそういう考え方だと思う。この点はもう少しやはり責任ある長官として、十分な措置をとられることが必要だと思うわけです。  で、この遭難をしている「第三国生丸」というのは、気象庁から表彰されている船である。五日の午後零時に台風を警戒しながら操業をしているという電報が入っているわけです。あるいはまた、戸田で遭難を受けている「第十一弁天丸」なども、やはりすでに六日の九時にも、あるいは六日の十七時にも、すでに避泊中であるという電報を打っている。あるいは「第三永盛丸」のごときも、九時に島陰に隠れたいから許可を求めてもらいたいということを無線で連絡して、しかも、それが有線でもって戸田の漁協に九時に受信をされているわけです。十七時にはアグリガン島に避泊中だと、こういうような電報が入っている。あるいはまた、東海大学の水産の船の船長あたりも、すでにアグリガン島に避難をしているということの無電を傍受をしているという、そういうふうな事実も明確になっている。それから、いまお話しになっているように、カツオ漁についても、そういうふうな不漁という問題についても、すでにお話のあったような事柄であって、この点は現在の段階において、もっとやはり漁業について、漁業者の一つの最もよるべき、たよりになる水産庁としては、こういうふうなことは全くの誤解だというような点について、明快に一般に周知をさせる責任があると思う。これは帰ってこなければわからないという性質ではないわけである。お話しのように、すでに避難をしていて遭難をしたということが明確になっているので、この点については、どういう方法で周知徹底させていく御決意を持っておられるのか、これは早くやっていただかないと、いま生存者をさがそうとしている段階などというようなお話もありましたけれども、特にこの点については、再度水産庁の長官にひとつお考えをお聞きしたいと思う、措置について。
  36. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) まことに今回の台風によります被害というものが、私どもの予想し得ない台風被害の態様ではないか、かように思うわけです。したがいまして、今回の被害の原因といいますか、実態と申しますかにつきましては、正確に事情を承りまして、まとめて明らかにすべき性格のものと、かように考えておるわけでございます。そこで、その関係を全体的にきちっといたしまして、その上ではっきりするということが適当ではなかろうかと私はいま思っている次第でございます。
  37. 松永忠二

    松永忠二君 最初あなたが申し述べられた事柄が十分に理解されていないということを私は申し上げているのです。原因については、いまお話しのように、いろいろのもので明確にしていく方法があるとしても、そういうことは考えられないということをやはり明確に発表されていく必要があるのじゃないか、そういうことを私は申し上げている。だから、その点については、原因をいまあなたのほうから言えと言っているのではなくて、無理な操業をやったというようなことは、全くこれは誤報だ、あるいは、伝えられているようなことが事実ではないということは明確になったと思う。こういう点についての善処を私は望みたいと思う。この点をひとつ御答弁いただくとともに、もう一つこの点についてお聞きしたいのですが、ラジオブイを持っていなかった、積んでいない、これが何か責任のごとく言われている記事も出ていることも事実です。しかし、ラジオブイというのは、本年五月二十六日になって積むということが決定をされて、これは生産が追いつかない、あるいは、日本でつくったものでも性能検査がなかなか通らないというようなことで、二年間の猶予期間があるはずです。したがって、このラジオブイを積んでいないからということが一つの責任であるかのごときようなことも言われているわけですけれども、これについては、そういうものを積んでいなかったからと言って、何ら漁船の責任でないということは明確だと私は思うのですが、前の問題とあわせて御答弁いただきたいと思います。
  38. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 非常に大きな事故でございまして、状況がわかりませんので、いろいろの新聞紙等でいろいろの想像といいますか、意見が出てまいったことは、まことに遺憾なことでございます。ラジオブイにつきましても、ラジオブイがあれば捜索上、より便利であろうという立場での感じは持ちますが、ラジオブイを持たなかったからと言って責任だというような考え方は毛頭あるべき筋合いではないと私も思うわけでございます。したがいまして、いま、今回の遭難の問題につきましては、先ほども話がございましたが、ともかくも捜索ということでまいっておりまして、だれが悪かったか、どこが悪かったというようなことの立場からこの問題を論ずることは適当ではないという立場で今日まで一貫してまいっておるわけでございます。前段の話と、いまのラジオブイの話とあわせまして、その点をできるだけ早く適当な機会に明らかにせよという点は、御趣旨を尊重して善処いたしたいと思います。
  39. 松永忠二

    松永忠二君 これは運輸大臣にお尋ねしたいのですが、気象庁の長官もおられますので、マリアナ群島の海域の気象観測については、不備の点が多い。そしてまた、気象観測の盲点だと言われているのですが、これについては、どういう御見解を持っておられるのか、この点をまずお聞きをしたいわけです。
  40. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 今回の遭難のございましたマリアナ近海というのは、非常に島が少ないわけでございまして、その点におきまして、観測資料が非常に不足をしているということは、これは明らかなことでございます。それを補うために、気象庁といたしましては、これらの海域にある商船ないしは漁船からの気象観測報告を受けて、その商船、漁船の観測資料によりまして、この海域の気象の資料とし、それをもって天気図を書き、この付近の予報ないしは警報を出しているというような次第でございます。
  41. 松永忠二

    松永忠二君 この点については、もう少しあとからお聞きをいたしますが、とにかく気象の観測については十分でないというような点はお話があったわけであります。そこで私は、気象庁が出した漁業の気象通報について調べたわけでありますが、六日の五時に、六日の二十一時の台風の予想を出している。六日の六時五十分に、七日の三時の台風がどこにあるかという予想を出している。それから六日の十二時五十分に、七日の九時の台風はここにあるという予想を出している。それから六日の十八時五十分に、七日の十五時の台風の位置というものを予想を出している。これはまあ図を見て、皆さんにも御理解をいただきたいところでありますけれども、アグリガン島というのは、東経百四十五・四〇度、百四十五・七度、大体北緯は十八度四十五分、そうすると、六日の五時に、六日の二十一時の台風を予想をした場所というものを、東経だけを私は見まして、アグリガン島が百四十五・七である。六日の二十一時には、一番西に寄ると百四十五・五だ、それから一番東へ寄って百四十八度、ちょうどアグリガン島が中に入っているわけです。ところが、七日の三時にはどういう方向へ行くかというと、東経百四十四度と百四十七度の間に入ってくると、こう言っているわけです。だから、七日の九時には、東経百四十三度と百四十六度の間に入ってくる。七日の十五時には、東経百四十二・五度と百四十四度のところへ来ると、こう言っているわけです。そうすると、その放送をしたのは、特に七日の十五時に台風の中心が来るとして予想したのを放送したのが六日の十八時五十分——遭難する前です。そのときの台風の予想位置というものは、アグリガン島から全然はずれたところを予想しているわけです。だから、この台風予想というものを順次出しているわけですが、その台風予想というものは、非常に西に傾いている。特に遭難する前のときに聞いているのでは、台風はもうアグリガン島のずっと西のほうに中心が行っているというふうな予想を出しているわけです。こういう予想を出していることは私は事実であるかないかなんということを聞く必要はないのであって、あなたの出している気象庁の予報では、そういうことを明確に言っているわけです。この予報を聞いた船が、アグリガン島に集まってきて、前回の台風の際に非常に碇泊するに適当だと思ったアグリガン島の島陰に集まってきた。だから、アグリガン島に集まって避難をしてきたときには、その台風の中心はアグリガン島付近に実は来ているということになる、実際は。予想は西のほうだけれども、事実の台風の位置というものは、ずっとアグリガン島に接近をしていたわけです。そういうことがどういうわけで、一体、漁船がアグリガン島にそんなに集まったのか、それは、遭難する前の予報というのが、予想が全部西側に傾いていて、特に六日の十八時五十分の予報のごときは、アグリガン島をはるか離れたところに台風の予想というものをつけていたというところに私たちは問題な点があるというふうに思うのです。どういうわけで、一体、七日の午前三時にアグリガン島辺に台風の進路が当たっているのに、漁船が同島に避難している。これは一体、どういうふうに気象上から説明がつくのですか。まず、私は、その最初の六日の五時、六日の六時五十分、六日の十二時五十分、六日の十八時五十分というのが、台風の予想の位置というものは非常に西に傾いていたという事実については、あなたからまずその事実をお聞きしたいわけです。
  42. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) しばらくお待ちください。——お答えいたします。六日の五時に予想いたしました台風の進路は、これは御承知のように全部扇型になっております。で、この六日の五時というのは——ちょっと資料がごちゃごちゃいたしておりますので、しばらくお待ちください。
  43. 松永忠二

    松永忠二君 それじゃ、この点はむしろここに——私の申し上げたのは、あなたのほうの気象庁の資料なんです。しかも、六日の二十一時、七日の三時、七日の九時、七日の十五時、こういうふうにして、これはお話しのように、六日の二十一時には、北緯十八・五度、東経百四十五・五度と北緯二十度と東経百四十八度の間、こういうふうに書いてある。それを私はいま申し上げたのです。北緯のほうは略して東経の幅を考えてみると、全然アグリガン島とはずれている。もう台風の予想位置は、七日の十五時には、台風が北緯十九・五度と東経百四十四度、それから北緯十七・五度と東経百四十二・五度の間に台風の位置があると報道しているわけです。それが六日の十八時五十分に放送されているわけです、七日の十五時にはそこへ行くと。それはもう全然アグリガン島の位置から結局はずれたところにある。私が申し上げたいのは、アメリカがグアム島で放送した台風の中心のほうが正確なんです。で、実際に一体六日の二十一時に、実際は台風はどこにあったかということはその後明確になっているわけです。たとえば六日の二十一時には、実際は百四十五度の東経のところにあった。それをアメリカは百四十六度と報道している。あなたのところは百四十五度と百四十八度の間というふうに放送している。そういうふうにだんだん尋ねていってみると、このアメリカのほうの飛行機の観測によって、グアム島から放送したのは、あなた方が受け取っている気象の報道よりも、むしろずっとあなた方の予想のほうが西に傾いていたということは、この事実の上でわかるわけです。こういう点についてやはりはっきりさせておく必要がある。特に今後ひとつ、そこに副長官もおりますけれども、きょうちょうど毎日新聞がこれを図にあらわしておるようでありますが、対策本部では、いろんなことがあったでありましょうけれども、それを集約して発表しているわけです。私たちしろうとでありますけれども、この気象庁の出した予想というものは非常に西に傾いていたということは事実だと私たちは思うのです。それと遭難の問題とを直ちに結びつけてその責任を追及するとかなんとかいうことでなしに、そういう予想が出てきた一つの原因というものは、前々から話が出てきているように、気象の予想を立てる材料が不備である。アメリカからくる飛行機の観測あるいは航続の船舶か、グアム島気象通報だけにたよっているというところだけに問題がある。予想位置が西に傾いていたということは事実だと思うのですが、この点はなお研究をしてみなければわからないでしょうか。
  44. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) まず、先ほどの西に片寄っていたということにつきまして、私、いま手元に資料ごちゃごちゃいたしましたが、加藤主任予報官から、いまの点をお答えいたしたいと思います。
  45. 松永忠二

    松永忠二君 そんなことはあなた長官から……。
  46. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) ただいまの六日の十五時の台風の位置、すなわち、六日の十八時に放送いたしました——十五時の位置で放送したから十八時の放送になりますが、それは御指摘のように、その扇型の中にはアグリガン島はのっておりません。アグリガン島は、その扇型の四、五十キロのところにアグリガン島はございまして、この扇型の中にはのっておりません。それから、そのあとの分につきましても、たとえば五日の、これもその前の日の十八時の放送で、その二十四時間後の台風の位置は、やはりアグリガン島までは届いておりませんけれども、一番東のほうの線をたどってみましても、やはりアグリガン島には達しておりません。そういうような放送による台風の二十四時間後の位置は、アグリガン島はその扇型の中に入っておらないところが二つほどあります。これは確かにアグリガン島はその中には入っておりません。がしかし、ここで一つ申し上げておきたいのは、先ほど申しましたように、台風の二十四時間後の位置をぴたっと予報するということは、現在の技術では非常にむずかしいのでございまして、特に資料の少ない南方洋上においては、なおむずかしいのでございまして、現在われわれは最善を尽くしておりますけれども、われわれの持っております気象学といいますか、台風予報学と申しますか、そういうものの水準から考えますと、どうしてもこれ以上の精度を上げるということは、学問的にも非常にむずかしいように考えられるのでございます。
  47. 松永忠二

    松永忠二君 この点については気象庁と水産庁のほうに、いまお話しのありましたように、実は遭難する前の日の予報というのが、六日の二十一時——六日の日の五時、それから六日の日の六時五十分、六日の日の十二時五十分、六日の日の十八時五十分の位置が、いま言うように非常に西に傾いていたわけです。そういう事実と、台風の中心だと予想されるところへ六日にずっと船が集まってきているということと、どういう一体関係があるのか。台風の中心と思われるようなところに、さっきのお話しのように、自分の庭先だと考えられているような水域に漁業をしている漁船がなぜ集まってきているのか。どういう関連がそこにあるのかということは、いまお話しのあった第十一弁天丸や、あるいは僚船等も十分にひとつ帰った上で調査をして、これとどういう一体関係を持って説明できるのか、この点をひとつ明確にしてもらいたい。これはひとつ副長官も来ておるわけなんで、こういう点について、私はここでどうこうということを結論づけるというわけじゃありませんので、この点については、どういう一体説明をこれでつけることができるのかということを、ひとつ今後お聞かせをいただきたいと思うわけです。また、現地の人もこういうことをはっきり明確に聞きたいというふうに考えていると思うんです。  そこで、アメリカの観測機が七日の九時に観測したものの位置が、七日の十二時に観測してそれを修正してきている。これは事実だと私は思うんですが、七日の日に修正をしてきている、これについては間違いありませんか。
  48. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) そのことにつきましては、アメリカから修正電報が参りましたのは間違いございません。
  49. 松永忠二

    松永忠二君 とにかく、七日のアメリカの観測機が観測した結果が間違っているということで、あらためて訂正してきた。また、その訂正に基づいて気象庁自身も訂正をして予報をしているということは、これは事実だと思います。  そこで、これと一体遭難の事実と、どう結びつくかということについては、そう簡単な結論は出せないと思うんです。これについては何時にそれを報道しているかという点なども考え合わして、そう軽率な言い方も私はできないと思うんですが、これは間違っていたことは事実であります。そしてアメリカが観測してきたものを日本に通報してきたのは、三日に一回、五日に二回、それから六日に一回、七日に一回、四日には全然報告してきていない。これも私は事実だと思うんですが、どうですか。
  50. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) アメリカの飛行機が台風の中へ入りまして、その台風のなまの資料を通報してきたのは、おっしゃるとおりだと思います。
  51. 松永忠二

    松永忠二君 そこで、一体アメリカは何の協定に基づいて日本にそれを通報してきているのか、その点について明らかにしてもらいたい。
  52. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) その協定と申しますのは、日米安全保障条約に基づく日米合同委員会気象分科会の取りきめの中に、次のような規定がございます。「合衆国空軍並びに海軍の気象隊は合衆国の操縦士の報告並びに気象観測結果を中央気象台が利用し得るようにする。」というような規定がございます。この規定に基づいて報告を受けているわけでございます。
  53. 松永忠二

    松永忠二君 で、ここではっきりしておきたいのは、やはりそういうことであって、好意でただ通報してくるものを利用できるということだけだ。いわゆるこのものは、いまお話しのあったような、日米行政協定第八条に基づく協定施行細目というものによって、アメリカと日本側との間にいろいろな協定の細目ができておる。これは、まあ日米安保条約というものは日本の安全を守るという意味の条約であるから、日本側の義務が非常に詳細に説明されているということは、私は、これは必要がないということは言えません。しかし、これは非常に詳細に義務づけが行なわれているのに、アメリカ合衆国が、空軍と海軍の気象隊は、日本に対して利用される気象観測については、ほんのわずかだけ規定されていて、しかも、これは何らの義務規定はない。こういう問題について、一体日米合同委員会等で、もう少しこういうふうな、あなた方が一番重要な資料とされている、事実そのアメリカ軍飛行機が観測した台風の位置は、そのとおり事実通っているわけだ。一番正確なものだ。これが最もたよりになるそのものである。このアメリカの気象隊の通告について、一体日米合同委員会が、こういう回数を一日にどのくらいにしてくれとか、あるいはこういうことについて、もっとこういうふうにきめてくれというような、こういうことを提案をしてやったことが一体政府はあるのですか、一回でも。そういう点についてひとつ政府のほうから、副長官のほうから聞いてみたいわけです。
  54. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) これは私のほうでお答えを申し上げるあれでございませんので、十分いまの御質問の趣旨を関係の向きに伝えまして、責任ある答弁をさせたいと思います。
  55. 松永忠二

    松永忠二君 私は、まあ運輸大臣にお聞きをしたいわけなんですけれども、まあ私たち、一体日米合同委員会で、これだけ不備である日本の気象観測、特に台風の発生地でありますとか、その後のことについても、この観測機が相当な役割りを果たしているものについて、全然回数についても規定をされていない。四日のごときは、何にもこっちへあれはない。こういう中で行なわれていることについて、日本側から何らかの話し合いがなされてしかるべきだと思うのです。で、こういう点についてまだ明確になりませんので、まあこの点は後にお聞きをしたい。  また同時に、副長官にお聞きをしたいのは、いろいろあるけれども、つまり日本が当時マリアナ群島に持っていた測候所というのはやはりあった。まあこのアグリガン島のすぐ南のところの島にも測候所が設けられてあった。全然アメリカが使っていない無人の島もある。こういうようなところを漁業の基地にしていきたいとか、補給基地にしたいとか、こういうような点については、相当やはり要望もあるし、こういう点について、一体一回でも交渉したことがあるのか。あるいは小笠原あたりにレーダーの基地をつくりたいというようなことについて、一体交渉したことがあるのか。こういう点について政府のやはりはっきりしたひとつ御答弁を今後いただきたいというふうに私は思うのです。  そこで、今後の観測の充実、正確を期するというためにいろいろな点が要請されているわけです。定点観測船をもう少しふやす、あるいは観測機をつくっていったらどうか——観測機をつくるということは、昭和三十九年の五月に、気象業務に関する答申の中に、観測機を備えるようにという答申がなされておる。あるいはレーダー基地をどこに設ける、漁業の基地をどうするか、こういうふうな問題について何を一体やろうとしているのか。気象庁の関係について何を一体、この際、不備であるからその充実をどうしてもしていかなければならぬ、そうしなければとうてい不安の除去はできないという意味で、これはひとつぜひともやりたい、どうしてもやらなければできぬというもの、その具体的なものをお聞かせいただいて、実現については、ひとつ政府のほうからまた御答弁をいただきたいと思います。
  56. 柴田淑次

    説明員(柴田淑次君) 今後の対策をどういうように考えているかという御質問に対して、まずお答えいたしたいと思います。これは気象庁として考えておりまして、運輸本省とも相談しながら考えていることで、現在その範囲でございますので、ひとつその点あらかじめ御了承の上お聞きくださいますようにお願いいたします。  さきに申しましたように、南方海域は非常に観測網が少ないということで、これを何とかしなければならないということはこれは明らかな話でございます。特に洋上における台風の発生、及び、その発達だとか進路などをもっと的確に予報をするためには、そういった観測網の増強が必要である、その増強の一つといたしまして、ただいまお話しにございましたような、気象観測船を増強するということは、これは必要なことでございまして、気象庁といたしましても、気象観測船を増強して南洋方面の気象観測をこれによって増強したいということ、あるいは、先ほどのお話しのように、航空機による観測というものは非常に重要でございますので、大切でございますので、日本でも航空機の観測ができるように、できるだけその実現を促進したいというようなことを考えております。しかし、これは恒久対策として、恒久対策の中に入るものでございますが、そのうち気象観測船はとりあえず一隻はぜひ至急に持ちたいというように考えております。  なお、当面の対策といたしましては、そのほかいろいろなことが考えられるのでございまして、たとえば商船、漁船からの気象資料の収集を現在よりももっと強化するという手を打つのが一つでございます。それから、特に漁船との連絡は、主要漁業海岸局というものがございますのは御承知のとおりでございますので、その主要漁業海岸局と気象庁との間の連絡をもっと密接にして、その海岸局に打ち込まれました船からの資料を即刻気象庁が受け、それを処理して気象庁から即刻その海岸局へも流すというような処置が必要じゃないかというようにも考えております。また、現在やっておりませんけれども、ぜひやりたいと思うのは、船舶向けの気象の無線模写放送と申しますが、ファックスを、船舶向けのやつを、この放送を新設するというようなこと、あるいは気象庁の内部におきましても体制を変えまして、海上気象担当予報官を増強するとかいうようなことでございます。なお、先ほどからもたびたび申し上げておりますように、台風予報技術というものが現在この程度の水準でございますので、もう少し正確な予報を出すためには、この台風予報技術というものの向上をはかる必要があろうかと思いますので、それに伴います台風予報の研究の方面、及びそれに関連します洋上における観測機器といいますか、観測の機械の開発もしなければならないというように考えている次第でございます。
  57. 松永忠二

    松永忠二君 私は、気象庁長官が言われていることはよくわかります。そういうことは何回も気象庁の長官が言われておるわけです。前回の、いろいろ災害の際の予報の際に問題点があることも言われておる。またまた今度、保安庁のほうはだいぶ実現性が出てきているけれども、気象庁の関係のことはあまり明確になってないと思うのです。これは気象庁長官だけに御答弁をいただいても、運輸大臣や農林大臣にも、一体どういう考え方を持っておるのか、これは明確にしてもらわなければならないし、総理府の長官が連絡協議会の議長になって一体何をそういうことについて考えているか、これもはっきりしなければいけない。だから私は、いまの気象庁の長官の言われたことが実現できるような保証をひとつここでやはり明確にしなければだめだと思う。  委員長に望みたいのは、やはり同じことを何回も何回も繰り返しているので、特にこの気象庁の関係については、災害対策等でひとつ決議をあげて、そうしてこの実現を早急にはかるようなぐあいに今後取り計らいをしていただきたいと思う。この点については、また委員長が、あるいは関係委員の方で御相談していただきたい。いまの答弁、全く不満——ほかの関係の人からはっきりしたものがいただけないので全く不満でありますけれども、いまの段階ではこれはやむを得ないことなので、いま気象庁の長官の言われたことを現実に実現できるように、長官としても努力をしてもらいたい。  最後に、私は、実はまだもう少し時間をかけたいのは、遭難漁船の船員なり家族に対する対策を一体どうするのか、あるいは漁協に対してどういうふうな対策を打つのか、いろいろ問題の点があるので、水産庁の長官に、わかっていることについてひとつまとめて御答弁をいただきたい。時間がだいぶたちますので、私はまとめてお聞きをいたします。  遭難の漁船員に対する保険金が、船員法とかいろいろなものにきめられているわけですけれども、特に標準報酬というものをどこにきめるかということに問題があるわけです、標準報酬をどこにきめるか。前年のサンマ漁のときの標準報酬をとるのか、カツオ漁のときの標準報酬をとるのか。あるいはこれを平均して、一年のものとして標準をとるのかということによって非常に違ってくるわけです。たとえばサンマ漁のときには月に一万七千円から一万九千円、カツオ漁のときには四万一千円ということになっておる。したがって、今度の遭難の船員に対する保険金というものに対しては、やはり十分な配意をしていくということなくしては、この遭難した家族の人たちに対する救済が十分できないので、この点についてひとつ十分に配意をし、検討をしてもらいたい。  それから漁協の見舞い金というのを各漁協で考えている。ところが、すでにこれは一部にも出ているように、遭難積み立て金というのがあるわけです。この遭難積み立て金というのは、水揚げの〇・二%を積み立てるということになっているけれども年度内に使わないと、これは剰余金だということで課税の対象になってしまう。そのために積み立て金が非常に少ない。いま現に七十一人の遭難の起こった戸田村の漁協というのは、五十万七千円しかない。これではとても漁協の見舞い金は出せない。この遭難積み立て金について、どういった改善のしかたを考えているのか。  それから戸田には、いま話が出ておりますように、七十一人の行くえ不明の人があるが、それは三十八世帯、すでに生活保護の仮査定をしたのが四十一——まあ世帯主が別なところがあるので四十一世帯、こういうように生活保護をしなきゃできないほど非常に苦しんでいるわけです。そこで、一体この世帯の中に高等学校、大学の生徒があるかというと、この中にも高等学校の生徒が、戸田だけで十名、大学の生徒が一名ある。これは普通の災害のときには、激甚災害などを指定した際には、奨学資金、育英資金のワクをこの際出して、適用をしていくわけです。これについては、ぜひともやはり適用をしてもらいたい。この育英資金のワクを出して、そういうものに対して資金の貸し付けをしてもらいたい。この戸田というところでは、親子で死亡したものが三世帯もある。五人も兄弟が死亡している。同一世帯で三人の兄弟が死亡しているというところもあるわけです。非常に集中的にやられているわけなんで、この奨学金の問題をぜひともひとつ責任をもって解決をしてもらいたい。  それから、もう一つの点は、遭難救助という費用が非常にたくさんかかっている。これは、長官、副長官もひとつ聞いておいてもらいたいのは、たくさんの漁船が出動して、長い間遭難の捜査に当たった。これに使った油とか食糧とか、いろんなものをどこで一体出すのか。普通の場合には漁協に請求をされる。静岡県の場合には、漁業遭難の救済条例があって、三分の一を県が負担するという条例があるけれども、これについて、膨大な遭難の救助費——全力をあげてやってくれただけにこの費用がかかっているけれども、一体これをどういう処置をしてくれるのか、これについては十分にひとつ考えてもらわなきゃならない。  もう一つは、いま遭難をして、一時金をもらって、それでまあまあ、そこのところは一時しのぎはできるとしても、一体長期的に子供を育てて生活をしていくということになると、こういうふうな漁村には、恒久的な家族の職業補導の施設というものをこの際つくっていかなければ、ほんのわずかの金をもらって、あとは路頭に迷うという結果になってしまう、この際、職業補導施設というものを設立したいというのが、地元市町村の強い要望でもある。これについて一体、政府のほうは、具体的にどういう措置をするのか。副長官のお話では、まだ調査の段階であるというお話なので、ここまで突き詰めたものの考え方をしておらないという御答弁もあろうかと思うんですが、やはりそういうことを一つずつ解決をしていく中で、政府の誠意や国の施策を信ずることによって、今度は後継者が続いて漁に出ていくことができるわけです。現に戸田村では、三十人の中学の卒業生が遠洋漁業に従事をしているわけです。いま言ったような気象庁の気象の予想であったり、救難の対策が整備されてなかったりしていると、一体、どうして安心して後継者をつくることができるのかということは、非常な問題の点になってきているわけです。したがって、こういう問題について、あらためて明確にひとつ政府側の御答弁をいただきたいのでありますが、当面の責任者であり、当面、漁民のたよりにしておる水産庁は、一体何をこの点について考えておるのか。また、政府は、そういう点については一、二検討したところがあって、こういう問題はこうなんだという御説明をいただくならば、私はきょうの質問を終わりたいと思います。
  58. 細田吉藏

    政府委員(細田吉藏君) 水産庁の関係については、長官からお答えすると思いますが、いま、留守家族のあとの問題について、いろいろ御質問の中で御示唆がございました。実は私ども、もちろんそういう問題について、全然考えておらないわけではないのでございまして、項目もずっとここに持っておるのでございますが、先ほど申し上げましたようなことでございまして、各省それぞれの担当の部門でいま考えてもらっておりますし、項目的には、私どもも、いまおっしゃったようなことの関連において、あるいはもう少し、もっといろんなほかの問題もあろうかと思いますが、当面のいわゆる援護対策といいましょうか、そういうものにつきましては、いま実は進めておるところでございまして、本日も午後二時から、この対策協議会を開いてこの段階に入りたいと、こういう実は段取りにいたしておるわけでございますが、なかなかこれタイミングの問題がございまして、先ほどちょっと申し上げたのは、そういう趣旨なのでございますが、これから強力にそうした援護の措置その他について、当面のあとの問題については、実は本日から協議に入るというようなことにいたしておるわけでございまして、ただいま御示唆のございました点につきましても、十分、私どもとしましては関係の各省と相談をいたしたいと考えているようなわけでございます。
  59. 丹羽雅次郎

    政府委員丹羽雅次郎君) 種々の対策につきましては、いま副長官も申し上げましたとおり、非常に各省にまたがっておりまして、当面、直接私どもで担当し得る問題は、遭難漁船の保険の問題、これは、事務的に早期支払いの関係の準備を着々進めておるわけでございます。  それから、人間の問題は、漁民でありますと同時に、船員でございまして、厚生省の船員保険の処理の問題になります。それから遭難対策、それから職業補導、いろいろの問題がございまして、結局、知事さんと私どもは、おりおり相談をいたしておりますが、当面、第一義的には、静岡県の知事さんを中心に一つのお考え方をおまとめ願いまして、そのお考えの上で各省にそれぞれがいろいろと御相談の上、全体的に問題を考えていく必要があろう、こういうことで知事さんのほうの対策もなるべく早く御研究願うように要請をいたしておるような段階でございます。
  60. 松永忠二

    松永忠二君 最後に総括的に。ちょうど政務次官も来られておりますので、特に所管の省でありますから、ひとつ次官のお考え方を聞きたいと思うのです。
  61. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) マリアナ海域におけるところの漁船の遭難につきましては、農林省の関係が一番重要で、また多いのでございまして、非常にお気の毒に思っておりますが、遭難された方並びにその家族は、非常に利害関係がたくさんありまして、将来の生活につきましても、非常な御不安があることだと思っておりますから、そういうような点につきまして十分に留意いたしまして、農林省でできることは農林省、あるいはまた、農林省でできない、大蔵省その他の各省にいろいろな関係がありますから、十分連絡をとりまして、万遺憾なきを期したいと思っております。どうぞよろしく。
  62. 大倉精一

    委員長大倉精一君) 私のほうから資料要求をいたしたいと思います。  気象庁長官に、まず、船舶からの気象通報のお話がありましたが、年々これは減っておりますね。私が調べたところによりますというと、三十八年九月中に気象庁に入った気象電報の数は一万八千二百二通、これは九月中。三十九年の九月中に入ったのが一万七千七百二十七通、四十年九月には一万五千八百三十九通、だんだん減ってきております。ことしに入ってから、夜中の三時の通報というのが非常にむずかしいと思うのですが、これが七月には、一日当たり七十通から八十通入っている。八月には六十通から七十通、九月には四十通から五十通、だんだん減ってきております。この関係は船舶通信士の関係と密着しておると思うのです。先般通った海上運送法、電波法の改正、これによるところの状態、これは非常に密接に関係があるわけです。そういうものを直さなければいかぬと思う。さらにまた、定点観測というものは、昭和二十八年からずっとやっておるわけです。あなたのほうも、二回定点観測の建造船の予算を出しております。全部削られておる。そういう点も要求されたのは、あなたのほうで気象観測あるいは通報、たとえば海岸気象専門の予報官もおりません、気象庁には。それで、強化するにはどういう計画があるか、予算編成の最中ですから、来年度はこういうものをやるのだ、こういう予算要求をやるのだという、一ぺん資料を出してもらいたいと思う。  それから海上保安庁のほうは、これは千トンのどうのこうの言っておりましたが、千トン級の遠距離救難用の船というのは、前も要求しておるのですが、全部削られておる。十年間に巡視船二隻ふえましたね。これも港内の巡航用ぐらいより役に立たぬ船、船艇なんです。千トンけっこうですけれども、来年度予算において、どういう増強計画で予算を要求するか、来年度だけじゃないですよ、将来ともにわたる。  それから災害全般に対しまして、これは高柳さんおりますか。中央防災会議がありますね。それで、総理も防災については、政府の重点施策としてやるのだと本会議で言明しておられまするが、各省庁に関係のある防災強化具体策を出してもらいたい。なお、具体策、各省庁関係別にですね、運輸省なら運輸省、あるいは建設省と、いろいろありますが、それの具体的な強化策を資料として出してもらいたい。現在までの経験から言いますと、災害関係は、災害があるときはえらい熱心にやりますけれども、だんだん災害が遠ざかると、また、もとのもくあみになってしまって、結局、何もできていなかったというのが、いままでの例です。今度は総理みずから画期的なものをやる、あるいは、政府の重点施策としてやりますという言明がありましたから、私ども非常に心強く思っております。これを裏づけするような増強計画の資料を出してもらいたい。特にきょうは海上保安庁長官気象庁長官おいでになりまするから、これを具体的にひとつ出していただく。全般としては全体の、ひとつ強化計画を出してもらいたいと思います。  以上、資料要求ですけれども
  63. 中村波男

    中村波男君 救援対策について、運輸大臣が出席をしておられたらお尋ねしようと思っておったのですが、ただいま松永さんから質問をされたのに関連しまして、簡単に御質問をしたいと思うわけでありますが、総務副長官が、今回の遭難事件については直ちに連絡をし、直ちに対策を立てたと、こうおっしゃった。さっきの御報告を見ますると、保安庁におきまして、八日の日に大型巡視船を現場へ急行させた。しかし、実際に大型巡視船が到着するのは十二日の午後であったと。御承知のように、遭難をしたというこの状況から言いまして、一刻を争う救難の問題だと思うのでありますが、そこで十日の日に自衛隊の飛行機なり軍艦が出動しておるのでありますが、新聞の報道によりますと、自衛隊の海幕は、マリアナは外国であり、自衛隊独自の判断では行動できない、また、遭難当時どこからも派遣要請がなかった、このようにいま言っておるのでありますが、そうだとするならば、なぜもっと早くそういう手配なり、自衛隊に要請をしなかったか。こういう点をお聞きをしておきたいと思うわけでありますが、この点ひとつその間の事情をお尋ねいたします。
  64. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) ただいま御質問ございましたが、自衛隊のほうに対しまして要請いたしましたのは、御指摘のとおり九日の夜でございます。それに基づきまして、十日に自衛艦が出港しておるということでございます。なぜもっと早くしなかったかというお尋ねでございますが、この点につきましては、あるいは結果的には御批判があるかとも思いますが、当初私どもは、米軍がそばにおりますので、米軍の飛行機の救援をとりあえず頼むように、状況の推移に応じまして海上保安庁の船を出動させる、さらに状況が非常に深刻であるということで、自衛隊のほうに出動を要請した、こういう段階でございますので、結果的に見ますと、もっと早くやれはしなかったかという御批判はもちろんあると思いますが、経過としましては、状況の推移に応じて逐次手を打っていったというような次第でございます。
  65. 中村波男

    中村波男君 ここで申し上げたいのは、気象庁が気象予報上に手落ちがなかったかどうかということはいま究明をしていらっしゃいますし、また、われわれも機会を見ましてさらにお尋ねしたいと思っておるのですが、問題は、死んだ人は再び帰ってこないということであります。私たちも、遭難されておる人たちが生きておられることを祈るのでありますが、そこで、十五日のたしか閣議におきまして、中村運輸大臣から海難防止対策の強化案というものが提示をされて了承を得た、こういう新聞記事を見たのでありますが、それによりますと、気象観測船をふやす、日本の航空機による観測や予報官を増員して、遠洋における予報体の改善をはかる、大型巡視船二隻、大型航空機二機を海上保安庁に配置して救援対策を整備する、こういうことがあげられておるのでありますが、そこで、私はがっかりいたしたのでありますが、その予算要求としては十億円を追加する、すでに予算が要求されておると思うのでありますが、その内容がわかりませんから、しろうとでは判断できませんけれども、これだけの施設をするとするならば、十億や二十億ではとてもとてもできないのではないかというふうに考えるわけであります。そこでまた、それに関連いたしましてこういう記事も出ておるのであります。自衛隊が自国の気象観測は当方に肩がわりすることを名のりを上げた、しかし、そのためのさしあたっての費用が二百億要るということが言われておるのであります。そういう点から関連をいたしまして、いま申し上げましたような予算要求がされておりましても、内容的には十億や二十億や三十億では、とてもとてもこれだけの装備は整わないのではないかというふうに思うわけでありますが、これらの内容について、具体的にひとつ御説明をしていただきたいというふうに思うわけであります。
  66. 栃内一彦

    政府委員(栃内一彦君) 対策についてでございますが、これはただいま委員長からも資料を出せというふうな御要求がございましたので、それともう一つは、予算の積算というものは、まだ、きょうも、先ほど副長官からおっしゃいましたように、きょうの午後、いろいろなそういう問題もやろうということで、積算も最終的にきまっておりませんので、内容としましては、九百トン型をいままで一隻要求しておりましたところを、二千トン型を新たに追加要求しようと、それからYS11一機を要求しておりましたのを、二機にふやして要求しようという内容でございます。これは、いま資料要求もございましたので、もう少し計数を整理しまして御提出いたしたいと、かように思っておりますが、これは海上保安庁の関係でございます。よろしゅうございますか。
  67. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 私は、きょう災害全般にわたる基本といいますか、根本といいますか、その対策樹立に関する政府の基本的な態度についてただしたいと、こう考えておりましたけれども、開会冒頭からいろいろお話がございましたように、どういう理由かわかりませんが、私どもはかなり以前から政府の最高責任者が出席するように要求をしておりましたが、結果的には、だれも見えていない。まことに私は遺憾にたえないと思いますが、万やむを得ぬと思いまして、そういう問題については、次回の委員会で質問いたし、政府の姿勢を正したいと、こう思いますので、十分、委員長のほうではそういう点に配慮を取り計らっていただきたいと、こうお願いをしておきます。  そこで、時間もございませんし、また、いま申し上げたように、最高責任者がおりませんから、そういう問題の答弁もなかなかできないと思いますから、差し迫った今度の全国的な災害の応急措置の問題について、せっかく農林政務次官おいででございますから、簡単に伺っておきたいと思うし、また、強く要望しておきたいと思うのです。  で、今度の災害は、台風二十三号、二十四号、二十五号、九月の中旬から連続襲来をいたしまして、予想外被害をこうむったわけでございますけれども、今年初めて災害を受けたのじゃないわけであります。年々歳々台風があるわけでございまして、農林省としても、そのつど当委員会で指摘されました応急なり恒急なりの対策を立てていると思うのです。それはそれとして、きょうただいま申し上げますことは、そのつど被害をこうむった多くの国民、農民がいるということなんであります。こういう事柄について、直ちにやはり政府当局としてはその対策を講じてまいらなければならぬ、こう私は思うのです。  そういう意味で項目だけ申し上げておきます。これは、いままでの災害の体験、経験からやられることでありますから、項目だけ申し上げておきますけれども天災融資法適用による経営資金の融通の問題、それから自作農維持資金の融通の問題、それから開拓者資金の融通に関する問題、制度資金の償還猶予の関係の問題、それから再生産用種子の確保の問題、それから農業共済金早期支払いに関する件。  それからもう一つは、産米の下位等級の設定であります。これは例年災害が起きるたびに、あまりいいことではございませんけれども、そういう措置をとってきたのでございますが、私は本質的には、これらの問題については法律改正をいたす必要があるのじゃないかと、こう思っておりますけれども、これはあとで、政策の論争になりますから、次回の委員会でやりたいと思いますが、とりあえずは、この下位等級の設定の問題をすみやかに考えなければならぬ、こう思うのであります。特に一般的な災害被害をこうむった農家はもとよりでありますけれども、東北、北海道の場合は、昨年の冷害に続きまして、一部の地域でございますけれども、北海道の場合は上川であるとか、あるいは網走管内で今年も不幸にして再び冷害に見舞われた、いわば連年災害、こういう関係のところにおきましては、当然その実情にかんがみまして、下位等級の設定を行なっていただかなければならぬという問題が招来をしております。去年の冷害で一つ例をとってみますと、北海道の場合は、青米と称される例の混入米というのが八十九万俵ございました。ところが、今年の場合は、わずか二管内でありまするけれども、十八万俵、去年に比べまして約十八%にも及んでおる、こういう問題が発生しております。ですから、私があえて申し上げているわけです。それから水分過多の下位等級を設置するわけですから、御案内のように丙、水分過多の丙——大体五等級と称されるものでございますけれども、これは去年は百万俵でございましたけれども、今年はあまりにも大きい一般的な災害の陰に隠れておりますが、すでにもう三十万俵も出ている、こういう問題が農林省の統計、食糧事務所の統計でも大体私どもは察知できるわけです。ですから、こういう問題については、去年もそのような措置をとられたわけですから、次官におきましては、今年も昨年と同様の措置をすみやかにとっていただきたい、こういう問題が一つございます。  それからもう一つは、御承知のように、時期別格差の適用の問題でありますが、明日で今年度の場合は切れるわけです。明日で。これではとうてい間に合いませんので、全般にわたって二週間程度の延長措置を、去年の災害と同様にことしも取り扱っていただくように措置をしていただきたい、こう思う。  それから、それに加えまして、産米の概算金の返納の特例の問題がございます。これは農林省としては十分私は配慮したと思いますけれども、概算金の返納については、当然率の減免を行なわなければ、これはさなきだに災害を受けた農家というものは、翌年度の営農どころか、生活にも困窮する、こういう問題が続発をしてきます。ですから、これも毎度のことであるけれども、すみやかにそういう措置を農林省としてはとっていただきたいということを申し上げまして、答えがあれば答えていただきたい。さもなければ、私が言っていることが当然だということであれば、私はこの委員会では答弁を求めようとはしないわけであります。  以上であります。
  68. 後藤義隆

    政府委員(後藤義隆君) 災害につきましては、被害実情に応じまして諸般の対策を講じ、被害農民の救済に万遺憾なきを期してまいりたいと思っております。  米の問題の点につきましては、食糧庁のほうから参っておりますから、ただいま御答弁申し上げます。
  69. 田中勉

    説明員(田中勉君) 被害米の政府買い上げのことでございますが、御指摘ございましたように、昨年は、北海道産の青い未熟粒混入の規格外米、それから水分過多丙の規格外米等、もちろん等外上米も買っておるわけでございます。今回も私ども現地の実情等も、十分食糧事務所の関係から実情調査いたしておりますので、その必要があるということを考えまして、明日くらいの官報号外でこの措置を決定してまいりたいということでございます。  それから、時期別格差の問題でございますが、最近までの、ことしの出荷状況政府売り渡しの状況を私ども調査をいたしております。もちろん、昨年に比べますと、ことしは相当よく出ておるということは事実でございますが、しかし、やはり春以来のいろいろ作おくれとかいうことの影響等もございまして、今後過去数年におけるような状態は必ずしも望めないのじゃないかというようなぐあいに考えまして、本日、この時期別格差期限の延長を、北海道につきましては一週間、二十七日まで第三期の期末を延長するということを措置いたして、新聞等で発表いたし、同時にまた、現地の私ども食糧事務所、検査買い入れをする出先機関に対しまして通達をいたしました次第でございます。  それから、第三点の概算金の返納を要する農家等につきまして、利子の減免というようなことがございます。これは昨年は、北海道といたしまして、政府の買い入れが約四十二万トンでございますので、それ以前の状況から見ますると、相当大幅な政府買い入れ減があったわけでございます。したがいまして、相当量の概算金の返納という事態が起きたわけでございます。まあことしは、私ども現在北海道の今後の米の売り渡しの見込みをいろいろ調査いたしまして、予約数量が大体六十七万トンぐらいことしはいっているわけでございますが、現地の状況を聞きますと、地帯によってはもちろんアンバランスがございまするけれども、道全体といたしましては予約数量に大体匹敵するような買い入れが望める、こういうことでございますので、一部地帯的には概算金の返納というようなことが必要かとも思われますけれども、昨年とはだいぶその点が様子が違っておるようで、なおそういう特別な地帯等におきまして特にその概算金の返納に伴いまする利子補給措置というようなことが必要でございますれば、今後政府への売り渡しの状況等をよく調査いたしまして、これは善処いたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  70. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 たいへん簡単明瞭にしてわかりやすい答弁でありますが、承知をしました。  ただ、私が申し上げました、たとえば時期別格差の問題にしても、例として、全般的な災害の問題とさらにプラスをして、ことしの場合北海道という地域的にお答えがございましたように、地名を申し上げますと、上川管内と網走管内が再び冷害に見舞われた、こういうことを申し上げたので、いまのお答えでは、何か北海道については、たとえば一週間延長した、こういうことですが、これは一週間では私は足らないと思いますから、二週間ぐらい昨年と同様やらなければならぬのじゃないかと思いますけれども、そのことと私はあわせて、一般的な災害を受けました全国的なものにも私はそういうものを適用しなければならぬし、それから東北の場合ですね、これは北陸を含め——これは新潟もみな含みますけれども、そういう関係についても北海道の特殊な事情と大同小異でございます。これは事実ですね。ですから、私は、そういう全国的なものに対しても農林省はそう考えるべきではないか、こう申し上げたので、この点は、私が北海道の出身だからというので、北海道のことのみ答えられたので、ちょっと奇異に感じましたから、もう一回、新潟の武内先生もおられますので、お答えを願いたいと思います。
  71. 大口駿一

    政府委員(大口駿一君) ただいま御質問になりました、今回の二十三号、二十四号台風によりまする農林関係被害対策につきましては、先ほど先生が例示的にあげられました、天災融資法の発動の問題、自創資金並びに開拓者資金特別会計の問題、それから昨年借りておる資金の償還猶予の問題、それから再生産用種子の問題、それから共済金の概算払いの問題、下位等級の買い入れの問題、その他例をあげられたわけでありまするが、先ほどこの委員会の開始の際に細田副長官から申されましたように、天災融資法の発動は、農作物被害実額がはっきりいたしましたので、今週の二十二日の閣議で発動される予定になっておりまして、自創資金並びに開拓資金は従来天災融資法の発動というものを一つの契機として幸い実施いたしておりますので、これらの二つの天災融資法が発動されることになりますれば、従来の例にならいまして資金の貸し出しができるような状況になろうかと思います。  それから、昨年も災害を受け、また本年も引き続き災害を受けた方が実際に借りた金の償還ができないというものにつきましては、従来とも被害実情に応じまして償還の猶予なり条件の緩和措置を講じておりますので、これは先生がおっしゃいましたように、北海道に限らず、西日本の災害被災者につきましてはすでにそういうような措置を講じております。  それから種子の問題は、これは被害実情に応じて措置を講じてまいるわけでございますが、従来もそのような措置を講じたこともございますので、これは種子の足りない程度その他の調査の結果に基づきまして、来年の作付に支障のないような措置を講ずべきであろうというふうに考えております。  それから、被害を受けました農家共済金の支払いは、これはやはりいち早く概算払いをするように、また再保険金の支給の手続も早く進めるような指導等は、すでに災害の直後にそのような措置を講じております。  それからまた、天災融資法が発動に至りますまでの間のとりあえずの資金につきましては、すでに各金融機関に指示をいたしまして、つなぎ融資等の処置を講じて今日に至っております。  以上申し上げましたのは、ごく簡単な概略を申し上げたわけでございますが、二十三号、二十四号に限らず、本年の災害はほぼ全国一円にわたっておりますので、農林水産関係被害ども、金額にしても相当な金額にのぼっております。農林省といたしましても、被害実情調査であるとか事後の対策等にはできる限りの努力をしておりますし、また今後も残りました対策等については十分な措置を講じてまいりたい、かように考えます。
  72. 高山恒雄

    高山恒雄君 大体四国三県に対する要望は、私のほうでも山内委員のほうから報告があったとおりで、私はその中の重要な点だけひとつお聞きしたいと思うのですけれども、時間の関係もあろうかと思いますから、資料で提出してもらいたい。  特に学校の倒壊でありますが、これが今回は非常に多い、こういう見方をするわけです。したがって、この倒壊のために児童が非常に困っているということは、これはもう言うまでもございません。そこで私は、一週間前に、一体実態調査をやったのかということを連絡したのですが、まだ出発いたしておりません。いまこの災害の編成中だ、いわゆる調査をする組の編成中だ、こういうことを私聞いているわけです。これでは——特に学校の問題は、何といっても私は重要な問題だと思うのです。特に徳島等における川内南の小学校等においては、学校しかこれという退避する場所もないわけです。したがって、最大の公設施設として学校があるわけですが、そういう地域でございますので、これは早急にひとつ、原形にこだわることなく、近代的な避難場所も兼ねた校舎を今後建設していく、こういう方針を私は文部省としてはとってもらいたい、希望意見を申し上げておきます。したがって、この学校の問題については、倒壊した実態は、老朽していると私は見ておりますが、今回の台風二十三、二十四、二十五のこうした被害の学校の老朽している年数ですね、どういうのが一番倒れているのか。たとえば岐阜県における徳山の問題は、砂防の不備のためにそれだけの被害を受けたということが言えるかもしれませんが、しかし老朽施設が多い。これは非常にその施設に対する政府計画というものがないんじゃないか、私はこういう点を考えるわけです。したがって、今日三十年以上の老朽施設というものが校舎としてどのくらいあるのか、現在被害にあっているのはどのくらいの年数なのか、こういう問題についての資料をひとつ私は提出願いたいと思います。  もう一つの問題は砂防計画ですが、今度の兵庫県の災害を見ても、丹波地域におけるところの被害等はほとんど砂防がない。今度有馬地域における——有馬街道と申しますか、あの地域の砂防施設というものは宗全に一応なされておる。そういうために、手を尽くしていない地域の被害が非常に大きい。こういう問題も、一体政府としてのこの砂防に対する計画というものがあるのかないのか。あれば、ひとつその資料を出してもらいたい、こういうふうに考えます。  なお、これは中小企業の問題ですが、中小企業は、この災害をこうむった事実から見て、かなり近代化したい、もうこの事態が来れば近代化したほうがいいという考え方を多数その地域の自治体においては考えておられるようです。したがって、徳島の例を申し上げますと、大体八千万円の近代化資金だというようなことを言っておりましたが、これではとうてい近代化の資金にならない。したがって、災害地におけるこの近代化資金ももっと考慮する必要があるのじゃないか。特別の処置をとってこの際こそ近代化させると、こういう方針をとるべきじゃないかという考え方を私は持つわけです。したがって、各自治体におけるところのこの近代化資金はどういうふうに分配されておるのか、こういう資料をひとつ出してもらいたいと思います。  なお、もう一つの問題は、個人補償がないということは、各報告された方の全班の注文だったと思うのです。私は、この個人補償の問題については、昭和三十五年でしたか、そのころにも一応これは出されて問題になったと思いますが、個人補償ということを考えないで災害対策をやるということは、非常にその住民に対する不公平が起こってくる。こういう点をやはり政府としては根本的に私はぜひ考えてもらいたいと、こういうふうに考えます。なお、しかも商店街における個人補償がないための災害というものは、水害というものは、御承知のように、水びたし等による被害は、一カ月後じゃないとわからないのですね。壁が落ちてくるとか、そういう問題は一カ月後に起こってくるわけです。したがって、もう商店街が困っておるという事実が至るところに出ております。そういうものに対する救済法は何もないわけです。したがって、私は、四十八国会できまりました無担保の信用融資金ですか、この問題を、最高三十万円ですが、こういう金を私は特別にそういう地域には適用して、そうしてやってはどうかと、こういうふうに考えるわけです。政府のほうとしても考慮してもらいたいと思います。私はその希望意見を申し上げて、資料をひとついま申し上げた点については提出を願いたいと思います。したがって、次の委員会において私は御質問申し上げたいと、こう考えます。
  73. 大倉精一

    委員長大倉精一君) ほかに御発言もなければ、本日の質疑はこの程度にいたします。  なお、きょうの委員会には総理大臣以下要求大臣が全部欠席されたことは、委員長としても非常に遺憾に存じておりまするが、次回は、なるべく早い機会に、委員の皆さんとも相談をして、要求大臣、関係大臣が出席されるようにしたいと、こう考えておりますので、どうか皆さんの御協力をお願い申し上げます。    午後二時三十八分散会